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  1. 広島県議会 2017-02-03
    平成29年2月定例会(第3日) 本文


    取得元: 広島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-05
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成29年2月定例会(第3日) 本文 2017-02-22 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 28 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長宇田 伸君) 選択 2 : ◯議長宇田 伸君) 選択 3 : ◯河井案里選択 4 : ◯議長宇田 伸君) 選択 5 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 6 : ◯議長宇田 伸君) 選択 7 : ◯土木建築局長三上幸三君) 選択 8 : ◯河井案里選択 9 : ◯議長宇田 伸君) 選択 10 : ◯河井案里選択 11 : ◯議長宇田 伸君) 選択 12 : ◯土木建築局長三上幸三君) 選択 13 : ◯議長宇田 伸君) 選択 14 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 15 : ◯議長宇田 伸君) 選択 16 : ◯議長宇田 伸君) 選択 17 : ◯下西幸雄選択 18 : ◯議長宇田 伸君) 選択 19 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 20 : ◯議長宇田 伸君) 選択 21 : ◯総務局長山根健嗣君) 選択 22 : ◯議長宇田 伸君) 選択 23 : ◯健康福祉局長(菊間秀樹君) 選択 24 : ◯議長宇田 伸君) 選択 25 : ◯環境県民局長(森永智絵君) 選択 26 : ◯議長宇田 伸君) 選択 27 : ◯教育長(下崎邦明君) 選択 28 : ◯議長宇田 伸君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:         午前十時三十分開議 ◯議長宇田 伸君) 出席議員六十二名であります。これより会議を開きます。         自第  一 県第一号議案         至第四十六 報第三号 2: ◯議長宇田 伸君) これより日程に入ります。日程第一、県第一号議案 平成二十九年度広島県一般会計予算から日程第四十六、報第三号 損害賠償額の決定についてまでの各案を一括上程議題といたします。  昨日に引き続いて質問を行います。河井案里君。         【河井案里君登壇】 3: ◯河井案里君 河井案里です。自民党議員会を代表して質問に入ります。  ことしは湯崎知事二期目の最終年度であり、この秋にはまた知事選挙があります。この八年の間に何が達成され、何が変わったのでしょうか。少なくともバブル期以後の我が県が直面してきた課題は、広島は地域間競争を勝ち抜くことができるのかということであったと思いますが、湯崎県政に入り、地域間の競争を勝ち抜くという発想そのものが鳴りを潜めています。  現在、広島県の県政運営方針は、欲張りなライフスタイルの実現ということであります。女性誌のサブタイトルみたいですが、紛れもなく広島県が掲げるスローガンです。現在提案されている県の来年度予算案の説明資料では、これまで経済発展のための産業政策と言われてきた分野も、県の考え方によって、県民一人一人の経済的ゆとりをつくり出すための施策として再編されています。  欲張りなライフスタイルの実現という政策スローガンが採用されたことは、広島県行政が個人の充足に政策的焦点を当てていることを示していると言えます。産みたい人は産めるように。働きたい人は働けるように。県行政は、県民それぞれが個人的充足感を得ることを政策の最重要課題として位置づけたのです。このことは、県政史に残る行政の価値観の大きな転換だと思います。思いますが、私は、地方政府の考え方として、それが妥当であると考えることはできません。  国でも地方でも、政府というものは、市民、国民のため国益のために他の国や地域に勝つことを目標として常に戦っていなければならないものではないでしょうか。ちなみに、ゆとり教育が失敗したように、行政はゆとりなどということを目標にすべきではないとも考えています。今の県政目標では、二番じゃだめなんですか、もう既にゆとりがあるのにという批判に応えることはできません。  私がこれまで本会議の場で幾度も指摘をしてきたのは、湯崎知事が進めてきた事業の多くが特定の個人、限られた人々に対する援助であるということでした。ファンド事業もそうですし、お見合いパーティーもそうです。今度、大崎上島につくろうとしている新しい学校もその一つと言えるでしょう。これらは、ごく一部の人に対しての投資なのです。これは知事の哲学によるものかもしれません。個人主義であり、その実現の手法は限られた一部の人々に対する投資である。これが、湯崎県政八年間の特徴ではないでしょうか。  知事のこうした考え方は、県行政に大きく影響していると思います。今、広島県では、社会の制度的欠陥に直接作用するような根源的で骨の太い政策が打ち出されることはほとんどなくなりました。  例えば、知事は御自身が育児休暇を取得されるなど、女性の活躍促進と働き方改革に理解を示しておられます。しかし、その実現のために県が提案するのは、企業のトップが育児への理解者であると表明するイクボス宣言の普及と県内数社をモデル企業として専門家にアドバイスをもらうこと、意識啓発のシンポジウムの開催などです。これらの事業に世の中を変える力があるでしょうか。  出産した女性が仕事を続けたくても会社をやめて家庭に入ってしまうのは、何も、家庭内で夫が家事に対して無理解だということが最大の理由ではありません。県は、欲張りなライフスタイルとして、働く世代の夫婦にとにかく頑張れ、仕事も家庭生活もどっちも欲張って頑張れと後押ししていますが、そんなに欲張る必要はありません。忙しければ家事は外注してもよいのです。むしろ、諸外国のようにメイドさんを雇って家事を外注するには、我が国では費用が余りにも高過ぎることが問題なのです。そして、中小零細企業では育児休業の社員を休業中のまま抱える経営体力がないこと、離職した女性の技能水準を維持するための教育制度の不備、離職者が再就職するマーケットが整っていないことなど、私たちの社会の制度的な未熟さや欠陥が女性の労働市場への復帰を阻む原因となっています。政策というものは、こうした社会の問題を取り除くためにあるのではないのでしょうか。  現在の広島県は、政策的な物の考え方を放棄しています。イクボス宣言、結構なことです。お金も全くかからないし、誰も反対しません。どこにも波風が立ちません。そのかわり、政策的効果も全くありません。調整が必要なことには手をつけず、皆が反対しないことにしか取り組まない。本来、制度を改革して社会を変えることこそが政治家の仕事なのです。私には、今の県政がとても生ぬるいものに思えます。  今、県が行っている投資の多くは、後の世に残るでしょうか。限られた特定の人に対する補助金、広告費を手厚くすることでつないできた観光プロモーション、イベントや各種シンポジウムの開催といったお祭りの終えんとともに泡となって消えていく投資の数々。このような投資を続けてしまっていては、後世の人々が湯崎知事の時代を思い起こしたとき、あなたの実績は何も残っていないのではないか。知事は、今こそソフト・ハード両面において資本の蓄積を行うべきではないでしょうか。  知事は、県民個人の理想的な生き方についてのイメージは持っていても、将来の広島県の姿についての御自身の展望をいまだ県民に示していません。どのようにして地域間競争に勝ち残るかというビジョンと戦いの行程表を示し、制度や地域に網をかけて投資を行っていくべきであります。  そこで、質問の第一として、物流機能の強化について伺います。
     昨年、知事が宇品へのサッカースタジアムの整備について前のめりの発言をし、港湾関係者からの大きな反発を受けた一件は、知事初め、県の港湾部局における物流機能への意識の程度を象徴する出来事であったと言えます。  当時、出島地区を仕事場とされる関係者の皆さんから上がった声を一言であらわせば、出島で仕事をする者にとって集客施設は邪魔であるということでした。この声を港湾管理者である県はどのように受けとめているのでしょうか。折しも県では十七年ぶりに港湾計画の見直しにかかりました。来年度末までに計画改定を完了するとして、広島港宇品・出島地区基本構想検討会を開催し議論を行っています。  この見直し検討会において県が示している案は、埋立地を五つのブロックに分け、旅客ターミナルのある第五工区を緑地にし、出島の中央に位置する第三工区の南東側には約二ヘクタールの大型客船用の岸壁を建設するというものです。しかし、御承知のように、一昨年、四千五百人乗りの大型客船が五日市に入港した際には、ひどい交通渋滞を起こしてしまいました。客船を港湾物流の中心である出島に接岸させるとなると、出島において物流の定時性が損なわれる事態を招く可能性があることを、県は全く想定していないのでしょうか。  なおかつ、一方で県は物流機能を充実させる目的で倉庫や荷役用地を整備するとしています。大型客船用の岸壁の建設と創貨、つまり貨物用地をつくるということですが、その二つの整備計画は盾と矛のように相対立するものではないのでしょうか。  検討会の議論の中でも、にぎわい機能と物流機能の両立という考え方について、出席者から非常に幅広い意見が出ています。このような会議の場でさまざまな意見が表出しているのは、そもそも広島県の経済発展のためにどのような物流機能を備えるべきかということについて県が明確な将来像を提示していないためです。  そこで、まず確認させていただきたいのですが、港湾部局は、広島港を神戸港と下関港の間に位置する瀬戸内の代表的なハブ港として大きくしていくのだというお考えはあるのでしょうか。  その上で、広島港が瀬戸内のハブとしての地位を確立するに際しての大きな問題点があります。それは、さきに述べたように、港のにぎわい機能と物流機能の両立は可能なのかということです。確かに港を集客施設として再開発することが全国的に流行した時期もありました。ちょうどバブルのころです。広島県は、いまだにバブルの夢を見ているのではないでしょうか。出島の一角には、まさにバブル時代に策定された港湾計画に基づいて国際展示場などを建設するためのメッセ用地が確保されています。これは現在、メッセ・コンベンションホールなどが建設される予定もないまま市の所有地となっています。  大型客船のための岸壁建設という計画とあわせて港ににぎわい機能を持たせるということであれば、物流との両立をどのように図るつもりなのでしょうか。  大型クルーズ客船の岸壁の建設を提案しているのは県ですが、この地域を仕事場としている港湾事業者の方々からは、にぎわいと物流、二つの機能の両立は不可能であるという意見が出ています。なぜ、このように見解が分かれるのか、県は港の実態を把握しているのでしょうか。  そこで、お伺いします。サッカースタジアム建設問題が浮上したときにも港湾事業者の方々から提起された、出島において集客機能と物流機能を両立することは無理という問題意識を県はどのように受けとめ、今回の港湾計画の改定にどう反映させようとしているのでしょうか。  また、港湾計画見直し改定のための検討会においては、実際に港を利用する当事者の意見は尊重され参考とされるべきと考えますが、彼らの意向に反して大型客船用の岸壁の建設を提案しているのはなぜなのでしょうか。県が出島に集客施設をつくることにこだわっているのはどうしてなのか、お答えいただきたいと思いますし、大型客船が寄港しても五日市港のような交通渋滞は生じないと考えておられる根拠についても教えてください。  そして最後に、サッカースタジアム建設構想以来、港湾管理者である県と港湾事業者との間に生まれた認識のずれは埋まっていないのではないでしょうか。県は、港湾関係者との信頼関係構築のためにどのような努力をされていくのか、知事にお伺いします。  広島港を瀬戸内のハブとするには、出島ターミナルにできるだけ多くの物流を集約させ、その利便性と機能を高めることが何よりも大切です。現行の港湾計画において、出島の三十ヘクタール余りの用地を物流のために整備するという県の判断は賢明です。ターミナルの後背地でコンテナ詰めの作業を行うことができれば、ほかの県からの荷物も呼び込むことができます。  その意味で、今後、海田コンテナターミナルについても、出島に集約すべきではないかと考えます。広島港は出島と海田の二つのコンテナターミナルから成っていますが、中国・四国地方の中で唯一、水深十四メートルの岸壁を備え、五万トン級の船舶の入港が可能な出島地区に比べ、海田のコンテナターミナルは手狭です。しかし、県は、海田コンテナターミナルの後背地にはマツダの倉庫があることから、内航貿易専門の港として今後も存続させていきたい意向であると伺っています。  しかし、実際には海田コンテナターミナルに隣接した場所はバンニングセンターと呼ばれる作業場であり、そこではマツダのほか各部品メーカーからの荷物が集められ、コンテナ詰めが行われています。そのため、空のコンテナを出島ターミナルからこのセンターに向けて運び、荷物を詰めた後は再び海田と出島の二手に分かれてコンテナを運ぶという二度手間が生まれています。このコストを省くためにも、市が持っているメッセ建設予定地を活用して出島の後背地にこのバンニングセンターを建設するとともに、海田ターミナルを閉鎖すべきです。  出島へ機能を集約し出島コンテナターミナルの中と後背地で作業を完結させることにより、作業コストは下がり、広島港の競争力は高まると考えますが、海田ターミナルの閉鎖と出島への集中について、県はどのように考えているのでしょうか。  出島に物流機能を集約し広島港をコストの低い競争力のある港とするために、やはり、大型客船のような集客機能は港の競争力を阻害するものと位置づけざるを得ません。物流業者の団体が提案しておられるように、大型客船の入港先を広島港ではなく宮島にも近い廿日市港とし、木材船と大型客船用を兼ねる岸壁を建設すべきであると考えます。  