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  1. 香川県議会 2018-11-01
    平成30年[11月定例会]文教厚生委員会[健康福祉部、病院局] 本文


    取得元: 香川県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-31
    ▼最初のヒットへ(全 0 ヒット) 高城委員長  これより、質疑・質問を開始いたします。 岡野委員  2点、質問いたします。  1点目、不育症への対応についてお伺いをいたします。  不育症は、妊娠はするものの流産を繰り返してしまうという病気でございますが、今年度から新たに相談支援体制を整えるとともに、不育症に対する助成制度が始まりましたが、まずは相談体制相談助成の実績、予算についてお伺いします。 川池子ども政策推進局長  不育症の相談についてでございますが、本県では、平成11年度から不妊相談センターを開設し、専門の医師やカウンセラーが不妊に関するあらゆる相談に応じてまいりました。今年度からは、「香川県不妊・不育症相談センター」として、不妊の相談や治療に加え、流産を繰り返すなどの不育に悩む夫婦へのサポート体制を整えたところでございます。不育症に関する相談の実績につきましては、以前から年に三、四件は不育症に関する相談がございましたが、今年度は、11月末現在で、14件となっております。予算につきましては、平成30年度460万円余を計上いたしております。 岡野委員  460万円の当初予算がありまして、今の執行額を教えてください。 川池子ども政策推進局長  助成制度ですが、県内に住所を有し、医師に不育症治療のためヘパリン療法が必要と診断された方を対象に、1回の妊娠中の治療に要した自己負担額のうち15万円を上限に助成を行うものでございます。助成の実績につきましては、11月末現在で3件、12万円余となっておりますが、ヘパリン療法の一般的な治療期間は、妊娠が判明してから妊娠36週までの約8カ月と長期であり、本事業の申請が治療終了後に行われることから、今後、実績は伸びるものと考えております。 岡野委員  この補助金の性質から、今後、伸びていく可能性もあり、年度をまたがってお金が発生するという可能性もあると思います。相談件数が14件で、昨年からふえたとはいえ、この14件全員が補助金対象になっているということでもないわけですし、上限15万円ということからして、当初予算の460万円の全ての執行をするのは、なかなか難しいのではないかと思っております。  そこで提案なのですが、もともと私が議会で提案させていただきましたが、その際には、検査の段階での補助のお願いをしておりました。検査を医療機関で受けると自費で10万円前後かかると聞いており、その負担をためらうケースもあるという相談を受けました。不育症は、大体三、四回流産を繰り返した方が検査をするということですが、年齢やそれまでの経験値などで、先生がこの人は不育症ではないかとわかったときに提案しても、その金額でためらう人が多いということです。執行が足りないことで減額になると困りますので、不育症の検査も含め、幅広く対象にしていただき、予算が減らないように努力をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 川池子ども政策推進局長  岡野委員の再度の御質問にお答えいたします。  不育症のリスク因子の検査には、子宮形態検査内分泌検査等がございますが、不育症のリスク因子としては、抗リン脂質抗体異常が最も多く、これに対して「ヘパリン療法」が有効であることが明らかとなっております。「ヘパリン療法」は、血液が固まりやすくなる因子が確認された方に対して、ヘパリン製剤を投与し血栓の発生による流産等を予防する治療法でございまして、これについては、保険適用の要件が厳しく、多くが自由診療になることや、長期にわたって自宅での自己注射が必要であるなど患者の負担が大きいことから、本県では、「ヘパリン療法」に必要な経費を対象に助成を行っているところでございます。  検査を助成対象にすることにつきましては、子宮形態異常、甲状腺機能異常などの治療や検査は、不育症以外の疾病として一般的に検査、治療が行われております。また、不育症のリスク因子の有無に関する検査についても、主なものは保険診療の対象であり、経済的負担も限定的なことから現行の制度では助成対象としておりませんが、まずは、今年度開始した「ヘパリン療法」への助成の状況を見きわめてまいりたいと考えております。 岡野委員  不育症に関しては、治療機関も少ないですし、検査がしっかりできる機関も香川県にはまだまだ少ないわけで、その土壌をつくるためにも、不育症の全般的な支援に広げていくことは必要ではないかと思っております。ぜひ御検討いただき、予算が減らないように頑張っていただきたいと思います。  続きまして、児童虐待への対応についてお伺いをいたします。  まず、国、東京都、本県の検証結果が出ましたが、それを踏まえて、どこに一番課題があったのか、今後、どういうところの検討を深めていかなければいけないのか、局長の所見をお伺いします。 川池子ども政策推進局長  まず、本県でかかわりのあったお子さんが亡くなられたことは、大変痛ましく残念であり、改めて心より御冥福をお祈り申し上げます。  検証の結果につきましては、児童相談所では精いっぱい努力して対応していった中で、いろいろな段階で不十分な点が幾つか見られたという御指摘をいただいたものと考えております。中身につきましては、検証報告書にあるとおりですが、リスクアセスメントシートの作成が不十分だったことや、いろいろな段階でのリスク判断がどうだったのかという御指摘があったものと考えております。 岡野委員  今後についてお伺いしたいと思います。その前に、御答弁いただいた中で、私が指摘をする必要はありませんが、香川県に対して随分辛辣な、そして重要な課題が提示されており、今局長が言った言葉では語り尽くせないと私は思います。  もちろんリスクアセスメントシートを書いていなかったことは、初歩的なミスであり、当然あってはならないことですが、もっと本質的なことが改善点として挙げられており、受けとめなければいけないと考えております。今後、どのようにして、どこを注意して、深く検討していこうと思っているのでしょうか。 川池子ども政策推進局長  検証報告でいただいた御指摘については真摯に受けとめております。課題としてはたくさんいただいていると思いますので、一つ一つ早急に着実に対応してまいりたいと考えております。
    岡野委員  具体的な議論をしていきたいと思います。  まず、児童虐待の対応について、結愛ちゃんの事件も勘案しながら御答弁いただきたいと思います。結愛ちゃんの場合は、短期間に2度、一時保護されております。前の当委員会でも申し上げましたが、結愛ちゃんと同じように、複数回、短期間に一時保護されている子供が、昨年、一時保護所対応で33件、児童養護施設や乳児園に一時保護委託をしているケースで40件、合わせて73件の子供たちが再保護をされております。保護された子供の実人数が454人ですので、6人に1人から7人に1人は、一時保護所を行ったり来たりしているという現状がございます。これについてはどう思われますか。 川池子ども政策推進局長  その数字の中には、虐待が再発したケースも含まれていると思いますが、親からのSOSで再度保護を実施したケースも含まれていると認識しております。 岡野委員  親からの不安の訴えによる再入所であったとしても、子供が行ったり来たりしていることに変わりはないわけです。それが子供の心の安定につながるのでしょうか。そのことが子供の愛着障害等、将来にわたる障害を残すことがないのでしょうか。  今回の一時保護解除の判断の甘さは、3カ所から指摘されております。一時保護を解除した後、2度通報があったにもかかわらず、一時保護を検討しておりません。親としては、これで捕まるのではないかと心配して引っ越したわけです。児童相談所が一時保護をもう一度検討していれば、そして一時保護をしている間に措置の検討をしていれば、今回の結果につながらなかったということはあると思います。もう少し慎重に、その判断をしなければいけなかった立場を考えると、今の局長の答弁は不十分だと思います。  この間、一時保護委託を受けている施設5カ所を回り、いろいろと職員の方から話を聞いてきました。一時保護所が満床の場合や、ほかの施設が適切な場合、里親や施設に一時保護を委託するわけですが、その間、児童相談所とのかかわりがなかなかないと聞いております。一時保護中、児童相談所が親にどのような支援をしているのかを疑問に思っている里親や施設は大変多かったところです。どういう判断基準で解除されるのかわからない、一時保護を委託されている施設からの意見が余り反映されていないという意見がありましたが、いかがお考えでしょうか。 川池子ども政策推進局長  一時保護の解除に係る判断基準ということかと思いますが、国の「子ども虐待対応の手引き」によりますと、虐待通告を受けてかかわりを開始した子供の一時保護解除に当たっては、虐待の認知や衝動性のコントロールなど、保護者の課題の達成度のほか、児童相談所等公的機関との良好な相談関係など、家族を支える環境の達成度などについて総合的に評価した上で判断するとされており、これが達成されたと考えた段階で、本県でも関係機関の意見も踏まえて、組織として解除の判断をしていると考えております。 岡野委員  親と児童相談所の良好な関係と虐待とは余り関係ないと思います。親と児童相談所が仲よくなったからといって、子供の虐待リスクが下がるわけではありません。結愛ちゃんも一緒でした。一時保護されている施設や病院から、一時保護解除が適切とは思わないという声があったにもかかわらず、児童相談所は解除をしました。そこがだめだったのではないかと指摘されているのに、今、同じように、児童相談所マニュアルに沿ってやっているとの答弁がありました。マニュアルに沿ってやっているから、おかしいのではないかと言っているのです。 川池子ども政策推進局長  岡野委員の再度の御質問でございます。  判断基準は、従来から手引にのっとっておりますが、検証報告において、要保護児童対策地域協議会での要保護児童としての取り扱いのある子供については、援助方針の決定に係る判断を行うに当たり、その協議会の中での情報共有意見調整役割分担を行うことが改善策として示されております。  県といたしましては、今後、一時保護解除に当たりましては、検証報告も踏まえ、要保護児童対策地域協議会における関係機関との情報共有意見調整役割分担を徹底しますとともに、保護者と子供の状況は事案によって異なりますことから、医師を初め、専門家の意見も幅広く求めるなどして、あらゆるケースを念頭に置いて、的確に判断をしてまいりたいと考えております。 岡野委員  検証結果でも、結愛ちゃんの案件について、香川県児童虐待対応マニュアルにのっとりますと、リスクは最重度、重度、中度、軽度とある3番目の過程の中度であり、児童福祉司指導措置を解除するまで、中度のまま変えなかったのがおかしいのではないかとの指摘がありました。  最重度が何かというと「命の危険」、重度は「今すぐ命の危険はないが、現に子供の健康や成長や発達に重要な影響が生じている」、そして中度は「今は入院を要するほどの外傷や栄養障害はないが、長期に見ると子供の人格形成に重い問題を残すことが危惧されるもの、誰かの援助介入がないと自然経過ではこれ以上の改善が見込めないもの」とあります。これを聞いてどう思いますか。中度であっても、将来にわたって子供に影響が残ります。その子の一時保護を解除していいという判断につながるのでしょうか。 増本子ども家庭課長  岡野委員の中度の判断が、保護の必要がないということにつながるのではないかという御質問でございます。  今回の検証結果の中では、その時点でのけがの程度だけではなく、例えば、虐待が繰り返されているかどうか、あるいは将来にわたって再発の危険がどうかなど、家族の関係性等をしっかりアセスメントした上で、リスクが高いと判断すれば、保護に踏み切るべきであったのではないかという指摘を受けております。児童相談所では、組織として判断しておりますが、ほかの方の意見を十分に踏まえられていなかったのではないかという部分については、改善点の一つとして重く受けとめ、今後は専門家の意見等もお聞きしながら、的確に判断をしてまいりたいと思っております。 岡野委員  「虐待が脳を変える」という本にもありますが、虐待を長期、継続的に受けますといろいろな障害が出てきます。鬱病から始まり、パーソナリティー障害等が出てくることが、科学的に証明されているわけです。そういうことを考えれば、中度だといっても、自然経過ではこれ以上の改善が見込めないとされているわけで、中度が出ている時点で帰してはいけないわけです。その繰り返される虐待をどう防ぐかは、できるだけ親と距離を置き、親の支援をしっかりし、親の養育力をしっかりつけ、そこにもし貧困があれば貧困対策、疾病を持っていたら医療的ケアにつなげるなど、家庭がしっかりとした根を張らせるものになってから、子供を帰すべきだと思います。それができていないのは、人員の問題などがあると思いますが、何が子供の最良の権利なのかということをしっかり踏まえて、対応していただきたいと思います。  また、施設の方が異口同音におっしゃっていたのが、親子分離タイミングが少し遅いのではないかということです。それは今回も指摘されております。特に、児童福祉法第28条の家庭裁判所の承認を得て行う保護者の同意なしの施設入所等措置の手続に係る申し立てについて、それを検討しなかったことがどうなのかという指摘をされております。調べたところ、昨年、全国でその申請をしているのは421件、それとは別に、民法による親権停止親権制限を申請しているのは373件、合わせて800件近く、親権に対する何らかの制限を行政が中心となって家庭裁判所に裁判を起こしております。その中で、都道府県別に調べたところ、香川県は昨年1件でした。同等の規模である自治体においては、10件近い数が申請されております。つまり、司法の介入に対して、とても後ろ向きだったのではないかと、この検証報告にもあり、数字からは明らかにそうだと思いますが、いかがお考えでしょうか。 川池子ども政策推進局長  岡野委員の再度の御質問でございます。  虐待事案親子分離タイミングにつきましては、家族関係の調整と環境調整が必須の課題であり、在宅による支援では、子供の安全・安心が確保できないと考えられる場合に、施設入所または里親委託を選択すると、手引きには示されているところでございます。その必要性につきましては、虐待の程度、保護者と子供の関係性を踏まえたリスク評価、さらに子供、保護者それぞれの意向等を総合的に検討した上で判断をしております。今回、改善策もいただいており、関係者から心配の声が上がるような事案については、市町を初めとする関係機関の意見を十分に踏まえる必要があると考えております。 岡野委員  今、全国で6つの児童相談所常勤弁護士を設置しています。一般職員として弁護士を配置している児童相談所もございます。今回、弁護士や専門家の意見を踏まえた親子分離や一時保護解除措置解除の判断をすべきという指摘をされましたが、児童相談所が弁護士を余り活用できていなかったということだと思います。  弁護士を常勤にする利点ですが、保護者の同意を得ずに保護を行うことは、保護者との間に激しいやりとりが発生するので、職員に不安やためらいが生じます。一時保護が妥当であると、法的なバックアップをする専門家の判断があることで、ちゅうちょなく一時保護を実施できると考え、現場の児童福祉司であるワーカーたちの自信につながればいいという思いもあると、設置した福岡の方が言っております。  以前は、児童福祉司には、保護者の同意を得ない一時保護を実施することで、保護者との関係がつくれず、その後の支援が展開できなくなることを懸念して、保護者との関係を重視するという発想がありました。しかし、弁護士が来てからは、保護者との関係よりも子供の安全確保を優先するという発想となりました。さらに、保護をした後も、保護の要件を満たし続けているのか、次の段階に向けて法的な手続を続けることができるかどうかとの発想が入ることで、何よりも、児童相談所職員が、子供の権利を知らず知らずのうちに制限していたことを反省し、一時保護中の子供の外出や通学などのいろいろな権利を保障することになりました。親との関係を重視する余り、一時保護や措置、司法の介入に後ろ向きになるのでなく、弁護士を有効に活用することで、子供の権利が守られるという発想になったと、弁護士を配置している児童相談所から報告がされております。  今回の事件を契機に、ただ単に弁護士を活用していくということではなく、弁護士の常勤化、弁護士の一般職員化について検討をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。 川池子ども政策推進局長  岡野委員の再度の御質問にお答えいたします。  今後、親子分離の検討を行うに当たりましては、検証報告の内容も踏まえ、個別ケース検討会議を積極的に開催して、関係機関との意見調整を行うほか、医師を初めとして専門家の意見を幅広く求めるなどして、親子分離が必要と判断される場合には、法的な対応も含めて適切に対応してまいりたいと考えております。  なお、委員御指摘の介入につきましては、現在、厚生労働省社会保障審議会のワーキンググループでも、介入の機能強化について議論されているところでございまして、その動向にも注視をしてまいりたいと考えております。 岡野委員  介入と支援を分離しようという話は存じ上げておりますが、結局、それを行うのは児童相談所の職員ですから、職員をバックアップする体制をとらなければいけないというのが私の提案です。  また、里親への委託を進めていこうとしているほか、乳児院は一時保護の満床が続くことが多くなっている傾向にあります。そのため、一時保護委託を里親に依頼しないといけないと聞いております。その際の里親支援が、香川県は少し薄いのではないかと思っております。里親支援員がそれぞれ施設におり、児童相談所も支援を行いますが、十分に機能していないのではないかとの指摘をいただいております。長崎においては、里親支援の特別なセンターをつくり、フォスタリングチームを児童相談所内につくって、みんなで里親を支援しようとしている地域もあると聞いております。今、里親の支援を行う職員が何人いるのか、常勤か非常勤かについてお伺いします。 増本子ども家庭課長  専任の担当職員といたしましては、嘱託職員1名でございます。進行管理を行うスーパーバイザー正規職員も1名いるほか、里親に対する具体的な支援につきましては、地区担当児童福祉司が、それぞれ自分の担当地区里親家庭へのかかわりを持っている状態でございます。 岡野委員  全国平均では常勤と非常勤を合わせて1.5人であることから、嘱託職員1名では体制が弱いと言わざるを得ません。施設委託からどんどん里親へと、里親をふやしていこうという意思が行政、児童相談所にあるということでしたら、里親をしっかり支援する体制を児童相談所内につくっていただきたいと思います。  ここで、どれだけの人数が児童相談所に必要なのかという話になってまいります。児童相談所にお伺いしたときに、職員が心配なく安心して働けて、一人一人の子供に向き合い、家庭に向き合っていくには、あと何人の職員が必要かと聞いてみたところ、現場からはその数は出てきませんでしたが、局長はどれぐらいだとお考えですか。 川池子ども政策推進局長  児童福祉法改正に伴うものではございますが、来年4月に15名の増員を計画しており、その体制で頑張ってまいりたいと考えております。 岡野委員  職員数についてですが、全国の児童相談所に調査した結果、大体2倍から5倍必要と回答しているとの報告がございます。それぐらい、現場は人が足りなくて大変なのです。今回の児童相談所の対応について述べてきましたが、個々の職員が悪いということではなく、職員が思うケアをするほどの時間的余裕がない、そして職員の専門性を高めるための研修に行ったり、学んだりする時間の余裕がないということに尽きると思うのです。  表面的な件数が上がってきていることが問題ではありません。問題の複雑化や、里親がふえるとともに里親とかかわる人数が本当に要りますし、その子たちが家庭復帰した後も、応援を続けていかなければいけません。こういうことを考えたら、本当は、きちんと聞き取りをして、何年計画であと何人必要だと積算をして、来年すぐでなくても、どんな専門性を持った人をふやしていくのか、そういうことを知事に示さないと、現場の声が反映されず、このような事件が繰り返されることになると思います。何回も言いますが、子供が死なないまでも、安定した家庭のないまま成長する子供がふえていくことは、香川県にとってよくないことで、そういう提案を、ぜひ知事にしていくべきと思いますが、いかがでしょうか。 川池子ども政策推進局長  委員の御指摘もごもっともと考えております。今後は、研修の強化に努めるとともに、対応力の強化に努めてまいりたいと考えております。 岡野委員  私は、人数をふやしてほしいから、きちんとした積算をしてほしいとお願いをしております。一人一人の職員の力量が、直接、子供たちに影響するわけです。乳児院の職員は、親に養育力がない虐待ケースも含めて、ゼロ歳から入ってくる子供がおり、親のかわりに子供たちの人生を背負っている、子供たちの人生は私たちにかかっているという覚悟で、子供たちと毎日向き合っていると言っておりました。養育力の弱い親たちの課題も多くあり、親の養育力が上がるまで、しっかりと行政が子供たちを守って、その子たちの将来を考えて、きちんとケアをしていく責任があるということです。乳児院の職員一人一人が、そういう気概で頑張っていることも認識して、支援をしていかなければいけないと思います。  また、一時保護委託のあり方ですが、児童相談所の職員がなかなかふえない中、一時保護所ではなく、施設に委託していこうという流れがあります。検証結果で指摘されたことを踏まえれば、これから一時保護委託子供たちがふえる可能性が大いに考えられます。そうした場合に、施設の方から聞いてびっくりしたのは、一時保護委託の費用が極端に低いということです。1日1,000円幾ら、2,000円に満たない額で子供1人を預かっております。これで万全な態勢が築けるのかと思うのですが、これについてどうお考えでしょうか。 増本子ども家庭課長  一時保護に係る経費につきましては、国の単価に基づき支出をしております。確かに、現状のように、一時保護委託の件数がふえる、委託日数が長くなるという傾向の中で、施設への負担も一定増しているだろうとは思っております。  制度的には、基本は一時保護所で保護をして、それが無理な場合、緊急的に施設へお願いすることを前提とした単価設定のまま、現在まで来ていると思います。単価だけでなく、一時保護のあり方そのもの、一時保護委託も含めて、国において検討が進められているところでございまして、そういうことも踏まえて、県においても何ができるか考えてまいりたいと思っております。 岡野委員  小学生や中学生の子供が一時保護をされた場合、その子供たちはどんなふうに1日を過ごしていると思いますか。 川池子ども政策推進局長  一時保護中は学校へ通えない状況になって、生活する上での制約も多いと考えておりますが、その部分については各施設において、できる範囲でではございますが、可能な場合には在籍校へ送迎するなどしてくださっております。学習面については、一時保護所では嘱託の教員OBや、職員が勉強を見てあげております。一時保護委託している場合も、施設のほうで送迎を行ったりして、適切に対応しているケースが多いと聞いております。 岡野委員  施設によって子供への対応は違います。職員に余裕があるかないか、また、一時保護委託となる子供に日中対応する職員がいないから、早朝、学校に送るという施設もありました。学校に送るマンパワーがないから、施設にはいるが十分に対応はできかねるという施設もありました。やはり一時保護委託のために人員を割けないわけです。きょう来るか、あした来るかわからない一時保護のために、1人の職員を常勤させておくことはなかなか難しい現状があります。先ほど言ったように、一時保護費が1日当たり1,700円、1,800円という場合、子供たちにとっていいケアが一時保護中にできるのかということを、私たちは真剣に考えなければいけないと思います。  一時保護所の場合は、教員OBが配置されていると聞いておりますが、委託の場合はそれがないわけです。委託中の子供たちの状況がどうなのか、もう一回、ちゃんと調査していただいて、その子供たちの勉強や生活が本当に成り立っているのかどうかを確認していただきたいと思います。  これから一時保護所を個室化していくとなりますと、香川県に20床ある一時保護所ですが、減る可能性があるということになり、一時保護委託はふえていくと考えられます。人を充てるための予算をきちんと確保してくれれば、一時保護委託のためにベッドをあけておくし、職員も用意すると、どの施設も言っております。施設は一時保護を受け入れてあげたいと思っておりますが、今の体制ではできないということでした。年間何百人も一時保護委託をしている香川県からすると、施設に対する保障をしっかりとしてあげる必要があると思いますが、いかがでしょうか。 川池子ども政策推進局長  委員御指摘の点はごもっともだと考えており、児童相談所が里親や委託先を探す際には、通学可能であるかなど、子供のニーズ、要望に合わせた委託に努めてまいりたいと考えております。 岡野委員  とにかく予算をつけないことには始まらないということを、しっかりと認識していただきたい。  結愛ちゃんの事件で反省しなければいけないのは、加害者である父親に、十分会うことができていなかったことです。母親も実は父親からDVを受けている被害者でした。だから、母親は父親に対して強くは言えなかった。しかし、行政はそこをすくい取ることができておらず、父親に対する指導が十分でなかったという検証結果になっており、それは県も認めているところです。措置中、一時保護中、そして措置解除後、親に対してどのような支援ができるかをしっかりと考えていかなければいけません。国でも検討中だとは思いますが、児童相談所がいろいろなケアを研究し、多くの冊子にまとめておりますので、香川県でも、ぜひ研究をして取り入れていただきたいと思います。親が本当にたたかなくなったことで帰すわけではありません。子供の将来をともに考えられるようになるところまで養育力を養うことを、これからの行政は担わなくてはいけないと、しっかり認識していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 川池子ども政策推進局長  委員御指摘のように、子供たちがいろいろな場面でつまずくことがないように、子供たち保護者に温かく育ててもらえるように、親も子供もあわせてしっかりと支援をしてまいりたいと考えております。 岡野委員  どの施設、どの里親も、血がつながっていなくても、子供を全力で支え、子供たちが将来どんな家庭を築けるのかを想像しながら頑張りますと言われたことに、私はとても感動しました。そういう方たちに委託することは、何にも後ろめたいことでもなければ、一緒に頑張ることであると、心から思いますし、先ほども言いましたが、子供の権利が最優先です。親との関係の理想を児童相談所が築く余り、保護がおくれたということは二度とあってはいけないと思います。司法の介入に積極的になるために、弁護士の常勤としての必置、頑張ってくれている里親への十分な支援、施設への十分な財政支援、そして何よりもそこにあるのは子供の最善の権利のためだということを、改めて、しっかりと認識していただき、一方で、局長みずからが、どのようなスキルを持つ人たちが児童相談所にあと何人ふえたら、こういう事件が繰り返されないのかということを検証し、知事にしっかりと伝えていただきたいとお願いしまして、質問を終わります。 高木委員  私からは、まず1点目に、県立保健医療大学大学院における看護学専攻博士課程の設置につきまして質問させていただきます。  今議会において、県立保健医療大学大学院に、新たな看護学専攻の博士課程を設置するための所要の改正を行う条例議案が提案されています。来年4月の開講予定と聞いておりますが、博士課程が認可されたことは、大学の実力や魅力の向上につながるということで、また、大学が私の自治会にあることもあり、地元としても大変喜んでいるところでございます。  そこで、新たに設置する看護学専攻の博士課程では、どのようなことを教えるのか、そしてどのような人材を養成されるのか、そして今後のスケジュールについて、まずお答えください。 安藤健康福祉部長  高木委員の県立保健医療大学大学院についてのお尋ねであります。  県立保健医療大学大学院の看護学専攻の博士課程でございますが、平成27年度に当初申請して以来、認可を受けるまでに時間を要しましたが、先月6日付で文部科学大臣より来年4月の開設の認可を受けることができました。この看護学専攻の博士課程は、現在ある2年で定員5人の修士課程を博士課程の前期課程に改め、新たに博士後期課程として修業年限3年、定員は2人の課程を設けようとするものでございます。この新設する博士の後期課程は、優秀な教員を大学みずからが育成していくのが一つ目の目的でございます。もう一つが、看護に関する政策提言やマネジメントができる人材を育成していくのが2つ目の目的でございます。こうした人材を養成することによって、課程の修了後は、大学の教員として、また、医療機関においては看護の管理職や教育担当者として活躍いただくことを期待しているものでございます。  現在の修士課程への進学者も、約9割が社会人選抜という現職の看護師でありますことから、今回設ける博士後期課程についても、主に現職の看護師が進学すると考えております。そうしたことから、仕事を継続しながら学べるようにということで、修業年限を最大6年まで延長できる長期履修制度を設けており、夜間や必要に応じて休日にも授業を行う柔軟なカリキュラムで修学を支援していこうと考えております。  今後のスケジュールでございますが、本定例会において条例の改正案を御審議いただき、御議決をいただきましたら、その後、学生の募集、入試等を実施して、来年4月の開校に向けて準備を進めてまいりたいと考えております。 高木委員  これからの看護について、心療内科というか心療領域というか、この前偶然、京都大学のある教授がハーバードに専門で行くという記事を読んだのですが、この修士課程や博士課程で、その心療的な、精神的な治療などを学ぶのでしょうか。 東医務国保課長  高木委員の再度の御質問でございます。  修士あるいは今後の博士課程の中で、看護の専門領域の中に心療領域があるかにつきましては、確認をさせていただければと思います。 高木委員  なぜこのような質問をするかといいますと、岡野委員の質問を隣で聞いて、その本に書いてあったのですが、ある船員が家に帰ってきたら、子供が2人、お母さんの虐待であざがあったということです。本人は海の仕事なのでやめるわけにはいかない。鈴木秀子さんという先生がいて、どうしたものかと先生に質問すると、先生は「祈るしかないです」ということの中で、本人も考え込んだらしいのですが、心の癒やしを得て、奥さんは病院に行き、お子さんは施設に預けるということで、結局、いい意味での解決ができたとのことです。今後、より複雑な社会になりますので、せっかくの大学院博士課程なので、このようなところもぜひ、取り組んでいただきたいと思います。  また、県内の医療機関において、今後、さらに看護職員を確保し、育成していく上では、組織においてマネジメント力を持つ指導者が必要であるということは理解できますが、県民が県立保健医療大学に求めるのは、大学卒業後、卒業生が県民のために役立ってほしいということではないかと思います。大学卒業後、県内の医療機関で活躍する看護師、保健師、助産師を初めとする医療人材を輩出し、県民の多くの人が県内で働いてほしいと思っていると思うのですが、育成した人材を県内定着につなげる取り組みをさらに考える必要がありますし、博士課程が設置されたことを契機に、博士課程修了者の能力を県内で発揮していただけるように取り組むべきだと思います。  そこで、県立保健医療大学では、平成16年の開学以来、本県の保健医療分野において、どのような医療人材を養成し、県内定着につなげてこられたのか、また、より一層の県内定着に向けて、今後、どのように取り組んでいかれるかについてお答えください。 安藤健康福祉部長  高木委員の再度の御質問でございます。  県内定着への取り組みでございますが、県立保健医療大学では、第1期生が卒業いたしましたのが平成20年3月で、それ以降の11年間で、看護学科と臨床検査学科を合わせて884人が卒業しております。このうち、798人が看護師、保健師、臨床検査技師として就職し、医療人材が輩出されてきているということでございます。また、このうち、県立病院を初めとする県内で就職しましたのが、看護学科では341人、臨床検査学科で99人、合わせて440人で、就職した全体の55.1%という状況でございます。また、一方で、入学者で見ますと、これまでの15年間で、看護学科と臨床検査学科合わせて、1,249人中、県内からの入学者は759人で、入学者全体の60.8%を占めている状況でございます。より一層の県内での就職のためには、県内から入学者をふやす施策が必要だと考えており、県内からの入学者をふやし、県内での就職を支援する施策に取り組んでいるところでございます。  まず、県内からの入学者をふやすために、オープンキャンパスの開催、進学ガイダンスへの教授の派遣、公開講座の開催、新聞などの広報媒体を活用したPRなどに加え、最近では県内の高校を個別に訪問して、入試の受験を勧奨することで、県内の高校生、保護者や進路指導担当教員を中心に、大学の魅力を伝える取り組みをしているところでございます。もう一つ、県内就職を支援する仕組みでは、平成28年度から大学内に就職コーディネーターを置いて、就職相談、県内医療機関とのマッチング支援、新入生全員を対象とした個別面接も行っております。また、今年度は、健康福祉部や病院局が連携して、県内20医療機関との交流会を開催するといった取り組みも始めているところでございます。  こうした取り組みにより、看護学科で見ますと、県内からの入学者の割合が、平成26年度には54.3%でありましたのが、今年度は78.6%と、24.3ポイント増加したということもあり、この方々が今後卒業に向かいますので、県内就職率も向上することが期待されております。  県立保健医療大学の役割といいますのは、県内の医療人材の確保とその質の向上、そして地域の保健医療の充実に貢献することであると認識しており、今後とも、卒業生の県内就職の推進に向けて、有効な新たな施策についても検討して、県内医療機関と連携した取り組みを強化してまいりたいと考えております。 高木委員  本当に努力が結果に出ていると思いましたので、より一層の努力をしていただきたいと思います。  もう一つお聞きしたいのですが、最近、香川大学が東京芝浦工大と提携して、単位の相互交換ができる制度をしたという新聞報道がありましたし、現実に生徒数が減る中で、そのような交流がふえてきていると思います。香川県の保健医療大学は、立地位置も、教室から小豆島が見えて、船が行き交う景観や、ことでんがあり、JRがありという大学は、ほかに恐らくないと思うのです。  今後、保健医療大学も含めて日本全国に大学は結構あると思いますが、そのような単位の互換制度などの取り組みはお考えなのでしょうか。 安藤健康福祉部長  高木委員の再度の御質問でございます。  単位の互換制度につきましては、現在、保健医療大学においては特段取り組みができていないものと理解しておりますが、御指摘もありましたように、香川大学やいろいろな大学において、そのような取り組みが進められていると理解しております。学生にとりまして魅力的な大学になることが一番大事だと思いますので、学生の希望や教員の考え方をお伺いする中で、より魅力のある大学になるように、それに対して単位の交換が有効であるということであれば、取り組んでまいるように、いろいろと助言をしてまいりたいと思っております。 高木委員  香川県は瀬戸内国際芸術祭などで印象がどんどん上がってきておりますので、単位互換で来た学生が、香川県を気に入って香川県に就職してくれれば、より一層香川県民も喜ぶと思いますので、取り組んでいただきたいと思います。  最後に要望ですが、県民の安全・安心な暮らしを守るため、看護師を初めとする医療人材をしっかりと地域で育てて、定着させることが重要だと考えます。世界のどの国も経験したことのない少子高齢化、人口減少社会を迎えようとしている日本や本県において、県立保健医療大学の果たすべき役割は、ますます大きくなると思います。より多くの学生が県内に就職し、活躍していただけるよう、大学の教職員が結束して、健康福祉部、病院局とも連携を図りながら取り組んでいただきたいと思います。  それとともに、この大学は、発足当初から他の大学とどこが違うかといいますと、旧牟礼町は石の産地ということで、3年に1回、トリエンナーレでストーンフェスティバルをしていたのです。そのときは、県が2,000万円、牟礼町が2,000万円、庵治町が2,000万円と、6,000万円の事業で、たしか、県に毎年、1回につき2つか3つずつすばらしい作品が来ておりました。一部は、香川町の空港通り沿いに設置されており、この大学にも結構ありますので、香川県は「魅力ある断トツの文化芸術の力で」とうたっていることもあり、今後、そういうところにも、より一層力を入れて取り組んでいただきたいと思っております。  2点目ですが、介護人材の確保と育成について質問させていただきます。  出生率が都道府県第47位の東京都に若者が集まり、医療介護サービスの能力を超える多数の高齢者がふえつつあるのが東京であり、若者が東京に吸収されるために地方は若者不足で、東京は高齢者がふえ過ぎるために介護職員が不足しつつあるのが日本の現状です。そのような中で、団塊の世代が全員75歳以上になる2025年には、全国で介護職員が約245万人必要となることが予測されていますが、そのとき、約33万7000人の介護職員が不足する恐れがあると推計されております。  この問題は、香川県だけでは無理で、国等とも連携した取り組みが必要と考えますが、具体的に現時点でどのように取り組まれようとしているのでしょうか。また、雇用問題には、今の県内就職も含めてですが、給与の問題もあると思いますが、介護職員の給与水準がどうなっているのかにつきましてもお答えください。 安藤健康福祉部長  高木委員から介護人材の確保ということで、大きく2点の御質問でございます。  1点目につきましては、後ほど長寿社会対策課長から答弁申し上げます。2点目の給与水準について、私から答弁申し上げます。  介護職員の賃金につきましては、介護報酬の中で人件費を加算する「介護職員処遇改善加算」が創設されております。この制度はこれまで2回見直しが行われ、現在、経験や資格等に応じて昇給する制度を導入した場合に、月額3万7000円が上乗せされるなどの改善がされてきたところでございます。こうした取り組みにより、賃金構造基本調査で見ますと、本県の福祉施設介護員の給料月額は、平成27年に21万1400円でありましたのが、28年には24万4800円、29年には25万6300円と着実に増加するなど、一定の改善がなされているところでございます。しかしながら、全産業の29年度の平均給与月額30万2800円と比較しますと、勤務年数の違いなど単純比較はできないものの、4万6500円低いという状況にあります。  このため、本県においては、今年度から「介護職員処遇改善加算の取得促進事業」として、処遇改善加算が未実施の事業所への新規取得や、より高い加算取得に向けて、社会保険労務士を約50事業所に派遣し、個別に助言、指導等を行っているところでございます。  今後とも、こうした取り組みを重ねることにより、介護が必要となる方が適切なサービスを安心して受けることができるよう、介護人材の確保と育成について積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 井下長寿社会対策課長  高木委員の介護人材に関するお尋ねのうち、国などと連携した具体的な取り組み等についてお答えいたします。  まず、介護職員の現状についてでございますが、厚生労働省が「介護サービス施設・事業所調査」により把握いたしました都道府県別介護職員数によりますと、県内の介護職員数は、平成26年度は1万4890人、27年度1万5799人、28年度1万6376人と、着実に増加している状況にございます。しかしながら、委員の御指摘もございましたが、国の資料によれば、本県でも2025年には、介護職員が2,465人不足すると推計されております。現状におきましても、県内の介護サービスの本年10月の有効求人倍率は3.84倍であるなど、全産業が1.66倍ですので、介護分野での人材不足はますます厳しくなっているものと考えております。  こうした中、県では、国が創設いたしました「地域医療介護総合確保基金」を活用し、介護職への新規参入の促進、職員の資質向上、労働環境・処遇の改善を3つの柱といたしまして、さまざまな事業に取り組んでおります。具体的には、新規参入の促進につきましては、介護福祉士を目指す学生に対する修学資金の貸し付けや、新人介護職員を対象といたしました「合同入職式」などを行いますとともに、今年度は、介護福祉士が主人公の映画を活用した授業を県内の小・中学校など8校で実施しているほか、介護未経験者向けの「入門的研修」を6カ所で開催するなど、多様な人材の参入促進を図っているところでございます。また、職員の資質向上につきましては、新人・中堅職員、介護支援相談員、認知症ケアにかかわる職員等への各種研修や、研修を受講する際の代替職員を確保する事業等を実施しております。また、労働環境・処遇の改善につきましては、魅力ある職場づくりのための施設管理者向け研修を実施しておりますほか、介護職員の負担軽減を図るための「介護ロボット」を導入する施設に対する支援や、「介護ロボット実演展示会」の開催等を行っております。  こうした取り組みとともに、今後も、国等との連携が必要であると考えており、ことしの6月には、国に対し、介護職員の安定的確保のための処遇改善に向けた恒久的な支援策などの「施策提案・要望」を行いました。また、この8月には、知事がメンバーである全国知事会の「高齢者認知症対策・介護人材確保プロジェクトチーム」におきまして、介護人材確保対策の抜本強化に向け、「多様な人材確保と人材育成」、「介護従事者の処遇改善」など、大きく4項目について、国に対し提言、要請をしたところでございます。  こうした取り組みに加え、外国人材の活用につきましては、現在、経済連携協定(EPA)の枠組みによる介護福祉士候補者受入施設に対し、費用の一部を支援しているほか、昨年9月に、介護福祉士資格を取得した外国人留学生に対する新たな在留資格である「介護」が設けられたことなどを踏まえ、地域医療介護総合確保基金等を活用した実効性のある取り組みについて早急に検討してまいりたいと考えております。 高木委員  人材不足をカバーするのは、外国人や介護ロボットだと思います。また、力を入れなくても介護できるアシストスーツや、髪を洗う機械などもできていると思います。人のかわりをしていただける機械などの可能な限りの情報提供や、また県だけではお金がもたないので、国とも連携して2025年に向け実効性のある取り組みをしていただきたいと思います。  また、人材不足の中で、島根県の浜田市では、母子世帯に住宅家賃を補助するなどして受け入れ、結構定着しているという新聞報道があったのですが、こういった成功事例を調査研究し、地元の市町と連携して受け入れれば、今本県も非常に困っている空き家対策にもなります。制度として取り組むべきと考えるのですが、お考えをお聞かせください。 安藤健康福祉部長  高木委員の再度の御質問でございます。  御提案のありました「浜田市定住促進のためのシングルペアレント介護人材育成事業」は、市への定住促進と介護人材の確保、ひとり親世帯への支援を目的として、ある意味一石三鳥を目指している事業でございまして、委員御指摘のように空き家対策ということもあれば一石四鳥になるかもしれないのですが、島根県の補助金と国の地方創生推進交付金を活用して、平成27年度から取り組んでいる事業と聞いております。その内容は、受入先となります介護サービス事業所が引っ越し等の支度金として30万円、1年間の研修終了後に引き続き5年就労した場合に奨励金として100万円を支給するほか、市も、1年間の研修期間中に月額3万円の養育支援、家賃月額上限2万円の補助を行うもので、それに加えて、希望する場合は、自動車販売会社から中古車両の無償提供があり、これまでに移住した世帯は14世帯で、現在は7世帯が定住していると聞いております。  県といたしましては、現在、全国知事会のワーキングチームに参加して、全国の効果的な介護人材の確保施策の活用事例を調査・研究しているところであり、その取り組み内容が、県内の市町や介護事業所のニーズに合う優良事例について、今後、浜田市の事例も含め、各市町に情報提供などを行ってまいりたいと考えております。 高木委員  香川県もぜひ積極的に進めていただきたいと思います。  最後に要望なり提言なのですが、岡野委員の話とも関係があるのですが、ことしの10月、偶然見たのですが、名前は忘れましたがフィンランドにいい制度がありました。日本では乳児が家族に殺されるケースが結構ありますが、フィンランドは人口650万人で、そのような子供は1年間に1人いるかいないかくらいとのことです。私も1回だけフィンランドに行ったことがありますが、福祉の先進国で、妊娠三、四カ月になると届け出て、担当の保健師や助産師などいろいろな方がついて、小学校に入学すれば先生もついてなど、幅広く何でも相談できる体制ができているとのことでした。私が提言したいのは、香川県において予算を組んで、意欲ある職員の皆様方をフィンランドに派遣して、いいところ、香川県に生かせるところを学ばせ、県の制度として生かせば、結愛ちゃん事件のような事件も防げると思うのです。9月定例会の本委員会でも言いましたが、私は、9月に北九州市の野口石油に行きました。野口社長は、みずからのガソリンスタンドに強盗に入った若者を出所してきたら受け入れて仕事をさせ、更生させているのです。印象に残ったのは、「どんな大人に出会うかで、その子の人生は変わる」という言葉です。まさにそのとおりだと思います。この世に生を受けた子を幸せに、社会に貢献する一員として育てる責務が私たちにはあると思います。思いのある人をフィンランドに派遣し、帰ってきた職員の皆様方は、ずっと専門家として仲間を育てる体制づくりに頑張っていただき、ぜひ新しい香川型の先進事例をしっかりと構築していただきますことをお願いして、質問を終わらせていただきます。 谷久委員  私からは、2点質問をさせていただきます。  まず、障害者スポーツの推進についてお尋ねをさせていただきます。  東京オリンピック・パラリンピックがだんだん近づいてきていることもあり、障害者スポーツを見る機会もふえてまいりました。ことし9月には、日本パラ陸上競技選手権大会が県内で開かれ、多くの方が観戦され、メディアの取材もあって、たくさんの報道がされたようです。  パラスポーツの競技にはさまざまな種目があり、サッカーや野球やバスケットボールといった団体競技を初め、陸上競技や車いすテニスといった個人競技もあります。  県では、香川県障害者スポーツ大会を毎年開催したり、全国障害者スポーツ大会へ選手を派遣しているほか、選手の強化にも取り組んでいるとお伺いしておりますが、パラリンピックに出場できるレベルの選手は多くはない状況です。
     そこで、まず、現在、障害者スポーツへの支援に、具体的にどのように取り組んでいらっしゃるのか、お尋ねをさせていただきます。 安藤健康福祉部長  谷久委員の障害者スポーツの具体的な取り組みについてのお尋ねでございます。  障害者が身近な地域で日常的にスポーツに取り組むことは、障害者の自立と社会参加の促進につながるとともに、障害者が生き生きと暮らしていくためにも重要なことであると認識しております。こうした認識のもと、県におきましては平成26年度に、障害者団体や競技関係団体、教育・行政機関等で構成する「香川県障害者スポーツ協会」を設立し、障害者がスポーツを楽しむ環境を充実させるとともに、競技スポーツとしての競技力向上を図り、障害者スポーツの振興を推進しているところでございます。  具体的には、毎年9月に、日ごろの練習の成果を存分に発揮する場として、県立丸亀競技場で県障害者スポーツ大会を開催しております。700人以上の選手に参加いただいているほか、かがわ総合リハビリテーション事業団等を通じて、各種の障害者スポーツ大会の開催を支援するなど、障害者の方がスポーツに参加できる機会の確保にも努めております。また、競技力の向上という観点からは、今年度、陸上競技や水泳競技など41選手6団体を強化指定し、強化合宿費や国際大会等への参加費、競技用具の購入費など、選手強化に要する費用を助成するほか、オリンピックメダリストを招き、県内選手の競技技術の向上や、トップアスリートを目指す上での心構えなどについての指導をいただくなど、選手や指導者の強化等事業に取り組んでいるところでございます。 谷久委員  障害者のスポーツを推進していくためには、障害を持っている方が、いつ障害を持ったのかが大事だと思います。例えば、事故や病気で障害を持たれたか、先天的に病気があって障害を持たれたかが重要になってくると思うのです。こういった割合については把握しているのでしょうか。資料がなければ、後で教えていただきたいと思います。  障害者スポーツの推進には、選手への支援が必要だと考えております。先ほどの部長の答弁でもありましたように、香川県では団体を通じて、必要な支援を行っているようで、心強く感じております。だからこそ、先ほど申しました、先天的な障害か、後天的な障害かは重要だと思います。例えば、普通に日常生活を送っていて、何かの事故や病気で足が動かなくなったとなると、自分の今の状態をしっかり把握して新しいものにチャレンジしていく気持ちが必要で、そもそも先天的な障害は、自分の中で障害をかみ砕いて考え、自分から一皮むけていかなくてはいけないと私は思っております。こうした子供たちを支援していくためには二通りのやり方があるのではないかと思っております。  障害のある子供たちについても、県教育委員会が取り組んでいる「スーパー讃岐っ子育成事業」のような、豊かなスポーツの素質を持つ小・中学生を対象にして、将来オリンピック・パラリンピック等の国際舞台で活躍できる選手を育成支援する仕組みが必要だと思いますし、そうした子供の姿を見て、ほかの方々も感化され、頑張りが頑張りを呼んでいくような、物事をいいように引っ張っていく相乗効果があるのではないかと期待できます。  そこで、県として、障害のある子供たちに対してスーパー讃岐っ子育成事業のようなことをやっていくのか、また、どのような方法でやっていくのか、お尋ねをさせていただきます。 安藤健康福祉部長  谷久委員の再度の御質問でございます。  先天的なのか、小さいときからも含めて後天的なのかというお尋ねにつきましては、データを持ち合わせておりませんので、後ほどお伝えしたいと思います。  障害のある子供が、小学校のときに、どのような形でスポーツに親しんでいくかという観点でお答えしたいと思います。  障害のある子供たちがスポーツに取り組む機会といたしましては、体育の授業や部活動が中心となっておりますが、最近では、地域のスポーツクラブにおいて、障害者を含めた活動に取り組む団体が出てきていると承知しております。  こうした中で、県では、障害者スポーツに取り組むきっかけをつくるために、陸上、卓球、車いすテニス、車椅子バスケットボールなど、種目ごとの障害者スポーツ教室等を香川県障害者スポーツ協会等に委託して開催しております。また、市町におきましても、障害者スポーツ体験会を開催しており、こういった場で関心を持った方には、各団体への紹介なども行っているところでございます。  委員からお尋ねの、スーパー讃岐っ子育成事業のような取り組みを障害のある子供たちにも行ったらどうかという御提案でございますが、障害の有無にかかわらず、競技スポーツに取り組む環境を提供することは重要であると考えております。そうしたことから、今後、香川県障害者スポーツ協会、障害者団体、教育委員会等の関係機関と協議して、障害のある子供たちの競技力向上等について、どのような取り組みがいいのか意見を伺って、検討してまいりたいと考えております。  また、毎年、丸亀競技場で開催している香川県障害者スポーツ大会でございますが、参加資格を今は中学生以上としておりますが、今後、小学校高学年から参加できるように、参加資格の年齢の引き下げについて検討を行うとともに、障害者スポーツを体験できる機会にも活用していきたいと考えております。  いずれにいたしましても、東京オリンピック・パラリンピックを契機といたしまして、障害や障害者に対する理解を促進するとともに、本県の障害者スポーツの振興にもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 谷久委員  この話、当初、私は子供たちのことと考えて教育委員会に持っていったのですが、障害のことなので健康福祉部が担当と言われました。先ほどの虐待の話もそうだと思いますが、担当部局がそれぞれ分かれることで、段取りの違いや考え方の違いがあって、タイムラグや抜け落ちてしまうこともあると思います。  私が言いたいのは、スーパー讃岐っ子育成事業のように丸投げで、予算をつければパラリンピックに出場できるような子供が育成できるとお考えなのかということです。  また、スーパー讃岐っ子育成事業は10年前くらいから行い、今やっと網にかかるかかからないかという子供たちが育っているので、このようなことを今からやっても10年後の話となると思います。どんな目標を持って各機関の調整を行ってやっていきたいのか、お尋ねをさせていただきます。 安藤健康福祉部長  谷久委員の再度の御質問でございます。  障害者のスポーツの競技力の向上という観点から、どのように取り組んでいくのがいいのかということについては、今回、部内でもいろいろ検討を行いました。  スーパー讃岐っ子育成事業と同じような事業を、例えば、障害福祉課で障害者を対象に行うのも一つの方策だと思いますが、参加する側から見たときに、逆にあえて分けて行う必要性や参加のしやすさといった論点もあり、障害のある子供においても、普通の小中学校に進んでいるのであれば、スーパー讃岐っ子育成事業とあえて区分して実施するのもどうかと思います。基礎的な訓練ということであれば、一緒にするほうが望ましいのではないかといった観点もあるので、こういったことを含めて考えますと、やはり、香川県障害者スポーツ協会、障害者団体、教育委員会等の関係機関と、どういったやり方がいいのか相談したいという考えから、先ほどのような答弁を申し上げたところでございます。  いずれにいたしましても、参加する方が差別されることなく、一緒な形で競技力向上に臨み、目指すはオリンピックもパラリンピックも同じだと思いますので、それを支援できる形にしていきたいと考えており、丸投げという形ではなく、専門家の力をうまくかりるという形での委託で進めていくのがいいのではないかと考えております。  今後、そういう観点から、それぞれの機関と協議して進めていけるように取り組んでまいりたいと思います。 谷久委員  障害のある子もない子も、その子の頑張りや能力で出口は違ってくるかもしれませんが、機会の均等というのは必要だと思っております。こうしたことをしっかり理解していただいて、子供たちをしっかり育て上げていく事業に取り組んでいただきたいと要望して、この質問を終わります。  次に、県立病院の経営改善に向けた取り組みについてお尋ねをさせていただきます。  先ほど、病院事業管理者から、平成30年度上半期の病院事業会計の収支状況の報告がありました。上半期の収支差は、昨年度に比べて4,800万円余悪化しているが、上半期に受入額が多い一般会計からの負担金や、年度末に一括して支払う退職給付費や減価償却費について、半年分を収入・支出したものとして再計算した収支は、2,700万円余改善するとのことでしたが、なぜこのようになるのか、お尋ねをさせていただきます。 木村病院局長  谷久委員の御質問にお答えいたします。  収入・支出の再計算についてでございますが、先ほど、病院事業管理者から御説明しましたとおり、病院事業会計で発生する収益・費用につきましては、年度末に一括して収入・支出するものや、あるいは特定の月に相当額を収入・支出するものがございます。このため、平成30年度上半期の損益は18億円余の純利益となっておりますが、収支の状況を正確に把握するためには、こうした収益・費用の影響を取り除く必要がございます。具体的に申しますと、影響の大きなものといたしましては一般会計からの負担金がございますが、この一般会計からの負担金は、30年度当初予算額で申しますと約28億円ございます。この28億円のうち、上半期で既に20億円収入しておりまして、本来でありますと28億円の半年分の14億円ですが、20億円入ってきているということで、その差額である6億円分損益がよくなっております。ですから、上半期の収益からのマイナス6億円が、参考としてお示しした30年度の調整後の損益に反映されているということになります。  前年度の平成29年度も同様に、負担金の決算額約26億円のうち、上半期で収入した負担金が、今年度と同額の20億円であったため、本来ですと26億円の半分の13億円ですが、20億円との差額である7億円分損益がよくなっておりますので、収益からのマイナス7億円が、29年度の調整後の損益に反映されているということになります。  平成30年度はマイナス6億円、29年度はマイナス7億円となり、30年度は29年度に比べまして、上半期の収益からマイナスする額が1億円程度減った分、前年度比の損益が改善するということになります。  こうした再計算を、退職給付費や減価償却費などの各項目で、収益・費用の両方で行った結果、昨年度と比較いたしまして、今年度は上半期分で約2,700万円の収支が改善すると見込んでいるところでございます。 谷久委員  複雑な計算をされているのだと説明を聞いて分かりました。  再計算した後の上半期の損益は9億4600万円余の純損失となっており、中期実施計画の約11億円の純損失の達成も厳しい状況ではあるが、引き続き、経営改善に取り組みたいとの説明もいただきました。  そこで、下半期の状況を見込む材料として、10月の収支がどうなっているのか、また、年度末までどのように具体的に改善に取り組んでいかれるのか、再度お尋ねをいたします。 松本病院事業管理者  谷久委員の再度の御質問にお答えいたします。  直近の実績である10月の経営状況でございますが、患者数では、入院が対前年同月比4.1%の増、外来が同じく4.2%の増であり、収益では、入院が12億4600万円余で対前年同月比12.3%の増、外来が6億1300万円余で同じく11.6%増となっております。これを含めた収支については、病院事業収益が19億5800万円余、病院事業費用が17億2500万円余で、2億3300万円余の純利益となっております。  今後の取り組みでございますが、中央病院では、9月からHCU(ハイケアユニット)の運用を開始しており、10月の稼働率は62.9%でやや低いものの、設置から3カ月程度としている準備期間を経過すれば、今月ぐらいから稼働率が上がってくるものと考えております。10月からは、施設基準の届け出に基づき「ハイケアユニット入院医療管理加算」が算定されており、稼働率を80%といたしますと、1カ月で2,400万円程度の収益増を見込んでおります。また、入院患者数の多い循環器内科の病床をふやすなど、各診療科の患者数に合わせた病床数の見直しを行い、昨日から運用を開始しており、病床稼働率のアップによる収益の増も見込んでいるところであります。このほか、施設基準である「総合入院体制加算3」の取得による収益増が、年間1億円程度でありますが、それを目指し、一番の要件である退院時の他病院への逆紹介率のアップに向けて取り組んでいるところでございます。  丸亀病院につきましては、4月に香川大学から新たに派遣された精神科常勤医師1名による入院・外来患者数の増加のほか、訪問看護、訪問診療のニーズへの積極的な対応、保健福祉事務所や関係機関と連携した入院患者の確保に取り組んでおります。  また、白鳥病院では、昨年11月に開設した地域包括ケア病床の稼働率が高いことから、先月から5床増床して21床で運用し、診療報酬も算定しており、収益増が見込まれるほか、昨年度から診療を開始した泌尿器科では、8月に手術用の医療器械を整備しており、手術件数の増加による収益の確保を見込んでおります。このほか、今年度からの消化器内科医の減に伴う入院・外来収益の減少を少しでも食いとめるために、引き続き、関係大学に対し医師派遣を強く働きかけることとしております。  病院局といたしましては、県民から求められる高度で質の高い医療を安定して提供していくためには、経営基盤を強化することが重要と考えており、こうした取り組みにより、前年度の赤字額を縮小させ、少しでも中期実施計画の数字に近づけるよう、引き続き、経営改善に努めてまいりたいと考えております。 谷久委員  収支の改善は、永遠の課題だと思います。病院職員はみな頑張っていらっしゃり、医師や看護師の確保など、環境の整備をしていかなくてはならないと思っております。県立病院の抱える課題は大きいと思っておりますが、県立病院が質の高い医療や患者サービスとしていいものを提供でき、何よりも県民が安心して医療を受けられるために、安定した経営基盤をもとにしっかりと経営改善をして、質の向上を図っていただきたいと要望して、終わります。 高城委員長  暫時休憩いたします。  午後は、1時から再開いたします。  (午前11時54分 休憩)  (午後 1時00分 再開) 高城委員長  再開をいたします。  質疑・質問を続行いたします。  まず、安藤健康福祉部長より発言を求められましたので、お願いします。 安藤健康福祉部長  午前中の高木委員からの御質問の中で、保健医療大学の単位の交換に関する御質問に、現在していないので、これから学生のニーズも踏まえてそれに沿った対応をしていきたいという旨の答弁をしたところでございますが、香川県内の5つの大学と放送大学の間で、単位の互換に関する協定を平成17年4月から結んでおりました。その中に保健医療大学も入っておりますので、香川大学を初めとする県内の大学と放送大学との間においては、単位の交換ができる形にはなっております。ただ、残念ながら、結果として、保健医療大学においては、この制度を利用した単位の交換は行われたことがないということであります。  先ほどの御質問の趣旨を踏まえますと、県外の大学との間においてもどうかということかと思いますので、先ほども答弁申し上げましたように、学生のニーズ等を踏まえて、今後、検討してまいりたいと考えております。  以上、おわびして訂正させていただきます。 新田委員  県立保健医療大学の看護学科で、入学が、平成26年度対比で54%が78%になったということで、すごいと思いました。これは、いろいろ高校へ行ったからという話をされましたが、何かそんたくはしていないのでしょうか。 安藤健康福祉部長  新田委員の保健医療大学の入学者の県内比率についてのお尋ねでございます。  看護学科につきましては、県内からの入学者の割合は、平成26年度54.3%から24.3ポイント上昇して78.6%が今年度ということでございます。もう少し詳しく申し上げますと、平成25年度からの資料が手元にあるのですが、看護学科に限ってではありますが、56.5%、続いて54.3%、61.4%、71.4%、60.0%と、右肩上がりで少しずつふえてきて、今年度が78.6%ということであります。採点に当たって、決してそんたくというか、不適切なことはしていないものと理解しております。 新田委員  私の趣旨は違います。県立の学校なので、そんたくしてはどうかということです。私も子供の入学のときに願書をいろいろ見たことがありますが、医大だったと思いますが、明らかに、物すごく県内を優先していたと思います。保健医療大学も、別に県立なのでいいと思うのです。その辺は、県で決めればできるのではないかと思うのですが、どうなのでしょうか。 安藤健康福祉部長  最近、医学部において、地域枠の入学枠のことで、新聞紙上でもいろいろ言われております。例えば、神戸大学医学部だったと思いますが、過疎地が出身地である者を優先して入学させていたというのが不適切と言われておりました。 新田委員  ほかのことはいいので、うちではどうでしょうか。 安藤健康福祉部長  詳細は私も承知しておりませんが、はっきりと明示してするのであれば可能なのかもしれませんが、そんたくしてするのはいけないことだというのが今のルールであろうと思います。ただ、今の流れからすると、余りそのようなことが好ましいとは言われていないと思っております。ですから、地域の高校にしっかり勧誘して、いい生徒に受けていただくことを重ねていくことが大事だと思っております。 新田委員  私は、そんたくではなく、明示したらどうかと言っているのです。香川県枠として、例えば、げたを5点履かせるとか、県民の税金を使った県立なのですからできると思うのです。  それは、どこの権限でできるのでしょうか。学校なのか、健康福祉部なのか、権限はどこにあるのでしょうか。 安藤健康福祉部長  採点そのものは、大学において入学試験をとり行っておりますので、大学であると考えております。県立大学でありますので、そのような配慮といいますか、基準があってしかるべきというお考えもよくわかります。例えば、香川大学医学部においても、地域枠という形で修学資金とセットで別の形の試験を行ってはおります。そのような形で明示してすることは可能かと思いますが、ただ、入学試験がどういった形が適切なのかを判断しておりますのは文部科学省であり、どこまでの明示をして、どのようにするのが法的に可能なのか、あるいは適切なのかということも、改めて御提言を機に確認したいと思います。 新田委員  ぜひ確認をしていただきたいと思います。  これだけ看護師や医師不足と言っておいて、しかも県立のものを持っているのですから、やはり将来的に県民のためになるような施策をしてどこが悪いのかという理屈もあると思います。私立学校であれば、今問題になっておりますが、建学の精神とかいろいろあって難しいかもしれませんが、県立なので明示さえすればいいと思いますので、ぜひ検討をしていただければと思います。県内入学者の割合が上がっており、本当にすばらしいことなのですが、もっと上げればいいという気がしております。  それでは、さぬきこどもの国の魅力向上についてでありますが、さぬきこどもの国は、平成7年に高松空港の近くに整備され、遊具や展示で子供たちが遊べる県内唯一の大型児童館でございます。私の知人からも、孫を連れていって1日遊んだという話も聞いておりますし、県内外から広く来場者があると聞いております。また、平成18年度からは指定管理者制度を導入し、効率的な運営を行っているとも聞いております。  そこで、まず、さぬきこどもの国の利用状況をお聞きしたいと思います。 川池子ども政策推進局長  新田委員のさぬきこどもの国の利用状況についての御質問にお答えいたします。  さぬきこどもの国は、県内唯一の大型児童館として、子供たちが児童館の内外に設置されているさまざまな遊具で遊ぶだけでなく、児童館内には、美術、科学などの工房やスペースシアター、飛行機や航空技術に関する展示にふれることができる科学体験ゾーンがあり、学びながら遊べる場となっております。  来園者数につきましては、開園した平成7年度以降、おおむね50万人台で推移してまいりましたが、平成20年度以降は60万人を超え、開園20周年に当たる平成27年度には過去最高の69万人となったところでございます。その後も、平成28年度、29年度は65万人から67万人のところで推移しております。来園者は県内からだけではなく、県外からの来園者や、最近では外国人観光客もふえている状況でございます。 新田委員  70万人近くの人が来園しているとのことで、カウントの仕方にもよるので話半分に聞いたとしても、県内施設としてはすごいと思います。  今年度、スペースシアターのリニューアルでプラネタリウムを導入するということですが、今後のリニューアルの内容について教えていただきたいと思います。  また、海外の空港などでは、空港から外へ出られないこともあり、空港内の店舗をふやすことで客をふやしております。さぬきこどもの国は高松空港に隣接しているので、海外へ行く場合であれば何時間も前に空港に来ると思いますので、子供も大人もプラネタリウムを見るなど、空港での時間待ちに利用できると思います。せっかく隣同士なのですから、利用を上げるためにも、空港とさぬきこどもの国のコラボをすれば魅力も増すのではないかと考えます。  そこで、高松空港株式会社などと協力してPRしてほしいと思いますが、このリニューアルについて高松空港株式会社は知っているのでしょうか、また、高松空港にパンフレットを置いているのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。 川池子ども政策推進局長  まず、スペースシアターのリニューアルの内容からお答えいたします。  さぬきこどもの国が2020年度に開園25周年を迎えることから、大規模なリニューアルを実施したいと考えており、今年度は、6月議会で御議決いただいた児童館内のスペースシアターのリニューアルを行うこととしております。今回のリニューアルでは、約1億個の星で天の川を表現することができ、さらには、恒星の調光ができ、瞬きなどが再現できる国内最高水準の技術を搭載した光学式プラネタリウム「CHIRONIII」を導入することとしており、子供たちは、より身近に本物に近い星空を感じることができるのではないかと考えております。また、8K相当の高解像度の鮮やかなデジタル映像の投影が可能なプロジェクターや、高品質サラウンドの音響装置等を導入するとともに、小さなお子様連れにも鑑賞してもらえるよう、乳幼児用の遮音室を設置することとしております。整備の時期につきましては、遠足等の利用が比較的少ない冬場にスペースシアターのみを閉館して工事を進めることとし、この12月1日から工事を開始しており、来年3月末までに整備を完了する予定でございます。そして、4月中にリニューアルオープンをし、県内の子供たちを初め、多くの方々にすばらしい星空や鮮やかな映像をごらんいただきたいと考えております。  そのほかの部分につきましては、児童館内の設備や屋外の遊具等も老朽化していることから、まずは、児童館1階部分のリニューアルを実施したいと考えており、今年度、小学生等が、見て、触れて、遊びながら宇宙に関する科学技術等を体験できる展示物や、県産材等を活用した乳幼児向けの遊び場などの整備に加え、利用者の利便性向上のため、来園者からの相談を受けるスペースの設置や授乳スペースの増設に向けて、設計を進めているところでございます。  引き続き、さぬきこどもの国の魅力向上を図り、子供たちに夢や将来の希望を育む環境を整え、多くの親子連れに訪れてもらえるような施設となるよう努めてまいりたいと考えております。  また、空港と一体となったPRについてですが、空港にパンフレッを置いているかどうかは承知しておりませんが、委員御提案のとおり、空港に隣接したさぬきこどもの国ということで、高松空港のほか、周辺に空港公園などの県有施設もございますので、相乗効果が出るような工夫ができればいいと考えており、そういった方策についても検討してまいりたいと考えております。 新田委員  せっかくある施設ですから、来場者が多くなるような努力をしていただきたいと思います。指定管理者にも、高松空港と連携したPRの取り組みなどについて伝えていただきたいと思います。その施設だけ考えるのではなく、全体を考えていただきたいですし、学校などの団体利用についても考えてほしいと思います。  健康福祉部は、児童虐待の厳しい話や、このような楽しい話など大変だとは思いますが、必要な予算を児童虐待の対策などに回しつつ、部局内で予算をバランスよく配分していただきたいと思います。  次は、梅毒とHIVについてであります。  梅毒患者が全国で6,000人を超えたという新聞報道がありました。梅毒患者は、1950年ごろには年間20万人くらいいたようですが、その後、ペニシリンの普及などで激減し、90年代半ばからは年間1,000人くらいで推移しておりましたが、2010年の621人から増加に転じて急増しているとのことでした。  そこで、警鐘を鳴らすための質問ということで、本県における、梅毒の発生状況、また、同じ性感染症であるHIVの発生状況について、お伺いします。 安藤健康福祉部長  新田委員の梅毒とHIVの本県の発生状況についてのお尋ねでございます。  本県における梅毒の発生状況でございますが、2000年から2015年までは、年間2人から20人程度の患者数でございましたが、2016年に26人、2017年には72人と急増しております。ことしは、11月25日までで26人と前年同時期62人より半分以下に減少しております。本県で、一昨年、昨年と増加した理由については不明でありますが、ここ数年、全国で増加傾向にあり、厚生労働省は、近年、若年女性の患者数の増加と異性間での性的接触による感染が増加していることが一因としております。患者報告数の増加の原因をさらに究明するために、来年1月から、梅毒に関する医師の届け出事項に性風俗産業の従事歴の有無や既往歴の有無などを追加することとされたところです。  また、HIV及びエイズである後天性免疫不全症候群の発生状況でございますが、全国では、2015年が1,434人、2016年が1,448人、2017年が1,389人と横ばいで推移しております。本県では、2015年はHIVが7人でエイズが9人ということで16人、2016年は5人、2017年は11人と、年によって増減しており、ことしは、11月25日までで3人と、前年同時期の11人よりも減少しているという状況でございます。 新田委員  HIVとエイズの違いがわからないので教えていただきたいと思います。  また、梅毒が急にふえている理由は何なのか、県として調査はしていないのでしょうか、お伺いします。 安藤健康福祉部長  新田委員の再度の御質問でございます。  HIVとエイズの違いでございますが、HIVは、ヒト免疫不全ウイルスのことで、これに感染してもすぐに発症するわけではなく、発症前がHIV、発症するとエイズになると理解しているところでございます。  また、梅毒に関してでございますが、若年女性の患者数の増加と異性間での性的接触による感染が増加していることが一因としているのは、厚生労働大臣の答弁によるもので、県としては特に調査は行っておりません。来年1月から厚生労働省が医師からの届け出事項を追加することとしており、国において全国的に究明されていくものと考えております。 新田委員  なかなか言いにくい話ではありますが、若者への性教育を学校現場でしていただきたいと要望して、質問を終わります。 都築委員  平成30年度県立病院事業会計の上半期収支等の状況の報告がありましたが、資料の表がわかりにくく、詳しい説明がないとわからないという感を受けました。民間であれば、株主などに損益を説明するときには、営業収支、経常収支、総収支といった指標を示し、よくわかるような形で提供していると思います。  病院事業会計は特殊なのかもしれませんが、どれくらい頑張っているのかを表す医業収支等がどうなっているのか気になります。一般会計からのお金が入っての数値となっているので、損益の状況を見やすくすることは可能なのでしょうか。 木村病院局長  都築委員の御質問にお答えいたします。  報告の資料は、定まった様式ではなく、議会に上半期の状況をわかりやすくお示しするために作成したものでありますが、いろいろな項目があって複雑になっております。委員御指摘のとおり、病院事業会計の経営においても、医業収支、経常収支は重要な指標になりますので、様式などにつきまして検討させていただきたいと思います。 都築委員  表題の上に空欄もありますので、1行、2行入れていただいても差し支えないと思います。  それでは、救急電話相談事業の利便性の向上についてですが、救急電話相談事業につきましては、直近の平成29年度の相談件数が、小児向けの♯8000で約1万3000件、一般向けで約1万600件ということで、非常に利用が多いところです。このうち、医者まで行かずに一旦時間外の受診を回避した割合は、小児向けで約73%、一般向けで約85%となっており、医療に関する県民の不安の解消はもとより、救急医療機関の負担軽減に一定の成果を上げていると思います。  県では、これまで、普及啓発にさまざまな工夫をしていただいておりますが、いかんせんなかなか県民に周知が行き届いてないところがあります。医務国保課長は電話番号が812-1055というのを御存じだと思いますが、1054や1056などの間違い電話をしたら、一般の方に電話がかかってしまうという危惧があります。昨年11月議会の一般質問で、電話番号の短縮ダイヤル化を含む一般向け救急電話相談事業の利便性について質問させていただいたところ、知事からは、「事業の認知度に関する県政モニターアンケートの結果や、導入による費用対効果も見きわめながら、検討してまいりたい」との答弁がありました。  そこで、県政モニターアンケートの結果や電話番号の短縮ダイヤル化に係る費用について、その検討状況を教えてください。
    東医務国保課長  都築委員の御質問にお答えいたします。  救急電話相談事業の認知度に関する県政モニターアンケートを、昨年11月に実施いたしました。その結果といたしましては、小児向け救急電話相談事業の認知度が49.0%であったのに対し、一般向け救急電話相談事業の認知度は29.9%と、短縮ダイヤル♯8000を使用している小児救急電話相談事業に比べ約19ポイント低い結果となりました。このうち、一般向け救急電話相談の認知度を年代別に見ますと、20代が23.8%、30代が26.3%、40代が20.0%となっており、いわゆる働き盛りの世代において全世代の平均29.9%より低く、一方で50代、60代以上におきましては、それぞれ33.3%、35.6%と全世代の平均29.9%よりも高い結果が見られました。しかしながら、50代、60代以上を含むどの年代におきましても、小児救急電話相談事業の認知度49.0%よりも低い結果であったところでございます。  また、短縮ダイヤル化に伴う費用につきましては、NTT西日本やNTTドコモなどの携帯事業者各社との契約が必要となりますので、調査を行ったところ、短縮ダイヤルの利用料として年間で約110万円の費用が必要とのことでございました。ただし、短縮ダイヤルの設定等の経費につきましては、現在、実施しております一般向け救急電話相談事業の既存の設備を活用して整備することで数万円の費用で抑えられるとのことでございます。 都築委員  消防庁でも同様の電話相談事業があり、それを全国的に推し進めようという動きもあるようですが、先ほどの検討状況を踏まえ、県として、一般向け救急電話相談事業の利便性向上に向けた短縮ダイヤル化について、消防庁事業の採用の可否も含め、今後、どのように取り組もうと考えているのか、教えてください。 安藤健康福祉部長  都築委員の再度の御質問でございます。  一般向け救急電話相談の認知度が小児救急電話相談事業の認知度よりも低かった結果を受け、周知・啓発の充実のため、さまざまな取り組みをしているところでございます。そうした中、委員御指摘の電話番号の短縮ダイヤル化につきましては、電話のかけやすさや電話番号の覚えやすさから、導入すれば一定の効果があると考えております。  そうした中で、消防庁におきましても、短縮ダイヤルの取り組みが、これとはまた別の形で進められております。先ほどの小児救急電話相談事業♯8000は、国が番号を取得し、全国で同番号をシェアする仕組みですが、一般向けにつきましては、国は手当てをしておらず、それぞれの実施県において独自に取り組みをしており、短縮を設定するとなると、各県で独自に費用が必要となります。ただし、運営に当たっては、国の基金を使って取り組むことができます。消防庁の電話相談事業は、消防庁で♯ダイヤル番号のセッティングをするものの、費用については財源手当てが一切ないというのが今の状況で、直ちに消防庁の事業を採用することは難しい状況でございます。  いずれにいたしましても、県民の、夜間における急病等に対する不安の解消や、医療機関への適正受診の促進という観点から、一般向け救急電話相談事業の利便性の向上について、具体的に検討してまいりたいと考えております。 都築委員  できるだけ早期によろしくお願いいたします。  次に、小児がんの早期発見等についてお伺いいたします。  我が国では、小児の死亡原因の第1位はがんであります。小児がんの発症数は全国でも年間2,000人から2,500人と少なく、小児がんを扱う医療施設は全国に200程度で、課題は、小児がんに対する医療経験をお持ちの先生が少なく、小児がん患者が発見のおくれで適切な医療を受けられないことで、懸念しているところであります。また、平成25年2月から全国15カ所に小児がん拠点病院が指定され、中国四国地方では広島大学附属病院で、そうした専門的な医療の提供がされております。  この小児がんの中でも、網膜芽細胞腫という目のがんがございます。発症率はさらに少なく、1万5000人から1万6000人に一人ということです。ただし、このがんは5歳までに95%が診断されており、その多くは家族が子供の目の異常に気づいて受診に至っており、素人でも病状に気づきやすいということでありました。ただ、発見がおくれますと眼球を摘出しなければならず、一生涯そうした形を背負っていかないといけないということで、小児段階での発見は非常に大事であります。この目のがんについては、その発症にいち早く気づくことが大事なのですが、一番近くにいる親や小児科医等の専門機関への周知も大変重要であります。  そこで、この病気も含め、小児がんの早期発見に向けての具体的な取り組みについて、お考えをお伺いします。 安藤健康福祉部長  都築委員の小児がんに関してのお尋ねでございます。  小児がんにつきましては、委員お尋ねの網膜芽細胞腫など、疾病によっては、家族やかかりつけ医などが早期に気づき適切な医療を施せば治癒が可能なものもあることから、早期発見のための取り組みは大変重要であると考えております。  小児がんの早期発見のためには、乳児健診や1歳6カ月健診などの医師によるチェックが有効であり、そうした観点から、市町においては、受診の必要性を家庭訪問等の機会で周知、啓発を行っております。また、家族が異常に気づき、受診につながるケースもございます。そのために、例えば、母子健康手帳には、目や耳に関する異常を早期に発見するための観察項目も示されているところでございます。これをきっかけに、受診につなげていただくことも大事だと考えております。  また、一方で、委員御指摘のように、小児がんの診療経験が乏しく、発見のおくれで適切な治療を受けられないケースも考えられますことから、医療機関に対して、小児がんについて周知することも重要でございます。医療機関に対する働きかけといたしましては、昨年度、東京都において「小児がん診断ハンドブック」という小児がんの症例を掲載したハンドブックが作成されております。本県におきましても、これを診断の一助としていただくとともに、速やかに小児がん拠点病院等に紹介されますよう、県の小児科医会を通じて県内の医療機関にこのハンドブックの情報提供を行ったところでございます。  今後とも、こうした乳幼児健診の受診の勧奨、母子健康手帳の活用促進、また、小児がんに関する診断や治療の最新情報等を入手した場合には医療機関等に対して速やかに周知を行う等に取り組むことで、小児がんの早期発見に努めてまいりたいと考えております。 都築委員  本県の医師は信頼の置ける方ばかりですので、行政からの支援もいただき、早期発見に向けて取り組んでいただきたいと思います。  我が子が小児がんと診断されたときのショックは、はかり知れません。小児がんの患者と家族は、発育や教育への対応など、成人のがん患者とは異なる課題を抱えております。そうしたときに、相談に乗っていただける場所や、同様の経験を持つ親が集まる団体などからのアドバイスは、非常に心強いと思います。  そこで、小児がんにかかわる団体も県内にございますが、そうした民間団体も含めた相談窓口の周知につき、具体的な取り組みについてお伺いいたします。 安藤健康福祉部長  都築委員の再度の御質問でございます。  小児がんは、乳幼児期から学齢期に発症し、さらには思春期、若年青年期へと治療後の経過が長く、成人のがん患者とは異なり、年代に応じた多様なニーズを抱えております。本県では、小児がん患者やその家族の相談に対応するために、各保健所と「社会福祉法人香川県手をつなぐ育成会」内に相談支援窓口を設置しておりますほか、四国こどもとおとなの医療センターにおいても相談体制が整備されているところでございます。県内の民間団体といたしましては、小児がんの患者・家族の会である「がんのこどもを守る会香川支部」が、講演会や相談会などに取り組んでおります。また、がん患者とその家族にとっては、同じような経験を持つ者による相談支援や、患者同士が体験を共有できる場は重要であることから、今年度新たに、がんを患った患者や家族による「がんピアサポートセミナー」を10月に開催したところ、「がんのこどもを守る会香川支部」を含めて6つの患者会の方々が参加され、患者会同士の連携や相談支援の質の向上について学び合いをしたところでございます。  また、各種相談窓口や患者・家族会に関する情報などの、がん患者とその家族が療養生活を送る上で有益な情報を1冊にまとめた「香川県がん患者必携 地域の療養情報」を、県内の医療機関を初め、市町、保健所、患者会等を通じて配付するとともに、県のホームページでも紹介しているところでございます。  今後とも、関係機関や団体と連携し、がんに関する情報を幅広く届けてまいりたいと考えております。 都築委員  先日、ある小児科医にお聞きしたのですが、小児がんを患ってがん治療で骨髄移植等を行った場合、それまで行った麻疹や風疹などの予防接種の効果がなくなってしまうとのことで、改めて、その子に同様のワクチン接種を行う必要があるそうです。ところが、その際の費用は、公費ではなく、自己負担となっているそうです。その改革につきましては、小児がん患者家族会一同から、厚生労働大臣や都道府県知事宛てに要望が出ているようであります。  予算措置が必要なので、当然検討も必要なのですが、ぜひ、苦しいがん治療を乗り越えた家族に、それ以上の家計負担とならないよう、がん治療後の予防接種の再接種費用については公費負担としていただきたいと思いますが、お考えをお伺いいたします。 安藤健康福祉部長  都築委員の再度の御質問でございます。  予防接種法に基づき市町村が行う「定期の予防接種」は、対象となる疾病、接種する年齢、回数等が法令で定められているところでございます。骨髄移植等の医療行為により免疫が消失した場合の再接種は、法令上規定されておらず、定期接種の対象にはなっておりません。そのため、委員御指摘のとおり、再度の予防接種の費用は、全額自己負担となっているのが現状でございます。  再接種への支援でございますが、ことしの7月に、厚生労働省が全国の市町村に対して再接種の支援状況の調査を行っております。その結果、全国では90の自治体、率にして5.2%が助成をしておりましたが、本県では助成をしている市町はなく、助成を検討している市町もないという状況でございます。しかしながら、平成30年10月末に開かれました厚生科学審議会の予防接種基本方針部会におきまして、厚生労働省が全国照会の結果を報告するとともに、「予防接種法の改正も視野に入れて、法定接種での対応が可能かどうか制度上の課題を整理する」との説明が行われたところでございます。  県といたしましては、こうした全国の取り組み状況について市町に情報提供するとともに、厚生労働省の検討状況を注視してまいりたいと考えております。 都築委員  いろいろ細かく調査をしていただき、また、今の流れについても御確認いただきまして、本当にありがとうございます。国の流れとしては、支援の方向ということで、当然のことだと思っております。  今度、12月22日に、小児がんフォーラムin香川が、がんの子どもを守る会後援で開催されるとのことですので、御案内をして、質問を終わります。 竹本委員  3点、質問させていただきたいと思います。  香川県の人口は、11月現在で96万1977人と、96万人台になったということで、どんどん人口が減っていると感じております。先般、地元であった行事の開会式に保育所から子供が60人ほど来ておりましたが、子供たちに、おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に住んでいるかどうかを聞いてみたところ、同居している子供は数人であり、核家族化が進んでいると感じました。このことが、結局、児童虐待など全てのことに影響しているのではないかと痛感しております。児童虐待の関係では、本年3月に、東京の目黒区で両親から虐待をされておりました当時5歳の船戸結愛ちゃんが死亡する事件が起きて、全国的な問題になったところです。  そこで、まず、香川県の虐待件数はふえているのか減っているのか、お伺いします。 増本子ども家庭課長  直接的に事件の影響ということだけではないと思いますが、前年と比べまして、児童相談所が対応している虐待件数はふえている状況でございます。 竹本委員  これほど全国的に大きな問題となっているにもかかわらず、虐待件数が減らないのは、核家族のゆとりのなさがあると思います。祖父母と同居していれば、子供は親に叱られても祖父母のところへ逃げ込むことができますが、核家族の場合はそれができません。あのような事件があれば、普通は何とか手を挙げないようにしようなど虐待をしてはいけないと思うものですが、減らないことは大きな問題ではないかと思います。  本県では、「香川県健やか子ども支援計画」の中に「児童虐待防止対策の充実」という項目があり、虐待防止に一生懸命取り組まれていると思いますが、具体的に、どのように虐待の減少につなげていくのか、また、取り組んでいることについてお聞かせください。 川池子ども政策推進局長  竹本委員の児童虐待防止の取り組みについての御質問でございますが、これまで、児童相談所を窓口として、それぞれの家庭や子供への支援という観点から適切に対応してきたところでございますが、本県でかかわりのあった児童が亡くなられたことは、まことに残念に思っており、改めて、心より御冥福をお祈り申し上げます。 竹本委員  先ほど申し上げましたように、県としては、「香川県健やか子ども支援計画」に基づいて、一生懸命取り組んでいると思います。しかしながら、そのような中で件数が増加していることは、いろいろな原因があるとは思いますが、計画の中での「児童虐待防止対策の充実」のみならず、もう少し歯どめをかけるものが必要ではないかと思います。非常に難しいのは、しつけと虐待とのすみ分けです。虐待を行った人に、虐待はいけないと言うと、必ず「これは虐待ではない、しつけだ」と言います。このようなことに対し、条例の中などできちんと明文化し、具体的に何が虐待かを示すことが必要ではないかと思います。全国的にも、横浜市などでは、子供を虐待から守るための条例をつくっております。  先般、東京都知事が、虐待防止の条例を、来年2月の議会に提案したいと言っておりました。東京都は、家庭の中の平手打ちなどの暴力を禁止する、子供の人格を損なうような暴言も禁止するという中身を提案するとしております。しつけと虐待の差を判別するのは難しく、きちんと条例の中で、暴力、体罰を禁止する、子供の人格を損なうような暴言も禁止するなど明文化しなければ、一向に虐待は減らないと思います。悲劇に遭うのは子供であり、子供を守ることが一番重要なことではないかと思うのです。体罰については、学校では、学校教育法で禁止をしております。県も3月の事件を反省し、今後の取り組みを強めていく上では、支援計画の中だけでは不十分ではないかと思います。  そういう意味では、児童虐待防止対策の条例を検討する段階に来ているのではないかと思うのですが、いかがお考えか、お伺いします。 川池子ども政策推進局長  竹本委員の東京都の条例を参考にして本県でも条例化の検討をしてはどうかという御質問にお答えいたします。  東京都では、本事案の発生も踏まえ、社会全体で子供を虐待から守るということを基本理念にして、虐待防止条例の制定を目指しており、体罰の禁止などを盛り込んだ骨子案について、今月に2回目のパブリックコメントを実施する段階になっていると聞いております。  他の道府県の動向につきましては、先月末現在で、9府県において条例が既に施行されております。さらに、茨城県でも来年4月から施行されると伺っております。  本県におきましては、児童福祉法はもとより、「新・せとうち田園都市創造計画」や「香川県健やか子ども支援計画」に基づき、市町や関係機関と連携・協力しながら、児童虐待の未然防止、早期発見・早期対応、児童相談所の体制強化等に取り組んでまいったところでございます。さらに、今回の検証報告におきまして、児童相談所の対応に係る課題が指摘されますとともに、県に対しましては、児童相談所の一層の体制強化や、専門性強化の推進、関係機関との一層の連携強化に係る提言をいただいたところです。今後は、検証報告でいただいた提言に沿って、実効性のある対策を、早急に、また、着実に実施することによって、再発防止に向けた取り組みを、まずは徹底してまいりたいと考えております。  条例につきましては、既に制定している都府県から情報収集するなどして、必要性を含めて、検討してまいりたいと考えております。 竹本委員  警察との連携など、指摘されたことをきちんと実行していくことは当然だと思います。3月以降も、大々的にマスコミ等で取り上げられ、県の会見等で情報が流れているにもかかわらず、虐待の件数が一向に減らず、逆にふえていることを考えると、提言されたことを実行していくだけでは、虐待が減っていくのか疑問であります。そういう意味からすると、法令や条例での取り決めは非常に重要なのです。その取り決めがあれば判断ができるのですが、それがない中で、保護者から「しつけだ」と言われたら、どのように話をするのでしょうか。そのように言う保護者に対し、それはいけないと言うことは、非常に難しいと思います。県民の意見を聞く必要はありますが、香川県の法律で、体罰はいけないことになっている、子供は親の物ではない、子供の品位を傷つけるような暴言はいけないとなっているなど言える状況になれば、虐待も減少していくと思っております。条例をつくったから虐待が極端に減っていくという保証はありませんが、ルールがなく、しつけと言い張られたら、児童相談所の職員も非常に難しい判断を迫られることになるため、体罰はいけない、暴言はいけないなどの条例をつくる必要があると思います。  子供虐待防止条例を、今後、検討していくというのではなく、今の状況を踏まえて、また、今回の東京の事件を考えたときに、率先してつくるという答弁を期待しておりましたが、そのような答弁はありませんでした。  そこで、質問を少し変えますが、提言されたことを一生懸命しても虐待の件数が減らなければ、条例をつくるということでよろしいのでしょうか。 川池子ども政策推進局長  竹本委員の再度の御質問でございます。  虐待件数がふえているのは、1つには、今回の事件をたくさんの方がごらんになり、自分の身の回りで子供の泣き声などが聞こえたら、「まずは通報しよう」との意識につながり、ふえている面もあると思います。  県といたしましては、まずは提言をいただいた部分について、早急かつ着実に実施して、このようなことが二度と起こらないように、取り組みを徹底してまいりたいと考えております。 竹本委員  二度とこのようなことが起きないように、お願いしたいと思います。これは、本当に切実な問題だと考えておりますので、ぜひ前向きに検討していただきたいと思っております。  次に、待機児童対策についてですが、幼児教育や保育の無償化などが控えておりますが、本県の待機児童数は前年よりは減少したという知事の答弁もございましたが、具体的にはどういった理由で待機児童が減少に至っているのか、その原因について把握しているのであれば教えてください。 川池子ども政策推進局長  竹本委員の待機児童の現状並びにその認識についての御質問にお答えいたします。  ことしの10月1日現在の県内の待機児童数は速報値で318人となっており、前年同日に比べますと59人減となっております。これは、ことし4月に新しく認可保育施設が9施設開設するなど、県や市町が連携した受け皿の拡大や、保育士人材の確保にも取り組んだことから減少したものと考えておりますが、県内の5市2町において待機児童が発生しており、その理由といたしましては、やはり共働き世帯の増加等により、保育所等への入所申し込みが受け入れ定員を上回る状況にあることや、保育士数が需要に対して不足していることなどが挙げられており、待機児童の解消は、やはり喫緊の課題であると認識しております。 竹本委員  待機児童が減少するということは、働きやすくなるということになります。共働きをしながら育児休業をとって、もう仕事に復帰しなければならないが、どこの保育施設にも入れないという相談がよくあり、何とかならないかと高松市に話をするために何回も行きました。相談してくる方の話を聞くと、結構大変な状況があり、切実な問題です。育児休業を延長してもらえればいいのですが大体決まっており、会社は幾らでも休んでいいとは言わないので、会社をやめて、子供を家で見るといった話がたくさん来ております。そういうことから考えると、待機児童の解消というのは非常に大事なことだと思います。当初、ずっと以前ですが、4月1日の待機児童がゼロという時代がありまして、この委員会で10月現在の状況を聞いたところ、公表できないという回答であり、年度途中で待機児童がふえているという話をすると、渋々10月1日の数字を明らかにするようになりました。県もいろいろと一生懸命やっていることは重々承知しておりますが、来年の10月1日に消費税が引き上げられる予定になっており、そういった中で、幼児教育・保育の無償化が実施されるという話が出されております。これも中身はいろいろあり、私は全額国費で無償化すると思っていたのですが、私立は2分の1を国費で負担するが、公立は地方自治体で負担するという、全然違う話になっております。  そこで、この幼児教育・保育の無償化が行われた場合に、待機児童がまた大幅にふえるのではないかと心配しており、そこのところの認識等についてお伺いをしたいと思います。 川池子ども政策推進局長  竹本委員の再度の御質問にお答えいたします。  来年10月からの幼児教育・保育の無償化に伴い、保育需要の拡大が予想され、早ければ来年4月入所の申込数にあらわれる可能性があると考えておりますが、現在、各市町において申し込みを受け付けているところでございますので、どの程度の影響が出るのか判断できるには至っておりません。ただ、待機児童数は、平成28年度をピークに減少傾向にはございますが、幼児教育・保育の無償化に伴い増加に転じる可能性もあることから、今後とも、市町や関係機関と連携して、保育の受け皿や保育士人材の確保等の対策を一層推進してまいらなければならないと考えております。 竹本委員  共働き世帯が非常にふえておりますので、そういう意味からも待機児童ゼロというのは本当に大変重要な目標でありますし、それを実現していただきたいと思っております。  最後に、妊婦への支援についてお伺いします。  最近、SNSなどで妊婦加算の問題が大きく取り上げられております。今まで妊婦加算がつくということを全然知らず、皮膚科を受診して「妊婦です」と言うと加算されるということがあったとのことです。これではいけない、少子化対策に逆行しているのではないかという意見がたくさん出ております。確かに、病院側は妊婦に悪影響が及ばないよう薬を少し弱めるなど、いろいろな工夫をしているので、技術料として一定やむを得ないところもありますが、妊婦が制度を全然知らないというのはまずいのではないでしょうか。担当課に、リーフレットでもつくって周知するよう伝えたところ、厚生労働省がリーフレットをつくって配るとのことでした。SNSなどで、あれだけの反響があったので、厚生労働省がリーフレットをつくるのだと思いますが、まだ県には届いていないと思います。  県として、独自に機会を捉えて周知をしなければいけないと思いますが、そこのところの取り組みについてお聞かせください。 増本子ども家庭課長  竹本委員の妊婦加算に関するお尋ねについてお答えいたします。  妊婦加算は、妊娠の継続や胎児に配慮した適切な診療を評価し、妊婦が安心して医療機関を受診できるよう、今年度の診療報酬改定で新設されたものでございます。この加算につきましては、種々の議論があることも承知しており、窓口負担がふえる妊婦や家族の方々に向けて、広く制度についての理解を求めていく必要があると認識しております。  報道によりますと、国においては、医療機関が診療後に妊婦と把握したにもかかわらず加算するような「不適切な算定」を行わないよう医療機関に求めるほか、対象となる医療行為を定めたガイドラインの策定も視野に、中央社会保険医療協議会などで検討を進め、年内にも具体策を取りまとめるとのことであり、県といたしましても、その動向を注視してまいりたいと考えております。  制度の周知ということでございますが、今回の診療報酬改定につきましては、本年3月に四国厚生支局が県内医療機関を対象に説明会を実施したと聞いております。この加算につきましては、県では、11月に厚生労働省から周知の協力依頼がございましたことから、妊婦加算の趣旨や内容を妊婦や家族に広く知らせるなど適切な対応をとるよう、県から市町や医療機関に通知するとともに、県のホームページにも掲載したところでございます。  県といたしましては、引き続き機会を捉えて、制度を周知するよう市町に協力を求めるなど、必要に応じて周知にも協力してまいりたいと考えております。 竹本委員  この問題につきましては、国の与党の中でも議論になっており、子供を社会全体で支えていくという仕組みからすると疑問であるなど、いろいろな意見が出されておりますので、国の動向を十分見ていかなければならないと思います。県独自で助成してはどうかということを言いたいのですが、それを言ってもなかなかいい答えは出てこないと思います。冒頭、香川県の人口が96万人台で、出生数が年間1万人を切るという話をしたところですが、待機児童の問題も含めて、いろいろなところでこのような問題が出てくると、子供を産み育てられる環境をきちんと担保していかなければ、幾ら香川県が少子化対策に全力で取り組んでいるといっても、なかなか子供を産み育てようとする人がふえません。香川県は少子化で困っているので産み育てたい人は香川県へ来てくださいとお願いしても、1人目が待機児童で苦労したので、2人目はもう要らないという話も聞きます。子供を社会全体で支えるという基本的な考え方で香川県として取り組みをしていただきたいと思いますが、最後に局長の決意をお聞かせいただきたいと思います。 川池子ども政策推進局長  竹本委員の再度の御質問でございます。  委員御指摘のように、核家族化や地域のつながりの希薄化などにより、地域で妊婦を支える力が以前に比べると弱くなっており、妊娠、出産、子育てに係る妊婦の不安感が高まっている中、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を行うことは非常に重要であると考えております。  現在、母子保健事業については、基本的な業務は市町が行い、妊婦健康診査、保健師等による保健指導や訪問指導、両親学級等の健康教育、サークル活動等、妊婦同士がつながるための情報提供等も市町が積極的に行っております。一方、県では、専門的・広域的な業務を実施しておりまして、市町の保健師等を対象にした専門性の向上を図るための研修の実施や、県産婦人科医会に委託してのメール相談、県助産師会委託の「妊娠出産サポート事業」を行っており、各市町では対応が難しい早朝や夜間における妊娠・出産などの相談に対応するなど、支援体制の充実を図っております。  また、それとは別に、市町は、妊娠期から子育て期まで切れ目ない支援を行うワンストップ拠点としての「子育て世代包括支援センター」の設置に努めなければならないとされております。これは努力義務ではございますが、現在、本県では4市3町に14カ所、このセンターが設置されており、きめ細やかな相談支援を行っております。  県といたしましては、引き続き、各市町に子育て世代包括支援センターの設置について働きかけを続けますとともに、その運営への補助などの支援も行ってまいりたいと考えております。今後とも、こうした取り組みを積極的に進め、社会全体で子育てを支えられるよう、妊娠期からの切れ目ない支援体制の充実を図ってまいりたいと考えております。 都築委員  竹本委員の質問の関連です。先ほど幼児教育・保育の無償化により待機児童数がふえる可能性があるという答弁がありましたが、その理由や因果関係について、もう少し具体的にお答えください。 川池子ども政策推進局長  都築委員の御質問にお答えいたします。  待機児童数がふえる可能性があると考えられるところですが、因果関係があると捉えられたのであれば、そうなるかどうかは今のところはわからないというのが正直なところでございます。 都築委員  無償になるので、保育施設に通わせる方がふえるのではないかという短絡的な考え方なのかもしれません。低所得者の方が通園させることができていないので、そういった方々が入る可能性があるということでしょうか。既に低所得者の方については、保育料はかなりの減額がされていると認識しており、教育の無償化は、非常に大事な取り組みだと思っております。保育施設の整備をしっかりやっていくというのは大事なことかもしれませんが、待機児童をふやさないために教育の無償化はいかがなものか、というものではないということでいいでしょうか。  無償化を進めることによって待機児童がふえるかもしれないという答弁でしたので、そうではなく、無償化は別の話として、待機児童の解消に向けて取り組むということであればわかります。 高城委員長  答弁はいいですか。 都築委員  結構です。 黒島委員  最近、テレビ、新聞等でHACCPがよく出てくるのですが、今までは産業政策でHACCPを捉えておりましたが、ヨーロッパやアメリカへ輸出するきに、「HACCPを取っているか」、「ISOの認証があるか」など、いろいろと議論になるところです。  最近、食品衛生法の改正をする中で、HACCPを義務化しようとしているように見えるのですが、その辺はどのようになっているのでしょうか。また、義務づけをするとしたらいつごろからなのか、情報が入っていたら教えていただきたいと思います。 安藤健康福祉部長  黒島委員からのHACCPに関してのお尋ねでございます。  本年6月に、約15年ぶりに食品衛生法の改正がございました。その中で一番大きな柱となっておりますのが、委員御指摘の「HACCPに沿った衛生管理の制度化」でございます。これは、今回の改正から3年間程度の準備期間を経て、平成33年度には、原則として全ての食品等事業者に一般衛生管理に加えてHACCPに沿った衛生管理の実施を義務づけるものでございます。  このHACCPとは、各原料の受け入れから製造、製品の出荷までの全ての工程において、健康被害を引き起こす可能性のある危害要因、ハザードを科学的根拠に基づき管理する方法でございます。内容といたしましては、大きく2つあります。1つは大規模な事業者を対象とした「HACCPに基づく衛生管理」と、もう一つは小規模な事業者を対象とした「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」であり、「基づく」なのか「考え方を取り入れた」なのかで大きな違いがございます。  この小規模な事業者とは、どの程度の事業者のことを言うのかというと、なかなか国から示されておらず、まだ決まってはいないのですが、現在、国の「技術検討会」で検討されている中では、食品製造・加工業のうち従事者の総数が50人未満の事業者という一つの基準が示されております。今後決定されれば、来年の6月に公布予定の政令の中で定められていくものと理解しております。  したがいまして、大規模な事業者は「HACCPに基づく衛生管理」が求められ、小規模な事業者には「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」が求められていくものと理解しております。 黒島委員  今の話を聞きますと、もう導入するという話になっており、国のやり方は、いつもずるいと思います。厚生労働省作成のHACCPのパンフレットを見ますと、デメリットはゼロで、「メリットがある」、「非常に簡単にできる」と書いてあります。  私は、このHACCPという考え方はヨーロッパから来たと誤解しておりましたが、これは、アメリカのNASAの宇宙食を開発するときの考え方であり、非常に難しいのです。私の関係する会社がJAXAに納品しようとして4年くらい頑張りましたが、なかなか最終審査まで行かないのです。宇宙食の場合は無菌にしなければいけないのです。それを達成するためにどういう考え方があるか、それがHACCPであり、そんなに簡単なものではありません。  今、50人未満は大丈夫とは言っておりますが、罰則規定はあるのでしょうか。例えば、HACCPにきちんと適合していないと、食品衛生法違反で営業停止や改善命令を出すなど、そういうことがあるのでしょうか。 安藤健康福祉部長  HACCPは衛生管理に関する基準でございますので、通常でありますと、県では、保健所の食品衛生監視員、あるいは食品衛生専門監視指導班による立入調査の際に、それが遵守されているかどうかを確認します。その後、できていない場合には、一定のルールに基づいて指導、最終的には停止があると思いますが、そのような事例は、今までのところはさほどございません。 黒島委員  現場をもっと知ってほしいのです。簡単だと思っているようですが、もう既にHACCPを取っているかどうかで、業者の選定が始まっているのです。仕入れるほう、例えば、デパートや商社などが、「おたくはISOの基準を満たしていますか」、「HACCPの認証を得ていますか」ということを、取引のための条件に入れてきております。製造業の現場では、既にそういうことが起こっているのです。50人以上であろうと50人以下であろうと関係ありません。逆に言えば、日本の中小企業、零細企業を痛めつける状況が既に始まっているのです。事業承継やMアンドAを行う際などに、それが条件になってきております。そのためには投資が必要で、できない場合は企業価値が下がるのです。「考え方」であれ、きちんとやっているかどうかで変わってきます。やっていないと企業として商品価値がないのです。バイヤーは完全にそれを言ってきます。保健所は、指導や取り締まる側ですからやりづらいと思いますが、産業政策のほうで言われることとなり、矛盾してきます。  私がここで言いたいのは、国はうまいことを言って、やるということです。生産地表示もそうですが、大企業が問題を起こしたのに、最終的に大企業は前のままの記号でいい。工場があちこちの県にまたがっていない場合は、きちんと表示しなければいけない。それをするのは、小規模の会社であり、大企業は自分たちが引き起こした問題なのに影響がなく、問題をすりかえているのです。厚生労働省に言いましたら、「そのうち何とかなるでしょう」などと、結局そのままで、そのうち法律が改正され、産地を表示しなければいけなくなりました。これは、恐らく、お土産業界で大問題になると思います。国は、やり方がずるいと思います。県が簡単に「うん」と言うのが信じられません。  HACCPという考え方は、今言ったように、もともとは宇宙食の開発のためのシステムですから非常に厳しいのです。そんな簡単なものではありません。現実にやっている会社を何社か知っておりますが、従業員の教育から、設備も「しなくていい」と書いてはおりますが、実際は整備しないと従業員の注意事項だけで済むものではありません。人間はミスをするものですから、ミスをしても大丈夫なようにしなければなりません。こういう話が、急に降って湧いたように感じるのです。来年6月から施行されるという話になってきて、3年間の猶予期間で、3年間といえば長いように思いますが、事業をしている側からすると、そんなに長い時間ではありません。香川県内の関係事業者が対応をどのようにしていくのか、知っているのでしょうか。 安藤健康福祉部長  黒島委員の再度の御質問でございます。  HACCPの制度は、過去から歴史がありまして、初めは承認の制度が平成7年に国で創設され、本県でこれに基づいて承認をとった事業者は2社という状況でございました。それ以降、制度が変わり、平成26年に従来の基準に加えて「HACCP導入型基準」が新たに設定され、それに基づく届け出制度ができ、国の認証2つを含め、県内では27の届け出となっております。委員御指摘のとおり、取り組みに苦労されているのは、こういった層であると理解しております。
     今回、新たな法改正により3年後には全ての事業者にHACCPが導入されますが、大規模な事業者には、HACCPに基づく衛生管理は多分同じようなレベルの緻密な管理が求められると思っておりますが、小規模事業者に求められる「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」はそれほど難しいものではないと理解しております。  そう申しますのも、今やっと50人以上という基準が国から示されたところで、委員御指摘のような懸念がいろいろなところから伝わって、検討会で議論されておりますが、今後、詳細が示されてくる中で、どこまでのものが、いわゆる大規模事業者として求められるかが明らかとなってきます。特に大規模事業者は、それぞれが基準をつくっていかなければいけないということもありまして、もともとは平成27年度から国のモデル事業を使って3つの事業者で取り組みを始めたところです。そして、平成29年度からは県の事業として、毎年度4つの業界でそれぞれ取り組みをして、今年度も4つの事業者で取り組んでおり、来年度、再来年度もしていくと考えております。  その結果といたしまして、一通りの業界団体の業種については、一応網羅できるものと理解しております。これよりも小さい規模のところについては、先ほど申し上げました簡便な形でございますので、業界で定める仕様書を皆さんで守っていく程度でないかと理解をしているところでございます。 黒島委員  産業政策課ではありませんので、これ以上強くは言いませんが、もう4年くらい前から産業政策課とそのような話をしております。例えば、地元のそうめん業界では、大方100社以上、百五、六十社あると思いますが、零細企業です。ところが、バイヤーはそんなことはお構いなしで、「きちんとHACCPができていますか。できていないところとは取引しません。」と言います。「揖保乃糸」などは、全て天日干しをやめて工場の中でやり、HACCPの基準をクリアしています。このようなことは、地場産業など地域の産業を潰しかねません。小豆島でいうと、しょうゆ産業もそうです。小さいしょうゆ屋は、開放しているのでどこからでも虫が入ってきますが、それで昔から事故なくやってきました。こうじや発酵の認識のない人たちが、手順で何とかしようとしてこのような法律をつくるのです。ヨーロッパや日本の、ワインやしょうゆや酒などの発酵というものは、こうした発想にはなじまないのです。発酵の文化のないアメリカという1つの国の考えに日本が合わせていっているのです。こんなことをしていたら、日本の伝統産業は潰れてしまいます。保健所も苦労すると思います。  法律ができるまでは経緯の説明はしますが、役人の世界は決まると強引に押しつけてきます。私が関わった小豆島での小規模排水事業もそうでした。事が決まると「ここに規則がある」と、どんどん事業者に押しつけてくるのです。小規模排水については、私がその当時の経緯を知っておりましたから、ある程度、県と話をしました。  そのうち、多分、今回の小規模事業者のことも、県は強引に推し進めると思います。そうすると、人員を大体30人や40人くらい使っている小豆島の場合は、業者はお手上げで、商売をやめると思います。そうめん屋を例にして、全産業に同じようにさせようとすると、監督する保健所も大変だと思います。工場によって性格が違うので、「ここは守って」「ここは守らなくてもいい」などいろいろ出てくると思います。もしそれをすると「うちは潰れる」という事業者もいると思います。  国がこういう形でしようとしても、地方から声を上げて「それは除いてほしい」という話をしないとおかしくなると思います。食品衛生の取り締まりの側にお願いしたいのですが、今言っているHACCPというのは宇宙食をつくる工程の考え方でやっているのであって、無菌状態にしようということなのです。日本の文化は違います。菌を使った社会なのです。これは、そのような菌がいっぱいいる倉庫や蔵はだめだという発想なのです。多分、東京の永田町で何も知らない人が考えた政策だと思いますが、こういうことは伝統産業を潰すと思います。流れとして「一切虫は入れない、汚物は出さない、無菌状態にしよう、温度管理もきちんとしよう、菌がふえないようにしよう、できたらゼロにしたい」という考え方です。ところが、しょうゆや酒など、今はタンクでやっておりますが、おけでやる場合は自然に発酵させて、自然にその中で菌をふやしていくという考え方でやるわけです。小豆島のしょうゆおけには、何のふたもない。酒屋の蔵もみそ蔵も、おけは木のふたで押さえているだけです。そこをどうやってできるというのでしょうか。不思議なことを言うと思います。人数や資本金で分けるのではなく、職種で分けるべきです。そういうことが簡単にできる職種と、なかなかできない職種とがあるわけです。地域のそういう伝統や産業を生かしながら、このHACCPという考え方がどこまで入れるのか、ぜひ考えてもらいたいと思います。  それについて、どのようにお考えか、お聞かせください。 安藤健康福祉部長  黒島委員の再度の御質問でございます。  HACCPの考え方は、委員御指摘のように、製造工程ごとに危害要因を排除しようとする大きな考え方のもとで、それぞれプロセスを整理するものと理解しております。そうした中で、先ほど申し上げましたが、「HACCPに基づく衛生管理」と「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」は大きく違うものと思っており、その考え方を取り入れた小規模事業者をどの範囲にするかは、国の検討会で議論されているものと考えております。  その小規模事業者の例示で挙がっておりますのが、委員御指摘の発酵関係のしょうゆ、豆腐、漬物であり、それ以外にも乾麺など、そういった個別の業種は仕様書が整備され、手引書を団体ごとに作成していけば、50人未満の規模であればHACCPの考え方に沿ってやるという程度のものになるように調整がつきつつある状況と考えております。いずれにいたしましても、地場産業がこういった画一的な指導のもとで困るということがないよう、問題意識を持ってよく見ていきたいと考えております。 黒島委員  最後に言っておきますが、行政の話はそれで済みますが、ビジネスにおいて、バイヤーはそんなことは言わないのです。売る責任を回避したいので、工場はきちんとISO22000を取っているとか、HACCPを認証しているとか、そういう工場から仕入れているということで逃げるのです。それが現実の社会なのです。それを50人以上と50人未満で分けるので大丈夫という発想では、生きた経済にはならないと思います。過去の例で、とんでもないことになっている業界があるのは事実です。こういうことは地方から声を上げないと国にはなかなかわかってもらえないことなので、その辺のところはぜひ頭に入れておいてもらいたいと要望して終わります。 高城委員長  以上で、健康福祉部、子ども政策推進局及び病院局関係の質疑・質問を終局いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) 高城委員長  御異議なしと認め、健康福祉部、子ども政策推進局及び病院局関係の質疑・質問を終局いたします。  本日は、これをもって散会いたします。 Copyright (c) Kagawa Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved....