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令和3年6月定例会(第3日) 本文

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  1. 香川県議会 2021-06-03
    令和3年6月定例会(第3日) 本文


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    最終取得日: 2023-05-31
    ▼最初のヒットへ(全 0 ヒット)   出  席  議  員    十  河     直 君    高  城  宗  幸 君    鏡  原  慎一郎  君    松  岡  里  佳 君    白  川  和  幸 君    秋  山  時  貞 君    斉  藤  勝  範 君    松  本  公  継 君    森     裕  行 君    米  田  晴  彦 君    木  村  篤  史 君    山  本  悟  史 君    谷  久  浩  一 君    氏  家  孝  志 君    高  木  英  一 君    樫     昭  二 君    山  田  正  芳 君    香  川  芳  文 君    高  田  良  徳 君    竹  本  敏  信 君    三  野  康  祐 君    西  川  昭  吾 君    新  田  耕  造 君    佐  伯  明  浩 君    松  原  哲  也 君    広  瀬  良  隆 君    辻  村     修 君    石  川     豊 君    綾  田  福  雄 君    尾  崎  道  広 君    宮  本  欣  貞 君    山  本  直  樹 君    黒  島     啓 君    五所野尾  恭  一 君    花  崎  光  弘 君    大  山  一  郎 君    都  築  信  行 君    鎌  田  守  恭 君
       平  木     享 君   欠  席  議  員    岡  野  朱里子  君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事    浜  田  恵  造 君           副  知  事    西  原  義  一 君           病院事業管理者    太  田  吉  夫 君           審  議  監    大  山     智 君           政 策 部 長    淀  谷  圭三郎  君           総 務 部 長    椋  田  那津希  君           危機管理総局長    寺  嶋  賢  治 君           環境森林部長     木  村  士  郎 君           健康福祉部長     土  岐  敦  史 君           商工労働部長     近  藤  清  志 君           交流推進部長     佐  藤  今日子  君           農政水産部長     新  池  伸  司 君           土 木 部 長    西  川  英  吉 君           文化芸術局長     小  川     剛 君           子ども政策推進局長  吉  田  典  子 君           会計管理者      田  中  一  裕 君           病 院 局 長    岡  田  総  一 君           デジタル戦略総室長  井手下   慶  博 君           知事公室長      尾  崎  英  司 君           教  育  長    工  代  祐  司 君           公安委員会委員    上  枝     康 君           警察本部長      那  須     修 君           代表監査委員     木  下  典  幸 君           監査委員事務局長   田  井  慎  二 君           人事委員会委員    平  尾  敏  彦 君           人事委員会事務局長  森  岡  英  司 君           労働委員会事務局長  河  内  一  裕 君    ─────────────────────────────     議  事  日  程(第三号)                   令和三年七月七日(水)午前十時開議 第  一 県の一般事務に関する質問    ───────────────────────────── ◯議長(十河 直君)ただいまから本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付のとおりであります。  日程に入るに先立ちまして、諸般の報告をいたします。  職員に朗読させます。    (職員朗読)   諸般の報告 一、監査委員から、地方自治法第百九十九条及び第二百三十五条の二の規定に   基づく報告四件を受理いたしました。 ◯議長(十河 直君)以上で諸般の報告を終わります。    ───────────────────────────── ◯議長(十河 直君)日程第一、県の一般事務に関する質問を行います。  高木英一君。    (高木英一君登壇、拍手) ◯高木英一君 まず初めに、先日の熱海市の土砂災害で犠牲になられた方々に心よりお悔やみ申し上げますとともに、被害に遭われた方々にも心からお見舞い申し上げます。  一般質問をさせていただく前に、一言申させていただきます。  昭和四十七年八月、ユーラシア大陸一周の旅の途中、スイスへ行きました。今も鮮明に記憶に残っていることが二つあります。  一点目は、来訪者に優しいスイスの国民性です。  ベルン郊外にあるユースホステルへ行くため、路面電車に乗っていました。ふと掲示板を見ると、「小銭を用意していない乗客には始発駅からの運賃を頂きます」と書かれていました。小銭を持っていない私を見た女性が、「ユー・テーク・イット」と言って、小銭を下さいました。そのとき、スイスという国は来訪者に親切なので、多くの方々が訪れたくなるのだなあと感銘を受けました。  二点目は、ツェルマットへ行ったとき、自動車の乗り入れが禁止され、馬車が走っていたことです。すばらしいスイスの環境を維持するために、ここまでしているのかと感心したのを記憶しています。  平成二十九年六月、私は四十五年ぶりにツェルマットを視察研修させていただき、百聞は一見にしかずのことわざどおり、本県の活性化に生かせるであろう多くのことを学ばせていただきました。  第一点目は、急峻な地形であるがゆえに、マッターホルンを生かしたサービス産業しかない町に、第二次産業である電気自動車の製造工場を稼働させ、バランスの取れたまちづくりに取り組んでいたこと。  第二点目は、登山電車の駅地下に、広くてクリーンなトイレが設置されていたこと。  第三点目は、登山電車の沿線にある家の窓々にプランターが設置され、花が植えられ、心に響くおもてなしに取り組んでいたこと。  四点目は、ツェルマットの人口は約五千七百人で、スイス人が約二千七百人、残り三千人は出稼ぎの方々で、その半数はポルトガル人とのことでした。この現実に接し、向こう三十年以内に七〇ないし八〇%の確率で南海トラフを震源とする大規模な地震の発生が予測されている本県を含めた府県における地震・津波対策が重要であること。  一七五五年十一月一日発生のリスボン大地震は、地震による揺れと津波で、人口二十七万五千人の首都リスボンで最大約九万人の命を奪うとともに、宮殿や公共建築物の約八五%が破壊され、当時、「太陽の沈まない国」と言われ、世界で最も栄えていた国の一つであったポルトガルを一瞬にして再起不能の国にするとともに、その影響は今日まで続き、多くのポルトガル人がツェルマットに出稼ぎに来ていました。この現実に接し、本県や日本を防災力と稼ぐ力を兼ね備えた県・国にしなければならないと思いました。  第五点目は、一八九〇年頃、官民が協働で登山電車を敷設し、稼ぐ力を持つ今日のツェルマットへと変身させました。この史実に接し、官民の連携と協働の重要性を学ばせていただきました。  それでは、一般質問させていただきます。  大きな一点目は、アフターコロナを見据えた本県の活性化への取組についてであります。  質問一、マイクロツーリズムに積極的に取り組む考え。  昨年三月十一日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界保健機関(WHO)がパンデミックを宣言後、日本においても緊急事態宣言が発令され、交流人口が激減するなど、それまでの日常生活は一変しました。  日本におけるインバウンドは、新型コロナ禍前には年間約四兆八千億円あったものの、現在は皆無に近く、旅先を海外から日本に変えた日本人の国内需要約三兆円が、旅行・宿泊の需要を補っているとも言われています。そのような中、遠方や海外をイメージすることが多い旅を、地元に目を向けて楽しむマイクロツーリズムが、感染拡大を防止しながら地域経済を活性化させる新たな旅の在り方として実績を上げつつあります。  マイクロツーリズムの特徴は、一点目が、商圏を定め、感染拡大防止と地域経済活性化を両立する観光であることであります。  ウィズコロナ期における観光の在り方の大前提は、観光が感染拡大につながらないことであり、近場を旅して楽しむマイクロツーリズムは、長距離移動が発生しないこと、季節ごとに同じ場所を訪れても異なる体験価値を享受でき、リピート需要の可能性が高いことから、ウィズコロナ、そして高齢化社会の到来を迎え、手短に行けることから、アフターコロナ時代においても、早期の地域経済の活性化と継続的活力維持に大いに貢献すると考えます。  二点目が、地域の宝を再発見し、提供できることであります。  地域の歴史・芸術・文化や食、感動する景観などは地域の宝であり、高松東部エリアを例にすれば、イサム・ノグチ庭園美術館、流スタジオ、世界的家具作家ジョージナカシマ記念館歯アート美術館、源平合戦の史跡や瀬戸の景観などがあります。磨けばまだまだ光り輝くであろう地域の宝は多くあります。この新型コロナ禍を乗り切り、アフターコロナにおいても、活力の原点である健康増進と地域経済の活力向上のためにも、自宅から一ないし二時間圏内での旅であるマイクロツーリズムは新たな旅のスタイルであり、地域活性化策であると考えます。  インド型変異ウイルスが検出されるなど、新型コロナ禍の収束が予測できない状況において重要なことは、本県の活性化に大いに貢献していた交流人口を回復させることであります。アフターコロナを見据え、次は香川県に行きたいと思う人が増えるよう、本県の魅力を、日本国内はもとより、台湾、アメリカ、中国、オーストラリアや東南アジア諸国、そして高松空港と定期便が就航している国・都市への積極的かつ実効性のある情報発信であり、そのことが確かな実績につながると思います。  今、高松市においては、屋島南嶺に屋島山上交流拠点施設を整備中です。そして、北嶺においては、環境省において展望台が一か所新設されるとともに、二か所目が現在整備中です。そして、休憩所も新築整備され、きれいなトイレも完成しました。瀬戸内海国立公園の中でも、最も美しい風景が一望できる屋島北嶺の遊鶴亭は、三百二十度に視界が広がる展望台で、その名前は香淳皇后様が命名されたとも言い伝えられています。  そこで、質問させていただきます。  質問一、マイクロツーリズムの推進について、積極的に取り組むべきと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。  質問二、本県はもとより、近隣県と連携して具体的な地域の魅力を発信する必要があると考えますが、アフターコロナに向けた今後の観光振興についてどのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いさせていただきます。  二点目は、屋島・庵治半島周遊県道の整備と地域の活性化についてであります。  一八六〇年、ドイツの地理学者リヒトホーフェンは、「広い区域にわたる優美な景色で、これ以上のものは世界のどこにもないであろう。将来、この地方は、世界で最も魅力のある場所の一つとして高い評価を勝ち得、たくさんの人を引き寄せるであろう」と評価し、最後に、「かくも長い間保たれてきた状態が、今後も長く続かんことを私は祈る」と瀬戸内海を評価しています。  屋島・庵治半島を例にすれば、モータリゼーションや高速交通網の発達により、残念ながら、リヒトホーフェンが心配されたとおりとなりました。しかし、屋島・庵治半島にプラスアルファの価値を付け加えれば、高齢化の進行と健康志向の高まりの中、そして何よりも、新型コロナ禍にあって、たくさんの人を引き寄せ、大いに活性化する可能性は十分にあると思います。私は、そのプラスアルファの価値とは、健康増進と心の癒やしへの寄与・貢献であると考えます。  今、新型コロナ対策として、フランスとイギリスは、しっかりと予算をつけ、サイクリングや歩行者空間の整備に力を入れています。パリを例にすれば、排ガスを減らす環境政策と有酸素運動になる健康政策として、積極的に自転車利用政策歩行者優先政策を進めています。  本県の高齢化率は、現在三二%程度ですが、団塊ジュニア世代が全員六十五歳を超え、高齢者がピークを迎える二〇四〇年には三七%になるとの予測です。このような中、重要なことは健康寿命を延ばすことであります。そのヒントが、新型コロナ禍にあって自転車利用と歩行者政策を積極的に進めているフランスとイギリスにあると思います。  私は、新型コロナ禍を乗り切り、本県の健康増進と地域活性化のモデルケースとして、京阪神に近いという立地も生かし、屋島・庵治半島の周遊県道を健康増進と心の癒やし、そして来訪者増による地域活性化にも生きる、白砂青松の瀬戸内海を生かした環境整備を進めるべきと考えます。  そこで、質問させていただきます。  質問一、白砂青松の瀬戸内海の景観を生かし、屋島・庵治半島を健康増進と心の癒やしエリアと位置づけ、サイクリングや歩行者空間として活用していただけるような道路環境の整備をすべきと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。  質問二、歴史、食、景観、芸術など、屋島・庵治半島の魅力をどのように捉え、来訪者の増などによる地域活性化にどのように生かそうとされているのか、知事のお考えをお聞かせください。  大きな二点目は、SDGsの認知度向上に取り組む考えについてであります。  日本をはじめ世界は、第二次世界大戦後、劇的な経済・社会復興を遂げたものの、環境問題や貧困、格差問題など社会全体の解決すべき課題が山積しているのが世界の現状です。  二〇一五年の国連総会で全加盟国が合意したSDGs(持続可能な開発目標)は、まさに目指すべき世界の未来の形で、健康と福祉、産業と技術革新、海の豊かさを守るなど、経済・社会・環境にまたがる十七の目標を二〇三〇年までに達成しようとするものです。「誰一人取り残さない」ために目標が設定されており、達成のための具体策は裁量に任されているのが特徴です。  ポストコロナ時代に、企業、自治体、そして私たち個人は、どうSDGsの目標達成に向け、どう行動すべきかを自覚することが大切です。理由は、SDGsが達成された場合、世界で三億八千万人の雇用が生み出され、その約九〇%は発展途上国で生まれることから、経済発展による健康と福祉の向上、貧困撲滅につながるとともに、農業・食料、都市開発、エネルギー・資源、医療・健康などの産業で十二兆ドル、一ドル百十円換算で約一千三百二十兆円のビジネス機会があり、多額の投資に後押しされた様々な取組がなされますと、今後、世界の経済成長に大いに寄与することが想定されています。そのためには、SDGsを正しく知り、理解することがまずは前提になります。  しかしながら、二〇一九年に世界経済フォーラムが発表した、日本を含む世界二十八か国での十六歳から七十四歳、合計約二万人を対象としたオンラインによるSDGsの認知度調査では、日本は最下位という結果でした。また、国内の調査でも類似の状況で、二〇一八年十月に関東経済産業局が東京都と近隣十県の中小企業五百社を対象として実施した中小企業のSDGs認知度・実態等調査で、実に八四・二%が、「SDGsについて全く知らない」と回答しています。このことは、日本国内でおよそ九九・七%を占める中小企業が、SDGsに対して理解不足であり、かつ関心が低い可能性があるというのが現実です。  「誰一人取り残さない」というSDGsの理念に照らしても、既に一年がたった「行動の十年」の二〇二〇年代を突き進んでいくためにも、国や自治体、そして企業自身が取り組むべきことが山積していると思います。  そこで、質問させていただきます。  質問一、SDGsについて、知事の認識と目標達成に向けての取組状況をお聞かせください。  質問二、本県におけるSDGsの認知度についてどのように認識されておられるのか、また、認知度向上にどのように取り組んでいかれるのか、知事のお考えをお聞かせください。  質問三、本県の政策とSDGsに整合性を持たせる必要があると考えますが、知事の考えをお聞かせください。  大きな三点目は、アスベスト対策についてであります。  アスベスト(石綿)は、不燃性、耐熱性、耐腐食性に優れることから、長い間、建築物に使用されてきました。  昨年十月発表の最新の世界疾病負荷推計によりますと、日本のアスベスト死が毎年二万人超で、世界第三位とのことであります。アスベストを吸入すると、中皮腫や肺がんなどの健康被害を生じるおそれがあり、平成十八年十月に建築基準法により、吹きつけアスベスト等の使用が禁止されましたが、既存建築物には吹きつけアスベスト等が使用されたものが残っています。  南海トラフを震源とする大規模な地震の向こう三十年以内での発生が七〇ないし八〇%の確率で予測されている中、火災の消火活動や震災による建物倒壊の調査活動等における従事者の安全を確保したり、平時においても建築物劣化等によるアスベストの周辺への飛散を防止し、県民の安全・安心を確保するためにも、アスベスト対策は重要であります。
     国においては、アスベストを吸って肺がんや中皮腫などの病気になった元労働者や遺族のうち、国などに損害賠償を求める訴訟を起こしていない人を対象とした給付金制度が先月成立し、その支給総額は四千億円規模になるとのことです。このようなことから、本県においても可能な限りの対策を講じるべきだと考えます。  そこで、質問させていただきます。  質問一、本県及び県内市町におけるアスベスト台帳の整備状況について、知事にお伺いさせていただきます。  質問二、アスベストの飛散防止対策の一層の強化とその除去を図り、県民の安全・安心を守るため、どのような対策を講じていかれるのか、知事にお伺いさせていただきます。  大きな四点目は、ヤングケアラーへの支援についてであります。  本年四月十二日、厚生労働省と文部科学省により、病気や障害のある家族の世話をしたり、家族に代わって幼い兄弟姉妹の世話をしたりしている十八歳未満の子供、ヤングケアラーに関する実態調査の結果が公表されました。  この調査は、昨年十二月以降に、全国の公立中学校、高校の一割程度を抽出し、それぞれ二年生を対象に実施され、そのうち中学二年生については五千五百五十八人が回答し、そのうち三百十九人、十七人に一人に当たる五・七%が「世話をしている家族がいる」と回答し、このうち一日七時間以上ケアをしている子供たちも約一割確認されたそうです。ケアの対象は、「兄弟姉妹」が六一・八%、「父母」が二三・五%、「祖父母」が一四・七%となっています。  家族の世話を担う中高生からは、「夜遅くまで世話をして授業に集中できない」、「少し余裕が欲しい」、「昨年の休校中に預かってくれる所がなく、別の兄弟と交代で世話をして、その間は勉強ができなかった」、「睡眠時間も削られ、授業中眠く、集中が途切れることがある」、「誰かに相談する余裕なんてない。今日一日、どう過ごすかでいっぱい」など、切実な声が寄せられています。一方、自身をヤングケアラーと認識している子供は、中学二年生で一・八%にとどまっています。  西南学院大学児童福祉学の安部教授は、「市区町村などの要保護児童対策地域協議会ヤングケアラー支援の要となるが、虐待対応に追われる地域が多く、支援は不十分だ。早期発見には、生徒が欠席や遅刻をした際に学校の教員がしっかり事情を聴き、家庭環境を把握することが重要となる。抜本的な解決には、家族全体へのケアが必要になる。」と述べられています。  SDGsの「誰一人取り残さない」という基本理念からも、未来を担う子供たちの学びや成長を保障するためにも、ヤングケアラーへの支援は重要であります。  そこで、質問させていただきます。  質問一、ヤングケアラーに関する国の実態調査結果も踏まえ、本県におけるヤングケアラーの状況をどのように認識しておられるのか、知事にお伺いさせていただきます。  質問二、この問題解決には、学校における早期発見が最重要ではないかと考えますが、学校における現時点でのヤングケアラーの把握方法等、対応状況について、教育長にお伺いさせていただきます。  質問三、国においては、ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチームにおいて検討した施策の報告が取りまとめられていますが、この報告も踏まえ、公的支援を充実させるために、県としてどのように対応していかれるのか、知事のお考えをお聞かせください。  最後の質問は、こころの教育についてであります。  「おねがいゆるして」、三年前、五歳で天国へ旅立った結愛ちゃんがノートに残した言葉です。日本においても本県においても、幼い子供たちが犠牲になる事件が後を絶ちません。  私は、この現実に接し、日本は昭和の終わり頃、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われるほどの経済成長をしたものの、本来、教え伝えるべき誇れる伝統文化や歴史などの伝承を怠ったことに一因があるように思えてなりません。それは、伝統文化や歴史などのふるさと教育を充実させることが、古くから脈々とつながる命のつながりや郷土における人とのつながりを意識づけ、心を豊かにし、大人になっても小さな命を大切にしようとする態度につながると考えるからです。  平成二十七年の六月議会でも取り上げさせていただきましたが、山口県萩市立明倫小学校の毎朝の吉田松陰語録の朗唱や、福岡市の仁愛保育園における立腰教育、横須賀市のオンリーワン幼稚舎や心育保育園における心に響く教育など、明治維新から今日に至るまで、日本や日本人のすばらしさを伝承し続けている学校、幼稚園、保育所は少なからずあります。  