福岡県議会 2015-06-15
平成27年6月定例会(第15日) 本文
女性の
労働環境の改善について質問します。我が会派の代表質問で述べましたように、
男女雇用機会均等法が制定されてから本年で三十年がたちます。この間、多くの方々の努力によって、さまざまな改善が図られてきたにもかかわらず、この均等法の施行後に生まれ、成人し、社会人となった若い人たちでさえ、今なお根強く残る性差別や格差に直面しています。近年では、我が国の経済発展の阻害要因として、
国内企業における
女性管理職比率の低さが指摘されています。管理職に占める女性の割合は、二〇一二年の時点で、アメリカで四四%、フランスで三九%、フィリピンで四八%と半数を占めようという勢いですが、日本ではいまだ一一%、約一割にとどまっています。このような女性人材が十分に育成され生かされていないことが問題視されるようになり、我が国でも思い切った変革の必要性が強く認識されるようになってきました。このような管理職への登用など女性の活躍推進及びそのための環境整備につきましては、これまで既に質問いたしましたので、今回は
労働環境の改善に絞って四点、
小川知事にお聞きします。
一点目に、少子化、
人口減少対策との関連についてです。OECDに加盟する先進三十四カ国のデータによれば、今から四十五年前の一九七〇年の時点では、女性の
労働力率の高い国ほど出生率が低いという傾向がありました。しかし、二〇〇〇年時点ではそれが逆転し、女性の
労働力率が高い国ほど出生率が高いという傾向が見られるようになりました。つまり、この三十年の間に、子供を産み育てることと仕事の両立が可能な
社会環境を整えてきた先進国においては、女性の
労働力率を伸ばしながら出生率も回復したということです。例えば、フランスでは一時期出生率が一・六五にまで下がっていましたが、今では人口規模を維持する目安の二・〇にまで回復しています。
一方、
厚生労働省が先月五日に発表しました
人口動態統計の最新値によれば、我が国の昨年の出生数は前年よりおよそ二万人下回る百万三千五百三十二人。四年連続で過去最少を更新しました。中でも第二子の出生数は前年の五分の一、二年前の十二分の一に落ち込み、第二子の壁がますます高くなってきていることが明らかとなりました。第二子をためらう理由としては、第一子出産後に育休を取得したのに、再びとることへの懸念など、働き方をめぐる事情があるとされています。
合計特殊出生率は、国全体で一・四二、本県では一・四六で、四十七都道府県では二十二位と
中位レベルでした。本県では、他県などからの人口流入による社会増が、死亡数が出生数を上回る自然減をカバーする形で人口がわずかに増加していますが、今後間もなく減少に転じると推計されています。知事は、
人口減少に歯どめをかけ、活力ある社会を維持するには、総力を挙げて取り組むべき重要な課題であると捉え、福岡県
人口減少対策本部を昨年十一月に立ち上げるなど、危機感を持って取り組まれています。
そこで知事にお聞きします。
人口減少対策、
少子化対策としても、出生率の上昇につながる
労働環境の改善が重要であると考えますが、このことについてどのように認識されているのかお聞かせください。
二点目に、女性の
継続就業についてです。正社員として職を得ても、仕事と育児の両立の見通しが立たず、第一子の妊娠や出産を契機に女性の六割もが離職しています。その場合、女性の所得は大きく変わってきます。試算によれば、正社員として働き続けた場合と、出産などを機に非正規社員になった場合とでは、生涯賃金にほぼ一億円もの違いが生じるとのことです。この差額である一億円が子育ての機会費用として、未婚化や晩婚化、出生率の低下の大きな要因の一つとなっており、さきに述べましたとおり、
人口減少など
地方創生にもかかわる深刻な問題をもたらすとされています。そのため、政府が昨年十二月に策定した、まち・ひと・し
ごと創生総合戦略においては、第一子の妊娠、出産前後の女性の
継続就業率を、現状の三八%から二〇二〇年までに五五%と、五年で一七%引き上げるとしています。加えて、長時間労働を抑制するため、週労働時間六十時間以上の雇用者の割合を現状の八・八%から二〇二〇年には五%に引き下げる、また
年次有給休暇取得率を現状の四八・八%から二〇二〇年には七〇%に引き上げるという
数値目標が設定され、適切かつ客観的に効果を検証することも盛り込まれています。
そこで、知事は女性の
継続就業の状況をどのように認識されているのか、また本県において女性が妊娠、出産を経験しながら就業を継続できる環境を整えるためにどのような
取り組みを今後行うのかお聞きします。
三点目に、
マタニティーハラスメントについてです。この言葉は、働く女性が妊娠や出産を埋由に解雇や雇いどめをされることや、職場で受けるハラスメントを指します。二〇一三年五月に
日本労働組合総連合会が実施した、マタニティ・ハラスメントに関する意識調査の結果、四人に一人もの女性が被害を受けた経験があることが明らかとなり、この言葉が社会に広く知られるようになりました。昨年の新語・
流行語大賞では、略語であるマタハラが
トップテンに入賞しています。
このように認知が広がってきたこともあり、労働者からの
マタニティーハラスメント関連の相談がふえてきています。昨年度に全国の労働局に寄せられた相談は、前年度より百四十七件増の三千五百九十一件でした。福岡県でも増加しており、
福岡労働局雇用均等室における
マタニティーハラスメント関連の相談は、前年度より三十五件増の百四十件でした。言うまでもなく、これらの
相談件数は実際の被害件数の氷山の一角にすぎません。相談の増加を重く受けとめた
厚生労働省は、先月、より厳しい姿勢を企業に示すことで被害を未然に防止するため、是正指導や勧告に従わない
悪質企業の
企業名公表など指導を徹底する方針を決め、全国の労働局に指示しました。
そこでまず、県内における
マタニティーハラスメントの現状について、知事はどのように認識しているのかお聞きします。その上で、女性の
継続就業を促進するためにも、
マタニティーハラスメントの根絶が急務と考えますが、知事は今後どのような対策を講じられるのかお聞かせください。
四点目に、男性への働きかけについてです。女性が働きやすい職場にするには、男性の意識が変わることが不可欠であり、男性に対する積極的な働きかけが重要であります。男性の四割強は、事情が許せば
育児休業を取得したいとの希望を持っているという調査結果もあります。この点につきましては、昨年十二月五日、我が会派の田辺議員が質問し、
子育て応援宣言企業における
男性職員の
育児休業取得率の把握など新たな
取り組みにつながりました。十二月二十七日には、さきに述べました、まち・ひと・し
ごと創生総合戦略が閣議決定され、男性の
育児休業取得率が、
重要業績評価指標の一つとして、現状の二・〇%から、二〇二〇年には一三%にまで引き上げることが明記されました。北九州市では、二〇一三年度に六%だった
男性職員の
育児休業や育児短時間
勤務制度等の取得率について、二〇一九年度までに二〇%に引き上げるとする
数値目標が設定されています。また同市では、管理職、課長級以上の全員である約五百六十人が五月十九日に
イクボス宣言をし、
育児休業をとりやすい
環境づくりなどの
取り組みが始まっています。本県においては、仕事と子育ての両立を支援する施策として、
子育て応援宣言企業の拡大に取り組んでおられます。そして今後は、この
取り組みの中で男性の
育児参加などにも重点を置き実施すると聞いております。
そこで知事にお聞きします。
子育て応援宣言企業の
取り組みの中で男性の
育児休業取得率を上げていくために、今後どのような
取り組みをされていくのかお聞かせください。
また、県職員の
育児休業の取得率についても意欲的な
数値目標を掲げ、その達成に向けた
取り組みを確実に行うべきであると考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
以上四点につきまして、
小川知事のやる気に満ちた御答弁を期待します。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
7 ◯議長(井上 忠敏君)
小川知事。
*
知事答弁
8 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
まず初めに、出生率の上昇につながる
労働環境の改善に関する私の認識でございます。
人口減少対策を進める上で、出生率の向上というのは大変重要な課題だと思っております。このため県では、若者が結婚や子育てに夢や希望を持ち、子供を安心して産み育てることができる
社会づくりに向け、全庁挙げて
取り組みを進めているところであります。特に、
雇用労働分野におきましては、若者の就職支援や
正規雇用の促進による
経済的基盤の確保、男性の
育児休業の
取得促進や長時間労働の抑制による仕事と子育ての両立、そういった
労働環境の改善が重要であると認識いたしております。
女性の
継続就業についてでございます。議員もお触れになりましたが、平成二十二年の国の調査によりますと、第一子出産前後の女性の
継続就業割合は三八%にとどまっており、約六割の方が妊娠、出産を機に退職をされる状況にございます。女性が、妊娠、出産後もお仕事をやめることなく、それまでの雇用形態を維持して働き続けることができれば、それはその方の就労は安定し、培ってきたキャリアや経験を発揮して活躍されることにもつながってまいります。女性が仕事と子育てを両立しながら働き続けることができる
労働環境の整備は、大変重要な課題であると考えております。
県では、男女がともに子育てをしながら社会で活躍をできる
環境づくりを目指しまして、
イクメン講座、
イクボス講座の開催など、男性の
子育て応援事業に取り組んでいるところであります。また、企業のトップみずからが従業員の仕事と子育ての両立支援をすることを宣言する
子育て応援宣言企業の登録拡大に
取り組みまして、結婚、妊娠、出産をしても働き続けることができる
職場づくりも進めているところであります。
宣言企業は現在五千百二十一社を数えておりますが、これらの企業におきましては、従業員の
育児休業の取得、
ノー残業デーの推進、短時間勤務制度の導入など、それぞれの職場の実情に応じた
取り組みというものが進められているところでございます。今年度からは、これに加えまして、男性の
育児参加を促進する
取り組みについても力を入れたいと考えております。今後とも、こうした
取り組みによりまして、女性が妊娠、出産後も継続して働き続けることができる
労働環境の整備に努めてまいります。
次に、
マタニティーハラスメントについてお尋ねがございました。本県における
マタニティーハラスメントに関する
相談件数は、近年増加をしてきているところでございます。妊娠、出産等を理由とする不利益な取り扱いは、
男女雇用機会均等法、法律違反であることはもちろん、女性が希望を持って働くことを阻害するものであると、このように考えております。県では、
マタニティーハラスメントの問題に対しまして、県内四カ所に設置をしております
労働者支援事務所での
労働相談におきまして、
関係法令に関する助言など、その支援を行っているところでございます。こうした
取り組みに加えまして、今年度は、企業や事業所の代表者、
人事担当者を対象にいたしまして、
マタニティーハラスメントをテーマにした研修会を開催することといたしております。また、
子育て応援宣言のサイトにおきまして、
マタニティーハラスメントに関する制度の説明あるいは事例の紹介を行い、その内容を拡充することといたしております。
次に、男性の
育児休業取得率を向上させる
取り組みについてお尋ねがございました。平成二十五年度に実施をいたしました県の調査によりますと、
本県民間企業の男性の
育児休業取得率は〇・六%にとどまっております。男性の
