9:
◯要望・
質疑(
出原委員) 本計画は、職業能力対策支援法に基づき策定されるものと理解しておりますけれども、この法律では、国民一人一人が職業能力を身につけることで安定した職業を得て、経済的にも社会的にも地位を築くとともに、国としても経済や社会が発展することを目的としています。
また、県で昨年改訂されましたひろしま未来チャレンジビジョンにおいて、全ての人が生きがいや達成感を持って仕事に取り組みながら、健康的に暮らしを楽しむことができる生活を実現していくことを目指す姿として掲げられています。働くことを希望する人たちの就職を着実に実現していくとともに、県内企業からの期待にしっかりと応えた人材育成ができるという両面で成果が上がっていくように、実効性のある職業能力開発施策に取り組んでいただきたいと思います。
次に、観光立県を掲げる中で、サービス業の人材不足等についてお伺いしたいと思います。計画素案の3ページにあります人材不足対策の強化の必要性というところに、現在は製造業、建設業、交通関連産業、医療・福祉の分野が人手不足ブームだと明記されておりますけれども、これから広島県が観光立県を目指すという中で、インバウンドや国内の観光客に対するサービス業の人材が不足しており、私の知り合いからもサービス業はなかなか人が集まらないという声を聞きます。そういった中で、サービス業の人材育成と人材不足についてどのように捉えられているのかということと、今後、サービス業の人材強化の取り組みで、具体的に何かお考えのことがありましたら教えていただきたいと思います。
10:
◯答弁(
職業能力開発課長) まず、観光業を初めとするサービス業につきましても人手が不足しているという状況は伺っておりますし、分析もさせていただいております。それに加えて、国策として、観光産業の振興におきまして、宿泊施設や飲食サービス業の接客能力と、その重要性が高まっていると認識しております。
このため、平成27年度におきまして、国、県、広島市が一体となって実験的に接客能力等の能力開発支援プログラムというものに取り組んでいるところでございます。今後は、この成果を検証しながら能力開発支援プログラムの修正を行って、よりよいものにしていくことを考えているところでございます。
本計画では、人手不足業種としては位置づけてはおりませんが、44ページにある第2節(1)の多様な求人、求職ニーズに応じた転職者訓練において、地域ニーズに応じた職業訓練の推進を挙げております。これを本計画上の位置づけとして、サービス業等についても、先ほどのプログラムを検証の参考にしながら訓練科目を設定する具体的な段階で検討させていただきたいと考えております。
11:
◯要望(
出原委員) サービス業の中でいろいろ声を聞くのは、これから観光客がふえていく中で、おもてなしというかサービスの実行において即戦力を雇おうと思うと、やはり東京や大阪の方々に声をかけるようです。これから観光立県を掲げていく中ですばらしいおもてなしをしていくにも、やはり即戦力の人材が必要であると思いますので、御検討いただきたいと思います。
12:
◯質疑(
石津委員) 21ページに記載されております若年者に対する職業観の醸成についてお伺いいたします。
素案の内容を見ますと、人材確保のためには、若年者の早期離職率が3割以上という状況を踏まえて、児童生徒の発達段階に応じた学校教育での取り組みの充実を図ることが重要であるとされております。
そこで、学校教育段階での取り組みについて、これまでどのようなことを行い、どのような成果や課題があったと認識しておられるのか、もう少し詳しい御説明をお願いいたします。
13:
◯答弁(
職業能力開発課長) 若者の職業観の醸成につきましては、仕事への誘導、職場への定着などに重要な役割を果たすものと認識しております。これまでの取り組みといたしましては、小・中・高の学校現場におきまして、「わたしのキャリアノート~夢のスケッチブック」というものを活用して、発達段階に応じた系統的な職業訓練を行ったり、インターンシップの充実など、職業観や勤労観の醸成に取り組んでいるところでございます。
また、主に小・中・高校生を対象にした体験型の啓発イベントである技能フェアを開催して、ものづくりへの親しみや現場の理解を深めていただいているところでございます。このほか、工業高校生に対するものといたしまして、ひろしまマイスター等の熟練技能者を派遣してものづくりを体感していただき、高校生の技能向上とものづくり職種への入職促進につなげる取り組みも行っているところでございます。
今後の課題といたしましては、現場体験の機会をふやすなど、さらにさまざまな仕事への理解を深める機会を確保していく必要があると考えているところでございます。
14:
◯質疑(
石津委員) 学校教育におけるこれまでの取り組みと成果や課題について御説明いただいたところですけれども、今回の計画では、これらの成果や課題を踏まえて、どのように取り組みを充実強化していくのか、お伺いいたします。
15:
◯答弁(
職業能力開発課長) 学校教育段階における取り組みの充実強化につきましては、まず、さまざまな職種に実際に触れていただく機会をふやし、仕事への現実的な理解を深めるということで職業観の醸成が進むよう、産業界等と一層連携を深めながら取り組んでまいりたいと考えております。
例えば、広島県職業能力開発協会と連携いたしまして技能体験教室を開催したり、教育委員会と連携いたしまして、職業体験やインターンシップ、これをさらに充実する取り組みのほか、広島県トラック協会がひろしまトラックまつりを開催しておりますので、こういった業界の理解を深めるイベントに積極的に参加いただくように取り組むというようなことを考えているところでございます。
16:
◯要望(
石津委員) 次代を担うべき若者が就職しても早期に離職する原因の一つは、若者が働くことの意味を十分に理解して就職していないことにあるとの認識が示されているわけですけれども、働いてみて、こんなはずではなかったということがないように、早い時期から学校教育の中で子供の発達段階に応じたキャリア教育を行うことは非常に大切であると思います。さらに、将来、広島県の若者の暮らしを支える産業界においても、若者の勤労観や職業観の醸成に協力していくことに意義があると思います。
今後、若年者の職業観や勤労観の醸成が効果的に行われ、若い人が広島県で働いて本当によかったと思えるよう、また、広島県で働くことに喜びと誇りを持って生き生きと働ける社会が実現するように、県がリーダーシップを発揮してさらなる取り組みを行われることを要望して質問を終わります。
17:
◯質疑(
内田委員) 今回の第10次計画を読ませていただいて大変よくできていると思いました。第9次と第10次の計画を比較して2つお聞きしたいと思います。
まず、3ページに記載されている第9次の計画でお伺いします。
今回の計画改定に当たりまして、経済情勢等の変化を分析しながら、第9次計画の取り組みの検証を行った上で、こういうところがよかったとか、うまくいかなかったことを挙げて、第10次計画において改善していくのだと思います。また、新しいこともやっていきましょうということだと思いますけれども、そのようなPDCAを回しながらやっていくことが大事だと思っております。
まず、この第9次計画に具体的にどのように取り組み、どのような成果があったのか、お聞きします。
18:
◯答弁(
職業能力開発課長) 第9次計画では、ものづくりを支える人材の育成ということに重点を置きながら、企業ニーズに応える人材育成となる公共職業訓練や技能の継承発展といった技能振興に取り組んでおります。
このうち、公共職業訓練事案につきましては、産業界組織の協力もいただきながら、高等技術専門校等の訓練生に対する企業実習に取り組み、最近の好調な雇用情勢もありまして、就職率等についてはほぼ目的どおり達成したという状況になっております。
それから、技能振興分野では、ものづくりの後継者の育成のために、中小企業や高校に実際に技能者を派遣して具体的に指導していただくことによって、技能検定の受検者数と合格者数の増加につながりました。技能検定受検者数については目標の9割程度にとどまっておりますが、合格者数につきましては、合格率が従来を上回る成果を上げておりますので、ほぼ目標を達成できるのではないかと見込んでおります。
19:
◯質疑(
