香川県議会 > 2022-11-03 >
令和4年11月定例会(第3日) 本文

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  1. 香川県議会 2022-11-03
    令和4年11月定例会(第3日) 本文


    取得元: 香川県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-31
    ▼最初のヒットへ(全 0 ヒット)   出  席  議  員    高  城  宗  幸 君    新  田  耕  造 君    氏  家  寿  士 君    松  岡  里  佳 君    里  石  明  敏 君    城  本     宏 君    植  條  敬  介 君    鏡  原  慎一郎  君    秋  山  時  貞 君    森     裕  行 君    米  田  晴  彦 君    木  村  篤  史 君    氏  家  孝  志 君    高  木  英  一 君    白  川  和  幸 君    岡  野  朱里子  君    山  本  悟  史 君    樫     昭  二 君    松  本  公  継 君    高  田  良  徳 君    竹  本  敏  信 君    三  野  康  祐 君    西  川  昭  吾 君    十  河     直 君    松  原  哲  也 君    谷  久  浩  一 君    広  瀬  良  隆 君    山  田  正  芳 君    香  川  芳  文 君    斉  藤  勝  範 君    尾  崎  道  広 君    宮  本  欣  貞 君    山  本  直  樹 君    黒  島     啓 君    五所野尾  恭  一 君    花  崎  光  弘 君    大  山  一  郎 君    都  築  信  行 君
       平  木     享 君    石  川     豊 君   欠  席  議  員    鎌  田  守  恭 君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事    池  田  豊  人 君           副  知  事    西  原  義  一 君           病院事業管理者    太  田  吉  夫 君           審  議  監    大  山     智 君           政 策 部 長    淀  谷  圭三郎  君           総 務 部 長    椋  田  那津希  君           危機管理総局長    田  中  一  裕 君           環境森林部長     木  村  士  郎 君           健康福祉部長     三  好  謙  一 君           商工労働部長     寺  嶋  賢  治 君           交流推進部長     佐  藤  今日子  君           農政水産部長     新  池  伸  司 君           土 木 部 長    安  西     愼 君           文化芸術局長     小  川     剛 君           知事公室長      尾  崎  英  司 君           子ども政策推進局長  井  元  多  恵 君           会計管理者      小  川  秀  樹 君           病 院 局 長    岡  田  総  一 君           デジタル戦略総室長  井手下   慶  博 君           教  育  長    工  代  祐  司 君           公安委員会委員長   上  枝     康 君           警察本部長      今  井  宗  雄 君           代表監査委員     木  下  典  幸 君           監査委員事務局長   田  井  慎  二 君           人事委員会委員    平  尾  敏  彦 君           人事委員会事務局長  森  岡  英  司 君           労働委員会事務局長  河  内  一  裕 君    ─────────────────────────────     議  事  日  程(第三号)                 令和四年十二月十二日(月)午前十時開議 第  一 県の一般事務に関する質問    ───────────────────────────── ◯議長(高城宗幸君)ただいまから本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付のとおりであります。  日程第一、県の一般事務に関する質問を行います。  松岡里佳さん。    (松岡里佳君登壇、拍手) ◯松岡里佳君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、質問をさせていただきます。  質問の第一点目は、就学前教育の充実についてであります。  三つ子の魂百までという言葉にもあるとおり、人の一生において幼児期は、心情、意欲、態度、基本的生活習慣など、生涯にわたる人間形成の基礎が培われる極めて重要な時期となります。幼児期は、知的・感情的な面でも、人間関係の面でも、日々急速に成長する時期であるため、この時期に経験しておかなければならないことを十分に行わせることは、将来充実した生活を送る上で必要不可欠であります。  幼児期の子供の生活は、家庭を基盤として、地域社会、就学前教育施設と連続的に営まれており、その中で子供たちの望ましい発達は図られていきます。しかしながら、現代の生活は、核家族化の進行や地域における地縁的なつながりの希薄化などを背景に、以前と比べて地域の自然と触れ合ったり、地域の方々と交流をしたりするなどの直接的かつ具体的な体験が不足しています。  また、本来、我が子を自らの手で育てたいと思っているにもかかわらず、子供への関わり方が分からず、悩み、孤立感を募らせ、情緒が不安定になっている親が増えている現状があります。本当に悲しいことではありますが、児童相談所における児童虐待対応件数も毎年度千件を超える水準で推移しております。  さらに、本県では保育者不足も問題となっております。そのため、学級数に満たない正規保育者の配置で教育・保育活動を遂行しなければならないこと、定員まで子供を受け入れられないこと、特別な配慮を必要とする子供に対する支援のための職員配置や支援体制の構築が十分でないことなど、様々な問題が起こっております。  加えて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大も、教育・保育現場に大きな混乱を招いております。園児にもマスクの着用を推奨し、人との密な接触を避けるなどの感染対策を講じてはきましたが、マスクは子供も保育者も互いの表情が分かりにくいという弊害があり、そもそも幼児期は人との関わりの中で社会性が培われ、思考力の基礎が育まれるため、感染対策のために接触を避けることは就学前教育の理念と逆行してしまうなど、就学前教育の課題は少なくありません。  私は、子供たちへの教育の根幹は就学前教育にあると考えています。全ての子供たちが笑顔で成長できる、そんな香川県にするためにも、一番大切な時期とも言える幼児期により注力していく必要があると思います。池田知事は、子育てしやすい香川県を目指すとおっしゃられておりますが、そのためには本県の就学前教育を充実させることに尽きると考えております。  そのような中、各市町や各就学前教育施設における教育・保育のよりどころとなる香川県就学前教育振興指針を令和二年度に策定し、就学前教育のさらなる充実を図るための取組を、今まさに進めているところと承知をしております。しかしながら、現状においては、本県の幼児を取り巻く環境に課題が山積しているのも事実であります。  そこで、子供に健やかな成長を促すためにも、特に幼児期が重要であると考えますが、私が先ほど指摘したような現状の諸課題に対してどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いをいたします。  あわせて、就学前の教育を充実させるとともに、小学校教育との円滑な接続を図ることも大切になってまいりますが、指針等も踏まえ、今後どのように就学前教育に取り組んでいくのか、教育長にお伺いをいたします。  質問の第二点目は、ジオツーリズムの推進についてお尋ねをいたします。  観光地の情報は、ネットで簡単に手に入るようになりました。目的地までの道筋だけではなく、その場所から一番近い飲食店から、観光客にお勧めの土産店まで、あっという間に情報が得られます。  そのような時代の一味違った観光形態としてジオツーリズムがあります。「ジオ」とはギリシャ語で大地、地球を意味する言葉で、「ジオツーリズム」とはそのジオのストーリーを楽しむ旅のことです。単に景観を楽しむだけではなく、地球科学的な現象に対して興味を持ち、それについて学び、理解するのがジオツーリズムの目的であります。  このジオツーリズムを楽しめる場所として、ジオパークがあります。私たちがふだん目にする風景は、私たちの一生の何千倍、何万倍もの時間をかけて地球の力がつくり上げたものです。そのような地球が持つ、私たち人間の能力をはるかに超えた力をかいま見ることのできる場所、それがジオパークです。つまり、言い換えれば、優れた大地の遺産を見どころとする自然の公園ということになります。  そして、日本のジオパークには、ユネスコの正式事業活動であるユネスコ世界ジオパークと、日本ジオパーク委員会が認定する国内版の日本ジオパークがあります。二〇二二年五月現在、日本ジオパークに四十六地域が認定されており、このうち九地域がユネスコ世界ジオパークに認定されております。四国では、室戸がユネスコ世界ジオパークに、四国西予と土佐清水が日本ジオパークに認定されています。  残念ながら、本県で登録された地域はありませんが、県内各地域で認定に向けた地道な取組を続けていただいているところであります。わがかがわ観光推進協議会が発刊している最新の「てくてく通信 秋冬号」でも、讃岐ジオパーク構想推進準備委員会が、「ジオで巡る○○」と題し、仏生山、嶽山、佐柳島、丸亀城下町、三豊、伊吹島、小豆島と、県内のジオサイトガイドつきで案内してもらえるコースを企画しており、誰でも気軽にジオツーリズムを体験してもらえるようになっております。  ジオツーリズムは、貴重なあるいは重要な地質・地形学的景観を保全している地域における、その景観や環境を損なうことのない持続可能な観光であるとともに、本県の歴史や自然、人々の暮らしや地場産業のルーツなどを探求することになりますので、子供の教育や大人の生涯学習にも資する観光でもあります。  池田知事は、県民に本県の魅力に改めて気づいてもらい、県民自らがPRの発信者になってもらえるような仕組みを考えたいとおっしゃられております。若者が地元に定着するためにも、郷土愛や地域への誇りの醸成が重要であると思いますが、自分が住んでいる地域の魅力を再発見いただくためのアプローチとして、これまでと異なった視点であるジオツーリズムは非常に有効な手段だと考えます。そして、観光資源としてジオサイトが県内で定着していくことは、将来的には日本ジオパークや、さらにはユネスコ世界ジオパークの認定にもつながっていく取組であるとも考えますし、加えて県民の環境保護や防災に対する意識の向上にもつながっていくと思いますので、県においても積極的な取組推進をお願いするところであります。  そこで、ジオツーリズムの推進について、現在の取組状況をお伺いするとともに、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事に御所見をお伺いいたします。  質問の第三点目は、瀬戸内国際芸術祭の評価と今後についてであります。  瀬戸内国際芸術祭二〇二二は、十二の島々と二つの港周辺を舞台に、春・夏・秋の三会期、計百五日間にわたって開催され、先月六日に惜しまれつつ全日程を終了しました。この間の御苦労に対し、地元市町、関係団体、アーティスト、こえび隊をはじめとするボランティア、そして大勢の来場者を受け入れ、もてなしていただいた地域の皆様に深く敬意を表するものであります。  今回の芸術祭については、長期化するコロナ禍の中で、一部に開催を危ぶむ声もあったようですが、各会場で展開されるアート作品の数々や美しい瀬戸内の景観が新聞やテレビ、雑誌など様々なメディアで取り上げられたこともあり、県内外から多くの方々にお越しいただき、本県の知名度やイメージの向上にもつながったものと考えております。  また、本年五月、三年ぶりに三笠宮寛仁親王妃信子殿下が来県され、直島や屋島山上、四国村などを御視察くださったことも、今回の開催をより意義深いものとし、また、地元や関係者にとっては大きな喜びであったことと思います。  私も、芸術祭最終日の夜に行われた閉会式に出席させていただきました。こえび隊の皆さんによるアトラクションの中で、会場やオンラインビデオレターで参加された島民の方から、芸術祭が開催され、大勢の方に来てもらって本当によかった、回を重ねるごとにアーティストとの人間関係、また、作品づくりのポイントも理解できるようになり、さらに楽しく関わることができるようになったなど、改めて瀬戸内国際芸術祭がこの地にしっかり根づこうとしている様子を感じ取ることができました。  先日の総務委員会において、来場者数やアンケート調査の結果のほか、新型コロナウイルス感染症対策など、運営面の状況についても報告がありました。来場者数は前回の約六割にとどまったとのことでしたが、私としては、数字だけを見るのではなく、今申し上げたような数字に表れない成果もあったのではないかと考えております。  その一方で、一部の島ではレンタサイクルの利用者による事故やマナー違反などが問題となったほか、大事には至らなかったものの、熱中症の疑いがある方が一定数あったと伺っております。また、今回は、これまで問題となってきたオーバーツーリズムはあまり見られなかったようですが、仮に次回も開催する場合は、二千万人を超える来場者が見込まれる大阪・関西万博と時期が重なることもあり、混雑対策をしっかりと講じていく必要があります。  いずれにしましても、地域の方々や地元市町、関係団体、ボランティアなど多くの関係者の声に謙虚に耳を傾けて、意見を十分に聞きながら、今回の成果や課題、改善点を丁寧に振り返ることが大切です。  そこで、今回の瀬戸内国際芸術祭についてどのように評価しているのか、知事にお伺いするとともに、次回の芸術祭の開催についてどのように考えているのか、併せてお伺いをいたします。  質問の第四点目は、一人暮らし高齢者に対する支援についてであります。  昨年九月定例会において、一人暮らし高齢者の方に対する支援強化の質問をいたしました。今回は、その中でも孤立死の防止対策についてお尋ねをいたします。  単身高齢者や高齢者のみの世帯が増加している中、地域から孤立した状態で高齢者が亡くなってしまうことが社会問題となっております。この問題は、高齢化社会が進んでいる中、また、家族の形態が変化している中で、今後、一層深刻化することが予想されています。  家族関係の変化と並んで孤立死につながる要因として、地域コミュニティーとのつながりの希薄化が挙げられます。近所でお互いに訪問をし合う、友人と度々連絡を取り合うといった関係を持たない高齢者は少なくありません。これらは、近代化・都市化の中で、個人の自由とプライバシーを尊重し、他人に干渉しないことがよいこととされてきた結果が招いている状況でもあると言えます。孤立死を招かないためにも、高齢者の方々が目標や生きがいを持って積極的に社会参加することや、社会参加と言わないまでも、地域とのコミュニケーションやソーシャルワーカー等との接点を持つことが重要と思います。  しかしながら、地域の活動に参加したくとも健康上の理由で参加できない方もいますし、誰かに見守られること自体を嫌がる方もいます。そのような方への見守りの手段として、民間のサービスにはなりますが、冷蔵庫を活用した見守りという事例があります。見守られる高齢者の冷蔵庫などに小型のセンサーを設置し、冷蔵庫の開閉が一定時間なければ異変を通知するという仕組みです。なお、センサー自体にはカメラなどはついておりませんので、プライバシーの心配もなく、高齢者はいつもどおりの生活を送るだけなので、利用者からはとても好評だそうです。これはあくまで一例にすぎませんが、社会の変容とともに単身高齢者への見守りの在り方を見直しているよい事例ではないかと思います。  また、孤立死のみならず終活という言葉が認知されるようになった昨今、亡くなった後に必要な死後事務は誰が行うのかという問題も報道でよく目にするようになりました。葬儀・火葬・納骨、死亡届や社会保険などの行政手続、電気・水道・郵便などの各種契約の解除・精算、医療費・賃料等の支払いや家財・遺留品の保管・処分など、死後事務は時間と労力がかかります。こうした手続は残された家族が行うものという前提があり、これらの全てを市町などの自治体が代わりに行うということはありません。そのため、孤立死の場合、死後事務が非常に滞る場合が多く、こちらも社会問題になっております。  そうした中、近年、死後事務支援事業に取り組む自治体も、少しずつではありますが増えてきました。また、自治体だけではなく、葬儀社をはじめ民間の事業者の参入も増えてきております。ただ、死後事務の事業者自体が契約後に破産してしまうリスクなどを考えると、安心して民間事業者に依頼できる環境とは、まだ言えない状況とも思います。死後事務関連事業に対する消費者保護と業界の健全な育成、医療費・介護費用への支払いの円滑化、借家における借家権や遺品処理など、考えなければならないことが山積しております。  そのような中、年間の死亡者数は、今後も二〇四〇年頃をピークとして増加傾向を示すことが予想されております。当然ながら、何も対策がなされない中では孤立死も増加していく一方ですが、自治体をはじめ支援を行っていく力にも限界があり、民間事業者の活用も大事になってまいります。  また、孤立死の要因となる単身世帯が増えているのは、何も高齢者に限ったことではありません。未婚率や離婚率の増加により、生産年齢である十五歳から六十四歳でも単身世帯が増え続けているのが現状です。さらに近年では、新型コロナウイルス感染症が原因で、家族との交流や地域でのつながりの場がなくなってきているため、孤独感を感じ、自殺してしまう人が増えているなど、孤立死に関する情勢は深刻化する一方であります。  これから孤立死が増加すると言われる中で、単身高齢者の孤立死の防止対策を強化していく必要があると考えますが、県としてどのように認識をし、この問題に対する取組を進めていくのか、知事にお伺いをいたします。  質問の第五点目は、民俗芸能の継承への支援についてであります。  各地で踊り継がれた民俗芸能の風流踊が、国連教育科学文化機関、いわゆるユネスコの無形文化遺産に先月十一月三十日に登録されました。風流踊は、厄払いや豊作祈願のために衣装や道具に趣向を凝らして踊る民俗芸能ですが、今回、全国二十四都道府県四十一件が構成要素となり、本県からは、まんのう町の綾子踊と、私の地元である綾川町の滝宮の念仏踊が登録されました。  菅原道真を弔うための踊りとして受け継がれる滝宮の念仏踊は、平安時代、讃岐国司だった菅原道真が干ばつで雨乞いをした際に恵みの雨が降り、それに喜んだ農民たちが踊ったことが起源とされております。以来、現在まで千百年以上にわたり綾川町の伝統として受け継がれ、昭和五十二年に国の重要無形民俗文化財にも指定されております。昨年、一昨年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止せざるを得ませんでしたが、今年は八月に、実に三年ぶりに行われました。久しぶりの開催に続き、今回のユネスコの無形文化遺産登録と、非常にうれしい話が続いてはいるのですが、滝宮の念仏踊に限らず、各地の踊りは決して楽観視できる状況にはありません。これから人口減少が進み、指導者の高齢化に伴う担い手不足により、伝統の継承自体が難しくなっていくと予想されます。  そのため、他県では、学校で子供たちに教えたり、オンラインで発信したりと、民俗芸能の振興に取り組む地域もあると伺います。また、文化庁も用具の修理費を助成するなど後押しをしているところではありますが、どうしても地域だけの力だけでは、人口減少や高齢化が進む中で、課題への対策に限界があるのも事実です。  私は、人と人とをつなぐ民俗芸能は地域の宝だと思います。特に、高齢者や若者など関係なく、年齢を問わず交流を深めることができますので、地域住民をつなぐ何よりの機会と考えます。では、この地域の宝をどうすれば守っていくことができるのか、県においても各地域とともに本気で考えていかなければなりません。  今回の登録によって、本県の滝宮の念仏踊と綾子踊は、日本国内のみならず世界中から注目を浴びておりますし、行事を伝承していく若い世代に対してもよい影響を与えることとなりますし、ユネスコの無形文化遺産登録は県内に所在する団体として初めての例であり、決して絶やすことが許されない地域の誇りになったと思います。  かつて、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたときには、海外における日本食レストランの数は登録後五年間で二倍にまで増加しました。また、訪日外国人旅行者数旅行消費額の増加にもいい影響を与えたと言われています。和食の例のようにとまではいかないにしても、この機会をしっかりと捉える必要があると思います。  ただ、私が地元で関係者の話をお聞きする限りでは、先ほど述べましたとおり、担い手不足が本当に深刻であります。そのため、例えば、学校における授業等で今回の登録を大々的に取り上げていただき、また、踊りの伝承についても具体的に取り組んでいく必要があると考えます。その上で、踊りを披露するような場を設け、少しでも子供たちに興味・関心を持ってくれるよう促す必要もあると思いますし、地元の宝に対して誇りを持ってもらうよい機会となると思います。  そこで、今回の登録を追い風といたしまして、県内各地の伝統芸能を継承できるようにさらなる支援を行うとともに、地域の魅力向上や活性化につなげていく必要があると思いますが、今後どのように取り組んでいく予定か、教育長にお伺いをいたしまして私の質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(高城宗幸君)理事者の答弁を求めます。  池田知事。    (知事池田豊人君登壇) ◯知事(池田豊人君)松岡議員の御質問にお答えいたします。  まず、就学前教育の充実についての御質問がございました。  第一の御質問であります地域の自然との触れ合いや人々との交流につきましては、国のほうで定めました保育所保育指針におきましても、その機会が積極的に設けられるよう配慮すべき旨が掲げられており、コロナ禍においても、そうした視点に立ちまして充実した保育が実践されるよう、定期的に保育所監査の場で働きかけてまいりたいと思います。  次に、育児不安を持つ親への支援につきましては、市町できめ細かに対応するとともに、児童相談所で電話や来所での相談に応じております。これらの相談先をしっかりと今後とも周知をしてまいりたいと思います。  次に、保育人材の不足でございますが、保育士人材バンクを活用しまして、昨年度は六十一人の就職につなげているところでございます。今月一日時点における求職者の登録者数は百五十七人でありまして、今後より一層、登録を促進するとともに、マッチングにつなげてまいります。年度途中の入所希望にも対応できるよう、効果的な待機児童対策の検討を進めてまいります。  次に、特別な配慮を必要とする子供に対する支援でございますが、今年度から保育所などで医療的ケアに従事する看護師などを配置するための経費を支援しております。引き続き、地域における支援体制の構築に取り組んでまいります。  また、新型コロナウイルス感染症に伴う対応に関してでございますが、未就学児のマスクは、現在、他者との距離にかかわらず一律に着用は求めないこととされております。特に、二歳未満児に対する着用は勧められていないことから、各保育所などで適切な対応がなされるよう、引き続き周知徹底に努めてまいります。
     就学前教育の充実のためには、保育の量及び質の確保が極めて重要であると認識しております。今後とも、市町や教育委員会と連携しながら、就学前教育の一層の充実に努めてまいりたいと思います。  次に、ジオツーリズムの推進についての御質問がございました。  旅行ニーズが多様化する中、ジオツーリズムの推進は、郷土愛を醸成するとともに、地域の魅力を再発見する重要な取組であると考えております。このため、議員から御紹介のありました「てくてく通信」のほか、県公式観光サイトでも、讃岐ジオパーク構想推進準備委員会が企画しましたジオサイトを歩いて巡るガイドツアーの情報を発信をしているところでございます。また、今年度、三木町でジオサイトを学ぶ里山の登山や防災に関するワークショップなどを実施する体験学習型イベントの開催に対しまして、事業費の一部を補助したところであります。さらに、県観光協会が実施いたします香川の観光や歴史、文化などを学ぶさぬきアカデミーにおいて、毎年ジオサイトに関する講座を設けているほか、今年度から開始した観光ガイドの育成におきましては、現地においての大地の成り立ちを学ぶ研修を取り入れております。  今後とも、各市町や関係団体と連携しましてこれらの取組を進めるとともに、ジオツーリズムの視点を取り入れた付加価値の高い観光需要への対応に努めてまいります。  次に、瀬戸内国際芸術祭の評価と今後についての御質問がございました。  瀬戸内国際芸術祭二〇二二は、コロナ禍の中での開催となりましたが、大きな事故や混乱もなく、先月六日に無事閉幕することができました。今回は、瀬戸内の里海・里山の資源の発掘と発信という観点から、小豆島の寒霞渓や屋形崎、与島の鍋島灯台、多度津町の本通、屋島など、様々なエリアで地域の自然や歴史、文化などに着目した作品やイベントを展開し、多くの方々にお楽しみいただけたと考えております。  また、地域住民やボランティアの方々には、作品の制作や受付、食の提供、港での温かいお見送りなどを通じまして芸術祭を一緒に盛り上げていただき、地域活動の活発化や元気の創出にもつながったものと考えております。  来場者の受入れ態勢につきましては、新型コロナウイルス感染症対策や交通アクセスの向上、公式ウェブサイトでの情報発信などを行いました。また、新たに作品鑑賞パスポートのデジタル化にも取り組みました。特に、感染対策につきましては、来場者の検温や有症状者の発生時の対応などを確実に行うことができまして、ウィズコロナのイベント開催の一つのモデルを示すことができたのではないかと考えております。  このような成果の一方で、御指摘ありましたとおり、レンタサイクルの事故やマナー違反のほか、暑さ対策や混雑対策など、引き続き対応が求められているものもあると認識をしております。  こうした点に加えまして、これまで以上に地元市町の地域振興方策に寄り添いまして、文化芸術分野の人材育成などに戦略的に取り組むことで、より地域に根差した芸術祭とすることが重要な課題であると認識をしております。  私といたしましては、県議会をはじめ関係市町、関係団体、地域の方々などから御意見をお伺いし、課題への対応を行いながら、国内外から多くの来場者が訪れる大阪・関西万博が開催されて芸術祭との相乗効果も期待される三年後の二〇二五年に、次の芸術祭を開催したいと考えております。  なお、その他の御質問につきましては、健康福祉部長よりお答え申し上げます。(降壇) ◯議長(高城宗幸君)三好健康福祉部長。    (健康福祉部長三好謙一君登壇) ◯健康福祉部長(三好謙一君)松岡議員の一人暮らし高齢者に対する支援についての御質問にお答えいたします。  本県の高齢者人口の割合は今後も増加し、世帯主が六十五歳以上である単独世帯の割合もさらに増加が見込まれていることから、議員御指摘のとおり、孤立死防止対策への取組は重要であり、高齢者の孤立死を防ぐためには、高齢者の方々が日頃から地域と関わり合いを持ち続けられる環境づくりが必要であると考えております。  このため、県では、電気、ガス、新聞配達、宅配などの民間事業者四十七社にかがわ高齢者見守りネットワークに参画していただき、業務に係る訪問時に、一人暮らし高齢者等の見守りをお願いしており、高齢者の異変等を発見した場合には市町に通報していただくなど、全県的な見守り体制の強化に努めているところであります。  また、地域の高齢者が集まり、県内に網羅的にある運動や趣味活動などを行う通いの場に医療・福祉の専門職が関与し、健康づくりを促しております。さらに、高齢者の生きがいづくりに寄与するかがわ長寿大学の開講や、高齢者に活躍の場を紹介する高齢者いきいき案内所の効果的な活用などを通じて、高齢者の社会参加を促進しているところであります。  このように高齢者を取り巻く環境変化を踏まえつつ、今後は各市町等との連携はもとより、単身高齢者宅への訪問などを行う老人クラブなどに対しても、見守り等の協力依頼を積極的に行うことで孤立死防止対策の強化に取り組み、単身高齢者をはじめとした高齢者の方々が、住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができる環境づくりに努めてまいります。(降壇) ◯議長(高城宗幸君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)松岡議員の御質問にお答えいたします。  まず、就学前教育の充実についてであります。  県教育委員会が令和二年に策定した香川県就学前教育振興指針では、「めざす子どもの姿」を「心いっぱい、体いっぱい 遊びこむ子ども」とし、集団生活の中で心と体を存分に働かせ、好奇心や探究心を持って夢中で遊ぶ子供を育てていくことを目指しています。また、重点方針を「かかわる つながる ささえる」とし、子供たちが遊びを通して友達や保育者、自然などと関わること、幼稚園、保育所、認定こども園等が互いにつながったり、家庭や地域、小学校等とつながったりすること、幼稚園等や保育者を支えることを重視し、取組を推進してまいりました。  このうち議員御指摘の就学前教育と小学校教育との円滑な接続を図るための取組としては、幼稚園、保育所、認定こども園の保育者と小学校の教員が共に研修する幼・保・こ・小理解研修会や、小学校教員が近隣の幼稚園等において一年間幼児教育に携わる幼児教育長期研修を実施しているところです。  今後は、小学校接続期の教育内容や指導方法、幼児と児童の交流や職員間の連携などについての研究・実践の取組を一層推進するとともに、小学校教員が就学前教育についての理解を深められるような研修の充実を図ってまいります。さらに来年度は、義務教育課内に幼児教育支援センターを設置し、知事部局と緊密に連携を図りながら、保育者の研修や相談業務、市町や就学前教育施設に対する指導・助言等の一層の充実に努めてまいります。  県教育委員会といたしましては、就学前教育は教育の根幹を支えるとの認識の下、就学前教育施設の種別にかかわらず質の高い教育・保育を行い、幼児期の学びを小学校に引き継ぐことができるよう、市町教育委員会や就学前教育施設を支援してまいります。  次に、民俗芸能の継承への支援についてであります。  香川県を代表する民俗芸能である滝宮の念仏踊と綾子踊が風流踊として県内初のユネスコ世界無形文化遺産に登録されたことは大変喜ばしく、これまで継承に尽力されてきた保存団体や地域の方々に、深く敬意を表します。  県教育委員会では、綾川町、まんのう町や保存団体と連携して、地域の誇りである風流踊の価値や魅力を広く県民の皆様に知っていただけるよう、地元や県立ミュージアム等を会場に巡回展示を開催しているほか、来年三月二十五日にはサンポート高松において登録記念行事を行うこととしており、若い世代を含めた県民の民俗芸能に対する関心を高めてまいりたいと考えております。  議員御指摘のとおり、民俗芸能は、少子高齢化に加えて近年のコロナ禍により担い手不足が大きな課題となっている中、この登録を好機と捉え、県内各地の様々な民俗芸能についても、その継承に向けた取組を推進していく必要があると考えています。  県教育委員会といたしましては、文化芸術局とも連携し、かがわ郷土芸能フェスタや来年度開催予定の中国・四国ブロック民俗芸能大会など、各団体による発表の機会を提供し、その魅力を県内外へと広く発信するとともに、団体相互の交流を深めてまいります。加えて、将来の担い手となる子供たちに県内の民俗芸能に興味・関心を持ってもらえるよう、県内の保存団体の活動を引き続き支援するとともに、子供たちが伝統文化を学ぶことができる国の支援事業の積極的な活用も促してまいります。  今後とも、各市町と連携を図りながら、地域の誇りである民俗芸能の保存・継承に向けた取組を支援するとともに、その魅力を広く発信することなどを通じて、地域の活性化につなげてまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(高城宗幸君)一般質問を続行いたします。  松本公継君。    (松本公継君登壇、拍手) ◯松本公継君 議長のお許しをいただきましたので、私からは通告に従いまして四点、一般質問をさせていただきます。  質問の第一点目は、新型コロナウイルス感染症の再拡大とワクチンの接種への対応についてであります。  新型コロナウイルスの感染者数が先月から再拡大し、第八波が訪れているように思います。これまでの感染拡大は首都圏などから始まり、移動に伴って各地に広がることが多かったのが、今回は北海道や東北地方から拡大が始まっていることが特徴とされています。今年に入ってからの全国の死者数も昨年から倍増して三万人を超えているとの報道もあることから、今後も新型コロナウイルス感染症については、引き続き日々の感染防止対策はもちろんのこと、ワクチン接種などの感染症対策が必要となっているところであります。  国内ではオミクロン株対応ワクチンの接種が開始され、本県においても感染者数が増加するとともに多くの方が四回目のワクチン接種を受け始めていると伺っておりますが、全国的に三回目以降の接種率が伸び悩んでいる状況であり、十二月一日現在では、本県においても一回、二回目の接種率が約七九%であるのに対して、三回目の接種率は約六六%、また、四回目の接種については約三九%とされております。実際、私も、「これまでの接種による副反応がつらかった」や、「既に感染してしまったのでこれ以上ワクチンを打つかどうか迷っている」という声をこれまで以上にお聞きするようになりました。コロナワクチンの接種を行うかどうかは個人の判断によるところでありますが、ワクチン接種を行っていてもコロナに感染することはあり、感覚的にも有効性を感じにくい方もいることから、ワクチンの追加接種に対する意識が少し変化してきているのではないかと感じております。  今月からは新型コロナウイルスとインフルエンザの感染の有無も同時に調べる医療用検査キットが、薬局やインターネットで購入できるよう、一般用検査薬として承認申請されており、今後、ますます新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けては各個人の判断に対応が委ねられていくことになります。  そこで、新型コロナウイルス感染症が再び拡大し、さらなる長期化も懸念される中、コロナワクチンの接種や日頃の感染防止対策に対する現在の県民の意識についてどのように捉えておられるのか、知事の御所見をお伺いするとともに、今後の感染拡大の抑止のため、コロナワクチンの接種促進などの対応をどのようにして効果的に継続していくお考えなのか、知事にお伺いをいたします。  また、これに関連して、先月から生後六か月から四歳までの乳幼児を対象にした新型コロナウイルスワクチンの接種が開始されました。乳幼児用のワクチンはファイザー社製のものであり、有効成分は十二歳以上のものの十分の一とされ、原則二十日の間隔を置いて二回注射した後、五十五日以上の間隔を置いて一回の合計三回を接種するようになります。  この乳幼児コロナワクチンの接種では、私のほうにも、「生後から二歳までの期間は、肺炎球菌や混合ワクチン、BCG接種など、現在でも複数の予防接種を受ける必要がある中、ほかの予防接種との同時期の接種は安全なのか」といった不安の声をいただくことがあります。私は、乳幼児に対するコロナワクチンの接種は、臨床試験などの結果からその安全性の確認はされているとはいえ、国内での接種はまだ開始されたばかりで事例も少ないことや、幼稚園や保育所、また、こども園といった場所に子供を預ける中で、事前に受けさせておいたほうがよいのではないか、どうなのかなど、子供に対するワクチン接種を悩まれている方も多くいらっしゃるのではないかと感じております。  いろいろ話を伺っておりますと、小さなお子さんを育てる御家庭では、若い世代が多いということもあり、インターネットによる検索やSNSで乳幼児に対するワクチンの接種に関する情報を得ている方も多いようで、正しい情報の入手という観点からも、公的機関による分かりやすい情報提供が求められています。  県では、これまでも市町と連携しながら、ワクチン接種に関する情報提供を行ってきているところではありますが、乳幼児期の子育てに関する不安や負担に加え、コロナワクチンも含めた予防接種の対応をする必要がある保護者に対しては、分かりやすい情報提供や事前の相談体制を充実させていただきたいと思いますし、このことは結果的に小児医療機関の負担軽減にもつながるのではないでしょうか。  そこで、乳幼児に対するコロナワクチンの接種に関して、ほかの予防接種との安全性に関する分かりやすい情報提供のほか、ワクチン接種を迷われている方への相談の対応をどのように行っていくおつもりなのか、知事にお伺いをいたします。  質問の第二点目は、南海トラフ地震臨時情報と県民の避難行動についてであります。  今年も残すところあと半月程度となりました。本県における災害という観点で振り返ってみますと、地震や風水害による大規模な被害は発生しておりませんが、九月には台風十四号が九州に上陸し、本県においても暴風や高潮などの警報が発令され、携帯電話から流れるエリア情報が鳴るたびに状況を確認したことが思い出されます。県内では高潮氾濫のおそれがあるとして避難所も開設されましたが、実際に使用された避難所や避難された方も少なく、いつ襲ってくるか分からない災害に対して備えることが防災の基本であることを踏まえ、私としても比較的被害が少ないとされる本県において、その意識が低下することがないよう、引き続き防災・減災対策には関心を持って取り組んでまいりたいと考えております。  新型コロナウイルス感染症の影響が長引く中で、中止されていた地域の防災訓練などが少しずつ再開し始めたという話をお聞きする機会が増えましたが、以前と比べ、いまだその機会は減ったままとなり、自主防災組織等のコミュニティーを維持することもできなくなってきている状況があるのではないかと危惧しているところであります。  大規模災害として心配されておりますのが、南海トラフを震源とする地震です。南海トラフ沿いのこの大規模地震は今後三十年以内に発生する確率が七〇から八〇%とされており、その発生が今起こるかも分からないという状況であります。地震が起こる日時や場所などを正確に予想することは難しいとされていますが、過去には東海沖で大規模地震が発生した際に、続けて四国・九州沖で大規模地震が発生したことがありました。一八五四年に発生した安政南海地震は震源域の東側での発生から三十二時間後に、また、一九四六年に発生した昭和南海地震は同じく東側での発生から二年後に発生しています。  こうした事例があることから、気象庁では南海トラフ地震臨時情報を提供することとなりました。この南海トラフ地震臨時情報は、二〇一九年に運用が開始され、想定震源域やその周辺でマグニチュード六・八以上の地震が発生するなど異常な現象が観測され、時間差で発生するかもしれない巨大地震に備える必要があると判断された場合、巨大地震警戒、巨大地震注意などの情報提供がされるものであります。このうち巨大地震警戒情報が提供された場合は、地域によっては事前避難が促されるなど、特に警戒態勢を強めることとなりますが、この南海トラフ地震臨時情報を知らない人が大変多く、その認知度の低さが指摘されております。報道機関が実施した調査では、津波被害が想定される自治体に対する調査で七三%が住民の理解が進んでいないという回答があったとされているほか、高知県が実施した県民意識調査では、この臨時情報について「知っている」と答えたのは全体の約二割であったとされるなど、その理解が進んでいないのが実情です。  私は、地震のような予知が難しいとされるものでも情報提供がされる仕組みがあることは重要であると考えており、各個人が地震災害に対する情報を効果的に得ることができるのではないかと思っております。他方、この南海トラフ地震臨時情報を知らない県民が非常に多い状態であることや、これまでに情報提供がされたことがないことを踏まえると、ある日情報提供がされた場合、地震予知情報と誤認され、経済活動や社会活動に混乱を生じるのではないかと危惧しております。本来であれば、この臨時情報にかかわらず、県民一人一人がマイ・タイムラインに代表される避難行動計画などの事前準備を日頃から行い、いざ災害が発生した場合においても次の行動を事前に計画できるような状況であればよいのですが、現実はまだまだそうではありません。  県では、この南海トラフ地震臨時情報が発表された際の対応方針を定めていますが、現状では、いつまでに何をすればよいのかが分からないと感じる方が大半であり、市町と連携しながら、この南海トラフ地震臨時情報に関する正しい知識と取るべき行動について、あらゆる場で周知を徹底的に行っていく必要があるのではないかと思っております。備えあれば憂いなし。  そこで、南海トラフ地震臨時情報に関する趣旨をどのように周知し、理解を高めていく必要があるとお考えか、知事にお伺いいたしますとともに、実際に国からの情報提供があった際に、その後取るべき行動の実効性の確保に向け、どのように取り組んでいくおつもりなのか、併せて知事にお伺いをいたします。  質問の第三点目は、ヤングケアラーの実態とその支援についてであります。  私は、このヤングケアラー問題について、ちょうど二年前の令和二年十一月の定例会において、ヤングケアラーの実態、支援体制などについて一般質問をさせていただいて以降、定例会や委員会の場で継続的な課題として議論させていただいているところであります。  厚生労働省のホームページでは、このヤングケアラーについて、法令上の定義はないものの、一般に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っているような子供とされており、家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている十八歳未満の子供のことを、ヤングケアラーとして紹介されているところであります。  この二年間、ヤングケアラーに関する問題については、その言葉は大分認識されてきましたが、課題解決に向けては、まだまだ道半ばであると感じております。  昨年、厚生労働省と文部科学省が連携して、父母、祖父母、兄弟の介護や世話を担うヤングケアラーに関する実態調査の結果を公表しており、中高生の生活実態に関するアンケート調査で、「世話をしている家族がいるか」という問いに、中学二年生では「世話をしている家族がいる」と回答した生徒が約五・七%、全日制高校二年生は四・一%という結果であったほか、ヤングケアラーの認知度については、中学二年生、高校二年生、いずれの校種においても「聞いたことがない」と答えている生徒が約八割以上であったことなどが公表されており、その実態が徐々に見えてき始めました。  また、先月には大阪府教育委員会が府立高校の全生徒を対象に実施した調査で、実に一一%以上が「世話をしている家族がいる」と回答したという報道があるところでありますが、この中には、「ほぼ毎日世話をしている」という回答が三九%あったということから、家庭環境において外部からの支援を必要としている子供たちが一定数いることは間違いないようであります。  本県においては、これまでその実態がなかなか見えてきておりませんでしたが、今年度、知事部局においては、子供や保護者の相談や支援に携わる機関等に対して、支援機関によるヤングケアラーの実態把握や支援の状況に関する調査を行っていると伺っているほか、県教育委員会においては、公立の小・中学校や高校において家族の世話の状況などについて調査を実施していると伺っております。  そこで、まず、これら今年度実施しているヤングケアラーに関する調査からどのような実態が確認されているのか、知事、教育長にそれぞれお伺いをいたします。  また、このヤングケアラーに関する課題解決の難しいところは、自分がヤングケアラーと認識していない子供たちが多いことや、各家庭における状況を丁寧に把握する必要があること、また、その支援をどこが担っていくのかが定まっていないことなどにあります。  報道等によりますと、厚生労働省は、学校などで把握されたヤングケアラーの情報を各自治体の一部門に集約する枠組みについて、今年度中には手引の作成を目指すとされ、その中では、ヤングケアラーの情報は学校からスクールソーシャルワーカーを通じて自治体に伝わることにより児童福祉部門で集約され、家庭が抱える問題に対して一元的なサポート体制を構築していくよう検討されるとのことであります。  そこで、さきの実態把握の結果も踏まえ、現在、本県が抱えるヤングケアラーの問題をどのように分析し、今後、教育機関と児童福祉の部門という横断的な体制の下、市町とも連携しながら、支援を必要とする家庭に対して行政機関がどのような形で関わって行っていくべきとお考えなのか、この点につきましても、併せて知事、教育長にそれぞれお伺いをいたします。  質問の第四点目は、ことでん新駅整備と複線化についてであります。  バスや鉄道などに代表される地域公共交通機関は、地域を支えるインフラとして住民の利便性の観点から、移動時間の短縮効果や定時性の確保はもちろんのこと、また、地域のシンボルとして町に溶け込み、愛されながら人とともに成長・共存する重要なインフラであると考えております。一方、少子高齢化の影響や新型コロナウイルスの影響で旅客数が減少したこともあり、全国的にも公共交通機関の収支状況の悪化に関する報道を目にする機会が増えており、運行本数の減少や運賃の値上げ等が行われる中、特に地方鉄道の維持については、廃止の検討がされる路線も出てくるなど、全国的に厳しい状況であります。  このような状況ではありますが、地方鉄道は地域の生活・経済の要であり、定時性・輸送力等の面や交通渋滞の緩和や環境負担の低減の面でも有効な交通機関とされ、この鉄道の中でも本県を代表する地域公共交通機関の一つが高松琴平電気鉄道、ことでんです。私も、小さな頃から一宮から町なかのスイミングに通うときなどに利用させていただいており、地域住民にとって、高松市街地への重要な移動手段としてや通勤や通学といった日常生活を送るためのインフラとして、その存在がまさに生活の一部となっている大切な交通機関であります。  この、ことでん琴平線における新駅整備については、高松市総合都市交通計画において検討が開始されて以降、三条駅から太田駅間と、太田駅から仏生山駅間に二つの駅の基本構想や基本計画が策定されてきました。平成三十年十月には現在の伏石駅となる新駅の工事が着工され、令和二年十一月二十八日の部分開業、令和三年十一月には路線バスや交通バスの乗り入れも開始された全面開業へとつながっております。残る太田から仏生山駅間の新駅の整備が期待されるところでありますが、令和二年度にはこの新駅に関する詳細設計も完了しており、用地取得に取り組んでいると伺っております。  私は、さきの九月定例会において、県道太田上町志度線の整備について一般質問させていただいており、国道百九十三号から国道三十二号までの約一・四キロメートルの区間の今後の整備についてお伺いさせていただいた中で、知事からは準備を進めていきたい旨の御答弁をいただいており、地元住民とともに期待を膨らませているところではありますが、太田駅から仏生山駅間における新駅の予定地は、まさにこの県道太田上町志度線の交差部に連結する位置となっており、道路整備と併せてその相乗効果が大きく期待されるところであります。  太田駅から仏生山駅間の新駅周辺では、昨今、子育て世帯を中心に新たに住まれる方が増加し、商業施設も建設が進んでいることから、新駅ができることで駅を中心とした人流がつくられ、併せて検討されているバス路線の再編により、駅に隣接される予定のバスターミナルを中心に地域内外での循環が生まれるとともに、香川インテリジェントパークやサンメッセ香川といった拠点施設などともつながる新交通網がつくられることで、私の住んでいる一宮地区など高松市南部エリアにおける活性化に大きく寄与するものと考えております。  さらに、伏石駅の開業に合わせ、三条駅と太田駅の間が複線化されると同時に、太田駅から仏生山駅間においても複線化が検討されており、単線区間の待ち時間も解消され、輸送性への影響もないことから、ぜひこの整備が進むことを願っております。  当然ながら民間事業者が運営する鉄道ですので、収益についても確保される必要があり、新駅を拠点とするまちづくりや交流人口の拡大を行っていくことも重要であることから、ことでん、高松市、県がしっかりと連携をして、その整備を進めていかなければなりません。  そこで、高松市南部エリアの地域の活性化にとっても重要となりますことでん太田駅から仏生山駅間の新駅開業と複線化に向けて、今後、事業主体であることでんや高松市とも連携しながらどのようにその整備を推進していくおつもりか、知事のお考えをお伺いをいたしまして、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(高城宗幸君)理事者の答弁を求めます。  池田知事。    (知事池田豊人君登壇) ◯知事(池田豊人君)松本議員の御質問にお答えいたします。  まず、新型コロナウイルス感染症の再拡大とワクチン接種への対応についての御質問がございました。  県民の皆様には、行動制限のない中で基本的な感染対策をしていただいていると認識をしております。しかしながら、長引くコロナ禍の下、ワクチン接種や日頃の感染防止対策に関する県民意識の低下も懸念されるところであり、引き続き様々な機会を通じ、ワクチン接種の積極的な検討や基本的な感染防止策の徹底について県民の皆様にお願いしていく必要があるものと考えております。  ワクチン接種の促進につきましては、各市町において取組が進められているところでありますけれども、県におきましても先月、県庁二十一階で広域集団接種センターを再開いたしまして、予約なしでのオミクロン株対応ワクチンの接種を行っております。現在、接種予定枠以上の希望者がおられることから、今月十日から接種に係る医療従事者を増員いたしまして接種予定枠を拡大するとともに、十日と二十四日につきましては接種時間を延長するなど、より多くの希望者に接種していただけるよう取組を進め、県全体の接種率の底上げを図ってまいります。  また、乳幼児接種につきましては、国によれば接種後の副反応のほとんどは軽症または中等度で、その後消失する傾向にあることから、安全性に重大な懸念は認められないとされております。  なお、他のワクチンとの接種間隔につきましては、他の年代と同様にインフルエンザワクチンとの同時接種が可能とされておりますが、それ以外のワクチンは互いに片方のワクチンを受けてから二週間後に接種可能とされているところであります。不安な場合は、かかりつけ医や国のコールセンターに御相談いただくよう案内しております。今後、県のホームページにおいても乳幼児のワクチン接種について内容を充実させるなど、分かりやすい情報提供を行い、保護者の不安や負担の軽減を図ってまいりたいと思います。  引き続き、各市町と連携しながらワクチン接種の促進に努めるとともに、ワクチンの安全性や効果などについて丁寧に情報発信を行い、感染拡大の抑止に取り組んでまいります。  次に、南海トラフ地震臨時情報と県民の避難行動についての御質問がございました。  国のガイドラインでは、巨大地震警戒の臨時情報が発表された場合、発表から二週間は、家具類の固定をはじめ日頃からの地震への備えを再確認することなど、地震に備えることが求められております。また、巨大地震注意の場合には、発表から一週間、同じく日頃からの備えを再確認することが求められております。  また、県が令和元年九月に策定しました臨時情報発表時の県内における防災対応指針では、「災害リスクが高い地域は事前避難等を検討、実施すること」としておりまして、高齢者や障害者などの要配慮者には一週間の事前避難を行っていただくこととしております。  このように、臨時情報は、あらかじめ必要な備えを行うことで地震発生時にも慌てず落ち着いて行動ができるようにするものであり、県としてはハザードマップを基に事前避難が必要な地域を具体的に示すなど、各市町とも連携しながら分かりやすく丁寧な周知を行うことで県民の皆様の理解を高めていく必要があると考えております。  このため、臨時情報発表時の県民の皆様の取るべき行動につきましては、防災セミナーなど様々な機会を通じた意識啓発や、市町や自主防災組織などと連携した訓練などを行っているところであります。しかしながら、県民の皆様の十分な理解までには至っていないと認識をしております。引き続き積極的に取り組んでまいりたいと思います。今後、特に要配慮者につきましては、自主防災組織などが中心となって策定している地区防災計画の中に具体的な避難方法を盛り込み、実際に訓練を行って確認することを促すなど、より積極的な支援を行うことで実効性の確保を図ってまいりたいと考えております。  次に、ヤングケアラーの実態と支援についての御質問がございました。  本県では、要保護児童対策地域協議会やスクールソーシャルワーカーなど、ヤングケアラーに接する可能性のある計十四の支援機関に属します約三千四百人の方を対象に本年六月にアンケート調査を行いまして、現在、報告書を取りまとめているところでございます。  調査結果によりますと、まず、ヤングケアラーの認知度につきましては、支援機関によりその差が大きいことが明らかとなるとともに、必要な支援のつなぎ先を十分認識していない支援機関もあるという実態が確認されました。また、ヤングケアラーとの関わりについては、子供に身近な学校関係者であるスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーでは、六割を超える方が関わりがあると回答していることが分かりました。関わりがあると答えた支援機関によりますと、ヤングケアラーを知ったきっかけは子供本人からの相談との回答は約二八%にとどまっておりまして、子供本人からの発信は少ないことも明らかになりました。なお、子供に自覚がないなどの理由からヤングケアラーの把握が難しいとの回答もあり、まだ気づかれていないヤングケアラーもいると考えられます。  こうした結果から、ヤングケアラーの支援に当たりましては、まずは子供本人からの相談を導くための支援とともに、支援機関における認識の向上や、特に学校関係者との連携体制の整備が必要であると考えております。今般、県教育委員会をはじめ関係部署から成る庁内連携プロジェクトチームにおいて調査結果を共有したところであり、今後、各市町とも連携しながら、ヤングケアラーとその家庭が相談や必要な福祉サービスにつながることを促進するために、それぞれの行政機関が果たすべき役割を明確化し、支援体制の整備に必要な施策を検討してまいります。  次に、ことでん新駅整備と複線化についての御質問がございました。  ことでんの太田・仏生山駅間の新駅につきましては、県道太田上町志度線との交差部に駅前広場と合わせて整備される予定であります。この新駅は、路線バスなどとの接続を通じまして、高松空港や県東部との広域的な交通結節点としての役割が期待されることから、ことでんが県や高松市と連携しながら整備を進めております。  現在、高松市や事業者が用地取得に取り組んでいるところでございます。当該用地の一部が埋蔵文化財包蔵地となっていることから、今後、埋蔵文化財の発掘調査を行っていく予定であります。  次に、複線化事業につきましては、車両の行き違い待ち時間をなくすなど、サービス水準の向上に向け実施をしておられます。これまでに三条駅から太田駅の間は伏石駅が一部開業した令和二年十一月に整備が完了しておりまして、残りの栗林公園駅から三条駅間、太田駅から仏生山駅間につきましても、今後、新駅の整備と進度調整を行いながら工事を進めていくこととしております。  ことでんの新駅整備と複線化は、公共交通ネットワークの利便性向上や地域の活性化を図る上で重要な事業であると認識しております。早期の完成に向けまして必要となる財政的支援につきまして、国の補助を活用しながら、引き続き高松市と連携して取り組んでまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(高城宗幸君)工代教育長。
       (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)松本議員のヤングケアラーの実態と支援についての御質問にお答えいたします。  県教育委員会においては、昨年十一月、国公立小学校五年生、中学校二年生の全児童・生徒を対象に県学習状況調査でアンケート調査を実施し、その中で「世話をしている家族がいて、困っていることがある」と回答した児童・生徒については、本年度に入り、担任やスクールカウンセラーが各学校において個別に聞き取りを行いました。現在、その取りまとめを行っておりますが、概要を申し上げると、改めて「世話をしている家族がいて、困っていることがある」と回答した児童・生徒は、現小学校六年生の九・二%、七百四十四人、現中学校三年生の四・八%、三百六十五人でした。そのうち、スクールカウンセラー等による相談対応や福祉機関等と連携した支援が必要と考えられる児童・生徒は、小学校で約三割、中学校で約六割でした。行っている世話の内容については、小・中学生ともに、「大人に代わって幼い兄弟姉妹の世話をしている」という回答が最も多くなっております。このほか学校の回答からは、家庭内のプライバシーに関わることから実態把握の難しさとともに、相談先や支援機関が判然としないなどの課題が明らかになりました。  高校については、今年度、公立高校全日制と定時制課程の一年生から三年生全員を対象にアンケート調査を実施したところ、「世話をしている家族がいて、困っていることがある」と回答した生徒は一・一%、百九十二人でした。その中で、特に気になる生徒に対し、現在、担任やスクールカウンセラー等が面談等により詳細な状況について聞き取りを行うとともに、学校ごとの取組等に関する調査も実施しております。  県教育委員会といたしましては、調査の整理・分析をさらに進め、教職員等のヤングケアラーに関する意識の向上を図る研修を行うなど、学校における早期発見の体制づくりに努めるとともに、支援機関との連携の在り方などについて知事部局や市町とともに検討を行い、児童・生徒や家庭への適切な支援につながるよう取り組んでまいります。(降壇) ◯議長(高城宗幸君)一般質問を続行いたします。  都築信行君。    (都築信行君登壇、拍手) ◯都築信行君 議長のお許しをいただきましたので、早速質問をさせていただきます。  大きくは、子育て支援についての一本です。子育て支援についてお伺いをいたします。  少子化・人口減少は、核家族化、地域のつながりの希薄化とともに、子供や家族を取り巻く環境の変化や、このたびのコロナ禍の影響により一層歯止めがかかりにくくなっております。二〇二一年に日本で生まれた子供の数は、過去最少の八十一万一千六百二十二人。想定よりも七年ほど早く少子化が進んでおります。香川県においても出生数は減少傾向で推移しており、二〇二一年の人口動態統計では六千二百二十三人と、五年前と比べ千二百八十七人減少しております。  過去二十年間、意識として子供を持つことへの希望はあまり変わっていないと考えられてきましたが、近年それは低下し、子供を持つことをリスクと考える若者が増えていることが指摘されています。国立社会保障・人口問題研究所が発表した出生動向基本調査で、十八歳から三十四歳の独身の人のうち、「結婚したら子供は持つべき」と考える女性は三六・六%、男性は五五・〇%。六年前の調査と比べ、女性は約三〇ポイント下がり、ほぼ半減。男性も約二〇ポイントの減となっております。希望する子供の人数も、独身の男女のうち結婚意思のある人に人数を聞くと、女性は一九八二年の調査開始から初めて二人を割り込む一・七九人、男性も一・八二人と低下傾向にあります。また、そもそも結婚を望まない人が男性で一七・三%、女性は一四・六%と、数ポイントの増となっております。若年層の意識や価値観に急速な変化が起きている実態が浮き彫りになるとともに、特に、女性での結婚観や子供を持つことに対する意識が大きく後ろ向きに変化をしております。  もとより、結婚、妊娠・出産は個人の自由な意思決定に委ねられています。一方で、次世代を育む仕組みをつくれない社会は持続をすることができません。子供の幸せを最優先に、子供を安心して生み育てられる社会を構築し、少子化・人口減少という未曽有の事態を乗り越えるためには、働き方の転換や子育て負担の軽減はもとより、大きく社会構造の改革に挑戦していくことが必要です。  公明党は結党以来、教科書無償配布をはじめ、二〇〇六年には子育てを社会全体で支援するための総合政策「少子社会トータルプラン」を発表し、児童手当や出産育児一時金の拡充、幼児教育・保育の無償化、不妊治療の保険適用など、掲げた政策の多くが実現に至っております。そして、このたび子供の幸せを最優先する社会の実現と少子化・人口減少という事態を乗り越えるための具体策を子育て応援トータルプランとして取りまとめ、十一月八日に発表させていただいております。  その方向性の一つは、常に子供の視点に立ち、その最善の利益を第一に考え、子供に関する取組・政策を我が国社会の真ん中に据えたこどもまんなか社会を実現すること。二つ目に、男女間の不平等の解消、性別役割分担意識の是正。三つ目に、若者の経済的基盤の安定をはじめ、若者が希望を持って将来の展望を描くことができる環境の整備であります。ライフステージや年齢などに応じた支援策を明記させていただき、妊娠・出産から社会に巣立つまで切れ目なく支えていくことを重点にしております。  言うまでもなく少子化対策を推進するためには、行政だけではなく、企業、民間団体とが密に連携し、社会全体の課題としてそれぞれが主体的に取組を進め、社会全体で支援する仕組みが必要不可欠であります。子供や若者世代に対する未来への投資は、人口減少を食い止めると同時に、社会保障の担い手を増やすことにつながるとの認識を広く県民と共有し、効果的な施策を着実に進んでいくことが求められます。  そこで、本日は、このトータルプランも踏まえ、経済的支援も含めた子育て支援策の充実について、知事並びに教育長に質問させていただきます。  大きく質問の第一点目は、子供の意見を聞く場の創出について伺います。  今年の通常国会で成立したこども基本法においては、こども施策を策定・実施・評価するに当たって子供や若者の意見を反映することが規定されています。未来を担う子供や若者の声を聞かずして、これからの社会はありません。こうした認識に立ち、国では新たに設置されるこども家庭庁の下、子供・若者の意見を聞く仕組みを構築する準備をしております。  ある報道では、来年秋の閣議決定を目指すこども大綱策定に向けたこどもまんなかフォーラムがこのほど始動したそうです。第一回は、内閣府の政策モニターから抽せんで選ばれた小・中学生の男女八人とこども政策担当相、関係府省の政務官らが車座になり、子供の意見に耳を傾けたそうです。公園の遊具が減り、外で遊びにくくなっているとの声や、健康診断で男性医師に診られるのが嫌だという女子児童の意見。別の児童からは、子供の権利についてユーチューバーと大臣がユーチューブで配信してほしいという意見も。内閣官房幹部は、彼らにはユーチューブで発信するのが当たり前、私たちならテレビや新聞広告を考えてしまうと感嘆。提案の一つとして検討することになったそうです。また、先般、高校生から二十代、子育て当事者を招いたフォーラムが開催されたとのことで、さきの幹部も、子供の意見を聞く場をパフォーマンスだと言われることもあるが、こっちは本気だ、どの役所でもこども政策をするなら子供の意見を聞くことを当たり前にしたいと力を込めたそうです。こども政策担当相も、大人が勝手に考えて子供に押しつけているルールがたくさんある、大人中心に考えてきた社会のルールを大きく変えたいと話されたそうです。  我が県においても、このほど子ども政策推進局を中心に、部局横断的な子育てに関するプロジェクトチームを立ち上げたとお聞きをしておりますが、子供等の意見も施策に反映されるよう意見を聞く仕組みの構築が必要と考えます。その際、特に自らの意見を表明することが難しい子供の声に耳を傾け、関係者・機関の間をつなぎ、問題の解決を図り、時には制度の改正をリードしていく子供オンブズパーソン制度等の導入はスムーズな運用に資するものとして有用ではないかと考えますが、今後の取組について、知事の御所見をお伺いいたします。  大きく質問の第二点目は、ライフステージや子供の年齢等に応じた支援について伺います。  初めは、結婚期です。  まずは、若者の経済的基盤を安定させ、将来に希望を持てる雇用環境を整備するため、最低賃金の引上げや非正規雇用労働者の処遇改善、正社員への転換や同一労働同一賃金等の働き方改革など、雇用形態の違いによるセーフティーネットの格差を是正する取組が大事であります。  最低賃金については、今年度の引上げ額は全国加重平均で前年度比三十一円と過去最大。時給の平均は九百六十一円。香川県でも三十円増の八百七十八円となりました。特に、先頃は長期化するロシアのウクライナ侵攻や円安の影響で食料品や燃料など基礎的な部分が値上がりする中、最低賃金の引上げは必須の状況であります。一方で、給料を引き上げる中小企業の中には経営が逼迫するところもあり、同時に中小企業への支援も必要であります。  まずは、賃上げができるよう中小企業の生産性を上げ、経営体質を改善していく支援が必要です。例えば、県では中小企業に対する競争力強化に向けた支援や販路拡大などの支援を積極的に実施して、賃金支払い能力の向上に努めていただいております。  加えて、取引価格の適正化も重要であります。元請と下請企業の共存共栄を図るパートナーシップ構築宣言の取組をさらに普及・促進させるべきと考えます。  既に設置されている地方版政労使会議の場を大いに活用し、これらの取組について積極的に進めていただくとともに、無料の職業訓練や月十万円の生活費等を支給する求職者支援制度などの公的職業訓練の活用を含め、県としてどう取り組むおつもりなのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、妊娠・出産期です。  そのうち第一点は、プレコンセプションケアの推進です。WHOは、その定義を妊娠前の女性とカップルに医学的・行動学的・社会的な保健介入を行うこととして推奨しており、日本も第五次男女共同参画基本計画の第七分野、「学童・思春期」の項において、プレコンセプションケアを盛り込まれております。さらに、令和三年二月に閣議決定された、その具体的な取組を示す成育医療等基本方針でも、同ケアを女性やカップルを対象とした将来の妊娠のための健康管理を促す取組と定義し、関係者の責務や役割で、地方公共団体の責務として、例えば、現行の健やか親子21に医療を加えた成育保健医療計画の策定等、その地域の特性に応じた施策を策定し、実施する必要があるとしております。  知識が乏しいため陥るケースを防ぐためにも、学童・思春期に、医学的に妊娠・出産に適した年齢、計画的な妊娠、葉酸の摂取、男女の不妊、性感染症の予防など、早い段階から妊娠・出産の知識を持ち、自分の身体への健康意識を高めるプレコンセプションケアに関する取組は重要であります。  我が県でも、健やか親子支援推進事業として、県内の大学生・専門学生などを対象に助産師等による出前講座を実施しており、自らのライフデザインについて考える機会等を提供していただいております。その取組状況と年齢層の幅を拡大するなどのさらなる工夫について、知事の御所見をお伺いいたします。  第二点は、特定妊婦への支援についてお伺いをいたします。  本題の前に、出産時の費用を賄うため、現在は一律四十二万円の出産育児一時金が支給されております。しかしながら、人件費の増や少子化、高齢出産の影響で出産費用は年々上昇しており、最近三人目のお子さんを出産されたお母さんからも、高くなっていてびっくりしたとのお話も伺いました。香川県の状況は四十三万八千円となっておりますが、政府もその対応のため、増額する予定と聞いております。速やかな対応を期待しているところであります。  さて、特定妊婦とは、予期せぬ妊娠や貧困、DV、若年妊娠などで、出産後の子供の養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦のことをいい、二〇一九年度は全国で約一万二千人となっております。児童虐待案件では、母親が産んだ我が子を手にかけるなど、加害者になるケースが多く、厚労省によると、二〇一九年度に虐待で死亡した子供七十八人のうち、実母が加害者だったのは五割超の四十一人に上っており、こうした事情を背景に、特定妊婦は二〇〇九年改正の児童福祉法で支援の対象に位置づけられております。  その後、増加する特定妊婦への支援拡充のため、二〇一七年度には厚労省が、特定妊婦の相談に乗ったり入所施設を提供したりする自治体に、運営費の半額を補助する制度を創設しております。しかし、この制度で運営される入所施設は、一府四県で計八か所にとどまっております。そこで、さらに政府は今年六月成立の改正児童福祉法で、特定妊婦に食事や住まいを提供するなどの生活援助事業を自治体の努力義務としました。二〇二四年の施行に向け、施設の重要性を周知するなど普及策を検討している模様です。  専門家も、特定妊婦は出産への恐怖や将来への不安など多くの悩みを抱えており、二十四時間体制で相談できる環境が何より重要。専用施設をすぐに増やすのは難しいだろうが、既存の母子生活支援施設に医療人材を厚く配置して受け入れるなど体制の強化が必要だとの指摘もあります。  現在、我が県でも特定妊婦への対応は保健師による定期訪問などの支援をいただいているところですが、特定妊婦への支援拡充について、知事の御所見をお伺いいたします。  第三点は、リトルベビーハンドブックの作成についてです。  現在、早産等で一年間に千五百グラム未満で生まれる子供は、県内では直近のデータである令和三年には四十七人、二千五百グラム未満で生まれる低出生体重児は五百九十二人で全体の九・五%と、約一割となっております。  生まれた子供の成長を記録することができるのが妊娠時に交付される母子健康手帳ですが、通常のものは満期産を前提に作られていることから、早産等によって小さく生まれた低出生体重児の赤ちゃんは、成長の記録や確認をすることが難しく、思ったように記録することができません。母子健康手帳を見るたびに御家族も落ち込んでしまうという声もあります。  そうした声を受け、全国的にリトルベビーハンドブックを作成する自治体が増えてまいりました。現在、十一県が作成しております。近くは、神奈川県が七月、本年度完成に向け、初の作成検討会を開催しており、低出生体重児の発育状況を書き込めるページを確保することや、先輩保護者のメッセージ、相談先の案内などの掲載でオリジナル版を作っていくそうです。作成後の来年からNICU(新生児集中治療室)のある医療機関や市町村の担当課での配付開始を目指している模様です。  つきましては、香川県独自のリトルベビーハンドブックの作成について、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、高校期での二つの負担軽減についてお伺いいたします。  初めに、高校入試でのネット出願の導入であります。  公立高校入試の実施細目も発表され、一月には高校受検の願書の提出が始まります。一般的には、受検生は在籍の中学校から願書の様式を受け取り、記載し、写真や受検料納付となる県証紙を貼付して中学校に提出し、中学校が出願関係書類の内容を確認した上で各高校に提出いたします。中学校側では出願関係書類を各高校へ持参する手間がかかり、高校側では届いた書類をデータにする作業の手間がかかります。  そこで、東京都などでは、定時制課程などを含めた全校の推薦入試や学力検査をインターネットでの出願を可能とし、受検生には専用サイトで名前や住所といった必要事項を記入してもらうほか、出願に係る費用もサイト上でクレジットカード決済できるようにしております。  受検生、中学校、高校の三者の利便性向上に資するものとして、来年度の受検に向けて、ぜひ導入の検討をしていただきたいと思います。  次に、これまでも取り上げてまいりました県立高校での空調設備に係る費用無償化についてです。  県立高校については、教室等の空調設備はPTAによって設置され、その電気代も保護者が負担していると伺っております。現在、県内のほとんどの県立高校の教室に空調設備が整備されている状況ですが、その費用として、リース料は全ての県立高校を合計すると年間で約一億二千五百万円、リース料とは別に電気代として年間約三千万円がかかっており、それを全て保護者が負担している状況です。  いまだ温暖化が進んでいない時代には、夏季でも窓を開け放した教室での授業もさほど苦ではなかったかと思います。ですから、当時の空調設備は、その必要性の乏しさもあり、受益者負担の考えが強調され、設置費・維持管理費とも保護者負担ならばよいということだったのかもしれません。ただ、この考えが、この温暖化で夏季の熱中症対策が叫ばれている時代に続いているということが理解できません。こうした空調設備の設置と維持管理は、本来学校設置者が行うものであると思います。高校期に入りますと、部活費用など家計負担はさらにかさんでまいりますし、子育て家庭の教育費負担の軽減が強く叫ばれている中で、こうした費用まで負担を強いるのは、いかがなものかと考えます。  令和二年六月定例会では、私の質問に対し教育長より、引き続き他県の状況などを参考にしながら費用負担の在り方などについて検討を行うとされております。県内の市町立の小・中学校の普通教室の空調設備は一〇〇%公費で完備され、運用されております。また、既に他県では、学校設置者として暑さ対策をするのは当然として、公立高校の空調設備の設置や電気代等を公費負担に切り替えている都道府県が増え、特に普通教室については既に三十七都府県で空調設備費用を公費負担としており、四府県が公費負担化を進めております。ぜひとも、我が県でも公費負担での対応をお願いしたいと思います。  以上二点につき、教育長の御所見をお伺いいたします。  質問の最後は、子宮頸がん対策についてお伺いいたします。  子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染防止に有効なHPVワクチン、その接種を個別に呼びかける積極的勧奨が今年四月から約九年ぶりに再開をされております。日本では、二十歳から三十歳代の女性が発症するがんの多くを子宮頸がんが占め、年間約一万一千人が罹患、約二千九百人の方が亡くなっております。  子宮頸がん対策として、検診による早期発見・治療とともに、ワクチン接種による予防が重要とされております。ワクチン接種は計三回必要で、二〇一三年四月には、小学校六年から高校一年相当までの女子を対象に原則無料の定期接種が始まり、積極的勧奨も行われるようになりました。ところが、接種後に全身の痛みなど、副反応と疑われる報告が相次いだため、厚労省は同年六月、無料接種は継続する一方で、適切な情報が提供できるまで積極的勧奨は中止をいたしました。厚労省はその後、専門家による検討を重ねて、安全性について特段の懸念が認められない、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると判断。昨年十一月に積極的勧奨の再開を決めました。ワクチン接種の有効性やリスクについて、当事者と保護者の理解に役立つよう丁寧な情報発信に努めていただきたいと思います。  また、九年間の積極的勧奨の中止により接種の機会を逃した人に対して、希望すれば無料で接種を受けられるキャッチアップ接種も実施されています。対象は、一九九七年度から二〇〇五年度生まれで、過去に三回の接種を受けていない女性。期間は今年四月から二〇二五年三月までの三年間となっており、無料期間を過ぎれば自己負担額は五万円から七万円かかるようで、何より子宮頸がんの重要な予防をみすみす逃すことにつながります。この年代の女性は大学生や社会人となっている方も多いので、企業等への協力の呼びかけを通じてのキャッチアップ対象者への積極的な勧奨加速化が急務であると思います。予防接種の実施主体である市町から対象者へ周知を行うだけでなく、県においても周知・啓発していくことが必要と考えます。  つきましては、子宮頸がん対策について今後どのように取り組むおつもりなのか、知事の御所見をお伺いいたします。  子育てについて、ぜひとも温かい答弁を期待いたしまして、私からの質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(高城宗幸君)理事者の答弁を求めます。  池田知事。    (知事池田豊人君登壇) ◯知事(池田豊人君)都築議員の御質問にお答えいたします。  まず、子育て支援のうち、子供の意見を聞く場の創出についての御質問がございました。  議員御指摘のとおり、来年度から施行されるこども基本法におきまして、国及び地方公共団体における「こども施策に対するこども等の意見の反映」について規定されたところであります。現在、国におきまして、こども政策決定過程におけるこどもの意見反映プロセスの在り方に関する調査研究として、国内の先進事例や諸外国の取組についての情報収集や有識者からのヒアリングを行うとともに、モデル事業を実施しておられます。その中では、対面やオンライン会議、SNS上での議論の場、アンケート調査による意見聴取を通して、どのような仕組みや環境が適しているか、検討されているところであります。この調査研究結果につきましては、今年度中に取りまとめられ、地方公共団体にも情報提供がある予定でございます。  今後、子供や子育て当事者等の御意見を本県の子育て施策に反映させるため、国の調査研究を踏まえるとともに、他県の先行事例等の情報収集も行いながら、意見聴取機会の確保方策等、本県での対応について検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、ライフステージや子供の年齢などに応じた支援についての御質問がございました。  まず、結婚期の若者への支援につきましては、県は、働き方改革の推進や正規雇用の促進などの雇用対策に加えまして、企業が競争力を強化し、賃金引上げにつながるよう、かがわ産業支援財団での販路拡大や経営改善の支援をはじめ、産業技術センターでの技術支援などに取り組んでおります。また、県立高等技術学校では施設内や民間の委託訓練を実施いたしまして、昨年度は六百二十三名が受講しており、引き続きニーズに応じた様々な職業訓練の機会を提供してまいります。  さらに、県では毎年、県内の労働組合や経済団体、労働局などで構成する香川県雇用対策協議会を開催いたしまして、若者の雇用対策について意見交換を行っており、今後とも関係機関と連携し、次代を担う若者への支援に努めてまいります。  次に、妊娠・出産期についてでございます。  議員御指摘のプレコンセプションケアにつきましては、県ではこれまで、健やか親子支援推進事業として、助産師等による出前講座を大学生等を対象に実施してきたところでございます。具体的には、大学や短期大学の文化祭などに出向きまして、相談コーナーの設置や妊婦体験の実施など、学生が気軽に立ち寄れる雰囲気の中で知識を身につけられる工夫をしながら取り組んでまいりました。  この取組におきまして、年齢層の幅の拡大につきましては、早い段階から正しい知識を得て健康的な生活を送ることは、将来の健やかな妊娠や出産の実現に資すると考えられますので、今後、教育委員会とも連携し、取組の対象を高校生にも拡大することについて検討してまいります。  次に、特定妊婦への支援についてであります。  特定妊婦に対しましては、相談ができる体制の強化が必要であると考えております。妊娠届の際に、行政で妊婦の状況を把握できる機会がございますが、母親から妊娠届が提出されず、行政が妊娠の事実や妊婦の状況を把握できないという場合もございます。これらのことから、まずは、県が設置する妊娠出産サポートやかがわ妊娠SOSなどの相談窓口の情報が、支援が必要な方に着実に届くよう、効果的な周知啓発や、特定妊婦に関する関係機関との連携強化に努めてまいりたいと考えております。  次に、議員御指摘のリトルベビーハンドブックについてでございます。  千五百グラム未満で生まれる低出生体重児で総合周産期医療センターで治療を受けている場合には、本県では母子健康手帳とは別に、センターが工夫して、子供のきめ細かな成長記録などをお渡ししているとお聞きしております。また、センターで治療を受けていない子供につきましても、同様の対応ができないか、今後、検討してまいりたいと思います。  また、今年度、国において母子健康手帳の記載事項の改正に向けた検討が進められておりまして、その中に低出生体重児向けの成長曲線などの記録の充実なども盛り込んだ検討がされていると承知をしております。その内容も踏まえまして、県としても検討してまいりたいと思います。  次に、子宮頸がん対策についての御質問がございました。  県におきましては、がん検診の受診促進とワクチン接種勧奨の両面から取り組んでおります。  まず、子宮頸がん検診につきましては、令和元年度の受診率は四八・四%となっておりまして、全国平均の四三・七%を上回っている状況でございます。さらなる受診率向上に向けまして、休日に乳がん検診が受けられるかがわマンモグラフィーサンデーに子宮頸がんの検診車を派遣し、同時に受診できる環境を整備することなどに取り組んでおります。  子宮頸がんを予防するHPVワクチン接種につきましては、キャッチアップ接種の対象者につきまして、各市町から予診票や厚生労働省のリーフレットなどを送付し、周知を行っているところでございます。県におきましても、県ホームページでキャッチアップ接種に関する広報を行うとともに、児童・生徒向けの予防啓発漫画本にキャッチアップ接種に関する内容を追記し、積極的な勧奨に努めてまいります。  また、接種後に気になる症状が出たときは、まずは接種された医療機関やかかりつけ医に相談するよう促しており、より専門性が生じる場合には、中核的な役割を担う医療機関へ紹介を行える体制を確保しております。  こうした中、来年度には定期接種及びキャッチアップ接種におきまして、九種類のウイルスの型に対応した九価HPVワクチンの使用が新たに開始される予定であります。今後は、がん検診が受けやすい環境づくりを進めてまいりますとともに、九価HPVワクチンの情報を含め、キャッチアップ接種につきまして、県ホームページなどでの広報や、社会人や大学生など対象者向けに啓発チラシを作成し、商工団体や大学などへ周知・啓発を行うなど、子宮頸がんの対策に取り組んでまいります。(降壇) ◯議長(高城宗幸君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)都築議員の子育て支援のうち、ライフステージや子供の年齢等に応じた支援についての御質問にお答えいたします。  公立高校入試におけるインターネット出願の導入については、議員御指摘のとおり、パソコンやスマートフォンを使って簡単に出願でき、入学選考料の納付にクレジットカード決済等が利用できるなど、受検生にとって利便性の高いものであります。また、中学校にとっては、願書の各高校への持参が不要となり、高校にとっても願書の記載事項のデータ入力の手間が省けるなど、学校の負担軽減にもつながるものと考えております。  他県の状況を見てみますと、今春実施した令和四年度入試においては、東京都など三都県で導入されており、さらに導入に向けた検討を行っている県もあるようです。  県教育委員会といたしましては、受検生や中学校等の意見をお聞きするとともに、他県の事例等も参考にして課題等を整理しながら、高校入試におけるインターネット出願について検討してまいります。  県立高校での空調設備に係る費用負担の軽減については、議員御指摘のとおり、その維持管理に係る費用を保護者の皆様に御負担いただいているところであり、昨今の電気代高騰により、さらに保護者負担の増加が見込まれております。  県教育委員会といたしましては、熱中症対策など生徒の健康管理の観点や保護者負担軽減の観点、他県の公費負担化の状況等を踏まえ、県立高校の空調設備に係る費用負担の在り方について検討を進めてまいります。(降壇) ◯議長(高城宗幸君)理事者の答弁は終わりました。  暫時休憩いたします。                         午前十一時五十四分休憩                         午後 一時  七分開議     ─────────────────────────────   出  席  議  員    新  田  耕  造 君    氏  家  寿  士 君    松  岡  里  佳 君    里  石  明  敏 君    城  本     宏 君    植  條  敬  介 君
       鏡  原  慎一郎  君    秋  山  時  貞 君    森     裕  行 君    米  田  晴  彦 君    木  村  篤  史 君    氏  家  孝  志 君    高  木  英  一 君    白  川  和  幸 君    山  本  悟  史 君    樫     昭  二 君    松  本  公  継 君    高  田  良  徳 君    竹  本  敏  信 君    三  野  康  祐 君    西  川  昭  吾 君    十  河     直 君    松  原  哲  也 君    谷  久  浩  一 君    広  瀬  良  隆 君    山  田  正  芳 君    香  川  芳  文 君    斉  藤  勝  範 君    尾  崎  道  広 君    宮  本  欣  貞 君    山  本  直  樹 君    黒  島     啓 君    五所野尾  恭  一 君    花  崎  光  弘 君    大  山  一  郎 君    都  築  信  行 君    鎌  田  守  恭 君    平  木     享 君    石  川     豊 君   欠  席  議  員    高  城  宗  幸 君    岡  野  朱里子  君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事    池  田  豊  人 君           副  知  事    西  原  義  一 君           病院事業管理者    太  田  吉  夫 君           審  議  監    大  山     智 君           政 策 部 長    淀  谷  圭三郎  君           総 務 部 長    椋  田  那津希  君           危機管理総局長    田  中  一  裕 君           環境森林部長     木  村  士  郎 君           健康福祉部長     三  好  謙  一 君           商工労働部長     寺  嶋  賢  治 君           交流推進部長     佐  藤  今日子  君           農政水産部長     新  池  伸  司 君           土 木 部 長    安  西     愼 君           文化芸術局長     小  川     剛 君           知事公室長      尾  崎  英  司 君           子ども政策推進局長  井  元  多  恵 君           会計管理者      小  川  秀  樹 君           病 院 局 長    岡  田  総  一 君           デジタル戦略総室長  井手下   慶  博 君           教  育  長    工  代  祐  司 君           公安委員会委員長   上  枝     康 君           警察本部長      今  井  宗  雄 君           代表監査委員     木  下  典  幸 君           監査委員事務局長   田  井  慎  二 君           人事委員会委員    平  尾  敏  彦 君           人事委員会事務局長  森  岡  英  司 君           労働委員会事務局長  河  内  一  裕 君    ───────────────────────────── ◯副議長(新田耕造君)再開いたします。  一般質問を続行いたします。  白川和幸君。    (白川和幸君登壇、拍手) ◯白川和幸君 議長のお許しを得ましたので、通告に従い質問させていただきます。  質問に先立ちまして、一言申し述べさせていただきたいと思います。  先日判明した三豊市における本年香川県四例目の鳥インフルエンザの発生に対する防疫作業において、多くの県職員の皆様が殺処分作業に従事していただいております。対策本部を訪れ、説明をいただきました。二年前の経験を生かし、防疫作業に係る資材の備蓄に努め、対策マニュアルのアップデートをしたことにより、また、今年発生した観音寺市での三件の事例もあり、迅速な対応で臨まれたことに深く敬意を表します。  防疫作業はまだまだ続いておりますが、一日も早い収束と事業者の復活を心よりお祈りし、コロナ禍や円安により大きな転換点を迎え、直面する様々な問題について、知事並びに教育長に質問をさせていただきます。  質問の第一点目は、高校生のキャリア教育及び若者の地元企業への就職支援についてであります。  人口移動調査によると、コロナ禍による出生数の減少や外国人労働者の受入れが減っている等の影響もあり、本県の人口は二〇二一年の一年間で九千二十二人減少いたしました。県内企業にとっても、コロナ禍からの経済の回復途上にある中、働き手が減少することになり、本県十月の有効求人倍率は一・五五倍と、一年前の一・三九倍から増加しています。中でも、中小企業の人材確保は喫緊の課題となっています。  本県の活力を保つため、若者が県内で就職し定着することは意義が大きく、そのためにも若者には県内企業の魅力を十分に理解した上で、自分に合った企業を選んでもらう必要があります。特に、商業高校や工業高校といった専門高校の生徒は県内産業を支える貴重な人材でありますが、就職を希望する高校生の視線は、どうしても有名企業や公務員に向きがちです。本県の中小企業には、優れた技術や明確な経営理念を持ち、地元経済に貢献している企業も多くあります。しかしながら、生徒がそのような地元企業を知る機会は限られているのが現状です。  県教育委員会でも、ジョブサポートティーチャーの配置など、各学校での進路指導の充実に取り組んでいると伺っております。就職活動の中で、自分に合った仕事や企業を知り、選択することはもちろん大切ですが、どうしても限られた時間の中で行わざるを得ないというところです。進路指導の充実に加え、日頃から学校と地域の企業が関わることで、生徒は学校での学びがどのような社会で生かされるかを知り、進路に対する明確な目標を持つことができるのではないでしょうか。  県教育委員会では、生徒たちが生きる力を身につけ、社会人・職業人として自立していくことができるよう、高校生へのキャリア教育を行っていると伺っています。この一環として地域企業と連携して様々な取組を行うことは、生徒にとって、郷土への理解を深めながら進路のイメージを具体化することになり、企業にとっても社会で身につけてほしい技術を伝えることができるものであります。  そこで、教育長に、高校、特に専門高校において、地元企業と連携して行うキャリア教育について、どのようなことに取り組んでいるのか、現状をお伺いするとともに、今後の方針についてお伺いをいたします。  また、県内外の大学生や若手の社会人の県内での就職活動も、コロナ禍での制約が緩和され、状況が変わってきています。例えば、オンライン説明会が一般化する一方で、インターンシップや面接等、対面でのコミュニケーションの重要性も再認識されているところです。  県が令和元年に行った県出身県外大学生アンケート調査や県内大学生アンケート調査によると、卒業後、香川県で暮らしたいと思う学生は六割に上ります。一方で、就職先を決めるときに重視していることとして、自分がやりたい仕事であること、次いで安定していることなどが挙げられています。香川県で暮らしたい思いはあるものの、やりたいこととの間で就職先を悩んでいることが読み取れます。そのような学生らに対し、本県企業の魅力をしっかりと伝えていかなければなりません。  そこで、県では、ワークサポートかがわを平成二十九年四月に設置し、若者の就職支援や県外からの就職支援に重点的に取り組んできたところですが、コロナ禍の制約が緩和されつつも、コロナ禍前とは状況が異なる中で、どのように就職支援に取り組んでいくのか、知事にお伺いをいたします。  質問の第二点目は、大学・地域共創プラットフォーム香川の取組についてであります。  先日、特別委員会の県外視察において、「世界とつなぐ新しいDEJIMAの創生」をコンセプトとするコンベンションホール、出島メッセ長崎を視察いたしました。ホールの管理者との意見交換の場で、コロナ禍で利用者数は減少する中でも、長崎大学の医学部をはじめ大学関係の学術研究会などが開催され、施設利用の大きな柱になっていることを伺いました。広い人脈やネットワークを有する大学は、多くの人の移動・集客を創出する拠点となっていることを改めて思い知らされました。  大学や短大、高等専門学校などの高等教育機関は、医療や福祉、教育といった地域にとって必要不可欠な分野に従事する方々を育成する人材育成機関としての役割のほか、高度な研究能力を生かして、知を生み、育て、蓄積し、イノベーションを創出していく役割や、地域の魅力や文化、歴史について発信し、発展・継承していく役割、さらには、さきに述べたほかの国内地域や海外とつながる人材交流の拠点としての役割など、様々な役割・機能を有しています。今後、人口減少と少子化が大きく進展し、地方の高等教育機関にとっても非常に厳しい環境となることが見込まれる中で、大学等は、求められる役割・機能を十分に発揮して、地域における存在意義をこれまで以上に示す必要がありますし、地域の側も大学等と連携しながら、直面する課題の解決に向けて取り組む必要があります。  県では、これまで県内の大学等と連携し、大学等の魅力づくりを進め、若者の県内定着に取り組んできました。しかしながら、進学や就職時期の若者の県外流出は続いており、令和四年度施策評価結果に表れているとおり、定住人口の拡大、魅力ある大学づくりといった施策に対する満足度は平均点を下回っている状況で、何とか現状を変える効果的な施策展開が求められています。  こうした中で私が期待しているのは、昨年度末設立された大学・地域共創プラットフォーム香川です。このプラットフォームは、県内の大学、短大、高専の高等教育機関と経済団体、県内全市町及び県が構成員となる産学官の新たな枠組みで、今年度からその取組が始まっています。多くの構成員による枠組みのため、一つの取組を実施するにしても、企画調整や議論などで時間や労力を要するとは思いますが、これまでの延長線上にはない新たな視点での取組や効果的な取組が実践され、一つずつ成果を上げていってもらいたいと思っています。  人材確保などの課題を有する県内の中小企業や経済団体などが、このプラットフォームの枠組みを活用することで、大学等や自治体などとつながり、同じ課題認識の下、連携・共創の取組が行われ、人材面や技術面などの課題解決が図られるよう、県としてもプラットフォームの運営にしっかりと関わる必要があると考えます。  そこで、大学・地域共創プラットフォーム香川について、これまでどのような取組を行い、今後どのように進めていくのか、知事にお伺いをいたします。  質問の第三点目は、荒廃農地の発生防止についてであります。  さきの九月議会の一般質問でも申し上げたとおり、本県における農業・農村をめぐる情勢は厳しさを増してきております。働き手の減少・高齢化、農作物の価格の低迷や農地の受け手がいないなどの理由で農地の荒廃は進行しており、本県の荒廃農地は七千四百八十八ヘクタールと、十年前の五千四百四十ヘクタールと比べ三七・六%増と大幅に増加しております。このうち再生利用が困難と見込まれる農地は六千四百三十二ヘクタールと荒廃農地全体の約八六%を占めており、全国平均の約六八%よりも高くなるなど、全国と比べても本県農業の荒廃は進行している状態であります。  荒廃農地は病害虫の発生源となることから、周辺農地に悪影響を及ぼしたり、野生動物が集まる餌場となるなどで、人里に鳥獣被害が拡大するきっかけとなってしまうことがあります。その解消には多大な労力と費用を要するため、これ以上荒廃農地を発生させないことが重要で、先手先手で対策を講じていかなければなりません。  また、荒廃農地は、営農条件の悪い中山間地域、島嶼部で多く発生しております。県土の保全や良好な景観の形成等の多面的機能を有している農業・農村が、今後も機能を維持するためにも、対策が求められているところであります。  県では、地域における農地の利用に係る話合いを進め、中間管理機構を通じた土地の集約化や地域資源の適切な保全管理を行うことを通じて、荒廃農地の発生を防ぐ地域の体制づくりを進めていると伺っております。  高齢化や農業人口の減少が進んでいる現状を踏まえますと、地域の体制づくりと併せて、手間と収益のバランスを見極めながら他の作物への転換を促していくことも必要であると考えられます。例えば、茨城県では、比較的栽培が安易なサツマイモ畑への転作が進んでいるようです。焼き芋ブームなども重なり、国内外で需要が高まる中、県の主要農産物としての生産拡大と荒廃農地の発生防止を組み合わせた取組と言えます。ほかにも、畜産業が盛んな鹿児島県では中山間地の土地を放牧に活用したり、長野県でもソバの栽培を進めるなど、担い手不足の中、手間を省き、作業効率を高めることで収益を維持しようとする取組が各地で行われています。  主食用米の生産は、栽培技術の習得とトラクターやコンバインなどの初期投資が必要で、新規就農者にはハードルが高いものです。耕作放棄されつつある農地等を活用してみようという担い手を増やすことがまずは重要であり、手間や技術を比較的要しない作物の栽培から始めることで収益が安定し、新規就農者の定着を促すことにもつながると考えられます。JA全農の試算によると、主食用米の栽培に必要な十アール当たりの労働時間は二十三時間であるのに対し、家畜用トウモロコシは二時間と、ほぼ種をまくだけで済むようです。米の消費が伸びず、価格が低迷している状況を踏まえますと、飼料用作物やバイオ燃料用作物など、新たなニーズが見込まれる作物への転作についても検討に値すると思います。  荒廃農地の発生を防ぐための特効薬はなく、様々な施策を組み合わせながら地域の状況に応じた対策を行うしかないと思いますが、栽培作物の転作による荒廃農地の発生防止に向けてどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いをいたします。  質問の第四点目は、かがわ医療情報ネットワークの利用拡大及び医療情報の活用についてであります。  本県では、全国に先駆けて医療のデジタル化に取り組んでまいりました。かがわ医療情報ネットワーク、いわゆるK─MIXとして平成十五年に放射線画像の遠隔読影システムの運用を全県で開始して以来、地域連携クリティカルパスや診療情報の共有機能を充実させるなどして医療機関の情報連携を進めてまいりました。現在では、保険者のレセプト情報を参照した診療支援システムを加えた四つのシステムが、ブラッシュアップをしながら、かがわ医療情報ネットワーク協議会において運用されていると伺っております。  これらのシステムを運用し、データが蓄積されることで、医療機関はネットワーク上で施設をまたいだ患者の治療経過を把握することができ、診療の質の向上につなげることができます。また、薬の処方や検査の重複を防ぐことで患者の負担も軽減されるものであります。私の友人の父親が医療機関に入院した際に、転院先との連携がうまくいかずに苦労したという話を聞いたことがあります。今後、高齢化が進む中、切れ目なく質の高い医療を確保するという点で、各医療機関において病床の機能分化を進めることと併せて、このようなネットワークを整備することの意義はますます大きくなってくると思います。  しかしながら、医療機関にとってもメリットはあるのですが、実際には医療機関ごとに異なる電子カルテシステムとの連携や、患者情報の名寄せには手間やコストがかかり、また、小規模な診療所ではいまだ紙管理のカルテがあるなど、一朝一夕には進まないこともあるようです。  さきの九月議会の一般質問では、三割程度にとどまっているかがわ医療情報ネットワークの参加医療機関の拡大が重要であるとのことでありましたが、県として、今後どのようにして地域医療連携を進め、参加医療機関の拡大を図っていくのか、知事にお伺いをいたします。  また、医療のデジタル化の進展により、医療機関や保険者、地方自治体において様々な情報がデジタルデータとして蓄積されるようになってまいりました。それぞれが有するデータを横断的に活用できれば、国民一人一人の健康寿命の延伸、医療現場等における業務の効率化の促進、医療等の各種サービスの効率的・効果的な提供に大きく寄与すると考えられます。  国の骨太の方針二〇二二には、全国医療情報プラットフォームの創設がうたわれ、医療データをはじめ、保健や介護に関する情報やデータも含めた形で最適化された情報基盤を構築し、医療機関はもとより、自治体や介護事業者等にもデータを提供する構想の検討が進められております。分野をまたぐデータの共通化・標準化をどのように進めるのか、セキュリティーをどのように担保するのか、患者や医療機関、保険者など、データは誰に帰属するのか、どの範囲での利用が認められるかなど、整理・解決すべき課題は多くありますが、このような国の動きが進みますと、医療のデジタルトランスフォーメーション、医療DXがいよいよ本格化することになります。将来的には、例えば、公的な医療・健康情報と歩数や脈拍、睡眠データ等の個人ライフログを組み合わせて、私たちの健康管理に役立てるといったことも可能になるかもしれません。  本県では、かがわ医療情報ネットワークによる様々な医療データを活用した医療情報連携や、スマートフォンの歩数計測機能を活用した「マイチャレかがわ!」による県民の健康づくりなど、先進的な取組を実施してきました。これまで県が取り組み、目指してきたことが全国レベルで実現されるようになるとも言え、注視すべき動向であると考えられます。  そこで、県として、このような国の動向をどのように認識し、今後の施策に生かしていこうとするのか、知事にお伺いをいたします。  質問の第五点目は、県民生活の利便性向上のためのデータの活用推進についてであります。  デジタル化の推進は、行政運営の効率化を図るのみならず、県民生活の利便性の向上や県内企業等の生産性の向上、競争力強化などにつながり、本県の様々な地域課題の解決や今後の経済成長に資するものでもあります。本県では、平成三十一年三月にかがわICT利活用推進計画、令和三年十二月にかがわデジタル化推進戦略を策定して、県民目線でのデジタル化に取り組んでいるところです。  中でも、デジタル社会の最も基礎的な構成要素となるデータの有効利用はその肝であり、本県では行政等が保有するデータを県民や事業者等が利用しやすい形で積極的に公開するオープンデータ化の取組を充実させてきました。  このような中、発生した新型コロナ禍において、県は県民への正確な情報発信を行うため、コロナ発生早期から、県ホームページや香川県オープンデータカタログサイトにおいて、相談窓口等の情報に加え、患者の発生件数やPCR検査件数などのデータを日々公開・更新し、多くの閲覧やダウンロードがなされました。  また、全国的には、シビックテックと呼ばれる市民の活躍などもあり、オープンデータを使って感染状況をグラフで示すサイトが立ち上がったり、民間企業がスマートフォンの位置情報から繁華街などにおける人流データを分かりやすく地図情報として提供したりするなど、官民が有するデータの活用が進み、そのメリットが実感されるようになったと思います。  その一方で、個々のデータの取扱いを見ますと、データによって形式や定義がばらばらであるため、比較や一体的な利用が困難である場合も多く、ただデータを公表するだけでなく、一定のルールの下でデータを整理し公表することの必要性も明らかになってきました。さらに、今後は、異なる分野のデータの横断的な利用をいかに円滑に進めるかも課題であります。  先ほどの例は、スマートフォンの位置情報が地理データとひもづけられることで人流が可視化されるという活用が図られたものですが、様々なデータが連携し、ひもづけられることで分野間の利用可能性が高まると言えます。このような背景もあり、国はデータがつながることで新たな価値を創出するための包括的データ戦略の推進にかじを切りつつあるようです。データの利活用は、利用できる種類が多元的であるほど深い分析・活用が可能となります。一方で、いかなる価値を誰に対して生み出すのかという利用目的を明確にしなければ、有効活用されず眠れる資産となってしまうおそれもあります。  本県では、これまでも積極的な行政データの公開を進めてきたところですが、保有するデータを単に公開するだけではなく、例えば、市町や民間事業者といった利用者が、目的意識を持って、県内の食や観光、商品づくりなどのデータを横断的に活用し、消費行動の分析や地域づくりの施策に活用するといった展開が可能になるよう、その環境の整備も必要ではないかと思います。  様々なデータが積極的に利用され、県民生活の利便性の向上に生かしていただくためにも、これまでの取組から一歩進んで、データ同士が連携する環境を戦略的に整備し、官民が活用することの意義は大きいと思いますが、県におけるデータ活用の今後の方向性について知事の御所見を伺いまして、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(新田耕造君)理事者の答弁を求めます。
     池田知事。    (知事池田豊人君登壇) ◯知事(池田豊人君)白川議員の御質問にお答えいたします。  まず、若者の地元企業への就職支援についての御質問がございました。  議員御指摘のとおり、昨今の就職活動は、コロナ禍での制約によるオンライン化に加えまして、売手優位による早期化が進んでおりまして、若手人材の確保には、就活前の早い時期に学生の興味を引くような効果的な情報発信が必要であると考えております。  そのため、ワークサポートかがわでは、今年度、新たに企業の情報発信のデジタル化を支援しております。県内企業の自社PR動画を制作する際の助言や、インターンシップを自社で手軽に実施するためのツール開発に取り組んでおります。また、オンラインによる情報発信として、就活前の学生や保護者を対象にした小規模の就活セミナーや就活相談会などを開催しているところであります。加えて、学生や求職者、登録企業などの利便性を高め、県内企業の魅力や情報をウェブ上で一層効果的に発信していくため、現行の就職支援サイト「jobナビかがわ」と「インターンシップナビかがわ」を統合し、新たに就職支援システムとして「ワクサポかがわ」を来年二月に稼働したいと考えております。  その一方、オンライン形式での発信だけでなく、対面形式のイベントで直接、企業の魅力や情報を学生に伝えることも有効であると考え、来月には四国四県と四国経済連合会が連携し、関西圏の大学生などを対象にした四国の企業二十社による合同企業研究会を大阪において開催します。また、来年二月には香川高等専門学校やSetouchi─i─Base(セトウチ・アイ・ベース)と連携し、デジタル人材を求める県内企業と高専の学生や求職者などとのマッチングイベントを開催する予定であります。  今後とも、若者の県内就職の促進、県外からの就職の促進に向けまして、オンライン形式と対面形式を併用するなど、効果的な情報発信に取り組むとともに、専門の人材採用コーディネーターによるきめ細かなマッチング支援に努め、一人でも多くの若者を県内就職につないでまいりたいと考えております。  次に、大学・地域共創プラットフォーム香川の取組についての御質問がございました。  本年三月に設立しました大学・地域共創プラットフォーム香川では、進学・教育、就職、地域活性化の観点から取組を進めております。  まず、進学・教育の面でございますが、県内高校におきまして合同進学説明会を三回開催し、延べ九百八十三名の高校生が参加したほか、大学などの教職員による出前講座を十月末までに計五十八回実施をしております。  次に、就職の面では、業種別オンライン県内企業見学ツアーに延べ百八十七名が参加いたしました。また、就職活動の始め方や企業研究のポイントを説明するキャリア支援研修会を二回実施いたしました。  次に、地域活性化の面では、「若者の県内定着」をテーマに、学生などとともにいわゆるアイデアソンを実施し、若者の視点から観光情報の発信や県内中小企業を対象とした地域DXの推進などに取り組んでおります。  さらに、大学・地域共創プラットフォーム香川の機能が促進されるよう、構成員間の情報共有と意思疎通を図るためのシステム基盤の整備や、その取組を広く発信する専用ホームページの構築に取り組んでおります。今後、構成員であります大学、市町、経済団体などと緊密に連携を図り、新たな視点での効果的な実践に対する県独自の支援策を検討してまいります。  次に、かがわ医療情報ネットワークの利用拡大及び医療情報の活用についての御質問がございました。  切れ目なく質の高い医療を提供するためには、全県的な医療情報ネットワーク、K─MIX Rによる医療機関の情報連携を強化することが重要であると考えております。このため、このK─MIX Rにより多くの関係機関の参加を促し、幅広く医療情報の共有化を図ることが重要であります。このために、参加医療機関の拡大に向けまして、ネットワークへの参加に必要な設備整備への補助や、情報連携の活用事例を紹介するホームページの充実強化、未加入医療機関への説明会の開催などに積極的に取り組んでおります。また、新たに循環器病患者を対象とする機能の拡充も図っていくこととしております。  また、国においては、医療DX推進本部を設置し、医療・介護などの全般にわたる情報について共有・交換できる全国的なプラットフォームの創設や電子カルテ情報の標準化などの取組を進めているということを承知しております。本県におきましても、国の取組と並行して、介護認定やケアプラン作成にK─MIX Rの機能を利用する仕組みを先行して検討するなど、医療情報の活用について先進的な取組を進めているところであります。今後、国は医療DXに関する施策を推進するための工程表を来春に策定する見込みであることから、国での議論などを注視しながら、本県がさらに取り組むべきより効率的な医療情報の活用についての検討を進めてまいります。  次に、県民生活の利便性向上のためのデータの活用推進についての御質問がございました。  オープンデータの活用につきましては、平成三十年度から香川県オープンデータカタログサイトをインターネット上で運用し、現在、議員御指摘の新型コロナウイルス関連のデータなど約四千七百件のデータを県民の皆様が容易に検索することができるように努めております。今後、公開データの件数の拡大に加えまして、国が示す公開推奨データ、準拠すべきルールやフォーマットを踏まえてデータ登録を図ってまいります。  また、御指摘のありました国が策定した「包括的データ戦略」におきましては、広く多様なデータを活用して新たな価値を創出するためには、データ連携とそれを利活用したサービスを提供する基盤の構築が鍵とされております。全国で先行するスマートシティーの取組においては、行政の保有するデータだけでなく、民間のものを含め生活全般にまたがる複数の分野のデータを集積し、個々のサービスに応じて連携することができる地域のデータ連携基盤が構築され、先進的なサービスが実装されつつあります。  県内においても、今年度、高松市と三豊市が国のデジタル田園都市国家構想推進交付金を活用し、健康づくりやモビリティー、地域ポイントのデータの連携による新たなサービス展開を進めているところであります。今後、県といたしましても、県内全ての市町や民間事業者と連携し、地域課題を解決できる新たなデジタルサービスの創出と、それに必要となる様々なデータが連携する基盤の構築に向け、具体的な検討を進めたいと考えております。  なお、その他の御質問につきましては、農政水産部長よりお答え申し上げます。(降壇) ◯副議長(新田耕造君)新池農政水産部長。    (農政水産部長新池伸司君登壇) ◯農政水産部長(新池伸司君)白川議員の荒廃農地の発生防止についての御質問にお答えいたします。  荒廃農地が増加する中、本県農業を持続的に発展させるためには、荒廃農地の発生防止の観点からも、実需者ニーズに合った新たな作物への転作が有効であります。  まず、水田について、本県では、水稲と麦類や秋冬野菜などを組み合わせた多様な二毛作を推進しておりますが、近年の米価下落により、主食用米の作付が減少しております。このため、国の交付金等を活用し、畜産飼料の高騰で需要が高まっている飼料用米やパック御飯等の新たな需要が期待できる輸出用米など、非主食用米への転作を推進しております。これにより、令和四年産の非主食用米等の作付面積は前年から百七ヘクタール拡大したところであり、引き続き水田の有効活用を図り、本県の水田面積を維持してまいります。  また、中山間や島嶼部の樹園地では、生産者の高齢化等により荒廃農地の増加が懸念される果樹やお茶の産地において、地元の生産法人等を中心に、栽培管理の負担が比較的少ない本県特産のオリーブへの転作や、地域内の荒廃農地を借り受けての新植などの取組が進められております。  今後も、農業改良普及センターや県農地機構などが連携し、営農の継続が困難な状況となっている農家に対して、転作する作物の栽培指導や農地のあっせんなどを行うことにより、経営改善や荒廃農地の発生防止につながるよう支援してまいります。(降壇) ◯副議長(新田耕造君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)白川議員の高校生のキャリア教育についての御質問にお答えいたします。  議員御指摘のとおり、若者が県内で就職し定着することは大変重要であり、県立高校では毎年千人前後が県内企業に就職しており、地域を支える人材として大きな役割を担っております。とりわけ、卒業後、就職する生徒が多い専門高校においては、地元の産業や企業への理解やキャリア教育推進のために、地元企業と連携した様々な教育活動が必要であると考えております。  このため、香川経済同友会とは、本年三月にキャリア教育の充実等に向けた連携協定を締結しており、香川県中小企業家同友会からも探究的な学習活動などにおいて御支援をいただいているところであります。また、県教育委員会が実施するプロを講師とした授業においては、年間百人を超える各分野の優れた知識や技能を持つ講師が各高校で授業をすることで、生徒の仕事や職業に対する興味や関心が高まっております。インターンシップでは、コロナ禍においても年間百七十社を超える企業が生徒を受け入れていただいており、数日間ではありますが、企業の方と一緒に仕事をする中で、職業観を深める機会となっております。  さらに、各専門高校と地元企業との連携としては、高松商業高校では和菓子工房と讃岐和三盆を用いた商品開発を、坂出工業高校では建築事務所と都市計画を考えるグループワークを、農業経営高校では県内ワイナリーとイチゴワインの開発を、観音寺総合高校では複数企業と連携し、伊吹島活性化に向けた取組を実施するなど、積極的な連携が進められております。  県教育委員会といたしましては、今後、高校と企業の新たな組合せや専門高校とは異なる分野の企業との連携、スタートアップ企業との協働など、地元企業や経済団体等と連携した教育活動をさらに推進することで、高校生の地元企業への理解を深め、キャリア教育の一層の充実を図ってまいります。(降壇) ◯副議長(新田耕造君)一般質問を続行いたします。  森 裕行君。    (森 裕行君登壇、拍手) ◯森 裕行君 私は、かがわ立憲みらいの森 裕行でございます。  ただいまから知事及び警察本部長に質問をいたします。  質問の一点目は、瀬戸内国際芸術祭の今後についてです。  瀬戸内国際芸術祭は、近代化に伴って忘れ去られた瀬戸内の島々を復活させることを目的として二〇一〇年から始まり、現在は春・夏・秋会期として三年ごとに開催されています。第一回は、会期を七月十九日から十月三十一日と集中して百五日間として集中的に開催されました。その後は、現在のような三会期に分けての開催となっております。参加会場についても、二〇一〇年には直島、豊島、犬島、大島、女木島、男木島、小豆島、高松港・宇野港周辺で開催されていましたが、その後参加する島の数が増え、二〇一三年からは十二の島と高松港と宇野港の二つの港周辺が開催地として参加しています。二〇一五年には第一回ジャパン・ツーリズム・アワード大賞を受賞するなど、名実ともに知名度を上げている芸術祭と言えます。  参加者については、延べ人数ではありますが、一回目が約九十四万人、二回目が約百七万人、三回目が約百四万人、四回目が約百十八万人、今回についてはコロナ禍にあるということで、非常に気を遣った開催ではありましたが、七十二万人以上の方に参加していただきました。知事もおっしゃっていましたが、コロナ禍の中でお客様が減少する中にありながら、数々のアート作品と瀬戸内海の島々や自然を体感していただき、一定の成果を収めることができたのだろうと思います。  参加者の特徴としては、各会期において多少のずれはそれぞれあると思いますが、女性が七割弱で、三十代以下が約五割を占めていて、居住地については香川・岡山在住者が約四割でなかったかと思います。  瀬戸内国際芸術祭は、「海の復権」をテーマに掲げ、過疎、高齢化が進みながらも美しい景観や固有に文化が残る瀬戸内の活力を取り戻すことを目指しており、該当する離島の活性化が重要な課題としてあるわけですが、イベント実施時だけでなく、常時活性化のための活動を本格化していかなければならないと思います。  また、瀬戸内国際芸術祭は実行委員会形式で運営され、最終決定が県によって行う形ではありません。総合ディレクターの北川フラム氏や地元市町、関係団体などの意見を踏まえながら企画立案を行い、瀬戸内国際芸術祭実行委員会として決定する形となっています。アーティストの選考は、北川氏を中心として、質を保持するため、エッジの利いたオリジナルな芸術作品の展示を最優先事項として行っており、結果的に地元アーティストの作品はあまり選ばれていません。  芸術祭への地域住民の参画については、開催当初から、運営・企画の計画の段階からの関わりは薄く、主にボランティアでの芸術作品を作る材料集めや設営、島の清掃などと、訪問者としての参加です。瀬戸芸の作品はレベルが高く、幅広いものではありますが、今回は地域で活動するアーティストの姿がよく見えませんでした。アーティスト同士で作品制作等の共同作業が行われた例もあるようですが、島民の皆さんと連携した取組などがあまり見ることができていないように感じました。  瀬戸内国際芸術祭は、アーティストボランティアも様々な地域から訪れた人々であり、地元の人々で構成された持続性のある社会的な関係性が十分ではないケースもあるように感じます。そのため、閉幕後に閉鎖されるカフェがあるなど、通常の島の形に戻ることは非常に残念です。  知事は、今回の芸術祭は「瀬戸内の里海・里山の隠れた資源の発掘と発信」という観点から、地元市町とも連携して新たなエリアで作品を展開するなど、より一層地域に根差したプロジェクトが展開できたとおっしゃって、今後はこの芸術祭の開催で得られた貴重な経験とつながりを生かして、引き続き瀬戸内の島々の活性化と地域全体の発展につなげたいとおっしゃっていました。  現に、瀬戸内国際芸術祭は、現代アートを通じて島固有の資源やその価値を表現しています。現代アートを通じて、人々に島々の自然や景観のよさに気づいてもらう仕掛けをしているのです。例えば、草間彌生さんのカボチャのオブジェを通じて、瀬戸内海の景色のすばらしさに気づいてもらっています。その一方で、瀬戸内国際芸術祭は、コミュニティーや地域の活性化に貢献できたのだろうか。地域の歴史や文化、生活、産業などとの関連性、地域住民との関係性の構築、瀬戸内国際芸術祭を通じた交流の促進による地域づくりについてはどのようになっているのかを十分再考察していく中で、今後の在り方についても考えていかなければならないと思いますが、知事はどのように考えているのか、お聞きいたします。  質問の二点目は、物価高騰下における農業大学校及び農業試験場の事業執行についてです。  ロシアのウクライナ侵攻による影響で、エネルギー価格の高騰とそれに関連しての資材・食料などの高騰により、直近の全国消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除くと前年同月比で三・六%上昇し、県民生活に大きな影響を及ぼしています。日銀の黒田総裁は、来年度以降は一%台半ばの伸びになると言っていますが、楽観的な見方ではないでしょうか。  この夏までは、将来的に物価が上昇するとしても、企業は簡単には価格を引き上げることはなく、物価上昇もいずれは鎮静化していくのではないかという予想により、物価高騰も鎮静化が図れるのではといった考えもあったかと思いますが、ここに来て輸入穀物の価格高騰の波により、国内の輸入に頼る食品に価格上昇の波が押し寄せてきています。また、化石燃料を中心に電力事業を行ってきた各電力会社が、ここのところ大幅な料金の値上げを打ち出してきました。このように、価格高騰の波は社会生活全てに押し寄せてきています。  県では、これまでも新型コロナウイルス感染症対策、コロナ禍における原油価格・物価高騰対策として、県民生活の支援及び事業者支援に取り組んできていますが、今回お聞きしたいのは農業大学校と農業試験場における事業執行の状況です。  香川県は、県内農業の担い手育成や、消費者ニーズに対応した特色ある農産物を効率的に生産するための試験研究のために農業大学校と農業試験場を設置しておりますが、当然、価格高騰の波はこの二機関の運営にも影響を及ぼしているものと思います。  農業大学校は、県内の農業を担う人材育成を行っており、高校を卒業して農業を志す人を対象にした担い手養成科と、新規就農を希望する人や既に就農している農業者を対象に、より実践的な技術や知識を学んでもらう技術研修科があり、農業の技術や経営を学ぶことができる教育研修機関です。ここでは農業技術の習得や向上のために多くの実習を行っておりますが、そのために必要になってくる資材などの価格も高騰しており、必要な授業を必要な規模で実施できているのか心配されます。  農業試験場はどうでしょうか。農業試験場では、高温登熟性に優れる良食味米「おいでまい」、讃岐うどん用小麦「さぬきの夢二〇〇九」、イチゴ「さぬき姫」、アスパラガス「さぬきのめざめ」、カーネーション「ミニティアラ」シリーズ、ラナンキュラス「てまり」シリーズ、キウイフルーツ「さぬきゴールド」や「さぬきキウイっこ」、オリーブ「香オリ三号」と「香オリ五号」など、特色ある県オリジナル品種を育成しており、品種登録・出願公表されている品種は四十件となっています。これらは、農業者の高い技術力と丁寧な栽培管理の下、市場や消費者から高い評価を受けています。また、レタスなどの半自動野菜移植機、かがわ型アスパラガス栽培システム、温州ミカンのマルドリ方式栽培体系、青切りタマネギの省力収穫・調整作業機械化一貫体制などの生産技術を開発・実証し、特許登録・出願公開されている特許は七件となっています。  このように多くの成果を出している農業試験場ですが、肥料一つで研究結果が大きく変わることを考えると、肥料価格の高騰などによって、当初の予定どおり試験研究ができているとは思えません。農業大学校及び農業試験場では、物価高騰の影響により当初予定した事業が執行できず、事業の執行に影響を及ぼしていることが危惧されます。  つきましては、農業大学校及び農業試験場における物価高騰の事業執行への影響と対応状況、さらには今後どのように対応していくおつもりなのか、知事にお伺いいたします。  質問の三点目は、小規模農業についてです。  日本の農業就業人口は、二〇〇〇年の三百八十九万一千人から二〇一八年には百七十五万三千人までに減ってきています。二〇一八年のデータですから、現時点ではこれ以上に減っていることだろうと思います。米や野菜、果実などの産出額や農作物の作付面積、生産量も減少し、その一方で耕作放棄地は増え続けています。  このような状況から、国は農業を効率化し、生産性を高めることを目的に、農業の大規模化や企業参入を進めてきています。農地を借りたい認定農業者などの担い手や企業などに貸し付ける農地中間管理機構の認知度が高まったこともあり、担い手への農地集積や農地中間管理事業による貸付実績、企業参入の実績は増えつつありますが、爆発的に増えているわけではありません。  先日、農林水産省は、大規模な担い手の育成だけでなく、小規模農業も含む多様な農業を後押ししていく必要性について発言しています。国内における農業は、北海道を別にすれば、農地面積や農業生産額の四割は中山間地が占めています。大規模化を図ることで農業生産の効率化や生産性を高められると期待されていますが、中山間地ではその効率化が難しいと言われています。農地集積を進めるにしても、全国一律ではない地域事情を踏まえていかなければ、実態を伴っていないと言わざるを得ません。  これまでの農業には、農業では稼げない、農業で稼ぐためには規模を拡大していく必要があると考えられていましたが、最近では小規模であっても稼ぐことは可能だと考えられています。第一に労働生産性を考える、第二に生産コストを考える、第三にやみくもに農産物を生産しないといった取組によって、小規模農業であっても稼ぐことは可能と言われています。  小規模農業ならではの優位性といえば、環境的効率性が挙げられます。生産段階における小規模農業の環境的効率性、すなわち農業投入材の原料輸入、製造、輸送、稼働、破棄を含めて農業生産に必要な総エネルギー量と、それに対する生産された農作物のエネルギー量の比率は高く評価されています。また、小規模農業は近隣の消費者などへの販売を重視して、大規模経営に比べて地元市場へ販売する傾向が強いため、流通・消費段階においても輸送・保冷・破棄に必要なエネルギーを考慮して、自給、地産地消及び国内市場中心のシステムに移行し、エネルギー効率性を高めるとともに、温室効果ガスの排出削減など、気候変動対策をすることにも貢献しているのではないでしょうか。農業経営の効率性・生産性をはかる経営指標で評価した場合、従来は農業政策の支援対象から外されてきた小規模農業にも優位性があることが確認されつつあります。  国内においても、第五期食料・農業・農村基本計画の見直しの議論が始まった二〇一九年頃からようやく改革偏重の農業政策への批判が始まり、これまでの規模拡大偏重政策の検証を求める機運が高まってきて、与党内からも中小規模の家族農業を重視すべきとの声も上がっています。  本県においても、県土の状態、農業者の所有農地面積などから大規模化することには無理があり、耕作放棄地対策についても兼業農家の割合なども考慮する必要があると思いますが、知事は本県の状況を踏まえた小規模農業政策についてどのように思っているのか、お伺いいたします。  質問の四点目は、自転車の交通安全対策についてです。  警察庁の統計によりますと、自転車関連事故の件数は減少傾向にありますが、令和三年中の自転車が第一当事者または第二当事者となった自転車関連事故は六万九千六百九十四件で、前年より二千二十一件増加しています。また、交通事故に占める自転車関連事故の割合は、令和三年は前年より増加しています。令和三年中における自転車乗用中の交通事故による死者の七六%、負傷者の六三・二%は、自転車側にも何らかの法令違反が見られます。  また、自転車関連事故の七九・一%が自動車との事故で、そのうち五三%が出会い頭衝突による交通事故です。これは、全ての交通事故における出会い頭衝突によるものの割合が二五・九%であることと比較すると非常に多くなっています。自転車と歩行者の交通事故は、平成二十九年以降増加傾向となっていて、令和二年は減少していましたが、令和三年には再び増加しています。  自転車単独事故は、平成二十九年から増加が続いています。自転車事故を防ぐ方法として、自転車交通安全意識を高め、危険な行為である違法行為を行わないようにさせることが重要とされています。  自転車交通安全意識の啓発に当たっては、単に周知啓発するよりも、実技形式の交通安全教育が記憶に残りやすく効果的であることはよく言われています。自動二輪試験、自動車試験を受けて免許を持っている人は、当然、道路交通法などの法規に関する知識があり、また、交通事故というものが被害者・加害者の人生に多大な影響を及ぼすことを承知しているわけですから、交通安全テストの結果が高いという結果があります。このように実技形式の交通安全教育は有効とされていますが、残念ながら違法行為そのものがなくなることはありません。  自転車の交通ルールもたくさんありますが、自転車に乗っている人が、そのことについて認識して乗っていると思えないのが現状です。自転車は左側を走行する、信号を守る、止まれの表示や交差点の手前で一時停止をするといった最低限のルールでさえ守られずに走行する自転車をよく見ます。  また、自転車による交通事故をなくす環境の整備も重要です。現在の日本では、自転車通行空間がきちんと整備されていないといった問題もあります。自転車は車両であるという大原則に基づき、自動車の速度や交通量に応じて自転車道、自転車専用通行帯、車道混在といった車道通行基本として道路を整備する必要もあります。  交通安全意識の醸成と自転車利用環境の整備を行った上で、自転車の交通安全対策としての指導取締りが考えられますが、指導取締りについては、指導警告を原則とし、悪質・危険な違反について検挙するという方針で対応すべきです。しかし、自転車事故の発生、交通実態などを分析するとともに、個々の指導警告時の指導内容の充実による交通ルール遵守の徹底など、指導取締りの手法を工夫していくことも必要になります。全国でも自転車を起因とする事故が多いことから、最近、都市部では厳しい取締りもされているようです。  香川県の自転車が関連する交通事故の状況や交通安全意識の醸成、走行環境の整備などはどのようになっているのでしょうか。また、都市部で行われているような厳しい取締りをしなければ改善されないのでしょうか、県警本部長にお聞きしまして、私の一般質問を終了します。(拍手、降壇) ◯副議長(新田耕造君)理事者の答弁を求めます。  池田知事。    (知事池田豊人君登壇) ◯知事(池田豊人君)森議員の御質問にお答えいたします。  まず、瀬戸内国際芸術祭の今後についての御質問がございました。  瀬戸内国際芸術祭においては、地域の文化、生活、産業などとの関連性や地域住民との交流は重要な観点であると認識しております。  このため、今回の取組方針の策定に当たりましては、地元市町や関係団体と緊密に連携しながら、また、瀬戸内国際芸術祭二〇一九における住民アンケートや閉幕後の住民の皆様との意見交換会での御意見なども踏まえまして、重点的な取組の視点や会場ごとの事業展開、来場者の受入れ環境の整備及び広報などについて方針を決めてまいりました。例えば、会場ごとの事業展開に当たりましては、瀬戸内の里海・里山の資源の発掘と発信という観点から、地元に精通した地域の方々や市町の職員などと勉強会や協議を重ね、作品のテーマや設置場所の選定などを行いました。こうした取組の結果、寒霞渓や屋形崎、与島、多度津町の本通など、これまでの芸術祭で取り上げていなかったエリアでもアート作品やイベントを展開し、瀬戸内の魅力ある自然や歴史、文化、生活、産業などと併せて多くの来場者に楽しんでいただけたものと考えております。  また、地域住民との交流につきましては、コロナ禍で島外から訪れるアーティストボランティアとの交流や協働が難しい面もありましたが、地域の方々には、島の状況に応じて作品の制作や受付、地域の特色ある食の提供、港での温かいお見送りなどにより芸術祭を一緒に盛り上げていただき、地域の活性化につながったものと考えております。  今後は、継続作品を生かした活動の通年化に取り組みながら、これまで以上に地元市町の地域振興方策に寄り添い、文化芸術分野の人材育成などに取り組むことで、より地域に根差した芸術祭とすることが重要な課題であると認識しております。県議会をはじめ地元市町や関係団体、地域の方々などからの御意見も踏まえながら、実行委員会で議論を深めてまいりたいと考えております。  次に、物価高騰下における農業大学校及び農業試験場の事業執行についての御質問がございました。  まず、農業大学校では、燃油などの経費節減のため温室の温度管理を徹底するほか、肥料や農薬などの生産資材について農場間での過不足調整を綿密に行うなど、より効率的な在庫管理に努めており、今のところ直接的な影響は確認されておりませんが、来年度以降の運営に支障が出ないように、今後、対応してまいりたいと思います。  次に、農業試験場では、肥料や農薬について、毎年度当初に一括で単価契約を締結しているほか、その都度必要となる生産資材については購入時期の調整を行うなど、価格高騰の影響を抑えられるように工夫しながら進めております。また、価格上昇の著しい電気代につきましても、常時使用する冷蔵庫や冷凍庫などは薬品などの集中保管を徹底し、必要最低限の稼働台数とするなど節電に努めておりまして、この試験場におきましても現時点では試験研究への影響は確認されておりませんが、今後、状況を注視しながら予算確保などの必要な対策を行ってまいりたいと考えております。  次に、小規模農業についての御質問がございました。  農業者の減少や高齢化が進む中、地域の農地を維持し、農業を持続可能なものとするためには、小規模農業を含めた多様な担い手により、地域農業を支える取組を促進することが重要であると考えております。このため、小規模農業を支える取組といたしましては、小規模農家の組織化による営農の効率化及びサポート体制の整備、この両面で進めております。  まず、小規模農家の組織化につきましては、集落営農の組織化を推進し、農作業や農業機械の共同化など、地域の実情に合った営農活動を展開しており、昨年度末で二百七十三組織が設立されております。  次に、サポート体制の整備につきましては、地域の住民が農地などの保全活動や水路などの補修などを支援する仕組みとしまして、現在、三百二十八組織で取組が行われております。この仕組みにおきましては、国・県・市町の助成による多面的機能支払制度を積極的に活用しているところでございます。加えて、昨年度から農業生産活動や農地の維持管理作業などを共同で請け負う農業支援グループの設立を促進しておりまして、現在、県内で八グループが水稲の収穫作業や農地の草刈り作業など、地域のニーズに応じた農作業を請け負うことで、小規模農家の営農継続を支援をしております。  また、耕作放棄地対策の観点からは、小規模農家が経営を維持できるように経営規模や労働力に見合った営農計画を立て、実践していくことが重要であります。このために、農業改良普及センターにおきまして新たに作成した小規模農業者向けの経営モデルを活用するなど、農家の形態に合わせた経営面や技術面での指導などをきめ細かに行い、地域農業を支える小規模農家の営農継続が図られるように支援をしてまいります。(降壇) ◯副議長(新田耕造君)今井警察本部長。    (警察本部長今井宗雄君登壇) ◯警察本部長(今井宗雄君)森議員の自転車の交通安全対策についての御質問にお答えいたします。  近年の県内の自転車が関連する交通事故については、事故件数は減少傾向にあるものの、人口十万人当たりの自転車事故死者数は、昨年、一昨年と二年連続で全国ワースト一位と厳しい情勢にあります。こうした情勢等を踏まえ、県警察では、交通安全意識を効果的に高めるため、自転車シミュレーターの活用及びスケアードストレイト方式を用いた参加・体験・実践型の交通安全教育の推進や、学生が制作した自転車の安全利用等に関するSNS動画の発信等を通じた交通安全意識の醸成を図るとともに、自転車指導啓発重点地区・路線においては、自転車安全利用五則を周知するキャンペーン活動や交通指導取締り等の対策を強化してまいりました。  さらに、自転車の通行環境を確保するため、関連する交通規制の見直しに加え、車道混在の安全対策として、道路管理者に対し、自転車が通行すべき場所を示す矢羽根型路面標示等のさらなる整備を働きかけているところです。  加えて、議員御指摘の厳しい取締りについては、都市部と同様、悪質・危険な交通違反に対する検挙活動を強化しているほか、複数回検挙等された自転車利用者に対しては、自転車運転者講習制度を的確に運用し、交通ルール遵守の徹底を図っております。その結果、自転車の検挙件数は、本年十一月末現在で昨年同期の約五倍となる百九十件を検挙し、今月十日からの年末年始の交通安全県民運動においても集中取締期間を設けるなど、取締りの強化を継続してまいります。
     このような取組により、県内の自転車が関連する交通事故は、本年十一月末現在で、発生件数、死者数、負傷者数のいずれも減少しておりますが、県警察では、今後も自転車に対する取締りの強化、関係機関と連携した広報啓発活動等の推進、自転車の通行環境整備といった総合対策の推進により、良好な自転車交通秩序の実現に努めてまいります。(降壇) ◯副議長(新田耕造君)一般質問を続行いたします。  城本 宏君。    (城本 宏君登壇、拍手) ◯城本 宏君 自由民主党香川県政会の城本です。  議長のお許しを得ましたので、通告に従い質問をさせていただきます。  質問の第一点目は、観光立県を目指すための道路整備についてであります。  私の地元である観音寺市にある高屋神社には、通称「天空の鳥居」と呼ばれる絶景スポットがあります。標高四百四メートルの山頂からは、鳥居越しに観音寺市が一望でき、眼下には広大な燧灘の瀬戸内海と有明浜が広がっており、天気がよければ石鎚山までを望むことができる絶好のビュースポットで、人気を集めております。また、燧灘に面する有明浜の散歩道とも言える海岸は、琴弾公園を東、燧灘を西に、北に九十九山を見る最高のロケーションなのですが、アサギマダラの生息地でもあり、大変美しく、インスタ映えする絶景スポットであります。特に、夕日が燧灘に沈む時間帯などは、自信を持ってお勧めできる、誰もが息をのむ美しさであります。天空の鳥居や父母ヶ浜のように、広報次第で若者を中心にかなりの観光集客が期待できると考えております。  さて、池田知事は、「人生100年時代のフロンティア県」を目指す三つの柱の一つとして、多くの人が行き交い、訪れたくなる香川を目指す「にぎわい100計画」を掲げられ、その中でコロナ禍前の年間一千万人の観光客数を二割アップし、年間一千二百万人、月間百万人を目標に政策を進めているところと伺っております。  私は、本県の観光を広く支えているのはインフラ整備であると思います。道路や空港、港湾だけでなく、知事が目指すサンポート高松地区のプロムナード化もそうですが、都市公園やダムツーリズムなども少なからず観光に貢献しているのだと思います。とりわけ道路は、地域や拠点を相互につなぎ、県民の日常生活や経済活動を支えるとともに、自動車を利用した県内周遊など、人や物の広域的な移動を支える重要な社会資本であります。県内には先ほど申し上げた高屋神社など魅力的な観光地が多数ありますが、多くの人が訪れる観光立県を目指すには、道路が持つ地域や拠点をつなぐネットワークとしての機能を十分に発揮させることが重要であると考えております。  本県では、高松自動車道の四車線化が完成し、坂出北インターチェンジのフルインター化や観音寺スマートインターチェンジの整備が進められるなど、ネットワークの根幹をなす道路ができつつあり、国道十一号やさぬき浜街道などの県内の幹線道路についても着実に整備を進めていくことが求められています。  しかしながら、先ほどの高屋神社のすぐ近くを通る県道丸亀詫間豊浜線については、私もよく通る道ではありますが、西讃地域の幹線道路であるさぬき浜街道の一部であるにもかかわらず、歩道が整備されていないような区間があり、今後、観光客が増え、通行量の増加が見込まれる中で、幹線道路として円滑で快適な交通の確保が求められるとともに、沿線には小学校もあることから、子供たちを交通事故から守ることも重要です。今後、これを放置していけば、地域住民の生活が脅かされるだけでなく、少し大げさかもしれませんが、自動車で訪れた観光客によくない印象を持たれる可能性があります。そうした場合、リピーターとしてつかめたはずの観光客を失うかもしれないなど、経済的損失も発生し得ることになってまいります。  そこで、県内の魅力ある観光資源を生かし、多くの人が訪れる観光立県を目指すためにも、幹線道路の整備に当たって今後どのように取り組んでいくのか、知事のお考えをお伺いします。  質問の第二点目は、鳥インフルエンザ対策についてであります。  今シーズン、鳥インフルエンザの農場での感染は、異例のペースで相次いで発生しました。十月二十八日に岡山県で初めて確認されて以降、一週間ほどで全国で五例が確認されるなど、日本全国で急速に拡大し、養鶏農家・業界はもとより、近隣住民にも、今も負担、不安を与え続けています。  本県におきましても、十一月一日、観音寺市の養鶏場での発生が確認され、約四万一千羽の殺処分が行われ、十一月二十二日、また、翌二十三日にも同じく観音寺市の養鶏場でそれぞれ発生し、約三万三千羽と約三万五千羽の殺処分が行われました。そして、昨日も今期四例目の発生が三豊市で確認され、今日も県職員をはじめ、協定を締結している民間事業者のお力もお借りしながら防疫措置が行われています。いずれも、疑う事例が発生した時点から直ちに初動防疫措置を行い、昼夜を問わず蔓延防止措置を講じていただいております。防疫措置に携わっていただいた関係者の皆様に、この場をお借りして、心から感謝と敬意を表させていただきます。  さて、鳥インフルエンザは昨シーズン、世界的に流行が見られたのに加え、世界規模で野鳥の感染が確認されており、今シーズンも早くから感染した渡り鳥の飛来するリスクは高いと指摘されておりました。実際、野鳥では、国内でこれまでで最も早い九月二十五日に神奈川県で野鳥のハヤブサから鳥インフルエンザが検出されております。また、野鳥が日本に渡るルートの一つとされる韓国では、日本の農場で確認される前の十月十七日から二十六日にかけて、三か所の農場で鶏インフルエンザが発生しており、今シーズンの全国的な拡大への予兆だったとも考えられるという声もあります。  本県では、二年前に三豊市を中心に合わせて十三件の鳥インフルエンザが発生し、約百八十万羽を殺処分したところであります。発生が集中したエリアでは、養鶏農家が鶏肉や卵が出荷できない状態が長く続くとともに、県内の販売業者にとっても、供給が少な過ぎて非常に苦労したと聞いております。それを受けての今シーズンであり、また、既に県内で四例発生しており、今後、鳥インフルエンザの発生予防対策のより一層の徹底がなされない限り、シーズン期間中、関係者は不安な日々を過ごすことになります。  そのような事態を避けるためにも、国の役割なのかもしれませんが、これまで蓄積した知見を生かし、発生原因と思われる事項を示し、農場での対策を講じていく必要があると思います。例えば、発生の原因とされる渡り鳥ですが、ため池を餌場としているため、ため池やその周辺への対応も、対策として考えられるのではないでしょうか。当然、淡水という特別な事情もあろうかと思いますし、ため池という特性から、統一したルールでの管理は難しいのかもしれません。しかしながら、私が申し上げたいのは、今シーズンも再び鳥インフルエンザの被害を受けているわけですから、県民の生活を守るためにも、発生予防対策の徹底に向けて、県も積極的に取り組んでいくべきなのではないかということであります。  当然ながら、各養鶏農家においても、野鳥などを介した農場内へのウイルス侵入防止対策を徹底し、少しでも侵入リスクを低減していくという地道な取組も重要であると思いますので、県が引き続き旗振り役を担っていただき、飼養衛生管理の徹底を一層強化するようお願いしたいと思います。特に、今シーズンのように鳥インフルエンザが連続して発生している場合は、例年以上に指導を強化する必要があると思います。  そこで、知事に質問させていただきます。  今回発生した事例も踏まえ、今後、鳥インフルエンザを発生させないためにどのような対策を講じていく予定なのか、お伺いします。  ただ、各種対策を講じていても、残念ながら防ぎ切れていないのが現状でありますし、現時点において完全な収束は見込めておりません。そのため、発生後の支援も重要であります。私も、観音寺市で発生した事例を受けて、地元の声を聞いて回ったのですが、特に、殺処分後の埋設場所に関する不安の声が多くありました。  鳥インフルエンザ陽性であることが確認されますと、発生農場の家禽は全て殺処分され、死体は焼却・埋却または消毒されることになります。これに備えた措置として、「家きんの死体の埋却の用に供する土地を確保すること」と飼養衛生管理基準に定められております。これは、二年前の鳥インフルエンザの大流行を踏まえ、基準が改定されることに伴い新たに設けられたものと承知しております。二年前において、実際に本県でも、埋却地が決まらずに防疫措置が長引いたという事例があったと聞いております。発生後に蔓延を防止するためには、いかに迅速に防疫措置を完了させるかという点にかかっておりますので、埋却地について、あらかじめ備えておこうとするこの改定は理解できるところであります。  しかしながら、基準が示される前に養鶏業を始めたために埋却地の確保が現実的に難しいという業者も少なくないと聞きます。また、鳥インフルエンザの問題が、今後、どれだけ長期化するか分からない中、既存の養鶏業者も含め、一度目は埋却場所の確保に対応できたとしても、二度目以降は対応がすぐさま困難になることが予想されます。そのため、発生後の支援として、埋却地の確保について、国や県の支援が必要と考えます。  また、鳥インフルエンザ発生後に順調に鶏の飼育を再開できたとしても、約半年は出荷ができませんし、三キロ以内の移動制限区域にある養鶏場からの出荷についても制限を受けるため、発生農場や移動制限区域内の農場では経営に大きな影響を受けます。  これまで鋭意取り組んでいただいた結果として、国や行政の様々な補償や補助、低金利の貸付制度もあるのですが、私が地元を中心に聞き取っている限りでは、関係者において十分な理解ができていないのが現状であります。貸付制度といえども、設備投資をして間もない業者からすると、借金の上にさらに借金を重ねることになり、廃業も視野に入れないといけないと不安の声が多く聞こえております。今後、養鶏農家の新たな担い手を確保することも難しくなるのではないかと懸念しているところであります。  そこで、発生後の支援も重要と思いますが、各支援制度の周知方法の検討を含め、今後どのように取り組んでいく予定か、併せて知事にお伺いいたします。  質問の第三点目は、柞田川の河川整備についてであります。  大陸と大洋に挟まれた我が国では、季節の変わり目に梅雨前線や秋雨前線が停滞して、しばしば大雨を降らせます。台風や前線を伴った低気圧が日本付近を通過するときも、広い範囲に大雨を降らせることがあります。また、前線や低気圧などの影響や雨を降らせやすい地形の効果によって、積乱雲が同じ場所で次々と発生・発達を繰り返すことにより起きる、いわゆる線状降水帯による集中豪雨では、激しい雨が数時間にわたって降り続き、狭い地域に数百ミリの総雨量となりますが、気象庁によると、この集中豪雨の頻度はこの四十五年間で二倍余りに増えているそうで、特に、梅雨に当たる六月や七月では四倍に迫っているとのことであります。記憶に新しいところでは、平成三十年七月に発生した、いわゆる西日本豪雨がありましたが、この記録的な大雨は河川の氾濫を引き起こし、多くの家屋が浸水の被害を受けることとなってしまいました。  これまで河川改修やダム整備などの治水対策によって地域の安全度は向上し、被害の軽減が図られてきましたが、近年の気候変動の影響による豪雨の頻発化・激甚化を見ると、治水対策を上回る速度で気候変動の影響が顕在化しております。災害対策は過去に発生した災害の経験を踏まえて講じられてきておりましたが、気候変動によってこれまで経験したことのない事象が発生し、また、社会や科学技術も時代とともに大きく変化することを考えると、これからは時代とともに様々な変容を遂げることを前提に、水害対策は気候変動などの将来のリスク予測に基づくものへと転換させていく必要があると考えられております。  そのような中ではありますが、私の地元である観音寺市内を流れる柞田川でも、現在、河川工事が行われているところであります。ただ、この柞田川の川下付近は約四十メートルにわたり堤防がかなり低く、台風など水位が高くなるたびに、あと数センチで水位が堤防を越えてしまいかねない危険な状態となっております。地元自治会の会長のところにも、整備を急ぐ意見や手紙により不安の声の訴えが届けられているそうで、台風などが近づくたびに周辺住民が眠れない夜を過ごしている状況であります。  ましてや、先ほどから述べましたとおり、近年、豪雨により氾濫危険水位を超過した河川数及び河川整備の目標とする計画規模を超過した河川数は増加傾向にあり、これまで被害がなかったからといって、今後も被害がないとは言えません。過去の降雨などの実績に基づくものから、気候変動を踏まえた将来予測に基づく降雨などで見直していく必要があります。  対岸の火事にはなりますが、令和元年に発生した東日本台風で甚大な被害が生じた河川においても、仮にそのとき実施中だった河川整備計画に位置づけた対策が全て完了していたとすれば、多くの河川で社会経済被害を大幅に軽減できたものと考えられているそうです。  そこで、柞田川の河川整備についても、人命に関わることであり、こうした教訓を踏まえ、早急に対策を実施すべきと考えますが、現在の状況と今後の見通しについてお伺いいたします。  質問の第四点目は、県立高校における空調設備の費用負担についてであります。  先日、文部科学省が、公立学校施設における空調設備の設置状況について、令和四年九月時点の全国状況を取りまとめ、公表しております。それによりますと、本県は小・中学校で普通教室の設置率が一〇〇%、特別教室の設置率が九三・九%、また、高等学校においては普通教室の設置率が九八・六%、特別教室の設置率が六九・二%となっており、いずれにおきましても本県が全国平均を上回る数値となっております。  このうち県立高校では、保健室やパソコン教室等、一部の特別教室については県費で設置しているところですが、普通教室やそのほかの特別教室については、保護者から経費を負担するので空調設備を設置したいとの要望を受け、保護者負担での設置が進められてきたところであると承知しております。  常態化した猛暑に対する熱中症対策のためには空調設備が必要不可欠になっているのが現状です。消防庁の統計でも、今年六月から八月の三か月間で全国の熱中症で救急搬送された人は約六万人もおり、熱中症で死亡に至るケースも多く生じておりますが、今後、気候変動の影響などによる気温の上昇により、熱中症患者はさらに増加することが予測されております。  市町立の小・中学校の空調設備は公費での設置・運用となっておりますが、先ほど述べましたとおり、県立高校の普通教室などの空調設備は保護者負担での設置を進めてきた経緯もあり、その整備や、その運用に要する経費もPTAを含めた保護者負担となってしまっております。  そのような中、ウクライナ情勢の悪化などによる石炭や液化天然ガスの輸入価格高騰の影響で電気代も急激な値上げを余儀なくされており、当然ながら学校における空調設備の運用経費にも影響が生じております。私ごとになりますが、地元である観音寺市内の高校のPTAに今も参加させていただいております。そこで驚いたエピソードになるのですが、これまで空調経費として一月当たり八百円徴収されていたものが、十二月から三月までの四か月間は、一月当たり千八百円になる旨の連絡がありました。電気代の価格高騰自体はやむを得ないものと理解しておりますが、さすがに以前の二倍以上の価格となってしまっている事態を受けて、私の周囲からも困惑の声が聞こえてきております。  また、新型コロナウイルス感染症の収束が見込めない中であるため、来年の夏も感染対策として、換気しながらの空調使用も見込まれます。その場合、どうしても使用量が増えることになると思いますので、来年度以降も空調経費の徴収額が増額されてしまうことも予想されます。  そもそも、空調設備の経費をPTAや保護者が負担すること自体を疑問に思い、私も調べてみたのですが、現在では、中四国九県のうち六県の県立高校では、公費による整備や運営を行っているとのことであります。  私は、昨今の気候変動などの影響により熱中症の危険性が高まる中、空調設備はもはやぜいたく品ではなく、生徒の命を守る大切な設備となっていることを鑑みても、県立高校の空調設備に対する負担の在り方について、いま一度見直してみるべき時期に差しかかっているのではないかと思うのですが、教育長の御所見をお伺いいたします。  また、財政事情等の何らかの事情により、すぐには公費負担が難しいということであったとしても、今回のような突発的な事情がある場合においては、その影響分だけでも何らかの支援を検討してもいいように思いますが、併せて教育長の御所見をお伺いして、私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手、降壇) ◯副議長(新田耕造君)理事者の答弁を求めます。  池田知事。    (知事池田豊人君登壇) ◯知事(池田豊人君)城本議員の御質問にお答えいたします。  まず、観光立県を目指すための道路の整備についての御質問がございました。  令和三年の香川県観光客動態調査によりますと、本県に訪れました県外観光客のうち約八割の方々が自動車を利用しております。議員御指摘のとおり、観光立県を目指すには、県内各地を安全で快適に移動できる幹線道路の整備が重要であると考えております。  このことから、県では、観光に訪れた方々の利便性や快適性の向上に加え、交通安全の確保を図るため、幹線道路の整備等に取り組んでおります。具体的には、空港や鉄道駅、インターチェンジなどの交通拠点や臨海部の主要地点を相互に連絡する空港連絡道路やさぬき浜街道の整備を積極的に行っております。また、その他の県道等についても、交差点改良などの渋滞対策や歩道の設置などの交通安全対策に取り組んでおります。  御指摘ありました高屋神社付近のさぬき浜街道の歩道の設置などにつきましては、順次整備を行っており、本年二月に完了しました室本工区に引き続き、今後も歩道の設置などの交通安全対策を進めたいと考えております。  現在、県では、今後十五年間を計画期間とします道路整備計画の策定を進めております。この計画の策定に当たりまして、渋滞や交通安全などの課題への対応はもちろんのこと、観光振興など地域経済の活性化にもつながる幹線道路ネットワークの検討を行っているところでございます。今後は、緊急性や重要性を考慮した整備スケジュールなどの検討を行い、今年度中に整備計画を策定する予定としております。  次に、鳥インフルエンザ対策につきましての御質問がございました。  本県では、昨日も三豊市で鳥インフルエンザが確認され、先月一日以降、既に四例が発生したことは厳しい事態だと重く受け止めており、現在、全力を挙げて防疫措置に当たっているところでございます。  鳥インフルエンザの発生防止につきましては、人や車両、野生動物を介してのウイルスの養鶏場内への侵入を防止することが最も重要であることから、これらの対策を定めた飼養衛生管理基準の遵守を徹底するよう、県内の全養鶏場や関係機関等に対し、これまで繰り返し指導を行っております。また、今季の事例発生を受けまして、改めて県内の全養鶏場に対しまして、同基準の中でもウイルスの侵入防止に関する重要七項目の遵守徹底を指導したところであります。  加えて、感染拡大を防ぐため、観音寺市で発生した一例目の直後に県内の全養鶏場へ消毒用の消石灰を配布いたしまして、場内の消毒の徹底を働きかけたほか、今月五日から追加の消石灰の配布を順次行っておりまして、継続的に場内の消毒が行われるよう努めております。  さらに、観音寺市で発生した養鶏場がため池の近くにあったことから、発生養鶏場から半径三キロメートル以内で、養鶏場に近接するため池十三か所の消毒をこれまで四回にわたって実施をしたところであり、今後とも必要に応じて継続をしてまいります。  次に、鳥インフルエンザ発生後の支援のうち、埋却地の確保につきましては、農地転用許可制度の運用改正により、本年六月から埋却地として利用する場合の農地転用が可能となったことから、各市町と連携して、制度を活用した候補地の提示など、農家に必要な情報提供を行い、適切な埋却地の確保が図られるよう働きかけてまいります。  また、発生農家や制限区域内の農家などに対しましては、国の手当金などが早期に交付されるよう申請手続の支援をするとともに、手当金などの交付までのつなぎ融資の利子及び保証料を補給する制度を県独自に設けております。こうした支援制度について、農家に対して説明会などを通じて速やかに周知を行うとともに、個別の相談などに丁寧に対応するほか、金融機関と十分に連携し、支援が円滑に行えるように努めてまいります。  さらに、鳥インフルエンザ発生による経済的な影響に伴う支援につきましては、観音寺市での移動制限が一か月以上に及んでいることから、今後、関係農家などの経営状況を見極めた上で、必要な対策を検討してまいりたいと考えております。  次に、柞田川の河川整備についての御質問がございました。  柞田川につきましては、浸水被害の防止を図るため、まずは狭窄部などにおける流下能力の向上を図ることとし、下流部から局部的な改良を行っております。現在は国道十一号付近で護岸工事を実施しております。また、国の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の予算を活用し、堆積土砂などの状況に応じて河道掘削等を実施しております。  議員御指摘の堤防が低い区間につきましては、今後、周辺住民の皆様の合意形成を図った上で、堤防のかさ上げなどの対策を実施してまいります。  また、柞田川の抜本的な河川改修につきましては、今後、近年の降雨状況を踏まえた降雨強度などの見直しについて検討を行いまして、現行の工事実施基本計画を河川整備計画などに改定する準備を進めてまいりたいと考えております。(降壇) ◯副議長(新田耕造君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)城本議員の県立高校における空調設備の費用負担についての御質問にお答えいたします。  県立高校における教室の空調設備については、パソコン教室など、その機能上必要な一部の特別教室に公費で設置していたところでありますが、PTAの負担で空調設備を設置したいとの要望があり、平成十六年度以降、各学校のPTAによる整備が進められたものであります。  維持管理経費については、学校ごとに設備のリース料金や電気代見込額などを積算し、毎月定額を保護者の皆様に御負担いただいており、徴収した金額に余剰が生じた場合には、年度末に返還しているところであります。  電気代については、昨今の高騰により、上半期で比較すると今年度は全二十九校の平均で昨年度の一・七倍となっており、年度当初に設定した負担額では一年間の電気代を賄えなくなったことから、やむを得ず年度途中での負担増をお願いした高校があると聞いております。  県教育委員会といたしましては、熱中症対策など生徒の健康管理の観点や保護者負担軽減の観点、他県の公費負担化の状況等を踏まえ、議員御提案の空調設備の費用負担の在り方について、検討を進めてまいります。(降壇) ◯副議長(新田耕造君)理事者の答弁は終わりました。  本日の一般質問を終局いたします。    ───────────────────────────── ◯副議長(新田耕造君)以上で本日の日程は、終了いたしました。  次会は、十二月十三日午前十時本会議を開きます。なお、議事日程は、追って報告いたします。  本日は、これをもって散会いたします。                          午後二時五十五分散会 Copyright (c) Kagawa Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved....