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平成11年9月定例会(第4日) 本文

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  1. 香川県議会 1999-09-04
    平成11年9月定例会(第4日) 本文


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    最終取得日: 2023-05-31
    ▼最初のヒットへ(全 0 ヒット)   出  席  議  員    大喜多      治 君    真  部  善  美 君    辻  村     修 君    山  田  正  芳 君    都  村  尚  志 君    村  上     豊 君    渡  辺  智  子 君    樫     昭  二 君    石  井     亨 君    櫛  田  治  夫 君    梶     正  治 君    栗  田  隆  義 君    名  和  基  延 君    石  川     豊 君    原  内     保 君    平  木     享 君    水  本  勝  規 君    宮  本  欣  貞 君    冨  田  博  昭 君    寒  川  泰  博 君    砂  川     保 君    篠  原  正  憲 君    増  田     稔 君    塚  本     修 君    筒  井  敏  行 君    尾  崎  道  広 君    松  本  康  範 君    鎌  田  守  恭 君    篠  原  公  七 君    大  西  邦  美 君    大須賀   規  祐 君    藤  本  哲  夫 君    亀  井     広 君    大  西  末  廣 君    木  村  嘉  己 君    高  岡  哲  夫 君    三  宅  暉  茂 君    池  田  長  義 君
       植  田  郁  男 君    組  橋  啓  輔 君    岡  田  好  平 君    岸  上     修 君    綾  田  福  雄 君   欠  席  議  員    谷  川     実 君    白  井  昌  幸 君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条による出席者           知     事  真  鍋  武  紀 君           副  知  事  川  北  文  雄 君           出  納  長  野  田     斉 君           総 務 部 長  上  関  克  也 君           企 画 部 長  有  岡     宏 君           生活環境部長   宮  武     昭 君           健康福祉部長   土  井  伸  一 君           商工労働部長   小  橋  照  彦 君           農林水産部長   大久保      厚 君           土 木 部 長  西  田  穂  積 君           知事公室長    玉  地  忠  利 君           環 境 局 長  横  井     聰 君           サンポート高松  泉     浩  二 君           推 進 局 長           技     監  古  市     健 君           水 道 局 長  和  泉  幸  男 君           教育委員会委員  岡  田     武 君           教  育  長  折  原     守 君           公安委員会委員  松  繁  壽  義 君           警察本部長    吉  田  英  法 君           監 査 委 員  広  瀬  員  義 君           事 務 局 長           人事委員会委員  西  井  義  久 君           人事委員会    石  川  正  敏 君           事 務 局 長           地方労働委員会  藤  本  康  夫 君           事 務 局 長           総務部次長    山  本  伸  二 君    ─────────────────────────────     議  事  日  程(第四号)                  平成十一年十月七日(木)午前十時開議 第  一 県の一般事務に関する質問    ───────────────────────────── ◯議長(大喜多 治君)ただいまから本日の会議を開きます。  本日の日程は、配布のとおりであります。  日程第一、県の一般事務に関する質問を行います。  都村尚志君。    (都村尚志君登壇、拍手) ◯都村尚志君 ことしもはや十月となり、一九〇〇年代も過ぎ去ろうとしております。来年二〇〇〇年の元旦にはミレニアムということで、各地でさまざまなイベントが催されるようでありますが、この明るいイベントの話題とともに、現下の厳しい景気・雇用情勢が一日も早く解消されますことを切に願いまして、今回の質問に入らせていただきます。全部で四点質問させていただきます。  まず一つ目は、PFIを導入した行財政改革についてであります。  国会において、ことし一月から九月までの間に約百四十本もの新しい法律が制定されております。その中には、七月に公布されたいわゆる地方分権一括法など、地方自治体にとって大きな影響力を持つ重要な法律も含まれております。それら法律のうちの一つに、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI推進法があります。この法律は、昨年五月に自由民主党を中心とした議員立法により衆議院に提出され、継続審査を経て、本年七月二十三日に成立したものであります。私は、このPFIという新しい事業手法が財政問題を抱える地方公共団体にとって、また長引く不景気にあえぐ民間企業にとって、双方にメリットのある有効な事業手法であると考えます。  PFIとは、イギリスで生まれた事業手法であります。当時のイギリスは、現在の日本と同じく公共部門の財政が悪化し、経済界も英国病と言われた活気のない時期でありました。七九年に就任したサッチャー首相が、小さな政府を目指して行財政の規制緩和、国営企業の民営化を推進した流れの中で、民間資本による社会資本整備というPFIの手法が生まれました。イギリスではこの大手術により、低迷していた社会経済を建て直しました。  なぜ今、日本でもこのPFIが注目を浴びかけているのか、私なりの理解で申し上げます。一般的に、公共性が高く収益性の低い事業を行政が行うと言われております。確かに、現在行政が行っているさまざまな分野の事業、例えば道路建設、河川整備、廃棄物処理施設、教育・文化・スポーツ施設上下水道事業社会福祉施設などは非常に公益性が高く、また収益性は低いと思われます。しかし、公益性の面から言えば、電気、ガス、電話等のライフライン事業、また航空、鉄道といった人の命を預かる運輸事業のように、非常に公益性の高い分野においても、現在では民間企業が立派に事業を行っております。したがって、事業の公益性の高さによって行政がその事業をしなければならない、ということは言えないことになります。  一方、収益性が悪い、採算が合わないから行政が行うという理屈も当然のように聞こえますが、見方を変えれば、ただでさえ収益性が悪い事業なのに、それを収益を追求しない行政が行えば、一層収益性は悪くなると言いかえることもできます。また、収益性について県民生活、県民福祉の向上を広い意味での行政収益と考えれば、まさに最大限効率的に事業を行い、最大限の収益を得なければならないことになります。貴重な税金を使って事業をするからには、資金面、技術面、運営面で、最も効率的にその事業目的を達成することができる主体が、その事業を行うべきであります。行政が行うより民間にゆだねた方がいいと判断される事業は、民間にゆだねることが納税者に対する義務であるとさえ思います。  PFIは、法の名前のごとく民間の資金、技術を活用して、公共施設をより効率的に整備することであります。従来型の公共事業においては、行政はコンサルタント等が作成した施設の詳細仕様書をもとに入札を行い、落札した施工業者に建設を委託しております。完成後、施設は行政に引き渡され、行政が管理、運営をしてまいりました。  一方、PFIの手法においては、行政はその事業が住民に与えるサービスの水準のみを規定いたします。それに対し、事業を行おうとする民間事業者はみずからのリスクで資金を借り入れ、そのサービスの水準を満たす施設を設計し、建設します。そして、管理、運営もその事業者が行い、サービス提供の対価として、サービス提供の都度、住民なり行政なりから資金を回収することになります。行政と民間事業者の間では、契約締結時に、将来にわたる官民の責任分担を詳細に規定いたします。この点が、従来責任の所在があいまいになりがちであった第三セクター型の民活事業と大きく違う点であります。例えば、ごみ処理事業をPFIで行うとすれば、まず行政が提示するのは、日量何百トンという処理能力や規模、それと排出物の環境面での規制といったその事業で求められる基本的な要求のみであり、そこから後は、民間事業者がみずからプロジェクトファイナンスにより資金を調達し、施設を設計、建設、管理、運営することになります。民間事業者は操業開始後にごみ処理代金として住民から、排出企業から、また行政から、資金を回収して当初資金の返済に充てることになります。このPFI手法における行政側のメリットとは、事業に係る大きな初期建設投資費用が必要なくなること、また事業の企画、設計、運営、管理に係る人件費が大幅に軽減されることなど、財政面でのメリットのほかに、事業全体のリスクから一義的に解放されることなどが挙げられます。また、民間側のメリットとしては、現下の景気低迷下における新たな事業分野の創設といった点が挙げられます。私が思うに、PFIによる最大の効果は、ある条件があれば、それを満たしておればよしとする行政の事業方針と、ある条件があればその条件のもとで最大限業務を効率化し、利益を出そうとする民間企業の事業方針の違いから生じてくる、長い目で見た行政事業コストの軽減ではないかと思います。  さて、長々とPFIの概要について述べてまいりましたが、今般の法律制定を機に、国内の地方自治体においてもPFI導入の機運が盛り上がっております。県レベルでは東京都、三重県などが具体的事業を掲げ、PFIの導入を計画しております。また、千葉県の木更津市を中心とした四市においては、ごみの広域処理をPFI方式で行っているようであります。昨年七月に、日経産業消費研究所が全国の四十七都道府県にアンケート調査をしたところ、PFIに大いに関心を持っているところが二十一県に及び、庁内にPFI検討組織を設置している、また設置する予定であると答えたところが、検討中のところも含めて十七県となっております。残念ながら本県は入っておりませんが、法が成立した現在、他県においては、さらに活発に検討が進んでいるものと思われます。法律自体、国庫補助の問題等まだまだクリアにされるべき点を残しておりますが、本県においても、この新しい公共事業手法であるPFIの導入に向け、メリット、デメリット、適用可能な事業分野等について、まずは研究すべきではないかと考えます。  そこで、PFIに対する知事の御所見、並びに本県において今後PFIを研究、検討する部署を設置するお考えがあるのかについて、お尋ねいたします。  質問の二点目は、高松東ファクトリーパークについてであります。  本件については、先日の経済委員会においても議論されておりましたが、改めて知事にお伺いいたします。  今述べてきましたPFIを初めとしまして、財政構造改革と言いますと、まず歳出をいかに削減するかに目が行くわけでありますが、反対に歳入をふやすことも前向きな財政構造改革であります。歳入をふやすためには、県税収入をいかに引き上げるかにかかっております。そんな中、県では、平成五年度より、長尾町と三木町にまたがる丘陵地に高松東ファクトリーパークを整備しており、平成十二年度末完成を目指しております。総開発面積は八十ヘクタールと阪神甲子園球場二十個分の広さであり、十六区画を分譲予定としております。場所的にも、全線開通を目指し整備中であります四国横断自動車道のさぬき三木インターまで一キロ、高松空港まで二十五キロと立地に恵まれており、本四三橋時代に四国はもとより、京阪神、中国地方、また空路関東地方からのアクセスにもすぐれております。また、香川インテリジェントパークとも近接しており、その中には、産業支援施設として香川大学工学部を初めとし、新規産業創出支援施設ネクスト香川、産・学・官共同研究開発施設フロム香川など、数々の国、県、民間の最先端施設が集積しております。とにかく工場立地にとって、この上もない条件がそろっているわけでございます。  また、第二次産業である製造業の魅力は、税収の面のみならず、雇用面においても大きな影響力を持っております。一区画が平均して二十人の新規雇用をした場合、全体で三百二十人の新規雇用創出につながります。現下の厳しい県内雇用情勢の中、非常に明るい話題になろうかと思います。また、製造業は、設備機器の購入、また仕入れ、販売の際の物流など地域経済に対する波及効果の非常に大きな産業であり、ここを核としました県内景気の浮揚効果も期待できます。  一方で、現在の全国的な景気低迷の中、製造業においても、元気な業種が非常に限られているのが現状であります。また、景気が冷え込んだここ五年間の県内工場立地動向を見ましても、県内全域で平均して、一年間の工場立地件数二十二件、敷地面積にして十六ヘクタールと低迷いたしております。全国的に見ましても、日本開発銀行の調査によりますと、製造業の設備投資計画は本年度も一〇・一%減と、ここ三年連続して減少をしております。このような観点から見ますと、来年度末に完成するこのファクトリーパークの誘致活動については、非常に厳しい環境であろうかと存じます。製造業にとって工場を新設する、移転するという決断は、会社の命運をかけた方針決定であります。企業行動として、当然十分に時間をかけて準備し、候補地を徹底的に比較調査した上で決断するものと思われます。当工業団地の公募は、来年秋ごろと伺っておりますが、実際には、今から半年ぐらいが勝負だと考えております。県としても、現在、積極的に誘致活動を展開中であろうかと思いますが、現在のところの進捗状況、及び今後の誘致活動計画についてお聞かせください。  また、他県においても企業誘致に消極的な県があろうはずもなく、水面下で激しい誘致合戦が繰り広げられることが予想されます。立地条件がいいから当然来てくれる、といった甘い考えは捨てなければなりません。本県の工場立地促進に関する助成制度は、現状、決して他県に引けをとるものではありませんが、誘致活動が佳境に入った段階では、他県との差別化を図るためにも関係市町とも協力の上、税制面、助成措置等、いま一段の思い切った支援策を講じる必要があるものと思います。また、知事御自身の御出馬によるトップセールスの必要があるやもしれません。いずれにしましても、二十一世紀の本県の第二次産業発展に大きな意味を持つ、この高松東ファクトリーパーク整備事業は、必ずや成功させなければなりません。この事業に対する知事の御決意のほどをお聞かせください。  質問の三点目は、市町合併についてであります。  市町合併については、本議会の場においても代表質問を初めとして、数々の議論がなされております。答弁の中では、知事の合併に対する積極的な姿勢が感じとられます。私も現在の多様化、高度化、専門化する行政ニーズに的確にこたえていくためには、市町合併は避けて通れない課題だと考えております。さらに、この合併の議論は、地方分権の流れと並行して考えるべき問題だと思っております。新しい時代の地方行政の理想は、地方分権の流れがさらに進み、個々の地方自治体が、みずからの権限と財源を持ち、主体的に独自の施策を展開できることであろうかと思います。そのために、財政基盤を強化し、政策遂行能力を高めるために、合併が必要なのであります。裏を返せば、権限、財源のさらなる委譲がなく、従来同様、補助金、交付金で、国が地方自治体を縛ろうとするのであれば、地方にとっての合併の意欲、効果は半減してしまいます。そうならないために、平成十二年度の重点要望にも入っておりますが、引き続き、県として地方税財源の充実確保を、国に対して要求していただきたいと思います。合併を真に実りあるものにするためには、目の前に期間限定のニンジンをぶら下げるようなやり方ではなく、真っ正面から地方主権への道筋、そしてその中でこれからの行政はどうあるべきかについて、もっともっと県民全体の中に議論を起こし、将来へのビジョンを持った合併論を展開するべきだと思います。  もう一つ、今回の合併議論で忘れてはならないことは、昭和三十年ごろの大合併のマイナス面を、繰り返してはならないということであります。それは、合併したときに周辺部となる地域に対する配慮であります。聞くところによりますと、前回の大合併のときも、合併したことによって周辺部となってしまった地域からは、さまざまな不満の声が上がってきたようであります。行政単位が大きくなればなるほど、住民一人一人と首長、また行政の意思決定機関との物理的、心理的距離は遠くなります。特に、今、小さい行政体に住んでいる住民にとっては、その差は非常に大きなものになり、自分たちの声が行政に反映されにくくなったという、疎外感を味わうことになりかねません。この問題は、常に合併のデメリットとして取り上げられますが、今回盛り上がっている平成の合併議論の中では、大きくなる行政体と地域住民との意思の疎通をどうするかについて、しっかり検討すべきではないかと思います。現に、淡路島では、島内の一市十町が合併するに当たり、大字単位の地域住民自治組織をつくることが検討されております。  本県においては、まだまだそこまで合併の議論が熟成していないようにも思われますが、改めて知事の市町合併に対する基本的姿勢をお伺いいたします。また、本来は、当事者である市町において考えるべき課題でありますが、合併する際の周辺部住民に対する配慮について、県として何らかの対策をお考えなのか、お尋ねいたします。  質問の最後は、中山間地域の振興についてであります。  県土の均一的な発展を目指すことは、県行政の大きな責務の一つであると思いますが、特に中山間地域の振興については、環境面からも非常に大切な課題であります。過疎化の進む中山間地域に住む人たちは、不便な環境の中で住み、厳しい条件のもとで田畑を耕作することによって山を守り、水資源を涵養し、ひいては都市部の人たちが享受している空気や水を守っているわけであります。合併の議論とは別にして、中山間地域については、これ以上その地域の過疎化が進行しないよう、県として十分な振興策を講じるべきだと考えます。中山間地域の活性化を図るために、農林業を初めとする産業の振興、生活基盤の整備などに取り組まれているのは承知しておりますが、抜本的な解決には至っておりません。このような状況を打開するため、国、農林省においては、中山間地域に対する直接支払い制度を来年度より実施することとしており、その効果が期待されるところであります。  県としても、県独自の施策を検討すべきと考えますが、一つの案として県有の施設、特に一般住民が日々利用する施設でない施設、また、現在検討中の県の出先機関の配置を中山間地域に移転、統合して、その地域の振興を図るといった方法もあるのではないかと思います。突拍子もない意見に聞こえるかもしれませんが、環境保全の面をあわせれば、それぐらいの覚悟を持って臨んでいただきたいし、それだけ重要な課題であると考えます。  いずれにしましても、県民にとって貴重な財産とも言える中山間地域を維持、保全していくために、県として農業の振興を初め、今後どのような振興策に取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いしまして、私の質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(大喜多 治君)理事者の答弁を求めます。  真鍋知事。    (知事真鍋武紀君登壇) ◯知事(真鍋武紀君)都村議員の御質問にお答え申し上げます。  まず、PFIへの取り組みについてのお尋ねであります。  国や地方公共団体の財政状況が極めて厳しい中、限られた財源で、社会経済情勢の変化に的確に対応しながら各種の行政サービスを提供してまいりますためには、費用対効果の視点に重点を置いた効率的かつ効果的な財政投資を行ってまいりますことが重要な課題であります。英国において始められたPFIは、民間の資金とノウハウを広く導入することで財政支出を軽減し、より質の高い公共サービスを提供することが可能と言われておりますことから、近年、我が国におきましても、新たな社会資本の整備、運営手法の一つとして各方面から大きな期待が寄せられているところであります。このため、国におきましては、PFI事業を積極的に促進してまいりますため、本年七月に民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI推進法が制定されますとともに、現在、総理府におきまして特定事業の実施に関する基本方針の策定作業が進められますなど、今後の本格的な導入に向けた各種条件の整備が行われているところであります。  また、各省庁におきましては、従来の補助金制度等にかわる地方財政措置個別事業分野ごと法的枠組み等について検討がなされているところでありますが、現時点では、具体的内容が不透明なことなどから、多くの自治体が、将来の導入に向けて基礎的な研究を行っている段階であります。県におきましては、これまで企画部を中心にPFIに関する各種の情報収集に努めてきたところでありますが、PFI推進法が施行されましたことを契機に、二十一世紀における公共サービス提供システムの新たな手法の一つとして、PFI導入の可能性について、鋭意調査研究を進めてまいりたいと存じます。  次は、市町合併についてのお尋ねであります。  行政事務の複雑・高度化、県民の生活圏の拡大などに対応し、また、地域の一体的な整備や住民に身近な行政サービスの充実、行財政基盤の強化等を図ってまいりますためには、市町合併が有効で、適切な方策であると考えられております。また、地方分権の推進により、市町においては、ますますその権限が強化され、自己決定、自己責任の原則のもと、一層責任ある行政の展開が見込まれておりますことから、そのための体制整備や地方税財源の確保が重要な課題となっております。このような状況を踏まえ、市町合併の取り組みに当たりましては、関係する市町やその住民が地域の将来像を描きながら、自主的かつ主体的に合併論議を行っていただくことが最も重要であると考えております。このため、県といたしましては、パンフレットの作成や合併に関する調査研究等に対する助成を行うなど、合併論議に必要な情報等の提供や支援を行いますとともに、去る八月には市町合併促進方策検討委員会を設置し、今年度末を目標に、市町合併促進のための要綱づくりに取り組んでいるところであります。今後とも、市町や県民の中で、それぞれの地域における将来ビジョンに基づく合併論議が高まるよう、現在作成中の要綱やさまざまな合併に関する情報等について説明、提供してまいりますとともに、具体的な合併の動きに対しましては積極的に支援し、必要な助成を行ってまいりたいと考えております。  次に、合併に伴う周辺部の住民に対する配慮についてであります。  市町合併につきましては、地域の一体的整備、地方分権時代にふさわしい行財政基盤の強化等、多くの効果が期待されますが、一方では、役所等への距離が遠くなり、行政サービスが低下する、中心部ばかりがよくなり、周辺地域が取り残される、住民の意見が反映されにくくなるなどの懸念も聞かれるところであります。これらの課題を解決するための対策としては、支所・出張所機能の充実、住民の意見を施策に反映させるための地域審議会の設置、公共施設間のネットワークの活用などを行うとともに、地域の個性を生かした公共施設の効率的配置に努めるなど、行き届いた行政サービスの提供を行う必要があると考えております。県といたしましては、現在設置しております検討委員会におきまして、過去の合併における問題点や市町の意見も参考にしながら、合併に伴う課題とその解決策につきましても、十分検討してまいりたいと考えております。  次に、中山間地域の振興についてのお尋ねであります。  中山間地域は、緑豊かな自然環境とあわせ、水資源の涵養など公益的かつ多面的な機能を有しており、県土の保全と均衡ある発展を図ってまいります上で、重要な地域であると認識いたしております。このため、県といたしましては、地域の基幹産業であります農林業の振興を初め、集落道路や農業集落排水処理施設などの生活環境の整備を行うとともに、都市との交流を促進するためのグリーンツーリズムの推進に努めております。また、過疎地域等につきましては、地域の実情に応じた定住条件の向上に努めることを基本とする過疎地域活性化計画等によりまして、各般の地域振興施策を総合的、計画的に推進しているところであります。さらに、今後はこれらの施策に加えまして、来年度から実施されます中山間地域等直接支払制度の円滑な運用に努めまして、中山間地域の有する公益的かつ多面的機能が維持・保全され、その地域の振興が図られるように積極的に取り組んでまいりたいと考えております。なお、御提言の県有施設や県の出先機関につきましては、地域配置のあり方や機能などについて検討を進めてまいりたいと考えております。  また、高松東ファクトリーパークへの企業誘致活動についてのお尋ねにつきましては、商工労働部長からお答え申し上げます。(降壇) ◯議長(大喜多 治君)小橋商工労働部長。    (商工労働部長小橋照彦君登壇) ◯商工労働部長(小橋照彦君)都村議員の御質問のうち、高松東ファクトリーパークへの企業誘致活動につきまして、知事にかわりましてお答え申し上げます。  企業誘致を進めてまいりますことは、本県産業の高度化や雇用機会の拡大に寄与するなど、地域経済の活性化を図ります上で極めて重要であります。平成十二年度末の完成を目途に整備を進めております高松東ファクトリーパークにつきましては、県がこれまで整備を促進してまいりました四国横断自動車道を初めとする高速交通体系の整備効果や、緑豊かで快適な環境、さらには産・学・官の集積が進む香川インテリジェントパークに近接するなどすぐれた立地条件を最大限に生かし、早期に企業立地を図ってまいりたいと存じます。そのため、県といたしましては、これまで県内外の企業訪問を行いますとともに、東京、大阪での企業立地説明会や企業誘致推進懇談会、県内において開催しております立地企業意見交換会を通じ、本県の企業立地環境のPRや企業ニーズの把握に努めるなど、鋭意誘致活動を進めてきているところであります。また、本年度から企業立地推進室を設置し、誘致活動を効率的かつ効果的に行いますため、立地可能性のある企業の選定調査を行いますなど、新たな誘致施策を展開しているところであります。現在の厳しい経済情勢の中、企業誘致をめぐる地域間競争が一層激化しておりますことから、県といたしましては、企業のニーズや他県の状況なども参考にしながら、より効果的な優遇措置についての検討も含め、各種の企業誘致施策の充実に努めますとともに、関係市町との連携を図りながら、積極的な誘致活動を進めてまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(大喜多 治君)一般質問を続行いたします。  櫛田治夫君。    (櫛田治夫君登壇、拍手) ◯櫛田治夫君 通告に基づき七点にわたりまして簡潔に質問しますが、答えはより具体的にお願いをいたします。  第一点は、先般の六月議会において、代表質問や一般質問で問題提起をされましたフリーゲージトレインの導入に伴う岡山県側の複線化について、早急に取り組まなければならないと思います。フリーゲージトレインの導入により、所要時間の短縮、利便性向上など多くのメリットは期待をできるわけでありますが、まず、JR茶屋町駅とJR岡山駅間の十四・九キロの複線化が先決ではないかと思います。香川県を訪れる観光客からも、よく聞く話であります。特急では茶屋町で降車できないが、行き違いのために停車している一日当たりの回数は、上り二十五本中二十本、三十秒から三分間となっております。JR四国または西日本、そして香川県、岡山県とも協議をし、また四国鉄道整備促進期成会とも連携を図りながら、取り組んではいかがでありましょうか。またこの際、土讃線、高徳線についても複線化し、県勢活性化の面からも必要と思われますが、知事の御所見をお伺いをいたします。  第二点は、高校生の就職についてであります。  来春卒業予定者で、就職を希望している高校生に対する七月末現在の求人倍率は、全国平均で〇・六二倍に落ち込んでいることは、労働省がまとめた数字であります。十一年ぶりに一倍を割った前年同期の〇・九八倍を、さらに〇・三六ポイントも下回っており、求人数も前年に比べ四〇・四%の大幅減となっております。求人数、求人倍率ともに現行の方法で調査を始めた一九八四年以降の最低でありまして、十人に四人は職がない深刻な状況であります。同省によると、高校生の求職者は二十六万六千人、企業の求人数十六万六千人、高卒の採用枠が大きかった製造、卸、小売、建設業などで求人減が目立つようであります。労働省は、文部省、全国高校校長会と高校新卒者就職促進連絡会を設置し、ハローワークに特別相談窓口を設けるほか、学校側と連携し、求人開拓に力点を置くようであります。  また、この際、中学生の求職者に対する措置もお伺いをいたします。  全国的には、今春卒業した中学生の求人倍率は一・四二倍で、前年を〇・三三ポイント下回ったようであります。香川県下における高校生、中学生の就職状況とその対応策について知事にお尋ねをいたします。  第三点は、昨日も一般質問がありましたが、現行の農業基本法にかわり三十八年ぶりに食料・農業政策を大きく転換をする新農基法が制定をされました。新農基法は、国内農業の持続的な発展、農村の振興を通じて食料の安定供給を確保するとともに、国土や自然環境の農業があわせ持つ多面的機能を発揮できる二十一世紀の体制づくりを目指しているようであります。現行の農基法は産業保護政策の域を出ず、安価な輸入農産物の増加や専業農家の減少など、農業の地盤沈下が進められております。新農基法は農政の領域を大きく広げ、食料安定保障、環境保全問題、食品の安全性確保など国民生活全般に幅広く影響する課題について、総合的な政策となっているようであります。  また、農業生産法人に株式会社形態を導入するなど、農業の担い手の規模拡大も図るようであります。この政策を受け、今後の香川農業のあり方、一方、現在まで取り組んでまいりました香川型農業との連携についてお伺いをいたします。  第四点は、休耕田の利活用についてであります。  昭和五十五年度においては、減反の目標面積は五千六百六十ヘクタール、それに対して実施面積は六千九百五ヘクタールでありましたが、年を追うごとに拡張されまして、平成十年度は、何と実施面積一万七百三十六ヘクタールになり、これに伴い、転作面積も野菜、大豆、果樹等々拡大をしております。
     一方、農地の転用は、住宅用地、鉱工業用地、道路用地等の実態も見逃せません。問題は、耕作放棄地であります。調査によりますと、千七百ヘクタールで牟礼町、豊浜町に匹敵する面積のようであります。今、子育て中の若い方から、よく小公園設置についての話をお聞きをするわけであります。都市公園面積は、当県の場合、全国二十二位となっておりますが、これとは別に、地域の憩いの場として、また子供の遊び場として各小学校単位ぐらいに休耕田をお借りして、小公園設置に向け、各自治体に対して助成措置を講じてはいかがでありましょうか。長年荒れ地になっている休耕田は、雑草も生い茂り、病害虫の温床にもなっているのをよく見かけるわけであります。知事の御所見をお伺いをいたします。  第五点は、文部省は来春から、公立小・中・高校の校長の任用資格を大幅に緩和し、教員免許がない民間人でも、就任できるようにする方針を決めたようであります。中央教育審議会の昨年九月の答申を受けての措置でありまして、年功序列型のこれまでの人事慣行を打ち破り、幅広く校長の人材を集めるとしております。現在、校長になるには教員免許を持ち、小・中・高・大学の教員等教育に関する職に五年以上ついた経験があることが条件になっているようであります。  一方、十二年度香川県の採用試験状況を見るとき、受験者数千二百十九人、合格者数六十五人、倍率は平均一八・八倍であります。小学校の場合、受験者数二百九十六人、合格者十人、倍率二九・六倍、特に倍率が高いのは中学校の場合でありまして、受験者三百九十三人、合格者十一名、三五・七倍となっております。教員の社会も、年功序列のみでは運営に難しさがあるかもしれませんが、しかし豊富な経験も大切であります。一般教員から教務主任や役職教員を経て教頭になり、校長になるパターンも重要ではないでしょうか。一番危惧されるのは、免許のない教頭や校長を任命されると教員の意欲が失われないか、そのことが生徒指導にも影響しないか等々、切実な問題が種々想定をされるわけでありますが、教育長のお考えをお伺いをいたします。  第六点は、不登校生に対する対応であります。  一九九八年度中に三十日以上欠席した不登校の小・中学生は十二万七千余人で、前年度を二一・一%も上回ったと文部省は明らかにしております。小学生は三百九十五人に一人、中学生は四十三人に一人、文部省は、従来の施策や指導の効果が上がっていないと深刻に受けとめ、対策としてスクールカウンセラーの増員を予定しているようであります。  一方、県内の小・中学校を三十日以上欠席した長期欠席者のうち、心理的などで登校しない不登校の児童・生徒は千百九十八人で過去最多と、本年度学校基本調査で明らかになっております。今回の調査は、「登校の意思はあるが、身体の不調を訴えて登校できない」、「いじめや教師との人間関係など学校生活上の影響」、「無気力で何となく登校しない」など実態に近い調査が行われ、より対応に拍車がかかると言われております。これらの実態調査に対し、県教育委員会は、教育事務所への臨床心理士や専門相談員の派遣、全国的には千七百校にスクールカウンセラーが配置されているようでありますが、本県の場合いかがでありましょうか。これらの対応について、教育長にお伺いをいたします。  最後第七点であります。警察本部長にお伺いをいたします。  今、外国人による犯罪が全国的に急増しております。県内にも昨年末で約五千五百人の外国人が登録をされ、ここ十年間で約二・六倍になっているようであります。今年の上半期の外国人犯罪の摘発件数は二百二十件で、過去最高のようであります。県警が昨年設立した通訳センターには、現在、警察官ら部内通訳と民間に依頼する部外通訳合わせて百余人が登録をされまして、英語や中国語、ポルトガル語などの主要外国語を初め、タイ語やネパール語など十七カ国語に対応できるようであります。しかし、この七割が民間の通訳に依存しており、種々な制約もありますが、また少数派言語の通訳は、ごく少数のようであります。一部の外国人の犯罪でありますけれども、通訳のいない外国語もあるようであります。  今後の通訳の確保と外国人犯罪の防止対策について本部長にお尋ねをいたしまして、一般質問を終わります。                            (拍手、降壇) ◯議長(大喜多 治君)理事者の答弁を求めます。  真鍋知事。    (知事真鍋武紀君登壇) ◯知事(真鍋武紀君)櫛田議員の御質問にお答え申し上げます。  まず、JR宇野線等の複線化への取り組みについてのお尋ねであります。  宇野線茶屋町・岡山間は、四国にとっても極めて重要な路線でありますので、この区間の複線化につきまして、本県と岡山県、JR四国、JR西日本の四者で協議してまいったところであります。また、土讃線・高徳線等四国内の路線の複線化につきましても、輸送力の強化と所要時間の短縮などによる利用者サービスの充実を図りますために、重要なものと考えております。このため、これまで県の重点要望はもとより、香川県JR四国線複線電化・新幹線導入期成同盟会及び四国四県で構成する四国鉄道整備促進期成会からも、運輸省など関係機関に要望してまいったところであり、今後とも、現行制度における財政支援の見直しを初めとして、引き続き関係機関へ強く働きかけてまいりたいと存じます。  次は、中・高校生の就職への取り組みについてのお尋ねであります。  来春卒業予定の高校生の就職見通しについてでありますが、本年八月末現在における求人倍率は、昨年同時期と比べ〇・七五ポイント低下した一・七五倍となっております。なお、中学生については、来年一月一日より選考が開始されることから、求人倍率につきましては、現在のところ把握することは困難でありますが、企業の採用意欲に慎重さが見られ、これまでにも増して、就職環境は厳しい状況にあると認識しております。このため、県におきましては、県内企業における求人の確保や企業ガイドブック、インターネット等による雇用情報の提供、生徒・保護者に対するきめ細かな職業相談などにより、就職促進に努めているところであります。県といたしましては、今後とも、香川県経営者協会など経済団体に対する求人確保の協力要請や、企業に対する求人開拓の実施に努めますとともに、公共職業安定所における特別相談窓口の設置、学校との連絡会の開催などにより、積極的に中・高校生の就職支援に取り組んでまいりたいと存じます。  次は、今後の香川の農業のあり方についてのお尋ねであります。  県におきましては、二十一世紀香川県農業・農村計画に基づき各種施策を実施し、魅力とやりがいのある香川型農業の確立に努めているところであります。一方、本県農業をめぐる情勢は、国際化の進展に加え、担い手の減少や高齢化の進行、さらには産地間競争の激化など大きく変化しております。このようなことから、このたび新たに制定された食料・農業・農村基本法の基本理念にのっとり、今後、実施される諸施策を十分見極めつつ、食料の安定供給や農業・農村の有する多面的機能の発揮が図られるよう、本県の実情に即した施策を総合的かつ計画的に推進し、本県の特色を最大限に生かした農業の持続的な発展を図っていくことが重要であると考えております。このため、生産性を高めるための農業生産基盤の整備、効率的かつ安定的な経営体や多様な担い手の育成・確保を図りますとともに、本県の恵まれた気象条件などを生かした高収益作物の導入や新技術の開発・普及、自然循環機能を発揮した環境保全型農業の推進、さらには、本四三橋時代に対応した多様な流通・販売戦略の構築などを図ってまいる考えであります。今後、このような基本的な考えに立ち、現在策定中の次期農業・農村計画において、本県農業の振興方向とその実現に向けた具体的な施策の展開方向を明らかにし、消費者ニーズにも的確に対応した高付加価値で、生産性の高い農業の積極的な振興を図ってまいりたいと存じます。  なお、お尋ねのありました休耕田の利活用につきましては、農林水産部長からお答え申し上げます。(降壇) ◯議長(大喜多 治君)大久保農林水産部長。    (農林水産部長大久保 厚君登壇) ◯農林水産部長(大久保 厚君)櫛田議員の御質問のうち、休耕田の利活用につきまして、知事にかわりましてお答えを申し上げます。  休耕田の利活用については、従来から、潤いのある生活環境づくりのための農村公園や農業との触れ合いの場としての市民農園の整備、さらには、休耕田の荒廃を防ぐためにレンゲなど景観作物の作付に要する種子代に対する助成を実施しているところであります。  また、公園の整備などの非農業的な利用につきましては、農地保全の観点から地域の実情に応じた土地利用調整を行い、有効利用が図られますよう指導しているところであります。今後とも、このような施策をより一層効果的に実施いたしまして、休耕田の有効利用を図りますとともに、農村地域における生活環境の改善などにも資するよう取り組んでまいりたいと考えております。(降壇) ◯議長(大喜多 治君)折原教育長。       (教育長折原 守君登壇) ◯教育長(折原 守君)櫛田議員の御質問にお答え申し上げます。  まず、教頭、校長の任用についてであります。  昨年九月の中央教育審議会答申では、学校において特色ある教育活動が展開されるようにするため、校長、教頭にすぐれた人材を幅広く確保する観点から、教育に関する職についている経験や教諭の免許状を有しているかといった任用資格のあり方を見直すことが提言され、これを受けて、現在、国において必要な制度改正を検討中と承知しております。県教育委員会といたしましては、今後の制度改正を見守りながら、引き続き本県各学校の管理職としてふさわしいすぐれた人材が確保されるよう努めてまいりたいと存じます。  次に、不登校児童・生徒への対応につきましては、学校、家庭、地域社会がそれぞれの立場で努力し、一体となった取り組みを進め、どの子供も明るく伸び伸びと学ぶことができる学校となりますよう努めていくことが必要であると考えております。このため、県教育委員会といたしましては、県教育センターとすべての教育事務所に臨床心理士等の専門家を配置するとともに、小・中・高等学校二十八校にスクールカウンセラーを派遣するなど、学校における取り組みを支援しているところであります。  また、教員の指導力の向上のため、先般、不登校担当教員研修会を開催したほか、臨時にすべての公立小・中学校の生徒指導担当者を集め、問題行動への対応などについて指導したところであり、今後とも、不登校の解消に向け努力していきたいと存じます。(降壇) ◯議長(大喜多 治君)吉田警察本部長。    (警察本部長吉田英法君登壇) ◯警察本部長(吉田英法君)櫛田議員の御質問にお答え申し上げます。  まず、通訳員の確保について御説明します。  県警察では、来日外国人犯罪に的確に対応するため、昨年九月、香川県警察通訳センターを発足させ、部内通訳員三十一名、部外通訳員七十七名の計百八名で十七言語に対応しております。このほか、ネパール語など、当方で対処できない言語については、県外の通訳人に依頼しております。新規通訳人確保のため、本年八月に県警ホームページにおいて部外通訳人を公募しましたところ、報道に取り上げられたこともあって、中国語、スペイン語など十四言語、六十五人から問い合わせがあり、現在交渉中であります。県警察といたしましては、現在、必要性の高い中国語等を重点に警察職員の語学能力の向上を図るとともに、部外通訳員の充実を図り、通訳センターとしての機能を十分に発揮できるよう努めてまいる所存であります。  次に、来日外国人犯罪の防止対策について御説明申し上げます。  来日外国人犯罪の検挙状況につきましては、平成元年は三件、二名であったものが、昨年は百十件、三十五名と大幅な増加を見ております。来日外国人犯罪の防止対策といたしまして、外国人犯罪に関する実態把握の徹底、入国管理局、税関を初め関係機関・団体との連携の強化、犯罪情報の収集と早期手配などのほか、地域の警察官がきめ細かく巡回し、注意を呼びかけるなど、外国人犯罪の防止、徹底を図っているところでありますので、御理解を賜りたいと存じます。(降壇) ◯議長(大喜多 治君)一般質問を続行いたします。  名和基延君。    (名和基延君登壇、拍手) ◯名和基延君 県の一般事務に関して、知事並びに教育長、警察本部長に質問をさせていただきたいと思います。  質問の第一点は、震災対策についてであります。  我が国の国土は、その位置、地形、地質、気象などの自然条件から、地震、台風、豪雨、火山噴火などによる災害が発生しやすい状況にあります。このようなことから、各種の防災対策が実施され、その結果、昭和三十年代後半以降、人的被害は長期的には逓減傾向にあるものの、平成に入っても阪神・淡路大震災を初め雲仙岳噴火災害、北海道南西沖地震災害、平成五年八月豪雨災害などの災害により、多くのとうとい人命が奪われたところであります。とりわけ、我が国は地震多発国であり、過去より頻繁に大きな被害を生じるような地震に見舞われてきたところであります。特に、平成七年一月の阪神・淡路大震災の際には、国民が大きな衝撃を受け、震災に対する備えが必要であるとの認識を新たにしたところであります。しかし、あれからはや四年数カ月が過ぎ、その記憶も少しずつ薄れてきているのではないかと思われます。先日公表された総理府の今年六月の防災と情報に関する世論調査においても、大地震に対する備えを「特に何もしていない」と回答した人が三四%と平成九年の前回調査よりも一〇・七ポイントもふえ、地震に対する関心の低下傾向がうかがえるところであります。懐中電灯や食料、飲料水などを備えている人の割合も阪神大震災をピークに減少する傾向にあり、大震災を契機に高まった国民の防災意識の低下が目立っているようであります。  一方、この八月には、トルコでマグニチュード七・四の大地震が発生し、一万数千人もの死者が出るという大惨事が起き、また、アテネでもマグニチュード五・九の地震が起きましたが、さらに今月の二十一日には、台湾においてマグニチュード七・六の強い地震が発生し、多くの死傷者を出すなどの痛ましい被害が生じ、地震の怖さを再認識させられたところであります。地震は、不意に襲ってくるものでありますから、日ごろからその備えを着実に進めていくことが必要であります。本県におきましては、平成八年三月に地域防災計画「震災対策編」が策定され、地域震災に備えての訓練、資機材整備などが進められているところではありますが、一方で、住民みずからが災害から地域を守る自主防災組織の組織率は二八・三%と、全国平均に比べて低い状況にあります。  また、昨年総務庁が行った各省庁や自治体の震災対策に対する行政監察では、国や地方公共団体の連携不足、連絡網の整備の遅れ、住民に防災意識が十分浸透していないことなどが指摘されているところであります。  そこで、まず震災対策として実施されたこれまでの施策と、今後推進すべき課題について知事の御所見をお伺いしたいと思います。  また、大規模な災害が発生した場合には、行政機関のみで十分な対策を講じるには困難な面があり、被災者一人一人にきめ細かな配慮をするためには、柔軟かつ機動的なボランティアの役割が不可欠であります。災害時におけるボランティア活動の重要性については、阪神・淡路大震災での多くのボランティアの活動により、その関心が国民的な高まりを見せるに至ったことは言うまでもありません。今回の台湾地震においても、医療援助などのため、日本からもボランティアチームが現地入りし、活躍を見せるなど、改めてボランティアの重要性を認識させられたところであります。  そこで、災害時におけるボランティア活動の重要性に対する県民の認識が一層高まるよう、関係団体と連携しながら、啓発を積極的に進める必要があると思いますが、あわせて知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。  質問の第二点目は、不登校問題についてであります。  いじめ、暴力行為、不登校など児童・生徒の問題行動などは、依然として憂慮すべき状況にあり、二十一世紀を目前に控え、次代を担う子供たちを取り巻く環境が、一層深刻になっております。県教育委員会が平成十年に行った調査によると、県下の公立小・中・高校での暴力行為は、学校内において六百二件発生し、昨年度に比べ五〇%増、いじめの発生件数は二百五十六件と、再び増加しているとのことであります。さらに、小・中学校では、三十日以上欠席した不登校児童・生徒は千百九十八人を数え、五年度以上続いている増加傾向に、一層拍車がかかっていることが明らかになったところであります。不登校を児童・生徒別に見ると、児童は前年度を一・九倍の二百二十人、生徒も一・六倍を超える九百七十八人で、前年度より合わせて四百七十五人も増加しており、一段と深刻化する不登校問題が浮き彫りにされております。不登校の背景としては、家庭の問題や学校のあり方、本人の意識の問題などの要因が複雑に絡み合っていると言われております。一般的には、家庭における幼少時からのしつけの問題、児童・生徒の多様な能力・適性などに十分に対応できていない学校のあり方、生活体験の不足、物質的な豊かさの中での他人への思いやりや人間相互の連帯感の希薄化などの社会状況などが挙げられております。  また、最近見られる傾向として、不登校はどの子供にも起こり得るものであり、問題行動ではないとして、学校を絶対視するような考え方が相当弱まっており、一般的に、学校に必ず行かなければならないという意識も薄らいできていることが挙げられています。したがって、これらの問題解決のためには、家庭、学校、地域社会がそれぞれの役割を果たし、一体となった取り組みを行うことが重要であります。この中で学校は、家庭及び地域社会との連携を深めるとともに、児童・生徒の立場に立ち、深く理解をして一人一人の児童・生徒が生き生きとした学校生活が送ることができるよう努める必要があると思います。こうした中、県教育委員会におきましては、その解決に向けて、教育相談体制の充実や教員の指導力の向上など、各般の施策に取り組まれているようでありますが、指導中の児童・生徒がまだ七〇%を超える状況にあり、抜本的な解決に至っていないようであります。まず、問題解決には、その原因がどこにあるのかをつかむことも必要なのではないでしょうか。不登校を引き起こす子供の問題、家庭の問題、いろいろな要因が考えられますが、不登校は学校という場で生じた不適応であります。学校内にも、その不適応を引き起こす原因があると思いますが、いかがでしょうか。したがって、まず、その原因を見つけ出した上で、適切な対策を講じる必要があると考えます。  そこで、学校内にある原因をどのように分析しておられるのでしょうか。そして、どのように対処しようとされておられるのか、教育長にお伺いしたいと思います。  また、少年犯罪の凶悪化が急速に進展し、少年による覚せい剤乱用の増加などが依然として高水準にあるほか、少年が凶悪な犯罪の被害に遭うケースも増加するなど、非行・被害の両面で極めて深刻な条件になっています。また、少年非行は、特別な問題でなくなってきてもおります。最近の凶悪犯罪は、何度も非行を繰り返した少年によるものよりも、一見問題のないように見えるどこにでもいる少年が不良仲間に引き込まれ、いきなり凶悪な犯罪に走るケースが一般化しつつあります。不登校の理由に、遊ぶためや非行グループに入って登校しないことがありますが、深夜の徘徊、家出、無断外泊などを繰り返す子供たちは学校を休みがちであり、中には、三十日以上の不登校児童・生徒として数えられる者もあり、その割合は約一割になっているようであります。このような子供たちへの対応を取り組むことにより、不登校の数は減少するのではないかと考えますが、あわせて教育長にお尋ねしたいと思います。  質問の第三点目は、来日外国人犯罪対策についてであります。  近年の交通・通信手段などの飛躍的発展に伴い、我が国と諸外国との交流は、ますます活発化するなど、国際化が進展しております。このことは、我が国はもとより相手国においても経済、文化を初め、いろいろなメリットをもたらしております。しかしながら、その反面、一部にはデメリットも見られます。来日した外国人による犯罪が、その例であります。また、経済的利益を目的とした不法入国者数及び不法残留者数も多数に上っております。これに伴い、来日外国人による犯罪の多発、外国からの薬物、けん銃の流入などが顕著となり、特に、蛇頭を初めとする外国人犯罪組織の存在は、凶悪化・組織化、特に地方への拡散化傾向が一段と進み、重大な脅威となっております。先月二十八日の警察庁の取りまとめによりますと、来日外国人による犯罪は、摘発件数がわずかに減少したものの、北海道や四国などでは殺人、強盗などの刑法犯が急増し、地方への拡散傾向が強まっていることが明らかになったところであります。東京を拠点とした組織犯罪が各地で暗躍している実態もうかがえ、広域化、組織化、巧妙化は今後も進むと見て、警戒を強めているとのことであります。具体的な内容を見ますと、刑法犯と覚せい剤取締法違反などの特別法犯を合わせた摘発件数は、計一万五千七十八件、六千三百六十六人、過去最高であった一九九七年に匹敵する高水準であり、このうち刑法犯を地域別に見ると、関東周辺が四千四百十七件と最も多く、東京と合わせると全体の五八%を占めているとのことであります。しかしながら、一九九三年上半期に比べると、東京では一三・四%減なのに対し、四国四県では約十七倍の三百九十九件と急増しており、本県においても、来日外国人の犯罪による被害が憂慮されますが、まず県内における来日外国人の犯罪の状況はどのようになっているのか、警察本部長にお伺いいたします。  また、組織的な巧妙な手口による犯罪は、気づかないうちに県民の安全を脅かすものであり、特に外国人となると、その防止は一層の困難性が予想をされます。県は、来日外国人犯罪対策本部を設置し、取り組みを強化しているところでありますが、このような状況を踏まえて、今後どのように取り組むのか、あわせて警察本部長にお伺いして、私の質問を終わります。                            (拍手、降壇) ◯議長(大喜多 治君)理事者の答弁を求めます。  真鍋知事。    (知事真鍋武紀君登壇) ◯知事(真鍋武紀君)名和議員の御質問にお答え申し上げます。  震災対策についてのお尋ねであります。  県におきましては、これまで香川県地域防災計画「震災対策編」に基づき、鋭意震災対策事業を実施しているところでありまして、具体的には、防災関係機関の一層の連携強化と県民の防災意識の高揚を図りますための震災対策訓練、救助活動に必要な防災資機材の整備、非常食や医薬品の備蓄、市町の消防力を強化するための助成や自主防災組織の整備促進、さらには、自衛隊との連携や中国四国各県との広域応援協定の締結など、救命救護体制の整備、各種広報媒体を通じての県民への防災意識の啓発など、さまざまな事業を積極的かつ総合的に推進してきたところであります。しかしながら、阪神・淡路大震災から四年余りが経過し、県民の防災に対する意識が低下傾向にありますことから、これまでの事業を引き続き推進いたしますとともに、市町との連携のもと、自主防災組織の育成強化や幼少年防火クラブ、婦人防火クラブの組織化に努めるなど、住民への防災意識の一層の浸透を図ってまいります。  また、災害が発生した場合には、迅速な初動体制の確立と的確な応急対策の実施が極めて重要でありますことから、これを情報面から支援する総合防災情報システムを新行政棟の整備にあわせ、平成十二年度の運用開始に向けて整備しているところであります。さらに、大規模の災害に際しましては、ボランティアによる救助活動が重要でありますので、県といたしましては、防災ボランティアの登録先である日本赤十字社香川県支部を初め関係団体と連携を図りながら、毎年開催している「防災とボランティアのつどい」のイベントや震災対策の訓練などを通じて、防災ボランティアへの理解を深め、活動への積極的な参加を呼びかけるなど、防災ボランティア活動への一層の支援に努めてまいりたいと存じます。(降壇) ◯議長(大喜多 治君)折原教育長。    (教育長折原 守君登壇) ◯教育長(折原 守君)名和議員の不登校対策についての御質問にお答え申し上げます。  まず、学校内における不登校の原因につきましては、学級の運営方法や学習指導などが児童・生徒の個性化、多様化に十分対応できていないことにより、学校が児童・生徒にとって必ずしも魅力的な場所になっていないといったことが考えられます。このため各学校におきましては、お互いのよさを認め合う学級づくりや、一人一人が個性を発揮し、活躍できる授業を工夫するとともに、すべての教職員が児童・生徒の悩みや不満等を受けとめることができるよう、校内の体制整備に努めているところであります。県教育委員会といたしましては、こうした学校の取り組みを支援するため、各種研修会により教員の指導力を向上させるとともに、ティームティーチングのための教員の配置やスクールカウンセラー等の派遣に一層努めてまいりたいと存じます。  次に、非行傾向にある子供への対応についてであります。  平成十年度に、遊び・非行を理由として不登校状態が継続している生徒の割合は、中学校で全体の一七%を占めており、不登校生徒が増加する一因ともなっていると考えられます。このため県教育委員会といたしましては、このような児童・生徒への対応について各学校に対し、家庭訪問等を通して保護者の協力を得るとともに、地域の民生委員や少年育成センター等の関係機関と密接な連携を図りながら取り組むよう指導しております。  また、先般、臨時にすべての公立小・中学校の生徒指導担当者を集め、問題行動への対応などについて指導したところであります。今後とも、各種施策を充実させ、不登校問題の解決に向け、鋭意取り組んでまいりたいと存じます。(降壇) ◯議長(大喜多 治君)吉田警察本部長。    (警察本部長吉田英法君登壇) ◯警察本部長(吉田英法君)名和議員の御質問にお答え申し上げます。  最近における来日外国人犯罪情勢は、議員御指摘のとおり、全国的に凶悪化、広域化、組織化、巧妙化、地方への拡散化などの傾向が進み、本県でもこのような影響が目立っております。  まず、来日外国人犯罪の発生状況につきましては、今年は年初めから変造の韓国五百ウォンを使用した自動販売機荒らし事件が多発し、現在までに県下で約三百件、使用枚数五千五百枚に達しているほか、クレジットカードによる詐欺事件も二十二件発生しております。また、殺人未遂事件や深夜スーパーに対する強盗事件も発生しております。  次に、検挙状況につきましては、平成元年にはわずか三件であったものが、本年は八月末現在で既に三百六十三件と大幅に急増しております。これは東北、関東、中国、四国などをまたにかけ、広域的に変造の韓国五百ウォン硬貨を使用した中国人窃盗グループによる自動販売機荒らし事件を検挙したことが急増の原因であります。  また、ただいま申し上げました殺人未遂、深夜スーパー強盗、クレジットカード詐欺などの刑法犯罪のほか、不法就労、不法滞在などの出入国管理及び難民認定法違反事件等についても二十八件を検挙しております。こうした来日外国人犯罪の増加に伴い、県警察では、昨年九月警察本部及び各警察署に来日外国人組織犯罪対策本部を設置し、対策を強力に進めているところであります。  まず、この種犯罪は、大都市圏に拠点を持つ犯罪者グループが、地方を犯行地にして犯行後短時間のうちに県外に逃走する形で行われることから、他府県警察、関係取り締まり機関との緊密な情報交換を進めるとともに、発生時における初動捜査を徹底し、県内にいるうちに逮捕できるよう努めております。  また、八月には集団密航事案に備え、警察官二百十五名を動員し、そのうちの三十一名を仮想密航者等に仕立て訓練を実施いたしました。  一方、不法就労防止のため、関係機関と協力して受け入れ企業に対する指導啓発活動や県下に居住している外国人研修生、留学生などに対する防犯、交通教室の開催など、保護対策にも努めているところであります。県警察といたしましては、我が国の国際化の進展に対応して、今後とも、来日外国人犯罪対策を強力に推進し、安全で平穏な県民生活の確保に、なお一層の努力を傾注してまいりたいと考えているところであります。(降壇) ◯議長(大喜多 治君)理事者の答弁は終わりました。  暫時休憩いたします。                         午前十一時三十五分休憩                         午後 一時  八分開議    ─────────────────────────────   出  席  議  員    真  部  善  美 君    辻  村     修 君    山  田  正  芳 君    都  村  尚  志 君    村  上     豊 君    渡  辺  智  子 君    樫     昭  二 君    石  井     亨 君    櫛  田  治  夫 君    梶     正  治 君    栗  田  隆  義 君    名  和  基  延 君    石  川     豊 君    原  内     保 君    平  木     享 君    水  本  勝  規 君    宮  本  欣  貞 君    冨  田  博  昭 君    寒  川  泰  博 君    砂  川     保 君
       篠  原  正  憲 君    増  田     稔 君    塚  本     修 君    筒  井  敏  行 君    尾  崎  道  広 君    松  本  康  範 君    篠  原  公  七 君    大  西  邦  美 君    大須賀   規  祐 君    藤  本  哲  夫 君    亀  井     広 君    大  西  末  廣 君    木  村  嘉  己 君    谷  川     実 君    高  岡  哲  夫 君    三  宅  暉  茂 君    池  田  長  義 君    植  田  郁  男 君    組  橋  啓  輔 君    岡  田  好  平 君    岸  上     修 君    綾  田  福  雄 君    白  井  昌  幸 君   欠  席  議  員    大喜多      治 君    鎌  田  守  恭 君    ─────────────────────────────         地方自治法第百二十一条による出席者           知     事  真  鍋  武  紀 君           副  知  事  川  北  文  雄 君           出  納  長  野  田     斉 君           総 務 部 長  上  関  克  也 君           企 画 部 長  有  岡     宏 君           生活環境部長   宮  武     昭 君           健康福祉部長   土  井  伸  一 君           商工労働部長   小  橋  照  彦 君           農林水産部長   大久保      厚 君           土 木 部 長  西  田  穂  積 君           知事公室長    玉  地  忠  利 君           環 境 局 長  横  井     聰 君           サンポート高松  泉     浩  二 君           推 進 局 長           技     監  古  市     健 君           水 道 局 長  和  泉  幸  男 君           教育委員会委員  岡  田     武 君           教  育  長  折  原     守 君           公安委員会委員  松  繁  壽  義 君           警察本部長    吉  田  英  法 君           監 査 委 員  広  瀬  員  義 君           事 務 局 長           人事委員会委員  西  井  義  久 君           人事委員会    石  川  正  敏 君           事 務 局 長           地方労働委員会  藤  本  康  夫 君           事 務 局 長           総務部次長    山  本  伸  二 君    ───────────────────────────── ◯副議長(真部善美君)再開いたします。  一般質問を続行いたします。  栗田隆義君。    (栗田隆義君登壇、拍手) ◯栗田隆義君 戦後最悪と言われておりました我が国の不況も、各種の政策効果に支えられて消費マインドが徐々に持ち直し、個人消費に明るさが見えてきて、景況感は全体として下げどまりつつありますが、回復へのはっきりとした動きは顕在化せず、企業のリストラが本格化し、給与カットの動きも顕在化するなど、所得環境の悪化が見込まれます。こうした閉塞状況を一日も早く打破し、景気を真の回復軌道に乗せ、明るい将来への展望を切り開いていかなければなりません。しかしながら、私たちは将来を心配する余り、消費には慎重、起業にはひどく臆病になっているような気がします。この国の未来には、十分な希望があります。我々は、未来を開く志と自信を持つべきであります。以下、三点質問に入ります。知事並びに教育長の明快な答弁をお願いいたします。  質問の第一は、防災対策、特に震災対策についてであります。  平成七年の阪神・淡路大地震以来、高まっていました震災対策への関心が低下傾向へ反転していることが、総理府が八月二十八日公表した防災と情報に関する世論調査でわかり、阪神・淡路大震災から四年を経て、地震への警戒心が薄れつつあることが改めて浮き彫りになりました。トルコ、そしてつい最近、台湾で阪神・淡路大震災を上回る大地震がありました。日本でも、この夏各地で豪雨被害が相次ぎました。自然災害は、いつ襲ってくるかわかりません。「災害は忘れたころにやってくる」、「のどもと過ぎれば熱さを忘れる」、このようなことわざもありますが、防災の備えと心構えは、常に持ち続けていなければなりません。油断こそが、防災の大敵であります。  ところで、台湾大地震で建物全体が豆腐のように崩れ、六人の死者を出し、なお六十人ほどが瓦れきの下敷きで救助を待っている、台北市の十二階建ての東星ビルがテレビに映し出されておりましたが、今回の地震では、台湾全土でおよそ三千棟が倒壊し、震源地に近かった台中県のビルの八割は、何らかの影響をこうむっているとのことです。そして、台北市土木技師協会の関係者は、現場の状況を視察し、ビルの構造、耐震度に問題があったとの見解を示しております。一九九四年一月にロサンゼルスで地震が発生し、ビルや高速道路がかなり倒壊しました。このとき、日本の建設関係者は、「アメリカは効率第一主義で、日本に比べて半分以下の費用でビルや高速道路を建設している。だから壊れたのだ。日本は厳しい規格基準によって多額の費用をかけているから、建造物が地震で壊れることなどあり得ない」と言っておりました。そして、私たちもそう信じておりました。ところが、それからちょうど一年が経過した九五年一月に発生した阪神・淡路大震災では、どこの国よりも多くのビルや高速道路が倒壊しました。地震のすさまじさは、人知をはるかに超えているということでしょうか。  そこで、我が国では、阪神・淡路大震災をきっかけに、平成七年十二月に建築物の耐震改修の促進に関する法律が施行され、公的施設の耐震性を向上させる事業については、国の補助が受けられるようになりました。同法は、現行の耐震構造に満たない昭和五十六年の改正前の建築基準法で建てられた建物にも遡及して、安全性を確保する目的があり、同法を背景に国の事業制度が設けられ、事業費の九〇%は起債充当が可能で、うち四五%は交付税措置されるものであり、十二年度までの期限つきですが、地方自治体は、単独事業より有利な形で耐震改修事業に取り組めることになっております。しかしながら、この制度が積極的に活用されているとは言えないのが実情のようであり、どの自治体も、長引く不況の影響で財源不足で、この制度を利用する余裕がない状態であるとのことです。自治省によりますと、これまで地震のなかった地方では、余り制度の申請が上がってこないとのことです。しかし、消防庁では、国の予算は確保しており、災害に対する意識を風化させないためにも、自治体がもっと積極的に同制度を活用するよう、さらに呼びかけを進めていきたいとしております。  このような中、先月の二十九日、高松市の県教育会館で、大地震に関する最新研究を発表するシンポジウム、「予想される四国の地震と地震災害」が開催されました。その席上、「香川県では、長尾断層が近い将来、大地震を発生させる危険性は小さいことが報告されているが、他の活断層についてはよくわかっていない。これに対して、南海トラフの巨大地震は、今後数十年以内に必ず起きると考えておかなければならない。そして、次の内陸直下型地震は、いつ、どこで発生するかはわからない。したがって、南海地震への備えを着々と進めるとともに、四国内外における突発的な地震への対応も必要とされる」との発表がありました。台湾大地震を対岸の火事としないで、地震災害に対するできるだけの備えをしておかなければなりません。  そこで、県有施設の耐震診断及び耐震補強工事の進捗状況と今後の取り組みについて、知事の御所見をお伺いいたします。  また、先日、茨城県東海村で起きた日本初の臨海事故におきましては、午前十時三十五分に起きた事故の情報が茨城県に届いたのが十一時三十三分、東海村役場に届いたのが十一時三十四分と、一時間近くかかったようであります。九五年に起きた旧動力炉・核燃料開発事業団の高速増殖炉もんじゅ事故、また、ことし起きた日本原子力発電敦賀原発二号機事故の場合にも、事故発生からの連絡がおくれたと記憶をいたしております。結局、対策マニュアルを作成しても、無事故が続くうちにマニュアルを忘れてしまい、実際、事故が起きたときに慌てふためき、結果として災害を最小限で食いとめることができないのであります。震災対策においても同様であります。阪神・淡路大震災の後、県においても、香川県地域防災計画「震災対策編」を策定し、県職員が毎年訓練を実施しておりますが、今、香川県で大地震が起こった場合、本当に災害を最小限に防ぎ、県民の生命と財産を守ることができるのでしょうか。いま一度、震災対策編を策定したときの趣旨を思い出す必要があります。大地震が起きた場合、マニュアルどおりに遂行できるのかどうか、機会あるごとに検証する必要があります。マニュアルが、いざというときに機能するような体制がとれていることとは思いますが、いかがでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第二は、遺伝子組みかえ食品についてであります。  一九九八年、日本の食卓に、バイオテクノロジーの技術によって育成された遺伝子組みかえ食品が、現実に食卓に登場しました。外国から輸入された遺伝子組みかえ大豆を使用した大豆加工品や食用油が、製造、販売され始めたのであります。一九九七年にアメリカで栽培されている作物の一〇%は、既に遺伝子組みかえ作物であり、特に大豆は三〇%にもなっていると言われております。予測では、二〇〇五年には、北アメリカで栽培される遺伝子組みかえ作物は、全体の七五%になると言われております。そのような中、遺伝子組みかえ作物の安全性をめぐり、英科学誌「ネイチャー」に掲載された論文が、世界で波紋を広げております。遺伝子組みかえ作物の一つで害虫に強いトウモロコシ、「Btコーン」の花粉を食べたチョウの幼虫が、半数近く死んだという内容であります。発表直後に欧州連合は、Btコーンの新規販売認可手続を、二〇〇二年まで凍結する方針を表明しました。また、カナダの大手製粉会社も同社の製品にBtコーンを使わないことを表明するなど、波紋は国家、民間の双方に広がりました。日本でも、農林水産省が八月に、消費者の商品選択のため、遺伝子組みかえ食品の表示の見直しを決めました。農林水産省は、「ネイチャー論文の内容を直ちに肯定するわけではなく、見直しの動機としてとらえている」と話しております。  その一方で、専門家からは論文に対する疑問も出ております。このように、遺伝子組みかえ食品の安全性につきましては、まだまだ懸念が残っているように思います。食品衛生法を所管する厚生省では、安全性が確認されている食品について、表示する必要はないとの見解を示しています。JAS法を所管する農林水産省では、消費者に対する情報提供は必要という立場で、表示のあり方について懇談会を設けて検討を続け、一応の取りまとめを行い、各方面からの意見聴取を行っています。衆議院では、消費問題等に関する特別委員会において、「可能な限りにおいて、きちんと表示すべきである」との意見で一致しているように聞いております。そして、現在、遺伝子組みかえ食品の表示義務がないため、我々は、知らず知らずのうちに遺伝子組みかえ食品を口にすることになっております。  そこで、遺伝子組みかえ食品の安全性を十分に審査、確認し、一刻も早く遺伝子組みかえ食品の表示を義務づけるとともに、遺伝子組みかえ作物と、そうでないものとの流通を分離するよう求めていかなければならないと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第三は、教育問題であります。  今、日本が戦後つくってきた社会のいろいろなシステムが、あちこちでうまく機能しなくなってきております。学校もその一つであり、制度疲労が目立ち始めています。学校では、いじめ、校内暴力、不登校、高校中退等の問題が、年々深刻化しています。さらに小学校では、激しい私語や立ち歩き、いたずらなどで、授業が成立しない学級崩壊現象が広がっています。そして、少子化にもかかわらず、少年犯罪が増加しているのであります。しかも、それが低年齢化しているとのことであります。ささいなことでかっとなり、確たる理由もないまま犯行に及ぶ、いわゆるすぐに切れる現象が、子供たちの間に広がっています。戦後、子供たちの体位は向上しましたが、体力が低下していると言われています。朝食を食べないで登校する子供や、ジュースやファーストフードに頼る子供、食生活も体をむしばんでいるのですから、子供の体力の劣化は深刻であります。そして、ベネッセ教育研究所の調査で、高校生の半数以上が道や電車の床に座り込む「ジベタリアン」を恥ずかしくないと感じているなど、日本人の恥の文化が高校生の間で崩壊しています。同じく、売春などの援助交際を「本人の自由、だれにも迷惑をかけていないし、非難すべきでない」と容認するなど、性のモラルの低下や他人の行為への無関心ぶりも改めて浮き彫りになっております。  また、最近の文部省の中間報告で、学級崩壊の七割が教師の指導力不足との調査結果が発表されました。中間報告では、担任の性別、学級規模との相関は見られなかったが、約七割のケースで指導力不足が崩壊を招いたと見られ、子供の変化を受けとめられずに指導が硬直したり、異動など環境の変化に弱かったりといった教師の存在を指摘しております。また、校長のリーダーシップ不足、自由と放任をはき違え、子育ての責任を果たさない親の増加なども背景にあります。問題は、指導力のある教師でも、かなり指導の困難な学級が存在すること、集団生活や人間関係が苦手な子供がふえており、親が基本的なしつけをしない風潮、移動性や学習障害の傾向を持つ子供への対応が不十分なケースがあることを挙げています。このような状況の中、学校でクラスという集団を安定させるためには、守るべき原則を無理やりにでも押しつけなければいけないと思います。あの先生は怖いと思わせるようなある種の力がなければ、クラスを維持していくのは難しいかと思います。子供は言葉だけで言うことを聞くわけではなく、欲望に従って体が勝手に動いてしまうのでありますから、それは力で抑えてやらなくてはいけないと思います。特に、中学校では、この怖いと生徒が思うような教師がいないと、学校そのものが成り立ちがたいのではないかと思います。しかしながら、今はそのような怖い先生が少なくなったように思います。いや、先生がそのような怖い存在でいることができなくなったのかもしれません。そして、学校の中に教育的な秩序をつくろうと頑張っている先生、本気になって生徒とぶつかり合っている先生、生徒と一緒になって一生懸命に頑張っている先生が、やる気と自信を持てる学校教育環境を保護者と地域と学校とが協力し合い、一緒になってつくっていくことが大切だと私は思います。  そこで、現在の学校教育現場の状況と、それをどのようにとらえているのか、そして今後の対策、取り組みについて教育長の御所見をお伺いいたします。  以上で一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(真部善美君)理事者の答弁を求めます。  真鍋知事。    (知事真鍋武紀君登壇) ◯知事(真鍋武紀君)栗田議員の御質問にお答え申し上げます。  まず、震災対策についてのお尋ねのうち、県有施設の耐震診断等についてであります。  県有施設の耐震診断等につきましては、香川県地域防災計画「震災対策編」に基づき、防災拠点施設や救助施設など重要度の高い三十一施設、三十七棟について県有施設耐震改修事業として、平成八年度以降、緊急度の高い施設から計画的に順次実施しているところでありまして、現在までに県立病院や出先の合同庁舎など二十一施設、二十五棟について耐震診断を実施したところであります。また、このほかに改修計画のある県有施設につきましても、耐震診断を実施しておりまして、これらの診断結果を受けまして、これまでに小豆合同庁舎など八施設の補強工事を行っており、今年度も香川西部養護学校、三本松高校体育館及び粟地ダム管理事務所について、耐震補強を含めた改修工事を実施しているところであります。県といたしましては、今後とも、県有施設の耐震診断及び耐震補強工事につきまして各施設ごとの実態に応じ、適切な対応をしてまいりたいと考えております。  次に、震災時に機能できる体制の確保についてであります。  阪神・淡路大震災のような大規模地震が発生した場合、県民の生命や財産を守り、被害を最小限に抑えますためには、地震発生時に迅速に初動体制を起動し、効果的な対策を速やかに実施することが重要であります。このため、県におきましては、香川県地域防災計画「震災対策編」に基づき、災害発生時に職員がとるべき行動をまとめた大規模地震発生時の職員初動マニュアルを作成し、いざというときに迅速で的確な行動をとることができるよう、全職員に配布いたしておりますとともに、職員の防災に対する自覚を深めるため、適宜、防災研修を行っているところであります。  また、平成七年度から毎年、本庁を中心に早朝や休日などにおける職員の非常参集訓練や情報収集伝達訓練を行いますとともに、あわせて災害対策本部を設置して、その運営についての訓練などを実施しているところであります。さらに、訓練時には、市町を初め防災関係機関との連携のもと、相互の訓練も行い、災害時に対応できるよう努めているところであります。今後におきましても、平成十二年度の運用開始に向けて整備しております最新の情報機器を備えた災害対策本部室や防災情報システムの活用を図りながら、より実践的で効果的な訓練や研修を継続して実施いたしますなど、災害発生時に迅速かつ的確に対応し、被害を最小限に抑え、県民の生命と財産の保護が図られますよう、鋭意努めてまいる所存であります。  最後に、遺伝子組みかえ食品の表示についてのお尋ねであります。  遺伝子組みかえ食品の安全性の審査につきましては、厚生省において、組みかえDNA技術応用食品・食品添加物の安全性評価指針に基づき順次実施されており、現在、トウモロコシ、ジャガイモなどの農産物で六作物二十二品種、キモシンなどの食品添加物で六品目の安全性が確認され、公表されております。  一方、遺伝子組みかえ食品の表示につきましては、農林水産省において食品表示問題懇談会の中に、遺伝子組みかえ食品部会が設置され、討議が続けられてきました。その結果、消費者の関心にこたえ、かつ表示の合理性、信頼性及び実効可能性が確保されるものとすることを基本的な考え方として、今後の状況変化等を踏まえ、適宜必要な見直しを行っていくことを前提に、本年八月、遺伝子組みかえ食品の表示の内容及び実施の方法が取りまとめられたところであります。今後、国においては、この報告に即して、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律に基づく遺伝子組みかえ食品の表示ルールを定め、実施されるものと考えますが、県といたしましては、こうした国の動向を踏まえ、食品関係の業界や卸売市場へ十分に周知徹底を図るとともに、消費者に広報することなどにより、遺伝子組みかえ食品の表示制度について、適切に対応する考えであります。  さらに、遺伝子組みかえ農産物の分別流通につきましては、農林水産省において流通マニュアルを作成する準備を行っていると伺っておりますので、その経過を見守りながら適切に対応してまいりたいと存じます。(降壇) ◯副議長(真部善美君)折原教育長。    (教育長折原 守君登壇) ◯教育長(折原 守君)栗田議員の学校教育の現状と今後の対策についての御質問にお答え申し上げます。  本県における平成十年度のいじめの発生件数は、小学校で六十三件、中学校で百四十六件、県立学校で四十七件、計二百五十六件となっており、前年度より十七件増加しております。また、不登校を理由に三十日以上欠席した児童・生徒数は、小学校二百二十名、中学校九百七十三名、計千百九十三名で、前年度に比べ四百七十名ふえ、過去最高となっております。さらに、暴力行為の件数は、小・中・高等学校合わせて六百八十四件で、前年度より二百二十九件増加しており、極めて憂慮すべき事態であります。現在、各学校におきましては、お互いのよさを認め合う学級づくりや、一人一人が個性を発揮し、活躍できる授業を工夫するとともに、すべての教職員が一体となり、家庭や相談機関等と密接な連携を図りながら、その対応に努めているところであります。  県教育委員会といたしましては、スクールカウンセラーを小・中・高等学校合わせて二十八校に派遣するなど、こうした学校における取り組みを支援するとともに、児童・生徒に大きな影響を及ぼす教員の研修の一層の充実のほか、先般、教員の指導力の向上のため不登校担当教員研修会を開催し、また臨時にすべての公立小・中学校の生徒指導担当者を集め、問題行動への対応などについて指導したところであります。今後とも、学校、家庭、地域社会がそれぞれの立場で努力し、一体となった取り組みを進め、実践的な指導力を持ち、人間的な魅力を持った信頼される教員のもとで、どの子供も明るく伸び伸びと学ぶことができる学校となりますよう努めてまいりたいと存じます。(降壇) ◯副議長(真部善美君)一般質問を続行いたします。  大西邦美君。    (大西邦美君登壇、拍手) ◯大西邦美君 ただいまから県政一般事務にかかわる諸課題、大きく三点について、知事並びに県人事委員会委員長、それから教育長に質問をいたします。  まず、質問の大きな第一点目は、県職員に関する問題、二点についてであります。  そのうちの一点目は、人事委員会勧告に対する考え方についてであります。  民間では、リストラで失業の危機と賃下げにさらされているといった状況の中、先般、人事委員会勧告がありました。期末・勤勉手当で〇・三カ月カットという初のマイナス勧告となり、これをそのまま実施すれば、十五億九千万円の財源が減額となり、職員一人当たり年平均九万五千円の減収となるようであります。  本日、公務で出席されておられませんが、二十四年という長きにわたって御尽力くださっておられます佐長委員長に心から感謝とお礼を申し上げ、県人事委員会の御見解をお伺いしたいと思います。  まず、第一点目は、初めてのマイナス勧告を行ったことに対する御感想、御見解をお伺いします。  二点目は、最近の動向として、財政事情の厳しい東京都、神奈川県、愛知県、大阪府などの都市部を中心に、人事委員会勧告を無視した形で凍結という措置がとられておりますが、こうした現象を人事委員会の立場でどのように受けとめられておられるのか、お伺いします。  三点目は、これまでの県人事委員会勧告のあり方についてであります。  県の人事委員会勧告は、なぜか国と横並びになっているわけであります。国の基準に合わせていれば、説明しやすいということなのでしょうか。私は、地域経済の事情、財政事情を踏まえ、自治体ごとに格差があっても当然ではないか、それこそが独自性、地方分権の趣旨にかなうものだと思うのですが、どうかお伺いします。  次に、知事にお伺いいたします。  勧告の取り扱いも、最終的には知事のリーダーシップにかかっていると思うわけですが、今回の人事委員会勧告を知事はどのように受けとめておられるのか、特に、財政事情を踏まえた上での考え方について、お伺いをいたします。  特に、昇給についてでありますが、五十五歳以上で人事委員会規則で定める年齢を超える職員は、特別の場合を除き、昇給しないものとすると勧告されています。現在、本県では、今年度から五十八歳以上の管理職者に対して昇給停止を実施しておりますが、今回の勧告を受けてどのように対処されるのか、お伺いをいたします。  職員に関する二点目の質問は、県職員倫理条例への取り組みについてであります。
     ことし八月九日、国家公務員倫理法が成立し、来年度から施行されるのを受けて、真鍋知事は、県職員の倫理規定について条例化を含め検討したいという旨の会見をされておりますが、いつごろをめどに制定されるのか、お伺いをいたします。  質問の大きな二点目は、豊島の産業廃棄物撤去問題についてであります。  中間処理施設の有効活用という観点で、直島町三菱マテリアル製錬所内にプラントが建設されることは、最良の策と考えるものであります。今後の課題として、受け入れ側の直島町住民の同意が大前提であり、あわせて豊島住民の方々との中間合意の見直し、最終合意に向けた話し合いが待たれるところであります。  受け入れ側の今後の課題として、知事は代表質問の答弁の中で、「直島を先進的な環境産業の島と位置づける」としており、三菱マテリアル側がリサイクル産業として取り組む以上、九一年六月に施行した県産業廃棄物処理等指導要綱によって、県外廃棄物の持ち込み、処理、保管することを禁止しておりますが、マテリアル側との契約時までには、これを見直さなければならないものと考えます。  このことは、三菱マテリアル側の取り組み方によって左右されるものではあってはならず、県の主体的な方針に基づくものでなければなりません。それは、安易な緩和措置であってはならず、同時に、特定企業に加担したものであってはなりません。  指導要綱第九条に、知事がやむを得ない理由があると認め、かつ生活環境の保全上支障がないと認めるときに限り、持ち込み、処理、保管の特例措置を講じております。知事は、今のところ指導要綱第九条を含め、見直しなどを含めて検討するとの考え方を昨日示されておられますが、本県の廃棄物処理の根幹にかかわる問題であり、例外措置とするあいまいな取り扱いは許されるものではありません。  以上の観点に立って、知事はこの指導要綱をどのように考え、対処されるのか、お伺いをいたします。  次に、直島での中間処理施設の運用についてであります。  搬入、保管方法等は、技術検討委員会で検討されると思いますが、プラントはマテリアル製錬所内に設置が予定されておりますが、豊島の廃棄物処理が完了した十年後の施設の所有権をマテリアル側に委譲するのかどうか、その契約方法等の考え方について、お伺いをいたします。  次に、プラントの管理、運営については、どのような事業形態を考えておられるのか、また作業員の雇用形態、そして、どの程度の雇用がこのことによって図られるのか、お伺いをいたします。  次に、これまで進めてきました豊島住民との中間合意についてであります。  中間合意で示された土地の無償提供、土地の形態の復元、島外処理はしない等、こうした合意は直島処理方式でクリアできるわけですが、北側海岸の堰堤補強工事、遮水壁工事などの環境保全措置、投棄現場への処理後の緑化等、豊島住民の皆さん方にとりまして、今後の県の取り組みを注視していることと思われます。  また、中間合意で既に解決済みとの考え方を示しております謝罪の問題、排出事業者が支払った解決金とされる約三億円の取り扱い等、今後どう対処されるのか、お伺いいたします。  こうした諸課題について、知事は公調委を仲立ちとしてという答弁に終始しておりますが、知事御自身はどうなのか、お伺いをしたいと思います。  また、今後、豊島住民との最終合意について、どの段階で合意されるのか、その見通しについて、お伺いをいたします。  質問の大きな三点目は、教育問題についてであります。  細かく四点について質問いたします。  一点目は、青少年の暴力行為にどう対処するかについてであります。  県内の公立小・中・高校で九八年度に発生しました暴力行為は、過去最高だった前年度を約五〇%上回る六百八十四件で増加傾向にあり、いじめも九五年度をピークに減少していたわけですが、三年ぶりに増加に転じております。傾向として、学校だけで対処できないような暴力のエスカレートぶりを示しているようであります。  一方、少年非行も激増し、県内でも摘発数が十年間で最高となっており、万引きなどの初発型非行や刑法犯、覚せい剤やシンナー乱用などの事犯が激増しています。こうした現状を踏まえ、少年事件が相次ぐ中、指導のあり方について文部省調査研究協力者会議で警察等、他の関係機関との積極的な連携など、学校内での問題を抱え込む意識の転換を求めています。本県での学校現場への警察官の立ち入り、連携といったケースが年間どの程度あるのか、実態についてお伺いいたします。  特に、全国的に中学校の卒業式に警察官が警戒に当たったケースが増加傾向にあるようですが、本県の実態について、お伺いをいたします。  あわせて、昨年度、警察官が教育委員会へ出向するケースが全国で二十三の自治体であったようですが、余り好ましいことではありませんが、本県の場合、こうした動きはないのかどうか、お伺いをいたします。  教育問題の二点目は、不登校児対策についてであります。  年間三十日以上欠席した不登校の小・中学生が、九八年度は全国で十二万七千六百人に達し、本県でも千百九十八人と過去最多となっています。こうした現状を踏まえるならば、これまで同様の単線のレールを効率的に走るだけの硬直化した教育システムで対処することは、もはや不可能であり、柔軟なシステムに切りかえることが求められていると思います。  具体的には、一つの事例として、不登校生と高校入試との関係についてでありますが、現在、八都府県で自己申告書の提出を求め、欠席日数の多少だけで不合格としないなど、不登校生に特別な配慮を行っている自治体があります。文部省も九七年六月の答申で、不登校はだれにでも起こり得るとの認識に立って、進学意欲を積極的に評価するよう都道府県教委に改善を求めております。本県としての改善策について、お伺いをいたします。  また、実情として、スクールカウンセラーのいる学校は不登校児が減るか、あるいは増加率が低い傾向にあります。本県学校現場の二十八校で、スクールカウンセラーを派遣しているようでありますが、並行して養護教諭の複数配置が近道だとも思いますが、どのような実情にあるのか、お伺いいたします。  その際、国の緊急雇用対策として、今期補正予算に不登校等指導補助員の確保等を図るべきだと考えますが、どのように考えるのか、お伺いいたします。  次に、保健室登校の実態についてでありますが、心の避難所の役割を果たしておりますが、この保健室登校が、対昨年比でどういう実態にあるのか、お伺いいたします。  今後は、保健室だけで抱え込まず、学校全体で子供を育てていく体制づくりが急務だと思いますが、どのようにお考えか、お伺いいたします。  教育問題の三点目は、学級崩壊についてであります。  これまでの県教委の報告では、学校現場において授業が成立しない学校はなかったが、授業中に立ち歩くなど、崩壊の兆しはあるとのことでありました。現在、どういう状況にあるのか、お伺いいたします。  このほど文部省から委託を受けた国立教育研究所の中間報告で、教師の指導力不足が主因と見られるものが七割を占めるということですが、その崩壊原因が単純ではなく、クラスの児童数や教職経験の長短に関係なく起きるとしています。こうした報告をどのように教育長は受けとめ対処していくのか、お伺いいたします。  教育問題の質問の最後は、教育分野での緊急雇用対策についてであります。  今回の緊急雇用対策としての補正予算として、約一億円を計上しておりますけれども、雇用機会を創出するために、どういった人材を求めているのか、お伺いしたいと思います。  具体的には、非常勤講師として教職志望登録者を指すものか、また、補助員として教員資格の有無をどうするのか、そして、こうした予算で実際に何人程度の雇用が図られるのか、お伺いいたします。  私は、この際、せっかくの国からの補助金であり、学校現場での緊急の課題であります不登校や学級崩壊等、解消させるための人材確保緊急雇用対策であってほしいと願うものでありますが、この点どのように取り組まれるのか、お伺いいたします。  以上、大きく三点についての質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(真部善美君)理事者の答弁を求めます。  真鍋知事。    (知事真鍋武紀君登壇) ◯知事(真鍋武紀君)大西議員の御質問にお答え申し上げます。  まず、人事委員会勧告の取り扱いについてであります。  人事委員会勧告の取り扱いにつきましては、人事委員会勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立って、国及び他の地方公共団体の動向を踏まえますとともに、本県の財政事情など、諸情勢を十分見きわめた上で検討してまいりたいと考えております。  また、高齢層職員の昇給停止につきましては、本年の人事委員会勧告の趣旨を踏まえますとともに、国及び他の都道府県の状況、本年四月から管理職手当受給職員について、五十八歳昇給停止を実施しておりますことなどを考慮し、人事委員会と協議しながら、対応してまいりたいと考えております。  次は、県職員倫理条例への取り組みについてのお尋ねであります。  県職員の倫理の保持に係る措置につきましては、今後、政令で国家公務員倫理規程が定められ、これによりまして禁止事項の範囲や利害関係者の範囲などが明らかになってまいりますので、国の具体的な対応内容や法律が来年四月から施行されることを踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。  次は、豊島問題についてのお尋ねであります。  まず、指導要綱の見直しについてであります。  今回の直島案につきましては、中間処理施設の有効活用を図るとともに、この施設整備を契機として、直島町において新しく総合的な資源化・リサイクルについての先進的な環境産業の展開が期待され、直島町の活性化、イメージアップにつながるものと考え、提案したものであります。  県においては、平成三年に制定した産業廃棄物処理等指導要綱において、県外産業廃棄物を県内において処分し、または保管することを原則として禁止しているところであり、この禁止規定は、県内における産業廃棄物最終処分場の逼迫や産業廃棄物の適正処理等を考慮して定められたものであります。要綱の見直しにつきましては、中間処理施設の有効活用が円滑に行われるよう、その制定趣旨にも配慮しながら、今後、十分検討してまいりたいと考えております。  次に、直島での中間処理施設の運用等についてであります。  直島において豊島廃棄物等の中間処理が終了した後の施設につきましては、三菱マテリアル株式会社が取り組みを検討されているリサイクル事業とも関連いたしますことから、今後、直島町、三菱マテリアル株式会社などの関係者と十分協議し、有効活用が図られるよう検討してまいりたいと考えております。  また、豊島廃棄物等の中間処理は、県が事業主体となって実施するものであり、その要員の雇用形態を含めた施設の管理運営につきましては、今後、技術面、コスト面などを総合的に勘案して、適切な方法を選択してまいりたいと考えております。  さらに、中間処理施設の運転に直接携わる人員は、今後選定される処理方式により異なりますが、技術検討委員会の報告書においては、約二十名から四十名とされております。  最後に、調停成立に向けた取り組みについてであります。  県といたしましては、これまでも調停の場等において、調停成立に向けて、当事者双方で調停条項に盛り込むべき事項ないし問題点を出し合い、調停案全体を具体的に協議したいとの提案を再三にわたり申し上げてきたところであり、その後の調停委員会からの調停成立に向けての要請に対し、誠実に対応してきたところであります。今後、直島案について、直島町の方々の御理解が得られましたならば、調停の場において県の考え方を御説明し、申請人の御意見もお聞きするなど、十分協議し、一日も早く県議会の御議決をいただき、この問題の全面的な解決が図られるよう、最大限の努力を傾注してまいりたいと存じます。(降壇) ◯副議長(真部善美君)折原教育長。    (教育長折原 守君登壇) ◯教育長(折原 守君)大西議員の教育行政についての御質問にお答え申し上げます。  まず、青少年の暴力行為についてであります。  青少年の暴力行為等の問題行動に適切に対応するためには、各学校における生徒指導を充実させるだけではなく、警察等の関係機関との連携が重要であると考えております。学校へ警察官が補導等で入った回数につきましては、詳細な報告は受けておりませんが、県警察本部の校内暴力事件の調査では、平成十年の補導件数は二十九件、補導人数は八名となっております。  また、昨年度の卒業式において、学校が警察に対し、警戒の要請を行ったという事例は聞いておりません。  警察官の教育委員会への出向につきましては、現在本県で実施しているところはありませんが、今後とも、連携を密にすることが必要であると考えております。  次に、不登校対策についてであります。  本県の公立高等学校の入学者選抜につきましては、学力検査や適性検査の成績、面接の評価や中学校から提出された調査書などに基づき、生徒の能力・適性等を総合的に判断して行われており、中学校時代の不登校の欠席日数によって、不利な扱いがなされることはありません。  また、平成九年度入試から、進学意欲の高い不登校生徒などの高校進学の可能性を拡大するため、入学定員の五%程度について、学力を調査書の学習の記録または学力検査の成績のいずれかで判定できるよう改善を図ったところであります。  養護教諭の複数配置校は、小・中・高等学校合わせて十校となっております。  さらに、今議会で御審議いただいている学校教育指導員等活用事業により、児童・生徒の相談相手となる方を生活指導補助員として雇用することとしております。  公立学校の保健室登校の児童・生徒数につきましては、小・中・高等学校合わせて平成九年度は五十五校、八十八人、平成十年度は六十四校、九十一人で、わずかに増加しております。現在、各学校におきましては、すべての教職員が一体となり、家庭や相談機関等と密接な連携を図りながら、その対応に努めているところであり、県教育委員会といたしましては、こうした学校の取り組みを支援してまいりたいと考えております。  次に、学級崩壊の状況についてでありますが、本県におきましては、一部の小学校に、私語が多く騒がしいクラスや授業中席を離れたり、教師の指示に反抗する児童がいるクラスなどがありますが、授業が全く成立しないという、いわゆる学級崩壊に至っているところはありません。  また、先ごろ国立教育研究所から公表されました学級経営をめぐる問題の現状とその対応の中間まとめでは、学級がうまく機能しない状況の発生は、担任の性別や年齢、学年、学級規模との相関は見られないとのことであり、これによりますと、こうした状況はどの学級でも起こり得ると受けとめております。このため、本県教育委員会といたしましては、この中間まとめを教員研修に生かすとともに、生活指導補助員を学校に配置するなど、学級崩壊の未然防止に向けた取り組みを充実させていきたいと存じます。  次に、緊急雇用対策につきましては、児童・生徒に対する情報教育や外国語授業の指導補助等の事業の実施を考えており、本年度は事業全体で約百九十名の雇用を予定しております。雇用に際しては、教員免許状を持ち、既に講師志願者として県教育委員会に登録している方だけではなく、教員免許状を持たない方についても、ハローワークなどを通じて、幅広く人材を求めてまいりたいと考えております。  なお、この一つの事業として、社会経験豊かな方を生活指導補助員として雇用する予定であり、学校現場における不登校の解消や学級崩壊の未然防止等に役立つものと考えているところであります。(降壇) ◯副議長(真部善美君)西井人事委員会委員長代理。    (人事委員会委員西井義久君登壇) ◯人事委員会委員(西井義久君)委員長にかわりまして、大西議員の人事委員会の勧告についての御質問にお答え申し上げます。  お答えに入ります前に、人事委員会勧告の実施等に関しまして、県議会の多大なる御協力と御理解を賜っておりますことに厚く御礼を申し上げます。  まず、今回の勧告の所感についてであります。  人事委員会勧告制度は、職員の労働基本権が制約されており、民間企業のような労使交渉による給与決定の道が閉ざされていることの代償措置として、職員に対し、社会一般の情勢に適応した給与を確保する機能を有するものであり、県民の側からも、職員の側からも納得のいく適正な給与水準が確保され、ひいては能率的な行政運営を可能とする重要な制度であると理解しております。人事委員会は、毎年四月現在で民間給与実態調査を実施し、公民の給与を精密に比較した結果等に基づいて、職員の給与水準を民間の給与水準に均衡させるべく給与勧告を行っているものでありまして、本年の人事委員会勧告が初のマイナス勧告となったことにつきましては、職員にとって非常に厳しいものではありますが、かつてなく厳しい経済・雇用情勢を反映したものと考えております。  次に、人事委員会勧告の凍結についてであります。  大都市圏を中心とした都府県においては、非常に厳しい財政状況にあり、財政再建団体への移行も懸念される状況の中で、歳出の削減策として人事委員会勧告の凍結という措置がとられていると伺っておりますが、さきに申し上げました人事委員会勧告制度の趣旨から申しますと、大変残念なことと考えております。  最後に、人事委員会勧告のあり方についてであります。  地方公務員法第二十四条におきましては、「職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定めなければならない」と規定されておりますが、これは民間給与との均衡とともに、職務内容がほぼ同一である公務員間での均衡を図るようにとの趣旨であろうと理解しております。人事委員会といたしましては、毎年四月に実施しております民間給与実態調査結果に基づき、職員の給与を県内民間企業の給与と均衡させることを基本としつつ、国や他の地方公共団体の職員との均衡等も考慮しながら、今後とも適切な勧告に努めてまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。(降壇) ◯副議長(真部善美君)再質問の通告がありますので、発言を許可いたします。  なお、残時間は、答弁を含め十分、うち質問時間は八分です。  大西邦美君。    (大西邦美君登壇、拍手) ◯大西邦美君 豊島の産業廃棄物投棄問題に関する再質問を二点ほどさせていただきます。  一点目は、この指導要綱のあり方についての知事の御答弁に対する再質問であります。  見直しなどを含めて検討するという知事の繰り返しの答弁でありますが、この要綱に対してどのように検討するのかと、こういう質問を私はいたしました。  問題は、三菱マテリアル事案というものに関係なく、本県の産業廃棄物のあり方、今後の処理に対してどうするかという、そういう根幹にかかわる大きな問題であると、このように私は位置づけているわけでありまして、そういう意味で、マテリアルの対応云々ということではなくて、県として、はっきりとした方針というものを打ち出すのが知事としての責務ではないかと、このように思うわけであります。その点について、再度検討という問題について、具体的にお伺いをしたいと思います。  もう一点は、方針を示す時期についてでありますけれども、企業側と協議中という状況は、それなりに理解するんですが、先ほど言いました廃棄物のあり方そのものを本県としてどうするかという問題と同時に、そういう意味では、マテリアル側との契約時までには、時期的には方針というものを打ち出す必要があると思うんですが、その時期について、この二点についてお伺いしたいと思います。  以上です。(拍手、降壇) ◯副議長(真部善美君)再質問に対する理事者の答弁を求めます。  真鍋知事。    (知事真鍋武紀君登壇) ◯知事(真鍋武紀君)大西議員の再質問にお答え申し上げます。  要綱の見直しにつきまして、先ほど御答弁申し上げましたが、一つは中間処理施設の有効活用が円滑に行われるということが第一点でございます。  それから、その要綱を制定した趣旨、こういうものを十分配慮しながら、そういう観点から十分検討をしていくということを、御答弁したわけでございます。  それから、時期につきましては、議員からも御指摘ございましたように、今後、直島町、三菱マテリアル株式会社などの関係者と十分協議して、中間処理施設の有効活用が図られるように検討してまいるということでございますので、現段階では、何とも申し上げられないという状況でございます。
                                  (降壇) ◯副議長(真部善美君)一般質問を続行いたします。  樫 昭二君。    (樫 昭二君登壇、拍手) ◯樫 昭二君 一般質問をさせていただきます。  初めに、豊島問題についてお尋ねをいたします。  去る八月二十七日、県は、豊島に不法投棄された産業廃棄物を直島の三菱マテリアル直島製錬所に運んで処理するという新提案を明らかにしました。しかも、そのやり方は、当事者である豊島住民には全く寝耳に水で、直島町議会の全員協議会で発表するという住民不在のやり方であり、この案に対しては、豊島、直島の両住民を初め多くの県民からさまざまな不安、疑問が出されております。  さて、私も先日、豊島の産廃不法投棄現場に行ってまいりました。産廃の中に、調査のためにあけられた直径五十センチメートルほどの穴は、手をかざすと五十度ほどの熱気でガスが吹き出しており、気分が悪くなりました。また、何よりも大変だと思ったのは、真っ黒の汚水が海際にためられており、県は雨で増水すると産廃の上にポンプで戻すそうですが、この汚水が潮の満ち引きで一日百二十トンも瀬戸内海へ流れ出していくという事実であります。  そこで、以下四点について知事にお尋ねします。  まず第一は、緊急の環境保全措置についてであります。  県民の健康を守り、環境の保全に努めることは、自治体として当然の仕事です。県が、「最終合意ができてから」と実行を引き延ばすことには、何の道理もありません。公害調停とは切り離して、既に予算を組んでいる遮水壁の着工など、有害物質を含んだ汚水の流出を急いでとめること、そして、県が重大な責任を認めて謝罪することであります。このことについて、まず初めに知事の明確な答弁を求めるものであります。  第二は、今回の直島処理案は、豊島住民と県とのこれまでの合意の枠組みを踏み外すものではないかということであります。  もともと国の公害等調整委員会の調停で、九七年七月に成立した中間合意は、島の人々が強く求めた住民の被害の文言は一切盛り込まれず、住民にとって不本意な内容でした。同時に、産業廃棄物処理業者への指導監督を怠った県の責任を認めたもので、産業廃棄物処理をめぐる行政の責任をはっきりさせる上で、大きな意味を持ちました。これは、豊島住民の二十年にわたる粘り強い運動の成果だと思います。  中間合意は、豊島の不法投棄現場に処理施設を設置することを前提としており、廃棄物及び汚染土壌を溶融などの中間処理の後、島外へ運び出すというものです。十年はかかると言われる中間処理の期間は、引き続き島民の苦痛を伴いますが、島の人々は、豊島の苦しみをほかの住民に押しつけることはできない、と苦渋の選択をしたのであります。  今回の処理案は、別の島に中間処理施設をつくるというものであり、中間合意の前提から大きく方向を転換するものです。特に、中間合意の中に、「申請人及び被申請人香川県は、本中間合意に定められた事項を誠実に履行することを確約し、これを通じて相互の信頼関係を回復させることとする」と明記されている事項に照らし、大いに問題があると考えます。私は、これこそ住民不在そのものだと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。  第三は、廃棄物の移動、運搬や溶融処理に伴う二次、三次公害のおそれであります。  溶融という技術は、まだ開発途上の技術です。リサイクル分野に進出したいという三菱マテリアルの企業戦略や、別の島に移せば、豊島住民の要求である土地の使用料を払わずに済むという県の思惑ばかりを優先させて、安全性を後回しにするやり方には道理がありません。  直島住民に配布されたパンフレットには、環境上、全く問題がないかのような記述がされていますが、九月九日に中間処理に伴う事前環境モニタリングで、県の調査を指導するために豊島を訪れた中杉修身国立環境研究所化学環境部長は、直島で処理する場合の技術的課題として、直島までの運搬で有害物質の飛散を防ぐ方法、直島への産廃運搬後も豊島に残る汚染された地下水の処理など、多くの問題があると指摘しています。今後、県の厳重な調査、研究の上、慎重な対応が求められていると思いますが、知事の御所見をお示しください。  第四は、直島を第二の豊島にしてはならないということであります。  中間合意は、豊島の産廃と汚染土壌以外は処理しないと明記しています。しかし、企業がリサイクルで利益を上げようとすれば、豊島の産廃を処理した後は県内にとどまらず、全国からごみを集めることになるのではないでしょうか。さきの総務委員会や一般質問で指摘されたように、産業廃棄物処理等指導要綱第九条の定めのとおり、県外の廃棄物は、原則として県内で処分または保管することはできないことになっております。このような規定があるにもかかわらず、県民に知らせず、議会にも諮らず、一方的にその規定を変更しようとすることまで検討されています。知事は、このことについてどのようにお考えでしょうか、御見解をお示しください。  さて、私ども日本共産党香川県委員会は、直島町の住民の方々に直島処理施設案についてのアンケート調査を行い、現在までに数十通の回答が寄せられています。その内容は、圧倒的多数が反対であり、「公害がないとは思えない」、「最終的には悪い面のみが残る」、「活性化はあり得ない。若い人の間では処理場ができると町外へ移転するという話も多数聞かれる」などの意見が出されています。また、賛成と答えた人でも、「消滅寸前の島にとって朗報に近いが、周辺地域への配慮、同意が必要」と条件をつけている回答もあります。  このような状況を知事はどのように受けとめておられるのか、また、どうやって直島町の住民の同意を得るおつもりか、具体的にお示しをいただきたいと思います。  次に、教育問題についてお尋ねします。  第一は、いじめ・不登校の問題についてであります。  県教育委員会の発表によりますと、昨年度の県内公立校でのいじめの件数は二百五十六件で、前年度比十七件の増加となっており、三年ぶりに増加に転じております。また、不登校については、県内小・中学校で千百九十八人、前年度より四百七十五人も増加し、過去最高となっており、一段と深刻化してきております。  そこで、お尋ねいたします。  折原教育長は、県教委だよりの八月号で、「これから香川の将来を担う子供たちが心豊かにたくましく育つよう、一生懸命頑張りたい」と就任あいさつをされていますが、このようないじめ・不登校の深刻な実態を踏まえ、どのように解決を図ろうとしておられるのか、基本的なお考えをお示しいただきたいと思います。  特に、不登校の問題解決には、学校を単位とした不登校児を持つ親の会の組織化が必要であり、そこへの指導者の充実と派遣を行うとともに、スクールカウンセラーの増員、適応指導教室の設置・拡充などが重要であると考えますが、御所見をお示しいただきたいと思います。  第二は、学級崩壊についてであります。  文部省の学級崩壊調査の中間報告では、学級崩壊の事例調査を通じて、相も変わらず教師の指導力不足を挙げています。しかし、これまで繰り返し教育現場から指摘されてきたように、学級崩壊には複雑に絡み合った要因があり、教師の指導力不足を言うだけでは解決にはなりません。問われているのは、子供たちの変化に対応できない画一的授業や管理的な学校運営であり、幼児期からの子供たちの人間的発達をゆがめている社会の問題などであります。私は、こうした文部省のやり方を転換・改革するとともに、子供の発達を保障する社会の環境づくりを行わなければ、学級崩壊を打開することはできないものであると考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。  文部省は、学級崩壊に対処するために、来年度より学級運営改善のための非常勤講師配置を新規事業として導入するようでありますが、これに対する本県の対応はどのようになっているのか、あわせてお示しいただきたいと思います。  第三は、高校の授業料に対する減免措置並びに奨学金支給枠の拡充についてであります。  リストラ、倒産など、不況の影響による授業料の滞納が急増していると聞いておりますが、現状はどのようになっているのでしょうか。保護者の家庭の激変に対応し、授業料が納められない生徒に対しては、授業料の減免、奨学金支給など、積極的な措置を行う必要があると考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。  また、私立高校に対しては、授業料減免のための補助を行うべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  第四は、日の丸・君が代問題についてであります。  まず初めに、高松市の教育長が市議会本会議で、「君が代を教師、生徒が歌わない自由はない」と発言した問題について、指導する立場にある県教育長としてどのように受けとめておられるのか、お伺いをいたします。  八月十三日に施行された国旗・国歌法は、第一条で日の丸を国旗に、第二条で君が代を国歌と定めただけです。尊重、義務規定はなく、政府の説明によっても、「これによって国民に何らかの義務や影響が生じることはない」としており、教育現場に新たな義務を課すようなものではありません。ところが、教育委員会に対する文部省通知では、扱いは変わらないと言いながら、卒業式や入学式での国旗掲揚、国歌斉唱の徹底など、法制化をてこに教育現場への強制を一段と強めようとしています。  国会審議では、性急な法制化や押しつけに反対する広範な世論の存在を政府も認めざるを得なくなり、日の丸・君が代が国民に定着しているという主張は、完全に崩れ去りました。政府見解に立てば、君が代とは、天皇の国をたたえる歌詞となり、憲法の主権在民の原則と両立しないことなども明らかとなり、法制化に全く道理のないことが証明されました。特に、内心の自由の問題では、強制を伴うものは内心の自由にかかわるということを、政府自身が答弁しています。憲法第十九条が保障する思想及び良心の自由、いわゆる内心の自由は、個人の意思、思想を表明しない沈黙の自由も含んでいます。このような観点に立てば、個人に態度表明を迫る入学式、卒業式での一律の義務づけは、この沈黙の自由を侵害するものであると思われますが、いかがでしょうか。教育長の御所見をお示しください。  以上、申し上げましたように、歌わない自由は、憲法に保障された国民の権利であり、それを踏みにじる指導が人間形成の場である学校で行われることは、絶対にあってはならないことをきっぱりと申し上げ、これに対する教育長の見解を求めるものであります。  第五は、全国人権・同和教育研究大会についてお尋ねします。  御承知のとおり、第五十一回全国人権・同和教育研究大会が十一月二十七日から二十九日の三日間、香川県で開催されます。同大会の主催団体である全国同和教育研究協議会は、部落解放同盟の運動路線と癒着し、これまで各地で開催された大会では、部落解放基本法制定の特別決議を上げるなど、部落差別の半永久化につながる解放教育を趣旨としており、特定の運動団体の方針が貫かれた団体であります。仄聞するところによりますと、同大会に向けて、既に小・中合わせて延べ千五百四十七名に上る業務担当要員の参加が各学校現場に要請されています。それとあわせて、要員参加以外に同大会に多くの教職員が割り当て動員されるということが懸念されています。  教育公務員特例法第二十条で「教育公務員には研修を受ける機会が与えられなければならない」とされています。これは、教職員の自主的な研修が大切であり、それを奨励し、可能な限り保障することを明らかにしたものです。ただし、教職員の意思や都合を無視した強制的な割り当て動員がなされてはなりません。  そこで、以下三点についてお尋ねします。  第一点は、同大会は任意の研究団体が主催する行事であり、このような特定団体が関与する団体の行事に教職員を要員として参加させたり、行政が予算措置を講じたりすることは、公平・公正の原則に照らして正しくないと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。  第二点は、割り当て動員がなされないよう県教委が指導することであります。元来、研修とは、学びたいとの意思を持つ教職員の自主性、自発性があってこそ成果が得られるものであり、強制的に参加させられる研修では、成果はありません。割り当て動員はやめるべきと考えますが、御所見をお示しください。  第三点は、ほかのすべての研究団体が行う行事について、自主的な参加を奨励し、配慮すべきと考えますが、この点についてもあわせて御所見をお示しください。  次に、部落解放同盟香川県連合会が建設しようとする部落解放「人権教育推進センター」(仮称)への補助金支出についてお尋ねをいたします。  既に、県は、同センター建設費四億円のうち、半分近い一億八千八百万円の補助金支出を今年度予算に計上しておりますが、県連は県下市町に対しても残りのうち一億二千五百万円の支援を求めており、五市三十八町にその負担が割り当てられているようであります。このことについて、市町では、「拒否したいけれど、県が補助金支出を先に決めてしまっているので、拒否しづらく困っている」と仄聞しております。  また一方では、七月十一日に同和問題を初め、あらゆる差別の根絶を目指すとして、香川人権研究所が丸亀市内で設立されています。設立発起人は部落解放同盟などで、事務所も同県連内に置かれています。こうしたことから、同センターは部落解放同盟や香川人権研究所が入居することになり、解同言いなりの同和行政、同和教育、人権教育の拠点になることは明白であります。  そこで、知事にお尋ねします。  特定の運動団体、民間団体の施設建設に県や市町など、行政が丸抱えで建設費の四分の三強、七八%を支出するなどということは、全く前例のないことであります。坂出市長は、本年九月議会で「活動内容が県下全域に及ぶことから、基本的には県行政が対応すべき問題であると考えております。また、去る六月末に香川県市長会会長名にて、香川県知事に対しまして、各市とも経費の負担はできない状況にある旨の申し入れを行ったところであります。いずれにいたしましても、本市としては、市民の理解が得られない経費の負担は考えておりません」と明確に答弁をしております。こうしたことも踏まえ、市町の負担は中止するよう県としても指導すべきと考えますが、御所見をお伺いをいたします。  次に、介護保険についてお尋ねします。  介護保険の出発点は、年間十万人もの人が介護のために仕事をやめたり、介護者の四割以上が六十五歳以上という老老介護の実態を、どう打開するかにありました。こうした介護保険の大事業を起こすのであれば、国がどれだけの財政で支えるかを第一に考えるのが当然であります。ところが、自民党政府は、来年度の国の負担を三千七百億円、地方の負担を八百億円、合計四千五百億円を減らす計画であります。二兆円を超える保険料を国民に新たに押しつけながら、まともなサービスもしない。大事業に税金を回すどころか、逆に福祉から金を巻き上げる。これでは、国民的な大事業が国民的な大災難になりかねません。今、介護保険を実際に運営する市町村の悩みは深刻であります。三分の一を超える地方議会が、財政支援などを国に求めています。日本共産党は、介護事業について今の福祉を拡充させながら、保険との組み合わせで実施することを主張しています。また、実施を目前に控え、次の四つの対策を緊急に提案しています。  その第一は、介護保険実施に当たり政府の責任で全国調査を行い、その結果を国民の前に明らかにすること。  第二は、国民の要求にこたえる制度改定を行うことです。ホームヘルパーの増員、特養ホームの増床など、基盤整備を行うとともに、保険料や利用料について低所得者への減免制度を拡充すること、認定審査は高齢者の実態に即した審査にすること。  第三は、保険料の徴収については、自治体でサービス不足解消の道筋がつけられるなど、一定のサービス提供の準備が整うまで延期すること。  第四に、その期間は今より福祉を後退させず、負担をふやさないなど、過渡的な措置をとってサービスを提供するよう要求しています。  以上が、四つの緊急提案でありますが、知事はこの提案をどのように受けとめておられるのか、まずお伺いをいたします。  さて、介護保険の来年四月実施に向け、介護サービスを利用するための要介護認定の申請受付が、今月一日から始まりました。この時期に当たって、日本共産党香川県委員会と国会議員団香川事務所は県下の市町を対象に、介護保険準備状況の調査を行いました。そして、それに基づく介護保険改善のための要望書を、去る九月十四日に知事あてに提出したところであります。その要望内容に基づき、六点お尋ねいたします。  第一は、保険料の減免制度の確立など、各自治体から強い要望があり、国に対して要望するとともに、県独自の対策を行うこと。  第二は、利用料について、減免制度の確立と高額介護サービス費の上限額を実態に合わせ引き上げること。  第三は、基盤整備では、特別養護老人ホーム待機者、現在七百人、それをゼロにすることを目標にすること。また、痴呆性老人ホームやグループホームの建設、ホームヘルパー増員に役立つ援助、県立病院への訪問看護ステーションの創設などを行うこと。  第四は、介護認定から外れた人に対し、現行サービス維持のための県独自の支援を行うこと。なお、県として住宅改造助成の上乗せなど、独自の制度を継続し、拡大すること。  第五は、認定審査はコンピューター偏重をやめ、家族、住宅、経済など、生活実態を反映した認定に改め、住民の意見や不満が届くようにすること。不服審査は県が行うが、不満のある人に対し、苦情を処理する機関を市町に設置すること。  第六は、財源について国に要望するとともに、県独自の支援策を行うこと。  以上、六点について、知事の御所見を具体的にお示しください。  次に、県立病院のあり方についてお尋ねします。  去る六月二十八日、県は県立病院経営健全化計画を発表し、百二十億円余りの累積欠損金など病院経営の悪化を改善するとして、来年度より五カ年で正規職員を五十人、臨時・非常勤職員を六十人の計百十人を削減するなど、人件費の縮減、材料費の節減、一般会計からの繰り入れの明確化などを行うことを明らかにしました。このことについて、今、県民からは、「営利を目的とする民間病院と違い、県立病院は高度医療、特殊医療、救急医療、検診事業など、県民が安心できる医療を行うのが目的ではないのか」、「医療の低下になるのではないか」、「病院給食は治療の一部だ。それを民間委託するとは何事か」など、手厳しい批判が寄せられています。  そこで、お尋ねをいたしますが、知事はこのような県民の批判をどのように受けとめておられるのか、まず初めにお聞かせいただきたいと思います。  さて、私はこの基本計画について、以下三点お尋ねをします。  第一は、県民の雇用と暮らしを守らなければならない立場の自治体が、自治体リストラを行うのは本末転倒ではないかと思います。今、大不況のもとで倒産・企業リストラで職を失い、中高年男性の自殺が急増しています。こういう状況のもとで、本県でも、今議会において緊急雇用対策事業をスタートさせるための補正予算案が審議されている状況のもとで、一方では県立病院の職員を百十人も削減する計画が出されていることは、全く矛盾していると言わざるを得ません。薬剤単価の見直し、医療機器など、購入価格の見直し、患者からの治療費の未収金の回収など、努力次第で経営改善は可能と考えますが、御所見をお示しください。  第二は、一般会計からの繰り入れの明確化についてであります。  基本計画では、平成九年度決算で四十五億七千万円余りで、総収入に対する繰入比率は二一・二%と全国平均内におさまっているとして、今後は平成十年度実績額より、原則としてふやさない計画であります。ところが、本県の場合には、精神科医療機関である丸亀病院があります。私も、先般見学をさせていただきましたが、全国に誇れるすばらしい病院であります。しかし、この病院は、精神保健福祉法第十九条に明記されておりますように、営利を目的としてはいけない病院となっており、現在十億円の繰り入れがなされています。  また、さらに、本県の場合には、他県には例を見ないがん検診センターが設置され、県民のがんの早期発見に大きな力を発揮しておりますが、ここに四億円から五億円の繰り入れがされております。このように、本県は、他県に見られないすばらしい施策を実施しているにもかかわらず、一般会計からの繰入比率が全国平均以下というのは、どうしたことでしょうか。繰入額が少な過ぎるのではないでしょうか。私は、県民の医療を守る立場から、一般会計からの繰り入れは、この際、経営実態に見合って増額すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  第三は、この計画を実行すれば、県民への医療サービスを低下させるのではないかということであります。この点について、お伺いいたします。  最後に、国立療養所香川小児病院の統廃合問題についてお尋ねいたします。  去る三月十八日、厚生省は、国立療養所香川小児病院と国立善通寺病院の統廃合計画を発表しました。香川小児病院を善通寺病院に移転・統合するというものであります。香川小児病院は、一九七五年設立以来、香川県内だけでなく四国のセンター病院として、四国四県の子供たちの命を救ってきました。また同時に、香川県立善通寺養護学校とともに、子供たちの医療と教育を保障してきました。善通寺養護学校は、現在百二十名の児童・生徒が在籍する、全国でも一、二位の規模を持つ病弱児のための養護学校であります。 ◯副議長(真部善美君)質問者に申し上げます。  発言の時間を過ぎましたので、結論を急ぐよう注意します。 ◯樫 昭二君(続き)点滴をつるして登校する子供、教員が教材を抱えてベットサイドで授業に行く体制もあります。このように学習を保障することによって、子供たちの精神は安定し、治療も前向きに取り組めるようになります。    (発言する者あり) ◯樫 昭二君(続き)もうじき終わります。  渡り廊下でつながった小児病院と養護学校は、まさに車の両輪のごとく相互に協力し合って、子供たちを支えてきたのであります。これが病院の統廃合によって離れてしまったら、今までのようなきめ細やかな対応は不可能となってしまいます。 ◯副議長(真部善美君)質問者に重ねて申し上げます。  発言の時間を過ぎましたので、結論を急ぐよう注意します。 ◯樫 昭二君(続き)こういう状況から、私といたしましては、香川小児病院の存続を強く要望すると同時に、県立善通寺養護学校についても現状からの後退はさせないと言明していただきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(真部善美君)理事者の答弁を求めます。  真鍋知事。    (知事真鍋武紀君登壇) ◯知事(真鍋武紀君)樫議員の御質問にお答え申し上げます。  まず、豊島問題についてのお尋ねのうち、環境保全措置等についてであります。  中間処理施設の整備や暫定的な環境保全措置の実施に当たりましては、事業の全体像を県議会や県民の皆様にお示しし、御理解をいただく必要があるものと考えております。  また、これまで実施してまいりました定期環境調査や事前環境モニタリング等の結果から見まして、周辺環境に特段の影響は生じていないものと考えております。県といたしましては、今後、直島案について、直島町の方々の御理解が得られましたならば、調停委員会を仲立ちとして調停条項に盛り込むべき事項について十分協議し、県議会の御議決をいただき、問題を全面的に解決する調停が一日も早く成立し、これらの一連の事業に着手できますよう、今後とも最大限の努力を傾注してまいりたいと存じます。  次に、中間合意の意味合いについてであります。  今回提案した直島案は、申請人である豊島住民の方々の当初からの要請にこたえるものであると考えております。また、この案は直島町において、新しく総合的な資源化・リサイクルについての先進的な環境産業の展開が期待され、直島町の活性化、イメージアップにつながるものと考え、御提案したものであります。  なお、今回の直島案の提案や第三次技術検討委員会の設置等に当たりましては、事前に国の調停委員会に協議したところであり、申請人に対しても、調停委員会から御連絡いただいたと伺っております。  次に、直島案に伴う環境保全面での検討についてであります。  中間処理施設は、環境保全、廃棄物処理、リサイクルの分野を代表する我が国有数の専門家から成る技術検討委員会における約一年七カ月にわたる調査検討結果に基づき、環境保全面、安全面等に十分配慮がなされた先進的、モデル的な施設として整備するものであります。  さらに、中間処理施設の建設場所の変更に伴い、今後、第三次技術検討委員会において具体的かつ詳細な検討を行い、環境保全上の問題が生じないよう万全の措置を講じてまいりたいと考えております。
     次に、県外廃棄物の取り扱いについてであります。  県外廃棄物の取り扱いにつきましては、中間処理施設の有効活用が円滑に行われますよう、産業廃棄物処理等指導要綱の制定趣旨にも配慮しながら、今後、十分検討してまいりたいと考えております。  次に、直島町住民の理解についてであります。  今回の新たな提案を受け入れていただくためには、直島町の方々に、この事業内容等について十分御説明し、御理解をいただくことが必要であり、県といたしましては、今後、町当局とも御相談の上、機会をとらえて、直島町において第三次技術検討委員会による科学的な調査検討状況などの情報を提供するとともに、十分御説明し、御意見もお聞きするなど、直島町の方々の御理解が得られますよう、さらに努めてまいりたいと考えております。  なお、その他の御質問につきましては、担当部長からお答え申し上げます。                               (降壇) ◯副議長(真部善美君)上関総務部長。    (総務部長上関克也君登壇) ◯総務部長(上関克也君)樫議員の教育施策についての御質問のうち、私立高校に対する授業料減免のための補助につきまして、知事にかわりましてお答え申し上げます。  県におきましては、香川県私立高等学校授業料軽減補助金交付要綱に基づき、倒産、失職等により著しく家計が悪化し、授業料の支弁が困難であると認められる者など、一定の要件に該当する低所得世帯等を対象に、授業料負担の軽減措置を講じているところであります。(降壇) ◯副議長(真部善美君)宮武生活環境部長。    (生活環境部長宮武 昭君登壇) ◯生活環境部長(宮武 昭君)樫議員の御質問のうち、人権教育推進センター(仮称)への補助金につきまして、知事にかわりましてお答え申し上げます。  部落解放「人権教育推進センター」(仮称)の建設につきましては、同和問題の抜本的解決などを目指し、全県的に活動しております部落解放同盟香川県連合会が、関係団体の支援を受けながら、みずから建設を行うものであり、県といたしましては、当センターが人権啓発の発信拠点として建設されますことから、広く県民の利用に供する公共的な部分につきまして支援を行うため、本年二月議会におきまして、予算議決をいただいたところであります。  運動団体から市町への建設費補助の要望につきましては、基本的には、市町の主体的な判断によるものと理解しておりますが、近隣県において、県、市町ともどもに補助を行って建設した事例もあり、また、当センターには啓発展示室や図書室、研修室などを設置し、同和問題を初め、さまざまな人権意識の高揚を目指した運動団体の要望の趣旨などを踏まえて検討されるものと考えております。(降壇) ◯副議長(真部善美君)土井健康福祉部長。    (健康福祉部長土井伸一君登壇) ◯健康福祉部長(土井伸一君)樫議員の御質問のうち、介護保険、県立病院の経営健全化計画、国立療養所香川小児病院の統廃合につきまして、知事にかわりましてお答えを申し上げます。  まず、介護保険についてのお尋ねのうち、介護保険に関する提案につきましては、介護保険制度に関する一つの御意見であるというふうに受けとめております。  次に、介護保険に関する要望についてであります。  まず、保険料につきましては、所得段階別に設定することとなっており、また利用料につきましては、所得の状況を考慮した自己負担の上限額が検討されているところであり、低所得者の負担軽減に配慮することとなっております。  次に、サービス提供基盤につきましては、特別養護老人ホームの入所待機者も含めた要介護者等の実態を踏まえ、在宅・施設の両面にわたって整備の促進に努めてまいりたいと存じます。  また、介護保険サービスの対象外となる高齢者に対しましては、国の検討状況等も注視しながら、市町などとの十分な連携のもと、自立支援、健康づくり、生きがいづくりに重点を置いた施策を展開をしてまいります。  認定審査につきましては、コンピューターによる一次判定や主治医の意見書などの資料をもとに、認定審査会が心身の状況を判断し、最終の審査・判定を行うこととなっております。  また、苦情等に対応するため、県、市町に相談窓口を設置いたしているところであります。  財源につきましては、全国的な問題でもあり、制度の円滑な実施に必要な財源の確保等について、国に要望いたしているところであります。  次は、県立病院の経営健全化計画についてのお尋ねのうち、県民の理解についてであります。  県立病院事業会計は、一般会計から相当の繰り入れを行ってもなお、累積欠損金が百二十三億円余に達している状況であり、この状況を放置すれば、今後の病院機能の充実に支障が生じることが懸念されますことから、県立病院の経営健全化は喫緊の課題となっております。このようなことから、県立病院が担うべき医療や患者サービスの維持・向上を図るためにも、経営健全化の取り組みを早急に進めていかなければならないと考えております。  次に、経営改善の方法についてであります。  県立病院の運営につきましては、これまで、収入増加と費用削減の両面からさまざまな経営努力を重ねてまいりましたが、必ずしも収支の改善は図られず、累積赤字が増嵩する中で、人件費比率が七七%となるなど、財政の硬直化が進んでおり、健全経営を達成するためには、人件費の縮減なくしては極めて困難な状況にあります。このため、基本計画におきましては、人員の削減に踏み込んだところでありますが、退職不補充や民間委託の導入を図っていくことにより、計画的に進めてまいることといたしているところであります。  次に、一般会計からの繰り入れについてであります。  県におきましては、県立病院としての役割を適切に果たすことができるよう、平成十年度決算で、国の定める基準に基づく負担金約三十五億円に加え、県立病院の経営状況も勘案した補助金約十三億円を合わせた、計四十八億円余を繰り入れております。今後とも、県立病院として必要な医療サービスの提供を行いますため、その公的役割に対応した適切な繰り入れを行いますとともに、必要以上に県民負担が増大しないよう経営健全化を推進してまいりたいと存じます。  次に、医療サービスの維持についてでございます。  県立病院の運営につきましては、医療ニーズの多様化や医療機関の量的・質的充実等を踏まえまして、他の医療機関との適切な役割分担のもと、県立病院として必要な機能の見直しと強化を図っていくことが必要であります。経営健全化基本計画におきましては、こうした観点から患者の動向等も踏まえ、診療科目の新設等も含めた見直しなどを行うことといたしております。  なお、実施計画につきましては、速やかに策定したいと考えており、今後とも患者サービスの維持・向上を図りながら、経営改善に全力で取り組んでまいりたいと存じます。  最後に、国立療養所香川小児病院の統廃合についてのお尋ねであります。  国立療養所香川小児病院と国立善通寺病院の統合に当たっての国の基本方針は、専門的な成育医療の基幹医療施設として位置づけるなど、機能面での強化を図る方針とされております。県といたしましては、統合に際して、現在、両病院が担っている機能、特に、香川小児病院の高度先進的な小児科診療機能及び重症心身障害児医療施設としての役割が損なわれることのないよう、また、入院治療中の児童・生徒が適切な環境で教育が受けられるように、格別の配慮を国に対して要望いたしているところであります。  なお、同病院に入院または治療中の児童・生徒の県立善通寺養護学校における教育につきましては、現在、教育委員会と両病院を管轄する厚生省四国地方医務支局との間で協議が進められているところであり、教育委員会ともども児童・生徒にとって適切な教育環境が確保されますよう努めてまいりたいと存じます。(降壇) ◯副議長(真部善美君)折原教育長。    (教育長折原 守君登壇) ◯教育長(折原 守君)樫議員の教育施策についての御質問にお答え申し上げます。  まず、いじめ・不登校への対応につきましては、学校、家庭、地域社会がそれぞれの立場で努力し、一体となった取り組みを進める必要があると考えております。このため、県教育委員会といたしましては、スクールカウンセラーの学校への派遣や市町等が設置する適応指導教室への補助を行うなど、各種施策を推進してまいりたいと考えております。  なお、各学校の状況に応じて、不登校児童・生徒の親の会が組織されることも、不登校対策の一つとして考えられるところであります。  次に、学級崩壊につきましては、現在、各学校におきまして、全教職員が一体となった指導体制の整備や、保護者、関係機関との連携を図るなどの対策を講じているところであり、今後においても、その未然防止に努めてまいりたいと考えております。  また、学級運営等の改善のための非常勤講師の配置につきましては、今後、国の動向の把握に努めてまいりたいと考えております。  次に、県立高校の授業料の減免等につきましては、県立高校生徒のうち、本年九月末時点において、授業料を滞納している者は十六名となっておりますが、このうち保護者の収入が減少したことにより、学資の支弁が困難になった生徒に対しましては、これまで同様、条例の規定に基づき授業料の減免措置を講じるとともに、あわせて育英奨学制度の活用を図ってまいりたいと考えております。  次に、国旗・国歌に関する高松市教育長の発言につきましては、入学式や卒業式において国歌を歌わない児童・生徒がいた場合に、教育指導上の課題として指導する必要性を述べたものであると理解しております。  また、入学式や卒業式におきましては、学習指導要領に基づき国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう、これまで同様適切に指導されることが必要であり、こうした指導が行われることには問題はないものと考えております。  最後に、全国人権・同和教育研究大会につきましては、同和問題を初め、さまざまな人権問題を解決していくための実践と研究を持ち寄り、人権という普遍的文化の構築を目指す大会であり、開催経費の一部について予算措置を講じるとともに、教職員が参加・協力することは、必要なことと考えております。  また、研究団体が行う行事への参加につきましては、一般に当該行事の内容・趣旨や教職員の職務との関連性、学校運営の支障等について検討し、判断されるべきものと考えております。(降壇)    (「議長、再質問」との発言あり) ◯副議長(真部善美君)再質問の通告がありますが、所定の時間を超えておりますので、発言は許可いたしません。  一般質問を続行いたします。  山田正芳君。    (山田正芳君登壇、拍手) ◯山田正芳君 私は、先月、県議会日華親善議員連盟より、香川県台湾観光宣伝隊の一員として台湾へ派遣されましたが、帰国直後、あの台湾大地震が発生し、大きな衝撃を受けたところであります。  まず、台湾の被災された方々に対しまして、心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧をお祈り申し上げる次第であります。  さて、この台湾観光キャンペーンで大いに感じ入ったことを少し紹介させていただきます。それは、私どもが抱く既定の概念、価値観という物差しだけでは、なかなか推しはかれない歴史、文化といったものが相手側にはあるものだなということでありました。現地で、こんなことを言われました。「なぜ、あなた方は、浦島太郎伝説をもっとPRしないのですか。なぜ、香川の観光マスコットキャラクターは鬼なのですか」、かつての日本統治時代の経験もあり、台湾の方々にとりましては、我が国の民話や伝説には、実は大変興味があり、有名な日本庭園や豪華な温泉にも匹敵するほどの観光資源になるそうであります。  また、親切な青鬼君は、私などから見たら愛着の持てるユーモラスな顔をしていると思うのですが、残念なことに、鬼というだけで台湾では拒否反応を示すそうです。相手の視点に立って、抱く関心や興味に沿って本県の魅力を売り込むことがいかに大切であるか、また、いわゆるニーズに合った情報提供のために、常にリサーチを欠かしてはならないことを実感したような次第であります。  これは、あらゆることに言えるのではないでしょうか。既定スタイルを見直し、地域、年齢、性別などを横断的に分析し、どんな商品、行政サービスを、いつ、どのような顧客、県民に対してセールス提供していけばいいのか、こういった検討が重要なのではないでしょうか。  駄弁を弄しましたが、以下三点、県政の一般事務に関して、私の方からも質問をさせていただきたいと思います。  質問の第一点は、給与水準の適正化についてであります。  十月一日に、人事委員会から、職員の給与等に関する報告と勧告が出されたところでありますが、その内容を見ますと、民間の厳しい経済情勢を反映して、給与改定率が過去最低の〇・二八%であることに加え、期末手当を年間で〇・三月引き下げるとの内容となっており、四十歳の係長で年間給与が約九万六千円、率にして一・五%のマイナスになるとのことであります。しかしながら、民間は給与の抑制だけでなく、雇用調整を含めた非常に厳しい合理化努力を行っていることから考えますと、県職員は雇用が安定している分、県民の納得のいく給与でなければならないと思うものであります。  先般の代表質問における平成十年四月一日の一般行政職の給与水準を示すラスパイレス指数が一〇四・二で全国七位、中四国、九州で一位であることについてどのように考えているのかとの質問に対し、知事は「ラスパイレス指数が高い水準であることを認識し、厳しい経済情勢や本県の財政状況などを考慮し、本年の一月から給与是正策を講じているところであります」と、このように答えられましたが、平成二年には一〇二・二で四十位、平成六年は一〇三・一で二十八位と、いずれも都道府県平均を下回っていたものが、短期間のうちに全国七位になっているということは、理解できないところであります。  他県と比較しましても、全国的にはラスパイレス指数が下がっている中で、本県だけが大きく上昇している折、さらに財政状況を理由に、愛知県では十一年度中の給料を三・五%カット、ボーナスを八%カットしており、福岡県や東京都も給与などのカットを決定、または表明しているところであります。このような他県の状況や民間の経済が長期間にわたり低迷している中にあって、県職員だけが右肩上がりの給与であるということは、県民に到底納得してもらえるものとは言えないと思います。  そこで、平成二年に一〇二・二で四十位だったラスパイレス指数が、八年間で二・〇ポイントも上昇している理由を、まずお聞かせ願いたいと思います。  次に、知事はことしの一月から給与是正策を講じていると答えましたが、どのような考えのもとに、具体的にはどのような措置を講じ、その効果はいつごろどの程度あらわれると考えておられるのか、また、その結果次第では、愛知県が行っている給与カットなどの措置も、今後検討していくつもりはあるのかについてお答え願いたいと思います。  質問の第二点は、新計量単位移行への対応についてであります。  ものの長さ、質量、温度などの量をはかることは、私たちの日常生活、社会活動において、ごく当然の行為としてなされております。私たちの身近なところを眺めてみても、家庭における各種電化製品、職場でのOA機器、自動車を初めとする輸送機器などには、はかる道具としての計測機器やセンサーが数え切れないほど整備され役立っております。はかることの基本は、基準になるものとの比較であり、その基準が不明確ですと、安全が確保されなかったり、取引、証明において混乱を生じる原因となります。  十九世紀まで、世界各国では、歴史的にヤード・ポンド法、尺貫法など、種々の単位系が用いられてきましたが、国際交流の促進を図るため、世界各国のメートル法への統一を目的とするメートル条約が一八七五年、明治八年に締結されて以来、我が国も含め国際的にメートル法による単位への統一が進められてきたところであります。しかしながら、メートル法の単位の中でも数種の系統があり、必ずしも一量一単位とはならず、混乱が生じたことを踏まえ、メートル法をもとに一量一単位の原則に立った共通の単位系を設けるための国際的協議が、今世紀初頭から続けられたところであります。そして、一般人から専門家までが共通に使える一貫性を持った単位系が、一九六〇年の国際度量衡総会で採択され、国際単位系、いわゆるSIが誕生したところであります。SIの特徴は、あらゆる分野、科学、工業、教育、日常生活において共通に使用されるものであり、合理的な単位系と言えるものであります。  県民生活や商取引に深くかかわっている計量単位については、我が国においては、昭和三十四年に尺貫法からメートル単位系に切りかえられたところでありますが、これは、国際単位系を使用することが決議されることに対応した国際化の措置でありました。このメートル単位系の中にも、さらに国際単位系(SI)、重力単位系などの体系があり、国際的に統一する必要があることから、我が国では平成四年に計量法が改正され、従来使用されてきた重力単位系の力の単位である重量キログラムや、圧力の単位である重量キログラム毎平方メートルなどが、それぞれニュートンやパスカルなどに変更され、取引や証明のときには、この国際単位系(SI)を使用することが義務づけられたところであります。  この切りかえには、それぞれ影響の少ないものから、三年、五年、七年の猶予期間が設けられておりましたが、今回九月三十日の期限をもって最長七年の猶予期間が終了し、この十月一日からは、企業活動にかかわりの深い十一の項目について国際単位系(SI)を使用することとなったとお聞きしております。しかしながら、計量行政を所管する通商産業省では、SI化への移行が円滑に進むよう情報提供に努められているようですが、産業界の認識は一部でいまだ低く、十月から何が起こるのかという基本的な問い合わせも、いまだ多いとのことであります。  今回変更になる計量単位は、主として産業分野で、製品の仕様書、設計書等に用いられているもので、音圧レベルのホンなどを除き、日常生活に用いられる単位はなく、県民生活への影響は余りないと言われておりますが、取引や証明などの商行為に大きな影響のあるこの変更について、普及啓発は十分できているのでしょうか。  県としてのこれまでの取り組み状況と、今後における取り組みについてお伺いをいたします。  質問の第三点は、児童虐待についてであります。  近年、社会的に子供の虐待についての関心が急激に高まり、新聞やテレビなどのマスコミに取り上げられることが多くなってきたところであります。最近では、心臓病を患っている次男にせっかんを続け、大けがをさせたとして、傷害罪に問われた丸亀市の会社員の論告求刑が先月の九月二十八日、高松地裁丸亀支部であり、「常軌を逸した犯行で、責任は極めて重大」として、懲役三年が求刑されたとの新聞報道がなされたところであります。  これは、本年三月二十八日、丸亀市内の路上に駐車中の乗用車内で、当時一歳十カ月の次男におもちゃを投げつけ、一カ月の大けがをさせた上、さらに四月十一日、自宅で次男が勝手におやつを食べたことに腹を立て、五時間にもわたって屋外に放置した上、頭や腹を殴るなどして五カ月の大けがをさせた痛ましい事件であります。  また、心臓疾患がある実子に、半年以上の虐待を繰り返しており、社会復帰後のカウンセリングもかたくなに拒否している、と事件が再発するおそれを指摘してもおります。  本来、親は子供たちにとり、最も信頼すべき存在であります。にもかかわらず、その親が子供に対して暴力をふるうなどの虐待を行うということは、人格形成期にある子供たちの心身に重大な影響を及ぼすものであり、看過しがたい重要な問題であります。  一般的に、児童虐待は、殴る、けるなどの身体的虐待、食事を与えないなどのネグレクト、言葉や態度による心理的虐待、性的虐待の四つに分類されており、平成九年度に全国の児童相談所で取り扱った虐待ケースは、前年度に比べ三〇%増の五千三百五十二件となっております。  また、香川県でも児童相談所が取り扱った虐待ケースは、九年度の四十八件から十年度は八十一件と大幅にふえ、死亡に至るケースも発生するなど、その実態は一層深刻化しております。しかしながら、これはあくまでも児童相談所で把握された件数であり、病院や保健所などの専門機関で把握されながらも、児童相談所に通報されていないケースや、専門機関に発見されず、潜在しているケースも多いと考えられます。  児童虐待が大幅に増加した原因は、都市化、核家族化、女性の就労などの社会の変化に伴い、家族や社会の養育機能が低下していることにあると指摘されております。児童虐待が起きる要因は複雑・多様であり、個々の実情に応じた児童の処遇や家庭環境の調整等を図ることが必要でありますが、何よりもまず、児童虐待の早期発見を図ることが重要であります。  家庭という密室で起こると言われる虐待が深刻化する前に早期発見するためには、地域の人が子供を見守り、虐待のサインに気がついたら、すぐに児童相談所等の関係機関に通報することが大切であります。県では、児童相談所が中心となって、民生委員、児童委員に対する虐待に関する研修を市町ごとに行っていると聞いておりますが、民生委員、児童委員に対してだけでなく、もっと幅広く虐待に関する啓発を早急に行うことが必要であると思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。  また、加害者である親も、自分も親から暴力を受けたというケースもあり、虐待を受けて大きくなった親がその子供たちを虐待するという、いわゆる虐待に連鎖が見られます。この連鎖を断ち切り、同じ過ちを二度と繰り返させないためにも、虐待を受けた子供に対する心のケアが重要であると思いますが、あわせてお伺いいたします。  これにて私の一般質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(真部善美君)理事者の答弁を求めます。  真鍋知事。    (知事真鍋武紀君登壇) ◯知事(真鍋武紀君)山田議員の御質問にお答え申し上げます。  まず、給与水準の適正化についてのお尋ねであります。  本県職員の給与水準を示す、いわゆるラスパイレス指数の上昇の理由につきましては、平成二年に人事委員会から給与改善についての報告がなされたことから、人事委員会とも協議しながら、特別昇給実施率の拡大や昇格基準の見直しなどを行ってきた結果であると考えております。このような中、給与水準の適正化を図りますため、本年一月から、特別昇給実施率を国の実施率を下回って実施すること、係長級、課長補佐級、課長級の昇格基準を一年から三年おくらせること、さらには高齢者の昇給停止年齢を、まずは管理職手当受給職員について、六十歳から五十八歳に引き下げることなどの方策を講じているところであります。これに伴いまして、平成十二年四月のラスパイレス指数は一ポイント程度下がり、現時点での全国平均の一〇三・三程度になると考えております。  また、大都市圏を中心に、職員の給与をカットするなどの措置が実施されておりますが、それらの団体は著しい財源不足が生じているなどの事情からと伺っております。職員の給与につきましては、社会経済情勢に適応し、県民の理解が得られますとともに、職員の勤務意欲にも配意する必要があり、給与の専門機関である人事委員会の報告、意見等の趣旨を尊重するとともに、国及び他の都道府県との均衡や本県の財政状況も考慮しながら、適正な給与制度の運用に努めることが重要であると考えております。  次は、児童虐待の防止等についてのお尋ねのうち、虐待防止に関する啓発についてであります。  県においては、各種広報媒体等を通じて、児童相談所への通報について周知徹底を図ってきたところであり、今年度は民生委員児童委員に対し、児童虐待に関する研修を市町ごとに実施しているところであります。こうした取り組みにより、児童相談所への通報が増加し、同相談所によると虐待処理件数は、平成十年度八十一件と急増し、平成十一年度は上半期だけで七十四件と、昨年度同期の四十五件に比べ、さらに大幅に増加しております。こうした状況を踏まえ、県としては一層の啓発を行うことが必要であると考えており、今月二十四日には、福祉、医療、教育、警察などの関係者に対する意識啓発を図るため、児童虐待に関する「講演と映画のつどい」を開催することとしております。  さらに、虐待防止や子育て相談を呼びかける地域ぐるみの虐待防止キャンペーンの実施を検討しており、今後とも、関係者や子育て家庭に対する一層の意識啓発に努めてまいりたいと考えております。  次に、虐待を受けた子供の心のケアについてであります。  被虐待児に対する心のケアについては、児童相談所や情緒障害児短期治療施設において心理的ケアを行っているほか、関係機関の連携の中で、保健婦等が精神面も含めたケアを行っております。  さらに、児童養護施設でも心理的ケアを行えるようにするため、心理療法を行う職員を配置するよう施設を指導してまいります。いずれにいたしましても、虐待の問題が一層顕在化する中で、関係機関との連携を強化し、地域総ぐるみの対策の充実を図ることが喫緊の課題であります。今後とも、子供の安全確保に最重点を置いた早期発見、早期対応に努めるとともに、虐待の連鎖・再発を防止する被虐待児や虐待者の心のケア、さらには虐待の防止につながる子育て支援体制の構築など、総合的かつきめ細かな対策を推進してまいりたいと存じます。  なお、新計量単位移行についての普及啓発についてのお尋ねにつきましては、商工労働部長からお答え申し上げます。(降壇) ◯副議長(真部善美君)小橋商工労働部長
       (商工労働部長小橋照彦君登壇) ◯商工労働部長(小橋照彦君)山田議員の御質問のうち、新計量単位移行についての普及啓発につきまして、知事にかわりましてお答え申し上げます。  計量は、古くから産業や経済の発展の基礎を成すもので、社会生活の上で欠くことのできない、極めて大切な役割を担っております。このため、県におきましては、新しい計量単位への移行が円滑に進みますよう、関係業界や企業等を対象とした説明会の開催、啓発冊子の作成、配布などを行いますとともに、商工団体を通じて、改正内容の周知に努めてまいったところであります。  また、県民に対しましても、テレビ、ラジオ等によりPRを行いますとともに、消費生活展など、イベントの機会を活用して、パネル展示や冊子等による普及、啓発を実施してまいったところであります。新しい計量単位への移行につきましては、既に始まっているところでありますが、長年親しんできた単位の変更であり、さらに十分な周知が必要と考えられますことから、県といたしましては、今後とも引き続き、関係業界はもとより、企業や県民に対しまして、さまざまな機会をとらえて情報提供を行うなど、新しい計量単位が着実に定着いたしますよう取り組んでまいりたいと存じます。(降壇) ◯副議長(真部善美君)理事者の答弁は終わりました。  本日の一般質問を終局いたします。    ───────────────────────────── ◯副議長(真部善美君)以上で本日の日程は、終了いたしました。  次会は、明十月八日午前十時本会議を開きます。なお、議事日程は、追って報告いたします。  本日は、これをもって散会いたします。                          午後三時二十三分散会 Copyright (c) Kagawa Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved....