令和 3年 2月 定例会(第357回)
----------------------------------- 令和3年3月4日(木曜日) 開議第4日
-----------------------------------出席議員 1番 上治堂司君 2番 土森正一君 3番 上田貢太郎君 4番 今城誠司君 5番 金岡佳時君 6番 下村勝幸君 7番 田中 徹君 8番 土居 央君 9番 野町雅樹君 10番 浜田豪太君 11番 横山文人君 12番 西内隆純君 13番 加藤 漠君 14番 西内 健君 15番 弘田兼一君 16番 明神健夫君 17番 依光晃一郎君 18番 梶原大介君 19番 桑名龍吾君 20番 森田英二君 21番 三石文隆君 22番 山崎正恭君 23番 西森雅和君 24番 黒岩正好君 25番 大石 宗君 26番 武石利彦君 27番 田所裕介君 28番 石井 孝君 29番 大野辰哉君 30番 橋本敏男君 31番 上田周五君 32番 坂本茂雄君 33番 岡田芳秀君 34番 中根佐知君 35番 吉良富彦君 36番 米田 稔君 37番 塚地佐智君欠席議員 なし
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 濱田省司君 副知事 岩城孝章君 総務部長 井上浩之君 危機管理部長 堀田幸雄君 健康政策部長 鎌倉昭浩君 地域福祉部長 福留利也君 文化生活スポーツ部長 岡村昭一君 産業振興推進部長 沖本健二君 中山間振興・交通部長 尾下一次君 商工労働部長 松岡孝和君 観光振興部長 吉村 大君 農業振興部長 西岡幸生君 林業振興・環境部長 川村竜哉君 水産振興部長 田中宏治君 土木部長 村田重雄君 会計管理者 井上達男君 公営企業局長 橋口欣二君 教育長 伊藤博明君 人事委員長 秋元厚志君 人事委員会事務局長 原 哲君
公安委員長職務代理者 西山彰一君 警察本部長 熊坂 隆君 代表監査委員 植田 茂君 監査委員事務局長 中村知佐君
-----------------------------------事務局職員出席者 事務局長 行宗昭一君 事務局次長 織田勝博君 議事課長 吉岡正勝君 政策調査課長 川村和敏君 議事課長補佐 馬殿昌彦君 主幹 春井真美君 主査 久保淳一君
-----------------------------------議事日程(第4号) 令和3年3月4日午前10時開議第1 第1号 令和3年度高知県一般会計予算 第2号 令和3年度高知県
収入証紙等管理特別会計予算 第3号 令和3年度高知県
給与等集中管理特別会計予算 第4号 令和3年度高知県
旅費集中管理特別会計予算 第5号 令和3年度高知県
用品等調達特別会計予算 第6号 令和3年度高知県
会計事務集中管理特別会計予算 第7号 令和3年度高知県
県債管理特別会計予算 第8号 令和3年度高知県
土地取得事業特別会計予算 第9号 令和3年度高知県
国民健康保険事業特別会計予算 第10号 令和3年度高知県
災害救助基金特別会計予算 第11号 令和3年度高知県
母子父子寡婦福祉資金特別会計予算 第12号 令和3年度高知県
中小企業近代化資金助成事業特別会計予算 第13号 令和3年度高知県流通団地及び
工業団地造成事業特別会計予算 第14号 令和3年度高知県
農業改良資金助成事業特別会計予算 第15号 令和3年度高知県
県営林事業特別会計予算 第16号 令和3年度高知県林業・
木材産業改善資金助成事業特別会計予算 第17号 令和3年度高知県
沿岸漁業改善資金助成事業特別会計予算 第18号 令和3年度高知県
港湾整備事業特別会計予算 第19号 令和3年度高知県
高等学校等奨学金特別会計予算 第20号 令和3年度高知県
流域下水道事業会計予算 第21号 令和3年度高知県電気事業会計予算 第22号 令和3年度高知県
工業用水道事業会計予算 第23号 令和3年度高知県病院事業会計予算 第24号 令和2年度高知県一般会計補正予算 第25号 令和2年度高知県
収入証紙等管理特別会計補正予算 第26号 令和2年度高知県
旅費集中管理特別会計補正予算 第27号 令和2年度高知県
会計事務集中管理特別会計補正予算 第28号 令和2年度高知県
県債管理特別会計補正予算 第29号 令和2年度高知県
国民健康保険事業特別会計補正予算 第30号 令和2年度高知県
災害救助基金特別会計補正予算 第31号 令和2年度高知県
母子父子寡婦福祉資金特別会計補正予算 第32号 令和2年度高知県
中小企業近代化資金助成事業特別会計補正予算 第33号 令和2年度高知県流通団地及び
工業団地造成事業特別会計補正予算 第34号 令和2年度高知県
農業改良資金助成事業特別会計補正予算 第35号 令和2年度高知県
県営林事業特別会計補正予算 第36号 令和2年度高知県林業・
木材産業改善資金助成事業特別会計補正予算 第37号 令和2年度高知県
沿岸漁業改善資金助成事業特別会計補正予算 第38号 令和2年度高知県
港湾整備事業特別会計補正予算 第39号 令和2年度高知県
高等学校等奨学金特別会計補正予算 第40号 令和2年度高知県
流域下水道事業会計補正予算 第41号 令和2年度高知県
病院事業会計補正予算 第42号 高知県軽費老人ホーム等の設備及び運営に関する基準を定める条例議案 第43号 高知県指定居宅サービス等の事業等の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準等を定める条例議案 第44号 高知県
指定障害児通所支援事業者等が行う障害児通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例議案 第45号 高知県
指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例議案 第46号 高知県
ホストタウン新型コロナウイルス感染症対策基金条例議案 第47号 高知県
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金基金条例議案 第48号 高知県中小企業・
小規模企業振興条例議案 第49号 知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第50号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案 第51号 職員の給与に関する条例及び警察職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案 第52号 高知県部設置条例の一部を改正する条例議案 第53号 高知県食品衛生法施行条例の一部を改正する条例議案 第54号 高知県青少年保護育成条例の一部を改正する条例議案 第55号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第56号 高知県の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例議案 第57号 高知県道路の構造の技術的基準及び道路に設ける道路標識の寸法を定める条例の一部を改正する条例議案 第58号 高知県建築士法施行条例の一部を改正する条例議案 第59号 高知県建築基準法施行条例の一部を改正する条例議案 第60号 公立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案 第61号 高知県立中学校、高等学校及び
特別支援学校設置条例の一部を改正する条例議案 第62号 高知県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例議案 第63号 高知県が当事者である和解に関する議案 第64号 高知県が当事者である和解に関する議案 第65号 南国市と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第66号 香南市と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第67号 日高村と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第68号 香南香美衛生組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第69号
仁淀川下流衛生事務組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第70号 日高村佐川町学校組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第71号 仁淀消防組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第72号
高知中央西部焼却処理事務組合と高知県との間の行政不服審査法第81条第1項の機関の事務の受託に関する議案 第73号
田ノ浦漁港製氷貯氷施設の指定管理者の指定に関する議案 第74号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第75号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第76号 県が行う流域下水道の維持管理に要する費用に対する市の負担の変更に関する議案 第77号 包括外部監査契約の締結に関する議案 第78号 都市計画道路はりまや町一宮線防災・
安全交付金工事請負契約の締結に関する議案 第79号 (仮称)
南国日章工業団地団地整備工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 報第1号 令和2年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告 報第2号 令和2年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告第2 一般質問 (3人)
----------------------------------- 午前10時開議
○議長(三石文隆君) これより本日の会議を開きます。
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△諸般の報告
○議長(三石文隆君) 御報告いたします。 公安委員長小田切泰禎君から、所用のため本日の会議を欠席し、公安委員西山彰一君を職務代理者として出席させたい旨の届出がありました。
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△質疑並びに一般質問
○議長(三石文隆君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「令和3年度高知県一般会計予算」から第79号「(仮称)
南国日章工業団地団地整備工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案」まで並びに報第1号「令和2年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告」及び報第2号「令和2年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告」、以上81件を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問を併せて行います。 30番橋本敏男君。 (30番橋本敏男君登壇)
◆30番(橋本敏男君) おはようございます。県民の会の橋本敏男でございます。通告に従いまして順次質問をさせていただきたいと思います。 まず、足摺沖での潜水艦衝突についてでございます。 この問題については、一昨日梶原議員、それから米田議員、それぞれ両議員のほうからも質問がございました。重複するところも多々あるかも分かりませんが、私の地元で起こったことでございますので御容赦いただいて、少しばかりお付き合いを賜りたいというふうに思います。先月8日午前10時58分頃、足摺沖で海上自衛隊の潜水艦そうりゅうと商船が衝突する事故があり、潜水艦の隊員3人が軽いけがを負ったという報道がありました。 まずは、この事故における知事の所見を求めておきたいというふうに思います。 事故を起こしたそうりゅうは、全長84メートル、排水量は2,950トン、海上自衛隊呉基地を拠点とする第1潜水隊群に所属し、魚雷発射管を6基搭載している潜水艦であるとのことでございます。この潜水艦の事故に限らず、海上自衛隊の艦艇と民間の船舶が衝突する事故は、これまでも度々起きています。 最近では、去年3月護衛艦しまかぜと中国の漁船が衝突、おととし6月には掃海艇のとじまと貨物船が、平成21年には関門海峡で護衛艦くらまとコンテナ船が衝突、平成20年にはイージス艦あたごが漁船と衝突して、漁船に乗り込んでいた親子2人が死亡しました。そして、昭和63年7月には潜水艦なだしおが神奈川県の横須賀沖で遊漁船と衝突し、釣り客と乗組員合わせて30人が死亡する悲惨な事故が起きています。潜水艦そうりゅうが衝突したのは超大型船ですが、もし小さな船だったら、漁船だったら大惨事を引き起こしていたに違いない、そう思うとぞっとします。 今回の事故現場は、キンメダイの網代で、付近はカツオやメジカの漁場ともなっています。土佐清水市の漁業者からは不安や怒りの声が上がっていると、高知新聞が地元漁業者を取材した記事が載っていました。 その記事には、年に二、三回は潜水艦を目撃する証言や、「今回は相手が太い商船やったけん、あればあで済んだけんど、うちの船やったらひとたまりもない。こっちは命がかかっちょうと憤慨し、ある漁師は、確認不足としか考えられん。ちゃんと仕事してもらわんとと語気を強めた。ほかの漁師からは、万が一油が漏れちょったら、漁師にはざまな損害になる。自衛隊はなめてかかっちょうがよ。時間がたったら、また事故を繰り返すがやないかと口々に不満が漏れた」とあります。地元の理事は、「漁師はこの事故で恐怖を感じちょう」とした上で、「これからの季節はカツオのひき縄の船もようけ出る。何ぼ自衛隊でもこの漁場は避けてもらわんといかん」と、現場の漁師の悲痛な声が記載されていました。 このように現場は、県が設置した土佐黒潮牧場の浮き魚礁、13号と18号ブイの近隣海域にあり、カツオやメジカなどのひき縄漁が盛んなところで、漁船の往来も多く、漁民の暮らしを支える大事な場所で起きた事故です。特に、13号ブイでは年間に延べ1,000隻を超える一本釣りやひき縄船が操業するなど、県下でも最も多く利用されている海域であると言っても過言ではないと思います。この海域は清水の漁師だけではなく、本県の沿岸カツオ漁業を支えている最もよい漁場で、操業隻数や漁獲高においてもトップクラスの実績を上げています。 高知新聞の記事のとおり、漁師からは多くの不安の声が上がっており、生産者の安全や安心を担保するためにも、高知の漁業を守るという観点からも、その声にしっかりと応えていかなければならないと思いますが、水産振興部長の答弁を求めます。 しかも、その海域は潮流も複雑で、船の音はソナーでは把握しにくいようなところだったというのに、なぜ浮上しようとしたのか、その判断の是非も問われなければならないし、驚いたことに防衛省への一報が発生から3時間以上たっていた事実は、看過できないと思います。さらに、この海域は漁船だけではなく、本県に関係している商船なども行き交う海域です。 本県の危機管理の上からも見過ごせない大きな問題で、早急な対応が求められると思いますが、危機管理部長の見解を求めます。 思い起こせば、隣の愛媛県の実習船えひめ丸の悲惨な事故から20年過ぎましたが、潜水艦との衝突事故は後を絶たず、過去の尊い犠牲の上に立った重い教訓から一体何を学んできたのか、海自は国民に対する安全・安心をどのように担保するのか、大きく問われることになるというふうに思います。 今回の事故の報告を受け政府は、総理大臣官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置し、状況の把握に当たっているとした上で、情報収集に万全を尽くすこと、安全確認と救助活動の徹底、そして国民への情報提供を行うことの指示があったとしています。政府は、運輸安全委員会から事故調査官3名を指名し、原因を調査するとしています。 調査の結果はどうであったのか、県に何らかのタイムスケジュールは示されているのか、危機管理部長の答弁を求めます。 令和3年2月10日付で、知事は、防衛大臣に対して遺憾の意を伝えるとともに、事故原因の徹底究明を行うとともに確実な再発防止策を講じること、再発防止策及び事故の調査結果について速やかに本県に情報提供することを要請しています。 地元の漁師は、潜水訓練の事前連絡やこの海域でのルート除外などを強く要望しています。これまでのように原因究明することだけにとどまれば、再発の恐怖は拭い切れないし、県民の安全は担保できないと思いますが、国に向き合う知事の姿勢について答弁を求めます。また、国に対する要請書には確実な再発防止策とありますが、知事の思い描く確実な再発防止策とはいかなるものか、どういうふうにイメージしたらいいのか、具体的に示していただきたいというふうに思います。 次に、2050年
カーボンニュートラル宣言について質問をしてまいります。 菅総理大臣は、2050年までに温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにするカーボンニュートラルの実現を目指すと宣言し、大きな注目を集めました。この宣言によって、日本も国際社会のトレンドに歩調を合わせた格好となりましたが、現実的には多くの課題もあり、実現への道筋には大きな困難が待ち受けているというふうに思います。 高知県においても、濱田知事は12月県議会において2050年
カーボンニュートラル宣言を行い、国と歩調を合わせ、カーボン実質ゼロの実現を目指した取組にかじを切りました。カーボン実質ゼロの宣言は大いに評価できるものですが、これを具体的に行い実現するには多くの課題があり、まさにいばらの道だと思います。とはいえ、県民に向かって発信した以上、結果を出さなければなりません。 2050年カーボン実質ゼロへ向けた道筋を知事に示していただきたいと思います。 この宣言を行い、国が脱炭素にかじを切り、2050年の温室効果ガス排出量の長期削減目標80%を100%に変えたということは、温暖化対策の柱となっている2030年度の中期目標、2013年度比26%削減の変更も余儀なくされることになると思います。 この地球温暖化対策計画の中期目標には、多くの温暖化対策がリンクされていますので、国における既存の対策強化が検討されることが想像でき、本県の取組においても大きな影響をもたらすと考えますが、どのように向き合うのか、林業振興・環境部長の答弁を求めます。 また、高知県が新たに策定する新エネルギービジョンには、2050年に実質ゼロを目指したビジョンとなっているのか、さらに新エネルギービジョンのポイントを林業振興・環境部長に答弁していただきたいと思います。 高知県が2050年二酸化炭素排出実質ゼロを表明したことは本当に評価できますが、問題は実効性ある取組を整理した上で、時系列ごとに目標数値を示し、市町村や事業者がしっかり向き合えるよう、県が後押しをすることが必要ではないかと思います。 県民は無論のこと、市町村や事業者の協力・連携についてはどのように考えているのか、林業振興・環境部長の答弁を求めます。 そもそも目標数値を定め、それに向き合おうとしても、電力の自由化などにより地域内での排出量の把握が困難な状況があり、県や市町村が排出量を算定できないのではないかと思いますが、目標数値に関するデータの把握はできるのか、林業振興・環境部長の答弁を求めます。 さらに、市町村単位での実質ゼロの実現はかなり困難性が高い可能性があり、広域連携を含めたアクションプランなどの策定を推進すべきではないかと思います。 しかしながら、市町村においては専門的な知見やマンパワーが限られており、そのサポート体制と市町村の負担軽減を図らなければならないと思いますが、仕掛け人の県としてどのような取組をしていくのか、林業振興・環境部長の答弁を求めます。 来年度は、脱炭素化に向けた施策の具体化と着実な実行に向け、新たなプロジェクトチームを立ち上げ、専門家の方々から助言や提言をいただき、アクションプランの策定に着手すると知事の提案理由説明がありました。一昨日の梶原議員の質問への答弁で、今回策定するアクションプランにおける柱、CO2の削減、グリーン化関連産業、SDGsを意識するの3つが明らかになりました。 新たに公表するアクションプランにおける3つの柱と新エネルギービジョン、さらには高知県環境基本計画第5次計画、高知県
地球温暖化対策実行計画などとの連動性について林業振興・環境部長の答弁を求めます。 御承知のように、日本でCO2の排出量が最も多いのは、エネルギー転換と呼ばれる発電所や製油・製鉄所です。特に、発電が化石燃料で行われている間は効果が乏しいため、電力を再生可能エネルギーに替えることが重要な取組になります。本県は、国内においてトップクラスの再エネ資源県でもあり、県内消費電力量に対する再エネ電力自給率は大型水力発電を加えると82.8%となっており、非常に高い水準にあると思いますが、高知県産100%を可能とするためには残り17.2%をこなさなければなりません。 一昨日の米田議員が指摘した、電力インフラにおける容量市場の現状を考えれば、簡単なことではありません。昨年、強靭かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律が制定され、FIT制度の抜本的な見直しや電気事業法の一部が改正され、国の第5次エネルギー基本計画や電力システム改革などと相まって、
地域分散型供給システムの構築に向けた法的な環境整備は順次整っています。しかしながら、他方では、前段でも申し上げましたが、まだまだ系統連系の制約やFIT認定基準の見直しなど課題も多くあります。 そのような中でありますが、今の状況を整理し知恵を出し合いながら、再エネを使った地域分散型の電力ネットワークの構築に向け、地域新電力などの再エネビジネスや災害時における電力強靱化を図るための取組を推進しなければならないと思います。 県では、過去にこうち型地域還流再エネ事業や県有施設の屋根貸しによる太陽光発電事業などに取り組み、官民一体となった施策の展開を行ってまいりました。当時と今とでは取り巻く環境も大きく異なるとは思いますが、こうした積極的な施策を図っていくことが、カーボン実質ゼロを可能にする取組だと思います。 地域と調和した経済と環境の好循環が図られるよう、市町村や事業者が地域のポテンシャルを生かし、主体的、計画的に地域経済循環につなげる取組を行えるよう、再エネ導入の仕組みを県が仕掛ける必要があると思いますが、林業振興・環境部長に具体的な施策または支援策があればお示しください。 2021年2月24日時点、2050年までに二酸化炭素の排出量をゼロにすると宣言している自治体は277、都道府県では32が表明しています。表明した自治体の人口を数えれば9,944万人にも上り、日本の総人口の7割を軽く超えている状況ですが、そんなに簡単な課題ではありません。 最近では宣言に寄り添う形で、何とか実行し克服するために、新たな条例を制定したり、既存の条例を改正したりする動きが活発化しており、長野県では長野県脱炭素社会づくり条例が2020年10月に制定されたと聞いています。その条例は市町村や県民をはじめ、事業者を含め県以外の関係者などは全て努力義務とされていますが、県として脱炭素に取り組む姿勢や方向性などは共有し、大いに発信できるのではないかと思います。その条例には、県が脱炭素に向けた行動計画を策定することをはじめ、それに伴う財政措置を講じること、市町村や事業者との連携・支援を行うことなどが盛り込まれているようです。世界も国も各自治体も企業もこの動きに歩調を合わさなければ、脱炭素社会で生き残り、発展を続けることはできないとまで言われています。 本県の目指すべき形を条例化し、広く内外に発信することで、2050年
カーボンニュートラル宣言を実効性あるものにすべきだと思いますが、知事の所見を求めたいと思います。 次に、集落対策の充実強化について質問をしてまいります。 中山間集落の振興なくして高知県の発展はないと、尾崎県政から引き続き濱田県政においても、中山間振興が県政の最重要課題であると引き継がれました。高知県では全国より先行して人口減少、高齢化が進んでおり、それにコロナ事情が加わり、中山間集落における暮らしはますます厳しさを増しています。特に目につくのは、集落道や給排水路、石垣、集会所などの集落生活インフラで、経年劣化により機能が大きく失われ、中山間地域での暮らしの利便性が低下しています。 集落生活インフラは公的資産ではなく、昔から集落が暮らしのために共有してきた共同の集落資産であります。そのため、多くの集落の代表が個人所有登記した上で、それを集落みんなで維持管理を行いながら、暮らしの利便性を図ってまいりました。言わば集落の知恵であります。 しかしながら、多くの中山間地域では限界集落と呼ばれる高齢化率50%以上、所によっては高齢化率80%を超えるような集落も存在します。近年では、施設の経年劣化や災害などに加え、人口減少、高齢化の急速な進展により、集落での保守機能低下が著しく、維持管理は限界に来ています。本来ならば、市町村が集落生活インフラの整備に向き合うべきですが、非常に厳しい財政状況の中、崩壊していく集落生活インフラのスピードについていけず、市町村単独での対応には限界があり、十分な手当てができていないのが現状です。 崩壊していく集落の暮らしの現状認識について知事の所見を求めたいと思います。 10年前の集落実態調査から、集落活動や産業を担う人の育成・確保、安心して暮らすための住民同士の絆の大切さ、近隣集落や他の地域等とのネットワークの必要性と3つのキーワードを洗い出して、施策の展開を行ってきたというふうに思います。 今回、10年ぶりに集落実態調査を実施する予定だということですが、これまでの中山間振興に10年前の集落実態調査で得た生の声は生かされてきたのか、少しは中山間の人々の暮らしは改善されたのか、これまでの中山間振興策の総括と評価について知事の答弁を求めます。 県は中山間振興の切り札として、中山間地域で一定の収入を得ながら、安心して暮らしていける仕組みづくりの拠点施策として、集落活動センター事業に力を入れ推進してきました。 その集落活動センター事業は継続的に行うことができるのか、独立採算ベースに乗っているセンターはあるのか、市町村の重荷にはならないのか、3年間のサンセット方式は妥当であるのかなど、中山間振興・交通部長に集落活動センターの現状と見通しについて答弁を求めます。 本県の中山間地域においては、限界集落となっている集落が数多く存在していると思いますが、今回の集落実態調査の対象となる集落1,560地域のうち、限界集落はどれくらいあるのか、その限界集落においては生産性の追求は可能だと考えるのか、中山間振興・交通部長の答弁を求めます。 私の主観ではありますが、尾崎県政時代の中山間振興策は、産業振興計画や集落活動センター事業に見られるように、生産性の追求に大きく偏っていたのではないかというふうに考えます。集落活動センター事業に手を挙げて、地域で生産性を追求しようにも、高齢化によるマンパワーの不足で手を挙げられない集落も多いのではないかというふうに思います。そういう集落においては生活支援の必要性は高く、そんな集落に対して県として何をしてきたのか、生活支援は十分に行われてきたのか、公的サービスの集落における格差を助長することになりはしないか、生産性の追求よりも暮らしの利便性を求める声が多いのではないか、今まで61か所の集落活動センターに10億円以上のお金をつぎ込んで、その費用対効果はどうであったのか、挙げれば切りがありません。 そこで、高齢化によるマンパワー不足や集落の事情で集落活動センター事業を導入できないような集落への支援について中山間振興・交通部長の所見を求めたいと思います。 次に、コロナ禍における生活困窮者対策について質問をしてまいります。 新型コロナウイルス感染症の拡大はいまだに収束の兆しが見えず、一度収まりつつあった感染者数は6月末から大都市を中心に増加に転じ、8月にはピークを迎えました。それから徐々に減少傾向に向かったものの、冬に入って大都市圏で大きな感染が起こり、再び大都市を中心に緊急事態宣言が出され、さらなる延長を余儀なくされることになりました。 新型コロナウイルス感染症拡大により、国や自治体の行政対応が日々変わる中、県民の意識も大きく変化していると感じます。感染を意識しながらの日々を送るウイズコロナ時代の生活が長くなるにつれ、当初の得体の知れないウイルスによる不安は消え去り、コロナ慣れといった状況が少なからずあるのではないかと思います。確かに、PCR検査能力の拡充やワクチン接種の早期開始などのプラス要因も見られますが、まだまだ不安要素は尽きるものではありません。 そんな現状の中、コロナとどう向き合っていくのか、知事の姿勢を県民は注視していると思います。もっと言うと、現時点での感染状況が続いた場合、感染をさらに抑制していくのか、それとも経済活動を優先させるのか、どちらに力点を置き、今後の政策を進めていくのか、知事の答弁を求めます。 当面は、多くの県民が感染を意識しながら日々を送る、ウイズコロナの生活は今後も続くことが予想されますが、そうした中アフターコロナを見据えて、県民一人一人が活躍できるよう、暮らしの施策を展開することが重要です。 一般質問初日、同僚の坂本議員からも質問があり、この新型コロナウイルス感染症によって、生活福祉資金に殺到する生活困窮者が多く見られるとの指摘があり、日々の暮らしの厳しさを認識せずにはいられません。担当課から資料を頂き、全国の生活福祉資金の特例貸付実績を見てみますと、件数、金額とも人口当たりでは上位にランキングされ、本県の貧困の重さが改めて鮮明になりました。緊急事態宣言の延長などに伴う経済支援策として、総合支援資金の再貸付けが2月19日から、市町村社会福祉協議会において申請の受付が開始され、特例貸付の最大貸付額は60万円が増額され、200万円に増加することは喜ばしいことであります。 しかしながら、問題なのは借りたら返さなくてはならない貸付金で、2年間の猶予はあるにしても、それまでに暮らしを整えることができるのかどうか、償還していくだけの暮らしの立て直しはできるのか、大きな疑問です。特に、生活福祉資金の特例貸付の中でも、緊急小口資金については住民税非課税世帯においては償還免除が決まっていますが、総合支援資金については免除対象が決まっておらず、不安を抱いている県民も多くいるというふうに思います。 特に、生活福祉資金は特例貸付であっても、借りたら返すのは当たり前のことですが、新型コロナウイルス感染症による経済や暮らしの後遺症が残ってしまい、貸付対象者の返済が大きく遅れることが予想されますので、県としての柔軟な対応ができないか、地域福祉部長の答弁を求めておきたいと思います。 次に、SDGsについてであります。 SDGsの目標やターゲットは自治体にとって特別なものではなくて、従来から当たり前のように言われ続け、実践したことばかりであると思います。今までも高知県においては、全ての政策においてSDGsが生かされ推進しているはずです。しかしながら、幾ら生かされ励んではみても、結果として完結には至らない、持続可能な目標を求めていたのにすぎないのではないかとも思います。 そんな中、立ち止まり、振り返り、そして改めて目標設定を行い、新たな視点で政策を推進していくことを教えてくれるのがSDGsであると思います。持続可能な開発目標として、17のゴール、169のターゲット、232のインディケーターの3層構造で構成されており、2030年までには誰一人取り残すことがないよう約束したのがSDGsだと思います。それを可能とするには、ローカライズして評価指数を設けることが重要で、数字として目標数値設定を行い、その到達度を見える化することが必要だと思います。 しかしながら、SDGsは理想主義的な行動規範で、県は緊急性の高い地域課題を抱えているため、その目標やターゲット全てを活動目標として取り組むことは難しいと思います。県が独自のローカライズ指標を策定してSDGsに向き合っていくかは、県政課題の達成に直接関わる重要なトピックスです。 そこで、SDGsを高知県政にどのように生かしていくのか、知事の答弁を求めて、1回目の質問を終わりたいと思います。 (知事濱田省司君登壇)
◎知事(濱田省司君) 橋本議員の御質問にお答えをいたします。 まず、足摺沖での潜水艦衝突事故に対する所見につきましてお尋ねがございました。 これまでも自衛隊や米軍の艦艇と日本の民間船舶によります事故は度々発生をしておりまして、死傷者の出る不幸な事故もいまだになくなっておりません。今回の事故が発生した海域におきましては、御指摘ございましたように、本県の漁業者が日常的に操業を行っておりまして、一歩間違えると大惨事につながりかねないものであったということは御指摘のとおりだと思います。また、漁業関係者などに強い不安を与えているところでございまして、県民の安全・安心を預かる立場にある者として、極めて遺憾であります。 このため、事故発生の2日後、防衛大臣に対しまして、事故原因の徹底究明や確実な再発防止策を講じること、また再発防止策及び事故調査結果を速やかに県に対しても情報提供することを求める要請書を提出いたしたところであります。 次に、国に向き合う姿勢や確実な再発防止策の具体的なイメージはどうかというお尋ねがございました。 過去のこうした事故におきます要因は、大まかに申し上げますと、一つには機器の不具合あるいは人為的なミスあるいはマニュアルなどの運用上の問題、さらには組織的な問題、こういったような形で分類がされるというふうに考えます。それらが単独または複合的に生じて事故につながるというような形になっているのではないかというふうに思います。 現在、国土交通省の運輸安全委員会と防衛省の艦船等事故調査委員会によります事故原因の究明中でございまして、現時点で確実な再発防止策として、具体的なイメージを私自身持ち合わせているものではございません。今後、国から示されます事故原因の調査結果、そして事故原因を踏まえました再発防止策につきまして、ただいま申し上げましたような過去の事例のパターンなども改めて参照もしながら、私自身もその内容を精査いたします。仮に、対策が不十分であるというふうに判断をいたした場合には、訓練の中止も含めまして、国に強く働きかけていくことも必要だというふうに考えておるところであります。 次に、2050カーボン実質ゼロに向けた道筋はどうかというお尋ねがございました。 この脱炭素化に向けました大きな方向性は、1つには、省エネ化を進める、2つには、その中でも電化を進めていくということ、3つ目には、電力についても、それを再生エネルギーで組成されたものに置き換えていくという、言わば電力の再生エネルギー化、この3つの推進によりますCO2の削減と、着実な森林吸収源対策の実行ということに尽きるということではないかと考えます。 こうした取組をベースとして進める中で、新たな成長の芽を見いだしまして、経済と環境の好循環を創出していく、こういうことによりまして、脱炭素化に向けた流れを加速していくという方向で取り組んでまいりたいと考えております。 具体的には、来年度には外部の有識者あるいは県内外の企業の方々などから広く御意見や御提案もお伺いしながら、また国の地球温暖化対策計画の見直しの動向なども注視をしながら、この道筋をアクションプランとしてまとめて、ただいま申し上げましたような流れを具体的なものとしてまいりたいと考えております。 次に、このカーボンニュートラルの条例化についてどう考えるかというお尋ねがございました。 お話がございました長野県のように、これにつきまして条例を新たに制定し、法的な根拠あるいは基盤を示した上で行動計画を策定していくというのは、一つの手法ではあろうかというふうに思います。しかしながら、新たに条例を制定するとなりますと、関係者間の調整も必要となりますし、相当な時間を要することになるものと考えます。 現時点で考えますと、カーボンニュートラルの実現に向けましては、既に国も2050年の実現を宣言しているということになります。この辺は長野県が条例を制定された時点とは明らかに状況が変化しているということではないかと考えます。本県におきましても具体的な道筋を示して、オール高知で取り組んでいく体制を少しでも早くつくり上げて取組を進めたい、そういう思いで今いるところでございます。 そのため、本県といたしましては、今から新たな条例の制定に時間や労力を費やすということではなくて、脱炭素化に向けた道筋をアクションプランという形でこれをお示しする、こうしたプランの策定を急いで行いたいというふうに考えておるところでございます。 次に、中山間地域の暮らしの現状認識についてお尋ねがございました。 中山間地域の集落は、御指摘もありましたように、人口減少、高齢化の進展に伴いまして、地域商店の閉店あるいは公共交通の縮小などにより、生活基盤の弱体化が進みまして、大変厳しい現状であるというふうに認識をいたしております。一方で、生活インフラの整備など、それぞれの地域で住民の暮らしを守る基本的な施策につきましては、第一義的には基礎自治体であります市町村にその役割を担っていただいているということでございます。 来年度から施行されます新たな過疎対策法におきましては、インフラの整備について、従来と同様、過疎対策事業債という形で地方交付税が償還時に措置をされる有利な財源措置が、市町村に対しては引き続き措置をされるというものと承知をしております。議員からは、ただいま例えば集落道などの集落生活インフラの整備といったお話がございましたけれども、いわゆるハード面におきます地域に身近なインフラの整備につきましては、こうした過疎債のような有効な制度も活用いただいて、市町村を中心に担っていただきたいというふうに考えております。 県といたしましては、特にこのインフラ整備という面で見ますと、市町村をまたがりますような広域的な効果が及ぶインフラ整備、こういったものを県の責任範囲として、責任を持って行っていくということによりまして、市町村と役割分担をしながら整備を進めていきたいというふうに考えております。 次に、中山間振興策の総括と評価についてお尋ねがございました。 本県におきましては、前回の集落実態調査の結果を踏まえ、平成24年度から中山間対策を抜本強化いたしました。そして、県政の各分野におきまして、様々な施策を展開してまいったところでございます。 まず、中山間対策の核となります取組といたしましては、集落活動センターの開設を進めてまいりました。32市町村、61か所で今までに開設をされまして、それぞれのセンターで住民主体での地域課題に応じました活動が行われているところでございます。 また、担い手の確保につきましては、移住促進の取組を強化いたしまして、市町村と一体となって推進をしてまいりました。その結果、県外からの移住者は、ここ10年ほどで急速に増えておりまして、令和元年度の実績で見ますと1,030組、1,475名を数え、各地におきます産業の担い手あるいは地域づくりの担い手といたしまして、多くの分野で活躍をされているところでございます。 さらに、中山間地域において顕著であります鳥獣の被害対策についても、施策、体制を強化いたしまして、集落ぐるみで取り組む総合的な対策を進めてきました結果、農林水産業の被害金額ベースで見ますと、ピーク時の約3分の1まで減少をいたしたところでございます。 このように、強化した施策と従前からの生活環境の整備などの取組を推進していくということによりまして、集落実態調査で明らかとなりました課題の解決に向けて、着実に前進をしたというふうに考えております。ただ、一方で、この10年間で中山間地域の人口減少などが一層進んでいるということ、また1次産業の担い手不足が顕著であるということ、さらには集落活動センターの取組に至らない、そうした集落の活力はどうかといった課題が現われてきているというふうに認識をいたしております。 このため、今回の集落実態調査におきましては、地域の実情や思いを直接お聞きいたしまして、ただいま申し上げましたような新たな課題、現時点でのより重点的に取り組むべき課題を念頭に置いて、これまでの中山間地対策を検証いたした上で、新たな効果的な対策につなげてまいりたいと考えております。 次に、新型コロナウイルス感染症に関しまして、今後の政策の進め方についてお尋ねがございました。 コロナ禍におきます県政運営に当たりましては、御指摘がありましたように、感染防止対策と経済対策の両立が求められております。感染状況と経済状況の双方を慎重に見極めながら、時宜にかなった対策をタイムリーに速やかに決定をし、実行していくということが何よりも肝要であるというふうに考えております。 現在の県内の感染状況は、全国第3波の感染拡大を受けました昨年の12月をピークといたしまして、県民の皆様、事業者の皆様の御協力により減少に転じているところでございます。今月1日に入りまして、県の対応の目安におけますステージを最も低い感染観察、イメージカラーとしては緑色ということでございますが、この段階に引き下げるという判断もしたところでございます。 この間に、営業時間の短縮要請に御協力いただいた飲食業の方々や、あるいは国のGo To Travel事業の全国一斉停止などによりますキャンセルが相次いだ観光業の方々などを中心といたしまして、県内の幅広い業種の方々に大きな経済的なダメージが生じているというふうに考えております。こうしたダメージについて、できるだけ早期の回復を図っていくという観点からも、現在の落ち着いた感染状況下におきましては、これが続いていくということを前提とすれば、経済活動に今までよりも一層の重点を置いた対策が必要な段階に移りつつあるというふうに考えております。 ただ、一方で、全国的には1都3県を対象とする緊急事態宣言が解除されておらず、方向性としてはなお期間延長という方向で検討されるというような報道にも接しております。全国の新たな感染者数も1日当たり1,000人程度が発生をいたしておりまして、いわゆる下げ止まりの状況にあるということであります。こうした全国的な状況も考えますと、社会経済活動を県内でも一気に元に戻すというのは、まだ時期尚早という考え方が成り立つというふうに思います。 このため、しっかりとした感染防止策を講じながら、まずは県内での消費の喚起に取り組んでいくということ、そして感染状況を見極めながら、例えば観光面での誘客の範囲という点で見ますと、県内から四国、中国、全国という形で徐々にその範囲を拡大させていくと、徐々に経済活動のほうにウエートを移していくというスタンスに立ちまして、県経済の回復に向けて取り組んでまいりたいと考えているところであります。 最後に、SDGsについてお尋ねがございました。 本県におきましては、いわゆる5つの基本政策、3つの横断的な政策をはじめとします様々な施策について、成果指標、KPIあるいは数値目標を定めまして取り組んでおります。これらの多くは、ただいまお話しありましたように、SDGsの17のターゲットということに大いに関連をするものでございますし、御指摘もありましたように、もとより行政にとりましてSDGsは決して特別なものということではなくて、行政の活動自身がSDGsに資するものと、そういう色彩が非常に濃いものだというふうに捉えております。 ただ、一方で、国内総生産に占めます公的部門の割合は2割強にすぎません。残りの8割弱は家計あるいは企業といった民間部門の経済活動が占めているということでありますから、SDGsの掲げます持続可能な開発目標の達成に向けましては、民間において意識と行動、これを見直し、あるいはこれを向上していくということによりまして、経済活動に環境でありますとか福祉、こういった視点を取り入れていただくことが非常に肝要になってくるというふうに考えております。 こうしたことから、来年度は県におきましても、県内事業者のSDGsの登録制度を創設いたしますほか、SDGsに関するセミナーの開催などを予定いたしております。また、カーボンニュートラルの実現に向けまして、食品ロス削減などの新たな取組もスタートをさせることといたしております。 こうした形で、県政の課題の中でも特に官民連携が重要になってまいります。例えば、環境問題ですとか、持続的な経済発展を図っていくと。こういったことにつきましては、言わばSDGsの旗を掲げまして、民間にもより一層の御協力をいただいて、事業者の方々と手を携えて課題解決に向かっていくと。このことに大きな意味があるというのが、このSDGsの概念ということではないかと考えております。 引き続き、官民協働で、このSDGsの達成に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところであります。 私からは以上であります。 (水産振興部長田中宏治君登壇)
◎水産振興部長(田中宏治君) 足摺沖での潜水艦衝突事故に関して、漁業者の不安の声に応えていくことについてお尋ねがございました。 今回衝突事故が発生した場所は土佐黒潮牧場に近く、周辺の海域にはカツオをはじめマグロやキンメダイの好漁場があり、日々多くの漁業者が操業しています。また、日頃操業している海域でこのような事故が発生しましたことから、漁業者は強い不安を抱いております。 このように、多くの漁業者が日常的に航行する海域で事故が発生し、多くの漁業者に不安を与えていることは、あってはならないことだと思っております。漁業者の不安を解消し、安心して出漁していただくためには、操業時の安全が確保されていることが何より重要です。 現在、国が事故原因の究明と再発防止に取り組んでいますので、今後国がまとめる事故原因の調査結果や再発防止策の内容が漁業者の不安の解消につながるものかどうか、県としてしっかりと確認をしてまいります。 (危機管理部長堀田幸雄君登壇)
◎危機管理部長(堀田幸雄君) まず、潜水艦衝突事故への早急な対応についてお尋ねがございました。 議員のお話にもありましたとおり、今回の事故が発生した海域では、本県の漁船などが日常的に行き交っており、二度と同様の事故が起こらないよう、再発防止に向けて早急な対応が必要であると考えています。 先ほど知事が答弁しましたとおり、事故発生の2日後、防衛大臣に対して事故原因の徹底究明や確実な再発防止策、それらの速やかな情報提供を求める要請書を提出しております。その2日後には、海上自衛隊の呉地方総監部の担当者が私の下を訪れ、事故概要のほか、詳細な事故調査結果などを改めて県に説明する旨の説明を受けました。その際、私からも担当者に対して、本県への速やかな情報提供など、防衛大臣への要請事項を改めて申し入れるとともに、地元漁業者の不安を払拭するため、関係者に対しても説明するよう併せて要請をしております。 次に、運輸安全委員会の調査結果やタイムスケジュールについてお尋ねがございました。 今回の事故に関しては、国土交通省の運輸安全委員会と防衛省の事故調査委員会による調査が、現在も引き続き行われていると承知をしています。いずれの調査につきましても、調査結果が判明する時期を問合せいたしましたが、いつまでに結果が出されるのかは示していただけませんでした。 これまでの自衛隊の艦艇の事故の例では、正式な調査報告書が完成するまでに、運輸安全委員会では半年から1年程度、事故調査委員会では数か月から長いものでは2年程度の期間を要しているものと承知をしています。 (林業振興・環境部長川村竜哉君登壇)
◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) まず、地球温暖化対策計画の中期目標にどのように向き合うのかとのお尋ねがございました。 現在、国においては、
カーボンニュートラル宣言を基に地球温暖化対策計画の見直しが検討されており、今年中に中期目標や取組の内容が公表されると伺っております。こうした国の中期目標や取組の見直しを踏まえ、高知県
地球温暖化対策実行計画や高知県新エネルギービジョンにつきましても、必要に応じて改定の時期を待つことなく必要な見直しを行ってまいります。また、来年度策定するアクションプランにも随時反映をしてまいりたいと考えております。 次に、新たに策定する新エネルギービジョンについてお尋ねがございました。 カーボンニュートラルの実現に向けては、電力の再生可能エネルギー化を100%に近づけていくことが必要となります。次期ビジョンでは、「高知産100%!自然エネルギーあふれる「こうち」の創造」を将来像として掲げ、再エネの導入促進による脱炭素化への貢献を目指しております。 ポイントといたしましては、地域分散型電力システムの構築に向けた環境整備といたしまして、自家消費型を中心とした再エネ電源や、調整力となる蓄電池の導入を促進することとしております。また、再エネの地産地消を進め、再エネを活用した地域振興、地域貢献につなげていくため、自治体が関与した地域新電力の設立支援等にも取り組むこととしております。 次に、県民や市町村、事業者との協力・連携についてお尋ねがございました。 アクションプランの策定に向けましては、事業者や関係団体など多くの方々から御意見、御提案をお伺いすることとしております。そうした中で、カーボンニュートラルの実現に向けた意識合わせを行い、連携を図ってまいりたいと考えております。 また、市町村につきましては、高知県地球温暖化防止県民会議の取組の中で、市町村の温暖化対策実行計画の策定支援を行っているところでございます。こうした枠組みを活用しながら、関係者との連携を図ってまいりたいと考えております。 次に、数値目標に関するデータについてお尋ねがございました。 温室効果ガス排出量は、環境省のマニュアルを基に都道府県別エネルギー消費統計など、各種統計データを活用して算定を行っているところでございます。電力の自由化に伴いまして、小売電気事業者ごとの都道府県別の供給実績等の把握が現在困難となっており、より正確な算定に向けては、こうしたデータの把握が課題となっております。 こうしたことを踏まえまして、昨年9月には全国知事会として、こうしたデータの提供が受けられる仕組みを構築するよう、国に対し政策提言を行っているところでございます。またあわせて、必要に応じて本県単独としても政策提言を行ってまいりたいと考えております。 次に、市町村へのサポート体制についてお尋ねがございました。 カーボンニュートラルの実現に向けましては、住民に身近な存在である市町村の果たす役割は重要となってまいります。限られたマンパワーの中で、取組の実効性をより高めていくためには、地域ごとの特色を生かし、まずはできるところから始めていただくことが重要ではないかと考えております。策定するアクションプランを基に、市町村ごとの地域特性に応じて、可能なところから取組を進めていただき、段階的に取組を拡充していただきたいと考えております。 県といたしましては、市町村が参加する高知県地球温暖化防止県民会議の枠組みを活用し、担当者向けの研修会や勉強会を開催するなど、市町村のサポートを行ってまいりたいと考えております。 次に、アクションプランにおける3つの柱と環境関連の計画との連動性についてお尋ねがございました。 高知県新エネルギービジョンや
地球温暖化対策実行計画は、高知県環境基本計画の下部計画となっており、これらの整合性は図られているものとなっております。アクションプランにつきましては、CO2削減、グリーン化関連産業、SDGsの3つの柱に沿って、新エネルギービジョンや
地球温暖化対策実行計画の具体的な取組の道筋を示すよう策定していくこととしております。したがいまして、これらは全て連動したものとなってございます。 最後に、地域経済循環につながる再生可能エネルギー導入の仕組みづくりについてお尋ねがございました。 再生可能エネルギーの導入を地域経済の循環へとつなげていくためには、再生可能エネルギーの地産地消を推進して地域の課題解決に活用するなど、地域メリットを創出していくことが重要であると考えております。 中山間地域が多く、地域内に電力の需要家が少ない本県では、自治体が関与する形で地域新電力を育成し、売電で得られる収益を活用して地域の課題解決に取り組んでいくことが、一つの方法であると考えております。このため、次期新エネルギービジョンでは、意欲を持つ自治体へのアドバイザー派遣や、可能性調査等の支援を行い、地域新電力の設立を促進することとしております。 (中山間振興・交通部長尾下一次君登壇)
◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) まず、集落活動センターの現状と見通しについてお尋ねがございました。 集落活動センターの取組は来年度で10年目を迎えますが、現在61か所のセンターで支え合いの活動と経済的な活動が展開されております。これまで、一つのセンターも活動が途切れることなく、住民の皆様が主体となって、地域の課題の解決や集落の活性化に向けた取組が各地域で進められております。その熱意をひしひしと感じているところです。 現在、市町村においては、集落活動センターの一つの形として、センターの担い手となる地域おこし協力隊や集落支援員の配置、公の施設の指定管理や道路の維持管理の委託など、工夫を凝らした運営支援を行っております。一方、県では、集落活動センター推進事業費補助金において、来年度から、開所後4年目以降にセンターでの事業を拡充する際、柔軟に活用できるメニューを創設し、立ち上げ段階も含めて、市町村や地域への支援を行ってまいります。 中山間地域において高齢化や過疎化が一層進行する中、集落を維持していくためには、集落活動センターを拠点とした活性化の仕組みづくりが今後ますます重要となってまいります。県としては、市町村と力を合わせアドバイザーの派遣や経済的な支援などを行うことで、この仕組みづくりをさらに拡大し、令和6年度までに80か所の設立を目指してまいります。 次に、今回の集落実態調査の対象となる集落についてお尋ねがございました。 今回の集落実態調査は、10年前に実施をしました前回調査からの経年変化を把握することを目的の一つとしております。このため調査対象は、今年度の国勢調査の結果によりますが、前回調査と同様に50世帯未満の集落、およそ1,560か所を想定しております。50世帯未満を対象としましたのは、本県の中山間地域活性化アドバイザーで、中山間振興の第一人者である明治大学の小田切教授の、50世帯を下回ると集落の維持が厳しくなるという御所見などを参考にさせていただいたものです。 このように、限界集落という概念を持って調査対象を選定したものではありませんので、参考数値ということにはなりますが、平成28年度に実施をしました集落データ調査では、高齢化率の算出が可能な50世帯未満の集落は594集落あり、そのうち高齢化率50%以上の集落は311集落となっております。 前回の集落実態調査では、集落の将来を危ぶむ御意見がある一方で、集落への愛着や誇り、地域資源を活用して近隣集落と連携して集落の活性化に取り組みたいという御意向を踏まえ、集落活動センターの仕組みづくりをスタートさせました。今回の調査においても集落の活力を向上させる視点を持って、調査に臨みたいと考えております。 最後に、集落活動センターを導入することができないような集落への支援についてお尋ねがございました。 中山間地域の集落の課題を把握し重点的に支援することを目的に、平成19年度、当時の地域づくり支援課内に地域生活支援チームを設置いたしました。チームにおいて、住民の命に直結するような緊急性の高い課題を抽出した結果、生活用水の確保、生活用品の確保、移動手段の確保に取り組むこととし、平成20年度に中山間地域生活支援総合補助金を創設いたしました。 また、平成23年度の集落実態調査においても住民の皆様方から、水道施設の維持管理に困っている、商店が近くにない、移動手段がないなどの声をお聞きし、改めて中山間地域の集落にとって大きな課題であると確認したところです。 平成20年度から令和元年度までの12年間で、中山間地域生活支援総合補助金によりまして、生活用水の確保対策として308件、24億8,000万円余りを、生活用品の確保対策として67件、1億6,000万円余りを、移動手段の確保対策として113件、2億9,000万円余りを支援してまいりました。今後も引き続き、市町村と連携しまして、生活環境の整備に取り組んでまいります。 さらに、来年度には、地域づくり活動や伝統文化の継承などに取り組む団体やグループを支援するための補助事業を新設いたします。こうした取組を通じまして、集落活動センターが開設されていない地域においても集落の活性化を図ってまいりたいと考えております。 (地域福祉部長福留利也君登壇)
◎地域福祉部長(福留利也君) 生活福祉資金の返済への県の対応についてお尋ねがございました。 生活福祉資金の特例貸付については国の制度であり、制度の実施主体とされている都道府県社会福祉協議会が個人との契約により、無利子の貸付けを行う全国統一の制度であります。県は、この貸付制度の実施に必要な貸付原資や事務費などについて県社会福祉協議会に補助していますが、その財源は全額国費であり、貸付制度の返済などの運用に関しては権限がありませんので、県独自の柔軟な対応を行うことは困難でございます。 しかしながら、議員御指摘のとおり、貸付けを受けた方が生活の立て直しを図る中で、貸付金の返済が大きな負担にならないことが大変重要であります。このため県では、貸付金の償還免除の要件を住民税非課税世帯に限定せず、貸付けを受けた方の収入実態に基づき判断するなど、さらに緩和するよう、これまでも国に提言を行ってきたところです。今後も引き続き、全国知事会と連携して提言を行ってまいります。 また、この貸付制度には、償還することが著しく困難な場合に償還を猶予することができる規定も設けられておりますので、貸付けを受けた方の状況に応じて弾力的な運用を行うよう、あわせて国に提言してまいりたいと考えております。 加えて、生活に困窮されている方の生活再建に向けて、社会福祉協議会などの関係機関と連携して、当事者に寄り添いながら相談に応じるとともに、生活保護などの支援制度の周知にも努め、きめ細かく支援を行ってまいります。
◆30番(橋本敏男君) それぞれ御答弁いただきましてありがとうございます。質問の2問目を行いたいというふうに思います。 まずは、足摺沖での潜水艦衝突事故についてでございます。一昨日の梶原議員に対する知事の答弁の中で、防衛省から示される再発防止策が不十分であったら、国にしっかりと訴えていくということをおっしゃいました。今、私が質問をした答弁にもそのことがございました。言葉尻を取るわけではございませんけれども、再発防止策が不十分というふうに判断をされるのはどういう根拠があるのか、知事にお示しをいただければありがたいというふうに思います。 実際、防衛省が再発防止策を提示するまでに、我々の高知県が防衛省に対して、こうしていただきたいというふうな要請ができないのか、アウトリーチな対応ができないのか、そのことを思います。実際、現場の漁師は、もうこの海域に入ってこんとってくれ、そういうふうな話をされている皆さんがたくさんいらっしゃいます。そういうことが要請できないのか、そのことをいま一度知事にお伺いしたいと思います。 それからもう一つ、先ほど危機管理部長の答弁の中で、長い調査が2年ぐらいかかるものもあるというふうにお話をされました。確かに、徹底的な調査をしなければならないし、しっかりと調査結果を出していただかなければならないんですが、その調査をしている段階においてもまだあの海域にひょっとして防衛省の海自の潜水艦が演習に来ているかも分からない、少なくとも徹底的な調査が終わるまではあの海域に入ってこないでくれ、そういうふうな話を国にできないのか、知事の御答弁をいま一度求めたいというふうに思います。 それから、2050年
カーボンニュートラル宣言についてでございます。グリーン関連事業の推進を図る上で、答弁でもしっかりとございましたけれども、再エネ事業の推進というのは大事な一つのツールであるというふうなことは示されました。確かに私もそう思います。そうであるならば、今の電力の状況ですね。例えば、一昨日米田議員のほうからの--要は容量市場の問題がございます。高圧の容量というのはもう目いっぱい、じゃあ高知県の場合は高圧での再エネの事業というのはなかなか難しいのではないか。そうなってくると、あとは残された手段としてあるのは、低圧での事業展開だというふうに思います。低圧に絞った段階での事業の展開を私は図るべきではないのかなというふうに思います。 官民一体となった事業を県は今までも展開してきました。還流事業もそうです。屋根貸しもそうです。だから、ここは絞り込んで、低圧での事業展開をしっかりと県は推進していくべきではないかなというふうに思いますが、このことに対して林業振興・環境部長の再度の答弁をいただきたいというふうに思います。 それから、知事のほうから条例については考えていないという答弁だったというふうに思います。しかし、知事、2050年までにあと30年近くあります。30年間、このことをしっかりと県民の皆さんと一緒になって取り組むということは、何かの形をしっかり県民の皆さんに示す必要があるし、それが一番効果的なのは条例制定ではないのかなというふうに、私はちょっと思いました。そういう観点に立って、いつかは条例制定を考えなければならないときが来るのではないかなというふうに思いますが、このことに対して再度の答弁をいただければありがたいというふうに思います。 それから、集落対策の充実強化についてであります。一定、集落の振興については、今の事業形態の中で一生懸命頑張ってくれているんだなというふうには思います。しかしながら、まだまだ集落においては非常に厳しい環境下で暮らしている、生きている人がたくさんいらっしゃいます。限界集落、50%以上の高齢化率を誇るところが限界集落というふうに言われていますけれども、先ほど私が言いましたように、80%、90%のそういう高齢化率を誇るような集落も実際問題としてあります。 私が集落を歩いていますと、その集落道が陥没をしている、そして石垣が崩れている。その集落では空き家が多い。集落の排水というのは、海や川のほうに直結して排水が流れます。その排水路はずっと連動している、連結をしている。途中で空き家になってしまうと、排水路の手入れができていないために上流からの排水がそこに漏れ始める、悪臭が漂う、そんな場面にも出くわします。 それから、私は--ある集落でお年寄りがこういう話をしていました。80過ぎの方です。私の行くところを遮られまして、ちょっと待てと。何を言われるのかなと思いましたら、おまえらの一日とわしらの一日は重みが違うというんです。わしらはあと何年も生きん、だから、じゅうのええように生活させてくれんか、そんな話をされたことがございます。 多分皆様も分かっていると思うんですが、集落の道とか石垣というのは本当に狭いし崩れやすい、そんなところばかりです。災害に遭っても公共資産ではないからなかなか災害適用ができない。昔は、出役という部落の皆さんが出ていって、そういう集落の生活インフラの修繕を一生懸命していた、しかし今できないんです。確かに、知事のおっしゃるように、一義的には市町村にしっかりと手当てをしてもらう、それは当たり前のことでございます。しかしながら、なかなかそういうところまで市町村の財政的なものがついていっていないのも事実です。 昭和の時代を言えばあれなんですけれども、中内県政のときに集落整備事業という事業があって、その事業があったことによって集落の暮らしは一掃されました。便利になった。しかし、平成4年に橋本県政によってその事業が--県単の事業ですが、それが断ち切られた。それから30年近くです。もう経年劣化をして限界に来ているようなところばかりでございます。そういうところにも目を向けていただければありがたいなというふうに思います。 それから、コロナ禍における生活困窮者対策についてでございます。 確かに国の事業でございまして、でも借りた金は返さなければなりません、県民の皆さん。この生活福祉資金は命を守るための貸付金でありまして、コロナ禍での猶予期間の2年間命を守る、その2年間だけ守るお金ではありません。どうかこの返済猶予についても、県としてもしっかりと取り組むことができればありがたいというふうに思いますが、いま一度地域福祉部長の答弁を求めて、時間ですので終わります。
◎知事(濱田省司君) 橋本議員の再質問にお答えをいたします。 まず、潜水艦事故の件についてであります。 再発防止策が不十分かどうか、判断の根拠はどういうことになるのかという点についてでございます。これはまだ御報告もいただいておりませんので、現時点で確たることは申し上げられませんけれども、先ほども申し上げましたように、過去の様々な事故におきますいろいろな分析等も参照いたしまして、合理的に県の立場で改めてこれを検証して、納得ができるかどうかということを判断していくということになると考えております。 また、この訓練自身を原因究明、あるいは再発防止策の策定まで、中止をするように求めるべきではないかというお話もいただきました。やはり、国内の自衛隊の訓練そのものは、厳しい安全保障環境の中でしっかりと安全を確保しながら訓練をしていただく、そのこと自身を止めろとまで言うのは、これは行き過ぎではないかという思いはございます。 ただ、このような状況でもございますので、改めて危機管理部から確認をさせましたところの中では、この海上自衛隊のほうにおきましては、事故発生の当日には防衛大臣が潜望鏡を水面から上げる際の動作の手続の安全点検を直ちに行えという指示をされたと。それについては全ての潜水艦について安全点検は終了したということ。そして、海上衝突予防法などの関係法令の遵守ということも含めまして、必要な対策は取った上で、一般的な地域でということでございますけれども、訓練の開始という形を取っておられるというふうに報告を受けております。そうした中で、本件の事故調査については一定時間を要するということはあろうかと思いますけれども、自衛隊におきましてしっかりと安全確保の上で対応をしていただくということを、改めて求めたいというふうに考えているところであります。 それから、カーボンニュートラルに関しまして、条例化についてでございます。 今お話しがありましたように、もちろん2050年を展望した非常に息の長い話ではございます。そうした中でこのカーボンニュートラルの取組を現実に進めていく中で、例えば県民の皆さんの権利義務に関わるようなことに関しまして、条例上何らかの規定を置く必要があるというようなことが仮に出てまいりましたら、その時点におきまして、この条例の制定についても視野に入れて考えていくということはあり得るということと考えております。
◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) 再生可能エネルギーの活用について、低圧にシフトすべきという御指摘でございますが、橋本議員御指摘のとおり、系統の制約等を考慮すれば、おのずと低圧が中心になってくるというふうに考えております。また、先ほど御答弁いたしました地域新電力、これのイメージといたしましては、FITの買取りの期間が終了したものを地域の新電力が集めて活用していくといったことを想定してございます。 こういった地域の実情に応じた再エネの活用ということをしっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。
◎地域福祉部長(福留利也君) 生活福祉資金の特例貸付でございますけれども、これは先ほど御答弁しましたように、全額国費のセーフティーネットでございまして、その制度設計の中で償還が困難と考えられる世帯に対しては、償還を免除するというふうなことが当初から予定をされているものでございます。緊急小口資金、そして総合支援資金、両方とも住民税非課税世帯の方は免除するというところが示されておりますけれども、さらにという部分については、現在国のほうで検討されているところでございますので、そのさらなる要件緩和について、今後とも国に県としては提言をしていきたいというふうに考えております。
○議長(三石文隆君) 暫時休憩いたします。 午前11時23分休憩
----------------------------------- 午後1時再開
○副議長(西内健君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 10番浜田豪太君。 (10番浜田豪太君登壇)
◆10番(浜田豪太君) 自由民主党の浜田豪太でございます。議長のお許しをいただきましたので、質問させていただきます。 まずは、コロナ禍における女性支援についてお聞きいたします。 新型コロナウイルス感染症の拡大は、特に女性への影響が深刻であり、女性不況の様相が確認される。これは、昨年11月に内閣府男女共同参画局、コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会が公表しました緊急提言の中の一文であります。昨年来、新型コロナウイルス感染症の発生と蔓延によって世界中の人々の健康が脅かされ、我が国も国民の暮らしと経済が深刻な打撃を受けるなど、かつてない厳しい年となり、そして感染はいまだ収束が見通せない状況が続いております。 この提言では、新型コロナウイルス感染症の拡大が、いかに女性に対して深刻な影響を与えたかを指摘しております。その中でも、今回のコロナ禍における女性の雇用環境の悪化は、まさに女性不況の言葉のとおりであります。 昨年4月には雇用者数が男性32万人減少に対し、女性は約2倍以上の74万人減少しました。それにより女性の非正規雇用者が多い飲食・観光・宿泊業などを中心に深刻な影響が出ております。特に、シングルマザーが多い独り親世帯にとりましては、休業や解雇、雇い止めなどによる収入の減少や失業は、生活の危機に直結いたします。 まずは、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金や住居確保給付金といった支援策、ひとり親世帯臨時特別給付金などの支援制度のさらなる周知徹底と拡充に努めなければならない状況であり、同時に、コロナ禍で離職を余儀なくされた女性等への再就職支援も必要であります。提言では、女性のデジタル・福祉分野など成長分野等への人材育成と就労支援を進めていくことや、テレワークについて課題を踏まえた上で普及、充実を進め、柔軟な働き方を進めていくことも挙げられております。 また、雇用の危機と同様に、コロナ禍におけるDVや性暴力の増加と深刻化、予期せぬ妊娠の増加などによる自殺者の急増も指摘されております。今年1月、警察庁と厚生労働省は、2020年の自殺者数を暫定値で前年比908人増の2万1,077人であったと発表しました。自殺者数は、これまで10年連続で減少しておりましたが、リーマンショック直後の2009年以来11年ぶりに増加に転じました。そのうち男性は1万4,052人、前年比26人減と11年連続減少となったのに対し、女性は7,025人、前年比934人増と2年ぶりに増加しました。人口10万人当たりの自殺者数である自殺死亡率は、前年から0.9人増の16.7人でありました。 東京都医師会は、昨年10月の記者会見で、コロナ禍での失職による生活苦や経済的不安、自粛生活により気分転換ができず悩みを一人で抱え込んだこと、リモートワークや休校措置による明らかな家事負担の急増で、気の休まる時間、居場所もない険悪な雰囲気の中でのDVや性暴力が顕在化したこと、著名人の自死により、夢や感動、憧れの対象となるような人物の死が、心が衰弱し被影響性の高まっている者に大きな動揺を与えることなどを、現在の女性自殺者の増加要因として報告しました。 本県では、昨年9月定例会で田中徹議員が、新型コロナウイルスの影響も踏まえた県内の自殺者の状況について質問し、警察本部長から、昨年8月末現在で77名、前年同期に比べて14名減少している、しかしその自殺原因等の調査する過程において、周辺の方からコロナの影響があったのではないかという話が聞かれたものも数件あり、新型コロナウイルス感染症が影響したものはないとは言い切れないとの答弁がございました。 今回、内閣府より公表されました、コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会の緊急提言の最後には、2020年4月9日国連のグテーレス事務総長が、コロナ対策において女性、女の子を中核に据えるよう声明を発したと書かれております。 そこで、この緊急提言の内容を踏まえた本県のコロナ禍における女性支援について濱田知事の御所見をお伺いします。 次に、先ほどのコロナ下の女性への影響と課題に関する研究会が、2月15日にコロナ下の女性への影響について追加、アップデートした資料を公表しました。その中で、全国の配偶者暴力相談支援センターの2021年1月25日時点の暫定値のDV相談件数の推移として、2020年4月から12月の相談件数は14万7,277件で、前年同期の約1.5倍に上り、2019年度の全体相談件数11万9,276件を大きく上回っておりました。そして、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの全国の相談件数の推移は、電話、面接、メール、SNSによる合計で、2020年4月から9月の累計相談件数は前年同期の約1.2倍に上りました。このように、さきの緊急提言で懸念されておりましたDVや性暴力の増加、深刻化が確認されております。 そこで、本県におけるDV被害、性暴力被害の現状とさらなる支援体制の強化について、文化生活スポーツ部長の御所見をお伺いします。 次に、コロナ禍における妊産婦支援についてお聞きします。初めに、妊娠前、妊娠中の女性に対する支援について。昨年10月21日、厚生労働省は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けて、全国の市区町村の妊娠数の実態を把握するために行った緊急調査の結果を発表しました。一般的に子供を授かった兆候がある場合、医療機関で妊娠の診断を受けた女性は、市区町村の窓口で母子手帳を受け取る際に妊娠届を提出します。今回の調査は、都道府県を通じて全市区町村が昨年1から7月に受理した妊娠届の件数を尋ね、前年同期と比較しました。 結果は、1から7月の妊娠届の合計件数は51万3,850件で、前年同期に比べて5.1%減少し、一昨年の同期に比べると8.7%の減少でありました。月別に見ると、5月以降の減少が大きく、前年の同じ月に比べて、5月は17.6%、6月は5.7%、7月は10.9%の減少でありました。さらに、昨年12月には、10月調査の修正と、その後8月から10月までの妊娠届出数の結果が追加されました。8月は届出数6万8,559件、前年比較6.0%減、9月は7万1,865件の前年比較1.0%減、10月は7万4,993件で前年比較6.6%の減少でありました。 また、国内最大の民間臍帯血バンクを運営する株式会社ステムセル研究所が、2月4日妊娠の日を前に、全国の妊婦433名を対象に、妊娠・出産に関する意識調査を実施し、結果を公表しました。その調査結果として、妊娠期間や出産・子育てに関する不安の度合いを聞いたところ、88.5%が妊娠期間や出産・子育てに不安を感じており、その不安の度合いに、新型コロナウイルスに関する事柄が影響しているか聞いたところ、91.7%が影響があると回答されました。 また、出産に関しては、8割以上が、産後に家族や友人と面会ができない・制限がある、立会い出産ができない・制限があると回答。コロナ禍での出産や子育てについて、医療や健康面での不安を聞いたところ、9割以上が不安があると回答され、出産経験のある経産婦220名に、生まれてくる赤ちゃんの健康に対する意識について聞いたところ、6割以上が前回の出産時より不安が高まっていると回答されております。 これまで述べてきましたとおり、長期化するコロナ禍によって、多くの妊婦の方々が大きな不安にさいなまれております。また、今後妊娠を避けたり、出産をためらうカップルが増加することも強く懸念されます。本県でも、昨年1月から11月までの出生数が前年同期より5.1%減、婚姻件数も8.2%減少していると知事の提案説明でも挙げられ、少子化対策の充実と強化、女性の活躍の場の拡大について述べられました。 そこで、今現在不安を抱えておられる妊婦の方々に向けて、その解消に向けた濱田知事の御決意をお伺いします。 次に、赤ちゃんを出産された後の女性の支援についてお聞きします。産褥期という言葉を御存じでしょうか。私には3人の子供がおりますが、恥ずかしながら私がこの産褥期という言葉を知ったのは、2番目の子が生まれる前後だったと記憶しております。 産褥期とは、女性の出産の後、妊娠や分娩で変化した母体が妊娠前の状態に戻るまでの期間のことであります。実際の産褥の期間につきましては、一般的には分娩後6から8週間とされております。十月十日と言われる長く大変な妊娠期間と比べまして、約2か月という短期間で妊娠前の体に戻すのですから、私たち男性には計り知れない負担と苦痛がかかるのではないかと思います。また、初産婦よりも経産婦のほうが産褥期間が長い傾向にあるとも言われているそうです。 いずれにしても、母体の急激な変化により、心身ともに異常が表れたり、不安になりやすい期間であります。産褥期に見られる身体の異常としては、産褥乳腺炎、産褥熱、子宮復古不全、静脈血栓症などがあります。そして、心の異常につきましては、マタニティーブルーズや産後鬱などがあります。 マタニティーブルーズとは、一般的に知られている妊娠中の気分の落ち込みを指すマタニティーブルーではなく、産後3日から10日後に発症する一時的な軽度の抑鬱状態のことで、産後の30から50%に見られるそうですが、多くの場合2週間ほどで自然に軽くなるとのことです。次に、産後鬱とは、マタニティーブルーズと似たような症状ではありますが、気分の落ち込みや育児への不安感が数週間から数か月も続く場合もあり、放置しておくと重症化し、産後精神病にまでなる方もいらっしゃるそうです。 国立成育医療研究センターが2015年から2016年に行った調査によりますと、全国で妊娠中から産後1年未満に亡くなった女性357人のうち、死因で最も多かったのが自殺の92人であり、がんや心疾患による死亡数を上回っております。これらの自殺例を検討した結果、35歳以上、初産婦において自殺率が高く、出産後すぐの1か月で10人、その後も続き、9か月で13人など、産後1年間を通して自殺が見られたとのことであります。このような全国規模の実態調査は初めてのことで、専門家の多くは、産後鬱がその原因であると考えられております。 この産後鬱ですが、専門家の文献などを拝読しますと、我が国では産後3か月以内に10から15%の女性が罹患すると言われております。その原因として、生物学的要因では妊娠や出産による内分泌変化、心理社会的要因では不安やストレスなど様々な因子が関与しているそうです。そして、産後鬱は母親の疾患にとどまらず、配偶者の鬱病や母子関係障害との関連も知られており、予防と早期発見・治療が重要であるとのことであります。 このような現状に対しまして、本年4月1日に母子保健法の一部を改正する法律が施行されます。それにより、心身の不調や育児不安等を抱える出産後1年以内の母親とその子供を対象に、市町村が産後ケア事業を行うことが努力義務化されます。母子保健事業の中で、産前産後ケアは基本的には市町村の役割とされております。しかしながら、高知市から大川村まで市町村には財政規模からマンパワー不足など、地域間格差が生じるおそれがあります。そのような格差をできる限りなくし、どの地域でも安心して子供を産み育てられるように、県が積極的に市町村を支援する必要があると私は考えます。 さらに、付け加えますと、今まさにコロナ禍による新たな危機が予想されます。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、妊婦さんの里帰りがままならなかったり、立会い出産や病院での面会の制限、乳幼児健診やマタニティー教室の中止など、妊産婦の孤立が深まり、産後鬱へのリスクがさらに高まっているのではないかと危惧します。 そうした中、本県では、昨年10月1日より県内全34市町村で産婦健診の公費助成が始まりました。健診では、身体の回復状況の確認とともに産後の気がかりなことを聞き取り、必要な場合は市町村の保健師や精神科医を紹介するとのことであります。このように県や市町村の産前産後の取組は非常にありがたいことでありますが、今後の新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない状況下において、県の支援の重要性はさらに増していくと考えられます。 そこで、これまでの話を踏まえまして、来年度より母子保健事業を健康政策部から移管し、母子保健事業と子育て支援事業を一元化する子ども・福祉政策部にする目的と意義につきまして濱田知事に御所見をお伺いします。 また、妊産婦の自殺の要因の一つと考えられる産後鬱にならないために、どのような対策に取り組んでいくのか、健康政策部長に御所見をお伺いします。 そして、乳幼児健診やマタニティー教室の中止など、妊産婦の孤立の深まりが問題化している中で、知事の提案説明にもございました、新たな時代の1つ目のキーワード、デジタル化を妊産婦の方々の支援に早急に活用する必要があると考えますが、健康政策部長に御所見をお伺いします。 次に、教育政策についてお聞きします。 初めに、校則についてお伺いします。昨年7月に、東京都立高校のツーブロック禁止という校則について、全国的な話題になりました。ちなみにツーブロックとは、耳の上や襟足を刈り上げた段差のある髪型のことを言います。私もツーブロックでございます。 この質問に対して東京都教育長は、外見等が原因で事件や事故に遭うケースなどがございますため、生徒を守る趣旨から定めているものでございますと禁止の理由を答弁されました。また、2019年8月には、生来の髪の色が黒ではない子供に対し、髪を黒く染めてくるよう指導するなどのいわゆるブラック校則の実態を調査し、署名活動を展開していた「ブラック校則をなくそう!プロジェクト」による約6万筆の署名と要望書が文部科学省に提出されました。 それを受けて、翌9月当時の柴山文部科学大臣は、「一般的に校則は各学校の教育目標を達成するために、必要かつ合理的な範囲内で定めるものであり、校則に基づいて具体的にどのような指導を行うかについても、各学校で適切に判断されるべきだと考えている」とした上で、「校則の内容については、学校を取り巻く社会環境や児童生徒の状況の変化に応じて、絶えず積極的に見直す必要があると考えている。校則の見直しは最終的には校長の権限で適切に判断されるべき事柄だが、見直しの際には児童生徒が話し合う機会を設けたり、保護者からの意見を聴取したりするなど、児童生徒や保護者が何らかの形で参加した上で決定することが望ましい」と述べられ、今後教育委員会向けの説明会などを利用して校則の本来の趣旨について周知し、改善を促していく方針を示されました。 2010年3月、文部科学省によって生徒指導提要が取りまとめられました。この生徒指導提要によりますと、校則とは、「学校が教育目的を実現していく過程において、児童生徒が遵守すべき学習上、生活上の規律として定められており、小学校では「◯◯学校の決まり」、「生活の決まり」、「よいこの一日」、中学校・高等学校では「校則」、「生徒心得」などと呼ばれています。これらは、児童生徒が健全な学校生活を営み、よりよく成長していくための行動の指針として、各学校において定められています。児童生徒が心身の発達の過程にあることや、学校が集団生活の場であることなどから、学校には一定のきまりが必要です。また、学校教育において、社会規範の遵守について適切な指導を行うことは極めて重要なことであり、校則は教育的意義を有しています。」と記されております。その一方で、校則の見直しについて、「学校を取り巻く社会環境や児童生徒の状況は変化するため、校則の内容は、児童生徒の実情、保護者の考え方、地域の状況、社会の常識、時代の進展などを踏まえたものになっているか、絶えず積極的に見直さなければなりません。」とも記されております。 この冬、私の下に複数の保護者の方々より、同じような苦情が寄せられました。それは、コロナ禍において、教室内を換気しなければならず、窓を全開にして授業する際、寒くて上着を着用する許可を先生に求めたところ、許されなかったということです。新型コロナウイルス感染症に罹患しないために換気し、その寒さのために体調を崩したり風邪を引くことになれば、本末転倒であります。ましてや、高校3年生、中学3年生、小学6年生にとりましては、その保護者を含めて、ある意味人生のかかっている期間のことでありますので、体調の管理には特に気を遣います。 保護者の方々のこれらの苦情の中で、児童生徒が先生から、校則によってコートの着用自体が禁止されているのでコートを着ることが認められなかったとか、コート自体は許されているがコートの教室内での着用が認められていないので着ることができなかったという話がございました。 私は、これまでも様々な保護者の方々から、髪を黒く染める指導をはじめ、女子生徒の靴下の色が白でなければならないといった校則などについて相談を受けてきました。例えば、さきに取り上げましたツーブロック禁止のような校則は、私の学生時代を振り返りますと、非常に目立つヘアスタイルや服装をしておりますと、東京都のおっしゃるとおり外見等が原因で事件や事故に遭うケースなど、生徒を守る趣旨から定めているという考え方も一理あったのではと思います。 しかし、考えなくてはならないのは、校則や生徒心得などに関して、児童生徒たちが、それが本当に変えるべきものだと考えて行動しようとすることに対して、頭ごなしに校則だから駄目であるというのではなく、児童生徒が校則の在り方を議論する場をつくってあげることが重要なのではないでしょうか。ましてや、2016年から選挙権が18歳に引き下げられております。高等学校はじめ各年代において主権者教育が推進されている中、自分たちのルールを決める最も身近なテーマが校則ではないでしょうか。高校生の中には、実際に選挙で投票できる生徒が存在しております。 そこで、教育長に、個別の学校の校則についてではなく、児童生徒の多様性や社会情勢を踏まえた上で、現状の校則の在り方をどのように認識し、今後の校則の見直しについて具体的にどのように推進されるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、県立青少年センターについてお聞きいたします。高知県立青少年センターにつきましては、その目的として、心身ともに健全な青少年の育成及びスポーツの振興を図ることとされております。施設としては、本館内に青少年ホール、多目的室、会議室、屋外には野外炊飯棟、球場、陸上競技場兼球技場、体育館には大小アリーナ、トレーニング室、会議室などを備えています。また、宿泊施設もあり、センター主催の事業のほか、各種研修会や合宿などに利用されております。 2002年、平成14年のよさこい高知国体では、体操競技やソフトボールの会場としても使用されました。そして、2017年、平成29年には本館、別館及び宿泊施設が改築され、2019年7月には陸上競技場をクレイから全天候トラックへ全面リニューアルし、インフィールドには天然芝が整備され、第3種公認を取得しました。その結果として、昨年2月にはサッカーJリーグ、カマタマーレ讃岐、いわてグルージャ盛岡がキャンプ地として利用していただけるようになりました。そして、今年もカマタマーレ讃岐、いわてグルージャ盛岡には、青少年センターをキャンプ地として利用していただいております。 そのような喜ばしいニュースの一方で、青少年センターのグレードが上がったことによる弊害も発生しております。それは、Jリーグが使用できる芝を常に管理しておく必要があるために、Jリーグのチーム以外の利用のハードルが上がったことであります。特に、小学生の所属する少年サッカーチームの利用が難しくなっております。 現在、青少年センターでサッカーをするには、練習では使用できず、大会のみであり、使える日程も、土日に使えば1週間後、一日に使える時間は20分ハーフの1試合40分を2試合の計80分、そしてJリーグの合宿期間と芝の養生期間も含めると、実際は1年間のうち7か月程度しか使用できる期間がありません。Jリーグの合宿以外では、高知県サッカー協会が1年間の行事を入れているようですが、実際には予定を入れていても使用していない日もあるそうです。 昨年6月に香南市内の少年サッカークラブが、県内外からチームを集って練習試合を予定しておりましたが、試合日3日前にセンターから一方的に中止を伝えられました。その理由は、芝の状態が悪いからとのことでした。主催されたサッカークラブとしては、複数チームを呼んでいたにもかかわらず、その3日前に使用中止とされ非常に困ったとのことでした。また、別の少年サッカークラブからも同様のお話をお聞きしました。 本県の子供たちにプロサッカー選手を近くで見て、学んで夢を持ってもらうために、多額の県費で改修したフィールドで、その管理の難しさから、子供たちがサッカーすることができないのは本末転倒ではないでしょうか。 そこで、まず濱田知事に、県民体育館や春野総合運動公園などの県立スポーツ施設における、青少年センターの位置づけと意義について御所見をお伺いします。 そして、青少年センターの目的である、心身ともに健全な青少年の育成及びスポーツの振興を図ることを踏まえて、青少年センターのフィールドをこれまで以上に本県の子供たちが利用できるような運用改善が必要だと考えますが、教育長に御所見をお伺いします。 次に、コロナ禍における農業支援についてお聞きします。 昨年4月、全国農業青年クラブ連絡協議会が、20から30代前半の農業者に新型コロナウイルス感染症の影響についてアンケート調査を実施しました。その結果、第1回目の緊急事態宣言発出直後から出荷数減となったと答えた農業者は60%以上に上り、今後の不安要素は取引先の減少などが多く、キャッシュ不足による資金難や離農への心配の声が浮き彫りになりました。 また、昨年9月に日本農業新聞が行いました農政モニター調査によりますと、深刻な影響がある、影響がややあると答えた農家は合計65%となり、4月、5月実施の前回調査より5ポイント増えました。これらの結果は、新型コロナウイルス感染症拡大の農業への影響を物語っております。さらに、今年1月からの2回目の緊急事態宣言下での首都圏、関西圏といった大消費地での飲食店等への時間短縮要請とイベントの中止などは、今なお続いております。 この状況の中でも、本県の農作物の多くは、今のところ巣籠もり消費の影響もあり、量販店向けなどの品目の被害は少ないのではないかと思います。しかしながら、私の地元香南市などで作られている業務用のシシトウやオオバ、小ナス、米ナスなどは、緊急事態宣言の影響により市場価格の低下や需要が激減するなど、大きな被害を被っておられます。 コロナ禍において、農家の方々に対しても様々な支援策が講じられてきたところではありますが、残念ながら高収益作物次期作支援交付金などの一部混乱もございました。いずれにいたしましても、本県の基幹産業である農業を守ること、特にシシトウやナスといった生産量日本一のブランドを失ってはならないことは、自明の理であります。 私は、新型コロナウイルス感染症の収束が分からない状況で、さらに3回目の緊急事態宣言や、それに準じた都道府県単位の措置が取られる可能性がある上において、本県農業を守る手段としては、地産地消の徹底が最も効果的であると考えます。その中でも学校給食での地産地消は、本県の食の魅力を子供たちに知ってもらい、農業のみならず1次産業への関心、そして食育の推進にもつながります。 先月、農林水産省が公表しました第4次食育推進基本計画案では、地域の食文化を保護、継承し、健康的な食生活を実践することを目的として、学校給食での地産地消などが盛り込まれました。その計画では、学校給食における地場産物を使用する割合が現状値よりも維持・向上した都道府県の割合を90%以上にすることや、地域や家庭での伝統的な料理や作法等の意識向上などが追加されました。 そこで、コロナ禍により危機的な状況にあるシシトウなどの本県農産物の学校給食における利用状況と、今後の利用促進に向けた取組について教育長にお伺いします。 また、学校給食以外における本県農産物の地産地消の促進に向けた具体的な取組について農業振興部長に御所見をお伺いします。 最後に、本年1月に香南市内で発生しました露地ミカン等の寒害についてお聞きします。皆様、御記憶に新しいかと存じますが、今年の1月8、9日にかけて、特に9日この冬一番と言われた強い寒波に見舞われました。高知県内の上空1,500メートルにはマイナス12度以下となる寒気が流れ込みました。最低気温は、いの町本川でマイナス7.3度、南国市日章でマイナス7.9度、高知市でマイナス4度を観測し、県内16の観測地点全てで氷点下を記録しました。 一般的に、かんきつ類の栽培には年間の平均気温が15度以上であり、最低気温がマイナス5度以下にならないことが条件だと言われております。JA高知県香美地区の担当者の計測によりますと、1月9日当日、香南市香我美町口西川地区のミカン園地でマイナス9.5度、香我美町徳王子地区のブンタン園地でマイナス6.7度、香我美町山北地区のJA山北購買横でマイナス6.5度が計測されました。その後、数日を経て寒害による被害が発症し始め、葉の黄化、褐変、落葉と進行しております。 本来であれば、3月には日光を最大限確保できるように剪定作業が開始され、5月には園地一帯が、かぐわしい香りに包まれて白い花が満開になります。そして、8月、9月には摘果作業で不要な実を取り除き、果実の等級をそろえ、11月からは果実の収穫が始まります。しかしながら、現在に至っても今回の寒害の影響の拡大が続いており、被害に遭われた生産者の方々は、次期作に向けた対応に苦慮しております。 このような被害に対しまして、県は国の果樹経営支援対策事業の自然災害時特例の活用に向けて努力していただいております。この果樹経営支援対策事業は、本来は優良品目・品種への転換、省力樹形の導入、園地整備など、産地計画を実現するための事業でありますが、特例として自然災害による被害を受けた場合、産地計画に位置づけられた振興品種であれば、同一品種への植栽でも改植とみなし、被災した樹体を含む改植面積の合計が担い手単位でおおむね2アール以上あれば支援対象になります。実際に、平成30年7月豪雨において、香美市のユズが対象となっております。 山北みかんの歴史は江戸時代に始まります。長い日照時間と昼夜の寒暖差、太平洋から吹きつける潮風と石灰岩質の土壌と温暖な気候、何より江戸時代から試行錯誤を繰り返しながら受け継がれてきた栽培技術によって作られたのが、現在の山北みかんであります。また、県内で約80%が消費されるほど県民の果物として食されております。 このような恵まれた条件にあると言ってもおかしくない山北みかんであっても、生産者の高齢化、担い手不足と休耕地の拡大が続いております。今回のこの寒害の被害状況いかんによっては、ミカン栽培を諦めざるを得ない方々が出ることが予想されます。 そこで、今回の寒害被害の現状と県による支援状況につきまして農業振興部長に御所見をお伺いいたしまして、私の第1問といたします。 (知事濱田省司君登壇)
◎知事(濱田省司君) 浜田議員の御質問にお答えをいたします。 まず、コロナ禍における女性支援についてお尋ねがございました。 議員から御紹介ございました内閣府の研究会からの緊急提言におきましては、コロナ禍においては特に女性に対する影響が深刻であるというふうに指摘をされております。本提言に掲げられております支援の内容は、県としてもしっかりと取り組む必要があると考えております。 この提言の内容は、大きく言いまして3つに分かれておりまして、1つは相談、啓発に関すること、2つは子育て支援に関すること、3つは働き方支援に関すること、こういった3つに大別をされるというふうに考えます。このうち相談、啓発に関しましては、いわゆるDVや性暴力、自殺の防止に向けて早期の発見、相談対応につながりますように、各相談窓口の体制強化と周知に取り組んでおりまして、引き続き対応を図ってまいります。 また、子育て支援に関しましては、コロナ禍におきます共働き家庭などに配慮した保育あるいは放課後児童クラブなどでの預かりを行っているところであります。加えて、独り親家庭への支援の強化といたしまして、臨時特別給付金などの経済的な支援のほか、ひとり親家庭等就業・自立支援センターでの相談支援を行っております。さらに、働き方支援の分野におきましては、高知家の女性しごと応援室などにおきます就職相談や再就職支援セミナーなどによりまして、離職を余儀なくされた方々への早期の再就職支援を行っております。 あわせて、長期的な対応といたしまして、本提言でも求められておりますデジタル・福祉分野などの成長分野等へのシフトに向けた人材育成、就労支援も重要であるというふうに考えます。このため、他業種から介護分野への就職を支援いたします貸付事業を創設するといった取組、あるいは介護に関する入門的な研修のほか、デジタル人材の育成講座などを実施してまいることとしております。 今後も女性の置かれた状況に寄り添いまして、女性への支援策がより効果的なものとなりますよう、県全体で、あるいは市町村とも連携をいたしまして、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 次に、現在不安を抱えておられます妊婦の方々に向けて、その解消に向けた決意についてどうかというお尋ねがございました。 これも議員からお話しがございましたように、このコロナ禍におきまして、妊婦の方々は様々な不安を抱えておられるというものと受け止めているところであります。また、特に里帰り出産でございますとか立会い分娩などにつきまして、このコロナ禍で制限を強いられている現状があるというような実情もお聞きをしているところであります。 そうした状況から、県におきましては、昨年の5月新型コロナウイルス感染症に対して不安を抱える妊婦の方々への電話相談窓口を設置いたしまして、里帰り出産あるいは感染が疑われる症状などに関します相談に対応いたしているところであります。そして、昨年12月からは、御自身や胎児の健康などに関して強い不安を抱えておられる妊婦さんに対しましては、希望に応じまして分娩の前にウイルス検査が受けられるように費用の助成も行っておるところであります。他方、市町村では、感染防止対策を徹底した上で、助産師等が妊婦さんの自宅へ訪問をして相談に応じるといったような取組、あるいは妊婦さん同士が交流する場の開催といった取組などを行っているというふうに承知をしております。 今後も引き続き、市町村あるいは医療機関などと連携をいたしまして、このコロナ禍の下におきましても安心して出産に臨めますように、妊婦さんに対しての支援を行ってまいります。 次に、来年度より母子保健事業と子育て支援事業を子ども・福祉政策部に一元化する目的ないし意義につきましてお尋ねがございました。 これまで高知版ネウボラといたしまして、子供たちを守り育てる環境づくりを目指し、関係部局が連携をいたしまして、妊娠期から子育て期までの切れ目のない総合的な支援体制の構築に取り組んでまいりました。この取組におきましては、子育て家庭のリスクに応じた適切な対応や不安の解消を図るために、市町村におきます母子保健と児童福祉の部門間の連携や子育て支援サービスの充実を図ってきたところであります。 このたび、母子保健事業と子育て支援事業を一元化して、高知版ネウボラの取組をさらに強化したいという考え方の下に、子ども・福祉政策部を設けることといたしました。このことによりまして、子育て支援施策の実行力を高めて、また成果に結びつけてまいりたいというふうに考えております。 あわせまして、来年度からは妊娠期からの地域におきます相談窓口であります子育て世代包括支援センター、これはどちらかといいますと母子保健がベースになるセンターであります。これと乳幼児期の子育て家庭が気軽に交流できるような地域子育て支援センター、これは保育所なんかが現実問題拠点となりまして、児童福祉をベースにしたセンターでありますが、この2つのセンターが連携をいたしまして、子育て家庭の多様なニーズに対応できるように機能強化を図ってまいります。 特に、御指摘のありました産褥期につきましては、母親の育児不安あるいは鬱状態が、子供の虐待の誘因となるということも懸念をされますので、妊産婦及び乳幼児に対します一体的な支援が必要となってまいります。こうしたことから、産前産後の母親への身体的・心理的支援や育児の援助、母親同士の交流といいました個々の状況に応じた支援を、ただいま申しました後段の地域子育て支援センターのほうで、児童福祉をベースとしてスタートしたセンターでございますが、こちらのほうでもこういった提供をできるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。 このように、新たな組織体制を生かしまして、妊娠期から子育て期までの保健と福祉の関連事業を連携させていくということによりまして、子育て支援施策を強化してまいりたいという考えであります。 最後に、県立スポーツ施設におきます県立青少年センターの位置づけと意義についてお尋ねがございました。 青少年センターは、青少年の健全な育成及びスポーツの振興を図るための施設として設置をいたしております。このため、施設の利用に当たりましては、青少年の利用料を無料もしくは安価に設定しているという特色がございますが、利用者の範囲自身については特段の制限などを設けているわけではございません。 一方で、本県では、平成30年に第2期スポーツ推進計画を策定いたしまして、スポーツ参加の拡大と競技力の向上に加え、スポーツを通じた活力ある県づくりを施策の柱として掲げているところでございます。そして、この中でスポーツツーリズムも推進をしてきておりますし、特に関西連携といったような視点からは、これをさらに強化したいという考え方で取り組んでいるところでございます。 県立スポーツ施設は、この計画を推進する上での核となる施設でございます。県立青少年センターの陸上競技場につきましてもこの計画に位置づけまして、令和元年7月に整備を行ったというような事情があるところでございます。 私からは以上であります。 (文化生活スポーツ部長岡村昭一君登壇)
◎文化生活スポーツ部長(岡村昭一君) DV被害、性暴力被害の現状と支援体制の強化についてお尋ねがございました。 本県の配偶者暴力相談支援センターへの昨年4月から本年1月までの間のDV相談件数は408件で、前年同期の463件から11.9%の減少となっております。同じく、性暴力被害者サポートセンターこうちへの相談件数は248件で、前年同期の305件から18.7%の減少となっております。 このように、本県では、DV被害、性暴力被害に関する相談件数は減少しておりますものの、引き続き多様な広報媒体を活用した相談窓口の周知や、相談員のスキルアップ、さらには児童相談所、警察、市町村など関係機関との連携により、被害の潜在化や重篤化の防止に努めますとともに、被害者の方々への速やかな支援につなげてまいります。 (健康政策部長鎌倉昭浩君登壇)
◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) まず、産後鬱の対策についてお尋ねがございました。 産後は、ホルモンのバランスの急激な変化や、お産に伴う身体への影響、生活リズムの変化により、心身ともに不安定になりやすい時期であることから、出産後、主には2週間以内あたりから症状が出始め、産後鬱病になる方がいらっしゃいます。 そのため、これまでも市町村では、産後ケア事業を通じて、母親の身体的回復の促進に向けた支援や、話を聞くなどの心理的支援を行っています。そして、県では、全ての市町村と分娩取扱医療機関で一斉に始めることができるよう、マニュアルの作成や協力していただく精神科医療機関への協力依頼を行い、昨年の10月1日から産婦健康診査を始めたところです。 今後、健診の結果、必要な人に対して協力いただける精神科医療機関をさらに増やしていくとともに、関係機関に対する研修会を開催するなどして、健診を通じた産後鬱病の早期発見、早期治療につながる体制の一層の充実を図ってまいります。 また、産後ケア事業は、居宅訪問型、短期入所型、通所型がありますけれども、現在は居宅訪問型以外の支援を行う市町村が少ない状況です。そこで、担当者会などを通じて他県の自治体の取組を紹介するなどして、より多くのニーズに応えられる短期入所型や通所型にも取り組んでいただくよう、支援をしていきたいと考えております。 次に、妊産婦の支援へのデジタルの活用についてお尋ねがございました。 今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、市町村が開催するマタニティー教室などが延期や中止せざるを得ない時期がありました。こうした状況などを受け、国において新たにタブレット端末の購入経費などを対象とした補助制度が創設をされ、現時点で複数の市がこの制度を活用する予定となっております。 一方で、妊産婦やその子供、御家族等の妊娠・出産・子育てに対する保健活動や支援を行う際は、表情や声色、身体の状況から体調の変化や発育の遅れなどを見落とさないよう、やはり対面での対応が基本とはなります。しかしながら、遠距離でなかなか対面が難しい場合や、災害時あるいは今回の新型コロナウイルス感染拡大による直接行き来ができない事態などに備え、今後デジタルが活用できる環境を整備しておくことも必要だと考えております。 県としましては、市町村担当者会などを通じて、この新たな補助制度の周知や、デジタル技術を活用した他県の先進事例を収集して情報提供を行うなど、市町村におけるデジタル化の環境整備を進めてまいりたいと考えております。 (教育長伊藤博明君登壇)
◎教育長(伊藤博明君) まず、現状の校則の在り方をどのように認識し、今後の校則の見直しについてお尋ねがございました。 校則は、児童生徒が健全な学校生活を営み、よりよく成長していくための行動指針として各学校で定められるものでございます。そして、子供たちがよき社会人として成長していくためには、学校において児童生徒の発達段階に応じ、決まりやルールを守ろうとする心情や態度を育成することが大切であり、校則の果たす教育的意義は大変大きいものと認識をしております。 そして、社会や学校を取り巻く環境の変化に伴って、世の中の価値観も変容するものであり、児童生徒の実情や、社会や時代の進展などを踏まえて、この校則も見直しがされるものと考えております。 現在の県立学校の校則につきましては、長期間見直しがなされていなかったり、実際の生活様式に合わない内容があるなど、少なからず問題点もあり、そうしたことから、学校においては校則の運用に当たって児童生徒や保護者とトラブルになるケースも見られると認識をしております。 このため、所管します県立学校については、校則が現在の社会の変化に即しているか、法的に見て疑義が生じるものではないか、特に生徒の健全育成等を目的とした上で、合理的に説明できる内容となっているかといった視点で、その見直しを図るよう昨年5月の県立学校長会で私から直接指示を行いました。現在、県立学校長会において、全ての県立学校の校則の課題を抽出し、スクールロイヤーなどの協力を得て検証を行っておりまして、間もなく各校で校則の見直しが完了することになっております。こうした本県の組織的で専門家を活用した校則の見直しの取組は、全国的に見ても大変先進的なものとなっていると考えております。 今回の見直しに当たりましても、項目によっては生徒会や生徒総会などで検討も行われておりますが、今後は主権者教育で求められる力を育成するためにも、生徒会活動やホームルーム活動を通して、校則について生徒が主体的に考え、学校と協働して検討する機会を設けるなどし、今回の改定をベースに、それぞれの学校においてよりよい学校生活を送るための校則づくりに取り組んでいただきたいと考えております。 次に、県立青少年センターのフィールドをこれまで以上に本県の子供たちが利用できるような運用の改善についてお尋ねがございました。 県立青少年センターは、県東部のスポーツの拠点として、またスポーツツーリズムの受皿として、Jリーグなどのキャンプ地として利用されるレベルで整備をしております。そのため、質の高い芝生の維持管理が求められ、一定の養生期間が必要な際には、春野総合運動公園と同様に利用の制限が必要になります。 今回お話がありました直前に少年サッカーの練習試合の利用をお断りしたことにつきましては、悪天候が長期間続いたことによる芝のコンディション不良というやむを得ない事情があったと、青少年センターから報告を受けております。関係する皆様に御迷惑をおかけしてしまったものであり、誠に申し訳ないと思っております。 今後、このようなことを可能な限り発生させないよう、関係者の皆様からお話もお聞きしながら、青少年など県民の利活用とともに、スポーツツーリズムとしての活用についてバランスを取りながら両立ができるよう、青少年センターと連携をさらに密にして取り組んでまいります。 最後に、本県農産物などの学校給食における利用状況と今後の利用促進に向けた取組についてお尋ねがございました。 地場産物を活用した学校給食は、児童生徒に本県の農業の現状を理解させるよい機会であるとともに、地域の産物を大切にする心や関係する方々に感謝する気持ちを養うなど、教育的な効果は非常に大きいと考えております。 令和元年度の文部科学省の調査によりますと、本県の学校給食における県内産の食材の使用割合は、食品数ベースで38.9%となっており、全国平均の26.0%と比べると12.9ポイント高い値となっております。また、今年度、同様の調査を県教育委員会で行ったところ、県内産の食材の使用割合は43.3%となっております。 議員からのお話にありましたように、今般のコロナ禍において、業務用の農作物の市場価格の低下や需要が減少するなど、本県でも大きな影響が出ており、大変厳しい状況だと認識をしております。このような状況の下、JA高知県からの要請を受けた南国市においては、学校給食でシシトウを活用するため栄養教諭が調理員と協力してメニューを研究するなど、地場産物を学校給食に新たに取り入れる検討が先月から始まっているとお聞きをしております。 県教育委員会では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、本県の地場産物が厳しい状況にあることや、そのことを踏まえた南国市の取組事例を各市町村教育委員会にまずは情報提供していきたいというふうに考えております。また、新年度となります4月当初には、今回の南国市の事例などを学校栄養士会と連携して県内の学校給食関係者に広く周知し、献立の参考にできるようにするなど、県内地場産物の学校給食での活用を今まで以上に推進してまいります。 (農業振興部長西岡幸生君登壇)
◎農業振興部長(西岡幸生君) まず、本県農産物の地産地消の促進に向けた取組についてお尋ねがございました。 県では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って厳しい状況に置かれている本県経済の回復に向け、昨年6月から県民と一体となって地産地消を進める「食べて!遊んで!高知家応援プロジェクト」を実施しました。そのプロジェクトの一環として農産物においては、県民の皆様の生活に密着しております直販所と量販店に御協力をいただき、合わせて191店舗において、本県産農産物の消費を促進するキャンペーンを実施したところです。 さらに、昨年末からの感染再拡大の影響を踏まえ、先月からは「コロナに負けるな!高知家応援プロジェクト」をスタートすることとし、61の直販所において高知の花応援キャンペーンを実施するとともに、量販店では飲食での業務需要が多いシシトウ、オオバ、小ナスなどを重点支援品目とした地産地消キャンペーンを予定しております。 こうした取組を通じまして、県民の皆様の地産地消への機運が高まっているものと考えております。引き続き、その機運を定着させていくよう、地産地消を応援していただける直販所や量販店等とも連携しながら、地産地消のさらなる促進を図ることによりまして、コロナ禍において厳しい状況にさらされている本県農業をしっかりと支えてまいります。 次に、露地ミカンなどの寒害被害の現状と支援についてお尋ねがございました。 1月8日から9日にかけて本県を襲った記録的寒波により、広い範囲で大雪による施設被害や、寒害による野菜や果樹の作物被害が発生し、県全体の被害面積は23.8ヘクタール、被害金額は6,900万円余りに上っております。 中でも、香南市山北地域では冷気のたまりやすい園地を中心に、温州ミカン18.5ヘクタール、ブンタン2.4ヘクタールで葉の変色や落葉、枝枯れ等の被害が発生し、このうち5.6ヘクタールでは木全体が枯れた状態となっております。被害が木の一部にとどまる場合には、枯れた枝の切除や速効性肥料の散布などにより回復が可能ですが、全体が枯れた場合には植え替えを行う必要がございます。 そのため、県では、JAなど関係機関と連携し被害状況の調査を行うとともに、植え替えに要する経費と植え替え後の未収益期間の経費などを総合的に支援する国の果樹経営支援対策事業の活用に向け、国との協議を行ってまいりました。その結果、先日国から今回の寒害を自然災害特例措置の対象として事業承認すべく、前向きに検討しているとの回答をいただいたところです。 今月中旬には、生産者向けの事業説明会が開催される予定であり、引き続きJAや香南市と連携を取りながら、事業活用に向けた取組を進めるとともに、早期復旧に向けた現地指導を行うなど、被害に遭われた生産者の皆様に寄り添った支援をしっかりと行ってまいります。
◆10番(浜田豪太君) それぞれ丁寧な御答弁ありがとうございます。学校の校則のことについても、日頃やはりこうやって昨年の5月から取り組んでくださっているということで、本当に現状いろんなことが様々起きておりますので、そういったことに対応できるように、できるだけ生徒、保護者も含めた形でやっていただければなと思います。 それと、このDV被害と性暴力被害が今のところ現状として少ないということが、非常にある種驚きというか、ほっとしているところもあるんですが、何事も今後さらに増えてくる可能性も、いろんなことが本県は遅れてきたりすることもありますので、なお注意深く注視していただきたいというのがあります。それと、健康政策部長の妊産婦の支援のデジタル化というのも、やはりこれだけデジタル、デジタルと進めておりますので、やはり子供とかお母さん相手だと実際見て触ってが必要でしょうけれど、そこを何とか工夫していただけたらなと思います。 1点だけ2問をしたいんですが、知事に対して、このコロナ下の女性の影響の緊急提言の中で国連のグテーレス事務総長の、コロナ対策において女性、女の子を中核に据えるようという話がありました。日頃、知事が様々な政策を進めていったり取り入れていく、考えていく中において、やはり今後女性の視点というのが必要不可欠であると思います。それに対してこれまで、例えば私ですと、いろんなことを迷ったときに、妻に聞いてみるだとか、近所の民生委員の方に聞いたり様々なことをしておりますが、知事もあれば、女性の視点というものをどういうところで意識しておるのかというか、その政策に向けてどのように取り組んでおられるか、ちょっと1回聞かせていただきたいんですが。
◎知事(濱田省司君) 浜田議員の再質問にお答えいたします。 お話がございましたように、我が国の世界全体が、やはり多様性を大事にしていくと、かつての大量生産、単一の消費から言わば小品目多品種で多様性を大事にしていく、そういった経済にもなっているという中にあります。社会全体がそういった多様性を大事にしていくという動きがある中で、流れにある中で、今御指摘がありましたように、女性の視点というのも非常に大事な視点だというふうに承知をしております。 身近には私も浜田議員と同様に、何かと県政で話題になったことにつきまして家内の意見を聞くというようなルートも含めてでありますけれども、とかく我が国の場合は男性かつシニアな層によっていろんな意思決定がされたり、そういった視点を中心にいろんな制度、政策が組み立てられてきたんではないかというような指摘が、近年いろんな形で行われているということだと思います。特にそういった施策について、ひずみ・きしみ的なものが発生をしておるような局面におきましては、女性であったり若い方であったり、あるいは外国との交流などの御経験がある方、そういった多様な意見を県政の施策のいろんな場面で反映をしていくということは、非常に大事だと思っております。 その一つといたしまして、女性の視点ということにつきましても、男女共同参画計画といったことはもとよりでありますけれども、そういったところを切り口に、教育、福祉をはじめとしまして、県政の各分野で女性の視点を生かしていくと。その意味で、例えば昨今議論になっております建設業の活性化などにつきましても、先々今後の活性化を考えたときには、女性、若者、こういった意見を入れていかなきゃいけないと。そういう視点を、特に若い女性の方、また若者の意見を聞くようにというような指示も、土木部に対してもしたところでございます。 例えば一例としてそういったことも含めまして、県政の各般の局面で特に留意をしてまいりたいと考えております。
◆10番(浜田豪太君) ありがとうございました。多様性とデジタル化、令和3年度ぜひ進めていただきたいと思います。 これをもちまして、私の一切の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(西内健君) 暫時休憩いたします。 午後2時8分休憩
----------------------------------- 午後2時30分再開
○議長(三石文隆君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 8番土居央君。 (8番土居央君登壇)
◆8番(土居央君) 自由民主党の土居央でございます。議長よりお許しをいただきましたので、早速質問に入ります。 まず、2050年カーボンニュートラルに向けた取組について質問いたします。 昨年10月、菅義偉首相は国内の温室効果ガスの排出を2050年までに実質ゼロにする、いわゆるカーボンニュートラルの実現を目指すと宣言をいたしました。その後、各自治体も国に歩調を合わせ、今年3月3日時点で33都道府県、180市、3特別区、66町、18村、計300自治体が同様の決意を表明し、表明自治体人口は約1億157万人を占めるに至っています。 濱田知事もまた昨年12月議会において、本県が2050年のカーボンニュートラルを目指すことを宣言し、並々ならぬ決意をお示しになったことは御承知のとおりです。本県では、今年度高知県環境基本計画の第5次改定をはじめ、高知県
地球温暖化対策実行計画や高知県新エネルギービジョンの改定が進められているところであり、また先日示されました来年度予算案では、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取組や推進体制も一定示されています。 一方で、昨年12月、帝国データバンクが全国2万3,688社を対象にした調査では、温室効果ガス削減に取り組んでいる企業は82.6%に達したものの、2050年のカーボンニュートラルを達成可能だと考えている企業は15.8%にとどまっているとの結果が出ています。 目標の実現には官民の連携・協力が不可欠になりますが、本県の2050年カーボンニュートラルの実現に向けたロードマップをどのようにつくるのか、知事にお伺いいたします。 また、昨年10月、民間企業や都道府県をはじめとした自治体、大学、研究機関など産官学の様々なステークホルダーが、SDGsの取組拡大や自然を生かし、次世代へつなげるための新アイデアを具現化し、新たな事業を創出するプラットフォームとして、日本みどりのプロジェクト推進協議会を設立されました。濱田知事は副会長として名を連ねておられます。会長を務める阿部守一長野県知事は、日本の自然を核に脱炭素社会へ貢献し、世界をも変えていくような今までにない取組を始めようとの力強いメッセージを出されており、その活動に私も期待を寄せています。 当プロジェクトは、本県の2050年カーボンニュートラルに向けた取組のアクションプランにも位置づけられる予定であり、重要な役割を担うと思いますが、知事は副会長としてどのような提案をし、本県にとってどのような成果を上げようとしているのか、お聞きいたします。 さて、今後化石燃料への依存を減らし、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた動きは加速するものと考えられますが、再生可能エネルギーが長期にわたり安定的に発電する電源として、地域や社会に受け入れられ、定着していくためには、地域で生み出したエネルギーを地域で活用していく地産地消など、エネルギー還流の仕組みづくりが重要だと考えます。特に、県民が再生可能エネルギーの地産地消を最も身近で実感できるシステムが、住宅用太陽光発電だろうと思います。2012年より始まった固定価格買取制度、FITにより本県でも急速に拡大しましたが、新エネルギービジョンにおける2020年の中期目標に対しての達成率は約90%となっていますので、今後普及戦略の見直しが必要となってくるのではないかと考えます。 特に、今後は高額での固定価格買取り期限が終了していく中で、その普及にブレーキがかかるとの懸念から、全国でも住宅用太陽光発電の普及戦略の新たな展開を模索する自治体が増えてきています。例えば、住宅用太陽光発電を集約し、CO2など温室効果ガスの排出削減量として企業に売却する排出権取引制度、県版J-クレジットを導入する自治体や、自治体新電力を設立し、独自に住宅用太陽光発電の余剰分を買い取り、購入電力を公共施設で利用するなど、住宅用太陽光発電で余った電力を地産地消と地域還流する試みも広がってきています。 このように、FITの終了や全国の取組動向を踏まえ、本県としては今後どのように住宅用太陽光発電の普及促進を図っていくのか、その戦略について林業振興・環境部長にお聞きいたします。 次に、県民参加の取組について順次質問いたします。私は、一昨年の9月議会で本県施策へのSDGsの反映や海洋プラスチックごみ対策、紙産業技術を生かしたプラスチック代替製品の開発支援、食品ロス削減運動など環境問題の質問をさせていただきました。御答弁から、またその後の施策展開から、環境政策に対する県の非常に前向きな姿勢を感じてきたところです。 来年度も様々な環境政策が打ち出されていることは承知していますが、一昨年とは異なり、
カーボンニュートラル宣言を踏まえた、あらゆる環境政策の実効性が今後は厳しく問われなければなりません。また、県民全体の協力体制を構築する必要もあります。 そこで、来年度は県民のライフスタイルの転換等を促す政策の一環として、食品ロス削減をテーマとした県民運動の実施が予定されています。食品ロスの削減の推進に関する法律では、食品ロス削減に向けた活動を多様な主体の連携を要する国民運動と位置づけており、自治体には食品ロス削減推進計画の策定が求められています。 食品ロス削減運動に関し県はどのような推進体制で、どのような内容の県民運動を展開するつもりなのか、林業振興・環境部長にお聞きいたします。 次に、プラスチックごみ削減について、今国会へ提出されているプラスチック資源循環促進法案では、製品の設計から提供、リサイクルに至る各段階での対応を促す制度を盛り込み、紙やバイオマスなどの代替素材の使用により、プラスチック使用量を減らした製品などについての認証制度を創設することが予定されています。認証を受けた商品は国の機関が率先して買うほか、消費者にも購入を促す方針だと聞いています。 今後、国が環境に配慮した商品づくりを強力に後押しする方向性は明確です。こうした動向を踏まえ、県庁でも入札や物品調達において環境に配慮した製品の優先購入、優先使用の仕組みの拡充が必要ではないかと考えますが、林業振興・環境部長に見解をお聞きいたします。 また、国連が掲げる持続可能な開発目標、SDGsの達成に向けた施策としては、今年度より第4期高知県産業振興計画や第2期高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略への反映など、SDGsを意識した取組が促進されています。来年度もSDGs登録制度の創設やセミナーの開催、優良事例集の作成など、県内事業者を後押しする具体的な取組が予定されており、SDGsによる企業価値の向上や新たなビジネスチャンスの創出につながるものと期待しています。 このように、本県のSDGsに関する施策は、これまでは事業者向けの施策に重点が置かれたものとなっているように感じています。一方で、SDGsが人類全体で追求していくべき目標であることを考えますと、その取組は事業者のみならず、県民全体で共有すべき課題と考えます。 そこで、県としてはSDGsの推進について、市町村、さらに県民とどのように連携を進めていくのか、知事に見解をお聞きいたします。 この問題の最後に、環境教育につきまして質問いたします。カーボンニュートラルの達成を目指す2050年まであと29年、当然次世代を担う子供たちにもその意義と取組について、しっかり教えていかなければなりません。しかし、内閣府による環境問題世論調査では、例えばプラスチックごみ問題への関心は、若い世代ほど関心が薄い傾向が表れています。調査対象に小中学生は含まれていませんでしたが、子供の頃からの環境教育が大事だと感じます。 例えば、東京都教育委員会では環境教育の一環として、都内の公立小中学校の給食で使うプラスチック製のストローを削除し、コップに入れて飲む方法や、マイストローの使用、紙製などのプラスチック代替品を使用するなどの取組を進めているとお聞きしましたが、このように廃プラスチック削減や食品ロスの削減などは、子供たちでも取り組みやすい行動だと思います。 そこで、教育委員会は、2050年カーボンニュートラルの実現を見据えた環境教育にどう取り組んでいくのか、教育長にお聞きいたします。 次に、ウイズコロナ、アフターコロナの経済戦略について数点質問いたします。 本県経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で現在も様々な産業が苦しんでいます。濱田知事は提案説明において、県経済を再び成長基調に乗せていくためには、コロナ禍による悪影響を最小限にとどめ、コロナ禍を契機とした社会構造の変化に的確に対応するとともに、さらに一歩先を見据えて施策を強化することが重要だと力強く述べられました。 観光政策に関しては、本県は来年度、自然、歴史、食の観光基盤をフル活用した新たなリョーマの休日キャンペーンを柱に、令和5年度の観光総消費額1,288億円以上、観光客460万人以上の達成を目指して取組を加速する方針を打ち出しています。しかし、同様の政策は恐らく国内ほとんどの自治体が講じるのであり、すぐに地域間競争に直面するのが現実問題です。したがいまして、ウイズコロナの中でいかに本県を他県と差別化できるか、他県と違う魅力を打ち出せるか、知事のおっしゃるとおり、一歩先を見据えて施策を強化することが重要だと私も感じております。 本県の最大の強みは、地元ならではのおいしい食べ物が多かったランキングで、11年で6度の日本一に輝いた食の力にあります。この強みをコロナ禍でもフル活用できる環境を創出しなければなりません。 その環境づくりに関連しますが、昨年から継続的に実施されているJTB総合研究所の調査によりますと、宿泊や飲食の方法を選択する際に重視する点について、感染防止対策に関する項目の比率は常に高く、上昇傾向にあります。こうした情報を基に、昨年より観光関連の会合では、ウイズコロナ時代の観光の選ばれ方は、コロナ感染リスクを意識した選択が主流になる点や、コロナ対策を独自の基準で評価し見える化することにより、安心として観光振興策にプラスに生かしていく考え方などが有識者により指摘、提案をされています。 既に他県では認証制度を独自に創設して、感染症対策と社会経済活動の両立を推進している事例があります。本県では認証制度という形ではなく、業種ごとに県版のガイドラインに基づいたコロナ対策の遵守を求め、対応してくれている事業所にはポスターを貼付してもらうなどの取組をしていることと承知しています。しかしながら、問題はそれらが消費者の安心につながっているかどうかです。一度冷え込んだ消費者マインドを高めることは容易ではありません。 県が推奨しているGo To Eatの販売が現時点で予算枠の35%にとどまっているのは、こうした影響もあるのではないかと考えます。年末年始にかけての忘年会・新年会シーズンの書き入れどき、予約のキャンセルが相次ぐことで、飲食業や旅館・ホテル業界は大きな痛手を負いました。間もなく歓送迎会シーズンを迎えようとしています。そのような中、旅館、ホテルの団体では、安心・安全をさらに具体化した独自のマニュアルを作成し、まずは地元のお客様に情報発信することを考えられているとお伺いいたしました。 私は、県としてこうした動きにしっかりと寄り添った取組が必要だと考えますが、知事に御所見をお伺いいたします。 次に、国際航空運送協会、IATAの予測によりますと、国際航空需要がコロナ前の水準にまで回復するのが令和6年、2024年とされており、それまでの間は国内観光の内需拡大に向けた取組に注力するとともに、インバウンドの回復に向けた仕込みを進めることが重要であると考えます。 私は、今から進めておく大きな仕込みの一つが、アドベンチャーツーリズムだと考えています。昨年10月にはアドベンチャーツーリズム・オンライン・シンポジウム2020が開催され、ウイズコロナ、アフターコロナの時代におけるアドベンチャーツーリズムの可能性を改めて確認したところです。 私は、昨年の9月議会で、今年9月に北海道で開催が予定されているアドベンチャートラベル・ワールドサミットに向けた取組を進めるよう質問させていただき、観光振興部長から前向きな御答弁をいただいたところでございますが、その取組の現状につきまして観光振興部長にお伺いをいたします。 次に、インバウンドの誘致プロモーションについて質問いたします。コロナ前の水準とまではいかなくても、国際的な往来が一定程度可能になれば、全国においてインバウンド誘致に向けた動きが加速化すると想定されます。こうした中で、本県へインバウンドをしっかりと誘致していくためには、海外市場に向けてセールスプロモーションを継続する必要があると考えます。さきの12月議会では、本県の自然体験などをテーマとした動画を制作し、海外の方々にダイレクトに伝えるプロモーションの準備などを進めているとお聞きをいたしました。 そこで、今年度のデジタルプロモーションのその後の状況と、このプロモーション事業を踏まえた今後のインバウンド再開に備えた誘致の取組について観光振興部長にお聞きいたします。 次に、地域政策について数点質問いたします。 まず、れんけいこうち広域都市圏事業は、高知市における連携中枢都市圏構想を県内全市町村を圏域とした構想に進化させ、人口や都市機能が集積する高知市の持つマーケットや、人、物のハブ機能を最大限生かし、高知県の進める施策の先導性を高める垂直的な補完や、行政サービスへの水平的な補完とともに、県内全市町村の特色と強みをフルに発揮して、県域の均衡ある発展を目指す取組です。 御承知のとおり、国が定める連携中枢都市圏の域外となり、特別交付税措置がなされない県東部と県西部の計13市町村に対しまして、県は連携事業の実施に要する経費の支援を実施しています。以前から本県が直面している少子化、人口減少、南海トラフ地震などへの対応に加え、新たに新型コロナウイルス感染症によるダメージからの回復や、SDGsやカーボンニュートラルなど新たな時代の要請に対し効果的に対応していくためには、県と県内市町村の連携・協力が重要であり、その意味で、れんけいこうち広域都市圏の取組の進化にも期待をしています。 当事業は今年で3年目を迎えますが、知事は、就任1年を経て、れんけいこうち広域都市圏事業をどう評価されているのか、また県の新たな課題を踏まえて、今後れんけいこうち広域都市圏にどのような展開を期待するのか、お聞きいたします。 次に、地域おこし協力隊に関連して質問いたします。先月、私は高知県青年団協議会が主催したイベント、高知家ヂノモノ・ヨソモノ交流会というイベントに、横山県議、土森県議と共に参加しました。これは、地域おこしに取り組む地元青年団と地域おこし協力隊とのつながりを一層密にして、共に力を合わせて地域を元気にしていこうとの企画で、協力隊の方々が直面する様々な課題についてお聞きし、意見交換を行いました。その多くは、既に県議会でも取り上げられてきた課題でしたが、今後への期待も含め、2点質問したいと思います。 まず、地域おこし協力隊が直面する主な課題は、地域活性化の取組自体が地域住民や行政、団体など多様な主体との利害が絡むため、それらとのコミュニケーションに苦心するケースです。そのような課題に対し総務省は、来年度から、専門的な見地から地域おこしに関わり、協力隊を含めた多様な地域活動間の橋渡しや調整など、司令塔的な役割を務める地域プロジェクトマネージャー制度を新設することとし、財政的にも強力に後押ししていくこととしています。当マネジャーの役割は、地域活性化全般にわたっての取組が対象となりますが、ぜひ地域おこし協力隊に関しましても、その活動の充実だけでなく、後進の育成や定着率の向上にもつながるような働きも期待したいところです。 募集や活動の主体は市町村になりますが、県全体の地域振興につなげるため、当制度を最大限有効活用するべきと考えますが、県はどのような後方支援をすべきと考えるか、中山間振興・交通部長にお聞きいたします。 もう一つが定住に向けた支援です。平成31年に本県が実施した地域おこし協力隊の意向調査では、任期終了後も担当市町村への定住意向が7割、県内では8割程度になるなど、協力隊の皆様の定住意向は高いものの、実際の定住率は65%程度にとどまっており、このギャップ要因として、希望するなりわいの問題が指摘されています。 この課題に対して県は、起業や事業承継などの支援策に力を入れる方針だとお聞きしましたが、地域おこし協力隊の8割が20代、30代の若者であることを考えますと、そのノウハウや財政力も含めて多くの課題も考えられ、実効性を上げるためには、それぞれの実情に応じた細やかな支援が必要になるものと思います。 中山間地域での担い手確保が待ったなしの状況の中、協力隊の定住支援は惜しむべきではないと考えますが、来年度定住率の向上に向けて、特に就労面からどのような支援の強化を進めるのか、中山間振興・交通部長にお聞きいたします。 次に、少子化対策として、不妊治療助成制度の抜本的強化についてお聞きいたします。 少子化、人口減少の問題は、我が国の国難とも言うべき重要課題です。菅政権においても少子化対策は最重要課題として、結婚や出産、そして子育てに係る支援制度は男女を問わず、大幅に拡充する方針を明確にしており、着実に法整備が進められています。 その主要施策の一つが不妊治療助成制度の大幅な拡充です。令和4年度からの医療保険適用を柱に、今年1月からは助成対象に事実婚を加え、所得制限を撤廃、助成額の上限について2回目以降も、1回30万円で6回まで、2人目以降の子供も同様とするなど、大幅な拡充を行っています。 日本産科婦人科学会によりますと、晩婚化などが要因となり不妊治療は年々増加し、2018年の総出生数91万8,400人のうち、不妊治療の体外受精によって誕生した子供は5万6,979人、約16人に1人が不妊治療を経て誕生した命ということです。コロナにより少子化の加速が懸念される中、このたびの不妊治療に対する助成制度の大幅な拡充は大変時宜を得た施策だと思います。 当施策により、多くの夫婦が出産の希望をかなえられることを願いますが、本県が目指す安心して妊娠・出産・子育てできる環境づくりの実現には、助成制度の拡充だけで解決できる問題ではないことも指摘をされています。 例えば、不妊治療の裏には離職という問題が生じます。2018年末、順天堂大学などの研究チームが実施した調査では、対象となった不妊治療中の女性1,727人の83%が仕事との両立を困難と感じ、また治療のための突発休が必要となった人は半数以上、さらに不妊治療を始めた女性の6人に1人となる16.7%が離職をしています。また、厚生労働省の調査では、夫婦の5.5組に1組が不妊に関する検査や治療を受け、不妊治療中の離職は23%となっています。 リスク分析では、不妊治療へのサポート制度がない職場は、サポート制度がある職場より離職リスクが1.91倍高く、非正規社員は正規社員より2.65倍高いという分析がなされています。この調査結果からも、不妊治療と仕事の両立には職場の理解と協力が欠かせないことは明らかです。しかしながら、厚生労働省が2017年に実施した全国調査によりますと、不妊治療に対する休暇制度など、不妊治療への何らかの支援制度のある企業は僅か9%にとどまっています。 こうした実態を踏まえ、本県においても治療を受けられる方の職場での理解や協力が得られやすいよう、一緒に働く方々や企業の経営者にも不妊治療に関する正しい知識や実情を理解してもらい、安心して不妊治療が受けられる環境づくりを社会全体で進めていく取組が必要ではないかと考えますが、知事に御所見をお伺いいたします。 次に、介護人材の確保策として、介護福祉士の養成問題を質問いたします。 介護人材の不足も本県の重要課題です。本県では介護人材の確保策として、人材の定着促進、離職防止対策と新たな人材の参入促進策の2本柱とした取組を進めています。 しかし、県が令和元年度に実施した人材確保に係る介護事業所実態調査では、県内の63%の事業所が人員不足を感じていると回答し、また昨日の黒岩議員の質問への答弁で地域福祉部長から、現在策定中の第8期介護保険事業支援計画で、令和7年度には約1万5,750人の必要数に対して、約1万5,200人の確保にとどまると推計され、550人程度の介護人材が不足する見通しが示されました。さらには、この新たな需給推計による介護の人材不足への対策として、業務の効率化や魅力ある職場づくりによる定着促進、離職防止に取り組むこと、また介護職を目指す学生への支援や外国人介護人材の活用などにより、新たな人材の参入を進めるとの答弁があったところです。 しかしながら、県内の介護従事者の年齢構成を見ますと、若手職員が少なく、若い世代の介護職への参入が進んでいないことがうかがえます。このことから、介護人材の確保に関しては、本県は重点施策として推進しているものの、なかなか十分な成果を上げられない実態と、新たな強化ポイントを加えた政策強化の必要性が見えてまいります。 私はこの問題に関し、全国規模で、介護福祉の担い手として中核をなす介護福祉士の国家資格受験者が激減をしている事態に大変大きな危機感を持っています。本県も同様に、介護福祉士養成校への入学者は激減し、その存続すら危機的な状況になっています。 例えば、本県の介護福祉士養成校2校の入学者数は、平成25年度は定数120名に対し120名であったものが、平成27年度は定数120名に対し約80名と3分の2へと減少、平成30年度には定数90名に対し約50名、そして来年度の入学者見通しでは約30名程度になるのではないかとお聞きしております。定数を減らしても、なお充足率が50%を切る状況に至っています。 養成校に入学する学生は、将来介護現場で働きたいという高い志と決意を持って入校し、そして卒業する学生のほとんどが介護士として各介護現場へと就職し、定着をしています。養成校は地域の介護事業者にとって、介護を担う中核人材のなくてはならない確保の窓口であり、その撤退、閉鎖は本県の介護福祉政策の破綻にもつながりかねません。 そこで、知事はこの介護福祉士の養成に係る危機的状況をどう捉えているのか、お聞きをいたします。 介護福祉士養成校に関しては、平成27年、私の質問への御答弁で、介護サービスの質と量を確保する上で、介護福祉士養成校の重要性は今後高まってくるものと考えられるので、入学者の確保を含めた積極的な利活用などに向けて取組を強化する必要があると県の認識が示されています。現施策の柱となっている外国人介護人材の確保対策として、外国人留学生の受入れ環境の整備を進める施策も、養成校を活用する取組の一環とは思いますが、一方で地域に根っこを張った地元の人材を育てるという軸を見失ってはならないと思います。 改めて、今後本県が将来にわたり、高知版地域包括ケアを担う中核的介護人材を育て続けていくためには、介護福祉士養成校を積極的に活用した地元の介護人材の確保と育成を、本県の介護人材確保策の柱の一つに位置づけて、さらなる強化を図るべきではないかと考えます。地域福祉部長の御所見をお聞きします。 この点に関して具体策として提案したい施策が、専門学校と高等学校の一層の連携強化です。例えば、養成校からは、高校3年間を通じての介護職に関するキャリア教育のさらなる充実を求める声を耳にします。介護職に関しての小・中・高校生を対象にした一定のキャリア教育は、既に実施しているとは思いますが、なかなか進路に結びついていないのが現状です。 そこで、私は来年度の文部科学省の新規事業に注目しています。内容は、高校段階から専門学校への進学を見据えたカリキュラムで、将来の職業選択につなげるため、高等学校と専門学校の一貫教育プログラムを策定する実証事業です。これまでは学校見学や出前授業などにとどまっていた連携レベルを一歩進め、高等学校と専門学校、さらには行政と地元企業も加わり、カリキュラムと進路を含めた連携に深化させ、中長期的な視点で人材育成することが狙いとなっています。 専門スキルを要する全ての職種で有意義な取組になるものと期待していますが、特に介護人材の育成において、専門学校と高等学校の一層の連携についてどう考えるのか、地域福祉部長にお聞きをいたします。 最後に、建設業の働き方改革として、週休2日制モデル工事について質問します。 建設業は、本県にとっても県民の暮らしと命を守る安心・安全の県土づくりを担う重要産業です。特に、近年続発する自然災害への対応や、コロナ禍による経済低迷からの早期回復を後押しする基幹産業として、その重要性は高まっています。 一方で、従業者数の減少や品質の確保、コンプライアンスの確立など様々な課題が顕在化したことから、県は建設業界と連携の下、建設業の持続的発展に向けた建設業活性化プランを策定し、その対応を進めているものと承知しています。現在進められている建設業活性化プランの見直しの中で特に重点が置かれているのが、働き方改革と生産性向上などの取組ですが、働き方改革の一環として、令和6年4月から施行される労働時間の上限規制を見据えた週休2日制モデル工事を実施しています。 この取組は、建設業をより魅力のある産業としていくための時代の要請への対応として不可欠な取組ですが、一方で年間工事日数の減少と工期の伸長、それによる受注機会や企業収益の減少、技術者配置の問題などを心配する声も耳にします。 当工事の発注では、適正な工期設定や予定価格の設定において、積算経費の補正により請負代金を増額するなどの配慮がなされており、現に週休2日制を導入している企業は徐々に増加していることと思いますが、さらなる拡大と定着には、企業としては週休2日制を実施しながらも、安定した受注と収益を上げることができる環境が必要です。 そこで、県では週休2日制モデル工事の発注に当たって、関係団体との意見交換会などでどのような要請や課題が出されたのか、またその要請や課題に対してどのように取り組んでいくのか、土木部長にお聞きいたします。 また、公共工事では下請による施工も多いことを踏まえますと、建設業の働き方改革への支援も下請を含めた視野からの取組が必要だと思いますが、モデル工事発注に当たりどのような配慮がなされているのか、土木部長にお聞きいたします。 以上で第1問といたします。 (知事濱田省司君登壇)
◎知事(濱田省司君) 土居議員の御質問にお答えをいたします。 まず、カーボンニュートラルのロードマップをどのようにつくるのかについてお尋ねがございました。 脱炭素化に向けました具体的な取組や官民の役割分担、スケジュールなどを示しましたいわゆるロードマップに当たるものといたしまして、県としてのアクションプランを来年度策定することとしております。 策定に当たりましては、まずは来年度早々に庁内プロジェクトチームを新たに設置しまして、検討作業を開始いたします。この脱炭素化に向けた取組を県民運動としていくためには、取り組む意義や必要性をしっかりと伝え、共感をしていただき、共に歩んでいただくことが必要となります。そのため、様々な分野の代表者で構成する外部有識者から成ります協議会も立ち上げまして、御議論いただきたいというふうに考えております。 並行いたしまして、事業者や関係団体などへのヒアリング、県民の皆さんからの意見公募などを行いまして、より実効性の高いアクションプランの策定につなげてまいります。そうした取組の中で、共に脱炭素化に向けまして歩みをそろえていただけますように、コンセンサスを得てまいります。 現在、国におきましては、2050年のカーボンニュートラル実現に向けました目標や具体的な工程などを示すために、地球温暖化対策計画の見直しを行っています。こうした国の計画の見直しの内容などにつきましても、必要に応じて県のアクションプランに取り入れまして、来年度末までにはこのアクションプランを策定してまいりたいと考えております。 次に、日本みどりのプロジェクトにおきましてどのような提案をし、どのような成果を上げようとしているのか、お尋ねがございました。 御指摘がございました日本みどりのプロジェクト推進協議会におきましては、参画をいたします自治体や企業からの提案によりますプロジェクトを中心に取り組んでいくということを想定しております。 こうした中では、まず2025大阪・関西万博「日本の自然のショーケース」実現プロジェクトといたしまして、万博において日本の各地域の自然などをアピールすることといたしております。本県といたしましては、関西経済連携の主要な取組の一つといたしまして、万博パビリオンの建築資材として県産材の使用など県産品の活用を提案しているところであります。 また、プロジェクトの一つとしてグリーンリカバリープロジェクト、直訳いたしますと緑の回復プロジェクトということになると思いますが、こうしたことが掲げられております。この点につきましては、日本一の森林率を誇ります高知県といたしましては森林の持つ二酸化炭素吸収の機能を率先してPRしてまいります。あわせまして、建築物の木造化あるいは木質化を進めますことで、炭素を木材に固定し、脱炭素社会の実現に貢献するということを発信してまいります。こうした取組によりまして、国内の木材需要を喚起し、林業関連産業の振興にもつなげてまいりたいと考えております。 さらに、ゴーグリーンプロジェクトといたしまして、自然に触れ、学ぶ、新しいライフスタイルに即した観光の推進に取り組むということが掲げられております。本県といたしましては、積極的に県内各地の豊かな自然をアピールし、高知を訪れる観光客の誘致を図りまして、観光振興につなげてまいりたいと考えております。 こうした協議会での取組を通じまして、県経済の好循環を創出しながら脱炭素社会と地方創生、これを実現してまいりたいと考えております。 次に、SDGsの推進についてお尋ねがございました。 SDGsが目指します誰一人取り残さない社会を実現するためには、国、地方自治体、企業、団体といった様々な担い手が共に連携をし、取組を進めていくことが必要不可欠であります。 本県におきましては、議員のお話にありました産業振興計画、総合戦略のほかにも日本一の健康長寿県づくり、南海トラフ地震対策、教育振興など多くの施策について、県民の皆様や市町村と連携をしながら取り組んでおります。 例えば、健康福祉の分野におきましては、高知版地域包括ケアシステムあるいは子ども食堂などの取組が、こうした県民の皆さんあるいは市町村との連携の例として挙げられますし、環境分野におきましては、例えば森づくりや清流保全なども進めているところであります。さらには、新型コロナ対策としての医療提供体制の拡充を図りますほか、アフターコロナを見据えたデジタル化の推進などにも取り組んでおります。これらは、いずれもSDGsの目標の達成に資するものであるというふうに考えております。 一方で、県内におきますSDGsの認知度は、まだまだ低いのが現状だというふうに考えております。このため、県の施策とSDGsの中の17のゴールがありますが、これらを関連づけました情報発信を行いまして、認知度の向上を図りますとともに、SDGsの目標を意識して施策を磨き上げまして、県民の皆様あるいは市町村と連携をした取組を一層推進したいと考えております。 こうした観点から、来年度はカーボンニュートラルの実現に向けました施策としまして、1つには食品ロスの削減、またもう一つには省エネルギーに向けた周知・啓発などに取り組むことにいたしております。こうした施策を進める上では、特に県民の皆様あるいは市町村の皆様の御協力が不可欠であるというふうに考えておりまして、こういった分野を中心に関係者とも密に連携をいたしまして、着実に成果を上げられるように取組を進めてまいります。 次に、新型コロナウイルス感染症防止対策の見える化といたしまして、宿泊業界が検討されていますマニュアルの作成に対して、県としても寄り添う必要があるのではないかというお尋ねがございました。 県におきましては、これまでも旅館ホテル生活衛生同業組合が業界のガイドラインを作成する際には、監修の作業を行いますとともに、そのガイドラインの研修会で助言を行うといった形での支援を行ってまいりました。 議員から御紹介がありました検討中のマニュアルにつきましては、安全・安心な会食や宴会を促進するというために、例えば開始後しばらくは食事に専念するといった利用者側の心得、また例えば飛沫防止のためのうちわを配布する、透明なうちわなんかが配られている場合がありますが、こういった利用者側、受入れ側双方の心得、感染防止対策を簡潔にまとめたものとして提案をされているというふうに伺っております。 県といたしましても、今後その内容を検討させていただきまして、組合側と調整をさせていただいた上で、例えば県のほうも名前を連ねて連名の形で、一緒にこうした新しいガイドラインを公表するといったようなことなどによりまして、しっかりと寄り添って支援をいたしたいというふうに考えております。 次に、れんけいこうち広域都市圏への評価、そして今後の展開への期待についてのお尋ねがございました。 れんけいこうち広域都市圏におきましては、これまで、日曜市への連携市町村の輪番での出店によります特産品の販売あるいはインバウンド向けの観光案内所での情報発信などによりまして、圏域全体の活性化に取り組んでまいったところであります。しかしながら、今年度は新型コロナウイルス感染症の影響もありまして、大型客船の寄港あるいは県外の見本市など、一部の事業では中止や計画変更を余儀なくされた事業もあるところであります。 その中でも、各市町村が知恵を出し合いまして、また連携を深めまして、例えばコロナ禍の影響を受けた事業者の販売拡大に向けました高知市のホームページへの商品掲載や販売イベントの開催、またウイズコロナ、アフターコロナの視点を踏まえました移住相談会のオンラインでの開催、さらには連携市町村側からの提案によります、主に県内の住民をターゲットといたしました体験型地域イベントの実施といった形で、その時々の課題やニーズにも対応しながら取組を進められているものと承知をしております。また、今年度は5か年計画の中間年でもありまして、取組の効果を見極めた上で、一部の事業のKPIの見直しも行われているところでございます。 この中で、今後最も期待をしている事業についてお尋ねがございました。私といたしましては、先般大変インパクトのある動画が注目をされました、2段階移住の取組を挙げたいというふうに考えております。コロナ禍を契機といたしました人々の意識の変化あるいはリモートワークの広がりによります地方への新しい人の流れを絶好のチャンスと捉えまして、この2段階移住の取組にぜひ積極的に取り組んでいただければというふうに考えております。 今後も高知市を中心といたしました、れんけいこうちの取組が、コロナ禍への対応も含めまして、より効果的なものとなりますように、県といたしましてもしっかりと支援をしてまいります。 次に、安心して不妊治療が受けられます社会全体の環境づくりの取組についてお尋ねがございました。 女性の不妊治療は、治療の内容や体調に合わせた通院が必要となります。例えば、人工授精などの一般的な不妊治療の場合におきましても、月に4日から7日程度の通院が必要だというふうに伺っておりますし、特に体外受精ですとか顕微授精といった形の治療を行うという場合になりますと、さらにはるかに重い通院の負担を余儀なくされるというふうにお聞きをしているところであります。 また、こうした治療は、体調に応じまして通院が求められるということもありまして、前もって治療の予定を決めるということも相当困難だというふうに伺っております。さらに、治療は身体的、精神的な負担を伴いまして、ホルモン刺激療法などの影響で体調不良が生じることもあるというような状況であります。 このように、不妊治療は女性にとりまして大変負担になるものであり、特に仕事をお持ちの女性にとりましては、プライバシー保護への配慮に加えまして、活用できる休暇制度といった職場内での理解と環境の整備が必要となってまいります。この点は御指摘のとおりだと考えております。 このため、国におきましては令和3年度からの新規事業といたしまして、国の当初予算案に不妊治療を受けやすい職場環境づくりに取り組みます中小企業主に対する助成制度を盛り込んでいるところであります。 県といたしましてはホームページなどを通じて、広く県民の皆様に対しまして不妊治療の実態、不妊治療を受けられる方の大変さを分かりやすく情報提供してまいります。あわせまして、働き方改革トップセミナーなどの企業経営者等が集う機会を捉えまして、ただいま申し上げました助成制度のリーフレットの配布あるいは直接その大変さをお伝えするといったようなことで、治療と仕事の両立を進める上で欠かせない、企業経営者の方々の理解も深めてまいりたいというふうに考えております。 こうした取組によりまして、不妊治療を安心して受けられる環境づくりに努めてまいりたいと考えております。 最後に、介護福祉士の養成に関しまして、現在の状況の受け止めについてお尋ねがございました。 お話のありました介護福祉士は、専門的な知識と技術を身につけました介護現場の中核的な担い手といたしまして、重要な人材であります。しかしながら、これからの本県の介護を担っていただく若い世代の介護福祉士は少ない状況でありまして、こうした人材の養成が極めて重要と考えております。 こうした中で、本県の介護福祉士養成校の入学者数は、御指摘もありましたように全国と同様に減少し、定員割れの状態が続いております。その背景といたしましては、高校生の大学への進学者が増加する一方で、専修学校への進学者が減少しているという大きな状況があるということではないかというふうに考えられます。今後も介護の需要は増加する見込みでありまして、介護福祉士養成校の入学者の減少は、安定して介護サービスを提供していく上での大きな課題であるというふうに受け止めております。 こうした状況を踏まえまして、若い世代の介護人材の確保に向けた協議の場を設け、介護福祉士の養成校や介護施設、高等学校など関係機関の方々に御参加をいただきまして、検討を進めてまいりたいというふうに考えているところであります。 私からは以上でございます。 (林業振興・環境部長川村竜哉君登壇)
◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) まず、住宅用太陽光発電の普及促進についてお尋ねがございました。 住宅用太陽光発電は、地域分散型電力システムを構築していく上で貴重な地域の再生可能エネルギー電源となります。新規の導入に加え、FIT制度の買取り期間が終了したものについても、引き続き貴重な再生可能エネルギー電源として維持していただくことが重要であると考えております。 次期新エネルギービジョンにおきましては、地域での再生可能エネルギーの活用を進めるため、自治体が関与する地域新電力の育成を支援することとしております。FIT制度の買取り期間が終了した電源につきましては、地域新電力の育成を通じて地域で活用する仕組みをつくり、地域のメリットを創出することで、その維持につなげてまいりたいと考えております。また、新規導入分につきましては、御家庭の脱炭素化や災害への備えといったメリットを分かりやすくまとめ、普及啓発を行ってまいりたいと考えております。 カーボンニュートラルの実現に向け、こうした取組を通じて住宅用太陽光発電の普及を促進してまいります。 次に、食品ロス削減運動の推進体制や県民運動の展開についてお尋ねがございました。 食品ロスの削減は、家庭でも取り組みやすい身近なテーマでありますことから、脱炭素社会の実現に向けた県民運動の第一歩として取組を進めることとしております。来年度は、賞味期限が近い商品の率先購入など、県民の皆様の消費行動の変容を促すよう、高知県地球温暖化防止県民会議の枠組みを通じて取り組んでまいります。 取組につきましては一年を通じて行いますが、10月が国の定める食品ロス削減月間となっておりますことから、そこに照準を合わせてキャンペーンを展開してまいります。特に、量販店の御協力をいただきながら、市町村とも連携して啓発活動に取り組んでまいります。 また、来年度からは食品ロス削減推進計画の策定に向けた作業が始まりますことから、計画策定の議論を通して取組のさらなるバージョンアップを図ってまいります。 最後に、環境に配慮した製品の優先購入、使用についてお尋ねがございました。 カーボンニュートラルの実現に向けては、事業者としての県庁自身も脱炭素化を目指していく必要がございます。県におきましては、
地球温暖化対策実行計画の事務事業編を策定いたしまして、CO2の削減に向けた取組を進めており、あわせて国のグリーン購入制度と同様に、環境に配慮した製品の購入も推進しているところでございます。 御指摘のありました新たに創設される予定の認証制度により認証されました製品は、国のグリーン購入制度の対象品目に加えられるとお聞きしております。県といたしましても国の動きに合わせ、こうした環境に配慮した製品の積極的な購入、使用を進めてまいりたいと考えております。 (教育長伊藤博明君登壇)
◎教育長(伊藤博明君) 2050年カーボンニュートラルの実現を見据えた環境教育の取組についてお尋ねがございました。 温室効果ガスやプラスチックごみなどの環境問題は地球規模での課題となっており、本県の学校教育においても、2050年のカーボンニュートラルの実現をはじめとする環境問題を児童生徒が主体的に考え、解決を図っていこうとする態度を育むことが重要であると考えております。 そのため、国においては本年度から小学校で、次年度から中学校で全面実施となる学習指導要領において、様々な教科で環境教育に取り組むことが明示されております。例えば、小学校の理科では、人の暮らしが環境に及ぼす影響を考えていく中で地球温暖化に触れ、環境を守りながら暮らすための工夫について学ぶようになっております。また、家庭科では、プラスチックごみなどの環境問題を考えるに当たって、実際にマイバッグや水筒を持ち、それらの効果や意義を学びます。中学校の社会科では、地球規模の環境変化による問題の解決に向けたパリ協定などの国際的な取決めについて学び、自分たちができることを考える活動を通して、カーボンニュートラルについて理解することとなっております。 県教育委員会では、こうした環境教育が適切に、また効果的に行われるよう、教育課程の編成や授業の在り方について、学校訪問などを通じて指導・助言を行っております。また、学校やこどもエコクラブなどの団体が行っている河川の清掃やリサイクル活動、食品ロスの取組など、環境を守る活動の好事例を収集し、情報発信するとともに、優秀な実践につきましては、その功績をたたえる事業も実施をしております。 今後は、市町村教育長会や校長会等の開催の機会を捉え、学習指導要領の趣旨の徹底と本県のカーボンニュートラルに向けた取組についての説明を行い、環境教育の重要性をしっかりと伝えてまいります。あわせて、4月から稼働します県の学習支援プラットフォームを活用し、各学校等の優れた授業や実践事例を積極的に提供するなど、カーボンニュートラルの実現を見据えた環境教育の充実に取り組んでまいります。 (観光振興部長吉村大君登壇)
◎観光振興部長(吉村大君) まず、アドベンチャートラベル・ワールドサミットに向けた取組の現状についてお尋ねがございました。 このワールドサミットは、アドベンチャーツーリズムの世界組織が開催する最大の大会で、今年は9月に北海道で開催されます。この大会は、世界中から旅行会社やメディアなど約800の関係事業者が参加し、アドベンチャーツーリズムの体験ツアーや、旅行商品の商談会が開催されます。 まず、体験ツアーにつきましては、大会の実行委員会が、全国の広域連携DMOなどを通じて旅行会社にツアーコースの募集を行い、5コース程度が選定される予定です。 本県の関わりとしましては、これに応募しようとする旅行会社から、高知の情報をぜひ紹介してほしいとの依頼がありましたので、広域観光組織や観光コンベンション協会などと連携して、有望な観光素材の提案などを行いました。この旅行会社は、これらの情報を基に造成した2つのコースの応募を行い、現在選定結果を待たれているところでございます。造成された2つのコースのうち、1つは、しまなみ海道からUFOラインを経由し、仁淀川流域でSUPや土佐和紙作りなどを体験するコースです。もう一つは、四万十川の源流から四国カルストを経由して河口までたどり、カヌーや川漁師などを体験するコースとなっています。 また、商談会に関しましては、インパクトのある商品を求める海外の旅行会社に注目されるよう、旅行会社が造成したこの2つのコースのほか、県や広域観光組織などとの連携により磨き上げた「森林鉄道とゆず・日本遺産の里」を巡るコースも売り込むこととされています。 このワールドサミットは、本県の旅行商品を海外の旅行会社に披露する絶好のチャンスです。このため、県といたしましても商談会に参画し、海外に向けて本県観光の魅力を大いにPRしてまいりたいと考えています。 次に、デジタルプロモーション事業を踏まえたインバウンド再開に備えた誘致の取組についてお尋ねがございました。 本県では、観光地としての海外での認知度を高めるため、今年度からデジタルプロモーション事業を中心に、誘致の取組を展開しています。その手順としては、まず重点市場の訪日関心層の方々などに本県の自然、アクティビティー、食文化等をテーマにした5種類の動画をインターネット上で配信しました。その結果、動画の再生回数は目標の1,300万回に対して4,700万回に達しております。次に、動画の視聴者の年代等を分析し、視聴率の高かった年代層などに向けてウェブ広告を配信して、本県の詳細な観光情報を掲載している情報サイトに誘導しました。その結果、サイトの閲覧数は、目標の24万ページビューに対して190万近くに達しております。 現在、情報サイトを閲覧した方々が、どういった観光情報に関心を示しているかなどについて、市場別の分析を行っております。この結果を踏まえまして、各市場の有力な旅行雑誌やウェブサイト等による、現地で人気の高い観光情報の発信を通じて、本県への来訪意識を高めてまいりたいと考えております。 来年度においても、この手順で一連のプロモーションを展開したいと考えておりまして、その際には新たな動画や配信する市場も追加してまいりたいと考えております。 また、これらのプロモーションと並行して、重点市場の旅行会社などに対しましても、1つには、これまでの関係を切らさないために、もう一つには、再開時に合わせて旅行商品を販売していただくために、新しい観光情報の提供やコースづくりの提案といったセールス活動を、オンラインなどにより行っております。 コロナ禍においてもこうした誘致の取組を進めますことで、インバウンドの再開にしっかりと備えてまいりたいと考えております。 (中山間振興・交通部長尾下一次君登壇)
◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) まず、地域プロジェクトマネージャー制度の活用に関する県の取組についてお尋ねがございました。 国では、地域の活性化やデジタル化など、市町村が実施する重要なプロジェクトを担う人材を、都市部から地方に呼び込むことを目的として、地域プロジェクトマネージャー制度を創設いたしました。このマネジャーには、地域おこし協力隊のOB、OGの方や地域と関係の深い専門家などが想定されており、マネジャーを導入した場合には、1市町村当たり1人を、また650万円を上限として特別交付税措置が講じられます。人口減少などにより様々な課題を抱える本県の中山間地域にとっても、こうした専門的な知識やノウハウを持つ人材を確保することで、課題解決や地域の活性化の糸口となることが期待されるところです。 現在、国ではこの制度の具体的な内容について検討されており、来月にはその概要が明らかにされるとお聞きしております。今後、国との連携を図りながら、市町村担当者会や地域おこし協力隊の研修などの場を通じて、まずは制度の内容や目的を周知していきたいと考えております。県としましても人材のマッチングヘの支援など、この制度が活用されるよう、しっかりと後押ししてまいります。 次に、地域おこし協力隊の定住率向上に向けた就労面の支援の強化についてお尋ねがございました。 現在、県内で活躍されている地域おこし協力隊は189名で、人口減少と高齢化が進む中山間地域の実情を考えると、20代と30代が約8割を占める隊員の定住率をさらに高めていくことが重要です。このため、まずは市町村の募集段階から、任期終了後の定住を見据えたミッションや業務を設定することが必要だと考えております。 また、議員からお話がございましたように、隊員が定住に向けて生計を立てるための選択肢として、地域の事業者から事業を引き継ぐ継業も有効な手段となります。来年度、市町村と連携しまして、継業を希望する隊員の掘り起こしにも積極的に取り組み、事業承継・引継ぎ支援センターに情報をつないでいくことで、定住を支援してまいります。 さらに、今年度実施しました隊員を対象にしたアンケート調査では、任期終了後に起業を考えている方が多数おられました。このため、来年度拡充する起業の総合支援プログラム、こうちスタートアップパークでの地域資源を活用した起業セミナーや交流会への積極的な参加を呼びかけてまいります。 今後とも移住施策と連動させながら、地域おこし協力隊の確保に努めるとともに、隊員や市町村の担当者を対象とした研修会などを通じまして、県の支援策などの情報提供を行ってまいります。あわせて、隊員の任期終了後の赴任地での就労や起業、事業承継を支援することで定住率の向上につなげてまいります。 (地域福祉部長福留利也君登壇)
◎地域福祉部長(福留利也君) 介護福祉士養成校を積極的に活用した地元の介護人材の確保・育成と、専門学校と高等学校の一層の連携についてお尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えいたします。 介護福祉士養成校の卒業者は、介護に関する専門的な知識や技術を身につけており、介護現場の即戦力としてほとんどの方が県内で就職しています。そうしたことから、若い介護福祉士を育成・確保していく上で、養成校の役割は大変大きいと考えています。 そのため、先ほど知事からお答えしましたように、早急に県内の養成校や高等学校、介護施設関係者などで構成する協議の場を設置したいと考えています。この協議の場において、まずは養成校の実情をお聞きするとともに、若い世代の方に就職先として介護分野を選んでいただけるよう、その方策を検討してまいりたいと考えております。その際には、養成校と高等学校の連携の在り方についても御意見をお伺いしてまいります。 なお、議員から御紹介のありました国の新規事業につきましても、高等学校と専門学校が連携して一貫した教育プログラムを構築するという魅力ある取組と思われますので、こうした場で御意見もお聞きしながら、活用の可能性などを検討していきたいと考えております。 (土木部長村田重雄君登壇)
◎土木部長(村田重雄君) まず、週休2日制モデル工事への要請や課題に対してどのように取り組んでいくのかとのお尋ねがございました。 県内の防災力を確保し、維持していくためには、その担い手である建設業への新規入職者の確保が必要です。このためには就労環境の改善が不可欠であり、県では平成29年10月に週休2日制モデル工事を導入いたしました。この制度では、週休2日を達成するため、標準工事日数を2割程度延長した工期を設定することや、そのために必要な経費を割増しすることとしております。 モデル工事の実施に当たっては、実施事業者からのアンケートや建設業界との意見交換において、制度の改善に向けた様々な御意見をお聞きしてまいりました。例えば週休日を固定する制度であるため、天候などの事情により週の作業日数が大きく減る場合があるなどの御意見がありました。県では、いただいた御意見も踏まえまして、事前に届出をすることで、休日の振替を可能とする改善を行っております。また、必要となる経費の割増し率について国の改定を速やかに反映するなど、よりよい制度となるよう改善を進めているところです。 今後とも、業界などから御意見をお聞きするとともに、国や他県の動向も注視しながら、より一層週休2日の取組が浸透するよう取り組んでまいります。 次に、週休2日制モデル工事の発注に当たり、下請による施工も踏まえ、どのような配慮がなされているのかとのお尋ねがございました。 公共工事の発注においては、下請契約する場合に必要となる経費も考慮し工事価格を算定しております。週休2日制モデル工事においては、この工事価格に週休2日を達成するために必要な経費を割増しして価格を算定しております。 一方、公共工事の品質確保の促進に関する法律、いわゆる品確法では、受注者等の責務として、下請の労働者の賃金、労働条件等が適正に整備されるよう、市場における労務価格、保険料等を的確に反映した適正な請負代金及び工期等により下請契約を締結することが義務づけられています。 県といたしましては、元請業者と下請業者の間において適正な契約に基づき公共工事が実施されるよう、品確法の趣旨について業界団体を通じて周知してまいります。
◆8番(土居央君) 御答弁ありがとうございました。2問を行います。 カーボンニュートラルにつきましては、るる質問させていただきまして御答弁いただきました。ハードルが大変高いんだろうと思います。現在、高知県が削減しなければならない排出量というのは703万二酸化炭素トンということでございます。これを削減するということは、各部門の排出量をそれぞれ減らす、そして森林吸収源対策、森林によって吸収する以外に基本的にはないわけでございまして、森林吸収源といいましても、これも限界があるということであれば、やはり現在の各産業、家庭、こういったところの二酸化炭素排出量をしっかりと計画的に減らさなければならない。30年間あるといいましても、なかなか大変な作業になろうかと思います。壮大な計画になろうかと思いますので、アクションプランというものが一つのロードマップだということですので、しっかりPDCAを回しながら、また定期定期でアクションプランを変えながらということになろうかと思いますが、30年を見据えた責任ある対応をお願いしたいと思います。 あと少子化対策におきまして国の制度、不妊治療に係る助成制度、それに対するいろんな支援制度を周知など、後方支援を県としてもやっていくということだと思いますけれども、これも助成制度、大変有意義な政策だと思います。ただ、これを有効に活用するには、それなりの環境整備がやっぱり必要だということで、職場として使いやすい制度にしなければならないと思います。 私は、これ不妊治療に対する支援制度のある企業を増やすということがやっぱり大事だと思っておりますが、知事はこれを後方支援していくに当たって、どういうところでこの後方支援の政策の成果を何をもって判断されると、するべきと考えておられるのか、そこを1点お聞きしたいと思います。
◎知事(濱田省司君) 土居議員の再質問にお答えいたします。 少子化対策に関連しまして、国の助成制度の成果をどう図るかという点についてでございます。 これは、国の助成制度も今のところまだ詳細が示されていないということでありますから、その詳細を判明するのを待ちまして、改めて精査をしたいというところはございますけれども、いわゆる事業自身のアウトプットの指標といたしましては、この助成がどれだけの企業に、またどれだけの人を対象に行われたかというのが、まず基礎的なデータになっていくということだと思っております。 その上で、最終的に本県の少子化対策にどう貢献できたかといったところについて、さらなるアウトカム指標といいますか、そういったものをどういったものを設定していくかというのが、さらなる検討課題ではないかというふうに考えております。 いずれにいたしましても、議員も御指摘ありましたように、これが周知をされて中小企業に使っていただくということが大事だと思っておりますので、その点をまずは督励してまいりたいと考えております。
◆8番(土居央君) ありがとうございました。その実効性ある取組のためには、やっぱり実態調査というのが必要ではないかと思いますので、これは要請としてさせていただきたいと思います。あと介護福祉士の協議会の話は、本当にありがとうございます。期待をしております。 最後に、今期をもちまして退職されます県庁職員の皆様、長い間本当にありがとうございました。心から感謝を申し上げまして、私の全質問といたします。(拍手)
○議長(三石文隆君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明5日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。 午後3時49分散会...