高知県議会 > 2004-03-03 >
03月03日-03号

  • "通信制課程修学奨励資金貸与条例"(/)
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  1. 高知県議会 2004-03-03
    03月03日-03号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    平成16年  2月 定例会(第277回)          平成16年3月3日(水曜日) 開議第3日---------------------------------------出席議員       1番  武石利彦君       2番  中西 哲君       3番  西岡仁司君       4番  三石文隆君       5番  森田英二君       6番  山本広明君       7番  森 雅宣君       8番  東川正弘君       9番  溝渕健夫君       10番  元木益樹君       11番  依光隆夫君       12番  土森正典君       13番  西森潮三君       14番  結城健輔君       15番  西岡寅八郎君       16番  浜田英宏君       17番  樋口秀洋君       18番  植田壮一郎君       19番  式地寛肇君       20番  高野光二郎君       21番  黒岩直良君       22番  佐竹紀夫君       23番  中内桂郎君       24番  二神正三君       25番  朝比奈利広君       26番  岡崎俊一君       27番  西森雅和君       28番  黒岩正好君       29番  池脇純一君       30番  坂本茂雄君       31番  浜田嘉彦君       32番  田村輝雄君       33番  江渕征香君       35番  森 祥一君       36番  吉良富彦君       37番  谷本敏明君       38番  米田 稔君       39番  牧 義信君       40番  塚地佐智君       41番  田頭文吾郎君欠席議員       なし---------------------------------------説明のため出席した者  知事       橋本大二郎君  副知事      吉良史子君  出納長      島田一夫君  総務部長     池本武広君  理事           宮崎利博君  (危機管理担当)  企画振興部長   十河 清君  理事           山本俊二郎君  (政策推進担当)  理事(情報化           石川雄章君  戦略推進担当)  健康福祉部長   吉岡芳子君  文化環境部長   尾崎祐正君  商工労働部長   起塚昌明君  理事           上林 匡君  (産業技術担当)  農林水産部長   星沢昭雄君  理事           山崎隆章君  (競馬担当)  土木部長     見波 潔君  森林局長     村手 聡君  海洋局長     松村勝喜君  港湾空港局長   加藤久晶君  企業局長           山中哲雄君  代理同局次長  病院局長     猪野和孝君  教育委員長    宮地彌典君  教育長      大崎博澄君  人事委員長    上谷定生君  人事委員会           西山靖夫君  事務局長  公安委員長           鈴木朝夫君  職務代理者  警察本部長    黒木慶英君  代表監査委員   奴田原 訂君  監査委員           中岡宏昭君  事務局長---------------------------------------事務局職員出席者  事務局長     恒石好信君  事務局次長    井上 健君  議事課長     鍵山和司君  政務調査課長   竹内豊明君  議事課長補佐   野瀬孝志君  主幹       竹崎由美君  主査       中城知穂君---------------------------------------議事日程(第3号)   平成16年3月3日午前10時開議第1 第1号 平成16年度高知県一般会計予算 第2号 平成16年度高知県給与等集中管理特別会計予算 第3号 平成16年度高知県用品等調達特別会計予算 第4号 平成16年度高知県土地取得事業特別会計予算 第5号 平成16年度高知県災害救助基金特別会計予算 第6号 平成16年度高知県母子寡婦福祉資金特別会計予算 第7号 平成16年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計予算 第8号 平成16年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計予算 第9号 平成16年度高知県農業改良資金助成事業特別会計予算 第10号 平成16年度高知県県営林事業特別会計予算 第11号 平成16年度高知県林業・木材産業改善資金助成事業特別会計予算 第12号 平成16年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計予算 第13号 平成16年度高知県流域下水道事業特別会計予算 第14号 平成16年度高知県港湾整備事業特別会計予算 第15号 平成16年度高知県高等学校等奨学金特別会計予算 第16号 平成16年度高知県電気事業会計予算 第17号 平成16年度高知県工業用水道事業会計予算 第18号 平成16年度高知県病院事業会計予算 第19号 平成15年度高知県一般会計補正予算 第20号 平成15年度高知県土地取得事業特別会計補正予算 第21号 平成15年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計補正予算 第22号 平成15年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算 第23号 平成15年度高知県県営林事業特別会計補正予算 第24号 平成15年度高知県流域下水道事業特別会計補正予算 第25号 平成15年度高知県港湾整備事業特別会計補正予算 第26号 平成15年度高知県高等学校等奨学金特別会計補正予算 第27号 平成15年度高知県病院事業会計補正予算 第28号 高知県こども条例議案 第29号 高知県立塩見記念青少年プラザの設置及び管理に関する条例議案 第30号 地方自治法第203条に規定する者の報酬、期末手当、費用弁償等に関する条例及び知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 第31号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案 第32号 地方独立行政法人法等の施行に伴う関係条例の整備に関する条例議案 第33号 国立大学法人法等の施行に伴う関係条例の整備に関する条例議案 第34号 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例議案 第35号 議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例議案 第36号 高知県税条例等の一部を改正する条例議案 第37号 高知県消防法関係手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第38号 地方自治法第8条第2項の規定による町としての要件に関する条例の一部を改正する条例議案 第39号 高知県衛生試験等手数料等徴収条例の一部を改正する条例議案 第40号 高知県立幡多高等看護学院の設置及び管理に関する条例及び高知県立総合看護専門学校の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第41号 結核診査協議会条例の一部を改正する条例議案 第42号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第43号 保健所使用料等徴収条例の一部を改正する条例議案 第44号 高知県地域農業改良普及センター設置条例の一部を改正する条例議案 第45号 高知県特別会計設置条例の一部を改正する条例議案 第46号 高知県建設業法関係手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第47号 高知県都市計画審議会条例の一部を改正する条例議案 第48号 高知県港湾施設管理条例の一部を改正する条例議案 第49号 高知県立海岸緑地公園の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第50号 企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例議案 第51号 公立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案 第52号 高知県立学校授業料等徴収条例の一部を改正する条例議案 第53号 高知県高等学校定時制課程及び通信制課程修学奨励資金貸与条例及び高知県高等学校等奨学金の貸与に関する条例の一部を改正する条例議案 第54号 高知県スポーツ振興審議会条例の一部を改正する条例議案 第55号 高知県警察手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第56号 高知県警察の設置及び定員に関する条例の一部を改正する条例議案 第57号 高知県中小企業従業員住宅の貸付け等に関する条例を廃止する条例議案 第58号 高知県立定時制通信制教育センター設置条例を廃止する条例議案 第59号 高知県立障害者スポーツセンターの指定管理者の指定に関する議案 第60号 権利の放棄に関する議案 第61号 県有財産(高知テクノパーク)の処分に関する議案 第62号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第63号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第64号 県が行う土木その他の建設事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 第65号 包括外部監査契約の締結に関する議案 第66号 国分川河川激甚災害対策特別緊急事業に伴う土讃線土佐大津・土佐一宮間国分川橋りょう改良工事委託に関する協定の一部を変更する協定の締結に関する議案 第67号 唐浜地区経営体育成基盤整備用水トンネル工事請負契約の締結に関する議案 報第1号 高知県が当事者である訴えの提起の専決処分報告 議発第1号 高知県うみがめ保護条例議案第2 一般質問   (3人)---------------------------------------   午前10時2分開議 ○議長(溝渕健夫君) これより本日の会議を開きます。--------------------------------------- △諸般の報告 ○議長(溝渕健夫君) 御報告いたします。 公安委員長濱田松一君から、所用のため本日の会議を欠席し、公安委員鈴木朝夫君を職務代理者として出席させたい旨の届け出がありました。--------------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○議長(溝渕健夫君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「平成16年度高知県一般会計予算」から第67号「唐浜地区経営体育成基盤整備用水トンネル工事請負契約の締結に関する議案」まで、報第1号「高知県が当事者である訴えの提起の専決処分報告」及び議発第1号「高知県うみがめ保護条例議案」、以上69件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問をあわせて行います。 33番江渕征香君。   (33番江渕征香君登壇) ◆33番(江渕征香君) おはようございます。議長のお許しをいただきまして、県民クラブを代表して質問をさせていただきたいと思います。 今議会につきましては、知事の答弁に対して県民は大変大きな注目をしているわけでありますが、きのう来の答弁をうかがっておりまして、あれで本当に県民を納得させたのかと、こんな思いがしてなりません。私は、昨日はタクシーで帰りましたけれども、タクシーの運転手さんも、あれでいいのか知事の答弁はというそういう話をされまして、県会議員も、おまえらも頑張れと、頑張っておらないかんじゃないかという指摘も受けたところでございました。これらの点についても、知事は県民の期待にこたえた答弁をお願いしたいと思います。 それでは質問をさせていただきたいと思います。依光議員の質問に端を発する知事選挙にかかわる資金の流れを解明するために、坂本ダム等に関する調査特別委員会が設置をされ、疑惑の解明が今進められております。私は、平成3年の知事選挙では、橋本大二郎さんを支持して選挙戦を戦いました。橋本大二郎さんの人気は大変なもので、知事選挙は橋本候補の圧勝、大勝利をおさめました。橋本県政が誕生し、私も清潔な政治に大きく期待をしたところであります。しかし、坂本ダム等に関する調査特別委員会の調査が進むにつれて、裏切られた思いがしてなりません。 そこで、まず知事の政治姿勢について伺いますが、先ほど申し上げましたように、県民が納得のいく答弁をしていただきますよう、まず最初に要請をしておきたいと思います。知事は政治責任、道義的責任についてどのように考えているのか、お考えをお伺いしたいと思います。政治は最高の道徳なりとも言われますが、政治責任、道義的責任には時効はないというふうに私は考えます。知事はこのことについてどのように考えているか、その所見をお伺いいたします。 そして2点目には、昨年の知事選挙で、疑惑はないというふうに知事は否定をされました。知事を応援する県会議員も、政治的思惑の宣伝だ、ぬれぎぬだというような主張もされました。しかし、金の流れは事実であったことが明らかにされました。 この事実が選挙前に明らかにされていたならば、知事選挙の結果は大きく変わっていたと私は判断をするのですが、このことについて知事はどのように考えているのか、お伺いをいたします。 そして3点目に、誠橋会の対応についてお伺いいたします。昨日も答弁があったわけでありますけれども、誠橋会の会合で、知事は笠誠一さんをよろしくと紹介されたと伺っております。その結果、佐渡へ佐渡へと草木もなびくというように、企業者の皆さん方の笠さんもうでが始まったと伺っております。 きのうの元木議員の質問で、誠橋会で橋本知事が笠さんを紹介したかどうかという点については答弁がなかったように思うのでありますが、紹介をしたのかどうか、知事にお伺いをいたします。 4点目には、依光議員が明らかにした企業献金1億300万円について、横矢さんは1,300万円渡したと証言をされております。また、橋本事務所で会計を担当しておりました山本牧子さんの口座には1億6万円の入金があったことが明らかになっております。これらのことから、1億300万円が政治献金であったことが類推をされるわけでありまして、笠事務局長のもとで選挙の運動のための資金として使われていたことは明らかです。 このことについてどう考えているのか、どういう思いを持っているのか、お伺いをいたします。 知事の公約として発表されました中に、隠し事のない県政の項があります。その中での知事の発言でありますけれども、「「改革派と言われる知事の共通点は何か」という質問を受けましたが、そのときにも、「情報公開に熱心なこと」と一例を挙げました。県政の透明性を上げることは、県政と県民の皆さんとの距離を縮めるためにも、また、職員がしがらみにとらわれて後ろめたい思いで仕事をすることがないようにするためにも、大切な課題だと思っています」と提起がされております。隠し事のない県政を標榜されるには、町田後援会長の1億円の貸借関係や坂本ダムの談合による1億円、1億300万円の政治資金の貸与など、みずから解明すべきではないでしょうか。「関知していない」で済まされる問題ではないと思うのでありますが、知事の考えはどうなのか、お伺いいたしたいと思います。 そして、知事のホームページに、知事選挙にかかわって、「自分自身にかかわることや妻に関することは事実ではないと明確に言い切れることが幾らでもあります。しかし、何分にも12年も前のことですから、関係者の記憶も極めてあいまいになっています。12年たった今になって当時のことについて発言をしようという方には、別の思いや思惑が重なり合います。ですから、事細かく解明することは正直言って難しいと言わざるを得ません」と記載をされております。 12年もたって持ち出したことがおかしいとでも言いたいような表現でありますが、この点について知事はどういうふうにお考えになっているのか。持ち出したことが悪いというように聞こえてなりませんが、どうか、お伺いをいたします。 私は、知事だけでなく政治家の責任は大変重いというふうに考えているわけでございますが、知事は教育の面でも先頭に立って知事として頑張ってこられました。しかし、埼玉県の土屋知事は長女の政治資金規正法違反で知事を辞職されました。中西元防衛庁長官、衆議院議員は息子さんの覚せい剤の件で衆議員を辞職しましたし、あるいは青森県の県警におきましては三戸署長と、そして板柳署次長が、息子さんの強姦事件によって辞職をしております。それほどに政治責任というのは大変重いものというふうに考えているわけでございます。これらの面についても、知事は教育の問題についても先頭に立っているわけでございまして、私はそれらのことから考えましても、息子さんの件に関して引責辞任をしてもおかしくないというふうに思いました。 この点について知事はどのように考えるのか、お伺いをいたしたいと思います。 100条委員会で解明の進められている疑惑については、知事自身がかかわった選挙資金についてのことでございます。したがって、みずから解明し説明責任を果たすべきだと思うが、このことについてどうか、お伺いをいたします。 笠誠一さん及び町田照代さんがかかわったとされている資金については、選挙の収支報告書にも後援会の資金報告にも記載をされておりません。これは明らかに公職選挙法違反であります。既に時効となっており、法的には罰則は適用がされないかもしれません。このことについて、知事は関知していないと答弁をしておりますけれども、12年前のこととして知事の政治責任は免責されたと考えているのか。また、この道義的責任をどのように考えているのか、お伺いをいたしたいと思います。 以上、知事には政治的責任、道義的責任を中心にして質問をさせていただきました。これらの点について、県民に納得のいく答弁を要請しておきたいと思います。 次に、組織改革についてでありますが、県庁組織のあり方についてお尋ねをいたします。住民力を発揮し県民に向き合う組織にすると、これまで知事は決意を示されてきました。しかし、昨年来の県庁組織のあり方や運営の仕方については幾つかの疑問が生じています。1つには、昨年4月、政策立案、調整機能の強化、2つ目には地域支援機能の強化、3つ目には類似業務の所管の一元化、4つ目には目的を特化した課室の創設、5つ目には職員数の配分の重点化を目的とした極めて大幅な組織改革を行いました。このことによって、本庁では98課室が137課室と、39課も増加したことは御承知のとおりであります。その結果、県職員でさえ1年たっても課室の名称や業務内容がわからないという事態で、ましてや県民に理解できるはずもございません。 また、政策立案、調整機能を求めた各部局の企画課の役割がはっきりしないと、すこぶる評判が悪かったと思います。だからこそ、スマイル・サポーターなどと銘打って、忙しい職員を昨年9月から受付に配置したのではないでしょうか。初めて県庁へ来て心細い思いをされている方や、自分の相談をどこに言えばいいのかわからず困っている来庁者などに積極的に声をかけ、担当課室への橋渡しを行う役割だと言っていますが、4月の組織改正さえなければ、こんな取り繕いなんかはしなくてもよかったのではないかと思います。 また、知事は、この組織改正について、あるラジオ番組でこう言っています。「今回変えた理由は、従来の形ですと課長などになるのは相当の年齢になってからになります。若いうちからリーダーになって能力を生かせる必要があると思いました。人材を育成する意味で課と室を増加させました」と、そしてその番組のホームページに載っていましたが、組織改編は県民サービスの向上のためではなかったのですか。みずからの意思に沿う若手の管理職づくりであったとのそしりは免れないと思いますけれども、このことによって管理職手当は昨年1年間でおよそ3,000万円程度増額になったものと思われます。 2つには、その反省に立ったのか、または朝令暮改のそしりを免れるためなのか、組織改正は極めて小規模なものになっています。ただし、各部局は、部局ごとに割り振られた地域支援のための50人捻出に向けて各課の総務事務を各部の企画課に集中させるなど、一貫性のない苦肉の策を講じています。なぜなら、そのような対応をしているのは総務部と商工労働部に限定されていることからも明らかです。 そのような中で、目立つ組織改正として、農業改良普及センターと耕地事務所の統合があります。知事は所信表明の中で、「これまでの農業改良普及センターと耕地事務所を統合しまして、経営や技術の面での課題にソフトとハードの両面から一体的に対応できる体制にします。また、その中でも普及部門では、農業技術センターに新たに配置します専門職、技術員との連携を充実させますとともに、環境に優しい農業への対応や経営指導の強化など、園芸農業に、より重点を置いた体制を整えることにしています」と述べられました。その真意はどのようなことなのか。いかにも第1次産業を重視しようとしているように見えますが、一方で、科学・技術アカデミーのミッション統括会議委員の構成を見ると、製造業を中心とした委員にシフトしているように見受けられますし、中山間地の農業が切り捨てられるということになるのではないかと危惧をします。第1次産業の試験研究の成果は短期間であらわれるものではないと思いますが、そのことは十分考慮しておくことが必要だと考えるところでございます。 3つ目には、検討会を多用するという手法は、知事が就任以来とってきた手法でもありますが、これはみずからの責任逃れの手法になっているように思われてなりません。経費も膨大なものになっているのではないかと思います。委員の謝金も、または講師謝金も9,000円から40万円の幅で、その根拠あるいは水準が不明確です。これらの検討会の中に見受けられる、知事を支援していると思われるメンバーの選任には、首をかしげざるを得ません。昨年の知事選挙に発足した建設業将来動向検討会については、建設業界の代表ということでM建設工業の社長が委員に入っております。そして、入札・契約制度に関する検討委員会にはI建設代表取締役が委員として入っているなどしています。知事が常々言うしがらみを、みずからつくっているのが現状ではないでしょうか。以上のことなどを踏まえて、組織運営のあり方について質問をさせていただきます。 まず、組織改正について、一層の縦割りを生じさせている現状のあり方について見直そうという考えはないのか。 そして、思いつきの政策と言われないためにも、県内7ブロックの応援団長、地域支援員50名については、地域に行ってから何の課題で支援するのかを決めるのではなくて、自治体の何の課題で何を支援するために行くのかという目的を明確にしなければ、適材適所になり得ないと思うが、各市町村の支援課題を明確にしてほしいと思います。一般論としての地域の支え合いの仕組みづくりとか防災組織とか福祉の課題とかということではなくて具体的に、適材適所に配置をするということで答弁をいただきたいと思います。 次に、科学・技術アカデミーのあり方として、第1次産業の活性化にどのようにつなげようとしているのか。また、中山間地の農業が集落の存続にどのように影響していると考えているのか。その活性化のための試験研究を重視する考え方があるのかどうか、お伺いをします。 この項の最後に、多額の謝金を支出してまで設置している検討会などのあり方について見直す考えはないのか。そして、委員の選考については、資質はもちろんでございますけれども、公平・公正も考慮するべきではないかと考えますが、この点について知事の考え方をお伺いいたします。 そして、政府は景気の動向は回復基調にあり上向きの方向にあると言っておりますけれども、高知県においては景気は厳しく、サンモール、宿毛観光汽船の破産、グリーンピアの閉鎖と暗いニュースばかりで、一向に景気回復の兆しは見えません。厳冬の域を脱出する気配もありません。高知県下の商店街も、シャッター街と言われますように、空き店舗がふえるばかりでしかありません。土地の神話も崩れて、帯屋町の地価は2003年3月国土交通省が発表した公示地価によると、県内最高値を誇る帯屋町の一丁目の土地についても値段は1平方メートル75万円で、平成5年当時の4分の1しかなく、土地の下落は歯どめがかかっておらず値下がりする一方で、大きな影響が出ております。担保能力も低下をし、店の経営も難しいと、やりくりが大変だという声が聞こえてまいります。 県の平成14年商業統計調査では、県内の卸、小売業者を合わせた事業所数は、平成11年に前回調査をされておりますけれども、その比較で12.1%の減少率で、全国でも最も大きい減少率になっております。県内の卸、小売事業所数は1万3,430店、従業員数は8.7%減少して7万2,645人となっております。事業所の内訳は、小売が1万1,237店、11.9%減少しておりますし、業態別では24時間営業のコンビニが103.5%ふえており、そして売り場面積が3,000平方メートル以上の大型総合スーパーが80%増と、大型店、コンビニが大幅にふえ、小規模の小売店は減少の一方にあります。本県の事業所数は全国で43位、前回調査では41位であったものが43位に下がっております。従業員数は44位で、前回42位からこれまた下がっているわけであります。年間販売額は45位から46位と、いずれも減少しております。 また、空き店舗率は、中心部の9商店街の空き店舗率は8.78%で、前年比1.24ポイントも空き店舗がふえております。5年前に比べると5.12ポイント増となっており、周辺部9商店街は19.6%と、空き店舗数は増加の傾向にあります。中心部の商店街で空き店舗率が高いのは帯屋町二丁目16.13%で、前年に比べて8.07ポイントの増になっております。おびさんロードが13.64%、京町・新京橋が12.5%と、3商店街いずれも、5年前と比較をしましても、それぞれ12.85ポイント、8.88ポイント、7.58ポイントと大幅にふえております。このような状況のもとに、商店街は大変厳しい状況であり、魅力もなく、町並み、これも低下をし続けているわけでございまして、商店街の振興や活性化が待ち望まれております。 そこで、商工労働部長にお尋ねをいたしたいと思います。本県の商業の状況は大変厳しいものがありますが、私は規制緩和で悪くなっても、よくなったというものはないというふうに思うのでありますが、規制緩和の実態や影響はどうなっているのか、お伺いをいたしたいと思います。 2つ目に、西武百貨店の閉店は、はりまや橋周辺に大きな影響があり、どうにかならないかという声が聞こえてまいります。跡地について今後の利活用の取り組み及びその見通しについてはどのようになっているのか、お伺いをいたします。 そして3つ目に、県下各地域の商店街も厳しい環境であることには変わりがございません。その状況と活性化への取り組みについてどのように考えているのか、対応していくのか、お伺いをいたしたいと思います。 4つ目には、高知市の商店街にしても空き店舗数がふえており、雇用の面から考えても深刻な課題であるというふうに思います。振興策及び活性化の取り組みについてどうするのか、お伺いいたします。 そして5つ目には、帯屋町にしても地元の商店主が減り、県外資本が多くなってきていると聞いております。それでは文化も寂れ、伝統も失われていくと思いますが、その対策はどのように進めていくつもりなのか、お伺いをいたします。 地価の下落によって担保能力は低下をし、資金繰りも大変だと聞きますが、貸しはがしの実情はないのか、融資の状況はどうなっているのか。その実態を把握しているならば、把握しているその実態がどのようになっているのか、お伺いをいたします。 次に、鳥インフルエンザの感染が言われておりますが、このことについて質問をいたしたいと思います。山口県で発生をし、そして大分県に広がり、今回は京都で大量発生をして鶏が死亡したことが言われておりますし、死亡した鶏の合計は6万7,500羽にも及んだと発表されております。香港やタイ、ベトナムでは、人にも感染し、死者まで出ているというふうに報道されております。ゆうべもNHKの特集番組でオランダの状況がされておりました。子供から大人へうつり、そしてこのウイルスが人に感染するようになれば大変だというふうに報道もされておりましたし、アメリカのニューヨークやフロリダにおいては、蚊によってこれが媒介されて鳥インフルエンザの感染が広がったというふうな報道がされておりました。これは鳥の問題で人には感染しないというように軽く見ることはできない、本当に気をつけていかなければならない課題だというふうに私は認識をしました。 これらの点について、一連の質問をさせていただきたいと思います。鶏卵や鳥肉は大衆食材として多くの人が利用されております。それだけに、消費者にとっても生産者の立場からも看過できない大きな問題であります。 そこで、農林水産部長、健康福祉部長にお尋ねをいたします。高知県の養鶏場、養鶏の実態はどのようになっているのか、お伺いをいたします。 2つ目には、高病原性鳥インフルエンザについて、高知県と市の対応はどのようにしているのか、その対策についてどうなっているのか、お伺いをいたします。 3つ目に、消費者も、生産者にしても、鳥インフルエンザについて無関心ではいられません。鳥肉や鶏卵は食べても感染する心配はないのかという消費者や生産者の立場からの質問も聞かされるわけでございまして、これの実態についてお伺いをいたしたいと思います。 4つ目には、愛玩鳥チャボからも高病原性鳥インフルエンザが発生をしております。家庭や学校でも鳥類は飼育をされておりますけれども、感染の心配がないのか、家庭や学校での対策はどうすればよいのか、考え方を伺いたいと思います。 そして5つ目には、香港やタイ、ベトナムでは人にも感染し、死亡者も出ておりますけれども、その影響はないのか。そして、日本にも、高知県にも野鳥や渡り鳥が渡ってまいりますが、これらから感染のおそれはないのか。アメリカのことが昨夜報道されておりましたが、蚊が媒介をするというようなことになれば大変でありますし、その辺のことについてもどのような対応策がとられるのか、お考えをお伺いしたいと思います。 そして6つ目に、焼き鳥の原材料の多くは外国から輸入をされているというふうに聞きますが、この輸入については何ら心配はないというふうに言い切れるでありましょうか、この点についてお伺いいたします。 7つ目には、この鳥インフルエンザの発生が国内で、今度も山口から大分、京都へと広がったわけでありますけれども、その原因はどういうふうになっているのか。そして、その発生元を断ち切ることが大事であると思いますけれども、どのようになっているのか、お伺いをいたします。 次に、教育問題について質問をいたします。今、教育基本法の改正の動きがより顕著になっております。憲法改定の動きとも連動していると思われますが、私は教育基本法は理念法として、まさに教育の憲法として守っていかなければならないと考えます。子供たちの最善の利益を図るために教育の内容をより充実し、子供たちのためにもよりよい教育環境をつくっていくことこそが、今、重要なことだと考えます。また、今、三位一体の改革のもとに義務教育費の国庫負担制度のあり方が見直されようとしておりますが、この義務教育費の国庫負担については何としても堅持をしていかなければならないと思います。高知県のように過疎地域、小規模校を多く抱える市町村の多い地域では、教育の存在そのものが脅かされることになりかねません。教育の機会均等、子供たちの未来のためにも、義務教育費の国庫負担制度は守っていかなければならないと思います。 来年度の予算案の中に、小中学校適正規模検討委員会の設置が提起、提案をされております。学校・学級規模や通学距離等、教育環境の観点から検討することは重要なことと考えます。しかし反面、この検討委員会の結果を受け、財政上の課題と相まって、教育的な視点からの十分な議論がされずに小中学校の統廃合が先行するのではないかという懸念をしているところでございます。 公立小中学校の設置責任者は基本的には市町村にあることを踏まえて検討委員会そのものの位置づけもされていると思いますけれども、検討結果の扱いについて今後どのようにするのか、明らかにしていただきたいと思います。 2つ目に、30人学級について伺います。30人程度の少人数学級編制を、小学校1年生では希望するすべての学校に、小学校2年、中学校1年では多人数を抱える学校の中から研究指定校として配置するという方針となっております。 この30人程度の学級編制のために40人の加配教員を配置すると聞いておりますが、その他の加配状況はどのようになっているのか、現状を伺います。 また、今後、加配教職員の大幅な配置は厳しい状況になるであろうと思いますけれども、現在教職員のOBたちがシニアネットワークを組織されまして学校への応援活動が行われておりますが、退職教職員や学校におけるボランティア等の活用を今後、より推進するべきではないかと考えますが、教育長の考え方を伺います。 そして3つ目に、現状の教育課題や新たに生じる教育課題に対して学校全体で柔軟かつ効率的に対応していくためには、学校や地域の人的、物質的資源をより有効に活用することが求められていると思います。そのことを推進していくためには、学校全体で効率的に対応できる、そして家庭や地域と共同して子供たちをはぐくんでいける校内組織体制の確立が不可欠であると考えます。また、地域との連携では、事務職の校内体制への適切な位置づけが重要となると考えます。 こういった校内組織体制確立の支援についてどのように考えているのか、お伺いをいたします。 次に、芸西天文学習館についてお伺いをいたします。芸西天文学習館は昭和56年に、すい星観測家関勉さんの世界的な業績をたたえて安芸市出身の実業家五藤齊三さんが、関さんの功績を評価して自社製の口径60センチメートルのニュートン式反射望遠鏡を高知県に寄贈されており、この寄贈を受けて現在の位置に、全国に先駆けて貴重な天文社会教育施設として天文台を建設されたと伺っております。現在は生涯学習課の青少年センターの分館として出発しておりますが、この設置以来23年間、生涯学習課の委託事業として高知県文教協会が日常的な運営を実施しております。財政難の折、この存続、休館をするのか廃止をするのかが検討をされているというふうに聞くわけでありますが、教育長に伺います。 関勉さん、そして五藤齊三さんの功績や、貴重なこの行為をどのように受けとめているのか、また評価をしているのか、お伺いをいたしたいと思います。 そして、これまで数々の天体宇宙ショーを体験して、2001年11月の獅子座流星群の観測時には大変多くの人がこの天文台周辺に集まり、参加をしたというふうに伺っております。ロマンと子供たちに夢を与えてきた、未来を託してきた天文学習館ですが、これからも子供たちに夢を与え続けるためにも先人の貴重なこの行為にこたえて、関さんを中心とする天体研究家のボランティア活動で今支えておられますけれども、この人たちの活動にこたえるためにも、天体望遠鏡は古くなり機械も老朽化しているという状況でございますが、修理を行い、芸西天文学習館は持続をさせる、これからも活用するべきというふうに思います。この点について教育長にお伺いをいたします。 以上で、1問を終わります。   (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 江渕議員の御質問にお答えをします。 まず、政治責任と道義的な責任には時効はないと考えるがどうかとのお尋ねがありました。政治責任や道義的な責任には、法的な意味での時効という考え方そのものが、そもそもなじまないと思います。 次に、昨年の知事選挙の結果についてお尋ねがありました。私は、昨年の知事選挙は、さまざまな御指摘を受けました中でも、知事になってからの12年間の政治姿勢や実績、さらには4期目に向けた公約も含めて県民の皆様が判断をされた結果だと受けとめています。 次に、12年前に開かれた誠橋会の席でどのように笠さんを紹介したのかとのお尋ねがありました。笠さんとは子供のころからの古いつき合いですので、そのことを話したかもしれませんが、12年以上も前のことですから、あいさつの内容まではとても覚えていません。 次に、100条委員会での証言や口座への入金といったことから類推をされたお尋ねがありました。御指摘のことは、私自身が関知していないことですので、お答えのしようがありません。 続いて、お答えの順序が少し前後しますが、私の息子の件に関しまして政治責任をどのように考えるかとのお尋ねがありました。昨年の県議会でも同様の御質問をいただきましたが、このようなプライベートな問題で県政に混乱を生じさせてはいけないとの思いで仕事に打ち込んできました。昨年の知事選挙では、このことも含めて県民の皆様の御審判をいただいたと受けとめています。 次に、みずから解明して説明責任を果たすべきだとか、関知していないで済まされる問題ではないといった御指摘に加えまして、政治家はいつまでも責任を持たなければならないなどの御質問がありました。順序が異なりますが、3つの御質問にあわせてお答えをします。たびたび繰り返しますが、自分自身がかかわったことや承知をしていることであれば、きちんと解明をして説明をすることもできます。しかし、それ以外のことであれば、何分にも12年以上も前のことですので関係者の記憶も極めてあいまいになっていますし、逆に12年以上たった今になって当時のことについて発言しようとする方には、別の思いや思惑が重なってくることも考えられます。そうした意味で、みずからかかわっていないことにつきましては、関知していないとしかお答えができません。また、政治家の責任が重いことは言うまでもありませんが、私は12年たって持ち出すことがおかしいなどと言ったことは一度もありません。 次に、重ねて政治責任や道義的責任をどう考えているのかとのお尋ねがありました。言われています金銭の貸借がどういう目的の貸借なのかといったことや、その背景などもわかりませんので、お答えのしようがありません。 次に、県の組織のあり方に関してお尋ねがありました。県の行政を進めます上で、縦割りの弊害をなくしますことは重要な課題です。ただ、課室の数がふえることと仕事が縦割りになることとは別の問題ではないかと思います。一方、昨年の組織改正では、国の所管の省庁に対応して、複数の部局に分かれていました下水と排水の関係の業務や海岸整備の業務を一元化しまして、下水道課や海岸課を設置しました。また、南国土木事務所など3つの土木事務所に、地域全体の総合的な計画調整をねらいとしました専任の職員を配置しましたのも、ハード事業の縦割りの解消を目的としたものです。課室の規模の見直しとあわせまして、こうした取り組みを行いますことで、仕事のスピードアップや横の連携の効果を出していきたいと考えていますので、現在の組織のあり方を見直すことは考えていません。 次に、地域の元気応援団長や新たに地域に派遣します職員が活動する際の具体的な支援の課題についてお尋ねがありました。今回、地域に職員を派遣しますのは、地域の皆様方の発想や力を生かしたさまざまな支え合いや、新しい公共的なサービスの仕組みづくりを進めるためです。そのために、市町村やNPOなどの民間団体から活動に対する御提案を募集しましたが、短い期間にもかかわらず、県内の各地域からコミュニティーの再生や商工業の活性化の取り組みなど多数の提案が寄せられました。このように、地域にはさまざまな課題がありますし、その課題に向けて活動される中で県の支援を期待されている方も大勢おられます。 ただ、来年度に配置します職員の役割は、こうした課題に専門的な立場から解決に当たるというものではありません。ですから、まずは地域に入って、それらの課題と向き合いながら地域の皆さんと同じ目線に立って考えます中で、その活動のお手伝いや市町村や県などとの橋渡しを通じて、地域の住民の皆さんと一緒に課題の解決に当たることになります。このような趣旨で職員を派遣しますので、職員には何よりも積極的に地域に入っていく力と意欲が求められます。このため、既に庁内での公募を行いますなど、意欲のある人材を配置することにしています。 続いて、第1次産業の活性化に科学・技術アカデミーをどのようにつなげるのかとか、中山間地域で農業が果たしている役割を試験研究の視点からどう受けとめているのかといった御趣旨のお尋ねがありました。先日開催しました科学・技術アカデミーの第1回ミッション統括会議の中で、第1次産業を代表する3人の女性委員の方々からは、農林水産業は経営的には苦しいが、自然環境との共生の中で人としての幸せや生きがいが見出せるといった発言をいただきました。こうした発言を伺っていましても、改めて第1次産業を元気づけることの必要性を感じます。その中でも農業は、中山間地域の集落の存続や地域の活性化には欠かせない基幹産業ですので、それを生かすための研究が重要なことは言うまでもありません。こうしたことから、第1次産業の分野でも科学技術の果たす役割は非常に大きくなっていると受けとめています。 このため、科学・技術アカデミーでは、新しく設置します生産者モニターや普及機関などから入る生産現場のニーズを的確に把握しますことで、第1次産業を含めた高知県の産業の将来像を探っていきたいと考えています。その上で、第1次産業の分野では、自然環境との共生や安全・安心の物づくりを初め、生産法人によります工場型の農業への挑戦など、新しい研究テーマや事業展開を具体化させていきたいと考えています。このため、まずは県内各地の生産者のグループや関連の団体、さらにはNPOなどとも連携をして、第1次産業の課題を共有する新しいネットワークづくりに取り組みたいと考えています。 次に、県が設置します検討会などのあり方についてお尋ねがありました。県の内部の議論だけではなかなか考えの及ばない視点から意見や提言をいただくために、必要に応じて外部の方で構成する委員会や検討会を設置しています。委員の選考に当たりましては、会議のテーマに合った専門的な知識を持たれた方や事業の対象になる分野で実務に携わっている方といった点を考えながら、県内はもとより、場合によりましては広く全国に目を向けた対応をしています。今後も、外部の視点からの意見や提言を参考にしながら、県政の運営を進めていきたいと考えています。 私からは以上です。   (商工労働部長起塚昌明君登壇) ◎商工労働部長(起塚昌明君) 江渕議員の商業の振興についての一連の御質問にお答えいたします。 まず、規制緩和の影響についてのお尋ねがございました。大規模小売店舗立地法の施行や酒類の販売免許の取得の緩和などに代表される規制緩和によりまして、県内の経済環境は大きく変化してまいりました。特に、商業面におきましては、消費者のライフスタイルの変化などの要因もありますが、県外資本を初めとする郊外型の大型店の積極的な進出や、終日型コンビニエンスストアでの酒類の販売などもあり、既存の小売店舗数が減少するなど、地域の小売業者への影響は決して少なくはないと考えております。一方では、規制緩和は大きな社会の流れでもありますので、新たな競争による発展や、また業態によりましては新しいビジネスチャンスが生まれるなど、前向きにとらえていくことも必要ではないかと思っております。 次に、高知西武の閉店に伴う影響や今後の利活用などについてのお尋ねがありました。高知西武の閉店に伴う周辺商店街への影響につきましては、昨年12月の商店街歩行者通行量調査でも明らかなように、はりまや橋東側での人通りが大幅に減少するなど、大きなものがあると受けとめております。高知西武の跡地の活用につきましては、これまで多くの方々から御意見をいただいております。御承知のとおり、この場所は、はりまや橋という県都高知市の中心街の顔とも言える重要な地点であることから、基本的には今後も商業地として、民間主導による事業展開が望ましいと考えております。 現在、民間による幾つかの活用策が計画されているとお聞きをしておりますので、県としましても西武側と何度か話し合いを行っていますが、所有関係の複雑さや建物の老朽化などの課題があり、現在のところ具体化には至っておりません。このため、今後とも、その動向を把握するとともに、その進捗状況に応じて県、高知市、高知商工会議所、高知市商店街振興組合連合会とで組織する高知西武問題連絡会議で情報交換や協議を行いながら、引き続き行政としての可能な支援策を検討していきたいと考えております。 次に、県内の商店街の状況と取り組みにつきましてお尋ねがありました。県内の商業の状況につきましては、議員のお話にもございましたように、卸売業、小売業ともに10%を超える事業所数の減少となっており、特に小売業については小規模事業所の減少が顕著となっております。県内の商店街におきましても、消費者ニーズの多様化や郊外型の大規模小売店舗などの進出によって空き店舗数も増加傾向にあり、これまで地域商業の中核施設として機能してきた共同店舗などが閉店することによって、さらに集客力の低下が懸念されています。 県としましては、これまでも商店街の活性化と地域における商業機能の維持を目的として取り組みを進めてきました。具体的な支援策としましては、高知市などの都市部においては中心市街地活性化法に基づく補助事業を、また、それ以外の地域においては中山間地域などを対象とする総合支援事業などを行ってきました。加えまして、これらの事業の推進に当たっては、商工会などの関係団体や市町村との意見交換会を県内の各地で開催し、地域の実情の把握に努めるとともに、県の補助事業、補助制度に対する意見も取り入れながら改善を進めてまいりました。今後とも、関係機関と連絡をとりながら、意欲のある商業者や商店街の取り組みに対しては積極的に支援するとともに、先進事例の情報の把握やモデル的な事業の展開、また商業者を初めとする関係者との継続的な意見交換などに努めていきたいと考えております。 次に、空き店舗の増加に対する振興策についてお尋ねがありました。お話のとおり、高知市の中心商店街における空き店舗率は増加の傾向にあります。また、商店街歩行者通行量調査を見ましても、中心商店街を訪れる市民の数そのものが減少傾向にあるなど、県都の高知市でも厳しい状況が続いています。空き店舗の増加は、商店街の魅力を低下させるとともに、町としての機能を衰退させる原因にもなる大きな課題です。 県ではこれまでも、商店街を活性化させるとともに町としての機能を維持するために、活性化を進めるための組織である高知TMOが行う空き店舗対策事業を初めとした中心市街地の活性化策を支援してきました。特に、昨年10月に高知市にオープンしたチャレンジショップは、新しく商売を始める方を育てる創業支援も兼ねており、働く場の確保にもつながる事業として取り組んでおります。今後とも市町村と協力しながら空き店舗対策事業に取り組み、事業効果が高いと期待できる店舗の活用や、事業実施に伴う家主への協力の要請、また魅力ある業種の入店などに配慮し、効果的な事業の実施に努めていきます。 次に、県外資本の進出による高知の文化や伝統への影響についてお尋ねがありました。高知市の商店街では、地元の商店主が中心となって商店街振興組合や連合会などを組織し、町や商店街の活性化のためのイベント、さらにはよさこい祭りを初めとする高知の文化と伝統を継承する取り組みを行っております。高知を代表する帯屋町商店街におきましても、近年、県外資本による飲食店やドラッグストアなどの進出が顕著となっております。このような県外資本の企業に対しましては、商店街振興組合や連合会の組合員としての加入を要請したり、それが困難な場合には活性化のための取り組みへの経済的な負担を要請するなど、商店街の振興について一定協力が得られていると伺っております。県としましても、今後ともこれらの団体の活動を支援することにより、地域を活性化させる取り組みや高知の伝統と文化を守る活動が継続できるように支援してまいりたいと考えております。 最後に、貸しはがしと融資の状況に関してお尋ねがございました。貸しはがし等の問題は、事業主の信用にもかかわることから、具体的な相談事例はほとんど見受けられないというのが実情です。また、金融庁では、貸しはがし等に関する声を幅広く聞くため平成14年10月から貸し渋り・貸しはがしホットラインを開設していますが、平成15年12月31日現在で全国では1,264件の情報提供があったものの、四国では30件しかなく、その実態の具体的な把握は困難な状況でございます。 一方、日本銀行高知支店の調査によりますと、金融機関の貸し出しは前年を下回って推移しており、企業の業況判断においても、相変わらず、金融機関の貸し出し態度は厳しいとする企業が、緩いとする企業を上回っていることから、県内での金融機関の対応は引き続き厳しいものがあると考えております。なお、幾つかの商店街の方にも実情をお聞きいたしましたが、事業主の皆様は、御質問にありましたように、確かに消費の低迷や競合の激化、地価の下落などにより、経営環境は厳しくなってはいるが、金融機関の協力も得ながら事業の継続に努力をしているというのが実態であるととらえられております。 以上でございます。   (農林水産部長星沢昭雄君登壇) ◎農林水産部長(星沢昭雄君) 高病原性鳥インフルエンザにつきまして、4つの項目の御質問をいただきました。 まず、高知県の養鶏の実態でございます。平成16年1月の時点におけます本県での飼育状況は、採卵鶏の飼養農家が42戸で38万2,000羽、肉用鶏が14戸、22万5,000羽、そして土佐ジローなどの特産鶏が187戸、3万3,000羽飼育をされております。合計で申し上げますと、243戸、約64万羽となっております。また、供給先はほとんどが県内でございます。 次に、本県におけます対応についてお尋ねがございました。高病原性鳥インフルエンザの検査につきましては、平成12年度以降、全国的に毎年実施をしてきております。15年度、県内では7月から12月にかけまして26戸、270検体について検査を実施いたしました。さらに、この1月には山口県で国内では79年ぶりとなります発生がございましたため、県として特別に県内すべての農家の立入調査と15戸、200検体のウイルス抗体検査を実施いたしました。検査結果はすべて陰性でございまして、本県におけるこの時点でのウイルスの侵入はないことを確認いたしております。今後も、年間を通じまして定期的に検査を実施し、県内の状況を確認してまいります。 なお、先月28日に幡多郡内の養鶏場で多数の死亡鶏が発生をいたしました。現場の状況から施設の故障が原因と思われましたが、念のため簡易検査を実施いたしましたところ陰性でございました。同一鶏舎内で生存をしておりました約1,500羽すべての鶏が以後健在であることなどから、高病原性鳥インフルエンザの可能性は極めて低いと判断をいたしております。しかし、万一の場合を考えまして、最終確認検査の結果が出るまでの間、出荷を自粛していただくなど、必要な防疫措置をとっております。今回の大量死の場合、事前に指導をいたしておりましたにもかかわりませず、インフルエンザではない他の原因が考えられましたとはいえ、養鶏場の管理者から行政への報告が翌朝になったことを重く受けとめまして、迅速な報告についてさらに徹底をいたします。 次に、愛玩鶏からの感染の心配についてのお尋ねがございました。大分県での発生につきまして、感染ルートの特定はなされていませんが、一般的に渡り鳥からの感染も考えられますことから、今後家庭や学校で飼育をされている鳥類への野鳥を介しての感染の可能性がないとは言えません。こうした感染を防ぐためには、例えば鶏舎を網で覆うなど、できるだけ野鳥との接触を絶つような環境のもとで飼育することが必要となってまいります。なお、人間への感染につきましては、鶏舎を清潔にして、排せつ物に触れた後には手洗いとうがいをすることにより感染は防げます。学校などの公的機関や鳥類を飼育している愛好家のグループの方々に対しまして、こうした飼育上の注意とともに、もし異常な死亡例があった場合、直ちに家畜保健衛生所へ御連絡をいただくよう文書などで周知を行いましたが、なおその徹底を図ってまいります。 最後に、高病原性鳥インフルエンザの国内での発生の原因究明の状況についてお尋ねがございました。現在、国では、これまで感染が確認されました鳥インフルエンザウイルスの遺伝子解析や関連農場の疫学調査によりまして、感染経路の究明が行われております。残念ながら現段階では特定に至っておりませんが、引き続き国において発生原因の解明に努めております。 以上でございます。   (健康福祉部長吉岡芳子君登壇) ◎健康福祉部長(吉岡芳子君) 鳥インフルエンザについての御質問のうち、まず鶏肉や鶏卵を食べても人に感染する心配はないかとのお尋ねがありました。 既に鳥インフルエンザが蔓延した香港やベトナム、タイなどにおいても、鶏肉や鶏卵を食べることによって人に感染をした例はありませんし、世界的にも感染の報告例はありませんので、人に感染する心配はないと考えています。 次に、鳥から人への感染などのおそれについてお尋ねがありました。鳥から人への鳥インフルエンザの感染は、WHOの2月27日現在の報告によりますと、タイとベトナムで33名が感染し、うち22名の死亡が確認されています。これらの症例は、生きた鶏を販売する店頭などで、感染した鳥と人が濃厚に接触したことによるものであると言われています。したがいまして、一般的に鶏など家禽と濃厚に接触することがまれな我が国におきましては、鳥から人への感染を過度に恐れる必要はないと考えています。 なお、人から人への感染は、オランダで疑われた事例はありますが、WHOはこれまで確認されたものはないとしております。さらに、野鳥や渡り鳥につきましても、人に感染したとの報告例は世界的にございません。また、蚊からのお話につきましては、蚊が媒介するアメリカの西ナイルウイルス病のことと思われます。鳥インフルエンザとの関係につきましては、これまで報告はございません。 次に、輸入されている焼き鳥の原料の安全性についてのお尋ねがありました。鳥インフルエンザが発生しました国からの鶏肉とその加工品は、現在輸入が停止をされています。その理由は、食品の安全性の確保というよりも、鳥インフルエンザのウイルスを我が国に持ち込まないという家畜伝染病の予防を目的になされているものであります。なお、一たん輸入が停止された国でありましても、農林水産省の家畜衛生の専門家によります現地の施設検査によって十分に加熱処理が行われていることが確認されました施設での加工品についてのみ、輸入停止の措置が解除をされます。そのため、食品衛生面での安全性には問題がないと考えております。 以上でございます。   (教育長大崎博澄君登壇) ◎教育長(大崎博澄君) 教育問題についての御質問のうち、小中学校の適正規模検討委員会についてのお尋ねに、まずお答えをいたします。 本県では、引き続く過疎化や少子化の進展に加えまして、義務教育費国庫負担制度の見直しの動きや市町村合併など教育行政を取り巻く環境が大きく変化する中で、子供たちにとって望ましい教育環境はどうあるべきかという観点から、小中学校の適正な規模や望ましい学校配置のあり方を検討することが必要な時期になっています。こうしたことから、平成16年度には市町村関係者を初めさまざまな分野の皆様に御意見をいただく機会を設けたいと考えました。この小中学校適正規模検討委員会では、中山間地域が多いという本県の特性を踏まえまして、教育効果を第一に、通学時間や通学距離など児童生徒への負担、地域での学校の役割など幅広い観点からの検討をお願いすることとしています。小中学校の統廃合は、もとより市町村が主体的に判断することでございます。検討委員会の報告は、市町村が小中学校の統廃合を検討する上での一つの指針として参考にしていただければと考えています。 次に、教員の加配の状況と退職教職員などの活用についてのお尋ねがございました。平成15年度に小中学校などの義務教育諸学校へ配置しました加配教員は、国費による少人数指導などの加配が645人、県費による複式改善などの加配が164人で合計809人です。平成16年度は、小学校1年生の30人学級編制に係る加配教員を含めましても、平成15年度に比べまして国費で52人、県費で8人、合計60人の減少が見込まれます。加配教員は、定められた教育目的を達成しますために児童生徒数や学校の課題などをもとに配置数が決定されるもので、本県では児童生徒数の減少や、いわゆる三位一体の改革の影響で、加配教員数の確保が今後一層厳しくなることを覚悟しなければなりません。 このため、お話にございました退職教職員や学校ボランティアを組織化し、学校支援体制に組み込んでいく取り組みを積極的に進めていかなければならない時期が来ていると思います。既に高知市ではシニアネットワーク、佐川町ではティーチャーズヘルパーといった実践例もございます。こうした地域の動きを支援し、またそうした動きを学校が受け入れやすくする環境づくりにも並行して取り組んでまいります。 次に、校内組織体制の確立についてのお尋ねでございます。学校が抱える課題に柔軟に、また効果的に対応しますためには、御指摘いただきましたように、校長のリーダーシップのもと教職員が組織的に課題の解決に取り組むことのできる体制づくりが必要です。このため、これまで主として学校の財務を担当してきました学校事務職員を、学校教育目標の実現に幅広い立場で参画させ、地域連携にも積極的にかかわらせていく視点も大切だと思います。 現在、本県では、学校事務の効率化、集中化を目的として、国の支援をいただいて幾つかの地域におきまして学校事務職員を加配し、そのあり方や担うべき役割などについて研究を進めているところです。学校事務職員がその専門性を生かしながら学校運営の一翼を担うことができますように、今後も学校事務の研究に対しまして必要な支援を行い、その成果を時代のニーズにこたえることのできる校内組織体制の確立に役立てていきたと考えています。 次に、芸西天文学習館に関する御質問のうち、まず関勉さん、五藤齊三さんの評価についてのお尋ねがございました。関勉氏は、池谷・関すい星を初め多くのすい星、小惑星の発見で知られる本県在住の世界的な天文研究家で、6個の新すい星、200を超える小惑星などの小天体を当施設を活用して観測してこられました。また、「星のかりゅうど」など多くの天体関係の本を著されるなど、天体観測のすばらしさについての教育普及にも努めてこられました。 五藤齊三氏は、安芸市の御出身で、大変な努力を積み重ねられ、東京で天文機器のトップメーカーの一つである株式会社五藤光学研究所を興されました。その後、経済関係、政府関係の要職を歴任されるなど、本県を代表する経済人として活躍をされました。当施設以外にも安芸市に天体望遠鏡を寄贈されるなど、郷土の青少年の健全育成にも貢献されています。お二人の本県に対する貢献は大変大きなものであり、私どもとしましては、当施設を活用した学習活動に継続的に取り組むことが、お二人の御功績に報いる道であると考えています。 次に、芸西天文学習館の継続活用についてのお尋ねがございました。当施設は、設置されて以降、多くの青少年の体験学習の場として親しまれてきました。学習館の運営には、関さんを初め天文の専門家の皆様に御協力をいただき、青少年が専門的な天体観測を体験できる貴重な施設となっています。こうしたことを踏まえまして、現時点では運営を継続していきたいと考えています。しかしながら、設置後23年を迎え、望遠鏡の老朽化が目立ち、時折観測活動に支障を来す事態となっています。望遠鏡の機能維持につきましては、今後も最大限の努力をし、観測体制の確保に努めてまいります。 今後の課題としましては、学習体験機会の拡充と関さんに続く天文研究家の育成がございます。学校を初め、放課後、長期休業中の利用を進めるための広報活動や体験学習機能の充実に、講師の方々とともに取り組んでまいります。また、指導者の育成につきましても、関係者の御協力をいただいて引き続き取り組んでまいります。 以上でございます。 ◆33番(江渕征香君) 第2問をさしていただきたいと思います。 政治責任と政治家の道義的責任についてです。これは時効がないということでは一致をいたしましたが、そのほかのところでは、なかなかすれ違いのところもあるわけであります。選挙というのは、この知事選挙に限りましても、橋本知事候補だけで選挙はできないと思います。やはり、後援会長がおり、事務局長がいて、それが一体になって選挙戦を戦っていかなければ勝利をしないと思いますので、この点については確認ができる問題だと思います。 やはり笠誠一さんが橋本知事の選挙事務所の事務局長として対応してきたことは事実ではないかと思いますし、そして町田照代さんが後援会長として対応してきたことも事実であります。しかし、そこで、このお金の出入りの問題について関知をしないということであるわけですが、そこでお伺いをいたしますけれども、知事は昨日来の答弁の中でも、これらの金の出入りについては関知をしていないということで、これ12年前のことだということで免責をされているというふうに、知事自身の責任はないというふうに断言をされるのか、お伺いを一ついたしたいと思います。 そしてもう一つは、やはりこれらの問題についても、後援会活動あるいは選挙の収支報告にいたしましても、このお金が入っている、出ているとするならば公職選挙法に違反をしていると思われますけれども、この点についてはどのように考えているのか、お伺いをしたいと思います。 そして、選挙は、候補者のみならず連座制ということで、その総括責任者、後援会に違法があった場合については、連座責任ということでその当選が無効になることもあるわけです。これらのことから考えましても、きのうの知事の答弁の中では、知事ひとりが当選をして、関知していないからこの知事選挙については知らないというように私には聞こえてなりません。それらの点についてはどういうふうに考えているのか、お伺いをいたしたいと思います。 それから、これらの問題については、知事が答弁をされておりますけれども、知事の公約の中にうたわれておりますが、隠し事のない県政ということを標榜して、職員が後ろめたさのないようにということをこれも表現されているわけですが、この知事の選挙にかかわる疑惑について、県の職員が本当に知事について県政について後ろめたさというものを感じていないのかどうか。私には、こんなことがいつまでも続いたらたまらんと、何とか早くはっきりせないかんじゃないかという声は聞かされてくるわけです。 この後ろめたさのないような県政を私たちは求めるわけでありますけれども、それにはこのことがやはり解明をされなきゃならんと思うんですけれども、この点についてどうなのか、お伺いをします。 そして、やはり私は、知事は関知していないというふうに言われますけれども、今申し上げましたように選挙は知事ひとりでやれる問題ではありませんし、笠さんの証言からも、1億円がホテル佐渡に運ばれて、それは今度の100条委員会の中でも、金の流れがさらに細かく明確になってこようかと思います。町田照代さんは、もともと貸したことも、返してもらったこともないというふうに言っておりました。そして、記憶にないが帳簿にあったということで、失言ということで片づけられておりますが、この1億円という金を、これは軽々に言えるでしょうか。私が1万円をAさんに貸しておって、これを返してもらったかどうかというのは12年たって思い出せない場合もあろうかと思いますけれど、1億円という金は、幾ら長者番付に並ぶ人であったとしても軽々な話ではないというふうに思います。記憶がないということは、普通に考えておかしいというふうに言わざるを得ません。 これらの問題についても、後援会長は100条委員会の中での訂正をされるようなことも言われておりますけれども、この一体の中にあって、知事は関知していないということであります。このことについて先ほども質問をいたしましたけれども、関知をしていないということでこれは免責をされて、知事は、しらったといいますか、何も責任のあるところではないというふうに考えているのか、そこは明らかにしていただきたいと思います。 やはり私たちは、この選挙というのは、この金の流れがあって選挙運動が行われて、当選をしたというふうに思うわけでありまして、これは知事が関知していないからということで済まされる問題ではないというふうに私は思いますが、この点について知事に再度お伺いをいたしたいと思います。 ◎知事(橋本大二郎君) 江渕議員の再質問にお答えをいたします。 まず、知事自身の責任がないというのかという御質問でございました。先ほどもお答えをいたしましたけれども、金銭の貸借の目的が何であったのかということ、またその背景が何なのかということもわかりませんので、お答えのしようがないというのが私の答えでございます。 次に、法的な問題はどうかという御質問がございましたが、このことについて詳しく検討しておりませんので、この場では明言ができません。 続いて、隠し事のない県政という私の考え方に対してどう考えるのかという御質問がございました。そもそも、隠し事のない県政、情報公開ということは、自分自身また組織として知っていることを隠してはいけないということを申し上げております。私は、先ほどから申し上げておりますように関知をしておりませんので、隠し事をしたり情報公開をしていないということではございません。そういう意味で、後ろめたさということもお話しになりましたが、私は県民の皆様に対して後ろめたさを感じるようなことは一つもございません。 続いて、関知しないからでは済まされないという繰り返しの御質問がございました。先ほども申し上げましたように、関知をしていないことは、関知をしていないというふうに申し上げる以外にありません。その他の責任云々につきましては、これも先ほど申し上げておりますように、貸借の目的が何だったのか、またその背景が何なのかということがわからない現状で、申し上げることができません。 私からは以上でございます。 ◆33番(江渕征香君) 第3問を行いたいと思います。 知事の言われるように、関知していないものは関知していないということのようでございますし、知っていることを隠すということはしていないという話ですが、知事に私再度お伺いしますけれども、選挙というのは、知事だけが候補者になって選挙ができますか。後援会長あるいは事務局長あって、対応していかないかんのじゃないでしょうか。これらについて、今、話を聞いておりましたら、関知していないということでありますが、選挙そのものについては連座制という選挙責任が大変重くのしかかっているわけです。そこで、候補者が知っていようが、知っているまいが、違反がされたときには、今話もしましたけれども連座して責任をとらなきゃならん。当選が剥奪をされるということも、一つのこの罰則の中にあるわけです。 これらの点から考えましても、確かに時効にはなっておりますが、その罰則はないにしても、この選挙は笠誠一さんを事務局長にし町田照代さんを後援会長として選挙戦を戦ってきたことは事実、それはそうですよね、事実ですね。その中で、知事は関知をしていない、関与していない、そして今後もそれを調査する考えはないというふうに言われておりますけれども、やはりこれらの問題について一般県民は、選挙というのは知事だけではなくて、後援会長も事務局長も一緒になってやったと。このことについてはきちんと解明されて、その出処進退といいますか知事の考え方が明らかにされれば、それがどうであったのか県民が判断されると思います。 今、きのうからきょうにかけても、知事の発言はそのことが解明をされておりませんし、知っているものは答えるけれども知らないことは答えようがないという話でございます。けれども私は、知事として、この選挙に絡んでのこの金銭の疑惑があるとするならば、みずからが、この金が何に使われたのか、なぜ使われたのかという、だれがどうしてのところまでやはりきちんと明確にしていくべきではないのかと。 この山本牧子さんの通帳を見ましても、1億円のお金がここに預金をされた、口座にある。笠さんは最初に証言の中でも、ポスター代がないから困った、お金を借りなきゃならんということを証言されております。このポスター代というのは、選挙運動そのものであります。この選挙運動に限って、選挙運動に対しても、このお金の中から支出をしている、選挙運動に使っているということは明白、明らかなことです。 これらについて関知していないということで、候補者であった橋本大二郎さんが知らなかったで済まされるでしょうか。再度お聞きいたします。 そして、その収支報告書にいたしましても、私も県会議員の選挙の中でやったときに、これは私は知っておりません、関知していません、事務局長が対応しましたということで、それで免責になる問題ではないと思うんですけれども。この点について知事は、今この選挙戦においての金の動きからして、知事の責任はない、免責をされている、はどのように考えているのか、その点について改めてお伺いをして、質問を終わります。 ◎知事(橋本大二郎君) 先ほどお答えをしたことの繰り返しの御質問でございます。 まず、後援会長や事務局長も一緒に選挙を戦ったのではないか、それはそのとおりでございます。しかし、13年前のあの選挙は、私は県民の皆さんと一緒に戦った選挙だと、そのことが一番大きなあの選挙の意義だったというふうに考えております。 そのことは別といたしまして、この出来事に対する知事としての責任をどうするか、また、関知していないからで済まされるかということを繰り返しおっしゃいました。繰り返しの御答弁ですが、関知していないことは関知していないというふうに申し上げるしかございません。ただ、その中で、何かの事実があり、それが私の知事としての責任にかかわるかどうかという御質問であろうと思いますけれども、そのことに関しても、昨日以来繰り返し申し上げておりますように、この貸借の目的が何だったのか、またその背景に何があったのかということがわからない段階で、私が何かを申し上げることはできないというのが私のお答えでございます。 ○議長(溝渕健夫君) 暫時休憩いたします。   午前11時30分休憩---------------------------------------   午後1時2分再開 ○副議長(岡崎俊一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 29番池脇純一君。   (29番池脇純一君登壇) ◆29番(池脇純一君) 私は、公明党を代表いたしまして、県政の重要課題について知事並びに関係の部長にお聞きしたいと思います。 初めに、知事の政治姿勢についてであります。ことしは三位一体改革の初年度でありますが、混迷した改革へのスタートとなりました。国と地方の税財政のあり方を見直す三位一体改革は、2004年度政府予算案が出発点となるわけですが、その内容は物足りなく、本県にとりましても厳しい財政運営を強いられる状況を生み出しております。これでは、分権社会を開く扉が重くなるばかりであります。木を見て森を見ない改革に終わらせないためにも、地方の強い改革の意思が必要であります。 補助金の削減が1兆円されることになりましたが、国が法令で縛る基準を弾力化していないため、地方の選択を拡大することにつながっていません。ゆえに、本来の目的である地方の責任と自立へ寄与するものにはなり得ていないとの指摘もうなずけます。その象徴的なものとして、公立保育所運営費を挙げることができましょう。また、税源の移譲が実現していないという点も大きな問題です。税源移譲とは、税率の決定権を含めた課税権を地方に渡すことであります。それは、自治体が議会や住民と議論を尽くして、税率を上げ下げしながら公的サービスの水準を決めるようにすることであったはずです。また、地方交付税制度の本格的な制度改革も先送りされました。 分権社会の実現には税源移譲を確実に行い、補助金の削減と国の基準を弾力化する改革とあわせて制度を洗い直す必要があると思います。そこで、経済財政諮問会議では、税源移譲と補助金の削減、さらに交付税の改革の全体像を示す議論をことしじゅうにする予定とのことであります。地方が財源でなく税源の移譲を求めるならば、仮に県では県民の負担を言い切れる自治の覚悟が必要であります。その意味でも三位一体の改革は、少なくとも単なる行革のことではなく政治改革だという原点を忘れてはいけないと思います。 本年は分権社会への厳しいスタートとなりましたが、知事の分権社会実現への決意とスタンスについて御所見をお聞きいたします。また、三位一体の改革は政治改革であるという視点について御見解をお持ちであれば、お聞かせいただきたいと思います。 次に、条例の制定に関してお聞きいたします。地方自治法第14条第2項には、「普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない。」とあるとおり、条例は本来、住民の権利義務にかかわりのある法規の定律形式であります。しかし、最近の各地方公共団体では、法規ではなく、基本理念とか基本方針を打ち出すために条例形式を用いる例がしばしば見受けられます。各市町村における市民憲章条例や自治基本条例及び今回提出されております高知県こども条例などが、これに当たると思います。 こうした傾向について、「本来、基本理念や基本方針は、あえて条例の形式をとるまでもなく、議会ないし長が宣言し、これを告知すれば事足りるが、恐らく、条例は地方公共団体の最高意思の表明形式と受けとめられているため、好んで条例の形式が採用されるのであろうと推測される」、さらに、「条例形式のはんらんが、条例一般の法規を希薄にするような事態を招くのは適当ではない。こうしたことのないように慎重に配慮して条例策定に当たることが望まれる」と、原田東大名誉教授は指摘をされております。 そこで、県条例策定に対する知事の基本的見解をお聞かせいただきたいと思います。 次に、宿毛佐伯フェリーの運航問題についてお聞きいたします。宿毛観光汽船の破産により、宿泊予約のキャンセルが相次ぐなど、幡多地域への観光や物流の影響が深刻化してきております。一方、九州の佐伯市やその周辺町村でも、存続を求めての署名運動が起きており、2万人を目指し市を挙げて取り組んでおられるようであります。平成19年には九州自動車道が佐伯まで延伸することになっており、今後高知でも幡多路への延伸が実現すれば、九州、四国、関西への大きなルートが生まれることになります。その意味でも、宿毛佐伯フェリーの運航再開は県政の重要課題と言えます。 そこで、その後の大分県との連携状況及び県としてどのような打開策を探り、どのような対策を講じていくのか、知事の御所見をお聞きしたいと思います。 次に、教育行政について教育長にお伺いいたします。まず、学校の危機管理についてですが、ことし1月、文科省は「今、「子どもの安全」が脅かされている」で始まる「学校安全緊急アピール-子どもの安全を守るために-」を出しました。確かに今、子供たちの安全が脅かされていると思います。あの平成13年6月の池田小学校事件は、学校の安全神話を根底から崩してしまうほど痛ましい事件でありました。あの日以来、学校は安全な場所ではなくなってしまいました。それほど国民にとっては衝撃的な事件であったと思います。しかも、その後も学校への不審者の侵入事件は発生し続けております。 警察庁の調べでは、2002年に全国の小中学校などの学校内に不審者が侵入した事件は2,168件もあり、1999年から倍増している状況であります。また、昨年1年間に小学校に不審者が侵入し児童に危害を加えたりするおそれのあった事件は、22件とカウントされています。このうち11件は、校門などの出入り口が施錠されておりませんでした。こうした実態を知らされると、学校関係者の危機管理に対する意識の低さを認めざるを得なくなります。危機意識に目覚めていない学校がまだ存在することの証明であります。さすがに文科省も危機感を抱いたのか、緊急アピールの中で、私たちの学校や地域では事件は起こるまいと楽観せず、事件はいつ、どこでも起こりうるのだという危機感を持っていただきたいと訴えております。 そこで、本県の学校関係者への危機意識の徹底はどのような方法でされておられるのか、お伺いします。 学校独自の危機管理マニュアルの作成は県下でもかなり進んでいるようでありますが、作成が目的になってしまえば意味がありません。そのマニュアルに沿った具体的な取り組みがなされることが重要であります。さらに、その実効性を高めるには、防犯訓練等を繰り返し実行することであります。また、こうした訓練を通して、教職員の危機管理意識の向上も図られていくのではないでしょうか。 現在、県下でどのくらいの学校が防犯訓練を実施しているのか、また今後の予定はどうか、県としての今後の取り組みはどうか、お伺いいたしたいと思います。 また、防犯関連設備の整備や設置状況及びその運用状況についても御説明いただきたいと思います。 また、防犯教育の一環として防犯教室推進事業を15年度から開催されておりますが、その実施状況はどうか、あわせてお尋ねしたいと思います。 次に、子供の連れ去り事件が頻繁に発生し、大変深刻な問題となってきております。特に、連れ去り事件は下校時に多発しております。そのため、子供への犯罪を防ぐための緊急対策として、ピンを抜くだけで大きな音が出る携帯型防犯ブザーを児童生徒に配付する自治体が急増しています。 東京杉並区では、昨年11月、下校途中の小学6年の女児3人が外国人らしき男に連れ去られそうになる事件が発生しております。その際、女児らは持っていた防犯ブザーを鳴らし、傘で応戦するなどして抵抗し、大事に至らなかったという事件であります。この事件を教訓に杉並区では、区立、私立を問わず区内にある幼稚園、保育園、小学校の園児、児童生徒、さらに区外へ通園・通学する区民の子供を含めた全員に防犯ブザーを貸与することを決定し、約4万2,000個を用意し配付しております。同区危機管理対策課は、「杉並区にいる子供たちは全員が防犯ブザーを持っているということが、犯罪への大きな抑止力になるはず」と、その有効性を強調しております。 また、千葉市も続いて、この1月に防犯ブザー貸与を決定し、3月中旬から配付することになっております。その他にも、配付の対象や方法は異なりますが、全国の自治体で防犯ブザーを子供たちに配付する動きが活発化してきております。ちなみに、東京23区で配付を予定していないという区はわずか数区だけで、それ以外の区では配付実施、配付実施予定、現在検討中となっております。さきの緊急アピールでも危機意識の向上が指摘されており、それは児童生徒も同じことであります。防犯ブザーの配付と危機意識の関係について、子どもの危険回避研究所所長の横矢真理氏は、「防犯ブザーなどを配付する自治体もふえました。それは危機管理意識を持つきっかけとしてうまく利用してほしいと思います」と、危機意識向上への有効性を指摘しております。 本県でも、15歳までの子供に対する痴漢行為だけでも昨年22件の届け出がされております。届け出のない連れ去り未遂事件についても発生していると聞きます。連れ去りや痴漢から子供を守るためには、地域や学校ぐるみでの取り組みが不可欠であります。そのため、私たち公明党は、県下各地の県民の方々に、連れ去りや痴漢の撃退に最も効果があると言われている防犯ブザーを子供たちに携帯させることで事件の回避を図れることを訴え、23万6,841人の署名をいただき、子供たちへの防犯ブザーの配付に対する県民の強い願いを2月17日、知事にお届けさせていただきました。 子供たちが不幸な事件に巻き込まれないように、県としても真剣に取り組んでいかなければならないと思います。しかも、危機回避のための対処は、緊急に間髪を入れず対処することが肝要と考えます。文科省の緊急アピールに対処する意味においても16年度実施が求められると思いますが、御所見をお聞きいたします。 次に、こども条例についてお尋ねいたします。県条例の策定につきましては、さきに知事にお伺いいたしましたが、その関連になるかと思いますけれど、お聞きします。平成12年4月の地方分権一括法の施行により、地方自治法第2条第3項には市町村は基礎的な地方公共団体と規定されています。このことは、地方自治における市町村優先の原則を示したものであります。この原則のもとで、「都道府県は、市町村を包括する広域の地方公共団体として、広域にわたるもの、市町村に関する連絡調整に関するもの及びその規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものを処理するものとする」とあるように、都道府県は市町村行政の補足ないし助成を主要な使命としているのであります。しかし、現実の行政では、平成12年4月以前の感覚で都道府県が主、市町村が従とする見方がまだ根強いことも事実であります。 そこでお聞きいたしますが、この条例案の中にある推進計画は、地方自治法に照らして、広域にわたるものとして、あるいは、その規模または性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものとの判断に立っての条例案としているのか。また、そうであるとしたならば、地域の特色との関係はどのようになるのか。 また、こうした条例は、市町村優先の原則からいっても政策をもっと具体的にした形で市町村の方で策定することが望ましいのじゃないかと考えますが、どうか。 また、こどもの環境づくり推進委員会の委員は、県内全域の住民の方に入っていただくということになるのか、重ねてお伺いいたします。 次に、各条項についてお伺いいたします。前文について、「こどもが幸せを感じ、豊かに育っていける社会は」云々、「温かい社会でもあります。このような社会をつくるためには、大人とこどもがきちんと向き合い、知恵を出し合い、人と人のつながりや、地域のつながりを取り戻すことが必要です」と記述されており、そして「こどもが高知県で育って良かったと感じられるような社会を築くためにこの条例を制定します」と条例制定の目的が述べられております。私は、子供によりよい環境を与えることは大切だと考えますが、社会が子供の幸福を決定するとは考えておりません。環境や社会はあくまでその条件の一部と考えることがよいのではないでしょうか。 その意味で、前文は子供が主人公と言いながら、スポットライトは子供から外れているのではないでしょうか。この点についての御見解をお聞きいたします。また、自分の人生の主人公でいられることを大人が支援するという記述の意味について御説明いただきたいと思います。 次に、第1条ですが、通常、第1条ではその目的が規定されます。本条例では、「この条例は、高知県の未来を担うすべてのこどもが、自ら考え行動し、夢や希望を持ち続け、自然や郷土を愛し、心豊かに健やかに育つことを目的とします。」と、その目的を子供たちが健やかに育つことと規定しております。この点について、例えば川崎市子どもの権利に関する条例の第1条を例にとりますと、この条例は子供の権利の保障を図ることを目的とすると、条例の目的を子供の権利の保障を図ることだと明記しております。本条例に戻りますが、育つことを目的にすることと、育つことの保障を図ることを目的にすることとは、おのずとその意味することが違ってまいります。 前文で子供の育つ社会について規定しておきながら、なぜ第1条でその保障を図ることを目的として規定しないのか、御所見をお伺いします。 次に、第4条第3項についてですが、だれも子供の人格や個性の成長を妨げることをしてはいけないとありますが、子供の人格や成長を妨げることとは具体的にどのようなことを想定しているのか、お示しいただきたい。 また、この条例の試案では、次のような記述がなされています。「たとえ親からであっても、プライバシーを侵害されたり、思想・宗教・職業等を強要されない」と。 そこで、妨げることの中に、この条項規定の内容は含まれているのか、見解をお聞きします。 さらに、第4条は、大切にしたい考え方として位置づけられております。表現を変えても、その求めるべき内容は試案の趣旨を離れるものとは考えられません。ゆえに、試案のこの項の意図するものは何か、御説明いただきたいと思います。 次に、第8条では有害な環境から逃れるという権利が示されておりますが、この条の根拠となるものは何をもってなされているのか、お示しいただきたいと思います。 子供と環境の関係については、児童憲章の9に、悪い環境から守られると述べられ、守られる権利があることを明記しています。逃れると守られるでは、意味が随分違ってまいります。幼児や児童は逃げる力やすべは持ち合わせていないからこそ守られなければならないということの方が、よくわかります。逃れる権利の概念規定を明示していただきまして、守られる権利との違いを御説明していただきたいと思います。 次に、第5章についてお尋ねします。この章の第15、16、17条は、努力義務が記されております。問題は中身でありますが、第15条は、地域の人々は互いに、また学校、家庭と協力するよう努めること、また、子供たちに体験の機会を提供することを求めています。しかし、これだけでは、地域における子供の保障に関する事項が見えません。子供たちの育ちの場としての地域の役割や努めをこのように限定した理由は何か。また、県の地域に対する支援を明記しないのはなぜか、あわせてお聞きいたします。 また、第16条で、「学校は、こどもの学びの場としてだけでなく、地域と交流するよう努めます。」と、学校内での子供の権利保障について言及していないのはなぜか。このように地域との交流を求めているだけでは、学校の役割は見えてまいりません。 第17条では、保護者は子供が自立した社会の一員になるように責任を持って育てるよう努めることが記され、さらに、学校との交流に努めることが明記されております。こうしてこの章を見ますと、この章は協力や交流が強調された章となっております。一方、地域、学校、家庭は子供の居場所であります。その居場所の役割としての子供の権利の保障についての具体的規定が欠けております。 大変重要な章であるにもかかわらず、こうしたつくりになっている理由は何か、御所見を含め御説明いただきたいと思います。 次に、生涯学習についてお聞きします。生涯学習は、1965年(昭和40年)にユネスコで、生涯教育、永続的教育という名称で、成人教育を解決するための新しい理念として提唱されました。御承知のように、提唱者はP.ラングラン氏で、彼は生涯にわたる学習の支援原理として、ライフタイム-すなわち誕生から死までの時系列にわたる統合と、ライフワイド-すなわち社会全体にわたる生活の統合という2つの理念を提起されました。その後、この生涯教育は、世界各国において広く教育を再編成し直す理念として生かされてまいります。我が国でも、生涯教育はこの40年間に確実に教育を開く理念になったと言われています。ここでは、今日までの歴史的経過については省略いたします。ただ、教育の荒廃と生涯学習体系の移行については言及しておきたいと思います。 1984年、内閣直属の機関として臨時教育審議会が発足いたしました。その目的は、当時、偏差値、学校拒否、いじめ、校内暴力、教師への不信など教育の荒廃が指摘され、批判される状況に対し、問題解決に向け緊急に対処するためでありました。私は、審議会が従来のような文部大臣の諮問機関ではなく、総理大臣の諮問機関として設置された理由について注目したいのであります。それは、教育問題は、もはや文教施策だけの問題ではなく、行政全体の課題として受けとめられたという点であります。したがって、審議会の結論も、教育の荒廃に対処するにはもっと広い視野からの教育改革の必要性を説いたのであります。これは、明治の教育改革、戦後の教育改革に次ぐ第三の教育改革と評されました。 中でも、生涯学習体系への移行は、個性重視の原則、変化への対応と並ぶ重要な改革の柱として位置づけられました。そして、そこで示された改革の方向性は4つあり、第1は学歴社会の是正について、第2には学習の自由選択について、第3は社会変化に応じた知識、技術の習得について、第4には家庭・地域の教育力の回復についてであります。このように臨教審は、改革の方向を学歴社会からそれにかわる学習社会の実現を提唱したのであります。 現在、そうした改革の流れは確実に進行していると思います。それは、平成3年の中教審の答申、新しい時代に対応する教育の諸制度の改革についてを見ても明らかであります。答申では、「高等学校を初めとする学校教育が抱えている問題点を解決するためには、学校教育のシステム自体を改革することはもとより、広く生涯学習の視点からその改善策を考える必要がある」、また、「換言すれば、これまでの学校教育に代表される固定的な教育システムをより柔軟なものとし、ひいては学校教育と社会の間の仕切りをゆるやかにして、広く生涯学習の視点から教育全体のあり方を見直すものとも言える」、さらに、「生涯学習の視点から見れば、学校教育は社会のさまざまな教育・学習システムの一つである」と、現在の教育問題を解決するには生涯学習の視点が重要であると指摘をしているわけであります。 そこで、生涯学習の視点から教育全体を見直すということについて、教育長の御見解をお聞きしたいと思います。 また、こうした視点での教育制度の改革について、本県で実施してきた改革事例があればお示しいただきたい。また、今後の改革については、こうした視点からの見直しをしていくことが重要と考えますが、実施されるお考えがあるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、児童健全育成対策について健康福祉部長にお伺いいたします。児童福祉法には、児童健全育成のための機関として、児童福祉審議会、児童相談所、福祉事務所、保健所、児童委員等について規定がなされております。まず、児童福祉審議会ですが、この機関は児童及び妊産婦等の福祉に関する調査審議を行うことを目的として設けられた諮問機関であります。御案内のように、児童福祉審議会は、知事から諮問を受けた事項を調査審議するだけでなく、みずから問題を調査審議し、その意見を関係行政機関に具申することができることになっております。 そこでお聞きいたしますが、本県の同審議会の活動状況は、通常、年1回の開催で、審議内容は里親の認定と児童福祉関係業務概要説明だけであります。平成9年と10年はエンゼルプランの策定が審議内容に加わっておりますが、平成5年から15年まで同じ項目の審議となっております。 ここでの意見具申は今日までどのような形で生かされ、行政に反映してきているのか。また、今日的課題が山積みされている状況下では、みずから調査審議する主体性が求められると思います。審議会のさらなる活性化を図り、児童健全育成に今以上に影響力を発揮する必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、児童相談所についてお聞きします。私は、今、児童健全育成対策として児童相談所の強化は最優先で行うべきことだと認識いたしております。特に児童虐待への対応を考えた場合、児童相談所の権限強化や人員問題も含め、その充実に県はしっかり取り組まなければならないと思います。ちなみに、14年度相談件数は1,393件で前年並みの相談件数となっていることについては、児童人口の減少に比べ相談件数が減っていないのは養育基盤の脆弱化と養育不安の高まりを示すものだとの相談業務分析がなされております。 また、相談内容の違いによって養護相談、障害相談、非行相談、健全育成相談等に種類分けされておりますが、障害相談に次いで養護相談、健全育成相談が多い傾向となっております。特にここ数年の傾向として、養護相談件数の急増現象が顕著になっております。こういった理由から、養育基盤の脆弱化及び養育不安の高まり現象が指摘されたものと理解をしております。 そこで、養育基盤の脆弱化への対応は、県を挙げて取り組まなければならない重要な問題に発展していると認識いたしますが、この対策について御所見をお伺いいたします。 次に、虐待への対応として、虐待ネットワーク事業として学習会や研修会を精力的に実施されておりますが、相談を通してその発生予防から問題解決までのプロセスで対応すべき課題は、どのようなものが求められているのか。また、体制や他機関との連携及び情報収集や提供に関して改善の余地はないのか等、御所見をいただきたいと思います。 いずれにしろ、児童相談所の強化及び他機関とのスピーディーな連携による協力体制の円滑化は、早急に図るべき課題だと考えます。この点についてもどのような対策をされるのか、お伺いしたいと思います。 次に、民生・児童委員の活動についてお伺いいたします。現在、民生・児童委員は、各市町村に定数に沿って配置されております。平成5年には主任児童委員が配置されることとなり、13年の児童福祉法の一部改正によりこの主任児童委員が法定化されたため、民生・児童委員の中から1万9,920人がこの年に指名をされております。本県では、現在165名の方が指名を受けております。 御案内のように、主任児童委員は、児童福祉関係機関と児童委員との窓口となって、児童委員活動のリーダーとして頑張っていただく方であります。具体的には、児童相談所や学校等と連携を密にし、児童とその環境に関する情報収集を行う、また、地域ぐるみの子育てのための啓発活動の企画や実施の中心となること、児童館等の地域の児童健全育成関係の協議会に参画すること、さらには児童の交通事故防止に関すること、ボランティア活動への児童の参加促進及び子育てネットワークへの協力や児童の権利侵害等に関するものまで、多岐にわたる活動が職務として規定されております。 そこで、この主任児童委員の活動の状況及びその情報の活用について、県の認識をお聞きしたいと思います。 また、その活動に当たっては、児童、保護者への共感による相互の信頼関係に立って支援することを基本に云々と定められております。それは、従来、指導のイメージが強く、児童や保護者と協力して支援することが明示されていなかったことを配慮したものと言われております。このように、主任児童委員は児童健全育成の強い助っ人として配置されているわけでありますから、こことの連携は非常に重要であると思います。 そこで、この点についての見解と今後の対応をお伺いします。市町村等と有機的連携を図り、児童健全育成に効果の出る対応を期待いたしたいと思います。 次に、育児支援家庭訪問事業についてであります。事業内容は、育児混乱を起こしやすいと言われる若年妊婦など、妊娠から出産にかけて何らかのトラブルが予想されるか異常が見られる妊婦等に対し、専門支援員が育児支援をすることにより、安心して子供を産み育てる環境をつくり、児童虐待の発生を防止するものと理解しております。虐待防止を周産期から考えて、その対応をしていこうとするこの取り組みは、大変意味のあることで重要な取り組みだと思います。特に、県中央児童相談所の澤田先生が長年にわたり研究をされてきた成果を通しての事業でもあり、ぜひ成功させていただき、高知県発の情報として児童虐待防止に貢献できますことを御期待いたします。 部長にその決意をお聞きしたいと思います。 次に、児童館及び児童センターに関して教育長にお聞きしたいと思います。平成12年現在、児童館は全国4,420カ所設置されております。その内訳は、小型児童館2,790カ所、児童センター1,445カ所、大型児童館A型16カ所、同B型4カ所、同C型1カ所、その他の児童館164カ所となっているようであります。 そこで、本県では児童館、児童センター合わせて31カ所存在しておりますが、型別に分けた実態はどうなのか、お聞きします。 御案内のように、児童館は、児童に健全な遊びを与えて、その健康を増進し情操を豊かにすることを目的として設置されたものであります。そのため、地域の児童健全育成の拠点として重要な役割を担っております。 そこで、運営の主体は市町村並びに社会福祉法人等でありますが、本県の運営主体の実態はどうか、あわせて設備状況の現状はどうか、お伺いします。 また、職員についてでありますが、児童厚生員として2名配置することになっておりますが、実情はどうか。また、保育士や教諭の資格を有する者あるいは児童福祉事業に2年以上従事した者等、その採用資格が問われますが、実情はどうか。 また、その運営に当たっては、行政機関、児童委員、社会福祉協議会、母親クラブ等地域の代表者等を委員とする運営委員会を設置することが義務づけられております。この運営委員会の開催状況についてはどうか。 また、対象児童は、原則的にはすべての児童の利用が図られることになっておりますが、主な指導の対象になっているのは3歳以上の幼児または小学校低学年の学童等が挙げられます。利用状況は、登録児童、任意利用児童別及び利用時間等、どのような状況になっているのか、御説明いただきたい。 さらに、本県の児童館及び児童センターが児童の健全育成に果たしてきた意義について、どのように評価されているのか、また今後の活用に対する御所見をお伺いいたします。 次に、県立児童厚生施設のある県では、県立児童厚生施設と児童館及び児童センターのネットワーク委員会を設置し年間総合計画を立てたり、児童館の設置されていない地域に対しプレーバスを巡回させたりして、相互の連携強化を図っております。 県立児童厚生施設のない本県では、こうした機能をどう果たしていくのか、お聞きいたします。 最後に、農の福祉力についてお伺いいたします。農業や農村が持っている福祉力が、最近注目を集めております。農の福祉力の概念については、いわゆる教育力などと同じように農業の多面的機能との関連で紹介され、論じられております。この福祉力の枠組みは明確に定まってはいないようですが、農業・農村が本来有している特性から見れば、単に受動的な意味での多面的機能ではなく、何らかの形で意図的、意識的に形成されていくべきものであると考えられます。高知女子大学の玉里恵美子助教授は、農村ならではの人間関係を生かした都市との交流は福祉と農業・農村の接着剤になると、大豊町でのボランティアグループ「さわやか大豊」の取り組みに注目をしております。 農の福祉力のとらえ方としては、3つの側面が指摘されています。それは、まず農のいやし力という側面、次に健康増進力という側面、そして地域の課題解決力の側面であります。特に地域の課題解決力については、いわゆる地域の課題をみずから発見し、地域住民の相互の信頼感をベースとして、互いの助け合いや役割分担などにより地域みずからその課題を解決していく力として使われている、地域の福祉力の意味合いに符合するものと考えられます。いずれにしろ、農の福祉力の最大の特性は、農村特有の自然的環境や地域の資源、農地等を軸にした展開が図られるところにあるとされております。 そこで、農と福祉の接近を示す例として、県の地域福祉計画策定ガイドライン研究会の最終報告書では次の4点が強調されています。まず第1に、福祉概念を狭く限定せず、要支援者への対応を重視しながらも、それにとどまらず、福祉概念、イメージが世代間や社会的位置によって異なることに注目し、一人一人の住民がその人らしく生き、自己実現してゆけるための「幸せ」のまちづくりと捉え直したこと。第2に、住民自身が話し合い、地域づくりの目標理念に結晶化させながら、広い視点で生活各分野の課題を解決し、第3に、地域の潜在的な人的、物的資源を生かす方向で地域を見詰め直し、第4に、歴史に裏打ちされた地域の固有価値を再発見し、その地域のよさを守り発展させてゆくための地域づくりである。「このような視点は、社会福祉領域においては目新しい方向性と位置づけられるが、農村地域活性化の領域では既に繰り返し言われてきたことにほかならない」と、玉里助教授は福祉から農業・農村への接近例として提示しております。 そこで農林水産部長に、まず農の福祉力についての認識と見解について。また、中山間地域活性化対策として農の福祉力という視点で事業の見直しをすべきと思いますが、どうか、御所見をお聞きしたいと思います。 次に、平成9年に園芸流通課が園芸セラピーバックアップ事業を行っております。そのまとめを園芸セラピーガイドブックとして作成しております。そこで、農業・農村が今後の高齢化社会の中で豊かな自然や農業生産活動等を活用した高齢者福祉の推進の場となることが述べられております。さらに、高知県全体をフィールドとした園芸セラピーの導入や、触れ合い型福祉公園の建設などが提言されております。今まさに、これらの提言は非常に重要な課題として取り上げるべき要因を踏まえていると思います。 農の福祉力の視点からも、今日的に取り組む課題であると思います。部長の御所見をお聞きします。 最後に、健康福祉部長には、ガイドライン研究会の最終報告の4点にわたる視点が農業・農村というフィールドまで広がったものと認識されておられるのか、そして農の福祉力という概念での事業とどこまで協働できるのか、見解をお伺いいたしまして、第1問といたします。   (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 池脇議員の御質問にお答えをします。 まず初めに、三位一体の改革についてお尋ねがありました。これまでも繰り返し申し上げてきましたが、三位一体の改革の本来の目的は、地方分権の大きな流れの中で、住民により身近な地方公共団体が地域の実情に合ったサービスをみずからの判断で提供していけますように、税や財政の面での分権を進めることだと考えています。したがいまして、この理念に沿った形で改革が進められるのであれば、地方行政の現場でも受益と負担の関係が明確になりますことから、よりコスト意識を持った行政運営につながっていきます。その一方で、国も経済のグローバル化への対応や安全保障の問題など、本来国が果たすべき仕事にもっと集中できることになります。その結果、地域の課題は地域の政治が決めることになりますから、その分政治への関心が高まるという意味では、お話にありました政治改革にもつながってくることだと思います。 ただ、今回の国の予算編成や地方財政計画を通じて明らかになりました改革の実態は、こうした理念とは逆行していますため、三位一体の改革そのものが否定されるべきものだといった風潮につながっています現状を非常に残念に思います。本県ではこれまで、国体の簡素化や1.5車線的な道路整備、さらには森林環境税の導入など、限られた財源の中で地域の主体性を発揮する取り組みに、さまざまな形で取り組んできました。しかし、今のような三位一体の改革が進めば、こうした取り組みの成果さえ台なしになってしまいます。このため、今後も、地方への税財政の分権が本来目指すべき形で進みますように国の姿勢を正しますとともに、地方からの改革の発信に強い決意を持って取り組んでいきます。 次に、条例の制定に当たりましての基本的な考え方についてお尋ねがありました。御指摘のように、住民の権利と義務にかかわる事務は、原則として条例によらなければなりません。しかし、かといってそれに限定されるものではなく、法令に違反しない限りみずからの地域の事務に関して条例を制定できることになっています。さらに、地方分権一括法によって、その範囲も広がってきています。こうしたことから、これからの時代は、条例をこれまでの考え方にとらわれることなく、地域みずからが地域の特性やニーズに対応した政策を進めるための手段として積極的に活用することが大切ではないかと思います。 といいますのも、条例化をしますことで、県民の皆様に県の考え方を明らかにすることができますし、県政への関心を深めていただくことにもつながります。さらには、条例の制定に参加していただくことでその政策形成のプロセスの透明性も高まりますなど、数々のメリットがあると考えています。こうしたことから、政策の実効性を高めますためにはどのようなものを条例化したらいいかなど、条例化に向けての一定の目安を示します高知県条例等の立法指針を、この2月に策定しました。今後は、この指針に基づきまして条例の活用を積極的に進めていきたいと考えています。 次に、宿毛-佐伯間のフェリー航路の存続に向けての取り組みについてお尋ねがありました。県では、この航路の運航が停止されました直後から、運送業界の協力を得まして運航の停止による影響や利用者の意向調査を行いますとともに、宿毛市や地元の商工会議所などと一緒に宿毛佐伯航路存続緊急会議を立ち上げまして、運航の再開に向けた情報の収集と今後の対応に取り組んできました。また、宿毛市と大分県佐伯市の双方で航路の存続に向けての対策協議会が設置されましたほか、市民レベルでの署名活動も始められています。 今さら申し上げるまでもありませんが、宿毛と佐伯間のフェリー航路は九州と四国の西南地域とを結ぶ重要な航路ですので、地域の経済だけでなく本県の観光振興にも重要な役割を果たしてきました。このため、お話にもありましたように、土佐清水市を初めとします県内の宿泊施設で予約のキャンセルが相次ぎますなど、深刻な影響が出始めています。このため県では、宿毛市や佐伯市などとも連携をしまして、航路の再開を検討していただける海運会社などに積極的な働きかけをしていますが、具体的に意欲を示される企業には私自身からも直接お願いをしますなど、最大限の努力をしていきます。 私からは以上です。   (教育長大崎博澄君登壇)
    ◎教育長(大崎博澄君) 教育行政についての御質問のうち、まず学校関係者への危機管理意識の徹底についてのお尋ねにお答えをいたします。 学校での安全を確保しますためには、教職員一人一人の日常的な危機管理意識を高めることが大切だと考えます。そのため、学校や地域の状況を踏まえた危機管理マニュアルの作成、マニュアルに基づく防犯訓練や校内研修の実施、危険箇所の確認及び安全点検などをこれまで呼びかけてまいりました。具体的に申し上げますと、学校危機管理における初動体制の確立というものを作成いたしまして、平成13年に配付いたしました。また、安全管理に関する実態調査を平成15年に実施しました。また、幼児、児童生徒の安全確保や学校の安全管理の一層の徹底に関する文書通知を、平成15年度中に5回出しております。また、学校や地域の状況を踏まえた危機管理マニュアルの作成や、防犯訓練や防犯研修の実施の呼びかけなど、こうした取り組みを行ってきております。 次に、防犯訓練の実施状況と今後の取り組みについてのお尋ねでございます。今年度、教職員に対する防犯に関する訓練や研修を行いました学校の割合は、11月1日現在では52%、今年度中に実施予定の学校を含めますと88%になります。そのうち、子供を対象とした取り組みを行った学校は44%、今年度中に実施予定の学校も含めますと82%となります。今後も、防犯のプロである警察や関係機関の方々、そして保護者や地域と連携し、各学校の実態に合った防犯訓練が実施されるように指導、支援してまいります。 次に、防犯関連設備の整備、運用状況と防犯教室推進事業の実施状況のお尋ねがございました。現在把握しています防犯関連設備の整備状況につきましては、33の市町村で監視カメラ、緊急通報装置、インターホンなどの設置や窓ガラスの透明化などの対策がなされています。また、県教委におきましては、すべての県立盲・聾・養護学校に緊急通報装置を設置しました。その運用につきましては、各学校や地域の実態に応じて実効性のある取り組みをしていただいていると認識しておりますが、今後も随時、設置状況や運用状況についての実態把握をしてまいります。 防犯教室推進事業につきましては、学校での防犯教室をより効果的なものにするために、指導に入っていただく警察官、消防官の方々を対象に防犯教室指導者講習会を開催しました。来年度は、県内3カ所で学校の管理職及び教職員を対象とした防犯教室講習会を開催することとしております。 次に、防犯ブザーの配付についてのお尋ねがございました。子供たちが防犯ブザーを携帯しますことは、自分の身は自分で守るという危機意識を育てることや、地域社会へ防犯の取り組みをアピールする上でも効果的であると考えております。ただ、財政事情が非常に厳しい中でございますので、今後、市町村の意向の把握、必要な経費の精査、民間企業にスポンサーになっていただくといった手法も含めて、負担のあり方の検討などの手順を踏んで対応方法を考えてまいります。 次に、こども条例についての御質問のうち、条例の中に規定している推進計画の位置づけについてお尋ねがございました。この条例は、高知県に育つすべての子供たちが健やかに育つことを目指すものであり、この条例の理念を政策として進める具体的な手法として、条例第20条に高知県こどもの環境づくり推進計画を作成することを規定しております。したがいまして、この推進計画は、地方自治法第2条第5項に定められております、都道府県の事務のうち広域にわたるものとして位置づけられるものと考えております。 もとよりこの推進計画は、県の条例の実現に向けた取り組みを進めていくための具体的な計画であり、市町村としての独自の条例づくりや自主性を生かした計画づくりを阻害するものではございません。なお、県の計画の中におきましても、子供のさまざまな体験学習の実施の計画といった場合には、市町村の自然や文化、地域の特色も盛り込んで作成をしていきたいと考えています。 次に、このような条例は市町村で制定することが望ましいのではないかというお尋ねでございます。この条例は、高知県の子供政策の理念と取り組みの方向性を条例という形で定めようとするものです。条例第19条にありますように、今後は、県として市町村との連携に努め、具体的な活動を進めていくことになります。その過程で、市町村において自主的な判断によるさらに具体的な事柄を内容とする条例が必要となり、市町村の特性を生かした条例が生まれることは、歓迎すべきことと考えております。 次に、高知県こどもの環境づくり推進委員会の委員についてのお尋ねでございます。こども条例については、今まで多くの県民の皆様に参加をいただき、作成を進めてきました。この推進委員会は、これからさらに条例の理念や内容を広め進めていく役割を担いますことから、広く県内全域の方々に御参加をお願いしたいと考えております。 次に、子供が主人公と言いながら、条例の前文の視点が子供から外れているのではないかということと、子供が自分の人生の主人公でいられることを大人が支援することの意味についてお尋ねがございました。この条例は、第1条の「めざすもの」にありますとおり、心豊かな子供の育ちを目的としているものです。条例の前文には、子供の権利についての基本的な考え方、子供が心豊かに健やかに育っていくための地域社会のあり方などが述べられています。このように、前文の趣旨は、心豊かな子供の育ちを目的とした上で、その目的を達成するために必要な事柄を子供の健やかな育ちを保障するという視点から考えて、社会全体のかかわりの中で子供が育つ環境づくりを整えていくことの必要性を述べています。 また、自分の人生の主人公でいられることを大人が支援することの意味は、子供が成熟に向けての発達途上にありますことから、成長の過程においては大人の保護と支援を必要としますが、この保護と支援に当たっては、子供のために何を一番大切にしなければならないかという視点を大切にしていきたいということであると理解をいたしております。 次に、第1条の条文の意味と前文の関係についてお尋ねがございました。この条例の目的は、第1条に述べておりますとおり、子供がみずから考え行動し、夢や希望を持ち続け、自然や郷土を愛し、心豊かに健やかに育つことにあります。前文では、子供たちを取り巻く現在の厳しい状況を踏まえて、心豊かな子供の育ちを実現していくためには、今まさに学校や家庭や地域ぐるみで、言いかえれば社会全体で子供を育てていくための環境づくりが必要であることを述べたものでございます。 次に、子供の人格や成長を妨げることの具体例などについてのお尋ねがございました。この規定は、第4条第1項の内容を再確認し強調することで、第2章以下の子供の権利を保障するように努めることを明確にしたものです。具体例としましては、児童虐待を初めとする権利侵害や、子供の自主的な判断、みずから考え行動しようとすることなど、子供が生きていく力を培うことを妨げるような行為を想定しています。 なお、試案では、たとえ親からであっても、プライバシーを侵害されたり思想、宗教、職業等を強要されないという、親が監護権を逸脱することによって子供の権利が妨げられる可能性を例示しておりました。条例案を作成するに当たりましては、子供が強要される場合を試案の例示に限らずもっと広くとらえますとともに、親からだけでなく、だれからもその人格や個性の成長が妨げられてはならないということを述べたものでございます。 次に、第8条の規定にある逃れる権利の根拠と概念、そして守られる権利との相違についてのお尋ねでございます。子供の身体的または精神的に有害な環境の最も顕著なものとしては、児童虐待がございます。平成14年度の高知県の児童虐待の状況を見ますと、59件の虐待事案のうち、本来子供から最も信頼を寄せられるべき父母から虐待を受けている場合が8割を超えるという状況がございます。このように、保護を受けるべき父母から子供が守られていない現実を重く受けとめて、子供がみずから逃れる権利としたものでございます。 なお、この権利は緊急避難的に考えておりますので、逃れた後は、子供が本来持っている守られる権利の実現として、子供たちをどう守り支援していくのかという子供たちへの精神的、身体的な支援や生活面でのバックアップが、行政としての課題であると考えています。 次に、地域の役割を限定した理由や県の地域に対する支援についてのお尋ねでございます。子供の権利は、地域だけでなく、学校や家庭も含め、すべての場面で保障されるべきものと考えております。この章で特に地域に言及したのは、子供は学校や家庭だけでなく地域のさまざまな人々とのかかわり合いの中で育っていくことから、子供が心豊かに育ちますためには、地域の教育力が再生し学校、家庭、地域が一体となって取り組む必要があると考えたためでございます。また、地域への支援につきましては、現在も地域ぐるみ教育の推進などに取り組んでおりますが、今後もできるだけ地域の自主性を尊重しながら、具体的な事業の中で取り組みを進めていければと考えています。 次に、学校内での子供の権利保障についてのお尋ねがございました。こども条例第16条の趣旨は、地域とのかかわりの中での学校の役割を述べたものです。子供の権利保障については、児童の権利に関する条約を初め憲法、学校教育法など多くの法令に規定され保障されているとおりであり、この条例に明文で記載していなくても学校内での子供の権利が保障されることは当然であると考えております。 次に、第5章における子供の権利の保障についてのお尋ねでございます。こども条例の第1章から第4章には、子供たちの健やかな育ちにつながるために大切にしたい基本的な考え方や理念が、子供の権利を明確にする形で盛り込まれています。第5章では、その理念を進めていくために、特に地域が中心となって果たす役割を述べています。このため、条例の第20条において、これらの考え方や理念を具体的な取り組みとして進めていくために高知県こどもの環境づくり推進計画を作成することとし、子供の居場所に関することは、その計画の中で具体的に検討することにより、その実現を目指していくこととしています。 次に、生涯学習の視点から教育全体を見直すことと、教育制度の改革事例及び今後の見直しの実施についてのお尋ねに、関連がございますのであわせてお答えをさせていただきます。私たちが直面しているさまざまな教育課題を解決しますために、生涯学習の視点が重要なポイントであるという御指摘には共感を覚えます。土佐の教育改革の中でも、その視点は一定応用をされていると思います。 例えば、私たちは教育を学校、家庭、地域のよきバランスの中で成り立つものとしてとらえ、広く社会に開かれた学校づくりなどを通じて教育課題の解決の道を探ってきております。また、教育現場では不登校や中途退学者がふえている現状にもございます。そうした子供たちは、生涯学習という視点がなければ学習の門戸は閉ざされてしまいます。そうした子供たちがもう一度学習したくなったときに、いつでも学びを再開できるシステムや、多様な学びの視点を持つことが大切であると考えています。 こうしたシステムや多様な学びの場につきましては、制度改革という意味で申し上げれば総合学科の創設などにも取り組んできましたし、今後も単位制高校の創設や放送大学、NPO高知県生涯学習支援センターなどの生涯学習の場を活用する取り組みも進めていきたいと思います。私たちは、ともすれば、教育を考えるとき学校教育ということにとらわれがちでございますが、生涯学習ということを見据えて教育システムを見直すことも、今後とも心していきたいと考えております。 次に、児童館及び児童センターについての御質問のうち、まず型別区分の実態に関する御質問にお答えをします。本県には、議員が御指摘のとおり、合計31の児童館、児童センターがございますが、その内訳は小型児童館が20館、児童センターが11館となっています。大型児童館、その他の児童館につきましては、本県にはございません。 次に、運営主体の実態と設備の状況についてお答えをします。運営の主体は、すべて設置者であります市町村の直営になっています。また、設備の状況につきましては、児童福祉施設最低基準に基づき、集会室、遊戯室及び図書室はいずれの施設にも設置されています。これらに加え学習室、静養室、調理室、屋外活動設備を備えた施設もございます。 次に、職員の配置と採用資格の実情についてお答えします。児童館には、児童の遊びを指導する者として児童厚生員を2名以上配置することとされています。本県では、31の施設中14施設が基準を満たしていますが、17施設は基準を満たしていません。また、31の施設に配置されている職員は47名でございますが、その内訳は、保育士資格保有者が20名、2年以上児童福祉事業に従事した者が24名、教員資格の保有者が2名、大学において心理学、教育学などを修め設置者である市町村長が適当と認めた者1名となっております。配置基準を満たしていない17の施設では、指導業務をNPO法人に委託をしましたり、放課後、子供会活動などで教職員が指導に協力する形で補完するなどの運営の工夫を行っている事例がございます。 次に、運営委員会の開催状況についてお答えします。運営委員会の開催状況は、おおむね年に一、二回でございますが、懸案事項がなく、ここ数年間開催実績がない委員会もございます。 次に、利用状況についてお答えします。1日当たりの平均利用者数は37名で、うち登録児童が22名、任意利用は15名です。年代別に見ますと、幼児が5名、小学生23名、中学生以上9名となっています。また、開館時間は、多くの施設で平日は午前8時30分から午後5時までで、土曜、日曜、祝日の開館状況は、学校週5日制を考慮して土曜日を開館日としている施設が多いと承知しています。これらの時間別の利用状況に関するデータは、残念ながらございません。 次に、児童館及び児童センターの果たしてきた意義についての評価と今後の活用に関するお尋ねでございます。児童館や児童センターは、子供たちに健全な遊びを提供し、四季折々には季節行事を行うなど、子供たちの健康増進や情操をはぐくむ役割を果たしてきました。また、子供たちを通じて母親が互いに集い合い、子育てについての悩みを語り合い解決する母親クラブの活動など、家庭教育においてもその果たしてきた意義は大変大きいと思います。 今後は、地域住民や各種団体組織、ボランティアなどに携わる人のネットワークを構築すること、児童館周辺ばかりでなく地域内外の多くの児童が利用できる子供活動の場の広がりを確保すること、学校週5日制に対応した子供の活動の拡大などを考慮しながら、子供たちが児童館に行けば思い切り体を動かせる、ほっと息が抜ける、そういう場所になればと願っています。 次に、児童館及び児童センターの相互連携についてのお尋ねでございます。本県には県立児童厚生施設がなく、また設置主体が市町村でありますため、県内の児童館や児童センターを結ぶネットワークが構築できておりません。児童厚生員の相互の研修については県が主催して行っていますが、これが有機的なネットワークを結ぶまでにはまだ至っておりません。今後は、児童館や児童センターなどの情報の一元化や相互連携を図る研修など、児童館と児童センターのネットワークづくりに取り組みたいと考えています。 児童館の設置されていない地域に対する取り組みにつきましては、県立青少年施設や市町村に設置されています公民館でも同じような健全育成事業が実施されていますので、子供たちに積極的に活用してもらえるように支援をしていきたいと考えております。 以上でございます。   (健康福祉部長吉岡芳子君登壇) ◎健康福祉部長(吉岡芳子君) 児童健全育成対策についての一連の御質問のうち、まず児童福祉審議会での意見具申と審議会の活性化についてのお尋ねがございました。あわせてお答えをいたします。 高知県児童福祉審議会は、児童の福祉に関するさまざまな問題について、知事からの諮問に答えるとともに意見具申を行うことができる機関として、児童福祉法第8条に基づき設置をされています。審議会では、毎年、里親の認定に当たってその適否について答申をいただきますとともに、エンゼルプランの進捗状況や児童虐待防止の取り組みなど、児童の福祉に関する事項について逐次、御報告をさせていただいています。その際に、深刻な児童虐待のケースへの対応などの御意見をいただき、高知県子ども虐待防止のための取組指針の策定などにつなげてまいりました。また、エンゼルプランの策定に際しましては、審議会内に策定委員会を設け、プランの作成をいただくとともに審議会での御審議をいただき、高知県版エンゼルプランとしての御提言をいただいております。 今後におきましても、少子化対策などの国の動向や、本県の子供たちを取り巻くさまざまな状況の変化などについて審議会に御報告しますことで、活発な御意見や御提言がいただけるよう努めてまいります。 次に、児童相談所についての御質問の中で、まず養育基盤の脆弱化への対応についてお尋ねがございました。児童相談所における相談内容を見てみますと、子供たちに不登校や非行、児童虐待といったさまざまな問題が起こっております背景には、家庭や地域の子育て機能が低下していることがうかがわれます。このため、安心して子供を産み育てることができる環境づくりのために、これまでさまざまな取り組みを進めてきました。具体的には、児童相談所におけるにこにこファミリーサロンのように子育て中のお母さん方が集える場づくりや、育児と仕事の両立を支援しますための保育サービスの充実、地域で子育て支援を行う子育て応援団といった人たちの養成なども行ってまいりました。 今後におきましても、このような地域における子育て支援や心身の健やかな成長のための環境づくりを行政、家庭、学校、地域のみんなが一緒になって行いますことで、本県の次代を担う児童の健やかな育成に県を挙げて取り組んでまいります。 次に、児童虐待の取り組みを進める上での課題と、児童相談所の体制強化や他機関との連携についてのお尋ねがございました。あわせてお答えをいたします。児童虐待については、予防に加え、虐待の早期発見、迅速な対応、アフターケアがうまく機能することが大変重要です。虐待が疑われる場合には、早期に児童相談所に通告することが必要ですが、他人の家庭への遠慮などから通告がおくれるといった課題があります。また、対応についても、支援の必要な御家庭ほど拒まれたり、場合によっては警察の支援が必要な場合もあります。さらに、アフターケアとしては、崩れてしまった親子関係が再構築できますよう、粘り強く支援していくことが求められます。 このため、関係機関との迅速かつ円滑な連携がとれますよう、中央児童相談所を中心としたネットワーク会議や県の福祉事務所を中心とした地域のネットワークづくりのさらなる強化に努めているところでございます。また、児童相談所の体制強化につきましては、これまで医師の配置、虐待対応協力員や心理担当職員の配置、さらに相談調査に当たる児童福祉司の増員を行うなど、体制強化に取り組んでまいりました。これらに加えまして、来年度は、学校現場との連携を強化しますため、中央と幡多の児童相談所に教員を配置することにしています。 次に、主任児童委員の活動状況や連携についてのお尋ねがございました。あわせてお答えをいたします。主任児童委員は、他の民生・児童委員のように区域を担当せず、学校、保育所、児童相談所など子供にかかわる関係機関との連絡調整を行うとともに、他の児童委員の活動を支援するため平成5年に設置をされ、平成13年には児童福祉法に明確に位置づけをされました。こうしたことの背景には、少子化や核家族化など子供と家庭を取り巻く環境の変化から、地域における子育ての支援がとりわけ重要となってきたことがあります。 平成14年度の主任児童委員の主な活動状況を見てみますと、遊び場や通学路の問題など子供の地域における生活上の相談や、不登校やいじめなど学校生活に関することの相談、また他の児童委員や関係機関との連絡調整などとなっておりまして、地域における子育て支援のために大切な役割を果たしていただいていると認識しております。県では、各市町村に、いじめや不登校、児童虐待などといった子供を取り巻く問題の芽に早く気づき、問題解決に向けて迅速に対応するために、関係機関のネットワークづくりを進めています。主任児童委員には、こうしたネットワークでの中心的な役割を果たしていただきたいと考えておりまして、その資質の向上のための研修会にも取り組んでいるところでございます。 最後に、育児支援家庭訪問事業への御期待についてお答えをいたします。この事業は、妊娠中から、とりわけ育児混乱の起こりやすい出産の前後に重点を置いて妊産婦を支援しますことで、虐待の発生を予防しようとする取り組みでございまして、全国的にも先進的な取り組みであると思っています。この取り組みは、妊娠中、出産、産後を通して、お母さんの悩みや不安の相談に乗ったり、家事や育児などの援助を行いますことで、これまでより早い段階から育児混乱をなくし、ひいては児童虐待の発生自体を予防することができるとする中央児童相談所の澤田医師の長年の研究をもとにしたものでございます。来年度から3つの市、町におきましてモデル的な取り組みを行い、ノウハウを蓄積しますことで、将来的には全市町村に普及拡大していきたいと考えております。悲惨で痛ましい児童虐待を絶対に起こしてはならないという思いから、ぜひともこのモデル事業を成功させたいと考えております。 続きまして、農の福祉力についての御質問のうち、地域福祉計画策定ガイドライン研究会の報告書に述べられた視点と農の福祉力とのつながりについてのお尋ねがございました。近年、少子高齢化の中で核家族化が進み家庭力が弱まっていますとともに、地域で支え合う意識やコミュニティーの機能も低下し、その再建と創造が課題となっています。 地域福祉計画は、こうした社会的背景の中で、みずからのまちづくりについて地域の人たちがみんなで考え、地域の特性を生かしながら主体的に実践に移すとともに、ボランティアの方々や行政なども一緒になって地域をつくり上げる、参加型の幸せのまちづくりを目指しています。そうした意味で、報告書における4つの視点は、農業・農村というフィールドにおいても広まりつつあると思っております。 お話の農の福祉力につきましては、人の心をいやし、生きる意欲をよみがえらせるといった農業の持つ豊かで多面的な機能や、農村の高齢者の幅広い知識や体験、地域文化や食の守り手といった特性を生かした地域づくりに通じるものであり、高齢社会の中にあって健康の維持や、生涯現役で生きがいを持ち、支え合って暮らす地域づくりに大きく関係します。こうしたことからも、農の福祉力を生かした取り組みとの協働を進めることは必要であると思っているところでございます。 以上でございます。   (農林水産部長星沢昭雄君登壇) ◎農林水産部長(星沢昭雄君) 農の福祉力に関し2つの御質問がございました。 まず、農の福祉力についての認識と中山間地域活性化のための事業のあり方についてお尋ねがございました。農業・農村は、豊かな自然を有し自然との共生を通じて人の心をいやすとともに、その中でその人その人に合った農業、植物への能動的なかかわりが健康増進につながり、またそうした住民の自己実現の総和といたしまして、地域の課題を住民みずからが解決する力が生まれ出てくるという考え方はよく理解ができますし、このことは、さまざまな課題を抱えます中山間地域の農業・農村の維持・再生を図っていく上でも、示唆に富んだ大事な視点だと思います。 農林水産部では、産業政策を基本に据えてはいますが、今までに農業・農村の有する多面的機能、快適な空間や農業体験を生かした都市と農村の交流を図る中で、農業さらには我が町、我が村の価値を再発見する契機ともなります、まちむら交流ふるさとづくり事業などに取り組んでいます。また、16年度からは、中山間地域におけます農業を通じた地域の方々が主体となった取り組みを支援いたしますため、中山間農業活性化事業を新しく設けることといたしておりますので、こうした事業の実施に当たりましては、議員御指摘の農の福祉力の視点も大切にしてまいりたいと思います。 次に、園芸セラピーガイドブックでの提言についてお尋ねがございました。園芸セラピー、いわゆる園芸療法は、植物にさわったり、においをかいだりという植物にさわる活動をすることで、人間の心身の機能回復を図ろうとするものと認識しています。こうした園芸セラピーの考え方は、高齢化が進む本県にとりまして、高齢者が農業生産活動にでき得る範囲で日常的にかかわりを持つことは、高齢者福祉の推進にとっても重要であると考えております。 お話のとおり、園芸セラピーガイドブックでは、園芸セラピーの取り組みの姿といたしまして、園芸セラピーに関心のある人のネットワークによる、県全体をフィールドとした園芸セラピーなどが示されておりますが、同ブックでも述べられておりますように、現状から考えまして、まず、関心のある方々のネットワークの構築、福祉施設と周辺住民との地域連携など、地域での盛り上がりや人材の育成に取り組んでいくことが大事ではないかと考えております。したがいまして、部といたしましては、中山間地域での高齢者を初め地域の方々によります持続的な農業生産活動を支えます地産地消活動を進めますほか、地域政策や地域福祉政策の推進に、農業を担う部として協力をしてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆29番(池脇純一君) それぞれに御答弁いただきました。ありがとうございました。 知事にお伺いいたしますが、条例制定につきまして知事の御答弁をお聞きいたしましたが、おっしゃることはごもっともだと思います。ただ、今回のこども条例ですが、その対象が、これは県というよりも、むしろ市町村の条例に適しているのではないかという視点を含んでの僕の質問でありましたけれども、特に教育長も、このこども条例は理念とその方向性を示したんだということを御答弁されました。こういう基本理念とか基本方針を示すということを、条例形式で余りやり過ぎているんじゃないかという法学者の指摘があるわけでございます。その点についての御見解を再度、知事にお聞きしておきたいと思います。 それから、防犯ブザーのこと。これは教育長から大変前向きな御答弁をいただきましてありがとうございました。ただ、財政の問題等があるということで、ちょっと知事に振って申しわけないんですが、杉並区の例はさきに示しましたが、杉並区は4万個を入札で購入しております。1個当たり230円で購入して対応したわけでございます。本県は大体6万2,000人ぐらいの対象児童がおるわけでありまして、500円で1個を購入しましても3,100万円、これを230円で県が購入いたしますと1,426万円、さらに1年生から3年生までとりあえず渡そうという仮定をすれば230万円で対応できるわけでございます。 こういう少額で小学校の低学年の子供たちの安全が確保できるわけでございますので、そう思いますとやはり、財政的には困難であるかと思いますけれども、これはそれほど頭を抱える問題ではないと思います。予算が厳しいということはよくわかりますけれども、とりあえず一歩踏み込んだ形で早く対応してあげるということが大切ではないかと思います。県でこれをやるということになりましたら、これ全国初になるわけですので、ちょっと知事に御所見をお聞きしたいと思います。 条例の制定にまた戻りますけれども、総務委員会で勉強会が何回か持たれたわけですが、その際こども課の方からは、この条例案は住民の代表の人たちがつくったものなのでつくった委員の皆さんに説明してもらいますと、こういう立場で勉強会が持たれております。この条例につきましては、住民が発案した条例ではないかということがそういうことからもうかがえるわけです。これは住民の発案の条例というふうに考えたならば、やはり地方自治法第74条の問題が出てくると思います。これは、その代表者から地方公共団体の長に対し条例の制定の請求をすることができるわけでございますので、そのあたりの問題との関連はどうかということもあわせてお聞きしておきたいと思います。 住民からいろんな意見を聞くパブリックコメントは大変重要でございますから、そういうことであれば、これは住民の皆さんの意見を十分条例に反映して、そして執行部が責任を持って発案をすると。そういう内容になっておれば、さきの総務委員会の勉強会なんかもそういう趣旨で開かれるべきであろうと思いますし、もともとの発案者の住民の方に説明をしてもらうというような勉強会にはならなかったのではないかと思うんです。だから、このあたりのところが非常に不明瞭であるわけです。このあたりのところも教えていただきたい、明確にしていただきたいと思うわけでございます。 それから、このもともとの試案をつくった委員会の主要メンバーが、試案ができてから検討委員会に試案が渡されるわけですけれども、その新たな検討委員会の正・副委員長をしているわけです、試案をつくった主要メンバーが。ということは、やっぱりこれは住民の発議による、そういう条例に当たるんではないかなと思うわけで、そういう観点からこの地方自治法第74条に抵触するのかなと、こう思いますので、そのあたりをお聞きしたいと思います。 第2問、以上です。 ◎知事(橋本大二郎君) 池脇議員の再質問にお答えをいたします。 まず、こども条例に関して、もう一度条例のあり方についての御質問がございました。基本理念を条例として位置づけるということは、決して否定をされていることではないと思いますし、今、世の中の傾向を見ましても、公害対策基本法から男女共同参画社会基本法等々、法律でも基本法という形で国としての方向性を位置づけていくという流れがあろうと思います。この流れを受ければ、地方分権の中で、地方、特に県としての一つの考え方というものを、基本法と同じような意味で条例という形で位置づけて、その理念を表明していくということは、決して否定をされるべきものではないと私は思います。 そもそも、このこども条例ということを最初に県民の皆さんに御提案したときに、「子供は自由に伸び伸びと育つべきであって、それを県がこうあるべきだとか、こうしてはいけないというような網をかぶせる、規制をかけるということがおかしいんではないか」というような御批判を県民の方からいただきました。そうした御批判をくださった方自身がまさに、従来からのというのは別に悪い意味で申し上げるのではありませんけれども、これまでの狭い条例というとらえ方、枠組みをされていたのではないかと思います。 また、私自身も条例というものにやや狭い意識、枠組みの意識を持っておりましたから、そういえばそうだなということをその方の御指摘を受けたときに思いましたが、振り返って考えてみますと、今、高知県内で子供たちの置かれている環境がいいかといえば、決してよくありませんし、ますますその環境は悪くなってきています。また、それを県としてどのようにやはり保障していくか、よりよい環境を保障していくか、またその中で元気で健やかに育つ子供たちをふやしていくかということは、大切な課題であろうということを思いました。 そんな意味で、規制だとか権利義務だとかいうことではなく、今この高知県内で子供たちが置かれている環境というものを、それぞれの地域、それぞれの立場の方々が考え、そして発想をしていただいて、それに対してどのようなことをしていけばいいだろうか、どういう保障をしていけばいいだろうか、そんなことをぜひ条例という形にまとめられないだろうかという投げかけをして始まったのが、この条例づくりでございます。 ですから、私への御質問ではないので少し越権になりますが、第1問で私への質問でない質問も第2問で参りましたので、かわりにと言ってはいけませんけれどもお答えをさしていただきますが、住民発議の条例ではこれはございません。そのような意味で、県としてこども条例というものをつくりたいという意思を表明しそのことをお話し合いする中で、それならば多くの県民の皆さん方が加わってその条例の内容をつくっていこうじゃないかということで始まりましたのが、このこども条例づくりでございます。それから2年の歳月をかけて、思想とか信条ということにかかわらずさまざまな立場の方が、子供さんから大人までを含めていろんな御議論をいただき、また御意見をいただいてつくり上げてまいりました。正確な人数ではございませんが、延べ人数としては多分何千という方々がこの条例づくりにかかわってくださっていると思います。その意味では、特定のいろんな個人の方々がかかわってつくられたという住民発議の条例では全くございません。 確かに、条例というものの考え方は、一番最初の御質問にもございましたように、従来の法学者の考え方から見れば、権利義務にかかわることになるべく限定をしていくべきだというものであったと思います。しかし、地方分権という流れ、その中でまた新しい地方自治をつくっていこうという大きな今変化が起きていると思います。地方は、執行部と議会だけではなくて、多くの住民の方々と一緒にそれをつくっていかなければいけない、自治をつくっていかなければいけないと私は思います。そんな意味で、執行部が責任を持って提案をしていくということはもちろんでございますが、執行部が一方的につくった条例でもなく、また議会の提案でもなく、住民の皆さん方と一緒につくり上げていくという条例の形があってもいいのではないか。その意味では、まさに全国で初めての大きな試みであったと思います。 また、その中で、子供たちの環境を守っていこうという面で、いろいろと池脇議員から見て足りない文章だとか、わかりにくい文章があろうかと思います。けれども、そこはやはりそうやって県民の皆さんが一緒になって取り組んできたという思いを、ぜひ酌み取っていただきたいということを思います。私は、まさにこの条例は新しい地方分権の流れの中での自治の形を示す一つのモデルケースだと思いますので、そういう視点でもう一度、ぜひ条例の文章をお読みいただきたいと思います。 次に、防犯ブザーのことでございますけれども、確かに大変厳しい財政状況でございます。これは、県だけではなくて市町村も大変厳しい財政状況にございます。少し話が外れますけれども、さまざまな総合補助金なども、なかなか市町村の財政が厳しいために、市町村負担がかなわずに使いこなせないというような事例も出てきております。ですから、先ほど教育長からも御答弁をいたしましたように、せっかく実施をしていくのであればやはり、市町村がどう考えられるかということも、きちんとお話をしていかなければいけないということを思います。 また、このようなことを言うとしかられるかもしれませんけれども、例えばまとめ買いをして、先ほどの御質問にありましたように230円になるというのであれば、それぐらいの安い金額を親御さんに一定負担をしていただくということも考えていいことではないかと思います。やはり、自分の親が負担をしてくれて、自分のことを心配してくれたんだなというふうに子供さんが思うということも、一つの教育効果ではないかということを思います。別に県としての財政支出を否定して申し上げているのではありません。県としてのかかわりとして、まとめて県全体で購入をしていく、そのことによって大幅な値下げをして、その負担の割合をまた別個で考えていくというような県のかかわりとか、さまざまなこのかかわりの仕方があろうと思います。財政支出を決して否定するわけではございませんし、またよりよい私は御提案だと思いますので前向きに考えてみたいと思いますけれども、その財政の支援のあり方、また財政以外の支援のあり方をどうすべきかということは、これから教育長も含め、また市町村も含めて十分議論をしてから、また御報告をしたいと思います。 以上でございます。 ◆29番(池脇純一君) 防犯ブザーの件につきましては、ぜひ。私が例示を挙げたのは杉並区、これは貸与でありましたから、そういうのを前提にしての数式、計算で述べました。補助制度というのも当然検討の対象になりますので、それも含めて前向きにぜひ取り組んでいただきたいと強く要望をしておきたいと思います。 それから、やはり、知事のお話を聞いていましても、分権社会になるということでありますから、なおさら地域での自治体の条例づくりというものをきちっとしていかなくちゃいけないと思うわけでございます。知事のおっしゃることもよくわかります。ただ、原則論から余り外さないという部分も大切ではないかなと思うんです。条例というのはやはり、基本では住民の権利義務にかかわる部分になるだけ絞っていった方がいいと。こういう憲章的な内容のものであれば、これを県が出すというのであれば、やはり憲章なり、あるいは宣言なりで、議会を通して知事はそういうのはすぐ出せるわけでございますので。 そうすることによって地方では、それぞれに地域の特性があるわけでございますから、各市町村なりで具体的な内容に踏み込んだこども条例案がつくられてくると思うわけでございます。ですから、その上にかぶせるような形で条例化という形でつくるということについてどうかという思いで私は御質問をさしていただいたわけで、そのあたりのところはどうも知事と見解が違うかなと。 ましてや、分権になってきますので、そうなってきますと、ますます県のポジションというものがある意味では不明瞭になってくる、そういう時代、市町村にすべて、ある意味で大きな権限が移っていくわけでございます。市町村合併が進めば進むほどそういう傾向になるわけでございますので、その意味からするとやはり、今回のこのこども条例のようなことは、条例でなくても十分、県でできるのではないかと。こういうことでありますので、その点についてはどうも知事と御見解が違うようなので、これをまた御答弁求めてもちょっと厳しいかなと思いますので、その趣旨はお伝えをしておきたい、指摘をしておきたいと思います。 3問目でちょっと恐縮でございますけれども、教育長、児童館の連携につきましては、愛媛県なんかは県立の大きな児童館を持っているわけでございまして、それでネットワークができて、児童の遊び、健全な情操を高めるための本来の機能を十分果たしているわけです。また、生涯学習センターというのも愛媛県はしっかりつくって、その機能を果たしてやっていらっしゃると。高知県はこうしたものがほとんどないわけでございまして、いわゆるサポート機関としての機能が大変弱いわけでございます。ですから、箱物を建てろとは僕は言いませんけれども、せめてその機能についてはしっかり何らかの形で考えてやっていくということが大事じゃないかと思います。 同じ日本国民でありながら、県によってそういうサービスが違うということでありますから、みんな愛媛の方に遊びに行ってしまうわけでございますので、やはり高知県として遊び場の提供もしっかりしてやらないかんということでありますから。 また、児童館はほとんどが隣保館に、高知県の場合はひっついて、併設されているわけです。だから、限られた地域に置かれているという、こういう状況でもございますので、やっぱりこういうことでは十分な県民全体の児童に対するサービスが難しいだろうと思いますので、こうした部分も開けていくと。大いに、場所はどこであれ機能を高めて広めていくということをぜひ今後とも考えて対応していただきたいと思いますので、最後に答弁をお聞きしまして、私のすべての質問を終わりたいと思います。 ◎教育長(大崎博澄君) 再質問にお答えをいたします。 児童館の連携あるいは活性化ということについての私たちの問題意識が十分であったかということを、まず反省しなければならないというふうに思っております。これまでも職員研修等は県の主催でやっておりますので、そういう機会も含めてネットワークづくりとかいったことに、これから本腰を入れて取り組みたいと思っております。 それからNPO生涯学習センターも発足を予定しておりますので、こういったところにも協力を求めていくということも考えていきたい。今後、児童館の活性化に向けた対応策を進めていきたいというふうに考えております。 ○副議長(岡崎俊一君) 暫時休憩いたします。   午後2時43分休憩---------------------------------------   午後3時1分再開 ○議長(溝渕健夫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 議案に対する質疑並びに一般質問を続行いたします。 18番植田壮一郎君。   (18番植田壮一郎君登壇) ◆18番(植田壮一郎君) 県政新風会を代表しまして、質問をさせていただきます。 私たちは、昨年の知事選挙以来小さな会派になりまして、県議の皆さんや執行部の皆さん、また報道関係の皆さん方には新たな形でお世話になっておりますことを改めて感謝申し上げますとともに、どうぞ今後ともお引き立て賜りますよう、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。 さて、この間、多くの県民の皆さんから激励と支援の声をちょうだいしておりますが、このことは橋本県政への激励と支援の声でもあり、不況対策や失業問題、産業振興や教育改革など県民に希望の持てる県政に力強く取り組んでいただきたいとの願いであります。知事には、こうした県民の声にこたえるためにも、指摘されます問題への対応なども含め、県民にわかりやすい姿勢をもって全力で頑張っていただきたいと思います。 初めに、何点か知事の政治姿勢についてお伺いさせていただきます。まず、県知事12年間の総括として、やり残してきた一番大きな反省点は何か。また、4期目の任期中にこれだけはなし遂げるといった一番の目標は何か。 新たな任期において、知事のやろうとする思いが県民に理解されていない。「知事に任いちょったら、何かやってくれるろう」との県民も少なくないと思いますが、それでは住民力は期待できません。知事が強調される住民力を引き出す力は県庁と市町村の連携にあると思うが、どうか。 市町村は今、三位一体改革や合併問題など手狭となり、新たな取り組みや提案を受け入れる余裕がないのが実態ではないか。そうした市町村とどのように連携を持つか。知事が幾ら住民を動かしても、市町村が壁になってしまう心配はないか。また、住民の知恵や力を当てにする行政と住民の力を生かした地域づくりとは全く別なものですが、ややもすると当てにした行政に発展していくことも心配されます。 行政の役割、県民の役割をいま一度明確にされ、県民が希望の持てる県政の方向を示していただきたいと思いますが、住民力についての御所見とあわせお伺いいたします。 また、三位一体改革のもとで、県財政はもとより市町村財政も未曾有の厳しい環境に立たされていますが、県民生活に直結する問題だけに、市町村はもとより県執行部と県議会が一丸となってその対策に取り組まないと、県政の展望は開けないと心配するものですが、4期目のスタートとして新年度にかける思いと県議会との連携について、知事の御所見をお伺いします。 また、知事は、庁内はもとより県民に向けても積極的な意識改革に取り組んでこられましたが、構造改革や三位一体改革、また市町村合併など大きな転換期を迎え、その方向性が不透明となっていないか。推進される意識改革の方向性を一層鮮明にし、県民にわかりやすい知事のリーダーシップが求められますが、新たな時代を切り開くに当たり知事の意識改革についての御所見をお伺いします。 また、地方分権は自立が目的であり、さらに厳しい財政環境を考えますと、16年度の取り組みにおいても17年度に向けた財源づくり対策が重要な課題となり、さらに事業の緊縮、削減対策が各部局によって発令されるのではないかと心配されます。税収の期待できる事業への支援強化や滞納整理対策の強化など、不景気を乗り切るためにも、緊縮、削減対策よりも改善や投資に力点を置いた対策で行財政改革に取り組む県政を求めるものですが、知事の御所見をお伺いします。 また、地方の自立した財政運営が可能なシステムづくりにどう取り組むかが大きな課題でありますが、その具体的な取り組みについてお伺いをしておきます。 次に、デポジット制度の取り組みについてお伺いします。以前、スウェーデンでの取り組みを視察しましたが、その効率性とショッピングセンターに設置された施設が余りにも簡易なもので驚かされた記憶があります。先般、環境立国シンポで来高された國友環境調和産業推進室長にデポジットの取り組みをお伺いし、法制化に向けた機運の高まりやその必要性をお話しますと、機会を見て検討してみますといったお返事をいただきました。 まだまだ一歩が出ていない課題のようですが、まさしく環境立国宣言の目玉になる事業ではないかと考えますが、知事はこうした機会に国へ法制化を求めていくお考えはないか。また、モデルとして領域を定めて取り組むなど、国へのアピール事業に取り組めないか。四国知事会でも四国エリアでの取り組みなど議論されているようですが、その背景やデポジット制度についての知事の御所見をお伺いします。 次に、カツオ一本釣り漁業振興対策についてであります。カツオの一本釣り漁業は、高知として特に守らなければならない産業であることは間違いのないことですが、その事業主体の賛同も得られないままに県補助金分の2億円を計上し、事業主体予定の県漁連は会長が辞職するといった異常な事態となっています。事業主体が土佐鰹漁協の経過や時代背景などから慎重な対応にならざるを得ないのは当たり前のことで、理解の得られるような十分な議論と対策をもって取り組むのが当然だと思うが、なぜこの当初予算にこだわるのか。 このような不透明な行政こそ、知事が改革しようとしてきたことではなかったのか。県漁連会長の辞職の背景や事業主体の賛同も得られない事業の予算化について、その責任説明とこの事業に取り組まれる知事の真意をお伺いします。 また、この機に、あわせて事業の全体計画もお伺いしておきたいと思います。 次に、防災と南海地震対策についてお伺いいたします。中央防災会議における小泉総理の防災協働社会の提唱により、大規模災害への備えが官民の壁を超えて、地域や社会の防災力を高める機運となっています。災害に強い県の実現は、民間の知恵と力の活用が重要となりますが、昨年4月には企業と防災に関する検討会議のまとめが報告され、また7月には日本経団連においても、災害に強い社会の構築に向けてと題する提言を行うなど、防災協働社会の実現への取り組みが急ピッチで進められています。 企業との防災連携対策など本県における防災協働社会への取り組みについて、その基本的方針を知事にお伺いいたします。 また、自助、互助、協働を原則として、社会のさまざまな場で減災と社会の防災力向上のための活動が期待される防災士の認定が行われていますが、知事の言われる防災に強い高知県を築くためにもそうした人材の育成は重要な課題ですが、全国の状況と知事の取り組み姿勢をお伺いします。 さて、地震対策に真っ向から取り組んでおられます高知大学の岡村眞先生は、阪神・淡路大震災と現在の生活環境に大きな変化がないことから、学ぶことが大変多く、同じことがまた起こると指摘されています。地震直後、現場に立たれた岡村先生の地震対策論には、お話を聞くたびに地震への備えの重要性を痛感させられますが、県民への地震対策の意識を高めるためにも、そうした説得力のある内容や取り組みを積極的に活用すべきだと考えます。 新年度にはパンフレットを県下全戸に配布する予算が計上されていますが、パンフレットの内容と、いかにパンフレットが県民に活用されるか、その対策もあわせて行うことが事業効果を高めることは申すまでありません。多くの県民に地震到来の近さや、その備えの重要性を言っても、「いつ来るやらわからんもんを相手に、どうすりゃあや」との認識や姿勢が少なくありません。地震に対する備えの重要性など、基本的な視点から地震対策を見直すことが大事だと考えますが、その対策についてどう取り組まれるか。 私は、パンフレット配布にあわせて、地震対策メッセンジャーの育成が大事であると考えます。説得力をもって重要な地震対策を語れる人材を消防団員や自主防災組織へ位置づけるなど、市町村や関係団体との連携を持ってメッセンジャー育成への取り組みが必要だと思うが、危機管理担当理事にお伺いします。 また、自主防災組織への取り組みも活発になっていますが、他県と対比してみますと、平成15年で全国平均の組織率が61.3%に対し、本県は23%。四国4県を見ましても、愛媛県が21.9%とおくれているものの、徳島44.4%、香川48.4%と、ほぼ50%の勢いであります。新年度もその支援に取り組まれますが、県下でおくれている原因の把握とその対策になっているか。防災組織の活動状況などその支援対策への姿勢と、何年を目標に自主防災組織を県下全域に立ち上げる計画か、その方針を明確にしていただきたい。 一方、阪神大震災でも、家に閉じこめられた約2万人への救済状況は、自衛隊が165人、消防団員が819人、あとは地域住民の救済力であり、震災時における遠方からの援助には期待できないのが実態だと指摘されています。特に、震災体験者のアンケート調査から、自分自身の安全が確保できると、まずは子供の安全を、子供の次に両親や家族の安全、その次には隣の安否に気持ちが動くとのことが明確になっており、御近所のおつき合いの重要性も説かれております。しかも、自宅でいるときに起こる割合が一番高く、中でも寝室が高いことになると指摘され、個人がすぐにでも取り組める安全対策も少なくありません。しかし、各自の安全対策だからと本人の自覚に任すと、多くの県民は対処しないとの指摘もあります。 1人の安全が確保できると何人かを救済できる力になることを考えますと、何らかの対策を講じるべきであると考えます。津波対策への避難訓練を重ねられても、地震がとまったときに活動できる状況にあるかどうか。その備えができていて初めて津波から逃げられる可能性が得られるのであって、まずは備えへの自覚と認識を周知させることが課題。どうするのか、どうしたらいいのかといった関心のある県民は優等生で、多くの県民はその認識さえ希薄であると指摘されています。一人一人が災害で命を落とさない、けがをしない備えをすることであり、自分自身でできることでありますが、そのことを県民にどう認識させるかが重要な課題となっています。 そうした最も基礎的な取り組みをどう徹底させるのか、理事の姿勢をお伺いします。 また、ことし1月に大阪、東京の密集市街地で、現行の耐震基準を満たさない木造住宅に暮らす300世帯からの聞き取り調査がされていますが、耐震補強はしないとの回答が94%となっています。その理由は、被災したら仕方がない39%、資金がない33%、工事の効果がわからない23%などであり、被災したら仕方ない39%には高齢化がその要因にあると分析されています。 その阻害要因は多岐にわたり、耐震工事への助成策だけでは決め手にならないとの指摘もされていますが、県下における耐震補強への意識調査やその対策についてどのような姿勢にあるのか、理事にお伺いします。 また、個々の住宅の耐震調査とその対策への支援についてでありますが、調査でも明らかになっているように、耐震対策に取り組もうとする県民の割合は少数であるかもしれません。大阪市では、昨年工事費の15%を助成する制度を創設されたが、過半数が利用しないとの調査結果も出ています。こうした状況では、阪神・淡路大震災の二の舞が心配されます。公平の原理が問われるとの指摘も受けますが、耐震対策に取り組もうとする県民を先行して支援対策を行い、一軒でも崩壊しない家屋を多くしていくことが被害を減少させられる対策となり、また、一人でも多くの救済支援のできる人材の確保といったことにもつなげられます。 よって、支援する県民には、震災時に避難所としての利活用や、救援隊として活動いただけるような指導やルールを定めるなど、耐震工事に取り組める県民を先行した整備も必要であると考えますが、知事に御所見をお伺いいたします。 次に、産業振興対策についてお伺いします。産業振興に関して、地元企業の代表者から多く耳にしますことは、「地場の産業を知らないから新しいものばかりに向いている。ハイテク産業に押され、地場のよいものが捨てられている。ハイテク産業は全国で取り組まれているが、他県と同じことをやっても勝てない」といった意見です。少々極端にも聞こえますが、オンリーワンの育成に地場産業、地場企業との連携が重要なことは申すまでもありません。地域でこつこつ頑張る企業の底支えが県工業界の見えざる力だと思いますが、特に住民力で地域づくりを強調される橋本県政にあっては一層重要な課題であると考えます。 橋本県政において、2次産業の振興こそ高知県を全国レベルに持ち上げる重要な政策と、本県の産業振興の重点に製造業を位置づけ、新たな産業振興や企業誘致に重きを置き取り組まれ、その成果は評価されるものも少なくありません。しかし、ここに来て地元企業からの外に厚く地元が薄くなっているとの指摘には反省すべき課題もあり、どうこたえていくかが重要なポイントでもあります。前段、知事の1次産業振興への姿勢が答弁されましたが、特に本県は農林水産業を基幹産業として全国に名を残してきた1次産業立県でもあり、そうした1次産品を2次・3次産業にどのように結んでいくか、そのコーディネーター役を明確にされ取り組むことができれば、高知県のすぐれた技術や資源が一層生かされる新たな産業おこしになると考えます。 そのコーディネーター役を産業振興センターに担っていただき、1次産業と2次・3次産業の連携に取り組む部署を定めて専門職として取り組めるような組織づくりを提案するものですが、商工労働部長にその取り組みについてお伺いします。 4つの県政の重要課題にある産業の育成については、商工労働部においてのみ重点化予算の枠を設けられていますが、1次、2次、3次それぞれの産業振興とその連携に一層重点を置いた産業の育成、特に1次産業との連携に重点を置いた支援対策の強化が求められていると考えますが、知事の御所見をお伺いします。 一方、工業技術センターの採用資格に修士を必要としていますが、その一方で、3カ年程度の民間企業での経験を採用資格にして、現場の要望にこたえられる生きた技術を持つ職員を配置していただきたいとの要望があります。高度な技術やその研究の重要さは理解できるが、地場産業の立場になって支援いただける工技センターの体制強化が課題になっていると考えますが、理事に御所見をお伺いします。 特に、工技センターの長について、地元の生え抜きを希望する声も少なくありません。中央からの優秀な人材にあわせて、そうした意見にこたえられるようなセンターの体制づくりも求められますが、あわせお伺いします。 地元企業の生の声には、地場産業の振興策への提案と、経営者としての厳しい環境が感じられますが、いずれをとっても行政側の情報収集不足と情報提供不足が一つの原因になっているように思います。まずは現場に足を入れることであり、現場の話を聞くことが徹底できれば、指摘を受ける物事への改善対策は見出せる課題であります。工技センターでは、巡回技術指導制度が平成6年まで実施されていましたが、企業巡回を行いながら企業の抱える問題点を吸収し試験研究テーマとして取り組むなど、工技センターと地場企業の連携が厚く、信頼関係も強かったと関係者から伺います。 国の補助制度の廃止に伴う見直しとのことですが、現場からの声に応じる対策として、また本県きっすいの技術や魅力ある地場産品の掘り起こしとその支援などを目的に、産振センターと連携をするなど巡回技術指導制度の復活に取り組めないか、理事にお伺いします。 また、海洋深層水研究所については、全国で初めて深層水取水が始められて、この5月で16年となります。日本一早く取水された深層水取水管は、日本一古い取水管となっています。バブル崩壊後に新たな産業として注目をされ、100億円産業にまで成長した深層水事業ですが、そのリスクは1本の深層水取水管がすべての商品の安全性と信頼を担っているということです。 昨年の水銀問題を教訓とされ、その安全対策も強化されたところでありますが、深層水取水管のメンテナンスや水槽タンクの不純物除去など、その安全対策と今後の管理体制について理事にお伺いします。 次に、シックハウス症候群対策への取り組みと県産材の消費拡大についてお伺いします。先月、NPO法人シックハウスを考える会理事長の上原裕之さんにお会いいたしました。目的は県産材の需要拡大に向けた情報収集と協力要請でしたが、シックハウス症候群の大変さを思い知らされた訪問となりました。上原理事長は歯科医ですが、1993年(平成5年)に新築された診療所に入所したとき目の刺激症状や集中力の低下など原因不明の症状を体験され、病院ではその原因がつかめず、国への問い合わせで合板から出るホルムアルデヒドと原因を知ったそうです。測定すると0.49ppmと、当時のJASの指針値である工場などに決められた許容濃度に匹敵する数値が測定されたとのことです。 当時は、国にも全く相手にしてもらえず、自分自身で解決するしかない環境下にあったようですが、1979年デンマークにおいて同じような症状の発生をもってシックビルディング症候群と呼ばれ、その対策に取り組まれていたことを学び、一方では、1980年に米国でも患者が多発して社会問題になるなど国際的な問題となり、その後の1983年にはWHOによりシックビルディング症候群として定義されています。上原理事長は、住宅から同じような症状を訴える人たちが多かったことから住宅健康問題としてとらえ、1994年(平成6年)にシックハウス症候群という言葉を提唱。実質上のシックハウス症候群の名づけ親であり、シックハウス研究の第一人者として活躍している方です。 ちなみに、我が国がシックハウス症候群の対策に乗り出したのは1996年(平成8年)であり、上原理事長らの取り組みが国を動かす大きな原動力になったことは申すまでもありません。その後、平成12年4月には国においてシックハウス対策関係省庁連絡会議も設置され、その対策への取り組みが強化されました。一方、上原理事長においては昨年6月に、シックハウス対策に取り組む医学界、住宅業界、建材業界、建築業界などの業種を超えた専門家によって、安全な建材のデータベースの構築やシックハウス現場調査資格者の育成などを目的に住環境医学研究会を設立され、その会長にも就任されるなど、みずからの体験を生かした強い発言力と積極的な行動力をもってシックハウス対策に広く取り組まれています。 さて、本県におけますシックハウス対策については、平成14年6月に健康福祉部を事務局として庁内関係機関をメンバーにシックハウス対策会議を立ち上げ、その取り組みを推進されていますが、会議での協議内容や、その協議に基づく対策として実施された事業があれば御紹介いただきたい。また、今後の課題や取り組む基本的方針を健康福祉部長にお伺いします。 また、各県下におけるシックハウス関係の調査が行われていますが、県下5保健所での調査結果を見ると、平成14年の相談件数は12件、測定件数が延べ件数で21件、講習会など啓発活動への参加者数は合計164名となっております。また、15年度は相談件数6件、測定延べ件数15件、啓発活動は高幡保健所で実施されただけで75人となっています。このように相談件数が少ないと、余り大きな問題がないのではとのとらえ方もできますが、シックハウス症候群は個人差によってもその影響が異なりますし、TVOC-総揮発性有機化合物の危険性やシックハウスの情報不足が声を潜めているとの指摘もあります。 講習会の取り組みなど啓発活動も少な過ぎると思うのですが、健康福祉部長に過去2カ年の総括と今後の取り組みをお伺いします。 一方、県営住宅について土木部長にお伺いしますが、シックハウス調査の第1号となりました船岡団地の建てかえに伴う化学物質濃度測定結果について、トルエン濃度が高く住宅への入居許可を延期してその改善に対処されたと聞いていますが、どのような状況だったのか。その原因や、今後新たに建築される住宅への対策などどのように取り組まれるのか、お伺いします。 厚労省は、13種類の化学物質について室内濃度の指針値を設け、この値を超すと健康に悪影響を及ぼすおそれがあると言われていますが、建築基準法で規制されているのはホルムアルデヒドとクロルピリホスの2つだけです。さらに、13物質以外にもシックハウスを引き起こすおそれのある化学物質は幾つも野放しにされ、指針値のないTVOCの被害も心配されます。しかも、国のガイドラインは健康な成人を対象にしており、環境に敏感な子供たちやアレルギー疾患患者などはさらに低い基準値でも影響を受けると報告されています。 改正建築基準法には換気対策の基準が位置づけされていますが、技術的に検証された有効な換気方法が指導されているかどうか、また一般住宅への対策として住宅性能表示制度や建材の等級制度も設けられていますが、啓蒙・啓発への取り組みはどうか。 シックハウス症候群への問題意識が低いと指摘されていますが、土木部長はどのように受けとめているか。シックハウス問題への御認識と今後の取り組みについてお伺いいたします。 企画建設委員会等における課長答弁では、「トルエンの指針値は0.07ppmとなっているが、一般労働環境などですと、非常に高い値の条件下にある」、また、「測定は閉め切った状況で行うので、普通の生活は換気をしていれば安全である」等の発言もあっておりますが、シックハウス症候群への問題意識が低過ぎると言わざるを得ない。県民生活の安全を守る県庁こそ、より厳しい管理体制で指導に当たられるよう指摘しておきます。 上原理事長は、「高度成長期に許された健康、環境よりも産業育成のプライオリティーの高さを、いつの間にか当然と認識される方が産業界の一部に、また、問題が表面に出なければ触れるべきでないという一部の行政関係者が抜本的な解決を阻害しているように思う」と指摘されています。まさしく県の動きも、表面に出ない問題には触れようとしない、そんな体質の中にシックハウスの問題が置かれてはいないかと心配するものです。 次に、教育長に、学校における化学物質の室内濃度検査についてお伺いします。県下の全公立学校459校のうち、調査されたのは小学校1、中学校3、高校3、盲・聾・養護学校5校の合計12校で、この12校のうちホルムアルデヒドが基準値を超えた学校が3校あります。調査された学校数からすると、基準値を超えた学校の比率は高いと思いますが、もっと多くの学校の調査が必要ではないか。また、基準値を超えた学校の改善対策や学校現場における今後のシックハウス対策にどのように取り組まれるか、お伺いします。 また、保育所における調査についてでありますが、大阪府湊保育園でのシックハウス問題は「クローズアップ現代」にまで取り上げられましたが、指針値の18倍ものシックハウス環境に園児の健康障害が多発し、大きな問題となりました。一同にたくさんの子供たちに障害が発生しますと、園や学校の問題として表面化し、その対策が講じられますが、少人数の子供たちの叫びは個々の生活上の障害や病気として片づけられることも多いようです。 訴える力の弱い子供たちなど弱者への配慮あるシックハウス対策への取り組みを強く求めるものですが、保育所におけるシックハウス対策への取り組みについて教育長にお伺いします。 さて、森林局長にお伺いをしますが、シックハウス症候群における認識は、国民はもとより行政においてもまだまだ低いようにうかがえます。しかし、都市部における公共施設はもとより、事務所や一般住宅へのシックハウス症候群対策はますます重要な社会問題としてクローズアップされる課題となっており、国交省でも改正建築基準法に対応した木造住宅のシックハウス対策マニュアルが作成されましたが、森林局でシックハウス対策として取り組まれている事業や実績がありましたらお伺いします。 県内におけるシックハウスの相談件数や問題発生件数が少ないことから、その商品開発や県産材の消費拡大対策への取り組みはこれからだと考えますが、都市における住宅や学校など、シックハウス問題は子供たちの命や健康に関する重要な社会問題として取り組まれていることは御案内のとおりです。大阪府四條畷市では公共施設建築に係るシックハウス対策指針を定めておりますが、その目的は、市の発注する建築工事において、より高い安全性を確保し、シックハウス症候群の発生を防止することを目的とした指針です。また、その指針には使用建材の選定が位置づけられ、建築工事に使用する建材等のうち室内空気汚染に影響を与えるおそれのある建材等については、温度35度、湿度50%の環境下で揮発性有機化合物放散速度データを用いて測定した濃度が厚生労働省が定める13物質の個別物質濃度の指針値以下であることを基本とすると定められています。既に、指針に基づき小学校が改修されていまして、市の担当部長さんの説明も聞きましたが、NPO法人シックハウスを考える会の指導のもとに取り組まれ、学校環境衛生の基準に基づき測定検査を終了して引き渡されていました。文部科学省の基準値を大きく下回った数値に改修が行われ、しかも一番に気になるコストの問題も、従来の改修工事と同等の事業費で整備ができたとの説明を受けました。 上原理事長は、高知県産材の消費拡大に全面的に御支援くださることをお約束いただきましたが、県産材にこだわらず四国の材をまとめられるような取り組みができないかとの御提案もいただいております。こうした人材に高知県の応援団として協力をいただきながら、シックハウスに苦しむ都市部の環境改善に一役買えないかとの提案です。新年度に計上された海外木材市場調査事業においても、ぜひそうした視点での調査にも取り組んでいただきたく、要請しておきます。 シックハウス対策の主なマーケットは都市圏となりますが、まずは県内の公共施設や住宅等の調査とその対策に取り組み、シックハウス対策に高知県産材を積極的に用いて改善を図る。地産地消で県産材をアピールすることが最も信頼を高めますし、シックハウス症候群のない安心で安全な高知県をアピールすることができれば、安全な資材供給の基地として森林環境県高知の新たな林業振興対策になると考えますが、シックハウス対策への取り組みにあわせた県産材の消費拡大戦略について知事の御所見をお伺いしますとともに、まずはシックハウス安全県高知づくりに向けた取り組みの第一歩として、上原理事長を初めシックハウスを考える会の皆さんとの協議を持つことをお勧めしますが、あわせ知事の姿勢をお伺いします。 最後に、シックハウス対策の商品開発について、京都府立大学農学部により、小型チャンバー法による薫煙ミスト乾燥材がシックハウス対策の内装材として極めて有能な建材であることが立証されています。既に薫煙ミスト乾燥処理材は県内においても商品開発がされ、NPOシックハウスを考える会の認定をいただいている商品もありますが、そうした企業や地域と連携を持って集材と加工、宣伝と販売を一体化して取り組めるシステムを構築できないものか、森林局長にお伺いします。 次に、藻場造成についてお伺いします。藻場造成に向けた研究が水産試験場や大学、企業などの連携も深めながら取り組まれておりますが、海水温度の上昇や環境汚染、食害等の課題に阻まれて、藻場育成への定着した成功例を見ておりません。 16年度に初めて国による緊急磯焼け対策モデル事業が認められるなど、県の努力を評価するものですが、高知県が取り組んできた藻場造成への研究成果と国の補助制度の導入など今後の取り組みについて、産業技術担当理事と海洋局長にそれぞれお伺いします。 また、藻場育成への取り組みは漁業関係団体など現場の意識づくりが大切であることを指摘し、局長より積極的に取り組むとの答弁をいただいておりましたが、その後の取り組みと今後の姿勢をお伺いします。 新年度において藻場造成の適地を調査検討する予算が計上されていますが、藻場育成における課題は海に移植させるための海藻類の種苗生産技術の確立であり、あわせてその種苗をいかに海に造成させるかといった技術の確立です。申すまでもなく、種苗生産技術と藻場造成技術の確立ができれば、全国にその技術を提供することもできますし、県下においても被害の大きな海域から取り組むことができますが、まずはカジメやアラメ、昆布など藻場を造成させるための種の確保と苗の育成技術の確立です。県は昭和48年から人工種苗生産への研究に取り組まれていますが、実用化に向けた安定生産可能な技術の確立に至っていないのが実態です。 昨年、水産試験場においてヤシガラネットでのカジメの種苗育成実験に取り組んでいただきましたが、その結果はどうか、お伺いします。 また、高い海水温度でも成長する品種の改良も課題だと考えますが、それぞれの技術の確立や品種改良に向けた御見解とその取り組みを理事にお伺いします。 特に、周年通して種苗生産が可能となれば、藻場造成への大きな期待となりますが、海洋深層水研究所で取り組めないか、理事にお伺いします。 県下では、加領郷港における海藻類の生育実験や宇佐沖での産学研究の成果が報道されましたが、基礎的な技術の確立には行政がもっと力を入れて、積極的に取り組むべき課題であると考えます。また、中国は200海里経済水域が日本の4分の1でありながら、日本の6倍強の漁獲量があります。世界の主要な国々が漁獲量を減少させている中で、中国だけが漁獲量を大幅に増大させていることが注目され、その調査が行われていますが、中国沿岸域での昆布海中林の造成に国策として取り組んだ効果だと報告されています。その推移を見ますと、日本の海藻類の生産量が1988年の80万トンから、8年後の1996年には67万4,000トンと16%減少しているのに対し、中国は164万5,000トンから557万2,000トンと3.4倍に増大しています。同年における漁獲量を比較しますと、日本が1,185万8,000トンから741万7,000トンと37.5%の減少に対し、中国は1,035万9,000トンから3,750万トンと3.6倍に増大されており、そうした海藻類の生産増大が漁獲量への効果に結びつくことの立証となっています。 一昨年の予算委員会において、海に森をつくる運動を提案させていただきましたが、知事は初めて聞くお話とのことでした。海の森の効果は、海水動物の産卵や幼稚魚育成の場として、また魚介類のえさとなり水産資源を豊かにする一方、水質浄化や地球温暖化対策としての効果も認められるなど、循環型環境づくりへの取り組みにもなります。昨年は中村市において「海の森づくりin高知」の開催も行われるなど、今や海の森づくりは各地域で議論される問題となっています。 沿岸漁業振興対策の重要課題として藻場造成を位置づけ、海の森づくりへの取り組みとその推進強化を提案するものですが、知事の海の森づくりについての御所見をお伺いします。 次に、イルカ介在療法への取り組みについてお伺いします。室戸岬新港で昨年8月より、地元漁業関係者の御理解と住民の御協力のもと、麻布大学によりイルカ介在療法の研究に取り組んでいただいております。獣医学部動物人間関係学の太田光明教授にお世話になっているものですが、室戸は遠隔地であることがリスクだが、海水温度や清浄性、港の環境などイルカの飼育には最適地であるとのことで、既にドルフィンスクールや給餌体験など、大学院生を中心に数人の大学生やボランティア等の協力をもってその研究に取り組んでいます。大学も地元も初めてのことでしたが、昨年8月からの集客状況は1万5,000人を余り、企画性を高めて取り組めば、イルカ介在療法の基地と地域おこしの起爆剤になる事業だと考えます。 イルカ介在療法は、動物介在療法の中でも新しい取り組みで、フロリダ国際学会のベッツィ・スミス博士が1978年、健常者と精神障害者に対するイルカの対応に違いがあることを発見したことから始まったと言われています。イルカ介在療法の歴史はわずか20年余りにすぎず、その効果や成果の科学的研究には至っていないのが現状で、新たな療法の樹立に向けての挑戦でもあります。動物介在療法、活動について議論する国際的な組織の学会が3年に1回開催されていますが、2007年には日本での開催が決定され、太田教授が担当されるとのことです。