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  1. 徳島県議会 2016-09-01
    10月04日-02号


    取得元: 徳島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    平成28年 9月定例会   平成二十八年九月徳島県議会定例会会議録(第二号) 平成二十八年十月四日    午前十時五分開議      出席議員計三十六名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     山  西  国  朗 君     二  番     原  井     敬 君     三  番     島  田  正  人 君     四  番     眞  貝  浩  司 君     五  番     岩  佐  義  弘 君     六  番     高  井  美  穂 君     八  番     上  村  恭  子 君     九  番     須  見  一  仁 君     十  番     岡     佑  樹 君     十一 番     中  山  俊  雄 君     十二 番     元  木  章  生 君     十三 番     岸  本  泰  治 君     十四 番     井  川  龍  二 君     十五 番     南     恒  生 君     十六 番     長  池  文  武 君     十七 番     達  田  良  子 君     十八 番     山  田     豊 君     十九 番     岡  田  理  絵 君     二十 番     岩  丸  正  史 君     二十一番     木  下     功 君     二十二番     寺  井  正  邇 君     二十三番     喜  多  宏  思 君     二十四番     丸  若  祐  二 君     二十五番     木  南  征  美 君     二十六番     川  端  正  義 君     二十七番     黒  崎     章 君     二十八番     重  清  佳  之 君     二十九番     嘉  見  博  之 君     三十 番     来  代  正  文 君     三十一番     岡  本  富  治 君     三十二番     樫  本     孝 君     三十三番     西  沢  貴  朗 君     三十四番     杉  本  直  樹 君     三十五番     臼  木  春  夫 君     三十六番     庄  野  昌  彦 君     三十七番     長  尾  哲  見 君   ────────────────────────  出席職員職氏名     事務局長     東  端  久  和 君     次長       勢  井     研 君     議事課長     和  田  茂  久 君     政策調査課長   仁  木     幸 君     議事課副課長   阿  部  英  昭 君     政策調査課副課長 岡  田  和  彦 君     議事課課長補佐  松  永  照  城 君     議事課主査兼係長 谷  本  か ほ り 君     議事課係長    三  橋  昭  子 君     政策調査課係長  郡     公  美 君     議事課主任    廣  田  剛  志 君   ────────────────────────  列席者職氏名     知事       飯  泉  嘉  門 君     副知事      熊  谷  幸  三 君     副知事      海  野  修  司 君     政策監      後 藤 田     博 君     企業局長     黒  石  康  夫 君     病院事業管理者  香  川     征 君     危機管理部長   小  原  直  樹 君     政策創造部長   七  條  浩  一 君     経営戦略部長   大  田  泰  介 君     県民環境部長   田  尾  幹  司 君     保健福祉部長   吉  田  英 一 郎 君     商工労働観光部長 小  笠  恭  彦 君     農林水産部長   松  本  雅  夫 君     県土整備部長   原     一  郎 君     会計管理者    安  井  俊  之 君     病院局長     西  本     功 君     財政課長     岡  本  泰  輔 君     財政課副課長   田  上  賢  児 君   ────────────────────────     教育長      美  馬  持  仁 君   ────────────────────────     人事委員長    高  畑  富 士 子 君     人事委員会事務局長小 笠 原     章 君   ────────────────────────     公安委員長    森  山  節  子 君     警察本部長    鈴  木  信  弘 君   ────────────────────────     代表監査委員   稲  田  米  昭 君     監査事務局長   清  水  英  範 君   ────────────────────────  議 事 日 程   第二号 平成二十八年十月四日(火曜日)午前十時開議 第一 県政に対する一般質問         (五   名)   ──────────────────────── ○議長(嘉見博之君) これより本日の会議を開きます。   ──────────────────────── ○議長(嘉見博之君) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。 監査委員から、本年九月に実施した現金出納検査の結果について、議長宛て報告書が提出されておりますので、御報告いたしておきます。 諸般の報告は以上であります。   ──────────────────────── ○議長(嘉見博之君) これより本日の日程に入ります。 日程第一、「県政に対する一般質問」を行います。 通告がありますので、通告の順序に従い発言を許可いたします。 十九番・岡田理絵君。   (岡田議員登壇) ◆十九番(岡田理絵君) おはようございます。明政会の岡田理絵です。 ノーベル医学生理学賞大隅良典東京工業大学栄誉教授に授与されるという大変うれしい発表がありました。三年連続日本人受賞という、その記念すべきときに、明政会を代表して質問させていただきます。 きょうは、阿南市の横見小学校の六年生二十名の皆さんと先生方が県議会小学生社会見学ツアーでお越しいただいております。六年生の皆さんには難しく感じられるかもしれませんが、きょうを機会に、ぜひ政治にも関心を持っていただければと思います。 また、朝早くから傍聴にお越しくださいました地元の皆様、本当にありがとうございます。テレビの前で傍聴していただいている皆様、よろしくお願いいたします。 去る九月の十六号台風の被害に遭われました県民の皆様方に心からお見舞いを申し上げ、一日も早い復興、復旧をお祈りいたします。 また、今、猛烈な勢いの台風十八号が徳島にも接近してきております。皆様、早目早目の台風対策をお願いいたします。 それでは、県政の課題解決に向けた質問を行いますので、知事を初め理事者の皆様におかれましては、前向きな御答弁をお願いいたします。 それではまず、消費者庁等の移転についてお伺いいたします。 県議会としても、これまで国に対し、「消費者庁、消費者委員会及び国民生活センターの徳島移転の早期実現を求めるための意見書」を採択し、嘉見議長からは、担当大臣や官房長官等へ要望活動を行うなど、県議会と理事者側が連携し、強力な取り組みを進めてきたところであります。 その成果として、九月一日には、安倍総理を本部長とするまち・ひと・しごと創生本部から、消費者行政新未来創造オフィスを平成二十九年度に徳島県に開設すること、国民生活センターの研修や商品テストのプロジェクトも実施することなどの方針が決定されたところであります。我々の熱意が国のかたい殻を破り、新拠点の設置が実現したことは、大変うれしいことです。 その一方で、政府の方針では、三年後の見直し、検証が行われるということになっています。さきの実証実験を行った結果、交通アクセスの問題や国のテレビ会議システムの導入などに課題があることも指摘されております。 これらの課題は、徳島県だけでは解決できないこともあると思います。消費者庁の協力を得ることはもちろんですが、関係する省庁や関係機関にも前向きに取り組んでもらうための仕掛けづくりも必要ではないでしょうか。 また、この政府機関の地方移転の話は、東京一極集中の是正と地方創生の実現に向けたシンボル的な意味合いを持っています。国はもちろんのこと、地方創生の実現を目指す関西広域連合を初めとする都道府県、市町村、企業、大学などとも、課題解決に向け、緊密に連携すべきではないでしょうか。 十月一日に来県された自民党本部二階幹事長から、移転の意義を改めて痛感しており、お手伝いをさせていただきたいとの力強い発言をいただきました。徳島県としても、気持ちを新たにして、霞が関でできなかったことが徳島ではできるようになったと評価してもらえるよう、この与えられた三年という期間を前向きに捉え、全面移転に向けた課題を一つ一つ確実に解決していかなければなりません。 そこで、お伺いいたします。 消費者庁等の移転に係るまち・ひと・しごと創生本部の方針を県としてどのように評価し、今後三年間、どのような取り組みを進めていこうとしているのか、御所見をお伺いいたします。 次に、参議院議員選挙における合区問題についてお伺いします。 皆様御存じのとおり、去る七月十日には、憲政史上初の、二つの県を一つの選挙区とする合区選挙が実施されました。この選挙においては、我が徳島県と高知県、鳥取県と島根県、四つの県が二つの選挙区とされたものです。 昨年七月に、合区選挙を含む公職選挙法の改正が国会で可決されて以降、合区選挙に対するさまざまな問題点が指摘されておりましたが、実際に行われた今回の参議院選挙の投票率を見ますと、高知県が四五・五二%、我が県が四六・九八%と、全国のワースト一位、二位となり、それぞれの県の史上最低の投票率を記録しました。選挙期間中は、県民の方から、候補者と触れ合う機会が少なくなったとの声が多く聞かれましたが、投票率にあらわれたとおり、合区となった地域においては国政や選挙に対する期待や関心が希薄になるなど、合区の問題点が明らかとなりました。 また、参議院は、現行憲法公布後、一貫して都道府県単位の選挙区で議員を選出しており、都道府県ごとに集約された意見を国政に反映させる場となってきました。しかし、このたびの合区の導入によってそうした機会が失われることも、非常に問題であります。 住民の生活にかかわる行政は、都道府県を単位として行われており、各都道府県は、議会と首長が議論しながら一体となって進めているところであります。合区の導入は、こうした実態を無視するものであるだけでなく、国と地方が一体となって東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯どめをかける地方創生の取り組みを進めている中、その流れに逆行するものです。 来県された自民党本部二階幹事長が、党内に協議機関を設置し、合区解消に向け前向きに取り組んでいく考えを示したところです。公職選挙法の附則において、平成三十一年の参議院議員通常選挙までに抜本的な見直しをすることが明記されておりますが、周知期間を一年程度と考えれば、残り二年を切っており、早期に合区解消のための見直しを図る必要があります。 そこで、お伺いいたします。 飯泉知事においては、全国知事会において、合区の解消に向けたさまざまな活動に積極的に取り組まれておりますが、改めて合区解消についての御所見をお伺いいたします。 次に、住宅政策についてお伺いします。 最近の住宅を取り巻く環境に目を向けますと、さまざまな社会問題を反映した課題があります。例えば、高齢化社会を見据えた住宅環境の整備や、たび重なる大型地震の発生に備えての住宅耐震化促進、公営住宅の長寿命化の推進などです。 特に、昨今頻繁に取り上げられます空き家問題では、私の地元の鳴門市におきましても、利用予定のない空き家の割合は一一・六%となっており、老朽化し危険な空き家の除去や空き家の再利用など、住民のニーズが大きいにもかかわらず、空き家解消が進まない現状にあり、有効な施策が待たれていました。 そこで、昨年度から、県住宅供給公社に「とくしま回帰」住宅対策総合支援センターが開設され、全国のモデルとなる総合的な空き家対策を本格始動するなど、地方創生を見据えた空き家対策を展開しており、大いに期待しているところです。 また、本県では、老朽化や耐震性がない県営住宅十二団地を、PFI方式により三団地に集約化し、住宅に困窮する皆様に快適で安全な住環境の提供を行ったところであります。私も一昨年、完成直後の一団地の内覧会に参加させていただきました。車椅子の方や高齢者の方に配慮した住戸の配置や、津波避難ビルとしての機能もあわせ持つ建物に、感心いたしました。 集約化後の廃止となりました団地の跡地に関しましては、その一部が、さきの入札により、約十一億円で落札されたと聞いております。これは住宅事業から発生した収入であります。さまざまな課題がある住宅施策にとって好機と捉え、ぜひこの機会に戦略的かつ長期的な県民の住生活、住環境のあり方を示し、その実現に有効な活用をしていただきたいと思います。 そこで、お伺いいたします。 今後を見据えた本県の住宅施策のために、県営住宅集約化による売却収入をどのように活用していくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、児童自立支援施設である徳島学院についてお伺いします。 徳島学院の寮舎の耐震化、長寿命化に係る設計費について、補正予算案が提案されております。徳島学院に入所している児童は、学院内の木造寮舎で職員とともに生活しております。 九月に、会派で、熊本県の益城町、阿蘇大橋崩壊現場、熊本地震の活断層、熊本城などを視察してまいりました。活断層直下型地震によるたび重なる強い余震で、特に木造建築の倒壊が著しい状況で、自然災害の脅威を痛感いたしました。 このような状況からもわかるように、木造建築の耐震性の強化は極めて重要で、一刻も早く耐震補強工事まで完成してもらいたいと考えています。ただ、工事を実施するのであれば、現状施設の耐震補強や長寿命化というだけでなく、地域のニーズにも応えられる施設としての機能を加え、充実させていく必要があるのではないでしょうか。 平成元年に完成している現状の施設は、約三十年前の児童自立支援の考え方に基づいて建てられたものです。そのため、個室がないなど、育ちの中でさまざまな困難を抱えている児童に柔軟に対応し、児童の特性に配慮すべき施設としては、十分とは言えないと思います。 現在、国においては、社会的養護を必要とする児童の養育環境の質を向上させるため、児童養護施設等の小規模化や家庭的養護を推進するとして、ケアの小規模化などを進めております。そのような観点からも、県内唯一の児童自立支援施設である徳島学院の改修が必要であると考えます。 さらには、入所児童の状況や特性に十分配慮するとともに、地域に開かれ活用できる施設として機能を持たせることも検討する必要があるのではないでしょうか。徳島学院は、入所児童の自立を支援し、みずから希望を持って未来を切り開く大人に成長するために支援するという、極めて重要な役割を担っています。 そこで、お伺いいたします。 寮舎の改修については、耐震補強にあわせて、自立支援機能を強化させるとともに、地域のニーズにも応えられる施設にすべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。 続きまして、私の地元にあります鳴門病院についてお伺いします。 鳴門病院は、平成二十五年四月一日、本県初の地方独立行政法人として新たにスタートし、四年目を迎えます。今年度は、第一期の中期目標期間の最終年度となりました。 この期間、県北部を初め香川県東部や兵庫県淡路島地域の政策医療を担い、地域の中核的かつ急性期病院として重要な役割を果たしてまいりました。特に救急医療では、地域救急要請受け入れ率が九〇%を超えるなど、地域の消防機関等から高い評価を得ております。 さらに、地域の医療機関との連携を強化してきた結果、紹介率、逆紹介率ともに上昇し、患者数の増加につながるなど、地域住民から信頼される病院に向けた取り組みが評価されてきております。鳴門病院の職員の方々の日々の頑張りに、地域住民の一人として感謝申し上げます。 一方、こうした取り組みを着実に推進してはいるものの、平成二十七年度の決算は、法人化以降初めての赤字決算となりました。また、急速に進む人口減少、社会構造や疾病構造の変化など、医療を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。 さらに今、定例会においても、地域医療構想案が報告され、地域にふさわしい医療機能の分化、連携や、地域の医療提供体制の将来あるべき姿が示されるなど、本県の医療政策は大きな転換期を迎えております。 そこで、お伺いいたします。 鳴門病院が地域医療提供体制をさらに充実させるため、県はどのような観点で第二期中期目標を策定しようとしているのか、御所見をお伺いいたします。 御答弁をいただき、質問を続けてまいります。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 岡田議員の御質問に順次お答えをさせていただきます。 まず、消費者庁等の移転に係る国の方針の評価と今後の取り組みについて御質問をいただいております。 去る九月一日に、安倍総理を本部長とするまち・ひと・しごと創生本部で決定された国の方針におきまして、本県の先進的かつ熱心な取り組みや強い意欲を十分に評価していただき、移転の第一歩として、本県における消費者庁の新拠点、消費者行政新未来創造オフィス(仮称)の開設、国民生活センターの研修業務、商品テストのプロジェクトの実施がしっかりと明記されたことを、県議会の皆様方を初め県民の皆様方とともに歓迎いたしたいと考えております。 また、国の方針では、消費者行政の進化、また地方創生への貢献、人的資源とそのネットワーク化の構築、交通通信網や中央省庁間のテレビ会議システムの整備状況などを踏まえ、三年後に効果を検証し見直すとされているところであります。まさにこれからの三年間が、これらの課題に正面から向き合い、全面移転の実現につなげるための正念場となるところであります。 こうしたことから、まず徳島を実証フィールドとした新たなプロジェクトの実施によりまして、新次元の消費者行政、消費者教育を展開し、その効果を全国に波及、拡大できますよう、消費者庁をしっかりとサポートいたしたいと考えております。また、人的資源のネットワーク化を図りますためにも、県内はもとより、関西、中四国地域も含めました行政、企業、大学などで構成するとくしま消費者行政プラットフォームの創設に取り組んでまいりたいと考えております。 一方、交通通信網や省庁間のテレビ会議システムの整備につきましては、徳島だけで解決できない部分も多いことから、関係省庁や事業者が主体となって積極的に取り組んでいただきますように、政策提言や働きかけを行ってまいります。 言うまでもなく、消費者庁等の徳島移転は、東京一極集中を是正し地方への新たな人の流れを創出するという国のあり方そのものが問われる重要施策であります。そのため、国の本気度と地方の覚悟が試されるこれからの三年間、新次元の消費者行政が全国展開され、徳島への全面移転の実現につながりますよう、消費者庁はもとより、関係省庁や民間団体の皆様方とも力を合わせ、県議会の皆様方を初め県民の皆様とともに知恵を絞り、不退転の決意を持って全力で取り組んでまいる所存でありますので、ぜひ皆様方の御理解、御協力を賜りますよう、どうぞよろしくお願いを申し上げます。 次に、参議院議員選挙における合区の解消について御質問をいただいております。 参議院議員は、創設時から、地域代表的性格を有するとされ、これまで一貫して都道府県単位で代表を選出し、地方の声を国政に反映する役割を果たしてこられました。 本年七月の参議院選挙において、憲政史上初となる合区選挙が実施され、議員からもお話しのとおり、合区された県では選挙への関心が希薄となり、投票率の低下を招くとともに、みずからの県を代表する議員が選出されなくなるという新たな不平等が明らかとなったところであります。 このたびの合区は、平成三十一年までの抜本的な見直しが法律で規定された、いわば緊急避難的措置であり、早急な解消が求められるところであります。また、今後さらに合区が進み、人口のみで単純に区割りを決定することとなれば、地方の多様な声を届けることが困難となり、地方創生なかりせば日本創成はないとの流れにも反する、まさに日本全体の将来像にかかわる喫緊の課題であります。 全国知事会では、私が委員長を務める総合戦略・政権評価特別委員会のもと、有識者から成る憲法と地方自治研究会を、昨年の十月、設置し、合区問題を中心に議論を重ねてまいりました。本年三月には、この研究会において中間報告を取りまとめ、憲法の改正、公職選挙法の改正、そして憲法附属法とも言うべき国会法の改正という合区の解消のための三つの処方箋を、メリット、デメリットとあわせお示ししたところであります。 また、七月、福岡市で行われた全国知事会議におきましては、私からの提案をもとに、熱心に御議論をいただいたところであり、最終的には知事会全体の意思として、参議院選挙における合区解消に関する決議を採択いただいたところであります。去る八月二十三日には、この決議により、全国知事会を代表いたしまして、衆参両院議長さんに要請を行いますとともに、研究会の中間報告をお渡しし、合区解消への処方箋について提案させていただいたところであります。 今後につきましては、憲法と地方自治研究会において、十一月を目途に、合区解消の具体的な処方箋をよりわかりやすい条文の形でお示しいたしますとともに、国会を初めさまざまな場において合区解消に向けた国民的議論がなされますよう世論の喚起を図り、全国の議論をリードするとの強い気概を持ちまして、議員各位からの御理解、御協力を賜りながら、全国知事会などの活動を通じまして、合区解消に向け、しっかりと取り組んでまいります。 次に、今後を見据えた本県の住宅施策のため、県営住宅集約化による売却収入をどのように活用していくのか、御質問をいただいております。 住宅は、人生の大半を過ごす生活の基盤であり、また地域の生活環境を構成いたしますことから、安全や安心、快適の質をより高めていくことが重要である、このように認識いたしているところであります。 本県では、南海トラフ巨大地震中央構造線活断層帯を震源とする直下型地震など大規模災害を迎え撃ち、県民の皆様の命や暮らしを守るための事前防災・減災対策を最重要課題として、平成二十五年度から、新新耐震基準以前の住宅を耐震化の補助対象としてきたこと、六月補正予算におきまして、熊本地震を教訓とし、耐震シェルター設置支援制度を拡充したことなど、新しい課題に迅速に対応してきているところであります。 また、全国平均を上回る少子高齢化の進行に加え、平成二十五年現在、住宅総数の約一割を占める三万六千戸の利用予定のない空き家への対策が、地域活力の低下を初め、防災、防犯、環境などさまざまな面で抜本的に取り組むべき課題となっているところであります。 このため、住宅を取り巻く課題の解決に向けまして、まず将来に向けた住宅施策の羅針盤となる新たな第三次住生活基本計画を年度内に策定することといたしております。また、この計画策定にあわせまして、本年一月、設置した住宅対策総合支援センターにおいて、助かる命を助けるため、さらなる耐震化の加速に向けたサポートを初め、除却と利活用の両面から空き家対策や、本県ゆかりの高齢者の皆様方に健康で生きがいのある生活を徳島で送っていただく徳島型CCRCの促進などの施策について、総合的かつ強力に推進いたしてまいります。 さらに、こうした住宅施策における新しい課題や抜本的に取り組むべき課題を解決するためには、事業展開において、コストを意識しながら持続的かつ安定的な財源を確保することが不可欠でありますことから、議員から御提案の県営住宅集約化による売却益の活用については、まさに時宜を得たもの、このように考えるところであります。 このため、歳出の中から生み出された貴重な歳入であるこの売却益を、応急仮設住宅や木造住宅の耐震化促進によります災害に強い住環境の構築、空き家リノベーションによる地方創生の推進、徳島型CCRCの促進に向けた安心して暮らせる住生活の実現など、新次元の住宅施策に最大限活用いたしますため、徳島住環境未来創造基金、こちらを創設いたしまして、次期定例会に御提案したい、このように考えております。 今後とも、一歩先の未来を見据え、地方創生に向けたとくしま回帰を加速させるとともに、県民の皆様方はもとより、県外からの移住者の皆様方にも、住みたい、住み続けたいと実感をいただける豊かな生活、住生活の実現のために、しっかりと取り組みを進めてまいります。 次に、徳島学院の寮舎改修について、自立支援機能の強化や地域のニーズにも応えられる施設にすべき、御提言をいただいております。 徳島学院は、学校や家庭での適応が困難な児童を受け入れ、寮舎において職員と規則正しい生活を送ることによりまして、健康な体や豊かな精神を養うなど、児童の立ち直りに適した環境を提供し、心身の成長を支援する、非常に重要な役割を担う施設であります。 その木造寮舎につきましては、平成元年に建築されており、木造建築物の倒壊が多数見られました熊本地震の例からも、早急に耐震補強、強化を実施し、児童の安全・安心を確保する必要があります。また、近年、自立支援を必要とする児童は、虐待を受けた経験があるなど、特別なケアを必要とするケースが増加しており、議員御提案のとおり、児童の抱える問題の複雑さに対応した施設の改善もあわせて行う必要があります。 このため、このたびの寮舎改修におきましては、児童の状況やプライバシーにも配慮した居室の一部個室化、より家庭的な環境で療育するためのケアの小規模化、家族宿泊訓練施設の充実といった時代の要請に応じた機能強化を図ってまいりたいと考えております。 さらに、耐震補強された寮舎につきましては、熊本地震においてその不足が指摘された福祉避難所として活用することとし、より地域のニーズを酌んだ施設としてまいりたいとも考えております。施設のことをよく知る入所児童たちが、福祉避難所開設時においてはその運営の一助を担うとともに、平時においては、地域と連携した防災訓練に参加することにより、児童自身が地域に貢献していることをまさに実感し、自立につながる効果も期待されるところであります。 今後、早急に、外部有識者を含めた徳島学院のあり方検討委員会を新たに設置し、自立支援機能の強化はもとより、福祉避難所機能を付加することによって相乗効果が生み出され、それぞれの機能を高め合う施設整備を進めてまいりたいと考えております。 今後とも、入所児童の状況や特性に配慮いたし、本県唯一の児童自立支援施設である徳島学院の機能を高め、本県の未来を担う児童の皆様方の自立支援と災害時の地域の安全・安心をしっかりと確保してまいる所存であります。   (後藤田政策監登壇) ◎政策監(後藤田博君) 県はどのような観点で鳴門病院の第二期中期目標を策定しようとしているのかとの御質問でございますが、徳島県鳴門病院は、平成二十五年四月一日、本県初の地方独立行政法人として新たにスタートし、今年度、その運営の基本方針となる第一期中期目標期間四年間の最終年度を迎えているところであります。 この間、県北部はもとより香川県東部や淡路島地域の政策医療を担い、地元医療機関との連携により、地域全体で治し支える地域完結型の医療提供体制の構築に取り組むなど、地域の中核的病院として重要な役割を果たしてまいりました。 こうした中、今般策定に取り組んだ平成二十九年度から三十二年度までの四年間を目標期間とする第二期中期目標におきましては、法人運営の継続性の観点から、第一期中期目標の重点事項を継承し、救急医療、がん医療、災害医療、そして臨床研修などに引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 また、新たな経営方針として、二〇二五年のあるべき地域医療の姿を示す地域医療構想を踏まえ、地域の医療提供体制のさらなる充実のために果たすべき役割を明確にするとともに、在宅医療の推進や地域包括ケアシステムの構築に向けて、指導的な役割を果たしてまいります。 さらに、県内唯一の医療分野である手の外科を初め、鳴門病院の特徴となる医療の充実に努めるとともに、収入の確保や経費削減に資する新たな経営指針につきましても、同規模の公立病院との比較が可能となる適切な数値目標を設定し、達成することとしております。 鳴門病院の運営に際しましては、県立三病院との連携を一層強化し、より効率的で質の高い医療提供体制を構築してまいりたいと考えております。県北部の医療のとりでとして、地域の皆様方から愛され信頼される病院を確立するとともに、本県の医療提供体制が一層強化できるよう、しっかりと取り組んでまいります。   (岡田議員登壇) ◆十九番(岡田理絵君) それぞれ御答弁をいただきました。御答弁に対する私のコメントは、最後にまとめて述べさせていただきます。 質問を続けてまいります。 サテライトオフィスプロジェクトについてお伺いします。 九月八日、県から、県内にサテライトオフィスが新たに七社進出することが決定し、これで県内のサテライトオフィスは八市町に四十社になるとの発表がありました。サテライトオフィスの誘致が進む神山町や美波町に加え、今回新たに私の地元の鳴門市、さらに海陽町にも第一号となる企業の進出が決定し、移住者の確保を初め、雇用の創出や地域活性化に大いに期待しているところです。 サテライトオフィスの誘致は、離れていてもいつもの仕事を体現できるテレワークの推進と離して考えることはできません。まさしくこの二つは、働き方改革をリードする一体的な取り組みです。徳島が全国を強力に先導し、サテライトオフィスといえば徳島と称される本県は、既に映像制作、ウエブ制作、デザインなど、四十もの業態が違うテレワークを行う会社が出そろい、テレワークの聖地となりつつあります。 少子高齢化が進行し、労働力が不足してくる社会では、子育てや介護をしながら働くのが当たり前となってきています。結婚、出産や育児、親の介護といったことに直面しても、女性、男性ともにワーク・ライフ・バランスがしっかりと確保できるよう、テレワークの認知度をさらに高め普及させることが喫緊の課題であります。 県は、さきのvs東京「とくしま回帰」総合戦略において、サテライトオフィスの進出市町村数を、平成二十五年度末の四市町から倍の八市町村に拡大するとの重要業績評価指標を掲げ、今回、見事達成されたところであります。サテライトオフィスの展開及びテレワークの推進に向け、県を挙げて、思い切った高い目標を掲げ、取り組みを進める必要があるのではないでしょうか。 そこで、お伺いいたします。 サテライトオフィスプロジェクトをより一層進展させるため、進出市町村数の重要業績評価指標について上方修正を行ってはどうかと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、本県の観光振興についてお伺いします。 いよいよ来年二〇一七年の春、四国では十四年ぶりとなる、JRグループ六社と四国四県が共同で行う大型観光キャンペーン、四国デスティネーションキャンペーンが始まります。開催期間が四月から六月と、本県にとっては新緑の季節、風薫る季節であり、この絶好の機会を逃すことなく、全力を挙げて取り組みを進めていただきたいと考えております。 観光産業は、地域経済への影響も大きいことから、県内の旅館、ホテル業や観光施設、運輸業などの観光関連企業、団体を初め、たくさんの方が大きな期待を寄せているところです。