内田委員) ただいま数字を挙げていただき、数値目標はほぼ達成しているようでありますけれども、そのような取り組みにおいて、どのような課題が生じ、その課題について、今回の第10次計画でどのように取り組もうとしているのか、お伺いします。
20:
◯答弁(
職業能力開発課長) まず、公共職業分野の取り組みでございますが、高等技術専門校や技術短期大学の訓練生に対する企業の需要は非常に高く、ほとんど就職できているわけでございますが、一方、訓練応募者が減少しているという状況がございます。これは、訓練メニューが人手不足の職種に力点を置いているということで、積極的に就職しようという方が少ないことに原因があるのではないかと思っておりますので、このような方に対して公共職業訓練等への誘導を強化していく必要があると考えております。
それから、もう一方で、技術振興分野につきましては、就職したにもかかわらず早期退職する若者がたくさんいるという状況がございまして、この点につきましては、仕事に対する意識が十分に形成されていない中で就職しているということも一因ではないかと考えております。
また、業界団体からも、小・中・高校生に対して地道にものづくりの魅力を教えていく職業教育に力を入れてほしいという意見も多数いただいているところでもありますので、教育委員会とさらなる連携を行いながら、就業前の段階で若者が職業観を適切に醸成していくことに力を入れてまいりたいと考えております。
21:
◯質疑(
内田委員) 次に今回の第10次と第9次の計画を比較して、どのような点が違うのか、また、どのような特色があるのか、具体的に教えていただきたい。
22:
◯答弁(
職業能力開発課長) まず、異なる点といたしましては、計画策定時の経済情勢が非常に変化しているということが挙げられます。第9次計画策定時には、急激な雇用経済情勢の悪化を前提として策定いたしておりますので、より就職しやすいという観点から、企業ニーズに応える人材育成や、雇用のセーフティーネット機能の強化に取り組んだところでございます。
今回の第10次計画では、雇用経済情勢が着実に改善していることを受けまして、製造業や建設業では、既に人手不足の状況が生じているということがございます。このため、こうした人材確保の困難さが指摘されている産業に、求職者をいかに振り向かせるかという課題が挙げられるのではないかと考えております。
このため、第10次計画の特色といたしましては、こうした人材確保が困難な産業分野に就職するための公共職業訓練と、求職者の誘導強化に力を入れていきたいと考えております。
23:
◯要望・
質疑(
内田委員) 現在、本来ならば正社員で働きたいのに、就職氷河期に遭遇したために正社員として採用されないということが話題になっております。非正規雇用労働者として働いている人は4割ぐらいいるわけです。
先ほどありましたように雇用情勢は改善しているわけでありますけれども、人手不足を訴える企業があるという現状は、そのような人たちが正社員として働ける好機であると考えると施策内容も変わってくると思います。職業訓練を通じて、非正規雇用労働者の職業能力を向上させながら、正社員としての就労へつなげる実効性のある施策の展開を要望しておきたいと思います。
続いて、人材確保が困難な産業について、13~16ページに記載しております。
出原委員からも質問がありましたけれども、人材確保が困難な産業として、製造業、建設業、交通関連産業、医療・福祉が取り上げられております。これらの産業において人材確保が困難になっている理由としてどのようなことが考えられるのか、お伺いします。
24:
◯答弁(
職業能力開発課長) 製造業、建設業、交通関連産業の現場を担う職種では、高齢の熟練技能者が引退時期を迎えております。こうした中で、製造業や建設業につきましては、若者のいわゆるものづくり離れ、それから交通関連産業については若者の車離れ、また、一般的に応募条件や労働環境に対する否定的なイメージなどの要因が絡み合いながら若年者の入職が減少していると考えております。
また、医療、福祉につきましては、介護職員数自体は増加しているのですが、高齢化の進展によって介護サービスの需要がますます増加しているということがございまして、人材供給が需要に追いついていないということも理由として挙げられると思います。
25:
◯質疑(
内田委員) 若者に人気がないということでありますけれども、今回の計画では、人材確保が困難な産業における人材確保について、どのような対策を講じようとしているのか、お聞きします。
26:
◯答弁(
職業能力開発課長) 人材確保が困難な産業に求職者が進んで入職しないことにつきましては、先ほどの理由を踏まえまして、これまで取り組んでおりました官民の連携をさらに強化しながらその職場の魅力を高め、魅力を発信することで若者や女性を引きつけ、また、例えば学校中退者など今まで狙っていなかった新たな層への働きかけをふやすことで求職者の誘導を強化するといったことが重要であると考えております。
今後は、官民連携の新たな組織を設置するなど、庁内の関係部局と業界団体等との連携を強化しながら、産業のミスマッチの問題を解決していく総合的な取り組みを進めたいと考えております。
27:
◯質疑(
内田委員) 次に、先ほども話がありましたけれども、ミスマッチについてお伺いします。
18ページに求人・求職のミスマッチの要因とその対策をまとめられておりますが、このミスマッチの要因は一般論なのか、それとも広島県内で実際に見受けられていることなのか、お伺いします。
28:
◯答弁(
職業能力開発課長) ここに掲げております項目は、求人、求職のミスマッチの要因として一般的に言われていることでございますが、県の職業能力開発審議会におきまして、人材確保が困難な業界の方々にも御出席いただき、審議いただいている中で、本県においてもこのような同様の問題が存在するということと、県内の関係業界の方々も、その解決に向けて取り組む必要があると強く認識されていることを確認しております。
29:
◯質疑(
内田委員) 県内の雇用労働情勢では、昨年12月の有効求人倍率が1.52倍と高水準が続いているわけでありますけれども、求職活動をしているにもかかわらず、なかなか就職ができないという方が現在も多数おられるわけです。まさに求人と求職のミスマッチが生じている状況と言えるわけでありますけれども、そこでもう1点お伺いします。この計画では総合的な対策の推進と記載されておりますが、今後、ミスマッチの解消に向けて県としてどのように取り組んでいこうと考えているのか、お伺いします。
30:
◯答弁(
職業能力開発課長) いわゆるミスマッチの解消対策といたしましては、求人があっても求職者が積極的にそちらに目を向けないという状況を変える必要があると思っております。そのためには、業界に対する否定的なイメージの解消といった人の心の問題、それから労働環境の改善といった経営にかかわる問題など、解消するまでには非常に息の長い取り組みが必要であると考えております。
しかしながら、中小企業の方々を中心に人手不足感は強まっており、求人側の企業といたしましても、人材確保の問題は非常に重要な問題であるという認識を強められているところであり、この機会に行政と産業界が連携して、雇用管理の改善や職業観の醸成といった総合的な取り組みを進めていきたいと考えております。
そのため、これらの取り組みが実効性を持って行えるよう、行政や産業界がミスマッチの解消に向けてお互いの取り組みの実施状況などを確かめ合える場を設けるといったことも検討していきたいと考えております。
31:
◯要望(
内田委員) 最後に要望して終わりたいと思いますけれども、先ほどありましたように、ミスマッチの要因として、労働者が企業をより好みするということも挙げられております。なぜ求職者がより好みをしてしまうのか、求職側と雇用側のうち誰がどこを変えるべきなのか、あるいはお互いに理解が足りていない部分があるのか、そういった問題の掘り下げもきちんとしていただきながら、効果的な処方箋を書いて実行することが大切だと思っております。働くという意識を適切に育てること、職業能力を身につけること、職場環境を改善することのいずれも息の長い取り組みが必要なことは理解できますけれども、関係者がそれぞれの取り組みの状況を確かめ合いながら、その取り組みに実効性を持たせていくような仕掛けづくりを行っていただくことをお願いして、質問を終わります。
(5) 閉会 午後2時5分
発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...