果たして、県は、広島港を瀬戸内のハブ港として育てるために、どのような戦略を持って地域間競争を勝ち抜いて行くつもりでしょうか。そして、その際に、海田ターミナルや廿日市港のあり方については具体的にどのような整理を持っておられるのか、知事にお伺いします。  ここまで、今、県政には、競争力を高めるための戦略性がないのではないかということを申し上げてきました。  かつては、広島県総合物流効率化ビジョンというものが策定されており、産業政策的な視点で我が県の道路、港湾、空港などの物流インフラの総合的な整備のあり方を議論する素地がこの広島県庁にもありましたが、現在は、そのような計画もありません。  現在、我が県の物流機能の向上についての総合的な方向性の策定や判断は、どこがどのような体制で担っているのでしょうか。また、現在のような組織体制で複雑な物流全体をマネジメントしていくことができるのでしょうか。今後どのように取り組んで行くおつもりか、あわせて知事に伺います。  質問の第二は、広島県の産業競争力の強化についてです。  冒頭で私は、県は限られた人を対象とした投資を行っているが、それを見直すべきではないかと申し上げました。なぜならば、それは後に残らない、そして、他に波及しないからです。しかし、知事は、特定のすぐれた人や企業へ資本を注入すれば、その人たちが頑張ってくれて、いずれは広島県全体にその投資の効果が及ぶとのお考えなのだと思います。その最たるものが、平成二十三年に設立したひろしまイノベーション推進機構による県内企業への投資、いわゆるファンド事業でした。  県費四十億円、民間金融機関などから六十億円をそれぞれ集め、百億円の規模で、まさに鳴り物入りでスタートしたこのファンド事業は、広島県内に雇用の創出や所得の拡大を図ることを目的としていました。  しかし、スタートから六年がたった今、ファンド事業の最終的な成果は、投資を行った企業二件の株式を広島県外の他の企業に売却したことです。最初の投資案件であったオー・エイチ・ティー株式会社の株式の全てが横浜と広島の会社に売却されたことについて、県は、十億円の投資で二十七億円の株式譲渡ができたことを評価し、オー・エイチ・ティーの事業内容が譲渡先企業の強みと相まって、今後も成長していくであろうと展望を描いています。  しかし、これが当初の目的だったのでしょうか。一般的に投資ファンドというものは、確かに、有望ではあるが今現在低迷している企業に投資を行い、軌道に乗せて、高値で売り飛ばすという性格のものです。だから、一部では投資ファンドのことをハゲタカなどと呼びます。しかし、県はこの事業開始のとき、県の設立するイノベーション推進機構に限ってはハゲタカなんかじゃない、ハンズオンという、推進機構のスタッフが投資先企業に入って経営陣や社員と一緒に苦労を分かち合う方法をとるのだと説明していたはずです。そして、小さな町工場がパナソニックやソニー、トヨタに育ったように、地域経済を牽引し、いずれは一つの産業集積をつくり出す大きな企業に成長するのだという夢が描かれていたはずなのです。ところが、税金を使って投資が行われた会社の株式の全てが、他の企業、それも他県の企業に売却されていったのです。このてんまつをこの事業が始まったときに予想していた県民がどれほどいるでしょうか。  もうこれで、オー・エイチ・ティー株式会社、そして同様にファンドから出資を受けたものの大阪の企業に株式譲渡された株式会社サンエーは、県のハンドリングから全く離れました。これらの元投資先企業が、今後、リストラされようが、さらにほかの会社に売却されようが、一切、県がかかわる余地はありません。これが普通の投資案件ならば、それぞれの会社の経営判断として十分尊重されます。しかし、これは県民の血税を投入して行われた投資なのです。県民の皆さんが汗水垂らして働いてやっとの思いで納めた税金が、自分の勤務先でもない全く関係のない会社の投資に回され、最終的にその会社は他の企業、しかも県外の企業に売却された。そんなことになっているともつゆ知らず真面目に税金を納めてくださっている県民の皆さんを思うと、私はこのファンド事業の結果に心から憤慨せずにはおられません。  知事のこれまでの任期中、このファンド事業は一番と言ってよいほどの大きな目玉政策でした。  そこで、お伺いします。イノベーション推進機構による一般企業への投資は、納税者に対してどのようなリターンを与えることができたのでしょうか。そして、その上で、ファンド事業は当初の思惑どおり進んでいると知事は考えておられるのでしょうか。このファンドのこれまでの成果についてどのような認識でおられるのか、お答えください。  広島県という決して大都会ではない地方自治体に、何か新しいことをしたい、新しい価値をつくり出して広島を大きく変えていきたいという知事のお気持ちは、私にもよくわかります。それだけ広島には閉塞感があるということです。この閉塞感がどこから来ているのか。その最も大きな原因が、来るべき人口減少社会です。  消滅自治体というセンセーショナルな言葉とともに、地方の人口減を地方創生によって食いとめようというのが国の考え方です。  地方創生の号令に従って、日本全国の各自治体が一斉に東京からの人材の呼び寄せに取り組み始めました。東京には人がたくさんいる。優秀な人も多いに違いない。そんな発想で、広島県でも東京の専門家に地元の経済人がレクチャーを受けるとか、首都圏と県内中山間地の若者を交流させるといったような事業を幾つも行ってきました。また、国でも、東京に立地している大学を地方に分散させようという声が上がっていると聞きます。このような東京を切り崩せば地方が豊かになるというような考えは、本当にナンセンスです。なぜ、東京に人や企業が集まり大学が立地しているのか。それは、東京に立地することにメリットがあるからです。地方がみずからその地域のメリットをつくり出すことに心血を注ごうともせず、都会もんが来さえすれば地域の魅力をつくってもらえるというような他力本願の発想は、もうやめようではありませんか。  地方創生とは、人と資本を引きつけるための地域間競争です。しかし、国も競争という考えを持っておりませんし、広島県も欲張りライフなどと悠長に構えています。広島県に必要なのは、他の地域にはないオンリーワンの成長の種を育てることです。それこそが競争力の源泉となります。しかし、広島県は、将来に対して全くの無防備であり、戦略性がありません。  将来のために、私たちは今、何をするべきでしょうか。一つには、企業が広島県に立地したいと思える環境をつくり出すことです。  人口減、後継者不足に直面している既存産業の体力を強化するためにも、立地する企業の生産性を上げることに着手しなければなりません。労働生産性は、従業員一人当たりの付加価値額であらわすことができますが、現在、広島県の従業員一人当たりの付加価値額は四百五十二万円で、全国平均である四百九十四万円を一割近く下回っています。特に生産性が低いのは農林業、建設業、卸・小売業などの非製造業分野であり、これらの分野で生産性を上げ、採算がとれる職種として育て直す必要があります。そのためには、中小零細企業であっても情報技術を導入させることによって業務の効率化を促すことです。一方で、不採算の会社については、積極的に合併させることで会社の担い手を確保できる状況をつくり出すべきと考えます。  そのために、企業合併を推進することを目的とした個別の企業向けの税制上の優遇措置を設ける必要があります。それと同時に、生産性向上については、情報技術の導入による作業の効率化を促すよう政策的な誘導を行うべきであると考えます。中小零細企業の事業主各自が勉強し、それぞれの会社の運営に情報技術を導入することも必要ですが、それ以上に、行政としては、それぞれの業界が資材調達や商品の流通、生産、設計などにおいて各業界内で共通するシステムを構築できるよう支援すべきだと考えます。  果たして県は、人口減少社会における我が県産業の生産性向上に対してどのような施策を講じていくのか、知事にお伺いします。  知事は、イノベーションという言葉を多用されます。そして、まるで木々が次々と新芽を出すように、新しい事業が次々と生まれていく環境、イノベーション・エコシステムをこの広島にもつくり上げていくことを打ち出しておられます。これらは、広島県が他県との競争を勝ち抜くために、最も重要な概念の一つであることは間違いありません。  しかし、具体的に県が行っていることは、会社を興したい人たちが集まる場所をつくることや、広島出身の創業者と創業を希望する人たちの交流イベントの開催などです。広島県は、イノベーションをどういうものだと思っているのでしょうか。  また、ここ数年、県は、医療関連産業や環境浄化産業の産業集積地をつくることを目指してきました。現在、県が取り組んでいる医療関連産業クラスター事業では、医学と工学の連携を図るとして、ひろしま産業振興機構と広島大学が中心となって支援体制を組んできました。平成二十二年度以降、むくみ対策の靴下や背筋をトレーニングするボールの開発など、各企業による製品開発が行われており、平成二十五年度には生産額が目標の百二十五億円、企業数も取り組み前から比べて新たに七社ふえたとのことで、一定の数字は上がっています。しかしながら、現在の状況は、個々の中小企業が商品開発を活性化している状況、つまり、発明──インベンションにすぎません。知事の掲げるイノベーション・エコシステムとは、オンリーワンの研究や技術を基盤として誕生したベンチャー企業が世界的企業に成長し、その地域にさらなる資本を呼び込んで行くという夢物語のような経済循環のことではないのでしょうか。  この夢のような話は、アメリカ西海岸の大学街で実際にIT企業が生まれ、成長していった過程でもありますが、今まさに、それと同じような成功を現実にしようとしている地域が、この日本にもあります。山形県鶴岡市です。  鶴岡市は今や、世界最先端のバイオ研究の拠点の一つとなりました。そこで現在進められている研究は、人の細胞や組織からがんの診断を行うといったメタボローム解析技術、そして、これまでNASAやアメリカ国防省が実現できなかった人工クモ糸の生成でありますが、これらの最先端の技術の研究、そして商品化を求めて、多くの研究者や企業が鶴岡市に集まり、そこからまた新しいベンチャー企業が派生していくという好循環が生まれつつあります。  鶴岡市は農業に頼る地域であり、山形大学の農学部が置かれていましたが、一九九〇年代中頃、農学部が他の地域に移転するという問題に直面し、外部から慶應大学を引っ張ってきたのです。生命科学分野において鶴岡市は全くのゼロからの出発であったにもかかわらず、当時の市長の明確なビジョン、山形県と鶴岡市による研究所への百二十億円以上もの継続的な財政支援、国の各種制度の上手な活用、そして、何より研究所のディレクターである富田教授の熱意と研究者の高いレベルなどの要因により、現在の快進撃が生まれたのです。  恐らく、湯崎知事が当初思い描いておられたのも、鶴岡市のような研究と経済の循環だったのではないでしょうか。知事は、現在のような県が行っているイノベーション関連事業の内容、そしてまたクラスターの構築を目指すはずが、各企業における単発の商品化にとどまっている状況に、果たして満足しておられるのでしょうか。  知事が頻繁に口にされるイノベーション・エコシステムの構築は、現在のところ成功していないと感じますが、知事はどのように判断なさっているでしょうか。  私が問題視しているのは、イノベーションを起こすという知事の心意気が成功していないことだけではありません。それ以上に、私は県の商工行政の意義を問うているのです。今まで、県は何十年も同じことを繰り返しています。自動車産業に依存するばかりではいけないというかけ声で、これまでにもさまざまな試みを続けてきました。そして、まだ試み続けています。いつになったら結果を出せるのでしょうか。広島県も鶴岡市のように、バイオクラスター事業に取り組んだこともあります。しかし今、そんな事業はまるでなかったかのようです。  失敗を恐れるなと、県は起業家に言います。しかし、事業の失敗を認めることを最も恐れているのは、商工労働局ではないでしょうか。行政は、事業を提案したら提案しっ放しで、本質的でもないデータをどこからか引っ張ってきて、目標を到達できたと自画自賛します。なぜ失敗したかの原因は、全く分析しません。けれども、失敗の検証を行うことは、決して恥ずかしいことではないのです。  特に、知事の掲げるイノベーション・エコシステムは、先ほどから申し上げているように、単にそれぞれの企業が商品開発を行うことではないはずなのです。イノベーション・エコシステムを実現するためには、知識の柱が必要です。しかし、現在進められているクラスター事業は、基礎となる研究成果を中心として組み立てられたものではなく、その結果、個々の中小企業がてんでばらばらに、それぞれが持てる技術の範囲で商品開発を行うことしかできていないのです。県は、この状態を一体どう考えているのでしょうか。  どこに原因があるのでしょう。研究は大学研究機関が担うべきものです。今まで広島県は、広島大学とともに産学連携を行っていますが、広大と県との連携がよくないのでしょうか。それとも、研究を統括しそれを運営する体制がよくないのでしょうか。そもそも知事が明確なビジョンと熱意を示していないのでしょうか。はたまた、大学の研究のレベルが産業集積の柱となるだけのものではないのでしょうか。一つ言えるのは、産学連携を仕掛けるには、全くの自由放任では決して成功しない、社会主義経済のように、ある程度の計画とゴールを参加者たちに与えなければならないということです。その意味で、広島大学がクラスター形成において役割を果たすことができないのならば、鶴岡市のように、県が明確なゴールを定めた上で、海外を含む外部から県の意図をくむ新たな教育機関やディレクターを我が県に連れてくることも検討すべきではないでしょうか。  クラスターの構築、イノベーション・エコシステムの創出において、最も障害となり、問題となっているものは何だと分析しておられるのか、それをどのように解決していくのか、教えてください。  そしてまた、ファンド事業やイノベーション・エコシステムといった、知事みずからが唱えてこられた政策が十分な成果をいまだ出していないことの原因は、商工行政のどこにあるのでしょうか。知事はどのように商工行政へのてこ入れ、改善を図っていくおつもりであるのか、お聞かせください。  昨年十一月、リニア中央新幹線の工事がいよいよ開始しました。早ければ二〇三七年には、東京─大阪間を六十五分で結ぶことになります。  あと二十年のうちに、東京と大阪までの一帯が巨大な商業圏をつくります。地震さえ来なければ、この地域が日本経済の中心となり、資本がより一層集中するのは間違いありません。  しかし、一方で、この広島のように開発から外れた地域の人口や活力は、恐らくこの巨大商圏に吸い取られてしまいます。そうなれば、現在、県内の中山間地域が直面している人口減少問題は、広島県全体の問題となってしまいます。二十年後を見据えたときに、広島県が中核的な地域として生き残っているためには、今のうちに知識産業を確立し、ほかの地域がまだ手をつけていないオンリーワンのプロジェクトを進めていかなくてはならないと私は考えます。  例えば、これから人工知能──AIが私たちの生活環境のあらゆるものに組み込まれていきますが、AIがどのように私たちの生活を変えていくのかは全く未知の状態です。  そこで、限界集落を抱える県内の自治体をモデル地区とし、さまざまな領域の研究者や技術者と地域住民とが協力して、住民生活を幸せにするためにはどのような技術が考えられるかということを、規制を一切考慮せずに自由に発想し、そして特区制度を活用しながら実用化を目指すというプロジェクトを展開するなどしてはどうでしょうか。  先ほどの鶴岡市は、人口十三万人、予算規模六百五十億円程度の自治体ですが、あれだけのことができています。鶴岡市の熱意を国と県とがサポートしたからこそ、なし得たことです。しかし、現在、我が県の市町の多くは、新しい事業に取り組む体力さえ失ってしまっています。県は、地域のことは地域住民の主体性に任せるという現在の姿勢を転換し、持続性のある事業を県と市町が一体となって考え、実行する体制を整えていただきたく思います。そして、知事には、広島県が将来にわたって勝ち残っていくための戦略をぜひとも県民に示していただきたいことを要望し、自民会の代表質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 4: ◯議長宇田 伸君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 5: ◯知事湯崎英彦君) まず、出島の集客と物流の両立及び港湾計画改定に係る意見反映についての御質問でございますが、その前に、私の政治信条を一言申し上げておきます。  私は、人民の人民による人民のための政府ということを信じておりまして、行政は、究極的には、一人一人の住民を幸せにしていくことが目的であると考えております。国家や県といった行政が、個人の幸せとは無関係に競争を行っていくという考えとは相入れないということは、大変残念なことでございます。  さて、広島港は、神戸港と下関港を含む関門港という日本を代表する港湾の中間に位置し、中四国地方を代表する国際拠点港湾として、これまでも外貿コンテナの利用促進に向けた物流機能の強化に取り組んでまいりました。  また、今後も将来にわたって、背後企業の産業活動を物流面で支えるとともに、人が集まり、にぎわう拠点として、地域経済と都市の発展に貢献する港として、さらに機能を強化していく必要がございます。  近年、広島港では、コンテナ船の大型化の進展、クルーズ客船の寄港回数の増加など、物流機能や人流、にぎわい機能などのさらなる強化が求められております。  こうした背景から、広島港の港湾計画の改定に向け、今年度から、港湾関係者も参画いたしました広島港長期構想検討委員会などにおきまして検討を進めているところでございます。  都市機能が背後に迫り、臨海部において利用可能な土地が限られた広島港の特徴を踏まえ、物流機能と人流、にぎわい機能の両立は極めて重要なテーマであり、解決すべき課題であると認識しております。  効率性、快適性、安全性の観点から、これらの機能を適切に配置することが、そういう意味で可能であると考えております。  御指摘のございました出島地区の大型客船埠頭は、現行の港湾計画に位置づけられたものでございますが、今般、この埠頭計画を含め、港湾関係者からはさまざまな対案をいただいております。  これまで大型客船は五日市地区で受け入れており、初入港した際は多くの見学車両が訪れて、交通混雑が発生いたしましたが、それ以降、見学者数も落ちつき、交通混雑することはなくなってきております。  県といたしましては、アクセス整備や、五日市地区でのクルーズ客船の受け入れで培ったノウハウを生かしたソフト対策などにより、物流と人流をすみ分ける方法を含めて、検討を進めてまいりたいと考えております。  今後とも、広島港長期構想検討委員会などにおきまして、関係する皆様の御意見も踏まえつつ、物流機能と人流、にぎわい機能を両立する港湾計画の改定を目指してまいります。  次に、広島県全域における物流全体のマネジメントについての御質問でございます。  平成十年度に策定いたしました広島県総合物流効率化ビジョンは、物流の効率化の観点に特化して産業支援インフラの整備などを計画したものでございます。  井桁状の高速道路ネットワークが形成され、広域的な観光交流も活発化している現在、本県における物流の取り組みは経済成長に向けた総合的なものとする必要があることから、ひろしま未来チャレンジビジョンの新たな経済成長の分野に、この物流について位置づけているところでございます。  この新たな経済成長の分野では、新たな挑戦を行う企業や人が活発に活動し、イノベーションを通じて新しい経済成長のステージが生まれることで、魅力ある雇用・労働環境が創出されることを目指し、産業イノベーション、農林水産業、観光及び交流・連携基盤の四つの領域で、関係する庁内各局が適切な役割分担に従い、県内企業との意見交換を重ねる中で把握した企業ニーズを共有するとともに、道路や港湾等のインフラ改善につなげるなど、常に緊密に連携して、総合的、戦略的に取り組むこととしております。  交流・連携基盤のうち、社会資本整備に関しましては、チャレンジビジョンに基づく社会資本未来プランにおいて、広域的な交流・連携基盤の強化を社会資本整備の重点化方針の一つとして位置づけ、企業活動を支え、生産性向上に資する物流基盤の充実強化に、より一層取り組んでおります。  県といたしましては、国の物流政策の方向性も踏まえつつ、今後とも県内企業のニーズの的確な把握に努め、県民が将来に向けて大きな希望が持てる強固な経済基盤の整備に向けて、ビジョンに掲げた取り組みを各局連携のもと、着実に進めてまいります。  次に、ひろしまイノベーション推進機構の成果についての御質問でございます。  一般的に、投資ファンドには、ベンチャーファンド、再生ファンド、成長ファンドなどの分類がございまして、そのうち再生ファンドは、一定のキャッシュフローはあるものの、赤字等で低迷している企業に投資を行い、事業を再構築するなどして収益化を図り、財務等を改善して企業を救済することを目的とするファンドでございます。  こういったファンドは、いわば死に体となりそうな企業を再生するために企業を分解することもあることから、死肉をあさるハゲタカのイメージ、これは典型的には「プリティー・ウーマン」のリチャード・ギアが演じているファンドマネジャーなどがそうでございますけれども、そう呼ばれることもございました。  一方、ひろしまイノベーション推進機構のような成長ファンドは、仮に現在キャッシュフローがなくとも、企業の潜在成長力を評価して投資を行い、ハンズオン等の支援により成長を実現するファンドでございます。  これら企業の成長を支援するファンドでは、いわゆる出口戦略として企業のさらなる成長を図るため、譲渡先の事業との相乗効果、いわゆるシナジーが最大限期待されるパートナーに株式譲渡によってつなげていく手法も、一般的に行われているところでございます。  機構におきましては、これまで、企業の潜在的な成長力を評価して投資をし、その成長を実現するために、投資先企業に対しましては機構から社外役員を派遣するなどハンズオン等の支援に取り組んでおり、投資先企業では、機構による資金面、経営面での支援を活用し、体制の整備や研究開発、新市場、新顧客の開拓などを行ってきているところでございます。  そのうち二社につきましては既に機構保有分の株式を譲渡しており、これまでに機構の支援のもと新製品の開発や新たな販路の開拓などを実施することで、投資前に比べ従業員数が約一・五倍、あるいは売り上げ高が二倍になるなど、地域に対して雇用の場の拡大なども含め、一定の経済波及効果があったものと考えております。  また、株式の譲渡先につきましては、県内外を問わず、先ほど御説明したような相乗効果──シナジーを生み、今後の企業の成長に最も資するパートナーが適切であることから、技術面や営業面、あるいは販路拡大等における相乗効果などの観点から、投資先企業とも相談の上、機構が事業パートナーとして適切な企業を選定したものと考えております。  このことは、県外企業ということで反発を感じられる場合もあるかもしれませんが、広島の企業がその成長力により県外企業から選ばれたとも言えるものでありまして、県としても、県外から県内への直接投資に力を入れて誘致していることとも整合的なことであると考えております。  これら二社は、引き続き、県内に拠点を置いて事業活動を展開し、さらなる事業拡大と波及効果が期待されているところであり、県といたしましても、譲渡先企業と連携をとりながら、引き続き支援してまいりたいと考えております。  その他の投資先企業におきましても、機構によるハンズオン支援などにより成長戦略の実現に取り組んでおり、大手企業とのライセンス契約の締結や売上高、従業員数の増加などが徐々に進んできているところでございます。  機構が行う成長投資では、投資先企業には潜在成長力があることが前提であり、そのような地域の企業においては、先ほどの、本来は再生ファンドに結びついた誤ったハゲタカのイメージが成長ファンドとも混然となっていることとも相まって、外部からの投資を活用することにいまだ抵抗感があります。  そのような投資を活用して成長を実現することに対する経営者の理解が得にくいことが、この仕組みの最も大きな障害の一つでございます。  しかしながら、後ほどのイノベーション・エコシステムにおいても、このような形態の成長実現は非常に重要な要素でございまして、また、世界的にも標準的に活用され、経済の活性化に大きく貢献していることから、粘り強く取り組んでいくことが重要であると考えております。  この点、機構が実績を重ねていく中で、こうした投資の活用について、少しずつではありますが、理解も広がってきているのではないかと考えております。  機構の投資期間は平成二十九年十二月末までとなっており、十件程度の投資という当初の見込みからすれば、先ほどの障害も含めて、投資決定の進捗にはおくれがあると考えておりますが、現在、複数の投資案件について検討がなされていると伺っております。  今後、本年度末までの期間中に的確な調査を行い、しっかりと投資を実行していくとともに、投資先企業に対しましては、投資期間終了後も適切な経営支援を行うことで企業の成長を促進し、地域への経済波及効果につなげていき、また、このような仕組みを定着させていくことが必要であると考えております。  次に、広島県の人口減及び人口移動に対応した産業の生産性向上についての御質問でございます。  人口減少に伴い、今後、労働力人口の減少が予想される中で、県内企業が持続的に成長を続けていくためには、労働生産性の向上を図っていくことが重要であると認識しております。  企業の生産性向上には、付加価値の向上と効率の向上の両面からのアプローチが必要であり、その実施に当たっては、プロセス改善といった効率の向上のみならず、独自性の発揮やブランド力の強化などによる付加価値の増大も同時に行うことが求められるため、イノベーションを起こすことにより、新たな付加価値の創出や生産効率の飛躍的な向上を図っていくことが必要であると考えております。  このため、県では、県内外の多様な人材等のネットワーク形成、企業の裾野の拡大につながる創業支援など、イノベーションを創出する環境整備や企業が行う人材育成への支援、イノベーション・リーダー養成塾による次世代のリーダー養成、県立広島大学大学院経営管理研究科での経営人材の育成など、イノベーションの原動力となる人材の育成に取り組むとともに、生産現場へのロボットの導入を支援するための低コストかつ汎用性の高い技術の開発などにも取り組んでいるところでございます。  このほか、農林水産業では土地利用型野菜の大規模農業団地の形成や生産性の高い園芸作物の施設栽培など、また、建設業では調査設計、施工、検査などへのICT技術の導入などに取り組んでいるところでございます。  さらには、県内企業におけるIoT等の最新技術の活用につなげていくという観点から、高度なシミュレーション解析ができる公的スーパーコンピューターの利用環境整備とデジタル技術を活用できる人材の育成、県立技術短期大学校と企業等の連携によるIoT導入に向けた在職者向け人材育成訓練などにも取り組むこととしております。
     また、県内のGDPの七割を占める一方で、労働生産性が低いと言われるサービス産業については、業種や業態が多様である中で、まずは、事業所、従業員数が多い卸・小売、宿泊・飲食を主な対象に、来年度から、生産性向上による経営改善に対して意欲の高い経営者を対象とした専門家の指導による実践的な勉強会の開催や、業界に共通する課題を解決するためのクラウドサービスの導入について、先進事例を活用した普及啓発や導入のためのIT事業者とのビジネス・マッチングの実施、また、ビッグデータ等を活用した需要予測等の実効性の検証や導入に向けた検討など、経営者の意識改革やIT利活用の促進等による業務効率化、生産性向上の支援に取り組むこととしております。  さらに、企業の新陳代謝を図る観点から、第二創業や新事業展開を促進するとともに、M&Aを初めとする経営承継に取り組もうとする企業に対し、経営承継円滑化法による税制上の優遇措置の活用を促すことにより、事業転換や経営革新の取り組みについて支援してまいります。  県といたしましては、国の政策の動向も注視しつつ、こうした取り組みを着実に実施する中で、生産性向上に向けての課題や手法を適宜見直しながら、人口減少社会においても、県内企業が生産性向上を図って成長していけるよう取り組んでまいる所存でございます。  次に、次世代に取り組むべき産業政策についてお答え申し上げますが、若干、技術的な側面もございまして、わかりやすく丁寧にお答え申し上げたいということから、少々長くなるかもしれませんので、お許しいただければと思います。  まず、議員お尋ねのイノベーション・エコシステムでございますが、そもそもイノベーションとは、さまざまな表現の仕方があるところではございますが、本県産業が持続的に発展していくために必要だという観点からは、これまでの発想や手法にとらわれることなく、新しいアイデアで物や情報、仕組みなどを組み合わせることにより、新たな価値を創造していくことと捉えております。このようなイノベーションを通じて、生産性や利便性の向上、さらには付加価値の高い商品やサービスの創出と新たな市場の開拓などを実現していくことが重要でございます。  こうしたイノベーションが次々と実現していく事業環境が、イノベーション・エコシステムでありまして、議員御指摘のようなオンリーワンの研究や技術を基盤として誕生したベンチャー企業が世界的企業に成長するという夢物語のような経済循環ではございません。研究と経済の循環は、イノベーション発現の一つのパターンではございますし、大変重要な連関で、本県においてもそのような循環を目指すところではございますが、それのみを指して、イノベーション・エコシステムと言っているのではございません。  例えば、本県発で世界に広がったイノベーションとして、株式会社ダイソーの百円ショップというビジネスモデルや、広島市に第一号店を開いたユニクロが行う洋服の製造小売というビジネスモデルがございますが、これらは、マーケティングやバリューチェーン構築におけるイノベーションであり、いわゆる狭義の技術開発や研究とは異なり、研究機関や大学を核としたものでもございません。  実際に、シリコンバレーのベンチャーも、技術のイメージは大変強いものがございますが、設立の当初や初期の成長過程におきまして、大学発等の最先端の技術研究開発を核としたものは、必ずしも多いわけではなく、むしろ、新たなビジネスモデルや新たな市場を既存の技術を応用して開拓していくものがほとんどでありまして、古くはヤフーやアマゾンドットコム、最近ではフェイスブックなどはその典型でございますし、グーグルも、確かに検索技術は大学での研究成果でございますけれども、大きく成長したのは、いわゆる検索連動広告というビジネスモデルであり、これはグーグルが開発したものではなくて、他社が開発したものをグーグルが取り入れたものでございますが、このビジネスモデルをうまく展開したことが、グーグルの大きな成長の契機となっております。  広島県としては、いわゆる狭義の技術開発をベースとしたもののほか、このようなさまざまなイノベーションがふつふつと起こってくるような事業環境の構築を目指しているところであり、そのためには、技術系の研究機関との連携も大変重要な要素でありますが、新たな事業を起こして世の中を変えていくという志向を有する、いわゆる起業家精神──アントレプレナーシップの社会的な涵養や、イノベーションをビジネスとして体系的に構築していくスキルやビジネスマネジメント及びファイナンスに関する知識や技術の社会的な蓄積などのほか、ベンチャーキャピタルやベンチャーに精通した弁護士、会計士等プロフェッショナルサービスの蓄積等が必要であり、また、それ以上に、イノベーションやアントレプレナーシップを発揮しようという人材が蓄積してネットワークを構築し、相互に刺激し合っていくことが重要でございます。  こうしたイノベーション・エコシステムは、例えば、シリコンバレーでは、少々はしょって申し上げますと、一九五〇年代にフェアチャイルド・セミコンダクターの設立を契機とするシリコン半導体の関連産業の一定の集積から始まって、その後、すぐれた大学と企業等が渾然一体となり、ダイナミックに成長分野を変えながら拡張を続けて、一九九〇年代以降になって初めて、イノベーション・エコシステムと呼べる事業環境となり、アップルや先ほどのグーグル等、世界的な成長企業を排出するに至ったもので、その成立までには三十年から四十年を要していると考えられております。  したがいまして、地域でイノベーション・エコシステムを実現していくためには、まず、目指すべき姿を明確にして、ぶれることなく一貫して継続的に取り組むことが重要でありますし、シリコンバレーでも、重要なのは特定の産業ではなく、数多くの分野におけるイノベーションを生む土壌そのものが鍵だと考えられているところであります。  したがって、こうした共通土壌でありますイノベーション・エコシステムを実現していくためには、イノベーションを実現しようという多様な人々のネットワークを構築することや、地域で産学連携を推進していくという基盤的、横断的な横軸のイノベーション促進施策と、本県が強みを有する技術分野、産業分野に着目した縦軸の分野別振興施策を組み合わせて実施していくことが重要と考えております。  このうち、多様な人々のネットワーク形成を促進するために、これまで、トークセッションやワークショップ等から成るイノベーション・ハブ事業を個別に実施してまいりましたが、来月からは、新たなビジネスや地域づくりなどにチャレンジする多様な人々が出会い、交流することのできる常設の場を開設し、この場を活用して、新たなイノベーションの実現に向けた事業化プロジェクトの創出を図ってまいります。  次に、産学連携につきましては、とりわけ広島大学を中核とする産学連携の取り組みが重要であると考えており、現在の産学連携の中心である単発的な共同研究の実施などに加えて、今後は、大学の基礎的な研究成果を事業化に結びつける仕組みを構築すること、大学と企業の継続的かつ組織的な連携体制を長期にわたって確立していくことなどが、イノベーション・エコシステムの創出にとって極めて重要であると考えております。  広島大学では、昨年八月に本格的な産学連携を推進するため、社会産学連携ビジョンを公表されまして、現在、計画的かつ組織的に産学連携を進めるロードマップの策定が進められております。  県といたしましては、こうした広島大学の取り組みを支援し、広島大学を中心とする産学連携が促進され、地域においてイノベーション・エコシステムが構築されるよう、大学と産業界や金融機関等が組織的、中長期的に連携を強化していく環境整備に努めてまいりたいと考えております。  縦軸の分野別の産業振興施策につきましては、これまで、新規成長分野として医療関連、環境関連、航空機関連、感性工学を活用したものづくりという分野の振興を継続的に実施してまいりました。  今後は、広島大学が理化学研究所と連携して推進するゲノム編集というバイオ分野も、本県が研究開発において強みを有する分野であり、広島大学と連携して、県内企業への成果展開の支援など、県といたしましても積極的な支援を行ってまいりたいと考えております。  なお、議員御指摘の鶴岡市の事例でございますが、大学における研究開発を核としたベンチャーの創造モデルとして、すばらしい実績を上げて注目すべきものでございますが、設立されたベンチャーは、上場したものの、いまだ黒字化したことはなく、御指摘のあったクモの糸、これはスパイバーという会社でございますが、二〇一五年度の売り上げは二億九千万円、経常損失は十二億円でございまして、私も個人的に技術的に期待しているところでございますが、研究と経済の循環にはまだ時間がかかるものと理解しております。  その中で、既に短期間に数十億円の売り上げ増を実現しております広島県の取り組みは比較的進んでいるとも言えるわけでありますが、いずれにしても、鶴岡市の例も含めまして、イノベーション・エコシステムを地域で構築していくことは、単発的な成功事例を生み出すだけではなく、イノベーションが次々と生まれてくる社会システムへの転換を目指すものでありますから、創意工夫を重ねた施策を粘り強く進めていくことが大変重要であると考えております。  今後とも、引き続き、地域の強みを生かし、PDCAを回しながら、横軸と縦軸のイノベーション推進施策を適切に組み合わせて継続的に実施し、中長期的な観点からイノベーション立県が実現できるよう取り組んでまいりたいと考えております。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 6: ◯議長宇田 伸君) 土木建築局長三上幸三君。         【土木建築局長三上幸三登壇】 7: ◯土木建築局長三上幸三君) 広島港をハブ港とする戦略についてお答えいたします。  広島港は、ハブ港と言われる阪神港、京浜港のように日本全域から貨物を集め、北米、欧州航路を有する世界の主要船社が数多く寄港する国際戦略港湾とは異なり、アジア諸国などとの間で海上輸送を行う国際拠点港湾でございます。  広島港が中四国地方の拠点港湾として一層の競争力を高めていくには、広島広域都市圏を擁し、背後の企業集積や良好な交通アクセスなどを生かし、広島港を構成する各地区が担う機能を強化していくことが重要であると認識いたしております。  御指摘の海田地区につきましては、本県の基幹産業である自動車産業の物流拠点として整備され、関連企業が立地するなど、重要な機能を果たしているところでございます。  現在、さらなる物流の増大に対応するため、国において埠頭再編改良事業が行われており、あわせて、荷主企業のさらなる生産性向上、物流効率化の観点も踏まえた港湾計画の改定に向けて検討を進めております。  この改定の中で、廿日市地区につきましても、臨港道路の供用による交通ネットワークの向上などを踏まえ、水面貯木場の高度利用などについて検討を行ってまいります。  今後とも、広島港長期構想検討委員会などにおきまして、各地区の適切な機能強化の方策について具体的な整理、検討を行ってまいります。 8: ◯河井案里君 議長……。 9: ◯議長宇田 伸君) 再質問を許します。河井案里君。 10: ◯河井案里君 喉の調子がよくないにもかかわらず、長い御答弁をいただきまして、知事にはありがとうございます。  代表質問ですので、余り隘路に入って質問をぎりぎりやっていくということもふさわしくはないとは思ったのですが、二、三お聞きしておこうと思います。  まず一つには、知事がおっしゃいました人民の人民による人民のための政治は、まさに私が理想とする政治信条でございまして、知事と全く同じ考えを持っているということを大変光栄に存じます。ただ、アプローチの仕方が大分違うようでして、私は、制度に働きかける、また、地域を変えていくことによって人民の皆さんの幸せを実現することができるのではないかと考えているのに対し、知事といいますか、広島県行政は、今、個人の価値観に大分入り込んでいっている、価値観に対してアプローチをすることが果たして行政としてふさわしいのかということが、今の広島県行政について、私がずっと思っていることでございます。  それはそれとして、二点お聞きしたいと思います。  一つは、出島の集客と物流の両立について、知事は自信を持って、その両立が広島の発展にかなうものだという御姿勢であって、その方針を変えるつもりはないという御答弁だったと思います。  そして、それを実現するに当たって、もちろん、物流に邪魔になってはいけないわけですから、集客機能を充実するに当たり、アクセス整備が不可欠であるという認識でおられるとのことでございますが、このアクセス整備について、具体的なスケジュールというのはあるのでしょうか。  といいますのが、広島県は、広島市東部地区連続立体交差事業においても、県の財政的な負担が大き過ぎて賄えない、縮小したいとおっしゃったわけでございますが、そのような財政状況であるのに、この出島地区に対してアクセス整備を行う余裕があるのかということがございますので、その財政的な裏づけとともに、今後のスケジュール、プランについてお伺いしたいということが一点でございます。  そしてもう一つ、ひろしまイノベーション推進機構のファンド事業について、ファンドの御説明を大学の講義のようにしていただきまして、ありがとうございました。喉の調子はいかがでしょうか。ただ、私がお聞きしたいことを御答弁いただいていないのです。  それは、自分の税金が全く知らない企業に投入された納税者にとって、どんないいことがあるのですか。  この二点について御答弁をいただきたいと思います。 11: ◯議長宇田 伸君) 当局の答弁を求めます。土木建築局長三上幸三君。         【土木建築局長三上幸三登壇】 12: ◯土木建築局長三上幸三君) 出島の集客と物流両面を見た今後のアクセス整備についてというお問い合わせがございました。  県では、社会資本未来プランにおいて、今後五年間を見据えた社会インフラの整備を具体的に位置づけているところでございます。  さらには、先ほど御説明を申し上げましたけれども、現在、広島港長期構想検討委員会で広島港の向こう三十年を見据えて、広島港をどういった施設にしていくかという議論もしっかりしているところでございます。  これらを総合的に勘案しながら、アクセス整備に取り組んでいきたいと考えてございます。 13: ◯議長宇田 伸君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 14: ◯知事湯崎英彦君) ただいまイノベーション推進機構の納税者についてのメリットについてのお問い合わせがございました。  これは冒頭、河井議員がおっしゃったこととも関係しますので、それについても言及させていただきますが、私どもも制度であるとか社会的な変化を生んでいくことを目指しているところであります。ただ、制度というものは、いわゆる法律などのハードな制度もございますが、一方で、社会的な習慣であるとか、さまざまなソフトな制度も、社会的制度の一環でございます。そして、実際に物事が変化をしていく上で大きな障害となっているのは、さまざまなこういった社会的な習慣でございまして、これを変更しない限り、真の意味での社会的な変化は生まれてこない。  国は、法律などによって、こういったハードな制度を変えることが大変得意でありますし、そういった役割を担っております。私どもは、国によるそういったハードの制度の変更とあわせて、県や市町にしかできない、まさにソフトな制度の転換を生み出すことによって、真の意味での社会的変化を生み出していくことが必要であると考えています。そういう意味で、このファンド事業も、この社会的な制度の転換が一つの目的にもなっているわけでございます。  例えば、従来、資金調達は、広島県を含む地方では、金融機関からの融資が主体でございました。しかしながら、成長企業を支えていくのは、資本──エクイティーでございます。これまで、ベンチャー投資といったことは日本の中でも比較的定着してまいりましたが、ベンチャーを超える部分での投資──成長投資、グロスエクイティーと呼ばれるものは、世界では行われておりますが、日本ではいまだ行われていない。その大きな要因は、さまざまな今申し上げたようなソフトな社会的習慣でございます。  これを変えていくことは非常に重要なことでありまして、先ほども申し上げたように、このファンドの運営によりまして、少しずつではありますが、こういったことに対する理解も進んできていると思います。  さらに、直接的には知らない企業にお金が渡るとおっしゃいました。知らない企業というのは、売却先のことなのか、機構からの出資先のことを指しておられるのか、やや不明でございましたけれども、機構に出資したお金につきましては、雇用あるいは売り上げ利益という経済効果が生まれているのでございますし、出資した資金以上の回収を図っていることから、まだ最終的な決算をしていかなければわかりませんが、現在のところは税金の実質的な投入はないということでございます。  答弁したつもりでございましたけれども、十分に伝わっていなかったということで、改めて答弁させていただきました。 15: ◯議長宇田 伸君) この際、暫時休憩いたします。午後の会議は一時から開きます。         午前十一時四十七分休憩              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         午後一時一分開議 16: ◯議長宇田 伸君) 出席議員五十七名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続いて質問を行います。下西幸雄君。         【下西幸雄君登壇】 17: ◯下西幸雄君 皆様、こんにちは。公明党広島県議会議員団の下西幸雄でございます。このたび質問の機会をいただき、会派を代表して質問させていただきます。  公明党は平和と福祉・教育の党として、結党以来五十年以上を経た今、特に、一人を大切にする社会へ、社会保障と教育の充実を重要政策の一つとして掲げ、子育て支援、医療・介護体制の確立、安心で質の高い教育など、幅広い分野にさまざまな実績を積み重ねてまいりました。本日はその理念に立脚して質問してまいります。  質問の第一は、湯崎県政のこれまでの評価と二期目の最後となる予算編成についてお伺いします。  湯崎知事が就任されて、早いもので丸七年が経過いたしました。  就任の翌年、二〇一〇年十月、本県の施策展開における総合計画となるひろしま未来チャレンジビジョンを策定されました。本県初め日本全体が人口減少・少子高齢化というかつて経験したことのない大きな環境変化が進む時代の転換点において、本県の財産を生かし底力を発揮することで、将来にわたって、広島に生まれ、育ち、住み、働いてよかったと心から思える広島県の実現を基本理念として、その実現に向け、この間、邁進してこられました。一方、その後五年間を経過し、本県を取り巻く社会経済環境は大きく変化するとともに、国においてもまち・ひと・しごと創生長期ビジョンと総合戦略を策定し、大胆な地方創生に係る政策を実行することを打ち出しました。  こうしたさまざまな情勢変化を踏まえつつ、また、それまでの取り組みの成果や課題を明らかにした上で、昨年度、知事は、チャレンジビジョンを発展的に見直し、引き続き、人づくり、新たな経済成長、安心な暮らしづくり、豊かな地域づくりの四つの政策分野を相互に連関させ、成長への好循環を生み出し、新たに本県の目指す姿として、「仕事でチャレンジ 暮らしをエンジョイ 活気あふれる広島県 仕事も暮らしも。欲張りなライフスタイルの実現」を掲げ、その実現に向けて、県民の皆様と一緒に一歩先へ踏み出すため、新たな挑戦を推し進めることとされております。県民それぞれが抱く理想の人生の実現、豊かな生活の後押しにチャレンジされる湯崎知事の発想力、行動力には改めて敬意を表するものであります。  予算というものは、県の施策、すなわち知事の考えが最も色濃く反映する象徴的なものでありますから、総仕上げである平成二十九年度予算は、知事が初めて編成された平成二十二年度予算と同等か、それ以上に思い入れの強いものと推察しております。  そこで、湯崎県政二期目の最後となる予算、これまで七年間の成果や課題を踏まえた総括と、平成二十九年度予算で目指すもの、必ず達成したいものは何か、具体例を含め、知事にお伺いいたします。  また、次年度以降、誰が知事の職につかれているのかは誰も知る由もありませんが、これは必ず持続させるべき、あるいは取り組みを強化するべきと考える政策があれば、あわせて知事にお伺いいたします。  質問の第二は、財政運営と県有資産に関連して、四点お伺いします。  一点目は、中期財政運営方針の目標達成に向けた取り組みについてであります。  県では、平成二十七年十二月、チャレンジビジョンに掲げる目指す姿の実現を支えるともに、将来においてさまざまな不透明な状況がある中においても県勢の持続的な発展に必要な政策的経費を安定して確保するため、中期財政運営方針を策定されました。財政構造の弾力性を示す経常収支比率を九〇%程度、財政規模に対する負債をあらわす将来負担比率を二二〇%程度、返済の必要がある県債のうち臨時財政対策債等を除く実質的な県債残高を五年間で一千八百億円程度縮減という三項目の財政運営目標が掲げられております。  しかし、具体的な歳入と歳出のバランスを見ると、県の試算では、一定の条件下を前提にしているとはいえ、毎年歳入不足が生じ、平成三十二年度までの五年間に六百七十四億円に上るとされ、その充足には財源調整的基金など、活用可能な基金の取り崩しを行う異常な財源対応が続くこととなっております。  さて、具体的な予算フレームについては、毎年度策定する財政運営の基本方針で決定することとされ、平成二十九年度予算では歳入九千五百七十億円に対し歳出九千七百一億円、差し引きの要調整額百三十一億円となっています。  しかし、実際の予算では、九千七百七十九億円となっており、つい二カ月前の基本方針ともこれだけの乖離を生じるということは、財政運営の難しさを示すとともに、着実な財政運営への努力の必要性をあらわしているとも言えるのではないでしょうか。歳出の九千七百七十九億円については、中期方針の九千七百八十億円とほぼ同額ですので、編成上の御苦労があったものと推測し、評価できるものと受けとめております。  そこで、私としては早期に歳入不足を解消して、基金を取り崩さず、情勢変化に応じて柔軟に方針の見直しを行ってほしいと思いますが、中期財政運営方針に掲げる財政運営目標の達成に向けてどのように取り組まれるのか、知事の決意をお伺いします。  また、要調整額の解消に向けた平成二十九年度の具体的な取り組みについても、あわせてお伺いいたします。  二点目といたしまして、県有資産の維持管理についてお伺いします。  まず一点目は、県有施設の計画的な改修、更新についてであります。  本県では、昭和四十年代から五十年代に建設された施設を多数保有しております。既にこれら施設の老朽化が進み、大量に改修、更新時期を迎える中、必要なサービス水準を確保しつつ施設を安全に持続していくためには、施設全体の最適化を図り、最少の経費で最大の効果をもたらす施設経営が必要となります。  本県の財政が、社会保障関係費の増加や公債費など義務的経費が高い水準で推移する厳しい状況の中、私たちは、高齢化と社会資本の老朽化に対処するという極めて難しい課題に直面していると思っています。このまま公共施設等の経年劣化が進めば、多くの施設で老朽化の弊害が顕在化し、施設の機能維持には多大な労力と財源が必要となり、最悪の場合、ある日突然機能停止に陥る、あるいは、県民の生命財産を危険にさらしてしまう事態が発生することにもなりかねません。  そうした中、国は各地方自治体に対し、公共施設等の総合的かつ計画的な管理を推進するための計画、公共施設等総合管理計画の策定に取り組むよう通知を出し、県も呼応して平成二十六年十二月、広島県公共施設等マネジメント方策を策定し、全庁的なファシリティーマネジメントに向けて積極的な取り組みが始まったところであります。さらに、県は、より詳細な計画を立てるため、庁舎、警察施設、学校などの施設類型ごとに具体的な取り組みや数値目標などを定めた個別施設計画を平成二十九年度末までに策定することとしています。  そこで、現在までの県有施設の個別施設計画の策定状況と、今後の計画的な改修、更新の着実な推進に向けた県の姿勢についてお伺いいたしします。  三点目は、公共施設等マネジメント方策と財政運営との関係についてお伺いします。  県が保有する公共施設には、庁舎などの公共建築物だけではなく、道路、橋梁、トンネル、水道施設など膨大な量となります。  公共建築物の改修、更新に必要な経費について、広島県公共施設等マネジメント方策では、総務省が提供するソフトを用いた試算結果として、今後四十年間で総額一兆五千二百五十五億円、一年当たりの最大は平成三十五年の六百六十五億円に上るとされています。  公共施設等マネジメント方策においては、長寿命化によるライフサイクルコストの低減と対策時期の調整による費用の平準化を図ることとされてはいるものの、試算結果を単純平均しても、一年当たり三百八十一億円と多額な費用がかかることは明らかであり、今後の財政運営における大きな課題となります。それを理由に老朽化対策を先送りすることは、許されないことでございます。  そこで、具体的に改修、更新を進めるに当たっては、各年度、かなり大きな金額を計画的に予算計上する必要がありますが、その実効性の担保に向けた考え方と、中期財政運営方針における歳入歳出見込みとの関係について、あわせてお伺いいたします。  四点目は、資産管理の大きな課題である県庁舎の安全性確保と将来の整備計画についてお伺いします。  先日、大規模建築物の耐震診断の結果が県と県内七市によって公表されました。震度六強以上で倒壊する危険性の高い施設が四十九施設ある中に、県庁舎本館と議事堂が含まれていることが明らかになりました。  県民の生命と財産を守るべき防災の拠点として、万が一の際、果たしてその機能を十分に発揮し得るのか、大きな懸念を抱いております。約六十年前に建てられた県庁本館は、阪神大震災後の一九九六年に受けた耐震診断で、震度六強で倒壊するおそれがあると判定されていますが、その後も、南海トラフ等の大規模地震が予想される中で、二十年以上も対策もせず放置されてきました。  こうした中、昨年、熊本地震が発生し、甚大な被害で熊本県内五市町の本庁舎が機能不全に陥り、被災者への対応がおくれ、住民サービスに大きな支障が発生しました。いずれも、財政難を理由に耐震対策が先送りされたものであり、市民から災害への認識の甘さに批判が続出しました。  本県では、費用約三十億円、実施設計の三年を含め、計七年をかけて本館等の耐震補強工事を行うとのことであり、現在百五十五億円の県庁舎整備基金の一部は財源不足の穴埋めに費やすとの方針も定められています。  しかし、将来的な県庁舎の建てかえについては、税金を一切使わずに二〇一五年三月に完成した豊島区役所の民間住宅施設と同居した画期的な手法や、現在計画中の渋谷区役所の庁舎建築費の負担をゼロとした区財産を有効活用した分譲マンションでの定期借地方式を活用するなど、新たな発想での庁舎建てかえ事例を参考に進めていくべきではないでしょうか。  そこで、熊本地震を教訓とすれば、現在七カ年を要するとされる県庁本館などの耐震補強をよりスピード感を持って前倒して完了させるお考えはないのか、お伺いします。
     また、将来の建てかえについて、今から議論を開始し、柔軟な手法も取り入れた建築構想を早期に策定すべきであると考えますが、あわせて知事の見解をお伺いいたします。  質問の第三は、核兵器禁止・廃絶に向けての取り組みについてお伺いします。  さて、本年五月には、二〇二〇年の核不拡散条約、NPT再検討会議に向けた第一回準備委員会がウィーンで開催されます。準備委員会でNPT第六条の核軍縮義務の討議を行う中で、互いの国が抱える安全保障上の懸念に向き合い、懸念をともに取り除くにはどんな行動が必要となるのかについて意見交換がされます。核兵器禁止条約を何としても締結に導き、大幅な核軍縮、さらには核廃絶へのプロセスを始動させる機運を高めていくべきではないでしょうか。  今回の国連での交渉会議は、核問題の解決を求める国々の外交努力もさることながら、広島、長崎の被爆者を初めとする世界の被爆者、科学者や医師、法律家や教育者、また宗教者など、さまざまな分野の人々と団体が行動を積み重ねる中で、実現への道が開かれたものでした。こうした人々や団体の思いをそれぞれ声明にし、会議に寄せる形で核なき世界の民衆宣言の裾野を広げ、また、核兵器禁止条約の意義を草の根レベルで語り合う機会を設け、賛同の輪を拡大する。その行動の一つ一つが、国連決議が呼びかける市民社会代表の参加と貢献につながり、禁止条約の礎石になると思います。  そこで、今、述べましたように、民衆の声、民衆の誓いが生み出す平和こそ世界に力強く脈打つと私は確信していますが、こうした考え方について知事の所見をお伺いします。  また、知事は五月上旬にNPT運用再検討会議準備委員会の視察やスウェーデン、ノルウェーの平和機関を訪問されるとのことでありますが、どのような成果を期待し、今後の核兵器禁止・廃絶の実現にどうつなげていかれるのか、知事の決意をお伺いいたします。  質問の第四は、安心して子供を産み育てられる社会の実現について、二点お伺いします。  一点目は、ひろしま版ネウボラの特徴と利用促進の取り組みについてであります。  少子化・人口減少社会の中で、子供の幸せや子育ての安心が確保される社会を構築していくことが大切です。また、女性の社会進出など雇用環境の変化の中で、保育を初めとする子育ての環境をどう整備するのか、安心で質の高い教育をどうするのかという視点に立ち、子供優先のチャイルドファースト社会を目指し、総合的な対策に取り組む必要があります。  こうした理念のもと、公明党はこれまで一貫して安心して子供を産み育てられる社会の実現を目指し、子育て支援に取り組んできました。また、我が党は、二〇一四年に発表した結党五十年ビジョンにおいて、妊娠・出産、育児の切れ目ない支援を行うため、フィンランドのネウボラのような母子支援地域拠点の整備、普及が望まれると提言し、国会の場などを通じ、強く訴えてまいりました。  ネウボラとは、北欧のフィンランドで一九二〇年代に始まった子育ての支援拠点で、助言の場という意味を持っています。日本においては、時代とともに核家族化が進行し、家庭や家族のあり方が変化する中、不安を抱えがちな子育て世帯に対し、保健師やソーシャルワーカーなどが妊娠中から出産、産後までの子育て支援策を、切れ目なくワンストップで継続して支援するネウボラの体制の構築は、極めて重要であります。こうしたことを踏まえると、本県においても、ひろしま版ネウボラを三市町においてモデル的に取り組みを開始されるということは、子育てに対する不安感を解消し、安心して子供を産み育てようという機運醸成にもつながり、大いに評価できるものと受けとめております。  しかし、ここで課題になるのが、いかに利用率を高めるかということであります。問題を抱える家族ほどサービスを利用しないのではないかということが懸念されますが、フィンランドでは妊婦の九九・八%、子供の九九・五%という高い利用率を誇り、今後の本県における事業展開においては参考にすべき点が多いのではないかと考えます。  そして、このネウボラには、ふえ続ける児童虐待対策においても、子供一人一人に寄り添い、状況を把握することで、大いにその防止効果を発揮する役割が期待されております。  そこで、ひろしま版ネウボラには本家ネウボラの仕組みをベースにしつつ、広島独自の課題分析とその解決に向けた、より充実した仕組みが構築されるものと期待していますが、ひろしま版ネウボラは何を目指し、どのような特徴があるのでしょうか、知事にお伺いいたします。  また、広島で生まれ育つ全ての子供たちに分け隔てなくサービスが行き届くこと、すなわちネウボラの利用率を上げることも重要であり、まずサービスを受けに来てもらう仕掛けづくりが必要ではないかと考えますが、県の取り組みについて、あわせて知事にお伺いいたします。  二点目は、学校教育の無償化についてお伺いいたします。  かねてから報じられておりますように、日本の公的教育支出の水準は経済協力開発機構──OECD加盟国の中では最低水準だと言われています。日本の若者に明るい未来を届けるとともに、少子高齢化・人口減少社会の中で子供の幸せや子育ての安心が確保される社会を構築していくためには、この状況を何とか打開することが大切です。  我が公明党は、国政の場において、日本の将来を担う子供や青少年を育む教育環境の充実は未来への投資であるとの強い信念のもと、教科書無償配布を初め、幼児教育の無償化や少人数学級の推進などに強力に取り組んでまいりました。今国会においては、二〇一七年度当初予算案に無利子奨学金の拡充や返済不要の給付型奨学金の一部先行実施などが盛り込まれましたが、今後は、子供たちの可能性を開く教育支援をさらに拡充すべく取り組みを進めることとしております。  さて、国は昨年十二月、持続可能な開発目標──SDGs推進本部において、SDGs達成に向けて日本が特に注力するものとして、八つの優先課題を盛り込んだ実施指針を決定しました。その一番目として、あらゆる人々の活躍の推進が掲げられ、教育における具体的施策として幼児教育、初等中等教育、高等教育の充実が掲げられております。特に、幼児教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培うものであり、家庭の経済状況に左右されることなく全ての子供に質の高い幼児教育を受ける機会を保障することが重要であるため、幼児教育の無償化を段階的に推進していくとともに、その質の向上に取り組むとされております。  そこで、子供たちが安心して教育を受けられることを目指し、教育費負担の軽減に取り組むことはもとより、日本の将来を担う子供たちへの未来への投資として、幼児教育の無償化の早期実現、さらには初等中等教育、高等教育の無償化へと拡充していくべきではないかと考えますが、県の見解をお伺いいたします。  質問の第五は、保健・医療・介護の取り組みについて、三点お伺いいたします。  一点目は、安心できる医療・介護体制の構築と各種計画の整合等についてお伺いします。  本県では、身近な地域で質の高い医療・介護サービスを受け、住みなれた地域で暮らし続けることができる広島県を実現するとして、昨年三月、広島県地域医療構想を策定されました。  平成三十七年──二〇二五年には団塊の世代の方々が七十五歳以上となり、人口の三割以上が六十五歳以上の高齢者となり、医療や介護を必要とする方々がますます増加すると推計されていますが、現在の医療・介護サービスの提供体制のままでは十分対応ができないことが見込まれています。その平成三十七年を見据え、限られた医療・介護資源を効率的に活用して、質の高い医療提供体制を整備するとともに、在宅医療の充実を初めとした地域包括ケアシステムの確立等の施策に関する方向性を示したのが広島県地域医療構想であります。  しかし、構想において、県全体の必要病床数は、平成二十六年の約三万二千六百床から平成三十七年に二万八千六百床に一二・四%減少し、備北区域に限れば一千七百三十四床から一千百六十六床に三三・三%減少する推計値が示され、今後ますます増加する高齢者の入院対応など、必要な医療提供体制が本当に確保できるのか、地域ごとの医療格差がますます拡大するのではないのかとの不安を抱く声が多く聞こえております。  さらに、地域医療構想では、在宅医療等へ移行する患者数を一万二百人程度と算出されていますが、その在宅移行の前提として必要なのは、医療や介護の在宅サービスが保証される体制の確立であると思います。  そこで、県内の医療体制の現状をどのように認識し、全ての県民が住みなれた地域で安心して医療・介護サービスが受けられる環境の整備に向け、今後どのように取り組まれるのかお伺いいたします。  また、来年度改定予定の広島県保健医療計画や広島県医療費適正化計画、ひろしま高齢者プランと広島県地域医療構想の整合をどう図っていかれるのか、あわせてお伺いいたします。  二点目は、データヘルスを活用した医療と介護の連携についてお伺いします。  国は、医療費の適正化や効果的な保健・医療の構築のため、データヘルス計画を積極的に推進している中、本県においても、今年度、疾病予防・重症化予防コラボヘルス事業が予算化されております。  県内では、二〇一〇年から呉市においてレセプトや健康診断の情報を電子データ化し、後発医薬品の提供や糖尿病患者に対する重症化予防に取り組んできた結果、医療費削減や患者の健康度向上に大きな成果を上げています。  本県では、これまでも全県的なデータヘルスの普及推進に取り組んでこられましたが、今後、国民健康保険財政の運営主体が県になり、保険料水準の統一化の方向で検討が進められており、医療費適正化の取り組みも強化する必要があります。  現在、医療と介護については、それぞれを支える保険制度が異なることなどにより、多職種がかかわる地域包括ケア体制において、相互の理解や情報の共有が十分にできていない課題があると言われています。今後、医療依存度の高い慢性疾患を有する高齢者が住みなれた地域で安心して在宅で生活を続けていくためには、データヘルスによる医療と介護の情報をリンクさせた地域包括ケアシステムの確立が必要不可欠と思います。疾病と要介護度の関連を分析し、重症化予防に効果的な事業を多職種の連携によって実施することで、高齢者の生活の質の向上や健康寿命を延伸させ、医療費及び介護給付費の抑制にもつながっていくと言われています。  そこで、県内各市町のデータヘルスの取り組み状況や具体的な事業成果、計画目標をどのように把握しておられるのか、また、今後、県におけるデータヘルスの情報を活用した医療と介護の連携促進にどのように取り組まれるのか、お伺いいたします。  三点目は、訪問口腔ケア体制の確立についてお伺いいたします。  現在、日本人の死因の第三位が肺炎で、患者の九五%が六十五歳以上であり、そのうち九六%が誤嚥性肺炎によるものと言われています。誤嚥性肺炎は、食べ物や唾液が食道に行かず、気管のほうに落ちてしまうことが原因で肺炎を引き起こすものですが、摂食嚥下リハビリや口腔ケアを実施することで、より効果的な予防策になると言われております。  日本歯科医学会の報告では、口腔ケアをした人の肺炎発症率が二年間で五割も低くなっています。また、正しい口腔ケアでインフルエンザの罹患率が十分の一になったとの報告もございます。入院中であれば、寝たきり等の患者に対しては、歯科衛生士や看護師等に入れ歯や口の中を手入れしてもらうことができますが、退院後、結局そのケアがおろそかになってしまい、また再入院といった例もたくさんあるとお聞きしています。また、食事の内容や栄養バランスといった低栄養防止などについても、今後の大きな課題と言われております。  高齢者の健康維持や医療費増大への抑制、生活の質向上のためには、医科と歯科と介護の連携を図り、歯科医師や歯科衛生士、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのチームが地域介護推進体制と一体となって取り組む必要があると思います。  そこで、施設を中心とした経口維持管理とあわせて、先進的な要介護認定者の訪問口腔ケア体制を地域包括ケアの重要な仕組みの一つとして早期に確立していくべきだと訴えるものでございますが、本県のこれまでの取り組みと今後の計画についてお伺いいたします。  質問の第六は、文化芸術の取り組みについて、二点お伺いいたします。  古き東洋思想の中に、礼楽前に馳せて真道後に啓らくという言葉がございます。礼楽とは礼儀と音楽のことで、礼は行いを戒め社会の秩序を生み出し、楽は人心を和らげるものとして尊重されました。礼楽とは、広い意味では文化と言われています。  文化芸術には、民族や国家を超えて人間を魅了する、人と人とを結ぶ力があります。すぐれた音楽が世界の多くの人々に愛され、人間の融和、心の結合の力となってきた例は少なくありません。  まず一点目は、ひろしま平和発信コンサートの着実な実施についてお伺いします。  ひろしま平和発信コンサートは、国際平和拠点ひろしま構想が掲げる世界平和の実現に向けたピース・アーチ・ひろしまプロジェクトの一環として、平成二十五年に第一回が開催され、昨年も第二回として六月から八月にかけて開催され、地元を初め多くのアーティストたちが世界共通の言語である音楽による平和のメッセージを強く発信されました。一方、コンサートなどの事業での収支を含めた効果については、これまで本会議の場を初め、さまざまな議論のあったところであります。  さらに、先日の報道では、コンサートの実施主体を民間に移行し、毎年開催へ向けて調整する方針であるとのことでありました。調整するのであれば、コンサートの内容そのものも再構築する必要があるかもしれません。小・中・高等学校の生徒による合唱や、地域の皆さんの参加を募り広島の草の根から発信することで、平和のメッセージにもより力がこもるものではないかと考えます。  そこで、これまでのひろしま平和発信コンサートについて、どのように評価しているのでしょうか、お伺いします。  また、見直しにより継続性が確保され、広島から世界への平和メッセージの発信が強化されるものになることを期待しますが、今後どのように取り組まれるのか、あわせてお伺いいたします。  二点目は、広島県立美術館の魅力向上と集客促進についてお伺いいたします。  広島県立美術館は、平成二十九年度から隣接する広島県縮景園と一括して指定管理することとし、三者で構成する共同企業体が候補者として選定されました。  昨年の定例会では、一体化のメリットや市内の他の美術館との連携についての質問がありましたが、相乗効果の発揮や連携による周遊の促進などについて回答があったものの、県立美術館そのものの魅力をどのように高めていくのか、具体的かつインパクトのある内容ではなかったと受けとめております。  過去にはアート・アーチ・ひろしまと銘打ち、広島県立美術館、ひろしま美術館、広島市現代美術館、市内の異なる個性を持つ三館が初めて共同で開催する試みや、世界で最も名の知られた画家の一人、ゴッホ展が開催されるなどの効果により、前年までの二倍を超える集客実績を上げられました。  県内の総観光客数が四年連続過去最高を記録し、外国人観光客数も大幅増加を記録する中、例えば、それぞれ個性的なコレクションを持つ市内各美術館と観光プロモーションをコラボレートした企画展を開催してはどうでしょうか。もとより、県外や海外の美術館の収蔵する著名な作品の誘致など、集客力のある展覧会の開催は必須であります。  そこで、広島県立美術館の集客促進に向けて、来館者へのサービスの向上や県内外からの集客力の高い企画展の開催など、美術館そのものの魅力の向上にどのように取り組まれるのか、お伺いいたします。  また、観光客の増加を美術館の来館者増加につなげることも必要ではないかと考えますが、その具体策について、あわせてお伺いいたします。  質問の最後は、イクメンの五段活用による男性が活躍する社会についてお伺いします。  政府が掲げる一億総活躍社会の実現、特に女性が活躍する社会の創出に向けては、昨年四月に女性活躍推進法が施行され、今、女性が活躍する時代と言われていますが、一方、男性の生き方においても、多様性を重視した男性が活躍する社会のあり方にも注目が集まっています。  男性は、かつての仕事だけしていれば幸福感を持てた時代とは異なり、これからは、仕事も生活も楽しめる人生の実現を目指す時代へと変化することが求められています。湯崎知事が一昨年に改定されたひろしま未来チャレンジビジョンにおいても、「仕事でチャレンジ 暮らしをエンジョイ 活気あふれる広島県 仕事も暮らしも。欲張りなライフスタイルの実現」と掲げておられますように、男性に対しても、新たな発想での生き方が求められてきているものと感じております。  例えば、男性がまず父親になり、家庭で我が子を世話するイクメンを目指すと、やがて必然的にPTAやボランティアなどの地域活動にかかわるようになっていきます。それが、地域で活躍する男性──イキメンになります。イキメンはやがて会社でイクメンを指導するイクボスになり、定年後には孫世代を支援する高齢者──イクジイになり、また、家族に介護が必要になったときには、介護にコミットするケアメンになります。これをイクメンの五段活用と言われています。  