平成11年 2月定例会 平成十一年二月
徳島県議会定例会会議録(第二号) 平成十一年三月二日 午前十時三十三分開議 出席議員計三十八名 (その番号・氏名左のとおりである) 二 番 藤 田 豊 君 三 番 橋 本 弘 房 君 五 番 長 池 武 一 郎 君 六 番 森 本 尚 樹 君 七 番 谷 善 雄 君 八 番 山 田 豊 君 九 番 久 次 米 圭 一 郎 君 十 番 庄 野 昌 彦 君 十一 番 冨 浦 良 治 君 十二 番 樫 本 孝 君 十三 番 来 代 正 文 君 十四 番 猿 瀧 勝 君 十五 番 竹 内 資 浩 君 十六 番 長 尾 哲 見 君 十七 番 福 山 守 君 十八 番 西 沢 貴 朗 君 十九 番 吉 田 忠 志 君 二十 番 北 島 勝 也 君 二十一番 杉 本 直 樹 君 二十二番 佐 藤 圭 甫 君 二十三番 亀 井 俊 明 君 二十四番 遠 藤 一 美 君 二十六番 児 島 勝 君 二十七番 原 秀 樹 君 二十八番 川 真 田 哲 哉 君 二十九番 俵 徹 太 郎 君 三十 番 大 田 正 君 三十一番 榊 武 夫 君 三十二番 平 岡 一 美 君 三十四番 近 藤 政 雄 君 三十五番 湊 庄 市 君 三十六番 木 村 正 君 三十七番 元 木 宏 君 三十八番 中 谷 浩 治 君 三十九番 大 西 仁 君 四十 番 阿 川 利 量 君 四十一番 谷 口 修 君 四十三番 木 内 信 恭 君 ────────────────────────
出席職員職氏名 事務局長 西 本 辰 年 男 君 次長 林 祐 次 郎 君 議事課長 西 成 忠 雄 君 調査課長 西 尾 昶 二 君
議事課課長補佐 渡 部 荘 三 君
調査課課長補佐 森 住 孝 義 君 議事係長 日 関 実 君 事務主任 島 尾 竜 介 君 同 堀 部 隆 君 同 香 川 和 仁 君 主事 吉 成 浩 二 君 同 谷 本 か ほ り 君 ────────────────────────
出席速記者氏名 速記者 井 上 順 子 君 ────────────────────────
列席者職氏名 知事 圓 藤 寿 穂 君 副知事 猪 野 積 君 出納長 坂 本 松 雄 君
企業局長職務代理者企業局次長 松 平 清 君 総務部長 寺 田 稔 君
企画調整部長 牧 田 久 君
保健福祉部長 辰 巳 真 一 君
環境生活部長 飛 田 昌 利 君
商工労働部長 塚 田 桂 祐 君
農林水産部長 野 田 浩 一 郎 君 土木部長 甲 村 謙 友 君 財政課長 平 川 薫 君
財政課課長補佐 市 川 義 博 君 ──────────────────────── 教育委員長 原 田 弘 也 君 教育長 青 木 武 久 君 ──────────────────────── 人事委員長 平 石 義 光 君
人事委員会事務局長篠 原 啓 之 君 ──────────────────────── 公安委員長 斎 藤 義 人 君 警察本部長 宮 越 極 君 ────────────────────────
代表監査委員 大 和 恒 君
監査事務局長 井 内 孝 明 君 ──────────────────────── 議 事 日 程 第二号 平成十一年三月二日(火曜日)午前十時三十分開議 第一 県政に対する一般質問 (四 名) ────────────────────────
○議長(俵徹太郎君) これより本日の会議を開きます。 ────────────────────────
○議長(俵徹太郎君) 直ちに本日の日程に入ります。 日程第一、「県政に対する一般質問」を行います。 通告がありますので、通告の順序に従い、発言を許可いたします。 三十九番・大西仁君。 〔大西(章)・四宮両議員出席、出席議員計四十名となる〕 (大西(仁)議員登壇)
◆三十九番(大西仁君) 皆さんおはようございます。 私は、自由民主党・県民会議を代表いたしまして、県政の諸課題について質問をしてまいります。 昨年の二月議会は十二番の質問であったわけでございまして、ちゃんこの中には具が余りなかったわけでございます。しかしながら、今回は二月議会の
トップバッターということで具も豊富でございます。どれからはしをつけて──迷っておるわけでございますけれども、余りつまみ食いをして腹を壊さないように質問を展開してまいります。 それでは、質問に入ります。 私は、まず初めに、当初予算案関連から質問をしてまいります。 平成十一年度は、明石海峡大橋の開通による架橋効果を一過性に終わらすことなく、長く県内に波及させ、その定着化を図らなければならない重要な時期であります。さらに、知事の所信にもありましたように、二十一世紀はその鼓動が聞こえてくるほど間近に迫っており、時のかけ橋とも言うべき今、本県の将来を見据え、早急に対応すべき課題について適切に対応し、二十一世紀の活力ある徳島の実現のため、懸命に取り組んでいかなければならない、まさに正念場であります。 しかしながら、財政の弾力性が保たれなければ、多様化する行政課題に十分に対応できないことは申すまでもありません。 その意味で私は、知事が昨年三月に、本県財政の中長期的な指針として「
財政健全化推進プログラム」を策定され、財源不足額の圧縮と
県債新規発行の抑制という二つの健全化目標を掲げ、特に県債発行について、具体的な数値目標として四百五十億円という
県債発行抑制基準を設定するなど、財政の健全化に取り組む強い決意を明らかにされたのは、活力ある二十一世紀の徳島を担うリーダーとして、責任ある姿勢であると高く評価するものであります。 ところで、平成十一年度の予算編成は、本県がその動向に大きく左右される
地方財政計画において、過去最大の財源不足となり、本県財政を取り巻く環境が極めて厳しい状況にあるわけであります。 こうした中、
財政健全化目標の達成という課題と、活力ある二十一世紀を見据えた諸施策の着実な推進という相反する命題を両立させることは、口で言うほど簡単なことではなかったと思うのであります。 私は、このような状況下において、これまで以上に知事が
リーダーシップを発揮し、めり張りのきいた施策選択を行うことが不可欠であると考えるのであります。 極めて厳しい状況下で取り組まれた平成十一年度予算編成を総括し、特に力点を置かれた点などを含めて、知事はどのように自己評価されているのか、御所見をお伺いいたします。 ところで、平成十一年度予算編成におきましては、平成十年度の国の第三次補正予算を積極的に活用するための補正予算と一体的に編成するという初めての試みにチャレンジをされております。本県のように財政力が脆弱な団体が、
広域交通ネットワークを初めとする
社会資本整備を推進するとともに、本県経済の下支えという効果も考えますと、これまで以上に
国庫補助事業の積極的な活用が必要であります。 そのような認識のもと、年末の国の予算編成時を初め、知事が先頭に立って、国に積極的に要望活動されている姿勢は、高く評価するものであります。 しかしながら、本県では、既に昨年四月の国の総合対策に呼応した六月補正予算及び九月補正予算を合わせて、過去最大の
公共事業関連予算を計上しており、その上で今回さらに三百億円を超える公共事業費を追加計上し、その財源は大部分が県債であります。多額の県債残高を抱える中で、本年度は最終的に一千億円を超える県債発行となり、県債残高も約六千八百億円、そして来年度末には七千億円を超える県債残高が見込まれており、
財政健全化という観点から一抹の不安を抱くものであります。 そこでお伺いいたします。経済対策に伴う国の補正予算を積極的に活用し、基盤整備と景気動向に配意する姿勢を評価いたしますが、その財源としている県債の償還など、将来の財政運営に支障はないのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、
行財政改革についてお伺いいたします。 我が国経済は、二年連続の
マイナス成長、来年度もプラスに転じるか微妙な状況にあります。戦後最大の経済危機を迎えておるわけであります。景気低迷の深刻化に伴い、企業収益は一段と悪化し、我が国を代表するような企業においてさえ、収益を下方修正する企業が相次いでおります。また、ここに来て
ストック調整やリストラがいよいよ本格化し、来年度のベアがマイナスというような声さえ聞こえてくるわけであります。「変化の胎動、今なお遠し」の感がするわけであります。 政府は、こうした予想を上回る景気の低迷に直面し、昨年度の財政緊縮から一転、今年度は約四十兆円に上る経済対策を実施し、景気の下支えに躍起となっております。しかし、国、地方を合わせて六百兆円にもなんなんとする債務を抱えるに至った今日、もはやこうした政策は限界に来ており、規制緩和を初めとする各種の改革とともに
行財政改革を断行しなければならない状況にあることもまた明らかであります。 本県におきましても、先ほど申しましたような予算額をはるかに超える県債残高がさらに膨らんできており、県債の償還に伴う財政の硬直化が憂慮されております。加えて、景気の低迷に伴い、県税収入が伸び悩む中、二十一世紀の徳島県の発展を図るためには、
行財政改革に積極果敢に取り組む必要があると思うのであります。 既に、知事は、平成九年六月議会において、アクション21と銘打ち、地方分権型の
行財政改革に取り組むことを表明され、昨年度末には
財政健全化推進プログラムを、本年度にはもう一つの柱であります3
Cプロジェクトの
最終取りまとめを行われました。また、これと並行して、既に数々の改革に着手され、多くの成果を上げておられます。 しかし、本県の
行財政改革は、まさにこれからが正念場であります。職員の削減や出先機関の再編というような大きな改革には、庁内外の抵抗も予想され、場合によっては知事みずから乗り出していくような場面があろうかと思うわけであります。 アクション21の策定を終えた現時点において、改めて今後の
行財政改革に取り組む知事の決意のほどをお聞かせいただきたいと思うわけであります。 次に、地方分権についてお伺いいたします。
地方自治制度につきましては、平成七年の
地方分権推進法施行以降、改革議論が本格化し、これまで
地方分権推進委員会の数次にわたる勧告や、政府の
地方分権推進計画が策定されるなど、国主導で地方分権の推進に向けての基本方向や基本計画が示されてきました。 今回の改革は、これまで何度となく挫折を繰り返してきた
地方分権改革の歴史を考えれば、画期的なことと言えます。しかし、地方の視点から見ますと、例えば、分権計画の中で最大の改正点である
機関委任事務制度の廃止につきましても、今後個々の法律改正のいかんによっては、自治事務とされたものについても、単に運用面の改善のみにとどまり、地方自治体の主体性が発揮できない可能性もあるわけであります。また、従来から言われておりますように、税財源移譲や権限移譲など、さまざまな問題がございます。 このように、このたびの分権計画には不十分な点が幾つもあるわけでありますが、私は、今回の改革を分権型社会を実現するための確かな第一歩と前向きにとらえ、制約の残る中にあっても、地方自身が汗を流し、力をつけ、努力する中で、第二、第三の
地方分権改革の風をみずからの手で起こしていかなければならないと思うのであります。 現在、
地方分権推進に向けての国の作業も最終段階を迎え、
機関委任事務廃止に伴う四百八十本と言われる分権関連法の改正作業をほぼ終了し、近々通常国会へ提出される予定であります。 不十分とはいえ、いよいよ地方分権が実行されようとしているわけでありますが、知事はこのたびの地方分権をどのように受けとめ、また県としてどのように地方分権に取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、市町村合併についてお伺いいたします。
地方分権時代を迎え、主役である市町村は、少子・高齢化社会の到来や
介護サービス、ごみ処理など、新たな行政課題への対応が迫られております。一方、国は、これまで、
地方交付税などによる財政調整を通じ、一定の
行政サービスを保障してきました。しかし、国、地方を通じる危機的な財政状況の中、
地方交付税などによる手厚い財政支援も期待できない時代が、いや応なくやってこようとしております。加えて、中長期的に将来の市町村像を考えたとき、少子・高齢化による人口の自然減と社会減が相まって、市町村の存立の基盤である
人口そのものが減少し、地域社会が崩壊現象を起こすのではないかということも危惧されるわけであります。 このような厳しい社会情勢のもと、各地域が地方分権を推進し、自主・自立の生き生きとした地域づくりに取り組むためには、市町村合併によるみずからの存立基盤の強化がぜひとも必要となっているのであります。 ところで、市町村の合併の難しさについては、これまでもいろいろと言われてきております。私自身、過疎地に身を置く者として、合併を阻害している要因としては、一番感じておりますことは、やはり中心地以外の周辺部において合併することによって、かえって活力が低下し、過疎が進行するんではないかと。行政、住民あわせての危惧ではないかと思うのであります。本来ならば、高齢者の割合が高く、財政基盤の脆弱な過疎地の小規模町村こそ合併が必要でありながら、昭和の大合併時の経験もあって、合併に強い拒否感を持っているというジレンマがございます。 県は、この一月、市町村合併の議論のたたき台となる
合併パターンを提示し、また
合併特別交付金制度を創設するなど、市町村合併の推進に向けて積極的に取り組んでおられます。ぜひともこうした施策を積極的に推進していただきたいと思うのであります。 私は、市町村合併を現実のものとするためには、県下五十市町村の約六割を占める過疎町村の合併問題が全体の成否を左右するものと思うのであります。 市町村合併を促進するためには、過疎地域の町村が合併に対するジレンマを克服し、将来に夢や希望が持てるような、また合併後の不安が解消できるような持続的な支援策が必要と思うのであります。そこで知事の御所見をお伺いいたします。 以上、御答弁をいただいた後、質問を続けてまいります。 〔
柴田議員出席、出席議員計四十一名となる〕 (
圓藤知事登壇)
◎知事(圓藤寿穂君) 平成十一年度予算編成を総括して、特に力点を置いた点などを含めて、どのように自己評価しているのかとの御質問についてでございます。 議員御指摘のとおり、平成十一年度当初予算は、地方財政全体の財源不足が過去最大という極めて厳しい状況の中で、活力のある徳島新世紀への着実な前進を図るために、本県独自に策定をいたしました
財政健全化推進プログラムに位置づけました、
県債発行抑制基準などの健全化目標を堅持するなど、
財政健全化に向けた取り組みと、限られた財源の重点配分の徹底を図ることを大きな二つの柱として予算編成に取り組んだところでございます。
財政健全化への取り組みにつきましては、健全化目標の達成を初め、
国庫補助事業の積極的な活用を図る中での
一般単独事業の抑制や、経常経費の二年連続での一〇%削減などによります
一般行政運営経費の縮減、横割り予算による重点化、効率化など、一定の成果が得られたものというふうに考えております。 また、重点配分の徹底につきましては、県勢発展にとりまして、極めて重要な時期にあることを常に念頭に置きながら、架橋効果の定着を図るための施策、環境対策や少子・高齢化対策など、早急な対応を図るための施策、また各分野、各地域の自立・自助の取り組みに対する支援施策などの重点化の視点を明確にする中で、厳しく施策選択を行ったものであります。 その中で、環境配慮に積極的な環境自治体としての新たな取り組みとして、
環境マネジメントシステムの国際規格の認証取得や、二十一世紀の本県の環境保全・創造の拠点整備の検討に着手をいたしますほか、徳島の新たな魅力づくりとして、
光景観創造事業の積極的な展開を図ることにいたしております。 また、広域行政の積極的な推進を図るために、市町村合併や実効性のある広域連合の育成を図るための思い切った
財政支援制度を創設をするほか、
ごみ処理広域化計画に基づきます施設整備に対しまして、従来の支援制度を大幅に拡充強化したところでございます。 さらに、現下の厳しい経済状況を踏まえまして、国の第三次補正予算の積極的活用を図るための補正予算と一体的に編成する中で、相当規模の公共事業費を確保いたしますとともに、中小企業に対する融資の円滑化を図るために、県単
協調融資制度におきまして、過去最大の融資枠を確保しているところでございます。 極めて厳しい財政環境のもとでの予算編成でありましたが、
財政健全化に向けまして、着実に取り組む中で、二十一世紀を見据えた新たな施策を盛り込むなど、創意工夫を凝らし、めり張りのきいた予算となったのではないかと、このように考えているところでございます。 七千億円を超える県債残高が見込まれているけれども、将来の財政運営に支障はないのかという御質問についてでございます。
財政健全化推進プログラムにおきまして、
県債発行抑制基準四百五十億円というのを設定いたしておりますが、その際に、県債につきまして、その性格から大きく二つに分類して、
抑制基準対象外県債を定めております。
抑制基準対象外県債につきましては、
地方交付税の代替措置という性格のものでございまして、地方財政全体の
財源不足対策としての財源対策債や、国において臨時的、機動的に行います、経済対策に伴う
地方財政措置としての補正予算債など、その償還に応じまして、ほぼ全額が
地方交付税により財源措置されるものでございます。 県債を大きく二つに分類したねらいは、近年県債残高が急増している要因が、この
地方交付税の代替措置としての県債発行によるものであること。したがって、表面的な県債残高ではなく、その内容が重要であることについて、県民の皆様方にも御理解をいただきたいと考えたからであります。 議員御指摘のように、平成十一年度末には県債残高は七千億円を超えると見込まれますけれども、その半分以上は後年度において
地方交付税により補てんされることとなっております。 本県財政の状況を平成九年度決算で見てまいりますと、財政の硬直化を示す指標でございます
経常収支比率及び公債費比率におきまして、財政構造の類似するEグループ九県の平均をいずれも下回っており、また
財政調整基金や減債基金などの基金残高の
標準財政規模に対する比率で見ますと、全国で六番目に高く、ここ数年、基金残高も微減にとどまっており、総合的に見まして、必ずしも危機的状況とは言えないと認識をいたしております。 しかしながら、今後ますます多様化する行政課題に的確に対応するためには、財政の弾力性の確保が極めて重要な課題であり、
財政健全化推進プログラムを着実に推進し、将来における財政運営に支障のないように取り組んでまいりたいと考えております。 今後の
行財政改革に取り組む決意についての御質問についてでございます。 私が、知事就任後、いち早く本県独自の
行財政改革に取り組みましたのは、本格的な高齢化社会の到来を目前に控え、情報化、国際化の進展など、
経済社会情勢の大きな変化を敏感にとらえて、県民の多様なニーズに即応し得る、簡素で効率的な
行財政システムの構築を図ることが、豊かさが実感できる生き生きとした徳島を築き上げていくために極めて重要であると考えたからであります。 また、このたび策定をいたしておりますアクション21につきましては、いよいよ地方分権が計画から実施の段階に移行する時期を迎え、県の役割と機能分担を見直す中で、地方がみずからの責任において、自主的で創造的な施策を展開するために必要な
行政執行体制を再構築をいたしますとともに、中長期的な財政の健全性を確保しながら、限られた財源の計画的かつ重点的な配分をするための具体的目標と取り組む方策を定めるものであります。 なお、職員数の削減や出先機関の再編、
財政健全化といった
行財政改革の根幹をなす分野におきましては、数値目標を掲げることによりまして、より強い
取り組み姿勢を明らかにするとともに、県民の皆さんの御理解を得、さらには市町村との連携を図りながら、
地方分権時代にふさわしいシステムの整備に、私自身が強い
リーダーシップを発揮して取り組んでまいる決意であります。 また、
行財政改革の進捗状況につきましては、十分チェックし、フォローアップを行いつつ取り組んでまいりたいと、このように考えております。 次に、このたびの地方分権をどのように受けとめ、また県としてどのように地方分権に取り組んでいくのかとの御質問についてでございます。 今回の地方分権につきましては、議員御指摘のように、地方自治体にとって必ずしも満足のいく十分なものではありませんが、明治以来の
中央集権型行政システムの中で統制されてまいりました地方自治の歴史を考えますと、意義のある大きな第一歩が踏み出されたのではないかと受けとめております。 私といたしましては、このたびの地方分権を、分権型社会の創造に向けた、将来への道筋をつける大きな流れにすることが、我々地方自治に携わる者の責務ではないかと、このように考えております。 現在、国におきましては、
地方分権一括法案の今国会への提出に向けまして、五百本近くに上ると言われております関係法律の整備について最終調整中でございまして、今後政省令等の改正作業も本格化し、本年夏ごろにはその全貌が明らかになってくると思われます。 このようなことから、今後の法令改正を待たなければ県の主体性が発揮できる範囲も明確にはなりませんが、県民にとって、また地域住民にとって、現実の生活の中で地方分権が実感できるような地方行政が可能となるように、今回の法令改正を地方の立場で積極的に読み取り、地域の実情に合わせた、本県独自の条例等の制定に努めるなど、地域の将来を見据えた、主体的かつ前向きな取り組みを行ってまいる所存であります。 具体的には、私自身が本部長を務めております徳島県
地方分権推進本部の本部会議や作業班会議等におきまして、
地方分権推進計画の総点検や法令改正の情報収集を行っておりまして、全庁的な諸準備を整えているところでございまして、今後の動きにおくれることのないよう万全を期してまいりたいと、このように考えております。 市町村合併を促進するために、過疎地域の町村に対する持続的な支援策についての御質問でございます。 地方分権が実施の段階を迎える中で、日常生活圏の著しい拡大に伴う、市町村の区域を超えた
行政サービスの要請など、さまざまな行政需要に対応するためには、合併による規模の拡大などによりまして、市町村の行財政基盤の拡充強化を図ることが重要であるというふうに認識をいたしております。 中でも、過疎町村におきましては、国、地方を通じまして財政が悪化する状況の中で、市町村合併についての真剣な取り組みが求められている一方で、合併により周辺部の活力が低下をして、過疎化がより一層進行するんではないかとの危惧を抱いていることも、議員御指摘のとおりであります。 これら過疎地の町村が抱く懸念に対しましては、これまでも合併市町村まちづくり推進事業など、所要の財政措置が講じられているほか、周辺部の活力が低下しないように、合併市町村の均衡ある発展に資するために、さまざまな行財政措置が講じられることとされております。 県といたしましても、平成十一年度には十億円を上限とする、県単独の思い切った市町村
合併特別交付金制度を創設いたしまして、合併市町村のビジョンであります「市町村建設計画」に位置づけられた事業について支援することにいたしておりまして、合併後の円滑な行政運営に最大限の支援を行うことといたしております。 さらに、過疎町村において、将来を展望し、合併後の不安が解消されるように、今後とも、きめ細かな情報提供や助言を行うなど、合併後の一体的なまちづくりを積極的かつ持続的に支援してまいりたいと、このように考えておるところでございます。 〔岡本議員出席、出席議員計四十二名となる〕 (大西(仁)議員登壇)
◆三十九番(大西仁君) ただいま知事の方から御答弁をいただきました。 肝心かなめの予算については、危機的状況とは言えないとの認識が示されたわけでございますけれども、皆様方も御承知のとおり、国、地方の負債額を考えますと、今後も厳しい財政運営が続くものと思うのであります。要は、金ではなく、職員の知恵と汗で、多様化する行政課題に的確に対応していただくよう強く要望する次第であります。
行財政改革については、知事御自身が強い
リーダーシップを発揮して取り組むという決意を表明されたわけであります。向こう受けをねらった、どっかの知事のように、余計なことに目を向けず、本当に真摯に改革に取り組む圓藤知事の姿勢を大いに評価するとともに、この機会を逃すことなく、積もり積もった余分な脂肪を取り除き、スリムで健康な体質に生まれ変わるよう最大限の御努力をお願いをいたします。 地方分権につきましては、これからが本番でございます。県民の笑顔あふれる徳島づくりに、県民が誇れる個性あふれる徳島づくりに、県民が個性・創造・技術を発揮できるよう、知事の強力な
リーダーシップを御期待を申し上げます。 市町村合併についてでありますが、御承知のように、過疎町村では、過疎法の法期限を一年後に控え、既に厳しい北風が吹いております。市町村合併におきましては、過疎町村が厚い外套を脱ぎたくなるような、さらに一歩踏み込んだ、太陽のような暖かい施策をお願いをしておきます。 それでは、質問を続けてまいります。 初めに、環境基本条例に関連して何点かお伺いをいたします。 この条例については、これまでたびたび議会において議論がされてきたわけでありますが、ようやく環境基本条例が提案されたわけであります。 この条例を見ますと、前文があり、私が知る限りでは、こうした前文がある法律は、憲法ぐらいしか見たことがないわけであります。なかなか立派な条例になっているように思うわけであります。 ところで、御承知のように、国においては、平成五年に環境基本法が制定されて以降、容器包装リサイクル法や環境アセスメント法が制定されるなど、随時環境の保全に向けた体制が整備充実されてきているわけであります。 このように、国の法律が整備される中、本県独自の環境基本条例がまとまったわけでありますが、条例を見まして特に注目を引く点は、目的の中に、法律にはない「創造」という言葉が盛り込まれているわけであります。 そこでお伺いいたします。この「創造」という言葉にどういう理念なり、意味が込められているのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、開発と環境保全についてであります。 二十世紀、私ども、大量生産、大量消費、大量廃棄という社会経済システムにより、非常に豊かな物質文明を築いてまいりました。しかし、今や人間の生存を脅かすまでに地球環境が破壊されようとしております。このままでは二十一世紀の発展を望むべくもないことは、だれの目にも明らかであります。資源は無限である、廃棄物は時間がたてばもとどおりの自然に戻してくれる、こういう考えを改め、地球は有限である、地球は劣化するという認識に立つ必要がございます。そして、二十一世紀に向け、持続的な発展が可能な、循環型の社会経済システムを築いていかなければなりません。 しかし、一方におきましては、人が生きていく以上、健康で文化的な生活を営んでいく以上、環境と同様に開発が重要であるということもまた事実であります。 特に、徳島県にとっては、道路にしても、下水道にしても、また都市や農村の基盤整備にしても、まだまだこれからであり、なお一層強力に社会資本の整備に取り組んでいかなければなりません。 知事は、この開発と環境の保全の関係について、二者択一の議論ではなく、どちらも大切であるとの考えのもと、互いにどこまで歩み寄れるのか、その接点を見出し、人間社会と自然環境の調和と共生を図ることが必要であるとの考え方を何度も示されておるのであります。 環境基本条例を制定するに当たり、この条例により、これからの本県の
社会資本整備がおくれることはないのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、条例の具体化に向けての取り組みについてお伺いいたします。 申すまでもなく、環境基本条例は理念条例であり、環境政策を進めるに当たって、基本的な考え方と枠組みを定めたものであります。このため、実際にどのような方法で実施に移していくのか、環境基本計画を初めとするこれからの施策にゆだねられているのであります。 条例には、環境基本計画の策定を義務づけているのを初め、環境影響評価の推進、環境保全のための規制や誘導、水環境や森林及び緑地の保全、良好な景観の形成、推進体制の整備など、施策を講ずるべき数多くの規定が盛り込まれております。 知事は、このたびの所信で、ISO一四〇〇一の認証取得に取り組むことを初め、環境保全に向けた幾つもの施策を明らかにされ、また環境アセス条例やアイドリング規制に関する条例についても検討を始められております。 このように、早くも環境基本条例の具体化に積極的に取り組んでおるわけであります。何よりも早く取り組まなければならないことは、条例に盛られた施策を総合的かつ推進するための環境基本計画の策定であります。 条例案では、この環境基本計画について、当面、平成七年度に環境基本法の趣旨に沿って策定した「徳島環境プラン」を環境基本計画とみなすことにしております。しかし、環境基本条例が施行される以上、また条例の目的に、法律にはない環境の「創造」という言葉が盛り込まれている以上、早急に環境プランにかわる環境基本計画を策定すべきであります。 そこでお伺いしますが、環境基本計画はどのような方法で、いつまでに策定するのか。また、条例に盛り込まれた環境基本計画以外の施策についても、どのようなスケジュールで実施に移していくのか、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、吉野川第十堰についてお伺いいたします。 吉野川第十堰の可動堰化計画につきましては、徳島市と藍住町で、住民団体により、相次いで住民投票条例の制定を求めて署名が行われ、両議会に直接請求がなされました。結果は、御承知のとおり、徳島市議会は二月八日に、藍住町議会は二月十九日に住民投票条例を否決いたしました。 第十堰の改築については、吉野川下流域の洪水対策や水利用の観点から、県は昭和四十一年から要望しているものであり、県議会においてもさまざまな議論がなされてまいりましたが、一貫して事業促進という立場で、一部の方を除いて、一致しております。また、県議会を初め、関係する二市九町でも、事業促進の決議や意見書が可決されているわけでありまして、この結果は至極当然のことであると受けとめております。 しかし、少し気がかりな点もございます。徳島市議会での採決日前日の二月七日に、「建設省、第十堰を再審議」とか、「可動堰先延ばし」、あるいは「アセスに三年から五年」というような記事が流れたのであります。その翌日には、可動堰着工に時間がかかるとの事務次官の発言記事が流れたのであります。あたかも建設省が従来の方針を変えたようにも受け取れる内容であり、事業促進を要望してきた者にとっては、自分の耳を疑いました。 これらの報道は、翌二月九日に建設大臣が閣議後の記者会見で、「第十堰の可動堰建設計画は、これまでどおり、すべてルールにのっとり進めていく」と明言したことで払拭されたものと考えておりますが、一部には、建設省の内部に不協和音があるんではないかと心配する向きもございます。 そこでお伺いしますが、これらの一連の報道に関し、県は事実関係を確認しているのでありましょうか。また、二月九日の建設大臣の発言を建設省の統一見解と受けとめてよいのでありましょうか、知事の御所見をお伺いいたします。 ところで、昨年末から住民投票条例制定要求には、徳島市では十万人余り、藍住町では一万人弱の署名が集まりました。私は、この署名集めの様子が放映されているテレビ番組を見たのでありますが、「堰ができると徳島市の水が飲めなくなる」とか、「環境が悪化して大変なことになる」というようなことを言いながら署名集めがなされておりました。私は、こうした非科学的な発言により署名集めがなされていたことに唖然とするとともに、国や県は、第十堰について県民に正しく御理解をいただくため、もっともっと積極的に広報活動を行う必要があると痛感した次第であります。 こうした署名集めに対し、一月九日、住民団体の主催で「第十堰の可動堰早期着工を促進する県民総決起大会」が開催され、会場のアスティとくしまは、五千人を超える人々の熱気であふれ返りました。 この大会では、大洪水時の経験者を初め、幾人もの方々が、治水、利水の両面から、可動堰の必要性を切々と訴えられるとともに、最後に圓藤知事が約五十分にもわたり熱弁を振るわれ、可動堰の必要性について非常に詳しく、わかりやすく説明をされました。そして最後には、第十堰の早期着工決議が満場一致で採択され、建設大臣を初め県議会にも促進要望として提出をなされたのであります。大会に出席された方々からは、大会に参加して本当によかった、堰の必要性がよく理解できたとの声が方々から聞こえてきて、非常に成果のある大会であったと私は思います。 ところで、二月一日、異例のことでありますが、知事は第十堰の広報などに専念する「第十堰推進対策チーム」を発足されました。 私は、このチームが、決起大会の成果を踏まえ、大いに活躍されることを期待しておきたいと思うのであります。 そこでお伺いしますが、第十堰の着工に向け、どのような広報活動を行おうとしているのか。また、今後河川整備計画を策定するとともに、環境アセスメントを実施する必要があると思いますが、このような点も含め、第十堰の早期着工に向け、どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 御答弁をいただきまして、質問を続けます。 (
