高知県議会 > 2020-10-07 >
10月07日-06号

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  1. 高知県議会 2020-10-07
    10月07日-06号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 2年  9月 定例会(第355回)        令和2年10月7日(水曜日) 開議第6日-----------------------------------出席議員       1番  上治堂司君       2番  土森正一君       3番  上田貢太郎君       4番  今城誠司君       5番  金岡佳時君       6番  下村勝幸君       7番  田中 徹君       8番  土居 央君       9番  野町雅樹君       10番  浜田豪太君       11番  横山文人君       12番  西内隆純君       13番  加藤 漠君       14番  西内 健君       15番  弘田兼一君       16番  明神健夫君       17番  依光晃一郎君       18番  梶原大介君       19番  桑名龍吾君       20番  森田英二君       21番  三石文隆君       22番  山崎正恭君       23番  西森雅和君       24番  黒岩正好君       25番  大石 宗君       26番  武石利彦君       27番  田所裕介君       28番  石井 孝君       29番  大野辰哉君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       なし-----------------------------------説明のため出席した者  知事         濱田省司君  副知事        岩城孝章君  総務部長       君塚明宏君  危機管理部長     堀田幸雄君  健康政策部長     鎌倉昭浩君  地域福祉部長     福留利也君  文化生活スポーツ部長 岡村昭一君  産業振興推進部長   井上浩之君  中山間振興・交通部長 尾下一次君  商工労働部長     沖本健二君  観光振興部長     吉村 大君  農業振興部長     西岡幸生君  林業振興・環境部長  川村竜哉君  水産振興部長     田中宏治君  土木部長       村田重雄君  会計管理者      井上達男君  公営企業局長     橋口欣二君  教育長        伊藤博明君  人事委員長      秋元厚志君  人事委員会事務局長  原  哲君  公安委員長      小田切泰禎君  警察本部長      熊坂 隆君  代表監査委員     植田 茂君  監査委員事務局長   中村知佐君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       行宗昭一君  事務局次長      織田勝博君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     川村和敏君  議事課長補佐     馬殿昌彦君  主幹         春井真美君  主査         久保淳一君-----------------------------------議事日程(第6号)   令和2年10月7日午前10時開議第1 第1号 令和2年度高知県一般会計補正予算 第2号 令和2年度高知県流域下水道事業会計補正予算 第3号 令和2年度高知県病院事業会計補正予算 第4号 知事等の損害賠償責任の一部免責に関する条例の一部を改正する条例議案 第5号 漁業法等の一部を改正する等の法律の施行による漁業法の一部改正に伴う関係条例の整理に関する条例議案 第6号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第7号 ふぐ取扱い条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例議案 第8号 高知県立高等技術学校が実施する普通職業訓練の基準等を定める条例の一部を改正する条例議案 第9号 高知県手数料徴収条例及び高知県住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例議案 第10号 高知県漁港管理条例の一部を改正する条例議案 第11号 県有財産(教学機器)の取得に関する議案 第12号 損害賠償の額の決定に関する議案 第13号 令和元年度高知県電気事業会計未処分利益剰余金の処分に関する議案 第14号 令和元年度高知県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分に関する議案 報第1号 令和元年度高知県一般会計歳入歳出決算 報第2号 令和元年度高知県収入証紙等管理特別会計歳入歳出決算 報第3号 令和元年度高知県給与等集中管理特別会計歳入歳出決算 報第4号 令和元年度高知県旅費集中管理特別会計歳入歳出決算 報第5号 令和元年度高知県用品等調達特別会計歳入歳出決算 報第6号 令和元年度高知県会計事務集中管理特別会計歳入歳出決算 報第7号 令和元年度高知県県債管理特別会計歳入歳出決算 報第8号 令和元年度高知県土地取得事業特別会計歳入歳出決算 報第9号 令和元年度高知県国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算 報第10号 令和元年度高知県災害救助基金特別会計歳入歳出決算 報第11号 令和元年度高知県母子父子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算 報第12号 令和元年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第13号 令和元年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計歳入歳出決算 報第14号 令和元年度高知県農業改良資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第15号 令和元年度高知県県営林事業特別会計歳入歳出決算 報第16号 令和元年度高知県林業・木材産業改善資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第17号 令和元年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第18号 令和元年度高知県流域下水道事業特別会計歳入歳出決算 報第19号 令和元年度高知県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算 報第20号 令和元年度高知県高等学校等奨学金特別会計歳入歳出決算 報第21号 令和元年度高知県電気事業会計決算 報第22号 令和元年度高知県工業用水道事業会計決算 報第23号 令和元年度高知県病院事業会計決算 報第24号 県有財産(個人防護具)の取得の専決処分報告第2 一般質問(一問一答形式による)第3 決算特別委員会設置の件-----------------------------------   午前10時開議 ○議長(三石文隆君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○議長(三石文隆君) 御報告いたします。 知事から今定例会開会日に配付いたしました令和元年度高知県歳入歳出決算審査意見書基金運用審査意見書について訂正の申出があり、その正誤表をお手元にお配りいたしてありますので御了承願います。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(三石文隆君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「令和2年度高知県一般会計補正予算」から第14号「令和元年度高知県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分に関する議案」まで及び報第1号「令和元年度高知県一般会計歳入歳出決算」から報第24号「県有財産(個人防護具)の取得の専決処分報告」まで、以上38件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問を併せて行います。 質疑並びに一般質問は一問一答形式によることとします。 土居央君の持ち時間は50分です。 8番土居央君。 ◆8番(土居央君) 皆様おはようございます。自由民主党の土居央でございます。執行部の皆様におかれましては連日の質疑に対する御答弁ありがとうございます。今日が質問戦最終日ということでございます。今日一日よろしくお願いいたします。 それでは、質問に入ります。 まず、ウイズコロナ、アフターコロナの観光戦略につきまして、最初に「Go To Travel キャンペーン」と高知観光リカバリーキャンペーンについて質問をさせていただきます。 国は、Go To Travel、Go To Eat、Go To Event、Go To 商店街から成るGo To キャンペーン事業として、第1次補正予算において1兆6,794億円を充て、新型コロナウイルスにより深刻な打撃を受けた観光産業への支援に取り組んでいます。本県も、これら施策に合わせて、高知県観光リカバリー戦略を展開するとともに、県内各市町村も、宿泊料金助成やクーポン券の配布など、地域ニーズに合わせた独自事業により、観光需要の早期回復を図る取組を全力で進めています。 7月22日、他の事業に先行して開始された「Go To Travel キャンペーン」につきましては、観光庁によりますと、事業開始以降9月15日までの間で、少なくとも延べ1,689万人泊の利用実績があったと昨日発表があり、全国的に大きな経済効果があったことが明らかになっています。これにより、まさに存亡の危機にまで追い詰められていた全国のホテル・宿泊業など観光産業を救う一矢となったことは疑う余地もありませんが、一方で感染拡大防止対策との両立や経済波及効果の地域間格差などについて、様々な評価がされているところです。 そこで、まず「Go To Travel キャンペーン」の評価について知事にお聞きいたします。 ◎知事(濱田省司君) お話がございました国の「Go To Travel キャンペーン」でございますけれども、これは感染症の拡大で失われた地域の観光需要の回復を国を挙げて後押ししようとするものでございます。御指摘ありましたように、1兆円を大きく上回る予算規模ということでございまして、国のこれまでのこの種のキャンペーンあるいは各県レベルでやっているキャンペーンなどと比べましても、確かに桁違いの規模ということだと考えます。地域経済に与えるインパクトも非常に大きいものと評価をしています。 また、この国のキャンペーンは、7月の4連休に合わせてスタートいたしました。大都市部で感染が拡大傾向にあったということもありまして、御指摘ありましたように地域間の格差などについて議論がございましたけれども、例えば本県の場合などは比較的感染状況が落ち着いておりまして、これに先行して県内から中四国、全国へと県独自のキャンペーンの対象を拡大しておったというような状況がございました。そういう、感染状況が比較的落ち着いている地域の観光振興という意味では、この7月の4連休に合わせた開始というのは効果的なタイミングであったというふうに言えるのではないかと考えます。 本県におきましても国に連動する形で県独自のリカバリーキャンペーンを組んでおりまして、交通費の助成などをしているということもございまして、主要観光施設あるいは宿泊施設の利用状況も一時期に比べますと上向いてきているというふうに考えております。 今月からはこの「Go To Travel キャンペーン」の対象に東京も加わるということになりましたし、また地域共通クーポンの発行も始まったところでございます。これらによりまして、観光を目的とする人の流れが加速をするとともに、観光消費の拡大によりまして経済回復につながっていくということを大いに期待いたしているところでございます。 ◆8番(土居央君) ありがとうございます。私も知事と同様に、この「Go To Travel キャンペーン」に大いに期待を寄せる一人です。前提といたしましては、当然感染防止対策の徹底を期すということは言わずもがなのこととして、それを前提として以降質問させていただきます。 御承知のとおり、「Go To Travel キャンペーン」については、国内旅行を対象として、旅行代金の50%相当額を支援する制度でありますが、そのうちの35%分の宿泊割引事業を7月22日に先行して実施し、先ほど御答弁にございましたように、10月1日から残りの15%分を地域共通クーポンとして発行する事業が始まりました。加えて、同じく10月1日から東京が対象に追加され、今後Go To Eatなど他の事業も順次実施されてまいります。本県としては、こうした国の事業を地域経済回復の糸口として、最大の効果を引き出す環境をどう創出するのか、大変重要な課題でありますが、翻れば本県にとってのチャンスと捉えることも可能です。 県におきましては、早期に観光需要の回復が図れるよう、いち早くGo To Travel事業に連動して高知観光リカバリーキャンペーンを展開されました。この事業は、最大で5,000円の交通費助成をするものですが、現時点で2万人を超える方々が利用されていると伺っています。このことは、交通費を助成するという本県独自の着眼点が、宿泊割引と観光消費拡大を目指す国のGo To Travel事業の狙いと、うまくシンクロした相乗効果であると評価をしています。Go To Travel事業は来年1月まで継続される方針が示されており、これにしっかり連動できるよう、今議会にはリカバリーキャンペーンの追加補正予算を提案されたわけですので、このアドバンテージを生かして、大きな効果を発揮していただきたいと思います。 そのためにも、高知観光リカバリーキャンペーンを観光客に知ってもらうべく、旅先の出発地となる関西、関東などの大都市圏の旅行会社にセールスを仕掛け、高知を旅先に選んでいただかなければなりません。 そこで、都市部を中心とする全国の旅行会社に向けて、リカバリーキャンペーンをどのような方法でセールスしていくのか、観光振興部長にお聞きをいたします。 ◎観光振興部長(吉村大君) リカバリーキャンペーンの旅行会社へのセールス活動は、戸別訪問、トップセールス、モニターツアーの3本立てで展開しています。戸別訪問では、本年6月から観光コンベンション協会を中心に全国や地域に販売網を持つ旅行会社を訪問しまして、キャンペーンを活用した商品造成をお願いしております。 2つ目のトップセールスでは、東京や大阪の旅行会社の幹部の皆様に知事自ら本県への送客を直接要請いたします。 3つ目のモニターツアーでは、全国都市部の旅行会社の皆様を本県に招聘しまして、自然&体験キャンペーンの観光地などを巡るツアーを実施し、本県の魅力をじかに体感していただいています。あわせて、県内の観光事業者との商談会も開催いたします。 ◆8番(土居央君) 全国各地も創意工夫を凝らした誘客策を持ってセールスをすることになるでしょうから、こうした競争に負けないように、県としても積極的に取り組んでいただきたいと思います。 次に、このリカバリーキャンペーンは交通費を助成する事業ですので、別の見方をすれば、コロナ禍における直近の本県観光のトレンドを知る貴重なデータが得られるものと思います。このデータを分析して今後の政策に生かしていくべきと考えますが、現在の交通機関別の利用状況を伺ったところ、抽出データのうち6割強を高速道路料金が占めています。今後、団体旅行の動向などにより、こうしたトレンドに変化があるかもしれませんが、少なくとも現状では、車を使った個人や少人数旅行がメインになっているという分析ができると思いますし、仮にトレンドが変化しても、定期的に観測することによって、対応の検討もできると考えます。 いずれにしましても、より多くの方々に本県に来ていただくためには、旅行会社向けのセールスに加えて、県外にお住まいのエンドユーザーにも広く情報を届け、知っていただくことが重要になるものと考えます。 そこで、全国のエンドユーザーに向け、リカバリーキャンペーンのプロモーションをどのような方法で進めるのか、観光振興部長にお聞きいたします。 ◎観光振興部長(吉村大君) リカバリーキャンペーンのプロモーションにつきましては、ホームページの活用と新聞やテレビなどマスメディアの活用、さらにはチラシやポスターなど広報物の活用を通じたPRが有効だと考えています。そのため、まずキャンペーンの公式ホームページを開設しますとともに、SNS広告なども行いまして、ホームページへの誘導策を講じております。 また、マスメディアの活用としましては、全国紙への広告掲載や全国ネットのテレビ番組での紹介、中四国や関西向けのテレビCMによるPRなどを展開しています。さらに、NEXCO西日本のサービスエリアや四国のJR主要駅、道の駅などにチラシやポスターを配布しています。加えて、都市部では大阪駅や品川駅のデジタルサイネージを活用したPRも展開いたします。今後とも、リカバリーキャンペーンの利用状況を確認しながら、効果的なプロモーションに努めてまいります。 ◆8番(土居央君) ありがとうございます。かなり積極的なプロモーションをされておられるなという印象を持ちました。 次に、国の事業ではありますけれども、地域共通クーポンと「Go To Eat キャンペーン」に関連してお聞きをいたします。10月1日から、Go To Travel事業に加わった地域共通クーポンは、観光施設や土産物店、交通機関、飲食店など広範囲で使えますので、経済波及効果のさらなる拡大が期待できます。また、Go To Eat事業は、高知県では高知商工会議所、高知県商工会連合会、金融機関などで構成される事業体が主体となり、62.5億円分の食事券を11月2日から売り出す予定と伺っており、本県としてもコロナで深刻なダメージを受けている飲食業界への重要な支援策になろうかと期待をしています。 ただ、Go To Travelの地域共通クーポンは、飲食店で利用する場合、Go To Eatの登録店舗に限られるという制約もあります。結果として、本県としても飲食業支援策として最大の効果を期待するには、Go To Eatの登録店のさらなる拡大が必須になると思いますが、県としてはどう後押ししていくのか、産業振興推進部長にお聞きいたします。 ◎産業振興推進部長(井上浩之君) Go To Eatは、コロナ禍により経営が厳しい県内飲食店を応援するための大変重要なキャンペーンであると思っております。また、現在県が地産地消を進めるために展開しております「食べて!遊んで!高知家応援プロジェクト」、こちらにも合致するものだと思っておりまして、できるだけ多くの県内の飲食店に参加をしていただきたいと考えているところであります。 このため、県では、既にこの応援プロジェクトの特設サイトや、県の広報広聴課のツイッターで登録店の募集の告知を行っているところです。今後、さらにこのプロジェクトを促進するために設立されました、地元の新聞社と民放4社などによります高知家応援プロジェクト推進協議会、こちらの協力も得ながら、メディアを通じたお知らせなども行ってまいりたいと思っております。 また、県の地域本部の日々の活動の中で、地域の飲食店にも直接お声かけをしてまいりたいと思っております。 ◆8番(土居央君) ありがとうございます。ぜひとも頑張ってやっていただきたいと思います。 それでは、次に参ります。アフターコロナを見据えてのインバウンド観光政策として、アドベンチャーツーリズムについて質問をしていきたいと思います。現在、インバウンド観光は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により極めて厳しい状況になっていますが、日本政策投資銀行などがアジアと欧米で実施した旅行の意向調査では、コロナ終息後に観光旅行をしたい国として日本が46%を占め1位となり、アフターコロナのインバウンド観光に大きな可能性を感じる結果となっています。 国の観光ビジョン実現プログラム2020によりますと、コロナ収束を見据え、特定の国、地域から来訪する観光客の割合が高い観光地において、新規市場の開拓、多角化の取組に対する支援の実施や、回復までの時間を活用し、受入れ環境整備に戦略的に取り組む方針が示されています。新規開拓の具体例として考えられるのが、欧米人に人気がある、訪問先でしか味わえない自然、文化を楽しむ体験型観光です。 この欧米人に人気の自然・体験型観光として、特にアドベンチャーツーリズムが注目されています。詳細な説明は省かせていただきますが、市場規模は欧米を中心にコロナ感染拡大前に70兆円を超え、成長率も同地域の観光関連全体の6.2%成長を大きくしのぐ11.4%の伸びを示しています。さらに、富裕層に愛好家が多く、観光消費額の面から見ても大変大きいことがデータとして表れています。本県としても、インバウンドを多様化する効果が見込めますし、有名観光地でなくても誘客可能であり、本県の中山間地域でも経済効果を取り込めるものと期待をします。 今年、土佐経済同友会からその推進を求める提言書が提出されていますので、御存じの方も多いと思いますし、先日の議会答弁からも、本県の観光施策として一定前向きな姿勢が示されたところであります。 今日は、具体的な質問をさせていただきたいと思っているのですが、その前に若干説明をさせていただきますと、このアドベンチャーツーリズムにつきましては、私が高知市議会議員時代に4年間高知市副市長を務められました安藤保彦さんが、昨年経済産業省北海道経済産業局長に就任されたときにお電話をいただき、国と北海道が全力を挙げているアドベンチャーツーリズムの取組、そして北海道へのアドベンチャー・トラベル・ワールド・サミットの誘致活動について御紹介をいただき、そして来年、令和3年9月のアドベンチャー・トラベル・ワールド・サミットの北海道開催の内定に際しましては、高知県も一緒にやろうという御提案をいただきました。そして、どうすれば一緒にやれるのか、そのための具体的な準備の進め方、また高知県への定着と展開をどう図っていくのかなど、これまで御指導をいただいてきたところでございます。 実は、我が国におけるアドベンチャーツーリズムは、まだ緒に就いたばかりであり、本格展開には至っておりません。従来の自然・体験型観光をブラッシュアップさせ、アドベンチャーツーリズムと言えるためには、コース造成も受入れ体制も、安全や環境への配慮も、世界レベルのより高い水準が求められるからでございます。国内で実際のノウハウを持っているのは北海道のみであり、来年北海道で開催されるアドベンチャー・トラベル・ワールド・サミットが、我が国におけるアドベンチャーツーリズムの本格的な定着のスタートになるものと思われます。 私は、安藤局長の御提案を高知県にとって絶好のチャンスと捉えまして、コロナ禍の最中ではありましたが、この夏関係者一同で視察に行ってまいりました。本県では、自然&体験キャンペーンを通じて、カヌーやラフティングといった活動的なプログラムから、生活や文化に根差したものまで、幅広く観光事業の創出を図っているところであり、今後これらをより高い水準に上げていく必要があるとは思いますが、このたびの北海道視察で、本県観光におけるアドベンチャーツーリズムの可能性について、大いに感じたところでございます。 そこで、これまで食、歴史、自然や体験といった観光基盤を磨き上げてきた中で、本県でのアドベンチャーツーリズムに有望と思われる観光資源について、観光振興部長のお考えをお聞きいたします。 ◎観光振興部長(吉村大君) これまで磨き上げてきました中で、お話にもございました訪問先でしか味わえない有望と考えられるプログラムを例示させていただきますと、自然では日本を代表する清流を生かしたアクティビティーや世界ジオパークガイド、歴史では高知観光のシンボルである高知城や、幕末から明治維新の歴史文化探訪、伝統的工芸品である土佐和紙作り体験、そして食ではカツオのタタキ作り体験や、世界に流通するユズの収穫と田舎ずし作り体験などが挙げられます。加えて、四国を巡る遍路も有望な資源だと思っております。 ◆8番(土居央君) 御答弁にありましたそういった個々のポテンシャル、これは非常に高知県は高いものがあろうかと思います。そういった高知県ならではの観光資源は、アドベンチャーツーリズムにおいても十分生かされるのではないかと期待をしています。 現在、北海道ではアドベンチャーツーリズムのコース造成に当たっては、先ほど一つ一つのポテンシャルと言いましたけれども、こうした単品のアクティビティーをつなぎ合わせるだけではなくて、地域の歴史文化、自然を背景として、一貫したテーマとストーリー性を持たせ、その中でアクティビティーをどう表現するかなど、通常の観光ツアーとは異なる観点でツアー造成に取り組み始めていると聞いております。 そこで、このアドベンチャーツーリズムにおけるテーマの設定についてどのように認識をしているのか、観光振興部長にお聞きをいたします。 ◎観光振興部長(吉村大君) 先ほどお答えしました観光資源などを活用しまして、旅のわくわく感を分かりやすくお伝えするためには、テーマ設定がとても大切であると認識をしています。北海道では、例えば自然と共生するアイヌ文化といったテーマをつくり出されています。本県におきましても地域の伝統や文化、風土などを生かしてテーマを設定してまいりたいと考えています。 ◆8番(土居央君) お答えいただきましたように、その土地ならではの歴史や地域に根差した文化、こうしたテーマもたくさん考えられると思います。 それでは、次にテーマ性を持ったコース造成や資源の磨き上げ、ガイドの育成といった、アドベンチャーツーリズムの取組をどういった体制で進めていかれるのか、観光振興部長のお考えをお聞きいたします。 ◎観光振興部長(吉村大君) 本県では、現在4つの広域観光組織が市町村や商工団体、宿泊施設、体験施設といった幅広い関係の皆様と一体となって、地域ならではの観光資源を生かした滞在型の観光プランづくりを進めています。県としましては、このプランづくりにアドベンチャーツーリズムを役立てたいと考えていますので、広域観光組織を中心とした現在の体制をベースとしまして、観光コンベンション協会や旅行会社とも連携しながら、テーマ設定をはじめコースづくりや磨き上げに取り組んでいきたいと考えています。
    ◆8番(土居央君) ありがとうございます。ぜひとも体制面もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。 先ほど御答弁いただきました地域のDMO等を一つ核にいたしまして様々な、高知で数は少ないかもしれませんけれど、ツアーオペレーターでありますとか、また県の後押しがあって、初めて高知県にこうした質の高いアドベンチャーツーリズムを導入するとしましたら、やはりそうした連携というのはまずは欠かすことができない体制だと思いますので、ぜひとも県も積極的な姿勢で臨んでいただきたいと思っております。 そして、その結果できたコースは、やはり世界に向けて発信していくこと、これが大事だと思います。先ほど申し上げましたとおり、来年、令和3年9月には、アジア圏で初めて北海道でアドベンチャー・トラベル・ワールド・サミットが開催される予定です。このサミットには世界約60か国、800名の富裕層向けの旅行代理店、エージェント、ツアーオペレーターなどが集まり、事前の体験ツアーも含め、1週間程度の日程でセミナーやワークショップ、商談会なども行われます。 今、北海道ではサミットに向けて官民挙げて準備を進めています。そのアドベンチャー・トラベル・ワールド・サミットに向けた取組の中に、サミット前の数日間の体験ツアーであるプレ・サミット・アドベンチャー事業があり、これには北海道以外のコースも組み入れられる可能性があります。もし高知県内のコースがこのアドベンチャー・トラベル・ワールド・サミットの公式コースとして組み入れられれば、自然・体験型の旅行コースとして世界的に認められるということになりますし、サミットに集まった世界各国のエージェントに、直接本県の観光コースを売り込むことができます。また、ビジネスに至るための関係を築く絶好の機会にもなることでしょう。 競争率が極めて高いと伺っておりますが、本県としましてもアフターコロナのインバウンドを見据え、北海道サミットのプレ・サミット・アドベンチャー事業に高知県のコースが組み入れられるよう取り組むべきと考えますが、観光振興部長の見解をお聞きいたします。 ◎観光振興部長(吉村大君) 現在、県ではプレ・サミット・アドベンチャー事業に組み入れられることを目指しまして、広域観光組織や観光コンベンション協会、旅行会社などと連携しながらコースづくりに取り組んでいます。この事業では、全国から5コース程度募集するとされています。確かに狭き門ではございますが、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ◆8番(土居央君) ありがとうございます。これが本当に公式コースとして認められれば、アフターコロナの高知県の自然・体験型観光、これに大きな弾みがつくものと思います。ぜひとも、ハードルは高いと思いますが、チャレンジをしていただきたいと考えるところでございます。 それでは、次に参ります。ウイズコロナ、アフターコロナを見据えた経済戦略について、2点だけ質問をさせていただきます。 コロナ禍は、既に行政に様々な教訓を示しています。特に、私は今後未知の感染症により、恐らく地球規模の自然災害や戦争なども同様だと思いますが、世界規模の危機事象により、世界の生産、物流が寸断され、国民生活や経済活動の維持に深刻なダメージを与えること、そして東京のような一極集中型の社会では、被害の甚大化リスクが致命的に高まる可能性があるということ、これらは特に行政に携わる者として想定するべき課題だと痛感したところです。 既に一部の企業では新型コロナウイルス感染症拡大により、製品、部品のサプライチェーンが寸断され、生産の中断を余儀なくされたことなどを教訓として、調達・供給網の多様化や分散化に向け動き始めているようです。国も事態を重く受け止め、2020年版通商白書では、こうした物資の調達・供給網の強化の重要性を強く指摘しています。 そこで、まず県内においてサプライチェーンの寸断等の影響はどうであったのか、商工労働部長にお聞きいたします。 ◎商工労働部長(沖本健二君) 本県におきましてもサプライチェーンの寸断に伴いまして、海外から部品や原材料の輸入が滞ったことによります影響が発生をしております。例えば、製造業では生産活動の休止や減退が生じたり、建設業では工期の延長や住宅の引渡しが遅れるといった影響がありました。 また、世界的に需要が急増したこともありまして、マスクの輸入量が一時大幅に減少したことにより、流通量が極端に不足し、また価格が高騰するなど、県民生活にも深刻な影響があったものと受け止めております。 ◆8番(土居央君) 少なからず県民生活及び県経済に対して影響があったということだと思います。特に、県民生活におきましては、これまでの議会でも度々ありましたけれども、マスクや消毒液、こういったことが店頭から消え、県民生活に大変な混乱、不安を生じさせたと、そういう事態が記憶に新しいところでございます。 今回は国からの支援に加え、民間のルートを活用して何とか確保して急場をしのいできた、これは医療機関、福祉機関等も含めてですけれども、そういうことだと思いますが、やはり考えておくべきは、最後は行政に頼るしかない人々もいるということを、行政に携わる者としてしっかり持っておくべき念持ではないかと思っております。 それでは、県経済のほうに目を向けますと、国内企業ではサプライチェーンの多様化、分散化の動きが先ほど申し上げましたように見られている中、政府も補正予算において、海外の生産拠点や製品の供給元の多様化や、輸入に依存する製品、素材の国内生産などを支援する予算を計上しています。こうした国の支援の方向性は、来年度予算でも変わることはないと考えられることから、今後国内メーカーが生産拠点の国内回帰や、リスク分散のための増設などに動き始める可能性は高いのではないかと考えます。例えば、マスクや防護服などは、紙産業が集積する本県との相性もよいように思うところです。 そこで、こうした生産拠点の国内回帰の動きを、本県にとりましては産業振興上のチャンスにしていく考えが必要ではないかと考えますが、商工労働部長の御所見をお聞きいたします。 ◎商工労働部長(沖本健二君) 今回のサプライチェーン寸断の経験を生かしまして、国内企業におきましては海外での製造拠点の多元化に加え、国内における生産拠点の確保を図る動きが出始めております。この動きは、企業誘致と併せまして、本県製造業にとっても新たな受注拡大のチャンスというふうに考えております。 このため、産業振興センターを中心といたしまして、県内事業者の営業活動や見本市への出展、またウェブなども活用した商談会への参加などを支援し、新たな商談機会を積極的に創出してまいりたい、そのように考えております。 ◆8番(土居央君) ありがとうございます。積極的な姿勢で臨んでおられることと評価いたします。ぜひ少しでも県内への工場の誘致でありますとか、そういったことにつながっていけるように期待をしているところでございます。 次に、機能性を活用した地産外商戦略についてお聞きしてまいります。 JA高知県が出荷しているハウス栽培の高知ナスが、高血圧の改善効果を掲げる機能性表示食品として先月登録されました。これにより、高知ナスには高い付加価値がつき、消費拡大に弾みがつくものと期待をしています。 近年、国が定めた安全性や有効性に関する基準に従って機能性が表示できる、いわゆる保健機能食品が次々登場しています。高知ナスが登録された機能性表示食品のほかにも、特定保健用食品、いわゆる特保や栄養機能食品などがあり、その食品に期待される保健効果を表示することができます。 機能性表示食品は、もちろん機能性の科学的根拠を明らかにする必要がありますが、臨床研究の論文引用などでも可能であり、特保に比べ登録のハードルが低いだけでなく、加工食品やサプリメントのみならず生鮮食品も対象になるなど間口も広く、制度開始から僅か5年で特保の登録数を上回っています。 機能性表示食品制度は平成27年からスタートしましたが、本県では産学官連携会議にプロジェクトチームを設置するなど、組織体制を整えるとともに、大学や県内企業など関係機関と連携し、本県の農産物や食品の機能性成分の調査分析などを通じて、地産外商戦略として機能性表示制度を有効活用する戦略について、検討、あるいは実践してきたことと思います。 そこで、まずはこれまでの取組の成果について商工労働部長にお聞きをいたします。 ◎商工労働部長(沖本健二君) 機能性表示食品制度につきましては、食品の付加価値向上による販路拡大を目指し、産業振興計画の成長戦略に位置づけまして、専門家の配置やセミナーの開催などを実施してまいりました。その結果といたしまして、県内ではお話のございました高知ナスのほか、脂肪の吸収を抑える機能を有するお茶など、3事業者8品目が機能性表示食品として登録されております。 現在、高知大学が実施しております土佐FBCのカリキュラムの中に、機能性表示食品についても詳しく学べるコースが開設をされておりまして、登録に取り組もうとしている事業者の皆様を支援する仕組みが整備をされております。 ◆8番(土居央君) ありがとうございます。 それでは、このたび機能性表示が可能となったナスは農産物でございます。非常にレアなケースだとお伺いしておりますが、ナスのほかに本県では農産物の機能性についてどのような調査をしているのか、農業振興部長にお聞きをいたします。 ◎農業振興部長(西岡幸生君) 農業技術センターにおきまして、平成26年度からシシトウ、ショウガなど本県の主要な野菜15品目について、機能性成分に関する基礎的な調査を実施しております。その結果、例えばシシトウ、ピーマンではベータカロテン、ショウガではジンゲロール、ミョウガではアントシアニン、ニラではメチインやアリインなどが特徴的に含まれていることを確認しております。 また、令和元年度からはブンタン、ユズなどの本県の特産果樹8品目について調査中でございます。 ◆8番(土居央君) ありがとうございます。 これまでの調査で、機能性成分、大変有効な成分がある有望な素材というものがいろいろあることが分かりましたので、その多くが保健機能食品として申請ができ、そして受理などされることを期待しているところでございます。しかしながら、県内の中小事業者が単独で調査分析から申請を行い、機能性表示を取得するには、費用や体制の面から、なかなか厳しい実態があるということも分かってきております。 ただ、本県にはこのナス以外にも、先ほど部長の答弁にありました有望な品目もあります。また、自力で機能性表示食品を開発した企業もございます。例えば、ほかの品目で言いましたら、海洋深層水やユズ、イタドリ、フルーツトマトや赤ピーマンなど、そういった有望な品目もあります。こうした農産物、食品は、保健機能食品として機能性を表示できるか否かにかかわらず、機能性のある成分をPRすることで差別化を図り、付加価値を高めていくことも地産外商戦略として重要ではないかと考えます。 そこで、これまでの取組で見えてきた課題を踏まえて、機能性やその成分を有効活用した地産外商戦略について、今後県としてどのように展開していこうと考えているのか、産業振興推進部長の見解をお聞きいたします。 ◎産業振興推進部長(井上浩之君) 最近、特に食に対する安全・安心、また健康面での効果をより意識した消費者がますます増えつつあるということもありまして、そうした中で機能性を前面に出した食品は、そうしたニーズにも応えるものであり、県産品の外商拡大に向けた重要なPRのポイントになるというふうに考えております。 また、添加物不使用とか低カロリーといった商品も健康志向の消費者へのPRポイントとなります。このため県といたしましては、そうした消費者ニーズに応じた県内事業者の新たな商品開発を様々な形で支援しているところであります。食のプラットホームにおけますセミナーであったり、専門家との商談におけるアドバイスであったり、あるいはアドバイザーを派遣するといった形で様々に応援をさせていただいているところであります。 特に、機能性表示食品や特定保健用食品、いわゆる特保でございますけれども、国への届出や国の許認可を受けるために多額の経費と時間を要するものでございます。このため、その経費に対しましても、県の補助金によりまして支援するという仕組みも設けておるところでございます。 今後とも事業者の方々がどういう商品を目指しているのかというのをしっかりお聞きもした上で、今般コロナ禍によりまして内食とか中食向けの商品、あるいは賞味期限が長い商品といったものへのニーズも高まっているということもございます。そうした消費者のトレンドに合った商品開発が進められるように、専門家のアドバイスもいただきながら、機能性の食品も含めまして幅広く県内事業者の商品開発を支援し、外商につなげてまいりたいと考えております。 ◆8番(土居央君) ありがとうございます。御丁寧な御答弁をいただきました。大変期待をしているところでございます。 それでは、具体的にこのたび登録されました機能性表示食品、高知ナスについて、どのような戦略を描いて販路拡大に取り組んでいくのか、農業振興部長にお聞きをいたします。 ◎農業振興部長(西岡幸生君) 今回明らかになりました機能性を表示することによりまして、健康に関心のある消費者の方々に選んでいただけるきっかけづくりになるとともに、県産野菜の質の良さを実感していただける絶好の機会だというふうに考えております。 一人でも多くの消費者の皆様に高知ナスを手に取っていただけますよう、まず第1弾として県内外における12月からの一斉販売に向けまして、機能性を表示したパッケージに一新するとともに、量販店等でチラシやPOPを掲示し、PRすることとしております。さらに、第2弾として生産量のピークを迎える来年3月に向け、全国版の新聞や雑誌への掲載、SNSなどにより全国の消費者に向けて情報発信を行い、この機能性表示を販売拡大につなげてまいります。 ◆8番(土居央君) ナスは、高知県が生産日本一を誇る品目でございまして、こういった付加価値をつけることによってさらに販路拡大につなげる、それをしっかり後押しをする、大変心強い取組になろうかと思います。 また、このナスがきっかけとなりまして、他の品目にまで広がって高知県の生鮮、これは魚なども対象にはなりますので、こういった高知県の産物が機能性を売りにして、また付加価値をつけて消費拡大につながっていく、こういった好循環が生まれることを期待しております。 それでは、最後に国道33号、高知市旭地区未整備区間の早期着工について、これは要請をさせていただきます。 長年にわたる地域要望でありますこの問題に対しましては、当面の安全対策として、電停構造の改善による交差点改良について現在検討が進められていると承知をしています。改良がなされますと、右折車両により発生する渋滞の解消に貢献し、区間の安全性も一定改善されるものと期待をしています。しかしながら、地域住民の悲願は抜本的改良による安全確保であり、そのためにはやはり正規整備による電車通り4車線化を待ち望んでいます。 これまでもこの問題につきましては、長年にわたり議会質問が繰り返されてきました。県としても事業化の前提として、当区間の境界確定などの条件整備が必要であるとの認識の下、事業化の必要性は理解していただいているものの、具体的な将来見通しが不透明な中で、事業主体である国に対して要請を行っていただいてきたものと認識しています。 このような流れを踏まえて、高知市では平成28年から平成30年度までの3か年をかけ、当区間の境界確定と拡幅工事についての意向調査を実施しました。それにより、用地境界の98%の確定と地権者の82%の賛成結果を得られ、令和元年その成果品を国に提出しております。これにより、高知市としましては事業化に向けた課題を一定解決し、事業を導入していただく環境を整備したものと考えます。 そこで、県としても今後の取組のステージを上げていただき、区間の早期着工に向けて御尽力いただきますことを要請いたします。 以上で、今回私が通告いたしました全ての項目について質問を終わります。それぞれ御丁寧な御答弁をいただきましてありがとうございます。(拍手) ○議長(三石文隆君) 以上をもって、土居央君の質問は終わりました。 ここで11時5分まで休憩といたします。   午前10時47分休憩-----------------------------------   午前11時5分再開 ○議長(三石文隆君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 上田周五君の持ち時間は30分です。 31番上田周五君。 ◆31番(上田周五君) 県民の会の上田です。知事はじめ執行部の皆様よろしくお願いいたします。 初めに、特定地域づくり事業についてお聞きいたします。 中山間対策をライフワークとし、過疎地の窮状を目の当たりにしてきた私にとって、今回創設された特定地域づくり事業協同組合制度は非常に関心がございますので、テーマに取り上げました。 総務省が8月5日に発表した今年1月1日時点の日本人の人口は、1億2,427万1,318人であります。前年から50万5,046人減り、減少幅は1968年の調査開始以来最大となっています。社会の中軸となる15歳から64歳までのいわゆる生産年齢人口は、日本人全体の6割を切り、過去最低を更新しています。東京都、神奈川県、沖縄県以外の道府県が全て人口減少となっている中、地図から消えようとしている地区が全国にあります。 今年は、昭和45年に過疎法が制定されて以来ちょうど50年目という大きな節目に当たります。毎月、統計分析課が県内市町村の推計人口を公表していますが、高知市への一極集中が顕著となっており、過疎地域を多く抱える町村で人口の急減が目立っています。総務省などによる昨年の調査で、いずれまたは10年以内に消滅の可能性のある過疎地域の集落が全国で3,198に上るとの結果が示されたところでございます。 こうした中、人口の急減地域における地域づくり人材の確保とその活躍を目的として、本年6月に施行された地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律によって、新たに創設された特定地域づくり事業協同組合制度は、今後の過疎地域の活性化の切り札となり得るのではないかと考えますが、中山間総合対策本部長でもございます知事の御所見をお聞きいたします。 ◎知事(濱田省司君) 御指摘ありましたように、特定地域づくり事業は新たな議員立法によって導入をされた制度でございます。人口が急減する地域におきまして、事業者の方々の雇用に対するニーズ、例えば農繁期だけ人手が欲しいとなるわけでございますが、そういったものを組み合わせまして、年間を通じた雇用をつくっていくと。そして、その仕掛けといたしましては事業協同組合を設立いただいて、こちらで雇用をし、個々の事業者に派遣をしていくと、そういった仕組みを取っておるわけでございます。 この制度は、都市から地方への人の流れを後押しするという意味があると思いますし、産業や地域活動の担い手を確保して地域の活性化につなげるという狙いもございます。実際、私自身中山間地へ「濱田が参りました」などでお伺いしました中でも、やはり地域におきます人材の確保というのが非常に大きな課題だというようなお声をお聞きするわけでございます。昨日、質疑をいただきました地域おこし協力隊、これは任期3年という縛りがございますから、そういった縛りがない特定地域づくり事業というのは、担い手不足が深刻化しております本県の過疎地域にとっても、メリットのある制度であるというふうに考えております。 また、この事業協同組合の運営に関しましては、国から交付金や特別交付税などの手厚い財政支援が受けられることになります。大ざっぱに申し上げまして、派遣をされる方の人件費の半分ぐらいは公的な支援が入るというふうに考えてよろしいかと思いますので、市町村にとりましても非常に前向きに検討していただける制度だと思いますし、私としても今後の取組の拡大に大いに期待をしているところでございます。 そのために、県内のできるだけ多くの地域で制度を導入していただきたいというふうに考えておりまして、県といたしましてもこの協同組合を設立するというのが最初のステップになりますので、この設立に向けてアドバイザーの方を派遣いたしまして、市町村や事業者の方々をしっかりとサポートしていきたいと考えております。 ◆31番(上田周五君) どうもありがとうございます。知事のこの事業に対する熱い思いが伝わってきたと思います。 次に、この法律は今年6月に施行されたばかりですので、まずはこの制度の中身を市町村にしっかりと理解していただくことが大切だと思います。 そこで、この組合制度の県内市町村への周知について中山間振興・交通部長にお聞きいたします。 ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) 本年1月には市町村担当者を対象として、また8月には総務省の担当室長を迎えて、市町村長向けの説明会を実施して、制度の趣旨や国の支援策について周知を行ったところです。 また、4月にも説明会を開催する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で実施できなかったことから、市町村に対して文書やリーフレットで制度を周知するとともに、意向調査を実施しました。調査結果で関心や意欲を示した市町村には、地域産業振興監などと共に個別に訪問しまして、意見交換や勉強会を実施するなど、制度の浸透を図っております。 ◆31番(上田周五君) どうもありがとうございます。結構制度の内容が複雑だと思いますが、先ほどの御答弁、丁寧に周知をされてきたと、しているということで理解しました。 次に、この事業の導入に向けた市町村の動きについて中山間振興・交通部長にお聞きをします。 ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) 現在、9市町村で導入に向けた検討が進行中です。このうち市町村や県、アドバイザーなどで構成する特定地域づくり事業推進プロジェクト会議を立ち上げまして、協同組合の設立に向けて具体的に検討が進められているのが2町、また勉強会などを実施しプロジェクト会議の立ち上げを検討しているところが5町村、残る2市町については事業者のニーズなどを調査し、今後の対応を検討している状況です。 ◆31番(上田周五君) どうもありがとうございます。9市町村が今意欲的に設立に向けてアドバイザー等々で取り組んでいるということが、そういう動きが分かりました。 次に、過疎地域におきましては、事業者単位で見ると年間を通じた仕事がなく、安定的な雇用環境を確保できないといった課題があります。そこで、この制度は地域全体の仕事を組み合わせて安定した雇用を生み出し、地域の担い手を確保することが大きな目的となっております。 そういった意味で、生活や文化を同一にする圏域や流域において、複数の市町村による検討がなされてもよいのではないかと思いますが、中山間振興・交通部長にお聞きをします。 ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) この制度は、人口の急減に直面している地域での人材確保を目的としておりまして、過疎法に基づく過疎地域及び過疎地域と同程度の人口減少が生じている地域が対象となります。こうした要件と併せて、自然、経済といった条件から見て一体であると認められる地域について、複数の市町村で取り組むことも可能となっております。 先ほど答弁しました制度導入を検討しております市町村の中には、近隣の市町村と一緒に取り組んでいきたいという意向を持っているところもございます。 ◆31番(上田周五君) ありがとうございます。特に、生活や文化という、同一というあれしましたが、そういった意味で流域単位で取り組まれることが特に有効ではないかと、そういった思いをします。小規模自治体が多い本県でございますので、ぜひそういったことで、こういうことも含めて検討していただきたいと思います。 次に、本事業を推進するアドバイザーについてでございますが、この推進アドバイザーの派遣費用が158万9,000円計上されています。この事業が軌道に乗るか否かは、設立を後押しするアドバイザーの役割が大変大きいと思いますが、その役割について中山間振興・交通部長にお聞きをいたします。 ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) 協同組合の設立に向けまして、中小企業等協同組合法の手続や、経営に精通した専門家を特定地域づくり事業推進アドバイザーとして、意欲的に取り組む市町村に派遣する事業を6月補正予算としてお認めいただきました。アドバイザーには、事業推進プロジェクト会議でのアドバイスのほか、事業計画の取りまとめや協同組合の収支計画のシミュレーションのサポートなど、協同組合の設立までを総合的にサポートする大変重要な役割を担っていただいております。 ◆31番(上田周五君) どうもありがとうございます。 この事業を初めて立ち上げるということで、そのアドバイザーの役割も大変重要と思いますが、加えてこの事業のもう一つの重要なポイントというのは、設立された協同組合が雇用する地域内外の若者等、すなわち地域づくり人材の確保にあろうかと思います。 そういったことで、この地域づくり人材の確保に向けて取組の方向性、この辺りを中山間振興・交通部長にお聞きいたします。 ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) 組合に雇用される地域づくり人材は、季節ごとの労働需要に応じて複数の業務に従事するいわゆるマルチワーカーであり、地域産業の担い手となって将来にわたり地域で活躍していく人材になります。議員御指摘のとおり、地域づくり人材をいかに確保するかが本事業を進めていく上での大変重要なポイントであり、重点的に支援をしたいというふうに考えております。 県としましては、地域内外の若者などを呼び込むため、首都圏での移住相談会や地域おこし協力隊募集セミナーを通じて、市町村のアプローチの場を設けるとともに、移住促進・人材確保センターとも連携しながら、地域が求める人材の確保に向けてしっかりとサポートしてまいります。 ◆31番(上田周五君) どうもありがとうございます。 先ほどの御答弁の中で、マルチワーカーということが出たわけですが、1つこの取組の方向性の中で、協同組合が雇用する地域内外の若者等ということですが、この若者等という中で、雇用する方の年齢制限とか、その辺りのことは考えているのか、幅があるのかというようなことを含めて中山間振興・交通部長の御答弁をお願いします。 ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) 年齢制限等の制限はございませんが、都市圏では仕事を地方でしてみたいということが需要としてございますので、若い者を中心にという想定はございます。 ◆31番(上田周五君) ありがとうございます。取組の方向性というのは理解をいたしました。 いずれにしましても、この事業は先ほどから御答弁にもありますが、年間を通した仕事を構える、またいわゆる人材の確保という、この視点が大変この事業の大きなポイントになろうかと思いますので、この辺りもよろしくお願いをいたします。 この項最後でございますが、この制度は派遣職員人件費や事務局運営費など、組合運営費の2分の1を国と市町村が財政支援することになっており、県の財政支援が入っておりません。本事業は、過疎地の若者定住と人手不足解消を図り、過疎地の活性化につなげる目的でつくられた特定地域づくり事業で、そういったことを考えますと、一定の県の財政支援もあっていいのではないかと考えますが、中山間振興・交通部長にお考えをお聞きいたします。 ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) 先ほど知事から御答弁いたしましたように、国では事業協同組合の安定的な運営に向けて、運営経費の一部を交付金や特別交付税措置で支援する仕組みとなっております。市町村の負担は実質的に運営経費の8分の1に抑えられるといった、国の手厚い財政支援を受けることが本制度を活用する大きなメリットとなっております。 県としましては、まず事業協同組合の枠組みがしっかり確立されるよう、先行して取り組む市町村にアドバイザーの派遣を行うなど、モデルとなる協同組合を早期に設立すること、また設立後の地域づくり人材の確保に注力したいと考えております。 ◆31番(上田周五君) ありがとうございます。るる申し上げてきましたが、この制度の立ち上げに向けて、結構複雑な制度となっていますので、その辺り繰り返しになりますが、よく連携し合って頑張っていただきたいと思います。 冒頭にライフワークという話もさせていただきましたが、ここ10年ぐらいでしょうかね。過疎地を訪ねてみますと、地元に住んでいる方から必ず最初に出てくる言葉が、いよいよ若い者がおらんなった、けんど働くところがないきのうという言葉で、今の過疎の状況を象徴していると思います。そういった意味で、この事業は、冒頭で知事の答弁にありましたように、過疎地での若者定住に向け、期待のできる事業だと思っておりますので、ぜひこの事業を通じて、地域外の若い世代も本県に呼び込んでいただくよう申し述べまして、次の質問に移らせていただきます。 次は、豪雨時など災害への備えについてでございます。 近年の気候変動により、災害は頻発化、激甚化しています。先月、室戸市で時間雨量130.5ミリを記録したり、全国各地で記録的短時間大雨情報が発表されるなど、最近は雨の降り方が変わってきたと言われており、全国的に河川の氾濫等の大規模な浸水被害が相次いで発生しております。 このため、国は地方単独事業として緊急的に河川やダムなどのしゅんせつを実施できるよう、新たに緊急浚渫推進事業費を創設されました。この制度は、対象年度が令和2年度から6年度までの5年間であり、地方債充当率100%、交付税措置率70%といった国の有利な財政措置がございます。知事も提案説明におきまして、治水対策については、本年度国が新たに創設した地方債の制度も最大限活用して、河川のしゅんせつや改修など加速させますと述べられており、令和2年度の当初予算に緊急浚渫推進事業費として8億2,200万円が計上されています。 そこで、この事業が計画どおり進んでいるのか、土木部長にお聞きをいたします。 ◎土木部長(村田重雄君) 緊急浚渫推進事業の実施に当たりましては、5か年の堆積土砂管理計画を作成して進めることとしております。年度当初に、昨年の河川の点検結果を踏まえましてこの計画を作成いたしました。これに基づき緊急性の高い76河川のしゅんせつや樹木伐採につきまして、起債手続を既に完了しており、順次工事発注を進めているところです。工事の本格的な施工は、当初の予定のとおり11月からの非出水期に行う予定でございます。 ◆31番(上田周五君) どうもありがとうございます。 部長の答弁の中にもありましたが、この制度は今年度から6年度までの5年間であることから、河川の土砂の量や樹木の繁茂の状況、そして市町村や住民からの要望、また過去の被害状況や氾濫した場合に周辺の民家などに与える被害の大きさを考慮して、先ほど土砂の堆積の年次計画というお話がございました。 そういった5年間の年次計画を立て、計画的に執行されているということでございますが、年度によって社会状況といいますか、自然の状況も変わると思いますが、その場合にどういうふうに対応していかれるのか、土木部長にお聞きをいたします。 ◎土木部長(村田重雄君) お話にありましたように、今後の降雨の状況や自然の作用によって、土砂の堆積や樹木の繁茂が進行し、河川の状態は変化いたします。このため、来年度以降の事業の実施に際しましては、毎年河川の状態を点検いたしまして、土砂の堆積状況などを把握し、地元からの要望も参考に、必要に応じて計画を見直しながら事業を進めてまいります。 ◆31番(上田周五君) どうもありがとうございます。今、部長の答弁の中で地元からの要望というお話もございました。少し具体的な要請になりますけれども、そういった地元からの要望とか含めまして、過去に幾度となく洪水などの被害を受け、いまだ河川改修に着手されていない危険河川の多い、例えば仁淀川の支川など、地元からも陳情書などで強い要望のあっている河川への御配慮をよろしくお願いいたします。 次に、自然災害の備えで重要な役割を担っているのが、水門、樋門等の管理ではないでしょうか。今年度の当初予算には、水門、樋門等管理委託料として1億400万円余りが計上されています。 そこで、その中で市町村などに操作を外部委託している水門、樋門は何か所あるのか、土木部長にお聞きをいたします。 ◎土木部長(村田重雄君) 水門、樋門は、支川の排水や本川からの逆流防止のために設置されているもので、操作を外部に委託しているものは水門が56か所、樋門が147か所の計203か所でございます。 ◆31番(上田周五君) どうもありがとうございます。 203か所あるということでございますけれども、それではその中で河川の増水時に手動で閉められているものは何か所あるのか、土木部長にお聞きをいたします。 ◎土木部長(村田重雄君) 手動で閉めているものは、水門が56か所中16か所、樋門が147か所中112か所の計128か所でございます。 ◆31番(上田周五君) ありがとうございます。 その112か所ですかね、樋門が。それで、手動で操作しているものの中に、委託を受けて地元住民が管理を担っているものもあろうかと思いますが、高齢化などで負担が大きい上、現場での課題も多くなっているとお聞きをしますけれど、その辺りの課題というか認識について土木部長にお聞きをいたします。 ◎土木部長(村田重雄君) 水門、樋門ゲートの手動による開閉操作には労力を要するため、受託者の高齢化による成り手不足が課題と認識しております。また、出水時の操作には危険が伴うことから、受託者の安全確保も課題と認識しております。台風などの悪条件の中、操作いただいている受託者の方々には、日頃より心から感謝申し上げているところです。 ◆31番(上田周五君) 御丁寧な御答弁ありがとうございました。土木部河川課におかれましては、市町村を通じてよくよく現場の状況を把握されているということが改めて理解できました。 この項最後に、樋門の管理を担う地元住民が高齢化しており、担い手不足を解消するとともに、今年7月の九州豪雨時のような緊急時の対応を迅速にして、減災につなげることが求められていると思います。 そのためにも洪水時に本流から支流への逆流を防ぐ樋門を水位に応じて自動的に開閉するタイプ、いわゆるフラップゲートに改修する事業に着手し、河川管理の強化を図るべきだと考えますが、土木部長に御見解をお聞きします。 ◎土木部長(村田重雄君) 水門、樋門のゲートは確実に開閉できる構造であることが求められます。フラップゲートは河川の水位差によって自動的に開閉する構造で、操作に人が必要がなく、出水の頻度が多い中小河川においては大変メリットがあります。 その一方で、出水時に流木等の障害物がゲートに挟まりやすいという構造上の問題もございます。現在、流木等の流入が少なく、仮にゲートの開閉不良が発生しても著しい浸水被害とならないなどの条件が満たされる樋門に新たにゲートを整備する際には、フラップゲートのような自動的に開閉するゲートの採用を進めております。 既存のゲートにつきましても、更新時期などの機会を捉え、積極的に採用していきたいと考えております。 ◆31番(上田周五君) ありがとうございます。老朽化に伴う更新を順次行っているということでございますが、部長の御答弁に危険であるというような操作上の部分もございましたが、樋門の管理人にとって、いわゆる人命に関わる瞬時の判断も求められますので、負担も大きいとよく聞きます。フラップゲートの改修に当たっては、状況が許せば、可能な限り今後も実施していただきたい、このことを申し述べまして、次に移らせていただきます。 最後に、財政問題を少しお願いいたします。 9月23日、財政課より令和元年度の普通会計決算見込みが示されました。歳入決算額のうち、県税に地方消費税の精算後の収入を足した額では前年度比1.1%、9億1,100万円の減となっています。また、令和元年度の決算審査において監査委員から、持続的な財政運営を行うためには、自主財源を確保する取組の重要性が指摘され、また県政運営指針においても自主財源の確保に向けた取組の徹底が掲げられています。県全体の課税額に対する収入率は、0.1ポイントアップの99.1%となっており、未収額は5億4,682万円で、個人県民税が4億3,486万円と約8割を占めています。 そこで、未収額のうち高い割合となっている個人県民税の徴収方法について、他県では市町村と連携し、従業員3人以上の事務所から給与天引きするなど特別徴収の取組をしているとお聞きしておりますが、本県の特別徴収の取組はどうか、総務部長にお聞きをいたします。 ◎総務部長(君塚明宏君) 本県では、まず平成20年度から県が行う工事等の入札希望参加者に対しまして、個人県民税の特別徴収実施を確認することとしております。さらに、平成21年度には市町村と連携しまして、高知県住民税特別徴収推進会議を立ち上げまして、税理士会への特別徴収推進への協力依頼や、事業者向けの広報等の実施に取り組んでおります。 このような取組によりまして、特別徴収実施率は、納税義務者ベースで見た場合、平成19年度末時点で69.1%であったものが、令和元年度末時点では83.0%となっているところであります。 ◆31番(上田周五君) 詳しく御答弁ありがとうございました。個人県民税については、先ほど部長からも市町村との連携というお話がございましたが、本当にまさに市町村との連携がなくてはなりませんので、そういった意味で引き続き連携もよろしくお願いいたします。 次に、2020年度は新型コロナウイルスの影響により、消費の冷え込みや企業業績の悪化が懸念され、税収も下振れすると見られております。ここは徴収業務を着実に行って、県税の収入確保につなげるべきと考えますが、今後の取組について総務部長にお聞きをいたします。 ◎総務部長(君塚明宏君) 県税収入の確保につきましては、納期内納付を促進するための利便性向上と、収入未済額の圧縮への取組が必要となります。 まず、利便性向上につきましては、引き続きコンビニエンス収納を促進するとともに、今後の取組としましては、電子決済等の収納チャンネルの拡大を検討しているところであります。また、滞納が生じた場合には、これまでも督促状や催告書の発布時期を前倒しするなど、滞納整理の早期着手に取り組んで、着実に成果が上がっているところであります。 今後におきましても納税者の事業継続や生活維持に十分配慮しつつ、滞納整理の早期着手、早期完結に取り組んでまいります。 ◆31番(上田周五君) どうも御丁寧にありがとうございます。 今、監査委員の意見書にもございますが、地道な取組が実って、徴収率も高くなっているということで、ちょっと資料をいただいていますが、高知県の令和元年度の全税目の徴収率、そして個人県民税の徴収率が全国第5位ということで、高い水準となっています。いずれにしても、先ほど申し上げましたコロナ禍での減収が見込まれますので、引き続き納税対策を一層充実させるなど、県税収入の確保に努めていただきたいと思います。 以上で、一切の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(三石文隆君) 以上をもって、上田周五君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。   午前11時35分休憩-----------------------------------   午後1時再開 ○副議長(西内健君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 田中徹君の持ち時間は50分です。 7番田中徹君。 ◆7番(田中徹君) 自由民主党の田中徹でございます。50分間お時間をいただきましたので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。 さて、8年目を迎える今年度の高知家プロモーションは、2013年度の高知家がスタートしたときのキャッチコピー「高知県は、ひとつの大家族やき。」を再び掲げ、始動しています。こんなときだからこそ、一つの家族のような温かい県民性を改めて考え、発信されていくことと思います。 そこで、私の質問はこの高知家をテーマに、家族のみんな、つまり県民の皆さんがどんな気持ちで今を暮らし、生活をしているのか、また今後どのようなことを望んでいるのかということをコンセプトに進めていきたいと思います。 初めに、本県の経済状況を再確認したいと思います。議会初日の知事の提案説明でもありましたように、新型コロナウイルス感染症の影響により、観光関連産業や飲食業をはじめ様々な分野で幅広く大きな打撃を受けています。今月1日に発表されました日銀短観によりますと、県内の全産業の業況判断指数はマイナス18ポイントと、前回からは5ポイント改善されたものの、厳しい状況が続いています。また、12月までの見通しである先行きは今回より5ポイント下がり、マイナス23ポイントと予測され、再び悪化することが見込まれています。 そこで、まずこのような本県経済の厳しさをどのように認識されているのか、知事にお伺いいたします。 ◎知事(濱田省司君) 本県の経済は一部に持ち直しの動きが見られますものの、依然として厳しい状況下にあると考えております。例えば、旅館、ホテルに関して申しますと、6月以降、宿泊数は下げ止まりの傾向は見られますけれども、宴会の部門は非常に相変わらず厳しいという状況だと聞いております。また、飲食業におきましても新たな生活様式への対応、3密回避ということもあり、座席数を減らして営業されているというようなことがございまして、利益を上げることが難しい状況になっているという声もお聞きをしております。 一方で、いわゆる新型コロナ関連の倒産の件数につきましては、本県では件数的には僅かなものであるというふうに考えておりますけれども、一方で事業承継の相談件数は最近増えてきているというふうにも聞いております。本県の事業者は多くが中小あるいは小規模でございまして、経営基盤も大変弱いわけでございますので、先行きへの不安から、休廃業をこの機会に考えているという業者も少なからずあるのではないかというふうに懸念をいたしております。 こうした中、御指摘がございましたけれども、感染症の収束がなかなか見通せないということもありまして、今月公表されました日本銀行の業況判断DIにおきましては、業況が年末に向けまして再び悪化をする、いわゆる二番底的な状況になっていくんではないかというような見込みを示す事業者が増えているということであろうと思います。 こうした状況を考えますと、本県経済の本格的な回復に向けましては、なお時間を要すると、まだまだ予断を許さない状況が続いているというふうに判断をいたしております。 ◆7番(田中徹君) 予断を許さないというお話がありましたけれども、ではこの新型コロナウイルスの影響による厳しさを乗り越え、今後どのように本県経済を回復軌道に乗せていこうとされているのか、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(濱田省司君) 今後の経済の方向でございますけれども、引き続きしっかりと感染防止対策を行っていくと、これが大前提になると思います。ただ、それと同時に社会経済活動の回復との両立を図っていくということが大変重要であると考えます。今後も経済状況をしっかり見極めながら、必要な対策をちゅうちょなく講じてまいる考えであります。 あわせまして、今後経済を回復軌道に乗せていくということを展望いたしますと、当面の経済対策もさることながら、一歩先をにらみまして、ウイズコロナ、アフターコロナの時代の社会構造あるいは産業構造の変化にどう対応していくかと。そこを先取りしていくといいますか、そういった動きを強めていくというところに力を注いでいかなければいけないというふうに考えております。そういうウイズコロナを念頭に、新しい事業計画の下で挑戦をしようとしている事業者の皆さんを、しっかりと応援していくということにポイントを置きたいと思います。 そのために、具体的には今議会におきましては、各産業分野でデジタル技術を活用していただくことを促進するというようなこと、また新しい生活様式に対応するための設備投資を応援していくというようなこと、さらには自然・体験型の観光施設の磨き上げを応援していくと、こういった類いの施策を強化しようということを提案させていただいております。今後も、こうした方向でさらに充実を図っていきたいと考えております。 こうした対策を総動員しながら、県の経済を再び回復軌道に乗せていくということに向けまして、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。 ◆7番(田中徹君) 次に、雇用についてお伺いいたします。新型コロナウイルス感染症による影響が全国の雇用状況に影を落としています。本県の5月分の有効求人倍率は0.95倍となり、56か月ぶりに1倍を下回りました。8月分の有効求人倍率を見ましても0.92倍となっており、1倍を上回ることがない状況が続いています。 また、昨日公表されました、厚生労働省発表の新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報によれば、10月2日集計時点で、解雇、雇い止めの人数が都市部を中心に全国で6万人を超えています。そうした中、本県の解雇、雇い止めの人数は全国で最も少ない67名と公表されています。 しかしながら、これらの数字は全国の労働局やハローワークを通じて把握できた数の計上であり、実態としてはさらに多いのではないかと言われています。実際に、私の周りでも非正規労働者の方々から、職を失ったといった声もあり、私の感覚としても、もっともっと多いのではないかと感じています。今後、さらに新型コロナウイルス感染症による経済の停滞が長期化すれば、雇用を生み出す対策が求められてくるのではないかと考えます。 県として、今後を見据えた雇用対策の必要性についてどのように認識されているのか、商工労働部長にお伺いいたします。 ◎商工労働部長(沖本健二君) 県内事業者の皆様は、国の雇用調整助成金などに加えて、融資制度や県独自の給付制度などを活用いたしまして、まさに家族である従業員の雇用維持のために懸命に頑張っておられる、そのような状況だというふうに受け止めております。議員御指摘のとおり、今後新型コロナウイルス感染症の影響が長期化すれば、失業者が現在全国最少となっております本県においても増加することが懸念をされます。 先般、全国知事会は、雇用維持のため業種間での労働移動などの促進策を講じるとともに、リーマンショック時と同様の緊急雇用対策を実施するよう国に提言をしております。今後も県内の雇用情勢を注視しながら、国に対して適宜適切な提言を行いますとともに、本県の特性を踏まえた雇用対策を検討、実施してまいりたいというふうに考えております。 ◆7番(田中徹君) また、景気の悪化により心配されることが自殺者の増加です。厚生労働省発表の警察庁の自殺統計に基づく自殺者数の推移等によれば、本年8月に全国で自殺した人は暫定値で1,854人で、昨年同時期に比べ251人、15.7%増加しています。また、男性は5.6%増の1,203人、女性は40.3%増の651人となっています。 今年の自殺者が急増した背景には、新型コロナウイルスの影響も指摘されています。実は、過日、私が知っている方も自ら命を絶たれました。新型コロナウイルスの影響があったかどうかは断定できないものの、周りの方からはそういった要因もあるのではないかとお伺いしています。私としては残念でなりません。もしそうだとしたら、なぜ救えなかったのか、悔しい気持ちでいっぱいであります。 そこで、新型コロナウイルスの影響も踏まえた県内の自殺者の状況について警察本部長にお伺いいたします。 ◎警察本部長(熊坂隆君) 県内の自殺者数につきましては、本年8月末現在77名で、前年同期に比べて14名減少しているところでございます。したがって、新型コロナ感染の影響が直接見られるものではございません。しかしながら、自殺原因等の調査する過程において、周辺の方から、コロナの影響があったのではないかという話が聞かれたものも数件ございます。新型コロナウイルス感染症が影響したものはないとは言い切れないというところでございます。 ◆7番(田中徹君) 警察本部長からは、言い切れないということで、あるかもしれないという御答弁をいただいたわけですけれども、冒頭高知家プロモーションに触れましたが、私の考える家族とは、楽しいときも苦しいときも寄り添える存在であり、苦難のときこそお互いを支え、励まし合い、助け合えるものだと信じています。予想もしなかった新型コロナウイルスの影響が大きく広がる世の中で、希望や明るい未来が描きにくい今だからこそ、高知家は一つの大家族やき、一人じゃないでえと声を大にして言いたい。そんな強いメッセージが必要ではないかと私は考えます。 そこで、新型コロナウイルスの影響による自殺者が県内で発生しているという現実を知事はどのように受け止められるのか、お伺いをいたします。 ◎知事(濱田省司君) 自殺には様々な原因、動機があるということは考えられますが、新型コロナウイルスの感染症の影響でさらにつらい思いをされ、自ら命を絶たれていらっしゃるというような状況は、私としても大変残念でなりません。コロナ禍の下で今後の生活に御不安を感じておられる方もおられるのではないかと、多いのではないかというふうに思います。 議員からのお話もございましたけれども、どうか一人で悩みを抱え込まずに、まずは身近な人あるいは地域の様々な相談窓口がございます。そういった相談窓口に、ためらわずに御相談をいただきたいということを私としても申し上げたいと思います。 県といたしましては、様々な分野におきます相談窓口の周知でございますとか、これらの連携によりまして適切な支援につないでいくということを図りますとともに、事業の継続と雇用の維持に向けました経済対策を引き続き推進をしてまいります。県民の皆さんの尊い命を守るということを第一に考えまして、健康政策の面、福祉の面、あるいは経済対策の面、こういったものを総合的に動員いたしまして、自殺者を出さないという考え方で全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。 ◆7番(田中徹君) さきにも述べましたように、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、経済の回復に時間がかかるとするならば、本県においても経済的困窮や精神的な不安定さなどから自殺者の増加が心配をされます。本県でも相談窓口が設置され、周知も一定なされていますが、いま一度アウトリーチの視点に立った、より一歩踏み込んだ対策が望まれていると感じます。 そこで、自殺者の発生を防ぐための今後の対策について地域福祉部長にお伺いいたします。 ◎地域福祉部長(福留利也君) 自殺を予防するためには、相談窓口の周知とともに、関係機関による横の連携と地域における支援力の強化が重要であると考えております。 まずは、先ほど知事が答えましたように、一人で悩みを抱え込まずに、まずは身近な人や地域の相談窓口にためらわずに相談していただきたいというメッセージが、不安を感じている人や周囲の方に伝わるように、マスメディアを通じて広報を強化してまいります。 また、関係機関による横の連携につきましては、平成20年のリーマンショックの際には、特に経済・生活問題を原因に亡くなった方が増加をした、こういう状況にございました。このため、福祉保健所などにおける地域の自殺予防のネットワークなどの関係機関と、経営相談などを担当する窓口との連携を強化しまして、支援をしていく体制づくりに取り組んでまいります。 またあわせまして、心のケア相談を担当します精神保健福祉センターの職員が地域に出向き、関係機関にスーパーバイズを行うなど、地域支援の強化を図りまして、個別支援が必要な方を地域においてアウトリーチなどにより、しっかり支援ができる体制を構築してまいりたいと考えております。 コロナ禍の現状において自殺を防ぐことは喫緊の課題でありまして、時期を失することなく取り得る対策をしっかりと講じてまいります。 ◆7番(田中徹君) 次に、観光振興についてお伺いいたします。私は、今般の新型コロナウイルス感染症が拡大し始めた頃から、内需主導型の消費喚起策を実施するよう求めてまいりました。そんな中、本県では知事を先頭に6月から地産地消を進めようと、「食べて!遊んで!高知家応援プロジェクト」が始まっています。この取組は、県民が本県の現状を知るとともに、新型コロナウイルスの影響を受けている生産者や飲食店を応援する仕組みで、非常によい取組だと高く評価をしています。 そこで、観光においても県内の消費拡大、需要の喚起を図るため、県民の皆様に県内観光を意識してもらうことが必要であり、「食べて!遊んで!高知家応援プロジェクト」を拡大、継続すべきではないかと考えますが、このプロジェクトの今後の展望について産業振興推進部長にお伺いいたします。 ◎産業振興推進部長(井上浩之君) 「食べて!遊んで!高知家応援プロジェクト」は、前半の県によるプレゼントキャンペーンに続きまして、現在は民間主体による地産地消キャンペーンが展開されているところであります。この間、県内の多くの量販店や飲食店などでプロジェクトののぼりやステッカーなどを御活用いただいております。県民の皆様にも広く浸透してきたのではないかと考えているところでございます。 加えて、国の「Go To Travel キャンペーン」の開始によりまして、本県への観光客の入り込みが上向きつつあり、さらに「Go To Eat キャンペーン」、こちらのほうも全国版のオンライン飲食予約の取組が今月からスタートいたします。そして、地域ごとに使えるプレミアム付食事券の取組も、11月2日から本県でスタートすることになっております。こうしたことから、地産地消に加えまして、外商面での効果も期待されるところであります。 こうしたことも踏まえまして、今年度末まではこのプロジェクトを継続していきたいというふうに考えております。 ◆7番(田中徹君) 今年度末までということで御答弁をいただきました。 今後、県内観光を推進するに当たっては、昨日上治議員の御質問の中でもお話がございましたふるさと再発見という視点を持って、誘客を図るイベントやコンテンツの充実を図る必要があると考えます。その一つの成功事例が、本年7月にリニューアルオープンしました新足摺海洋館SATOUMIだと思います。高規格道路が延伸されたとはいえ、移動には一定の時間を要しますが、海洋館にはオープン後、2か月で8万人を超える来館者があるなど、好調な入り込みが継続しており、多くの県内観光客でにぎわっているとお聞きしました。また、周辺の海中遊覧などのアクティビティーや足摺岬も多くの人出があり、地域への波及効果も見られるということです。 そこで、県内観光の推進に資する国や県の観光キャンペーンに連動した下半期の誘客イベントや観光資源の創出はどのようなものがあるのか、観光振興部長にお伺いいたします。 ◎観光振興部長(吉村大君) 下半期の誘客イベントでは、冬のナイトタイムエコノミーとして定着しつつありますイルミネーションやキャンドルライトなどを活用したイベントが、高知市中心街をはじめ県内各地で開催されます。また、海、山、川での遊びを熟知した地元の方と触れ合う体験イベントや、東部地域の日本遺産と太平洋の絶景を楽しめるイベントも予定をしております。 新たな観光資源としましては、仁淀ブルーのほとりのバーベキュー施設がリニューアルオープンしますほか、奥四万十の豊かな森でジップラインやアスレチックを体験できる施設などもオープンいたします。こうした誘客イベントや観光資源をぜひ県民の皆様にも満喫していただきたいと考えています。 ◆7番(田中徹君) また、今議会には高知観光リカバリーキャンペーンの追加予算も提案され、宿泊を伴う県内旅行を促進することに加え、観光需要を喚起する様々な取組も検討されています。そうした中、多くの県外観光客の来高を見込むことができる高知龍馬マラソン2021やカシオワールドオープン ゴルフトーナメント2020が相次いで中止されるなど、この冬の観光振興面はまだまだ厳しい状況も予測されます。 この際、冬場という時節柄でもありますし、県民の皆様には、まだ十分に知られていない県内の隠れた名湯を楽しんでいただくということはいかがでしょうか。県内には数多くの温泉がありますし、併せて地元食材をふんだんに使った食事も堪能していただければ、波及効果も大いに期待できます。現在は、個人・少人数旅行が旅のトレンドでありますし、レンタカーを利用して県内を周遊していただくことも一案ではないでしょうか。このことは、感染症拡大の影響を受け、厳しい経営状況を余儀なくされているレンタカー事業者の皆様の一助にもつながると考えます。 そこで、コロナ禍において、県民向けに冬場の県内周遊を促す取組として、温泉やレンタカーを活用した県民向けの観光推進策を考えてみてはどうかと考えますが、観光振興部長に御所見をお伺いいたします。 ◎観光振興部長(吉村大君) 温泉の活用につきましては、自然&体験キャンペーンの実行委員会におきまして、県内の温泉をPRする企画を立案してはどうかとの御意見もいただきましたことから、宿泊事業者の方々と温泉巡りの企画などについて意見交換を行ってきました。また、レンタカーの活用につきましては、現在県レンタカー協会とタイアップをさせていただいて、道の駅で特典が受けられる周遊企画を実施しております。業界団体の皆様からは、レンタカー利用促進への支援継続についての御要望もいただいております。 お話にございましたような高知龍馬マラソンの中止などを受けまして、この冬の本県観光を盛り上げていくためには、県民の皆様に県内の観光地を巡っていただくことも大切であると考えております。このため、レンタカーを活用した周遊企画の第2弾としまして、温泉とレンタカーの利用を組み合わせた取組を関係の皆様と共に検討したいと考えております。 ◆7番(田中徹君) これまで、県内観光に軸足を置き質問してまいりましたが、もちろん地産外商、すなわち県外からの誘客の推進に取り組む必要もあります。Go To Travel事業は、今月から対象地域に東京都が加わり、地域共通クーポンも発行されていますので、なおさらであります。この事業は、国内観光の需要を喚起するため、最大1人1泊当たり2万円というかなり大胆なインセンティブを付与するものです。また、昨日観光庁より、9月15日までに事業を利用して宿泊した人は、少なくとも延べ1,689万人泊に上ることが発表されました。地域の観光需要を喚起する効果も非常に大きいと考えます。 本県では、このGo To Travel事業に連動する形で、交通費用を上乗せ助成する高知観光リカバリーキャンペーンを展開し、他県との差別化を図ることで本県への誘客を促進しています。交通費用を助成するという制度設計は、Go To Travel事業の仕組みを見据えた効果的な選択肢であったと思います。しかしながら、Go To Travel事業自体、当面という前提付ではあるものの、来年1月末までの期間が設定されていますので、終了した場合には反動減が心配されます。 そこで、この反動減を和らげるためにも、例えば連泊も誘発できる宿泊割引などのアフターGo To対策を企画することも有効ではないかと考えますが、観光振興部長に御所見をお伺いいたします。 ◎観光振興部長(吉村大君) 国のキャンペーンが終了した場合には反動減も憂慮されますので、これを抑えるためにも、本県を旅先として選んでいただけるような創意と工夫が必要になると考えています。議員の御提案は、反動減の抑制や第4期産業振興計画の課題であります観光消費額の拡大に向けても、有効な取組ではないかと考えています。 今後、国の動向も注視しますとともに、観光リカバリー戦略のPDCAサイクルを回す中で、本県の観光需要の回復状況を確認しながら、具体的な施策を検討したいと考えています。 ◆7番(田中徹君) 次に、移住促進策についてお伺いいたします。今年は新型コロナウイルスの感染拡大による春先の緊急事態宣言の影響もあり、人々の移動が制限されたことや様々なイベントが中止を余儀なくされるなど、移住関心層へのアプローチに大変御苦労されているのではないかと思います。 そこでまず、コロナ禍で移住者の呼び込みに苦戦しているのではないかと危惧しますが、現状について産業振興推進部長にお伺いいたします。 ◎産業振興推進部長(井上浩之君) 直近の数値は8月末時点でありますけれども、移住相談件数は1,065件で、対前年同月比63%、移住組数は421組で、同じく87%と前年度を下回っている状況にございます。しかしながら、人の動きが本格化し始めました8月単月で見ますと、相談件数、移住者数ともに前年同月を上回っておるというふうな状況になっております。 移住者が増加傾向にあります市町村にお聞きをしたところ、以前から相談されていた方がコロナ禍を契機に移住された、あるいはUターンの方が増加している、また相談があってすぐ移住される方が多いといった傾向が見られるということであります。 ◆7番(田中徹君) 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、毎年夏と冬に、東京都、大阪府で開催している高知暮らしフェアや就職・転職フェアについて、本年6月に予定していた開催はオンラインに切り替え、7月から9月にかけて開催したとお聞きしましたが、どのような結果であったのか、産業振興推進部長にお伺いいたします。 ◎産業振興推進部長(井上浩之君) 今年の7月から9月にかけて開催しました、高知暮らしフェア、それから就職・転職フェアでございますけれども、ともに特設サイトを開設しまして開催をし、市町村や企業情報の動画配信とオンラインによります個別面談、交流会などを実施したところであります。 期間中、サイトのアクセス数は、この高知暮らし、そして就職・転職の両サイト合わせまして7万件を超え、多くの方にサイトを見ていただきました。一方で、市町村や各産業分野の担当者との個別面談は延べ33名、企業との個別面談は延べ75名、先輩移住者との交流会へ参加された方は延べ55名ということでございまして、思ったほど伸びなかったという状況でございます。 オンラインのフェアは、期間中全国どこからでも、またいつでも参加できるというメリットがありまして、参加者にはおおむね好評でありましたけれども、運営する側といたしましては、そうしたサイトへのアクセス者を個別面談に誘導するということの難しさというのを実感したところであります。 ◆7番(田中徹君) では、オンラインイベントの結果や移住実績の現状等を踏まえまして、本年11月と12月に開催されるフェアはどういった内容で開催されるのか、産業振興推進部長にお伺いいたします。 ◎産業振興推進部長(井上浩之君) やはりオンラインのみとなりますと、先ほど申し上げましたようにサイトへのアクセスはあっても、やっぱり相談者も相談を受ける側、双方とも全く面識がないということでございまして、いきなり個別の相談に誘導することはなかなか難しいなというふうに感じたところであります。 また、この9月に大阪府で、100万人のふるさと回帰・循環運動推進・支援センターが開催をしました対面のフェア、こちらのほうが例年以上の参加があったということでございまして、対面相談へのニーズというものがいまだに高い状況にあると言えるのではないかというふうに思っております。 こうしたことから、11月末と12月に大阪府、東京都で開催するフェアにつきましては、感染予防対策をしっかりと講じた上で、対面ブースとオンラインブースをそれぞれ設置し、オフラインとオンラインを組み合わせて行うように現在準備を進めているところであります。 具体的に申し上げますと、オンライン相談を希望される方に事前に県の移住・交流コンシェルジュが面談をいたしまして、個別のニーズや課題をお聞きした上で、その方に合った市町村あるいは各産業分野の担当者につなぐといった対面のコーディネートを行うこと。すなわち、コンシェルジュが間にワンクッション入って調整を行うといったことや、フェア当日会場にお越しになられた方にも対面で同様のコーディネートを行いまして、会場に来ていない市町村とオンライン上でスムーズに相談ができるような、そうした新しい試みを同時に行うように検討しておるところでございます。 冬のフェアでは、こうした形でオンラインとオフライン、対面を組み合わせまして実施することで、移住者の増加、相談者の増加につなげていきたいというふうに考えております。 ◆7番(田中徹君) また、現在密を避ける生活へのニーズの高まりやテレワーク、リモートワークの広がりにより、地方暮らしへの関心が高まっています。高知のような大自然に囲まれた農村、漁村での暮らしに憧れを抱く若い世代の方々が増えているという報道も見聞きします。 私は、今こそUターン対策を強化し、県外に転出した県出身者を強力に呼び戻してはどうかと考えますが、産業振興推進部長の御所見をお伺いいたします。 ◎産業振興推進部長(井上浩之君) 先月開催いたしました新しい人の流れを高知に呼び込むための方策を議論する県内外の有識者によります懇話会でも、コロナ禍において、なかなか一から人間関係を構築するということは難しく、既に本県と何らかの関わりのある方にターゲットを絞ってはどうかというふうな御意見もいただきました。こうした方々の中でも、特に本県出身者は本県を移住先の第1候補として検討する可能性も高く、また今回のコロナ禍によりまして、そうした方々が増えてくるのではないかというふうに思っているところであります。 このため、本県出身者をターゲットにいたしまして、市町村や県人会あるいは高校の同窓会とか、協定を結んでおります県外の大学とも連携をしながら、まずは先日県が立ち上げました高知家ゆる県民倶楽部、関係人口をつくっていこうというふうなアプリでございますけれども、そちらへの入会を促すことで、そうした方々に本県の魅力ある仕事とか暮らしの情報をしっかり届けることによりまして、Uターンを加速してまいりたいと考えております。 あわせまして、来年度の移住促進策のバージョンアップに向けましても、さらにUターン策をしっかりと強化してまいりたいと考えております。 ◆7番(田中徹君) 第2期高知県まち・ひと・しごと創生総合戦略に掲げる人口社会増減の均衡という目標に向けては、U・Iターンなどの転入促進策に加え、県内学生の県内就職の促進といった転出抑制策も一体的に推進すべきと考えます。 知事が先頭に立たれて県民運動的に展開してはどうかと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 ◎知事(濱田省司君) 御指摘がありました転出抑制でございますけれども、特にそのターゲットといたしましては、お話がありましたような県内の大学生、そして本県出身の県外大学生で、新卒で就職をされる機会に県内の就職を促進すると、この2つの局面が大事であるというふうに考えており、第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略におきまして、この2つの点からこのための取組を推進しております。 1つは、何といいましても若者に魅力のある仕事を県内に多くつくるということでありまして、この点は地場産業とデジタル技術の融合でございますとか、IT・コンテンツ産業関連企業の誘致と、こういった取組を推進いたしております。 2点目は、こうした魅力のある仕事が本県にたくさんあるということをできるだけ多くの若い方々に知っていただくということであります。このためには、県内外の大学との連携により、学生の皆さんにお知らせをしていくということと併せまして、インターンシップですとか就職相談会の機会を充実していく、さらには保護者を通じて情報提供していく、さらに企業自ら魅力の発信を強化していただく、こういった様々な取組を講じているところでございます。 御指摘もありましたように、今回のコロナ禍で都会よりはむしろ地元での就職を希望する学生の皆さんも増えてくるということも見込まれるというふうに思います。 今回の補正予算で強化をいたします県内事業者のデジタル化の促進は、ただいま申し上げましたような若者が魅力を感じます仕事の創出につながっていく、それを狙ったものでございます。また、シェアオフィスの整備は、都市部の企業を呼び込むというためのものでございますが、これは若者の雇用の受皿となるということを目指しております。こうした施策をさらに強化いたしまして、しっかりと推進をしていきたいと思います。 移住の促進に加えまして、多くの若い方が高知に残り、誇りを持って定住できるようにしていくということ、さらには県外から戻ってくることができるような、そんな魅力ある高知県にしたいという思いでございます。そのためには、関係者が言わば総出でしっかり取り組んでいくということが必要でございます。市町村や高等教育機関、産業団体、企業、こういった方々と連携をいたしまして、総力を挙げて取り組んでまいります。 このための具体的な取組といたしまして、こういった産官学の関係者で構成をいたします、大学連携まち・ひと・しごと創生推進本部会議でございますとか、地域活性化雇用創造プロジェクト推進協議会、こういった場を通じまして、さらなる取組の強化に向けて議論を深めてまいりたいと考えます。 引き続き、こうした取組をさらに強化いたしまして、御指摘がありましたような県民運動的な展開につながってまいるように、私としてもしっかり努力をしてまいります。 ◆7番(田中徹君) 先ほども提起しましたように、県民がそれぞれ家族に声がけや周知を行うことで、移住者の大幅な増加が期待できます。現在、濱田知事は関西圏からの活力を呼び込もうとされていますが、ぜひ大阪府で開催される高知暮らしフェアにも知事自ら参加され、これまでの御経験を生かされたトップセールスを行うことにより、本県への移住を促進することが必要ではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 ◎知事(濱田省司君) 本県に移住される方の内訳を見ましても、約3割は関西圏からの移住の方々でございますし、関西圏は歴史的に本県と非常につながりが深く、本県出身者も多いという土地柄でございます。せんだって、関西・高知経済連携強化アドバイザー会議を大阪で開催いたしましたけれども、この中でもこのコロナ禍で都市から地方へ、新しい人の流れが生まれると、このチャンスを逃さずに移住促進を強化すべきという御意見もいただいたところでございます。 今お尋ねがございましたように、11月の末に大阪で高知暮らしフェアを開催する予定といたしておりますが、これはコロナウイルス感染拡大後、初めて対面とオンラインを組み合わせて実施する予定といたしております。そうした大規模な相談会でございますので、私といたしましても他の日程との調整は必要になりますが、できる限り参加をさせていただいて、私自身から高知の魅力をしっかりと伝えてまいりたいと考えております。 またあわせまして、私のこれまでの経験あるいは人間関係なども生かしまして、関西圏での情報発信などにも取り組んでまいりたいと考えております。 ◆7番(田中徹君) 次に、東京オリンピック・パラリンピックについてお伺いいたします。新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を受け、開催が1年延期された東京オリンピック・パラリンピックですが、いまだ詳細な開催内容に分からない部分があるとはいえ、来年4月の聖火リレーの実施が発表されるなど、来夏の開催に向けて本県も本格的な準備を加速しなければなりません。 そこで、開催延期となったオリンピック・パラリンピックについて、これまでの取組の継続も含め、本県として今後どのように進めていかれるのか、文化生活スポーツ部長にお伺いいたします。 ◎文化生活スポーツ部長(岡村昭一君) 東京オリンピック・パラリンピックに関連する県の取組につきましては、例えば来年7月に本県で実施が予定をされておりますチェコ共和国及びシンガポールの事前合宿に向けた、ウイズコロナあるいはアフターコロナの下での安全・安心な受入れ体制の構築。また、オリンピックの開会式及び閉会式などにおけるよさこい演舞の実現に向けた活動。さらには、各種の全国的なオリンピック関連イベントへの本県の産業振興などにもつながる積極的な出展など、これらをはじめといたします様々な取組につきまして、知事を本部長とし、副知事及び関係部局長で構成をしております高知県スポーツ振興推進本部会議などを通じまして、各部局の取組状況の共有を図るなど全庁的な連携の下、しっかりと進めてまいりたいと考えております。 ◆7番(田中徹君) 取組を進める上で、いま一度県民の機運を盛り上げていくことが必要と考えますが、機運の醸成についてどのように取り組まれるのか、文化生活スポーツ部長にお伺いいたします。 ◎文化生活スポーツ部長(岡村昭一君) 東京オリンピック・パラリンピックに関連いたします各種のイベントなどにつきまして、例えば来年3月25日に福島県をスタートし全国を巡る聖火リレーが、本県では4月19日、20日の2日間、177名のランナーによって実施されることなどに関して、各市町村などともしっかりと連携をいたしまして、積極的な広報を行います。とともに、事前合宿に関しましても期間中の選手との交流などはもちろんでございますが、来月には駐日チェコ共和国大使館と連携をいたしました関連のイベントを本県で実施いたしますなど、この東京オリンピック・パラリンピックが本県の魅力の発信、また県民の皆様のスポーツへの関心の向上などにとりまして絶好の機会であることを踏まえて、県を挙げて大会に向けた機運の醸成を図ってまいりたいと考えております。 ◆7番(田中徹君) 次に、関西圏との経済連携についてお伺いいたします。濱田知事は、この関西圏との経済連携について、昨年の県知事選挙の際から公約の一つとして訴えてこられました。新型コロナウイルスの影響により開催が遅れていました第1回アドバイザー会議も先月2日に開催され、戦略の柱として、観光推進、食品等の外商拡大、万博・IRとの連携、以上の3つの方向性が示されたところです。本年度中に新たな戦略を策定されるということですが、知事がどういった思いで関西圏との連携を強化することを考えてこられたのか、私も含め多くの県民が今なお関心を寄せています。 そこで、関西圏との経済連携について、知事の思いとはどういったものなのか、改めてお伺いをいたします。 ◎知事(濱田省司君) 私は、昨年の夏まで約2年間、大阪府に副知事として勤務をいたしておりましたときに、現実にこの目、耳で見聞きをした大阪の経済活力の状況、これが今回の経済連携を強化していきたいときの原点となっております。今現在は、ここはちょっとさま変わりをしておりますが、特にアジアからのインバウンドの観光客が殺到しておったり、あるいはちょうど私が在任中の2年間に万博の開催が決定をいたしまして、万博、IRを受けて言わば先行投資のような形で非常に都市開発も進んでいると、こういった大阪の活力を2年間目の当たりにしてまいりました。御縁があってこの後高知県の行政を任されることになりましたから、大阪と高知の連携強化で、言わばウィン・ウィンの関係にできることがきっとあるはずだと、こういう思いでこの関西経済連携に取り組んでいるところでございます。 この連携を進めるに当たりましては、観光客の誘致あるいは各産業分野におきます外商を効果的に進めるという上で、様々な数値目標を設けましたり、また目標達成に向けた工程などを明らかにして、これを戦略的に進めていくということが大変大事だというふうに考えております。 このために、私の大阪勤務時代の人脈も頼りまして、関西圏の経済界あるいは行政関係者などをアドバイザーとして委嘱をし、こうした方々から構成をされる会議を設置いたしまして、現在議論をいただいているところでございます。先月、第1回目のアドバイザー会議を開催いたしましたが、御指摘がありました3つのプロジェクトの方向性に関しまして、多数の具体的な御意見あるいは御提案も頂戴をいたしました。また、その根底には、ぜひ高知を応援したい、あるいは一緒にやりましょうといった、本当に本県への取組に対する力強い後押しの声をいただきまして、私自身も感激をしたところでございます。この会議を通じまして、大阪の経済界を代表する皆様との人的なネットワークを構築できつつあるということも、今後にとって大変大きな財産になると考えますし、私としても心強く思っているところでございます。 こうしたアドバイザーをはじめといたします関西圏とのネットワークを生かしながら、私自身が先頭に立ちまして、この関西圏との経済連携の強化に向けた取組をしっかりと推進していく決意でございます。 ◆7番(田中徹君) 知事から御答弁いただきましたその思いを反映させるために、第1回アドバイザー会議を踏まえ、今後具体的にどのような取組を進めていこうとしておられるのか、産業振興推進部長にお伺いいたします。 ◎産業振興推進部長(井上浩之君) 第1回のアドバイザー会議では、先ほど知事からも答弁いたしましたように、3つのプロジェクトの方向性に関しまして多くの御意見をいただきました。例えば、観光面では、本県の強みを生かしたイメージ戦略を確立すること、大阪観光局との連携協定を締結してはどうかという話。それから、食品等の外商面では、関西圏の市場関係者や企業などとのネットワークを生かして、県産品の外商拡大を図ってはどうか。あるいは、戦略全体に関しましては、コロナ禍による人々のライフスタイルや価値観の変化をチャンスと捉えまして、先手を打った取組を進めなければいけないといった御提案もいただいたところであります。 こうした御意見を基に、今月末の第2回のアドバイザー会議では、大きな戦略の柱の中での取組をしっかりと組み立てまして、数値目標や工程表も加え、改めて委員の皆様にお示しし、御意見も伺いたいと考えております。その上で、具体的な施策につきましては、来年度の予算に向けて検討を急いでまいりたいと考えております。 ◆7番(田中徹君) 先ほど申し上げましたように、5年後の大阪・関西万博の開催を見据えれば、目前に迫る東京オリンピック・パラリンピックの開催を好機と捉え、海外からの参加者に高知県を強くアピールすることは有効な手段だと考えます。 そこで、来年の開催が予定されている東京オリンピック・パラリンピックを関西圏との経済連携にどのようにつなげていかれるのか、産業振興推進部長にお伺いいたします。 ◎産業振興推進部長(井上浩之君) 来年の東京オリンピック・パラリンピック開催期間中には、関西圏にも国内外の多くの観光客が訪問することが見込まれております。こうした関西への観光客を本県への誘客につなげること、すなわち関西プラスワンとして本県を選んでもらえるようにすることが、東京オリンピック・パラリンピック開催における関西圏との経済連携の大きなポイントになるものというふうに考えております。 今後、大阪観光局や関西エアポートなどとの連携を強化する中で、本県への誘客に向けた具体的な取組について検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆7番(田中徹君) 次に、教育現場での感染症対策についてお伺いいたします。本年2月議会において、児童生徒に対する感染症予防対策について私も質問させていただきましたが、これまでの間、学校教育現場において新型コロナウイルス感染症の拡大を防げたという結果に、改めて感謝を申し上げます。教職員をはじめとする学校関係者や家庭・地域の方々の御理解や御協力があってのことだと思います。 しかしながら、現在一部ではあるものの、教室での授業時間や休み時間にマスクを着用せずに学校生活を送っている児童生徒がいることも事実です。これから冬場の新型コロナウイルス、インフルエンザ同時流行を見据えて、感染症対策をしっかり継続していくことが大事であり、マスク着用などの指導をいま一度徹底し、学校をはじめ家庭や地域などの協力を得ながら、一丸となって取り組む必要があると考えます。 そこで、今後の学校教育現場での感染症対策についてどのように取り組まれるのか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(伊藤博明君) 県内の各学校では、これまでも文部科学省の、学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアルに基づきまして、手洗いや換気、消毒、マスクの着用などにより感染症の予防対策がなされてまいりました。また、児童生徒にはマスクの着用や手洗いの励行、できるだけ間隔を空けるなどの新しい生活様式について、家庭の協力を得て定着を図ってきております。 これらの感染症対策は、新型コロナウイルス感染症だけでなく、インフルエンザなどにも有効でありまして、引き続き実施していくことが大変重要であるというふうに考えております。このため、県教育委員会としましては、今後もマスク着用などの感染症対策を徹底してまいります。あわせて、今月中にも各学校からの保健だよりなどを通じまして、家庭での協力も要請してまいります。 ◆7番(田中徹君) 最後の項目として、感染予防対策と県民への周知・啓発についてお伺いいたします。今年は新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行を見据え、様々な取組が進められています。本県でも、今月1日から65歳以上の方などにインフルエンザワクチン接種費用の自己負担分を全額補助するなど、対策が進められています。これまでも季節性インフルエンザの発生状況などは、適宜周知・啓発も行われてきましたが、本年の状況を鑑み、五類の感染症であるとはいえ季節性インフルエンザの発生状況について、県民への情報発信を強化すべきではないかと考えます。 この県民の関心事である、季節性インフルエンザ発生状況についての情報発信の強化について健康政策部長にお伺いいたします。 ◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) 感染症は、その名のとおり人に感染し、そして流行を生み出すものですので、県民の皆様にその発生状況をお伝えし、各自で予防策を取っていただきますよう注意喚起をしています。インフルエンザもその一つで、例年週報として県のホームページに掲載をしているところです。一方、同じく感染症である新型コロナウイルスについては、現在感染者の発生の有無にかかわらず、県内の患者状況をマスコミの皆さんにお知らせし、報道していただいています。 これから冬場に向かう中で、インフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行が懸念されている状況ですので、インフルエンザの発生状況を、県ホームページの新型コロナウイルス関連情報ページにも掲載する、また新型コロナウイルスの状況について記者発表を行う際に参考としてお示しするなど、新型コロナウイルスに関する情報と併せて県民の皆様にお伝えしていきたいと考えています。 ◆7番(田中徹君) それぞれに御答弁いただきましてありがとうございました。 私、冒頭でも高知家について取り上げさせていただきましたけれども、この新型コロナウイルスという難局を乗り越え、高知家の皆さんが笑顔で暮らせる日が一日も早く来ることを願いまして、私の一切の質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手) ○副議長(西内健君) 以上をもって、田中徹君の質問は終わりました。 ここで午後1時55分まで休憩といたします。   午後1時49分休憩-----------------------------------   午後1時55分再開
    ○副議長(西内健君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 浜田豪太君の持ち時間は60分です。 10番浜田豪太君。 ◆10番(浜田豪太君) 自由民主党の浜田豪太でございます。お許しをいただきましたので、早速質問させていただきます。 本年6月23日に濱田知事出席の下、令和2年度第1回高知県産業振興計画フォローアップ委員会が開催されました。私も傍聴させていただきました。その委員会の中で、日本銀行高知支店の当時の奥野支店長による「高知県経済の現状等について」という講演がございました。その中で、高知県の経済の動向について、「ここ数年高知県の景気は改善を続けてきたが、本年2月、3月頃から、新型コロナウイルス感染症の悪影響が観光や個人消費を中心に急速に拡大し始め、日本銀行高知支店は3月から5月にかけて景気判断を連続して引き下げ、4月には約6年ぶりに回復の文字を削除しました。6月は景気判断を全体として据え置いたが、労働需給に関しては引き締まった状態から弱めの動きが見られているに下方修正された」とのお話がございました。 また、公共投資について、「公共投資は高水準で推移しており、県内経済を下支えしている。今年度の公共工事予算、国、県、市町村については、災害復旧や国土強靱化を中心に、ここ20年近くで最大であった昨年度とほぼ同水準の金額が計上されている。感染症の影響による工事の遅れといった話もほとんど聞かれていない」との話でありました。このように、本県の建設業を取り巻く環境は、数少ない新型コロナの影響が小さい業界と言われております。 そこで、濱田知事に、コロナ禍の本県経済における建設業の現状をどのように考えておられるのか、御所見をお伺いいたします。 ◎知事(濱田省司君) 県が発注いたします工事は、入札を行うものが年間で1,400件余りあるような状況でございますけれども、新型コロナウイルスの影響によりまして、この発注工事の一時的な中止をせざるを得なかったものが4件ございました。4件しかなかったと言うべきかと思います。この4件も、現在では2件は完成しておりますし、残りの2件は今月完成見込みとなっておりまして、そうした意味で大きな影響は今のところないというふうに言ってよろしいかと思います。 また、今議員からの御指摘がございました日銀の高知支店の業況判断を見ますと、建設業のみがコロナ禍の中でもプラス判断という形で推移をしているというふうに言われているところでございます。建設業の皆様には、コロナ禍の影響によりまして県内の多くの産業が厳しい状況にある中でありますけれども、建設業の皆様の分野におきまして、特に地域の雇用を守っていく、そして県経済の下支えをしてきていただいたと、そういうふうに評価をしている次第でございます。 県経済の回復に一定時間がかかることが見込まれるという中でございますので、建設業の皆様方には、引き続き地域の経済、雇用の下支えをしていただくということはもちろんでございますけれども、再び県経済を成長軌道に乗せていく際におきましては一翼をぜひ担っていただきたいという思いでおります。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。 次に、土木部長に、コロナ禍における建設業の課題について御所見をお伺いします。 ◎土木部長(村田重雄君) 建設業は、その業務特性から現場作業が中心でありまして、他の業種でコロナ対策として取り組まれているような在宅勤務になじまない部分も多く、人と人との接近、接触の削減が難しいことが課題であるというふうに考えております。これまでにも手洗いの励行、マスクの着用といった感染防止対策については業界共々取り組んでいるところでございます。 今後は、接近、接触の削減をより進めていくために、現場と離れた場所からの施工状況の確認や指示の実施、また現場と事務所間での協議の実施といったことなどに、デジタル技術の活用を図っていくことが必要だというふうに考えております。土木部といたしましても、こうした取組を今後積極的に進めていきたいと考えております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。 さて、本年は平年に比べて大幅に遅い梅雨明けや異例の長雨と多雨でした。9月に入ると台風9号、10号など、規模の大小はあるにせよ本県でも災害は発生しております。なお、台風14号も今近づいておるというところでございます。 そして、その災害現場では、主に地元の建設業者の皆様が復旧作業に努めてくださっております。私も度々それらの災害発生地域の方々から要請を受けて視察等に伺い、日頃顔なじみになりました業者の方々と意見交換をさせていただいております。 そんな中、複数の建設業者さんからコロナ禍で大変お困りであるとの声をお聞きしました。それは、本県の一般競争入札の総合評価方式の中で、発注規模5億円までを目安に適用されております企業評価型の評価項目である、配置予定技術者評価の技術力評価項目である継続学習制度、CPDへの取組についてであります。 この継続学習制度とは、個人IDの加入者が講習会などで学習をした場合に、その学習の記録を登録し、必要な場合に学習履歴の証明書を発行するシステムであり、一般に継続学習はCPD--コンティニュイング・プロフェッショナル・ディベロップメントと呼ばれます。この講習を主催している全国土木施工管理技士会連合会では、平成12年に他の建設系学・協会に先駆け、いち早くCPDを導入し、特に固有の名称としてCPDにシステムのSをつけてCPDSと呼んでいるとのことであります。 そして、このCPDSの目的は、技術者が自己研さんの活動を通じて、国民の福祉に役立つ良質な目的物を創造するための技術力と資質の向上を図ることにあります。CPDSは、1公開・公平性、2信頼性、3専門性の3理念に従い、利用者の利便を考えて運営するとされております。 まず、企業評価型の配置予定技術者評価におけるCPDへの取組の意義を土木部長にお伺いします。 ◎土木部長(村田重雄君) 将来の公共工事の品質確保のためには、建設事業者が現時点で技術力を有していることに加えて、中長期的な技術力の確保に向けてしっかりと取り組んでいただけることが重要であると考えております。また、公共工事の品質確保の促進に関する法律、いわゆる品確法におきまして、事業者の中長期的な技術的能力の確保のための取組状況について、入札及び契約における手続の各段階で評価に努めることが、発注者の責務として位置づけられております。このため、この趣旨に合致していると考えられます継続学習制度、CPDを総合評価方式の評価項目の一つとして採用しております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。 さて、ここからが問題であります。御承知のとおり、今年度に入りまして、4月7日には政府による緊急事態宣言が発出されるなど、全国一斉にコロナ禍に陥りました。その影響はありとあらゆる業種、業界に及ぼされましたが、その中で、このCPDSの講習会等も4月、5月は開催されず、6月26日から開催されました。しかし、各会場では3密などを避けるといった理由により、定員が大幅に削減されており、申込み開始時点で既に定員オーバーになり、締め切られるなどといった声もお聞きしております。 建設業界では、いわゆる端境期対策のおかげで、以前に比べ年度初めにも格段に仕事は増えているとのことでありますが、それでも仕事量は少なく、多くの建設業者さんはこの年度初めの時期にCPDSの講習、県の技術講習や安全大会に出席し、企業型評価点数を確保して、夏以降の繁忙期に臨むというのが通常でありました。今年度は、多くの業者が4、6月期に点数を確保できていないのではないかと推察いたします。 そこで、今年度現在までに建設業界及び建設業者から講習の追加要望などについて、土木部への要望等の現状につきまして土木部長にお伺いします。 ◎土木部長(村田重雄君) 今年度、県が開催いたします講習につきましては、4月に予定していた講習1回を7月に延期しましたものの、それ以降の講習は予定どおり開催しております。また、高知県土木施工管理技士会などが行う講習につきましても、当初予定していた講習につきましては、一部時期を変更したものはあるものの、全て実施する予定と伺っております。あわせまして、6月、7月にはコロナの状況を考慮し、新たに3つの講習を追加開催する対応を取ったとも伺っているところです。 また、建設業界からは、通常講習や安全な開催に加え、非対面型のオンライン講習を増やして継続的に学んでいける環境を整えてほしいという要望を1件いただいております。高知県土木施工管理技士会に伺ったところ、オンライン講習については参加者が確実に受講しているかの確認が難しいため、現状ではCPDS講習の認定はしていないとのことでございました。今後、CPDS講習がオンラインでも受けられるよう、高知県土木施工管理技士会に検討を要請してまいりたいと考えております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。 次に、総合評価方式におけるCPDの配点についてお聞きします。県は、このCPDについて推奨単位である100点、業界ではユニットと申しますが、つまり100ユニットの10分の8以上を10点、10分の5以上10分の8未満を7.5点、10分の3以上10分の5未満を5点、10分の1以上10分の3未満を2.5点、10分の1未満をゼロ点と定めております。また、CPDの有効期間は5年間とされております。5年を経過したユニットは消滅していくので、コンスタントに講習を受講し続ける必要があります。80ユニット以上をキープしていなければ、企業評価型の年間10点を確保できないということになります。5年間で80ユニットをキープするには、毎年16ユニットを獲得しなくてはなりません。 残念ながら、先ほどからお話ししているとおり、CPDの講習を受講できていない業者さんが多くおられます。これは、大手の例えばA級の業者さんのように技術者や社員をたくさん抱えておれば、物理的に受講する数を増やすことができますが、B級以下の業者さんのような限られた社員、技術者の中で仕事を回しておられる方々には、非常に厳しい状況であります。例えば、80ユニットを本年は60ユニットや70ユニットまで下げる、または前年度のユニット数を据え置くなど、特例的な措置を取らなければ、来年度以降B級以下の多数の業者さんが大きな損害を被るのではないかと推察いたします。 また、現在多くの都道府県において総合評価方式の入札制度が導入され、CPDも同様に取り入れられております。そして、その多くが100ユニットを満点としておりますが、その中において四国4県を調べてみますと、高知県では先ほど申しましたとおり、80ユニットで満点であります。一方で、徳島県、香川県、愛媛県ではいずれも50ユニットが満点であります。 そこで、私は他の四国3県に比べて本県のCPDの配点の基準のハードルが高いと考えますが、土木部長の御所見をお伺いします。 ◎土木部長(村田重雄君) お話にありましたように、四国の他の3県は満点とするユニット数を本県よりも低い50ユニットとしているところです。全国的に見ますと、都道府県の半数を超える自治体が本県よりも高いユニット数を満点の基準としておりますので、全国的には決して高い状況にはないと考えております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。 そこで、ここまでの話を含めてCPDの来年度に向けた対応につきまして土木部長の御所見をお伺いします。 ◎土木部長(村田重雄君) 先ほどお話ししましたように、本年度も一定の受講の機会が確保されると聞いておりまして、建設事業者の皆様には積極的に受講していただき、技術の研さんに努めていただきたいと考えております。仮に、お話のような状況が発生した場合には、業界の御意見もお聞きしながら対応について検討していきたいと考えております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。これからまさに冬に向けて第2波等が来て、さらに講習等が減る可能性もなくはないと思います。そういったときにやはり業界の方々と、先ほど部長が御答弁くださいましたとおり、対応していただきたいなと思っております。 次に、私は今回このCPDへの取組について質問するに当たり、複数の建設業者さんから御意見を伺い、そして様々な資料を精査いたしました。その中で、やはり多数の声として、本県の入札制度自体の改善を求める声もございました。その背景には、昨年4月から施行されました、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律、いわゆる働き方改革関連法の施行があります。この法律は、長時間労働の是正、正規・非正規の不合理な処遇差の解消、多様な働き方の実現という3つを柱として、人口減少による労働力不足の解消を目指して、働き手を増やし、出生率を上昇させ、労働生産性を向上させるためにつくられました。 本県は、地理的・自然的条件などから、これまであまたの災害に見舞われてきました。建設業界は、その都度災害対応やインフラ復旧・整備などの大変重要な役割を担ってきました。そして、この重要な役割はこれからも半永久的に続きますし、ましてや予想される南海トラフ巨大地震の発生を考えますと、役割の大きさはさらに増しておるのではないかと考えます。 それほど重要な役割を担う建設業ですが、建設業は長時間労働の傾向が高く、毎月勤労統計調査を基に国土交通省が作成した資料によりますと、2016年度調査、産業の年間実労働時間の平均が1,720時間に対し、建設業では2,056時間に上り、他の産業よりも336時間も多いことが分かっております。 また、気象条件などにより完全週休2日の確保が難しく、休日出勤が常態化していることなどが影響し、ほかの産業と同様に、建設業でも労働力不足、担い手不足は深刻化しております。そのような労働力不足や担い手不足を改善するための働き方改革であるはずですが、働き方改革を進めれば進めるほど、地域の中小建設業者の経営が圧迫されているのが現状ではないかと私は考えます。 そこで、現在の働き方改革の本県建設業の現状について土木部長に御所見をお伺いします。 ◎土木部長(村田重雄君) 働き方改革につきましては、これまでも官民協力して取り組んできているところでございます。 毎年行っております建設事業者へのアンケートのうち、働き方改革に関する回答を見てみますと、例えば週休2日制度を実施済みと回答した事業者は、平成30年度は10%であったものが、令和元年度は17%となっております。また、令和3年度までに導入予定と回答した事業者はさらに18%あり、徐々にではありますが働き方改革が進んでいるものと考えております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございました。 このような現状におきまして、私は少しでも本県建設業界がスムーズに働き方改革を達成することができないものかと、様々な資料や聞き取りを行う中で、1つ参考になる事例を見つけました。それは、徳島県県土整備部により発行されました徳島県工事関係書類等の適正化ガイドラインであります。徳島県が建設業界における労働者の健康確保やワーク・ライフ・バランスの改善、また将来の担い手の確保のため、より働きやすい職場環境となるよう、現場技術者の負担軽減を目的として、平成30年度に徳島県工事関係書類等の適正化検討タスクフォースを計3回開催し、工事関係書類等の適正化の検討が行われました。 そして、タスクフォース構成員である業界団体や適正化検討タスクフォースでの意見から、受注者が不要な書類を作成していることや、発注者から受注者への指示について受発注者間で合意形成できていない事例が確認されました。そこで、これらの内容について整理し、工事関係書類等の適正化が図られるよう、徳島県工事関係書類等の適正化ガイドラインを令和元年5月に取りまとめられました。 私は、友人の徳島県議に問い合わせてみました。その県議のお話では、このガイドラインが取りまとめられるに至るまでの流れとして特徴的なものは、業界団体と県職員でつくる適正化検討タスクフォースを発足させて、会議を重ねながら常に業界団体の意見を取り入れて改善をしている点であるとのこと。また、それに加えて、県の職員が建設業協会の各支部を直接訪ね、それぞれの地域性に合った要望を入札制度に反映させるような取組をしていると御説明くださいました。 この適正化ガイドラインを拝見しますと、工事関係書類について、40項目ほどの該当文書が作成不要、提出不要、紙提出不要になっております。もちろん適用条件等はそれぞれございます。このような書類の簡素化は、建設業者の皆様にとりまして大変有効な働き方改革につながると思います。 土木部長に、これらの工事関係書類の簡素化について本県の状況をお伺いします。 ◎土木部長(村田重雄君) 工事関係書類の簡素化につきましては、建設業界における働き方改革につながる重要な取組の一つと認識しております。これまで、建設業界関係団体との意見交換会やアンケートを基に工事関係書類の簡素化に努めてまいりました。 徳島県の適正化ガイドラインにおいて簡素化されている40項目につきまして、適用条件等がありますので単純に比較はできないものの、本県においても36項目については簡素化しております。加えて、徳島県が簡素化していない10項目につきましても、本県では簡素化をしているところでございます。 簡素化しました結果につきましては、高知県建設工事技術者研修会テキストに掲載し、研修会等で周知をしているところでございます。さらに、本県では、今年8月から技術管理課のホームページに工事書類適正化目安箱を設置いたしまして、書類の簡素化に関して幅広く意見を受け付けているところでございます。 今後も工事関係書類の簡素化に向けまして、継続的に取り組んでまいります。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。それぞれの取組、安心しました。 それで、先ほど部長の御答弁の中で、土木部がこれまで高知県建設業協会や各土木事務所との意見交換などでいろいろ取り入れていただいているということをお聞きして。 そこで、これまでの意見交換会等ではなくて、例えば私が先ほど取り上げました徳島県の例で言うと、適正化検討タスクフォースのような、書類の簡素化あるいはCPDの在り方などのような地域の枠ではなくてテーマを絞り、それに特化した検討会のようなものの設置というのも、先ほどの進めていただいている簡素化のさらに課題の深掘り、解決に近づくのではないのかなと私は考えます。それについて土木部長の御所見をお伺いします。 ◎土木部長(村田重雄君) 毎年、県からは建設業界の各支部にお伺いしまして、意見交換会を実施させていただいております。その中で入札制度ですとか工事施工に関する御要望、御意見をいただき、必要なものは制度改正等に反映するなどの対応をさせていただいたところでございます。 検討会の設置につきましては、業界団体の御要望をお聞きした上で、皆様の関心が高く、集中して議論するにふさわしいテーマがあれば、県としましてもしっかり対応してまいりたいと考えております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。ぜひ意見を聞いていただいて、テーマを絞って、いろんな地域地域の課題もあるでしょうけれど、やっぱり何か1つこれに答えを出すというような形の一つの検討会というのも非常に有効ではないかと考えますので、ぜひよろしくお願いします。 次に、総合評価方式についてさらにお聞きいたします。平成30年の9月定例会で、そちらにおられる西内健副議長が、総合評価方式を採用して約10年がたち、その効果と課題について質問されました。村田部長は、「総合評価方式における課題としましては、入札情報などの情報公開が進む中、入札業者の積算能力が大きく向上してきたことで、一部の工事入札において調査基準価格付近への応札が集中し、その結果、入札価格での競争の幅がなくなってしまい、技術評価の評価点の持つ意味合いが強くなっている状況がございます。こうしたことから、総合評価方式における評価項目やその基準については、評価全体のバランスを考慮し、また地域の建設業の状況などにも十分配慮しながら、建設業界全体の健全な発展につながる、よりよい入札制度となるよう努めてまいります」との御答弁がございました。 その御答弁のとおり、先ほど来質問のお答えでいただいておりますとおり、様々な改善に努めてこられておることは重々承知しております。例えば、高知県優良建設工事施工者表彰は、かつて10点であった評価点数も、今では5点にまで下がっております。さきの9月14日には、本年度の表彰式も行われました。本年度も知事賞5件、優良賞20件の計25社が優良建設工事施工者表彰を受賞されており、その中には13年間連続で受賞されている会社や、数年連続で受賞されている会社も多数おられます。その会社の皆様には、御努力に対し心から敬意を表したいと思います。 しかし、また一方で受賞企業に偏りが見られるのも事実であり、エントリーしてもなかなか表彰されない会社もおられます。現在、総合評価方式における表彰の配点は知事賞、優良賞が5点、土木事務所長表彰が2.5点ですが、いずれも工事成績の評定点が80点以上と、優秀な成績を収められていることに変わりはございません。とすれば配点で差を設けずに、例えば有効期間で、知事賞、優良賞は3年、土木事務所長表彰は1年というふうに差別化を図るなどの工夫が必要ではないでしょうか。 本県に総合評価方式が導入されて10年以上が経過をし、建設業協会と土木部の皆様の御努力により、この優良建設工事施工者表彰も変化してきております。 そこで、さらに今後の課題として、現在ある土木事務所長賞の点数を知事賞、優良賞と同点にして、有効期間で差別化を図るといったことも必要ではないかと考えますが、土木部長に御所見をお伺いします。 ◎土木部長(村田重雄君) 優良工事表彰につきましては、非常に頑張っていただいている建設業者の皆様に、より多くの受賞機会を提供するため、昨年度、受賞件数をこれまで15件だったものを25件に大幅に増やす制度改正を行ったところでございます。総合評価の評価点や有効期間の見直しなど、入札制度に係ることにつきましては、これまでも業界からの御意見をお伺いしながら必要な見直しを行ってきております。 今後もよりよい制度になるよう見直しを検討してまいります。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。ぜひお願いいたします。 さて、これまでの一連の総合評価方式の入札制度に関する質問の最後に1点お聞きしたいと思います。私は、先ほども申し上げましたとおり、土木行政に精通しているわけではございません。今回の質問を作成することに際して、多数の建設業界の方々からお話を聞かせていただきました。社長さん、社員さん、技術者さん、事務員さんなど、その皆様のお話を私なりにまとめて、今回の質問に至りました。その中で、もちろん今回の質問の趣旨であります建設業を取り巻く環境の向上につきまして、非常に積極的に進めてほしいという方々と、現在の入札制度を含めた状況に満足しておられる方々が同じぐらいの数、ひょっとしたら、これまでの様々な御努力を加味して、含んで、現状のままでよいのではないかというふうな方もたくさんおられることも感じております。 それは、これまで土木部と建設業協会、そして建設会社の皆様が知恵を出し合ってきた証左であるのではないかと思います。その結果として、A級、B級、C級、D級のピラミッドがバランスよく形成されているのが現在だと思います。 しかしながら、例えば完全週休2日制を導入するだとか、有給休暇を取りたいときに取れるようになるといったようなことができなければ、建設業の魅力を若者に伝える以前に、若者の就職先リストに建設業が入ることすら難しいのではないでしょうか。まして、本県は求職ニーズの高い事務系企業やIT・コンテンツ企業の誘致を進めております。今議会でも多くの議員がそれらについて質問しておられました。 これからのウイズコロナ時代では、さらにテレワークやリモートワークといった在宅でできる仕事が増える中、山や川、海で自然を相手に汗を流す建設業がそれらに対抗するには、これまで以上に思い切った対策を県がイニシアチブを取ってつくっていく必要があるのではないでしょうか。 そこで、濱田知事に、建設業界を今後いかにして守っていくつもりであるのか、御所見をお伺いいたします。 ◎知事(濱田省司君) 建設業の皆様方には、一たび豪雨災害などが発生しました際の緊急対応はもとよりでございますけれども、県民の皆さんの日々の暮らしあるいは経済、地域の安全・安心を支えますようなインフラ整備を進めていくという上では、建設業の皆様方のお力添えが何としても必要であるというふうに考えております。 また、本県におきましては、製造業など他の産業が相対的に弱いということの影響ではございますが、建設業は県の基幹産業でもあると言えると思います。各地域でこの建設業の方々が持続的に発展をしていくということが、地域の雇用、経済を守っていく、県経済の下支えをしていくということにもつながっていくものと考えております。 こうした考えもございまして、平成26年に建設業活性化プランを県のほうで策定して、工事の平準化あるいは技術力の向上などに取り組んでまいりました。これまで人材確保などの取組を行ってまいりましたけれども、その成果が十分に上がっているかと言われますと、なお道半ばの点も多いというふうに感じております。今後、さらに少子高齢化、人口減少が進んでいくということを考えますと、こうした活性化の支援策をもう一段強化していくことが必要な段階に至っているのではないかというふうに考えます。 目指すべき大きな方向といたしましては、1つには、デジタル技術を活用して生産性の向上あるいはコストの削減などに取り組んで体質の強化を図っていくということがございますし、もう一つには、働き方改革もしっかりと進めて若い方々にも魅力的な職場にしていくと、こういった視点も不可欠ではないかというふうに考えております。 今後、具体的にどういった手法を取っていけばいいかということに関しまして、検討を深めてまいりたいと考えております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。 先ほど、私の前の田中議員の質問の中で、仕事について、若者が魅力を感じる仕事をつくっていくと知事が力強くおっしゃっていました。建設業を魅力を感じる仕事に磨き上げていく、これも非常に大切なことであります。今週末には台風14号も来るかもしれません。その都度その都度やはり現場で守ってくださる、高知県に人が来てもらうために安心した県土を守っているという方がいる、その方々にもやはり光を当てて、そういった職業をしっかりと磨き上げていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 次に、教育政策についてお聞きいたします。 9月10日の神戸新聞で、神戸市教育委員会は来春の人事異動に向け、本年度から市立学校の校長、教頭の昇任試験を全て取りやめる方針を固めたと取り上げられました。阪神・淡路大震災後、教員採用を絞った世代が適齢期に入ったことや、管理職の激務から受験者が減っているのが大きな理由で、本人の意向調査と面談を経て、適任者がいれば30代の教頭先生もあり得るとのことであります。文部科学省によると、昇任試験なしは全国的にも例がないとのことでありました。 神戸市教育委員会の担当者は、積極的に若手を登用し、適任者がいれば30代の管理職も考えられるとし、文科省の担当者は、神戸市の取組は一つのモデルになるのではとのことです。神戸市教育委員会では、昇任試験の競争倍率は年々低下、教頭では2008年度には小学校で5.12倍、中学校は8.78倍だったが、2019年度には小学校で1.5倍、中学校は2.04倍まで落ち込んだそうです。背景には管理職の多忙化や重責があると見られ、神戸市教委は、手を挙げる人がいない、中堅層が少ないことと併せ、管理職の育成が危機的な状況とのことでありました。 そこで、本県の管理職の昇任試験と任用の流れについて教育長にお聞きいたします。 ◎教育長(伊藤博明君) まず、本県の選考審査ですが、校長については教頭歴2年以上の者に対して昇任希望の意思を確認した上で、希望した者の中から選考し、任用候補者名簿登載者というふうにしております。また、教頭につきましては、自ら志願する者、それから県民から推薦された者、加えてさらに小学校では市町村教育長、各教育事務所長から推薦された者、県立学校にあっては学校長から推薦された者が受審する制度としております。選考につきましては、課題論文と面接審査を行いまして、所属長等の所見書の評価及び勤務実績等により総合的に判断いたしまして、その上で任用候補者名簿登載者を決定しております。 次に、この校長、教頭への実際の任用につきましては、この任用候補者名簿登載者の中から管理職の欠員状況を踏まえまして、人事異動の中で行っております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。 では、本県の昨年度実施した管理職昇任試験の競争倍率について教育長にお聞きします。 ◎教育長(伊藤博明君) 昨年度実施しました昇任試験における校長の競争倍率は、小学校で7.2倍、中学校で6.3倍、県立学校で7.3倍となっております。同様に、教頭の競争倍率は、小学校で2.3倍、中学校で2.7倍、県立学校で2.4倍となっております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。 管理職への希望者を募る場合も、校内のグループウエア、インターネットで募集時期を知らせるだけの学校もあるとお聞きしましたが、教員への周知はそれで十分であるとのお考えであるのか、教育長に御所見をお伺いします。 ◎教育長(伊藤博明君) 管理職任用審査の内容を教職員に一斉に通知するための方法として、このグループウエアの機能を用いることは有効であるというふうに考えております。各学校の実情に応じて周知の方法を工夫してもらうことで、さらに周知が徹底されるよう、引き続き市町村教育長及び県立学校長等に要請をしてまいりたいというふうに考えております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。 先ほどの質問と関連して、教諭が管理職の昇任試験を受験する契機として、その教諭が勤めている学校長の声がけや推薦が重要な役割を果たしているとお聞きしますが、その際に管理職に求められる能力、資質とはどのようなものだとお考えであるのか、教育長に御所見をお伺いします。 ◎教育長(伊藤博明君) 公立学校教職員の人事異動方針におきまして、管理職には教育課題の解決に向けてリーダーシップを発揮し、成果を上げることができる人材が求められるというふうにしております。具体的には、先見性と幅広い視野、高い識見を持ち、変革に挑む積極性と行動力を有すること、それから学校経営に対する確かなビジョンを持ち、組織的で機動力のある学校経営を行う組織経営能力を有することなど9つの観点を上げておりまして、こうした観点が管理職に求められる能力、資質であると認識をしております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。 そこで、それらも踏まえて、本県も神戸市同様に、管理職昇任試験の倍率が小中学校においては低いと私は感じますが、それを踏まえて、今回の神戸市教育委員会の校長、教頭の昇任試験を全て取りやめるという方針自体について教育長の御所見をお伺いします。 ◎教育長(伊藤博明君) 必要な登用者数が増加傾向にあるにもかかわらず、志願者が減少し、競争倍率が下降傾向にある中で、より多くの対象者の中から優秀な人材を昇任させようと選考方法を見直したものだと、そういうふうに理解をしております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございました。 次に、神戸市教育委員会の記事に管理職の育成が危機的な状況と出ておりまして、管理職の昇任方法も大切です。その中で、管理職になる人材の育成も同じように重要かつ難しいのではないかと考えます。本県において、教育委員会を中心に各学校現場で管理職になり得る人材の育成に取り組まれておることは重々承知しておりますが、その中で高知県公立学校教員大学院派遣教員についてお聞きします。 これは、本県の教育課題を解決していくためのリーダー教員を養成することを目的として、大学院への現職教員の派遣研修を実施する事業でありますが、服務、給与等につきましては、派遣は長期研修として実施するものであり、教員の身分を有し、給与を支給されながらの修学となり、また入学料、授業料等は原則自己負担となります。ただし、重点派遣については予算の範囲内で県が授業料等を負担することになっております。さらに、長期研修中のその教員に代わる期限付講師あるいは時間講師の費用は、全て県が負担されております。 この高知県公立学校教員大学院派遣教員について、各学校に案内を配付したり、インターネットを利用して案内を出したとしても、多忙な学校の先生方に興味、関心を持っていただくのは難しいのではないかと考えますが、どのように募集しておられるのか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(伊藤博明君) 大学院派遣の募集につきましては、各市町村教育委員会を経由して、各学校において周知を図っていただくよう依頼するとともに、高知県教育委員会のホームページ等にも情報を掲載しております。 大学院派遣は、個人の資質能力を向上させることはもちろんですが、本県の教育課題の解決に向けてリーダーとなる人材の育成を目標としております。県教育委員会等の指導主事として専門性を発揮していただくことや、各地の研究拠点校において指導的な立場でのそれぞれの分野をリードしていただく、そういったことを想定しております。 こうした目的が達成できますよう、制度の一層の推進に向けて、今後市町村教育委員会連合会や小・中・高・特別支援学校の各校長会の会合などの場を活用いたしまして、この派遣に係る協力を求めていきたいというふうに考えております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。 その校長会等に声をかけて、例えば目ぼしい教員に校長が直接要請をしたり、各学校の校長によってその相手に対する推薦の基準が変わったりすることがあるのか、教育長に御所見をお伺いします。 ◎教育長(伊藤博明君) 各校長等の判断によりまして、教員のキャリアアップ等に資すると判断する場合には、制度の利用について声がけなどを行っていただく場面はあるというふうに考えております。応募に必要となります校長の推薦につきましては、各校長によって基準が変わるものではなく、県教育委員会の示す要綱等に基づいて、当該教員が派遣の趣旨に照らして適当であるか等を判断の上、推薦をしていただくものと考えております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。 実際に、先ほどキャリアアップと御答弁されました。派遣教員として大学院に派遣されたとして、例えば鳴門教育大学大学院学校教育研究科で特別支援教育を専攻しながら、せっかくの機会でありますから、その派遣分野以外の、例えば自身の有する英語の免許状の専修免許を取得するなど、キャリアアップを図ることは制度上可能なのでしょうか、教育長。 ◎教育長(伊藤博明君) 派遣教員が当該派遣分野以外の専修免許状を取得することは、制度上、各大学の定める履修上限の範囲内において、必要な科目等を履修することにより可能となっております。実際に、高知大学大学院教職実践高度化専攻において特別支援教育コースに在籍する教員が、自身が一種免許状を有する家庭科の専修免許状を取得した実績などがございます。 県教育委員会としましては、専修免許状の取得にかかわらず、派遣分野の学習に支障がない範囲において、当該派遣分野以外の分野について学びを深めることは、派遣研修の成果を高める観点からも意義があるものというふうに考えております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。 過去20年間において、この高知県公立学校教員大学院派遣教員の中で、その後管理職になられた方は全派遣教員のうち何人でしょうか、教育長にお聞きします。 ◎教育長(伊藤博明君) 平成11年度から平成30年度までの過去20年間に派遣した教員は215名、またそのうち派遣後に校長、教頭等の管理職に就いた教員は35名となっております。 なお、派遣者全体のうち91人、42.3%が現在50歳以下でございますので、今後管理職になる可能性がございます。 ◆10番(浜田豪太君) よく分かりました。ありがとうございます。 また、過去20年間において、大学院派遣教員の中で、高知県教育委員会に異動になった方は何人でしょうか、教育長。 ◎教育長(伊藤博明君) 先ほどの平成11年から30年までに大学院に派遣した215名のうち、その後県教育委員会事務局での勤務を経験した教員は76名となっております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。 私は、この大学院派遣教員が必ずしも管理職になる必要はないとは思いますが、やはり多額の県費を使って専門性を高めて、本県の子供たちのために役に立てる中で、その先生方がリーダーとして本県の教育を引っ張っていってもらいたく、管理職になって活躍してもらいたいと考えます。大学院派遣が一種の登竜門となるのであれば、その派遣基準は誰もが納得する透明性を持ったものでなければなりません。そして、その一方として管理職になる方の選出方法も、今回の神戸市教育委員会のやり方も一つでしょうし、ありとあらゆる可能性の中で、できる限り透明性を確保して、周りの先生方からも納得していただける抽出方法と人材を選んでいただければと願います。 最後に、今後本県に求められる教育現場での管理職像について教育長に御所見をお伺いします。 ◎教育長(伊藤博明君) 先ほどお答えしました管理職に求められる能力と資質と重なる部分がございますが、教育現場での管理職には、本県の教育課題の解決や教育理念の実現に向けまして、リーダーシップを発揮しながら学校組織全体として取組を推進し、成果を上げられる、そうした人物であることを期待しております。 また、教育に対する強い使命感や情熱とともに、変革に臨む積極性と行動力を有し、他の教職員からの信頼も厚く、加えて子育て世代の教職員にとって働きやすい職場づくりなど、働き方改革に積極的に取り組む姿勢を有していることも重要だというふうに考えております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。私も子供が学校に通っておりますので、学校で何かあればやはり教頭、校長に話をして、収めていただくといいますか、相談をしておるわけであります。吉良議員が質問の中で、やはり数が足りないとか少ないという話で、その中でそれをうまくやはりマネジメントしていくのが管理職の校長、教頭であって、その方々のやはりリーダーシップ、その方々が引っ張っていく教育現場、その学校がやはり目指す地域の学校の力の向上につながるのではないかと思います。引き続き、管理職をしっかりと応援していただきたいなと思います。ありがとうございます。 次に、高知国際中学校・高等学校についてお聞きいたします。 明日10月8日、高知国際中学校夜間学級の第2回の説明会が開催されます。夜間中学校の開校については、義務教育を修了しないまま学齢期を経過した方や、不登校など様々な事情により十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した方や、外国籍をお持ちの方々の学びの場として重要な役割を担っており、県議会でも多くの議員の方が質問されております。私は夜間中学校の開校にはもちろん賛成しております。 そして、今回県立高知南中学校分教室から高知国際中学校夜間学級になったことも賛成でございます。その理由として、高知国際中学校の学校経営計画の中の教育目標として、高知国際中学校・高等学校は、意識して飛び出すフィールドは地球を合い言葉に、地域や国際社会の発展に貢献できるグローバル人材を育成するとされており、今回の夜間学級が設置されることは、たとえ校舎は違っていても、高知国際中学校に学んでいる生徒たちにとりましてもよい刺激になるのではないかと考えるからであります。 そこで、今回の夜間学級の設置について、国際中学校の生徒たちにどのように説明をされているのか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(伊藤博明君) 高知国際中学校の全生徒に対しましては、8月26日に実施しました2学期の始業式の中で、校長が夜間学級の設置についてお伝えをしております。内容としましては、夜間学級の設置の意義や高知国際中学校夜間学級として設置される場所、どのような方が入学の対象となっているかにつきまして校長が口頭で説明をしております。 なお、保護者につきましては、こういった内容を文書にして9月の初めに御連絡をさせていただいております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。 また、今後国際中学校の生徒たちと夜間学級の生徒たちの交流などについて教育長の御所見をお伺いします。 ◎教育長(伊藤博明君) 高知国際中学校の昼間の生徒と夜間学級の生徒との交流を行うことは、異年齢交流によって多様な価値観を知ること、それから外国籍の方々との交流によって他国の文化を知ることなどにつながり、大変意義深いことだというふうに考えております。学習する時間帯が大幅に異なりますので、日常的に交流することは難しいと思いますが、総合的な学習の時間や学校行事などを活用しまして、異年齢、異文化間の交流などの教育活動の幅を広げていくことができるというふうに考えております。 今後、夜間学級に入学してくる生徒の状況等を把握しつつ、双方の生徒にとって学習効果が期待できる交流活動等を計画してまいりたいというふうに考えております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。すばらしいことだと思います。 次に、2018年4月に開校されました高知国際中学校ですが、開校時パンフレットでは、本年8月にMYP認定校となることを目指しておりました。MYPとは、ミドル・イヤーズ・プログラムの略であり、日本の中学校段階に相当するプログラムで、学習と社会のつながりを学習することです。具体的には、5つのテーマ、学習の方法、コミュニティーと奉仕活動、人間の創造性、多様な環境、保健教育と社会性の教育を基に、8つの教科、国語、英語、人文科学、理科、数学、芸術、体育、デザインを学習する教科融合型の教育のことであります。 そこで、平成30年9月、国際バカロレア機構よりMYP候補校として認定されておりますが、MYP認定校に向けた進捗状況につきまして教育長にお伺いします。 ◎教育長(伊藤博明君) 平成30年9月に国際バカロレア機構から日本の中学校段階に相当するMYPの候補校として認定されてから、正式認定に向けた手続を始めております。平成31年4月に、国際バカロレア機構から派遣されましたアドバイザーの訪問がございまして、申請書の作成などの助言を受け、今年2月にMYP認定校申請を行っております。この9月に、国際バカロレア機構から認定の審査員が高知国際中学校に派遣され、MYP認定の訪問審査が行われました。私もヒアリングを受けております。今後、審査結果の通知があり、諸手続を経て、今年度内にはMYP校として認定される見込みとなっております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。 そこで、本県は高知国際中学校・高等学校の新設に当たり、これまで東京学芸大学附属国際中等教育学校へ18人の教員を派遣して、実際に国際バカロレア教育、いわゆるIB教育を導入している現場での実地研修を行っているほか、玉川大学大学院のIB研究コースを修了し、IB教員の資格を取得している教員や外国人の教員も採用されております。 そこで、これら外部でIB教育に関する知識や経験を積んでこられた先生と国際中学校開校に合わせて県内の他校から来られた先生との、IB教育の浸透と理解のギャップについて教育長に御所見をお伺いします。 ◎教育長(伊藤博明君) 長期研修を受けるなど国際バカロレア教育について一定の経験がある者、先ほど議員からお話がありました玉川大の大学院卒が3名、それから東京学芸大学で研修を受けた者9名、12名、それと異動によりまして県内の中学校から赴任した者6名とでは、国際バカロレア教育についての理解度に差異があることは認識をしております。そのため、国際バカロレアの取りまとめ役の教員が企画をいたしまして、先進校などから招聘する外部人材、それから東京学芸大学附属国際中等教育学校での派遣研修の経験がある教員等が講師となりまして、国際バカロレア教育の経験がない教員、先ほどの6名になりますけれども、これを含む学校全体で国際バカロレアの理解を深める研修を定期的に週1回程度実施しております。 また、教員が三、四名程度でグループとなりまして、チームで指導案や指導方法について相談し合える仕組みを校内で構築しております。これらの取組によりまして、国際バカロレア教育の理解を深め、教員間のベクトルを合わせて、高知県版の国際バカロレア教育の取組を推進してまいりたいというふうに考えております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。これは非常に難しいことだとは思います。やはり、いきなり国際中学校に行った先生方からするとハードルも高いのかと思いますが、やはり学校全体としてその意識というものがなければ生徒に伝わりませんので、ぜひそこのところは徹底していただきたいと思います。 また、もうすぐ国際中学校で3年間を過ごした生徒が卒業を迎えますが、IB教育に大きな希望を持って入学された生徒たちには、この3年間を通して、当初の思いのまま学校生活を送っていただきたいと思います。 授業や教職員、学校生活について生徒たちから提起されている課題はないのか、教育長に御所見をお伺いします。 ◎教育長(伊藤博明君) 国際中学校の生徒を対象に、令和2年3月に行ったアンケート結果では、授業に関すること、学校行事に関すること、学校生活に関することについては肯定的な意見が7割を超えておりました。一方で、高知国際中学校は開校3年目ということで、国際バカロレア教育の実践もまだ発展途上にあるというふうに考えております。現状を肯定的に受け止めてくれる生徒は多いものの、教育内容をはじめとする学校の様々な活動に関して、より高度な内容を期待している生徒がいることも承知をしております。 これは、まさにバカロレア教育の成果でもありますので、さらなる教員の指導力の向上、それからプログラムの継続的な磨き上げ、体育祭や学園祭などの学校行事をはじめとした教育活動へ生徒の意見を生かすことなどによりまして、生徒が学習をはじめとした学校生活を自立的、意欲的に生き生きと送ることができるよう、学校を支援してまいりたいと。また、定期的な保護者の勉強会を通して、保護者の国際バカロレア教育の理解を深めることとしておりまして、家庭での生徒の学習活動についてサポートを仰ぎ、生徒たちが自己管理能力を身につけ、自らの目標に向かって、より主体的に学習ができるように、学校と家庭との連携も強化していきたいというふうに考えております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。非常にこれも難しいテーマだと思います。やはり、国際中学校に新規で、最初に国際中学校に入りたいと思って来た生徒たちは、生徒たち自身の思いというのが強いはずですので、ぜひやっていただきたいなと思います。 次に、高知国際中学校は来春初の卒業生を送り出しますが、現在の3年生が、国内外の大学入試に活用できる国際バカロレアの資格を取得できるDP--ディプロマプログラムコースを含む高知国際高校のグローバル科への進学を希望しているのか、現状について教育長に御所見をお伺いします。 ◎教育長(伊藤博明君) 7月に実施しました校内の進路アンケートの結果によりますと、ほぼ全員の生徒が高知国際高校のグローバル科への進学を希望しております。ディプロマプログラムコースを希望する生徒も20名程度となる見込みでございます。 高知国際中学校の在学生は、中学校入試の段階から海外や国内の大学など、学びたい大学を具体的に挙げることができるなど、高い進路意識を持っておりまして、中学校で実施する国際バカロレア教育において社会貢献の意義を学んでおります。そのため、高校で自ら何を学びたいか、将来どのような職業に就きたいかしっかり目標を持ち、高知国際高校に進学する際のコースを考えております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。 DPコースは比較的その後の進路については理解しやすいのですが、グローバル科には探究コースも設けられます。これらのコースがあるグローバル科の生徒の大学を含めた進路について、どのような想定をしておられるのか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(伊藤博明君) 高知国際高等学校のグローバル科には、DPコースと探究コースの2つがございます。このDPコースの生徒の進路としましては、3年次の卒業試験の結果により取得できる国際バカロレアの資格を活用して、国内外の難関大学をはじめとした生徒自身のキャリアプランに適した大学への進学が考えられます。 探究コースでは、高い英語の運用能力と探究力、そしてバランスの取れた国際感覚と行動力の育成を目指し、生徒は日本の学習指導要領の内容を国際バカロレア教育の手法を通して学習することになります。探究コースの生徒の進路といたしましては、学び方を学ぶ国際バカロレア教育の手法を通して身につけた考え方や高い英語運用能力を生かして、推薦入学や一般入試など様々な入試制度に対応できる学力を養い、生徒それぞれの目標達成に向けて希望に応じた進路実現を図ることを想定しております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。 次に、本年3月の一斉休校に始まり、コロナ禍におきまして、子供たちを取り巻く教育環境も大きく変化せざるを得ない中、オンライン授業というのが取り沙汰されております。そんな中、本年3月12日の高知新聞で、高知国際中学校におけるオンライン授業が取り上げられました。記事では、新型コロナウイルス感染症の影響で行えなかった学習をインターネットでつないだ遠隔授業で補ったことが取り上げられました。オンライン授業は1年の理科で、2年生は家庭学習で対応している、各グループはそれまでに1度授業を受けており、休校中にもう一度授業があるとも書かれておりました。 これは、高知国際中学校では生徒全員が学習用タブレット端末を持っているから実現したそうです。新設校であり、高知県のグローバル教育のトップ校として取り組んでいる高知国際中学校だからできたことではないかと思います。私が知る限り、休校下において、既に全生徒がタブレット端末を持っている中、理科を2回、保健体育を4回程度行ったと聞いております。この授業回数が多いか少ないかはそれぞれの保護者、生徒によって捉え方は違うと思いますし、やや少ない印象ではありますが、それは技術力と指導方法などが理由ではないかと推察いたします。 そこで、今後冬に向けて新型コロナウイルス感染症の新しい波の発生が予想される上で、今回のオンライン授業の経験を生かして、これまで以上に充実したオンライン授業への対応が必要ではないかと考えますが、教育長の御所見をお伺いします。 ◎教育長(伊藤博明君) 高知国際中学校では、全ての生徒が1人1台のタブレット端末を所有し、授業や家庭学習等において効果的に活用した学習を進めております。今回の臨時休業期間中には、オンライン授業以外にも課題の配信や回収など、学習の進捗状況の確認や日々の健康管理等にも活用しております。 今後は、平常時の授業における探究学習等でより一層の活用の充実を図り、再び臨時休業となった場合にはオンライン授業の実施教科や回数を増やしつつ、内容もより充実したものになるよう、これまでの成果や課題を生かした効果的なオンライン授業の実践について支援をしていきたいと考えております。 高知国際中学校の先進的な取組がタブレット端末活用のモデルとなって、今後のコロナ禍等における県内の生徒の学びの保障にもつながるよう、学校と連携しながら進めていきたいというふうに考えております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。 私は、生徒1人1台のタブレットでありますから、このメリットを最大限に生かさなければならないと考えます。国際中学校では、タブレットとオンラインを生かして、海外の学校や全国のIB校などとオンラインでの英語会話の授業などに役立てられないものかと考えます。 そこで、タブレットを使った英語教育の取組について教育長にお伺いします。 ◎教育長(伊藤博明君) 英語教育におきまして、タブレットとオンラインを生かしたメリットの一つとして、遠隔地や海外の方々と個別にリアルタイムで英語のやり取りができることだと考えております。高知国際中学校では2年生で台湾への修学旅行を実施しておりますが、昨年その事前学習として台湾のIB校とオンラインで交流を行っております。今年度も国内外のIB校とオンライン交流を計画しており、また英語の授業におきましては自らのスピーチを録画し評価に活用するなど、学習方法の改善にもタブレットを活用しております。 今後もオンラインのメリットを生かし、校外や海外とつながる取組を推進するとともに、デジタル教材などを有効に活用し、個々に応じた学習を進め、さらなる英語4技能の向上を図ってまいりたいと考えております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございます。 ここまで高知国際中学校について取り上げてきました。高知国際中学校・高等学校について、私は当初、県内の中山間地域に全寮制でつくればよかったのではないかと考えておりました。イメージ的には高知市の土佐山学舎のような感じです。しかし、今は国際中学校、高知西高等学校、高知南中学校・高等学校及び夜間学級が一緒になることに賛成しております。 ホームページを拝見しますと、目指す生徒像として、地球を生きる市民感覚のある生徒。異なる価値観の文化を尊重し、協働できる生徒、学びと人生を豊かに創造する生徒と書かれております。この言わば各学校の伝統や文化に、新しい国際中・高の価値観を加えて学校を運営していくことこそが、目指す生徒像に近づくことであると思います。そのためには、学校、保護者、地域の方々、有識者、教育委員会が同じ方向性を持って、子供たちを守っていかなくてはならないと考えます。 そこで、高知国際中学校・高等学校において、現在学校運営協議会が設置されていないとお聞きしておりますが、高知国際中・高が一つになる上においても、この学校運営協議会の設置、開催が必要だと考えますが、教育長の御所見をお伺いします。 ◎教育長(伊藤博明君) 学校運営協議会は、学校と地域住民とが力を合わせて学校の運営に取り組むことができる効果的な仕組みであると認識しております。県教育委員会では、平成30年に高知県立学校における学校運営協議会の設置等に関する規則を改正しまして、現在県立高等学校8校に設置しており、今後も拡充をしていく予定でございます。 高知国際中学校・高等学校においては、来年4月より高等学校がスタートしますことから、教育活動をさらに充実させていく必要がございます。そのためにも、保護者や地域の方々との連携・協働した学校運営が必要だと考えておりまして、今後学校と協議を重ね、学校運営協議会の設置に向けて検討してまいりたいと考えております。 なお、年度内に、開かれた学校づくり推進委員会につきましては、立ち上げていきたいというふうに考えております。 ◆10番(浜田豪太君) ありがとうございました。 高知国際中学校は、やはりそこに入る生徒、そしてそこに入れる保護者、その意識がほかのいわゆる一般の私が出たような地域の公立中学校とは違いますし、県立学校とも違うと思います。それぞれがかなり独自のIB教育へのイメージを持って学校に入られてきております。そういった方々と学校の校長先生を含む方々、そして教委がやはり一緒になって、高知国際中学校・高等学校を盛り上げていただきたいと思いますので、何とぞこの会議もできるだけ早く開いていただいて、そして前向きに取り組んでいただければと思います。 時間が来てしまいましたので、私の一切の質問をこれで終わらさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(西内健君) 以上をもって、浜田豪太君の質問は終わりました。 ここで午後3時15分まで休憩といたします。   午後2時55分休憩-----------------------------------   午後3時15分再開 ○議長(三石文隆君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 西内隆純君の持ち時間は40分です。 12番西内隆純君。 ◆12番(西内隆純君) 自由民主党会派の西内隆純でございます。議長よりお許しをいただきましたので、質問を行います。 質問に先立ちまして、2,822日の長きにわたり総理大臣として、日本国並びに日本国民を日夜問わず導いてくださいました安倍晋三前総理に、衷心より御礼を申し上げます。その実績については、朝日新聞の世論調査でも71%の方が評価するとのことで、全く評価しないとした方は1割にも満たない9%でした。御本人の悲願でもある憲法改正や経済政策の一部が実現できなかったことも事実ではありますが、しかしそれを補った上でも、なおあり余る多くの分野で歴史的な成果を残されました。 経済分野では、成長なき低迷が続く日本を救うため、慎重な日本の官僚を官邸主導で動かし、大胆な金融緩和政策を実施、有効求人倍率や所得、株価、GDPの拡大につながったことは皆さん御存じのとおりです。EUとのEPAやTPPなどの貿易交渉等でも大きな実績を残されました。 また、安全保障、外交分野では、戦略的な観点を欠かさず、国家安全保障会議の設置や武器輸出原則の緩和、特定秘密保護法、平和安全法制等の整備を行い、さらには防衛費の増額やF35、オスプレイ、いずも型護衛艦などの配備による戦力投射能力の向上に努められました。価値観外交をベースに自由と繁栄の弧を提唱し、アジア・太平洋地域の平和と安定に努められました。今までの受け身の安全保障、外交ではなく、日本と世界の国々が将来にわたり、平和裏に共存共栄するための道を切り開いたと言えます。 美しい日本を掲げた安倍前総理だからこそと感じますが、令和の元号は、初めてその起源を日本の古典によったものとし、さらには今般の御代替わりの儀式も慣例を踏襲くださるなど、伝統文化の面でも日本を守り通しました。憲法改正や拉致、北方領土、新型コロナウイルス感染症などの残された課題もある中、体調問題からの道半ばでの辞任には、大変無念な思いをしているものとお察し申し上げます。しかし、今は何とぞ御静養くださいまして、体調が万全となりましたら、再び御活躍くださいますことを心より御祈念申し上げます。本当にありがとうございました。 それでは、外国人労働者について質問を行います。 人口及び生産年齢人口減の影響が不可避的に顕在化しつつある中、政府は我が国経済の多くの分野で見られる人材難に対応するため、人手不足が深刻な産業分野において、技能を有する外国人労働者に在留期間を与え、特定の職種に従事することを認める特定技能制度を設けました。また、本制度に先立ち、技能、技術または知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力することを目的とした外国人技能実習制度が導入されました。同制度下では3年以上の研修を重ね、一定水準以上の技能と日本語能力を習得した場合、特定技能制度へ移行することができます。 我が国の生産年齢人口の減少が避けられない現況、そして外国人労働者を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中、まずは本県の外国人雇用の状況について商工労働部長にお尋ねいたします。 ◎商工労働部長(沖本健二君) 高知労働局の発表では、令和元年10月末現在、外国人を雇用している事業所は827か所でございまして、平成23年10月末時点の392か所からおよそ2.1倍に増加をしております。 県内の外国人労働者数は3,141人となっております。8年前の平成23年10月末時点の1,291人からおよそ2.4倍に増加しております。特に、技能実習につきましては、平成23年の614人から令和元年には1,972人に増加し、その伸びはおよそ3.2倍となっており、在留資格別での増加率は最大となってございます。 昨年新設されました特定技能は、出入国在留管理庁の最新の公表値によりますと、今年6月末現在で22人となっております。 ◆12番(西内隆純君) 今部長が御答弁いただいたとおり、本県に来高しております外国人労働者、年々年々増加の一途をたどっております。 こういった外国人労働者の受入れは、日本で技能を身につけたい、働き稼ぎたいとの意思を有する外国人の重要な受皿となる一方、中長期的に人手不足に直面する県内事業者にとってもプラスの材料と考えますが、商工労働部長の御所見をお尋ねいたします。 ◎商工労働部長(沖本健二君) 外国人材の多くは、開発途上国からの受入れが中心となっておりまして、日本の技術、技能が習得できることや、母国よりも高い所得を得ることができるという面がメリットとなっています。人口減少に伴い、生産年齢人口も減少している本県では、農業や漁業、製造業などにおいて外国人材は現在では欠かすことのできない貴重な存在となっております。今後も、人口減少は継続していくものと考えられますので、外国人材の確保、活躍に向けた取組が喫緊の課題であると考えております。 ◆12番(西内隆純君) 今し方、部長の答弁のとおり、高知県の様々な分野においても外国人労働者のニーズが高まり続けているわけであります。そういった外国人労働者を計画的に迎え入れるため、県では戦略策定を行う予定とお聞きしております。また、策定に先立って、県内事業者約3,000社に対して、外国人の雇用状況等の実態やニーズ、求める支援策等を把握するためのアンケート調査を実施されたと承知しております。 私自身、県内事業者から技能実習生についてお聞きする機会がありまして、外国人の受入れ機関である監理団体が入国後講習を実施できないため、県外の事業者に委託していることや、県内で仕事に必要な技能講習を受講することができないなどの課題があるとのことをお伺いいたしました。 技能講習の受講や資格の受検の機会がないといった課題の把握、もしくは行政に求める支援策といったことが、今般のアンケートにおいて行われているのか、商工労働部長にお尋ねいたします。 ◎商工労働部長(沖本健二君) 今回のアンケートでは、雇用後の支援として行政に求める施策に関する意見を聴取しております。現在集計中ではございますけれども、最も多かったのは日本語教育に関する支援でございまして、そのほかでは外国人向けの技能講習会や在職者訓練の県内開催、技能講習会時の多言語対応といった支援策を希望されております。 ◆12番(西内隆純君) 今の答弁と一部かぶる部分もありますけれども、技能講習等の受講機会として、どのような講習を望む声があったのか、商工労働部長にお尋ねいたします。 ◎商工労働部長(沖本健二君) 外国人向けの技能講習会や在職者訓練として県内事業者の方々が希望されておりますのは、玉掛け、フォークリフト、溶接の順に多く、そのほか介護、建設機械、チェーンソーといった講習も希望されております。 ◆12番(西内隆純君) 今御答弁いただいたような様々な分野で講習を受講したいということでございますけれども、県内ではなかなかそういったことを実現できていないわけでございます。 本県で働く外国人労働者を国籍別で見てみますと、英語圏でないベトナムやインドネシアなどのアジアの方々が多数いらっしゃいます。また、そうしたアジア諸国の方々は、今後も技能実習生として、また特定技能として本県での就労が期待される方々です。しかし、私が知る限り、こうした英語圏以外の言語を通訳できる方は県内で非常に限られております。こうした方々に就労面で必要となる技能の講習を母国語で支援することができれば、本人にとっては技能を習得できるメリットがあり、雇用者側は業務の幅が広がり、かつ安全な就労につながるといったメリットが生まれます。 これらを踏まえて、ネックとなっております言語面のサポート等を通じて、技能講習の受講や資格の受検機会を創出することが、外国人に選んでもらえる高知県になるために重要な取組と考えますが、商工労働部長の御所見をお伺いいたします。 ◎商工労働部長(沖本健二君) 議員が御指摘されますように、外国人の方々が技能講習を受ける上では、言語が大きな課題となっていることは認識をしております。外国人材の受入れ増加が見込まれます中で、県内で母国語による講習の受講や資格の受検が可能となりますことは、技能、技術の習熟等を望む外国人材にとって大きな魅力となり、それが本県の優位性となる可能性もございます。 しかしながら、現時点では多様化する外国人の全ての言語に対応できるだけの体制の確保が困難であるということや、技能、技術ごとの専門用語への対応といった課題もございまして、関係者と課題の共有を図りながら今後検討を進めてまいる所存でございます。 ◆12番(西内隆純君) 先ほど私のほうで申し上げましたとおり、今ほどのような課題は県内の監理団体にも共通しておりまして、本来は監理団体が負うべき問題ではありますけれども、送り出し国側の言語を通訳できる人的資源が限られていることを考慮いたしますと、例えば外国人労働者の関連団体が共同で利用できる通訳者のプールシステムみたいなものが必要なのではないかというふうに私も考えるところでございますけれども、もし答弁可能でしたら、商工労働部長お願いいたします。 ◎商工労働部長(沖本健二君) ちょっとそういった方々がどれだけいらっしゃるかというのは、まだ把握はしておりませんけれども、そういった仕組みというものは非常に有効ではないかと考えておりまして、今のアプリなんかで割と通訳ができるようなソフトもございますので、そういったものの活用なんかも図っていきたいというふうにも考えております。 ◆12番(西内隆純君) それと、先ほど県で策定をしておる外国人の受入れ計画でございますけれども、スケジュールなんかもし把握されておりましたら、商工労働部長の御答弁をお願いいたします。 ◎商工労働部長(沖本健二君) スケジュールに関しましては、随時行っておりますが、ただ、今なかなかちょっとコロナの関係でそのスケジュールどおり、今年に関しては進めていないという事実はございます。 ◆12番(西内隆純君) 今後詰めていくということでございますけれども、転ばぬ先のつえとして、また外国人労働者とその受入れ側の双方のメリットが最大化されるよう、外国人労働者の受入れ環境を戦略的に整備することが重要と考えますので、引き続きの取組をよろしくお願いいたします。 次に、クラウドファンディングの活用について質問を行います。 クラウドファンディングは、国内で必要な法的環境整備が行われた2014年を契機に、翌2015年の市場規模は379億円、2018年には2,044億円の急成長を遂げています。クラウドファンディングの類型は貸付型、購入型、寄附型、ファンド型、株式型の5つに分かれており、シェアの9割をソーシャルレンディングと呼ばれる貸付型が占めております。クラウドファンディングを本県の活性化のために積極的に活用していくべきとの立場から質問を行います。 これまでに県事業におけるクラウドファンディングの活用事例について総務部長にお尋ねいたします。 ◎総務部長(君塚明宏君) クラウドファンディング、様々な形態がございますけれども、特定の事業を実施するために目標金額を設定した上で、主にインターネットなどを活用しまして幅広く支援を募ると、そういった上でのクラウドファンディングにつきましては、これまで3件活用事例がございまして、さらに今年度もう一件を実施予定という状況であります。 ◆12番(西内隆純君) 総務部長の言われた3件というのは私のほうでも勉強させていただいておりまして、主にふるさと納税制度を活用したようなシステムというふうに理解しておりますが、総務部長そういった認識でよかったでしょうか。 ◎総務部長(君塚明宏君) 基本的には、ふるさと納税のような仕組みを活用しまして、そこに使途を明確にするという形の寄附を募っております。 ◆12番(西内隆純君) 実際上、これはクラウドファンディングのプラットフォームを使ったというだけであって、従来型のふるさとチョイスとか、さとふるとか、ANAのふるさと納税サイト等で行っているものと本質的には差がないわけでございます。 今後、クラウドファンディングを積極的に本県が活用していくとなると、より投資インセンティブが働きやすく、市場規模の大きな貸付型や購入型等の領域に、積極的に乗り出す必要があると私は考えております。 本県では商工労働分野において、地域活性化や産業振興のため、計画の策定支援や試作品の作製、設備の導入、宣伝などについて費用の支援を行うほか、高知県新商品の生産等による新事業分野開拓者認定事業制度を設け、新製品の外商拡大に努めています。県事業の取組の代替あるいは補完手段として、仮称ですが、高知県クラウドファンディング認定事業者制度を創設し、意欲のある県内事業者に対して同制度に基づく認定を付与することで、クラウドファンディングのプラットフォームを通じた資金調達を積極的に支援してはどうでしょうか。 本提案のメリットとして、事業の資金調達のウエートをクラウドファンディング側に重きを置くことで、県の費用負担を抑えられることに加え、資金調達の達成度が疑似的にマーケットリサーチ機能を果たす点などが挙げられます。デメリットとしては、プラットフォーム提供側の理解と協力を要する点や、手数料負担の大きさなどが挙げられるかもしれません。それでもなお新製品開発のための設備投資やスタートアップ、さらには事業承継等の様々なシーンの資金調達の手段として、非常に有用なツールと感じます。 新製品開発のための設備投資などの取組に必要な資金調達を容易にするため、県内事業者がクラウドファンディングを積極的に活用することについて商工労働部長にお伺いいたします。 ◎商工労働部長(沖本健二君) 例えば金融機関からの融資あるいは社債の発行、株式の発行等々、様々な資金調達方法がある中で、クラウドファンディングによる資金調達を行う事業者が少しずつ増えてきているということは承知をしております。ただ、クラウドファンディングは消費者ニーズの把握や商品のPR、あるいはファンの獲得など販売促進につながる効果がある一方で、資金調達額が目標に届かない場合、事業が実施できなくなるというリスクなんかもございます。こうしたことから、例えば一般消費者向け、いわゆるBツーCの製品やサービスの開発などにおける資金調達方法としては、有効なツールになるのではないかというふうに考えております。 ◆12番(西内隆純君) のせた以上は必ず実施しなくてはいけないというところが前提にあるのかもしれませんけれども、マーケットリサーチ的機能というところに焦点を当てた場合、必要なクラウドファンディングで設定した目標額に達しないということは、そもそもその事業には世間からのニーズがないということで、1つそこを事業を継続的にやるかどうかの判断のポイントにするというふうなさび分けも、将来的には整理をすることによって可能ではないかというふうに私は思うわけでございます。 そういうことで、クラウドファンディングの活用できるシーンは、農林水産業や中山間振興、インフラ整備など、アイデア次第で今後ますます増えていくものと私は考えておりますけれども、こういった多方面の県政課題に対処するための財源確保のため、県事業へのクラウドファンディングを活用することについて知事に御所見をお伺いいたします。 ◎知事(濱田省司君) 県政課題は多岐にわたっておりますので、こういった課題に対応していく上では、幅広く財源の確保に取り組むということが望ましいものと考えております。 御指摘がございましたように、クラウドファンディングは、近年社会的認知度も高まってきておりますし、新たな財源確保のための有効な手法の一つになり得るというふうに思っております。 このクラウドファンディングを進めていくに当たりましては、行おうとしております事業の社会的な意義について、参加者といいますか、その応募していただく際に共感を得ていくということが非常に大事であるというふうに考えています。そのためには、事業の選定あるいは効果的なPRなどにつきまして検討した上で、戦略的に実施をしていくということが大事であろうというふうに考えております。 つきましては、これまで3件ほど実績があるという御答弁を申し上げたところでございますが、これまでの実績を改めて検証していきますとともに、他県などでも取組の先進例があると考えますので、そういったものも研究をさせていただきながら、今後も県事業への活用を進めてまいりたいというふうに考えております。 ◆12番(西内隆純君) 前向きな御答弁、誠にありがとうございます。人口も減っていく中で、流通イノベーションであるとか、経済成長等で経済的にも、また人手不足等の問題等も解決していくという話もある面では正しいと思います。 都市部とか一定の人口規模がある地域では多分そうなんだろうと思うんですけれども、一方で高知のような人口減、過疎とどう闘っていくかという地域において、当面の間公共サービスの縮減でありますとか、民間事業者の統廃合によるスリム化が必要であるし、中には投資が難しいと分かっていても、公共サービス維持のためリソースの投下を行わなければいけないケースというのは、これまで以上に増えていくんであろうと思います。そういったケースにおいて、限られた財源の中、どうやって投資的経費を確保していくか、その答えの一つが、私はクラウドファンディングの中にあろうかと思いますので、また引き続き調査のほうよろしくお願いいたします。 それでは、次に都市計画道路の整備について質問を行いたいと思います。 国土交通省は、都市計画運用指針の改定に当たり、平成12年、18年、23年の過去3度、地方公共団体において都市計画道路の必要性について再検証を行い、その結果によっては、廃止や幅員変更などの都市計画変更を行うことを助言してまいりました。これを受けて、平成19年9月に高知県は都市計画道路の見直しのガイドラインを策定しました。しかしながら、平成29年3月時点では、本県の約6割の市町において計画の見直しがなされていないとの国の調査結果があります。 そのような中、県は高知広域都市計画区域において、長期未着手となっている都市計画道路の方針を決定するとのお話をお伺いしました。都市計画道路は、円滑な移動、都市環境や防災、効率的な物流、そして都市の将来像を実現するために、都市計画法に基づき決定されるものでありますから、検証の結果、存続となった路線については迅速に整備されることが期待されます。 まずは、高知広域都市計画区域における長期未着手の都市計画道路の路線数について土木部長にお尋ねいたします。 ◎土木部長(村田重雄君) 現在、高知広域都市計画区域における都市計画道路99路線のうち、計画決定後20年以上未着手となっている路線は4路線、一部の区間は整備に着手したものの、残りの区間が同様に20年以上未着手となっている路線は24路線ございます。 ◆12番(西内隆純君) これらの長期未着手の路線の整備が進まなかった背景をどのように考えているのか、土木部長にお尋ねいたします。 ◎土木部長(村田重雄君) 都市計画道路は、目指すべき都市の将来像を実現するために都市計画決定された都市施設であり、その完成までには相当の期間と予算を要するものと考えております。これまで整備が進まなかった一番の大きな原因は、やはり予算の制約ではないかと考えております。限られた予算の中で優先度の高い路線から集中的に整備をしてきているところです。例えば、過去の事例ですが、県では高知駅周辺の連続立体交差事業を実施している間、都市計画道路の整備に係る予算をこの事業に集中したために、その他の事業が進まなかったことがございます。 もう一つの主な原因としまして、人的な制約もあると考えております。これは、特に市町におきまして南海トラフ地震対策を優先すべき課題がある中で、非常に限られた人員の中で、全体の事業を執行していかなければならないという事情もあると聞いております。 ◆12番(西内隆純君) 今後、これらの路線の整備を着実に進めていくために、どのような取組を行っていかれるのか、土木部長にお尋ねいたします。 ◎土木部長(村田重雄君) 県では都市計画決定した当時から必要性が大きく変化したにもかかわらず、土地利用の制限がかかったままとなっている未着手の路線があることから、今回廃止の対象となる路線を検討しております。検討の結果、存続させるとなった路線につきましては、整備を着実に進めるために、市町の路線も含めて必要な予算の確保に向け、国に対して働きかけを行っていきたいと考えております。 また、限られた人員で事業を執行する市町に対しましては、技術的なサポートも積極的に行ってまいります。 ◆12番(西内隆純君) 策定後何十年もたちまして、都市計画道路に係る部分の地権者の世代も替わるケース、そういった場合では相続人の都市計画についての認識の乖離や誤認が出てくるケースもございます。このような事例をあちこち繰り返さないように、もちろん市町が主体のお話ではございますけれども、事業の今般の事情に照らした際のメリット・デメリット、そして肝腎の実現性、そういったことをしっかり詰めて、今回の見直しをしっかりと進めていただきたいと思います。 それでは、次の質問に移りたいと思います。 本県では、Society5.0の実現に向けて取り組んでおりますけれども、県の目指すSociety5.0とはどのようなものか、知事にお尋ねいたします。 ◎知事(濱田省司君) Society5.0でございますが、第1の狩猟社会、第2の農耕社会、第3の工業社会、第4の情報社会に続きます5番目の新たな社会を指すものでございまして、平成28年に閣議決定をされました第5期の科学技術基本計画におきまして、我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されたものでございます。 私自身のイメージとして申しますと、IoTなどといいまして、全てのものがインターネットでつながってくると、そういうことを通じてビッグデータの収集をし、それをAIという人工知能で処理をしていくというようなことを通じまして、産業、生活、あらゆる場面で大変高度な効率化あるいは利便性の向上が図られると。それを通じまして、新しいサービスが生み出されていくというような社会ではないかというふうに考えております。 高知県におきましては第4期産業振興計画におきまして、高知版Society5.0の実現という旗を掲げており、最先端のデジタル技術の活用を通じまして、中山間地域等におきます課題解決を図るということ、あわせまして地場産業の高度化ないしはSociety5.0関連の産業群の創出を図っていくというような取組を進めているところでございます。 こうした取組によりまして、例えばNext次世代型のハウス園芸といった地場産業の高度化あるいは新しい産業の創出、生活面で言いますと、医療、教育など暮らしの質的な向上が図られるということを通じまして、持続可能で地域地域で安心して暮らし続けることができる、そういった高知県を実現するといったことを目指していくというイメージを抱いているところであります。 ◆12番(西内隆純君) 非常にSociety5.0は概念的な言葉で、一般にはなかなかまだ浸透していないんではないかなというふうに思います。また、県庁職員の中でも中心的に携わる課を除けば、高知県版Society5.0とはどういうものかと聞けば、多分すぐに返事が返ってくるかというと、ちょっと難しいんじゃないかというふうに思います。 ただ、5.0の世界というのは間違いなく我々に近い将来到来してまいりますし、それに向けた努力も重ねていかなくてはいけない、そういった中で地方、高知県のような地域でも外に向けて、あるいは内でいろいろ生産性を上げていくようなチャンスを獲得できるわけでございますから、そのためにも、まずは高知県版のSociety5.0がどういうものかというのをしっかり県庁職員の皆さんが共有する、そういう取組も知事におかれましては県庁を挙げて取り組んでいただければと思います。 それでは、このSociety5.0、同じように政府の定義のほうを見てみますと、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会と説明されております。様々なサイバー空間、仮想空間と現実空間をよりシームレス、柔軟に障害なくつなぐことによって、お互いがお互いを意識することなく、様々なサービスをより効率的に恩恵を受けるような社会を構築していくと言い換えることができるかもしれません。 そういう本システムのネットワークについて、その基幹部分はおおよそ光ファイバーケーブル等で担われる一方、ターミナル部分については、有線LANでの接続、Wi-Fiあるいは4G、いわゆる第4世代移動通信システムである場合、さらには今後普及するであろう5G--第5世代移動通信システムが担うものと予想されます。5Gは、超高速、超低遅延、多数同時接続を可能とし、Society5.0を実現する上で欠かすことのできない通信技術でございます。本県でもNTTドコモとの連携の下、5Gと眼鏡型端末を使った営農作業の遠隔指導システムの実証実験を実施することとなっています。 今申し上げたようなキャリアが提供する5Gとは別に、政府はローカル5Gの申請受付を行っています。ローカル5Gのメリットは、安定かつ独立したネットワークをつくる必要がある場合に非常に有用です。例えば、高度に精密な作業ゆえにネットワークの混在によるふくそうが許されない場合や、厳格なセキュリティーが求められる場合などが挙げられます。また、キャリアよりも迅速かつ容易に導入可能な点も見逃せません。 さらに言えば、様々な形で電波を活用する現代においては、電波帯域の確保は非常に困難を極めます。その帯域の一部をローカル5Gという形で占有し、活用できる機会があるわけですから、高知版Society5.0の実現に向けて必要な戦略的投資であるとの観点から、確保に力を割くべきと考えます。多くの民間事業者だけでなく、徳島県などの自治体でも取得例がございます。 高知県としてローカル5Gの取得に向けた動きがあるのか、商工労働部長にお尋ねいたします。 ◎商工労働部長(沖本健二君) 今、議員のお話にございましたように、徳島県や、あるいは東京都では自治体が主体となり、企業による5G関係の研究開発の促進を目的としたローカル5Gの免許を取得しております。本県ではこれまで新規就農者向けの遠隔指導や、競馬場におきますマルチアングルライブ中継配信システムなど、5Gの利活用方法を探るための実証実験は実施をしております。 また、今議会におきまして、高知市中心部に県内外から企業や人が集い、新しいプロジェクトやビジネスを生み出すための受皿となりますシェアオフィス拠点施設を整備する予算を提案させていただいております。現時点ではイニシャルコスト、またランニングコスト、相当かかるということを承知しておりますし、また今この技術をどこまで活用して生かしていただける企業様がいるかという点、それを考えますと、やっぱり現時点では費用対効果の面から、県によるローカル5Gの免許取得は難しいのではないかというふうに考えております。 これらの取組をアピール、先ほどの施設の整備とか、そういった取組をアピールすることで、通信事業者によります5G基地局の整備や、民間によるローカル5Gの導入を促進していきたいというふうに考えております。
    ◆12番(西内隆純君) 県の様々な5G、Society5.0に関する資料を見ておりますと、部長はそう答弁くださいましたけれど、IoT機器の部分とか人材育成についてとか、あるいは先ほど言ったサテライトオフィスなんかのそういう部分については議論があるんですけれど、インフラ部分について、何か多分そういう検討会なんかで議題に上がっていないんじゃないかと思います。そんなことはないわけですか、商工労働部長御答弁できますか。 ◎商工労働部長(沖本健二君) 検討会というのが、多分IoTの検討会とかということであれば、少し私どもは出席をしておりませんので、そういう議論があったかどうかについてはちょっとお答えをいたしかねますけれども。もちろん通信施設が高度なものがあれば、それは大変望ましいことではありますけれども、高知市内であれば、近い将来もう通信事業者のほうで整備がなされるということもございますので、今県が慌てて免許を取得してまで整備をするまでの状況にはないというふうに考えております。 ◆12番(西内隆純君) ちょっとローカル5Gの受付期限があったかどうか、私もはっきり覚えていませんけれども、今年の春ぐらい、去年か、政府が受け付けていると思います。いろんな状況も見ながら、イニシャルにかかるコストなんかも下がってくるようであれば、一体的にセットすることによって、逆に他の製品と差別化を図れるケースも出てくると思いますが、その辺りしっかりと動向を見極めながら進めていただければと思います。 次に、情報セキュリティーについて質問をいたします。令和元年の6月定例会の質問でも触れましたとおり、米中対立が激化しております。かの有名なペンス副大統領演説に続き、ポンペオ国務長官は本年の7月、ニクソン大統領記念図書館にて、中国が変わらない限り世界は安全にはならないというニクソン大統領の言葉を引用し、自由主義の同盟、有志国が立ち上がって中国の姿勢を変えるときだとメッセージを発しました。アメリカの中国に対する態度は一貫しており、大統領が誰であろうとも対中封じ込め政策を国策として継続することは疑いようがありません。 そのような中、旧東芝メモリのキオクシアの上場中止が報道されました。諸般の事情を勘案とのことですが、9月15日、米トランプ政権がファーウェイへの半導体輸出規制を強化したことも影響していると見られています。こういった事例は今後ますます増え、日本国内の企業のみならず、自治体、個人の様々なシーンに影響を及ぼすものと予想されます。 また、日本政府は、令和3年度から政府が購入するドローンにつき、運航記録や撮影した写真の外部漏えい、サイバー攻撃による乗っ取りを防ぐ機能を備えた機体の購入を義務づける決定を行いました。全省庁、全ての独立行政法人、事業の委託先が対象となり、これにより中国製ドローンの新規購入が事実上排除されるとのことです。 さらに、政府は平成30年にも中央省庁などが購入する製品、サービスから、ファーウェイやZTEの製品を事実上排除する仕組みを整備しております。情報セキュリティーの確保は、県版Society5.0の実現上のみならず、国家の安全保障に直結する重要問題です。これは政府一人で担えるものではなく、地方自治体はもちろんのこと、民間企業や国民一人一人の理解と協力によって初めて成し遂げられるものです。 以上のことを念頭に、民間に範を示す意味でも、県庁と県の関係機関や委託先が調達または利用する製品、サービスについて、セキュリティーガイドラインを設けるべきと考えますが、総務部長の御所見をお尋ねいたします。 ◎総務部長(君塚明宏君) サプライチェーンリスクへの対応でございますが、まずお話のあります国の平成30年の対応でございます。これは国のほうで内閣サイバーセキュリティセンター等の専門組織を設けまして、国家安全保障や治安関係など5類型を提示した上で、関係省庁の申合せを行いまして、各省のシステム、機器の調達に当たって助言等を行うというものでございます。 本県では情報セキュリティーポリシーを定めまして、情報システム管理者に対しシステムの監視や脆弱性への対応を、職員に対して適切な情報の取扱いを課しているところであります。これにサプライチェーンリスクに対応するための独自の規定を追加するということでございますけれども、国のような専門体制や十分な知見がないことから、対象となるリスクの設定が困難なことに加えまして、技術的な対応に限界がありまして、実効性の担保が課題となるかと思います。 これどういうことかと申しますと、今ほど申し上げた関係省庁申合せでは、ベンダーなどから広く得られた情報を基に、サプライチェーンへの対応に関しまして、必要な場合に必要な措置について助言を求めるということが書かれているだけでありますので、一体どういうものについて、事が起こったときに何をしているかというのは、やはりケース・バイ・ケースになっておって、なかなか基準というものになっていないという背景がございます。 国では、現在自治体のシステム標準化や情報セキュリティーガイドライン改定の検討を進めておりまして、県といたしましては、自治体に求められる情報セキュリティーをしっかりと確保しながら、国の検討状況を踏まえて対応してまいりたいと考えております。 ◆12番(西内隆純君) 国のガイドラインに従うというのは、仕方ないことなのかなと思いますけれども、ただインドでも中国製のアプリをインストールすることが禁止されました。というのは、そのソフトから位置情報が中国本土に送られて、インド軍兵士の位置情報や軍事基地の割り出しに使用されていたということでございます。そのほかにもスタンドアローンシステムへの侵入を行うAPT攻撃とか、高知県であれば公営企業局なんかの電気・水道システムなんかにバックドア、あるいはハードウエアレベルで侵入される可能性もあるわけで、そういったもろもろの将来予見されるリスクについて、しっかりガイドラインを講じていく必要があるんだということは、ちょっと心にとどめておいていただければと思います。 最後に、前回たどり着けなかった2月の一般質問でやり残した家族支援策について質問を行います。結婚や出産を奨励するために、2019年7月にハンガリーにて導入された結婚資金制度についてでございますけれども、この制度は、40歳以下で初婚であれば、日本円で約1,000万円相当を20年返済の無利子で国が貸与するものです。第1子出産で返済開始は3年間猶予され、その後3年以内に第2子をもうけると、貸与の3分の1の返済が免除されます。返済開始までの猶予がさらに3年延長され、加えて第3子をもうけた場合、返済を全額免除され、第4子をもうけると所得税が生涯にわたり免除されます。 実質、少子化対策なんですけれども、挙式件数が前年比で2割増加したということで、とりわけ合計特殊出生率の引上げの分かれ目となる第3子については、経済的な手厚さがある点は、ハンガリーに学ぶ点があると思いますけれども、この結婚資金制度の高知県版について検討する余地はないか、知事にお伺いいたします。 ◎知事(濱田省司君) 子育ての経済的な負担が大きいという訴えはよくお聞きするところでございますけれども、ただ議員から御提案がございました資金制度のように政策効果が一地方団体のみならず全国に及ぶという施策、そしてまた非常に多額の財源を要する施策ということになりますと、これは国において税制の在り方などと併せて、しっかり検討いただくべきパターンではないかというふうに考えているところでございます。 ○議長(三石文隆君) 以上をもって、西内隆純君の質問は終わりました。 ここで午後4時まで休憩といたします。   午後3時55分休憩-----------------------------------   午後4時再開 ○議長(三石文隆君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 森田英二君の持ち時間は60分です。 20番森田英二君。 ◆20番(森田英二君) ただいまお許しをいただきましたので、早速質問に入ります。 本会議場での質問も、私で最後になりました。大変お疲れだとは思いますが、執行部の皆さんにも議員同僚の皆さんにも最後までお付き合いをいただきまして、よい答弁で締めくくりたいと思います。よろしくお願いいたします。 さて、本年1月に国内初の新型コロナウイルス感染症患者が確認されて以降、一時は緊急事態宣言が出されるなど、これまでに経験のない状況に置かれました。しかし、政府の適切な政策執行と濱田県政のかじ取り、そして勤勉な国民性や県民性のおかげもあり、県内の感染状況は、現在落ち着きを見せております。先月、政権を引き継いだ菅総理大臣も、目下の最優先課題として新型コロナウイルス感染症対策を掲げており、引き続き国を挙げての対策を講じると、その対策が取られております。 本県でも、このコロナ対応の最前線で日々お仕事をされておられる方々が多くおられ、心から感謝を申し上げます。また、ありがとうございます。 また、菅政権がもう一つの当面の課題として挙げたのが、社会経済活動の再開と、その活性化であります。ここは本県としても、大いに期待を申し上げているところであります。その菅総理は私の法政大学の先輩にも当たり、初めての総理大臣という意味でも敬意を表し、大学カラーのネクタイを締めて、後輩もしっかりと県政のために仕事をしようと心して質問に立っております。 その菅政権は、目指す社会像を自助・共助・公助を挙げ、その絆の下で地方の活性化と人口減少を克服していくと宣言をされました。言い換えれば、地方の少子化や高齢化に焦点を絞った政策に重点を置くとのことであります。菅総理には、御自身の苦労体験もあるんでしょう。自助をいとわない人にこそ政治の光を当てるとも伝え聞きました。 本県は多方面に課題が山積でありますが、まずは自らで知恵を絞り、苦境にめげない自助の頑張りを見せること、その点が重要となります。菅政権はまさに地方に光を当てる施策、中でも本県課題に多く通じる施策に重きを置いてくれております。私は大いに頼れる政権だと、その施政方針に気持ちを持っていっております。 濱田知事も菅新政権と二人三脚で、県勢の浮揚と振興に、さらに精力的に取り組んでいただけるものと思っております。 そこで、知事にこうした菅政権に向き合う心意気をもう一度私からも伺っておきます。 ◎知事(濱田省司君) 御指摘がございましたように、菅内閣におきましては目指す社会像として、自助・共助・公助、そして絆を掲げられますとともに、頑張る地方を全力で応援するとの基本方針が示されております。議員からも御指摘ございましたように、地方は座して支援を待つのではなく、やはり自ら、自助努力、頑張ってもらいたいと、そういうところを応援したいというお気持ちが背景にあるのではないかというふうに拝察をします。 本県におきましては、これまでも全国に先行して諸課題を解決していくという観点から、様々な創意工夫を凝らした取組を進めてまいりました。道路の1.5車線的な整備、これは後に国の補助制度にも採用されるという形で、本県が先鞭をつけたというような形になっておりますし、また集落活動センターの取組についても、これは全国的に国におきまして小さな拠点の事業といたしまして、全国的な地方創生の一つのモデルを提示できたというような取組もございます。 このように全国に先駆けた取組を行いまして、その効果、そして必要性を積極的に訴えかけていくということによりまして、国の後押しも得てきたところでございます。 ただ一方で、都市部と地方部では取組のスタートラインが大きく異なるという部分がございます。例えば、道路などのインフラの整備状況あるいは情報通信網の整備状況、こういったところには大きな格差がございまして、各自治体が同じ土俵で同じスタートラインに立って頑張ることができる、そのためにはこうしたハンディキャップの解消を図って、条件整備を図っていくということが、国としての責務であるというふうに考えております。 県といたしましては、引き続きこの県勢浮揚に向けた取組を前に進めていくという考えでございますが、このためにも国の施策が本県をはじめといたします地方の実情に合ったものになるように、引き続き全国知事会などとも連携をいたしまして、積極的に政策提言を行ってまいりたいと考えております。 菅政権は、国民のために働く内閣を掲げて政権がスタートしたところでございます。私も、県民の皆さんのために全身全霊で、また国ともしっかりと連携をして、県民の皆さんの期待に応えてまいりたいと決意を新たにしております。 ◆20番(森田英二君) どうも知事ありがとうございました。菅政権の深奥の部分がきちんと濱田知事に伝わっているようで、大変安心をいたしました。地方のこと満載で、満艦飾で政策を練っていただいておりますので、どうか一緒に前を向いて、自助の力をまずしっかり出して頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。 では次に、先ほど来、地方のことが話題になっておりますが、これからも地方のことを中心に話を進めていきたいと思います。 これからは車を持つ人が毎年払っている自動車税のうち、重課と呼ばれる、13年以上乗った車に対してかけられている税額の割増し制度についてお聞きをいたします。 私は、重課と呼ばれるこの制度が、地方の弱者に対し偏在性を持っていること、そしてもう一つ、日本人が長年生活の中で営々と築き上げてきた物を大切にするという精神、いわゆる美徳とでも言いますか、そのことにも反すると感じますので、その違和感についても少しお聞きをいたします。 そこで、まず私は主に古い車を大切に使っている方が比較的多い本県の中山間地での暮らしぶりについて調べてみました。そこには古い車でも使わざるを得ない事情がありました。現在、本県の人口は69万人台、全国順位は鳥取県、島根県に次いで全国で少ないほうから3番目ですが、面積は広いほうから18番目です。このため、人口密度は粗いほうから北海道、岩手県、秋田県に次いで44位です。そこで県内の約40%の人口が、中山間地域と呼ばれる、広くて交通不便な山あいで暮らしています。なお、さらに過疎地域と呼ばれる、もう一段不便な土地に、県人口の4分の1を超える人が暮らしています。ですから、こうした地域に暮らす人たちは、一般的には買物に行くにも病院に行くのにも車を使いますし、もちろん仕事も用事も何をするにも車がなければ何もできません。生活もできません。 もう一つ、高知県を高齢化率で見てみますと、平成27年調べですが、全国平均が26.6%の高齢化率であるのに対し、本県は32.8%であり、全国で上から2番目に高い高齢化県です。この数字は、若い人が多い高知市も含めた県平均の数字ですので、中山間地や過疎地に限っての数字を見てみますと、さらに高くて50%を超える町も多くあります。例えば、大豊町では55.9%、仁淀川町でも53.9%というふうに、とても高い高齢化率となっています。 こうした中山間地域は、さきにも述べましたように、高齢者は特に買物や病院通いにも困っていることから、行政もあの手この手で知恵を絞り、できる限りの支援体制は取ってくれておりますが、とても十分とは言えません。このため、高齢とはいえ車に乗れる間はマイカーがどうしても必要であり、車は実際、生活の手足なんです。 そこで、県下の中山間の暮らしぶりについて、仕事柄こうした事情に明るい中山間振興・交通部長に、まず山あいでの生活と車の関係について御所見をお聞きします。 ◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) 中山間地域にお住まいの高齢者の方々にとって、自動車は買物、通院、農業など、生活に欠かすことのできない移動手段であります。 ◆20番(森田英二君) そうですよね。ありがとうございました。私は中山間の暮らしをちょっと詳しく言い過ぎましたので。ありがとうございました。 さて、そこでこの質問に際し、私も立場の違ういろいろな方の声を聞いてみました。今回と同様の質問を、私は平成13年にもやりました。私は、この不条理な制度は、県が直接の所掌権限者でないことも承知しておりますが、地方での生活者にとって、どうしても理不尽でなりませんので、再びお聞きをするわけでございます。 県税の担当部署は総務部であり、この制度の所管は総務省であります。このため、改めて総務省からおいでいただいております総務部長と、同じく総務省御出身の濱田知事にも感想や向き合い方をお伺いするものであります。 今回、まず都会の声として、東京に暮らしている友人にも日頃の生活と車の関係について聞き取りをしてみました。すると、東京では車どころか車の運転免許さえも要らないと言われました。東京では車や免許証がなくても十分生活ができるし、もっと言えば、ないほうがいいかもしれんよ、そのように言われました。車の購入費や維持費はもちろんですが、税金や保険、駐車場のことなどを考えれば、なるほどそうだろうと思いました。車などなくてもいい、かえってないほうがいいとまで言い放つ点に、都会と地方の暮らしぶりの違いが端的に出ていると感じました。 都会には電車やバス、地下鉄などが張り巡らされていて、朝早くから晩遅くまで、そして非常に安く、しかもひっきりなしに運行されている公共交通であります。一方、本県の中山間の生活者の家の周りには、公共交通機関などは皆無と言ってもいい状態です。 そこで、中山間の人を代表して、高齢化率55.9%の大豊町内に住む70歳少し前の私の友人が、車がないと生活ができないと話してくれました。今乗っている車は、20年間大事に大事に手入れをして大切に乗っているそうで、27万2,000キロメートル走っていると言いました。また、私の父もそうでしたが、お年寄りの方の中には、愛車を車庫に入れた上、まだその上に毛布をかけてまで大切にしているんです。 その一方で、古い車に乗り続けていることで環境に負荷をかけているという、良心の痛みもきちんと持っています。でも、幾ら車が古くても、生活にはどうしても必要な手段であり、長年手入れをしてきたので、まだまだ十分乗れる車だ、そう大豊町の友達はおっしゃいました。これは単に車をいたわるというだけでなく、物は大切に使って、最後まで美しくきれいに使い切るという、日本人の昔から培ってきた美徳の一つとも言えるものなんです。 このような古いもの、命あるものを最後まで大切にするという日本人の大切な価値観をどのように感じておいででしょうか、総務部長にお聞きいたします。 ◎総務部長(君塚明宏君) 古いものを大切にするということは、古いものに敬意や感謝の心を持つ文化・道徳面だけではございませんで、伝統的な修理技法ですとかリサイクル、こういった経済・産業面も含めて、日本の社会に浸透している重要な価値観であると認識しております。 ◆20番(森田英二君) 先ほどお話しした大豊町の方は、この春運輸支局に行き、あまりにも高くなった自動車税の不満を訴えてきたと話してくれました。山間部での暮らし、どうしても必要な車であることや、ぎりぎりの年金生活をしていること、だから何とかして少しでも安くならないか、そのように話してきたとおっしゃいました。しかし窓口の方も、そう言われても困りますと言ったそうで、お互いに事情を知り尽くしており、互いに困ったことだとは思います。 重課というこの制度は、平成14年に導入されたそうであります。ですから、この重課もまたそろそろ見直しの検討がされる時期ではないでしょうか。山あいの年金生活者にとっては、そうやすやすと新しい車に買い換えられるわけがありません。この自動車税の増税と重課という新しい税の負担制度が、今山間部のお年寄りの生活に文字どおり重くのしかかっています。その状況を思うと、私はいつもどうにかならないものかと思案するものの、持って行き場もありません。 ところで、この自動車税は最近どのような増税が行われてきたんでしょうか、総務部長にお聞きいたします。 ◎総務部長(君塚明宏君) 自動車税につきましては、まず平成26年度の税制改正で環境配慮型の特例が見直しされております。この環境配慮型の特例というのは、重課の関係でございますけれども、これは全体の税収中立を前提といたしまして、環境負荷の小さい自動車に対する税の軽減率を50%から75%などに拡大する一方で、環境負荷の大きい自動車に対する税の重課率を10%から15%に拡大したものであります。 一方で、平成31年度の税制改正では、令和元年10月1日以降に新車登録を受けた自動車について、1台当たり1,000円から4,500円標準税率を恒久的に引き下げたところであります。 なお、これは市町村税になりますけれども、軽自動車税につきましては、今ほど申し上げた平成26年度税制改正におきまして、平成27年4月1日以降の新車登録につきまして、1台当たり800円から3,600円標準税率が引き上げられるとともに、環境配慮型の特例が新たに導入されて、20%の重課率と最大75%の軽課率が適用されているところであります。 ◆20番(森田英二君) どうも総務部長ありがとうございました。 大体勉強したところでございましたが、この社会は低炭素社会へ向かっておりますので、そのことで古い車を放逐と言ったら言い方もきついですが、古い車は早く乗り捨てて買い換えてほしいというせいではないかなと感じてはおりました。古い車は一般的に言って、その車の排出ガスが地球環境に負荷をかけていると、十把一からげにして言っていることなのでしょう。国が決めた法律なのですから、県の総務部長に聞く不合理は私も承知をしております。でも、こうした古い車にかけているこの制度が、公共交通がない中山間で暮らしている高齢者や年金生活者などを直撃しているのは事実なんです。 この重課制度を考案した賢い方は、山あいの暮らしの実態をあまり知らずに、多分霞が関の机の上で考えられたのではないかとも思います。ですから、公共交通手段のない山あいの年金生活者の方々が、この制度の落とし穴の被害を--環境社会に向けた制度ですけれど、一方的にその落とし穴を被る制度になっていようなどとは、多分今も分からないんじゃないでしょうか。今なお、その実態も知らないんじゃないかなとお察しをするところでございます。 そこで、総務部長はこの重課制度が山あいの暮らしの実態を反映した制度になっているとお考えでしょうか、御所見をお聞きいたします。 ◎総務部長(君塚明宏君) この自動車税でありますけれども、税の性格といたしまして、車を保有することに着目した税であります。この環境配慮型の特例というのは、保有する車が環境に配慮されたものかどうかという点について、政策的に講じられているものであります。したがいまして、こうした自動車税の性格上、保有している方の属性を反映するものにはならないというように認識しております。 ◆20番(森田英二君) ありがとうございました。 何度も言いますが、本県の中山間の過疎集落には多くの高齢者が暮らしております。高齢者が多いというよりは、若者が暮らしていけないと言ったほうがいいかもしれません。山あいで暮らす老夫婦にも、子や孫がいないわけではありませんが、山あいには仕事もなく、収入も少ないことから、子育て中の若い世代は実際暮らしが成り立たず、都市部へ出ていってしまっているというのが実情なんです。 本来なら、一緒に暮らしている子や孫たちから、年老いた父母は生活の足として車のサポートが受けられるはずですが、そういう事情でそれもかないません。ですから、こうした山間地のお年寄りたちは、公共交通を頼りたいものの、民間交通は費用と採算の面で合わず、次々と早々と撤退をしていくわけであります。中山間では、特に比較的若いお年寄りの方たちは、極力免許証も車も保持し続けて、人の助けによらないで暮らしを続けたいというのが本音だろうと思います。 一方、13年を超える古い車に乗られている方々は、普通車で15%、軽自動車で20%もの割増し課税を受けながらも、そう簡単に新しい車に乗り換えられないというのが実態であります。 そこで、こんな話も聞きます。年も70を過ぎたき、今乗りゆう車がちゃがまるが先か、免許証を返す日が先かと思いながらいつも乗りゆうといいます。山では乗らないと事が足らないんです。割増し税のかからない、そしてまたアクセルの踏み間違いをしてもアシストしてくれる安全性能の高い車に、できれば乗り換えたいのも本音だろうと思います。しかし、今新しい車を買ったとしても、その前に免許証の返納の日が多分早く来ます。また、年金で生活をしている高齢者が、150万円も200万円もの新車を買えるとは思えません。 しかし、今乗っている車を乗り続けると、古い軽四といえども2割増しの税金を、毎年毎年払い続けることになっています。その古い車に乗り続けるのなら、この先もずっと割増しの税金をあなたにかけますよと言われていると同じことなんです。高齢者の乗る軽トラや軽四は、東名、名神を走る超重量の大型車両などとは違って、ほんの短い距離しか乗りません。しかも、車の大きさもまるで違います。古い車が全て地球環境に大きな負荷を与えているといった言い分は、山あいの人たちの車には当たらないんです。総務部長が言われるように、同じように車を持っている課税対象になっておりますが、実態は随分違うと。生活する場所が違うだけなのですが、都会と地方ではこれほども生活単価に差があるのかと、車社会の一断面を見ただけで改めて痛感をします。 便利で快適な都会に憧れながらも、不便を我慢し、仕方なく山あいで細々と暮らす地方の生活者をどこまで圧迫したら気が済むのかとも言いたいぐらい、この重課制度はゆがんでいると思います。低炭素社会を目指すことを私は毛頭否定するものではありません。また、経済を動かす意味でも、車の買換えも必要です。そして、年々向上していっている安全性能の高い車への乗換えも当然です。また、自動車税が私たちの県税として、また市税として、その自主財源の大きな部分となっていることも承知をしております。しかし、ただ古い車に高い税金をかけて早期廃車を強いることは、とても心が痛みます。イソップ童話にもあったように、力ずくで服を脱がせようとした北風も、暖かく降り注ぐお日様にはかないませんでした。逸話の諭しも、どうか御参考にしていただきたいものであります。 法律で規定されているとはいえ、県や市町村が徴収をしているこの自動車税です。一日も早くこうした実態に心を致し、心ある制度への見直しを図り、山あいの人々に畏敬の念こそ持て、優しさのある税制度への転換を心から願っています。 このように、特に地方の生活者にとって傾斜的に重い制度となっている重課制度を見直す意義について総務部長の御所見をお聞きいたします。 ◎総務部長(君塚明宏君) まず、この税ですが、環境配慮という目的で講じられている特例措置でありますから、重課分だけを見直すことで、その政策効果が十分かという点について議論が必要だと考えております。また、この特例措置は先ほど申し上げましたとおり、税収中立で制度設計されておりますので、地方の税収に穴が空くということは無視できないと考えます。 その上で、議員御指摘の趣旨の一つは、中山間に住む高齢者は短い距離しか乗らないのに、旧式の車を持っているだけで、通常よりも負担が重くなることへの不満というふうに受け止めております。平成31年度及び令和2年度の与党の税制改正大綱では、自動車関係諸税については、技術革新や保有から利用への変化等を踏まえつつ、課税の在り方について、中長期的な視点に立って検討を行う旨の記述がされております。この検討の結果、利用に着目した税の見直しが行われるのであれば、御指摘のような問題意識に対する一定の回答になるものと考えております。 ◆20番(森田英二君) ありがとうございました。部長も高知県の趣旨、私の質問の趣旨も腹へ入れていただいておりますので、今後のことを、軽課と重課を抱き合わせにしてという話の中で、また税制の中身の改善ができればと思って期待をしております。 総務部長は、この秋で高知県に着任されて2年半になりました。中山間での生活事情もお知りになったことと思います。また、地方の暮らしの中での車への依存度なども実感をされたことと思います。議会でのやり取りや行政からの制度支援の中でも、中山間地での暮らしぶりも感じてくださっているものと思います。近々本省に帰られるかとも思います。本県のような地方の実情の上に立って、この制度、ぜひとも国の制度見直しに反映していただけたらと願っております。本省には、もちろん税制度を扱う部署もあります。中山間での人と車の暮らしぶりも忘れずに、事に当たっていただけたらと願っています。 地方の実情を踏まえて、例えば過疎地域に指定されているといった、地域特性等を考慮した税制度の見直しなども考えていただけたらなと思うところでありますが、総務部長にお聞きいたします。 ◎総務部長(君塚明宏君) 各種の制度や政策を立案するに当たりましては、議員おっしゃいますとおり、地方の実情、生活の実情を踏まえることが重要だと認識しております。ただ、その方策は税に限らず、社会保障など生活に関係する歳出やインフラ整備など様々ありまして、これらを組み合わせて政策目的を達成するよう努めていく必要があると考えております。 殊、税につきましては、住民の皆様などから強制的に徴収するものでありますから、その理屈や公平性が特に重視されてまいります。また、その特例を含む制度の創設や見直しに当たりましては、与党税制調査会という政治プロセスにおける慎重な議論を通じて行われるものと承知しております。 ◆20番(森田英二君) どうも部長ありがとうございました。 最後に、知事にもこの同じ視点でお伺いいたします。この質問が県が所掌する事務権限ではないことは何度も申し上げました。ただ、濱田知事もこの1年、県政を進める中で県下の中山間で暮らす県民の生活に次第に明るくなってくださったものと思います。高知県の知事だからこその立場で、発信力や発言機会もありますので、総理大臣や総務大臣にもぜひ地方の中山間の実情を訴えて、政策提言などの形で提案をしていただければなと、そんなふうに思います。 この問題は、まさに高知県こそが発信して価値があるテーマだと思います。濱田知事も、総務部長と同じく総務省の御出身でもありますし、知事は出先かもしれませんが、税の部署にもおられたようにお聞きしました。 そこで、山あいの県民の生活実態を踏まえて、このような重課と呼ばれる制度をどう思われるのか、知事にも御感想をお聞きいたします。 ◎知事(濱田省司君) ただいま議員から御紹介もございましたように、私も総務省で在職しておりました際に、まさしくこの自動車税を担当する課長職に当たったこともございました。今、総務部長からも話がございましたけれども、やはり今のお話にありましたいわゆる環境の重課の問題も、県や市町村の財政に穴を空けられないという中で、言わば苦肉の策として取られている策ということはございますけれども、中山間地域の方などが、自動車税の環境配慮特例の重課につきまして、結果的に中山間地域の御高齢の方々、また車の買換えも現実に考えられない方々に対しまして、御不満あるいは強い御意見を持たれているということは、まさしく議員から御指摘ありました中山間地域の生活実態を考えますと、この点は察して余りがあるところでございます。 ただ、これも総務部長から答弁がございましたように、この特例は保有する自動車の環境性能に着目した税制ということでございまして、この納税者の居住地域などで差を設けるというのは、この税制の枠組みの中では、公平性の問題からなかなか難しいのではないかというふうに考えます。 また、与党の税制大綱では、これも先ほど部長からの答弁がございましたけれども、自動車関係諸税の課税の在り方について、中長期的な観点に立って、視点に立って検討を行うと。これは含意としてはただいま話にありましたように、利用実態に応じたような抜本的な最近の技術進歩を考えますと、大きな枠組み自身を考え直さないといけないのではないかというような問題意識に立って書かれた方針でございます。こうした中長期的な視点に立った検討におきまして、多くの方の納得が得られるような制度に向けた議論が行われるということを期待してまいりたいと思います。 なお、今回議員のほうから御指摘がありました背景には、やはり中山間の地域が都市部と比べて条件不利で、いろいろな意味で厳しい生活を余儀なくされている、先ほどのお話で言いますと、同じスタートラインに立っていないという思いが背景としてあるということだと思います。そんな意味で、これは部長も申しておりましたが、この税制の、かつ自動車の税の世界だけでは、なかなか袋小路の議論になってしまいかねない部分がございます。さらに、税制でも自動車以外の所得課税、消費課税、そういったものトータルの在り方、そしてさらに申しますと、財政的な支援制度、こういったものをトータルでやはり考える中で、どういう形で競争条件を整えていけるかというところを考えていかないといけない問題ではないかと思います。 そんな意味で、中山間地域に関しましては、今立地した企業に対する県や市町村の支援措置に対して、国が地方交付税で支援をするという制度がございますし、また御紹介ありました過疎地域では、本年度過疎法も期限切れを迎えますけれども、過疎債という、地方債と交付税を組み合わせて手厚い財政支援をするといった制度もございます。こういった制度が現実に中山間地域の生活あるいは産業をつくり、また守っていくという意味では、非常に大きな役割を果たしております。 また、ちょうどまさしく過疎法の見直しの時期ということでもございますので、中山間地域の生活環境の維持・向上を図っていくという観点から、こうした、特に財政面で中山間地域をバックアップしていただいているいろんな制度の維持・改善に関しまして、この点は積極的に今後とも提言をしてまいりたいと考えております。 ◆20番(森田英二君) 知事、ありがとうございました。私の願意については、ほぼ共有をさせていただいていると思いますし、また交付税の中で、地方のこういう困難者に対しての措置があると。だけれど、本来のこの税制では、与党の税制調査会、政治決着の部分があろうと思います。政治決着の部分であれば、尾崎正直前知事も、高知県の実情なんかも非常に--12年間詳しく知っていただいておりますので、いろんな形で政治決着のところで、やはり個人的に実害といいますか、苦しい立場にある人に交付税措置を使って支援していくというんじゃなしに、直接気持ちが届くなら、そういう制度に変わっていければなと思って発言をさせていただいた次第です。 今後とも、高知県のような中山間を多く持つところの人あるいは高齢者が多い県、そういう実情、事情を反映させながら、ぜひとも政治決着に持ち込むようなところで、また御協力いただきたいと思います。 では次に、教育のことでお聞きをいたします。人口減少と少子化の波の中で、本県の児童生徒の数は、近年急速に減少をしています。その一方で、学校の統合問題について議論はあるようですが、あまり進んでいるようにはありません。郡部においては、小学校も中学校も小規模な学校が大変多くなり、その小規模であるがゆえの問題が聞こえてきています。 そんな中で出されたのが、平成27年1月27日付の文部科学省の公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引であります。その副題には、少子化に対応した活力ある学校づくりに向けてとあります。それによりますと、小中学校ともに学校規模を12クラス以上、18クラス以下とした学校編制に努めなさいということであります。私はこれを見て、小規模校ばかりとなった地方の実態を見るに見かねた本省からの提言だと直感をしました。その上で、本県の小中学校の現状を思うと、この手引はまさに本県に向けて発出したものに違いないと感じました。 そこで、私は県下中の小中学校の大きさについて調べてみました。まず、小学校についてですが、その数は現在、大小合わせて190校、そしてこの190校の小学校の児童数は3万1,070人です。このうち児童数の最も多い小学校は、順に南国市の大篠小学校の789人、次は高知市の朝倉第二小学校の770人、そして秦小学校の750人となっていました。一方、児童数の少ない小学校はといえば、室戸市の中川内小学校の2人、四万十市の川登小学校の5人、黒潮町の伊与喜小学校の6人などです。 また、1学年の児童数が平均で10人以下の小学校、つまり全校児童の数が60人以下の小学校は79校あって、県内の全小学校に占める割合は約42%となっていました。しかし、これはかなり大規模な学校が集積している高知市が入った数字ですから、私は高知市の小学校41校をのけて再び集計をしてみました。すると、いわゆる郡部校は149校となり、児童数は1万5,760人にまで半減しました。 そこで、郡部に限っての小学校で言えば、全校で60人以下の学校は75校となり、全体の50%を超えました。つまり、郡部では半数以上が1学年10人以下の、全校児童数で60人以下の小学校ということになります。 中学校もほぼ同じ傾向にありました。具体的には、県下で全郡部校85校のうち35校が小規模な中学校でした。1学年が10人以下、つまり全校生徒で30人以下の中学校が41%を占めていました。本県の郡部の小中学校のほぼ半数が、10人以下の教室ということになります。 そこで、また私は別の角度からも本県の学校の小規模化の検証をしてみました。すると、私の予感がずばり当たっていました。その予感とは、本県の学校の現状は全国と比べたら、零細な規模の学校が異常に多いんではないかと考えたのです。つまり、時期に応じて取るべきだった統合の取組をおざなりにしてきたんではないか。このため、私は全国の小学校と中学校について、文科省が言う標準規模以下、つまり11クラス以下の学校の数が、各県別にどれくらいの比率であるのかを、昨年度のデータで調べてみました。本県が全国に比べて、どれほど小さい規模の学校が多いのかと思ったんです。 私は、零細な学校の多さを示す指標として、令和元年度の文部科学省学校基本調査データを使って、47都道府県別に分析をしてみました。すると案の定、中学校では、本県が全国で一番標準規模未満の学校が多いことが分かりました。2位が島根県、3位が青森県、4位が長崎県、5位が鹿児島県でした。また、同様に小学校でも試算をしてみましたら、零細校が多い順に本県は2番目でしたが、1位が鹿児島県、3位が島根県、4位が岩手県、5位が山形県となっていました。 そしてまた、同じ計算方法で5年前の文科省の学校データを使って、再び零細率を計算してみました。すると、高知県は小中学校ともに零細率が現在の順位より2番と1番ずつ、それぞれ低かったんです。言い換えれば、他県はこの間にも統合を進めていました。ということは、本県はこの5年間でも、さらに零細化が進んでいることが分かりました。つまり、このことは本県では零細校の放置状態が続いていて、ますます小規模校の硬直化が進んでいっていたことを示しています。 さて、そこでこうした分析データをどのように御判断をされますか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(伊藤博明君) 1校当たりの平均の児童生徒数で見ますと、小学校が昭和33年の約270人から令和2年は約140人とピーク時の約52%、中学校は昭和33年の約215人から令和2年は約133人とピーク時の約62%に減少しております。また、令和2年度において1つの学年に複数の学級がある学校として、小学校の12学級以上は34校で全体の17.9%、中学校の6学級以上は30校で全体の28.8%であり、小学校、中学校ともに、学校の小規模化が進んでいる状況であると認識をしております。 ◆20番(森田英二君) ありがとうございました。 そこで、特に郡部では児童生徒の数が急激に減ってきているのに、学校の数は先ほどのようにあまり減っていない。その一方で、統合の話も進んでいない。このことが一層の小規模化を招いてしまっていると言えます。 本県では、直近の5年間で、小学校では6校、中学校では1校の統合が行われてきていますが、県内の小中学校における今後の統合の予定について教育長にお聞きします。 ◎教育長(伊藤博明君) 現在、県内の34市町村教育委員会と1学校組合の教育委員会のうち、令和3年度以降9つの市町村教育委員会において統合が検討されているところでございます。そのうち、検討が既に具体化されたものとしまして、令和3年度から令和4年度の間に5つの市町村におきまして、小学校は6校が3校へ、中学校は17校が7校へなるように統合が行われる予定となっております。 ◆20番(森田英二君) 教育長ありがとうございました。 そこで、この統合話についてですが、私はその協議にあまりにも長い時間をかけ過ぎているんではないかと思います。また、学校統合の話は地区にとってはタブー視される傾向にもありまして、自治体の長も校区の住民の意向を尊重し過ぎるあまりか、一番の当事者である子供や親の気持ちに寄り添ってきていなかったんではないかな、ここまで遅れたのは、そのようにも感じています。少子化の中で、さらなる小規模化をたどる一方の地方の学校の状況に、文部科学省が業を煮やしたのではないか。時宜を得た提言だと私は思います。 教育長は、本県の公立小中学校のどこまでも続く小規模化を目の前にして、さらに文科省のこの手引を踏まえて、今後どのように取り組もうとされているのか、お聞きをいたします。 ◎教育長(伊藤博明君) 県教育委員会としまして、これまでも統廃合あるいは単独での存続、いずれの選択を行う場合にも、この文部科学省の手引を踏まえまして、学校設置者である市町村の主体的な判断を尊重してまいりました。その中で、統合を行う場合には加配教員を配置し、児童生徒の学校適応や統合に関わる事務の支援を行うとともに、国の財政支援等の情報提供を行ってきたところでございます。また、単独で存続する場合においても特色ある学校づくりの観点から、小中連携やICTを活用した指導方法について助言を行ってまいりました。 しかしながら、今回中央教育審議会の中間まとめ案では、小学校専科指導の充実方針が示されておりますが、本県の小規模校においてはその導入や実施には難しさが想定をされます。こうした状況を踏まえまして、県教育委員会としては、国の施策に沿った専科に関する指導方法の実施を含め、学校の教育の在り方について市町村教育委員会と協議検討していく必要があるというふうに考えております。 ◆20番(森田英二君) ありがとうございました。 さて、そうした小規模化をたどる一方の実態の中で、当の子供たちは年々学年を上げ、次々と卒業していきます。私は、こうした状況を見るにつけ、学校の統合に逡巡しているいとまはないと思います。このような小規模な学校ばかりで、絶対にいいはずがありません。校区の関係者や市町村の教育委員会が協議や検討に明け暮れるうちに、さらなる少子化となり、学校の小規模化は一層進んでいきます。だから、適切な統合を早く行って、子供や保護者のための適正規模の学校を実現させて、本来の規模の学校をつくり、多くの友達と触れ合える学校の楽しさを、一日も早く子供たちに味わわせてやりたいと思います。 もうここまで来たら、市町村立の小中学校といえども、県も腰を上げるときではないでしょうか。県議会議員として、県下の小中学校に対して、もうこれ以上の小規模校化には歯止めをかけたいとの思いがありますが、実際に市町村にこの思いは届くのか。県の所掌が県立学校であることはもとより承知をしておりますが、今回少し勉強してみました。すると、地方教育行政の組織及び運営に関する法律というのがありまして、その中の第48条に、県は市町村の教育に関する事務の適正な処理を図るために必要な指導と助言をすることができると書かれていました。それに準ずれば、この私の思いも県の教育長や知事を通じて、県下の各市町村に伝えられるのではないかなと一縷の望みを持ったわけであります。 県下の小中学校の早急な整理、統合を望む立場から、市町村教委に対しこのような思いを県教委の立場から本当に伝えられるのかどうか、教育長にお聞きします。 ◎教育長(伊藤博明君) これまでも県議会におけます質疑等につきましては、毎回教育事務所等を通じまして各市町村教育委員会にお伝えし、また定期的に開催されております市町村教育委員会連合会の会合等におきましても、私からも直接報告を行っておるところでございます。 本議会における学校の統合についての質疑につきましても、今月9日に市町村教育委員会連合会の研修会が予定されておりまして、その中でも専科指導の状況などと併せてお伝えをしていきたいというふうに考えております。 ◆20番(森田英二君) どうもありがとうございました。 さて、そこで私が直接目にした小規模校の現実を2つお話しします。それはもう数年前のことになりますが、私の母校の新居小学校のことです。私は、学校のすぐ前にあるガソリンスタンドで車に給油をしながら校庭を見ていました。すると、先生が小さい子供の手を引いて、一緒にグラウンドのトラックを仲よく歩いているじゃないですか。それをガソリンスタンドの人に聞いてみましたら、体育の時間だということでした。その年は新入生が1人とのことでした。 新居小学校は、現在も児童数が少なくて、全校で32人です。このため、3年生と4年生、5年生と6年生が複式学級です。この私たちの土地は少子化の波と同時に、津波の襲来を恐れて、若い人たちが家族ぐるみで海岸沿いの学校から内陸部へ転校、転居していっています。高知市の中心部まで、車でたった30分足らずで行ける比較的便利な土地であるにもかかわらず、今では学校はこういった状況になってしまっています。 私が子供の頃は、1学年が60人ぐらいずついました。しかし、10年ほど前の私の孫の時代になると、各学年10人ぐらい、それでも全校で60人以上いました。それから10年、今は1学年平均5人の全校児童32人というわけです。体育やその他の授業でも、正規の学校規模と比べたら、相当な不自由や御苦労があっていることと思いますし、子供にとってもあまりにも小さい学校での日常は気の毒でなりません。 関連してもう一つ。この新居小学校の児童は、隣の宇佐小学校と一緒になって、2校が土佐南中学校に上がります、土佐市立の。2つの小学校が集まる中学校なのですが、それでも全校生徒が今でもせいぜい60人前後で推移しています。というのは、新居と宇佐の両校の児童に、校区の土佐南中学校にそのまま進学をしない子が多くいるからです。中学校になってからの勉学やクラブ活動を考え、小学校を卒業する時点で、私立をはじめ国立、県立または高知市立の中学校へと進学していきます。その進路選択は高校や大学への進学を目指したものかと思い込んでおりましたが、そうではありませんでした。そこには、このまま校区の中学校に進学したら、学校規模が小さいがために、やりたいクラブがないという理由があったんです。 今は、小学生といえども市中のスポーツクラブや、文科省が十数年前から始めた総合型地域スポーツクラブなどに通って、スポーツの腕を本格的に磨いている子供たちがたくさんいます。こうした子供たちの多くは、中学生になっても好きになったそのスポーツを学校の部活動ですることを望み、中学総体での活躍を夢に見たり、また高校に進んでからのインターハイに出ることなども視野に入れていると聞きました。 このため、校区内の中学校に入りたい部活動がなければ、校区を越えてでも部活動のできる学校を探すようです。実際そうした進路選択をした小学6年生と保護者の方に、この春私は出会いました。もし大きな中学校区として高岡中学校1校にまとまっていたら、生徒も多くて部活動も多種多様にできるため、越境せずとも地元の中学校で、幼なじみらと共に好きな部活動ができるはずでありました。 土佐南中学校から車でたった10分のところに、生徒数が400人近い高岡中学校があります。また、土佐南中学校とは別にもう一校、土佐市には、高岡中学校まで車でたった15分のところに生徒数29人の戸波中学校もあります。この3校がまとまれば、さらに大きな中学校となり、クラブ活動などもそれは充実することになるでしょう。 ところが、そうではないことから、校区を越えてそれぞれに進学していくため、家庭には費用の負担も多くかかりますし、高知市立の中学校を選ぶ子供は、家族ぐるみで転居をしていっています。聞いてみたら、子供のクラブ志望をかなえるために、家族ごと転居していった例は以前にもあったと聞きます。土佐市のように、大きな高知市に隣接する市町村ですから、こうした選択肢もあるわけですが、もっと郡部に行けば、こうした選択はできません。また、校区を越えてまでの部活動はもうしないという子供や家庭は、それまで腕を上げてきた能力や夢を渋々諦めて、校区内の中学校に進学しているといいます。 このように、進学する中学校が小規模校のために、子供たちの夢が絶たれるということを、私は初めて知りました。ここで、こうした事実をお聞きになられた感想を教育長にお聞きいたします。 ◎教育長(伊藤博明君) 学校の小規模化につきましては、学習面だけでなく、今お話しありましたように、部活動にも影響があるものというふうに認識をしております。団体競技を行うには一定の人数をそろえることが必要であり、また近年は子供たちの部活動に対する希望も多種多様になってきておりまして、それらに応えようとすると、一定規模のある学校でないと、なかなか実現が難しいというふうに考えております。 ◆20番(森田英二君) 教育長ありがとうございました。 大きい学校に入れば、協調性や社会性なども広く体験ができて、また違った価値観を持つ友達にも出会え、能力も高まり競争心も芽生え、さらに深い深い思いやりや優しさのある子供にも出会って育っていくんだろうと思います。保育、小学、中学と、ずっと10人足らずの中で過ごしてきた私の孫に聞いてみましたら、高校に入ってあまりの大きさに、まずびっくりしたといいます。そして、もっと早くからこんな多くの人の中にいたかったとも言いました。私の別の孫も、中学校から男子バレーをしたいために校区の中学校に進まず、私学に進学しました。昔から、池のコイもすむ池を大きく深くすることで、大きな良いコイが育つと言われます。このことは、人に言い換えてもよく、含蓄のある言葉だと思います。さらに、私は校区を越えるだけでなく、子供たちの能力や可能性を引き出すためには、市町村境を越してでも学校の統合があってよいとさえ思っています。 そんなことを思っていましたら、昨日我が党の上治議員が、私とほぼ同じ視点に立った質問をされました。上治議員は御存じのように、つい最近まで馬路村の村長をされており、まさに現場の生の声でした。 上治議員はその質問の中で、中学生ともなれば、部活動は学校生活の中で心の大きな支えになっているという認識をまず述べられて、その上で中芸の5町村は、進学しようとする中学校がどこも小規模な学校ばかりとなっていて、希望するクラブ活動ができないという悩みを述べていました。そして、町村境を越えた中学校の部活動の在り方を、今関係行政の中で手探りを始めているということでした。これに対し教育長は、部活動は町村合同の方向で速やかに検討に入るとの意向を昨日示され、ああそれはよかった、子供たちが救われると思いました。 でも、一方で私は、根本の学校規模そのものを大きくしていく作業も同時に進められていくべきではないかと思いながら聞いていました。こうした単位校だけでの部活動の限界は全県下的に顕在化してきており、他校との合同チームをつくりたいという市町村が97%もあったと、昨日の答弁の中で教育長は述べられていました。今まさに県下の郡部校は、こんな状況になっているんだと改めて知りました。 そこで、私はこの中芸5町村の中学校の実態について調べてみました。すると、田野町は2,514人の人口で47人の中学校が1つ。安田町は2,437人の人口で21人の中学校が1つ。奈半利町は3,049人の人口で38人の中学校が1つ。北川村は1,149人の人口で25人の中学校が1つ。そして、馬路村は725人の人口に対して2つの中学校があり、合わせても20人。このように、隣接の5か町村の全てが零細な中学校ばかりです。馬路村と北川村は少し遠いかもしれませんが、スクールバスを回してでも何とかならないかと思いました。 もし5か町村立の中学校が実現すれば、全校生徒が151人の中学校となり、そうなれば子供たちにとっても全くイメージの違った中学校になります。しかし、本県は今後も一層の過疎化が進み、この地区もどんどん子供たちがさらに減っていくんでしょう。地域や学校が立ち行かなくなってから、極限状態になってからの対応では、子供たちがあまりにもかわいそうです。だからこそ、今からの準備やそれに向けた対応が急がれます。 このように、校区はもちろん市町村の境に縛られない学校の統合なども、もっと本気で考えるべきではないでしょうか。そうすれば、子供たちはもっと多くの同級生や仲間たちと学べ、部活動ができ、大きな輪の中で切磋琢磨し、持ち前の能力を存分に開花させることができそうであります。せめて毎年クラス替えができる程度の学校であったり、同学年の中で競技ルールなどが学べる学年にしてあげたいものです。 少し言い過ぎた言葉にもなりますが、学校の統合を棚に上げたり、校区に縛ったり、行政区界を尊重し過ぎるのは、教育の本質の理念にももとるのではないでしょうか。そんな人為的な決め事が、子供の成長に支障していいはずがありません。しかし、現実は小学、中学の6年間、9年間をずっとクラス替えなどもできないで、私の孫と同じように、ほんの少人数の同級生で幼少期からずっと過ごしたという学校も郡部には多くあります。こうした子供たちにとっては、例えばですが、潜在的ないじめや、好き嫌いから解放されるかもしれないクラス替えというチャンスさえもないんです。 教育に費用対効果を持ち込むというわけではありませんが、もう少し大きな学校になれば、そこで浮いた経費でもって、より効果的な教育投資もできるのではないでしょうか。先ほどの中芸5か町村の6つの中学校が、もし1つの中学校にまとまれば、どれだけの経費が節減でき、一方どれだけの効率的な学校とすることができるのか。自治体や教育界にどのような規制や仕組みがあるかもしれないままに、あえて申し上げました。 教育長に話せば何かよい知恵が借りられるかもしれないと思い多くを述べましたが、小中学校のもっと広い統合について教育長の御所見をお聞きします。 ◎教育長(伊藤博明君) 教育の機会均等、それから教育の質の維持・向上の観点から、またこれからの主体的、対話的、深い学びを実現するためには、子供たちが仲間と協力し、あるいは切磋琢磨して学び、社会性を身につけることのできる集団規模は必要なものでございます。部活動も含めて子供たちの集団規模を確保することは、教育環境を整える上で重要なことであるというふうに認識をしております。 また、先ほど答弁いたしましたように、中央教育審議会の中間まとめ案では、小学校専科指導の充実方針が示されておりまして、今後導入拡大も想定されているところでございます。本県においても、専科指導の充実に向けた施策を進めていくことになります。 県教育委員会として、このような教員配置や教育方法の充実と併せて、統合による魅力的な学校、地域づくりの全国的な事例、例えば地域との熟議をベースとして子供や地域の将来を描き、統合を実行した京都府の南丹市などの例が文部科学省からモデルとして示されておりますので、こうしたものを提供するなど、これからの学校教育の在り方について、市町村教育委員会とも積極的に話合いをしていきたいというふうに考えております。 ◆20番(森田英二君) 教育長、ぜひそういう方向で、市町村教委とも思い切り腹を割ったお話で、統合の方向で進めていただきたいと思います。 最後に、知事にもお伺いをいたします。確かに、小中学校は市町村立ではありますが、高知県の子供でもあるわけです。次の高知県を背負う大切な子供たちです。知事は、市町村長とも親しくお会いをする機会もあろうと思います。そうした機会にぜひ知事からも、直接学校の話題なども出してもらえたらと思っています。 一方、新しい菅内閣は、相当なスピード感で斬新な行政改革に早速取りかかろうとしています。地方においても、もっとスピードを上げて、高知県の子供たちがよりよい学校環境、学習環境の中で教育が受けられるように、急ぎ前に進めるべきだと考えます。 ここまで述べてきましたように、県下にはこのような零細で小規模な小中学校が存続し続ける現状をどのように感じておいででしょうか、知事の率直なお気持ちをお聞かせください。 ◎知事(濱田省司君) これからの時代におきましては、変化の非常に激しい時代でございますので、こうした変化に積極的に向き合いまして、周囲の人々と協働して新しい価値をつくり出していく、そういう力が求められていると思います。そういうことを考えますと、学校には適切な教育課程はもちろんでございますが、仲間と切磋琢磨をし、協力しながら学ぶという意味で、一定のそのための集団規模が求められるのだろうという思いはいたします。 小規模の学校は教育的な観点で見ますと、個別指導が充実できるというような利点もありますけれども、一方では議員からもるる御指摘がありましたが、多様な意見あるいは考えと出会うというチャンスに乏しいという問題、あるいは部活動がやりにくいといったような課題があるということだと思っております。これからの地域におきます学校の在り方を考えます際には、将来の日本あるいは地域を担っていく子供たちのことを中心に考えていくということが何よりも求められると思います。そうした中で、それぞれの地域や歴史文化を踏まえまして、課題、将来ビジョンを行政、地域の関係者が話し合い、共有していくということが重要だと考えております。 一方で、「濱田が参りました」で中山間地に参りますと、人口減少進む中で--児童生徒数が減っている中で、特色ある学校づくりを進め、あるいは通学区域の特例などをつくって、学校を何とか維持していきたいという御努力をされている方々のお話を聞くこともありまして、なかなか難しい問題だなと思います。 いずれにいたしましても、子供のことを第一に考えるという中で、よく話し合っていただくということが大事な問題ではないかと思います。 ◆20番(森田英二君) 知事ありがとうございました。知事にも小規模な学校のこと、届いたように感じました。ありがとうございました。 次に、ちょっと半端になるかも分かりませんが、今年の2月議会で私が質問をした3世代の同居、近居の件で再びお聞きをいたします。 地域福祉部長は、本県の現状を尋ねた私の質問に対して、その答弁の中で、3世代同居・近居を促進するまでにはまだ至っていない、各市町村の実情や意見を聞いて、その取組を支援していくつもりだと答えられました。そんな悠長なことを言っていてどうしますか。国は、内閣府の少子化社会対策大綱の中で、この3世代同居・近居施策を急ぎ取り組むべき実効性のある施策として、もう5年も前に打ち出しているんです。また、令和2年5月29日に閣議決定されたその大綱においても、令和時代にふさわしい取組だとして発展的に継続をされております。 私は、どうして高知県がこの取組をちゅうちょしているのか、なぜ国の進める施策に連動しないのか分かりません。今年度の国の大綱の中には、同居、近居に加えて、親の家のすぐ隣に住む隣居という言葉まで登場しています。この施策、世代間で助け合うことで、多様化する子育て家庭の様々なニーズにも応えられるし、ひいては少子化問題解決につながる大きな一助になるとしています。その中で、第3子以降を持ちたいという希望があるものの、同居に向けた住宅の改造費などが負担となっているとするなら、そのための住居改造の支援費も国から出るんです。 また、知事はこの3月、3世代同居・近居施策について、県民の声や市町村の意見なども聞くとおっしゃいました。私としては、他県に大きく遅れてしまったこの取組をどうやって取り戻すかも併せて考えてほしいと思っています。実際、3世代、4世代が同居、近居、隣居をすれば、出生率も上がり、賢い子が育ち、市町村の行政負担が減り、同居、近居の高齢者にも生きがいができ、さらには世帯の収入も増え、地域の伝統文化や生活の知恵なども自然と受け継がれていきます。 この支援制度は、もちろん強制するものでは全くありません。望む人が利用できるという制度なのです。新婚さんが初めて親と同居、近居をする場合に、国が3世代同居を応援してくれるんです。また、民間や市町村もこれで動き出すんです。そうした制度があることを、県が広報をどうかしてほしいという願いであります。 最後まで質問は行きませんが、お感じになるところを地域福祉部長にお聞きいたします。 ◎地域福祉部長(福留利也君) 議員のお話にありましたように、まずは国の支援策をはじめ、同居、近居を支援する様々な情報をホームページに掲載するなど、積極的に広報を行いまして、3世代同居・近居施策を推進してまいります。 ◆20番(森田英二君) いい答えをいただきました。やはり高知県向けの国の施策ですので、一緒に取り組んでまいりましょう。 全て終わりました。ありがとうございました。(拍手) ○議長(三石文隆君) 以上をもって、森田英二君の質問は終わりました。 以上で、議案に対する質疑並びに一般質問を終結いたします。----------------------------------- △決算特別委員会の設置 ○議長(三石文隆君) 日程第3、決算特別委員会設置の件を議題といたします。 お諮りいたします。令和元年度の決算を審査するため、この際、10名の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、第13号及び第14号並びに報第1号から報第23号まで、以上25件の議案を付託の上、この審査が終了するまで議会の閉会中も継続審査することに御異議ありませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○議長(三石文隆君) 御異議ないものと認めます。よって、10名の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、第13号及び第14号並びに報第1号から報第23号まで、以上25件の議案を付託の上、審査が終了するまで議会の閉会中も継続審査することに決しました。 なお、お諮りいたします。ただいま設置されました決算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条の規定により、1番上治堂司君、5番金岡佳時君、11番横山文人君、15番弘田兼一君、20番森田英二君、23番西森雅和君、25番大石宗君、28番石井孝君、30番橋本敏男君、35番吉良富彦君、以上の諸君を指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○議長(三石文隆君) 御異議ないものと認めます。よって、ただいま指名いたしました10名の諸君を決算特別委員に選任することに決しました。----------------------------------- △議案の付託 ○議長(三石文隆君) これより議案の付託をいたします。   (議案付託表及び請願文書表配付) ○議長(三石文隆君) ただいま議題となっている議案のうち、第1号から第12号まで及び報第24号、以上13件の議案を、お手元にお配りいたしてあります議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。   〔議案付託表 巻末362ページに掲載〕----------------------------------- △請願の付託 ○議長(三石文隆君) 御報告いたします。 請第2号「妊産婦医療費助成制度の創設を求める請願について」の請願が提出され、その請願文書表をお手元にお配りいたしてありますので御了承願います。 本請願は、請願文書表に記載のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。   〔請願文書表 巻末366ページに掲載〕----------------------------------- ○議長(三石文隆君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 お諮りいたします。明8日から14日までの7日間は委員会審査等のため本会議を休会し、10月15日に会議を開きたいと存じますが御異議ありませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○議長(三石文隆君) 御異議ないものと認めます。よって、さよう決しました。 10月15日の議事日程は、議案並びに請願の審議であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後5時5分散会...