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令和4年2月定例会(第5日) 本文

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  1. 香川県議会 2022-02-05
    令和4年2月定例会(第5日) 本文


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    最終取得日: 2023-05-31
    ▼最初のヒットへ(全 0 ヒット)   出  席  議  員    十  河     直 君    高  城  宗  幸 君    鏡  原  慎一郎  君    松  岡  里  佳 君    白  川  和  幸 君    岡  野  朱里子  君    秋  山  時  貞 君    斉  藤  勝  範 君    松  本  公  継 君    森     裕  行 君    米  田  晴  彦 君    木  村  篤  史 君    山  本  悟  史 君    谷  久  浩  一 君    氏  家  孝  志 君    高  木  英  一 君    樫     昭  二 君    山  田  正  芳 君    香  川  芳  文 君    高  田  良  徳 君    竹  本  敏  信 君    三  野  康  祐 君    新  田  耕  造 君    松  原  哲  也 君    広  瀬  良  隆 君    辻  村     修 君    石  川     豊 君    尾  崎  道  広 君    宮  本  欣  貞 君    山  本  直  樹 君    黒  島     啓 君    五所野尾  恭  一 君    花  崎  光  弘 君    大  山  一  郎 君    都  築  信  行 君    鎌  田  守  恭 君    平  木     享 君
      欠  席  議  員    西  川  昭  吾 君    綾  田  福  雄 君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事    浜  田  恵  造 君           副  知  事    西  原  義  一 君           病院事業管理者    太  田  吉  夫 君           審  議  監    大  山     智 君           政 策 部 長    淀  谷  圭三郎  君           総 務 部 長    椋  田  那津希  君           危機管理総局長    寺  嶋  賢  治 君           環境森林部長     木  村  士  郎 君           健康福祉部長     土  岐  敦  史 君           商工労働部長     近  藤  清  志 君           交流推進部長     佐  藤  今日子  君           農政水産部長     新  池  伸  司 君           土 木 部 長    西  川  英  吉 君           文化芸術局長     小  川     剛 君           子ども政策推進局長  吉  田  典  子 君           会計管理者      田  中  一  裕 君           病 院 局 長    岡  田  総  一 君           デジタル戦略総室長  井手下   慶  博 君           知事公室長      尾  崎  英  司 君           教  育  長    工  代  祐  司 君           公安委員会委員    上  枝     康 君           警察本部長      今  井  宗  雄 君           代表監査委員     木  下  典  幸 君           監査委員事務局長   田  井  慎  二 君           人事委員会委員    高  濱  和  則 君           人事委員会事務局長  森  岡  英  司 君           労働委員会事務局長  河  内  一  裕 君           選挙管理委員会委員長 藤  本  邦  人 君    ─────────────────────────────     議  事  日  程(第五号)                  令和四年三月十六日(水)午前十時開議 第  一 県の一般事務に関する質問    ───────────────────────────── ◯議長(十河 直君)ただいまから本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付のとおりであります。  日程第一、県の一般事務に関する質問を行います。  岡野朱里子さん。    (岡野朱里子君登壇、拍手) ◯岡野朱里子君 早速一般質問をさせていただきます。  ロシアに対し強い抗議の意を込めて、本日はウクライナカラーで質問をしたいと思います。  先日、野田聖子大臣が、家庭とはという問いに、人間の最初の可能性の場だとおっしゃいました。そう定義したとしたら、今日私が質問をする中の当事者は、そもそも可能性の場が与えられていなかったり、とってもとっても小さな可能性の場しか与えられなかった人たちかもしれません。そんな方たちを受け止められる懐の深い社会を皆さんとつくってまいりたい。そのような思いで質問をさせていただきます。  まず、生活に困窮する方の生活再建についてお伺いをいたします。  先月、ある男性が自身の働く会社から逃げた、ごめんなさいと連絡がありました。会社の社長からも連絡があり、いなくなったので借り上げ社宅は引き払いますとのことで、彼は、職場も住む場所も失いました。彼は生まれてからずっと乳児院、養護施設で育ち、家族と呼べる人もおらず、預貯金もなく、住むところもない。唯一あるのは、ローンが残っている車一台だけです。  それから数日後、とにかく生活保護をもらいながら仕事を探し、生活再建をしようと説得をして行政の窓口に行かせると、車があるから生活保護は無理ですと言われたと連絡がありました。そんなことはない、仕事を探すために必要だという理由があれば、期間限定で車を所有していても生活保護はもらえるから、もう一度窓口に行きなさいと押し返しました。数時間後に、申請できたし、お金もつなぎ融資を得られたからどうにかなりそうと連絡が来てほっとした矢先、住むところをどうしようと聞かれました。私は、生活困窮者向け住宅支援策があるけど、窓口で教えてくれなかったのかと彼に聞くと、全然教えてくれなかったという返事が返りました。私は彼に、すぐに窓口に戻って、生活困窮者住宅確保策というのがあると聞いたのだけど、どんな手続が必要ですかと聞きなさいと、再び三度目ですが市役所に帰しました。そして、数日後、その制度にのっとって、期間限定ですが、アパートの一室に彼は入居することができました。しかし、そのアパートには布団すらないのです。そして、県の担当課に相談したところ、生活保護制度の中に一時扶助の被服費、家具什器費というのがあり、生活保護の最初の受給日に五万四百円以内の領収書を提出すればお金が出るという仕組みになっていると教えてくれました。しかし、彼の場合は、最初の受給日までまだ三週間以上もあるのです。結局知人のリサイクルショップの方が御厚意で、受給日にお金を持って来てくれたらいいよということで、最低減の必要なものを届けてくださいました。  後先考えずに、苦しいから逃げ出してしまった彼が正しいとは言い切れませんが、誰でもが人生を何度でもやり直せる社会であってほしい。彼のように幼少期から苛酷な人生を送ってきて、なぜ、どうして自分だけと深く考えると苦しいから考えない癖をつけて生きてくるしかなかったような人たちや、病気や障害を抱えながらも施設などから出て自立を目指す方、また、情報をつかむ力のない人たちは、どうやって生活再建をしていけばいいのでしょう。  御存じのように、このコロナ禍で生活に困窮した人たちに生活資金を無利子で貸し付ける国の制度、生活福祉資金の特例貸付があります。その利用は昨年末で約三百万件、貸付額は一兆三千億円を超えています。しかし、今、満額まで借りても苦境から抜け出せない人たちが窓口に殺到しているそうです。以前は安定した収入のあった人たちが突然困窮し、貸付けだけでは生活再建できない現実が見えてきました。全国の社会福祉協議会に対して行ったアンケート結果によると、貸付けの際にしっかりと生活相談に応じられていないと感じている職員が七六%に上っています。これらの方々の貸付けが返済を迎えるときのことを考えると、今こそ、全ての困窮者の方の生活再建に伴走できる人づくり、仕組みづくりが求められています。もちろん、昔に比べたら、人生の苦しいときに助けとなる仕組みは整ってきました。生活保護制度に加え、生活困窮者支援法など、政治と行政でできる限りのセーフティーネットを整える努力を積み重ねている日本はすばらしいとも思います。しかし、あと少し、まだ少し足りないのです。  そこで、知事に二点お伺いします。  今回御紹介したケース、彼が一人で知恵を持たず窓口に行ったとしたら、生活保護にもつながらず、犯罪に至ったり、自殺など最悪なことも想像に難くありません。窓口の方の正しい、かつ彼を中心に考え、届けられる支援策を全てお伝えするような対応が必要であったと思われますが、完全に怠っています。きっと使える支援策が本当に必要な人に届いていないケースがたくさんあると予想されます。このようなことの再発防止の一助として、窓口の方、支援を受ける方のために、県がコロナ対策で作成した支援策一覧のような、分かりやすい、生活困窮に直面した方向けの支援策一覧を県内統一で作成するなど、新たな取組が必要です。担当の方の力量で支援の過不足が変わることのないよう、具体的な取組についてお聞かせください。  また、生活に困窮している方の中には、安定した住まいがないという方も多くいらっしゃるのではないかと思います。生きるために今すぐ必要な支援として住宅の確保は欠かせませんが、最低限度の家具や家電といった設備も含め、たちまち生活をしていく環境が必要かと思います。県として、そのような方の支援に向けてどのように取り組んでいくのか、併せてお聞かせください。  次に、香川県再犯防止推進計画についてお伺いをいたします。  全国の刑法犯認知件数は平成十四年をピークに年々減少し、令和三年は約五十六万八千件と、ピーク時の三分の一以下になっています。一方、令和二年、本県における再犯者数は、刑法犯検挙者千五百九十二人のうち七百九十二人で、再犯者率は四九・七%と、ここ数年、全国同様約五割で推移をしています。  そんな中、平成二十八年十二月に再犯の防止等の推進に関する法律が成立、施行されました。それを受け香川県では、令和三年度から令和七年度までを計画期間とする香川県再犯防止推進計画を策定しました。言うまでもなく、犯罪者や非行少年の多くは、そもそも満たされない家庭環境と厳しい生育歴、貧困、孤独、障害や疾病、嗜癖などの課題を抱えて犯罪を起こしてしまうケースも多く、その上、犯罪を犯して刑務所から出所したとなれば、それまで以上の課題を抱えるに違いありません。  更生保護や再犯防止施策の多くは国の責任・権限において取り組まれていますが、出所後、その皆さんは私たちと同じように地域社会で生活をつくり直し、日常を取り戻していくことから、再犯防止などの推進に関する法律では地方自治体の果たすべき役割を明確にし、これまで以上にその皆さんの社会復帰に関わることを求めています。  さて、刑期を残し仮釈放で出所した方は、保護観察官による継続的な支援や監督がある一方で、満期で出所した方にはそのような仕組みがないため、これまでは住居や就職に困ることが多く、二年以内に刑務所に戻る割合は、仮釈放者に比べ満期出所者は二倍となっています。こうした課題に対応するため、保護観察所からの依頼を受けて、高齢や障害を有する矯正施設入所者に対して、対象者の意向に基づき福祉サービス等の調整を行い、矯正施設退所後の必要なフォローアップを行うため、地域生活定着支援センターが二〇一二年三月から全都道府県で設置されました。さらに、岩手県では、県の委託を受けた社会福祉法人が、被疑者、被告人などにも対象を拡大して、住居や福祉サービスの確保につなげる取組を昨年四月から開始しています。  先ほど生活困窮者の住宅確保や生活再建の困難さについて触れました。犯罪を犯した方にとってはなおさらで、刑事施設を満期で出所した方のうち、約四割が適当な住居が確保されないまま刑務所を出所していること、そして、これらの方の再犯に至るまでの期間が、出所後の住居が確保されている方と比較して短くなっていることが調査結果から分かっています。  県としては、令和二年から県営住宅の入居要件緩和を行っており、生活保護受給者社会福祉協議会などの支援を受けている者は、連帯保証人が必要なくなっているので入居はできますが、即日とはならないことや、家財道具がないことなど課題はあります。また、市や町との役割分担と連携の仕組みづくり、そして何より社会資源、つまり出所者を支援していく民間事業者の育成について、さらに積極的に取り組む必要があります。  そこで、知事にお伺いをいたします。  本県の満期出所する方への特別な支援を行うなど、再犯防止において県の果たすべき役割について、知事の御所見をお聞かせください。  次に、知的障害のある方の選挙権の行使についてお伺いをいたします。  さきの衆議院選挙の投開票日の直後、福祉関連の仕事をしている方から、知的障害のある方々の選挙権の行使はきちんと行われているのでしょうかというお尋ねがありました。まず、私は、これまで四回選挙に挑戦させていただいておりますが、知的障害のある方の選挙権の行使に対し、きちんと候補者として向き合ってくることができなかった、その反省に立って今回質問していることをまず申し述べておきます。  確かに、身体障害のある方は郵便投票が可能であったり、視覚障害のある方は点字投票が可能です。また、身体障害者施設では、県による指定を受ければ施設内での不在者投票が可能で、入所者の皆さんは選挙が行われていることを肌で感じることができます。しかしながら、調べてみると、知的障害のある方はその障害の程度にかかわらず、その選挙権の行使について制度が十分には整っておらず、この問題と長きにわたり闘ってきた方々がいることを知りました。  さて、これまでの歴史を振り返ってみますと、一九四五年に二十歳以上の男女に選挙権が付与されました。しかし、禁治産者、つまり心神喪失の常況にある者で、一定の利害関係人からの申立てにより家庭裁判所が禁治産の宣言を言い渡した者のことを言いますが、その方たちは選挙権を与えられていませんでした。二〇〇〇年に禁治産制度から成年後見人制度に移行しましたが、それでもなお、公職選挙法では被後見人の選挙権は認められてきませんでした。  そんな中、二〇一一年二月に、ダウン症で知的障害のある女性が、被後見人となったために失った選挙権の回復を求め、国に提訴をいたしました。その後、埼玉、京都、札幌でも同様の提訴があり、二〇一三年三月十四日、東京地裁は、選挙権は民主主義の根幹であり、よほどの理由がない限り制限はできない。選挙の能力を定めることを否定しないが、主に財産管理のための成年後見制度を流用することは憲法違反との判決を下しました。この判決を受け、与・野党八党の共同議員提案公職選挙法改正案が五月十七日に国会に提出され、二十七日に成立いたしました。東京地裁の判決から僅か二か月半というスピード感でした。この法改正により、約十三万六千人の被後見人が公職選挙に投票できることになりました。しかしながら、やはり知的障害のある方にとっては支援がなければ選挙権の行使は難しいのが実情であり、その程度が重ければ、より十分な配慮や手厚い支援が必要です。  知的障害のある方の選挙権の行使について積極的な取組を進めているのが東京都狛江市です。投票のバリアフリーと情報のバリアフリーを中心に掲げ、投票支援マニュアルを作成し、投票所での職員の方の支援の徹底、分かりやすいパンフレットや選挙公報の作成、知的障害のある方や施設、御家族に向けてDVDも作成しています。大分県選管では、狛江市のDVDを選挙管理委員に上映し、各市町選管にメールでこのDVDの案内をしたり、狛江市が作成している、障害のある方がどんな支援をしてほしいかを書く支援カードの周知も行っています。また、国は狛江市のDVDを非常に高く評価をしていて、二〇一七年に全国の都道府県に案内をしていると聞いています。  また、二〇一七年に正井佐知さんが行った近畿圏の全知的障害者施設を対象とした選挙についての調査によると、知的障害のある入所者の皆さんのうち約八〇%が投票に参加しておらず、また、職員が全員の入所の皆さんに選挙や投票についての説明をしていると回答した施設は全体の約三割で、多くの場合、職員の方の判断で説明するかどうかを決めているのが実情です。また、口頭や掲示物による説明が大多数で、その人の障害の程度に応じた対応とはなっていないことが分かりました。彼女は、調査結果から、当事者の住んでいる地域によって、選挙に対する職員の方の意識や、実際に投票に行く人の数が違うという相関関係が成り立ち、自治体の姿勢が、大きく知的障害のある方の選挙権の行使に影響を及ぼすと総括をしています。  一方、国立市にある滝乃川学園のように、候補者を招いて公開討論会を開いたり、施設内で模擬投票を行うなど、積極的に入所者の皆さんの投票支援を行っている施設もあります。  繰り返しになりますが、知的障害のある方が候補者を選ぶために分かりやすい広報をつくることや、また、投票を行うための支援についての説明をイラストなどを使うなど丁寧に行うことや、投票支援を行うことは、障害者差別解消法にある合理的配慮の根幹でもあることから、以下、選挙管理委員会委員長にお伺いをいたします。  知的障害のある方の選挙権の行使に関し、香川県の現状をどう捉えていらっしゃるか、まずお伺いをします。  そして、本県でも知的障害のある方が、これまで以上に自分の持つ選挙権を行使することを当たり前にするために、先進自治体に倣い、投票支援マニュアルの作成などを行い、市町とともに知的障害のある方の投票支援により積極的に取り組むべきと思いますが、いかがでしょうか。  また、障害者施設の方々へ先進的な取組などについて情報提供を行うなど、入所者の方の選挙権の行使に対し、より積極的に取り組んでいただくための方策が必要と思いますが、いかがでしょうか。  次に、学校健診における脊柱側弯症検査についてお伺いをいたします。  これは、昨年の三月、県政会の新田議員が行った質問でありますが、一年を経過し、どのような検討がなされてきたのか、教育長にお伺いをいたします。  先日、県政会では、香川県医師会の久米川会長をお招きして勉強会を開催し、よりこの課題に対し理解を深くしたところであります。脊柱側弯症は、背骨が左右に湾曲する病気で、進行すれば腰や背中の直接的な痛みのほか、肺活量の低下などの呼吸器障害運動機能低下、ひどいケースでは神経障害を伴うこともあります。生涯にわたり生活の質を低下させる可能性があるため、早期発見と適切な治療が必要です。また、見た目が変化するため、精神的な苦痛も計り知れないとお伺いをしました。  脊柱側弯症のうち八割は特発性側弯症で、小児期の女子に高確率に発症することから、学校保健安全法施行規則で学校健診の必須項目とされているのですが、健診方法が見るまたは触るということであるため、学校健診において発見できず、治療が遅れるケースが少なくありません。例えば、秋田県や神奈川県では、学校健診での見落としにより症状が悪化したと裁判に至ったケースもあります。そこで、近年、一部自治体では専用の検査機器を用いた検査を実施していて、それにより客観的な根拠に基づく正確で均質な検査を行うことが可能となり、機器を用いるかどうかで脊柱側弯症の発見に地域格差が生じています。  日本においても、世界的にも、十二歳から十四歳までの女の子の脊柱側弯症の発症率は二%から三%であるにもかかわらず、慶應大学病院整形外科医の調査によると、二〇〇七年から二〇一五年での十四歳女の子の一次健診での側弯症の被患率は、先ほどのあるべき被患率に達しているのは広島の三%、千葉県の二・五%、東京都の二・二%で、いずれも検査機器を導入している自治体です。その他、検査機器導入自治体が、未導入自治体に比べ被患率は高くなっています。ちなみに、見る、触るという検査をしている本県は、下位から二位のグループで、〇・三%でしかなく、見落とされているケースがあるのではないかと危惧しています。やはり検査機器の導入の必要性を強く感じるところです。  昨年二月の新田県議の一般質問に対し、教育長は、香川県医師会に専門的な立場からの助言をいただきたいという答弁をなされました。また、香川県整形外科医師会、香川県臨床整形外科医師会、香川県脊椎脊髄疾患研究会の三団体からの脊柱側弯症早期発見のための検査体制と有用な医療機器導入に係る要望書の提出を受け、本年二月に香川県医師会から浜田知事、工代教育長脊柱側弯症早期発見体制の整備を求める要望書が提出されたところです。  その要望書に対する教育長の受け止めと、これまで一年間で、昨年答弁されたときに言われた幾つかの課題に対してどのような検討をされたのか、お伺いをいたします。  また、国が行おうとする新たな取組に積極的に県内自治体とともに取り組むお考えについてお伺いをいたします。  最後に、課題を抱える児童・生徒に対する支援についてお伺いをいたします。  ある身近な中学生は、学校に通うのが時に困難な日々がありました。その生徒の生育過程にも困難なことが多々ありました。