次に、地方創生の命題でもある仕事、雇用の維持、拡大、そして地域の活性化につながる企業振興の取り組みについてお伺いします。
知事はこれまで、みずからが先頭に立って企業の新規立地や留置に取り組むとともに、「スゴ技」「すご味」「すごモノ」をベースに、行政としては先駆的な地域の強みを生かした営業活動に精力的に取り組んでこられましたが、まず、地域特性を生かした企業誘致についてお伺いします。
本年5月、
民間研究機関日本創成会議の試算によれば、このまま人口減少が進めば将来的には県内13市町が消滅する可能性があるというショッキングな発表がありました。地方の人口減少は主に若者の転出と関係が深いと言われています。私の地元宇和島市で生まれた赤ちゃんも、20歳を過ぎるころには約4割にまで激減しているのであります。進学で宇和島を出ると、その多くは卒業後も地元以外で就職し、帰りたくても帰れない、地元に働く場所がないという状況です。
そのような中、本年10月、国内外に370店舗を展開する岡山市の
高級和菓子メーカー、
株式会社源吉兆庵が宇和島市に新工場を建設するという発表がありました。同社は宇和島圏域で生産されるクリや桃、ビワ、柑橘類などの農産物を集荷して、新たに建設する工場で加工を行い、操業5年後には和菓子の
最終製造ラインも設置し、正社員の求人が低迷する中、将来的に約100人の正規雇用を生み出すとのことであり、加えて源吉兆庵のブランド力による地域の情報発信効果も期待され、大変喜ばしく思っております。
今回の立地は国産原材料の安定確保が課題となっていた同社の情報を県がいち早くキャッチし、訪問を重ね、信頼関係を築くとともに、地元市町等とともに連携を強化して企業ニーズに対応し、誘致を成功させたとのことであり、知事が常日ごろ提唱されている市町との連携をベースとした取り組みが成功したすばらしいケースであると思うのであります。これまでの関係者の御努力に改めて感謝を申し上げる次第であります。
消費地から遠く、立地環境に決して恵まれているとは言えない宇和島圏域での立地は、我々に夢と希望を与えてくれました。今後もさらなる企業誘致を進め、地域の活性化に取り組んでいただきたいと考えます。
そこで、お伺いします。
地域により産業構造や立地環境が異なっておりますが、県では地域の特性を生かした企業誘致にどのように取り組んでいくのか、お聞かせください。
関連して、既に県内に立地している企業に対する支援についてお伺いします。
本年9月、
民間信用調査会社が発表した国内企業の投資に関する調査によれば、依然として人件費の安い新興国や需要地である欧米などに現地工場をつくる動きは強く、国内では愛知県など大手メーカーの工場が多い地域にさらに拠点化を進める傾向が出ています。
地元宇和島市においては平成16年以降、四国明治、宇和島シロキ、東洋整備工業、ボブソンなどが閉鎖し、500名を超える雇用が失われました。このように、企業活動の海外展開や集約化により県内各地で企業の県外流出や閉鎖が相次いでいるのも現実であります。
現在、政府はまち・ひと・し
ごと創生本部を立ち上げ、東京一極集中を是正するため、地方に若者を呼び込む拠点づくりや雇用創出などを進めることとしていますが、現実は大変厳しい状況にあり、対策にはこれまでとは異なる視点での工夫が必要ではないかと考えるのであります。
待ったなしの危機的な人口減少を克服し、地方創生を進めるためには、県と市町が危機感を共有し、連携すべきは連携し、切磋琢磨しながら創意工夫をもってこの局面を切り開かなければなりません。企業誘致を進め、新たな雇用を創出することはもちろんでありますが、もう一つの大きな柱として、既に本県に立地している企業を維持・発展させて雇用を確保することも大変重要であると思うのであります。
そのような中、先月、
帝人松山事業所の拡充計画が発表され、素材生産拠点、研究開発の中核拠点として位置づけられました。研究開発機能の移転による地元企業への波及、今後の生産拡大と、それに伴う雇用の創出に大いに期待しているところであります。地域の企業は農林水産物等の地域資源と同様、地域で育まれたその地域の宝であり、強みであります。この強みに磨きをかけることで、着実に地域に活力と雇用をもたらすことができると考えるのであります。
そこで、お伺いします。
雇用を生み出し、地域の維持発展を促進するため、新たな企業の誘致に加え、県内において長年操業し雇用を生み出してきた企業を維持・発展させるため、どのように支援していくのかお聞かせください。
次に、瀬戸内しまのわ2014についてお伺いします。
愛媛県と広島県の瀬戸内沿線の13市町の島嶼部や臨海部を舞台に400を超えるイベントが展開されました瀬戸内しまのわ2014を振り返ってみますと、県内では
大型帆船日本丸なども寄港して開催されたしまのわ“まるごと”
しまフェスタin三津浜・道後を皮切りに、大山祇神社で上演された市川海老蔵さん主演の
しまなみ歌舞伎を初め、しまのわを契機にバージョンアップしたいわぎ桜まつりや、かみじまふるさと夜市、さらには小説「村上海賊の娘」による水軍ブームを追い風に、和田竜先生をお迎えして実施されたしまのわ
海賊フェスティバル、そしてフィナーレを飾る
国際サイクリング大会サイクリングしまなみなど、大規模で華やかなイベントが繰り広げられ、開催エリアでは週末に大勢の方々が訪れ、すばらしいにぎわいが創出されました。
一方で、美しい景観、豊かな自然、おいしい海の幸、貴重な歴史が積み重なるアートや文化、伝統といった瀬戸内の地域資源を活用し、地元の方々が中心となってつくり上げた多種多彩な
民間企画イベントが開催されましたが、地域の皆さんとの触れ合いを通じ、県内外の多くの皆様に地域の魅力を体感していただけたのではないかと思います。
こうした
民間企画イベントの企画・実施を主眼とした取り組みは全国的にも高く評価され、そこに生きる人々を中心にしながら、昔ながらにその地の持っている魅力を丁寧に掘り下げることで、地元と地元、そして来訪者、それぞれが新鮮な魅力を再発見する仕組みをつくり出したとして、
公益財団法人デザイン振興会主催の
グッドデザイン賞の特別賞、
地域づくりデザイン賞を受賞されました。
しまのわのみならず、町並博やいやし博など、本県が積み重ねてきた
観光まちづくりへの取り組みが今回の受賞につながったものであり、改めて関係者の御努力に敬意を表する次第であります。
今後とも、広島県を初め瀬戸内各県とともに連携しながら世界に誇れる瀬戸内の魅力を発信し続けるとともに、しまのわの成果を地域の持続的な活性化につなげていただきたいと願うものであります。
そこで、お伺いします。
瀬戸内しまのわ2014を振り返っての評価はどうか。また、この成果を今後の
観光まちづくりにどのようにつなげていくのか、お聞かせください。
次に、防災・減災対策についてお伺いします。
この1年を振り返ってみますと、日本各地で想定もしないような自然災害が発生し、甚大な被害に見舞われた年でありました。
つい先日、最大震度6弱を記録した長野県北部の地震を初め、2月の関東甲信地方などにおける豪雪災害、8月の台風11号と12号による大雨被害や広島市の土砂災害、9月の御嶽山の噴火など、数多くのとうとい人命や財産が失われ、私自身、自然災害の恐ろしさを改めて思い知らされました。被災地の一刻も早い復旧、復興を願うものであります。
このような災害が発生するたびに瓦れきの撤去や行方不明者の捜索活動等に従事する自衛隊や警察、消防の隊員の姿には、一住民として心強く感じておりました。
東日本大震災においても全国各地から集結した救援部隊において救助活動が行われ、その際にこれら救援部隊の後方支援拠点の役割を担ったのが岩手県遠野市でありました。遠野市では、震災以前から地震発生後の救援部隊の受け入れや救援物資の搬送等について、県や自衛隊等との日ごろからの訓練を通じ、後方支援する体制を整えており、そのことが円滑な救助、救援活動等につながったと伺っております。
一方、本県でも
南海トラフ巨大地震の発生が懸念されており、最悪の場合、死者が約1万6,000人、倒壊家屋等が約24万4,000棟に上るなど、甚大な被害が予想されております。このような大規模災害時には、到底本県のみでは対応できず、全国各地から集結する自衛隊や消防などの援助部隊の活動や支援物資の調達など、広域的な救援、救助活動が求められますが、そのためには日ごろから県、市町、防災機関等が連携を深め、その体制を構築しておかなければならないと思うのであります。
このような中、本県においては、本年3月に全国からの救援部隊や支援物資を受け入れるための
広域防災拠点を選定し、その拠点での支援受け入れの手順等を定めた
広域防災活動要領の骨子を取りまとめるなど、市町と連携した広域防災体制の確立に取り組まれていると聞いております。また、地震や津波などによる被害を最小限度に抑えるために県として取り組むべきハード、ソフトの対策を取りまとめた
えひめ震災対策アクションプランの策定にも取り組まれるなど、今後、防災・減災対策がより一層推進されるものと期待しているところであります。
そこで、お伺いします。
広域防災活動要領と
えひめ震災対策アクションプランについて、現段階での内容と今後の
策定スケジュールはどうか、また、策定後はこれらの計画を踏まえ、市町と連携して大規模災害に係る防災・減災対策等にどのように取り組んでいかれるのかお伺いします。
次に、
危険ドラッグ等の薬物乱用防止についてお伺いします。
この
危険ドラッグについては、御案内のとおり、6月に東京池袋で起きました痛ましい交通死亡事故を契機に、多くの人がその危険性を改めて強く認識したところであります。その後、国の対策に基づき、
危険ドラッグ撲滅のためのさまざまな取り組みを行ってきているにもかかわらず、最近も名称の似た
危険ドラッグを吸引したことが原因と思われる死亡事故が短期間に多数発生し、薬物の使用をとがめた両親を殺害するなどの報道がなされており、いまだにこれらの使用に起因する健康被害、交通事故など悲惨な事件、事故が後を絶ちません。
これほど危険とわかっていながら、なお、使用する者がいることに大きな驚きを感じますとともに、安易に入手できること、想像以上に汚染が進んでいること、やめたいと思っても薬物が持つ強い依存性からなかなかやめることができないことが浮き彫りとなっているようで、恐ろしさを再認識する次第です。
今のところ本県では、重大な事件、事故が生じたとは聞いておりませんが、県内にも松山、今治に
危険ドラッグの販売店があったことから、つい先日もそれら店舗の経営者や関係者ばかりでなく、その薬物を購入した人も逮捕されたと報じられたところであり、この問題は決して対岸の火事ではありません。販売や流通を厳しく取り締まることはもちろん、一度の使用でも死に至ることもある非常に危険なものであること、依存症になってしまうことなど、
危険ドラッグに関する知識、情報の普及啓発が必要であると考えます。
そこで、お伺いします。
今回提案された
危険ドラッグに関する条例の概要と特徴はどうか、また、今後、県としてどのような対策を行っていくのか、具体的にお聞かせください。
次に、愛媛産品の
ブランド力向上についてお伺いします。
近年、食の安全・安心への関心の高まりなどから、消費者にとっておいしく新鮮で安心できる農産物が手に入る産直市が人気を集めています。産直市は店舗開設のコストが低く、農家が地元でとれた農産物をみずから価格設定することができ、また、中間流通を省くことで農家所得の向上にもつながる上に、消費者との交流や加工など付加価値化も図られるため、地産地消や地域の活力向上にも大きな期待が寄せられております。産直市に足を運び、そこに並ぶ産品を品定めしていますと、本県の農林水産物の
統一キャッチフレーズ「愛媛産には、愛がある。」のロゴマークや県の
トップブランド「愛」ある
ブランド産品のシンボルマークのついた産品をよく見かけるようになりました。これらの
ブランドマークは、愛媛産のこだわり産品としての安心して購入できる一つのあかしとなってきており、これまでの官民挙げた継続的なPR活動による努力のたまものとして、今やすっかり定着してきた感があります。
ブランド化に取り組む目的は、産品の認知度向上や有利販売につなげていくことでありますが、中でもその産品が持つ優位性を市場や消費者の方に評価していただき、次回もその産品を指名買いしていただけるファンをできるだけ多く獲得していくことにあると思うのであります。
一方、出張や旅行などで他県にまいりますと、全国に名をとどろかせる有名な産品はもちろん、独自の推奨シールが張られたものや
地域ブランド産品と銘打って販売されている産品をたくさん目にします。全国の多くの自治体が
ブランド産品認定制度を持ち、日本中に
地域ブランド産品があふれ返る現状の中で、本県のすぐれた高品質の
ブランド産品が優位性を伸ばしながら知名度を高める取り組みが重要となっています。
知事は、全国に先駆けて営業本部を設置し、先頭に立って
トップセールスを行ってこられましたが、県政の第2ステージではさらなる飛躍が期待されております。これまで順調に育ててきた愛媛の
ブランド産品について、日本全国に向けての発信力を強化し、新たなファンを獲得しながら、より一層の売り上げ拡大を目指していただきたいと思うのであります。
そのためには、これまで以上に地産地消などの地域密着で実施してきたPR活動に加え、東京、大阪を初めとする大都市圏においても、一次産品を中心とする愛媛県産品のよさをさらに知っていただく仕掛けも必要と考えます。
そこで、お伺いします。
知事は今後、どのように愛媛産品の
ブランド力向上に取り組んでいくのか、お聞かせください。
次に、
高速道路ネットワークの整備促進についてお伺いします。
四国縦貫自動車道の伊予−大洲間の開通により、南予地域にも高速交通時代が到来し、13年余りが経過しましたが、今年度の末に予定されている宇和島道路の全線開通により、さらに私の地元である
津島岩松インターチェンジまで延伸されることとなりました。また、平成24年度に新規事業化された津島道路は、愛南町側に続き、10月からは、宇和島市側においても地元との設計協議が進められており、今後の事業の進展に大いに期待を寄せているところであります。
県下全域に目を向けてみますと、しまなみ海道と四国8の
字ネットワークを結ぶ
今治小松自動車道の今治道路は、事業着手後しばらくの間、現地の調査等に時間を要していましたが、現在は整備に拍車がかかり、飛躍的に事業の進捗が図られていると伺っております。また、本県西部に位置する
地域高規格道路の大洲・
八幡浜自動車道は、24年3月に開通した名坂道路に続く八幡浜道路もトンネル工事が順調に進んでおり、昨年度からは夜昼道路が新たに事業化されるなど、整備の促進が図られております。
この背景には、
東日本大震災において高速道路等の
道路ネットワークが果たした命の道としての役割のインパクトが非常に大きく、まさにつなげてこそのネットワークであることが改めて再認識された結果だろうと考えるのであります。
しかしながら、当時の国難も喉元過ぎればということなのでしょうか、道路整備を初めとする公共事業に対するばらまき批判など、逆風ともとれるような論調も再び耳にするようになり、天災は忘れたころにやってくるという言葉が現実のものとなってしまうのではないかと心配しております。
ここで、改めて危機管理意識を呼び起こし、本県は
南海トラフ巨大地震による甚大な被害が想定されている地域を抱えていることを踏まえ、いま一度、高速道路の必要性、
ミッシングリンクの早期解消の重要性を訴えていく必要があると思うのであります。また、政府が地方創生を掲げる中、本県においても高齢化の進展による一次産業の疲弊が課題となっており、
柑橘王国愛媛、
水産王国愛媛の名に恥じぬよう、県内有数の生産量、水揚げ量を誇る南予地域の産業活性化に最優先で取り組んでいかなければなりません。
しかしながら、愛南町柏から県境へと向かう区間や大洲・
八幡浜自動車道の四国8の字へとつながる区間がいまだに事業化されないまま残されており、それゆえに地域間競争に苦戦を強いられております。これらの区間が整備され、
高速道路ネットワークが形成されれば、防災・減災はもとより、交流人口の拡大や新鮮で質の高い農水産物等の販路拡大など、地場産業の振興やまちの活力強化を促す好循環の創出にもつながります。
南予地域の悲願である
高速道路ネットワークの
ミッシングリンクの早期解消を今回知事が公約で掲げていることは、まことに心強く思うのであります。
そこで、お伺いします。
県は、南予の延伸を初めとする高速道路の
ミッシングリンクの解消に向け、今後、どのように取り組んでいくのかお聞かせ願います。
最後に、えひめ国体に向けた競技力向上についてお伺いします。
愛媛の国体の開催まで残り3年、県競技力向上対策基本計画で定める充実期の締めくくりとなる今年度、天皇杯獲得に向けた競技力の向上については、県競技力向上対策本部を中心にさまざまな施策を講じられていることと思います。
さて、ことし開催された長崎国体において、本県は天皇杯21位と昨年の東京国体の26位から5つ順位を上げ、昭和55年の栃木国体以来34年ぶりとなる20位台前半に躍進しました。
ふるさと愛媛を代表して戦った選手、監督等の関係者の頑張りは大変すばらしく、3年後に地元で開催されるえひめ国体での総合優勝、天皇杯獲得に向けて大きなはずみがついたものと考えております。
改めて本県勢の成績を振り返りますと、陸上競技を初めボート、レスリング、ウエイトリフティング、ボウリングの5競技で計8種目の優勝を勝ち取ったほか、サッカーやバスケットボールといった団体競技でも活躍が見られたところです。
国体でも20年以上活躍を続け、今回もボート競技成年男子ダブルスカルで優勝した武田大作選手のようなベテランから、中学3年生のターゲットエージ選手まで、幅広い年代で構成されたチーム愛媛の活躍は、新聞紙面等を連日大いににぎわわせ、選手たちの輝く笑顔は県民に大きな夢と感動を与えてくれました。
このような中、県教育委員会におかれましては、平成24年度からターゲットエイジ強化事業としてえひめ国体で少年種別の主力となる世代の有望選手を対象とした事業を実施されておりますが、ターゲットエージが高校に進学する27年度に向けてジュニア競技力の一層の強化をお願いしたいと考えるのであります。
また、成年種別の強化につきましては、企業やクラブ等の社会人チームへの活動支援のほか、有望な人材の県内定着に向けた取り組みを進められており、さきの6月議会においては、本年4月に教職員やスポーツ専門員を含め62名の有望選手、指導者の就業先を確保したとの答弁があったところですが、今後、こうした取り組みを加速し、競技力のさらなる充実を図っていただきたいと思うのであります。
そこで、お伺いします。
長崎国体の結果をどう分析し、3年後に迫ったえひめ国体に向け、今後、どのように競技力向上に取り組んでいくのか、御所見をお聞かせください。
最後に、昨日、
衆議院議員選挙が公示されました。今回の選挙は安倍政権の政策の継続の是非を問う選挙であります。アベノミクスの推進により、株価の上昇を初め一定の成果を見ましたが、その効果は地方に及んでおらず、消費税を3党合意であった10%に上げる時期ではないとの判断に至り、安倍総理は再増税の時期を2017年4月と退路を断った上で日本経済の再生に向けた道筋を確かなものにすべく、地方創生を、成長戦略を、前へ進めることへの信を問う戦いを決意いたしました。
今、我が国の政権を担い得るのは、覚悟を持った我が自由民主党であり、今、決められない政治に戻ったり、今、政権交代をしたりする時期ではないとの県民の皆様の適切な判断をいただけるものと確信し、私の質問を終わります。
御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○(
明比昭治議長) 理事者の答弁を求めます。
○(中村時広知事) 議長
○(
明比昭治議長) 中村知事
〔中村時広知事登壇〕
○(中村時広知事) 2期目のスタートに当たり、エールを送っていただきましたことを感謝申し上げたいと思います。これからも全力疾走で頑張ってまいりますが、御指摘があったように、多少は家庭内支持率の向上にも少し気を使いながら頑張っていきたいと思います。
まず、公約に掲げた政策の実現に向けどのような県政運営に臨むかという御質問でございますが、県民の皆さんから期待の声をいただき、引き続き県政運営に当たらせていただくことになりまして、その責任の重さに身の引き締まる思いでございます。
これまでの4年間の経験を生かして、挑戦、実行、現場主義、オール愛媛を基本姿勢として、「みんなでつくろう、愛顔あふれる愛媛県」の第2ステージに全力で邁進してまいりたいと思います。
第2ステージの公約では、県民の安全・安心を守る防災・減災対策、少子高齢化を踏まえた
人口減少対策、地域経済の活性化策に重点を置き、これまで種をまき育ててきた政策をさらに成長させ結実させるビジョンを描いており、まずはこれを長期計画の次期実行計画にしっかりと位置づけ、その実現に徹底的にこだわるとともに、県民や議会の御意見、御提案を踏まえながら、さらなる肉づけを行い、愛顔あふれる愛媛県づくりに挑戦してまいりたいと思います。
まず、防災・減災対策として、地震や津波、土砂災害に対するハード対策を重点的に推進し、県立学校の耐震化を平成29年度完了を目標に進めるとともに、ソフト面では防災士のさらなる養成や危機管理体制の強化等に取り組んでいきたいと思います。
また、
人口減少対策については、自分が本部長を務める人口問題総合戦略本部を今月中に庁内に立ち上げまして、国の地方創生施策を最大限活用しながら実効性ある対策を進め、県外からの移住促進や若年者の県内定着などにオール愛媛で取り組むとともに、地域、企業、行政が一体となった子育て支援や子育て相談のワンストップ化と相談アプリの構築などを進めるほか、えひめ結婚支援センターを核とした縁結びの後押しなどに取り組んでいきたいと思います。
地域経済の活性化策については、地域特性に応じた戦略的な産業の展開を支援するとともに、「スゴ技」「すご味」「すごモノ」データベースを活用した
トップセールスなどにより、年間成約高100億円を目指すほか、サイクリストの聖地しまなみ海道から県内全域のサイクリングパラダイスへの発展、東・中・南予の魅力ある素材のブラッシュアップなど実需の創出につながる観光振興に力を注いでいきたいと思います。
さらに、医師の確保やドクターヘリコプターの導入を視野に入れた医療提供体制づくり、えひめ国体の成功に向けた大会準備や競技力向上、大洲・
八幡浜自動車道の整備促進など、
ミッシングリンクの早期解消等の重要課題にも引き続き全力で取り組む決意でございます。
これらの政策実行の基盤となる組織面では、職員の意識改革や政策立案型組織の育成、管理職の若手・女性登用などをさらに推進するとともに、市町連携の一層の拡大や遅々として進まない地方分権改革の実行を国に求め続けることなど、引き続き地方の時代に即応した体制づくりに取り組む考えであり、今後とも、いかに厳しい時代であっても、愛媛の将来を見据え、先頭に立って県勢発展に全身全霊を傾けて、県民の皆さんの負託に応えてまいりたいと思います。
次に、企業振興、誘致の取り組みについてでありますが、企業誘致は工場立地に伴う直接的な雇用の創出はもとより、関連産業への波及効果なども期待できる、即効性の高い経済活性化策でありますが、企業の海外移転や国内での誘致競争の激化などに加え、大消費地からは遠く、大規模用地の確保が困難という、愛媛県は地理的、地形的なハンディがございますので、誘致環境は厳しいものと認識しています。
こうした中、県では本県の強みでもある地域ごとの産業集積や特性等を踏まえまして、誘致のターゲット業種として、四国中央地域は紙産業や物流関連、新居浜、西条、今治地域は住友関連や造船、中予地域は先端素材加工や情報サービス、南予地域は豊富な農林水産物を活用した食品関連などを位置づけ、大都市圏での立地フェア等を通じた情報発信や企業ニーズの収集に努めるとともに、市町や金融機関、関係団体等と連携したチーム愛媛での企業誘致活動に取り組んできたところでございます。
今回の源吉兆庵の誘致は、県による訪問活動等を通じまして、立地情報等をいち早くキャッチし、宇和島圏域3市町やJA等とも連携して圏域の農産物の産地としてのポテンシャルの高さや、四万十源流域等の清新なイメージを強力にアピールするとともに、企業が求める農産物の安定供給体制の構築や人材確保等について行政区域の枠を超えて補完し合うなど、提案型の誘致活動を行いながら、私自身も
トップセールスを重ね、立地に結びついたものでございます。
雇用情勢の厳しい南予での雇用創出を初め農産物のブランド化による地域農業の再生など、中山間地域の振興や
人口減少対策にもつながるものと大いに期待しています。
今後とも早い段階での企業ニーズの的確な把握に努めるとともに、優遇措置を効果的に適用しながら地域の特性を最大限に生かしたオール愛媛での戦略的な企業誘致活動を展開し、地域雇用の創出と本県経済の活性化につなげてまいりたいと思います。
次に、県内で長年操業してきた企業への取り組み、企業振興の取り組みについてでございますが、県内に立地する企業は安定的な税収や雇用の場の提供はもとより、関連企業の取引拡大や技術力向上、さらには従業員による消費活動など、地域経済の発展に大きな役割を果たしています。まさに地域の宝であると認識しています。
県では、職員による県内企業への定期的訪問やワンストップ相談窓口等を通じて企業ニーズの把握に努めながら、金融面や技術研究の支援を初め炭素繊維関連など産学官連携による新産業の創出を促進するとともに、営業本部を中心に「スゴ技」「すご味」「すごモノ」の3つのデータベースを活用しながら、国内外への精力的な営業活動を展開し、販路拡大や県内企業の製品の優先活用などに努めてきたところでございます。
お話にあった
帝人松山事業所の計画については、県がいち早くその情報をキャッチいたしまして、松山市と連携して松山事業所を研究開発や新規事業の拠点としていただくよう水面下であらゆる機会を通じて要請してきたところであり、本年9月には私も本社を訪問し、会長、社長に直接要請をさせていただきましたが、こうした積み重ねの結果、今回の松山事業所への研究開発及び製造の拠点集約に結びついたものでございます。
地方創生が叫ばれる中、地域に根差した企業を県、市町、関係機関等が連携し、オール愛媛でサポートしていくことがますます重要であり、今後とも営業本部の機能を強化しながらさらなる実需の創出に取り組み、企業の発展をサポートするとともに、地方における大企業の生産、研究開発拠点の集約・強化や中小企業の競争力の維持、確保対策など、企業の新たな投資に対する支援について検討するなど、県内立地企業の維持発展に向けた支援に努めてまいりたいと思います。
次に、瀬戸内しまのわ2014についてでありますが、3月21日のオープニングから、10月26日のサイクリングしまなみまでのフィナーレまで、約7カ月にわたり開催した瀬戸内しまのわ2014は、しまなみ海道自転車道の無料化や小説「村上海賊の娘」による水軍ブームなども追い風となって、愛媛県側で実施した127のイベントに県内外から当初の目標を大きく上回る約125万人の参加をいただいたほか、サイクリングしまなみには46都道府県を初め31の国や地域から約7,300人に参加いただくなど、多くの皆さんに地域の魅力を体感していただき、盛況のうちに終了することができたと思います。
とりわけ地域住民の皆さんが主体的に取り組まれた
民間企画イベントについては、大三島の宗方櫂伝馬の復活や能島村上氏の本拠地、能島上陸と潮流体験をセットにしたクルージング体験、中島でのべにふうき茶栽培を活用した新たな体験メニューの提供など、期間中に新たな提案が次々と湧き起こってくるなど、地域に対する誇りや自信が生まれてきたことを実感したところでございます。
こうした地域住民中心の取り組みが評価され、今年度のグッドデザイン特別賞の
地域づくりデザイン賞受賞につながったものと考えており、イベントの担い手の皆さんからも、来年度以降も地域の魅力や人材の掘り起こしなど、さらなる課題解決に努めながら活動を継続することで、交流人口の拡大や地域の活性化につなげたいとの前向きな意見が聞かれており、大変心強く感じています。
県としては、引き続き関係市町等とも連携しながら「島の輪がつながる。人の和でつなげる。」というしまのわのコンセプトを継承し、情報発信の強化や交流ネットワークの発展など、
観光まちづくりの取り組みを積極的に支援するとともに、この成果を県内全域に波及させ、一層の観光振興や地域活性化につなげてまいりたいと思います。
次に、市町連携の大規模災害時における防災・減災対策についてでありますが、
東日本大震災の発生以来、県民の防災意識は大きく変化しており、これまで防災・減災対策を県政の主要課題に位置づけ、市町と連携して、津波から逃げるための避難路の整備や防災士の育成などを最優先で推進するとともに、昨年度からは愛媛県
広域防災活動要領と
えひめ震災対策アクションプランの今年度中の策定に取り組んでいるところでございます。
まず、
広域防災活動要領は、大規模災害時に県内外からの人的、物的支援を受け入れるために本年3月に選定した進出拠点や物資拠点等の
広域防災拠点について、その開設や運営、自衛隊や消防等の受け入れ、支援物資の調達や搬送等に関し具体的な手順等を示すものであり、一方、震災対策アクションプランは、最悪で約1万6,000人と想定される死者数を来年度から10年間でおおむね8割減少させることを目標に、住宅や学校等の耐震化や海岸堤防等の整備、土砂災害対策、地域防災力の向上など、本県が取り組むべき施策を具体的な年次計画と数値目標をもとに取りまとめたいと考えています。
第2期県政においても県民の命を守ることを第一に、防災・減災対策を県政の柱に位置づけ、
南海トラフ巨大地震や集中豪雨による土砂災害等の大規模災害による被害を最小限に抑えるため、これらのプラン等も踏まえながら市町との連携を一層強化して、ハード、ソフトの両面から総合的に施策を展開し、災害に強い愛媛づくりにチーム愛媛で取り組んでまいりたいと思います。
次に、愛媛産品の
ブランド力向上についてでありますが、農業・農村の活力向上を図るためには、地域資源を活用した農産物や加工食品のブランド化が不可欠であり、県では「愛媛産には、愛がある。」を
統一キャッチフレーズに、「愛」ある
ブランド産品認定制度などにより国内外での愛媛産品の販売促進に努めておりますが、今後、さらに優位性を向上させるため、営業本部の強化とあわせて戦略的な施策を展開しながら、さらなる実需の拡大を図りたいと考えています。
特にこれまでの大都市圏における主要市場や量販店での
トップセールス、商談会、キャンペーンなど、重層的な展開に加え、全国的に
地域ブランド産品がひしめき合う中、より多くの愛媛ファンを獲得する必要があるため、表参道や丸の内など東京の人気スポットを狙ったえひめカフェやえひめ食の大使館の拡充、発信力の高い都市型ホテルや百貨店、著名な飲食店での愛媛フェアの開催などに取り組むとともに、食材の決定に影響力が大きい調理師やパティシエに直接すぐれた県産品の魅力を紹介し、メニュー提案する機会をふやすため、和洋中の調理師団体等と連携した試食講習会等の開催など、取引拡大を目指す取り組みも推進したいと考えています。
さらに、本県の試験研究機関が有する高い技術開発力を背景に、次代を担う
ブランド産品候補も続々と誕生しており、先般、販売を開始し大好評を博しているブランドイチゴ「紅い雫」を初め、来年度から販売予定の愛媛ブランド牛や愛育フィッシュ期待の新魚種スマなど、新しい
ブランド産品の創出育成にも全力で取り組みながら、これらニューフェイスを初め、食材の宝庫である本県のすぐれた産品の
ブランド力向上に向けて、私が先頭に立って戦略的に取り組みながら、地域経済の活性化につなげてまいりたいと思います。
次に、国体についての御質問でありますが、長崎国体では8件の優勝を含む71件の入賞を獲得し、天皇杯21位と県競技力向上対策基本計画で定める目標を達成することができました。特に、お家芸であるボート競技が高得点を獲得し、サッカーやバスケットボールなど団体競技での上位入賞や女子選手の活躍が成績を押し上げる原動力になったほか、ボウリング競技ではターゲットエージ選手が初出場で優勝を飾るなど、選手層も広がり、本県の競技力は着実に向上していると考えています。
しかしながら、入賞に届かなかった競技が18競技あるほか、入賞した競技でも上位県との差は依然として大きく、全ての競技において少年、成年ともにさらなる得点の上積みが必要であると認識しています。そのため、引き続き未普及競技での選手の発掘・育成と練習環境の整備を図るほか、少年種別については、ターゲットエージ選手が高校入学後も一貫した指導を受けられるよう中学高校合同での強化練習や重点強化指定校へのトップコーチ派遣に取り組むとともに、成年種別については、社会人チームに対する支援の拡大、スポーツ専門員の拡充や経済団体等と連携した雇用の場の確保等を通じて、有望選手の獲得、定着を進めるなど一層の強化に取り組みたいと考えています。
また、えひめ国体まで3年を切り、開催準備と競技力向上対策をより一体的、効果的に推進する必要があることから、平成27年度の組織改正において、競技力向上対策組織のえひめ国体推進局への移管も含め、よりしっかりとした体制づくりを検討し、県体育協会や競技団体等との連携を一層緊密にして、チーム愛媛で思い切った競技力の向上に取り組んでいきたいと思います。
その他の問題につきましては関係理事者の方からお答えをさせていただきます。
○(上甲俊史副知事) 議長
○(
明比昭治議長) 上甲副知事
〔上甲俊史副知事登壇〕
○(上甲俊史副知事) 高速道路の
ミッシングリンクの解消について御質問がございました。
本県にとって高速道路は南海トラフ地震等の大規模災害に備えた防災・減災対策を推し進める中で、県民の安全・安心の確保に不可欠なまさに命の道であり、地域の特性を生かした産業や観光の振興を促すなど、いわゆる地方創生にもなくてはならない社会基盤でございます。
しかしながら、本県では現在、宇和島以南の四国8の
字ネットワークや
今治小松自動車道、大洲・
八幡浜自動車道において3つの
ミッシングリンクを抱えておりまして、その早期解消は県民の悲願であり、県政の最重要課題の一つであると認識しております。
このうち宇和島以南と大洲・
八幡浜自動車道についてはいまだ事業化に至っていない区間があり、5月の重要施策要望や7月の
ミッシングリンクを抱える11県知事会議の要望において整備の必要性等を訴えるとともに、同じく7月に実施した四国8の
字ネットワーク整備・利用促進を考える会の要望においても、愛南町柏から高知県宿毛市までの区間について、高知県を初め関係する他県等と連携し、事業化に向けての第一歩となる計画段階評価への早期着手を国に強く働きかけてあるところでございます。
今後とも、
今治小松自動車道を初めとする現在事業中の区間の整備促進は言うまでもなく、愛南町から宿毛市までの未着手区間における平成27年度の計画段階評価着手と大洲・
八幡浜自動車道の大洲西道路の早期事業化を実現させるため、関係機関等とも連携し、あらゆる機会を通じて国へ強く訴えるなど、一日も早い3つの
ミッシングリンクの解消に向け、全力で取り組んでいきたいと考えております。
以上でございます。
○(兵頭昭洋保健福祉部長) 議長
○(
明比昭治議長) 兵頭保健福祉部長
〔兵頭昭洋保健福祉部長登壇〕
○(兵頭昭洋保健福祉部長)
危険ドラッグに関する条例の御質問にお答えを申し上げます。
県では、
危険ドラッグ等の薬物の危険から県民の健康と安全を守ることを第一に、国の規制のみに頼らず、本県が独自に迅速な対応ができるよう、今議会に条例を提案したところでございます。
条例では、県と県民の責務を明らかにした上で、体制整備、調査研究、教育の推進などについて定めるとともに、法による規制に先駆けて、知事が別途薬物を指定することにより販売、所持、使用などを禁止し、違反者への罰則規定も設けたところでございます。
また、本県独自の対策としまして、
危険ドラッグに限らず規制薬物に該当する疑いがあると判断したものは、薬物類似物とし、店舗や雑誌だけでなくインターネットでの販売、広告などを行っている者に対しても県が直接照会をしまして、必要に応じて販売、広告などの自粛要請を行いますとともに、その内容を速やかに公表し、広く県民にその危険性等を訴え、注意を喚起することとしております。
条例制定を契機として、今後とも県警察など関係機関と連携した取り締まりの一層の強化、高校生や大学生を重点に市町と連携した県民に対する正しい知識の普及や乱用を拒絶する意識の醸成、そして各種業界団体を対象とした
危険ドラッグの追放に向けた協定締結や協力要請など、「ダメ。ゼッタイ。」を合言葉に、オール愛媛で
危険ドラッグ等の乱用防止対策に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(
明比昭治議長) 休憩いたします。
午後1時から再開いたします。
午前11時31分 休憩
――
―――――――――――――――
午後1時 再開
○(
明比昭治議長) 再開いたします。
質疑を続けます。
○(梶谷大治議員) 議長
○(
明比昭治議長) 梶谷大治議員
〔梶谷大治議員登壇〕
○(梶谷大治議員) (拍手)愛媛維新の会の梶谷大治でございます。会派を代表して質問をさせていただきます。
昨日、衆議院選挙の公示が行われました。安倍総理は先月18日に記者会見を開き、突然の解散と消費増税先送りを発表されました。十分な議論を尽くさず、選挙に膨大な国費と時間を費やすその大義は、税は議会制民主主義の基礎であるとのことでありました。ことし2月に亡くなったアメリカ、イェール大学の政治学者ダール教授は、文庫本になった「ポリアーキー」という著書の中で、民主主義の2000年の歴史を振り返り、民主主義が機能するための5つの基準を挙げています。全ての市民が平等な投票権を持つこと、効率的な政治参加を行うこと、みずから決定すべき事柄を選べること、決定に必要な情報を十分に得ること、自分の考えを政治に有効に反映させる機会を持つことであります。
東日本大震災からの復興がおくれ、地方の疲弊が進み、我が国が大きな危機に直面している今、私は、民主主義という言葉の重みを思わずにはいられないのであります。
このような危機の時代にあって、議会制民主主義は1つの政権や政党のパフォーマンスではなく、制度や仕組みとしてその真価を鋭く問われているのであります。
中村知事は、多くの県民の期待を担われ、県政第2ステージを船出されました。第1ステージは地域の自主自立を目指し、「みんなでつくろう、愛顔あふれる愛媛県」のスローガンのもと、県下20市町との緊密な連携を築き、実需の創出という大きな成果を上げられました。愛媛のものづくり、特産品の国内外への販路拡大に大活躍した営業本部の実績や、自転車新文化を提唱し、瀬戸内しまなみ海道を世界に発信したインバウンド観光の成功などであります。知事は明確なビジョンを描き、積極果敢な行動力で県民に地方創生への夢が決して手の届かないものではないことを示されたのであります。
こうした実績を踏まえ、知事は2期目を迎えるに当たっての公約において、挑戦、実行、現場主義、オール愛媛の4つを基本姿勢とした県政第2ステージへの挑戦を掲げられております。
自主自立の地方創生を実現する真の地方分権に向けた取り組みを軌道に乗せらせた第1ステージに続く中村知事の第2ステージがさらに大きな実りを結ぶため、地域第一、政策中心、国政自由を掲げる私たち、愛媛維新の会も全力で応援をさせていただく所存であります。
そこで、お伺いします。
中村知事の県政第2ステージの公約の推進に向けた意気込みをお聞かせ願いたいのであります。
次に、地方創生に向けた取り組みについてお伺いします。
我が国は、かつて経験したことのない人口減少の時代に入っています。少なくとも数十年以上、人口が減り続け、しかもお年寄りや子供たちを支える生産年齢の人口が減り続けるのであります。過疎と高齢化が激しく進んだ地域では、都市部と比較して人口減少が約30年から50年近くも早く進んでいます。若者が都市に集中し、過疎と高齢化が進む時代は過ぎ、高齢者の人口までもが減り始める段階に近づいているのであります。自治体消滅の危機が叫ばれていますが、高齢者の減少が進めば一次産業や地域コミュニティの崩壊だけでなく、医療や介護などの産業も弱体化し、地方経済の落ち込みはさらに進んでいきます。極点社会と人口減少が地域コミュニティや経済に及ぼす深刻な影響を、我々はただ手をこまねいて見ているわけにはいかないのであります。
デフレからの脱却を目指すアベノミクスは株価の上昇と円安を進め、大企業や都市部に景気回復の兆しを見せ、多くの国民の期待を集めました。
しかし、GDPの約6割を占める個人消費の落ち込みがもたらした今回の唐突な消費増税先送りと衆議院解散が明らかにしたように、国民の多くはこの国の行方に不安を抱き、消費を控えながら、物価の高騰と実質賃金の低下に耐えているのであります。
本県でも、円安による輸入飼料や燃料の高騰が農林水産業や中小企業を苦しめていることは御承知のとおりであります。
国は、本年9月、地方重視の方針を掲げ、官民一体となっての地方創生に取り組むため、政策立案と推進の司令塔であるまち・ひと・し
ごと創生本部を立ち上げました。そして、あわただしい解散の直前に、政府の
人口減少対策の基本理念を定めたまち・ひと・しごと創生法案など地方創生関連2法案を成立させました。まち・ひと・し
ごと創生本部が地方からの提言をしっかりと受けとめ、それぞれの地域の実情に合った政策を実現するために、国が地方に財源と権限の移譲を大胆に行うべき時であると思うのであります。今こそ東京への一極集中から地域分散型の国の姿を取り戻し、この国の未来を豊かに築かねばなりません。
そこで、お伺いします。
知事は、国の地方創生に向けた取り組みをどう評価し、県の地方創生にどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせ願いたいのであります。
次に、サイクリングを活用した観光振興についてお伺いします。
去る10月26日、瀬戸内しまのわ2014のフィナーレを飾る国際サイクリング大会が開催されました。高速道路を利用した日本初の試みであり、7,000人を超える国内外のサイクリストを迎え、国内最大級の大会を無事成功に導かれた関係者の皆様に改めて敬意を表したいと思います。
私も、12名の仲間とともに、今治から尾道までしまなみ海道を縦断する約65キロのコースに参加しました。爽やかな秋晴れのもと、自転車で高速道路を走るという珍しい体験ができた上に、橋から見おろす美しい瀬戸の島々や潮流に目を奪われました。沿道で応援してくださった方々の温かい声援やエイドステーションやフィニッシュ会場における地元ならではのおもてなしも、私にとり忘れられない思い出となりました。
本大会には、海外からも500人を超える多くの方が参加されました。この数は、国内の大会では群を抜いた別格のものであり、既にしまなみ海道がサイクリストの聖地として国際的に認知されているあかしでもあります。県のこれまでの地道な広報宣伝活動を初め、CNNの旅行情報サイトにおいて、世界7大サイクリングコースに選定されたことや、台湾との連携など、中村知事が先頭に立たれた積極的な海外に向けての情報発信の成果であると思います。
今後も引き続きインバウンド型観光振興に向けたファムツアーなどを実施され、世界からのサイクリストの増加により、サイクリング・パラダイスえひめの実現を目指していただきたいものと思います。
また、女性サイクリストの大会参加者が約19%であったとお聞きします。これは、国内の自転車イベントでは非常に高い数字と思われますが、女性のサイクリストのさらなる増加に向け、今後も引き続き取り組まれることを期待しております。
今回の大会の成果はかけがえのないものであり、この大会を一過性のものとして終わらせることなく、今後もサイクリストの聖地を象徴するイベントとして、定期的な開催を望むところであります。
一方、県内の他の地域に目を向けましても、県と市町が連携し、自転車を活用した地域活性化の取り組みが積極的に進められています。知事が提唱する自転車新文化の理念に呼応し、全ての市町でこの1年間に何らかのサイクリングイベントが行われました。
また、県内の経済団体などが中心になって、サイクリング・パラダイス推進会議が設立されるなど、官民挙げた取り組みも発展しつつあります。
ここで、県外の新しい動きを1つ申し上げます。
ことし、全日空とアウトドアのモンベルなどさまざまな企業が提携をし、海から山頂へSEA TO SUMMITというイベントを始めました。鳥取の大山を初め全国の5カ所で開催され、サイクリストを中心に多くの人々が集まっています。しまなみからヒルクライムの石鎚へ、また、海と山が近い南予にふさわしいイベントであり、まさに愛媛は県下全域がその好適地であります。本年はまさにサイクリング・パラダイスえひめ元年とも言うべき年となりましたが、今後も愛媛の魅力を生かし、愛媛が自転車新文化の先駆けとなるように、国内外の自転車先進地を視野に入れ、新たな試みを推進していただきたいものと思っております。
そこで、お伺いします。
サイクリングしまなみの成果を踏まえ、サイクリングを活用した観光振興に今後、どのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。
次に、愛のくにえひめ営業本部の今後の取り組みについてお伺いをいたします。
知事は、1期目の4年間、産業分野における実需の創出に徹底して取り組み、大きな成果を上げられました。本県の農林水産業者や中小事業者が生み出すさまざまな産品をスゴ技、すご味、すごモノという3点セットのデータベースにまとめ上げ、市町や関係機関と一体となってチーム愛媛の連携をつくり上げ、営業力のない生産者や事業者のために愛のくにえひめ営業本部を庁内に設置し、知事みずからが先頭に立って首都圏、海外への
トップセールスを行うなど、果敢な営業活動を展開されました。
知事の現場目線に立ったビジネス感覚にあふれた営業戦略は、県産品の販路拡大に大きな成果を上げており、営業本部の取り組みは高く評価されるべきものと思っております。
知事は、県政第2ステージの公約において、営業本部を臨機応変に強化していくことで、県関与年間成約額100億円を目指すという目標を公表されました。50億円を目標としている今年度は、上半期に既に23億3,000万円の成約があり、着実な進展を見せておりますが、年間100億円という数字は極めてハードルの高い目標であり、その達成には、生産現場との連携の強化に加え、新たなアプローチによる営業活動や組織面での強化が必要となるものと思われます。
あえてこのような高い目標を設定し、その達成に向け飽くなき挑戦を続ける知事の積極姿勢に敬意を表しますとともに、営業本部の一層の活躍が県内産業のさらなる実需の創出を実現し、地域の活力の源となることを大いに期待するものであります。
そこで、お伺いいたします。
公約の中で、県関与年間成約額100億円を目指すとされておりますが、その達成に向け、どのような取り組みを行っていくのか、お聞かせください。
次に、地域医療の問題についてお伺いします。
我が国の高齢化は、諸外国に例を見ないスピードで進行しています。65歳以上の人口は現在3,000万人を超え、国民の約4人に1人が65歳以上になりました。約800万人の団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる平成37年以降は、国民の高齢者医療や介護に対する負担がさらに増加することが予想されています。
本県におきましても、南予など過疎高齢化が急速に進行した地域では、既に深刻な医師不足に伴い、十分な医療サービスの維持が極めて困難な状況にあります。
特に、入院を必要とする二次救急の夜間や休日の体制は、極めて不十分な状態であります。県立病院や公立病院、愛媛大学医学部、地域の開業医の方々のネットワークに加え、医師や看護師の方々の献身的な勤務により、かけがえのない人命を守るための努力が続けられていますが、脳梗塞など初期の対応次第で命にもかかわる病気への対応がおくれることも少なくありません。
そのような事態を未然に避けるためには、地域の自治体と医療、介護機関が連携を強め、過疎地域における日常のきめ細かい予防医学と健康管理体制の整備を急がねばなりません。認知症への対応も含め、高齢者医療に包括的、かつ継続的に対応できる在宅医療、介護のサービスを行うことができる体制が強く求められているのであります。
本年6月、地域医療介護総合確保推進法が成立しました。今後、都道府県は二次医療圏ごとに地域医療ビジョンを策定し、患者が命の危険がある疾病から回復するまでの急性期医療から、日常的な在宅医療、介護までの医療サービスを総合的に確保し、地域の人々の健康で安心な暮らしを守ることとなります。
その地域医療政策をスムーズに実現するため、消費税の増税分を活用した新たな基金制度が創設されました。県は、医師会など医療関係団体から提出された要望を踏まえ、本年度の計画を策定されています。早くも12月補正予算案において、国の交付金等を原資に基金を創設され、計画に基づく事業が着実に実施される運びとなっております。
そこで、お伺いいたします。
地域医療介護総合確保基金事業の内容はどうか。また、この基金を活用して、本県の医療をどのように改革していくのか、お聞かせください。
最後に、地方局制度の充実と強化についてお伺いします。
昭和55年度に設置された県の地方局は、県民サービスの最前線にある拠点であります。三位一体改革による地財ショックや平成の大合併に伴う県下の市町村数の減少、県と市町の役割分担の変化に対応し、平成20年4月に5局体制から3局体制に再編されました。
現地即決、現地完結に主眼を置いたこの再編整備は、部局横断的な執行体制や企画調整機能の拡充・強化、地域ニーズを的確に地域政策に反映させるシステムの整備、基礎自治体への積極的な権限移譲などの進展を目指したものであり、この再編整備に一定の成果があったことは、県民の多くが評価しているところであります。
しかしながら、我が国の人口減少、超高齢化社会を先取りした形の南予を初め、県内各地域における課題は、30年近く続いた不況の影響が深刻化する中で一層複雑多様化しております。地方分権時代を見据えた現場主義の組織体制づくりが強く求められており、地域の元気を取り戻すためにも、地方局は、従来にも増して地域の実情を捉えた迅速かつ柔軟な対応が求められています。住民に最も身近な行政を担う基礎自治体と地方局機能の強化が地域の死命を制する喫緊の課題であります。
これらに対応するために、今治支局、八幡浜支局を地方局へ格上げするなど、今こそ現場を担う地方局体制の充実・強化を図ることが重要であると思うのであります。
とりわけ人口減少と経済不況によって民力の弱体化が続く南予は、東予、中予と比較して大変厳しい状態が続いています。南予地方局が管轄する面積は県全体の44%でありますが、人口は19%、また、昨年度の県税収入のうち法人事業税を比較しますと、東予が94億円、中予が129億円、南予は何とわずか10億円であります。これらの数字を見ただけでも、南予の過疎高齢化対策と経済の活性化が愛媛県全体の大きな課題であることは明らかであります。
現在、八幡浜支局では、南予の基幹産業である農林水産業の担い手の確保と育成、医療、教育、福祉の水準維持と改善、西予コールセンターなど誘致企業の撤退による雇用悪化への対応などに加え、四国でただ一つの伊方原発があり、原子力災害を含む防災・減災対策にも特段の配慮が求められているのであります。
他県の例を1つ挙げさせていただきます。
島根県の沖合約60キロの日本海に浮かぶ隠岐諸島の小さな島、島根県海士町の活性化が全国の注目を集めています。本土から船で二、三時間かかる離島に移住者、それも20代から40代までの働き盛りが集まり、約2,400人の人口の1割以上になっています。町が第三セクターに魚介の鮮度と味を保ったまま出荷できる細胞蘇生冷凍システムを導入して、豊富な海の幸を東京市場に直送することで、商品が高く評価され、生産者に大きな利益をもたらし、後継者も育っています。
また、少子化で統廃合寸前だった高校は、島留学で県外からの生徒が集まり、学級増となりました。10年前は財政破綻の危機や過疎化に陥り、消える寸前だった離島が、町役場を住民総合サービス株式会社と位置づけ、大胆な行財政改革と産業創出に取り組んだ結果であります。
中村知事が常々指摘されておられるとおり、南予には地域資源の活用という視点から見ましても、この山陰地方の小さな島に負けないほど多くの可能性があると思っています。地域資源には、ただ消費されるだけのものではなく、自然景観や歴史文化、伝統行事など地域の人々が大切に守り培ってきたものもあります。それらを経済指標として表現することはできませんが、美しい景色や町並み、伝統を守った祭りが時を超えていかに大きな経済効果を発揮するかは申すまでもありません。
民力の少ない地域は、官が本気にならないと変わりません。中村知事は1期4年間で県下市町との緊密な連携を築き上げられました。民の力が弱まり、特産品や技術があっても営業力がない地域のために営業本部を立ち上げ、知事がトップダウンで牽引し、県産品の販路拡大に大きな成果を上げたのであります。中村知事が切り開かれた道をきわめ、南予を再生し、愛媛の元気を取り戻すためにも、八幡浜支局の地方局への格上げを強く期待せずにはいられないのであります。
そこで、お伺いします。
地域課題に対応し、愛媛の活性化を実現するため、地方局機能の充実と強化を図る必要があると思いますが、御所見をお聞かせください。
福沢諭吉は、痩我慢の説で、
いやしくも弱者の地位を保つものは、単に痩我慢に依らざるはなし
と言っております。幕末維新の動乱を経た政府が、ようやく西洋列強に伍し、小さな国の近代化を始めたころのことであります。数理に強く、時勢に明るい福沢諭吉がクリティカルな時代を生き抜くためには、絶対に膝を屈せず、潔く、利害打算を捨て、独立自尊の精神を存分に発揮しなければならないということを言ったのであります。
来年は、戦後70年の節目を迎えます。数多くの先人たちの悪戦苦闘にもかかわらず、南予は過疎高齢化がとまらず、人口と産業が集中した東予、中予に比べると経済力は半分にも及ばないのが実情であります。
しかし、今なお南予には美しい人情と自然景観、豊かな歴史文化など、経済指標にあらわれない地域資源があります。今こそ元気あふれる愛媛をつくり、南予を再生させるために大いにやせ我慢をするときであると思うのであります。
中村県政第2ステージの船出に当たり、独立自尊の精神による真の地方分権の進展と地域創生の実現に大いに期待申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○(
明比昭治議長) 理事者の答弁を求めます。