吉田松陰、高杉晋作、伊藤博文、井上 馨、木戸孝允、桂 太郎など多くの偉人を輩出した萩市、西郷隆盛、大久保利通、大山 巌、東郷平八郎などを輩出した鹿児島市の加治屋町では、幕末から明治維新にかけ、どのような教育がなされていたのか。明治維新を成功させ、近代日本の礎を築いた人材をこれほど多く輩出した事例は、日本の歴史においても、世界の歴史においてもありません。  世界の歴史において前例のないスピードで進む日本の少子高齢化は、大きな課題です。それゆえに、未来を担う人材を育てるためにも、日本や本県から児童虐待や子供たちが犠牲になる事件が起きず、SDGsの「誰一人取り残さない」教育・社会づくりには、本県独自のこころの教育が重要ではないかと考えます。  明治維新以来今日に至るまで、内閣総理大臣をはじめ多くの偉人を輩出した山口県では、「子供たちに必要とされる豊かな人間性とは、美しいものや自然に感動する心などの柔らかな感性、正義感や公正さを重んじる心、生命を大切にし、人権を尊重する心などの基本的な倫理観、他人を思いやる心や社会貢献の精神、自立心、自己抑制力、責任感、他者との共生や異なるものへの寛容などの感性及び道徳的価値を大事にする心であると捉えられる。このような心の育成を図るのが心の教育であり、その基盤としての道徳教育なのである」という前文で始まる「心の教育実践事例集」を平成二十七年三月に発刊されています。  小学校における実践事例では、「心を育てる「立腰教育」」、「読書活動の充実から心の教育をめざして」、「集中力・主体性等を養う「立腰教育」」などがあり、中学校においては、「生徒会が中心となったいじめ0(ゼロ)委員会の取組」、「学び合いの中で表現力を高めていく道徳の授業」など、小学校、中学校の実践事例が多く発表されています。この実践事例集に接し、本県においても、全県下で取り組まれている事例及び本県の隆盛に大いに貢献したものの、あまり知られていない中野武営を含めた本県の誇れる偉人を、県内の全小・中学校で教えるべきと考えます。  郷土の歴史を知り、地域に尽くした先人の生き方や業績を学び、地域への誇りや愛着を育む教育が、こころの教育につながると考えます。そのようなこころの教育を推進することが、「おねがいゆるして」とノートに記して五歳で天国へ旅立たざるを得なかった事件等の撲滅にも大いに貢献すると思います。  それでは、質問させていただきます。  本県においても、より分かりやすい実践事例集を作成するなどにより、こころの教育、とりわけ立腰教育のような、故郷香川を誇りに思うふるさと教育を充実させる必要があると考えますが、教育長のお考えをお聞かせください。  以上で一般質問を終わらせていただきます。(拍手、降壇) ◯議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)高木議員の御質問にお答えいたします。  まず、コロナ収束後を展望した地域活性化への取組のうち、マイクロツーリズムの推進等についてであります。  県内など近隣地域内の観光、いわゆるマイクロツーリズムの推進は、議員御指摘のとおり、コロナ禍の中であっても、感染拡大防止の対策を講じつつ、地域の魅力を再発見できる新しい旅のスタイルとして注目されるとともに、コロナ収束後における観光振興策としても大変有効な取組であると考えております。  県では、これまでも各市町や観光関連事業者、住民の方々と連携し、香川せとうちアート観光圏事業やまち歩き事業において、地域で育まれた文化や歴史、食などの魅力を体験することで、地域のよさを深く知ることができる周遊コースを造成し、季節ごとのパンフレットや県公式観光サイトで情報発信しているところであり、引き続き需要喚起策等も活用しながら、地域の魅力の再発見にもつながるマイクロツーリズムの推進に取り組んでまいりたいと考えております。  また、今後の観光振興に向けては、旅行ニーズの多様化や個人旅行へのシフトが加速するとともに、地域間競争の一層の激化が見込まれることから、本県単独でのプロモーションを強化するとともに、近隣県と連携した発信の充実を図り、本県の魅力を多様な旅行者に届ける機会を増やしていく必要があると考えております。  これまで取り組んできた四国ツーリズム創造機構や、せとうち観光推進機構、観光圏などの枠組みも十分に活用し、インバウンドの回復状況も見極めながら、戦略的かつ効果的な情報発信を着実に行ってまいります。  私といたしましては、マイクロツーリズムをはじめ観光の新しい動向に的確に対応し、広域での情報発信なども活用しながら、香川の観光誘客、交流人口の拡大に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、屋島・庵治半島周遊県道の整備と地域の活性化についてであります。  屋島・庵治半島を周遊する県道である屋島停車場屋島公園線及び高松牟礼線につきましては、平成三十年度に、県内全域にサイクリングルートを広めるために設定している五つのエリアの一つである高松ルートに選定しており、これまでに、サイクリストの利便性の向上のため、休憩所の設置やルートを示した路面標示などの利用環境の整備を行ってまいりました。  また、通行の安全を確保するため、抜本的な対策として、道路の拡幅工事や防災工事などを行うとともに、サイクリストや歩行者の道路環境を整備するため、即効性のある対策として、高松市や地元関係者の御意見も伺いながら、水路の蓋かけや樹木の伐採などを行っているところであります。  屋島・庵治半島エリアは、美しい瀬戸内海の自然や新鮮な食に加え、四国霊場第八十四番・第八十五番札所や、源平合戦の古戦場としても数多くの史跡が残っているほか、新屋島水族館やイサム・ノグチ庭園美術館など、多様な資源に恵まれたポテンシャルの高い地域であると認識しております。  また、高松市中心部に隣接しているという立地も生かし、県内外からの誘客につなげるため、高松市や地域団体等で構成する源平屋島地域運営協議会に県も参画し、誘客に向けた取組を支援しており、今後は、豊かな資源を活用した、健康志向の方にも選んでいただける滞在型・体験型のツアーの造成にも取り組んでまいります。  私といたしましては、引き続き多くの観光資源に恵まれた魅力的な地域である屋島・庵治半島を周遊する県道につきまして、安全・安心で利用しやすい道路環境の整備に取り組むとともに、観光誘客にも努め、地域活性化に生かしてまいりたいと考えております。  次に、SDGsへの取組についてであります。  誰一人取り残さない、持続可能でよりよい社会の実現を目指す、世界共通の目標であるSDGsは、県としても、その達成に向けて積極的に取り組むことは重要であると認識しております。  とりわけ、国のSDGs実施指針で示されている八つの優先課題のうち、「持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備」、「成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション」及び「健康・長寿の達成」につきましては、本県が直面している「災害に強い香川づくり」や、「人口減少問題の克服と地域活力の向上」、「新型コロナウイルス感染症への対応」といった重要課題と方向性を同じくするものであり、その解決に向けて重点的に取り組んでいるところであります。  一方で、四国経済産業局が令和元年度に実施した四国地域における企業のSDGs取組状況アンケート調査によると、回答した県下の企業の七割が認知していると答えたほか、民間団体の各種取組や、これまで県が実施してきたSDGsに関する各種講演会やパネル展等の開催、小学生向け環境学習動画の制作・配信などの取組を通じて、一定程度浸透してきているものと認識しております。  今後とも、SDGsに対する理解がより深まり、認知度が一層向上するよう、各市町や企業、関係団体等と連携し、普及啓発に取り組んでまいります。  また、本県の政策との整合性につきましては、今定例会に素案をお示ししている次期総合計画において、二十二の重点施策全てに方向性を同じくするSDGsのゴールを設定しているところであり、各施策とSDGsの目標との整合性を図ってまいります。  私といたしましては、せとうち田園都市の確かな創造を目指して、各種施策を積極的に行っていくことにより、SDGsの達成につなげてまいりたいと考えております。  次は、ヤングケアラーへの支援についてであります。  本県の児童相談所や各市町の要保護児童対策地域協議会において支援している児童の中にもヤングケアラーとされる児童がおり、学校生活や成長への影響を防ぐよう、個々の状況に応じた対応を行っているところでありますが、国の実態調査結果にもありますように、児童や家族、周囲の大人がヤングケアラーと認識していないことなどから、発見に至っていない児童がいると考えられ、各市町にヤングケアラーへの理解促進と関係機関の連携による支援を働きかけながら、本県における状況を把握していく必要があると考えております。  議員御指摘の国のプロジェクトチームにより、国が今後取り組むべき施策として、「早期発見・把握」、「支援策の推進」、「社会的認知度の向上」が報告され、早期発見・把握において、「地方自治体による現状把握の推進」が掲げられており、また、県としても、先月、全国知事会を通じて、ヤングケアラーへの支援の強化について提言したところでもあり、私といたしましては、国の動向を注視しながら、実態調査の実施も含め、支援体制の構築など、必要な方策を検討し、各市町、学校等と連携して、ヤングケアラーへの支援に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  なお、そのほかの御質問につきまして、環境森林部長よりお答え申し上げます。(降壇) ◯議長(十河 直君)木村環境森林部長。    (環境森林部長木村士郎君登壇) ◯環境森林部長(木村士郎君)高木議員の石綿対策についての御質問にお答えいたします。  建築物に使用されている石綿は、経年劣化や損傷などにより飛散し、建物の利用者の健康障害につながるおそれがあることから、使用の実態を正確に把握し、適切な飛散防止対策を講じることが重要となっております。  このため、国では、平成二十六年に建築物石綿含有建材調査マニュアルを策定しており、都道府県などの特定行政庁には、アスベスト台帳を整備し、調査により把握した情報を記録・管理することが求められております。  県内では、特定行政庁である県と高松市において、平成十七年度の国からの通知を受けて調査した、平成元年までに施工された床面積が一千平方メートル以上の建築物について、吹きつけ石綿の使用状況や、除却や封じ込め等の措置状況などを記載した台帳を整備しております。加えて、県と高松市では、香川県石綿による健康被害の防止に関する条例に基づき、床面積にかかわらず届出を義務づけている吹きつけ石綿を使用する建築物につきましても、台帳として整備しているところです。  次に、石綿の飛散防止対策といたしましては、県ではこれまで、条例に基づく吹きつけ石綿が使用されている建築物への立入検査や、大気汚染防止法に基づく吹きつけ石綿等が使用されている建築物の解体作業時などの立入検査のほか、関係機関と合同で、労働安全衛生法やいわゆる建設リサイクル法に基づく県内一斉パトロールなどを実施しているところです。  このような中、昨年六月に大気汚染防止法が改正され、建築物の解体作業などに対する規制の対象が、それまでの吹きつけ石綿等から、石綿含有スレートを含む全ての石綿含有建材に拡大されたことを踏まえ、県でも本年三月、条例を改正し、対象を法律に合わせて拡大するとともに、県の責務として、災害時における石綿の大気中への飛散を防止するための措置を講ずることとしたところです。  石綿が使用された建築物等の解体が令和十年頃にピークを迎えると言われており、また、南海トラフ地震など大規模災害の危険性も高まる中、県といたしましては、建築物の解体作業時などの立入検査体制を強化するとともに、法律や条例の内容について事業者への周知を図るほか、災害発生時における各市町との連携体制につきまして検討するなど、石綿飛散防止対策の徹底による健康被害の防止に努めてまいります。(降壇) ◯議長(十河 直君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)高木議員の御質問にお答えいたします。  まず、ヤングケアラーへの支援についてであります。  学校においては、遅刻や忘れ物等の基本的生活習慣の乱れやふだんの会話の中で、子供の疲労感を察知したり、関係機関等からの情報を聞いたりしながら、ヤングケアラーと思われる場合を含め、子供に過度な負担がかかっていないかなど、実態把握に努めております。スクールソーシャルワーカーの家庭訪問をきっかけに、生徒が家族の世話をしている実態に気づき、生徒や保護者の相談に乗ったり、学校に報告し福祉機関につなぐ等した事例も聞いております。  しかしながら、今回の全国調査の結果では、ヤングケアラーについての教職員等の認知度は低いという状況であることから、早期の把握や支援につなげるためにも、教職員等を対象とした研修の充実を図ってまいります。  県教育委員会といたしましては、今後、実態調査の実施の検討も含め、市町や福祉部局とも連携を図りながら、ヤングケアラーへの支援に努めてまいります。  次に、こころの教育についてであります。  これからの変化の激しい時代を生き抜く子供にとって、こころの教育、とりわけ地域の中での人とのつながりや、歴史の中で脈々と受け継がれてきた命のつながりを意識づけるふるさと教育の充実は重要であると考えております。  このため、県教育委員会では、現在策定中の次期教育基本計画において、重点項目の一つとして、「郷土を愛し、郷土を支える人材の育成」を挙げ、その取組の中で、「郷土に誇りを持つ教育の推進」を掲げております。  ふるさと教育については、社会科や総合的な学習の時間、道徳教育など、教育活動全体を通して推進しておりますが、その中では、郷土香川を特徴づけている自然や伝統文化、産業や郷土の発展に尽くした先人などを掲載したオリジナル教材「ふるさと香川」を活用してきたところです。  議員御指摘のとおり、児童・生徒が中野武営など郷土香川の先人の業績や生き方に学び、さらに、今まさに香川にいながら世界で活躍する人材に接することは、郷土を愛し、郷土を支える人材の育成につながるものと考えております。  そのため、先月、学識経験者等七名によって構成するふるさと教育推進検討委員会を設置し、新しい時代にふさわしいふるさと教育の方向性、教材の在り方など、幅広く議論を進めることとしており、いただいた御意見を基に、人とのつながりや命のつながりを大切にしたふるさと教育に係る施策を推進してまいりたいと考えております。  県教育委員会といたしましては、ふるさと教育を通して、郷土に対する愛着や誇りを育み、児童・生徒の自信や意欲を高めるとともに、人生を歩んでいく上で重要な視座の確立を目指し、一層その充実に取り組んでまいります。(降壇) ◯議長(十河 直君)一般質問を続行いたします。  松本公継君。    (松本公継君登壇、拍手) ◯松本公継君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、私からは五点、一般質問をさせていただきます。  質問の第一点目は、新型コロナウイルス感染症の第四波までの総括と第五波に対する備えについてであります。  新型コロナウイルス感染症につきましては、昨年一月に国内で初めて感染者が確認されて以来、三月から五月にかけて新規感染者の第一波が発生し、政府からの緊急事態宣言が四月から五月に出されることとなりました。その後、七月から八月にかけて第二波が、十月から今年二月頃にかけて第三波が発生し、直近では、四月から六月までの間で第四の波が形成されており、新規感染者の増加とともに緊急事態宣言等が出され、宣言解除とともに市中における人の行動が短期間で活発化することで、再度新規感染者が増加するという傾向になっているものと考えております。  本県におきましても、昨年三月に県内で初めての新規感染者を確認して以降、全国の動きと同様に、第一波から第四波までの新規感染者の増加、減少を繰り返してきたところでございますが、第四波につきましては、これまでにない新規感染者数となり、五月七日には、これまでで最大となる七十八名の新規感染者が確認され、医療体制の逼迫とともに、緊急事態対策期としての対応を行うこととなりました。五月六日から五月十四日までの新規感染者数がそれまでと比較しても明らかに多かった要因は、ゴールデンウイーク期間中における人の流れの影響が大きかったのではないでしょうか。  一方、行動の抑制には一定限界があると感じており、これまでの全国的な流れを見ても、行動抑制の後には心理的開放による人の流れの増加が発生することから、オリンピックの開催と合わせて第五波の発生を懸念する声が、医療関係者や専門家等から上がっていると承知しており、全国知事会でも、オリンピック・パラリンピックの期間中において、県をまたぐ移動により感染が拡大するとして、政府に移動や応援の在り方についての検討を求めているところであります。  本県においては、先月下旬から新規感染者がゼロとなる日もあり、その後も小康状態を保っておりますが、東京都では六月二十日の緊急事態宣言の解除以降、新規感染者数が増加傾向にあり、これまでの対応を改めて検証するとともに、感染力が強いとされるデルタ株の流行による第五波を抑制するためにも、県民へのワクチン接種やオリンピック期間中の都道府県を越えた人の動きについて、先手の対応を行っていく必要があると思います。  ワクチン接種については、県民の皆様からは、その申込方法や相談窓口に加えて、後遺症や副作用を心配される声も多くいただいており、最近では、一般接種の開始に併せて幼児・児童・生徒等にワクチン接種をするべきかといった相談を受けることがあります。  ワクチン接種については、今後の新規感染者の抑止に有効と伺っておりますが、情報不足や誤解によって接種を敬遠することがないよう、適切な情報提供を行っていくことこそが、県民への理解を高め、第五波の抑制のみならず、新たな感染を抑えるために重要であると考えており、これまでの感染状況を踏まえて、その年齢構成や発生場所、感染拡大の時期と発生場所の特徴等、本県における感染の傾向等を分析し、ワクチン接種を含むこれからの対応策や県民への適切な情報提供につなげていく必要があると感じております。  そこで、新型コロナウイルス感染症に対して、第四波までの感染状況をどのように分析・検証されているのかについて知事にお伺いするとともに、ワクチン接種や適切な行動について、これまでの状況を踏まえて、第五波を抑制するためにどのような対応を取る必要があるのか、また、適切なワクチン接種に関する情報発信をどのようにしていくおつもりなのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第二点目は、福祉避難所の確保についてであります。  四国地方は、五月十五日頃に梅雨入りしたと見られると高松地方気象台から発表がありました。四国地方の梅雨入りは、平年ですと六月五日頃とされており、三週間ほど早く梅雨入りしたことになります。また、この梅雨入りは、昭和二十六年の統計開始以降最も早い梅雨入りになっているとのことでありますが、梅雨明けは平年では七月下旬になることから、例年にない長い梅雨となりそうです。  近年、この梅雨の時期から夏の時期にかけては、台風による水害以外にも、線状降水帯と言われる雨雲の影響で局地的かつ長時間多量の雨が降ることが多く見られ、ここ五年間だけを見ても、全国的に被害をもたらした令和二年七月豪雨や西日本豪雨と言われた平成三十年七月豪雨、さらに平成二十九年七月九州北部豪雨など、被害の大きな災害が各地で発生しているところであり、本県においても、いつ大きな災害が発生してもおかしくないという気持ちで、日頃から災害に対する備えをしておく必要があります。  さて、災害対策基本法の改正により本年五月二十日から、高齢者や障害者等災害弱者の逃げ遅れを防ぐために、事前に避難方法を決めておく個別避難計画の作成が市町村の努力義務となりました。  内閣府ではこれまで、東日本大震災による死者の半数以上が六十五歳以上だったことを受けて、平成二十五年に災害対策基本法を改正し、市町村に避難行動要支援者名簿の作成を義務づけたと同時に、個別避難計画の作成を推奨しているところであります。  本県においては、避難行動要支援者名簿については県内全市町で作成が完了していると伺っておりますが、その名簿に掲載されている全ての方の個別計画が作成できている自治体は二市であり、災害時において、名簿に記載された支援が必要とされる方々の個別避難計画の作成が進み、発災してから慌てることのないように、計画の作成を推進していただきたいと思っております。  この高齢者や障害者等災害弱者の逃げ遅れを防ぐための個別避難計画とともに避難施策の両輪になると感じているのが、福祉避難所の確保・整備であります。福祉避難所は、指定避難所等での生活が困難な要支援者の方などが避難生活をするための特別な配慮がなされた避難所であり、社会福祉施設等の事前に指定された施設が対象となる二次避難所となります。  内閣府は、五月、福祉避難所の確保・運営ガイドラインを改定し、高齢者、障害者、乳幼児、その他の特に配慮を要する者が避難する施設となる福祉避難所において、対象となる災害弱者の公示により、一般避難所からのスムーズな移送に加えて、直接避難することも可能になりました。  福祉避難所については、平成二十八年の熊本地震及び令和元年の台風十九号において、一般住民が押しかけて機能しなかった事例や、混乱をおそれて福祉避難所を設置しながら公表を控えた自治体があったと伺っており、発災時、混乱下における対応の難しさが指摘されていたところではありますが、避難に支援を要する方にとっては非常に重要な避難先となることから、発災時における運用について、私も強い関心を持っております。  今回の内閣府におけるガイドラインの改定をきっかけとして、福祉避難所についての正しい知識を県民の皆さんに知っていただき、発災時において適切な避難行動につなげていただく必要があります。備えあれば憂いなし。  そこで、近年の甚大な自然災害の影響を踏まえれば、県としても市町と連携し、この福祉避難所の整備を推進し、適切な避難につなげる必要があると考えますが、現在の県内における福祉避難所として指定された施設等の状況をお伺いするとともに、今回のガイドライン改定を機に、県として福祉避難所のさらなる確保・整備や適切な使用方法等の周知をどのように行っていくおつもりなのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第三点目は、災害時における死者・行方不明者の氏名公表についてであります。
