そういった観点で見ていきますと、今の時代を臨時的な対応ではなく、しっかりと未来につなげていけるような対応にしていただいて、しっかりと高単価でも稼いでいけるものを、
地域の
事業者であり皆様にしっかりと
受入れ体制を含めて整えていただく、そんなモデルがうまく回り始めている事例が全国でも生まれつつございますので、後ほどそのような事例に関してもお伝えしていければと考えております。
あと、私ども、先ほどお伝えしました流通、販路といった観点で見てまいりますと、世界、国内のいろいろな流通チャネルといったところの接続、展開のお
手伝いをさせてもらっています。国内外で、特に海外で見てまいりますと、世界の主要な旅行客が使うチャネルと接続をさせてもらうところであり、そして、
広島の潜在性で見ていきますと、
欧米豪の
方々におきましても、これまでも数が非常に多かった中で、より単価が高い富裕層であったりとか、あるいは特別な
テーマ性を持ったような
方々といった需要は、まだまだ伸び代があると考えております。
広島においても、我々が着地型の商品造成をこれまでもお
手伝いしてきた中で、一定数の
滞在性アップにはつなげられているかと
思いますが、伸び代という観点、また、より富裕層、あるいはアドベンチャーツーリズム、サステナブルツーリズムというキーワードに興味を持ってくれる
方々の観点で見ていきますと、日本で見ていくと、北海道、あるいは熊野古道等々がそういったものの成功事例とされつつある中で、
広島は、そこがまだまだ狙える余地があるといった実感がございます。そういったところ、そして、より海外のネットワークを含めて、つなげていけるかといったところは一つの伸び代だと考えております。
そのような観点で、
全国各地でお
手伝いさせていただいており、あと、弊社からいたしますと、
広島オフィスには現在7名の常勤スタッフがおりますが、
全国各地のオフィスに拠点を構えながら動いております。ふるさと
広島もそうですし、今日も幾つか全国の事例をお伝えしていきます。やはり、全国のネットワークや、世界の事例を知る中で、
広島らしさをいかに客観的に見ていけるかというところで、引き続き個人的にも貢献していければと考えております。
では、今日の
テーマとして掲げさせていただいておりますサステナブルツーリズム、サステナブルという観点における世の中のトレンドの変化をお伝えしてまいります。
まず、これまでの旅のトレンドを見ていきますと、ある種
インバウンドが起死回生策のように語られてきた中で、
インバウンドをいかにやるか、どこの
地域も手がけてこられたところはあるかと
思います。これは、
広島においても一定数成功してきた中で、
広島は
インバウンドだけというところではなかったので、そこの大きな弊害はなかったかもしれませんが、私の出身である廿日市の宮島で見てまいりましても、オーバーツーリズムというキーワードに代表するような、人は400万人来てくれるけれども、実際に使ってくれているお金は少ない、写真だけ撮って、昼御飯だけ食べて帰ってしまうといったものが本当に
地域にとってよいのかという課題が上がっていたかと
思います。写真映えだけではなく、実際消費にいかにつなげるかであり、あと、国内客を見ていきましても、なかなかリピートしてくれない。団体客が一度来てくれればいいというところで、500円や1,000円の何らかの商品を作って、30分、1時間そこら
滞在してもらえればというところをこなすようなモデルになってしまい、
地域の未来としては、それがよいのかという課題が上がったと
思います。
あと、体験がキーワードで言われてきた中で、これも修学旅行向けの体験になって、
地域の
滞在、そして
地域のファンになってもらう仕組み・
仕掛けができたかというと、そこも含めて課題が上がっておりましたのが
コロナ前といったところです。課題はあるものの、
インバウンドであったりのお客さんが来てくれていたので、なかなかそこは変え切れない状況があった中で、この
コロナに直面した際に、新たな需要として一気に変わってきておりますのが、この右側記載の新需要といったところになります。
やはり、多くの方がなかなか外に行けない、あるいは集まれない中で、誰かを応援したい、誰かとつながっておきたい、自分の居場所が欲しいといった需要も生まれてきています。また、意味であったり意義を求める。単純に消費して終わりではなく、自分の限られたお金をどこに使うかというところに対して、そこの使い勝手であったりとか、それが誰かを応援しているか、これが意味あるものに使われているから私にとっても人生が豊かになるという
価値観というものも変容しているかと
思います。
そして、サステナブルでありレスポンシブル、このキーワードは
コロナ前からも言われつつありましたが、まず、サステナブルというキーワードを見ていきますと、国連においては2005年からサステナブルツーリズムの促進が必要だということがうたわれておりました。SDGs等の文脈で、2015~2030年までの15年間の目標でSDGsが上げられているかと
思いますが、観光産業に関しましても、SDGsだから取り入れればいいではなく、しっかりと観光こそが、住んでよし、訪れてよしというキーワードもありますように、いかに
地域の持続性に担保しながら、観光、
地域づくりといった形で
地域の皆さんの未来につながる要素をつくれるかどうかといった価値文脈がより求められてきておりますのが
コロナ禍における一つの価値変化だと考えています。
これは、世界的にも加速している中で、もう一つのキーワード、レスポンシブルツーリズム。シンプルに申し上げますと、レスポンシブル、日本語訳いたしますと、責任あるツーリズム。観光客の
方々もそのまちにお邪魔させてもらうからには、単純に私は、お客さんだから、お金を払っているのだから何かしてくださいではなく、観光客も
地域づくりに対して積極的に参加したり、エコに対して参加するといったところで、参加することに関しても
価値観として理解して、やりたいといった需要も上がってきているのが昨今の一つの需要であります。これは、国内においては芽生え始めている需要でありますが、世界の文脈で見ていきますと、ここがスタンダードになってきております。
特に
広島は、これまで受け入れておりました
欧米豪の
方々の価値文脈で見ていきますと、サステナブルでありレスポンシブルな対応ができていない企画は、いけていないから私は選ばない。3年前とか4年前の時代ですと、サステナブルであると、いけているという
価値観だったのに対して、今は、それができていないなんてナンセンスだから選ばないという価値文脈に大きく変容しているのが、昨今の
コロナ禍におけるトレンドでもございます。
そういった観点で見ていきますと、
広島のいろいろな
滞在といったところを、SDGsであるとか世の中のある種、はやりだから対応しておかないといけないではなく、未来に対する投資であり、自信を持って
地域の未来のためにそういった
受入れ体制をつくっているといったところも必要となってきているかと考えております。
そして、宿泊施設、
広島にもいろいろなお宿があるかと
思いますが、全国のトレンドで見てまいりますと、
広島の宿の単価はまだまだ上げていける余地があると考えています。シェラトンもできて、ヒルトンも間もなく出来上がるといったところで、
欧米豪の一定数単価が高い宿も出来上がってきているイメージもあるかと存じますが、ヒルトンやシェラトンは中の上レベルというところです。世界の客層をレベル化いたしますと、まだまだ上位のホテルやブランドを、単価の高い
方々は求めているという観点で見ていきますと、やはりこの
広島、瀬戸内かいわいにおいて、そのようなものはまだまだ需要としても上がってくると
思います。そういう単価の高いお客様は、より
滞在を求めるといったところでもありますので、何らかの
滞在性をきちんと上げていく。それは交通であり、ガイドであり、いろいろなものが連携した企画が出来上がったりしますと、
広島が
滞在拠点として、ある種、瀬戸内のイメージで見ていきますと、既にリゾート的なイメージもしまなみ等々を含めて出来上がってきているところを考えていきますと、
広島に
滞在したくなる、
滞在するのだという、そんなメッセージ性であり、整備がなされると、この
コロナ後、
広島は大きな復活を遂げられるのではないかとも考えています。
あとは、
地域商社、DMCと記載があるようなもの。確かに昨今、DMOという組織は、いろいろな意味で機能し始めているかと考えています。しかし、広い単位で考えるがゆえに、バランスや
テーマ性がぼやけてしまって、本当に売れるものを持続的に展開できているかという課題が生まれつつありますので、より狭域単位で、このような機能をつくっていけるかが鍵になっていると
思います。
さらには、プロセスエコノミーというところで、これも
コロナにおける需要の変化だと
思います。プロセス、一連の出来上がる流れに関わっていくエコノミー経済のことをプロセスエコノミーというキーワードで、これも
コロナ禍でより加速している概念です。シンプルに申し上げると、出来上がったものを消費するのではなく、出来上がるプロセスに一緒になって関わるからこそ、出来上がった瞬間、私もあれをつくるプロセスに関わったのだ、あのコンセプトに関わった、私もお金を出資した、私もアイデアを出していった、あの石垣は私もれんがを組み立てたのだというところが出来上がったりします。すると、最終的な商品が出来上がった瞬間から消費をしてくれる、あるいは応援してくれる人が構築されているという流れが期待できます。そのため、できた商品を見に来てくださいというのではなく、皆さんからアイデア等を募っていきながら、一緒になってつくり上げていくことができれば、上にあります応援団といったものの形成が可能になってくるかと
思います。
そして、お伝えいたしましたサステナブルツーリズムの文脈は、国連等も全世界的にどんどん進めていこうといった
価値観であります。サステナブル、SDGsの文脈で見ていきますと、何か17の項目があるから、それをやらなければいけないと捉えがちなところもあるかと
思います。あるいは、環境に配慮することがSDGs、サステナブルだという捉え方もあるかと
思いますが、実際に世界の文脈で見ていきますと、環境はその中の一要素といったところです。
大事なものからいたしますと、特に日本人の価値文脈で見てまいりますと、この赤のところ、社会文化的に好ましい。要は、日本人の消費で見ていきますと、環境に配慮しているから来てねと伝えたところで、なかなか日本人の消費者の心には響きづらいところがあります。それに対して、社会性や文化性、このお祭りがこのままではなくなってしまう、この農家さんが作り過ぎて困っている、だからこそ、そこを応援してねというストーリーに対しては、日本人はすごく共感し、応援したいという心が発生しやすい点がありますので、そんなストーリーであったりを組み立てることができれば、もっとこのサステナブル、共感性で
地域を応援できる流れは加速できます。
かつ、経済的に成長できる。持続性というものの中で、しっかりと稼げるというところで、そこの単価を上げていきながら、環境配慮であり、そして社会文化性という要素もしっかりと入れ込んでいけるプログラムで体制を構築できれば、もっと売れるようになっていくといったところであります。
そして、国内においては、この社会文化性という要素が大事でありますし、海外、
欧米豪で見ていきますと、環境のところ。例えば、プラスチックや使い捨てに関しては、我々もよく
欧米豪の旅行会社等をモニターで呼んだ場合に、ペットボトル一つ出すだけでも、この企画はいけていないから評価がだだ下がりするような傾向もあります。そういった観点を含めて、しっかりとした体制を組めるかどうかというのは、今のうちに
インバウンド復活を考えていく流れですと、必要となってくるポイントかと
思います。
その他、
コロナ禍で言われてきている幾つかのキーワード、ここに記載のところ等に関しては、シンプルに申し上げると、より質的なほうに
価値観が変容してきているというところです。確かに
コロナ前に戻る
価値観があるかとは
思いますが、全体文脈で見ていきますと、より先に対応したところは、
コロナ後は早期の復活を期待できる要素もあるかと
思いますので、こちらにあるようなキーワードを、より精神性であったり、ベジタリアンであったり、ホンモノ志向といったものを含めて今のうちに構築することができましたら、
コロナ後の一定の復活に期待できると考えております。
こちら、幾つか申し上げたキーワードに関して、私、観光経済新聞という業界紙に、連載枠をもらっている中でまとめておりますので、また興味のあるような
テーマがございましたら、御覧いただければ幸いに存じます。
では、この
コロナ禍において生まれてきているトレンドといったところで、全国の幾つかの事例をお伝えしてまいります。
例えば、
広島のものづくりに関しては、一つの産業になっていたかと
思います。これまで
広島においては、あまりものづくりを産業化、観光化していくことは、優先度としてはあまり高くなかったかと考えています。
我々がお
手伝いさせてもらっております新潟県の燕三条エリアで見てまいりますと、ものづくりにおけるファクトリーツーリズムといった企画をいろいろとお
手伝いしております。いろいろな職人さんを訪ねていく。職人さんが、あなたならではの包丁あるいはやかんといったものを一緒に作ってくれる。そして、職人さんのこだわりの現場に触れ合いながら訪ねていくカスタムメイド、あなたならではの企画を、1人当たり3~5万円といった単価設定で、お
手伝いしております。そのようなものに関しましても、工場からすると、職人さんも、これまでなかなか売り先、消費者と触れ合うことができなかったのに対して、このような機会でお客様と接点を持つことができたりしますと、年配の職人さんも、もっと頑張っていこう。自分が作ったものに対して、お客さんのこんな反応があるのだったら、もっと高く売ってもいいのではないか。お客さんの需要を見ていきながら、では、あなたならではのものを作ってあげるといったことを含めて、この燕三条エリアでは展開しております。
このエリアにおきましても、先ほど申し上げましたような着地型の旅行会社というものを、これは玉川堂という人間国宝の方がいらっしゃる会社を中心としながら、
地域の皆様がお金を出し合って、
地域商社、そして着地のDMC、ツアー会社もつくりながら、ガイド養成や商品化を進めておりますのが燕三条の特徴でもございます。
もちろん、これまでそのピースツアーであったりとか、あるいはいろいろな自然を活用するという歴史文化も大事だとは
思いますが、
広島はもともとものづくりが強かったことを考えていきますと、こういった観点の
仕掛けも伸び代はあるかと考えております。
これは山形における天童温泉という温泉地の事例であります。温泉地で、こちらの温泉組合があったのですが、温泉組合の機動力がなかなかないという課題に対して、青年部を中心とした
人たちが着地会社であるDMC天童温泉というものをつくられています。サクランボツアーに関して、1人当たり3,000円の料金で、朝の6時半集合という企画になっています。3,000円なので、比較的そこはリーズナブルな参加費になっておりますが、大事な点からいたしますと、6時半集合なので、お宿に泊まってもらうといったところが前提となっています。
かつ、実際にサクランボは朝採れが一番おいしいというところで、その時間にサクランボの農家さんに行って、
思いであったりを聞きながらサクランボ狩りをさせてもらうというところで見ていきますと、お客さんが、こんなおいしいサクランボは食べたことないと、もう1人5万円、10万円分のサクランボを親戚であったりお友達に発送されるというところで、宿が起点となりながら、農家さんの支援、そして
地域の消費拡大につなげるような
仕掛けにつながっておられるのがこの山形の事例であります。宿泊施設等がこの着地機能をしっかりと加速することができれば、単純に御飯だけ食べて終わりではなく、お土産であったり、いろいろな贈答用という需要につなげていける、一つの事例かと
思います。
こちらは城崎温泉、兵庫県の温泉街であります。温泉街にお客さんは来てくれるものの、なかなか回遊性がないというところに対して、ぷちたびという電動バイクツアーを展開されています。これをつくることで
地域全体の回遊性を上げることができる。よく二次交通がなかなかないというと、ではタクシープランを組もうかとか、いろいろな話も出てくるかと
思いますが、このツアーであったりをしっかりとガイド企画にしていく。こちらを見ていきますと、インスタグラムを活用した誘客を図っておられまして、エコの観点や、かわいい、シェアしたくなる仕組み、
仕掛けをつくることで、単純にレンタカーだけでいうと500円とか1,000円となるところを3,000円とか5,000円の企画にしています。
事業に着手してまだ1年ちょっとしかたっておりませんが、3,000円以上するこの企画に対して、去年の8月で月間500人以上の誘客につながっている事例もありますので、工夫によっては
地域全体の回遊性を上げていける、これも民間会社が温泉地なりで頑張っていらっしゃる事例であります。
こちらは長野蓼科エリアにおける文化プロジェクトであります。例えば、この御諏訪太鼓という太鼓を、この諏訪の神社やお寺などで奉納太鼓という形で演奏する、また、カヤックで神社に訪ねながら演奏するなどの仕組み、
仕掛けをつくっています。ここもDMCである帰ってきた蓼科というところが中心となりながら、しっかりとした
地域経営をされている中で、リゾートとして来ている別荘地のお客様に、いかに
滞在、回遊してもらうかというところが工夫できている事例であります。
これを日本人に向けてという観点、そして、団体客中心で考えていくと、単価も低かったり、同じものを提供しておけばよかったというのに対して、日本人のリピーターを狙うという観点で見てまいりますと、いかに旬を伝えていくか、いかに関係をつくっていくか、いかに本物志向で、今度はこれに触れ合いたいという企画をつくれるかというところが鍵となってくる中で、こちらの単価アップ、マーケティングにつながっている事例でございます。
コロナでも工夫をすることで、
全国各地でこのようなものが生まれてきている中で、
広島かいわいにおける、我々がお
手伝いしているものを二つほど御
紹介いたします。
これは、私の地元であります廿日市大野にあります宮浜温泉におきまして、今、宮浜アドベンチャーズという企画を動かしております。宮浜温泉におきましても、目の前に海がある、カキいかだがある、でも、そこになかなか回遊性がないという状況があったのに対しまして、宮浜温泉の皆様と一緒になりながら、ここにありますような世界一周をされたヨットを運営されている方と一緒にヨットでクルーズするツアーでありましたり、左下のものですと、カキいかだの上にプレミアムダイニングというような形で、しっかりした高級なカキや食材を食べられるスポット、HANAIKADAという形でつくられているものの上で料理を召し上がっていただくことができる。
あるいは、宮島ですと、皆さん市街地のほうしか行かないのに対して、宮島の西側にこそ価値があるといったところで、七浦巡りに代表されるように、幾つか浜や神社があるところをカヤックで回りながら特別参拝等をするといった企画を今、プロデュースさせてもらっています。結果的に体を動かしますので、皆さんへとへとになって温泉に入るというところで見ていきますと、宮浜温泉のお湯がこんなに疲れを取ってくれるのかというところの満足度アップ、そして、召し上がっていただく御飯に関しても、もう腹ぺこになった状況で食べていただきますので、満足度が非常に高い企画になってきております。これは、環境省の補助金等を活用するところをお