圓藤知事登壇)
◎知事(圓藤寿穂君) 条例に言う創造の理念、意味についての御質問についてでございます。 今議会に提案をいたしております環境基本条例におきましては、「環境の保全及び創造」といたしておりますが、その意味するところは、現在の環境をそのまま守る、すなわち環境の保全にとどまらず、例えば都市部やその周辺地域における緑化の推進や、野生生物の生息空間・ビオトープの確保、さらには親水公園の整備など、現在ある環境に何らかの手を加えてよりよい「環境を創り出す」、つまり環境の創造が必要であるとの認識のもとに、この言葉を用いたものでございます。 今後、環境問題に対するより積極的な
取り組み姿勢を示す環境の保全及び創造の考え方のもと、県はもとより、市町村、事業者、県民が一丸となって、人と自然とが共生する住みやすい徳島づくりに取り組んでまいりたいと、このように考えております。 条例と
社会資本整備の関係についての御質問についてでございます。 環境の保全と本県の発展の基盤となる社会資本の整備の推進は、どちらかを優先するというようなものではなく、いずれも大切なものでございまして、総合的な観点から両立を図っていくべきであるというふうに考えております。言いかえれば、人と自然との共生の考え方であり、対立と排除ではなく、相互が受容し共存していくことが重要であるというふうに認識をいたしております。 一方、環境基本条例につきましては、県環境審議会の答申を踏まえたものでございますが、その答申では、本県の環境特性を踏まえた配慮をしつつ、あわせて地域の活力を生み出していくことを実現するために、環境と地域経済の統合という考え方が示されております。 議員御指摘のように、本県の
社会資本整備の状況はいまだ十分とは言えず、県民の皆様の理解と協力を得ながら、積極的に推進する必要があるというふうに考えております。 今後は、この条例に基づきまして、環境の保全及び創造と、
社会資本整備の推進との接点を見出すことに努めまして、バランスのとれた施策を推進することで、持続的発展が可能な社会を構築し、人と自然とが共生する住みやすい徳島の実現を目指してまいりたい、このように考えております。 環境基本計画の策定についての御質問についてでございます。 議員御指摘のとおり、環境基本条例には、人と自然との共生などの基本理念を実現するための県の中心的な環境施策として環境基本計画がありますが、この基本計画に相当するものとして、既に徳島環境プランがありますことから、当面このプランを基本計画として取り扱うことといたしております。 一方、国におきましては、平成六年十二月に策定をされました環境基本計画の見直しにつきまして、平成十一年度から検討に着手するとのことであります。 したがいまして、県といたしましても、国の動向を踏まえまして、機を逸することなく、新たな基本計画の策定について検討してまいりたいと、このように考えております。 また、策定に際しましては、県環境審議会など、広く県民の皆様の御意見をお伺いしながら進めてまいりたいと、このように考えております。 次に、環境基本計画以外の施策の実施についての御質問でございますが、この条例制定後は、既に実施されている施策を含めまして、これに関連をいたします個別の条例、指針、計画などの制定や策定、また見直しなど、具体的な対応を検討していくことになります。 このうち、現在具体的な日程に上っているものを申し上げますと、アイドリングストップの公害防止条例への規定の追加につきましては平成十一年六月議会に、環境影響評価条例につきましては平成十一年度中に、それぞれ条例提案をいたしたいと考えております。また、ISO一四〇〇一の環境管理システムにつきましては平成十一年度、遅くとも十二年中の認証取得に、また地球環境保全行動計画につきましては平成十二年度中の策定に努めますほか、徳島二十一世紀環境創造拠点のあり方について検討に着手をいたしてまいります。 いずれにいたしましても、この条例の理念が実現されるように、今後各種施策の適切な推進に努めてまいります。 一連の新聞報道の事実関係を確認しているのか、また建設大臣の発言が建設省の統一見解と受けとめてもよいのかとの御質問についてでございます。 二月六日から二月九日にかけまして、第十堰に関する一連の報道、すなわち建設省が第十堰の可動堰計画を再審議するとか、着工先延ばしをするなど、あたかも建設省が従来の方針を転換したような報道がなされましたことにつきましては、私自身が、建設大臣を初め建設事務次官、河川局長などに直接お会いをして、事実関係を確認いたしましたところであります。その結果、建設省としては、「第十堰を可動堰に改築することが妥当である」との最終意見を出した吉野川第十堰建設事業審議委員会の意見を尊重するという従来の方針に何ら変化はないということでございました。 まず、河川整備計画との関係についてでありますけれども、改正をされました河川法では、全国すべての河川において、河川整備の基本となる方針に関する事項を定める「河川整備基本方針」及び具体的な河川整備に関する事項を定める「河川整備計画」を策定することが義務づけられておりまして、河川整備計画の段階では、学識者の意見や公聴会の開催等によって住民の意見を反映することになっております。 したがいまして、吉野川におきましても、今後河川整備計画が策定されることになりますが、その場合には、吉野川第十堰建設事業審議委員会の意見は最大限尊重され、改めて審議委員会を設置して、一から審議をするものではないということであります。 次に、環境アセスメントに時間がかかるという趣旨の事務次官の発言報道につきましては、建設大臣によりますと、「今後十分に地元の方と話をしながら進めていくということを、改めて強調して述べたものが、誤解を受けたもの」とのことでございまして、改めて建設省としては、これまでどおり、すべてルールにのっとり、粛々と進めていくとのことでありました。 県といたしましては、二月九日の建設大臣の発言を建設省の統一見解と受けとめておりまして、審議委員会の出しました最終意見に沿って進めていくという建設省の方針は、従来と何ら変わっていないと考えているところであります。 第十堰の着工に向け、今後どのような広報を行い、また今後どのように取り組んでいくのかという御質問についてであります。 第十堰の可動堰への改築推進に当たりましては、県民の方々に、現在の第十堰の持つ重要性、問題点、改築の必要性などにつきまして正しく御理解していただく必要があると考えまして、吉野川第十堰建設事業審議委員会で最終意見が出されてからこれまでに、パンフレット等の発行、マスメディアを使った広報、各種イベント会場での説明など、いろいろな方法で広報や説明を行ってまいりました。 それにもかかわらず、十分御理解をいただくまでには至らず、徳島市と藍住町では住民投票条例制定の直接請求がなされるなど、これまで建設省とともに実施してきた広報や説明が十分でなかったことを改めて認識をいたしました。 そのため、土木部内に「第十堰推進対策チーム」を設置をいたしまして、第十堰の可動堰計画の必要性などにつきまして、県民の方々に正確な情報をわかりやすく提供するとともに、建設省の行う環境アセスメント等の手続の支援や、事業促進を働きかけることを目的とした体制を整備したものであります。 今後は、一方通行になりがちな情報提供だけでなく、地元の皆さん方とひざを交えて説明をしたり、疑問にお答えできるような機会も多く設けまして、さらに県民の方々の御理解が得られるように努力をしてまいりたいと、このように考えておりまして、現在徳島市や藍住町など関係する二市六町に対しまして、建設省ともども地元説明会の準備を進めているところであります。 また、河川整備計画と環境アセスメントの関係につきましては、現在建設省において、環境影響評価法の施行を先取りした形で、環境アセスメントの手続を準備しているところでございますが、新河川法に基づく河川整備基本方針や河川整備計画が策定されるまでの間の経過措置として、現在あります吉野川水系工事実施基本計画が、河川整備基本方針や河川整備計画とみなされるため、スケジュール的には、これらの手続は並行して行うことが可能であります。これらの手続の後に漁業補償交渉を行い、その後工事着工という、従来考えていた事業スケジュールには何ら支障がないものと考えております。 県といたしましては、今後とも住民の方々の不安を解消するために、環境アセスメントを初めとする手続や調査が的確に実施され、住民の方々の合意形成を図りながら、早期に事業着手されるように、建設省ともども最大限の努力をしてまいりたいと、このように考えているところであります。 (大西(仁)議員登壇)
◆三十九番(大西仁君) ただいま知事から御答弁をいただきました。 環境の創造については、現在ある環境に手を加えまして、よりよい環境をつくり出すことが必要であるとの現実的な認識は、私も全く同感であります。 申すまでもなく、私たちは電気なしでは生活できないわけでございます。日本じゅうで一分でも電気が停電すると大パニックが起こるわけでございます。また、私たちが毎日運転をしております車も、車なしでは生活ができないと思うわけでございます。 これからの環境行政を進めるに当たっては、環境絶対ということではなく、人は地球を汚しながら生きていかざるを得ないという現実を踏まえながら、いかに環境への負荷を低減させていくか、現実的に実行可能な施策をお願いしておきたいと思うわけであります。 第十堰については、建設省の方針は変わっていないという知事の力強い答弁があったわけでございます。また、従来考えていたスケジュールに何ら支障がないとの御答弁もいただき、我々安心をしておるわけでございます。 申すまでもなく、第十堰の改築は、決して環境に悪い影響を及ぼす事業ではないと思うわけでございます。新しい環境を創造するための事業であります。 我々政治家は、環境を守るのも政治であり、また人命を守るのも政治ではないかと、このように思っておるわけでございます。子々孫々の生命と安全を守るため、県勢発展のため、二十一世紀の新しい環境の創造に向け、最大限の御努力をお願いをしておきます。 「光陰矢のごとし」という言葉があるわけでございます。早いもので任期最後の議会となってしまいました。我々が当選した平成七年には阪神・淡路大震災、オウム真理教事件、対ドルレートが八十円を割るという超円高など、我が国を揺るがす大事件があったわけでございます。また、本県においても、記録的な猛暑と少雨に伴う異常渇水があり、官官接待問題がありで、いろいろなことがきのうのごとく思い出されるのであります。 早いもので、それからはや四年。国においては、自、社、さきがけの三党連立内閣から、自民党単独内閣へ、そして自由党との連立内閣へと内閣がかわりました。政策面でも、橋本内閣が掲げた六大構造改革から、小渕内閣では経済危機克服へ、緊縮財政から大幅な財政出動へと大きく変わるなど、まさに激動の四年間でございました。 この間、本県では、昨年四月、待望の明石海峡大橋が開通し、来年には徳島自動車道が全線開通いたします。また、横断道や地域高規格道路や徳島環状道路、一般道路についても着実に整備が進められております。そして、行財政シスムについても、新たな大綱がほぼ固まり、組織機構改革の道筋が明らかになりました。環境基本条例もできました。さらに、産業振興や福祉対策、地域振興や文化振興、人権問題、教育改革などなど、幅広い分野にわたって、二十一世紀の徳島県の発展に向け、着実に圓藤県政は前進を見ているのであります。 私ども自由民主党・県民会議は、この四年間、知事与党として圓藤県政を支え続けてまいりました。そして、今任期が終わるに当たり、これが間違いでなかった、正しかったと確信を持って言うことができるのであります。 圓藤知事には、私どもとともに推進してきたこの政策を、引き続き信念を持って推進していただき、県民の負託にこたえていただくよう心からお願いを申し上げまして、私の代表質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ────────────────────────
○議長(俵徹太郎君) 議事の都合により、休憩いたします。 午前十一時四十一分休憩 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 午後一時三分開議 出席議員計三十七名 (その番号・氏名左のとおりである) 一 番 岡 本 富 治 君 二 番 藤 田 豊 君 三 番 橋 本 弘 房 君 五 番 長 池 武 一 郎 君 六 番 森 本 尚 樹 君 七 番 谷 善 雄 君 八 番 山 田 豊 君 十 番 庄 野 昌 彦 君 十一 番 冨 浦 良 治 君 十二 番 樫 本 孝 君 十三 番 来 代 正 文 君 十四 番 猿 瀧 勝 君 十五 番 竹 内 資 浩 君 十六 番 長 尾 哲 見 君 十七 番 福 山 守 君 十九 番 吉 田 忠 志 君 二十 番 北 島 勝 也 君 二十一番 杉 本 直 樹 君 二十二番 佐 藤 圭 甫 君 二十三番 亀 井 俊 明 君 二十四番 遠 藤 一 美 君 二十六番 児 島 勝 君 二十七番 原 秀 樹 君 二十八番 川 真 田 哲 哉 君 二十九番 俵 徹 太 郎 君 三十 番 大 田 正 君 三十一番 榊 武 夫 君 三十二番 平 岡 一 美 君 三十三番 四 宮 肇 君 三十四番 近 藤 政 雄 君 三十五番 湊 庄 市 君 三十六番 木 村 正 君 三十八番 中 谷 浩 治 君 三十九番 大 西 仁 君 四十 番 阿 川 利 量 君 四十一番 谷 口 修 君 四十三番 木 内 信 恭 君 ────────────────────────
○議長(俵徹太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 二十六番・児島勝君。 〔大西(章)・久次米・西沢・元木四議員出席、出席議員計四十一名となる〕 (児島議員登壇)
◆二十六番(児島勝君) 任期最後の今議会に代表質問の機会をいただいた会派同僚議員に感謝しながら、自由民主党・交友会を代表して質問に入りたいと思います。 いよいよ本年は、西暦二〇〇〇年まで一年を切り、新しい二十一世紀まであと二年を切った、まさしくカウントダウンの年であります。また、この時代を世紀末と呼び、「ノストラダムスの大予言」のごとく、地球が滅びるかのような不安と混迷の社会風潮にあります。オウムによる地下鉄サリン事件や和歌山の毒入りカレー事件など、治安のよさを世界に誇った我が国でも、予測をしないようなテロや凶悪事件も起こっております。また、自然災害とはいえ、四年前の阪神・淡路大震災の教訓を決して風化させてはならないと思います。そして、今なお続く経済不況は、倒産、失業など、さらに社会全体に暗い影を落とし、政治・行政の汚職、青少年の犯罪増加など、大きな社会問題となっております。 今、我が国を取り巻くすべての環境は危機状態にあると言っても過言ではございません。 先般、知事さん、宮越本部長、多くの県職員や、阿川先生に至りましては遠くから聴講されておりましたが、元内閣安全保障室長の佐々淳行氏による危機管理についての講演がございました。佐々氏は、この危機管理のパイオニアではありますが、その講話の中で、「危機管理とは、最悪の状況、場面を想定し、それに敏速に行動できる体制づくりである」と言われました。今まさに我が国も、我々が住む地方も、この危機管理を必要とするときであります。 そんな観点から、危機管理を今回の質問のキーワードとして、当面する県政の諸課題につきまして、知事並びに理事者各位に質問をしてまいります。 まず最初に、昨年四月に、徳島県民待望の明石海峡大橋、神戸─鳴門ルートが開通をし、来月で一カ年が経過しようといたしております。明石効果は、観光、経済、文化など交流人口もふえ、本県に大きなインパクトを与え、変化をもたらしたと思いますが、まず知事は、開通後、約一カ年が経過しようとしておりますが、その効果や変化をどのように分析されておりますか、お伺いをいたします。 また、神戸市では、明石開通の経済効果を年間三百三十三億円、観光客は年間二百万人増加と試算しているようでありますが、本県においてもどのような試算をされておるのか、お伺いをいたします。 さらに、来年度、「とくしまマグネット作戦」として計画、取り組みがなされようとしておりますが、中でも、これからの対応として、早急に、そして重点的に取り組まねばならない事業について、またその主要事業実施総予算についてお伺いをいたします。 さらに、ことし五月、尾道─今治ルートが開通をし、四国の三橋時代が幕をあけます。さらに来年度には、四国縦貫道も川之江まで全線が開通をし、四国の県都が高速道路で結ばれます。まさしく四国は一つになるわけであります。四県の四つの点で結んだ線をさらに面に展開し、四国全体の活性化につなげなければなりません。 観光一つをとっても、西瀬戸自動車道が開通すれば、四国の玄関は三つになるわけであります。関西、中国、九州からも広範囲の観光客を呼ぶことができます。そして滞在型観光として、できるだけ長く四国に滞在してくれるような、そんなPR、施策が必要であると思いますが、三橋時代に対応するため、四国四県としての連携や今後の取り組みについて、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、地方分権社会に対応する
行財政改革についてお伺いをいたします。 九九年度一般会計予算案は、五千四百十億九千万円で、九八年度当初予算の〇・三%の伸びにとどまっております。そして景気低迷に伴う税収減や減税による歳入不足で、新たに六百二十億円余りの県債発行を余儀なくされ、借金でやりくりをする厳しい中身になっております。 さらに見てみますと、財源不足は四百九億円、借換債を除く県債依存度は一一・七%と高く、県債発行残高は、本年度末で六千八百億円から、来年度には七千億円に膨むことが予測をされております。また、歳入歳出を埋めるための多額の基金の取り崩しをしており、財政の硬直化が進んでおるわけであります。 限られた予算の中で県民の信頼を得る施策をしていくためには、
行財政改革のより一層の取り組みが必要であります。一般行政運営費の一律一割カットや、部局間の連携による横割り方式は、コスト削減に一定の効果を上げておりますが、さらに収支の改善を図る方策、また本格的な政策評価の取り組みについて、知事の御所見をお伺いをいたします。 いよいよ
地方分権一括法案が国会に提出をされます。内政に係る現場事務の大半は地方自治体が担っております。その事務に対する国の関与を減らし、地方の自由度を高めることが今回の分権の特徴であると言えますが、
地方分権推進計画の中身は、権限移譲の項目は少なく、地方財源の充実・確保については、内容が不十分であります。確かに、機関委任事務の廃止や国の関与を減らすことによって、細かい通知や通達が、がんじがらめの地方独自の裁量権が広がるなど、メリットもありますが、介護保険制度のように事務量だけがふえ、肝心の財源はそのままにされるといった心配、不安の声は地方自治体の本音であります。
地方分権推進計画は、主として国から都道府県への分権に比重が置かれておりますが、本来なら、住民に最も近い立場にある市町村に権限や財源が移譲されるべきであると思います。しかし、市町村においては、県以上に分権への取り組む枠組みさえできていないし、地方分権への危機感もまだ少ないようであります。 年明け早々、市町村
合併パターンの素案が紙面をにぎわし、各市町村、県民の大きな関心を集めました。地方分権が具体的に進む中で、その受け皿として、広域行政、あるいは市町村合併は避けて通れない課題であります。 県は、地方分権社会の取り組みとして、二〇〇〇年度を目標に、地方分権型
行財政システムの改革に取り組んでおります。そして県から市町村への権限移譲等も含まれておりますが、国から県への分権の戸惑い、同様それ以上に各市町村の体制づくり、財政問題等の戸惑いがあります。この新年度予算において、市町村合併や広域連合づくりを支援する特別交付金制度を創設されたことは評価するところでありますが、各市町村においてクリアしなければならない、さまざまな障害がまだまだあります。 まずは、当面する介護保険制度の導入や廃棄物処理の広域化など、必要に迫られる広域行政化は進むであろうと思います。そして広域連合化を、将来の市町村合併と整合性があるような形で、段階を追いながら進めなければならないと思うのであります。 最終的には、住民や各市町村の決断と実行にかかっていると思いますけれども、県として、今後市町村合併に向けて、さらにどのような支援をしていかれるのか、そしてある程度合併に向けての目標があれば、お聞きをいたしたいと思います。 次に、教育問題についてお伺いをいたします。 文部省の調査によると、九七年度中に、公立高校を中退した生徒は一万一千四百九十一人で、中退率は過去最高の二・六%、うち一年生が四・二%で、二十四人に一人が中退したことになります。県内は六百三十五人、中退率は二・一%と全国平均を下回るものの、前年度より四十五人ふえております。その理由の多くは、進路変更、学校生活・学業不適応などでありますが、また最近の新聞等で、学級崩壊などという活字をよく目にするようになりました。これは既に数年前よりある言葉で、子供たちが教師の指導に従わず、歩き回ったり、私語をやめなかったりして授業ができなくなる状態を言うそうであります。 共同通信のアンケートで、この発生割合は、小学校で四三%、中学校で四六%となっており、子供の荒廃がこれほどまでに広がっていることに驚かされる次第であります。 これらの原因には、家庭のしつけ、教員の指導力、勉強のストレス、プレッシャー、あるいは社会風潮・環境の責任など、挙げれば切りがないわけでありますが、まさしく教育や子供たちの危機であります。 そんな中、二十一世紀の本県教育のあり方を方向づける、教育改革を審議する教育振興審議会より、「生きる力と豊かな心をはぐくむ学校教育の推進について」を目標とする中間まとめが出されるとのことであります。報道によりますと、審議会の審議の中で、現行の通学区が再編をされ、中学区の二校から四校にするとのことでありますが、確かに、地元高校を育成して学力面の格差は解消するかもしれませんが、しかし、その反面、生徒の高校選択の自由を制約したり、それぞれの高校の特色や個性が失われることも心配をされます。 あすへの自分自身の進む方向が見出せず、中途退学する多くの生徒を見るとき、単に通学区の再編だけで解決する問題ではないと思います。 その要因は、前段申し上げましたように、社会環境や家庭環境等の問題と多くあると思いますが、学校のみに限りますと、現在の入試制度に問題があり、そして何よりも特色ある、そして魅力のある学校づくりが大切でなかろうかと思います。 そこで、高校入試制度の見直し、そして教員養成も含め、特色ある、魅力ある学校づくりをどう進めていくのか、お伺いをいたします。 また、事前委員会でも論議をされておりました総選制見直しを含めた学区再編成のスケジュールは、平成十一年度中に発表するとのことでありますが、保護者にとって最も関心のある実施時期について、教育委員会としては、周知期間等の問題もありますが、いつごろぐらいまでに実施したいと考えておりますのか、あわせてお伺いをいたします。 次に、学区再編に伴い、より急がれる統廃合の問題も出てくると思いますが、統廃合を推進する上での基本的な考え方とその実施時期についてもお伺いをいたします。 さらに、今我が県においても普通科志向が強いわけでありますが、現実には、社会においては専門的な技能、技術を必要とする時代になりつつあります。私は、時代の流れとして、専門学校の学科再編、内容の充実が求められると思っております。学区再編や統廃合の中で専門学科の位置づけについてどう考えておられるのか、お伺いをいたします。 そして、特に専門学校の充実に関して、富岡東高校羽ノ浦看護学校の独立問題についてお尋ねをいたします。 この問題は、地元はもとより、看護婦を目指す学生の願いとして、二十年余り県議会にも陳情を続けてまいりました。高齢者社会への対応として、養・介護に必要な、不可欠な看護婦の養成と需要は高まるばかりであります。全日制高校課程として、本校富岡東校の専攻科を持ってくることによって、最短の五年で高看の受験資格を得ることができます。国の流れ、そして過酷な看護婦の条件を高めるためにも急務であります。教育改革の統廃合の中で、専門学科の改善と充実を目指すその趣旨にも沿っているものと思います。そして学校は、その町や地域の活気、あるいは発展を促す大きな要因でもあるわけであります。 そこで、羽ノ浦看護学校に富岡東高の専攻科を持ってきて、より充実した看護婦及び福祉の専門校、独立校として、学校統廃合の中で取り組むべきと考えますが、教育長の決意のほどをお聞きをいたします。 以上、御答弁をいただきまして、質問を続けてまいります。 〔
柴田議員出席、出席議員計四十二名となる〕 (
圓藤知事登壇)
◎知事(圓藤寿穂君) 明石海峡大橋開通後の効果や変化をどのように分析しているのかというお尋ねについてでございます。 現在、全線開通後の影響につきまして調査の取りまとめを行っているところでございますが、これによりますと、まず明石海峡大橋の開通が、町や暮らしなど県民の生活に与えた影響につきましては、観光・レジャーや買い物などの行動圏域の拡大と、選択の多様化によりまして生活の質的向上がもたらされており、約四割の県民の方々が、積極的によい影響があるととらえているところでございます。 次に、全通後の顕著な波及効果といたしましては、御承知のとおり、観光や文化、スポーツなどさまざまな分野において、県外から多くの方々が来県しており、宿泊施設や土産物店など観光関連業種につきましては、全通後、おおむね好調に推移をいたしております。 観光関連業種を除く産業面における波及効果につきましては、業種間により程度の差はありますが、約四割から八割の企業が、輸送時間の短縮や輸送の安全性などのメリットを受けているとしております。 一方、貨物運送業など一部の事業者には、競争が激化するなどの変化も認められますが、商業分野などほとんどの業種におきまして、七割以上の事業者が、全通によって事業活動に大きな変化はなかったと回答しており、架橋効果を事業活動に十分生かし切っていないのが現状ではないかと、このように認識をいたしております。 本年五月の西瀬戸自動車道の開通に続きまして、徳島自動車道が全線開通いたしますと、本県を取り巻く環境はさらに大きく変化するものと考えております。大交流・大競争の時代におけるさまざまな影響や変化につきましては、引き続き的確な把握に努め、今後の施策に生かしてまいりたいと考えておるところでございます。 次に、明石海峡大橋開通後の県外観光客の入り込み状況の試算についてのお尋ねでございますが、私は、昨年二月県議会で、平成十年における県外観光客の入り込み客数の見込みを、民間シンクタンクのデータをもとに、期待を込めまして七百万人前後と申し上げたところでございます。開通後における県内の観光の動向を見てみますと、阿波踊りが、過去最高の百四十九万人であったことを初め、主要観光施設でも前年比二〇〇%を超えるなど、本県を訪れる観光客は著しく増加をいたしております。現在その集計作業を担当部局で行っているところでございますが、このような好調な入り込み状況から、私といたしましては、当初申し上げた見込みを達成できるのではないかと、このように考えております。 今後におきましては、この架橋効果を一過性に終わらせることなく、県下隅々まで行き渡らせるように、積極的な取り組みを展開してまいる所存でございます。 とくしまマグネット作戦についてのお尋ねでございますが、全線開通を県勢発展につなげていくためには、時間短縮効果や輸送の安定性などの架橋効果を最大限に活用した施策を、官民が一体となって積極的に推進することによりまして、波及効果の定着と、より一層の拡大を図ることが重要でございます。 このようなことから、徳島の魅力を高め、全国各地から人、物を本県に引き寄せ、定着させることができるような磁力をつけることを目指し、全通後対策として緊急的に実施すべき施策を「とくしまマグネット作戦」と名づけ、来年度から二年間にわたって積極的に推進することといたしておりまして、十一年度当初予算におきましては、案内・情報提供体制、受け入れ体制、産業振興など二十六の事業を位置づけているところでございます。 これらは、いずれも緊急性が高く、重点的に取り組む必要のある事業と考えておりますが、とりわけ努力を傾注すべきものといたしましては、観光面では、関西からのリピーター観光客の誘致を図るための「架橋新時代観光とくしま誘致事業」、徳島はな・はる・フェスタなどを実施する「全通記念フォローアップ事業」、脇町や美濃田の渕における観光拠点整備などを実施することによって、観光入り込み客数の確保と一層の増大を図りたいと、このように考えております。 また、産業面におきましては、朝採り出荷等、新鮮野菜の新たな出荷システムの確立を図る「とれとれ野菜新供給システム確立事業」、経営環境の変化に対応しようとする、意欲的な卸売業者を支援する「卸売業流通変革対応支援事業」などを実施することによりまして、架橋効果の積極的な活用を図ろうとする事業者を支援し、産業界の活性化を図ってまいりたいと、このように考えております。 とくしまマグネット作戦の来年度当初予算における予算規模でございますが、新規事業を中心といたしまして二億八千五百四十万円となっております。なお、総事業費といたしましては、渦の道などの継続事業などを含めますと、約四十一億円の事業規模となります。 滞在型観光として、できるだけ長く四国に滞在してもらうためのPR、施策について、三橋時代に対応して、四国四県としてどのように連携し、今後取り組んでいくのかという御質問についてでございます。 本年五月一日には尾道─今治ルート、瀬戸内しまなみ海道が開通し、四国はいよいよ三橋時代を迎えることになります。また、今月の三十日には四国縦貫自動車道美馬─井川池田間の供用開始を迎えるなど、四国内の高速道路も整備が進んでまいりました。 こうした状況のもとで、議員御指摘のとおり、観光客にできるだけ長く滞在していただけるように、四国四県が連携をいたしまして、観光PR等に取り組むことは大変重要であるというふうに認識をいたしております。 本県では、四国四県とJR四国で組織をいたします四国観光立県推進協議会と連携をいたしまして、従来からも明石架橋開通に対応して、広域的な取り組みを行ってきたところでございますが、引き続き、しまなみ海道の開通による三橋時代の到来に対応いたしまして、観光PRや旅行エージェントとのタイアップによる新たな観光コースの設定等に鋭意取り組んでまいる所存でございます。 四国はまさに三橋時代を迎えまして、観光につきましても大きな飛躍のチャンスであります。四国四県での連携をさらに強化をいたしまして、今後各般の施策を積極的に展開してまいる所存でございます。
一般行政運営経費の一律一割カットや、部局間連携による横割り方式は、コスト縮減に一定の効果を上げているが、さらに収支の改善を図る方策についての御質問でございます。
財政健全化に向けました本県財政運営の中長期的指針といたしまして策定をいたしました
財政健全化推進プログラムにおきまして、健全化目標を定め、また歳入歳出にわたる各種健全化方策を位置づけているところでございます。 また、各種健全化方策を着実に推進するために、従来から実施をしておりましたサマーレビューを拡充強化をいたしまして、毎年度上半期を財政集中見直し期間に設定するなど、予算編成システムの改善を図っているところでございます。この財政集中見直し期間は、具体的な予算編成に入るまでの期間を有効に活用して、全庁挙げまして創意工夫を凝らし、十分な時間をかけて検討することによりまして、既存事業のゼロベースからの徹底的な見直しや、ますます多様化する行政課題や県民ニーズを的確に把握をして、部局間連携の視点も加えながら、新たな施策を創出するなど、限られた財源の重点的・効率的配分の徹底を図ろうとするものでございます。 平成十一年度予算におきましても、
一般単独事業の抑制や、
一般行政運営経費の縮減、また公共工事のコスト縮減など、一定の成果は得られていると考えておりますが、今後とも、毎年度財政集中見直し期間を有効に活用いたしまして、その検討結果につきまして予算に反映させ、収支の改善に向け懸命に取り組んでまいりたいと、このように考えているところでございます。 本格的な政策評価の取り組みについての質問でございますが、本県の
行財政システムにつきましては、これまでも事務事業の見直しや予算編成を通じまして、補助金等の廃止、見直しを行うなど、施策や事業実施の効果につきまして、県民のニーズに十分にこたえたものになっているかどうかを点検しながら、絶えず改善を行ってきたところでございます。 しかしながら、
地方分権時代にふさわしい
行財政システムのあり方が問われている今日、県民主役の県政や、県民の地域づくりへの参加意欲をさらに高めていくことが大変重要になってきております。 このようなことから、県民にわかりやすい
行財政システムの構築に向けまして、特に公正、透明性を高めるとの観点から、今年度末に改定をいたします県新
行財政システム推進大綱の中に、政策評価システムの導入検討を掲げているところでございます。 検討に当たりましては、本県としての政策評価のねらいや評価基準、さらには予算や新たな政策立案を含めた全体のシステムのあり方など、導入の基本方向を明確にいたしまして、徳島県版の政策評価制度をつくり上げていくという気概を持って取り組んでまいりたいと考えております。 また、導入検討の第一歩として、施策や事業の効果をみずから測定評価し、県民にわかりやすく説明していく能力の向上や、具体的な手法の開発が必要不可欠でございます。このために、県民共通の目標でございます新長期計画と政策評価制度を関連づけまして、県民生活にかかわる施策に対応した、より客観的な目標設定、その後の進捗状況や評価結果を広く県民に提示するベンチマーク手法を中心としたシステムづくりを急ぐことといたしまして、平成十一年度から具体的に検討してまいりたいと、このように考えております。 市町村合併に向けた県としての今後の取り組みと目標についての御質問でございます。 本格的な地方分権社会におきましては、住民に身近な地方公共団体でございます市町村の役割は、ますます大きくなりますことから、その行財政基盤の拡充強化を図ることがどうしても必要でございまして、広域連合による行政体制の強化や、合併による規模の拡大が重要な課題であるというふうに認識をいたしております。 市町村の広域行政体制の整備に当たりまして、広域連合の創設からその充実、さらに市町村合併に至るという過程は、地域における有力な選択肢の一つであるということも議員御指摘のとおりでございまして、地域において十分議論を重ねることが必要であるというふうに考えております。 このため、県といたしましては、合併等にかかわります一層の機運醸成を図りますとともに、市町村が広域行政体制のあり方を検討する事業に対し助成することといたしましたほか、
地方分権時代にふさわしい、実効性のある広域連合を育成するための、一億円を限度とする広域連合特別交付金、また十億円を上限といたします市町村合併特別交付金という思い切った支援制度を創設することといたした次第であります。 なお、市町村合併の推進についての目標を県から提示することにつきましては、地域の自主性の観点から、必ずしもふさわしくないのではないかと考えておりますが、地方分権の進展など、現下の市町村を取り巻く環境を思うとき、市町村における広域行政体制のあり方について、できるだけ早期に検討を開始すべきものと考えているところでございまして、各地域において議論の材料とするため、市町村
合併パターンの素案について、広域行政懇話会の場において提示したところでございます。 県といたしましては、さらに機運を盛り上げ、いわば風を起こすことにより、それぞれの地域において十分議論していただけるよう、このたび創設をいたしました施策などによりまして、今後とも可能な限りの支援に努めてまいりたいと、このように考えているところでございます。 (青木教育長登壇)
◎教育長(青木武久君) 高校教育改革とその実施時期についての御質問でございますが、十年後を見据えた本県教育のあるべき姿を検討しています徳島県教育振興審議会の中間まとめが、この三月十一日に教育委員長に答申される予定となっております。 この中で、高校教育に関しましては、普通科における、地域に根差した、地域の教育力を生かした、地域が育てる学校づくりや、専門学科における、社会の変化に対応できる技能・技術者の養成など、特色ある、魅力ある高校づくりについての方向性が出されることとなっております。 こうした高校教育改革の理念につきまして、教職員や保護者を初め、県民の皆様に御理解をいただく必要がございます。そのためには十分な時間をかけてまいりたいと考えております。 教育施策は、入学者選抜制度一つをとりましても、現実に受験を控えている中学生やその保護者の方々が不安を感じることのない、特段の配慮が不可欠でございます。したがいまして、総選制度や通学区の見直しの計画や実施時期につきましては、平成十一年度中に作成し、明らかにする予定でございますので、御理解いただきたいと存じます。 次に、統廃合を推進する上での基本的な考え方とその実施時期、また学区再編や統廃合の中での専門学科の位置づけについての御質問でございますが、統廃合につきましては、今後予想される生徒の減少に対応した高校の適正規模・適正配置について、十分に議論した後に実施すべきであると考えております。 さらに、学科再編、入学者選抜制度、通学手段の確保など、多岐にわたって検討する必要もございます。そのため、実施時期につきましても、県民の皆様方の御理解を得ながら、教育振興審議会で示される基本的な方向を踏まえまして、平成十一年度より慎重に検討してまいりたいと考えております。 次に、専門学科の位置づけについてでございますが、地域のバランスや地域産業との関連などを十分に考慮した上で、社会の変化や産業界の要望に対応できる技能・技術者の養成、資格の取得、地域産業を担う後継者の育成、高等教育機関への接続の促進などに一層努め、今後ともその充実を図らなければならないと考えております。 富岡東高校羽ノ浦分校専攻科を合わせて、看護婦及び福祉の専門校、独立校とする御質問でございますが、看護教育及び社会福祉に関する教育は、高校における重要な専門教育であると認識いたしております。 福祉につきましては、平成九年度に城西高校総合学科に健康・福祉系列を設け、平成十一年度からは小松島西高校に福祉科を設置し、それぞれに介護福祉士の受験資格を得ることができるようにするなど、その充実を図っているところでございます。 看護につきましては、現在国において准看護婦の制度の見直しと、それに伴う看護婦養成教育の見直しが検討されているところでございます。 今後、富岡東高校羽ノ浦分校のあり方につきましては、国の看護婦養成教育の動向や生徒数の減少、看護婦の需給見通し等を見きわめながら、本県高校の統廃合や学科再編の取り組みの中で、平成十一年度から御提案も含め検討してまいりたいと思いますので、御理解をいただきたいと存じます。 (児島議員登壇)
◆二十六番(児島勝君) それぞれ御答弁をいただきました。 企業、特に中小企業は、リストラや経費の節減など、骨身を削る努力で今を乗り切ろうといたしております。県の
行財政改革に取り組む前向きな姿勢は評価をいたしますが、さらなる事務事業、公共事業、あるいは組織の再評価や見直しを要望しておきたいと思います。 教育に関しては、学区再編、統廃合等、諸問題について、十一年度より十分検討されるとの御答弁がございました。しかし、決して従来の制度や枠組みだけにとらわれることなく、本来の教育の原点に戻り、魅力や個性のある学校づくりに取り組んでいただきたいと思うわけであります。 羽ノ浦看護学校の独立問題に関しましては、ただいま教育長より、私の二十年間の思い、提言を踏まえて、検討していくとの前向きな御答弁をいただきましたので、本日地元町議会の皆さん方も意を強くされたと思います。ありがとうございました。 次に、第十堰改築についてお伺いをいたします。 知事は、第十堰改築計画に対するこれまでの前向きな姿勢や意気込み、そして今回の住民投票結果に見られるように、この事業計画の真意や正確な資料が県民に十分理解されていなかった反省から、二月一日付で、県民に対する理解を高める広報等を積極的に推進する専従組織として、第十堰推進対策チームを発足させました。今後、いろいろな方法で県民に御理解なり、広報していかれることと思いますので、私もこの組織が十分に機能を発揮し、活躍することを御期待をいたしておきたいと思います。 と申しますのも、吉野川第十堰の可動堰計画についての賛否を問う住民投票条例案が二月八日に徳島市議会で否決をされ、さらに藍住町議会でも二月十九日に同じく否決をされたことで、この結果に対して、依然として賛否両論が渦巻いているからであります。 私も、市民や町民が住民投票を求めて寄せられた多くの署名や意見は、もちろん無視することはできないと思います。ただ、この住民投票が結果の賛否を問うところに大きな問題があります。例えば、住民投票をしたその結果、その責任は一体だれが持つのか、そして市民、町民を二分することになれば、未来にしこりを残すことにもなりかねません。現行の代議制から考えても、このような方法はおかしいと考えられます。 第十堰の可動堰計画においては、十分とは言えないまでにしても、建設省が審議委員会という新しいシステムで、県内でも各界を代表するような方々が委員となって、公聴会の開催や専門学者の意見も聞きながら、三年間にも及ぶ議論を重ねた上でまとめた意見が出されております。このような民意を反映する手続を踏んでいる以上、これによって進むべきであり、この上さらなる住民の声は、今後の河川整備計画作成時や環境アセスメントの手続において、十分反映させることが適切であると思います。 また、二月六日の報道に端を発した建設省や橋本次官の一連の発言につきましては、午前中の知事の答弁におきまして、二月九日の建設大臣の発言が建設省としての統一見解だということについては、よく理解をされました。しかしながら、まだきちんとした説明ができてない点もあります。 少し前になるわけでありますが、一月二十九日の新聞では、昭和五十一年度や昭和五十五年度の建設省資料では、現在の第十堰がある状態でも、安全ラインを超えないことや、堤防のかさ上げなど、別の治水対策が割安との報告がされていたとの報道があり、これにつきましては、建設省は、検討段階で予備的に行った調査で、意思形成過程の資料にすぎないと、そっけない説明がなされておりました。 私は、建設省はもう少しきちんとした説明をしてしかるべきと思うのでありますが、それがないから、先般の一連の報道が、事業促進を期待する住民に対し、なおさら不安や不信を与える引き金になったのではないかと思うのであります。 そこで、このような住民の不安を払拭できるよう、昭和五十一年度と昭和五十五年度の建設省資料に対し、きちんとした説明をしていただきたいと思います。 さて、この可動堰計画は、県道徳島環状地域高規格道路の橋梁と合併構造とする計画であることは、既に御承知のとおりであり、この環状道路橋は市内渋滞対策の切り札であります。徳島環状道路のうち、国府町観音寺の国道百九十二号から国府町池尻の県道徳島鴨島線までの間は、既に七割を超える用地の取得も終えており、残る新たな工区、すなわち第十堰に取り合う工区の事業にも着手をする段階となっておるわけであります。しかし、今後は第十堰の事業が具体化しなければ、足踏み状態となることも予想されるわけであります。 そこで、第十堰と併設橋を含む徳島環状線の今後の整備スケジュールの調整について、どのように取り組むのか、お伺いをいたします。 次に、那賀川水系の問題についてお伺いをいたします。 吉野川第十堰可動堰化問題については、審議委員会が開催をされ、答申が出されても、住民投票を求めるいろいろな問題が出る中、細川内ダム問題に関しては、いまだ審議委員会も開催できる見通しも立たないまま、国の事業計画として休止の状態にあります。最近は、マスコミですら細川内ダム問題は取り上げなくなっておる状況であります。そして、最近議会における知事さんや理事者の答弁も、相変わらず、審議委員会参加に向け、村長に粘り強く呼びかけるとの繰り返しであります。しかし、木頭村内の状況は、先般村議会選挙の結果も、従来同様にダム反対議員が多数を占め、また村においては、ダム抜きの振興策を進めるために、全国に寄附を募っております。 このような状況の中、本当に審議委員会のテーブルに着くことができるのか、ただいまの現況と今後の積極的な取り組みについてお伺いをいたします。 次に、昨年那賀川水系の治水、利水について、総括する建設省那賀川事務所が開設をされ、堤防の保全等河川環境整備を実施していただいておりますが、今まだ治水、利水とも抜本的な方策はなされておりません。特に濁りや渇水問題が大きな問題となっております。ごく最近でも、少雨による下流ダム貯水量の低下に伴い、那賀川からの工業用水量を約三〇%カットする第三次取水制限がなされました。県南の企業や下流域住民にとって生命線とも言える水であります。ある企業は、厳しい減産に追い込まれ、冷却水など排水利用の努力をしながらも、減産額は売り上げベースで、一日当たり五千万円と言われ、そのような状況が毎年続くようであれば、工場撤退も考えるとさえ言っております。これは県南企業に働く何千人の雇用や職が失われる死活問題であります。 また、近く始動予定の石炭火電の操業にも影響を及ぼし、那賀川河口に堆積した堆砂などが蓄積をされ、環境悪化により漁業にも大きな影響をもたらし、地下水の塩水化問題も、より深刻な問題となっております。 これら諸問題を考えますと、抜本的な解決には、急峻な那賀川水系の特色からすれば、上流の降雨時の水を貯水しておくダム建設しかないと思います。しかし、細川内ダム建設が決着されるまでには、まだまだ時間を要しそうであります。それまでの補完機能として長安口ダムがあるわけでありますが、この長安口ダムの現状は、構造上、また森林荒廃等により堆砂が堆積をし、濁りや渇水時の貯水能力、あるいは洪水調整能力にも限界が来ているのも御承知のとおりであります。 この解決策として、長安口ダム堆砂をしゅんせつをして荒谷に埋め立てる貯砂ダム計画は、九二年に具体化をし、七年の歳月が流れておりますが、その現況と今後の見通しについてお伺いをいたします。 さらに、治水、利水も含め、那賀川水系の今後の抜本的な対策、あり方についてお伺いをいたします。 環境問題については、準備をいたしておりましたが、時間の関係上、省かさせていただきまして、委員会に討議を持ち込んでいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 以上、答弁によりまして、まとめに入りたいと思います。 (
圓藤知事登壇)
◎知事(圓藤寿穂君) 第十堰に関して新聞報道されました、昭和五十一年と昭和五十五年度の建設省の資料についての説明をということについてでございます。 まず、昭和五十一年度の資料、これはコンサルタントの調査結果をまとめたものでございますが、これにおきましては、現状で毎秒一万八千トンの洪水が流れたときに、堰周辺でも計画高水位は超えないというようなことが書かれておりまして、現在の建設省の説明と異なっております。 このことにつきまして建設省に確認をいたしましたところ、吉野川で想定をしております洪水流量が流れた場合の水位を計算する段階で、単純に──斜め堰にこうなっておりますが、斜め堰に交差する格好でですね、断面をとったわけです。そういった横断断面のみを用いましたために、斜め堰でございます第十堰が一部分しか表現されていない。つまり、洪水断面が実際よりも大きく出てしまう、そういった初歩的なミスを犯しておりまして、固定堰によるせき上げ等の現象が適切に表現されていないというようなことから、得られた結果が妥当性に欠けるということであります。 それから次に、粗度係数──わかりにくい言葉を使って恐縮でございますけれども、すなわち草や川底の石などの影響による水の流れにくさですね、流れにくさをあらわす係数の数値が低いという点につきましても、昭和五十一年の資料は、検討段階で予備的に行った調査であることから、小さな洪水の粗度係数を大きな洪水に適用するという問題があります。つまり、洪水全体が小さな洪水の場合、高水敷まで水が至らない、川底だけを流れるというような洪水の場合に、粗度係数が小さいわけです。なぜかといいますと、高水敷には草や木がどんどん生えてるわけですね。抵抗が大きくなるわけです。だから、全体としての粗度係数は大きくなるんですけれども、そういう小さな洪水の粗度係数しか用いてないと、こういう誤りを犯しているわけですね。そういったことで、小さな洪水の粗度係数を大きな洪水に適用するなど、内容としては、極めて未熟な部分もあったということでございます。その後、各種調査を経て、昭和五十七年に工事実施基本計画が策定されましたが、そのときに用いられました粗度係数は、現在まで変更されておりません。 また、昭和五十五年度の資料では、第十堰改築代替案の検討として、堤防のかさ上げ、引き堤の概算事業費を比較しておりますけれども、可動堰への改築がかさ上げや引き堤に比べて事業費が高くなっており、現在の建設省の説明とは異なっております。 このことにつきましては、代替案はいずれもせき上げへの対応のみであり、第十堰自体の透過構造の解消や深掘れ対策など、課題解消に必要な費用が見積もられていないこと、また補償物件の見積もりもかなり低かったこともございまして、適切なものではないとのことであります。 いずれにいたしましても、これらコンサルタントの成果報告書には建設省の技術的評価は含まれていないこと、また昭和六十三年に事業化するまでには、さまざまな観点から予備的検討を行った試行的なものでございまして、前提条件等を十分吟味しないと使用できない場合が多いことなどから、審議委員会に過去の資料すべてを提出して無用の混乱を招くべきではないと判断されたものであるというふうに伺っております。 一般的に、大規模プロジェクトではいろいろな面からの調査検討がなされ、その集大成として計画が決まるものでございまして、第十堰改築計画につきましても、その後詳細な調査や検討が行われました結果、現在の結論になったものと理解をいたしております。 第十堰と併設橋を含む徳島環状線の今後の整備スケジュールの調整についての御質問でございます。 本県にとりまして、徳島環状線は、徳島市を中心とした交通渋滞の緩和を図る、切り札的、重要な道路であるというふうに認識をいたしております。また、第十堰につきましても、吉野川下流域の治水機能の向上と既存利水の安定確保のため、可動堰への改築はぜひとも必要な事業であるというふうに認識をいたしております。 この第十堰を渡る道路橋につきましては、堰と計画時期及び建設位置が極めて近接していたことなどから、河川管理上の問題、環境への影響や事業の施工性、経済性等を考慮しまして、平成三年に建設省四国地方建設局に対しまして、合併構造とすることを要望し、平成四年に建設省から、堰と道路橋の合併構造とする基本方針が示されたものであります。 県といたしましては、両事業が一日も早く完成するよう事業の推進に努めているところでございます。現在、堰は環境アセスメントの準備作業を行っており、その中で合併構造物の設計を、また県といたしましては、取りつけ区間のルート検討等を、調整を図りながら進めているところでございます。 いずれにいたしましても、両者は切り離せないものでありますので、第十堰の必要性はもちろんのこと、堰との合併構造となっております環状道路の必要性、重要性につきましても、県民の皆様に御認識、御理解をいただけるように広報に努めまして、両事業の早期完成に努力してまいりたいと、このように考えております。 細川内ダム建設事業審議委員会の設置についての御質問でございますが、審議委員会は、那賀川全体の治水・利水・環境の諸問題につきまして、細川内ダムはもとより、代替案も含めまして、流域全体の観点から幅広い議論を行い、流域の意見を一つにまとめ、最終的には建設省が審議委員会の意見を尊重して、細川内ダムの継続、中止、変更を決定することを目的として設置されるものでございます。 このため、私は、平成九年四月から八月にわたりまして、三度、木頭村長と審議委員会の委員就任について、地道に話し合いを続けてきました結果、細川内ダム審議委員会を発足させるという基本的な方向で合意に至りました。 このとき合意した具体的内容は、「行政委員は、知事と県議会議員の代表及び木頭村長と同村議会議員の代表の計四名のほかに、流域市町村の首長または同議会議員の代表とし、その選任については、上中流域と下流域市町村の二地区に分けて両地区の委員は同数とする。また、学識委員のうち半数は村長の申し出のあった人を推薦する。」というものであります。その後、秘書課長が、木頭村長と審議委員会の委員構成につきまして話し合いを行い、委員数を十五名程度とすることで大筋の合意をしたわけであります。 また、県といたしましては、委員の人選方法や、会談の際、木頭村長から要求のあった、細川内ダム関連の県予算の凍結や細川内ダムの最重要要望からの削除など、真摯な対応を行ってまいりました。しかしながら、行政委員の参加をめぐり、委員の枠組みで木頭村の御理解を得られず、いまだ審議委員会の開催ができないのは、まことに残念なことであります。 これまで、県といたしましては、那賀川方式とも言える柔軟な考え方で対応してまいりましたが、審議委員会は、今まで御説明してまいりましたように、那賀川流域全体の観点から幅広い議論をする場として設置しようとするものでございまして、この趣旨から考えましても、県の提案は妥当なものであると考えております。 現在、那賀川水系におきましては、長安口ダムなどの貯水量が大幅に減少して、下流域の工場群においては三〇%の取水制限が行われている状況にあること、さらに現状の治水安全度が吉野川以上に低いことなどを考えますと、那賀川全体の治水・利水対策を早急に検討する必要がございます。 したがいまして、細川内ダムそのものにこだわるわけではございませんが、那賀川の治水・利水・環境対策について総合的に検討する場である審議委員会のテーブルに木頭村に着いていただくことが重要であると考えておりまして、同じ答弁を繰り返すことはいささか抵抗はございますが、現段階では引き続き木頭村と意見調整を行い、建設省の方針や県のこれまでの考え方を御理解いただき、早期に開催できますよう、粘り強く折衝を続けてまいるしかないと考えておりますので、今後も議員及び県民各位の御理解と御支援を賜りますようお願い申し上げます。 長安口ダム貯水池保全事業でございます、荒谷の貯砂ダム計画の現況と今後の見通しについての御質問でございます。 長安口ダムは、昭和三十一年に建設をされまして、完成後四十二年が経過をし、貯水池内には、現在千百四十立方メートルの土砂が堆積しており、有効貯水容量の一四・二%に当たります六百二十万立方メートルが減少しております。このうち、出合橋付近に堆積をしております微粒土砂は、渇水時に発生をいたします濁水の原因となっているため、この微粒土砂を除去し、新たに処理することによって河川環境を改善し、あわせて若干の貯水容量の回復も図れることから、平成四年度より貯水池保全事業として事業化をいたしております。 この事業につきましては、平成五年十二月に、進入道路の一部でございますトンネル工事に着手いたしましたが、荒谷の自然環境に及ぼす影響について、県議会を中心に種々の議論がありましたことから、本工事を中断して、平成六年より荒谷の環境調査に着手し、この区域に生育、生息する動植物の調査を実施をいたしました。この調査結果に基づきまして、荒谷の自然環境への影響を最小限にするため、貴重種の保全の観点から計画内容を見直す作業を平成九年度から実施をしておりまして、現在専門家に相談しながら最終的なまとめを行っているところでございます。 なお、本事業の推進に当たりましては、この事業が那賀川の河川環境改善という目的であることを考えますと、今後何らかの形で地元住民や流域の方々等の御意見を聞くなど、十分御理解を得た上で取り組んでいくべきであるというふうに考えております。 那賀川水系の治水対策、利水対策等において、抜本的な対策、あり方についての御質問でございますが、剣山を源とし、吉野川と並ぶ徳島県の一級河川でございます那賀川は、古くから県南地域の社会・経済の基盤をなす代表的河川でございますが、地理的・地形的条件等から洪水や渇水の多い河川であります。 このため、国におきましては、那賀川の治水対策として、流域内の人口や資産等から総合的に検討して、百年に一回程度の確率で発生する洪水に対処するため、長安口ダムや細川内ダム等の上流ダム群による洪水調節と河川改修による堤防整備により、治水安全度を向上させる「那賀川水系工事実施基本計画」を昭和四十九年に策定し、治水計画の基本といたしております。 また、那賀川につきましては、治水計画上重要区間でございます、河口から十八キロメートルまでの区間と上流の細川内ダム計画区間は、建設省の直轄管理とし、吉井地区の築堤や樋門等の整備が進められており、残る県管理区間におきましては、鷲敷町などにおけるいわゆる無堤地区の解消など、堤防・護岸の早期整備に取り組んでいるところであります。 一方、利水面では、那賀川の水は下流域の広大な穀倉地帯を潤す農業用水や、阿南市を中心とする臨海工業地帯への工業用水などに活用されており、なくてはならないものでございますが、最近では、下流域の工場群におきまして、先ほども申し上げましたように、三〇%もの取水制限を余儀なくされている状況にあり、渇水時の補給を長安口ダムのみに頼る現状では、取水制限を頻繁に実施しなければならない、非常に深刻な状況でございます。 さらに、県南地域の今後の発展を視野に入れた生活用水や工業用水など都市用水の需要増に備えた新規利水要望もあり、利水対策の面からも、細川内ダムを含め、何らかの対応が必要でございます。 県といたしましては、那賀川水系の治水・利水・環境対策を総合的に所管するために、今年度設置をされました那賀川工事事務所の機能が十分に発揮され、建設省において、細川内ダムも含めて、その他のさまざまな代替案についても、十分事務的に検討した上で、今後の那賀川の整備方向が早期に示されるように要望してまいりたいと考えているところでございます。 (児島議員登壇)
◆二十六番(児島勝君) それぞれ御答弁をいただきました。 第十堰可動化問題に関しましては、いろいろな諸問題はありますが、やはりおくれておりますのは県民に対するPR不足でなかろうかと思います。 発足をいたしました第十堰推進対策チームの機能が十分に発揮をされまして、県民に可動堰化に向けた正しい理解が十分得られますように、今後のさらなる御努力を期待をいたしたいと思います。 細川内ダム及び長安口ダム堆砂問題に関しましては、知事の思いとは別として、満足いくような答えはいただけなかったわけでございますが、今後は那賀川流域に住むすべての住民の課題として、審議委員会とは別に、早急に那賀川流域会議の発足、開催を要請をしておきたいと思います。 ある本の一節に、「繁栄した国はあっても、繁栄し続けた国はない。それは、国の主人公が国民、すなわち人間であるから」であります。人のわざであり、弱さでもあります。人は、目標達成のため懸命の努力をいたしますが、目標を達成されると当たり前と思い、勤勉と自助は、怠慢と依存に変質をしていきます。 確かに、本県を含め、我が国はあらゆる面で危機状況にありますが、決して悲観ばかりしてはいられません。先人の残してくれた富と技術と、そして日本国民の能力をうまく活用すれば、きっとこの危機を乗り越えることができると私は信じております。 我々も、四月には四年目の危機が近づきつつあります。この危機を乗り切り、再度この議場で、県勢発展のために議論が闘えますことをお誓いしながら、私のすべての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ────────────────────────
○議長(俵徹太郎君) 議事の都合により、休憩いたします。 午後二時十分休憩 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 午後二時三十三分開議 出席議員計三十四名 (その番号・氏名左のとおりである) 一 番 岡 本 富 治 君 二 番 藤 田 豊 君 三 番 橋 本 弘 房 君 四 番 大 西 章 英 君 五 番 長 池 武 一 郎 君 六 番 森 本 尚 樹 君 七 番 谷 善 雄 君 八 番 山 田 豊 君 九 番 久 次 米 圭 一 郎 君 十 番 庄 野 昌 彦 君 十一 番 冨 浦 良 治 君 十二 番 樫 本 孝 君 十三 番 来 代 正 文 君 十四 番 猿 瀧 勝 君 十五 番 竹 内 資 浩 君 十六 番 長 尾 哲 見 君 十八 番 西 沢 貴 朗 君 二十一番 杉 本 直 樹 君 二十二番 佐 藤 圭 甫 君 二十三番 亀 井 俊 明 君 二十四番 遠 藤 一 美 君 二十六番 児 島 勝 君 二十七番 原 秀 樹 君 二十八番 川 真 田 哲 哉 君 三十 番 大 田 正 君 三十一番 榊 武 夫 君 三十二番 平 岡 一 美 君 三十三番 四 宮 肇 君 三十五番 湊 庄 市 君 三十六番 木 村 正 君 三十七番 元 木 宏 君 三十九番 大 西 仁 君 四十 番 阿 川 利 量 君 四十三番 木 内 信 恭 君 ────────────────────────
○副議長(木内信恭君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 三十一番・榊武夫君。 〔福山・吉田・北島・柴田・谷口五議員出席、大西(仁)議員退席、出席議員計三十八名となる〕 (榊議員登壇)
◆三十一番(榊武夫君) 社会県民クラブを代表して、本議会での質問を進めていきたいと思います。 知事が今議会所信表明で述べられましたように、我が国の現在の経済状況は戦後最悪であり、ここ数年景気対策の名のもとにとり続けてきた公共事業への大型投資も、また銀行への超金融政策も、いまだその効果があらわれず、その出口すら見えないのが現状であります。 本県においても、昨年四月、念願であった明石海峡大橋の開通により、本土と直結による本県経済の大きな発展を期待したところでありましたが、なるほど観光客の増加とともに観光関連事業への影響はかなりの効果が見られましたけれども、国全体の不況経済はいかんともしがたく、はや一部では下降状況があらわれております。 そこで、知事においても、この架橋効果を一過性に終わらせることなく、県勢の発展につなげていく必要性を強く認識され、積極的な取り組みをすべく、とくしまマグネット作戦を提案されたことは評価をするところでありますが、今どこへ行っても、だれと会っても、まず口をついて出る言葉は、不景気だ、仕事がないということであります。ここ近年、あれだけ景気対策だ、やれ追加だ、やれ補正だとつぎ込んだ公共事業費は、一体どこへ行ってしまったんでしょうか。中小企業への金融対策はどうなったのでしょうか。何十兆円の公的資金は銀行だけの救済に終わってしまったのでしょうか。知事、これは本当のことでありまして、誇張でも何でもありません。 ある小さな建設業者がこんなことを言っていました。幾ら公共事業が出されても、私たちはほとんど下請、孫請で、それでも仕事が続けばよいのですが、最近では大手ゼネコンまでが、よそより系列業者を連れてきて、地元の我々にはなかなか仕事をくれないのが現状であります。その上、利益率は悪くなる一方で、実際に現場で働く人たちを抱えているのは私たち下請零細業者ですと。何とかならないですかと言われました。 知事が二期目初議会でこの場で表明されてからまだ一年半しかたっていませんが、県民が期待した言葉に、「一隅を照らす県政の推進」があります。そして、こう続けられました。「一期目の県政の中でさまざまな地域の暮らしをこの目で見、またいろいろな人々と触れ合いを通じて多くのことを学びました。特に、各分野で創意工夫を重ね、たゆまぬ努力を人知れず行っている多くの県民の姿に感銘を受けました。私は、このような御努力に敬意を表するとともに、そうした人々と一緒になって、県民すべてがどこに住んでいても、一定水準以上の便益を受けることのできる、均衡のとれた郷土づくりを進めてまいりたいと考えております。」云々と続き、県政運営の基本姿勢として述べられたものであります。まだ記憶に新しいところでありますが、現在の財政状況、特に新年度の当初予算を見るとき、なかなかすべての県民に行き届いた「一隅を照らす県政の推進」には厳しい状況であり、推察するところではありますが、あれからまだ二度目の予算の編成であります。その精神が新年度予算にどのように生かされて、特に県民に優しい政策がどのように組み込まれているのか、御見解をお伺いいたしたいと思います。 また、一方、平成十年度を本県にとって
財政健全化元年と位置づけられ、新年度予算はこれまた二回目の予算でありますが、どのようにこの相反する問題に取り組まれましたか。この点についても御見解をお伺いいたしたいと思います。 先般も、ある資料を見ておりますと、九年度の県内の建設投資額は、前年度比の四・三%減の五千三百七十九億円と五年ぶりの減少となっており、営業利益率も、前年度の二・三一から一・六七に下がり、収益性も悪化しているということからも予測される、各地で不況・不景気ムードが非常に強い状況でございますが、今後の
財政健全化と景気対策についてどのような対策をとっていくのか。また、今後の県財政の長期的な展望はどのように見られているのか、お伺いをいたしたいと思います。 次に、明石架橋効果の定着を目指した「とくしまマグネット作戦」と名づけて、事業費三億円、二十六事業が計上されておりますが、このことについては一定の評価をするところでありますが、しかし、このようなソフト事業や一過性事業を十一年、十二年だけでマグネット事業としての効果は、どれだけの期待ができるものでしょうか、御所見をお伺いいたしたいと思います。 続いて、マグネット効果を上げるには、来県した人々を通過だけにすることなく、滞在してもらうことが大切だと言われておりますし、またより多くの人が来てもらうこと、そしてそれも二度三度と来てもらうことが非常に大切であると思うのであります。そのためには、それだけの吸引する力が必要でなかろうかと思います。 それでは、その吸引する力とは何なのか。それは、私の考えるところでは、まず、ほかにないものが徳島にある、ここにあるということでなかろうかと思うわけであります。そこでなければ経験ができないもの、それがそこにあるということだと思うわけでありますが、そういう点から考え、そういうもの、場所を宣伝することはもちろんでありますが、有効的にこれらを結合して誘導することも、より重要な要素となってこようかと思うわけであります。 本県においても、ほかにはない、また見ることのできない、また経験することのできないものはたくさんありますが、県として、それらのものが有効的に接続されているかといえば、必ずしもそうはなっていないのではないかと思うのであります。 そこで、私は、明石海峡大橋を渡り、本県に第一歩をしるした鳴門市の現在の観光施設について検証をしてみたいと思うわけであります。 美しい景色、自然はありますが、これはそれぞれの観光地でもそれなりはあることでありまして、それぞれが宣伝をしていることであります。鳴門市だけにしかないというものといえば、大塚美術館、それから現在工事中の渦の道、これでしょう。世界の名画が等身大であれだけ一度に見える場所は、ここだけでしかないわけでありますし、もう一つは、現在着工中の渦の道ですが、世界最大と言われる鳴門の渦潮を、歩いて行って、直接真上から見えるという、勇壮な景色というものは、よそでは見ることのできない施設だと思うわけであります。 しかし、この両施設にいたしましても、一度はそのすばらしさに感動はするでしょうが、果たして、もう一度、二度三度と来てみようという施設であると言い切れるでしょうか。 そこで、私は、二度三度と来県してもらえる、近県にない施設の設置を提案いたしたいと思うわけであります。 それは、前回の十一月議会に、同僚の亀井議員から、鳴門ウチノ海総合公園整備について、水産試験場鳴門分場の移転拡充と、海をテーマとして海岸療法施設、タラソテラピーが提案をされました。まことに貴重な御提案と賛成するところでありますが、私は欲張りと言われるかもしれませんけれども、これらの施設に地域産業の振興と近県にない施設を併設し、より多くの観光客を呼び込むべきだと考え、次の三つの施設を提案をいたしたいと思うものであります。 その一つは、御承知のように、鳴門地域の漁業は一本釣りなどが多く、個人操業がほとんどであります。そのために漁獲量が一定をしないという不安定さがあり、市場では安値にしかならない状況があるわけであります。全国どこへ行っても、味については絶対に引けをとらない、せっかくのおいしい、鳴門海峡の急流でもまれた、超ブランドの鳴門の魚介類が安値とは、まことに残念であります。 この状況を解消するために、現在好評を得ている北灘町粟田漁協や北泊漁協が、月一回の直売行動が行われておりますが、これを毎日できる、漁船が横着けできる観光市場を、ぜひ水産試験場に併設できないかという提案であります。 二つ目は、サーフィンも可能なウエーブプールを建設してはどうかと思うのであります。 御承知のとおり、昨年五月、高知県東洋町生見海岸を主会場として、「徳島プロサーフィン世界選手権大会」が開催をされましたことは、記憶に新しいところであります。それ以後、来県する県外サーファーは激増しているそうで、生見海岸だけでも年間七万人が訪れているそうで、県南海岸を含めると十万人のサーファーがサーフィンを楽しんでいるそうで、このうち九割が県外、特に京阪神方面からで、徳島県のサーフィン連盟が試算をした経済効果は、平成九年度で二十四億円とも言われております。今や若者のサーフィン熱は大変なものであります。 そこで、知事御記憶でございましょうか。二期目の後援会活動をされておりますときに、鳴門の集会で、ウチノ海総合公園の開発について、その中で述べられた中に、「海水の波を起こす温水プール等をつくってはどうかと思っている」と、このようなことも発言をされたわけでございますが、これを聞いた鳴門のサーファーは、造波プールができるのなら、ぜひサーフィンができるプールにしてもらいたいとの願望から、既にインターネット等で、京阪神とか関西のサーファーたちに、鳴門にサーフィンプールができれば、あなたたちは来られますかというような、そしてどれくらいの頻度で来られますか、どのくらいの入場料ならよいですかなどと、驚くほどの緻密なデータを発信して集め、現在横浜と宮崎にしかないウエーブプールが鳴門にできれば、きっと成功するとの展望で、鳴門豊かな海の祭典跡地に、西日本・東海地区初のウエーブプールをというインターネットで呼びかけているそうであります。 このような運動について、知事の御見解をお伺いいたしたいと思います。 三つ目は、死海のように塩分濃度の高い、人体が浮かぶプールもおもしろいと思うのであります。このプールも近県にはありませんし、特に、現在鳴門市が計画中の、隣接する塩田公園でつくられる原塩を利用する等、連携すれば相乗効果もあり、吸引力のある施設となると思います。あわせて御見解をお伺いいたしたいと思います。 また、これらの施設と、さきに述べた渦の道、大塚美術館等を結合させ、誘導するには、現在計画中の都市計画道路黒山中山線だけでは不十分だと思うわけであります。これらの施設を有効的に結合させ、観光客を誘導するには、長年鳴門市においても念願となっております、亀浦観光港から堀越を通って、ウチノ海を周遊する「ウチノ海周遊観光道路」を建設すべきだと思うわけでありますが、これらについても御見解をお伺いしたいと思います。 次に、第十堰問題について述べさせていただきます。 既にそれぞれの質問者からこの問題については述べられましたけれども、私は、第十堰問題については、今可動堰か、固定堰かということで県民の大きな話題となっており、御承知のとおり、住民投票条例制定の住民署名が徳島市と藍住町で行われ、徳島市においては十万一千五百三十五人、四八・三%、藍住町でも九千六百六十三人、四三・六%の署名が集められ、この問題に対する住民の関心の高さを認識させられたところでありますが、両議会とも条例制定反対の決議がされました。 私は、この結果を見て、何か割り切れない、このままでいいのかなというものを感じました。これが民主主義のルールなのか、建設省や県の見解が正しいのだろうか。そうすると、住民の意見や行動はどうだったのか。まやかしの理論であれば、あれだけのパワーが生まれるのだろうか。県の言う、住民は理性より感情だというだけであれだけの票が、人が集まるんであろうかなどなど、自問自答を繰り返していろいろの資料に目を通しましたけれども、さきの児島議員の、五十一年、五十六年の建設省の資料に対する知事の説明にいたしましても、我々、土木工学とか河川工学、気象学等々の知識のない者については、説明を受けると、なるほどそうかなという形で受け取りますけれども、なかなか一般の者としては反論することは無理であろうかと思うわけでありますが、土木工法等は別としまして、今回の住民投票に対して県のとった見解は、少々無理があったのではないかと思うところもあるのであります。 まず第一点は、住民投票を行う制度が、現行の法体系では問題であるととらえられておりますが、この問題は、七六年の第十六次地方制度調査会の答申が出されて以来、二十年以上も経過した現在もなお結論が出ていない問題で、しかも九六年の第二十四回地方制度調査会の答申で、改めて、引き続き検討していく必要があるとされ、さらに政府すら引き続き慎重に検討を進めると言っていることは、現行の法体系との整合性上問題であるとの県の見解には、少々無理があるのではないかと思うのでありますが、この点について御見解をお伺いいたしたいと思います。 次に、住民投票に対して、県は可動堰に反対行動と決めつけて、現行の代表民主制を基本とした
地方自治制度のもとで、議会や長の機能の関係等々、いろいろの理由を挙げて延々と述べられておりますが、私はなぜ住民投票行為を、そのようにしてまで抑圧する必要があるのか見解に苦しむところであります。所見を伺いたいと思うわけであります。 次に、可動堰がベストなのか、固定堰がベストなのか、私は私なりに、私の周りの方々、支援者、支持者、それから地域、団体・組織のいろいろの集会等で、この問題について問題を投げかけてみました。その中でいろいろな意見や考え方を聞かせていただきました。出てきたものを集約しますと、大体次のようになりました。 まず第一としましては、私を取り巻く鳴門市民は、実は利水面、治水面でも、かなり具体的な要望、意見が出されました。 利水面では、旧吉野川を利用して、飲料、農業、工業、生活すべての水を旧吉野川に頼っているが、昔と比べると、年々その流量も少なくなり、水質も悪くなってきているなという感じであります。そして、それらを満たしてくれる方法がよりベターだと考えると、こういう利水面では意見が非常に多いわけであります。 それから、治水面では、近年ではないが、旧吉野川は常時決壊する暴れ川で、三代ぐらい前の人からは常に怖い話等を聞かされ、戦後でも地域によっては、中小河川の堤防決壊による浸水等が何度か経験している市民がかなりいるため、体質的には、より安全性を希望する人がやはり大半でありました。しかし、すべての人が可動堰論者でもなく、ある農家の長老の方から次のような意見が出されました。 だんだんと吉野川の洪水を見てきましたが、上流にダムができた関係か、旧の吉野川橋の鉄橋が流木で壊されるのではないかと思うような大きな水は出なくなったと。また、堤防の上部に水の流跡を残すような水も少なくなってきているのは事実であると。そういう中で、今の経済状況を考える中で、千数百億もの可動堰をつくることが、本当に今必要なのですかと言われ、そして最後にこのように結ばれました。一月九日の推進大会にも参加をいたしましたが、いかに住民が、やれ可動堰だ、固定堰だと言っても、国は最後には知事の意見を聞いて決めるのではないですか。そうすると、そのとき、知事の責任はまさに重大なものとなってくるでしょうと。権限の大きな為政者ほど責任も重いのです。そして、その決断の良否は、長い将来、歴史的に評価を受け続けるものなのでしょうと。圓藤知事に申し上げてくださいと。それだけの重大な決定だけに、目先の問題や事情に惑わされることなく、真に徳島県民のための決断を下してくださいとの言葉です。 知事の御見解をお伺いして、次の質問に移りたいと思います。 〔中谷・大西(仁)両議員出席、出席議員計四十名となる〕 (
圓藤知事登壇)
◎知事(圓藤寿穂君) 新年度予算について、すべての県民に行き届いた「一隅を照らす県政の推進」の精神がどのように生かされているのかという御質問についてでございます。 平成十一年度予算は、極めて厳しい財政環境下におきまして、
財政健全化に向けた着実な取り組みを行う中で、従来にも増して限られた財源の重点配分の徹底を図る必要があることから、重点化の三つの視点を明確にし、厳しく施策選択を行ったところでございます。すなわち、架橋効果を県内のすべての地域に波及、定着させるための施策、次に県民共通の課題である環境対策や少子・高齢化対策など、早急に対応を図るための施策、さらに各分野、各地域における懸命の努力に対する支援施策という視点でございます。 これらの視点につきましては、いずれも施策選択に当たりまして、私の政治信条でございます「一隅を照らす県政」を具現化するためのものでございまして、県民すべてがどこに住んでいても、一定水準以上の便益を受けることのできる、均衡のとれた県土づくりを進めますとともに、高齢者や障害者など、ともに今を生きる人々への優しいまなざしを持ちながら未来を生き、未来への希望を担う子供たちの健やかな成長を支えることができる地域社会づくりを進めたいという私の信念は、新年度予算に反映されているというふうに考えております。 平成十年度を本県の
財政健全化元年と位置づけたが、新年度予算では
財政健全化に向けてどのように取り組んでいるのかとの御質問でございます。 平成十一年度の予算編成に当たりまして、昨年十一月にお示しをしました予算編成方針におきまして、本県財政運営の中長期的な指針でございます
財政健全化推進プログラムに基づく、各種健全化方策を着実に推進することを基本に編成することといたしたところでございます。 まず、財源不足額の圧縮及び
県債新規発行の抑制という健全化目標につきましては、地方財政全体が過去最大の財源不足という極めて厳しい状況の中で、限られた財源の重点的・効率的配分に徹した施策選択を行うことなどによりまして、その達成が図られたところであります。 また、プログラムに位置づけました財政集中見直し期間の設定や、横割り予算方式などの新たな予算編成システムに全庁を挙げて取り組み、創意工夫を凝らし、既存事業の見直しの徹底や経費の節減・合理化にも積極的に取り組んだところでございます。 その結果、補助公共事業の積極的活用を図る中での県単独事業の抑制や、経常経費の二年連続での一〇%一律削減、また公共工事のコスト縮減など、一定の成果は得られたものというふうに考えております。 もとより、財政の健全化は一朝一夕に達成できるものではなく、不断の取り組みが必要であり、今後とも毎年度の予算編成を通して、
財政健全化推進プログラムの着実な推進を図ってまいりたいと、このように考えております。 県内各地で不況・不景気ムードが非常に強いが、
財政健全化と景気対策についてどのように対応していくのかとの御質問についてでございます。 財政の健全化を進める中で、本県の相対的に立ちおくれた
社会資本整備を積極的に進め、県内景気の活性化を図るためには、国庫補助公共事業の積極的活用が不可欠でございます。 そのため、機会あるごとに本県の実情を国に訴え、予算の確保に向けまして、私自身、先頭に立って積極的な要望活動を展開したところでございます。 平成十一年度当初予算編成に当たり、現下の厳しい経済状況に配意するため、国の緊急経済対策の積極的活用を図るための補正予算と一体的に編成する中で、相当規模の公共事業費を確保するとともに、中小企業金融対策として、県単
協調融資制度につきまして過去最大の融資枠を確保するなど、県内景気の動向にも意を用いたものでございます。 なお、国の経済対策に伴います地方負担につきましては、
地方財政措置として補正予算債の発行が認められまして、その償還に際しましてはほぼ全額が
地方交付税措置されるなど、財源手当が手厚いことから、本県財政に及ぼす影響は極めて少ないと考えております。 次に、県財政の長期展望についての御質問でございますが、本県財政の状況につきましては、財政の硬直化を示す指標でございます
経常収支比率や公債費比率が、財政力が同程度のEグループ九県の平均を下回っており、基金残高も相当規模を維持している状況を総合的に見まして、必ずしも危機的状況ではないと考えておりますが、今後ますます増嵩する公債費や、多様化する行政課題に的確に対応するためには、財政の弾力性の確保に向けまして最大限の努力を傾注する必要があると認識をいたしておりますので、本県財政運営の中長期的な指針でございます
財政健全化推進プログラムの着実な推進を図ってまいりたいと、このように考えております。 「とくしまマグネット作戦」の具体的効果についてのお尋ねでございますが、神戸淡路鳴門自動車道の全線開通によりまして、本県にとりましては、時間短縮効果や、天候に左右されない交通の安定性など、交通条件が飛躍的に改善されますとともに、巨大な経済圏域の中枢部とも直結をしたわけでございます。さらには、西瀬戸自動車道が間もなく開通いたしますと、瀬戸内海を中心とした環状の広域交流圏が形成され、本県活性化の可能性はさらに高まってまいります。 徳島県の活性化にとりまして、まさに千載一遇のチャンスでございます。このチャンスを生かして県勢の発展を図るためには、架橋後の二十一世紀を見据えて策定をいたしました新長期計画を着実に推進することが重要でありますが、波及効果の定着と一層の拡大を図るためには、今後一、二年の取り組みがとりわけ重要であると認識をいたしているところでございます。このため、架橋効果を最大限に活用するために、緊急に実施すべき各種施策を、とくしまマグネット作戦のもとに、効率的に実施をすることといたした次第であります。 とくしまマグネット作戦のねらいは、徳島の魅力を高め、全国各地から人、物を本県に引き寄せ、定着させることができるような磁力をつけることを目指したものであります。 その期待する主な効果といたしましては、リピーター観光客の確保を目指した「架橋新時代観光とくしま誘致事業」や「全通記念フォローアップ事業」の開催などによりまして、観光面における現在の波及効果の定着と拡大をまず挙げることができます。 次に、産業面において期待する効果といたしましては、朝採り出荷等、新鮮野菜の新たな出荷システムの確立を目指しました「とれとれ野菜新供給システム確立事業」や、また経営環境の変化に対応しようとする、意欲的な卸売業者を支援する「卸売業流通変革対応支援事業」などの、架橋効果を活用した施策を官民が一体となって推進することによりまして、産業界の活性化を図ることにございます。御理解をいただきたいと思います。 鳴門ウチノ海総合公園整備構想の中で、まず第一点目に、漁船を横着けできる観光市場を併設してはどうかとの御提言でございますが、当公園は、自然豊かな瀬戸内海国立公園に隣接しておりますことから、自然との共生、自然との触れ合いをテーマに、海と気軽に接して海とのかかわり合いを学び、体験、味わい、楽しむことができる公園を目指しまして整備を進めているところでございます。 こうしたことから、現在老朽化した水産試験場鳴門分場の移転改築につきましても、当公園を有力候補地の一つとして検討しているところであります。特に、本県の新鮮で豊かな水産物や農産物は、人を集客するための魅力ある資源でありますことは申すまでもございません。昨年この地で開催されました全国豊かな海づくり大会とあわせて行われました「物産ストリート」の盛況ぶりからもうかがえたところでございます。 このようなことから、御指摘の漁船を横着けできる観光市場につきましても、施設というハード面はもとより、運営を初めとするソフト面の役割が非常に重要な要素でありますので、今後とも、漁業関係者を初めとする地元の皆様方の御協力も含めまして検討してまいりたいと、このように考えております。 第二点目に、この公園にウエーブプールを建設してはどうかという御質問についてでございます。 議員御提言の、波を起こし利用するウエーブプールにつきましては、全国にも建設されている事例も見受けられております。海に触れ合い、スポーツや健康の増進といった観点から、プールの建設は魅力ある施設の一つとして有益であると考えております。 御提案のサーフィンやボディーボードの利用が可能なウエーブプールの建設につきましては、整備や運営に多額の費用を必要としますことから、施設の規模や利用見込み、運営の手法、特に民間の活力やノウハウの導入など、多くの課題について検討する必要があり、今後とも引き続き検討してまいりたいと考えているところでございます。 第三点に、死海のような塩分濃度の高い、人体が浮かぶようなプールを建設してはどうかという御質問についてでございます。 鳴門市は、古くから塩業を中心に栄えてきたという歴史的な経緯があり、この公園の近くには、国指定の重要文化財として塩田屋敷がそのままよみがえり、当時の文化、歴史を伝承する塩田公園が設置されております。 議員御指摘の原塩を利用するプールの施設につきましては、社会構造や生活様式の多様化によるストレスの蓄積等の解消や健康の回復といった観点からも、意義ある施設であると考えておりますが、こうした施設につきましては、専門的な知識はもとよりでございますが、施設整備や運営の方法等におきまして、民間の活力の導入等が必要でございまして、検討する課題もございますことから、こうした観点から引き続き検討してまいりたいと、このように考えております。 いずれにいたしましても、瀬戸内海国立公園に隣接するこの公園が、四国の玄関にふさわしい公園として、また明石海峡大橋の効果を一過性に終わらせないためにも、この公園の付加価値を高め、魅力ある公園となるように、今後とも一生懸命整備を進めてまいりたいと考えておるところでございます。 ウチノ海周遊観光道路についての御質問でございますが、明石海峡大橋の架橋効果をさらに高め、定着させていくための観光基盤として、ウチノ海周辺地域におきましては、ウチノ海、渦の道、美術館等があり、これらを連結する動線としては、県道鳴門公園線、県道鳴門公園線バイパス、県道亀浦港櫛木線がございます。 このうち、県道鳴門公園線、県道亀浦港櫛木線は、二車線整備が完了しておりますが、ウチノ海沿いの県道鳴門公園線バイパスは、国道十一号から鳴門市土佐泊浦までの計画延長約六キロメートルのうち、土佐泊浦付近の約二キロメートルが未整備となっております。この未整備区間につきましては、国立公園の第二種特別地域を通過することから、現在環境庁と協議を行っているところでございまして、この協議が調えば、平成十一年度には事業説明会の開催等を行い、具体的に事業着手してまいりたいと考えております。 なお、ウチノ海周遊観光道路につきましては、現在鳴門市道となっておりますので、御提言の趣旨を踏まえまして、どのような整備が可能であるのか等につきまして、総合的に、鳴門市を初め関係機関と協議をしてまいりたいと、このように考えております。 それから、徳島市及び藍住町の住民投票条例の制定に対して、県はなぜ否定的な意見を述べるのかという質問についてでございます。 住民投票制度一般につきましては、計画策定や行政施策への住民参加の機会の拡大のためとか、議会の活性化を図る観点等から導入すべきであるという意見がある一方で、現行の代表民主制を基本とした
地方自治制度のもとで、議会や首長の責任回避につながり、代議制を弱体化させるとか、地域社会の合意形成に当たって、その結果いかんにかかわらず、感情的対立だけを残すおそれがあるとか、また、総合的で長期的な検討を要する問題や、高度に専門的・技術的判断を要する事項が住民投票になじむのかといったような観点などから、慎重に対応すべきとの意見もございます。 また、議員御指摘のように、昭和五十一年に出されました十六次地方制度調査会の答申が出されて以来、議論が続けられておりますが、平成八年に出されました第二十四次地方制度調査会の答申におきましても、引き続き検討していく必要があるとされておりまして、結論は出ていない状況にございます。 県として、第十堰が住民投票になじまないと申し上げておりますのは、さきに述べた、一般論として言われている問題点に加えまして、次のような基本的な問題があると考えているためであります。 すなわち、第一点目として、第十堰改築事業は、住民の生命と財産を守るという行政の根本的責務にかかわる問題でございまして、仮に十万人の市民のうち、一万人が直接の被害を受けるとすると、被害を受けない九万人の反対で堰改築は必要ないというのが住民の意思になってしまいますが、行政としては、この一万人の生命と財産を守る義務を放棄できないということであります。 第二点としては、第十堰の改築につきましては、吉野川第十堰建設事業審議委員会におきまして三回の公聴会を実施し、賛成、反対をそれぞれ同数選任し、延べ五十四人の公述人から意見を聴取するなど、極めて民主的な方法で住民の意見を聞く努力がなされたということであります。 第三点目として、住民の方々には、現在の堰の持つ役割や問題点、改築の必要性等を十分に御理解していただいた上で、初めて的確な判断が可能になるのではないかということであります。 これ以外に、第十堰改築事業は、新しい法律を先取りした環境アセスメントを実施し、その中で住民の方々の意見を十分に聞こうとしているにもかかわらず、それ以前に住民投票を実施して結論を出すべきなのかということであります。 次に、第十堰が原因で洪水によって被害を受けたり、堰を受けて直接影響を受けるのは徳島市と藍住町だけではなく、流域の二市六町であり、ひいては流域全体、本県全体に影響を与えることから、特定地域だけで判断される問題ではないといったような問題もありますことから、県としては、第十堰の改築は住民投票になじまないと申し述べてきたところであります。 可動堰建設の反対意見をなぜ無理やり押さえ込もうとするのかという御質問についてでございます。 建設省や県は、これまでマスメディアを利用して情報提供したり、イベント会場に説明コーナーを設置して質問にお答えするなど、いろいろな広報活動を展開してまいりましたが、これは反対意見を無理やり押さえ込もうとしているわけでは決してありません。第十堰に関しましては、既に吉野川第十堰建設事業審議委員会におきまして、改築に賛成、反対双方の立場の方々から公平に御意見を聞きますとともに、事業に反対される方々との意見交換会を開催してきたところでございますし、審議委員会で最終の意見が出された後も、建設省や県では、改築に批判的な方々との話し合いや意見交換を実施してきたところでございます。 県といたしましては、今後とも第十堰推進対策チームを中心といたしまして、事業に反対されている方々ともひざを交えた話し合いを続けまして、御理解をいただけるように一生懸命努力してまいりたいと考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。 可動堰、固定堰の良否は歴史が判断を下すものではないかという御質問でございますが、一般に、道路や河川事業などのような社会資本は、過去から現在、そして将来にわたって永続的に整備がなされ、その効用を果たしていくものであるというふうに考えております。すなわち、現在の私たちの生活は、過去からの
社会資本整備の蓄積があってのことであり、私たちもその使命を未来に引き継いでいく責務があるというふうに考えております。 第十堰の改築事業につきましては、地域の住民の方々が真に豊かで、質の高い生活を実現するための最も根幹的な条件でございます安全を実現するものでありまして、将来の人々が安心して暮らせるように整備していく必要があると考えております。 したがいまして、現第十堰は、今の時代における最高の技術を駆使した、最も安全性の高い可動堰とし、後世に憂いを残すことのないようにすべきであると、このように考えております。 その一方で、行政としての説明責任は果たしていく必要もございますので、今後とも住民の方々に十分御説明していくことなどによりまして、合意形成を図りながら、将来のために整備を進めてまいりたいと考えているところでございます。 (榊議員登壇)