育児休業取得を促進する
取り組みを強化していく必要があると考えております。このため、
子育て応援宣言企業登録制度におきまして、今年度から新たに、企業の宣言書あるいは私どもの
広報チラシに、男性の
育児参加というものを
取り組み項目として明示をいたしまして、男性の
育児参加の積極的な
取り組みを促してまいります。加えて、
子育て応援宣言の
優良企業知事表彰、これ今やらせていただいておりますけれども、この中で、男性の
育児参加促進の
取り組みを表彰基準に追加をいたしまして、積極的に男性の
育児参加を進めておられる企業を顕彰してまいります。さらに、男性が
育児参加をしやすい
職場づくり、その参考となるように、先進的な企業の
取り組み事例や活用できる制度、
関係法令などを盛り込んだ手引というものを新たに作成をいたしまして、
宣言企業を初め
県内企業に配布することといたしております。
次に、
男性職員の
育児休業の取得についてでございます。県では、
次世代育成支援対策推進法に基づきまして、事業主として行動計画を策定いたしております。特に、
男性職員の
育児参加を促進する観点から、
知事部局における
男性職員の
育児休業等の取得率について
数値目標を設定しております。昨年度までの計画における
数値目標五%に対しまして、平成二十六年度の実績を見ますと、その目標値を上回る七・六%となってございます。今年度策定した新たな計画におきましては、三十一年度までにこれを一五%以上にする、そういう
数値目標を掲げているところであります。これは昨年度実績の二倍に相当する高い目標であります。
男性職員が
育児休業等を取得しやすい環境を整備していくため、これまでも私どもはリーフレットや庁内ウエブによりまして、
男性職員が取得できる休暇あるいは休業制度、その周知を図ってまいりましたけれども、それと同時に、研修等を通じまして、管理職を初めとします職員全体、その意識を高めてまいったところであります。また、
男性職員の
育児参加を促進する観点から、子供が生まれる
男性職員全員それぞれにつきまして、上司とともに子育て、育休取得等にかかわる子育て支援プログラム、これを策定することとし、今までこれを進めてきたところでございます。
9 ◯議長(井上 忠敏君)
堤かなめ君。
10 ◯二十四番(堤 かなめ君)登壇 指摘と要望をさせていただきます。
子育て応援宣言企業についての
取り組みについてお答えがありました。本県における
宣言企業の女性の
育児休業取得率は九六・二%ですが、この数値には、
育児休業をとる前に、妊娠がわかって退職した女性は含まれていません。全国的には、第一子の妊娠、出産を機に六割もの女性が仕事をやめるという状況は、均等法後のこの三十年ほとんど変わっていないことが把握されていますが、本県でも、より適切な指標として、妊娠判明時からの
継続就業率を把握し、女性の
労働環境改善の評価指標とすべきであることを指摘させていただきます。
また、働く女性の六割が非
正規雇用であり、その中には、ひとり親で子育てをしている方も多くおられます。非
正規雇用の方々が働く職場の大半には、そもそも
育児休業制度がありません。このような、活躍したくてもなかなか活躍できない環境に置かれている方々の状況の改善を最優先にすべきと考えます。すなわち、同一価値労働同一賃金の導入や最低賃金の引き上げなどによる格差是正や貧困の解消、阻害要因となるハラスメント、DV、性暴力の根絶であり、つまりは我が会派が代表質問でただしました男女共同参画社会の実現です。吉村代表が厳しく指摘しましたように、行政推進会議を通じて、県民幸福度日本一を掲げる
小川知事にふさわしい、より強力なインセンティブの付与など意識啓発にとどまらない実効性のある日本一の第四次計画を策定するのみならず、行政推進会議の場を通じて、全庁挙げて全力で包括的に取り組んでいただきますよう心より要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
11 ◯議長(井上 忠敏君) 高橋雅成君。(拍手)
*高橋
議員質問
12 ◯六十二番(高橋 雅成君)登壇 皆さん、こんにちは。公明党の高橋雅成です。通告に従いまして、早速一般質問に入らせていただきます。
初めに、ふくおか・まごころ駐車場の整備と内部障害の方の支援について伺います。ふくおか・まごころ駐車場は、障害のある方や高齢の方、妊産婦の方など、車の乗りおりや移動に配慮が必要な方のために公共施設や店舗などに整備され、安全で安心して施設を利用できるよう支援する制度です。公明党福岡県議団が機会あるごとにパーキングパーミット制度の整備を県に働きかけたことなどにより、平成二十四年二月に始まりました。
まず、同駐車場の県内の整備状況はどうか伺います。公共施設、店舗など民間施設の別にお答えください。
また、地域的にはどうか、圏域ごとの整備の状況もお答え願います。
また、同駐車場を利用するための利用証の発行状況について、障害の種類別、難病患者、高齢者、妊産婦、けが人の対象者別に現状をお聞きします。
さらに、同駐車場は他県との相互利用が可能としていますが、その現状について説明をお願いします。
この、ふくおか・まごころ駐車場について私たちがよく耳にするのは、対象者ではない健常者が同駐車場に車をとめ、肝心の対象者が利用できないことがあるという声です。現実にこうした事実はあるのか。ある場合は、どうしてこのようなことが起こっているのか、防止策はどのように講じているのか伺います。
次に、ふくおか・まごころ駐車場を示す掲示について伺います。同駐車場のマークには、緑色を主体に、車椅子、高齢者、妊産婦、けが人をあらわすピクトグラムが示されています。ピクトグラムというのは、一定の情報を視覚的にあらわす絵文字のことですが、まごころ駐車場には本来、利用可能な難病患者あるいは内部障害者をあらわすピクトグラムが欠けています。そのため、見た目だけではわからない、あるいはわかりにくい難病患者や内部障害者がまごころ駐車場を使いにくい、駐車するのに人目をはばかるというような状況が生じております。
そこで、まごころ駐車場のマーク及び利用証に、難病患者や内部障害者をあらわすピクトグラムをつけ加えるべきと考えるものですが、知事の見解を伺います。
この内部障害者をあらわすピクトグラムについては、全国統一的なものはありませんが、割と普及しているものとして、ハート・プラスマークがあります。これであります。これは、NPO法人のハート・プラスの会が普及を目指しているもので、福岡県内では、北九州モノレール車内、西鉄バス車内、福岡市営地下鉄車内などで掲示されております。また、東京都福祉保健局が取り組んでいるものとしてヘルプマークがあります。これでございます。知事、これです。これが現物です。知事に一つだけ。東京都の説明によりますと、これは義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、援助や配慮を必要としていることが外見からはわからない方々が身につけるマークです。周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるよう作成されたもので、ヘルプマークの配布や優先席へのステッカー標示等を、平成二十四年十月から都営地下鉄大江戸線で、平成二十五年七月から全ての都営地下鉄、都営バス、都電荒川線、日暮里・舎人ライナーで開始し、さらに平成二十六年七月からゆりかもめ、多摩モノレールへと拡大して実施しています。また、平成二十六年七月から民間企業への働きかけも実施しています。
本県としても、こうしたマークあるいはピクトグラムの普及を目指すべきであると思います。それも、できれば全国共通のものが望ましいので、全国知事会などを通じて、全国共通のものを目指すことを提案してはどうでしょうか。本県での普及、全国共通化についての知事の見解をお聞かせください。
次に、LGBTの方への支援について伺います。LGBTの方の人権問題について、私はこれまで本会議一般質問や予算特別委員会で質問し、今回で四回目となります。これに応え、県としても、ここ数年の間、性的少数者の人権問題をテーマとした講演会の開催や庁舎横断的な連絡会、職員への研修などさまざまな
取り組みを進めていただき、感謝しております。その上で、いま一重の
取り組みを促すため、質問をさせていただきます。
東京都渋谷区が同性カップルに対し、結婚に準じる関係と認めるパートナーシップ証明を発行する全国初の条例が、三月三十一日の渋谷区議会本会議で可決、成立しました。本会議を傍聴したLGBTの当事者たちは、同区役所前で、サンキュー渋谷、祝同性パートナーシップ条例と書かれた横断幕を掲げ、報道陣のカメラに囲まれて喜びの声を上げたなどと報道されました。同性パートナーシップに関する法的問題としては、以下のようなことがLGBT当事者から指摘されています。
第一に、居住問題です。賃貸契約について、法律上の親族でない同性の二人が、マンション、アパート等の賃貸契約をする場合、同性の二人を名義人とすることを大家が差別することがある。公営住宅については、公営住宅の入居者基準の、現に同居し、または同居しようとする親族があることという親族要件から同性のパートナーを排除している。住宅ローンについて、同性パートナー同士の二人が収入を合算して住宅ローンを借りることができない。夫婦、親子で借りた場合は、誰が亡くなっても直ちに法定相続が発生して権利関係が明確であるのに対して、同性パートナー同士では、法的関係がない場合、相続が生じない。遺言を使っても、業者側としては、共同で住宅ローンを組ませることには難色を示す。
次に、税金と保険の問題です。税金の控除について、同性パートナー同士には、配偶者控除、扶養控除が適用されない。例えば、HIVや鬱などで働くことができず無収入のパートナーを扶養していたとしても、税法上の控除は認められません。健康保険について、会社の健康保険では、被扶養者に加入者の保険が適用されるが、被扶養者の範囲が健康保険法第三条七項の一で「直系尊属、配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、子、孫及び弟妹であって、主としてその被保険者により生計を維持するもの」と規定されているため、扶養されている同性パートナーへの適用が認められない。
第三に、年金の問題です。異性の専業主婦には、三号被保険者として、自分が年金保険料を払っていなくても、配偶者の厚生年金によって基礎年金を受給する資格がある。国民年金法五条八項は「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者」と規定しているが、同条文は同性パートナーを含むかを明らかにする必要がある。遺族年金の問題について、法律上の夫婦、または異性の事実婚の場合でも住民票の未届けの妻または夫による証明や生計同一証明によって遺族年金を請求できる。同性パートナーの場合は、家族として暮らし、故人の扶養を受けていたとしても遺族年金の対象にならない。生命保険の受け取りについて、多くの生命保険会社の内規で受取人を二親等以内の親族と定めているため、同性パートナーを受取人とする生命保険を組むことが困難な現状がある。緊急時の病院での意思確認について、同性パートナーが病院に運び込まれた段階で、本人に意識がない、あるいは衰弱して主張できないなど患者の意思が確認できない場合、看護や面会についてパートナーが排除されてしまう可能性がある。また、パートナーが事故や急病で病院に運び込まれた場合に、法律上の家族でない同性のパートナーが安否確認の情報を受け取ることができない場合もある。
第四に、死と相続の問題。同性パートナーの相続権について、同性パートナーの一方が死亡し、遺言がない場合には、その財産が法定相続人に相続される。パートナーの死去が突然あった場合、家の名義人がいなくなり、その家から退去しなければならなくなる。遺言もなく、法定相続人もいない場合には、特別縁故者として家庭裁判所に認定を受ける必要がある。こうした問題を防止するため、あらかじめ公正証書契約を結ぶ手段があるが、二人の間の相互委任契約で、第三者を拘束するものではない点で限界がある。二人の間で結んだ契約であっても、婚姻届と同じ効力を有するものではないため、実際の医療や相続の現場で、親族に対抗できるわけではない。養子縁組の問題点について、法的効力のある制度は遺言と養子縁組しかない。養子縁組には、対等であるべきパートナーシップに親子という縦の関係を持ち込むことに当事者の間には抵抗感がある。また、民法七百三十六条は、養親子の関係にあった者は離縁後も婚姻することはできないと規定しているため、将来、日本に同性婚の制度ができたときに、養親子関係になっていたことがネックになると考える人もいる。
このような問題点を踏まえると、日本の現行法の範囲内で同性パートナーと生活をしていくことには大きな課題があると言わざるを得ない。
以上は、LGBT当事者による問題点の指摘です。こうした課題を克服するために、抜本的には民法などの法改正が必要なわけですが、今回の渋谷区の条例が一定の成果を上げるかもしれないと、大いに期待されているわけです。
ところで、先ほどから指摘している渋谷区の条例ですが、正しくは渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例です。パートナーシップ証明ばかりがスポットライトを浴びていますが、全体は、男女平等を進め、人権と多様性を尊重し、個性と能力を発揮できる社会を目指す条例です。男女平等で人権を尊重するからには、性的少数者が平等に尊重されるのは当然です。この点、知事はいかに感じるでしょうか。そして、福岡県の男女共同参画推進条例も同じ趣旨で書き直さなくてはならない時期に来ているのではないかと感じるものですが、知事の御所見を伺います。
昨年、福岡市内で初めて福岡県、福岡市が後援し、レインボーパレードが行われました。私も出席しましたが、福岡市の職員が大変熱心に手伝っている姿が印象的でした。昨年に引き続き、ことしもレインボーパレードが企画されています。できれば知事に参加してもらいたいし、県の人権・同和対策局にはぜひ参加し、LGBTに対する理解をより一層深めていただきたい。知事の見解を伺います。
また、昨年はLGBT当事者や活動に熱心な方々から、県職員がさまざまな意見を聞く機会を持ったとお聞きしておりますが、参加した職員からはどのような感想が聞かれましたでしょうか。また今後とも、こうした機会を設け、さらに多くの県職員に理解を深めていただきたいがいかがでしょうか。
アメリカの国務省が、これから社会を担っていく海外の青年を招待し、三週間、アメリカを視察してもらうインターナショナル・ビジター・リーダーシップ・プログラムという
取り組みがあります。日本とアメリカの相互理解を政治、経済、教育、文化などあらゆる分野で促進し、人物交流を通じ広範な種々の課題について両国が共有することを目的とするものです。過去の参加者には、政界では、海部俊樹元首相、細川護煕元首相、公明党の神崎武法元代表、民主党の総理経験者、社民党の党首などがいます。昭和女子大学の坂東眞理子学長、ノーベル文学賞の大江健三郎氏などそうそうたるメンバーも参加者に名を連ねております。そして、同プログラムにことし、福岡在住の三人のLGBT当事者が参加することを知事は御存じでしょうか。
先日、その三人に会いましたが、非常に考えがしっかりした方ばかりでした。これから日本の社会を担っていくだろうとアメリカが考えるLGBTの人材が福岡県内に三人もいるという事実を、知事はどう感じるでしょうか。正直な感想を述べてください。
この三人はともにLGBTであることをカミングアウトしていますが、今の日本の社会の中では大変勇気の要る行動だと思います。前回一般質問したときにもお聞きし、知事からは明確な答弁をいただけませんでしたが、県庁職員がカミングアウトしやすい環境を県知事みずからがつくり上げることが極めて重大と認識しておりますが、知事の御所見を改めて伺います。
教育長に伺います。文部科学省は四月三十日、性的マイノリティーの小中高校の児童生徒に、きめ細かな対応を求める通知を全国の教育委員会などに出しました。性同一性障害の児童生徒に対する具体的な対応も紹介したほか、他の性的マイノリティーに対しても悩みや不安を受けとめるとともに、いじめや差別を許さない指導や教職員自身が心ない言動をしないよう求めました。福岡市は今年度から、小学校の新一年生に配っている黄色い帽子について、形を男女で統一しました。性同一性障害などの子供に配慮した対応です。文部科学省の通知にも応える形となりました。県内の市町村教育委員会において、こうした
取り組みは進んでいるのか、具体的な例を紹介してください。さらに、教師への研修が最も大事です。県内の教師へのLGBTを内容とする研修の実態についてお答えください。
以上で一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
13 ◯議長(井上 忠敏君)
小川知事。
*
知事答弁
14 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
まず初めに、ふくおか・まごころ駐車場に健常者が駐車をしているのではないか、そういう御指摘でございます。県の担当課におきましても、毎年数件、そのような苦情が寄せられているところであります。こういった苦情が寄せられることがないよう、今後ともまごころ駐車場の趣旨を県民の皆様に御理解をいただき、適正に利用していただけるよう呼びかけを行ってまいります。あわせて、内部障害など外見からわかりづらい、さまざまな障害をお持ちの方がおられることにつきましても御理解をいただいていく必要があると考えております。このため、全戸配布広報紙や協力施設への要請文書を用いてその啓発を進めることによりまして、障害のある方がまごころ駐車場を安心して御利用いただけるよう取り組んでまいります。
次に、まごころ駐車場の表示、利用証への内部障害者等をあらわすピクトグラム、これを追加したらどうかという御指摘でございます。まごころ駐車場が、例えば内臓機能障害の方であれば四級以上の方など、車の乗降や移動において特にその配慮が必要とされる方を利用の対象とさせていただいております。御紹介のありましたハート・プラスマーク、それからまたいただきましたヘルプマークは、いずれも援助や配慮を求められておられる方々を広く対象といたしております。このため、まごころ駐車場の利用対象者とは一部に乖離がございまして、そのまま利用するには難しい面もあるかと思います。その場合に誤解や混乱を生じることのないよう、障害者団体やまごころ駐車場の協力施設、それらの方々の御意見も伺いながら、福岡県の対応を考えていきたいと思います。
次に、内部障害者等をあらわすピクトグラムの全国共通化と本県での普及についてでございます。障害のある方が、どの地域においても安心して移動ができるようにしていく上で、ピクトグラムの統一というのは意義があると、このように考えております。この秋、パーキングパーミット制度、全国で導入しております自治体で構成をしております全国パーミット制度推進協議会というのがございまして、それがこの秋開催をされる予定でございます。その場で適切なピクトグラムについて協議をしてまいりたいと、このように考えております。
次に、男女共同参画推進条例の見直しについてお尋ねがございました。男女共同参画推進条例は、男女の人権が尊重され、個人としてその能力を十分に発揮できる社会を推進するためのものでございます。そこでは、個人の尊厳が重んじられることが根幹にされておりまして、基本理念として規定されているところであります。したがって、この本条例のもとで本年度策定をいたします第四次男女共同参画計画におきまして、性的少数者も含む多様な人権が尊重されるよう、審議会の議論も踏まえ、施策の方向性というものを検討させていただきます。
次に、LGBTレインボーパレードへの参加についてお尋ねがございました。昨年十一月、福岡市内で開催をされましたレインボーパレードは、県内の大学生の方が中心となって企画をされ、LGBTいわゆる性的少数者の方々について、知る、伝える、考える、これをテーマに実施されたものでございます。このパレードの実施に当たりましては、性的少数者に対する理解促進につながるものと考えまして、県もその後援を行うとともに、職員もこの行事に参加をしたところであります。県として、引き続きこういった行事に参加をし、性的少数者の方々への理解促進に努めてまいります。
次に、LGBT当事者等との意見交換についてでございます。県では、昨年七月、県庁の関係十四課で構成をしております性的少数者に関する庁内連絡会議におきまして、当事者やその御家族の方々、また支援団体の代表者から、それぞれ抱える悩みや思いというものを直接お聞きするとともに、意見交換をさせていただきました。この意見交換に参加した職員からは、性的少数者の人権問題というものを初めて身近に捉えることができた、まずは当時者の思いを受けとめることが大事だと、そう思った、痛感した、そういった声を多く聞いているところであります。今後とも、こうした機会を設け、職員が性的少数者に対する正しい理解と認識を深めるよう努めてまいります。
次に、福岡在住のLGBT当事者のアメリカ国務省からの招待についてでございます。インターナショナル・ビジター・リーダーシップ・プログラムは、アメリカ国務省教育文化局が企画、管理をしておりますプログラムでございます。各種分野で指導的な立場にある、あるいは今後そういった立場に立たれる可能性のある方を対象に実施されるものと聞いております。今回、このプログラムによりましてアメリカに招待される三名の福岡在住のLGBT当事者の方々は、日ごろから性的少数者の生活の支援や相談活動に大変熱心に取り組まれておりまして、昨年の性的少数者に関する庁内連絡会議にも御参加をいただいた方々であります。福岡で活動されておりますこの三名の方の、その日ごろの活動というものが評価されたものと考えておりまして、この機会に同じ分野の専門家の方々と幅広く議論を交わし、より専門的な知識や人脈を培われますことを期待しているところであります。
県庁職員がカミングアウトしやすい
環境づくりについてお尋ねがございました。性的少数者やその家族の方々と県との意見交換におきましては、多くの方々がさまざまな場面でつらい思いをしたことがある、誰にも話せず一人で悩んでいた、そういった御事情を伺ったところであります。こういった問題を解決していくためには、まずは職員一人一人が性的少数者の方々に関して正確な知識を持つことが重要であると考えております。そのため、昨年、職員向けの人権・同和問題研修テキストを見直しをしまして、新たに性的少数者の人権問題に関する解説を加えさせていただいたところでございます。今後とも、職場研修などさまざまな機会を捉えまして、性的少数者の方々への理解促進を図ってまいります。また、こうした
取り組みを通じて、性的少数者に対する理解のある
職場づくりというものを努めていきたいと思っております。
なお、残余につきましては福祉労働部長から答弁をさせていただきます。
15 ◯議長(井上 忠敏君) 高橋福祉労働部長。
*福祉労働部長答弁
16 ◯福祉労働部長(高橋 敬君)登壇 まごころ駐車場の整備状況などについてであります。平成二十六年度末の協力施設数は二千五百七十二施設となっており、制度導入初年度である三年前の一・七倍になっています。その内訳は、公共施設一千百三十六施設、民間施設一千四百三十六施設であります。また、地域別の内訳は、福岡地域一千百九施設、北九州地域六百三十八施設、筑後地域五百五十二施設、筑豊地域二百七十三施設となっています。
