高知県議会 2020-10-06
10月06日-05号
令和 2年 9月 定例会(第355回) 令和2年10月6日(火曜日) 開議第5日
-----------------------------------出席議員 1番 上治堂司君 2番 土森正一君 3番 上田貢太郎君 4番 今城誠司君 5番 金岡佳時君 6番 下村勝幸君 7番 田中 徹君 8番 土居 央君 9番 野町雅樹君 10番 浜田豪太君 11番 横山文人君 12番 西内隆純君 13番 加藤 漠君 14番 西内 健君 15番 弘田兼一君 16番 明神健夫君 17番 依光晃一郎君 18番 梶原大介君 19番 桑名龍吾君 20番 森田英二君 21番 三石文隆君 22番 山崎正恭君 23番 西森雅和君 24番 黒岩正好君 25番 大石 宗君 26番 武石利彦君 27番 田所裕介君 28番 石井 孝君 29番 大野辰哉君 30番 橋本敏男君 31番 上田周五君 32番 坂本茂雄君 33番 岡田芳秀君 34番 中根佐知君 35番 吉良富彦君 36番 米田 稔君 37番 塚地佐智君欠席議員 なし
-----------------------------------説明のため出席した者 知事 濱田省司君 副知事 岩城孝章君 総務部長 君塚明宏君 危機管理部長 堀田幸雄君 健康政策部長 鎌倉昭浩君 地域福祉部長 福留利也君 文化生活スポーツ部長 岡村昭一君 産業振興推進部長 井上浩之君 中山間振興・交通部長 尾下一次君 商工労働部長 沖本健二君 観光振興部長 吉村 大君 農業振興部長 西岡幸生君 林業振興・環境部長 川村竜哉君 水産振興部長 田中宏治君 土木部長 村田重雄君 会計管理者 井上達男君 公営企業局長 橋口欣二君 教育長 伊藤博明君 人事委員長 秋元厚志君 人事委員会事務局長 原 哲君 公安委員長 小田切泰禎君 警察本部長 熊坂 隆君 代表監査委員 植田 茂君 監査委員事務局長 中村知佐君
-----------------------------------事務局職員出席者 事務局長 行宗昭一君 事務局次長 織田勝博君 議事課長 吉岡正勝君 政策調査課長 川村和敏君 議事課長補佐 馬殿昌彦君 主幹 春井真美君 主査 久保淳一君
-----------------------------------議事日程(第5号) 令和2年10月6日午前10時開議第1 第1号 令和2年度高知県一般会計補正予算 第2号 令和2年度高知県流域下水道事業会計補正予算 第3号 令和2年度高知県病院事業会計補正予算 第4号 知事等の損害賠償責任の一部免責に関する条例の一部を改正する条例議案 第5号 漁業法等の一部を改正する等の法律の施行による漁業法の一部改正に伴う関係条例の整理に関する条例議案 第6号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第7号 ふぐ取扱い条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例議案 第8号 高知県立高等技術学校が実施する普通職業訓練の基準等を定める条例の一部を改正する条例議案 第9号 高知県手数料徴収条例及び高知県住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例議案 第10号 高知県漁港管理条例の一部を改正する条例議案 第11号 県有財産(教学機器)の取得に関する議案 第12号 損害賠償の額の決定に関する議案 第13号 令和元年度高知県電気事業会計未処分利益剰余金の処分に関する議案 第14号 令和元年度高知県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分に関する議案 報第1号 令和元年度高知県一般会計歳入歳出決算 報第2号 令和元年度高知県
収入証紙等管理特別会計歳入歳出決算 報第3号 令和元年度高知県
給与等集中管理特別会計歳入歳出決算 報第4号 令和元年度高知県
旅費集中管理特別会計歳入歳出決算 報第5号 令和元年度高知県用品等調達特別会計歳入歳出決算 報第6号 令和元年度高知県
会計事務集中管理特別会計歳入歳出決算 報第7号 令和元年度高知県県債管理特別会計歳入歳出決算 報第8号 令和元年度高知県
土地取得事業特別会計歳入歳出決算 報第9号 令和元年度高知県
国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算 報第10号 令和元年度高知県
災害救助基金特別会計歳入歳出決算 報第11号 令和元年度高知県
母子父子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算 報第12号 令和元年度高知県
中小企業近代化資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第13号 令和元年度高知県流通団地及び
工業団地造成事業特別会計歳入歳出決算 報第14号 令和元年度高知県
農業改良資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第15号 令和元年度高知県県営林事業特別会計歳入歳出決算 報第16号 令和元年度高知県林業・
木材産業改善資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第17号 令和元年度高知県
沿岸漁業改善資金助成事業特別会計歳入歳出決算 報第18号 令和元年度高知県
流域下水道事業特別会計歳入歳出決算 報第19号 令和元年度高知県
港湾整備事業特別会計歳入歳出決算 報第20号 令和元年度高知県
高等学校等奨学金特別会計歳入歳出決算 報第21号 令和元年度高知県電気事業会計決算 報第22号 令和元年度高知県工業用水道事業会計決算 報第23号 令和元年度高知県病院事業会計決算 報第24号 県有財産(個人防護具)の取得の専決処分報告第2 一般質問(一問一答形式による)
----------------------------------- 午前10時開議
○議長(三石文隆君) これより本日の会議を開きます。
-----------------------------------
△質疑並びに一般質問
○議長(三石文隆君) 直ちに日程に入ります。 日程第1、第1号「令和2年度高知県一般会計補正予算」から第14号「令和元年度高知県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分に関する議案」まで及び報第1号「令和元年度高知県一般会計歳入歳出決算」から報第24号「県有財産(個人防護具)の取得の専決処分報告」まで、以上38件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問を併せて行います。 質疑並びに一般質問は一問一答形式によることとします。 上治堂司君の持ち時間は40分です。 1番上治堂司君。
◆1番(上治堂司君) 4月に自由民主党会派に入らせていただきました上治であります。1人会派、緑と青の会のときには、各会派の皆様の御指導をいただき、様々な面で議会活動を勉強させていただきました。ありがとうございました。 それでは、早速ですが、議長のお許しをいただきましたので、質問をさせていただきます。 知事は2月議会定例会で、令和2年度の県政運営の基本的な考え方の中で、令和2年度は県政運営に当たる実質的な初年度であり、できるだけ多くの県民の皆様との対話を行えるよう、4月から県民座談会「濱田が参りました」を開催し、1年間で全ての市町村を訪問していくと述べられました。しかし、2月下旬から新型コロナウイルス感染症が日本、世界全体に広がり、県では県民の命と生活を守り抜くことを第一に考え、感染予防、感染拡大防止、情報発信、相談体制の整備、経済影響対策に取り組んでいるところであります。 そうした状況下ではありますが、知事は、6月から県民座談会「濱田が参りました」を土佐市を皮切りにスタートし、9月までの4か月間で12市町村を訪問し、農業、林業、水産業、観光、教育、福祉、防災、集落活動センターなど幅広く関係する方々と意見交換を行っているところであります。 そこで、まず県内34市町村の3分の1程度の市町村ですが、地域住民との意見交換を通してどのように感じたか、知事にお伺いいたします。
◎知事(濱田省司君) お話がございましたように、これまで12回この県民座談会を開催させていただいておりますが、まだまだ私自身、直接地域に入らなければ知り得ないことが多いなということを実感しております。できるだけ早くに全ての市町村を訪問させていただきたいという思いでございます。 今までの県民座談会の中では、地域の方々が、特に中山間地域など条件の厳しい地域におきまして、様々な課題に真正面から取り組んでいると。そして、創意工夫を凝らしながら解決に向けて真摯に立ち向かっているという姿に接しまして、大いに感銘を受けているところでございます。御地元、そして高知を元気にするために、意欲を持ちながら熱心に活動されているという姿には非常に私も感銘を受けておりますし、また私自身元気をいただく貴重な機会になっているというふうに思っております。 引き続きまして、共感と前進という基本姿勢の下で、県民の皆さんと共に豊かで元気な高知県づくりに邁進をしてまいりたいという思いでございます。
◆1番(上治堂司君) 次に、御案内のとおり高知県は東西に長く、また中山間地域が多く地理的条件が厳しい環境にあり、道路整備は十分でない状況ではないかと思います。「濱田が参りました」でそれぞれの市町村を訪問する道中、道路の整備状況をどのように感じたか、知事にお伺いいたします。
◎知事(濱田省司君) 県民座談会におきまして、県内各地を訪問させていただく中で、長距離の移動でございましても、かつてに比べますと高速道路の整備なども進み、その点はかなりスムーズな移動ができるようになったのではないかというふうに感じることが多うございます。ただ一方で、特に中山間の地域では、国道でありましても行き違いが困難な箇所がありましたり、また落石危険箇所が多く残っているという路線もございまして、本県の道路整備も、特に中山間地域ではまだまだという実感がございます。 特に、北川村にお邪魔をいたしましたときは、国道493号を通りましたけれども、いわゆる工事用のダンプなどとも度々擦れ違いを余儀なくされる、非常にそういったときに道路事情の厳しさを実感いたしましたし、これは何とか改善を図っていかないといけないという思いを強くしたところでございます。
◆1番(上治堂司君) 次に、現在国におかれましては、国難とも言える新型コロナウイルス感染症対策に多額の予算を投じて対応しています。また、来年度もその対策には一層の予算が組まれることが見込まれておるところであり、そのことで本県の道路整備のための予算が少なくなることも心配されております。 そこで、本県における道路整備予算の確保に向けてどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。
◎知事(濱田省司君) 道路整備に関しましては、ここ3年間は特に「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」も活用して整備を加速してきたところでございますが、ただいま申し上げましたように、まだまだ整備の必要な箇所が多うございまして、スピードを緩めることなく進めていかなければいけないという思いでございます。 特に、今年は3か年緊急対策の最終年度に当たります。そうしたことで、その概算要求も始まっておりますけれども、例年以上に道路事情をしっかりと訴えまして、来年度以降の財源確保の枠組みをしっかりつくってまいらなければいけないという思いで活動してまいりました。具体的には、今年度はコロナ禍もございましたので、ウェブ方式なども必要な場合は活用いたしまして、様々な方式を通じて全国知事会などとも連携をしながら、強力に国に対し国土強靱化3か年緊急対策後の財源手当てに関しまして提言を行ってまいりました。 今回の国土交通省の概算要求におきましては、国土強靱化関連の取組の加速化、深化を図るための予算がいわゆる事項要求といたしまして、金額は示さないものの、予算編成過程で検討をしていくテーマとして盛り込まれたところでございます。今後は、これらの道路関係予算が令和3年度の政府予算案にしっかりと計上されますように、引き続きしっかりと提言・要望活動を行ってまいります。
◆1番(上治堂司君) 次に、知事は高知県
新型コロナウイルス感染症対策本部長であり、県民の皆様にメッセージなど的確にスピード感を持って発信をしているところであります。去る5月26日のメッセージで、緊急事態宣言が終了しても、まだ全国的に自由に観光ができる状況ではないので、この際県内のいろいろな観光名所や施設を再発見するという面で、県内観光を進めていただきたいと県民に発信をしているところでありました。 また、8月12日のメッセージでは、高知県の感染状況は国が示した4つのステージの中では最も下のステージ1であるが、全国的には東京都を中心とする首都圏、大阪府、愛知県、福岡県などの大都市部では多くの感染者が確認され、感染拡大が懸念されている状況であると言われました。 最近では感染状況は全国的にも落ち着き始めておりますけれども、5月26日のメッセージで言われました県内の観光を県民の皆様に推進していくという考え方は今も同じであるか、知事にお伺いいたします。
◎知事(濱田省司君) 御指摘のございました5月の末の時点では、全国的に緊急事態宣言が解除はされましたけれども、まだ県境を越える移動は制限がかかっておったような事情でございました。現在ではこの県境を越える制限の移動もなくなりましたし、また東京発着の旅行も先日からいわゆるGo To Travel事業の対象に加わるということでございまして、県境移動をめぐる状況はここ半年弱で変わってきているのは事実だと思います。 しかし、本県の産業あるいは事業者の皆さんの受入れ状況ということを見ましたときには、観光をめぐる事業者の皆様あるいは第1次産業の状況など考えましても、引き続き厳しい状況にありまして、まだまだ回復の途上という状況にあると思っております。 したがいまして、地産地消あるいは県内観光の振興、こういったものを県民の皆さんに広くお願いしたいという思いは、5月の時点と全く変わっておらないところでございます。観光に関しましても本県独自で展開しております高知観光リカバリーキャンペーンにおきまして、県内にお住みの方々も県内に宿泊していた場合はこの交通費の対象にするという手当てをしております。ぜひこういったものも活用していただきながら、県内観光ということにも県民の皆さんにぜひ目を向けていただきたいという思いでございます。
◆1番(上治堂司君) 次に、修学旅行は児童生徒にとりまして、日常と違う文化や自然に触れる貴重な機会であり、学校行事の中では最も思い出に残る一大イベントであると思います。そのため、歴史文化の学習や様々な体験、また新幹線などの交通利用など、学校関係者は計画に力を入れていることと思います。 しかしながら、今年は新型コロナウイルス感染症により、修学旅行の中止や行き先を変更している学校があるようでございます。高知新聞の報道によりますと、県内の学校は大阪府、京都府、広島県行きが一般的だが、これらの地域で感染者が増えていることから、特に小学校で四国内に変更するところが多いようであります。また、修学旅行を実施しようとしている学校は、訪問先や移動中での密、いわゆる3密状態を避けて、子供の動線をどうするかなどのガイドラインを作成し、検討もしているようです。 修学旅行を実施するか否かは各学校の判断になるようですが、今回のような新型コロナウイルス感染症の状況の中では、実施しようとする学校に対して、多くの情報を収集できている県教育委員会が情報提供するとともに、アドバイスをしていくべきではないかというふうに思いますが、教育長の考え方をお伺いいたします。
◎教育長(伊藤博明君) 修学旅行は特別活動の一つとして、児童生徒の成長に関わる教育的意義の大きい学校行事でありまして、その実施の可否や変更の判断は各学校が行うこととなっております。 県教育委員会といたしましては、各学校において適正な判断が行われるよう、今回の新型コロナウイルス感染症に関します修学旅行についての国からの通知、それからガイドラインを周知徹底するとともに、各地域の新型コロナウイルスの感染状況や各学校の対応等について情報提供を行っております。また、県立学校の修学旅行に関しましては、各校の状況などについて実施状況調査を行い、その結果を取りまとめて各学校に提供し、判断材料の一つとしてもらっております。 今後におきましても、定期的な情報収集及び情報提供を行うなど、適切な判断のための支援を行ってまいりたいと考えております。
◆1番(上治堂司君) 次に、行き先についてでございますけれども、高知県は感染状況の最も下のステージ1であり、先ほど知事の答弁でもありましたように、経済面でも県内の観光を推進していきたいという思いでもありました。県内には、もちろんいろいろな観光名所、また最近オープンいたしました新足摺海洋館SATOUMIをはじめ、歴史文化を感じる県や市町村の施設や様々な体験学習ができる場所は多くあるというふうに思っております。 経済効果の面からも、ぜひ修学旅行は県内で実施していただくように各学校にお願いすることもできないか、教育長にお伺いいたします。
◎教育長(伊藤博明君) 新型コロナウイルス感染症の影響が広がる中で、国からは7月に修学旅行について、同一都道府県など近距離での実施や日程短縮などの検討へ配慮を行うよう通知がございました。県教育委員会としても、このことを市町村教育委員会や学校に周知、依頼しているところでございます。 本県には、教育的価値の高い文化、歴史を有する史跡や施設が多く存在いたします。地域地域には豊かな自然もございます。県教育委員会といたしましては、県内においても心に残る価値ある修学旅行が実施されますよう、観光振興部とも連携しながら、修学旅行にふさわしい県内の教育資源やプランについて、積極的に市町村教育委員会や学校に情報提供してまいります。
◆1番(上治堂司君) 次に、高知県は全国に先駆けて少子化も進んでいて、児童生徒の数は減少を続けています。近年、中学校の部活動、特に運動部は、郡部校だけではなく高知市内あるいは高知市周辺の学校でも、種目の廃止、また単体ではチームが組めず他校と合同で行っている状況であります。中学校の部活動は、学校生活の中でも子供の心の支えになっており、入学するとき希望する部活動があるかないかでは、やる気も違ってくると思います。特に、郡部の小規模校の部活動は種目も少なく、また複数の学校が合同で行っている状況であります。 中芸地域の5町村は行政を進めていく中で、共通する課題について広域連合を組織し対応しておりますが、少子化が進む今日、高知県のこれからの中学校の部活動の在り方を考えた場合、広域連合を組織している中芸5町村の中学校の部活動は、モデル事例として1つの学校の部活動というふうに広域で行うことができないか、教育長にお伺いいたします。
◎教育長(伊藤博明君) 本年8月に県内全市町村教育委員会を対象にしまして、これからの運動部活動の在り方についてのアンケートを実施いたしました。これによりますと、他校と合同チームをつくって部活動に取り組みたいと考えている市町村の割合は、今回提案をいただいた中芸5町村の教育委員会を含みまして、県全体で97%となっております。合同チームの取組を推進していくためには、現行の中学校体育連盟の合同チーム編成規定では対応ができないことが出始めておりまして、また日々の活動の調整など様々な課題がございます。こうした課題を解決するためには、学校や中学校体育連盟を含め、県全体の合意形成が必要だというふうに考えております。 そのため、中芸地区に限らず、全ての市町村と関係機関が連携して、これからの部活動の在り方検討委員会における議論を踏まえながら、まずは部活動の拡充に向けて速やかに検討をしてまいりたいと考えております。
◆1番(上治堂司君) そうすると、第2期高知県スポーツ推進計画のVer.3で、事業実施計画の中で運動部活動について、競技の専門的な指導者の不足、部員の減少などから、生徒の能力、適性、興味、関心に応じた活動が実施されにくい状況が見られるなどというふうに現状、課題を分析して、令和4年度の到達目標に向けて様々な取組をしていくこととなっております。 その中で、中体連、高体連、地教委などを対象に、これからの部活動の在り方検討委員会を令和2年度に実施するとなっておりますが、その状況について教育長にお伺いします。
◎教育長(伊藤博明君) 少子化が進む中、学校規模の縮小等によりまして、運営体制の維持が難しくなってきた部活動、これを維持していくために、県教育委員会では中学校及び高等学校体育連盟、教育関係団体、PTA、それから学校長、学識経験者らで構成する、これからの部活動の在り方検討委員会を今年8月に立ち上げたところでございます。 こうした中、9月1日に文部科学省から、学校の働き方改革を踏まえた部活動改革についてが示されました。ここでは、令和5年度から休日の部活動を段階的に地域へ移行することや、合理的で効率的な部活動の取組として、合同部活動の推進やICT活用などが具体的な方策として示されております。 このため、これからの部活動の在り方検討委員会の組織の改編なども念頭に、先ほど答弁いたしました合同部活動について、一体的に検討を進めていきたいというふうに考えております。
◆1番(上治堂司君) 次に、本県は県土の84%が林野でありまして、民有林の人工林、特に60年生は最も多く、森林の蓄積量は民有林1ヘクタール当たり約500立方ぐらいあるというふうに森林資源は充実している状況であります。県は産業振興計画の中において、その蓄積量を生かして原木の生産拡大を目指し、皆伐と再造林の促進、また施業の集約化を図り、間伐の推進というふうに行うこととしています。 そこで、第4期産業振興計画で、令和5年には79万立方の原木生産の目標を立てておりますが、間伐と皆伐との割合というものはどのようになっているのか、林業振興・環境部長にお伺いいたします。
◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) 第4期産業振興計画の原木生産量の目標値におきましては、皆伐が約6割、間伐が約4割として計画を立ててございます。
◆1番(上治堂司君) 次に、皆伐後の再造林は災害防止、公益的機能の発揮の点からも、保安林は基本再造林施業をしないといけないことになっておりますけれども、現在皆伐後の再造林の状況は保安林を除くとどのようになっておるのか、林業振興・環境部長にお伺いいたします。
◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) 令和元年度の皆伐面積につきましては約550ヘクタールと推計しており、そのうち保安林以外の面積については約420ヘクタールと推計してございます。これに対して、令和元年度の保安林以外の再造林面積は約130ヘクタールと推計してございまして、これを単純に比較いたしますと3割程度の再造林率であると想定してございます。
◆1番(上治堂司君) 次に、再造林をして山を育てていく場合でありますけれども、鹿などの野生動物の被害がありまして、育林に支障を来している現在状況であります。森林整備をされておられる現場の方々の声を聞きますと、自然に生えてきました杉やヒノキは野生動物の食害に遭っていないようだというようなことであります。 再造林して森づくりを行うとき、皆伐施業の方法として畝筋の木を残していくことで自然木と、そしてまた人工林の融合した山にしていくことも一つの方法だというふうに思いますが、林業振興・環境部長に所見をお伺いいたします。
◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) 自然に落下した種から発芽した苗が、鹿などの野生動物の食害を受けにくいといった現場の声につきましては承知はしてございますが、残念ながらそれを裏づけるデータというものは確認されてございません。ただ、皆伐による森林の公益的機能への影響を緩和するために、林地保全の観点から尾根筋や谷筋といったところに木を残すことについては、大切なことであると考えてございます。また、市町村森林整備計画におきましては、1か所でおおむね20ヘクタールを超えるような皆伐に対しては木を切らない保護樹帯を残すこととしてございます。 県といたしましても、こうした基準を遵守するよう指導するとともに、尾根筋、谷筋あるいは人家の近くなどに保護樹帯を残すこと、1か所当たりの皆伐面積をできるだけ小さくすることについて、林業事業体へ推奨しているところでございます。
◆1番(上治堂司君) 次に、近年時代とともに住宅建築の様式も変わってきて、大径木と言われるものの利用が少なくなっております。特に22センチぐらいが多く使われるというふうに聞いております。今までは間伐を繰り返し、長伐期を目指して価格の高い優良大径木を育てようというふうにしてきましたが、そういうふうな現在の木材利用の状況から考えると、50年生ぐらいになると皆伐をし、再造林をしていく森づくりがよいのではないかというふうに思います。 日本一の森林県である高知県の森づくりは、今までと同じように間伐を繰り返し優良大径木を育てようとしていくのか、皆伐をし再造林を進めていくのか、高知県の森づくりの方向性を林業振興・環境部長にお伺いいたします。
◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) 森林の多面的機能を持続的に発揮するためには、適地適木を基本といたしまして、様々な樹種、様々な林齢の森林がバランスよく配置された多様な森づくりを進めることが必要であると考えております。現状では、議員御指摘のとおり、民有林の杉、ヒノキの人工林は50年生以上のものが20万ヘクタール余り、約7割を占めてございます。これは非常に偏った状態と認識してございます。 このため、将来の森林資源を維持するためには、皆伐と再造林を一体的に進めて若返りを図る必要があると考えております。一方で、奥地の条件不利な地域などでは、皆伐を避けて今後も間伐を繰り返して長伐期化を進めていくこと、あるいは針広混交林に誘導していくことも必要であるというふうに考えております。 こうした判断の目安としては、皆伐と更新に関する指針を作成しておりまして、林業事業体等にお示ししているところでございます。この指針につきましては、今後も状況の変化に応じて随時見直しを進めて普及を図ってまいりたいと考えております。
◆1番(上治堂司君) 次に、原木価格ですが、これは昭和55年をピークに下がり出しまして、平成31年にはピーク時の20%ということで大変大きく落ち込んでおります。人件費は当然当時から上昇はしておりまして、県の試算によりますと、杉1ヘクタール当たりを再造林から下刈り、除伐、保育間伐など森林整備、そして皆伐を行った場合は、60年生で収入から支出を差し引くと30万円ほど残るということになっております。 再造林から間伐までの森林整備は、水源の涵養や国土保全など公益的機能の観点からそれぞれの事業に対して補助金が投入されています。その補助金額を80万円と見込んだ試算でありますので、実質的には今の木材価格では皆伐してもマイナスということになります。 日本一の森林県である高知県が将来にわたり資源の再生を図り、中山間地域の重要な産業として林業を進めていくには、皆伐をしても収入が厳しい状況では皆伐施業、再造林に対して森林所有者の関心も薄れていくと思います。現在の木材価格の状況というのは、なかなか上向いていくというふうには考えられません。 皆伐施業に対して、現在行っている作業道や枝葉の運搬助成以外に何らかの支援策を考えてはどうかというふうに思いますが、林業振興・環境部長にお伺いいたします。
◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) 県といたしましては、皆伐から再造林、保育を経て次の皆伐に至るまでの資源循環のサイクルにおいて、トータルコストを低減できるよう各種施策を実施しているところでございます。 議員御指摘のとおり、この中でも皆伐に対しましては、作業道の開設、集材架線の設置、あるいは枝葉といった林地残材の搬出に加えて、高性能林業機械の導入など幅広く支援を実施しているところでございます。こうした支援につきましては、皆伐後の再造林のコスト縮減や将来の搬出間伐などの効率化につながると考えております。 今後とも森林所有者や林業事業体の皆様の御意見も伺いながら、さらなるトータルコスト縮減に向けた効果的な施策を展開してまいりたいと考えております。
◆1番(上治堂司君) 再造林が、先ほど答弁で6割しか進んでいないと、かなり進んでいないという状況ですので、その辺はまた検討していただければと思います。 次に、先月行われました産業振興計画フォローアップ委員会林業部会で示されました産業成長戦略の木材利用の拡大については、住宅建築関係と木質バイオマスのみの利用計画となっております。素材生産を今後大きく増産していくという中で、2月議会で一般質問もいたしましたけれども、木材利用を拡大していくには、建築用材だけではなく国道や県道、市町村道をはじめ治山、林道など公共土木事業に積極的に利用されるよう、木材製品の研究開発を進めていくべきというふうに考えますけれども、林業振興・環境部長に所見をお伺いいたします。
◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) 県では、これまで木製ガードレールや木製のコンクリート型枠など様々な形で土木分野における木材利用を行ってきてございます。土木分野での木材利用をさらに拡大していくためには、木材の強度や耐久性といった技術的な課題を解決することが必要であると考えております。 こういった観点から、日本CLT協会で本年度産学官が連携した委員会が設置されておりまして、土木分野へのCLTの活用の研究が始まってございます。この委員会には本県も参加しておりまして、土木分野での新たな木材利用を提案できるようにしてまいりたいと考えております。 また、2月議会のほうでも御答弁させていただきましたけれども、県とTOSAZAIセンターが連携して都市部の自治体に木材利用の提案活動を行う中で、土木分野のニーズの把握にも努めてまいりたいと考えております。そのニーズに応じて意欲を示す地元企業や関係機関などと連携して、土木分野で活用される付加価値の高い商品開発へつなげてまいりたいと考えております。
◆1番(上治堂司君) 県は産業振興計画の林業分野におきまして、積極的に各種施策を展開しておるところでございます。しかしながら、未来の木材需要や、あるいはまた木材価格の予測というものは、これはなかなか誰にもできるものではありません。そういう状況ではございますけれども、希望や、また展望がないと前にも進むこともできないというふうに思います。 高知県の大きな財産であり資源である森林が活用をされ、林業が中山間地域の大切な産業として成り立っていけるように、今後も現場の状況を把握して、必要に応じて柔軟に取り組んでいただきますように、ぜひ要望してこの件は終わらせていただきますが、よろしくお願いをいたしたいというふうに思います。 次に、新型コロナウイルス感染症は本県の経済、特に観光関連事業者に大きな打撃を与えておるところでございます。また、感染症対策として人の移動の制限や3密を避けることなど、新しい生活様式というものが求められております。 先ほど、教育長に修学旅行について質問をさせていただきましたけれども、修学旅行はまさにバスなどの移動手段の乗り物、宿泊施設での利用は今までは3密の状態であったというふうに思います。3密を避けて修学旅行を計画しようとすると、利用するバスの台数や、また宿泊する部屋の状況など検討しないといけないというふうに思います。 修学旅行を受け入れようとする旅館等の宿泊施設に対して、新しい生活様式などに対応する改修に助成金を出して、県内で修学旅行が行いやすい、また受け入れやすい環境をつくってはというふうに考えますが、観光振興部長にお伺いいたします。
◎観光振興部長(吉村大君) コロナ禍におきましても安心して旅行していただくためには、感染防止対策がしっかりと講じられていることが重要でございます。お子さんを送り出す御家庭にとりましても重要なことだと思います。 そのため、今議会には、新しい生活様式や旅行スタイルに対応するために、宿泊施設が行う施設の改修や設備の導入などに助成する事業を御提案させていただいております。宿泊施設の皆様にはこの事業も御活用いただいて、旅行者に安心・安全を提供する受入れ環境を整えていただきたいと考えています。
◆1番(上治堂司君) 次に、先月行われました産業振興計画フォローアップ委員会観光部会を傍聴させていただきました。その中で、新型コロナウイルスの対応として新しい生活様式では、観光をされる方々は今はレンタカーの利用など、少人数で旅行をされておるというふうにお聞きをいたしました。この産業振興計画では、今後新型コロナウイルスの収束状況に合わせながら、様々なプロモーションを考えて、観光振興に取り組んでいくという計画になっております。 しかし、テレビ報道で目にする東京都のはとバスでございますけれども、あの観光バスは利用がほとんどなく、待機状況という物すごいことになっておるのを目にしておるわけでございますが、高知県でも貸切りバスの利用というものはほとんどない状況というふうにお聞きしております。新型コロナウイルスの収束がなかなか見えないという状況ではございます。そこで、待機中のバスを維持管理していくということは、経営者として経営上大変なことではないかというふうに察するわけでございます。 県では、事業の継続と雇用の維持対策ということで、今回社会保険等に対して支援をしていって雇用の継続をするということになっておりますが、この貸切りバスについても車検などいろんな面で維持管理に支援してはどうかというふうに思いますが、中山間振興・交通部長に所見をお伺いいたします。
◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) 例えば、とさでん交通では、貸切りバスの4月から8月の稼働台数が対前年同月比で約9割減となるなど、非常に厳しい状況が続いております。県内の貸切りバス事業者の皆様方には、国の持続化給付金や雇用調整助成金をはじめ国、県の融資制度や感染症予防対策の経費に対する補助金など、様々な支援制度を御活用いただいております。加えて、国では車両の定期点検の免除や車両の登録を一時的に抹消し、需要回復後に再度登録する際の手続を簡素化するといった特例措置も講じられているところです。 県としましては、6月補正予算でお認めいただきました貸切りバスの借り上げ料の補助制度などの執行状況と併せて、貸切りバスの運行を注視しながら、今後の対策についても検討してまいりたいと考えております。
◆1番(上治堂司君) 特に、この新型ウイルスの関係で一番本当に厳しい状況に置かれておるのは、観光産業関係の方々だというふうに思います。この観光産業関連の方々が前に向いていかなかったら、高知県の経済はなかなか前に進んでいくことはできないというふうに思いますので、その点ぜひそれぞれの連絡調整をしながら、横をしっかり持って、観光関係を進めていただきたいということを要望しておきたいと思います。 時間が少し余ってきましたけれども、それぞれに御答弁ありがとうございました。特に濱田知事におかれましては、令和2年度は、先ほど申し上げましたけれども、実質的な初年度でありまして、濱田カラーというものを出して、本当にこの県政運営を進めていくという心積もりであったかというふうにも思います。しかしながら、新型コロナウイルスということでありまして、この対応が様々な面で遅れてまいりましたけれども、先ほど申し上げましたように、6月に入りまして「濱田が参りました」の県民座談会がスタートいたしました。そして、9月にはこれは県民の期待が大変大きい関西圏との連携強化、関西・高知経済連携強化アドバイザー会議もスタートいたしたところでございます。どうかこの新型コロナウイルス感染症対策をしっかりと行うとともに、県勢浮揚に全力で頑張っていただきますようエールを送りまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(三石文隆君) 以上をもって、上治堂司君の質問は終わりました。 ここで10時45分まで休憩といたします。 午前10時38分休憩
----------------------------------- 午前10時45分再開
○議長(三石文隆君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 坂本茂雄君の持ち時間は35分です。 32番坂本茂雄君。
◆32番(坂本茂雄君) 私どもはこの一問一答、質問席はマスク不着用ということでさせていただくことになっております。執行部の皆さんは着用ということで、答弁が大変しづらい面があろうかと思いますが、その辺はお許しをいただきまして、よろしくお願いしたいと思います。 まず、代表質問で岡田議員も触れられましたが、私のほうからも菅新首相が記者会見で、「私が目指す社会像、それは自助・共助・公助、そして絆であります。まずは自分でやってみる、そして家族、地域でお互いに助け合う。その上で、政府がセーフティーネットでお守りをする」と述べられたことについてお尋ねしたいと思います。 この言葉を聞きまして、私は、公助とは国の役割そのものであり、国は公助を最優先して国民の生活を守るということをしないのであれば、もはやその存在意義を失うのではないかと思わざるを得ませんでした。そして、国のトップリーダーが国民に対して、まずは自助で頑張れ、できなければ家族、地域に助けてもらえと、自助や共助に大きな役割を負わせるような社会像を抱くことに対して、不信感を持たざるを得ませんでした。目指すべきは、国民の生活や社会の隅々に公助を行き渡らせ、自助や共助を日常的にしっかりと支援した上で、綻びのない公助というセーフティーネットを張り巡らせておくことが必要であり、公助の充実を優先させることなのではないのかとの思いでお聞きします。 この自助・共助・公助という言葉は、社会福祉の分野ではかねてから使われていましたが、人口に膾炙するようになったのは、災害対応として使われ始めたことによるものだと思います。阪神・淡路大震災では、生き埋めや建築物などに閉じ込められた人のうち、生存して救出された約95%の方は自力または家族や隣人などに助けられましたと、「南海トラフ地震に備えちょき」にもあります。 その際、自助・共助・公助は、本来共助を強調するための表現であり、今回菅首相が使われたような自助最優先、公助の縮小のようなものではなかったと考えますが、知事は災害時における自助・共助・公助をどのように考えているのか、お聞きします。
◎知事(濱田省司君) 災害対策におきましては、公助が果たす役割、これは大変大きいと思っております。例えば、災害の予防の局面におきましては、河川・海岸堤防の耐震化ですとか、津波避難タワーの整備、避難所の事前の確保、こういった役割を公助の分野で担うということだと考えておりますし、発災後も特にヘリコプターなどによります救助救出作業などを考えました場合、公助の果たす役割は大変大きいというふうに思っております。 ただ、一方で御指摘もありましたように、南海トラフ地震などの大規模地震の発生時、特に直後の災害応急活動の局面を考えますと、要救助者あるいは避難者が広域で同時に多数発生するという状況でございますから、いわゆる公助だけで全て対応することは現実問題として無理があるということでございます。こうしたことを考えますと、地域住民によります救助活動あるいは避難所の開設、運営といった自助・共助の取組も大変重要な役割を果たすということであると思います。 そうした中で、県民の皆様にいざというときにまた自助・共助に取り組んでいただけるように、常日頃からしっかりと支援をしていくということも、公の役割になってくるというふうに考えております。
◆32番(坂本茂雄君) 災害直後、一時的な状況、場面ではどうしても公助が届かない場合がありますので、その際には自助・共助で命を守り、つなぐということが必要になろうかと思います。その際には、先ほど知事が言われましたように、そこを事前にきちんと支援しておく、自助・共助が力を発揮できるように支援しておくということが、公助の大きな役割だろうと思います。その点を今後ともよろしくお願いしておきたいと思います。 また、菅首相が自助・共助・公助という言葉を持ち出すときの根底にある通念は、自助7割、共助2割、公助1割で、公助の限界を示し、基本的には自己責任を唱えるニュアンスとされているように思えました。自助7割論は、阪神・淡路大震災ではこうであったという事実を実証的に示した数字にすぎなかったはずであり、今回の菅首相の言葉は、自助で7割頑張ってもらって、公助は1割しかできないんですよといった意味合いに聞こえてしまうのです。 そこで、お聞きします。県政においては、国、県、市町村が果たす役割が公助であると思われます。知事は、公助の役割や比率をどのように位置づけているか、お聞きします。
◎知事(濱田省司君) 公助につきましては、自助や共助で対応できない問題、課題に関しまして、行政の活動を通じて、言わば社会全体で人、物、金といった資源を直接的に投入して課題解決を図っていくと、そういう活動であるというふうに理解をいたしております。ただ、こうした社会共有の資源、行政を通じた活動にはおのずと限りがございますので、まずは自助・共助で対応できますように、日頃からこれを支援していくということも、公の重要な役割であるというふうに考えております。 また、公助の定量的な在り方ということに関して申しますと、公助あるいはそもそもの公の役割につきましては、その時々の社会情勢でございましたり、個々の政策あるいは問題、場面ごとに異なると考えられますので、あらかじめ一律にどの程度を公助が占めるというような数字を設定するというのは困難だと思います。 いずれにいたしましても、自助・共助・公助、これの最適な組合せを目指していくということが重要であろうというふうに考えております。
◆32番(坂本茂雄君) 実は、今朝の朝日新聞の「耕論」というページに、自助・公助・共助について記事が載っておりました。その中で、中央大学の宮本教授が言っていたのは、やはりこの自助・共助・公助の比率を曖昧にしてきているところに問題もあるというふうなことを言われています。これからは、そこをきちんと議論していくことも必要ではないのかというふうなことも言われている中で、知事が言われた最適な比率というのは、施策施策によって違う面もあろうかと思いますけれども、ぜひ当初私が言いましたように、公助がやはりその社会の隅々に行き渡って、自助、あるいは共助の力を発揮できるような、そんな施策を高知県では目指していただきたいということをお願いしておきたいと思います。 そこで、次に自助や共助を高めるために、備えの面でどれだけ公助が役割を果たすのかという視点で、コロナ禍の自然災害における分散避難などの避難行動を促す支援の在り方についてお尋ねします。 新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、豪雨災害や地震などが発生するという複合災害の懸念に対して、従来の避難行動、避難所運営に大きな課題が投げかけられ、内閣府や厚生労働省は次々に対応指針を発表し、次の地震や出水期を迎える前の備えが急がれました。 NHKが行った九州、沖縄、中国、四国の市町村に対する取材で、台風10号の避難所の受入れ状況において、新型コロナウイルスの影響で受入れ人数を減らしたことなどが原因で定員に達し、新たな受入れができなくなった避難所は、九州、山口など8県116市町村の514か所に上ったことが明らかになっています。こうした市町村では、余裕のある別の避難所を案内したり、急遽新たに避難所を開設するなどの対応も取られたとのことです。一方、高知新聞などによりますと、鹿児島市では定員オーバーの13か所の避難所でも風雨が強まる中、受入れを断られた住民が再び移動するのは危険と、事前の取決めどおり訪れた全員を受け入れたそうです。 これらの事象については、多くの避難所が新型コロナウイルスの感染対策で受入れ人数を減らしたことや、最大級の警戒が呼びかけられ、積極的に避難をした人が増えたことが背景にあると見られています。そんな中で、幸いにもコースの影響などによって大きな被害は少なかったものの、コロナによる感染リスクが高い中、本県での避難行動や避難所開設・運営についてどうあるべきかについて質問をさせていただきたいと思います。 今回の台風10号における避難準備・高齢者等避難開始情報が発せられたのは県内24市町村で、対象者数は61万4,000人だったとされていますが、260か所の避難所しか開設されなかったとお聞きしています。今回の260か所の開設避難所の避難者受入れ定数で十分だったと言えるのか、危機管理部長にお聞きします。
◎危機管理部長(堀田幸雄君) 台風第10号の際には、高齢者等の避難を促し、その他の方に避難の準備をしていただくため、県内で避難準備・高齢者等避難開始情報が約61万4,000人の方を対象に発令をされました。どれぐらいの避難所を開設するかは、市町村ごとに過去の事例を参考にしながら決定をしており、災害や避難の状況に合わせて随時増やすこととしています。結果としてですが、680人の方が避難をされましたが、これに対して260か所の避難所が開設されており、感染症対策を考慮しても十分なスペースが確保できていたと考えています。
◆32番(坂本茂雄君) たまたま、今回はコースがそれたというようなこととかの状況で、通常よりも多くの避難者が避難所に向かわなかったということがあろうかと思います。 ただ、やはりそれは災害の状況によって、その想定を超えるような避難者が出てくる場合もあろうかと思うわけです。そういった意味で、この豪雨災害対応における避難所で、コロナ禍の感染症対策として3密回避を取った場合の最大定数はどれだけなのか、危機管理部長にお聞きします。
◎危機管理部長(堀田幸雄君) 市町村においては、平成30年7月豪雨、平成26年8月豪雨などの過去の大きな災害時の避難者数を基に、想定避難者数を合計で1万3,119人と設定してございます。その想定避難者を3密回避の対策を行いつつ収容できるよう、738か所の避難所を開設できる体制を整えています。
◆32番(坂本茂雄君) 738か所の避難所を開設するということが、現実的に今の市町村の状況とか、あるいは地域の状況で可能なのか、またそれは後ほど人材育成の面でお聞きしたいと思います。 続きまして、これからはコロナ禍をはじめとした感染症リスク回避のために、指定避難所を増やす一方で、指定避難所に避難する人数を減らすために分散避難という手法が、南海トラフ地震も含めた今後の災害の避難行動の在り方として、より周知されることになると思われます。 しかし、県民の命を守るためには、避難所への避難をちゅうちょなく選択してもらうことが最優先でなければなりませんし、一方で分散避難の選択肢である在宅避難や車中泊避難、指定避難所以外の避難所に避難した場合、避難所運営のマニュアルにもあるように、指定避難所が全ての被災者への支援の拠点として機能しなければなりません。 分散避難を選択した際、避難生活が長引く中では、避難者登録がされていなかったり、支援拠点である避難所に出向くことができない在宅避難者などに食料提供や身体、心のケアなどの体制が図られるなど、指定避難所同様の支援策が整えられておくべきだと考えますが、どうなっているのか、知事にお聞きします。
◎知事(濱田省司君) 御指摘がございましたように、大規模災害時などにおきましては、避難所外に避難される場合というのも想定をしなければならないということだと思っております。こうした避難所外に避難された方々に適切な支援を実施するためには、まずは避難所に備え置きました名簿に、避難所外の方々の氏名あるいは必要な物資などを登録していただく必要がございますので、市町村と連携をして、この点についての周知を徹底しております。 そして、避難所に出向くことが難しい方々に関しましては、自主防災組織あるいはボランティアの方々のお力をお借りして、物資などを配布していくということを想定しております。また、そうした方々への心のケアも含めました健康管理につきましては、例えば保健師によります家庭訪問などを通じまして、健康チェックあるいは健康相談などを行い、必要な支援を実施するといった対応を想定しているところでございます。
◆32番(坂本茂雄君) 私の質問では、南海トラフ地震のことを想定した場合には、先ほど知事が言われるような、いわゆるそういうふうに分散避難した指定避難所以外の避難所におられる在宅避難の方などのところに、自主防災会、あるいは地域のボランティアの方が出向くことは、長期浸水ということなどを考えたら、これは到底無理なことなんですね。そういう意味で、いわゆる在宅避難などをはじめとした方たちのところへの支援の仕組みというのは、もっと丁寧にきめ細かく考えておかないと、実際のときにどういうことになるかということを考えたら、大変大きな問題が生じることになると思います。 それともう一つ、いわゆるあらかじめ避難者登録をするということが、なかなかそういうことができない人たちが在宅避難をしたりする可能性が高いわけですね。そういった意味でも、把握漏れというのも出てくるかと思います。そんなことに対する支援策なども、もっときめ細かに検討していただきたいと思いますが、そういったことを今後なされるおつもりはあるか、知事にお伺いします。
◎知事(濱田省司君) 議員の御指摘のような場面を想定しての準備ということでございますが、市町村におきましては、現状必要に応じて対応を検討するという考え方で、まだ役割なり手順なりの仕組みづくりまではできていない市町村も多いのではないかというふうに思います。 また、特に大規模災害を想定いたしますと、議員から御指摘がありました、地域でのボランティアあるいは自主防災組織のみでは対応ができないという場合には、外からの応援といったものの受入れ、そしてそれをどう体制に組み込んでいくかということも、しっかりと考えておかなければいけないということだと思います。 そうした点も含め、今後は市町村と連携をいたしまして、避難所運営マニュアルの中にそうした要素も組み込んでいくことなどを検討してまいりたいと考えております。
◆32番(坂本茂雄君) まだまだ知事の答弁に対して、いろいろ言いたいことはありますけれども、時間の関係で省きますが、ぜひもっと実態を想定したきめ細かな対応策を今後検討していただきたいというふうに思います。 続きまして、感染症対応に伴う避難所の不足ということは、今後否めない面があろうかと思います。そういった意味で、避難所の量の拡大と、環境整備という質の向上についてお聞きしたいと思います。 これまでの間よく言われるのは、1930年に起きた北伊豆地震のときの避難所を撮影した写真と現在の避難所を比較して、ほぼ90年間避難所のありようはほとんど変わっていないということです。床にじかに毛布などを敷いての雑魚寝、プライバシーを守るためのパーティションも設置できないほどの避難者の密度、高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児などの要配慮者のためのスペースやニーズへの対応の不足、トイレの整備の不足といった問題は、避難所の規模に関係なく長年にわたり指摘され、健康被害や関連死が起こってきた現実があります。 だからこそ、これからの避難所は、災害リスクを回避できる立地場所で、3密回避対策や衛生設備を設置した感染症対策やプライバシー保護などへの対応が求められることによって、どうしても指定避難所ごとの受入れ可能な避難者数は抑制されることから、指定避難所を増やすとともに、指定避難所やそれ以外の避難所も環境改善を図ることが求められてきます。 そこで、お聞きします。南海トラフ地震の際に、指定避難所において感染症対応の3密回避策を講じるとすれば、現状の指定避難所の量では不足することが想定されますが、L1、L2のそれぞれの場合にどれだけ不足することが考えられるか、危機管理部長にお尋ねします。
◎危機管理部長(堀田幸雄君) 現状、避難スペースは通路も含めて1人当たり3平米としていますが、コロナ対応では1.5倍の4.5平米が必要となります。 まず、L1地震では、県全体で想定避難者数9万2,000人に対して、コロナに対応した場合でも、それを超える17万1,000人分の避難スペースを確保できています。 次に、L2地震では、県全体で想定避難者数22万8,000人に対して、コロナ対応をした場合には、現時点では8万6,000人分の不足となります。
◆32番(坂本茂雄君) ぜひL2も想定した上での、その不足分をどうやって補っていくのかということを、今後は検討していただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。 コロナ禍は、避難所の在り方を大きく改善する機会でもあるというふうに言われています。避難所にありがちな、先ほど言いました体育館での雑魚寝という環境は、根本的に見直されるべきであり、避難行動を促すためにも、感染リスクの低い、環境のよい避難所をより多く開設することが求められていると考えますが、本県でもそのように取り組むべきではないのか、知事にお伺いします。
◎知事(濱田省司君) 御指摘ございましたように、感染リスクが低く、また環境のよい避難所をできるだけ数多く確保していくという方向での取組が重要であると考えます。県におきましては、市町村と連携をいたしまして、避難所運営マニュアルを策定するといったこと、また関係の資機材の整備を支援する、さらには開設・運営訓練の実施、こういった取組を行っているところでございます。また、市町村に対しましては、避難所におきます3密回避のために、可能な限り多くの避難所を開設するように要請いたしております。 一方で、市町村のほうでは、現実にどこまでの数の避難所を増設できるかということに関しましては、職員のマンパワーなどの課題もあるといった声もお聞きをいたしております。いずれにいたしましても、そのときの災害の状況に応じて、必要な避難所を確保していくという考え方で対応していくことになるというふうに考えております。
◆32番(坂本茂雄君) より多く開設するということは、実はより身近なところに開設されるということなんです。そのことが避難者にとっては避難しようという、そういう行動を促すことにもなってくると思うんですね。さらには、その避難所が避難したくなるような避難所であるというようなことも求められてきますし、それがまさに環境改善されているかどうかによって決まってくるということだろうと思います。ぜひその点を取り組みながら、避難者に対する、まずは避難行動をちゅうちょさせない、そういう取組につなげていただきたいというふうに思いますので、ぜひ今後もこの機会に避難所の環境改善に積極的に取り組む、そのことをお願いしておきたいというふうに思います。 それでは、次の質問でありますけれども、実は2年前の9月定例会でも取り上げましたスフィア基準、このことがやはり私は今でも気にかかっています。このスフィア基準によって、災害関連死を防ぐというようなことなども含めて、避難者の環境改善を図るということの一つの目安になっているのではないか。 そんな中で、実はスフィア基準は、避難所の1人当たりの広さ、3.5平米とされていますけれども、平成27年度に県内10か所のモデル避難所において避難所運営マニュアルを作成した際の、モデル避難所での1人当たりの広さは3.5平米を超えているところは一つもありませんでした。そういった意味では、さらにさらに本県においても、避難所の環境改善というのは強めていかなければならないというふうに思っています。 いずれにしましても、スフィア基準というのは、決してその数値をクリアするということだけではなくて、避難所生活がトイレを我慢させたり、パンやアルファ化米の食事だけではなくて、災害関連死を生じさせたりするような人間の尊厳を奪うものであってはならないというのが、そのスフィア基準の目標とするところだと私は思っています。 そのため、高知県版スフィア基準の設定による避難所環境の整備を本気で図るべきだと考えますが、知事にお聞きします。
◎知事(濱田省司君) 避難所の環境整備に関してでございますが、県では、平成25年度に関係部局と市町村におきますワーキンググループを設置いたしておりまして、大規模災害に備えた避難所運営マニュアル作成の手引きを、このグループの中で作成してまいりました。 また、昨年度は特に高齢者の方々あるいは障害者の方々などへの支援を強化するという考え方に立ち、要配慮者対策を強化した手引を作成いたしまして、今年度は特に感染症対応の参考となりますような国、民間団体のマニュアルを市町村にお示しするといった動きを取ってきたところでございます。 こうした手引などによりまして、国の指針あるいは他県の先行事例を踏まえ、また専門家の御意見もいただきながら、高知県の特性に合わせて策定をしているというところでございまして、今お話が議員からございました高知県版の避難所基準と言えるものをつくろうという考え方に立って、対応してきたものであるというふうに考えております。 今後も、県民の皆さんに災害時におきまして良好な環境の下で避難生活を送っていただけるように、国内外の様々な参考にすべき基準、考え方を取り入れながら、必要に応じましてこのマニュアルのバージョンアップを進めてまいりたいと考えております。また、避難所の確保あるいは資機材の整備などにつきましても、市町村と連携をして全力で取り組んでまいります。
◆32番(坂本茂雄君) 続きまして、分散避難の選択肢の一つとして、ホテル、旅館等や民間施設の借り上げに対して、災害救助法が適用されない災害においても、新型コロナ対応として実施する場合は、地方創生臨時交付金の活用が可能であるとされています。 これからはコロナ対応に限らず、コロナ以外の感染症対応としても分散避難に取り組まれる場合が一般的になるであろうことから、そのための財源を恒常的に確保すべきであることを国に提言すべきではないかと考えますが、知事にお伺いします。
◎知事(濱田省司君) 御指摘の点につきましては、全国的に各県におきましても関心が高まっている点でございます。先般も全国知事会におきましては国に対して、例えば間仕切りやテント、換気設備など、避難所におきます感染防止対策に必要な資機材の整備でございますとか、あるいは避難先となる宿泊施設の借り上げ、こういった自治体の避難体制強化への安定的な財政支援制度を創設するということについて、提言を行っているところでございます。 県としましては、こうした提言も含めまして、全国知事会と連携をして国に対して提言、要望に取り組んでまいる考えでございます。
◆32番(坂本茂雄君) それで、先ほどもお話ありましたけれども、避難所を開設する際の人材の問題についてお伺いします。 今でも避難所運営の大きな課題の一つとして、自治体職員をはじめとして、環境整備や運営を担える人材の圧倒的な不足が考えられています。感染症対応の下での災害ボランティアの在り方からしますと、今後はいろんな意味で、より不足をすると。県外からも来られない、あるいは地域の中でもいろんな課題が出てくるというようなことなど含めて、不足するものと思われます。そのためにも、避難所開設を増やしていく際には、被災自治体や地域内で避難所を開設、運営できる人材を育成することが必要であると思われます。 南海トラフ地震の際には、避難者が開設、運営することが求められていますが、台風や風水害においても、自治体職員と自主防災会をはじめとした地域住民が協働で開設、運営を行うことで、不足する人材育成につなげてはどうか、危機管理部長にお伺いします。
◎危機管理部長(堀田幸雄君) 南海トラフ地震発生時に、地域住民による避難所の開設、運営を円滑に行うためには、毎年発生する風水害時において、行政と地域住民が協働して避難所の開設、運営を行い、慣れておくことが重要と考えています。現在でも約半数の市町村では、職員のみでなく地域住民の方にも参加していただきながら、風水害時の避難所運営に取り組んでいただいております。 また、県では、昨年度地域住民が主体となって風水害時においても避難所運営を実施している自主防災組織を表彰しており、そうした先進的な取組を広く知っていただき、住民による避難所運営につながるよう、今年度改訂をします自主防災組織の活動事例集に掲載をして、市町村や自主防災組織に配付することとしています。
◆32番(坂本茂雄君) 分かりました。地域住民のスキルアップとともに、自治体職員もいわゆる災害担当の部局、部署にいれば関心を持ってやるけれども、異動で替わってしまうとそうならなくなるということのないような、やっぱりみんなでこの災害時を乗り越えていくというような意識を醸成していただきたいということも、併せてお願いしておきたいと思います。 最後に、全ての被災者の一日も早い生活復旧につながるような支援策として、災害ケースマネジメントという制度の導入についてお伺いします。 災害ケースマネジメントというのは、多種多様な困難を抱えた被災者への支援の実践の中から生まれたもので、申請主義の下、本人の訴えや申請を待つのではなく、支援する側からアプローチするアウトリーチの手順で行い、被災者一人一人に必要な支援を行うため、被災者に寄り添い、その個別の被災状況、生活状況などを把握し、それに合わせて様々な支援策を組み立て、連携して支援する仕組みのことであります。 東日本大震災以降、宮城県の仙台市、名取市や、岩手県の大船渡市、北上市での採用、平成28年台風第10号の際の岩手県岩泉町、熊本地震での熊本市、そして熊本県での仙台市スキームの採用、鳥取県中部地震での鳥取県、大阪北部地震での高槻市、西日本豪雨災害での愛媛県、岡山県、広島県及び各県被災市町村などでこれらが採用されてきました。 本県でも、避難所開設期の避難所外避難者や避難所閉鎖以降も全ての被災者に対して、災害後被災者が取り残されることなく一日も早い生活復旧につながるよう、この災害ケースマネジメントという被災者に対する個別対応としての支援制度を導入すべきと考えますが、知事にお伺いします。
◎知事(濱田省司君) 御指摘がございました災害ケースマネジメントの考え方に沿うような対応に関しましては、災害時に被災者一人一人に寄り添いまして、被災状況、生活状況などに応じて必要な支援を行っていくこと、そして被災者が取り残されることなく一日も早い生活復旧につなげていくと、こういった取組を行っていくということは、非常に大切な視点であるというふうに考えております。 こうした趣旨に沿う取組といたしまして、県内の社会福祉協議会におきましては、災害ボランティア活動の一環といたしまして、仮設住宅の入居者などの見守り活動を実施しながら、個々の被災者のニーズを把握し、必要な支援を実施するということといたしているところでございます。 また、同様に関連した取組といたしまして申し上げますと、平成28年には県内の弁護士会、税理士会、司法書士会など8団体で構成をいたします土佐士業交流会と協定を締結いたしまして、被災者が様々な分野の専門家からアドバイスを受けられる相談会を開催するというような取組もしているところでございます。 さらに、今年3月には総務省の行政評価局が、災害時の住まい確保などに関します調査の結果報告を取りまとめております。そうした中では、地方公共団体におきまして、避難所外避難者のニーズを的確かつ迅速に把握するための方策を検討すべしといった点、あるいは支援制度の未利用者などに対します、御指摘がございましたアウトリーチの早期実施などについて取り組むべしといった方向が示されているというところでございます。 今後は、こうした国の動向も注視を一方でしながら、ただいま申し上げました現在の仕組み、特に社協で既に組んでいただいておるような体制でございますが、こういったものを活用し、さらに進化させていくという観点に立ちまして、本県におきます被災者支援の在り方について、さらに検討を深めてまいりたいと考えております。
◆32番(坂本茂雄君) やはり社協さんだけに負担をかけるようなことではなくて、さっき言われました士業交流会との連携とかということも必要になってきます。そういうところを含めて、今高知県でこの災害ケースマネジメントについて学習とか、そういうことがされたというような実績はあるんでしょうか。多分ないんじゃないかと思いますね。 そういう中で、これから本当に先ほど知事が言われたような内容の取組ができるように、真剣に向き合っていただきたいというふうに思っています。それが、まさに被災後に誰一人取り残さない、被災者を誰一人取り残さない支援になっていくだろうというふうに思っています。 鳥取県がなぜこの制度を入れたかといいますと、これは7月に、あるZoom会議で鳥取県の危機管理局長からお伺いしたんですけれども、鳥取県中部地震で約1万5,000件の一部損壊があったんです。そういったところに対して支援制度を拡充して支援をしたけれども、まだまだブルーシートが取れない世帯が1,000戸ほど残ったと。この1,000戸ほど残ったブルーシートがかけられたままの家庭をどうやって減らしていくのか。やっぱり一軒一軒訪問していくしかないんだということで、この災害ケースマネジメントを活用しようということで、条例に盛り込んだというような経緯があります。それを決断したのも知事です。そういった意味では、本当に先ほど答弁されたことを知事、もう一度決意として述べていただけませんか。
◎知事(濱田省司君) ただいま申し上げましたように、災害の際には、様々な被災者の方々が御苦労をされるということだと思います。 そうした中で、既存のいろんな制度の中からこぼれるような形で、救済が必要な、求めておられる方々もたくさん生じてき得るということだと思います。そうしたことを心に置きまして、そうした方々に寄り添った対応、アウトリーチも含めまして対応できていく体制をしっかりと深めていくということに関しまして、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えます。
◆32番(坂本茂雄君) ありがとうございました。 それで、先ほども触れましたけれども、鳥取県では鳥取県防災及び危機管理に関する基本条例の第25条の2、被災者の生活復興支援体制の構築として、鳥取県版災害ケースマネジメントをうたい込んでいます。お隣の徳島県では、昨年12月に策定した復興指針に災害ケースマネジメントによる支援として、事前の検討が盛り込まれています。 本県では、南海トラフ地震による災害に強い地域社会づくり条例第31条第3項に、あらかじめ被災者の生活の再建への支援、社会基盤の再建、経済の復興等の方法の検討その他必要な対策の実施に努めるとありますが、南海トラフ地震対策行動計画などに盛り込むべきではないかと考えますが、どのように位置づけるか、危機管理部長にお尋ねします。
◎危機管理部長(堀田幸雄君) 先ほど知事が申しました被災者支援の在り方について検討した上で、必要な取組について南海トラフ地震対策行動計画に位置づけ、取組を進めてまいります。
◆32番(坂本茂雄君) 今回は、コロナ禍の下の感染症対応を通じて、見直される避難行動や避難所の在り方、そして避難生活の中で、誰一人取り残されることのない支援制度としての災害ケースマネジメントについて質問をさせていただきました。 そのためにも、濱田県政は公助を県政の隅々に行き渡らせることを前提とした施策を充実していただきたいということを再度お願いいたしまして、私の一切の質問とさせていただきます。(拍手)
○議長(三石文隆君) 以上をもって、坂本茂雄君の質問は終わりました。 ここで11時25分まで休憩といたします。 午前11時20分休憩
----------------------------------- 午前11時25分再開
○議長(三石文隆君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 吉良富彦君の持ち時間は40分です。 35番吉良富彦君。
◆35番(吉良富彦君) 少人数学級の実現を求め、全国知事会、全国市長会、全国町村会の地方3団体が7月3日、現在の小中学校の40人学級では新型コロナウイルスの感染予防ができないとして、萩生田光一文部科学相に少人数学級実現へ、教員の確保がぜひとも必要だと緊急提言を手渡しました。 少人数学級を求める提言などは、その後も7月17日に経済財政運営と改革の基本方針2020、いわゆる骨太の方針2020、そして8月には萩生田文科相と校長会会長らとの意見交換、そして中教審答申案の作成に向けた骨子案、さらに教育再生実行会議と続きました。9月には、少人数学級を求める署名を提起した本県在住の鈴木大裕氏など12名の教育研究者有志が参議院で院内集会を開催し、7月から全国で展開したネット署名2万5,000人、署名14万7,248筆を政府に提出、さらに自由民主党の教育再生実行本部が公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律を小中学校の30人学級実現に向け改正するよう文科大臣に申し入れています。 そして、この9月29日文科省概算要求が発表され、学級編制の標準の引下げを含め、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備について、予算編成過程において検討するとし、義務標準法定数の見直しが俎上に上がってまいりました。 教育長は、これら一連の少人数学級を求める声をどう受け止めているのか、お聞きいたします。
◎教育長(伊藤博明君) 本県においては、平成16年度から少人数学級編制に取り組んできておりまして、この拡大につきましては、全国都道府県教育長協議会と共にこれまでも国に要望、提言をしてきているところでございます。本年7月には、全国知事会において、今後予想されます新型コロナウイルスの感染症の再拡大に当たって、必要な教育活動を継続して子供たちへの学びを保障するよう、少人数学級編制を可能とする教員の確保が国に対して提言をされました。 この全国知事会の提言の後、自民党の教育再生実行本部や中央教育審議会の特別部会において、少人数学級編制を求める決議やまとめが出されておりまして、こうしたことは本県としましても大変力強いものと受け止めております。
◆35番(吉良富彦君) ぜひ知事も力を合わせて教育長と頑張っていただきたいと思います。 私ども日本共産党は、1クラス20人程度の少人数学級を実現するため、教員を10万人増やすなど教育条件の抜本的整備を求める緊急提言を6月2日に発表しています。それを受け、私たち議員団は県下全ての学校に提言を届け、懇談を行ってまいりました。コロナ禍一斉休校などで生活リズムが乱れ、情緒不安定な子が多く見られ、授業中に横になったり授業から逃避する子などの学習への障害が出ている実態が語られました。 そして、教職員は終わりの見えないコロナ感染対策に加え、子供たちのストレスによる行動の変化への対応、授業時数確保のための授業づくりに苦心していることなどとともに、それら個に応じた指導を充実させるための人員の確保を求める切実な声が、学校長の皆さんから一様に語られました。 学校現場の教壇教員の確保は教育行政の根幹中の根幹であり、現行の義務標準法定数の教員確保は至上命題であらねばなりません。過去3年間の教員充足率は全国と比べてどうか、教育長にお聞きいたします。
◎教育長(伊藤博明君) 本県の義務標準法による教員定数の充足率につきましては、平成29年度は98.7%、平成30年度が98.9%、令和元年度が99.1%となっております。また、それぞれ全国順位は、平成29年度が47位、平成30年度も47位、令和元年度は他の1県と同率の46位というふうになっております。
◆35番(吉良富彦君) おっしゃったように、2019年度充足率の全国平均は101.5%ですが、本県は99.1%、全国最下位は同率で秋田も同じです。中でも私が強調したいのは小学校の教諭です。この小学校は全国平均が101.1%、これを3.7%も下回る97.4%、この全国最下位も5年間変わらずです。 先日、文科省を訪れて本県の教職員定数についてお聞きいたしました。文科省では、本県のこの状況について、毎年ヒアリングを行い充足率に沿うよう指導、改善を求めている、未達について本県からは、見込んでいる採用数を超える不測の事態が起こったからだと語られたとお聞きいたしました。危機管理の原則は想定外を想定する、不測の事態を想定することであり、そもそも教育行政の根幹である教員配置で連年にわたり充足未達が生じることは、危機管理能力の問題です。 教育長は、さきの2月議会で、ここ数年は採用試験において、毎年県教育委員会が求めます一定の選考ラインをクリアして採用できる数を確保することができていない状況が続いていますと答弁し、採用審査での受審者側の問題を述べています。しかし、現場の校長から、実践力もあり実績もある当該校の臨時教員が1次審査で落ちていることへの不満と憤りが語られ、臨時を経験していない新卒・新採者の早期退職事例が見られることなどを考えると、受審者側の問題ではなく、採用選考審査が求める一定のラインを設定した県教委側に問題があるのではないかと考えるべきです。 事実、全国で教員不足が言われる中、本県を含む数県で未達があるだけで、他は優に100%を超えています。全国的な教員不足が言われる中、少人数学級への流れが加速され、教員の争奪戦はますます熾烈になってまいります。 不測の事態をも想定し、4月スタートのときは定数内臨時教員などという存在がないように、新規採用枠は十分に幅を持たせて臨むべきだと考えますが、教育長にお聞きいたします。
◎教育長(伊藤博明君) 新規採用者数につきましては、教員採用審査の実施年度末におけます退職者数、それから再任用希望者数、また今後の学校の統廃合や児童生徒数の増減による教員定数の動きなどを見込んで、算定をしているところでございます。本年4月におけます教諭の新規採用者数は募集要項に記した定員を上回る人数を採用するなど、新規採用による教員不足の解消にも取り組んでいるところでございます。 新規採用者数につきましては、可能な限り確保できるよう柔軟な対応をしていきたいというふうに考えております。
◆35番(吉良富彦君) 私は、あえて定数内臨時教員というふうに言葉を使ったんですけれども、ここに事務局からいただいた定数内臨時教員の数があります。要するに、4月当初に着任したときに定員内、本来正教員で教壇教員を含めて配置しなければいけないのに臨時教員がその任に当たっている、いわゆる定数内の臨時教員です。4月当初で事務局からいただいた数を見ますと、2018年度は527名、2019年度は516名、2020年度、今年の4月ですけれども、520名と全く変わっていないんですね。 新採教員はその定数以上に採ったと言っておりますが、なぜここが改善されないのか、教育長いかがですか。
◎教育長(伊藤博明君) 再任用の数、それから早期退職の数、それから国からの加配の数というのは、流動的なところがございまして、なかなかかっちりと定数内で全てをということに至っていない現状がございます。ただ、先ほど言われました数字につきましては、そこは真摯に減少に向けて取り組んでいくべきところだということは認識をしておりますので、先ほど申し上げましたように、そこの定数増につきましては可能な限り柔軟な対応をして取り組んでいき、その数の減少に努めていきたいというふうに考えております。
◆35番(吉良富彦君) 臨時教員の数が少なくて教室に先生がいないというんじゃなくて、臨時教員の数は、これも事務局からいただいたんですけれども、2012年度からずっと1,000人ですね。本当に頑張っていらっしゃる。その数が変わっていないけれども、2012年に定員内の臨時教員が、これは年度末ですけれども、375人だったのが500人に増えているんですね。これだけ定数内で使っちゃえば、それは1,000人の臨時教員の希望者がいても、現場の要求に応えられないという事態が、やはり起こってきているのが実態じゃないかと思います。 ぜひ、今回いわゆる義務教育標準法、定数法の改善が見込まれるわけですね。そうすると国庫負担の額も増えてくるわけですから、必ず。今まで以上に、ぜひこの4月当初のスタートの臨時教員の定員籍数、これを減らす採用を思い切って実施していただきたいと思いますけれども、教育長、そのことについていかがですか。
◎教育長(伊藤博明君) これまでもそういう姿勢で取り組んできましたけれども、来年度に向けてさらにそういった定数内でしっかりと正教員が確保できるように、取組を進めていきたいと思います。
◆35番(吉良富彦君) 次に改善が求められていることは、臨時教員が培ってきた力量を総合的にはかれる採用審査とすることではないでしょうか。何年間も学校現場で教壇や部活などで実践を積んでいるのに審査で評価されず、他県へ行ったり、教職そのものから去る例が後を絶ちません。極めてもったいない、残念です。 臨時教員の現場での実践力、実績を今以上に公正、正当に評価できる、より実践的な選考ラインを検討すべきと考えますが、教育長にお聞きいたします。
◎教育長(伊藤博明君) 教員採用審査においては、まず第1次審査の教員に求められる教養として必要な知識を問います教職一般教養、それと授業を教えるために必要な知識を問います専門教養の筆記試験で結果を出すことが求められます。採用審査における臨時教員の教育実践の評価については、臨時教員経験の中で資質や能力が高まるものと考えておりまして、その力量は第2次審査の模擬授業や面接審査の中で適正に評価がされているというふうに考えております。 臨時教員の皆さんには、今後も学校現場において実践を積むことによりまして、専門力を含めて1次審査を突破するとともに、2次審査の模擬授業や面接試験において、臨時教員としての強みが発揮できるよう努めていきたいというふうに考えております。
◆35番(吉良富彦君) 選考審査における面接の大事さというのが、これは臨時教員のまた希望でもありますよね。今までやってきたことが1次審査できちんと評価される。1次審査から排除されるということが極めて残念でたまりません。どこを見ているのかということですね。以前は1次審査でありましたよね、面接が。これがなくなったのはいつからですか、教育長。
◎教育長(伊藤博明君) すみません、ちょっと定かに記憶しておりませんけれど、平成30年度の教員採用試験辺りから1次での面接がなくなったというように記憶しております。
◆35番(吉良富彦君) そのことによって、県外の大阪会場とかでやったことで、一遍に1次の応募者数が950、1,000人近く増えちゃって、とてもじゃないけれども面接ができないということで、やめたという経緯がございます。ぜひ教育長、この1次にも何とか以前のように面接なり、あるいは臨時教員の実績を評価できるようなものを入れていただきたい。それが現場で頑張っている臨時教員の励みにもなりますし、それが全国にも、高知はちゃんと評価してくれるぞということになろうかと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。 教育に穴を開けるもう一つの要因は指導主事の配置です。それは、経験ある教壇教員を子供から引き離し、学校現場から活力、実践力を奪う不都合な人事政策とも言えます。国庫負担による充て指導主事の人数について文科省担当官に聞きますと、対象人員を減らしており、本年度の高知の対象者は23名であると示されました。 本年度、本県は前回調査と比して何名の充て指導主事を含む指導主事を配置しているのか、教育長にお聞きいたします。
◎教育長(伊藤博明君) 令和2年度におきます県教育委員会事務局各課及び教育事務所の充て指導主事の数は、昨年度比7名増の140名、指導主事数は昨年度と同数の20名の計160名というふうになっております。今年度増員いたしました7名は、県立学校に関する指導主事であり、内訳としまして、令和4年度に開催されるインターハイの推進に関係する者が3名、来年度開校される夜間中学校の準備に係る者が2名、その他高等学校のAI教育推進事業で1名、高等学校の学校支援チームの理科担当に1名というような内訳になっております。
◆35番(吉良富彦君) 続いて、昨年度1か月以上代替の先生が見つからず、教室に先生がいない期間があった小中学校での件数について教育長、お聞かせください。
◎教育長(伊藤博明君) 令和元年度に1か月以上教員が未配置であった件数は、小学校が29校で37件、中学校が18校で20件、合計47校、57件というふうになっております。
◆35番(吉良富彦君) 教育委員会等の事務局に配置されている指導主事の教職員に対する比率は全国一高いんです。先ほど160名とありましたけれども、人数は。しかも、図抜けて高くて、現場へ戻すべきと、この2月議会で指摘をいたしました。学校現場や保護者までにも代替教員を探させながら、先ほどおっしゃいました小中合わせて47校、57件も1か月以上教室に先生がいない事態というのは、この5年間毎年同じような件数で改善が図られていません。 2018年には、事前に出産時期が分かっており、法でも特別に確保を義務づけられている産・育休の代替教員さえ配置できないという失態が4校、4件も続き、その改善事例をこの議場で示し設定となったこの4月からの育休期間3年任期の制度がスタートしましたが、そのとき129名だった指導主事が本年度は160名、つまり31名も増えているようでは、解決はまだまだ先の話との感を持たざるを得ません。 2017年度から本年度までに増えた31名の先生は、子供たちから奪ってでも配置すべきものだったのか、教育長にお聞きいたします。
◎教育長(伊藤博明君) 先ほどお答えいたしました7名のほか、平成29年度から令和元年度にかけての2年間で、市町村立学校に関する指導主事は9名を増員しております。その内訳としましては、高知市の学力向上対策に取り組むため、高知市教育委員会に派遣しました者が9名ということになっております。 また、県立学校に関係する指導主事では10名を増員しております。その内訳としまして、県立高校への学校支援チームの強化で4名、全国高等学校総合文化祭の推進で4名、インターハイ推進で1名、新設しました高等学校振興課の担当で1名。そのほか、本県の教育課題の解決として5名の指導主事を増員しておりますが、その内訳としましては、高知大学の教職員大学と連携した研修担当に1名、人権教育課のいじめ問題担当で1名、そして保・幼・小の連携を推進するためで1名、生涯学習の推進担当で1名、それからオーテピアの高知みらい科学館の担当として1名と、こういうように本県の喫緊の教育課題の対応や新たな取組のために、合計31名の指導主事を増員配置しております。
◆35番(吉良富彦君) 教育長は、本県で指導主事が多いことの理由に、地理的条件や学習指導要領の徹底に一定数の指導主事を配置しなければならないことと、先ほど、もろもろ教育長がおっしゃいましたように、政策的な課題、つまり学力課題や不登校等の問題の取組を支援する必要から増員してきたと、2月議会でも述べていらっしゃいますが、それはどこの県にも当てはまることですね。しかし、他県ではここまで指導主事を増やし続けている事例は見当たりません。 2015年度末策定の教育大綱に基づき、2016年度は数学担当指導主事を4名増員、また中学校への縦持ち、これはあまりいい声は聞かれませんけれども、9校への導入に合わせて主幹教諭を拡充配置しています。2018年からは学力テスト対策に高知市の、先ほどおっしゃいましたように、学力向上推進室へ指導主事7名配置し、2019年には3名増やし10名へと増やし続けてきました。 拡充された主幹教諭は、給与は上がるのに学級担任は持たず、しかも持ち時間数も半減ですから、子供の学びを奪い、他の教員の負担を増やすことで、指導主事同様、極めて問題です。2016年48名が今年度は21名増やされて69名です。現場での他の教員の負担は相当増えていると、この主幹教諭の数から見ても言えると思います。 2007年から2019年までの尾崎県政12年間で指導主事の人数は90人から153名へと、義務教育関係の教員総数の比率でいいますと1.5%から3%へと2倍に増えています。四国の他県、愛媛県は0.9%、83人から1.3%、99人へ、徳島県は0.7%、39人から0.9%、42人、それぞれ微増です。香川県は0.9%、51人から0.7%、41人へと逆に減らしています。 こうして比較しますと、本県が異常に多い教員を現場から引き抜いていることが分かります。そのことが教員充足率を全国最下位にしている一要因であろうと容易に察せられます。学校現場への教員配置を重視する、教員配置の軸足を現場に置く方向へとかじを切る必要があるのではないでしょうか。 教育施策の遂行は、指導主事や主幹教諭を軸にピラミッド型のトップダウン方式ではなく、同僚と現場でこそ指導方法を研究し合い、それを地域研修で他校の先生と実践交流も図り、子供たちと共に成長し合うような、地域学校群を目指すボトムアップ型の教員配置政策へと転換すべきだと考えますが、教育長のお考えをお聞きいたします。
◎教育長(伊藤博明君) 平成19年度の全国学力・学習状況調査結果から、本県の子供たちには、全国と比較して学力の定着に大きな課題があるということが明らかになりました。その原因を分析する中で、授業改善や組織的な学校運営について対応していくことが必要であると、そういった結論に至っております。 そのため教員に対しまして指導・助言を行う指導主事を増員し、アドバイザーと共に学校訪問を行うことによって、それぞれの学校の教職員が目的を共有し、ベクトルを合わせて授業改善に取り組んできたというところでございます。 その結果、授業改善や組織的な学校運営が進み、学力向上や生徒指導等の面で効果が現れてきていると。こうしたことから、さらに一定期間この体制での取組を継続し、教育効果を確実なものにしていくことが必要だというふうに考えております。
◆35番(吉良富彦君) 効果は一時的です、それは。強権的に学校現場から力のある先生を引き抜いて、そして事に当たらせていく。今でも困っているのは現場でしょう。疲弊しているのは現場ですよ。今、実際問題として、次々と現場で先生がいない事態が出てきています。ある小学校では、臨時教員の方がいなくなって、ついに専科の先生を、音楽の専科を担任にしなくちゃいけない。つまり、主幹教員としているんですけれども、その方は一人前に授業を持てないから、担任にできないから、専科までクラスに配置しなけりゃいけない。校内操作なんです。ほかの郡部の学校でも今起こっています。そして、育休を取りたいという男性教諭の方も1人同じ学校でいらっしゃるんですけれども、ちゅうちょし始めている。様々なことで、この秋も出てきているんです。 やはり、それは効果があるといっても一時的です。これからどんどん教育課題が増えてきます。そこにやはり有能な先生をちゃんと配置する、みんなで研究し合っていく。そして、現場が大変なわけですから、事件は現場で起こっているわけですから、現場からボトムアップさせていくことをしないと、いつも上から、現場に行ってほらどうしろどうしろとやることのもう悪循環ですよ、これは。 ぜひ、その方向転換を、政策的な変換、そして人員配置の在り方も考え直していただきたいというふうに、これはもうお答えがさっき出ましたので、要請をしておきたいと思います。 次に、時間講師の勤務についてお聞きいたします。 地方公務員法が改正され、4月1日から臨時・非常勤職員は会計年度任用職員として任用され勤務しています。常勤職員と格差のある待遇の改善が法改正の趣旨であることから、地方公共団体の適正な運用によって昇給やボーナス支給、また年次有給休暇や各種休暇などの改善が図られるものと思われます。 そこで、まず時間講師の年休と夏期特別休暇の現時点における取得状況を教育長にお聞きいたします。
◎教育長(伊藤博明君) 時間講師の職務は、学校で授業を担当していただくことが主であり、学校行事などを実施する場合にも定められた時間に参加できるということになっております。時間講師は定められた時間割を基に勤務していただいていることから、体調不良など突発的な事由の場合、年次有給休暇を取得いたしますが、一部の高校、14校の聞き取りになっておりますけれども、14校の聞き取りでは、89名の中で22名が取得となっており、取得率はあまり高くございません。 また、夏期特別休暇につきましては、7月から9月までの限定された期間で取得することになっておりまして、7月末から8月の夏季休業中はもともと業務がないことから、同じく89名中3名の取得ということで、取得は僅かな状況になっております。年次有給休暇や夏期特別休暇を取得された場合は、他の教員が授業を行ったり、課題の自習等で対応している、そういった状況でございます。
◆35番(吉良富彦君) 時間数や、あるいは勤務期間、そして1週間の持ち時間数によって、これだけの年休が取れますよ、これだけの夏期休暇が取れますよという表は、文科省の指導によって示しています。しかし、私のほうで現場の状況を調べますと、私は7校ですけれども、ほとんどが夏期休暇の説明はなし、文書は渡された、先ほど言いましたが、絵に描いた餅です。そして、夏期休暇の取得はなし。O高校もI高校も、そしてT高校も、あるいは定時制も、そしてM高校も、なしです。夏季休業中の勤務、先ほど教育長もおっしゃいましたけれど、やっぱりないんですね。ここをやはり、きっちり実際の運用にさせていく必要があると思います。 時間講師は年休取得が困難であり、夏期休暇に至ってはほとんど取得できていないことが分かりました。これは、教育長がおっしゃったことと私が調べたことと同じです。現状では、補習による一部の例外を除き、夏季休業中に勤務がないのですから、当然の結果です。 時間講師の勤務については時間の定めがなく、授業のこま数、つまり授業時数でカウントされています。ですから、業務に支障が少ない時間から年休を取ろうなんてことは不可能で、年休を取ることは即授業がなくなることを意味します。何らかの事情で休んだ際にも、授業の振替で別の日に勤務するのが通例です。 また、会計年度任用職員制度により様々な休暇が取得可能とされましたが、時間講師は授業イコール勤務時間ですから、授業のない夏休みには勤務時間は発生せず、したがって休暇を取りようがありません。夏期休暇を取りたければ、課業中の授業を潰すしかないわけです。それは不可能です。 このように現状では勤務時間の定めがなく、授業のこま数でのカウントになっている時間講師の勤務実態は、総務省自治行政局公務員部発行の会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル第2版、Q&Aの回答と違い、かなり隔たりがあります。また、授業と授業の間の空き時間の扱いや、週当たり15.5時間以上の所定勤務時間をボーナスの支給要件としている規定によって、不利益を被ることにもつながってまいります。 これら時間講師の勤務の特殊性を踏まえながら、年休と夏期休暇をはじめとする勤務条件が適切に運用される必要があると思いますが、人事委員長の考えをお聞きいたします。
◎人事委員長(秋元厚志君) お話がございましたように、会計年度任用職員制度は、地方公務員法の改正によりまして今年度からスタートした制度でございます。議員からお話がございました時間講師につきましては、雇用の際に任用条件通知書や要綱、要領によりまして、勤務時間や年休、夏期休暇などの休暇制度について示されているものと承知をしてございます。 先ほど教育長の答弁にもございましたとおり、時間割を基にしました勤務といたしておりますことから、そういう特殊性がある中で、事例はまだ多くはない現状でございますけれども、年休等が取得されているというふうに理解をしてございます。 こうした休暇が取得をできている学校での運用の仕方などを参考にするなどいたしまして、休暇取得の申出を行いやすい、風通しのよい職場の環境づくりを進めることなどによりまして、休暇制度をはじめといたします勤務条件が適切に運用されることが必要だというふうに考えてございます。
◆35番(吉良富彦君) 運用がなされていないんですね。学校の校長の奮闘によって、特にこれは特別支援学校なんか小学部があるところなんかは、年休を取っても補完できる先生がいたりして、取れるという実態が、私が調べたところでも出てきています。でも、ほかのほとんどのところは制度としてはなくて、校長もただ示すだけ、説明もしない校長もいるんです。制度としてしっかりとこれは保障していく、それが今度の会計年度任用職員制度の肝だと思います。 特に、そこで解決を図るのは、時間講師にもそもそもほかの教員と同じように研修、つまり授業準備や教材研究をする時間が必要だということ。これは、東京都教育委員会なんかはきちんとそれを示しています。ですから、夏休み中も授業時間として、例えば週3日の時間講師であれば、週3日のこまを授業時間として当てはめて、そこで休暇を取るというような、教材研究含めてしているわけです。 いわゆるそのことによって、長期休業中で一方的に無給とされる時間講師の生活保障、これにも充てていく必要があろうかと思います。時間講師は休業中に授業がないので収入もゼロとなります。年間を通した給与保障の観点からも、休業中も勤務を割り振るべきだと考えます。そのことが先生の確保にも必ず有利に働いてくるだろうと考えます。 時間講師に夏季休業中の勤務時間を設定することは、夏期休暇取得と併せて給与も保障することにつながるものであり、今回の法改正の趣旨からいっても当然設定すべきだと考えますが、教育長のお考えをお聞きいたします。
◎教育長(伊藤博明君) 総務省の会計年度任用職員制度の導入に向けた事務処理マニュアルでは、任期期間に関して、夏休み期間中に従事させる業務が全くない場合、不適切な空白期間には当たらないというふうにされております。これに関し、今回総務省に内容をまた改めて確認しました。そうした中で、夏季休業中に従事させる業務がなければ、必ずしも勤務時間の設定をするものではないというふうに考えております。 ただ、本県においては、県立高校では平成28年度から、校長が必要と認めた場合、4週間を超えない期間について1週当たりの勤務時間数の範囲内で、長期休業中の補習のための勤務を求めることができるというふうにしております。加えまして、一定の所得を希望される方の大半、全体の約4割の方々になりますけれども、この時間講師と部活動指導員、それから学習支援員などの職を兼職していただいておりまして、複数の職を兼ねることで、一定の所得が保障されているものというふうに考えております。 今後、教員の働き方改革の取組を進めていく中で、教員の業務負担軽減につなげていく観点からも、長期休業期間中において時間講師に担っていただける業務がないかどうか、そういったことについても検討していきたいというふうに考えております。
◆35番(吉良富彦君) ぜひそういう方向で御検討いただきたいと思います。全国を見れば、先ほども東京都の例も言いましたけれども、休業期間を含めて年間を通した勤務の割り振りを行うことで、時間講師の生活保障にも気を配っているわけです。教育基本法は、教員についてはその使命と職責の重要性に鑑み、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならないと明記しています。高知県教委は、臨時教員不足を嘆く前に、時間講師に対する研修機会の保障及び生計の保障にこそ力を注ぎ、教育力の充実を図っていただきたいと思います。 勤務条件については労使双方の交渉事項でありますから、給料、報酬額の時間額の要望についても真摯に耳を傾けられ、今次法改正の趣旨に沿った運用規定、制度とするよう教育長に要請しておきたいと思います。 次に、高知江の口特別支援学校の現校舎に整備される新しい知的障害特別支援学校についてお聞きいたします。 今ある寄宿舎の機能を生かし、子供の将来の自立に向け、社会性を育む寄宿舎併設を新しい学校の特色とすべきと思うのですが、教育長のお考えをお聞きいたします。
◎教育長(伊藤博明君) 県内の公立の知的障害特別支援学校は、この新しい学校を含めて7校ということになります。この学校は高知市の中心部で、交通の利便性がよい地域に立地しますことから、必要に応じてスクールバスを運行することで、寄宿舎設置の必要性は現在のところないというふうに考えております。
◆35番(吉良富彦君) 今、様々な声が保護者や、そして教育関係者から出ております。その声は、やはり高知市内に特別支援学校が1校は必要であるわけですけれども、その中で寄宿舎がどうしても必要だという声です。高知市には一校もありませんから。 そして、寄宿舎の教育的役割、つまり寄宿舎では、下校から翌日の登校までの一日の生活の流れの中で集団を保障できるという利点を生かし、基本的生活習慣を身につけ、放課後の遊びや文化的活動、自治活動を通して人と関わる力を獲得していくという、教育の場としての役割を持っていること。2つ目に、通学保障です。遠隔地や毎日の通学が困難な子供たちの修学を保障する役割があります。3つ目に、福祉的役割として、家庭事情による入所によって障害を持つ子の教育権を保障することが可能になるなど、障害児学校の機能をより手厚くする役割を担っています。ぜひこの寄宿舎を併設する学校へと、また検討もいただきたいと思います。 2つ目ですけれども、新しい学校は、県内の多くの知的障害特別支援学校と同様に、入学選考において学力検査を行うことなく入学できるようにすべきと考えるものですが、教育長にお聞きいたします。
◎教育長(伊藤博明君) この学校では、現段階で入学選考において、県立日高特別支援学校高知みかづき分校のような、数学、国語、一般常識といった学力検査は行わない方向で考えております。
◆35番(吉良富彦君) また、入学希望者が定員よりも多くなった場合どう対応なさるのか、教育長にお聞きいたします。
◎教育長(伊藤博明君) 入学希望者が多い場合は、人数調整が必要になることがあると考えております。例えば校区の設定等の対応方法について、年内には関係市町村と協議を開始し、年度内には取りまとめていきたいと考えております。
◆35番(吉良富彦君) 先日、夜間中学校設置に関して県民の説明会を開いたとお聞きしています。先ほどおっしゃった、入学に関わる様々な疑問だとか考え方を一緒になって考えていく上でも、やはりこの新しい知的障害特別支援学校設置についての説明会を行っていく、そしてアンケートなども行っていく必要性があろうかと思いますけれども、教育長いかがですか。
◎教育長(伊藤博明君) この設置に向けまして、高知県における知的障害特別支援学校の在り方に関する検討委員会で専門家に御意見をいただいたり、「ゆたかに学べる教育の実現を目指して高知市に小・中・高、寄宿舎のある県立の100名規模の知的障害特別支援学校をつくる会」の皆様方や、関係する団体とも意見交換を行ってまいりましたので、アンケート自体改めて行うことは考えておりませんけれども、新しい学校の説明会については、来年度しっかり開催をしていきたいというふうに思っております。また、今後も就学指導を行う市町村教育委員会とも連携を取りながら、保護者の皆さん方の学校に対するニーズについては把握に努めていきたいというふうに考えます。
◆35番(吉良富彦君) 時間の関係で最後になりますけれども、国において特別支援学校の設置基準を設ける動きがある中で、新しい学校では設置基準が定められた場合の対策をどのようにお考えになっているのか、教育長、お聞かせください。
◎教育長(伊藤博明君) 現在、設置基準はございませんが、先日この策定について、中央教育審議会初等中等教育分科会において中間まとめ案が示されております。今後、設置基準がどのような内容になるかは未定でありますが、定められた場合につきましては、それに沿った対応をしていくことになるというふうに考えております。
◆35番(吉良富彦君) 今朝の地元紙にも報道がありましたように、今後特別支援学校に対する要望はますます増えてくるだろうと思います。つくる会の皆さんや、あるいは県民の意見をよく聞いて、それに対応できるようにしっかり頑張っていただきたいということを最後に要請いたしまして、私の質問といたします。(拍手)
○議長(三石文隆君) 以上をもって、吉良富彦君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。 午後0時5分休憩
----------------------------------- 午後1時5分再開
○副議長(西内健君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 山崎正恭君の持ち時間は50分です。 22番山崎正恭君。
◆22番(山崎正恭君) 公明党の山崎正恭でございます。議長にお許しをいただきましたので、通告に従い質問を行います。 まず、コロナ禍における子供たちへの支援についてです。 今回の新型コロナウイルスの拡大により、高知県内では、3月から5月までの間に、一番長かった市町村で最長46日間の休業となりました。特に厳しかったのは、学年始まりである4月のスタートが、県内のほとんどの学校で、始業式後すぐに長い休校期間に入ったことでした。年度初めの4月はそれぞれの子供たちが、さあ新しいスタートを切ろうと思いやすい時期であり、それまでなかなか学校に登校することができなかった子供が、4月を機に新たな決意で頑張り登校できるようになった事例を、私も教員時代に数々見てきました。しかし、本年はすぐに休校ということで、予定の変更に対応しづらい発達障害の児童生徒や、ひそかに4月から登校を決意していた不登校の児童生徒などは、その出ばなをくじかれました。 さらに、3月の超有名人の新型コロナウイルス感染症による死去などにより、4月はこのえたいの知れないウイルスに社会全体が最も揺れていた時期であったため、不登校の子供たちにとっては非常に厳しい学年始まりだったと思います。 そこで、新年度が始まってから9月で上半期が終わりましたが、県内の小・中・高等学校における不登校児童生徒の状況について教育長にお伺いします。
◎教育長(伊藤博明君) 長期欠席は、1年で30日以上ということとされておりますので、今年4月から7月末までの1学期間で10日以上欠席した児童生徒数について調査をいたしました。小中学校、高等学校合わせまして、昨年度この7月末までに1,723人が欠席しておりますが、今年度は1,395人、出席日数に違いがございますので直接比較は難しいと思いますけれども、大きな変化がないものと捉えております。 しかし、このうち病気による欠席は昨年度268人で、本年度は320人と増加しておりまして、休業期間の長期化による在宅のストレス、生活リズムの乱れによる影響があったと、そういうふうに推測をしております。また、昨年まで特に新規不登校の発生率が高かったことから、今年から不登校担当教員を加配しました20の小中学校、ここの7月末での不登校の可能性のある新規発生率は、県全体の平均を1.1ポイント低くなっておりまして、担当教員加配の効果が見られておるというふうに考えております。 現在、2学期も始まり一月がたちまして、児童生徒の多くは学校生活に落ち着きを取り戻しております。学習や学校行事等に取り組んでいると報告を受けております。引き続き、コロナ禍における不安やストレスに対する心のケアに努めるとともに、不登校の兆しの早期発見など、学校全体で組織的な取組を進めてまいります。
◆22番(山崎正恭君) ありがとうございました。あまり大きな変化がないということは、本当に現場の先生方も頑張っていただいている証拠ではないかなというふうに思います。 しかし、何といっても今年度は国難とまで言われる新型コロナウイルス禍の中での支援の取組になっておりますので、今までにない対応、支援を迫られております。とにかく学校現場においては、目の前の子供たちの変化に合わせた手厚い支援が行われますよう、県教委、現場ともに取組目標の修正等を柔軟に行いながら、粘り強く進めていただきますようよろしくお願いいたします。 次に、コロナ禍という大変な状況において、子供たちはもちろん、保護者の皆さんも経済社会活動等様々な影響を受け、不安定な生活を強いられているのではないかと思います。そこで、そういった子供たちや保護者の方への支援ということで、私は昨年6月の県議会におきまして、県の相談機関の中でも最も高度な専門性を有する中枢機関である、高知県心の教育センターの土曜日及び日曜日の開所について御質問しました。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの人材確保等が大変な中、本年4月より新たに日曜日が開所されました。 そこで、コロナ禍の状況であり、なかなか対面での面接ができない状況等があったとは思いますが、高知県心の教育センターの日曜日の相談状況について教育長にお伺いします。
◎教育長(伊藤博明君) 心の教育センターでは、本年度から日曜日を開所いたしまして、カウンセラー2名、ソーシャルワーカー1名、指導主事等1名の4名体制で運営を行っております。4月から9月までの開所日数は22日で、相談件数は延べ170件、1日当たりの相談件数は7.7件となっておりまして、平日の平均4.8件の約1.6倍となっております。 主な相談内容は、不登校が90件、性格、行動についてが23件、家族関係が15件、いじめ、暴力行為等が9件というような内訳になっております。また、利用者の声としまして、仕事や学校を休まなくても時間の融通が利くため利用しやすくなったなど肯定的な評価が多く、相談件数も増加するなどの成果が見られております。
◆22番(山崎正恭君) 次に、昨年の質問のときにも言いましたが、心の教育センターに通ってくる児童生徒は、学校や市町村にある教育支援センターの支援では登校することができなかった方が、来所してくる可能性があります。先ほど教育長さんも答弁していただきましたが、仕事を休まなくてもいいという状況、また平日の1.6倍というお話もありましたが、そういった親の立場から考えた場合には、やはり土曜日、日曜日の両日開所しているということが、心の教育センターに通いやすい環境をつくるのではないかというふうに考えます。 そこで、カウンセラー等の専門人材も不足の中、いっぱいいっぱいの状況で、現在の日曜開所を行ってくれているということは十分承知の上で、やはり保護者が通ってきやすい環境づくりという点において、心の教育センターの土曜日の開所も将来的には必要になってくると考えますが、教育長の所見をお伺いします。
◎教育長(伊藤博明君) 現在、心の教育センターの土曜日の活用につきましては、平日学校等で勤務する必要があるスクールカウンセラーの専門性を高める研修などに当てているところでございます。今後は、引き続き日曜開所についてその広報活動などに力を入れるとともに、この平日の相談日を土曜日に振り替えることなどをして、まず土曜開所を試行してみたいというふうに考えております。その試行の状況によって、本格的な土曜開所を検討してまいりたいというふうに考えております。
◆22番(山崎正恭君) 大変前向きな御答弁ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。 次に、救急安心センター事業、#7119の導入についてです。 この件につきましては、平成29年2月議会において自民党の田中徹議員が、また昨年9月議会において我が党の西森雅和議員が質問しております。この事業は、県民の方が急なけがや病気をした際に救急車を呼ぶか、今すぐ病院に行ったほうがよいのかなど判断に迷った場合に、専門家から電話でアドバイスを受けることができる窓口事業です。全国的に見ても救急車の出動件数は年々増加傾向にあり、消防庁発表の速報値でありますが、令和元年の救急出動件数は663万9,751件、対前年比3万4,538件の増加、搬送人員は597万7,912人、対前年比1万7,617人の増加で、救急出動件数、搬送人員ともに過去最多を記録しました。 高知県においても、平成30年の救急出動件数は4万2,414件であり、5年連続の増加であります。今後も高齢化社会を背景として増加することが予想されており、救急出動件数の増加に伴い、119番通報から現場に救急車が到着するまでの現場到着時間や、119番通報から病院に収容するまでの病院収容時間も遅延傾向にあり、真に救急車が必要な方への対応の遅れなど、救命率の低下につながることが危惧されています。限りある搬送資源を緊急性の高い事案に確実に投入するためには、救急車の適正利用を積極的に推進していくことが必要であり、平成27年度救急業務のあり方に関する検討会において、救急車の適正利用推進の観点から、本事業の普及推進が極めて有効であると報告がされています。 高知県の現状を見ると、平成30年の出動件数は、先ほども言ったように計4万2,414件で、そのうち患者を病院に搬送した搬送人員は3万9,368人であり、実に3,261件もの不搬送の事案が発生しています。不搬送の中には、明らかに死亡している場合に搬送しなかった事案等も含まれているため、全ての件数ではないにしろ、高知県において1年間で3,000件近い事案が、救急車の要請があり現場に急行したものの搬送する必要のない状況だったということが現実に起こっているわけです。 また、搬送人員の内訳を見ても、実際に救急車の出動が必要な死亡、重症、中等症の方の割合は、3項目を足して2万1,100件、全体の53.6%であり、逆に軽症者は1万8,024件、実に全体の45.8%を占めています。要は、搬送している約半数の方は、救急安心センター事業、#7119が導入されていて、救急車を呼ぶ前に適切な助言をいただいていれば、救急車を呼ぶ必要のなかった事案の可能性があるわけです。 昨年9月議会の西森雅和議員への答弁において健康政策部長は、この事業に当たる医療人材の不足、医師または看護師等の確保を課題として挙げておりますが、お隣の徳島県では昨年12月より東京の民間業者と委託契約し、本事業をスタートさせています。まだ1年もたっておらず、正式な検証は行われていませんが、昨年12月から3月までに1,202件、1日平均9.9件の相談件数があり、うち救急車を呼ぶように指示した件数は55件と、相談のあったほとんどの場合で救急車の利用を回避したとの報告を聞いております。 現場の救急救命士の話を聞いても、どこの病院に運ばなければならないのかを判断するならば、地元の医療機関に精通していなければならないが、体調等の症状を聞いて救急車を使用するかどうかの判断をするのだから、地域性は関係なく、東京のセンターで行っても問題はまずないと言っておられました。 不搬送者や軽症者の搬送のほかにも、本県には地方としての課題もあり、国の地域医療計画の中で、特に郡部においては救急搬送できる病院がどんどん限られてきており、その分1回の搬送に要する時間が長くなってきております。救急車の出動が重なった際に、隣の消防署からの応援体制となった場合にも、郡部の場合は遠くからの応援となり、現場への到着時間の遅れが危惧されています。 また、転院搬送といって、地元の小さな病院に入院している患者さんの容体が悪くなった場合も、医療体制の整った遠くの大きな病院に搬送しており、それが平成30年は4,438件あり、救急車の出動が多くなっています。そういったもろもろの状況の中で、救急救命士への負担も大きくなっております。 そこで、救急救命士の負担軽減、また救急車の適正利用のためにも、徳島県のような民間委託の方法も視野に入れながら、いよいよ高知県も救急安心センター事業、#7119の導入時期に来ていると思いますが、知事の所見をお伺いします。
◎知事(濱田省司君) 御指摘ございましたように、この事業を導入することによりまして、救急車あるいは救急医療機関の適正な利用を促す、ひいては県民の皆さんの安心・安全につながっていくということが期待できるというふうに考えております。 この事業を導入するに当たりましての課題といたしましては、御指摘もありましたが、1つには県内では救急相談に当たります医療人材の確保が困難であること、また2つには既にございますこうちこども救急ダイヤルあるいは救急医療情報センターなどの類似の事業との整理の問題、3つに事業の運営経費をどう賄うかといったような課題があるというふうに認識しております。 こうした課題を踏まえながら、本県といたしましては、昨年12月に開催をされました高知県の救急医療協議会、メディカルコントロール専門委員会におきまして、課題解決あるいは実施方法などについて、今後検討していくということを確認いたしました。 御指摘ございましたように、これまで課題がございました県内での医療人材の確保が困難だという事情につきましては、徳島県が県外の民間事業者に委託をしたと、こういった方法も考えていいのではないかという状況にあるというふうに考えております。 今後、徳島県での事業効果なども把握をいたしますとともに、また実施をする場合には、まさしく徳島県も実施されておりますように、市町村消防本部との共同事業のような形でやるのが筋だろうと思っておりますので、県内の消防本部とも連携する必要があります。今まで聞いております範囲では、県内の消防本部にやや温度差があるといいますか、必要性について認識にやや差があるようなことも聞いておりますので、そういった点の調整も必要だと思います。いずれにいたしましても、導入に向けまして今後具体的に検討し、調整を進めてまいりたいと考えております。
◆22番(山崎正恭君) 先ほども申しましたけれども、高齢化が進む中で、ますます出動を要請される件数が増えるのではないかなと思います。 また、濱田知事がちょうど消防庁におられる頃に本事業がつくられたのではないかなというふうに思います。この事業の重要性をよく知っておられる濱田知事が就任されたタイミングで、ぜひ高知県民のためにも導入をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。 次に、弱視の子供たちへの支援についてです。 子供たちの視力は、成長とともに物を見る行為によって徐々に発育、向上していき、6歳頃には大人と同じ視力1.0に達するとされています。そして、8歳頃までに視機能発達の能力は終了してしまうと考えられており、良好な視機能が獲得できる期間は限られています。中でも、視機能は視線が上がってくる3歳頃が最も発達すると言われています。特に両目を同時に使うことで、物を注意深く見たり、近く、遠くとピントの切替えができるようになることで、遠近感や空間の認知という能力が大きく発育する時期になります。 したがって、3歳頃に発達を邪魔する要因がないかのチェックが重要になってきます。この頃には、簡単な視力検査を行うことも可能となり、斜視や弱視といった目の異常の発見にもつながるため、3歳児健診において必須となっている視覚検査はとても重要です。県内の直近のデータでは、弱視の発見率は1.4%とお聞きしております。3歳児健診によって早期に斜視や弱視が発見され、早期に治療が開始されれば、小学校の入学時までに良好な視機能を獲得することが期待できます。小学校までに良好な視機能を獲得することは、その後の子供たちの学校生活に大きな好影響を及ぼします。 そこで、3歳児健診における視力検査の重要性についてどのように認識されているのかを健康政策部長にお伺いします。
◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) 子供の視力は6歳頃までに発達をいたしますために、それ以降に発見されても治療が困難な場合がございまして、弱視の早期発見のゴールデンタイムと言われます3歳児健康診査というのは、大変重要でございます。 そのため、3歳児健診の視力検査につきましては、従来のランドルト環という、輪っかの欠けている方向を上下左右で言い当てる検査なんですが、そうした検査に加えまして平成31年度からは、より正確に判定ができる他覚的屈折検査というのを導入いたしました。その結果、小児の弱視の有病率自体が大体二、三%と言われているところ、これまで0.1%だった弱視の発見率が、昨年度は1.4%と向上したところでございます。
◆22番(山崎正恭君) ありがとうございます。大変進めていただけることが、よく分かりました。 また、次に3歳児健診を行う市町村に対してどのような啓発、支援を行っているのか、健康政策部長にお伺いします。
◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) 市町村の担当者を対象としました、3歳児健診の視覚検査について理解を深める研修会を一昨年に開催しまして、さらに市町村向けの3歳児健診手引書に、他覚的屈折検査機器を用いた検査の手法について昨年度記載をいたしました。他覚的屈折検査の有効性を広く周知した結果、幾つかの市では自前で機器を購入しましたし、県としましても未購入の市町村で活用ができますように、5つの県の福祉保健所に、貸出用の機器を整備したところでございます。それによりまして、今年度から全ての市町村において、他覚的屈折検査が実施をされております。 あわせまして、新しい視力検査についても触れた、乳幼児健診の受診を促すリーフレットを作成して、市町村から妊娠届提出時や家庭訪問の際に渡してもらうなど、啓発を行っているところでございます。
◆22番(山崎正恭君) ありがとうございました。 視力の訓練、リハビリ等を行う視能訓練士に話を聞くと、目の見え方というのは、それぞれ各個人が生まれたときから見えている見え方が自分にとっての普通の見え方であり、なかなか視覚機能の異常に気づいてあげることができない場合があると言われていました。親や教員といった周りの大人が気づいたときには臨界期の8歳を過ぎており、なかなか思うように視機能の回復が図れない現状が多いとのことで、だからこそ先ほど部長の答弁にもありましたゴールデンタイムと言われる3歳児健診で全員に視力検査を行い、早く見つけてあげて視機能を回復させてあげることが重要であると強く訴えられておりました。 何とぞ高知県におきましても、3歳児健診で全ての子供たちの視覚機能の異常に気づいてあげられるように、県のほうもさらに市町村への働きかけをお願いいたします。 次に、見えにくさのある弱視の子供たちへの支援についてお聞きします。特別支援学校に在籍する見えにくさのある弱視の子供たちに対して、専門家である視能訓練士を派遣し、検査などを行いながら、必要な対応について学校の先生方に助言をする事業があるとお聞きしました。実際に学校を支援していただいている視能訓練士の方から、先生方からはこの子は一体どのように見えているのか、視力はどれぐらいなのかといった相談が最も多いとお聞きしました。 また、視能訓練士は、その専門性をもって一人一人の子供たちを見立てていますが、実際に子供たちがそれぞれの学校生活での困り事、例えばよく転ぶ子供さんや、ノートに線が真っすぐ描けないといった子供さん、それが視力からくる問題なのか、発達障害からくる不器用さなのか、またはもともとの身体的な要因によるものなのか、考えられる様々な要因の中から、本当にその子の困難さの背景を的確に見つけ出していくことは、視能訓練士の専門性だけでは難しいということも併せてお聞きしました。 県が実施している事業において、視能訓練士に子供たちを見立ててもらうことはあるようですが、視能訓練士だけではなく、言語聴覚士や作業療法士等の他の専門家とチームを組んでの支援を行うことができれば、一人一人の子供に対してもっと幅の広い、奥の深い的確な見立てが可能になると考えます。 そこで、見えにくさのある弱視の子供たちへの支援について、特別支援学校をはじめ各学校に対して視能訓練士、言語聴覚士、作業療法士等がチーム支援を行う必要性に対する認識を教育長にお伺いします。
◎教育長(伊藤博明君) 現在、県教育委員会の事業におきまして、視能訓練士を特別支援学校及び小中学校等に派遣し、担当する教員に対して見え方を補う様々な工夫などの助言等を行い、見えにくさのある弱視の子供たちへの支援に取り組んでおります。この取組の中で、子供の見えにくさの背景には視機能だけではなく、肢体不自由や発達障害など他の障害の状況が関わってくることも多く、子供の状態に応じて言語聴覚士や作業療法士など他の専門家と連携して支援することが有効な場合がございます。 個々の子供に対しては、まずは医師による診断と、その診断に基づく方針等が重要となりますが、それらの方針に沿って、見えにくさのある弱視の子供に対応する教員の支援方法につきまして、視能訓練士だけでなく作業療法士等の専門家とチームを組んで助言いただけるような体制をつくり、各分野の専門家を学校に派遣できるよう検討していきたいというふうに考えております。
◆22番(山崎正恭君) 現場の先生方もかなり高い意識を持って、子供たちのためにというふうに頑張っておりますので、ぜひまた既存の制度なども組み合わせながら、チーム派遣ができるような形でお願いしたいと思います。 また、現在特別支援学校の要請に応えて、子供たちの視覚の支援を行っている視能訓練士は、高知県内で1名であると伺っています。このことは、臨床心理士であればそのまますぐにスクールカウンセラーができるのかということと同じで、学校現場において子供たちや教員とのやり取りを通して、的確に子供の課題を見立てていかなければならないため、経験値が非常に重要になってくると考えます。 そこで、医療機関等とも連携し、学校現場における子供たちの支援を行う視能訓練士を、1名ではなくさらに増やしていくことが重要であると考えますが、教育長の認識をお伺いします。
◎教育長(伊藤博明君) 県教育委員会が派遣します、見えにくさのある弱視の子供たちに教育を行っている教員を支援する視能訓練士は現在1名で、令和元年度には14回派遣をしております。学校現場からも視能訓練士に助言を求める声がございまして、安定、継続して派遣するために増員についても取り組んできましたけれども、県内には視能訓練士のニーズが少ないこともあり、まだ実現できておりません。 今後、県教育委員会としまして、視能訓練士が勤務されております病院や高知県眼科医会、眼鏡店等から県内で学校への訪問可能な視能訓練士についての情報収集を行いまして、増員に向けて取り組んでまいります。
◆22番(山崎正恭君) ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 次に、多胎児支援についてであります。 三つ子の子供さんを持つある家庭の様子です。ミルクを飲ませるのは1日に24回。一日中3人のうちの誰かが泣いている状態で、睡眠時間も数時間しか取れず、ひどいときは1時間睡眠で、終わりの見えない状況。夫の育休終了、職場復帰後は家事・育児全般を一人で担い、そのような状況が数か月続き、行政支援を受ける気力もなくなり、そしてついに夜中に泣きやまない当時11か月の次男を抱え上げ、畳の上に2回にわたって投げ落としてしまい、2週間後その次男は脳挫傷が原因で息を引き取りました。これは、一昨年の1月愛知県豊田市で三つ子の母親による虐待死事件が起きてしまった家庭の状況であります。 高知県においてもネウボラが推進されているように、愛知県においても同じように、妊娠・出産から子育て期まで切れ目なくサポートが推進されています。では、どうしてこのような事件が起きたのでしょうか。内部・外部検証委員会の報告によると、本事件の特徴として、当該者が要支援家庭の特定妊婦として管理されていなかった、関係機関との連携がうまく機能していなかった等の特徴とともに、多胎児支援の重要性が認識されていなかったことが挙げられています。 では、実際に多胎児支援にはどのような課題があるのか。多胎児支援に詳しい公明党愛知県議の加藤議員によると、多胎児支援の課題は、ミルク、おむつ、洋服等に単胎児家庭の2倍から3倍の費用が同時に必要となる等の経済的負担の大きさや、外出の困難さといった家庭的な要因とともに、行政サービスが寄り添い型になっていないため、適切なサポートが受けにくい等の社会的要因もあると指摘しています。 当事者アンケートでも、虐待をしているかもと感じる割合が多胎児家庭は単胎児家庭よりも高く、産後鬱のリスクも大きいようであり、要は子育てに関する様々なリスクが単胎児家庭よりも高いということを行政が理解した上で、寄り添い型の家庭訪問型支援を行うことが、多胎児家庭の孤立無援を防ぐために非常に重要であると指摘しています。 多胎児家庭への支援において埼玉県川越市では、妊娠から産後1年までの間にヘルパー支援を1日1回2時間を32回まで、無料で利用できるようになっています。同じく、滋賀県大津市でも、生後3歳になるまで100時間分のホームヘルパー支援を無償で、所得制限なしで受けられるとともに、多胎児家庭が集え、情報交換できる交流の場を積極的に設けています。ほかにも佐賀県では、多胎児家庭は出産や健診を受けられる病院が限られ交通費がかさむため、双子以上の多胎児家庭にタクシー料金2万円分を助成する事業を2017年から始めています。 高知県における双子以上の多胎児の出生数は、2019年は76人で、全新生児に占める割合は約1.8%であり、割合は決して大きくはないですが、人口減少が進む本県の中で、多胎児家庭への支援は非常に重要であると考えます。双子の場合、成人になると同時に2倍の労働者、納税者になりますし、支援体制の充実により、母親が子供たちを預けることができ再就業できた場合にも、労働者の人手不足緩和や女性の社会での活躍が進むことも期待されます。 手薄となっている多胎児家庭の支援について、厚生労働省は令和2年度の母子保健医療対策の推進の中で、多胎児家庭を支援するため、多胎児の育児経験者家族との交流会の開催や、育児等サポーターを派遣し、産前や産後における日常の育児に関する介助等の総合支援を行うとしています。 そこで、国も動き始めた多胎児支援について、県として現在どのように取り組んでいるのか、健康政策部長にお伺いします。
◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) 双子や三つ子を妊娠されている場合には、1人の胎児の妊娠に比べますと、出産時には母体に大きな負担がかかりますし、その後の育児においても母親を含めて御家庭の負担は大きく、多胎児の支援は重要だというふうに認識をしております。 その支援に対する取組としましては、多胎児に限ったものではないんですけれども、市町村の子育て世代包括支援センターで妊婦が妊娠届を出す際に、保健師等が妊婦の健康状態、妊娠に対する気持ちや育児環境などを聞き取りまして、状況に応じて利用可能なサービスの情報提供を行ったり、妊娠期から出産・子育てに関する相談に応じているところでございます。また、面談の中で育児の負担や不安があり、支援が必要と思われる妊婦さんにつきましては、保健師等が継続的に訪問をしましたり、医療機関や関係部署との連携を図ったりすることをしております。 出産後につきましても、市町村の保健師や助産師等が実際に家庭を訪問するなど、子供の発育状況を確認することや、育児の相談に応じているところでございます。また、一部の市町村では多胎児を持つ親の交流の場を設けておりまして、多胎児を持つ親ならではの子育ての大変さの共有や、情報交換の機会なども設けております。 今後ともこうした取組を通じまして、多胎の妊産婦が一人で悩みを抱え込むことがないように、県として積極的に市町村をサポートしてまいります。
◆22番(山崎正恭君) ありがとうございました。私自身も、実際に双子の父親として子育てを行ってきた経験があります。家族や周りの方の支えで何とか乗り切ってきましたが、さらなる県の支援の充実をお願いいたします。 次に、農地転用についてです。 農地転用とは、農地を住宅、店舗、駐車場、植林など農地以外にすることです。農地は、私たちの食生活に必要な食料の大切な生活基盤であり、耕地面積の少ない日本では食料自給率が低く、優良な農地を大切に守っていくことが必要であり、一定の規制を設ける許可制度となっています。 農用地区域内の農地は原則として転用が認められず、転用する場合は農用地区域からの除外が必要になります。もし違反転用が申請なく勝手に行われた場合は、都道府県知事は工事停止命令や原状回復命令等を出すことができ、さらに違反者が原状回復命令等に従わない場合や、行方知れずや急を要する場合には、都道府県知事は自らその原状回復等の措置の全部または一部を講じる行政代執行を行うことができることになっています。 そこで、現在高知県において年間に何件程度の違反転用が発生しているのか、農業振興部長にお伺いします。
◎農業振興部長(西岡幸生君) 本県において、年間に新たに発生した違反転用件数につきましては、平成29年度は6件、平成30年度は4件、令和元年度は6件となっております。
◆22番(山崎正恭君) 先ほど申し上げたように、農地は私たちの食生活に必要な食料の大切な生活基盤であり、それを守っていくために、都道府県知事には様々な権限、指導権が与えられているにもかかわらず、その指導に非常に疑義を感じるケースが高知県内で発生しております。 ここは県議会という公の場ですので、その違反転用を行った個人の責任等を追及するというのではなく、あくまでその違反転用の指導に対する権限を持つ県の対応、指導の在り方についてお伺いしたいことがあり、質問させていただくということを最初にお断りさせていただきます。よって、個人情報としてこの場で発言できないものに関しては、一切発言していただかなくて構いません。 高知県内のある農地において、農業振興地域内にある農地であるにもかかわらず、敷地周りに木を植え、さらに農業を行うことを前提に農地敷地内に住宅を建てるということで、一部を換地処分を行ったが、実際にはその後耕作は行わずに、太陽光発電施設2基を無断転用で設置するという事案が発生しました。太陽光発電施設2基のうち1基は、木造2階建ての高さの屋根高の高架式太陽光発電であり、西側に隣接する農地に朝の数時間、日影をつくることになり、隣の農家の方の農地の育成環境が阻害され、収穫減になるという状況が発生しました。 農地等の最適化を推進する機関として農業委員会が設置されているため、この事案に対して隣接する農家から当該市町村の農業委員会に対し、平成30年5月にこのことを相談し、その後平成30年7月に県の農地・担い手対策課が現地調査を行った結果、農地違反転用と認め、口頭による是正指導を行っています。その後は、農業委員会が指導通知書の発出、違反転用の是正及び農地としての利用及び管理に関する指導を数回にわたり行いましたが、太陽光施設が除去されることはありませんでした。 そして、平成30年12月に農地法第51条規定の違反転用事案として、県知事に報告書が提出されています。これを受けて、2か月後に県の農地・担い手対策課が違反転用の是正及び農地の改善について聴取し、再度口頭指導とともに期限を定めて計画の報告を指示しています。しかし、その後も太陽光施設は長らくそのままの状況であり、長期間にわたり隣の農家の方の育成環境に悪影響を及ぼす状態が続きました。 その後、令和元年11月末になって高架式太陽光パネルのみを撤去し、宅地内の庭に太陽光パネルを移設しましたが、高架支柱は撤去しませんでした。そして、その後本年5月頃に、何とその残してあった高架支柱に屋根パネルを設置し、再び大きな影をつくる状況となり、隣の農家の方の育成環境に悪影響を再度及ぼす状況となっています。 ここまでがこの事案に関する大きな流れですが、先ほども言ったように、無断転用に対する行政措置の命令の中に農地への原状回復があります。本来、農地であるところに無許可で高架式の太陽光パネルを設置していること、またそれが隣の農家の方の育成環境に悪影響を及ぼしているという点からも、元の状態に戻すことが当然だと考えますが、今回の事案においては元の状態には戻らずに、太陽光パネルの支柱として使っていた高架支柱はそのまま残りました。結果、その後残してあった高架支柱に屋根パネルを設置し、再び大きな影をつくる状況となり、隣の農家の方に悪影響を及ぼし続ける状況となっております。 そこで、質問の順番が替わりますが、どこまでの状態に戻すことを県は違反転用に対する原状回復と考えているのかについて農業振興部長にお伺いします。
◎農業振興部長(西岡幸生君) 農地法では、農地とは耕作の目的に供される土地と定義づけられておりますことから、違反転用状態が解消されたかどうかの判断基準としましては、具体的には営農に関係のない建物などが撤去されて、その農地で何らかの農作物を栽培できる状態に回復した時点をもって、原状回復が達成されたものとみなすことになっております。
◆22番(山崎正恭君) 次に、農地法第51条により無断転用に対しては、さきにも述べたように、県知事より許可取消処分や原状回復命令等の措置を取ることができるようになっています。具体的な手順としては、是正指導をまず行い、それに従わない場合は、次に書面での勧告、それでも従わない場合は、処分、命令となっています。 この事案においては、平成30年7月に県の農地・担い手対策課より是正指導が行われましたが、その後、令和元年11月末に太陽光パネルを外すまでの間、実に1年4か月の間、その状況が是正されていなかったのにもかかわらず、県は次の勧告には進まず、この間隣の農家に悪影響を及ぼし続けました。 そこで、こういった違反転用の場合の最初の行政措置である是正指導を行ったにもかかわらず、それに従わなかった場合において、次の措置である勧告措置を発する場合の県の判断基準について農業振興部長にお伺いします。
◎農業振興部長(西岡幸生君) 違反転用の是正に係る国の通知によりますと、
違反転用者が指導に従わない場合には、都道府県知事等は速やかに
違反転用者等に工事その他の行為の停止等を書面により勧告することとされておりますが、勧告する場合の具体的な判断基準は示されておりません。 このため、勧告する場合の県の判断基準といたしましては、明文化はしておりませんが具体的には、それまで行ってきた指導に対し是正の意思が見られない、口頭指導により明確に提出期限を定めて是正計画の提出を求めたにもかかわらず期限内に提出されない、提出があっても是正計画の内容が不十分、是正後の内容が不十分といった、是正されない、是正が不十分と判断した場合に文書勧告を行うものと考えております。
◆22番(山崎正恭君) 勧告を行った後も一向に改善が見られない場合は、次の措置である命令を出し、さらにそれでも改善が見られないケースなどにおいては、県は行政代執行も行う可能性があるのでしょうか、農業振興部長にお伺いします。
◎農業振興部長(西岡幸生君)
違反転用者が書面による是正勧告にも従わない場合には、原状回復命令をいたすことになります。さらに、原状回復命令にも従わず、自ら是正しない場合には、最終的には行政代執行も視野に入れて検討をいたします。
◆22番(山崎正恭君) 今回の事案の問題点としては2点。1点目は、違反転用を確認してから、原状回復させるまでの県の対応があまりにも遅いということ。もう一点は、太陽光パネルを撤去させたときに、高架支柱までなぜ完全に撤去させなかったのかということであります。今回の事案の対応に当たり、法律の壁や権限の壁など様々な問題があったと思いますが、それらの問題があったとしても、知恵を出し工夫をし、権限の違う者同士で連携し、何としても真面目に農業をやっている方を守るのが県の農業振興部に求められるものであり、最も重要な根幹をなす役割、仕事ではないでしょうか。 そこで、今後こういった事案を発生させないためにも、県として今後どのように取り組んでいくのか、農業振興部長にお伺いします。
◎農業振興部長(西岡幸生君) 違反されている方につきましては、違反の当初の段階におきましては、自らの行為が農地法における違反転用であることを認識していないことも多いことから、まずは県のホームページや市町村の広報紙を活用し、違反転用の防止に向けた対策をしっかりと取ってまいりたいと考えております。 また、今後の違反転用に対する県の指導としましては、こういった事案が起こらないよう、法令等にのっとり履行期限を明確に定め、その状況を適宜確認するなど、より厳正に対応してまいります。
◆22番(山崎正恭君) こういった問題が起きた場合には、まず農業委員会さん等が動いてくださっての対応になると思いますが、やはりそれでも従わない場合は、権限を持っているのは県であります。何としても農業委員会と県で連携しながら、様々難しいケースはあると思いますけれども、しっかりと違反転用に対しては厳正なる措置をお願いいたします。 最後に、しつこいようですけれども、真面目に農業を行っている営農者を守ることができないといったことが高知県において今後発生しないように、県民に寄り添い共に歩む、強くて優しい農業振興部であっていただきたいと強く強く要請いたします。 最後に、ひきこもり支援についてです。 9月15日に、ひきこもりの実態調査が発表されました。実態把握を受けて、いよいよひきこもりの方へのアプローチをどのように行っていくのかが重要になってきます。私は6月議会においても、より充実した伴走型支援の実施のためには、自立相談支援機関のアウトリーチ支援員の役割が重要であることを訴えましたが、いよいよ今月より、順次県内3町の自立相談支援機関への配置がスタートしました。 今後は、さらなる支援の充実に向け、アウトリーチ支援員の他町村への配置が必要になってまいりますが、そこで重要なのが、高い専門性が求められるアウトリーチ支援員の育成であります。ひきこもりの方への直接的なアプローチをはじめ、それを基にした支援の見立て、さらには当該町村を中心とした一人一人の支援に適した支援機関、相談機関の選択など、非常に高い専門性が求められます。今でこそ大きな社会問題として、国を挙げての支援の取組が始まりましたが、実際の現場における支援のノウハウの蓄積は十分とは言えず、ひきこもりの方への非常に高度な支援を行うアウトリーチ支援員の育成は難しい課題でもあります。 アウトリーチ支援員の育成が急務である状況の中、高知県内には10年前からひきこもりの方及びその保護者に対するアウトリーチ支援を行っているNPO法人があります。ひきこもりの方への支援に関する基本的な知識やアプローチの方法、背景にあるかもしれない発達障害や精神疾患等の基本的な知識を学ぶ研修を受けたメンタルフレンドを、ひきこもりの方へのマッチングに最大の配慮をしながら、年間20名程度の支援を行ってきた実績があります。実際に、ひきこもりの方の支援を行ってきた者でなければ分からない知識や技能、ノウハウを持っておられ、それはまさにアウトリーチ支援員に求められる資質そのものではないかと感じました。 そこで、今後のひきこもりの方への支援の中で、ますます配置が増えてくる高い専門性を持ったアウトリーチ支援員の育成は急務の課題であり、今までの経験、実績の中で、アウトリーチ支援のノウハウを持ったNPO法人等と連携した育成は非常に有効であると考えますが、地域福祉部長の認識をお伺いします。
◎地域福祉部長(福留利也君) 議員のお話にありましたように、ひきこもりの原因や状態は様々でありまして、相談支援につながっていない家庭にアプローチして適切な支援につなげていくアウトリーチ支援員には、非常に高い専門性が求められております。そのため、人材育成が大変重要と考えております。 9月15日に開催をいたしました、ひきこもりの人等に対する支援のあり方に関する検討委員会におきましても、人材の育成を今後強化すべき取組の一つとして確認をいただいたところでございます。 アウトリーチ支援員の支援力を高めていくためには、議員から御提案のありましたように、支援実績の豊富な民間のノウハウから学ぶことは非常に有効だと考えておりますので、今後研修に御協力をいただくなど、連携した取組を進めてまいりたいと考えております。
◆22番(山崎正恭君) 丁寧な御答弁ありがとうございました。今後、ますます必要になってくる分野でございます。非常に配置におきましては、予算の確保等の問題も重要になってくると思いますが、しっかりと、これからひきこもりの方への支援が届いていくように、アウトリーチ支援員の育成のほう、よろしくお願いいたしたいと思います。 それぞれの質問におきまして、大変丁寧にお答えいただきましてありがとうございます。新型コロナウイルスの中での非常に大変な県政運営になっていると思いますが、私たち議員も一緒になって頑張ってまいりたいと思います。 以上で私の一切の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(西内健君) 以上をもって、山崎正恭君の質問は終わりました。 ここで午後2時まで休憩といたします。 午後1時52分休憩
----------------------------------- 午後2時再開
○副議長(西内健君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 武石利彦君の持ち時間は35分です。 26番武石利彦君。
◆26番(武石利彦君) 議長のお許しをいただきましたので、今日は地域おこし協力隊について、主に濱田知事にお伺いをしたいというふうに思っております。 濱田県政発足後、私ももちろん議場でのやり取りも聞かせていただきましたし、議事録検索なんかもしてみて、見たときに、地域おこし協力隊についての質疑がちょっと少なかったんじゃないかなというふうにも思いました。一方で、移住政策についてはいろんなやり取りがあるんですけれど、協力隊についてのやり取りはちょっと少ないのかな、そういうふうに思いまして、県内の地域おこし協力隊員の聞き取り調査といいますか、いろんな声も聞きながら、今日はぜひ濱田県政が彼らをどのように県勢発展の中で位置づけておられるのか、そういったことをお聞きしたいと思って、質問に立たせていただいたところでございます。 まず、全国で今約5,500人、高知県内で約190人の地域おこし協力隊員に活動をしていただいております。総務省も大いに彼らに期待をしているというのがよく私も分かります。 そういった意味で、総務省におられた濱田知事として地域おこし協力隊員に何を求めておられるのか、まずこれをお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
◎知事(濱田省司君) 地域おこし協力隊の制度でございますが、御紹介ございましたように、平成21年に総務省のほうがスタートして、推進をしている制度でございますが、これは全国的に人口減少あるいは高齢化が進みます自治体におきまして、一定の期間、1年から3年というのが想定されておりますけれども、都市からの住民を受け入れまして、農林漁業や交流観光あるいは住民の生活支援、こういった地域協力活動というふうに言われておりますけれども、活動に従事をしてもらうということ、そして任期後もその地に定住をし、地域を活性化させるということを目指す、そういう制度でございます。 実際、私自身も中山間地域などを回りまして、いろんな意見交換をします中でも、特に高齢化が進む中山間地域の中では、やはり担い手の人材確保というのは一番苦慮しているというお話をお聞きするわけでございまして、そういった観点からも非常に期待がされる制度であろうと思っております。 地域おこし協力隊には、任期中その個性と能力を存分に発揮していただきまして、赴任した市町村で与えられたミッションに従事をし、外から来ました新たな視点で地域の活力を生み出す原動力として活動していただきたいというふうに考えております。 また、この任期の終了後も隊員としての経験あるいは地域とのつながり、こういったものを生かしまして地域にとどまっていただく、そして産業振興の担い手であったり地域づくりのリーダーであったり、そういったことで地域社会でぜひ活躍をしていただきたい、そういう期待をいたしているところでございます。
◆26番(武石利彦君) それでは、濱田知事は現時点の、これまでのといいますか、地域おこし協力隊の活動の成果についてどのような御所見をお持ちになるか、お聞きいたします。
◎知事(濱田省司君) 平成21年度に本制度がスタートいたしましてから、本県では累計で546名の隊員の方々が着任をしておられます。隊員の方々は、各地域の資源を生かしました特産品の開発ですとか観光資源の磨き上げ、さらには地域におきます中心市街地の活性化など、それぞれの地域の課題あるいはニーズに応じまして、様々な地域活動に従事をしていただいております。 特に、県の重要施策であります集落活動センターの立ち上げあるいは運営のサポートといった課題や、あるいは産業振興計画の地域アクションプランといった施策にも主体的に関わっていただきまして、地域振興に大きく貢献をしていただいております。今ではすっかり地域に定着をいたしまして、特に中山間地域などにおきまして、地域振興あるいは産業づくりを進めていくという中では、欠かせない存在になっているというふうに考えております。 ただいま申し上げましたように、任期の終了後についても期待をされるわけですが、こちらでも期待をされておりますとおり、地元企業への就職のほかに農林水産業での就業、あるいは飲食・宿泊業などの観光関連の起業、これをなりわいといたしまして定住をいただく、そして地域産業の担い手あるいはリーダーとして活躍していただいているという方が多数おられるというふうに思っております。 私も県民座談会「濱田が参りました」で各地に参りますけれども、市町村から御紹介をいただく発表者の方、多くの方がこの協力隊員であったり、協力隊員のOB、OGであったりということに接しておりまして、本当に本県でも大きな成果を上げているということを実感いたしている次第であります。
◆26番(武石利彦君) それでは、一方で課題についてどのような御所見をお持ちになりますか、知事にお聞きします。
◎知事(濱田省司君) この地域おこし協力隊の取組の課題は、大きく言いまして2つあるというふうに考えております。 1つが人材確保ということでございます。ただいま議員からも御紹介ございましたが、全国での隊員の配置数が近年では5,500名を超えるというところまで規模が大きくなってまいりました。活動の場も拡大をしてきたということでございまして、本県の市町村では必要な人材を確保したいと思いましても、人材に来ていただくことが徐々に困難になっているというふうに把握をいたしております。 すなわち、全国的にも言わばそういった地域おこし協力隊の方においでていただきたいという需要が高まっているという中でございまして、市町村にとりまして今後ほかの自治体との競争の中で、地域の求める人材を確保していくということが求められるというわけでございます。そのためには、やはり募集の際にいかにして積極的かつ効果的に広報を行うか、あるいは情報発信を行っていくか、こういうことが重要であるというふうに考えております。 2つ目の大きな課題といたしましては、定住に関する課題であると考えております。隊員の方々が本県に定住をしていただく比率は、総務省の調査によりますと、令和元年度で65.3%となっております。約3分の2に近い方に定住をしていただいている、全国的に見ましても全国47都道府県の中で16番目ということでございますので、一定の水準には達しているということだと思っております。 ただ、人口減少、高齢化が進んでいる地域におきましては、担い手不足が深刻化をしている、特に中山間地域はそういう状況にあるわけでございますので、この地域おこし協力隊の方々の8割を20代、30代の方々が占めているということを考えますと、こういった方々が任期終了後も定住をしていただくということは大きなポイントになってまいりまして、この定住率をより一層高めていくということが必要だと、この点が2つ目の大きな課題であると考えております。
◆26番(武石利彦君) ありがとうございました。今の御答弁、これまでの御答弁で濱田知事の地域おこし協力隊への期待する部分、そして成果と課題、こういったものがよく分かりました。 そういった中で、彼らにこれからの地域のリーダー役といいますか、地域おこしの推進役、そういった役割を担ってもらう中で、やっぱり県全体でそういったことを盛り上げていかなくちゃならんと思うのでありますが、協力隊員の人数を県内見てみますと、やっぱり多少ばらつきがあるなという気がするんですね。 この現時点での市町村の温度差、これをどう解消していくのか、ここについての知事の御所見をお聞きしたいと思います。
◎知事(濱田省司君) 御指摘ございましたように、この県内の各市町村の隊員の受入れ人数を見ました場合、2桁、20人超えるような受入れをしておられる市町村もあれば、現状全くゼロという市町村もあるという状況でございます。平成22年度には2町でスタートしたわけでございますが、現在31の市町村では1人以上といいますか、何らかの形で地域おこし協力隊の方を受け入れておるということでございます。 逆に言いますと、残る3市町村については現状、この瞬間は地域おこし協力隊の方を配置していないという状況でございまして、ただこの状況の中で3市町村を見ますと、2町村は集落支援員という地元の言わば世話役になる方を配置して、地域振興、課題解決に向けて取り組んでいるということでございますので、実際問題、地域おこし協力隊が目指しているような役割が期待されているのにかかわらず、配置がされていないのは、残る1市ということになると考えます。 これにつきましては、県のほうからは集落活動センターに関する意見交換をします場で、ほかの市町村ではこんな取組がされているということを御紹介いたしましたり、制度のメリットを説明しておりまして、現在隊員の受入れに向けまして、集落活動センターの活動の支援を軸に検討を進めていただいているという状況であるというふうに考えております。 今後も、市町村の担当者会などの場を通じまして制度の意義、必要性をしっかり訴えまして、各市町村におきましてさらに制度を活用していただくこと、そしてその受入れ体制を整えていただくこと、そしてさらには任期後の定住の促進に向けて支援策を練っていただく、こういったことを要請してまいりたいと考えております。
◆26番(武石利彦君) 市町村も地域おこし協力隊に来てもらいたいんだけれど、そして募集も出しているんだけれど、地域の知名度といいますか、県外から見たときの印象度とかというのにも温度差があるという声もお聞きしますし、そういった面はこれからも県としてフォローアップをしてあげていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。 次に、協力隊の募集に対してですけれど、あらかじめ任務を決めて募集をするケースは、最近は大変多いと思うんですね。これも協力隊員に聞きますと、任務が分からずに来て、そこで、はい、これをやってと言われてもなかなか戸惑う部分もあるし、あらかじめ自分がこの地域でどういった任務を果たすのかということが明確であると、大変やりやすいという声、あるいは定住するにも定住を視野に入れた活動ができるから、非常に最初から分かりやすいと、こういった声も取材の中でお聞きをしておりますが、この任務を決めて募集をするということに対する知事の御所見をお聞きしたいと思います。
◎知事(濱田省司君) この点はおっしゃるとおりだと思います。この制度始まりましたばかりの頃は、特に隊員を募集する際に、具体的にどういった業務をお願いするということを示さずに募集をしてしまったということが原因で、隊員の方の思いや期待と市町村のほうが求める活動内容が一致をしなかったと。結果、隊員の方が任期途中で退任をするという事例が間々あったというような話も聞いております。こうした経験を踏まえまして、あらかじめかつできる限り具体的に業務内容や目標を示していくと、最近ではこれをいわゆるミッション型での募集と称しているようですが、こうした形の募集を行います市町村が増えてきているというふうに認識しております。 これも御指摘ございましたように、この派遣をされる隊員の側にとりましても、具体的な業務内容などがあらかじめ示されるということで、本人の希望とかスキル、そして最終的な人生設計といいますか、そういったものと業務のミッションが合致をしてくるということだと考えております。任期終了後の赴任地での生業、定住といった人生設計を思い描けるということも、この大きなメリットになるということだと考えております。
◆26番(武石利彦君) それでは、次に知事が先ほど答弁されました2つの課題の後者のほう、定住をこれからどう促していくのか、定住率をどう高めていくのかということについてお聞きをしたいと思います。定住率を高めるための方策について、知事の御所見をお聞きしたいと思います。
◎知事(濱田省司君) この隊員の定住率をいかに高めていくかということについてでございますが、先ほどもお話ありましたように、募集の段階からしっかり先を見据えて手を打つということが大事だと思っております。任期終了後の定住を見据えた業務を設定して募集をかけるということによりまして、市町村の産業振興、定住施策と連動させた戦略を持って募集をかけるということがまず考えられると思います。 加えまして、活動の段階におきましてはミッションを円滑に進めて、地域に愛着と親しみを持っていただくということが大事だと思いますので、そういった形が実現をしますように、市町村の担当者が日頃から隊員の悩みや不安をよく聞き、また寄り添ってしっかりとサポートをすると、そういう体制を整えるということが2つ目に大事だというふうに考えております。 県といたしましても、地域移住サポーターあるいは各市町村に駐在をしております県の職員であります地域支援企画員が、起業であったり就業であったり住居であったり、こういった地域の情報を提供してさしあげるというようなことによりまして、市町村の定住に向けた取組を後方支援していくということも大事だと考えております。起業を目指す隊員を支援するという点では、県の施策でございます、1つには土佐まるごとビジネスアカデミーでございますとか、もう一つにはこうちスタートアップパーク、こういったような起業や経営に関する支援策を積極的に紹介いたしまして、こういうものを活用して備えていただくということが大事かなと考えております。
◆26番(武石利彦君) ぜひ--これ既にやっていただいていると思うんですけれど、任務中に地域から出ていってしまうとか、それから任務後出ていってしまう、つまり定住しない、あるいは定住できない理由も幾つかあると思うんですね。私もいろいろ聞いてみたらいろんな理由が挙げられるんですけれど、そういったことを県としても分析もしていただいて、そういったことも定住率を高めるような取組につなげていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 もう一方で、後にもちょっと触れますけれど、今知事がおっしゃっていただいた起業の支援をするとかサポートをする、そういったことも非常に重要だと私も思います。それとまた同時に、地域にいかに溶け込んでいけれるかという、地域住民とどうやって親交を深めるかということも重要だと思うんでありますが、これについてもお取組をいただきたい、これについてちょっとまた後でも触れますけれど。 それと、いろんな悩みも隊員にはあると思うんですけれど、隊員同士が持てる悩みを共有する、相談をし合う、助け合うといいますか、そういったネットワークづくりもこれだけ人数が増えてくると大事な時期に来ていると思うんですけれど、そういったネットワークづくりをどのように構築されるお考えか、知事にお聞きします。
◎知事(濱田省司君) これも御指摘のとおりだと思います。隊員の方々は不慣れな土地で活動を進めていかなければいけないということでございますので、何かと一人で抱え込むような形になってしまっては行き詰まってしまいかねないということだと思いますので、そういう意味で地域内はもちろんですけれども、ミッションや課題の共通なものを共有できるという意味で、より広い範囲での人脈とかネットワークを築いていくということが必要だと考えています。 そういう視点を踏まえまして、県におきましても研修会、交流会などを定期的に開催いたしまして、先輩の協力隊員からいろいろな事例を紹介していただくとか、隊員同士の交流の場を通じまして隊員の悩みや不安を解消していくということ、あるいはこうしたネットワークづくりを進めていくということを推進しております。 こうした場をきっかけといたしまして、隊員の有志の方々約200人が参加をいたしますフェイスブックのグループができていると聞いております。高知ふるさと応援隊ネットワークという名前で立ち上げられているというふうに聞いておりますが、こういった形でSNSを活用いたしました情報交換、交流が、今の時代でございますので、進んでいるというふうに承知をしております。
◆26番(武石利彦君) いろいろそういうネットワークづくりにも御尽力いただいているということがよく分かりました。 それから、協力隊員から聞いてみますと、地域に入って活動しようとするときに、地域のことがまず分からない、それから地域住民も協力隊が何をする人なのかが分からないというようなことがあったりして、まず地域との関係づくり、人間関係、信頼関係づくりに結構労力、時間がかかると、こういう話もお聞きしているわけなんですね。ですから、そういったケースにおいて、協力隊はこういう役割なんですよ、あるいは協力隊に地域住民と打ち解けられるような協力関係をつくってあげられるような役割が、地域に必要なんだろうというふうに思うんです。 そういった地域おこし協力隊と地域を結ぶような役割、これをどう構築するかについての知事の御所見をお聞きしたいと思います。
◎知事(濱田省司君) この地域おこし協力隊も、配置の人員も増えてまいっておりますし、ミッションもいろんな幅広い分野に広がってきているということがございますので、これまで以上に活動への地域住民の理解と協力が求められるという状況になっております。その中で、今御指摘ありましたように協力隊員と地域の住民をつなぐという役割を果たしていくという意味で、特に市町村の果たす役割が重要だと、大きいと考えております。 県といたしましても、市町村の役場に駐在をしております地域支援企画員、県の職員でございますが、これが隊員の身近な存在といたしまして、市町村の担当者と一緒になって地域住民との橋渡し役あるいは相談役になっているところでございますし、今のお話がございましたことの文脈で言いますと、それぞれいわゆる前任者の協力隊員がおられるような地域では、ある程度人的なつながりも併せて引き継げるというようなこともお聞きしておりまして、この点はアドバンテージがある部分はあろうかと思います。 一方で、市町村の方々からは隊員の活動を十分にサポートしたり、業務を管理したりということが、以前に比べますとこの活動分野あるいは隊員数の拡大に従って難しくなっているというような声はお聞きしておりまして、隊員の方々の活動をマネジメントできるような人材が必要ではないかという声も伺っているところでございます。
◆26番(武石利彦君) 私も取材する中で協力隊員から聞いたので印象的だったのは、着任して地域に入ったときに、地域の皆さんから頑張ってねと言われたと。地域の皆さんは、本当に頑張ってもらいたいから、頑張ってねと言われたんでしょうけれど、ちょっとその言葉の中に、あなたが頑張ってねみたいな感じで、協力隊員としては地域の皆さんと一緒にやりたい、やるつもりなのに、何か自分が任務を全部、地域の活性化をしょわされるみたいな負担感といいますか、そういったことを感じたという声も中にはありました。それが全てではないんですけれど、そういった不安の声もあったんで、より一層地域と協力隊の間に入ってもらうような役割が必要なんだろうなと私も思いました。 そういった意味において、総務省では来年度から協力隊マネジャーという制度、交付税措置して制度をつくるという報道もされておりますけれども、この協力隊マネジャーについて知事の御所見をお聞きしたいと思います。
◎知事(濱田省司君) 御紹介いただきましたように、総務省のほうでは来年度の予算編成に向けまして、自治体のプロジェクトのまとめ役を担うような地域おこしのマネジャー制度を検討されているというふうに承知をしております。地域おこし協力隊制度と同じように、国から地方交付税制度を通じました財政支援が受けられるという線で検討がされているというふうにお聞きをしております。今後、この国の動向も注視をいたしまして、このマネジャーの要件ですとか業務あるいは支援措置の内容、こういった具体的な制度の概要を見定めた上で、当然のことですけれども、活用できるものはしっかり活用していくという観点で対応を考えていきたいと思っております。
◆26番(武石利彦君) その協力隊マネジャーがどういうものなのかというのは、今、多分県としても情報収集をされておられる。そこに、今知事から御答弁いただいたように、高知県としてその制度をどう活用するかというのをこれから構築なさるんだろうというふうに思っております。 いろんな報道を見ますと、協力隊マネジャーには活動中の協力隊を任命するというケースもあるやにも見ましたし--ちょっとこれ私の読み違いかも分かりませんけれど、そういうふうな報道のされ方もありますし、やっぱり一番分かりやすいのは、協力隊の卒業生に残ってもらって、協力隊をマネジメントしてもらうということもあるんだろうなというふうに思っておりますが、特にその辺りについての情報というのが今ございますか。ございましたらですけれど、ちょっと知事にお聞きしたいと思います。
◎知事(濱田省司君) 現時点におきまして確たる情報を持っているわけでございませんが、今議員からもお話ございましたように、素直なところのイメージといたしましては、協力隊のOBといいますか、かつて協力隊で活動しておられて、いろいろな問題点、やりがいも含めて分かっておられる方がこの地域の事業全体をマネージしていくという中で、現役の協力隊員の指導役といいますか、そういったものをしていくというのが分かりやすい制度のイメージかなと思います。いずれにいたしましても、マネジメントしていくということですから、一般の隊員よりもそれなりの処遇、待遇も考えてという線で検討されているというふうな話を聞いているところでございます。
◆26番(武石利彦君) それから、先ほど知事の御答弁にもありましたけれど、協力隊に任務の前任者がいると、次の協力隊員がその地域に入っても非常にすっと入っていけるということを私も協力隊員から聞きました。そういったふうに既に地域おこし協力隊員が活動している市町村は、既にそういった財産が構築をされつつある、一方でそうじゃないところはその逆と、こういうことになっていくわけです。 先ほども市町村の温度差についてもお話も聞きましたし、それから各市町村によって--当然協力隊の活動経費や人件費については、総務省から交付税措置がされるわけですけれど、住居、家賃とかそういったことについてはやっぱり市町村が負担してくれたり、そうでないところがあったりする。 そういった差もあるようで、それが募集に対して来てくれるかどうか、協力隊員の確保ができるかどうかという、市町村の温度差にもつながっているように思うんですけれど、この辺りについてもう一回知事に御所見をお聞きしたいと思います。
◎知事(濱田省司君) お話がございましたように、県内において特に積極的に地域おこし協力隊を受け入れてこられた市町村におきましては、言わば市町村と地域が一体となってこの受入れ体制あるいはサポート体制を確立しているということでございますし、また地域、産業の担い手として現に積極的に活用されてきているということを通じて、地域振興、定住に結びつけて、現にもう実績が上がっているという事例が見られるということだと思っております。 比較的受入れ人数が多いところで、具体的に固有名詞を上げて御紹介をいたしますと、例えば1つは佐川町におきましては、自伐型林業の担い手対策として、この協力隊員の制度を活用されているとお聞きをしております。関係の機関と連携をいたしまして、技術習得の研修あるいは任期完了後の就業をも組み合わせて人材確保するということで、地場産業である林業の振興につなげているという一種のお手本事例と言っていいと思います。 また、四万十町におきましては、首都圏でのファンづくりのイベントを活用いたしまして、協力隊員の積極的な誘致活動を行っておられます。また、着任後にはこの四万十町の場合、役場全体で受入れ体制を構築して、隊員をサポートされるということで、定住の実績につなげているというふうにもお聞きをしております。 今後、研修会の場などを通じまして、このような先進的な事例を他の市町村にも共有していただく、その手法、ノウハウを生かしてもらうということを目指していきたいと考えておりますし、こうしたことを通じまして、県内の市町村全体の受入れ体制が強化をされる、言わば底上げが進むということを期待しております。 ただいま申し上げましたけれども、地域おこし協力隊はもう今日では中山間地域の活性化を進めていく上では欠くべからざる重要な人材になっているというふうに考えております。地域を支える文字どおり原動力となっておりますので、将来にわたりましてこの高知家の一員となって活躍をいただけるように、県としても市町村と一緒になってしっかりサポートしていきたいと考えております。
◆26番(武石利彦君) よろしくお願いいたします。 それでは次に、後継者がいないことによって、もうこれ以上事業は続けられないというケースが県内でも相次いでいるというふうにお聞きするんですが、定住率を高めようと、そのためにはなりわいが要ると、こうなるわけですけれど、地域おこし協力隊員にそういった担い手がいない事業を継承してもらうような、担い手として定住をしてもらいたいなという思いが私もあるんですけれども、こういった事例について、あるいはこういった取組について商工労働部長の御所見をお聞きしたいと思います。
◎商工労働部長(沖本健二君) 平成31年2月に地域おこし協力隊の方々を対象に、実は意向調査を行っております。その中で、任期終了後も今仕事をしております市町村の中に残りたいという意向を持った方が7割いらっしゃいます。非常に高知を気に入ってくださいまして、ほかの市町村でもいいから県内にとどまりたいとおっしゃる方が8割程度いらっしゃいます。非常に高知は人気があるということだというふうに思います。このうち、年度によってばらばらですけれども、実際に県内に残っていただいた方は、令和元年度の数字でいきますと65%ということになりまして、これは先ほどの数字からいいますと、やはり相当数の方がやむなく高知を離れていると、定住希望を持ちながら離れているという方が結構いらっしゃるということだと思います。 一方で、今議員おっしゃったように、コロナ禍を契機といたしまして、本当に県内で廃業を考えている事業主の方は結構出ておりまして、これはやはり事業承継というのが、我々喫緊の課題だというふうに考えております。 この離れる理由というのは、やはりなりわいが十分、自分が希望するとかというなりわいが持てなかった、県内にそういった仕事がなかったということで離れていかれる方が多いものですから、ぜひこの地域おこし協力隊員の方には、任期終了後も希望どおり県内に定住して、先ほど知事からもお話ありました起業はもちろんのこと、後継者不在の事業の承継などをしていただきますことで、なりわいを得て、また地域のためにやっていただきたいですし、例えば中山間の商店でありますとか、あるいは伝統産業なんかで後継者がいないなんていうことに関しましても、こういった方々にぜひ承継をしていただけると、例えば今まで少なかったところもきっちりとeコマースなんかをして、非常に商圏も広がったりとかすると思います。ですから、ぜひ事業譲渡を希望される事業者と協力隊員をマッチングする仕組みづくりというのを取り組んでいきたいというふうに考えております。
◆26番(武石利彦君) ぜひよろしくお願いをいたします。今、部長、そして知事からも御答弁あったように、事業承継をする、起業するに対するサポートをしっかり行うということであります。大変心強いと思います。 それから、今議案にも提案されております予算案の中でコワーキングスペースとかございますけれども、こういったことも協力隊員に聞くと、そういったコワーキングスペースみたいなのがあると交流の場にもなるし、いろんな作業もできるし、非常にありがたい、欲しいと、そんなところで仕事をしたいという声もありますので、こういった政策もぜひとも推進をしていただきますようによろしくお願い申し上げまして、私の一切の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(西内健君) 以上をもって、武石利彦君の質問は終わりました。 ここで午後2時40分まで休憩といたします。 午後2時35分休憩
----------------------------------- 午後2時40分再開
○副議長(西内健君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 金岡佳時君の持ち時間は40分です。 5番金岡佳時君。
◆5番(金岡佳時君) 自由民主党の金岡佳時です。議長の指名をいただきましたので、早速ですが、6月議会に続きまして、新型コロナウイルス感染症対策などについて質問をさせていただきます。 国内の感染状況は少し落ち着きを見せておりますが、世界全体では9月20日までの1週間で約200万人の新規感染者が報告され、WHOは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まって以来、1週間に報告された数としては最多としております。このように、いつ終息するか、まだまだ分からない状況が続いております。 また先月、国内の新型コロナウイルス関連倒産が帝国データバンク、東京商工リサーチともに500件を超えたとの報告がされました。その中で、帝国データバンクの報告では、高知県と島根県では発生をしていないとの報告でありました。これは県当局をはじめ、関係各機関の努力のたまものであるというふうに思います。今後も倒産をする事業所が出ないように、経済をしっかりと回していかなければなりません。 そして、その基礎となるのが、しっかりとした感染防止対策であります。感染防止対策を万全にすることができれば、経済を飛躍的に回復させることができるのではないでしょうか。この半年で多くの研究がなされ、新型コロナウイルスについて徐々に解明をされつつあります。その中に幾つか懸念されるものもあります。これを幾つか取り上げ、対策を考えてみたいと思います。 まず1つ目は、南半球でかなり流行をしたということで、どうやら季節性があるのではないかということであります。となりますと、これから冬にかけて、ますます流行するのではという心配があります。 2つ目は、エアロゾル感染をするのではないかということであります。CDC--アメリカ疾病対策センターは9月18日、ウェブサイトに、新型コロナウイルスが空気中を漂う微粒子、エアロゾルを介しても感染のおそれがあるという警告を掲載いたしました。その後、文書の草案が誤って掲載されたとし、9月21日に撤回をされましたが、高い関心が持たれております。 世界保健機関も、エアロゾル感染の可能性を示す証拠が出始めているとの認識を示しています。WHOは、エアロゾル感染をめぐる方針に変更はないとし、引き続き新型コロナウイルスが主として飛沫を介して感染すると考えているが、換気が不十分な閉鎖空間ではエアロゾル感染が発生し得るとの指摘、証拠に基づき、様々な感染経路が考えられるとしています。 このエアロゾル感染についてどのような見解をお持ちなのか、健康政策部長にお聞きをいたします。
◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) 新型コロナウイルスのエアロゾル感染につきましては、厚生労働省が9月4日に改訂をしました、新型コロナウイルス感染症の診療に当たる医療従事者向けの手引きというものにおきまして、「新型コロナウイルスは密閉された空間において短距離でのエアロゾル感染を示唆する報告がある。」とする一方、「空気予防策なしに診療を行った医療従事者への二次感染がなかったとする報告もある。」、それから1人の感染者が何人に感染させるかという値でございますが、「再生産数が2.5程度と、麻疹など他のエアロゾル感染する疾患と比較して低いことなどから、現在の流行における主な感染経路であるとは評価されていない。医療機関では、少なくともエアロゾルを発生する処置が行われる場合には、空気予防策が推奨される。」としているところでございます。 これらは最新の知見などを踏まえて出されたものというふうに認識をしておりまして、要すれば、現時点においては確定された科学的知見にはまだ至っていないという認識でございます。
◆5番(金岡佳時君) 確定されてはいないということであろうかと思いますけれども、可能性があるというふうに考えられると思います。季節性、そしてエアロゾル感染の可能性があるとすれば、窓を開けにくくなる秋、冬の流行に対して周到な準備をしなければなりません。手洗い、消毒、マスクの徹底はもちろん、換気設備の整備を徹底しなければなりません。これは、経済活動を進めるためにも極めて重要であると思います。 そうした中、中小企業新型コロナウイルス感染症対策支援事業費補助金、これは誠にタイムリーで、3億7,500万円の予算を15億8,000万円に増額して対応されたことは、本当に頑張っていただいたということで、高く評価をしたいと思います。 一方で県内の事業者からは、事業の継続を望む声をお聞きしております。先日の一括質問の中でも、国費の増額など財源確保が必要であるとの答弁もございましたが、財源が確保できた場合には、ぜひ補助事業の追加実施を検討していただくよう、商工労働部長に要請をさせていただきたいと思います。 また、本補助金に関しまして、申請件数は1,151件と聞いておりますが、どのくらいの事業所に換気設備が整備をされるのか、商工労働部長にお尋ねをいたします。
◎商工労働部長(沖本健二君) 現在、一件一件申請内容について精査中ではございますけれども、1,151件のうち120件程度が換気扇や換気機器の整備を行う予定となっております。
◆5番(金岡佳時君) 私は人が多く集まる施設こそ、換気設備が重要と考えております。そこで、高知県内に飲食店や旅館、ホテルの事業所数はどのくらいあるのか、商工労働部長にお伺いをいたします。
◎商工労働部長(沖本健二君) 少し数字が古くて恐縮ですが、平成28年経済センサスの数字が最新となっておりまして、それによりますと、県内の宿泊業、飲食サービス業は5,427事業所ございます。
◆5番(金岡佳時君) 宿泊業、飲食業合わせて5,427事業所ということでありますが、理容業、美容業と宿泊業、飲食業を合わせて約7,700業者となります。ということは、1.5%までというふうな数字になろうかと思うんですが、いささか私自身、若干少ないのではないかというふうに思います。 私は県がやっております、「私のお店は新型コロナウイルス対策実施中!」というポスターをよく見かけるところでございますが、高知市をちょっと歩いてみました。このポスターが配布をされ、啓発活動がなされておるということでございますけれども、このポスターには換気設備に関する記述がございません。 6月議会において、認証制度について導入しないということでありましたが、換気設備についてどのような啓発がされてきたのか、健康政策部長にお伺いをいたします。
◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) 前回の議会で、金岡議員から換気設備に関する御質問をいただきまして、それ以降この間合計37回の、高知市を含む保健所が実施する食品衛生等に関する講習会ですとか、食品衛生法に基づく施設への立入調査の機会などを捉えまして、延べで言いますと2,213の施設に対して、適切な換気の実施の重要性を含めた新型コロナウイルス対策についての啓発を行い、あわせまして、商工労働部の補助制度の広報も行ったところでございます。予算額の4倍となる申請につながった要因の一つではないかというふうに考えているところでございます。
◆5番(金岡佳時君) ありがとうございます。2,213というふうに、数字を今述べられましたけれども、私この高知市内も随分歩いてみました。しかしながら、ポスターの掲示が大変少ないと思います。 換気に関して今後どのように啓発活動をされていくのか、もう一度健康政策部長にお伺いしたいと思います。
◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) 今後とも講習会というのがございますので、そうした講習会ですとか、施設への立入検査といった機会を捉えまして、引き続き粘り強く啓発を行ってまいりたいというふうに考えております。 また、議員から今御紹介のあった補助金につきましては、予算の関係で締め切っておりますけれども、商工労働部にはそれ以外に、高知県中小企業新型コロナウイルス感染症対策事業費補助金というのが--ごめんなさい、そちらは申請が締め切られたんですが、商業者なんかがグループで取り組むことを対象としました、地域商業再起支援事業費補助金というのがございまして、それについてはまだ少し申請が可能というふうにも聞いております。 引き続き、そうした啓発とともに制度の活用も含めて、広報に努めていきたいというふうに考えております。
◆5番(金岡佳時君) ちょっと答弁が先に行っているんではないかというふうな気もしますが、この新型コロナウイルス感染症対策補助金ですが、これを受けられなかった方もたくさんいらっしゃるんですね。受けられなかったというふうなことで、対策をしなくてよいという話ではないと思います。 今回の補助金を活用することができなかった業者、できなかった皆様方に対してどのように啓発し対応していくのか、健康政策部長にお伺いをいたします。
◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) 今、別の補助金の御紹介もしたところですけれども、県内全ての事業所が今回の商工労働部の補助金を活用できていないということは承知をしているところでございます。期限までに申請をしなかった理由というのは、それぞれでいろいろあるかと思っております。 換気設備等が結果的に不十分となるような事業所につきましては、窓や扉を定期的に開けて換気を行うといった、少し原始的にはなりますけれども、そうした対策をしっかりと講じていただきますように、引き続きこちらについても指導を行っていきます。また、事業所から相談があった際には、福祉保健所のほうから丁寧に助言なんかもしていきたいというふうに考えております。
◆5番(金岡佳時君) できるだけ有効な対策も取れるようにしていただきたいと思います。 東京都においては、感染防止徹底宣言ステッカーというのをよくテレビでやっておりました。これは、オンラインで要件を書き込めば印刷ができるということで、掲示をされておるわけですが、そういうことでその効果を疑問視するような報道もなされておりました。 高知県においてはそういう懸念はないのか、健康政策部長にお伺いをいたします。
◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) 本県では、飲食店の事業者の皆さん方に業種別のガイドラインに基づくチェックリストというのをお渡ししておりまして、自らチェックをしていただいた上で、ポスターを掲示していただくようにお願いしているところです。したがいまして、そういう意味では東京都と同じ、セルフチェックによる自主的な取組でございますので、同様の懸念というのがないわけではないという状況でございます。
◆5番(金岡佳時君) これもしっかりとやっていただかなければならないのですが、そうなりますと、それぞれの事業所でどのような対策がきちっとされておるのか、対策の確認というものはどのようにされておるのか、健康政策部長にお伺いをいたします。
◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) 確認に関しまして、厚生労働省のほうから通知が出ておりまして、地方自治体は飲食店等の営業許可の申請、更新等の機会を活用することですとか、法律に基づく通常の立入検査において、ガイドラインの周知を行うようにというふうにされているところです。本県におきましてもそれを踏まえまして、福祉保健所において定期的に行う食品衛生法などに基づきます施設への立入調査時などの機会を捉えて、啓発と同時に対策状況を確認するというふうにしております。
◆5番(金岡佳時君) 確認もしっかりしていただきたいと思うんですが、特に換気設備については、設備をするだけでは十分な性能を発揮いたしません。きちんと性能を発揮できるように設備されているのか確認が必要でございます。確認はなされているのか、健康政策部長にお伺いいたします。
◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) 以前から福祉保健所が立入調査をする際には、必要に応じまして一般的な室温ですとか換気についてということの確認はしているんですが、その中で設備が本来の性能をしっかりと発揮できているか、メンテナンスがちゃんと行われているかといったようなことについても確認をさせていただいています。 また、換気設備ということとは少し違うのかもしれませんが、新型コロナウイルス対策として、例えば空気清浄器を導入するといったケースもあろうかと思います。そうしたものが効果的に機能するには、例えばエアコンなどの風向きと同じ方向に向けるとか、あるいは人のいる場所に近いところに設置をするといったようなことなんかも必要だというふうに言われております。今後、そうした従来の監視内容に加えまして、そうした点などについても注意を払っていきたいというふうに考えております。
◆5番(金岡佳時君) 今、部長が言われておるとおり、例えば空気清浄器はエアコンの吸い込み口の真下に置くというようなことをやったら、いわゆるウイルス等の捕集率も全く違ってくるというようなことも言われていますので、しっかりとやっていただきたいと思います。 私自身、長いコロナ禍の中で、ついついマスクを忘れるなど、新しい生活様式より古い生活様式に戻っているようなことも多々あるわけでございますけれども、事業者の皆様に対し新たな啓発活動は必要がないのか、健康政策部長にお伺いをいたします。
◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) 全国的に緊急事態宣言が解除されまして、人々が普通に飲食店等を利用することとなるであろうといったようなタイミングで、新型コロナウイルス対策として事業所が行うべき事項をまとめたガイドラインを策定して、それに基づく取組を行った上でポスターを掲示していただくようにお願いをしたところでございます。そのタイミングということもありましたし、議員のおっしゃるとおり、そのポスターには換気に関する記述がないというような状況でございます。 この間、従業員のマスクの着用ですとか、消毒液の配置というのはすっかり一般的になってまいりましたが、一方で県内の感染状況ですとか、時間の経過による気の緩みから、対応がおろそかになってくる可能性というのは否定できないというふうに考えております。 また、今後本県でもGo To Eatという取組も開始をされることになり、飲食店は一層にぎわうことも予想されますので、啓発活動に新たな工夫も必要だろうというふうに考えております。
◆5番(金岡佳時君) 新たな工夫ということであるとするならばどのようにされるのか、健康政策部長にお伺いをいたします。
◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) 今申しましたように、Go To Eatもそうですけれども、今後年末に向かっていく中で、飲食店の利用というのはもっともっと増してくる時期になってまいります。当然ながら、飲食店内では飲食の際にマスクを外すことになりますため、他業種に比べて換気というのが特に重要になってくるというふうに思われますので、飲食店向けに新たに換気についても触れて、しっかりとそこを守っていただくような新たなポスターの作成ということに取り組んでいきたいというふうに考えております。
◆5番(金岡佳時君) これから冬に向かう中で、万全の対策をよろしくお願いいたします。 次に、林業について質問をいたします。 近年、林業は低迷をしていると言われながらも、素材の生産はある一定進んでいっているのではないかというふうに思います。多くの地域で皆伐した山が見られるようになりました。増産自体は歓迎すべきことでありますが、残念ながら再造林がされていない山が多く見られるようになっております。 以前にも再造林の質問をさせていただきましたが、現在の再造林率はどのくらいになっているのか、林業振興・環境部長にお伺いをいたします。
◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) 午前中、上治議員への答弁で、保安林を除いた再造林率にお答えさせていただいておりますが、今回は保安林も含めた再造林率についてお答えさせていただきます。 令和元年度の民有林における皆伐面積は、現時点で約550ヘクタールと推計してございます。これに対しまして、再造林面積は250ヘクタールとなってございまして、これを単純に比較いたしますと、保安林を含めた再造林率は約45%という状況になってございます。
◆5番(金岡佳時君) 保安林の再造林率が45%。すみません、全体ではどのぐらいになりますでしょうか。
◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) 保安林を含めた、普通林も含めた全体の再造林率が45%、保安林を除いた普通林のみの再造林率が、午前中お答えした約3割という状況です。
◆5番(金岡佳時君) 前回お尋ねしたときは4割程度というお答えであったと思いますので、微増ということになろうかと思います。私は、再造林の意欲は年々低下をしてきておるというふうに感じます。そういうことで、なかなか再造林が進まないという状況であるというふうに思います。 皆伐をして、そのまま放置されますと、言うまでもなく山の土を保持する力がなくなり、崩落の危険性が極めて高くなります。一たび崩落すれば、一昨年の豪雨災害で見られたように、多くの構築物に土砂被害をもたらし、川に流入した大量の土砂が河床を上げ、氾濫被害の原因となっております。 上流域の山林の皆伐は、皆伐した山が安定するまで、ずっと台風や集中豪雨のたびに心配をしなければなりません。近頃は、50年に一度、100年に一度の雨が毎年のようにどこかで降っております。よく見受けられるのは、台風の襲来のみならず、梅雨前線や秋雨前線の位置や低気圧の動きによって線状降水帯ができ、大雨を降らし、大災害をもたらすという事例であります。位置がずれるだけであって、どこで起こってもおかしくないわけであります。これを防ぐ手だてはないわけでありますから、災害を最小限に抑えることのできる工夫をする以外に方法はありません。 そこで、伐採について皆伐ではなく、3割程度山に残していくことを推奨してはどうか、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。
◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) 3割程度を残すといった基準ではございませんが、市町村森林整備計画では、1か所でおおむね20ヘクタールを超える皆伐については、幅20メートル程度の木を切らない保護樹帯を残すことを指導しているところでございます。また、県が作成した皆伐と更新の指針の中で、皆伐をする際には1か所の皆伐面積をできるだけ小さくすること、また尾根筋、谷筋などで保護樹帯を残すことといった、林地保全に配慮した施業を推奨しているところでございます。
◆5番(金岡佳時君) 保護樹帯等で対応するというふうなことですが、もちろん3割を残せばそれだけ収入が減るわけでありますから、その減収部分を補填することができないかということでありますけれども、林業振興・環境部長に御所見をお伺いいたします。
◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) 皆伐の際の保護樹帯を残すことということについて、直接的な支援は今のところございません。ただ、一定の区域の中で帯状伐採あるいは群状伐採などの方法で抜き切りをする更新伐というものがございますが、こういうものを行う場合には、搬出間伐と同様に補助事業の対象となってございます。 この更新伐は、人工林を針広混交林や広葉樹林へ誘導していくことを目指して、立ち木の本数を50%以上残して帯状、群状などの方法で伐採搬出を行う施業でございます。こうした施業につきましてもしっかりとPRして、林地保全を意識した取組を進めてまいりたいと考えております。
◆5番(金岡佳時君) 私の考えですが、残りの7割の部分に植林をしていけば、崩壊の危険性のある期間を最小限に抑えられるというふうに思います。列状間伐等々、帯状とか今言われましたけれども、現状でも似たような方法は取られております。 山の崩壊防止に最も有効な方法はどういうものなのか、これを研究する必要があると思いますけれども、林業振興・環境部長に御所見をお伺いいたします。
◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) 帯状や群状で伐採する方法など、土砂の流出防止といった森林の公益的機能をできるだけ低下させずに、またかつ経済的にも効率的に伐採、再造林を行う方法、こういったものの検討については、全国各地で取組が進められております。少しずつにはなりますが、高知の自然や社会的条件にも合った先行事例については、しっかりと情報収集して整理をいたしまして、森林所有者あるいは林業事業体の皆様にお示ししてまいりたいと考えております。
◆5番(金岡佳時君) よろしくお願いしたいと思います。 材価の安い中での木材の搬出は、経済性を考え、多くは作業道による搬出となっております。それによって、急峻な山肌に無秩序につけられた作業道は、山腹崩壊の原因になっておるというふうに言われております。 そこで、急峻な山ではできるだけ架線による搬出を進めるべきではないかと思いますが、林業振興・環境部長の御所見をお伺いいたします。
◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) 本県では、地形が急峻で林道から離れた作業地が多く、そうした場所においては作業道の開設は最小限にとどめ、架線を組み合わせた搬出システムが有効であると考えております。県内の市町村森林整備計画では、傾斜区分に応じた作業方法と、その必要な路網の密度を明示しております。35度以上の急峻なところでは、架線による木材搬出を標準としているところでございます。 また、作業道の開設につきましては、現地の状況によっては林地の荒廃が危惧されるといった箇所もございます。このため、林業事業体に対しまして、環境に配慮した適切な作業道開設について、技術的な指針をお示ししているところでございます。引き続き、市町村と連携して、適切な作業道の開設や架線の活用などについて指導してまいりたいと考えております。
◆5番(金岡佳時君) ぜひともよろしくお願いします。いわゆる荒廃したような山が、随分見受けられるようになっておりますので、気をつけてやっていただきたいというふうに思うところでございます。 本年8月、資源エネルギー庁と林野庁は、木質バイオマス発電の燃料向けに用途を絞った森林を確保する検討に入ったとの報道がありました。広葉樹や生育の早い樹木を活用したエネルギーの森としての取組の推進、再生エネルギーの普及と林業の両立につながるとしています。私はかねてより、早生樹であるコウヨウザンの活用を訴えてきており、やっと理解をしていただいたということで、ありがたく思っておるところであります。 林業・木質バイオマス発電の成長産業化に向けた研究会の資料によりますと、コウヨウザンの収穫量は杉の約2.5倍あり、萌芽更新をすることから、皆伐後の地ごしらえや植林などの育林作業の低減や、収穫サイクルが短くなり収益向上への寄与など、発電事業と林業の持続可能な共生の構築も期待できると示されております。そして、萌芽更新をするということは、根が山の土壌をしっかりと保持するということでありますので、皆伐による表土の流出や崩壊の危険性を軽減することにもつながると思います。さきの一括質問に対し、県は今後コウヨウザンの普及に取り組むとの答弁もありました。 そこで質問ですが、コウヨウザンはまだ植栽実績が少なく、今後普及していくに当たり、苗木の供給や植栽後の成長といった苗木に関する情報の整理が必要と思いますが、林業振興・環境部長にお聞きをいたします。
◎林業振興・環境部長(川村竜哉君) 県内におけますコウヨウザンの苗木の生産は、四国森林管理局が協定を締結している生産者お一人がいらっしゃるだけの状況でございます。また、必要に応じて県外の生産者から調達することも可能と考えてございます。 また、植栽後の成長に関する調査につきましては、現在国有林2か所と県有林1か所で試験地を設定して、標高や地理的条件の違いによる調査を実施しているところでございます。いずれの試験地も植栽して1年から2年しか経過しておらず、来年以降も継続して調査を実施する予定でございます。 今後は、県内のコウヨウザンの苗木の需要拡大に応じて、苗木の生産体制の充実を図りながら、植栽後の成長の状況など、県外の状況も含めて森林管理局と連携しながら、調査、収集して整理してまいりたいと考えております。
◆5番(金岡佳時君) コウヨウザンを植えた事例もあるわけですけれども、苗木は県外から持ってきているようでございますので、ぜひとも県内で全てが完結するような形をつくっていただきたいというふうに思います。よろしくお願いを申し上げます。 植林の必要性というものは--重要性と申しますか、これは重ねて申し上げる必要もないところでありますけれども、いま一つの問題は人材でございます。中山間地域ではあらゆる人材が足りなくなっております。山林労務者も同様であります。 そこで、特定地域づくり事業協同組合に大きな期待がされておるところであります。これは、地域の企業や農林業者が協同組合を設立し、それぞれの需要時期に応じた仕事に従事する人材を派遣する組合で、植林作業もやっていただけるものと思っていたところでありますが、労働者派遣法では建設業務が適用除外業務となっており、造林作業の地ごしらえと植栽は建設業務に該当するということで、派遣することができない業務となるようであります。 特定地域づくり事業協同組合の設立に向けて、こうした課題に今後どのように取り組んでいくのか、中山間振興・交通部長にお尋ねをいたします。
◎中山間振興・交通部長(尾下一次君) 造林の地ごしらえの業務につきましては、建設現場における整地業務と作業内容が類似していること、また植栽の業務につきましては土地の改変が行えることから、労働者派遣事業関係業務取扱要領において派遣することはできない業務とされております。事業協同組合の設立に向けて意欲のある市町村と協議を進める中でも、本県の中山間地域の実情にうまくマッチしない同様のケースを2つの町からお聞きしております。 今年度、制度がスタートしました特定地域づくり事業が、本県の中山間地域においてもしっかり活用できる充実した制度として発展していくように、国に対して提言、要望してまいります。
◆5番(金岡佳時君) 中山間地域の仕事の仕方について、半農半Xというふうによく言われますが、その半Xの部分を担うことができるというふうに期待もされておりますので、よろしくお願いしたいと思います。 平成30年7月豪雨の被害は甚大なものがありましたが、県の迅速な対応、そして国交省の直轄砂防事業などにより順調に復旧をしております。改めて感謝をいたします。ありがとうございました。 大きな崩壊が起きたところは砂防堰堤が入る計画になっておりますが、住居や道路に関係なく崩落した山や谷はそのままの状態で、あちこちにたくさん見られます。そのままの状態でもあまり問題ではないとのことで放置をされているようでありますが、川の中まで流れ出した土砂は流されて河床を埋めておりますし、川のそばまで押し流されてとどまった土砂はそのまま残され、増水するごとに川に押し出されていきます。 このようなところはどのように対応されていくのか、土木部長にお伺いをいたします。
◎土木部長(村田重雄君) 一般的に崩壊土砂が河川に流出した場合は、河床上昇が起こり、土砂や洪水による氾濫被害が発生する可能性がございます。そのため、まずは全ての崩壊地について土砂の堆積状況、崩壊地の拡大の可能性、河川に流出した場合の影響について調査を実施し、監視をしながら、対応の優先順位をつけて対策を計画し、施工してまいります。なお、緊急的な対応が必要になった場合には、直ちにしゅんせつなどの対策を実施いたします。 平成30年7月豪雨により嶺北地域で発生しました崩壊につきましては、国において速やかに調査が開始され、優先順位の高い箇所から順次設計や用地買収を行っており、一部につきましては既に工事にも着手しています。今後、工事を進めていき、令和5年度までに7基の砂防堰堤を整備する予定と伺っております。 県としましても、事業を実施している国に対しまして、被災した地域を含む流域全体について十分に調査を実施した上で、早期に土砂・洪水氾濫対策を推進していただくよう働きかけていきたいと考えております。
◆5番(金岡佳時君) ありがとうございます。多くの箇所で山が崩壊をして、そして土砂が滞留をするという状況が起こっております。大雨が降り、その土砂が下へ流れてくる、そして河床を埋めて氾濫被害が起こるということが懸念をされておりますので、できるだけ速やかに対策を取っていただくようによろしくお願いを申し上げます。 今後において、山林の皆伐と山腹の崩壊、そして河床の上昇と氾濫被害、これらはそれぞれ順番に上から下へ流れていきますので、密接に関係していくものというふうに思います。単純に土砂の除去とか、あるいは堤防とかというだけでは済まない問題ではなかろうかというふうに思います。したがって、一体的に対処をしていかなければならないものと思いますが、知事に御所見をお伺いいたします。
◎知事(濱田省司君) 御指摘がございましたように、豪雨などにより発生しました災害に関しましては、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」、これは国の対策でございますが、こういったものを活用いたしまして、崩落箇所の復旧、河川のしゅんせつなどを実施してまいっております。一部の奥地などにおきましては、崩壊場所の下流部など工事が可能な箇所から順次、国、県が連携して砂防の堰堤、治山ダムなどを設置しているところであります。あわせまして、適切な間伐や皆伐、再造林などを推進いたしまして、災害に強い、そして健全な森づくりに取り組む考えでございます。 今後は、御指摘もありましたように、森林から河川まで、流域を一体のものというふうに捉えまして、国や市町村としっかり連携をし、また県の関連部局の連携も密にいたしまして、活用が可能な事業を総動員して、県民が安心して生活できる環境を整備してまいりたいと考えております。
◆5番(金岡佳時君) ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。 非常に切実な問題でございます。これから、やはり山林労務者の減少に伴って、再造林もなかなか難しい状況になりますので、かなり荒廃したところが進んでくるのではないだろうかというふうに思います。 そして、なおかつ残った土砂は雨によって流され河床を埋める、そしてそれをしゅんせつしても、また同じことがどんどんどんどん繰り返されるという状況が続いていくんではなかろうかというふうに思っておるところでございます。何とか、どこかで歯止めをかけていかなければ、この課題は永遠に続いていくんではなかろうかという心配もされるわけでございますので、よろしくお願いしたいと思います。 台風14号が発生をいたしまして、また進路が気になっているところでございますけれども、そのたびに心配もしなければならないということでございます。全然何もないという状況はなかなか難しいと思いますけれども、そこそこ安心できる状況というのはそれぞれ知恵を出してつくっていただきたいなというところでございますので、今後ともいわゆる山から、それから中流、下流まで全部を含めていろいろな防災対策を打っていただくようにお願いを申し上げまして、私の一切の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(西内健君) 以上をもって、金岡佳時君の質問は終わりました。 ここで午後3時40分まで休憩といたします。 午後3時19分休憩
----------------------------------- 午後3時40分再開
○議長(三石文隆君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 橋本敏男君の持ち時間は30分です。 30番橋本敏男君。
◆30番(橋本敏男君) 県民の会の橋本でございます。一問一答形式により今から30分間質問させていただきたいというふうに思います。 本県を見渡せば豊かな自然、目の前には土佐湾が広がり、その先の土佐沖では黒潮がもたらす海の幸豊かな太平洋が広がっています。これらの海から四季折々の新鮮な魚介類を生産し、昔から県民の健康で豊かな食生活を担い、全国に魚がおいしい高知のイメージをつくり出し、高知の経済を支えてまいりました。しかしながら、本県の漁業の現状は、水産資源の減少や魚価の低迷、担い手不足や高齢化、消費者の魚離れなど厳しさを増しています。 まずは、高知県における沿岸漁業の重要性について知事の所見を求めておきたいというふうに思います。
◎知事(濱田省司君) 高知県は、温暖な海洋環境あるいは多様な水産資源に恵まれております。カツオ、サバ、キンメダイといった釣り漁業をはじめといたしまして、定置網漁業、さらには養殖業など様々な形で沿岸漁業が営まれております。本県の沿岸漁業は、経営体の数では漁業全体の9割以上、生産量ではおよそ6割を占めておりまして、地域を支える重要な産業となっております。さらに、四季折々の様々な水産物が水揚げされておりまして、本県の豊かな食文化を支えてきたところでもございます。また、カツオや清水サバなど観光面におきましても、本県自慢の食をPRするための重要な役割を担っているというふうに認識をしております。
◆30番(橋本敏男君) 知事のほうからは、本県の産業を支える重要な営みということをお示しいただきました。 その上で、少し数字を上げて現状認識に立った知事の展望を求めたいというふうに思います。2018年漁業センサスによると、本県の漁業経営体数と漁業就業者数は減少傾向にあり、漁業就業者数のピーク時である1963年は6,259経営体、1万8,953人であったものが、2018年には1,599経営体、3,295人と経営体数は約7割減、就業者数は約8割減と大きく減少しています。また、2018年の年齢階層別就業者を見てみると、60歳以上の就業者が50%以上を占めており、急速に高知の漁業従事者の高齢化が進んでいるのが分かります。さらには、漁獲物・収穫物販売金額では500万円未満の経営体が1,040で全体の約7割にも上っており、零細小規模漁業者が大半を占めるなど、経営の厳しさを如実に示しています。 高知の沿岸漁業の現状認識に立った将来展望について知事の所感を求めたいと思います。
◎知事(濱田省司君) 御紹介をいただきましたように、漁業者の減少あるいは高齢化などがございまして、沿岸漁業を取り巻く環境は厳しい状況にあるというふうに認識をいたしております。漁業者の減少が進む中にありましても生産額を維持していくためには、担い手の確保の努力が欠かせません。そして、これと併せまして、水産業の分野におきましてもデジタル化をしっかり進めていくと、このことがキーになっていくというふうに考えます。 このため、例えば生産の部門ではメジカの漁場予測ですとか、流通・販売部門では、例えば自動計量のシステムを入れていくと、こういったような形で、各段階におきましてデジタル化を進めます高知マリンイノベーションを産業振興計画の中に位置づけまして、全力で推進をしているところでございます。 こうした取組を着実に進めますことで、漁業生産額をしっかりと確保し、漁業者の所得の向上を図っていくこと、そして担い手を安定的に確保していくという好循環につなげていくことに努めてまいりたいと考えております。
◆30番(橋本敏男君) 知事のほうから答弁をいただきました。要は、高知マリンイノベーションとかスマート漁業を進めることによって生産性の拡大再生産をずっと図っていきたいというのが、住民にとっての将来展望、漁業に対する将来展望というふうに受け止めさせていただきました。 そこで、今度は水産振興部長のほうに、ちょっと微に入り細に入りお聞きをしたいというふうに思います。沿岸漁業の中で養殖や定置網など一部の漁業では、規模拡大や増統による生産力増強が可能ですが、多くの小規模漁業においては、高齢化による生産性の減退が生産量に直結し、漁労所得に大きな影響が出るということは言うまでもございません。さらには、沿岸海域の漁場環境の変化や漁業用の燃油高騰などを考えると、小規模経営体にとって漁労所得は上がらないのが実情であるというふうに思います。 そこで、本県小規模沿岸漁業者漁労所得の実態について水産振興部長の答弁を求めたいというふうに思います。
◎水産振興部長(田中宏治君) 漁労所得は、国が実施します漁業経営統計調査で示されておりますが、この調査は全国を9ブロックに分けて、それぞれのブロックごとにサンプル抽出で行われていますため、県ごとの漁労所得は示されておりません。また、規模別の漁労所得としまして、漁船の規模別の漁労所得がございますが、こちらは国全体のものしか示されておりません。 一方で、漁業指導所や漁協の日々の日常業務を通じました漁業者の方からの聞き取りによりますと、水揚げが少なく十分な所得が得られていないことなどから、経営が厳しい方がいらっしゃることは十分認識をしております。 県では、漁業者の経営安定に向けまして、営漁指導員が地域の主な漁業についての経営モデルを作成することとしており、その作成に当たっては地域の漁業者の方の漁労所得を提出していただいております。また、営漁指導員が漁業者に経営指導を行いますが、その際にも漁業者の漁労所得をしっかりと把握した上で、経営安定に向けた指導を進めていくこととしております。
◆30番(橋本敏男君) 部長の答弁をいただきました。単純に言うと、要は全体の漁労所得については試算をしていないということだというふうに思います。 私は、漁労所得が分からないというのは非常に問題があるのではないかなというふうに思います。国の統計資料だけ当てにして、本当に細かい漁業者の所得が分からなければ、その漁村の生活実態というのは分かり得るはずがないというふうにも思っています。だから、私は県の単独での漁労所得に対する調査というのは必要なのではないかなというふうに思いますが、いま一度水産振興部長のほうにその必要性について求めたいと思います。
◎水産振興部長(田中宏治君) 漁業者の皆様の経営を安定化していくためには、収入だけじゃなくて支出もつかむことが、議員のおっしゃるとおり重要だと思っております。先ほど御答弁させていただきましたが、個々の漁業者の皆様に御指導させていただく場面におきましては、その漁業者の方の収入、支出を含めまして、漁労所得をしっかりと把握した上で対応していこうということとさせていただいております。
◆30番(橋本敏男君) 漁業指導員、営漁指導員というんですか、今高知県で5名ぐらいいるというふうにも聞いております。その方だけの聞き取りで全てが私は充足できるとは思っていません。だから、しっかり県として本当に一人一人の漁労所得を把握することが、私は大事なのではないかなというふうに思います。今後ともそういうことに対して真正面から取り組んでいただくように、まずはお願いを申し上げておきたいというふうにも思います。 次に、本県の小規模沿岸漁業は漁業就業構造変化において、高齢者漁業の形態が大きな課題というふうになってございます。2018年漁業センサスによる年齢階層別漁業就業者を見てみると、60歳以上が全体の50%以上を占めており、高知の沿岸漁業は高齢者によって支えられていると言っても過言ではありません。高知の漁業は、高齢化により生産能力の減退を余儀なくされ、漁獲量で収益性を高めることは非常に厳しく、高齢者漁業に合った形態を模索していかなければならないというふうに思います。 その形態として考えられるのが、漁獲物の高付加価値化や労働負荷の小さい漁業への転換、漁業従事日数の減少を考えた労働環境の創造など、いわゆる漁師の働き方改革が急がれるというふうに思います。 地域に根差した漁業形態の構築について水産振興部長の答弁を求めたいというふうに思います。
◎水産振興部長(田中宏治君) 高齢漁業者に経営を継続していただくためには、出漁日数の減少や操業時間の短縮が進みましても一定の収入が得られますよう、生産の効率化を図ることが重要であると認識しております。このため、高知マリンイノベーションの取組によりまして操業の効率化を図りますとともに、漁獲物の高鮮度処理などの付加価値の向上にも取り組んでいるところでございます。あわせまして、少ない人数と労力で操業が可能な漁法の導入や近場での漁場づくりなど、地域の実態やニーズもお聞きしながら、地域に応じた操業を検討していきたいと考えております。
◆30番(橋本敏男君) ありがとうございます。 地域に根差した、地域に合った漁業の展開というのは、私は大事なキーワードだというふうに思います。産業振興計画、尾崎県政3期ずっとやってきました。それを継承して濱田知事も4期目産業振興計画をさらに推し進めようとしています。確かに、私は産業振興計画というのは悪いということは全然思っていません。否定をするものではございません。しかしながら、その産業振興計画によって忘れられたものというのがあるのではないか、そのひずみがあるのではないかというふうに思っています。 先ほどちょっとお話をしましたように、産業振興計画というのは拡大再生産というのがキーワードだというふうに思っています。しかし、今の現状というのは、本当に中山間に合っているのか、違う状況もあるのではないか。産業振興というのは、私自身は、要はその地域の方々の暮らしをしっかり支えることだというふうに思っています。 そういうひずみに対してもしっかり向き合っていただきたいというふうには思うんですけれども、この漁村に対する考え方そのものを、もう一回水産振興部長のほうに示していただければというふうに思います。
◎水産振興部長(田中宏治君) 水産業を振興させていくためには、生産量、生産額をしっかりと確保していく、この基本姿勢は大事だと思っております。一方で、議員がおっしゃられましたように、それぞれの地域によっていろんな状況がございます。その実情をしっかりと酌み取りまして、その実情に応じた対応をしていくと、そういうことも必要だと思います。 先ほど御答弁申し上げましたけれど、地域の実情、ニーズもしっかりとつかみまして、それに応じた対応も検討していきたいと思っております。
◆30番(橋本敏男君) よろしくお願いを申し上げたいと思います。 次に、サメ被害対策について質問を展開してまいりたいというふうに思います。高知県沿岸では、サメによる漁業被害が年々大きくなっており、生産者の悩みの種となっています。思い起こせば平成29年2月議会においてこのサメ問題を取り上げ、執行部からは前向きな答弁をいただき、鋭意取り組んでいただいたことだというふうに思います。当時、土佐清水漁業指導所がサバ立て縄漁業者に聞き取り調査を行い、具体的な推定被害額として4,000万円が示され、3年半が過ぎ去り、その間サメ問題は所管の委員会でも幾度となく議論をされてまいりました。 少しはサメによる漁業被害が減少しているのではないかというふうに期待をしていますが、直近の推定被害金額について水産振興部長に示していただければというふうに思います。
◎水産振興部長(田中宏治君) 漁業指導所が県内のサメの被害状況を調査しました結果、釣り漁業を中心に被害を受けておりまして、清水地域のサバ立て縄や芸東地域のキンメダイ釣りなどで被害が大きい状況にございます。漁業者から操業日数や被害の頻度などを聞き取りまして、これらの内容から昨年度の漁獲物の被害金額を推計しますと、県全体ではおよそ1億円の被害があったものと算定をしております。このうち清水地区ではおよそ6,000万円と算定されておりまして、平成28年に推計しました被害額4,000万円から増加をしております。
◆30番(橋本敏男君) ただいま部長のほうから推定被害金額が示されました。高知県全体では1億円、そして清水地区では6,000万円という金額の提示だったというふうに思います。 今示されたのは、私は食害による実被害だというふうに思います。それは氷山の一角であるというふうに私は思っています。サメの被害には、ほかにも漁具の損害、それから機会喪失による減収被害というのもございます。それを含めれば、サメの被害というのは想像を絶するような被害だというふうに言わざるを得ないと思います。その認識について水産振興部長の答弁を求めたいと思います。
◎水産振興部長(田中宏治君) 議員がおっしゃられましたように、先ほど私が御答弁させていただきましたのは、魚の被害でございます。そのほかにも様々な被害がございます。魚の被害だけでも先ほど申し上げましたように1億円ございますので、この対応はしっかりとやっていかなければいけないというふうに思っております。
◆30番(橋本敏男君) ありがとうございます。 以前から、漁獲したサメをどうするのかということも大きな課題でありました。多くの漁師は、漁業被害を起こすサメは自分たちの生活を脅かす存在であるから、駆逐したいという意見が大半を占めることも事実です。他方では、できればサメも海の生態系の一部であり、漁師の生活を守るために生命を奪う以上は、海からの恵みとして無駄にせず、有用な資源として可能な限り利用を考えていくというのは、共通の認識であるというふうに思います。 私の地元は、新鮮な海産物が豊富に手に入る土地柄で、今ではサメに対するニーズがなく、家庭でサメを食べる習慣やサメ肉を扱う加工業者もいない状況にあります。もっとも、30年から40年ぐらい前までは、サメを漁獲して鉄干しや練り製品の原材料として使い、解体業者のいる築地やサメの食習慣のある地域へ出荷していたそうですが、業者の事業撤退に伴い、サメを対象とする漁業がなくなっていきました。それと前後してサメの増加が目立ってきたことから、サメを取らなくなったことが漁業被害の増加につながったのではないかとの声もあります。 本当は、サメを邪魔者として扱うのではなく、重要な海の恵み、海のジビエとして地元の水産資源、観光資源として地域で活用するなど、サメの有効活用に向き合わなければならないというふうに思います。過去には、サメの商業利用の取組として、県は平成22年度と平成29年度、30年度に事業を展開していますが、その成果を十分に生かすには至っていないように思います。 海のジビエでもあるサメの有効活用の取組の必要性について水産振興部長の答弁を求めたいと思います。
◎水産振興部長(田中宏治君) サメにつきましては、国際自然保護連合のレッドリストに掲載されている種も多く、資源に配慮した捕獲や利用を行うことが求められております。一方で、被害の防止に向けましてサメの捕獲を進めるためには、漁業者の収入になり、サメ捕獲のインセンティブにつながるサメの有効活用は重要であると考えております。現在、学校給食向けにサメの加工品が提供されて、味についてはおおむね好評との評価をいただいております。採算面での検証を行っているところでございます。 このため、まずは学校給食での販路拡大に向けまして事業の採算性の検証を行いますとともに、検証結果を踏まえてサメの安定的な漁獲、加工、取扱いを行っていただきますよう、漁業者、加工業者、市町村との協議を進めてまいりたいと考えております。あわせまして、地元飲食店への提供についても検討してまいりたいというふうに考えております。
◆30番(橋本敏男君) 答弁ありがとうございました。 サメの商用化を進める上で、水揚げしたサメの処理、それから保管場所の確保や販売体制の整備、そして価格の問題、様々な問題があろうというふうに思います。高知新聞のほうでも掲載されましたけれども、要は学校給食にサメが使えないかということで、一生懸命取り組んでいただいているというふうには思います。ただ、サメというのはやっぱり高たんぱく低カロリーでございまして、私は、非常に給食にも向いている、病院食にも向いている、それからアスリートなどにもしっかりと提供すれば非常にいいのではないかなというふうにも思います。 そういう調整機能をぜひとも県が果たしていただきたいというふうに思いますが、いかがですか、水産振興部長。
◎水産振興部長(田中宏治君) まず、先ほど申し上げましたように、調理方法によりますけれど、給食で味のほうについては一定御評価をいただいております。ただ、給食で採算ベースに乗るというのと、漁業者の漁獲に対するインセンティブになるというのが、ちょっとまだ金銭面が違います。まずは、そこをしっかりと検証しまして、その上でインセンティブにこれはなるぞということになれば、量の確保も保管場所も必要になってまいりますんで、その辺の調整を十分にさせていただきたいというふうに思っております。
◆30番(橋本敏男君) 了解しました。ありがとうございます。 漁師はむやみにサメを駆逐したいのではなく、先ほども言いましたけれども、漁業被害が著しいときだけの対策としてやむなくサメを漁獲しているのでありまして、決して多く取りたいというふうに考えているわけではありません。このような背景を考えたら、安定的にサメの販売先が確保されれば、サメが増えて漁業被害が発生したときに、漁獲して資源として利用しながら、漁獲量も被害が収まる程度にとどめることができれば、資源管理や自然保護の面からでも適切だというふうに私は思います。 高知県の漁業を取り巻く環境は厳しいですが、知恵を絞って海の恵みを与えてくれる生態系との共存を図りながら、地域の文化でもある漁業を営んでいただくための工夫をしなければならないというふうに思います。そのことを可能とする初めの一歩として、高知県沿岸海域での生息実態を把握し、捕獲の前提としなければならないと思います。 適切な漁獲量を探り、効果的、効率的な施策を展開するためにも、科学的な知見に基づくサメの生態調査は必須だというふうに思いますが、その必要性について水産振興部長の見解を求めたいというふうに思います。
◎水産振興部長(田中宏治君) サメ資源に配慮して捕獲や利用を進めていくためには、サメの資源の状況や生態の知見を得ることが必要であると考えております。このため、平成30年度からサメ類に詳しい長崎大学の研究者の協力をいただき、捕獲したサメの種類の特定や生態調査を行っておりまして、これらの調査結果を漁業者の皆さんに説明する学習会も開催しております。 今後は、サメの生態調査を水産試験場の研究課題として設定しまして、大学との連携を強化して、資源や生態の調査をさらに加速してまいりたいと考えております。
◆30番(橋本敏男君) ありがとうございます。より精度の高い知見に基づいた科学的な調査をしっかりしていただくようにお願いを申し上げたいというふうに思います。これがベースにならなければなりません、この問題に対応するための。そういう一番大事な調査だと思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。 漁業者によると、昔サメ被害は夏場だけであったが、最近では冬場にもサメが出没し、通年通して被害が出ており、その被害額は尋常ではないと漁師は嘆いています。サメによる食害は無論ですが、漁具被害は操業そのものができなくなるため、漁業を営む上で多大な損害というふうになります。 近年は、操業中に5回から7回も仕掛けを持っていかれ、漁に出た漁船の半分近くが操業を切り上げて帰港せざるを得なくなった日も少なからずあると聞きます。さらには、サメによる食害や漁具被害以上に深刻なのは、先ほど言いましたけれども、機会喪失による損失で、本来なら利用できる漁場が利用できないのが問題なんです。操業中にサメの被害が発生した際には、漁場を移動して様子を見るだけでなく、漁場で利用できそうなサメ回避に関する情報を集めてきたようですが、現在まで決定的な解決策は見いだせていないのが実情です。 そこで、被害が著しくなった場合は、サメを漁獲することで漁業被害の軽減、収束に取り組んできましたが、暴れる巨大なサメを漁獲するのは大変な危険を伴う作業でございます。漁獲に参加した漁師からは、鋭い歯を持ち船上に上げた後も激しく暴れて大変、水から引き揚げる際に不意に大きく跳ねて人に向かっていくので危険、漁具ごと巻き込んで水中に潜行していく、危うく引き込まれそうになったなどの声がございます。サメを扱う際には注意力と技能の習熟を必要といたします。しかしながら、今の小型船生産者には対応可能なスキルを持ち合わせていないのが実情です。 平成29年2月議会における私の質問に当時の尾崎知事は、加工されてしっかりお金になるからこそ、ゆえにもってして多くの人がサメを一生懸命取ろうとされる--先ほど知事が言った言葉ですよね--そういうインセンティブが働く体制にすべく、サメの加工復活ができないか検討してみたいと前向きな答弁をいただきました。それから3年半、その間県がサメ関係事業関連予算として計上したのは、試食会や加工品の開発に32万7,000円と少額。それを見てかどうか分かりませんが、サメの被害額は大きく膨らみ続け、食害の被害額だけでも清水だと6,000万円、2,000万円も膨らんでございます。そういう状況であります。県の誠意や本気度は漁師に伝わっていないのではないかというふうにさえ思います。 前段でも申し上げましたように、現場の状況は極めて深刻で、漁師の暮らしを直撃し、待ったなしの状況です。さらには、漁業の担い手を育成する観点からも、被害の抜本的な解決策が急務だというふうに思います。漁師は県のスピード感ある施策の展開を求めており、本気度を生産者にしっかりと示す必要があるのではないかというふうに思います。 このような切実な漁師の声と努力に対して、県としてどう向き合っていくのか、知事の姿勢をお示しいただきたいというふうに思います。
◎知事(濱田省司君) ただいま御指摘がございましたように、サメの被害が漁業経営に大きな影響を及ぼしていること、そして凶暴なサメを危険を冒して捕獲する御苦労といったことを考えますと、漁業者の置かれました現状を大変重く受け止めているところでございます。 このサメ被害の軽減を図りますためには、サメの捕獲を進めるということと併せまして、漁業者の収入となるように、捕獲をしたサメを有効に活用していく仕組みをつくっていくということが重要であるというふうに認識しております。このうち、捕獲作業の安全性の確保、これがまずは重要ということでございますが、この点についてはマグロ漁船で使用されております電気で魚の動きを抑制する漁具を改良いたしまして、この点の成果については漁業者の方からも一定の評価をいただいているというふうに報告を受けております。 残された大きな課題が、捕獲したサメが採算の合う形で売れる仕組みづくりということだと考えております。この点は、ただいま水産振興部長からも御答弁申し上げましたように、まずは学校給食への活用ということで取り組んでまいったところでございますが、議員のほうからは海のジビエというお話もいただきました。こうした加工品の販路拡大に県としてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
◆30番(橋本敏男君) ありがとうございます。前向きなお言葉だというふうに捉えさせていただきました。漁師も喜ぶというふうに思います。 サメの問題は高知県だけの問題ではございません。海は国境がないですから、幾らでもサメが入ってきます。この被害については、高知県だけが被害を被っているわけではなくて、北海道や沖縄県、津々浦々で被害が出てきています。そういう状況に対して、知事もこのサメ被害の先頭に立って、国に政策提言をしていただくように要請を申し上げまして、私の全ての質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○議長(三石文隆君) 以上をもって、橋本敏男君の質問は終わりました。 ここで午後4時15分まで休憩といたします。 午後4時10分休憩
----------------------------------- 午後4時15分再開
○議長(三石文隆君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 米田稔君の持ち時間は40分です。 36番米田稔君。
◆36番(米田稔君) 日本共産党の米田稔でございます。通告に従いまして質問を行います。 最初に、動物愛護行政について健康政策部長に伺います。 全国では、推計犬、猫約1,900万頭が飼育されており、命の大切さとともに共生のよきパートナーとして、家族の一員、社会の一員とも言える関係が培われ広がっています。同時に、飼い主の終生飼育やそのための支援とルールづくり、また地域住民や周囲への負担を軽減し、共存に向けての環境づくりを早急に進めることが求められていると思います。この間の大きな社会問題とも言える殺処分問題も、ボランティアの皆さん等の協力の中で一定の改善が進んでいるのではないでしょうか。 今、高知県の動物愛護行政で解決すべき、打開すべき課題は様々あるかと思いますが、その解決のためにこそ仮称こうち動物愛護センターの整備が求められていると思います。 最初に、2018年4月に仮称こうち動物愛護センター基本構想が策定され動物愛護センターの整備に向けて体制の強化も図られたところですが、現状と今後のスケジュールについて健康政策部長にお伺いします。
◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) 動物愛護センターの建設につきましては、平成28年度の県・市連携会議で、当時の知事と高知市長の間で共同設置することを確認しまして、その後仮称こうち動物愛護センター基本構想を策定しております。この基本構想では、津波浸水地域外であることなど、立地に係る基本的条件というのを掲げておりまして、この間高知市内でその条件を満たす土地を探してきたところでございます。 全体の建設コストを抑えるためにも、整備用地につきましては、県市の所有地というのを優先して探しているところですけれども、もともと県有地は高知市内には少なく、一方市有地のほうもその多くが南海トラフ地震発生時に活用する用地というふうになっておりまして、難航しているところでございます。 候補地が決まりまして、造成工事などの課題というのがなければ、他県の例からもおおむね三、四年程度で完成が見込まれるという状況でございます。
◆36番(米田稔君) 続いて、知事の動物愛護センターの整備促進への決意を伺います。
◎知事(濱田省司君) 現在ございます小動物管理センターは、昭和56年に完成をしました狂犬病予防法に基づきます野犬の収容施設ということでございます。近年、御指摘もございましたように、全国的に動物愛護思想が高まっておりますけれども、動物愛護について学習をしたり、動物と触れ合う場所がございませんで、愛護の機能が圧倒的に不足しているというのが、現在の小動物管理センターの状況だと考えております。 動物愛護センターは、県民の皆様の動物愛護知識の向上に向けました教育や情報の発信、あるいは災害時におけます物資保管などの拠点となるというふうに期待をいたしております。ただいま健康政策部長から御答弁申し上げましたとおり、候補地の選定作業が難航しておりますけれども、ここ2年は県・市連携会議の前段に行います副知事、副市長間の協議の場でも議題といたしまして話し合っており、実現に向けて取り組んでいくことを確認しているところでございます。 候補地が決まり次第、早期の完成に向けて高知市と連携をして整備を進めてまいる考えでございます。
◆36番(米田稔君) ありがとうございます。 お二人にお聞きいたしました。基本構想は見事に立派なものができたんですけれど、建設計画というのが立っていないんじゃないかなというふうに私思いまして、聞きました。南海トラフ地震対策行動計画の中にそのことが触れられているかなということで、見ますと、具体的な取組内容に災害時動物救護の拠点の設置ということで、計画スケジュール、2019年度、2020年度に基本設計をつくって、2021年度に詳細設計、2022年度以降に完了、最終目標は2022年度に達成予定というふうにされています。これは、今年の3月にこの計画が改定されていますから、一番新しい計画になるんじゃないかというように思うんですが、このスケジュールで、これに向かって完成をさせていきたいということの理解でよいのか、これは経過もありますから、健康政策部長にお伺いします。
◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、現時点において、まだ候補地が決まっていない状況ですので、南海トラフ地震の計画にのせたスケジュールどおりに、その時点で完成するというのは厳しい状況であるというふうに考えております。
◆36番(米田稔君) 厳しい状況ですけれど、改定した計画ですので、ぜひこれに向けて県市協力して努力していただきたいと思います。 次に、現在小動物管理センターが月に1回、日曜日に見学会、講習会を開いていますが、毎週土・日曜日開いてほしい、また平日子供と一緒に気軽に寄れて、動物に触れ合う機会、譲渡の機会を増やしてほしいなど、県民の強い声が寄せられています。 新しい動物愛護センターをつくり上げていく上でも、またその後の県民参加の機会の拡大にもつながっていくのではないでしょうか。現施設の下でも県が委託料の増額を含めて対応を誠実に検討すべきと考えますが、健康政策部長に伺います。
◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) もともと現在の小動物管理センターは、動物の譲渡会みたいなものですね、触れ合う機会というのは休日に開催していなかったんですけれども、3年前に現契約を締結する際に、中央、中村の両センター合わせまして、年間で13回以上の休日の譲渡見学会というのを開催するようにしたところでございます。 今年度、次期契約の締結に向けたプロポーザルを行う予定でございますので、これにつきましては高知市の意向も伺わなければなりませんけれども、その中で日曜日の開所について検討することとしているところでございます。
◆36番(米田稔君) ありがとうございます。ぜひ前向きによろしくお願いします。 それで、動物愛護推進のためには、その動物愛護センターの獣医師配置が大問題なんですが、ある意味、新動物愛護センターの帰趨に関わる問題だというふうに思います。 全国のセンターの多くでは獣医師を複数配置しているとのことですが、万全を期して獣医師を配置すべきと思いますが、健康政策部長に決意をお伺いします。
◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) そもそも県の獣医師の採用状況というのが大変厳しい中で、衛生部門ですとか畜産部門への配置に苦慮している状況でございます。そうした状況でございますし、現時点で動物愛護センターの体制についてまで具体的に検討する段階には至っていないところなんですが、議員が今おっしゃいましたように、全国的には配置されているという状況を踏まえまして、今後体制の検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
◆36番(米田稔君) 厳しい状況はお伺いもしています。ただ、配置のためにはどうしても努力してやっていただきたいし、獣医師が来てやってみようと思えるような処遇を十分して、またそういう施設整備を目指していくということで、ぜひそのことは実現するように改めて求めておきたいというふうに思います。 次に、コロナ禍における生活保護行政について地域福祉部長にお伺いします。 まず、熱中症予防についてです。今年6月1日から9月30日、熱中症により救急搬送された人は全国で約6万5,000人、高知県は473人で、残念ながらお一人の方が亡くなられています。住民の命と健康を守るために、緊急に熱中症予防のあらゆる手だてを取ることが求められていると思います。 今年の夏の熱中症に係る救急搬送の特徴などについて危機管理部長に伺います。
◎危機管理部長(堀田幸雄君) 消防庁による調査の9月末速報値によりますと、県内における今夏の熱中症による救急搬送の特徴としては、まず年齢構成別で見ますと、例年と同じく満65歳以上の高齢者の割合が最も多く全体の62%を占めており、昨年同期と比べると13%の増加となっています。一方、割合が低いのは18歳未満で全体の7%を占め、昨年同期と比べると56%の減少となっています。 次に、発生場所別で見ますと、最も多いのが住居で全体の43%を占めており、昨年同期と比べると7%の増加となっています。最も割合が低いのは教育機関で全体の3%となっており、昨年同期と比べますと74%の大幅な減少となっています。
◆36番(米田稔君) ありがとうございます。 この間の県政含めて県民の皆さんの学校へのエアコン整備等も、大きなやっぱり成果になっているんじゃないかなということが、数字のことを聞いて見えてくるというふうに思います。ありがとうございます。 それで、今特徴をお話しされましたけれど、ある意味、熱中症対策は高齢者や障害者、子供たち、そして地域コミュニティーの問題でもあると言えるのではないでしょうか。エアコンの設置状況や使用状況についての調査があれば、地域福祉部長に伺います。
◎地域福祉部長(福留利也君) 令和2年3月に内閣府が行いました消費動向調査によりますと、2人以上の世帯のエアコン普及率につきましては、全国で91%となっております。高知県単独のデータはございませんが、中国・四国地域では94.7%となっております。使用状況については承知してございません。
◆36番(米田稔君) ありがとうございます。 それと、ぜひ高知でもできる限り調査していただきたいと思いますし、生活保護利用者の方は申請時に、エアコンがありますかとか洗濯機がありますかとか、いろいろ調査されますよね。それを見たら分かりますので、ぜひそういう集約もして、なおケースワーカーの人は大変ですけれど使用状況などもぜひ調べていただきたいなというふうに、これは要請をしておきたいと思います。 本年8月28日、県地域福祉部担当課長名で、昨年4月の厚労省の文書を添付し、事務連絡、今夏に向けた家具什器費の取扱いに係るケースワークの留意点についてを関係機関に周知しています。従来の生活保護利用者は、保護費のやりくりの中で購入するか、また必要に応じて社会福祉協議会の生活福祉資金貸付けを利用できるとして、制度の活用支援を福祉事務所等に要請しています。この間の資金の活用状況について地域福祉部長にお伺いします。
◎地域福祉部長(福留利也君) 直近3年間の生活保護世帯のエアコン設置に係る生活福祉資金の貸付状況でございますが、平成30年度は15件、令和元年度は11件、令和2年度は9月末までに10件となってございます。
◆36番(米田稔君) ありがとうございます。 分かれば、その中で連帯保証人のある人、福祉資金を借りるに当たって、そんな調査はしていませんかね、地域福祉部長。分かれば。
◎地域福祉部長(福留利也君) ただいま申し上げました貸付件数のうち、連帯保証人をつけた貸付けがどれぐらいあったのかというのは調査をしておりません。
◆36番(米田稔君) 分かりました。 連帯保証人がいない人も、本人が福祉事務所から社会福祉協議会に代理納付をしてもらい返還する場合は、当然無利子扱いにすべきだと思います。同時に、全ての生活保護利用者を対象に無利子にすべきではないかと思いますが、地域福祉部長に伺います。
◎地域福祉部長(福留利也君) 生活福祉資金貸付制度は、低所得世帯や高齢者世帯などを対象とした全国一律の制度でございまして、利率は1.5%となっており、民間の金融機関と比較をしても低い利子で貸付けを行ってございます。また、据置期間中は利子が発生せず、低所得世帯などに配慮された制度となっております。こうしたことから、生活保護世帯においても償還していくことが可能な制度というふうに認識をしております。
◆36番(米田稔君) 分かりましたと言いませんが、次のほうへ移ります。 2年前から新しい生活保護利用者には、このエアコン購入費の支給が始まっていますが、この間の実績についてはどうなっていますか、地域福祉部長。
◎地域福祉部長(福留利也君) これは、県の福祉保健所が所管をします町村部において、平成30年4月以降に生活保護を開始した世帯に対するエアコン購入費の支給実績でございますが、平成30年度は5件、令和元年度は9件、令和2年度は9月末までに6件となってございます。
◆36番(米田稔君) ありがとうございます。 私は、もっと本来新しい利用者の方で、必要とする人がいるんじゃないかなと、これは想像なんですけれど、新しい生活保護利用者の皆さんに、どういう方法で支給を--エアコンをつけますかという支援ですよね、口頭あるいはチラシ等でそれを徹底されているのかどうか。ケースワーカーの人が、行政から、きちっとお話、説明をされているのかどうか、地域福祉部長。
◎地域福祉部長(福留利也君) ケースワーカーが生活保護世帯のほうに訪問しておりますので、その際にエアコンの設置の希望があるというふうなお話をお伺いした際には生活福祉資金の貸付けの支援でありますとか、またその資金の返済ということが始まってまいりますのでそういった家計管理の支援、こういったものも必要に応じて行っているところでございます。
◆36番(米田稔君) すみません。僕が聞いたのは、新しい生活保護利用者の人には購入費が支給できますので、その声かけを、きちっと周知できているのかということを聞きたいんです、地域福祉部長。
◎地域福祉部長(福留利也君) 失礼しました。生活保護の開始の時点で、どういう電化製品をお持ちかということは確認をさせていただいておりますので、そうした際にエアコンがないという世帯に対してはこういう支給ができるということをお伝えいたしまして、支援をしているところでございます。
◆36番(米田稔君) なお、そのアンケートだけの申請書を見るだけではなくて、一声かけて、こういう制度がありますよということを丁寧に説明なり、声かけをしていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。 本来、エアコンがない従来の利用者にも差別なく支給すべきだと考えます。毎月の生活保護費のやりくりの中で購入費用を賄うこととなっています。しかし、生活扶助費2類が水道光熱費や家具什器費などに充てるとなっていますが、生活保護費はまさに最低限の水準で、毎月ぎりぎりの生活であり、現実には数万円もやりくりできるような実態ではありません。しかも、今生活扶助費そのものの減額、削減計画実施の真っただ中にあって、到底賄える状況にないことは明らかです。だからこそ、生活福祉資金でエアコンが購入できるようにしたのではないでしょうか。 従来の利用者にはこのような新たな負担や苦痛を押しつけるのではなくて、新しい利用者と同じ対応をすべきだと思います。全国知事会等と一体となって国に改善を求めるべきと思いますが、地域福祉部長の見解を伺います。
◎地域福祉部長(福留利也君) エアコン購入などの考え方につきまして厚生労働省に確認をいたしましたところ、新たに生活保護を受給することになった世帯は、生活に困窮している状況にあり、手持ちの資金もないことから、エアコンの購入費を別途支給することとしたということでございます。 しかし、既に生活保護受給中の世帯にありましては、毎月支給される生活保護費のやりくりを行う期間を持てるということから、支給することにはなっていないということでございました。 県としましては、先ほど申し上げましたように、生活保護世帯がエアコンの購入を希望する場合には、福祉事務所におきまして生活福祉資金の利用の支援、必要に応じて家計管理の助言・指導を行うなど、今後も適切な支援に努めていきたいと考えております。
◆36番(米田稔君) そうはいいますけれど、生活保護費、例えば70歳前後で高知市で言えば、食費3万円、それから2類の水道光熱費4万円、7万円しかないんですよ。そこから返済、利子含めて毎月2,000円、3,000円と払うわけですね。7万円しか生活費がない、それをさらに削られている、そんな中で、2,000円、3,000円払うって大変なことなんですよ。多くの生活保護利用者の皆さんは1,000円の、1,000円といえばまだ多いですよ、100円の生活をしているわけです。そのことを思ったときに、その7万円程度からやりくりできますか。絶対できませんよ。借りやというて借りたら、払わんといけませんから、そういう点ではぜひ生活保護利用者の皆さんの暮らし向きは、ちゃんとやっぱり心を寄せて見ていただいて、国に対して言うべきことは言うということを、これは要請をしておきたいと思います。 続いて、エアコンの設置とともに実際に使用できなければなりませんが、電気代の負担が心配で使うのを我慢せざるを得ないようなことが決してあってはなりません。しかし、安倍政権による2018年10月から3年かけて160億円をカットする生活保護費削減計画が、この10月も継続されています。減額は利用世帯全体の67%に上り、最大5%削減の世帯も生まれます。減額対象は、食費や水道光熱費など日常生活に充てられる生活扶助本体そのものです。 これまでも、猛暑でもエアコン使用を我慢したり、シャワーや入浴の回数を減らすなど、既にぎりぎりの生活です。そして、コロナ禍の下での出費の増大、さらに今回の生活扶助本体のカットは、生活苦に追い打ちをかけるだけでなく、命と健康を脅かす大問題になります。 10月からの削減を緊急に中止し、拡充を図るよう国に働きかけることを求めるものですが、これは知事にお伺いいたします。
◎知事(濱田省司君) 今年の10月に行われます生活保護基準の見直しにつきましては、5年ごとに実施をされています基準改定に伴い、平成30年度の改定を3年かけて段階的に行ってきた、見直しの最終年度に当たるものでございます。この基準改定は、国の社会保障審議会での検証結果を踏まえ、客観的な経済指標に基づくものとなっておりまして、減額となる生活保護世帯にも配慮をし、段階的に進めるという形で行われているものであります。 また、今回の基準改定によりますと、生活保護世帯にありましては減額となる世帯もありますけれども、一方増額となる世帯もあるという改定の中身になっております。その意味で、段階的に進行しておりますこの段階で中止をするということになりますと、影響が広い範囲に及ぶということもありますので、この点は現実的ではないというふうに考えております。 県といたしましては、今回も含めた今次の基準改定に伴いまして、本県にどのような影響があったのかというのをしっかり把握していきたいと考えております。
◆36番(米田稔君) 知事も言われたように、現状が実際どうなっているのかということはよく掌握というか、お聞きもいただいて、県の対応をぜひ検討していただきたいというふうに思います。 通常の生活扶助費、水道光熱費に加えて、10月から4月まで、11月から3月までなどと6つの地域区分ごとに冬季加算が長きにわたって創設、支給をされています。 今日、地球の温暖化が進み、猛暑、酷暑が当たり前の環境、気象になっており、早期の夏季加算の創設、支給が求められていると思います。全国知事会などと協力して早急に実現するよう願うものですが、知事の所見を伺います。
◎知事(濱田省司君) 国が直近になります平成30年度の生活保護基準の見直しの検討に際しまして作成した資料を見ますと、月ごとの光熱費の支出の実態を総務省統計局の家計調査を基にして作成した資料がございます。これを見ますと、夏の間の支出額は、この家計調査に表れます実態としては年平均よりも低いという状況にございます。こうした状況によりまして、夏季加算は設けられていないというふうに聞いているところでございます。 ただ一方で、近年は、ただいま御指摘がありましたように、全国的に夏の気温が上昇しているという状況でございますし、ただいま申し上げました総務省統計局の家計調査も平成21年から25年頃の調査というふうに伺っておりますので、また状況が変化をしている可能性はあり得るとは思います。その意味で、来年度後半には次期の基準改定に向けました国での検討も本格化するというふうに見込んでおりますので、この点についての国の動向をよく注視していきたいと考えております。
◆36番(米田稔君) ぜひよろしくお願いいたします。 関連して生活福祉資金ですが、今日の経済、金融情勢の下、利子1.5%といえども利用者に重い負担となっています。とりわけ低所得者や障害者、高齢者等を対象とする制度であり、無利子化へ抜本的な改善に踏み出すべきではないでしょうか。民法の改正に関連して、今年4月から県営住宅や高知市営住宅など入居の際の連帯保証人は不要となりました。 連帯保証人の有無によって利子の有無を決定するのではなく、高齢家族化や孤立化が進み深刻化する中で、低所得者等にしっかり寄り添い、生活と自立を支援していく、制度の趣旨がより生かされるよう、生活福祉資金制度の全ての無利子化を求めるものですが、地域福祉部長に伺います。
◎地域福祉部長(福留利也君) 生活福祉資金の無利子化につきましては、先ほどお答えをしましたとおり、現行の制度は低所得世帯などに配慮された制度になっているものと考えております。 一方で、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして所得が減少した世帯向けの特例貸付につきましては、無利子で連帯保証人も不要としており、9月末現在で延べ1万2,000件余りの貸付けを行っております。 この特例貸付の受付期間は今年12月末までとなっておりますけれども、コロナ禍の長期化を踏まえますと、受付期間の延長が必要と考えております。このため、全国知事会の提言と併せまして、県単独でも国に対して提言を行っているところでございます。
◆36番(米田稔君) ありがとうございます。ぜひ皆さんの苦境に応えて、行政が頑張っていただきたいと思います。 それで、思うことは、結局大したことないと言いながら、保証人がいるかどうかで利子が決まるんですよ。おかしくないですか。 それと、今の生活福祉資金、コロナ特例貸付ですけれど、全国では111万人の方がこれを利用されています。それぐらい今必死なんですよね。同時に、このコロナ特例は、返済は住民税非課税の方は免除ということで一応対応されるんですよ。そのことから考えたときに、コロナ特例も--ふだんの生活やっている方も住民税非課税の方に、いわゆる生活保護の人は該当すると思うんですけれど、少なくとも無利子化を図るべきじゃないですか。地域福祉部長にお伺いします。
◎地域福祉部長(福留利也君) 今回の特例貸付につきましては、新型コロナの影響で休業等に伴いまして、収入が急激に減った、日々の生活費にも切迫をされている方々、こういった方々に対する貸付制度ということで創設をされたものでございます。 こういう状況が長く続く場合には、生活に影響が及ぶ方がますます増えてくるというふうに思いますので、この特例貸付を利用していただけますように、今後とも周知も図ってまいりたいというふうに考えております。
◆36番(米田稔君) ぜひ生活福祉資金の無利子化をお願いしたいのと、生活保護の人は特例貸付は受けられませんよね、対象外になっていますから。ですから本当に--利子の扱いも10年ほど前は全て利子が要りましたよね、保証人があったとしても。でも10年前に改善をしたんですよ。連帯保証人がついたら利子は要らない、ない人は利子が要ると。一歩改善したんですけれど、本当にその制度の性格を見たときに、全て無利子化をするということで、ぜひ研究もしていただきたいし、国との協議も進めていただきたいということを要望しておきたいと思います。 国民の権利としての生活保護の活用をということで次に進みたいと思うんですが、生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずに自治体まで御相談ください。この文言が、コロナ禍厚生労働省が作成したリーフレット生活を支えるための支援のご案内の中の生活保護制度冒頭に、新たに7月16日更新、追加されています。 6月の日本共産党田村智子参議院議員の国会質問に対して安倍首相が、田村委員が言うように文化的な生活を送るという権利があるわけで、ぜひためらわずに申請していただきたい、我々も様々な手段を活用して国民の皆さんに働きかけを行っていきたいと明言をしました。厚労省は、この答弁を踏まえて冒頭の文言を追加したと説明をしています。 そして、高知県も8月11日、生活保護制度の概要を更新して、生活保護を必要とする可能性はどなたでもあるものです。ためらわずにお住まいの地域の相談窓口に御相談くださいとホームページで紹介し、県民に呼びかけていますが、評価できると思います。 ためらわずに申請を、ポスターや各自治体の広報紙などを通じて県民にメッセージを送る、県・市町村職員にも改めて厚労省リーフレットを学んでもらうなど具体化を図るよう求めるものですが、地域福祉部長に伺います。
◎地域福祉部長(福留利也君) 本年3月から8月までの本県におけます生活保護の申請件数は、前年と比べまして約14%減少しております。一方で、先ほど申し上げましたように、生活福祉資金の特例貸付につきましては、これまでに延べ1万2,000件を超えているという状況にございます。 この特例貸付のうち総合支援資金につきましては、生活困窮者自立相談支援機関がその方の生活状況や収入状況を確認し、生活再建のめどが立たない場合には生活保護の窓口につなぐということにしております。こうした方々がためらわずに生活保護申請できますように、市町村や社会福祉協議会などの窓口の職員の方々に周知を徹底しますとともに、引き続き広報の充実に取り組んでまいります。
◆36番(米田稔君) ありがとうございます。 同時に、更新された県の生活保護制度の概要には、厚労省リーフレットに引用された国会での安倍首相の発言、生活保護の申請は国民の権利です、この言葉が紹介されていないことは大変残念だと言わなければなりません。この言葉と合わさって、ためらわずに申請を、ためらわずに相談を、このメッセージが県民の心に響くのではないでしょうか。 東京商工リサーチは9月23日、今年1月から8月の休業・廃業・解散企業数が前年同期比23.9%増の3万5,816件に上ると発表をしています。また、厚労省は9月24日、新型コロナウイルスの影響で解雇や雇い止めに遭った人が6万439人と、6万人を超えたことを発表しました。そして、増加数の中ではアルバイトなど非正規の労働者の割合が高いこと、業種別では多い順に飲食業、製造業、小売業、宿泊業などと分析しています。まさに今、公的支援が圧倒的に求められています。そして、暮らしを支える最後のセーフティーネット、安全網である生活保護制度の役割が問われています。 知事自らも、生活保護の申請は国民の権利であり、ためらわずに申請するよう広く県民にメッセージを届ける、県民への働きかけの先頭に立つよう求めるものですが、知事の見解を伺います。
◎知事(濱田省司君) 憲法の第25条の規定に基づきまして、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」ということは論をまたないところであります。県民の誰でありましても、様々な事情から生活保護を必要とする事態が訪れる可能性はある、これは否定できないということだと思います。 その中で、御指摘もありましたように、生活保護制度は最後のセーフティーネットでございます。制度の周知にはこれまでも努めてまいりました。今回、国難とも言うべき新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、経済的に厳しい状況が長期化をしている中でございます。 このため、生活に困窮された方々には、ためらわずに相談をしていただきたい、そうしていただけるように県として改めて、生活保護制度をはじめといたしました各種の支援策について周知を徹底してまいります。加えて、生活困窮者自立相談支援機関をはじめといたしまして、市町村などとの連携を強化し、生活の再建に向けた支援に取り組んでまいります。
◆36番(米田稔君) ありがとうございます。ぜひ知事先頭に温かいメッセージが必要な方に届くように、よろしくお願いいたします。 時間がなくなってきましたが、コロナ禍の国保行政について少し健康政策部長に伺いたいと思います。 そういう大変なコロナ禍の中で、国民健康保険証の無条件交付についてですが、高知市と香美市は、病院窓口で一旦10割負担が求められる被保険者資格証明書、また数か月期限の短期被保険者証の対象者に有効期限が来年3月末までの短期被保険者証を、無条件に交付しています。県はどう受け止めておられるのか、健康政策部長に伺います。
◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) コロナ禍におきまして、被保険者資格証明書や短期被保険者証が交付されている被保険者が、保険料納付や納税相談等で市町村役場へ来庁することを避ける観点や、医療機関を受診する機会を確保するといった観点から、両市においてコロナウイルス感染拡大防止策として判断されたものというふうに考えております。
◆36番(米田稔君) ありがとうございます。まさにそのとおりだと思います。 それで、香美市が257世帯、375人、高知市は2,868世帯、4,323人の方に短期保険証を交付されています。無条件交付によって市民の方から、病院にかかりやすくなった、ありがとうとの声が届いたり、行政からは逆に納付相談が増えているとの声も聞こえてきます。まさに困難を抱える市民の皆さんに、感染の防止とともに受診の機会を保障し、行政への信頼も強めています。これらの取組にしっかり学び、他の市町村に紹介、普及を推奨すべきと思いますが、健康政策部長に伺います。
◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) 最終的に実施をするかどうかというのは各市町村の判断になりますけれども、県としましては、今回の新型コロナウイルス感染症への対応としての高知市、香美市の取組につきまして、他の市町村にその内容をしっかりとお知らせしていきたいと考えております。
◆36番(米田稔君) ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。 それで、今香美市と高知市の世帯数は言いましたけれど、高知県は国保加入世帯が約11万世帯で、短期保険証と資格証を合わせると約7,000世帯あるんですよ。だから、高知市と香美市だけでは、県民、住民の命、健康を守るということからすると、まだまだ不十分だというように思います。今健康政策部長が言われたように、他の判断は最終は市町村がやるわけですけれど、大いにそういう立場を皆さんに紹介もし、一緒に無条件交付についてのお勧めをぜひ強めていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。 最後のほうになりますが、いろいろ質問が飛んで申し訳ないです。コロナウイルスの影響による、少し国保料減免についてお伺いします。 いわゆるコロナ特例による国保料の減免ですが、現在の申請や減免の決定、不承認の数など実績について健康政策部長に伺います。
◎健康政策部長(鎌倉昭浩君) 直近の8月15日時点の調査では、県内の市町村で1,930世帯からの申請がありまして、このうち減免決定されたものが1,590世帯、不承認となったものが130世帯、処理中が210世帯というふうになっております。減免の決定額は約1億8,800万円ほどとなっております。
◆36番(米田稔君) ありがとうございます。多くの方が申請せざるを得ないような減収の中で、手続もし、市町村の協力も得て、そういう減免を実現できているというのは非常に喜ばしいことなんですが、まだまだ必要な方たくさんおいでるというふうに思います。 それで、いろいろ問題になっていますけれど、30%以上の減収の要件については、可能な限り今の困窮を広く救済していくという観点、立場で運用されています。だからこそ国は結果として、30%以上の減収にならなかった場合でも減免は取り消さない、返金は求めない、そして財政支援の対象になると極めて明確なんですが、これは6月議会でも中根議員が……。 以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(三石文隆君) 以上をもって、米田稔君の質問は終わりました。 以上で本日の議事日程は終了いたしました。 明7日の議事日程は、一問一答による議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。 午後4時55分散会...