しかも、太田教授はこの学会で高知のイルカ介在療法への取り組みを紹介し、関係者を現地に招致したいとの御提案をいただいております。また、イルカ介在療法の取り組みに最も急がれることは人材の育成でありますが、そうした取り組みもあわせて実施していこうとの計画です。 昨年ドルフィンセラピーを受けられた自閉症児を持つ御家族の皆さんから、多くの署名を添えて室戸岬新港でのイルカセラピーの長期的な実施を求める陳情を受けましたが、ドルフィンセラピーに参加した母親から次のような御意見をいただきました。「初めは緊張していた子供たちも、シーカヤックに乗ったりイルカと一緒に踊ったりしているうちに、えさをあげたり、最後には子供の乗ったカヤックの周りをイルカが泳ぐということまでできるようになりました。心から笑い、楽しんでいる子供たち、それを見ていた親たちも心をいやされた一日でした」との感想です。イルカ介在療法は、まだ科学的、医学的に解明されていない分野で、しかも自閉症を完治させるという療法ではありません。しかし、イルカと接することで感情を豊かにしたり、スタッフの人たちとのかかわりから人間関係をつくり、困難を乗り越える力をつけることができるのではと思います。 自閉症児を持つ家族は、周りの理解が得られず、遊びに行ったり旅行することも大変なことです。こんな家族の気持ちにもこたえられるイルカ介在療法の基地として全国に情報発信できる取り組みに発展させていくことは、本県にとっても重要なテーマではないかと考えますが、イルカ介在療法についての知事の御所見をお伺いします。 また、教育長に、自閉症や引きこもり等への支援対策の一環として、麻布大学との共同研究としてイルカ介在療法への取り組みを検討できないものか、ぜひ県下関係者の御要望にこたえていただきたいとお願いするものですが、その姿勢についてお伺いします。 また、イルカと仲間づくりをテーマとしたまちづくりに取り組み、観光客などの集客対策としてイルカとの触れ合いを楽しんでもらえることを新たな観光ポイントとした地域おこしにも取り組もうと、多面にわたる御提案を太田教授からいただき、大学長からもその協力、支援をお約束いただいておりますが、新たな海の駅、交流拠点とした環境整備について、その取り組みを海洋局長にお伺いします。 次に、管理型捕鯨についてお伺いします。昨年ベルリンで開かれた国際捕鯨委員会の年次総会において、欧米など反捕鯨国19カ国が共同提案をした決議案「ベルリン・イニシアチブ」が賛成25、反対20で採択されました。この決議は、新たな鯨類保護委員会を設立して、鯨類の保護強化にIWCの力点を移そうとするものであり、委員会には鯨類保護の行動計画の策定や保護活動の支援を目的とした基金の位置づけなどが盛り込まれ、ことしのイタリアにおける年次総会での採択を目指し取り組まれる方向です。 IWCは、1946年に締結された国際捕鯨取締条約に基づき1948年に設立されておりますが、同条約は鯨類の適当な保護を図って捕鯨産業の秩序ある発展を可能にすることを目的に掲げていることから、我が国を初め捕鯨の再開を求める国々はIWCの設立趣旨に反するとして強く反発しています。一昨年のIWC下関総会では、加盟国の分担金を各国一律の制度から支払い能力に応じて軽減する制度に改正され、捕鯨に理解を持つ国々の加盟が期待されたが1カ国ふえたにとどまり、下関総会には本県からも支援団体が参加するなど大会を盛り上げていただけに期待外れの結果となりました。昨年のベルリン総会は捕鯨国と反捕鯨国が全面対立した状態での閉幕となり、反捕鯨の勢力が強化され、捕鯨再開の一層厳しい環境が心配されています。我が国は、IWCへの分担金の支払い保留の表明や脱会を示唆するといった報道もされています。 知事は、こうしたIWCの姿勢や我が国の捕鯨再開への取り組みについてどのような御所見をお持ちか。また、土佐藩政を支えた土佐捕鯨の歴史や、南氷洋捕鯨等に活躍した多くの捕鯨船員が在する本県からも、管理型捕鯨への支援に向けて取り組んでいただきたく要望するものですが、知事の御所見をお伺いします。 特に、この5月には、県の支援もいただいて第3回日本伝統捕鯨地域サミットが開催されます。第1回の山口県、2回の長崎県に次ぐ会議ですが、サミットで採択された宣言が国際捕鯨委員会で発表され、日本の捕鯨文化に理解を示す海外メディアもふえているとの評判もあっています。また、商業捕鯨の一時停止が決まった1982年から22年が経過し鯨の数は倍増しているとの意見や、特に、鯨は1日に体重の3%のえさを必要としますが、全海域における鯨の捕食量は約2億4,000万トンから5億トンになり、世界の漁獲生産量が約9,000万トンであることからしますと、鯨は人間の3倍から6倍の魚を食べていることになります。サンマやイカ、カタクチイワシ漁業とミンククジラが競合しているとも言われており、鯨を間引かないと日本近海から約50年でサバがいなくなるとの試算もされるなど、本県の沿岸漁業振興対策としても対処されるべき課題と考えます。 昨今、ホエールウオッチングなども盛んになっておりますが、鯨でまちおこしに取り組む和歌山県太地町では、管理捕鯨とホエールウオッチングを共有させて町の振興に取り組んでおりますことは御案内のとおりです。こうした機会に、知事の管理型捕鯨に対する積極的な姿勢を期待するものですが、率直な御意見をお聞かせいただきたいと思います。 最後に、ふるさと回帰支援センターについてお伺いします。我が国は、1960年から70年代、いわゆる高度成長期に650万人もの若者を地方から東京など都市圏に集中させましたが、その結果、現在では都市と地方の人口バランスが問題となり、都市部では交通渋滞や環境汚染が進行する一方、地方では過疎化、高齢化が進み田畑や森林が荒廃するといった現象が起こっています。こうした時代を背景に、新しいライフスタイルの創造を視野に入れた、100万人を田舎に戻そうとするふるさと回帰・循環運動が開始され、昨年4月、100万人のふるさと回帰・循環運動推進・支援センターがNPO法人として立ち上げられました。 その組織構成は、作家の立松和平氏を理事長に、生産者組織や消費者組織、労働者組織や流通組織などの代表者が一堂に参加した組織で、さらには全国知事会や全国の議会議長会、全国市長会や町村会等の組織が後援団体と位置づけされています。会の運営と地方の受け皿づくりがうまく連携されると、地方への人口移動に大きく期待の持てる取り組みであると考えます。支援センターは、3年以内に47都道府県にふるさと回帰支援センターの設立を目指しており、既に全国の市町村対象に就業促進策や一時滞在事業への取り組みなどのアンケート調査も行っております。 全国では既に取り組みを開始している自治体もありますが、事業を効率的に推進するためには、市町村や関係団体との連携を持って、さまざまな要望にこたえられる体制づくりにどう取り組むか、県政のリーダーシップが大きな力になると考えますが、ふるさと回帰支援センターへの対応について知事の御所見をお伺いします。 以上で、1度目の質問を終わります。   (知事橋本大二郎君登壇) ◎知事(橋本大二郎君) 植田議員の御質問にお答えをします。 まず、知事12年の総括としてやり残してきた一番の反省点と、4期目の任期中にこれだけはなし遂げるといった一番の目標についてお尋ねがありました。私は、就任以来一貫して、お役所仕事からの脱却や県民本位の県政運営を掲げてきました。そのためには職員の意識改革が必要だと繰り返し訴えてきましたが、いまだ道半ばの状態です。ですから、このことがやり残してきた一番の反省点だと考えています。それだけに、このことをなし遂げて、県庁を徹底して県民に向き合う組織に変えていくことを、4期目の一番の目標として取り組んでいきたいと考えています。 次に、県民の皆様が希望を持てるような県政の方針と住民力についてお尋ねがありました。繰り返しになりますが、これまでのように公共的なサービスを押しなべて行政が担うといった形から、地域の皆さんの知恵や力を生かした取り組みに変えていく方が、かえってよりよいサービスにつながると思います。と同時に、自主防災や地域福祉など住民がともに支え合う仕組みをつくりますことで、地域の連帯感や活力も生まれてくると思います。こうしたことから住民力という言葉を使っていますが、そうしなければ立ち行かない時代になってきていることも事実です。 また、このことは、県であれ市町村であれ行政に共通する課題ですので、市町村の御理解も十分に得られるものと考えています。例えば、公園の管理や図書館の運営に住民やNPOなど民間の力を生かすことで、より柔軟で利用者が活用しやすい施設になりますし、公共交通の行き届かない地域でも、自治体のバスを住民が協力して運営することで、お年寄りのための交通手段を確保できるようになるといったこともあります。このように、住民力を生かすことは、本来行政が担うべき役割を県民に押しつけるものではありません。むしろ、行政として責任を負うべきことは何かといった点も含めて仕事そのものを住民の目線で見直しますことで、より住民本位のサービスに変えていこうという考え方です。このように、県民の皆様が主体となって、みずからの判断と責任のもとに県政を運営していくといった県民本位の県政を実現することこそが、県民が将来に希望を託せる県政につながる道だと考えています。 次に、新年度にかける思いと、県議会との連携についてお尋ねがありました。昨年の知事選挙では、住民力を引き出すことをテーマに4期目に取り組んでいくと申し上げました。これは、提案説明でも申し上げましたように、もともとは財政面から出てきた発想ではありませんが、新年度の予算を提案させていただくに当たって、三位一体の改革に伴います予想以上に厳しい状況に直面します中で今後とも県民の皆様の御期待にこたえていきますためには、この住民力が大切だと改めて強く感じています。また、この三位一体の改革は、地方分権の推進という大きな流れの中で出てきた課題ですので、この国のあり方を今後どうしていくのかといったことにも大きくかかわってきます。その中で、高知県のような地方の実情が軽視されがちな状況には、私も強い危機感を感じています。 こうした中では、国はもちろんのこと、競争の原理だけで物事を考えがちな経済界や、地方の実情を御存じない大都市の住民の方々に対しましても、まさに県民が一丸となって、地方の果たしている役割や、これまで進めてきた改革の取り組みを伝えていかなければならないと考えています。このためにも、お話にありましたように執行部と議会がこれまで以上に連携をすることで、高知県の将来のために必要な情報を発信していかなければいけないと考えています。 次に、新たな時代を切り開くに当たっての意識改革についてお尋ねがありました。冒頭にも申し上げましたように、県庁を徹底して県民の皆様に向き合う組織に変えていくことと、公共を支える住民力を高めていきますことは、私のこれからの県政運営の基本ですし大きな目標でもあります。また、そのためには、まず県庁自身が、みずからの役割は市町村や企業、さらには県民の皆様の自立と協働に向けた活動を支援することだという意識に転換することが必要です。 その一方で、県民の皆様の側も、公共サービスは高いコストをかけてそのすべてを行政が担っていくものだという意識を切りかえていただかなくてはなりません。その上で公共的な活動にかかわっていただければ、低いコストでも効果的なサービスが展開できますし、ひいてはそれが地域の元気や誇りにも結びついていくと思います。こうしたことを、あらゆる機会を通じて市町村を初めさまざまな企業や団体、さらには県民の皆様にもお伝えすることで、このような意識の共有を図りながら具体的な行動につなげていきたいと考えています。 続いて、今後の財政運営についてお尋ねがありました。これまで財政構造改革に着手しまして以来、バブル崩壊後の経済対策に伴います公債費の増大などへの対応に加えまして、県が取り組むべき重要課題のための財源の捻出に向けましてさまざまな取り組みを行ってきました。その中では、経常的な経費につきましても相当な縮減に取り組んできましたが、今後も事業の選択と断念を一層進めていかなければなりません。あわせまして、住民力の活用を初め健康づくりや介護の予防といった取り組みを通じて将来のコストを削減する努力も含めまして、あらゆる見直しを進めていきます。その際には、お話にもありましたように産業の育成など県民所得の向上や税収の増加につながるような分野に重点化を図っていきます。 と同時に、投資的経費に関しましても、地域の経済への影響を考慮しながら、投資の効果が高い分野に重点化を図っていく必要があります。このため、今回の予算編成からは、国への要求の前に公共事業の調整を行う仕組みを取り入れましたが、こうした取り組みをさらに進めますことで県民の皆様のニーズにこたえますよう努めていきます。 次に、自立した財政運営のシステムづくりについてお尋ねがありました。現在地方が置かれている状況を考えますと、従来の仕事のやり方では、もはや立ち行かない状況になっています。今後は、限られた資源を有効に活用しますためにも、これまでのように予算だけに頼るのではなく、人の知恵と力を生かした行政の運営が必要になっていると考えています。こうした状況について県民の皆様の御理解も得ながら、先ほど申し上げました住民力を生かした取り組みを進めていかなくてはなりません。しかし、その一方で、我が国の行財政の制度では、国が法令によって国と地方との役割分担や、地方税を含めました税の仕組みを定めています。この枠組みがなくならない限り、つまり国がこれは地方の役割だと法律で義務づけている仕事が削減をされない限り、その分を地方交付税による財源保障の機能などで維持していかなければ、高知県のように地理的にも地形的にも不利な地方では自立をした財政運営を行っていくことはできなくなります。 こうした国のあり方の問題は、本県が2年間にわたる県民の皆様との議論の成果を踏まえて導入しました森林環境税が平成16年度の予算でおよそ1億3,000万円なのに対して、県民の皆様が全く知らない間に霞ヶ関で一方的に決められた地方交付税と臨時財政対策債の縮減の影響が合わせて200億円近いといった現実が、皮肉にも明らかにしてくれていると思います。このようなことから、今後とも効率的な財政運営に努めることはもちろんですが、その一方で、こうした実態を明らかにしますことで税財政の面での地方分権が進むような三位一体の改革が行われますよう、国に対しても強く申し入れをしていきます。 続いて、デポジット制度に関してのお尋ねがありました。商品を販売しますときに預かり金を価格に上乗せした上で、容器などを返却するとその預かり金を払い戻すというのがデポジットの制度ですが、このことは廃棄物への課税やごみ処理の手数料の徴収などとともに、ごみの発生そのものを抑えるための有力な手法の一つです。このため、本年度の国の循環型社会白書にも、導入の実態や課題についての検討を実施するとの方針が掲げられています。また、現在、離島や観光地など限られた区域内では、ごみの散乱防止や商店街の活性化などを目的にローカルデポジットが実施されている例があります。ただ、こうした取り組みには、地域外から換金目当てで廃棄物が持ち込まれるといった問題のほか、預かり金の管理や払い戻しをだれがやるのかとか、そのコストをだれが負担するのかといった課題も挙げられています。 こうした中、御質問にありましたように、国に対して地方からデポジット制度の実現を働きかけるために、四国4県が一緒に取り組むことを四国知事会議で話し合っています。現在、香川県が先行して、高松市の田町商店街で回収奨励金方式のモデル的な事業を実施していますので、その成果や課題を参考にしながら、県内でも地域限定のデポジット制度の可能性を検討していきます。ただ、デポジット制度を全国的な制度として考えます場合には、使い捨ての容器を前提にしました現在のシステムを見直すことやビール瓶を何回も使う回収システムのように、再使用やごみの発生の抑制を優先するといった社会全体の意識の転換が欠かせません。このため、このように資源が循環するシステムが定着しますよう、国に働きかけもしていきたいと思います。 次に、近海カツオの一本釣り漁業を振興する事業についてお尋ねがありました。近海カツオの一本釣り漁業は、古くから県を代表する中核的な漁業でしたが、他の県との競合が激しくなります中で、操業している漁船の多くが老朽化の一途をたどっています。このため、早急に支援の手を差し伸べなければ、土佐の伝統文化でもあるカツオの一本釣り漁業の灯が消え去ってしまうおそれがありますし、このことは漁業だけではなく、カツオのブランドイメージに支えられています観光や外食産業などにも影響を与えかねません。 このため、効果の目に見える対策を、海洋局が中心に関係の方々と2年間かけて協議を重ねてきました。そうした中で、一定の規模の新船を建造するためには、県漁連を事業主体としましたこのリース事業の仕組み以外にはないことは、関係の団体の皆さんにも十分理解していただけていると受けとめています。このため、せっかくなら来年2月の漁期に間に合わせようと、16年度の当初予算に計上をしました。また、この事業の実施に当たっては、事業主体となる県漁連のリスクを最小限にとどめることにしております。あわせまして、事業の実施に当たりましては、融資機関の専門知識を生かした進行管理の体制を整えますほか、リースを受ける経営体には経営改善の指導を徹底していきます。 このことに関連しまして、県漁連の会長が突然辞任をされましたが、御本人には終始一貫、この事業の必要性を十分に理解していただいていたとの報告を受けています。しかし一方で、県漁連の財務状況などから、身の丈に余った事業ではないかとの思いもあったのではないかと思います。また、県漁連内部での役員の方々への事業の説明と意思の集約にもおくれがありましたが、県として個別に説明をしました結果、現時点では一定の御理解を得ていると考えています。 次に、南海地震への対策についてお尋ねがありました。まず、企業との連携など防災協働社会への取り組みについてお答えをします。防災協働社会の重要性に関しましては、平成14年7月の中央防災会議でも、住民、企業、NPOなどさまざまな主体が防災対策に参加し、自分たちの地域の問題として取り組む防災協働社会の形成の必要性が報告されています。このため、今年度の政策協議の場でも、今後は住民、企業、NPOや防災関係の機関などとの連携を一層深めていくことを確認しました。 県内では既に、金融やエネルギーの分野、さらにはライフライン関係の事業者の方々が、それぞれに南海地震への対応に関する協議会を結成されていますので、県としましてもこうした会議に積極的に参画をして連携を図っています。また、来年度からは、こうした連携の輪をさらに広げていきますための担当のポストを設置しますなど、南海地震に備えた防災協働社会の実現に向けて取り組んでいきます。 次に、防災士などの人材の育成についてお尋ねがありました。御質問にありました防災士の制度は、NPO法人の日本防災士機構が、自助、互助、協働を原則に社会のさまざまな場で社会の防災力を向上させることを期待して、昨年秋にスタートをさせたものです。既に全国で1,300人余りが認定されていますが、本県でも昨年高知市で開催された講座で94人の方が認定されています。この制度を活用することによって、防災関係の機関はもとより企業や団体で防災を担当する人材を育てることができますし、県民の皆様への啓発などいろいろな場面での活躍が期待されますことから、多くの防災士が育つことは大変心強いことです。県では既に、県内の防災関係のリーダーに対するセミナーや、防災関係の機関の職員を対象にした能力向上のための研修の実施など、この分野の人材の育成に努めることにしていますが、お話のありました防災士の養成も今後あわせて検討をしていきたいと思います。 続いて、耐震対策などへの支援についてお尋ねがありました。次の南海地震が発生した場合には、住宅の倒壊による被害が甚大になると想定されていますので、この被害の軽減を図ることは重要な課題です。このため、今年度から実施しています耐震診断への補助を来年度は全県に広げますとともに、この診断を耐震改修につなげていきますため、きめ細かい相談窓口の設置や耐震改修の技術者の育成を進めていきたいと考えています。また、こうした中、御質問にもありましたように急いで耐震改修に支援をすべきではないかというお考えも理解できないではありません。 ただ、その一方で、耐震改修への公的補助には、個人財産への補助に当たるといった問題のほか、これも御質問の中にありましたが、それを実施している他県の事例を見ましたとき、なかなか普及が進まないといった現実もあります。このため、南海地震対策推進本部に既に設置しています個人住宅の耐震補強の促進検討チームでどのような対策が適切かを十分に検討しました上で、秋には報告を受けることにしています。この報告を踏まえまして、県としましての住宅の耐震対策を進めていきたいと考えています。 次に、産業振興対策に関連しまして、産業分野の間の連携、特に1次産業との連携に重点を置いた産業の育成についてお尋ねがありました。県民の皆様の雇用の場となります産業の集積を進めていきますためには、お話にもありました産業間の連携の重視はもとより、本県ならではの資源や生産物を幅広い分野での産業化に結びつけていく取り組みが大切だと思います。こうした観点から、来年度の予算でも、農林水産業を初めさまざまな産業への波及効果が期待されます観光振興対策に重点的な投資を行いますほか、地域の農産物などを加工しまして全国に通用するブランドに高めていきますための取り組みを支援することにしています。 あわせまして、県産材や木造住宅の販路の拡大などいわゆる林業の川下対策の充実も含めまして、本県の基幹産業である1次産業の強化につなげる取り組みにも重点を置きました。また、海洋深層水を生かしたさまざまな産業の一層の集積を進めますなど、工業の分野にとどまらず農林水産業やサービス産業への波及にも着目をした振興策の展開に取り組むことにしています。今後とも、こうした取り組みを通じまして、1次産業や地場の企業の一層の振興に努めていきます。 次に、シックハウス対策への取り組みに絡めまして、県産材の消費拡大の戦略についてお尋ねがありました。建築に使用する資材に含まれています有害な化学物質が室内を汚染することによって生じますシックハウス症候群の対策は、住宅のことを考える上で重要なテーマになってきています。こうした点から見ますと、長年伝統的に使用されてきました木材は安心して使っていただける自然素材ですので、そのことをPRの材料に県産材の消費の拡大を図っていくという戦略はとても大切な視点だと思います。また、その際には、お話のありましたシックハウスを考える会の皆さんのお声も十分参考にさせていただきたいと思います。 次に、藻場の造成によります海の森づくりについてお尋ねがありました。藻場は、海の揺りかごとも言われますように、沿岸に生息する多様な海洋生物をはぐくむ場であると同時に、沿岸漁業にとりましても大切な生産の場になっています。かつては各地の沿岸に豊かな藻場が見られましたが、次第に減少する傾向にありましたので、水産試験場を中心に藻場を造成する技術の研究開発に取り組んできました。これまでのところ、確実に広域的な造成を可能とする段階には至っていませんが、ホンダワラ類とカジメを組み合わせますことやウニ類の駆除など、本県の海域の特性に適した造成技術の手がかりが見え始めています。 このため、来年度は国のモデル事業を導入することにしていますが、その中で、こうした水産試験場の研究を初め民間や地域での取り組みも踏まえまして、藻場造成の事業化につなげるための調査と技術開発を進めることにしています。また、この事業では参加する17県で構成します研究会で造成の指針をつくることになっていますので、これらの成果を本県の海の森づくりに役立てていきたいと思います。特に、近年は、漁業者が自主的に植林や間伐に参加するといった動きにも見られますように、山と川と海のつながりといった広い視点から環境に対する意識が芽生えてきていますので、海の森づくりの意義や役割に対して県民の皆様にも理解を深めていただけますよう取り組んでいきたいと思います。 次に、イルカ介在療法に関してお尋ねがありました。イルカ介在療法は、動物の持ついやしの効果に期待をした療法で、これによって心身の機能の改善や生活の質の向上の目指すものだと伺っています。また、イルカとかかわりますことで、チャレンジする意欲や達成感を実感できますし、学習への興味と関心を深めますほかコミュニケーションの能力を高める効果も期待されますので、発達障害のお子さんを初め不登校や引きこもりの傾向の子供たちへの支援としましても有効な取り組みではないかと考えています。それだけに、こうした取り組みが全国に向けての情報発信につながりますことを期待しています。 次に、IWCの姿勢や捕鯨再開への取り組みについてお尋ねがありました。我が国は、昭和62年以降、捕鯨の再開を目指して南極海や太平洋の一部で調査捕鯨を実施しています。その結果は、IWCを初め国連食糧農業機関などの国際委員会にも報告されていますし、世界的にも非常に高い評価を得ていますが、捕鯨再開の議論の場ではこうしたデータは無視されているのが現状です。IWCが本来の役目と目的を果たすためにも、こうした科学的なデータをもとに鯨資源の総合的な利用の方法を議論していくべきだと考えています。 また、本県は古くから鯨とのかかわりの深い県で、江戸時代には土佐古式捕鯨と呼ばれる捕鯨も行われていました。近代捕鯨に移行しました後も、昭和の初期までは土佐湾の沿岸で捕鯨が続いていましたし、南氷洋の捕鯨でも多くの名立たる砲手を輩出しています。加えまして、現在でも鯨の肉は郷土料理の食材としてなじみの深い食品ですし、平成13年7月からはDNA登録や国への報告を条件に定置網で混獲をした鯨類の販売が認められますなど、本県の沿岸での鯨の捕獲の要件も緩和されてきました。 ただ、その一方では、かつての乱獲によって鯨が激減した事実もありますし、最近では土佐湾に来遊します鯨を船から観察しますホエールウオッチングが新たな鯨資源の活用方法として定着しますなど、鯨と共存した取り組みも進んできています。こうしたことから、ことし5月に室戸市で開催が予定されています日本伝統捕鯨地域サミットなどの機会を通じまして、県民の皆様にも鯨文化や鯨と人間の共存のあり方などについて理解を深めていただきたいと思いますし、私もこれを機会に改めてこの問題を考えてみたいと思います。 次に、ふるさと回帰支援センターの取り組みについてお尋ねがありました。本県の主要な産業であります農林水産業の担い手の育成のためには、U・J・Iターンなど県内への定住促進を図る取り組みは非常に重要です。このため県では、市町村が担い手を育成するために行います研修の支援や助成制度などを充実しますとともに、こうした情報を県外の事務所やホームページから広く発信をしています。また、U・J・Iターンの方々に県内に定住していただくためには、住宅や農地、さらには生活環境などに関します具体的な情報を提供する必要がありますので、地域の理解と協力をいただきながら空き家の調査などに取り組む市町村に支援をしていきたいと考えています。 お話にありましたNPOの法人は、都市と地方の交流や共生によります地域の活性化や地場産業の育成などを目指して、自然豊かな農山漁村で暮らしたいという都市の方々を応援するために設立されたとお聞きをしています。本県にとりまして、こうした取り組みは大変ありがたいことですが、このNPO法人の取り組みはまだ始まったばかりですので、こうした組織に参加することによって本県の情報が有効に生かされるかどうかなど具体的な活動の内容を見きわめました上で、その対応を判断していきたいと思います。 私からは以上でございます。   (危機管理担当理事宮崎利博君登壇) ◎危機管理担当理事(宮崎利博君) 南海地震対策についての御質問にお答えします。 まず、地震対策を語れる人材の育成支援についてのお尋ねがありました。南海地震に備えるためには、震災に強い人や地域をつくることが重要ですので、強い揺れから身を守ることや大津波から逃げることとともに、3つの柱の一つに据えて取り組んでいます。とりわけ、地域の防災活動の中核である消防団員や、自主防災組織のリーダーの方々の存在や活動が重要と考えています。このため本年度から、消防学校での消防団員の教育訓練において南海地震に関する科目を取り入れました。また、自主防災組織のリーダー研修につきましても、より多くの方に参加していただくため、本年度から県内3カ所に分けて日曜日に開催するなど工夫を加えましたが、今後も参加者の方の御意見も伺いながら内容の充実に努めてまいります。 また、こうした消防団員や自主防災組織のリーダーの方が各地域において住民の方とともに学習するための教材も、本年度作成しました。来年度は、役場や支所、市民会館など身近な場所に南海地震情報コーナーを設置し、行政の調査報告書なども配置し、地域の学習を支援していきます。こうしたさまざまな資料も活用していただき、南海地震対策に関する基本的な知識を確実に住民の方々に広めていただきたいと考えています。 次に、自主防災組織についてのお尋ねがありました。本県の自主防災組織の組織率が低い理由としましては、毎年のように台風災害に見舞われる中で経験的に風水害に対処してきたことや、伝統的な地域のつながりのもとで助け合ってこれたことなどではないかと考えられます。しかし、南海地震が発生すれば、風水害での経験的な対策では十分な対処はできませんし、最近は地域のつながりも薄れてきており、今後は自主防災組織を広め組織的に災害に備えることが重要です。本県では、平成10年の高知豪雨での経験から自主防災組織の重要性が言われ、翌11年度から県の補助制度を創設し、市町村と連携して自主防災組織の育成に努めてきました。その結果、現在の組織数586組織のうち半数近くの286組織は補助制度を創設した平成11年度以降に組織されたものであり、県民の皆様の意識の高まりもあって補助制度の効果があったものと考えています。 このため、本年度からは、各市町村が自主防災組織の育成に、より取り組みやすい制度とするため、総合補助制度として組み替えました。さらに、来年度は、盛り上がっている地域のニーズに十分こたえるために、予算枠も大幅に拡大しますとともに、新たに自主防災組織の育成などを支援する係を設置するなど積極的に取り組んでまいります。特に、津波からの迅速な避難が求められる地域での自主防災組織の育成や活動の活性化が急がれることから、これらの地域については平成19年度までの5年間で100%の組織化を目指し、重点的に取り組んでまいります。 次に、県民の皆様に対する備えの徹底についてのお尋ねがありました。昨年12月に中央防災会議が決定した東南海・南海地震対策大綱では、高い防災意識を持つことにより、人的被害が相当軽減されると述べられています。また、南海地震が発生しますと、本県では県下全域で強い揺れがあり、さらに沿岸には5分から30分以内に大きな津波が到達すると予想されています。この限られた短い時間に命を守るためには、みずからの命はみずから守るという自助、そして隣近所で互いに支え合い、助け合う共助の取り組みが重要になってきます。こうした取り組みを進めるためには、南海地震に対する正確な知識や、もたらす被害の程度、揺れや津波から自分の命を守る方法などについて、県民の皆様に十分に知っていただくことが重要です。 このため、必要とされる備えをわかりやすく説明した小冊子を作成し、来年度すべての家庭に配布します。また、行政が実施した調査報告書なども情報コーナーに配置するなど、積極的な情報の提供を行っていきます。こうした取り組みを通じて、県民の皆様の南海地震に対する防災意識や備えの向上に努めていきます。 最後に、木造住宅の耐震補強への意識調査とその対策についてのお尋ねがありました。個人住宅の耐震補強に向けた県民の意識調査につきましては、昨年度、土木部において密集市街地の木造住宅を中心にして実施しました。また、本年度は、国の実施する住宅需要調査にあわせ、県独自の調査項目を加えた意識調査も行いました。一方、南海地震対策を進めるに当たっては、住宅の耐震補強を含めたさまざまな面から、県民の皆様の防災意識や備えの状況、さらには行政への御要望などを総合的に把握することも重要と考えています。 このため、総合的な意識調査の実施に向けて他県と協議を行ってきました。その結果、予算計上のできました和歌山県、三重県と共同して来年度、県民意識調査を実施します。本県と似た地理的条件にあり同じような被害が想定されますこれらの県と共同で実施することで、県民意識の現状について比較できますことや、今後継続して実施することで意識の経年的な変化も把握できるものと考えています。特に、この意識調査の結果と各県の耐震補強対策を突き合わせますことで、他県の効果的な対策を参考に、本県の実態に見合った南海地震対策を進めていきます。 以上でございます。   (商工労働部長起塚昌明君登壇) ◎商工労働部長(起塚昌明君) 産業振興対策に関連しまして、産業振興センターの1次産業と2次・3次産業の連携につきましてお尋ねがございました。 産業振興センターは、地場産業の振興と活力ある地域経済の発展に貢献することを目的につくられており、企業の経営や技術の相談、産学官の連携や情報化の推進など、幅広い分野での県内企業の支援を行っております。また、製品の開発や販路の拡大などにつきましては、工業製品を中心に産学官の連携による新製品の開発や市場ニーズの調査に必要な各種専門家の派遣、さらには企業コーディネーターによる取引先の確保など、各段階に応じた支援ができるコーディネート役を担っているところです。 一方、農林水産物や木製品につきましても、センターの職員が企業訪問を行い新たなニーズを掘り起こすとともに、県の東京、大阪、各事務所に配置いたしました専門のコーディネーターを活用した販路開拓にも積極的に取り組んでおりまして、県産材や農産加工品など実際の商取引に結びついているケースも数多くございます。今後とも、幅広い企業ニーズにこたえるため、産業振興センター内の各部署の連携を強化することにより、総合的な相談窓口としてワンストップ機能の充実を図っていきたいと考えております。 以上でございます。   (産業技術担当理事上林匡君登壇) ◎産業技術担当理事(上林匡君) 産業振興対策に関する一連の御質問のうち、まず工業技術センターの研究職員採用と体制強化及び所長人事についてのお尋ねがありました。 工業技術センターは、高知県の地場産業のためにあり、企業からの一定の評価もいただいているところですが、意識改革も含め体制強化を行わなければならないことは議員と同じ認識でございます。近年の産業技術の高度化に対応するため、ここ数年、醸造用酵母の遺伝子解析など特定分野に限定した修士程度の能力を有する研究員の選考採用を行ってまいりましたが、あくまでも職員採用については一般職員採用が基本となります。今後、地場企業のニーズに、よりこたえるため、任期つき研究員制度の活用も含め、御指摘にもありましたように民間企業での経験者の採用を検討するなど、幅広い人材の確保に努めてまいります。 また、所長の人事につきましては、適材適所の考え方のもとに人材を登用しており、結果的に中央からの登用が続いておりますが、組織内での人材育成を図りながら、将来は地元職員の登用を図りたいと考えています。 次に、産業振興センターとも連携して巡回技術指導制度に取り組めないかとのお尋ねがありました。議員の御指摘と同様、私も職員に対し現場を知ることの重要性を常々伝えております。巡回技術指導制度は、昭和41年度から平成6年度まで国の補助事業を導入し、年平均約350社程度を訪問し、企業が抱えている技術的な問題の解決や企業ニーズの把握を行ってきました。これらの巡回技術指導では、現場で解決できない課題については問題を持ち帰り、分析、試験を実施するなど、きめ細かい指導も行いました。この事業につきましては、その事業効果が極めて高いことから、国の制度が終了した後も引き続き工業技術センター独自の巡回技術指導業務を継続しております。その結果、ミロクテクノウッドの木製ハンドルのように企業ニーズを研究テーマとして掘り起こした成功例も出ており、今後とも充実を図っていきます。 また、産業振興センターと工業技術センターとの連携については、技術開発から事業化に至るまでワンストップの支援を行うという視点から大切な対応であり、双方が企業ニーズや課題を共有しながら今後一体となって地場企業の振興に努めたいと考えております。このため、来年度から工業技術センターの研究職員を産業振興センターに派遣し、産業技術振興に関する具体的な業務の融合に努めていきます。 次に、海洋深層水研究所の深層水取水管のメンテナンスについてお尋ねがありました。深層水取水管や取水ポンプの内部の状況については、稼働後2年目に海洋科学技術センターが、また稼働後8年目に深層水取水装置の施行業者と海洋深層水研究所が調査を行い、深層水取水管と取水ポンプともに内部には付着生物が認められず、極めてきれいな状況であることが確認されております。このように、過去にも深層水取水管や取水装置などの調査、点検を行ってきましたが、昨年の水銀騒動や、敷設から15年を経過したことから、来年度には海洋科学技術センターと共同でビデオカメラを深層水取水管の深部まで挿入し、取水管内部の状況を調査することにしています。この研究成果につきましては、ホームページやマスメディアなどを通じて全国に発信していきます。 次に、藻場造成に関する一連の御質問のうち、まず本県が取り組んできました藻場造成に関する研究の成果についてお尋ねがありました。水産試験場では、昭和48年からカジメを中心とした藻場造成に関する技術開発に取り組んできました結果、カジメ種苗の生産技術が開発され、この技術で生産したカジメ種苗を移殖することで、短期間ではありますが須崎市でカジメ藻場の造成に成功するなどの成果が得られました。しかしながら、カジメの藻場が長期にわたり維持される造成技術の確立には至りませんでした。 この理由といたしましては、カジメの分布域の南限である土佐湾の沿岸水温が近年高くなる傾向にあり、カジメの育成に適さなくなってきていることや、魚やウニなどの食害による影響が大きいことなどが、平成12年度から昨年度にかけて実施された研究で明らかになりました。このため、本年度から着手しました藻場に関する研究では、従来カジメだけに着目して実施してきました研究を、より高い水温に適していると考えられるホンダワラ類を対象とした藻場の造成手法の開発に重点を移して取り組んでいます。また、幸いにして県西部に残存するカジメの藻場を保全するため、カジメの成長と漁業上有用なウニ類の育成を考慮した管理方法の開発に取り組んでいるところです。 また、海洋局の総合支援事業で大方町が実施しております、食用に適さないウニ類の駆除による藻場回復への取り組みに対して、土佐清水漁業指導所と水産試験場がウニを駆除した後の藻場の回復状況について追跡調査を行っておりますが、小型海藻の繁殖後にホンダワラ類などの大型海藻が成長するなど、食害生物を抑制することにより、藻場の回復を促す可能性が見え始めました。 次に、水産試験場が行いましたヤシガラネットを利用したカジメ種苗の育成試験の結果についてお尋ねがありました。昨年、高知ファズの取り扱うヤシガラネットがカジメの胞子を付着させる基盤として利用できないかの検討の中で、予備的な試験として水産試験場でカジメ種苗の育成試験を実施しました。試験の実施に当たりましては、一般に行われている屋内水槽でろ過海水、人工照明及び肥料を用いる方法ではなく、漁業者自身が簡便にできる手法もあわせて検討するため、カジメの胞子をためた液にヤシガラネットを浸し、その後、直接海で育成する方法などを試みましたが、カジメの種苗は確認できませんでした。以上のように、15年度におきましてはヤシガラネットの有効性は確認できませんでしたので、16年度につきましては試験方法を見直し、引き続き育成試験を行います。 次に、高水温に耐性のあるカジメの品種を育成すべきではとのお尋ねがありました。品種改良については、高水温に耐性のある個体を長期間かけ合わせることで品種改良を行う選抜育種や、高水温への耐性を支配する遺伝子上の位置を明らかにし、その遺伝子を指標として選抜する手法がありますが、いずれも10年以上の期間が必要です。しかしながら、改良した品種を天然海域に移殖した場合、自然交配により高水温への耐性を失う可能性があります。また、農作物のように管理された圃場での栽培とは違い、改良された品種を天然海域に移殖することは生態系へ重大な影響を及ぼすおそれも危惧されることから、学会や研究者の間でも見解が分かれる大きな課題でありますので、これらの動向を見きわめながら対応したいと考えます。 次に、1年を通じてカジメの種苗生産を可能とする技術の開発を海洋深層水研究所で取り組めないかというお尋ねがありました。ワカメや昆布などの養殖用海藻では、配偶体と呼ばれる胞子から発芽した段階のものを培養液の濃度や温度、照度を一定条件のもとで管理することにより、1年じゅう保管、増殖、成長させられる技術が既に開発されており、養殖用種苗の生産に用いられております。この技術を応用し、さらに海洋深層水の低温性と富栄養性を組み合わせれば、1年を通じて必要なときにカジメの種苗を生産する技術については、比較的短期間で開発できるものと考えられます。ただし、カジメ種苗を本県沿岸に移殖しても、環境条件や食害の問題により、定着するまでには至っておりません。このため、海洋局が実施する緊急磯焼け対策モデル事業で、環境条件の把握や藻場の回復、拡大の可能性を探る中で、カジメ移殖用種苗の必要性や利用方法について検討していきたいと考えます。 以上でございます。   (健康福祉部吉岡芳子君登壇) ◎健康福祉部長(吉岡芳子君) シックハウス対策についての取り組みのうち、まず対策会議での協議内容や今後の取り組み方針などについてのお尋ねがございました。 シックハウス対策会議は、昨年度が初めての会議でありましたことから、まず関係課が所管しています事業や業務内容などを紹介し、共通認識を深めることから始めました。あわせて、大月町の中学校でシック・スクールが発生しておりましたので、その発生要因や対応策などについて事例報告をするとともに、今後の検査や換気指導など具体の連携方策について協議をしました。本年度の会議では、船岡団地で起こっておりましたシックハウスへの対応について事例報告がされ、関係者の具体の連携方策について確認をしました。今後につきましても、学校や県営住宅については、新築される前からシックハウス対策を徹底するとともに、建築後、使用する前に室内中の化学物質を測定することを申し合わせました。今後は、シックハウスから県民の皆様の健康を守るという視点に立って取り組みを広げていくことが必要であると思っています。このため、建築物の生産から住まい方、ひいては医療まで、部を超えて一層の連携を深めてまいります。 次に、シックハウスの啓発などについて、過去2年間の総括と今後の取り組みについてのお尋ねがございました。県民の皆様へのシックハウスの啓発につきましては、これまで保健所の広報紙への掲載や講習会などでのパンフレットの配付などに取り組んでまいりました。また、昨年11月にはNPO法人が主催しましたシックハウスに関するパネルディスカッションの後援を行うなど、さまざまな機会をとらえた啓発も行ってまいりました。 しかしながら、御指摘のとおり、保健所に寄せられました相談件数は、平成12年度の32件をピークに年々減少しております。こうしたことから、今後は、家を新築される方々に対して、例えば建築に関係する方々の御協力をいただいてタイムリーで効果的な啓発の工夫ができないかといったことなどについて、対策会議の場で研究していきたいと考えております。また、今月中には国から室内空気中の化学物質による健康影響等に関する調査研究の報告書が出されますので、それらも参考にしながら本県のシックハウス対策を進めていきたいと考えております。 以上でございます。   (土木部長見波潔君登壇) ◎土木部長(見波潔君) シックハウス症候群対策についての御質問の中で、船岡団地での化学物質の測定結果とその取り組み状況などについてのお尋ねがありました。 船岡団地でのトルエンの濃度につきましては、平成14年8月の最初の測定で全住戸の1割に当たる15戸で測定しましたところ、そのすべてで指針値を上回っておりましたので、入居予定日前の10月に再度測定しましたところ、まだ一部の住戸で上回っておりました。この室内濃度を下げるために換気を実施した結果、すべての住戸で指針値を下回りましたので、当初の入居予定日を約1カ月延期して入居を許可しました。その原因を調査したところ、流し回りなどに使用されている接着剤や塗料、その他つり戸棚などにもトルエンが含まれていることを確認しました。また、国土交通省の研究所に依頼し調査を行った結果、成分表示上トルエンの表示がない建材においても少量のトルエンが含有されており、下地材など多量に使用する場合には原因の一つになり得るとの報告を受けています。現在建設中の船岡団地の第2期工事では、特記仕様書で使用材料を制限し、施工業者にその資料を提出させるとともに、完成時には5種類の化学物質の濃度を測定させる措置を講じています。 次に、有効な換気方法の指導や住宅性能表示制度などの啓発への取り組み及びシックハウス問題への認識、取り組みについてお尋ねがありました。関連いたしますので、あわせてお答えいたします。まず、換気対策ですが、建築確認申請時には使用建材のチェックとともに、機械換気による適切な換気方法となっているかどうかの審査をしております。また、建築物の完了検査時には、建材の施工状況の写真、換気設備の現場確認等により、有効な換気対策を指導しています。住まいの安心度をチェックできる住宅性能表示制度は、シックハウス対策も等級や数値で表示されますので、有効な対策の一つです。これまでに、この制度に関する講習会を工務店などを対象に実施したほか、本年度は広報用のCD-ROMを作成し、制度の普及に努めることとしています。 シックハウス問題の認識と取り組みにつきましては、健康に関する重大な問題と認識しており、さきに述べました取り組みを適切に実施し、すべての建築物が適正に建築されますよう取り組んでいきます。 以上でございます。   (教育長大崎博澄君登壇) ◎教育長(大崎博澄君) シックハウス症候群対策についての御質問のうち、学校における化学物質の室内濃度検査についてのお尋ねがございました。 平成14、15年度の調査は建築年度が新しい学校を対象としましたため、ホルムアルデヒドが検出された比率が高いものと考えられます。県立学校では、5年以内に建築された建物から順次検査を実施することとし、平成14、15年度には10校を検査済み、16年度には残る5校で検査をする予定でございます。市町村立学校につきましても、県と同様に検査をしていくよう助言をしてまいります。 調査により、基準値を超えた県立学校の改善対策につきましては、基準値内に下がるまで該当する部屋の使用をやめ、窓の開放により化学物質の室内濃度を低減しますとともに、新たに換気設備を設置するなどの対策を講じてまいりました。市町村立学校につきましても、これに準じた対応をするように助言をしてまいりました。また、14年度の調査結果で基準値を超えておりました大月中学校など3校につきましては、同様の対策をしました結果、測定値は改善されております。 今後、新たに建築する建物につきましては、昨年7月に一部改正されました建築基準法により、シックハウス対策用の建材の使用や換気設備の設置が規定されていること、県の特記仕様書で完了検査時の化学物質濃度の測定を義務づけていること、この検査で測定値が基準値以下であることを確認した後に引き渡しを受けること、以上のような対応をいたしますので、シックハウス対策については十分な対応ができるものと考えています。また、市町村立学校につきましても、これに準じた対応をするように助言をしてまいります。 次に、保育所における化学物質の室内濃度調査やシックハウス対策についてのお尋ねがございました。5年以内に建築されました県内の38施設のシックハウス対策について調査をいたしました。その結果、化学物質の室内濃度調査を実施しておりましたのは1施設となっていますが、子供たちの健康状況につきましては、すべての施設で異常なしとの報告を受けています。保育所に入所している子供たちが日々健康で快適に過ごすための環境を守っていきますことは何よりも大切なことですので、今後も、保育所を設置管理する市町村や設置管理者に対しまして、学校施設の取り組みに準じた対応をするように助言をしてまいります。 次に、イルカ介在療法に関するお尋ねがございました。イルカ介在療法は、動物の持ついやし効果を活用するものであり、心に不安や悩みを持つ子供たちにとりましても大きな支えになるのではないかと期待をいたしております。室戸市の適応指導教室の子供たちが、イルカとの触れ合いを通して感動的な体験をしたという報告も受けております。県教育委員会では、平成16年度に自然ふれあい体験事業を計画していますが、麻布大学の御協力もいただいて、イルカ介在療法の体験をこの事業の中に取り入れていきたいということを考えております。今後は、それらの成果も検証しながら、イルカ介在療法の位置づけを検討してまいります。 以上でございます。   (森林局長村手聡君登壇) ◎森林局長(村手聡君) シックハウス症候群対策に関する御質問のうち、森林局がシックハウス対策として取り組んだ事業や実績についてお尋ねがありました。 森林局では、平成10年度に土木部や健康福祉部と連携して高知県健康住まい推進協議会を設置し、実際に住宅の室内空気を測定する調査などを実施して、揮発性有機化合物の健康への影響や、県産木材の健康で快適な住まいづくりに対する有効性などをまとめた報告書を作成いたしました。それ以来、木造住宅フェアなどにおいて、シックハウスの知識を普及するブースを設けたり、お話にもありましたシックハウスを考える会の上原理事長をお招きし、シックハウス症候群の現状やその対策について御講演をいただいたり、さらには「木の国 木の住まい」などのテレビ番組や木の住まい講座を通じまして、本県産の木材などの自然素材が健康で安全な居住環境づくりの観点からもすぐれているということをPRしてきました。また、県産乾燥材を使用する住宅に対します助成も、そうした観点からも有効なものとして平成11年度より実施しているところであります。 次に、県産材の消費拡大のため、企業や地域と連携を持って加工から販売まで一体的に取り組むシステムづくりについてお尋ねがありました。近年、安心して安全に使用できる商品を求めたいという消費者の意識が高まってきております。そうした消費者の動向を踏まえながら、県内外の消費者に、健康で安全な住宅のことを考える上で自然素材である木材がすぐれていることを訴えて、販路開拓に努力されている企業や地域と連携していくことは、県産材の需要拡大にも役立つ大切な視点だと考えています。こうした企業や地域と連携してPRに取り組みますとともに、そうしたPRにより掘り起こされました消費者ニーズに対応できる品質管理や供給体制の整備などを支援していきたいと考えております。 以上です。   (海洋局長松村勝喜君登壇) ◎海洋局長(松村勝喜君) 藻場造成とイルカ介在療法に関連して、私には3点御質問をいただきました。 まず、水試等における研究成果を受けての国の補助制度の導入など、今後の取り組みについてのお尋ねでございます。平成16年度からは、国の緊急磯焼け対策モデル事業を導入しまして、確実に効果が期待でき藻場が長期間にわたり維持される藻場造成技術の開発に取り組んでまいります。具体的には、まず第1段階として来年度は、沿岸域で藻場が残っている海域と磯焼け現象が起こっている海域合わせて10カ所で藻類や底生動物の調査あるいは連続的な水温の観測など、まず現状を把握し、藻場の回復や拡大の可能性のある実証試験の適地を検討いたします。17年度以降は、水産試験場や大学、市町村、民間企業などの調査や研究の成果も踏まえまして、ウニの駆除や海藻を定着させるためのモデル的なブロックの設置など実証試験を開始し効果の検証を行いながら、事業化につなげるための技術の確立を目指していきたいと考えています。 次に、漁業関係団体などへの藻場造成への意識づくりについて、その後の取り組みと今後の姿勢についてのお尋ねがありました。沿岸域における藻場の重要性や藻場造成の必要性が認識されるに従いまして、近年、県内各地で民間企業を含め藻場造成の試みが活発に行われるようになりました。平成14年度あるいは15年度には、水産業総合支援事業によりまして、室戸市、須崎市、大方町でカジメなどの海藻の定着基盤の設置やウニの駆除などによる藻場造成への取り組みと、その後の追跡調査が実施されております。その結果、現場の窓口であります漁業指導所には、漁業者からの藻場調査の要請や藻場造成の相談もふえておりまして、漁業者の意識も確実に高まりつつあります。今後は、この意識の高まりを具体性のある自主的な取り組みにつなげていくことが重要だと思っております。 なお、前段申し上げました平成16年度に県内主な10カ所での藻場調査を計画しておりますので、その結果を広く漁業関係者にもお伝えすることで地域の藻場の状況や重要性にさらに関心を持っていただき、地域の環境に合った藻場造成の手法を漁業関係者の皆様とともに見出していきたいと考えております。 次に、イルカ介在療法に関連して、新たな海の駅、交流拠点とした環境整備への取り組みについてお尋ねをいただきました。近年、室戸岬漁港では、室戸少年自然の家のヨットやカヌー教室、またお話にもありました麻布大学のイルカセミナーなど、体験型の活動が大変盛んになっております。あわせまして、ここでは昨年、県の東部18漁協が主催をしますおさかな祭りが開催されるなど、漁港が地域の交流拠点として活発に利用されてきております。これらの活動を支援するため、平成13年度から、駐車場やトイレのほか、多目的に利用できる芝生広場の整備を進めてまいりました。16年度には、シャワールームなどの関連施設や休憩緑地の整備とともに、イルカの飼育水域では、触れ合いゾーンの拡張とあわせて、イルカの体調管理機能も兼ね備えました触れ合い体験施設の整備を計画しております。また、この4月には、地元の有志でつくりました室戸黒潮協同組合によります、新鮮な水産物をその場で味わうことのできる施設と、これに付随する地元産品の直販所や、お遍路さんなどに対する無料の足湯の接待所などのオープンも予定をされております。 お話にもありましたように、このゾーンを海の駅と位置づけて新たな交流拠点づくりをするという考え方は、室戸の海、豊かな自然環境や海の幸、山の幸などを総合して全国に情報発信するためにも、また都市との交流、対流を活発化して地域を活性化するためにも、時宜を得た夢のあるものだと考えております。今後は、地元室戸市の主体的な取り組みをベースに、市民の方々や関係者、また、16年度から派遣をされます県の地域支援職員などとも連携をしながら、全体構想の取りまとめや事業の具体化に向けまして、海洋局として精いっぱい努力、協力をしてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆18番(植田壮一郎君) ありがとうございました。それぞれの答弁をいただきましたが、2点だけ知事にお伺いをしたいと思います。 1点は、カツオリース船の問題ですけれども、この問題は、知事からも説明いただきましたけれども、2年かけて取り組んできたといった背景はわかりますし、多分知事の立場で、この間に事業主体の方々の御理解をいただけるといった確信のもとに上げている予算ではないかなというふうには受けとめられます。けれども、こうした形になりますと、現場の声を拾いますと、「県が予算をもうつけたんやから、仕方がないわね」といったような納得や理解になるやもしれません。そうなると、知事のこの4期目に最も柱として取り組もうとする意識改革への障害などになるのではないかと。こういったやり方は知事には似合わんなという実は思いで、率直な思いで伺ったわけでございますので、その辺、御意見がありましたらぜひお伺いしたいというふうに思います。 2点目でございますけれども、産業振興の関係になりますが、これも前向いた御意見をいただきました。けれども、私の知事への質問の端的な思いは、海洋局や森林局、また農林水産部に、産業を育成するといった重点枠の予算を置くことが大事ではないかと。今は商工労働部だけに置かれておりますけれども、商工労働部から見た1次産業の連携といったことと、逆に1次産業の方から2次産業、3次産業に向かってチャレンジするといったことの取り組みができることで、また新たな産業を興せるといった物事につながらないだろうかといった思いでございますので、そのことについて知事のお考えをお伺いしたいと思います。 なお、時間もありませんが、商工労働部や産業技術担当理事からはお話いただきました。今の状況は評価をしているものでございますが、もっともっと、今やっている中にも指摘をさしていただいたような現状があるので、さらにまたそうした視点に手を加えて、ひとつ県の姿勢をとってもらいたいといった思いでの質問でございました。深層水、藻場の関係も、改めてまた提案もしますので、今後ともの御支援を申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。 ◎知事(橋本大二郎君) 植田議員の再質問にお答えをいたします。 まず、カツオの一本釣りの支援のことでございますが、私も何度か、実際に一本釣り漁業をやっていらっしゃる方々からの御陳情というか現場の声を、数年前から聞いておりました。ですから、県が一方的にということではなかったと思います。また、漁連内部のことも、海洋局としては手を足したつもりであったと思いますが、十分そこでの意思の疎通が図れていなかったという結果はございますので、その点は反省をしなければいけないと思います。けれども、県が予算をつけたから云々というような形のものにしてはいけませんので、そのことは今後とも十分注意をして、関係の方々とお話を進めていきたいと思っております。 2つ目の産業振興に関して、農、林、水という関係の部署にそうした思いでの予算をつけたらどうかという御趣旨は、私も同じ思いがございます。そうした具体的な事業があるのであれば、当然そのような予算を重点化していくということは決してやぶさかではございませんし、産業とか雇用の場と言っておりますのは何も2次産業だけを指しているわけではございませんので、今後とも農林水産部、海洋局、森林局、それぞれがそういう思いでまた予算を組んでくれれば、そのことに重点的に予算を配分していきたいというふうに思っております。 以上でございます。 ○議長(溝渕健夫君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 明4日の議事日程は、議案に対する質疑並びに一般質問であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後5時5分散会...