令和 3年11月定例会 令和三年十一月
山口県議会定例会会議録 第六号 令和三年十二月十日(金曜日) ──────────────────── 議事日程 第六号 令和三年十二月十日(金曜日)午前十時開議 第一 一般質問 第二 議案第一号から第七号まで及び第十一号から第二十四号まで(質疑) ──────────────────── 本日の会議に付した事件 日程第二 議案第一号から第七号まで及び第十一号から第二十四号まで 会議に出席した議員(四十四人) 塩 満 久 雄 君 林 哲 也 君 木 佐 木 大 助 君 先 城 憲 尚 君 友 田 有 君 髙 瀬 利 也 君 酒 本 哲 也 君 平 岡 望 君 西 本 健 治 郎 君 二 木 健 治 君 宮 本 輝 男 君 藤 本 一 規 君 猶 野 克 君 藤 生 通 陽 君 合 志 栄 一 君 小 田 村 克 彦 君 曽 田 聡 君 俵 田 祐 児 君 吉 田 充 宏 君 新 谷 和 彦 君 島 田 教 明 君 石 丸 典 子さん 井 上 剛 君 松 浦 多 紋 君 守 田 宗 治 君 森 繁 哲 也 君 槙 本 利 光 君 井 原 寿 加 子さん 橋 本 尚 理 君 山 手 康 弘 君 畑 原 勇 太 君 河 野 亨 君 笠 本 俊 也 君 有 近 眞 知 子さん 森 中 克 彦 君 友 広 巌 君 戸 倉 多 香 子さん 上 岡 康 彦 君 新 造 健 次 郎 君 坂 本 心 次 君 中 嶋 光 雄 君 江 本 郁 夫 君 柳 居 俊 学 君 国 本 卓 也 君 会議に欠席した議員(なし) 欠 員(三人) 議案等の説明のため会議に出席した者 知事 村 岡 嗣 政 君 副知事 小 松 一 彦 君 総務部長 内 海 隆 明 君 総務部理事 藤 田 昭 弘 君
総合企画部長 平 屋 隆 之 君
産業戦略部長 平 野 展 康 君
環境生活部長 神 杉 さとみさん
健康福祉部長 弘 田 隆 彦 君
商工労働部長 小 関 浩 幸 君
商工労働部理事 三 浦 健 治 君
観光スポーツ文化部長 三 坂 啓 司 君
農林水産部長 松 岡 正 憲 君
土木建築部長 和 田 卓 君
会計管理局長 内 畠 義 裕 君 財政課長 稲 垣 嘉 一 君
公営企業管理者 正 司 尚 義 君 企業局長 山 本 英 信 君 教育長 繁 吉 健 志 君 副教育長 西 村 和 彦 君 公安委員長 弘 田 公 君 警察本部長 谷 滋 行 君
代表監査委員 河 村 邦 彦 君
監査委員事務局長 本 多 昭 洋 君
労働委員会事務局長 松 田 一 宏 君
人事委員会事務局長 大 田 淳 夫 君 会議に出席した事務局職員 事務局長 前 田 安 典 君 事務局次長 粟 屋 桂 君 総務課長 原 田 和 生 君
議事調査課長 柳 原 廉 均 君
政務企画室長 白 井 雅 晃 君 秘書室長 嶋 田 英一郎 君
議事調査課主幹 作 本 真 得 君 主査兼
議事記録係長 益 本 悟 史 君 主任 河 村 美也子さん 主任 賀 山 智 江さん 主事 高 尾 大 輝 君 ───────────── 午前十時開議
○議長(柳居俊学君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。 ─────────────
△日程第一一般質問
△日程第二議案第一号から第七号まで及び第十一号から第二十四号まで
○議長(柳居俊学君) 日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第七号まで及び第十一号から第二十四号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 畑原勇太君。 〔畑原勇太君登壇〕(拍手)
◆(畑原勇太君) 皆様、おはようございます。自由民主党の畑原勇太です。 令和三年最後の定例会で一般質問の機会を賜りましたことに感謝申し上げます。
新型コロナウイルスとの闘いが始まってから、間もなく二年がたとうとしています。今年六月末頃から始まった第五波では、
新規感染者数、入院患者数ともに過去最大となる一方、重症化率や致死率は大きく低下しました。 また、
緊急事態宣言等が全面的に解除された十月以降は、それまでのようなリバウンドによる感染再拡大は見られず、全国的に感染状況は落ち着いた状況が続いています。 海外メディアは、現在の日本のこうした状況を驚くべき成功例と取り上げました。この要因として、私たちの行動変容が定着してきたことに加え、
ワクチン接種の浸透が大きく影響していることは間違いありません。 ワクチンについて、野党は当初、海外の治験データによる特例承認に慎重な対応を求めていましたが、今年の通常国会終盤には、
ワクチン接種の遅れは政府の失策であるとスタンスが大きく変わりました。 また、希望する全ての高齢者の接種を七月末までに完了することを目指す中、野党は自治体が置かれた実態を踏まえないまま、根拠もなく七月末と言ったのではないかと述べましたが、関係する全ての方々の御尽力により、予定どおり七月末に完了しました。
ワクチン接種のここまでの浸透も、現在の落ち着いた感染状況も菅前総理のリーダーシップなくしては、なし得なかったと思います。政治は、批判を受けながらも信念を持って、現実的な政策を着実に実行して結果を出していくことが、いかに重要であるかということを改めて感じています。 今後も警戒が必要である状況に変わりはありませんが、飲食店では、以前のようには客足が戻らないという話もお聞きしていますので、コロナと共存する
社会経済活動に具体的な道筋をつけるべく、私も全力で取り組んでいく覚悟であることを申し上げ、通告に従い質問させていただきます。 まず、基地交付金による地域振興についてお尋ねします。 岩国基地に関する諸問題については、私は、その解決に向けて誰よりも大きな責任を負っていると自覚し、登壇の機会を頂くたびに質問してきました。 特に基地交付金については、住民生活の安心・安全の確保と
基地周辺地域の発展に向け、制度の継続や拡充、運用改善などに努めていく必要があり、先月十一日にも、県及び二市二町の基地議連で構成する
岩国基地問題議員連盟連絡協議会の幹事長として、顧問の柳居議長、代表の槙本先生らとともに、国に対して、市町への交付金制度の継続と恒久化、県交付金の確実な予算措置と運用改善などを強く要望してきました。 基地に関する交付金のうち、いわゆる県交付金は、米軍基地があることによってこれからも続く地域と住民の負担と、国策への貢献に見合う地域振興策として、広域自治体である県が市町の枠を超え、産業振興等の面で果たすべき役割に着目して措置されているものであり、これまで、道路や港湾、
岩国錦帯橋空港の整備などに有効に活用され、
基地周辺地域の発展に確実につながってきたと考えています。 そこで、県がこの交付金を活用して整備を進めている県立武道館と、現在検討中の県東部地域の
産業振興支援機能の構築について質問させていただきます。 まず、県立武道館の整備についてです。 この夏、スポーツの持つ力が、コロナ禍に苦しむ世界を希望の光で明るく照らしました。
東京オリンピック・
パラリンピック開催について、大会前、菅総理は、やめることは一番簡単なこと、楽なことだ、挑戦するのが政府の役割だと述べられました。 ホスト国のリーダーとして、この覚悟がなければ、このときのために鍛錬を積んできた世界のアスリートが晴れ舞台に立つことも、コロナ禍に苦しむ世界の人々に夢と希望を与えることもできず、私たちが連日、あれほどの感動を味わうこともありませんでした。 開催さえ危ぶまれた両大会が、多くの方々の御尽力により一年越しで開催され、最高の舞台で最高のパフォーマンスを発揮される選手の皆さんの姿に、改めてスポーツが持つ力を痛感し、スポーツの発展に尽力していかなければならない、県東部地域の県立武道館の整備を急がなければならないと意を新たにしました。 過去の一般質問でも述べたように、県東部地域では柔道や剣道などの武道系競技が盛んで、活動の場を求める声は非常に大きいものがあります。 また、
東京オリンピックでの活躍も記憶に新しいところですが、愛知県から
岩国工業高校に進学した
加納虹輝選手が金メダルを獲得したフェンシングや、徳田新之介・廉之介両選手が兄弟で
オリンピック出場を果たしたハンドボールなど、県東部地域には全国レベルの競技があり、地域の誇りであると同時に、本県にとって大きな財産となっています。 さらに、岩国基地と共存する地域として、スポーツを通じた日米交流も積極的に進められており、交流の促進や地域の活性化の面からも、県立武道館の整備には大きな期待があります。 こうした地域の実情を踏まえ、私は、今年二月定例会の一般質問において、基本計画の策定に当たり、新たに整備する県立武道館が県東部地域の活性化と
スポーツ交流の推進につながる施設となるよう、利用者の利便性を確保するとともに、国体等の全国規模の開催基準を充足しつつ、より安価な費用で整備・維持管理が可能な施設となるよう検討を進めていただきたいとお願いしました。 県が十月に発表された基本計画では、こうした点について十分な検討がなされ、その結果がしっかり反映されているものと評価しています。 今後は、基本計画に掲げるスケジュールに従い着実に事業を進めていただきたいと思いますが、着工が令和七年度、供用開始が令和十年度とまだまだ時間を要する事業であることから、地域のニーズや期待も踏まえ、整備後の有効活用も見据えながら、早期の供用開始に向けて一層の御尽力をお願いしたいと考えています。 そこでお尋ねします。県東部地域の県立武道館の早期整備に向けて、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、県東部地域の
産業振興支援機能の構築についてです。 私は、令和元年六月定例会で、県東部地域の産業振興に関わる支援機能の構築について、地元市や商工団体等と連携した県の取組について質問しました。 本県の瀬戸内海沿岸には全国有数の
石油化学コンビナートが形成され、岩国・大竹地区もその一角をなしていますが、岩国基地と共存する岩国・和木地域には、その制約から宇部・小野田地域や周南地域のような大規模で一体的な
コンビナートは形成されず、都市基盤や産業環境の整備においても、建築物の高さ規制や土地利用の制限を受けてきました。 また、この地域の中小企業にとっては、やま
ぐち産業振興財団や
産業技術センターなど、県央部に集中する県の
産業支援機関からの支援や利活用も容易ではない状況があります。 こうした実情も踏まえ、県では、岩国市及び商工団体から要望を受け、平成三十年度から県東部地域の産業振興に向けた必要な機能の調査や課題の整理を行われ、導入する支援機能の絞り込みと、その導入に必要な設備や施設規模などを検討した上で、令和二年四月に基本構想を取りまとめられました。 しかしながら、その後の新型コロナの感染拡大などを踏まえ、現在は、新しい生活様式への対応や支援機能の充実など、基本構想の見直しを進められています。
地元商工会議所では、これまで、地域の事業者による外国人向けのビジネス展開や、新たなビジネスの創出に向けた支援など、事業者支援の強化に積極的に取り組まれていますが、コロナ禍という未曽有の事態が、事業者の意欲や経営に大きな影響を及ぼしている現在の状況にあっては、地域の産業と雇用を守るため、これまでよりも一段上のさらに手厚い行政の支援が必要と考えます。 そのため、県には、県東部地域における中小企業を守り育てるため、商工団体等の取組をしっかり後押ししつつ、事業者が抱える様々な経営課題などに対して、より専門性の高い支援を総合的かつ継続的に実施できる仕組みや体制を構築していただきたいと考えており、支援拠点の整備を含め、
産業振興支援機能が早期に構築されることを期待しています。 そこでお尋ねします。県東部地域の産業振興に関わる支援機能の構築に向けて、地元市町や商工団体等と連携し、今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いします。 次に、コロナ後を見据えた本県観光の魅力向上についてお尋ねします。 現在、本県の
新型コロナウイルスの感染状況は、非常に低い水準で推移しており、社会は徐々に元気を取り戻しつつあります。 国においては、
ワクチン接種の進展や治療薬の普及、
感染防止対策の浸透を踏まえ、行動制限を段階的に緩和し、一日も早い
社会経済活動の再開に向けた取組を活発化させており、とりわけ、地方経済の牽引役である観光業の復活が強く期待されます。
自民党山口県連においても、コロナ後を見据えた経済再生の取組をリードするため、先日、県に対し、本県の地域産業を支える観光業への支援策の拡充について要請を行ったところです。 こうした中、県では、
プレミアム宿泊券、フェリー券や旅々やまぐち県民割といった
観光需要喚起策を講じるなど、経済回復に向けた集中的な対策を積極的に展開されていますが、コロナ禍で落ち込んだ本県観光がもう一度輝きを取り戻すためには、私は、こうした短期集中的な対策だけでなく、受入れ環境の整備に地道に取り組み、本県観光のファンやリピーターを創出することが必須であると考えています。 その一つは、新幹線駅、空港、港湾など本県の玄関口となっている場所周辺の景観美化です。これらは本県の顔とも言える場所であり、県外からの観光客の第一印象がここで決まると言っても過言ではありません。 県内の駅や空港に降り立った県外からの観光客の皆様に、草刈りや清掃が行き届いた、整然として清潔感のある町並みで気持ちよく旅をスタートしていただき、そして楽しい思い出と本県への好意的なイメージを持って旅を終えていただく。玄関口にはそんな美しい環境が必要です。 そしてもう一つは、観光地におけるトイレの整備です。近年、他県や観光庁では、観光客の利便性や魅力向上の観点から、トイレの整備を着々と進められていますが、本県では、いまだ和式便器の公衆トイレも少なくありません。 私の地元岩国市では、錦帯橋や吉香公園をはじめ、主要な観光地では、
温水洗浄便座つきトイレの導入が進んでおり、多くの観光客に気持ちよく利用していただいているものと思います。 また、二○一八年の道の
駅全国ランキングで一位を獲得した道の
駅北浦街道豊北では、響灘の絶景を見渡せる温水便座のついたきれいなトイレが整備されており、一位獲得の原動力にもなりました。清潔感があり機能性のあるトイレは、観光地のイメージに直結するものであり、おもてなしの観点からも計画的な整備が必要です。 感染状況が落ち着き、今後の観光需要の増大が見込まれ、本県観光の底上げを図らなければならない今こそ、こうしたこれまでなかなか対策の行き届かなかった分野に目を向けるべきと考えます。 そこでお尋ねします。本県観光の再生に向け、短期集中的な対策に加え、受入れ環境の整備に地道に取り組み、本県観光の魅力向上につなげていくべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、
カーボンニュートラルに向けた森林づくりの推進についてお尋ねします。 昨年十月、菅政権において、二○五○年
カーボンニュートラルが宣言されました。 この宣言は、各種産業界において衝撃をもって受け止められる一方、先日、トヨタ、マツダをはじめとした五社の
自動車メーカーが、
カーボンニュートラルの実現に向け、内燃機関を活用した燃料の選択肢を広げる挑戦について共同で発表されたように、
温室効果ガスの排出削減に向けた具体的な動きも始まっています。 本県経済は、
瀬戸内コンビナートなど、石炭使用量が多い産業に支えられている構造にあることから、
カーボンニュートラルを実現するためには、他県に比べて高いハードルを乗り越えていく取組が求められます。
カーボンニュートラルは、二酸化炭素をはじめとする
温室効果ガスの排出を全体としてゼロとすることであり、これを達成するためには、
温室効果ガスの排出量の削減に加えて、吸収作用の保全と強化を進めていく必要があります。 そして、この吸収作用の強化に向けて最も高い効果が期待されるのが、森林が有する
地球環境保全機能です。 農林水産省では、今年五月、持続可能な
食料システムの構築に向け、みどりの
食料システム戦略が策定されました。その具体的な取組の柱である、
イノベーション等による
持続的生産体制の構築において、農地・森林・海洋への、炭素の長期・大量貯蔵が位置づけられています。 本県では、平成十七年度から
森林づくり県民税をいち早く導入し、県民の皆様の御理解と御協力を頂きながら、森林の整備に取り組んでこられ、国においても、森林環境税と
森林環境譲与税が創設され、一昨年度から取組がスタートしています。 こうした制度を活用した森林整備は、
環境保全機能の向上に大きく寄与する一方で、森林による炭素の長期・大量貯蔵に向けては、その整備だけでなく、適期の伐採とその後の植林を行う再造林の取組を推進するとともに、森林資源を有効に利用する好循環の仕組みを構築していかなければなりません。 私は、県土の約七割を森林が占め、二次産業に特化している産業構造を有する本県であるからこそ、全国に先駆けて林業の構造変革やデジタル技術の活用などにより、
カーボンニュートラルを進めていくことが重要だと考えています。 そこでお尋ねします。
カーボンニュートラルの実現に向けて、森林が有する炭素の長期・
大量貯蔵機能が最大限発揮されるよう、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、岩国・和木地域の道路整備の推進についてお尋ねします。 人口減少や少子高齢化の進展が、コロナ禍をきっかけに加速することも懸念される中、地域の強みを生かした地方創生や、人や物の安全で円滑な移動の確保、激甚化する災害への対応力の強化を図るためには、その基盤となる道路の整備が非常に重要です。 このため、私は、道路は地域の命、活力の源との思いを胸に、
道路ネットワークの骨格を形成する幹線道路から、安心・安全な暮らしを支える生活道路に至るまで、住民の皆様の多様なニーズをしっかりとお聞きし、地域の課題や実情に応じて、その整備の必要性をきめ細かく訴えてきました。 しかしながら、岩国・和木地域の道路は、これまでの国や県、地元関係者らが一体となった取組により、目に見えて整備の成果が現れつつある一方で、市街地では慢性的な渋滞に加え、通学路における児童生徒の事故や災害時の集落の孤立のリスクがあるなど、依然として解決すべき多くの課題を抱えています。 現在、整備が進められている国道二号岩国大竹道路や国道百八十八号藤生長野バイパスは、県東部地域の円滑な物流や交流人口の拡大に加え、大規模災害時の緊急輸送道路や避難路として国土強靱化にも資するものであり、その早期完成に向け、さらに強力に事業を推進していく必要があると考えます。 このうち、国道百八十八号藤生長野バイパスは、今年十月には地元説明会が開催され、国から詳細なルートや事業のスケジュールが示されるなど、事業が着々と進められており、バイパスへのアクセス道路の具体化も早急に行っていく必要があると考えます。 また、国では、本年六月、千葉県八街市で下校中の小学生五人がトラックにはねられ死傷した事故など、登下校中の小学生らの事故が相次いだことを受け、このような痛ましい事故が二度と起きないよう、改めて通学路の総点検を行い、交通安全のための緊急対策を拡充強化し、速やかに実行に移す取組が行われています。 岩国・和木地域でも、通学路として歩行者や自動車が多い県道北中山岩国線や県道岩国錦線など、子供の安全を守るため、歩道整備などの対策を加速する必要があると考えます。 そこでお尋ねします。岩国・和木地域の
社会経済活動を支え、地域住民の生活の向上に大きく寄与する道路の整備を重点的・計画的に推し進めていくべきと考えますが、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、ダムによる治水対策についてお尋ねします。 地球温暖化の影響による台風の大型化やゲリラ豪雨の頻発化に伴い、近年、水害から住民を守る治水対策の重要性が高まっており、国も流域治水をはじめとした防災・減災、国土強靱化の取組を推進しています。 今後の治水対策を考える上では、土地利用規制による被害対象の減少や、避難体制の強化による被害の軽減などの視点も必要ですが、まずは、氾濫を防ぐ取組を進めることが何より重要です。 本県でも、河川整備計画に基づいた河川改修など、ハード整備を着実に進める必要があると思いますが、その中でも、ダムの整備は、広域にわたって洪水調節に大きな効果を発揮するものであり、治水対策の充実強化を図る上で不可欠です。 現在、県内では、平瀬ダムをはじめ三つのダムの整備が進められていますが、激甚化する自然災害への対応を防ぐためにも、県には、地域への影響にも十分配慮しながら、各ダムの早期整備に向け、事業を着実に進めていただきたいと考えています。 また、ダムの洪水調節機能を最大限発揮するためには、その運用においても、実効性を高める取組が必要です。 例えば、錦川水系では、現在建設中の平瀬ダムが完成すると、水系内で六番目のダムとなるため、その運用に当たっては、水系にある複数のダムが連携を取り、効率的・効果的な実施が重要になってきます。 全国的に、ダムの事前放流を効率的に実施して、河川の氾濫防止を図るべきとの声が高まる中、本県の一級水系と二級水系に整備されている治水ダムについては、昨年度、事前放流の実施方針を定めた治水協定を締結されました。 新たなダムが整備された場合には、事前放流を含めたダムの運用について検討することになると思いますが、ダムの事前放流は、利水者への影響が大きいことから、河川管理者やダム管理者、利水者などが十分に協議を重ね、合意を形成した上で取組を進めていく必要があります。 県には、ダムの計画的な整備に加え、事前放流を含めたダムの運用の実効性を向上させ、洪水調節機能を一層高めることにより、県民の安全で安心な暮らしの確保を積極的に進めていただきたいと思います。 そこでお尋ねします。水害から流域住民をはじめとした県民の暮らしを守るため、ダムによる治水対策について、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(柳居俊学君) 村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕
◎知事(村岡嗣政君) 畑原議員の御質問のうち、私からは、基地交付金による地域振興に関する県東部地域の
産業振興支援機能の構築についてのお尋ねにお答えします。 産業活動やまちづくりなどに様々な制約を受ける
基地周辺地域の振興に向けて、私は、米軍再編に係る県交付金を有効に活用し、地元のニーズにしっかりと対応した支援策を講じていくことが重要と考えています。 このため、地元市町や商工団体の御意見等を伺いながら、
産業振興支援機能の構築に向けた検討を進めており、デジタル化など社会変革の動きや感染症の拡大などへの対応を図る観点から、導入機能の拡充や候補地の見直しを図り、改めて基本構想案を取りまとめたところです。 まず、導入機能については、地元企業の支援ニーズを踏まえ、デジタル技術を活用した事業展開に向けたDX支援機能や、水素利活用など脱炭素化の動きにも対応した新たな付加価値の創出に向けたオープンイノベーション機能など、支援機能の充実を図っています。 また、岩国市内に防衛装備庁の試験評価施設が設置されたことを契機として、同施設利用企業によるサテライトオフィスとしての利活用を想定するほか、ウェブ会議の活用などによる新しい生活様式にも対応することとしています。 さらに、こうした機能を十分に生かし、東部地域の産業振興における企業支援やビジネス交流の中核的な拠点とするため、商工団体や公共施設との連携による拠点性の向上や交通アクセスなどを総合的に勘案し、岩国商工会館敷地を候補地に選定したところです。 今後は、この構想を基に、DX支援機能における高度専門人材の配置や最先端の機器整備、オープンイノベーション機能における企業間のコミュニティー形成に資する環境づくりなど、機能や整備内容を具体化してまいります。 さらに、
産業支援機関のブランチ機能としての効果的な連携の在り方や、施設全体の推進体制、適正な事業規模、スケジュールなどを検討し、基本計画の策定につなげてまいります。 また、基本計画の策定に当たっては、県、地元市町や商工団体、
産業支援機関、さらにはDXの専門家などで構成する検討組織を立ち上げて進めることとし、基地議連の御意見を十分お聞きしながら施設イメージを具現化し、整備内容等を取りまとめてまいります。 私は、関係機関と緊密な連携を図りながら、効果的な産業振興に係る支援機能の早期構築に向けて着実に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。
○議長(柳居俊学君) 三坂
観光スポーツ文化部長。 〔
観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕
◎
観光スポーツ文化部長(三坂啓司君) 県立武道館の整備についてのお尋ねにお答えします。 県東部地域の県立武道館については、大規模大会の誘致・開催や、競技の普及、競技力の向上を図る上で必要な施設として、岩国市をはじめ地元からの強い要望を踏まえ、整備の具体化に向け、本年十月、基本計画を策定したところです。 この計画では、県立武道館の早期整備を実現し、岩国市総合体育館との連携による全国規模の大会誘致や多様な
スポーツ交流の促進につながるよう、必要な規模・機能を備えた施設を岩国運動公園内に整備することとし、これを計画的に進めるため、事業スケジュールを定めたところです。 具体的なスケジュールとしては、先月末に業者選定のための公告を行うなど、基本設計及び実施設計の準備を進めているところであり、今後は、令和六年度に設計業務を完了し、令和七年度に着工、令和十年度の供用開始を目指してまいります。 また、お示しのとおり、武道館の整備とともに、供用開始後の施設の有効活用を図っていくことが重要と考えています。 このため、大規模大会の開催等によるスポーツの普及や日米交流などを通じた、積極的な利活用が促進されるとともに、岩国運動公園との一体的な管理運営による効率的な運用が図られるよう、引き続き、岩国市と協議してまいります。 県としては、地元岩国市等としっかり連携しながら、県立武道館の早期整備に向けて、計画的かつ着実に取り組んでまいります。 次に、コロナ後を見据えた本県観光の魅力向上についてのお尋ねにお答えします。 コロナ禍により深刻なダメージを受けた本県観光の再生に向けては、観光産業の早期回復を図る短期集中的な取組に加え、コロナ収束後も見据えた魅力ある観光地づくりを積極的に推進していくことが必要です。 とりわけ、本県を訪れる国内外の旅行者が、快適な観光を楽しみ、満足していただくためには、お示しの景観美化やトイレ整備をはじめ、おもてなしの基本となる環境整備が重要です。 このため、県では、本年策定した山口県観光V字回復プランに基づき、感染収束後の観光振興につながる、観光客の受入れ環境の整備に向けた取組を進めていくこととしています。 まず、本県の玄関口となる空港等においては、その景観美化を図るため、施設管理者や地元市町、地域住民等により、清掃やバラの植栽、工芸品の展示などが行われており、こうした取組が県内でさらに促進されるよう、やまぐちDMOを通じて各地域の観光団体等に働きかけてまいります。 また、観光地におけるトイレの整備については、これまで、国の支援制度を活用しながら、自然公園や道の駅の駐車場に設置されたトイレの高機能化等を進めてきたところであり、今後も市町や関係団体と連携しながら、計画的な整備に取り組んでまいります。 さらに、こうした環境整備の取組に加え、自然景観など本県の強みを生かした観光資源の磨き上げや、観光客のニーズを踏まえた付加価値の高い観光コンテンツの開発を積極的に支援することにより、魅力ある観光地づくりを推進することとしています。 県としては、今後とも、やまぐちDMOをはじめ、市町や関係団体等と緊密に連携しながら、観光客にとって満足度の高い受入れ環境の整備等に積極的に取り組み、本県観光の一層の魅力向上につなげてまいります。
○議長(柳居俊学君) 松岡
農林水産部長。 〔
農林水産部長 松岡正憲君登壇〕
◎
農林水産部長(松岡正憲君)
カーボンニュートラルに向けた森林づくりの推進についてのお尋ねにお答えします。 県土の約七割を占める森林は、水源の涵養や県土の保全、地球温暖化の防止など、県民の豊かな暮らしを支える様々な機能を有しています。 こうした森林の持つ多面的機能が持続的に発揮されるよう、県では、
森林づくり県民税により、荒廃した森林の整備等を計画的に実施するとともに、
森林環境譲与税を活用して市町や関係団体等との連携の下、森林の適正管理に取り組んでいるところです。 こうした中、国において、二○五○年
カーボンニュートラルが宣言されたことを踏まえ、今後、森林が有するCO2吸収機能や、木材利用による炭素貯蔵機能を最大限発揮させていく必要があります。 このため、県民税等を活用した森林整備と併せ、利用期を迎えている人工林について、主伐、再造林の着実な実施や建築物における木材利用等を促進し、切って、使って、植える循環利用の確立に積極的に取り組むこととしています。 まず、主伐、再造林の着実な実施に向けて、大きな費用負担や造林作業の担い手不足が再造林の支障となっている現状を踏まえ、新たな技術を取り入れた省力かつ低コストな造林体系の確立を目指します。 具体的には、レーザー計測やドローン画像等、複数のデジタル技術を活用した森林施業の省力化や、現在、個別に実施されている主伐と再造林の一貫作業化、さらには、成長に優れ、CO2の吸収が旺盛な早生樹の活用などを組み合わせた取組を、全国に先駆けて展開します。 次に、建築物における木材利用等に向けては、本年十月に施行された、いわゆる木材利用促進法の改正も踏まえながら、従来の公共建築物や住宅だけでなく、民間の非住宅建築物の木造化、建築物の内装や家具・建具等への木材利用を促進します。 加えて、こうした森林資源の循環利用から生じる伐採残渣や間伐材等の森林バイオマスは、化石燃料の代替となることから、そのエネルギー利用を一層進め、CO2の排出抑制にもつなげます。 県としては、関係団体等と緊密に連携しながら、CO2吸収機能等が最大限発揮されるよう、
カーボンニュートラルにつながる森林資源の循環利用の確立に積極的に取り組んでまいります。
○議長(柳居俊学君) 和田
土木建築部長。 〔
土木建築部長 和田卓君登壇〕
◎
土木建築部長(和田卓君) 岩国・和木地域の道路整備の推進についてのお尋ねにお答えします。 岩国・和木地域では、これまでも、市街地における慢性的な渋滞の解消や安心・安全の確保等に向け、県道岩国大竹線森ヶ原バイパスなどの整備を進めてきたところです。 しかしながら、お示しのとおり、依然として多くの課題が残されていることから、県としても、これらを解消するため、幹線道路の整備や生活道路の安全対策等を推進していく必要があると認識しています。 まず、幹線道路については、国道二号岩国大竹道路や国道百八十八号藤生長野バイパスの早期完成に向け、柳居県議会議長をはじめ、地元県議会議員の皆様のお力添えを頂きながら、期成同盟会とも連携し、国への働きかけなどの取組を進めているところです。 具体的には、先月十一日の政府要望では斉藤国土交通大臣に、また、二十六日の地元期成同盟会による要望では泉田国土交通大臣政務官に、当該道路の早期完成を強く訴えたところです。 県としては、引き続き、こうした取組を強力に進めるとともに、国、県、市が一体となり、これらの事業の円滑な推進に向けた環境整備に取り組んでまいります。 また、藤生長野バイパスの整備効果を最大限に発揮させるためには、地区ごとの特性や交通課題等を考慮しながら、効果的なアクセス道路の整備を行うことが重要です。 このため、国及び岩国市との役割分担の下、五地区においてその整備を図ることとし、そのうち、県では、藤生地区及び黒磯地区で、市が進める福祉・交流まちづくり事業等と併せ、具体化を図っていく考えです。 次に、生活道路については、千葉県の事故を受け、学校、警察等と連携して実施した通学路の緊急点検の結果なども踏まえ、効果的な安全対策を速やかに実施することが必要です。 お示しの県道北中山岩国線の瀬田地区や県道岩国錦線の多田地区においては、歩道整備による抜本的な対策を鋭意進めるとともに、ドライバーに注意喚起を促す路面標示などの即効性のある対策も取り入れながら、早期の交通安全の確保に努める考えです。 県としては、今後とも、地域活力の創出や県民の安心・安全の確保を図るため、岩国・和木地域はもとより、県内全域の幹線道路から地域に密着した生活道路に至る道路網の整備を計画的かつ着実に推進してまいります。 次に、ダムによる治水対策についてのお尋ねにお答えします。 近年、気候変動に起因する水害が全国で頻発化・激甚化しており、こうした災害から県民の生命・財産を守るためには、河川やダムの整備等の治水対策は極めて重要であると考えています。 とりわけ、ダムは、洪水を貯留し、下流域の浸水被害の防止・軽減に極めて有効な機能を有することから、県では、現在、平瀬ダムなど三つのダムの整備に取り組んでいるところです。 具体的には、平瀬ダムについては、現在、ダム本体工事や地滑り防止工事がおおむね完了し、管理に必要な機器の設置等を行っており、令和四年秋頃から、ダムを満水にして安全性を確認する試験湛水を実施することとしています。 また、大河内川ダムについては、付け替え道路の工事等を進めるとともに、木屋川ダムについては、今年度から工事着手に向けた測量を開始したところです。 加えて、ダムの整備効果をより高めるため、県では、令和二年度より、利水者等と治水協定を締結し、県が管理する十七水系十九ダムについて、事前放流を行うことができる体制を整えたところです。 このうち、複数のダムを有する錦川水系については、平瀬ダムの運用開始に合わせ、各ダムの特性を踏まえつつ、相互に連携を図ることで、より効率的・効果的に事前放流を実施する必要があると考えています。 一方で、お示しのとおり、利水を目的としてためた水を放流する事前放流は、利水者への影響が大きいことから、事前に関係者の十分な合意形成を図ることが重要です。 このため、県では、工業用水や水道用水などの利水者とで構成する協議会を設置し、事前放流の実施方法等について、令和五年度の出水期からの運用開始に向け、具体的な検討を進めることとしています。 県としては、県民の安心・安全の確保のため、引き続き、ダムを計画的に整備するとともに、事前放流をはじめとしたダムの整備効果を高める運用を行うなど、治水機能の強化に取り組んでまいります。
○議長(柳居俊学君) 国本卓也君。 〔国本卓也君登壇〕(拍手)
◆(国本卓也君) 皆様、おはようございます。自由民主党の国本卓也でございます。 令和三年十一月定例会におきまして、一般質問の機会を頂きましたこと、心から感謝を申し上げます。 さて、去る十月二十四日、参議院議員山口選挙区補欠選挙が行われ、我が党公認の北村経夫さんが見事当選を果たされました。 北村先生は、私の地元田布施町の御出身で、平成二十五年に参議院議員比例代表全国区で初当選をされて以降、経済産業大臣政務官、自民党副幹事長、参議院議員外交防衛委員長などを歴任され、我が国と山口県の発展のために活躍されるとともに、山口県土地改良事業団体連合会会長として、本県の農業農村の発展にも御尽力をされておられます。 私は、本会の職員として、北村会長の下で仕事をさせていただきましたし、また、私が政治の道に進んでからは、同じ地域の未来を思う議員として、御指導、御鞭撻を賜ってきましたので、このたび北村先生が山口選挙区選出の参議院議員になられたことで、これまで以上にふるさと山口県のために御活躍いただけるものと大変うれしく、また、心強く感じている次第であります。 私も改めて責任与党、自由民主党の一員として、そして、地域の代表である県議会議員として、県民の皆様とともにコロナ禍を乗り越え、本県のさらなる発展に向け、一層の精進を積んでいく覚悟であることを申し上げ、通告に従い一般質問をさせていただきます。 まず、インフラマネジメントの高度化についてお尋ねをいたします。 上関大橋損傷事故から一年余りが経過しましたが、この間、私は地元選出の県議会議員として、橋の完全復旧により、住民生活の安定が一日も早く実現するため奔走してまいりました。 県をはじめ関係者の方々の多大なる御尽力により、十月末には本復旧工事に着手されたところであり、これまでの関係各位の御努力に感謝申し上げますとともに、本年度末とされる復旧完了に向けて、工事を着実に進めていただきますよう、お願いを申し上げるところであります。 さて、同じく十月には、上関大橋の復旧などについて、専門的知見から助言を得るために設置された検討委員会の報告書が公表されました。 全国でも先例がない今回の損傷事故について、国や学識経験者等による徹底した調査検討の結果がまとめられた報告書には、同じ構造を持つ橋梁の今後の点検や維持管理についても示されています。 今回のような事故が二度と起こらないよう、県には報告書に基づいた維持管理や老朽化対策を着実に実施していただきたいと思います。 一方、県が管理する四千を超える橋梁は、一斉に老朽化が進行しており、これらの橋を今後順次、調査・点検していくとなると、膨大な時間と労力を要することが予想されます。 そうした中、私が、特に重要だと考えるのが、デジタル技術の活用などによるインフラメンテナンスの高度化であります。 二月議会でも申し上げましたように、調査・点検にAIやドローンなどのデジタル技術を活用することで、維持管理のスピードや正確さを向上できれば、異状箇所の早期発見・対応が可能となり、費やす時間や労力の大幅な軽減にもつながります。 先月には、笠戸大橋において、ドローンを使った三次元測量を実施されたと伺っており、今後一層、メンテナンスの高度化に向けた取組を進めていただきたいと思っております。 一方で、老朽化が進行している公共インフラは、橋梁だけではありません。高度経済成長期に集中的に整備された道路やダムなど、その他の公共インフラの老朽化対策も今後の大きな課題となっています。 県においては、今年度から、日本一の安心インフラやまぐちを掲げて、橋梁や河川の維持管理におけるデジタル技術の活用に取り組んでおられますが、今後は、その他の施設にも活用の対象を広げ、インフラマネジメントの高度化を推し進めるべきだと考えております。 そこでお尋ねいたします。今後、橋梁をはじめとした公共土木施設の老朽化が一斉に進行する中、迅速で適切な維持管理を図るため、県はインフラマネジメントの高度化にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、企業による農業算入の促進についてお尋ねをいたします。 農業は、これまで農地を所有する農家の皆さんが中心となって代々受け継がれてきた農地を守り、活用しながら営まれてきました。 しかしながら、農家の後継ぎ世代が地元を遠く離れ、県外で就職することが多くなっている現状においては、家族で農地を守ることが難しくなり、高齢を理由に離農された後、そのまま耕作放棄地の発生につながっている実態があります。 こうした中、県においては、全国に先駆けていち早く、集落単位で農地を守り、農業経営を行う集落営農法人を育成するとともに、こうした法人の農業生産性が飛躍的に向上するよう、積極的に圃場整備に取り組まれているところです。 さらに、集落営農法人を構成員とする連合体の育成は、農地を守りながらも、農業経営の規模拡大や若者の就業につながることから、本県独自の取組として全国から注目されています。 しかしながら、農家の減少や高齢化が進む現状においては、集落営農法人を育成したとしても、いずれ営農が困難になるという切実な声が数多く聞かれるようになってきました。 農家の減少や高齢化に歯止めをかけるためには、長期的な取組が不可欠で、一朝一夕に成果を出せるものではありませんが、私は、従来の農業の担い手に対する概念を広く捉えることで、この危機をチャンスに変えることができると考えております。 私の地元田布施町では、これまでも多くの企業が農業に参入されてきた歴史があり、また、平生町においても、県外の企業が農業参入を検討される動きがあるとも聞いております。 農業に興味を持たれる理由としては、雇用人材の活躍場面の創出や、所有する機材の有効活用、企業が有しているノウハウや販路の活用、さらには地域貢献など様々であります。 こうした企業や、企業が出資した法人は、農地法の制約により農地を所有することが難しいケースが多いものの、農地を借りることに支障はなく、現在では、農地中間管理機構により、優良農地の集積や栽培品目に応じた簡易な圃場整備なども可能になっています。 以前は、栽培技術を習得できず、経営が好転しなかったために、残念ながら撤退されたケースもありましたが、県や市町、JA等のしっかりとしたサポートがあれば、高い収益を上げる農業を実践することが十分可能であると考えております。 また、企業には、豊富な資金力や高いスキルを持った人材、さらには、異業種間のネットワークを有していることが多いため、私は県や市町、JA等の関係機関が一体となって農業分野への企業参入を積極的に進めていくことが、本県農業の新たな可能性を示すことにつながると確信しております。 そこでお尋ねいたします。農業経営に意欲を示す企業を農業分野に受け入れ、本県農業の活性化につなげることができるよう、今後、企業による農業参入の促進にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、児童虐待防止対策の推進についてお尋ねをいたします。 全国で七十八人、これは、令和元年度に発生または表面化した児童虐待により死亡した子供の人数であります。 私の地元田布施町で令和元年度に生まれた子供の人数が七十五人でありますから、それを超える人数の子供たちが、親からの虐待で命を落としている現実に私は衝撃を受けました。 スウェーデンの教育者、エレン・ケイは、一九○○年に出版した著書の中で、二十世紀こそは児童の世紀として、子供が幸せに育つことのできる平和な社会を築くべき時代であると述べたそうでありますが、こうした現実を見ると、残念ながら二十一世紀になった今もなお、児童の世紀が実現しているとは言い難いように思います。 数年前、児童が亡くなる痛ましい事件が相次いで発生したことで、児童虐待は社会問題として強く認識されるようになり、今や、その防止は、社会全体で取り組むべき極めて重要な課題となっています。 このため、毎年十一月の児童虐待防止推進月間には、児童虐待問題に対する深い関心と理解を得るため、オレンジリボンキャンペーンが展開されていますし、県では、子育てに悩む家庭をいち早く見つけ、早期対応につなげるため「一八九(いちはやく)サポーター」やヤングサポーターの養成、地域見守り活動に取り組む虐待防止全力宣言企業の登録などに積極的に取り組んでおられます。 しかしながら、児童虐待は減るどころか増える一方であります。 国の発表によりますと、十八歳未満の子供への児童虐待は三十年連続で増加し、令和二年度に全国の児童相談所が認定した児童虐待相談対応件数が初めて二十万件を超え、過去最多を更新いたしました。本県でも昨年度の対応件数は二十件増の七百二十九件と過去二番目の多さであります。 この背景には、児童虐待自体が増えていることも考えられますが、これまでは把握できなかった虐待が、学校や地域の方々の見守りや支えにより把握されるようになり、児童相談所などの行政機関で支援されるようになってきたことも影響していると考えられます。 そして、もう一つ、警察からの通告が大きく増えていることが、件数の増加につながっているとされており、警察からの相談件数が全体に占める割合は、十年前の一六%から、令和二年度には五○%を超えるまでになっています。 このため県では、平成三十一年四月から中央児童相談所に警察からの出向職員を配置し、児童虐待相談への対応体制を強化されていますが、警察との連携がここまで大きな効果を上げている状況を考えれば、今後、学校や地域による見守り活動を強化することに加え、警察との連携をさらに強化し、児童虐待の未然防止や早期対応に向けた社会全体の仕組みづくりを進めていくべきではないかと考えております。 そこでお尋ねいたします。子供を取り巻く状況が深刻さを増す中、本県の全ての子供たちが、困難な状況に陥ることなく幸せな日々を送ることができるよう、児童相談所に配置する警察からの出向職員の増員をはじめ、児童虐待の未然防止・早期対応に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、犬猫の適正な飼育管理の推進についてお尋ねをいたします。 一昨年、周南市で遺棄された野良犬が繁殖し、近隣住民とトラブルになったことが全国放送されたことを覚えている方もおられることと思います。 野良犬からしてみれば、好きで野良になったわけじゃないといったところでしょうが、市内中心部の周南緑地では、いまだに年間三百頭前後の野良犬が捕獲され、一方で、行政の進めるむやみな餌やりの禁止や捕獲に一部の動物愛好家が反対するなど、抜本的な解決には至っておりません。 本県では、平成二十六年度に、犬猫の殺処分数が四千七百三十匹と全国ワースト三位になったこともあり、県では、終生飼養の責務や地域猫活動の普及啓発とともに、里親探しの支援などの取組を強化され、殺処分数の削減に大きな成果を上げてこられました。 一方で、六月定例会で石丸議員も指摘されましたように、県の進める犬猫の里親探しについては、NPO団体などの協力によるところが大きく、例示された防府市内の動物愛護団体では、保健所に収容された犬猫をどんな状態であっても全て引き取ることで、六年もの間、市内での犬猫の殺処分ゼロを実現しているとお伺いしております。 しかしながら、こうした団体も、いつまでたっても終わらない犬猫の引き取りに加え、コロナ禍で活動資金不足や人手不足に直面し、活動停止の瀬戸際に立たされているのが実態であります。 本来、愛玩動物である犬猫は、人間の手で適切に飼育管理されるべきであり、犬猫の遺棄と自然での繁殖という負のスパイラルは、我々の力で止めることが可能であり、止めなければならないと考えております。 動物愛護法の改正により、来年六月からマイクロチップの装着・登録が義務づけられますが、その対象はブリーダーやペットショップなどに限られています。 このため、当面の対策として、里親探しや引取り先のない犬猫を飼育する動物愛護団体への支援や、野良犬の捕獲、野良猫の引取りは引き続き必要であると考えております。 また、飼い主が自覚と責任を持って適正に飼養することについて、より一層の普及啓発を行うとともに、幼い頃から動物への接し方や命の大切さを学ぶ機会を提供し、県民の動物意識の醸成を図ることも重要だと考えております。 一方で、犬猫を遺棄させない、自然繁殖をさせないためには、将来的には一定の強制力を持った手法を導入するなどしなければ、いつまでたってもこの問題は解決しないと考えております。 そこでお尋ねいたします。県内での犬猫の遺棄、自然繁殖という悪循環を断ち切り、犬猫が好きな方も苦手な方も納得できる適正な飼育管理を推進するため、従前より一歩踏み込んだ対策を検討すべきではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、学校における学生の適切な体験機会の確保についてお尋ねをいたします。 コロナ禍は、社会全体に大きな影響を及ぼしていますが、中でも学生生活への影響は計り知れないものがあります。 感染拡大防止対策のため、一時期、学校は臨時休業になり、教室での授業が中止され、机を並べて共に学ぶ機会が奪われました。そして、学校が再開した後も、授業の実施に様々な制約が生じたほか、運動会や文化祭、修学旅行など、多くの学校行事が中止、延期、縮小され、教育現場における体験活動の機会が奪われてきました。 また、スポーツや文化活動などの部活動についても、スポーツに汗を流し、文化活動で共に作品を作り上げ、学校、全生徒を挙げて応援するといった学生時代だからこそ可能な貴重な体験の機会がコロナ禍の中、大きな制限を受けております。 例えば、夏の甲子園、全国高等学校野球選手権大会は、昨年、感染拡大の影響から、代表校を決める地方大会も含めて全ての試合が中止となりました。そして、
感染防止対策が浸透してきた今年の夏は、予選の県大会が無事開催され、球場には自分の学校を応援する在校生の姿がありました。 一方で、今年十月二十三日から十一月十四日にかけて開催された第百回全国高校サッカー選手権大会山口県大会では、準決勝までの全会場・全試合で、対戦校の部員とその家族以外の観戦は認められず、在校生が応援できたのは、一般の観戦も可能になった決勝の高川学園対宇部工業戦だけでありました。 現在は、国内の感染状況が落ち着いてきたことから、外出やイベントの開催、プロスポーツの観戦等に関する制限も緩和されてきましたが、限られた学生生活の中で、母校の応援に行くことができなかった高校生の思い出は二度と戻ることはなく、残念としか言いようがありません。 感染拡大防止のために決められたルールは、当然守らなければなりませんが、学生や御家族のことを思えば、友達と一緒に自分の学校を応援するという学生生活の貴重な思い出づくりを全力でサポートすべきであり、それが可能な状況にあるのであればなおさらのことであります。 さらに、私が特に問題だと思っているのが、同じ県内で、野球は球場で応援ができて、サッカーは応援できないといった現実があったことです。 競技による違いや上部団体の意向もあるとは思いますが、高校生にとっては大変酷な話であり、大会運営の在り方や入場制限のルールは、学校や生徒の目線で考えていくべきだと考えております。 そこでお尋ねいたします。コロナの時代にあっても、学校における学生の貴重な体験活動の機会が適切に確保されるよう、県として積極的に関与し、支援していくべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 最後に、県立高校の再編整備についてお尋ねをいたします。 少子化により、中学校卒業者数の減少が見込まれる中、県教育委員会では、生徒の多様化するニーズに対応した選択幅の広い教育や活力のある教育活動の展開など、高校教育の質を維持し、さらに高めていくため、特色ある学校づくりに取り組むとともに、一定の学校規模の確保を目指し、県立高校の再編整備を進められています。 私としても、将来の山口県、日本を担っていく子供たちにとって、将来を切り開いていくための資質や能力を高めていくための教育環境づくりは、非常に重要であると考えており、そのために必要とされる高校の再編整備については理解をするところであり、学校の再編統合や分校化が最善かつ唯一の方策であるならば致し方ないと考えております。 一方で、特に人口減少や少子高齢化が進んでいる郡部においては、その地域に所在する高校は、活力の維持や創出に大きな役割を発揮しており、所在自治体や周辺地域は、再編整備によって学校がなくなることによる活力の衰退を大いに危惧しているところであります。 私の地元熊毛郡地域も、まさにこうした地域の一つであり、入学者が減少し、学校規模の縮小が進む熊毛南高校について、地域全体で盛り立てていくため、今年九月に熊毛郡三町の町長と議長等から構成する協議会が立ち上げられ、学校運営への支援活動について検討を進めていくこととされています。 例えば、特徴あるクラブ活動の活性化に向けて、県東部では唯一となる女子サッカー部への支援として、遠方からの生徒のための寮や練習場の確保、遠征のための町所有のバスの貸出しなど様々な支援内容について議論を深めているところであり、今後は田布施農工高校の活動支援についても検討を始められるとお聞きしております。 このように地域ぐるみで高校を支えていこうとする取組が進められている中において、折しも本県においては、全ての県立高校にコミュニティ・スクールが導入されており、今後一層地域との連携・協働した教育活動が深まっていくものと思われます。 こうした状況を踏まえ、今後の再編整備については、これまで以上に所在自治体や地域の学校運営や教育活動への関わりなどの実情をしっかりと把握した上で、再編整備の進め方を検討していく必要があると考えております。 また、デジタル社会が進展する中、県教育委員会ではICTを活用した教育の充実を図っていくため、県内の全ての県立高校に一人一台のタブレット端末や校内無線LANなどICT環境の整備を積極的に進められています。 今後、ICT環境を有効に活用し、一人一人に合った学びや、ほかの学校などとの共同した学びなどを充実していくことにより、生徒数の減少により、学校の小規模化が進む中においても、今まで以上に質の高い教育活動を展開していくことができるのではないかと期待をしております。 そこでお尋ねいたします。現在、今後の高校改革の基本的な考え方や方向性を示す次期県立高校将来構想の策定に向けて検討を進められているところでありますが、学校を取り巻く地域の取組の状況やICT教育の進展など、教育環境の変化なども踏まえながら、今後どのように県立高校の再編整備を進めていかれるのか、御所見をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(柳居俊学君) 村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕
◎知事(村岡嗣政君) 国本議員の御質問のうち、私からは、インフラマネジメントの高度化についてのお尋ねにお答えします。 道路や河川等の公共土木施設は、経済活動や県民生活を支える重要な社会基盤として、恒常的に機能を発揮することが求められています。 しかしながら、本県においても、高度経済成長期に集中的に整備した施設の老朽化が進み、今後、一斉に更新時期を迎えることから、その対策が喫緊の課題となっています。 そのため、私は、やまぐち維新プランにおいて、災害に強い県づくり推進プロジェクトを掲げ、常日頃から適切に維持管理を行うとともに、施設ごとに長寿命化計画を策定し、計画的かつ効率的に老朽化対策を推進しているところです。 また、昨年、損傷事故が発生した上関大橋をはじめとした施設の老朽化や、近年、頻発・激甚化する自然災害などに適切に対応するため、新たにデジタル技術等を活用し、より質の高いインフラマネジメントを行っていく必要があると考えています。 具体的には、橋梁について、異状箇所の早期発見・早期対応を図るため、AIによる点検・診断システムや、ドローンによる三次元測量等のデータを活用し、将来の劣化を予測するシステムの構築を進めているところです。 加えて、全ての橋梁の補修履歴や点検結果等の膨大な情報を一元化するデータベースを構築し、AIにより優先的に補修する必要がある橋梁を即時に判断する先進的なシステムの開発にも取り組んでまいります。 また、河川について、迅速かつ的確に変状を把握し、河川内の土砂掘削などをより効果的に行うため、今年度から島田川において、衛星やドローン等による新たな監視手法の構築に着手したところです。 今後は、お示しのとおり、橋梁だけでなく他の公共インフラの老朽化対策も大きな課題となっていることから、橋梁や河川での取組などを踏まえ、インフラマネジメントの高度化について、トンネルやダム等にも対象を拡大し、検討を進めていく考えです。 私は、県民の暮らしの安心・安全は、あらゆることの基本であるとの認識の下、公共土木施設の適切な維持管理を進めるとともに、デジタル技術等を活用し、計画的かつ効率的に点検や補修を実施することにより、日本一の安心インフラやまぐちを実現してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。
○議長(柳居俊学君) 松岡
農林水産部長。 〔
農林水産部長 松岡正憲君登壇〕
◎
農林水産部長(松岡正憲君) 企業による農業参入の促進についてのお尋ねにお答えします。 小規模経営が多く、集落を単位として展開されてきた本県農業を持続的に発展させるためには、地域を支える担い手の確保が重要であることから、これまで新規就業者や中核経営体の育成に積極的に取り組んできたところです。 こうした中、本県においては、担い手の減少や高齢化が進み、今後の地域農業の活力低下が懸念されることから、多彩な人材やノウハウ、ネットワークを有し、持続的農業の実践や地域雇用の維持・増進等が期待できる、企業による農業参入を促進していくことが重要です。 このため、農業を志向する企業がスムーズに参入し、定着・発展できるよう、事前相談から就農に至るまで一貫して支援するとともに、企業参入における大きな課題である技術習得等へのサポートを強化することとしています。 まず、一貫した支援については、企業からの問い合わせに適切に対応できるよう、市町や農業経営支援センター等と連携した相談体制を整備します。 特に、企業による農業参入に当たっては、その地域の理解や協力が不可欠であることから、参入前の段階で双方の話し合いの場を設定するなど、企業と地域が協力・連携できる仕組みを構築します。 また、参入の形態には、企業自らによる経営のほか、農作業受託や既存法人への出資等、様々な形があることから、適切な方法を選択できるよう、必要に応じて司法書士等の専門家を派遣するなど、企業に寄り添った対応を行います。 さらに、農地中間管理機構等を活用した農地の集積や、国や県事業の活用により、経営規模に適した機械・施設等の整備を支援します。 次に、技術習得等に向けたサポートの強化については、地域の特性に応じた栽培品目を選定できるよう、農林水産事務所やJAを交えた検討を行った上で、農業大学校の社会人研修制度の活用等により、技術習得や資格取得の支援に取り組みます。 県としては、本県農業を新たな視点で活性化できるよう、市町やJA等の関係団体と連携しながら、地域の重要な担い手となり得る企業の農業参入を積極的に促進してまいります。