高知県議会 > 2022-12-14 >
12月14日-04号

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  1. 高知県議会 2022-12-14
    12月14日-04号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 4年 12月 定例会(第364回)-----------------------------------        令和4年12月14日(水曜日) 開議第4日-----------------------------------出席議員       1番  濱口涼子君       2番  槇尾絢子君       3番  桑鶴太朗君       4番  上治堂司君       5番  土森正一君       6番  上田貢太郎君       7番  今城誠司君       8番  金岡佳時君       9番  下村勝幸君       10番  田中 徹君       11番  土居 央君       12番  野町雅樹君       13番  横山文人君       14番  西内隆純君       15番  加藤 漠君       16番  西内 健君       18番  明神健夫君       19番  桑名龍吾君       21番  三石文隆君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  依光美代子君       26番  大石 宗君       27番  武石利彦君       28番  田所裕介君       29番  石井 孝君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       17番  弘田兼一君       20番  森田英二君-----------------------------------説明のため出席した者  知事         濱田省司君  副知事        井上浩之君  総務部長       徳重 覚君  危機管理部長     中岡誠二君  健康政策部長     家保英隆君  子ども・福祉政策部長 山地 和君  文化生活スポーツ部長 岡村昭一君  産業振興推進部長   沖本健二君  中山間振興・交通部長 中村 剛君  商工労働部長     松岡孝和君  観光振興部長代理同部副部長             小西繁雄君  農業振興部長     杉村充孝君  林業振興・環境部長  豊永大五君  水産振興部長     松村晃充君  土木部長       荻野宏之君  会計管理者      池上 香君  公営企業局長     笹岡 浩君  教育長        長岡幹泰君  人事委員長      門田純一君  人事委員会事務局長  澤田博睦君  公安委員長職務代理者 刈谷敏久君  警察本部長      江口寛章君  代表監査委員     五百藏誠一君  監査委員事務局長   高橋慎一君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       山本和弘君  事務局次長      横田 聡君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     田渕史剛君  議事課長補佐     杉本健治君  主幹         春井真美君  主査         宮崎由妃君-----------------------------------議事日程(第4号)   令和4年12月14日午前10時開議第1 第1号 令和4年度高知県一般会計補正予算 第2号 令和4年度高知県給与等集中管理特別会計補正予算 第3号 令和4年度高知県会計事務集中管理特別会計補正予算 第4号 令和4年度高知県土地取得事業特別会計補正予算 第5号 令和4年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計補正予算 第6号 令和4年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算 第7号 令和4年度高知県流域下水道事業会計補正予算 第8号 令和4年度高知県電気事業会計補正予算 第9号 令和4年度高知県工業用水道事業会計補正予算 第10号 令和4年度高知県病院事業会計補正予算 第11号 高知県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例及び知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第12号 職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例議案 第13号 高知県の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例議案 第14号 高知県旅券法関係手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第15号 高知県立都市公園条例の一部を改正する条例議案 第16号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第17号 高知県建築基準法施行条例の一部を改正する条例議案 第18号 高知県が当事者である訴えの提起に関する議案 第19号 高知県が当事者である訴えの提起に関する議案 第20号 令和5年度当せん金付証票の発売総額に関する議案 第21号 高知県立人権啓発センター指定管理者の指定に関する議案 第22号 高知県立高知公園指定管理者の指定に関する議案 第23号 高知県立埋蔵文化財センター指定管理者の指定に関する議案 第24号 高知県立足摺海洋館指定管理者の指定に関する議案 第25号 高知県立森林研修センター研修館指定管理者の指定に関する議案 第26号 四国カルスト県立自然公園公園施設指定管理者の指定に関する議案 第27号 高知県立池公園指定管理者の指定に関する議案 第28号 高知県立室戸体育館指定管理者の指定に関する議案 第29号 高知県立甲浦海岸緑地公園指定管理者の指定に関する議案 第30号 高知県立手結海岸緑地公園指定管理者の指定に関する議案 第31号 高知県立塩見記念青少年プラザ指定管理者の指定に関する議案 第32号 高知県公立大学法人の出資等に係る不要財産の納付の認可に関する議案 第33号 県有財産(土地)の取得に関する議案 第34号 県有財産(土地)の取得に関する議案 第35号 県有財産(土地)の取得に関する議案 第36号 県有財産の出資に関する議案 第37号 県有財産(土地)の処分に関する議案 第38号 県有財産(土地)の処分に関する議案 第39号 県有財産(土地)の処分に関する議案 第40号 国道441号防災・安全交付金(口屋内トンネル(Ⅱ))工事請負契約の締結に関する議案 第41号 国道494号社会資本整備総合交付金野瀧トンネル工事請負契約の締結に関する議案 第42号 和食ダム本体建設工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第43号 高知県土地開発公社の解散に関する議案 第44号 高知県公立大学法人定款の変更に関する議案 第45号 高知県公立大学法人に係る中期目標の制定に関する議案第2 一般質問   (2人)-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(明神健夫君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(明神健夫君) 御報告いたします。 公安委員長古谷純代さんから、所用のため本日の会議を欠席し、公安委員刈谷敏久君を職務代理者として出席させたい旨の届出がありました。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(明神健夫君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「令和4年度高知県一般会計補正予算」から第45号「高知県公立大学法人に係る中期目標の制定に関する議案」まで、以上45件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問を併せて行います。 8番金岡佳時君。   (8番金岡佳時君登壇) ◆8番(金岡佳時君) 自由民主党の金岡佳時です。議長の指名をいただきましたので、順次質問をさせていただきます。 知事は、高知県の人口動態をつぶさに調べていただいておりますので、現在の状況について改めて説明をする必要はないところでありますが、どのように分析しても極めて厳しい状況が続いているということは共通認識として捉えられるところであると思います。 特に中山間地域の人口減少状況は厳しく、少子高齢化、過疎化に拍車がかかり、嶺北地域においては、本山町には小学校が2校ありますがその他は各町村とも中学校ともに各1校となっております。ガソリンスタンドやスーパーマーケットなど、商業施設や商店も年を追うごとに減ってまいりました。こうした施設や商店の減少は商店街や地域の商圏を消滅させてしまっております。当然のことながら就労の場もなくなり、中山間地域の人口減も自然減と社会減の両方で減少していく構造となっております。 県は、中山間地域の再生なくして県勢浮揚なしを合い言葉に、産業振興計画、そして地域アクションプランを立て、経済を浮揚させるべく取り組んでまいりました。特に、産業クラスター次世代型ハウス導入の取組はすばらしい成果を上げております。これは1人当たりの農業生産高として現れており、高く評価できると思います。 しかしながら、この成果は中山間地域ではほとんど見られません。温暖な高知県ではありますが、沿岸部と違い中山間地域は冬場の寒さは厳しく、耕地も狭い棚田が多くを占めております。いわゆる農業不利地には導入がしにくいものとなっております。その結果、中山間地域の所得は都市部、沿岸部より低いものとなっております。 人口が減っていく要因は数多くあり、複合的なものであるとは思いますが、その中でも大きなウエートを占めるのが所得格差であると考えます。どうしたら安定した都市部並みの所得が得られるのか、模索をしておるところでありますが、特効薬のような答えを見いだすことはできません。 以前に一般質問で戸別所得補償制度という質問をさせていただきましたが、現状の施策の中でという答弁でありました。もちろん県が独自でできる話ではありませんので、現状の施策の中でというのは理解できるところであります。 では、今までにやってきた施策によって効果が現れたのはどのようなものであったのかと考えてみますと、公共事業であり企業誘致であり、平場では先ほど挙げました次世代型ハウスの導入などでありました。要するに投資であります。嶺北地域におきましても、高知おおとよ製材やエフビットコミュニケーションズの誘致は嶺北経済に大きな影響を及ぼしておりますし、アクションプランにおける投資も大きな効果を出しております。 そこで、さらなる企業誘致をと言いたいところですが、労働力の確保が困難な状況では企業誘致は望めません。アクションプランにおきましても、次から次へと新しい芽が出てくるものではありません。 中山間地域においては、今なお大きな就労の場となり、地域経済に大きな経済効果をもたらしている公共土木事業への投資、また兼業農家を含めれば就労人口の最も多い農業に対して基盤整備や省力化への投資、さらには再生可能エネルギーによる発電設備等への投資が所得向上に結びつく確実な方策だと思います。投資によって所得の向上を図り、中山間地域で生活ができるようにすることが、少子高齢化、過疎化の現実的な歯止め策と思います。 現在の少子高齢化、過疎化の状況をどのように捉え、どのような方策で解決に向けて進めていこうと考えているのか、知事に御所見をお伺いいたします。 特に、農業基盤整備や省力化への投資は、中山間地域の棚田など農地の保全、新規就農者などの移住促進、ひいては農業を守るためにどうしても必要な未来への投資であります。中山間地域においては、基盤整備のできていない棚田の地域が数多く残っております。そして、多くの棚田が年を追うごとに耕作放棄地となっております。 県下の状況を見てみますと、基盤整備率の高いところは耕作放棄地になっている率が小さく、基盤整備率の低いところは当然のことながら耕作放棄地になっている率が大きくなっております。就農者の減少率はおおむね同率で推移しておりますので、基盤整備ができているところは1人当たりの耕作面積が増え、生産効率が上がっていることがうかがえます。 新規就農者にいたしましても、農地が整備されていない土地での就農はできませんし、後継者がいたとしても整備は必須となります。中山間地域の農家の年齢は70歳代が中心となっており、自分の代で耕作は終わるという方々がほとんどで、基盤整備をする意欲を持っておりません。したがって、農家の方々から基盤整備をしたいという提案は出ないものと思われます。 そこで、それぞれの地域の中で地滑りの心配や、整備をする棚田の取捨選択、水路や道路の整備の検討など可能性の調査を積極的に行い、地域に提案することが求められていると思います。もちろん整備負担にいたしましても受益者負担なしでなければなりません。現状の補助制度では難しいところもあるところですが、現在でも復元のできない地域が数多く見られる状況でありますから、今直ちに取りかからなければなりません。 中山間地域の基盤整備の現状をどのように捉えているのか、その中で課題はどのようなものがあり、そしてどのような方向を目指し、どのように取り組んでいくのか、農業振興部長に御所見をお伺いいたします。 次に、中山間地域のデジタル化についてお伺いをいたします。県はデジタル化、グリーン化、そしてグローバル化を施策の3本の柱として取り組んでおります。これらは目指す方向として納得できるものであり、強力に推し進めていただきたいと思っているところであります。 その中で、デジタル化については省力化の切り札として各分野に導入が期待をされております。農業においてもNext次世代型こうち施設園芸システムの普及推進、IoPクラウドの本格運用等、デジタル化が期待されているところでありますが、中山間地域では嶺北地域を例に挙げますと、エフビットファームこうち以外では残念ながら次世代型ハウスは見られません。 中山間地域でのNext次世代型こうち施設園芸システムの普及推進、IoPクラウドの本格運用、データ駆動型農業の推進などについての現在の状況、そしてその問題点、今後どのように進めていくのか、農業振興部長の御所見をお伺いいたします。 農業のデジタル化については、平成29年度の地域IoT実装推進事業により、本山町に100台の水田センサーを導入いたしました。水管理の省力化、気温・水位データ等水田ごとのデータを蓄積することにより、病害虫の発生原因を調査、肥料や農薬の効率的な散布などの効果が期待でき、本山町でしか作れないおいしいお米作りに必要な条件を解明するとのことでありました。 どのようなデータが得られているのか、農業振興部長にお伺いをいたします。 そして、課題として、通信費の削減とさらなる省力化、データの有効活用などが挙げられておりました。本年度、中山間地域デジタル化支援事業として、頭首工ゲート遠隔操作システム開発、水路及び水田の水位監視センサー開発LPWA中継局の構築とそれらの試験運用が実施スケジュールに上がっておりますが、現在どのように進んでいるのか、中山間振興・交通部長にお伺いをいたします。 これらは平成29年の地域IoT実装推進事業導入時から課題として挙げられておりましたので、国の事業スケジュールに従ってと言われればそれまででありますが、事業のスピードは耕作放棄地になるスピードに追いついておりません。本年の事業は、それぞれの装置が確実に目的どおり作動するかどうかを検証する事業であると思いますので、結果の検証にはあまり時間を要しないと思います。 水田センサーや水門管理の自動化は、棚田維持の切り札だと思いますが、今後どのようにして横展開をし、各地域への導入を図るのか、中山間地域への投資として、国の事業がなければ県の事業としてでも進めるべきであると思いますが、中山間振興・交通部長に御所見をお伺いいたします。 去る9月19日に台風14号が日本列島の西側をなぞるように通過をし、高知県にも倒木による停電被害など大きな被害をもたらしました。特に、ビニールハウスの倒壊など農業被害は甚大で、3億5,000万円余りに上っております。被害に対する対応は、ほぼ保険により対応しておるところでありますが、令和3年度の園芸施設共済の加入率は97.6%と全国的に見ても非常に高く、ビニールハウス等の倒壊被害の対応は何とかできたのではないかと思われます。 しかしながら、圃場の冠水や作物の倒伏などによる被害の救済はされておりません。これについては収入保険でということになっております。収入保険は、全ての農産物を対象に、経営努力では避けられない収入減少を補償するもので、基準収入の90%を下回った場合下回った額の9割を上限に補填され、保険料の50%、積立金の75%が国庫補助されるものでありますが、加入に青色申告を行っているもの、そして国庫補助があるとはいえ、基準収入1,000万円で保険料8.5万円、積立金22.5万円、付加保険料2.2万円を負担しなければなりません。その結果、高知県の青色申告を行っている農業経営体数3,718のうち1,111経営体が加入し、29.9%となっております。 白色申告を行っている農業者を含め、全農業経営体が加入するのが理想でありますが、全農業経営体で見ると加入率はどのようになっているのか、農業振興部長にお伺いいたします。 全ての農業者に加入していただくためには、まず青色申告をしていただく必要があります。青色申告をしていただくためにどのような手だてを打たれているのか、農業振興部長にお伺いをいたします。 また、保険料負担につきましても、収入保険加入の大きな阻害要因となっております。大豊町のある農家から、ユズの収量が例年の二、三割であったと聞いております。裏年とはいえこんなことは初めてだ、今や農業は全く先の読めない仕事となっており安心してやることができない。また、14号台風で被災した方の中には、今年の収入は一円も見込めなくなった、このままでは農業をやめなければならないなど悲痛な声もありました。中山間地域での新規就農はますますハードルの高いものになってきているのではないでしょうか。 そこで、保険料負担を軽減するために県から補助が必要だと考えます。全国を見ても多くの都県が補助をしておりますし、高知県においても11市町が補助をしております。 今後、全農業経営体への加入に向けて保険料への補助など、どのように支援していくのか、農業振興部長に御所見をお伺いいたします。 次に、林業についてお伺いをいたします。 日本の人工林は、多くが戦後や高度成長期に植えられ、伐採時期とされる50年を超え、高知県においては10齢級から12齢級が中心となっております。そして、手入れがされず放置されるケースも数多くあります。全国の人工林面積は1980年以降、1,000万ヘクタール余りであまり変わっておりませんが、植樹から51年以上の老齢化した林の割合は、2007年が2割、215万ヘクタールであったのに対し、2017年は5割、510万ヘクタールに達したようであります。 環境省によりますと、老齢化の影響で森林の二酸化炭素の吸収量は、2014年度の5,220万トンから2020年度は4,050万トンと、僅か6年で22%も減少したと言われております。これは、一般家庭の年間排出量に換算いたしますと400万世帯分に当たるようであります。 政府の温室効果ガスの削減目標は、人類の活動による排出量から森林による吸収量を差し引いた実質的な排出量で算出しています。今のペースで老齢化が進めば、数年のうちに2030年度の削減目標--2013年度比で46%削減--で想定する森林の吸収量3,800万トンを割り込むおそれが大きいと言われており、下げ止まらせる方策が必要と言われております。 また、巨木になってきますと、需要も少なくなると同時に、伐採、搬出も困難になってまいります。さらに、山腹崩壊の危険性も増してまいります。要するに、人工林の適正な管理と更新が必要であるということであります。 そこで、皆伐、間伐、再造林等、高知県の森林の状況と今後の森林更新策について林業振興・環境部長にお伺いをいたします。 間伐については、緊急間伐総合支援事業などによって行われているところであり、山林所有者の皆様からも評価をされているところでありますが、割当て量が少なく、希望しても翌年になってしまったとの話を多く聞くところであります。この事業の拡充をしなければならないと考えます。 さらに、再造林率は相変わらず増えていないところでありますが、高知県のような急斜面の多い山での地ごしらえは非常に手間がかかるということで、森林組合の事務経費程度は再造林の補助金額を増やさなければ再造林は進まないという御意見をいただいているところであります。 これらの事業の拡充、補助金の増額について林業振興・環境部長の御所見をお伺いいたします。 次に、主に国管理区間吉野川水系流域治水プロジェクト令和4年7月28日公表時点のものとその参考資料令和3年3月30日公表時点のもの、及び県管理区間の吉野川水系河川整備計画平成24年1月について、2つの記述は重なる部分も多くありますので、両方を比べながら質問をいたします。 吉野川水系流域治水プロジェクトは日本一の暴れ川から命と資産を守る流域治水対策とうたわれており、令和元年東日本台風では各地で戦後最大を超える洪水により甚大な被害が発生したことを踏まえ、吉野川水系においても、岩津下流の扇状地への拡散型の氾濫や岩津上流の川沿いの貯留型の氾濫が発生する水害特性に対して事前防災対策を進める必要があることから、河川整備や支流氾濫対策として農業用ため池の活用や吉野川の氾濫対策としての堤防整備と一体となった土地利用規制などの取組を実施していくことで、国管理区間においては戦後最大の平成16年10月洪水等と同規模の洪水を安全に流し、流域における浸水被害の軽減を図るとあります。 吉野川水系河川整備計画は、対象区間が高知県管理の41河川、対象期間はおおむね20年とし、地蔵寺川下流部について30年に一回程度発生する規模の降雨による洪水を安全に流下させるため優先的かつ重点的に河道の整備を行う、本流をはじめとする他の河川についても局部的な改良、洪水による被災箇所の復旧や堆積土砂の撤去などにより治水機能の向上と適正な維持管理に努める、ほかにも自然環境や生態の在り方など多くの記述がされております。 吉野川水系流域治水プロジェクトは、国管理区間においてはと書かれているように、ほとんどが国管理区間の市町村の治水対策であります。また、早明浦ダム再生事業もその一環として行われるものであり、国管理区間の治水対策が主要な目的であります。このほかにも嶺北4か町村の取組も挙げられておりますが、それぞれ町村独自の林業の取組を流域治水プロジェクトの一部として取り上げているだけであります。 吉野川水系流域治水プロジェクトにどのような高知県の取組が位置づけられているのか、土木部長にお伺いをいたします。 先ほど挙げました早明浦ダム再生事業は、工期が2018年度から2028年度までの11年間となっております。予定で総事業費が約400億円のビッグプロジェクトであります。しかし、それで恩恵を受けるのは主に吉野川水系国管理区間であります。11年間の工期中、早明浦ダム周辺地域はそれなりに不便を強いられるわけであります。それでも、嶺北地域には経済的に大きな波及効果があるだろうと期待をし、受け入れているところであります。また、波及効果の大きさは、いかに資材や消費財を地元で調達していただけるかにかかっております。 そこで、国や関連団体に対し地元業者を使うような配慮をお願いしたいところであります。県におきましては機会を捉えて、地域への配慮について国や関連団体との連携をお願いいたします。 地蔵寺川の河川整備は、堤防整備として地蔵寺川の大規模特定河川事業で、県道土佐中島橋から町道樺橋までの850メートル区間を大規模事業区間として設定し整備を進めていくとあり、現在行われております。 この計画は、そもそも県管理区間の吉野川水系河川整備計画の河川整備の実施に関する事項の中でも、吉野川合流地点から1,700メートルの区間について護岸工事を実施するとありましたが、この工事がどのような形で進められ、いつまでに完了するのか、土木部長にお伺いをいたします。 吉野川水系流域治水プロジェクトには、大豊町において平成30年7月豪雨災害で被災を受けた立川川への支流に地滑りによる土砂や流木が大量に流れ込んでおり、大豊町が堆積土砂や流木を計画的に撤去するとあります。平成30年豪雨では立川の一の瀬地区において立川川の河床が上がったため、県道の上まで水位が上がっております。 県が管理する区間についても河床を下げる対策が必要でありますが、今後どのように行うのか、土木部長にお伺いをいたします。 県管理区間の吉野川水系河川整備計画によりますと、本山町寺家地区と帰全山公園周辺において自然石を用いた親水護岸を整備するとともに、水際のヨシ原の伐採を行うとあります。本山町寺家地区については工事が進んでおりますが、帰全山公園周辺については手つかずでありますし、水際のヨシの伐採についても行われておりません。 今後どのようにやっていくのか、土木部長にお伺いをいたします。 動植物の生息・生育状況について、キシツツジの植物群落が重要な植物群落に挙げられ、さらに重要種の魚類や両生類、昆虫も確認され、国内希少野生動植物の指定を受けている鳥類も確認されているとあります。そうした確認の上に立って、河川環境の整備と保全に関する目標については、現況をモニタリングするとともに、関係機関と連携し、地域が一体となった河川愛護活動を通じ、良好な水質の維持に向けた取組を推進するとあります。 動植物の生息・生育・繁殖環境については、植生をはじめ生態系の現状把握に努め現在の多様で良好な環境を維持していくことを目標とする、また工事等を実施する際には河川環境に与える影響を考慮することとし、水際に繁茂するヨシ原については適正に維持管理を行う、さらに河川環境と景観の保全・維持を図るため、日頃から現状の把握に努め、必要に応じて関係機関と連携するとともに学識者からの指導・助言を受けて適正な管理に努める、また関係機関と連携して魚類など上下流の移動の連続性を確保するように努めるとあります。 これらに書かれているモニタリングや河川愛護活動など、水質や環境の維持についてどのように実施してきたのか、そして今後どのように取り組んでいかれるのか、土木部長にお伺いをいたします。 また、ほかにも課題として、濁水の長期化や低水温の放流、さらに河床の石に付着した泥の対策、多くの人々がより一層川と親しむための利用者間の調整や、人と川との触れ合いに関する施策が挙げられておりますが、どのように取り組んでこられ、どのような成果が上がり、今後どのように進めていくのか、土木部長にお伺いをいたします。 今、中山間地域では急激な人口減少に伴い、あらゆる分野で人手不足が起こっております。農林業をはじめとする1次産業はもとより、医療・介護の現場、さらには集落活動センターなど、あらゆる産業や活動の現場において担い手がおりません。 そこで、地域社会及び地域経済の重要な担い手である地域づくり人材が安心して活躍できる環境整備を図るため、特定地域づくり事業協同組合制度が議員立法で制定され、2020年6月に施行されております。そして、その目的は、地域づくり人材の確保及びその活躍の推進を図り、もって地域社会の維持及び地域経済の活性化に資することとされております。 急激な人口減少の続く中山間地域にとって極めて有効な制度だと思いますが、県下ではまだ2町村しか発足されていないと聞いております。多くの市町村では導入したいと考えていると思います。 導入することに踏み切れない課題にはどのようなものがあり、課題解決のためどのような手だてを打たれているのか、また今後の見通しについてどのような御所見をお持ちなのか、中山間振興・交通部長にお伺いをいたします。 以前から高知競馬場の馬ふんの処理については議論がされているところでありますが、問題となっていた集積場に堆積していた馬ふんも土のう袋に詰め、場内に一旦撤去させている状態であります。競馬場にとっては不要なものであり、焼却による処理も行われているところであります。 高知競馬場から排出される馬ふんの量は、1頭当たり排出量が15キロから20キロとすれば、全頭数が約600頭でありますので、月に270トンから360トンとなります。今後、処理方法について競馬組合もいろいろと考えているところでありますが、ロシアのウクライナ侵攻以降肥料の価格は暴騰し、農家の皆様方が非常に苦労されており、優良な堆肥の提供が期待されているところであります。 このように考えますと、活用できる原料があるわけでございますから、堆肥としての活用を農業振興部として考え、取り組んでいくべきではないでしょうか。土佐町の堆肥工場へ馬ふんを持ち込めば簡単に堆肥はできます。 どのようなものと混ぜ合わせれば施設園芸などに有効な堆肥ができるのか、県の試験場などで成分分析などを行い、良質な堆肥が生産できることを確認できれば、高知県競馬組合などが堆肥を生産していくことが望まれる形であろうと思いますが、農業振興部長の御所見をお伺いいたします。 一昨年末からの大寒波により電力需給が逼迫したことに加えて、液化天然ガスの不足による高騰、そしてロシアのウクライナ侵攻によって燃料費がさらに高騰し、新電力の経営が非常に厳しくなっているとの報道がされております。11月下旬時点で新電力の約2割が事業からの撤退に追い込まれているようであります。 液化天然ガスや石炭価格の高騰は電力価格を押し上げ、市場で売買される電力価格は日本卸電力取引所のスポット取引の平均価格で、前年同期に比べると約6割高くなっているようであります。そのため、電気の販売価格より調達価格が高いという逆ざやの状況になっている事業所も少なくないようであります。 高知県では、高知県庁本庁舎など多くの施設で新電力会社と電気使用契約を結んでおります。しかし、新電力の経営が厳しくなっているということで、県庁本庁舎をはじめとする新電力との契約を結んでいるほとんどの施設で入札参加者がいないため不調となり、次期の契約は四国電力と結んでいると聞いております。 四国電力も燃料費の高騰により、2023年4月1日より低圧料金について平均28.08%の値上げを国に申請しております。どのような契約を結ぶのか、施設によって違いはありますけれども、高圧の業務用電力で契約いたしますと、夏季料金で1キロワットアワー28円98銭、その他の季節で27円80銭となっております。また、そのほかに1キロワット1,641円98銭の基本料金もかかってまいります。 一方で、永瀬、吉野、杉田の3県営水力発電所は、四国電力に電気を供給しております。発電ができなかった場合の補償や、託送料金などの問題がある中で、売電料金は1キロワットアワー当たり10.29円となっております。 燃料費は今後も高止まったまま推移すると思われます。次期の契約更新時には県有施設への電力供給を検討すべきではないかと思いますが、公営企業局長の御所見をお伺いいたします。 再生可能エネルギーによる発電は燃料価格の変動の影響を受けにくい特徴があります。近年、地球温暖化の影響か、ほとんどの施設に空調設備が整備されております。空調設備が最も電力を消費いたしますので、県の施設や市町村においても、ランニングコストの削減をしたいところに再生可能エネルギーによる発電設備の整備をすることは極めて有効であります。 学校など夜間あまり使われていない施設は太陽光発電が有効でありますし、中山間地域の急峻な谷などでは砂防ダムを利用した小水力発電所などが考えられます。県が数年前に撤去した大豊町の風力発電施設の跡に四国電力が新たに風力発電施設を建設するとも聞いております。 これからEVやドローンの普及等、電力需要が増えてくるものと思われますし、CO2の排出抑止、燃料の高騰や、それに伴う電気料金の値上がりなどの状況を考えていくと、再生可能エネルギーの利活用のための可能性調査を進め、市町村への支援と併せ、再生可能エネルギーの導入促進に取り組んでいくことが必要であると考えますが、公営企業局長の御所見をお伺いいたしまして、私の1問といたします。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 金岡議員の御質問にお答えをいたします。 少子高齢化、過疎化の状況をどのように捉え、どのように解決に向けて進めていくのかというお尋ねがございました。中山間地域に関わる問題でございます。 本県におきましては、全国より15年先行して人口の自然減に陥りまして、人口減少・高齢化社会に突入をしたという経緯がございます。特に、中山間地域でその影響が顕著に現れておりまして、7月に公表いたしました集落データ調査におきましても、中山間地域の人口減少率、高齢化率は県全体を大きく上回っており、逆に年少人口割合は下回っているという状況にございます。 こうした地域におきましては、産業や地域の担い手が不足をし、それを要因とした活力の低下、さらには基幹産業の衰退などの負の連鎖が生じていくという大変厳しい状況にあるというふうに認識をいたしております。この流れを少しでも食い止め、反転をさせていくというためには、Uターンを含めました移住の促進と併せまして、御指摘がありましたように所得向上を図る地域の産業振興、そしてそのための投資が重要となるというふうに考えます。 このため、移住促進・人材確保センターを中心に、地域の産業を支えます人材の確保に取り組んでいるところであります。あわせまして、産業振興計画に掲げた成長戦略を通じ、基幹産業であります1次産業の振興を図るということと同時に、地域の資源を生かしました地域アクションプランに取り組んでおります。 例えば、嶺北地域におきましては、シソなどの地域の農産物を生かした商品開発に加えまして、土佐あかうしのさらなる生産拡大、加工や販売促進といった6次産業化に取り組んでおります。また、アウトドアヴィレッジ本山などの拠点施設を生かしまして交流人口を拡大していく取組、また自然環境を生かしました教育旅行の受入れなどにも取り組んでいるところであります。さらに、議員から御提案ございました、効率的かつ安定的な農業を展開する上で欠くことのできない農業の基盤整備でございますとか、ドローンなどのスマート農業技術を積極的に推進しているところでございます。 あわせまして、地域に存します豊かな森林資源を建築の用材からバイオマス燃料まで余すことなく活用ができますよう、さらなる原木生産の拡大にも取り組んでおります。さらに、産業振興の基盤となります道路などのインフラ整備につきましても、国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の予算なども最大限に活用して取り組んでいるところでございます。 引き続きこうした施策を進め、将来に向けて必要な投資の展開を図っていくということに加えまして、集落活動センターをはじめとする中山間対策を総動員しながら、中山間の振興なくして県勢浮揚なしとの強い思いの下に、地域や市町村の皆さんと共に全力で取り組んでまいる所存であります。 私からは以上であります。   (農業振興部長杉村充孝君登壇) ◎農業振興部長(杉村充孝君) まず、中山間地域の基盤整備の現状と課題、推進方針についてお尋ねがございました。 中山間地域における基盤整備の現状は、例えば棚田など狭小な農地が点在している嶺北4町村の基盤整備率は令和3年度末時点で24.1%と、県平均の51.3%と比べ半分以下であり、基盤整備が進んでいない状況にあります。 その主な要因としては、特に中山間地域では1戸当たりの経営規模が小さいことから、事業の面積要件を満たすためには関係者が多くなり、地域での合意形成が思うように進まなかったこと、また担い手の高齢化が進んでおり、基盤整備への投資意欲が減退していることなどが挙げられます。 こうした中、本県から国への政策提言により、平成30年度に創設された農地中間管理機構関連農地整備事業は、中山間地域の場合、1団地が50アール以上、かつまとめて5ヘクタール以上と、一般事業の半分の面積要件で事業実施ができ、あわせて農家に負担を求めない極めて有利な事業でありますことから、現在県としても積極的に新規地区の掘り起こしを行っており、これまでに北川村をはじめ4市町村において5地区が事業着手しております。 こうした有利な事業等を活用した基盤整備を推進するために、県ではこれまでの地元からの要請待ちの姿勢から、積極的に地元に提案するといった攻めの姿勢で啓発活動を行い、地域の農業者の方や、市町村の意識の醸成を図る取組を強化しております。また、事業化に向けましては、市町村やJA等と連携したプロジェクトチームを立ち上げるなど推進体制を強化し、地域の合意形成を支援しております。 こうした取組を重ねることで、中山間地域におきましても地域で暮らし稼げる農業の下支えとなる優良農地の確保に向けて、市町村とも連携を図りながら、基盤整備をより一層推進してまいります。 次に、中山間地域におけるデータ駆動型農業の推進などの現状や問題点、今後の取組についてお尋ねがございました。 Next次世代型こうち施設園芸システムの取組では、IoPプロジェクトによる研究開発とデータ駆動型農業による普及を進めており、本年9月にはその核となるIoPクラウド、SAWACHIが本格運用を開始したところでございます。 これまでは、本県の施設園芸の主要7品目を中心に開発と普及を進めてまいりましたが、今後は施設園芸での品目の拡大に加えて、中山間地域での雨よけ栽培や露地園芸などについてもデータに基づく栽培管理が行えるよう、取組を広げていく必要があると考えております。そのため、中山間地域では先行的な取組として、例えば嶺北地域では雨よけ栽培の米ナス、ミニトマト、ユリの圃場6か所において、IoPクラウドへのデータ集積と、そのデータに基づく営農支援に着手したところでございます。 しかしながら、現段階では雨よけ栽培や露地園芸におけるデータ活用の手法が確立されていないという課題があることから、来年度から気象データに基づく病害虫防除や、土壌水分量データに基づくかん水管理など、データ活用に向けた実証を行うこととしております。また、一部の圃場においては、データ収集に必要となる電気や通信環境が整っていないという課題があることから、簡易なソーラーパネルで稼働できる環境測定装置の導入や、一旦手動でデータを取り出し、通信環境の整った場所からIoPクラウドへデータを送信する方法などを検討しているところでございます。 今後、こうした課題の解決とともに、取組の成果を県内に広く普及していくことで、中山間地域におけるデータ駆動型農業をしっかりと推進してまいります。 次に、水田センサーの導入によって得られたデータについてお尋ねがございました。 水田センサーの導入以降、水田ごとにセンサーによる水位や水温、気温に加え、米の収穫量と品質のデータを蓄積してきました。これらの蓄積されたデータを分析、検証することにより、気温差の大きい中山間地域の米作りに有益な新しいデータが得られたところでございます。 具体的には、米の熟す時期の気温を解析することで、標高が低い地区にはにこまるの栽培が、標高が高い地区にはヒノヒカリの栽培が適していること、また稲穂が出てからの平均気温を積算することで、標高ごとの収穫に適した時期が予測できること、さらに収穫量と品質を高めるための水管理の方法といったことが明らかになりました。 今後は、本山町農業公社やJAと連携して、これまでに得られたデータを活用して生産者の皆様の収量と品質の向上につなげてまいります。 次に、収入保険の加入率についてお尋ねがございました。 2020年の農林業センサスによりますと、本県の農業経営体数は1万2,657人で、収入保険の加入率は8.8%となっております。 次に、農業者が青色申告をするための手だてについてお尋ねがございました。 青色申告は、帳簿をつけることで農業者が自らの経営を客観的につかむための重要なツールであります。主なメリットとしては、収入保険に加入できるほか、最高65万円の特別控除を受けられる税制上のメリットや、金融機関からの信用を得やすいといった経営上のメリットがございます。 このため、県では、これまで新規就農者や経営改善を希望される方などを中心に、農業振興センターとJAが連携して簿記の記帳を指導するとともに、青色申告のメリットを説明するなどの啓発活動を行っております。また、農業共済組合では、地区の協議会やJAの部会などを利用して、経理の講習会や税理士による個別相談会を行うなど、収入保険への加入促進の一環として、青色申告につなげる啓発活動に取り組んでおります。 今後も、収入保険の啓発活動などを通じて農業者の皆様に青色申告の大切さやメリットを周知するとともに、JAグループとも連携し、簿記の記帳などの指導を行うことで、農業者の経営安定につながるよう取り組んでまいります。 次に、全農業経営体の収入保険への加入に向けた支援についてお尋ねがございました。 収入保険は、台風などの自然災害や価格低下だけではなく農業者の経営努力では避けられない収入減少を補填するセーフティーネットであり、県としては多くの農業者の方々に加入していただきたいと考えておりますが、一方で積立金などが大きな負担となって、お話にもありましたように、本県では11市町が保険料の負担を軽減するための補助を行っております。 このような状況は全国でも同様であり、現在国では農業者の負担軽減を含めた制度の見直しを検討しており、その中で積立金の負担を減らし、補償を充実させた新たな補償のタイプを創設する方針が決定されています。また、このほかにも収入保険の加入要件である青色申告について、従来の少なくても2年分の申告実績が必要であったものが、加入申請年の1年分だけの申告実績で加入できるように見直しがされております。 今回の見直しに関する詳細な制度設計につきましては今後検討されるとお聞きしておりますが、県としましては農業者にとって大変メリットとなる制度の見直しであり、収入保険へのさらなる加入促進につながるものと期待しております。 引き続き国の動向を注視し、情報収集に努めるとともに、必要に応じて農業者の負担軽減につながる制度となるように国へ政策提言を行うなど、制度の充実が図られ、より多くの農業者の皆様が収入保険に加入されますよう取り組んでまいります。 最後に、高知競馬場の馬ふんの有効活用についてお尋ねがございました。 国は、みどりの食料システム戦略において持続的な農業の実現に向けて、化学肥料の3割削減や、有機農業の取組面積を25%に拡大するなどの目標を掲げています。こうした中、本県において化学肥料削減や有機農業の拡大に取り組む上で、高知競馬場から排出される馬ふんは堆肥などの原料として魅力的な資源であると考えております。 競馬組合では、馬ふんをできる限り有効に活用していく観点から、現在、来年度建設予定の新たな馬ふん集積場を利用して、2か月程度かけて発酵を促進させ、堆肥化をする方法を検討していると聞いております。 県としましては、生産される堆肥を農家の皆様に安心して使っていただけるよう、まずは家畜保健衛生所による品質の高い堆肥の生産に向けた助言や、畜産試験場による成分分析、農業技術センターなどによる生産された堆肥を使った野菜などの栽培実証に取り組んでまいります。   (中山間振興・交通部長中村剛君登壇) ◎中山間振興・交通部長(中村剛君) まず、本山町において実施している中山間地域デジタル化支援事業の現状、また今後の横展開についてお尋ねがございました。関連いたしますので、併せてお答えさせていただきます。 今年度、新たにデジタル技術を活用して中山間地域の課題解決を図る補助制度を創設いたしました。この制度を活用し、本山町では農業分野の取組として、自宅にいながら水田の水位などを確認し、遠隔で水門を操作することができる省力化技術の実証と実装を目指した取組を2か年計画で行っております。 現在、町が選定した受託業者によって、水門を遠隔管理するシステムや水田の水位を監視するセンサーなどの開発が進められており、今年度中には圃場での動作試験などを行う予定です。また、来年度は、この動作試験などを踏まえた遠隔管理システムの改良、地域全体をカバーする通信環境の構築、より広い範囲での動作検証などを行い、一連のシステムを完成させる予定です。 このシステムは、中山間地域における労力軽減などに非常に効果的であることから、早期に他の市町村にも横展開を図っていきたいと考えております。このため、実証事業中も現場での動作を他の市町村にも見ていただき、早期の導入検討を促すとともに、実証事業により得られた技術や運用方法、コストなどの内容をまとめ、他の市町村でもすぐに導入できるよう情報提供を行ってまいります。また、実際の導入に際しては、農林水産省の交付金が活用可能でありますので、農業振興部とも連携し、県内各地域への普及につなげてまいります。 次に、特定地域づくり事業協同組合の制度導入に当たっての課題、その解決のための手だて、今後の見通しについてお尋ねがございました。 特定地域づくり事業は、単なる労働力の確保にとどまらず、産業や地域活動の担い手を育成することで地域の活性化につなげていく取組であり、本県中山間地域にとって大変有用な取組と考えております。 しかしながら、昨年度東洋町と馬路村で組合が設立されて以降、他の地域では組合の設立に至っておりません。設立が進んでいない要因としては、市町村において、安定的な雇用を維持するために必要となる派遣先事業者の確保、これが見通せていないこと、組合の運営に赤字が出た場合に公費を投入することに対する懸念があること、また組合立ち上げ時には事業計画の策定をはじめ、設立認可や事業認定の手続など法的知識が必要な様々な事務があり、職員の事務負担が増加することなどが考えられます。 このため、県では、制度説明会や現地視察研修会を開催するなど、制度の理解促進を図っておりますほか、派遣先事業者を確保するために市町村が実施する意向調査に対しますノウハウ、実施方法の助言を行うとともに、赤字とならないしっかりとした事業計画を策定するための専門のアドバイザー派遣、組合の設立認可や事業認定などの手続についての高知県中小企業団体中央会と連携した支援を行っているところでございます。 この結果、現時点では新たに複数の市町村において設立へ向けた具体的な動きが出てきております。今後は、これらの市町村において早期に組合が設立されるよう、先ほど申し上げましたアドバイザーと県、中央会などが市町村のプロジェクトチームに参画し、伴走支援を行ってまいります。加えまして、組合を立ち上げる際のコストに対しましても、それを低減する新たな支援制度を検討していきたいと考えております。   (林業振興・環境部長豊永大五君登壇) ◎林業振興・環境部長(豊永大五君) まず、皆伐、間伐、再造林など森林の状況と、今後の森林の更新策についてお尋ねがございました。 令和2年度の本県民有林における人工林は、利用期を迎えた植栽から45年を超える10齢級以上の森林が約86%を占めており、議員御指摘のとおり高齢級の森林が増加をしております。 そうした中、皆伐面積は、令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込んだものの、皆伐の推進を始めた平成24年度の485ヘクタールが、コロナ前の平成30年度には近年最大の814ヘクタールとなるなど増加傾向にあります。 一方、間伐面積は、皆伐への移行などにより、平成24年度6,419ヘクタールが令和3年度には4,493ヘクタールとなっており、減少傾向となっています。また、その内訳としましては、森林の成熟化や平成23年度に国が行った搬出間伐を重点的に支援する制度への移行により、平成23年度は全体の約2割であった搬出間伐が平成29年度には5割を超え、保育間伐を上回っております。 また、再造林面積については、平成24年度の169ヘクタールが令和3年度には299ヘクタールと増加傾向にはありますが、皆伐に対する再造林率は40%ほどにとどまっています。 今後の森林更新につきましては、森林の循環利用による持続可能な林業の推進はもちろんのこと、カーボンニュートラルに寄与する森林の役割からも重要な課題となってまいります。 そのため、来年4月から本格稼働する森林クラウドの活用などにより、適時適切な皆伐、間伐を促進してまいります。また、再造林につきましては、低コスト造林の一層の推進や自主的に組織された再造林基金団体への支援など、さらなる森林所有者の負担軽減に取り組んでまいります。こうしたことにより、成長の旺盛な若い森林を造成し、カーボンニュートラルの実現にも寄与してまいります。 次に、緊急間伐総合支援事業の拡充と再造林への補助金の増額についてお尋ねがありました。 まず、緊急間伐総合支援事業は、国庫補助事業の対象とならない小規模な間伐に対し、市町村を通じ支援を行うものです。この事業は要望の多い事業であることから、皆伐や再造林に係る事業との統合整理や市町村の行う支援との連携によって、事業要望に対応できる効果的な支援が行えるように今検討しているところです。 また、市町村で認定を受けた計画に基づき実施する小規模な間伐については、面積要件の緩和などによりまして本年度から国庫補助事業の対象となりましたことから、要望に対応できるよう国の予算の確保に取り組んでまいります。 次に、再造林につきましては、県内では傾斜が30度を上回る森林が60%を占めており、厳しい地形条件も課題となっています。このため県では、苗木運搬の軽労化のためのドローンの活用とともに、地ごしらえや下刈りの省力化に向けた先端的な機械の実証等に取り組んでおり、経費の削減にもつなげてまいりたいと考えています。 また、再造林を進めていくためには、担い手である森林組合をはじめとする林業事業体が、低コスト造林などへの取組を拡大していくことが重要です。このため、低コストにつながる低密度植栽などを条件に、再造林にかかる経費へのさらなる支援も検討をしているところでございます。   (土木部長荻野宏之君登壇) ◎土木部長(荻野宏之君) まず、吉野川水系流域治水プロジェクトに本県のどのような取組が位置づけられているのかとのお尋ねがございました。 吉野川水系では、流域のあらゆる関係者が協働して水害を軽減させる流域治水を計画的に推進するため、令和2年8月に吉野川流域治水協議会が立ち上げられました。その協議会には、県の土木部や林業振興・環境部などが参画し、流域全体で水害を軽減させる対策や今後の取組について意見交換を行い、その結果が流域治水プロジェクトとして取りまとめられています。 本県が行う取組といたしましては、流下能力の低い地蔵寺川の堤防整備のほか、土砂や流木の流出を防ぐ砂防施設の整備や森林の整備、保全等を位置づけております。近年、気候変動により頻発化、激甚化している豪雨災害を踏まえ、引き続き関係機関と連携して検討を重ねながら、流域全体で実施すべき対策を追加するなど、流域治水プロジェクトの内容を充実させてまいります。 次に、地蔵寺川の河川整備がどのような形で進められ、いつまでに完了するのかとのお尋ねがございました。 土佐町の地蔵寺川では、平成16年の台風23号をはじめ度重なる豪雨により、多くの家屋や国道439号が浸水するなどの被害が繰り返し発生してきました。このため県では、平成23年度に地蔵寺川の吉野川合流点から国道439号の宮島橋までの約1.7キロメートルを、早急に河川改修が必要な区間として設定いたしました。 その区間の中でも、橋梁の架け替えや家屋の移転など多くの事業費を必要とする県道の土佐中島橋から町道の樺橋までの850メートルを重点区間とし、現在先行して整備を進めているところです。この重点区間につきましては、集中投資により早急に浸水被害の解消を図ることを目的とした国の大規模特定河川事業を活用し、令和9年度の完了を目指して整備を進めております。 残る区間につきましては、重点区間の整備完了後、引き続き国の交付金事業などを活用しながら、おおむね5年間で完了することを目指して整備を進めてまいります。 次に、平成30年7月豪雨災害で被災した大豊町の立川川について、県が管理する区間の河床を下げる対策を今後どのように行うのかとのお尋ねがございました。 立川川の県管理区間におきましては、平成30年7月豪雨の際に大量の流木が流れ込んだことから、その年の緊急工事で流木の撤去を行っております。大豊町が管理する立川川の上流部や一部の支川におきましては、堆積土砂や流木の撤去が完了しており、また堆積土砂などが残っている支川につきましても、現在撤去に向けた準備を進めていると聞いております。 県の管理区間では、今後も大豊町の管理区間からの土砂の流入が考えられますことから、大豊町と情報交換を行いつつ、現地で堆積が進んでいる箇所につきましては、優先順位をつけながら対応してまいります。 次に、帰全山公園周辺の親水護岸整備やヨシの伐採について今後どのように行っていくのかとのお尋ねがございました。 人と川が触れ合うための親水護岸の整備は、現在吉野川の本山町寺家地区において進めており、令和6年度に完了する予定です。帰全山公園周辺につきましては、寺家地区の完了後に引き続き、同様の護岸整備を行う予定としております。 また、水際のヨシにつきましては、環境の変化などから県内各地の河川で広範囲に繁茂する状況となっております。土砂が堆積し、治水上問題となっている箇所につきましては、国の有利な財源である緊急浚渫推進事業債等を活用し、しゅんせつに併せてヨシの撤去を行っているところでございます。 その他の箇所につきましては、維持修繕費によりヨシの伐採を行っておりますが、数多くある要望の箇所のうち一部しか対応できていない状況でございます。このため、おもてなしの水辺創成事業や、高知県リバーボランティア支援事業により、地域の皆様の力をお借りしながらヨシの撤去を行うなど、河川環境の保全に努めてまいります。 次に、吉野川水系河川整備計画に書かれているモニタリングや河川愛護活動など、水質や環境の維持についてどのように実施してきたのか、また今後どのように取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。 吉野川では、水質と生態系についてモニタリングを実施しております。水質につきましては、県が本山町の本山沈下橋地点において年に6回、BODを含む12項目の水質測定を実施しております。これまでの測定結果から、整備計画策定以降も良質な水質が維持されていることを確認しており、直近のBODのモニタリング結果でも、最も良好な環境基準となっております。 生態系につきましては、独立行政法人水資源機構が早明浦ダム下流において、魚類や鳥類、底生動物など生物の6分類について、おおむね5年に1度調査を実施しており、県でもその結果を確認しております。 直近のそれぞれの調査結果によりますと、確認した種類の数などに大きな増減はなく、整備計画策定以降も多様で良好な環境は維持されていると考えてございます。 これらの結果につきましては、毎年開催しております四国のダム管理者などが集まる会議の中で報告しており、委員である学識経験者からも、水質や生態系はおおむね維持されているとの意見をいただいております。 一方、河川環境を良好に維持するために必要なヨシの伐採など、十分にできていない取組もございます。今後は、県が行う維持管理に加え、ヨシの伐採などを地域の皆様に委託できるよう、土木事務所からお声がけするなどして、整備計画に定める河川環境の保全に関する目標の達成に向け取り組んでまいります。 最後に、濁水の長期化や低水温の放流、河床の石に付着した泥の対策、利用者間の調整や人と川との触れ合いに関する施策への取組や成果、今後の進め方についてお尋ねがございました。 吉野川水系河川整備計画に記載している河川の適正な利用や河川環境の課題につきましては、関係機関が連携して取組を進めていく必要があります。 濁水の長期化や低水温の放流への課題につきましては、これまでに水資源機構が早明浦ダムの放流水の取水位置を選択できる選択取水設備の操作運用方法を見直したことで、一定の軽減効果が確認されております。このことに加え、来年度には濁水の長期化を軽減する目的も兼ねた早明浦ダム再生事業が、本体工事に着手すると聞いております。 人と川との触れ合いに関する課題につきましては、国や水資源機構、県、流域町村などで構成する協議会で話合いを進めてまいりました。この結果は、水辺の利活用や地域活性化に向けた計画として取りまとめられ、令和3年3月にこうした取組を支援する国のかわまちづくり支援制度に登録されたところであります。今後もこの計画に基づき、施設の整備やイベントの開催など、関係機関が連携して河川の適正な利用に向けて取り組んでまいります。 河床に付着した泥につきましては、出水時に増水した水が川底を洗い流すことで取り除かれると考えており、現在県内の河川では泥の除去に特化した対策は行っておりません。しかしながら、河川の水量が少ない場合などは泥の付着が長く続く場所や時期もございますので、まずは同様の課題を抱える他県の河川の状況など、情報収集を行ってまいります。   (公営企業局長笹岡浩君登壇) ◎公営企業局長(笹岡浩君) まず、県営水力発電所が発電した電気の県有施設への供給についてお尋ねがございました。 公営企業局が経営する電気事業は、県民生活の向上と県内産業の発展のため、これまで約70年もの間電力を供給してきました。現在、一般家庭約5万5,000世帯分に相当する電力を県民や県内の事業者の皆様に御利用いただいております。 地方公営企業法及び高知県公営企業の設置等に関する条例によれば、公営企業には、その本来の目的である公共の福祉を増進することが求められており、以上のように、まずは県民や県内の事業者の皆様に必要な電力をお届けすることがその使命であると考えています。その際、経済性を発揮しつつ、将来を見据えた持続的な経営を行うことが求められており、安定的に収益を確保する必要があります。 こうした中で、公営企業局から県有施設に電力を供給するとした場合、一般送配電事業者または電力会社などの小売電気事業者を通じて供給を行う方法などが考えられます。こうした方法を活用する場合は、送配電網の使用料である託送料金や、電力需給バランスを確保するための手数料などが、公営企業局の売電価格に加算されることとなります。これによる試算では、必ずしも県有施設側により安く電気を供給するとは限らない結果となります。さらに、公営企業局の売電契約において、県有施設に供給するという条件をつけることにより、売電価格が下がり、公営企業にとっては収益の確保に影響するリスクもあります。 一方で、現在電気料金が高騰するなど、電力市場は大きく動いており、県の負担も大きくなっています。したがいまして、次期の売電契約の更新に際しては、以上のような課題を踏まえつつ、市場や電気料金の動向、他の公営電気事業者の動きも注視しながら、県有施設への供給も含め、電力の売電方法を検討してまいりたいと考えております。 次に、再生可能エネルギーの導入促進についてお尋ねがございました。 公営企業局は、これまで物部川流域において3か所の水力発電所を運営するほか、平成7年度からは順次風力発電所を開設し、ピーク時には3か所において運営を行うなど、再生可能エネルギーの導入促進に取り組んできました。 また、小水力発電については、平成23年度から24年度にかけ市町村の取組を後押しする目的で、県内の有望地点などの導入可能性調査も行いました。さらに、同じ平成23年度から電気事業による収益を基に補助制度を創設し、市町村等による再生可能エネルギーの利活用の事業化に向けた取組に対し支援も行ってきました。 こうした取組により事業化につながった例もありますが、多くは事業化に向けクリアすべき課題がある状況です。こうしたことから公営企業局としては、これまでの経験を生かしながら、まずは物部川流域の小水力発電の可能性について再調査を行うなど、再生可能エネルギーの導入促進についてさらに取り組んでまいりたいと考えています。 また、引き続き補助金による市町村への支援も行い、その際には公営企業局の職員の知見も生かして必要な助言等を行うなど、協力してまいりたいと考えています。 ◆8番(金岡佳時君) それぞれ前向きな御答弁どうもありがとうございました。 1つだけ、収入保険について2問を行います。先々月、私と大石議員、そして14号台風で大きな被害を受けた嶺北の農家の方と一緒に、農家の窮状を聞いていただきたいということで、農業振興部長をお訪ねいたしました。そこで、台風被害によって今年の収穫がほぼ望めなくなったこと、そしてそれに伴って収入がほぼゼロになり、このままでは農業を続けることができなくなるというような悲鳴にも似たお話をお伺いいたしました。何か救済策はないものかと期待をしていたところでありましたが、残念ながら救済策はございませんでした。 そこで収入保険ということになるわけですが、収入保険の掛金の負担も結構大きくかかるということで、できていないということでございました。そこで、今回は間に合わないけれども、何とか保険が掛けられるように支援をし、農家のセーフティーネットを構築しなければならないといったような話であったと記憶をしております。 確かに、次世代型ハウスデータ駆動型農業など技術革新は必要で、進めなければなりません。そして、評価するところでもあります。しかし、幾ら優れた技術も、それを使う人がいなければ何の役にも立ちません。 昨日の桑鶴議員への答弁では、収入保険制度への加入促進など、新規就農者が安心して営農に取り組めるための環境整備に努めてまいりますということでしたが、その部分も、農家が希望を持って営農が継続できるよう、農業政策の柱として取り組まなければならないのではないかというふうに思います。 高知県農業を守り発展させるために、本当にやる気があるのかどうか、掛金の補助などを通じて収入保険をセーフティーネットとして活用しやすいつもりがあるのかどうか、もう一度お伺いしたいと思います。 これで私の一切の質問を終わりますので、よろしくお願いします。 ◎農業振興部長(杉村充孝君) 今お話のありましたように、農業者の経営が大変厳しい状況になっているということは認識しております。そうしたことから、燃油や肥料、配合飼料などの高騰に苦しんでおられる農業者の皆様に、まずはその事業を優先して、今回のいろんな事業については対応させていただいたところです。 それと、先ほど答弁もさせていただきましたが、国のほうも少し見直しを検討しているということでございますので、そういうことも踏まえて、しっかりいろんな検討もしていきたいとは考えてございます。 ○議長(明神健夫君) 暫時休憩いたします。   午前11時23分休憩-----------------------------------   午後1時再開 ○議長(明神健夫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 12番野町雅樹君。   (12番野町雅樹君登壇) ◆12番(野町雅樹君) 自由民主党の野町でございます。議長のお許しをいただきました。一般質問の初めての大トリを務めさせていただきます。知事はじめ執行部の皆さんよろしくお願いをいたします。 まず、地域包括ケアシステムの推進についてお伺いをいたします。 新型コロナウイルスの感染症による国内初の感染者が確認をされましてから、来年1月16日で丸3年を迎えます。残念ながら、いまだに収束には至らず、本県におきましても11月上旬以降、新規感染者が増加に転じており、知事の提案説明の中でも既に第8波に入ったことが示され、昨日の新規感染者数は1,179人と急増をしております。また、この冬はインフルエンザとの同時流行が懸念をされることから、県におきましても先手先手で医療提供体制の整備と検査・診療体制の確保に努められております。 こうした中、先日の報道でもありましたように、全国の介護事業所の倒産が本年1月から11月までで135件と過去最悪となり、このうちデイサービスやヘルパーによる訪問介護など、高齢者の日常生活を支援する事業者が8割を占めているということであります。この要因には、コロナ禍での利用控えや物価高騰があるとされておりますけれども、こうした厳しい環境の中でも、県では高知版地域包括ケアシステムの推進を着実に進めていただいており、関係者の皆様方に心から敬意と感謝を申し上げます。 一方で、国においては新型コロナウイルス感染症の扱いについて、季節性インフルエンザと同等の5類への引下げも含めました議論が本格化をしております。ワクチン接種や治療薬の開発が進む中、社会経済活動の再開を進めることは大変重要でありますけれども、国内での感染状況が厳しい中、医療費の負担などにつきましては慎重な議論が求められるというふうに考えております。 そこで、今回は特に厳しい状況に置かれております福祉・介護人材の確保を中心に質問をさせていただきます。まず、コロナ禍での様々な経験や教訓を踏まえまして、あったかふれあいセンターなどでも活動が再開をされる中、高知版地域包括ケアシステムの推進上の課題を改めてどのように捉え、今後どう進めていくのかについて知事にお伺いをいたします。 次に、介護職の人材確保の現状についてお伺いをいたします。日本一の健康長寿県構想では、将来的な介護職員の需要増に対して、県の推計では令和7年度に550人が不足をするというふうに見込んでおります。また、令和5年度の目標値として、新たな人材の参入を180人以上、また新たな外国人材の参入も180人以上というふうにしております。一方、現状の介護・福祉事業所における職員数は、国の基準に対しておおむね満たされているとのことでありますけれども、私の聞くところによりますと、多くの施設や事業所において、特に若手の人材確保に常に四苦八苦をしているとの悲鳴にも似た関係者の声が多いことも事実であります。 そこで、まず少子高齢化の進行やコロナ禍などの社会情勢の激変によりまして、特に厳しい状況に置かれている介護職の人材確保について、外国人材の参入も含めた現状を子ども・福祉政策部長にお伺いをいたします。 次に、人材確保対策の一つとして、全国に先駆けて取組を始めましたノーリフティングケアについてお伺いをいたします。令和元年度の県による実態調査では、ノーリフティングケアを実践している事業所は31.5%でありまして、令和7年度の目標値を事業所の50%以上としておりますけれども、小規模事業所での導入が進んでいなかったり、人材不足や、その取扱いに逆に時間と手間がかかってしまうなどの理由で、導入された機器が有効に活用されていない事例もあるというふうにお聞きをしております。 そこで、ノーリフティングケアの推進の現状と今後のさらなる取組について子ども・福祉政策部長にお伺いをいたします。 次に、平成30年から認証を開始いたしました福祉・介護事業所認証評価制度についてお伺いをいたします。この制度は、良好な職場環境の整備に取り組み、県が定めた一定の基準に達している事業所を認証する制度で、県では本年度から新たに優良な事例を特設ウェブサイトあるいは広報紙を活用して情報発信するなど、魅力ある職場環境づくりを積極的に支援するというふうにお聞きをしております。 また、令和7年度の目標値を事業所の50%以上というふうにしております。こうした県の積極的な職場環境の改善への取組にもかかわりませず、福祉・介護職に対する大変、きつい、賃金が安いなどのネガティブなイメージは、まだまだ払拭されていないようにも感じます。 そこで、福祉・介護事業所認証評価制度の現状と今後の取組について子ども・福祉政策部長にお伺いをいたします。 次に、介護職員の処遇改善についてお伺いをいたします。国の昨年12月補正予算において、看護や介護の職員などの収入の引上げによります処遇改善が決定をされ、順次賃上げが進められております。今回の引上げは、離職の防止のみならず、新たな人材確保にも大きく寄与するものというふうに期待をしております。 そこで、今回の国の処遇改善への評価を踏まえ、介護職員の処遇改善加算を取得していない事業所などに対する支援を今後どのように進めていくのか、子ども・福祉政策部長にお伺いをいたします。 次に、ケアマネジャーの人材確保対策についてお伺いをいたします。ゲートキーパーとして大変重要な役割を担っておりますケアマネジャーですけれども、コロナ禍の影響を含め、業務の多様化やサービス量の増大、さらには人材不足などによって大きな負担がかかり、激務となっていることや、今回の処遇改善の対象からも除外をされているというふうにお聞きをしております。 そこで、ケアマネジャーの育成、人材確保をどのように進めていくのか、子ども・福祉政策部長にお伺いをいたします。 この項の最後に、東部地域への多機能支援施設の設置についてお伺いをいたします。昨年12月議会での私の質問に対しまして知事からは、看護学校のサテライト教室を含む多機能支援施設は、これまでの経過を十分に踏まえて、県がしっかりと前面に立ち、市町村など関係機関と連携をしながら、できるだけ早期に整備ができるように取り組んでまいりたいとの大変前向きな御答弁をいただきました。 そこで、あれから1年が経過をいたしましたけれども、設置に向けた現状と、薬剤師や栄養士会なども含む多職種が活動拠点として利用できるなど、機能面の充実、また看護学生の募集や卒業後の地元定着などの課題、併せて開設までの具体的なスケジュールについて健康政策部長にお伺いをいたします。 次の項目に移ります。農業振興について、特に物価高騰への対応を中心にお伺いをいたします。 コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻に端を発した世界的な物価高騰など、経済環境が激変をし、先の見えない厳しい状況が続いております。施設園芸を主体とする本県農業におきましても、燃油や肥料、資材などの価格が高騰する中、新たにハウスを整備するなど、大きな投資を見送る動きが顕著となっております。 県の園芸用ハウス整備事業の申請数が過去5年間平均で83件ありましたものが、本年度55件と34%減、また国費事業につきましても、令和2年度の4件から、本年度は1件と大きく減少しているというふうにお聞きをしております。私の地元安芸市、芸西村でも施設園芸産地の未来の担い手となる規模拡大を希望する若手農家や農業法人からも、異常な物価高騰に直面し、新たなハウスを整備することに対してためらう声が大きくなっており、大変残念に感じておるところであります。 また、農家の高齢化が進む中、コロナ禍による農産物価格の低迷や今回の資材高騰などによりまして離農する農家も増加傾向にあり、安芸市などでも遊休ハウスが散見されるようになりました。県では、Next次世代型こうち施設園芸システムの推進や、IoPプロジェクトなどの主要な農業振興策を展開し、日本のトップランナーとして本県の園芸農業を牽引してくれておりますけれども、その取組がここに来て失速をしかねない状況となっております。 また、ハウス整備のコスト低減に向けた取組といたしまして、本年度から新たに次世代型ハウス低コスト化検証事業にも取り組まれ、ハウスメーカーの提案による低コストハウスが設置をされるというふうにもお聞きをしております。しかしながら、今回の異常な資材高騰下では、こうした取組だけでは産地全体のハウス面積の維持は極めて困難な状況だというふうに考えます。 そこで、例えば園芸用ハウスの整備に関する時限的な補助率のアップ、また既存ハウスの有効活用、さらに被覆資材等への補助対象の拡大など、農家の経費負担の軽減に対するさらに一歩踏み込んだ支援ができないか、農業振興部長にお伺いをいたします。 次に、農業分野でのエネルギー転換についてお伺いをいたします。県では、これまでも重油加温機に代わる、より効率的な加温方法として、ヒートポンプを3,960台、全加温面積の17%、また豊富な森林資源を活用することで木質バイオマスボイラーを234台、同じく5%へと、その導入を積極的に進めてきていただきました。しかしながら、今回の電気料金の高騰、さらには平成21年頃、つまり15年ぐらい前からですけれども、導入が本格化をいたしました木質バイオマスボイラーの多くが更新時期を迎えている現状など、多くの課題があることもまた事実であります。 そうした中、昨年12月議会で私の質問に対して農業振興部長からは、国がみどりの食料システム戦略において、2050年までに化石燃料を使用しない施設園芸への完全移行を目指し、革新的な技術開発に取り組むことから、本県においてもこれまでの取組に加えて、新たな省エネルギー技術の実証に取り組むとの答弁をいただきました。例えば、本山町でエフビットファームこうちや、高知工科大学での木質バイオマス発電と次世代型ハウスを組み合わせたプロジェクトなど、先進的な取組が積極果敢に実践をされています。 そこで、農業分野でのエネルギー転換の方向性と、木質バイオマス発電と次世代型ハウスを組み合わせたプロジェクトなど、先進的な実証事業の現状と課題、今後の取組について農業振興部長にお伺いをいたします。 次に、本年9月から本格運用が始まりましたIoPクラウド、SAWACHIについてお伺いをいたします。このプロジェクトは、全国的にも類を見ない先進的な取組であり、これからのデータ駆動型農業の推進には欠かせない画期的なシステムで、ぜひ成功させていただき、「もっと楽しく、もっと楽に、もっと儲かる」農業の実現に向け、日本のトップランナーとして突っ走っていただくよう期待をいたしております。 ハウス内環境のデータや毎日の出荷データなど、営農に必要な有益なデータを利用者個人だけではなく、地域や県内、さらには優良農家などとの比較分析が可能となり、それがスマホやパソコンからいつでもどこでも確認できるという優れものであります。特に、これまで農家の勘に頼っておりましたハウス内の温度や湿度、水管理などをデータで管理することで省エネともなり、そして燃油や肥料などの経費削減効果にもつながると、私の周りの利用者からも大変好評であります。 この技術をさらに磨き上げることで、将来的には本県の施設園芸も含めました農業分野のみならず、多くの産業分野でも当たり前のシステムとして普及するものと期待をしておるところでありますけれども、本格運用が始まってからまだ日が浅く、加入をためらう農家もいらっしゃるというふうにお聞きをしております。 そこで、先ほど金岡県議からも質問があったところでありますけれども、IoPクラウド、SAWACHIへの加入状況と課題、今後の推進方法について農業振興部長にお伺いをいたします。 この項の最後に、先ほど金岡県議からも収入保険制度に関する質問がありましたけれども、私からも、収入保険制度と野菜価格安定対策事業との同時利用の恒久化、これを国に対してしっかりと要望していただくこと、また現在11市町が実施をしております保険料や事務費への補助などを踏まえた加入促進に対する県の支援について、強く要請をさせていただきたいというふうに思います。 次の項目に移ります。観光振興についてお伺いをいたします。 知事の提案説明の中では、本年10月からスタートいたしました全国旅行支援をはじめとする需要喚起策の効果により、県内の主要観光施設の利用客数はコロナ前の水準まで戻るなど、本県観光が着実に回復していることが示されました。 さらに、本県観光の起爆剤として期待をされる連続テレビ小説らんまんに関しましては、10月に佐川町、越知町に加えて、私の地元安芸市の伊尾木洞でも撮影が行われまして、主演の神木隆之介さんが現地入りをしていただいたことで、地元の皆さんの期待感も大きく高まっているところであります。また、安芸市におきましても撮影場所の伊尾木洞周辺に新たな駐車場の整備を計画するなど、来年3月に開幕をする新たな観光博覧会「牧野博士の新休日~らんまんの舞台・高知~」に向けて着々と準備が進められているところであります。 しかしながら、この3年間のコロナ禍において最も影響を受けましたのが、宿泊業、旅行業、運輸業、飲食業などの観光関連事業者であり、現在もその経営や地域の活力に暗い影を落としております。 一方、国のコロナ関連融資の本格的な返済開始が来年5月に迫る中、国の総合経済対策において、コロナ関連融資の借換え需要を見据えた新たな借換保証制度が創設をされました。県では、この国の制度を活用した融資制度を創設し、さらにより厳しい状況にある事業者には、県独自の保証料補給を行うということをされようとしております。 そこで、これらにより厳しい状況に置かれております事業者にどのような効果が期待されるのか、商工労働部長にお伺いをいたします。 次に、広域観光の推進についてお伺いをいたします。本県は非常に東西に長く、地域によっては地理的状況も違い、観光資源などの特性も違うことから、各広域観光組織が主体となって、それぞれの取組を生かした観光戦略が広域エリアごとに策定をされたというふうにお聞きをしております。また、広域観光組織によっては、新たに専門知識を持った人材が配置をされるなど、体制強化も図られてきたというふうにお聞きをしております。 私も戦略策定に当たって、地元の東部観光協議会や宿泊事業者、またボランティアガイドなど関係者の皆さんとお話をする中で、今回の戦略のポイントとなった体験型観光、滞在型観光、そして地元食材を生かした食観光などにつきまして活発な御提案をいただいたところであります。 また、芸西村にある大型リゾートホテルの利用客への調査では、宿泊客の僅か20%しか東部での観光を目的としていないということが明らかとなりました。このことからも、国内外の観光客の皆さんにとって、旅の目的地となり得る魅力やコンテンツづくり、さらには認知度向上に向けた取組の必要性を改めて実感をしたところであります。 そこで、これまでの広域観光組織の取組の評価と、今後どのような広域観光を目指していくのか、観光振興部副部長にお伺いをいたします。 この項の最後に、高知県アニメプロジェクトについてお伺いをいたします。本年1月に、高知信用金庫と高知県、高知市、南国市、須崎市の5者が、高知アニメクリエイター聖地プロジェクトを官民で推進する協定を締結いたしました。知事も、高知県でアニメクリエーターの皆さんが交流を図り、高知にアニメ関連産業を集積することで、雇用の創出、地域の活性化を進めていけると期待感を示されております。 また、11月に開催をされました高知アニメクリエイター祭では、高知市や須崎市の商店街をアニメのキャラクターに扮しましたコスプレーヤーたちが練り歩き、若者たちが熱狂している姿に、今や世界を席巻する日本のアニメ文化の勢いを感じたところであります。 本県では、これまでも漫画文化を推進するため、海外からも注目されるようになった、まんが甲子園の開催などに取り組んでまいりました。今回、民間発のプロジェクトを包含する形で、高知県アニメプロジェクトを産業振興計画の連携テーマに位置づけ、人材育成、企業誘致、さらにはアニメツーリズムの推進を図っていくこととしております。 そこで、高知県アニメプロジェクトを観光振興にどう生かすのか、観光振興部副部長にお伺いをいたします。 次の項目に移ります。中山間対策についてお伺いをいたします。 まず、集落活動センターの活性化策についてですが、現在センターの開設は65か所まで拡大されております。また、中山間地域における産業の主体でもあります農業分野では、集落営農組織が221組織、また農業公社などの複合経営拠点が22か所で設立をされるなど、中山間地域の産業を支える仕組みの充実が図られているところであります。 さらに、生活を守るという視点では、あったかふれあいセンターがサテライトを含めまして346か所設置をされるなど、総合的な中山間対策が着実に進みつつあります。一方で、昨年の集落実態調査の結果、地域の担い手不足といった課題がより深刻になっていることが明らかとなり、住民の皆さんは、将来にわたる集落の維持・存続について不安を抱えていることが改めて浮き彫りとなりました。 このことを踏まえ、県では新たに集落活動センターの取組に至らない小さな集落の維持・活性化に向けた仕組みづくりを進めることとしておりますけれども、この3年間に及ぶコロナ禍で、既存の集落活動センターにおいても、地域でのイベントや集いの場などが開設できず、宿泊業や飲食業、そしてまた加工品販売などの経済活動に大きな影響が出ているというふうにお聞きをしております。そうした中、一部の地域住民や市町村の関係者からは、今後のセンターの存続自体を懸念する声も聞かれております。 そこで、既存の集落活動センターの活動が、コロナ禍や担い手不足などによりまして停滞をしている実態を踏まえ、今後県としてどのように支援をしていくのか、中山間振興・交通部長にお伺いをいたします。 次に、農村RMOについてお伺いをいたします。現在、国では、複数の集落による集落協定や農業法人など、農業者を母体とした組織と自治会など多様な地域の関係者が連携をして、農地の保全などの取組に併せて買物支援などといった生活支援など、地域のコミュニティーの維持に資する活動を行う農村RMOを推進しております。中山間地域では耕作放棄地が急速に増加をしておりまして、農地の維持管理が大きな課題となっております。 一方、集落活動センターの経済活動には、例えば農業分野で設置をされております集落営農組織や複合経営拠点などとの連携、これも重要な取組の一つであるということで、以前本会議でも取り上げさせていただきました。当時の農業振興部長からは、集落活動センターと集落営農組織などとの連携を促していくとともに、県内全域で策定を進めております地域農業戦略の取組の中で、集落活動センターを含めたネットワークの構築についても検討していくとの答弁をいただいたところであります。 そこで、農村RMOの本県における現状と今後の取組について農業振興部長にお伺いをいたします。 次に、中山間地域における買物弱者への支援についてお伺いをいたします。集落実態調査において、生活必需品を確保するための移動販売事業や宅配サービスなどに対する住民ニーズは高く、近くにお店がなくなった場合、50%以上の方々がこうしたサービスに頼りたいとの意向を示しております。しかしながら、事業者にとって、特に山間部での事業継続というのは--人口減少、今回の物価高騰などによりまして十分な利益が得られる状況にはなく、私の地元でも大変惜しまれながらも、やむなく廃業してしまうケースもあり、こうした住民サービスへの支援の充実の必要性を強く感じるところであります。 そこで、中山間地域における移動販売事業など、買物弱者への支援の現状と今後の取組について中山間振興・交通部長にお伺いをいたします。 次に、集落活動センターと大学との連携についてお伺いをいたします。高知大学では地域協働学部を中心に、地域の未来をつくる改革力となる人材、つまりローカルイノベーターとしての地方創生推進士を積極的に養成しており、現在累計150名を超えているというふうにお聞きをしております。また、令和2年度卒業生の県内就職率は約50%ということで、大変心強くも感じております。地域と密着をし、フィールドワークを重視した教育を受け、地域愛にあふれる大学生が、例えば集落活動センターの活動に関わっていくことは、中山間地域の活性化や人材育成に直結するものだというふうに考えております。 そこで、集落活動センターと大学との連携の現状と、今後どのように進めていくのか、中山間振興・交通部長にお伺いをいたします。 この項の最後に、県のふるさと納税制度を活用した中山間地域の課題解決策について提案をさせていただきます。佐賀県では、県のふるさと納税制度にNPO等指定寄附を創設し、県内のNPO法人や自治会、婦人会、PTAなどの市民社会組織が自発的に行う地域づくり事業に対して全国から寄附を募り、寄附額の90%をその指定団体に寄附するという資金調達が行われております。令和3年度には91団体に対して約9億1,000万円が寄附をされております。 また、芸西村におきましても、村内の産業振興に貢献をする事業に対してクラウドファンディング型のふるさと納税を実施しておりまして、現在5事業が採択をされて寄附を募っているというふうにお聞きをしております。 一方、中山間対策は本県の重要施策の一つであり、多額の予算と人材、時間を費やして懸命に取り組んでおられます。しかし、集落実態調査の結果からも、より深刻な実態が明らかとなり、さらなる支援が求められているところであります。 こうした県の重要施策を全国の高知県出身者や高知のファンの皆さんに応援をしてもらい、併せてその取組を多くの皆さんに知っていただくことは重要なことではないかというふうに考えます。例えば、集落活動センターなどが行う高齢者の見守り活動も兼ねた配食事業、また事業として採算が厳しい移動販売事業や、病院などへの高齢者の送迎事業、さらには地域おこし協力隊や地方創生推進士などの若者がNPO法人を組織して実践する未来への地域おこし事業など、全国の皆さんに応援をしていただくことはできないでしょうか。 そこで、集落活動センターなどが実践をする中山間地域の課題解決に資する取組に対して、県のふるさと納税制度を活用して資金調達する仕組みが創設できないか、中山間振興・交通部長にお伺いをいたします。 最後の項目に移ります。学校の魅力化についてお伺いをいたします。 まず、今年に入り8人もの逮捕者が出て異常事態と言える教職員の不祥事についてお伺いをいたします。私は本年度総務委員会に所属をしており、この件に関しましては、教育次長などからいち早くお電話で情報をいただくわけですけれども、県教育委員会からの電話のたびに、またかという重い気持ちで電話に出ることが多いというのが正直なところであります。 県教育委員会は一連の不祥事への対応のため、11月10日午後、県立学校の校長44名を招集し臨時校長会を開催しています。その席で竹崎教育次長からは、教職員の信頼が失われ、教育が破綻していると言わざるを得ないと危機感をあらわにされたとの報道もあったところであります。 また、11月中旬から全教職員を対象に、勤務外でも教職員としての自覚を持ってほしいとの思いでアンケート調査を実施しているともお聞きをしております。まさに学校と子供たちや保護者、また地域との信頼関係、これこそがこの後質問させていただきます学校の魅力化の大前提となるところであります。 そこで、一連の教職員による不祥事が続く中、子供たちへの影響をどのように捉え、再発防止に向けた取組をどう図っているのか、教育長にお伺いをいたします。 次に、本県の学校魅力化の取組についてお伺いをいたします。本年9月9日、総務委員会の県外調査で島根県立隠岐島前高校を訪問し、今、全国屈指の学校魅力化プロジェクトとして注目をされております取組について調査する機会をいただきました。 隠岐島前教育魅力化構想のアクションプランとして取りまとめられました、意志ある未来のつくりかたには、5年後の島の未来を描いた23の架空の物語が示されています。大変具体的で分かりやすい身近な事例で、教育方針や地元愛をどう育んでいくかなどが示されており、感銘を受けました。また、当日宿泊をいたしましたホテルや夕食会場の飲食店で、若い卒業生たちが島で生き生きと働く姿に接しまして、その成果を実感することもできました。 このプロジェクトによりまして、廃校寸前であった高校の生徒数が倍増し、教育移住や島の特産品であるイワガキや隠岐牛のブランド化、さらにはホテルのリニューアルなど、地元産業の振興にもつながり、町の人口が増加に転じています。 本県においても、県立高校の生徒数が減少する中、特に山間部の小規模校においては、当地域以上に厳しい状況があるというふうに考えます。県教育委員会では、昨年度からこのプロジェクトを成功に導いた一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームに委託をし、中山間地域の高校の現状、課題の分析を実施してきたというふうにお聞きをしております。 そこで、本県における地域教育魅力化コーディネート事業の進捗状況と課題、今後の取組について教育長にお伺いをいたします。 次に、既に統合した高校の現状と、今後統合する高校の魅力化への取組についてお伺いをいたします。平成31年4月、須崎総合高校、また昨年4月には高知国際高校が新たに開校しました。両校とも統合後の目指すべき姿をそれぞれ、普通科、工業科の強みを生かし難関大学進学から就職まで生徒の多様な進路希望を実現し、地域を支える人材の育成を目指す、またグローバル教育のリーダー校、大学進学の拠点校として魅力ある学校を目指すといった、学校の魅力化を大きく掲げて新たなスタートを切り、その目標に向けた学校運営が進められているというふうに思います。 そこで、既に統合した高校の現状と課題、また明らかとなった課題を踏まえて、今後統合を予定している高校の魅力化にどうフィードバックをしていくのか、教育長にお伺いをいたします。 次に、地域みらい留学についてお伺いをします。隠岐島前高校の学校魅力化プロジェクトの成功は、学校側、つまり教育委員会と海士町など地元3町村との連携なくしてはあり得なかったというふうに考えます。地元の行政側が廃校問題を我が事とし、単なる教育問題ではなく、人口減対策として強い危機感を持って取り組んだことが成功の鍵だというふうに考えます。特に、全国から生徒を募集するという、当時は画期的であった島留学は、生徒はもちろん、その御家族の移住政策としても機能し、島の人口増につながり、雇用拡大、そして地域のにぎわいづくりといった好循環を生んでいます。 本県においても平成30年度の嶺北高校を皮切りに、本年度からは5校において地域みらい留学として全国から生徒を募集し、これまでに延べ57名が入学をし、本県の中山間地域で学んでいるというふうにお聞きをしております。 そこで、県外からの生徒募集を行う地域みらい留学を成功させるために、移住促進などを所管する中山間振興・交通部などとの部局横断的な取組や、地元市町村と連携をして取り組むことの必要性について教育長にお伺いをいたします。 最後に、山田高校などが取り組んでおります高知大学や地元企業などと連携をしたオンライン企業交流会についてお伺いをいたします。本県では、近年大学進学者のうち約7割が県外に進学をしております。大学卒業後、県内にも誇りを持って働けるすばらしい企業があるということを知らずに、都会の大企業を目指してしまうという現状が、若者の県外流出の大きな課題の一つではないでしょうか。 こうした中、山田高校や高知商業高校では昨年度から高知大学と連携をし、オンライン企業交流会を実施しており、大学と高校、地元企業が連携をして、企業の魅力をより知ってもらうよい機会になっているというふうにお聞きをしております。 また、先日、香川県中小企業家同友会の林代表理事の御講演を拝聴する機会がありました。香川県では、大学進学者の8割以上が県外に進学をするとのことで、同友会では県内の三木高校、飯山高校、高松商業高校などと協定を結び、共育型インタビューシップという取組を進めているとのことでした。これは、大学進学前の高校1年生に対し、地元企業が1社1人の生徒を1日から3日程度受け入れ、学生が社員や経営者に、何のために働くのか、会社は何のためにあるのかなど、地元で働く意味や魅力、経営理念などをインタビューしながら、社員と経営者の働く姿を観察するというものであります。 企業側にとりましては、事前に社員が会社の目的、仕事の面白さなどを準備するために経営者と面談をしたりすることによりまして、改めて会社の経営理念を確認して、仕事に誇りを持ったりするなど、社員教育につながっているとのことであります。一方で、学生側も将来的な県内での就職も含めたキャリアプランが広がり、受入れ企業への就職にもつながっているというふうにお聞きをいたしました。 県では、本年度から商工労働部の事業を活用して、高知大学の学生が県内企業をインタビュー形式で取材して動画を作成し、企業の魅力を発信するという集中講義を支援しているというふうにお聞きをしております。一方、山田高校などでの取組につきましては、こうした大学生の取組の成果をオンラインでより気軽に高校生と共有でき、併せて地元企業の魅力を知ることができるすばらしい機会になるというふうに考えます。 そこで、山田高校などで実践をしております高知大学との連携によるオンライン企業交流会に対する評価と、今後の取組の方向性について教育長にお伺いいたしまして、私の第1問とさせていただきます。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 野町議員の御質問にお答えいたします。 本県におきます地域包括ケアシステムの課題と今後の進め方についてお尋ねがございました。 コロナ禍におきましては、感染の拡大期に見られました通所サービスの休止や利用自粛、それに伴います高齢者の皆さんの心身の機能低下などが見られたところであります。このため県では、医療・介護・福祉職場の感染症対応力の向上を図りますとともに、非常時においても継続的にサービスを提供し続けられる体制の強化について支援をしてまいりました。現在は、こうした取組を通じまして、例えば御紹介もありましたように、あったかふれあいセンターなどにおいても十分な感染防止対策を実施した上で、必要なサービスや支援が行われているという状況であります。 今後も引き続き、感染症への対応のほか、必要なサービスの提供が継続的に実施をされますように、市町村、関係者の皆さんと連携をして取り組んでまいります。具体的には、医療・介護分野のデジタル化を加速化いたしまして、県民の皆さんの利便性向上、負担軽減につなげますとともに、医療現場におきます省力化に取り組むことが重要となると考えます。オンライン診療が普及いたしますと、移動や受診におけます感染リスクが低減できます。また、休日や夜間にも受診ができるようになるといったメリットが期待できると考えます。また、在宅療養に係ります患者情報を医療や介護の従事者がリアルタイムで共有できます「高(こう)知(ち)家(け)@(あ)ライン」を活用することによりまして、円滑な在宅療養への移行、あるいは業務の効率化などが期待できると考えます。また、住民主体の取組を通じまして、できるだけ介護が必要な状態とならないようにフレイルチェックの活動、あるいは介護予防の取組を強化していくということも必要だと感じております。 このほか、議員からお話がありましたように、介護従事者の確保など、サービス提供体制の確保が大きな課題となっているというふうに認識をいたしております。県といたしましても、介護人材の確保に向けまして、市町村や介護事業所など関係機関とも連携をいたしながら、社会情勢の変化、地域の実情を踏まえました取組の強化を図ってまいります。具体的には、介護人材に係ります求人、求職のマッチング機会を拡充していくということをはじめ、介護助手ですとかワークシェアといった新しい働き方を導入していくことによります、多様な人材の参入の促進を図ってまいります。また、ノーリフティングケアや福祉・介護事業所認証評価制度の普及を通じまして、魅力ある職場づくりを推進し、職員の定着の促進、そして新たな人材の確保を後押ししてまいりたいと考えております。 私からは以上であります。   (子ども・福祉政策部長山地和君登壇) ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) まず、特に厳しい状況に置かれている介護職の人材確保の現状についてお尋ねがございました。 高齢化の進展に伴い介護ニーズの増加が見込まれる中、本県では令和7年に550人の介護人材が不足すると推計されており、介護人材の安定的な確保は喫緊の課題となっております。そのため県では、新たな人材の確保や外国人材の参入促進など、総合的な人材確保に取り組んでおります。 まず、若い世代を中心とする人材の確保では、高知県福祉人材センターにおける無料職業紹介や福祉就職フェアの開催、施設見学ツアーなどに取り組み、令和3年度のセンターのマッチング数は、目標の300人に対しまして275人となっております。今後は、福祉就職フェアのオンライン開催や移住施策と連携した県外求職者の開拓など、マッチング機会の充実に取り組んでまいります。 次に、介護現場の補助的業務を担う介護助手など新たな人材の確保では、令和2年度から5年度の4年間での目標180人に対しまして、コロナ禍の影響もあり、令和3年度末で47人にとどまっております。目標の達成に向けまして、今年度から新たに介護助手等普及推進員を配置し、女性や元気高齢者の参入を促進するとともに、雇用と福祉の連携による他職種からの転職支援に取り組んでまいります。 また、外国人材の参入では、令和5年度までの目標180人に対しまして、コロナ禍による入国制限の影響もあり、令和4年11月末現在で75人となっております。既に入国制限は緩和され、さらなる拡大が期待されますので、関係団体と連携した受入れや定着の促進、海外に向けた情報発信を強化してまいります。 引き続き、福祉人材センターやハローワークなど関係機関と連携し、介護人材の確保にしっかりと取り組んでまいります。 次に、ノーリフティングケアの推進の現状と今後の取組についてお尋ねがございました。 本県では、介護職員の身体的な負担軽減に向け、全国に先駆けてノーリフティングケアを推進し、延べ354事業所への福祉機器等の導入支援や約3,000人への指導者等養成研修など、ハードとソフト両面から支援をしてまいりました。その結果、ノーリフティングケアを導入した職場からは、腰痛発生率や離職率の減少、職員の負担軽減や意識の向上などの効果が報告されております。 また、国が取りまとめております令和3年労働災害発生状況では、社会福祉施設において、腰痛など無理な動作を要因とする労働災害の件数が全国的に増加する中、本県は令和2年に比べて38%減少するなど、ノーリフティングケアによる一定の効果が現れているものと考えております。 一方で、議員からお話がありましたように、小規模な事業所では福祉機器の活用に関する指導者の確保や、リフト等の機器を導入する財源の確保などの課題があります。このため、今年度はリフト導入に対する補助率を4分の1から2分の1に引き上げるとともに、オンラインによる指導者養成研修やガイドラインの作成などに取り組んでおります。 今後は、さらに多くの事業所で実践していただけるよう、小規模事業所向けの研修や業務改善推進アドバイザーの派遣、日本ノーリフト協会高知支部による個別のサポートなど、各事業所の実情に沿った支援に取り組んでまいります。 次に、福祉・介護事業所認証評価制度の現状と今後の取組についてお尋ねがございました。 認証評価制度は、働きやすさと働きがいを実感できる職場環境の整備を促進し、魅力ある職場づくりを通じて職員の離職防止と新たな人材の参入促進を目的としております。全国では、本県を含め30都府県が実施をしており、市町村や関係機関と連携し、認証評価制度の周知を図るとともに、福祉職場のネガティブイメージの払拭に取り組んでおります。 本県では、平成29年12月に制度を導入して以降、令和4年11月末現在で、認証の対象となる事業所の約22%の41法人、243事業所が認証を取得しております。また、これから認証取得を目指す参加宣言を行った法人は、46法人、181事業所となっております。 今年度は、新たな法人の掘り起こしのため、スタートアップセミナーや相談会を東部、中部、西部でそれぞれ開催するとともに、訪問などによる個別アプローチを行ってまいりました。また、参加宣言を行った法人に対しましては、専門コンサルタントによる伴走型の支援に取り組んでおります。 今後は、介護労働安定センターなどの関係機関と連携し、単独では取得が困難な小規模事業所に対しまして複数の事業所での取組を支援するなど、法人の規模や課題に応じたサポートを一層強化してまいります。 次に、介護職員の処遇改善加算を取得していない事業所に対する支援についてお尋ねがございました。 国は、昨年12月の補正予算において、処遇改善が遅れている介護職の給与を月額9,000円程度引き上げる措置を実施しております。この措置は、コロナ禍の中、介護現場で働く職員の処遇を底上げすることで、介護人材の定着、確保につながるとともに、他の産業の処遇改善にも影響するものと評価をしております。 令和4年10月1日現在で、処遇改善加算の対象となる1,244の介護事業所のうち、65%に当たる813事業所が今回の加算を取得しております。今回の加算を取得するには、これまでに実施してきた既存の加算制度を取得していることが要件となっており、未取得の431事業所のうち138事業所はこれまでも加算制度を取得していないことから、個別にアプローチを行い、事業所の実情に応じたサポートを行ってまいります。 また、残りの293事業所は、既存の加算制度を取得しているものの、例えば今回の加算の要件を満たすための賃金体系が十分に整備できていないなどの課題があります。そのため、制度に精通した相談員が個別相談を行い、個々の課題に応じて専門家がアドバイスを行うプッシュ型の支援体制を強化し、介護職員の処遇改善を促進してまいります。 最後に、ケアマネジャーの育成や人材確保対策についてお尋ねがございました。 ケアマネジャーは、介護サービスを提供するためのケアプランの作成だけではなく、在宅の高齢者の生活を見守るゲートキーパーとして重要な役割を担っておりますが、本県だけではなく、全国的にケアマネジャーの確保には苦慮している状況となっております。 人材不足の要因としましては、国の処遇改善加算の対象外となったことで、給与水準の引上げが進まないことや、業務の多様化、事務負担の増大などが挙げられております。また、平成30年度からケアマネジャー試験の受験資格が見直されたことで、本県の合格者数は平成29年度の202人に対して、令和4年度は77人と大幅に減少しております。 必要な人材の確保のためには処遇の改善は重要であるため、県ではこれまでも厚生労働省に対しまして、処遇改善加算の創設を政策提言してきたところです。引き続き、全国知事会とも連携しながら、ケアマネジャーの処遇改善に向けて取り組んでまいります。 人材の育成では、ケアマネジャーは専門性を高めるために研修を受講する機会が多いことから、研修への負担を軽減するため、東部や西部地域での研修会の開催や回数の増、オンラインでの開催などに取り組んでまいります。また、事務負担の軽減につきましては、市町村と連携し行政への提出書類の簡素化やICTの導入による事務の効率化など、職場環境の改善を支援してまいります。 ケアマネジャーは、医療と介護の連携や地域の支援ネットワークづくりをより一層推進することが期待されておりますので、市町村や関係団体とも連携し、人材の育成と確保対策の強化に取り組んでまいります。   (健康政策部長家保英隆君登壇)
    健康政策部長(家保英隆君) 東部地域への多機能支援施設の開設に向けた現状などについてお尋ねがございました。 県では、県東部地域における医療・介護の人材やサービス確保という課題に対応するため、地域包括ケアシステムの構築に資する機能を持った多機能複合型の施設の必要性について、市町村など関係者の皆様に提案してまいりました。このたび、訪問看護や在宅歯科などに関係する団体や法人からの参画の意向表明がありましたことから、本年10月、施設改修の実施設計に着手したところでございます。 この事業目的の根底にある人材確保などの大きな課題に対応するには、関係者が知恵を出し合い、継続的に意見を交換し、対策に取り組む必要がございます。このため、現在東部9市町村や関係団体から医療などの地域の現状や課題について聞き取るとともに、今後関係者の皆さん方によって構成する東部地域医療確保対策協議会において、多機能支援の在り方など機能の充実について協議することとしております。その際には、施設への入居のいかんにかかわらず、多職種の皆さんの参画をいただければと考えておりますので、栄養士会など多くの皆様からの御提案を賜ればと思っております。 加えて、看護師の養成に当たりましては、18歳人口が減少する中での学生の確保と、地域の医療機関などに就職し定着していただくという二面性への対応が必要となることから、9市町村に対して授業料の返還免除型奨学金制度の創設や、移住施策とも連携した人材の確保・定着対策などについて提案をしているところでございます。 多機能支援施設での活動開始に向けては、まだまだ解決すべき課題が山積しておりますが、まずは施設の実施設計を令和5年度前半には完了させ、年度後半にはハードの整備に着手できるように進捗を図るとともに、市町村、関係団体の皆様と連携して、引き続き早期の活動開始に向けて着実に取り組んでまいります。   (農業振興部長杉村充孝君登壇) ◎農業振興部長(杉村充孝君) まず、園芸用ハウス整備における生産者のさらなる経費負担の軽減策についてお尋ねがございました。 園芸用ハウスの整備コストの低減に向けましては、これまで複数ハウスの一括入札や、発注が少ない冬場の施工の推進などの取組を進めてまいりました。また、本年度からは県の園芸用ハウス整備事業の補助上限額を引き上げるとともに、新たに次世代型ハウスの低コスト化に向けた検証事業を実施しているところでございます。 しかしながら、現在の先行きの見えない厳しい経営状況下において、ハウス整備を先送りされる方が増えており、生産者やJAグループからは、農家経営の厳しい現状とともに、支援の拡充を求める声が寄せられております。このため、新規ハウスよりもコストが抑えられる既存ハウスの修復、再生、いわゆるリノベーションによる長寿命化や、光を通しやすく生産効率のアップにつながる被覆資材への補助など、既存ハウスの生産力強化に向けた支援を検討しております。 また、新規ハウスにつきましても補助対象に被覆資材の追加を検討するとともに、ハウスメーカーの提案による低コストモデルハウスの早期の普及を進めてまいります。さらに、新規就農者向けの中古ハウスを先行取得するための新たな仕組みも検討しているところでございます。 現下の厳しい経営環境下においても、生産者の皆様が夢や希望を持って農業に取り組めるよう、引き続き支援の拡充に努めてまいります。 次に、農業分野でのエネルギー転換の方向性と先進的な実証事業についてお尋ねがございました。 化石燃料からのエネルギー転換は、CO2の削減はもとより、高騰が続く燃油のコスト削減にもつながることから、本県では施設園芸を中心に、この両面の効果の高い既存技術の導入を促進するとともに、新たな技術の試験研究や、産地と連携した実証実験などに積極的に取り組んでおります。こうした方向性の下、施設園芸ハウスの加温機として、これまでの木質バイオマスボイラーに加え、本年度からヒートポンプの導入を加速しておりますし、より低温でも栽培が可能な品種開発などを進めております。 お話にありました木質バイオマス発電と次世代型ハウスを組み合わせた施設につきましては、発電施設に係る整備コストが高額であることや、木質バイオマス燃料を安価に安定確保することなどの課題があり、個々の農家への導入は難しいものと考えております。このため、今後大規模なハウス団地が整備される際には、農家だけでなく、企業や官公署なども含め地域全体でエネルギーを活用することで、バイオマス発電施設からは年間を通じて電気や熱を利用し、木質バイオマス燃料の周年供給が可能となるよう、地域に提案してまいります。一方、新たな技術の導入に向けましては、本年度から地下水を利用した高効率の熱交換機や、ヒートポンプの実証を産地と連携して実施しているところでございます。 今後も引き続き、ヒートポンプなどの既存技術の普及とともに、先駆的な技術や他県の導入事例などにアンテナを張り、本県に有効と思われる技術の実証を行うなど、施設園芸のエネルギー転換に向け、産地と一体となって取り組んでまいります。 次に、IoPクラウド、SAWACHIへの加入状況と課題、今後の推進方法についてお尋ねがございました。 本年9月に本格運用を開始しましたIoPクラウド、SAWACHIは、現在約700戸の生産者に加入いただいております。そのうち、ハウス内環境データの接続は約300戸であり、年度内に500戸まで拡大する見込みでございます。そのほか、既に2,000戸を超える方に出荷データの提供をしていただいており、日々の営農に係る様々なデータがSAWACHIに蓄積されているところでございます。 このSAWACHIを核としたデータ駆動型農業の実践は、昨今の厳しい経営状況下において、収穫量の増加と経費の削減の両方の効果の最大化を図る取組として大変重要と考えております。その一方で、データ駆動型農業は新しい試みであるがゆえに、少なからず抵抗感を持った生産者もいらっしゃいます。また、現在指導者において蓄積されたデータを分析、検証しながら、日々の栽培管理の改善指導につなげている段階であり、その効果を実感いただいている生産者は、まだまだ一部にとどまっております。 このような課題に対応するため、JA土佐くろしおやJA高知県春野キュウリ部会など、組織を挙げてデータに基づくフィードバックを実践し、成果を上げている産地の事例を県域へと普及させてまいります。あわせて、作物の生育状況や気象の変化に応じてより最適なハウス内環境に改善することや、収穫量のデータを活用し肥料の使用量を適切に調整するなど、きめ細かな営農指導を徹底してまいります。 さらに、スマホやパソコンの操作が不慣れな方でも利用しやすい環境を整えるとともに、JAと連携しながら、SAWACHIのメリットをはじめ機能や使い方などを分かりやすく伝える活動を積極的に展開することにより、さらなる利用拡大を図ってまいります。 最後に、農村RMOの現状と今後の取組についてお尋ねがございました。 農村RMOの推進について、本県においては活動が先行している集落活動センターと、農業者が母体となった組織等との連携が有効と考えておりますので、市町村や産業振興推進地域本部と連携し、集落活動センターへの働きかけを行っております。 本年度、新たに創設された農林水産省の交付金を活用して事業に取り組んでいる4つの地区のうち、いの町柳野など3つの地区が集落活動センターが中心となった組織であります。その具体の活動としましては、例えば柳野地区では、中山間地域等直接支払制度の集落協定組織が行う農地保全活動のみならず、遊休農地を有効活用して栽培しているイタドリを使った新商品の開発を進め、耕作放棄の防止と経済活動の強化の両立に向けて取り組んでおります。また、事業に取り組む新たな地区の掘り起こしに向けては、本年度は先進事例の紹介や他県の事例などを学ぶ研修会の開催、地域へのアドバイザーの派遣などを行っております。 引き続き、市町村と連携してこうした取組を進めることで、新たな農村RMOの形成を促進し、地域ぐるみでの農地の保全と地域の活性化につなげてまいりたいと考えております。   (商工労働部長松岡孝和君登壇) ◎商工労働部長(松岡孝和君) 国の新たな借換保証制度を活用した融資制度の効果についてお尋ねがございました。 本県では、コロナ関連融資の出口対策として、全国知事会とも連携し、国に対して借換え制度の創設などを提言してまいりました。この結果、国の新たな経済対策において、低い保証料率でコロナ関連融資などを借り換えることができる制度が創設されることとなりました。 新しい制度の詳細や開始時期については、まだ明らかにされておりませんが、公表されている内容では、国や県のコロナ関連融資や他の保証つき融資に加え、新たな資金需要に係る融資を一本化することができるとされております。このことから、資金繰りに不安を抱いている幅広い事業者に活用いただける制度になるものと考えております。 県としては、この国の制度を最大限活用した新たな融資制度を創設してまいりますが、景気の回復状況は地域や業種などにより異なっております。このため、融資制度を利用される事業者の中でも特に厳しい経営状況にある事業者には、県独自で保証料の上乗せ補給も行ってまいりたいと考えております。 新しい融資制度の効果といたしましては、複数の融資を一本化することで月々の返済負担が平準化され、資金繰りの改善につながること、国及び県の保証料補給により事業者の負担が軽減されること、新たに据置期間を設けることができること、金融機関の継続的な伴走支援による経営改善が見込まれることなどが挙げられます。 今回の融資制度の創設が、何よりコロナ関連融資の返済を間近に控えている事業者の皆様の心理的な不安を和らげ、そして事業継続への意欲の喚起にもつながりますことを心から願っております。   (観光振興部副部長小西繁雄君登壇) ◎観光振興部副部長(小西繁雄君) まず、広域観光組織の取組への評価と、広域観光の目指すべき姿についてお尋ねがございました。 広域観光組織では、エリア内の観光施設や自然、食などの素材を組み合わせ、地域ならではの旅行商品や周遊プランをつくるとともに、情報発信などに取り組んできました。 ここ数年、コロナ禍により地域の観光事業者は大変厳しい状況に置かれておりますが、広域観光組織において飲食店や観光施設等と連携したクーポン事業を実施するなど、地域の観光需要の下支えをしていただきました。また、教育旅行向けのプログラムづくりやセールス活動を継続的に行い、コロナ禍により全国的に修学旅行の目的地が変更になる中、その受皿となって、たくさんの修学旅行生を受け入れていただきました。このように県内各地で広域観光組織による主体的な動きが広がっており、それぞれに成果を上げていただいていると感じております。 今後、本県観光をもう一段底上げしていくためには、観光客の方が定番の観光地からもう一歩足を延ばして、地元の方々との交流や、その地域ならではの体験を楽しんでいただくような滞在型の観光を、より一層推進していくことが重要だと考えております。その中心的役割を地域のかじ取り役である広域観光組織に担っていただきたいと思っています。 このため、観光客の滞在時間や移動経路などのデジタルデータを活用した施策展開など、広域観光組織の取組をさらに充実していただくとともに、宿泊施設の魅力向上などにも引き続き取り組み、一泊でも長く滞在していただける観光地を目指してまいります。また、1次産業をはじめとする地域の産業との関連を深めるとともに、高知県の暮らしに関心を持つ方を増やしていけるよう、これまで以上に地域観光の幅を広げ、取り組んでいきたいと考えております。 次に、高知県アニメプロジェクトを観光振興にどう生かすのかとのお尋ねがございました。 アニメ産業に関わる企業やクリエーターの方々の本県への集積が実現すれば、地域産業の活性化や交流人口の拡大につながることはもちろん、高知を舞台にしたアニメ作品が数多く制作される可能性が高まるものと期待しています。昨年上映され、大ヒットしたアニメ映画竜とそばかすの姫のように、本県がアニメ作品の舞台となることは地域の魅力の発信につながり、観光客誘致において大きな効果をもたらすものと思います。 このように、高知県アニメプロジェクトの推進は、将来的にアニメツーリズムへ発展することが大いに期待されるものだと考えております。このため、クリエーターの方々に本県の強みである自然や食、そして地域の文化といった作品の題材となり得る素材やロケ地の情報を積極的に提供してまいりたいと考えております。 高知を舞台にした数多くの作品が世界に向けて発信され、アニメツーリズムという本県での新たな観光スタイルが定着できるよう取り組んでまいります。   (中山間振興・交通部長中村剛君登壇) ◎中山間振興・交通部長(中村剛君) まず、集落活動センターの活動への今後の支援についてお尋ねがございました。 御指摘のように、集落活動センターの取組が始まって10年が経過し、一部のセンターでは運営に携わる新たな担い手の確保が課題となっております。また、コロナ禍でイベントの中止や活動の中断が余儀なくされるなど、センターの活動そのものの停滞も課題となっております。 こうした中、センターの担い手不足につきましては、地域おこし協力隊や集落支援員がセンターの事務局を担うことで住民の負担が軽減され、センターの活性化につながっているという事例が数多くございます。このため、これらの制度の活用について、改めて市町村やセンターへの制度周知、あるいは活用事例の紹介を行ってまいります。あわせまして、地域支援企画員などを通じて、地域の若い世代を中心にセンターの取組などをお伝えすることで、住民の方のさらなる参画を促してまいりたいと考えております。 また、活動が停滞しているセンターに対しては、感染対策を行った上で活動を再開していただくこと、これが停滞を打破する何よりの手だてだと考えますが、一度中断したものを再開するには大きな労力が必要となります。このため、お伺いしているセンターの御意見を踏まえ、コロナ禍により中断、縮小されている活動の再始動を促すための現行支援制度の拡充などについて検討していきたいと考えております。 次に、中山間地域の買物弱者への支援についてお尋ねがございました。 御指摘のように、中山間地域で暮らし続けるために、買物に不便を感じる方が食料品などの生活用品を確保できる環境、これを維持していくことは大変重要です。昨年度実施しました集落実態調査におきましても、約6割の住民の方が近隣の店舗を利用されており、また仮に現在利用されている店舗がなくなった場合には、移動販売等を利用したいという御意見が5割を超えております。 こうした住民の高いニーズに応えるために、県では中山間地域生活支援総合事業において、事業者が行う生活用品販売店舗の整備や移動販売車両などの購入費用に対して、県と市町村で3分の2を補助しており、令和3年度までに4店舗、移動販売については延べ32事業者への支援を行っております。 また、この事業では、事業者が本格実施に入る前に、計画どおりに事業が実施できることを確認するため、最長1年間を試行期間とし、その期間必要となる運営経費についても補助することとしております。あわせまして、経営面での課題などに対しましては、高知県産業振興センターの専門家派遣などの支援策も活用いただけるところでございます。 ただ、これまで特に店舗整備につきましては、その申請件数が少なく、こうした事業内容が市町村や事業者などと十分に共有されていないことも想定されます。このため、市町村等への周知を改めてしっかりと行い、さらなる制度の活用を促してまいります。加えまして、デジタル技術を活用した、いわゆる買物弱者と言われる方々に直接商品を届ける仕組みなど、新しい取組への支援も行っていきたいと考えております。 次に、集落活動センターと大学との連携の現状と、今後どう進めていくかについてお尋ねがございました。 集落活動センターと大学の連携につきましては、多くの地域で様々な形の活動が行われております。例えば、イベントの手伝いなど短期に支援する場合もあれば、二、三年の中長期にわたって住民の皆さんと共に地域活動を行う事例、活動の運営に継続的に参画し、地域に欠かせない存在となっている事例もございます。 こうした集落活動センターと大学の連携の取組は、地域外の若者の視点や感性により地域が活気づくだけでなく、魅力の再発見や住民の気づきにつながり、それが新たなイベントや特産品づくりに発展するものもございます。また、参加する側の学生にとりましても、座学だけでは分からない中山間地域の現状を知り、その課題解決に住民と共に最前線で携わることで、自らの成長につながる貴重な経験になっているとお聞きしております。 このように、集落活動センターと大学との連携は、集落と学生の双方にとって大変有意義であります。これまでも集落活動センターへの補助金を通じての支援は可能でございましたが、来年度に向けては集落活動センターと大学との連携の機会を今以上に拡大するための、より効果的な手法についても検討してまいります。 最後に、ふるさと納税制度を活用した資金調達の仕組みの創設についてお尋ねがございました。 集落活動センターの中には、ふるさと納税を活用した仕組みではございませんが、これまでも特産品づくりや物販事業などの活動資金として、クラウドファンディングを活用しているところがございます。また、活動資金への寄附にとどまらず、地域外の視点からの知恵や地域の活動への参加を募るという形で取り組んでいるセンターもございます。 こうした取組や、お話のありました芸西村の取組などは、単なる資金調達だけではなく、地域の魅力の発信や関係人口の拡大にもつながるものであり、大変有意義なものと考えております。また、御提案のありました佐賀県のようなふるさと納税の仕組みを介して、県の重要施策を広く県出身者や高知ファンの方々に知ってもらい応援してもらうことも、県や地域にとって大変有益な取組だと考えております。 他方、県のふるさと納税制度を活用し、個別団体の資金調達を支援するという仕組みの構築に向けましては、対象団体の選定や、県と市町村との役割分担など、整理が必要な課題も多くあるものと考えられます。このため、先ほど申しました集落活動センターで先行する事例について、他のセンターや市町村にも広く共有し、取り組んでいただけるよう働きかけながら、併せて御提案のような県のふるさと納税の活用についても研究してまいります。   (教育長長岡幹泰君登壇) ◎教育長(長岡幹泰君) まず、一連の教職員の不祥事に関し、子供たちへの影響と再発防止に向けた取組についてお尋ねがございました。 児童生徒を教育し、範を示すべき立場にある教職員が逮捕されるという事案が続いており、児童生徒の精神的なショックは大変大きいものと、誠に申し訳なく思っております。県教育委員会では、事案発生後、速やかに児童生徒の状況を確認するとともに、スクールカウンセラーを緊急派遣するなど、心のケアに努めてまいりました。 また、こうした状況を受け、11月には臨時県立学校長会議を開催し、その後も小中学校長会や県立高等学校長協会の役員と不祥事防止についての話合いを続けております。その中で、まず管理職が教職員一人一人の状況をよく知ること、また日々声をかけ、十分に意思の疎通を図ること、さらに互いに認め合い、高め合うチームづくりに取り組んでいくことを確認したところでございます。 具体的には、県立学校では教職員が日頃の職務や日常生活について、チェックリストによる自己点検を行い、その上で校長等が面談を行ってまいります。また、点検結果を基に、各学校で話合いや事例研究などの校内研修を実施し、不祥事防止に向けた意識を徹底することとしております。また、小中学校におきましても、校長による全ての教職員との個別面談の中で意識の徹底等を図ってまいります。 こうした取組に加えまして、大学の心理学の専門家等の御意見もお聞きしながら、事案の分析やこれまでの取組の検証を行い、より効果的な対策を検討するなど様々な手だてを講じ、不祥事の防止に取り組んでまいります。 次に、地域教育魅力化コーディネート事業の進捗状況と課題、そして今後の取組についてお尋ねがございました。 今年度から始まりました本事業では、中山間地域の高等学校の魅力化を図るため、隠岐島前高等学校の取組も参考に、まずは5校を対象として学校、行政、地域が協働して目標達成を図ろうとする地域コンソーシアムの構築に着手をしております。 その中で先行している清水高等学校につきましては、土佐清水市の未来を創造する人材を育成し、町の活性化を図ることを目的とした地域コンソーシアムが立ち上がっております。現在、ジョン万スピリットを継承したグローバルな人材や地域の産業を担う人材、地域コミュニティーを牽引する人材の育成を柱に据え、学校、行政、地域がそれぞれの果たすべき役割、取組を盛り込んだアクションプランの策定を進めております。 一方で、関係者間の調整や取りまとめ、アクションプランの進捗管理などを行う人材を求める声が上がっており、事業全体を俯瞰しながら組織をつないでいくコーディネーターの確保が課題となっております。このため、地域・教育魅力化プラットフォームの支援もいただきながら、こうした人材の確保・育成にも取り組んでいるところでございます。 今後は、先行地域における現状や課題などを紹介しながら、中山間地域の高等学校に地域コンソーシアムを広げ、魅力化を進めていきたいと考えております。 次に、既に統合した高校の現状と課題、また今後の統合校の魅力化に向けたフィードバックについてお尋ねがございました。 令和5年度に統合が完了します高知国際中学校・高等学校では、世界共通の教育プログラムである国際バカロレア教育を導入し、学校全体でグローバル人材の育成に取り組み、県内はもとより全国からも注目される学校となっております。 須崎総合高等学校では、工業科と普通科を併置し、横断的なカリキュラムにより進学から就職まで幅広い生徒のニーズに応える教育活動を実践しております。さらに、ソーラーボートの製作部門で全国大会の優勝常連となる造船部など、特色ある部活動も行われております。一方で、生徒確保については苦戦している部分もあります。こうしたことを踏まえますと、学校の特色や魅力が生徒や保護者などにしっかりと伝わるよう、情報発信を行っていくことが重要な要素であると考えております。 令和5年度に統合予定の新安芸中学校・高等学校は、普通科と工業科、商業科を有し、中学校段階から大学進学や物づくり、また起業家教育に触れ、自分のキャリアデザインを描くことができる全国でも数少ない中高一貫教育校となります。今後こうした特色や魅力を小中学生や保護者、地域の方々にしっかりと情報発信をし、多くの生徒に入学していただける学校となるよう努めてまいりたいと考えております。 次に、地域みらい留学の成功に向けた部局横断的な取組や、地元市町村と連携した取組の必要性についてお尋ねがございました。 地域みらい留学によって県外から多くの留学生に来ていただくためには、関係機関と連携を図り、本県の高等学校や地域の魅力をしっかりと情報発信していくことが必要でございます。また、地域の受入れ体制を整えていくことも不可欠であると考えております。 情報発信につきましては、これまでも高知県移住促進・人材確保センターが主催する首都圏での移住相談会において、県立高等学校や県教育委員会がブースを出展するなど、一定の連携を行っておりますが、継続した取組にまで至っていない現状にあります。このため、今後は同センターのほか、県の他部局や市町村との連携を強化し、継続した情報発信を行っていくことが必要であると考えております。 また、受入れ体制の整備につきましては、地元市町村との連携により、生徒が安心して生活できるための物心両面での環境づくりを行ってまいりました。さらに、地域の人々の協力もいただいて、地域の自然や伝統文化などに触れる特色ある教育活動も行ってきているところでございます。 今後、こうした取組をより一層充実させていくことが重要となってまいります。高知を選んでよかったと思っていただける魅力ある地域みらい留学とするため、こうした関係機関や市町村との連携した取組をますます強化して進めてまいりたいと思っております。 最後に、山田高等学校などが取り組んでおります高知大学との連携によるオンライン企業交流会に対する評価と、今後の取組の方向性についてお尋ねがございました。 高校生が自らの将来を考える上で、企業の方と直接話をし、企業を知り、働く意義を考えることは非常に価値ある学びであると考えております。そのため県教育委員会といたしましては、企業見学や、ものづくり総合技術展への参加など、高校生の県内企業理解促進事業を実施しているところでございます。 お話のありましたオンライン交流会に参加した生徒からは、将来の選択肢が広がった、企業は人や地域とのつながりを大切にしていることが分かったといった感想があり、この交流会が高校生に県内企業の魅力を伝えるきっかけになっていることが分かります。 また、このようなオンラインによる企業交流会は、移動時間や場所の制限がなく、多くの高校生に企業の方々や大学生と交流する機会を提供する上で有効な手法であると考えます。今後は、山田高等学校で行われた取組などを他校へも広げてまいりたいと考えます。 また、こうした高校生と県内企業などとをつなげる取組に加え、1人1台タブレット端末の効果的な活用や、遠隔教育システムを用いた交流などの新たな取組についても検討してまいります。 ◆12番(野町雅樹君) それぞれ大変御丁寧な、そして大変前向きな御答弁もいただきまして本当にありがとうございました。 2問目は行いませんけれども、ふるさと納税制度の活用につきまして1つ要請をさせていただきたいというふうに思います。先ほど中山間振興・交通部長のほうから御答弁もいただきましたけれども、私は昨年の12月議会におきましても、ふるさと納税制度に対する県のより積極的な取組につきまして質問をさせていただきました。今回は、中山間対策に絞った新たな取組につきまして提案をさせていただきましたけれども、このことは何も中山間対策に限ったことではなく、例えば今全国的な注目を集めております安芸市あるいはいの町なんかでも取組をしております農福連携の取組などにも活用できるのではないかなというふうに思います。 生きづらさを抱えた方々の自殺防止対策からスタートした取組ですけれども、今多くの方々が農業の現場で働きたい、それぞれの居場所ややりがいを見つけて、きらきらした笑顔で集まってきております。しかし、個人や、あるいは小規模な事業所が事業を拡大していくために、何らかの補助制度あるいは補助事業を活用しようとしたときに、どうしても自己資金の問題でありますとか様々な制度のはざまで、思うように事業展開ができないケースが多いというのが実態であります。 しかし、高知を元気にするための未来への地域おこし事業と言えるような、こういった取組をふるさと納税の制度の仕組みを活用して、全国の皆さんに応援をしてもらえないものかというふうに考えます。 佐賀県の取組のコピーを期待しているわけではありません。高知発の新たなふるさと納税の活用方法をぜひ前向きに御検討をいただきたいということで、総務部長にも強くお願いを申し上げまして、私の一切の質問を終わりたいと思います。大変ありがとうございました。(拍手) ○議長(明神健夫君) 以上をもって、議案に対する質疑並びに一般質問を終結いたします。----------------------------------- △議案の付託 ○議長(明神健夫君) これより議案の付託をいたします。   (議案付託表及び請願文書表配付) ○議長(明神健夫君) ただいま議題となっている第1号から第45号まで、以上45件の議案を、お手元にお配りいたしてあります議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。   〔議案付託表 巻末238ページに掲載〕----------------------------------- △請願の付託 ○議長(明神健夫君) 御報告いたします。 請第1-1号「すべての子どもにゆきとどいた教育をすすめるための請願について」から請第3号「土佐市宇佐メガソーラー開発に関する請願について」まで、以上5件の請願が提出され、その請願文書表をお手元にお配りいたしてありますので御了承願います。 これらの請願は、請願文書表に記載のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。   〔請願文書表 巻末242ページに掲載〕----------------------------------- ○議長(明神健夫君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 お諮りいたします。明15日から20日までの6日間は委員会審査等のため本会議を休会し、12月21日に会議を開きたいと存じますが御異議ありませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○議長(明神健夫君) 御異議ないものと認めます。よって、さよう決しました。 12月21日の議事日程は、議案並びに請願の審議であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後2時35分散会...