今後は、ますます女性の活躍が促進され、子供を抱えたまま働く女性はふえていきます。男性が上司となった場合、活躍する彼女たちをマネジメントしていくためには、育児経験や社会活動の有無は大変重要な要素になります。  長時間労働を前提にしない働き方への改革の実現を目指しながら、育児をめぐる状況が改善されることで、男性の人生のみならず社会全体が変わっていくことへの期待をいたすものでございます。  そこで、湯崎知事におかれましては、こうしたライフスタイルへの大きな視点を持ち、みずからイクメンとなり、イクボス宣言された先進的取り組みを評価いたすものでございますが、県として、イクボスへの具体的支援策と将来展望について知事にお伺いします。  また、先ほど申し上げましたイクメンの五段活用によって男性が活躍していくスタイルの浸透に向けた施策展開や、既にそうして活躍している方たちへの支援の必要性について、あわせて知事の御所見をお伺いいたします。  最後に、質問では触れませんでしたけれども、中学生の深刻な悩みに立ち向かうため、スクールカウンセラーの積極的な活用について申し述べたいと思います。私は、問題を抱えた人だけの相談を受け入れるという発想を転換し、全ての子供たちへの相談体制に発展させてはと思います。当然、今の業務を行う中で時間もかかりますが、私の地元の中学校では、全生徒がカウンセリングを受け教員が気づかない課題などにも対処することができ、非常に有効に機能しております。どうか、スクールカウンセラーを、今後、より一層人的資源として活躍していただけるよう、さらなる県の支援を要望いたしまして質問を終わります。御静聴ありがとうございました。(拍手) 18: ◯議長宇田 伸君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 19: ◯知事湯崎英彦君) まず、これまでの県政の評価と二期目の最後となる予算編成についての御質問にお答え申し上げます。  これまで、ひろしま未来チャレンジビジョンに基づき、人口減少・少子高齢化及び経済活動を初めとするグローバル化を、未来を展望する上での重要な変化と捉え、こうした社会変化に的確に対応しながら目指す姿を実現していくため、四つの政策分野が好循環を生み出す取り組みを行ってまいりました。  具体的には、人づくりにおきましては、子育て支援などの自然減対策と移住・定住促進などの社会減対策を強力に推進してきた結果、合計特殊出生率は一・六〇と全国平均を大きく上回って推移し、また、移住・定住促進に積極的な地域では一部に人口の社会増が見られ、全県の人口動態も、昭和五十年の国勢調査以来四十年ぶりに五千人を超える社会増に転じるなどの成果があらわれてきたところでございます。  新たな経済成長におきましては、イノベーションの推進と成長産業の競争力強化、観光振興、産業人材の育成、交流・連携基盤の強化などに取り組んできた結果、景気の回復とも相まって、県民所得の増加や有効求人倍率の大幅な改善、総観光客数の四年連続の増加、中国横断自動車道尾道松江線と東広島・呉自動車道の全線開通による井桁状の高速道路ネットワークの完成などの成果があらわれてきたところでございます。  安心な暮らしづくりにおきましては、県内のどこに住んでいても安心して医療・介護サービスを受けることができる環境づくりに取り組んできた結果、人口十万人当たりの医師数の増加や、従来下位であったがんによる死亡率が平成二十六年には全国八位へと大きく改善するなどの成果があらわれております。  豊かな地域づくりにおきましては、ひろしまブランドの国内外での認知・評価の向上、中山間地域の暮らしの安全・安心の確保や地域活性化などに取り組んできた結果、全国における本県の認知度をはかる指標として算定しておりますメディア露出の広告換算額は、平成二十三年に二十五億円であったものが、今年度は十二月末現在で既に八百億円を超える勢いとなるなど、大きく上昇しております。  こうした変化の兆しや成果を、今後、より確かなものとしていくためには、人口減少と経済縮小を克服し、さまざまな状況にある人々が仕事と暮らしを追求し、個性と能力を十分発揮しながら、ともに働くことができる欲張りなライフスタイルに支えられた活力ある経済・社会を構築することが必要であると考えております。  このため、平成二十九年度は、これまでの共感を獲得するための取り組みに加え、県民の皆様の主体的な行動を応援してまいりたいと考えております。  特に、欲張りなライフスタイルの基盤づくりを進めるため、成育環境の違いにかかわらず、全ての子供が健やかに夢を育むことのできる社会づくり、個人の状況やライフスタイルに応じた多様な働き方の促進、雇用や強い地域経済をつくるためのイノベーションの加速、都市の魅力向上と中山間地域の地域力の強化の四つの施策に取り組んでまいります。  このビジョンの目指す姿である欲張りなライフスタイルは、バブル経済崩壊以降、日本が模索してきた新たなライフスタイルそのものであり、ビジョンに掲げる施策を計画期間である平成三十二年度までに県として着実に実施することで、目標を達成していくべきものと考えております。  次に、中期財政運営方針の目標達成等についての御質問でございます。  本県の財政運営につきましては、これまでの財政健全化の取り組みによる成果があらわれてきているものの、社会保障関係費の増加などに加え、実質的な県債残高につきましても依然として高い水準で推移する見通しであるなど、今後も厳しい財政状況が続くものと認識しております。  このため、議員御指摘のとおり、将来的には基金の取り崩しなどの特別な財源対策に頼らない財政運営に移行していくことが重要であると認識しておりますが、平成二十八年度を含めた今後五年間の方針である中期財政運営方針におきましては、財源調整的基金等の計画的な活用も図りながら必要な政策的経費を確保していくこととしたところでございます。  また、この方針に掲げる財政運営目標を着実に達成していくため、徹底した無駄の削減や予算、人員の最適配分などを行う経営資源マネジメントの実施や、人件費の適正管理や財産の売払いなどの歳出歳入の両面にわたる着実な取り組み、また、県債発行額の適切なマネジメントなどに取り組むこととしております。  このため、平成二十九年度当初予算編成におきましては、財源調整的基金等の計画的な活用や県債発行額の適切なマネジメントに加え、経営資源マネジメントにより五億円、歳出歳入の両面にわたる着実な取り組みにより十一億円の財源捻出を行うこととしたところでございます。  今後とも、中期財政運営方針を踏まえながら、チャレンジビジョンの目指す姿である欲張りなライフスタイルの実現に向け、着実に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、核兵器禁止・廃絶に向けた取り組みについての御質問でございます。  核兵器廃絶に向けましては、議員御指摘のとおり、一般市民も含む世界のさまざまな主体が力を合わせて行動することが重要であると考えており、国際平和拠点ひろしま構想の推進のためのガイドラインにおきましても、国際世論を高めていくため、広島からの核兵器廃絶のメッセージの継続的発信の重要性を掲げているところでございます。  今年度、広島の国際平和の拠点性を高めることにつながる事業推進主体としての新たなセンター機能について検討を進めているところでございますが、こうした認識のもと、この中では、NGOなどのグローバルネットワークの構築や、広島を基点として、世界のさまざまな主体の参画を促す仕組みづくりについても検討を行ってまいりたいと考えております。  一方で、核兵器廃絶に向けては、各国の政治指導者に廃絶のための施策を実行していただくことが必要であり、世界の政治指導者の被爆地訪問を強く訴えているところでございますが、あわせまして、広島から具体的な政策提案を可能とするような平和のための研究機能の強化、集積を図る必要があると考えております。  このため、ことし五月の欧州訪問につきましては、ウィーンで開催されるNPT運用検討会議準備委員会の場において本県の取り組みを発信するとともに、この機会に世界の主要な研究機関との連携を深めることとしております。  具体的には、ウィーンで開催するシンポジウムにストックホルム国際平和研究所等から御参加いただき、核軍縮を進展させるための方策の形成に向けた意見交換を行うとともに、各研究機関を訪問して本県との共同研究を見通した連携のあり方について協議を行うこととしております。  あわせまして、広島の研究者のネットワークを強化し、核兵器廃絶に向けたプロセスの進展につながる政策提案が可能となるよう、研究機能の強化を図ってまいります。  こうした取り組みを進めることにより、核兵器廃絶に向けたプロセスの進展に向け、広島の発信力の強化や研究機能の集積を図り、さらには広島の国際平和の拠点性の向上につなげて、核兵器のない平和な世界の形成に貢献できるよう全力で取り組んでまいります。  次に、ひろしま版ネウボラの特徴と利用促進の取り組みについてお答え申し上げます。  核家族化や地域のつながりの希薄化等により子育てへの不安が高まっている中、本県が目指す欲張りなライフスタイルを実現するためには、全ての子供やその家族を総合的に支援し、家庭における経済状況や乳幼児期の教育など、さまざまな格差にかかわらず、次代を担う子供が健やかに成長できる環境を整えていくことが重要であると認識しております。  こうした中、国の調査によりますと、子育ての悩みを相談できる人がいる割合が、平成十四年度は七三・八%であったものが平成二十六年度には四三・八%と大きく減少していることや、県の調査では、子育てに悩んだときの相談先として公的機関を挙げた人は八%と低い状況にあることから、身近な地域に安心して相談できる環境を整備することが喫緊の課題であると認識しております。  このため、本県では、県内どこに住んでいても、身近な地域で妊娠期から子育て期までワンストップで支援を受けられる、ひろしま版ネウボラを構築していくこととしたところでございます。  ひろしま版ネウボラの特徴といたしましては、国が全国展開を目指している子育て世代包括支援センターが母子保健を中心としたものであるのに対して、本県では、母子保健と子育て支援が一体となった拠点を設置することとしております。  また、この拠点におきましては、妊娠期の早い段階から継続的につながりを持ち、保護者との信頼関係を構築し、何でも安心して相談できる環境を整えて、産後うつや児童虐待などリスクを抱える家庭を早期に発見し、必要な支援を速やかに提供できる体制を整えるとともに、子供の発達段階に応じた健やかな成長に視点を置き、乳幼児期における家庭教育の支援についても取り組んでまいりたいと考えております。  また、全ての家庭に必要なサービスを提供するとともに、リスクを抱える家庭を適切な支援に結びつけるためには、より多くの方にネウボラを利用していただくことが重要であると考えております。  このため、母子保健と子育て支援のコーディネーターがワンストップでさまざまな相談に応じ継続して支援していくことで、保護者から相談してみよう、頼りになると感じていただける環境づくりに加えて、妊娠期や乳児期に窓口に来られた方に育児パッケージ等のプレゼントをお渡しすることなど、多くの方がネウボラを利用していただくための仕組みも考えてまいります。  こうした新たな取り組みを広げ、子供を中心とした家族全体を支援する体制を構築することにより、安心して妊娠・出産、子育てができ、全ての子供が健やかに夢を育むことのできる広島県の実現に全力で取り組んでまいります。  次に、イクメンの五段活用による男性が活躍する社会についての御質問でございます。  男性も含めた誰もが仕事と家庭を両立し充実した生活を送るためには、働きやすい職場環境の整備など、企業における働き方改革の取り組みを促進していくことが重要であり、イクボスの存在は、その推進リーダーとしての役割を担っているものと認識しております。
     このため、本県では、イクボス同盟ひろしまを結成し、同盟メンバーによる勉強会の実施や取り組み事例及び提言の発信、経営者や管理職を対象としたイクボス養成講座の開催などに取り組んでまいりました。  今後は、これまでの取り組みに加え、私が直接企業を訪問するイクボス推進トークや同盟勉強会等を通じた取り組み成果の発表などを通じて、その内容を広く県内の企業経営者に発信するとともに、個々の企業の状況に応じたきめ細かな働き方改革の支援を行うことにより職場での実践的な取り組みにつなげていくなど、県内でのイクボスの普及と働き方改革をより一層推進してまいります。  また、イクメンやイクボスだけでなく、イキメン、イクジイ、ケアメンなどがふえるということは、男性自身の生涯を通じた仕事も暮らしも充実したライフスタイルにつながるとともに、社会全体の変容にも結びつくものと認識しております。  このようなライフスタイルを可能にする働き方改革の取り組みを促進するとともに、育児や介護における負担感の軽減によるゆとりをつくり出すための取り組みや、地域活動や共通の目的を持つ仲間との社会貢献活動、サークル活動への支援など、さまざまな希望をかなえるための取り組みを進めてまいります。  こうした取り組みを推進することにより、男性も含めた全ての県民の皆様が生き生きと活躍することのできる社会の構築を目指してまいります。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 20: ◯議長宇田 伸君) 総務局長山根健嗣君。         【総務局長山根健嗣君登壇】 21: ◯総務局長山根健嗣君) 三点についてお答え申し上げます。  まず、県有資産の個別の維持管理等についてでございます。  県有施設を必要なサービス水準で安全に維持していくため、県有施設全体の最適化を図り、最少の経費で最大の効果をもたらす取り組みを進めるため、平成二十六年度に広島県公共施設等マネジメント方策を策定いたしました。  この方策に基づきまして、施設類型ごとに計画を策定することといたしておりますが、平成二十七年度に庁舎及び県営住宅についてそれぞれ、庁舎総合管理方針、県営住宅再編五箇年計画(第二次)を策定いたしました。また、今年度は警察本部におきまして、警察施設に係る計画の策定が予定されているところでございます。  今後とも、施設の老朽化対策として、賢く施設を使用する観点から個別施設計画の策定を進めるとともに、策定した計画に基づいて施設総量の最適化を図りつつ、耐震改修工事の実施や予防保全による長寿命化などを着実に推進してまいります。  続きまして、公共施設等マネジメント方策と財政運営との関係についてでございます。  県有施設につきましては、施設保有量が膨大であり、老朽化が進んでおりますことから、今後、施設の大規模改修や更新の時期が集中して到来することになります。  このため、平成二十六年に策定しました公共施設等マネジメント方策におきましては、現状の施設保有量で機械的に六十年で建てかえることなどを前提条件として試算した改修、更新費用をお示しした上で、財政負担の軽減を図る観点などから、県有施設全体の最適化に取り組むこととしております。  さらに、その取り組みを推進するため、施設類型ごとに個別施設計画を策定し、建物の集約などによる総量の最適化や計画的な予防保全による建物の長寿命化に取り組むことにより、ライフサイクルコスト全体の圧縮を図ることとしております。  こうした考えに基づきまして、毎年度の予算編成におきまして、中期財政運営方針に掲げる財政運営目標の達成に留意しつつ、緊急性などを勘案した上で、計画的に事業を実施してまいりたいと考えております。  続きまして、県庁舎の安全性確保と将来の整備計画についてであります。  県庁舎の耐震改修につきましては、平成二十三年度から実施しているところであり、本館、南館、議事堂につきましては、今年度から実施設計に着手したところでございます。  こうした中、昨年四月に発生しました熊本地震などにより市町庁舎などに深刻な被害が出ている状況に鑑み、実施設計を行う中で工期を短縮できる要素を検討しているところでありまして、可能な限り早期に耐震改修を完了できるよう努めてまいります。  また、現在耐震化を進めております県庁舎につきましては、耐用性能を考慮いたしますと、耐震改修期間を含め三十年程度は使用可能でございますが、その後は建てかえなど何らかの対応が必要となってまいります。  このため、新たな県庁舎の整備につきましては、おおむね三十年後を見据えて策定されます都心活性化プランにおける広島市都心部の目指すべき姿を念頭に置いた具体的な検討との整合を図りつつ、可能な限り早く検討してまいりたいと考えております。  なお、その際には、議員御指摘の民間と連携したさまざまな手法も含め検討する必要があると考えております。 22: ◯議長宇田 伸君) 健康福祉局長菊間秀樹君。         【健康福祉局長菊間秀樹君登壇】 23: ◯健康福祉局長(菊間秀樹君) 安心できる医療・介護体制の構築と各種計画の整合等について御答弁いたします。  高齢化が進行する中、できるだけ身近な地域で必要な医療・介護サービスを安心して受けることができる体制づくりは極めて重要でございます。  県内の医療提供体制の現状につきましては、地域医療構想の検討過程においても指摘のあったとおり、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の病床の役割分担が不明瞭であること、制度が廃止される療養病床については、入院患者の実態に即したサービスの確保が必要であることなどの課題があると認識いたしております。  このため、地域医療構想では、二次保健医療圏ごとに医療・介護・福祉関係者や市町等と協議を重ねながら地域の実情に応じた病床機能の分化と連携を図るとともに、地域包括ケアシステムの構築に引き続き努めることといたしております。  一方、国におきまして、療養病床の一部廃止にかわる新たなサービス類型について審議されておりますが、具体的な内容がいまだ不明確であることから、国に対して速やかに詳細な制度設計を示すよう働きかけるとともに、円滑な移行に向けて必要な支援を行ってまいりたいと考えております。  また、地域医療構想におきましては、平成三十七年の必要病床数と在宅医療等への移行を含めた医療需要量を推計したところであり、次期保健医療計画及び高齢者プランは、これらの推計値を踏まえたものとする必要がございます。  具体的には、保健医療計画を検討している医療審議会と高齢者プランを検討している高齢者対策総合推進会議のもとに、医療・介護需要量を調査・分析するためのワーキンググループを合同で設置し、同一のデータに基づきまして一体的な策定を進めているところでございます。  次期医療費適正化計画におきましても、地域医療構想に基づく病床機能の分化と連携や地域包括ケアシステムの構築を踏まえた適切な医療費を推計し、必要な対策を検討することといたしております。  今後とも、身近な地域で質の高い医療・介護サービスを受け、住みなれた地域で暮らし続けることができる広島県の実現に向け、関係団体と連携を密にしながら各計画を整合性を持って策定し、総合的な取り組みを進めてまいります。  続きまして、データヘルスを活用した医療と介護の連携についてお答えいたします。  データに基づく保健事業が効果的に実施されるよう、国は全ての医療保険者に対し、データヘルス計画の策定、公表、事業実施、評価を求めており、県内市町国保のデータヘルス計画につきましては、現在、十九市町で既に策定され、残る四町も今年度中に策定することとなっております。  この計画に基づき市町が行う保健事業につきましては、ヒアリング等を通じてその目標、取り組み内容及び事業効果を把握するとともに、参考事例の情報提供や調整交付金による財政支援により市町の取り組みを支援いたしております。  また、地域包括ケアシステムを構築する上で不可欠な医療と介護の連携につきましては、本県が他県に先駆けて独自に開発した医療・介護・保健の総合分析システムを活用しているところでございます。  県では、このシステムにより分析した日常生活圏域ごとの医療・介護サービスの利用割合のデータなどを市町に提供し、市町では、このデータを地域ケア会議などの場を通じて医療・介護関係者等と共有し、地域の課題把握や取り組みの検討に活用いたしております。  今後も、市町からの要望も聞きながら、より有用なデータの提供に努め、県民の皆様が安心して地域で暮らし続けることができるよう、適切な医療・介護提供体制を構築してまいります。  続きまして、訪問口腔ケア体制の確立についてお答えいたします。  高齢者が安心して在宅で生活を続けていくためには、健康の維持や生活の質の向上を図る観点からも、訪問による口腔ケアは大変重要であると認識いたしております。  このため、県では、地域の拠点である在宅歯科医療連携室の整備、在宅歯科診療を実施する歯科診療所に対するポータブルユニット等の診療用機器の整備、在宅での歯科医療や口腔ケア及び摂食・嚥下機能訓練を実施する歯科医師や歯科衛生士の養成研修の実施、歯科と介護との連携を図るため、介護支援専門員、管理栄養士、言語聴覚士等多職種を対象とした研修の実施など、県歯科医師会と連携して取り組みを進めてきたところでございます。  一方、さらなる高齢化の進展に伴い在宅での療養を行う高齢者の増加が見込まれる中、その生活の質を向上させるためには多職種が連携して経口維持支援に取り組むことが効果的であると考えられます。  県といたしましては、引き続き、在宅歯科医療連携室の整備や人材育成等を進めるとともに、来年度、第七期ひろしま高齢者プランや広島県歯と口腔の健康づくり推進計画を策定することとしており、この中で多職種が連携した仕組みなどを検討し、訪問口腔ケアのさらなる充実を図ってまいります。 24: ◯議長宇田 伸君) 環境県民局長森永智絵君。         【環境県民局長森永智絵君登壇】 25: ◯環境県民局長(森永智絵君) 私から二点お答えいたします。  まず、ひろしま平和発信コンサートの着実な実施についてでございます。  ひろしま平和発信コンサートは、世界共通の言語である音楽によるメッセージの発信を継続して行うことにより、平和への思いを国内外の多くの方々と共有するとともに、平和構築などの実践活動につなげるなど、国際平和拠点ひろしまの形成に貢献することを開催理念とするものでございます。  これまで二回の開催を通じて目的に賛同する多くの著名アーティストに参画いただいたほか、国内外に平和を発信する活動を続けている世界的ピアニスト、マルタ・アルゲリッチ氏にひろしま音楽平和賞を授与して今後の協力関係を築いたこと、コンサートの開催を契機にみずから定期的に平和コンサートを開催する民間団体が設立されたことなど、開催理念の浸透という点では一定の広がりが生まれてきております。  一方、現行の行政主体の実行委員会方式では、数年に一度の開催となること、単年度予算やノウハウ等の点で国内外のアーティストへの出演交渉などに困難が伴うこと、協賛金や補助金等を主な収入とするため財源が不安定になることなどの課題があることも明らかになってきたところでございます。  こうしたことから、将来にわたって音楽を通じた平和のメッセージの発信を継続的に拡大していくためには、音楽活動に専門性を有する民間団体を実施主体とし、県、市、経済団体等が企画内容や発信方法に関する協議や広報宣伝等で連携する体制へ移行することが必要であると考えております。  このため、来年度は、新体制の構成メンバーや具体的な仕組み、回数や時期も含めたコンサートの内容等を固めた上で開催準備の調整を行うなど、平成三十年度から新たなスタートが切れるよう取り組みを進めることとしております。  ひろしま平和発信コンサートの理念の実現のためには、長期的に粘り強く取り組むだけでなく、平和のメッセージを国内外の人々にどのように伝えていくべきかを問い続け、その内容や手法等を常に見直しながら発信し続けることが必要であると考えております。  今後とも、平和への思いを共有する人々と一体となって着実に取り組んでまいります。  続きまして、広島県立美術館の魅力向上と集客促進についてお答えいたします。  広島県立美術館そのものの魅力といたしましては、西日本最大級の規模を誇る展示面積に加え、広島県の名勝縮景園に隣接し庭園散策と美術品鑑賞を一体的に楽しめる全国でも珍しい施設構成となっていること、本県ゆかりの作家や一九二〇年代から一九三〇年代の美術作品という方針のもとに収集された四千九百一点に及ぶ所蔵作品、館長を中心とした国内外のネットワークによる個性豊かな特別展の誘致などが挙げられるものと認識いたしております。  こうした魅力をさらに向上させるため、来年度は、美術館一階のミュージアムショップのリニューアル及びカフェの新設を行い、縮景園を臨む吹き抜けのロビーを含むエントランス一帯をにぎわいの空間として再編するほか、縮景園のライトアップイベントと連携した開館時間の延長や連携企画等の実施を予定しております。また、新たにキッズスペースを設置するなど、親子で楽しめる施設としてのサービスの向上も図ってまいります。  所蔵作品につきましては、昨年度、所蔵する全ての作品の再整理をした上で、その特色や見どころ等をリスト化し、今年度から、季節の移ろいや自然の美の表現などのテーマ性を持った所蔵作品展を三カ月ごとに入れかえながら作品や作者に関する解説文の見直しなどを実施した結果、所蔵作品展の入館者数は、一月時点で対前年度比五一%増と順調に推移しており、美術館の新たな魅力の発見につながっているものと考えております。  特別展につきましては、来年度、高い集客力が期待できる「英国ウェールズ国立美術館所蔵ターナーからモネへ」を初め、日本初公開となるレオナルド・ダ・ヴィンチの未完の大壁画アンギアーリの戦いを中心とした企画展等の開催を予定しております。  また、近年増加する観光客につきましては、庭園美術館という特色を最大限に活用する観点から、とりわけ外国人観光客をターゲットとした新たな取り組みが必要であると考えており、縮景園内にフォトスポットを設定することによりSNS等での発信を促す仕組み、美術館と縮景園の見どころを厳選して効率的に周遊できるショートコースなどの設定、縮景園内の茶室やあずまや、展示作品などの歴史的背景も含めた解説の充実や音声化、多言語化など、可能なものから順次実施することといたしております。  今後とも、広島県立美術館の特色ある魅力を十分に引き出し伝えることで、来館者の皆様の欲張りライフの実現を応援してまいります。 26: ◯議長宇田 伸君) 教育長下崎邦明君。         【教育長下崎邦明君登壇】 27: ◯教育長(下崎邦明君) 学校教育の無償化についてお答えいたします。  複数部局にわたるお尋ねでございますが、代表して答弁させていただきます。  次代を担う子供たちが生まれ育った環境によって左右されることなく健やかに育ち、夢や希望、高い倫理観や豊かな人間性を持ち、意欲にあふれた自立した人間へと成長することは、県民全ての願いであり、経済的理由により教育を受ける権利が阻害されることがあってはならないと考えております。  こうしたことから、現在、幼稚園につきましては、保育料等への補助制度、認定こども園や保育所等につきましては、低所得世帯や子供の多い世帯の保育料の免除等が実施されているところでございます。  また、小・中・高等学校及び特別支援学校におきましては、就学援助や就学支援金などの制度により、就学に関する経費の負担軽減を図っているところでございます。  なお、国におきましては、現在、各学校段階を通じた切れ目のない教育費負担軽減に取り組まれており、とりわけ幼児教育につきましては、低所得で子供の多い世帯の第三子やひとり親世帯の保護者負担の軽減を図るなど、幼児教育無償化を段階的に進めているところでございます。  教育委員会といたしましては、全国都道府県教育長協議会を通して、幼児教育の無償化に向けた段階的取り組みを確実に進めることや、無償化に係る経費につきましては地方負担の財源を確保し確実に措置することなどを要望したところであり、引き続き、国の動向を注視してまいります。  また、大学につきましては、県立広島大学において授業料減免制度を運用し教育費の負担軽減を図っているほか、国に対しては全国公立大学設置団体協議会を通じ奨学金の充実について要望を行い、来年度の国の予算案に給付型奨学金の創設を含む奨学金制度の拡充が盛り込まれたところであり、引き続き、国の動向を注視するとともに、必要に応じ教育費の負担軽減に向けた要望等を行ってまいりたいと考えております。 28: ◯議長宇田 伸君) 明日も引き続いて質問を行います。明日は午前十時三十分から会議を開きます。  本日はこれをもって散会いたします。         午後二時十七分散会 発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...