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平成6年12月定例会(第3日) 本文

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  1. 香川県議会 1994-12-03
    平成6年12月定例会(第3日) 本文


    取得元: 香川県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-31
    ▼最初のヒットへ(全 0 ヒット) 平成六年十二月十三日(火曜日) 午前十時十二分開議 ─────────────────────────────────   出  席  議  員    池  田  長  義 君    組  橋  啓  輔 君    山  内  俊  夫 君    松  本  康  範 君    鎌  田  守  恭 君    篠  原  公  七 君    栗  田  隆  義 君    冨  田  博  昭 君    寒  川  泰  博 君    村  上     豊 君    藤  目  千代子  君    白  井  昌  幸 君    増  田     稔 君    白  川  晴  司 君    山  本  直  樹 君    塚  本     修 君    筒  井  敏  行 君    尾  崎  道  広 君    大須賀   規  祐 君    砂  川     保 君    篠  原  正  憲 君    井  上     士 君    植  田  郁  男 君    辻  村     衛 君    岡  田  好  平 君    大喜多      治 君    岸  上     修 君    真  部  善  美 君    森     文  雄 君    大  西  邦  美 君    亀  井     広 君    大  西  末  廣 君    溝  渕     博 君    木  村  嘉  己 君
       近  本  幸  治 君    仲  西  秀  信 君    平  木  春  男 君    稲  井     正 君    都  村  忠  弘 君    谷  川     実 君    高  岡  哲  夫 君    三  宅  暉  茂 君   欠  席  議  員    東     清  弘 君    綾  田  福  雄 君    藤  本  哲  夫 君     ─────────────────────────        地方自治法第百二十一条による出席者          知     事  平  井  城  一 君          副  知  事  荻  野  清  士 君          出  納  長  本  多  英  信 君          総 務 部 長  細  谷  芳  郎 君          企 画 部 長  上  村  章  文 君          民 生 部 長  粂  井  英  二 君          環境保健部長   山  下  賢  一 君          商工労働部長   大  熊  繁  美 君          農林水産部長   町  田  勝  弘 君          土 木 部 長  横  内  秀  明 君          知事公室長    川  北  文  雄 君          技     監          高松港頭地区   新  名  延  行 君          開 発 局 長          水 道 局 長  前  田  治  衛 君          教育委員会          委     員  井  上  輝  子 君          教  育  長  田  中  壮一郎  君          公安委員会          委  員  長  多田野      弘 君          警察本部長    今  井  康  容 君          監 査 委 員          事 務 局 長  大  西  富美雄  君          人事委員会          委     員  小  野  賢  治 君          人事委員会          事 務 局 長  佐々木   嘉  久 君          地方労働委員会          事 務 局 長  三  野  雄  一 君          総務部次長    上  関  克  也 君     ─────────────────────────      議  事  日  程(第三号)               平成六年十二月十三日(火)午前十時開議 第  一 県の一般事務に関する質問     ───────────────────────── ◯議長(池田長義君)ただいまから本日の会議を開きます。  本日の日程は、配布のとおりであります。  日程に入るに先立ちまして諸般の報告をいたします。職員に朗読させます。    (職員朗読)   諸般の報告 一、監査委員から、地方自治法第百九十九条の規定に基づく報告一件を受理いたしました。 ◯議長(池田長義君)以上で諸般の報告を終わります。     ───────────────────────── ◯議長(池田長義君)日程第一、県の一般事務に関する質問を行います。  鎌田守恭君。    (鎌田守恭君登壇、拍手) ◯鎌田守恭君 本議会のトップバッターを切らせていただきまして、一般質問を始めたいと思います。知事に四点ばかり質問したいと思います。  初めに、高松地区における特別養護老人ホームの整備促進についてお伺いします。  平成六年十月一日現在、既に本県における六十五歳以上の高齢者人口は十八万一千人となっており、総人口の一七・六%を占めています。県の老人保健福祉計画の推計によりますと、平成十二年には二〇%にまで高まり、その数値は全国平均を十年ほど先行しています。さらに、今後大きな課題としてクローズアップされてくることは、後期高齢者、すなわち高齢者のうち七十五歳以上の人口の増加ですが、これはとりもなおさず、寝たきりや痴呆症で介護を要する高齢者が増加することを示しています。総務庁の調査におきましても、国民の約八〇%が老後生活に不安を感じており、このうち約半数の方々が不安の内容として、寝たきりや痴呆になることを挙げています。今や、要介護状態となることが国民の老後生活に対する不安感のうち最大のものと言ってよいと思います。たとえ介護が必要になっても、本人の希望を踏まえて、住みなれた地域や家庭で暮らし続けられるようにすることは、極めて大切なことであります。在宅において処遇される高齢者の割合を現状程度に維持しながら、老人保健施設など在宅復帰を支援するための施設の整備をしなければなりません。しかしながら、高齢者にとって、在宅での生活が不可能となった場合、地域的にも設備的にも適切な施設が用意されているのでしょうか。特別養護老人ホーム整備のおくれをカバーせんがための在宅福祉では、決してあってはならないと思います。  従来から、高齢者の介護は、ともすれば家庭内で家族のみの負担のもとに行われてきたきらいがあることは否定できませんが、介護を必要とする高齢者の増加や同居率の低下、女性の社会進出による家庭の介護力の低下といった現象は、在宅での生活が不可能な高齢者の数を飛躍的に増大させるのではないかと懸念しています。要介護状態になるかどうかは、本人の所得や経済状態にかかわりません。特別養護老人ホームも、既に特定の経済的・家庭的に恵まれない人のものではなくなっています。高齢者介護についても、今後特に社会的に行き届いた援助をする必要性が増大していると考えられます。現在、高松市だけで百名近い入所待機者が生じていると聞いています。地価の高いところで整備が進まないことは十分理解できますが、家族との交流、特別養護老人ホームから在宅への復帰、さらには特別養護老人ホームが在宅福祉の拠点として果たす役割などを考えるとき、できるだけ市街地・住宅地等での整備を進めるべきと思います。高松圏域にあっても、隣接の大川圏域や中讃圏域との広域調整を前提とせずに、目標値の達成を目指すべきであります。  そこで、今後、施設整備に当たって、各圏域における施設の適正配置に留意していくことが重要と考えますが、特に高松地区における特別養護老人ホームの整備促進については、どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。  次に、子育て支援対策についてお伺いします。  平成五年に成人式を迎えた人は全国で約二百四万人でしたが、その年に生まれた子供の数は、約百十八万人にすぎません。一人の女性が生涯に産む子供の数をあらわす合計特殊出生率も一・四六と過去最低の水準となっています。このまま少子化の傾向が進みますと、人口減少型社会の到来という、いまだかつてない状況に直面することとなり、同時に惹起される人口構造のアンバランスが、社会保障制度を初め社会経済全体に大きな影響を与えることが懸念されています。我々の社会が二十一世紀に向けてその活力を維持、発展させていく上で、新しい時代の主人公である子供に期待するところは極めて大であります。今、一番求められているのは、子供を持ちたい人が本当に安心して子供を生み、健やかに育てられる環境を、社会全体として築き上げていくことではないでしょうか。また、今日の成熟した社会を迎え、価値観や生活様式等が多様化する中にあって、子供自身の成長に対する影響も憂慮されています。いずれにしても、子供の健やかな成長は、親にとって至上の喜びであるだけでなく、社会全体としても取り組むべき重要な課題であり、国民共通の願いであります。子供たちの多彩な能力と無限の可能性は、何よりも大切にしなければなりません。  そこで、まず、子育て家庭に対する支援についてお伺いします。  共働き家庭の増大に伴って、保育サービスに対する多様なニーズや、放課後に保護者が家庭にいない、低学年児童の問題等が顕在化しています。このような中、全国レベルにおいて、本年七月、「こども未来財団」が設立され、駅型保育モデル事業や児童関連情報二十四時間ネットワーク事業等保育サービスや育児に対する支援が行われています。県においても、一律のサービスでは充足できない多様なニーズに対応するため、きめ細かな保育対策の実施により、子育て家庭に対する支援を充実することが求められていると思いますが、今後の取り組みについて、知事の御所見をお伺いします。  また、育児と仕事が両立できる労働環境の整備についてでありますが、現在の雇用のあり方のもとでは、育児と仕事の両立に大きな困難が伴ってまいります。女性は、結婚か仕事か、出産か仕事かという二者択一を迫られることになり、女性のライフコースの選択を妨げることにもなっています。また、育児と仕事の双方に従事する場合には、現実には、特に女性の肉体的・精神的な負担が重くなる結果となっています。  そこで、家庭における子育てを支援するため、育児と仕事が両立できる労働環境の整備、中でも特に育児休業制度の普及・定着が急務であると思いますが、県として、今後どのような取り組みをされるのか、知事の御所見をお伺いします。  次に、高齢者・障害者・歩行者等にやさしい道路づくりについてお伺いします。  障害者や高齢者が、住みなれた地域の中で安心かつ自由に生活でき、積極的に社会参加をしていくためには、建物、道路、交通機関、公園など公共的な施設を極力、これらの方々の利用に配慮したものとすることが必要であるとの観点から、県においては、平成四年三月に障害者・高齢者のための施設整備指針を策定し、この指針に沿った施設の整備が進められるよう、やさしいまちづくりに向けた各種施策が展開されています。しかしながら、この取り組みはまだまだ緒についたばかりであり、今後、さらに強力に推進する必要があります。また、歩行者や高齢者等、いわゆる交通弱者の交通事故は、毎年被害者のトップを占めているのが現状であることから、この対策の一つとして、歩道の整備や自転車・歩行者道の整備に積極的に取り組む必要があると思います。  ところで、建設大臣の諮問機関である道路審議会が十一月上旬、歩行者や環境にも配慮した多様な道路づくりを求めた「二十一世紀に向けた新たな道路構造のあり方」を答申いたしました。これによると、これまでの道路整備は、自動車保有台数に対処するため、距離を延ばすことが中心でありましたが、交通事故の増加や渋滞、環境の悪化に加えて、本格的な高齢化社会が間近に迫ったことなど、道路づくりを取り巻く社会経済環境が大きく変化していることを踏まえた道路整備が必要であるとして、さまざまな提案がなされているようです。建設省では、これを受けて道路構造令の改正を行い、例えば、道路の種類をふやしたり、渋滞対策・工事事故対策としての車線決定基準の改正や、道路のゆとりの確保、歩行者・高齢者対策としての歩行者専用空間の整備など、量のみから量と質への転換に取りかかるようであり、道路づくりが二十五年ぶりに大きく変わるようです。このことは大いに歓迎するものですが、むしろ遅きに失した感は否めませんし、新聞報道によると、実現までには、まだ道路構造令の改正などの手続が必要であることから、平成八年度からの道路の建設や改修に適用されることになりそうです。  そこで、今回の答申に基づく本格的な整備は、先に譲らざるを得ないとしても、本県では障害者や高齢者にやさしいまちづくりを県政の重要課題の一つに掲げていることや、歩行者・高齢者の事故が多発していることなどから、こうした答申の趣旨・内容を踏まえて既存道路の見直しを行うとともに、歩道の段差の解消や自転車・歩行者道の整備、交差点の改良等々、答申のいうところの歩行者・高齢者・障害者・環境への配慮を重視した道路整備に積極的に取り組むべきと思いますが、知事の御所見をお伺いします。  最後に、高松港頭地区再開発による県都高松市のまちづくりについてお伺いします。  新しい世紀に向けて、中枢都市機能の拡充強化と、文化的で快適な都市空間を目指して整備が進められている二つの大型プロジェクト、すなわちサンポート高松の愛称で呼ばれる高松港頭地区の総合整備事業や、香川インテリジェントパークの形成に向けた空港跡地の開発整備は、瀬戸内海広域経済文化圏の中核都市たる高松市にとって、その将来性を左右するほどの大きな意味を持っており、これらの事業を今後どう展開していくのかが、非常に重要な課題であると思います。  高松港頭地区総合整備事業については、二十一世紀に向けて、都市機能と港湾機能の調和のとれた新しい都市拠点づくりを総合的に推進するため、陸上部においては、高松港頭地区街並み・まちづくり総合支援事業土地区画整理事業が着々と進められており、また、海上部においては港湾改修事業や埋築事業が順調に進捗するなど、事業の着実な進展が図られています。しかしながら、高松港頭地区総合整備計画基本構想が出され、道路計画や土地利用計画が決まっているにもかかわらず、まだどんな街づくりを目指すのか、どんな個性を盛り込むのか、また、それに基づいてどんな施設をイメージするのかといった基本的な部分がはっきり打ち出されないまま、埋め立てや区画整理などといった土木部門についての事業はどんどん進んでいるのに対し、市民の一人としていささか不安を抱くものであります。肝心の街づくりはどう進めていくのか、どのように個性を盛り込むのかといった、具体的な方向づけはどこまで考えられているのでしょうか。また、これまでの情報等によると、国の合同庁舎や情報通信拠点施設の立地が言われているのに加え、先般は、市民会館がコンベンション機能を備えた複合施設として立地する方向で検討していることが明らかとなりましたが、全体としての街づくりや施設はどう考えられているのでしょうか。一部の施設の導入が取りざたされているにもかかわらず、開発整備の全体像が見えてこないのですが、どうでしょうか。  高松港頭地区の再開発は、地盤沈下が懸念されている県都高松市の今後の発展にとって、残された最後のチャンスと言ってもいいほどの重要な意味を持っていると思います。したがって、どこかにあるものをそのまま持ち込むとか、模倣するのでなく、その地域の特色、つまり個性を生かす必要があると思いますし、高松港頭地区の置かれた位置や場所をも考慮すれば、例えば、日本三大水城の一つである高松城や、瀬戸内海の多島美などを生かすことにも知恵を絞る必要があると思います。瀬戸内海と水城を生かした個性ある都市づくり、加えて人が集まりやすい居住空間を取り入れて、全体の整備を進めるべきと思いますが、今後どういったまちづくりを目指していこうとしているのか、お伺いします。  なお、高松港頭地区の再開発に関連してお尋ねしますが、平成八年三月から十月まで、東京臨海副都心、いわゆる東京テレポートタウンにおいて、国際的規模のイベント、世界都市博覧会が開催されると聞いております。東京テレポートタウンは、東京の都市構造を一点集中型から多心型へ転換させるとともに、国際化、情報化という時代の要請に対応する理想の未来型都市を目指した新しいまちづくりです。この世界都市博覧会では、国内外の多くの都市が一堂に会し、都市づくりに関する経験や先進事例の提示、企業並びに専門家の知恵や技術、そして市民の自由な発想や提案などが集結されるようであります。市民にとって住みやすく、魅力ある都市空間とは何か、都市そのものの複合的魅力とはどんなものかなどといった、今進めている港頭地区開発や、これからの都市づくりに欠くことのできない情報やアイデアが得られ、また競い合う絶好の機会であると思います。したがって、本県もこれに出展参加して、港頭地区の再開発などを中心に、本県の魅力や地域のアイデンティティーを発信することはもちろん、国内外の各地の情報や新しい都市づくりのノウハウ、地域活性化のアイデアを獲得・吸収し、本県の都市づくりに役立ててはどうかと思いますが、知事の御所見をお伺いします。  以上、終わります。(拍手、降壇) ◯議長(池田長義君)理事者の答弁を求めます。  知事。    (知事平井城一君登壇) ◯知事(平井城一君)鎌田議員の御質問にお答え申し上げます。  まず、高松地区における特別養護老人ホームの整備促進についてであります。  特別養護老人ホームの整備につきましては、本年三月に策定いたしました香川県老人保健福祉計画に沿いまして計画的に整備を進めているところでありまして、木田郡及び香川郡を含みます高松地区における特別養護老人ホームの整備につきましては、県といたしましても特に努力してまいっているところであります。その結果、高松地区におきます特別養護老人ホームの入所定員の実数は、平成二年度末には四百七床でありましたが、現在整備中のものが完成いたしますと八百十七床となりまして、ここ五年間で倍増してまいっております。県といたしましては、特別養護老人ホームが在宅福祉の拠点となる施設であることも踏まえまして、今後の施設整備に当たりましては、高松地区を初め各圏域ごとの施設の適正配置に留意しながら、在宅福祉の推進の観点からも、引き続き計画的に着実な整備に努めまして、高齢化の進展に適切に対処してまいりたいと存じます。  次は、子育て支援対策についてのお尋ねであります。  まず、子育て家庭に対する支援についてであります。  県におきましては、働く女性の増加や就労形態の多様化に伴うさまざまな保育ニーズに対応いたしますため、これまで乳児保育、延長保育、夜間保育などの特別保育サービスの推進や放課後児童対策に積極的に取り組んでまいったところであります。本年度におきましては、新たに時間延長型保育サービス事業の積極的な活用を図りますとともに、県単独事業におきましても乳児保育、延長保育の助成対象を公立保育所にまで拡大いたしますなど、よりきめ細かく対応しているところであります。今後におきましても、国の子育て支援総合計画の策定状況等を見きわめながら、保育所等がそれぞれの地域における多様な保育ニーズに的確に対応いたしますよう、市町、関係法人に対する指導に努めますとともに、新しく国において設立されましたこども未来財団における助成制度の活用を促進しますなど保育対策の充実を図りまして、子育て家庭に対する支援を積極的に推進してまいりたいと考えております。  次に、育児休業制度の普及・定着についてであります。  鎌田議員御指摘のとおり、近年、女性の職場進出が進む中におきまして、女性が仕事と育児を両立させるためには、労働者が働きながら子を養育することができるよう育児休業制度の普及・定着を図っていくことが極めて重要な課題であります。このようなことから、国におきましては、育児休業制度の早期導入を促進するため、事業主に対する各種の奨励金制度を実施しておりますほか、来年度からは、労働者に対しまして育児休業給付制度を創設することとしているところであります。県といたしましては、育児休業制度が来年四月からすべての事業所に適用になりますことから、引き続き講演会の開催や広報啓発資料の配付など積極的に普及啓発に取り組みますとともに、育児休業中の生活資金を必要とする方々に対しましては、昨年度に創設しました中小企業勤労者福祉資金の貸付制度の利用促進にも努めているところであります。今後とも、香川婦人少年室と連携をとりながら、これらの施策を引き続き推進し、あらゆる機会をとらえまして育児休業制度の普及・定着に努めてまいりたいと存じます。  次は、高齢者、障害者、歩行者などにやさしい道路づくりについてのお尋ねであります。  県といたしましては、高齢者や障害者の方々が住みなれた地域の中で安心して生活でき、積極的に社会参加ができるようなまちづくりを進めてまいりますため、平成四年三月に障害者・高齢者のための施設整備指針を策定しまして、これまで安全で快適に利用できる自転車・歩行者道の整備や歩道の段差解消、植樹帯の設置などに努めてまいったところであります。  先般、国の道路審議会の答申として出されました「二十一世紀に向けた新たな道路構造のあり方」におきましても、さきに策定しました県の整備指針と趣旨を同じくする方策が盛り込まれております。本県におきまして、高齢者や障害者にやさしいまちづくりを進めてまいりますことは、重要課題の一つでありますことから、今後とも歩行者、高齢者、障害者などに配慮した安全で快適な道路整備にさらに積極的に努めてまいりたいと存じます。  最後に、高松港頭地区総合整備事業についてのお尋ねであります。  まず、まちづくりの基本方針についてであります。  サンポート高松におきましては、二十一世紀に向けてのまちづくりとしまして、国際化、情報化に対応し、都市機能と港湾機能の調和のとれた開発を行いまして、環瀬戸内交流圏の拠点として、新しい都市機能の核づくり、四国の玄関にふさわしい海陸交通のターミナル機能の強化、さらには、美しい瀬戸内海や玉藻城を生かしました海の都のシンボルゾーンの形成を図ることといたしております。このため、憩いとにぎわいを演出いたします多目的広場や歩行者専用道路、さらには、水際線に沿って、親水性豊かな港湾緑地などを整備することといたしております。  また、導入を予定いたしております主要な上物施設といたしましては、本格的なシティホテル、国際会議が開催できるコンベンション施設、国の合同庁舎、高度情報センター港湾旅客ターミナルビル、さらには、にぎわいと魅力ある集客施設などが必要であると考えております。これらの施設の導入に当たりましては、個性的で魅力ある新しいまちづくりを進めてまいりますため、地区全体の景観形成のあり方を初め建物の壁面の位置や色、形などにつきまして、高松港頭地区まちづくり委員会において検討を進めているところであります。  いずれにいたしましても、サンポート高松を高度な都市機能が集積し、また、にぎわいのある商業・業務地区として整備してまいりますためには、今後とも関係者の方々と十分に協議・調整を行いますとともに、県議会を初め高松港頭地区総合整備事業推進協議会など、広く各界各層の御意見を拝聴しながら、官民一体となって事業の推進に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。  次に、世界都市博覧会への出展についてであります。  この博覧会は、都市の未来を考える場として、「都市・躍動とうるおい」をメーンテーマに、平成八年三月から約二百日間にわたりまして、東京臨海副都心を中心に開催されることとなっております。計画によりますと、全国の都道府県や政令指定都市からの出展が予定されておりますほか、海外からも、既に約四十都市の出展申し込みがあり、入場者数も約二千万人が見込まれております。また、サンポート高松は、多くの人々が集い、にぎわいのある魅力あふれるまちづくりを目指しておりますし、民間活力の導入も予定いたしておりますので、できるだけ多くの方々や企業に広く関心を持っていただく必要があると考えております。このため、県といたしましては、この世界都市博覧会へ出展することといたしまして、この機会をとらえサンポート高松を積極的にPRいたしますとともに、他の団体や入場者との交流を深め、その成果をこれからの本県のこの地域のまちづくりに生かしてまいりたいと存じます。(降壇) ◯議長(池田長義君)一般質問を続行いたします。  砂川 保君。    (砂川 保君登壇、拍手)
    ◯砂川 保君 私は、ただいまから知事さんに質問いたします。  何かと気ぜわしい時期でありますので、できるだけ簡潔に伺いたいと思います。知事におかれましても、これまた簡潔に、心に響くような御答弁を期待するものであります。  質問の第一は、大川地域の活性化について伺いたいと思います。  西高東低という論議がよくなされるのでありますが、私は、香川県東部の発展を願う立場から、大川地域の活性化に絞ってお伺いをしたいと思います。  高松以東の東讃地区、なかんずく大川地域は、久しく文化的、経済的に低迷を余儀なくされており、私たち住民も内心じくじたるものがあります。こうしたことを端的にあらわしているのが人口であります。人口は地域の健康のバロメーターであります。人口の増減状況を見れば、その地域の活性化の度合いが手にとるようにわかります。  大川郡の人口は、昭和六十年の国勢調査では十万人をわずかに割り込んでおりましたのですが、平成五年度末には九万八千人にまで落ち込んでおります。長期的に見て減少の傾向にあることは否定できない事実であります。ちなみに、高松市は三十二万七千人から三十二万九千人に増加しております。人口の減少は、高齢化の進展とも相まって就業人口を減らし、消費活動を停滞させ、町の活力を失わせています。さらに、最近の景気低迷による企業活動の低下が追い打ちをかけ、加えて、円高の進行などによりまして手袋に代表される地場産業の空洞化が進むなど、地域経済は大きな打撃を受けております。結果として、当然のことながら若者の就労場所がないということになりますし、また、農業、漁業においても後継者が不足し、親の一代限りの様相を見せております。このまま時が推移しますと、気がつけば周囲は高齢者ばかりが目につき、若者の定住は非常に難しい状況になりはしないかと懸念されるのであります。ことほどさような現況を一日も早く打開しなければなりませんが、そのためには、悲観的な現況から、未来は待つものではなく、つくり上げていくものとの観点が必要であります。  打開策の一つとして、社会資本の整備がまず必要であります。折しも明石海峡大橋の開通が目前に迫り、四国横断自動車道の建設も急ピッチで進むなど、東讃の未来を託すプロジェクトが着々と進んでおりますが、さらなる取り組みが強く求められております。  打開策の二つ目は、地域としても東讃新時代の実現に向けて、時期を失することなくさまざまな施策に取り組んでいかなければなりません。地域内の生活環境の改善に努め、魅力ある就労の場づくりを進めるなど、若者の流出を防ぎ地域の活力を維持していくために、定住条件の整備に努めていかなければならない大切な時期にあります。まさに東讃新時代として位置づけ、知事の東讃地域の活性化に向けた強力なリーダーシップが問われているのではないでしょうか。明石海峡大橋の開通を展望すれば、四国横断自動車道の完成時には、完全に大川地域は関西経済圏に組み込まれることが想定されます。県として、今後大川地域を香川県全体の中でどう位置づけられるのか、また商業、工業、農業、漁業等の振興を図り、若者の定住条件づくりのためにどう対応されていくのか、御所見をまずお伺いいたします。  次は、大川地域における米の生産振興についてお伺いをいたします。  本県の稲作は、昨年の冷夏・長雨、本年の高温・干ばつなど異常気象による災害を受けながらも、生産者の懸命の努力と関係者のきめ細かな対応などによって被害を最小限に食いとめることができたことは、不幸中の幸いであります。  さて、大川地域は、かねてから良質米生産にかける熱意が非常に高い地域であります。その努力により、県内の他の地域に先駆けて、消費者に好まれる食味のよいコシヒカリなどの優良品種の導入を図っているのであります。例えば、大川北部農協ではコシヒカリの超早期栽培に取り組んで、八月のお盆の出荷を目指しておりますし、また、大内農協の水主米も消費者から好評を得ておりますし、四国大川農協では有機減農薬栽培に取り組むなど、消費者に喜ばれる良質米の生産に積極的に取り組んでいるところであります。また、平成九年度の明石海峡大橋の開通を見越して、四国横断自動車道など高速輸送体系の整備を進めているところでありますが、稲作についても、白鳥上地区において、二十一世紀型のモデル的な圃場整備ともいえる県営担い手育成基盤整備事業などに取り組み、二十一世紀に向けて東讃の良質米産地として、さらなる飛躍が図れる基盤整備が着々と進展しているところであります。しかしながら、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉の妥結など、米の生産を巡る今日の諸情勢には大変厳しいものがあります。今後、大川地域が良質米産地として飛躍、発展を実現するためには、これらの土地基盤整備の効果を最大限に活用しなければなりません。そして、そのためには育苗施設やカントリーエレベーターなどの基幹的な施設の整備が強く望まれますし、また、これら施設の効率的な利用のための機能充実を促進するとともに、生産組織の再編成や新しい栽培技術の普及など、地域の農業条件に合った、きめ細かな対応が必要であると考えます。そして、これらのことが着実に実行され、名実ともに良質米産地の形成を図ることが重要であろうと考えるものであります。  ついては、大川地域における米の生産振興について、知事の御所見をお伺いいたします。  次は、大川郡における中核病院として大きな役割を果たしております県立白鳥病院の充実についてお尋ねをいたします。  このことについては、昨年九月議会でも質問いたしましたが、その後具体的な方策がとられていないようでありますので、この際改めて知事にお伺いしたいと思います。  まず、病床のフル稼働についてですが、具体的には全く使用されておらない五階部分の病床三十二床についてであります。  白鳥病院の許可病床数は百六十六床でありますが、そのうち稼働病床数は百三十四床であります。したがって、三十二床の病床が活用されておりません。これは結核患者の減少や全面改築の際に職員が確保できなかったことなど、いろいろな事情があったと伺っております。前回の知事の御答弁は、「病床利用率や医療従事者の確保、経営上の問題など検討すべき課題が多々あるので、今後総合的に検討したい」とのことでありました。  そこで、平成五年度の決算の状況を見てみますと、白鳥病院の稼働病床利用率は九二・五%と、同じ県立で、かつ近隣にある津田病院の七八・四%と比較しても極めて高い水準にありますし、また県下の基幹的病院である中央病院の九一・二%をも上回っております。昨年度がたまたま高いというわけではなく、平成四年度においても八九・三%という高水準であり、要するに病床は不足がちと考えるのが普通の考え方のように思います。また、こうした数字を見るまでもなく、たくさんの方々がベッドの空くのを待っており、潜在的な需要はかなりあります。このように、病床利用率という点から判断すれば、未稼働の三十二床を活用することは至極当然のことであろうかと思うわけでありますが、それでもなお未稼働の状態のままにしているということは、例えば、医療従事者の確保など人的な面で問題があるのでしょうか。病院関係者の大変な御努力にもかかわらず、平成五年度の決算においても一億五千八百万円の赤字が生じており、累積の赤字も十一億円をオーバーしております。許可病床数をフルに稼働させれば、地域住民の医療需要にこたえるとともに、常識的に考えれば収益の改善に寄与すると思うのでありますが、いかがでありましょうか。病床フル稼働について、知事の御所見をお伺いしたいと思います。  次に、老朽化した看護婦宿舎の整備についてお伺いをいたします。  看護婦の確保が現在の医療行政の中でも最大の懸案事項であることは、申すまでもありません。県としても、看護婦の確保のための施策に力を注いでおられることはよく承知をいたしておりますが、県立病院での確保を円滑に進めるためには、福利厚生面での充実が欠かせないと思います。そのためにも、老朽化の進んだ看護婦宿舎の整備について、建てかえも含めて検討していただきたいと思いますが、どのように対応していかれるのか、お尋ねをいたします。  次に、長期的な整備の方向についてお伺いしたいと思います。  何度も申し上げてまいりましたが、白鳥病院に対しては、地域住民は大きな期待を寄せております。とりわけ高齢化社会を迎え、整形外科、理学診療科の一層の充実が望まれております。津田病院が外科系、白鳥病院が内科系と、一応の機能分担がなされていることは承知をいたしておりますが、地域住民の期待にこたえていくためには、その後の医療需要の変化に即して、これまでの津田病院との機能分担の枠組みを超えた幅広い分野で機能の強化を図っていくことが大切であろうと思うのであります。今後、白鳥病院を地域の医療資源の中でどう位置づけ、長期的にどのような方向に整備していくのか、知事の御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(池田長義君)理事者の答弁を求めます。  知事。    (知事平井城一君登壇) ◯知事(平井城一君)砂川議員の御質問にお答え申し上げます。  まず、大川地域の活性化についてのお尋ねであります。  本県の東に位置します大川地域は、明石海峡大橋の完成を目前に控えまして、近畿圏に連なる本県の東の玄関口として、大変重要な地域でありまして、二十一世紀に向けて大きな発展の可能性を有する地域であると考えられるところであります。これまで、県といたしましては、このような大川地域の地勢的、社会的条件を踏まえまして、その基本目標を交流型産業文化圏の形成と位置づけまして、地域の発展の基礎を整えてまいりますため、四国横断自動車道や国道十一号高松東道路、県道高松志度線やJR高徳線の近代化など、交通ネットワーク等の整備の積極的な推進を初め、ダムの建設や流域下水道事業の整備推進など、社会資本の整備に鋭意努めてまいりますとともに、新たな大規模内陸型工業団地であります高松東ファクトリーパークの整備など、各般にわたります施策を積極的に推進してまいっているところであります。また、昨年度から大川地域、小豆地域及び三豊地域で実施いたしております地域振興方策調査検討事業におきましては、その地理的特性や社会資本整備、生活関連施設の整備等の動向を踏まえまして、中長期的な観点から、この地域にふさわしい戦略プロジェクトの掘り起こしを現在行っているところでありまして、本年度末には、地域振興方策調査検討委員会から各種振興方策の御提言をいただきまして、香川県二十一世紀長期構想の後期事業計画に効果的に反映いたしますとともに、本四三架橋時代に向けまして、整備が進む高速交通体系の受け皿づくりとしての交通・交流ネットワーク等の社会資本の整備や産業の育成強化等、若者の定住条件整備を積極的に推進することによりまして、大川地域の飛躍発展が図られますよう、県といたしましても、支援に努めてまいりたいと考えているところであります。  次は、大川地域におきます米の生産振興についてのお尋ねであります。  米につきましては、本県農業にとりまして重要な作物でありますことから、県内各地域におきまして、積極的な生産が図られているところであります。特に、大川地域におきましては、生産振興のための各種事業の実施や施設の活用によりまして、超早期米の栽培や有機減農薬米の栽培など、地域の特性と生産者の創意工夫によります付加価値の高い米づくりが行われているところであります。県といたしましても、大川地域の米の生産振興を図りますため、これらの取り組みをより積極的に支援してまいりますとともに、カントリーエレベーターなどの大規模基幹施設の整備や高性能農業機械の導入など、効率的かつ安定的な稲作経営体の育成を図りますための事業を実施いたすことといたしております。また、低コスト生産のための湛水直播方式など新しい栽培技術を普及推進いたしまして、地域の特性や条件を生かした良質米産地の形成にさらに努めてまいりたいと存じます。  最後に、県立白鳥病院の充実についてのお尋ねであります。  まず、許可病床全床の稼働についてであります。  白鳥病院は、昭和五十二年に全面改築し、五階は本来結核病棟として建築いたしましたが、結核患者が減少したことなどから、現在検査室、診療材料室、医師仮眠室等の施設として活用しているところであります。  御指摘のとおり、病床の利用率は他の県立病院と比較いたしますと高い水準にありますが、五階部分を病棟として稼働させることにつきましては、看護体制の見直し、医師等職員の確保、関連施設の整備充実等、さらには、建築後十七年を経過しております設備の更新時期や経営上の問題などを今後総合的に検討してまいる必要があると考えております。  次に、看護婦宿舎の整備についてであります。  看護婦宿舎につきましては、昭和四十四年に建築しまして、以来二十五年を経過しておりますが、当初二人部屋であったものを個室に転用しますなど、これまでにも環境の改善に努めてきたところでありますが、現在十五戸に対し四人の入居にとどまっております。今後とも、宿舎の需要動向等を見きわめながら整備してまいる所存であります。  次に、長期的な整備の方向についてであります。  白鳥病院につきましては内科系、津田病院につきましては外科系と位置づけておりまして、それぞれの地域におきます中核病院として、その特色を発揮しながら、地域の医療需要の動向や変化に十分こたえられますよう、施設や設備の整備充実に努めてまいりたいと考えております。  今後とも、白鳥病院が大川地域の中核病院として、さらには、僻地中核病院として十分機能いたしますよう、その充実に努力してまいりたいと存じます。(降壇) ◯議長(池田長義君)一般質問を続行いたします。  篠原公七君。    (篠原公七君登壇、拍手) ◯篠原公七君 当面する県政諸課題四点について、知事に質問いたします。  質問の第一は、旅券取扱窓口の増設についてであります。  近年、国際化の進展や円高の影響により、海外渡航者数は年々増加の一途をたどっておりまして、法務省の統計資料によりますと、昨年一年間に海外へ出かけた人は全国で一千百九十三万人余、本県では六万七千人余に上っております。特に、本県では、新高松空港の開港以来、平成四年四月の高松・ソウル国際定期航空路線の開設や香港、ハワイなど相次ぐ海外へのチャーター便により、直接高松空港から海外への渡航が可能となり、さらにこの秋には、関西国際空港の開港や同空港への高松からの直接乗り入れが実現したことなどによりまして、海外旅行は県民にとってますます身近なものとなってきております。こうしたことから、本県におけるパスポートの発行件数は、近年の円高の影響もあって年々増加し、昨年一年間では、過去最高の約三万三千件のパスポートが発行されており、今後もその増加が見込まれているところであります。しかしながら、本県におきましては、パスポートを取得するための取扱窓口が従来から県庁の一ヵ所しかなく、パスポートを必要とする人は、手続上、原則として申請時と交付時の二回、県庁に足を運ばなければなりません。しかも現在、県庁舎の建設が進められていることから、県庁には駐車場がなく、マイカーで来る人には大変不便をかけているのが現状であります。ところで、パスポートの申請、交付手続を単純に所要時間だけで比較しますと、高松からソウルへは一時間半足らずしかかからないのに、三豊など遠隔地の住民は、それ以上の時間を費やしているということになります。  そこで、このような遠隔地の住民の利便性の向上を図るとともに、本県の国際交流を一層促進する上からも、県庁以外の出先機関等でもパスポートの申請・交付が受けられるようにすべきであると考えますが、知事の御所見をお伺いします。  質問の第二は、地域の小規模事業者に対する支援方策についてであります。  最近の地域中小企業を取り巻く環境は非常に厳しく、商業関係においては、ロードサイド店、ディスカウント店の出店攻勢に加え、大店法の規制緩和が打ち出されるなど、さらに地域の競争が熾烈化し、特にパワーセンターによる価格破壊や大型ショッピングセンターなどによる大型駐車場を完備しての、一ヵ所ですべての商品が比較、選別しながら買い物できるなど、資本力による攻勢はすさまじいものがあり、地域商業としての生き残り戦略が今、最も真剣に模索されているところであります。一方、工業関係では、円高等によるコストアップに加え、大手企業の海外進出に伴う関連部品企業の海外進出はもとより、中小企業の海外進出も激しくなって、地域小規模事業者への発注が大幅に減少し、ストップするなど先行き企業経営に大きな不安感が漂っています。また、海外生産へのシフトにより産業の空洞化はもとより地域または企業の持っている技術の喪失が懸念されています。このような状況下で地域経済の担い手である小規模事業者は血のにじむような努力を重ねていますが、資金や人材不足の中で、世界の政治、経済情勢の変化や大手等の資本攻勢の前にはいかんともしがたい現況下にあります。近年は、後継者難等により事業所数の減少、大企業との付加生産性の格差が拡大する等、小規模企業の創業や新分野への進出も困難になっております。  このように、小規模事業者を取り巻く非常に厳しい経営環境の中、商工会や地元の各団体に加入し頑張っている若手企業家や商店主もおります。二代目に代がわりし、例えば酒屋からコンビニエンスストアなどの新しい業種に転換したり、パソコンを使って経営の合理化、新規顧客の掘り起こしに取り組む者、みずからのセンスで店舗を改装し、積極的な経営に取り組む若者もいます。厳しい逆風にさらされながらも、頑張っている地域の若手企業家の育成が緊急の課題であると考えるのであります。県も、こうした次代を担う若手のやる気にこたえるべく、中小企業後継者育成基金を活用した事業に取り組んでおられますが、もっと幅広い支援ができないものでしょうか。近代化のため、国等の制度を利用し共同店舗や工場共同化などの高度化助成や、制度融資などの低利資金を活用したくても、担保能力などにより利用できない者も多々おります。例えば、共同店舗を例にすれば、高度化事業の指定を受けたとしても耐用年数五年未満のものは対象外であり、店舗内装や什器等は自己負担として、数千万円の資金を要するなど、経営の近代化への意欲だけではどうにもならない状態にあります。  そこで、地域の小規模事業者の育成、なかんずく若手後継者の育成のためにも、高度化の助成対象にならないものについて単県助成制度の創設とか、融資制度への利子補給制度の創設、若手企業家に対し経営に関する有益な情報やノウハウを提供するソフト事業等、現場の若手企業家の意見を反映した施策を行うべきと考えるのであります。  また、県商工担当部局と若手企業家との意見交換の場も必要ではないでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第三は、園芸産地の活性化対策についてであります。  ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意による国際化の進展など、本県農業を取り巻く諸情勢は大きく変化しております。これに的確に対応して、本県農業の一層の振興を図るためには、地域の実情に沿ったきめ細かな施策の展開に加えて、本県農業の特性などをより一層発揮し、創意工夫に満ちた、農業者の生産意欲を高揚するような施策の展開が求められているところであります。本県の園芸特産物につきましては、農業粗生産額の四割余を占め、香川型農業の重要な部門を担っており、京阪神や東京などの大消費地で高い評価を得ておりますが、近年の園芸産地におきましては、高齢化の進展や後継者不足等によります労働力の減少から、レタス等の一部品目を除きまして栽培面積が年々減少しております。こうした中で、レタスの作付面積が拡大しているのは、長年にわたる産地の努力により市場で高い評価を得たこともありますが、規模拡大のネックであった包装作業の大幅な省力化につながったレタスの包装機の開発・普及を積極的に推進したことが大きいものと考えます。レタス栽培農家の中には、より一層の経営規模拡大に対する意欲があるものの、特に定植や収穫などの作業ピーク時には相当の労働時間を要し、家族労働力だけの対応では規模拡大にも限界があることから、作業の一部委託や雇用労働力の確保を望む声が強く、この問題が解決できれば市場評価の高い作物を基幹にして、新政策にも示された魅力ある経営体の育成、ひいては産地の維持強化につながるものと考えております。そのためには、定植・収穫作業の機械化や共同育苗等による省力化・分業化を推進し生産コストの低減を図りますことは無論のことでありますが、作業受委託や雇用労働のあっせん・活用など地域の実情に応じた園芸農家の規模拡大に対するきめ細かな施策の展開が不可欠であると考えておりますが、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第四は、肉用牛の生産振興についてであります。  平成三年四月に牛肉が自由化されてから、国産牛肉の生産量は横ばい傾向にあるものの、アメリカやオーストラリアなどからの輸入牛肉は、自由化前に比べて四七%もふえております。このようなことから、自由化前には、国内消費の五割強を占めていた国産牛肉の割合は、四五%を下回る状況となっております。このような輸入牛肉の急増は、国産牛肉の枝肉市況に多大の影響を与えておりまして、高級牛肉と言われている黒毛和牛の高規格的なものについては自由化前の八八%程度に、大衆牛肉と言われている乳用肥育牛肉についてはおおむね七八%に低落しております。しかしながら、輸入牛肉については、御承知のとおり、オーストラリア産牛肉の残留農薬が報道されるなど、その安全性に疑問を持たれているところであります。  一方、県においては、安全でおいしい讃岐牛の生産振興と銘柄の確立を図るため、昭和六十三年度に讃岐牛銘柄推進協議会を発足させ、優良繁殖和牛の導入、県内外へのイベント等への参加、東京・京阪神などの大消費地での讃岐牛枝肉展示会の開催などを積極的に推進しているところであります。特に、平成元年から実施しております、東京市場への讃岐牛の出荷につきましては、出荷頭数は少ないものの、東京市場に上場されている二十八県・三十三銘柄の中で、一頭当たりの平均価格は第五位と高い地位を誇るなど、高品質な銘柄牛として評価されているところであります。また、先般開催されました東京讃岐牛枝肉展示会におきましても、一頭当たりの平均価格は、当日の市況平均に比べて二割高で販売されたところであります。このように、東京で讃岐牛が高名を博していることは、我が讃岐の誇れる特産物であると感銘を新たにいたしますとともに、讃岐牛銘柄推進協議会会長である知事を初め関係者の御努力のたまものであると深く敬意を表するものであります。この安全でおいしい讃岐牛の名声をさらに高めるためには、讃岐牛生産モデル農家の育成に努め、讃岐牛の供給量を増加させ、県内外の消費者に潤沢に提供できますならば、その評価はもっと向上するものと考えるものであります。  また、肉用牛の品質向上につきましては、愛情細やかな御婦人の力に負うものが極めて大きいと日ごろから痛感しているところでありますが、御婦人による先進地や東京など消費地における研修をより一層充実するとともに、農家の生産基盤の拡充強化などを図っていく必要があると考えるものであります。  そこで、讃岐牛に代表される肉用牛の生産振興について、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手、降壇) ◯議長(池田長義君)理事者の答弁を求めます。  知事。    (知事平井城一君登壇) ◯知事(平井城一君)篠原議員の御質問にお答え申し上げます。  まず、出先機関における旅券取り扱いについてのお尋ねであります。  旅券は、外国において本人の身分証明や、非常の際の本人の保護のための公文書として外務大臣が発行するものでありまして、海外渡航者にとりましては必要不可欠なものであります。このため、旅券を取得するに当たりましては、旅券法の規定に基づき、極めて厳格な審査が求められ、特に旅券の交付につきましては、不正受給や二重発給を防止するため、必ず本人の出頭を求めて交付しているところであります。県といたしましては、従来から一定人数の団体旅行で要請があれば、県職員が直接現地に出向き旅券取扱事務を行っておりますが、その場合の要件であります団体の人数につきましても、平成四年度からおおむね五十人以上を三十人以上に緩和し、さらに、代理申請制度の拡充を図りますため、平成五年十月から申請書類等を県内八ヵ所の保健所や県事務所に備えますなど、県民の利便性を図ってまいったところであります。  御指摘の遠隔地の出先機関におきます旅券取り扱いにつきましては、住民サービスの一層の向上や、本県の国際化の促進を図る上からも意義あるものと考えられますので、特定の日に職員を出先機関に派遣する対応をも含めまして検討してまいりたいと存じます。  次は、小規模事業者に対する支援方策についてのお尋ねであります。  小規模事業者を取り巻く厳しい経営環境の中にありまして、おのおのの事業者が現在の状況を乗り切り、積極的な事業展開を図ってまいりますとともに、意欲ある若手後継者を育成してまいりますことは、地域経済の活性化を図る上からも重要な課題となっております。県におきましては、小規模事業者の経営や技術の改善、発展を図りますため、相談・指導を初めとする経営改善普及事業や経済研究情報センターにおきます各種情報提供事業などを積極的に実施いたしておりますほか、人材育成につきましては、中小企業後継者育成基金を活用した各種の後継者育成事業や中小小売商業人材育成事業などを実施いたしているところであります。また、金融面におきましては、小規模事業者向けの融資、大型店進出対策や組合の共同事業を対象とする融資など各種の制度融資を実施いたしておりますほか、設備近代化資金貸付制度や設備貸与制度を実施しますなど、事業者の自主的努力を積極的に支援しているところでありまして、御提案のありました助成制度につきましては、今後研究してまいりたいと存じます。  今後とも、若手企業家の御意見を伺いますなど地域の実情の把握に努めまして、小規模事業者や若手後継者が積極的な事業活動を行うことができますよう、商工施策のより一層の推進に努めてまいりたいと存じます。  次は、園芸産地の活性化対策についてのお尋ねであります。  園芸産地をめぐる情勢につきましては、農業従事者の高齢化や後継者の減少に加えまして、国際化の進展に伴う外国産農産物を含めた産地間競争の激化など大きく変化しております。こうした情勢のもとで、園芸産地の活性化を図りますためには、本県の特色を最大限に生かしながら、園芸農家のより一層の規模拡大や生産性の向上を図りまして、国際化にも対応できますような新しい農業経営体を育成していくことが不可欠であると考えております。このため、県といたしましては、園芸産地活性化モデル事業や本年度から新たに県単独事業として実施しております香川型園芸産地育成事業などの各種の事業を通じまして生産基盤の整備や機械化の促進、さらには、共同育苗や共同出荷など分業化による生産コストの低減に努めているところであります。また、作業受委託や高齢者の能力の活用等による労働力の調整確保に努めますなど、地域の実情に即したきめ細かな取り組みを展開いたしまして、今後とも園芸産地の活性化に向け、一層の努力を傾注してまいりたいと考えております。  最後に、肉用牛の生産振興についてのお尋ねであります。  まず、讃岐牛の振興対策につきましては、讃岐牛銘柄推進協議会を中心に、生産から流通・消費の各分野にわたる関係団体が一体となって積極的に取り組んでまいっているところであります。このうち、生産対策につきましては、優良繁殖牛の導入や受精卵移植技術を活用した改良増殖を推進いたしておりますほか、繁殖・肥育一貫経営による低コスト化を図りますとともに、生産の重要な担い手であります婦人や高齢者に対しまして、枝肉研修会を実施しますなど、その飼育技術の向上に努めているところであります。さらに、今年度におきましては、讃岐牛の効率的生産技術の確立と品質向上を図りますため、畜産試験場に讃岐牛モデル展示牛舎の整備を進めております。  今後におきましては、消費動向に即した安定的な供給を図りますため、生産モデル農家の育成に努めるなどいたしまして、讃岐牛の生産基盤の拡充と品質向上に取り組んでまいりたいと存じます。また、本県肉用牛の六割を占めております乳用種肥育牛につきましても、輸入牛肉と大きく競合いたしますことから、品質向上や県内消費の一層の拡大を図りますなど、生産流通対策の推進にさらに努めてまいりたいと存じます。(降壇) ◯議長(池田長義君)理事者の答弁は終わりました。  暫時休憩いたします。                       午前十一時二十五分休憩                       午後 一時  八分開議     ─────────────────────────   出  席  議  員    組  橋  啓  輔 君    山  内  俊  夫 君    松  本  康  範 君    鎌  田  守  恭 君    篠  原  公  七 君    栗  田  隆  義 君    冨  田  博  昭 君    寒  川  泰  博 君    村  上     豊 君    藤  目  千代子  君    白  井  昌  幸 君    増  田     稔 君    白  川  晴  司 君    山  本  直  樹 君    塚  本     修 君    筒  井  敏  行 君    尾  崎  道  広 君    大須賀   規  祐 君    砂  川     保 君    篠  原  正  憲 君    井  上     士 君    植  田  郁  男 君    辻  村     衛 君    岡  田  好  平 君    大喜多      治 君    岸  上     修 君    綾  田  福  雄 君    真  部  善  美 君    森     文  雄 君    大  西  邦  美 君    亀  井     広 君    大  西  末  廣 君    溝  渕     博 君    木  村  嘉  己 君    近  本  幸  治 君    仲  西  秀  信 君    平  木  春  男 君    稲  井     正 君    都  村  忠  弘 君    谷  川     実 君    高  岡  哲  夫 君    三  宅  暉  茂 君   欠  席  議  員
       池  田  長  義 君    東     清  弘 君    藤  本  哲  夫 君     ─────────────────────────        地方自治法第百二十一条による出席者          知     事  平  井  城  一 君          副  知  事  荻  野  清  士 君          出  納  長  本  多  英  信 君          総 務 部 長  細  谷  芳  郎 君          企 画 部 長  上  村  章  文 君          民 生 部 長  粂  井  英  二 君          環境保健部長   山  下  賢  一 君          商工労働部長   大  熊  繁  美 君          農林水産部長   町  田  勝  弘 君          土 木 部 長  横  内  秀  明 君          知事公室長    川  北  文  雄 君          技     監          高松港頭地区   新  名  延  行 君          開 発 局 長          水 道 局 長  前  田  治  衛 君          教育委員会          委     員  井  上  輝  子 君          教  育  長  田  中  壮一郎  君          公安委員会          委  員  長  多田野      弘 君          警察本部長    今  井  康  容 君          監 査 委 員          事 務 局 長  大  西  富美雄  君          人事委員会          委     員  小  野  賢  治 君          人事委員会          事 務 局 長  佐々木   嘉  久 君          地方労働委員会          事 務 局 長  三  野  雄  一 君          総務部次長    上  関  克  也 君     ───────────────────────── ◯副議長(組橋啓輔君)再開いたします。  一般質問を続行いたします。  塚本 修君。    (塚本 修君登壇、拍手) ◯塚本 修君 十二月議会の一般質問をさせていただきます。  きょうお伺いしたいのは、少し欲張っておりますけれども、知事に対して四件、教育長に対し一件、警察本部長に対して二件であります。  まず最初に、去る十月に設置いたしました香川県水資源対策推進本部の検討内容についてお伺いをいたします。  今さら申し上げるまでもなく、ことしの夏の異常渇水は、我々県民に水の大切さを改めて認識させるとともに、限りのある資源をどのように有効に使うかを考えさせる一つの大きなきっかけをつくりました。私どもも、今までむとんちゃくに使っていた水の大切さについて学び、そしてそれを実生活の上で実践していかなければならないと思います。このような状況の中、本県では去る十月十七日に、さきに述べました水資源対策推進本部を設置し、知事を本部長とする十名の委員と、その下にそれぞれの検討テーマを持つ五つの部会を設けております。そして月一回程度、検討会を開いていると聞いておりますが、その検討項目のうち、最もユニークと言えるものが、来年度の早い時期までに可能性を検討しようとしている海水淡水化事業の実現性についてであります。その他、近々に結論を出されるのが、節水型県有施設整備の調査結果と聞いております。このような中、一般県民の節水観念がどの程度残っているのか、疑問に思えることが多々あります。のど元過ぎれば熱さ忘れるとの古いことわざがありますが、この水に苦しい思いをしたことを他山の石とし、今後の糧としなければならないと思います。このような思いで県内各地の水に苦しんだ市や町を見た場合、一体幾つの市町で事後の対策が検討されているのか、疑問に思えてまいります。  そこで、この際お伺いをいたしますが、香川県水資源対策推進本部の過去三回の検討の内容はいかがなものでしょうか、まずお伺いをいたします。  次に、さきの九月議会において知事が我が党の綾田議員の質問に対し、推進本部で検討されている事業の目標時期をお答えされておりますが、肝心の県民への節水思想の啓蒙活動はどうされるのでしょうか。そして、節水型社会の実現については、最も住民との接点が大きい市町との連携が重要と考えますが、この点についてどのように考えておられるのか、お考えをお伺いしたいと思います。  水に関する質問の第二は、本県の下水道事業推進の現況と処理水の再利用についてであります。  本県の公共下水道事業は、昭和八年に高松で着工されたのを皮切りとして、同三十年の丸亀、四十五年の長尾、四十六年の牟礼など、その後続々と事業の推進がなされ、現在では五市二十一町において事業が進行しつつあります。特に平成になってからは、それまで着工をしていなかった町のうち一挙に十三町において着工が見られるなど、関係者の努力の成果が急速にあらわれつつあると聞いております。また、県の事業である流域下水道事業も、最近着工された香東川流域下水道など四ヵ所で事業が進行中であり、今後この事業が進むに従ってその恩恵に浴する人もふえてくるでしょう。しかし、最近発表された下水道の普及率調査で、全国平均が四九%であるのに対して、本県でのそれはわずかに二一%であるとの結果が発表されましたが、この数字から判断すると、まだまだ関係者に多大の努力をお願いしなければなりません。しかし、このことについての説明をお聞きいたしますと、県下の都市に符合する人口規模の全国平均普及率は三〇%であるとのことでありまして、その差はぐんと縮まってはまいりますが、いずれにしても全国平均を下回っていることは事実であります。下水道事業の推進は多額の費用を要するものではありますが、その割には成果が見えず、どうしても他の土木事業ほど注目を浴びることがありません。しかし、下水道の普及率が、その都市の文化のバロメーターを示すとも言われておりますように、今後この事業の拡大推進と未着手町の解消のために一層の努力をしていただきたいと思います。  そこで、お伺いをいたしますが、小豆郡の三町等未着手町十七町に対し、着手に向けてどのような働きかけをしておられるのでしょうか。また今後、普及率の向上を図る上でどのような問題点があるのか、お聞かせをいただきたいと思います。  また、今回の水不足にかんがみ、県下各地の下水処理場から海に排出される処理水は、一日当たり約十二万トン余と聞いておりますが、この処理水の有効利用について検討する価値があると考えます。水資源対策推進本部の中に、土木部次長を部会長とする雑用水利用部会でも検討がなされておると聞いておりますが、このことについても御見解をお聞かせいただきたいと思います。  次に、マルチメディアの振興についてお尋ねをいたします。  情報処理技術、通信技術を今以上に高度化し、地域の活性化や産業の振興を図り、より生活を豊かにしていくマルチメディアをめぐる動きといたしましては、関西学術研究都市を初め全国各地でCATV網を使った双方向の情報提供、医療の遠隔診断などさまざまな実験が始まっております。デジタル化、高速大容量化など情報通信分野における最近の技術革新を背景に、今後もますますこうした情報通信ネットワーク化について、全国的にも関心が高まっていくものと考えられ、本県におきましても的確な対応が求められているところであります。先般、県におきましては、マルチメディア時代に対応した施策展開を積極的に推進するため、その基本的方向を示すマルチメディア振興指針を策定し、その中で、人材育成を今後の重要な推進プロジェクトの一つとして位置づけられております。今後、この指針に従ってマルチメディアの振興を進めていくものと考えますが、その際、最も重要なことは人材の育成ではないかと考えます。マルチメディア社会は、個人が情報発信を担う社会であると言われております。すなわち、情報の送り手中心型社会から、個人がマルチメディア機器を使うことにより自分が必要な情報を編集、加工し、情報を発信することであります。これまで、専門家だけが情報の送り手だった時代から、だれもがネットワークやマルチメディア技術を使って発信者になれる時代となるのであります。このことは、今後、マルチメディア時代に的確に対応できる人材の育成、中でも県民の情報適応能力の向上が大きな課題となってくるものと考えます。また、県や市町におきましても、マルチメディアを活用し、地域に密着した生活関連情報や行政情報等の提供を担える職員を育成する必要があります。さらに、民間の映像関連分野の人材育成も、産業の振興を図る上で重要であります。このように人材育成は、その対象者によって、その育成方策は異なってくるし、幅広く考えていかなければならないものと思いますが、今後、県としてどのように取り組んでいこうとしているのか、お伺いをいたします。  次は、さぬきこどもの国の整備事業についてであります。  さぬきこどもの国の整備につきましては、子供たちはもとより県民から大きな期待が寄せられているわけでありますが、施設に要請される役割を十分発揮させるためには、その運営体制のいかんが重要なかぎを握っているわけであります。先般の我が自由民主党の代表質問において、知事から、さぬきこどもの国の管理運営体制については、財団法人による管理運営が適当である旨の御答弁があったところであります。一方、県におきましては、新たな行政改革大綱の策定に取りかかる意向も表明されておりますし、行政改革を積極的に進めていく必要もあるものと考えます。さぬきこどもの国の整備は、来年の四月下旬の開設を目途に整備が順調に進んでいるとのことでありますことから、管理運営体制についての検討もかなり進んでいると思われますが、検討に当たっては、こうした状況下にあることも踏まえますと、財団法人による管理運営ということで新しい財団を設立するということだけを検討するのでは時代の流れに即さないと考えるわけであります。  そこで、例えば、既存の財団法人の見直しも含めて検討するなど創意と工夫を凝らした管理体制でもって対応すべきだと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、さぬきこどもの国は、その施設の設置目的等から県下の児童館の中核的な役割を果たすべく期待されておりまして、そのさぬきこどもの国を管理運営する財団につきましては、児童の健全育成のための事業を計画、実施することとなるわけでありますが、本県におきましては、出生率の低下から、少子化の傾向が今後、社会経済等に大きな影響を与えるという懸念から、少子化対策を県政の重要課題として取り組まれるとのことでありますが、この管理運営財団の活用も図っていくべきだと考えます。  そこで、この財団におきましては、児童の健全育成ともかかわりが深く、少子化対策の一翼を占める子育て支援事業にも積極的に取り組んでいくべきだと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、教育長に対し、過日整備基本構想が発表されました香川県歴史博物館に関連してお伺いをいたします。  この歴史博物館の整備目的といたしましては、これからの新しい本県文化の創造と発展を図るために、先人の残したすぐれた文化遺産や人々の暮らし、社会の移り変わりを正しく伝えるためと述べられており、高松市玉藻町の敷地約五千平方メートルに、延べ床面積一万二千平方メートルの規模で建物を建て、基本設計、実施設計を経て平成八年以降建物の建設にかかる予定と聞いております。我々が先人に思いをはせながら、その遺徳をしのぶことは最も大切なことであり、これからそれらに直接接する機会が多くなることは、まことにうれしいことと考えております。既に資料の収集も始められており、高松藩主松平家の資料の収集もかなり進んでおりますが、これからは機会をつくってでも、県下のもう一つの藩である丸亀京極藩の資料もその対象としていただきたいものと望んでおきます。  さて、この歴史博物館の整備に関し、教育長に以下五項目にわたってお尋ねをいたします。  まず最初に、この歴史博物館は、本県の政治・経済・文化・生活等を総合的に、また、相互に関連づけながら研究と調査をするとともに、これを展示し県民の理解を深めるものと考えられますが、その機能としてはどのようなものを考えておられるのか、お伺いをいたします。  第二点として、この歴史博物館の機能をかんがみるとき、多様な資料の収集が非常に大切であると考えますが、その収集状況は現在どのようになっているのでしょうか。また、これを積極的に収集する体制づくりはどのようになっているのでしょうか。  第三点として、博物館の重要な使命としては、資料の収集とともに、その展示も重要と考えられます。特に、香川県らしい特徴を持った博物館とする必要があり、そのためには通常の展示とは別に、部門展示をお考えだと聞いておりますが、どのような構想をお持ちなのか、お伺いをいたしたいと思います。  質問の第四点は、展示においての工夫についてお尋ねをいたします。  展示をするに当たっては、資料を目で見るだけでなく、より興味を引き、体感もできるような工夫も必要だと思いますが、このことをどのようにお考えなのか、お伺いをいたします。  質問の最後は、既に何点かを松平家より貴重な資料として収集しておりますが、博物館の開館までにその公開を図るべきだと考えますが、どのようにお考えなのかお伺いいたしまして、私の教育長への質問を終わります。  最後に、警察本部長に二点ほどお伺いをいたします。  本部長は、本県への赴任に当たり、交通事故による死亡者を撲滅するために全力を挙げるとその抱負を述べられておりますが、十一月末現在における交通事故の発生状況を見てみますと、件数、死者数、傷者数ともに前年に比べますとやや減少しておりますが、依然として交通マナーの低さから、人口十万人当たりの交通事故死者数が全国ワースト六位と聞いております。特に本県における交通マナーの悪さは、以前より各方面から指摘されておりましたが、このうちシートベルトの着用については、最近の熱心な指導により、着用率もだんだんと向上しつつあると聞いております。また、マナーの悪さから言えば、歩行者にもその責任の一端はあり、一概に車ばかりを責めるわけにはいかないとの指摘もあります。昨年開催された東四国国体に際し、本県では大々的に交通マナーアップ運動が展開されて、それなりの効果を上げたのかもしれませんが、終わってしまえばもとのもくあみでは何にもなりません。  そこで、お伺いをいたしますが、昨年の交通マナーアップ運動の総括と、その後のこの運動の継続性について御見解をお述べいただきたいと思います。また、交通事故の発生箇所は比較的集中性があると言われております。すなわち、同じ場所で同じような事故がよく発生するようでありますが、そのような危険箇所について、警察としてはどのように把握し、その安全対策について、他の関係行政機関とどのように連携して安全対策を講じておられるのか、お伺いをいたします。  質問の最後は、新警察庁舎の着工に際し、関連する二、三の問題についてお伺いをいたします。  御承知のように新警察庁舎は、県庁舎整備の一環として食堂等一部行政部分とともに既に着工されており、目下平成九年度初頭の運用開始に向けての整備がなされつつあります。このことは、さきに開かれた県庁舎等整備促進特別委員会でも説明され、本庁舎と結ばれる光ファイバー網とともに、警察本部庁舎としての指揮管理機能を備えたインテリジェントビルと聞いております。また、この新庁舎が完成すると、ここを職場とする警察職員の数は約五百人とも聞いております。  そこで、お伺いをいたしたいのは、この庁舎の完成する二年半後を目指して、その整備についてどのような検討がなされているかということであります。平成九年初頭の運用開始時期には、全国で最も新しい警察庁舎となるわけでありますから、当然その時期の最新の各種機器が備えられていなければならないと思います。しかもそれは、本県の実情に合ったものであると同時に、十分に使いこなせるものでなければならないと思います。また、更新までの期間、使用に耐え得るものでなければならないと思います。  そこで、新庁舎の整備についてお伺いをいたしますが、最近の警察装備の特徴とその傾向について、どのように把握されておられるのか、またその中で、本県の実情に合わせた装備の内容について、どのような機関で検討がなされているのか、整備を必要とするシステムとしてはどのようなものがあるのか、お伺いをいたしまして私の質問を終わります。  以上です。(拍手、降壇) ◯副議長(組橋啓輔君)理事者の答弁を求めます。  知事。    (知事平井城一君登壇) ◯知事(平井城一君)塚本議員の御質問にお答え申し上げます。  まず、水資源の確保対策についてのお尋ねのうち、水資源対策推進本部での検討内容についてであります。  今回の異常渇水を契機といたしまして、需給両面から成る水資源確保対策を総合的に推進し、水需給の安定性の一層の向上を図りますため、知事を本部長とし関係部局長を委員とする香川県水資源対策推進本部を設置いたしまして、本部に総合調整部会、ダム開発部会、海水淡水化部会、雑用水利用部会、水道給水・節水システム部会の、この五つの専門部会を設置いたしたところであります。本部委員会は、十月に設置いたしまして以来、毎月一回定例的に開催し、各専門部会がそれぞれ担当する事項の報告を受けますとともに、総合的水資源確保対策の観点から、その全体調整を図っているところであります。現在までの水資源対策推進本部の検討内容につきましては、各専門部会におきまして調査すべき事項を整理し、調査方針や調査手順等を固めまして、現在、総合的な水資源関係調査に鋭意、取り組んでいるところであります。また、専門部会に調査、研究を行う作業部会も置きまして、具体策の検討のために、本県の水資源を取り巻く現状や課題の的確な把握に必要な関係資料の収集などの作業を鋭意行っているところであります。  次に、節水型社会の実現についてであります。  ダム開発など新規水源開発が開発適地の減少、開発効率の低下等の諸問題で次第に困難となっている中におきまして、水の安定的供給の確保を図る上において、水資源の合理的な使用を促進する節水型社会の形成は重要な課題であります。このため、県といたしましては、水資源の有限性、貴重さ及び水資源開発の重要性について県民の理解と関心を高めますため、水の週間行事の一環として、新聞、ラジオなどによる広報や水の作文コンクール、水資源を考える県政バスの運行などを行ってまいったところであります。今後とも、市町ともどもこうした行事などを通じまして、水が有限で貴重な資源であることを広く県民に呼びかけまして、節水意識の高揚に努めてまいりますとともに、節水コマ使用の推奨や節水トイレなどの節水機器の展示会の開催など広く県民及び事業者に対しまして、その使用を奨励する諸施策を進めることといたしておりますが、節水機器の普及や下水処理水、排水、雨水などを雑用水として利用する具体的な取り組みにつきましては、直接住民との接点が多い市町との連携が不可欠であると考えております。このため、水資源対策推進本部におきましては、市町の節水対策に関する取り組みや県民の節水に対する意識・意向をアンケート調査などを駆使しまして調査いたしますとともに、市町とも十分に協議を重ねまして、節水型社会の形成に向けて具体的な対策を検討し、可能なものから順次実施に移してまいりたいと考えております。  次は、下水道事業の現況と下水処理水の再利用についてであります。  下水道は、生活環境の改善や公共用水域の水質を保全し、快適な生活を確保するための基本的な施設であります。このため、県といたしましては、流域下水道の建設を積極的に進めますとともに、公共下水道事業の未着手の町に対しましては、事業開始の前提となります公共下水道の整備方針策定に対しまして助成措置を講じますなど、事業化の誘導を図っているところであります。また、下水道事業は、その性格上、建設が長期間にわたってまいりますことや大きな投資が必要なことから、市町において整備が進められております公共下水道事業に対しまして、単独県費の公共下水道普及特別対策事業を設けますなどの助成措置を講じているところであります。いずれにいたしましても、下水道の整備は、緊急かつ重要な課題でありますことから、引き続き積極的にその推進に努めてまいりたいと存じます。  次に、下水処理水の再利用についてであります。  水事情の厳しい本県にとりまして下水処理水は、貴重な水資源でありますことから、その活用を図りますため、先般設置しました水資源対策推進本部の中に雑用水利用部会を設置いたしまして、需給動向、用途に応じた水質基準、採算性など各般にわたって調査を進めているところであります。今後とも、地域の水利用実態を踏まえまして、下水処理水の再利用が促進できますよう、引き続き検討してまいりたいと存じます。  次は、マルチメディア振興のための人材育成についてのお尋ねであります。  先般、マルチメディア時代に的確に対応し、県民福祉の向上や地域の活性化を図り、本県の有する四国の中枢都市機能を維持、強化してまいりますため、その基本的方向性を示しますマルチメディア振興指針を策定したところであります。中でも、今後、マルチメディアの振興を効果的に推進してまいりますためには、その担い手となる人材の育成が重要であります。このため、県といたしましても、ニューメディアフェアやパソコン研修の開催など、県民それぞれがマルチメディアを体験したり、習得できる場所や機会を提供しながら、県民の情報適応能力の向上に努めてまいっているところであります。また、この振興指針におきましても、マルチメディアの普及啓発を図りますとともに、理工系高等教育機関や映像ソフト関連の人材育成機関の整備等を産・学・官が協力して推進することといたしております。今後ともその施策の推進に当たりましては、御指摘のように学校、社会、家庭など、それぞれの場におきます県民の情報適応能力の向上を初め、県庁職員などの行政内部におきます人材の育成や産業分野におきます人材の育成等幅広い視点から、長期的な視点に立ちまして継続的に進めることも重要であります。したがいまして、県といたしましては、現在、調査研究を行っております高松港頭地区における地域情報通信拠点の整備も視野に入れながら、産・学・官それぞれの役割分担のもとに互いに連携を図り、幅広い人材育成方策を継続的に取り組むための推進体制の整備について具体的な検討を深めてまいりたいと存じます。  最後に、さぬきこどもの国の整備についてのお尋ねであります。  まず、さぬきこどもの国の管理運営体制につきましては、常に子供の視点に立った運営に留意し、子供たちにとって魅力的な活動の条件を整えることが肝要と認識いたしておりますことから、その効果的な運営が期待される財団法人による管理運営が適当であると考えております。県におきましては、行政改革を進めていくという観点からも、さぬきこどもの国の管理運営体制につきましては、その設立目的が類似し、五色台や屋島の少年自然の家等を運営しております財団法人香川県福祉事業団を改組する方向で検討を進めたいと考えているところであります。  次に、少子化対策におきます管理運営財団の活用についてであります。  さぬきこどもの国につきましては、児童を健全に育成し、その資質の向上を図りますため、県内の児童を対象とした学習や遊び、創作活動の場を提供いたしますとともに、県下市町の児童館職員等に対する研修や児童健全育成の推進方法等を調査研究しますなど、関係機関への支援事業等を実施することといたしておりまして、児童の健全育成の拠点としての役割を担ってまいりますよう整備を進めているところであります。少子化の問題は、県一丸となって取り組んでまいらなければならない県政の重要課題であると考えておりまして、さぬきこどもの国の管理運営財団におきましても、行政と十分連携を図りながら民間の知恵を生かした子育て支援につきまして、その積極的な活用を図ってまいりたいと考えております。(降壇) ◯副議長(組橋啓輔君)教育長。    (教育長田中壮一郎君登壇) ◯教育長(田中壮一郎君)塚本議員の歴史博物館についての御質問にお答え申し上げます。  まず、歴史博物館の機能と資料の収集についてであります。  歴史博物館は、本県のすぐれた文化遺産やそのときどきの人々の暮らし、社会の移り変わりを後世に正しく伝えるとともに、輝かしい先人の業績や英知を生かし、これからの新しい本県文化の創造、発展を図ることを目的に、香川の歴史についての研究活動等の中核施設として整備しようとするものであります。このため、香川の歴史及び文化を理解する上で必要な歴史資料の収集、その体系的な整理及び保存、香川の歴史に関する調査研究と、これに基づく展示、さらには各種講演会の実施など教育普及活動の諸機能を持たせることが必要であると考えております。現在、建築及び展示の基本設計を進めているところであり、これらの諸機能を十分満たした施設となるよう取り組んでまいりたいと考えております。  歴史資料の収集状況につきましては、昨年度は高松藩ゆかりの国宝・重要文化財など貴重な歴史資料を一括して収集したところでありますが、今年度におきましては、現在までに金毘羅信仰に関係した資料など約九百点の資料を収集いたしております。また、資料の収集体制につきましては、各時代、各分野にわたる広範な資料の収集を図るため、歴史の専門家から成る歴史博物館資料収集展示委員会を設けるとともに、県下各地域の歴史に造詣の深い方々を資料調査員に委嘱しているところであります。これらの方々の御意見等を伺いながら、御指摘の丸亀藩関係の資料も含め、今後とも積極的な収集に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、展示手法についてであります。  展示につきましては、香川の生い立ちから現代までの歴史を扱う総合展示とは別に、本県の歴史上の主要なテーマや歴史的風土の特徴等をわかりやすく展示する部門展示を計画いたしております。そのテーマといたしましては、空海や金毘羅信仰に見られる本県の宗教文化や本県の歴史において重要な問題である水をめぐるテーマ等を予定いたしており、これらを通して本県の特色を理解していただけるものといたしたいと考えております。また、展示方法における工夫につきましては、塚本議員御指摘のとおり、展示については資料を見るだけではなく、興味を引き体感できるものとすることが重要であります。このため、他県の状況等も参考にしながら、模型、映像、音響など多様な展示手法を取り入れ、県民に親しまれるわかりやすい展示となるよう、工夫・研究してまいりたいと考えております。  最後に、開館までの資料公開についてであります。
     昨年度収集いたしました松平家歴史資料につきましては、本年一月二十八日から二月四日まで、香川県文化会館において松平家歴史資料展として公開したところであります。松平家歴史資料を含め収集できた資料につきましては、歴史博物館に対する理解を深めていただけるよう、その公開についても鋭意検討してまいりたいと考えております。(降壇) ◯副議長(組橋啓輔君)警察本部長。    (警察本部長今井康容君登壇) ◯警察本部長(今井康容君)塚本議員の御質問にお答え申し上げます。  まず、交通マナーアップ運動についてであります。  平成三年九月から昨年十月まで、県民総ぐるみで展開されました、さわやか香川国体交通マナーアップ運動につきましては、歩行者の横断マナー、自転車の走行マナー、自動車の運転マナーの向上を重点に取り組み、交通マナーの向上に努めてきたところであります。また、現在実施しておりますねんりん香川交通安全県民運動におきましては、特に高齢者及び自転車の交通事故防止と若者の交通マナーの向上を重点に取り組んでいるところであります。その結果、昨日現在で死者数百三十四人と、昨年に比べて若干減少をしております。これらの運動の教訓を踏まえながら、今春以来展開しております、めざそうシートベルト着用日本一運動をマナーアップの中心的な課題として位置づけ、他県に誇れるまでに交通マナーが向上するよう諸対策を推進してまいりたいと考えております。  なお、十二月に入り死亡事故が増加傾向を示していることから、昨日から二十一日までの十日間、交通死亡事故抑止緊急対策を実施しているところであります。  次に、交通事故多発箇所における安全対策についてであります。  いわゆる危険箇所につきましては、交通関係機関・団体を初め、自治体、学校、住民からの通報や改善要望、パトロール活動、さらには交通事故の的確な分析などによりまして、その把握に努めているところであります。これらの安全対策につきましては、道路管理者や地元関係者と連携いたしまして、春、秋の計画的な定期現地診断を初め、緊急を要する場合には緊急現地診断を実施しており、これまでに信号機の設置、横断歩道の移設などの交差点改良、視認性を高めるための標識等の高輝度化、カーブミラーやガードレールの設置などの具体的な安全対策を講じているところであります。  次に、最近の警察装備の特徴とその傾向についてであります。  社会の高度情報化、交通体系の高速化等を背景に、近年、警察事象はますます複雑・多様化してきております。警察装備につきましては、従来からコンピューターの導入に努めてまいりましたが、そのシステム化、ハイテク化の必要性が増大しているのが最近の特徴なり傾向であります。  最後に、新警察本部庁舎に整備する警察装備の検討及びその種類等についてでございます。  平成八年度に完成予定の新庁舎につきましては、庁内LANを構築しまして、各種のシステムを相互に情報交換させるなど高度に情報化された、いわゆるインテリジェントビルとしての整備を目指し、既に各システムごとに関係所属によるプロジェクトチームを編成いたしまして、先進県への視察研修や技術的な研究を重ねるなど本県の実情に合った最新のシステムが導入できるよう、現在、鋭意検討中であります。このシステムにつきまして具体的に申し上げますと、各種情報を統括する情報管理システム、一一〇番受理システムなど最新の技術を取り入れた新通信指令システム、広域交通実態に対応した高度交通管制システム、特殊事件捜査を迅速・的確に行うための捜査指揮システム、大規模な事件事故等に際して警察活動を効率的に運用する総合指揮システム、事件事故の現場映像情報を迅速に提供する映像情報システム等でございますが、今後さらに検討を深め、指揮管理機能を十分に備えた新本部庁舎として整備を図ってまいる所存でありますので、一層の御理解、御支援を賜りたいと存じます。(降壇) ◯副議長(組橋啓輔君)一般質問を続行いたします。  大須賀規祐君。    (大須賀規祐君登壇、拍手) ◯大須賀規祐君 質問に先立ち、一言ごあいさつ申し上げます。  思えば、公明党の前身である公明政治連盟の時代、昭和三十七年から県議会に議席を占めさせていただき、三十二年の長きにわたり議会の諸先輩の皆様を初め、関係の皆様の御理解と御協力を賜りながら、今日に至りました。その間の皆々様の御交誼に対しまして、改めて厚く御礼申し上げますとともに、私どもは去る十二月五日、公明党としての三十年の歴史の幕を閉じ、分党を行い、地方議員と地方組織で構成される公明としてスタートを切ったところであります。本県におきましても、来る十二月十八日に公明香川県本部の結成大会を開催することとしております。県議会の会派につきましては、既に御報告のとおり公明議員会とさせていただきました。  今後、私ども公明は、大変微力ではありますが、草の根の党として、生活者の政治、県民の側に立った政治、また地方分権や行政改革などの実現を目指し、県勢の発展に寄与したいと念願いたしております。公明党時代と同様、皆様の御理解と御交誼を賜りますようお願い申し上げます。  以上申し上げまして、質問に入らせていただきます。  質問の第一点は、海水淡水化事業の導入についてであります。  この夏の異常渇水により、六月二十七日から百四十一日の長きにわたり設置されていました県の渇水対策本部が、十一月十四日、香川用水の取水制限全面解除の決定に伴って解散されました。戦後最高と言われた猛暑・酷暑の中、多くの県民が時間給水や夜間断水などで厳しい生活を余儀なくされましたが、渇水対策本部の本部長として、関係機関との調整や一刻を争う渇水対策の諸事業に渾身の力を傾けて取り組まれた知事を初め、関係者の皆様方の御苦労には心より敬意を表したいと思います。しかしながら、小豆島の水事情は、ここにきて非常に厳しい状態となっており、この地域に対しましては最大限の努力をお願いしたいと存じます。水不足はことしに限った問題ではなく、長期的な展望に立った水資源の確保のための方策を幅広い分野で講じていかなければなりませんが、当面の課題は、九月補正予算で盛り込まれた水資源確保対策の推進であります。九月議会直後の十月十七日には、水資源の確保を総合的に推進していくための水資源対策推進本部が知事を本部長として設置されました。今後は、この本部を中心としてダム開発や海水の淡水化、雑用水の利用、さらには水道給水や節水システムなど需給両面にわたっての対策について、県の総力を挙げて取り組むことになり、その具体的成果を多くの県民は待ち望んでいることと思います。しかしながら、この際ぜひとも一言申し上げ、慎重に検討していただきたいことが一点ございます。  九月議会でも特に取り上げました海水淡水化事業についてであります。  私はこの事業について、コスト面、環境面、さらには水質の面で解決すべき多くの課題があることをるる申し上げ、海水淡水化が水道用水の水源として多くの期待を抱くことのないよう、慎重な取り組みを知事に求めたところであります。その際、知事からは、今後幅広い観点から調査研究を進めてまいりたいとの御答弁をいただいたところでありますが、その後、折に触れて耳にする知事の御発言からは、海水淡水化の事業化に向けての並み並みならぬ意欲が常にうかがえ、事業化は既に決定済みという印象を抱くのは私一人ではないと思います。九月議会に提案された水資源確保対策の中でも海水淡水化については、他の下水・雨水の利用や節水型社会の形成に向けての諸調査と異なり、独立した事業として予算が計上されており、この点からも知事の前向きの姿勢がうかがえますが、いずれにしても、これはあくまで海水淡水化事業導入についての調査検討、導入するか否かを含めての調査検討であると伺ったと記憶しております。コンサルタントに委託しての調査検討とのことでありますが、どのような調査項目を委託されているのか、まずお伺いしたいと思います。また、あわせて水資源対策推進本部の海水淡水化部会での検討状況についてもお尋ねいたしておきます。  この調査によってどのような結論が導き出されるのか現段階でははかりかねますが、コスト感覚を忘れてはならないことは申すまでもないことであります。国の補助で導入できればコストの軽減が図れるのは事実ですが、電力料金などのランニングコストが多額に上り、イニシャルコストと合わせた全体のコストが香川用水の単価と余り乖離するようであれば、水資源確保のための方策の選択肢から除外すべきことを当然考えておく必要があります。また、九月議会にも申し上げましたが、水質のことも忘れてはなりません。海水淡水化の先駆けである沖繩県では、導入に当たっての検討の中で、水質面ではほとんど障害になりませんでした。沖繩の水は大変硬度の高い硬水であり、これを軟水化するのにコストがかかっております。こうしたことから、海水淡水化によってミネラル分が除去された水とブレンドすることによって硬度調整がうまくいくからであります。したがって、慢性的な水不足に悩まされてきた沖繩本島内での新たな水資源確保の困難性に加え、水質面での問題を特段取り上げる必要がなかったため、県民の理解が得やすかったという沖繩県固有の事情があったのであります。ところが、沖繩の水と比較して本県の場合はそのほとんどが良質な軟水、大変おいしい水であり、特に香川用水の水質は全国的にも誇り得るものだと自負しておりますが、淡水化した水をブレンドすることがどのような意味を持つのでありましょうか。私が申し上げたいのは、とにかく慎重に検討していただきたい、拙速に過ぎることなくあらゆる面から海水淡水化の事業化の是非については時間をかけて検討を重ねていただきたいということであります。  こうした諸般の事実が十分知らされていない県民にとっては、大きな期待を抱かざるを得ない側面もありますが、海水淡水化という言葉が一人歩きをしているとの感じがしないでもありません。言葉を変えれば、県行政の英知が期待されているのであります。したがって、県民に対して調査検討の結果を十分説明し、その上で導入の是非について判断を求めなければならないと思います。事は県民生活に直結する重要問題であります。システムが稼働してから問題が顕在化するような事態は断じて許されません。知事の御所見をお伺いいたします。  また、仮に海水淡水化事業を具体化するにしても、単なる水処理プラントと考えるのではなく、多様な観点からの検討が必要であると思います。  そこで、少しでもコストを圧縮する方法の一つとして検討していただきたいのが、真水の製造過程におけるリチウム等の希少無機資源の回収であります。現在ニッケルカドミウム電池よりも高性能で安全と言われているリチウムイオン電池の需要が飛躍的に増大しつつありますが、原料のリチウムの供給が少ないことから大変高価なものとなっています。したがって、これは一例ですが、海水淡水化の過程でリチウムが回収できるような機能を備えた複合的なプラントにすることによって、こうした副産物によって多少なりともコストの低減が図れるのではないでしょうか。幸い、こうした分離工学の分野では四国工業技術研究所が大きな成果を上げており、海水淡水化の検討を進めるに当たっては、四国工業技術研究所の意見も大いに聞いていただきたいのであります。さらに、塩分濃度のかなり高い海水を海に戻さなくてはならないため、周辺環境への影響が懸念されますが、これについても県内の製塩業者が事業活動の中でかなりのノウハウを蓄積していると聞いております。高い漁業補償費を支出する事態になれば何をか言わんやということになるでありましょう。庁内での研究やコンサルタントへの委託に加えて、外部のさまざまな分野の人たちの意見を踏まえることによって、単に真水の製造という狭い観点からではなく、より幅広い、違った視点からの検討が深められ、それによって全国に先駆けた香川方式とも言える方式を打ち出すような創意と工夫が必要であります。いずれにしても、プラントのあり方、手法については、よく研究すべきであります。こうした方向が決まらないと事業主体も決めようがないのではないでしょうか。知事の御所見をお伺いいたしますとともに、重ねて慎重かつ多方面からの検討を強く要望いたしたいと存じます。  質問の第二点は、少子化対策についてであります。  我が国の出生率は、ここ数年公表されるたびに下がっています。合計特殊出生率、つまり一人の女性が生涯に生む子供の数は、現在の人口を維持する二・一から一・四六にまで落ち込み史上最低の水準となり、世界でも有数の低さだと言われています。しかも、上向く兆しは見当たらず、このまま推移すると長期的に見て我が国の人口は確実に減少に向かうことが予測されています。本県においては、全国に比べれば高い水準で推移しているものの年々低下傾向にあり、昭和五十年には二・〇を割り込み、平成五年には一・五〇にまで低下しています。ことしの厚生白書も、「末来をひらく子どもたちのために」というサブタイトルを掲げ子育てについて特集するなど、少子化の傾向が高齢化と相まって大きな社会問題となっていることは申し上げるまでもないことであります。少子化に伴う人口の減少は、さまざまの面で大きな影響が危惧されています。厚生白書では、社会性やたくましさに欠けた子供の増加や社会の活力の低下など社会的な面での影響に加え、経済・財政的な面においても、税金や社会保障費などの現役世代の負担の増加や経済成長の制約などの多くの影響を指摘しております。このように人口の減少は、社会的に大きなマイナスの影響を及ぼすことから、できればバランスのとれた人口構成が望ましいことは言うまでもありませんが、一人一人の考えや行動を尊重する自由な我が国社会においては、子供を生む、生まないは、個人や夫婦の考えに基づかなければならないことはだれしも否定できないことであり、決して行政が関与すべき性格の問題ではないと思います。しかしながら、一昨年、公明党が「少子化時代の児童家庭政策」と題した政策提言の中で言っているように、子供を生み育てることは家庭の中で完結するものではなく、社会全体の支援が求められることも国民の声としては大きなものがあり、出産や子育てをためらう社会的要因があれば、それを改善し取り除いていくことは、行政そして社会全体の大きな責務である、このように思います。私たちは、こうした考え方に立脚して、さきの知事選挙の際に平井知事と締結した政策協定では、子供を安心して生み育てられる環境の整備を基本政策の一つとさせていただきました。国のレベルにおいても、高齢者対策のゴールドプランに対比して子育てを社会的に支援していくエンゼルプランの策定の必要性が指摘されておりますし、また、本年度は国連の定めた国際家族年でもあることから、児童家庭施策がかなりの充実を見ております。県においても、本年二月に出された活力ある香川の実現に向けての提言の中で、健やかに生み育てる環境づくりについての幅広い観点からの分析がなされ、今後とるべき対策として保育ニーズの多様化、高度化への対応や出産、子育てについての相談・支援体制の充実を初め数々の施策が提言されておりますが、この基本的な方向については私としても異論のないところであります。平成七年度の当初予算の中では、提言を踏まえての具体的な施策が盛り込まれるとともに、来年度に策定される香川県二十一世紀長期構想の後期事業計画の中でも、高齢者の対策の一層の充実を図ることはもとより、現時点では高齢者対策に比べ立ちおくれていると言わざるを得ない少子化対策、児童福祉対策が県政の重要課題の一つとして位置づけられ、幅広い施策が展開されるものと期待をしているところであります。折しも、来年度にはさぬきこどもの国がオープンし、児童福祉分野でのハード面の整備は格段に向上します。これを契機として時期を失することなく少子化対策、児童福祉対策に最大限の力を注いでいかなくてはならない大きな節目のときであります。厚生白書も指摘しておりますが、子育ての支援策は、福祉はもとより、労働、住宅、教育などあらゆる分野に踏み込まなければならず、そのため当然県の行政組織においても複数の部局にまたがるわけでありますし、それに何よりも地域全体、社会全体で支えていくシステムづくりという大きな目標であることから、講じた施策の成果が目に見えるものとなるまでには長い年月を要します。知事の並み並みならぬ御熱意が不可欠であります。今後、少子化対策、児童対策に取り組むに当たっての知事の基本認識と御決意についてお尋ねしたいと存じます。  質問の第三点は、マルチメディア時代に向けた地域情報化への取り組みについてお伺いをいたします。  ことしの初めごろからマルチメディアという言葉がマスコミにあふれ、全国的に脚光を浴びつつありますが、マルチメディア時代を間近に迎え、地域の活性化や産業の振興を図っていくためには、マルチメディアを活用した地域の情報化を図っていく必要があります。先般、県としてのマルチメディア時代に対応するための基本的方向を示した香川県マルチメディア振興指針を策定したところでありますが、それを受けて県域全体に順次推進していくことが必要であると考えます。ところで、県は昨年度から高松港頭地区における地域情報通信拠点整備に向けての調査研究、いわゆる高度情報センターの整備について検討を行ってきております。これにつきましては、本年三月、中間報告という形で、その備えるべき機能として、情報受発信機能、都市情報基盤機能、人材養成機能、交流機能を提示し、本年度もその機能の具体化に向けての調査研究を行ってきているようでありますが、その検討に当たりましても、マルチメディア振興指針に示された方向性を受けての情報受発信機能、人材養成機能等を備えたマルチメディア拠点施設としての整備に向けて検討を加えているものと理解をしております。しかしながら、高松港頭地区における地域情報拠点整備につきましては、聞くところによりますと平成十二年度以降ということでありますから、そこにおける高度情報センターの整備にあわせた情報受発信機能、人材養成機能の整備では、どう考えても遅過ぎるのではないかと思います。例えば、昨年十二月議会でもお尋ねいたしましたように、地域のパソコン通信ネットワークや学術情報ネットワークといった地域ネットワークの整備につきましても、また、これからどうしても必要とされます映像関連分野の振興や人材養成機能の整備につきましても、今からすぐにでも取り組む必要がある喫緊の課題であると考えます。今後とも、四国における中枢機能を維持・強化していくためには、情報受発信機能や人材養成機能を県全体で集積していく必要があり、また、来るべきマルチメディア時代に的確に対応していくためにも早急な取り組みが必要と考えますが、知事の御所見をお伺いして、質問を終わります。(拍手、降壇) ◯副議長(組橋啓輔君)理事者の答弁を求めます。  知事。    (知事平井城一君登壇) ◯知事(平井城一君)大須賀議員の御質問にお答え申し上げます。  まず、海水淡水化事業の導入についてのお尋ねのうち、水資源対策推進本部での検討状況等についてであります。  海水淡水化は、降雨の絶対量が極めて少なく、水資源の乏しい本県にとりまして、天候に左右されることなく水を安定的に確保することができるため、将来の有望な水資源確保の一手法として期待されているところでありますが、建設コスト、運転コスト等が相当高いことなどの問題もあります。このため、本県におきます海水淡水化プラントの導入の可能性について検討いたしますため、水資源対策推進本部に海水淡水化部会を設置いたしまして、現在、海水淡水化事業調査に鋭意取り組んでいるところであります。この調査におきましては、海水淡水化事業を導入する場合の対象地域、給水方法、海水淡水化方式、施設規模、立地候補地など具体的なケースを想定し、おのおののケースについて経済性や環境への影響、水質の適性などを検討いたしますとともに、今後解決しなければならない課題を見きわめることといたしております。  次に、海水淡水化部会での検討状況についてでありますが、本部会には、調査、研究を行う作業部会を置きまして、海水淡水化事業を導入する場合の問題点についての検討や施設規模など、ケースの想定に必要な調査、検討項目の整理と調査に必要な関係資料の収集などを行っているところでありまして、今後は海水淡水化導入計画のケース想定について検討を行うことといたしております。  次に、海水淡水化事業導入に当たっての留意事項についてであります。  海水淡水化事業の調査、研究に当たりましては、国や地方公共団体の取り組みなど海水の淡水化を取り巻く新たな動きや造水コスト、水質面の問題も含め、総合的な水資源対策の一環として幅広い視点から調査、検討を進めてまいりますとともに、県議会を初め県民の皆様に調査、検討の内容を明らかにした上で、その事業化について判断いたしたいと考えております。  御提言のありました海水からリチウムなどの高価な金属を回収する技術につきましては、四国工業技術研究所などの研究機関で積極的に研究が進められているところでありまして、その実用化の可能性について関係研究機関に照会するなど研究してまいりたいと考えております。また、海水淡水化プラントから放出される濃縮水の製塩への再利用につきましては、濃縮水の処理も不要となり、造水コストの低減が図られますので、その可能性について研究いたしたいと考えております。さらに、エネルギーの有効利用を図ります観点から、廃棄物焼却発電など他用途の余熱利用による造水コストの低減なども考えられますので、大須賀議員御指摘の趣旨を踏まえまして、幅広い観点から十分調査、研究を進めてまいりたいと考えております。  次は、少子化対策についてのお尋ねであります。  出生率の低下は、社会の急速な高齢化や労働力人口の減少をもたらしまして、社会の活力の低下など今後の社会経済全般に大きな影響を及ぼすことが懸念されているところであります。  大須賀議員御指摘のように、子育ては、個人の生き方や価値観に深くかかわる事柄でありますが、社会全体といたしましても、次の時代を担う人づくりとしての子育てを支援する必要があります。このため、県におきましては、これまで多様な保育サービスの提供、放課後児童対策等の健全育成や母子保健対策の充実、育児休業制度の普及促進、公営住宅の整備充実を初めとする福祉、保健医療、雇用、住宅など広範多岐にわたる施策を積極的に推進してまいったところであります。また、さぬきこどもの国の管理運営財団におきましても、児童の健全育成とあわせて少子化対策に取り組みますとともに、さらに、こども未来財団におきます助成制度の活用を促進しますなど、子育て支援を推進してまいりたいと考えております。もとより、少子化は我が国全体の問題であり、その抜本的な対策は、国の総合的な施策の展開を待たなければならない面もあるわけでありますが、本県にとりましても少子化対策は県勢の発展と県民福祉の向上を図る上での重要な課題であると認識いたしております。今後とも、国の子育て支援総合計画の策定状況等も見きわめながら、また、本年二月の健やかに子供を生み育てる環境づくりに関する懇談会の提言の趣旨をも踏まえまして、子供を安心して生み育てられる環境の整備を図り、活力ある香川の実現に向けまして積極的に取り組んでまいる決意であります。  最後に、マルチメディア時代に向けた地域情報化についてのお尋ねであります。  地域の活性化や産業の振興を図り、本県の有する四国の中枢都市機能を維持強化してまいりますためには、県下全域にわたるバランスのとれた情報化の推進や情報受発信機能の拡充、それを担う人材を養成することが重要であります。こういった観点から、県といたしましては、マルチメディアを活用して地域の情報化を推進し、県民生活の向上を図ってまいりますため、今後の基本的方向性を示しましたマルチメディア振興指針を策定したところであります。この振興指針におきましても、今後のマルチメディア時代に的確に対応してまいりますために、地域情報化の基盤となります情報ネットワークや映像関連分野の人材養成等を産・学・官が一体となって段階的に進めていくことといたしております。したがいまして、県といたしましては、現在、調査研究を行っております高松港頭地区におきます地域情報通信拠点整備を推進する上でも、情報受発信機能や人材養成機能について充実、強化を図ることが必要でありますことから、御指摘の地域のパソコン通信ネットワーク、学術情報ネットワークといった地域ネットワークの構築や映像関連分野の振興、人材養成機関の整備について産・学・官の役割分担のもとに互いに連携を図りながら、鋭意取り組んでまいりたいと存じます。(降壇) ◯副議長(組橋啓輔君)一般質問を続行いたします。  井上 士君。    (井上 士君登壇、拍手) ◯井上 士君 まず、知事の政治姿勢関連で伺います。  前川知事時代から、私は、知事の政治姿勢との関連で、平和や民主主義問題を欠かすことなく取り上げてまいりました。平井知事にバトンが渡されてからも同様であります。人間の幸せは、平和とこそ共存できるのですが、戦争とは共存できないことは言うまでもないからであります。もちろん、私たちが目指す福祉県政の発展もまた、平和の中でこそ可能であります。あの戦争中、福祉施策と呼べる施策がほとんど皆無であったばかりでなく、福祉という言葉さえ影を潜めていたことを私は、この議場から繰り返し指摘してまいりました。  ところで、改憲論議が過去のどの時期よりも大きくなっています。一般的な意味では、改憲論議を私は否定するものではありません。しかし、今日、かまびすしい改憲の合唱は、その焦点を第九条に当てていることは論をまちません。まさに憲法が危ない、平和、民主主義、人権、福祉が危ないと言わなくてはならない今日の情勢であります。改憲機運のルーツは一九五一年にさかのぼります。御存じのように、この年、サンフランシスコで講和条約が調印をされました。そして同時に、日米安全保障条約、軍事同盟が結ばれたわけであります。講和条約調印を目的に渡米した全権団は、もちろん講和条約に署名しましたが、同時に求められた安保条約に驚き、かつ署名を渋りました。サンフランシスコの下士官集会所で安保条約に署名したのは、首席全権吉田 茂首相だけでありました。安保条約調印に至る事情が、安保条約そのものの性格を示しているように思います。自衛隊が存在していなかった当時、締結された安保条約が日本全土基地方式をとり、米軍に基地を提供するという片務条約に出発をしています。今日なお百五十余の基地を米軍に与えているのですが、日本のような国は世界で例を見ないわけであります。一九六〇年に改定された新安保条約では、基地の提供に加えて自衛隊が米軍と共同作戦をすることなどが義務づけられています。  ところで、超低空飛行を繰り返していた米軍機が早明浦ダム上流に墜落しました。十月十四日夕刻のことであります。住民の不安と怒りを背景に高知県知事は、即時中止を村山首相に申し入れました。岡山、兵庫、鳥取などの各県が一斉に中止を要求、徳島県議会は全会一致で中止要求意見書を採択しました。墜落機は、在日米軍の発表によりますと、横須賀基地を母港とする空母インディペンデンス、この艦載機イントルーダー攻撃機、厚木基地から岩国基地に向かう訓練中に発生したと報道されています。三沢基地を持つ青森県やその周辺県、沖繩などでは、繰り返される米軍の横暴に対して、一再ならず抗議決議や意見書が採択されています。米軍の傍若無人な横暴が、米軍基地と安保に由来していることは言うまでもありません。こんなことをなくするためにも、安保をなくして憲法を守る道を進むのか、それとも憲法を改定して安保体制強化の道を進むのか、いずれの道をとるのか避けられない課題とされてまいりました。そして今日、改憲勢力の改憲策謀と改憲のための世論操作と相まって、改憲機運はますます強まっている感があります。アメリカ側からする、安保条約義務を果たせという要求の一層の強まりがあります。先日発足した新進党の小沢一郎幹事長ほど露骨ではないにしても、みずから進んでアメリカに迎合、自衛隊の地球的規模での海外派兵を公言する事態にまでなっています。  現行憲法は、十五年戦争から導き出した教訓をもとに、再び政府の行為によって戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、国民主権を宣言したものであります。実際、二分の一世紀、五十年間にわたり日本の意図で戦争を起こしたり、戦死者を出さずにこられたのも、また、廃墟から立ち上がり、今日の目覚ましい興隆発展を見たのも、平和憲法とりわけ憲法第九条に負うところが大と言わなくてはなりません。ストックホルムで七日に行った大江健三郎さんのノーベル賞受賞記念講演で、厳しく改憲策動批判、戦後憲法の核心は不戦の誓い、その不戦の誓いが日本人のモラルの基本と訴えているのですが、私は傾聴に値すると思うわけであります。私はその憲法が今危ない、民主主義、人権、福祉が危ない、繰り返し強調したいと思います。  そこで、知事にお伺いいたします。  知事は、これまで本会議場で、「憲法は国の基本法でありまして、すべての国民がこれを尊重していくことが大切であります。私としては、憲法の理念に沿い、県政の運営に取り組んでまいりたい」とお答えになっておられます。改憲機運の高まりを知事は、どのようにごらんになっているのか、まず伺いたいと思います。  さらに、伺いたいと存じます。  来年は終戦五十周年、原爆被爆五十周年でもあります。五月、八月を中心に、以下諸行事を節目の年らしく大々的に展開していただくことは、格別大きな意義があるように思います。一つには、戦争と平和展の開催。二つ目には、原爆資料展の開催。三つ目には、戦没者慰霊式典を憲法の精神に照らし、五十周年にふさわしいものにすること。四つ目には、憲法記念日式典や憲法講演会の開催。そして五つ目には、原爆被害者の会が主催する式典や諸行事への助成。六つ目には、非核宣言県にふさわしい周知、啓発活動の充実、いかがでしょうか。  さらに、中央政情との関連で伺います。  中央政界は揺れ動き、離合集散を繰り返しています。その激動は、予断を許さないありさまであります。そして、特徴的なことは、公約などがほご同然になっているということであります。元来、政党の公約は、その政党にとって命であるべきはずであるし、国民に対する神聖な約束であります。公約を投げ捨てることは、その政党にとって自殺行為であり、議会制民主主義の否定そのものであります。米の輸入自由化、消費税率の引き上げ、すべての政党が反対していたのではないのか。非武装中立、護憲を旗印にした社会党は、自衛隊合憲、安保堅持に変身をしました。党是を投げ捨てたわけであります。小選挙区制を初めとする悪法に手をかしたわけであります。まさに私は、国民の存在を忘れたと言われても、言いわけができないのではないかと思います。  先日、ある会合で、この議場におられる先輩格の議員が私に言いました。うたかたのように生まれては消え、消えては生まれる中央政界の現状を見て、その無節操さは慨嘆にたえないと言っていました。「政党らしい政党は、日本共産党だけだなあ」と嘆いておられたのですが、あながち私はお世辞ではないように思います。今日、国会は、悪法製造のマスプロ工場の観を呈しています。自治体首長としての知事は、このような中央政界の現状をごらんになって、さぞかし考えるところがおありになると思うのですが、いかがでしょうか、お伺いする次第であります。  次に、ガット・ウルグアイ・ラウンドの批准と米の輸入自由化問題で伺います。  たび重なる国会決議や自治体の意見書、日本の米と農業を守れという国民の声をしり目に、ガット合意協定と関連法案を強行しました。食糧管理法がつぶれ、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律、いわゆる新食糧法が登場したわけであります。やろうとしていることの第一は、生産調整であることを新法第二条は示しています。生産調整、減反をまず第一にやって、米の輸入をやろうというわけであります。輸入を大前提にした上で、国内では生産調整、これが新法のねらいです。備蓄の円滑な運営を図るためという政府米の買い入れは、生産調整実施者からのみ買い入れるとも明文化しています。政府資料によっても、ドイツ、イギリス、スイス、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドなどは食糧安保の観点を堅持し、食糧の自給率向上を図っています。自給率が二九%に落ち込んでいる日本が自由化を受け入れる、何をかいわんやであります。ガット・ウルグアイ・ラウンドの受け入れが日本の農業つぶしの決定打になることを私はおそれます。ちなみに、政府統計によりますと、平成四年度の香川の農家所得は七百三十三万円、そのうち農業所得は九十二万円にすぎません。農家といっても、農業所得の割合はわずか一二・六%です。米の輸入自由化は、農業所得とその割合を一層悪化させることは明らかだと私は思います。もちろん、日本農業全体にとって大打撃ですが、香川の場合、絶対的な耕地面積の狭隘さとともに、一戸当たりの農家の耕地面積も大阪、東京、山梨、兵庫とともに最下位クラス、勢い圃場整備にもおのずから限界があるだけに、香川県農業に対する打撃は極めて大きいものがあります。私は、農本主義の立場をとるものではありません。しかし、香川の将来、その活性化のためには香川の農業は、何といっても基幹産業の一つであることは間違いないと思います。自由化受け入れに対する知事の御所見と県の今後の対策、香川県農業のビジョンを具体的にお示しをいただきたいと存じます。  次は、地場産業、中でも手袋産業対策についてであります。  これまで地場産業問題、とりわけ手袋問題を繰り返し取り上げてまいりました。中国を中心とした海外進出、逆輸入は下請業者にとっては、文字どおり死活の問題となっています。かつて全国シェアの九割を占めていた県内の生産は急激に落ち込み、主生産地の大川郡東部三町からミシンの音が消えようとしていることについては、前にも触れたとおりであります。  先日、日本手袋工業会の役員の方から伺ったのですが、上海周辺だけを例にとっても、手袋産業労働者は七千から八千、他地域が四千と見ても優に一万人を上回っているようであります。まさに一万人を超す若い労働力が生み出す海外製品の逆輸入が、下請企業を押しつぶそうとしています。決定的な犠牲が下請零細業者に強いられていることは、疑う余地はありません。手袋工業会が、会員の話し合いで逆輸入を自主規制できるほど自律能力を持ち合わせているとも思えないわけであります。下請零細業者のこれまでの経営努力は当然のことですが、町財政や県財政にも歴史的に貢献してきたことも間違いないところであります。一昨年、施行された集積活性化法に基づき、県が通産省に申請していた集積活性化計画が昨年、承認され、税制融資面での優遇措置に道が開かれました。一定の県の助成が行われてきたことも承知していますが、それとても工業会組合員、とりわけ大手企業を潤したに過ぎず、下請零細業者にとっては、恩恵は、スズメの涙ほども及んでいないわけであります。手袋産業を主産地に持つ県は、香川県だけであります。他のどの県の知事にも頼れない、頼りにできるのは香川県の知事だけであります。伺えば先月二十一日、通産省が、多国籍間繊維取り決めに基づく緊急輸入制限措置に乗り出したようであります。規制は純粋な輸入品だけでなく、逆輸入品に対しても一律に及ぶようであります。  そこで、伺います。  この措置は、手袋産業にも適用されるのでしょうか。私は、手袋工業会の自主規制を第一に望みたいのですが、さきに触れたように海外進出業者はてんでばらばら、現実に自主規制は困難視されています。自主規制に向け、県の手袋工業会に対する強い行政指導を望みたいと思います。同時に、他県にない香川の地場産業だけに、緊急輸入制限措置を手袋産業に全面的に適用するように、通産者に働きかけていただきたいと思います。そのための知事の格別の奮闘と、死活の局面にある下請零細企業に対する税金、融資などの各般の助成措置を心から求めたいと存じますが、知事の御所見を伺いたいと存じます。  以下、それぞれ簡潔に伺います。  高齢者福祉関係から伺ってまいります。  十月一日現在、県内の老人人口の構成比は、またまた進み、一七・六%となったようであります。塩江、綾上、引田、琴南などでは三〇%に近づき、比較的低い市部でも坂出などは一九%に達しています。  そこで、第一に、私は介護手当について伺います。  過ぐる十月十三日に、県内五市で構成する香川県市議会議長会名で、決議文が送られてまいりました。そのうちの一つに、在宅寝たきり老人等の介護手当支給制度の新設要望があります。五市の人口は五十五万、香川県の総人口の過半数を擁する県市議会議長会の決議は、私は重いと思います。市に比べ、著しく老齢化の進んでいる郡部の皆さんの新制度創設への要望は一層切実なものだけに、介護手当創設に踏み切っていただきたいと思います。高齢化が著しい本県です。介護保険構想は将来のこと、来年まで待てない方々、今、苦しみあえいでおられる介護者の皆さんを元気づけてあげていただきたいと思います。高齢者福祉にどれだけ力を入れているのか、私はバロメーターでもあると考えています。  次は、特別養護老人ホーム、これも県立の養護ホームをつくっていただきたいという点であります。  ホームの入所待機者は、十一月現在で非常に急増してきて、今三百五十五名に達している大変な状況であります。特養ホームのお手本、県立特別養護老人ホームを高齢化先進県香川でもつくってください。その一番いい時期にきておると思います。県立特養ホームの建設は、画龍点睛的な意味があるとも思います。  次に、ふじみ園の増設要望にもどうかこたえていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  さらに、文教厚生常任委員会でも強調したのですが、心身障害者小規模通所作業所や精神障害者共同作業所への助成の充実と設置の促進についても、一層の御努力をお願いいたしたいと思います。  続いて、土木部関係で伺います。  その最初は、道路関連です。  第一は、高松長尾大内線バイパスについては、高松と大川郡を結ぶ主要幹線道路であるだけに重点的・精力的に取り組んでいただき、この点については敬意を表したいと思います。残されていた大内町部分について十一月中旬、大方の路線が示され、その後十一月二十八日には周知会も開かれ、地元町当局はもちろん、住民の皆さんも一日も早い完成を願っているところでありますが、関係する皆さんの最大の関心は、大内町部分の完成時期であります。およそいつごろ供用開始の運びになるのか、お示しをいただきたいと思います。  二つ目には、大内町町田付近でバイパスと高速道路が交わるのですけれども、高速道路の側道は、東三町の立地に照らして、町道ではなくて県道がふさわしいと思うのですけれども、いかがでしょうか。  次に、緊急整備を目指している県道高松志度線の完成見込みについても、お示しをいただきたいと思います。    (「おれの分野だよ」と発言する者あり)  一番最初に、これは僕が言い出したから聞いているんです。  次に、未供用県道について伺います。  石井引田線、田面富田西線、大野原川之江線など、県道に認定されてから数十年を経過しているのに、いまだに通行不能部分を残しておる県道が八本あると聞いています。それなりに理由はあったようですが、常識では理解できないことであります。生活道路としての期待は大きいわけでありますから、可能な限り早期の完成を求めたいのですが、それぞれの路線ごとの供用開始のめどをお示しいただきたいと存じます。  最後は、入札問題、談合疑惑についてであります。  十二月一日、十二月議会が開かれたその日、五洋建設が起こした不祥事を理由に同社との工事契約の締結案件が取り下げられました。その日の夜半であります。日本共産党香川県委員会に談合情報が寄せられました。その一つは、取り下げられた翌日、十二月二日に業者が呼ばれ、入札が行われること。そして二つ目は、そのための談合が十二月一日午後三時ごろ行われたこと。そして三つ目は、談合で、落札業者は、東洋建設と決まったことが主な内容でありました。絶えることのない談合に、それこそへどが出る思いでしたが、それでもきょう取り下げられた議案、その日のうちに談合が行われるとは、よもやあるまいと私は思いました。ましてや、二十億を超す工事契約、制限つき一般競争入札をやり直すのが本筋と考えていた私は、情報自身、半信半疑でしたが、事は重大であります。十二月二日、情報どおり入札が行われるのかどうか、情報にある東洋建設という業者が実在しているのかどうか、事実とすれば情報に一定の信憑性があると考え、翌朝登庁、総務部長にただしたわけであります。総務部長から、それなりの釈明はあったのですが、さきの二点はいずれも事実でありました。そこで、改めて慎重な調査と入札の延期を申し入れたところであります。折しも、坂出土木事務所管内の談合事件も発覚、談合体質の根深さを思い知らされたわけであります。新聞報道によりますと、五日、入札審査委員会で五業者に対して行われた事情聴取の結果が発表され、どの業者も通報されたような事実はないとして、随意契約手続を進めるという結論に達したようであります。そもそも、二十億を上回る工事請負契約を、見積書を出させただけで随意契約で済ませようという感覚が、私は理解ができません。県のそういうやり方こそ、県民に疑惑をもたせることになるのではありませんか。わずか一年前、三頭トンネル工事契約を鹿島が辞退した後、入札をやり直しました。一部設計を手直ししたとはいえ、二億円余の節約になりました。厳しい財政状況下、なぜ改めて制限つき一般競争入札をやらなかったのでしょう。  ともあれ、結果は、事前に情報のあった業者が落札をしたわけであります。偶然の一致というには、できすぎているように私は思います。石橋でもたたいて渡る、手がたいと言われる知事の御所見を、ここで伺うものであります。  以上で私の質問を終わります。丁寧な御答弁を心から期待をいたしまして、終わらせていただきます。(拍手、降壇) ◯副議長(組橋啓輔君)理事者の答弁を求めます。  知事。    (知事平井城一君登壇) ◯知事(平井城一君) 井上議員の御質問にお答え申し上げます。  まず、最近の憲法改正論議についてのお尋ねであります。  日本国憲法は、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重を原理といたしまして、戦後の民主政治に深く根をおろし、広く国民の生活と意識の中に定着してまいっております。このような状況の中におきまして、憲法をめぐってさまざまな立場からの御意見があろうかと思いますが、私といたしましては、これまでもしばしば申し上げてまいりましたように、憲法は国の基本法であり、すべての国民がこれを尊重していくことが大切であると考えておりまして、憲法の理念に沿いまして、県政の運営に取り組んでいるところであります。  次に、終戦五十周年に向けた取り組みについてであります。  本県におきましては、恒久平和の願いのもとに、毎年、戦没者追悼式及び沖繩県の讃岐の奉公塔におきます追悼式をとり行ってきたところでありまして、明年度が戦後五十周年という節目の年に当たることを念頭に置きながら、これらの事業の進め方等について検討を加えてまいりたいと考えております。また、被爆五十周年に向けての事業といたしましては、香川県原爆被害者の会が平成六年から七年にかけて被爆体験談の出版事業などの祈念事業を行っていると伺っておりますが、県といたしましては、国の助成制度に沿いまして事業内容を十分に検討の上、助成してまいりたいと考えております。また、県民への平和アピールにつきましては、全世帯配布の広報誌や広報塔などによりまして、県議会におきます非核三原則を守る宣言の趣旨の啓発を通じまして、県民一人一人の平和への自覚が高まりますよう、今後とも努めてまいりたいと存じます。  次に、最近の政治状況についてであります。
     国政の場におきましては、現在さまざまな政治課題をめぐり議論が行われているところでありまして、これらについて議会制民主主義の原則に従って、国民各界各層の合意が形成されていくことを期待しているところでありますが、県政の推進に当たりましては、その動向を踏まえながら常に不偏不党、広く県民本位の立場に立ちまして、県議会との緊密な連携のもと、公正で清潔な県政を進めますとともに、ひたすら郷土香川の発展と県民全体の幸せのために全力を挙げて取り組んでまいりたいと存じます。  次は、米の輸入自由化についてのお尋ねであります。  まず、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意につきましては、先般、国会におきまして世界貿易機関の設立協定が承認されますとともに、これとあわせて関係法律が成立したところでありまして、今後におきましては、二十一世紀に向けた力強い農業構造を早期に実現することが我が国農業の発展を図ってまいります上で何よりも肝要であります。  本県農業・農村の振興につきましては、現在二十一世紀をめざした香川県農業計画に基づきまして、各種農業施策の総合的な推進に努めているところであります。また、本計画策定後の農業・農村をめぐる諸情勢の変化に的確に対応するため、二十一世紀初頭を展望しました農業・農村の振興方向と、その目標などを示します本県農政の新たな指針といたしまして、次期農業計画の策定作業を鋭意進めているところであります。この計画の策定に当たりましては、本県の持つ恵まれた自然条件や農業特性を生かしながら、効率的かつ安定的な農業経営ができ、他産業に比べて遜色のない魅力とやりがいのある農業の確立を図りますとともに、潤いや安らぎのある活力に満ちたむらづくりの推進に努めまして、本県農業・農村の一層の振興を図ってまいりたいと考えております。  次は、手袋産業に対する支援についてのお尋ねであります。  井上議員御指摘の繊維製品に係る緊急輸入制限措置につきましては、先般、通商産業省がその運用手続等を公表したところであります。この措置の対象となる品目につきましては、最終的には通商産業省において判断されることとなっておりますが、繊維製の手袋はこれに含まれると理解いたしております。また、この措置の発動要請は、輸入増加の現状や構造改善の見通し等を勘案し、関係業界が通産省に対し行うこととされておりまして、要請を行うか否かは基本的には業界みずからの判断にゆだねられているものと考えております。このため、手袋に対する輸入制限措置の適用あるいは自主規制につきましては、県といたしましては、当面は関係業界の意向を含め、各方面の動向を注意深く見守ることといたしたいと考えております。いずれにいたしましても、手袋産業は、本県におきます代表的地場産業でありまして、本措置の適用のいかんにかかわらず、長期的視点に立った構造改善が重要であります。このため、これまでも新規の分野への進出支援を初め、新商品・新技術の開発、販路開拓、さらには融資制度の拡充・強化や下請取引のあっせん等、下請企業を含む手袋業界全体に対し、きめ細かな施策を講じてまいったところでありますが、今後ともこれらの施策を着実に実施してまいりたいと考えております。  次は、高齢者福祉等についてのお尋ねであります。  まず、介護手当制度の創設についてであります。  介護手当につきましては、これまでにもたびたびお答え申し上げておりますとおり、基本的な問題があります。また、国におきましては、現在、高齢者介護施策について、社会保障制度全般にわたり総合的な検討を進めているところでありまして、県といたしましても、この動向を見守りながら引き続き検討してまいりたいと考えております。県といたしましては、在宅介護者の負担の軽減を図ってまいりますため、ホームヘルプサービス事業等の在宅福祉三本柱を中心として、従来から実施しております在宅介護者のつどい事業、高齢者通所ホーム運営事業、老人デイサービス送迎支援事業、痴呆性老人ショートステイ支援事業、ショートステイ等送迎支援事業、離島在宅福祉保健支援事業を初め各種の県単独施策の充実を図ってまいっているところであります。いずれにいたしましても、香川県老人保健福祉計画の着実な達成に努めますとともに、県単独の各種の支援措置の活用などによりまして、在宅介護者の負担の一層の軽減を図ってまいりたいと考えております。  次に、県立特別養護老人ホームの設置についてであります。  特別養護老人ホームにつきましては、県老人保健福祉計画に沿いまして、計画的に整備を進めているところであります。現在、県下の社会福祉法人により運営されております特別養護老人ホームにつきましては、入所者に対する処遇はもとより、在宅福祉の拠点として、地域住民の大きな信頼を得た適正な運営がなされているところであります。また、民間におきます特別養護老人ホームの整備に対する意欲も極めて旺盛であります。このような状況のもと、県といたしましては、民間の高齢者福祉に対する理解と活力を活用するなどによりまして、特別養護老人ホームの整備を進めてまいる考えでありまして、県立の特別養護老人ホームを整備する必要はないものと考えております。  次に、香川県ふじみ園の増設についてであります。  香川県ふじみ園は、昭和五十四年より、精神薄弱者更生施設、精神薄弱者授産施設としてその運営を行ってまいりましたが、昭和六十一年、精神薄弱者福祉ホームを定員十名で開設し、また、本年十月には、新たに定員十名のホームを増設いたしたところであります。さらに、来年一月からは、在宅の精神薄弱児・者の相談援助活動等を行います地域療育拠点施設事業を実施いたしますなど、地域福祉の充実にも努めているところであります。なお、香川県ふじみ園のあります中讃地区におきまして、別途、精神薄弱者更生施設の整備が検討されておりまして、県といたしましては、関係市町、関係法人と積極的に協議を行いまして、この整備が図られますよう努めてまいりたいと考えております。  次に、心身障害者小規模通所作業所等に対する助成等についてであります。  県といたしましては、これまでも心身障害者小規模通所作業所や精神障害者共同作業所に対する県単独の助成措置を設けますとともに、毎年その充実を図ってまいったところであります。今後とも、これらの助成制度を十分に活用しまして、心身障害者小規模通所作業所等の設置促進にさらに努めてまいりたいと考えております。  なお、道路整備及び高松港港湾環境整備事業廃棄物護岸建設工事契約につきましては、土木部長からお答え申し上げます。(降壇) ◯副議長(組橋啓輔君)土木部長。    (土木部長横内秀明君登壇) ◯土木部長(横内秀明君) 井上議員の御質問のうち、道路整備と高松港港湾環境整備事業廃棄物護岸建設工事契約につきまして、知事にかわりましてお答え申し上げます。  まず、道路整備についてのお尋ねのうち、県道高松長尾大内線バイパスの田面以東の延伸計画についてであります。  県道高松長尾大内線バイパスの大川町境から四国横断自動車道交差部付近までの約一・七キロメートルにつきましては、先般、事業計画につきまして地元説明会を実施し、測量立ち入りの御了解をいただいたところであります。今後は、路線測量や詳細設計を行いまして、地元関係者の御協力をいただきながら用地買収を進めるなど、その早期整備に努めてまいりたいと存じます。なお、四国横断自動車道との交差箇所につきましては、大内町中山地区付近を予定しており、今後、日本道路公団が行う設計作業との整合を図ってまいる考えであります。また、四国横断自動車道の側道につきましては、日本道路公団において機能回復を原則として設置されるものであり、今後、行われる設計協議の中で示されるものと存じます。  次に、県道高松志度線の整備についてであります。  県道高松志度線につきましては、東讃地域における現国道十一号の交通渋滞を緩和し、地域の活性化や利便性の向上を図る上で重要な路線でありますことから、用地買収の完了いたしました箇所から、順次、工事に着手するなど積極的にその整備に努めているところであります。今後とも、本路線の重要性にかんがみ、地元関係者の御協力をいただきながら、残りました用地の買収を進め、早期完成に努めてまいりたいと存じます。  次に、未供用の県道の供用見通しについてであります。  未供用区間を持つ県道といたしましては、県道田面富田西線を初め八路線でありまして、延長約二十キロメートルが通行不能となっております。これらの未供用部分の整備につきましては、緊急度、重要度を勘案しながら、現在、五路線においてトンネル工事や道路改良工事を実施中であり、このうち県道豊中仁尾線と大野原川之江線につきましては、平成八年度の供用開始を目途に整備を進めております。また、その他の路線につきましても、今後とも交通量や地域の開発状況等をも見きわめながら、通行不能区間の解消に向けて努力してまいりたいと存じます。  最後に、高松港港湾環境整備事業廃棄物護岸建設工事の契約についてであります。  本工事の随意契約手続に移行する過程におきまして、井上議員を介しまして談合に関する情報が寄せられましたことは、御指摘のとおりであります。この談合に関する情報は、通報者が匿名であり、談合に参加した者や場所等が不明であり、具体性、信憑性があるとは言いがたいものではありましたが、本工事が議会の議決案件であること等から、慎重を期して入札審査委員会に付議した上、特例的に関係業者から事情聴取を行ったところであります。その結果につきましては、入札審査委員会において十分吟味検討いたしましたところ、談合の事実は認められないと判断され、かつ、業者から誓約書も提出されておりましたので、さらに工事施行審議会の議を経まして、所定の手続を進めたものであります。なお、本工事におきましては、当初、一般競争入札によることとし、一定の資格要件を定め、入札参加意欲のある者を広く求めて競争入札を実施した経緯があり、この工事が大規模な海上における護岸工事という特殊性を考えますと、再度の一般競争入札を実施いたしましても、同じ業者の参加となる可能性が極めて高いこと等から、地方自治法及び香川県建設工事執行規則で定められている見積書提出による随意契約方式を採用し、適正かつ厳正な契約手続を行ったものであります。(降壇) ◯副議長(組橋啓輔君)理事者の答弁は終わりました。  本日の一般質問を終局いたします。     ───────────────────────── ◯副議長(組橋啓輔君)以上で本日の日程は、終了いたしました。  次会は、明十二月十四日午前十時本会議を開きます。なお、議事日程は、追って報告いたします。  本日は、これをもって散会いたします。                        午後二時五十五分散会 Copyright (c) Kagawa Prefectural Assembly Minutes, All rights reserved....