まごころ駐車場利用証の発行件数は、平成二十六年度末で五万五千百四件となっており、三年前の三・四倍になっています。その内訳は、肢体不自由二万四千二百四十一件、内臓機能障害一万四千六百三十八件、視覚、聴覚、平衡機能障害三千三百九件、知的障害二千三十二件、指定難病患者一千八百六十三件、精神障害二百九件、要介護の高齢者三千三十九件、妊産婦、けが人等五千七百七十三件となっています。
また、九州における本県以外のパーキングパーミットの協力施設数は八千五百四十二施設、利用証の発行件数は十三万七千八百五十六件となっており、各県の利用証で協力施設の相互利用が可能であります。
17 ◯議長(井上 忠敏君) 城戸教育長。
*教育長答弁
18 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 性同一性障害などの子供に配慮した具体例についてでございます。福岡市のような全域的な
取り組みについては把握しておりませんが、県内の公立学校においては、今回の文部科学省の通知文の趣旨に沿って、性同一性障害などの子供に対し、職員用の更衣室やトイレの利用はもとより、担任や養護教諭等を窓口とした相談体制の充実を図るなど、個別の事案に応じて当該児童生徒の心情などに配慮した対応を行っております。
性同一性障害や、いわゆる性的マイノリティーを内容とする教員研修の実態についてでございます。現在、県内全ての公立学校の管理職や人権教育担当者、主任等の研修会などの機会を捉えて、文部科学省の通知文の周知と該当する児童生徒に対する支援の具体的な方策を検討するための演習、協議を実施しております。県教育委員会といたしましては、今後も学校や市町村教育委員会から個別の相談が寄せられた場合は、医療機関や専門的な相談窓口等とも連携しながら指導、助言を行ってまいります。
19 ◯議長(井上 忠敏君) 高橋雅成君。
20 ◯六十二番(高橋 雅成君)登壇 ふくおか・まごころ駐車場につきまして、内臓機能障害の方の利用証が一万四千件以上あるということでございますので、やっぱり内部障害とか難病の方が使いやすくなるように、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
それから、利用証を持った人同士が、例えば肢体不自由の方と妊産婦の方とかいうような方同士が対立しないようにするためには、やはり施設数の確保、これが必要だというふうに思いますので、ぜひこれからも施設がふえますように努力をお願いしたいというふうに思います。
それから、男女共同参画社会推進条例につきまして、これが男女の人権が尊重されると同時に、個人の尊厳が重んじられることが根幹にあるという答弁でございました。第四次男女共同参画計画におきまして、性的少数者も含む多様な人権が尊重されるよう審議会の議論を踏まえ施策の方向性を検討していくということで、大変一歩前進でありがたいことであるというふうに思っております。その上で、この条例が性的少数者の人権も尊重する条例の中身なんであるということには、少し、やはり違和感を感じております。
若干調べました。この条例がどのような経緯で誕生したかを調べましたけれども、平成十一年の六月に、男女共同参画社会基本法が国のほうにおいて成立したのを受け、条例を制定するに至ったということです。平成十三年に成立しておりますけれども、同年の一月、商工生活労働委員会で、女性政策課長の説明です。男女共同参画
社会づくり検討委員会において八回議論を重ねた、提言中間取りまとめを発表するということで、その折に課長さんは、基本理念は男女が性別に関係なく平等に尊重される社会、男女がその個性と能力を十分に発揮する社会、男女があらゆる分野の活動に対等に参画する社会という基本理念でありまして、全て男女ということであります。平成十三年の九月の定例会におきまして、当時の麻生知事が議案提案趣旨説明をいたしました。その折に、このように説明しております。条例の「内容は、男女共同参画の推進に関する基本理念と、県、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、県が実施する施策について必要な事項を定めるもの」であると、ここでも男女であります。商工生活労働委員会、生活労働部長の委員会での発言でございます。条例の制定理由を説明する中で、「男女の人権が平等に尊重され、社会経済情勢の急速な変化に対応できるように、活力ある地域社会を築いていくため、男女共同参画を推進する必要があることから制定」をしますというふうに明確に述べております。
こうした経過、議会でのやりとりを踏まえましたら、そもそも男女共同参画社会推進条例にはLGBTの視点は入っていないというふうにしか思えません。条例制定に向けた、まず平成十三年に向けて八回の検討委員会を設けた、議論を重ねたということでございますので、この八回の委員会の議論の中でLGBTからの視点の論議はあったのかどうかということをお伺いしたいと思います。
男女共同参画ということと人権、同和対策ということ、ここをしっかりとわきまえて、そしてしっかりと連携をしながら、この性的少数者LGBTの問題については取り組んでいく必要があるのではないかというふうに考えますけれども、知事の御所見を再度お伺いします。
よろしくお願いします。
21 ◯議長(井上 忠敏君)
小川知事。
22 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
少し先ほどの答弁を敷衍させていただきながら答えさせていただきたいと思います。
国の立法者意思、先ほど御紹介ありましたが、男女共同参画法におきましては、男女の個人としての尊厳が重んじられることが基本理念とされているわけであります。そして、その後の経過を経て、現在の基本計画におきましては、その個人としての尊厳というものを踏まえて、計画の中では性的指向を理由に困難な状況に置かれている人や性同一性障害を有する人など性的少数者の人権の尊重にかかわる人権教育、啓発、相談等を進めることが盛り込まれているわけです。法案には基本理念が書いてあって、その中には個人としての尊厳がうたわれているわけであります。そのことを受けて、性的少数者の方々についての人権、それについて基本計画で述べているわけであります。国も、そういう体系になっているわけであります。
この私ども福岡県の条例は、八回の審議というのは、私今つまびらかにできませんけれども、この国の男女共同参画基本法を受けまして制定をされているものでございます。条文には、国と同様の基本理念が規定されているわけであります。したがいまして、この規定されている基本理念のもとで、国が基本理念で掲げ、それを基本計画の中で性的少数者についてうたっている、それと同じような考え方に立って、具体的な施策については参画計画において盛り込まれているわけであります。したがいまして、今度の計画の改定に当たりまして、性的少数者を含む多様な人権が尊重されるよう、審議会はもとより性的少数者支援団体の皆様の意見も伺いながら施策の方向性を検討していきたいと、そうお答えさせていただいたわけであります。
23 ◯議長(井上 忠敏君) 高橋雅成君。
24 ◯六十二番(高橋 雅成君)登壇 計画の中で、このことを論議していただく、あるいは計画の中に入れていただくということは、大変ありがたいと思っております。そこは誤解のないように、まず申し上げておきますけれども、その上で、やはり渋谷区の男女平等及び多様性を尊重する社会を推進するという、そういう条例の、こういった理念、これをしっかりと踏まえて、そういう基本的な思考とか施策を深めた中で、そういった計画をつくっていただきたいし、その上でさらに、条例自体もそういった方向性での条例にしっかりと文言を書き記すべきではないかというふうに私自身は考えて、また主張もさせていただいております。ぜひ、そのことを検討していただきますよう要望しまして、私の一般質問を終わります。
御清聴、大変ありがとうございました。(拍手)
25 ◯議長(井上 忠敏君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時三十分といたします。
午 後 零 時 十七分 休 憩
午 後 一 時 三十一分 再 開
26 ◯副議長(原竹 岩海君) 再開します。
*諸般の報告
諸般の報告を行います。
提出議案中第一〇五号議案「福岡県職員の退職手当に関する条例及び福岡県職員の再任用に関する条例の一部を改正する条例の制定について」人事委員会の意見を求めましたところ、お手元配付のとおり意見の提出がありました。
──────────────────────────────────────────
27 ◯副議長(原竹 岩海君) 以上、報告いたします。
休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。山口律子君。(拍手)
*山口
議員質問
28 ◯二十九番(山口 律子君)登壇 日本共産党の山口律子です。安倍政権が進めている安全保障関連法案、いわゆる戦争法案に関連して三点質問します。
第一は、国民保護法に基づく本県避難施設の指定との関連です。去る六月十一日、本県の私学学事振興局は、課長名で、県内全ての私学に対し、国民保護法第百四十八条に基づく避難施設についての照会文書を送りました。これに添付されていた県の公式文書、国民保護に係る避難施設の指定要綱の文面が多くの関係者の不安をかき立てています。私ども共産党県議団にも私学関係者からの問い合わせが相次ぎました。例えばこう書いてあります。避難施設とは、武力攻撃事態等において、住民の避難及び避難住民等の救援を的確かつ迅速に実施するために供する施設である。また、退避場所については、ミサイル攻撃や航空攻撃の際に、爆風等からの直接の被害を軽減するための一時的な避難を行う場所であるなど、ショッキングな言葉が並んでいます。そういう避難施設に手を挙げたら、逆に攻撃対象になるのではないかという電話もいただきました。私学局は、今回の安保法制とは直接関係ない、たまたま時期が重なっただけと述べていますが、私学局は今回初めて、この文書を出したと聞いています。あえてこの時期に全ての私学に連絡しなければならなかった理由を知事にお尋ねします。
質問の第二は、違憲性についての知事の認識です。今回の安保法案は、集団的自衛権の行使はできないと言ってきた歴代政府の憲法九条解釈を一内閣の一方的判断で覆すものです。憲法の平和主義、国民主権、立憲主義を根底から破壊するものです。だからこそ六月四日の衆議院憲法審査会では、与野党が推薦した三人の参考人、憲法学者全員が、そろってこの法案を憲法違反と断言しました。私は、国会審議を通じて、この法案が二度と戦争しないと誓った憲法九条を根本から壊し、アメリカの起こす戦争に自衛隊がいつでもどこでも参加、支援するための戦争法案であることが明らかになったと考えています。日本が武力攻撃を受けていなくても、アメリカによる無法な戦争に参加する、こんなことは許してはならないと思います。今、日本を再び戦争する国にするなという国民、県民の声が大きく広がっています。安保法案の撤回、見直し、慎重審議を求める市町村議会の意見書は全国に広がり、本県でも三市八町が可決、採択しています。立憲主義の否定を懸念する声が国民的規模で広がる中、県民の生命、財産を守るべき知事として、今回の法案をどう受けとめておられるのか、御所見を伺います。
三点目の質問は、佐賀空港へのオスプレイ配備計画です。政府は昨年七月、突如として佐賀空港へのオスプレイ配備を持ち出しました。このとき、防衛省は佐賀空港の西側に駐機場を整備し、オスプレイ十七機、陸上自衛隊目達原駐屯地のヘリコプター五十機、合計最大七十機の二〇一九年度配備を目指していると佐賀県側に伝えたと報じられています。さらに、自衛隊の駐屯部隊の規模は七、八百人規模と報じられています。防衛省は、ことし四月二十四日には、オスプレイの代用として、対戦車ヘリ二機を同空港周辺で飛ばす試験飛行を柳川市を含む五カ所で実施しました。騒音測定による住民の不安解消が目的と言われていますが、既成事実化を急いでいるようです。オスプレイの危険性は、ハワイ・オアフ島での事故を引用するまでもありません。重大なのは、佐賀空港への配備に際して、自衛隊機にとどまらず、沖縄の米軍オスプレイの本土の訓練拠点にとの意向を政府が持っていることです。そうなれば、飛行ルート直下の柳川市を初めとする福岡県が、騒音や振動の被害にとどまらず、生態系、環境への影響など、深刻な被害をこうむることは間違いありません。佐賀県の山口知事は、白紙の立場で政府の説明を求めていくとしていますが、隣接県の知事として、ぜひ強く連携して、政府にオスプレイ配備の断念を迫っていただきたいと思います。知事の御所見を伺います。
次に、私立高校の正規教諭の増員について質問します。高校生の四割が通っている私学の役割は大きく、各校創立の理念を発揮した教育と経営に取り組んでいます。今、少子化が進む中で生徒数を維持するために、コース別に分けるなど、それぞれ独自性を出す努力を続けています。クラスを細分化するだけ教科担当教員を多く必要とし、講師で補充することがありますが、本県の私学は全国に比べ講師の比率が非常に高いのです。教諭に対して、常勤講師の割合は全国平均が一二・九一%ですが、本県は二四・六三%と全国ワースト二位となっています。また、私教連の調査では、非
正規雇用の常勤と非常勤の講師は、全教員の四五・四%にもなり、安定雇用から大きくかけ離れています。福岡県の私学はその講師に支えられている状況です。短期雇用契約ということで毎年更新してきたある常勤講師の方は、担任を持ち、放課後は顧問として部活動も指導してきた。非常勤を通告され、生徒のことを考えると残りたい気持ちはあるけれど収入は半減すると、苦しんでおられました。また、数年で雇いどめになるケースが多く、教育の質の低下につながると現場から心配の声が上がっています。講師が正規の教諭になると、生活保障や社会保障の充実で、心身ともに安定しますから教育に集中でき、ひいては福岡県の宝の人材を生み出すことになります。そのために、県の私立学校への経常費補助における教職員配分割を、教諭への補助割合を一層ふやすことで教諭の増員に弾みがつくのではないでしょうか。現場の声を踏まえて、配分方法について見直してはいかがでしょうか。知事にお尋ねし、質問を終わります。(拍手)
29 ◯副議長(原竹 岩海君)
小川知事。
*
知事答弁
30 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
まず初めでございますけれども、国民保護法に基づく避難施設指定の事前調査についてでございます。県では、国民保護法に基づきまして住民を避難させ、または避難住民等の救援を行うために、施設管理者の同意を得て避難施設というものを指定させていただいております。この調査は、県の指定に先立ちまして、それぞれの施設管理者に、その管理する施設について、避難施設として提供する意思がおありかどうか、これを前もって照会するものでございます。平成十九年度から、例年年度初めに行っているものでございます。これまで原則として、市町村の地域防災計画で指定されております災害時における避難所を対象としてその調査を行ってまいりましたけれども、他県の私立学校の指定状況も踏まえまして、今回、私立学校についても調査を行ったところであります。
次に、安全保障関連法案についてお尋ねがございました。安全保障政策は国の専管事項とされております。現在、国会で審議をされております安全保障関連法案につきましては、その動向を注意深く見守ってまいりたい、このように考えております。
次に、佐賀空港へのオスプレイ等配備計画についてお尋ねがございました。佐賀空港は柳川市まで最短で四キロメートルのところに位置しておりますことから、私どもも重大な関心を持ってこの問題を捉えております。このため本県といたしましては、国に対し、安全確保のため万全の対策が必要である旨、申し入れるとともに、県内での飛行頻度と飛行時間、県内の飛行経路における高度と騒音の程度、そして県内のノリ養殖に対する影響などについて、さらに具体的に示すよう再三申し入れを行ってきているところでございます。本県といたしましては、国と佐賀県などの関係者との協議を注視し、情報収集に努め、関係市と連携しながら、安全性の確保を最優先課題として、また環境保全の観点からも、必要な対策、対応をしっかり行ってまいります。
次に、私立学校における正規教諭の増員についてでございます。私立高校におきまして、
正規雇用の教諭と非
正規雇用である常勤、非常勤講師、それぞれどのような割合で採用するかにつきましては、私立学校の設置者でございます学校法人の教育方針あるいは経営方針によって判断されるものと考えております。私立高校に対する経常費補助につきましては、各学校の生徒数、教職員数等に基づきその補助を行っております。教職員数にかかわる配分基準につきましては、現在でも
正規雇用の教諭と常勤講師、非常勤講師に対する補助とでは差異を設けているところでございます。この補助の差異を今以上に拡大することにつきましては、学校法人の教育方針や経営方針、また経営基盤、これに深く関連することから慎重に取り扱う必要があると、このように考えております。
31 ◯副議長(原竹 岩海君) 山口律子君。
32 ◯二十九番(山口 律子君)登壇 二点要望します。
私立高校への運営費補助金は、今、県の単価は十六年間据え置きです。特色ある私学の役割に鑑み、一層の拡充を要望します。
二点目は、安全保障法制に関してです。撤回や慎重審議を求める市町村の意見書は大きく広がっています。県行政を代表する知事として、全国知事会にも慎重審議要望を上げていただきたいと願います。戦後の復興の中で育った一人として、憲法に対する立場はどうあれ、立憲主義は絶対に否定してはならないと思います。安倍政権による憲法破壊の戦争をする国づくりを目指す法案を今国会で通さないために、全会派、議員の皆さんに、党派を超えての共同を呼びかけ、質問を終わります。(拍手)
33 ◯副議長(原竹 岩海君) 江口善明君。(拍手)
*江口
議員質問
34 ◯二十八番(江口 善明君)登壇 立志会の江口善明でございます。再び県政壇上に立たせていただいたことにまずもって感謝申し上げ、県民福祉の向上とふるさと久留米市の発展のために頑張ってまいりたいと思います。よろしくお願いします。
それでは、通告に従い、県南の
人口減少社会対策について質問させていただきます。県南筑後地方の人口につきましては、福岡県の人口移動調査によりますと、直近の平成二十七年五月一日現在で八十一万二千八百十三人で、十年前の平成十七年五月一日の八十五万八千二百五十四人と比較いたしますと、四万五千四百四十一人の
人口減少となっております。一方、福岡県全体の人口は、平成二十七年五月一日現在で五百九万七百五十二人で、十年前の平成十七年五月一日の五百五万九千三百七十九人と比較いたしますと、三万千三百七十三人の人口増となっております。今議会でも
人口減少社会対策についてさまざまな議論が行われてまいりました。福岡県全体としては、
少子化対策や、また東京など首都圏への人口流出を食いとめるということが
人口減少社会対策であると思いますが、私は県土の均衡ある発展という観点から、県内の人口移動による県南筑後地域の
人口減少社会対策について質問させていただきたいと思います。
さて、久留米市はことしで田主丸町、北野町、城島町、三潴町との一市四町の広域合併から十年がたちました。五月の二十四日には久留米市合併十周年記念式典が開催をされましたけれども、久留米市の人口は十年前の合併時点が三十万七千四百七十五人から、現在三十万五千五百四十九人と、この十年間で千九百二十六人の減少となりました。合併をいたしました旧四町では、三潴町と北野町が人口増、田主丸町と城島町が人口減となっております。三潴町と北野町の人口増の原因は、それぞれ西鉄天神大牟田線と甘木線沿線という交通の利便性にあるのではないかとされています。産業構造もほとんど変わらない三潴町と城島町との人口増減の違いは、鉄道沿線であるか否かという点でしか違いが見出せないという方もいらっしゃいます。
久留米市の人口の現状分析をさせていただきますと、女性が平成十七年以降に二十代から三十代の人口流出が加速しております。男性では二十代後半から人口流出が拡大しております。しかし、十代では久留米市内の大学や短大への進学のため、人口は流入しております。このことは何を意味しているかといいますと、久留米市には大学や短大があるから学生時代は住むが、卒業後は就職先が少ないので、久留米から引っ越さざる得ないという現実であります。また、転出先のトップは福岡市です。少し古いデータでございますけれども、平成十七年から二十二年までの五年間の転出先のトップは福岡市で、五年間で約千人という統計が出ております。また、
小川知事が本部長を務められております福岡県
人口減少対策本部会議での人口の分析でも、久留米圏域は男性は二十代で大きく転出超過、女性は二十代前半から三十代前半で転出超過とされ、平成二十五年から二十六年の一年間の久留米圏域からの転出先は五百一名で福岡市圏域がトップ、この五百一名という数は東京圏の四百五名を抜いております。
そこで
小川知事にお尋ねをさせていただきたいと思います。県南の
人口減少社会対策として、農業や製造業といった地場産業の振興、これはもちろん大事なことであると思いますが、サラリーマン層には、福岡都市圏で働いても県南に住み続ける、そういったライフスタイルの確立が必要であると考えますが、知事の御見解をお伺いをしたいと思います。
また、そのライフスタイル確立のためには、県民へのPRなど具体的方策をどのようにお考えか、あわせてお答えをお願いしたいと思います。
二点目、県南の
人口減少社会対策のための交通政策についてお伺いをいたします。福岡都市圏で働いても、県南に住み続けるというライフスタイルを確立するためには、公共交通が重要になってくると思います。久留米市を初めとした県南筑後地域は、九州新幹線やJR鹿児島本線、西鉄天神大牟田線や甘木線などの鉄道網、高速道路では九州自動車道や大分自動車道などがあり、福岡県のほかの地域に比べて比較的福岡都市圏とのアクセスが便利なところであります。しかしながら、県南地域全てが交通の便がいいとは言えず、鉄道の駅から一キロメートル圏、バス停から三百メートル圏以外の人口可住地である公共交通空白地域やバスの本数が少ない公共交通不便地域が多く存在をいたします。特に鉄道沿線の地域は一定
人口減少に歯どめがかかっておりますけれども、沿線ではない地域では人口の減少が進んでいるという傾向があります。今月九日、交通政策白書が国土交通省から発表をされました。白書の中でも、
地方創生を支える地域公共交通の再構築の必要性が述べられております。地方の急激な人口の減少、高齢化の進行の中で
地方創生は喫緊の課題ではありますが、交通政策はその動脈であると思います。また、交通政策基本法では、交通政策は事業者だけの責務ではなく、地方公共団体もその責務を負うとしています。
地方創生の観点から、
人口減少社会対策としての交通政策を知事はどのように認識されているのか、あわせ御所見をお伺いしたいと思います。
私は、この地域の交通政策は、駅などの交通の結節点を結ぶ広域、幹線的なバス路線と地域を細かく回るコミュニティーバスなどの二つに分類をされると思います。今回質問させていただきたいのは、バス路線に関してであります。福岡県も赤宇バス路線について、国と二分の一ずつのバス運行対策費補助金を昨年、一億三千万円を九事業者、四十路線に支出しております。平成二十五年の福岡県の路線バス利用者は、ピーク時の昭和四十四年の五一%で、課題は路線バスの利用実態であります。具体的な例を挙げさせていただきますと、久留米市城島町には特急が停車する西鉄大善寺駅から路線バスが大川市まで走っております。ダイヤは一時間に一本ですが、地元の方々の声を聞くと、通勤、通学時間帯に本数をふやしてほしい、またバス路線のPRが足りないのではないかとの声があります。つまり、バス路線が赤字になる、地域の足として補助金で存続する、しかし利用者は減少するという悪循環に陥っているのが現状であります。
そこで、現在の路線バスの利用拡大について、ダイヤの再編や利用のPRなどをすべきと考えますが、知事の御所見をお伺いします。
以上で一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
35 ◯副議長(原竹 岩海君)
小川知事。
*
知事答弁
36 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
まず初めに、県南地域に居住して福岡都市圏で働くライフスタイルの確立についてでございます。
人口減少に歯どめをかけ、
地方創生を進めていくためには、それぞれの地域が知恵と工夫を凝らしながら、その自然、歴史、文化、産業など持っている強みや特色を生かして若者の定住に不可欠な雇用の場をつくっていくことが基本であると、このように考えております。このため県南地域におきましては、農林水産業の収益力の強化、バイオ関連産業の振興、家具、伝統工芸といった特色のある地場産業の振興、地域の資源、観光資源を生かした観光振興などによりまして、地域に魅力ある雇用の場をつくっていく考えでございます。こうしたことに加えまして、議員も御指摘になりましたが、県南地域への移住、定住を促進するため、関係の市町と共同でウエブサイトちくご暮らしを用いた仕事、住宅支援制度に関する情報の発信、自然環境、住みやすさ、交通アクセスの利便性などをアピールする福岡都市圏でのパネル展やポスター展の開催、そして移住希望者の方々に仕事と住居を提供し、実際に一定期間住んでいただき、その体験をブログで発信をしていただく、そして都市住民に直接訴えかける、その
取り組みなども実施しているところでございます。
次に、
人口減少社会対策としての交通政策についてでございます。
人口減少社会のもと、誰もが住みなれた地域で暮らし続けていくためには、商店や診療所など日常生活に不可欠なサービスを一定エリアに集めた小さな拠点づくり、これに加えまして、医療、福祉、商業、居住といった機能を中心市街地に集める都市のコンパクト化、また圏域を越えた広域的な市町村の相互補完というのが必要でございます。その際、集落と小さな拠点を結ぶコミュニティーバスやデマンド交通、都市周辺部と中心市街地とを結ぶ路線バス、そして広域的に市町村を結ぶ鉄道など公共交通機関の再構築というものが不可欠になると、このように考えております。こうした考えのもと、県が先日発表いたしました
地方創生総合戦略基本フレームの中におきまして、「住民生活と地域発展の基盤となる公共交通機関の維持・充実」、これを施策の基本的な方向の一つとして掲げているところでございます。
路線バスのダイヤ再編等についてお尋ねがございました。路線バスは、通勤、通学、通院、買い物など地域住民の移動手段として大切な役割を果たしております。その利便性を高めていくことは、利用者を拡大し、路線を維持する面からも重要であると考えております。路線バスのダイヤ再編につきましては、県及び関係市町等で構成をしております福岡県地域交通体系整備促進協議会、これを通じまして鉄道やコミュニティーバスとの接続の改善、それから便の増便などをバス事業者に対し要望してきているところであります。また、県及び県内全市町村で構成する福岡県生活交通確保対策会議におきましては、路線バス事業者の協力のもと、路線バス利用促進福岡県内一斉キャンペーン、これを行い、路線バス全般の利用の促進を呼びかけているところであります。また、個別のバス路線のPRにつきましては、沿線市町村またバス事業者が交通マップを作成するなどによりまして周知を図っているところであります。こうした
取り組みもありまして、平成二十三年度以降、県内のバス利用者数は増加しているところであります。
37 ◯副議長(原竹 岩海君) 塩川秀敏君。(拍手)
*塩川
議員質問
38 ◯四十九番(塩川 秀敏君)登壇 こんにちは。
自民党県議団の塩川秀敏でございます。三期目、壇上に送っていただきまして、心から感謝申し上げます。御期待に沿うように精いっぱい頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、通告に従いまして、まず最初に、地域包括ケアシステムの構築と総合行政についてただしてまいりたいと思います。地域包括ケアシステムの構築は、昨年六月に制定された、いわゆる医療介護総合確保推進法という法律が根拠でありますが、我々団塊の世代が七十五歳を迎える二〇二五年、いわゆる平成三十七年を目途に、市町村が事業主体となって構築することになっております。県は、市町村が行う地域包括ケアシステムの構築を一体的、総合的に支援するために、ことしの四月の機構改革で今までの高齢者支援課を改組して、高齢者地域包括ケア推進課を設置したところであります。このいち早い小川県政の対応を私は、評価しておるところであります。
これからが問題であります。いわゆる医療介護総合確保推進法よると、地域包括ケアシステムづくりは、法の第二条に、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援の包括的確保と定義されております。まさに、地域づくり、自治会づくりであると言っても過言ではないと思います。ところが、私の住んでいる地域、自治会に目を落としますと、自治会の高齢化が進み、自治会の役員のなり手がいない、自治会の構成員が減少している、空き家が増加しているし、かつてあった婦人会や老人会の解散などが相次ぎ、まさに地域づくり、自治会づくりの担い手は先細りの状態であると思うのであります。自治会の先行きを考えるとき、自治会の再編など何か手を打たない限り、消滅自治会が数多く出るのではないかと危惧している次第であります。
そこで知事に伺いたいと思います。地域包括ケアの五項目のうち、特に地域自治会づくりが大きく関係する自立した日常生活の支援について、いわゆる高齢者が自立して日常生活を行う、その支援について、県として具体的にどんな市町村支援を考えているのかお聞きしたいと思います。
また、高齢者地域包括ケア推進課は、ことしの三月に策定した高齢者施策に関する総合的な計画である第七次福岡県高齢者保健福祉計画の担当課でもあります。
そこで知事に質問をいたします。高齢者保健福祉計画は、五つの基本的方向のもと十九の施策の柱でつくられておりますが、この事業の実施主体は
知事部局が九つと警察本部にまたがる二十七課二室に広がっております。私は常々、総合行政の推進の必要性を指摘しているところでありますが、この計画の進捗管理についても各部の連携による総合行政の推進が強く求められると考えるところであります。この計画の進捗管理を具体的にどのように行うつもりなのか、知事のお考えをお聞きしたいと思います。
次に、筑豊地区県立高校の定員割れについて質問をいたします。筑豊地区の平成二十六年三月、去年のいわゆる公立中学校の卒業者数は三千六百八十二人であります。私の調査によりますと、その進路の実態は、筑豊地区は高等学校が十一、十二、十三学区と置かれているわけでございますけれども、その筑豊地区に十二の県立学校がありまして、その定員は二千六百八十人であります。この充足状況を見てみますと、何と昨年は九二・六%です。定員に対して九二・六%が充足で、百九十八人の定員割れでありまして、ことしはさらに下がりまして八九・五%で、何と二百八十二人が定員割れをしております。昨年の一・五倍近くになっております。私立学校におきましても、昨年が九七・五%でことしは九五・〇%で、昨年が二十六人定員割れ、ことしが五十二人の定員割れという実態にあります。これを十一学区、いわゆる田川地区だけで見ますとどうなるかといいますと、田川地区の公立中学校の卒業者数は千百四十二人でありまして、そのうち県立学校に進学した者は七百七十九人であります。千百四十二人中七百七十九人が県立学校に進みました。この七百七十九人のうち、地元の十一学区の四校の県立学校に進学した者は、何と七百六名であります。したがって、他学区の県立高校への流出者がおおむね七十人ぐらいいることになり、地元県立学校への歩どまりに大きな課題があるという状況でございます。また、新聞によりますと、十一学区以外にある県立の中高一貫校や飯塚や北九州の私立中学、中学から外に出ていく人が六十人前後いる。こういう実態も報道されているところでございます。
私立と公立の実態を見ますと、部活動の勧誘は県立では十一月にならないとできません。けれども、私立はそういう制限がないので、早くから部員の確保ができますし、部活の特待、あるいは成績の特待で授業料免除なんかの制度もあります。それから、私はこの選挙で思いましたけれども、スクールバスが頻繁に通っておりまして、非常に安価な料金で学校に往復できる。それから、オープンスクールとかが県立学校では一回ぐらいしかありませんけれども、数回私立ではありまして、中学校訪問も私立は非常に熱心であります。そして、授業料につきましては、大体県立が年間に十二万ぐらいでありますけれども、私立学校は二十八万ぐらいかかります。これはもう私立のほうがずっと高うございますけれども、この私立学校に行った一人の生徒にいろんな補助金がありますが、それが大体三十四万六千円ぐらい、一人当たり三十四万六千円の補助金が私立学校にはあると。
こういうことからして、私立学校というのは、いろんな特色あるものができるわけですが、県もこういう実態に対して、筑豊地区の定員割れに対していろいろ取り組んでいるわけでございますけれども、その内容を見てみますと、対象校を指定して、何とか計画をつくんなさいとか、あるいはことしからは学区ごとに、対象校じゃなくて学区ごとに全体を支援するための連携をとってくださいとか、どちらかというと助言とか支援ということでありまして、二十四年から始まっておりますけれども、二十四、五、六、三カ年はたっておりますけれども、その実態を見ますと、昨年は志願者が筑豊地区全体の定員の一〇五%とちょっとオーバーしておりますけれども、ことしは九八・二%という。下がっておりますね。こういう現実がありますし、また最も私が気になるのは、ちょっとデータは古いんですけれども、平成二十一年に筑豊地区の県立学校に入学した人、これは当然二十三年度、いわゆる二十四年の三月に卒業しますが、それまでの間に二百四十六人が卒業していない。でたらめに大きな数字ですね、これは。各学校によりましては、二百人ぐらいの募集のところもありますので、ですからこういうことを見てみますと、いろんな問題がこの筑豊地区にはあるわけでございます。
そこで、これは教育長に伺いたいと思うんでございますけれども、現場の、その指定された校長とか現場は非常に知恵を絞って、絞れるだけ絞ってもう絞れない状況にありますし、県教委といたしましても今までは何か指導とか助言とかそういうものであったけれども、これから先は、やっぱりカリキュラムの改善などの制度面、さらには知事等の協力を得まして活性化の予算など、抜本的なところまで踏み込んだ対応を私はぜひお願いしたい。教育長にこの現状をどうするのか、現場に光の見える積極的な対策をお願いしたいところであります。
次に、教員の資質について質問いたします。知事は、改選前の二月の議会で私の質問に答えられまして、総合計画の進捗状況や教育力向上福岡県民運動、あるいはアンビシャス運動の検証結果や今後の社会情勢を踏まえて、地域や日本を担う新しい教育策を打ち出したいと答弁をされました。当選後、それは着実に進行していると思います。今後、有識者会議や総合教育会議の審議を経て決定されると思いますので、大いに期待しているところでありますが、そこで、審議のために少し確認をしておきたいと思います。
まず、知事の言われる教育力向上福岡県民運動の検証結果、これはもうことしの三月に総括報告書あるいは提言が出ております。その中に注目すべきことは、学校そのものの教育力を高める改革は十分進まなかった、六年間県民運動をやってきたけども、学校そのものの教育を高める改革は進まなかった。学校そのものの教育というのは、校長のリーダーシップとか、教員の資質とか、あるいは組織的活動になるわけでございますが。これが第一点。
その次に、アンビシャス運動の検証結果は、これは御存じのように三期にわたってもう既に出ておりますし、今四期目が審議中でありますので、私がここで意見を言うことは控えさせていただきたいと思います、これはもう社会運動でございますので。
また、教育長はさきの六月三日の総合教育会議で早急に対応すべき主な教育課題を四つ挙げられました。また、参考として、今後対応すべき主な教育課題を八つ挙げられております。教育長の言われた、いわゆる対応すべき教育課題は全部で十二になるわけですが、私はそれを分析しました結果、この二つ、地域による学校支援体制の構築と学校設備、施設の老朽化対策、この二つを除けば教育力向上福岡県民運動の検証結果、学校そのものの教育力と言えると思います。換言すれば、先ほど申しましたように、校長のリーダーシップや教員の能力及び学校の組織力ということがきっちりでき上がっていけば、教育長が言われたその十二の課題のうち十は、いろんな意味で改革が進んでいくと思うわけでございます。
また、本年度の予算、教育予算第十款の教育費を見ますと、三千五百五十四億円でございますけれども、このうちの九一%が人件費であります。何と小学校、中学校、これはもう実態はそのとおりですが、九九・六%、同じく九九・四%が人件費、高校に至ってはいろんな施設もありますから、これも八割近くが人件費です。やっぱり教育委員会のやるべきことは、この予算から見ても人件費ということは、先生方の質を向上させるということが中心的な課題になるべきだと、私は思うのでございます。それから、もう一つは、いろんな時代が変化をしております。そしていろんな教育課題も出てきておりますので、そういう教育課題に応えるためには、やっぱり教育委員会が、これは永遠の課題でもありますけれども、教員の質の向上というところにいかに真剣に取り組んでいくかということが重要になってくると思うのでございます。今国会では、教員養成の件につき、いろいろな議論がなされていますが、県教委でできることというのは、まさに採用と採用後の研修でありますので、そこで、教育長に伺いたいと思います。
教育的課題解決のために採用試験、教員を採用するときの採用試験のあり方と採用後の研修のあり方について、いろんな社会の変化や教育課題の変化の中で工夫、改善を加える時期に来ている、またそういう必要があると私は思っているわけでございますが、具体的にどのようにお考えになっているのかお聞かせを願いたいと思います。
以上、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
39 ◯副議長(原竹 岩海君)
小川知事。
*
知事答弁
40 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
まず初めに、高齢者の自立した日常生活の支援にかかわる県の市町村に対する支援でございます。市町村は、平成二十九年四月までに、これまで介護事業者が介護予防給付として提供してきました生活支援サービス、これに加えましてNPO・ボランティアなどの参画を促しながら掃除、洗濯、配食、外出支援などの多様なサービスをそれぞれの高齢者のニーズに応じてきめ細かく提供する介護予防・日常生活支援総合事業、これを開始することとなっております。県では、この事業に市町村が円滑に取り組んでいけるよう、説明会の開催、先進事例の紹介、個別の助言など支援を行ってきたところであります。今年度からは、サービスの担い手となります生活ボランティアの育成、地域において高齢者に対する生活支援や介護予防サービスといったものの調整を行います生活支援コーディネーター、その養成など市町村が必要とする人材の育成にも取り組んできております。さらに、市町村は、高齢者が住みなれた地域で安心して生活ができるよう、生活支援の
取り組みとして民生委員、老人クラブの方々が、安否確認、声かけなどを行う見守り活動チームというものを設置しておられます。県では、この見守り活動チームのかなめとなります見守り活動推進員の養成を行うとともに、優良な活動を行っておられる団体を表彰することによりまして、この見守り活動の輪が一層広がるよう市町村を支援してまいります。今後とも、市町村が行う高齢者の日常生活の支援を初め、地域包括ケアシステムの構築をしっかり支援をしてまいります。
次に、高齢者保健福祉計画の進捗管理についてお尋ねがございました。高齢者保健福祉計画に掲げております施策は、議員も御指摘されましたけれども、教育庁、警察本部を含め県庁内のほぼ全ての部局がかかわっております。計画に掲げております施策を推進し、その事業の効果をより一層高めていくためには、施策に関連しております部局が情報を共有し、横断的に連携して取り組んでいくことが必要でございます。平成二十七年三月に策定をしました今の第七次計画でございますけれども、これは関係する
知事部局九部十九課室、教育庁及び警察本部で構成する幹事会というものを平成二十六年六月に設置をいたしまして、そこで前計画の進捗状況を点検し、事業の効果を評価した上で策定作業を進めてきたところであります。今後、この七次計画を具体化するに当たりましては、今述べた幹事会におきまして毎年その進捗状況の点検、評価を行い、着実に推進をしてまいります。その際、計画を所管をしております、四月つくりました高齢者地域包括ケア推進課、これが総合行政の視点に立って関係部局と連携しながら中心的な役割を果たすことになります。
41 ◯副議長(原竹 岩海君) 城戸教育長。
*教育長答弁
42 ◯教育長(城戸 秀明君)登壇 筑豊地区の県立高校の定員割れ対策についてでございます。教育委員会では、平成二十四年度から県立高校における定員割れ対策に学校とともに取り組んできたところでございまして、定員割れの解消や充足率の向上に結びついた学校もございます。しかし、筑豊地区においては、成果の兆しが見えるものの、依然厳しい状況が続いております。定員割れ解消のためには、少子化の動向、中学生の進路希望、地域が求める人材のニーズなど、筑豊地区のそれぞれの学校を取り巻く状況をまず詳細に把握する必要があると考えております。その上で、各学校の魅力向上を図るためには、今まで以上に教育委員会と学校が意識を共有して対応していくことが大切でございます。県教育委員会においては、各学校の実情を把握し、意見を十分に尊重して、各学校が自信を持って活性化に取り組むことができるような人的措置や経費的支援などを行ってまいりたいと考えております。あわせまして、学科構成や入学者選抜などの制度面での改善についても検討し、定員割れ対策に鋭意取り組んでまいります。
教員採用試験の改善についてでございます。変化の激しい未来をたくましく生きる児童生徒を育成するため、今日の学校教育においては基盤となる学力、体力に加えまして、日本人としてのアイデンティティーや他者への感性、思いやり、さらには主体的な問題解決能力などを培う体験型、課題解決型の学習活動が重要になってまいります。今後、こうした新しい教育を実践できる資質を持った教員を確保するため、教員採用試験においては模擬授業や面接などで受験者のさまざまな知識、技能、経験をよりきめ細かく評価する仕組みを検討し、多様な学習活動の展開に必要な創造力や実践力、意欲などを的確に判定できるよう改善に取り組んでまいります。
教員の資質、能力向上のための研修の工夫、改善についてでございます。今日の教育課題を解決するためには、まず熱意や使命感、生徒指導力、確かな学力や体力を育てるための教科指導力など、教員が基本的な資質、能力を高めることが不可欠でございます。その上で、今後重視されるアクティブラーニングなどに対応した授業実践力を身につける必要がございます。このため、今後はキャリアステージに応じた資質、能力の標準的な育成目標を定め、研修体系のあり方を見直しますとともに、個々の研修においても、例えば社会のトップリーダーや道をきわめた達人等による講話、あるいは先進的な
取り組みの実践発表と演習を取り入れるなど、内容の工夫、改善を積極的に進めてまいります。
43 ◯副議長(原竹 岩海君) 野田稔子君。(拍手)
*野田
議員質問
44 ◯六番(野田 稔子君)登壇 皆様、こんにちは。民主党・
県政クラブ県議団の野田稔子です。今回、女性議員を誕生させたいという多くの皆様の思い、特に女性の方々の熱い思いを背負って、この場に立つこととなりました。ふなれな点もあると思いますが、どうぞ、よろしくお願いいたします。
〔原竹副議長退席 井上議長着席〕
それでは、発言通告に従いまして、知事に女性が活躍できる本県の施策について質問します。
今、社会のさまざまな分野で生き生きと活躍する女性がふえています。そして、こうした女性たちの活躍の場はますます広がりを見せ、社会に新たな活力を生み出しています。しかし、もっと多くの女性が活躍できる
社会環境をつくっていくためには、公正で平等かつ多様性を尊重する男女共同参画の推進が必要です。福岡県では、一九九八年度に、福岡県女性総合センター、後の福岡県男女共同参画センターが春日市のクローバープラザの中に開館し、男女共同参画社会の実現に向けた普及啓発を初めとした活動が本格的に始まりました。二〇〇一年度には、福岡県男女共同参画推進条例を施行し、同年度に、第一次福岡県男女共同参画計画、二〇〇五年度に、第二次福岡県男女共同参画計画、そして二〇一〇年度には、第三次福岡県男女共同参画計画が策定されました。翌二〇一一年度に、
小川知事が中心となり策定された福岡県総合計画の十の事項の一つに「女性がいきいきと働き活躍できること」が掲げられました。こうした福岡県の男女共同参画を推進する
取り組みを踏まえ、
小川知事に四つの項目で質問します。
まず初めに、男女共同参画社会に関する県民意識調査についてお尋ねします。我が会派の今議会の代表質問におきまして、男女共同参画社会の実現に向けた第三次福岡県男女共同参画計画の進捗状況とその評価についてただしたところ、
小川知事は、男女共同参画を実現するためには、県民に対する意識改革は根幹をなすものであると答弁されました。私も地元で活動する女性の方々に話を伺った際、男は仕事、女は家庭という意識が依然として強く、女のくせにという言葉で心が傷ついたと苦労話を聞きました。まだまだ男女共同参画社会の実現にはほど遠いと実感したところです。昨年度、本県では、法定計画である第四次福岡県男女共同参画計画並びに第三次福岡県配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する基本計画を策定するために、男女共同参画に関する県民の意識調査が実施されました。私が体験した女性の声、さらには、この県民意識調査の結果を踏まえ、知事に一点お尋ねします。
前回の調査と今回の調査を比較した結果、どのような変化が県民の意識にあらわれたのか、特徴的な点についてお答えください。
また、この結果を踏まえ、本県として、今後、男女共同参画
社会づくりをどのように推進し、どのように取り組まれるのか、具体的にお答えください。
次は、男女共同参画社会の拠点づくりについてお尋ねします。県民の意識改革を進め、さらに男女共同参画
社会づくりを進めるためには、県民に身近な市町村の存在は欠かせません。本県では、男女共同参画
社会づくりを進める拠点として、春日市に福岡県男女共同参画センターあすばるを設置しています。一方、残念ながら、私の地元八女市広川町にはありませんが、県内の市町村に十七の男女共同参画センターが設置されています。このセンターでは、取り組む事業がそれぞれ違い、活動にも差があるように感じます。そこで私は、あすばるを初め県内の男女共同参画センターのことをもっと多くの県民の方々に知っていただき、利用していただきたいとの思いを込めて、以下一点、知事にお尋ねします。
男女共同参画を進める上で、県の拠点施設あすばるが、県民向けにどのような事業を行っているのかお示しください。
また、市町村の男女共同参画センターと、どう連携し、どんな支援を行っているのかあわせてお聞きします。
三点目に、本県職員の女性の登用についてお尋ねします。知事は、今議会の冒頭、議案説明において、女性登用に率先して
取り組み、行政改革大綱で設定した課長相当職以上に占める女性の割合について二〇一六年度までに六・〇%を上回ることを目指すという
数値目標を二年前倒しで達成したと述べられました。女性職員を積極的に登用していくためには、女性職員の人材育成や働きやすい
環境づくりが必要であると考えます。
そこで知事にお聞きします。本県で女性職員を管理職等に登用するために、女性が働きやすい
労働環境をどのようにつくってきたのか、また女性職員の人材育成をどのように果たしたのかお答えください。
あわせて、目標を達成したことを踏まえ、女性登用に関する新たな目標を設定すべきではないかと考えます。設定する際の知事のお考えについてお聞かせください。
最後に、本県の女性の活躍応援についてお尋ねします。今日、地方議会では、子育て、教育、福祉など家庭に直結する身近な問題が議論されています。中でも女性議員は、生活者の視点という男性と違った視点から、政治を語り、政策を論じることができると思います。したがって、国、地方は問わず我が国の政治を成熟させるためにも、政治の場への女性の参画がより一層必要だと考えています。しかしながら、今回、二〇一五年四月の
統一地方選挙を通じて、女性が政治家として政治に参画するということは、まず立候補するまでに越えなければならないハードルが幾つもあるということを私自身、切実に感じました。これまでの
福岡県議会議員選挙における女性の当選者数は、二〇〇七年に三名、二〇一一年に四名、今回の二〇一五年は九名と増加の傾向にありますが、全国の都道府県議会の平均も約九%とまだまだ低い状況です。女性が政治の場に参画しようとする際、結婚、出産、子育て、家族の介護、孫守り、そして家族の理解や資金面など、さまざまな要因が女性の政治参画への希望を阻む壁となっています。ところが、世界では、女性の社会参画への
取り組みの一環として、議員や閣僚などの指導的な立場にある人の一定数を女性に割り当てるというクオータ制が導入されています。特に、スウェーデンを初め欧州の国々で、国会議員の女性に一定数の議席を与える議席割り当て制や、女性の候補者に議席を与える候補者割り当て制が実施されており、いずれも憲法や法律に立脚し、国を挙げての女性の政治参画が後押しされております。実は、このクオータ制ですが、女性の政治の場への参画推進だけではなく、我が国の政府が策定した、二〇二〇年までに社会のあらゆる領域において指導的立場にある女性の割合を三〇%とする目標、いわゆる二〇二〇三〇を後押しする、極めて効果が期待できる制度であると考えます。ぜひとも、クオータ制導入の議論を、男女を問わず社会を形成する全ての方々でしっかりと考えるチャンスと捉え、意識改革を進めていかなければならないと思っています。
私は
小川知事が、女性職員の登用を着実に進めていると承知しています。しかし、現実は、私の地元を初め、自治会や企業の役員を見ても、まだまだ女性の割合が少ないのが事実です。だからこそ、知事にはもっともっとリーダーシップを発揮していただき、女性が生き生きと働き活躍できる
社会づくりの後押しをしていただきたいと思います。そして、地域や企業で活躍する女性を育てる本県のリーダーとして先頭に立たれることを願います。
そこで、最後の質問です。福岡県として、今後、どのように女性の活躍を推進していくのか、
小川知事の明確な御答弁をお願いします。(拍手)
45 ◯議長(井上 忠敏君)
小川知事。
*
知事答弁
46 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
まず初めに、男女共同参画社会に向けての意識調査の結果でございます。この調査は、県民の男女共同参画に関する意識とその実態を把握をし、今後の施策に反映するために五年置きに我々が実施させていただいております。まず今回の調査結果でございますけれども、男は仕事、女は家庭という性別役割分担意識に反対する人の割合が賛成する人の数を上回り、賛成のほうが多かった前回調査から県民の意識は変化が見られております。また、女性が結婚や出産にかかわらず就労するほうがよいと考える方の割合が前回調査から増加をいたして四九・二%となり、実際に働いておられる女性の割合も前回から増加し、四一・六%となりました。この流れを加速していくためには、女性が働きやすい環境を一層整備していくことが必要であり、
子育て応援宣言企業の登録制度のさらなる拡大や子育て女性の就職の支援や保育所サービスの充実などに取り組んでまいります。あわせて、意識改革を進めていくために、男性管理職を対象としたセミナーや高校生を初めとした若年層に対する
取り組み、これを強化をしてまいります。これらによりまして、女性が生き生きと活躍できる社会、安心してお子さんを産み育て、仕事と家庭が両立できる社会、目指してまいります。
次に、県の男女共同参画センターあすばるの事業と市町村のセンターに対する支援でございます。県の交流拠点施設でございますあすばるにおきましては、県民や県内女性団体との交流を図るため、県内十七ございます市町村センターあるいは女性団体と連携をいたしまして、講演会やシンポジウムを開催をしてきております。また、あすばるでは、市町村センターを含めた男女共同参画に関する情報を一元的に収集をし、ホームページやメルマガなどを用いてその提供を行っているところであります。さらに、あすばると市町村センターで構成しておりますセンター長会議というのがありますけれども、ここにおきまして課題の共有、情報交換を行うとともに、市町村センターや市町村職員を対象とした女性相談のスキルアップ研修を実施しているところでございます。今後とも、男女共同参画の実現に向け、あすばると市町村センターの連携を強化してまいります。
次に、女性職員登用のための
取り組みでございます。女性職員について、
男性職員と同様、幅広い分野での経験を積ませるため、事業部門、企業部門等、多様な業務に配置するよう努めております。加えて女性職員を対象に、そのネットワーク構築や意欲向上を図るための研修を実施するとともに、中央省庁や自治大学等への研修へ、意欲ある女性を派遣をし、人材育成に努めているところでございます。また、あわせて時間外勤務の縮減、
男性職員の
育児休業の
取得促進、
育児休業者への職場復帰支援などによりまして、仕事と家庭を両立しやすい職場の環境の整備に取り組んでまいりました。今後とも、こうした
取り組みによりまして、女性登用に向けた人材育成、そして就業環境の整備に努めてまいります。
次に、今後の女性活躍の推進、どうしていくのかということでございます。
人口減少社会を迎えるに当たりまして、地域が活力を維持していくためには女性の活躍は不可欠でございます。このためには、女性が生き生きと働き続けられる環境を整備するとともに、社会的に責任のある地位につく女性をふやしていく
取り組みを推進していくことが必要でございます。このため、
子育て応援宣言企業の登録の拡大、あるいはふくおか女性いきいき塾によるリーダー育成、そういったことを進めているところでございます。今後とも、仕事と家庭を両立しながらそれぞれの自身の能力を最大限に発揮していただき、幅広い分野で女性がもっともっと活躍できる社会に向け、県庁を挙げて、また官民挙げて取り組んでまいります。
──失礼いたしました。職員の女性登用に関する新たな目標の設定について答弁が漏れておりました。失礼いたします。
女性登用に関する新しい目標の設定でございますが、今年度、課長相当職以上の女性職員は、六十一名でございます。その割合が全体の八・〇%となってございます。行政改革大綱において設定をしております平成二十八年度までの目標六%を二年前倒しで達成したところであります。このため、本県の実態に応じた、できるだけ高い目標というものを念頭に置きながら検討を進め、今年度中には新しい
数値目標を策定したいと考えております。
47 ◯議長(井上 忠敏君) 野田稔子君。
48 ◯六番(野田 稔子君)登壇 御答弁をいただき、
小川知事に要望を行います。
知事も御存じと思いますが、六月二十八日付の共同通信配信データによるマスコミの報道記事では、福岡県内の六十の議会のうち、十一の議会が女性ゼロ議会であるということが報じられました。私は、県内のこのような状況も踏まえ、今日の日本社会において女性の政治家をふやすには、クオータ制を導入するのが肝要だと思います。また、先ほども述べましたように、クオータ制の導入は、我が国の政府が設定した二〇二〇年までに社会のあらゆる領域において指導的立場にある女性の割合を三〇%にするという目標、いわゆる二〇二〇三〇を達成するためにも不可欠と考えます。
小川知事、二〇二〇年まで、もうあと五年しかありません。小川県政二期目の、この四年間が勝負です。ぜひとも、クオータ制や、より強力なインセンティブの付与など実効性のある包括的な
取り組みにより、日本で一番早く、ほかの都道府県に先駆けて、この二〇二〇三〇を知事の手で達成されますことを強く要望し、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
49 ◯議長(井上 忠敏君) 以上で一般質問を終わります。
*予算特別委員会設置
日程に従い、予算特別委員会の設置についてお諮りいたします。
さきに上程いたしました予算関係議案を審査するため、三十一名の委員をもって構成する予算特別委員会を設置いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
50 ◯議長(井上 忠敏君) 御異議ありませんので、そのように決定いたしました。
*同委員選任
それでは、ただいま設置されました予算特別委員会の委員の選任を行います。
お諮りいたします。同委員の選任については、この際、議長の指名に御一任願うこととし、お手元配付の委員一覧表のとおり指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
51 ◯議長(井上 忠敏君) 御異議ありませんので、ただいま指名いたしましたとおり選任することに決定いたしました。
──────────────────────────────────────────
*議案審査付託
52 ◯議長(井上 忠敏君) 次に、提出議案審査のため、さきに上程いたしました第八五号議案から第一三一号議案までの四十七件を、お手元に配付いたしております議案付託表のとおり予算特別委員会並びに所管の常任委員会に付託いたします。
──────────────────────────────────────────
*議案の委員会付託省略
53 ◯議長(井上 忠敏君) 次に、議案の委員会付託の省略についてお諮りいたします。
さきに上程いたしました第一三二号議案から第一三四号議案までの三件については、委員会への付託を省略いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
54 ◯議長(井上 忠敏君) 御異議ありませんので、そのように決定いたしました。
*請願上程
次に、請願四件がお手元配付の請願文書表のとおり提出されましたので、これを一括報告上程いたします。
──────────────────────────────────────────
*審査付託
55 ◯議長(井上 忠敏君) ただいま上程いたしました請願四件は、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午 後 二 時 四十九分 散 会
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