17番 古 川 拓 哉
18番 兵 頭 竜
19番 大 西 誠
20番 松 尾 和 久
21番 欠 番
22番 欠 番
23番 木 村 誉
24番 石 川 稔
25番 梶 谷 大 治
26番 西 田 洋 一
27番 中 田 廣
28番 大 西 渡
29番 福 羅 浩 一
30番 三 宅 浩 正
31番 欠 番
32番 欠 番
33番 欠 番
34番 欠 番
35番 欠 番
36番 笹 岡 博 之
37番 黒 川 洋 介
38番 毛 利 修 三
39番 徳 永 繁 樹
40番 高 山 康 人
41番 渡 部 浩
42番 戒 能 潤之介
43番 鈴 木 俊 広
44番 欠 番
45番 横 田 弘 之
46番 越 智 忍
47番 村 上 要
48番 赤 松 泰 伸
49番 本 宮 勇
50番 欠 番
51番 西 原 進 平
52番 中 畑 保 一
53番 明 比 昭 治
54番 岡 田 志 朗
55番 森 高 康 行
――――――――――
〇欠席議員 なし
――――――――――
〇欠 員 3名
――――――――――
〇出席理事者
知事 中 村 時 広
副知事 上 甲 俊 史
副知事 原 昌 史
公営企業管理者 兵 頭 昭 洋
総務部長 菅 豊 正
企画振興部長 西 本 牧 史
スポーツ・文化部長 土 居 忠 博
防災安全統括部長 福 井 琴 樹
県民環境部長 金 子 浩 一
保健福祉部長 山 口 真 司
営業本部長 八十島 一 幸
経済労働部長 田 中 英 樹
農林水産部長 田 所 竜 二
土木部長 杉 本 寧
会計管理者出納局長 岸 本 憲 彦
教育長 井 上 正
副教育長 武 智 俊 和
人事委員会委員 大 内 由 美
公安委員会委員 増 田 吉 利
警察本部長 松 下 整
監査委員 山之内 芳 夫
監査事務局長 山 本 亜紀子
――――――――――
〇
出席事務局職員
事務局長 内 田 万 美
事務局次長 山 田 裕 章
参事総務課長 北 川 謙 二
参事議事調査課長 松 本 賢 固
参事政務調査室長 西 田 洋 一
議事調査課主幹 井 原 重 喜
――――――――――
〇本日の会議に付した事件
定第69号議案ないし定第85号議案
午前10時 開議
○(村上要副議長) ただいまから、本日の会議を開きます。
本日の
会議録署名者に三宅浩正議員、木村誉議員を指名いたします。
―――――――――――――――――
○(村上要副議長) これから、定第69号議案平成30年度愛媛県
一般会計補正予算ないし定第85号議案を一括議題とし、質疑を行います。
○(中田廣議員) 議長
○(村上要副議長) 中田廣議員
〔
中田廣議員登壇〕
○(中田廣議員) (拍手)愛媛県の最南端、高速道路が届いていない南宇和郡選挙区選出の自民党志士の会・無所属の会、中田廣でございます。
質問に先立ち、去る6月15日に御逝去されました故寺井修議員に対して、深く哀悼の意を表しますとともに、心から御冥福をお祈り申し上げます。
さて、全国的に大きな問題となっている人口減少、超高齢化は、南宇和郡ではさらに顕著化し、喫緊の課題となっております。そのほか、先月、大阪で地震が発生して大きな被害が出ているところですが、本県においては
南海トラフ地震の脅威が目前に迫っており、防災・減災対策についても待ったなしの状況となっております。
このような視点で、私からは、南宇和郡選挙区を代表し、高速道路の南予延伸や地域医療の確保・維持といった地元問題を初め、防災・減災対策や児童虐待への対応など、喫緊の課題を中心として一般質問をさせていただきますので、明確な御答弁のほどよろしくお願いを申し上げます。
まず初めに、高速道路の南予延伸についてお伺いいたします。
私の地元であります愛南町は、太平洋に面する美しいリアス式海岸を生かし、ハマチ、マダイ等の養殖漁業に加えカツオの一本釣り漁なども盛んで、日本有数の水産業を誇っているほか、
愛南ゴールドに代表される柑橘栽培など、豊かな自然から恩恵を受けた第一次産業が盛んであります。
この豊かな自然は、地域に大きな恵みをもたらす一方で、台風や集中豪雨による土砂災害や河川の氾濫など、時として我々に牙をむきます。とりわけ切迫する
南海トラフ地震が万が一発生した場合には、平成25年の愛媛県
地震被害想定調査において、愛南町の被害は死者数1,265人、建物全半壊棟数が5,174棟と多くの町民を巻き込む甚大な被害が想定されており、地元住民の一人として大変心配をいたしております。
愛南町は鉄道もなく、空港からも遠く、避難・救援の際には津波浸水により寸断のおそれがある海岸沿いの国道56号のみに頼らざるを得ない状況であり、
交通ネットワーク機能が余りにも脆弱であると言わざるを得ません。
高速道路が整備されることによる効果は、走行時間の短縮など利用者の利便性向上だけでなく、産業、物流、観光の振興などによる地域経済の活性化はもとより、
交流圏域の拡大による地域間交流の促進など、さまざまでありますが、愛南町にとりましては、高速道路の南予延伸はとりわけ大
規模災害発生時の緊急避難、救援物資の輸送ルートの確保や
広域相互支援体制を確立する上で最も重要な命の道としての役割を担っており、一日も早い完成を願っているところであります。
このような中、県内の他の高規格道路の整備状況に目を向けますと、松山自動車道の
伊予インターチェンジから
内子五十崎インターチェンジ間6.3㎞においては、4車線化につながる
付加車線設置事業が着工され、また、
地域高規格道路の
松山外環状道路インター東線が今年度、新規に事業化されるなど、着実に歩みを進めております。
その一方で、南予延伸の内海-宿毛間については、新規事業化を目指し平成27年度に
計画段階評価を進めるための調査が開始されたものの、その調査が4年目を迎えた現時点でも
計画段階評価が完了しておらず、事業化への歩みが遅延しているのではないかと心配をしております。昨年9月から10月にかけて国が
アンケート調査を実施しておりますが、事業化への歩みを早める結果につながることを期待しております。
南海トラフ地震の今後30年以内の発生確率が70%から80%まで高まる中、津島道路の早期完成と内海-宿毛間の一日も早い事業化は愛南町民の悲願であり、
四国西南地域の命の道として不可欠なものであることから、高速道路の南予延伸にこれまで以上にスピード感を持って取り組んでいただきたいと切望しているのであります。
そこで、お伺いをいたします。
命の道として早期整備が求められる高速道路の南予延伸に向けた現状と今後の取り組みはどうか、お聞かせください。
次に、地域医療を担う医師の確保対策についてお伺いをいたします。
国が平成16年度に医師の臨床研修制度を変更し、医師が将来専門とする分野にかかわらず基本的な診療能力を身につけることができるよう、2年以上の臨床研修を必須化したのであります。この制度変更が大きな要因となり、医師の都市部への集中が進み、全国的な地域や診療科の偏在による医師不足を招いたと言われており、本県においても医師不足は深刻な状況にあります。
厚生労働省の調査によりますと、平成28年12月末現在の全国の医師数は31万9,480人となっております。このうち、本県の医師数は3,745人で、平成26年の調査と比較しますと66人増加しております。また、県内の人口10万人当たりの医療施設で働いている医師数は262.5人と数字上は全国平均の240.1人を上回っております。しかしながら、県内の
医療圏域ごとに見てみますと、松山圏域以外の圏域の医師数は全て全国平均を下回っており、同じ県内でも地域によって偏在があるのであります。
私の地元愛南町においても、町内の公立病院等の常勤医師が減少し、外来の休止や診療科の休診が相次いでいるほか、常勤の麻酔科医師がいないことから、緊急手術が必要な場合には
市立宇和島病院や高知県立幡多けんみん病院に搬送されるなど、地域住民に必要な医療の提供に不安を感じざるを得ないのが実情であります。医療は生活に不可欠であり、医師はそれを支える重要な存在であります。医師がいなくて必要な医療が受けられなければ、地域は成り立たなくなるのであります。
このような中、県では、地域の医師不足を解消するため、
自治医科大学卒業医師の配置等に加え、
地域医療医師確保奨学金制度を創設し、
愛媛大学医学部と連携して今後の地域医療を担う医師の養成に努められていることに大いに期待をしているところであります。
私が平成28年2月議会で県の
医師不足対策について一般質問いたしました際には、平成27年4月現在で奨学生医師を111名養成しているという答弁がありましたが、その後、平成29年度から奨学生医師が県内各地の医療機関に配置され始めたと聞いております。今後これらの医師が中心となって、将来にわたって安心できる地域医療を県民に提供する体制づくりが進むよう念願しております。
そこで、お伺いをいたします。
地域医療医師確保奨学金制度による地域医療を担う医師の確保について、これまでの実績はどうか。また、今後どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。
次に、地域防災力の強化についてお伺いいたします。
我が国は、その地理的・自然的環境から、風水害、土砂災害の多い国土であり、2,000名近い犠牲者を出した
カスリーン台風を踏まえた昭和24年の水防法の制定、5,000名以上の犠牲者を出した伊勢湾台風の経験による昭和36年の
災害対策基本法の制定等により、被害軽減のための取り組みが進められてきました。
しかしながら、近年でも、平成26年8月の
広島土砂災害、平成27年9月の関東・
東北豪雨災害、平成28年の台風10号による災害、平成29年7月の
九州北部豪雨災害など、毎年のように風水害や土砂災害の被害が発生しております。
この
九州北部豪雨災害の際には、過去の災害を踏まえて
自主防災マップの作成を初め、要支援者と支援予定者の名簿作成や避難訓練等の実施により、被害軽減につながった地域や、
自主防災組織及びそのリーダーの育成に取り組んでいたことにより、地域住民への避難の呼びかけがスムーズに行われた地域があったと聞いております。
また、近年、その発生が危惧されている
南海トラフ地震のような広範な大規模災害が発生した場合も、自助、共助が非常に大きな役割を果たすことが期待されております。
阪神・淡路大震災の際には、6割以上が家族も含む自助により、約3割が隣人等の共助によって救出されたとの報告がなされております。熊本地震の際にも、住民がお互いの家族構成や寝室の場所に至るまで、つぶさに把握していたことにより、倒壊家屋の下敷きになった全員の救助につながった熊本県西原村の事例が大きな話題となったところであります。
今後、人口減少により、さらに過疎化が進み、消防団員の減少など、防災を担う人材の確保が大きな課題となる地域も多いと思われますが、災害を人ごとではなく、いわば自分ごととして捉え、県民一人一人が防災意識を高め具体的な行動を起こすことが、これまでにも増して重要になってくると思うのであります。
特に、近年、線状降水帯に伴う猛烈な豪雨など、これまで経験したことのない想定外の災害に見舞われるおそれが増大していることから、県民一人一人が具体的な防災の取り組みとして、地域の災害リスクを理解し、家族や身近な人とどのような手段で連絡するのか、どのように行動するのかを日ごろから確認しておいたり、家具の固定や食料の備蓄などによる事前の備えを平時から行っておく心がけが大切だと考えるのであります。
また、隣近所のつき合いが希薄になってきていると言われておりますが、いざというときに近隣による助け合いが行えるよう、地元の避難訓練や防災訓練を通じた協力関係の構築はもとより、
自主防災活動の活性化に向け、日ごろから地域ぐるみで防災に取り組むことも重要と考えるのであります。
そこで、お伺いをいたします。
大規模災害時における被害を最小限に抑えるためには、子供や高齢者を含む地域全体で災害への備えを進め、防災力を高めておく必要があると考えますが、県として地域防災力の強化に今後、どのよう取り組んでいくのかお聞かせください。
次に、六次産業化推進への取り組みについてお伺いをいたします。
本県は、県土の7割を占める中山間地域を抱え、大小さまざまな島を初め、波穏やかな瀬戸内海やリアス式海岸の宇和海など、全長約1,700㎞に及ぶ全国第5位の長い海岸線に囲まれた海、山両面の自然景観に恵まれた地形となっております。これらの特徴を生かして、日本一の生産量を誇る柑橘や全国有数の杉、ヒノキ、全国トップの生産額の養殖業といったように、農林水産業が基幹産業となっております。
この農林水産業をめぐっては、担い手確保の問題に加え、
少子高齢化社会の進展等による国内市場の縮小も懸念されており、こうした中で生産者の所得を向上させ、次世代へと引き継いでいくためには、私は作物等の高品質化や生産性の向上を図るだけでなく、企業とのタイアップを含めた加工販売への取り組み、いわゆる六次産業化を進めることが強く求められているのではないかと考えております。
そのような中、国においては、六次産業化の市場規模を2015年度の5.5兆円から、
東京オリンピック・パラリンピックの開催年である2020年度には10兆円に拡大することを政策目標として掲げ、六次産業化に取り組もうとする農林漁業者に対し、新商品の開発に必要な機械や施設の整備支援など積極的に行っていると聞き及んでおります。
また、本県における六次産業化の現状としては、
年間関連販売額は増加傾向にあるとともに、特に直売所における販売高は全国的にも上位に位置していると聞いております。
県では、これまでも、六次産業化に取り組もうとする意欲ある農林漁業者を支援するため、平成26年度から商品開発や販路開拓等を支援する6次
産業化チャレンジ総合支援事業を実施しており、その中で、私の地元である愛南漁協が本事業で開発したクエの水炊きセットは、百貨店の贈答品やふるさと納税の返礼品として好調であると聞いております。ほかにも、八幡浜市の農業法人が摘果ミカンを使った
調味料塩みかんを開発し、ANA国際線の
ファーストクラスの機内食に採用されるなど、ヒット商品が誕生していることは、大変心強く喜ばしく思っております。
しかしながら、この取り組みには、消費者視点に立った商品開発や競合商品との差別化はもとより、マーケティングや販路開拓、初期投資の負担など、さまざまなハードルがあり、全国規模で競争が激化する中、ヒット商品を生み出し、生産者の所得向上へとつなげていくことは決して容易ではないことから、行政を初めとする関係機関からの総合的な支援が何より欠かせないものであると考えるのであります。
そこで、お伺いをいたします。
県では、農林漁業者の所得向上に向けて六次産業化の推進に、今後どのように取り組んでいくのか、お考えをお聞かせください。
次に、児童虐待の防止対策についてお伺いいたします。
パパとママにいわれなくても、きょうよりかあしたはもっとできるようにするから、もうおねがい、ゆるして。ゆるしてください。
これは、今年3月に東京都目黒区で両親から虐待を受け、衰弱死した5歳の女児が覚えたての平仮名で何日にもわたり、ノートに書き残していた両親への謝罪の言葉であります。女児は逮捕された両親や1歳の弟とは別の明かりもない部屋で寝起きをし、食事も満足に与えられず、暴力を加えられ、衰弱しても病院に連れていってもらえることもなく、死亡時には同年齢の平均体重20㎏を大幅に下回る12㎏しかなかったとのことであります。愛されるはずの親から虐待を受けながらも、死の間際まで、その言いつけを守ろうとする幼い心のうちを思うと、今も涙が込み上げそうになり、このような悲惨な事件が繰り返されることがないことを願うばかりであります。
しかしながら、先月も福岡県で4歳の男児を虐待死させた親が逮捕されるという事件が発生しており、残念ながら、我々の思いが届かないのが厳然たる事実であります。
児童虐待の防止については、これまで、
児童虐待防止法や児童福祉法の累次の改正、民法などの改正により、制度的な充実が図られてきたところであります。しかし、一方では、全国の児童相談所における児童虐待に関する
相談対応件数は一貫して増加しており、平成28年度は過去最多の12万2,575件となり、
児童虐待防止法が施行された平成12年度の1万7,725件と比べ約7倍に増加しています。
また、今年3月の警察庁の発表によると、平成29年に児童虐待の疑いがあるとして全国の警察が児童相談所に通告した児童数は、平成16年の962人から13年連続して増加し、過去最多の6万5,431人となっています。検挙状況を見ますと、平成29年には1,138件1,176人を検挙、加害者は実父母が792人で、7割近くを占めています。被害児童数は1,168人で、うち亡くなった児童が58人にも上がっており、たび重なる痛ましい事件に向き合わざるを得ない悲しい現実を物語っています。
さきの女児のケースでは、転居前の香川県の児童相談所からの情報により、東京都の児童相談所の職員が家庭訪問したものの、母親に面会を拒絶されたとのことであります。この事件が報道されて以降、児童相談所間の情報共有や児童相談所と関係機関との連携のあり方などが問われておりますが、特に虐待が疑われるにもかかわらず、保護者が児童相談所による状況確認を拒むような場合は、何よりも子供の命を守るため、警察の協力を得て、いち早く児童の安全を確認することが最重要ではないかと考えるのであります。
そこで、お伺いをいたします。
本県の児童虐待の現状はどうか。また、県は警察との連携にどのように取り組んでいるのか、お聞かせください。
最後に、通学路等における子供の犯罪被害、防止対策についてお伺いいたします。
今年の警察庁の発表によると、全国における刑法犯の認知件数は平成14年の約285万件をピークに減少し、平成28年には戦後初めて100万件を下回り、昨年は前年度比8.1%減の91万5,042件と戦後最少を更新しております。
本県においても、平成15年をピークに減少し、昨年中は9,207件と一昨年に続き1万件を下回るなど、戦後最少を更新しており、平素からの
犯罪抑止対策が大きな成果を上げているものと考えるのであります。
しかしながら、犯罪の総量が減少傾向にある中、全国における通学路等における児童生徒の犯罪被害については、後を絶たないのであります。平成28年3月には、埼玉県朝霞市で行方不明当時中学1年生だった13歳の少女が2年ぶりに発見、保護され、誘拐されていたことが判明したほか、昨年3月には、千葉県松戸市において小学3年生の9歳女児が登校するために自宅を出たまま行方不明となり、その後殺害される事件が発生し、さらに、本年5月には、新潟県新潟市において、下校中の小学2年生の7歳女児が殺害され線路上に遺棄される事件が発生するなど、毎年のように残忍きわまりない痛ましい事件が発生している状況にあります。
このような登下校時の通学路などにおける児童生徒の安全確保は喫緊の課題であり、県警はもとより、学校関係者や地域住民、
防犯ボランティアの方々が結束して、これまで以上に官民一体となり、社会全体で児童生徒を守っていく活動は不可欠であると考えております。
また、通学路等の安全確保の方法は、街灯、歩道といった
道路環境整備などハード面と防犯活動などのソフト面、双方からのアプローチが極めて重要であると考えておりますが、県警には、
防犯ボランティアの活性化や
防犯カメラ設置の推進、事案の予防、検挙といった活動にしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。
県警では、平成21年4月から、警察本部に子供や女性を対象とする性犯罪などの前兆と見られる声かけ、つきまとい等の事案に関する情報収集・分析により、行為者を特定して検挙、指導、警告の措置を講ずる子ども・
女性安全対策室を設置されております。従来の検挙活動等に加え、先制・予防的活動を積極的に推進していくことによって、子供や女性が被害者となりやすい性犯罪等の未然防止に努めているということであり、その活動に大いに期待しているところであります。
そこで、お伺いをいたします。
県内における児童生徒に対する声かけ事案等の現状と対策及び今後の通学路等の安全確保に向けた取り組みについて御所見をお聞かせください。
以上で私からの質問を終わります。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
○(村上要副議長) 理事者の答弁を求めます。
○(中村時広知事) 議長
○(村上要副議長) 中村知事
〔中村時広知事登壇〕
○(中村時広知事) 中田議員に、まず、高速道路の南予延伸についての御質問にお答えをさせていただきます。
南予延伸は農水産物の販路拡大や企業誘致、観光振興等はもとより、
南海トラフ地震など大
規模災害発生時の避難、救援に不可欠な命の道であり、県では最重要施策の一つに位置づけ、これまでも機会あるごとに国に対し早期整備を強く働きかけてきたところでございます。
このうち、津島道路につきましては、引き続き用地買収が進められているほか、平成28年度に着手した本線工事では、
愛南町柏地区で
橋梁下部工事等が、また、宇和島市上畑地地区で
切り土工事等が行われており、県としても宇和島市や愛南町と連携しながら、地元調整や埋蔵文化財の試掘調査等の協力を行っているところでございます。
一方、内海-宿毛間は27年度から
計画段階評価の調査に着手をし、ことし1月の
学識経験者等による国の委員会でバイパス案や国道56号の現道改良案など3つのルート案が了承されたところでございますが、今後、地域住民への意見聴取や概略ルート、道路構造等の決定などが残されていることから、さきの重要要望等において、私もみずからが
計画段階評価の早期完了を国に強く要望したところでございます。
県としては、津島道路の早期完成はもちろん、内海-宿毛間については都市計画決定など次のステップに早期に移行し、新規事業化への手続を加速させるよう、南予の市町、また、高知県と一丸となり、国に強く訴え、県民の悲願でもある南予延伸の一日も早い全線供用に向け、全力で取り組んでまいりたいと思います。
次に、地域防災力についての御質問にお答えをさせていただきます。
本県の防災対策は、県防災対策基本条例において、県民、地域、行政がそれぞれ自助、共助、公助を適切に実施し、被害の最小化を図ることを基本理念としていますが、大規模災害の発生直後の公助にはおのずから限界がありますことから、自助、共助が極めて重要であると考えてまいりました。
このため、県では、一般県民や小中学校の児童等を対象とした防災意識啓発講演や県民総ぐるみ地震防災訓練シェイクアウトえひめなどの実施に加えまして、本年3月には、スマホの地図上で平時から避難所や避難経路を確認することができる避難支援アプリひめシェルターを新たに導入するなど、自助の意識の醸成に努めているところでございます。
また、共助の中心となる
自主防災組織の育成支援に加え、組織の核となる防災士の養成に積極的に取り組んでまいりました。本年5月末で東京に次ぐ全国第2位の約1万1,000人に達したところでございます。
さらに、県消防学校を地域防災リーダー養成の拠点に位置づけ、地区防災計画の策定や住民避難対策など、専門的な技術や知識を習得するための講座を開設し、
自主防災組織の役員や防災士のスキルアップを図っているところでございます。
このほか、今年度、
南海トラフ地震による津波や土砂災害により、孤立集落の発生が予測される南予地域で、地域住民や
自主防災組織が連携して対応策を検討するモデル事業も実施しており、今後とも市町等と緊密に連携しながら、自助、共助の取り組みの充実強化に努め、地域防災力の一層の向上を図ってまいりたいと思います。
その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えをさせていただきます。
○(山口真司
保健福祉部長) 議長
○(村上要副議長) 山口
保健福祉部長
〔山口真司
保健福祉部長登壇〕
○(山口真司
保健福祉部長) まず、地域医療医師確保奨学資金制度による医師の確保についてお答えをいたします。
県では、平成21年度に
地域医療医師確保奨学金制度を創設して以降、これまでに172名に奨学金を貸与しており、現在、初期臨床研修を終えた20名の医師が専攻する診療科のスキルを身につける後期研修を行っておりまして、うち11名は各地の中核となる医療機関で地域医療に貢献しているところであります。
今後、毎年15名から20名程度の奨学生医師が新たに県内の医療現場に配置されることとなるため、県では、奨学生医師が地域医療に必要な知識や技術を実践的に学びつつ、希望する専門性も養うことができるよう、愛媛大学に地域医療支援センターを設置し、キャリア形成、支援体制の構築を進めておりまして、これらの医師が9年間の義務従事期間終了後も地域医療の担い手として活躍できる環境づくりに努め、本県の医師確保を図りたいと考えております。
なお、地方の医師不足や診療科の偏在は全国的課題でありまして、その解決には、国において不足する地方や診療科に医師が分散される有効な仕組みを構築することが不可欠でありますことから、今後とも国に対し実効性のある対策を求めてまいりたいと考えております。
次に、本県の児童虐待の現状と警察との連携についてお答えをいたします。
本県における児童虐待の相談・通報件数は、全国と同様に近年急増しておりまして、児童相談所と市町の平成29年度の対応件数は速報値で前年度から約5%増の1,306件、6年連続で過去最多を記録する深刻な状況にあります。
児童虐待への対応のうち、特に子供の生命にかかわるような事案や保護者が児童相談所の指導や介入に強く抵抗を示す事案等につきましては、警察と連携した早期対応が重要でありますことから、県では、警察との定期的な連絡会の開催や情報提供の手順を定めた確認書の締結により、情報共有の徹底を図りますとともに、福祉総合支援センターへの現職警察官の配置や緊急度の高い家庭への合同立入訓練の実施などにより、警察との連携体制を強化してきたところであります。
今般、東京都目黒区での虐待事件を受け、親子の面会、通信を制限した事案なども情報共有するとともに、子供との面接を保護者が拒絶する場合などは警察と同行訪問等を行い、子供の安全確認、安全確保に万全を期するよう改めて各児童相談所に通知をしたところでありまして、今後とも警察を初め、市町や学校など関係機関等と緊密な連携を図り、児童虐待防止対策の一層の強化に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(田所竜二
農林水産部長) 議長
○(村上要副議長) 田所
農林水産部長
〔田所竜二
農林水産部長登壇〕
○(田所竜二
農林水産部長) 六次産業化の推進についてお答えをいたします。
六次産業化は、加工による高付加価値化や規格外品の有効利用に加え、国内外での新たな販路開拓を期待できる取り組みであり、もうかる農林水産業の実現に有効な攻めの手法として積極的に推進していく必要があると考えております。
このため、県では、平成26年度に6次産業化チャレンジ支援事業を創設し、これまでに77品目の商品開発やブラッシュアップへの経費助成を行ってきたほか、ワンストップ相談窓口の設置や専門家派遣による指導・助言、アンテナショップ愛顔の食卓でのテストマーケティングなど、さまざまな手法を駆使しながら総合的な支援を実施してきており、昨年度には、全国規模の新事業コンペで四国で初めて受賞したビジネスモデルから生まれました養殖スジアオノリの新商品など、話題のヒット商品も誕生しているところでございます。
一方で、販売拡大の大きな壁となっている営業力不足や認知度の低さに対応するため、本年度から新たに営業ノウハウの習得に向けたスキルアップ研修などを実施いたしますほか、本県を代表する六次産業化商品であるがゆえに群雄割拠し、ともすれば消費者が選択に迷いがちな状況にある柑橘ジュースについて、人気投票や専門家審査により、これらを品評し顕彰する制度を創設することで、認知度向上や優位販売の実現を目指す試みも計画しておりまして、今後とも一つでも多くの成功例を生み出すことで農林漁業者の意欲向上と所得拡大につなげてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(松下整警察本部長) 議長
○(村上要副議長) 松下警察本部長
〔松下整警察本部長登壇〕
○(松下整警察本部長) 通学路の安全確保に向けた取り組み等についての御質問にお答えいたします。
平成29年中に県警が認知した児童生徒に対する声かけ、つきまとい等の事案は600件で、前年より69件増加しており、このうち登下校中の事案は328件で、前年より15件増加しております。
県警では、この種事案に関しては、凶悪事件等の前兆事案と捉えて迅速な対応を行っており、行為者が判明した場合には検挙、警告等の措置を確実に行っているほか、県民や教育機関等に対してメール配信等によるタイムリーな防犯情報の発信に努めるとともにパトロール等の警戒活動を強化するなど、先制・予防的活動を積極的に推進しております。
また、事業者等の協力を得ながら、県内全域を安全で安心なエリアにする愛媛まるごとセーフティ2018を推進し、見守りネットワークの整備、通学路等における防犯カメラの設置等の防犯インフラの整備を進めているところであります。今後もこれらの取り組みにより、通学路等の安全確保に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(村上要副議長) 暫時休憩いたします。
午前10時46分 休憩
―――――――――――――――――
午前11時1分 再開
○(村上要副議長) 再開いたします。
質疑を続けます。
○(塩出崇議員) 議長
○(村上要副議長) 塩出崇議員
〔塩出崇議員登壇〕
○(塩出崇議員) (拍手)愛媛維新の会の塩出崇です。
6月15日に御逝去されました寺井修議員に心より哀悼の誠を捧げ、御冥福をお祈り申し上げます。
さて、ことしは明治改元より150年に当たります。明治、大正、そして終戦の昭和20年までの時代をどう考えるのか。昭和20年から今日までの時代をどう理解するのか。捉え方は一律ではなく、評価の分かれるところのようであります。
自治体が行う記念行事は、約2,900件を超えると聞きますが、中でも鹿児島、山口、高知、佐賀県における行事が多いと聞いております。この改元150年を記念して某ビールメーカーが、薩長土肥黒ラベルを近畿から西のコンビニ、スーパーで9,000ケース限定で発売しています。
一方、会津地方では、「義」の想い つなげ未来へ-。戊辰150周年。このような旗指物が掲げられているようです。会津地方の人々にとっては、薩長土肥黒ラベルは随分と苦く感じられることでしょう。
一般的には、近代日本の夜明けとされる明治改元、明治時代が我が国にとって近代化への一歩であったことは疑う余地もありませんが、いまだに当時の影響が色濃く残っていることを考えますと、正確な歴史的評価にはいま少し時間を要すると思います。長い歴史の中の一瞬を生きる者の一人として、明確な自覚を持ち、責任を感じつつ質問をさせていただきます。
さて、県におかれましては、
南海トラフ地震に対応するため、防災・減災に終わりなしというお考えのもと、積極的な取り組みをしていただいておりますこと、深く感謝申し上げます。
本日は、最初の質問といたしまして、ブロック塀の安全の確保に向けた取り組みに絞り、お伺いいたします。
先月18日、大阪府北部を震源とする最大震度6弱の地震が発生いたしました。内閣府6月27日発表によると、今回の地震により全壊した住宅は3棟と少なかったものの、1万棟を超える住宅被害が報告されています。昨日時点、大阪府のまとめでは、全壊4棟、住宅被害は2万棟を超えており、今回の地震被害の大きさを物語っております。
また、大阪府内では、当初発表5名から1名減りはしたものの、4名のとうとい命が失われました。この場をおかりして哀悼の誠を捧げますとともに、被災された皆様方に心よりお見舞いを申し上げます。
大阪府高槻市の小学校では、プールサイドに設置されたブロック塀が倒れ、その下敷きとなって9歳の幼い命が犠牲になるという痛ましい事故が発生いたしました。3年前に専門家の指摘を受けながらも危険性を見抜くことができず、重大な事故を引き起こしたことは、まさに痛恨の極みであります。
地震によるブロック塀の倒壊は、過去何度も繰り返し発生しています。昭和53年の宮城県沖地震では14名の方が亡くなり、これを契機として、昭和56年に建築基準法がより厳しいものに改正されました。その後も昭和62年の千葉県東方沖地震、平成17年の福岡県西方沖地震、そして平成28年の熊本地震でも倒壊したブロック塀の下敷きになって亡くなられた方がおられます。ブロック塀は、地震などにより道路に倒壊した場合、通行人等の人命を失うおそれがあるほか、避難や救助の妨げになるおそれもあるため、これらの安全対策は急務であります。
しかしながら、これまで学校や病院などの建物の耐震化は進められてきましたが、危険なブロック塀の対策は後回しになっている感は否めません。一般県民にとっても、住宅の耐震化に比べれば、ブロック塀の危険性への認知度は低いと言わざるを得ないのが現状ではないでしょうか。
改めて周囲を見回すと、ブロック塀は数多くあり、今回のように高く積み上げられたブロック塀もあり、ごく身近なところに危険が潜んでいます。今こそ住民一人一人がその危険性を改めて認識するとともに、県はもとより、国全体として必要な対策を進め、近い将来、発生が予想されている
南海トラフ地震では、このような悲劇を二度と繰り返さないようにしなくてはならないと思うのであります。
そこで、お伺いいたします。
今回のような状況を踏まえ、公立学校並びに県有施設におけるブロック塀の現状はどうか。また、一般の住宅を含め、ブロック塀の安全確保を図るため、どのように取り組んでいかれるのか、お聞かせ願います。
次に、再犯防止についてお伺いいたします。
法務省の統計によりますと、戦後の刑法犯認知件数は、昭和21年から昭和55年ころまでは150万件前後で推移していたものの、その後、上昇傾向となり、平成14年には、ついに7年連続、戦後最多となる285万4,061件を記録し、安全と水はただ、世界一安全な国であった我が国の治安情勢は、大変な危機を迎えました。
そこで、政府は、平成15年に治安の回復を目指して犯罪に強い社会の実現のための行動計画を策定し、関係府省、各地方公共団体一丸となった取り組みを行い、平成14年から10年後の平成24年には140万3,536件、15年後の平成28年には平成14年の約3分の1となる99万6,120件となり、初めて100万件を下回っております。これは、犯罪撲滅の積極的な取り組みが功を奏した証左であります。
ただ認知件数の総数は減少していますが、犯罪に質的な変化が生じています。平成29年版犯罪白書によりますと、詐欺は平成24年以降増加傾向、暴行は平成18年以降高どまりとなっており、平成28年の検挙件数では、児童虐待事案が平成19年の約3.5倍、配偶者間暴力が約2.7倍、ストーカー規制法違反が平成23年の約3.8倍となっています。刑務所入所受刑者人員では、高齢者が平成9年の約4.2倍に上り、再入所率は約70%となっています。
減少する刑法犯認知件数と反比例する形で刑法犯検挙者に占める再犯者率は、平成14年の34.9%から平成28年では48.7%と上昇しており、一度罪を犯した者が再び犯罪を繰り返している傾向が見られます。より安全な日本を実現するためには、この点が大きな課題となっております。
本県の刑法犯認知件数を見ますと、平成28年9,776件、検挙人員2,632人、うち初犯者1,212人、再犯者1,420人となっており、再犯者率が54.0%であり、再犯の防止が進めば県内の犯罪数の大きな減少につながることは明確であります。
国も安全・安心な社会を実現するためには再犯防止策は必要不可欠であるとし、平成28年12月に再犯防止等の推進に関する法律を公布、施行、昨年12月には、再犯防止推進計画を閣議決定、30年度より5カ年、国を挙げて取り組むこととしています。
再犯で検挙された者のうち約70%が無職の状態、満期出所者のうち約50%が住居なしの状況です。すなわち出所しても社会に居場所がなく、強い疎外感から再犯に向かうという状況を解消しなければなりません。再犯防止推進計画は、罪を犯した者の日本社会における生きづらさの解消を眼目としており、本人への教育等を含む就労支援、住居確保が最も重要であるとしています。
再犯防止推進法第8条では、都道府県及び市町村には再犯防止推進計画を勘案して、地方再犯防止推進計画を定める努力義務が規定され、地方公共団体の取り組みの重要性が示されています。具体的には、保健医療、福祉サービスの利用の促進、地方公共団体による保護観察対象者の雇用及び協力雇用主の支援、保護司、更生保護女性会、BBSなど民間協力者の活動の促進、広報、啓発活動の推進等の取り組みが期待されております。
そこで、お伺いいたします。
再犯防止推進法の制定に伴い、地方公共団体も再犯防止に取り組むこととされましたが、その具体的な取り組み内容の検討については、全国的にも緒についたばかりであると聞いております。
こうした中で、県内では、県民が犯罪による被害を受けることを防止し、安全で安心して暮らせる社会の実現を図るため、これまでどのような取り組みがなされてきたのか。また、県におかれましては、今後再犯防止に向けてどのように取り組むお考えなのか、御所見をお聞かせください。
次に、子供の読解力についてお伺いいたします。
本年2月議会の質問でAIの進化に関しての発言をさせていただきましたが、AIの東大合格を目指した東ロボくんの製作に深く関与した国立情報学研究所の新井紀子氏の分析によると、現在の若者たちが抱えている問題は、AI時代に向けたプログラミング教育などよりももっと基礎的なもの、読解力の低さであるとのことです。AIの進化により、ホワイトカラーと呼ばれる人々が失職する日が近づいていると言われています。既に銀行では、AIによる業務自動化の動きで転職希望者が増加しているとの話もあります。
では、AIの影響で職を失った人々はどんな仕事につけばよいのか。当然のことながら、AIにできない仕事につくことになります。そのとき、どんな能力が必要とされるのでしょうか。10年後、20年後まで残るとされている職業としては、レクリエーション療法士、機器整備・設置・修理の第一線監督者、危機管理責任者、メンタルヘルス・薬物関連ソーシャルワーカー、聴覚訓練士、作業療法士などが上げられています。これらの仕事に共通して必要なのはコミュニケーション能力であり、理解力であり、柔軟な判断力であります。それらはAIの不得意とする分野で、前提として高度な読解力と常識が必要となります。
しかし、未来を担う日本の中高生の読解力は危機的な状態にあると言われています。OECDが実施する学習到達度調査における読解力部門では、過去3回連続でトップテンに入っているとはいえ、新井紀子氏が行った基礎的読解力調査の結果を見ると、驚くべき読解力の欠如が示されています。
例えば、語の係り受けの問題では、中学生の誤答率が38%、高校生の誤答率が28%となっています。そんなに難しい問題ではありません。例えば、教科書にある文を参考にしてつくられた、幕府は1639年ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じたの文と、1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられたの文とは同じ意味か違う意味かを判定する問題では、中学生の誤答率が43%、高校生の誤答率が29%となっています。57%の中学生ができているということではなく、57%の生徒しか教科書を正しく読めていないという現実なのです。文部科学省も対策には乗り出しているようですが、それで解決できるものなのか、大いに疑問であります。
そこで、お伺いいたします。
児童生徒一人一人に、AI時代を生きるために必須の読解力を身につけさせることの必要性及びその取り組みについてお聞かせください。
次に、小学校での道徳教育についてお伺いいたします。
第2次世界大戦前は、修身が筆頭教科としてありましたが、GHQが修身を廃止、1958年に理性ある社会人を育てる道徳として復活しております。現在の道徳教育では、児童生徒が生命を大切にする心や他人を思いやる心、善悪の判断など規範意識等の道徳性を身につけることが重要であると学習指導要領では示されています。
要領では、指導する内容項目として、主として人とのかかわりに関すること、主として集団や社会とのかかわりに関すること、主として生命や自然、崇高なものとのかかわりに関すること、そして、主として自分自身に関することを示しています。
具体的には、小学校1ないし6学年に共通するものとして、善悪の判断、自立、自由と責任、正直、誠実などがあります。正直な心を幼いころから育むことが非常に大切であることについては、論を待たないと思います。
この件に関しては、例えば、ある出版社の道徳の教科書では、1年生では、拾ったおもちゃのことでうそをついたネズミのチッチは、胸がちくちくと痛くなり、2年生では、池に落とした金のおのの話で、友達のきこりがうそをついてしまうのは、どんな心からでしょうと問いかけ、3年生では、弟の分のアイスを食べてしまった姉に、過ちを犯したこともいけないが、うそをついてごまかしたことがもっといけないと考えさせています。気づき、考え、話し合い、振り返り、見つめ、生かすという道徳教育は、学校の教育活動全体を通じて常に行われていると聞きます。
しかし、我が国では、神戸製鋼所や三菱マテリアルの品質改ざん、スバルの無資格検査、排ガスと燃費の検査測定値改ざん、神戸市でのいじめに関する聞き取りメモの隠蔽、そして、道徳教育の教材として取り上げられるような事件が実にごろごろしています。
さきに述べましたように、道徳教育は学校教育全体で取り組んでいただいておりますが、児童はもとより、社会の中に存在しており、純粋な目で社会のありようを、大人たちの言動を実にしっかりと見ているようです。その影響か、ある学校の相談員の話では、近ごろの子供たちは、悪いことをしてもばれなければよい、ばれたとしても自分の責任にしないように努力すればよいという傾向があるとのことでした。
中国文化大革命の荒波を巧みに泳ぎ切った鄧小平は、白い猫でも黒い猫でもネズミをとる猫はいい猫だと言っておりますが、うまし国であるはずの日本で通用する言葉なのでしょうか。少なくとも我が国では、正直は美徳とされるべきだと考えます。我が国の未来を担う子供たちの心は、私たちの宝物とも言うべきで、よい環境の中で真っすぐ育みたいと考えます。
そこで、お伺いいたします。
このような混乱の世相の中で、小学校において愛媛の愛ある道徳教育をどう進めていかれるのか、御所見をお聞かせください。
次に、公文書のあり方について質問をさせていただきます。
古代中国の春秋左氏伝にこのような逸話が残っています。要約いたしますと、ある国の宰相で、不当な理由で王を殺害した崔杼という者がいました。歴史を記録する史官は、「崔杼、其の君を弑す」と書き記しました。崔杼は怒り、この史官を殺しました。史官の弟が後を継ぎ、また同様のことを記したため、崔杼はその弟の史官も殺しました。次を継いだ2人目の弟である史官も、「崔杼、其の君を弑す」と同じに記そうとします。そこで、崔杼は史官に、お前の2人の兄を殺した、なぜお前も命をかけてまで私にとって不都合なことを書くのかと尋ねました。答えは、歴史を正しく伝えることが私たち史官の仕事だからでした。寓話にすぎませんが、事実を正しく記録することの意義、執念が伝わってきます。
水かけ論は、自己都合で言った言わないを論ずるわけで、幾ら討論してもそれは空虚なものに終始します。記録さえあれば、事は簡単に解決するものであるのに、一体いつのころからこのように記録が軽んじられるようになったのでしょうか。
歴史をたどる手段として、重要な資料は古文書です。たくさんある古文書の中で、一次史料となるものを探し出し、そこから歴史の真実をよみがえらせます。日本には、膨大の量の古文書が、記録が残っており、それを峻別して歴史の真実を復元していくことができます。しかし、自分の都合のよいように書き直しや捨てることが行われるとしたら、後世に真実は伝わりません。
日本人は、古来より記録を大切にしてきた民族のはずです。それがいつのころからか、また、なぜ記録を軽んずるようになったのか、そのあたりの検証は別として、愛媛県にはあるべき記録があったこと、それをきちんと公表されたこと、愛媛県民として誇らしく思います。別の言い方をすれば、日本国民であることに強い不安を覚え、愛媛県民であることに深く安堵いたします。なぜなら、記録は政治のあり方を示すものであり、記録を残すことは納税者への義務とも言われているからです。
アメリカ合衆国国立公文書記録管理局では、公文書を非常に厳格に管理しているにもかかわらず、公開度は高いようです。電子メールについては7年間、必要に応じて永久保存しています。歴代大統領のマイナスになるような記録も残しており、公開もしているようです。対して、日本の某省では、必要なものは適切に保存しているとのことではありますが、電子メールは送受信から60日経過すると自動廃棄されているとの報道がありました。
県民にとって公文書は大切なものだと思います。県は、このたび公文書の管理に関する条例案に対する意見の募集を行い、本会議に公文書条例案を提案されております。
そこで、お伺いいたします。
本県の公文書管理について、条例化によってこれまでとどのように変わるのか。特に、事実をしっかりと記録し、残すためには、職員のコンプライアンス意識が最も重要であると思いますが、今後どう取り組んでいかれるのか、御所見をお聞かせください。
最後に、とべ動物園の魅力向上についてお伺いいたします。
今、我が国では、人間社会の高齢化が大きな問題となっておりますが、動物園の動物たちの世界にも高齢化の波が押し寄せていると聞き及んでおります。現在飼育している動物たちが寿命を迎えると、2030年ころには動物園から多くの動物が姿を消してしまう可能性を指摘する専門家もいるそうです。また、象やゴリラなどは、ワシントン条約によって商取引が規制されているため、外国から購入することは非常に困難な状況となっております。
とべ動物園においても、2013年、太郎の死によってインド象はいなくなり、2016年、アフリカ象のアフ、先月24日にはキリンのユウマも死亡するという悲しいニュースが続いております。今後も動物園を取り巻く環境が厳しくなることが予想されますが、動物園には種の保存、教育・環境教育、調査・研究、レクリエーションの4つの役割があり、その重要性が薄まることはないと考えます。
現在、全国の動物園では、集客のため、さまざまな特色ある取り組みが行われております。とべ動物園においても行動展示を初め、従来の取り組みに加え、昨年度からは魅力向上戦略検討委員会を開催し、中長期的な運営方針を検討されていることは承知しておりますが、さらなる魅力向上に努められ、多くの来場者を楽しませていただきたいと思うところであります。
魅力向上の手段といたしまして、例えば希少な動物を多く展示するなど、種の保存に力を入れた独自性を出すことも一つの方法ではないでしょうか。折しも、本年5月に環境省はレッドリストの改訂を行っていますが、絶滅危惧種は41種も増加して3,675種に、海の生き物を含めると3,731種となっています。
また、海外から希少な動物を入手することについても検討の余地があると考えます。先般、日中議連の視察で大連に行ってまいりましたが、中国側は、越境ECのメリットを盛んに主張し、当県との経済関係の構築を強く求めていました。中米の貿易摩擦が深刻となっている状態では、日本との経済関係を好転させようとするのは当然至極のことで、日中友好40周年も加味して、若干前のめりの姿勢、雰囲気も感じられました。
とべ動物園も開園30周年と節目の年を迎えております。日中友好記念40周年に吹く絶好のこの風を生かし、四国にまだ見ぬ希少動物であるジャイアントパンダを雌雄一対呼ぶなどすれば、大きな起爆剤となると思います。費用対効果などを慎重に考慮しなければならないと承知しておりますが、リニアを通すより実現性はあり、夢もある楽しいもくろみではないでしょうか。
そこで、お伺いいたします。
現在のとべ動物園の動物の高齢化の現状はどのようになっているのか。また、動物園のさらなる魅力向上に県は今後どのように取り組まれるのでしょうか、お示しください。
以上で質問を終わりますが、サッカーワールドカップ、日本チームは戦前1勝もできないであろうとの下馬評の中、西条市立北中学校を卒業、愛媛県出身、3大会連続出場の長友佑都選手の活躍もあり、1勝1敗1分け、決勝トーナメント進出を決めました。決定の条件が、初めてのフェアプレーポイントであったことは、まことに象徴的であります。さらなる日本チームの勝運を心から祈念いたしますとともに、フェアプレーをベースとしたスポーツ立県えひめの進展を強く願うものであります。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
○(村上要副議長) 理事者の答弁を求めます。
○(中村時広知事) 議長
○(村上要副議長) 中村知事
〔中村時広知事登壇〕
○(中村時広知事) 塩出議員に、まず、公立学校及び県有施設におけるブロック塀の御質問についてお答えをさせていただきます。
大阪府北部を震源とする地震において幼い命が奪われたことは、御遺族のお気持ちを察しますと胸が締めつけられる思いであり、建築基準法にのっとって、県民一人一人がブロック塀を常時適正な状態に維持しておくことの重要性を改めて痛感しています。
今回の地震を受けまして、県と市町の教育委員会が、全ての公立学校のブロック塀等について目視による緊急点検を行ったところ、468校のうち123校において、さらなる精査が必要と判断されたため、立入制限や注意喚起等の応急措置を講じているところでございます。
また、県では、全ての県有施設の敷地内にあるブロック塀について、点数により危険度合いを判定できるチェックシートを用いた点検を実施しており、県立学校分も含め、今月中旬までに取りまとめ、危険と判断されたものについては、詳細な調査を実施の上、危険度に応じて立入制限や撤去等の措置を講じることとしています。
一方、県民の皆さんに対しては、県のホームページにおいてチェックシート等を公開し、所有者みずからが点検を行った上で、必要に応じ専門家に相談できるよう、建築関係団体との協力体制を整えたところでございます。
一般の住宅等については、現在、県が支援している老朽危険空き家の除却にあわせてブロック塀を撤去することも可能であり、今後とも制度の利用を促すほか、これまで70%程度とされていた
南海トラフ地震の発生確率が70%から80%の間に引き上げられた中で、今回の事案を踏まえたブロック塀の安全確保策については、国や他県の動向も注視しながら迅速に、そしてかつ適切に対応してまいりたいと思います。
次に、とべ動物園の御質問についてお答えをさせていただきます。
とべ動物園は、ことし開園30周年を迎えますが、ワシントン条約により新たな動物の入手が困難なことなどから、飼育頭数は開園当時から年々減少しており、哺乳動物に関しては、約2割が高齢化しているところでございます。このため、他の動物園から動物を借り受け、とべ動物園の高い技術を生かして繁殖に努め、過去5年間では160頭の動物を誕生させており、近年では、ほぼ同数の飼育頭数で推移しているところでございます。
このような動物の高齢化に加え、獣舎等の施設の老朽化、年少人口の減少など、動物園を取り巻く環境が厳しくなる中、これまで来園者のニーズに応じた観覧施設の整備や夜の動物園の開催などの魅力向上策に取り組んでまいりましたが、ここ数年、来園者数は横ばいであり、新しい視点でとべ動物園の持つ潜在能力を十分に発揮させるため、昨年配置した総合プロデューサーの監修のもと、さらなる魅力向上策を検討しているところであります。
その第一弾として、今年度から動物園で非日常的な時間が過ごせるキャンプ体験や動物のおもしろいエピソード動画を制作し人気投票を行うアワードなど、従来にはなかった参加型、体験型のイベントを実施することとしており、さらにこれらの話題がSNSを通じて拡散されることにより、とべ動物園の新たな魅力が伝わり、来園者の増加につながることを期待しています。
今後は、これら話題性のあるイベントの実施に加え、昨年設立しましたとべ動物園魅力向上検討委員会の意見を踏まえ、魅力的な動物の導入や動物園の触れ合い機能の充実、獣舎整備等のハード事業についても計画的かつ継続的に検討を進め、来園者に夢と感動を与え、何度も足を運びたくなるような笑顔あふれる動物園を目指し、全力で取り組んでまいりたいと思います。
その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えをさせていただきます。
○(菅豊正総務部長) 議長
○(村上要副議長) 菅総務部長
〔菅豊正総務部長登壇〕
○(菅豊正総務部長) 公文書管理についての御質問にお答えいたします。
公文書は、県の活動や歴史的事実を記録するものであり、県民の知る権利を尊重し、県民への説明責任を果たすため、重要かつ貴重な資料であると認識しております。このため、条例案では、パブリックコメントの御意見も参考にして、公文書を県民共有の知的資源として県民が主体的に利用し得るものと位置づけるとともに、県政について県民に説明する県の責務を全うすることを目的に掲げたところであります。
また、これまでの規程に基づく公文書管理に加え、新たに政策等の意思決定に至る過程等を合理的に事後検証できるように記録すること及び公文書の管理状況を毎年公表することを義務づけることで、行政の透明性を高め、県民への説明責任の徹底を図ることといたしております。
さらに、文書を管理する職員のコンプライアンス意識を向上させるため、ガイドラインを策定、活用し、意識啓発等のための研修を地道に積み重ねることにより、全ての職員に文書を適正に作成、管理、保存するという意識を徹底させるとともに、各機関の文書管理責任者を中心に、組織として新たな制度を的確に運用し、県民の信頼を高められるよう、適正な公文書管理に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(金子浩一
県民環境部長) 議長
○(村上要副議長) 金子
県民環境部長
〔金子浩一
県民環境部長登壇〕
○(金子浩一
県民環境部長) 県民の犯罪被害の防止と再犯防止の取り組みについてお答えいたします。
県では、平成26年度に安全で安心なまちづくり推進計画を策定し、広報、啓発活動等による県民の防犯意識の高揚や、防犯パトロールや地域での見守りなど、県民の自主的な活動の促進等に取り組んでおり、昨年までの県内の刑法犯認知件数は、4年連続で戦後最少を更新しております。
一方で、近年、再犯者率が上昇し、再犯防止の取り組みが重要性を増す中、県では、保護観察所等と連携し、地域生活定着支援センターにおいて、刑務所等を退所した高齢者や障がい者への福祉サービスの利用支援を行うほか、心と体の健康センターでの薬物依存症者への回復支援や更生保護団体への活動助成などを通じ、犯罪を行った者等に対する社会復帰を支援しているところであります。
地域における再犯防止の推進には、国や市町はもとより、保護司会や更生保護会、就労支援事業者機構などの民間の取り組みとの連携が不可欠であり、県では、今後、関係機関・団体間でノウハウや情報の共有を図り、支援体制を強化するほか、福祉、就労、住宅、教育分野などで構成する庁内会議におきまして、生活環境の確保や地域定着に向けた支援等について検討を行い、地域の実情に応じた再犯防止策の具体化に取り組むこととしております。
以上でございます。