↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯副議長(長 裕海君) ただいまから本日の会議を開きます。
日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。大島道人君。(拍手)
*
大島議員質問
2 ◯十八番(大島 道人君)登壇 おはようございます。
自民党県議団、大島道人です。本日一番目の質問となります。
通告に従いまして、まず
有害鳥獣被害対策についてであります。私の
地元田川地区では、平地から山間部にわたって米、麦、大豆、果樹、花などが盛んに栽培されています。しかし、農山村における
農業従事者の高齢化や、
後継者不足により農産物の
鳥獣被害が里山付近で発生しております。
先日、私の地元添田町で、祖父の跡を継いでリンゴ園を経営している三十代の若い夫婦から相談を受けました。若い奥さんは、もんぺと
地下足袋姿で、おじいちゃんの跡を継いで一生懸命夢を抱いて農業に取り組んでいます。私の地元は田舎ですが、もんぺ、
地下足袋姿で若い女性が働くのを見てびっくりし、感心しました。また、このときこのように頑張っている若者に、少しでも役に立ちたいと思ったところであります。ところが、今の季節、鹿が木の皮を剥ぎ、新芽を食べる。それでリンゴの収穫が激減する被害に遭っているということでありました。
鳥獣被害は、このように園芸だけでなく、農業全般に夢を抱いて
取り組み始めた
新規就農者や後継者の営農意欲をそぐ、大きな要因の一つにもなっております。
我が会派は、
鳥獣被害対策について重要課題の一つとして質問、要望をしてきました。その結果、県では
鳥獣被害防止総合支援事業を活用して
有害鳥獣被害対策が講じられ、被害額が減少していると聞き及んでおりますが、
新規就農者や若い後継者が夢を持って営農できるよう、さらなる力強い支援を今後ともぜひお願いいたします。
さて、
被害防止のためには、狩猟者が地域において活動してもらうことが必要ですが、狩猟者が高齢化のため
猟銃所持者が大幅に減少傾向にあると聞いています。そこで県では
狩猟試験を平成二十四年度から一月の農閑期に追加して、
年間試験回数を八回実施しています。しかし、一月に
農業従事者が自衛のため鳥獣を捕獲しようとして、
狩猟試験を受けようとしましたが、試験日程がわからなかったため、試験を受けられなかったという相談を受けたところであります。このことは
狩猟試験の日程の周知が不足していると考えられます。
そこで、
狩猟者確保、育成に対する知事の考えをお伺いします。
また、
狩猟試験日の周知の徹底や冬期における
狩猟試験の回数を二回にふやすべきではないかと考えますが、いかがお考えか伺います。
また、捕獲した鳥獣、特にイノシシ、鹿については、有効活用することが大切であります。私の地元では、町営の
獣肉処理加工施設が既に整備され、多くの人に山の幸を味わっていただいております。しかし、加工して商品化している、例えばハムなどに商品化している人に聞きますと、猟時期は品物が多いが、その他の時期は数量が少ないという声も聞きます。また、最近では全国においてジビエの
取り組みが盛んに報道されています。
そこで、獣肉を有効活用するためには、さらなるジビエの普及が必要と考えますが、獣肉の利活用について知事の考えをお聞かせ願います。
次に、不
登校対策についてであります。教育は、
子供たちの人格の完成を目指すものであり、
子供たちが将来にわたり幸福な生活を営んでいく上で不可欠なものであります。また、教育には将来我が国や社会を担っていく
子供たちを育てていくという使命があり、教育の重要性はどの時代にあっても変わるものではないと考えます。学校は、健やかで心豊かな子供の育成、また学力、体力の向上を目指しての
教育活動を行う場です。
子供たちが学校に通ってこそ
教育活動が成立します。しかし、全ての
子供たちが学校に通っているという現状ではありません。学校に通わない、通いたくても通うことができない、通いたくないといった不
登校児童生徒が存在している現実があり、ここ十年、なかなか減少していないという状況です。
本県における平成二十四年度の不
登校児童生徒数は、小学校八百七十二人、中学校四千三十一人で、合計すると四千九百三人です。小中学校を合わせた千人当たりの不
登校児童生徒数は、本県は十二・一人で、全国の十一人を上回っています。昭和三十年代から、学校に行かない、行けないという現象が問題視され始め、平成に至ると、一種の社会病理として捉えられるようになり、当初の学校に行きたくても行けないという状況から、学校に行かないことも選択肢の一つと考えられるようになりました。現在では、
子供たちの社会基盤をなす
学校教育を受けられない、受けないことが大きな課題であり、学校、家庭、
地域社会が一体となって取り組むべき課題となっています。
不登校の要因を見てみますと、従前の子供間の人間関係や学力の問題に加えて、本人の無気力や家庭での親子等の家族関係、退学といった個人や家庭にかかわる要因がふえてきている状況です。また、不
登校児童生徒の出現率は地域差も大きいと聞いています。私の
地元筑豊地区では、以前から不登校が多く、先生方が朝子供を迎えに行ったり、起こしに行ったりしている学校もあると聞いています。家庭教育との関係で、
基本的生活習慣が十分に身についていないことが考えられます。さらには、学校の対応の違いが大きいのではないでしょうか。
毎日取り組みを行っている学校、一方で何の
取り組みもしない学校があると聞いています。学校で問題を起こす子供と違って、不登校の
子供たちは教員の目の前にいないことから、教員が意識しない限り見逃すことが多いのではないかと思います。もっと不登校の
子供たちに対する学校の
取り組みの充実も必要と考えられます。
そこで教育長に何点か質問いたします。まず、不登校を解消するため、具体的にどのような
取り組みを行ってきたのか、不登校が高どまりしている原因は何か、特に私の
地元筑豊地区において小中学校の不
登校児童生徒が多いと聞いています。あわせてその要因についてもお伺いいたします。
次に、不登校は中学校になると急に増加すると聞いています。中一ギャップと言われているそうですが、本県での状況並びにその対応をどのようにされているのかお聞かせ願います。
最後になりますが、不登校はどの子供にも起こり得るという視点に立てば、現在元気に学校に通っている
児童生徒も、さまざまな要因が作用して不登校になる可能性を持っているということで、全ての
児童生徒を対象にした、不登校を生まないという予防的な対策が必要ではないでしょうか。現在どのような
取り組みを行われているのかお聞きいたします。
子供は国にとって、県にとって、地域にとっての宝であり、将来の希望であります。その
子供たちの社会生活の始まりである学校に通えないことがあってはならないと考えています。しっかりとした
教育委員会の
取り組みを期待しまして、私の質問を終わります。(拍手)
3 ◯副議長(長 裕海君) 小川知事。
*知事答弁
4 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
鳥獣被害対策、狩猟者の確保、育成についてでございます。県では、野生鳥獣による
農林水産物の被害を軽減するために、侵入防止から捕獲、それから捕獲獣の有効利用までの対策を一体的に進めてまいっております。このうち捕獲につきましては、特に狩猟者の確保、育成が、御指摘のとおり重要でございます。狩猟者はわなや銃器を使用いたしますけれども、
鳥獣保護法によりまして免許が必要でございます。県では、農林業者が比較的
取り組みやすいわな猟の免許者をふやすために、平成二十二年度から
わな猟免許の取得経費への助成を行ってきております。この結果、
わな猟者につきましては、平成二十年度千七十二人いらっしゃったのが、二十五年度は千三百八十人と増加をいたしてきております。また、銃猟者、銃を使って狩猟をする方でございますが、銃猟者につきましては、その高齢化によりまして減少傾向にございます。このことから、銃猟者を確保、育成していくために、本年度から新たに銃猟免許の取得経費につきましても助成の対象といたしたところでございます。射撃の技能向上、また銃器の安全な取り扱いの研修も実施しているところであります。
狩猟試験につきましては、狩猟期に入る前の夏場に実施をしておりましたけれども、農林業者の方が受験しやすいよう、平成二十四年度からは農閑期の一月にも実施をいたしました。その実施に当たりましては、県政だよりや県のホームページ、市町村、農協、猟友会を通じて広報しているところでございますけれども、今後は、御指摘もいろいろありましたので、集落内の会合におきましても、その情報を提供するなど、試験の周知徹底を図ってまいります。また、試験の回数をふやすことにつきましても、実施時期や場所について、市町村や猟友会など関係の機関の御意見も聞きながら検討をしてまいります。
次に、獣肉の有効利用についてでございます。捕獲されたイノシシや鹿の肉というのは、地域の山の幸として魅力的な資源でございます。
ジビエ料理を県民の皆様に広く普及していきたいと思っております。このためジビエのおいしい料理方法やその普及というものを目的にいたしまして、平成二十五年二月でございますが、飲食店や
獣肉提供者などの関係者から成ります
ふくおかジビエ研究会というものを設立をいたしました。この研究会におきまして、捕獲したイノシシや鹿の解体、料理の方法についての研修を実施しました結果、同研究会における
ジビエ料理を提供する店舗は、発足時四店舗しかありませんでしたが、この一年間で、今二十三店舗までふえております。さらに、本年二月でございますが、研究会の二十店の飲食店におきまして、ジビエを使ったいろんな料理を県民の皆様に提供するフェアを開催をしたところでございます。なお、開催に当たりまして、私自身これらの
ジビエ料理を試食させていただきましたけれども、とてもやわらかくて、臭み、癖もなく、とてもおいしかったです。
また、
ジビエ料理を普及させていくためには、獣肉の安定供給というものが必要でございます。県では、
獣肉処理加工施設の整備を支援をするとともに、捕獲したイノシシや鹿を広範囲から安定的にこれを集めてこれるように、氷冷搬送、氷で冷やしながら搬送する手法について検証を行っているところでございます。今後ともこうした
取り組みを実施しまして、獣肉の利用がさらに進むよう努めてまいります。
5 ◯副議長(長 裕海君)
杉光教育長。
*
教育長答弁
6 ◯教育長(杉光 誠君)登壇 まず、不登校を解消するための
取り組みについてでございますが、中学校に
スクールカウンセラーを配置し、
教育相談機能を高める
スクールカウンセラー活用事業、
福祉機関等とのネットワークを活用し、
児童生徒を取り巻く環境の改善を図る
スクールソーシャルワーカー活用事業、
宿泊体験等により生徒の
学校復帰を支援する不
登校中学生復帰支援事業、
適応指導教室等に派遣された学生が、
児童生徒の相談等に応じる
ヤングアドバイザー派遣事業などを行っております。また、小中学校におきましては、
児童生徒と最も信頼関係が深い教師が中心となって支援を行います
マンツーマン方式での対応や、登校を促すために電話をかけたり、迎えに行ったり、家庭訪問を行うなど、きめ細かで継続的な支援を行っております。さらに、学級に入れない
児童生徒につきましては、
校内適応指導教室等を設置し、学習等の個別支援を行っております。
次に、不登校の高どまりの原因についてでございます。これまでの対策が、不登校になった
児童生徒の
学校復帰のための
取り組みを中心に行われ、一定の成果をおさめているものの、新たに不登校になる
児童生徒が減少していないことが大きいと考えております。
次に、
筑豊地区の不登校が多い原因でございますが、
筑豊地区の状況を県全体と比べますと、学業の不振や遊び、非行、無気力などをきっかけとする不登校が多いことなどが考えられます。また
筑豊地区は、中学校における不
登校出現率が、小学校に比べて高い市町が多い状況にございます。
次に、中一ギャップについてでございますが、本県におきましては、小学校六年生から中学校一年生にかけて不登校の発生件数が三倍程度増加する傾向が近年続いております。このため、これまでの不
登校対策に加えまして、中学校における不
登校出現率が小学校に比べて高い七市町を対象に、小学校と中学校の接続の問題に留意をした
取り組みを行い、中学校一年生で新たな不登校を生まないよう努めてまいります。
最後に、不登校を生まない予防的な対策についてでございますが、全ての
児童生徒が学校に来ることが楽しいと感じられる
学校づくりが重要であると考えております。このため、学ぶ喜びが実感できる
授業づくりや、教師や
児童生徒同士の
人間関係づくりなどに努めております。
7 ◯副議長(長 裕海君) 田辺一城君。(拍手)
*
田辺議員質問
8 ◯五番(田辺 一城君)登壇 皆さん、おはようございます。民主党・
県政クラブの田辺一城です。通告に従い、政務調査に基づき一般質問をさせていただきます。
今回は、超高齢社会を迎え、地域住民の医療、介護、
健康づくりなどにとって、その役割が一層重要になっている保健師の活動の推進と、
若手農業者に対する
支援体制の充実強化について取り上げ、知事に質問をさせていただきます。
まずは、保健師の活動の推進についてです。誰もが安心して暮らしていける
地域社会の構築は、本県の最も重要なテーマの一つであると認識をしています。知事もこの
定例会初日の
提案理由説明や我が会派の代表質問に対する答弁で、「生活者の視点を一層重視しながら、いろいろな問題を抱える県民の皆様に寄り添い、向かい合う、温かみのある行政を心がけてまいります」とおっしゃってくださっており、私も強く共感をいたします。
地域においては、特に、保健、
福祉サービスの分野で、知事が指摘してくださったいろいろな問題が山積しています。健康寿命の延伸を目指した
生活習慣病の発症や重症化の予防、特定健診・
特定保健指導の展開、母子保健、
児童福祉、精神障害、難病、
新型インフルエンザを初めとする感染症、DV、虐待、
生活困窮者への対応など、枚挙にいとまがありません。また、災害発生時における対応も求められています。さらに、住みなれた地域で適切な医療、
介護サービスが受けられる社会を実現するため、
地域包括ケアシステムの構築も目前に迫った極めて重要な課題です。
こうした中、医療や看護、介護を初めとするさまざまな保健、
福祉サービスに従事している方々の役割は重要になっており、その中でも保健師に注目が集まっています。保健師は、これまでも地域の中で多様な課題に向き合い、地域を見る、つなぐ、動かすという役割を担ってきました。みずからの地域の現状を分析し、課題を抽出し、解決に導くために、地域の資源である医療や介護を初めとするさまざまな分野の関係者の橋渡し役として、まさに触媒としての役割を果たしてきたと言えます。さきに述べたような現代の
地域社会に生きる私たちが直面している多様かつ複雑な課題、さらに専門性を要する課題を解決するに当たり、極めて重要な役割を担っています。
先般、県内の保健師の方々と意見交換をする機会を得まして、みずからの置かれたこうした状況について御説明をいただきました。その上で、多岐にわたる業務に対応するためには、保健師の配置が不足し、本来
取り組みたい対
住民サービスに十分には取り組めていないとの現場実感を知ることができました。確かに、
厚生労働省の資料を見ますと、
都道府県別に現状を比較した統計があり、政令市を除いた市町村における保健師一人当たりの担当人口は、全国平均の四千八百六十一人に対し、福岡県は六千三百九十七人と、およそ千五百人も多くなっています。ちなみに、これは九州で最も多く、全国で福岡よりも多いのは八県のみとなっています。また現在、保健師が健康増進や感染症、
精神保健などの分野によって分散配置となっている
業務担当制とあわせ、かつて主流だった管内を地区に分けてそれぞれの地区に保健師を配置する
地区担当制を推進する必要性や、多様性、専門性を増す社会に対応するために保健師の
資質向上を図る重要性などについて御意見をいただいてきたところです。
なお、これらの課題に関しましては、
厚生労働省が昨年四月、
都道府県知事らに宛てた、地域における保健師の
保健活動についてと題する
技術的助言の中でも触れられています。いわく、保健師がその
担当地区に責任を持って活動する
地区担当制の推進に努めること、保健師の計画的かつ継続的な確保に努めること、なお
地方公共団体における保健師の配置については、
地方交付税の算定基礎となっていることに留意をすること、保健師が新たな健康課題や多様化、高度化する住民のニーズに的確に対応するとともに、効果的な
保健活動を展開するため、常に資質の向上を図る必要があるなどとしており、
保健活動の推進が求められています。
そこで知事にお聞きいたします。第一に、県や市町村の保健師の活動意義について、知事としてどのように認識し、本県として今後どのような役割を期待しているのかお聞きいたします。
第二に、
県内市町村の
保健活動を通して、住民の身近な健康問題に取り組んでいる市町村における保健師の配置について、近年の推移も含めどのような状況になっているのか、また知事としてその状況をどのように捉えているのかお聞きいたします。
第三に、近年保健師の活動が多様化し、高い専門性が求められる中で、保健師の皆さんの
資質向上をサポートすることは急務と言えます。本県では二〇一〇年度に作成した
県保健師現任教育指針に基づき
資質向上に
取り組み、さらに今年度からは新たな指針のもと、県の保健師に対する
現任教育の強化を図ってきたと認識していますが、その
取り組みについてお聞きいたします。
第四に、国は、さきに示しました
技術的助言の中において、県の役割として、市町村に対して
技術的助言、支援を積極的に行い、市町村の保健師の
資質向上を図る必要性にも言及しています。この点も踏まえ、本県として次年度、どのような方針のもと、市町村の保健師に対する
現任教育を具体的にどのように進めていくのかお聞きいたします。その上で、本県がビジョンとして掲げています生涯を通して健康で過ごせる社会、高齢者が安心をして生活する社会を実現していくためには、保健師の活動の推進が極めて重要であると考えますが、知事はどのように考えているのかお聞きいたします。
続いて、
若手農業者に対する
支援体制を充実強化することの重要性について提起いたします。二月十二、十三日の二日間、福岡県内の
若手農業者の皆さんとともに、
東京日比谷公会堂で開催されました第六十回
JA全国青年大会に参加をさせていただきました。
全国各地から高い志を持った同世代の農業者が集まり、国民に対して責任ある生産者として、地域に根差した生産者として、食と農の価値を多くの方々に伝えていくとの強い思いが共有された大会だと実感ができました。農とともに歩んできた我が国の国柄を次世代に伝え、永続していくために、私自身も引き続きしっかり頑張っていかなければならないとの思いを新たにいたしました。
全国各地の意欲あふれる
取り組みが発表される中で、九州・
沖縄ブロックの
若手農業者の活躍は目覚ましく、青年の主張では、オランダで研修をして施設園芸に衝撃を受けた体験をもとに、農業のイノベーションを実践する宮崎県の
若手農業者の
取り組みが最優秀賞に選ばれました。さらに、
青年組織活動実績の発表におきましても、九州・
沖縄ブロックの代表として出場した福岡県の
JA粕屋青年部の
取り組みが最優秀賞に輝きました。
若手農業者が連携をして新たな特産品としてスイートコーンをつくり、地域を巻き込んだ
農業まつりを開催、さらにコーンをPRするために地元にニューヒーローを生み出しました。そして、このヒーローは地域に根差しています。保育園に出張しての食育活動に取り組んだり、さまざまなイベントに登場したりと、地域振興のために活躍をしています。九州・沖縄のこの二つの例だけでも、若手だからこその創造性と行動力を実感することができました。海外で視野を広げ、みずからの
農業活動に生かす、
農業振興を
地域づくりにつなげる、こうした意欲を引き出し、活動を支援することで、その可能性を広げていくことが、農政に求められる重要な役割の一つだと考えます。
さて、我が国におきましては、青年の
就農意欲の喚起と就農後の定着を図る目的で、
青年就農給付金制度が設けられました。本県では制度開始の二〇一二年度、就農に向けて研修をする準備型に四十六人、就農間もない経営開始型に二百四人の計二百五十人が給付を受けたとお聞きをしています。この結果、全体の
新規就農者数の押し上げにつながり、
自営農業就農者総数が二百四人と、本県の総合計画と農業・
農村振興基本計画における目標である年間二百人を超えました。内訳をさらに見てみますと、三十九歳以下の青年が百五十一人もおり、前年度の一・六倍以上に伸びています。さらに青年の内訳を分析いたしますと、青年の
Uターン就農者の数も前年度比一・八倍の八十五人にふえています。そして、特に注目するのは、最もリスクが高いと考えられる
新規参入者です。前年度比二・四倍の四十人に上っており、この十年で最大になっていることはもちろん、それまで最も多かった二〇一〇年度の二十二人と比べてもおおむね倍増しています。その上で、ポイントとなってくるのは、制度二年目となった今年度の
青年就農給付金の
新規受給者数だと考えます。加えて、
新規就農者の方々にとって重要なのが、ハウスを初めとする
農業用施設や機械などの購入資金であり、本県はこうした資金を三千七百万円を上限に無利子で貸し付ける
就農施設等資金の制度を実施していますが、
青年就農給付金の開始で、この
貸し付け状況が変化しているかどうかも注目点です。
そこで知事にお聞きいたします。第一に、
青年就農給付金が開始した二〇一二年度、
新規就農者数が大きく増加をしていますが、今年度の給付の見込みがどのような状況にあるのかお示しいただきたいと思います。加えて、
就農施設等資金の
貸し付け件数について、
青年就農給付金の影響による変化があったのか、その実態についてお聞きします。これらを踏まえた上で、
青年就農給付金について、知事がどのように評価をしているのかお聞きいたします。
第二に、
青年就農給付金などの参入にかかわる支援策の活用によって、
新規就農者が増加することは望ましいことですが、こうした就農者が離農することを防ぐための、いわゆる定着支援が極めて重要であり、今度どのように取り組んでいくのか伺います。
さらに、こうした
取り組みに加えて、
新規参入者だけでなく、本テーマの冒頭で紹介したような、既に地域の農業現場で創意工夫し、
地域づくりも見据えて頑張っている
若手農業者の
取り組みに対する支援策も必要だと考えますが、知事の考えをお聞きいたします。
最後に、
農業振興には農業に対する国民の皆様の意識、県民の皆様の意識の向上、社会的評価をさらに高めていくことが不可欠です。この実現こそが、今回テーマとした
若手農業者の皆さんの活動を、さらに後押しをしていくことにつながると強く考えます。その意味で、食育の推進は最も注力すべきものの一つだと考えてきましたし、知事が次年度、食育、地産地消の推進を強化し、新たに小学校の調理実習における県産柿の皮むきの実践に取り組む方針を示していただいていることは大いに評価をしたいと思っています。
そこで、本県における
農業振興を実現するに当たっての食育の重要性と、この新規事業の意義について、知事の考えをお聞きいたしたいと思います。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
9 ◯副議長(長 裕海君) 小川知事。
*知事答弁
10 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
まず初めに、県や市町村に勤務をされる保健師の活動の意義についてでございます。県の保健師は専門性を必要とする難病患者さんや精神障害者に対する相談、支援、感染症拡大防止のための患者調査、保健指導、広域的な調整を必要とする在宅医療の推進など、そういった業務に従事をいたしております。また、市町村の保健師に対する研修の実施や助言、支援というものも行っております。市町村の保健師の方々でございますけれども、住民に接する機会が非常に多うございまして、お子さんから高齢者まで幅広い住民の方々を対象にして、その
健康づくりや介護予防など、身近で頻度の高いサービスを、それぞれの地域の実情に応じて提供をする業務に従事をしていただいております。このように保健師は、先ほど議員は見る、つなぐ、動かすとおっしゃいましたけれども、専門的な知識、技術を活用いたしまして、住民の皆さんが元気でお暮らしいただけるよう、さまざまな
保健活動を通して、住民の健康の保持、増進、疾病の予防などに貢献をするものであるというふうに認識をしております。今後は、
地域包括ケアシステムの構築に向けまして、ますます医療、介護の連携、介護予防の
取り組みなどを進めていくことが必要になってございますし、進めてまいります。そのため、保健師の皆さんがその専門的な知識や技術をより一層発揮していただくことが大切になると思っております。
市町村における保健師の配置状況でございますけれども、国の調査によりますと、本県の市町村の保健師の数は年々増加をしております。平成二十四年度現在常勤換算で三万六千九十人となっており、三年前と比べまして一万五百八十五人、四一・五%の増加となっております。増加した理由でございますけれども、近年
生活習慣病が増加している中で、特定健診や
特定保健指導というものが導入されたということ、また少子化に対応して、子供を産み育てる環境を整備していく母子保健業務というものが強化されたことなどが、その背景にあるというふうに考えております。
県の保健師に対する
現任教育についてお尋ねがございました。現在県の保健師に対しましては、新任期、中堅期、管理期と分けまして、それまで培ってきた経験やスキル、そのレベルに合わせまして、職務遂行に必要な能力を習得するための研修を行っております。また、家庭訪問や健康相談が的確に対応できるよう事例研修を行ったり、大規模災害時の対応訓練を行うなど、実践能力を高めるための研修を行っております。さらに、自己の活動目標達成状況を確認するため自己評価、また指導者との面談を行いまして、研修で習得した知識、技術の評価を行ってきているところであります。
市町村の保健師に対する
現任教育についてでございますが、平成二十五年度に、御指摘ありましたように、国の地域における保健師の
保健活動に関する指針が十年ぶりに改定をされまして、県や市町村は新たな健康問題に対応した効果的な
保健活動を行うことができるよう保健師の
現任教育を推進することとされました。市町村によっては、この
現任教育を行うことが困難なところもございますことから、来年度は、県が実施する研修に市町村の保健師さんにも参加をしていただきまして、
地域包括ケアシステムの構築など新しい課題に対応できる能力を高めていくこととしております。
総合計画に掲げる施策の実現における保健師の活動の重要性についてでございます。本県の総合計画に掲げております生涯を通じて健康で過ごせる社会、高齢者が安心して生活する社会を実現していくためには、
生活習慣病対策や
地域包括ケアシステムの構築を、市町村が中心となって進めていくことが必要でございます。そのため、市町村保健師の皆さんの役割と活動はますます重要になっております。県といたしましては、市町村の幹部を対象として開催をしております研修の場を活用いたしまして、今申し上げました、保健師の方々の役割と活動の重要性について、一層の理解をしてもらえるようしてまいります。また、引き続き
現任教育や技術的な助言を行うことによりまして、市町村の保健師を支援をしてまいります。
次に、
青年就農給付金の評価についてお尋ねがございました。本県の
新規就農者数は、近年大体百五十名程度で推移をしておりましたけれども、平成二十四年度は二百四名と、過去最大となっております。そのうち半数の百二名の方が給付金制度を活用しており、今年度も新たに百四十七名が活用する見込みとなっております。また、
新規就農者が導入するハウス等施設や機械に対しまして、無利子で貸し付ける
就農施設等資金の
貸し付け件数でございますけれども、平成二十三年度八名に対し、今年度は二十四名と三倍に増加をしておりまして、そのうち二十名の方が給付金を活用した
新規就農者の方でございます。このように、給付金制度は
新規就農者の
就農意欲の喚起に役立っており、給付金を活用した方々からも農業を始める決断ができたと、そういった声が寄せられているところでございまして、新規就農の促進に貢献しているものと、私は考えております。
次に、
新規就農者の定着のための
取り組みと若手の農業者の方への支援についてお尋ねがございました。
青年就農給付金の事業主体でございます市町村を対象とした調査によりますと、約三割の市町村が
新規就農者の今後の定着に不安を感じておられます。経営改善のためのフォローアップというものが課題に掲げられているところでございます。このため、私どもの普及指導センターにおきまして、
新規就農者を対象とした営農講座を開設するとともに、個別に現地を巡回し、きめ細かな技術や経営指導を実施しているところでございます。また、県では、
新規就農者に限らず、今御指摘のありました若手の農業者を対象にいたしまして、青年農業者のグループが自主的に行う課題研究や、先ほどの全国の青年農業者との意見交換など、それぞれの資質の向上につながる活動に要する経費を支援をしているところでございます。これらの活動は、
若手農業者同士がお互いに切磋琢磨する場になると同時に、
新規就農者の方にとりましては課題解決の場になるなど、
新規就農者の定着にも資するものと考えております。県といたしましては、これらの
取り組みを通じまして、
新規就農者、また
若手農業者が地域の重要な担い手となるよう支援を続けてまいります。
次に、
農業振興を実現するための食育の重要性についてでございます。本県農業が持続的に発展をしていくためには、競争力の強化はもとより、本県の農業に対する県民の皆様の積極的な御支持が不可欠であります。このため、次代を担うお子さんたちに対して食、そして食を支える農業に対する理解の促進を図っていきます食育の推進というのは大変重要であると、このように考えております。県では、この食育の
取り組みを広げていくために、平成二十六年度から新たな事業を実施することといたしております。具体的には、先ほどの甘柿生産日本一である福岡県の柿に親しんでもらうために、小学校と生産者が協力いたしまして、調理実習で柿の皮むきを体験してもらう
取り組みを進めてまいります。また、子供がつくる弁当の日に取り組む学校数をさらに増加をさせるため、県内各地で教師や保護者を対象とした優良事例報告会などに取り組んでまいります。こうした
取り組みによりまして、お子さんたちの食と我が福岡県の農業に対する理解が深まり、県産農産物の需要拡大にもつながっていくものと考えております。
11 ◯副議長(長 裕海君) 田辺一城君。
12 ◯五番(田辺 一城君)登壇 知事から御答弁をいただきました。
地域における保健師活動の重要性が高まっているということについて、知事と認識を共有でき、また本県が総合計画にビジョンとして掲げる生涯を通じて健康で安心して暮らせる社会を実現するためには、市町村と一体となった
取り組み、これを推進する必要性を、今回初めて示していただいたことに感謝をいたします。
ただし、こうした
取り組みを推進するに当たり、留意していただきたいことを一点強く指摘をしておきます。本日のやりとりでは、保健師の資質の向上に関しては、次年度以降の具体的な方向性を示していただけたというふうに理解をしていますけれども、知事もおっしゃっておられた我が国の
地域社会を取り巻く環境というものを鑑みますと、質だけではなくて、適正な配置、つまり適正な人員の確保も保健師活動の推進のためには極めて重要だというふうに考えます。実際国からは、保健師の配置については
地方交付税の算定基礎となっていることに留意することとの
技術的助言が示され、また国全体として
地方交付税による措置人数が実人員を大きく上回っていると、保健師の配置が、全国なべて見ると不足している状況が示唆をされています。しかし、国からは具体的にどういった配置が適正なのかといったところは不明なため、各都道府県、市町村が主体的に判断をしなければならないという状況にあります。
知事の答弁の中に、市町村における保健師の配置状況について、常勤換算で三万六千九十人、三年前と比べて四一・五%の増加との急激な伸びが示されました。ここで注意をしなければならないのは、三万六千九十人のうち九割を超えるほとんどが非常勤保健師という実態であり、これが常勤換算をされているということです。本県の非常勤保健師の数の多さは全国でトップクラスでして、これは裏返して考えてみると、常勤の適正な配置がなされているかどうか、これをしっかりと検証する必要性を示唆しているというふうにも言えます。
知事におかれましては、本日このやりとりの中で示していただいたお考えを踏まえまして、
県内市町村における保健師の配置が適正なのか、市町村長とも問題意識を共有して、しっかりと適正性の確保に努めていただきたいということ、そして、それでこそ本県の掲げているビジョンの実現につながるということを強く指摘、要望いたしまして、私の一般質問とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
13 ◯副議長(長 裕海君) 大塚勝利君。(拍手)
*大塚議員質問
14 ◯二十六番(大塚 勝利君)登壇 皆さん、こんにちは。公明党の大塚勝利です。通告に従い、虐待を受けた子供の医療的ケアと支援について質問いたします。
児童虐待は児童の人権を著しく侵害し、心身の成長や人格の形成に重大な影響を与えるとともに、
子供たちの次の世代にも連鎖の懸念がある極めて深刻な問題です。平成二十四年度に児童相談所が対応した児童虐待の相談件数は六万六千件を超え、児童虐待防止法施行前の平成十一年度の五・七倍とふえ続けており、虐待防止の一層の強化が求められているところです。
一方、児童虐待への関心が高まる中、
子供たちが保護された後については余り知られていません。一時保護を受けた
子供たちは親元への復帰が難しい場合、児童養護施設、里親、情緒障害児短期治療施設などの
児童福祉施設に入所することになりますが、虐待を受けた
子供たちの多くは、その後遺症に苦しんでいる現状があります。
児童精神科医の杉山登志郎浜松医科大学特任教授は、虐待は子供の成長に重大な影響を及ぼすリスクが高いと警鐘を鳴らしています。報道によると、杉山特任教授が勤めていた、あいち小児保健医療総合センターでは、平成十三年から十年間にわたり、虐待を受けた十八歳以下の子供千百十人を診断、約五割が人格が変わったり、幻覚症状が出たりする解離性障害、約四割が感情を抑えられなくなったり、人間関係を築けなくなったりする反応性愛着障害と、約八割の子供に発症が見られたことから、虐待を受けた
子供たちに医療的ケアが必要であると指摘しています。
厚生労働省によると、児童養護施設に入所している子供は、平成二十四年十月で二万九千三百九十九人、平成二十年の調査では、入所者の五三・四%、半数以上が虐待を受けている実態があります。
先日、私は虐待を受けた
子供たちの現状を調査するため、長崎県大村市にある情緒障害児短期治療施設、社会福祉法人カメリア大村椿の森学園を訪問しました。情緒障害児短期治療施設とは、以下情短施設と言いますが、聞きなれない名称ですが、
児童福祉法第四十三条の二に基づき、軽度の情緒障害を有する児童を短期間、入所または保護者のもとから通わせて、心理療法や生活指導、学習指導を通して、その情緒障害を治療する施設です。児童養護施設が、親にかわって衣食住とともにそこから学校に通学し、共同生活を送る生活の場であるのに対して、情短施設は、児童養護施設のように共同生活を送り、なおかつ治療も行う場所であり、入所しているのは治療が必要な
子供たちです。
平成十五年四月に開設し、現在定員五十五名、内訳は入所四十名、通所十五名、六歳から十九歳までの児童に対し、非常勤も含めて三十六名の職員が対応しています。対象児童は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)や解離性障害、集団や学校への不適応、自傷行為、精神障害を有しないひきこもり、注意欠陥多動性障害、学習障害など、加えて情緒的な問題を持つ児童などで、現在入所児童の約七割が虐待を受けた児童です。心理療法だけでなく生活指導、学習指導及び保護者への面談、相談を通じて、安定した生活環境を整える中で、情緒障害を治療しています。虐待の心理的影響として、先ほど述べた解離性障害、反応性愛着障害のほか、感情、行動の調整ができず衝動的な暴力につながる障害、自尊感情がなくなり、自傷行為に至ったり、特に性的虐待は対人不全や性的逸脱から鬱病やPTSDなど精神疾患の症状を発症する場合もあり、軽度といいながら、実際には多くの
子供たちの障害は余りに大きく、それゆえに短期間で退所できない
子供たちが多いのが現実です。
同施設の特筆すべき点は、施設の隣にある児童精神科を持つ大村共立病院と連携して治療に当たり、同院の複数の医師が勤務し、心理士も八名配置されており、治療を達成し、退所していく児童が七割を超えて高いことです。面談した宮田雄吾医師は、虐待を受けた子供には医療的ケアが必要であり、それも虐待直後の早期治療の必要性を強調されていました。また軽度発達障害児は虐待を受けやすく、また虐待を受けた児童には多くの軽度発達障害児も含まれているとのことでした。話を伺い、虐待がいかに深刻なトラウマを
子供たちに残し苦痛を与えているのか、驚きとともに
子供たちの治療に取り組む必要性を痛感しました。
二〇〇一年、
厚生労働省は、児童虐待による被害増加への対策を推進するため、健やか親子21プロジェクトを開始し、その一環として全国四十七都道府県に情短施設を設置する目標を掲げましたが、現在わずか三十八カ所、九州には大村椿の森学園、本県にある県立筑後いずみ園を含め四カ所しか設置されていないのが現状です。
知事に七点伺います。まず、平成二十四年度における本県の児童相談所における児童虐待の対応件数と、
児童福祉施設の中で、特に受け入れ児童数の多い児童養護施設の入所児童数、そのうち虐待を受けた児童がどれくらいいるのかお示しください。
二点目に、虐待を受けた児童がふえていますが、虐待を受けた児童への医療的ケアの必要性について、知事の認識を伺います。
三点目に、本県の児童養護施設では、虐待を受け、心のケアが必要な
子供たちにどのように対応されているのか、現状を伺います。
第四に、児童養護施設では、子供が抱える問題が多様化、複雑化、高度化しています。児童養護施設職員、特に心理療法職員の専門性の向上や育成、実践的なスキルが習得できるよう研修制度を充実すべきと考えますが、どのように取り組まれているのか伺います。
五点目に、児童養護施設では職員が生活指導、学習指導を通して生活環境を整えながら、虐待を受けた
子供たちの心のケア、育ち直しに懸命に取り組まれています。しかしながら、児童養護施設において心理職員の配置に対する国からの財政的支援は、心のケアが必要な児童数に比例して増加するのではなく、一施設に一人分が限度となっていることから、心理職員一人で多くの児童を抱え、適切なケアが十分に行えていない現状があります。一方、東京都では、児童虐待による深刻な問題が増加する中、施設に入所する子供の
支援体制の充実を図るため、情短施設の設置ではなく、国に先駆けて既存の児童養護施設に精神科医、治療指導担当職員を配置し、専門的なケアを行う体制を整備した専門機能強化型児童養護施設を設置しており、問題を抱えた児童の増加に対応しています。平成二十五年三月末で三十八施設設置しております。本県でも設置を検討されてはどうでしょうか。本県の方針をお示しください。
六番目に、虐待を受けた児童は支援方針が決定するまで児童相談所の一時保護所で生活することになります。一時保護所での生活は二カ月間までが原則と定められておりますが、実際はそれ以上保護されている場合があるようです。一時保護所では虐待を受けた児童だけではなく、非行を繰り返している児童も一緒におり、暴力や非行への誘惑など悪影響も多く、安心できる場所が確保されておりません。一時保護所の改善を進めるべきと思いますが、本県ではどのように対応されているのか伺います。
最後に、県立筑後いずみ園について伺います。虐待による重篤な児童への専門的な心理支援、医療的ケアを行う情短施設の必要性は高くなっています。一つの施設で子供を育て上げることには限界があり、社会的養護の施設がネットワークをつくり、不調となれば一時的に情短施設を利用するなど、子供を治療するセーフティーネットの面からも必要と考えます。
先般、本県の情短施設である筑後いずみ園を訪問しました。大村椿の森学園が医療施設との共同治療を軸とした施設であるのに対して、筑後いずみ園は形態が異なり、医療との連携が不足し、定員五十名に対して現在二十五名と利用率が低く、より活用されるよう本来施設として期待される機能、医療的ケアを強化すべきであると感じました。医療機関との連携を図り、現在行われていない通所の受け入れなど、機能の強化を図るべきと考えます。
筑後いずみ園の現状をどのように評価されているのか、本県では情短施設を今後どのように位置づけていくのか、知事のお考えを伺います。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
15 ◯副議長(長 裕海君) 小川知事。
*知事答弁
16 ◯知事(小川 洋君)登壇 まず、私のほうから答弁をさせていただきます。
初めに、虐待を受けた児童への医療的ケアの必要性についてでございます。虐待を受けた児童の中には、心に深い傷を負っている児童もおりまして、そのような児童に対しましては、専門医による定期的な診断、服薬治療などの医療的ケアが大変重要であるというふうに認識をしております。
児童養護施設での心のケアについてでございますが、県内の全ての児童養護施設におきましては心理療法担当職員が配置されているところであります。これらの職員は、集団の中での行動観察、カウンセリング、また箱庭療法などを通じまして、虐待を受けた児童の心のケアに取り組んでいるところでございます。
児童養護施設の研修についてお尋ねがございました。児童養護施設職員は、私ども県が実施をしております毎年二回の研修に加えまして、福岡県児童養護施設協議会が実施をしております主任や施設長などの階層別の研修を受講することで、それぞれの専門性の向上に努めているところであります。特に、心理療法担当職員の専門性の向上を図るために、県では児童相談所との合同の事例検討会を県内三カ所の児童相談所で実施をしているところでございます。
次に、東京都が行っている既存の児童養護施設に精神科医等を配置する
取り組みを、本県でも導入してはどうかという点でございます。東京都では情緒障害児のための専門の短期治療施設というものは設置しておりませんで、今御指摘のありましたように、既存の児童養護施設に心理療法担当職員二名と精神科医一名を配置して、入所児童の心のケアに対応している、このように伺っております。本県におきましては、平成十三年度に情緒障害児のための専門の短期治療施設として県立筑後いずみ園を設置いたしまして、心理療法担当職員五名、精神科医二名の配置により、専門的な治療を行いますことによって、情緒障害のある児童の回復に成果を上げてきたところでございます。虐待等により心のケアを特に必要とする児童がふえておりますことから、本県では、今申し上げました筑後いずみ園のさらなる機能強化を図っていきたいと考えております。
児童相談所の一時保護所の改善についてでございます。一時保護所では、事情の異なる児童が入所することになりますために、あらかじめ保護所間での入所調整、児童養護施設への一時的保護委託を行いますなど、被虐待児と非行児とが極力接触しないように工夫をしているところであります。また、居住環境面での改善策といたしまして、精神的に不安定で特に配慮を要する児童に対しましては、集団生活に適応できるようになるまでの間、周囲からの刺激を遮断して生活させるための個室というものを用意してきたところでございます。このような配慮を行いますものの、集団生活を送る上では、児童間のトラブルというものは起こり得ることでございます。そのことから、それを防ぐために、保育士の増員や一時保護所専任の心理職員を配置してきたところでございます。一時的に児童が増員するような場合には、非常勤職員を追加任用することによっても対応してきているところであります。今後とも、一時保護所内で児童が安心して生活できるよう努めてまいります。
次に、県立筑後いずみ園の機能強化についてでございます。筑後いずみ園は、平成十三年、先ほど申し上げました本県唯一の情緒障害児短期治療施設といたしまして、心のケアが必要な児童を受け入れ、その治療に取り組んできたところでございます。近年、虐待により心に深い傷を負うなど医療的なケアが必要な児童がふえております中で、このいずみ園には医師の配置の充実でありますとか、医療機関との連携強化による医療体制の強化というものが求められていると思っております。このようなニーズに的確に対応していくための方策につきまして、運営のあり方を含め検討してまいります。
なお、残余につきましては福祉労働部長からお答えをさせていただきます。
17 ◯副議長(長 裕海君) 高橋福祉労働部長。
*福祉労働部長答弁
18 ◯福祉労働部長(高橋 敬君)登壇 平成二十四年度の児童虐待対応件数についてでございます。県内の児童相談所が平成二十四年度に対応した児童虐待の件数は一千九百十二件であり、統計をとり始めた平成二年度以降過去最多でございました。
また、県内の児童養護施設に入所している児童数は、平成二十五年三月一日現在一千二百九十三人で、そのうち虐待を受けた児童数は五百六十九人、四割強となっております。
19 ◯副議長(長 裕海君) 大塚勝利君。
20 ◯二十六番(大塚 勝利君)登壇 御答弁ありがとうございました。
要望させていただきます。いずみ園につきましては、ある専門家の方から、幼児の医療的ケアについては全国の中でも大変すぐれていると、このような評価もあります。ただ、大変活用されてないんじゃないかなと思いますので、ぜひ機能強化については取り組んでいただきたいと思っております。
また、こういった問題につきましては、できれば医療に頼ることなく、生活を支えることで心のケアにつながることから、児童養護施設の役割というのが大変重要であると思います。専門性を高める
取り組みは行われているようですが、やはり人員配置が十分ではない、ぜひ国へ要望をしていただきたいと思いますし、東京方式につきましても、ぜひ試行的に
取り組みを検討いただきたいと思います。
最後に、児童虐待の問題は、親から子供の安全を確保して解決するものではなく、
子供たちの心の傷が回復して、社会で自立して初めて解決するものであります。今後とも、しっかり支援に取り組んでいただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
21 ◯副議長(長 裕海君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時十分といたします。
午 後 零 時 八 分 休 憩
午 後 一 時 十一分 再 開
22 ◯議長(松尾 統章君) 再開いたします。
休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。秋田章二君。(拍手)
*秋田議員質問
23 ◯四十五番(秋田 章二君)登壇 皆様、こんにちは。
自民党県議団の秋田章二でございます。通告に基づきまして一般質問を始めさせていただきます。
まず、県民への広報の現況についてお尋ねします。国会における地方分権の推進に関する決議から二十年が経過しました。これまで、国から地方、あるいは都道府県から市町村への権限の移譲や市町村の合併が進められてきました。県民の生活実感からいたしますと、市町村の役割が大きくなる一方で、県の存在はだんだん遠いものになっているのではないでしょうか。私の選挙区においても、市、町の行政のことはわかるけど、県が何をやっているのかよくわからんといった声を聞くことはしばしばであります。
知事は、今後の県の役割について、市町村への分権が進んでも、県には市町村では果たせない先導的、広域的な役割があり、県への行政需要は増大していくとの見解を示しておられます。知事が述べられるように、県が地方行政における先導的、広域的な役割を果たすためには、まず第一に、県民の皆さんに県の施策を知っていただき、身近に感じていただくことが重要であります。知事は、就任以来四人の総理に広報官としてお仕えになった実績をもとに、広報の充実に力を入れておられ、みずからさまざまな広報媒体を複合的に組み合わせた効果的な広報に努めていると述べられています。
そこで知事に四点お尋ねします。まず、県が有する広報媒体やその活用の現況について、具体的な実績や予算をもとにお聞かせください。
次に、県の行政は広範であることから、限りある広報資源では、その全てを満遍なく広報することはできないと思いますが、どのようにして広報テーマを選んでおられるのか、また有効な広報のためには、実際に施策、事業を実施している各部局や現場の意見が重要だと思います。それをどのように反映しておられるのかお聞かせください。
三点目は、広報印刷物による広報効果についてです。県では、「福岡県だより」など県政全般の広報を行う広報媒体のほかに、各部がさまざまな事業のPRのためにポスターやリーフレットを作成し配布しています。それはそれで意義あることとは思いますが、ポスターを掲示する、リーフレットを配布することで、目的を達したと自己満足していることはないでしょうか。よりよい広報効果が得られるように、一層の創意工夫が必要と考えますが、知事は、ポスター、リーフレットなどの印刷物による広報効果について、どのように考えておられるのかお聞きします。
四点目は、知事自身が先頭に立って行う広報活動についてです。知事は、我が会派の代表質問に対し、新社会推進部の具体的な成果の一つとして、飲酒運転撲滅意識の広がりによって飲酒運転事故件数が過去最少になったことを挙げられました。確かに全国ワーストワンを返上したことは喜ばしいことですが、現状はまだまだ厳しく、知事も認められているように、胸を張れる現況ではないと思います。また、もう一つの悲願であります暴力団撲滅については、最近でも暴力団によるものと思われる凶悪事件が続発するなど、全く先が見えない状況にあります。
本会議提案要旨説明で、あまおうを初め県産農産物のトップセールスに今後も努めていくと発言されましたが、このように、厳しい現状にある政策課題の解決についてこそ、各部に任せるのではなく、知事自身が広報啓発の先頭に立ち、県民に直接訴えかけ、その理解と協力を得ることが重要と考えますが、知事の所見をお伺いします。
次に、県産材の利用促進についてお尋ねします。この件については、私も平成二十二年にただしたところです。本県では、平成二十四年一月策定の県内公共建築物等における木材利用促進に関する方針によると、平成十年度から全庁的に福岡県木材需要拡大推進本部を設置し、公共建築物における木材利用の促進を行ってきたとあります。しかし、この十五年間の結果は、我が会派、中尾議員の代表質問にもありましたが、惨たんたるものでした。知事も主伐がほとんど行われず、県産材供給力強化が喫緊の課題で、二十六年度から新たに県産主伐材のマーケット形成を戦略的に行っていくと答弁されています。戦略的マーケット形成がどんなお考えなのかはわかりません。私は、需要拡大には農水産物の六次産業化と同じように、川上から川下までの輻広いシステムが必要であり、伐採した木材をコスト削減のためにも県内で製材し、加工、製品化したものを販路拡大していく流れが必要と思います。
本県農林水産業には、福岡のり、あまおう、はかた地どり等々のブランドがありますが、福岡ブランドがないのは林業だけなのです。知事もよく御存じのように、私の地元大川市及びその近郊は、四百数十年に及ぶ木工製品作製のノウハウがあります。構造物だけでなく、フローリングから種々の建築用内装材をつくる能力は十分にあります。しかし、そのようなメーカーはほとんどないのが実情です。その理由として、製品化への研究開発する体力がない、売り込み先がないから、つくっても仕方がないということです。
そこでお尋ねいたします。建築用材については、強度もさることながら、不燃化や耐火性を高めることが極めて重要です。そこで久留米市にある森林林業技術センターや、大川市のインテリア研究所において、柱やはりなどの構造建築用材だけでなく、内装材の製品化への研究開発を進め、他県産材と差別化を図った製品を、福岡ブランドとして官民一体となって販売促進していく考えはないでしょうか。知事の考えをお聞かせください。
民間企業は、需要がなければ製造しないのは当然で、販売先として公共建築施設に率先して使っていくという方向性は正しい施策と思います。そのためには、公共施設の増改築に際して、仕様書への県産材使用を明記し、県の施設だけでなく、市町村にも県産材の利用促進に協力してもらわなければいけません。知事の
取り組みについてお尋ねします。
今、県産材の利用促進についてただしてまいりますと、緒についたばかりで、暗たんたる気持ちになってまいりました。しかし、代表質問の知事答弁の中に明るい兆しも見えてまいりました。県産材の需要拡大に向けて、柳川市の県立高校を、我が会派と他会派の代表質問で引き合いに出し、内装木質化を進めると、力強い発言がありました。知事、あなたの列の右側には、その高校のOBがお二人座っていらっしゃいます。知事には、きっと予算を増額していただき、木の香あふれる落ちついた雰囲気の新校舎が完成いたしますことを、春のつぼみを見るときのように、私もお二人とともに期待に胸を膨らませまして質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
24 ◯議長(松尾 統章君) 小川知事。
*知事答弁
25 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
まず、県の広報媒体の活用の現況についてでございます。印刷物といたしましては、「福岡県だより」を二カ月に一回、二百九万部発行し、自治会などを通じまして各世帯に配布をさせていただいております。また、県の活動や地域の魅力を写真中心にお伝えをしております「グラフふくおか」、これにつきましては、年四回、二万九千部を発行し、県の各機関、市町村役場を初め図書館、公民館などの公共施設、銀行、病院、理美容院などでごらんをいただいているところでございます。マスメディアを通じましては、まず映像によって県政というものを、よりわかりやすく、親しみやすくお伝えするため、約五分間のテレビ番組を毎週三番組放映をしております。また、イベント情報や相談窓口の案内など県からのお知らせ、これを週二回ラジオで放送するとともに、二カ月に一回新聞四紙に掲載をさせていただいております。さらに、ホームページを通じまして県民の安全、安心にかかわる緊急情報を初め最新の県政に関する情報を幅広く発信をいたしております。これらの広報活動に要する経費といたしまして、平成二十六年度当初予算三億八千万円余を計上させていただいております。
広報テーマの選定についてでございます。飲酒運転撲滅、暴力団対策、薬物乱用防止などの重要課題を初め各部の重点施策、あるいは新規事業といったものに関する年間広報計画というものを出していただきまして、その意見も踏まえた上で、全庁的な観点から重要性やタイミングなどを考慮して、その時々で最も適したテーマを、その広報テーマとして選定をし、そのテーマにふさわしい媒体を選んでおります。
ポスターやリーフレットなどの広報用印刷物の広報効果についてでございます。まず、印刷物が人の目を引き、訴えかけるような工夫、掲示あるいは配布する際の最も効果的な場所の選定に加えまして、特に印刷物を用いた広報活動が、単なる掲示や配布にとどまることなく、議員は要するに広報それ自身が自己満足に陥ることがないようにとおっしゃいましたが、そういった掲示や配布にとどまることなく、新聞やテレビ、ニュース等で広く報道されまして、多くの皆様に知っていただくことが重要であると考えております。そのため、トップセールスや街頭キャンペーンを積極的に行いまして、より効果の高い広報活動に努めているところでございますけれども、来年度は新たに民間の専門家による広報効果の高い印刷物のつくり方に関する研修会も開催をさせていただこうと思っております。
困難な課題解決に向けた広報において、私自身の果たすべき役割について質問がございました。困難な課題についてこそ、知事自身先頭に立って県民の皆様に訴えかけるべきであるとの御指摘でございます。私も全く同感でございます。日ごろからそのように行動するように心がけてきているところでございます。例えば、暴力追放福岡県民大会、飲酒運転撲滅キャンペーンの街頭活動など、それらにつきましては、先頭に立って行動してきております。今後とも、大切な時にふさわしい場所、また、ふさわしい媒体で、県民の皆様に直接お訴えかけをし、私の思いを伝えるよう努めてまいります。
次に、内装材の製品化への研究開発と、その販売促進についてお尋ねがございました。杉、ヒノキといった針葉樹は、広葉樹に比べましてやわらかいなどといった理由から、内装材には不向きとされてきております。このため、今年度から森林林業技術センターにおきましては、傷がつきにくく、収縮の少ない内装材の研究開発に
取り組み、試作品の製作を行っているところでございます。今後、マーケットニーズに的確に応えた製品づくりを行っていくために、平成二十六年度から新たに、大川家具業界と県と連携をいたしまして開催をする展示会におきまして、今取り組んでおりますこれらの試作品を出展することといたしております。そして、製品化された際の販売促進につながっていきますよう、工務店などの実需者、それから消費者の皆様のニーズを把握していきたいと思っております。このように、現段階では、まずは製品化に向けたニーズの把握に努め、製品開発を急ぎまして、市場に出せそうな製品ができた段階で、そのブランド化にしっかり取り組んでいきたいと考えております。また、工業技術センターインテリア研究所におきましては、大規模な建築物の内装材に必要とされます不燃化技術といった関連の新しい技術の研究開発にも取り組んでいるところでございまして、先ほど申し上げました森林林業技術センター、それからこの工業技術センターのインテリア研究所、連携をいたしまして、県産材の内装材としての製品化にしっかり取り組んでまいります。
公共施設における県産材の利用促進の
取り組みについてでございます。県では、これまでも低層の県有施設の木造化、県発注工事の仕様書に木材を利用する際の県産材の原則使用を明記するなど、その利用促進に努めてまいりました。さらに、県産材の利用を進めるよう関係部局に指示をいたしまして、来年度からは宮若や北野の交番で初めて交番の木造化に取り組んでいきますほか、先ほどOBの話が出ましたが、名前を言いますが、伝習館高校など県有施設での木造、木質化を進めることといたしております。あわせて、木製ガードレールなどの公共土木工事での県産材の利用を引き続き進めてまいります。
また、これらの
取り組みを広げていくことが重要でございますことから、市町村に対しまして、公共建築物等木材利用促進法に規定しております市町村の方針というものを策定するよう、市町村に対して働きかけをしているところでございまして、今年中には全ての市町村において、この方針が策定される見込みとなっております。県といたしましては、本年三月には農林事務所に相談窓口を設け、また来年度には木造化に際して、建築士が活用できるような技術書というものを作成することといたしております。これらを通じまして、小中学校や市営住宅など市町村施設における県産材利用につなげてまいります。
26 ◯議長(松尾 統章君) 原竹岩海君。(拍手)
*原竹議員質問
27 ◯三十九番(原竹 岩海君)登壇 皆さん、こんにちは。民主党・
県政クラブ県議団でございます原竹といいます。一般質問を、通告に従いまして行います。
初めに、本県の森林行政の
取り組みについて質問します。昭和二十年から三十年代にかけて、我が国は戦後、焦土と化した国土の復興と、それによる急激な木材の需要から、多くの地域で森林や木材に関する産業が成長しました。こうした状況を背景として、政府は拡大造林政策として人工林の育成事業をほぼ全国的に展開し、林業の振興を図り、森林所有者による森林整備が促進していくことを目的として、昭和三十九年林業基本法が制定をされました。しかし、昭和四十年代以降、エネルギー革命や外国産の安価な木材が大量に輸入され、国産材の価格は一挙に下落をし、多くの林業経営者の経済状況は大変厳しくなっていきました。昭和三十年には、我が国の木材自給率が九〇%以上あったものが、現在では二〇%にまで落ち込み、実に八〇%が輸入材に占められております。この状況を打開できずに、ずるずると今日に至っているのが我が国の森林産業の現状であると言っても過言ではないと思います。このような中、林業経営者の皆さんの生産意欲は低下をし、林業離れによる
後継者不足、就業者の高齢化、森林組合の財政的課題、放置をされた森林問題、限界集落の問題まで懸念をされているのが現状であります。
これらのことから、国もようやく林業基本法を大幅に改正し、平成十三年、森林・林業基本法を制定しました。これにより、生産体制一辺倒から、森林の持つ機能を、将来にわたって持統的に発展をさせていく施策へと大きく見直され、森林の持つ多面的機能を重視をした整備、保全等の新たな事業が精力的に実施をされております。また本県と県議会も、荒廃した森林を再生するために、新たな施策に取り組む必要があり、そのためには、森林の有する公益的機能の恩恵を受ける県民に、広く公平に税負担を求めることが適当であるとして、平成十八年十二月に、福岡県森林環境税条例が制定され、平成二十年四月一日から施行されました。これらの動きに影響されるように、最近では森林所有者の当事者や森林組合関係者だけではなく、県内の市町村を初め多くのボランティアの参加や、多くの民間団体、企業等が自然や環境を守ろうという観点から、さまざまな形で林業に関する支援の
取り組みの報告がなされております。これら県の森林行政の積極的な
取り組みに対しまして、真摯に一定の評価をさせていただきたいと存じます。
さて、これらさまざまな
取り組みの中で、今回は県産の間伐材を利用した福岡の森の木になる紙について、何点か確認と質問をいたしたいと存じます。この福岡の森の木になる紙とは、国民が支える森林づくり運動の一環として、福岡県内森林から搬出をされる間伐材を利用し、製紙メーカーと協力して、福岡県産の間伐材を活用したコピー用紙を製品化するものであります。このコピー用紙の販売価格に一定の金額を上乗せをし、上乗せ分を県内の森林組合を通して森林所有者に還元する仕組みとなっております。この資金を活用して、森林所有者から森林組合が間伐を受託することにより、間伐が的確に進捗し、森林の保全と公益的機能の維持がなされ、県内の林業が活性化されるとともに、地球温暖化防止にも貢献できるという大変すばらしい
取り組みであります。
ここでちょっとパネルで御説明させていただきます。初めての試みですから、どうなるか、ちょっとわかりません。議長、済みません。
上のほうをごらんください。ここが森林の所有者と間伐をする森林組合の活動の場所でございます。森林所有者の方は、ほとんど森林組合のほうに間伐をお願いをされております。そして、この間伐をされたものが、こちらのほうの製材工場に行きます。このときに間伐証明書というのが全部ついてまいります。そして、製材された物が製紙工場に参ります。そして、これは古紙が七〇%、そして間伐材が三〇%であります。そして、これが生産されて、流通会社を通して消費者のほうに行きます。そして、消費者がこの専用のコピー用紙を購入をすることによって、結果的に生産者のほうにA4サイズのコピー用紙一箱について五十二円が還元されます。そして、これが森林所有者から、依頼を受けた森林組合のほうに還元されて間伐が進捗するという、すばらしい事業計画であります。
知事、済みません。後からにします。知事はしっかり認識をされておると思います。そして、箱が、段ボール箱で、こういった箱で、「福岡の森の木になる紙」というタイトルです。そして、副題が「間伐材製品の利用を通じた森林づくりへの貢献」と書いてあります。そして、これをしっかり福岡県民が利用することで、福岡県の森林の間伐の活性化といいますか、こういったことができるということであります。いっぱい言いたいんですけれども、時間の関係上、こういったことです。この
取り組みの発端は、平成二十年の九州知事会等で、九州森林管理局も参加し、木になる紙の利用に向けて協議をされ、九州各県で具体的に取り組まれております。
そこで知事に、次の二点についてお伺いします。一点目に、この木になる紙事業の展開次第では、間伐が進捗するなど持続可能な林業の
取り組みに大きく貢献することができると考えております。熊本県では、全国で有名なゆるキャラのくまモン君を先頭に、販売促進に勢いをしっかりつけているようであります。佐賀県でも、県内の市町村等と共同体制の準備をしているとの話もあります。一方、本県の販売促進の動きやアピール度が若干弱いのではないかと、私は危惧をいたしておりますが、知事は県産品セールスの最高責任者として、本件に関してこれまでどのように取り組まれ、どのような成果があったのかお伺いします。
二点目として、これら一定の成果を踏まえて、本県では木になる紙の事業展開に関して、今後さらにどのように進められていかれるのかお伺いします。
次に、
教育委員会制度の見直し問題について質問します。我が国の
教育委員会制度は、昭和二十三年、戦後教育改革の時期に設置をされました。本制度の主な特徴として、教育行政の地方分権、民主化、自主性の確保の理念のもと教育行政の安定性、政治的中立性を確保し、
教育委員会法に基づき、全ての都道府県、市町村に設置をされました。当時は、地方自治体の首長から独立をした公選制と合議制の体制で、予算、条例の原案送付権や、小中学校教職員の人事権もあったようであります。しかし、教育委員選挙の投票率の低迷や、首長と教育委員との政治的対立、教育現場の混乱などにより、当時の
教育委員会制度の弊害が各界から指摘をされ、昭和三十一年に、政治的中立の確立と一般行政との調和を目的として、これまでの
教育委員会法にかえて、地方教育行政の組織及び運営に関する法律が新たに制定され、公選制の廃止と、首長が議会の同意を得て教育委員を任命するとした制度を導入しました。その後も、平成十一年には地方分権一括法による制度改革や、平成十三年、同十九年には
教育委員会の活性化に向けた制度改革などがなされ、現在の
教育委員会の体制になっております。
現行制度での
教育委員会は原則五人の委員をもって組織をされますが、自治体のスケールによって条例で定め、三人から六人以上とすることもできるとなっております。そのほか、委員の構成については、委員の過半数の委員が同一の政党に所属することができないとされ、政党などの役員就任や積極的な政治運動も禁じられております。そして、委員の年齢、性別、職業などに著しい偏りが生じないよう配慮すること、委員長は教育長を兼務することはできないし、教育長が委員長を兼務することもできないとなっております。
これら
教育委員会制度発足から半世紀以上経過した現在において、
教育委員会制度の意義や、果たすべき役割等について論議されていたさなかに、大津市で中学生のいじめに関する自殺事件が発生をしました。この悪質な事件に対して地元の
教育委員会が機能しなかったことが社会で大きな問題となり、教育委員長と教育長、そしてまた首長との責任のあり方や、
教育委員会廃止論が大きな声になってきたことは周知のところであります。
このような中、去る二月十九日には、法案化に向けた新しい
教育委員会制度について大きく報道がなされたところであります。その内容は、
教育委員会は執行機関として残しながら、現在の教育長と教育委員長を一本化した新教育長を置くこととし、これを首長が議会の同意を得て直接任命、罷免すること、首長が主宰をする総合教育施策会議で教育行政の大綱的方針を定めること、また国の関与が強化できるよう法律の規定を改めることなどが盛り込まれております。
これらを踏まえ、知事にお伺いします。知事は、昨年十二月議会において、我が会派の大橋議員の
教育委員会制度改革に関する質問に対して、教育行政の最終責任者は首長が望ましいとされ、教育長は、首長の補助機関と位置づけるべきと考えると、明快に答弁されています。これは、昨年七月に全国知事会が国に提出された意見書の内容に沿ったものでありますが、この全国知事会の意見書には、このたびの
教育委員会制度改革においては、国の関与は最小限度のものとする必要があると明記をされております。
そこで知事に質問ですが、現在政府・与党で検討されております国の関与の強化策とは、具体的にどのようなものなのかお伺いします。
また、このような国の関与を強めようとする立法化を検討されていることについて、知事はどのように受けとめられておられるのかお聞かせください。
最後に、教育長にお伺いします。一点目に、現在、法案化に向け、政府・与党において検討されている
教育委員会制度改革について、どのように考えておられるのかお伺いします。
二点目に、
教育委員会制度が変わっても、重要なのは教育の内容や質が充実をされることであると、私は認識をいたしております。この点について、
教育委員会として、教育長としてどのように考え、どう取り組んでいかれるのかお伺いします。
以上で終わります。ありがとうございました。(拍手)
28 ◯議長(松尾 統章君) 小川知事。
*知事答弁
29 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
間伐材を利用した木になる紙に対する、これまでの
取り組みと成果でございます。平成二十年五月に、九州材の利用促進などを内容といたします九州の森林づくりに関する共同宣言というのが、九州七県知事と九州森林管理局長とによりまして行われております。九州産の間伐材を原料としたコピー用紙の利用を促進することとなったわけであります。これを受けまして、平成二十一年度に商品化をされました、この木になる紙を県庁内ですぐに利用を始めたところでございまして、平成二十四年度の実績で申し上げますと、約一四%の利用となってございます。また、市町村や民間企業、関係団体に対しましても、その利用を働きかけました結果、七市町村と二十四の民間企業等で現在利用されているところでございます。
今後の
取り組みについてでございますが、木になる紙を利用することは、その売り上げの一部が、先ほど議員から御説明がありましたように、森林所有者に還元する仕組みとなってございます。その利用が林業や山村の活性化につながっていくことが期待されるところから、この
取り組みを広げていく必要があると、そのように私は考えております。このため、県では、木になる紙を使うことの意義につきまして、市町村、民間企業、関係団体にさらに理解を深めていただきますよう、ホームページやイベントなどを通じて周知徹底を図ってまいります。また、ことし三月には、県のマスコットキャラクター、さっきくまモンの話が出ましたが、私ども県のマスコットキャラクターでありますエコトン、これをパッケージに使いました県産間伐材のみを原料とした福岡の森の木になる紙が、製紙会社によりまして商品化されたところでございます。この商品化を契機にいたしまして、企業や団体での利用量をさらにふやしていくため、来年度から福岡の森の木になる紙、これを利用した企業や団体がふくおかの農業応援団に登録をされた場合に、県の建設工事における入札参加資格審査におきまして加点することといたしております。
次に、
教育委員会制度改革案における国の関与についてお尋ねでございます。現在、政府・与党におきましては、いじめによる自殺等の防止だけではなくて、その再発防止の措置を講じさせる必要がある場合にも、是正の指示ができるようにするなど、国の関与、その強化を図ることが検討されているところでございます。私は、こうした見直しを検討する場合におきましても、地方の自主性、自律性の拡大を図る地方分権という観点からは、国の関与は最小限のものにする必要がある、地方の自治事務に関する国の関与というものは限定的であるべきだと、このように考えておりまして、そのことを全国知事会からも申し入れているところでございます。
30 ◯議長(松尾 統章君)
杉光教育長。
*
教育長答弁
31 ◯教育長(杉光 誠君)登壇 まず、現在検討されております
教育委員会制度改革に対する見解についてでございます。政府・与党においては、地方教育行政における権限と責任の明確化、迅速な危機管理対応等の改善を図ることを目的として、
教育委員会制度の改革案が検討をされております。今後、法案化されるまでには、さらに教育の政治的中立性の確保や国の関与のあり方などの面から議論が重ねられるものと考えております。法案化に当たりましては、これまでの
教育委員会制度が果たしてきた役割を踏まえながら、社会の変化に対応したよりよい制度となるよう検討をされるものと考えております。
教育委員会制度の見直しに当たっての教育の内容、質の充実についてでございます。県
教育委員会としましては、新しい
教育委員会制度の枠組みの中で、今後とも
子供たちの健やかな成長に向けて、さまざまな教育課題にしっかりと対応していくことが必要であると認識をしております。そのためには、
教育委員会が県民の声に謙虚に耳を傾け、教育現場の実態や意見を踏まえながら十分に協議を重ね、必要な施策を着実に推進していくことが重要であると考えております。
32 ◯議長(松尾 統章君) 原竹岩海君。
33 ◯三十九番(原竹 岩海君)登壇 一定の回答をいただいたところでございます。そして、意見、要望を何点か申し上げて、おりたいと思っております。
一点目でございますけれども、木になる紙の件でございますけれども、先ほど知事のほうは、熊本のくまモン君に対抗するべく、エコトンでしっかりと段ボールのあそこに張って、頑張るということでございますが、残念ながら知名度は、やっぱりくまモンがメジャーじゃなかろうかなと思っております。私、きょう本会議場でちょっと気づいたことがあるんですけれども、この官兵衛バッジ、この官兵衛バッジはみんなやっているんですね。私どもも選挙区で、それは何かということで、いや視聴率を上げるために、知名度を上げるためにこれをやっていますと、ああ、それ自分も売ってくれという声があるんです。エコトンは残念ながら聞いたことがない。
それで、そういったことを踏まえまして、こんなキャラというのは、一頭だけじゃなくて、二つも三つもできてもいいんじゃなかろうかなと、私は考えています。そういったことで、せっかく官兵衛ちゃんもこういうふうに頑張っておりますから、これを有効利用するということも提案をさせていただきたいと存じます。これは絶対くまモン君に負けないというふうな感じになっております。
そして、九州全体で九州の森林をということで、最初はしっかり臨んでおられたことは間違いないと思いますけれども、いよいよこれがブランド化になって、熊本の製品、福岡の製品、佐賀の製品となってくるわけです。これから地域間競争に、具体的に入ってまいります。こういったことを考えた場合、ブランド化に向けましては、やはり私は福岡県産の有名な米のCMも一時期しっかりやっておられましたが、これも先行的に木になる紙というのは、非常にこの文章は気になります、私は。ですから、これをCMでどんどん流していって、木になる紙は福岡県産だというふうなイメージを、先行的にしっかりやっていく、これが政治と行政の一番くっついたらすばらしいところではなかろうかなというふうに、これも提案をさせていただきます。
そして、本件については、最後でございますけれども、本庁全庁で取り組んでおるということを報告で受けておりますけれども、福岡県は五百万の人口の中で、政令市は、その中の六十の市町村の中で二つもあります。この中で、政令市に半分の方が住んでおられるということですから、こういった大きな行政とも、県下の六十の市町村とも連携と連帯をとっていただきまして、消費のエンジンのパワーを六十倍にやっていくと、こうなれば、私は、知事はこれだけでしっかり政治はできるんじゃなかろうかなと思っております。
そして、最後に教育長と知事にも申し上げます。教育問題です。
教育委員会制度改革についてでございますけれども、これは今から議論されますからあれですけれども、私が思うには、やはりどういった教育も、しっかり子供が中心じゃなかろうかなと思っております。子供のためにしっかり真摯になって向き合って、いい結果を出してほしいと思います。そのためにも、全国知事会とか、全国
教育委員会委員連絡協議会か何かありますね、こういったことを通じて、中央政府のほうにどんどん情報発信をされて、自分たちの考えを、民主主義ですから、しっかり述べていく、述べないところは賛成になっていくわけですから、しっかりとこの辺のところは、責任を持って頑張っていただきたいということを要望申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
34 ◯議長(松尾 統章君) 高橋雅成君。(拍手)
*高橋議員質問
35 ◯三十一番(高橋 雅成君)登壇 皆さん、こんにちは。公明党の高橋でございます。通告に従いまして、早速一般質問に入らせていただきます。
希少難治性疾患、いわゆる難病患者の就労問題について質問します。ロシアのソチで開催された冬季オリンピックで、スキージャンプ団体の銅メダリスト、竹内択選手がチャーグ・ストラウス症候群という難病だとみずから明かし、話題になっています。同選手は、試合後の記者会見で、家族の支えがあってオリンピックの舞台に立てた、同じような病気と闘っている人に勇気を与えられたらうれしいと、涙を浮かべて話していました。実際に、ウエブ上では、多くの同じ病気の人や他の難病患者から、勇気をもらったと感動と称賛の声が寄せられています。
さて、二月二十八日は、世界希少・難治性疾患の日(レアディジーズデー、RDD)でした。RDDは、希少難治性疾患患者の生活の質を向上させることを目指して、二〇〇八年にスウェーデンでスタートしたものです。日本でも二〇一〇年から毎年二月の最終日に開かれるようになり、ことしは東京をメーン会場に全国十八会場で開かれました。福岡県においても、今回福岡市内で初めて開かれました。私は、昨年末にRDD福岡の実行委員会と知り合い、当日も参加しました。福岡会場のテーマは、「ふみだす!!病気のワタシの働き方」。希少難治性疾患を患いながら、就職して生活する方や就職活動に携わる学生が声を寄せました。新宮町在住のMさんは、進行性の脳脊髄の難病、多発性硬化症の患者。病気になって失ったものはたくさんあるが、得たものもたくさんあると話しました。それは、人の気持ちの温かさ、生きるとは何かを真剣に考えたこと、一日一日を丁寧に生きることなどだと語ってくれました。月に一回、MSカフェという患者交流会を自宅で開き、難病って個性なんだと言われる社会になることを願っていると話をまとめました。福岡市博多区在住で、脊髄や脳の硬膜が厚くなる肥厚性硬膜炎を患うSさん。ひどい頭痛と視力障害に悩まされながら、ハローワークで病気をオープンにして就職活動をしたが、面接が一度もなかったと、自身の体験を語ってくれました。それが現状だと厳しい表情を見せました。福岡市東区のIさんは、九州大学の三年生。中学三年生のときに慢性炎症性脱髄性多発神経炎という難病にかかりました。末梢神経の異常で、手足に力が入らなくなる病気で、十万人に一人という病です。希少難治性疾患の患者は、限られた体力の中で生活するから生産力と効率性を重視する、マイノリティーに対する共感、理解の力があるなどの患者力を強調、医療の進歩ではなく、社会の理解が進むことによって、難病という言葉がなくなる日を目指すと、力強く話しました。
今、
厚生労働省が指定する特定疾患治療研究事業は五十六疾患、難治性疾患克服研究事業臨床調査研究分野が百三十疾患、加えて同研究事業研究奨励分野が、年によって違いますが、二百疾患前後です。ちなみに、この中に博多区のSさんが患う肥厚性硬膜炎は入っておらず、医療費の補助はもちろん、研究のための助成金も出ていません。そもそも、原因不明で治療法がない、いわゆる難病は世界に五千とも七千とも言われています。日本でも病名がついたものだけで五百以上。その一つ一つの難病に患者がおり、仮に病気の進行をおくらせる新薬ができても、高額で毎月十万円を超える医療費を負担するなど、病苦と生活苦を背負って毎日を送っていることを考えると、このような
取り組みでは不十分と言わざるを得ません。
そんな中、国は一昨年から難病対策の見直しを進め、今国会に、難病の患者に対する医療等に関する法律案が提出されています。現在は法律に基づかない予算事業として行われている難病支援事業は、この法律を根拠法として、新たな段階に入るものと期待されています。さらに、医療費助成の指定難病は三百疾患に拡大されるのではないかと期待を集めていますが、同法の概要と成立、施行への見通しについて説明をいただきたいと思います。
希少難治性疾患患者を取り巻く状況は課題が山積しており、生活の質を向上させるための多彩な支援策が必要です。患者が望む支援は、症状や障害の変動に合わせた社会
福祉サービスであり、医療費助成を初めとする経済的支援であり、就職、就労継続のための支援などですが、今回は就労の面を中心に質問します。
厚労省委託事業の難病の雇用管理のための調査・研究会報告書によりますと、仕事についていない難病の人に、適切な環境整備があれば仕事ができますかと聞いたところ、絶対にできると答えた人が一二%、できると思うと答えた人が三八%で、合わせて五〇%の人が仕事ができると回答しました。対して、できないと回答した人は二七%にとどまりました。難病が原因で身体障害や精神障害の認定を受けている人もいますが、多くの難病患者は障害者手帳を持っていません。一方、企業は難病患者や治療の現状などに対する理解が不十分なことが多く、難病患者の雇用に対して必要以上に慎重になることがあります。外見からは病気であることがわかりにくい難病患者は、就職面接などであえて病気を隠す、あるいは病気や必要な配慮についての説明を避ける方もいます。実際、就職活動では病気を隠したほうが成功しやすいのは、Sさんの例でもわかるとおりです。しかし、病気を隠して就職しても、仕事で無理がたたり、過労、体調悪化、病気の悪化などで長続きしない場合が多いようです。したがって、外見からはわかりにくく、障害者手帳を持っていない希少難治性疾患患者は、就職活動で病気をオープンにすれば雇用されず、病気を隠して就職すれば仕事を継続できないというジレンマを抱え、長期の就職困難から生活困窮に至っている例が多発しているということです。無理なく能力を発揮できる仕事の紹介や、企業側の難病患者への理解、患者自身の自己管理などが必要とされるゆえんです。
そうした中、昨年から百三十疾患については、障害者向けサービスを受けられるようになったほか、国の発達障害者・難治性疾患患者雇用開発助成金ができています。まず、これら制度の周知は、国や県によってどのように図られているのかお答えください。
また、県の障害者就業・生活支援センターに難病患者が相談に訪れ、登録をしている事例があるとのことですが、ここでの難病患者支援の実績について説明を願います。
厚労省障害者総合福祉推進事業の資料によりますと、難病患者の直近での離職の理由について、在職中に発症し、休職せずに離職した人二八・九%、在職中に発症、休職し、職場復帰したが離職した人は一四・六%、幼少期等最初の就職以前に発症しており、就職したが離職した人七・三%などとなっています。難病患者に仕事への影響を聞いた別の資料では、自主退職が五九%、解雇が一一%、配置転換が一五%などとなっています。難病になっても会社をやめないことが大切ですが、実態はこのように厳しいものがあります。
ハローワークは、法定雇用率を達成していない企業に対して、法定雇用率を達成することを促しているために、障害者手帳を持っている難病の方を、企業としても雇用しやすい環境にしてしまっています。したがって、難病患者で手帳を持っていない人に対しては、就労の蚊帳の外に置かれる状況があります。難開金は、病気を明かして就労することが前提ですが、難病への企業の理解が徹底していないことに加え、患者側も病気を明かして就労することに戸惑いがあります。このため難病患者も法定雇用率のような制度の中に入れることがふさわしいと、私は考えます。さらに、この点に関し、県としても努力が必要だと考えます。企業に対し、難病患者が就業することの意義を積極的に説明することはもちろん、難病患者を雇用している企業の認定制度などを創設し、何らかのメリットを与えることも考慮するべきと考えますが、知事の御所見を伺います。
国は、ハローワークの障害者の専門援助窓口に難病患者就職サポーターを配置し、難病相談・支援センターと連携しながら、就職を希望する難病患者に対する症状の特性を踏まえたきめ細やかな就労支援や、在職中に難病を発症した患者の雇用継続等の総合的な就労支援を行っているとしています。この難病患者就職サポーターは全国十五のハローワークに一人ずつ、計十五人しか配置されていないのが現状ですが、福岡県においては、福岡東安定所に配置されています。このサポーターは具体的にどのような活動をしているのか伺います。
また、サポーターと県難病相談・支援センターとの連携はどのように図られているのか伺います。
県の難病相談・支援センターには、現在、社会福祉士の相談支援員が一人配置されていますが、今後、法律が整備される中で人員をふやす必要はないのか、知事の見解をお尋ねします。
難病患者に優しい県日本一を標榜しています佐賀県は、同相談・支援センター事業をNPO法人に委託し、全国的にも注目されています。このような方式を我が県としてもとることができないのか、知事の考えをお聞きします。
最後に、若者しごとサポートセンター、三十代チャレンジ応援センター、中高年就職支援センターに難病の方が就労相談に訪れた場合の対応について伺います。そのような場合、三センターから県難病相談・支援センターなどを紹介し、つなぐという体制はできているでしょうか、お答えください。
ことしのレアディジーズデーの全国のテーマは、よりそうでした。難病患者一人一人に、どこまでも寄り添うような支援が必要と考えますので、知事の誠意ある答弁を求めます。
以上です。御清聴ありがとうございました。(拍手)
36 ◯議長(松尾 統章君) 小川知事。
*知事答弁
37 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
まず初めに、難病の患者に対する医療等に関する法律案の概要等でございます。国は、これまでの事業実施要綱に基づく難病対策というものを、公平かつ安定的な制度とするために、その法律案を国会に提出をしたところでございます。その主な内容でございますが、対象難病患者に対しまして医療費を支給すること、その医療費の二分の一を国が負担をすること、難病の医療を実施する指定医療機関を県知事が新たに指定をすること、そういったことなどが規定されておりまして、その施行期日は来年、平成二十七年一月一日とされているところでございます。同法案は、予算関連法案として、今国会において審議中であるというふうに認識をしております。
国の助成制度の周知と障害者就業・生活支援センターにおける難病患者の支援実績についてお尋ねがございました。国の助成制度の周知につきましては、国のほうではハローワークの窓口やホームページなどで紹介をしているところでございます。私ども県におきましても、こうした国の助成制度につきまして、県内各地で開催をしております企業向けの雇用促進セミナーにおいてその周知を図るほか、商工会議所、商工会の経営指導員に研修を行い、中小企業からの相談に対応できるようにしているところでございます。
県が設置をしております障害者就業・生活支援センターの支援実績でございますが、昨年末現在で十二名の難病患者が登録されております。このうち、センターの支援によりましてお二方、二名の方の就職が決定し、残り十名の方は求職中あるいは療養中となっているところでございます。
次に、難病患者を雇用している企業を認定し、採用拡大につなげていったらどうかという御提案でございます。難病をお持ちの方の雇用を拡大していくためには、まず病気がどういうものであるか、また職場においてどういった配慮や工夫が必要かと、そういったことを企業の方々に理解をしていただくことが何よりも重要であると考えております。このため県といたしましては、御提案の趣旨も踏まえまして、実際に難病をお持ちの方を雇用されておられる企業の具体的な
取り組み事例を収集いたしまして、県が開催をするセミナーや研修会などさまざまな機会を捉えて、そういった事例を広く紹介をさせていただきたいと思います。
次に、難病患者就職サポーターの活動内容についてでございます。国は、平成二十五年八月、福岡東ハローワークに難病患者就職サポーターというものを配置し、就職を希望する難病患者の就労支援でありますとか、在職中に難病を発症した患者さんの雇用継続について支援をしております。
次に、サポーターと県の難病相談・支援センター相談支援員との連携についてお尋ねがございました。相談支援員は、サポーターからの問い合わせに応じまして、難病に関する情報を提供するほか、就職を希望される難病患者さんをサポーターに紹介をする際に、患者さんの同意を得て、症状や治療方法などから就労に関して配慮すべき事項というものをサポーターのほうに情報提供いたしております。これによりまして、その方に合った職場が紹介されるよう、今後とも引き続きその連携に努めてまいります。
難病相談・支援センター相談支援員の増員についてでございます。現在、難病相談・支援センターには一名の相談支援員を配置しております。相談件数は年間九百件程度でございまして、五年前と比較して一・五倍程度増加をいたしております。法改正に伴いまして、これから医療費の助成の対象となる疾患につきまして、法律成立後、第三者的な委員会でそれが検討されることになってございます。このため、その検討結果を踏まえ、的確に私どもは対応してまいりたいと考えております。
患者団体で組織をするNPO法人への難病相談・支援センター運営の委託についてでございます。県では、九州大学病院の御協力を得て、病院内に難病相談・支援センターを設置をいたしております。九大病院には専門医が多数所属しておられますことから、センターにおきましては、難病に関する医療情報を的確に提供できる体制がしかれているわけでございます。今後、医療費助成の対象疾患の大幅な拡大に伴いまして、希少性の高い疾患に関するより専門的な知識が必要となる相談対応がふえるものと考えております。このため、最新の医療情報を持ち、さまざまな相談に対応できる九州大学病院と連携した運営を続けていくことが望ましいと、私自身考えております。
次に、県が年代別に設置した就職支援センターと難病相談・支援センターとの連携についてお尋ねがございました。年代別就職支援センターにおきましては、これまでも相談者一人一人の状況や御希望というものを詳しくお伺いした上で、そのときに他の機関での支援実施が適切だというケースにつきましては、そういった適切な機関に連絡をした上で、それを御紹介をするといった対応をとっているところでございます。難病をお持ちの方がセンターに相談に来られた場合におきましても、その状況や御本人様の要望に応じまして、専門援助機関であります難病相談・支援センターや障害者就業・生活支援センターに的確につないでいくよう、しっかり取り組んでまいります。
38 ◯議長(松尾 統章君) 高橋雅成君。
39 ◯三十一番(高橋 雅成君)登壇 知事、一点だけ要望をいたします。
難病相談・支援センターの相談支援員ですけれども、そこにじっとしていて相談を受けているというわけじゃありません。講演会に出かけていったりとか、セミナーで御自身がいろんな講演をしたりとか、さまざまな外出をしています。その折には、相談・支援センターには誰もいないわけで、ドアを閉めて出かけている。土日にそういったセミナー等があった場合は、代休をとられていらっしゃいます。そういったことがありますので、ぜひ複数体制を検討していただきたいと思います。実際に今、知事も御答弁の中で、九大病院の件でされておりましたように、医療費助成の対象は、絶対に大幅に拡大いたします、次の法律制定でもってですね。その折に、しっかりとした対応を、事前にしっかりと組んでいただきたい、なるべく早急にそういった対応をとっていただきたいことを要望しまして、一般質問を終わります。どうぞよろしくお願いします。
ありがとうございました。(拍手)
40 ◯議長(松尾 統章君) 平井一三君。(拍手)
*平井議員質問
41 ◯十七番(平井 一三君)登壇
自民党県議団、平井一三であります。通告に従いまして、台北國立故宮博物院展の開催について質問をいたします。
皆さん御存じのように、ことしの十月七日から十一月三十日に、九州国立博物館で台北國立故宮博物院展が開催されます。東京国立博物館での六月二十四日から九月十五日までの開催に引き続き開催されるものでありますけれども、特に故宮博物院を代表する門外不出の収蔵品、翠玉白菜が東京国立博物館で、肉形石、通称豚の角煮が九州国立博物館で、おのおの二週間限定で初公開されます。今回の展示品は、台湾でもなかなか見られないものであるとのことです。地元の議員といたしましても、ぜひ皆様に足を運んでいただければと思っているところであります。
さて、今回の故宮博物院展の九州国立博物館での開催は、福岡県
台湾友好議員連盟の加地邦雄会長、顧問である藏内勇夫
自民党県議団会長、吉村敏男民主・県政県議団会長を初めとした議員連盟で、一昨年十月に台湾を訪問し、呉敦義副総統、故宮博物院馮明珠院長らと面会して強く要請していたものであります。昨年一月に台湾を訪問した小川洋知事と松本國寛議長ら福岡・台湾経済文化交流ミッションの一行に対し、馬英九総統及び馮明珠故宮博物院長から直接、福岡での開催決定をいただいたものです。これは、当時の亜東関係協会廖了以会長、台北駐福岡経済文化弁事処の曾念祖処長の御支援、御指導に支えられたものでもあります。このように、今回の故宮博物院展は、福岡県議会、福岡県を初め多くの関係者の夢と思いが形になったものであり、日台の友好交流関係を象徴する記念碑的事業として、必ず成功させねばならないと思っております。
そこで、まず初めに、県はどのような広報活動を行い、その結果どの程度の来場者数を見込まれているのかをお聞きしたいと思います。
〔松尾議長退席 長副議長着席〕
今回は、東京開催から福岡開催と継続した開催日程が組まれており、翠玉白菜は東京、肉形石は福岡に展示されます。国民は両方に関心があり、両方見たいとの思いもあるでしょう。福岡と東京がそれぞれ単独で開催の広報を行うより、一連の展示会として連携した
取り組みを行うことで、より認知度も上がり、相乗効果が期待できるものと思われます。また、福岡と東京との往来により、経済的効果もさらに期待できるものと考えます。東京との連携、東京開催をうまく福岡の広報活動に組み入れた
取り組みが必要であると思います。知事の考えをお聞きしたいと思います。
国博の年間来場者数は、過去最大で百八十八万人を記録したことがあり、当初想定よりも早く平成二十四年十月に、総入場者数一千万人を記録しました。しかし、最近は平成二十三年度に八十八万人と初めて百万人を下回りました。平成二十四年度に百二十三万人とふえたものの、今年度は九十万人台にとどまるとも聞いております。これは、特別展の集客力の影響が大きいものの、国内の来訪者が一巡したことがその一因であるとも言われております。
国博は太宰府天満宮を初め福岡県のいろいろな文化、観光施設と一体となって、県の文化、観光の発信基地としての役割を果たしていくとともに、経済的な効果も発揮していくことが求められております。今後も現在のような役割を果たし、活気を維持していくためには、年間来場者数百万人を一つの目標に企画、運営を行っていくことも必要であると思っております。
そのためには、一つは、今回のような特別展を開催することでリピーターを初め国内の来訪者をふやすことであり、もう一つは、今後海外からの来訪者をふやしていくことであります。今回の展示会は、国博がアジアに開けた博物館として、海外に向けてアピールする絶好の機会であります。日本の歴史や文化を認識してもらうチャンスでもあります。台湾からも見に来たいという声を聞きます。近隣アジア諸国からの来訪も期待されます。今回の展示会に多くの外国人に来ていただき、国博と福岡県のすばらしさをそれぞれの国に広めてもらう
取り組みが必要であります。この機会に、今まで以上に海外に向けた広報に力を入れるべきと考えますが、いかがでしょうか。
しかし、いつ入場できるか予定が立たないようですと、ツアーに組み入れることができません。ツアーの対象にもなり得ません。そこで海外からのツアー客用の特別入場枠を設けるなどの工夫を行い、旅行会社に対し、海外から多くの方に来ていただく働きかけを行う必要があると思いますが、知事としての考えと
取り組みについてお聞きをいたします。
多くの方に来ていただくことは、今回の故宮博物院展の目的の一つであります。しかし、多くの方にお越しいただくと、今度は混雑の解消と安全対策が課題となります。私も過去の阿修羅展のときに二時間ほど場外で並び、場内でも大変な混雑を経験したことがあります。肉形石の展示期間が二週間であることから、特にその期間は相当な混雑が予想されます。先日の緑友会の代表質問においても触れられましたけれども、安全対策、交通対策等について、改めて知事の考えをお聞きいたします。
限られた期間内でより多くの閲覧時間を提供するためには、休館日を減らす、あるいは仕事帰りにも来訪できるように夜間にも開館するなどの対応も必要であると思います。また、何時間も立ったまま場外で長蛇の列をつくって待たせるのは、高齢者に限らず大変つらいものであります。時間を有効に使っていただくために、入場整理券を発行し、順番が来るまでは天満宮や竈門神社、周囲の商業施設を訪れてもらう、あるいは同時開催のイベントに参加してもらうなどの工夫が必要であると思います。過去の大型イベントの事例等も参考にしながら、県としてこのような
取り組みができないのかをお聞きいたします。
さらに、今回の故宮博物院展を福岡県の経済振興につなげていくためには、近隣自治体や商工会、観光協会などの団体による連携イベントの開催や観光振興につながる仕掛けが必要であると思います。県として、近隣自治体への積極的な働きかけを計画しているのかをお聞きいたします。
このようなイベントと故宮博物院展をうまく組み合わせて、回遊性を持たせることで、交通渋滞の緩和にもつながると期待されますが、県としての対応をお聞きいたします。
今回の博物院展は、開催に至るまでの経緯からもおわかりのように、単なる貴重な収蔵物の展示会ではなく、台湾と日本の歴史を理解し、日台の友好交流関係を象徴する記念碑的事業であります。あす三月十一日は東日本大震災から丸三年となります。その大震災の復興のために、義援金など二百億円を超えると言われる寄附をいただいた台湾と日本の友好関係が築かれている中で、若い人が台湾に対する理解を深めるよい機会にしていかなければならないと思っております。
そこで、日本と台湾の歴史や友好関係について、この機会に若者の教育にも生かしていく必要があると考えますが、県の
取り組みについてお聞きをいたします。
最後に、県が開催するイベントの計画はないのかをお聞きいたします。また、イベントを計画されているのであれば、その中で、今述べました日本と台湾に関する歴史や友好関係について、しっかりと伝えていく
取り組みができないかをお聞きしたいと思います。
これまで、故宮博物院展開催に向けて御尽力されました県及びその関係者、県議会、そして台湾の関係者の皆様の思いに報いるためには、多くの方に展示会に来ていただき、訪れた方が感動を覚え、そして台湾を訪問したいという思いを抱いていただけることが必要であろうと思っております。知事にもしっかりと頑張っていただくことをお願いし、十月からの故宮博物院展の成功を祈念して、質問を終わります。(拍手)
42 ◯副議長(長 裕海君) 小川知事。
*知事答弁
43 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
まず初めに、台北故宮博物院展に向けた広報活動と来場者数についてでございます。今回の展覧会は、九州国立博物館、そして福岡県の名を広く内外にPRをする絶好の機会であると考えます。このため、国内に対しましては、県のホームページ等、また海外に対しましてはアジアンビートなどの多言語の広報媒体による広報でありますとか、海外の旅行業者に対する説明会などを行いまして、集客に取り組んでまいります。御提案のありました海外ツアー客用の特別入場枠についてでございますが、公平性の問題もあることから、どのような工夫ができるのか、他の主催者と協議をしてまいります。
来場者数の見込みについてでございますけれども、過去には、お触れになりました七十万人を記録いたしました阿修羅展のように、大変多くの方々が来場した展覧会がございました。今回の展覧会は、これまで門外不出とされました肉形石も展示されますことから、過去有数の来場者数になることを大いに期待をし、そのための準備をしたいと思います。
台北故宮博物院展開催に伴う東京との連携した広報についてでございます。今回の展覧会は、東京国立博物館においては翠玉白菜、九州国立博物館におきましては、今申し上げました肉形石という二つの門外不出の世界の秘宝が展示をされる予定でございます。この二つの展覧会は、議員が御指摘になりましたように、開催時期が異なります。相互に連携し、広報を行うことによりまして、観覧者を双方に招き入れるという相乗効果が期待できると思います。このため、両博物館におきまして、既に始めておりますが、共通のパンフレットを作成するなど、一体的な広報を行うことといたしております。
台北故宮博物院展開催に向けた安全対策、交通対策でございます。アクセスにつきましては、まず公共交通機関の利用、パーク・アンド・ライド駐車場の活用を促進してまいります。また、九州国立博物館の駐車場につきましては、平成二十三年度に九十八台増設をし、今三百二十二台としたところでございます。今回の展覧会開催に向けましては、太宰府市、筑紫野市など周辺の地域を含めた駐車場情報の提供を行うなど、交通混雑の緩和に取り組んでまいります。また、館内につきましても、人数制限や案内スタッフの増員による来場者の安全な誘導と、そういった受け入れ態勢の強化を図りまして、安全対策に取り組んでまいります。さらに、開催期間中の時間延長や休館日の縮減といった観覧客を分散させる方策や、整理券の活用といった、来場者が待ち時間を有効に活用できるようにするための方策につきましても、他の主催者との間で協議をしてまいります。
台北故宮博物院展を観光振興につなげる
取り組みについてでございます。博物院展を訪れられるお客様に、周辺地域を含めて滞在し、また周遊していただきますことは、観光資源をふやし、経済効果を拡大すること、あるいは御指摘にありましたように、来訪者の分散化にもつながるものであると考えております。九州国立博物館の周辺には、太宰府天満宮を初め大宰府政庁跡、竈門神社、九州歴史資料館、大刀洗の平和記念館などの史跡や施設が数多くございます。黒田官兵衛ゆかりの秋月、二日市温泉などの観光資源といったものも豊富でございます。また、太宰府市周辺の地域では、平成二十六年度から二十七年度にかけまして、千三百五十周年を迎えます水城あるいは大野城、そういった特別史跡をテーマにシンポジウム、ツアーというものが計画をされているところでございます。博物院展とあわせまして、こうした観光資源やイベントを活用した観光ルートというものをつくり上げ、県の観光情報サイトクロスロードふくおかや県の広報紙等で積極的に情報発信をしてまいります。また、県外で開催されます観光説明会等におきましても情報提供に努め、そのPRに努めてまいります。このような
取り組みにつきまして、市町村を初め関係者と一体となって推進をすることによって効果を上げたいと考えており、これによりまして、博物館を訪れられるお客様の周遊を促し、地域の観光振興につなげてまいります。
次に、台北故宮博物院展を契機とした若者に対する教育についてでございます。今回の展覧会は、若者にとりましても、台湾への関心が高まり、その歴史や文化を学ぶ契機になるものと考えております。このため、県内の小中高等学校に対しまして展覧会の観覧というものを促しますとともに、
教育活動の中で、今回の展覧会の開催が、台湾について我々が学ぶ格好の機会となるよう働きかけをしてまいります。
台北故宮博物院展に合わせた関連イベントの開催についてお尋ねがございました。過去、九州国立博物館で開催をいたしました大ベトナム展、またベルリン国立美術館展におきましては、その国の文化や歴史を紹介する講演会あるいは民俗楽器によるコンサートといったイベントを、展覧会に合わせ博物館内で開催をしてきております。今回の故宮博物院展におきましても、日本と台湾との交流の歴史や、台湾の文化等にちなんだ関連イベントの開催を検討してまいります。
44 ◯副議長(長 裕海君) 中村誠治君。(拍手)
*中村(誠)議員質問
45 ◯二十三番(中村 誠治君)登壇 民主党・
県政クラブ県議団の中村誠治でございます。早速ですが、通告に従って、本県の景気、経済、雇用対策について質問させていただきたいと思います。
さて今般、過去最大規模をなす来年度当初予算案と、新年度にアップされる消費税の増税ショックに即応するためなどとして、二月補正予算案と合わせた十四カ月予算が提案されました。現在、税収見通しも明るく、景気は回復基調にあるとされる中で、回復の地歩を固めるために、前年同様積極型の十四カ月予算を編成し、もって雇用を初め地域経済社会の安定化を図ろうとするものだと認識しています。
この景気、経済、雇用問題は、就任以来小川知事が最も力を注いでこられたテーマであり、最低限の経済成長なくしては経済社会の安定的な運営は多分に厳しいものがありますが、その処方箋については内外で議論百出されてまいりました。例えば、生産性が上がれば大丈夫だとか、規制を緩和して経済が自由に回るようになれば万事はいい方向で解決するという意見や、とにもかくにも経済成長を達成することが大事だ、あるいは景気対策でとにかく公共工事を積み増そうという意見等々であります。しかしながら、性急な生産性向上や規制緩和は、リストラや非正規社員を生み、特化した経済成長路線は過剰な設備投資を誘い、不良在庫を多分に抱える羽目となりました。景気対策における本県の公共事業の積み増しは、折からの災害復旧と重なって、建設資材の高騰やマンパワー不足が顕在化し、特に建設業の高齢化問題は今後の新たな課題となっています。
私は、今世紀に入っての本県経済のボトルネックは、失業者増加ペースや若者の流出ペースを大きく上回る就業者数の減少があって、その背景には総人口減少のペースを大きく上回る生産年齢人口の減少が起きていること、つまり生産年齢人口の先細りの進行と、それに軌を一とする高齢者の激増が同時に進んで、内需を縮小させていることに最大の原因があると考えます。なぜなら、今世紀に入る前の一九九〇年からの十年間は、バブル崩壊による失われた十年と呼ばれながらも、二〇〇二年から六十九カ月間続く輸出による戦後最長の好景気、いわゆるイザナミ景気と呼ばれた期間よりも、はるかに個人所得も小売販売額も伸びて内需が拡大していたのですが、二〇〇〇年から二〇〇五年にかけて大きな変化を生じることになります。ここから生産年齢人口の大幅な減少、つまり現役世代の大幅な減少が始まり、それによって総個人所得額も物の総消費額も減少していきます。また、そのときに生じた供給能力過剰は、在庫の積み上がりと価格競争激化へと連なり、在庫の時価の低下を招きます。このサイクルの中で発生した消費者余剰は、高齢者が老後に備えて確保する極めて固定性の高い貯蓄となって、経済社会に循環されず、死蔵化されていきます。高齢者の貯蓄により、内需はさらに減少することになりました。このよう状況が引き継がれている今日、最も有効な対策は、個人消費が生産年齢人口の減少によって下振れしてしまい、企業の業績が悪化して、さらに勤労者の所得が減って、個人消費が減るという悪循環を断ち切る目標を掲げることだろうと思います。
そこで知事に、経済の悪循環を断ち切る具体的な手段としての勤労者の所得アップについてお尋ねします。御承知のとおり、二〇一四年度春闘が二月五日からスタートいたしました。今春闘の最大の焦点は、給与を底上げするベースアップをどこまで拡大することができるか、そのことに尽きると思います。安倍政権は、経済の好循環を実現するため、復興法人税の一年前倒し廃止を決めるなど、企業が賃上げを決断できるよう環境整備を進め、総理みずからも再三要請されてきました。
さて本県ですが、安倍総理同様、小川知事も景気、経済、雇用は就任来の命題です。景気を大きく左右する賃上げ問題に対して、知事はどう向き合われるつもりでおられるのか、あるいはどのような行動をとられるつもりでおいでなのか、知事の御所見をお伺いいたします。また、最低賃金のアップに向け、どう対応されるおつもりか、あわせてお聞かせください。
我が国には一千四百兆円を超える個人金融資産があります。その多くは高齢富裕者層の持ち物で、固定性の高い貯蓄として経済社会に循環されないまま、眠りについているのが現状のようです。この死蔵化している資金を経済社会に積極的に循環させる戦略はないものか、大きな課題として捉えてもらいたいと思います。例えば、直近の成功例では、JR九州の豪華寝台列車ななつ星があります。三泊四日で一人最高百二十万円を超える商品に、予約は平均倍率で三十一倍以上の応募があるというのですから驚きです。同様の視点に立てば、住宅の耐震改修や
生活習慣病を癒やす温泉旅行、高級酒やワイン、健康志向の無添加食品、またハーレーダビッドソンやフェラーリも随分人気があるそうです。これら高齢富裕層をターゲットにした商品開発や市場を拡大し得る分野は、リサーチすれば無数にある気がいたします。高齢者等が持つ金融資産は一千四百兆円で、仮に一%経済社会に循環させることができれば、年間十四兆円の小売市場が誕生します。福岡県の小売業の年間販売額は五兆五千億円前後ですので、人口割の単純計算で七、八千億円の消費が新たに上乗せされることになります。私はプレミアムつき地域商品券と同様、強いインセンティブがあると思いますし、高齢富裕者層から現役世代への所得移転促進策を、この際本気で考えるべきだと思います。ついては、高齢者向け商品開発に対する本県の中小企業の
取り組み促進について、知事の御見解をお伺いいたします。
さて、先細りする我が国の生産年齢人口にあって、最も期待がかかるのが女性です。現在、日本の女性で有償労働している割合は四五%ですが、残りの五五%のうち生産年齢人口の専業主婦だけを取り出しても一千二百万人が経済活動や企業活動に参画していないことになります。今日、団塊世代の現役引退による内需の減退という日本経済に与える五百万人分のマイナスインパクトは、そろばん上、女性が経済活動や企業活動に参画することによって解消されることになります。
私は、外国人労働者導入を検討する前に、なべて教育水準が高くて、就職経験が豊富で、能力も高い日本人女性の活用を優先すべきだと考えます。しかし、理由は頭数合わせだけではありません。私の期待は、男性をしのぐ女性の旺盛な購買意欲です。女性の社会進出により、増大した所得が購買力となって、停滞する消費活動を底上げすると考えるからであります。本県も男女共同参画社会の実現に向けて努力中ですが、オランダ女性の有償労働者率七〇%には遠く及んでいません。伸び代のある日本女性の社会進出に、内需を伸ばす観点からも支援していくべきだと思いますが、小川知事の御所見をお聞かせください。
例えば、我が国は貿易立国だと言われます。構図としてハイテク製品を輸出して、食品、繊維、皮革工芸品、家具といったような軽工業製品を輸入しています。G8の国々で対日貿易黒字国はフランスとイタリアで、G8以外ではスイスが目につきます。いずれも自国製の高級ブランド製品を持っている国々です。言い方を変えれば、日本製品がブランド力で及ばない国です。フランスのルイ・ヴィトン、シャネル、カルティエ、エルメス、イタリアのグッチ、プラダ、エトロ、ブルガリ、スイスではオメガ、ロレックスなど、ブランド物に疎い私ですら、よく耳にする商品です。そもそも日本は軽工業分野でも強い国でした。ブランド力では及ばなくても、高い物づくりは今も健在であります。確かに、女性の社会進出によるブランド会社の輸入代理店の社長や経営陣という手もありますけれども、女性の旺盛な購買力を背景に、日本女性の繊細なデザイン力を開花させ、ルイ・ヴィトンやグッチに負けないクオリティーとデザインの高い製品を開発し、ブランド力をつけていくという手もあります。
県内には、久留米絣や博多織の織物、大川地区の木工品など数々のすばらしい伝統的工芸品や地場産品があります。しかし正直、いずれも苦戦です。私は、地域が元気になるためには、地域に根差し高い技術を持っている地場、伝統産業が元気になることが肝要だと思っています。そのためには本来の力を発揮し、世界に通用するブランド力を獲得する努力を払わなければなりません。そして、最終的にはフランスやイタリア、スイス製品にブランド力で勝つことを目指すべきだろうと思います。日本を支えるハイテク産業界は、一言で言えば大企業であります。しかしながら、地場、伝統産業は、私たちに身近な中小零細企業です。そしてその対策は、本県雇用の八割を占める中小企業対策と言いかえても過言ではありません。
私は、高い技術力を持つ地場、伝統産業を元気な
地域づくりの重要な産業と位置づけ、しっかり振興すべきだと思いますが、小川知事はどうお考えなのか、御所見を伺いたいと思います。
続いて観光対策、特に国際観光事業についてお尋ねいたします。日本経済のボトルネックは生産年齢人口の減少で、その人口減少が消費の減少につながり、ひいては内需の減退という問題を生んでいるとすれば、外国人観光客は国内消費を高め、内需の減退を食いとめる大事なお客様と言えます。政府もビジット・ジャパン事業として、訪日外国人旅行者の将来目標数を三千万人と設定し、展開していますが、気がかりなのは目標数に気を奪われ、観光事業の本来の目的である国内での消費拡大がおろそかになり、安易なイベントショーやトランジット客を追いかける羽目になっては意味がありません。
そこで、国際観光事業について、以下二点お尋ねいたします。最初に、外国人観光客をふやし、その滞在日数や消費単価をふやし、福岡県でできるだけ多くのお金を使ってもらおうと、現在努力中の本県の国際観光収入はおよそ三百五十億円だと推計されていますが、これを国別の観光収入で比較しますと、日本は現在一兆円で二十八位だそうです。人口が六分の一の台湾とほぼ同等で、同じく人口六分の一のオーストリアの半分となっています。中国やイタリアは四兆円で、世界最大手のアメリカは十一兆円ですから、我が国の伸び代はかなりありそうです。中でも、中国の需要は気がかりであります。現在、中国の一人当たりの海外旅行支出額は、まだ日本の三分の一にすぎませんが、急成長を遂げていて、仮に日本と同水準に達した場合、計算上二十三兆円の国際観光市場となります。言うまでもなく、本県はアジアのゲートウエーを自認している雄県です。隣国で需要の大爆発が起きているとき、領土問題を理由に手をこまねいているわけにはまいりません。知事は、今後の国際観光事業を戦略的にどう展開されようとしているのか、お教えいただきたいと思います。
次に、観光は、農業から製造業、建設業、不動産業、金融業、その他サービス業まで、あらゆる地場産業を活性化する総合産業だと唱える人がいます。観光庁の試算によれば、直接効果で観光売り上げが一兆円あれば、五千億円が付加価値としてGDPに算入され、九万人の雇用と八百五十億円の税収が生まれるそうです。間接効果を含めると、観光売り上げ一兆円から生まれるGDPは二兆三千億円、雇用が十九万人、税収が二千二百億円となっています。つまり、観光収入増加は本県経済にとって費用対効果から見ても喜ばしいはずなのに、人の配置も予算も威張れたようなものではないように思えて仕方ありません。昨年視察したスイスでは、各地域でも観光のプロを養成して自前の観光局を持っています。本県も国際観光を本格化させるため、本県の魅力を十分発信できる外国人観光客専門のプロを養成するなど、受け入れ態勢の整備を図るべきだと考えますが、知事のお考えをお示しいただきたいと思います。
最後に要望を申し上げます。昨年九月議会でただした県産農産物の輸出拡大関連であります。経済のセオリーは、生産しても消費されなければ輸出に回すか、在庫に回すしかありません。本県の農産物の輸出強化は、人口減少による将来需要の縮小を見込んで始められたものでしたけれども、ここ三、四年は長引く世界同時不況の影響だったのか、農産物の輸出もスランプぎみでした。しかし、ようやく昨年より持ち直しの兆しが見え始め、本県ブランドのあまおうを主軸に、将来が楽しみな新たなラインアップ品目として、植木や花卉、花の花卉ですが、あるいは水産物等が加わり、平成二十六年度新規予算の市場調査に期待がかかります。福岡県の最大貿易相手国は、国民感情がいいときも悪いときも、ここ数年は中国であります。私は、まず中国をターゲットにすべきだと考えます。前述の植木、苗木等の調査はもちろんのこと、ユネスコ無形文化遺産に登録された和食の国際性について、あるいは中国では需給が逼迫している漢方薬の原料となる生薬の輸出について、また県産農産物ブランドを世界ブランドに格上げするための足がかりとしての各市場調査を、世界の胃袋である中国でぜひ行ってもらいたいと思います。このことを強く要望して、私の一般質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
46 ◯副議長(長 裕海君) 小川知事。
*知事答弁
47 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
まず初めに、勤労者の所得アップと最低賃金の引き上げについてでございます。企業におきまして賃上げが可能となるためには、まず企業の収益の拡大が雇用や所得向上につながっていく、それが消費拡大や投資の増加を通じてさらなる収益拡大に結びついていくという、いわゆる経済の全体のパイが持続的に拡大する好循環といったものが実現すること、それが必要であると思います。もう一つは、個々の企業におきまして、事業拡大や技術革新を通じて収益力や生産性が向上すること、この二つが必要であると、私自身考えております。このため、県では、御提案させていただきます十四カ月予算というものを編成し、公共事業費の追加、拡大、プレミアムつき地域商品券の増額発行の支援、金融と経営一体となった中小企業の支援など、景気、経済、雇用対策に全力を挙げて取り組むこととしたものでございます。また、こうした私の考え方につきましては、これまでも県内の経済団体、また企業が集まる場を、いろんな機会を通じまして、私自身直接経営者の方々にお訴えをし、説明をしてきたところでございます。また、最低賃金の引き上げでございますけれども、県民一人一人が意欲を持って生き生きと働くためにも極めて重要な課題であると私自身思っておりまして、これまでもほかの県とは違いまして、ずっと私は国に対し、引き上げを提言してきたところでございます。今後ともさまざまな機会を通じまして、働きかけを行っていく考え方であります。
次に、中小企業の高齢者向けの商品開発を進める
取り組みについてお尋ねがございました。本県の高齢者人口は、平成三十七年には百四十八万人になります。二十二年と比べまして三十五万人増加をし、約一・三倍になると推計されているところでございます。高齢者の市場の拡大に対応いたしまして、中小企業が高齢者向けの商品でありますとか、またサービス、それらの開発を行っていきますことは、売り上げを拡大していく上で重要な課題であると思っております。県では、こうした市場の変化を踏まえまして、これまで新商品あるいは新サービスの開発に取り組む中小企業の皆さんに対しまして、経営革新アドバイザーによる経営革新計画策定の御支援、あるいは県の工業技術センターによる技術開発を支援をする、またデザイン活用によって売れる商品をつくっていく、そういった御支援を行ってまいりました。このような
取り組みによりまして、例えば、増加する大人用紙おむつのリサイクル技術、またタブレット端末を活用した認知症予防の脳トレーニング講座、また特殊加工により骨まで丸ごと食べられるようになった焼き魚、そういった高齢者向けの商品やサービスが生まれてき始めております。県といたしましては、これからも中小企業が高齢者市場の拡大に積極的に対応していきまして、新商品、新サービスの開発に取り組んで、売り上げの拡大が図っていけるよう、きめ細かく御支援をしていきたいと思います。
次に、女性の社会進出の必要性と就業支援についてでございます。少子、高齢化の進展によりまして、生産年齢人口が減少する中、女性がその感性や発想というものを最大限発揮していただいて、生き生きと活躍をされるその社会を実現していくことは、御本人にとって幸せであることは当然のことながら、先ほど需要創出効果とおっしゃいましたが、我が国の経済社会や地域経済の活性化に不可欠であると、このように考えております。県では、これまでも仕事中に安心して子供を預けることができるよう保育所の整備を積極的に進め、平成二十五年度までの五年間で一万人を超える定員拡大を図るとともに、全国に先駆けまして、子育て応援宣言企業登録制度を創設し、宣言企業の普及、拡大に努めるほか、県内四カ所に子育て女性就職支援センターを設置いたしまして、子育てなどで一旦職場を離れられた女性に対するきめ細かな再就職の御支援を実施してきたところでございます。来年度におきましては、過去最大となります四千人を超える保育所の定員拡大を図るとともに、民間人材会社との連携によりまして、本年度新たに開設をいたしました女性向け就業相談窓口、これを、今七カ所ありますが、十五カ所に倍増するなど、女性の就業促進により一層力を入れていく考えであります。
県内の地場、伝統産業の振興についてでございますが、本県には久留米絣、博多織、小石原焼など伝統的な工芸品、また大川インテリアや日本酒など、全国に誇ることができるすぐれた伝統工芸産業や地場産業が数多く集積をしております。これらの多くは、中小企業、小規模事業者が担っておられまして、消費者ニーズの変化や海外からの安価な輸入品の増大等によりまして、生産額や従業員数が年々減少し、厳しい状況が続いております。県では、企業等が行います商品開発の支援、生産者を対象としたマーケティング講座の開設、産地組合等が行います販路拡大や後継者育成事業についての支援など、商品開発から販路拡大まで幅広く支援を行ってきております。こうした中で、昨年八女市の蔵元喜多屋さんが、世界最大規模のワインコンペティションでございますIWCにおきまして、チャンピオン・サケというものを受賞したり、また大川組子がななつ星in九州の装飾品として利用されるなど、国内外の多くの人々に注目される新たな動きも出始めております。伝統工芸産業、地場産業の振興を図っていくためには、このように多くの人々に、それぞれそのよさというものを知ってもらい、ブランド力といったものを高めていくことが重要であると思っております。このため、来年度はこれまでの支援に加えまして、福岡の逸品を展示販売する期間限定のショップを開設をする、日本酒のPR映画を制作する、福岡、九州の食を一堂に集めた食の博覧会というものを開催をする、また県庁十一階の物産観光展示室のリニューアルによるPRの強化などを行いまして、これまで以上に伝統工芸産業、地場産業の振興にしっかり取り組んでまいります。
今後の国際観光戦略についてでございます。近年、ビザの緩和、アジア諸国の経済成長発展に、訪日外国人が増加をいたしてきております。九州におきましては、欧州直行便の就航やアジア便の増加など航空ネットワークが充実してきておりまして、こうしたネットワークを活用して、九州を訪れた外国人観光客を県内各地に呼び込み、回ってもらう、そして、消費拡大につなげていくことが重要でございます。言いかえますと、外国人客が来て、日本にあるサービスを買っていくという意味では、我が国のサービスの輸出に相当する産業であります。県といたしましては、今後第二期九州観光戦略に基づき、九州観光推進機構と連携いたしまして、国内外からの観光客の誘致を進めてまいります。また、九州を訪れられた観光客の皆さんに、一人でも多くこの福岡県内を周遊していただくことを基本に、観光振興を図ってまいります。このため、来年度からは海外のマスコミや旅行会社に対しまして、本県の魅力を直接売り込むため、海外で開催される関係の旅行博覧会、あるいは商談会に積極的に参加をするほか、いろんな言語、多言語による情報発信も充実強化をしてまいります。また、韓国人に非常に人気の九州オルレ、これは宗像・大島コースがつけ加わりますが、それと、産業革命遺産や炭鉱にまつわる歴史、文化など新しい観光資源を、各地域の食や体験、交流型のメニューと組み合わせることによりまして、観光地としての魅力を高めてまいります。こうした
取り組みによりまして、外国人観光客の誘致と、それからその滞在というものを進めていき、観光消費額の県内での拡大を図っていきたいと思います。
次に、外国人観光客の受け入れ態勢の整備でございます。これまで県では、福岡空港の国際線ターミナル及びアクロス福岡に国際観光客案内所というものを設置いたしまして、通訳ボランティアを配置するほか、地域の魅力を伝える観光ボランティアに対する研修を実施してまいりました。そういったことを通じまして、外国人観光客に対応できる人材の育成に努めてきているわけであります。今年度からは、国の指定を受けました九州アジア観光アイランド特区で、地域限定通訳ガイドの育成を開始したところでございます。これは、通訳案内士法に基づく国家試験にかえまして、九州独自の研修を修了された方が、有償でガイドをすることができる、そういった資格を与える画期的なものでございます。九州は全国でもアジアからの観光客が多いことから、アジアの留学生も活用いたしまして、中国語、韓国語のガイド育成を、今始めたところでございます。現在、九州七つの県の会場で研修を実施しているところでございまして、一人でも多くの優秀な地域ガイドが誕生することを期待しているところであります。
さらに、今後は県内の市町村、観光協会、ホテル、旅館、観光施設等からの外国人観光客受け入れに関するいろんな相談事に対応できるように、県の観光連盟に専門スタッフを配置いたしまして、英語やピクトグラム(図記号)などを用いたわかりやすい案内表示でありますとか、接客に必要なマナーといったものにつきまして、丁寧に相談に応じていく、説明していきたいと、このように考えております。こうした活動を通じまして、外国人観光客をしっかりおもてなしができる人材の充実強化を図ってまいります。
48 ◯副議長(長 裕海君) 中村誠治君。
49 ◯二十三番(中村 誠治君)登壇 知事のおっしゃる経済の好循環について、一点指摘しておきたいと思います。
知事の経済の好循環は、一言で言えば、企業のトリクルダウン効果の強化を図るというものですけれども、先ほども申し上げましたけれども、今世紀に入ったころ、つまりイザナミ景気が始まったころから、国内の、例えば新車販売台数も、小売販売額も、書籍、雑誌の販売部数も、国内貨物総輸送量も、旅客総輸送量も、酒類販売量も、それから一人当たりのたんぱく質や脂肪の摂取量も、全て落ち込み始めています。いわゆる国内消費の縮小による内需の減退が進行している状況であります。例えば、イザナミ景気に象徴されるように、仮に輸出産業の好景気によって、関連産業の所得の増大が見込まれても、国内の生産年齢人口の減少に伴う内需の縮小をとめることはできないでいるわけであります。このようなときに技術革新や生産性向上をうたっても、雇用は発生しにくく、機械化に置きかわって、それがさらに内需を下振れさせている現実があるわけであります。
ついては、本県においても、グリーンアジア戦略総合特区のような技術開発の振興とともに、もう一方で、本格的な内需振興策を進める必要性を指摘して、私の一般質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)
50 ◯副議長(長 裕海君) 本日の一般質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午 後 三 時 十 分 散 会
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