私の地元の鳴門市でも、世界三大潮流の一つに数えられる鳴門の渦潮の世界遺産登録に向けた取り組みや、板東俘虜収容所のユネスコ世界の記憶への登録推進、再来年の二〇一八年には第九アジア初演の地百周年に向けた演奏会の開催、昨年日本遺産に認定された四国遍路など、すぐれた観光資源があり、そうした魅力を発信し、県外との交流につなげていこうとする取り組みが行われております。 四国デスティネーションキャンペーンを最大限に活用し、本県への観光誘客につなげるためには、徳島を旅行先に選んでもらえるよう動機づけとなる観光素材の充実と、快適に観光周遊できる受け入れ環境の整備が非常に大切であります。 観光素材の充実については、本県が既に実施している藍染め体験などの体験型観光や、春のはな・はる・フェスタを皮切りに、つながる夏、秋の阿波おどりやアニメイベントマチ★アソビに代表される大型イベント、さらに、なると金時、阿波尾鶏、鳴門わかめ、ハモなどの食をもっと上手に活用し、より魅力的になるよう内容の充実を図り、お客様に提供することも大切だと考えます。 また、受け入れ環境の面では、公共交通機関が充実していない本県においては、観光客からは、県内各地の観光地を回るのが大変だという声もよく聞かれるところであり、県内を周遊観光できるような二次交通の構築がぜひとも必要だと考えます。 そこで、お伺いいたします。 四国デスティネーションキャンペーンを最大限に活用し、本県への観光誘客につなげるため、どのような取り組みを行うのか、御所見をお伺いいたします。 次に、徳島阿波おどり空港の機能強化と国内外との人や物の交流拡大についてお伺いします。 昨年度、我が国を訪れる外国人旅行者が初めて二千万人を突破し、これを踏まえて、政府は、二〇二〇年には四千万人、二〇三〇年には六千万人という新たな目標を打ち出したところです。 本県においても、こうした流れに乗り、訪日外国人旅行者をダイレクトに徳島に呼び込むため、徳島阿波おどり空港に国際線に対応できるターミナルを増設するなど、空港機能強化に向けた工事に着手することになっております。 海外にはない四国徳島ならではの癒やしや文化、例えば世界遺産登録を目指し四国四県と関係五十八市町村で提案している「四国八十八箇所霊場と遍路道」や、私の地元が誇る鳴門の渦潮などの観光資源、食の面では、県のブランド品であるなると金時、鳴門わかめ、レンコン、梨など、徳島の魅力あふれる観光資源やおいしさを外国人の方にもぜひ直接体感していただきたいものです。 インバウンドに関し、本県は、関西の広域観光周遊ルート「美の伝説」を初め合計三つのルートに選定されているという強みがあります。言うまでもなく、大阪や京都、神戸などのゴールデンルートは、外国からの観光客で大きなにぎわいを見せており、関西を訪れる外国人の方が徳島の魅力を知り、徳島に来て泊まってもらうためには、本県が参加する関西広域連合などを活用した広域での情報発信と、関西国際空港から入ってきた方の呼び込みだけでなく、何よりも徳島に直接乗り入れる国際線の誘致が不可欠と考えます。 政府の訪日外国人旅行者数の目標上積みに向けた各種施策の推進によるまたとない追い風を受け、今こそ海外からの誘客促進に向けた積極的な国際線誘致に取り組むとともに、国内線の充実などによる人や物の交流拡大に向けた戦略を練り、取り組んではいかがでしょうか。 そこで、お伺いいたします。 空港の機能強化を機に、国内外との人や物の交流拡大に向け、どのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いします。 次に、ドイツ・ニーダーザクセン州との友好交流について質問いたします。 本県とドイツ・ニーダーザクセン州とは、鳴門市板東俘虜収容所における世界に誇れる歴史をきっかけに、平成十九年九月、友好交流提携が実現し、これまで経済を初めとする文化、スポーツ、教育、学術などさまざまな分野において交流を深めてきたところです。 そして、いよいよ来年は、友好交流提携十周年という記念の年を迎えます。これまで積み重ねてきた成果を踏まえて、各分野において記念事業を実施してはどうでしょうか。 また、二〇一八年には、板東俘虜収容所の捕虜の方が地元の人々への感謝の思いを込め演奏した第九アジア初演百周年を迎えます。さらに、二〇一九年にはラグビーワールドカップ、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピック、二〇二一年には関西ワールドマスターズゲームズと、国際スポーツ大会の開催が続きます。 こうした流れに向けて、キャンプ地や開催地の誘致を進めており、ニーダーザクセン州との交流を生かし、ドイツを対象とした誘致も進めていると聞いています。県民の機運を盛り上げていくためにも、今回のニーダーザクセン州友好交流提携十周年を効果的なツールとして積極的に活用することが重要であると考えます。 そのため、まずは知事みずからが先頭に立って訪問し、トップ会談を行い、ぜひこの千載一遇のチャンスを手に入れてください。そのとき、あわせて徳島ならではの歴史、文化の発信や観光PRなども総合的に行ってください。 そして、本県発展に確実につなげるため、その訪問の成果をしっかりとフォローアップしていくことが大切だと思います。また、未来を担う若い世代の皆さんがグローバルに成長していくためには、異なる風土に異なる価値観が育つことを実感することが必要です。そのためにも、核となる両県州の友好のきずなをさらに深め、確かなグローバル感覚を身につけ世界に羽ばたき、未来の国際交流の主役となって活躍できる人材育成を目指してください。 そこで、お伺いいたします。 ドイツ・ニーダーザクセン州友好交流提携十周年を記念して、ドイツとの強いきずなを国内外にアピールし、さらなる交流の拡大につなげるため、知事を団長とする公式訪問団を派遣すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、板東俘虜収容所関係資料のユネスコ世界の記憶への登録に向けた取り組みについてお伺いします。 第一次世界大戦で捕虜となった約千名のドイツ兵らが生活した板東俘虜収容所は、松江豊寿所長のもと、俘虜収容所という厳しい制限が課せられるべき場所で、当時としては極めてまれな人道的で寛容な収容所運営がなされていました。そこでは、自由な雰囲気の中で、文化、スポーツ活動、地域住民や子供たちとの交流活動、地元への技術指導などさまざまな活動が行われ、ベートーヴェン第九のアジア初演が実現するなど、今日まで続く日本とドイツとの友好交流の礎になっています。地元大麻町板東出身の林啓介先生が訳された復刻版詩画集「鉄条網の中の四年半」には、当時の生活が生き生きと描かれています。 板東俘虜収容所の捕虜の方との交流は、鳴門市民にとってはかけがえのない誇りであり、後世に伝えるべき価値のあるものであります。この板東俘虜収容所で生活していた捕虜の方々のさまざまな活動の記録が、鳴門市ドイツ館に数多く保管されております。例えば、収容所の中で発行された収容所新聞ディ・バラッケ、アジア初演となる第九を初めとするコンサートプログラム、ドイツにいる家族とやりとりをした絵はがきなどです。これらは、戦争を乗り越え育まれた友愛の精神の証明であり、県民の貴重な財産として、さらに世界平和の象徴として、次の世代に引き継ぐものとともに、広く世界に伝えていくことが重要ではないかと考えております。 現在、県と鳴門市が共同して、板東俘虜収容所での活動の記録である数多くの関係資料について、ユネスコ世界の記憶、記憶遺産への登録に向け取り組みを進めていると聞いています。今後は、県民全体で登録への機運を醸成し盛り上げていくことが重要であると考えます。行政だけでなく、官民が一体となり、強力に推進していくべき組織の設置が不可欠です。 そこで、お伺いいたします。 ユネスコ世界の記憶への登録を推進するため、今後どのように取り組んでいくのか、教育長の御所見をお願いいたします。 御答弁をいただき、まとめに入ります。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) まず、サテライトオフィスプロジェクトについて御質問をいただいております。 本県が有する豊かな自然環境と全国屈指の光ブロードバンド環境を最大限に生かし、大都市圏から企業のサテライトオフィスを呼び込むとくしまサテライトオフィスプロジェクトは、ピンチをチャンスに変える地方創生の代表例として、国内外から大きな注目をいただいているところであります。 先月の八日には、初進出となる、議員からもお話のありました鳴門市、海陽町を初め新たな七社のサテライトオフィスの県内進出が決定し、平成二十五年度末時点での四市町十八社から、二年余りで八市町四十社へと大きく広がり、vs東京「とくしま回帰」総合戦略に掲げました平成二十九年度末までに進出地域を八市町村へと拡大するというKPI、重要業績評価指標を一年半前倒しで達成いたしたところであります。 進出企業の社員の皆さん方は、徳島が誇る環境のもと、生産性を高めるとともに、心身ともにリフレッシュしながら仕事とプライベートを両立させるという充実した生き方、ライフスタイルを実現しているところでありまして、徳島モデルとも言うべき新しい働き方が次々と創造されているところであります。 県におきましても、多様な働き方の提案に向けまして、本年四月、神山町を初めサテライトオフィスの集積が進む県内四カ所にとくしま新未来創造オフィスを開設し、テレビ会議やメールなどの活用によりますサテライト勤務の実践を通じた発信の強化を図っているところであります。 先月、相次いで来県され、神山町や美波町においてこうした働き方を直接御体感いただきました山本幸三地方創生担当大臣並びに松本純消費者行政担当大臣からは、霞が関の働き方改革や業務改革を推進する上でヒントになる、高く御評価をいただいたところであります。 このように、サテライトオフィスの誘致は地方創生を加速する突破口となりますとともに、議員からも御提案のワーク・ライフ・バランスの実現に不可欠なICTを活用した、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方であるテレワークの普及にも大いに資するものであります。こうしたことから、サテライトオフィス先進地徳島として、これまでの取り組みを緩めることなく、市町村や関係団体と連携協力し、さらに密にし、サテライトオフィス誘致がもたらす多面的な効果を全県下へ波及させていく必要がある、このように考えております。 そこで、vs東京「とくしま回帰」総合戦略に掲げましたサテライトオフィスの進出市町村数のKPIを、八市町からさらに五割増しし、約二年後の平成三十年度末までに県内市町村の半数への展開を目標とする上方修正を行いたいと考えております。 今後とも、サテライトオフィスの全県展開を加速させるとともに、短期間で都市部の本拠地と行き来する循環型から、社員が常駐する滞在型への移行、本社機能の移転を促進するなど、サテライトオフィスプロジェクトの進化を図り、地方創生のみならず働き方改革や一億総活躍社会の実現にしっかりとつなげてまいります。 次に、四国デスティネーションキャンペーンを活用した観光誘客について御質問をいただいております。 平成二十九年四月から六月までの四国デスティネーションキャンペーンを千載一遇のチャンスと捉え、本県への観光誘客につなげるためには、他県にはない魅力的な観光素材を旅行者や旅行会社のニーズに合った形でアピールすることが重要となります。 本県には、東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムで注目されている阿波藍を初めとする、二度の国民文化祭、全国初でありますが、これで磨きをかけ培われた四大モチーフに加え、活鱧に代表される食やアニメなど、すぐれた観光素材となるあわ文化に満ちあふれているところであります。 そこで、来年四月から九月までの半年間、「ときめき★あわ旅~あわ文化体感博~」と銘打って、多彩なあわ文化を活用して徳島の魅力を体験、体感していただけるキャンペーンを実施したいと考えております。 具体的に申し上げてまいりますと、マチ★アソビを初め、来年二十回目を迎えるはな・はる・フェスタなどのイベントに一層の工夫を凝らすほか、JR四国との連携による音楽やアニメを活用したイベント列車の企画、藍染め、遊山箱の絵付けの体験メニューなど、本県ならではの魅力を余すことなく盛り込んでまいります。また、旅行者の目線のキャンペーンブックを作成し、旅行者の皆様方に直接届く旅行情報を行いますとともに、旅行会社に対する商談会、営業活動を強力に展開し、旅行商品の造成を進めてまいります。 一方、議員からも御提案のとおり、本県を訪れた観光客の皆様に快適にあわ旅を楽しんでいただくためには、二次交通の充実が極めて重要であると認識いたしております。 そのため、今月一日から十二月末までの三カ月間、県東部と西部をつなぐ定期観光バス、徳島駅を出発いたしまして鳴門市を初め県東部の観光地を巡回する周遊バスの実証運行を開始したところであり、その成果や課題を踏まえまして、観光客の皆様方が旅行しやすい環境づくりを積極的に推進いたしてまいります。 今後、四国デスティネーションキャンペーンを契機として、県内各地に多くの観光客の皆様方が訪れ、来てよかった、また来たいと思っていただけるよう、これまで以上に知恵と工夫を凝らし、JR四国を初め市町村や観光関係者の皆様方としっかりと連携しながら、全力で観光誘客に取り組んでまいります。 次に、ドイツ・ニーダーザクセン州との友好交流提携十周年を記念した公式訪問団の派遣について御提案をいただいております。 本県とニーダーザクセン州とは、二〇〇七年九月、友好交流提携以降、経済や文化、スポーツ、教育、学術に加えまして、双方が得意とする環境分野、また共通課題である高齢化対策などの分野におきまして、相互交流を積極的に進め、きずなを深めてまいりました。また、昨年度は、中央テクノスクールとリューネブルク職業訓練センターとの間でパートナー協定を締結、今年の五月には、本県が誇る阿波藍の研究のため、ニーダーザクセン州の藍染め技能士が来県するなど、新たな交流もスタートしているところであります。 来年二〇一七年には友好交流提携十周年という大きな節目を迎え、二〇一八年には第九アジア初演百周年、二〇二〇年には、ホストタウンとしてドイツをお迎えいたします東京オリンピック・パラリンピックの開催、さらには第九を生んだベートーヴェンもこの年生誕二百五十年、ドイツに関するメモリアルイヤーが続きます。 板東俘虜収容所における奇跡の交流から幾世代にもわたり脈々と育まれてきた歴史の上に立ち、この十年間で交流の芽を大切に育て上げ、幾つもの花を咲かせてきたところであり、そこに確かな実を結ばせて、新時代のさらなる大きな輝きを生み出していくためには、次の一手は極めて重要となるところであります。 議員からは、私みずからが団長となった公式訪問団の派遣をとの大変力強い御提案をいただいたところであります。公式訪問団の派遣につきましては、本県とニーダーザクセン州、さらにはドイツとの交流をより一層拡大し、そのきずなをより強固なものとするとともに、次代を担う、まさに次世代へつなげていくための新たなスタートとして極めて効果的かつ有意義な取り組みである、このように認識するところであります。 今後、訪問メンバーや内容などにつきまして具体的な検討を進めまして、議員各位、また県内各界各層の皆様方から御意見を賜りながら、実施案としてしっかりと取りまとめてまいる所存であります。   (海野副知事登壇) ◎副知事(海野修司君) 空港機能強化を機に、交流拡大に向けどのように取り組むのかとの御質問でございますが、政府の訪日外国人旅行者の目標数値が二〇二〇年に四千万人へと倍増された今、成田や羽田、関西などの主要国際空港のみでの受け入れに限界があることから、今こそ地方空港に直接海外との空路を開き、近隣空港との連携による新たなゴールデンルートの創出につなげていくことが重要であると考えております。 そこで、この機を逸することなく、本県にダイレクトにインバウンドを獲得するため、徳島阿波おどり空港の受け入れ能力の向上を図るボーディングブリッジの増設や、国際線に本格対応するための税関、入管、検疫などの施設整備に着手すべく、今定例会に契約議案を提出しているところでございます。 現在、徳島阿波おどり空港の機能強化を見据え、これまでに国際チャーター便の運航実績があり、かつ本県に宿泊し観光する方が多い香港や台湾を初めとする東アジアを重点地域と位置づけ、国際線の誘致に取り組んでいるところでございます。 また、徳島を発着する既存路線を生かしたJAL、ANAとの連携による北海道、東北、北陸地方や沖縄と本県とを結ぶ乗り継ぎネットワークの充実や新たな路線の開設、物の流れの拡大に向けた貨物利用の促進など、国内外と徳島との人や物の交流拡大に戦略的に取り組んでいくため、去る九月二十八日、庁内外の関係機関で構成する徳島阿波おどり空港利用促進プロジェクトチームを設置し、私が座長となって具体案を取りまとめることといたしております。 さらに、大阪や京都などのゴールデンルートに集中している外国人観光客を本県に呼び込むためには、関西、せとうちなどの広域観光周遊ルートの枠組みを活用した本県へのアクセスの周知や、阿波おどりを初めとするあわ文化、観光地、グルメなどの情報発信による誘客PRが重要であります。 そのため、私自身、先月、関西広域連合のトップセールスとして、香港、台湾において本県のPRを行ってきたところであり、十一月には日本秋祭in香港に出向き、阿波おどりの熱気とともに、徳島の魅力を余すところなく発信してまいりたいと考えております。 こうした取り組みを着実に積み重ねていくことで、徳島阿波おどり空港への国際定期便の開設を初め、国内外との空のネットワークの拡充にハード、ソフト両面からしっかりと取り組み、国内外に開かれた空の玄関として、人や物の交流拡大による本県経済のさらなる飛躍、ひいては日本創成の実現に向け、全力を傾注してまいります。   (美馬教育長登壇) ◎教育長(美馬持仁君) 板東俘虜収容所関係資料のユネスコ世界の記憶への登録を推進するため、今後どのように取り組んでいくのかとの御質問でございますが、板東俘虜収容所においてドイツ人捕虜が残したさまざまな活動の記録である関係資料は、人類共通の財産となる大変貴重なものであり、後世に継承すべき重要な資料と認識しております。 このため、県教育委員会といたしましては、板東俘虜収容所関係資料のユネスコ世界の記憶への登録に向け、鳴門市と共同で関係資料の調査研究を行うとともに、有識者会議を設置し、専門家の御意見も参考に、申請書の作成などに取り組んでいるところであります。 議員御提案のとおり、今後、登録を推進するためには、行政だけで取り組むのではなく、官民がしっかりと連携協力し、県民全体で登録への機運を醸成していくことが重要と考えます。 そこで、板東俘虜収容所関係資料の世界的重要性を発信するとともに、それを後世に残し、登録実現を目指すため、来る十月十五日に、徳島大学において、行政を初め県内大学や関係団体の代表などが集結し、仮称ではありますが、板東俘虜収容所関係資料ユネスコ世界の記憶登録推進協議会の設立総会を開催することといたしました。 加えて、同日に、協議会の設立にあわせ、さらなる機運醸成に向け、有識者会議の委員長でありユネスコ世界の記憶に詳しい九州大学有馬学名誉教授の講演や、有馬名誉教授を初め、有識者会議の委員である川上三郎前鳴門市ドイツ館館長及びドイツよりハイケ・デュッセルダー・リューネブルク博物館長らをお招きし、パネルディスカッションを行うこととしております。 県教育委員会といたしましては、今後は、大学、関係団体などと連携しながら、県民全体、子供から大人まで幅広い年代に向け、官民一体で普及啓発に取り組み、登録に向けた機運醸成を図るとともに、板東俘虜収容所関係資料の大半がドイツ人によって作成されたものであるため、ドイツとの共同申請についても視野に入れ、平成三十年のユネスコへの申請、平成三十一年の登録に向け、しっかりと取り組んでまいります。   (岡田議員登壇) ◆十九番(岡田理絵君) それぞれの質問に対し、前向きに取り組んでいただけるという御答弁を熱心にしていただきました。 何点かコメントと要望をさせていただきます。 まず初めに、合区解消の議論などを通じ、県民の皆様の政治に対する意識の醸成、向上を図っていく、いわゆる主権者教育を推進することの重要性を感じております。主権者教育の推進に関しましては、会派としても、文科省、総務省の担当者から説明を受け、有識者の方を招き、勉強会を重ねてまいっております。 これからも、主権者教育の推進について、さらに調査研究を深めてまいりますので、理事者の皆様におかれましても御協力をお願いしたいと思います。 次に、鳴門病院が地域の医療体制の中で適切に役割を果たし、良質な医療を提供していくためには、安定した経営のもとで、政策医療を継続的に担っていくことがとても大切なことと思います。県においても、鳴門病院の経営の安定化等にしっかりと支援していただきたいと思います。 徳島学院の機能強化については、寮舎は子供たちの命を守るのが一番であるのは当然のことですが、福祉避難所としての機能をあわせ持つということは非常に心強いことです。いざというときには必ず機能し、ハード面としては、鳴門市は活断層も通っていますので、活断層直下型地震にも対応できる頑丈な施設となるようお願いいたします。 また、ソフト面としては、妊婦さんや乳幼児のお母様方にも配慮した避難施設となることも必要です。地域のニーズに合った施設となるよう要望いたします。 サテライトオフィスの推進は、私は五年前、サテライトオフィス第一号の企業の誘致のときから関心を持って取り組んでまいりました。そのもとになるのが、テレワークという働き方です。 徳島県庁では、先月から、全庁を対象に、九月、十月をテレワークトライアル月間として、テレワークの実証実験を始めています。多様な働き方を創造し、働き方改革先進県徳島となるよう、さらに取り組みを進めていただきたいと思います。 四国デスティネーションキャンペーンにおいて、JRのキャンペーンといえば、私たちの世代では「いい日旅立ち」の曲を思い出すのではないでしょうか。キャンペーンを一過性のものにせず、今後につなげていくためには、誰もが口ずさめる曲やみんなが親しめるキャラクターなどがあれば、さらに広がりを見せていくのではないでしょうか。心に残り、ぜひまた徳島に行きたいと思うような取り組みを期待しております。 最後に一点、道路の要望をさせていただきます。 平成二十七年三月に県道徳島空港線が開通し、徳島阿波おどり空港と高速道路がつながりました。しかし、その県道は、松茂スマートインターチェンジを過ぎたところで途切れ、急に幅が狭くなり、見通しも悪い、対向もできにくい道路となっています。 県において、徳島阿波おどり空港からつながる県道徳島空港線をさらに西に延伸し、県道徳島鳴門線と直結し、先ほど出ております板東俘虜収容所のあるドイツ館や、一番札所霊山寺がある大麻地区へ直結できるよう、世界遺産の道となるよう、つなげていただけるよう要望いたしたいと思います。ぜひよろしくお願いいたします。 それでは、まとめに入ります。 本日は、会派を代表して、九月定例会の最初の質問をさせていただきました。今回は、議員として初めて質問させていただいてから十年、十回目の質問となります。こうしてこの場で質問させていただけますのも、本当に多くの皆様のお支えがあってのことと、厚く厚く感謝申し上げます。 県民と県政、子供と未来、人と人、地域と地域をつなぎ、人がにぎわい活力ある県徳島を目指し、この十年、県議としての日々を全力で邁進してまいりました。十年の総括をし、新たに未来に向かって歩き出すをテーマに質問いたしました。どの質問も、これからの徳島県のあり方を考える上で重要です。 一九六五年八月九日に建国された、私と同級生の国シンガポール、その国の建国者であり、シンガポールを一代にして経済先進国へ発展させたリー・クアンユー氏は、現実を的確に捉え、それから理論を組み立てていくことを根幹にし、観察眼とすぐれたバランス感覚で、活力ある社会を実現させました。改めて今、この言葉の重みをずっしりと感じています。 徳島県には、人口減少問題、高齢化問題、自然災害対策、子育て支援、農林水産業の振興など、さまざまな課題があります。県民の皆様の声をいただき、現実を的確に捉え、確かな判断力と行動力で課題解決に導いてまいります。 これからも、初心を忘れることなく、高齢者の皆様から知恵をいただき、若い皆様と徳島の未来を語り、それぞれの世代の長所を生かし、つなぎ、未来をつくっていく、それが私の使命だと感じております。未来は自分たちの意思でつくり出すことができます。ともに輝く社会の実現を目指して、元気な阿波女、これからもしっかりと頑張ってまいります。 横見小学校の皆さん、長い間ありがとうございました。さあ、明るい未来に向かって一緒に歩き出しましょう。 傍聴いただきました皆さん、長時間の御清聴ありがとうございました。 これで全て終わります。ありがとうございました。(拍手)   ──────────────────────── ○議長(嘉見博之君) 議事の都合により、休憩いたします。      午前十一時十三分休憩   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    午前十一時三十八分開議      出席議員計三十四名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     山  西  国  朗 君     二  番     原  井     敬 君     三  番     島  田  正  人 君     四  番     眞  貝  浩  司 君     五  番     岩  佐  義  弘 君     六  番     高  井  美  穂 君     八  番     上  村  恭  子 君     九  番     須  見  一  仁 君     十  番     岡     佑  樹 君     十一 番     中  山  俊  雄 君     十二 番     元  木  章  生 君     十三 番     岸  本  泰  治 君     十四 番     井  川  龍  二 君     十五 番     南     恒  生 君     十六 番     長  池  文  武 君     十七 番     達  田  良  子 君     十八 番     山  田     豊 君     十九 番     岡  田  理  絵 君     二十 番     岩  丸  正  史 君     二十一番     木  下     功 君     二十二番     寺  井  正  邇 君     二十三番     喜  多  宏  思 君     二十四番     丸  若  祐  二 君     二十五番     木  南  征  美 君     二十六番     川  端  正  義 君     二十七番     黒  崎     章 君     三十 番     来  代  正  文 君     三十一番     岡  本  富  治 君     三十二番     樫  本     孝 君     三十三番     西  沢  貴  朗 君     三十四番     杉  本  直  樹 君     三十五番     臼  木  春  夫 君     三十六番     庄  野  昌  彦 君     三十七番     長  尾  哲  見 君   ──────────────────────── ○副議長(喜多宏思君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 十三番・岸本泰治君。   〔重清議員出席、出席議員計三十五名となる〕   (岸本議員登壇) ◆十三番(岸本泰治君) 傍聴席の--満員ではないですけど--皆さん、それからテレビの前の皆さん、おはようございます。県民会議の岸本でございます。 私も、先ほど岡田議員のほうからございました十年目ということで、私も議員として十年を迎えました。早いもんで、年をとるんは早いなあというふうに感じております。 年をとったということで、先月、敬老会では、皆さんに、笑ろたところが小泉純一郎と似とるでと言われて、いやいや進次郎でしょうと言ったんですけど、いや純一郎やと言って、言い負けてしまいました。 そんな話はさておきまして、質問を続けたいというふうに思います。 まずは、消費者庁関連の質問から始めたいと思います。 先ほどの質問で、知事のほうから、徳島移転について並々ならぬ決意をお伺いいたしました。それでは、少し中身についてお伺いしたいというふうに思います。 人口の東京一極集中がますます加速する状況のもと、国、地方を挙げて、何としても東京から地方への新しい人の流れや企業の流れをつくり出さなければならない、これは我が会派のみならず、議場にいる全員の皆さんの共通認識かと思います。このような厳しい局面を打開するため、議会としても、昨年六月以来、政府関係機関の地方移転に積極的に取り組むよう、意見書を初め、政府はもとより、徳島県の覚悟ある取り組みを促してまいったところであります。 こうした中、先々月八月に、来年度から徳島県に消費者行政新未来創造オフィスが設置されることが正式に決まりました。我が会派としても率直に評価し、全面移転に向けて、今後三年間、改めてチャレンジの機会が与えられたものだと考えています。この三年間をいかに有効に活用するか、全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えています。 こうして新たな一ページが徳島県にとりましては開かれたわけでありますが、地方創生はまだまだこれからでございます。平成二十六年十二月、閣議決定により地方創生が産声を上げた国の総合戦略において、東京二十三区から本社機能を移転し、企業の地方拠点の強化や企業の地方枠採用を拡大すること、そのため政府関係機関の地方移転を進め、地方への新しい人の流れをつくることと明記がされており、今こそ改めて私たちはこの取り組みの原点や理念を深く胸に刻み直す必要があるというふうに思います。 そして、本来の目的である企業の本社機能の移転、地方への新しい人の流れにこの消費者行政新未来創造オフィスをどのようにつなげていくのか、私たちに新たな使命が与えられたのです。課題解決先進県真骨頂に、ここぞとばかり示していく必要があると私も思っております。 そこで、知事にお伺いいたします。 消費者庁新拠点設置というチャンスを生かし、民間企業の本社機能の徳島移転に向けて積極的な対策を戦略的に講じていくべきではないかというふうに思いますが、御所見をお伺いいたします。 次に、徳島市との連携についてお伺いいたします。 昨年二〇一五年、国勢調査が出されましたが、これをつぶさに見てみますと、いわゆる四十七都道府県のうちの東京都を除いた四十六道府県の県庁所在市の人口の推移を見てみますと、意外とふえているところが多いと。その五年前と比べますと、二十二の市の人口がふえていると。 例えば四国で見てみますと、高松市はふえています。松山市は横ばいと。そして、高知市は微減ということになっておりますが、その高知市の微減というのは、高知県の人口の四五%以上が高知市に来ているんですね。日本全国県庁所在市、それ以外の市も含めまして、都道府県の四五%以上が住んでいる市というのはあと二つ、一つは仙台市、もう一つは京都市と、この三つの市が四五%住んでいると。ですから、そういうことからしましたら、高知市も人を集客していると。 そして、我が徳島市はどうかといいますと、減少していると。減少率は、上からということになりますけども、減少率は県庁所在市で五位です。多く人が減っているということですね。県において、やっぱし中心となる都市が元気なことは、県の人口問題や経済活性化などあらゆる面で大変重要なことだと私は考えています。 先日、会派で視察に参りましたふるさと回帰支援センター代表理事の高橋さんによりますと、地方へ移住したいというふうに相談に来られる方の半数近くは地方都市を希望していると。やはり少々田舎がいいとはいえ、やはり少々便利なところもいいかなということかなというふうに思っています。 徳島市を今考えてみますと、もう皆さんも御承知のとおり、徳島県の平野部、吉野川の流域に広がり、南北に平野が広がり、そのちょうど中心に徳島市があります。そして、四国の中では関西圏に最も近い県庁所在市と。この徳島市が発展するということは、条件的にも非常にいい環境にあるのに、残念だなあというふうに私も思っています。 もちろん徳島市自身にもっともっと頑張ってもらわなければならないのですけども、県としてもこれまでどう連携して取り組んできたのかというふうに考えざるを得ません。残念ながら、県市の連携はほとんどと言っていいほど、市出身の議員としましては、うまくとれていないように感じております。 徳島県の地方創生を果たすためにも、今後は徳島市との連携は不可避だというふうに思っております。そして、速やかな行政課題の解決がそこには必要じゃないかなというふうに思います。 鉄道高架問題にしても、今、徳島市を騒がせている西新町再開発事業にしても、全くと言っていいほど先が見えない状況だというふうに思っています。県市のもちろん役割分担がありますので、早くその役割分担上、方向性を共有する必要があるんじゃないかなというふうに思っています。 また、こうした大型案件ばかりでなく、個別の案件でも支障を来しているというふうに思われるものがあるというふうに私考えております。例えば県道と市道との関係もそうです。後ほど別の質問でも取り上げますが、徳島県は県道に占める旧道比率が高い県に、実は知事、なっておるんです。本来、新道をつくれば旧道は市町村道へと移管しなければならないんですが、そこがスムーズに移管できていない。他県と比較しますと、移管できていない順番で、これまた五位という結果になっています。特に徳島市との間には、幾つもの路線で、私も住民の方からいろいろ相談されるんですけども、課題があります。 そしてまた、その反対のケースもあります。本来、県道で管理すべきなのに徳島市道になっていると。例えばどういったところかといいますと、北環状道路の中に徳島市道の橋、北島応神橋があります。この橋だけが徳島市道と。なぜなんだろうなあと、過去にいろいろいきさつがあったのかなというふうに思っております。 道路だけではありません。例えば東工業高校の跡地、一向に整理ができていないというふうに感じております。県所有の土地はわずかに三〇%程度、しかも点在していると。 今この土地どうなっているかといいますと、先般、住民の方に言われたんですが、来春オープン予定のイオンモール株式会社に建設工事事業用として貸し出しているということなんですね。ですけど、建設工事用ですから、そんな広いスペースは要らない。これは実は市の部分から貸し出しをしておるんですが、市の部分から貸しているから、いびつな形になっておると、点在していますので。一般の私に言った方は、岸本さん、けったいなところを貸しとるなと、一体どなんなっとんでと。ちょうど中央の部分になっとんでしょうね、端から中央に行くような。 来春からは、県も市も両方ともにイオンモール株式会社に敷地外駐車場として貸し付けする予定だということで、連携は連絡とりながらしていますということではありますが、もし仮にこれが一筆であったり整理ができとる土地であれば、もっともっと違う利用の仕方が考えられたん違うかなと。こういう状況ですから、今のまま貸すのもいかんとも仕方がないということなのかなあというふうに感じております。 こうしたもの以外にも、連携しているかなと疑問を持たざるを得ないものとして、医療連携、県立病院を中心に地域医療機関と連携を進めていますが、徳島市民病院との連携はどうなっているのかなと。一向に、市民病院とこうしますという話は聞こえてこない。 また、県立高校と隣り合わせの小学校、これも先日、防災訓練でちょっと寄ったんですが、県立高校のほうには水やそういった備蓄品がないと。小学校のほうにはあると。住民の方はどっちへ逃げるのかなと。運ぶというような話らしいんですが、この辺の整理も必要なんじゃないかなというふうに思います。 観光戦略ではどうなっとるのかなというふうにも思います。もはやこうした徳島市との連携問題は、担当部局だけで解決していくのは難しいというふうに私は思っています。なぜなら、担当部局同士では、担当者は自分ところが不利益にならないように一生懸命交渉するもんですから、なかなか譲ることができない、そういう状況かなと。やっぱりここは大局を見渡して、こっちは譲りますけどこっちはこうしてくださいということで、早く方向性を出していかないといけないなと、連携していかないといけないんじゃないかなというふうに思います。 そこで、お伺いいたします。 徳島市との連携を知事はどういうふうに考えておられるのか、また徳島市との連携をスピードアップさせるために、先ほど申しましたように部局の壁を越えた、知事直轄と言ったらおかしいですが、知事の判断をすぐ仰げるような人なり組織なりを選任して対応すべきじゃないのかなというふうに考えておりますが、御所見をお伺いします。 それでは次に、公共工事予算についてお伺いいたします。 海野副知事の専門分野ですから、恐らく海野副知事からお答えいただけるかなというふうに思っておりますが、これは大田部長、岡本課長、じっくり聞いていただいて参考にしていただきたいなというふうに思います。 それでは、公共工事予算についてお伺いいたします。 言うまでもありませんが、道路や河川、堤防、港湾などの社会資本は、現在及び未来の国土や地域を形づくるとともに、長期間にわたり県民生活や社会経済活動を下支えするもんです。これはもう皆さんも御承知のとおりです。社会資本整備が進んでいる地域は、安心して暮らし、人を呼び込み、経済を活性化させて雇用をふやすといった地方創生を実現する取り組みを進める上で大変有利な状況であると私は考えています。 しかしながら、県内では、根幹的な道路である四国横断自動車道は、徳島ジャンクションから阿南インターチェンジの間二十二キロが、また徳島市中心部の渋滞対策の切り札となる徳島外環状道路においても、延長三十五キロのうち八キロメートルが未供用という状況にあります。環状道路については後ほど別に質問いたしますが、まだまだこうした道路を新しくつくっていかなければならない現状が今徳島県には一つあります。 また、一昨年の広島の土砂災害や、昨年の鬼怒川堤防の決壊、ことしの熊本地震による土砂災害の映像を目の当たりにし、社会資本整備の重要性を再認識いたしましたが、本県では、南海トラフ巨大地震や中央構造線活断層地震への対策や、大型化する台風や激化するゲリラ豪雨による大規模水害や土砂災害対策などにもまだまだ不十分な状況にあります。これも対策しなければならない。 そして一方、我が国は今後、高度成長期に整備した社会資本が急速に老朽化する時代に突入し、本県においても、県民生活や経済の基盤である社会資本が的確に機能するよう、計画的な維持管理、更新をしていく必要があります。こうした基幹となる新しい道路の建設や災害対策としての県土整備、そして適正な維持管理、例えば道路だけをとって非常に恐縮ですが、四十七都道府県で道路整備率はワースト一位、道路改良率はワースト二位となっている徳島県には、まだまだインフラに対する投資が必要であります。 こうした県土整備の視点とは別に、私はもう一つ、先ほど徳島市との連携の中で述べましたが、旧道比率ということにも注目しています。バイパスにより道路整備が行われると、旧道となる区間が、従来までの県道ですね、これがバイパスができたら旧道というふうに変わるんですけども、この道は市町村道へ移管して道路管理を適正に進めていくということが維持管理上も重要なんですけども、昨年の二十七年版道路統計年報によりますと、県管理道路の延長に対し旧道の延長の比率は、全国平均が二・〇%、対して徳島県は四・五%と二倍以上も高い数字となっています。先ほど質問で言いましたけども、これは移管できていない、何らかの理由もあるんでしょうけども、移管できていない県の中で上位五位という結果でございます。 この移管できていないというのは、徳島県では、道路区域の権利関係、つまり道路の境界確定ができていない、それから道路の名義人が県になっていない、こうしたものを調査したり登記を変えたりしないといけない、それから経年劣化している道路を直さないといけないと。こうしたものにも相当な費用がかかるもんですから、先ほど言いましたように、道路はつくらなきゃいけない、災害に対して備えをしなきゃいけない、維持管理はしなきゃいけない、こっちに回って、こうしたところになかなかお金が回ってこないという実情にあります。 私はこれまで、平成二十四年から三度にわたり、代表・一般質問において、高速道路や防災・減災対策、老朽化対策などを推進する公共事業予算に加え、維持補修費の確保についても質問してまいりました。その結果、近年ではようやくそれまでの右肩下がりから脱してきているというふうに思って、非常に評価はしております。 なおかつ、今議会の補正予算でも、農林水産部も合わせてですけども、百億円という公共事業予算を補正予算で組まれていると、これも非常に評価はしています。しかし、いかんせんやらなければならないことが多過ぎる徳島県にとりましては、今回のこの補正予算の多くは防災・減災対策の予算となっていると、これはいたし方ないことかと思います。 繰り返しになりますけども、新しい道路はつくらなければならない、防災・減災対策は行わなければならない、維持管理はしなければならない、これでは、当初予算で一〇〇%を確保しましたというのでは、なかなか旧道等を整理するとかその他のほうにお金が回ってこないと。旧道で傷んでいる、旧道でちょっと広げたい、こうしたところも現実にはたくさんある状況なんですけども、回ってこない状況にあるというふうに感じております。一度こうしたところもきちっと整理して、適正な市町村に道路を預けるということが必要なんじゃないのかなというふうに思います。 そこで、お伺いします。 県ではこれから来年度の予算編成作業に入ると思いますが、将来にわたる社会資本の計画的な整備や適正管理にしっかりと予算を確保すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、関連いたしまして、南環状道路の整備促進についてお伺いいたします。 この南環状道路、西環状線というのは、私も何度も質問してまいりました。そして、特にこの南環状道路は、徳島外環状道路約三十五キロの一部をなして、一般国道百九十二号のバイパスとし、昭和六十一年から国土交通省により整備が進められています。 私の地元は国府なんですが、ずっと西、吉野川市、樫本議員のところまでに至る住民にとりましては、一般国道百九十二号はまさに生活の道路というふうになっています。この道路を利用して、日々の生活や経済活動を営んでおります。そして、渋滞があるということで、非常に住民は苦労して生活を送っていると。 また、本県の道路交通量調査というんですか、主要幹線道路である一般国道十一号、五十五号、百九十二号は徳島の中心部でT字型で交差しております。平成二十二年、ちょっと古い資料ですけども、五年ごとしか更新されないということですので、ちょっと二十二年の資料を御披露させていただきますと、四国内の平日の交通量、一日何台通るという交通量は、上位十地点のうち七位までが徳島県、しかも国道十一号、五十五号の徳島市の中にあると。四国の交通量の多い十本のうちの七つまでが徳島市。渋滞緩和のためにも、環状道路の早期供用が望まれております。 こうした中、私たち地域住民がその整備効果に大きな期待を寄せる南環状道路については、私はこれまで述べてもきましたけども、つい先ごろ一部供用されまして、一定の整備効果が図られていると。とはいえ、先ほど言いましたように、三十年以上かかっていると。そして、国府から上八万までの四・〇キロはまだ供用できず、当初の完成は二〇一二年春だったと、これは非公表なことかもわかりませんが、春だったというふうに言われておるというふうに聞いています。そこから四年が過ぎても、いまだ完成予定は示されていないと。 地方創生の地域のにぎわいが求められる中、これまで私は、この道路の沿線に四国八十八カ寺もあり、それから文化の森もあると、非常に観光道路という意味合いも強いところでないのかなというふうに主張してまいりました。南環状道路は、これらの施設の連携によって、本当に地域づくりを行う上では大切な道路に、大田さん、なっております。 現在、国において徳島南環状道路の整備を進めていただいていますが、これまでのやり方は、ある区間を完成してから次の区間に移るというふうになっとったんですが、一部が完成して、そこでできたと、そしたらまた新しい課題にそこからまた取り組んでつくると。用地なら用地をこっちで片づけて、次また用地の課題があるというような形になりますので、非常に時間がかかると。本当にいつが来たら完成するのか、先の見えない道路であるなというふうに思っています。 もっともっと工夫を凝らして、事業のスピードアップをぜひとも図っていただきたい。南環状道路の整備について、残りの区間を一括に考えて、完成時期をいつやと示し、土地収用ほか課題解決を同時に進め、早期供用を図るべきだと考えていますが、御所見をお伺いいたします。 御答弁をいただいて、後半に入りたいというふうに思います。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 岸本議員の御質問に順次お答えをさせていただきます。 まず、消費者庁の新拠点設置を生かし、本社機能の徳島移転に向けた対策を講じるべきではないか、御質問をいただいております。 昨年の国勢調査におきまして、調査開始以来何と初めて大阪府が人口減少に転じたことに象徴されますように、加速し続ける東京一極集中を阻止するためには、まずは国、地方挙げて政府関係機関の地方移転に取り組み、行政の率先垂範を体現するとともに、あわせて地方創生の核心とも言うべき企業の本社機能の地方移転を強力に促進することが重要である、このように認識いたしております。 本県におきましては、地方創生そして一億総活躍社会への突破口を切り開くのは徳島との信念のもと、明治開闢以来の大改革と称しても過言でない消費者庁等の徳島移転に向け、挙県一致の取り組みを展開してきているところであります。 このたび、県議会を初め県民の皆様方の御理解、御協力のもと得ることのできた消費者庁の新拠点設置に係る決定は、三年後における国の全面移転判断に向けての新たなキックオフであると同時に、新拠点や先駆的な実証フィールドを生かし、企業の本社機能の徳島移転を進める新たなスタートでもあります。 近年、人や社会、環境に配慮した消費者行動であるエシカル消費への関心が急速に高まる中、企業は、社会的責任を自覚し、消費者全体の視点に立った商品、サービスの提供や社会的課題の解決に取り組むことが強く求められるようになってきております。企業におきましては、未来を見据えた経営戦略上、消費者目線の経営を推進する消費者相談や広報、企画、そして研修の部門を初め、いわばエシカル消費推進部門と位置づけられる新たな根幹的機能を本社機能の中にしっかりと組み込む必要性が一段と増してきているところであり、エシカル消費の先端フィールドを有する徳島こそが企業の最適な実証地となり得るものと、このように考えるところであります。 このように、本社機能移転を進めるに当たりましては、企業を取り巻く最新の情勢をいち早く捉えるとともに、徳島に移転することを通じ企業価値が増すという好循環を戦略的に形成することがまさに不可欠となるところであります。 そこで、新拠点設置という好機を生かすため、まずは東京圏を初め全国の企業に対し、新拠点やエシカル消費実証フィールドの発信、また徳島の誇る強みやテレワーク環境を直接体感していただく視察ツアーの充実、さらにはエシカル消費推進部門を新たなターゲットに据えて本社機能移転を図る企業立地補助制度の進化の三本柱から成る徳島ならではの思い切った対策を戦略的かつ有効に展開すべく、鋭意検討を進めてまいります。 今後とも、課題解決先進県であるからこそつかみ取ることのできました新拠点設置という最大のチャンスを生かし、エシカル消費先進企業を目指すなら徳島と、本社機能の徳島移転につなげることによりまして、地方創生から一億総活躍、ひいては日本創成をこの徳島からしっかりと実現いたしてまいります。 次に、徳島市との連携について御質問をいただいております。 徳島市は、吉野川や眉山などの豊かな自然に恵まれ、世界に誇る阿波おどりを初め、阿波人形浄瑠璃など伝統的な文化が息づくとともに、特色のある伝統産業に加え、高付加価値なものづくり企業や商業流通機能が集積する本県経済の中心であり、さらには高度先進医療や研究、教育の拠点が立地するなど、さまざまな分野の都市機能を備えた、県都と称するにふさわしい都市であります。 このため、徳島市には、東京一極集中の是正や人口減少の克服など、本県の地方創生の実現に向け、県内市町村をしっかりと牽引していく県都としての役割が強く期待されているところであります。遠藤徳島市長さんは、徳島市議会臨時会の所信表明におきまして、県都としての役割をしっかりと認識し、県との協調のもと、共通する諸課題の解決を図り、地域全体の発展につなげてまいるとの決意を表明されたところであります。 こうしたことから、県におきましては、徳島市との連携協力を加速するため、本年七月一日から新たに政策企画部門において人事交流を行い、連携強化を図ったところであります。さらに、七月二十日には、徳島市長さんから、鉄道高架事業の推進や防災・減災対策の強化などの御要望を直接いただいたところでありまして、県市がともに取り組むべき課題について意見交換を行ったところであります。 議員御提案のとおり、徳島市との連携は本県の発展において大きな意味を持つものであり、県と市が十分に意思疎通を図り、共通する諸課題に対し、それぞれが役割分担のもと、責任を持って取り組んでいくことが極めて重要である、このように認識するところであります。そのためには、まずは徳島市において、新たなまちづくりの指針となります徳島市まちづくり総合ビジョンを取りまとめていただき、県市協調の新たな一歩を踏み出すための土台といたしまして、将来ビジョンや政策の基本的な方針をお示しいただきたい、このように考えるところであります。 県といたしましては、徳島市の目指す将来の姿や具体的な施策の方針を確認させていただき、その上で、県と市が課題解決の処方箋を共有し、県市協調の歩みをしっかりと刻んでいくことがまさに重要である、このように考えるところであります。 今後とも、本県飛躍発展に向けまして、徳島市との連携をさらに進化させ、県市協調の新たなステージをともに築いてまいりたいと考えております。   (熊谷副知事登壇) ◎副知事(熊谷幸三君) 徳島市との連携をスピードアップするため、知事直轄の組織や人を選任すべきではないかとの御質問でございますが、鉄道高架事業の推進や防災・減災対策の強化など、徳島県と徳島市が協調し、ともに対応すべき課題につきましては、これまでも徳島市との連携協力のもと、その解決に鋭意取り組んできたところでもございます。 一方におきまして、地方創生本格展開や一億総活躍社会、国土強靱化の実現に向けまして、一段と複雑多様化する県政課題に対しまして、スピード感を持って着実に取り組む必要性がますます高まってきていると認識しているところでございます。 こうしたことから、徳島市との連携を要する重要課題を初め、部局の壁を越えた対応が必要な諸課題につきましては、特別職である私たち副知事、政策監が強力なリーダーシップやマネジメント機能を発揮し、各部局を牽引し、連携強化を図るとともに、徳島市との連携をより深め、進化した県市協調のもと、徳島市の発展が徳島県の発展につながるよう、課題の解決実現に向けスピード感を持ってしっかりと取り組んでまいります。   (海野副知事登壇) ◎副知事(海野修司君) 社会資本の計画的な整備や適正な管理にしっかりと予算を確保すべきとの御質問でございますが、道路や河川、港湾などの社会資本は、県民の安全で安心な生活を支える基盤であるとともに、農林水産業、商工業等の振興や雇用の創出など、地域に活力と魅力をもたらす健全な県土発展に欠くことのできない資産であり、その効率的、効果的な整備は大変重要であります。 また、人口減少、高齢社会が急速に進む中で、経済成長を持続していくためには、社会全体の生産性を向上させ、成長と分配の好循環を加速させることが求められており、必要な公共事業予算の安定的、持続的な確保が不可欠となっております。 そこで、当初予算では、国の公共事業予算が対前年度比で横ばいとなる中、五年連続増額となる五百八十九億円を確保するとともに、国の未来への投資を実現する経済対策に呼応し、九月補正では、過去十年間で最大の百億円を超える追加補正予算を今定例会に提出したところであり、引き続き、必要な予算の確保のもと、計画的な整備をしっかり行ってまいります。 また、整備に当たりましては、地域経済の発展や安全性の向上などの長期的な投資効果、いわゆるストック効果が最大化となるよう、事業の進め方、施設の運用面、効果の早期発現等のなお一層の工夫を行ってまいります。 一方、議員がお話しのとおり、社会資本の多くは急速な老朽化が懸念されることから、社会資本の機能が長期にわたり健全に発揮できるよう、今年度の県単維持補修費は五年連続の増額で、対前年度比一一〇%の大きな伸び率となる約四十一億円を確保したところであり、予防保全型維持管理をさらに徹底させることにより、ライフサイクルコストの低減と予算の平準化を一層図ってまいります。 今後とも、大規模自然災害を迎え撃つ防災・減災対策はもとより、産業の競争力強化による経済・雇用対策や成長力の強化につながる四国8の字ネットワークの整備など、社会資本の着実な整備と的確な維持管理を戦略的かつ計画的に推進するため、一歩先の未来を見据え、真に必要となる予算の確保とその効果最大化やコスト縮減へのさまざまな工夫にしっかりと取り組み、地方創生の礎となる県土づくりに全力を傾注してまいります。   (原県土整備部長登壇) ◎県土整備部長(原一郎君) 徳島南環状道路の整備についての御質問でございます。 徳島南環状道路につきましては、徳島市及びその周辺地域の交通渋滞を緩和し、安全で快適な交通環境の確保を図るため、国府町観音寺の国道百九十二号から八万町大野の国道五十五号までの間、全長九・五キロメートルにおいて、国土交通省が整備を進めております。このうち、国道百九十二号から鮎喰川左岸堤防の県道鬼籠野国府線までの間二・六キロメートルと、八万町橋北の県道宮倉徳島線から国道五十五号までの間一・一キロメートルにつきましては、既に側道が供用しております。 また、昨年二月には、上八万町下中筋の国道四百三十八号から県道宮倉徳島線までの間二・二キロメートルが新たに供用され、その結果、県道鮎喰新浜線の交通量の減少や法花大橋の北詰交差点における朝夕の交通渋滞の緩和など、整備効果が早期に発現されたところでございます。 残る国府インターチェンジから上八万インターチェンジまでの未供用区間四キロメートルにつきましては、用地取得が完了した箇所から順次、橋梁やトンネルなどの工事を進め、現在は、県道神山鮎喰線と接続する僧津山インターチェンジ付近の改良工事を実施しております。 議員御提案の、当区間を一括して供用させることは、徳島南環状道路の全線にわたる暫定供用につながることから、徳島市中心部及び周辺地域の渋滞緩和はもとより、利便性の向上や地域活性化への寄与など、大きな効果が期待されるところでございます。このため、当区間全体の事業進捗が図られるよう、残る用地につきましては、粘り強い交渉を重ねるとともに、一括した土地収用法の適用を進めるなど、早期の用地取得に努め、一層の工事促進につなげてまいります。 現時点で完成時期をお示しすることはできませんが、今後とも、国や地元徳島市との連携のもと、徳島南環状道路の一日も早い全線供用に向け、しっかりと取り組んでまいります。   (岸本議員登壇) ◆十三番(岸本泰治君) ただいまそれぞれ御答弁のほうをいただきました。先にコメントをさせていただきたいというふうに思います。 消費者庁移転のことにつきましては、知事のほうから、先を見通した力強い御答弁をいただいたというふうに思います。省庁移転がこれだけ地方創生に効果があると、省庁が来たら徳島はまた潤ってきたという、本当に先頭に今立っとると、スタートに立ったといったところ、知事の御答弁をいただきまして、どうか我々議員も一生懸命頑張りますので、全国の人に証明すると、見せつけるという気構えで頑張っていこうではないですか。私も頑張っていきたいというふうに思います。 それから、徳島市との連携ですが、熊谷副知事のほうから先頭に立ってという言葉をいただいておりますので、ひとつ全体をまとめて、当然知事が先頭に立って副知事がまとめるということでございますが、進めていただきたいなというふうに思います。 公共工事予算につきましては、大田部長、岡本課長、よろしくお願いします。くしくもお国から来られたお二人、それから海野副知事と知事と、皆さんお国から来られています。徳島県のために頑張っていただきたいなというふうに思います。 それでは最後、南環状道路、原部長から御答弁をいただいて、非常に毎回よく似た答弁で、恐らくいたし方ないのかなと。国が主体となってしている事業ですから、ぜひとも連携をとってしてほしいなと。 質問の中では私述べませんでしたけども、半分開通して便利になったということで、通行量はふえとると思うんですよね。県土のほうには聞きませんでしたけど、そちらのほうでは通行量のほうは調べていないけども、通行量はふえてきたということで理解しておるんですけど、ふえたということは、未開通部分の道路がふえているんですよ。そこは渋滞を来す可能性もあるし、事実、住民の方から、一括でどうしてつなげてくれんのやと、朝いつまで我慢したらいいのやということにもなりますので、ぜひとも一刻も早く国と協議していただいて、いつできるんやということを定めて、一日も早い供用をお願いしたいなというふうに思います。 時間も押していますが、ちょっと西環状のことでお話をしておきますと、西環状道路は今、国府町から百九十二号、それから徳鴨線というんですか、そこから北に向かって飯尾川のところまで九百メートルぐらいのところが約九割方、用地買収ができとるというんですね。ですから、八百メートルぐらいは用地買収が終わっていると。 ここは今何をしているかといいますと、美馬教育長も御存じかもわかりません。埋蔵文化財調査というのをしています。これ実は今のままでいきますと四、五年かかると。これ、もっともっと人の増強を考えていらっしゃいますでしょうけど、来年度からもっともっと増強しないと、四、五年の間は何もさわれないということになりますので、その辺は心にとめていらっしゃると思いますが、ぜひともよろしくお願いしたいというふうに思います。 それでは、時間も本当になくなりましたので、原稿を用意していますので、ちょっと原稿を見ながらピッチを速めたいというふうに思います。 それでは、後半の質問に移ります。 最近、新聞やテレビのニュースでIoTという言葉に触れる機会がふえてきたように思います。IoTは、インターネット・オブ・シングスの略で、モノのインターネットと言われており、自動車や家電、ロボット、施設などあらゆるものがインターネットでつながり、情報のやりとりをすることで物のデータ化やそれに基づく自動化が進展し、新たな付加価値を生み出す状態を指すものとされています。 七月には、ソフトバンクグループが、英国の半導体設計の会社ARMホールディングスを買収するというニュースがございました。この買収は、IoT時代の到来を見据えたものと言われており、その買収額は三兆円を超え、日本企業による海外企業の買収では過去最大規模となったという点でも大きな注目を集めたところでございます。 現在、世界では、IoTやビッグデータ、人工知能AIが牽引する社会の変革は第四次産業革命と呼ばれています。十八世紀後半の蒸気機関の発明や機械化、石炭エネルギーの活用が飛躍的に進んだ第一次産業革命、十九世紀後半の電力等の利用により大量生産時代を迎えた第二次産業革命、一九六〇年代からのコンピューター等が牽引する情報革命の第三次革命に続く新たな産業革命と言われております。 我が国においても、日本再興戦略二〇一六において、第四次産業革命の実現を図るため、中堅中小企業におけるIT利活用の促進、円滑なデータ流通の促進、IT基盤インフラ整備等の環境整備を進めていくこととされています。また、ニッポン一億総活躍プランでは、戦後最大の名目GDP六百兆円に向けた取り組みの方向として、世界に先駆けて第四次産業革命を実現するため、産学官の英知を結集し、製造現場など我が国の強みを生かした戦略を官民で共有することとされています。 こうした中で、あらゆるものをインターネットでつなぐ技術、いわゆるIoTの活用は、さまざまな分野で多様な取り組みが進められており、先日もNTTがドイツの会社と連携し、ドライブレコーダーの情報から車の動きを読み取ったり、心拍数を測定できる素材を使って運転手の体調などの情報を読み取ることにより交通事故を防ぐサービスの開発を進めるとの報道がありました。 また、農業分野では、実際に温度や湿度、土壌の水分などの情報をセンサーを通じて取得し、効率的な生産を行う取り組みが進められています。 こうしたIoTの利活用は、私としても、人口減少を初めとする本県の直面するさまざまな課題の解決を図るための有効な手段と考えており、県としてもその取り組みを進めていくべきではないかと考えています。 そこで、県においては、IoT時代の到来を見据え、IoTを活用した地域課題の解決に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、災害遺産についてお伺いいたします。 さきの台風十六号では、県下全域が暴風雨に見舞われ、被災されました皆様には心からお見舞いを申し上げます。そして、今、非常に強い台風十八号がこちらに向かっていますが、県民の皆さん、どうか早目早目の対応で安全を確保していただきたいというふうに思います。 ことしは、全国的に見ますと、四月の熊本地震を初め、先月九月には岩手県や北海道に甚大な被害をもたらした台風十号、これまで地震や台風に安全と思われた地域でも災害は十分に起こり得るということを再認識した年となってしまいました。特に近年は、気候変動の影響で台風が大型化し、集中豪雨も多発しています。また、東日本大震災以降、地震が活動期に入ったとの話も聞くようになりました。 しかし、県民の皆さんは、しばらくの間、身の回りで災害が起こっていなければ、私もそうなんですけども、自分の地域は安全で、大きな災害は来ないと思い込んでいる方も多いのではないでしょうか。物理学、地震学の権威である寺田寅彦先生の言葉にも、「天災は忘れた頃にやって来る」、「災害を正しく恐れる」という言葉があります。県民の皆さんも、自分の地域で起こり得る災害を十分に想定し、日ごろから備えを怠らないという心構え一つで、いざ災害が発生した場合の被害が大きく減少するというふうに思われます。 特に本県は、台風の常襲地帯に位置し、毎年のように洪水被害や土砂災害が発生しています。また、百年から百五十年ごとに繰り返される南海地震により、甚大な津波被害に幾度も見舞われた歴史を有しています。 このため、県内には、洪水の歴史を刻む高地蔵や、津波の様子や被害の状況を記録した地震・津波碑などが全国的に見ても数多く残されていると言われています。特に美波町の由岐地区には、日本最古の津波碑と言われる康暦碑が存在しています。 しかし、せっかく先人たちが次の世代のためにと残してきた貴重な災害遺産について、その意味や存在すら知らない人が数多くいらっしゃるのではないでしょうか。これは我が会派の西沢議員も口を酸っぱくしておっしゃっておられます。隣の重清議員も、口を酸っぱく言われていることでもございます。 そこで、これらの災害遺産を多くの方に知っていただき、一人一人が過去の教訓に学んで意識を高めていくことができれば、県全体の防災力が大きく向上するのではないかと考えています。 そこで、お伺いいたします。 本県にある貴重な地震・津波碑など災害遺産に関し、県民への周知や後世へ伝えていくことで防災意識の向上につなげていくべきだと考えますが、御所見を、知事、お伺いいたします。 次に、都市部における交番機能の強化についてお伺いいたします。 徳島市南末広町に、来春、大型商業施設イオンモールの開業が予定されており、現在、着々と建設工事が進められています。また、沖洲マリンピア地区においては、耐震岸壁の整備に伴い、フェリーターミナルビルが移転整備され、東京、北九州を結ぶ船便の運用も始まっているほか、平成三十二年三月末までには徳島東インターチェンジの供用も予定されています。 人の流れが市街地から郊外へと移りつつある中、沖洲地区とその周辺地区は、交流人口が大幅に増加するというふうに見込まれる地域となっています。近隣住民は、こうした地域の発展を歓迎する一方で、人や車の往来が活発化することによる交通渋滞はもとより、事件、事故が多発するのではないかという強い不安を覚えています。これは、過去、末広・万代地区に大型店舗が出店するなどした際、周辺道路が混雑し大渋滞を招いたことや、夜間には暴走車両の集まりや少年のたまり場となったことなど、苦い経験を踏まえたものであり、また県外での出来事とはいえ、本年六月に北海道釧路のイオンモールにおいて発生した無差別殺人事件の記憶も新しいところとなっています。 このような中、沖洲地区では、平成十九年四月に廃止された沖洲交番の再設置を求める声が高まっているところでございますが、県警察が今春公表した組織体制の見直し等の大綱方針には、地域の情勢を踏まえた交番、駐在所のあり方の検討として、都市部における交番機能の強化が盛り込まれております。 そこで、警察本部長にお伺いいたします。 まず、大綱方針に盛り込まれています都市部における交番機能の強化とは具体的にどのような内容のものが検討されているのか、また他県の県警察においては大型商業施設に警察官立ち寄り所を設け警察官を配置しているところもあるというふうに聞いておりますが、イオンモールへの立ち寄り所の設置を含め、治安情勢の大きな変化が予想される沖洲地区とその周辺地区における治安対策、交通安全対策についてどのように取り組んでいるのか、あわせて御所見をお伺いします。 最後になりましたが、アクティブラーニングについてお伺いいたします。 中小企業白書二〇一四によりますと、これには前置きがあるんですが、統計の性質が異なるためという前置きがありますが、単純比較はできないということでありますが、日本における企業の開業率を欧米諸国と比較しますと、日本は半分またはそれ以下である、特に若者における起業が低いというふうにされています。また、日本の若者は、企業、会社に就職しても--公務員さんは会社ではないですが--企業に就職しても、みずから積極的に仕事に取り組み改善を図ろうという精神に欠けているとも言われています。 変化の激しい現代社会を生き抜いていくためには、困難にぶつかっても挑戦し続け、みずからの未来を切り開いていこうという人材の育成が欠かせません。そのためには、学校教育において、主体的に学び、みずから考え、みずからの考えを表現できるような子供を育てる必要があります。 課題の発見と解決に向けて主体的、協働的に学ぶ学習、いわゆるアクティブラーニングが有効な学習方法であると言われています。学習指導要領は平成二十八年度末に全面改訂され、アクティブラーニングは平成三十二年度の小学校を皮切りに、中学校、高等学校へと段階的に本格実施となる予定です。 先々月八月一日の中央教育審議会の審議まとめによりますと、次期学習指導要領では、小学校から高等学校において、学習の指導方法としてアクティブラーニングが明示され、改訂の大きな目玉の一つとされています。 アクティブラーニングとは、教師による一方的な講義形式の教育とは異なり、自分で調査したりグループで討論して意見をまとめたり発表したりすることを通じて、社会に出てからも役立つ汎用的能力を同時に身につけさせるという教育方法です。従来までの学習指導要領は、教科ごとの目標と内容が明示されていましたが、今回は、アクティブラーニングを導入するということによって指導方法にまで踏み込んだものとなっているというのです。これまでの学習の指導方法が大きく転換するものと私は理解しております。 そして、こうした取り組みが学習現場で効果的に実践されることが重要なことは言うまでもありません。幸いにも、本県には教員養成専門の大学である鳴門教育大学が存在し、既に一部連携を始めているというふうに伺っておりますが、より強力に連携を図って取り組みを進めていくべきだと考えています。 そこで、お伺いいたします。 次期学習指導要領の本格実施に向け、アクティブラーニングの普及定着にどのように取り組むのか、教育長の御所見をお伺いいたします。 御答弁をいただき、まとめに入りたいというふうに思います。   (飯泉知事登壇
    ◎知事(飯泉嘉門君) まず、IoTを活用した地域課題の解決に向けてどのように取り組んでいくのか、御質問をいただいております。 IoT、インターネット・オブ・シングスや、ビッグデータ、人工知能は、地域の住民、企業、行政が、データの利活用による住民サービスの充実、地域における新たなビジネス、雇用創出などのメリットを具現化し、地域課題の解決を図るための効率的、効果的なツールとして、大いに期待がなされているものであります。 このため、国では、地域IoTの実装として、IoTを活用した実証実験、その成果を日本全国の地域に波及させるため、産業界の代表者や有識者で構成されます地域IoT実装推進タスクフォースを設置いたしたところであります。このタスクフォースでは、地域IoTを全国に横展開するためのロードマップの策定、ロードマップの実現に向けた推進方策や新たな課題への対応について検討することとされております。 私も、都道府県の代表として構成員の一人を務めることとなり、去る九月二十九日に開催された第一回会議におきまして、地域IoTを実装するに当たりましては、まずマイナンバーカード基盤を十分に利活用すること、国全体の成長戦略とするため、大都市部中心ではなく大都市部と地方双方において実装を行うこと、平時と災害時をシームレス、つなぎ目なくつなぐシステムとすることなど、地域IoT実装への期待を申し上げたところであります。 県といたしましても、IoTの利活用を積極的に進めることは、人口減少を初めとする本県が直面するさまざまな課題解決を図るための有効な手段である、このように認識いたしております。 そこで、IoT時代の到来を見据え、IoTの利活用による地域課題の解決方策について検討を進めるため、今月中にも、若手職員から成るIoT利活用推進検討チームを設置いたします。検討チームでは、IoT技術を研究する若手学者の皆様方にも参加をいただき、専門的見地からアドバイスをお伺いし、事業化や推進体制の整備も視野に入れた具体的な検討を進めるとともに、検討の中で明らかとなった課題については、その解決に向け、国のタスクフォースにおきまして積極的に政策提言を私みずからが行ってまいります。 世界を巻き込む第四次産業革命の潮流をしっかりと捉え、IoTの利活用による地域の課題解決を図ることによりまして、IoTが開く徳島の新未来の実現に全力で取り組んでまいります。 次に、災害遺産を活用した防災意識の向上について御質問をいただいております。 本県では、日本最古と言われている津波碑康暦碑、洪水の痕跡を示す高地蔵など、数多くの災害遺産が県内各地に点在しており、これらの遺産に刻まれた歴史、特に災害の歴史を県民の皆様方お一人お一人が正しく御理解をいただき災害に備えていただくことは大変重要な取り組みである、このように認識いたしております。 こうしたことから、県では、昭和南海地震から七十年を迎える本年、防災メモリアルイヤーと位置づけ、自助、共助、公助一体となった防災力の強化と、あらゆる世代の防災意識の向上を目指し、重点的な啓発活動を展開いたしているところであります。この一環として、過去の歴史に学ぶことをテーマといたしまして、安政南海地震の被害の様相を記録した松茂町の地震津波碑の見学会、県南地域の地震津波碑をめぐるフィールドワークをこれまで開催いたしてきたところであります。 今後は、津波の歴史について認識を深めていただきますための昭和南海地震七十年フォーラムを牟岐町において開催するほか、県立埋蔵文化財総合センターにおきまして、石碑や遺跡に見られる地震や津波の痕跡を紹介する特別企画展を実施いたしますとともに、昭和南海地震の発災日に当たります十二月二十一日には、アスティとくしまにおける七十年行事の中で、地震津波碑の映像紹介を行うことといたしております。 さらには、これら防災メモリアルイヤーの取り組みを一過性のものとしないため、新たに、石碑の由来や意味をわかりやすく解説いたしましたリーフレットの作成、現在、構築中のG空間情報、いわゆる地理空間情報を活用した防災ポータルサイトでの災害遺産の紹介などを通じ、啓発や伝承活動を充実強化いたしますとともに、地震津波碑としては全国初となります国の登録記念物を目指してまいりたいと考えております。 今後とも、災害遺産に刻まれました先人たちの貴重な教訓を学び、これを次世代へと継承することで、県民の皆様方に常に高い防災意識を持ち続けていただき、あらゆる大規模災害を迎え撃つ県民総ぐるみ体制をしっかりと構築いたしてまいります。   (鈴木警察本部長登壇) ◎警察本部長(鈴木信弘君) まず、都市部における交番機能の強化についての御質問でありますが、ここ数年、県内の刑法犯認知件数や交通事故発生件数は減少基調にあるものの、地域ごとの情勢を見ますと、人口の集中化や大型量販店の出店、道路交通網の整備などに伴い、治安情勢が大きく変化している地域も認められるところであります。 県警察におきましては、こうした管内情勢の変化に的確に対応するため、平成十六年には、警察署及び交番・駐在所の配置と管轄区域の見直し計画を策定し、県内三十カ所の交番、駐在所の統合を進めたほか、平成二十一年には、急激に変化する板野警察署の管内状況を踏まえ、二つの駐在所を統合し、新たに交番を整備したところであります。 このように、地域の触覚となる交番や駐在所については、これまでにも管内情勢等の変化に応じて弾力的な設置運用に努めてきたところであります。また、本年四月に公表いたしました組織体制の見直し等の大綱方針においても、交番、駐在所等の施設整備のあり方として、その地域における将来の人口の推移や治安情勢を慎重に見きわめ、そのあり方や整備手法を検討することとしており、特に市内中心部の交番については、新たに施設を建築する従来の方法から、財政負担をも考慮しつつ、治安情勢に応じてフレキシブルに設置、運用することが可能なテナント方式へシフトすることも想定しております。 次に、沖洲地区とその周辺地区における治安対策、交通安全対策についての御質問でありますが、沖洲地区やその周辺地区の住民の方々からは、大型商業施設の開業に伴い交通渋滞が生じるなど、市民生活にも大きな影響を及ぼすのではないかと懸念する声が高まっているものと承知しております。 このため、県警察では、計画の早期段階から、道路管理者と、駐車場の出入り口や車の流れについて協議を重ねるとともに、事業者に対しても、駐車場の誘導対策やシャトルバスの運行など、渋滞緩和に資する各種対策について申し入れを行ってきたところであります。開業後においても、周辺の交通の状況をつぶさに検証し、信号機のサイクルの見直しや事業者に対する指導等により、安全で円滑な交通環境の確保に努めてまいりたいと考えております。 また、大型商業施設には大勢の来店客が見込まれ、万引きや自転車盗などの犯罪や非行少年の蝟集なども懸念されることから、施設には、県内では初となる警察官立ち寄り所を設けることとしております。立ち寄り所は、専用の事務室と駐車場の設置を予定しており、ここを拠点として、警察官によるパトロール活動やパトカーの駐留警戒など、目に見える形で活動を行い、施設内はもとより、周辺地域における安全・安心の確保に万全を期してまいりたいと考えております。   (美馬教育長登壇) ◎教育長(美馬持仁君) 次期学習指導要領の本格実施に向け、アクティブラーニングの普及定着にどのように取り組むのかという御質問でございますが、子供たちが新しい時代を生き抜くために必要となる資質、能力を育成するためには、子供たちがどのように学ぶかに着目して、学びの質を高めていく必要があり、主体的、対話的で深い学びの実現を目指したアクティブラーニングの視点からの授業改善や指導方法の充実が求められているものと認識しております。 本県では、昨年度から、鳴門教育大学と連携協力し、徳島市国府小学校、不動小学校、不動中学校においては、ペア学習やグループ学習を多く取り入れ、児童生徒が活発に意見を出し合いながら考えを深めて発表するような授業実践を進めております。 また、県立川島中学校・高等学校では、国の事業を活用し、ホワイトボードを使って意見交換や発表を効果的に行う実践研究に取り組んでいるところでございます。その中において、児童生徒の表現力が向上した、主体的に問題を解決しようとする態度が身についたといった報告がなされております。 さらには、今年度、本県が四国で唯一、国による新たな学びに関する教員の資質能力向上プロジェクトの推進地域として委嘱を受け、国の機関である次世代型教育推進センターに教員一名を派遣して、教員を対象としたアクティブラーニングに関する研修プログラムの開発に取り組むとともに、城ノ内中学校・高等学校を実践フィールド校として検証を行っております。この事業を通じて開発した研修プログラムは、今後、全国の教員研修に活用されていくこととなり、派遣した教員には、本県のアクティブラーニング研修の中核的指導者としての役割を担ってもらうこととしております。 県教育委員会といたしましては、今後、これらの実践研究を初めとする取り組みの成果をあわ教育発表会や学力向上推進員研修会などの機会を通じて広く普及し、鳴門教育大学との連携をさらに緊密にしながら、平成三十二年度から始まる次期学習指導要領の本格実施までに全ての学校においてアクティブラーニングが定着するよう、しっかりと取り組んでまいります。   (岸本議員登壇) ◆十三番(岸本泰治君) ただいま御答弁をいただきました。 IoT時代、人工知能という言葉が本当に多く聞かれるようになった昨今ですが、さすがに早いといいますか、行政として調査研究チームを立ち上げるということですので、ぜひとも実のあるものにしていただくということで、私も余り知恵はないんですが、協力したいなというふうに思います。 それから、地震津波碑については、国の登録記念物の指定がなされますように、本当にこれがされますと本当にすばらしいことだというふうに思いますので、機会あるごとにこのことを県民の皆様にお伝えいただきたいというふうに思います。私の住んでいる国府町は、吉野川の洪水ということで、高地蔵がたくさんありまして、地震津波碑に限らず、こうした高地蔵もPRしていただきたいなというふうに思います。 それから、本部長のほうからお答えをいただきました渭東地区ですか、沖洲地区、こっちの東のほうは本当にイオンモールができて、マリンピアも非常に今人気のあるところとなっております。交流人口が大幅に、高速道路にもよりますけど、大幅にふえますので、ぜひとも事件事故などの多発地帯というようなことがないように、今もう想定されていますので、ぜひとも手厚く対策をとっていただきたいというふうに思います。 教育長が最後におっしゃっていただきましたアクティブラーニング、これも非常にいい御答弁をいただいたなと私は思っております。ぜひとも子供たちが未来をたくましく切り開いていけるような素養が身につきますように進めていただきたいなというふうに思います。 以上で私の全質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)   ──────────────────────── ○副議長(喜多宏思君) 議事の都合により、休憩いたします。      午後零時四十八分休憩   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    午後一時四十七分開議      出席議員計三十六名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     山  西  国  朗 君     二  番     原  井     敬 君     三  番     島  田  正  人 君     四  番     眞  貝  浩  司 君     五  番     岩  佐  義  弘 君     六  番     高  井  美  穂 君     八  番     上  村  恭  子 君     九  番     須  見  一  仁 君     十  番     岡     佑  樹 君     十一 番     中  山  俊  雄 君     十二 番     元  木  章  生 君     十三 番     岸  本  泰  治 君     十四 番     井  川  龍  二 君     十五 番     南     恒  生 君     十六 番     長  池  文  武 君     十七 番     達  田  良  子 君     十八 番     山  田     豊 君     十九 番     岡  田  理  絵 君     二十 番     岩  丸  正  史 君     二十一番     木  下     功 君     二十二番     寺  井  正  邇 君     二十三番     喜  多  宏  思 君     二十四番     丸  若  祐  二 君     二十五番     木  南  征  美 君     二十六番     川  端  正  義 君     二十七番     黒  崎     章 君     二十八番     重  清  佳  之 君     二十九番     嘉  見  博  之 君     三十 番     来  代  正  文 君     三十一番     岡  本  富  治 君     三十二番     樫  本     孝 君     三十三番     西  沢  貴  朗 君     三十四番     杉  本  直  樹 君     三十五番     臼  木  春  夫 君     三十六番     庄  野  昌  彦 君     三十七番     長  尾  哲  見 君   ──────────────────────── ○議長(嘉見博之君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 三十四番・杉本直樹君。   (杉本議員登壇) ◆三十四番(杉本直樹君) 自民創政会の杉本でございます。会派を代表させていただき、質問をさせていただきます。 本日は、私の地元からもたくさんの方がお見えでございます。ありがとうございます。張り切ってまいりますので、ぜひともよろしくお願い申し上げます。 まず初めに、徳島ならではの地方創生、徳島版特区制度のさらなる進化についてお伺いいたします。 安倍内閣が進めるアベノミクス第二弾の重要な推進エンジンの一つに、国を挙げての規制改革が上げられております。その取り組みの一環として、平成二十六年度から、国家戦略特区である地方創生特区制度がスタートし、現在、全国十カ所が指定されており、徳島県においてもその指定に向けて、飯泉知事を先頭に、粘り強い挑戦を続けておられます。しかしながら、この国家戦略特区指定までに時間がかかり、指定後も、成果を発揮するのに相当な時間がかかっております。 そこで、徳島県では、カモンマニフェストの一丁目一番地に記載した一押しの政策として、昨年度、徳島版地方創生特区制度を立ち上げ、手挙げ方式により、市町村の創意工夫の芽出しや実践を強力に支援しております。昨年十月の第一次指定においては、我が地元那賀町のドローン特区や板野町の新南海道再興戦略特区が選ばれ、また今年度に入ってからは、美波町と石井町の取り組みが二次指定を受け、特色あるまちづくりがスピード感を持って展開されております。 この特区という言葉は、魔法の言葉でもあります。特区と聞くだけで、将来への大きな可能性や将来性を感じ、また住民の皆様にも大きな期待感を抱かせ、夢や希望が広がる不思議な響きがあります。その魔法を現実のものとし、名実ともに特区が規制改革の突破口となり、その成果を全県的に展開していくためには、CCRCや消費者行政など新たな政策課題に迅速に対応する県版特区に進化させていくべきでないでしょうか。 そこで、知事にお伺いいたします。 喫緊の課題に対する市町村の創意工夫を引き出し、大きく育むため、徳島版地方創生特区の募集に際し、CCRCを初めとするテーマ設定を行ってはいかがでしょうか、所見をお伺いいたします。 次に、教育の振興についてをお伺いいたします。 昨年四月に、地方教育行政の組織及び運営に関する法律が改正され、教育委員会制度が大きく改革されました。この改革の主な内容としては、教育行政における責任体制の明確化や、地域の民意を代表する首長との連携を強化といった方向性を柱とし、教育委員長と教育長を一本化した新教育長を設置するとともに、教育委員会が引き続き執行機関としての政治的中立性を確保しつつ、首長と教育委員会が公の場で教育政策を協議、調整する総合教育会議を全ての地方公共団体に設置するといったものであります。 県におかれましては、こうした制度改革にいち早く対応され、昨年度には、知事と教育委員会との連携による総合教育会議を計六回開催するなど、その結果として、昨年十二月に、この新しい教育委員会制度の目玉の一つである徳島教育大綱が策定されたところであります。この教育大綱には、本県教育が取り組むべき課題や教育行政推進の方向性といった理念が明記されるとともに、施策の重点項目として、多様で特色ある能力、個性を伸ばす教育や、キャリア教育、消費者教育、そして新たな成長産業を生み出す教育の推進等が上げられております。 教育委員会におかれましては、ぜひともこうした教育の実現に向けた活力と魅力のある学校づくりに取り組んでもらいたいものと思います。そのためには、大綱を踏まえた細目の施策、事業について、しっかりとした年次計画を策定し、その内容を、学校現場で働く先生方は無論のこと、夢と希望を持ってみずから進路実現に向け頑張っている児童生徒やその保護者の皆さんまで十分に理解していただき、地域と一体となった学校教育活動を展開することが不可欠であると考えます。 そこで、教育長にお伺いいたします。 徳島教育大綱の教育理念を実現、浸透させるために、実効性のある方策として今後どのような取り組みをなさっていくのか、御所見をお伺いいたしたいと思います。 次に、高齢者の消費者被害を防ぐ消費者行政の推進についてをお伺いいたします。 消費者庁等の徳島移転については、去る九月一日、まち・ひと・しごと創生本部において、消費者行政新未来創造オフィスの開設などが決定されました。大変喜ばしいことであり、今後一層、全国のモデルとなる消費者行政の推進を期待いたしますが、さて、今年度七月末までの本県の消費者生活相談の状況を見ますと、六十歳以上の方の相談が全体の三五%を占めるとともに、今年八月末現在の振り込め詐欺の被害者は高齢者が半数を超えております。 本県は、貯蓄額が全国三位と高いことや、高齢化率全国第六位と示すように、独居老人や高齢者のみの世帯が多いことから、都会の詐欺グループや悪質業者に徳島が狙われているのでないかとも考えられます。また、高齢者は、加齢によって判断力が低下するとともに、巧妙化する詐欺やさまざまな悪徳商法に対する知識や対応の方法がわからないことから、被害に遭いやすくなっていることも考えます。 私の住む那賀町では、相談件数の六五%を六十歳以上の方が占めております。高額な健康食品を買わされたが、返品したい、お金を返してほしい。また携帯電話の料金が今より安くなると言われ、料金プランを変更したら、前よりも高くなったのでどうかしてほしいといったような相談が寄せられております。 しかし、これは氷山の一角で、被害に遭った方の中には、相談することで個人情報が漏れないかとかという心配をする人もいます。特に、家族に知られることを嫌がります。万が一、息子にでも知られようものなら、あほか、何しよんなと、親の威厳が傷つけられるので、運が悪かったと泣き寝入りする方も大勢いるようでございます。 被害を受けた方は、老後の生活や、子供、孫のためと思いこつこつとためてきたお金を巧みにだまし取られ、あすからどうやって暮らしていこうかと大変なショックを受けています。高齢者の消費者被害対策を進めるに当たっては、被害者のプライドやプライバシーに配慮した質の高い消費者生活相談が住まいの身近で受けられる体制の整備と、被害に遭わないために、高齢者に寄り添った地域での見守りや啓発活動を強化していくべきでないでしょうか。 そこで、お伺いいたします。 高齢者の消費者被害を防ぐため、今後どのように消費者行政を推進していくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、中山間地域における治安対策についてをお伺いいたします。 県警察は、本年の四月、管内の治安情勢が大きく変化している徳島市やその周辺地域の警察署の統合などを柱とする組織体制の見直し等の大綱方針を公表されました。 これは、一昨年春に行った県西部四署の統合において、管内の事件、事故の減少や重要事件の早期解決につながったなど一定の成果があったことや、今後ますます県内の人口の集中化が進むことを踏まえたものであると説明を受けておりますが、またこの方針では、徳島市やその周辺地域の警察署はもとより、引き続き残る小規模の統合についても検討するとされており、県南部の那賀署や牟岐署は署員数が五十人に満たない警察署であり、少子高齢化に相まって犯罪も減少していることから、統合の対象になると思われます。 しかしながら、過疎地になったからといって、人がいなくなるわけではありません。高齢者の多くは、制服警官の姿を見たり、自宅を訪れてくれることにより、安心感が高まることも確かであり、こうした方々に対しても光を注ぐような施策が重要であると考えております。 そこで、警察本部長にお伺いいたします。 県南部の那賀署や牟岐署の統合についてどのように考えているのか。統合ということであれば、過疎化や高齢化が懸念される中山間地域においてどのような体制を整備し、どのような役割を担っていくのか。御所見をお伺いいたします。 御答弁をいただき、質問を続けていかせていただきます。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 杉本議員の御質問に順次お答えをさせていただきます。 まず、徳島版地方創生特区について御質問をいただいております。 東京一極集中を是正し、地方創生を実現していくためには、従来の画一的な制度に縛られない、地域の創意工夫を生かした実践的なチャレンジが不可欠であります。 本県では昨年、地域のことは地域で実践を合い言葉に、市町村からの事業提案に対し、規制緩和や財政措置、そして関係機関との調整を図るコンシェルジュ機能によりパッケージで支援する徳島版地方創生特区を創設し、既に四町の指定を行ったところであります。 昨年度指定の二町のうち、ドローン特区の指定を受けた那賀町では、ドラマ制作やレース開催という斬新なアイデアを実践され、地域活性化につなげるとともに、政府初の貨物輸送実験や林業の木材搬出用架線実験など、全国モデルとなる活用策を次々と発信されているところであります。 また、板野町では、国の補助を受けた町の施設について、県が国との調整役を果たし、補助金返還なく施設利用の弾力的運用が可能となった結果、コールセンターの誘致が実現し、先月十九日、開所に至り、早速五十名の新規雇用が生み出されたところであります。 さらに、本年度指定の二町につきましても、六次産業化を活性化の鍵とする石井町では、核となるアグリサイエンスゾーンにおいて、研究用豚舎の運用開始や、種苗会社との協定締結など、着々と環境整備が進められ、七月には、今後の具体的展開へ、地域団体や農業者から成る協議会が設立されたところであります。 そして、歴史文化の力によるまちづくりを基軸とする美波町におきましては、赤松座の百年ぶりの復活に向けまして地域住民とともに復活公演を行う徳島文理大学が、地域の活動拠点として七月にサテライトオフィスを開設し、私も立会人を務めさせていただき、町との間で包括連携協定の締結が行われたところであります。 第一次指定からわずか一年足らずで数々の成果を上げている県版特区について、これらにとどまることなく、今後より一層、徳島の礎となる政策創造に向け制度の進化を図りますためには、議員からも御提案のように、新たなテーマ設定が有効である、このように認識するところであります。 具体的に申し上げてまいりますと、地域の創意工夫を引き出し育んでいく現行の市町村提案型に加えまして、新未来創造に向け今こそ挑戦すべきテーマを県が設定し、課題解決へと先導的な知恵と意欲を示す市町村を県を挙げて支援する、まさに課題解決先導型とも言うべき県版特区の新たな募集枠を創設したいと考えております。 戦略的なテーマといたしましては、消費者行政新未来創造オフィスの設置が決まり、今、徳島が大いに期待される中、全国をさらに先導していく消費者行政、消費者教育、これらの推進、本県が政府へ提唱し、今や国の地方創生の重要な柱となりました生涯活躍のまちづくりといった項目を念頭に置いているところでありまして、今後、県版特区の選定に当たりましては、その有識者の皆様方と、制度の位置づけや募集方法を含め、早期にその詳細を決定したいと考えております。 今後とも、「知恵は地方にあり!」発祥の地徳島として、新たに進化を遂げるこの県版特区を最大限活用し、市町村と一体となって、地方創生をこの地徳島から実現していくことができますよう、全庁の英知を結集し、積極果敢に取り組んでまいります。 次に、高齢者の消費者被害防止について御質問をいただいております。 年金や貯蓄など大切な財産を狙った悪質商法や特殊詐欺など、高齢者を中心に深刻化する消費者被害の防止は、健全な社会、経済の発展を進めていく上で極めて重要な課題である、このように認識いたしているところであります。 これまで県では、地域の消費者リーダーを養成する消費者大学校大学院の創設、消費者と行政をつなぐくらしのサポーター阿波の助っ人によります消費者の見守り活動、消費者問題解決力を有する消費生活コーディネーターの養成など、本県独自、そしてこれらは国の制度ともなっているところでありまして、その取り組みを積極的に推進してきているところであります。 高齢者の消費者被害の特徴といたしましては、お金や健康、孤独などへの不安に乗じて、必ずもうかる、健康に効く、病気が治るなど、言葉巧みに親切な人を装う手口が横行しているところであります。また、被害に遭われた方々の中には、だまされている意識がない、被害に遭ったことを知られたくないなどの理由から、だまされやすい人と、こうした不届きの面々から見られ、何度も狙われる事案が発生しているところであります。 特に近年、高齢者の皆様方が被害に遭う割合が上昇していることを踏まえまして、昨年度から、徳島県消費者協会と連携した振り込め詐欺防止県下統一キャンペーン、消費生活コーディネーターを核といたしました敬老会や自治会での消費者被害防止講座など、啓発活動や消費者教育を強化しているところであります。 さらに、議員からもお話しのとおり、高齢者の皆様方の消費者被害を防止していくためには、お一人お一人に届く呼びかけ運動、高齢者に寄り添う地域の見守り活動、また相談者のプライバシーに配慮した地域での相談体制の充実強化が重要である、このように認識いたしております。 このため、新たに、ケーブルテレビを利用した振り込め詐欺や架空請求の被害防止CMの放映、地域包括支援センターや民生委員との連携による一体的な見守り、身近で安心して相談ができる市町村消費生活センターの設置の促進など、県下隅々まで高齢者の消費生活を守る取り組みを進めてまいる考えであります。 今後とも、県、市町村、消費者協会を初め、まさに県民総ぐるみで、高齢者の皆様方が誇りと自信を持って安心して暮らせる社会の実現にしっかりと取り組んでまいります。   (美馬教育長登壇) ◎教育長(美馬持仁君) 徳島教育大綱の教育理念を実現、浸透させるための取り組みについての御質問でございます。 昨年十二月に策定いたしました徳島教育大綱では、徳島の未来を切り拓く夢あふれる人財の育成を基本方針として、地方創生を実現する徳島ならではの教育を初め、誰もが主役として輝く教育、世界への扉を開く教育を重点項目に上げ、社会情勢の変化にも的確に対応できる人財の育成を目指しております。とりわけ、本県が直面する人口減少社会への対応では、チェーンスクール、パッケージスクールといった徳島発の小中一貫教育の実践や、二地域居住を促進するデュアルスクールの試行など、徳島ならではの学校づくりに全国に先駆けて取り組んでおります。 こうした中、議員御提案の、教育大綱の理念を踏まえた個々の施策について、目標達成までのマイルストーンを描いた上で、学校、家庭、地域のみならず挙県一致の体制で教育活動を展開することは、地方創生の実現を目的とした県や市町村の若者定着の施策とも相まって、徳島の未来を支える担い手の育成をより確かなものにすると考えております。 そこで、教育大綱の行動計画として、大綱の基本方針や国におけます次期教育振興基本計画の策定動向を踏まえるとともに、今後の人財育成に欠かせないグローバル教育や消費者教育、さらには発達段階に応じたキャリア教育などの推進に向けた処方箋となる新たな教育振興計画の策定に早急に着手したいと考えております。 また、当計画の策定に当たりましては、徳島県教育振興審議会を設置し、学識経験者や教育関係者など県内各界各層からの幅広い御意見をいただきながら、一歩先の未来を見据えた課題解決型の実践的な計画とするとともに、明確な成果指標に基づくしっかりとした効果検証を行うことにより、この計画の実効性を高めたいと考えております。 今後とも、子供たちの笑顔があふれ、みんなが輝く徳島の実現に向け、知事と教育委員会の緊密な連携のもと、徳島の教育力を結集し、創意工夫を凝らした教育の実践にしっかりと取り組んでまいります。   (鈴木警察本部長登壇) ◎警察本部長(鈴木信弘君) まず、那賀署及び牟岐署の統合についてどのように考えているのかとの御質問でありますが、県警察では、一昨年の春、六十年ぶりに県下の警察署の体制を見直し、署員数が五十人以下のいわゆる小規模署四署を二署に統合した結果、抑止と検挙の両面で大きな成果が上がっているところであります。 県内ではここ数年、事件、事故は減少基調にありますが、ますます広域化、スピード化する犯罪や、認知のときから常にその動向に注意を払う必要のあるDV・ストーカー事案への対応など、警察の業務や県民の警察へのニーズは多様化しているところであります。 しかしながら、小規模署においては夜間休日の体制が脆弱であり、緊急の事案に的確に対応できないおそれがあることや、本署勤務員の不足を駐在所員で補っており、慢性的に駐在所が不在となる一つの要因となっていることなど、さまざまな課題を抱えているところであります。御質問の那賀署及び牟岐署についても、こうした小規模署特有の問題を抱えており、これを解決するためには、統合によるスケールメリットを生かした組織づくりが必要不可欠であると考えております。 県警察においては、現在、組織体制の見直し等の大綱方針を具現化するための計画を策定中でありますが、那賀、牟岐両署のあり方についてもこの中であわせて検討してまいりたいと考えております。 次に、過疎化等が懸念される中山間地域においてどのような体制を整備し、どのような役割を担っていくのかとの御質問でありますが、ここ数年、両警察署管内における事件、事故の発生件数は大きく減少しております。しかしながら、毎年のように豪雨による大きな被害が発生しているほか、近い将来、発生が懸念されている南海トラフ巨大地震では甚大な被害が想定されているなど、引き続き、有事における警察力の確保が重要であると認識しております。 また、両署とも、高齢者世帯が点在する山間部を管轄しており、県警察では、こうした地域にお住まいの方々に安全・安心を実感していただけるきめ細やかなサービスの提供が必要であると考えております。 こうしたことから、本年九月から新たな取り組みといたしまして、駐在所や自治体等と連携を図りつつ、警察本部の警察官がラッピングバスにより山間部の高齢者宅などを訪問し交通安全や特殊詐欺防止の呼びかけを行う情報発信活動を開始したところであり、県警察といたしましては、引き続き、組織体制の見直しにあわせ、地域の特性やニーズを踏まえた新たなソフト事業を展開するなど、地域住民の方々に広く安心を感じていただけるような取り組みを進めてまいります。   (杉本議員登壇) ◆三十四番(杉本直樹君) 時間が押してきました。海野副知事さんの御努力をよろしくまたお願いいたします。 それぞれ御答弁をいただきました。 県版特区制度については、知事から、さらなる高みを目指し制度を進化させるという力強い決意を示していただきました。今後とも、県民目線や市町村目線を大切にして、県民の暮らし向上という具体的な成果を目指し、県版特区制度の進化と実践に県を挙げ取り組んでいただきたいと思います。 教育の振興については、新たな教育振興計画の策定について御答弁をいただきました。今後、全国に誇れる徳島ならではの計画となるよう期待いたしますとともに、特に学校現場の教員の皆様に対し、その内容の周知徹底を図り、教育活動に生かされることを要望しておきます。 消費者行政の推進については、消費者被害に遭いやすい高齢者の多くは、老人クラブの活動などに参加していないなどの理由から、注意喚起などの情報が十分に届いていないのではないかと考えています。ぜひともお一人お一人に確実に届く被害者対策を進めていただくようお願いいたします。 中山間地域の治安対策については、警察官がラッピングバスで高齢者住宅を戸別訪問するという活動を始めたという御答弁をいただきました。私は、過疎地と都市部と同じ政策では無理があると思っております。過疎地は既に福祉の社会になっております。よくお考えいただきたい。 それでは、質問を続けてまいります。 林業の振興について二点お伺いいたします。 まず、林業の人材育成と県産材の利用促進についてをお伺いいたします。 今の山を見ますと、戦後に造林された杉の過半数が五十年生を超え、本格的な伐期に達しております。 このたび県では、県産材を六十万立方まで増産する計画として新次元林業プロジェクトを推進しており、これにはまずは木を切り出す仕事師初め、山で働く若い人を育成することが重要だと、これまでたびたび訴えてまいったところでございます。このかいもございまして、人材育成では、本年四月に那賀高校に森林クリエイト科が新設され、久々に私の地元で林業を学ぶ高校生が二十人も誕生したことを何よりも大変うれしく思っております。今から卒業してくる三年後が楽しみでもあります。 また、この四月、徳島大学には、三十年ぶりの新学部である生物資源産業学部ができ、さらにはとくしま林業アカデミーが新たに開講となり、早速、十一人の第一期生が、即戦力となるよう、日々研修に励んでいると聞いております。 このように、今年、林業を学ぶ新しい道が同時に三つも開けたことは大変喜ばしい限りでございます。今後、ここで学んだ若者に大きな期待を申し上げるとともに、若い力で一刻も早く山の人手不足の解消、林業の力強い発展につながるよう、高校、大学、アカデミーは互いに連携を強化し、一致協力した人材育成をしっかりとお願いいたしたいと思います。 一方、こうした新たな人材が安心して林業に就業し、その力を存分に発揮し、将来にわたって林業で活躍してもらうには、県産材の需要量を大幅にふやし、その需要量を確実に継続していく社会になるよう、県産材の利用促進を強力に進める必要があります。 本県では、全国に先駆け、平成二十四年十二月に県産材利用促進条例を制定し、外材から県産材への転換や公共事業での県産材の率先利用を進められ、これまでに国、県、市町村の支援や関係業界の努力で、現在、県産材は年間三十万立方を上回るようになり、木材の自給率も五割を超すようになってまいりました。 このように、徳島県では、他県をリードする取り組みを行い、多くの県産材が使用されるにもかかわらず、いまだ木材単価は安く、私は残念ながら、森林所有者が、これはこれだけになれば価格が上がれば一丁うちも木を切ってみようかとはならず、県産材の増産を進める障害になってくるのでないかと心配いたしております。 このため、ぜひとも自給率を七割以上に引き上げ、県産材に価格の主導権を取り戻していきたいと考えております。これまでの製材用や合板用、木材チップ用、それぞれの用途において、まだどの部分においてもちょっとずつ足りない。県産材の利用をあと一歩高めていただく必要があろうかと思っております。 私は、本年、林業は新たな人材育成が始まり、今後とも、よりよい人材育成を進めるとともに、新たな人材が生まれるこの時期を絶好の好機として捉え、これから県産材の利用促進においては、量をふやすことはもちろん、その価格も重要であることから、より付加価値を生み出す新たな木材利用が求められており、大学や企業の研究開発の活用など、未来へ続く県産材の利用を確立することが林業の成長産業化に絶対必要なことと考えております。 そこで、お伺いいたします。 林業の成長産業化を図るため、人材育成の強化と県産材の利用促進をどのように進めていくのか、御所見をお伺いいたします。 続いて、具体的な県産材の販路拡大についてをお伺いいたします。 日本はこれから人口減少社会が予想されるようになり、今後の木材需要については、残念ながら、最大の木材需要先である木造住宅の市場が次第に縮小していくと言われております。このため、県では、より広い分野で県産材を使ってもらえるよう、条例に基づき、とくしま木材利用指針を定め、店舗や事務所の木造化や、家具や建具など本県の得意な木工分野を初めとした住宅以外の分野での県産材利用の拡大を進められております。 このように、県産材を使う分野を、さらに歴史や気候風土など、徳島県を生かす販路拡大を県外、海外へ展開すべきと考えます。 そこで、お伺いいたします。 県産材の販路を拡大するため、県外や海外においてどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたしたいと思います。 次に、那賀川関係について幾つかお尋ねいたします。 最初は、長安口ダムの周辺にあるもろもろの施設の有効活用についてであります。 長安口ダム改良事業は平成三十一年度に完了しますが、工事に必要な資材の組み立て、運搬のために設置された仮設構台は、工事完了とともに撤去されることとなっております。また、長安口ダムの貯水池周辺には、ダム直下流で工事中の減勢工への工事用道路や、坂州木頭川沿いの移転済み宅地や出合大戸バイパスの完成に伴い旧道となる国道百九十三号の出合橋など、今後有効活用ができる可能性がある施設が数多く点在しております。 私は、一例として、湖面に張り出した仮設構台を事業終了後も設置させて有効活用するなど、こうした施設に光を当て、地方創生につながる検討を行ってはどうかと御提案をさせていただきます。 そこで、まずお伺いいたしますが、長安口ダム改良工事で使用中の仮設構台などの施設について、地方創生の観点から、那賀川上流域の振興に役立つ施設として有効活用を検討すべきと考えますが、御所見をお伺いします。 次に、那賀川上流の治水対策についてをお伺いいたします。 那賀川上流域においては、平成二十六年、二十七年と二年連続で大規模な浸水被害に見舞われました。甚大な被害が発生したところであります。 県においては、既に和食・土佐地区で床上浸水対策特別緊急事業に取り組んでいただいておりますが、当地区の河川整備は喫緊の課題であり、住民の方々に安心して暮らしていただくためには、一日も早い着工をしていただく必要があります。また同時に、浸水被害を受けた出原や平谷地区でも河川改修を進めていただいており、感謝申し上げる次第でございますが、それ以外に阿井や相生地区などでも対策を進めていただく必要がございます。 一方、長安口ダムにおいては、国直轄管理になって以降、ダンプ運搬により堆砂を下流河川へ還元する取り組みが継続されておりますが、この堆砂除去は、ダムの改造事業が完了する平成三十一年度までであると聞いております。 私は、長安口ダムの治水・利水機能を将来にわたり維持していくには、堆砂の除去を切れ目なく継続し実施する必要があり、そのためには仕組みづくりについて早急に取り組む必要があると考えております。 また、四国電力が管理する小見野々ダム上流では、海川谷川沿いの山腹崩壊に起因して急激に河床が上昇したため、私の膝元である海川地区では浸水被害が頻発しております。 私はこれまで、ダム管理者の四国電力や河川管理者である国や県と連携し、那賀川流域における総合的な土砂管理の視点に立った堆砂対策に取り組んでいくよう提案し、県御当局にも相当努力していただいているところでありますが、残念ながら、現地の状況を見ますと、十分な改善には至っておりません。沿川住民は、少しでも雨が降ると避難するという不安な毎日を過ごしております。 そこで、お伺いいたします。 和食・土佐地区を初めとする河川整備の状況についてお伺いするとともに、長安口ダム改造事業に続く恒久的堆砂対策の事業着手に向けた取り組みと、小見野々ダムを含めた那賀川総合土砂管理計画の策定見通しについて、御所見をお伺いいたします。 最後に、那賀川の河川環境についてをお伺いいたします。 私は、地元の強い要望を受け、昨年十二月の本会議で、川口ダムの魚道設置について質問させていただきました。企業局長さんからは、多角的な視点での検討を進めたいとの御答弁をいただきました。答弁を受け、私からは、まずは川口ダムの魚道設置に対し、地元の方々と膝を交えた話し合いを行っていただきたいことを強く要請いたしました。 去る九月十七日には、水生生物の専門家である徳島大学大学院の浜野龍夫教授を地元にお招きし、川口ダムの魚道についてを題とした研修会を開催するなど、いろいろと勉強も続けてきました。 地元の方々の願いは、八月二十三日に開催された那賀川総合土砂管理検討協議会で那賀川上流漁業協同組合の方々から要望があったように、魚が豊富で豊かな河川を取り戻すことであります。 既に、川口ダムから長安口ダムの間は、河川環境用水の増量や砂利投入による水辺環境の復元など、河川環境は改善されつつあり、今後、長安口ダムに選択取水施設が設置されれば、川の濁りは少なくなります。 私は、このような取り組みをより一層効果的にするためにも、この機会に、生態系にも配慮した、魚が上がりやすい河川として取り組む必要があると考えております。 そこで、お伺いいたします。 川口ダムの魚道設置を初めとする那賀川上流域の河川環境改善について、これまでの検討状況を御説明いただくとともに、今後どのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 御答弁をいただき、まとめに入らせていただきたいと思います。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 最初に、林業について二点御質問をいただいております。 まず、林業の成長産業化を図るため、人材育成の強化と県産材の利用促進をどのように進めていくのかであります。 本県の豊かな森林を活用し、林業の成長産業化を図るため、県におきましては、即戦力となる林業人材を育成するとくしま林業アカデミーを本年四月に開講いたしますとともに、県産材の利用を促進いたします木材利用創造センターにおいて、準不燃木材や耐震シェルターなど新たな技術や用途の開発に取り組んできているところであります。 議員からもお話がありましたように、本県林業を担う新たな人材が安心して就業することができますよう、合板や木材チップの旺盛な需要に対応する県産材の増産、増加が見込まれる大径木を原料とする建築材の利用拡大、新分野での利用促進に加え、新機能の開発による付加価値向上などによりまして、林業経営をしっかりと支えていくことが重要である、このように認識いたしております。 そこで、県、徳島大学、鳴門教育大学、徳島森林づくり推進機構、そして徳島県建築士会の五者が、林業の成長産業化及び関連産業の振興に関する協定を今年中に締結し、産学官の連携によりまして、木材利用創造センターを中核とするフォレストサイエンスゾーンを構築し、人材育成の拡充、県産材利用のさらなる促進、研究開発の強化を戦略的に推進いたしてまいります。 具体的に以下申し上げてまいりますと、女性を含め林業人材のさらなる増加を目指す林業アカデミーの拡充や、高校、大学への実習研究施設の開放、木造に秀でた建築士を養成いたします木造建築学校新人養成コースの新設、木材を原料とし金属を上回る強度を持つセルロースナノファイバーの実用化など、お互いの強みを生かした取り組みを一体的に推進いたしてまいります。 今後は、五者の連携を深化させ、フォレストサイエンスゾーンを林業の知とわざの集積拠点とすることによりまして、高度な知識と技術を備えた人材を育成するとともに、県産材の新たな価値を創出することで、林業の成長産業化の流れを加速させてまいります。 次に、県産材の販路を拡大するため県外や海外においてどのように取り組んでいくのか、御質問をいただいております。 まず、国内における販路拡大の取り組みといたしましては、東京オリンピック・パラリンピック施設に代表される都市の大規模建築物やオフィスの木質内装など、新たな市場に狙いを定め、本年三月、大手建築会社や商社の担当者を本県にお招きし、県内企業とのマッチング商談会を開催いたしますとともに、都内における丸の内のオフィスや三カ所の店舗に県産材の内装や家具を常設展示し、県産材製品のすぐれた品質をアピールいたしているところであります。 一方、縮小する国内住宅市場の中にあっても、木材にこだわった高品質住宅には大変根強い人気がございまして、県が長年、普及に努めてまいりました結果、このたび、県産材をふんだんに利用する徳島すぎ板倉構法が大手ハウスメーカーに採用され、本年十二月には神奈川県鎌倉市に第一号のモデルハウスが完成し、今後、全国的な販売が展開される運びとなっております。 次に、海外では、昨年から輸出のターゲットとして取り組んでいる韓国において、釜山新港に設置されました県産材ショールームを活用して市場開拓を進めてまいりましたが、韓国で相次ぐマグニチュード五クラスの地震を契機といたしまして、耐震性にすぐれた日本の木造住宅への人気が高まり、これまでの内装材、家具などの製品輸出から、住宅部材と設計・施工技術をパッケージ化して輸出する県産木材木造住宅丸ごと輸出の実現に向けて取り組みを強化いたしているところであります。 また、昨年からビジネスパートナーを確保して市場開拓を進めてまいりました台湾におきましては、本年八月、パートナー企業をお招きし、徳島のすぐれた木製品と建築技術をアピールいたしましたところ、台北市の台湾科技大学キャンパス内に、徳島の木と技術を紹介するモデル展示施設の建築が決定し、今年度中の完成に向け設計を始めているところであります。 さらに、新たにシンガポールにおきましてもビジネスパートナーが決定し、藍染め杉内装材が先月末、初輸出されたところであり、シンガポールをASEAN諸国の窓口として、県産材家具、インテリア製品など順次輸出を拡大し、新たな市場を開拓いたしてまいります。 今後とも、国内はもとより海外におきましてもパートナーをしっかりと確保するとともに、新たな販路拡大のため、従来の枠組みにとらわれない新次元の発想で取り組みを強化することによりまして、生産量が倍増する県産材を丸ごと活用する販売戦略を展開し、もうかる林業の実現にしっかりとつなげてまいります。 次に、長安口ダム改造事業で使用中の仮設物などについて、那賀川上流域の振興に役立つ施設として有効活用を検討すべき、御提言をいただいております。 平成三十一年度、完成に向けまして改造事業が進められている長安口ダムでは、工事で使用する貯水池内の構台や作業ヤードなどの仮設物が設置されているところであり、周辺には、出合大戸バイパスの完成によりましてその役割を終える出合橋や出合トンネル、さらには荒谷トンネルなど、土木施設が設けられているところであります。 本来であれば多くのお金をかけて撤去されるこれらの仮設物の施設に新たな価値を創出し、有益な資源へとよみがえらすことは、那賀川上流域の活性化を図る上で大変有意義であると、このように認識するところであります。 現在、県におきましては、インフラの持つ観光資源としての可能性に着眼し、自然エネルギーのすばらしさを身近に体感することのできる川口ダム自然エネルギーミュージアムのオープン、全国的に人気が高まっているダムカードの配布やダム見学ツアーの実施など、交流人口の拡大につながる取り組みを積極的に推進いたしているところでありまして、仮設物や役割を終える施設に新たな価値を創出するためには、こうした現役のインフラやさまざまな地域資源と連携させることも重要であると考えております。 そこで、既成概念にとらわれない柔軟な発想力を持った若手職員で構成するタスクフォースを直ちに結成し、現場主義のもと、まずは現地を訪れ、施設の現状や周辺環境を直接調査することによりまして、地域の活力や魅力の向上に資する効果的な活用策の検討に速やかに着手いたしてまいります。その中で、地元のまちおこし団体や商工団体の皆様方の思い、またアイデアを反映させていただきまして、仮設構台を初めダム周辺の施設を核とした水源地域ならではの活用策を策定してまいりたいと考えております。 今後は、こうした取り組みによりまして、持てるインフラのポテンシャル、潜在力を最大限に生かす新次元の公共事業へと進化させ、国や地元那賀町と連携しながら、那賀川上流はもとより、流域全体の振興を図り、地方創生の実現にしっかりとつなげてまいる所存であります。   (海野副知事登壇) ◎副知事(海野修司君) 那賀川上流域の治水対策について幾つか御質問をいただいております。 まず、和食・土佐地区を初めとする河川整備の状況についての御質問でございますが、那賀川流域においては、平成二十六年、二十七年と二年連続となる大規模な出水となり、とりわけ平成二十六年の台風十一号による豪雨では、和食・土佐地区を初めとして那賀町全体で三百六十九戸に及ぶ甚大な家屋浸水が発生しております。 このため、再度災害防止対策を国に対して強く政策提言を行った結果、平成二十七年四月に和食・土佐地区において床上浸水対策特別緊急事業が新規採択されております。 この事業は、五年という限られた期間内で河川整備を実施するため、事業採択後直ちに、地元の方々に対して事業計画を初めさまざまな説明会を丁寧に行ってまいりました。その結果、本年七月には用地取得に着手し、来る十一月十三日に起工式を開催する運びとなったところであります。 今後とも、河川整備に対する住民の皆様の御理解と御協力を得ながら、平成三十一年度末までの完成を目指し、取り組みを加速させてまいります。 また、出原地区、平谷地区については、引き続き河川整備を推進するとともに、阿井地区、相生地区などの浸水箇所につきましても、まずは、去る七月に公表した那賀川水系河川整備計画の変更原案に浸水対策の内容を盛り込み、年内をめどに変更手続を完了させるなど、整備に向けた準備を行ってまいります。 次に、長安口ダムの恒久的堆砂対策と那賀川の総合土砂管理についての御質問でございますが、長安口ダムの堆砂対策については、現在、ダム改造事業において、貯水池機能を維持するため、除去した土砂をダンプトラックで運搬する対策が実施されております。しかしながら、ダンプトラックによる運搬では、一般交通や騒音による周辺家屋への影響、その運搬能力を超える大規模な流入土砂といった課題があり、将来にわたって安定的に貯水池機能を維持できる新たな堆砂対策が不可欠となっております。 そこで、恒久的堆砂対策の具現化に向けた調査研究を加速するよう国に提言した結果、直ちに専門的な技術会議のもと検討が行われ、上流の追立ダムを貯砂ダムとして活用し、追立ダム及び長安口ダム貯水池から除去した土砂をベルトコンベヤーで運搬して下流へ還元する手法が最適案として、本年三月に示されたところであります。 恒久的堆砂対策を実施するためには、河川整備計画への位置づけが前提となることから、阿井地区などの浸水対策と同様、恒久的堆砂対策の内容を整備計画変更原案に盛り込んだところであり、今後は、那賀町を初め関係市町への意見照会など、整備計画の変更手続を着実に進めるとともに、ダム改造事業の完了を待つことなく、平成二十九年度にも恒久的堆砂対策に着手されるよう、国への働きかけを一層強化してまいります。 また、那賀川流域全体で見ると、長安口ダムや海川谷川を初め小見野々ダム上流域の河川で堆砂が進行する一方、下流域では、河川の局所洗掘、海岸侵食など土砂に起因する課題が生じていることから、現在、那賀川総合土砂管理検討協議会において、山地から海岸に至る土砂の流れを改善し災害の防止を図る総合的土砂管理の取り組みを進めております。まずは今年度中をめどに、将来の目指すべき姿や解決すべき課題を明らかにした基本方針を取りまとめ、さらにこの基本方針のもとで、土砂移動の状況を継続的にモニタリングしながら、具体的な土砂管理の目標や堆砂の除去を初めとする各管理者が実施すべき対策の検討を行い、平成三十二年度には、これらを盛り込んだ総合土砂管理計画を策定してまいりたいと考えております。 今後とも、那賀川における一歩先の未来を見据え、国を初め関係機関との緊密な連携のもと、流域の皆様方の安全・安心の確保にしっかり取り組んでまいります。   (黒石企業局長登壇) ◎企業局長(黒石康夫君) 川口ダムの魚道設置を初めとする那賀川上流域の河川環境改善についての御質問でございます。 企業局では、那賀川上流域におきまして、川口ダムを初めとする電気事業の中核的な施設を有し、長年にわたって事業運営を行ってきております。これまでも、議員からの御質問、御提案をいただきながら、水源確保のための森づくり事業などに取り組みますとともに、本年度は、川口ダムに既存の施設を活用した自然エネルギーミュージアムを開設するなど、広く県民の皆様方に対しまして自然エネルギーや先端技術の普及啓発や情報発信に努めているところでございます。 御質問の那賀川上流域の河川環境改善につきましては、平成二十七年十二月議会代表質問での議員の御質問を受けまして、直ちに準備にかかり、平成二十八年二月には、那賀町川口ダムに係る河川環境と地域振興検討委員会の第一回会議を開催いたしまして、那賀町や住民代表の皆様と話し合いを重ねてまいりました。この八月には一定の方向づけを行いまして、ダム湖で産卵し成長する陸封アユの研究と効果的な魚道につきまして調査検討を行うことといたしたところであります。 今後の具体的な取り組みといたしましては、まず陸封アユの研究については、アユの産卵状況等の調査を初め、陸封化に適した稚魚の選定をするとともに、計画的な放流実験を行いたいというふうに考えております。 次に、効果的な魚道の検討についてでございますが、去る九月十七日に議員の地元で開催されました研修会での効果的、現実的なアユ等の集魚方法につきましては、大変貴重な御意見と受けとめており、先進地の研究はもとより、現実的で地域のにぎわいにもつながるような効果的な手法について積極的に調査検討してまいりたいと考えております。 これらの検討を行うためには、魚類に関する専門的知識や地元漁業関係者の協力等が不可欠であるため、検討組織として、企業局、那賀町に加え、県の関係部局や地元漁業協同組合、さらには研修会で御提案をいただいた徳島大学の教授の方にも御意見をいただきたいというふうに考えております。 企業局といたしましては、那賀川上流域の河川環境の改善につきまして、今後とも那賀町や地元住民の皆様と協力し、積極的に取り組んでまいります。   (杉本議員登壇) ◆三十四番(杉本直樹君) 西沢先生に時計を見ていただいておりました。おかげで時間が余ってきました。海野副知事さん、申しわけございませんでした。 それぞれ御答弁をいただきました。 林業の人材育成については、せっかく育った若者が三年後に他県に就職されるようでは業界の恥と考えております。私どももしっかり頑張っていかなければと思いますが、知事さんからの御指導もぜひともよろしくお願いいたします。 丹生谷地域で、例えばユズといった全国に誇れる特産品があるにもかかわらず、交流人口が少なく、流通システムも貧弱であるため、地域の活性化とリンクしていない状況であり、私も常日ごろから、何とかできないか、歯がゆい思いでおります。地元那賀町では、仮設構台を初めとするもろもろの施設を有効活用することに大賛成であります。水源地域の活性化のみならず、地方創生の新たな切り札として、大変期待しております。 私は、過疎と高齢化が進む丹生谷地方において、産直市のような機能を兼ね備えた、いわゆるダムの駅というものを考えております。有効活用することにより、高齢者が農産物をみずから生産、販売し、わずかでも収入が得られる道筋がつけば、那賀町民は再び元気を取り戻すことができるのでないかと考えておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。この機会に、水源地域である長安口ダムの周辺の活性化として真剣に検討していただくことを強く要請いたします。 和食・土佐地区の浸水対策については、十一月十三日に起工式が行われるということで、着工による地元の協力体制にも弾みがつくと思います。これを引き金として、より一層の事業促進をお願いするとともに、阿井・相生地域においても御配慮をお願い申し上げたいと思います。十一月十三日、我々にすると忘れられない日になったように思います。 長安口ダムにおける恒久的な堆砂対策は、ここ数年、その影響が顕著になっている気候変動に伴う災害予防という観点からも、緊急性は極めて高いと考えております。県が年内の制定を目指している治水・利水等流域水管理条例(仮称)の素案においても、流域の総合的な土砂管理の取り組みがうたわれていることから、名実ともに災害防止に向けた取り組みとなるよう、より一層の努力をお願いしておきたい。 釈迦に説法かと思いますが、現在のダム改造事業が完了した暁には、間髪を入れず長安口ダムの恒久堆砂対策に着手できるよう、知事さんが先頭に立っていただき、国に強く働きかけをしていただきたい。御要望いたします。 さらに、四国電力と関係機関との協力のもと、那賀川流域でバランスのとれた土砂管理に一日も早く着工できるよう、一層の努力をお願いしておきます。 那賀川の河川環境改善については、企業局もいろいろと検討されており、特に陸封アユに向けた取り組みについては、当面の対策として高く評価したいと思います。川口ダムの魚道設置については、ぜひ調査研究の段階からさらに一歩前に進めていただき、生態系に優しいダムとして生まれ変われることを心より御期待いたします。 私どもは、災害に遭って、ダムの大切さというんもよくわかっております。しかし、あのダムと一緒、あれで村おこしと言われると、かなり厳しいものがあるということも御理解願いたい。 最後に、まとめとして、国道百九十五号の未改良区間について要望させていただきます。 国道百九十五号における未改良区間のうち、出合大戸バイパスの最終の工事となった出合大橋が、来年三月にはいよいよ完成し、全線開通の運びとなります。これまでの御尽力に対し、県御当局や関係者に対し、心よりお礼を申し上げる次第でございます。本当にありがとうございます。 さて、そうなると、高知から徳島間における未改良区間は、平成十二年に中止となった細川内ダムの水没区間とされ、整備が大幅におくれている西宇-折宇間約四キロメートルの中でも最後まで手つかずとなっている平野栩谷口の長大トンネルのみであります。当区間は、過去に落石のある重大な人身事故がたびたび起きるなど、最も危険な区間であるため、トンネル計画とされた経緯があります。 このたび、上流の北川小学校の閉校が決定しました。子供たちは、この危険な道路を毎日通学することとなり、県下全体を見渡しても極めて緊急性が高くなってきております。 これまで、トンネル着工は他の未整備区間の進捗状況を勘案しながら検討するとされてきましたが、このたび出合大橋が完成する運びとなったことから、国道百九十五号で最後の未改良区間となったトンネル工事に速やかに着手することを強く御要望させていただきますが、知事さん、重ねてよろしくお願いいたします。ずっとお願いしておりますが。 おかげで時間がきっちりなってきました。これで全ての質問を終わらせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)   ──────────────────────── ○議長(嘉見博之君) 議事の都合により、休憩いたします。      午後二時五十一分休憩   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    午後三時十一分開議      出席議員計三十四名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     山  西  国  朗 君     二  番     原  井     敬 君     三  番     島  田  正  人 君     四  番     眞  貝  浩  司 君     五  番     岩  佐  義  弘 君     六  番     高  井  美  穂 君     八  番     上  村  恭  子 君     九  番     須  見  一  仁 君     十  番     岡     佑  樹 君     十一 番     中  山  俊  雄 君     十二 番     元  木  章  生 君     十三 番     岸  本  泰  治 君     十四 番     井  川  龍  二 君     十五 番     南     恒  生 君     十六 番     長  池  文  武 君     十七 番     達  田  良  子 君     十八 番     山  田     豊 君     十九 番     岡  田  理  絵 君     二十 番     岩  丸  正  史 君     二十一番     木  下     功 君     二十二番     寺  井  正  邇 君     二十三番     喜  多  宏  思 君     二十四番     丸  若  祐  二 君     二十六番     川  端  正  義 君     二十七番     黒  崎     章 君     二十八番     重  清  佳  之 君     三十 番     来  代  正  文 君     三十一番     岡  本  富  治 君     三十二番     樫  本     孝 君     三十三番     西  沢  貴  朗 君     三十四番     杉  本  直  樹 君     三十五番     臼  木  春  夫 君     三十六番     庄  野  昌  彦 君     三十七番     長  尾  哲  見 君   ──────────────────────── ○副議長(喜多宏思君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 三十六番・庄野昌彦君。   (庄野議員登壇) ◆三十六番(庄野昌彦君) 私は、新風・民進クラブを代表して、県政の重要課題について質問をしてまいります。 知事初め理事者各位におかれましては、県民が笑顔になるような御答弁をお願いしておきます。 質問に入る前に、八月には台風十号による豪雨が東北、北海道を襲い、多くのとうとい人命が犠牲となり、ジャガイモなどの農産物に甚大な被害を与えました。また、九月には、台風十六号による大雨で、本県においても多くの家屋で床上浸水、床下浸水の被害が出ております。被災された方々に対して心から哀悼の意を表し、お見舞いを申し上げます。 自然災害は、いつ何どきやってくるかわかりません。行政、そして個人においても、日ごろから、いざというときに備える自覚と訓練が必要だと強く感じています。 また、先月、全世界を熱狂させたブラジル・リオオリンピック・パラリンピックが終わりました。本県からは、サッカーの塩谷選手、ライフル射撃の山下選手、女子マラソンの伊藤選手、陸上男子四百メートルの金丸選手、そしてバドミントン女子ダブルスの松友選手の五人が、またパラリンピックでは、柔道の藤本選手、正木選手、ボートの有吉選手の三人が夢の舞台に出場し、皆さんも御承知のとおり、松友選手は高橋選手とともに日本バドミントン界初の快挙となる金メダルを獲得しました。 九月二十六日には、松友選手を県庁で多くの県民の笑顔と拍手の出迎え、そして飯泉知事から県民栄誉賞が贈られました。本当におめでとうございました。 また、柔道の藤本選手と正木選手の両選手も、銅メダルを獲得いたしました。お二人には徳島県表彰が贈られることが決定されており、まことに喜ばしい限りであります。 多くの感動を与えていただいたアスリートの皆様に感謝申し上げると同時に、今後の御活躍を御期待申し上げておきます。 それでは、質問に入ります。 まずは、消費者庁等の移転について質問いたします。 九月一日に決定された国の方針で、来年度から本県に消費者行政新未来創造オフィスが設置されるということで、消費者庁の一部移転が明記されました。徳島県側と霞が関の官僚との間では熱気に差があるとの報道もなされていたことから、国からどのような結論が示されるのかと思っておりましたが、国の中央省庁そのものが徳島県に設置されるというのは非常に大きな意義があると考えております。 本県からの提案により消費者庁が来てくれるということになったわけでありますから、今後、その受け入れ準備をしっかりと整えることが重要になってまいります。とりわけ、国の方針においては、消費者行政新未来創造オフィスが消費者行政の発展、創造の拠点となるためには、徳島県の協力はもちろん、関西、中四国の周辺地域の協力が必要なこと、また行政だけでなく、企業、学術機関等との連携も必要になることなどが記載されております。 また、三年後には検証見直しも控えております。これまでは、徳島に来てくださいという提案でありましたが、これからは、徳島と一緒に具体的な施策をつくり上げていきましょうということになります。ということは、我々に求められることもそれだけ大きなものになると思いますし、県だけではなく関係各方面との連携、ネットワーク化を図らなければ期待に応えられないことになるのではないかと心配しております。 そこで、お伺いします。 来年度の消費者庁の新拠点、消費者行政新未来創造オフィスの設置をにらみ、市町村、近隣府県等との連携、ネットワークをどのように確保しようとしているのか、御所見をお伺いいたします。 次に、地震に備えた仮設住宅についてであります。 先日の熊本地震では、多くの住宅が倒壊し、多数の死者や負傷者が出るなど、活断層による直下型地震の恐ろしさをまざまざと見せつけられたところであります。また、この地震は、これまで例を見ない二度にわたる震度七の揺れを連続して観測し、その大きな揺れのために、十七万戸を超える住宅が被災したところであります。 この被災により、地震直後は十八万人を超える皆さんが避難所に逃れられましたが、体育館のようなオープンなスペースでの大人数での生活は、プライバシーもなく、対人関係等で大変なストレスがたまるものであったかと思われます。また、車中泊によるエコノミークラス症候群などで体調を壊す方も多かったと聞いており、一刻も早い仮設住宅の整備が必要であったと思われます。 新聞報道によれば、用地の確保の難航などで仮設住宅の着工がおくれ、去る九月十五日に熊本市でやっと避難所が解消されたとのことでありますが、被災から解消までに五カ月もの長い期間を要したばかりでなく、熊本県全体ではいまだ多くの方が避難生活を送られている市町村もあり、早期の避難所の解消が求められているところであります。 本県でも、これを教訓に、南海トラフ巨大地震などの際にはこれまで以上に素早い仮設住宅の建設が必要だと改めて認識したところであります。 私は、東日本大震災の際には宮城県東松島市などに出向き、震災の惨状をこの目で見たり、ボランティア活動にも参加してまいりました。また、その際に仮設住宅にもお邪魔して、実際にそこで生活されておられる方の生の声も聞かせていただきました。冬は寒さがこたえる、隣の声が聞こえるといった、いろいろと不便を感じられる部分が多いというのが実情でありました。 仮設といえども少しでも快適な居住のためには、木の家が日本の気候風土にぴったり合うのではないかと思われます。実際に、東日本大震災の際に、本県は、徳島県産材である杉を使った板倉構法による仮設住宅の提供を行っており、好評であったと聞いております。 木の家というと、プレハブなどと比べ本格的で、迅速な施工が難しい印象がありますが、いざ発災の際にも、事前に工夫して備えておけば、迅速な対応もできるのではないかと思われます。 そこで、お伺いいたします。 発災時の迅速な仮設住宅の建設のため、どのような対策を講じていくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、熊本地震を教訓に、罹災証明書の発行がスムーズに進むような対策と準備を進めておくことが重要であるという見地から質問いたします。 熊本日日新聞の亀井記者の記事が、月刊自治研九月号に投稿されています。その中では、熊本地震発生以降の現場の様子、対応の様子が書かれております。亀井氏は特に、市町村の事務とされている罹災証明書の発行が遅々として進まなかったことについて言及しています。 罹災証明書は、仮設住宅への入居のほか、被災者生活再建支援金の給付、税や保険料の減免、猶予など、被災者を支援する対策の基礎資料となります。半壊、大規模半壊、全壊の判定には、職員が現地に出向いて調査しなければなりません。職員のマンパワーが重要なわけです。しかし、行財政改革の名のもとに、全国の自治体で職員削減が進められており、熊本県内でも平成の大合併を経て職員数が減り続けている中、今回の震災が起こりました。 救命救急の初期段階を過ぎると、家屋などの緊急危険度判定や罹災証明書の発行、これに伴う家屋調査など、避難者や損壊家屋への対応に業務の比重が移ってきたといいます。五月末時点で、熊本県と被災十四市町村に全国から延べ四万人を超える行政職員が応援に駆けつけました。ただ、それでも罹災証明書の発行は遅々として進まなかったといいます。職員も被災し、マンパワーが不足しているということもありますが、証明書発行に向けての準備不足、調査に当たる職員を育成してこなかったことなどが指摘されております。 南海トラフ地震や中央構造線直下型地震の発生が危惧される本県としても、日ごろから市町村との連携を密にし、調査に当たる職員を日ごろから育成しておく必要があり、備えておくことが大事なのではないでしょうか。 そこで、お伺いいたします。 大規模災害に備え、罹災証明書を円滑に発行できるよう、人材の確保や県の支援体制について御所見をお伺いいたします。 次に、がん対策、特に乳がん対策についてお聞きいたします。 現在、日本人男性の二人に一人、女性の三人に一人ががんで亡くなっている時代になっております。そんな中、国が率先してがん対策に取り組むため、二〇〇六年にがん対策基本法が成立し、県内においても、がん診療連携拠点病院を設置、チーム医療の実践、緩和ケアの充実などさまざまな取り組みが実施されておりますが、がん患者の苦痛、苦悩は、聞き及ぶ限り、かなり厳しいものがあります。 現在、国、県挙げて男女共同参画社会を目指し、女性が輝く社会を目指していますが、健康というのはその実現に向けて大変重要な要素であります。中でも、女性の十一人に一人がなるとされる乳がんは、女性が職場でより存在感を発揮したり、家庭でも妻として母として重要な時期である四十歳くらいから罹患のおそれがある病気です。 最近、有名な歌舞伎役者の三十歳代のお連れ合いさんが進行性乳がんであることを発表され、若い女性の間でも乳がんが関心事になっております。 現在、国の補助メニューで市町村が実施するがん検診の普及啓発と受診促進を図るがん検診無料クーポン券は、乳がんの場合は、健診対象者と同様、四十歳から対象となりますが、この際、三十歳や三十五歳などの追加を検討する必要もあると思っております。 県内では、年間約四百人が乳がんと診断され、約八十人が亡くなっているとされていますが、一般に我が国のがん検診の受診率は欧米に比べて低く推移しています。改めて、予防医学の重要性を県民の方々に理解してもらうことが大切であります。若い世代にもがん検診を受診してもらうことが、がんで亡くなる方を減らし、また県民の皆様の健康寿命を延ばしていくことにつながります。 十月は乳がん月間です。議会前のケンチョピアにも、啓発のシンボルであるピンクリボンののぼりや旗がなびいております。検診率の向上は、県民の皆さんの意識が変わることから始まります。このために、若年層には、学校教育における検診という二次予防を保健や体育の授業で子供たちに浸透させることを初め、社会人に対しても啓発活動は必要であります。 そこで、お伺いいたします。 県として、乳がん検診の受診率の向上のためどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、本県の麻疹対策について伺います。 最近、麻疹、一般的にははしかと言われておりますが、このはしかが我が国の広い範囲で流行しております。ことし八月には関西国際空港で感染が確認され、大阪府の発表では、九月七日時点で三十三人の空港職員が感染したとのことです。また、千葉県松戸市や兵庫県尼崎市でも感染が確認されております。 このように、今後、はしかの感染拡大が懸念されております。はしかについては、麻疹ウイルスによって感染し、感染経路としては、空気感染、飛沫感染、接触感染です。また、その感染力は非常に強く、免疫を持っていない人が感染するとほぼ一〇〇%発症するとされております。しかし、今回の流行でも、ほとんどの人が回復しており、重症化には至っておりません。 また、我々の年代では自然に感染していたと思いますが、はしかは一度発症すると一生免疫がつくと言われております。それで、はしかの予防については、手洗い、マスクのみでは完全とは言えず、ワクチンの接種が有効であります。 ワクチン接種については、平成二年四月二日以降に生まれた人は、一歳児と小学校入学前の二回定期接種しております。今回の広域的な発生でも、感染者の多くが、これより以前に生まれた、定期接種を一回しか受けていない世代の方でしたので、定期接種をしっかり受けておくことが今後の最良の予防策ではないかと考えます。 また、県民の中には、自分が過去にはしかの予防接種を受けたかどうか覚えていない、それをどこに相談していいかわからない人もいると思いますので、県民の不安を解消するよう、はしかについての啓発とともに、自分のウイルスの抗体があるかどうかを調べる抗体検査もあるようですので、これらの検査やワクチン接種に係る相談対応等についての周知も必要ではないかと考えます。 そこで、お伺いいたします。 県は、今回のはしか、つまり麻疹の広域的流行を受け、どのような対応をしようとしているのか、御所見をお伺いいたします。 それぞれ御答弁をいただきまして、質問を続けてまいります。   〔木南議員出席、出席議員計三十五名となる〕   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 庄野議員の御質問に順次お答えをさせていただきます。 まず、消費者庁の新拠点の設置をにらんだ市町村、近隣府県などとの連携について御質問をいただいております。 新たに設置される消費者庁の新拠点において、全国の消費者の皆さん方にとっての利益となる高い成果をつくり出すためには、議員からもお話しのように、県内はもとより周辺地域の協力を得た幅広い連携ネットワークの構築が成否を握る重要な鍵である、このように認識いたしております。 このため、県内におきましては、市町村や企業、大学などに対しまして国の方針の意義を説明するとともに、全県が一体となって消費者行政のさらなる取り組みを推進する体制づくりに向けまして協調、調整を進めているところであります。 また、周辺地域、とりわけ関西、中四国に対しましては、関西広域連合を初め関西経済連合会、四国知事会、中四国サミットや、これらを構成する府県や事業者などともこれまで以上に情報共有を密にするとともに、府県を超えた消費者行政の展開が可能となりますよう、さまざまな機会を捉え、連携組織のさらなる拡充あるいは強化、そして新設、地域全体の機運醸成に向けた共同事業の実施などについて積極的に提案いたしてまいりたいと考えております。 これに加え、九月補正予算として、消費者庁の新拠点の円滑な設置運営を初め、この拠点が十分に機能を発揮できますように、県といたしましてしっかりとサポートするため、新次元消費者行政創造拠点推進事業を提案させていただいているところであります。この事業では、市町村、企業、大学における消費者行政や消費者教育などの取り組みに関する調査分析を通じ、消費者庁が実施することといたしております全国展開を見据えたモデルプロジェクトを支援するための新たな実証フィールドの発掘や人材ネットワークの確保につなげてまいりたいと考えております。 今後とも、地域や分野を超えたネットワークを構築することで、新拠点の円滑な運営がなされ、新次元の消費者行政や消費者教育を徳島から全国に発信することができますよう、消費者庁を全力でサポートいたしてまいります。 次に、発災時の迅速な仮設住宅建設のため、どのような対策を講じていくのか、御質問をいただいております。 本県では、今後三十年以内の発生確率が七〇%程度とされる南海トラフ巨大地震や、中央構造線活断層帯を震源とする直下型地震の発生が危惧されており、死者ゼロに向けた対策は待ったなしの状況となっております。 このため、被災者の住居となります仮設住宅につきましては、円滑に供給ができますよう、関係団体との間で住宅の建設やあっせんに関する協定を締結いたしますとともに、平時からの準備や発災後の対応を具体的に取りまとめました徳島県応急仮設住宅供給マニュアルを策定するなど、災害に備えた取り組みを進めてきているところであります。 しかしながら、さきの熊本地震では、資材や用地の確保に時間を要し、仮設住宅の整備が大変おくれたこと、利便性が悪い場所に設置された住宅には入居辞退が相次いだことなどによりまして、結果として避難所や車中での避難生活が長期化し、健康被害が多発するなど、被災者への迅速な住居確保や適地選定といった大きな課題が浮き彫りとなったところであります。 このため、九月補正予算におきましては、まず、輸送路の分断によりまして支援物資が届かない場合でも迅速かつ快適な仮設住宅を供給することができますよう、豊富な森林資源を有する本県の強みを生かし、徳島ならではの木造仮設住宅を供給する循環型徳島モデル構築事業を提案させていただいているところであります。 この事業では、平時は市場流通の製材品として備蓄し、発災時には建設用部材として活用するリバーシブルな供給体制の構築、川上の木材生産者、製材業者から川下の建築士までの連携体制の構築、仮設住宅使用後も木造建築物への再利用や恒久住宅への転用が可能となるモデルの作成を行い、地域においてみずからが木造仮設住宅を速やかに供給できる体制を構築いたしてまいります。加えて、被災者の居住性や利便性を加味いたしました、より実効性のあるフィールドを確保し、実証実験を行い、その成果を踏まえ、県内への普及はもとより、広く全国へも発信、普及いたしてまいりたいと考えております。 今後とも、避難生活の長期化によります災害関連死を初め、防ぎ得た死をなくすとの強い気概のもと、被災者の皆様方に対し、利便性のよい場所に質の高い仮設住宅を迅速に供給することができますように、しっかりと取り組んでまいります。   (後藤田政策監登壇) ◎政策監(後藤田博君) 罹災証明書の円滑な発行に向けた取り組みについての御質問でございます。 被災者の生活再建を円滑に図るためには、仮設住宅の入居や支援金の受給など各種支援を受けるための要件である罹災証明書の速やかな発行と、その前提となる住家被害認定調査の迅速化が不可欠であると認識しているところであります。 この住家被害認定調査につきましては、国から認定基準や運営指針が示されているものの、業務に習熟した職員が少ないことに加え、熊本地震においては、調査件数が膨大な数に上ったことから、調査に時間を要したところであります。 本県では、これらの業務を担う人材を育成するため、市町村に対し、毎年度、住家被害認定に関する説明会を開催するとともに、関西広域連合が主催する被害認定業務研修会への参加を呼びかけるなど、業務を担う自治体職員の養成やスキルアップに努めているところであります。また、本年七月には、住家被害認定の迅速化に向け、広域的な取り組みや研修の必要性を国に提言するとともに、今後、県においても、座学はもとより、実際の被災事例に基づく演習も取り入れた、より実践的な研修会を新たに実施し、さらなる人材育成に取り組んでまいります。 さらに、熊本地震の教訓を踏まえ、単独の市町村だけでは被害認定調査や罹災証明書の発行に対応できないことを想定し、被災市町村の自治体機能の維持確保に向け、徳島県及び市町村の災害時相互応援協定に基づき、県内市町村間の応援派遣を円滑に進めてまいります。 また、南海トラフ巨大地震のような広域的な大規模災害時においては、県域を越えた職員の派遣が必要となることから、全国の市町村からの支援窓口となる市長会や町村会との連携を強化するとともに、県と市町村で構成する徳島県災害時相互応援連絡協議会を活用し、県内市町村の受援体制の構築に取り組んでまいります。 今後とも、円滑な罹災証明の発行に向けた人材育成や支援体制の充実に努め、被災者の速やかな生活再建が図られるよう、しっかりと取り組んでまいります。   (吉田保健福祉部長登壇) ◎保健福祉部長(吉田英一郎君) 議員から二点御質問いただきました。 まず、乳がん検診の受診率向上についての御質問でございますが、がんは昭和五十六年以降、国及び本県における死亡原因の第一位であり、中でも乳がんは、女性がかかるがんの中でも最も多く、晩婚、未産、高齢初産などライフスタイルの変化により、今後も増加すると予測されております。 一方、がんの治癒の目安とされている五年生存率は、乳がんは九一・一%と、五大がんの中で最も高く、早期発見、早期治療を行えば命が助かる可能性が高いことから、乳がん検診は特に有効な手段と認識しております。 がん検診の受診率向上のため、県ではこれまで、居住する市町村以外でも乳がん検診及び子宮がん検診を受診できる広域化を全国に先駆けて実施し、国の補助により市町村が実施する無料クーポン券の配布、母の日キャンペーンや、議員から言及がございましたケンチョピアでのピンクリボンイベントによる啓発、学園祭や授業等において大切な人に向けたがん検診の受診を勧めるメッセージカードの作成、小中学校のモデル校での医師やがん経験者から学ぶがん教育の実施などの取り組みを行っているところでございます。 こうした取り組みの結果、乳がん検診の受診率は、平成二十二年の二七・三%から、平成二十五年には三三・一%と、五・八ポイント向上し、徐々に効果があらわれてきているところでございます。 また、市町村が実施する乳がん検診は、科学的根拠に基づく国の指針で、対象者を四十歳以上としておりますけれども、四十歳未満の若い方には定期的な自己触診を奨励し、啓発を行っているところでございます。 今年度におきましては、新たに、事業所向けのセミナーを開催し、職場でのがん検診の受診促進を行うとともに、県内のイベントにおいて、検診車による乳がん検診や啓発活動を積極的に行うことといたしております。 今後とも、市町村や関係団体とも連携し、乳がんを初めとするがん検診の受診率向上にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 次に、今回の麻疹、いわゆるはしかの広域的流行を受け、どのような対応をしようとしているかとの御質問でございますが、我が国では、かつて多くの方々が麻疹に感染しておりましたが、予防接種の積極的な勧奨を行った結果、患者数が大幅に減少し、平成二十七年三月、世界保健機構により、日本は麻疹の排除状態にあると認定されたところでございます。しかしながら、わずかではありますが、その後も海外への渡航歴のある方などから輸入症例も散見されております。 本県では確認されていないものの、本年八月には、関西国際空港内の事業所で複数の感染者が確認されるとともに、千葉県や兵庫県の乳幼児などの感染が報告されるなど、十七都道府県で発症が見られましたが、九月二十九日には、関西国際空港内事業所の集団感染が終息したとの発表がございました。 麻疹は感染力が非常に強く、免疫のない方は確実に発症すると言われていることから、まずは、市町村で実施している一歳児と小学校入学前の乳児、幼児に対する二回の定期接種の確実な実施が一番の予防策であると考えております。 今回の事案を踏まえ、県といたしましては、御本人のワクチン接種歴や抗体の有無の確認方法、麻疹の症状、予防方法などについて、改めて県のホームページで周知させていただくとともに、発生すれば第一線で対応に当たっていただく医療機関の医師が参加する徳島県医師会感染症対策協議会を九月十三日に、また市町村、保健所、有識者等で構成する徳島県麻疹対策会議を九月二十三日にそれぞれ開催し、定期接種の確実な実施や県内発生時の対応について関係機関で確認したところであります。 引き続き、麻疹の感染予防と蔓延防止を図るため、市町村が行う定期接種が確実に行われるよう県民への周知啓発に努めるとともに、他府県との情報共有に努め、県内で発生した場合には、関係機関と連携協力し、早期の感染防止が図られるよう、しっかりと対応してまいりたいと考えております。   (庄野議員登壇) ◆三十六番(庄野昌彦君) それぞれ御答弁をいただきました。少しコメントを申し上げたいと思います。 消費者庁については、全面移転を目標に、まずはこのたび県庁に入ることになる新拠点が円滑に運営できますように、これは近隣の県、それから府、それから市町村、そして企業さんとか大学の皆さん方とも協力しながら、不安な部分を取り除いて、全面的に三年後運営できるようにしっかりと県としてサポートしていただきたいと存じます。 それから、仮設住宅については、本当に熊本震災以降、私の中で本当に気の毒だなあというふうに思っておりました。足を伸ばさずに寝る、このことがどれだけ苦痛なものか、またプライバシーが守られない中で長時間過ごすということがどれだけストレスになることか、それにつきましては、やはりいっときも早く足を伸ばして寝られる、プライバシーが確保できる仮設住宅の建設というのが本当に必要だなというふうなことを感じまして、質問させていただきました。 県のほうも本当に対策をとられておるようでございまして、本当に安心しておりますけれども、快適な木造の仮設住宅をいざ発災のときには迅速に建設できるような仕組みを、今の段階からぜひとも市町村とも協力しながら、備蓄についても検討して、お願いしておきたいというふうに思っております。 市町村には、例えば廃校になった学校とか、例えばスペースをもし要るのであれば確保できるところというのは探せばあると思っています。そういうところに仮設住宅用の木材を備蓄しておいて、いざというときにはその木材を使うということにすれば、迅速に建設できると思います。 また、罹災証明書につきましては、大規模災害時には必ずこれは問題になります。南海トラフ地震、広大な地震のときに備えて、ぜひとも市町村と連携して、県としても万全な体制が、市町村の支援、とっていけるように整えていただきたいというふうに思います。 乳がん対策につきましては、早期発見、早期治療をすれば命は助かります。一人でも多くの命を救うために、これはもう地道な啓発活動しかありませんけれども、どうか全力で啓発、そして一人でも命を救うということを行っていっていただきたいというふうに思います。 麻疹、はしか対策につきましては、これはワクチンを接種すれば予防できる病気であります。これは蔓延することがないように、予防接種の啓発や、また万全の対策を、他府県の情報共有を確かなものにしながら、迅速に行っていただきたいというふうに思っております。 それでは引き続き、質問を続けてまいります。 水素エネルギーの活用についてお伺いいたします。 先月の台風十六号では、徳島市を初め県内各地で道路や家屋が浸水被害に遭いました。また、さきの台風十号でも、東北、北海道が大きな被害を受けるなど、国内はもとより世界各国で、地球温暖化が原因と見られる異常気象が発生しており、地球レベルでの深刻な事態が懸念されております。 こうした中、昨年十二月にフランスで開催されたCOP21において、百九十六の国、地域が協調して温室効果ガスの削減に取り組む国際的枠組み、パリ協定への合意が実現いたしました。我が国は、このCOP21で、二〇三〇年までに二〇一三年比で温室効果ガス排出量を二六%削減するとの約束草案を提出しましたが、私は、その実現のためには、自然エネルギーに加え、水素エネルギーのさらなる普及が重要な鍵を握っていると考えております。 昨年九月の代表質問で、私は、水素エネルギーを活用した地域の防災力強化について提案したところ、知事からは、避難所へ駆けつけて電気を供給できる燃料電池自動車を県公用車に率先導入していくとの答弁がありました。 ことしに入り、その言葉どおり、県は燃料電池自動車を二台購入するとともに、水素ステーションを整備いたしました。その開所式には私も参加させていただき、燃料電池自動車にも乗せていただきました。 また、去る九月八日の徳島県水素グリッドフォーラムでは、会場内には燃料電池自動車や燃料電池フォークリフトのほか、未来の水素社会を展望したジオラマ、さらには燃料電池自動車に接続できる外部給電器も展示してありました。この展示パネルの説明によると、この外部給電器は、燃料電池自動車の発電能力を最大限発揮させることで、一度に複数の電気製品へ電力を供給できるため、アウトドアでの照明や災害時での非常用電源などさまざまな場面での利用が可能とありました。まさに私が提案していた水素エネルギーを防災に生かせる機器であり、今後、例えば停電時における人工透析の実施といった災害時の電源確保の観点からも、燃料電池自動車を初めとする水素エネルギーのさらなる普及促進が重要であると認識したところであります。 そこで、お伺いします。 地域防災力の強化に水素は非常に有効だと思われますが、今後、防災面における水素エネルギーの利活用についてどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、木育についてお伺いします。 木育という言葉は、食育ほどまだメジャーではないように思いますが、とても重要な視点だと思い、今回質問させていただきます。 木育という言葉自体は北海道で使われ始めたそうですが、平成十八年九月に森林・林業基本計画が閣議決定され、木育の促進が明記されたことから、国や全国各地で取り組みが広がってきております。日用品やおもちゃなど、身の回りにプラスチック製品などが多い中、この木育というキーワードのもとで、木でつくられた日用品の普及をもっともっと図っていこう、子供の教育にももっと使っていこうという機運が全国的に高まってきていると言われております。 木育のトップランナー、牽引役としては、東京都新宿区にある認定NPO法人グッド・トイ委員会が、木のおもちゃとともに全国を回る木育キャラバンや、自治体向けに、生まれた赤ちゃんに地産地消の木製玩具を誕生祝い品としてプレゼントするウッドスタート運動などを進めており、本年三月には、長野県塩尻市において第三回全国木育サミットが開催されています。この活動は、木を真ん中に置いた子育て、子育ち環境を整備し、子供を初めとする全ての人たちが木のぬくもりを感じながら楽しく豊かに暮らしを送ることができるようにすることであります。 木のおもちゃは、子供の五感に働きかけ、感性豊かな心の発達を促すだけではなく、親にとっても癒やし効果があります。子供が育つ環境に木を取り入れていくことで、木のよさ、魅力を知ってもらう大きなきっかけにもなります。 本県でも、木育を進める施設として、徳島市籠屋町商店街に、子育てほっとスペースすきっぷの森もっくがあります。先日、私も見学させていただきましたが、床も壁も全面、県産材で囲まれ、木でつくられた幼児用のおもちゃや木のボールでいっぱいの木のボールプールなどがあり、多くの子育て中のお父さん、お母さんがお子さんを連れて遊びに来ています。木の香りに包まれて安らげると大変好評で、リピーターも多いそうです。 私は、木育は木が好きな人を育てる活動と考えています。 そこで、お伺いします。 本県においても、木育の重要性をより強く認識し、本県の木材を原料に使ったおもちゃの開発とか木育イベントなど、木育活動をさらに推進してはどうかと考えますが、御所見をお伺いします。 次に、野生鳥獣の管理対策について質問いたします。 近年、野生鳥獣の生息数の増加や生息域の拡大に伴う被害は、農林水産業にとどまらず、生態系、生活環境など広い範囲に及んでおり、中でも農作物の被害総額は、平成二十一年度から毎年度一億円を超える被害が続くとともに、林業では、ニホンジカによる植林木の食害や樹皮を剥ぐ被害が年間で百ヘクタールを超える規模となっており、経営意欲の減退を招いております。また、自然公園では、希少植物を初めとした多様な植生が食べられることにより、そこをすみかとする昆虫や小鳥を初めとした多くの生物の生息環境が損なわれ、生物多様性の維持に支障を来すとともに、表土の流出により、森林が持つ国土保全機能等の低下も懸念されております。 このような事態に対処するため、被害を及ぼしている鳥獣の個体数の削減に向けて目標を定め、抜本的な鳥獣捕獲対策を集中的に実施するとともに、捕獲対策を担う狩猟者の育成確保や被害防止のための取り組みも一体的に推進する必要があります。 現在、環境省では、平成二十九年度から平成三十三年度まで向こう五年間の野生鳥獣の保護及び管理を図るための事業実施基本指針の策定が進められており、去る六月から七月にかけて実施されたパブリックコメントで示された案を見せていただきますと、平成三十五年度までに鹿やイノシシの個体数を半減させるとともに、ニホンザルについては加害を及ぼす群れを半減させることが基本的な考え方として示されております。 一方、県においても、平成二十六年度にニホンザル適正管理計画を策定し、平成三十五年までに、農作物や生活に被害を及ぼしている群れと個体数の半減を目指して、年間を通じた捕獲が実施されておりますが、鹿やイノシシについても個体数の半減を目指した管理を進めるべきであると考えます。 また、県内に多くの鳥獣保護区が指定されておりますが、狩猟ができないため、狩猟期には鹿やイノシシの逃げ場になっていると言われています。保護区の中には自然公園もあり、希少植物を初めとした植生の食害が進むことにより生物多様性が損なわれることが懸念されております。保護区であっても、鹿やイノシシについては積極的に捕獲を進めるべきではないでしょうか。 そこで、お伺いします。 農林業や自然環境、生活環境に大きな被害を及ぼす野生鳥獣の適正管理をどのように進めていくのか、御所見をお伺いします。 次に、働き方改革について質問いたします。 現在、非正規雇用労働者は約四割に達すると言われ、正規雇用労働者との賃金や労働者福祉の格差も指摘されているところであり、非正規雇用労働者の待遇改善は待ったなしの重要課題であります。さらに、男女の役割分担意識もまだ根強く残っているところであり、女性もさらに活躍せよ、家事も育児も両立せよということではなく、男女がともに家庭や地域生活等と職業生活を両立することができる環境づくり、すなわち男性も女性も一人一人が大切にされ活躍できる社会づくりを進めることが重要ではないでしょうか。 安倍総理は、働き方改革を最大のチャレンジとして位置づけ、長時間労働の抑制、同一労働同一賃金の実現、高齢者の就労促進、柔軟な働き方の推進を主なテーマとし、担当大臣を設けるとともに、この九月二十七日に、働き方改革実現会議をスタートさせ、年内には同一労働同一賃金のガイドラインを策定し、年度内に働き方改革の実行計画を策定すると発表しました。 これまでも、国においては、長時間労働削減推進本部や正社員転換・待遇改善実現本部を設置し、全国の労働局を通じてさまざまな取り組みが実施されてきたところでありますが、不適切な労働環境のもとで若者などが長時間労働や使い捨てにされているいわゆるブラック企業の存在や非正規雇用労働者も依然として高い割合にある状態です。政府の行おうとしている働き方改革については、関連する法改正など、全国一律に解決すべき取り組みも必要であるということは認めつつも、一方で、これまでの取り組み結果を見てもわかるとおり、地方自治体が主体となり、労働局と連携し、地域の個性に根差し、創意工夫を凝らした取り組みが極めて重要であると考えております。 そこで、お伺いいたします。 このような状況の中、徳島県においては、働き方改革について、県としてどのように捉え、今後、徳島ならではの働き方改革にどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、犬猫殺処分ゼロに向けた取り組みについてお伺いします。 私は、過去何度となく本会議でこの問題について取り上げてまいりましたが、今や全国的に、犬猫との共生社会の実現に向けたさまざまな取り組みが行われており、神奈川県では、避妊去勢手術やマイクロチップの普及など、飼い主の終生飼養への意識の向上により、収容頭数が減少するとともに、多くのボランティアの方々の協力により、収容された犬猫の里親探しがなされ、殺処分ゼロを実現したと伺っております。 本県でもこれまで、動物愛護管理センターを中心に、徳島県獣医師会やボランティアの方々との協力によってさまざまな取り組みが行われた結果、一万頭を超えていた殺処分数が、昨年度には千五百頭を下回るまでに削減されており、これまでの取り組みに対し敬意を表したいと思います。 しかしながら一方で、まだまだ救える命があるのも事実であります。折しも、近ごろは史上空前の猫ブームと言われ、メディアでも大きく取り上げられておりますが、こうしたブームも利用して、動物愛護管理センターが収容する犬猫の譲渡をこれまで以上に進めていくことが殺処分ゼロへの近道になるのではないかと考えます。 そこで、お伺いします。 犬猫の殺処分ゼロに向けてどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いします。 それぞれ御答弁をいただき、まとめに入ります。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) まず、防災面における水素エネルギーの利活用についてどのように取り組んでいくのか、御質問をいただいております。 今年八月、観測史上初めて東北地方の太平洋側へ直接上陸した台風十号を初め、地球温暖化が原因と見られる異常気象が相次いでおり、温室効果ガス排出量実質ゼロに向け、究極のクリーンエネルギー水素の積極的な利活用がまさに不可欠となっております。 県におきましては、燃料電池自動車の率先導入に加え、中四国初、自然エネルギー由来水素ステーションと、四国初、移動式水素ステーションの設置を実現し、移動式水素ステーションの機動性を生かした第一回アジアウェイクボードチャンピオンシップin三好市池田湖での実証運用、水素グリッドフォーラムを初め、県庁見学会や水素体験教室による普及啓発など、さまざまな活動を積極的に展開いたしているところであります。 こうした取り組みが、自然エネルギー先進国であるスウェーデンの循環経済に関する政府調査委員会の目にとまり、去る九月十六日、調査視察のために県庁を訪れていただいたところであります。全国の都道府県の中では、調査先としては徳島県のみであり、燃料電池自動車の試乗体験や水素ステーションの視察などを通じまして、地方初の水素グリッド社会構築に向けた取り組みを高く評価いただいたところであります。 水素は、圧縮や液化することで体積を数百分の一にできることから、貯蔵、運搬に適しており、平時は、自然エネルギーから水素を生成し、消費地へ運んだり、蓄電池のようにためる一方、いざ発災時となると、避難所での非常用電源はもとより、医療機関における自家発電の補助、信号機、携帯電話基地局への電力の供給など、さらなる利活用へ期待が大いに膨らんできているところであります。 災害に強い水素の特性に鑑み、燃料電池自動車や移動式水素ステーションを所有する事業者と、災害時における応援協定を締結いたしますとともに、九月の県総合防災訓練では、バルーン型LED投光器を用いて燃料電池自動車の高い給電能力を実証したところであります。 今後、新たに導入する外部給電器、いわゆるV2Lを活用した遠隔地への電力供給実験、エネルギーの地産地消を実現し発災時の電源確保にも資する県内産の副生水素の面的利用に向けた調査、避難所への熱、電気を供給することのできる定置型燃料電池の設置を初め、市町村や事業者への水素導入の提案など、防災面での水素活用も積極的に展開いたしてまいります。 平時、災害時でシームレスに利活用することのできる水素の可能性をさらに追求し、一歩先の未来である水素社会の実現に向け、徳島ならではの取り組みを一層加速いたしてまいります。 次に、本県の木材を原料に使ったおもちゃの開発や木育イベント、木育活動をさらに推進してはどうか、御提言をいただいております。 県では、豊かな森林を守り、その恵みを生かし伝えていくため、徳島県県産材利用促進条例を全国に先駆けて制定し、県産材のすぐれた性質やその利用によって地域経済の活性化のみならず地球温暖化防止にも役立つことを学ぶ木育を子供から大人まで幅広く推進いたしているところであります。 具体的に申し上げてまいりますと、木材関連団体や子育て支援団体の皆さん方と連携し、幼児を対象とした木育広場の開設、青少年を対象とした森林体験学習、社会人を対象とした県産木造住宅セミナーなどを実施し、さまざまな年代の皆様方に対し、森林や木材に親しみ積極的に利用していただくことで、林業、木材産業を支える人の輪が幾重にも広がっていくよう取り組んでいるところであります。 また、新未来「創造」とくしま行動計画におきましては、木育の拠点施設として、県産材フローリングや木のおもちゃを設置したすぎの子木育広場を平成三十年度までに二十カ所設置する目標を掲げ、議員御紹介のすきっぷの森もっくを初め、これまで五カ所の木育広場を設置いたしてまいりました。今年度は、木育広場をさらに増設いたしますとともに、森林、木材の知識や森林レクリエーション、木工工作などの技術、技能を身につけた木育リーダーを新たに養成し、木育を効果的に普及していくことといたしております。 さらに、本年三月、設立いたしました、木材建築団体を初め子育て支援団体、また大学など県民総ぐるみで県産材利用を進めるとくしま木づかい県民会議が、今月の二十二、二十三日、あすたむらんどで開催予定のとくしま木づかいフェアにおいて、木のおもちゃ遊び、木工工作、森林観察などを実施いたしまして、豊かな森林や木材の恵みに触れながら暮らす喜びを家族みんなで再発見していただくことを計画いたしているところであります。 また、とくしま木づかい県民会議では、県産材の新たな用途開発に向け、親子で遊びながら県産材の魅力を感じることのできる木のボールプールを初めとしたおもちゃや木育教材など、新商品づくりにも積極的に取り組んでまいります。 今後とも、全ての県民の皆様方が木と触れ合い、木に学び、木でつながるよう、木育をより一層推進いたし、県産材利用の機運を盛り上げますとともに、徳島の木材あるいは林業、木材産業の将来を支える人づくりをしっかりと推進いたしてまいる所存であります。   (小原危機管理部長登壇) ◎危機管理部長(小原直樹君) 庄野議員の御質問に二点お答えをさせていただきます。 まず、野生鳥獣の適正管理についての御質問でございますが、野生鳥獣による農林水産業や自然環境などへの被害は、県民の皆様の安全な暮らしを脅かす喫緊の課題であり、中でも、ふえ過ぎた鹿や猿、イノシシの適正管理は極めて重要であると認識しております。 中でも、議員お話しの鳥獣保護区は、狩猟期に鹿の逃げ場となるとともに、自然公園にも指定されているところでは希少種の食害が懸念されるため、昨年度より、指定管理鳥獣として保護区でも捕獲を進めているところでございます。 また、猿につきましては、群れ単位で行動し、高い社会性や学習能力を有することから、環境省や大学との連携のもと、被害を及ぼす群れの個体数や行動特性を把握するテレメトリー調査、安楽死や避妊薬による繁殖抑制など、新たな手法を取り入れた管理モデルの実証に取り組んでおります。 さらに、県では、こうした取り組みを加速し、県民の皆様が本当に被害は減少したと実感していただけるよう、新たに平成二十九年度から向こう五年間の鹿や猿、イノシシの適正管理計画を本年度中に策定してまいりたいと考えております。計画の策定に当たりましては、有識者から成る委員会において、行動や繁殖生理の科学的分析に基づく個体数の調整、鳥獣保護区における弾力的な捕獲の実施など、あらゆる角度から検討を加え、効果的な被害防止策を盛り込み、平成三十五年度を目途に個体数の半減を目指してまいります。 今後とも、野生鳥獣の適正管理を強化し、県民の皆様が安心して暮らせる地域社会の実現にしっかりと取り組んでまいります。 次に、犬や猫の殺処分ゼロに向けた取り組みについての御質問でございますが、本県では、人と動物がともに暮らせる地域づくりを目指して、平成二十年度に徳島県動物愛護推進計画を策定し、殺処分ゼロに向けた取り組みを進めてまいりました。 具体的には、獣医師会や市町村と連携した不妊去勢手術の実施のほか、ペット動物へのマイクロチップの装着、災害救助犬やセラピードッグの育成など、迷子になった動物を飼い主のもとへ戻す返還や新しい飼い主を見つける譲渡の取り組みを積極的に展開することで、殺処分数を削減してきたところでございます。特に、本県の犬や猫の譲渡数は、平成二十七年度には六百七頭を数え、動物愛護管理センターが開所した平成十五年度の百十頭に比べまして五倍を超える増加となっているところでございます。 現在、県では、この機を捉え、さらなる譲渡を推進する上で欠かせない存在であるボランティアの皆様が積極的に活動できるスペースを確保した譲渡交流拠点施設の整備に着手しておりまして、平成三十年度の供用を予定しているところでございます。今後は、この施設の一日も早い供用を目指すとともに、県、市町村、関係団体等から成るプロジェクトチームを立ち上げ、施設の効果的な運用や実効性のある対策を展開することで、譲渡することが可能な助けられる犬や猫の殺処分ゼロを早期に実現できるよう、全力で取り組んでまいります。   (小笠商工労働観光部長登壇) ◎商工労働観光部長(小笠恭彦君) 働き方改革について、県としてどのように捉え、今後、徳島ならではの働き方改革にどのように取り組んでいくのかとの御質問でございます。 少子高齢化が急速に進行する中、本県においては、労働力人口の不足が現実のものとなってきており、これまで働く意欲を持ちながらも活躍できなかった人たちを含め、県民総活躍社会を実現する働き方改革は極めて重要な課題と認識しております。 このため、進取の気性に富み指導的立場を目指す女性のためのウーマンビジネススクールの開講を初め、働く保護者のための、全国初、全県展開いたしましたファミリー・サポート・センターや、昨日、板野郡内でスタートした病児・病後児ファミリーサポートサービスなど、女性の活躍を支援するさまざまな取り組みを実施しているところでございます。 また、若者の地元定着を目指す全国トップクラスの奨学金返還支援制度の創設、企業や業界団体等とのネットワークに支えられた障がい者雇用の推進、就労や地域社会貢献に意欲の高い定住外国人に対する日本語の学習機会の提供や技能習得のための講座開催など、他県に類を見ない取り組みを展開しております。 加えて、本県は、特定市場において高い世界的シェアや国内シェアを有する企業を擁するとともに、関西の台所という農業立県でもあることから、あらゆるプレーヤーの皆さんに活躍していただけるニーズがあり、それぞれの特性や能力を生かし、みずからが望む形で仕事と生活の両立ができる職場環境の整備が求められています。 このため、今後、徳島労働局と本年三月に締結した雇用対策協定に基づく事業計画の二つの柱である人材の確保と働き続けられる環境整備に、新たに、働き方改革に向けた取り組みの推進を加え、三つの柱とするとともに、県と徳島労働局に労働団体、使用者団体を加えた公労使三者により、徳島ならではの働き方改革を検討してまいりたいと考えております。 このため、まずは、実務者レベルによる検討会を開催し、全ての県民が生きがいややりがいを持って働ける県民総活躍社会の構築に全力を挙げて取り組んでまいります。   (庄野議員登壇) ◆三十六番(庄野昌彦君) それぞれ御答弁をいただきました。コメントを申し上げたいと思います。 水素につきましては、知事の本当にリーダーシップを持って、全国でも徳島県がリーダーの県であると思っております。そういう中でも、究極のエコエネルギーとして未来にも大変大きな可能性があるものと考えております。今後も、全国に先駆けて水素社会を実現させるように取り組んでいただきたいと思います。 また、木育につきましては、県民の皆さんに本県の豊富な森林資源の価値を再認識していただきまして、もっくで見てきた木質の球のプールは、県産の杉とヒノキを使った本当にいい香りのする木質のプールでございます。そういったものも子供さんに触れていただきながら、木のよさ、そして本県の森林資源の価値等も認識していただいて、これがまた林業や木工業の振興につながっていくようにということで、私は大変期待しているところでございます。 また、野生鳥獣の対策につきましては、これは昔に比べまして、家がある近くまでイノシシや猿も来ております。お米の中で、収穫間近にイノシシがやってきて、家のすぐ近くなんですけれども、イノシシが夜におりてきて、のたうち回って稲をなぎ倒しているというふうなことが私の実家でもことし起こりまして、本当に鳥獣害の被害というのは大変厳しい状況にあるなあと思います。 ただ、動物を、野生鳥獣を殺すわけでありますから、本当に心が痛み胸が痛むことでございますけれども、そうした、今は個体を管理するしか、中山間地、そしてまた山を守っていく、そして農産物を守っていくことは本当にできなくなってきておりますので、皆さん方の御協力をいただきながら個体数の減少と適正な管理を行っていくしかないなあと思っております。 ただ、鹿の肉とかはジビエ料理にも使ったりしているし、それからまた先日は、鹿の革を用いて財布などをつくっているようなこともニュースでもされておりました。そうした野生鳥獣を殺したその肉、そして革なども有効活用しながら、一緒にそうした取り組みを進めていっていただいて、適正管理ができていったらいいなと思います。 それと、働き方改革につきましては、今のウーマンビジネスのステーション、それからファミリー・サポート・センター等々の話もございました。女性の活躍を支援したり障がい者の雇用を促進したりする本県ならではの取り組みも随分とされております。そうした一人一人が、働く意欲を持った一人一人の方が尊重され、みずからの能力を最大限に発揮して働いていけるような職場環境の整備も、労働局の皆さん方と意見交換を密にしながら、どうか県内の働く方々が少しでも一生懸命働けば本当に報われるような労働環境をつくっていただきたいというふうに思います。 それから、犬猫の殺処分ゼロについてでございますけれども、これも譲渡が、施設ができた十年前から比べて譲渡が五倍以上の、平成二十七年で六百七頭にも上っているということで、非常に関係各位に私は敬意を表するわけでございます。災害救助犬、セラピードッグも含めて本当に御苦労をいただいておりますけれども、早期に、今、譲渡交流拠点の施設を平成三十年に完成予定ということで予定されているということでありますので、犬猫殺処分ゼロにつきましてはこの譲渡交流拠点施設を本当に生かしていただいて、一匹でも多く助かる命を助けて、殺処分ゼロを早期に実現していただけるようにお願いを申し上げる次第でございます。 これで全ての質問を終わる予定でありますけれども、少しだけ思いを述べさせていただきます。 昨年、徳島市の市道で、十月でありますけれども、視覚障がい者の山橋さんと盲導犬のヴァルデスが後進してきたダンプカーにはねられて亡くなった事故から昨日で一年を迎え、徳島の盲導犬を育てる会がしのぶ会を開催したことが、昨日のニュースでも報道されております。ことし八月には、東京の地下鉄ホームから視覚障がいの男性が転落する死亡事故もありました。 盲導犬を育てる会の竹内安彦理事長は、弱者にとって知らんぷりが一番つらい、子供やお年寄り、障がい者が困っていたら健康な人が先導してあげるような社会になってほしいと言われております。私も本当にそう思います。 今の世の中、競争、格差の拡大、貧困などが言われておりますけれども、温かい、ともに助け合い、ともに暮らしていける優しい世の中となりますことを心から祈念いたしまして、全ての質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)   ──────────────────────── ○副議長(喜多宏思君) 本日の会議時間を延長いたします。   ──────────────────────── ○副議長(喜多宏思君) 議事の都合により、休憩いたします。      午後四時二十三分休憩   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    午後四時四十分開議      出席議員計三十六名          (その番号・氏名左のとおりである)     一  番     山  西  国  朗 君     二  番     原  井     敬 君     三  番     島  田  正  人 君     四  番     眞  貝  浩  司 君     五  番     岩  佐  義  弘 君     六  番     高  井  美  穂 君     八  番     上  村  恭  子 君     九  番     須  見  一  仁 君     十  番     岡     佑  樹 君     十一 番     中  山  俊  雄 君     十二 番     元  木  章  生 君     十三 番     岸  本  泰  治 君     十四 番     井  川  龍  二 君     十五 番     南     恒  生 君     十六 番     長  池  文  武 君     十七 番     達  田  良  子 君     十八 番     山  田     豊 君     十九 番     岡  田  理  絵 君     二十 番     岩  丸  正  史 君     二十一番     木  下     功 君     二十二番     寺  井  正  邇 君     二十三番     喜  多  宏  思 君     二十四番     丸  若  祐  二 君     二十五番     木  南  征  美 君     二十六番     川  端  正  義 君     二十七番     黒  崎     章 君     二十八番     重  清  佳  之 君     二十九番     嘉  見  博  之 君     三十 番     来  代  正  文 君     三十一番     岡  本  富  治 君     三十二番     樫  本     孝 君     三十三番     西  沢  貴  朗 君     三十四番     杉  本  直  樹 君     三十五番     臼  木  春  夫 君     三十六番     庄  野  昌  彦 君     三十七番     長  尾  哲  見 君   ──────────────────────── ○議長(嘉見博之君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 二十番・岩丸正史君。   (岩丸議員登壇) ◆二十番(岩丸正史君) 明政会の岩丸正史でございます。 きょうは、台風十八号の影響ということで、急遽、五番目の登壇ということになりました。本当にきょうは長時間にわたる質問、答弁で、皆さんも大変お疲れの方もいらっしゃるかと思いますが、最後までどうぞよろしくおつき合いのほどお願いいたします。 本日は、防災対策、環境対策、また地方創生など、県政の課題解決に向けた質問をしてまいりますので、知事初め理事者の皆様には具体的で明るい未来が展望できるような前向きな御答弁をお願いいたします。 それでは、質問に入ります。 まずは、中央構造線活断層地震の対策についてお伺いいたします。 早いもので、四月に発生した熊本地震から間もなく半年を迎えようとしています。この地震は、活断層が動く直下型地震であり、しかも震度七の揺れを二度も観測し、約十七万八千棟にも上る住家被害や、道路、水道などのあらゆるライフラインにも甚大な被害が生じたところです。 熊本地震で改めて感じていますのは、特に県南部の沿岸部にお住まいの方々の意識と比べますと、私の地元の神山町のような中山間地域では、むしろ台風や土砂災害のほうが心配だという声が多く、非常に大きな意識の差があると感じております。 私の会派でも、先月、熊本の被災地を訪問し、被災された方々への聞き取りなど、つぶさに調査してまいりました。中でも、阿蘇地方の視察では、大規模な山腹崩壊や阿蘇大橋の崩落を目の当たりにし、活断層地震は、今後三十年間の発生確率が七〇%と言われている南海トラフ巨大地震に比べ発生確率は低いと言われておりますが、一旦発生すれば活断層周辺に非常に大きな被害をもたらすことを改めて実感しました。 特に本県では、吉野川北岸を東西に縦断する中央構造線活断層帯があり、ここを震源とする直下型地震についても十分に備えていく必要があります。 こうした中、さきの六月定例会では、我が会派の重清会長の代表質問に対し、知事から、徳島県の中央構造線活断層地震への効果的な防災・減災対策を講じるため、被害想定の策定、公表についてしっかりと取り組むとの答弁がなされました。私も、被害想定を公表することは、地域の住民に耐震化等に関心を持ってもらうためにも非常に有意義であると考えており、直下型地震が発生した場合、熊本地震と同様に本県でも甚大な被害が予想されることから、そうした事態に備えるため、できる限り早期に公表し、防災・減災施策に生かしていくべきと考えます。 そこで、お伺いいたします。 中央構造線活断層地震の被害想定について、現在の取り組み状況と今後の見通し、またこれを今後の対策にどう生かしていくのか、お伺いいたします。 続いて、災害時のトイレ対策についてお伺いいたします。 四月に発生した熊本地震から、もうすぐ半年を迎えようとしています。しかし、いまだ避難所での生活を強いられている方もおられ、できるだけ早く避難生活が解消されることを祈っているところです。 視察において、被災者の生の声をお聞きした中でも、避難所に関し、多くの課題があったとお聞きしました。その一つが、避難所運営の問題です。避難所の運営は、自治体職員に頼らず、地域の住民が主体となって住民目線で運営する体制が求められるとのことでした。 もう一つが、避難所環境についてです。特に、熊本地震では二度の震度七を観測するほか、余震も頻発し、地震が怖くて家に帰れず、一時は避難所は避難者であふれ返り、プライバシーや衛生面など多くの問題が発生いたしました。 特に、多くの避難所では、断水や下水管の破損によりトイレが使えず、屋外に仮設トイレが設置されました。しかし、この数が不足している上、ほとんどが和式のため、足腰の弱い高齢者にとっては立ったりしゃがんだりと大変な状況であったようです。 さらには、仮設トイレが避難所から遠い場所にある、プライバシーに配慮されていない、水事情が悪く、トイレの後も十分な手洗いや清掃ができず、ノロウイルスが発生するなど、衛生面でも大変厳しい環境であったとお聞きしました。このため、高齢者や女性は、なるべくトイレに行かずに済むようにと、食事や水分の摂取を控えた結果、脱水症状となったり、最悪の場合、エコノミークラス症候群を発症したり、また仮設トイレの中で高齢者の方が死亡していたとの報道もありました。 先般、南海地震対策議員連盟の勉強会で、熊本地震の支援に派遣された各部局の職員の方から報告を受けました。この中でも、避難所運営班や保健師チームを初め、皆さん一様に、避難所におけるトイレの環境や衛生問題を課題として上げておられました。 南海トラフ地震が切迫する本県にとっては、地震や津波から命を守るために耐震化や避難場所の整備を進めることはもちろん重要です。しかし、今回の熊本地震を教訓に、助かった後の命をつないでいくため、これまで余り大きく取り扱われてこなかった災害時のトイレ問題についても、これからはしっかりと考えていくべきではないでしょうか。また、高齢者や女性の視点も踏まえ、トイレの計画的な確保を初め、利便性、衛生面、プライバシーなどに十分配慮していくべきではないかと考えております。 そこで、お伺いいたします。 災害時のトイレの確保や環境整備について、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 次に、気候変動対策についてお伺いいたします。 世界の平均気温は、二〇一四年、二〇一五年と二年続けて過去最高を更新した上に、二〇一六年の上半期もこれまでで最も暑かったという報道がありました。日本においても、ことしの夏は、今まで台風とほとんど無縁であった北海道に幾つも台風が上陸するとともに、観測史上初めて東北地方の太平洋側に台風が直接上陸するなど、これまでの常識では考えられないことが起こっています。 一方、昨年末には、世界が注目する中、フランスでのCOP21、気候変動枠組条約第二十一回締約国会議において、百九十を超える全ての参加国の合意により、今世紀後半には温室効果ガス排出量を実質的にゼロにするという目標を掲げたパリ協定が採択されました。 このように、地球環境や世界が大きく変化している中で、県においては、二月議会において我が会派の木下議員が提案した気候変動に関する条例について、今議会で徳島県脱炭素社会の実現に向けた気候変動対策推進条例として提案されるとともに、六月議会で須見議員から提案された地球環境を守る日についても、新条例の中に盛り込んでいただいております。環境首都を名乗る本県として、その迅速で的確な対応は十分評価したいと思います。 気候変動対策は、行政だけでできるものではなく、県民総ぐるみで行う必要があることから、条例制定は、県はもとより、県民や事業者の行動を促す意味でも非常に有効な手段だと考えています。そのためには、県民や事業者の皆さんが、待ったなしと言われている地球温暖化問題についての理解を深めるとともに、危機感を共有することが何よりも重要であります。 県としても、あらゆる機会や手段を活用し、この条例を制定した背景や条例の趣旨に加えて、県民や事業者の皆さんがどのように行動すればいいのかということをわかりやすく周知していく必要があると思います。そうすることによって、知事がよく言われる、絵に描いた餅ではなく食べられる餅になるのではないでしょうか。 そこで、新たな条例について、県民や事業者が理解を深め、行動に結びつけてもらうために、どのように普及啓発を進めていくのか、その意気込みをお伺いいたします。 次に、自然エネルギー導入に向けた取り組みについてお伺いいたします。 我が国では、東日本大震災により電力需給が逼迫し、また化石燃料への依存が拡大するなど、さまざまな課題に直面することとなり、その課題の有効な解決策である自然エネルギーの役割は、環境への意識の高まりとも相まって、近年、ますます重要なものとなってきております。特に、安全かつ持続可能なエネルギーである自然エネルギーは、地球温暖化対策に有効であるばかりでなく、将来にわたってエネルギー自給率を高めることにもつながり、資源を外国に依存してきた我が国の経済発展にも資するものであります。 さらに、南海トラフ巨大地震を初めとする災害を迎え撃つためには、エネルギーを大型発電所による一極集中型のシステムに頼るのではなく、自然エネルギーなどを活用した自立分散型のエネルギー供給システムをあらかじめ地域ごとに整備しておくことが有効であることは、熊本地震の例からも明らかであります。 私の地元の神山町、風況もよく、急傾斜地も多く擁し、これらは風力発電や小水力発電を行う際に適地となることから、災害時にも活用できるエネルギーを生み出すことができる自然エネルギーの宝庫でもあります。 県では昨年度に、自然エネルギー立県とくしま推進戦略を策定したところでありますが、この戦略の策定に当たりましては、昨年の九月議会において、私のほうから、自然エネルギーの意欲的な導入目標を掲げるべきでないかとの提案をさせていただきました。知事からも、自然エネルギーによる電力自給率の目標として、二〇二〇年度に二五%、二〇三〇年度に三七%と、極めて意欲的な数字を掲げていただき、徳島の豊かな自然に潜在的に秘められた自然エネルギーを余すところなく活用する計画となっていると認識しております。 しかしながら、この目標は、ともすれば目標倒れになりかねない非常に高い値であり、目標達成のためには、全国に類を見ないような、より実践的で効果的な施策展開が必要と考えます。 そこで、お伺いいたします。 パリ協定が十一月にも発効するとの報道があり、日本においてはいまだ批准が行われていないことから、自然エネルギー協議会の会長でもある飯泉知事におかれては、国に対し、早期批准に加え、さらなる自然エネルギー導入目標の引き上げを提言いただくとともに、本県における導入目標を達成するためにどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 御答弁いただき、質問を続けてまいります。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 岩丸議員の御質問に順次お答えをさせていただきます。 まずは、中央構造線活断層地震の被害想定について御質問をいただいております。 このたびの熊本地震のような直下型地震が一たび発生すれば、活断層の直上のみならず、その周辺を含め、甚大な被害が想定されるところであります。 このため、本県におきましては、いち早く、被害を未然に防ぐ取り組みといたしまして、中央構造線活断層帯について、条例に基づく特定活断層調査区域を平成二十五年八月三十日に指定し、多数の人が利用する施設や危険物を貯蔵する施設を建築する場合には活断層の直上を避けることを義務づける、都道府県初となる土地利用規制を行っているところであります。 加えて、中央構造線活断層地震が発生した場合にどの地域でどの程度の揺れがあるのか、建物やライフラインにどのような被害が出るのかといった被害想定を県民の皆様方にお示しすることは、地震の揺れに対する備えを行っていただく上で極めて重要である、このように認識いたしております。 この被害想定の策定につきましては、基礎となる地質データの収集を初め事前準備を進めているところであり、九月補正予算案に策定経費を盛り込んだところであります。今後、速やかに、全国の第一線で御活躍の学識経験者から成る検討委員会を立ち上げ、地震動予測を初めさまざまな観点から、最新の知見に基づく検討を重ね、まずは県民の皆様方の関心が最も高い揺れの強さの広がりを示す震度分布図について、本年度内の公表を目指してまいります。 また、揺れや火災による人的被害や建物被害、断水や停電といったライフライン被害、各市町村における避難者数や孤立集落数などの被害想定につきましても、来年度の八月末までには公表ができますように、鋭意作業を進めてまいります。 これらの結果は、既に公表している南海トラフ巨大地震の被害想定とともに、本県の地震災害における予防、応急、復旧復興対策の前提となるものであり、地域防災計画を初めとする各種計画の見直し、広域的な相互応援体制の構築、物資の備蓄や輸送計画の策定などにしっかりと生かしてまいりたいと考えております。 今後とも、南海トラフ巨大地震や中央構造線活断層地震など、いかなる大規模災害に対しても死者ゼロの実現を目指し、県土の強靱化を強力に推進いたしてまいります。 次に、自然エネルギーにつきまして幾つか御質問をいただいております。 まず、パリ協定の早期批准及び自然エネルギー導入目標の引き上げを国に対し提言してはどうかであります。 パリ協定は、複雑な対立構造を乗り越え、全ての国、地域による歴史的な合意がなされたものであります。来月にも協定の発効が確実視される中で、我が国におきましては批准手続が進んでおらず、これからの国際社会における発言力の低下が大いに危惧されるところであり、徳島県知事としてはもとより、国内外に発信してきた自然エネルギー協議会会長として、看過できるものではありません。 議員からの御提言は、こうした私の思いと軌を一にするものであり、パリ協定の早期批准、自然エネルギーの導入目標の意欲的な引き上げを、国に対し速やかに強く提言を行う所存であります。 次に、自然エネルギー立県とくしま推進戦略に掲げました導入目標を達成するためにどのように取り組んでいくのか、御質問をいただいております。 本県は、豊かな自然環境に恵まれており、太陽光のみならず、風力、小水力やバイオマスなど多様な自然エネルギーについて、極めて高い潜在力、ポテンシャルを有しているところであります。その活用に際しましては、南海トラフ巨大地震などの大規模災害への備えや、送電網の接続可能量が不十分な地域を考慮いたしまして、地域の実情に応じた取り組みを進めていく必要があります。 このため、本県では、平成二十七年十二月に「自然エネルギー立県とくしま推進戦略~『環境首都・新次元とくしま』の実現へ~」を策定し、自然エネルギーを活用したエネルギーの地産地消や災害に強いまちづくりに取り組むことといたしました。この新しい戦略の策定に当たりましては、議員からも御提案をいただく中で、自然エネルギーの新たな導入目標といたしまして、ただいまもお話がございました、本県の自然エネルギーによる電力の自給率を二〇二〇年度に二五%、二〇三〇年度には三七%とする、国を上回る全国トップクラスの目標を掲げたところであります。 本県におきましては、これまでも、西日本初となる県営メガソーラーの設置、防災拠点や避難所における自然エネルギー導入支援、川口ダム自然エネルギーミュージアムの開所など、積極的な取り組みを進めてまいったところであります。また、本年四月、発生した熊本地震を受け、大規模災害時の非常用電源確保のため、蓄電池の技術革新支援及び購入に対する補助制度の拡充、孤立が予測される集落に特化いたしました防災拠点や避難所へのソーラーパネルや小水力発電設備等に対する新たな補助制度の創設について、緊急提言を行ったところであります。 さらに、去る九月九日には、ソフトバンクグループ孫正義氏が会長を務めます公益財団法人自然エネルギー財団の創立五周年記念国際シンポジウムにおきまして、自然エネルギー協議会会長として講演を行い、知恵は地方にありとして、本県の取り組みを全国はもとより世界に向け発信いたしたところであります。 今後は、持続可能な経営を目指す漁業者と協調し、洋上風力発電の実証実験を進めるほか、大学などの研究機関との連携によりまして、未利用エネルギーの活用策を検討いたしますとともに、成長産業として期待することのできる自然エネルギー関連企業に本県のフィールドとしての可能性をアピールするなどの取り組みを積極的に進めてまいります。 目標達成に向け、座して待つのではなく、新次元の取り組みに積極果敢にチャレンジすることで、脱炭素社会の実現はもとより、徳島から自然エネルギーの活用による地方創生、ひいては日本創成の実現が図れますように、しっかりと取り組んでまいる所存であります。   (海野副知事登壇) ◎副知事(海野修司君) 気候変動対策推進条例についてどのように普及啓発を進めていくのかとの御質問でございますが、世界の年平均気温は上昇を続け、世界各地において豪雨や干ばつが発生するにとどまらず、生態系にさまざまな変化が見られるなど、地球温暖化は待ったなしの状況となっております。 また、昨年十二月に世界各国の対立を乗り越え採択された、温室効果ガス排出削減の新たな国際的枠組みであるパリ協定については、これまでに、温室効果ガスの二大排出国である米中両国を初め、六十カ国を超える国々が批准し、年内発効は確実な情勢となっており、我が国においても取り組みを加速させる必要があると考えているところであります。 こうした地球環境を取り巻く大きなうねりを受け、本県におきましては、全国に先駆け、一歩先の未来を見据え、気候変動対策におけるバイブルとなる新たな条例を今議会に提案させていただいたところであります。本条例の制定は、脱炭素社会の実現に向けてのスタートラインであり、今後いかにして県民や事業者の方々の理解を深め、行動に結びつけていただくかが極めて重要であることから、基本理念の一つとして、県民総活躍による社会的機運の醸成を掲げているところでございます。 具体的には、条例の施行に合わせて開催を予定している記念フォーラムにおきまして、気候変動に関する最新の知見や対策についての講演、県内の大学生による若者の感性を生かした条例の普及方策の提案などにより、県民の方々と危機感を共有し、環境意識をより一層高めてまいりたいと考えております。 また、六月定例会の一般質問におきまして御提言をいただきました地球環境を守る日につきましては、アースデーにちなみ、四月二十二日に設定させていただいているところであり、今後、県内各地において、この趣旨にふさわしい行事の実施に努めてまいります。 さらに、来春にオープンを予定しております環境活動連携拠点は、気候変動対策の最前線基地として位置づけており、地域における環境活動のリーダーとなる人材を育成するための講座の開催、あらゆる世代が環境について気軽に話し合いができるエコカフェの運営、燃料電池自動車を初め最先端の環境技術の展示などに取り組むこととしております。 これらの取り組みを通じまして、県民や事業者の皆様の環境活動の機運を盛り上げ、県民総活躍による気候変動対策を推進するとともに、本県こそが気候変動の危機を救うという強い気概を持ち、脱炭素社会の実現に向け全力を傾注してまいります。   (後藤田政策監登壇) ◎政策監(後藤田博君) 災害時のトイレの確保や環境整備についての御質問でございます。 熊本地震でも明らかになったように、大規模災害発生時においては、上下水道を初めライフラインが途絶する中、トイレ環境の悪化により、衛生面だけでなく健康面でも深刻な事態を招くなど、災害時のトイレ確保対策は全ての被災者にとって最優先で対応すべき切実な問題であると認識しているところでございます。 このため、市町村に対する災害用簡易トイレの備蓄支援に加え、県みずから、さきの六月補正予算におきまして、簡易洋式トイレや携帯トイレの緊急備蓄にも取り組んでいるところであります。 こうした取り組みに加えまして、九月補正予算において、次の事業の提案をさせていただいているところであります。 まず一点目でございますが、災害時におけるトイレの円滑、確実な調達や衛生環境の確保を体系的、計画的に推進するため、自助、共助、公助の役割分担を明確化し、携帯及び簡易トイレの備蓄のあり方、仮設や常設トイレの環境改善、避難所における運用のマニュアル化などに専門家の知見を取り入れた災害時快適トイレ計画(仮称)を今年度内に策定する予定としております。 二点目といたしまして、平時は建設現場において、災害時には避難所において、環境改善のため、仮設トイレの洋式化を促進する予定としております。 三点目といたしましては、避難所となる県立学校のトイレについて、洋式化やバリアフリー化に加え、合併処理浄化槽や多目的トイレの整備など、平時における快適な学校生活と災害時の避難者の生活環境の向上を図ることとしております。 四点目といたしまして、災害時のトイレの問題について県民の皆様や防災関係者の方々とともに考えていただくため、十二月二十一日の昭和南海地震七十年行事の一環といたしまして、避難所におけるトイレの重要性、健康への影響などをテーマとした快適トイレシンポジウム(仮称)を開催する予定としております。 これらの取り組みを通じ、助かった命をつなぐため、災害時のトイレの確保や環境改善を強力に推進することで、避難所のQOLのより一層の向上を図ってまいります。   (岩丸議員登壇) ◆二十番(岩丸正史君) それぞれ御答弁をいただきました。御答弁に対する私の意見等は、後ほどまとめて述べたいと思います。 質問を続けてまいります。 地方創生に関連してお伺いいたします。 私の地元の神山町では、サテライトオフィスの集積が進んでおります。神山町では、以前から、町内の人々が一丸となって地域おこしに取り組んできた結果、すだちの名産地としてはもちろんでありますが、現在、町内で展開中でございますアーティスト・イン・レジデンス事業など、先進的な文化の町としてのブランドイメージを上げてきたところです。そして、今はサテライトオフィスの集積で、連日、全国から視察に訪れるほど有名になってきており、県が取り組む消費者庁の誘致においても、神山町が徳島県のすぐれた通信インフラや仕事環境を示す顕著な事例として大いにアピールできたのではないかと考えています。 神山町には、働き方の革新と地域の革新を求める人が多く集まっていて、それが今後もさまざまな創造性のある地域活性化策や新たな経済活動につながるものと考えており、大いに期待しているところであります。特に、4K制作会社やデジタルコンテンツ会社、デザイン会社など、バラエティーあふれるクリエーティブ関連企業のサテライトオフィスが集積していることから、こうした企業が中心となって、その枠を超えて連携して、この地域にしかできない地域おこしを画策しています。 昨年度は、神山において、全国でも初の試みである4K映画祭が開催され、好評を博したところです。こうした活動は、継続し定着してこそ、国内外への発信力、誘客力につながるものと考えています。ぜひ今後も引き続き、4K映画祭などのイベントを開催していただきたいと考えています。 そこで、お伺いいたします。 昨年度の4K徳島映画祭を踏まえ、神山の特色あるクリエーティブ産業の集積を生かし、今後、4K徳島映画祭の開催についてどのように取り組み、どう展開しようとしているのか、御所見をお伺いいたします。 引き続き、地方創生の推進についてお伺いいたします。 日本全体の人口の急減や徳島からの人口流出を一刻も早く食いとめるため、まさしく地方創生は待ったなしの緊急課題であり、課題解決には地域独自の創造力と地域挙げての実行力が必要であります。知恵は地方にあり、飯泉知事はこの言葉と行動力で県職員を叱咤激励、そして大いに鼓舞し、国に対して、また他の四十六都道府県との大競争の中で積極果敢に渡り合っておられ、その象徴的な成果の一つが消費者庁の徳島移転であると、私も評価しております。 そしてもう一つ、先ほども取り上げた地方創生の最先端モデルと称される神山町でさらに注目していただきたいのは、今もなお続いている人が人を呼ぶ連鎖と、その化学反応から生み出される新たな進化であります。中でも、昨年度、町を挙げて取り組んだ神山町創生戦略の策定において、官民協働組織神山つなぐ公社による古民家再生などへの挑戦、また地域の消費者と地域の農業生産者を結ぶフードハブによる地域経済循環といったさまざまな新たな進化が創出されたところです。 そして、これらのプロジェクトの推進エンジンとなっているのが、国の加速化交付金や地方創生推進交付金であり、またこのような国交付金の獲得に当たり、実は徳島県と神山町とが強力なタッグを組んでいることも功を奏しているのであります。 地方創生、そしてそのための手段である交付金の活用には、積極的な連携が不可欠であり、県においては、このたびの神山との連携を大いに参考とし、全県的にも効果的かつ戦略的に、県と市町村との政策連携を強固なものにしていくべきではないでしょうか。 そこで、お伺いいたします。 地方創生の推進エンジンである国の交付金の活用に当たり、県と市町村との戦略的な連携をより一層強化してはどうでしょうか。御所見をお伺いいたします。 次に、農業を担う人材の育成についてお伺いいたします。 本年四月、神山町において、地域活性化の新たな取り組みが始まりました。神山町役場と一般社団法人神山つなぐ公社、神山町にサテライトオフィスを置くIT関連企業が、株式会社フードハブ・プロジェクトを共同で設立し、自社農園での少量多品目の農産物の生産に始まり、加工品の開発や販売、地元食材を活用した食堂の経営、若手農業者の育成支援に至る六次産業化による地域活性化の取り組みを進めております。 このような取り組みを進める上で、担い手となる六次産業化人材の育成は大変重要であると考えています。 農業人材の確保に向けて、県内の高校においては、平成二十九年度に城西高校アグリビジネス科、平成三十年度には阿南工業高校と新野高校を再編統合する農工商が一体化した総合産業高校を新たに設置するなど、高校段階での六次産業化教育が充実強化されることとなっています。また、本年四月には、徳島大学に、県内初の農学系の生物資源産業学部が開設され、本県農業のさらなる発展につながるものと大いに期待しています。 このような中、本県農業を担う中核的な人材を長年にわたり輩出してきた農業大学校においても、本県農業をもうかる魅力ある産業としてさらに発展させるため、六次産業化人材を育成する教育環境のさらなる充実が必要であると思われます。さらに、農業大学校は、将来の担い手となる学生だけでなく、平成二十五年に開設したアグリビジネススクールにおいて、農業者を含む社会人を対象とした人材育成にも取り組まれております。 技術革新や物流の変化など、農業を取り巻く環境が日々進化する中で、農業経営は複雑化しており、農業者にはこれまで以上に高い経営力が求められています。農業大学校には、こうした状況に対応できる農業者となり得るよう、その経営力を向上させ、地域のリーダーとして新たな時代を切り開く農業者を育成する機関としての役割を果たしていくべきであります。 そこで、お伺いいたします。 農業大学校の充実強化をどのように図っていくのか、お伺いいたします。 最後に、交通安全施設の適切な管理による交通事故抑止対策についてお伺いいたします。 ことしの交通死亡事故は、九月末現在、既に四十二人の方が被害に遭われており、増加率は悲しくも全国ワースト一位と聞いております。 このような中、事故防止対策の一つとして、道路の交通環境を整備するという取り組みがあります。これは、必要な場所に必要な交通規制を設け、道路標識や路面標示等の交通安全施設を整備することであり、整備後は、警察職員等が日常的に点検活動を実施したり、大きな交通事故があった場合、緊急点検をしたりして保守管理していると見聞きしています。 しかし、老朽化によって道路標識が倒壊したり路面標示が消えているといった声や、警察に通報しているのに倒れたまま、消えたままという声も聞かれます。必要があるから設置した交通安全施設ですから、その後の保守管理ができていなかったことによって交通事故を誘発するということがあってはなりません。 このような社会インフラは、適切な時期に適切な修繕を行うことが必要であり、これら保守管理については、民間のノウハウを積極的に活用するべきであります。例えば、一般社団法人全国道路標識・標示業協会は、地域や学校と連携して、カラー舗装など通学路の安全対策を行う子どもを守ろうプロジェクトを全国で展開しております。 本県における死亡事故の死者の多くは高齢者でありますが、高齢者と同様に、将来を担う子供たちが見やすくわかりやすい標識や標示を設置し、安全に通学できる道路環境を整備することも重要だと認識しております。 そこで、県警本部長にお伺いいたします。 県民の安全・安心の確保につなげるため、このような民間のプロジェクトを活用した標識・標示モニター制度の導入が有効と考えますが、御所見をお伺いいたします。 御答弁をいただき、まとめに入りたいと思います。   (飯泉知事登壇) ◎知事(飯泉嘉門君) 4K映画祭の開催に向けた取り組みについて御質問をいただいております。 本県では、今後、成長分野として大いに期待がなされているスーパーハイビジョン4K、8K関連の産業の集積に向けた取り組みを、全国のトップランナーとして積極的に行っているところであります。 このような中、来る十一月二十五日から二十七日までの三日間、4K関連事業者が集積いたします神山町におきまして、昨年に引き続き、4K徳島映画祭を開催いたします。そこで、映画祭の核となります上映作品を公募いたしましたところ、今年は昨年の六十作品を大きく上回る百五作品の応募があり、本番に向けた期待が大いに膨らんでいるところであります。 この映画祭は、本県が誇る光ブロードバンド環境の優位性に加え、豊かな自然や伝統文化を全国に向け大いに発信できるまたとない機会となりますため、徳島県を体感、体験していただけるさまざまなプログラムを御用意いたしております。 まず、ことしの映画祭の特徴といたしましては、4K劇場商店街と銘打って、会場を神山町寄井地区に集約いたしまして、御来場の皆様方に神山町の町並みと地域住民の皆様と一体となったお祭りの雰囲気を存分に堪能していただきたいと考えております。 例えば、随所に4Kテレビを配置し、上映作品を楽しんでいただくとともに、来場者の皆さんの笑顔を4K撮影したスマイルシアター、昔の祭りをイメージした懐かしの昭和遊び体験やおみこし担ぎなど、地域住民の皆様方と来場者がともに楽しみともに憩えるワークショップを実施したいと考えております。また、神山の特産品やグルメの販売、餅つき体験など、おいしい味覚も町ぐるみで御用意をいただき、全国からの来場者の皆様方がまさにわくわくするようなおもてなしのイベントにしていきたいと考えております。 折しも、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向け、4K、8K放送を多くの国民の皆様方が視聴できるよう、インフラ環境が国策として急速に整備されているところであります。この千載一遇の機会を捉え、今回の4K映画祭を通じて4K先進県徳島を大いに全国にPRするとともに、今後とも、映像コンテンツの充実やクリエーティブ人材の育成、確保などを進め、4K、8K関連産業の集積を一層加速いたしてまいる所存であります。   (七條政策創造部長登壇) ◎政策創造部長(七條浩一君) 地方創生に向けた県と市町村との戦略的な連携のより一層の強化についての御質問でございますが、人口減少の克服と東京一極集中の是正に向け、徳島から課題解決の突破口を見出し、有効な処方箋を強力に発信していくためには、まずは、地方の創意工夫を盛り込んだ総合戦略をスピード感を持って展開することが必要であります。 総合戦略の推進エンジンといたしましては、県議会のお力添えをいただき確保できました、事業費ベースで全国総額二千億円の地方創生推進交付金を戦略的に活用いたしますとともに、交付金の確保や実践に当たりましては、従来の政策や組織の枠組みを超えた連携により、単独実施以上の相乗効果を創出していくことが不可欠となっております。 このため、本県では、地方創生の旗手徳島として、これまでにも政策間連携や地域間連携、官民協働などに積極的に取り組んできたところであり、本年度開始の地方創生推進交付金第一回応募の際も、早速このような連携を数多く取り入れた最もモデル性の高い先駆的タイプとして、国に対し三事業を申請し、全事業の交付決定を得たところであります。 具体的には、まず、議員からお話がありましたように、神山町や美波町と連携し、事業名として、「とくしま回帰促進!県民総活躍推進戦略」を掲げ、サテライトオフィスの誘致や地域密着型ビジネスの創出に取り組み、移住促進や雇用拡大などの成果につなげ、県下全域への波及に努めております。 また、「四国のゲートウエーを起点とした『おどる宝島とくしま観光・文化プログラム』発信戦略」では、鳴門市と連携し、観光案内施設の整備や滞在型観光商品の開発などによる広域周遊ルートの整備や新たな事業展開を進めております。 さらに、もうかる農林水産業の実現に向けたブランド戦略では、小松島市と連携し、新たな商品の開発や六次産業化などに取り組み、とくしまブランドの確立や新規販路開拓を推進しております。 複数年にわたる支援を行う地方創生推進交付金は、来年度に向けた国の概算要求におきまして、今年度を上回る、事業費ベースで二千三百四十億円を盛り込まれており、その獲得に向けては、より一層、市町村と力を合わせて創意工夫を図り、例えば県内三圏域における広域的な市町村間連携の構築、移住交流のさらなる推進や働き方改革を初め、新たな政策課題における思い切った連携の創出など、戦略的な連携の強化に鋭意取り組んでまいります。 今後とも、課題解決先進県徳島として、全国をリードする徳島ならではの新次元の連携モデルを市町村とともに創造し、その成果を県民の皆様にしっかりとお届けし、地方創生、ひいては一億総活躍を実感していただけるよう、全力を尽くしてまいります。   (松本農林水産部長登壇) ◎農林水産部長(松本雅夫君) 六次産業化人材の育成や農業者の経営力向上を実現するため、農業大学校の充実強化をどのように図っていくのかとの御質問でございます。 本県農業をもうかる魅力ある産業として持続的に発展させるためには、農産物の生産のみならず、加工や流通・販売分野にも活動を広げ、新たな価値を生み出す六次産業化に取り組む人材の育成や、経営感覚にすぐれた農業者の育成が必要不可欠であると認識しております。 これまで、農業大学校では、六次産業化の実践や農業者の経営力の向上を図るため、学生が生産から加工、販売まで取り組む模擬会社、徳島農大そらそうじゃの設立、新たな食ビジネスを創出する目的で国が創設した食の六次産業化プロデューサーの資格取得講座の開設、社会人を対象としたアグリビジネススクールの開講などに取り組んでまいりました。 こうした中、専門高校の充実強化や徳島大学の農学系学部の新設など、高校から大学へとつながるキャリアパスの整備を進めているところであり、農業大学校には、これまでの取り組みに加え、六次産業化を専門とするコースの設置、学生のみならず農業者も実習や加工品の試作にチャレンジできる場の提供など、より実践的な六次産業化の教育環境を充実させることが必要であると考えております。 また、農業者の経営力向上のためには、経営の規模拡大や多角化、法人化を初めとする高度なニーズに即した講座内容の充実や、農業に従事しながら効率的に学習できるよう、受講の利便性の向上など、アグリビジネススクールとしての機能強化が求められております。このため、食品加工事業者や大学教員、農業者等で構成する農業人材育成のあり方検討委員会(仮称)を今月中にも設置し、これらの課題について本年中を目途に検討を進めてまいります。 この検討結果を踏まえ、農業大学校の充実強化を図り、六次産業化人材の育成や農業者の経営力向上を実現することにより、農業を核とした地方創生をしっかりと牽引できるよう、スピード感を持って取り組んでまいります。   (鈴木警察本部長登壇) ◎警察本部長(鈴木信弘君) 民間プロジェクトを活用した標識・標示モニター制度の導入についての御質問でございますが、県下には、公安委員会が整備している規制標識や信号柱は約四万本に上るほか、横断歩道は約七千本、実線標示の総延長は約七百二十キロなど、多くの路面標示について公安委員会が整備、管理しているところであります。 県警察においては、これら交通安全施設の老朽化等の実態把握に努め、交通安全対策上、優先順位の高いものから順次更新に努めているところでありますが、議員からもお話のありましたとおり、横断歩道や一時停止線などの道路標示が摩耗し、その視認性が低下しているケースについて指摘を受けることも散見されるところであります。 昨年度、策定しました徳島県公共施設等総合管理計画においては、交通安全施設においても、警察庁舎と同様、その実態を把握した上で、計画的な修繕、更新により長寿命化を図ることとしており、今後さらに適正な維持管理が求められているところであります。 これら交通安全施設の点検につきましては、本部担当者や警察署の警察官による計画的な点検を初め、県民の皆様からホームページ上で通報を受ける標識ボックスの活用、学校やPTAと連携して行う通学路点検などを通じて把握に努めているところでありますが、県内の道路上に広く整備している標識や標示を日々きめ細やかに確認していくことは、現状においては極めて厳しい状況であります。 御質問にありました一般社団法人全国道路標識・標示業協会につきましては、標識、標示に関する調査研究や技能者講習を行う公益団体であり、これまでにも、道路標識、標示の設置を通じて安全対策に御尽力いただいているところであります。 御提案のありました、いわゆる標識・標示モニター制度については、同協会における各種プロジェクトにおいて、同一の趣旨のものが行われていると承知しているところでありますが、県警察としましては、それらと連動しつつ、県下の安全施設の老朽化等の現状について、協会側からタイムリーに通報をいただくことは、きめ細やかな標識、標示の実態把握に資するものであり、安全な交通環境の実現はもとより、公共施設等総合管理計画に求められている延命化にもつながることから、極めて有意義であると認識しております。 今後とも、協会等による協力を得ながら、適正な安全施設の維持管理に努めてまいりたいと考えております。 県警察におきましては、引き続き、これら施策を通じまして、老朽化した安全施設を早期に把握するとともに、限られた予算を有効に活用して、安全で快適な交通環境の実現に努めてまいりたいと考えております。   (岩丸議員登壇) ◆二十番(岩丸正史君) それぞれ御答弁をいただきました。御答弁に対する私の意見等を申し上げます。 中央構造線活断層地震の対策につきましては、被害想定の公表により、県民の方々にも耐震化等の事前対策について、より強く関心を持っていただくことが、被害の減少にもつながるので、周知等も含めてしっかりと防災・減災対策に取り組んでいただきたいというふうに思います。 災害時のトイレ対策について、災害に迅速かつ適切に対応できるように、平時から十分に考慮して備えておく必要がありますので、いい取り組みであると評価いたします。 環境関係の二問につきまして、県が先導役として、県民や事業者の皆さんが歩みを同じくできるようにすることが大切です。待ったなしと言われる地球温暖化問題について理解を深めるとともに、危機感を共有することが何よりも重要であると考えます。また、自然エネルギー協議会の会長でもある飯泉知事が全国をリードしていただくよう、積極的な取り組みをお願いいたします。 地方創生の推進について、神山町は、クリエーティブ関連企業のサテライトオフィスが集積されるだけでなく、多分野にわたって非常に強い発信力を有しており、地方創生の先進地であるということが全国的にも定着しているかと思います。この認識が定着し、さらには継続するように、4K映画祭を初めとするさまざまな取り組みをぜひ継続していただきたいというふうに思っています。 神山町だけでなく、全県下に地方創生を推進し、徳島県をさらに盛り上げていくため、県と市町村との連携を一層強化していっていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 農業大学校の充実強化について、地域のリーダーとして、新たな時代を切り開く農業者を育成する機関としての役割を強化していくべきと考えます。農林水産総合技術支援センターから、名西郡から六次産業化のリーダーとなる人材を育成し、農林水産業を盛り上げていっていただきたいというふうに思っています。 交通事故抑止対策については、特にことしの交通死亡事故の増加は大変憂慮しています。特効薬となるような対策は難しいかもしれませんので、民間の力を活用して取り組むこのモニター制度のような地道な対策を続けていくことにより、事故の増加を防ぎ、県民の安全・安心の確保につなげていくことができると思いますので、しっかりとした取り組みをお願いいたします。 それでは、まとめに入らせていただきます。 私の地元神山町では、まちを将来世代につなぐプロジェクトとして、創生戦略・人口ビジョンを策定しました。人口急減、超高齢化という我が国が直面する大きな課題に対し、各地域がそれぞれの特徴を生かした自立的で持続的な社会を創生し、町を将来世代につなぐために最も大事なことは、いかにして人づくりを行うかであると考えます。 私はこれまでも、人づくり、道づくり、ものづくり、これを三本の柱に県政活動を行ってまいりましたが、この中でも特に力を入れる人づくりに取り組み、地方創生を推進するためには、各地域、市町村での取り組みはもちろんのこと、県のバックアップも欠かすことのできないものだと考えます。神山町初め県内各地でいろいろな人が知恵を出し合って、よい戦略ができていると思いますが、これを現実のものとし、町を将来世代につないでいくため、知事初め理事者の方々にさらなる御支援をお願いいたします。 私自身も、神山町、名西郡、そして徳島県の将来像、またあるべき姿をしっかりと見据え、既成概念にとらわれることなく、柔軟な発想でもって取り組んでまいりたいというふうに考えています。 以上をもちまして私の全ての質問を終わります。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)   ──────────────────────── ○議長(嘉見博之君) 以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。   ──────────────────────── ○議長(嘉見博之君) お諮りいたします。 明十月五日は、議事の都合により、休会といたしたいと思います。 これに御異議ございませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○議長(嘉見博之君) 御異議なしと認めます。 よって、さよう決定いたしました。 十月六日再開いたします。   ──────────────────────── ○議長(嘉見博之君) 本日は、これをもって散会いたします。      午後五時三十八分散会   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━...