手伝いさせてもらいまして、宮浜温泉をいかに
滞在拠点にしていくかというお
手伝いをしている事例でございます。
二つ目は、
広島ではなく、しまなみ海道の大三島、愛媛ではございますが、同じような潜在性があるということをお伝えする事例であります。しまなみ海道で見てまいりますと、サイクリストが多く巡ってくれる、そこは既に大きな実績が上がっているかと存じます。そこに対して、この企画においては、サイクリストは、1日でさっと尾道から今治まで抜けてしまって、
地域にゆっくり
滞在してくれないという課題も生まれてきているのが現状でもあります。ただし、サイクリストが巡ってきてくれるおかげで、しまなみ海道は自転車が楽しいというイメージが既に浸透している中で、もう少し気軽に、最近は自転車の企画においても、自転車を活用しながら気軽なお散歩をするポタリングというキーワードも生まれてきています。
このような形で、農家との触れ合いやみかん狩り、大山祗神社があるところで鷲ヶ頭山の上に一緒に山登りをしていった上でおいしいコーヒーを入れてもらうといった企画等々を含めてつくっております。しっかりと
地域の
滞在時間を上げていくというところで、このような企画をWAKKAさんというお宿さんと一緒にプロデュースをすることで、こちらも単価から見ていきますと、1人当たり1~2万円という料金でも
滞在性が上がってきておりまして、やはりこれもしっかりと着地のサポートをする会社があるかどうかが鍵になっているところであります。
事例ばかりをお伝えして恐縮ではございましたが、お伝えしておきたいところからいたしますと、まとめになってまいりますが、このサステナブルというトレンドに関しましては、何かSDGsだからやらなければいけない、やらされているではなく、もう世界的な需要、トレンドでもある中で、この
コロナ禍で見てまいりますと、
欧米豪はそれが当たり前で、これまで
広島がそこに支えられていたことを考えていきますと、
コロナ後を見据えて、今のうちからサステナブルに対応していく。ただし、エコだけではなく、日本人の共感性をもらうというところも含めて、
地域の皆様も愛している、そして日本の中にも応援団がいる、そういう関係をつくっていきながら循環していくという仕組みを今のうちにつくることができましたら、もっと単価を上げていきながら、
広島全体が稼げる仕組みに持っていけるのではないかと考えております。
そして、2番目が、拠点性。
滞在拠点を、もっとお宿さんが核となりながら、先ほど宮浜温泉の事例等もお伝えいたしましたが、そういうところが1泊しに来るのではなく連泊する、あるいは、何か疲れたときがあれば、休みに行く、ほっとしに行くというところで、リピートしてもらえるような仕組み、
仕掛けを、お宿さん含めた
地域全体、狭域でつくれるか、それを回せるような組織をつくれるかも鍵になるかと
思います。
そして、最後、
広島のローカルエリアそれぞれのブランディングといったところで、
広島ブランディングはもちろん大事かと
思いますが、各
地域のイメージでありましたり、拠点性の整備。
広島には資源がいっぱいある中で、先ほど申し上げましたものづくりや食といったものについて、既にあるようなカープ、お好み焼き、カキといったものだけではないものに関しましても、もっとリブランディングをしていく。そこでは、新たなものをつくり上げるのではなく、このサステナブルな需要で見てまいりましても、
地域の皆様にとって当たり前のものが、外から見ると面白い、そして、つながりがあるからこそまた来たくなるという要素は十二分に構築できるかとも
思いますので、そのような観点でこのウイズ
コロナという時代を一つ乗り越えることができましたら、
広島が、
コロナが明けたときに、世界に誇れるまちとして、再度輝きを取り戻せるのではないかとも考えておりますので、そのような価値文脈を私からの今日の一つの事例
紹介とさせていただきます。
御清聴いただきまして、ありがとうございました。
(4) 意見交換
2:
◯質疑(
宮崎委員)
吉田社長、ありがとうございました。非常に分かりやすい説明でありました。いろいろ参考になりました。
私から、今、御説明があったお話ではないのですけれども、ふだんから思っていることを数点、お伺いしたいと
思います。
御承知のとおり、
広島県では、多くの観光客は原爆ドームあるいは厳島神社を訪れますけれども、それ以外の
地域への広がりは正直見られないわけであります。そしてまた、先ほど社長がおっしゃっていた1人当たりの観光消費額も、
広島県は全国と比較して非常に少ない傾向にあるということであります。
過去には、県内に魅力ある豊富な観光資源を有しているものの、全国にあまり知られていないことを、実に惜しいということで、まず、
広島県に注目していただくために、「おしい!
広島県」という観光キャンペーンを展開したわけであります。このときに冊子を作って、全国津々浦々にこの冊子を配布しましたが、その冊子がすごく人気で、また増刷して配布させていただいて、一定程度その
広島県の観光関連に関することは行き渡ったのではないかと認識しております。社長御自身、日本全国の
地域ブランディングに関わっておられますけれども、今申し上げた
広島県の強みと、そして「おしい!
広島県」、
広島県のここが惜しいなという部分があれば、お伺いさせていただきたいと
思います。
3:
◯答弁(
吉田参考人) ありがとうございます。
私はこの「おしい!
広島県」の冊子、入手するのが楽しみで、どうやれば入手できるのかと各所に相談しながらゲットしたぐらい、すごくいい企画であると考えております。
広島の認知拡大や興味関心というところでは非常にうまくいった中で、惜しさという観点で見てまいりますと、ある種、何かいろいろな話題性はある中で、今お話を頂戴しましたような原爆ドーム、宮島という、代表する観光地はあるものの、看板商品、あれをしに
広島に行くという
テーマ性がもっと出来上がっていくといいのではないかと考えています。
何となく
広島の場合ですと、全般に単価が低く、おいしいものが安く食べられる、また、写真映えをするようなスポットはいっぱいあるので、多くの
方々が気軽に来ることができて気軽に楽しめる状況になってしまっています。では、尾道や鞆の浦、竹原へ行ったら何をやりたいかというものに関しましては、その言葉からイメージされるような
滞在性、あそこであの御飯を食べるのが楽しみであったりという、そういったところがまだまだつくれる余地があるのではないかと考えています。各まちらしいものでいかに消費していけるか。ローカルブランディングというキーワードでお伝えしてきましたが、
事業者単独ではなく、そのエリアです。
例えば、私が出身の大野の場合で見ていきましても、カキをもっと使えないかと同級生に話をしたところ、カキ
事業者それぞれが動いていて、カキ業者のネットワークでブランディングとかはあまり動けていないという相談を、ちょうど昨日もLINEのメッセージでもらったところがあります。各エリアにおいて、資源をもう少しネットワークさせながら、あれを食べにあそこに行く、あの体験をしにあそこに行くという、エリアごとの看板商品を徹底的に作り上げていく、そんなものが出来上がりましたら、
広島は、どのまちも魅力がいっぱいある中で、まだまだ伸ばしようがあるのではないかと
思います。
4:
◯質疑(
宮崎委員) ありがとうございました。
観光課長、よろしくお願いします。
それで、私、観光というのは、これまでずっとこの観光消費額にすごく着目してきているわけでありまして、
広島県は、先ほども申し上げたように、消費額は全国と比較しても低い位置にある。なぜだろうと考えたときに、この
広島県は、大阪と博多の間にあって、ある意味通過点であり、
滞在しないということで消費額が上がらない。もし仮に
滞在すれば、宿泊費あるいは飲食費もあるわけですから、こういった消費額も上がってくると思っております。
今、
広島市内では、比較的ホテルの建設は多いと感じております。
広島にもこうした観光客が
滞在してくれる環境づくりが進んでいると肌で感じているのですけれども、仮に
滞在が増えてくると、先ほど社長もおっしゃっておられましたが、
広島で、1泊ではなくて連泊できるようなことになれば、さらに消費額は上がると思うのです。では、この
滞在を1泊ではなく連泊にしていただくことになれば、当然のことながら観光プロダクトとか
地域資源の発掘、平和公園とか宮島以外の何らかのプロダクトの造成をしていかなくてはならないと思うのですけれども、やはり観光プロダクトを造成しないといけないものなのか、あるいは外国人のように、もう伸び伸びと、何もしなくて、ただ休暇を楽しむような
滞在型があり得るのか、そこら辺はどう思われますか。
5:
◯答弁(
吉田参考人) ありがとうございます。
まず、プロダクトはしっかりと組まれていったほうがよいと考えております。やはり、いろいろなターゲットの
滞在性を考えていきますと、まだまだ、その世界各国の観光地を見ていきましても、しっかりとした、先ほど申し上げた看板商品になるようなプロダクトがあるかどうかという観点においては、
広島はまだまだ整備していけるとよいと
思います。
ただ、
滞在を考えていった際に、どのお宿を拠点にしていくか。今日、温泉地の宿を幾つかお伝えしましたが、プロダクトと宿の連携が、今、あまりなされ切っていないのではないかと
思います。やはりホテルのクラスによって皆様、
滞在の仕方が違っておられるところがあります。そこに対してターゲットのカテゴリーごとに幾つか
滞在性を決めていく。本当にゆっくりしたい方ですと、プロダクトではなく、お宿を連泊しながら、景色だけ見てお食事だけされるような方もいらっしゃいますし、実際にお宿を拠点にしながら、ヨットでもっと巡ったりとか、いろいろなものを味わいたい方もいらしたりします。
広島の場合ですと、広く多くの方に受けるプロダクトをつくっておられる印象がある中で、幾つかターゲットセグメントをしていきながら、そんな
方々はどこの宿を拠点としながらどこを回遊していくかという
テーマ性でしっかりとくくっていただく。シニアの
方々はこういうところを回っていく、カップルはこういうモデルルートを回っていく、ファミリーの子育て世帯はここを回っていくという、そのような部分がきちんとセグメントごとに商品が展開することができたら、もっと多くの
方々が
滞在、そして消費をしてくれるのではないかと
思います。
6:
◯質疑(
宮崎委員) ありがとうございます。非常に分かりやすかったです。まだまだ
広島も
滞在型が少ないので、これから
滞在型に誘導していくことで観光消費額を伸ばしていく余地が十分にあると感じました。
そして、
広島県では観光連盟で、
広島が大好きで、
広島の魅力発信に協力していただける方をひろしま観光大使として任命して、
広島の魅力を発信してもらうといった取組をやっておりますけれども、全国でこういった取組をされているところはあると思うのですが、特に社長のほうで、これは参考になるというものがあれば、教えていただければと
思います。
7:
◯答弁(
吉田参考人) ありがとうございます。私も観光大使に自分からエントリーさせていただいて、させてもらっている立場でもございます。
全国というよりかは、もったいなさという観点で見ていきますと、先ほどお伝えしましたプロセスエコノミーというところは、今、
広島の場合も観光大使に、出来上がった商品に来てくださいという展開になっていらっしゃるかということに対して、もっといろいろな応援団として、一緒になって何かをつくり上げていく。
例えば、クラウドファンディングが
コロナでどんどん浸透なり加速しているかと
思いますが、何か関わりをつくっていくというプロジェクト単位で、皆様に一緒になって携わってもらいながら出来上がっていく。そして、アイデアであったり、例えば、この農村を再生させるプロジェクトを、3年かけて、皆さんも一緒に参画してもらいながら、では草刈りから始めていこうとか、いろいろなものを皆様とつくっていく。あるいは、古民家再生も、出来上がったから来てくださいではなく、もうみんなで、ごみ掃除から始めて、一緒に壁塗りとかをやりましょうとか、そんな関わりをつくっていただいたりしますと、この
人たちが、自分がつくったものだから、自分も関わったものだからとなっていく。
私も、
広島から各地に散らばっている高校時代の友達がおりますが、
広島に関わりを持ちたいけれども、持てる機会がないというところで、何から始めようかという部分の相談はよくもらっています。そういったところに対して、応援したい、関わりたいけれどもという
思いを持っている
人たちに、こんなプロジェクトがあるから一緒に協力してねというようなものも含めて展開することができましたら、自分のふるさとでそんなのがあるのだったら応援してみようかとなったり、空き家とか興味があったから、自分もそのプロジェクトに参加してみようとなる。今ですと、そのオンライン等も含めてミーティングには入れるとか、いろいろな要素もあると思うので、そんな皆さんと一緒に関わりながらつくり上げていくというものも出していきましたら、応援団という部分が実際に動いてくれて、そして、つくり上げたタイミングでしっかりお客さんを引っ張っていってくれるように持っていける可能性はあるかと
思います。
8:
◯質疑(
宮崎委員) ありがとうございました。
それでは、最後の質問ですけれども、最近話題になっている、第74回カンヌ国際映画祭の日本映画初の脚本賞で、第79回ゴールデングローブ賞の非英語映画賞を受賞した「ドライブ・マイ・カー」という映画があるようですけれども、この撮影の大部分が
広島県内で行われたということでありました。映画では瀬戸内の島々や特徴的な橋なども登場して、潮待ちの港町として栄えた古い町並みで知られる大崎下島には、主人公が
滞在した宿があるそうでもあります。
コロナ禍で島を訪れる観光客は、現在激減しているわけでありますが、地元、大崎下島の観光協会では大手の旅行会社などから、
コロナが収束した後、ロケ地巡りガイドの依頼の問合せが入るようになったということであります。
社長御自身もこれまでフィルムコミッションの普及等に関わってこられたと
思いますが、せっかく盛り上がっているこうしたコンテンツをどのように有効活用したらいいのか、御自身の経験を踏まえて御意見をいただきたいと
思います。
9:
◯答弁(
吉田参考人) ありがとうございます。
私も20代でずっとこのロケツーリズム、フィルムツーリズムを各地でアドバイスしてきた中で、起こりがちなことを先にお伝えいたしますと、単純に、ロケ地だからロケ地マップだけ作って、その映画が公開された期間の半年ないし1年間は盛り上がっていくものの、その後衰退してくる。大河や朝ドラも、
広島でもこれまでも多く受け入れてきた中で、このフィルムコミッションのロケの誘致における逆効果も過分にあると感じております。
その観点で見ていきますと、まず現段階、この公開間際のタイミングにおきましても、しっかりとその
地域の
受入れ体制のところで、単純にこの場所で撮られたのですというマップ等だけではなく、例えば、裏話等を
地域の方がガイドで少し
紹介してくださるようなところをつくっていく。そうすると、
地域のガイドの方がロケの裏話もしてくださると同時に、例えば、この宿のこのお食事がおいしいです、ラーメンだったら、あそこに行ったらおいしいですよ、今回、春に来てもらったけれども、夏だったらイワシがおいしいよみたいな話をしてくださったりすると、ロケをきっかけに一回来た方が、ではロケだけではなくて、このまち自体に興味を持ってくれて、また来たいと思ってもらえる。そこをしっかりとやらないと、失礼な言い方をすると、ミーハーな方が一瞬だけ来て、一時的には数が増えたけれども、後につながらないという現象は全国で生まれています。
そうならないようにするためにも、来てくれた方の中の1割でもいいので、リピートしてもらうための
仕掛けを今のうちから準備しておいていただいて、ガイドの方には、あえて時期を変えるであったり、お客さんの属性に合わせたもので、今度これがあるけえ、また来んさいみたいなことを少しでも語っていただいたりすると、今度は別の目的で来よう、あるいは、今回はカップルで来たけれども、お父さん、お母さんを連れて、今度はこういう旅行でもしてみようかみたいに思ってもらえるのではないか、そういうものをやることができれば、このロケをきっかけに、次のお客さんのリピートであり、ファンにつながり得る方をつくっていけるかと
思います。
10:
◯意見(
宮崎委員) ありがとうございました。もう今からリピートしていただけることを考えた取組をしてもらえるように、今のお話をぜひとも大崎下島の観光協会の
方々にしっかりとお伝えいただければと
思います。ありがとうございました。
休憩 午後2時25分
再開 午後2時27分
(5) 当局説明
観光課長が報告事項(1)について、別紙資料1により説明した。
(6) 質疑・応答
11:
◯質疑(
犬童委員) 資料番号1について、絵姿があったら分かりやすいと思ったのですが、具体的に、こういう形のものだというものはないですか。
12:
◯答弁(
観光課長) この資料の別紙に図の提案の概要書を添付しておりまして、そこに絵姿がございます。
13:
◯質疑(
犬童委員) 進み具合はどのようになっていますか。
14:
◯答弁(
観光課長) まずはこの
事業で協議を進めてまいりまして、基本協定の締結を進めてまいりたいと考えているところでございます。
15:
◯質疑(
犬童委員) いつ頃にこれが、実の形になって現れるのですか。
16:
◯答弁(
観光課長) 現行契約の賃貸借期間が、残り3年と少しとなっております。このまま順調に協議が進めばということになりますけれども、その後3年数か月から1年間程度かけてこの整備を図っていく予定になってございます。
17:
◯意見(
犬童委員) 投資額や経営主体をどうするといったことは、これからで、今、図面がこういうもので検討が始まったということですね。具体的には、これから詰めていくということで考えているのですね。
(7) 閉会 午後2時35分
○
参考人名簿
株式会社
地域ブランディング研究所
代表取締役
吉田 博詞
発言が指定されていません。
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