     政府の地震調査委員会の公表によると、南海トラフで想定されるマグニチュード八から九の巨大地震については、今後三十年以内に発生する確率が七〇%から八〇%とされており、県では最大震度七、死者六千二百人、負傷者一万九千人、家屋の倒壊三万五千棟などの甚大な被害が出ると想定されております。  特に、全国的に見て比較的災害が少ないとされる本県においては、常日頃から、いつ災害が起きてもおかしくないという高い意識を持って備えをしておかないと、いざというときの対応ができなくなることから、私もこれまでに、定例会や委員会の場で質問等を行うことはもちろん、県民の方と接する中でも個別に啓発活動を行うなど、強い関心を持って取り組んでいるところであります。  今年は、東日本大震災から十年がたちました。東日本大震災では、死者・行方不明者、関連死を含むと二万二千二百人の方が犠牲となり、住宅全壊は十二万棟を超え、最大四十七万人の避難者が出たとされており、発災後の映像記録等を見るたびに、本県でこのような災害を起こしてはならないと強く思っております。  また、最近では台風の大型化や線状降水帯の発生により、甚大な被害がもたらされることも多く、毎年のように死者・行方不明者が出るような災害が発生している状況であり、その際、死者や行方不明者の氏名公表についての対応が自治体によって異なること等が問題視されております。  本県においては、災害発生時において、迅速な捜索のために氏名公表が必要と認められる場合、個人情報保護条例に照らし、各市町、警察、消防、自衛隊などの救助・捜索を実施する機関とも十分に協議しながら、御家族等の意向も踏まえた上で氏名公表を判断するという対処方針であると伺っているところではありますが、先ほども申し上げましたとおり、南海トラフ地震における本県の被害想定では約二万五千人の死者や負傷者が発生すると予想されている中で、発災直後の混乱の中、関係機関の協議や御家族等の意向を確認する作業には膨大な時間を要するのではないかと考えており、行方不明者の救助活動を効率的に行うことを目的に実施する氏名公表等は、その性質も考慮し、事前に一定の判断基準をもって氏名公表を行う等の対応が必要になるのではないかと考えております。  五月二十七日、全国知事会の危機管理・防災特別委員会は、災害時の死者や行方不明者の氏名公表に関するガイドラインを示しました。その中では、「家族の同意がある場合に公表」、「原則公表」、「迅速な救助活動に必要な際に公表」という三つの氏名公表における考え方が提示されており、都道府県はこれらを参考にして、氏名公表の具体的な判断基準をあらかじめ定めるとともに、全国的に画一的な対応は求めないというものになりました。  全国知事会では、各知事の意見も聞きながら引き続き議論するとしておりますが、三つの考え方が示されたことで、本県においても、大規模災害に備え、事前に氏名公表を行うためのルールをより深く定めておく必要があるのではないでしょうか。  そこで、今回の全国知事会のガイドラインも踏まえると、各都道府県の実情に即した形で災害時における死者・行方不明者の公表について、その方針を明確にするとともに、氏名公表を行う際の条件に一定の優先順位づけを行う等の対応が必要であると考えておりますが、本県の災害時における死者・行方不明者の氏名公表について、今後どのように対応されるのか、知事のお考えをお伺いいたします。  質問の第四点目は、コロナ後を展望した産業振興についてであります。  昨年から続く新型コロナウイルス感染症については、昨年九月の定例会において質問させていただきましたワクチン接種が本県でも開始され、接種が進む外国の状況等を見ておりますと、決して楽観できる状況ではないことは言うまでもありませんが、ようやくコロナ後の姿を意識することができるようになり始めているのではないかと感じております。  内閣府が五月十八日に発表した昨年度のGDP(国内総生産)は、新型コロナウイルスの影響で実質の伸び率がマイナス四・六%になったとされており、このことは、新型コロナウイルスの影響で個人消費や企業の設備投資が大きく落ち込んだことが要因とされ、リーマン・ショックが起きた平成二十年度のマイナス三・六%を超える下落になっているとのことです。  県内の企業においても、新型コロナウイルスの影響を受けて非常に厳しい経営環境となった企業も多い中、先月十日に日本銀行高松支店が発表した香川県金融経済概況によると、設備投資については下げ止まりの動きが見られ、企業の生産は緩やかに持ち直しているとされており、新型コロナウイルスに対して各企業が対応している効果や自治体等公的機関が行ってきた企業支援施策による効果も一定あるのではないかと考えております。  今回の新型コロナウイルスの影響を受けて、企業関係者の方から、これまでの事業を絞った経営環境では、今回のような緊急事態が発生した際に経営を継続することが困難になるため、これまでにない他分野にもチャレンジしていく必要があると感じているといった声をお聞きすることがあります。  また、コロナ禍の中で、県が総合的な事業者支援として昨年実施した香川県前向きに頑張る事業者を応援する総合補助金の実績では、千五百六十五件の補助事業が採択され、その事業分野も様々なものであったと伺っております。その中には、既存事業とは全く別の事業をしようとするものや、既存事業のノウハウを生かしつつ新しい分野にチャレンジしようとするものもあり、新分野へのチャレンジニーズは潜在的なものも含めるとかなりあるのではないかと思います。  さらに、本社あるいは本社機能を地方に移転させる動きも加速されているとされており、人材派遣業を行うパソナグループは、二〇二四年五月までに、管理部門の千八百名のうち千二百名を東京から淡路島へ異動すると発表しています。これら企業の移転等については、複数の企業で既に行われており、このことは、新型コロナウイルスの影響でテレワークの環境等が整備されてきたことにより加速化しているものと推察されます。  企業の移転に関しては、新型コロナウイルスの発生前は、企業誘致という形で手間暇をかけて各企業へアプローチをしておりましたが、テレワーク環境の整備を進めた企業が多くある中、企業と地方自治体のマッチングはしやすくなったと考えており、今後、きっかけがあれば、本県への企業移転を検討してもらえるチャンスでもあるのではないでしょうか。  そこで、県ではこれまでも、事業者支援という形で、新型コロナウイルスに関する支援を県内企業に対して行っているところではありますが、県内企業の新分野チャレンジに対する支援及び県外からの企業移転に対する誘致という視点で、アフターコロナを見据え、今後どのような対応を行っていくべきと考えているのかについて、知事のお考えをお伺いいたします。  質問の第五点目は、次期教育基本計画における非認知スキルの位置づけについてであります。  県教育委員会では、長期的な展望に立った本県教育の進むべき方向と目指す目標、それらを実現するための総合的な教育施策を明示するため、また、県の総合計画の教育に関する分野別計画として、平成十七年三月に香川県教育基本計画を策定し、これまでに二度、社会の状況や教育課題を踏まえ、見直しを行ってきております。  第三期の教育基本計画は、平成二十八年三月に策定され、平成二十八年度から令和二年度までの五年間、本県における教育施策の根幹として、社会情勢の変化が激しい中において、その役割を担ってきました。県教育委員会では、次期教育基本計画の策定を進めており、これまでに香川県教育施策推進協議会を中心にその検討を進めており、今月からその素案についてパブリックコメントを行うと伺っております。  第三期の教育基本計画が策定されて以降、この間、学校種ごとに学習指導要領が改訂されるとともに、直近では、小学校全学年の少人数学級の導入、GIGAスクール構想に基づくICT機器の学習環境への活用、また、新型コロナウイルスによる新しい教育の在り方の検討等がされる等、教育を取り巻く環境はかつてないほど大きく変化しようとしております。そのような中で策定される次期教育基本計画については、県内の子供たちが、今後どのような教育を受け、成長の階段を上っていくのか、非常に重要なものになると考えております。  私はこれまでにも、未来を担う子供たちの優しくたくましく生きる力、自制心ややり抜く力といった、いわゆる非認知スキルを伸ばしていくことが重要であり、就学前教育や家庭教育における非認知スキルの向上について、定例会の場でも質問させていただいているところであります。  文部科学省は、学習指導要領改訂のポイントの一つとして、「主体的・対話的で深い学び」の視点に立った授業改善を行うことで、学校教育における質の高い学びを実現し、学習内容を深く理解し、資質・能力を身につけ、生涯にわたって能動的に学び続けることを挙げており、どのように学ぶかの具体的な手法として、アクティブ・ラーニングという手法が挙げられています。  これらのことからも、非認知スキルの向上は教育における重要なポイントであり、学校環境における教育はもちろん、家庭環境における教育においても、非認知スキルを向上させることが、グローバル化する社会や多様化する価値観等の中で、子供たちの人生が豊かなものになるため、そのような教育を行っていく必要があると考えています。  今年二月の定例会の中では、教育長より、次期教育基本計画にも、自己肯定感・自己有用感の育成に向けた取組を盛り込みたい旨、答弁をいただいているところであり、次期教育基本計画に、非認知スキルに関する考え方及び取組内容について、どのように盛り込まれるのかについて強い関心を持っております。  そこで、現在策定を進めている次期教育基本計画の中で、非認知スキルの向上をどのように盛り込まれようとしているのか、その考えを教育長にお伺いするとともに、数値化しにくいとされる非認知スキルの向上を学校教育及び家庭教育において具体的にどのような方法で取り組まれるのかについて、併せてお伺いをいたしまして、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)松本議員の御質問にお答えします。  まず、新型コロナウイルス感染症のこれまでの総括と今後の対応についてであります。  本県では、昨年三月に初めて感染者が確認されて以来、先月末までに累計で二千九十六人の感染者が発生いたしました。これを月別に見ますと、最も多かったのは本年五月の七百三十人であり、次いで四月の四百三十二人、一月の三百四十九人、昨年十二月の百五十八人となっております。この発生状況からは、人の移動とそれに伴う接触が活発となる年度や年の替わり目、連休を中心に感染が多くなっていると考えられます。  また、昨年十二月と翌一月には、病院と高齢者施設での大規模な集団感染が発生し、五月には飲食店等での集団感染が多発しました。さらに、本年四月以降は、変異株であるアルファ株による感染が急速に拡大し、感染者数を大きく増加させたと考えております。  このようなことから、今後の感染の拡大を防ぐためには、まず、県民の皆様に、マスクの着用、手洗いなどの新しい生活様式や、リスクが高まる五つの場面に注意するといった基本的な感染防止対策を改めて徹底していただくことが重要と考えております。  集団感染のリスクが高い施設や飲食店につきましては、施設従事者の健康管理の徹底をお願いするとともに、かがわ安心飲食店認証制度の導入促進を図っていくこととしております。  また、変異株につきましては、新たな変異株であるデルタ株について、スクリーニング検査を実施し、早期発見と封じ込めを図ってまいります。  ワクチン接種につきましては、感染拡大防止の切り札と位置づけられているところであり、希望する全ての県民の皆様ができる限り早期に接種できるよう、各市町等と連携して取り組んでまいります。  ワクチン接種に関する情報につきましては、これまで、県の広報誌や新聞の全面広告でお知らせするとともに、副反応等について説明したポスターを作成し、各市町の接種会場に掲示するなど取組を進めてまいりました。  今後とも、県のホームページなど様々な媒体を通じて、丁寧で分かりやすい情報提供に努めてまいりたいと考えております。  次は、福祉避難所の確保についてであります。  福祉避難所は、災害時に、高齢者や障害者、乳幼児といった要配慮者を受け入れる施設として、各市町が社会福祉施設等の協力を得て指定をしており、昨年十月に県が行った調査では、施設との協定等により確保しているものも含め、県内十七市町で百九十二か所が確保され、二千九百八十人の収容が可能となっております。  一方、福祉避難所を必要とされる方は、同調査で二万一千五百八十六人が見込まれており、収容可能人数からすると、県内に福祉避難所が十分に確保されているとは言い難い状況にあります。  県では、平成二十五年三月に「福祉避難所設置・運営マニュアル作成の手引き」を策定し、福祉避難所の指定やその円滑な運営に向けた具体的な取組が促進されるよう、各市町に助言等を行ってきたところであり、加えて昨年十月には、新型コロナウイルス感染症対策を追加したマニュアル作成例を各市町にお示しいたしました。  今般、各市町で、あらかじめ福祉避難所の受入れ対象者を特定し、公示することが可能になり、議員御指摘の福祉避難所の確保・運用ガイドラインにおいて、要配慮者の意向や地域の実情を踏まえつつ、日頃から利用している施設等への直接の避難を促進しているところであり、今後、各市町での活用が期待されるものと考えております。  私といたしましては、要配慮者が安心して避難する上で、福祉避難所の確保は重要であると認識しており、災害時に迅速かつ的確な対応が図られるよう、改正ガイドラインの内容を各市町に丁寧に周知することや、県内外の活用事例等を紹介することに加え、障害のある子供たちのために特別支援学校の活用を検討するなど、各市町や教育委員会とも緊密に連携を図りながら、福祉避難所の拡充に取り組んでまいります。  次は、災害時における死者や行方不明者の氏名公表についてであります。  災害時の死者や行方不明者の氏名公表につきましては、迅速な安否確認や効率的な捜索につながることが期待できる一方、個人情報保護の観点から慎重な対応が求められ、過去の災害時には、自治体によって対応が異なることも課題とされてきたところであります。  こうしたことから、全国知事会では、危機管理・防災対策特別委員会を中心に議論を重ね、先月開催された全国知事会議の場で、災害時の死者・行方不明者の氏名等公表に係るガイドラインを取りまとめました。このガイドラインでは、全ての都道府県に画一的な対応は求めず、各都道府県が氏名公表を判断する際の参考となる考え方等をまとめたもので、具体的には、「個人情報保護の重視」や、「発生事実の速やかな公表」、「被災状況から判断」の三つの類型を示した上で、類型ごとの標準的な対応フローや留意事項などを整理したものとなっております。  議員御指摘のように、本県では現在、災害時に行方不明者などの迅速な捜索のため氏名公表が必要と認められる場合には、個人情報保護条例に照らし、各市町や警察、消防、自衛隊などの救助・捜索を行う機関とも十分協議しながら、御家族等の意向も踏まえた上で氏名公表を行うこととしております。  私といたしましては、今般策定された全国知事会のガイドラインも踏まえ、これまでの本県の基本的な考え方をベースに県独自の公表基準を策定したいと考えており、今後、各市町や警察などとも調整を行いながら検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、コロナ収束後を展望した産業振興についてであります。  新型コロナウイルス感染症の拡大は、経済に厳しい影響を及ぼす一方で、これを機に、デジタル技術を活用した柔軟な働き方やビジネスモデルの変化、環境意識の高まり、人々の行動や消費動向の変化、東京一極集中が変化する兆しなど、経済社会の変化が急速に進んでおり、今後は、こうした変化を的確に捉えながら産業振興を進めていく必要があると考えております。  こうした中、県内企業が新分野にチャレンジすることは、経済社会の変化に企業が対応し、経営基盤を強化するための有効な手段となるものであり、かがわ産業支援財団では、新分野等チャレンジ支援事業により、新分野進出等のための商品・技術の開発等を資金面から支援するとともに、専門家による相談対応などの伴走型支援も行っているところであります。  加えて、今年度は新たに、withコロナ対応支援事業として、感染症対策を前提とした新しい日常に対応した新しい商品・技術の開発やオンラインによる販路開拓などの支援にも取り組んでまいります。  また、議員御指摘のように、テレワーク環境の整備に伴う企業の地方移転や新しい働き方への関心の高まりを契機として、県外企業の新規立地を進め、若者が魅力を感じる働く場を確保していくことは、新たなビジネスチャンスや雇用創出につながるものであり、東京一極集中を是正し、地域の活力を取り戻していくためにも重要であると考えております。  このため、県内にサテライトオフィスの拠点整備や開設を行う事業者への補助制度を創設し、整備等に要する経費を補助するとともに、若者の就業率が高く将来の成長が見込まれる情報通信関連産業につきまして、首都圏の企業に対し、訪問やオンライン会議を活用した積極的な誘致に取り組んでおります。  今後も、私自身が直接企業のトップにお会いして、温暖な気候と自然災害の少なさ、医療や教育水準の高さなど、本県の立地環境の優位性や支援施策を積極的にPRするとともに、各市町や協定を結んだ金融機関等と連携して物件情報の収集・提供体制やワンストップサービスを一層充実させ、県外企業の誘致に取り組んでまいります。  私といたしましては、コロナ収束後の経済社会を的確に展望した戦略的な産業振興を図る観点から、県内企業の新分野チャレンジや県外企業の誘致に積極的に取り組み、感染症などの危機に対しても、強靱で持続可能な経済を構築してまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(十河 直君)工代教育長。    (教育長工代祐司君登壇) ◯教育長(工代祐司君)松本議員の次期教育基本計画における非認知スキルの位置づけについての御質問にお答えいたします。  変化が激しく予測困難な社会において、子供たちが受け身ではなく、どんな状況でも諦めず前向きに生きていくためには、議員御指摘のとおり、自制心ややり抜く力といった非認知スキルが求められています。  一方、全国学力・学習状況調査の結果では、本県の子供たちには、非認知スキルの中でも、学習や様々な活動への意欲のもととなる自己肯定感・自己有用感が低い傾向にあることから、次期教育基本計画では新たに「自己肯定感・自己有用感の育成」の項目を設けております。  自己肯定感・自己有用感を高めるために、小・中学校においては、学級や学年、学校の枠を超え、子供たちが自発的・自治的な交流活動を行う心の交流事業を実施しており、今年度は八校を推進校に指定しております。これまでの心の交流事業の取組の成果のうち、有効な活動を推進校以外にも広げてまいります。  また、平成二十九年度から三年間、非認知スキル向上を目的としたモデル校事業を実施し、その成果を取りまとめた非認知スキル向上プログラムを本年三月に作成したところであり、今後、このプログラムを活用した取組が全ての幼稚園や小学校などで実践されるよう推進してまいります。  さらに、非認知スキルの向上には、家庭における保護者の適切な関わりが重要であることから、子供の生活習慣の改善等に家族で取り組む「自分でできるよ!」チャレンジシートとその手引書を引き続き配付していくとともに、香川大学医学部の鈴木裕美先生と連携した、子供の発達段階に応じた関わりをアドバイスする「Dr.ひろみの子育て通信」をより広く周知してまいります。  県教育委員会といたしましては、非認知スキルは子供の成長を支える基盤であることから、学校や保護者と連携しながら非認知スキルの向上に一層取り組んでまいります。(降壇) ◯議長(十河 直君)一般質問を続行いたします。  都築信行君。    (都築信行君登壇、拍手) ◯都築信行君 議長のお許しをいただきましたので、知事に対し、喫緊の課題について質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、新型コロナウイルス対策についてお伺いをいたします。  我が公明党も、知事及び教育長に対し、直近で二回の緊急要望を行わせていただいており、その関連も含め、その後の取組などについて伺いたいと思います。  その第一は、新型コロナウイルスワクチンの円滑かつ迅速な接種に向けた取組についてです。  令和三年三月八日から開始された我が県における新型コロナワクチンの接種については、医療従事者への接種を経て、総理の七月末までを念頭に希望する高齢者の接種を終えられるように取り組むとの方針の下、本県においても、医療従事者等の御協力により、希望する高齢者への接種が各市町において精力的に行われており、集団接種会場の新設や個別医療機関での接種回数の拡大など、地元医師会と連携した新たな取組により、全市町において七月末までの完了にめどが立ったとお聞きをしております。  新型コロナワクチンの接種は、希望する全ての県民が接種対象であり、健康に直結する大規模事業であることから、円滑かつ迅速な接種が求められております。県としても、推進に傾注していただいておりますが、現場から寄せられた声も踏まえ、何点かお聞きしたいと思います。  まず、体制整備についてです。  現在、各市町が最も不安に感じているのは、接種に当たる医療関係者の確保です。今後、対象が六十五歳未満となり、その数も格段に増えていくことが予想されるとともに、県独自の広域集団接種センターも設置され運用される予定でありますことから、県として、市町としっかりと連携しながら、医療従事者等の人的手当てには遺漏のなきよう、万全の体制をよろしくお願いしたいと思います。  次に、情報提供についてです。  ワクチン接種の副反応報道等が一部に見られる中、ワクチン接種に不安を抱える県民もいらっしゃるのではないでしょうか。今後、新たにモデルナ社製ワクチンなどの接種も始まることも踏まえ、ワクチンの安全性等について、タイムリーで分かりやすい丁寧な情報発信が必要だと考えます。皆が安心して臨めるよう、よろしくお願いをいたします。  また、働く人のワクチン接種がスムーズに進むよう、県としても、企業によるワクチン休暇の導入がさらに進むよう支援をいただきたいと思います。  