その子の学校への行きづらさがどこから来ているのか、私は専門家ではないので分かりませんが、ただただ心配で、ただただ不安で、学校をはじめ関係機関がもっと連携を深め、持てる社会資源をより積極的に活用する必要があると感じていました。  まず、市や町と県が各学校に配置しているスクールソーシャルワーカースクールカウンセラー、それらを本当に有用に活用ができているのか。教育長は、答弁において度々各学校にスクールソーシャルワーカースクールカウンセラーを配置しと御答弁されています。本当にSOSを捉え、適切な時期に適切な介入ができているのか。そして、スクールソーシャルワーカースクールカウンセラーを児童・生徒や保護者に橋渡しをするのは、教員の皆さんの役割です。教員の皆さんが自ら抱え込むことなく、それらの方々と連携が十分にできているのか疑問が残ります。  また、生徒によっては、学習の遅れから学校に行きにくかったり、苦手な特定の授業だけ教室に居づらくなったりするケースもあります。また、部活動がその子の支えになっていて、部活だけでも参加したい子供もたくさんいます。不登校のゴールが学級復帰でなく、社会の自立だというのであれば、そんなときには柔軟な対応があってもいいと私は思います。また、授業にはない丁寧なフォローも大切だと思います。  昨年九月定例会の一般質問において、先進自治体学校内適応指導教室学校内フリースクールについてお伺いしました。その取組こそが、クラスに入りづらいけど部活は行きたい、また、学習の遅れに悩んでいる子供に対する解の一つだと考えます。本県においても、名前こそついていないですが、保健室ではなく普通の教室を待機室として自習ができるようになっている学校もあると聞いています。それぞれの学校の取組の成果を県内で共有し、施策化していただきたいと切に願います。  また、学校だけでは抱え切れないと判断した場合は、速やかに市教委、県教委と連携した対応が必要ですが、力量のない教員や学校ほど、課題を教員自身で、もしくは学校だけで抱え込みがちになっていると私は感じています。課題への対応事例の蓄積がビッグデータとなり、次の誰かの役に立つと考えれば、むしろ全ての対応事例を市教委や県教委と共有し、研究材料とするのは有益なのではないでしょうか。  さらには、学校と児童相談所の連携も欠かせません。御承知のとおり、不登校というのは何らかの症状の現れでもある場合もあり、その背景には学校だけでは解決できない課題があるケースも多いと思います。学校によっては連携ができているところもあるのでしょうが、先ほどの市教委や県教委との連携同様、連携に対し消極的な学校もあり、それが問題の解決を阻んでいる場合もあります。  以上のことにより教育長にお聞きいたします。  スクールソーシャルワーカースクールカウンセラーのさらなる積極的活用のためのお考えをお聞かせください。  また、校内適応指導教室事業など、学校には行きたいという子供の気持ちを尊重できる仕組みづくりについてお考えをお聞かせください。  また、今後のために、各学校で生じた課題とその対応と結果を県教委で共有し、ビッグデータとし、次の困難を抱える子供のために活用できる仕組みづくりに対するお考えをお聞かせください。  私も子供に大変な人生を歩ませていると日々反省し、子供が学校に行ってくれるだけで、背中を見送るときほっとする自信のない母親だと自覚した上で、学校にも助けてほしいと心から願っている一人の母親として、今こそ学校が子供を中心に、子供の気持ちを大切にした自立に向けて、真に開かれた地域の学校となるときだと思い、大変期待をし、願っていることをお伝えして、質問を終わりたいと思います。(拍手、降壇) ◯議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)岡野議員の御質問にお答えいたします。  まず、生活に困窮する方の生活再建についてであります。  県では、生活保護の相談者、受給者等に対して制度の概要等を分かりやすく説明できるよう、「生活保護のしおり」を作成しており、各福祉事務所においては、相談に来られた方に対して、このしおり等をお配りして丁寧に対応するとともに、必要に応じて各扶助や関連する他の支援制度についても具体的に説明しているものと承知しております。その上で、各福祉事務所における対応が統一的なものとなるよう、ケースワーカーが参加する研修会の場で、このしおりを配布して情報共有を図っているほか、各福祉事務所への指導監査においても、面接時に保護の申請権を侵害しないことはもとより、侵害していると疑われるような行為も厳に慎むよう、適切な取扱いを徹底するよう指導しております。
     加えて、生活保護に至る前段階の自立支援策である生活困窮者自立支援制度や、低所得者世帯等の経済的自立を促進する生活福祉資金貸付制度等についても、これまでリーフレットやホームページ等で周知を図っているところでありますが、引き続き県、各市町、社会福祉協議会等とも連携し、広く県民の皆様に制度等が認知されるよう努めてまいります。  また、議員御指摘の住居がなく、宿泊場所のない方への支援につきましては、住居がない方に対する生活保護の扶助の種類、対応法、住宅確保給付金の概要、最低限度の家具や家電といった設備がある住宅を管理している方の連絡先の一覧等を取りまとめた対応マニュアルを新たに作成し、各福祉事務所において活用していきたいと考えております。  私といたしましては、生活保護制度や生活困窮者自立支援制度の趣旨を踏まえ、安定した住まいがない等生活に困窮している方が安心して必要な支援を受けられるよう、各福祉事務所などの関係機関と連携して必要な情報発信等に取り組んでまいります。  次に、香川県再犯防止推進計画についてであります。  本県における刑法犯認知件数は平成十五年をピークに年々減少傾向にあるものの、令和二年の検挙人員に占める再犯者の比率は約五割となっている状況にあり、このような中、更生保護や再犯防止施策は国の刑事施策の一環として行われていることから、犯罪をした者などが地域において円滑に社会復帰し、再び犯罪を繰り返すことがないよう、各市町、民間団体などとともに国と連携して取り組んでいくことが県の役割であると考えております。  このため、県では、昨年度、国や民間団体、学識経験者等で構成する香川県再犯防止推進連絡協議会における検討や県民の皆様の御意見を踏まえ、本県の実情に応じた香川県再犯防止推進計画を策定し、この計画に沿って関係機関と連携しながら、就労・住居の確保、保健医療や福祉サービスの利用の推進、非行の防止や学校等と連携した修学支援などに取り組んでおります。  この中で、刑務所等を満期退所した方への特別な支援につきましては、本県においても平成二十二年四月から社会福祉法人に委託して地域生活定着支援センターを設置し、退所後に特別な支援を必要とする高齢者や障害者に対して居住先の確保や福祉サービスの利用についての支援を行っております。また、被疑者、被告人等につきましても、その後の生活が困難となり、犯罪を行う場合があることが指摘されていることから、来年度、新たに同センターで支援を開始することとしております。  県といたしましては、こうした取組を効果的に進めるため、香川県再犯防止推進連絡協議会において、毎年度、各機関における事業の進捗状況について評価・検証を行いながら、関係機関と連携して本県の実情に応じた再犯防止策を実施し、誰もが安心して暮らせる地域づくりに取り組んでまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(十河 直君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)岡野議員の御質問にお答えいたします。  まず、学校健康診断における脊柱側弯症検査についてであります。  議員御指摘のとおり、香川県医師会から先月十八日に脊柱側弯症早期発見体制の整備を求める要望書が出され、学校健診時の検査機器を用いた検査を行う体制整備への支援施策の実施や、検査機器による均質な検査を行う体制整備促進に向けた国への要望、来年度に国が行う実証実験に対する市町への応募の働きかけ等の要望を受けたところです。脊柱側弯症は、学校生活のみならず、児童・生徒の将来にわたって影響が大きい疾病であり、その早期発見と早期治療に向け、県医師会をはじめとする関係機関と連携した取組が必要であると認識しています。  県教育委員会では、今年度、検査機器を使って検診を行っている他県・市に関する調査を実施しました。この結果、当該自治体では検査を地元検査機関が担っており、検査費用については公費負担と保護者負担に分かれておりました。このことから、本県での実施については、検査を担っていただける検査機関の有無や、検査費用に関する市町の考え方などが今後の大きな課題であると考えております。  国に対する要望については、昨年六月に脊柱側弯症についての健康診断体制の整備のための財政支援について初めて要望したところでありますが、今後も、さらに要望を継続してまいりたいと考えております。  また、来年度に国が行う予定の調査研究事業については、今後明らかにされる詳細な事業内容を確認の上、市町教育委員会と申請の協議を行ってまいります。  県教育委員会といたしましては、県医師会にも引き続き助言をいただくとともに、県内の検査機関とも情報交換を実施し、児童・生徒の脊柱側弯症の早期発見に向けた検査の在り方について、市町教育委員会や知事部局と連携を図りながら検討を進めてまいります。  次に、課題を抱える児童・生徒に対する支援についてであります。  令和二年度の国の調査によりますと、本県の小・中学校の千人当たりの不登校児童・生徒数は十五・七人で、全国平均二十・五人と比較すると少ない割合ではありますが、四年連続で千人を超える状況が続いており、こうした児童・生徒への適切な支援が必要であると考えております。加えて、家庭環境等に起因する課題を抱え、福祉面の支援を必要とする児童・生徒も年々増加しており、その課題は複雑化、深刻化する傾向にあります。そのため、議員御指摘のとおり、教員や学校だけで課題を抱え込まないことが重要であると考えております。  県教育委員会といたしましては、これまでスクールカウンセラー等の専門スタッフについて緊急派遣の仕組みをつくったり、質の向上を図るチーム学校連絡協議会を開催するなど、教育相談体制を強化するとともに、学校に対しては専門スタッフ活用の手引を作成し、趣旨や役割等を周知するなど、活用を促してまいりました。学校においては、教育相談担当教員を配置し、専門スタッフ等との連携を図っておりますが、来年度、管理職と教育相談担当教員に対して、専門スタッフ等のより効果的な活用等について研修を行うこととしています。  校内における支援の実態については、現在、公立小学校の五割、公立中学校の八割が、校内適応指導教室に準ずる別室登校に取り組んでいます。今後、先進地である広島県の視察の結果や不登校対策コーディネーターからの情報も踏まえ、児童・生徒にとってどのような居場所づくりが望ましいのか、さらに検討していくこととしております。  対応事例の共有につきましては、国の規定では年間三十日以上の欠席者を不登校児童・生徒としておりますが、本県では早期対応が重要と考え、市町教育委員会に対して、一か月に七日以上の欠席者について報告を求めるとともに、いじめ重大事態や暴力発生事案についても具体的な内容等を共有しており、事案によっては対応の仕方について助言を行っております。今後とも、より多くの目で子供を見守るよう努めるとともに、蓄積した情報のより効果的な活用についても検討してまいります。  県教育委員会といたしましては、課題を抱える子供たちが安心できる居場所を見つけ、学びを継続し社会的自立が実現できるよう、市町教育委員会との連携をさらに強化しながら支援ネットワークを構築し、引き続き支援に努めてまいります。(降壇) ◯議長(十河 直君)藤本選挙管理委員会委員長。    (選挙管理委員会委員長藤本邦人君登壇) ◯選挙管理委員会委員長(藤本邦人君)岡野議員の知的障害のある方の選挙権の行使についての御質問にお答えいたします。  知的障害がある方の投票状況についてはデータがなく、県選挙管理委員会としてはその現状を把握できておりませんが、選挙は民主主義、民主政治の根幹をなすものであり、選挙人の投票機会の確保は極めて重要なことであると認識しております。  県選挙管理委員会では、障害がある方への啓発活動として、特別支援学校での出前授業を市町選挙管理委員会とともに実施しております。この出前授業では、投票用紙に文字を記入できない選挙人のための制度である代理投票など、選挙制度についての説明や、実際の選挙で使用する投票記載台や投票箱を使っての模擬投票を実施しているほか、保護者に向けて、障害のある方の投票についての説明資料を配布し、お知らせしているところであります。  その他、選挙時においては、投票事務を行う市町選挙管理委員会に対し、代理投票などの投票制度の取扱いについて周知するなど、助言に努めているところです。  また、議員御指摘の知的障害者の入所施設への周知・啓発は重要であることから、今後は狛江市のDVDやマニュアルの事例等も含め、先進的な取組事例を参考にしながら、障害がある方の投票について、より一層適切な対応がなされるよう市町選挙管理委員会に対し情報提供や助言を行うほか、知的障害者施設への情報提供にも努め、障害がある方の投票機会の確保に向けて取り組んでまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(十河 直君)一般質問を続行いたします。  木村篤史君。    (木村篤史君登壇、拍手) ◯木村篤史君 今日は、香川県カラーの緑を身にまとって質問をさせていただきたいと思います。  議長のお許しをいただきましたので、ただいまから一般質問を始めたいと思います。  質問の一点目は、コロナ禍による体力低下を克服する対策についてお尋ねいたします。  外出自粛、テレワーク、人が集まる場所を避けるなど、新型コロナウイルス感染症によって、今までなじみが薄かった言葉が一般的に使われるようになりました。当たり前が当たり前でなくなった未曽有の二年以上の期間を私たちは過ごしています。これまで深く考えていなかった歩くことや体を動かすことの重要性や、外の風を感じることの大切さを改めて気づかされた二年でもありました。  今、そのような制限がある生活は、私たちの心身の健康にまで影響していることが指摘されています。その心身の健康に影響が及んでいる理由は多岐にわたると思いますが、一つの大きな要因は、身体活動量の低下と言われています。イギリスの調査機関の調査結果によりますと、六〇%以上の人が運動量の減少をロックダウンやテレワークによる生活への影響として挙げています。日常的な運動は心身の健康を維持増進する重要な手段であることは言うまでもないことですので、この運動量の減少は私たちの健康を阻害する要因となっている可能性は極めて高いと考えています。  これまでの平穏な生活の中で、気に留めることのなかった身体活動の重要性に気づき、改善と対策をしていかなければ、人生百年時代と言われている現代において、健康な体づくりを構築することはできません。  コロナ禍によって改めて感じたこと、認識したことは、私たちは便利が当たり前になった世の中において、身体を動かす意味を忘れてしまっている部分があったことです。ボタン一つで、ものや食事が届く時代において、身体活動は意識しなければ必要のないものになりつつあります。この流れに逆行するかのように、メタボリックシンドロームに始まり、サルコペニアやロコモティブシンドロームなど、身体活動量の不足が健康寿命を短縮させる要因として明確に示されるようになりました。  新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛要請、海外では明確なロックダウン戦略が取られている中で、座位時間の延長が世界中で問題になっています。これは二〇一〇年頃から懸念されていたことではありますが、この問題に関する議論や研究が再燃しています。研究結果によりますと、我が国は世界で最も座位時間が長い国であると言われています。座位時間の長さは、がんや循環器系疾患、さらには認知症の発症リスクと相関するという研究が多数報告されており、座位時間の延長、身体不活動のパンデミックは、新型コロナウイルス感染症よりも先に存在し、新型コロナウイルス感染症によって顕在化されたリスクであると考えられるかもしれません。  そのため、世界ではシッティング・イズ・ザ・ニュー・スモーキング、座っていることは新たな喫煙や、シッティング・イズ・キリング・ユー、座位があなたを殺すというような静かに迫りくる座位時間の延長の恐ろしさを表すデータも続々と発表されています。また、WHO身体活動・座位行動ガイドラインにおいても、「座り過ぎで不健康になる」、「身体活動を増やし、座位行動を減らすことにより、(中略)すべての人が健康効果を得られる」などが「重要なメッセージ」として示されています。  我が国においても、運動習慣が定着せず、生活習慣病の罹患者数が増加し続ける現状があります。厚生労働省では、健康日本21(第二次)(第四次国民健康づくり運動)の柱として、健康寿命延伸のための運動習慣者の増加を目標に掲げ、様々な施策を取っています。しかし、その対策の成果は十分に見られておらず、運動習慣者の割合は増えていません。  また、民間の調査会社によりますと、ウオーキングアプリ利用者を対象とした年間の歩行量を分析し、新型コロナウイルス流行前の二〇一九年とそれ以降の二〇二〇年で、ユーザーの平均歩行量が一日当たり約七百二歩低下していることが確認されたそうです。二〇二〇年四月の緊急事態宣言以降、全体的に平均歩数の低下傾向が見られるものの、特にリモートワークが取り入れられている会社員や学生といったユーザー層で顕著な歩行量の減少を確認しています。  国土交通省が発表しているまちづくりにおける健康増進効果を把握するための歩行量(歩数)調査のガイドラインでは、一日プラス千五百歩で年間約三万五千円の医療費抑制効果があるとも試算されており、リモートワーク推進による新たな弊害として、状況が長期化した場合には運動不足の増加やコミュニケーション疎遠化によるストレス増などの懸念も考えられます。  県は、健やか香川21ヘルスプラン推進事業やメタボリックシンドローム対策推進事業、糖尿病予防事業、八〇二〇運動推進事業など、令和四年度でもこれまでの取組を引き続き継続して行う事業がほとんどであります。こういった直近二年間の県民生活の変化により、明らかに体力低下の状態が続いていることを克服するため、体力づくりや歩くこと、体を動かすことの取組を促す対策を考えていかなければならないと思いますが、知事のお考えをお尋ねいたします。  次に、空き家対策についてお尋ねします。  人口減少や少子高齢化の影響等により、空き家の数は増加し続けています。総務省の住宅・土地統計調査によりますと、平成三十年現在の本県における空き家率は一八・一%と、全国の一三・六%を大きく上回っている状況であり、国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、昨年度の三十九万九千六十世帯をピークに、今後、本県では世帯数の減少に転じる見込みとされていることから、これまで以上のペースで空き家が増加することが予想されます。  空き家は管理の目が届きにくく、住む人がいればすぐ気づくことのできる雨漏り等の発見が遅れがちとなり、気づいたときには屋根下地が腐朽して落ちるなど、倒壊等の重大な原因となってしまうこともあります。資産価値のあるうちに利活用等を考えることが大切だと思いますが、複数の相続人の間で売買等の方針が合わず、結局そのまま放置されてしまうことも珍しくないようです。日々そうした空き家を見ながら生活することになる近隣の方々にとりましては、景観上の問題はもとより、倒壊や落下物による安全面での問題、ごみの不法投棄や植物が生い茂るなど衛生面での問題、防犯上の問題などに直面するほか、空き家の所有者にとっては除却や修繕の費用負担も大きく、また、除却した場合に税負担が増えるといった税制上の問題もあるため早期解消が難しく、社会問題となっていることは御承知のとおりであります。私の周りでも空き家に関する悩みや不安を抱えている方はますます増えてきており、地域の課題となっています。  このような空き家問題に一元的に対応するため、平成二十六年に空家等対策の推進に関する特別措置法、いわゆる空家法が制定され、平成二十七年五月の全面施行から、はや七年が経過しようとしています。空家法は、市町が空き家があるために地域や環境に多大な悪影響を及ぼすもの等を優先的に特定空家等として認定し、認定されると強制力を持った対策も可能とのことであり、市町は空き家対策へ主体的に取り組むことができ、対策の計画作成や協議会の設置、立入りの実施などができることとなっています。また、県は、市町に対して技術的な助言、市町相互間の連絡調整等必要な援助を行うと定められております。最近では、昨年十月に東かがわ市で、本年一月には丸亀市において、空き家を除却する略式代執行が初めて行われるなど、空家法に基づく取組が進められているとお聞きしており、この問題は県全体で対策を進めることが必要と思います。  そこで、まず、空家法の施行後、県内において各市町が空き家対策に主体的に取り組むため、県はどのような支援や助言を行ってきたのか、また、今後も空き家は増え続けると思いますが、県としてどのように取り組まれていくのか、知事のお考えをお尋ねいたします。  次に、県民の命を守る交通安全対策についてお尋ねいたします。  香川県の交通事故発生状況は、平成二十三年の発生件数は一万一千二百十三件、負傷者数は一万三千九百五人となっていますが、それ以降、発生件数も負傷者数も徐々に減少しており、令和二年は発生件数三千七百二十二件、負傷者数は四千五百十四人と減少を続けています。令和三年は発生件数三千二百八十七件、負傷者数三千九百五十七人となっており、死亡者数は三十七人と、前年と比較しても二十二人減少し、平成二十三年からの数字を見ても最少となっています。ただ、人口十万人当たりの交通事故死者数は全国ワースト三位であり、依然として多い状況にあります。  最近の県下の事故の特徴を見てみますと、死亡事故の特徴として、令和三年でいえば高齢者の死者は二十二人に上り、歩行中が九人の四〇・九%、四輪が四人の一八・二%、自転車が七人の三一・八%、二輪・原付が二人の九・一%となっています。また、交差点での死者は十五人となっており、うち四輪が一人の六・七%、自転車が六人の四〇・〇%、歩行中が五人の三三・三%、二輪・原付が三人の二〇・〇%となっています。夜間の死者は二十人となっており、うち歩行中が八人の四〇・〇%、四輪は五人で二五・〇%、自転車は三人で一五・〇%、二輪・原付は四人の二〇・〇%となっています。そして、四輪乗車中の死者十人のうち、シートベルトの非着用は六人の六〇・〇%となっており、その方たちがシートベルトをしていれば四人が助かるケースであったそうです。  また、昨年八月にJAFが調査した信号機のない横断歩道における車の停止率の結果によりますと、上位は長野県の八五・二%、静岡県の六三・八%、山梨県の五一・九%と続き、本県は二五・二%、全国平均は三〇・六%という数字が出ました。横断歩道付近の事故は、特に左折巻き込み事故、あるいは薄暮時の視界不良による歩行者との接触等の要因が挙げられており、これまでも県は様々な交差点の安全対策を講じてきたと認識しております。  この交通安全対策の施策として、県内では歩車分離式の交差点が増えてきました。令和三年十二月現在で七十二か所あります。この歩車分離式信号機に関しましては、正しく横断歩道を渡る歩行者が自動車により阻害されず、事故を大きく減らすことができるメリットがあります。右左折車両がスムーズに通行でき、特に左折巻き込み事故防止に効果が期待でき、歩行者を気にせず自動車が右左折できるため、渋滞が解消される場合もあります。一方で、横の車両信号が赤になったところを見て、前方の車両信号が青になるという思い込みで発進する見切り発進によって、歩行者信号のみが青のときに発進をしてしまう形で信号無視をしてしまう可能性があります。また、視覚障害者の方が交差点内を走行する自動車の音で信号の色を判断するため、音響装置が設置されていない歩車分離式信号機では、視覚障害者の横で止まっていた車が発進した場合でも青信号とは限らず、赤信号でも渡ってしまう可能性があります。歩行者用の信号に従う自転車運転者が多く、自転車の進路と交差する歩行者が自転車にはねられる危険性があります。この件につきまして、警察本部長にお尋ねしたいと思います。  まず、県内の交通情勢、また、歩行者・自転車の通行量調査等を通じ、この歩車分離式タイプの信号あるいは交差点改良をさらに増やしていくのか、今後三年間の計画を教えていただきたいと思います。  また、この歩車分離式信号ですが、車が走る主に二方向と歩行者が通る四方向で三回信号が変わればワンサイクルのセットになりますが、先ほど申しましたとおり、視覚障害者の方が自転車に接触する危険性、また、交通弱者である足の不自由な方や歩行するのに時間を要する高齢者の方の横断の在り方を考えますと、県内には見られないスクランブル方式斜め横断型の横断歩道等を設置していただきたいと思います。一回で直線と右折及び左折の横断ができない交通弱者の方は体力を消耗します。特に、暑い日も、寒い日も、風の強い雨の日も、時間がかかってしまえば体力もかなり消費します。安全性を確保した上で斜め横断を可能とすることにより、目的地にスムーズに行けるという歩行者にも配慮した対策をしてはとの声も多くお預かりいたしております。その点につきまして、警察本部長のお考えをお尋ねいたします。  また、県警察では、ペーパードライバーからシニアドライバーまで安全運転技術を身につけることができる、県内自動車教習所での実車講習の補助事業をしています。令和三年六月一日から受付開始した本年度の締切りはこの三月三十一日となっていますが、申請状況はどうなっているのか、ドライバーの運転技術向上に向けて効果がどのように現れているのか、併せて警察本部長にお尋ねいたします。  次に、東讃地区の県立高校再編整備についてお尋ねいたします。  県では、県立高校の再編計画として、東讃地域の高校を統合再編しようということで、東かがわ市にある三本松高校を除き、さぬき市内にある志度高校、津田高校及び石田高校を一つの高校に統合再編する方針が示されました。こうした中、地域の高校教育やふるさとさぬき市の拠点性、町の活性化などが萎える危機感を持った地元の有志が集まり、「志度高校・津田高校・石田高校を育てる会」が二〇二〇年五月三十日に発足しました。東讃地域にお住まいの方を中心に、問題提起や広報活動及び県との意見交換や地元からの要望活動をしていこうと始まり、早速、翌六月十六日に県教育委員会へ要望書を提出。さらに、七月から八月にかけて三高校再編についての意見チラシをさぬき市内を中心に配布。そして、八月には県教育委員会へ再度要望書や質問状の提出。また、三高校へ県教育委員会が訪問説明会を行い、九月に第一回の東讃統合校に関する懇談会を開催しました。  また、育てる会では、この三校を有効活用した、特に拠点を生かしたキャンパス方式を強く求める旨の署名活動をさぬき市、東かがわ市、三木町などで行い、実に二万五百四十七筆にも及ぶ署名を集め、十二月十四日に知事へ、十六日に教育長へ提出しました。年末には教育長との面談や県教育委員会主催の東讃統合校に関する懇談会にも加わり、再度質問状を提出。当時の西川議長に面談の上、要望書を提出。同時に、知事、教育長にも提出しました。そして、昨年五月二十一日、十河議長に面談し、要望書を提出。九月八日には工代教育長とさぬき市大山市長が三校再編整備について意見交換を行いました。  その後、主立った動きはありませんが、県教育委員会としては、令和四年度も三年度に引き続き魅力あふれる県立高校推進事業として約七百万円計上し、魅力的で特色ある県立高校づくりを推進するため、魅力あふれる県立高校推進ビジョンの中で掲げられている「郷土への理解や郷土愛」、「イノベーション創出力」、「グローバル社会への対応」に関して教育プログラムの研究開発に取り組み、その研究成果を普及させ、県立高校の魅力向上を図るとともに、ビジョンに示した必要な教育環境の整備等に向けた検討や準備を進めることとしています。また、東讃地域の統合校の設置についての検討や県立高校の魅力化に向けた調査、研究なども挙げられています。  私は、これまで何度も代表質問や一般質問等で東讃地域の高校再編について教育長にお尋ねしてきました。統合校のあるべき姿やビジョン、これまでにない三高校の専攻科目の学科横断的な学び、将来的な目的探しのための学校設定科目等を設け、それらが重なり合って魅力ある高校をつくることを考えていると認識しています。しかし、まちづくりの観点の問いかけについてはあまり言及がなく、学校再編が地域社会に与える影響をもっとあらゆる角度から深く検討していく必要があると考えます。そういった意見に関して、教育委員会として明確なお答えを示していただくことがなかったように感じています。  また、さぬき市の小・中学校の教育環境を見ますと、地域内にあった学校が再編され、小学校も半分、中学校の数も半分になり、統合高校が幾ら魅力的な高校になるとしても、一校だけになれば、子育て層を中心とする人口流出の懸念や地域経済への影響、また、さぬき市内では貴重な三階建て建造物の避難所がなくなる問題、さらに、町の拠点性が失われるという危機感を、東讃地域、特に、さぬき市の皆さんは抱いている現状は変わりありません。小・中学校の跡地利用については、さぬき市に任せておけばいいという話になるかもしれませんが、当時平成の大合併を御指導いただき、県内で一番目に誕生したさぬき市は、今年で二十周年になります。その二十年の中で、有効利用できなくなった小学校や中学校では、一部では更地になるところや放置しているもの、また、用途変更して何とか利活用しているのが現状であります。そういったことを踏まえますと、跡地は自分たちで考えてやりまいよというのではなく、県民の皆さんに寄り添い、地域の皆さんと悩みを共有し、改善に向けて建設的な議論を行っていくことが求められていると私は考えます。  そこで、改めて教育長にお尋ねしたいのですが、東讃地域の高校再編について、今後どのような検討を行い、どのように進めていくお考えなのでしょうか。また、残された二校または三校の跡地の利活用はどうなるのか、お伺いいたします。  そして、浜田知事にも幾度にわたり地元の皆様の訴えや御意見、御提案、御指摘などを要望としてお伝えしてきたところでありますが、さぬき市の置かれた現状も踏まえ、高校再編後のまちづくりの在り方について、県としても強力なサポートをお願いしたいと考えておりますが、知事の考えをお伺いしたいと思います。  最後に、一言述べさせていただきます。  筑紫哲也さんが最後に出演した自身のニュース番組の名物コーナー「多事争論」でこう述べられました。  政治は、古典的には世代の間でパイを奪い合う。つまり若い世代に使うのか、高齢者に使うのか、その配分の争いと言われます。これが選択肢のはずなのに、この国のおかしなところは、どちらにも行っていない。資源のない国で教育に投資していない。じゃあ、医療に使っているかというと、高齢者を切り捨てる。未来にも投資していない。過去にも投資していない。じゃあ、どこにお金を使っているのか。シンボリックには道路を造るために五十九兆円のお金を向こう十年間で使い続ける。つまり、お金が変なところに行っているのです。私は、がんを患っています。がんに侵されると、本来使うべき栄養やエネルギーががんと闘うためにそこに取られてしまう。本来人間が生きていくため、それが向かなくなる。この国では、一言で言えばがんにかかっているのです。起きていることははっきりしている。それに対してどうするのか、何をやるのか。敵はなかなかしぶとい。問題ははっきりしている。ある意味では単純である。だから、やれることは簡単かというと、そうではない。問題がここにあるということをはっきりさせておいて、その上でそれと戦うのか、負けるのか。それが私たちに迫られている選択肢であろうと思います。  筑紫さんはあのとき、日本は今、がんにかかっているとおっしゃった。当時、私はそうは思わなかったけれど、筑紫さんが亡くなって十三年後の今日の日本を見て、確かに敵はいて、なかなかしぶといのではないか。そして、まだ病魔と闘っているのではないかと、改めて筑紫さんの最後のメッセージの多事争論をかみしめたところであります。  政治はどこへ向かおうとしているのか。先人たちが残してくれた平和遺産を政治は責任を持ってしっかり引き継ぎ、子供たちに継ぐことができるのか、私たち一人一人に課せられた課題ではないかと思います。県内もコロナ禍は収まっておらず、経済環境と生活環境は決して安定しておりません。これからも知恵を出し、協力し合って、県民一人一人の笑顔につながる県政を目指していくために活動していくことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)木村議員の御質問にお答えいたします。  まず、空き家対策についてであります。  空家等対策の推進に関する特別措置法、いわゆる空家法では、地域住民の生命や財産等の保護、生活環境の保全、空き家の活用促進のため、国、県、市町が連携して空き家対策に取り組むこととされております。  このうち県の役割は、市町に対する情報提供や技術的な助言、市町相互間の連絡調整などとされており、県では、空家法において、空き家対策の実施主体とされている市町が空き家対策を円滑に行えるよう、平成二十七年度から老朽化して危険な空き家の除却への補助を行う市町への財政的支援を行っており、今年度末までに約千二百五十件の除却を見込んでおります。  また、そのまま放置すれば倒壊など著しく保安上危険となるおそれがある特定空家等について、県独自の特定空家等の判断基準を作成し、各市町の担当者への実地研修や個別事案への助言などに取り組んでおり、空家法に基づく代執行や指導・助言などの措置を講じた実績としては、空家法施行後、先月末時点で指導・助言が十七件、勧告が六件、命令が一件、代執行が四件となっております。  一方、今後も人口減少や高齢化の進行等により空き家の増加が見込まれることを踏まえ、県民の皆様を対象に空き家対策セミナーを開催するとともに、香川県空き家ガイドブックを配布するほか、空き家の再生・利活用の好事例を公募し、紹介する空き家再生コンテストを実施するなど、空き家の適正な管理や利活用、相続等の課題などについて理解を深めていただく取組を強化しております。  私としましては、各市町や関係団体が連携し、空き家対策についての協議を行う香川県空き家対策連絡会議等を活用しながら、地域の実情に応じた総合的な空き家対策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、東讃地域の県立高校再編整備についてであります。  歴史と伝統のある石田高校、志度高校、津田高校は、これまで社会で活躍する有為な人材を数多く輩出してきており、同窓会の皆様方や地元の方々にとって三校が大きな存在であることは承知しております。その上で、人口減少が進む中、本県においても全国同様、少子化が進んでおり、東讃地域における中学校卒業予定者数の減少傾向も顕著であることから、東讃地域の子供たちのため、また、地域活力の向上といった観点からも、一定の学校規模を持つ、生徒にとって魅力ある教育環境を整備した新しい学校を設置することには意義があると考えております。  一方で、高校の再編に伴い、地域において様々な課題への懸念があることは認識しておりますが、再編後の統合高校の地域での在り方や跡地の利活用につきましては、地域の活性化も視野に入れ、まずは教育委員会において検討が行われると伺っております。  私といたしましては、跡地の利活用については、地域の実情を踏まえるとともに、地元の方々の御意向も丁寧に酌み取りながら検討を進めていくことが重要であると考えており、さぬき市の意向もお聞きしつつ、地域の活性化に向けて、まちづくりの取組が効果的に進められるよう努めてまいりたいと考えております。  なお、そのほかの御質問につきまして、健康福祉部長よりお答え申し上げます。(降壇) ◯議長(十河 直君)土岐健康福祉部長。    (健康福祉部長土岐敦史君登壇) ◯健康福祉部長(土岐敦史君)木村議員のコロナ禍による体力低下を克服する対策についての御質問にお答えいたします。  議員御指摘のとおり、身体活動・運動は、健康を保つ上で重要でありますが、新型コロナウイルス感染症の影響により外出を控えることなどから、身体活動量の低下が懸念されております。  こうしたことから、昨年九月に県と県民の皆様の健康づくりに関係する団体等で構成する健やか香川21県民会議において、「コロナ禍の健康づくり」をテーマに講演会を開催し、健康づくりのために安全で効果的な運動を指導する健康運動指導士の方からコロナ禍が身体活動に与える影響や身体活動量増加のための方法について分かりやすく御紹介いただくなど、地域や職域等での健康づくりの取組を推進しております。  また、スマートフォンアプリを活用し、運動、食事や健診の受診などの健康づくりの取組に対しポイントを付与するかがわ健康ポイント事業「マイチャレかがわ!」では、今年度、企業ごとに平均歩数のランキングを表示する機能を追加して企業対抗戦を実施し、テレワーク等で従業員同士が離れていてもスマートフォンを通じて競い合いながらウオーキングに取り組むことで、特に身体活動量が不足している働き盛り世代の運動の習慣化を後押しする取組を実施したところです。来年度には、企業対抗戦へのより多くの企業の参加を目指すほか、新たに、一定期間毎日ログインした場合にボーナスポイントを付与するなど、子供から成人、高齢者まで全ての世代の習慣化を後押しする取組を進めてまいりたいと考えております。  県といたしましては、新型コロナウイルス感染症が県民の皆様の生活習慣に与える影響を考慮しながら、運動習慣の実践を促す環境づくりに努めるなど、健康づくりの取組を総合的に推進し、健康長寿の香川の実現を目指してまいります。(降壇) ◯議長(十河 直君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)木村議員の東讃地域の県立高校再編整備についての御質問にお答えいたします。  東讃地域の高校再編整備につきましては、地元の子供たちのことを第一に考え、一定の学校規模を持つ魅力ある教育環境を整備していくことが何より重要であるとともに、若者の地元定着やUターン促進、地域活力の向上といった観点などから、地域に根差した学校づくりが必要であると認識しております。  このため、昨年三月に策定した新しい統合高校のグランドデザインでは、学校行事や特別活動等での地域と連携した教育活動の展開や、総合的な探究の時間などでの地域の課題や強みを考える課題解決型の探究学習などに力を入れることとしており、こうした取組を通して、地域に愛着を持ち、地元を支える人材を育ててまいりたいと考えております。加えて、統合高校では、地元の自治体や企業、大学、同窓会、PTAと連携したコンソーシアムをつくり、生徒の学びや進路を支援することとしており、地域と学校が一体となった人づくりが地域活性化につながっていくものと考えております。  統合高校の設置場所につきましては、現在、生徒の通学の利便性など様々な観点から鋭意検討を進めているところであり、決定後は速やかに開校に向けた具体的な検討を行う組織として、三校の教員に加え、有識者にも参画をいただく開校準備委員会を設置し、地域と連携した教育の内容やコンソーシアムの在り方等についての協議を行っていくこととしております。
     また、議員お尋ねの校地の利活用につきましては、さぬき市とも協議の場を設けるなど、十分に連携を行いながら検討してまいりたいと考えております。  県教育委員会といたしましては、統合高校が多様な学びのニーズに応え、生徒が生き生きと活気あふれる学校生活を送ることができる魅力ある学校となるよう、さぬき市とも連携しながら取り組んでまいります。(降壇) ◯議長(十河 直君)今井警察本部長。    (警察本部長今井宗雄君登壇) ◯警察本部長(今井宗雄君)木村議員の県民の命を守る交通安全対策についての御質問にお答えいたします。  議員御指摘のとおり、歩車分離式信号機は、左折巻き込み等の事故防止に有効である反面、思い込みによる誤発進に起因する事故が懸念されます。このため、歩車分離式信号機の導入に当たっては、車両や歩行者の通行量、交通事故発生状況、要望の有無等あらゆる事情を総合的に勘案する必要があります。県警察では、県内の交通情勢等を鑑みて、特に歩行者を保護する必要性が高い交差点に、平成二十三年度から五年間、集中的に歩車分離式信号機を導入し、令和二年度末までに七十二か所の交差点において運用しております。現在、新規の導入予定はございませんが、今後もその有効性や必要性を十分吟味した上で、さらなる導入の適否について検討してまいりたいと考えております。  次に、議員御提案の斜め横断が可能な横断歩道、いわゆるスクランブル交差点の導入についてであります。  スクランブル交差点は、利用者が目的の方向に最短距離で移動できる反面、歩行者の動きが複雑になるとの特徴があります。本県では、比較的小さな交差点に歩車分離式信号機が多く設置されており、横断のための歩行距離が短いことや、自転車利用者が多く、自転車と横断者との接触事故の増加の可能性があることを考慮した場合、スクランブル交差点導入の必要性は低いものと現時点では考えられますが、今後も利用者の安全性や高齢者、障害者の円滑な移動に配慮した交差点の運用を検討してまいります。  最後に、自動車教習所で行われる実車講習の補助事業についてであります。  議員御質問の補助金の申請状況は、コロナ禍の影響もあり、前年度より減少しているものの、昨年六月から本年二月末までに百四十五人からの申請を受け付けております。本施策の効果につきましては、受講者から、「自分では気づかない慣れや癖を指導され、安全運転を心がけるようになった」等の反響があり、運転技術や安全意識の向上に一定の効果があると考えられることから、引き続き実車講習の受講促進に努めてまいります。  県警察といたしましては、県民の皆様方の要望を踏まえた交通事故の起きにくい交通環境の整備等、各種交通安全対策を着実に推進してまいります。(降壇) ◯議長(十河 直君)一般質問を続行いたします。  鏡原慎一郎君。    (鏡原慎一郎君登壇、拍手) ◯鏡原慎一郎君 通告に従いまして、私は五つの項目について、知事及び教育長に対してお伺いをいたします。  まず初めに、新型コロナウイルス感染症への対応と対策についてお伺いをいたします。  新型コロナウイルス感染症が初めて確認されてから、はや二年余りが経過しました。ウイルスも変異を繰り返し、現在はオミクロン株による感染が国内でも続いています。本県においても、この間多くの方が感染し、お亡くなりになられた方々も多くいらっしゃいます。お亡くなりになられた方々には心からお悔やみを申し上げますとともに、療養中の皆様には一刻も早い回復を心からお祈り申し上げます。  新型コロナウイルス感染症への対応として、現在ではワクチン接種が進み、三回目のブースター接種が県内でも実施されております。しかし、毎日三桁に上る新規感染者が出るなど、感染状況は依然予断を許さない状況にあります。  今回のオミクロン株の特徴としては、感染力が非常に強いこと、そして学校や幼稚園、保育所など、子供たちの間で感染が広がっていることが挙げられます。子供たちの感染が家庭内感染にもつながっており、加えて、子供たちが感染し、また、濃厚接触者になることで、その家族などは自宅で子供の面倒を見る必要に迫られます。また、自身が濃厚接触者になってしまうことで、仕事を休まざるを得ない状況になっております。医療従事者をはじめ、高齢者施設や保育施設などの従事者、また、そのほかのエッセンシャルワーカーと言われる方々の多くが自宅待機などを余儀なくされると、施設の運営に支障が出るなど、社会生活に大きな影響を及ぼしてしまいます。それゆえ、エッセンシャルワーカーの方々が感染していない場合には早期に仕事復帰できるよう、対応を考える必要があると考えます。  そこで、こうしたエッセンシャルワーカーの方々の早期の仕事復帰への対応について、県としてどのような対策を考えているのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、学校における対応についてです。  さきにも述べましたとおり、今回の県内における感染拡大の特徴は、学校内感染や家庭内感染ということだと思います。現在流行しているオミクロン株は、二次感染を引き起こすまでの時間を示す世代時間が二日と言われており、デルタ株の五日から大幅に短縮されています。すなわち、感染後の再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に早いということであります。  県教育委員会として、二月二十一日から特別支援学校除く県立学校において午前授業にし、部活動も制限するなど、県下市町にも可能な限りの協力要請を行いました。この間、県内の学校においても学級閉鎖などが行われてきましたが、その際にタブレットを活用した対応が行われてきたのでしょうか。また、オミクロン株の世代時間を考えれば、タブレットを活用した対応を前提に、短期間の一斉休校も視野に入れるべきであったと考えます。今後、高校でも一人一台端末が導入されます。再びの感染拡大への備えとして、常時からタブレットを活用してオンライン学習やハイブリッド授業などを実践しておく必要もあります。  北九州市では、不登校の児童・生徒がICTを活用してオンライン授業を受けた場合、出席と扱うことができる仕組みを生かし、コロナ禍の中でのオンライン授業は出席として扱っているとのことであります。本県においても、出席に不安がある児童・生徒は欠席とはしない対応を取っていると思いますが、学習の機会を損なうことがないよう対応していく必要があると思います。  そこで、学級閉鎖等になったときにタブレットを活用した対応が行われてきたのか、また、オミクロン株の世代時間を考えれば、タブレットを活用した対応を前提に、短期間の一斉休校も視野に入れて検討されたのか、その上でそのような対応を取らなかった理由は何なのか、お伺いをいたします。  併せて、常時からタブレットを活用したオンライン学習やハイブリッド授業等を実践していく考えについて、また、オンライン授業の際の出席扱いの考え方について、教育長のお考えをお伺いいたします。  二点目は、観光におけるデジタルマーケティングについてです。  浜田知事が着任されてより、「うどん県。それだけじゃない香川県」プロジェクトを皮切りに、国際航空路線の拡充などにより県内観光の一層の注力を重ねてまいりました。その結果、県外観光客入り込み数も右肩上がりに増加をしてきました。浜田知事においては、今期限りで勇退されるとのことであります。会派を代表して、これまでの功績とリーダーシップに敬意と感謝を申し上げますとともに、任期満了までの間、引き続きそのリーダーシップを発揮いただきますことに御期待を申し上げます。  さて、先ほども申し上げましたが、新型コロナウイルス感染症が流行するまで、本県は右肩上がりに観光客数を増やしてきました。しかし、コロナ禍になり、その数は約六割まで落ち込みました。私も、アフターコロナに向けた県内観光をどのようにしていくのかということをこれまでも議論させていただきましたが、なかなかコロナ禍を抜け出すことができない状況であります。そのような中で、アフターコロナを見据えつつ、現状における県内観光の在り方についても考えていかなければならないと考えます。  本県では、今年度よりSNSを中心に、本県に関心がある層にターゲットを絞ってPR広告を直接配信し、県公式観光サイト「うどん県旅ネット」へ誘導し、うどん県旅ネットにアクセスされた方を体験イベントや宿泊予約ができる外部サイトへ誘導していくという効果的な誘客を図るデジタルマーケティング観光誘客事業に取り組んできました。デジタルマーケティングは、本県にとって今後、非常に重要な手段になると考えます。  関西、中四国からの来県者が多い本県の観光業にとって、今までの旅行代理店中心の団体旅行から個人やグループ、家族単位での旅行へと移行しており、予約や申込みなどもOTA(オンライントラベルエージェント)などが提供するサービスを利用したものへ移行しています。こうした中で、旅行者に本県を選んでもらい、来ていただくためにも、その方法を改めて考え直していかなければなりません。  SNSにおける広告配信についても、SNS広告の代理店であるコムニコの本年二月のデータでは、代表的なSNSで、ツイッターでいうと二十代から四十代、フェイスブックでいうと三十代後半から四十代以上、インスタグラムでいうと十代から二十代が全体の七割など、ターゲットとなるコアユーザーが存在しており、狙いに合った層への的確なアプローチが求められます。  デジタルマーケティングでは、宣伝・PRするだけではなく、同時に収集されるユーザーの行動データも蓄積され、データの活用・分析も行っていくこととなります。そのため、アナログ時代のマーケティング手法では見えてこなかったユーザーの本音や興味・関心の方向性などが高い精度で把握できるようになります。つまりは、これらのデータを生かすことにより、あらゆるユーザータイプに対しても戦略的にマーケティングを行うことが可能となるわけです。  デジタルマーケティング観光誘客事業から得たデータや県公式観光サイトうどん県旅ネットでも、同様にユーザーの行動データを調査することが可能であると思います。例えば、どのSNSやウェブからのアクセスが多いのか、どのような旅先に魅力を感じているのか、また、各読み物コンテンツでの滞在時間や旅行予約サイトへの遷移はどのようになっているのか、さらには、本県の魅力ある観光地やルートに対する利用者層の特性や他コンテンツとの親和性も見えてきます。このようなデータは、今後の本県観光のアプローチをするに当たっての重要なデータになってきますので、これらを生かしてデジタルマーケティングの取組を、今後さらに推進していくべきと考えます。  そこで、選ばれる香川県を目指し、本年度実施したデジタルマーケティング観光誘客事業から、どのような傾向が見られたのか、また、それをどのように県として分析し、次年度のデジタルマーケティングの取組に反映させ、一層の推進を図っていくのか、知事の御所見を伺います。  三点目は、県有施設への太陽光発電設備導入についてお伺いをいたします。  来年度の当初予算に、太陽光発電設備導入可能性調査事業として、県有施設のうち防災施設について太陽光発電設備の導入可能性調査を実施するための予算が計上されています。これまで電力会社への売電を基本に設置が進められてきた太陽光発電設備ですが、SDGsの観点から消費エネルギーそのものへと移行されつつあります。  スターバックスでは、店舗で使用する電力をCO2排出量ゼロの一〇〇%再生可能エネルギーへ切替えを進めており、地域貢献につながる電力を選定し、地域で発電した電力を直接購入する取組を進めています。また、工場などでも屋根に太陽光発電設備を設置し、自家利用するようになってきました。本県においても、防災施設についての導入検討を実施するということでありますが、SDGsの観点からも、既存施設を利用した自己消費型の太陽光発電設備の導入も併せて検討してもいいのではないかと考えます。  しかしながら、そのときに大きな課題となるのが設備の設置費用であります。太陽光発電設備が市場に出だした頃から比べると安価にはなっているものの、大規模に設置するとなれば大きな投資が必要となります。そこで、最近注目されつつあるのがPPAモデルの活用です。PPAモデルとは、Power Purchase Agreement(電力販売契約)モデルの略称で、企業や自治体が保有する施設の敷地や屋根などのスペースを事業者が借り、無償で太陽光発電設備を設置し、その太陽光発電システムで発電された電力をその施設で購入・使用することにより、CO2の排出と電気料金の削減が可能となる仕組みです。施設所有者、PPA事業者ともにメリットがあり、再生可能エネルギーの導入促進に向けた切り札とも言われています。PPAモデルでは、太陽光発電設備の所有はPPA事業者となるため、初期費用が不要なことと併せて、メンテナンス費用がかかりません。もちろん、PPA事業者の利益部分も必要になることから、導入可能かどうかの調査が必要になります。また、契約期間が約十五年から二十五年の長期になることから、施設の当面先の運用計画も併せて考える必要も出てきます。  私は、県有施設への太陽光発電設備の導入は、SDGsの観点や防災の観点などから推進すべきであると考えております。しかしながら、先ほども申し上げたとおり、導入へのコストや維持管理の面を考えたときにどうなのかということも考えないといけません。そのような中で、PPAモデルの制度を利用した導入は、県にとっても利点は多いものと考えます。  そこで、今後、防災施設のみに限らず、県有施設への太陽光発電設備の導入に関して、PPAモデルによる導入も含めて検討すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  四点目は、学校におけるデジタル化についてであります。  これまでGIGAスクール構想において、県内の小・中学校は一人一台、県立高校においては三人に一台のモバイル端末の整備が既に完了をしています。また、先議いたしました令和三年度予算の補正において、高等学校における一人一台端末や環境整備に係る予算を議決したところであります。最初の質問でも申し上げましたが、これから一人一台になったモバイル端末を利用してどのように学習指導をしていくのか、また、常時からのオンライン授業などへの取組が一層求められてきます。最初の導入から二年目を迎えます。これまでの先進的な事例からは、一年目は試行錯誤、二年目は意図的な活用をするようになり、三年目には学年・学校全体の計画的な取組に発展していったという経緯があるようです。本県においても、授業の中や学校活動、社会活動、家庭学習の中で意図的な活用をしていけるように取組を進めていただきたいと思います。  一方で、使用が進むにつれての課題も出てきます。その中で、これまでも私が危惧して再三申し上げてきた、ネットワークが不安定になったり、うまくつながらない端末が出るといったWi─Fi環境やインターネット環境の問題が県内においても出ているようです。今後、県立高校においてはその環境整備が行われるのだと思いますが、最大限使用した場合にきちんと耐えられる環境をつくらなければならないと思いますし、小・中学校の現在の状態も県教育委員会として把握し、その対応を市町教育委員会と協力しながら行っていただきたいと思います。  また、今後、約五年をめどに使用機器の更新も必要になってくるかと考えます。国からの財政支援が不透明な中で、更新方法なども早めに検討しておく必要があると考えます。  そこで、小・中学校及び県立高校におけるネットワーク環境の状況についての把握状況とその対応について、また、機器更新を含む今後の運用の考え方について、教育長のお考えをお伺いいたします。  先ほども申し上げたとおり、今回の補正予算で、生徒に対してや指導現場に対しては一定のICT環境は整うことになりますが、いわゆる教職員の方々の業務に関するデジタル化はどのように進めているのでしょうか。県庁内においては、デジタル戦略総室が先頭になり、業務の効率化や県民の皆様へのサービス向上の観点から、県民起点でその取組を進めていると理解をしています。この間言われてきた、教職員の方々の多忙さという状況の改善の観点や児童・生徒との向き合う時間の確保の観点などからも、今、本県において全庁的に進められているデジタル改革を学校現場でも行う必要があると考えます。RPAやAIなどの技術を活用して教職員の方々の業務の時間を短縮することは十分可能であると考えますし、生徒と教職員がともにデジタル技術を用いることにより、学習の深度を増すことも可能になると考えます。  そこで、学校現場におけるデジタル化をどのように進めてきたのか、また、今後どのように進めていくのか、教育長にお考えをお伺いいたします。  最後に、教員採用への取組についてお伺いをいたします。  先般、文部科学省が初めて実施した教員不足の全国実態調査の結果が公表されました。二〇二一年四月の始業日時点で、全国の公立学校において二千五百五十八人の教員不足が生じているとの内容でありました。本県においても、小学校が百五十二校中二校で四人、高校は二十九校中一校で一人が不足で、中学校も欠員が一人の状態でありました。不足しているところには、非常勤講師を補充してその不足を解消していると聞いています。  また、全国的に教員の採用試験、特に小学校教員における採用試験の倍率が低下しているという調査結果も出ています。本県においては、そのような状況も踏まえつつ、来年度より小・中学校教諭の志願者を対象に、教員採用試験の面接を関西地域でも受けられるように関西会場を設ける取組も行うと伺っております。  一方で、教員の質の問題にも目を向けなければなりません。教員採用試験の倍率が下がるということの一番の影響は、採用範囲が狭まるということです。よい教育を香川の子供たちに提供していくためには、やはり教える人の存在が重要だと考えます。本県においても、最近、教職員の不祥事が相次いで発生しており、教育に対する情熱を持ち、素養と資質を備えた教員という本県の目指すべき教員の像に合致しない場合が増えてきているように思います。学校の先生との出会いは、その後の子供たちの将来に大きく影響します。先生が不祥事を起こすことによる子供たちへの影響は計り知れませんし、あってはならないことであります。ゆえに、採用時や初任者研修時にきちんとした審査と研修が必要になります。  また、現在、各教科での専門性が求められ、デジタル化が進む中で、専門性の高い教員の確保やデジタル化への柔軟な対応ができる教員が必要とされています。  そのような観点から、質のよい教育を提供していくためには、志願者の母数を増やすということと、採用時に高い精度で素養の高い志願者を選抜するという二点が挙げられます。  まず、前者の、本県で教員になりたいという方を増やす活動については、各大学に向けたPR活動や秋募集の実施など、これまでにも多くの取組をされてきたものと承知しています。しかしながら、本県においても人口減少、少子高齢化が進み、本県との関わりのある方も大きく減少してきており、教員の成り手の確保という面から見ると、今後さらに厳しい状況が予測されています。  そこで、教員採用試験への受験者確保のために、これまでどのような活動を行ってきたのか、また、今後どのように受験者の確保を行っていくのか、教育長のお考えをお伺いいたします。  次に、後者の、採用時に高い精度で素養の高い志願者を選抜するという点です。選抜の精度を高めるには試験が重要となってきますが、現状は一次試験で適性検査、筆記試験、実技試験、集団面接及び二次試験での模擬授業、個人面接という内容で試験を実施していると伺っています。実際に教員の採用以外でも言えることではありますが、資質や人間性などを短時間の試験のみで見抜くということは非常に難しいことであると思います。しかし、限られた時間と人数で採用試験を行わなければならないということも事実です。  そこで、例えば、集団面接や個人面接での設問について、現在は一定の内容と面接官がそこで感じる内容を質問しているのだと考えますが、面接の専門家や心理学、ハラスメントの専門家を交えて、ある程度客観的に判断できるような設問を設けるなど、質の高い教員の採用につながる設問の構築などを検討してはどうかと考えます。  また、学校のICT化が進む中で、ITパスポートや教育情報化コーディネーターなどの資格保持者に対し、加点する取組を行っている自治体もあります。専門性の高い高等学校の教員や中学校の教員については、教育学部だけでなく、専門の学部や学科などを重視し、併せて論文の査読や学会の出席などを評価することも教員の質の向上につながるものと考えます。  そこで、教育に対する情熱を持ち、素養と資質を備えた教員という本県の目指すべき教員の像に合致した香川方式の教員採用について、ただいま申し上げたことも踏まえ、今後の教員採用試験の在り方をどのようにしていくのか、教育長の御所見をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)鏡原議員の御質問にお答えいたします。  まず、新型コロナウイルス感染症への対応と対策のうち、エッセンシャルワーカーの早期の仕事復帰への対応についてであります。  オミクロン株による感染が拡大している中、感染拡大防止と社会生活維持の両立を図る必要があり、社会生活維持の側面からは、エッセンシャルワーカーの方が濃厚接触者になった場合の待機期間を可能な限り短くし、早期に仕事復帰できるようにしていく必要があると認識しております。  こうしたことから、エッセンシャルワーカーのうち、医療提供体制の確保のために必要な医療従事者の方につきましては、国において八月十三日以降、ワクチンを二回接種済みで、接種後十四日間経過していることを前提に、無症状であり、毎日業務前にPCR検査または抗原定量検査を行い、陰性が確認されれば就業を可能とすることが示され、現在もその取扱いが継続されております。また、医療従事者以外のエッセンシャルワーカーの方につきましても、今年に入って国により、待機期間の短縮が可能な旨の方針が示されたことから、県におきまして国の基本的対処方針を踏まえ、エッセンシャルワーカーに該当する業務について決定し、一月二十四日に県ホームページや各市町を通じ幅広く周知するとともに、先月十八日以降は、新たな国の通知を受け、五日目にPCR検査等を実施し陰性を確認した場合などにおいて、待機期間が解除できる取扱いとしております。  さらに、感染防止を図るための取組として、県が実施するワクチンの広域集団接種において、エッセンシャルワーカーの方を優先予約の対象とし、先週の土日及び来週二十二日から来月十一日まで追加接種を行うこととしております。  私といたしましては、引き続き県ホームページなどを通じ、エッセンシャルワーカーの方が従事する事業者の方々に、濃厚接触者となった場合の取扱いを適切にお伝えすることなどにより、早期に仕事に復帰し、社会機能が維持できるように努めてまいります。  次は、観光におけるデジタルマーケティングについてであります。  急速に多様化している観光ニーズに対応し、より効果的に誘客を図るため、観光プロモーション活動においてデジタルマーケティング手法を取り入れることが重要な手段となっており、本県においても今年度からデジタルマーケティング観光誘客推進事業に取り組んでおります。  本事業は、首都圏や関西圏といった大都市圏在住者にSNSを通じて「アート」、「食」、「体験」などのテーマのPR動画を配信し、県公式観光サイト「うどん県旅ネット」の特設ページへ誘導することにより、テーマに沿ったより詳細な情報を提供するとともに、県内の体験イベントや宿泊の予約が可能な旅行予約サイトへのアクセスを促すことを目的に実施したものです。動画の配信は、新型コロナウイルスの感染状況に落ち着きが見え始めた昨年十月から開始したところ、例えば、アートに関する情報に対しては二十代半ばから四十代半ばの女性、食に関しては幅広い年齢層で関心が高いなどのほか、特定のSNSに対する反応が比較的よいなどの一定の傾向が見られましたことから、動画の配信先について、性別、年齢区分などを絞り込んでプロモーションを実施いたしました。  今後、詳細なデータの収集と分析を行い、閲覧者の増加につながるテーマや媒体の選定、ターゲット層の絞り込み等、スピード感を持った効果的なプロモーションに生かすとともに、来月開幕を迎える瀬戸内国際芸術祭二〇二二の会期中には、新たにSNS上で若者に大きな影響力を持ついわゆるインフルエンサーを起用し、若年層に瀬戸内やアートの魅力をアピールすることで、本県への誘客につなげてまいりたいと考えております。  私といたしましては、これまでの取組について高い評価をいただき、ありがたく思っておりますが、今後も様々な手法を活用した戦略的な観光プロモーション活動を展開し、観光誘客になお一層の注力を図ってまいります。  次に、県有施設への太陽光発電設備導入についてであります。  再生可能エネルギーの導入は、地球温暖化防止の観点に加え、議員御指摘のとおり、SDGsや防災の観点からも有用であることから、県では太陽光発電を中心に、その導入促進に取り組んでおります。そのため、先月策定したかがわエコオフィス計画でも県有施設への太陽光発電設備の導入拡大を重点施策の一つに位置づけ、県有施設の新築・改築を行う場合は原則として太陽光発電設備を設置することとし、改築等の予定のない既存の県有施設についても、設置可能性について検討を行い、設置が可能な施設から順次設置を進めることとしております。  自家消費を目的とした太陽光発電設備の設置方法としては、自ら設備を購入する方法以外に、発電事業者が設置費用や維持管理費用を負担し、利用者が電気利用料を支払ういわゆるPPAモデルや、リース事業者が同様の費用を負担し、利用者からは設備のリース料金を支払うリースモデルがあり、議員御提案のPPAモデルにつきましては、初期投資や維持管理費が発生せず、利用者の負担は実際に使用した電気利用料だけとなることから、近年活用事例が増加しつつあることは承知しております。一方で、PPAモデルにつきましては、契約期間が長期となるため、設備を設置した施設の利活用に制約が生じること、あるいは設置費用が電気利用料に転嫁されることとなるため、電気利用料を抑えるためには一定の事業規模が必要になるとの意見があることも承知しております。  私といたしましては、厳しい財政状況の中、PPAモデルも含め、どのような設置方法が効果的・効率的か、先行事例も参考に鋭意検討を行いながら、着実に取組を進めてまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(十河 直君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)鏡原議員の御質問にお答えいたします。  まず、新型コロナウイルス感染症への対応と対策のうち、学校における対応についてであります。  現在、公立小・中学校においては、感染症等の非常時の対応として、県内全ての市町でタブレット端末の持ち帰りの準備は整っているとのことであり、感染不安で登校を控えている児童・生徒に対して、タブレット端末を通して宿題やドリル等を行えるようにしたり、授業映像を配信したりすることで学習を保障している学校もあると聞いております。  県立高校では、臨時休業の際、同時双方向型のウェブ会議システムを活用してオンライン学習や生徒の健康調査を行ったり、学習課題等を配信することで自宅学習の促進を行った学校もありますが、現時点では一人一台端末の環境が整っていない中、タブレット端末の活用を前提とした一斉休校は困難であると判断いたしました。また、この期間、学年末考査や卒業式等の学校行事を控えていたことから、半日授業を実施した上で、一日ないし二日の臨時休業日を設けることで生徒の学校における滞在時間を減らすとともに、学級や学年閉鎖の速やかな対応を取ることで感染拡大の連鎖を断ち切ることといたしました。  県立高校においては、来年度中には一人一台端末が整備され、これまで以上にタブレット端末を活用した授業実践が可能となります。また、日常的にタブレット端末を持ち帰らせることで、非常時等においてもスムーズに同時双方向でのオンライン学習に移行できるよう取り組んでまいります。  オンライン授業の出席扱いについては、文部科学省の通知により、学級閉鎖や出席停止の場合、オンライン学習を受講した際には、通常の出席や欠席ではなく、特例の授業を受講した者として扱うこととされており、出席扱いはできないものと承知しております。  県教育委員会といたしましては、コロナ禍においても、ICTを活用しながら児童・生徒の学習保障に一層努めてまいります。  次は、学校におけるデジタル化についてであります。  議員御指摘のとおり、学校において一斉にオンライン教材などを利用した際にネットワークが不安定になるなどの課題があるため、多くの市町においては、時間帯をずらして端末を利用するよう学校に指導しているとのことです。また、一部の市町においては、来年度にネットワーク環境の評価を行い、トラブルの問題箇所を特定した上で改善策を講じる予定であると伺っています。  県立高校においても、インターネットへの接続不良など通信障害が起きていたことは承知しており、そのための改善対策を講じたところですが、今後、より安定したネットワーク環境を確保するため、回線の強化を行うこととしております。  GIGAスクール構想で整備された端末等の更新につきましては、国に対して、その財源を確保するよう要望しているところであります。県立高校においては、各都道府県によって整備手法が多様であることから、他県の動向も注視しながら、端末更新の進め方を検討してまいります。  学校現場のデジタル化につきましては、小・中学校においては校務支援システムを導入するなどデジタル化が進められている業務もありますが、勤務管理等でシステム化されていない業務もあり、教職員の負担となっております。今後は、各市町とも連携し、システム化に向けた研究を行ってまいりたいと考えております。  県立高校においては、平成三十年度までに生徒の学籍の記録や出欠の状況、成績等を一元管理するための校務支援システムの導入を完了しております。今後は、例えば、AIを活用してテストを採点する自動採点システムなど、業務の軽減が期待できるものについても、その導入について調査研究を行いたいと考えております。  県教育委員会といたしましては、今後とも学校のデジタル化を進め、校務の効率化や教育の質の向上に努めてまいります。  次に、教員採用への取組についてであります。  教員採用試験への受験者確保の取組としては、教職の魅力をアピールするポスター、動画等の作成や、全国の大学等で説明会を実施しているほか、各分野の専門性に優れた人材や社会経験豊かな人材を確保するために、受験資格の拡大や試験内容の縮減による負担軽減、採用試験の日程や会場の工夫にも努めております。こうした取組により、香川県では全国平均を上回る倍率を維持しているところです。  近年、教員志願者は全国的にも減少傾向にあり、将来的な志願者を増やすため、昨年度から県内の多数の高校を訪問し、高校生に対して教職の魅力ややりがいについて伝える取組を行っております。さらに、平成二十九年度には坂出高校普通科に教育創造コースを設置しており、香川大学教育学部と連携しながら、教員として必要な資質を備えた人材育成に努めているところです。  素養の高い志願者を選考するための試験については、面接時に民間企業の人事担当者や臨床心理士などが入り、それぞれの立場からの質問を取り入れるようにしておりますが、本県の教員に求められる人物像に合った方を選考できるよう、多様な視点から面接方法や質問内容の改善に努めてまいります。  また、英検一級等保有者や民間企業経験者といった特定の技能・経験を有する方に対しては、試験の一部を免除することで受験機会の拡大を図ってまいりましたが、議員御指摘のとおり、昨今、新たに求められているICTの技能や、より高い専門性を評価するための採用試験の在り方については、他県の取組を参考にしながら検討してまいりたいと考えております。  県教育委員会といたしましては、今後も教員の募集と採用の工夫に努め、優れた教員を確保し、教育の質の向上を図ってまいります。(降壇)
    ◯議長(十河 直君)理事者の答弁は終わりました。  暫時休憩いたします。                         午前十一時五十九分休憩                         午後 一時  七分開議     ─────────────────────────────   出  席  議  員    高  城  宗  幸 君    鏡  原  慎一郎  君    松  岡  里  佳 君    白  川  和  幸 君    岡  野  朱里子  君    秋  山  時  貞 君    斉  藤  勝  範 君    松  本  公  継 君    森     裕  行 君    米  田  晴  彦 君    木  村  篤  史 君    山  本  悟  史 君    谷  久  浩  一 君    氏  家  孝  志 君    高  木  英  一 君    樫     昭  二 君    山  田  正  芳 君    香  川  芳  文 君    高  田  良  徳 君    竹  本  敏  信 君    三  野  康  祐 君    新  田  耕  造 君    松  原  哲  也 君    広  瀬  良  隆 君    辻  村     修 君    石  川     豊 君    尾  崎  道  広 君    宮  本  欣  貞 君    山  本  直  樹 君    黒  島     啓 君    五所野尾  恭  一 君    花  崎  光  弘 君    大  山  一  郎 君    都  築  信  行 君    鎌  田  守  恭 君    平  木     享 君   欠  席  議  員    十  河     直 君    西  川  昭  吾 君    綾  田  福  雄 君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事    浜  田  恵  造 君           副  知  事    西  原  義  一 君           病院事業管理者    太  田  吉  夫 君           審  議  監    大  山     智 君           政 策 部 長    淀  谷  圭三郎  君           総 務 部 長    椋  田  那津希  君           危機管理総局長    寺  嶋  賢  治 君           環境森林部長     木  村  士  郎 君           健康福祉部長     土  岐  敦  史 君           商工労働部長     近  藤  清  志 君           交流推進部長     佐  藤  今日子  君           農政水産部長     新  池  伸  司 君           土 木 部 長    西  川  英  吉 君           文化芸術局長     小  川     剛 君           子ども政策推進局長  吉  田  典  子 君           会計管理者      田  中  一  裕 君           病 院 局 長    岡  田  総  一 君           デジタル戦略総室長  井手下   慶  博 君           知事公室長      尾  崎  英  司 君           教  育  長    工  代  祐  司 君           公安委員会委員    上  枝     康 君           警察本部長      今  井  宗  雄 君           代表監査委員     木  下  典  幸 君           監査委員事務局長   田  井  慎  二 君           人事委員会委員    高  濱  和  則 君           人事委員会事務局長  森  岡  英  司 君           労働委員会事務局長  河  内  一  裕 君    ───────────────────────────── ◯副議長(高城宗幸君)再開いたします。  一般質問を続行いたします。  山田正芳君。    (山田正芳君登壇、拍手) ◯山田正芳君 それでは、通告に従いまして一般質問を行います。  前回に引き続いて家庭教育への支援について、知事並びに教育長にお伺いをいたします。  国会において超党派の議員から成る親学推進議員連盟が発足したのは、今からほぼ十年前、平成二十四年四月のことであります。会長には安倍晋三氏が、そして副会長には歴代の文部科学大臣がずらりと顔を並べるというそうそうたるメンバーでスタートしたわけであります。この議員連盟の設立の目的ですが、前にも申し上げましたように、親としての学習、あるいは親になるための学習、つまり子供の発達段階に応じた親としての関わり方についての科学的知見あるいは情報を提供いたしましょうというものであります。また、日本の伝統的な子育ての知恵についても伝えていきたい、そして社会総がかりで家庭教育を支援いたしましょうというものであります。そして、この目的を達成するために、国においては新たに家庭教育推進法を、県レベルでは家庭教育支援条例の制定を目指すというものでもありました。現在、既に熊本県や鹿児島県など九つの県において、この条例は制定されているわけでありますけれども、この中身については、いずれもが教育の責任は基本的には親にあるということがはっきりと強調されております。  もちろん、伝統的な子育ての中には封建的要素もあったと思いますし、家制度自体、封建的要素に加えて、男尊女卑の風潮も全くなかったわけではありません。ですから、反省すべき点は反省すればよいと私は思うわけでありますけれども、ただ、以前も述べましたとおり、物事には常にプラスとマイナスの両面があります。ですから、昔は何もかもが全てひどかったというわけでは決してなくて、伝統的子育てあるいは家制度の中にだって、明らかにこれはいいという面があるのであれば、それはそれで利用しない手はないと思うわけであります。ただただ戦前の子育ては間違っていたんだ、それがこの国をあの戦争へと駆り立てていったんだなどとオーバーにおっしゃる方も中におられるわけでありますけれども、私はそういう考え方には強い違和感を持っている者の一人であります。むしろ、どうしてそのような考え方がもたらされたのか、そのことを明らかにすることこそ、とても大切なことではないかと思うわけであります。  そこで、敗戦直後の我が国において、アメリカが、いかに軍国主義と日本の伝統文化を混同させながら占領政策を進めていったかを明らかにしてまいりたいと思うのであります。  まず、当時のアメリカですけれども、日本占領の究極的目標は、我が国の武装解除にありました。そして、それをより確実なものに、そしてより長期的なものへと仕上げていくために、日本人自身の精神的武装解除が何よりも重要であると考えたわけであります。ただ、問題なのは、アメリカが軍国主義の根底に日本の伝統文化があると曲解し、誤解をしたことであります。日本人の本性には病的な特性があり、それは伝統的攻撃性であり、侵略主義なんだと。そして、その背景には神道があると彼らはにらんでいたようなのであります。このような誤解と偏見をベースにして戦後の教育政策が決定されていくことになりました。  具体的に申し上げますと、マッカーサー元帥を頂点とするGHQ(連合国軍総司令部)の中にCIE(民間情報教育局)という実行部隊が設置されました。そして、彼らによって、日本人に戦争犯罪の意識を刷り込むための情報宣伝計画が次々と実施されていきました。当時、彼らはこれをウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムと呼んでいたそうでありますけれども、まず彼らが最初に手がけたのが、アメリカの歴史観、アメリカ側の立場に立ったある一冊の論文の作成です。これが、あの「太平洋戦争史」という読み物であります。彼らは、これを文部省に翻訳をさせて、全国の学校に教材として配布をさせました。ですから、占領下の日本の子供たちは、このGHQが書いた「太平洋戦争史」を自分の国の物語として学ぶことを強要されたというわけであります。  また、GHQは、占領初期の段階ではありましたけれども、共産主義者や社会主義者らも利用したりしています。もともと異質なはずのこのアメリカの歴史観とコミンテルン史観がなぜ合体したのか。誠に不思議な話ではありますけれども、それがどうして可能になったかと言いますと、日本の軍国主義の根底には天皇制を柱とする特異な国民性があると。だから、それをたたき潰すことで日本が二度と再び立ち上がれないようにせねばならない。この点で両者の意見は一致したのだと言われています。もちろん、そのような考え方は誤解と偏見から生じたものであることは既に申し上げましたけれども、いずれにいたしましても、占領初期、GHQと共産主義者らが癒着をしながら戦後日本の教育を形づくっていったということは、これは注目に値すべき点であると言えます。  次に、GHQが手がけたのが、この「太平洋戦争史」を使った全国新聞連載キャンペーンであります。昭和二十年十二月八日からGHQは、この「太平洋戦争史」を全国の新聞社に連載することを強要しました。幾ら言論統制下の時代といえ、当時のマスコミの主体性のなさも見事なものであります。その一例を挙げますと、例えば、ある新聞社は、「隠蔽されし真実、今ここに明らかに暴露」と大見出しを掲げて、勇んでこの「太平洋戦争史」を紹介しています。また、ある新聞社などは、連合国軍総司令部の好意によって、真実のこの歴史が今日、日本国民に提供される機会を得たことは誠に喜ばしい限りなどと書くありさま。戦時中、あれだけ軍部に協力したマスコミが。開いた口が塞がらないとはこのことであります。  また、「真相はこうだ」というラジオ番組も制作されています。これは、我が国の戦争指導者が戦犯として逮捕される時期に合わせて、まさにジャストタイミングでこの番組は放送が開始されました。たしか、この番組は十週連続で全国に流されたと伺っております。  このように、GHQはあらゆる手段を講じて日本人に戦争犯罪の意識を刷りこむことに躍起となっていました。映画もまた有効な手段の一つとみなされていたようです。GHQが仕組んで日本の映画会社に作らせた作品は全部で九本。例えば、黒澤 明監督の初期の作品「わが青春に悔なし」など、これらの作品はいずれも、あの侵略戦争は軍人と一部の政治家や財閥が引き起こしたものなんだと、それをそこかしこに匂わせるような内容のものばかりとなっています。娯楽が極端に少なかった時代でもあり、合わせて三千万人以上もの人々が、これらの作品を鑑賞したと言われています。それが功を奏したのか、GHQのウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムの最終段階では、この映画が大変重要視されたと聞いております。戦時中、軍部に協力して、例えば「ハワイ・マレー沖海戦」、あるいは「加藤隼戦闘隊」などの戦争映画を数多く作り続けたあの東宝が、戦後は一転して、最も過激な組合員を生み出しています。GHQが喜ぶような、例えば「青い山脈」のような作品を次々と世に送り出したということは、GHQと共産主義者らの癒着ぶりを象徴する出来事であったと言えましょう。  また、GHQの検閲官は、こうやって作られてくる映画作品の中で、日本人の伝統的価値観であるところの忠義、この忠義という言葉が出てくることに最も強い反発を示していたといいます。また、GHQは、マルクス主義者で歴史学者の羽仁五郎氏を度々呼びつけて密談を重ね、そしてあの日教組、日本教職員組合を結成させているのです。そうやってGHQは、戦後教育の、戦後の歴史教育の担い手づくりにも手を貸したというわけであります。  結局のところ、GHQは、一方的なやり方で我が国の伝統文化を断罪し、日本人に全面的武装解除を押しつけようとしたわけであります。  戦艦ミズーリにおける降伏文書調印式の後のマッカーサーの発言も、実に偏見に満ちたものでありました。日本人の精神年齢は十二歳であるだとか、日本人は性格改善を行わなければならないなどといった声明を出しているのです。彼の気持ちの中に、日本人の性格には伝統的攻撃性があり、侵略主義がはびこっていると、このような幻想を抱いていたことは事実であります。民主化という美名の下、彼らは徹底的に日本人に対し、過去に対する罪の意識を植え付けることをもくろんだのであります。そして、そのもくろみは、残念ながら見事に成功していると言わざるを得ません。  例えば、広島の原爆慰霊碑。皆さん御承知のとおり、あの慰霊碑には「過ちは繰り返しませぬから」という言葉が刻まれています。ここで言う過ちというのは、原爆を落とした側を指しているのではありません。日本人が戦争を始めたことを言っているのであります。核を使って無差別の大量殺りくをやった側は一切弾劾することなく、そもそもこのような結果を招いた日本人自身が反省すべきなのだと、こう言いたいわけであります。  さて、話は変わりますけれども、ここで戦後教育の指標となりました新教育指針というものについて少し触れさせていただきたいと思います。この新教育指針というのは、昭和二十一年五月に発行されております。まだ学習指導要領のない時代であります。この新教育指針を読めば、当時のGHQの考え方が手に取るようによく分かると言われています。この新教育指針は、全学校の全教師及び将来教師たるべき全生徒に読ましむべきこととして、GHQが文部省に作成をさせたものであります。そこに大きな問題があったと言わざるを得ません。本来であるならば、これを読んだ教師の側からこの内容は間違っているという批判する主体性がなくてはなりませんでした。ところが、実際にはそれはできませんでした。なぜかといいますと、もうそれまでの間に、全教師のうち約五分の一もの人々が公職追放によって学校現場を首になっていたからであります。ですから、もし、これを批判しようものなら自分もまた追放されてしまう、そういう恐れが現場教師の間に広まっていたことは事実です。その結果、上から与えられたものについては全て無批判に受け入れるという風潮が教師全体に広がってしまいました。そして、GHQは、この自分たちがつくった再教育プログラムを自分たちが日本を去った後も日本人自身の手によって継続されていくように、当時協力関係にあった共産主義者らに、このためにそれ相応の社会的ポジションも与えていったのであります。  それはさておき、今の教育基本法が最初に制定されたのが、その後の昭和二十二年のことであります。本来であるならば、この中に家庭教育の条文は入るべきでした。なぜかといいますと、我が国では昔から、家庭、学校、そして地域が教育の三本柱であると考えられてきたからであります。教育の道は、家庭の教えで芽を出し、学校の教えで花が咲き、そして世間の教えで実がなるというようなことわざが昔からあることからも明らかであります。しかしながら、教育基本法の大きな柱の一つとなるべき家庭教育は排除されてしまいました。なぜか。先ほどから申し上げておりますように、GHQの中に戦前の日本の家庭というものに対する強い偏見があったからであります。戦前の日本の家庭は男が女を支配するものであり、家制度自体が、抑圧的な階層制度であると決めつけていたからであります。結果として、家庭教育は排除されてしまいました。しかしながら、そもそも男女の特性は基本的に異なるものであります。男女の特性を区別し、生かし合い、また、補い合うということと、男女差別は根本的に違うと私は思っております。  かつて評論家で作家であった犬養道子さんも言っておられました。日本人は、昔から男が女を差別するなんていう関係はなかったんです。亭主関白などと言いながら、実際は夫が妻の手のひらの上にちょこんと収まっていたにすぎないんです。それが本来の夫婦関係の在り方だったんですよと、こんなふうにおっしゃっておられました。  本来の夫婦関係というものを全く無視して、GHQは日本人の家庭の在り方まで変えようとしたのであります。そして、彼らの目指したところの男女平等の成果は、今や目に見える形で明らかになってきております。例えば、近年、草食系男子などと言われる何か弱々しい男が随分と増えたのは、私はその成果の現れではないかと残念に思っている次第であります。これまでは家庭教育に行政が介入するというのは、個人の価値観に対する不当な介入であるとして批判的に見られてきました。しかしながら、家庭教育がまともになされていない現状を見るとき、やはり何らかの手を打つ必要があるのではないかと、私だってそう思います。  そこで、子供たちの発達を保障するという観点から、子供と同じように親も一緒に育てましょうという発想が生まれてきたのであります。子供も親も、親子関係を通して共に成長するものであります。親は子供を産んで初めて親一年生となり、そして子育てを通して親二年生、三年生というふうに、子供と共に成長するものなのであります。子供も親も、発達力というものを内在しています。ですから、この内在しているはずの発達力を支援いたしましょうというのが、この考え方のベースであります。  冒頭紹介いたしましたけれども、熊本県の家庭教育基本条例では、核家族化あるいは地域の連帯感の希薄化が進む中で、家庭教育への支援については、親だけではなく学校、地域、そして県、それぞれがそれぞれの役割を果たすべきであると言っています。そのような状況は、我が県も全く同様です。核家族化の進行、また、かつてなら同居していたはずの祖父母による子育ての知恵、あるいは体験の伝達が不可能になってしまった今、やはり行政をも含めた地域全体としてどのように取り組むべきかは喫緊の課題であります。  最後にいたしますけれども、アメリカではつい最近まで、対日占領政策についてのシンポジウムが毎年のように開催されていたと聞いております。会場にはGHQの生き残りたちがたくさん集まってきて、そして、ある時期までは、あのマッカーサー夫人も毎年のように参加をしておられたということであります。当時の映像を見ては、彼らは満面の笑みを浮かべて拍手喝采であったというのです。我々の占領政策は大成功であったと口々に言っていたというのです。まるで今日の日本があるのは自分たちのおかげだと言わんがばかりに。戦争が終わってから七十六年も経過しているというのに、いまだに私たち日本人はGHQの呪縛から逃れられずにいるのであります。ですから、これを一日も早く断ち切ってしまわなければ、日本が日本でなくなってしまう。今や、そのような危機的な状況に直面しているということに私たちは気づくべきなのであります。  そこで、知事並びに教育長にお伺いをいたします。  まず、核家族化の進行に伴う急激な社会の変化の中で、知事は、それぞれの子育て家庭が孤立化をしないために、地域としてどのように支えていくべきであるとお考えでしょうか、お答えください。  次に、教育長は、昨年九月定例会の答弁で、家庭教育支援条例の制定については今後研究をしてまいりたいとのことでありました。それでは、お尋ねをいたしますけれども、家庭教育という今や見過ごせないこの大きな問題について、教育長は、親、学校、地域、そして県、それぞれがどのような役割を果たすべきであるとお考えなのでしょうか。  以上、二点お伺いをすることとし、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(高城宗幸君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)山田議員の家庭教育への支援についての御質問にお答えいたします。  核家族化の進行や地域のつながりの希薄化により、気軽に相談できる相手が身近にいないなど、子育てに対して不安や悩み、孤立感を感じている保護者への対応が必要となっており、社会全体で子育てを応援する機運を高めながら、地域における子ども・子育て支援に取り組んでいくことが重要であると考えております。  このため、今年度策定した「みんなでつくるせとうち田園都市・香川」実現計画において、「「子育て県かがわ」の実現を目指す」を重点施策の一つとして位置づけ、子ども・子育て支援の充実を図ることとし、子育て支援NPOや企業、各市町等と連携・協力して、地域における子育て支援ネットワークづくりなど、社会全体で子供と子育て家庭を支援していく取組を進めるとともに、コロナ禍において対面による支援が制限される中、ICTも活用しながら子育てに関する相談・支援を行う体制の充実などを図っております。  具体的には、地域や企業で子育て家庭を応援する意識を啓発するため、毎月十九日の育児の日を中心に、加盟店舗が子育て家庭へお得なサービスを提供するみんなトクだね応援団や、三人以上の子供さんがいる家庭を応援するさんさんパスポートのほか、子育て家庭の外出を支援するかがわこどもの駅の認定を実施しているところであり、今年度、加盟店舗の取組を紹介するホームページをリニューアルし、提供していただいているサービスを閲覧しやすくするとともに、感染症対策の情報も掲載するなど、利便性の向上を図っております。  また、県では、子育て中の親子が気軽に集い、交流しながら子育ての不安や悩みを相談できる地域子育て支援拠点を設置する各市町を支援するとともに、コロナ禍においても相談や交流ができるよう、オンラインを活用した子育て支援の手引書を作成したほか、来年度からは、育てにくさを感じている保護者への支援を充実するため、新たに、発達障害児など気になる子供への対応方法などについて、地域子育て支援拠点の支援員等を対象とした専門的な研修を開始するなど、機能の充実を図ってまいりたいと考えております。  さらに、家庭ごとの状況に合った子育て支援サービスを利用できるよう、情報提供や相談・援助を行う利用者支援事業、子育て支援を受けたい人と支援をしたい人が登録し、会員同士が地域においてお互いに援助する活動を支援するファミリー・サポート・センター事業などを実施する市町を支援し、多様なニーズに応えられるよう取り組んでいるところであります。  私といたしましては、引き続き各市町や関係機関と連携しながらこのような取組を一層充実し、次代を担う子供たちを安心して生み、健やかに育てることができる環境づくりを図ってまいりたいと考えております。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)山田議員の家庭教育への支援についての御質問にお答えいたします。
     近年、急激な技術革新や社会のグローバル化の進展などにより、予測困難な時代を迎えており、このような時代に子供たちが変化を前向きに受け止め、夢や志を持って生きていくためには、学校、家庭、地域がその役割を担いつつ、相互に連携して子供の心身を支える基盤を育成することが重要です。  家庭は、子供たちの心身の健康を育み、基本的な生活習慣、倫理観、自立心や自制心、社会的なマナーを身につける上で重要な役割を担っており、まさに教育の原点であり、教育基本法では、保護者が子供の教育について第一義的責任を有することなどが定められております。しかしながら、最近では核家族化や少子化、地域におけるつながりの希薄化など、家庭や家族を取り巻く環境の変化の中で、地域から孤立しがちな家庭や、子供との接し方やしつけ方が分からないといった子育てに不安や悩みを抱える保護者が増えています。  学校の役割については、子供たちが学校生活での学習や様々な活動を通して、知識・技能の習得をはじめとして、自立心、協調性、規範意識などを育てるとともに、家庭や地域住民と連携・協働して、望ましい生活習慣の定着や生活面での自立を促す取組を行っていくことと考えております。  地域の役割としては、幅広い世代の人々が、地域の様々な行事、体験活動等を通して、子供たちが自主性や創造性、社会性を身につけることができるよう、その健全な育成を見守り、支えることが期待されています。しかし、近年、地域におけるつながりの希薄化や地域活動の担い手の不足などにより、子供たちが社会のルールや人間関係の在り方を学ぶ機会が少なくなってきており、地域の教育力の低下も課題となっています。  このため、県教育委員会では、昨年策定した第四期香川県教育基本計画において、重点項目として「家庭や地域での学びの環境づくり」を掲げ、家庭や地域の教育力の向上に向けて、地域全体で子供たちの学びや成長を支え続けることができるよう、家庭教育へのきめ細やかな支援や、学校と地域との連携強化などに取り組むこととしています。  このうち家庭に対しては、親育ちのための学習機会の充実を図るため、家庭教育啓発月間を中心とした広報啓発活動をはじめ、子育てに対する不安や悩みを解消・軽減するための家庭教育に関する保護者参加型ワークショップの開催や、家庭教育に関する保護者に向けた冊子の配布などを行ってまいります。また、保護者が悩みを共有できる相手がいないなど様々な状況にある子育て中の保護者を支援するため、電話相談や面接相談など、きめ細やかな相談体制の充実を図るとともに、各種相談機関との連携に努めてまいります。  学校と地域の連携強化については、子供たちの健やかな成長と地域活性化のために、「学校を核とした地域づくり」と「地域とともにある学校づくり」が、それぞれの地域の実情に応じて進められるよう取り組んでまいります。具体的には、地域住民が学校運営に参画するコミュニティ・スクールの導入を進めるとともに、地域の団体をネットワーク化し、持続的に地域と学校の連携を図る地域学校協働本部の整備を促進してまいります。  県教育委員会といたしましては、学校はもとより、家庭、地域に対しても、それぞれの役割についての理解を促し、三者が連携・協働して、地域全体で子供たちを育てる機運の醸成を図りながら、子供たちの健全な育成をより一層支援してまいります。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)一般質問を続行いたします。  秋山時貞君。    (秋山時貞君登壇、拍手) ◯秋山時貞君 初めに、知事の政治姿勢として、ロシアのウクライナ侵略と核兵器禁止条約について伺います。  二月二十四日、ロシアのプーチン政権がウクライナへの侵略を開始しました。侵略はウクライナ全土に及び、民間人を含む多くの人々が犠牲になっています。今回のロシアの行動は、主権の尊重、領土の保全、武力行使の禁止などを義務づけた国連憲章に明確に違反するものであり、絶対に許すわけにはいきません。香川県議会として、十一日、ロシアのウクライナ侵略について断固抗議する決議を全会一致で可決したところでありますが、一番大事なことは、世界の多くの国々と市民社会が、侵略をやめろ、国連憲章を守れの一点で声を上げ、力を合わせ、国際世論でプーチン政権を圧倒的に包囲していくことです。  知事におかれましては、自治体の長としてはっきりと抗議の意を表明し、本県からも全世界へ強い連帯を広げていくべきだと考えますが、いかがですか。  さて、私は、ロシアによるウクライナ侵略の下で、これを口実にさらなる軍拡を一挙に進めようとする動きがあることに危機感を持っています。軍事による対抗に頼ろうとするのは安直な戦前回帰であり、戦後の国際秩序を否定するものです。とりわけ岸田首相が敵基地攻撃能力の保有検討を表明したことは、危険な逆行です。安倍晋三元首相は、敵基地だけに限定せず、抑止力としての攻撃力を持つとか、相手国をせん滅するような打撃力をという言い方までしています。日本が敵基地攻撃能力を持てば、北朝鮮であれ中国であれ、それを上回る軍拡を進め、際限のない軍拡競走になります。  東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国では、友好協力条約(TAC)を結び、年間千回を超える会議を行い、日々顔を合わせ、膝を突き合わせる中で対話と協力の地域をつくる努力を行っています。そして、このASEANが中心となってつくられた東アジアサミット(EAS)には中国や韓国、アメリカやロシアなども参加し、平和と協力の枠組みが進められています。私は、これこそ二十一世紀の国際社会が進むべき道だと考えます。  ロシアのウクライナ侵略を利用し、力に力で応える道に進むべきではないと考えますが、知事の御所見をお伺いします。  プーチン政権が核兵器による威嚇を公然と行う下で、安倍晋三元首相や自民党の一部政治家、日本維新の会を先頭に、アメリカの核兵器を日本に配備して共同運用する核共有(ニュークリア・シェアリング)の議論を進めようと躍起になっています。ロシアに対して核兵器による威嚇は絶対に許さないという強い批判が高まる下で日本も核共有をやるという議論は、核による威嚇、まさにプーチン政権と同じ立場に身を置くことになります。核共有は、広島、長崎の非人道的な惨禍を経て、日本が国是と定めた非核三原則に明確に違反すると考えますが、知事はどのような認識をお持ちでしょうか、お答えください。  そして、この非核三原則の精神を世界的規模で条約にしたものが核兵器禁止条約です。核兵器のない世界の実現に向け、唯一の戦争被爆国である日本がその役割を発揮するため、国に対して核兵器禁止条約への参加を求めるべきです。知事の御所見をお伺いします。  次に、男女賃金格差とジェンダー平等についてです。  ジェンダーとは、生物学的性別ではなく、社会的・文化的につくられてきた性別を指す概念的な言葉です。身体的特徴にもグラデーションがあることや、性自己同一性、性自認と身体的特徴は必ずしも一致しないことも解明されてきました。ジェンダー平等社会とは、多様なそれぞれの人がその人らしく生きていくことが大事にされる社会です。  世界経済フォーラムが発表している二〇二一年ジェンダーギャップ指数において、日本は百五十六か国中、百二十位であり、特に政治分野で百四十七位、経済分野で百十七位と総合順位を引き下げています。日本は、ジェンダー後進国と言わなければなりません。  ジェンダーギャップでの経済分野の遅れの原因は、女性管理職の比率の低さ、男女賃金格差などです。女性の賃金は、正社員で男性の七割台、非正規雇用を含む年間平均給与では、国税庁調査によれば、男性五百三十二万円に対して女性は二百九十三万円で、年間約二百四十万円の男女差があります。四十年勤続して試算すると、生涯賃金では約一億円もの差になります。女性の賃金は男性よりも低いのが当たり前という風潮と慣行は、職場や家庭でも男女不平等をつくり出しています。女性の労働は家計補助として扱われ、パートなど非正規雇用に追いやられてきました。共働き夫婦に子供が生まれれば、賃金の低い妻が休職・退職を選び、家事や育児の責任を引き受けがちです。離婚すると経済的に自立できないため、配偶者の暴力から逃れられない女性がいます。賃金の平等は、ジェンダー平等社会を築く上での土台であり、バロメーターです。  知事に伺います。  男女賃金格差の要因は、管理職比率の低さ、非正規化による貧困化、保育や介護など女性の多いケア労働の賃金が抑えられていることなどです。これらは、男は仕事、女は家庭というような制度的・政治的につくり出されてきた男女の役割分担によるものだとの認識に立ち、だからこそ、政治、行政が責任を持ってこれを改善していくことが重要だと考えますが、いかがですか。お答えください。  EUでは女性の平均賃金は男性の八割から九割であり、日本よりよほど進んでいますが、それでもこの格差を重大な問題と捉え、企業に男女の賃金格差の公表を義務づけ、是正しない企業に罰則を科す施策を打ち出しています。イギリス、フランス、ドイツなどでは既にこうした施策が具体化されています。  日本では、女性活躍推進法で事業主は男女労働者の格差の状況を把握して行動計画を策定し、各都道府県労働局に届出を行うことになっていますが、賃金について公表義務はなく、状況把握の際の任意の項目となっています。私は、男女の賃金格差の実態を公表し、是正につなげることが重要だと考えますが、いかがですか。県として状況把握に努め、男女別賃金の公表を求めていくことについて、併せて知事の御所見をお伺いします。  さて、賃金格差の要因として、従来女性が多く働いてきた介護、福祉、保育などのケア労働の賃金が他産業より低いことがあります。全産業平均三十三万六百円に対して、介護職員は二十五万二千三百円、保育士は二十四万九千八百円と、月八万円の差があります。政府は介護職員処遇改善支援補助金を交付するとしていますが、月九千円では格差是正には程遠いし、十月以降は介護保険料や利用料に上乗せされることになります。また、保育士の賃金も、国の公定価格によりますが、勤続年数(平均)は十二年で頭打ちとされ、寝たきり賃金となります。自治体としても必要な加算をすること、公的保育で賃金水準を確保、国に配置基準の改善や適正価格を求めていくことが必要です。  また、自治体は、官製ワーキングプアを生み出している当事者です。国の交付金において行革推進の誘導が行われ、住民サービスが第一の業務においても、アウトソーシング、民営化、指定管理制度など様々な方式が持ち込まれ、既に多くの業務が派遣や契約、パートなどの非正規雇用に代替させられています。二〇二〇年から導入された会計年度任用職員制度では、臨時職員の待遇改善を進める名目で契約更新を限定させ、正規化を阻むものとなっています。「制度導入で一日の労働時間を短縮され、ボーナスが支給されたが、同じ仕事なのに総額は年間十八万円下がった」、「会計年度任用職員になれば昇給、ボーナス、年休も勤続年数で加算されると言われたが、勤続年数一年未満のままだ」などの声が寄せられています。全国六十二万人の会計年度任用職員のうち、技能労務職員を除けば、保育や図書館、給食など、九割以上が女性です。一般事務職でも八割が女性です。  以上述べたように、ケア労働や官製ワーキングプアに対する自治体としての責任をどのように考え、男女の賃金格差是正のため、今後どのように対応していくお考えか、知事の御所見をお伺いします。  次に、医療・公衆衛生体制の拡充についてです。  新型コロナウイルス感染症の急激な感染拡大に際して、二月十五日、全国知事会は緊急提言で、多くの地域で保健・医療体制が危機的な状況に陥りつつあると述べました。日本の医療提供体制の貧弱さが改めて浮き彫りになり、地域医療構想による病床・医療体制のリストラ政策の破綻は明白です。そんな中、政府は、自らの社会保障削減路線がコロナ禍での医療崩壊を招いたことを反省するどころか、地域医療構想を進めるための新たな公立病院経営強化ガイドラインを策定し、今後、自治体に対して第八次保健医療計画と併せて、二〇二三年度中に公立病院経営強化プランを策定させる方針を示しました。  二〇〇七年からの公立病院改革ガイドライン、二〇一五年からの新公立病院改革ガイドラインを通じて全国の公立病院は再編統合、独法化、民間譲渡の圧力にさらされました。二〇〇八年から二〇二〇年の間に公立病院数は九百四十三から八百五十三に減り、病床数も二十二万八千床から二十万三千床に減りました。本県でも、二〇一四年には六千三百六十七床あった急性期病床が二〇二〇年には五千六百六床と、僅か六年間で七百六十一床も減らしています。さらに、香川県地域医療構想では、二〇二五年に必要病床数という言い方で三千三百八十六床という目標を掲げています。  国の示すプラン策定の要請では、都道府県の役割として、地域医療構想の策定主体としての調整機能をこれまで以上に強化することが必要だとしています。私は、今、県としてやるべきことは、病床削減に向けた旗振りではなく、医師や看護師の確保と一体のゆとりを持った医療体制の拡充だと考えますが、いかがですか。  また、地域医療構想の名の下、公立・公的病院の統廃合を含む再編や、社会保障のためといって増税した消費税を財源に、病床機能再編支援などと言い二十万床もの急性期病床を削減する政策を改めさせるよう、国に対して計画の撤回を求めるべきだと考えますが、いかがですか。併せて知事にお伺いします。  さて、この間、減らされてきたのは病床だけではありません。「行革だ行革だ」と言って、公衆衛生に欠かせない保健所と職員が減らされ続けてきました。二〇二〇年に新型コロナの国内感染が始まったとき、対策の最前線に立つことになった保健所職員は、PCR検査の相談、入院のあっせん、検体搬送、感染者の追跡調査と感染症発生動向調査など、本当に連日、苛酷な業務に追われました。しかし、その不眠不休の奮闘にもかかわらず、保健所に電話をかけてもつながらない、PCR検査が受けられないなどの事態が各地で起こり、現場は文字どおりパンクしました。  地域の感染症対策の拠点である保健所は、一九九〇年代の地域保健法施行を契機とする業務効率化の押しつけと、二〇〇〇年代の地方分権改革による国の責任後退の中で、一九九〇年度の八百五十か所から二〇二〇年度は四百六十九か所へ、ほぼ半分に減らされてきました。職員数も、一九九〇年度三・五万人から二〇一七年度の二・八万人へと七千人も減らされています。保健所と職員を減らし過ぎたことがコロナ禍での業務パンクを引き起こす最大の要因となったことは言うまでもありません。  本県でも、かつて県内に七つあった保健所が、現在は高松市に一つあるものの、県の保健所は四つとなりました。また、地方公共団体定員管理調査によると、一九八九年に二百八十五人いた保健所職員も、二〇二一年には百五十二人にまで減っています。私も、保健所の職員さんから、「連日ほぼ徹夜で休みも取得できずいらいらする」、「常勤を増やしてほしい」、「他部署から応援職員が来ても座る椅子も電話もない」、「狭い空間にすし詰め状態でむちゃくちゃ」、「もう限界です」と痛切な訴えを聞きました。  知事にお伺いします。  予算も人員も体制もコロナ対応に集中して投下せざるを得ない状況の中、ほかの公衆衛生業務を放置するわけにもいきません。やはり、このままでは、県民の命と健康は守れません。コロナ危機に対応する上でも、公衆衛生の体制を立て直すためにも、保健所職員の抜本的増員は急務だと考えますが、いかがですか。  臨時採用や応援派遣によって緊急増員しながら増やした職員を定員化し、正規の職員につなげていくべきです。県として、保健所の体制強化にこれまでどのように取り組んできたのか。それが全然足りない実態がある中で、今後どのように対策を講じていくのか、お示しください。  次に、コロナ禍における雇用の確保についてです。  厚生労働省が昨日発表した「新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について」によると、新型コロナ感染拡大に起因する非正規雇用労働者の解雇・雇い止めが間もなく六万人に達しようとしています。厚労省は、都道府県労働局の聞き取り情報や公共職業安定所に寄せられた相談・報告などを基に、新型コロナの影響による解雇等見込み労働者数の動向を集計していますが、今月十一日時点の数字で累計十二万九千四百二十五人となっており、そのうち非正規雇用労働者数は五万九千三百九人です。調査の開始時点が異なるため完全な内数というわけではありませんが、数字に表れる以上に、立場の弱い非正規労働者が解雇などの見込み数に多く含まれているのではないかと考えられます。二年以上続くコロナ禍で、業種を問わず各事業者において、売上げの減少等により事業の継続が困難で休業を余儀なくされている事業者が多くいます。このような場合に雇用の調整弁となっているのが非正規労働者の実態です。  先月十九日、全労連や生活保護問題対策全国会議などで組織する実行委員会が主催した「コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守るなんでも電話相談会」が全国二十六都道府県三十五会場で行われました。全国で一千百件を超える相談があり、あるパートの男性は、「会社から四千円の休業手当が出ていることを理由に、申請した休業支援金が不支給になった」、また、ある非正規雇用の女性は、「コロナの疑いがあったので二週間仕事を休んでいたが、欠勤扱いにされている」など、非正規労働者からも多くの相談が寄せられています。  新型コロナ感染症パンデミック以前は何の問題もなく働くことができていた労働者が、業績の悪化により簡単に解雇されてしまう状況について、絶対に改善されなければならないと考えますが、いかがですか。知事の御所見をお伺いします。  また、本県においても、多くの労働者がコロナ禍で生活不安を抱えています。労働者からの相談に対してどのような対応を行っているのか、そして、とりわけ非正規雇用労働者を中心に、労働者の雇用の確保を図るため、県としてどのような取組を進めていくのか、併せてお伺いいたします。  次に、産廃処理施設の建設についてです。  三豊市財田町に新たな産業廃棄物処理施設として管理型最終処分場の建設が計画されており、県は、設置者からの申請を昨年五月二十八日に受理しています。計画によりますと、総工事費約六億円、埋立容量は約十七万立米で、二十八年間埋め立てるとしています。また、浸出水は排水処理施設で処理され、財田川へ一日当たり最大百二十トン放流予定です。  この計画をめぐっては、三豊市や観音寺市の市民がつくる財田川の水を守る会が、計画中の産廃処理施設に反対し、他の適地へ建設場所を変更するよう求めています。二月八日には、今後起こるとされている南海地震も想定した上で、今回計画の最終処分場は財田川から約三百二十メートルのところに位置し、三豊・観音寺地域の命の水であり水道水の水源である財田川水系に影響を及ぼす可能性が非常に大であると浜田知事に対して陳情し、二千六百十七筆の署名を提出しています。  知事は、この市民・住民の声をどのように受け止めているのか、お伺いいたします。  また、本計画地には基準不適合の特定有害物質を含んだ土砂があり、それを処理施設の建設の際にまた埋め戻すということが分かり、住民の不安を広げています。一方、県として、その土砂がどのくらいの量になるのかも含めて全容を把握するに至っていません。この建設予定地は一九九八年頃に産業廃棄物の不法投棄事件が起こっており、その廃棄物は適切に処理・撤去されたとしておりますが、そのときの対応は本当に適切だったのか。この間、有害物質がずっと漏れ出ていた可能性すらあり、もしかしたらと住民の不安や不信感は高まっているのです。日本最大の豊島の産廃不法投棄事件を起こした香川県として、今、産廃行政が問われています。設置事業者の言い分をそのままに受け止め、県として何も調査しないということはまかり通りません。県として責任を持った対応が求められます。三月七日には、この計画について産業廃棄物審議会が行われ、県は今後、この計画の許認可について検討することになります。  私は、汚染された土壌の全容が分からない下では、とても許可できるような状況にないと考えます。財田川上流に処理水が流されるということは、その流域の水利や漁業、酒造りなど、地場産業にも大きな影響を与えることになります。十分な調査もなく拙速に計画を進めることはせず、地元住民や利害関係者の声に寄り添った慎重な対応が求められると考えます。知事の御所見をお伺いしまして、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(高城宗幸君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)秋山議員の御質問にお答えいたします。  まず、ロシアのウクライナ侵攻と核兵器禁止条約に対する私の政治姿勢についてであります。  私は、このたびのロシア軍のウクライナへの軍事侵攻は、国際社会の平和と秩序、安全を脅かし、明らかに国連憲章に違反する行為であり、断じて容認できるものではないと考えております。先月二十五日には、全国の知事を代表して全国知事会長から、即時に完全かつ無条件でのロシア軍の撤退と、世界の恒久平和の実現に向けた国際法に基づく誠意を持った対応を強く求める声明を出したところであります。国際社会における緊張緩和に向けては、これまでも様々な外交努力が行われてきているところであり、力による一方的な現状変更ではなく、外交交渉により関係国にとって受け入れられる解決方法を粘り強く追求していくべきものと考えております。  私といたしましては、我が国は世界で唯一の被爆国であり、非核三原則を堅持する我が国の立場から、核共有につきましては認められないものと考えております。また、核兵器のない世界の実現に向け、我が国をはじめ各国の外交努力が積み重ねられてきておりますが、核兵器禁止条約の具体的な取組につきましては、現在の世界における安全保障環境の厳しい状況も踏まえて対処せざるを得ないのではないかと考えております。  次に、男女賃金格差とジェンダー平等についてであります。  男女の賃金格差は、管理職比率や勤続年数に差異があることに加え、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間に給与等で格差が存在しており、非正規雇用労働者に女性が多いことなどによるものと考えております。こうした状況は、男性中心の働き方等を前提とする労働慣行や、長年にわたり人々の中に形成された固定的な性別役割分担意識が影響を及ぼしているものと思われます。  私といたしましては、個人や家族の主体的な選択が尊重され、男女のいずれもが多様な生き方を選択できるよう、社会全体の意識の改革が特に重要であると認識しております。  男女の賃金格差の解消に向けては、企業において賃金格差を見える化し、改善に取り組むことが重要と考えますが、御指摘の男女別賃金の公表につきましては、国会審議の中で、男女間賃金格差そのものの開示を充実する制度の見直しを具体的に検討していくとの方針が示されたことから、香川労働局とも連携し、今後の国の動向等について情報収集に努め、制度の見直し後は企業に対して制度の周知啓発に取り組んでまいります。  介護職員や保育士等の処遇改善につきましては、これまでも賃金改善や加算が行われており、国の経済対策を踏まえ、本年二月から実施された賃金引上げにも対応しておりますが、人材確保やサービスの質の向上を図るため、今後も処遇改善が行われるよう、国に対して要望してまいります。  また、会計年度任用職員制度につきましては、職務給の原則や均衡の原則等の給与決定原則にのっとり給与を決定し、平等取扱いの原則を踏まえ、年齢や性別に関わりなく採用・募集等を行っておりますが、今後も勤務の内容に応じた適正な任用・勤務条件が確保されるよう努めてまいります。  いずれにいたしましても、男女が社会の対等な構成員としてその能力を発揮することができるよう、香川県男女共同参画推進条例やかがわ男女共同参画プランに沿って、必要な施策を積極的に推進してまいりたいと考えております。  次に、医療・公衆衛生体制の拡充についてであります。  本県の地域医療構想につきましては、医療ニーズの変化に適切に対応するため平成二十八年に策定したものであり、地域医療構想調整会議での議論も踏まえながら、回復期病床等への転換など、医療機関の自主的な取組に対する支援を通じて、医療機能の分化・連携に取り組んでおります。一方、国に対する重点要望では、医療機関の再編・統合を拙速に進めることなく、県と十分に協議の上、各医療機関が地域で担う役割や機能分化・連携の状況等を踏まえた施策を実施するよう強く要望しております。現在、国においては、令和六年度からの第八次医療計画について、今般の新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた検討が進められており、今後とも国の動向を注視しながら、地域医療構想調整会議の議論等を通して、良質かつ適切な医療が持続可能な形で提供される体制を構築してまいりたいと考えております。  保健所の体制強化につきましては、今般の新型コロナウイルス感染症への対応に当たって、疫学調査等を行う保健所の負担が大きくなっていることから、会計年度任用職員の保健師を増員するとともに、保健師等人材バンク、いわゆるIHEAT(アイヒート)の活用や各市町の保健師の協力に加え、庁内の保健師をはじめ、事務職員、技術職員を問わず、全庁的な応援体制を構築し、対応しております。加えて、本年四月から保健所の保健師を増員して公衆衛生体制の強化を図る予定としているほか、一層の感染拡大などの非常時には、部局横断的な応援体制を構築し、必要な人員を配置することで保健所の機能維持に努めてまいりたいと考えております。  次は、コロナ禍における雇用の確保についてであります。  新型コロナウイルス感染症の影響による解雇等につきましては、本県においても昨年度と比較して件数は減少しているものの、依然として小売業やサービス業などで発生している状況であることは認識しております。このような状況の中、私といたしましては、県内企業が従業員を解雇することなく事業を継続していただきたいと考えており、国の雇用調整助成金への県独自の上乗せ助成制度である香川県緊急雇用維持支援金や、香川県営業活動回復加速化支援金などの支給を行ってきたところであります。  労働者からの相談につきましては、県の労働政策課と労働委員会内に労働相談窓口を設け、相談者の状況を踏まえた的確な相談対応を行うとともに、相談内容に応じて、労働基準監督署や弁護士による無料相談窓口といった専門機関等につなぐなど、早期に解決が図られるよう、適宜適切な対応に努めております。  また、雇用情勢の悪化の影響を受けやすい非正規雇用労働者の方や、感染症の影響により離職を余儀なくされた方などを対象として、正社員就職に向けて、人手不足分野の企業等とのマッチングを図る合同企業面接会である正社員就職フェアを開催するとともに、ワークサポートかがわにおいては、専門のコーディネーターを配置し、正規雇用を希望する求職者の方に対してきめ細かなマッチング支援を実施しているところであります。  私といたしましては、今後ともこうした取組を通じて、引き続き非正規雇用労働者も含めた全ての労働者が安心して働けるよう、雇用の確保にしっかりと取り組んでまいります。  なお、そのほかの御質問につきましては、環境森林部長よりお答え申し上げます。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)木村環境森林部長。    (環境森林部長木村士郎君登壇) ◯環境森林部長(木村士郎君)秋山議員の産業廃棄物処理施設の建設についての御質問にお答えいたします。  三豊市財田町に建設予定の産業廃棄物最終処分場に関し、先月、多くの地元住民の方々の署名が提出されましたことにつきましては、県としましても重く受け止めております。地元住民の方々の懸念は周辺環境への影響を危惧するものでありますが、県としましては、計画の内容が十分に理解されていないこともその要因ではないかと考えており、改めて事業者に対し、地元住民の方々への丁寧な説明を行うよう指導しているところであります。  議員御指摘のとおり、今回の計画地では、過去、産業廃棄物の不法投棄がありましたが、県では水質及び土壌の検査を行い、その時点で周辺環境に影響がないことを確認しており、その後、不法投棄された産業廃棄物が原因者により適正に処分されたことも確認しております。  また、今回の設置許可申請に当たり、不法投棄が行われた区域につきましては、事業者において土壌汚染対策法に基づく方法による調査が実施され、その結果、計画地の一部で土壌汚染が確認されたものの、併せて実施された計画地周辺の水質調査では、周辺環境に影響がないことを確認されております。  さらに、処分場の建設に当たっては、事前に事業者から土壌汚染対策法に基づく届出が提出されることとなっており、県では区域指定を行った後、事業者に対して国が定めるガイドラインを踏まえ、地下水の監視を行いながら、周辺環境への影響がない工法により土壌を掘削するよう指導することとしております。  なお、掘削された汚染土壌については、今回の計画では汚染が拡大することがないよう、事業者においてセメント固化処理を行い、埋立地の底面に敷設した遮水シートの上に埋め戻し、さらにその上部に遮水シートを敷設して封じ込めることとなっており、先般開催された専門家で構成する香川県産業廃棄物審議会の審議においても、生活環境保全上、特に支障はないとされたところであります。  産業廃棄物最終処分場の設置につきましては、廃棄物処理法で定められた基準に適合する場合は許可を行わなければならないとされており、県といたしましては、今回の設置許可についても適正に手続を進めてまいりたいと考えておりますが、地元住民の方々の懸念も念頭に置きながら、事業者への指導・監督に鋭意努めてまいります。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)再質問の通告がありますので、発言を許可いたします。  秋山時貞君。    (秋山時貞君登壇、拍手) ◯秋山時貞君 再質問させていただきます。二点伺います。  一点目は、ウクライナ情勢についてですが、核兵器禁止条約についてです。  一昨日、国連のグテーレス事務総長が、核戦争の可能性は一度は考えもつかないものになったが、今あり得るところまで戻ってしまったと警告して、ロシアに対して国際社会が改めて今批判を強めているところであります。先日の参議院予算委員会の公聴会の中で名古屋大学の名誉教授松井氏は、核共有は非核三原則に反するし、NPT(核不拡散条約)にも反すると指摘。その中で、また、現在の情勢を見て、長期的にはやっぱり核兵器をなくすこと、短期的には核兵器は違法だという世論を強めることが重要だとして、政府に対しても核兵器禁止条約を推進することを求めています。  やっぱり私は、今、この情勢を考えたときにも、核兵器による唯一の戦争被爆国である日本が、核兵器禁止条約への参加を真剣に検討するときが来たというふうに思います。国に対して条約参加をはっきりと求めていただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いします。  それから、二点目が、医療・公衆衛生体制の拡充についてです。  地域医療構想についていろいろと御答弁されました。病院がその経営強化のために病院自身が決めていくのだという話もありましたが、地域医療構想の策定主体として、その調整機能をもっと発揮しろと今回改めて言われているのが県で、その県が最終的な病床数の目標を持っているわけです。幾ら病院が自分たちで決めると言ったところで、その実現に向けて県が積極的に助言・提案しろということにやっぱりなってくるわけです。これでいいのかと国の重点要望でも求めているということでもありますし、強引に進めていくものではないというふうにおっしゃっていましたが、私は、今求められているのが医療体制の強化・拡充だという点で、地域医療構想の撤回をはっきりと国に対して求めていくべきだと考えますが、改めて知事にお伺いして質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(高城宗幸君)再質問に対する理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)秋山議員の再質問にお答えいたします。  一点目は、核兵器禁止条約についての件でありますが、先ほども申し上げたように、この核兵器のない世界の実現に向けて、我が国をはじめ各国の外交努力が積み重ねられ、また、積み重ねていくべきでありますが、その条約の具体的な取組につきましては、現在の世界における安全保障環境の大変厳しい状況の中で、どのように考えていくか、これは、まずは国において考えておるわけですけれども、私どもとして、この地方自治体として、現在の安保環境を踏まえて、直ちに日本の参加ということについて政府に申し上げる状況にはないと私自身は考えております。  二点目の地域医療構想自体について、やはりこれを撤回せよとの御主張でありますけれども、平成二十八年に至るまで地域医療構想調整会議等を通じて真剣な議論を重ねて、医療機関、現在の医療体制をより充実したもの、また、効率的なものにするために医療機能の分化・連携に取り組んできたわけでありまして、それを白紙に戻してしまうような御意見は、私としてはいかがなものかと受け止めております。この地域医療構想自身をよりよいものにしていくということが求められているのではないかと思っております。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)一般質問を続行いたします。
     新田耕造君。    (新田耕造君登壇、拍手) ◯新田耕造君 それでは、一般質問をさせていただきます。  今回のロシアのウクライナ侵攻は、全く許されない暴挙であります。ウクライナの人々に同情と、ロシアの戦争指導者に対して最大限の怒りを表明させていただきたいと思います。  今回の事態で、国連とか国際法とかがいかに役に立たないかということが分かりました。国連は、第二次世界大戦中に連合国が戦後の国際平和と安全の維持のため創設した共同防衛の集団安全保障組織であります。現在の加盟国は百九十六か国でございます。そして、安全保障理事会に大きな責任と義務、そして軍事力の行使の権限を与えております。特に五つの常任理事国は拒否権を持ち、国際平和に絶大な影響力を持っております。今回はその常任理事国のロシアが、国連加盟国である血を分けた兄弟国であるウクライナを侵略しているのであります。明らかな国連憲章違反、国際法違反、人倫の道にも反する行為でございます。本来なら警察官役のロシアが、押し込み強盗や殺人をやっていて、それを我々が毎日テレビで見させられているというふうな状況であります。  実はロシアは、国内では独立を目指した勢力とのチェチェン紛争や、また、国外では二〇〇八年のジョージアの一地方である南オセチアとアブハジアを国家承認し、それを支援するため、ジョージアに軍を派兵しております。また、二〇一四年のクリミア併合は、我々の記憶に新しいところであります。このように国内での分離独立を力でねじ伏せ、国外では分離独立を支援してまいりました。今回、同じような手口でウクライナ国内のルガンスク、ドネツク地方を国家承認し、ウクライナには中立とか非武装化を要求し、それを口実にウクライナ全土を侵略しております。  古い話ですが、チャーチルは一九四六年、米国のミズーリ州フルトンで、東西冷戦を称して、バルト海のシュチェチンからアドリア海のトリエステまで鉄のカーテンが下りたという有名な演説をやりました。その中で、ロシアは何よりも力に敬意を払う傍ら、弱さを蔑み、特に軍事的な弱さに乗じることをよく知っていると彼は言っておりました。まさにロシアという国の帝政時代から続く本質を突いたと思いますし、まさに炯眼だと思います。  今回の件は、例えば、中国が日本に日米同盟はやめなさい、基地を撤去しなさい、沖縄の分離独立を認めなさいと要求しているようなものです。さて、その中国。ますます経済・軍事面でも強国化をしております。例えば、今年の国防費は日本円にして約二十六兆円、日本は五兆円です。国防費の差が何年も実は続いております。戦力差のアンバランスは地域の不安定要因になります。まして、その思想は共産党一党独裁体制下の中華思想にあるからです。  一九九四年、中国の李鵬首相がオーストラリアのジョン・ハワード首相に向かって、今の日本の繁栄は一時的なものであだ花です。その繁栄をつくってきた世代の日本人はもうすぐこの世からいなくなりますから、二十年もしたら国として存在していないのではないでしょうか。中国か韓国、あるいは朝鮮の属国にでもなっているかもしれませんという発言をしたと当時新聞では報道されました。  また、最近、ツイッターで中国の大阪総領事が、弱者が強者にけんかを売るのは愚行だと日本語で書き込んで、日本を威圧したとも取れる内容をアップしていたようです。友好関係構築が仕事のはずの外交官が赴任国に対してあえて嫌みを言うという背景を我々は想像しなくてはならないと思います。それなら日清・日露戦争はどうなんだと言う人がいました。  さて、我が国。先ほどの李鵬発言にあるように、戦後の日本の発展を担った先人たちは去り、新しい世代になっております。戦後の発展を担った世代は、明治、大正、昭和の教育を受けた世代であります。私は、近所の神社を散歩します。その鳥居には、国家安全、天下泰平、五穀豊穣などが祈念されており、小さな集落でも日本という共同体の危機意識が村や町の隅々まで行き渡っていたように思います。今、私の世代は、新憲法下で戦後教育を受けました。中曽根康弘先生の言葉を借りれば、ヨーロッパにはキリスト教があるが、日本はそういう思想的根拠がない。それで、戦後は英国流の功利主義とか、米国流のプラグマチズムとか、フランス流の個人主義とかが入って、経済中心・個人至上主義が蔓延していると言っておられました。同感であります。これは、戦後のマルキシズムの影響で、国家など共同体への抵抗を正義とする雰囲気が生まれ、また、戦中の反動で行き過ぎた個人主義があふれたからではないかと私は思っております。  その根本の原因は、日本国憲法にあると思います。今日では、日本の歴史や伝統を知らないGHQが一週間でつくったというのが常識であります。その結果、様々なそごがあります。九条同様、解釈改憲で済ませてきたという現実があります。八十九条の私学などの助成禁止は有名でございますけれど、例えば、九条で戦力の不保持を決めているのに、六十六条二項では、総理や大臣は文民に限るという文民条項がありますが、これは九条と矛盾をいたします。そもそも軍のない日本で軍人がいるわけがないですから。  何かと比較されるドイツは、今回のウクライナの紛争を受けて、軍の強化のため十三兆円を基金に振り向け、今後、毎年国防費をGDPの二%を支出していくことを決めました。国際政治は非情なものであります。今日の友は明日の敵が当たり前です。自分の国は自分で守らなければなりません。空理空論はやめなければいけません。そして、侵略があったときにはそれ相応のダメージを侵略国に与えるという覚悟と装備がなければ、侵略者の誘惑を断ち切れないというのが今回の結論ではないでしょうか。  我々の領土はもちろんのこと、歴史や伝統や文化を未来に向けて守るためには、具体的には日米同盟の強化、G7との緊密な連携や同盟、自衛隊の憲法明文化、防衛費の増加、国防教育などが大切だと思いますし、県にあっても、これが今我々の世代の果たすべきことではないかと思います。  それでは、質問に入らさせていただきます。  質問の第一点目は、四国遍路の世界遺産登録についてであります。  先日、香川大学の学生二人が四国遍路を題材とした絵本を作成し、四国遍路友の会から県教育委員会に寄贈されたというニュースを目にしました。大学の授業で四国遍路について学ぶ機会があり、歴史を途絶えさせないために子供向け絵本の作成を行ったとのことであり、寄贈された絵本は県内の小学校や幼稚園などに配られました。絵本の内容は、荷物を盗んだお猿さんがお遍路さんと間違われて食べ物などを分けてもらう中で、四国の文化「お遍路」のありがたみを知るというお話でした。また、本の後書きで読者に対し、庭や近くの畑で刈り取りしていない果物などをお遍路さんに寄附するよう呼びかけており、若い世代を中心に、もっとお遍路の持つお接待文化に関わってもらおうという仕掛けも加わっております。絵本の作成を支援した四国遍路友の会の会長さんは、今後、海外に向けて英語版を作成し、大使館などに寄贈するなど、さらなる取組も検討しているとのことであります。私は、この取組に大いに賛同するとともに、取組効果が地域に波及していくことを期待しているところであります。  さて、その四国遍路ですが、四国四県の産学民官が一体となって世界遺産登録に向けた取組を鋭意進めておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響は寺院にも直撃しており、コロナ後を見通した取組を考えなければなりません。  スペインのコンポステーラ巡礼の道は、世界遺産登録される前の一九九二年の巡礼者数が約一万人でしたが、二〇一九年には約三十五万人と大きく増加しております。仮に一人一万円使っているとすれば、三十五億円の消費となります。さらに長期間滞在するとなれば、この経済効果は倍々に増えていくことになります。  四国遍路が同じように世界遺産となれば、世界中から人が集まってくることが期待でき、コロナ禍で苦しんでいる寺院や四国観光への大きな支援につながります。さらに、将来的には、回り方も、結婚、厄よけ、病気、安産、良縁、商売繁盛、合格祈願など、寺院ごとの特色を出したり、地域の特産物を置くような取組につながれば、観光関連産業や農家等への広い支援につながり、地域活性化に向けた新たな活力となります。  来年度の観光施策として、令和五年四月から開催予定の弘法大師空海御誕生千二百五十年祭に合わせ、総本山善通寺を中心に実施が予定されている各種関連イベントに対し支援等を行うことは知っております。弘法大師空海の節目の年を迎えるに当たっては、他県からの誘客を図ることはもちろんのことですが、四国遍路の世界遺産登録に向けた機運醸成を図る絶好の機会と捉え、ぜひとも世界遺産登録を早期に実現させてほしいと思いますが、今後どのように取り組んでいくのか、知事に質問させていただきます。  質問の第二点目は、県立病院等を活用した循環器病対策についてであります。  島根県では、著名な医師を講師として招き、臨床研究のワークショップを県立病院が主催者となって開催しているという事例を聞きました。ワークショップは二泊三日となっており、参加者は論文作成の指導から臨床研究の計画書作成、データ収集、統計解析、報告までの一連の流れを講師支援の下で疑似体験する内容で、非常に実践的な内容になっており、大学病院勤務をしなくても研究論文作成ができると好評のようであります。  全国の自治体が至るところで医師確保対策の取組を進めている中、確保するだけにとどまらず、さらにもう一歩進み、臨床も研究も同時にできるという取組を大学などとも連携を行いながら、多くの症例が集まる県立病院で積極的に実施していく必要があるのではないかと考えております。  さて、我が国において、脳卒中、心臓病、その他の循環器病は、主要な死亡原因であるとともに、介護が必要となる主要な原因となっております。本県においても、心疾患は死亡原因の第二位、脳血管疾患は第四位となっておりますが、高齢化社会が進んでいくとともに循環器病の患者は今後増えていくことが見込まれ、本県の循環器医療を充実させていくことが必要であります。  そのような中で、県では、香川県循環器病対策推進計画を今月一日に策定したということを聞いております。今後、この計画を踏まえ、生活習慣病の改善などによる予防の推進や急性期病床から回復期病床等への転換によるリハビリテーション機能の充実・強化なども含め、循環器対策を総合的かつ計画的に推進していくということであります。  循環器医療の充実として、私は、県立病院に新たな発想の循環器病センター的なものを設立し、他県に先駆けて、今後増加が予測される循環器病対策に重点を置いて取り組んでいけば、魅力アップと医師確保にもつながり、本県の循環器医療の充実に大きく寄与するのではないかと考えております。  そこで、香川県循環器病対策推進計画の内容を踏まえ、今後、県立病院等の活用をはじめ、循環器医療の充実にどのように取り組んでいくのか、知事に質問をさせていただきます。  質問の第三点目は、土地改良法改正案を踏まえた防災対策についてであります。  平成三十年七月豪雨では、広島県など六府県で三十二か所のため池が決壊したことが記憶に新しいところでありますが、近年、豪雨災害が頻発化しております。そのため、全国的に総合的な防災・減災対策を実施する必要が高まっておりますが、基本的にため池をはじめとする農業用施設の整備等については、農業者からの申請と同意に基づいて実施されており、農業者にも一定の負担が生じているところであります。また、個人所有のため池では世代交代が進んでおり、権利関係が不明確かつ複雑になっていることに加え、基幹的な農業水利施設の維持管理は土地改良区等によって行われておりますが、農業者の高齢化や減少に伴い組織体制が脆弱化し、農業水利施設を適切に維持管理していくことが全国的にも問題となっております。  そのような中、頻発化・激甚化する豪雨による湛水などの自然災害に適切に対応し、安定した農業経営を実現するとともに、湛水被害が発生する地域の総合的な防災・減災対策を行うため、二次被害が発生するおそれのあるため池、排水機場等の緊急的な防災工事を実施するに当たり、農業者からの申請、同意と費用負担を求めずに工事が実施できるよう土地改良法を改正する法案が、先月、国において提出されたところであります。これまで、このような仕組みは耐震対策に限られておりましたが、今回、新たに豪雨対策を追加したものであり、円滑に事業着手が可能となる法改正の趣旨も踏まえ、防災対策に取り組んでほしいと思います。  そこで、全国三番目にため池の多い本県においても、農業用水の安定確保や効率的な利用、さらには災害発生を未然に防止し、地域の安全・安心を確保するため、今回の土地改良法改正案を踏まえ、今後どのように防災・減災対策に取り組んでいくのか、知事に質問させていただきます。  質問の第四点目は、社会経済環境の変化を踏まえた本県産業の振興についてであります。  世界的に感染が拡大している新型コロナウイルス感染症の問題をどのように乗り越えていくのか、また、ウクライナ情勢の悪化が経済へ及ぼす影響など、我々を取り巻く環境は刻々と目まぐるしく変化し、様々な課題が山積しております。  まずは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている県内企業について、事業継続と雇用維持ができるよう引き続き支援していく必要があります。今後も感染状況を注視しながらではありますが、国や各市町、関係団体とも連携し、時機を逸することなく必要な支援に取り組んでいただきたいと思います。  一方で、コロナ禍を通じて身体的距離の確保や通勤等で混雑時の公共交通機関の利用の回避など、新しい生活様式の徹底が求められたことや、オンラインツール活用の広がり、様々な事態が生じる中でも事業を継続し得る体制の構築に対する必要性の高まりといった企業における企業立地の考え方にも変化が生じており、第二、第三の拠点づくりを首都圏外に求める機運が高まっております。  また、今は、新型コロナウイルス感染拡大防止のために要請されているテレワークですが、今後、ノーマルな働き方として徐々に社会に浸透していくことが予想されます。サテライトオフィスも、新しい働き方として働く場所の選択肢を増やしただけではなく、利用者同士がコミュニケーションを図ることにより新たなビジネスチャンスにつながった例も出てきております。これらの社会経済環境の変化は、捉え方によっては新たな取組を展開していく好機でもあると言えます。  そこで、これまでも県内企業への様々な支援や県外企業の誘致活動は商工労働部を中心に行ってきたところでありますが、社会経済環境の変化を踏まえ、これからの本県産業の振興のために県としてどのような取組を進めていこうとしているのか、質問をいたします。  少し時間がありますので、本当に知事、お疲れさまでございました。先ほども聞いておりましたら、核の問題なんかも聞かれて、これは国の問題でございますし、核の傘の下にいる日本としては、なかなか核兵器禁止条約というか、国連においては核兵器の廃絶の決議案というのは日本は出しておりまして、決して核兵器廃絶に後ろ向きではない。実はそうなんです。ただし、核の傘の中で日本があるという状況を考えたときに、これをどうやっていくかということを知事に聞くのも大変申し訳ないような話でございます。そういうことがありまして、本当に十二年間お疲れさまでございました。ちょっと早いか分かりませんけど。これから残された期間、ぜひ、知事のことですから全力でやっていただけるものと思っておりますし、考え方は全部が全部一緒ではありませんが、知事の県政に対する真面目さ、思い、それからもう実直さに関しては本当に尊敬させていただいております。今後もぜひ、県の知事でなくなったとしても、ぜひ我が県のために尽くしていただくようお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。(拍手、降壇) ◯副議長(高城宗幸君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)新田議員の御質問にお答えいたしたいと存じますが、その前に、ただいま過分なお言葉をいただき、誠に恐縮しております。任期いっぱい、このコロナ対策をはじめ、全力を尽くしてまいりますので、引き続きよろしくお願いしたいと存じます。  それでは、御質問にお答えしたいと思います。  まず、四国遍路の世界遺産登録についてであります。  四国遍路の世界遺産登録に向けては、その前提となる国内暫定一覧表への記載を目指して、課題とされた「顕著な普遍的価値の証明」や「資産の保護措置の充実」などに鋭意取り組んでおります。価値の証明においては、民俗学や巡礼史などの専門家による研究会を開催し、国への提案書の文案の検討などを行うとともに、保護措置については、札所や遍路道の文化財調査を行い、準備が整ったところから、順次史跡指定を進めております。  また、こうした取組を進めていくためには地域の皆様の御理解と御協力が必要であることから、本県では文化財調査の成果を分かりやすく紹介する報告会や小学生を対象とした現地での見学授業などを実施しているほか、四国遍路世界遺産登録推進協議会では、四国遍路のイラストの入った商品等でPRしていただく企業連携企画や、今年度から新たにユーチューブによるプロモーションを実施するなど、啓発活動にも努めております。現在、四国遍路の新たなシンボルマークを作成しているところであり、来年度からポスターやリーフレット、のぼりなどを刷新し、改めて広く周知広報していくこととしております。  こうした中で、議員御指摘のとおり、弘法大師空海御誕生千二百五十年祭は機運の醸成を図る絶好の機会ともなりますことから、御誕生祭の実行委員会や善通寺市、県観光協会等と連携して本県への誘客に努めるとともに、これに併せて、県や推進協議会が行う事業や広報を効果的に実施し、四国遍路の魅力や世界遺産登録に向けた取組をアピールしてまいりたいと考えております。  冒頭、議員から御紹介のありました女子学生の漫画本につきましても大変すばらしいものと受け止めておりまして、私といたしましては、四国遍路を将来にわたり承継していくため、また、本県への誘客も含め、その活用を図っていくため、世界遺産への登録を目指した取組をより一層進めてまいりたいと考えております。  次に、県立病院等を活用した循環器病対策についてであります。  脳卒中、心臓病、その他の循環器病は、主要な死亡原因であるとともに、介護が必要となる主要な原因でもある中、県では今年度、香川県循環器医療対策推進計画を策定し、二〇四〇年までに三年以上の健康寿命の延伸と循環器病の年齢調整死亡率の低減を全体目標に掲げ、循環器病対策を総合的かつ計画的に推進することとしております。  本計画では、循環器病の予防や正しい知識の普及啓発、循環器病の保健、医療及び福祉に係るサービスの提供体制の充実、さらに循環器病の研究促進、この三つの基本方針を置いており、循環器医療の充実に向けては、特に、県立病院を含む医療機関の連携体制の構築のため、全県的な医療情報ネットワーク、いわゆるK─MIX Rにおける地域連携クリティカルパスの活用・分析により、急性期から回復期・維持期を経て、在宅医療に至るまでの関係機関における情報の共有化を図ってまいりたいと考えております。  議員御提案の循環器病対策に重点を置いて取り組むセンターの設立に関しましては、現在、厚生労働省において、地域全体の患者支援体制の充実を図るため、地域の中心的な役割を担う医療機関に脳卒中・心臓病等総合支援センターを配置するモデル事業の公募が行われており、県では、循環器病に対する専門的な知識を有し、地域の病院等とも連携を図りながら総合的な診療を行える医療機関にこの情報提供を行い、意向をお聞きしているところであります。  私といたしましては、各市町や県立病院をはじめとする保健医療福祉関係者と連携しながら、循環器病対策を総合的かつ計画的に推進し、健康長寿の香川の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。  次に、土地改良法改正案を踏まえた防災対策についてであります。  近年、頻発化・激甚化する豪雨や地震等の自然災害に適切に対応し、安定した農業経営や農村の安全・安心な暮らしを実現するためには、防災・減災の取組がより一層重要となっております。今国会で審議がなされている土地改良法改正案は、こうした状況を背景に、地域における総合的な防災・減災対策を円滑かつ効果的に実施するために提案されたものと認識しております。  このような趣旨の下、改正法に基づき新たに創設される土地改良事業は、いわゆる流域治水の取組の一環として位置づけられ、流域治水プロジェクトや治水協定が策定・締結された地域等で実施する堤防のかさ上げなどのため池の洪水調節機能の強化や、過去に湛水被害が生じた地域で実施する受益面積が一定以上の排水施設の整備などで、豪雨対策として緊急に実施する必要があるものが対象とされる予定と伺っております。  対象事業の具体的要件等は、今後、国の事業実施要領等で示されることとなりますが、県としては、これまでも農業水利施設の長寿命化等の推進のほか、ため池の防災工事や安全対策、ハザードマップの作成・周知など、ハード、ソフトを適切に組み合わせた対策を進めてきており、今後示される事業の詳細を踏まえ、対象としてふさわしい事業を精査した上で、引き続き効果的な防災・減災対策を講じてまいります。  私といたしましては、改正土地改良法の趣旨を踏まえ、自然災害に対する土地改良施設の安全性の向上に鋭意取り組むとともに、今後とも国や各市町等と連携して総合的な防災・減災対策を行い、本県農業の持続的な発展と災害に強い香川づくりを推進してまいりたいと考えております。  なお、そのほかの御質問につきまして、商工労働部長よりお答え申し上げます。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)近藤商工労働部長。    (商工労働部長近藤清志君登壇) ◯商工労働部長(近藤清志君)新田議員の社会経済環境の変化を踏まえた本県産業の振興についての御質問にお答えいたします。  議員御指摘のとおり、このたびの新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大やウクライナ情勢の悪化など、国内外の社会経済情勢が急激に変化する中、経済のグローバル化の進展を踏まえ、中長期的な視点に立った戦略的な産業振興を図ることが必要であると考えております。  本県には、冷凍食品などの食品関連の企業、建設機械や輸送用機械などの中核企業を中心に、高度なものづくり基盤技術を有する協力企業が多数集積しており、シェア世界一・日本一であるニッチトップ企業も多く、本県の強みであるこれらの企業が持続的に成長していくため、有事の際に最小限の損害にとどめるための事業継続計画の策定や運用、また、県内中小・零細事業者のニーズを踏まえた事業継続や事業承継への取組を支援してきたところであります。  また、第四次産業革命の技術革新であるAI、IoT等については、AI等の先端技術を活用した研究開発を行う県内企業への支援やAI技術の利活用ができる人材育成を進めるとともに、デジタル化を推進する企業等に対しては、それぞれの企業の進展度に応じて専門家による個別コンサルティング等の支援を行い、県内企業の生産性向上に向けた取組を進めています。  さらに、産業振興には人材確保も重要であり、UJIターンを含めた県内就職を促進するために、若者が魅力を感じる働く場を確保していくことは、一方で新たなビジネスチャンスの創出や地域の活力を取り戻すことにもつながることから、コロナ禍による企業の地方移転や新しい働き方への関心の高まりを契機として、県外企業の新規立地により一層取り組み、デジタル社会形成の牽引役でもある情報通信関連産業の育成・誘致に努めているところであります。  このように、引き続き社会経済環境の変化や企業が抱える課題に的確に対応しながら、県全体として新たな需要に対応した産業の創出・育成に積極的に取り組み、本県経済の持続的な発展につなげてまいりたいと考えております。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)理事者の答弁は終わりました。  県の一般事務に関する質問を終局いたします。    ───────────────────────────── ◯副議長(高城宗幸君)お諮りいたします。  委員会審査のため、三月十七日を休会といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) ◯副議長(高城宗幸君)御異議なしと認め、そのように決定いたします。    ───────────────────────────── ◯副議長(高城宗幸君)以上で本日の日程は、終了いたしました。  次会は、三月十八日午前十時本会議を開きます。なお、議事日程は、追って報告いたします。  本日は、これをもって散会いたします。                          午後二時五十四分散会 Copyright (c) Kagawa Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved....