香川県議会 2021-02-04
令和3年2月定例会(第4日) 本文
▼最初のヒットへ(全 0 ヒット) 出 席 議 員
西 川 昭 吾 君 十 河 直 君
鏡 原 慎一郎 君 松 岡 里 佳 君
高 木 英 一 君 白 川 和 幸 君
岡 野 朱里子 君 秋 山 時 貞 君
斉 藤 勝 範 君 松 本 公 継 君
森 裕 行 君 米 田 晴 彦 君
木 村 篤 史 君 山 本 悟 史 君
松 原 哲 也 君 谷 久 浩 一 君
氏 家 孝 志 君 樫 昭 二 君
山 田 正 芳 君 香 川 芳 文 君
高 田 良 徳 君 竹 本 敏 信 君
三 野 康 祐 君 高 城 宗 幸 君
有 福 哲 二 君 新 田 耕 造 君
佐 伯 明 浩 君 広 瀬 良 隆 君
辻 村 修 君 石 川 豊 君
綾 田 福 雄 君 尾 崎 道 広 君
宮 本 欣 貞 君 山 本 直 樹 君
黒 島 啓 君 五所野尾 恭 一 君
花 崎 光 弘 君 大 山 一 郎 君
都 築 信 行 君 鎌 田 守 恭 君
平 木 享 君
欠 席 議 員
な し
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地方自治法第百二十一条第一項による出席者
知 事 浜 田 恵 造 君
副 知 事 西 原 義 一 君
病院事業管理者 太 田 吉 夫 君
審 議 監 大 山 智 君
政 策 部 長 淀 谷 圭三郎 君
総 務 部 長 東 田 晃 拓 君
環境森林部長 木 村 士 郎 君
健康福祉部長 土 岐 敦 史 君
商工労働部長 近 藤 清 志 君
交流推進部長 佐 藤 今日子 君
農政水産部長 新 池 伸 司 君
土 木 部 長 西 川 英 吉 君
知事公室長 尾 崎 英 司 君
危機管理総局長 寺 嶋 賢 治 君
文化芸術局長 小 川 剛 君
子ども政策推進局長 吉 田 典 子 君
会計管理者 田 中 一 裕 君
病 院 局 長 岡 内 浩 二 君
教 育 長 工 代 祐 司 君
公安委員会委員 泉 雅 文 君
警察本部長 那 須 修 君
代表監査委員 木 下 典 幸 君
監査委員事務局長 岡 興 司 君
人事委員会委員 高 濱 和 則 君
人事委員会事務局長 岡 田 総 一 君
労働委員会事務局長 豊 島 正 人 君
政策部次長 椋 田 那津希 君
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議 事 日 程(第四号)
令和三年三月十六日(火)午前十時開議
第 一 県の一般事務に関する質問
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◯議長(西川昭吾君)ただいまから本日の会議を開きます。
本日の日程は、配付のとおりであります。
日程第一、県の一般事務に関する質問を行います。
佐伯明浩君。
(佐伯明浩君登壇、拍手)
◯佐伯明浩君
新型コロナウイルス感染確認から、一年余りがたちました。その間、我々もいろいろな経験をいたしました。緊急事態宣言の発令、自粛要請等々で、私たちの日々の生活に規制がかかり、重苦しい一年がたちました。
この冬の第三波におきましては、大勢の方々が感染をされましたが、欧米諸国に比べますと、数的には一桁、二桁違うということでございますので、爆発的感染は何とか防げたのではないでしょうか。これもひとえに、医療従事者の皆さん方の御尽力はもとより、介護・高齢者施設の皆様方、国、県、市町の担当部局の皆様方、政治、そして一人一人が対策を講じてきたからではないでしょうか。全ての方々に敬意を表したいと思います。
経済におきましては、農業、水産業を含むありとあらゆる産業が痛手を被り、それを国がいろいろな支援策を打ち出し、連携いたしまして、県、市町が対策を講じております。持続化給付金、雇用調整助成金、緊急小口資金等々、一〇〇%満足のいくものではないかもわかりませんが、諸外国と比べてもトップレベルの支援策を打ち出しております。国、地方自治体とも、大変財政は厳しい折でありますが、収束までしっかり支援策が続きますよう、我々も要望していかなければいけません。
また、私たちの議員活動にも制約がかかりました。私も、年間約二百数十か所から御案内をいただいておりますが、この一年間に限りましては、一割にも達しませんでした。そのため、会場においての地元の方々との意見交換や要望、陳情、その場を借りての県政報告ができなくなり、現場の声というのが本当に聞けなくなりました。国、企業に対しての要望、また、意見交換も非常に少なくなり、私たちの視野を広げるための県内・県外・海外視察もほとんどできなくなりました。議員活動という名の羽をもぎ取られたような気がします。
しかしながら、感染対策をしっかりしながら、いろいろと活動もさせていただきました。昨年の十月には、会派によりまして、二階幹事長、
平井デジタル担当大臣、武田総務大臣、国土交通省等へ、要望・陳情に行ってまいりました。
二階幹事長のところでは、
東京オリンピック・パラリンピックはどのようになるのでしょうかとお聞きをしたら、今はしっかりと前向きな気持ちで準備をすることが大事だということを言っておられました。開催できれば、この国の未来を背負って立つ若者、子供さんに夢や希望を与えることができる、もし苦渋の選択をしたとしても、この努力は将来必ず報われるということを言っておられました。今はしっかりと前向きな気持ちで準備を進めることが大事だということを言っておられました。
平井デジタル担当大臣は、ITというのは機械と機械を結ぶものであるが、デジタルというのは人と人とをつなぎ、我々の生活に自然に溶け込んでくるものだということを言っておられました。武田総務大臣は、
マイナンバーカードの取得率が、四十七都道府県で当時は香川県は率にして三十番後半ということでありましたので、しっかり浸透させてほしいということで、恥ずかしながら私もすぐ
マイナンバーカードを作り、友達にもお願いしているところであります。携帯料金の値下げといった明るいニュースは、いろいろな方々に伝えていかなければいけないと思った次第であります。
十一月には、四国四県の県議の皆さん方と一緒になって、四国の新幹線導入に向けた要望・陳情に、国土交通省に行ってまいりました。担当部局の次長、審議官等々と、いろいろとお話しすることができました。
四国の新幹線導入につきましては、皆さん御理解をいただいておりました。あわせて、JR四国の経営安定も喫緊の課題だということを言っておられました。抜本的に経営を改善するためにも、四国の新幹線導入は不可欠だということを強く感じたわけであります。
コロナ収束後は、また、人、物、情報、お金が動き出すと思います。そのためにも、交通インフラの整備というのは非常に重要であります。港湾整備、事業費は非常にかかりますが、中長期ビジョンをしっかりとつくっておかなければいけません。物流のほとんどは海上輸送であります。船会社に敬遠されないように、しっかりとビジョンをつくることが、県経済の発展のためにも役立つと思っている次第であります。
交通インフラの要であります高松空港の機能強化は、しっかりとやっていかなければいけません。私が何十回ともなく質問させていただきました霧がかかり視界不良になっても離着陸可能な計器着陸装置、CATIIIの高カテゴリー化の導入が必要不可欠であります。ギアを上げて要望していかなければなりません。
また、路線の維持・拡充というのも非常に必要であります。那覇路線の維持というのは、特に必要ではないかと思っております。私が沖縄県が好きだから言っているわけでは決してございません。那覇空港というのは、アジアの地理的中心位置にあり、アジア諸国から多くの路線が入り込んでおります。収束後は、高松空港からアジア諸国に直行便を飛ばすということは非常に重要でありますが、那覇空港を経由して、ビジネス、観光、インバウンド等々、非常に効果的であります。
ANAのエアカーゴにおきましては、アジアの航空貨物のハブ空港と位置づけております。香川県の物産品、また、ブランド品、農水産物、工業用品を那覇空港からアジア諸国に持っていく、非常に経済効果がありますので、しっかりと堅持していかなければいけません。
また、これも視察をさせていただきましたが、二〇一九年一月には、伊丹空港から那覇空港に、日本初の
航空機整備専門会社MROジャパンが移転してまいりました。これはなぜかと申しますと、先ほど申したとおり、那覇空港はアジアの地理的中心位置にあるから、これからもっともっと需要が増えるということを言っておられました。そして、地方経済の活性化にも役に立つ、そして何よりも、沖縄県の工業高校を卒業した方々を多く採用して教育し、最新鋭の
ジェットエンジンを整備できるように育てていきたいということを言っておられました。
このように、優良なすばらしい企業を香川県に誘致することが大事ではないかと思っております。香川県のよさをしっかりPRしていかなければいけません。平地でコンパクトな県である、他県に比べ自然災害が少ない、
情報通信インフラ、交通インフラがしっかりしている、こういうことを前面に打ち出して優良な企業を誘致するということが若者の定住にもつながってまいりますので、しっかりやっていかなければいけません。
この一年間、コロナに対しては、受け、守りの一方でありましたが、ワクチンという武器が手に入ります。柔道の世界で、「攻撃は最大の防御なり」という言葉があります。ワクチンを武器に、攻めて攻めて攻めまくり、コロナを一日も早く収束させ、県発展のために皆さんと一緒に汗をかいていきたいと思っておりますので、御指導のほど、よろしくお願いを申し上げます。
これからの時代、少なくとも当面は、この新型ウイルスと共存していくことが不可欠と考えます。これまでの一年余りの間に傷んでしまった飲食・観光業、交通産業、地場の事業や経済の立て直し、県民が豊かで安心・安全に過ごせるような生活を取戻し、安定的な医療・福祉機能の維持、安心して学べる教育の現場、子育て支援などを実現していかなければなりません。
そして、このコロナ収束後においては、恐らく、コロナ感染症の蔓延以前の社会・経済・生活とは少し異なる、新たな形になると思われます。したがって、収束後におきましては、新たな視点からの取組、つまりアフターコロナの各種取組を進めることが必要となると考えます。
本日は、そういう観点から、コロナ収束後の
地域経済活性化策、交通・観光の活性化を目指しての取組、デジタルを活用した持続可能な地域づくりの必要性と重要性を念頭に置きながら、ただしてまいりたいと思います。
質問の第一点目は、コロナ収束後の地域経済の活性化等についてであります。
県の大きな政策の柱として、「災害に強い香川づくり」、「人口減少問題の克服・地域活力の向上」などを掲げておられます。
「災害に強い香川づくり」に関しては、近年、全国各地で台風・豪雨被害など大規模な自然災害が多発していることや、南海トラフ地震の発生の確率が高まっていることなどを勘案すると、コロナなどの感染症にも対応できるようなものにすることが必要だと考えられますが、災害、防災、減災対策のハード面と、「逃げ遅れゼロ」を実現するためのソフト面での重要性も指摘される中、ハード、ソフト両面整備でどのような施策を講じていく予定でしょうか。知事にお伺いをいたします。
次に、「人口減少問題の克服・地域活力の向上」についてでありますが、コロナ以前の社会では、このような人口減少への対応の一つとして、国内外からの人の往来の受入れを進め、産業の発展、県民の生活基盤の維持確保、地域の活性化を図ることが王道でありました。また、子育て環境整備におきましては、「子育て県かがわ」の施策を進められておりますが、ある調査では、コロナに伴う不安や産婦人科病院における出産時の立会い制限などから、昨年来、出産数が大きく減ってきているとの報道も耳にいたしました。
コロナ禍の中、安心して子供を生み育てる環境づくりについて、早急に新たな施策が必要になってくると思います。併せて、移住の促進やワーケーションでの移動の促進も重要であり、移住先としての香川県の優れた特色をアピールし、移住先として本県が選ばれるような施策、その前提となるような受入れ環境整備など、関係市町と連携し、積極的に進めることが人口減少対策に資するとともに、地域経済の活性化につながるとも考えております。
新型コロナの今、世界各国ともいわゆる鎖国政策を続けており、海外との人の往来、国内においても移動を規制しておりますが、収束後の人の往来、経済活動再開に備えて、産業の振興、すなわち県内にしっかりした産業を興すこと、そのための産業政策、成長戦略が重要であります。デジタル、AIなどを活用した新たな産業の振興、起業家精神を生かした
スタートアップ支援も大きな課題であります。県の名産品や特産品をブランド化し、価値を高めて普及させるという
香川版ビジネスモデルも構築していかなければなりません。
ただし、コロナ感染拡大に伴い生じております地方分散型社会へのニーズの高まりや、デジタル化の推進、テレワーク、在宅勤務の導入などの動きなど、社会の変革の流れを踏まえることも必要かと思っております。
そこで、コロナ禍において様々な制約がある中で、人口減少対策として、どのような考え方に立ち、どのような施策を講じていくべきとお考えか、知事の見解をお聞かせください。
地域経済の活性化の観点では、企業立地の促進も重要であります。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、企業の地方移転への関心が全国的に高まっている中では、香川県を地方の拠点として売り出すことも重要であり、その機会を生かさなければなりません。
今後の企業誘致につきましては、県内でさらなる用地の確保など、今後の方針はいかがされるのでしょうか。適地を見つけ出して整地、あるいは埋立てをして新たな用地を開発し、優遇措置を講じて誘致する計画的な取組が求められております。努力なくして、また、リスクを恐れていては、新たな産業・事業の創出も雇用の確保も限界に逢着し、人口減少社会の将来展望が開けません。
企業誘致の実効性を高めることも重要です。特に、企業の地方拠点整備の動きは、このコロナ感染拡大により、多くの企業に広がっております。各企業において、コロナ感染拡大による企業活動の制約への対応力の強化の必要性、事業継続計画に見られる、災害、危機事案発生等による
サプライチェーン分断等への対処能力向上の必要性、レジリエンス・ラインの二重化などの必要性が強く認識され、その一環として、拠点の地方移転や
デュアルモード化としての地方進出の機運をもたらしております。
また、日本経済のグローバル化が進む中、世界的なコロナウイルスの感染拡大により、海外との行き来が制限され、国内における
サプライチェーンの脆弱性が顕在化したことから、生産拠点の集中度が高い製品や、私たちが健康な生活を営む上で重要な製品、部素材等について、円滑な供給を確保するため、国において、工場の新設や設備の導入を支援する取組を進めており、関係業界において、
サプライチェーン対策のための生産拠点等の整備を進める動きも見られるところであります。この機会を生かし、本県も受入先となるような積極的な取組が必要であります。
コロナ感染拡大に伴う地方移住への関心の高まり、拠点移転や複数拠点化の機運の高まりを我が県の好機と捉え、我が県の特色・利点を生かした企業立地・誘致を促進することが極めて重要と考えますが、知事の御見解と抱負をお聞かせください。
質問の第二点目は、コロナ収束後の交通・観光の活性化を目指しての取組についてお伺いをいたします。
コロナ以前から、私は、さきに述べた人口減少への対応や県の経済社会の活性化への対応の観点からも、国内外からの観光客の受入れ、そのための交通基盤の整備、県内交流の活性化、産業振興の観点、教育や生活環境向上の見地からも、
交通ネットワークの整備と交通拠点の機能強化が重要だと申し上げてまいりました。具体的には、高松空港の機能強化、四国の新幹線の実現を含めた
高速交通ネットワークの整備、港湾整備、幹線道路の整備に積極的に取り組むことが重要だということであります。また、
観光プロモーションの実施など、ソフト面の施策も大切であります。
コロナ収束後のいわゆるアフターコロナの交通・観光の活性化の施策は、後退させていいものでしょうか。私は、全くそうは思いません。
もちろんコロナ感染の教訓を生かし、必要な感染対策を講じながらも、むしろ今まで以上に取り組むべきと考えております。なぜなら、移動や交流の需要は、人間本来の行動の基本であり、いかなる時代であっても必ず求められるものと考えるからであります。
人の減少が確実に進んでいく香川県においては、国内各地からの人の往来を確保し、海外からのインバウンド客を受け入れていくことは、中長期的視点から見て不可欠であります。
知事におかれましては、移動・交流の需要の確保の重要性をどのように認識され、
交通ネットワーク整備にどのように取り組もうというお考えか、お伺いをいたします。
例えば、航空について、この一年の動向は、国際・国内線の減便・運休が続き、利便性が大幅に低下し、利用者の減少に伴い、空港バス、駐車場、飲食店、物販店は、極めて厳しい低調な状況が続いております。収束後も当面は、国内観光、海外からの
インバウンド等需要は本格的な回復には至らないと思われます。ましてや、ビジネス需要につきましては、
オンライン会議等の活用での働き方の変化により、業務での航空利用需要の回復は極めて厳しいと思われます。
このような状況ではありますが、収束後は必ず移動の需要は徐々に回復し、航空需要も回復すると期待をいたしております。今後数年間の動きとしては、歩みは遅いでしょうが、国内線がまず回復し、その後で国際線が回復するでしょう。
したがって、私たちが現時点から講じておく取組としては、国内線の利用促進を観光、ビジネスの両面で行いつつ、国際線においても高松空港の利用者がいち早く回復するよう、感染対策を行った上で地域一丸となってプロモーションを行い、航空需要の回復に取り組むことかと思います。このプロセスにおいては、チャーター便の活用、タイミングを見計らった効果的な観光・
旅客誘致キャンペーン、ワーケーションといった新たな仕事の仕方、余暇の過ごし方への積極的な対応、ネットを活用した非接触型の接客、観光客受入れの新たな旅行形態の取組、国際線におけるPCR検査体制の確立などが重要になると考えております。
現時点においても、内容等の検討を進め、効果的に施策を打ち出すよう準備を進めていくことが重要であると思いますが、どのように取り組むのか、具体的方針について知事の見解をお伺いいたします。
また、航空需要の低迷している今現在においても、将来を見据えて、機能強化の一環としての
CATIII整備、計器着陸装置の高カテゴリー化は必要ではないでしょうか。視界不良による欠航や条件付運航の減少、就航率改善などが図られ、定時性の確保、安定性・信頼性が増し、利便性の向上がもたらされるものと考えております。コロナ禍においても、
CATIII導入に向けて取組を加速すべきだと考えております。
CATIIIについては、県自身が御努力され、そのことにつきましては敬意を表したいと思います。私から何度も対応を求め、お答えをいただいてまいりましたが、県としても独自に運航等の向上に伴う利用率の上昇を適正に策定し、便益指数の上昇を導き出すことや、用地造成に特殊な工法を導入して整備コスト削減を図り、費用削減を行うことなどの方策に関する検討調査を行われました。
結果として、費用対便益B/Cの指数が、事業化の目安とされる一を上回る結果を出された旨も伺っているところであります。国に対して必要性の理解を求め、費用対効果の改めての検討を要望するなど、働きかけの継続が必要になると思います。
そこで、
CATIII整備の実現に向けた知事の取組方針と意欲をお伺いいたします。
さらに、本県に就航している航空会社との関係の強化も重要であります。全日空や日本航空をはじめ航空会社は、厳しい経営環境に直面しております。コスト削減の一環として、それぞれの社員の受入れを関係企業や自治体に求めているとの報道にも接します。
佐賀県など他の自治体・企業においては、既に全日空や日本航空の出向社員を受け入れる動きがあるということも報道されております。香川県においては、どのように対応されるのでしょうか。
両社とも重要な都市との運航を担ってきており、特に、全日空は那覇路線の運航を担っております。本県と全日空及び日本航空との間では、包括連携協定も締結されるなど、観光、県産品、文化等の分野において相互に連携して地域社会の活性化のための取組を実施しているという深い縁があります。
困ったときはお互いさまの精神で、ぜひ航空会社の話もよく聞き、希望があるような場合には前向きな対応をいただくことが、コロナ収束後の本県における
航空ネットワークの維持向上に資するのではないかと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
質問の第三点目は、デジタルを活用した持続可能な地域づくりについてであります。
デジタル化は、コロナ対策で有効とされる非接触を円滑に進められるだけでなく、多くのデータを有効活用し、利便性の向上を図ることのできる手段として期待されております。デジタル化の推進に当たっては、現在、政府において、将来のデジタル社会を目指して、基本事項や中長期的な取組指針の検討が進められておりますが、県においてもデジタル化するのであれば、その意義や、デジタル化によってどのような地域社会をつくりたいのかを明確にすることが必要かと思います。
企業では、デジタルトランスフォーメーションがもてはやされておりますが、これも単にデジタル機器を導入するというものではありません。すなわち、産業界では、ビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立するという考えの下に取り組まれております。県が取り組むデジタル化も同様であろうと思います。
具体的には、県政・県民・地域を取り巻く激しい変化に対応するため、データとデジタル技術を活用し、県民や地域社会、経済のニーズに基づき、県政推進のモデルを変革するとともに、県の業務・プロセスなどを変革し、そして輝かしい未来、明るい豊かな県民生活、きめ細かい県政を確立するといったことを、デジタルを活用した持続可能な地域づくりの基本とすべきであると考えます。そのためには、香川県デジタル化推進地域づくり総合計画が必要かもしれません。
また、デジタル化の推進に当たっては、全ての県民がデジタル化の恩恵を受けることができるよう、子供から高齢者まで、誰もが安心してアクセスでき、格差が生じない取組、いわゆるデジタルディバイドへの対応が必要であります。さらに、県全体でデジタル化を目指すに当たっては、市町での取組も欠かせませんが、市町間でデジタル化のサービスに差が出ないよう、県としても適切な支援をしていくことが必要であると考えております。その際、県から市町へ一方的な押しつけにならないよう、うまく連携して進めていく視点が重要であります。
そこで、県がデジタル化に取り組む意義や目指す姿をどのように考えているのか、また、デジタル化の推進に当たって、デジタルディバイド対策及び市町との連携についての知事の所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手、降壇)
◯議長(西川昭吾君)理事者の答弁を求めます。
浜田知事。
(知事浜田恵造君登壇)
◯知事(浜田恵造君)佐伯議員の御質問にお答えいたします。
まず、コロナ収束後の地域経済の活性化等のうち、防災・減災対策についてであります。
南海トラフ地震の発生確率が高まるとともに、近年、大規模な風水害が多発している中、被害を最小限に抑えられるよう、感染症等への対応も踏まえながら、ハード、ソフト両面から、防災・減災対策を着実に進めていく必要があると考えております。
このため、発災時の救援活動などに重要な役割を担う緊急輸送道路の整備をはじめ、地震津波対策海岸堤防等整備計画に基づき、優先度の高い箇所から重点的・集中的に海岸・河川堤防の整備を進めるとともに、河川整備計画に基づく河川改修等や、土砂災害危険箇所における砂防ダム等の整備、ため池の耐震対策のほか、住宅等の耐震化や家具類の転倒防止対策の支援に、引き続き取り組んでまいります。
また、議員御指摘の「逃げ遅れゼロ」を実現するためには、災害時に県民の皆様に迅速かつ適切に避難行動を取っていただくとともに、地域で互いに助け合うことが極めて重要であることから、防災アプリ「香川県防災ナビ」をはじめ、多様な情報伝達手段を有効に活用し、各市町と連携して避難体制を強化するとともに、地区防災計画の策定など自主防災組織の活動の充実・強化を図ってまいります。
さらに、コロナ禍においてもちゅうちょなく避難行動を取っていただけるよう、より多くの避難場所を確保し、避難所での三密を回避するとともに、マスクや消毒液等の備蓄、定期的な換気など開設時の感染防止対策などについて、より一層、各市町と連携して取り組んでまいります。
私といたしましては、県民の皆様の生命と財産を守るため、ハード、ソフト両面から、各種防災・減災対策を着実に実施することにより、災害に強い香川づくりを推進してまいります。
次に、人口減少対策についてであります。
県では、人口の社会減や自然減が続く中、昨年三月に第二期かがわ創生総合戦略を策定し、「若者に魅力のある働く場の創出」などの新たな施策も加え、種々の取組を進めておりますが、
新型コロナウイルス感染症の拡大は社会経済活動に大きな影響を与えており、地域の活性化に向けた様々な取組についても、規模の縮小や手法の変更等を余儀なくされております。
一方、感染拡大を契機に、大都市圏への過度の集中のリスクが改めて認識されるとともに、デジタル技術の活用により、テレワークなど場所にとらわれない働き方が広がるなど、人々の生活行動や意識に変化が生じており、今後もこうした動きが促進されるものと見込まれます。
このような状況の中で、県としましては、引き続き戦略に基づく取組を推進しつつ、コロナ禍で大きな影響を受けている社会経済活動の維持・回復に重点的に取り組むとともに、デジタル化の進展や地方回帰の意識の高まりなどの社会変革の動きにも迅速に対応する必要があると考えております。
このため、まずは、県内事業者の事業継続と雇用維持の支援に取り組むとともに、影響が長引く業種に対する消費喚起などの対策、さらには産業の成長につなげるための先端技術の活用や、感染症等に対応した製品開発への支援、県産品のブランド力の強化等にも取り組んでまいります。また、新しい生活様式に対応した
地域づくり活動等の促進を図るとともに、妊産婦への相談体制の充実等、感染症への対応も踏まえながら、安心して子供を生み育てることができる環境づくりにも、より一層努めてまいります。
さらに、生活、産業、行政などのあらゆる分野でデジタル化を戦略的に推進するほか、本県の魅力発信と併せ、関係人口の視点も踏まえつつ、テレワークを活用した移住促進に加え、ワーケーションなどの新しい観光スタイルの提案や情報発信にも取り組むとともに、引き続き情報通信関連産業の育成・誘致により、若者に魅力のある働く場を創出することで、本県への新たな人の流れの創出・拡大を加速化してまいります。
私といたしましては、直面する感染症の危機に対応しつつ、県民の皆様をはじめ、企業、団体、各市町などと連携・協力し、人口減少対策に引き続きスピード感を持って全力で取り組んでまいりたいと考えております。
次に、コロナ収束後の交通・観光の活性化を目指しての取組についてであります。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、鉄道や高速バス、航空機など、交通機関の利用者数が大幅に減少する中、地域経済の回復を図るためには、議員御指摘のとおり、感染防止対策を講じつつ、広域的な移動・交流の需要確保と、それを支える
交通ネットワークの維持・充実が極めて重要であると認識しております。
このため、県では、各交通事業者が行う感染防止対策や利用促進に向けた取組などを支援するとともに、将来を展望し、高松空港における
航空ネットワークの整備や機能強化、四国の新幹線の実現を含めた
高速交通ネットワークの整備に取り組んでおります。
議員お尋ねの航空需要の回復に向けた取組につきましては、高松空港株式会社と連携し、将来的に定期路線開設を目指すエリアとの国内チャーター便の誘致を一層推進するほか、来年度は新たに、航空会社等との連携によるワーケーションをテーマとした旅行商品の開発・販売に取り組むとともに、県内宿泊への助成事業や、成田線を活用した誘客促進事業等を実施し、観光とビジネスの両面から、積極的に旅行需要の喚起を図ります。
また、国際線の再開に備え、昨年十月には、高松空港における検疫体制強化へ向けた要望を行ったところであり、今後も国の水際対策の動向等を注視しつつ、必要な対応を行ってまいります。
高松空港計器着陸装置の高カテゴリー化につきましては、県独自の検討では、推計を伴いますものの、費用便益比が事業化の目安とされる一を上回る結果が得られたところであり、国からは、今後、専門家の御意見を伺いながら、便益計測手法の精度向上のための検討等を行うと聞いており、県もこれに協力するなど、カテゴリーIIIの早期整備に向けて、粘り強く国に働きかけてまいります。
議員御提案の航空会社二社の出向社員の受入れにつきましては、高松空港の基幹路線である羽田線の安定的な運航や、本県との包括連携協定に基づく地域社会の活性化のための取組を行っていただいているところであり、先方から要請があった場合には検討してまいりたいと考えております。
私といたしましては、引き続き、
航空ネットワークの拡充や、新幹線を骨格とした持続可能な公共
交通ネットワークの構築に向けて積極的に取り組むとともに、切れ目なく観光振興施策を実施し、持続的な交流人口の拡大と地域経済の活力回復につなげてまいりたいと考えております。
次は、デジタルを活用した持続可能な地域づくりについてであります。
地域社会においてデジタル化を進めることは、県民生活の利便性の向上や、県内企業の生産性向上、競争力強化などに資することに加え、感染症のリスク等にも対応した持続可能な経済社会を構築するために必要不可欠なものと考えております。
また、その推進に当たっては、様々な分野におけるデジタル技術の利活用が、単なる電子化、オンライン化にとどまらず、これまでのやり方を変革させ、県民の皆様が安心して豊かさを実感しながら生活することができる社会の構築につながるよう、戦略的に取り組んでまいりたいと考えており、来年度には、本県のデジタル化の基本的な方向性や進め方などを示すかがわデジタル化推進戦略(仮称)を策定したいと考えております。
議員御指摘のデジタルディバイド対策につきましては、現在、情報通信交流館e─とぴあ・かがわにおいて、パソコンの基本講座の開催等により、その解消に努めているところでありますが、昨年末、国が策定したデジタル社会の実現に向けた基本方針においても、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」を進めるとされており、本県のデジタル化の推進に当たっても、年齢や障害の有無、地理的条件、経済的条件等によって不利益を被ることがないよう、十分に留意してまいります。
さらに、県内各市町間の行政サービスのデジタル化に差を生じさせないためには、県としても、各市町と密接に連携することが重要であると考えており、来年度には、県と各市町の情報担当課長等を構成員とするスマート自治体推進協議会(仮称)を設置し、情報システムの標準化・共通化の検討や、行政手続のオンライン化、AI・RPAの利用等の推進に向け情報提供や意見交換を行うほか、必要に応じて専門的な観点からの助言を行うなど、各市町と共に地域のデジタル化を積極的に推進してまいりたいと考えております。
私といたしましては、全ての県民の皆様が必要な情報やサービスを得られ、デジタル化の便益を享受できる社会の実現に向け、各市町や企業、団体等と連携しながら、デジタルを活用した持続可能な地域づくりを推進してまいります。
なお、その他の御質問につきまして、商工労働部長よりお答えいたします。(降壇)
◯議長(西川昭吾君)近藤商工労働部長。
(商工労働部長近藤清志君登壇)
◯商工労働部長(近藤清志君)佐伯議員の、コロナ収束後の地域経済の活性化等についての御質問のうち、企業立地の促進についてお答えいたします。
地方移住への関心や拠点整備の機運の高まりを好機と捉え、本県の特色や利点を生かした企業の誘致を推進していくことは、県外からの立地を促進し、雇用創出や地域経済の活性化につなげていくためにも非常に重要であると考えております。
このため、県外企業の誘致の取組に当たっては、交通網の充実による利便性の高さや、温暖な気候と自然災害の少なさ、医療や教育水準の高さ、世界に誇れる瀬戸内の景観など、優れた立地環境を備えている本県の強みを積極的にアピールしてきたところです。
その取組の中で、
サプライチェーン対策として、兵庫県のゴム・ビニール手袋製造の国内最大手であるショーワグローブ株式会社が、番の州臨海工業団地に医療用ゴム手袋の国内初の生産拠点の立地を、また、情報通信関連で、BCPの体制強化を図るため、東京都の給与計算業務受託の国内最大手である株式会社ペイロールが、高松市に事務処理センターの開設を、それぞれ決定したところです。
今後とも、各市町や協定を結んだ金融機関、不動産事業者等と連携し、物件情報の収集・提供体制やワンストップサービスの一層の充実を図りますとともに、知事自ら、企業のトップにお会いして、本県の立地環境の優位性や支援施策のPRに努めていただくことなどによりまして、地域の雇用創出と地域経済の活性化につながる企業の立地を進めてまいります。(降壇)
◯議長(西川昭吾君)一般質問を続行いたします。
松本公継君。
(松本公継君登壇、拍手)
◯松本公継君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、私から四点、一般質問をさせていただきます。
質問の第一点目は、南海トラフ地震への備えについてであります。
東日本大震災のあの日から十年がたちました。死者、行方不明者、関連死を含むと二万二千二百人の方が犠牲になり、住宅全壊は十二万棟を超え、最大四十七万人の避難者が出たとされています。
お亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様並びにその御家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
今までの大規模災害の考え方を変えた大震災でありましたが、震災復興はどうなったのか。これから取り組むべき課題は何か。この十年間、今日までの三千六百五十八日の間に、この先の時代をどう生きていけばいいのか、考えていくヒントがあったように思います。
さて、昨年は、日本への台風の上陸が十二年ぶりにゼロとなり、本県での台風による大きな災害がなかった年となりましたが、去る二月十三日の深夜に、福島県沖を震源とするマグニチュード七・三の地震が発生し、福島県と宮城県で震度六強の激しい揺れを観測しました。家屋の倒壊が発生したほか、今回の地震では、発生直後から、宮城県、福島県、茨城県にある火力発電所が相次いで十基以上停止したとされ、その影響で関東地方では広範囲での停電が発生しており、改めて地震の恐ろしさを見せつけられたように感じております。
地震の後に、東北地方の知人と話をする機会がありましたが、「十年前の震災からやっと立ち直り始めた部分もあり、一区切りをつけるつもりだったが、またあの恐怖をさらに強く思い出すこととなってしまった」と話していたほか、「大きな地震を経験してはいるが、月日がたつと忘れてしまっている。いま一度、訓練や確認をしなくては。」、さらに、「あれから十年、時代とともに進歩していると思ったが、停電によってテレビなどの情報が遮断になり、以前以上に孤立してしまった。備蓄品の選別の見直しをしなければ。」などの話があり、いまだ癒えぬその深い心の傷からの回復が、さらに先になるように感じたところであるとともに、震災は忘れた頃にやってくる、いつ起こるか分からないという思いと、いかに日頃からの備えと訓練が重要かを再認識させられました。
近年では、平成二十八年に熊本地震が、平成三十年には大阪府北部地震、北海道胆振東部地震などの直下型地震も数多く発生しており、やはり震災はいつどこで発生してもおかしくないという状況であります。本県への影響の大きい南海トラフ地震については、今後三十年以内の発生確率が七〇%から八〇%と高い値となっており、海溝型、直下型を問わず、いつ大規模地震が発生してもおかしくない状況にあります。
いざ発生すると甚大な被害になると言われるこの南海トラフ地震に備えるため、県では、まず、県内でどのような被害が想定されるのか、地震・津波の被害想定を取りまとめるとともに、これを踏まえ、計画的に対策を推進するために、香川県南海トラフ地震・津波対策行動計画を平成二十七年三月に策定し、この行動計画に沿って、ハード、ソフト両面から対策を推進しているものと認識しております。また、県は、この行動計画について、三年ごとに新たな課題等を踏まえつつ見直しを図るなど、適切に進捗管理をしており、来年度、新たな計画が始まる時期と伺っております。
東日本大震災から十年となりますが、先日の報道では、これまで復興支援のため、全国各地の自治体から、岩手、宮城、福島など被災六県に派遣された応援職員は延べ九万七千人超に上ることが、総務省の集計で公表されました。派遣職員は、被災直後には避難所の運営や罹災証明書の発行といった被災者支援業務に、その後は、道路などのインフラ整備や高台移転等の復興支援業務に携わっており、本県の職員についても、東日本大震災をはじめ、昨今頻発して発生する豪雨災害等についても、切れ目なく継続して被災地派遣を行っているところですが、各災害への派遣において、被災地での業務に実際に携わってきたこれらの経験を、今後の災害対応時に生かしていく必要があります。備えあれば憂いなし。
そこで、近年の甚大な自然災害の影響を踏まえれば、県として、ハード、ソフト両面から、これまで以上に積極的に取り組む必要があるものと考えられますが、これまでの香川県南海トラフ地震・津波対策行動計画の進捗状況について、どのように評価し、被災地派遣の経験等も考慮して、次回の行動計画に反映させていくのかをお伺いするとともに、県として防災・減災対策について、今後、どの点に力を入れて取り組まれるつもりなのか、知事の御所見をお伺いいたします。
質問の第二点目は、さぬき動物愛護センターにおける犬猫の譲渡対策等についてであります。
県は高松市と共同で、動物愛護管理の普及啓発と譲渡推進の拠点として、さぬき動物愛護センターしっぽの森を、ちょうど二年前の平成三十一年三月に開所しました。しっぽの森は、本県の犬猫の収容数や殺処分数が全国的にも多い状況を踏まえ、人と動物との調和の取れた共生社会の実現のための拠点施設として整備されたものであり、民間ボランティアの方々や香川県獣医師会とも連携しながら、動物愛護管理の普及啓発や犬猫の譲渡の推進などに取り組んでいるところであります。
昨年度、令和元年度の譲渡数は、犬が千百八十九頭で前年度比一三三%、猫が五百十二匹で前年度比一四五%と大幅に増加しているほか、犬の殺処分数は九百二十頭で前年度から六百二頭減、殺処分率は四一・五%で前年度から一六・六ポイント減、猫の殺処分数は四百五十五匹で前年度から二百八十四匹減、殺処分率は四六・四%で前年度から二〇・七ポイント減と、いずれも大幅な減少となっており、県と高松市が共同で開設したさぬき動物愛護センターの効果が大きく出てきております。このことは、子供たちをはじめ来場された方々に、動物との触れ合いを通して、命の大切さや動物を飼うことに対する責任など多くのことを学び、感じてもらいたいという思いが伝わり始め、その成果が出始めたことによるものと、この点については非常にうれしく感じております。
一方、これまでの状況で一定改善されているとはいえ、犬の殺処分数については、全国的に見ればまだ最も多い状況であり、今後も、さぬき動物愛護センターを設置した効果をより一層高めるために、センターの認知度向上に努め、来場者数を増やすとともに、センターを中心として動物愛護管理の普及啓発や譲渡推進の取組を継続していく必要があると私は考えております。
県では、本県で犬猫の殺処分数が多い原因として、温暖な気候や無責任な餌やり等があるとしておりますが、そういった状況を改善していくためには、県民の皆様にもこの状況を認知していただき、野犬や野良猫を減少させていく粘り強い取組が必要であると感じております。
ちょうど一年前、令和二年二月定例会で、さぬき動物愛護センターにおけるボランティアとの協働・連携について質問をさせていただいているところであり、もちろん譲渡数を増加させ、殺処分される犬猫を減少させる取組については、ボランティアの方々の御協力をいただきながら取組を継続することが重要でありますが、一方、収容される犬猫の数をいかに少なくしていくかに対する取組も重要であると思います。このことは、飼い主の皆さんに、飼い始める前から正しい飼い方などの知識を持ち、一度飼い始めたら最後まで責任を持って飼っていただきたいということや、目の前に犬や猫がいた場合に餌やりを行ってしまう気持ちは分からなくはないですが、かわいそうだからという思いから安易に餌を与えることで、その結果、野犬や野良猫が殖え、そのことで殺処分数が増えてしまうことにつながることなどを県民の皆様に理解していただき、継続的に命の大切さについて考えていただくことが重要であると考えております。
さぬき動物愛護センターしっぽの森の開設を含む動物愛護施策の今後の推進によって、本県が早期に、人と動物との調和の取れた共生社会づくりにおける先進県と言われるような県になることを切に願っております。
そこで、さぬき動物愛護センターにおける犬猫の譲渡の状況を含め、今年度のセンターの取組をどう総括し、来年度のセンターの活用についてどのような取組を行っていくお考えか、知事にお伺いするとともに、犬猫の収容数をいかに少なくしていくかという抑止対策にどのように取り組んでいくのかについて、併せて知事にお伺いいたします。
質問の第三点目は、骨髄ドナー登録者の確保についてであります。
先月二十二日、競泳女子の池江璃花子選手が、東京都オープンの女子五十メートルバタフライに出場し、復帰五戦目で初優勝を飾ったとの報道がありました。決勝では二十五秒七七で優勝し、自身が持つ日本記録まで零秒六六と迫る記録であったとのことです。
池江選手は約二年前の平成三十一年二月に白血病であることが判明し、その後、造血幹細胞移植を受けられたと公表されております。トップアスリートである池江選手が第一線で戦えるまでには、想像を絶する闘病生活とリハビリがあったことと思っております。このことは、同じ病で闘病される方々に多くの勇気を与えることとなったとともに、改めて白血病の治療を行うに当たって骨髄ドナーの存在がいかに重要であり、このことにより命が助かるばかりか、発病する前に近い状態まで回復できるということを再認識する機会となりました。
白血病は、骨髄中にある血球を作る造血幹細胞が悪性腫瘍化し、正常な血液を作ることができなくなる病気とされており、その治療には、抗がん剤治療や放射線治療が治療法として選択されますが、これらの治療だけで完治できないこともあり、治癒する可能性を高めるために造血幹細胞移植を行ったほうがよい場合があります。
造血幹細胞移植の一つである骨髄移植を受けるためには、ドナー(提供希望者)からの骨髄提供が必要となり、骨髄移植をするには、患者と提供者の白血球の型が適合しなければなりません。その適合率は、兄弟姉妹で四人に一人、二五%と言われており、血縁関係がないと、数百人から数万人に一人の確率とされています。つまり、親族間で適合者がいなかったときは、いかにドナーが確保されるかが、患者の治療に重要な要素となります。
特定非営利活動法人全国骨髄バンク推進連絡協議会の昨年十二月末現在の速報値によると、年間のドナー登録者数の伸びが過去最低になる見込みとなっております。この傾向は
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令などにより、移動式の献血バスや常設の献血ルームでの登録呼びかけが難しくなったことが一因とされているところであります。
同協議会の公表資料によると、本県における十二月末の骨髄ドナー登録者数は三千九百七十五人となっており、対象人口千人当たりにおける登録者数は九・八六人で、全国平均の九・四六人を上回っておりますが、全国的傾向を考慮すると、本県においても年間のドナー登録者数の伸びについては、昨年は減少傾向にあったのではないかと思います。
県では、骨髄提供希望者の登録を行う際には保健所や献血ルーム等で実施できるとのことでありますが、医師確保の視点や、対応できる時間も限られていると伺っているほか、ドナー登録に関して、「身近に感じる機会が少ない」や、「骨髄提供を行うことが怖い」などの理由から、新たな骨髄バンクへの登録者を確保することは簡単ではなく、骨髄バンクの登録者が継続的に確保できるよう、県としても取組を継続する必要があると考えております。昨年は、コロナ禍において、これまでの周知方法等が取りにくい状況であったと思いますが、これまでのドナー登録者を減らすことがないように継続した取組が必要ではないかと考えております。
過去の報道によると、一昨年、池江璃花子選手が白血病であることを公表した後は、日本骨髄バンクへのドナー登録者数が大幅に増加したとされており、ドナー登録者を維持していくためには、新しい世代や、これまで関心を持つ機会が少なかった方々に、その重要性を伝えることが重要になるのではないでしょうか。
そこで、県内のドナー登録者の状況について知事にお伺いするとともに、今後、県としてどのように骨髄バンクへのドナー登録者数を維持・増加させていくのか、併せて知事にお伺いいたします。
質問の第四点目は、少人数学級における非認知スキルの向上についてであります。
国は、公立小学校の学級編制を三十五人に引き下げる公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案を、二月二日に閣議決定しました。これによって、令和三年度から五年かけて、一クラス当たりの学級編制を三十五人に引き下げていくこととなります。
現在の公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律、いわゆる義務標準法では、一クラスの上限は、小学一年生のみ三十五人、小学二年生から中学三年生は四十人とされているところですが、今回の義務標準法の改正により、少人数によるきめ細かな指導体制を計画的に整備し、安心・安全な教育環境とICT等の活用による新たな学びを実現するとされています。国による学級編制の計画的な引下げは約四十年ぶりとなり、令和三年度から五年間かけて、約一万四千人の教職員定数の改善を図っていく予定であるともされています。
本県においては、これまで、少人数指導、少人数学級、学力向上基盤形成の三つを柱とする香川型指導体制により、これまでも少人数学級の推進を行ってきているところではありますが、来年度からは、中学三年生を除く義務教育課程における少人数学級として三十五人学級の導入を進めるとのことで、本定例会にも関連議案が出されているところであります。
私はこれまでにも、将来を担う子供たちの優しくたくましく生きる力、自制心ややり抜く力といった、いわゆる非認知スキルを伸ばしていくことが重要であり、これまでにも、就学前教育や家庭教育における非認知スキルの向上について、定例会の場でも訴えさせていただいております。また、昨年九月の定例会では、ICTを学校教育の場で活用していく際の非認知スキルの向上についても質問させていただいたところであります。
これからの子供たちには、これをしなさい、あれをしなさいと押しつけるばかりではなく、何がしたいのか、どっちがいいのかと、子供自身に選ばせてあげる、子供から引き出すということも大切だと感じています。
少人数学級の導入について、教育長は、さきの十一月定例会において、小学校において、児童の個性に応じた得意分野を伸ばしていくためにも、専門性の高い教員による専科指導の拡充や、主体的・対話的で深い学びを効果的に実現するための少人数学級を今後の指導体制の柱とする旨、代表質問の中で答弁されているところであります。
これらの取組における非認知スキルについて言えば、専門性の高い教員による専科指導を受ける際には、困難にぶつかったときの忍耐力や回復力などが、また、主体的・対話的で深い学びを効果的に実現する際には、意欲や最後までやり抜こうとする力が必要なほか、それら非認知スキルの向上が学習環境の整備とセットで議論される要素とならないと、目指すべき方向性を維持していくことは難しくなるのではないかと考えております。
少人数学級の導入に際して、昨年八月から有識者及び学校関係者で構成される小・中学校における新しい指導体制の在り方検討委員会が開催されたと伺っておりますが、その中では、教員の配置に関してや教育のプログラムについてはもちろんのこと、これら非認知スキルの向上についての議論はあったのでしょうか。
私個人としましては、少人数学級を導入する方向性については賛成ではありますが、少人数化を推進するということは、一クラス当たりの児童・生徒は減少するということであり、ある種の多様性は減少するとも考えられるわけで、子供たちがアイデンティティーを形成する重要な時期における非認知スキルの向上については、突っ込んだ施策等を行っていく必要があるのではないかと考えております。
この非認知スキルについては、学校の教育現場でのみ身につくものではないことは私も承知しているところではありますが、子供たちにとって、多くの時間を過ごす学校教育の場から受ける影響は大きいものであります。
昨年は、
新型コロナウイルスの影響等もあり、子供たちを取り巻く学習環境も大きく動いた年となりました。これからを担う子供たちが大人になる頃には、また難局が起こるかも分かりません。そのようなときに、それまで学んできたことを生かして行動に移せる能力こそが、今後重要になってくると私は考えております。
そこで、少人数学級の推進と併せて、非認知スキルの向上を、これまでの検討過程でどのように議論されてきたのか、また、来年度以降の施策の中で、子供たちの非認知スキルの向上をどういった事業の中で展開していくのか、教育長の御所見をお伺いをいたしまして、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇)
◯議長(西川昭吾君)理事者の答弁を求めます。
浜田知事。
(知事浜田恵造君登壇)
◯知事(浜田恵造君)松本議員の御質問にお答えいたします。
まず、南海トラフ地震への備えについてであります。
県では、南海トラフ地震の被害想定等を踏まえ、平成二十七年三月に香川県南海トラフ地震・津波対策行動計画を策定し、「人的被害をゼロに近づける」ことを目標に、ハード、ソフト両面から防災・減災対策を進めるとともに、新たな課題等も踏まえながら、三年ごとに見直しを行ってまいりました。
こうした中、平成三十年度から今年度までの三か年を計画期間とする現行計画におきましては、事前の対策、発災直後の対策、早期の復旧・復興対策の各段階における百八十四の事業について進捗管理を行っておりますが、昨年度までに、九割以上に当たる百七十三の事業で、おおむね順調に進んでいるところであります。
現在、策定作業を進めている来年度からの次期計画におきましては、平成三十年六月に発生した大阪府北部地震等により得られた教訓はもとより、議員御指摘のとおり、被災地派遣の経験から得られた被災者支援や初動対応の強化などの項目を新たに盛り込むこととしております。併せて、海岸・河川堤防の地震・津波対策工事や、ため池の耐震対策などのハード対策について計画的に取り組むとともに、住宅等の耐震化や家具類の転倒防止対策の推進、防災アプリ「香川県防災ナビ」による避難行動の促進や防災意識の向上などのソフト対策を進めるほか、
新型コロナウイルス感染症という新たな課題に対しても、各市町と連携して、避難所における感染防止対策等を進めてまいります。
私といたしましては、南海トラフ地震などの大規模災害から県民の皆様の生命や財産を守ることが最大の責務であるとの認識の下、ハード、ソフト両面から、あらゆる防災・減災対策を着実に実施することにより、「災害に強い香川づくり」を強力に推進してまいります。
次に、さぬき動物愛護センターにおける犬猫の譲渡対策等についてであります。
高松市と共同で運営するさぬき動物愛護センターしっぽの森では、動物愛護管理に関する普及啓発や犬猫の譲渡の推進を図るため、ボランティアや関係団体等の方々と協働・連携し、動物愛護フェスティバル等の各種イベントや譲渡会を開催するほか、今年度からは、センターの職員が県内各地に出向き、飼い主のマナーアップ教室や出張譲渡会などを実施したところであります。
このような取組の結果、収容数の多かった昨年度と比べると、今年度は譲渡数は減少しておりますが、収容数に対する譲渡数の割合は昨年度の五四%から六一%に増加しており、より多くの犬猫を譲渡につなげることができているものと考えております。
来年度は、新たに、人慣れしていない犬なども譲渡できるよう、専門の訓練士による訓練を行うとともに、円滑な譲渡につながるよう、譲渡前に試行的に犬猫を飼養できるトライアル制度を導入し、譲渡をさらに推進してまいりたいと考えております。
また、収容数の抑制につきましては、議員御指摘のとおり、県民の皆様にこの課題を認識していただき、飼い主のいない犬猫を減少させることが重要であり、来年度、野犬の多い地域において、住民自らが、犬猫への無責任な餌やりや遺棄などを地域の課題と捉え、その防止や飼い主の責任ある飼養などを啓発する活動を促進するための事業に取り組んでまいります。
私といたしましては、引き続き、ボランティアや関係団体等の方々との連携を緊密にしながら、県民の皆様の動物愛護管理に関する理解を深めるとともに、犬猫の収容数の抑制と譲渡数の増加を一層進められるよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、骨髄ドナー登録者の確保についてであります。
骨髄移植は、白血病など血液難病の有効な治療法の一つであり、移植に当たっては、骨髄の提供者、すなわちドナーの確保が不可欠であることから、公益財団法人日本骨髄バンクが主体となり、県と日本赤十字社等が協力して骨髄バンク事業を実施しております。
ドナー登録につきましては、献血ルームや献血バスに加え、県の保健所においても受付を行い、昨年十二月末時点における本県の登録者数は三千九百七十五名と、一昨年十二月末時点から百四十九名の増加となっておりますが、全国と同様に登録者数の伸びにつきましては、直近七年間で最も少なく、登録者数の増加につながる取組が重要となっております。
県では、これまでのテレビやラジオ等のメディアを活用したPRに加え、今年度新たに、ラッピング電車を運行させ、骨髄移植に対する理解とドナー登録を呼びかけたほか、新成人へのパンフレットの配布や骨髄移植経験者による講演会を高校で開催するなど、若年層への啓発にも積極的に取り組んでいるところであります。
また、
新型コロナウイルスの感染拡大により活動が困難な状況ではありますが、献血ルーム等でドナー登録に関する説明や手続をボランティアで行うドナー登録説明員を養成する研修会を開催するなど、登録者の確保に向けた人材育成にも取り組んでおります。さらに、各市町がドナー等を支援するために助成した額の二分の一を補助しており、今年度は十一件の支援を行うとともに、ドナー休暇制度を設けている事業所を県のホームページで紹介するなど、骨髄を提供しやすい環境の整備を進めております。
私といたしましては、各市町や関係機関と連携を図りながら、引き続きこうした取組を着実に実施することにより、骨髄ドナー登録者の確保につなげてまいりたいと考えております。(降壇)
◯議長(西川昭吾君)工代教育長。
(教育長工代祐司君登壇)
◯教育長(工代祐司君)松本議員の少人数学級における非認知スキルの向上についての御質問にお答えいたします。
子供たちが健やかに成長していくためには、学力や体力の向上の基盤となる自制心、やり抜く力などの非認知スキルを家庭や学校生活において養うことが重要であります。
今年度、指導体制の在り方を協議した検討委員会においても、本県の児童・生徒は非認知スキルに通じる自尊意識や学習意欲が低いというデータを基に、授業改善の推進の面から多角的な検討が行われたところであります。
非認知スキルは、家庭での保護者の関わりや学校行事等で培われる面が大きいものの、授業中に子供の状況に応じて称賛したり、学習の成果や改善点を具体的に説明するなど、教員が的確な声かけを行うことで、子供が自信を持つようになり、自尊意識も高まるとの提言をいただいております。今後は、こうした提言などを踏まえ、非認知スキルの向上につながるよう、授業改善の視点を「子どもに学びのときめきを」と題したリーフレットにまとめ、その内容を県内の小・中学校に普及してまいります。
また、平成二十九年度から三年間、幼稚園五園と小学校六校をモデル校に指定し、講演会の開催や学校独自の取組の実施、子育て通信の配布など、学校と家庭が連携し、子供の非認知スキルを高めるための実践とその検証を行ってまいりました。現在、その成果をモデル校以外でも取り組めるよう、非認知スキル向上プログラムとして取りまとめているところです。
来年度は、これを参考に、県内の幼稚園や小学校において、異学年交流活動による自己有用感を高める取組や、子供の努力した過程に着目した声かけによるやり抜く力や自制心を育む取組などが一層推進されるよう支援してまいります。
県教育委員会といたしましては、次期教育基本計画にも、自己肯定感・自己有用感の育成に向けた取組を盛り込みたいと考えており、今後とも学校や保護者と連携しながら非認知スキルの向上に一層取り組んでまいります。(降壇)
◯議長(西川昭吾君)一般質問を続行いたします。
広瀬良隆君。
(広瀬良隆君登壇、拍手)
◯広瀬良隆君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従って、私の一般質問を始めます。
最初の質問は、コロナ禍における孤独・社会的孤立対策についてです。
新型コロナウイルスの感染拡大が長期化する中、外出自粛などの影響で、様々な人が孤独や社会的孤立の問題に直面しており、高齢者の孤独、女性や若者に増えている自殺、子供たちの抑鬱状態などが言われ、ひきこもりやDV、児童虐待などの件数も増えているといいます。
新型コロナウイルスの感染拡大は、社会の在り方に大きく影響を及ぼしていて、とりわけ甚大な影響があると言われるのが高齢者です。背景には、高齢者は重症化リスクが高いため、外出や交流の制限が強いこと、また、学校や職場などで対策が講じられつつある若者や働き盛りの世代に比べて、オンライン化による代替や補完が進められず、社会生活そのものが大幅に抑制されている点などが挙げられます。社会的なつながりが希薄になりがちな高齢者が、コロナを理由に集いの場やサークル活動が中止となるなどして、より一層、家に閉じ籠もるような事態が各地で起こっています。
ある調査によると、認知症などの精神障害のある高齢者のうちの六割以上が、ソーシャルディスタンスの遵守などが言われ出してから社会的孤独が強まり、認知症高齢者のおよそ半数に症状の悪化や認知機能の低下が見られたとされ、さらにコロナ感染拡大に関連して、不安障害や鬱病などの精神障害の新たな発症や増加もあるといいます。
加えて、コロナ禍では、医療体制の逼迫などから、高齢者が従来どおりの医療や介護のサービスが受けられない、コロナに感染し入院が必要な一人暮らしの高齢者が自宅待機を余儀なくされるケースも発生。そうした状況の下、孤独死の増加も懸念されています。
新型コロナウイルスによる直接的な命の危機に加え、孤独による別の命の危機が忍び寄っているとも言えます。
また、高齢者以外について言えば、ここ十年ほど減少傾向にあった全国の自殺者数は十一年ぶりに増加に転じ、女性や若者にその傾向が顕著です。さらに、子供たちは、学校の長期休校、その後の緊急事態宣言という今までにない体験を余儀なくされ、新型コロナというえたいの知れない不安と隣り合わせの自宅待機状態を通して、学校が再開されても気持ちも体も元に戻れない抑鬱状態にある子が出ているといいます。
併せて、ひきこもりやDV、児童虐待など、これまでも大きな社会問題であった課題が、コロナ禍の中でさらに深刻さを増しています。コロナ禍による孤独と社会的孤立などに派生する問題が、もともと弱い立場にある人たちに、ひたひたと襲いかかっていると言える状況ではないでしょうか。
こうした事態に、政府は孤独や社会的孤立の問題に対応するため、先月、内閣官房に孤独・孤立対策担当室を設置しました。ここで各府省にまたがる孤独・孤立対策の総合調整を行い、実態調査も踏まえて対策パッケージをつくり、夏に策定する経済財政運営指針骨太方針に盛り込む予定と言われています。
また、孤独対策を担当する一億総活躍担当相を中心とした関係省庁連絡調整会議を新設し、この問題に省庁横断で取り組んでいく姿勢を見せています。我が公明党も先月十六日に、党内に社会的孤立防止対策本部を開設し、現場の声を精力的に聞きながら、支援策などを政府に提言していく方針です。
コロナ禍で孤独と社会的孤立に直面している人をどう見つけ出し、支援につなげるかは喫緊の課題であり、実態の把握や支援策の検討が急がれます。国や自治体と、困窮者支援等に取り組むNPOなど民間団体とが連携し、官民挙げての対策が強化されなければなりません。
そうした中、先月二十五日に、前述の内閣官房孤独・孤立対策担当室の主催で、「孤独・孤立を防ぎ、不安に寄り添い、つながるための緊急フォーラム」が開かれました。これに参加して講演をした、特定非営利活動法人全国コミュニティライフサポートセンター「つながりを切らない」情報・交流ネットワークの理事長池田昌弘氏は、「つながりを切らない!閉じ籠もったままでは、心身が衰えてしまう!つながりが切れてしまったら孤立してしまう!このままでいいのかと感じた人たちが、感染予防や工夫をしながら動き出そう!」などと訴えました。
こうした問いかけに応えるように、全国各地で新しい動きが出ていると池田氏は言います。例えば、群馬県太田市では「つながる通信」を発行。その通信を通して、コロナ禍においても健康維持のための様々なつながる活動の情報発信をしています。地域の行事が全て休止になり、外に出ることがなくなった有志が集まり、日頃時間が取れずに放置していた町内の神社の改修作業をみんなで始めて大いに元気になっているという話題や、お茶の間カフェが休止になり、いつもの仲間と会えなくなった中、気にかかる人を訪問したり、仲間で新たにウオーキングの会を始めたといった活動を紹介したりと、コロナ禍にあっても家に閉じ籠もるのではなく、健康的に活動している住民の姿が広報されています。
我々人類は、外に出て体を動かし、太陽を浴び、声を出し、人と話すことによって、元気を維持し、免疫力を高め、ウイルスと共存してきたとも言えます。そうした営みを全て止めて、我慢してウイルス禍の終息を待つというのは違うと思います。それでは、ウイルスの終息とともに人類も終息してしまいます。
そこで、今後も感染の波が継続することも予想される中、県として、コロナ禍での孤独・社会的孤立に関する問題にどのように取り組むのか、知事にお伺いいたします。
次は、県営住宅の諸課題についてであります。
私は、昨年二月の一般質問、そしてこの一年間、環境建設委員会において県営住宅が抱える諸課題について取り上げ、質問をしてまいりました。今日は、この一年間の私の県営住宅に関する質問の総まとめとして、改めて知事にお示しし、知事の見解をお伺いしたいと思います。
まず第一点目として、高齢化や入居者の減少などで活気を失いつつある県営住宅もある中、その挽回策として、入居者を増やすこと、特に若年層の入居を増やすことについてであります。
県は、この対策として、応募がつかずに空いている部屋への入居申込みを常時可能とすることを、昨年九月の環境建設委員会で表明しました。また、今議会の同委員会においては、県営住宅の弾力的活用として、本県への移住希望者が無抽せんで入居できる制度を始めることを発表いたしました。
まずは、この二つの制度の内容や取組への意気込みについて、改めて知事の説明を求めたいと思います。浜田知事、よろしくお願いいたします。
第二点目は、汚水処理費用に絡む問題についてです。
県営住宅には下水道がなく、合併処理浄化槽で汚水処理をしている団地が県下に五つあります。そうした団地では、汚水処理費用を入居者数で割算した金額を毎月の共益費に含め、自治会役員等が各戸に徴収に回っています。この一戸当たりの汚水処理費用と、もしこの団地に下水道があったと仮定した場合の推定される下水道使用料金とではどれほど違うかを環境建設委員会で質問したところ、一般的な夫婦二人住まいの平均的水道使用量で計算すると、どちらも同じ程度の金額になるという答弁でした。
しかし、単身入居の方も多い中、単身者のケースで比較したら、かなり汚水処理費用のほうが高くなると推定されます。合併処理浄化槽で汚水処理をしているある団地について私が調査したところでは、調査した単身七世帯全てが、月間の水道使用量は基本料金内の十立方メートル以下でしたので、その前提で計算すると、下水道を使用した場合より合併処理浄化槽で汚水処理をしている場合のほうが一月当たり千百円高くなるという結果でした。割高になっている部分に県の補助を求める声も聞いています。また、水道使用量を幾ら節約しても、下水道使用の場合と違って、自分が支払う汚水処理費用は固定で変わらないという問題もあります。
下水道がないために比較的高い汚水処理費用を負担している単身入居者等の問題をどう捉えておられるか、知事に伺います。
また、近年、自治会役員による共益費の徴収作業が、支払いに困難を来している住民も少なくない中、手間がかかり、苦労も多い作業となっており、この負担の軽減を望む声も聞かれます。私が調査した団地では、汚水処理費用を含めて毎月三千円ほどの共益費を徴収しています。このうちの汚水処理費用が二千五百円ほどだから、もし汚水処理費用の徴収がなければ、五、六百円の徴収で済むはずです。共益費として徴収する金額の大きさが不払いを生み、自治会役員を悩ませているのではとも考えられます。
毎月の共益費徴収作業の負担が、高齢化した自治会役員に重くのしかかってきている中で、こうした事情に鑑みて、共益費の徴収の問題をどう考えるか、知事にお伺いいたします。
次は、香川県文化財保存活用大綱の策定の意義と今後の活用についてであります。
平成二十九年六月に文化芸術基本法が改正され、その基本理念では、「国民がその年齢、障害の有無、経済的な状況又は居住する地域にかかわらず等しく、文化芸術を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造することができるような環境の整備が図られなければならない」とし、また、「文化芸術の固有の意義と価値を尊重しつつ、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業その他の各関連分野における施策との有機的な連携が図られるよう配慮されなければならない」として、文化芸術があまねく人々に親しまれ、文化芸術によって生み出される様々な価値が、文化芸術の継承・発展及び創造に活用されるよう環境が整備されなければならないことが示されました。
また、この法律の中では、文化財等の保存及び活用について、「国は、有形及び無形の文化財並びにその保存技術の保存及び活用を図るため、文化財等に関し、修復、防災対策、公開等への支援その他の必要な施策を講ずるもの」とされています。現在まで守り伝えられてきた多様な文化財は、日本文化全体の豊かさの基盤であり、後の世代への確実な継承が必要となっています。しかし、一方で、過疎化・少子高齢化等の社会状況の大きな変化により、文化財の継承の基盤であるコミュニティーが脆弱化し、地域の文化多様性の維持・発展が脅かされ、貴重な文化財が滅失・散逸等の危機に瀕しています。
この課題を解決するとともに、さらに文化財を活用し、地域振興、観光振興などを通じて地方創生や地域経済活性化を推進することを目的として、平成二十九年五月には、文部科学大臣により文化審議会に対して、「これからの文化財の保存と活用の在り方について」諮問され、同年十二月に、「文化財の確実な継承に向けたこれからの時代にふさわしい保存と活用の在り方について」が答申として取りまとめられました。ここでは、これまで価値づけが明確でなかった未指定を含めた文化財をまちづくりに生かしつつ、地域社会総がかりでその継承に取り組んでいくことが重要とされ、そのために、地域における文化財の計画的な保存・活用の促進や、地方文化財保護行政の推進力の強化を図ることが必要とされました。
こうしたことを背景に、平成三十年、文化財保護法が改正され、都道府県は、域内における文化財の保存・活用に関する総合的な施策の大綱を策定することができるとされました。そして、この大綱を基礎として、域内の市町村が文化財保存活用地域計画を作成、文化財の所有者や管理団体が保存活用計画を作成するという仕組みがうたわれました。また、文化財保存活用支援団体の指定も制度化されました。
こうした仕組みが出来上がったことにより、各地域における中・長期的な観点からの文化財の保存・活用のための取組の計画的・継続的な実施が一層促進され、また、地域の文化財行政が目指す方向性や取組の内容が見える化されるほか、文化財の専門家だけでなく多様な関係者が参画した、地域社会総がかりの文化財の次世代への継承に向けた取組が促進されることになるといいます。
このたび策定された香川県文化財保存活用大綱において、本県の文化財について、保存の在り方、活用の在り方がしっかり定められ、文化財が、その価値が継続するように保存されることによって活用に生かされ、適切な活用により文化財の価値がさらに多くの人に伝えられ、理解が促進されることが大切であります。そうした保存と活用の好循環が生み出されていくことが肝要であり、大綱はそのための原典となるものであると考えます。
香川県文化財保存活用大綱の策定の意義と今後の活用について、教育長のお考えを伺います。
私の最後の質問は、教育機会の確保についてです。
三豊市が、来年四月に夜間中学を開設する意向を先月表明しました。現在、四国に夜間中学はなく、徳島県と高知県が本年四月に開校する予定なので、四国で三校目の夜間中学となります。全国では十都府県に計三十四校あります。
夜間中学をめぐっては、平成二十八年に成立した教育機会確保法で、年齢や国籍にかかわらず、希望者に就学の機会を提供するよう自治体に義務づけていて、文部科学省は、各都道府県に少なくとも一校を公立で設置するよう求めています。私も、平成三十一年二月定例会一般質問で、本県での設置についてただしたところです。
三豊市が開設を決めるに当たって、昨年十一月から十二月にかけて行ったニーズ調査では、約三百人の回答者のほぼ半数に、自分が学んでみたいという希望がある、身近に希望しそうな人がいるという結果でした。夜間中学で学びたい理由としては、「自分が学んでみたい」と答えた人百五人中八十九人が、「自分は外国人であり、日本語や知識、技能を学びたいから」というものでした。圧倒的に外国人のニーズが大きいと言えます。
三豊市の調査に先立って、一昨年十一月から翌年二月にわたって行われた県教委による調査では、五百五十の回答数のうち三百八十余り、つまり約七割の回答が、「自分が学びたい」、あるいは「学びたい人を知っている」というものでした。
三豊市の調査にしろ、県教委の調査にしろ、一般の人を調査対象として聞いたのでは、これほどの高い割合で夜間中学での学びを希望するニーズが把握できるわけはなく、どちらの調査も、事前に希望を持ちそうな人たちがいる集団にターゲットを絞って調査をしたからこそ、これだけの希望者の実態を浮き彫りにできたと言えます。今回の県教委、三豊市の丁寧なニーズ調査のやり方に敬意を表するものであります。
その上で気になるのは、夜間中学のニーズは見えてきた中で、西讃地域に夜間中学ができても、県都高松や東讃地域のニーズには応えられないということであります。
県教委が行ったニーズ調査の結果で、三豊の調査結果と違うのは、三豊の調査では、夜間中学で学びたいという人の大半が外国人であったのに対し、県教委調査の百七十一人の夜間中学で学びたい人の内訳は、「中学を卒業していないから」が八人、「中学を卒業したが学び直したいから」が八十六人、「外国人であり、知識や技能を学びたいから」が七十三人で、希望者の日本人と外国人の人数比は九十四人対七十三人と、日本人が外国人を上回っているのです。
特に日本人の希望者が多いのは高松です。高松に夜間中学ができたら通いたいという日本人は四十二人います。ちなみに、高松を希望する外国人は五人です。
こうしたことから言えるのは、三豊に夜間中学ができたとしても、日本人の夜間中学を望む声にしっかり応えるには、もう一つ高松に夜間中学を開設する必要があるということです。それが徳島や高知のように県立なのか、あるいは市立なのかは、教育長は義務教育なのだから市でやるべきというお考えのようですが、適切なほうが設立したらいいと考えます。
高松市や近隣の市町を交えて、東讃地域の夜間中学の開設について、ニーズ調査の結果を踏まえて協議を開始してほしいと思いますが、いかがでしょうか。教育長のお考えを伺います。
教育機会の確保について、次に取り上げたいのは、定時制高校についてであります。
高等学校に定時制課程が設けられたのは、戦後の昭和二十三年のことです。その目的は、就業等のために全日制高校に進学できない青年に、後期中等教育の機会を与えるというものでした。
しかし、今日では、家庭の事情や不登校など様々な理由で昼間の学校に通えない人を受け入れ、広く教育機会を提供する場として意義のあるものになっています。夜間の限られた時間での履修なので、四年制が普通でしたが、最近は一部昼間の授業も取り入れた三年制の課程もあり、また、秋入学や単位制など多様な就学ニーズに応える教育課程となっています。
こうした定時制課程は、県下の県立高校九校に十二学科設置されています。例年十二の学科全てが四十人の募集を出しますが、近年、募集を超えた応募はなく、受験倍率はいつも一以下です。直近三年間の平均倍率は、令和二年度が〇・三、令和元年度が〇・二五、平成三十年度が〇・三九といった状況です。
この受験倍率に対して、実際に合格する人の率、つまり応募人数に対する合格者数の割合は、この三年間でいうと、令和二年度が六一%、令和元年度が五四%、平成三十年度が四一%となっており、過去十年間ではほぼ五〇%前後で推移しています。なお、割合の数字に関しては、小豆島の高校は、全日制に応募した子が第二志望の定時制に入学することが多いという特殊事情があるため計算から除外しています。
夜間に学びたいと応募してきている人が、受験倍率一以下の環境で、四割から六割、その望みをかなえられずに入学を拒否されています。中学を卒業し、定時制高校を目指した子が、入学がかなわず、ほかの進路を探すことになったとき、どのような選択をするのか気になるところであります。
文部科学省の調査では、高校に在学して中退する率や不登校となる率は、全日制課程が一から二%であるのに対し、定時制課程は一二から一四%台と高い現状があるようですが、それでも教育機会の確保に意を尽くすのが近年の教育行政の在り方ではないでしょうか。
県下の県立高校の定時制課程の門を広げて、高校教育を希望する人にその機会を提供することに、もう少し寛容であってもいいのではないかと思いますが、教育長のお考えをお聞かせください。
以上で私の質問を終わります。(拍手、降壇)
◯議長(西川昭吾君)理事者の答弁を求めます。
浜田知事。
(知事浜田恵造君登壇)
◯知事(浜田恵造君)広瀬議員の御質問にお答えいたします。
まず、コロナ禍における孤独・社会的孤立対策についてであります。
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、孤独・社会的孤立の問題に直面された方への心のケアは重要でありますことから、精神保健福祉センターにおいて電話相談の充実を図ったほか、各市町等で相談を受ける職員に対し、精神科医師による助言を行うなど、相談体制を強化するとともに、心のケアが必要な方に身近な人が早く気づき、相談に結びつけることができるよう、県広報誌などを活用して、気づきの必要性や相談窓口の情報などを広く啓発しているところであります。また、小学校、中学校、高等学校へ臨床心理士等を派遣する出前講座を実施するなどして、心のケアに関する知識を持ってもらう取組を行ってきたところであります。
外出自粛の影響で家に閉じ籠もりがちな高齢者に対しては、体を動かすことや、電話、メール等で人と交流することの大切さを呼びかけるチラシ等を作成し、市町老人クラブ連合会や病院などを通じて配布したほか、特に一人暮らしの高齢者については、心身の状況把握や適切な支援のため、各市町に対して、電話や訪問などの見守り等の取組を行うよう周知しているところであります。
DVや児童虐待への対応につきましては、本県の婦人相談所と児童相談所においては、外出自粛などに伴う相談の増加は見られないものの、社会からの孤立によるDVや児童虐待の潜在化が懸念されることから、引き続き相談窓口の周知に努めるとともに、家庭内でのストレスが暴力などにつながっていないかとの観点を持って、各市町の要保護児童対策地域協議会など関係機関と連携を図りながら、地域における見守りの強化を通じた未然防止、早期発見、早期対応に取り組んでまいります。
私といたしましては、コロナ禍の厳しい状況を踏まえ、あらゆる世代の人々が孤独を抱えることなく、社会的につながっていける社会の実現を目指し、各市町や関係団体と連携しながら、引き続き相談体制の整備などに取り組んでまいりたいと考えております。
次に、県営住宅の諸課題についてであります。
議員御指摘のとおり、県営住宅の入居戸数は減少傾向にあり、入居者の高齢化も進んでいることから、県営住宅の入居戸数を増やし、その活性化を図ることが課題となっております。
このため、現在、年四回、三か月ごとに実施している入居者の定期募集に加え、応募がなかった住戸については、本年七月から、随時申込みが可能となる常時募集を行い、入居機会を増やすこととしております。また、本県への移住を希望する方に、最長二年まで、敷金や連帯保証人は不要とし、所得制限は設けず、県営住宅の最低家賃で入居していただく予定であり、県営住宅の入居戸数の増加はもとより、本県人口の社会増につなげてまいりたいと考えております。
一方、県営住宅の共益費は、入居者に負担していただく性質の費用であることから、香川県営住宅条例に基づき入居者の負担とし、団地自治会が徴収しておりますが、合併処理浄化槽により汚水処理を行っている団地では、下水道に接続された団地に比べ、共益費が高くなっており、とりわけ単身世帯の場合は、浄化槽の維持管理に係る一戸当たりの負担が大きくなっているものと認識しております。
単身入居者の共益費の額や徴収に当たっての団地自治会の負担を軽減させる効果的な手法を直ちに取り入れることは難しいと考えますが、県では来年度から指定管理者と連携し、自治会役員を対象とした共益費の抑制方法等の勉強会を開催するなど、まずは少しでも共益費の抑制が図られるよう支援してまいります。
私といたしましては、今後とも、他の都道府県等の事例も参考にしながら、県営住宅における空き住戸の縮減に向けて取り組むとともに、団地自治会における共益費の抑制に向けた取組を支援してまいりたいと考えております。(降壇)
◯議長(西川昭吾君)工代教育長。
(教育長工代祐司君登壇)
◯教育長(工代祐司君)広瀬議員の御質問にお答えいたします。
まず、香川県文化財保存活用大綱の策定の意義と今後の活用についてであります。
先般策定いたしました本県の文化財保存活用大綱においては、基本目標を「「せとうち・香川」ならではの歴史文化の探求とそれを生かしたまちの魅力向上」とし、この基本目標の下、三つの基本方針を定めております。
一つ目は、「グローカルな視点での歴史文化の探求と発信の推進」とし、文化財が持つ多面的な価値を明らかにし、その積極的な情報発信に努めるものであり、二つ目は、「地域の宝の継承と未来へ伝えていく担い手づくりの推進」とし、文化財の適切な保存とそれを担う人材育成に努めるものであります。三つ目は、「地域の宝を核とした地域づくりの推進」とし、市町による地域計画の作成や地域住民をはじめとする多様な主体との連携、さらには、新たな発想による文化財の活用に努めるものであります。
この大綱の策定により、市町が地域の文化財の新たな価値づけを行い、そこに住民が我が町の魅力を発見し、文化財を核とした地域の活性化や観光振興につなげていくなど、文化財の体系的な保存・活用が進んでいくものと考えております。
大綱を具体化した新たな取組としましては、来年度、文化財を地域づくりに生かすため、県内のモデル地域を対象に、地域住民と共に発掘調査等を行う地域総合調査研究事業や、観光や地域の活性化に役立つよう、讃岐国府跡の出土品やパネルを展示した讃岐国府跡資料室の整備を行うとともに、文化財継承の核となる市町の文化財担当職員の専門研修を通して、人材育成やネットワークづくりにつなげていきたいと考えております。
県教育委員会といたしましては、本大綱の下、市町や文化財所有者、地域住民と共に、文化財を将来に伝え、文化財と共にあるまちづくりを推進してまいります。
次に、教育機会の確保についてであります。
県教育委員会では、夜間中学を必要とする方の県内におけるニーズを把握するため、令和元年度に二段階方式でニーズ調査を行うとともに、その結果を市町教育委員会に情報提供を行ってまいりました。
三豊市においては、地域の実情をさらに詳しく把握するため、県の調査も参考にニーズ調査を行い、その結果を踏まえて来年四月の夜間中学の開設に向けて準備を進めていると伺っており、県教育委員会といたしましては、今月中に設置される三豊市における公立学校夜間学級の在り方検討会に参画するなど、取組を支援してまいりたいと考えています。
県の調査においてニーズの高かった市町に対しては、これまでも個別にニーズ調査の結果などを説明してきましたが、今後は、他県の先進的な事例を紹介するとともに、夜間中学の対象者、設置形態、教育課程等について情報提供を行うなど、引き続き意見交換を続けてまいります。
定時制高校につきましては、勤労青少年が働きながら学ぶ機会や、中途退学者や不登校経験者など、多様な学習歴や生活歴を持つ生徒の学び直しの場としての役割を担っていると考えております。また、多様な学びを保障する観点から、定時制高校に単位制や三修制、秋季募集を取り入れるなどの教育環境の整備等も行ってまいりました。
各学校における入学者選抜では、学力検査だけでなく調査書や面接の結果などを総合的に判断してそれぞれの学校、学科等で入学後の教育を受けられる能力・適性があるかどうかを基準として合否を決定しており、結果として、志願者数が定員に満たない場合においても不合格者が生じることもあるものと考えております。
しかしながら、議員御指摘のとおり、学びたいという意欲のある一人でも多くの人に高校教育を受ける機会を提供することは大切なことであると考えております。魅力あふれる県立高校推進ビジョンでは、定時制・通信制課程が担っている学び直しの機能をより充実させるため、定時制・通信制課程単独の高校についての研究を行うこととしており、今後、学校の担う役割の在り方や入学対象者についても検討してまいりたいと考えております。
県教育委員会といたしましては、学び直すことを希望する方を含め、誰もがひとしく教育を受けることができるよう、教育機会の提供や支援に努めてまいります。(降壇)
◯議長(西川昭吾君)理事者の答弁は終わりました。
暫時休憩いたします。
午前十一時五十一分休憩
午後 一時 七分開議
─────────────────────────────
出 席 議 員
十 河 直 君 鏡 原 慎一郎 君
松 岡 里 佳 君 高 木 英 一 君
白 川 和 幸 君 岡 野 朱里子 君
秋 山 時 貞 君 斉 藤 勝 範 君
松 本 公 継 君 森 裕 行 君
米 田 晴 彦 君 木 村 篤 史 君
山 本 悟 史 君 松 原 哲 也 君
谷 久 浩 一 君 氏 家 孝 志 君
樫 昭 二 君 山 田 正 芳 君
香 川 芳 文 君 高 田 良 徳 君
竹 本 敏 信 君 高 城 宗 幸 君
有 福 哲 二 君 新 田 耕 造 君
佐 伯 明 浩 君 広 瀬 良 隆 君
辻 村 修 君 石 川 豊 君
尾 崎 道 広 君 宮 本 欣 貞 君
山 本 直 樹 君 黒 島 啓 君
五所野尾 恭 一 君 花 崎 光 弘 君
大 山 一 郎 君 都 築 信 行 君
鎌 田 守 恭 君 平 木 享 君
欠 席 議 員
西 川 昭 吾 君 三 野 康 祐 君
綾 田 福 雄 君
─────────────────────────────
地方自治法第百二十一条第一項による出席者
知 事 浜 田 恵 造 君
副 知 事 西 原 義 一 君
病院事業管理者 太 田 吉 夫 君
審 議 監 大 山 智 君
政 策 部 長 淀 谷 圭三郎 君
総 務 部 長 東 田 晃 拓 君
環境森林部長 木 村 士 郎 君
健康福祉部長 土 岐 敦 史 君
商工労働部長 近 藤 清 志 君
交流推進部長 佐 藤 今日子 君
農政水産部長 新 池 伸 司 君
土 木 部 長 西 川 英 吉 君
知事公室長 尾 崎 英 司 君
危機管理総局長 寺 嶋 賢 治 君
文化芸術局長 小 川 剛 君
子ども政策推進局長 吉 田 典 子 君
会計管理者 田 中 一 裕 君
病 院 局 長 岡 内 浩 二 君
教 育 長 工 代 祐 司 君
公安委員会委員 泉 雅 文 君
警察本部長 那 須 修 君
代表監査委員 木 下 典 幸 君
監査委員事務局長 岡 興 司 君
人事委員会委員 高 濱 和 則 君
人事委員会事務局長 岡 田 総 一 君
選挙管理委員会委員長代理 松 田 清 宏 君
労働委員会事務局長 豊 島 正 人 君
政策部次長 椋 田 那津希 君
─────────────────────────────
◯副議長(十河 直君)再開いたします。
一般質問を続行いたします。
新田耕造君。
(新田耕造君登壇、拍手)
◯新田耕造君 それでは、午後の質問を始めさせていただきます。
最初に申し上げますが、私は楽観主義者でございますので、そういう前提でお聞きいただきたいというふうに思います。
先日の三月五日、文教厚生委員会で今年のインフルエンザの県内の発生状況を質問をいたしましたところ、前年同月同場所比、昨年は三千九百四十八件のところ、今年は何と一件と激減をしておりました。ちなみに、私のかかりつけの耳鼻科、多度津でございますけれども、先生に聞きましたら、多度津、今年はインフルエンザはゼロだったそうです。
また、日本の昨年の死者数は前年比九千三百七十三人、〇・七%減で、十一年ぶりに減少したということが分かりました。これはもちろん、
新型コロナウイルス感染症でマスクとか手洗いとかによって季節性のインフルエンザが激減したことも影響ありそうだというふうな解説がございました。このインフルエンザの話というのは、私とすれば非常に画期的だと思いますけれども、あまりニュースやワイドショーでは取り上げられませんでした。
さて、実は先日、県庁のある課長さんから「ファクトフルネス」という本を紹介されまして、読ませてもらいました。ハンス・ロスリングさんというスウェーデンの公衆衛生学の権威でございますけれども、お医者さんで、この本は御子息夫婦との共同作業で、御本人はもう他界をされておりますけれども、大変参考になったというか、警鐘を鳴らしたのですが、この本の中で世界の今について、非常に事実に基づかない認識がいろいろな階層で広まっていて、特に、いわゆる知識人、ノーベル賞受賞者とか世界企業の経営者、あるいは有名なテレビ番組のディレクター、こういう方々が非常に間違った認識をしているので、これを何とか直そうということで、世界銀行とか国連のデータを使って、いろいろなクイズ形式でそういう誤解を解こうとしております。
例えば、低所得国に住んでいる人口は、今、九%でございますけれども、多くの人は五〇%と答えた。あるいは、世界の人口のうち極度の貧困層の割合はここ二十年で実は半減をしましたが、これの正解率は七%だったようです。ちなみに、アメリカでの正解率というのは五%だったようです。
ファクトフルネスとは、ネガティブなニュースに気づくこと。ネガティブなニュースのほうが圧倒的に耳に入りやすい。物事がよくなっても、そのことについて知る機会が少ない。すると、世界について、実際より悪いイメージを抱くようになり、暗い気持ちになってしまう。ネガティブの本能を抑えるには、悪いニュースのほうが広まりやすいということに気をつけたほうがいい。この原因というのは、何万年にもわたる我々の脳の進化で脳に組み込まれた機能、天変地異とか病気とか飢餓に備えるために獲得した本能にあるようだと言っております。
それはどういうことかといいますと、例えば、分断本能、世界は分断されているという思い込み。ネガティブ本能、世界はどんどん悪くなっているという思い込み。直線本能、世界の人口はひたすら増え続けるという思い込み。恐怖本能、危険でないことを恐ろしいと考えてしまう思い込み。過大視本能、目の前の数字が一番重要だという思い込み。パターン化本能、一つの例が全てに当てはまるという思い込み。宿命本能、全てはあらかじめ決まっているという思い込み。単純化本能、世界は一つの切り口で理解できるという思い込み。犯人捜し本能、誰かを責めれば物事は解決するという思い込み。焦り本能、今すぐ手を打たないと大変なことになるという思い込みということを挙げまして、全てに解説とそれの対処方法を彼はこの本で書いております。我々はこれらの本能を制御しないと、本当の世界は見えないし、今ある問題解決もできないし、未来への備えもできないと言っております。
新型コロナ禍の中で、コロナのニュース一辺倒、一色の今、我々は大変考えさせられると思います。著者の言葉を借りると、「時を重ねるごとに少しずつ世界はよくなっている。何もかもが毎年改善するわけではないし課題は山積みだが、人類が大いなる進歩を遂げてきたのは間違いない。これが事実(ファクト)に基づく世界の見方だ。」ということのようです。
それでは、質問に入らさせていただきます。
質問の第一点目は、JR多度津駅のバリアフリー化についてであります。
JR多度津駅は、一日約四千人と県下でも有数の乗降客数があり、予讃線と土讃線が分岐する要衝であります。交通網は、町の栄枯盛衰に直結するために、交通事業者と地域は常日頃から密接な連携が求められております。
駅の南端には、線路によって分断された地域を結ぶための跨線橋がありましたが、老朽化により、付け替えが必要な状況でありました。付け替え工事は、町単独事業として平成二十八年度から実施され、先月二十五日に供用開始となったエレベーターの工事を含めて、所要約十億円の大規模なものとなりました。
一方で、これから整備する予定の跨線橋案は、駅のバリアフリー化に対応するためのもので、総事業費七億円以上、JR三分の一、国三分の一、地元県・町合わせて三分の一である二億円以上を負担することになります。交通事業者が単独で負担をするならまだしも、国と地元合わせて三分の二が我々の血税で補助されます。それにもかかわらず、二つの橋を全く別物として造ることが果たして合理的な計画と言えるのか、疑問でなりません。補助を受ける以上は、JRは計画全体を通じた経済合理性について、県や町ともっと話し合う必要があるのではないでしょうか。
利便性の面は、もっと大きな問題があります。多度津町は、駅の改札を自由通路とつなげ、橋上駅とする考えでありました。私も、この考えに賛成でございました。
それに対し、現在のバリアフリー化計画では、駅利用者は、ホームまで移動するために、現在の地下道に比べてかなり長い階段を上がることになり、階段利用者は今よりも確実に不便になります。一方、パーク・アンド・ライドのある駅の逆側からの動線は、さらに悲惨であります。一本目の橋を一旦上がって、線路をまたいで、駅のある地上に下りて、また改札を通って駅舎の中に入って、二本目の橋を上がってホームに下りることになります。上がったり下がったりしながら長い距離を移動する、言葉ばかりのバリアフリー化になっております。
今ですら、年配の方や体の不自由な方は、利便性の観点から丸亀駅を使っております。このような状況では、ますます多度津駅の利用者が減ると危惧をいたします。また、この後、幾ら予算がかかるか分からない駅舎の高層化も視野に入っているようですが、木を見て森を見ない場当たり的な事業化では、安物買いの銭失いになりかねません。
今後、車の自動運転など、社会構造の変化による鉄道離れも想定される中で、鉄道事業者は、「利用者のため」を第一順位に置いて、駅周辺資産、これは売却も含めてですが、有効利用して乗客増を図ることが、生き残りに必要な視点だと考えます。そして、自治体がそれを支援していくことで、地域全体が発展していくのだと思います。
今回のバリアフリー化について、事業主体であるJRが地元と協議の上、事業内容を決定することは承知をしておりますが、令和三年度当初予算として計上されている実施設計費用への補助について、私としては、利用者目線に立たないバリアフリー化に県費を支出することは反対であります。
現在のバリアフリー化案についてどのように考えているのか、知事に質問をいたします。
質問の第二点目は、善通寺運転免許更新センターでの即日交付についてであります。
善通寺運転免許更新センターは、警察署の再編整備に伴う旧善通寺警察署庁舎の有効利用と、中讃地域の運転免許更新者に対する利便性の向上を図る目的で、平成二十六年度に整備を開始し、平成二十八年三月一日から業務が開始されました。業務開始後は、「アットホームな雰囲気だった」、「親切に対応してもらった」など、利便性の向上だけでなく、現場スタッフの対応も含めて、地域の方々から喜びの声を聞いております。しかし一方では、「一回で済むから高松へ行くよ」という声も聞いております。
同センターは、本県に設置されている四つの免許センターの中で唯一、即日交付に対応していない、いわゆる二回来所方式が原則になっており、利用者は、講習受講時と更新免許証の受け取りに二回出向く必要があります。優良運転者と高齢運転者については、郵送による事前予約により、一回来所方式を選択することが可能ではありますが、他の運転免許センターと比較して利便性が劣る状況であります。
同センターの周辺市町は老年人口比率が高く、利用者についても高齢者が多いと思われます。他方、本県では、高齢ドライバーによる事故の割合が右肩上がりの状況です。つまり、運転免許更新のために、交通事故リスクの高い高齢者が、不慣れな道路を二往復しなければならない状況にあります。義務的な行政手続での移動を極力減らすことは、交通死亡事故ワースト一位となっている本県では、真っ先に改善すべき課題だと思います。
過去に、業務開始に向けた準備状況について質問をさせていただいた際にも、当時の本部長から、業務開始後、利用者の状況等を見定めながら、施設、体制、経費等を総合的に勘案し、一回来所方式を検討する旨の答弁をもらっております。
同センターの業務開始から丸五年が経過し、地域にも定着してきたことから、一回来所方式による利便性の向上と交通事故リスクの低減を目指すべき段階だと考えますが、この点について県警本部長に質問をいたします。
質問の第三点目は、信号機に関する地元の意見の把握についてであります。
十二月に交通安全施設等の整備の在り方に関する検討会において、報告書がまとめられました。信号機の設置が必要な箇所には整備を推進するとしつつ、他の交通規制により代替可能な場合は、十分検討した上で撤去を進めるという考え方になっております。
九月議会の一般質問でも申し上げたとおり、本県では、交通事故が減っている中で、死者数が逆に増加をしております。また、事故発生件数に占める死者数の割合が、全国平均を大きく上回っているのです。つまり、車のスピードが出過ぎていると考えられる状況の中で、私としては、信号機が持つ車の減速効果が見逃されていることに危機感を持っております。交通安全教育や啓発の重要性を否定はしませんが、事故の起こりにくい道路環境の整備は行政にしかできないのですから、最先端の技術と知恵をもって、他県に先駆けた香川型の交通安全施策を目指していただきたいと思います。
報告書では、信号機設置数に関する他県との比較がなされておりますが、全国ワースト一位の本県では、全く参考例はありません。例えば、ダミーでも、カメラやオービス(速度計測器)は十分な抑止効果があり、維持管理費がほとんどかからないと思います。主要交差点にダミーも混ぜてカメラを設置したり、警察官の立哨時にダミーの可搬式オービスを持っておくなどの方法も考えられます。
信号機の新設や撤去については、生活に与える影響が大きいことから、そこに暮らしている方々の考えに沿うことが重要であります。報告書も、「地域住民への丁寧な説明と理解を得る」としています。この点について、例えば、県道であれば、道路管理者である県に対し、陳情、要望などの形で、信号機に関する地元の意見が届いていると思います。
そこで、県道の管理者である県で把握している過去五年間の県道における信号機撤去の要望件数について、知事に質問をいたします。
さらに、新設される道路では、データがない中でも、地元の声を聞きながら、事故を未然に防ぐための対策を行う必要があります。私の地元でも、新しい道路ができつつあり、付近に住んでいる方は、信号機が設置されない状況に不安を持っておられます。
こうした状況に対応するためにも、信号機の新設・撤去に当たっては、地元の考えをしっかりと把握した上で、箇所ごとの慎重な検討が必要と考えますが、この点について県警本部長に質問をさせていただきます。
質問の第四点目は、これも大変僕は重要だと思います。側弯症を早期発見できる体制づくりについてであります。
新型コロナウイルス感染症の影響で、がん検診受診者数の減少が続いていることが要因で、今後数年間に、進行したがんの患者やがんによる死亡者が増加する可能性があるとの報道を目にし、また、医師会の先生からも同様の話を聞きました。コロナ対応を進めることは重要ではありますが、ワクチン接種も視野に入り、様々なアプローチが出そろいつつあります。そろそろ、我々はコロナ後を考える時期でもあると思います。
さて、先日、「見落とし 学校検診に格差」という記事に出会いました。側弯症のことです。
側弯症とは、背骨が左右に湾曲する病気で、進行すれば、腰や背中の直接的な痛みのほか、肺活量の低下などの呼吸機能障害、ひどいケースでは神経障害を伴うこともあります。側弯症の八〇%前後を占める特発性側弯症は、小児期の女子に高確率に見られることから、学校保健安全法施行規則で、学校健診の必須項目とされております。
しかし、学校健診において、この側弯症の発見が遅れることが少なくありません。健診で側弯症を見落としたとして、患者側が自治体を相手取り、訴訟を起こしたケースもあります。
現状の学校健診では、学校医による視診と触診が主流です。しかし、慶應大学病院整形外科医の調査によれば、十二都府県が側弯症検査用の医療機器を導入しており、同医師がまとめたデータによれば、十四歳女子における一次検診での側弯症の被患率は、全国平均では一・一%ですが、機器導入県の中で最も高い広島県では三・〇%、続いて千葉県二・五%、東京都二・一%であるのに対し、機器未導入県の中で最も低い鹿児島県では〇・二%、本県も同水準の〇・三%となっております。明らかに検査体制による発見率の差であり、体制が整備されていない本県では、二、三%、子供たちの側弯症が見落とされている可能性があります。
住んでいる地域の違いで子供たちに格差が生まれることは避けるべきであり、その意味で、国が全国一律の検査体制を整備すべき問題ではありますが、しかし、国の検討を待っている間にも、早期発見できたはずの側弯症に子供たちの未来がむしばまれているのが実情でございます。
日本側弯症学会から国に対し、昨年十二月に要望書が提出されていますが、本県での学校健診において、検査機器の導入や専門医との連携など、側弯症を早期発見できる検査体制の構築をどのように進めていくのか教育長に質問し、私の一般質問を終わります。(拍手、降壇)
◯副議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。
浜田知事。
(知事浜田恵造君登壇)
◯知事(浜田恵造君)新田議員の御質問にお答えいたします。
まず、JR多度津駅のバリアフリー化についてであります。
一日三千人以上が利用する鉄道駅につきましては、国の基本方針で原則として今年度までにバリアフリー化することが求められており、JR多度津駅のバリアフリー化については、地元多度津町が中心となって、駅を中心としたまちづくりの観点も踏まえ、JR四国と協議を重ねてきたところであります。
現在の整備案は、早期にバリアフリー化を達成するとともに、町の財政状況やJR四国の経営状況も総合的に考慮し、駅構内のホームを跨線橋でまたぎ、それぞれのホームに階段とエレベーターを設置した上で、老朽化した地下通路を埋設する案で調整を進めているものと承知しております。議員御指摘のとおり、この案では、特に駅東側の利用者にとって動線が長く、これまで検討された橋上駅のほうが、駅東側の利用者の利便性が勝る面があると伺っております。
一方で、多度津町からは、橋上駅には多額の経費がかかることから、直ちに実施することが困難であり、現在供用されている自由通路を活用して駅舎を橋上化する案も検討したが、建築基準法上の接道要件を満たすことができず、加えて、強度不足となる可能性もあったことから、当該案については採用に至らなかったと聞いております。
私といたしましては、バリアフリー化は、高齢者や障害者などの自立した日常生活や社会生活を確保する上で重要であり、早急な対応が必要であると考えておりますが、可能な限り利用者にとってより利便性の高いものとすることも望まれるところであり、同町やJR四国に対して、バリアフリー化を進めるに当たっては、引き続きこうした観点からの取組に努めるよう働きかけてまいりたいと考えております。
次に、信号機に関する地元の意見の把握についてであります。
県では、県民の皆様の安全で安心な生活の確保、活力ある地域づくりのため、道路の計画的な整備や日常的な維持管理に取り組んでいるところであり、道路の安全対策については、信号機設置をはじめ、地域住民の皆様から様々な御意見や御要望をいただいておりますが、議員お尋ねの過去五年間の県道における信号機撤去の要望についてはございませんでした。
私としましては、今後とも、県民の皆様が安全で快適に利用できるよう、道路づくりに努めてまいりたいと考えております。(降壇)
◯副議長(十河 直君)工代教育長。
(教育長工代祐司君登壇)
◯教育長(工代祐司君)新田議員の側弯症を早期発見できる体制づくりについての御質問にお答えいたします。
側弯症は、十歳前後の女子に見つかることが多く、日常生活に支障を来し、手術による治療が必要となる場合があるため、学校生活のみならず、児童・生徒の将来にわたって影響が大きい疾病であり、早期発見、早期治療が大切であると認識しております。
現在、本県では、学校の健康診断において、脊柱や手足など運動器と呼ばれる組織・器官の形態や発育、機能の状態について、学校医が視診や問診等を行い、精密検査が必要とされた児童・生徒には、保護者に専門医の受診を勧めています。
議員御指摘のとおり、十二都府県では側弯症の検査に専用の検査機器が導入されており、これらの都府県では、民間の検査機関が市町村等から委託を受けて検査を行っております。近県では、愛媛県の一部地域において、公益財団法人の愛媛県総合保健協会が市町村から委託を受け、小学五年生と中学一年生を対象に、機器による検査を行っていると聞いています。
検査機器を使った検診を行うためには、検査機器の導入をはじめ、検査に当たる職員や結果を判定する専門医が必要になるため、検査機関での検査体制の整備が課題となるほか、学校設置者である各市町の検査費用の負担や学校における検査場所の確保等、調整しなければならない課題も多いと考えています。
県教育委員会といたしましては、今後、検査機器を使った検診を行っている他県の状況について情報収集を行うとともに、香川県医師会に専門的な立場からの助言をいただき、市町教育委員会とも情報交換しながら、側弯症の検査体制の在り方について検討してまいりたいと考えております。(降壇)
◯副議長(十河 直君)那須警察本部長。
(警察本部長那須 修君登壇)
◯警察本部長(那須 修君)新田議員の御質問にお答えいたします。
まず、善通寺運転免許更新センターでの即日交付についてであります。
善通寺運転免許更新センターは、丸亀警察署管内及び琴平警察署管内の更新者の約三割の方が、七十歳以上の高齢者では約七割の方が利用しており、地域に密着した施設となっております。議員御指摘のとおり、同センターにおける運転免許の即日交付は、行政サービスの地域間格差を是正し、県民の利便性向上のための重要な課題と認識しております。
ただ、同センターにおいて即日交付を実現するには、運転免許に係る情報システムの改修が必要となりますが、現在、県単位で運用しているこの情報システムは、令和六年度までに全国統一システムへ移行予定となっており、当県での移行については、この時期に間に合わせるべく具体的な計画の策定段階にあります。
加えて、優良運転者に係る更新時講習については、自宅のパソコンやスマートフォンで受講できるオンライン講習の導入が検討されており、早ければ令和七年度から開始される可能性もあり、この制度が導入された場合には、免許証の迅速な交付が可能となるものと考えられます。
このような情勢下にあることから、県警察といたしましては、全国統一システムへの移行や講習のオンライン化など過渡期にある運転免許行政の動向を見極めつつ、善通寺運転免許更新センターにおける即日交付が合理的かつ効率的に実施できるよう、引き続き調査研究を重ねてまいりたいと考えております。
次は、信号機に関する地元の意見の把握についてであります。
今年度、県警察では、交通安全施設等の整備の在り方に関する検討会において、本県の厳しい交通事故情勢を踏まえ、持続可能な交通安全施設等の整備の実現に向け、部外有識者等と検討を重ねてまいりました。
信号機の整備につきましては、検討会において、県民の安全を第一に置き、信号機をはじめとする交通安全施設等の効果的な整備を進めるべきとの基本的な考え方の下、交通事故防止のため、信号機の設置が必要な箇所には整備を推進すること、また、信号機の必要性を再確認し、他の交通規制により代替可能な場合は、十分検討した上で撤去を進めるとの方針が示されたところであります。
交通安全施設の中でも信号機は、交通の安全と円滑に寄与する重要な位置づけであり、交通事故防止のためには、交通実態に合わせた適切な整備が重要であると考えております。検討会からの報告においても、信号機の新設や撤去につきましては、議員御指摘のとおり、生活に与える影響が大きいことから、地域住民への丁寧な説明と合意が必要不可欠であり、地域住民の理解を得た上で推進すべきとされております。
新設される道路につきましても、計画段階から道路管理者と協力し、地域住民の方々の御意見を伺いながら、交差点形状、交通量や周辺の環境を考慮して、交通事故防止のため信号機を含めた最適な交通規制を実施することが重要であります。
県警察といたしましては、地域の皆様の御意見を把握し、交通事故防止の対策を丁寧に説明して不安を取り除き、自治会等の合意を得た上で、信号機の設置や撤去等、必要な交通安全施設等の整備を推進するとともに、社会情勢の変化に対応した信号機設置の適正化を推進することにより、交通事故の起きにくい交通環境の整備に努めてまいります。(降壇)
◯副議長(十河 直君)再質問の通告がありますので、発言を許可いたします。
新田耕造君。
(新田耕造君登壇、拍手)
◯新田耕造君 知事に再質問をさせていただきます。
大変失礼で、細かい話で申し訳ないのですけれども、先ほど知事は、町からの話で、接道要件云々と、こういう話がありましたけれども、私の調べたところによりますと、あれは町道認定をしているのですが、どうも無理やり町道認定をしたようでございまして、そのまま避難路ということで認定をしておれば接道要件もクリアできるというふうに聞いております。
したがって、その件に関しては、やっぱりもう少し検討をしていただいたか、町からのアンサーについて、その辺ももう一つ踏み込んで調べていただいたのかどうか、その辺を質問させていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。(拍手、降壇)
◯副議長(十河 直君)再質問に対する理事者の答弁を求めます。
浜田知事。
(知事浜田恵造君登壇)
◯知事(浜田恵造君)新田議員の再質問にお答えいたします。
接道要件につきまして、私も正確に言えば、事務方経由で町から伺っている状況でございまして、今議員御指摘の点については、改めて私も事情を調べてみたいと思っております。(降壇)
◯副議長(十河 直君)一般質問を続行いたします。
高田良徳君。
(高田良徳君登壇、拍手)
◯高田良徳君 通告に従いまして、一般質問を行います。
一点目は、ゼロカーボン、気候非常事態宣言についてお聞きします。
我が会派の代表質問でも取り上げさせていただいたところですが、その後の三月二日、地球温暖化対策推進法改正案が閣議決定されましたので、その対応も含めてお聞きしたいと思います。
今回の法改正が通ると、二〇五〇年カーボンニュートラルが初めて法律上に位置づけられることになります。小泉環境大臣は、削減目標を法律に基づくものとすることで、政権交代が起きても政策の継続性をより強固に確保できると言い、特に、今まで経済産業省が中心に進めてきたエネルギー政策の大きな転換が求められます。
国のエネルギー基本計画では、経済効率性より温暖化対策を重視しなければならなくなります。産業界にとっては、事業活動にCO2排出枠やカーボンプライシングなどによる負担が大きくのしかかってきます。ですから、二〇五〇年カーボンニュートラルという目標は、本当に高いハードルであります。国、自治体、事業者、そして国民一人一人が真剣に取り組まないと実現することは不可能だと思います。
そんな中、本県でも二月十七日の今議会開会日において、二〇五〇年二酸化炭素排出実質ゼロを目指す、いわゆるゼロカーボンシティーの表明がされました。今月十五日の時点で、ゼロカーボンシティーを表明しているのは三十三都道府県を含む三百十九の自治体で、どんどん増えている状況にあります。表明自治体の対象人口は、既に一億人を超えています。
ですから、今になっての表明は、他の自治体も表明しているので、乗り遅れないようにうちも表明するかとなったのではないかと勘ぐりたくなります。現実そうかもしれませんが、どうも二〇五〇年カーボンニュートラルという目標に向けての認識が、県としてまだまだ弱いのではないかと私は思っています。
代表質問の答弁でも、二酸化炭素の排出削減に向けた取組が広がっているとか、地域でできる取組を着実に進めているなど、今までの取組を評価し過ぎているように思います。昨年の決算委員会でも、温室効果ガス排出量はA評価で順調に推移と言われました。確かに、これまで以上の取組が必要と言っていますが、それは当たり前のことです。
そこで、現在策定中の香川県地球温暖化対策推進計画において、二〇五〇年カーボンニュートラルを意識すれば、本県の温室効果ガス排出量の削減目標がどのようになるのか、教えていただきたいと思います。
また、想定済みのことだとは思いますが、この法改正を受けて、本県地球温暖化対策推進計画では、新たにどのような対応が必要になってくるのかも教えてください。
また、代表質問では、ゼロカーボンシティー宣言も気候非常事態宣言も同じようなものだとの認識を知事から示していただきましたが、私は、実は少し違うイメージを持っています。
御存じのとおり、地球温暖化の問題は、二年前のグレタ・トゥーンベリさんの訴えが大きなきっかけになりました。この訴えは、私も含めて多くの人に大きな衝撃を与えました。
彼女は、「CO2排出量を十年で半分に減らしたとしても、地球の気温上昇を一・五度以下に抑えられる可能性は五〇%しかなく、私たちの世代はこの五〇%のリスクは受け入れられない。私たちは結果と共に生きていかなければならない。」と言い、もしも一・五度を超えてさらに上昇すると、永久凍土が解ける、あるいは北極の氷が解けて、そこの中にあったメタンが放出され、ドミノ倒しのようにさらに気温が上昇して、もう止まらないという警告でした。
これは、IPCC気候変動に関する政府間パネルの特別報告に入っている科学的根拠のある内容です。ですから、早ければ十年後にここまで来てしまうということを必死で訴えているわけです。
今まで言ってきた二〇五〇年カーボンニュートラルへの取組は、パリ協定を達成するための重要な目標です。これさえも、各国の状況からいえば高いハードルです。でも、本当はそれ以上の対策が必要ということでした。
私は、この認識を持つことが気候非常事態宣言だと個人的には思っていますし、そうあるべきだとも思っています。グレタさんは、これを言ったときは十六歳で、今は十八歳だと思いますが、「お金のことと経済発展がいつまでも続くというおとぎ話ばかり、恥ずかしくないのでしょうか」と、大人に対して涙ながらの訴えは感動さえ覚えました。
そういう意味で、まさに、この気候非常事態という危機に対して県民に訴え、認識してもらうという意味では、この宣言は大事だと思いますが、知事の御認識をお伺いいたします。
二点目は、高校生の運転免許取得についてお聞きします。
二年前にお聞きしたときのお答えが、各学校において保護者等の意向を踏まえ、その取扱いを定めているところであり、ルールの変更については、学校、生徒、保護者が、交通事故の危険性も勘案の上、議員御指摘の観点も含め十分協議していく必要があると考えているということでした。
そこで、この二年間でどの程度協議が進んだのか、お聞かせいただきたいと思います。
高校生に対して、「免許を取らせない、買わせない、運転させない」という、いわゆる三ない運動を見直して、高校生本人が自ら考え、保護者の同意があれば、法で認められているバイクの免許取得を許可し、道路交通法や安全教育を学ばせるべきだと私は申し上げました。その理由として、高校生にはバイクは必要ないと在学中だけバイクを遠ざけることは、高等学校として責任を逃れることはできても、道路交通法や安全運転を学ぶ機会を奪うことにつながること、すなわち、運転免許の取得は関係する交通法規等を学ぶ機会であり、高校在学中から卒業後の車社会を前提とした交通安全教育が必要なことは言うまでもなく、現状の結果として運転初心者の事故率が高いことです。交通安全に真剣に取り組んでいる本県として、高校生の原則運転免許取得禁止というやり方でいいのかということを申し上げました。
それに対して、県内高校生のバイクによる事故がほとんど起きていないなど、安全対策上一定の役割を果たしているなどという残念なお答えでした。校則で高校生からバイクを遠ざけているのですから、事故がないことは当たり前であります。
乗せて教えるを実践している埼玉県では、高校生のバイク事故はあります。私が将来を含めての事故率を指摘しているのに、このような答弁は、やはり在学中だけの責任逃れにしか私には聞こえません。
あのとき質問して以降、埼玉県が二〇一九年四月から三ない運動を撤廃し、保護者同意の下、学校への届出制とすることで、原付・自動二輪にかかわらず、高校生でも免許を取得し、乗車できるようになりました。乗せて教えるという方針を支えていくために、教育委員会と警察が連携して運転免許取得者への交通安全講習を実施するなど、積極的な取組を行っています。また、前回申し上げた山梨県や群馬県、茨城県などの取組状況も参考になると思います。
最新の情報では、三重県でも県教育委員会主催で検討委員会が開催され、県内高校生と保護者に対してアンケート調査を行いました。その結果は、原付または自動二輪の免許を取りたい生徒は実に全体の三七・五%で、保護者においても、二二・五%もの方が取得させたいと答えています。決して少数派の意見ではありません。
その理由は、「通学に多額の費用がかかっているから」、「長時間通学を解消したい」、あるいは、「適当な公共交通機関がなく保護者が送迎しているから」といった、これらは今地方で起きている共通の問題です。暴走族が問題となっていた時代、生徒が一方的に免許を取りたがっていた頃とはまるで違う状況なわけであります。
そこで、本県でも検討委員会を設置し、真剣に議論をすべき時期が来ていると思いますし、検討材料として、アンケートなどで、生徒・保護者の声を調査することも必要と思いますが、教育長の御所見をお伺いします。
三点目は、県立高校の校則についてお聞きします。
二年前に質問して以降、ブラック校則はなくなったのでしょうか。実態としては時代にそぐわないようなものも見受けられますので、これについては見直しを行うよう指導するとお答えいただきました。
現在、何校において、どのように改善されたか、まず教えてください。
そして、前回も申し上げましたが、各校、靴下の色もいろいろですし、ワンポイントがよい学校、駄目な学校、ばらばらであります。だから、こうした校則というものは根拠がないというふうに思います。
内容は何でもいいのです。とにかく守らせることに意義がある、もっと言えば、教師と生徒の上下関係をはっきりさせるようなものとしか私には思えません。教師という権威を持ち出して生徒を従わせるという伝統的な指導方法だと思います。悪く言うと、この権威主義が社会に出ても会社組織に引き継がれ、この考え方が、パワハラやセクハラなどハラスメントにつながっていくのではないかと私は思います。
人と人とは対等なはずです。教師と生徒は信頼関係で結ばれるべきで、教師が生徒を支配しようとしてはいけないと思います。
これは私の持論ですが、教育長は、校則とはどうあるべきとお考えでしょうか、教えてください。
さて、最新の校則を見せていただきましたが、まだまだ私には理解できないところが多くあります。例えば、家族で県外に旅行する際に届出が必要だとか、校長の許可が必要なものの中に秋祭り等の行事への参加があります。
家族旅行を届け出る意味とは何でしょうか。旅行をするにも、いろいろな理由があると思います。家庭の内情に学校が首を突っ込む権利があるとは私は思えません。そして、祭りの参加を校長が許可しない権限がどこにあるのかも分かりませんし、許可した場合も、何らかの責任を校長が取るのかということも本当に分かりません。
また、生徒にツーブロックなどの髪形を禁止している理由は何なのでありましょうか。「事件事故に遭うから」と、東京都教育委員会の答弁が話題になりましたが、本県教育委員会の見解をお聞かせください。
そして、ツーブロックの教師がツーブロックの生徒を指導するという状況もあります。まさに、教師は構わないが生徒は駄目という権威主義そのものだと思いますが、このような状況を教育長はどうお考えでしょうか。
校則の決定権は校長だと思います。校則の改正にはどのような手続が必要で、生徒や保護者の声がどのように反映できる仕組みになっているのか、併せてお伺いします。
昨年度の文教厚生委員会において、我が会派の米田議員から、東京都世田谷区の全ての区立の中学で、校則を学校のホームページで公開したとの発言があったと思います。教育長の答弁で、そのことについてコメントはいただけませんでしたが、校則はできる限りオープンにすべきです。そして、校則は入学してから説明するのではなく、入試前に公表しなければならないと思います。そのためにも、各県立高校のホームページでの公開は一つの方法だと思いますが、いかがでしょうか。教育長の御所見をお伺いいたします。
四点目は、少人数学級の拡大についてお聞きします。
来年度から、小学一年生から中学校二年生まで、中学校三年生を除いて全て三十五人学級とする発表には、やっとここまで来たかと感じると同時に、まさに隔世の感があります。
少人数学級の推進については、私が県議会議員になって以降、十年くらい前まで、毎回のようにこの議会で質問してきた課題であります。当時は、全国各地でどんどん少人数学級が導入されていく中で、香川県と東京都だけが、かたくなに少人数学級の学習効果を認めませんでした。香川型指導体制の名の下、少人数指導、習熟度別指導を中心とした指導体制の優位性ばかりが強調され、国が少人数学級の方向性を示してもなお、当時の知事も教育長もそれを認めず、香川型指導体制での成果は単に学級規模を下げただけでは達成困難だなどと自画自賛するばかりでした。
それが、浜田知事になって少人数学級の導入が始まり、国の制度と合わせて、小学校一年生から四年生までと中学校一年生が三十五人学級を達成できました。そして今回、コロナ禍を契機に高まった少人数学級を求める世論にも押され、小学校全学年を五年間かけて四十人から三十五人に移行させる法改正案が国会に提出され、そのことに合わせての今回の県の英断だと思っています。
全国的にも群馬県は小・中学校全学年で三十五人学級を実施すると報道され、その他多くの県も、来年度から小・中学校での少人数学級が拡充されることになっています。
そこで、教育長に何点かお聞きしたいと思います。
この二月に出された小・中学校における新しい指導体制の在り方検討委員会のまとめ文書を見てみますと、新学習指導要領への対応として、グループ討議をする上で、「四十人では教室が窮屈になる」ことから、三十五人にする必要性が書かれていますが、それだけではないと思いますが、今回、三十五人学級の拡充に踏み切った理由を教えていただきたいと思います。
また、「小・中学校全学年における少人数学級の実現」とありますが、これは中学校三年生も視野に入っているということだと思います。群馬県のように小・中学校全学年で三十五人学級の実現を目指すようですが、その時期はいつ頃を想定をしているのか、教えていただきたいと思います。
そして、「まずは三十五人学級から」と書いてあることから、将来的には三十人、二十五人と、さらなる少人数を目指す方向に読み取ることができますが、そのような解釈でよろしいのでありましょうか。
本当に、このまとめの文書、よいことを書いているので、読み上げたいと思います。
「少人数学級により学級担任が受け持つ児童生徒の人数が少なくなれば、学級担任は児童生徒一人一人により目が行き届くようになり、児童生徒も安心して落ち着いた学校生活を送ることができる効果が期待される。さらに、成績処理や保護者対応など学級担任の負担軽減も期待できる。これらを踏まえれば、学級編制基準の引き下げによる少人数学級の実現を推進する必要があると考える。」、至極当たり前のことだと思います。また、これらのことは、私たちがずっと言ってきたことで、このことが基本的な考え方になっていることを評価したいと思います。
しかし、少人数学級を拡充するには、いろいろな課題があるのも確かであります。教員をしっかり配置することができるのか、また、そのための財源措置はどうなっているのか、また、教員の数が確保できても質は担保できるのかどうか、併せて、ブラック職場と言われている教員の働き方改革にどう影響するのかなど、県教育委員会は、少人数学級を拡充するに当たって、このような課題に対してどのように対応していくお考えなのか、教育長にお伺いいたします。
五点目は、教職員の一年単位の変形労働時間制についてお聞きします。
変形労働時間制とは、忙しい時期の平日の勤務時間を延ばして、閑散期の日の勤務時間を短くする仕組みです。一年単位で、例えば、忙しい三月や四月に多めに勤務時間を割り振り、八月に少なくするといったことだと理解しています。
このことで、今議会に条例改正案が提案されています。給特法からいえば、来年度から導入できるということになるわけですが、それは地方自治体の判断に任されていると思います。
そこで、あえて今回条例提案した理由と、全国四十七都道府県と二十政令市でどの程度の団体数が今年度内に条例を整備しようとしているのか、教えてください。
というのも、教職員の理解がまだまだ進んでいないように思うからです。にもかかわらず、新年度から施行するというのは無理があるようにも思います。確かに、各校長宛てに説明資料が配付され、周知に努めているとも聞いています。でも、これもおかしいと思います。条例は、まだ県議会で可決もされていないのに、可決されることを前提に周知作業が進められています。本来なら、条例が可決されて、一定の周知期間を置いて周知した後、施行となるべきだと思います。私自身、議会人として、あまり気分がいいものではありませんが、このようなやり方でよいとお考えなのでありましょうか。
次に、具体的中身についてです。超過勤務手当のない長時間勤務の容認につながりはしないのか、休みのまとめ取りなど本当にできるのか、勤務体系が多様化して人事管理に手間がかからないのかなどの懸念が一般的に言われていますが、そのような懸念はないのでありましょうか。
現状、過半数の教員が、時間外月四十五時間の上限が守られず、年次有給休暇さえ取得できない状況であることが問題です。変形労働時間制の導入は、これらの状況の改善が前提であるべきと考えます。
単に変形労働時間制を導入するだけでは、業務が減ることにはならないと思いますが、この制度がどう働き方改革につながるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。
六点目は、大学生における不在者投票についてお聞きします。
二年前に質問した際には、私の質問の意味を理解できなかったのか、全くお答えいただけなかったので、もう一度お伺いします。
私自身、でき得る限り分かりやすい日本語で質問するように心がけたいと思いますので、今度こそ、よい答えでも悪い答えでもいいので、かみ合ったお答えをいただければと思っています。
二年前のお答えは、「住民票を地元に残した大学生の不在者投票につきましては、住所に異動がある方は、住民基本台帳法の規定に基づき、転入・転出等の手続を行う必要があり、県選挙管理委員会といたしましては、一人でも多くの有権者に投票していただくために、進学や就職等で住所移動のある方には、新しい住所に住民票を移していただけるよう、市町選挙管理委員会と連携し、周知に努めてまいります。」でしたが、そんなことは聞いていません。ですから、この答えをまた言わないようにしてほしいと思います。
親元を離れた学生時代の住まいは、一時的なものです。自分の所有物の多くは実家に残っているし、夏休みや年末年始など帰省することも多い、つまり、生活の拠点は実家にあり、通学のために一時的に学校の近くに住んでいると解釈でき、住民票を移さなくても過料の罰則を受けたというのは聞いたことがありません。ですから、選挙人名簿に登録されている実家のある市町選挙管理委員会に対し、投票用紙を交付・郵送してもらい、大学近くの役所で不在者投票ができるはずです。
しかし、香川県内の多くの自治体では、それが認められていません。選挙人名簿に登録されているにもかかわらず投票できないのですから、これは憲法における参政権が踏みにじられている行為であり、六十七年前の最高裁判例だけを基にした時代錯誤の判断としか言いようがないと思います。
政治家などは、住所地とは別の地で不在者投票ができます。学生が「実家に生活実態がない」との理由で不在者投票を断られるのに、政治家は年間に一日も実家に帰らないでも認められるのはなぜでしょうか。選挙管理委員会委員長にお伺いします。
そして、この最大の問題点は、各自治体によって判断が違うということです。居住実態等を細かく聞き、認めないところと、詳しく聞かずに黙認するところもあります。居住実態に関係なく認めるところもあります。この状況は平等とは言えませんから、早急に改善する必要があると思います。
二年前に、山本議員や三野議員から、総務委員会において同様の質問があり、必要に応じて国に相談するとのお答えをいただきましたが、あれから二年がたちました。
そこで、国と相談していただいた結果について、併せてお伺いをいたします。
以上、六点について、分かりやすい答弁を期待いたしまして、質問を終わります。(拍手、降壇)
◯副議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。
浜田知事。
(知事浜田恵造君登壇)
◯知事(浜田恵造君)高田議員の気候非常事態宣言等についての御質問にお答えいたします。
現在策定中の次期地球温暖化対策推進計画では、二〇五〇年までの脱炭素社会の実現に向けて取り組むという基本的な考え方の下、具体的な目標として、計画の最終年度である二〇二五年度の温室効果ガス削減率などを設定することとしております。
温室効果ガスを大幅に削減するためには、国のエネルギー政策やイノベーション技術の開発などに負うところが大きく、現在、国の地球温暖化対策計画の見直しや地域脱炭素ロードマップの検討も行われていることから、こうした国の動きを本県の計画に反映していきたいと考えておりますが、具体的な内容が示されていない現時点では、二〇三〇年度までに二〇一三年度比で二六%を削減する現在の国の目標を基本に、本県の人口や経済的な将来予測を考慮しながら、県が行う対策の削減効果を加味し、積極的な目標を設定したいと考えております。
また、地球温暖化対策推進法の改正法案では、地域の脱炭素化の促進が柱の一つと位置づけられており、そのうち、地方公共団体の地球温暖化対策推進計画の中で定めることとされた再エネ利用促進等の施策の実施に関する目標につきましては、設定する方向で検討を進めているところであり、県の計画で定めることができるとされた市町の脱炭素化事業の促進区域の設定に関する基準についても、今後の国の検討状況を見ながら検討することとしております。
議員御指摘の気候非常事態宣言につきましては、脱炭素社会の実現に向け、県民の皆様お一人お一人が、気候が危機的な状況にあることを意識し、行動変容につなげていくために重要であることから、先般の私のゼロカーボンの表明も、こうした認識の下行ったものであり、来年度新たに実施するゼロカーボンキックオフ事業や、一昨年十月に設置した地域気候変動適応センターからの効果的な情報発信などにより、県民の皆様の意識醸成を図ってまいります。
私といたしましては、二〇五〇年までの二酸化炭素の排出実質ゼロに向け、国や各市町と連携して、県民の皆様や事業者の御理解と御協力をいただきながら、鋭意、取組を進めてまいりたいと考えております。(降壇)
◯副議長(十河 直君)工代教育長。
(教育長工代祐司君登壇)
◯教育長(工代祐司君)高田議員の御質問にお答えいたします。
まず、高校生の運転免許取得についてであります。
運転免許の取得につきましては、各県立高校に御質問の趣旨を周知するとともに、生徒指導主事会で「免許を取らせない、買わせない、運転させない」という、いわゆる三ない運動について話し合うなど、各学校での協議を促してきたところであります。
県立高校二十九校の状況は二年前と比較して、三ない運動を完全に実施している学校が二校減り九校に、家庭の事情や通学が不便等の特別な事情のある生徒や、就職等が決定した生徒などについて、弾力的な対応を行っている学校が二校増え、十九校になっております。また、多度津高校においては、三年生に原付免許の取得を許可し、取得者に交通規則や運転技術に関する指導を行っています。
県教育委員会といたしましては、生徒の運転免許の取得について、アンケートを行ったり、PTA総会や学校評議員会で議論したりするなどして、生徒や保護者の意向の把握に努めるよう、各学校に働きかけてまいりたいと考えています。
また、運転免許の取得の有無にかかわらず、高校生に対する運転者教育が重要であると考えています。県教育委員会では、昨年度、県内の全ての高校に自動車運転をする者の責任の重さを学ぶDVDを配布し、その視聴による交通安全教育を実施するとともに、自転車運転免許制度を推進することで、交通ルールの遵守やマナーの向上など、将来、自動車等を運転することを念頭に置いた交通安全意識の醸成に取り組んでおります。
今後とも、自他の生命を尊重する態度の育成という視点を重視した交通安全教育に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、県立高校の校則についてであります。
校則は、学校がその教育目的を実現していく過程において、生徒が遵守すべき学習上、生活上の規律であり、生徒が健全な学校生活を営み、よりよく成長していくための行動の指針として、各学校長が定めるものであります。学校教育において、社会規範の遵守について適切な指導を行うことは重要なことであり、そうした点からも校則は教育的意義を有していると考えております。
議員御指摘の頭髪につきましても、過度になった場合には風紀の乱れにつながることがあるため、集団生活における一定の規律を保持するために定めているものと考えております。また、校則に基づき指導する場合も、生徒の内面的な自覚を促し、生徒が主体的・自律的に行動することができるようになっていくことが重要であります。
各校の校則については、その記載内容で分かりにくいものや時代にそぐわないものも一部残っていたことから、これまでに、校長会や生徒指導主事研修会等において、校則について見直しを行うよう指導してまいりました。今回、改めて全ての学校から校則を取り寄せ、二年前のものと比べてみると、県立高校二十九校中二十七校において、校則の改正が行われておりました。
各学校では、生徒総会やPTA総会、学校評議員会などにおいて、生徒や保護者等の意見が反映できる機会を設けているところであり、最終的には校長の権限で校則を見直しております。また、今後、ホームページへの公開も検討してまいりたいと考えています。
県教育委員会といたしましては、今後とも、各学校において、生徒や保護者等の意見を聞きながら、校則の適切な運用がなされるよう指導してまいります。
次に、少人数学級の拡大についてであります。
少人数学級の実施については、小学校では来年度から全学年で導入し、中学校については、段階的に来年度は現在の一年生に加え、二年生まで対象を広げたいと考えております。これは、本県における有識者会議の提言を踏まえ、
新型コロナウイルス感染拡大や教育のICT化の進展など、児童・生徒を取り巻く環境の急激な変化に対応するとともに、「個に応じたきめ細かな指導」と「個を生かす協働的な学び」の充実を図るために実施するものであります。
小・中学校の全学年での三十五人学級については、県教育委員会といたしましても早期に実現したいと考えておりますが、その実施時期については、学習指導面の効果等も踏まえ、今後検討してまいります。
少人数学級のより一層の拡充に当たりましては、国の教職員定数の抜本的な見直しや、それに伴う財源措置が必要であり、一定期間をかけて計画的に進めていくものであるため、県教育委員会といたしましては、今後とも、国の動向を注視してまいりたいと考えております。
また、教室不足解消など環境整備に多額の経費も必要となることから、こうした財源については、国に対して要望する必要があると考えております。
少人数学級の実施は、学級担任の業務負担を軽減し、教員がゆとりを持って教育活動の充実を図ることにつながるものと考えており、県教育委員会といたしましては、今後とも教員の働き方改革を推進するとともに、日々充実感を持って子供たちの成長に寄り添う教員の姿を本県の魅力として広くアピールし、意欲と熱意を持った優秀な人材の確保に努めてまいりたいと考えております。
次に、教職員の一年単位の変形労働時間制についてであります。
昨年七月、本制度の詳細を定めた国の省令が公布されたのを受け、県教育委員会では、市町教育委員会、校長、現場の教員から意見を聴取した上で検討を重ねてまいりましたが、本制度は学校における働き方改革を進めるための一つの選択肢になり得るものであり、本制度を活用したい学校がいつでも活用できるよう制度を用意しておく必要があること、また、市町教育委員会が小・中学校に導入する場合にも県の条例を整備しておく必要があることから、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律、いわゆる改正給特法が本年四月一日から施行されることを踏まえ、今定例会に条例改正を提案いたしました。
なお、今年度中に条例の整備を行った、または整備しようとしている都道府県及び政令市は、本県を含め十自治体と承知しております。
本制度については、国からも制度の周知を行うよう通知されていることから、教員向けの情報提供を行うとともに、教員が自らの働き方改革について考えるきっかけとなるよう、公立学校の教員に説明資料を配付しました。県立学校においては、職員会議や朝礼で取り上げられたと聞いており、多くの教員の間で本制度の趣旨や効果等の理解が深まったものと考えております。
本制度の導入による様々な懸念については、国会審議等でも指摘されており、国の省令が定める導入の前提条件を確実に遵守することなどで対応できるものと考えております。
本制度は、単に導入することで日々の教員の業務や勤務時間を縮減するものではありませんが、客観的な勤務時間管理の徹底、業務の役割分担・明確化など、他の施策と相まって、休日のまとめ取りをしやすくするものであり、業務量に応じて勤務時間にめり張りをつけることは、学校における働き方改革につながるものであると考えております。(降壇)
◯副議長(十河 直君)松田選挙管理委員会委員長代理。
(選挙管理委員会委員長代理松田清宏君登壇)
◯選挙管理委員会委員長代理(松田清宏君)高田議員の大学生における不在者投票についての御質問にお答えいたします。
不在者投票につきましては、選挙期間中に選挙人名簿登録地以外の市区町村に滞在している方が当該滞在先の市区町村で投票するものであり、学生や政治家の別を問わず利用され得るものであります。
一方で、通常の投票と不在者投票の別を問わず、投票のためには選挙人名簿に登録されることが必要であり、選挙人名簿の登録には、登録される市区町村に住所があることが必要となります。住所の認定に当たりましては、客観的居住の事実を基礎とし、これに当該居住者の主観的居住意思を総合して各市区町村において個別に決定されるものとされております。
この決定の判断について、学生の住所については、国の通知において、特段の事情のある場合を除き、居住する寮、下宿等の所在地にあるとされておりますが、政治家の住所に係る考え方については、特に言及した国の通知はないと承知をしております。
また、議員御指摘の各自治体により判断が異なる点につきましては、居住実態調査の手法も含め、市区町村に委ねられていることから、不在者投票時に居住実態を確認しないことが直ちに問題であるとまでは言えませんが、居住実態に関係なく不在者投票を認めることは適切ではないと考えており、このことについては国も同じ見解であることを確認しております。
いずれにいたしましても、県選挙管理委員会といたしましては、知事部局と連携しながら、県内各市町に対して適切に住所認定をしていただくようお願いをしてまいります。(降壇)
◯副議長(十河 直君)一般質問を続行いたします。
岡野朱里子さん。
(岡野朱里子君登壇、拍手)
◯岡野朱里子君 お許しをいただきまして、一般質問をさせていただきます。
まず最初に、瀬戸内国際芸術祭におけるキャッシュレス化とデジタル化の推進についてお伺いをします。
来年開催される瀬戸内国際芸術祭の開幕まで、およそ一年になりました。国内のみならず、国際的にも注目や期待が高まっています。
しかし一方で、昨年から世界中で猛威を振るう
新型コロナウイルスは、まだまだ収束に至っておらず、日本においては、ようやく医療従事者に対するワクチンの優先接種が始まったところです。そのワクチンでさえ、供給の不安定さが報道されていて、来年春までに国民の何割がワクチン接種を完了するのかは不透明です。そして、国際社会に目を転じると、まだまだ感染者の増加が止まらない状況の国もたくさんあります。
さて、私は、昨年九月議会においても、瀬戸内国際芸術祭のキャッシュレス化とデジタル化の推進について質問をいたしました。直近で開催されました瀬戸内国際芸術祭においては、キャッシュレス化とデジタル化が十分ではなかったために、特に外国からのお客様には不便をおかけいたしました。作品を巡るパスポートは紙だけで発行されていましたが、携帯を活用したデジタルパスポートが併用できれば、様々な機能が搭載できるため、活用の幅が広がり、外国人のお客様だけではなく、国内、県内、全ての人の利便性の向上につながり、芸術祭のみならず、地域の価値を上げる取組となると、私は確信をしています。
昨年は、残念なことに、スポーツや音楽、文化など、多くの国内イベントが、
新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止となり、広島、青森、札幌等の国際芸術祭も例外ではありませんでした。そのような中、こんな時期だからこそと強い思いで開催をされた横浜トリエンナーレでは、感染拡大防止に最大限努めることを目的とし、非接触型のデジタルスタンプラリーが採用され、スマートプレートをスマホでタッチするか、QRコードを読み込むことでスタンプが押せる仕組みになっていました。
また、国から、キャッシュレス化対応に対する助成金が小売事業者に出ていたことに加え、都市部であることから、おおむね地域のキャッシュレス化は完了していたとお聞きをしています。もちろん、入場制限を行い、チケットの販売も縮小したため、入場者数は前回のほぼ半数で、経済効果も限定的であったようですが、地域やコロナ禍で力を発揮できないアーティストの皆さんを勇気づけたことは間違いありません。
さて、横浜トリエンナーレは、ちょうど
新型コロナウイルスが蔓延し始めた時期に開催準備をしていたのですが、来年行われる瀬戸内国際芸術祭は、
新型コロナウイルスをにらみながら開催準備ができるわけです。つまり、完全フルスペックの開催を目指す一方で、海外観光客が入国できない場合や、国内移動が制限される場合など、様々なケースを想定することが可能です。瀬戸内国際芸術祭は、国内外から最も注目されている芸術祭の一つですので、新たな時代に即応した芸術祭の提案を行う必要があると私は思います。
そこで、知事にお伺いをいたします。
来年開催される瀬戸内国際芸術祭において、デジタルパスポートをはじめとするデジタル化の推進とキャッシュレス化について、事業者の方々に協力要請することについての御所見と、
新型コロナウイルスの影響により海外アーティストが作品の準備ができない場合や海外観光客が入国できない、さらには国内移動さえ制限をされるなど、様々なケースにおいて対応できるよう、準備や開催のオンライン化についても早急に検討する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
次に、県立公園などの利活用についてお伺いをいたします。
私は、以前から、香川県の所有する県立公園においてPark─PFIを取り入れてはどうかという議論をしてまいりました。Park─PFIとは、平成二十九年の都市公園法改正により新たに設けられた、飲食店、売店などの公園利用者の利便性の向上に資する公募対象公園施設の設置と、当該施設から生ずる収益を活用して、周辺の園路や広場などの一般の公園利用者が利用できる特定公園施設の整備・改修などを一体的に行う者を公募により選定する公募設置管理制度のことです。
これまでも設置管理許可制度があり、地方公共団体が自ら設置することが困難なもの及び当該公園の機能の増進に資すると認められた場合は、地域住民団体等の多様な主体が、より主体的に自らの判断に基づき都市公園の整備や管理を行うことができたため、全国の都市公園で、六百一の飲食店が設置管理許可を活用してきました。このように、これまでも民間資金の活用が可能とはなっていましたが、平成二十九年の法改正で、建蔽率や許可期間などが改正され、より柔軟で長期的視野に立った運営が可能となりました。
また、より詳しく、これまでのPFIとPark─PFIを比較すると、PFIは、PFI法に基づき民間資金などを活用した公共施設整備による低廉・良好なサービス提供を目的としていて、民間による効率的な整備によるコスト削減を主眼に置いています。一方で、Park─PFIは、都市公園法に基づき、民間資金などを活用し、何より公園利用者の利便性の向上、そして公園管理者の財政負担の軽減を目的とし、結果的に、公園の持つ価値を上げることにより、公共コスト削減が唯一の目的ではなく、価値による収益増を目指すものです。
平成二十九年度に法改正があることを事前に察知し取り組んでいた自治体は、即座にPark─PFIを活用し、公園の改革に乗り出しました。当時の報道によると、二百自治体に及ぶ地域で、Park─PFIを活用した公園や活用予定の公園があるとのことでした。
また、管理運営手法の見直しには、サウンディング調査が必要とも指摘がされています。サウンディング調査とは、事業発案段階や事業化段階において、事業内容や事業スキームなどに関して直接の対話を行い、行政が民間事業者の意見や新たな提案の把握などを行うことで、対象事業の検討を進展させるための情報収集を目的とする手法です。また、対象事業者の検討段階で、広く事業者に情報提供することにより、当該事業への民間事業者の参入意欲の向上が期待できます。そして、サウンディング調査をすることで、民間投資を呼び込める競争力のある公園と、それ以外、つまりはPark─PFIに適しない、別の管理手法を選択しなければいけない公園とをさび分けすることができるという利点もあります。
また、今月二日には、自然公園法の一部を改正する法律案が閣議決定されました。法律案の概要は、地域主体の自然体験アクティビティー促進の法制化と手続の簡素化及び地域主体の利用拠点整備の法制化と手続の簡素化です。つまり、これまで行ってきた自然公園の保護に力を傾注することに加え、それ以上に、利用面での施策を強化し、保護と利用の好循環を実現しようとするものです。つまり、国立公園も改革の途にあります。
さて、現在、本県におきましては、多くの県有公園で指定管理者制度の導入等に関する基本方針を定め、指定管理者制度を導入しています。しかし、度々指摘がされているように、最近では募集状況が硬直化していたり、競争が働いていない状況が見られます。現在の指定管理者制度も見直す時期が来ているかもしれません。
また、今議会の代表質問において、知事から、高松市などとPPPやPFI事業に対する意識の醸成や基礎知識の習得、情報交換等を目的とする地域プラットフォームの形成にも取り組むなど、指定管理者制度以外の管理手法について研究し、様々な角度から施設の維持管理や運営等の研究を行い、より一層、県有施設の適正管理に取り組んでまいりますとの御答弁もありました。
高松市でも、市有公園においてPark─PFIを導入するため、昨年、サウンディング調査が行われ、提示した六公園のうち四公園で導入準備が進められていて、来年度、引き続き検討が行われると聞いています。
付け加えますと、現在骨子案が出されている香川県次期みどりの基本計画の中でも、自然公園、都市公園、森林公園の整備管理は重要な課題となっているところです。
地方財政が厳しくなる中で、また、地方の暮らしをより豊かにすることに価値が求められている現在社会の中で、県が保有する公園を、これまでの管理費の軽減により、県の財政負担をどう減らすかの検討対象とすることから、民間活力と資金の投入により、今まで以上に魅力的で、県民や県を訪れる方に楽しんでいただける施設にし、そしてその結果、稼げる施設とすることは大切な議論だと思います。なぜなら、維持管理をするのも、県民の大切な税金が投入されているからです。
改めて、知事にお伺いをいたします。
現在の国の方針やほかの自治体の取組を見ると、香川県におきましても、Park─PFIによる新たな管理手法及びサウンディング調査について取り組む時期が来ていると考えますが、お考えをお聞かせください。
次に、高齢者虐待の中でも、自宅で暮らす高齢者を世話している家族、親族、同居人などによる高齢者虐待についてお伺いをいたします。
令和元年度、高齢者を世話している家族、親族、同居人などによる高齢者虐待について、香川県内の市町で受け付けた相談・通報は二百九件、そのうち虐待と判断された件数は百十三件にも上ります。一方で、養介護施設従事者による高齢者虐待の相談・通報は二十六件、うち、虐待と判断したのは四件で、家庭内での虐待が非常に多いことが読み取れます。
そして、被虐待高齢者の要介護認定はというと、認定済みのケース六五・三%のうち、要介護四及び要介護五の認定を受けている、つまり介護がかなり負担になると思われる方の割合は二〇・八%にすぎず、介護度の低い、もしくは要支援の方、そして認定を受けていない方など、体の自由が利き、意識もはっきりしている方が虐待を受けている実態があることが分かります。
虐待者との同居・別居の状況は、被虐待高齢者の八五・六%は虐待者と同居していて、そのうち、虐待者のみと同居している被虐待高齢者は四三・二%に上り、高齢者の多くが逃げ場がない状態です。
これまでは県の調査結果ですが、次に、国の調査結果によりますと、被虐待高齢者のうち、未婚の子供と同居しているケースが三五・七%、配偶者と離別もしくは死別した子供と同居しているケースが一二・九%、つまりは、高齢子供と同居しているケースが約半数近くにも上り、中高年のひきこもり、いわゆる八〇五〇問題も頭をよぎります。
同じく国の調査では、虐待の発生要因として、虐待者の「性格や人格(に基づく言動)」が五四・二%、被虐待者の「認知症の症状」が五三・四%、虐待者の「介護疲れ・ストレス」が四八・三%、「被虐待者との虐待発生までの人間関係」が四四・四%、虐待者の「精神状態が安定していない」が四三・三%、虐待者の「理解力の不足や低下」が四一・六%、虐待者の「知識や情報の不足」が三九・九%。この数字からは、高齢者虐待は、介護者が介護の中でどうにもならない行き詰まりを感じていること以外にも、虐待をする本人の抱える課題、家族の機能不全、そして家族が丸ごと社会から孤立しているなど、ほかの要因があることも推察されます。
また、本県の調査によりますと、虐待者と被虐待高齢者に対する対応について、「分離した」ケースが三六・三%と高く、中でも、「やむを得ない事由等による措置」、また、「緊急一時保護」など、つまり公的財政措置を伴うものがそれぞれ二二・七%、一二・一%と高く、虐待や生活環境の厳しさが深刻であることが確認できます。また、在宅の高齢者に対する虐待対応では、虐待をなくすということ以外に、様々な福祉的介入と部署横断的対応が必要になり、対応の経験値の積み上げや、県内での情報共有と連携が求められていることが分かります。
さて、介護サービスなどで第三者の目が入る状況にあることは、虐待の抑止や早期発見と適切な介入に欠かせないわけですが、昨年から続くコロナの影響により、介護保険サービスの利用控えや医療機関の受診控えが発生していることを、私は大変憂慮しています。加えて、虐待する者が不安定な雇用にあったりすることで、経済的困窮が進んでいるかもしれませんし、虐待する者が、仕事を含め、社会参加の機会がぐっと減っていることで、家庭の密室化が加速し、介護の負担感や鬱々した鬱積感情が増大する可能性が高いと考えます。
そこで、国では、各都道府県に対して、最初に令和二年四月二十八日付で、事務連絡「
新型コロナウイルスの感染拡大時における高齢者虐待への対応について」を出しました。そしてその後、コロナの長期化により、さらなる注意が必要ということで、令和三年一月十三日に再び、「再徹底」という言葉を付け加え、都道府県に対し事務連絡を行いました。そこには、管内の市町村に周知徹底を図るとともに、高齢者権利擁護等推進事業等も活用しながら必要な支援をお願いしますという事務連絡でした。
送られた事務連絡の具体的な指示から見ると、最前線は市や町ですが、県はしっかり扇の要となって機能してくださいね、そして県はこれまで以上に踏み込んだ役割を果たしてくださいねという読み取りができます。
さて、国は、毎年、高齢者虐待防止法に基づく対応状況等に関する調査を実施し、都道府県と市町村に対してそれぞれ回答を求めています。その本県の回答によると、おおむね全ての高齢者権利擁護等推進事業において実施しているとの回答にはなっていますが、その内容を見ると、市町村へのネットワーク構築等の支援であったり、養護者による虐待につながる可能性のある困難事例での専門職の派遣などは、十分でないように見受けられます。
また、県内の市や町の回答では、全十七項目中、一項目を除く十六項目において未実施の自治体があり、その部分に対し、県が働きかけ支援をする必要があると考えられます。
そこで、知事にお伺いをいたします。
まず、在宅の高齢者虐待の発生件数と、深刻度の高い案件が多い状況を受けての率直な御所見と、その背景にある課題についてのお考えをお聞かせください。
そして、厚生労働省からの二度にわたる事務連絡の中で、本県では、在宅の高齢者虐待に対し、どのような取組を行い、対応を深化させたのか。最後に、高齢者権利擁護等推進事業をより活用し、市町村に対する支援を充実させることで、市町村における虐待防止法に基づく対応状況の改善につなげるべきだと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
最後に、小児慢性疾患などで長期療養をしている小・中学生及び高校生の学習環境整備についてお伺いをいたします。
今月五日、国立がん研究センターは、小児がんの診断時に就学していた患者の九割近くが、治療のために転校や休学、退学を余儀なくされたとの調査結果を公表したところです。特に、義務教育を終えた高校生については、院内学級の設置が進んでおらず、長期療養中の高校生の教育機会の保障と充実が課題となっているとありました。
さて、私たち県政会では、先月、難病学生患者を支援する会の方々を講師にお招きし、「香川県における小児慢性疾患等で入院中の高校生の教育機会の保障と充実に向けて」という内容の勉強会を開催しました。御講演によりますと、実際に小児がんで長期入院を余儀なくされた大阪の高校生が、学びたい、そして大学へ進学したいという強い思いから、病気であっても高校生として学ぶ権利を保障してほしいと訴え、当時の大阪市長に手紙を書いたことから、この運動が全国各地で同様の悩みを抱える御本人とその御家族に広がり、長い年月をかけて、現在、各自治体で取組が進められているところです。
その高校生は、強い思いが届き、別室でセンター試験を受けることができたのですが、受験直後、昏睡状態になり、命を落とされました。しかし、その後、御両親が、亡くなった息子さんの思いを受け継ぎ、後に続く子供たちが同じ壁にぶつかることのないように活動を続けておられ、また、同じ思いをされた全国の御家族が、息子さん、娘さんを亡くされた後も、ほかの誰かのために活動を続けていらっしゃいます。
同じ子供を持つ親として、私自身がそれができるかといったら自信がありません。命をかけた大切な願いをつなぐ、この尊い活動を全力で支援し、本県でも、学びたい意思のある子供たちが一人も取り残されることのないような仕組みを定着させていかなければなりません。
先ほど申し上げたように、難病を抱える当事者の方やその御家族の働きかけにより、県独自で取組を始めた自治体もありますが、二〇一八年度から毎年、文部科学省が、高等学校段階における入院児童生徒に対する教育保障体制整備事業を開始したことで、多くの自治体で実証実験が始まりました。
ただ、その教育保障の考え方や、あり方は自治体ごとに違っていて、例えば、福島県や滋賀県のように、自身が在籍する高校から県立高等学校の通信制教育課程に学籍を異動しなければいけないタイプ、また、群馬県や沖縄県では、自身の在籍する高校から特別支援学校高等部に学籍を移動させなければいけないタイプ。大阪府や神奈川県のように、学籍は移動しなくてもよく、教育委員会が教諭もしくは非常勤講師を病院に派遣するタイプ。京都市や広島県のように、学籍は移動せず、在籍校がICTを活用し遠隔授業を行うタイプ。また、宮城県のように、学籍は移動せず、そして非常勤講師等の病室への派遣とICTを活用した遠隔授業を併用するハイブリッドタイプなどがあります。
実際に長期入院経験のある高校生や元高校生によるアンケート結果では、対面型授業とICTの活用による遠隔授業のどちらも必要との回答が多く、多くの方が、課外授業や仲間との関わり合いの機会を確保すること、そして社会とつながっていることを実感したいと思っているということが確認できました。
したがって、もちろん我々が目指すところは、学籍移転をすることなく、教諭などの病室への派遣による対面型授業の実施とICT活用による遠隔授業の併用タイプです。なおかつ、学校の仲間とのつながりを感じながら、より前向きな気持ちになってもらえることも必要不可欠です。
さて、幾つかの自治体において、入院中の高校生に対し遠隔授業が進んできた背景には、文部科学省の要件緩和があります。高等学校においては、平成二十七年四月から遠隔授業が可能となりましたが、遠隔授業を行う際には受信側に教員の配置が必要でしたが、それが令和元年十一月には、病気療養の場合は受信側に教員の配置が必要なくなり、続いて翌年、遠隔授業が認められる単位数が最大三十六単位であったのが、病気療養の場合には、その上限が廃止されました。そして、本年三月、対面による授業の必要時間が緩和され、より学びやすく、そして進級・進学がしやすい環境が整ってまいりました。
さて、香川県の状況はというと、つい先月まで、院内学級高等部が設置されているのは四国こどもとおとなの医療センターのみで、院内学級を利用する場合は善通寺養護学校高等部に学籍を移動する必要がありました。しかし、教育委員会が全県調査を行ってくださったところ、既に本年一月末から、県内の公立高校に在籍する長期入院中の生徒の方が、病院に入院しながら在籍する高校の先生からICTを活用した遠隔授業を受けているという実態が分かりました。大変大きな一歩だと思います。これを特例とするのではなく、新たな前例として捉え、その仕組みをますますブラッシュアップしていってもらいたいと思います。
私は、当該高校生と意見交換をする機会がありました。闘病生活は大変苛酷な状況であるようですが、それでも、まずは学校を替わることなく遠隔授業が受けられていることにとても喜んでおられました。
一方で、幾つかの御提案をいただきました。最大限、この御提案をフォロー、実現できるよう取り組みたいと思います。
また、冒頭お話しした勉強会の中で、高校入試における特別措置について、情報が県内公立中学や教育委員会などで共有されていないのではないかとの御指摘もいただきました。この特別措置は、高校入試の際に、自宅や病院で療養を余儀なくされている生徒に対し、状況に応じた受験対応を可能にすることですが、この特別措置についての学校側からの情報提供がなかったために、公立高校の受験を諦めたり、高校浪人を選択した生徒の方が本県にいらっしゃるそうです。
さて、県内で病気療養中の小・中学生に対しては、複数の院内学級が設置されています。しかしながら、公立高校では、現在、GIGAスクール構想においてICT化が進んでいますが、病気療養中の小・中学生はその対象にありません。
最後に、県内の主要な病院の病室のWi─Fi環境を調べましたところ、整備されているのは残念ながら三豊総合病院だけでした。入院中の生徒の皆さんにICTを活用した遠隔授業を行うためには、Wi─Fi環境は設置が必須です。
そこで、お伺いいたします。
長期療養中の高校生に対する学習環境の提供体制は少しずつ整ってきていますが、今回の高校生の事例をどのように今後に生かすのか、教育長にお伺いします。
また、今なお、その評価の在り方や、進級及び進学に不安を感じる生徒への情報提供、あくまでも生徒は対面での授業や関わりも必要としていること、さらには、職業高校に在籍する生徒の場合の対応、そして、病室内のWi─Fi環境の未整備など、課題は残っています。これらの課題に対し、県教委としてどのように支援体制の整備や啓発推進を行っていくのか、お聞かせください。
次に、高校入試における特別措置について、取扱いの在り方が問われています。今後、どのようになされるのか、お聞かせください。
最後に、小・中学校の院内学級の在り方も、時代に合わせて変えていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
これをもちまして一般質問を終わらせていただきます。(拍手、降壇)
◯副議長(十河 直君)理事者の答弁を求めます。
浜田知事。
(知事浜田恵造君登壇)
◯知事(浜田恵造君)岡野議員の御質問にお答えいたします。
まず、瀬戸内国際芸術祭におけるキャッシュレス化とデジタル化の推進についてであります。
次回の瀬戸内国際芸術祭二〇二二に向けまして、昨年七月に策定した取組方針に沿って、アートプロジェクトの展開や来場者の受入れ環境の整備など、準備を鋭意進めているところであります。
次回芸術祭においては、アーティストやサポーター、来場者が実際に会場を訪れ、地域の方々と交流し、地域を元気にしていくというこれまでの基本的方向性を堅持しつつ、当面は続くと考えられるコロナ禍の中で、安全・安心、そして快適に芸術祭を楽しんでいただけるよう、デジタル技術の活用やキャッシュレス化を進めていくことも重要であると認識しております。
その具体的な取組として、来場者の利便性の向上や作品受付等での接触機会の低減を図るため、作品鑑賞パスポートをデジタル化することとし、今月三十日に開催する実行委員会総会にお諮りしたいと考えております。
また、キャッシュレス化につきましては、公式ショップ等での対応を拡充するとともに、会場となる島の事業者等に対し、地元市町等を通じるなどして、その利便性や必要性について周知してまいります。
さらに、海外アーティスト等によるリモートでの作品制作や来場者との交流をはじめ、アーティストの自由な発想によるICTを活用した作品展開、来場を見合わせる国内外の方々への発信の在り方なども検討してまいります。
私といたしましては、来年四月の開幕に向けて、デジタル技術も活用しながら、また、
新型コロナウイルス感染症の動向を踏まえた柔軟な対応に意を用いながら、着実に準備を進め、多くの方々に瀬戸内国際芸術祭二〇二二を楽しんでいただき、地域の活性化や本県のイメージアップにつなげてまいりたいと考えております。
次は、県立公園の利活用についてであります。
公募設置管理制度、いわゆるPark─PFIは、都市公園において飲食店や売店等の施設の設置または管理を行う民間事業者を公募により選定し、施設から得られる収益を園路や広場等の施設の整備等に還元することを条件に、事業者に建蔽率の緩和等の特例措置がインセンティブとして適用される制度であり、昨年七月時点で全国の四十八公園において活用され、このうち十六の公園で公募対象施設がオープンしていると承知しております。
また、国のガイドラインでは、Park─PFIの導入検討に当たっては、民間事業者から必要となる意見を収集するサウンディング調査を実施することが望ましいとされております。
都市公園を含む県立公園につきましては、議員御指摘のとおり、その多くを指定管理者制度により管理・運営しているところであり、指定管理者の選定に当たっては、効率的な管理によるコスト縮減の観点だけではなく、利用者へのサービスの向上や、利用者増に向けた提案等も評価するなど、施設の活性化につながるよう努めているところであります。
一方、県立公園の魅力を高め、その活性化を図ることは重要であることから、議員御提案のPark─PFIをはじめとした管理・運営手法やサウンディング調査について、まずは先行自治体での事例を収集し、導入や実施に当たっての課題等を整理するなど、県立公園の適正な管理や、より一層の活用方策について研究してまいりたいと考えております。
次に、高齢者虐待についてであります。
昨年度に、各市町により虐待と判断された事例のうち、家族等によるものは百十三件で前年度に比べ三件減少しており、その内容は、身体的虐待が最も多いことや、虐待者としては息子が最も多いことなど、全国と同様の傾向にあります。
虐待の背景には、家庭内での人間関係や、介護者のストレスの増加など様々な要因が考えられ、虐待の件数自体は近年減少傾向にありますが、表面化していないものもあると想定され、楽観できる状況ではないと考えております。
県では、これまで高齢者虐待対応に当たる市町を支援するため、高齢者権利擁護等推進事業を活用して、担当職員の対応力強化のための研修の実施や困難な事例についての相談窓口の設置、事例検討・情報の共有などの支援を行ってまいりました。
次に、国の事務連絡を受けての対応につきましては、
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、高齢者虐待の発生、深刻化を防止する観点から、各市町に対し、高齢者虐待の相談窓口である地域包括支援センターについて、日中のみならず夜間の相談体制も整備することなど、対応の強化を働きかけたところであります。
今後、各市町の高齢者虐待の担当者を集めた虐待対応実務者会議などの機会を通じて、地域包括支援センターを中心に民生委員や介護施設、警察署などで構成する虐待防止ネットワークを全ての市町で構築することなど、各市町における体制整備がさらに進むよう働きかけてまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、各市町や関係機関と連携し、高齢者虐待を防止するとともに、発見時により迅速な対応ができる体制整備が図られるよう、積極的に取り組んでまいります。(降壇)
◯副議長(十河 直君)工代教育長。
(教育長工代祐司君登壇)
◯教育長(工代祐司君)岡野議員の小児慢性疾患等で長期療養をしている小・中学生及び高校生の学習環境整備についての御質問にお答えいたします。
昨今のICT化の進展や遠隔授業の要件の緩和により、入院中の生徒に対する遠隔授業が可能となりました。本県でもICTを活用した学習支援を行っている学校があり、教育委員会といたしましては、このような事例から課題等を洗い出し、生徒にとってどのような支援ができるのかについて検討してまいります。
議員御指摘のとおり、評価の在り方や職業高校への対応をはじめ、多くの課題が予想されますが、担任等が生徒・保護者と丁寧に連絡を取り、その心情に寄り添いながら、学科の特徴や教科に応じた学習方法を工夫したり、教員が定期的に病室を訪問し授業等を行ったり、校長が遠隔授業の学習状況等を総合的に判断して単位認定を行ったりするなど、各校で適切に対応できるよう、支援方法について校長会等で情報共有してまいります。
また、モバイルルーター等の貸出しや必要に応じて非常勤講師等を配置するなどの支援体制についても検討するほか、中学校に対する入試細目説明会等の機会を通じて、公立高校入試における病院内での受検事例や、入学後の遠隔授業等の支援の内容についても周知してまいります。
小・中学校の院内学級においては、現在、子供の病状や日ごとに変わる体調に応じて、担当の教員が寄り添い、学習を支援しております。一人一台端末の導入により、転入前の学校と院内学級をオンラインでつなぎ、友達と交流を図るなど、今後は様々な支援の在り方を研究してまいります。
県教育委員会といたしましては、入院中の児童・生徒が、闘病生活の中でも希望を持って日々の学びを継続していけるよう、教育支援の充実に、より一層取り組んでまいります。(降壇)
◯副議長(十河 直君)理事者の答弁は終わりました。
本日の一般質問を終局いたします。
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◯副議長(十河 直君)以上で本日の日程は、終了いたしました。
次会は、三月十七日午前十時本会議を開きます。なお、議事日程は、追って報告いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後二時五十六分散会
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