そのほか、他県と同様に、優先接種対象者として放課後児童クラブの支援員も保育士同様に取り扱っていただきたいことや、地域の消防団員の方々も、ぜひ配慮いただきたいと思います。また、九月に海外に留学する学生・生徒について、ワクチン接種が義務づけられていることから、留学するまでに二回の接種が実施できるよう、ぜひ配慮をお願いしたいと思います。  関連して、職場や地域等で、ワクチン接種を受けないことを選択した方々へのハラスメントや誹謗中傷等への対応にも意を用いていただきたいと思います。  以上、県の取組として配慮していただきたい点を何点か申し上げましたが、知事の御所見をお伺いをいたします。  この項の二つ目は、女性を取り巻く環境改善について伺います。  これについては、去る四月七日、我が党県女性局が知事及び教育長に緊急要望を行っておりますので、それを基に質問をさせていただきます。  新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、職を失ったり休業を余儀なくされたりする女性が増えているとされており、昨年の十一月、内閣府が設置した有識者会議、コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会の緊急提言では、新型コロナ感染症の拡大は、特に女性への影響が深刻で、女性不況の様相が確認されるとの認識を示し、政府に対し、自治体や民間企業等の協力を得ながら支援をしていくことなどを求めております。  また、任意団体である「♯みんなの生理」が行ったオンラインアンケート調査でも、五人に一人の若者が、金銭的な理由で生理用品を買うのに苦労したなどの結果が明らかになっており、加えて、児童・生徒の中には、貧困によるものだけではなく、親等から生理用品を買ってもらえない子供たちの存在も指摘されており、学校でのさらなる環境整備を求める声も見られます。この点については、先日の文教厚生委員会にて、教育長より経済的な事情等から生理用品等を自身で用意ができない児童・生徒に渡るよう、県立学校に生理用品等を確保し、必要とする児童・生徒が安心して入手できるなど寄り添った対応を行いたいとの答弁があったところです。  こうした状況を踏まえ、国も、地域女性活躍推進交付金に新たなメニューとしてつながりサポート型を創設し、NPO等の知見や能力を活用し、寄り添った支援の一環としての生理用品の提供を助成対象としており、また、県内市町においても、生理用品等の配付などの支援を始めた自治体も見られます。  つきましては、こうした動きに合わせ、県としても、できるところから手を差し伸べていただきたいと思います。  コロナ禍における女性の環境改善に、県としても、現行制度を活用し、これまで鋭意取り組んでいただいていることについては既に承知をいたしております。今回は、改めて緊急的な観点や拡充の観点から、先ほど触れた国の交付金事業に係る新メニューの活用や特段の取組についてお願いしたいと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、防災・減災対策について伺います。  近年、気候変動の影響により、各地で発生する自然災害は激甚化・頻発化し、その被害も甚大化しております。特に、ゲリラ豪雨や大型台風による水害は、河川決壊だけでなく、近年の水田減少などもあり、少雨によっても既存の水路では排水できなくなった雨水が下水道や側溝からあふれ出す内水氾濫により、過去には見られなかった大きな被害を住宅地にも及ぼし、その改善を求める声が多く寄せられております。  この対処のため、例えば河積を増やす農業用用排水路の改修を行おうとする場合、それが土地改良事業として行われるため、一定の負担が地元農家の方にも生じることになります。言い換えると、住宅地の防水事業のために農家の方に負担が生じることになり、負担と受益の矛盾から、防災の観点からのアプローチでは、事業自体の進捗があまり見込めない現状制度となっております。用排水路の整備の考え方も環境変化に応じて変えていくべきで、水害防止の観点も取り入れて、その場合の改修費用は全額公費で賄う仕組みづくりが必要ではないかと考えます。  さて、国土交通省では昨年一月に、総力戦で挑む防災・減災プロジェクトを立ち上げ、抜本的かつ総合的な防災・減災対策の検討を進め、昨年七月に取りまとめられた施策パッケージの中では、あらゆる関係者が協働して流域全体で行う流域治水への転換が主要施策として打ち出され、その実効性を高める施策などを盛り込んだ流域治水関連法が本年五月に公布されました。  流域治水とは、河川や水利施設の管理者だけでなく、流域の住民や行政など、河川の流域のあらゆる関係者が協働して治水対策を行うことです。その柱の一つは、浸水の危険性が高い地域における住宅や高齢者施設などの開発・建築について、許可制を導入することです。昨年の七月豪雨では、熊本県球磨村の特別養護老人ホームが水没し、入所者十四人の貴い命が失われてしまいましたが、それを防ぐ意味でも、開発・建築段階で安全性を確認する意義は大きいと思われます。  また、洪水などに対応したハザードマップの作成対象に中小河川が加えられ、浸水想定区域にある高齢者施設などの避難計画・訓練に対し、市町が助言・勧告する制度が創設されております。市町が的確に取り組めるよう、県は計画策定の手引や訓練のチェックリストを示すなどして、万全のサポートをしていただきたいと思います。  また、流域治水の考え方は、大量の雨水を河川だけではなく貯留施設や遊水池、田んぼなども活用して流域全体で受け持ち、地域の安全性を高めることを求めております。増水時には河川があふれることも想定した戦略的な土地利用が求められます。  その点で、農林水産省が策定した令和三年度から五か年の土地改良長期計画にも、農地・農業水利施設を活用した流域治水の取組の推進が重要であると明記され、具体的に、農業用ダム、ため池、排水施設といった農業水利施設が持つ洪水調節機能を駆使して対応に当たるとされております。同計画には、特に田んぼダムについて、水田の面積を約三倍以上に拡大するという初めて具体的な目標が盛り込まれるなど、重要な取組と位置づけられております。  農林水産省によると、田んぼダムとは、河川や水路の水位の急上昇を抑え、下流域の浸水被害リスクを低減させるため、流出量を抑制するための堰板や排水口を設置することにより、水田の雨水の一時貯留機能を高める取組とあります。貯留できる雨水の量も相当なもので、新たな施設の建設や補修を行うとすると、費用、管理の両面で課題は大きくなりますが、田んぼダムは、水田から水を落とす排水ますや排水量を調整する穴の空いた板を設置するだけで対応可能なため、小さな費用で導入できるのがメリットとされます。
     ただ、課題も指摘されており、農家が長期間にわたって田んぼダムに関わっていかなければならないことや、上流側で取り組むことによって下流側の洪水被害の軽減につながるわけですから、負担と受益の不公平感が残ることになります。よって、その推進には、田んぼダムに取り組む農家の方々にも御苦労に見合ったインセンティブが与えられることや、地域や集落全体での取組、何より地元自治体の積極的な関与など、それを支える政策スキームの構築が重要となってまいります。  農家の地域活動を支援する多面的機能支払制度の中にも、このたび田んぼダムの取組に加算措置が新たに設けられるなど、国の施策として進めていこうとする意気込みも感じられます。今後、流域関係者による協議会の設置や流域水害対策計画の策定がされることとなりますが、そこには県の積極的な関与も求められております。  つきましては、本県における具体的な流域治水の推進について、知事の御所見をお伺いいたします。  この項目の二つ目は、地域衛星通信ネットワークの第三世代システム化についてです。  東日本大震災や北海道胆振東部地震が発生した折、地上系の通信網が機能しない中で、地域衛星通信ネットワークは稼働を続け、国及び県が被災市町村の被害情報について収集し、初動対応の円滑化に大いに寄与したとのことです。  我が県では平成六年度から、県庁と県の出先機関や全市町、消防本部などの防災関係機関に地域衛星通信ネットワークを構築・運用しており、現在では、県庁に第二世代の地域衛星通信ネットワークを、県庁とこれ以外の施設に民間衛星のネットワークを整備していますが、両者ともに運用終了期限が迫っているという課題があることを承知しております。その運用効果に鑑みれば、引き続き衛星系通信装置の必要性は高いと思われますが、その更新には莫大な費用がかかります。  そこで、ちょうど国においては衛星系通信装置の全国配備を推進しているところだそうで、今年の一月に総務省から各都道府県宛てに発出した事務連絡によりますと、従来のものよりも高性能で低コストであるとされる第三世代の地域衛星通信ネットワークを都道府県が管内全市町村と一体整備を行った場合は緊急防災・減災事業債の対象にし、事業費の全額を起債で賄った場合、その七割を地方交付税措置するとし、財政負担の軽減を図るとしております。  つきましては、国の財政措置が確実にある令和七年度までの期間を好機と捉え、県民の安心・安全を守る観点から、地域衛星通信ネットワーク第三世代システムについて、管内全市町との一体整備について検討を始めるべきではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  最後に、アレルギー疾患対策の推進についてであります。  アレルギー疾患は、花粉症をはじめ、ぜんそくやアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなど様々な疾患が含まれ、国民の約二人に一人が何らかのアレルギー疾患を抱える、まさに国民病とされております。  アレルギー疾患の全国の患者数は、主な疾患別で見ると、ぜんそくが最も多く、医療機関を受診する患者数は年々増加傾向が見られます。また、患者の年齢別構成を見ても、全体として若年者に多い傾向が見られ、香川県においても全国と同様の動きとなっております。  先日、アレルギー疾患をお持ちの方からお話を伺う機会がありました。御自分の経験を踏まえ、周囲の理解が得られず孤立の状況に追い込まれ、苦しんでいる人は多いのではないかとのことでありました。そうした方々を安心の治療につなげ、早期の健康回復に導くためのきめ細かな対策が必要であります。  これまで公明党は、アレルギーに悩む人たちに寄り添い、耳を傾け、取り組んでまいりました。平成十二年には、対策を求める署名運動を展開し、党女性委員会が中心となって集めた千四百六十四万人分の署名簿を当時の首相に届け、研究拠点整備が進められたほか、平成二十六年、自公連立政権の下、アレルギー疾患対策基本法が成立、平成二十九年三月には基本指針が策定され、アレルギー対策に取り組む上での環境整備などが進められてまいりました。  ところで、前述の意見交換をきっかけに、国の法案策定にも深く関わったNPO法人の代表の方とオンラインでお話を伺うことができました。この団体は、日頃から相談活動や調査研究、提言活動を行っている団体です。  寄せられる相談の中で多いのは、医療機関を受診しているにもかかわらず、治療に希望が見いだせず悩んでいるというものだそうです。丁寧に傾聴し、激励した上で、必要な情報を提供すると、適切な医療や対応を理解し、多くは医療機関を替えて健康を回復していく患者の姿を見ることができるそうです。  当該団体が、これまでの活動を踏まえ、特に必要だと考えている対策について何点かお教えいただきましたので、紹介をさせていただきます。  まず、正確な情報の提供です。  アレルギーで悩む人は多いけれど、インターネットで調べようにも、いろいろなことが書かれてあって、何が正しいかよく分からない。中には、科学的な根拠が乏しいものもあります。かといって、患者自身も受けている治療が適切なのかどうかも分かりません。  その一助として、日本アレルギー学会が、正しい知識の普及を目指し、新たなウェブサイト「アレルギーポータル」を開設しています。各疾患の症状や治療などの紹介や、知りたいキーワードで情報を検索できる機能のほか、居住地の拠点病院や専門医を調べることもできます。そうした情報ソースの紹介や、講演会等を通じた県民に対する啓蒙なども、県域にわたって積極的に行っていくことが大切です。  次に、誰もが適切な治療を受診できる環境づくりです。  アレルギー疾患を有する人が、その居住する地域にかかわらず、ひとしくそのアレルギーの状態に応じて適切なアレルギー疾患医療を受けることができること、いわゆる医療の均てん化を進めることが重要であります。さきの指針では、いわゆる拠点病院を選定し、診療所や一般病院との診療連携体制の整備を行うことを県に求めております。その上で、実際の対策を進めるには、アレルギー疾患対策全般の施策を検討、策定するための連携協議会の設置と、その機能の発揮が鍵となります。ぜひ丁寧に進めていただきたいと思います。  そして、最新で正しい情報を熟知した専門的な人材を育成することも重要となります。  アレルギー治療の分野は日進月歩です。治療が合わず、たまたま受診した医療機関によって、その後の患者の人生が大きく左右されることにもなります。治療の適否は、標準治療を原則にしているかどうかがまず基本となると伺いました。  そこで、その標準治療の情報も含め、県内でアレルギー疾患医療に携わる医療従事者の知識や技能の向上に資する取組が必要であります。特に、医療従事者の専門的な質の向上に向けては、国も重要視しており、今年度事業として新たに長期研修事業が盛り込まれており、状況に応じてこれらの活用も一考です。  加えて、冒頭の面談した方は食物アレルギーを持つ方でしたが、周囲の無理解とともに、外食時の困難もあったとお聞きしました。  その問題の背景の一つは、飲食店などで多様な食の制限に対応できる仕組みがないことや、そうした制限に対する従業員らの理解不足が挙げられます。その対応には、コストや手間がかかるなど事業者の負担が大きく、具体的な取組に踏み込めないのが実情です。  食物アレルギーについては、容器包装された加工食品は特定原材料の表示が義務づけられているものの、店頭販売や外食は業界の自主努力に委ねられております。一方、レストランで、「肉は食べられないので抜いて」と頼んでも、出された料理にベーコンが入っていたりというケースも少なくないそうです。  一般社団法人日本フードバリアフリー協会では、こうした食のバリアに対応するため、事業者らを対象にした研修会を実施するとともに、使用食材を分かりやすく表示する食のバリアフリーシートを提唱し、普及に取り組んでおられます。訪日外国人を含め、食の制限があっても自身で選んで食べることが可能となり、店舗にとっても手軽に導入できるなどのメリットがあります。今後、こうした取組を行っている飲食店を紹介したり増やしていく取組も、重要な取組の一つであると考えられます。  最後に、食物アレルギーに関連して、災害時の避難所に備蓄されている飲食料品の物資についてです。  避難生活中でも栄養状態を悪化させず、健康の維持を図ることは何より重要です。内閣府が、避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針を策定し、その留意点として、食物アレルギーの避難者にも配慮し、アルファ米等の白米と牛乳アレルギー対応ミルク等、必要な物資を備蓄し、確実に避難者の手元に届くよう努めるとしております。  その具体的な備蓄量の推奨値として、日本小児アレルギー学会が、アレルギー用食品は総備蓄食の二五%以上を目安とすることを提案しておりますが、県の状況はいかがでしょうか。  また、他県の例では、県と栄養士会が協定を結び、有事の際、県から要請があった場合に栄養支援チームを編成し、避難所や自宅で過ごす被災者を巡回する仕組みを整えている自治体もあり、アレルギー患者への対応にも有効であると思います。  つきましては、具体的な推進計画の策定も含め、アレルギー疾患対策について、今後どのように取り組んでいかれるおつもりなのか、知事の御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)都築議員の御質問にお答えいたします。  まず、新型コロナウイルス感染症対策のうち、ワクチン接種についてであります。  各市町が実施する新型コロナウイルスのワクチンの接種を担う医療従事者の確保につきましては、これまで、医療従事者の不足が見込まれる市町に対し、香川大学医学部附属病院や県看護協会の御協力により、医師や看護師を派遣していただいているところであります。また、県が計画している広域集団接種センターにつきましても、各市町が実施する住民接種に影響が出ないよう、県立病院などで必要数を確保することとしております。  今後とも、関係機関と緊密に連携し、必要人員が確保できるよう取り組んでまいります。  ワクチンの有効性や副反応につきましては、県の広報誌や新聞広告で県民の皆様にお知らせするとともに、副反応の主な症状等を示したポスターを作成し、各市町の接種会場で掲示するなど周知に努めております。  今後とも、県のホームページなど多様な媒体を通じて、丁寧で分かりやすい情報発信に努めてまいります。  議員御指摘のいわゆるワクチン休暇につきましては、職場における感染防止対策の観点からも、労働者が安心してワクチンの接種が受けられるよう、企業において休暇制度を設けることについて、今後、国から通知等が発出された場合には、県内経済団体等を通じて周知してまいりたいと考えております。  放課後児童クラブの支援員及び地域の消防団員の優先接種につきましては、現在、優先接種の対象としている市町はありませんが、児童・生徒等と業務上接触する機会の多い方につきましては、予期せぬキャンセルが発生したときの接種リストの対象に含めることについて、先月八日付で各市町に参考とするよう通知したところであり、地域の消防団員につきましても、各市町において御検討いただきたいと考えております。  留学予定の学生・生徒へのワクチン接種につきましては、現在、文部科学省において、留学予定者ワクチン接種支援事業が開始されており、各市町等に対し、制度の周知を行ってまいります。  議員御指摘のいわゆるワクチンハラスメントにつきましては、ワクチン接種は強制ではなく、御本人が納得した上で接種を御判断いただくものであり、接種をしていない方が不当な扱いを受けることがないよう、県のホームページ等を通じて啓発に努めてまいります。  私といたしましては、今後とも各市町や関係機関と緊密に連携し、ワクチン接種を希望される方が一日も早く接種できるよう、早期のワクチン接種の推進と県全体の接種の加速化に努めてまいります。  次に、女性を取り巻く環境改善についてであります。  新型コロナウイルス感染症の影響が長引く中、女性の非正規雇用者数の減少や自殺者の増加など、就労面や生活面で女性に大きな影響が及んでおり、女性への対策が重要な課題の一つと認識しております。  また、こうした中で、経済的な事情などで生理用品を購入できない、いわゆる生理の貧困が問題となっており、議員御指摘のとおり、国では緊急支援策の一つとして、地域女性活躍推進交付金に、新たにつながりサポート型を設け、困難を抱える女性への相談支援の一環として、生理用品の提供も交付金の対象といたしました。県内では高松市と三豊市が、このつながりサポート型を活用し、相談事業の拡充などを進めているほか、丸亀市など四市四町において、小・中学校などで災害用の備蓄品等の配布を始めていると承知しております。  県においては、災害用に備蓄している生理用品を、更新に合わせて今月中に社会福祉協議会やNPOなどの支援団体を通じて配布するとともに、希望する私立学校において活用いただくことといたしました。また、県立学校においては、必要とする児童・生徒に対し、確保した生理用品を提供しております。  私といたしましては、困難を抱えた女性への支援のより一層の充実に向け、各市町に対して、地域女性活躍推進交付金など国の事業の内容や、県や県教育委員会、他の市町の取組について情報提供に努めるとともに、一人一人が抱える事情に丁寧に向き合えるよう、各種相談窓口において、きめ細かく寄り添った支援を行うことで、女性を取り巻く様々な環境の改善が図られるよう意を用いてまいります。  次に、防災・減災対策のうち、流域治水の推進についてであります。  流域治水は、気候変動の影響や社会状況の変化などを踏まえ、流域全体のあらゆる関係者が協働してハード・ソフト対策を推進するものであり、この全体像を示す流域治水プロジェクトを、国においては本年三月に、全ての一級水系である百九水系で公表しており、本県においても、県内を七つの圏域に分割し、圏域ごとに重点的に実施する対策を取りまとめ、来月末をめどに公表することとしております。  今般の、流域治水を一体的に進めるための流域治水関連法の一つである、いわゆる特定都市河川法の改正により、都市部で指定している特定都市河川の対象を、都市部以外の河川に拡大することとなっており、県が特定都市河川を指定した場合、各市町等と共同して流域水害対策協議会を設置できるほか、流域水害対策計画を策定し、その計画において、洪水により著しい危害が生ずるおそれがある浸水被害防止区域を指定した場合、住宅や要配慮者利用施設等の開発・建築の許可制が導入されることとなっており、まずは、特定都市河川の指定基準等の情報収集に努めてまいりたいと考えております。  また、要配慮者利用施設において行われる避難計画や避難訓練に対する勧告等を行う各市町に対して、引き続き、適切な助言や情報提供に努めてまいります。  一方、土地改良長期計画でも、流域治水の取組を推進していく必要があるとされており、県においても、流域治水の一環として、引き続き、排水機場やため池の整備などを行うとともに、田んぼダムにつきましては、議員御指摘のとおり、上流側と下流側との不公平感など課題がありますが、流域治水の考え方を丁寧に御説明するほか、今年度新たに設けられた多面的機能支払制度における加算措置も活用しながら、各市町と連携して、農家の御協力が得られるよう努めてまいります。  私といたしましては、今後も国や各市町等と連携し、流域全体のあらゆる関係者が協働して治水対策に取り組み、災害に強い香川づくりを推進してまいりたいと考えております。  次に、アレルギー疾患対策の推進についてであります。  国民の二人に一人が何らかのアレルギー疾患を有していると言われるなど、国民生活に多大な影響を及ぼしている現状を踏まえ、平成二十六年にアレルギー疾患対策基本法が制定され、県としても、効果的な対策を検討していくことが必要であると考えております。  まず、アレルギー疾患医療拠点病院につきましては、県医師会等の御意見も踏まえ、本年四月に香川大学医学部附属病院を選定したところであり、本県におけるアレルギー疾患診療ネットワークの中心的な役割を担っていただくこととしております。  併せて、関係者により構成する県アレルギー疾患医療連絡協議会を設置し、本県の実情を把握した上で、治療に関する情報提供など具体的な推進計画について検討するとともに、人材の育成につきましても、国の中心拠点病院が実施する人材育成プログラムへの派遣等を通じて、医療従事者の知識や技能の向上につなげることとしております。  また、議員御指摘の、災害時における食物アレルギーを持つ避難者に対する備蓄食につきましては、現在、主食類のうちアルファ米やおかゆが全てアレルギー対応となっていることから、日本小児アレルギー学会が示す総備蓄食の二五%以上の目安は満たしており、引き続き食物アレルギーに対応した備蓄に努めてまいります。  私といたしましては、アレルギー疾患を有する方が適切な医療や支援を受けられるよう、拠点病院等の御協力をいただきながら、アレルギー疾患医療の質を高めるとともに、本県の実情に応じた具体的な対策を検討し、その推進に努めてまいりたいと考えております。  なお、そのほかの御質問につきまして、危機管理総局長よりお答え申し上げます。(降壇) ◯議長(十河 直君)寺嶋危機管理総局長。    (危機管理総局長寺嶋賢治君登壇) ◯危機管理総局長(寺嶋賢治君)都築議員の防災・減災対策についての御質問のうち、地域衛星通信ネットワークについてお答えいたします。  地震や風水害などの災害が発生した際に、迅速かつ的確に災害対応を進めるためには、県と国や市町、防災関係機関などとの間で、情報の収集・伝達のための通信体制を確保しておくことが重要であると認識しております。  このため、これまで県では、国や他の都道府県との間を自治体衛星通信機構の地域衛星通信ネットワークで結ぶとともに、県内においては、県庁を起点に各市町や防災関係機関との間を、地上の有線回線と民間衛星を活用した衛星回線の二系統で結び、県内外における防災行政無線網を整備・運用してきたところであります。  こうした中、議員御指摘のとおり、国においては、現行の地域衛星通信ネットワークにつきまして、設備の老朽化のため更新を予定しており、令和元年度から次期ネットワークの実証実験を行ってきたところでありますが、この結果によりますと、新たなシステムでは、整備コストの削減や降雨などによる悪影響の抑制など、一定の機能向上が図られると伺っております。  一方、現在、県内で運用している衛星回線の防災行政無線につきましては、その核となる民間衛星が令和五年十二月に使用期限を迎える予定と伺っており、新たな対応が求められているところであります。  県といたしましては、災害に強い香川づくりに向け、地上回線と衛星回線による通信手段の多重化につきまして、引き続き確保していく必要があり、今後、各市町との一体整備など国の次期ネットワークシステムの活用も含め、検討を進めてまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(十河 直君)理事者の答弁は終わりました。  暫時休憩いたします。                         午前十一時五十四分休憩                         午後 一時  七分開議    ─────────────────────────────   出  席  議  員    高  城  宗  幸 君    鏡  原  慎一郎  君    松  岡  里  佳 君    白  川  和  幸 君    岡  野  朱里子  君    秋  山  時  貞 君    斉  藤  勝  範 君    松  本  公  継 君    森     裕  行 君    米  田  晴  彦 君    木  村  篤  史 君    山  本  悟  史 君    谷  久  浩  一 君    氏  家  孝  志 君    高  木  英  一 君    樫     昭  二 君    山  田  正  芳 君    香  川  芳  文 君    高  田  良  徳 君    竹  本  敏  信 君    三  野  康  祐 君    西  川  昭  吾 君    新  田  耕  造 君    佐  伯  明  浩 君    松  原  哲  也 君    広  瀬  良  隆 君    辻  村     修 君    石  川     豊 君    綾  田  福  雄 君    尾  崎  道  広 君    宮  本  欣  貞 君    山  本  直  樹 君    黒  島     啓 君    五所野尾  恭  一 君    花  崎  光  弘 君    大  山  一  郎 君    都  築  信  行 君    鎌  田  守  恭 君    平  木     享 君   欠  席  議  員
       十  河     直 君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条第一項による出席者           知     事    浜  田  恵  造 君           副  知  事    西  原  義  一 君           病院事業管理者    太  田  吉  夫 君           審  議  監    大  山     智 君           政 策 部 長    淀  谷  圭三郎  君           総 務 部 長    椋  田  那津希  君           危機管理総局長    寺  嶋  賢  治 君           環境森林部長     木  村  士  郎 君           健康福祉部長     土  岐  敦  史 君           商工労働部長     近  藤  清  志 君           交流推進部長     佐  藤  今日子  君           農政水産部長     新  池  伸  司 君           土 木 部 長    西  川  英  吉 君           文化芸術局長     小  川     剛 君           子ども政策推進局長  吉  田  典  子 君           会計管理者      田  中  一  裕 君           病 院 局 長    岡  田  総  一 君           デジタル戦略総室長  井手下   慶  博 君           知事公室長      尾  崎  英  司 君           教  育  長    工  代  祐  司 君           公安委員会委員    上  枝     康 君           警察本部長      那  須     修 君           代表監査委員     木  下  典  幸 君           監査委員事務局長   田  井  慎  二 君           人事委員会委員    平  尾  敏  彦 君           人事委員会事務局長  森  岡  英  司 君           労働委員会事務局長  河  内  一  裕 君    ───────────────────────────── ◯副議長(高城宗幸君)再開いたします。  一般質問を続行いたします。  山本悟史君。    (山本悟史君登壇、拍手) ◯山本悟史君 最初に、災害対策について質問いたします。  本県において、災害と言えば、長らく水不足のそれでした。一九七三年、昭和四十八年の高松砂漠と言われた大渇水は、私自身はまだ小学校にも上がっておらず、ニュースでしか理解していないのですが、それから二十一年後の一九九四年、平成六年の渇水は、県庁に入って三年目の年でしたから、よく覚えています。  県内各地で断水や時間給水が行われ、庭に井戸を掘る人もいれば、飲食店では洗い物を減らすために発泡スチロール製の容器に替えた店もありました。県庁にも、全国の自治体からペットボトルの水が支援物資として大量に送られてきました。余談ですが、私はそのとき初めて、水の味に違いがあるということも知りました。  そして、本県に直接大きな被害があった災害といえば、二〇〇四年、平成十六年、今から十七年前になる台風高潮災害です。当時、私は危機管理課に所属していましたから、あの年の異常とも言えるばたばたぶりは忘れることはできません。その後、本県では災害対策として、アクションプログラムと名づけられた浸水対策を中心に進められてきました。  このほか、一九九五年、平成七年の阪神・淡路大震災や、二〇一一年、平成二十三年の東日本大震災など、歴史的な大地震が発生するたびに、地震・津波対策も進められてきました。最近は、毎年のように全国どこかで発生する集中豪雨による被害への対策も進められてきました。  本県でも様々な災害対策が講じられてきたわけですが、今回改めて指摘しておきたいのが停電対策です。特に、東日本大震災以降、電力の安定供給の必要性について議論がなされ、対策が進められてきたはずでした。しかし、それが十分ではなかったということが露呈したのが、二年前、台風十五号の猛威により、千葉県を中心に起こった大規模かつ長期の停電でした。  当時は、ゴルフ練習場の鉄柱が倒れて民家を直撃したニュースが話題になりましたが、同時に、関東を中心に最大九十三万戸という近年にない大規模な停電も発生しました。復旧のために現場に行こうにも、倒木等の影響でたどり着くにも時間がかかり、それが正確な状況把握に時間がかかる原因にもなりました。さらに、全国の電力会社から応援が来ても、作業手順や電線材料、工具の違いから、実際の復旧には二週間以上の日数を生じてしまいました。  この間、住民は、冷蔵庫の食材が腐り、断水もあった地域では風呂にも入れず、さらにはスマホやテレビ等も使えないわけですから、自分たちの置かれた状況も分からないまま、不安な日々を過ごすしかありませんでした。改めて、電気のない生活がいかに困難なものになるかという現実を認識することになりました。  こうした事態を受け、送配電会社十社は、災害時の連携に関する枠組みを再点検し、昨年二〇二〇年、令和二年七月には、災害時連携計画を取りまとめています。本県においても、同時期に、四国電力及び四国電力送配電と災害時における電力供給設備等の復旧に係る相互協力に関する協定書を結んでいます。また、経済産業省では、送電鉄塔の強度の見直しを行い、電力会社間では復旧作業に関する技術的な部分も再確認されています。  これなら一安心と言いたいところですが、問題は、いざというときに本当に大丈夫なのかという点です。本県でも、地域防災計画等でライフラインの災害予防や復旧計画は既に定められていますが、千葉県にしても、そうした対策を決めていたはずです。それでも、実際の災害時には想定外の問題が起こるわけです。これはどうしようもない面もあるのかもしれませんが、それでも、平時の際に、想定外の部分を極力なくしておかなければなりません。  そして、電力の確保に関連して、もう一点質問いたします。  東日本大震災以降、国は、毎年、夏七月から九月と冬十二月から三月の電力需給の検証を行っています。その結果、今年の八月は、北海道、九州を除く全国七エリアで、最大需要発生時の予備率が三・八%と見込まれ、二〇一七年、平成二十九年度以降で最も厳しい見通しとなっています。  今日の時点で四国地方の梅雨明けは宣言されていませんが、今月に入り真夏日も続いています。今日も、全国で一番香川県が高くなるという予報も出ております。予想では、今年の夏の気温は広範囲で平年並みか平年よりやや高く、全国的に暑い夏になると言われています。最近は、毎年暑いという記憶しかないため、どの程度の暑さが平年並みかよく分からないのですが、今年も暑くなることは覚悟しておかなければならないようです。  毎年の熱中症対策に加えて、今年はオリンピック・パラリンピックも結局実施されることになりました。新型コロナウイルス感染症対策の面からすれば、現地に行かずに家でテレビやネットを通じて思う存分応援してくださいとお願いをせざるを得ません。  具体的には、熱中症を防ぐためにエアコンはちゅうちょなく使用してください、さらに換気も必要ですから窓も定期的に開けてくださいというお願いになります。猛暑日や真夏日と重なると、そして、それが何日か続くことになると、想定外の電力使用量になることもないとは言えません。  そこで、知事にお聞きいたします。  来週十五日から二十一日は、県民防災週間です。防災・減災意識を高めていくためにも、いざというときの備えがどれだけできているかという検証はとても大切です。そして、それは平時にしかできません。災害時における停電対策、そして今年の夏の電力確保について、どのように認識し、取り組んでいこうと考えているのか、お答えください。  災害対策に関して二つ目、急傾斜地崩壊対策について質問いたします。  昨年起こった悲しい事故を紹介いたします。  神奈川県に住む一人の女子高校生、将来は教師になりたいと考えていたそうです。受験が目前に迫った二月のある晴れた日、彼女の父親の職場に一本の電話がかかってきました。「娘さんが意識不明で病院に運ばれた。」、電話は家族ぐるみで付き合いのある同僚の人からだったのですが、その人も泣きながらの電話だったため、父親も状況がよく理解できないまま、とにかく病院に急ぎました。しかし、既に娘さんは亡くなっていて、頬にそっと手を当てると、まだ温かく感じられたそうです。  一体、彼女に何が起こったのでしょうか。その日、彼女は歩道を歩いていました。その歩道の横には斜面があり、その斜面が急に崩れてきたのです。約六十六トンもの土砂。彼女の教師になるという夢がかなえられることは、もうありません。なぜ斜面は崩落し、なぜ何の罪もない彼女が命を落とさなければならなかったのでしょうか。  崩落した斜面の上には区分所有のマンションがあり、斜面の所有者は、このマンションの住人たちでした。斜面は、県により土砂災害警戒区域に指定されていましたが、緊急に対処すべき箇所とは誰も認識していませんでした。ただ、事故の起こる前日に、マンションの管理人が亀裂を見つけ、県の土木事務所に連絡をしています。しかし、それは亀裂の話ではなく、土砂災害特別警戒区域の指定に向けた調査日程の問合せでした。  県の担当者が取材に答えています。「できることは限られ、非常に難しかったと思うが、危険だと判断できていたら、市に情報を提供して通行止めにするなど、対応を取れた可能性もある。」  父親は、責任の所在を明らかにするために、事故の一年後、今年二月の娘さんの命日に、マンションの住人や管理会社に対して裁判を起こしています。  県内においても、こうした悲しい事故を起こさないためにも、必要な対策を進めていかなければなりません。急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律では、傾斜度が三十度以上の土地を急傾斜地とし、崩壊するおそれなどがある土地の所有者等は、崩壊が生じないように努めなければならないとされています。ただ、所有者等が急傾斜地崩壊防止工事を行うことが困難と認められる場合は、県が行うものとされています。  国の「砂防関係事業の概要」をホームページで確認すると、高さや警戒区域の指定、人家が十戸以上存在する等の条件を満たした場合には、国の補助を受けた県工事の採択対象になると定められています。国の補助事業に該当しない場合は、市町が行う事業に対して、県が予算の範囲内で必要な補助を行う形になっています。  ただ、これも公益性の観点から、人家は二戸以上という要件があり、さらに、市町によっては受益者負担を前提としている場合もあります。ですので、土地所有者が個人や民間法人の場合は、所有者が県や市町に工事を要望する形となり、費用負担に関する同意も必要となります。そうなると、うまく話が進まない場合もありますから、現実の工事は、緊急性・必要性が高い箇所からではなく、同意が得られた箇所から対応していくことになると思います。何もしないよりはましですが、もし人命に関わるような被害が出た場合に、行政は分かっていたけど何もできませんでしたで済むのでしょうか。  先月末には、大阪市で、斜面の崩落とともに、その上に建っていた家も崩落する事故がありました。また、四日前には、静岡県熱海市で大雨による大規模な土石流が発生し、多大な被害が発生しました。この場をお借りして、お亡くなりになった方にお悔やみ申し上げ、被災された方にお見舞いを申し上げます。まだ安否不明の方もいらっしゃいます。御家族の心情を思うと、心が痛みます。  本県内の急傾斜地においても、危険と認識されないまま風化が進んでいる箇所、あるいは危険と認識されていても対策が進んでいない箇所もあると思います。  そこで、知事にお聞きいたします。  まず、本県におけるこれまでの急傾斜地崩壊対策の進捗具合についてお答えください。  また、土地所有者の同意が得られずに未対応になっている危険箇所への対応も含めて、今後の急傾斜地崩壊対策の整備方針についてもお答えください。  次に、公共交通ネットワークの構築について質問いたします。  今さらですが、鉄道、バス、飛行機、船舶、そしてタクシーも含めて、公共交通機関は、コロナ禍の下、大きな打撃を受けています。ニュースで目にするのは、一昨年から比べて利用者が何割減になったとか、過去最低の収益だったとか、減便や廃線の検討、あるいは人員整理の話とか、そんな内容が目につきます。  人類の歴史は、人や地域の交流の歴史でもあります。その交流を、世界各地で抑えられたわけですから、感染症対策としてやむを得ないとはいえ、それが長期間になればなるほど、公共交通の体力と未来が削られていきます。  そのような厳しい環境の中、国は、今年度から五年間の交通政策の基本的な方向性を示す第二次交通政策基本計画を決定しました。「A.誰もが、より快適で容易に移動できる、生活に不可欠な交通の維持・確保」、「B.我が国の経済成長を支える、高機能で生産性の高い交通ネットワーク・システムへの強化」、「C.災害や疫病、事故など異常時にこそ、安全・安心が徹底的に確保された、持続可能でグリーンな交通の実現」の三つの基本的方針の下、MaaSやバリアフリー化、デジタル化、脱炭素化等に全力で取り組むとされています。  異論はありません。そして、私が最も共感を覚えたのは、「「あらゆる地域で、あらゆる人々が、自らの運転だけでなくニーズに対応した移動サービスを享受できる社会の実現」という使命は、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、これまでになく重要度・緊急度が増しており、もはや逐次的・漸進的な改善では手後れとなるおそれがある」という危機意識の部分です。  今、行政に問われているのは、ポストコロナを見据えながら、公共交通の「公共」をどう捉え、将来的に県民の足をどこまで、どう確保するのかという現実的な問題だと思います。  今定例会では、三度目となる県内公共交通への利用回復緊急支援事業が提案されています。県内の市町でも、同様の支援事業を行っているところもあります。ただ、これだけで各事業者の経営が安定するわけではないので、当面の間は、各事業者がそれぞれ考えた生き残り策を実行していくしかありません。その中には、さきに述べたように、減便や廃線など、利用者にとってはサービス低下に当たるものもあります。  公共交通が不便になればなるほど、年を取っても生活のために自家用車を手放すことができないという地方における負の循環が、コロナ禍では加速されていきます。これまでは、順調なインバウンドで、低調な地元の利用をカバーしてきましたが、それはもう無理な話です。何とかして地元の人間が地元の公共交通を利用する機会を増やしていくしかありません。  実は、これは以前から指摘され続け、地方には高いハードルであり続けてきた問題でもあります。しかし、今はその局面を打開するチャンスがあると私は考えています。それは、Go To キャンペーンです。  いろいろ物議を醸した政策ですが、かなりの利用と経済効果があったことも事実です。もちろん、感染拡大につながらないよう、時期や規模は考えてもらわなければなりませんが、これを一時的な観光支援策として考えるのではなく、県民に公共交通を利用してもらう絶好の機会と捉えると、今後、より一層この問題に取り組みやすくなるのではないでしょうか。  鉄道やバスなど複数の交通機関を一体的に利用できるMaaS、人流や物流を一体的に扱う貨客混載など、異なる輸送モードの連携・協働は、限られた経営資源を有効に活用できることから、地方でこそ積極的に取り組んでいくべきです。ただ、事業者同士では連携が進みにくいので、事業者や地域住民など関係者間のコーディネーターとしての役割を県が果たしていくことが望まれます。  地元の人間にとって便利で身近な公共交通の存在は、観光客にとっても同じ意味を持ちます。まだまだ、県内外で不要不急の外出は控えてくださいとお願いしなければならない状況ですが、新型コロナウイルス感染症の影響が収まった暁には、再びインバウンド誘客にも取り組んでいかなければなりません。そういう意味では、外国路線の新規就航や四国新幹線の導入など、従来からの取組を継続していくことも大切です。  そこで、知事にお聞きいたします。  ポストコロナを見据えた公共交通ネットワークの構築について、どのように認識し、どのような施策を今後展開していこうと考えているのか、お答えください。  最後に、かがわ安心飲食店認証制度について質問いたします。  先月、飲食店に対して要請していた営業時間の短縮が終わりました。四月七日から六月十四日までの要請に対し、ほとんどの飲食店がこれを受け入れていただいたと聞いています。感染症対策を所管する文教厚生委員長という立場からも、改めて感謝申し上げます。  私自身は、時短要請が実際の人流を抑制し、感染を抑える上で効果的だったと考えています。しかし、それは飲食店側に多大な負荷をかけ続けた上での成果だったことも認識しています。時短には協力いただいても、結果的に廃業せざるを得なかったお店があることも承知しています。  諦めや怒り、さらには恨み節も含めて、様々な声を聞きました。国から十分かつ公平な休業補償金が支払われる状況であれば、ここまでいろいろな人がいろいろなストレスを抱えることはなかったと思いますが、地方側にも十分な財源がない以上、それもかないません。政府に対しては、何とかマスクに二百億円以上もかけるより、オリンピック・パラリンピックの有観客開催に突き進むより、地方にもっともっとお金とワクチンを流してほしいと言いたいのですが、とにかく地方は地方で、最大限の感染症対策と経済対策を展開していくしかありません。  そうした中、本県でも、かがわ安心飲食店認証制度が導入されました。これは、山梨モデルとも言われる、感染防止と経済活動の両面で効果があったとされる飲食店への第三者認証制度の香川県版です。本県では、食品衛生法上の許可を得た事業者、通常イメージする飲食店のほかに、接待を伴う飲食店とカラオケボックス等の歌唱を伴う飲食店も対象とされています。  申請時には、一、来店者への感染予防、二、従業員の感染予防、三、施設・設備の衛生管理の徹底、四、チェックリストの作成・公表、五、感染者発生に備えた対処方針について、合計三十項目以上の基準が審査されます。書類審査に加えて実地調査も行われ、適切な換気、隣や正面の席との距離、距離が近い場合のアクリル板等の設置などが実際に調べられ、認証基準を満たせば認証ステッカーが交付されます。実地調査ではアドバイスも受けられ、仮に認証基準に達していない場合でも、再申請が可能となっています。また、一度認証を受けた店舗でも、認証を取り消されることもあります。  個人的には、しっかりした内容だと感じています。しかし、私が心配しているのは当該制度のメリットです。要綱のQ&Aには、こう書かれています。「本認証を取得することで、県から認証ステッカーをお送りするので、お客様に対して感染症対策を行っていることをアピールすることができます。また、県のウェブサイトにおいて、地図上の表示も含め積極的にPRする予定です。」  これだけで、本当に飲食店側はこぞって申請するのでしょうか。利用客側も、わざわざ認証店を探して行くのでしょうか。  今、県内の感染者数は一桁台の前半で落ち着いています。多くの飲食店は、既に一通りの感染症対策は済ませており、いろいろあるにしろ、普通に営業ができている状況です。そこで、今、手間暇かけてこの認証制度を受けても、受けなかった店と扱いが変わらず、むしろ細かい規制を受けるのであれば、飲食店側はメリットをどこに見いだせばよいのでしょうか。  例えば、認証を受けた飲食店は、関係者が定期的なPCR検査などを安く受けられたり、県が再び特措法に基づき独自に営業時間短縮の要請を行った際でも、一定の条件の下に営業が継続できたりということがあってもよいのではないでしょうか。認証店であれば、そこに利用客が集中して密になるということもありません。  いや、飲食店の時短は一斉にしてもらわなければ困るというのであれば、認証店には協力金の大幅な上乗せがあるとか、そういう分かりやすいメリット、認証を受けていない飲食店との違いがないと、わざわざこの認証制度を受けようという方向には向かわないのではないでしょうか。そうなると、そもそもの目的である感染防止の効果も限定的にならざるを得ません。  新型コロナウイルスの感染状況は、ワクチンの接種状況と変異株の追いかけっこになっています。これから夏休み時期、そしてオリンピック・パラリンピックの開催など、人流が増えることが予想されます。多くの人が、よくも悪くも自粛要請に慣れ、そして疲れています。現に、東京などでは感染者数がリバウンドしています。仮にこれから全国的な第五波が襲ってきたとしても、本県内ではある程度の感染状況で抑え込める社会経済構造に、今から変えておかなければなりません。  そこで、知事にお聞きいたします。  まず、かがわ安心飲食店認証制度の直近の申請数や審査状況、認証数を教えてください。  そして、ウィズコロナの時代を生き抜いていく上で、この制度をどのように運用し、飲食店側と利用客側双方が認証店を選択する方向に誘導しようと考えているのか、お答えください。  また、さきに述べたとおり、本県の感染状況は落ち着いている一方で、新たな変異株なども懸念され、一人一人の基本的な感染防止対策の徹底などは継続して行っていかなければなりません。本県では、今月十一日までの間、県独自の警戒レベルを感染拡大防止対策期に位置づけていますが、現在の状況を踏まえた十二日以降の対応についても併せてお答えください。  今日は、前回の一般質問に続き、胸にこのシトラスリボンをつけて登壇しました。改めて説明させていただきますと、このリボンの三つの輪は、地域、家庭、そして職場または学校を表しています。新型コロナウイルスに感染したとしても、差別や偏見ではなく、「ただいま」、「お帰り」と互いに言い合える社会でありたい、そんな思いがこのリボンには込められています。  そして、今日は七夕です。コロナ禍が収束し、マスクを外して生活できる日常が一日でも早く戻ることを、夜空を見ながら、たとえ曇り空であってもお願いするつもりです。(拍手、降壇) ◯副議長(高城宗幸君)理事者の答弁を求めます。
     浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)山本議員の御質問にお答えいたします。  まず、災害対策のうち、災害時における停電対策等についてであります。  大規模停電発生時においても、県民の皆様の生命・財産を守り、県民生活への影響を最小限に抑えるためには、電力の迅速な復旧はもとより、非常用電源の確保など災害応急対応を迅速かつ的確に行うことが重要であると考えております。  このため、県では、本庁や合同庁舎などの防災拠点施設における非常用電源の整備を進めるとともに、令和元年房総半島台風の課題も踏まえた大規模停電への対応力を強化するため、本年二月に地域防災計画を修正し、病院や社会福祉施設など人命に関わる重要施設等のリスト化により、これら施設への電力の優先供給に努めることとしております。  また、今月十五日に実施する災害対策本部運営訓練では、電力会社参加の下、停電発生を想定した非常用発電機への燃料供給や電力復旧に必要な道路啓開などを想定した訓練を行うこととしており、昨年締結した電力会社との協定の実効性の確保を図ってまいります。  私としましては、平時におけるこうした対策の検証を含め、引き続き各市町やライフライン事業者等と緊密に連携を図りながら、災害時の大規模停電対策に万全を期してまいります。  一方、今夏の電力需給につきまして、電力会社に確認したところ、最も需給が逼迫すると想定される局面においても、安定供給に必要な目安とされる最大需要電力の三%の予備率を確保できていることから、現時点では四国エリアにおいて節電要請が行われる予定はないと伺っております。  議員御指摘のとおり、熱中症対策や新型コロナウイルス感染症対策の観点からは、適切なエアコン使用や換気が必要であると認識しており、県民の皆様には、無理のない範囲での省エネ、節電行動を呼びかけてまいりたいと考えています。  次に、急傾斜地崩壊対策についてであります。  急傾斜地崩壊対策事業は、擁壁等の急傾斜地崩壊防止施設の設置等を行うことによって、崖崩れ災害から県民の皆様の生命・財産を守ることを目的としております。  県では、国の補助を受けて事業を実施しており、その採択要件は、原則として急傾斜地の高さが十メートル以上、保全人家戸数がおおむね十戸以上などとなっております。  現在、保全人家戸数や要配慮者利用施設の有無等から判断される、整備が急がれる急傾斜地崩壊危険箇所は県内に六百三十三か所あり、昨年度末までに二百三十三か所で対策工事が完了し、整備率は約四割となっており、今年度は高松市の西谷地区など九か所において整備を行っております。  また、国の採択要件を満たさない小規模な急傾斜地崩壊対策につきましては、各市町が県の補助を受けて実施しており、今年度は四市四町において十二か所の整備を行っております。  県では、急傾斜地の崩壊により危害が生ずるおそれのある土地につきまして、主に市町等からの要望に基づき、優先度や緊急度を判断し、地元市町や土地所有者等の御協力の下、計画的に整備を進めているところであり、これまでに、土地所有者の同意が得られず工事に着手できていない危険箇所はありませんが、今後も事業の実施に当たっては、地元市町をはじめ関係者と情報共有を図り、土地所有者に事業の必要性を丁寧に説明して事業の進捗を図ってまいります。  議員御指摘のとおり、急傾斜地崩壊対策をはじめ土砂災害対策は、県民の皆様の生命と財産を守るために重要な事業であり、私といたしましては、今後とも優先度や緊急度を考慮しながら計画的に整備を進めてまいりたいと考えております。  次に、公共交通ネットワークの構築についてであります。  本格的な人口減少や高齢化社会の到来により、地域公共交通の重要性は今後ますます高まるものと考えており、ポストコロナの公共交通ネットワークの構築に向けては、今後の社会経済情勢の変化を踏まえつつ、各市町や交通事業者等と連携しながら、地域公共交通の利便性向上と利用促進に取り組み、その維持・確保を図るとともに、航空ネットワークの充実や四国の新幹線の早期実現を図ることが極めて重要であると認識しております。  そのため、県では、交通事業者によるキャッシュレス決済の拡大や、スマートフォンなどによりバスの位置情報をリアルタイムで確認できるシステムの導入など、デジタル技術も活用しながら、県民の皆様はもとより、観光客の利便性向上にもつながる取組を促進するとともに、先進事例の紹介や勉強会の開催などを通じて、交通モード間の乗り継ぎ機能の向上・連携強化にもつなげていくこととしております。  また、利用促進といたしまして、今夏から実施する予定の新たなうどん県泊まってかがわ割を活用できる、県内公共交通を利用した旅行商品の造成を旅行会社等に働きかけ、この旅行商品を通じて、県民の皆様が公共交通を利用するきっかけとするとともに、公共交通利用促進キャンペーン等に取り組むことにより、今後の利用継続につなげてまいります。  航空ネットワークにつきましては、航空会社や高松空港株式会社等と連携し、既存路線の運航再開や復便等を図るとともに、新規路線の開設にも取り組んでまいります。  四国の新幹線につきましては、本年三月に日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議において、四国における新幹線についても検討を進めることが採択されたことを踏まえ、その早期実現に向け、国等に対し、これまで以上に積極的に働きかけてまいります。  私といたしましては、国や地元市町、交通事業者等と緊密に連携し、航空ネットワークの充実や、新幹線を骨格とした持続可能な公共交通ネットワークの構築に向けて、全力で取り組んでまいります。  次は、かがわ安心飲食店認証制度についてであります。  県では、大人数・長時間の飲食、マスクなしでの会話といった場面が生じやすい飲食店における感染防止対策の徹底を図るため、先月十四日にかがわ安心飲食店認証制度を開始し、今月五日時点で二百六十二店舗から申請を受け付け、順次、認証に向けた現地調査を行うなど、鋭意審査を継続しているところであり、現在、認証店舗数は十一店舗となっています。  今後は、本制度をより一層活用していただけるよう、認証取得に必要となる経費を補助するとともに、専用ウェブサイトにおいて、店舗の検索機能やグーグルマップを活用した位置情報の掲載、広報誌による周知など、県民の皆様への積極的なPRに努めてまいります。  また、制度の運用に当たっては、認証取得に取り組んでいただいた飲食店に対して、メリットを明確に示すことが重要であると考えており、今後、他県の動向や国の基本的対処方針を参考にしながら、議員御指摘の県が独自に営業時間短縮を要請した場合の対応など、感染状況や普及状況を見極めつつ、早期に検討してまいります。  今月十二日以降の対応につきましては、明後日に開催予定の香川県新型コロナウイルス対策本部会議において決定することになりますが、現在、県内の感染状況は、現行の感染拡大防止対策期より二段階下の移行に当たる準感染警戒期レベル相当となっている一方、新たな変異株への警戒などを踏まえると、現時点では、感染警戒期への一段階の移行にとどめ、感染防止対策の徹底等に継続して取り組んでいく必要があると考えております。  私といたしましては、引き続き、県民の皆様が安心して飲食店を利用できる環境づくりを進めるなど、感染拡大の防止と社会経済活動の維持の両立を図ってまいります。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)一般質問を続行いたします。  米田晴彦君。    (米田晴彦君登壇、拍手) ◯米田晴彦君 かがわ立憲みらい、米田晴彦です。  一般質問に入ります前に、静岡県熱海市での大雨による土砂崩れにより命を失われた方、被害に遭われた方に、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。  今日も線状降水帯が山陰を襲っているのを目の当たりにしますと、流域治水をはじめとした総合治水対策の必要性を痛感いたしております。  それでは、質問に入らせていただきたいと思います。  まず、かがわデジタル化推進戦略について伺います。  骨子案が示されています。デジタル化はバラ色でしょうか。顔認証データが指紋の千倍正確であるということを私は知りませんでした。EUは、顔認証データの取扱いに慎重で、生体情報の原則収集禁止を掲げているのに、日本ではそうなっておりません。  マイナンバーカードは、デビットカード、クレジットカード、キャッシュカード、ポイントカード、診察券と一体化し、ワンカードにするという考えがあるようですが、これが実現しますと、県民一人一人の購買履歴、行動履歴が逐一捕捉されるおそれがあるにもかかわらず、利便性だけが強調されています。二〇一六年のアメリカ大統領選挙では、選挙コンサルティング会社が、ネット上の行動履歴を基に、主権者の投票行動を誘導しようとしたそうです。デジタル化は、民主主義の根幹を揺すぶっています。  デジタル社会は、多くの危険性をはらんでいます。にもかかわらず、骨子案ではそのことに全く言及がありません。すばらしい社会が待ち受けていますよ、乗り遅れたら未来はありませんよと、県民をあおっています。デジタル化で幸せになるのなら、デジタル化が進んだ都会が幸せということになるのでしょうけれども、どう見ても幸せなようには見えません。  危険性を語らない、リスクマネジメントのない戦略が、戦略と呼べるのでしょうか。誰のための戦略なのでしょうか。権力者のための戦略なのでしょうか。それとも、一部のITにたけた企業のための戦略なのでしょうか。そのお先棒を担ぐようなことがあってはなりません。  少なくとも県民のための戦略にしようというのなら、デジタル化には多くの危険性が潜んでいることを県民に知らせることから始めるべきです。「いいよ、いいよ」は至るところにあふれているのですから、語られない情報も集めて、同時に県民に示して、「さあ、こんなリスクがありますが、どうしますか」と提示して進めるべきです。  県民の県民による県民のためのデジタル化戦略、まず何をすべきでしょうか。  まず、横文字を理解してもらうための工夫から始めるべきです。県民のための戦略というのなら、県民が理解しなければなりません。県民が理解できる言葉で、県民の間で議論できるよう、国が用意した言葉の焼き直しではなく、主権者を意識してつくり変える必要があります。  そして、県民のための戦略なら、いいことばかりを語らずに、デジタル技術が究極まで行けば何が起こるのかを語って、その危険性が排除できるのかできないのかを語らなければなりません。排除できないのなら、踏み込むことをやめる選択肢をも用意すべきです。県民の理解を深めるために、討論型世論調査という手法も取り入れてみてはどうでしょうか。  私が把握した危険性を幾つか挙げたいと思います。  まず、マイナンバーカードを推進していますが、ほとんどの県民は、マイナンバーのシステムがどのようになっているか知りませんし、自ら検証できません。カードの義務化は、顔認証データの収集・利用を拒むことができない世界にいざなうことになるのに、自分の利便性のためにリスクを承知して同意するという仕組みにはなっておりません。同意しなければ一切サービスを利用できない仕組みになりつつあることも、多くの県民は知りません。  二〇一四年度に警察庁は、法律を定めることなく五つの都県警察に顔認証システムを配備し、これを用いた捜査が開始され、昨年三月からは、本県を含む全国の警察でも運用が開始されています。そのことについて、多くの県民は知らないと思います。導入当時、警察は、組織犯罪にしか使用しないと説明したとの報道もありますが、広く他の犯罪にも拡充されていく可能性もあります。  テレワークを推進していますが、MeeCapというソフトはパソコンのマウスやキーボード操作を逐一記録でき、テレワーク中、監視が可能になっており、家庭がプライバシー空間でなくなるおそれが出てきているのを県民は知らないと思います。政府によって県民を監視するような状況が生まれた場合に、県民の側に立って防衛手段を講じる意志と手だてはあるのか、示されておりません。  情報通信技術の民衆的コントロールを唱えるJCA─NETの理事は、「人間の一生を百年とすると、プライバシーの権利も百年にわたって厳格に保護できなければならないのに、長い寿命の個人情報に膨大な個人データがひもづけされて個人情報全体が構築されていく。こうした情報を政府や企業が膨大に保有するビッグデータの時代に、この個人情報の百年の寿命に見合うような保護の仕組みは存在しない。法の限界を自覚して対処しないと法の支配が後退する社会になる。」と、警鐘を鳴らしておられます。  戦略では、プライバシーは「絶対に守る」と書かれていません。なぜ書かないのでしょうか。守れないから、「プライバシー保護を考慮しつつ」という表現でごまかしているのでしょうか。自らの利益のためには、おきて破りを平気でする倫理観の乏しいデジタルに詳しいやからからの危険にさらされていることを意識すべきです。今は、強欲資本主義と呼ばれる時代なのですから。  県民をデジタル社会のリスクから守る意志を持つデジタル人材によって、戦略は練られるべきと考えます。百年にわたって個人情報を県が売らないという保証はあるのでしょうか。こうした声に応える県でなければならないと思います。  「中心となるのは技術ではなく人でなければならない」と書かれています。そのとおりです。そのためには、県民の基本的人権を危険にさらす、もろもろのリスクをクリアする戦略でなければなりません。  知事は、デジタル化の持つリスクをどのように認識しておられるのか、今後どのようにしてこのリスクを回避する戦略をつくり上げていくおつもりか、お示しください。  次に、消防団員の処遇改善について伺います。  消防団員の減少が止まりません。消防団員数は、記録の残る限りでは、昭和二十九年の二百二万三千十一人をピークに下がり続け、平成二年には百万人を割り込み、直近でいえば、平成三十年度から二年連続で一万人以上が減少し、令和二年四月一日時点で八十一万八千四百七十八人となっています。このままでは、八十万人を切るのも時間の問題です。  消防団員の減少という課題に対し、これまでも国は、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律の制定など、様々な議論・検討を行い、必要な対策を講じてきたとしておりますが、残念ながら歯止めがかかっておりません。こうした状況に、かつてない危機感を持った国は、昨年十二月、消防団員の処遇等に関する検討会を立ち上げ、月に一回というハイペースで消防団員の処遇改善のための検討を行い、今年四月、その中間報告を取りまとめたところです。  それによりますと、退団者はおおむね横ばいですが、入団者が大きく減少、その減少幅が拡大しているところを問題視しています。特に、二十代の入団者数がここ十年間で約四割減少、三十代も約二割減少と、新たな団員が供給されなくなっています。  その背景には、被雇用者化の進行、労働時間の弾力化があります。「自由な働き方」といううたい文句で労働時間の規制を取っ払ってきた結果が、逆に、自ら自由に使える時間を失わせ、企業の都合に振り回されている姿が、私たちの周りには多く見られるのではないでしょうか。現に、午後八時を回ってからでないと夏季訓練を始められないという状況も生まれています。消防団活動の担い手を確保しようとするのなら、労働時間規制の強化も必要です。  それでも、検討会報告が団員確保のために危機感を前面に課題を掲げ、その対策の方向性を打ち出したことは、大いに歓迎するところです。  出動回数が増え、自然災害の激甚化に伴い活動が多様化・複雑化しており、一人一人の負担が重くなっている中、求められる時間拘束と報酬との見合いの問題、入団者に対して一律支給すべきものが、ある者には予算がないので来年にしてくれという装備、被服費など不足する運営経費の問題、県内最高額と最低額のところを比較をすると八万六千円もの開きがある年額報酬に象徴される団体間格差の問題、年額報酬が地方交付税単価の三万六千五百円を大きく下回るなど予算措置が十分されていない問題など、市町間、団体間で、それぞれに経緯と活動量に違いがあるのかもわかりませんが、取扱いに対する不満を耳にするのは心地よいものではなく、取扱いの標準化と公開化が必要だと感じています。  消防庁は、中間報告を踏まえ、処遇改善に向けて消防庁長官通知を発出しています。県は、市町村に対して早急に取り組むよう求められています。  そこで、知事にお伺いいたします。  香川県においても、団員確保のため応援制度等も講じてきましたが、現状はどのような状況でしょうか。本県における消防団員数の推移、その現状をどのように見ておられるのか、本県における消防団員の処遇面の課題をどう分析しておられるのか、今後、消防団員の処遇改善について、消防庁長官通知を受け、いつ、どのように助言等の支援を行っていくおつもりか、お示しください。  三点目は、介護保険料の負担軽減について伺います。  第八期の介護保険事業がスタートしました。それに伴い、令和三年度から三年間の介護保険料が決定したところですが、県内十七自治体の状況を見てみますと、介護保険料を引き上げた自治体が六自治体、据え置いた自治体が九自治体、引き下げた自治体が二自治体となっています。県内八市九町の平均は月額六千二百四円、最高は三木町の月額七千二百円となっています。六十五歳以上の方の基準となる額ですが、この金額は高いのでしょうか、安いのでしょうか。  この基準額は、住民税が課税されている世帯員がいるが本人は市町村民税非課税で、かつ本人の課税年金収入等が八十万円超の方の介護保険料ということになりますが、六千二百四円とすると年額七万四千四百四十八円、収入の九・三%、三木町の方の場合、年額八万六千四百円、収入の一〇・八%の負担ということになります。このほかにも、国民健康保険税も負担しなければなりません。  おおよそ一割の介護保険料負担を求める現行制度は、限度を通り越しているのではないでしょうか。制度上、高齢化が進めば高齢化率を反映させて、さらに負担割合が高くなっていく仕組みになっており、抜本的な見直しが必要ではないでしょうか。  何か、現行制度の中で負担軽減策はないのか、調べてみました。すると、各自治体に介護給付費準備基金の残高がかなりの額になっているのを発見いたしました。  そこで、この介護給付費準備基金の性格について調べてみますと、介護保険は、三年間の計画期間ごとに同一の保険料を介護サービスの見込み量に見合って設定するという中期財政運営方式を採用していて、最終年度において残高がある場合には、次期保険料を見込むに当たり準備基金を取り崩すことが基本的な考え方となっていると、会計検査院法第三十条の二の規定に基づく平成二十年五月の報告書にありました。  さらに、基金は剰余金を管理するためのものであり、本来、被保険者に還元されるべきもので、還元方法としては、次期計画において歳入に繰り入れたらいいと平成二十年十二月二十五日付厚生労働省老健局介護保険課資料にあるではありませんか。決して、将来の大幅な給付増に備えるためのものでも、国の急な介護報酬改定による給付費増に備えるためのものでも、保険料不足の際の財政安定化基金から借りると次の保険料で返さなければならないので、そうならないよう基金を保有しておきたいという事務方の願望を体現するものでもなかったのです。  それより何より、基金残高が発生するということは、言わば見通しが甘く、保険料が高過ぎたということではありませんか。基金を繰り入れないのなら、その金額と必要性を明らかにして被保険者の理解を得るべきとの裁決も、基金の性格について争った大阪市の不服審査請求事案で出されております。基金は、基本的に事業計画の開始時にはゼロにすべきです。私の試算したところでは、基金の取崩しによって月額五百七十五円の引下げが可能な自治体もあります。  知事、私は、この調査を通じて、当事者に十分な情報が提供されていないことを痛感いたしました。  そこで、伺います。  介護保険料の水準について、知事はどのような認識を持っておられるのか、さらに、当事者への情報提供の在り方についてもお考えをお聞かせください。  そして、制度の限界に来ている介護保険料決定制度の抜本改革とさらなる財政負担を国に求めつつ、現行制度の下でも可能な介護保険料負担軽減策、具体的には、適切な基金の取扱い、低所得者に対する公費投入、法定負担割合を超えた一般会計からの繰入れ、課税層には所得基準をさらに細分化して高額所得者に負担を求める最高段階の引上げなど、高齢者の負担軽減のための使える方法を適切にきめ細かく助言をすることが高齢者の生活改善に資すると考えますが、知事の御所見を伺います。  四点目は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受ける県内留学生への支援策について伺います。  県内留学生は、二〇一九年、過去最高の三十二か国八百三名になり、香川大学、穴吹学園の二校で八七%を受け入れているとお聞きしています。国別では、ベトナム二百六十二名、中国百五十一名で過半数を超え、インドネシア、ネパール、フィリピンと、アジア十九か国が九六%を占めています。  二〇二〇年二月から広がり始めた新型コロナウイルス感染症により、留学状況は一変しました。二〇二〇年四月から留学予定の留学生が入国できないだけでなく、県内にいる留学生は母国に一時帰国することもかなわず、度重なる緊急事態宣言等によりアルバイトが激減、生活費を確保することも厳しい状況に追い込まれています。彼らの母国もロックダウンにより保護者の収入が激減し、学費の送金も減少しているため、私費留学生は大変厳しい状況にあります。  また、現在も入国拒否・入国停止措置が継続されているため、多くの留学予定者が日本への留学の夢をかなえられずにいます。状況をお聞きした穴吹学園だけでも、約百名の私費留学生が未入国状態だそうです。昨年度は年末年始の数か月間、レジデンストラックという必要な防疫措置を条件に双方向の往来を再開する仕組みにより入国が認められましたが、空港からの公共交通機関の利用禁止や、自宅・宿泊施設等での十四日間の隔離費用の負担等で、一名につき約六万円の費用が必要で、アジアからの私費留学生が日本での留学生活をスタートさせる上での大きな障害となっており、留学を断念せざるを得ない状況や、受入れ校に大きな費用負担を強いる状況となっているようです。  香川県にとって、将来の生産人口となり得る優秀な外国人労働者の確保は、重要な課題の一つです。香川県内で学んだ留学生の県内就職率は高く、彼らによって本県の経済が支えられていることも事実です。  そこで、知事は、コロナ禍の留学生をめぐる状況をどのように把握し、考えておられるのでしょうか。  また、日本を留学先に選び、そして香川県を選んで留学してくれた留学生が県内で就職するための学費や生活費の支援、留学生の入国時の隔離費用等の支援を求める声が上がっていますが、どのように対応されるおつもりか、お聞かせください。  最後は、垂水橋周辺の安全確保策について伺います。  垂水橋は、県道高松琴平線から善通寺市内を連絡する主要地方道岡田善通寺線の土器川に架かっており、日々、自動車のみならず、自転車、歩行者など多くの方々が利用する重要な橋梁です。丸亀市内には、土器川に架かる九本の橋梁がありますが、垂水橋は県管理の橋梁で、昭和三十七年の架橋以来六十年近くが経過しており、橋の欄干が崩れるなど外観からも老朽化が見てとれ、中方橋改修工事に伴う大型車の通行規制による大型車の迂回も頻繁になっており、それによる損傷が進むのではないかと懸念する住民、通行者の不安が高まっています。  そもそも、垂水橋は大型車の通行を想定しているのでしょうか。  また、架橋当時の道幅に合わせた幅員六メートルの一車線であることから、岡田から善通寺方面に向かう通勤通学者で、朝夕の通勤時間帯、橋付近は長い渋滞が発生しています。それに加えて、橋には歩道や自転車道がないため、自動車の大型化や交通量の増加により、「何度も冷やりとする場面に遭遇する。事故が起こってからでは遅い」と、皆さん口々におっしゃっています。  丸亀市内の土器川に架かる橋で、歩道が設置されていない橋は垂水橋のみです。現状に合っておりません。早急な対策が必要です。さらに、橋の西側の交差点には右折レーンがないため、朝夕に渋滞が発生するなど、様々な問題を抱えております。  危機感を持つ地元の強い要望を受けて、丸亀市からも要望が出されていると伺っています。架け替え、二車線化、歩行者・自転車道の設置は、地元の皆さんの悲願となっています。県では、どのような検討がなされているのでしょうか。  丸亀市議会での市の答弁によりますと、平成二十八年度に行った橋梁の損傷度や劣化状況などを把握するための橋梁定期点検の結果、河川の中にある橋脚の洗掘と橋からの転落防止のために設置されている欄干の損傷が確認され、このうち橋脚の洗掘防止対策については平成三十年度に完了している。今後については、垂水橋のような五十年を超える橋梁が増えてくることから、できる限り長く使うことを基本方針とし、通行状況、周辺道路の整備状況や橋梁の劣化状況等を踏まえ、橋梁の重要性を考慮しながら、橋梁の在り方について検討していきたいと答えたと伺っております。  現在の通行量、通行形態にそぐわない垂水橋の形状や劣化状況、また、昨今の豪雨や地震など防災上の観点を踏まえますと、利用者が安全に安心して橋を通行するためには早急な抜本的改修が必要と考えますが、知事の前向きな答弁をお願いします。  また、抜本的な改修までの間、歩行者・自転車の安全・安心確保のため、当面の措置として、車道と歩行者及び自転車通行の通路を確保して、車道との境界となる白線を引くなどの対応、そして橋西側の交差点改良が必要と考えますが、知事のお考えをお示しください。  以上で私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(高城宗幸君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)米田議員の御質問にお答えいたします。  まず、かがわデジタル化推進戦略についてであります。  かがわデジタル化推進戦略(仮称)において、本県が目指すデジタル社会は、インターネット等を通じて自由かつ安全に多様な情報や知識を入手・共有等を行い、AI、IoT等の先端的な情報通信技術を用いて多様かつ大量の情報を適正かつ効果的に活用することにより、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会としており、そのためには、必要な範囲で県民の皆様に関わる幅広い情報の収集やデータ分析を行う必要も生じてくるものと考えております。
     現在、戦略に盛り込む具体的な施策の検討を行っているところでありますが、県民の皆様に関わる情報の収集及び活用により地域課題の解決を図る施策を検討する際には、様々な個人をめぐるデータが増大し、これらのデータが結合することで個人のプライバシーが把握されるのではないかなどの懸念が生じないよう、官民データ活用推進基本法や先般公布されたデジタル社会形成基本法の基本理念を踏まえ、情報の活用等において個人及び法人の権利利益等が害されることがないよう、収集目的の明確化や利活用状況の公開、個人情報の漏えい防止などを徹底してまいります。  さらに、マイナンバーカードには税などの機微にわたる情報は格納されていないことはもちろん、マイナンバーカードの利用範囲が拡大されても、行政がクレジットカードなどの情報を把握することはできない仕組みとなっていることなども含め、安全性につきまして積極的に広報するなど、県民の皆様の安心を担保し、リスクに対する懸念を払拭できるよう丁寧に説明しながら進めてまいります。  私といたしましては、県民の皆様の理解をいただきながら、生活・産業・行政のあらゆる分野のデジタル化を進め、戦略の基本理念である「安心・便利・豊か 人が主役のデジタル社会・かがわの形成」の実現を目指してまいります。  次に、消防団員の処遇改善についてであります。  消防団は、火災をはじめ大規模災害などから県民の皆様の生命や財産を守るため、地域の防災力の中核的存在として大きな役割を果たしており、消防団員の処遇改善などを通じて団員の確保を図ることは、大変重要であると考えております。  このため、県では、県内の消防団員が飲食店や販売店などの登録事業所で各種の優遇サービスを受けられる消防団員応援制度の実施や、イベント等での啓発、「災害に強い香川づくり」集中対策推進事業費補助金による各市町への支援などにより、団員の確保に努めております。こうした取組により、全国的には消防団員数の減少が続く中で、本県の昨年四月現在の消防団員数は前年度から六人増の七千六百三十五人となっており、ここ十年間はほぼ横ばいを保っております。  一方、議員御指摘のとおり、火災はもとより、近年、激甚化・頻発化する風水害や、近い将来の発生が予測される南海トラフ地震への対応などを踏まえると、消防団員に求められる役割はますます重要となっており、各市町においては、団員の処遇につきまして、地域の実情を踏まえ、より一層の充実を検討していく必要があると認識しております。  こうした中、本年四月に、国において、非常勤消防団員の報酬等の基準が定められたことから、県では先月、市町防災・減災対策連絡協議会で周知を行うとともに、消防団主管課長会議を開催し、報酬額の見直しや支給方法などの課題について意見交換を行うほか、現在、各市町からの個別の相談にも応じているところであります。  私といたしましては、今後とも、各市町と緊密に連携し、消防団の機能充実や団員確保に対する取組を支援することにより、地域の消防・防災力の強化に努めてまいります。  次に、介護保険料の負担軽減についてであります。  介護保険制度は、創設以来二十年が経過した現在、必要不可欠な制度として定着しており、一方で、サービス利用の伸びによる介護費用の増大に伴い、六十五歳以上の高齢者が支払う介護保険料の全国平均は制度創設当時、月額約三千円であったものが、今年度からの第八期計画では六千円を超えており、県内市町の平均もおおむね同様の水準で推移しているものと考えております。  介護保険料につきましては、各市町において三年ごとに介護保険事業計画を策定、見直しており、計画策定時に被保険者への情報提供は重要であると考えております。第八期の計画策定では、各市町においては、医療・福祉の専門家や被保険者の代表者など幅広い関係者で構成する策定委員会等で、介護給付費準備基金からの取崩し額など必要な財源等を含め審議し、十五市町において基金を取り崩して保険料額を定め、その結果をパブリックコメントの実施により広く住民の皆様から御意見を聴取しております。  介護保険料軽減につきましては、基金取崩しのほか、低所得者に配慮し、一部の市町においては多段階の保険料が設定され、また、介護保険法改正により平成二十七年四月から消費税を財源とする公費が投入され、全市町において低所得者の負担軽減が強化されております。  今後も要介護等認定者やサービス見込量はさらに増加すると見込まれ、介護費用の増大に伴い、高齢者の保険料負担や税財源の乏しい自治体の負担が大きくなり、介護保険制度の持続可能性が懸念されるため、毎年継続して国に対し、制度が将来にわたり安定したものとなるよう、介護保険料と国・地方の負担の在り方を含め、必要な制度の改善を図るよう要望を行っているところであります。  私といたしましては、各市町が介護保険制度の趣旨に沿って適切に事業運営するとともに、現行制度の下で可能な介護保険料の負担軽減を行うための方策などについて、きめ細かな支援を行ってまいりたいと考えております。  次に、コロナ禍における県内留学生への支援についてであります。  昨年六月末現在の県内の留学生数は、法務省の在留外国人統計によると六百九十二人で、過去最高であった前年より減少しているものの、十年前の平成二十二年の四百八十二人の一・四倍となっており、長期的に見ると今後も増加が続くものと考えられます。  こうした中、本県では、外国人に対応した医療機関や生活情報の提供や、外国語による防災ガイドマップの配布などを行っているほか、県国際交流協会と連携し、平成三十一年四月にかがわ外国人相談支援センターを開設し、県内外国人の生活全般にわたる相談にワンストップで対応する体制を整え、外国人が不安なく本県で生活できるよう支援しているところであります。  留学生からセンターに寄せられた具体的な相談内容といたしましては、新型コロナウイルス感染症に起因する生活困窮や就職等に関するものがあり、各市町社会福祉協議会をはじめとする関係機関につなぐなどの対応を行っており、開設以来、私自ら相談内容全てについて報告を受けるなど、県内外国人が抱える課題等の把握に努めているところであります。  また、留学生は、高度な専門性や日本語能力を持ち、将来の県内産業の担い手となり得ることから、留学生の県内就職を促進するため、これまで、県内就職を希望する留学生と県内企業との交流会・企業説明会の開催や、留学生受入れ教育機関が行う留学生の県内就職のための取組に対する助成などの支援を行ってきたところであります。  私といたしましては、留学生が本県で安心して学び、卒業後も県内で活躍することができるよう、議員御指摘の点も含め、他県などの状況を研究するなど、留学生の生活面や就職面での支援に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。  なお、そのほかの御質問につきまして、土木部長よりお答え申し上げます。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)西川土木部長。    (土木部長西川英吉君登壇) ◯土木部長(西川英吉君)米田議員の垂水橋周辺の安全確保策についての御質問にお答えいたします。  垂水橋は、丸亀市と善通寺市を結ぶ主要地方道岡田善通寺線において、昭和三十七年度に一級河川土器川に架設した橋長百九十七・九メートルの鋼製の橋梁であり、一日に一万台近くの車両が通行する丸亀市南部の東西交通の要衝に位置しております。  まず、議員御指摘の大型車につきましては、通行の制限をしておりませんが、幅員が六メートルしかなく、橋上での大型車相互の擦れ違いが困難であることから、一方の車両が、もう一方の車両が通過するまで橋の手前で待機しながら通行している状況であり、歩行者・自転車の通路を確保するために、車道との境界となる白線を設置することは困難であると考えております。  一方、平成十三年度に橋梁の塗装の塗り替えを行うなどの修繕を行ってきたところですが、平成二十八年度に実施した五年に一回の定期点検で、橋脚周辺の河床の洗掘などを確認し、早期に措置を講ずべき状態の橋梁と判断したことから、平成三十年度に橋脚周辺に護床ブロック等を設置するなど、洗掘防止工事を完了したところであり、高欄の損傷箇所につきましては、早期に修繕を行うこととしております。  県内では、今後、垂水橋のように架設後五十年を超える橋梁が増加することから、香川県橋梁長寿命化修繕計画に基づき、定期点検や修繕を行いながら長寿命化を図り、できる限り橋梁を長く使うことを基本方針としており、垂水橋の抜本的な改修や交差点の改良、歩行者・自転車道の安全確保につきましては、垂水橋周辺の通行状況や周辺の道路の整備状況などを考慮しながら、幅広く検討してまいりたいと考えております。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)一般質問を続行いたします。  白川和幸君。    (白川和幸君登壇、拍手) ◯白川和幸君 議長のお許しを得ましたので、通告に従い、質問させていただきます。  質問の第一点目は、空き家バンクを利用した移住促進についてであります。  新型コロナウイルスの影響で、地方への移住に関心が高まる中、二〇二〇年度に香川県に移住してきた人は二千七百二十一人と過去最多を記録しました。その要因としては、移住における課題であった移住後の仕事について、ICT技術の向上により、遠隔での作業が可能になったことが挙げられると思います。  働く人たちを本社のある大都市に集めることなく地方に分散させるテレワーク、旅行先で仕事を行うワーケーションなどの取組が始まり、そしてそれを国全体で後押しする流れになっています。そのことにより、田舎暮らしが容認されるようになったのではないでしょうか。  しかし、県の現状は人口減少が止まらない状況にある上、東京や大阪に設置する移住相談の窓口などにおける移住相談の件数は、二〇二〇年度は四千四百八十九件と、統計開始以降初の減少となりました。これは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、移住促進のイベントなどが開催できなかったことが要因と考えられます。東京、大阪では、移住に関する様々なイベントを開催し、香川への関心を高める施策に取り組んでいることは承知していますが、人口減少を少しでも食い止めるためには、移住相談件数の増加を図り、さらなる移住者増につなげていく必要があると考えます。  移住希望者への相談や情報提供を行っているNPO法人が公表した地方移住に関するアンケート結果によると、二〇二〇年は、農村を移住希望先として挙げる割合が前年の一七・九%から二二・〇%へと増加したということです。コロナ禍の影響により、相談件数は減ったということですが、就農を移住のキーワードとして捉えることもできると思います。  以前から、都市部の住民における農村に移住してみたいという希望は一定程度ありますが、就農を目的に他県も含め検討を重ねた結果、香川県の魅力に触れ、移住してきたという人の話を伺うと、相談に乗ってくれた県や市の担当者の方や、お世話をしてくれるボランティアの人たちが奔走してくれたので何とかなったが、住む家、耕す場所といった環境探しに苦労したということでした。  このような事例に応えられるプラットフォームが、空き家バンクではないかと考えます。県でも、移住を希望されている方の住まいの確保を支援するため、住民からの空き家の登録を募り、県、市町、不動産取引業者団体が連携・協力し、情報提供を行うポータルサイトを立ち上げています。しかし、農業家屋や農地つき家屋で空き家になっているものもあると思いますが、まだまだ一部の登録・利用にとどまっているのではないでしょうか。  私の地元においては、かつては、農家をしながら勤めに行ったり、どの家でも牛、豚、鳥を飼い、朝早くから日が沈むまで休む間もなく働くといった農村の風景が当たり前のように広がっていました。しかし、現在、私の家の周りは、夏に水稲栽培されていればよいほうで、多くが何も作っていない状態で草が生い茂っています。  担い手となる若い就農者の数よりも、高齢化し、やめていく就農者の数のほうが多い現状を県内各所で耳にすると、今後の先行きに強い危機感を感じています。日の目を見ない空き家の幾つかは朽ち果て、倒壊している光景も時折目にしますが、景観を悪くするとともに、そこに住む人の気持ちも前向きになれないと思われます。  さらに、中山間地域においては、農地つき空き家の譲渡において、条件が折り合わないことから、なかなか交渉が進まないという話を耳にします。また、新規就農をし、就農支援を受け、晴れて独立された方が、農機具や資材を保管する場所を探しているという事実を改めて知りました。  なお、空き家をそのまま譲り渡すのではなく、建築事業者や宅建事業者と建物の情報を共有し、より付加価値のつくようリフォームやリノベーションをして、他県から移り住む人が興味を持つような仕組みづくりができればよいと考えますし、移住者が地域の人と一緒になって心豊かに生活できるよう、農地を活用した農業体験や食のイベントなどの取組を企画・実施する方への支援は、中山間地域の活性化に大きく寄与し、とても重要ではないかと考えます。  そこで、このような現状において、本県を移住就農先として選んでもらうためには空き家バンクの活用が重要だと考えますが、県の空き家バンクの現在の利用状況はどのようになっており、今後の利用拡大において何をなすべきとお考えか、知事の御所見をお伺いします。  質問の第二点目は、スマート農業の推進についてであります。  コロナ禍における度重なる緊急事態宣言によって、飲食店の時短営業や各種イベントの中止が続いています。販売先を失った農家は、せっかく取れた農産物を土に返しているということです。それまでかけた肥料や資材、労働が無駄になり、生産意欲をなくす農業生産者は、現在の統計数値には表れていないかもしれませんが、私が産地で聞き取りしたところでは、強い危機感を訴えている方が多くいます。  今年、夏野菜が高騰しているのは天候の影響だけではないのです。作って本当に売れるのか、価格は十分な利益を確保できるのか、予測が立たない状況で生産を抑えたために供給不足が生じています。家庭での調理の機会が増え、消費のニーズは変わらないものと思われがちですが、消費者の財布のひもは固くなっており、飲食店による需要の落ち込みを埋めるには至っておりません。  そんな中、消費者の求める農産物の価値も多様化しています。これまでは鮮度のよいもの、見た目のきれいなものが取引されてきました。そのため、多くの農業生産者は選別を厳しくし、消費者のニーズに応えてきました。  しかし、近年は、環境面では食品ロスを減らし、健康面では野菜の成分や栽培履歴などに関心が向いています。見た目も大事だけれども中身も大事であるという、非常にぜいたくな嗜好になってきています。農業生産者の方々は、日々創意工夫を重ねながら、農産物の付加価値を上げる取組に追われており、収益を向上させるために、課題となる生産性の向上とともに、品質管理や省力化など高度化が求められるようになってきたのです。  ドローンでの農薬散布やGPSによる自動運転のトラクターなどを活用したスマート農業が、各県でも着々と取り組まれています。生産性の向上につながる取組であり、生産者の負担軽減が期待されます。しかしながら、機材の高度化は省力化にはつながるものと思いますが、狭小な農地が多い香川県では、その機材の価格と生産によって生み出される収益を比較すると、回収までに非常に長い時間がかかりますので、農業生産者の方々が積極的に取り組めないのではないでしょうか。  私が考える香川で取り組むべきスマート農業は、生産工程管理の電子記録であります。これまでも農業生産者は生産工程をメモ帳などに記録してまいりました。農産物の出荷の際には、栽培履歴などをJAや販売先に提出していると伺っております。販売するスーパーなどの流通事業者も、栽培履歴や工程管理の情報が集客につながると考えており、これから先は、その情報が非常に重要な付加価値になると予想されます。  また、電子化された栽培履歴や生産工程、栽培時の天候などの情報を蓄積し、今後の栽培における天候との因果関係などを分析することにより、市場価格などを予測するなどの情報分析につながるものと思われ、ベンチャー企業による新たな産業の創出に向けた動きにつながるとも伺っております。そして、海外輸出などで今後取得が求められるGAPについて、電子記録によって帳票類の入力や保管などの省力化、ペーパーレス化などにも寄与するのではないかと考えます。  推進に伴う課題は、これまでそうした入力作業をしたことがなく、抵抗を感じてちゅうちょする方々への普及啓発と、取り組むことで生まれる収益的なメリットを伝える環境づくりだと考えます。  そこで、県のスマート農業への現在の取組を伺うとともに、今後、県下の農業生産者の収益向上にどのような支援策を考えておられるのか、知事にお伺いします。  質問の第三点目は、コロナ禍における中小企業支援についてであります。  コロナ禍において、中小企業に対する様々な支援策が国や県から出されています。資金調達においては、売上げの落ち込みが基準を超えた場合の金融支援として、日本政策金融公庫や信用保証協会が受皿となった無担保で三年間無利子のいわゆるゼロゼロ融資が緊急事態を支えてきました。  融資後一年を迎え、資金繰りの苦しい企業の倒産を防ぐため、金融庁から金融機関に対し、元本の返済を猶予する据置期間の延長の要請もあり、さらには、当該公庫融資の申込期限が当面年末まで延期されるなど、事業者の資金繰り支援は万全を期されています。  一方で、長引くコロナ禍による経済活動の停滞で、融資枠を使い切り、再生のめどが立たない企業が現れ始めたと伺っています。金融機関の方からは、「返済が始まれば倒産する会社が出てくるのでは」と不安視する声が聞かれます。実際、地方銀行は、貸出先の企業の信用不安に対して、貸倒引当金を積み上げており、証券取引所に上場する地方銀行の令和三年三月期決算では、半数弱の地方銀行が利益を減らしています。そうなると、新たな融資を求める企業に対し、貸出しをちゅうちょする懸念があります。  以上のような懸念材料はありますが、国は事業再構築を支援する補助金や事業承継、M&Aなどへの費用の補助など、様々な取組を行っております。香川県においても、単県の、前向きに頑張る事業者を応援する総合補助金などで企業支援を行っていただくなど、近年起こったリーマン・ショックや東日本大震災以上の経済的な緊急事態に対応していただいております。多くの企業が、このような国や県の制度や支援策を活用し、来るべきコロナ禍収束後の立て直しに向け、準備を進めています。  そのような中、自助の必死の努力により、売上げを減らすことなく雇用を守り頑張っている企業も県下にはあります。彼らは、自分たちの仕事に誇りを持ち、売上げを落とすまいと必死の努力をしており、結果として要件を満たさなかったことから、国や県のコロナ関係の制度や支援を受けることができませんでした。企業は自助が基本であり、国や県からの支援を受けなかったことは問題ではないのですが、たまたま今回の災害とも思える危機に際し、難を逃れたとはいえ、今後、ちょっとした歯車の掛け違いで何があるか分からない状況は、今回大きな影響を受けた企業や店舗と、取り巻く環境は何ら変わらないのではないでしょうか。  これから新型コロナウイルス感染症を封じ込めたとしても、また新たな感染症や大地震などの災害がいつ訪れても不思議ではないことを、我々はコロナ禍で思い知らされました。大切なのは、これから香川県を、そしてそこに住む人々を、どんな病気や災害からも守り、暮らしを持続可能な状態にしていくためには、生活の基盤となる経済を支える企業の繁栄を欠かすことはできないということであります。  そこで、コロナ禍後の県内企業が、より郷土発展の高い志を保ち、規模を拡大し、そして雇用を増やし、職場環境を整え発展できるよう幅広い支援策を望むところでありますが、現在の取組状況を御説明いただくとともに、知事の決意をお伺いしたいと思います。  質問の第四点目は、県内の就職状況等についてであります。  景気には大きな波があり、売手市場と言われる就職希望者にとって非常に有利な年もあれば、買手市場と呼ばれ、企業の採用枠が少なく、なかなか採用されずに就職浪人となったり、極端に厳しいときは就職氷河期というような言葉が生まれるほど、就職希望者にとって受難の年もあります。  厚生労働省と文部科学省が取りまとめた調査結果によると、令和三年三月大学卒業者の就職率は、前年を二・〇ポイント下回る九六・〇%となりました。平成二十三年三月卒業者を底として、ここ数年は売手市場が続いていましたが、コロナ禍の影響を大きく受け、前年を下回ったものと考えられます。  さらに、昨年度は一年中移動制限がかかり、これまで主流だった対面での就職説明会や面接がオンラインにシフトするといった環境の変化もあり、就職活動に苦労されたであろうことは容易に想像がつきます。企業側も、慣れぬオンラインでの就職説明会や面接で、十分なコミュニケーションが取れないままの採用活動であったかと思われます。  コロナの影響で多くの人が仕事を失う中、令和四年三月に卒業する学生の皆さんや転職を希望される社会人の皆さんも、多くの不安を抱えながらの就職活動を余儀なくされていると思います。業種によっては、企業側も採用に慎重にならざるを得ない状況がしばらく続くことを考えると、今年の就職活動も様々な障害があるのではないかと危惧するものであります。  県内における実情も知りたいと思い、先日、ワークサポートかがわを訪ねました。やはり県内においても、オンラインでの採用試験の環境整備が進み、面接においてもリモートで行われるケースが増えてきている状況がありますが、県内を拠点とする企業は、大都市に拠点を持つ企業に比べ、オンライン面接の環境整備が遅れているとのことでした。環境整備の遅れによる県外への人材の流出にも気をつけなければなりませんが、こういった県内を拠点とする企業と人材の橋渡しは大変重要な施策だと実感した次第であります。  また、県外在住者で、コロナ禍を契機に香川県での就職に興味を持つ方も多いと伺いました。コンパクトな県土、平たんで整備された街路、買物しやすく、物価も大都市に比べ比較的安く、災害も他県に比べて少ないことが魅力とのことです。加えて、休日に出かけられるスポットが多いとの印象も持っているようで、県をはじめ各市町のPR活動がいかに大切であるかを感じさせられました。  コロナ禍の状況において、県内企業の雇用にどのような影響があるのか十分な調査が必要であることは疑いの余地もありません。ワークサポートかがわの取組に注目が集まるものと思いますし、大いに期待するものであります。  そこで、今年の県下の就職活動について、どのような傾向があると認識されているのか、お伺いします。  また、ワークサポートかがわのこれまでの取組や今後の課題について、どのように認識されているのか、知事にお伺いします。  質問の第五点目は、地域密着型スポーツを通じた地域活力の向上についてであります。  今年の三月三十日に三豊市とカマタマーレ讃岐が、三豊市の宝山湖公園におけるカマタマーレの練習拠点の整備及び優先利用などに関する協定の締結に向けた覚書の手交式を行いました。カマタマーレは、練習拠点を持つことでクラブの総合力強化につなげるとともに、三豊市が取り組む「健康」と「教育」について協力していくということです。  近年では、スポーツと健康、学力、生活の充実度などには関係があることが確認されています。一日に歩く歩数によっては、がんや糖尿病などの予防に効果があったり、体力調査での成績が高い子供ほど学業成績も優秀な傾向があったり、スポーツの実施頻度が多い人ほど日常生活に充実を感じている割合が高かったりといった調査結果が出ています。  三豊市が具体的にどのような取組を実施していくかは今後の協議をまちますが、プロスポーツチームは、選手のパフォーマンスを最大にするためのトレーニングや健康管理を実施しており、選手の皆さんだけでなく、支えるトレーナーや健康を管理するスタッフの経験やノウハウは、より専門的な知識を取り入れたいと願うスポーツを楽しみたい人たちの知的好奇心に応えられることは想像に難くなく、スポーツを通じた教育的効果の高まりが期待できるものと思います。  また、カマタマーレは、子供たちの育成のためのアカデミーも設置し、県内の子供たちがプロサッカー選手になる夢をかなえるためのサポートを行っていると伺いました。小学生以下のスクールでは、「元気に挨拶しよう」、「仲間を大切にしよう」、「サッカーを楽しもう」をコンセプトとして、ピッチ内外において正しい習慣が身につくよう指導を行っており、中学生以上のユースとの一貫指導によって、トップチームで活躍できる選手の育成、香川県から世界にチャレンジできる選手の育成を行うとともに、サッカーを通じた青少年の健全育成などに貢献しています。自分たちの行動がチーム全体に及ぼす影響を考えることを通して、個々の責任感を養い、より豊かな包容力を持ち、お互いをたたえ合うという人格形成につながればよいと感じます。  カマタマーレを例に挙げましたが、県内には野球の香川オリーブガイナーズ、バスケットボールの香川ファイブアローズ、アイスホッケーの香川アイスフェローズといったスポーツチームもあり、これらも地域密着型のスポーツチームとして、試合の開催にとどまらず、スポーツ教室や中高生の部活指導、小学校の登下校時の挨拶運動など、地域貢献活動に取り組んでいます。  以上のような活動を通じ、県内のプロスポーツチームは、地域活力の向上に大きな役割を果たし得る上、交流人口の拡大にもつながるため、県民の応援の機運を醸成し、盛り上げていく意義は十分あると考えます。  コロナ禍の影響もあり、観客が少ない試合の開催が続き、厳しい経営環境にありますが、その維持・発展を図るためには、チーム力の底上げが重要となってきます。カマタマーレやファイブアローズは、現在、それぞれJ3、B2に所属していますが、より上位のリーグに上がれば、有名チームが来県し、県民に魅力的な試合を提供できるだけでなく、全国からの観客が増えることも予想されます。そのためには、より一層のチームのブランド化を図り、スポンサー企業を探し、経営を安定させ、強いチームをつくり上げるといった自助努力が大前提ではありますが、県としても、認知度向上や集客数増加に関するサポートが必要となってくるかもしれません。  そこで、地域密着型スポーツチームを県民のために大いに活用していただきたいと考えますが、現在の取組と今後の方針について知事の御所見を伺いまして、私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手、降壇) ◯副議長(高城宗幸君)理事者の答弁を求めます。  浜田知事。    (知事浜田恵造君登壇) ◯知事(浜田恵造君)白川議員の御質問にお答えいたします。  まず、空き家バンクを利用した移住促進についてであります。  移住希望者にとって、生活の基盤となる住まいの確保は、移住先を選択する上で大変重要であると考えております。  このため、県内では、移住ポータルサイト「かがわ暮らし」内の空き家バンクにおいて、関係機関と連携して、移住希望者の住まいに関する総合相談窓口を設けるとともに、物件を登録する際には、無料の個別相談や図面作成のための現地調査などを実施しております。  空き家バンクの利用状況につきましては、平成三十年度から昨年度までの三年間の累計で、登録件数は千九百四十七件、成約件数は千百七十九件となっており、空き家に関する相談件数は八百七十一件となっております。  また、議員御指摘のとおり、本県を移住就農先として選んでもらうためには、空き家バンクの活用が重要であり、就農に必要な農地つき空き家や納屋等の附属建物などの空き家バンクへの登録の拡充に努めるとともに、各市町において、令和元年度に国が創設した既存住宅活用農村地域等移住促進事業を活用すれば、特例として、移住者が取得可能な農地の下限面積を弾力的に運用できることとされており、農地保全の観点にも意を用いつつ、各市町に対し、移住促進につながるこうした取組を促してまいります。  加えて、今年度から、農業に関心のある県外の方を対象とした産地や空き家を見学する移住就農バスツアーを開催し、就農を希望する移住者への支援の充実を図ってまいります。  私といたしましては、就農希望者を含め、本県を移住先として選んでもらえるよう、各市町や関係機関と連携しながら、空き家バンクを利用した本県への移住促進に積極的に取り組んでまいります。  次に、スマート農業の推進についてであります。  県では、農業の省力化や生産性の向上を図るため、これまで、露地野菜栽培でのGPS情報を活用した直進アシスト機能つきトラクターの導入検証や、イチゴ等の施設園芸における環境制御システムの開発・実証など、先端デジタル技術の導入に向けて取組を進めてきたところであります。  今後は、このように実用化されたスマート農業技術を広く農業者に普及させる段階にあることから、スマート農業に対する農業者の理解や関心をより一層高めていく必要があると考えております。  このため、県では今月十九日、新たにスマート農業推進大会を開催し、スマート農業への理解促進と実践に向けた機運の醸成を図るとともに、地域でのセミナーや実演会により、農業者がスマート農業を経営発展に必要な技術として活用し、経営力の向上にもつなげられるよう支援してまいります。  議員御指摘の生産工程管理の電子記録につきましては、栽培履歴などのデジタルデータを分析・活用することで、農産物の信頼性の向上や新たな付加価値の創出につながるとともに、GAPに係る資料作成等の省力化にも寄与すると考えられることから、推進大会等において、ICT関連企業から直接、農業者に、生産工程をデジタル化した経営管理システムを紹介し、データ活用による具体的な収益上のメリットを分かりやすく説明することにより、農業者の理解を深めてまいりたいと考えております。  私といたしましては、本県農業の実情やデジタル技術の導入コストとその効果などを踏まえ、デジタル技術の活用により農業者の経営安定や省力化が図られるよう、スマート農業の推進に積極的に取り組んでまいります。  次に、コロナ禍における中小企業支援についてであります。
     議員御指摘のとおり、県民の皆様の安全と安心を確保し、本県経済の持続的発展を図るためには、県内企業の事業継続とともに、コロナ収束後を展望した中長期的視点に立った生産性向上や経営改善を積極的に進めることが重要であると考えております。  このため、制度融資により資金調達の円滑化を図っているほか、一定規模の事業規模拡大や新たな雇用を生み出すような投資を行う県内企業に対しては、企業誘致助成制度による支援を行うとともに、製造業を営む中小企業に対しては、設備投資のための借入金に対する利子補給補助を行うことにより、積極的な事業展開の促進を図ってまいります。  また、感染症の感染拡大に伴い、消費や需要の動向が不透明である中、新商品や新サービス、新技術で全国展開や海外進出を目指す中小企業に対し、見本市等への出展や新しい生活様式を踏まえたオンラインを活用したビジネスマッチングの機会を提供するなど、販路開拓や受注拡大への支援を行うとともに、AI、IoT等の先端技術の導入を推進するため、AIゼミナールの開催による人材育成や専門家による個別コンサルティング等、中小企業の生産性向上のための支援を行ってまいります。  一方で、事業者に蓄積された優れた技術やノウハウを次世代に引き継ぐことも重要であることから、専門家を活用した事業承継計画の策定や第三者への事業引継ぎに取り組む中小企業の円滑な事業承継への支援を行ってまいります。  また、企業の発展のためには人材の確保が不可欠であり、そのためには労働者が働きやすく、働きがいのある職場環境づくりが重要であることから、長時間労働の是正など労働生産性向上に取り組む事業者や、テレワーク導入等の新しい働き方への転換を図る事業者に対し、支援を行うなど、働き方改革を推進することにより、優秀な人材の確保も支援してまいりたいと考えております。  私といたしましては、新型コロナウイルス感染症による県内経済への影響を最小限にとどめ、回復に転じさせるとともに、意欲のある中小企業のニーズを踏まえた支援を実施することにより、地域活力の向上と地域経済の活性化に全力で取り組んでまいりたいと考えております。  次に、県内の就職状況等についてであります。  議員御指摘のとおり、学生や求職者の就職活動は、新型コロナウイルス感染症の影響により、オンラインでの活動が増えるなど大きく変化しており、学生や求職者は不安を感じるとともに、企業側も対応に苦慮されていると認識しております。  一方、ウェブ面接等では、感染リスクや移動時間の制約の排除といったメリットがあることから、より多くの県外在住者が参加可能となり、企業側からは、「より多くの県外学生や求職者と出会えるようになった」との声もありました。  このため、県内企業の人材確保拠点であるワークサポートかがわにおいては、専門のコーディネーターが、来所者への対面相談に加え、昨年十月からオンラインでの就活相談を開始するなど、きめ細かなマッチング支援を行い、昨年度は前年度を上回る百七十五人を県内就職につなげたところであります。  また、先月中旬からは、企業担当者による自社のPR動画や求人内容をウェブ上に取りまとめて、WEB版かがわーくフェアとして配信を行っているほか、県内企業や学生等から対面式の合同就職面接会の開催を望む声も多いことから、来月には、感染症対策を徹底した上で、対面式でのかがわーくフェアを開催する準備を進めております。  さらに、就職活動前の学生に対しても、感染リスクの排除や利便性の向上を考慮し、企業見学を疑似体験できる動画の配信など、ウェブを活用した県内企業の情報発信に努めております。  私といたしましては、県内企業の人材確保を進めるためには、企業と学生や求職者が互いに理解を深め、ミスマッチを解消することが重要な課題と認識しており、今後も、就職活動を取り巻く環境の変化に応じて様々な手法を用いながら、県内企業の魅力や情報の発信に努めるとともに、きめ細かなマッチング支援を行うことにより、一人でも多くの学生や求職者の県内就職につながるよう積極的に取り組んでまいります。  なお、そのほかの御質問につきまして、交流推進部長よりお答え申し上げます。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)佐藤交流推進部長。    (交流推進部長佐藤今日子君登壇) ◯交流推進部長(佐藤今日子君)白川議員の地域密着型スポーツを通じた地域活力の向上についての御質問にお答えいたします。  議員御指摘のとおり、本県においては、地域密着を理念に掲げたサッカー、野球、バスケットボール及びアイスホッケーの四つのチームが活動しており、各チームは試合の開催にとどまらず、スポーツ教室の開催や福祉施設入所児童との交流など、地域貢献活動にも積極的に取り組んでいるところです。  一方、各チームは、昨年来の新型コロナウイルス感染症の影響により、入場者数の減少や感染防止対策への経費負担等に直面し、現在、非常に厳しい経営環境にあります。  このため、県では、各市町と連携し、施設使用料の減免や助成などの支援に加え、スポーツ教室への選手の派遣や、対象市町の住民の皆様を観戦に招待するホームタウンデーの開催といった、各チームが行う地域に根差した活動にも継続した支援を行っているところです。  また、コロナ禍においても安心して試合を観戦できるよう、試合会場における新しい生活様式の啓発や、オンラインを活用したファンと選手との交流及びSNSによるチームの魅力発信についても積極的に支援しております。  今後は、引き続き四チームが連携した各スポーツの実技講座の動画配信を行うとともに、新たな取組として、四チームが集う合同イベントの開催など、コロナ収束後を展望した、各チームの垣根を越えた集客を図る取組への支援も併せて行ってまいりたいと考えております。  県といたしましては、地域密着型スポーツチームを地域の財産と捉え、各チームが、その活動を通して多くの県民の皆様に夢や元気をお届けできるよう、引き続き各市町と緊密に連携して支援等を行い、地域密着型スポーツを通じた地域活力の向上を図ってまいります。(降壇) ◯副議長(高城宗幸君)理事者の答弁は終わりました。  本日の一般質問を終局いたします。    ───────────────────────────── ◯副議長(高城宗幸君)以上で本日の日程は、終了いたしました。  次会は、七月八日午前十時本会議を開きます。なお、議事日程は、追って報告いたします。  本日は、これをもって散会いたします。                          午後二時五十五分散会 Copyright (c) Kagawa Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved....