平成10年 2月定例会 平成十年二月
徳島県議会定例会会議録(第三号) 平成十年三月五日 午前十時三十五分開議 出席議員計三十九名 (その番号・氏名左のとおりである) 一 番 岡 本 富 治 君 二 番 藤 田 豊 君 三 番 橋 本 弘 房 君 四 番 大 西 章 英 君 五 番 長 池 武 一 郎 君 六 番 森 本 尚 樹 君 七 番 谷 善 雄 君 八 番 山 田 豊 君 十 番 庄 野 昌 彦 君 十一 番 冨 浦 良 治 君 十二 番 樫 本 孝 君 十三 番 来 代 正 文 君 十四 番 猿 瀧 勝 君 十五 番 竹 内 資 浩 君 十六 番 長 尾 哲 見 君 十七 番 福 山 守 君 十八 番 西 沢 貴 朗 君 十九 番 吉 田 忠 志 君 二十 番 北 島 勝 也 君 二十一番 杉 本 直 樹 君 二十二番 佐 藤 圭 甫 君 二十三番 亀 井 俊 明 君 二十四番 遠 藤 一 美 君 二十六番 児 島 勝 君 二十七番 原 秀 樹 君 二十八番 川 真 田 哲 哉 君 二十九番 俵 徹 太 郎 君 三十 番 大 田 正 君 三十一番 榊 武 夫 君 三十二番 平 岡 一 美 君 三十四番 近 藤 政 雄 君 三十五番 湊 庄 市 君 三十六番 木 村 正 君 三十七番 元 木 宏 君 三十八番 中 谷 浩 治 君 三十九番 大 西 仁 君 四十 番 阿 川 利 量 君 四十一番 谷 口 修 君 四十三番 木 内 信 恭 君 ────────────────────────
出席職員職氏名 事務局長 飛 田 昌 利 君 次長 林 祐 次 郎 君 議事課長 河 野 博 喜 君 調査課長 栗 栖 昭 雄 君
議事課課長補佐 渡 部 荘 三 君
調査課課長補佐 森 住 孝 義 君 主査兼議事係長 木 村 輝 行 君 委員会係長 日 関 実 君 事務主任 島 尾 竜 介 君 主事 香 川 和 仁 君 同 日 下 栄 二 君 同 大 久 保 彰 君 同 吉 成 浩 二 君 ────────────────────────
出席速記者氏名 速記者 井 上 順 子 君 ────────────────────────
列席者職氏名 知事 圓 藤 寿 穂 君 副知事 滝 沢 忠 徳 君 出納長 坂 本 松 雄 君 企業局長 杢 保 謹 司 君 総務部長 三 村 亨 君
企画調整部長 牧 田 久 君
保健福祉部長 松 本 学 君
環境生活部長 須 見 照 彦 君
商工労働部長 塚 田 桂 祐 君
農林水産部長 野 田 浩 一 郎 君 土木部長 桂 樹 正 隆 君 財政課長 平 川 薫 君
財政課課長補佐 市 川 義 博 君 ────────────────────────
教育委員長職務代理者 原 田 弘 也 君 教育長 安 藝 武 君 ──────────────────────── 人事委員長 小 出 博 己 君
人事委員会事務局長篠 原 啓 之 君 ──────────────────────── 公安委員長 白 神 進 君 警察本部長 小 野 正 博 君 ────────────────────────
代表監査委員 大 和 恒 君
監査事務局長 辰 巳 真 一 君 ──────────────────────── 議 事 日 程 第三号 平成十年三月五日(木曜日)午前十時三十分開議 第一 県政に対する一般質問 (四 名) ────────────────────────
○議長(俵徹太郎君) これより本日の会議を開きます。 ────────────────────────
○議長(俵徹太郎君) 直ちに本日の日程に入ります。 日程第一、「県政に対する一般質問」を前回に継続して行います。 三十二番・平岡一美君。 〔久次米・柴田両議員出席、出席議員計四十一名となる〕 (
平岡議員登壇)
◆三十二番(平岡一美君) 弥生五日、きょうの日柄は友引であります。友を道連る思いを込めて一般質問を行います。 戦後半世紀余り、老いも若きも民主主義、民主主義と言って、何事につけても自由と平等を余りにもおのおのの立場で主張し過ぎ、規律と義務と協調が希薄になってきているように思います。人づくり、人間づくりの基礎は教育にある、教育は国家百年の計にあると言われております。昨今の青少年の行動は、社会や国の将来を憂うる次第です。一体そうした原因がどこにあるのでしょうか。
中央教育審議会が文部省に出した「二十一世紀を展望した教育のあり方」に、第一次、第二次答申に目を通してみますと、学校、家庭、地域社会の役割と連携のあり方、二つ目に一人一人の能力、適性に応じた教育と学校間の接続の改善、三つ目に国際化、情報化、科学技術の発展等社会に変化する教育等と、大きく三つの事項が示されております。 当初、宮崎県で
中高一貫教育が産声を上げたとき、文部省は反対で、多くの教育関係者も賛否両論があったと報じられておりましたが、それから二、三年経過するうちに、文部省も百八十度変わり、先般の答申に強く示されているとおり、教育は五ケ瀬に学べと言わんばかりに、
中高一貫教育は今や刮目されております。私もかねてより一度訪れてみたいと思いながら、なかなかチャンスがなく、やっと先般、同会派の議員七名とともに念願かない視察することができました。 宮崎空港駅より急行で一時間二十分、JR延岡駅でおり、さらに車で一時間四十分山間部へ走り、九州のほぼ中央に当たる宮崎県、熊本県、大分県の県境にある五ケ瀬町に着きました。九州ではまれに見る多雪地帯、周囲を高い山々に囲まれた人口五千五百人、小さな丘陵地に「
フォレストピア学びの森」、
宮崎県立五ケ瀬中高一貫教育の学び舎がありました。全国初めての公立で県立中学校と
県立高等学校を接続させ、六年間一貫教育を行い、平成四年四月開校、今年で四年目を迎えております。ゆとりの中で感動と感性を磨く教育をモットーに、九州の山間地で
フォレストピア学びの森に囲まれた、地域と学校が一体となったユニークな全寮制教育が展開されております。全国から熱い視線が注がれている
宮崎県立五ケ瀬中学校・高等学校の概要を申し上げます。 以下は、岩切正憲校長、教頭、事務長、生徒、または地元町長、課長、教育長、町民から見聞きしたリレー記録であります。 設置の目的は、従来からあった
高千穂高校五ケ瀬分校が廃止されたのを機会に、町の活性化のために学校の設置を望む声が地域からわき上がった。なぜ
中高一貫教育になったのか。六・三・三
制は高等学校進学率が極めて低い時代の産物で、一〇〇%近い進学率の現実と大きなずれが生まれている。高校入試を一概に否定はしないが、中学生時代は感受性が最も豊かな時期であり、もっとゆとりある学校生活があってもいいのではないかという意見があり、県の教育委員会で二年間にわたり構想協議会で検討した結果、試験のない一貫全寮制、少数教育はどうかということになった。 文部省は理解を示したのか。最初、文部省は反対で、宮崎県との間で何度も何度も折衝が繰り返された。宮崎県側は私立ができて公立ができないのは納得がいかないと主張し、もともと県立中学校は学校教育法に規定がありません。しかし、県立中学校を禁ずる規定もないはずですと宮崎県知事と教育長が文部省を説得し、文部省も宮崎県側の熱意に負けて、それじゃ仕方なく先導的な試行という形で認められました。 学校建設費は、
フォレストピア構想の中核として、サイエンス棟、芸術棟、校舎、体育館、図書館、全寮棟を六十億円をかけて建設。職員及び生徒は、職員は中学校、高等学校の校種の枠を超えて指導している。中・高の免許を持った職員へ中学校、高等学校の兼務発令を行っている。先生は四十四名、生徒は一学級四十人、中学校百二十人、高等学校百二十人、計二百四十人、男女共学。生徒募集、宮崎県下四十四市町村それぞれから一人を基本に四十人、やる気のある意欲的な生徒を選考。選抜は小学校六年生に五ケ瀬校で何をやりたいかの作文を書かせ、
県教育センターにおいて集団面接及び
ボランティアグループ、個別の活動等の結果等を資料にして、その後、公開抽選で四十人を決定。募集対象は県内全域、競争率は十倍。学力検査がないため、学力的には大きなばらつきがあるようでございます。 特色としては、十二歳から十八歳まで、青年期、心身の発展や身体の変化の大きいときに、六年間のスパンで生徒を見抜くことができる。それでゆとりを持ち、じっくりと生徒の個性に応じた対応、すぐれた才能の導きや発見、個性の伸長を図りながら、生徒おのおのの自立を待って指導、展開ができる点が大きい。周囲には一千メートル級の山があり、登山に始まり、冬はスキー、森林文化や林業に詳しい地元の古老や名人を招き、樹木、草花の名前や性質を教えてもらい、ゼンマイやワラビのとり方、食べ方、梅干しのつくり方、また神楽太鼓のたたき方、地域の民謡を習い、地元の協力を得て毎年ホームステイも行い、地域の人々との触れ合いを通じて、自然や歴史、生活の人情を学んでいるという。 寮生活については、朝六時三十分起床、夜十一時消灯、先生も生徒も同じかまの飯を食べ、同じふろに入り、寝食をともにする全寮制である。また、こだま寮は単なる宿泊施設ではなく、最も大切な教育寮であることと位置づけ、
ファミリー制度をつくり、中一から高三年、各学年の生徒一人ずつを縦割りにして、職員一名を加え、計七名のグループを結成して、親元を離れた寮生活を先輩や職員がリトルティーチャーとして家族の面倒を果たし、指導に当たっております。生徒が教わる、学ぶというだけでなく、逆に教える、指導する立場になっていることも体験しているのであります。 また、
ハウスマスターは生活相談員として生徒の日常の相談に応じております。どんな成果が見られますかと、それはなかなか話せば切りがないと言っておりましたけれども、先般も地元の老人にわらじの編み方を習い、それを履いて遠足に出かけました。途中、足にまめができ、血がにじむ生徒も出たと。それを助ける学友、背負う先生、包帯や薬を持ち駆け寄ってくる周辺の町民。温かい人情に触れ、先生、靴のありがたさがよくわかったという生徒や、芭蕉の奥の細道の苦労がよく理解できるという生徒等、いろいろなことを若いうちに体験することによって、現在の社会を見る目も変わってくると校長は話してくれました。その日も地元の主婦を講師に招き、学校周辺の野草を摘んでジャムのつくり方を教えてもらっていると言っておりました。 昨年初めて卒業生を出したが、進路の状況はと。校長は説明の中でも、大学の進学のことは、一言も触れませんでした。私どもの質問に対して、五ケ瀬での体験学習の中から自分の個性と感性に合ったテーマを発見し、その延長線上に大学を見据えているようで、将来は僻地で子供たちを教えたいから教育問題に取り組むとか、砂漠の緑化に興味があるので環境問題に取り組みたいとか、
青少年問題解決のために人間科学を専攻したいと、それぞれが確固としたテーマを持って各大学に進学しているという。必修の選択に何の迷いも持っていない。彼らの中から伝統文化の継承者や地場産業の後継者が必ずあらわれることと確信しているとまで言っておりました。 学校でいただいたパンフレットに卒業生の進路として、国公立、私立の各大学名が四十六書き込まれてありました。全員大学に進学したのは事実。学校側は終始一貫して進学のことは余り話しませんでしたけれども、各教室を回った折、今春東大を受ける生徒が先生と相対して勉強しているシーンも教頭先生の案内で見ることができました。 旧来の
単線型学校教育制度と比べて一貫制はどうかという質問に、
中高一貫教育から生まれる余裕を生かして、中学校三年間の間に、大学、企業、農業、林業等あらゆる分野を体験して自分の個性、特技を見出し、指導者も二十四時間一緒に生活する中から個人の適性を見きわめる。そして、子供たちの多様な価値観、学習意欲にこたえるため、環境を中心に、あとの三年間においてその子のために十分大人としては整備を図っていくことが大切だ。そして、五ケ瀬の学び舎は決して受験エリートを育成していない。最終的には人間のエリートを目標にしていると事務長ははっきりと言い切りました。 以下、何点か生徒にも聞いてみました。なぜこの学校を選んだのか。生活環境が変わることが自分自身の心に変化が生じると思ったから。集団生活は楽しいか、息苦しくないか。自由と規律があり、友が多くてとても楽しい。家へは帰りたくないか。帰りたくない、両親が時々学校に来るから。教頭いわく、子供は親離れが早いが、親はなかなか子離れができないよと言ってくれました。 五ケ瀬町の村中町長はこんなことを言っておりました。五ケ瀬に学ぶ子供は在学生も卒業生も全員うちの子だ、将来は大きな財産ですと。また甲斐教育長は、化石の発掘、田植え、茶摘み、町民とともに町の行事に参加してもらっております。町から年間二百万円を学校に出している。今年は学校の横に
町民グラウンドと宿泊施設をつくって、なお一層町民との交流を図っていきたいと。また
菊池総務課長は、町は人口がずうっと減少しておりましたが、一度に三百人ふえ、その後、毎年少しずつふえているので、町の活性化につながっていると。 私は二日間、
宮崎県立五ケ瀬学校を視察して、毎日五、六団体の教育関係者が訪れていると聞き、あすも国会開会中に
町村信孝文部大臣が視察に来るという。昨年は小杉隆前文部大臣が、また北は北海道から南は沖縄まで五千人以上の方々が来ているという。一体この人たちは、気宇雄大、伸び伸びと先生と生徒が二十四時間集団生活をしている姿に接し、何を見、何を聞き、何を感じてこの山間僻地の学び舎の森、五ケ瀬学校にどんな思いを抱いて別れを告げていったんだろうかと。私は現代の先生、生徒に今一番望むことは、連帯感、気力、そして郷土愛等々思いながら、はつらつとした五ケ瀬学校の先生、生徒の目的を完全に自覚した人間を目指して頑張っている姿に、強い印象を受けたのは私一人ではないと思いながら帰ってきた次第であります。 以上、述べてきました。そこで、教育長にお伺いします。 子供たちの個性、生きる力をはぐくむために、現在の六・三・三・四、
単線型学校制度からゆとりのある複線化構造を進める観点から、
中高一貫教育を選択的に導入する考えはないか。
中央教育審議会が第二次答申において示された内容は、本県の教育に大きな変革をもたらす可能性があると考えられます。その中で、現在進められております小・中・高の教育の中に、体験学習、地域の文化、自然、伝統、国際化や情報化の対応、環境に関する学習、
ボランティア活動等の推進等における学習等を取り入れるとともに、こうした学習に地元の経済人や文化人、各分野における専門家等を講師に招くべきだと思うが、どう思うか。 また、
市町村立学校と県立学校の教員の交流をより一層行うつもりはないか。 以上、教育長にお伺いいたします。 答弁をいただいて、質問を続けてまいります。 (安
藝教育長登壇)
◎教育長(安藝武君)
中高一貫教育についての御質問でございますが、平成八年七月、国の
中央教育審議会第一次答申におきまして、
中高一貫教育の導入を検討すると述べております。さらに、平成九年六月の二次答申におきまして、
中高一貫教育の概要が示されております。その概要は、ゆとりある学校生活を送ることを可能にし、特に高校入試の影響を受けず、六年間の計画的、
継続的教育指導の展開ができ、生徒の個性の伸長やすぐれた才能の発見がしやすく、また異年齢の集団活動により社会性や人間性が育てられるなど、指導上の利点が指摘されております。 実施に際しましては、小学校の卒業時での進路選択の問題など、受験競争の低年齢化に拍車をかけたり、さらに高校卒業後の受験準備に偏った一貫教育が行われるおそれがあります。また、六年制中等学校型、同一設置者による中高併設型、設置者の異なる中高連携型のうち、いずれのタイプが適切なのかなどについても検討する必要がございます。 議員御指摘のとおり、
中高一貫教育が目指しているゆとりある教育の中で、子供の個性や能力をはぐくむとともに、教育の複線化構造を進めることや、地域に関する学習や伝統文化の継承に関する学習などの特色ある教育活動は、本県の教育にとりましても極めて重要な内容であると認識をいたしております。 現在、文部省において事業化を進めております
中高一貫教育の推進に係る実践研究事業も含めまして、今後検討してまいりたいと考えております。 次に、小・中・高における特色ある教育活動の推進についての御質問でございますが、
学習指導要領や
中央教育審議会の答申では、特色ある教育の展開が重視されております。本県の各学校におきましては、教科、科目や特別活動の中で自主的、主体的に学習する力を育て、地域の身近な自然を学ぶ環境学習や、福祉施設における奉仕などの体験学習などを進めております。 また、国際化が進む中にあって、
英語指導助手を加えた複数指導により実用的な英語の能力の育成、諸外国の人々の生活や文化を理解し、尊重する精神を養うことに努めているところでございます。 また、議員御指摘の地元の経済人や文化人、各分野における専門家等を講師に招いての学習を進めてはどうかとのことでございますが、これらのことは学校の活性化とともに生徒の興味、関心を高め、生きる力の育成につながるものであり、現在外部招聘事業などを実施しており、教育的に効果が上がっております。今後とも拡大の方向で検討をしてまいります。 次に、
市町村立学校と県立学校の教員交流を促進するつもりはないかとの御質問でございますが、学校種別間の人事交流につきましては、学校組織の活性化や教員の資質向上にもつながるものと考えております。このため、平成五年度から
市町村立学校と障害児教育諸学校との人事交流を進めてまいりましたが、本年度から新たに
市町村立学校と
県立高等学校の間にそれぞれの交流を開始いたしたところでございます。 今日、子供一人一人の能力、適性に応じた教育が求められていることを考えるとき、議員御指摘のとおり、学校種別間の人事交流の推進は意義あることと考えておりますので、今後とも積極的に進めてまいりたいと考えております。 〔
四宮議員出席、出席議員計四十二名となる〕 (
平岡議員登壇)
◆三十二番(平岡一美君) 教育長から答弁をいただきました。予期しておりました答弁で、私はこれはぜひとも
中高一貫教育は本県でも今後取り入れてやっていただきたいなと思う。どうしてかというと、やっぱり高等学校──中学校ではそんなにないんですけども、全国では十一万人以上の退学者が出ておる。本県でも五百九十人のやっぱり退学者──変更する人もそうですけれども、出とんですね。この宮崎五ケ瀬の学校では、退学者も落ちこぼれも一人もいないんですね。そしてまた、宮崎県でも北の方でも南の方でも、やっぱり一貫教育をやってほしいと、県議会の中でもたくさん意見が出とんです、あっちもこっちもやってくれと。宮崎県は第二、第三をやるとは、私もまだ聞いておりませんけれども、そういう声がたくさん、熊本にも大分にも出ておるんです。やっぱり文部省の第二次答申にも出ておるように、これは本県としても取り組んでいってほしいと私は思っております。 そしてまた、各分野の専門家の講師を招いて、どんどん活用してほしいということも、やっぱりこれはやっていただきたいなと思うんです。例えば、今本県の先生にも、草や木の名前をきちっと知っている先生というのは、そう多くはおらないと思うんです。やっぱり五ケ瀬の校長さんも言っておりましたとおり、専門家を招くと、きちっとそういう人は知っていると。特質まで知っている。そういうことを若いうちにやっぱり知っていただくということが一番大切だよと。やはりそういう方からどしどしとそういう専門家の講師を招いて取り入れていただきたいことを強く要望しておきたいと思います。 (「教育長、再答弁」と言う者あり) 再答弁してもらいたいんやけんど、時間の……。 次に、質問に移らせていただきます。 次は、県南の振興についてであります。 県南部の振興については、振り返ってみますると、昭和三十九年の
室戸阿南海岸国定公園の指定以来、
阿波サンラインの整備や沿線の観光開発、リゾート構想、
マリノベーション構想など、県南の豊かな自然を目玉として大きく売り出すため、いろいろな取り組みが今日までなされてきましたが、当初の思惑どおり進んでいない現在、明石海峡大橋の完成がもうすぐそこに迫り、
ホテルリビエラししくいを初め、漁火の森宿泊施設、牟岐町の温泉施設、海南文化村、うみがめ博物館の改修など、明石の効果を海部地域にまで手繰り寄せるために、地元町では思い切った投資を行い、着々と受け入れの準備を整えております。 しかしながら、これで十分といったわけでは決してありません。徳島市内から県南部に向かう交通網の整備は、まだまだ整備の途中であります。特に、知事を先頭として高知県と力を合わせてかち取った
地域高規格道路、阿南安芸百四十キロメートル自動車道は、県南の地域振興は言うに及ばず、本県の南部と高知県の東部を結び、四国を高速道路で循環させるために早期に整備を図らなければなりません。中でも整備区間として、事業が進められております日和佐道路の具体的な目標を示す必要があると思いますので、そこでこの日和佐道路の完成目標をいつに置いているのか。また、それと続く五十五号阿南道路の完成目標はいつごろになるのか、このことを知事にお尋ねいたします。 こうした
交通ネットワークの整備という課題がある県南部地域については、これまでの観光面での振興策の積み重ねの上に立って、どうしてもあともう一押し、二押しの必要があると思います。先般も知事の所信説明の中にも、観光拠点の五カ所の重点整備に当たって、候補の一つとして
室戸阿南海岸国定公園として美しい海や海岸がある県南部地域を考えていると伺っております。県南部地域を考える際、大きな資源である海をいかに取り入れ、生かしていくかが重要なポイントになると私は思いますが、県南部の観光振興策及びとりわけ千羽海崖という独自の景観を有し、また当時十七・九キロメートル、二車線、太陽の道として四十一億円もの巨費を投じて観光有料道路として整備した南
阿波サンラインの沿線の活用方策についてどのように考えているのか、
商工労働部長にお尋ねいたします。 次に、新長期計画の圏域プロジェクトについて質問を続けます。 この圏域プロジェクトの中の南部については、阿南市、那賀郡、海部郡をエリアとしておりますが、海部郡のプロジェクトとして明確になっているのが「潮騒と清流の楽園カイフプロジェクト」であります。私といたしましても、町と県が思いを一つにして、それぞれのなすべきことを明確にし、連携と協力のもとで事業に当たれば、京阪神の人々を県南に導き出す、すばらしい拠点ができると確信いたしております。この「潮騒と清流の楽園カイフプロジェクト」の中に幾つかの事業が盛り込まれておりますが、特に既存の博物館、資料館、水族館のネットワークを進めることや、新しい事業として「海洋環境交流拠点の整備」については、夢のあるものにするためには、多くの関係者の協力が重要になってくると思いますので、今後地元の意向をどのように酌み取り、どのように具体化を進めていくかについて、
企画調整部長にお尋ねいたします。 また、
室戸阿南海岸国定公園において、生き物や自然の植生などと触れ合う施設として「エコ・ミュージアム」の整備が挙げられておりますが、さきに申し上げたような温泉や宿泊などの施設整備が進んでいる今、県南の魅力を高めるものとして、ぜひとも進めてもらいたいと思います。そして、平成十二年度の自然公園大会に全国から参加する人々に県南海岸を十分知ってもらい、全国に情報発信する意味からも、このエコ・ミュージアムの整備は重要であり、自然公園大会の開催を十分視野に置いて取り組むべきだと考えますので、
環境生活部長にお伺いいたします。 次に、河川の管理について質問をいたします。 最近、治水事業の進捗には著しいものがあり、河川整備が進んだことにより、私たち県民の洪水に対する不安は以前に比べると、かなり解消されてきております。しかし、いま一度、近傍の河川に目を向けてみると、洪水の流下に支障を来すのではないかと思われるほど草木が無秩序に繁茂し、それにビニールや流木、不用物等がかかり、かつて美しかった遊水地はごみの集積地帯となっており、清流川とは名ばかりで、これでは掃きだめだと感ずる場所さえ見られます。また、河口部では多くの砂が堆積し、水の流れをせきとめ、魚の遡上もままならないような状況の河川も多く見られます。確かに川は今日まで川幅を多く広げて築堤を図ってきましたが、十分な維持管理ができていないため、天井川においては草木が繁茂し、河川や原野や竹やぶが区別のできないところさえあらわれております。全県下的に見て良好な河川環境が保たれているとは到底言いがたいというのが徳島県の河川の現状ではないかと思います。 近年、豊かでゆとりのある、質の高い国民生活や良好な環境を求める国民のニーズの増大に伴い、今日では河川は単に治水、利水の機能を持つ施設としてではなく、川本来の持つ多様な自然環境や水際空間が潤いと安らぎ、周辺の人々の憩いの場としての役割を期待されるようになってきております。国におきましても、これらの国民のニーズの増大を受けて、河川法が昨年の六月に改正されました。その河川法の目的の中に、今回新しく河川環境の整備と保全が組み込まれ、治水、利水、環境を三本の柱とする総合的な河川制度の整備が図られてきたところであります。 そこで土木部長にお伺いいたします。 河川管理者である県は、新しい河川法のもと、現状の河川をどう管理、どう整備していこうとしているのか。また、治水、利水に加え、河川環境も含めた川づくりに向けて今後具体的にどのように取り組もうとしているのか。 さらに、三点目として、川面に水が絶え間なく流れ、行き渡る、美しい川づくり、すばらしい景観はできないものかとお尋ねをいたします。 最後に、密漁対策について質問をいたします。 三十年以上も続く徳島、和歌山両県の密漁問題は、紀伊水道の沖合海面が舞台であります。外洋における両県の境界線がはっきりと確定していないのが問題の理由であります。元来、水産庁漁業調整官の浜本幸生氏は、県と県との境界は慣行で決めるとはっきり言っております。慣行がないなら、知事と知事とが協議をして決める。両県の合意がなければ、取り締まりはできないと、これもはっきり言っております。暗にその無法地帯の海面に中型まき網業者が船団を組んで一網打尽、一度にたくさんの魚をとっているのです。そうした密漁業者が頻繁にこの海部の沖に来ているにもかかわらず、海上保安部の取締船に幾ら連絡をしても、取り締まりに来てくれないんです。 (「県警に頼んだらええねん、県警に」と言う者あり) 県警に頼んでもあかんのです。海部の漁師は、一度に魚を多くとられて魚がいなくなり、もう生活ができないと言っているんです。 (「それはそうじゃ」と言う者あり) ねえ。話を聞いてみますと、海部郡内にもうかつてはまき網船団というのが八統ありました。八統の統というんは、業者単位みたようなんですけども、あったんです。しかし、みんなで話し合って、天然資源の保護を守るために、金を出し合って七統まで廃止しとんです、七統まで。残り一統についても、操業区域を大幅に制限して、自然の保護を生かすように、きちっと制限をしながら漁業を営ましておる。また一般の多くの漁師も、従来の一本釣り漁法で生計を立てておるんです。与えられた漁場を管理しながら、みんながそうして生活をしている。その中へ来て、千メートル以上もある網を使ってアジやサバ、タチウオ、ありとあらゆる魚を短時間に、すごい明かりですね、照明つけて魚を晩集めて、一度に数百トン単位で魚をとっておるんです。これがまき網漁法なんです。こういう密漁が来た後は、一週間も魚がいないんです。海部の漁師が漁に出ても漁にならないんですよ。 (「箕島じゃろ」と言う者あり) はい。魚の値段は下がるし、徳島県の漁場にはもう魚がいなくなっている。海部郡内の漁業はもう全滅だと嘆いておるんです。このままの状態で放置しておくと、近いうちに大闘争が起きる可能性が十分あると思われます。 そこで、
農林水産部長にこの境界の解決策を早急に示していただきたいと思う。実はこの二月二十七日晩、海部から六十隻、人も百二十人出てきて、和歌山から来ているまき網業者を取り囲んで二隻も船が傷められておる。大格闘が起こる寸前までいとんです、寸前まで。大変な問題。これは今日まで繰り返し繰り返しこういう問題できておるんです。もうこのあたりできちっとした線引きをしなければならないと思っておりますので、
農林水産部長に答弁をお願いいたします。 答弁をいただいて、まとめに移っていきたいと思っております。 (圓藤知事登壇)
◎知事(圓藤寿穂君) 日和佐道路及び阿南道路の完成目標についての御質問でございますが、まず日和佐道路につきましては、阿南市福井町から日和佐町北河内までの延長九・三キロメートルの区間が
地域高規格道路として平成七年度に事業着手されました。現在設計協議が続けられておりまして、平成十年度には用地調査、用地買収に着手することになっております。 お尋ねの完成目標につきましては、徳島県新長期計画におきまして、後期期間内でございます平成十八年度までと位置づけておるわけでございますが、今後とも地元関係者の御理解、御協力をいただきながら、できる限り早期に供用できるように最大限の努力をしてまいりたいと考えております。 次に、阿南道路についてでございますけれども、全長二十一キロメートルのうち、小松島市大林町から阿南市西路見町の県道富岡港線までの延長九キロメートルの区間は、平成五年に二車線で暫定供用され、県道富岡港線から津乃峰町の県道戎山中林富岡港線までの延長五・三キロメートルの区間は、平成七年から工事に着手するなど、平成十二年度の暫定供用に向けまして整備が鋭意進められているところでございます。 また、これより南につきましては、津乃峰町で測量・設計や地元協議等が進められております。特に橘町青木までのバイパス区間は道路ネットワークの形成という観点からも非常に重要な区間であると認識をいたしておりますので、早期供用が図られるように努力をしてまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、県南地域の産業、経済、文化の発展にはこれらの道路の整備が大変重要であると認識をいたしておりますので、今後とも事業主体である建設省に対しまして、地元市、町ともども積極的に協力をいたしますとともに、早期整備が図られるように国に強く要望してまいりたいと考えておるとこでございます。 (塚田
商工労働部長登壇)
◎
商工労働部長(塚田桂祐君) 県南部の観光振興対策、特に南
阿波サンライン沿岸の活用方策についてのお尋ねでございますが、県南部には
室戸阿南海岸国定公園の美しい海や、海部川などの清流が織りなす豊かな自然環境というすばらしい観光資源がございまして、この美しい海と清流を生かした観光地づくりを進めることといたしております。これまで県といたしましては、海洋自然博物館マリンジャムあるいは宍喰観光ターミナル建設に対しまして助成してきたところでございまして、また平成十年七月には野外交流の郷「まぜのおか」がオープンいたします。また、新たに整備する観光拠点の候補地域の一つと認識しているところでございます。 このようにさまざまな観光施設が集積することによりまして南
阿波サンラインを利用して県南部へ訪れる観光客がふえていくものと考えております。また、南
阿波サンライン、それ自体を活用したイベントとして、昨年十一月に第一回南
阿波サンライン黒潮マラソン大会が開催されたところであり、県としても支援を行ったところでございます。 今後とも関係各部と連携を取りながら、県南部の観光振興に努めてまいりますとともに、地元市町村とも協力し、南
阿波サンライン沿岸の活用方策につきまして検討してまいりたいと考えております。 (牧田
企画調整部長登壇)
◎
企画調整部長(牧田久君) 「潮騒と清流の楽園カイフプロジェクト」につきまして、地元の意向をどのように酌み取り、どのように具体化を進めていくのかという御質問でございますが、県南部の海部地域につきましては、
室戸阿南海岸国定公園に指定されております海岸線や清流海部川など、都市部にはないすばらしい自然を体験できる場であり、近畿圏をもにらんだ広域交流の舞台として大きな可能性を秘めた地域であると認識をいたしております。 「潮騒と清流の楽園カイフプロジェクト」は、この豊かな資源である海や川を生かして交流の拡大を図り、地域の活性化に結びつけていこうとするものでございます。 この中の海洋環境交流拠点につきましては、海をテーマにした魅力ある交流拠点と位置づけ、想定される機能として、県南の海の生物や環境を学習できる機能、マリンスポーツを体験できる機能、物産販売機能などを掲げております。 計画の具体化に当たりましては、海部地域に必要とされているものは何か、また交流の拡大につなげていくにはどのようなソフトを結びつけるのが効果的であるかなど、さまざまな可能性を幅広く検討する必要がございます。その際、議員御指摘のように地元の町と連携し、地域の意欲を盛り上げながら進めていくことが極めて重要になってまいります。 このために、平成十年度は海部郡内の各町と県の関係部局による交流推進会議を発足させ、有識者や地元関係者も交えながら、海洋環境交流拠点のあり方を初め、既存の施設のネットワークづくりや海部全体のイメージアップなど、地域と一体となって検討を進めてまいりたいと考えております。 さらに、こうした取り組みの機運を地域全体で盛り上げていくために、自然を生かした交流をテーマとするフォーラムの開催も予定をいたしております。 いずれにいたしましても、これまでの各町の積極的な振興策の成果と今後展開されるプロジェクト事業が相乗効果を発揮し、地域全体の活性化が図られますよう取り組みを進めてまいりたいと考えております。 (須見
環境生活部長登壇)
◎
環境生活部長(須見照彦君) 自然公園大会の開催を視野に置きました「エコ・ミュージアム」の整備についての御質問でございます。 自然公園大会につきましては、御案内のとおり、平成十二年度の第四十二回全国自然公園大会を
室戸阿南海岸国定公園の海南町で開催する予定でございまして、平成十年度からこの大会に必要な施設の整備に取り組むことといたしております。 御質問のエコ・ミュージアムにつきましては、
室戸阿南海岸国定公園に施設の整備を図るべく、新長期計画の後期計画として位置づけられております。 この施設整備の構想につきましては、自然公園大会の趣旨でもございます自然と人間との関係について考え、自然を守り、人と自然との豊かな触れ合いを推進するということを基本理念と考えております。 したがいまして、県南のすぐれた自然を生かし、県南地域の振興にも役立てることができます施設となりますよう、自然公園大会の経験やノウハウを十分踏まえながら、今後十分検討してまいりたいと考えております。 (桂樹土木部長登壇)
◎土木部長(桂樹正隆君) 新しい河川法のもと、現状の河川をどう管理、整備していこうとしているのかとの御質問でございます。 近年、河川は治水、利水の役割を担うだけでなく、潤いのある水辺空間や多様な生物の生息、生育環境としてとらえられ、地域に合った個性豊かな川づくりが求められております。 このような国民のニーズを受けまして、昨年六月に河川法の改正が行われ、河川の持つ自然環境、河川と人とのかかわりとしての生活環境等、河川環境の整備と保全が治水、利水に加え、新たに河川法の目的に位置づけられました。また、具体的な整備計画の策定手法として、必要に応じ地域住民の意見を反映する手続が導入されたところであります。 県といたしましては、新しい河川法の趣旨にのっとり、必要に応じ地域住民の意見を反映する手続を経ながら、県下の各河川におきまして治水、利水、環境を含めた調和のとれた河川の整備計画を優先度を考慮して順次策定することといたしております。しかしながら、河川法改正から間がなく、いまだ国からの具体的な整備計画策定方針が示されておりません。策定には国の指導等も必要でありますので、国の動きに十分留意しながら積極的に対応してまいりたいと考えております。 また、河川管理面におきましては、河川の美化の観点から除草や清掃等に鋭意取り組んでおりますが、河川管理者だけでは十分に対応できかねるところもあり、地元の皆様を初めボランティアの方々の力もおかりして、河川環境の保全を図っているところでございます。 今後は、さらに河川愛護運動への支援や河川愛護思想の普及向上に努力し、地域の方々の協力を得て、より愛され親しまれる河川空間の形成に努めてまいりたいと考えております。 次に、治水、利水に加え、河川環境も含めた川づくりに向け、今後具体的にどのように取り組もうとしているのかとの御質問でございます。 県では、従来より河川環境に視点を置いた取り組みといたしまして、ふるさとの川整備事業、河川環境整備事業、リバーフロント整備事業等により、親水機能を持った生物にも優しい潤いのある水辺空間づくりに努めてきたところでございます。 今後の川づくりにつきましては、財政的に非常に厳しい状況でございますが、新しい河川法の趣旨を踏まえまして、河川改修を実施するすべての箇所で何らかの手法で多自然型の川づくりに取り組むほか、河川環境整備事業ではより親水性を考慮した整備を積極的に進めてまいります。 また、リバーフロント整備事業では、市町村との連携をさらに強め、地域に密着した、だれにも親しめる潤いのある水辺空間づくりになお一層の努力をしてまいりたいと考えております。 次に、川面に水が絶え間なく流れ、行き渡る、美しい川づくり、すばらしい景観ができないものかとの御質問でございます。 私たちは、豊かできれいな水が流れ、自然にあふれた風景画の題材にもなるような川を美しい川として一般的に思い浮かべます。しかしながら、川を流れる水量につきましては、流域の地形や地質、気象等の自然条件や農業用水、工業用水等の水利用による変動があり、それぞれの川の姿となっております。 県といたしましても、新町川等において、関係機関の協力を得て浄化用水の導入を図るほか、水利権の更新を契機に、ダム下流の減水区間の改善を目指し、那賀川や祖谷川等で建設省の指導や発電事業者の理解等によりまして、清流の復活に努力しているところでございます。 今後とも、このような努力による流れの確保を目指すとともに、河川環境に十分配慮し、人々が水辺に憩い、親しむことができる美しい川づくりに鋭意取り組んでまいりたいと考えております。 (野田
農林水産部長登壇)
◎
農林水産部長(野田浩一郎君) 徳島、和歌山両県の間における漁業上の問題についての御質問についてでございます。 紀伊水道沖合海域における和歌山県の中型まき網の操業につきましては、議員御指摘のとおり、徳島と和歌山両県の主張いたします漁業上の境界線が相違していますことが原因となり、さまざまな漁業上の問題を引き起こしております。 その解決のため、途中断続はありますものの、長年にわたり両県の海区漁業調整委員会や行政の間で話し合いを続けてまいりました。特に昨年からは、海部郡の漁業者の代表の方々と和歌山県の中型まき網漁業の代表との間で話し合いが六回にわたり持たれましたほか、両県の海区漁業調整委員会も四回の協議会を開催するなど、努力を続けてまいっておりますが、残念ながらいまだ解決を見るに至っておりません。 今後も、このような話し合いを粘り強く続けていただきますとともに、県といたしましても、一日も早い解決に向けて行政として和歌山県と積極的に話し合いを持ちますほか、当該海域におきます漁業秩序維持のため、今までにも増して最大限の努力をいたしてまいります。 (
平岡議員登壇)
◆三十二番(平岡一美君) これからいろいろと私も御意見を申し上げたかったんですけれども、予定されておる時間が参りました。本当に残念なんです。 (発言する者あり) ありがとう。 先ほどの僕の質問に対しまして、知事以下五人の部長から答弁をいただきました。知事からは県南には高速道路がないので、一日も早くつけてほしいと私はお願いをしたはずなんですけれども、知事も平成十八年、阿南については平成十二年ごろからというような話もありましたけれども、やはり皆さんも御承知のように、県南には高速道路が一つもないんです、西はできておりますけどね。 (発言する者あり) いや、このことはやはり時間がたつと、文化的にも経済的にもいろんな形でじわりじわりとこれ格差があらわれてくるんですよ。これ大変なことだ。いろんな分野において、やっぱりおくれをとってくるんです。じわじわじわっと、こうこたえてくると思いますので、あんまり県土の格差がないように、均衡ある国土からしても、一日も早く高速道路の建設に取り組んでいただきたいことをひとつ要望しておきます。 そしてまた、サンラインの沿線の開発については、いい答えもいただきましたけれども、今国道五十五号には六千台ぐらい車が通行しています。あの六分の一は無料になってあそこを通行しているんです、調べてみたら。そして、あれ海岸の方から沿岸を見ると、日本一きれいな沿線なんで、そのあたりも含めて取り組んでいただきたいと思います。 それから、ずうっといろいろコメントをしたいんですけれども、もう時間がゼロになりましたんで、河川について一言。やっぱり私はもっともっと河川管理にはお金をかけて、川面にはかすみが立つような一つの、本当に私たちが歩いていても、とどまる、たたずむというような、本当に景観のいい河川をひとつつくっていただきたいなと、そういう河川の管理をしていただきたいことを、さらに要望しておきたいと思います。 (「漁業問題やれよ」と言う者あり) 最後に、そしたら漁業問題をやれというんで、これ時間が来ております。これはようけ原稿を書いとんですけれども、時間切れです。それで、部長、部長も知っておると思うんですけれども、漁業法の百三十六条ですね、これは、ちょっと読んでみましょうか。 (「読まんでもわかっとる」と言う者あり) わかっとんか。いや、ひとつこれを踏まえて、本当に徳島県と和歌山県がこれ何十年来、はっきり漁場の線引きができてないために、和歌山県の中型まき網船団が徳島県の本当に大陸棚のすぐおかのところまで来て、一網打尽に魚をどんどんどんどんとっているんです。海部の漁師はそれを見て、なぜそれが規制できないか、対応できないかというような形で、私ども県のところへも陳情に来ておるんです。これは一日も早く解決しなければいけないことであると私は思っておりますので、どうか県議会の皆さん方も一致団結してこれに取り組んでいただきたいことを私の方からもお願いをして、私のすべての質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ────────────────────────
○議長(俵徹太郎君) 議事の都合により、休憩いたします。 午前十一時三十八分休憩 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 午後一時四分開議 出席議員計三十八名 (その番号・氏名左のとおりである) 一 番 岡 本 富 治 君 二 番 藤 田 豊 君 三 番 橋 本 弘 房 君 五 番 長 池 武 一 郎 君 六 番 森 本 尚 樹 君 七 番 谷 善 雄 君 八 番 山 田 豊 君 九 番 久 次 米 圭 一 郎 君 十 番 庄 野 昌 彦 君 十一 番 冨 浦 良 治 君 十二 番 樫 本 孝 君 十三 番 来 代 正 文 君 十四 番 猿 瀧 勝 君 十五 番 竹 内 資 浩 君 十六 番 長 尾 哲 見 君 十七 番 福 山 守 君 十八 番 西 沢 貴 朗 君 十九 番 吉 田 忠 志 君 二十 番 北 島 勝 也 君 二十一番 杉 本 直 樹 君 二十二番 佐 藤 圭 甫 君 二十三番 亀 井 俊 明 君 二十四番 遠 藤 一 美 君 二十五番 柴 田 嘉 之 君 二十六番 児 島 勝 君 二十七番 原 秀 樹 君 二十八番 川 真 田 哲 哉 君 三十 番 大 田 正 君 三十一番 榊 武 夫 君 三十二番 平 岡 一 美 君 三十三番 四 宮 肇 君 三十五番 湊 庄 市 君 三十六番 木 村 正 君 三十七番 元 木 宏 君 三十九番 大 西 仁 君 四十 番 阿 川 利 量 君 四十一番 谷 口 修 君 四十三番 木 内 信 恭 君 ────────────────────────
○副議長(木内信恭君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 二十二番・佐藤圭甫君。 〔大西(章)・中谷両議員出席、出席議員計四十名となる〕 (佐藤議員登壇)
◆二十二番(佐藤圭甫君) インフルエンザが猛威を振るっております。私も若干風邪ぎみですので、せきやくしゃみをして見苦しい顔になりますが、一週間もすればもとどおりの元気な顔に戻ると思います。 しかし、大蔵省の金融検査汚職で地検に連行される官僚や元銀行幹部の車の窓越しに見る引きつったような顔、巨額の負債を抱え自主廃業に追い込まれた証券会社社長の「社員に責任はない」と泣きじゃくった顔、さらに全銀行協会会長に就任したが、銀行の不祥事が明るみになり辞任に追い込まれたときの顔、いずれもが情けない顔で、不愉快で気分が悪くなります。 そんな中で、長野の冬季オリンピックのメダルに輝いた若者、実力が発揮できず、うずくまる若者、勝利に喜ぶ顔も無念の涙顔も、みんなあすにつながる顔です。 知事以下、理事者の皆さんは、あすにつながる顔をしております。私の質問には、あすにつながる御答弁を期待して質問に入ります。 本年はとら年です。トラは千里を行って千里を帰ると言われております。この元気者の縁起のよい年に、県民待望の世紀のかけ橋・明石海峡大橋が四月五日に開通します。 そこで、三十五年前に四国経済連合会初代会長の故中川以良氏が、四国産業開発委員会委員長として「四国開発マスタープラン」をまとめ、「四国は一つの見地に立って、正しい発展の方向を見い出そう」と言ったが、その思いと裏腹に本州・四国三架橋時代は、四国の連携のなさが著しい感がいたします。年一回の四国知事会、四人の知事が一堂に会する四国版サミットですが、国への要望のすり合わせぐらいと言われて久しいのでございます。本県が平成六年秋に、近畿圏ブロック知事会に加入したことは、徳島は兵庫、大阪、香川は岡山、愛媛は広島、高知は東京、大阪と、意識はそれぞれ対岸などに向いているとの見方を強くいたしております。 愛媛県では、平成三年度から広島県と、高知県は平成二年度と平成六年度は岡山県、平成八年度から岐阜県、広島県と、香川県は平成九年度から岡山県と、本県は平成九年度から兵庫県と人事交流を実施していますが、四国同士の人事交流は全くありません。四県合わせた人口は約四百二十万人で、福岡県の四百九十万人にも満たないのであります。競い合う利点もあろうかと思いますが、それぞれの活力が低下する中での「四国は一つずつ」、要するに四国はばらばらでは四県全体の地盤沈下をもたらすと思います。 四国内外で交流が進む中で、四国の一体感は増すのか薄れるのかという問いに、香川大学の井原健雄経済学部教授は、大きな経済圏になっても利用されるだけで、発展は難しいと指摘しております。知事の言う大交流時代ならば、四国としてハード、ソフト両面で存在を強くアピールするため、四国同士の人事交流を活発にしていく必要があると思いますが、いかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。 過去において、吉野川総合開発、高速道路網整備、四国観光キャンペーンなど、これまでも四県連携で成果を上げた例もございます。本州との交流は無論重要ですが、四国全体を浮上させるため、四国知事会の活性化を図るとともに、さらに四国が一つとなって魅力を高めていく企画が必要だと思いますが、いかがでしょうか、あわせて御所見をお伺いいたします。 次に、自治体の財政問題についてお伺いいたします。 平成十年度は財政健全化元年と位置づけ、従来の縦割りから横割り予算方式を導入するなど、健全化に向けての意気込みは高く評価したいと思います。政府は、二〇〇三年には赤字国債の発行をゼロにする目標でございます。本県の新年度予算では、新規発行県債ベースでは県債依存度は一一・八%となり、前年度に比べ〇・八ポイント減ですが、何年度までに何%まで下げて、残高をどのように減らしていくのか。県債にとどまらず、経常収支比率などを含めた数値目標を打ち出すべきであると思いますが、いかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。 自治体の一般会計は、家計簿のように資金の出し入れだけを記録する単式簿記で、複式簿記の企業会計方式に比べて資産や負債がどれだけふえたり減ったりしたということがわかりにくいのであります。地方債の大量償還が迫っていても、その年の返還額が少ないと気づかなかったり、また債務残高に対して処分可能な資産の裏づけがあるかどうかもわからず、住民への説明責任を果たしていないと思われます。何も全面的に企業会計に切りかえるというのではございません。将来地方債の許可制が廃止されれば、自治体の格付論議も出てこようと思います。その際、保有資産の情報開示が欠かせない企業会計的な手法を併用し、多面的に自治体財政を分析できるような会計制度の改革が不可欠であると思います。 そこで、企業方式を自治体にそのまま取り入れるのは難しい部分もありますが、例えば一部に企業方式の考え方を取り入れ、県の財政状況を県民にもっと理解していただくべきだと考えますが、いかがでございましょうか、あわせて御所見をお伺いいたします。 次に、第三セクターについてお伺いをいたします。 全国的に民間活力導入の有力な手段として登場した第三セクターが次々ととんざし、自治体の荷物になり始めております。民活どころか自治体の負担が高まって、行政改革熱の高まりとともに第三セクターの改革が迫られようとしております。 本県においても、阿佐海岸鉄道株式会社は赤字経営で、国の補助金がストップする平成十年度を初年度として、五カ年を限度として補助対象にしようとしております。また、平成十年度は一千六百万円を補助しようとしております。長期的な経営安定化策については、関係自治体と事業期間を定めて、期間内の効果をもとに事業継続や中止、民営化を含めて早急に検討していただきたいと私は考えております。 本県では、第三セクターが二十社あると聞いております。そのうち六社は出資比率が二五%以上でございます。地方自治法では出資比率が二五%以上のものについては、監査委員による財務監査を認めていますが、第三セクターに対する監査は実施しているのか。また、もし実施していないのなら、実態を把握するために会計監査をすべきであると思いますが、いかがでございましょうか。 また、第三セクターに対する補助金などの支援策も含め、早急に見直すべきだと考えますが、いかがでございましょうか。財政改革の元年となる平成十年度から財政健全化のためにぜひ実施すべきだと思います。 知事並びに
代表監査委員さんの御所見をお伺いいたします。 (圓藤知事登壇)
◎知事(圓藤寿穂君) 四国知事会の活性化を図るとともに、四国は一つとなって魅力を高めていく企画が必要ということについての御質問でございますが、四国知事会は昭和二十五年に設立をされて以来、およそ半世紀にわたりまして、文字どおり四県の知事がひざを交え、率直に意見を交換するなど、力を合わせて四国の振興発展のための場として機能してきたところでございます。来月の神戸─鳴門ルートに続きまして、来年の春には尾道─今治ルートが開通する、本四三架橋時代を迎えようといたしております今日、四国知事会の役割はますます大きなものがあるというふうに考えております。 また、議員御指摘のとおり、四国の発展を図っていくためには、四国四県がさまざまな分野で連携を図っていくことが大変重要であるというふうに考えておりまして、これまで四国四県共同の観光キャンペーンや大規模災害に備えた応援協定の締結など、その連携に努めてきたところでございます。 本四架橋や高速道路網の整備の進展によりまして、今まさに四国・中国・近畿地方といったより広域的な交流の時代を迎えておりますが、とりわけ、より身近な存在の四国四県による「四国は一つ」といった取り組みが、今後ますます重要になってくるというふうに認識をいたしております。つきましては、四国知事会を含め、さまざまな機会をとらえながら、四国は一層連携・協力をし、地域の特性を生かした施策が展開できるように一生懸命努めてまいりたいというふうに考えております。 県債依存度や県債残高、経常収支比率などを含めた数値目標を打ち出すべきであるとの御質問についてでございます。 まず、県債につきましては、国の地方財政計画等に左右されざるを得ない財源対策債の発行等があるため、県債依存度や県債残高を一律に制限することは非常に困難でございますが、財源調達面での柔軟性の確保を図りながら、将来にわたる財政の機動性を確保するとの観点から、現在策定中の財政健全化推進プログラムの中で何らかの具体的な数値目標を設定してまいりたいと、このように考えております。 次に、県債以外の数値目標の設定につきましては、自主財源が乏しい本県の場合、国に依存せざるを得ないこと、国においても地方財政計画の中期的な見通しが明らかにされていないことなどから、技術的に難しい問題があることにつきまして御理解を賜りたいというふうに存じます。しかし、議員御指摘のように、中長期的な視点に立ちまして、著しい財政硬直化に陥らないように、個別の課題については可能な限り将来予測を行いますとともに、大規模プロジェクトの進行管理を行うなど、本県財政の体質改善に向けまして最大限の努力を傾注してまいりたいと考えております。 第三セクターに対する補助金などの支援策も含め、早急に見直すべきだという御質問についてでございます。 第三セクターという概念は、御存じのとおり、社会資本整備の緊急性、事業の効率化や民間資金の活用という観点からとらえられた官民協調の事業方式でございまして、公共の財政負担を軽減しながら公共的なサービスの供給を行う手法として、その活躍が大いに期待されたところでございます。御指摘のとおり、一部の第三セクターにおきましては、経営が大変厳しいものも生じておりまして、全国的にも厳しい経営を余儀なくされているものも相当あるようであります。 第三セクターにつきましては、それぞれの分野で公共的なサービスの供給を行っており、一律に議論できるものではございませんが、公費を投入しているところから、全力を挙げてそれぞれ経営に努力をしているところでございます。しかしながら、経営環境は非常に厳しさを増しておりますので、御指摘の点も視野に入れながら、今後の社会経済情勢も勘案しつつ、合理的かつ効率的な第三セクターの運営になお一層努力してまいりたいというふうに考えております。 なお、例示されました阿佐海岸鉄道株式会社におきましても、地域の生活と経済活動の基盤として平成四年三月に開業したものでございますが、会社の経常損失額の四割を補てんしてきた国庫運営費補助金が、来年度以降活用できないことから、今後とも引き続き阿佐東線の維持存続を図るため、当分の間、阿佐海岸鉄道株式会社の経常損失額の一部に対しまして、関係自治体とともに補助金を支出することとし、平成十年度当初予算に新たに千六百万円を計上いたしているところでございますので、御理解を賜りたいというふうに存じます。 (三村総務部長登壇)
◎総務部長(三村亨君) 四国各県間の職員の人事交流をすべきであるとの御質問でございます。 本四連絡橋の開通や高速自動車道の整備などにより、各県間の時間距離は飛躍的に短くなり、近畿圏等との広域的な交流、あるいは四国各県間における連携を通じた施策展開がますます重要になっていると認識をしております。 とりわけ四国におきましては、高速道路網の整備促進や観光キャンペーンなど、四国が一つになって取り組むことで、より大きな効果を発揮できるものと考えております。 四国各県間の交流につきましては、従来より最も近い隣県同士として各部各課において会議等いろいろな場を通じて相互に意見交換、情報交換、共同の取り組みなどを行ってきているところでございます。 四国各県間の人事交流につきましては、各県それぞれの意向もございますが、議員御指摘の趣旨も踏まえ、検討してまいりたいと考えております。 次に、県の財政状況を県民にもっと理解していただくべきではないかとの御質問でございます。 現在の地方財政制度におきましては、県土の均衡ある発展を担う道路網の整備を初めとして、相対的に立ちおくれている社会資本の整備につきましては、地方債の活用を図らざるを得ない状況にございます。しかしながら、県予算規模を上回る県債残高を抱え、将来の公債費負担増に伴う財政の硬直化が憂慮される状況を踏まえますと、財政健全化に向けた取り組みを進めるためにも、県の財政状況について県民の皆様方に御理解をいただく必要があると考えております。 議員御指摘の中にもございましたが、企業方式をそのまま取り入れることは、地方自治法の枠組みもあり、なかなか難しい問題ではございます。これまでにも当初予算の状況、県債の状況、県有財産の状況、決算の状況、予算執行の状況など、県の財政事情につきましては毎年五月及び十一月の県報で公表いたしますとともに、毎年度全戸に配布されております「OUR徳島」に当初予算の概要について掲載を行ってきているところでございます。 さらに、本年度におきまして、新たに「グラフと絵で見るとくしま予算読本」を発行し、県予算が県民の皆様方にとってより身近でわかりやすいものとなりますよう努めてまいったところでございます。 今後とも県財政の状況を県民の皆様に御理解いただけるよう工夫を凝らしてまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。 (大和
代表監査委員登壇)
◎
代表監査委員(大和恒君) 第三セクターの会計監査についての御質問でございますが、御承知のように、監査委員は地方自治法第百九十九条第七項の規定に基づき、必要があると認めるときは県が資本金等の四分の一以上を出資している法人に対して、当該出資に係る出納、その他の事務の執行について監査することができることになっております。 議員御指摘の株式会社方式で運営している、いわゆる第三セクターにつきましては、法人の自主的な活動と自己監査機能にも配慮しながら、計画的に対象法人を選定して監査を実施しているところでございます。ただ、第三セクターの実態把握のための会計検査を実施することは、さきに申し上げましたように、監査の対象範囲が当該出資に係る出納及び出納に関連する事務に限られているという関係から、一定の制約があるものと考えております。 このため、第三セクターの経営状況等につきましては、出資を行っている関係部局の定期監査等を通じて実態の把握に努めるなど、適切な対応をしてまいりたいと考えております。 (佐藤議員登壇)
◆二十二番(佐藤圭甫君) それぞれ御答弁をいただきました。 四国の連携については、本四三橋時代を迎えるに当たり、四国四県の連携の重要性を十分認識していただけたと思います。 次は実行でございます。圓藤知事のチャレンジ精神に御期待を申し上げたいと思います。 自治体の財政問題については、中長期的な視点に立ち、財政体質の改善に最大限の努力を傾注するとのことであり、県財政健全化に取り組む意気込みがうかがえました。 また、
代表監査委員さんからは、御丁重に、るる御答弁をいただきましたが、要約いたしますと、一定の制約があるものの関係部局の定期監査等を通じて実態の把握に努め、適正に対応すると。そしてまた、社会情勢を勘案しつつ、合理的かつ効率的な運営に努力をされるという御答弁であったかと思いますが、これは物理的に難しいかなということはわかりますが、できるだけ実態把握という意味合いのもとで監査をしていただきたいと、このように要望しておきたいと思います。 いずれにいたしましても、ただいまの答弁はあすにつながる御答弁をいただけたものと思っております。 質問を続けてまいります。 次に、金融問題についてお伺いいたします。 昨年十一月は魔の十一月となりました。三洋証券が会社更正法を申請し、北海道拓殖銀行が破綻し、山一証券が自主廃業し、仙台の徳陽シティ銀行も破綻し、金融不安が一気に広がる気配になりました。 政府は、金融システム安定のため公的資金の導入を決めました。一義的には預金者保護ですが、金融恐慌が起きるおそれが出てきますと、金融機関への資本増強にも道を開いた措置でございます。 橋本首相は二兆円の特別減税を九七年度補正予算で実施することを決断されました。経済金融危機回避を最重要課題に位置づけた決断で、何もやらなければ、銀行の取りつけ騒ぎは広がり、景気後退に歯どめがかからないからでございます。 しかし、厄介な経済情勢は簡単になくなりません。最大の問題は信用収縮、バブル崩壊で金融機関はどこも多額の不良債権を抱え込み、財務体質をよくしようと少しでも不良債権圧縮に動いております。しかも、本年四月からは、政府は金融機関を対象に財務健全化の推進をねらって早期是正措置をスタートさせます。自己資本比率を一定以上に保たなければ、どこも業務をできなくなります。自己資本を増強するのが基本ですが、簡単にはまいりません。実現しやすいのは、自己資本比率をはじくときの分母に当たる資産の圧縮、つまり貸し出しの圧縮です。新規融資を抑えるだけでは間に合わない場合、融資回収に回り、企業の資金繰りは急速に厳しくなり、倒産となります。 四国通産局は、昨年の県内の倒産件数は前年より五件多い百四件、法人が五十七件で中小企業です。残る四十七件が個人経営でございます。原因は、営業不振五十四件。本年一月の県内の倒産件数は、負債総額一千万以上は十件でございます。前年同月は一件でございました。ほとんどが経営不振であります。 県内の金融機関の貸し渋りの実態はどうなっておるのでしょうか、お伺いをいたします。 貸し渋りの実態を踏まえ、北海道では国の支援策を待っていたのでは間に合わない、一刻も早い対応が必要と判断して、新設する総額一千億円の緊急融資を議会の審議を待たずに取扱金融機関に対して制度の説明や円滑な融資の実施を要請しております。本県においても緊急対策をとるべきと思いますが、いかがでございましょうか、御所見をお伺いいたします。 一方、信用保証協会の保証料については、県単協調融資制度においては、保証料が〇・八五%から〇・五%と中小企業者の負担が軽減されることになっていますが、それ以外の貸付保証料は一%のまま据え置かれ、現行の低金利時代にマッチしません。保証料を下げるべきであると考えますが、いかがでございましょうか、あわせてお伺いをいたします。 次に、産業支援センターについてお伺いいたします。 部品金型など基盤産業の支援を目的とする特定産業集積の活性化に関する臨時措置法に基づき、本県が基盤的技術産業集積活性化計画が承認されました。これにより技術の高度化や新分野への進出などを通じた産業集積の活性化を図り、産業空洞化に対処するため、貸し研究室などを備えた(仮称)産業支援センターを整備して、産・学・官共同研究の促進を図ろうとしております。非常に時を得た事業であると思いますが、しかし、頭脳立地法に基づき、県の健康県徳島構想を担う施設として、平成六年七月、産業団地「ブレインズパーク徳島」の中に開設されました。産・学・官共同研究の実施や設備貸し出し、企業交流事業などを手がけています。貸し室は、一般向け二十八室と、ソフト産業などを対象にした起業家育成向けに八室ありますが、現在の入居は十八社、団体で二十八室でございます。八室が空席になったままのようでございます。これには景気の低迷もあろうと思いますが、「徳島健康科学総合センター」の名称は何か医療か福祉施設のようで、企業支援施設のイメージがわかないようにも思います。 栃木県が平成七年にハイテク工業団地にある研究開発施設「システムソリューションセンターとちぎ」を約十億円で完成させました。十二室に仕切りましたが、現在一社のみの入居という状態ですが、京都市の「京都リサーチパーク」、大阪ガスの民間運営の支援施設でございますが、百十二社が入居し、空室待ちの状態だそうでございます。どこが違うかと申しますと、立派な施設をつくれば企業が入ると考えた栃木と、周辺大学との技術交流を促すために大学の研究者に日参して企業との利便性に重点を置いた京都、器づくりを優先とする官の支援策の限界を浮き彫りにしております。 このような事例から、(仮称)産業支援センターの運営には万全を期していただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。 次に、第十堰の改築促進についてであります。 この問題につきましては、昨日もいろいろと議論をされましたが、私は地元の議員として、一部の市民団体から疑問の声が投げかけられていることについて質問をしてまいりたいと思います。 昨年の十一月、第十堰を可動堰に改築する流域住民決起集会が、流域住民千五百四十八名が結集して開催され、会場あふれんばかりの熱気に包まれました。四名の意見発表者からは、我々の生命と財産を守るため、早く可動堰に改築してほしいとの趣旨で主張がなされ、地域住民の総意が結集されたものと、常々私の主張してきた可動堰建設にかける意をさらに強くしたところであります。 このように、既に民意は大変はっきりしていると言えるのではないでしょうか。知事には、今後とも確固たる信念を持って、可動堰への改築に邁進していただきたいということを初めに申し上げておきたいと思います。 さて、御承知のように、吉野川は計画高水流量が全国最大です。洪水時に流れを疎外する固定堰は、治水上大変に危険な存在です。昭和二十九年の大洪水では、危うく堤防決壊寸前になり、当時水防活動した人々からは、ひたすら早く水位が下がることを祈ったと聞いております。幸いにも決壊という最悪の事態を免れましたが、今後それ以上の洪水が起こらないとの保証は何もありません。洪水の恐ろしさは被害に遭った人にしかわからないのです。しかし、一部の市民団体からは、いまだもって固定堰によるせき上げに対して、水位計算がおかしいのではないかというふうな主張が繰り返されております。これは水理学に基づいた正しいせき上げの考え方が理解されていないからだと思うわけであります。 そこで、この際お伺いいたしますが、県はこのような市民団体のせき上げ計算と建設省が示しているせき上げ水位とのどちらが正しいとお考えなのか、基本的なところだけでもお示し願いたいと思います。 ところで、第十堰改築について反対運動をしている人たちは、主に環境や景観等を理由に反対をしているようであります。なぜ可動堰が環境破壊と言われるのか、私は理解に苦しみます。第十堰は改築すると堰位置が下流に変わり、その区間の汽水域が真水の水域になるため、自然環境は変化しますが、これは決して環境が悪化するという意味ではなく、今までと少し違う自然環境になることであります。私も環境や景観は大きな関心事ですし、大事にしなければいけないものだと思っております。しかし、吉野川下流域に住む人々にとっては、堰が崩れて断水等になると大変困った事態になりますし、それ以上に洪水によるはんらんはもっと怖いのであります。私は、吉野川における洪水の対策、水の利用、河川とその周辺の環境について総合的に判断した上で、第十堰をどうするかについて考えるべきだと思うのであります。 そこで、先般二月十六日に行われた第十回の審議委員会において、主に第十堰環境調査委員会の専門学者から、環境に対する疑問点について説明を聞いたようでありますが、反対論者がよく言うような水質の悪化、ヘドロの堆積、汽水域の変化、河口砂州への影響など、可動堰への改築に伴う自然環境の変化について、知事はどのように感じられたのか、感想をお伺いいたしたいと思います。 また、これまでの議論の中で私が最も納得がいかないのが、例の吉野川下流域国営総合農地防災事業との関連であります。これは農業用水の取水口の統廃合を図り、農業用水の水質改善を図るため農林水産省が行っている事業でありますが、これが第十堰改築に悪影響を及ぼすのではないかという懸念であります。私は、本来は事業者が影響を調査し、影響があるならしかるべき措置をとるのが基本と考えますので、今第十堰を改築しないと仮定しても、他の事業によって影響が生じると考えられるところはその事業者が調査と対策を行うのがルールだと思うのであります。 したがって、第十堰改築事業の審議委員会が農地防災事業による影響を審議しようとするなら、堰に直接関係する貯水池の区間に与える影響だけにとめるべきだと思うのであります。さきの審議委員会では、その辺をめぐりかなり議論に時間を要したように聞いておりますので、知事は第十堰改築の審議に当たり、国営総合農地防災事業との関係についてどのように考え方を整理しておられるのか、お伺いをいたします。 (圓藤知事登壇)