↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(貞末 利光君) ただいまから本日の会議を開きます。
日程に従い、一般質問を行います。順次発言を許可いたします。古川忠君。(拍手)
*
古川議員質問
2 ◯六十六番(古川 忠君)登壇 皆さん、おはようございます。真政会の古川忠でございます。通告に従いまして、早速質問に入らせていただきます。
ちょうど一年前の九月二十五日、佐賀市内の路上で一人の青年が、警察官の職務質問中取り押さえられた際、命を落とすという事件がございました。この青年は
発達障害というハンディを持ち、この日は施設から自転車で帰宅途中でありました。いつも大きな荷物を背負っていたこの青年は、
挙動不審者として警察官に呼びとめられましたが、その求めに応じなかったとして、五人の警察官に取り押さえられ、手錠をかけられた上死亡したというものでした。青年の死因が警察官の暴行によるのではないかとの疑いについて、佐賀県警は死因は
急性心臓病とした上で、奇声を発した青年を保護しようとした妥当な行為だったと主張、
佐賀地方検察庁も不起訴の決定を下しました。しかし、青年の遺族は、青年の顔に殴られた跡があることや警察官が殴ったとの目撃証言から、この決定を不服とし、
佐賀地方裁判所に
付審判請求を申し立て、現在審理中であります。
この事件は障害者、とりわけ自閉症や
アスペルガー症候群などの、いわゆる
発達障害を持つ人たちやその家族にとって大きな衝撃を与えました。障害には身体障害、知的障害、精神障害などいろいろありますが、この
発達障害はこの十数年、いわゆる精神の病として認知されるようになり、治療や養育の方法などの研究もようやく進んできたところであります。しかし、この症状はふだんはごく普通に生活をしていても、突然大きな声を出すことがあったり、とっぴな行動に出ることがあります。また、知能はすぐれていても、
コミュニケーション能力に著しく劣るなど、表面上は大変わかりにくい障害なのであります。そのため何も知らない人にとっては、その行動が奇異に見えたり、不審に思えたりすることがあるのです。それゆえにさまざまな犯罪が起こるたびに、行動が異常だとして周囲から警戒の目で見られたり、実際に捜査対象に上げられたりするなど、いわれなき屈辱や差別を受ける危険にさらされております。
この春、福岡市城南区と早良区で起きた女性を対象とした
連続殺人事件の際も、周辺の聞き込みからある青年が
福岡県警の職務質問を受けました。お母さんの話によれば、二人の捜査員は玄関先に出てきた母親に対し、マンションの通路で、周囲の住民に聞こえるような声で矢継ぎ早に質問を浴びせた後、青年の部屋に上がり込みました。
発達障害のあるこの青年は作業所に通っておりますが、青年の帰宅を待っていた捜査官は、作業所では刃物を使いますね、などと聞いた後、事件当日青年が着ていた服をわざわざ着せた上で、写真を撮って帰っていったそうであります。拒否をしたらかえって疑われると思い、捜査員の命じるままに応じたものの、何で私たちがこんな目に遭わなきゃならないのかと、怒りとともに心に深い傷を負ったのであります。
通り魔的な殺人事件という緊迫した中で、捜査員も必死であったことは容易に想像できます。また、この事件がいち早く解決したことについては、市民の多くが感謝し、ほっとしたことでありましょう。しかし、その陰でこの青年のようなケースがあることにも、私は注意をしてほしいのであります。健常者であれば、単なる怒りで終わるかもしれませんが、周囲の目をいつも気にしながら、障害を受け入れて懸命になって生きている親子の悲しみや心の痛みははかり知れないものがあるのであります。捜査員がこのような障害の特性などについて少しでも知識があったら、少しは対応が違っていたかもしれません。
発達障害を持つ家族にとっては、もちろん一般の多くの方の理解を望んでおられますが、とりわけ警察権力を行使する警察官には、ぜひとも知っていてもらいたいというのが皆さんの切なる願いであります。
そこで質問いたします。警察官の日常活動や職務質問や捜査において人権への配慮が重要であることは申すまでもありませんが、特に
社会的弱者である障害者への対応はより丁寧にすべきと私は思います。
福岡県警においては
警察学校の教養やふだんの研修の中で、このような問題に対してどのようにしておられるかお聞きいたします。
また、今回取り上げた自閉症や
アスペルガーなどのいわゆる
発達障害は、まだ
社会的認知度も低く、身体等の障害に比べてわかりにくいのが実態であります。そこで、このような障害について少しでも知識を持ってもらい、対応についてのノウハウを勉強してもらうことは、無用な誤解やトラブルを防ぐことになると思います。一般的な人権問題に関する教養に加えて、この
発達障害に関する教養をぜひとも取り入れ、理解を深めていただきたいと強く望みますが、
県警本部長の前向きで温かい御答弁をお願いいたします。
第一回目の質問を終わります。(拍手)
3 ◯議長(貞末 利光君)
田村警察本部長。
*
警察本部長答弁
4
◯警察本部長(田村 正博君)登壇 障害者の方々に関する教養の充実についてお答えをいたします。先ほど御質問の中で、
早良警察署管内で発生をいたしました女性対象の
連続強盗殺人等事件について触れておられましたが、この事件は県民の方々に大変大きな不安と脅威を与えた
重要凶悪事件であり、県警として全力を挙げて捜査したものであります。この種事件に対しましては、今後も事案の真相を解明し、県民の方々の安全と安心を守るため、迅速かつ積極的な捜査を行ってまいる所存であります。
障害者の方々に関する教養につきましては、
各種警察活動において人権を尊重し、公正かつ親切に職務を執行するための各種教養を行っているところであります。
警察学校では
障害者等に配意した警察活動に関する授業として、手話や介護などの
体験型学習などを行い、また職場では
事例検討会などの研修を行っております。今後とも、
警察学校や職場において
発達障害者の方々の基本的な特性を理解させる内容も盛り込みながら、警察官の職務執行に必要な教養を行ってまいる所存であります。
5 ◯議長(貞末 利光君) 古川忠君。
6 ◯六十六番(古川 忠君)登壇 どんなささやかな声でも県民の声をこの議会に届けるのは私どもの責務でございますので、時間までもう少しつけ加えさせていただきます。
最近では福岡市の西区で自閉症児を持つ母親が自分の子をあやめるという大変悲劇的な事件がありました。もちろん殺人などとんでもない話ではございますけれども、その境遇について一片の同情を禁じ得なかった
お母さん方が多いのではないかと私は思います。障害児を抱えて不安や孤独にさいなまれる、その苦しみは私どもの想像を絶するものがあるのであろうと、私はそう思っております。また、自閉症児を持つあるお母さんが、こういう体験を話されました。自分のお子さんが町なかで突然大きな声を出されたそうであります。周囲の通報で警察官が駆けつけました。そのときには無事に保護されましたけれども、もしもこのときに暴れたり、逃げ出したりしたら一体どうなっただろう、佐賀の事件を思い浮かべながら、本当にお母さんは不安そうに話されました。しかしながら、また一方でこうもおっしゃっておられます。私たちの安全を守ってくれるのは何といっても警察です。ましてや私ども弱者が頼りにするのは警察です、こうもおっしゃっておられるわけであります。警察の、少なくとも
福岡県警が、この
発達障害やあらゆる障害についてきちっとした研修を行っている、教養を行っている、それだけでもどれだけ安心につながるかしれません。幸い本部長は障害問題について大変造詣が深いとお聞きしておりますし、今の答弁でも
発達障害を研修の項目に必ず入れるという御答弁をいただきました。これから先の前向きな取り組みを信じまして、私の質問を終わりたいと思います。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
7 ◯議長(貞末 利光君) 塩川秀敏君。(拍手)
*
塩川議員質問
8 ◯十五番(塩川 秀敏君)登壇 皆さん、おはようございます。平成会の塩川秀敏でございます。日ごろの政務調査の中から、五月定例議会に続き、
教育力向上福岡県民会議第二次提言について、通告に従い、質問させていただきます。
私は五月定例議会で、第一次提言は学力向上の基礎である学ぶ意欲、自尊感情、規範意識、体力などという教育の不易の部分や、個性、自由、平等といった教育の基本理念についても踏み込んだ、全国でも余り例のない画期的な提言である、したがって第二次提言は実効性のある
県民総がかりの運動となる内容を期待するという旨を申し上げました。その後八月十一日に第二次提言が出されました。これには第一次提言で示された、今日の子供たちに共通な四つの本質的な課題の解決を図るために、家庭、地域、学校、行政が具体的に何をなすべきかが明示されています。加えて、
県民総がかりの運動の推進方法とその取り組みの検証、評価の必要性を提言しているものであります。個人的には納得できる内容であり、関係者の皆様に心から感謝申し上げるところであります。今後は十一月八日に開催される
県民フォーラムを機に、運動の火ぶたが切って落とされると聞き及んでおりますが、実効性のある継続的な
県民総がかりの運動となることを願い、次の二点について知事にお尋ねいたします。
一点目は、
県民運動を推進する組織の設置についてであります。提言では、全県的な
運動推進組織と支部的な
運動推進組織が必要と述べています。この支部的な
運動推進組織は、県内に何カ所ぐらい設置される予定なのか、また各
推進組織の構成やそのメンバーの役割をどのように考えておられるのかお尋ねいたします。
二点目は、子供の実態把握に基づく
県民運動の取り組みの評価、改善についてであります。提言では、本質的な課題に関する子供の変容の
継続的把握、これは非常に大事なことであります。二つ目は学校、家庭、地域の教育力の高まりに関する評価、そして三つ目は
アクションプランに対する運動の推進状況に関する評価などが必要であり、その評価については数値化や事例をもとにした評価が考えられる。この数値化や事例をもとにした評価、これも非常に大切なことであると思います。そのように述べております。現時点で、評価のあり方についてどのように考えておられるのかお尋ねいたします。(拍手)
9 ◯議長(貞末 利光君) 麻生知事。
*知事答弁
10 ◯知事(麻生 渡君)登壇
教育力向上県民会議の第二次の提言がなされました。今後はこの第二次提言に従いまして、具体的な運動を展開してまいる考えでございます。
そして、第二次提言で示されております大きな四つの目標、一つは子供たちが、何といいましても積極的に勉強をみずからやるというような学ぶ意欲をちゃんと向上させていく。あるいは自分というものについて、やはり自信を持ち、そして将来の自分の人生を切り開いていくというような意欲を持った子供をつくっていかなければならない。三番目には、やはり何といいましても、我々は社会の中で生活をしております。したがいまして、社会の中で当然守るべきルール、そのような規範というものをきちっと身につけていく。そして四番目には、傾向的に見ますと、ずっと体力が落ちております。この体力が落ちるということは、やはりいろんな将来にわたっての活動をしていく、あるいは健全な精神ということから見ても問題があるわけでございまして、体力をきちっとつけていくんだという健康な体をつくっていくというような目標でございます。
そして、この
県民運動を具体的に行うに当たりましては、一番中心は、まず学校区中心であるというふうに考えているわけであります。今回の運動の大きな一つの特色、考え方は、これまでどうしても学校をいろんな形で非難するということが非常に多いわけであります。最近はモンスターペアレンツなんていうようなことになりました。しかし、それではやはりうまくいかないわけでありまして、学校も一生懸命教育に努力をしておりますから、それをむしろ地域の皆さんが応援していくんだという考え方をとっていく必要があるという提言をいたしております。その意味で、まず
県民運動の原点、出発点は校区、その中で学校と家庭あるいは地域というものが協力をしていくんであるということでございます。そして、そのような校区ごとの運動に対しまして、市町村、関係機関、関係のいろんな
ボランティア組織の皆さんが幅広く協力し、運動を具体化していくということでございます。ただ、校区ごとの組織だけで十分かといいますと、やはり全県的にこれを推進する組織、あるいは校区を越えた
推進組織というものが必要であるというふうに考えておりまして、県内の六地域に、そのような校区を越えた組織も想定をいたしているわけでございます。このような考え方のもとに、市町村の皆さんとよく協力しながら、具体的な運動を展開してまいる考えでございます。
運動を具体的に実行していきます場合の
取り組み成果について評価をどうするのかということでございます。いろんな運動をします場合に、そのような運動の目的から考えて、成果が上がっているのかどうかということを点検するということは非常に大事でございます。一たん始めまして、継続はするんですけれども、そのような点検がないと、運動はすっと減衰をしてしまうということになりますし、向上をいたしません。その意味で、私どもはこの
県民運動をずっとするに当たりまして、一つは目標に向かってどのように子供たちが変化をしておるのか、あるいは学校というものの教育力がどのような形で高まっているのか、地域全体でどうであるかというようなことにつきまして、具体的な評価という方法を、やはり見つけ出していきたいというふうに考えております。それと同時に、このような運動をするに当たりまして、多くの場合共通の問題にぶつかっていくということが考えられますから、大いに運動をしておる皆さんの間での交流を図る、その中で経験、課題の解決の方法、こういうことについてお互いに意見を交流する、その中で運動を高めていくというやり方をとってまいりたいと思っております。
11 ◯議長(貞末 利光君) 塩川秀敏君。
12 ◯十五番(塩川 秀敏君)登壇 ただいま知事の丁寧で明確な答弁に、運動の前途を感じまして、非常に感謝を申し上げるところでございます。
残りの時間を利用して、お願いを二つ申し上げ、私の一般質問を終わります。
まず、財政支援のお願いでございます。既に知事は福岡県
青少年健全育成対策推進本部長として、第三次
青少年プランに関する予算においても、
青少年健全育成に十分な御理解をいただいておるところでございますので、蛇足かと思いますが、福岡の
教育ビジョンは知事の公約でもあり、
教育力向上福岡県民会議の第二次提言でも、財政的な支援を強く求めておるところでございます。知事の熱意を期待するところでございます。
次に、強化の日や強化月間などの設置のお願いであります。教育は百年の計といいます。福岡の将来を託す、志を持って意欲的に学び、自律心と思いやりの心を持つ、たくましい子供の育成こそ重要であります。全国でも画期的な福岡の
教育ビジョンを単なる打ち上げ花火で終わらせることなく、実効性のあるめり張りのついた
県民総がかりの運動として継続させることが肝要でございます。
僭越ですが、私の所属する
常任委員会の
県土整備部では、
河川愛護月間(七月)、道路ふれあい月間(八月)、川の日、道の日、土木の日などを設け、県民の関心と協力を喚起しているところでございます。ほかに思いつくままですが、
青少年育成県民会議では家庭の日、
農林水産部では福岡さん
ちのごはん食の日、毎月八日でございます。健康と食生活の日(十一月八日)を定め、御飯食の推進運動を進めていることなどは、皆様周知のとおりでございます。この福岡の
教育ビジョンの運動においても、知事の肝いりであり、例えば福岡の子供を育てる教育月間、または強化の日などの設置をぜひ検討していただきたいと強くお願いするものであります。
教育は実践であります。「義を見てせざるは勇なきなり」という孔子の言葉もございます。福岡の
教育ビジョンに参加できることに感謝し、使命感を持って実践に取り組むことを決意し、一般質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
13 ◯議長(貞末 利光君) 吉村朋美君。(拍手)
*吉村(朋)議員質問
14 ◯十四番(吉村 朋美君)登壇 おはようございます。
自民クラブの吉村朋美でございます。
今月十八日、県内で小学校一年生が公園において殺害され、母親が逮捕されるというとてもショックな事件がありました。ここに御冥福をお祈りいたします。
早速、育児支援について質問に入らせていただきます。核家族化や地域の人間関係の希薄化が日増しに進む中で、児童を持つ女性がやむなく孤立化した環境下で育児をしているという現状があります。これについては関係する質問を県議会において過去取り上げさせていただきました。就労している多くの母親は保育所を利用しているため、望めば日常的に保育士とかかわる機会を持つことができます。しかし、専業の主婦は地域からも孤立した中で育児をしているという実態が多いのではないかと思います。特に都市部においてはその傾向は顕著ではないでしょうか。内閣府の
国民生活選好度調査によりますと、育児について自信がなくなるときがあると回答した者は、就労女性で五〇%に対して、
専業主婦では七〇%にもなっております。この数値から見ても、
専業主婦の多くが育児不安を抱え、相談もできずに悩んでいることが想像されます。ちなみに、育児不安とは自分の子供を育てることに過剰な不安を抱き、そのことで親自身がふだんの生活に支障を来す状態のことであります。問題なく社会生活を送っているのに、育児で生じるストレスをきっかけに、人との交流に自信を失ってしまいます。日常の生活圏が近隣に限られ、近親者が身近におらず、近所に相談相手もいない
専業主婦は特にストレスを感じます。それはやがて児童虐待や自殺、子供殺人などに発展して悲惨な結果となってしまいます。また、これらは父親が育児に参加しない場合が多いと
厚生労働白書で指摘されています。
福岡県においても
少子化対策の中で、就労女性の仕事と育児が両立できる
環境づくりが重要であり、その施策が進められているところであります。しかし、もう一方の
専業主婦の
子育て支援や障害児を持つ
専業主婦にならざるを得ない
子育て環境の改善をより強く進めていかなければならないと思います。質問の冒頭で悲しい事件について触れましたが、障害児の子育てで保護者が悩みを持ち、引きこもり、より一層悩みながら育児虐待、殺人へと進んでいくことだけは絶対に避けなければならないのです。
特に、今回障害児の育児支援について
福祉労働部長にお尋ねをいたします。働いている保護者を対象とした保育所や
放課後児童クラブでは、障害児の受け入れが進んでいるとお聞きしていますが、在宅の障害児を持つ家庭についてはどのような支援があるのかお答えください。よろしくお願いいたします。(拍手)
15 ◯議長(貞末 利光君)
吉岡福祉労働部長。
*
福祉労働部長答弁
16
◯福祉労働部長(吉岡 正憲君)登壇 在宅の障害児を持つ家庭に対する支援についての御質問でございますが、県では
障害児等療育支援事業において外来訓練や訪問指導を行うとともに、
発達障害者支援センターでの障害児とその家族に対する相談、支援や
個別療育等を行っております。さらに、保護者の一時的な休息等を支援するため、放課後に障害児を預かる事業を実施しております。また、市町村では相談、支援や
ホームヘルプ、
児童デイサービス等の事業を行い、障害児のいる家庭に対してきめ細かな対応を実施しております。
17 ◯議長(貞末 利光君) 吉村朋美君。
18 ◯十四番(吉村 朋美君)登壇 在宅の障害児及び家族への支援についてお答えをいただきました。県のほうとしても、障害児に対していろんな支援をされているようですが、まだまだ十分ではないと考えます。福岡県においては麻生県知事のリーダーシップのもと、アンビシャス運動が活発になされています。御承知のように、子供とは健常児だけではありません。障害を持つ子供、帰国子女、外国籍の子供、さらに母子家庭の子供、父子家庭の子供など、すべてを含んで子供だと考えます。このような社会的少数の子供にも日の当たる温かい
子育て支援をより一層考えていかなければならない時代ではないでしょうか。
児童福祉法の改正により保育所が地域の子育て家庭への援助を行う施設と位置づけられ、県としても保健所、社会教育総合センターなどで育児不安の施策も推進されていることは承知しております。しかし、今後はさらにNPOなどの民間団体、さらには地域の人々による
子育て支援活動の輪を広げ、地域
子育て支援組織の育成、子育て地域ボランティアの育成、地域子育てネットワークづくりなどとの協働を推進されるように強く要望いたします。
今回の質問に当たって、子育てについては
子育て支援課、障害児の子育てについては障害者福祉課に対応していただきました。そのときに痛感したことは、子供とはすべての子供を指して子供だと考えます。もちろん専門的な支援が必要なことも理解いたしますが、子供の問題に対しては担当の課をたらい回しにせず、
子育て支援課においてワンストップで相談できることが保護者に安心を与えるのではないでしょうか。女性の声が反映され、女性の力が発揮される社会であり、すべての女性が安心して子育てできる福岡県であることを切に願い、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
19 ◯議長(貞末 利光君) 諏訪下勝造君。(拍手)
*諏訪下議員質問
20 ◯十三番(諏訪下 勝造君)登壇 おはようございます。
県友会の諏訪下勝造でございます。通告に従い、ワークライフバランス社会の推進について一般質問をさせていただきます。
少子、高齢化の急速な進展、本格的な人口減少時代を迎えて、活力ある社会を実現するためには、個人がさまざまな可能性をみずから選択でき、能力を最大に発揮できる
環境づくりが求められています。しかしながら我が国の現状を見ますと、長時間労働や柔軟性に乏しい就業環境、不安定な雇用状況などが問題になっております。個人にとって希望する形で多様な活動にかかわることが難しく、一部には心身ともに疲弊する状況も見られます。その影響が家庭や地域社会に対しても及んでいます。また、労働力人口が減少する中で、個々の企業、組織にとって優秀な人材の確保が重要な課題になっており、そのために個人のさまざまな事情に即した就業環境を提供することが不可欠となっています。さらに今後、多様な人材の意欲と能力を発揮することができなければ、社会全体の活力を維持することが困難となります。
このように時代の大きな潮流の中で、これまでの働き方を改革しないままでは、個人、企業、組織、ひいては社会全体が持続可能なものでなくなります。こうした状況を克服するために、仕事と生活の調和、ワークライフバランス社会の推進が今求められています。仕事は暮らしを支え、生きがいや喜びをもたらし、同時に家事、育児、近隣とのつき合いなどの生活も暮らしには欠かすことができないものであります。その充実があってこそ、人生の生きがい、喜びは倍増いたします。しかし、現実の社会には安定した仕事につけず、経済的に自立することができない、仕事に追われ、心身の疲労から健康を害しかねない、仕事と子育てや年老いた両親の介護との両立に悩むなど、仕事と生活の問題を抱えている人が多く見られます。その背景としては、国内外における企業間競争の激化、長期的な経済の低迷や産業構造の変化により、生活の不安を抱える正社員以外の労働者が大幅に増加する一方で、正社員の労働時間は高どまりしたままであることが挙げられます。他方では利益の低迷や生産性向上が困難などの理由から、働き方の見直しに取り組むことが難しい企業も存在しています。
さらに、人々の生き方も変化しています。かつては夫が働き、妻が
専業主婦をして家庭や地域での役割を担うという姿が一般的であり、現在の働き方はこのような世帯の姿を前提としたものが多く残っています。しかしながら、今日では女性の社会参加が進み、勤労者世帯の過半数が共稼ぎ世帯になっているなど人々の生き方が多様化している一方で、働き方や
子育て支援など社会的基盤は必ずしもこうした変化に対応したものとなっていません。また、職場や家庭、地域では、男女の固定的な役割分担意識が残っています。このような社会では、結婚や子育てに関する人々の希望が実現しにくいものになるとともに、家庭団らんの時間や地域で過ごす時間を持つことが難しくなっています。こうした個人、家庭、地域が抱える諸問題が少子化の大きな要因の一つであり、それが人口減少にもつながっていると言えます。
諸外国の例を見ますと、アメリカでは一九八〇年代以降、ワーキングファミリーバランス支援から従業員一般に対し支援内容も拡大したワークライフバランスの流れにつながり、イギリスでは二〇〇〇年に官民を挙げたワークライフバランスキャンペーンが始まりました。また、EUでは柔軟な働き方の選択ができるよう労働条件の整備に取り組んでいます。我が国においても、近年男女共同参画社会を初め労働政策、
少子化対策、
子育て支援、経済財政などさまざまな分野においてワークライフバランスが議論され、取り組みが始まりつつあります。
そこで知事にお伺いいたします。知事は仕事と生活の調和、ワークライフバランス社会についてどのように認識しておられるのかお聞かせください。また、仕事と生活の調和が実現した社会、ワークライフバランスを実現するために知事も構成員として参画されていた、仕事と生活の調和推進官民トップ会議において、ワーク・ライフ・バランスの憲章と行動指針が昨年十二月に策定されました。これらにおいて地方公共団体は仕事と生活の調和の実現に向けた合意形成の促進、実現している企業の社会的評価、多様な
子育て支援の展開などに取り組むこととされています。これらについて県はどのような取り組みを進めているのかお聞かせください。
以上、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
21 ◯議長(貞末 利光君) 麻生知事。
*知事答弁
22 ◯知事(麻生 渡君)登壇 ワークライフバランスということについて、どういうふうに考えておるのかということでございます。この運動をするに当たりまして、労働力不足を緩和するとか、少子、高齢化社会の生活のあり方とか、いろんなことが言われておりまして、これを目的にやるんだというような考え方ももちろんあるんですけれども、私はやはり基本は、私どもの実際の生活というのは働く時間、これは生計を維持し、また働くことを通じて一つの社会的ないろんな自分の考え方、よって立つところをつくり上げていくということがあるわけですが、それと、いわゆる働いていない時間、これは家庭の生活、子供とのいろんな触れ合い、あるいは地域活動、趣味、そういう時間があるわけですけれども、それをもう少し働き方を工夫することによって、後者の時間を充実させていこうと、それによって我々の人生をもっと豊かなものにしていくということが最も中心的な目標であり、またそうあるべきじゃないかというふうに思っております。
それから、ワークライフバランスについて、県はどんな取り組みをしているかということなんですが、このワークライフバランスという英語で言ったこの考え方はよくわからないところがありまして、どうも日本というのは悪い癖がありまして、英語で言うんですね。英語で言うから、何を目的としているのかよくわからない、概念規定がはっきりしないという問題があります。そういう問題の中で申し上げますと、例えば子育て応援宣言企業、これは子育てと、特に女性の皆さんが職業ということを両立させる、そして子育てがやりやすい企業になっていくんだということでございます。これも広い意味でのワークライフバランスの実現というものに資するというふうに思っております。また、保育延長あるいは病後児の保育といった保育サービスの充実、
放課後児童クラブといったようなことも、多様な働き方を可能にし、いろんな個人的な生活を充実するという意味でも、これに資するんじゃないかというふうに思っています。さらに、シンポジウムの開催ということを通じまして、当然のことなんですけれども、ワークライフバランスというものをもっととれたものにしていくという運動をしていかなきゃいかぬと思っております。
23 ◯議長(貞末 利光君) 真島省三君。
*真島議員質問
24 ◯一番(真島 省三君)登壇 おはようございます。日本共産党の真島省三です。
介護保険制度は、来年度の改定に向け、今年度は市町村の第三期事業計画、県の第四次高齢者保健福祉計画の最終年度です。県としてこの三年間を総括し、国に必要な改善を迫り、県の次期計画を高齢者と介護現場の困難を解決するものにするよう求めて質問いたします。
第一に、深刻な介護人材不足の打開です。厚生労働省の調査では、一年間に介護労働者の五人に一人が離職し、四三%が一年未満、四人のうち三人が三年未満でやめています。半数以上がやりがいがあると答える一方、常勤職員の平均賃金は全労働者の六割、年収が二百万円もない労働者が多く、まさに官製ワーキングプアです。また、専門性や経験が求められている仕事でありながら、非正規職員が年々増加して約四割、訪問介護では約八割です。希望に燃えて介護職につき、夜勤や長時間の重労働に耐えてきた青年たちが、無念の思いで職場を去っています。厚生労働省の調査では、事業所の六五%が今の介護報酬では人材確保に十分な賃金が払えないと回答しています。高齢化が進み、今後十年間に約六十万人の介護職員の確保が必要と言われているのに、このままでは地域の介護基盤が崩壊しかねません。深刻な介護人材不足は、利用者に過酷な負担増と利用制限を強い、介護報酬の引き下げで収入と働きがいを奪ったことが最大の原因です。
質問です。一つは、二〇〇九年度の制度改定において介護報酬の大幅な引き上げと、あわせてそれが保険料、利用料の負担増にはね返らない仕組みをつくるための国庫負担の引き上げを、国に強く求めるべきだと考えますが、知事の御所見を伺います。
もう一つは、国の福祉人材確保指針を踏まえて、県独自にも役割を発揮すべきだと考えますが、知事の御所見を伺います。
第二に、高齢者からの介護取り上げ問題です。二〇〇六年度の制度改定では、体を使わないと身体機能が衰弱する廃用症候群を防ぎ、生活機能の維持向上を図る介護予防だ、ヘルパーが家政婦がわりになっており、自立を妨げると、軽度と決めつけた高齢者から介護ベッドや車いす、ヘルパーなどを取り上げ、介護予防サービスを制度化した新予防給付が実施されました。県内でも、福祉用具利用者が二〇〇六年三月の四万二千人からことし三月は一万二千三百人に、約三万人、七割も減っております。特殊寝台の利用者は五%に、車いすの利用者は四一%に激減です。また県内の二〇〇六年度の訪問介護利用数は前年度から約二割、百五十万回以上減っております。新たに始まった介護予防訪問介護の利用数を加えても六十五万回以上減っております。介護現場の人たちは、介護サービスを取り上げ、介護予防を行う新予防給付は、給付抑制の手段にすぎなかった、負担増による利用抑制に加え、要支援者の利用回数が減り、リハビリ効果の低下で、病状や病態の悪化や閉じこもりになり、生活そのものが維持できない状態も出ている、結果的には要介護度が重くなり、給付費がふえるのではないかと言っています。
質問です。一つは、介護予防だと介護サービスを取り上げた新予防給付は、実際に要介護度の改善に効果があったのでしょうか、知事の見解をお聞かせください。
また、福祉用具や訪問介護サービスを取り上げられた本県の高齢者が、生活機能の維持向上、要介護度の改善につながっているのか、県として追跡調査し、検証することは、市町村と県の次期計画をつくる上でも、国に対して必要な制度の改善を求める上でも不可欠だと考えますが、知事の御所見を伺います。
第三に、不足する特別養護老人ホームの整備です。昨年十月一日現在、県内の待機者は今年度末までの整備目標量一万六千百九十三床に匹敵する一万五千五百二十一人も残されております。ところが、この三年で新たに整備した八百三十三床は入所申し込み者のわずか五%で、緊急に入所を必要とする要介護四、五の自宅待機者の九百七十人さえ下回っております。国が二〇〇六年度の診療報酬改定で、医療の必要度が低いと決めつけた新療養病床の患者の入院費に対する報酬を減額したため、退院を迫られる患者が相次いでおります。介護施設でお話を聞いたら、療養病床を出された人の入所希望がふえているが、胃瘻など医療的ケアの必要な人は看護、介護の体制がとれずお断りしていると言っていました。しかも高い利用料、要介護度ごとに低く設定された利用限度額、最近の介護取り上げで、介護を必要とする高齢者が在宅で生活を送ることもますます難しくなっております。
質問です。県として特別養護老人ホームの整備をどう促進しようと考えておられますか。特に、要介護四、五の在宅待機者九百七十人をいつまでに解消しますか、知事の御所見を伺います。(拍手)
25 ◯議長(貞末 利光君) 麻生知事。
*知事答弁
26 ◯知事(麻生 渡君)登壇 まず、介護報酬の点についてでございます。介護人材を確保しますためには給与を初めといたしました勤務労働条件の改善が重要でございます。したがいまして、国に対しましては適切な水準の介護報酬の設定をする必要がある、また国の負担割合の引き上げを行う必要があるということで、国に対する要望、意見を提出しております。
介護人材の養成確保の取り組みについてでございます。福岡県の場合には、まず強調しなければいけないのは、福岡県立大学でございます。これは総合的な福祉系の大学でございまして、保健、医療、福祉に携わる多様な人材を養成しているわけでございます。加えまして、介護福祉士の修学資金の貸与、県の社会福祉協議会に社会福祉人材センターを設置いたしております。ここで合同面談会の開催をし、また資格を持っていて実際に就職をしていない皆さんに対する無料の職業紹介活動を行っておるわけでございます。さらに、福祉教育読本の配布、高校生の介護職場での体験授業を実施するというようなことを通じまして、福祉の仕事に対する理解を深め、人材の養成を図っているわけでございます。
介護予防サービスの効果、そしてまた県としての調査についてでございます。全国八十三の市町村で実施をいたしました介護予防サービスの効果分析の結果では、サービスの実施によりまして、要介護度が悪化した人の割合が約四割減少しておるという状況でございます。このような調査結果から考えますと、一定の効果があるというふうに考えております。県のほうでは要支援の仕方につきましては、介護予防サービスが適切に提供されますように、一層関係市町村に対して支援をしてまいる考えでございます。
特別養護老人ホームの整備方針でございます。現在各市町村におきまして特別養護老人ホームの入所申し込み者の実態、住民の意向などを勘案しまして、それぞれの必要量の見直し作業を行っております。県のほうではそのような各市町村の実態を踏まえまして、広域的な調整を行いまして、各保健福祉圏の実態を反映しました高齢者保健福祉計画を策定してまいります。このような計画をもとに、具体的にホームの整備を進めてまいる考えでございます。
27 ◯議長(貞末 利光君) 真島省三君。
28 ◯一番(真島 省三君)登壇 高齢者や介護現場の皆さんの深刻な実態を、本当にどれだけの危機感を持って見ておられるんだろうかというふうに思います。
要望いたします。第一に、繰り返しますが、県として前回の制度改正の目玉である新予防給付が利用者にもたらしている困難をぜひ調査をし、国への要望、県と市町村の次期計画に反映していただきたいと思います。
北九州市の調査では、介護サービスの利用回数が減った、利用しなくなった理由は、制度改正で利用できなくなった、利用しにくくなったが五六・六%で、要介護度が改善したという人は二一・四%にすぎません。知事が一定の効果があると判断した根拠にする厚生労働省の調査は、介護予防サービス受給者に限定したものです。介護予防サービスの利用で、介護度が改善した高齢者がいるのは当然ではありませんか。しかし、都合のいいところだけとった国の調査結果をもって県の追跡調査は必要ないと、訪問介護や福祉用具を取り上げられ、閉じこもりや社会的孤立、状態悪化を招いている高齢者の実態に目をつぶっていいのでしょうか。
第二に、特別養護老人ホームの整備促進のために、明確な姿勢を示していただきたいと思います。本県の高齢者は単身、低所得者が多く、特別養護老人ホームの整備は極めて切実です。八幡西区の町内会長さんが、町内のお年寄りの入所先を探し回って、四万から五万の国民年金だけで高齢者が入れるところはない、在宅は無理、お金がなければ施設もだめと途方に暮れていました。八幡西区の特養の施設長さんは、低所得の高齢者が入れる従来型の特養の増設を希望しているが、なかなか認めてもらえないと言っています。全国平均を下回る本県の整備状況を改善していただきたい。
介護を社会全体で支える仕組みを掲げた介護保険制度は今、家族介護への逆戻りを招いています。政府の調査でも、二〇〇六年十月からの一年間で、家族の介護や看護が理由の離職が四万人もふえて、過去最高の十五万人に上っております。介護の社会化を再構築する介護保険制度の改善と県の次期計画の策定を強く求めて、質問を終わります。(拍手)
29 ◯議長(貞末 利光君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時十分といたします。
午 後 零 時 零 分 休 憩
午 後 一 時 十 分 再 開
30 ◯副議長(吉村 敏男君) 再開いたします。
休憩前に引き続き、一般質問を行います。順次発言を許可いたします。加地邦雄君。(拍手)
*加地議員質問
31 ◯五十五番(加地 邦雄君)登壇 自民党県議団の加地でございます。通告に従い、本県スポーツ競技力向上について質問をさせていただきます。
私は現在、福岡市小学生バレーボール連盟の会長として、バレーボールの普及振興やスポーツを通じた青少年の健全育成に、微力ながら力を尽くしております。スポーツにはすることで得られる効果があるとともに、見ることにより与えられるすばらしい効果があります。スポーツは行うことで体力の向上や精神的なストレスの発散、生活習慣病の予防など、心身両面にわたり健康を保持増進するなどの効果がありますし、スポーツに打ち込み、人間の可能性の極限を追求するひたむきな姿を見ること、最高レベルに高まった競技者の姿を見ることは、国民のスポーツヘの関心が高まるとともに、国民に夢や感動を与え、ひいては活力ある健全な社会の形成につながるものであります。
その意味でも、福岡県には福岡ソフトバンクホークス、アビスパ福岡、ライジング福岡などプロスポーツのチームがあり、その存在は大変大きいものがあります。残念ながら、王監督はことしでユニホームを脱ぎますが、改めて福岡県の財産としての存在意義を再確認し、支えていかねばならないと肝に銘じているところであります。
さて、本年八月に開催されました北京オリンピックでは、私を含めて日本じゅうの人々が、テレビ等を通して伝えられる日本人選手の活躍にくぎづけされたのは記憶に新しいところであります。日本選手団は金メダル九個、銀メダル六個、銅メダル十個の合計二十五個のメダルを獲得し、メダル獲得数では世界第八位となりました。残念ながらアテネオリンピックのメダル総数三十七個を下回りはしましたが、トップアスリートの活躍に日本じゅうが興奮しました。中でもソフトボール競技で日本初の金メダルを獲得する原動力となった上野由岐子、藤本索子両選手や、柔道競技で母親として子育てに奮闘しながらも五大会連続のメダルを獲得した谷亮子選手は福岡県出身であります。また、惜しくも今回メダルを獲得できませんでしたが、北京オリンピックに前述した三人以外に、福岡県ゆかりの選手が十九名参加をいたしております。福岡県ゆかりの選手の最後まであきらめない勝負にこだわった姿や、終了後に支えていただいた人々へ送った選手の感謝の言葉などは、多くの県民に感動を与えましたし、生きる勇気を与えてくれたと確信しています。このように、競技スポーツの振興は、明るく豊かで活力に満ちた社会の形成や個々人の心身の健全な発達に大いに貢献するものと考えています。
国におきましては、平成十二年度にスポーツ振興基本計画を策定し、一貫指導を実施するための体制の整備やすぐれた素質を有する競技者の発掘手法の研究開発等の方策を打ち出しており、これに基づき日本オリンピック委員会を中心に我が国の国際競技力の総合的な向上に向け、さまざまな取り組みを推進しておられます。
本県においても全国に先駆け、十五年に福岡県スポーツ振興計画を策定し、スポーツによる自己実現の支援と県民を元気づけるトップアスリートの養成を目標に掲げ競技力向上に取り組んでおられます。特に県民を元気づけるトップアスリートを養成するためには、ジュニアからのしっかりとした育成が重要だと考えます。将来、谷選手や上野選手、藤本選手に続き、スポーツのすばらしさや意義深さを伝えてくれるトップアスリートが本県から多数誕生することを切に願っております。
そこで教育長にお尋ねします。本県スポーツの競技力向上に向けた取り組み及びその成果についてお聞かせください。
続きまして、教員表彰についてお尋ねします。県教育委員会では、子供たちにわかりやすい授業を工夫したとか、生徒の問題行動をなくすことができたなど、日常的にすぐれた教育活動を行っている教師に対し、これを表彰する制度を本年度から導入されております。私は十八年九月議会において、子供たちの教育の成否は教師の質にかかっており、教師が意欲を持って、教育のプロとして職務に従事できる
環境づくりが非常に大事であり、給与制度についても、めり張りをつけることが大切であると指摘したところであります。今、学校は非常に多様な問題を抱えています。学力低下の問題、非行の問題、また不当な要求を突きつける保護者など、たくさんの問題を現場では抱えながら、教師の皆さんは日々頑張っておられます。しかし、成果というものは簡単にあらわれるものではありません。長い時間をかけていくという日々の積み重ねがあって、やっと成果が出るものであります。このような努力がなかなか報いられていないのが今までの現状でした。今回の県教育委員会の取り組みは、これら日々頑張っている教師の努力に報いることで、教師の士気や質の向上に大きく寄与するだろうと期待をしておるところであります。この表彰が、県の教育界にとって真にプラスとなるためには、表彰を受けた教師が、それにふさわしい処遇を受けることが重要ではないでしょうか。聞けば、今回の受賞者は教員の免許更新が免除されるぐらいだということであります。これでは、これまでの努力に報いることにはならないのではないでしょうか。処遇に反映すること、特に給与上の特典をつけることによって、優秀な教師に報いるということも必要ではないかと考えております。
そこで教育長にお尋ねします。この表彰制度を通じて、教員の士気や質の向上、学校の活性化を図る上でも、ぜひ処遇面での対応を行っていただきたいものですが、この点について教育長のお考えをお尋ねし、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
32 ◯副議長(吉村 敏男君) 森山教育長。
*教育長答弁
33 ◯教育長(森山 良一君)登壇 まず、競技力向上に向けての取り組みと成果についてでございます。トップアスリートを輩出して本県スポーツの競技力向上を図りますためには、早期の人材発掘と一貫した指導プログラムによる育成が重要でございます。このため現在アクシオン福岡と連携をいたしました小中学生対象のタレント発掘事業や競技団体を支援する選手強化事業を実施いたしておりまして、その成果といたしまして、国民体育大会等で本県選手が多数活躍をいたしますとともに、このタレント発掘事業から六名が国際的な大会等に出場をいたしております。今後とも、トップアスリートを目指す者たちの持てる能力を最大限に伸ばしまして、本県競技力の一層の向上に努めてまいりたいと考えております。
次に、教員表彰受賞者に対する処遇面での対応についてでございます。ことしから導入をいたしました優秀教員表彰は、日々の教育実践におきまして顕著な成果を上げておる教員を適切に評価、検証をいたしまして、学校教育の活性化につなげることを目的としたものでございます。この表彰受賞者に対しまして、人事上の処遇への配慮はもちろんでございますけれども、給与につきましても評価に見合った適切な反映がなされることが、広く教員全体の意欲高揚や質の向上につながり、ひいては県民の教育に対する期待にこたえられるものとなると考えておりますので、今後給与等の処遇について検討を進めてまいりたいと考えております。
34 ◯副議長(吉村 敏男君) 井上敏和君。(拍手)
*井上(敏)議員質問
35 ◯三番(井上 敏和君)登壇 民主・県政クラブの井上敏和です。それでは、通告に従いまして、一般質問を行います。
介護保険制度についてお尋ねします。二〇〇〇年にスタートした介護保険制度は、ことしで八年を経過し、今や多くの高齢者やその家族にとって、生活に必要不可欠な制度として定着しています。ここで改めて制度の創設に至る理念や目的を再確認する意味で述べると、第一には介護の社会化の実現を目指すこと、第二に医療と介護の区分を明確にすること、第三には市場原理を活用しながら多様なサービスの供給主体を介護分野に参入させること、そして第四には、保険者である市町村が主体となり、各地域に合ったサービス体系の構築を目指すことによって、国の主導ではなく、地方分権の試金石としての役割を担うことであったと思います。しかし二〇〇六年の制度見直し以降、介護保険制度をめぐっては財源問題を初め、介護予防システムの問題、介護従事者の労働問題、医療費適正化の影響や地域間格差などのさまざまな問題が顕在化してきています。今年度は第四期介護保険事業計画の策定年度に当たります。制度開始から八年がたった現在の介護保険制度は財政的要素ばかりが優先され、さきに述べた、本来の目指すべき目的や理念が希薄になっているのではないかと感じられますが、第四期事業計画の策定に当たっては、本来の目的や理念に沿い、これらの問題にどのように対応していくかが最大の課題だと考えます。とりわけ最近の介護の現場における介護職従事者の人手不足の問題は深刻になってきており、介護関連職種の有効求人倍率の平均は、二〇〇四年度の一・一四倍から二〇〇七年度の二・一倍に、〇・九六ポイント上昇しています。これに対し、この間の全職種を対象とした有効求人倍率は〇・八三倍から〇・九七倍へ、〇・一四ポイントの上昇にとどまっていますので、介護分野での人材確保が厳しくなっていることがわかります。介護労働者全体では約五割を非正規職員が占めるまでになっており、介護関連職種のパート雇用の有効求人倍率も、二〇〇七年度で三・四八倍となっています。
また財団法人介護労働安定センターの調査では、昨年度の介護労働者の離職率は二一・六%で、前年度より一・三ポイント悪化しています。全産業の平均離職率一六・二%に比べ、高い水準で推移しており、これは賃金や社会的評価に対する不満が原因と見られます。また、離職者のうち勤続一年未満での離職者の割合は約四〇%、三年未満での割合は約七五%であり、介護労働者が厳しい労働環境に置かれていることがあらわれています。介護労働者の待遇が改善されなければ、良質なサービスの提供はもとより、人材の確保もままならない深刻な事態となってきます。
そこで知事にお伺いします。一点目に、国が行った介護事業者からのヒアリング調査では、過去二度にわたる介護報酬のマイナス改定によって、介護事業者の多くが経営難により労働条件や労働環境の改善が困難としていることや、介護報酬が低過ぎるために仕事や能力、資格や経験に応じた賃金管理ができないといった問題が明らかになっており、正規雇用の介護職員の給与水準も低く抑えられています。介護現場に働く介護職員の置かれている現在の状況について、知事はどのように認識されているのかお聞きします。
二点目に、本県では二〇〇七年度の全産業の有効求人倍率が〇・七五倍で、介護関連職種の有効求人倍率は一・四三倍となっています。数字の上からも介護労働者の不足傾向は明らかであり、この問題の抜本的な解決のためには、介護報酬の大幅な引き上げが必要であると考えます。厚生労働省も介護報酬の引き上げを考えているようですが、来年の介護報酬の改定に向け、介護報酬を引き上げるよう知事会などを通じて国に強く求めていくべきだと考えますが、知事のお考えをお聞きします。
三点目に、介護報酬の引き上げが行われたときには、その引き上げ分が確実に現場で働く介護労働者の処遇の改善に結びつかなければならないと考えます。介護報酬の引き上げが現実に行われたときには、介護労働者の処遇の改善が行われるように介護事業者、また法人などに対してどのような対応を行うのかお聞きします。
続きまして、二〇〇六年の制度改正の柱であった介護予防サービスについてお聞きします。制度改正によって認定区分の変更が行われ、従来の要支援と要介護度一の二区分だったものが、要支援一と要支援二、そして要介護度一の三区分となり、要支援一や二に認定されると、基本的には介護予防という枠組みの中でのみのサービスが提供されることになりました。本県において要支援一、二及び要介護度一の認定者数は、二〇〇五年の五月時点の約十万六千人から二〇〇七年五月時点の九万九千人に、在宅介護サービス受給者数は、新設の地域密着型サービスを含めても七万九千人から七万三千人に、在宅介護サービスの給付額は五十一億七千万円から四十四億五千万円へと、いずれも制度改正後に減少しています。これは制度の改正がサービスの利用制限につながったのではないかと考えることもできますが、これまでのサービスの利用量が軽度者を中心に減少したことは何が原因であると考えているのか、知事の所見をお聞きします。