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  1. 広島県議会 2015-12-03
    平成27年12月定例会(第3日) 本文


    取得元: 広島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-05
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成27年12月定例会(第3日) 本文 2015-12-10 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 74 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯副議長佐々木弘司君) 選択 2 : ◯副議長佐々木弘司君) 選択 3 : ◯尾熊良一選択 4 : ◯副議長佐々木弘司君) 選択 5 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 6 : ◯副議長佐々木弘司君) 選択 7 : ◯農林水産局長寳来伸夫君) 選択 8 : ◯副議長佐々木弘司君) 選択 9 : ◯健康福祉局長笠松淳也君) 選択 10 : ◯副議長佐々木弘司君) 選択 11 : ◯経営戦略審議官伊達英一君) 選択 12 : ◯副議長佐々木弘司君) 選択 13 : ◯商工労働局長寄谷純治君) 選択 14 : ◯副議長佐々木弘司君) 選択 15 : ◯土木建築局長児玉好史君) 選択 16 : ◯副議長佐々木弘司君) 選択 17 : ◯危機管理監(土井 司君) 選択 18 : ◯副議長佐々木弘司君) 選択 19 : ◯議長平田修己君) 選択 20 : ◯畑石顕司選択 21 : ◯議長平田修己君) 選択 22 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 23 : ◯議長平田修己君) 選択 24 : ◯健康福祉局長笠松淳也君) 選択 25 : ◯議長平田修己君) 選択 26 : ◯土木建築局長児玉好史君) 選択 27 : ◯議長平田修己君) 選択 28 : ◯商工労働局長寄谷純治君) 選択 29 : ◯議長平田修己君) 選択 30 : ◯地域政策局長(竹中正博君) 選択 31 : ◯議長平田修己君) 選択 32 : ◯議長平田修己君) 選択 33 : ◯辻 恒雄君 選択 34 : ◯議長平田修己君) 選択 35 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 36 : ◯議長平田修己君) 選択 37 : ◯経営戦略審議官伊達英一君) 選択 38 : ◯議長平田修己君) 選択 39 : ◯農林水産局長寳来伸夫君) 選択 40 : ◯議長平田修己君) 選択 41 : ◯総務局長(山根健嗣君) 選択 42 : ◯議長平田修己君) 選択 43 : ◯商工労働局長寄谷純治君) 選択 44 : ◯議長平田修己君) 選択 45 : ◯都市建築技術審議官(石岡輝久君) 選択 46 : ◯議長平田修己君) 選択 47 : ◯土木建築局長児玉好史君) 選択 48 : ◯議長平田修己君) 選択 49 : ◯教育長(下崎邦明君) 選択 50 : ◯議長平田修己君) 選択 51 : ◯選挙管理委員会事務局長(來山 哲君) 選択 52 : ◯辻 恒雄君 選択 53 : ◯議長平田修己君) 選択 54 : ◯辻 恒雄君 選択 55 : ◯議長平田修己君) 選択 56 : ◯経営戦略審議官伊達英一君) 選択 57 : ◯議長平田修己君) 選択 58 : ◯農林水産局長寳来伸夫君) 選択 59 : ◯議長平田修己君) 選択 60 : ◯健康福祉局長笠松淳也君) 選択 61 : ◯議長平田修己君) 選択 62 : ◯教育長(下崎邦明君) 選択 63 : ◯辻 恒雄君 選択 64 : ◯議長平田修己君) 選択 65 : ◯辻 恒雄君 選択 66 : ◯議長平田修己君) 選択 67 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 68 : ◯議長平田修己君) 選択 69 : ◯農林水産局長寳来伸夫君) 選択 70 : ◯議長平田修己君) 選択 71 : ◯健康福祉局長笠松淳也君) 選択 72 : ◯議長平田修己君) 選択 73 : ◯教育長(下崎邦明君) 選択 74 : ◯議長平田修己君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:         午前十時三十分開議 ◯副議長佐々木弘司君) 出席議員六十名であります。これより会議を開きます。         自第  一 県第九〇号議案         至第五十四 報第 二五 号 2: ◯副議長佐々木弘司君) これより日程に入ります。日程第一、県第九〇号議案 平成二十七年度広島県一般会計補正予算から日程第五十四、報第二五号 損害賠償額の決定についてまでの各案を一括上程議題といたします。  昨日に引き続いて質問を行います。尾熊良一君。         【尾熊良一君登壇】 3: ◯尾熊良一君 皆さん、おはようございます。公明党広島県会議員団の尾熊良一でございます。  早々質問に入りたいと思いますので、知事を初め、執行部の皆様の明快な答弁をお願いいたします。  質問の第一は、農林水産業を取り巻く諸課題について、五点お伺いします。  本年十月、環太平洋パートナーシップ、いわゆるTPP協定が参加国の間で大筋合意に至りました。今回の協定により、世界における経済規模の約四割、人口では約一割を占める巨大市場が誕生することになります。TPPの発効により国産品の輸出や企業の海外展開がふえるなど、日本にとっても大きな経済効果があると言われますが、その反面、関税の削減・撤廃により農林水産物を中心に海外からの安価な輸入品が国内に流れ込んでくるため、国内の農業生産者、漁業者などからは、将来にわたり生産活動が維持できるか、懸念や不安が渦巻いている状況にあります。  国においては、合意内容の公表や関係者への説明会が行われるとともに、TPP総合対策本部が総合的な政策大綱を決定し、今後は通常国会において補正予算や来年度予算などで具体的な対策が審議される予定であります。我が県の農林水産業は、中山間地域での小規模経営が主流であるため低価格の輸入品が大量に入ってくると大きな影響は避けられません。農林水産省の発表によると、米や牛肉など主要五品目については関税撤廃の例外措置や輸入枠の制限により当面の影響は少ないものの、長期的に見ると全ての品目で価格の下落などが懸念されています。  本県では、農林水産業の基本指針である二〇二〇広島県農林水産業チャレンジプラン・アクションプログラムを昨年九月に策定し、担い手が将来の生活設計を描けることを目指しています。私は、今後TPP発効によるマイナス面が予想される中にあっても、広島県の農林水産物のプラス面を生かした県独自のTPP対策を新たに打ち出す必要があるのではないかと思います。  そこで、TPPが発効した際には県内の農林水産業にはどのような影響が生じると想定され、また、県内の農林水産業をどのようにして守り、さらに将来どのように発展させようと考えているのか、お伺いします。  先月発表されたTPP関連政策大綱では、自公与党の提言を踏まえ、攻めの農林水産業への転換と経営安定・安定供給のための備えという二本柱で構成されています。特にTPPを攻めの農林水産業に切りかえるチャンスにするため、攻めの体質強化策として担い手育成支援や輸出拡大に向けた体制整備を行うこととしています。  このような国の方針も受けて、本県においても攻めの農林水産業に変革するための県独自での対策も必要であります。十月に実施した農林水産委員会の県外調査では、世界最高レベルと言われるEU向けHACCP認定を取得している網走市の水産加工業者を訪れ、冷凍のサケやイクラ、ホタテなどの製造販売についてお話を伺いました。この企業では昨年度約三十億円の輸出実績を誇っていますが、社長は広島県でもカキなどの水産物の輸出により十分商機があるのではないかと述べられていました。  また、先月末に広域・国際観光振興特別委員会の県外調査で訪問した日本政府観光局香港事務所での説明によると、九州の各県は早くから畜産物の香港市場への輸出を支援しているため、鹿児島黒豚や宮崎牛などは知名度が高く、その波及効果として、産地で食材を実際に食べてみたいと香港から多くの観光客が九州に訪れています。  このようにTPP発効前から農産物や水産加工物の輸出を促進することで販売が拡大でき、また、広島県産の農水産物を世界に知ってもらうことで、本県への観光客の誘客など新たなビジネスにも展開できるものと思います。そのためには、輸出できる産品を選別し、生産量を上げ、売り込んでいく必要があります。  そこで、今後、本県では、輸出拡大を目指した攻めの農林水産業に生まれ変わるため、産品の生産力や販売力についてどのように強化していこうとされているのか、御所見をお伺いします。  次に、農福連携の取り組みについてお伺いします。
     昨今、農業分野では、高齢化により担い手不足やそれに伴う耕作放棄地の増加が深刻になっていますが、そのような課題を解決する取り組みとして、障害者や高齢者らが田畑や農場で農作業の担い手となることを支援する農福連携が全国的に注目を集めています。この取り組みにより、農業者にとっては労働力を補うことができるとともに、担い手となる障害者にとっては就労拡大と賃金アップ、高齢者においては介護予防やリハビリなど健康増進につながるものであり、先進地では既に大きな成果を上げています。愛媛県の福祉サービス事業所では耕作放棄地を借りて自然農法で米や野菜を栽培し、約三十名の障害者を雇用しています。  また、香川県や鳥取県では、農福連携事業として農業者と福祉作業所を橋渡しするマッチング支援を行うことで障害者の雇用拡大と賃金アップとともに地域の農作物の作付面積の拡大につながっており、農業者の方にも大変喜ばれているようであります。さらに、鳥取県では、漁業や水産加工業でも障害者雇用を広げることを目指した水福連携にも取り組まれています。  国においても、農林水産省と厚生労働省が共同で農福連携による就農促進プロジェクトを立ち上げ、農業関係団体や福祉関係団体が参加する連絡協議会を通じて相互理解を深める意見交換会の開催などに取り組まれています。  本県においても、農林水産業の担い手不足の解消とともに、障害者や高齢者の雇用拡大にもつながる農福連携を積極的に推進すべきと考えますが、農業の担い手不足対策の観点から御所見をお伺いします。  次に、瀬戸内法改正による豊かな海の実現についてお伺いします。  本年十月、瀬戸内海環境保全特別措置法、いわゆる瀬戸内法が改正施行され、豊かな海・里海を目指して、藻場・干潟の再生や総合的な対策が盛り込まれました。この法が定められた一九七三年以降、瀬戸内海の生活排水や工業排水などの水質汚濁を防止する取り組みが進み、年々水質は改善され、海はきれいになりました。  しかし、その反面、瀬戸内海の漁獲量はピーク時の四割以下に大きく減少し、漁業者の経営に大きな打撃を与えています。近年の漁獲量の減少は窒素やリンの総量規制などによる水質の改善に伴い、魚やノリの餌となる海中の植物性プランクトンが減少したことも一つの誘因となっていると考えられています。県としても、漁業者の所得増につなげるため、ガザミやキジハタ、カサゴなどの放流魚をふやすとともに漁場環境の整備対策を行っていますが、経営安定につながるまでには至っていません。来年春には瀬戸内七県による一般社団法人せとうち観光推進機構を立ち上げ、海を生かした誘客により新たなビジネスの創出を図ろうとしていますが、観光客に瀬戸内海の新鮮でおいしい魚料理を安定的に提供するためにも、漁獲量の拡大は今後の大きな課題であります。  香川県では、全国に先駆けて里海再生などの生態系全体を見通した豊かな海・里海づくりを目指し、山、川、まち、海それぞれの地域で何ができるかを考え行動する、県市町や関係団体、住民を巻き込んだ全県運動が行われています。  そこで、今回の瀬戸内法の改正施行により豊かな海づくりを実現するため、市町や漁業関係者のみならず、地域住民や関係団体とも連携しながら、水産資源の育成確保や漁場環境の整備に向けどのように取り組もうとされるのか、お伺いします。  次に、県産材活用における課題についてお伺いします。  先日、広島県産材の活用について、福山市内の材木販売店と木造住宅メーカーの方にお話を伺う機会がありました。これらの業者によると、福山市を初めとする県東部地域では、ヒノキ柱などの県産材製品の価格が高いため、価格の安い岡山の県産材製品を使用する場合が多いとのことでありました。これは、岡山県の真庭市などではヒノキ柱をひく製材所が多く製材量も多いため、安価で安定供給ができ、さらに運送コストが安いことも影響しているようであります。  その一方で、広島県森林組合連合会の方から御意見をお伺いすると、丸太価格は外材の輸入増加などにより、昭和五十五年と平成二十三年を比較すると、杉はかつての価格の約三一%、ヒノキは約二八%と大きくその値を下げています。このように、広島県産材の価格をめぐっては、購入する側からは他県と比べても高いと言われる現状がある一方、丸太を売る側の生産者からは価格が安く十分な利益が確保できないと言われる現状にあります。  このような状況を踏まえ、県産材活用を推進する県としましては、川上から川下までの生産対策、経営安定対策、さらには需要拡大策などトータルでの取り組みが必要と考えますが、今後の県の取り組みについてお伺いします。  質問の第二は、障害者の活躍促進に向けた取り組みについてお伺いします。  安倍総理は、ことし十月、少子・高齢化という長年にわたる構造的課題に正面から取り組むため、一億総活躍社会という大きな目標を掲げました。これは、一人一人が個性と多様性を尊重され、若者も高齢者も、女性も男性も、また、障害や難病を持った方も、職場や地域、家庭でそれぞれの希望がかない、みずからの力を発揮でき、それぞれが生きがいを感じられる社会を実現していくことであると言われています。また、昨年来、国を挙げて取り組んでいる地方創生の取り組みにおいても、地方への人の還流を促し都市部に住む人を受け入れるとともに、それらの地域に潜在する人材をフルに活用していくことが求められます。  このように、一億総活躍社会、そして地方創生の実現の鍵を握るのは何より人であり、地域に暮らす多様な人材を発掘して、その個性を生かし、地域の中で役割や雇用の場をつくっていくことが必要です。  しかし、地域の人材の中でも障害者については、雇用者の中で占める割合である実雇用率は法定雇用率である二%にも達していないことから、まだ活躍の余地があるのではないかと考えています。  国が取り組みを進めるこれら全員参加型社会について、その実現に向け本県においても積極的に取り組むべきと思いますが、特に障害者の活躍促進について今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。  次に、障害者の収入確保に向けた取り組みについてお伺いします。  我が国における障害者の一般企業への就労はいまだ進んでいない状況にあり、このような一般就労が困難である障害者については、就労継続支援事業所などで働くことになります。こうした状況を踏まえ、国や県では障害者の就労促進に取り組んでいますが、就労により得られる収入のみでは自立した生活ができないのが実情です。  県が八月に策定した第二期の広島県工賃向上に向けた取り組みを見ても、就労継続支援事業所などでの平均工賃は一万五千円程度であり、地域で自立して暮らすためには、障害者年金を勘案しても二万円程度足らない試算となっています。親にとっては、自分が亡くなった後でも障害者である娘や息子が自立して生活ができるかが最大の心配事であると保護者の方から伺っており、家族がいなくなった後でも自立した生活ができるよう工賃の水準を引き上げることが、今後障害者にとって大変重要であると思います。  このような現状を踏まえ、障害者が経済的に自立した生活が送れるよう、先ほどの農福連携の推進も含め積極的に取り組む必要があると思いますが、今後の障害者の収入確保に向けた取り組みについて御所見をお伺いします。  質問の第三は、イノベーション創出の取り組みについてお伺いします。  我が国では、少子・高齢化の進展に伴う労働者の減少が進んできており、人手不足は製造業のみならず、介護や医療、農業、建設など幅広い分野で大きな課題となっています。  このような人手不足の解消とともに、過重な労働からの解放や生産性向上などの課題を解決する方策としてロボットの活用に注目が集まっています。日本のロボット技術は、産業ロボットの分野で世界的に認められており、出荷額、稼働台数とも世界第一位の地位を確立するとともに、部品供給や研究開発などにおいても世界に誇れる強みを持っていることから、今後の成長産業になることが大きく期待されます。  民間のほか、国や各自治体においても、ロボット技術に関する研究が進められており、本県でも県内の中小企業へのロボット導入を支援するため、東広島市にある広島県西部工業技術センター生産技術アカデミーにおいてランダムピッキングロボットを開発するプロジェクトを平成二十五年度に立ち上げ、県内企業や大学、国の研究機関とともに共同研究に取り組んでいます。  このロボットについて、先月、自動車部品の生産ラインでの実用化に成功したということで視察に伺いました。このランダムピッキングロボットは箱にばら積みされた部品を取り上げ、正しい向きで並べて次の工程に進める作業を行えるもので、この技術には、ばら積み状態の部品の位置を認識する目の機能と、正確に部品をつかみ加工機にセットする手の機能で構成されています。目の機能に安価な画像認識カメラを使用することなどで、大手ロボットメーカーの半額程度の導入コストに抑えており、今回の現場への導入とともに、このコスト面に配慮した開発についても高く評価したいと思います。  ただ、今回開発された研究成果は、現時点では協働した企業での実用化にとどまっているため、今後、幅広い企業にこの技術が利活用されるよう、広く普及を図る必要があるのではないでしょうか。  そこで、今回実用化に至った広島発のランダムピッキング技術について県としてはどのように評価しており、この成果を今後どのように県内のものづくり企業に広く普及を図ろうとしているのか、お伺いします。  また、国においてはことし一月にロボット新戦略を発表し、二〇二〇年までにロボット関連のプロジェクトに官民共同で総額一千億円を投資し、ロボット関連市場を現在の約四倍の二・四兆円に拡大することを目指しています。そして、介護、医療や農林水産業などの分野で戦略目標を設定しており、例えば農林水産業では、トラクターなどの農業機械の夜間自動走行や収穫物の積みおろしなどの重労働、そして繰り返し作業でのロボット化を進めようとしています。  十月の農林水産委員会の県外調査では、北海道佐呂間町で小麦やバレイショなどを生産する会社に伺いましたが、GPSシステムを搭載したトラクターを導入され、生産性向上を図られている様子を目の当たりにしました。  また、ロボット出荷額が全国一位である愛知県では積極的な取り組みが行われており、開発企業に対して単県の予算で研究開発への補助制度を設けるとともに、実証実験の場所の提供や大規模展示会への出展支援などを行っています。福岡県では、産学官連携による推進組織を中核に県内の大手ロボットメーカーとともに中小企業の参画を促しながら、世界をリードするロボット産業の創出を目指した支援を行っています。兵庫県では、平成二十三年にひょうご新産業創造ファンドを設立し、ロボット・人口知能などの分野に研究開発資金として県内企業に対し一社当たり一億円までの資金支援を行っています。  本県では、十月に策定した広島県まち・ひと・しごと創生総合戦略において、産業イノベーションの取り組みとして成長産業の育成支援に取り組むよう掲げられておりますが、ロボット産業についても本県の成長産業となり得る分野ではないかと考えています。  そこで、中四国地方を代表するものづくり県である我が県としても、県の積極的なリーダーシップにより産学官で連携しながら、中小企業が取り組むロボット開発に対する技術支援や資金支援などを通じ、ロボット産業の振興に向けた取り組みを促進すべきと考えますが、御所見をお伺いします。  次に、医療、福祉、介護分野でのロボット開発の促進についてお伺いします。  ロボットは、さきのランダムピッキングロボットのように生産現場で利用される産業用ロボットのほかにも、遠隔手術や患者のリハビリを支援する医療・福祉ロボットや家庭での会話や店舗での案内サービス行う生活支援ロボットなど、今後、産業用以外のさまざまな分野で利用が進むことが期待されています。  国のロボット新戦略では、医療、福祉、介護分野において、ベッドからの移動や歩行支援などを行う機器開発を進めるとともに、介護保険適用の検討や新医療機器の審査迅速化などを通じて普及を図ろうとしています。このような分野の他県での取り組みとして、神奈川県ではさがみロボット産業特区を推進しており、生活支援ロボットの実用化、普及を進めるとともに、関連産業をさらに集積し、地域経済の活性化を目指しています。また、福島県でも、国から福島浜通りロボット実証特区の認定を受け、災害救助ロボットや医療機器ロボットなど、県内企業のものづくり技術を生かしたロボット開発による産業振興と他県からのロボット関連企業の参画や誘致を目指しておられます。  本県では、四年前から医工連携推進プロジェクト・チームを立ち上げ、県内企業の製造業におけるものづくり技術を医療や福祉分野に生かして、平成三十二年度に県内の医療機器などの生産額が一千億円となるよう取り組みを進めており、医療、福祉分野への新規参入も進むなどの成果も出始めているところであります。  そこで、医療関連産業クラスターに向けた取り組みの中で、今後の成長が期待される医療や福祉、介護分野のロボットについても、県内企業での開発支援が進むよう取り組むべきと考えますが、今後の県の方針についてお伺いします。  また、県では、先月、国に対し、規制改革などの施策を総合的かつ集中的に推進する国家戦略特区の指定に向け、広島県ビッグデータバンク創造・活用特区の提案を行いました。この提案では、共同研究プロジェクトや企業などで蓄積されるビッグデータについて円滑に収集・分析が行われ、商品開発などの新たなビジネスに活用が図られるよう、情報の利用目的について特例的な取り扱いが行われることなどを国に求めています。今回の特区申請が認定されることにより、今後、新たなビジネスへの展開や雇用の拡大につながっていくことを期待したいところであります。  今回の特区申請のテーマとなっているビッグデータの活用については、国の科学技術イノベーション総合戦略二〇一五でも重点的に取り組む分野として取り上げられたIoTという仕組みに関係するものであります。IoTとはインターネット・オブ・シングス、物のインターネットの略称であり、身の回りのあらゆるものにセンサーが組み込まれることにより直接インターネットにつながり、物と物、物と人とが相互に通信できるようになる仕組みのことであります。  この技術によりセンサーが組み込まれた物からデータが送られ、これを解析することで新しい製品やサービスを生み出せることが期待されており、暮らしやビジネスが根本から変わっていく可能性があることから、蒸気機関、電気、コンピューターに次ぐ第四次産業革命とも言われており、その取り組みは既に欧米を中心に広がっています。日本国内においてもIoT市場は二〇一九年には十六兆円にまで成長し、また、IoTでつながる機器も二〇二〇年には二百五十億台にまで急増すると予測されています。  このように、IoTがさまざまな分野で急速に浸透し、新たなビジネスモデルやプレーヤーが登場するなど、ビジネスの前提を大きく変えつつある中で、それぞれの産業への影響と対応策を検討することが社会的にも急務となっています。  そこで、県としても、今回の広島県ビッグデータバンク創造・活用特区の申請を契機に、新たな産業イノベーションへの取り組みの一環としてIoTを活用した産業振興に積極的に取り組むべきだと考えますが、御所見をお伺いします。  質問の第四は、防災の取り組みについてお伺いします。  ことし九月、茨城県常総市などで発生した鬼怒川の氾濫では多数の住民が逃げおくれ多くの犠牲者が出るなど、甚大な災害となりました。昨年の広島市土砂災害でも多くのとうとい命が奪われていますが、近年は毎年のように日本各地でゲリラ豪雨が多発しており、海抜ゼロ地帯にある都市での河川の氾濫や山際にある住宅地での土砂災害など、日本の至るところでいつ何どき大規模な災害が発生しても不思議ではない状況にあります。  そのような中で注目されているのが、災害時における行政による事前行動計画を定めたタイムラインであります。熊本県では、ことし三月に大規模災害による被害を最小化するため、県を含む防災関係機関や県民のとるべき防災行動や対応先をあらかじめ共通の時間軸に沿って整理計画した熊本県版のタイムラインを策定しており、都道府県として初めて大雨による洪水に加え、土砂災害と台風災害を想定していることが大きな特徴となっています。これにより、市町を含めた関係機関との連携による、県民の命を守ることを最優先にした適時・的確な防災対応が可能になりました。  さらに、熊本県では県の計画をもとに各地域でタイムラインを策定するよう、市町や自主防災組織に要請しています。タイムラインについては、ことしの二月定例会で我が会派の栗原議員が地域の防災計画を立案する際に取り入れるよう質問しましたが、自主防災組織などに情報提供していくという答弁でありました。  私としては、そこから一歩踏み出して、県みずからが主導してタイムラインを策定することで関係機関に広く普及が図られ、県民に対して、おくれない、漏れない対応が可能になると思います。  そこで、広島県「みんなで減災」県民総ぐるみ運動を加速するためにも、県みずからがタイムラインを策定し、それにより市町や地域の防災関係者にも普及していく必要があると考えますが、御所見をお伺いします。  質問の第五は、地方創生につながるUターン就職者への奨学金制度の創設についてであります。  私は、平成二十三年六月定例会の初めての質問で、東京などの県外大学に進学しても地元の企業に就職した場合は返還を免除するという広島県独自のふるさと奨学金制度を創設してみてはどうかと提案いたしましたが、その後検討されているのか、定かではありませんでした。  そのような中、ことし十月、学生がUターン就職した場合の奨学金の減免制度について、その全国状況が新聞で報じられ、これによると、福井県は二〇一一年度から、香川県は二〇一二年度から既に実施しており、国が人口減少対策の一つとして今年度から財政支援を始めたこともあり、鳥取、山口などの四県が新たに実施したほか、徳島など十三県が実施を検討しています。先行実施している香川県では、ことし春までの卒業者九十九人のうち県内就職は三十三人で県外学生が四割程度、そして理工系大学院生を対象とする福井県でも修了者七十四人のうち六十人が県内で就職しており、県外の大学院生はその半数程度と目に見える成果が上がっています。現在実施している他県の制度は、奨学金を受ける条件など県によって内容が異なりますが、若年層の転出超過に悩む本県としても、本県へのUターンのインセンティブとなる本県独自の奨学金制度を新たに設ける必要があるのではないでしょうか。また、着実に改善している雇用情勢の中、製造業を初めとする多くの中小企業では新規採用者の確保に苦労している現状にあることから、この課題にもあわせて対応できる制度設計も考えられるのではないでしょうか。  そこで、喫緊の課題となっている人口減少や若者の県外流出を食いとめ、地方創生を実現するためにも、県外に進学した学生が若手人材の確保に苦慮している製造業などの県内中小企業に就職した場合に返済を免除する奨学金制度を創設するよう、いま一度検討すべきと考えますが、御所見をお伺いします。  最後に、福山港の利用高度化についてお伺いします。  私は、ことし九月に福島県いわき市の国際バルク戦略港湾に選定されている小名浜港を調査するため、県港湾建設事務所を訪問しました。この小名浜港は、福島県だけでなく南東北地域における産業や小名浜臨海工業地帯を支える国際物流拠点でもあります。東日本大震災により大きな津波被害を受けたものの、その後、新たな埠頭建設により貨物バースエリアを拡張するなどの貨物物流拠点機能や観光物産展などの観光拠点機能、魚市場などの水産業機能など多目的機能をあわせ持った港湾整備計画を進めたことで、現在では貨物量もふえ、原発事故の影響で遠ざかっていた観光客も戻りつつあるというお話を伺いました。  私の地元にある福山港も、平成二十三年に国際バルク港湾に選定されていますが、先月から中国地方整備局が中心となって、県や市、関係企業、経済団体などが参画し、貨物量の増大のための港湾整備やクルーズ船の受け入れ態勢づくりなどに向けた新たな戦略を検討する委員会が開催されています。貨物量の増加を目指すことは、資源の輸入や地元製品の輸出の増加につながり、地域の競争力の強化につながることが期待されますが、その反面、課題もあると考えています。現在、農林水産物は福山港での輸出入は少ないものの、今後、TPPが発効すれば輸出入は全国的に大きくふえると予想されるため、さらなる港湾機能の充実が必要だと思います。  また、クルーズ船の寄港については、十万トンクラスの二、三千人規模の寄港を目指し、対応できる桟橋や観光物産店、免税店の整備など誘客に向けたハード面の充実が必要であります。  また、市民が気軽に利用でき、さらに海からの観光ルートとして定期観光船が発着する施設を整備するなど、福山港を県東部エリアの海上観光拠点としての機能を持たせるような大きな構想を持って戦略を練っていただきたいと思います。  そこで、福山港については、小名浜港のような多様な機能を持つ港湾を目指し、貨物物流の拠点機能だけではなく、農林水産物の輸出入により、さらなる貨物量の増加に向けた整備や、海からの観光拠点としての国内外からの誘客に向けた整備を検討すべきと思いますが、御所見をお伺いします。  私からの質問は以上でございます。御清聴、まことにありがとうございました。(拍手) 4: ◯副議長佐々木弘司君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 5: ◯知事湯崎英彦君) まず、TPPの県内への影響と関連施策についての御質問でございます。  本県の農林水産業は、担い手の減少や高齢化の進展、価格の低迷など非常に厳しい状況にあることから、TPP協定が締結されますと安価な輸入農林水産物の増加による影響が懸念されるところでございます。とりわけ、牛肉、豚肉、乳製品について、当面輸入の急増は見込みがたいものの、長期的には関税引き下げによる価格下落の影響が懸念されます。  また、かんきつ類につきましても、本県におきましては競合が見込まれますネーブルオレンジなどの中晩柑類の比率が高く、小規模経営体が多い実態を踏まえますと幅広く影響が生じるものと懸念しております。  一方、米につきましては、新たな輸入枠が設定されることにより、国産米全体の価格水準が下落することが懸念されますが、国が輸入量に相当する国産米を備蓄米として買い入れることとなれば影響は限定的になるものと考えております。  国におきましては、総合的なTPP関連政策大綱を取りまとめ、確実な再生産を可能とする経営安定対策の充実を図るとともに、成長産業化に取り組む生産者がその力を最大限に発揮できるよう農林水産業の体質強化への転換を施策の方向性として示されました。  県といたしましては、農林水産業の競争力を強化するため、二〇二〇広島県農林水産業チャレンジプラン・アクションプログラムを進めているところでございますが、輸入牛肉と肉質が競合する乳用種から和牛への転換や収益性の高いレモンへの樹種の転換に向けた取り組みをさらに加速させる必要があると考えております。  今後、国が具体化するセーフティネット対策に着実に取り組むとともに、体質強化への転換に向けた施策を十二分に活用し、経営力の高い担い手が生産の相当部分を担う、力強く持続可能な生産構造の確立に全力で取り組んでまいります。  次に、瀬戸内法改正による豊かな海の実現についての御質問でございます。  本年十月に改正されました瀬戸内海環境保全特別措置法を受け、現在、瀬戸内海の環境の保全に関する県計画につきまして、平成二十八年秋の策定を目途に作業を進めているところであり、豊かな海を実現するため、沿岸域の環境の保全、再生、創出、水質の保全及び管理、自然景観、文化的景観の保全、水産資源の持続的な利用の確保を基本的な施策として位置づけることとしております。これらの施策を推進するためには、藻場・干潟等の沿岸域の環境が良好であるとともに、水産資源の生息、生育に適した水質が求められることから、地元自治体、漁業関係者、地域住民、環境活動団体等の地域関係者と連携し、国などの調査研究の成果を反映しつつ、湾、また、灘ごとの海域の実情に応じたものとなるよう取り組むこととしております。  また、水産資源の持続的な利用の確保のためには、種苗放流による増加量と自然増加量を引き上げ、資源が増大し循環する環境をつくり出すことが重要であることから、今年度から県東部地区におきまして、市町と藻場などの漁場整備計画を策定するとともに、県栽培漁業センターにおきまして、来年度から、通常の三倍となる百万尾のガザミなどの地域の核となる魚種を集中放流するための種苗生産施設を整備しているところでございます。  加えまして、水産資源を効果的に管理するため、地域の漁業者による放流後の保護区域の設定や漁獲サイズの制限など資源管理計画を策定するとともに、漁獲物を扱う流通業者の協力を得まして資源管理が継続して取り組まれるよう協議を進めております。  今後、中西部海域におきましても、藻場・干潟の整備や底質環境の改善、地域の核となります魚種の集中的な放流、漁業者が主体となった効果的な資源管理の三つの取り組みを市町や関係漁業団体等と連携し一体的に進めることで、本県における漁業資源の増大を図り、担い手が将来の生活設計が描ける経営の確立に努めてまいります。  次に、障害者の社会参加に向けた取り組みについてでございます。  障害のある方々が、社会を構成する一員として、みずからの選択と決定により、社会、経済、文化その他あらゆる活動に主体的に参加できる環境の整備は極めて重要であると認識いたしております。  とりわけ、経済的自立の観点から雇用の確保は重要な要素であり、法定雇用率の達成に向け、国や関係機関とも連携し、障害のある方々の職業能力の向上や就労に向けた相談等の充実を図るとともに、企業への啓発や資金融資を通じて雇用の場の確保に努めてまいります。  また、あいサポート運動の一層の拡大により障害に対する理解の促進を図るとともに、自己実現の機会の充実を図るため、東京オリンピック・パラリンピックを契機とする障害者スポーツの推進や芸術文化活動の振興を通じ、社会参加の促進に努めてまいります。  県といたしましては、これらの施策を総合的に推進し、障害のある方々が活躍できる環境整備を進め、障害の有無にかかわらず、県民一人一人が相互に人格と個性を尊重し合う共生社会の実現に向けて取り組んでまいります。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 6: ◯副議長佐々木弘司君) 農林水産局長寳来伸夫君。         【農林水産局長寳来伸夫君登壇】 7: ◯農林水産局長寳来伸夫君) 三点について答えいたします。  まず一点目は、攻めの農林水産業についてでございます。  本県では、産業として自立できる農林水産業の確立を目指して、マーケットインを基本としながら、生産から販売までを一体的に取り組むことにより県産農林水産物のシェア拡大や市場競争力の強化を図っているところでございます。  一方、人口減少や高齢化の進行により国内市場の縮小が予測される中、アジア諸国を中心に経済発展に伴う購買力の高まりが見られるなど、今後有望なマーケットになることが期待され、輸出の重要性は一層高まるものと考えております。  本県の農林水産物で最も輸出拡大の可能性が高いものといたしましては、国内生産の六割以上を占めますカキがございますが、海外で需要の高い生で食べることのできる殻つきカキの生産出荷体制は不十分であることから、六月補正予算によりまして、輸出も念頭に置いた高度な衛生管理が可能な生産工程の技術開発などに取り組んでいるところでございます。  また、農林水産物全体の輸出拡大を図りますためには、幅広い需要に対するロットの確保、輸出相手国の植物検疫や商習慣に対応した体制の整備などの課題があり、国内での産地間競争の延長でそれぞれの地域が個別に輸出に取り組むのでは量的にもまとまらない上、さまざまな点で非効率であることから、オールジャパンで取り組んでいくことが望ましいと考えております。  こうした観点から、国におきましても、総合的なTPP関連政策大綱の中で、平成三十二年の農林水産物、食品の輸出額一兆円の目標を前倒して達成することを目指し、植物検疫などの輸出阻害要因を解消するとともに、来年秋を目途に、戦略的な輸出体制の整備について具体的な内容を検討することとされております。引き続き、国の動向を注視しながら、他県や生産団体などと連携を図りつつ、農林水産物の輸出について検討してまいりたいと考えております。  次に、農福連携の取り組みについてでございます。  本県では、新たな働き手の確保を求める農業生産法人と就労を目指す障害者の方が地域で支え合い、ともに生きる社会を目指す取り組みといたしまして、ハートフル農園支援事業を平成十七年度に創設し、平成二十一年までの五年間に、県内七カ所で農業用ハウス、機械等の生産環境を整備したところでございます。この取り組みによりまして二十九人の障害者の雇用につながったものの、社会福祉法人みずからが農業に取り組まれるもの以外は、長期にわたり障害者が定着した例は少なく、取り組み自体も広がっていない状況でございます。この要因といたしましては、障害者の特性に応じた農作業の提供や生活面を含めた指導など、障害者の安定的な就労に必要な行政や農業生産法人、障害者施設等の連携が十分ではなかったものと考えております。  近年、福祉分野におきまして、農業を通じて得られる心身のリハビリテーション効果や障害の程度に応じた作業が可能であることなど、農業が障害者の訓練・雇用の場として評価されております。こうした状況を踏まえ、本県におきましても、障害の特性に応じた作業工程や職場の環境整備について農業部門と社会福祉部門で情報交換しながら、農福連携の促進について検討してまいりたいと考えております。  三点目は、県産材活用における課題についてでございます。  本県では、全国有数の製材工場を有するという強みを生かし、外材から県産材への転換を図るため、昨年度策定しましたアクションプログラムに基づき、需要の拡大と安定供給体制の構築による県産材の競争力の強化に取り組んでいるところでございます。  特に、製材品価格につきましては、需要と供給のバランスや流通形態などにより価格変動や地域差があることから、住宅用構造部材の中でも、杉集成材のはり、桁、柱やヒノキの土台など、県内の資源状況や加工体制の実態を踏まえて販売ターゲットとなる部材を絞り、シェアの拡大を図ることといたしております。  具体的には、住宅メーカー等と製材工場との安定供給協定の締結促進や、生産・流通・加工といった各段階におけるコスト縮減に取り組んでいるところであり、引き続き、素材生産量の増加に合わせ、これらの取り組みを加速して販売量の拡大を図ることとしております。  また、素材生産につきましても、生産性の向上のための路網の整備や高性能林業機械の導入、流通の効率化のための製材工場との直接取引の拡大などに取り組み、現状の木材価格でも安定した経営が可能な収支構造への転換を図ってまいります。  今後も、持続的な林業の確立を目指し、川上から川下までが一体となって県産材の活用に取り組むことにより、林業、木材産業の振興を図ってまいります。 8: ◯副議長佐々木弘司君) 健康福祉局長笠松淳也君。
            【健康福祉局長笠松淳也君登壇】 9: ◯健康福祉局長笠松淳也君) 私から、障害者の収入確保に向けた取り組みについてお答えを申し上げます。  障害のある方々が経済的に自立し安定した生活を送るためには、年金のほか、障害者支援事業所等での工賃収入の増加を図ることが重要であると考えております。このため、本年八月に策定いたしました第二期の広島県工賃向上に向けた取り組みでは、さらなる工賃引き上げのため、県、市町、企業、障害者施設及び関係団体が一体となって工賃向上を目指し、商品力の向上や販路拡大、県民への普及啓発などに取り組むこととしております。  具体的には、専門家指導による技術・販売力の向上、共同受注窓口と連携した受注拡大、包括連携協定締結企業と連携した常設販売の強化、県民、企業、事業所へ魅力ある商品PRの強化などを推進することとしております。  さらに、優先調達方針に基づきまして、障害者就労支援事業所等からの物品等の積極的購入に努めますとともに、イベントを通じた事業所製品の普及・広報などにより、今後とも、障害のある方々の経済的自立に向けた工賃向上に取り組んでまいります。 10: ◯副議長佐々木弘司君) 経営戦略審議官伊達英一君。         【経営戦略審議官伊達英一君登壇】 11: ◯経営戦略審議官伊達英一君) ピッキングロボット技術の普及拡大についてお答えいたします。  少子・高齢化や生産年齢人口の減少が進む中、県内中堅・中小企業の生産現場におきましても、人手不足の解消や生産性の向上などの課題がございます。  この課題の解決策の一つとして生産現場へのロボットの導入が果たす役割は大きく、県内の自動車部品メーカーなどからは、ランダムに並んだ加工用部品の取り出しやプレス加工などの生産ラインへの投入を人の手によらず自動化するための低コストかつ簡易なロボットシステムの開発が求められております。  こうしたニーズを受けまして、西部工業技術センターにおきましては、戦略研究プロジェクトとして部品の形状や位置を判別する低コスト三次元画像処理技術、部品を確実につかむためのロボットハンド、そして、複数のロボットメーカーに対応できるシステム制御技術など、低コストかつ汎用性の高い技術開発に取り組んでまいりました。  このたび、県内企業におきまして開発した技術の活用により生産ラインでの実用化が図られたことから、今後、中堅・中小企業へのロボット導入の促進につなぐことが期待できると考えており、多種多様な現場ニーズへ対応するため、引き続き企業ニーズに応じた技術支援に取り組んでまいりたいと考えております。  さらに、成果を県内企業に普及するため、平成二十五年に設立し、九十一の企業や団体、大学から成る産業用ロボット活用高度化研究会などを活用し、ロボット技術導入の普及拡大に努めてまいりたいと考えております。 12: ◯副議長佐々木弘司君) 商工労働局長寄谷純治君。         【商工労働局長寄谷純治君登壇】 13: ◯商工労働局長寄谷純治君) 四点について御答弁申し上げます。  まず、ロボット産業振興の取り組みについいてでございます。  生産年齢人口の減少に伴いまして労働力人口の減少が見込まれる中、企業が持続的に成長していくためには、生産、サービスの現場等へのロボット導入の果たす役割は大きいものがあると考えておりまして、国のロボット新戦略でも、その市場の拡大が期待されております。  一方で、その市場が拡大するためには、これまで余りロボットが活用されていなかった分野でございます中堅・中小企業向けへの導入が重要となってきますことから、従来の大企業向けの大量導入とは異なり、多種多様なユーザーニーズに沿ったオーダーメードの製品を安価に提供することが重要になってまいります。  このため、ロボット産業の振興に当たりましては、中堅・中小企業の現場で求められるニーズに適合した技術を安価に実現できる研究開発と個々の現場に必要な技術を取捨選択して組み合わせる技術者、いわゆるシステムインテグレーターの確保が重要な課題と考えております。  県といたしましては、西部工業技術センターにおけるランダムピッキング技術のような低コストかつ汎用のロボットシステムの開発に取り組んでいるところでもございます。  また、資金的な支援につきましても、単県の補助事業に国などの制度も組み合わせながら、研究開発の初期段階から最終的な量産化までの各段階におきまして切れ目のない支援策を講じることで、ロボット産業も含めました県内企業の新技術・新製品の開発を支援いたしているところでございます。  さらに、平成二十三年度から実施しておりますイノベーション人材等育成事業や、本年度から実施しておりますプロフェッショナル人材マッチング支援事業におきましては、新たにロボット製造に取り組もうとする企業が必要とする人材やロボットを活用する現場でのシステムインテグレーターなどの育成・確保も支援しているところでございます。  こうした取り組みを総合的に進めることで、県内でのロボット関連産業の発展とロボットの導入を通じた県内中堅・中小企業のさらなる成長を図ってまいりたいと考えております。  次に、医療、福祉、介護分野でのロボット開発の促進についてでございます。  医療関連産業クラスターの形成に向けまして、平成二十三年度に設立いたしましたひろしま医療関連産業研究会の会員企業三百社の中には、赤外線センサーでベッド上の人の動きを見守るシステムや、目の動きを検出しパソコンを介して意思伝達を行う障害者向けの装置、高齢者の立ち上がり補助、歩行支援の機器など、ロボットの要素技術を活用した製品を手がけている県内企業がございまして、これまでも補助金等により支援を行っているところでございます。  御指摘のとおり、いわゆる介護ロボットの活用は、介護する側の負担軽減と介護される側の自立支援など、医療・福祉・介護現場での課題解決に有効な手段であると同時に、ビジネスといたしましても今後の成長が見込まれますことから、重要な分野であると認識いたしております。  一方で、ロボット開発を手がけようとする企業側では、医療機関での治療、看護の現場や福祉施設での介護の現場に接する機会が少なく、必ずしも現場の実態やニーズ、課題を踏まえた開発に結びついているとは言えない状況にございます。  このため、今年度から本格的に展開しておりますひろしまヘルスケア実証フィールドを活用し、企業が医療・福祉の現場に入り込んでの行動観察や構想段階からの意見交換など、早い段階から医療・福祉の現場と企業の開発現場が一体となる環境づくりに努めているところでございます。  今後とも、県内企業における医療、福祉、介護分野でのロボット開発の動きが加速するよう、国の施策とも呼応しつつ、きめ細かい支援を講じてまいりたいと考えております。  次に、IoT産業の振興についてでございます。  IoTにつきましては、本年六月に閣議決定されました日本再興戦略改訂版におきまして、IoT、ビッグデータ、人口知能による変革は、従来にないスピードとインパクトで進むものとされておりまして、これに対応するため、現在、国の産業構造審議会におきまして、官民で共有できるビジョンの策定が進んでいるところでございます。  県といたしましては、こうした国の動向を注視していきますとともに、ビッグデータ等を活用したIoTが県内において進展することも期待いたしまして、先般、広島県ビッグデータバンク創造・活用特区として規制制度の改革提案も行ったところでございます。  今後は、県内の中堅・中小、ベンチャー企業等におきましても、IoTの活用を推進していくことが重要でございますことから、工業技術センターによる技術支援などや研究開発助成等の資金支援などを行いますほか、IoTの技術やソフトウェアを扱える人材の不足に対応した効果的な人材育成につきましても、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。  次に、Uターン就職者への奨学金制度の創設についてでございます。  県外大学生のUIJターン就職を促進することは、若年層の転出超過を抑制いたしますとともに、ものづくりを初めといたします本県中小企業の次代を担う人材を確保する上でも重要であると認識いたしております。  このため、本県では、県外におきまして県内企業による合同企業説明会や学生と若手社員との交流会を開催いたしますとともに、今年度新たに開設いたしました就活応援サイトを通じまして県内企業の情報を発信するなど、県外大学生に県内企業の認知・理解を深めてもらう機会の提供に努めてきたところでございます。  こうした中、本年十月に改定いたしましたひろしま未来チャレンジビジョンにおきまして、新卒大学生のUIJターン率の目標を平成二十六年度の三一・〇%から、五年後には三六・四%とすることとし、その就職者数としては、三百五十人程度の増加を目指して取り組んでいくことといたしました。  県といたしましては、限られた財源の中、効果的な施策につきまして、奨学金減免制度も含め幅広に検討を重ねてまいりましたが、この目標の達成に向けては、費用対効果も勘案しつつ、中長期的な視点でUIJターン就職を選択する学生をふやす取り組みが有効ではないかと考えているところでございます。  こうした考えのもと、まずは県外の大学生に対しまして、大学進学後の早い段階から、技術力がある一方、知名度は余り高くないものづくり企業なども含め、県内企業を直接訪問する機会を積極的に提供する取り組みや、メールマガジンへの登録を促進し、在学期間を通じまして県内企業の情報や広島で暮らす魅力を発信することなど、UIJターン志向を高める方策について検討を進めているところでございます。  さらに、若手人材の確保に苦慮されている県内中小企業への対応といたしまして、インターンシップ制度のさらなる拡充などにも取り組んでいるところでございます。  今後とも、県外大学生のUIJターン就職促進につながる施策につきましては、県内中小企業の実情も踏まえながら、その有効性や費用対効果も十分検証し、引き続き、より実効性の高い取り組みを進めてまいりたいと考えております。 14: ◯副議長佐々木弘司君) 土木建築局長児玉好史君。         【土木建築局長児玉好史君登壇】 15: ◯土木建築局長児玉好史君) 福山港の利用高度化についてお答えいたします。  福山港は、背後に国内最大の粗鋼生産量を誇る製鉄所が立地し、国際バルク戦略港湾に選定されるとともに、中国や東南アジアを初め、週十三便の定期コンテナ航路を有するなど、地域の基幹産業を支える県東部の国際物流拠点として重要な役割を担っております。  地域の基幹産業のグローバル化への対応、クルーズ客船の寄港など新たな要請に対応した港湾機能の強化に向けた取り組みを推進するため、本年十一月に、国、県、福山市を初め、地元経済界、有識者などで構成される福山港利用高度化検討委員会が国により設置され、次期戦略の検討を進めているところでございます。この検討委員会では、将来輸出貨物としての増加が見込まれる船舶部品や鋼材のほか、新たな貨物の掘り起こしとして、農林水産物についても検討対象としております。  また、クルーズ客船の寄港につきましても、福山港での受け入れ環境や海上観光拠点としての可能性について検討してまいりたいと考えております。  今後も、福山港が地域の振興、産業活動を支え、地域経済を牽引し続けるよう、多様なニーズに対応した港湾の利用高度化に向けた取り組みを推進してまいります。 16: ◯副議長佐々木弘司君) 危機管理監土井 司君。         【危機管理監土井 司君登壇】 17: ◯危機管理監(土井 司君) 防災の取り組みについてお答えします。  タイムラインは、台風のように事前の予測が可能な災害について、災害が発生する前の段階から、行政、住民、防災機関が時間を追って何をするかをあらかじめ定めたものであり、先を見越した対応や確認漏れ、関係者間の対応のばらつきを防ぐことができるなどの効果が期待されるものと認識いたしております。  県、市町では、地域防災計画におきまして、災害予防、災害応急対策などの段階に応じた対策を盛り込むとともに、災害対策運営要領等においても、災害発生前から災害の推移に応じて具体的にとるべき行動をあらかじめ定め、実践的な訓練などにより、行政、住民、防災機関が一体となった防災体制の強化を図っているところでございます。  県といたしましては、これまでも災害発生前の早い段階から防災対策をとっているところでございますが、今後は国の検討状況や先行自治体における運用状況も注視しながら、タイムラインについて研究してまいります。  また、タイムラインの活用を検討する自主防災組織や自治会などに対し、引き続き情報提供を行ってまいりたいと考えております。 18: ◯副議長佐々木弘司君) この際、暫時休憩いたします。午後の会議は一時から開きます。         午前十一時三十六分休憩              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         午後一時一分開議 19: ◯議長平田修己君) 出席議員六十名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続いて質問を行います。畑石顕司君。         【畑石顕司君登壇】 20: ◯畑石顕司君 皆さん、こんにちは。自由民主党広島県議会議員連盟の畑石顕司です。  今次定例会におきまして一般質問の機会を与えてくださいました平田議長を初め、先輩、同僚議員各位に心より感謝申し上げます。  私は、民間企業勤務を経て、秘書として岸田文雄外務大臣のもとで政治を学ばせていただき、八期三十二年間、県政発展に力を尽くされた間所 了先生から後継者としてバトンを託していただき、ことし四月の統一地方選挙において初当選させていただきました。本日議場に駆けつけていただいた方々を初め、多くの皆様の御支援のおかげで、きょう、こうしてここに立つことができています。  世を治め民を済う、経世済民という言葉があります。人々が安全に、かつ豊かな生活を送られるようにするという意味です。この経世済民を貫く政治を実践することが、支えていただいた皆様への最大の御恩返しだと考えています。本日は、この言葉を胸に、新人らしく質問させていただきます。  質問の第一は、子供たちの健全な成長について、三点お伺いします。  一点目は、乳幼児期の子供の成長についてであります。  このたび、本県の大きな指針であるひろしま未来チャレンジビジョンが改定されましたが、引き続き、人づくりが四つの政策分野の一つに位置づけられ、重点的に取り組む方針が示されたところであります。これまで、委員会等でも意見を申し上げてまいりましたが、私は、このチャレンジビジョンを含め、国や県の政策議論の場においても、大事な点が一つ抜け落ちているのではないかと感じています。それは、子供たちの健全な成長に何が必要なのかという視点です。  人口減少社会を迎え、労働力人口の減少が大きな課題となる中で、女性に労働力として活躍してもらうべく、働く女性に対する積極的な支援が行われています。  本県におきましても、働く女性応援課という部署まで設けて取り組んでいる最中であります。また、人口をふやすための少子化対策も、さまざまな取り組みが実施されています。子供をできるだけ産んでもらう、その後はできるだけ早期に社会に復帰し活躍してもらいたいとの方針です。保育所整備を初めとする子育てしながら働く環境づくりは、十分とは言えないまでも随分と議論もされ、多種多様な取り組みがなされています。  一方で、乳幼児期の子供の育成は、その後の成長の基礎づくり、土台づくりの期間でもあります。  乳幼児期の子供の成長にとって何が必要か、家族や保育士とのかかわりはどうあるべきかといった議論や政策は、旺盛な保育所整備などと比較すると、ないに等しいと感じています。  例えば、愛着形成という言葉があります。乳児期に母親を初めとする身近な人との間にしっかりと愛着を形成することができるかどうかで、子供のその後の成長に影響があると言われています。最近の研究では、必ずしも母親との愛着形成のみが必要なわけではなく、父親や保育士など限られた数人との愛着形成であってもよいという成果も出されています。愛着形成という一例を挙げましたが、子供の成長に関する視点に立った議論や調査、そして活発な取り組みが欠かせないと考えています。知事は、就任早々育児休暇を取得され、イクメンという言葉を普及させた実績もお持ちであり、子供の成長についても強い思い入れがあるのではないかと推察いたします。  そこで、ぜひとも、乳幼児期の子供の成長について知事の思いをお聞かせいただくとともに、今後の取り組みへの決意をお伺いします。  二点目は、保育の質の確保及び保育現場の処遇改善についてであります。  子育てしながら働く女性への積極的な環境づくりが進められる裏で、保育の現場にひずみが生まれています。介護の現場や建設業界と同様に、保育士不足は深刻な状況にあります。  本県におきましても、保育士人材バンクなど保育士不足を解消するための幾つかの事業を実施しているところでありますが、過酷な労働環境やほかの職種に比べて著しく低い賃金体系などがネックとなり、保育士不足の解消の道は険しいものとなっています。こうした状況の中、保育士養成校へ集まる人材は減少し、人材の質を確保する上で大きな支障が出ていると聞いています。  さらに、一法人一施設のような保育所などでは、限られた人数での運営のため、日々の業務に追われ、若い保育士の教育や指導など人材育成の余裕はないのが実情のようであります。先ほど愛着形成について触れましたが、余裕のない、かつ保育士の質の確保が十分できていない保育現場にあって、犠牲になるのは子供たちの成育です。  また、保育の現場には若い女性が多く、彼女たちは出産・育児予備軍でもあり、彼女たちが産休や育休を取得し、再び保育の現場に職場復帰しやすい環境をつくることは、子供たちの生育にとっても極めて重要なことであると考えます。  そこで、保育の質をいかに高めるのか、そして保育現場の処遇をいかに改善するのか、今後の取り組みについて知事にお伺いします。  三点目は、子供が子供らしく育つ環境づくりについてであります。  子供の健全な成長について考えたとき、小学校を卒業するまでは子供らしく伸び伸びと遊ぶことが極めて重要だと私は思います。小学校の先生たちと話していると、今の子供たちは忙しいのですよとの答えが返ってきます。今、子供たちには時間がない、空間がない、仲間がない、三つの間という文字、三間がないと言われています。  私は昭和四十八年生まれで、第二次ベビーブーム世代ですが、私の子供のころは、放課後、友達と公園や学校の校庭で暗くなるまで伸び伸びと遊び、同世代や異世代との人間関係を培ったり、何が危ないのか、それにどう対処するのかといったことを日々の生活の中で吸収してきたのだと、今振り返ってみて思います。  しかし、今日では、外で遊ぶ場所がなかったり、あっても習い事や塾で遊べなかったりといった状況となっており、次世代を担う子供たちが育つ環境としては好ましくないと感じているのは私だけではないと思います。  広島県は、広島版「学びの変革」アクション・プランを策定し、教育施策の中でコンピテンシーの育成を大きな柱に掲げておられます。教育におけるコンピテンシーとは、単なる知識の詰め込みではなく、さまざまな環境変化に対応する力を養うという定義のようで、簡潔に言えば応用力をつけるということだと思います。  しかし、このような応用力とは、本来学校で教えるようなものではなく、遊びを含めた子供時代の体験や経験から少しずつ学び取っていくものだと私は考えています。  ここで、福岡市の取り組みを一つ紹介したいと思います。それは、わいわい広場という放課後等遊び場づくり事業です。小学校の校庭などを利用して、授業終了後に一旦家に帰ることなく、ランドセルを置いたまま、大人の見守りの中で自由に安心して遊びができる場や機会をつくるという取り組みで、その報告書を読んでみますと、集団遊びになれていない現代の子供たちであっても、大人たちの少しのきっかけづくりやヒントで伸び伸びと自主的に遊び始め、取り組みを継続することで、同学年のみならず異なる学年も含めた集団での遊びができるようになったと報告されております。  余談になりますが、この事業を所管しているのは、福岡市こども未来局こども部放課後こども育成課という部署であり、福岡市の子供の健全な育成に対する本気度が伝わり胸が熱くなる思いであります。  このような取り組みは、本来、市町が行うべきものではありますが、県が主体的に方針を示し、市町と協力してモデル事業を実施することは、人づくりを大きな柱に据えてこれから取り組もうとしている本県にふさわしい事業と考えます。  そこで、子供が子供らしく伸び伸びと育つ環境づくりについて、知事のお考えと今後の取り組みについてお伺いします。  質問の第二は、本県の産業経済を支える基盤の整備について、二点お伺いします。  一点目は、広島高速道路の環状化についてであります。  本県の持続的な発展を考えた場合、県内の人口や経済活動の七割を占め、中国地方最大の都市圏である広島都市圏の中枢拠点性をより一層高めることが求められております。都市機能を高めるための都市内高速道路網の整備は、広島都市圏のかねてからの大きな課題の一つであり、平成九年に広島高速道路公社を設立して以来、広島県、広島市とともに指定都市高速道路を順次整備してきたところであります。  既に高速一号線から四号線までは開通し、整備計画路線も五号線を残すのみとなりました。二葉山トンネルの建設をめぐり、五号線の計画は進捗が大幅におくれてきましたが、本年十月にトンネル工事を起因とする地表面の沈下が一定の範囲を超えた場合、広島県土地開発公社が買収するスキームを発表し、また、トンネル工事発注に向けての検討委員会も設置され、ようやく事業が前進を始めたところであります。引き続き、住民の皆様の声に耳を傾けつつ、一歩ずつ事業完成に向けて歩みを進めていただきたいと思います。  ところで、都市圏高速道路網とは、そもそも環状化を成し遂げて初めて、ネットワーク機能を最大限発揮することができるものであります。現段階では、三号線は観音で途切れており、四号線は沼田、中広ともにほかの高速とはつながっておらず、五号線も整備計画では広島駅北口どまりとなっております。策定済みの整備計画路線のゴールがようやく見えつつある中で、環状化が次の大きな課題と考えます。  短期的には、当面の交通量や採算性の問題など、実現に向けた課題があることは承知しておりますが、広島都市圏の活性化のためには、道路インフラの整備は欠かせないものであります。中国地方の雄県として広島県が存在感を発揮するためにも、長期的な視点で捉えながら広島高速道路の環状化の計画を新たに策定する必要があると考えますが、今後の取り組みをどのように思い描いておられるか、知事にお伺いします。  二点目は、土地造成事業会計の総括と産業団地造成の今後のあり方についてであります。  人口減少社会を迎え、進学や就職による人口の流入をふやすことが今後の自治体経営の課題の一つであり、人口流入の流れをつくるためには、雇用の場をできるだけ多くつくり出す必要があります。産業団地への企業誘致施策は、雇用創出に大きなインパクトを与えるのはもちろんのこと、新たな企業活動が生まれることで地域経済が活性化し、さらに地方税収の増加にも寄与します。本県の産業団地の現状は、分譲単価の引き下げや土地助成制度の拡充などが功を奏して企業進出が増加した結果、分譲可能な団地が三十ヘクタール弱を残すのみとなっています。
     加えて、円安の進展と海外人件費の上昇により、国内における労働コストが相対的に低下し、生産工場の国内回帰の動きが活発化する中で、県内への企業移転の機会を損失するおそれがある状況となっています。こうした中、十二月補正予算案に、三原市本郷地区における産業団地整備のための設計業務等が計上されたところです。  一方で、本県の土地造成事業会計は、バブル期の土地造成事業の拡大が尾を引き、昨年度決算で約百五億円の債務超過となり、累積赤字は約四百五十億円にも上っています。累積赤字を処理するために、一般会計から繰り入れをしなければならない事態となっており、事業計画策定時の経済環境、事業計画のあり方、また、損失が明確になってからの処理方法など、なぜこのような事態に至ったのか、原因分析を綿密に進める必要があります。産業団地の分譲には、経済情勢を背景にした地価変動や企業の設備投資意欲に左右されるなど、常にリスクを伴うのは当然のことであり、失敗は次の成功への糧にしなければなりません。  先ほど触れたように、企業誘致による雇用創出、経済への波及効果はもちろんのこと、現在の日本はいまだにデフレ経済の状態にあり、団地造成による需要創出は、経済政策上、有効な手段であると個人的には確信しておりますし、自治体がリスクを恐れる余り、民間では不可能な投資を適切に行わないならば、本県の人口も経済も衰退の一途をたどるばかりと考えます。これまでの失敗の反省をもとに、客観的な判断基準を設定し、効果を検証しながら慎重に事業を進めることが、今求められているのではないでしょうか。  そこで、これまでの土地造成事業をどのように総括しておられるのか、また、その総括も踏まえ、土地造成事業の今後のあり方をどのように考えておられるのか、知事の御所見をお伺いします。  質問の第三は、広島ブランドショップTAUの機能強化による効果的な中小企業支援策についてであります。  県の外郭団体である公益財団法人ひろしま産業振興機構の中小企業支援施策の中で、チーム型支援事業という取り組みがあります。この事業は、県内中小企業単独では難しい地域商品の市場化プロセスを支援する目的で、商品の企画・開発から流通及び販売までの各段階において、商品のマーケティングやデザイン、セールスなどの指導を行っておられます。  また、市場化プロセス実践の一歩進んだすぐれた取り組みとして、ヒロシマ・デパートメントというプロジェクトを展開されています。この取り組みでは、レモンや瀬戸内などコンセプトを決め、例えばレモンであれば、県内レモン加工製品を一堂に集め、展示会などに自主編集企画したブースとして出展することによって、中小企業単独では難しい全国への販路開拓への道筋をつけることに成果を上げておられます。この手法は、小売業界で高い評価を受けており、全国展開する大手百貨店などから自主編集企画ブースを丸ごと各地の系列百貨店で展開してほしいとの依頼も多くあるようです。  しかし、このような場合、ブースの展示だけではなく、各商品の流通や決済機能も一本化することが百貨店から求められ、あくまでも公益財団法人が実施するヒロシマ・デパートメントでは、収益事業が制限されており、卸売機能を持つことができないため要望に応えることができず、ブースに商品を提供している中小企業にとっては、せっかくの販路拡大、売上増大のチャンスをみすみす逃す結果となっているようです。  一方で、九月定例会において、当会派の大島議員がTAUの販路拡大への成果を質問された際に、知事は、首都圏における販路拡大はTAUの重要な役割であり、バイヤー招聘による個別商談会の開催などを実施しているとの答弁をされました。TAUは、現在、BトゥC、つまり県内個別商品をTAUに集め、一般消費者に販売することで成果を上げておられます。  しかし、県内事業者の販路拡大という重要な役割を考えた場合、また、バイヤー招聘による個別商談会などの開催を踏まえても、BトゥB、つまり小売店への販売機能を強化する、または小売店の店舗を利用した販売機能を付加することは、非常に有意義で効果的な取り組みと考えます。中小企業支援の本来の目的は、商品開発から販路拡大までの一連のプロセスの中で成功体験を経験し、その企業がノウハウを身につけ、売り上げをふやし、雇用をふやすことで最終的に県内経済を支えるよい循環をつくることにあると考えます。  他府県では、販売公社を設立してまで中小企業の販路拡大戦略を積極的にサポートしているところもあると聞いておりますが、我が県においては、TAUのBトゥBによる販路拡大機能を強化した上で、ヒロシマ・デパートメントとTAUとの連携による取り組みを行うことが一層効果的な中小企業支援策となるものと確信いたしますが、知事の御所見をお伺いします。  質問の第四は、地域包括ケアシステムの機能強化についてであります。  我が国は今日、少子化と高齢化の急速な進行により、世界に先駆けて未曽有の人口減少・超高齢社会を迎えつつあります。医療費、介護費を初めとする社会保障費は、国全体で毎年約一兆円ずつふえると予測され、財政運営上の大きな課題となっています。  また、高齢者のいる世帯は、全世帯の約四割となっており、そのうち、核家族化の進展により、独居もしくは夫婦のみの世帯が半数を超えています。  本県におきましても、人口は平成七年をピークに減少が続いており、高齢化率も、団塊の世代が七十五歳以上の後期高齢者となる平成三十七年には三一・四%に達すると予測されています。このような情勢を踏まえ、国は地域の実情に応じて、高齢者が可能な限り住みなれた地域で自立した日常生活を営むことができるように、医療、介護、予防、住まい、生活支援などのサービスが包括的に提供される地域包括ケアシステムを各自治体で構築するよう求めており、本県もその構築に向けて努力しているところであります。  地域包括ケアシステムを機能させるためには、利用者とそれぞれに独立している医療・介護・予防・生活支援などのサービスをつなぐ役割を担う存在が欠かせません。その役割を担うことを期待される組織が、各市町に設置され、地域の高齢者の総合相談、権利擁護や地域の支援体制づくり、介護予防ケアマネジメントなどの業務に携わっている地域包括支援センターでありますが、指定居宅介護支援事業所も同じような業務を実施していたり、介護予防に関する支援事業が多忙過ぎて包括的な支援に手がまわっていなかったりなど、地域における拠点機能を十分に発揮できていないとの声も聞きます。地域包括ケアシステムの中核拠点として機能するための課題を洗い出すと同時に、地域包括支援センターの果たすべき役割を明確にした上で、体制の整備もしくは機能強化を図ることが強く求められております。  また、地域で高齢者の見守り活動を支える社会福祉協議会や民生委員児童委員協議会など地域団体との情報交換を初めとする連携強化を図ることも高齢者が住みなれた場所で生活を続けるために必要不可欠な取り組みと考えます。  さらに、このような取り組みを机上の空論にしないためにも、モデル地域をつくり、実践し、成功事例をほかの地域に普及啓発するような具体的な取り組みも必要と考えます。  そこで、地域包括支援センターの現状と課題をどのように捉え、機能強化や地域における連携強化に向けて、今後どのように取り組まれるのか、知事にお伺いします。  質問の第五は、急傾斜地崩壊対策事業の推進についてであります。  昨年八月に広島市安佐南区、安佐北区を中心に発生した土砂災害は、その被害の大きさから我々県民に大きな衝撃を与え、県民それぞれの生活圏内において、災害発生の可能性が高い場所に対する懸念が高まっているところであります。このような機運を捉え、ソフト面では本年四月より、「みんなで減災」県民総ぐるみ運動を展開し、地域の自主防災会を中心に各地域で防災マップの整備や住民への周知などの成果があらわれつつあり、高く評価されるべきものであります。  一方で、ハード面での対策にも、もっと力を入れてほしいとの声は根強く聞かれます。九月定例会で、当会派の下森議員が公共事業費のシーリングの撤廃を質問され、中期財政運営方針案において、公共事業費の五年間の維持が盛り込まれたところでありますが、より住民に近い行政組織である市町からも、特に急傾斜地崩壊対策事業への予算増額の要望は強いと伺っております。  県の砂防事業予算の推移を見ますと、昨年の土砂災害を受けて、砂防費全体は昨年度の約七十四億円から、本年度は約百十三億円に増額したにもかかわらず、砂防費の中の急傾斜地崩壊対策事業費は、昨年度の約二十四億円から約十九億円に減少しています。この約十九億円の中には市町が行う急傾斜地崩壊対策事業への県による補助金も含まれていますが、減額はされていないものの、本年度は昨年度並みの約三・五億円にとどまっております。  急傾斜地崩壊対策事業費全体が減少する中で、市町への補助金は前年並みというのは、市町へ配慮しているように見えますが、これまでの補助額自体が市町の要望する額の半分程度となっており、十分な急傾斜地崩壊対策事業が実施できない状況が続いていると聞いております。私の選挙区である広島市東区も急傾斜地崩壊危険箇所の大変多い土地柄でありますが、十分な予算が確保できないため、住民の要望から十年近くたってようやく事業が実施される箇所が多いと聞いています。  急傾斜地崩壊危険箇所は、人口密集地の周辺部に集中しており、急傾斜地崩壊対策事業は、砂防関係事業の中でも住民が身近に危険を意識する場所での事業であるため、県施工事業はもとより市町への補助事業についても市町と協力して積極的に推進されることを希望するところであります。  そこで、急傾斜地崩壊対策事業の推進に向け、本事業の現状と市町への補助増額も含めた今後の取り組みについて知事にお伺いします。  国民、県民の安全な生活の確保において、最後に取り上げたいのが北朝鮮人権侵害問題についてであります。  北朝鮮による日本人拉致問題につきましては、平成十四年に五人の被害者が、平成十六年にその家族が北朝鮮より帰国して以来、大きな進展がないまま今日に至っています。言うまでもないことでありますが、北朝鮮による日本人拉致は人権侵害という枠を超え、我が国の主権を侵し、国民の生命と安全を侵害し続けている重大な国家犯罪であり、この問題を放置することは、我が国が主権国家、近代国家としての体をなしていないことを意味し、私たちが大いに憂慮すべき事態であります。  英国の政治家パーマストンが確立した、たった一人の国民の生命・財産の侵害であっても、断固とした姿勢を示すという原則が主権国家としての国際常識でありますが、我が国においては、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律を制定し、国際社会と連携して拉致問題に取り組むことを定めているところであります。  この法律の第三条に、地方自治体の責務として、国と連携を図りつつ、拉致問題を初めとする人権侵害に関する国民世論の啓発に努めるよう明記されており、第四条では、十二月十日、まさに本日から十二月十六日までを北朝鮮人権侵害問題啓発週間とし、国及び地方自治体がその趣旨にふさわしい事業の実施に努めるよう定めているところであります。  これを受けて、積極的な啓発活動を行っている他府県も多く、神奈川県は、本年十二月十二日に横浜市や川崎市と協力して集会を開催し、黒岩知事みずからがコーディネーター役を務め、横田めぐみさんの御両親、俳優の津川雅彦さんと対談される予定です。  本県は、人権問題に積極的に取り組んでおりますが、北朝鮮拉致問題に対してはかなり控え目な印象です。昨年十二月の定例会において、当会派の緒方議員が本件について一般質問されたのに対し、地域政策局長からは、県民の理解や関心を一層深めるため、より効果的な啓発について市町と意見交換を行うなどの取り組みを進めると答弁されております。  そこで、北朝鮮人権侵害問題の解決に向け、市町との意見交換の結果はどうだったのか、効果的な啓発活動について本年度に新たな取り組みを考えておられるのか、知事にお伺いします。  以上で質問を終わらせていただきます。  政治の師である岸田文雄外務大臣は、大臣室に現場主義を掲げておられます。戦略は細部に宿ると言われますが、政策も同じだと思います。現場で働く方々の力があってこその政策実現であり、県民の安全で豊かな生活の実現のためにも、私も現場主義でありたいと思います。  改革という言葉が好まれる時代ですが、一つずつ、一歩ずつ積み重ねていくことこそが政治の王道であることを忘れず、広島県、そして日本の発展のために尽くしてまいります。  本日は、御清聴ありがとうございました。(拍手) 21: ◯議長平田修己君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 22: ◯知事湯崎英彦君) まず、乳幼児期の子供の成長についての御質問でございます。  全ての子供たちの健やかな成長は人づくりの基本となるところであり、私を含め県民全ての願いであると考えております。特に乳幼児期は、生涯にわたる人格の形成を培う重要な時期であり、保護者を初めとする身近な人たちからの触れ合いによる愛着の形成や語りかけによる言葉の発達、また、生活の中心となる遊びを通じた創造性や主体性の育成が必要であると考えております。  このため、ゼロ歳児期にしっかりと親子のきずなをつくり、子供の心に安心を育むため、初めて子供を持つ親とゼロ歳児を対象とした親子のきずなづくりプログラムの実施や、父親との愛着形成を図るためのお父さん応援プログラムといった研修を実施しております。  また、今年度は教育委員会において、家庭、幼稚園、保育所など養育環境にかかわらず、県内全ての幼児に質の高い教育・保育が行われ、その後の教育への基礎が培われることを目指し、調査研究を行っているところでございます。  今後、この調査結果を踏まえ、関係機関が連携した家庭教育へのサポートや乳幼児期における質の高い教育・保育を推進するための取り組みの具体化を行うこととしております。  さらには、安心して子育てできる環境を整えることが、ひいては子供の健やかな成長につながることから、イクちゃんサービスを初めとした子育てにやさしい環境づくりとともに、市町の乳児全戸訪問や乳幼児健診への支援によって、子供と親の心身の健康の保持に努めているところでございます。  今後も引き続き、乳幼児期からの子育ち、子育てを積極的に支援することにより、次代を担う子供たちが健やかに成長する広島県の実現に全力で取り組んでまいります。  次に、子供が子供らしく育つ環境づくりについてでございます。  本年十月に策定いたしましたひろしま未来チャレンジビジョンでは、これからの県内を内外から支え、さまざまな変化に対応し、社会で活躍できる人材の育成に取り組むこととし、教育施策におきましては、「子供たちが将来にわたってたくましく生きる力を持ち、健やかに育っています」を目指す姿としております。  このためには、学校での教育活動だけではなく、子供たちが遊びやさまざまな体験から他者への思いやりや人間関係能力などを学ぶことのできる環境を整備することが有効であると考えております。  具体的な取り組みとしては、市町におきましては、地域住民の参画を得て、子供たちが安全・安心に体験や学習が行える場として放課後子供教室が開設され、子供たちのスポーツ、文化芸術活動、地域住民との交流等の活動が行われており、こうした取り組みに対しまして、県教育委員会では大学生のボランティアチームであるワクワク学び隊の派遣を行い、子供たちの体験活動の幅を広げるなどの充実を図っているところでございます。  私といたしましては、教育委員会が行うこれらの取り組みを一層支援することにより、子供が子供らしく伸び伸びと育つ環境づくりに努め、将来にわたって、広島に生まれ、育ち、住み、働いてよかったと思える広島県の実現に向け取り組んでまいります。  次に、土地造成事業会計の総括と産業団地造成の今後のあり方についての御質問でございます。  土地造成事業会計につきましては、多額の赤字を抱えているほか、債務超過に陥るなど非常に厳しい経営状況となっております。その原因といたしましては、景気低迷に加えまして、造成した産業団地が企業のニーズに十分対応できていなかったことなどにより売却期間が長期化したこと、バブル経済の崩壊以降、分譲単価を引き下げざるを得ず、売却収入では造成原価を回収できなくなったことなどが主な要因であると考えております。  一方で、立地企業による雇用の創出や県税収入の増加など、産業団地の整備に伴い多くの効果が生じており、これらの効果も総合的に勘案し評価した上で、新たな産業団地の整備を進めることとしたところでございます。  また、本県産業を先導する企業を誘致し、県経済の活性化を図るとともに、人口減少に歯どめをかけ、広島への流れをつくり出していくためにも、産業団地の整備は引き続き重要な施策であると認識いたしております。  このため、今後の土地造成事業につきましては、新たな視点に基づき、事業ごとに実施に伴うこうした定量的な効果と景気変動等による分譲リスクの双方を明らかにした上で、県議会の皆様や県民の皆様に御理解をいただきながら進めてまいりたいと考えております。  次に、地域包括ケアシステムの機能強化についてでございます。  地域包括支援センターは、高齢者の総合相談や権利擁護、介護予防ケアマネジメントなどの多くの業務を担っておりますが、地域包括ケアシステムを推進する中核的な機関として、困難事案への対応力の向上や医療・介護関係者及び地域の関係者等との連携の充実など、さらなる機能強化が課題であると認識いたしております。  このため、県では、県地域包括ケア推進センターにおける職員研修やマニュアルの策定、関係団体と連携した管理者のマネジメント力の向上対策などに取り組み、地域包括支援センターの機能強化を推進しているところであります。  また、関係機関との連携強化に向けましては、モデル的な取り組みを他の地域に普及することが有効であり、昨年度から集中支援を行っております二十三のパイロット圏域の中では、地域包括支援センターを核として、民生・児童委員などと連携した住民同士の見守り活動の実施や地域包括支援センターが実施した地区調査に基づく交流サロンの立ち上げ、また、地域包括支援センターが事務局を担う医療介護関係者等の連携協議会の設立など効果的な取り組みが進められている地域もあり、現在、県ではこれらの取り組みの他地域への普及を図っているところでございます。  さらに、今年度から、地域の実情に精通した県保健所が県地域包括ケア推進センターと一体となって支援する体制を整えており、県といたしましては、今後とも地域包括支援センターの機能強化を進めることなどにより、高齢者が住みなれた地域で安心して生活できるよう取り組んでまいりたいと考えております。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 23: ◯議長平田修己君) 健康福祉局長笠松淳也君。         【健康福祉局長笠松淳也君登壇】 24: ◯健康福祉局長笠松淳也君) 保育の質の確保及び保育現場の処遇改善についてお答え申し上げます。  ことし四月にスタートした子ども・子育て支援新制度におきまして、三歳児の人数に応じた保育士の配置を二十対一から十五対一に改善する場合や保育士等の研修機会を確保するために代替職員を配置した場合に保育所運営費の補助に加算が設けられるなど、保育の質の向上に向けた対応が取り入れられたほか、保育士の処遇につきましても、職員給与が平均して三%改善されており、今後も給与や職員配置のさらなる改善が予定されております。  県といたしましても、市町と連携した保育士技能研修の実施による保育の質の向上のほか、産休等代替職員費の補助や施設長を対象としたマネジメント研修の実施、余裕のある人的配置を行うための保育士人材バンクによる保育士の確保、処遇の底上げを目的とした給与等の採用条件の見える化の推進などにより保育士の就労環境や処遇の改善に努めているところであり、今後とも充実強化に取り組んでまいります。 25: ◯議長平田修己君) 土木建築局長児玉好史君。         【土木建築局長児玉好史君登壇】 26: ◯土木建築局長児玉好史君) 二点についてお答えいたします。  まず、広島高速道路の環状化についてでございます。  広島高速道路は、都市交通の高速性・定時性の強化を図る自動車専用道路として、広島都市圏の活性化を図るために必要不可欠であると考えております。整備計画に位置づけられております五路線や、基本計画路線であります広島高速四号線の山陽自動車道への延伸のほかに、さらに将来構想である計画検討路線として、高速四号線と五号線を結ぶ東部線二期や、東部線二期と三号線を結ぶ南北線などで構成されております。  東部線二期及び南北線につきましては、高速二号線、三号線及び五号線と連結することで環状型道路を形成し、都心部へ流入する交通の分散や都市内の渋滞緩和を図るとともに、高速一号線などの放射道路と連携し、広域交通ネットワークの強化を図るなどの効果を有するものと考えております。  一方で、環状型道路の整備は、相当な事業費と期間を要するなどの課題もあることから、将来の交通量の動向や社会情勢を勘案した上で、計画の具体化について段階的に検討していく必要があると考えております。  次に、急傾斜地崩壊対策事業の推進についてでございます。  本県には、急傾斜地崩壊危険箇所が全国最多の約二万カ所存在しており、急傾斜地崩壊対策事業につきましては、斜面の荒廃状況や保全対象人家の数などを勘案し、優先度を定め、国の交付金による県事業のほか、市町に対する県費補助事業により計画的に整備を行っているところでございます。  本県では、砂防事業全体の事業計画であるひろしま砂防アクションプラン二〇一四に基づき、住宅密集地や避難所等を保全するなど、緊急性や整備効果が高い箇所を優先し、国の交付金事業を活用した対策工事を計画的に行っているところであり、現在見直し作業中である次期アクションプランにおきましても同様の方針とする予定でございます。  また、県事業に加え、規模の小さい危険箇所の対策につきましては、市町が実施する工事に対し県費補助を行っているところであり、毎年多くの実施要望があることから、限られた予算の中で可能な限り市町補助金の確保に努めているところでございます。  引き続き、土砂災害から県民の生命を守るため、効果的・効率的なハード対策とともに、土砂災害警戒区域等の指定の加速化といったソフト対策についても積極的に取り組み、今後もハード・ソフト一体となった総合的な土砂災害対策を推進してまいります。 27: ◯議長平田修己君) 商工労働局長寄谷純治君。         【商工労働局長寄谷純治君登壇】 28: ◯商工労働局長寄谷純治君) TAUの機能強化による効果的な中小企業支援策について御答弁申し上げます。  広島ブランドショップTAUは、すぐれた産品や人を引きつける観光資源など、広島ならではの宝を首都圏はもとより全国に向けて発信することにより、広島ブランドの価値向上を目的として設置したものでございます。  この目的を達成するためには、来店者を増加させ、広島ファンをふやすこと、全国メディア等による発信を通じ、広島の魅力に対する認知度、評価を高めることに加えまして、意欲のある県内事業者等のビジネスチャンスを創出し、首都圏等での新たな販路拡大につなげていくことが重要であると考えております。  販路拡大につきましては、TAUにおける新商品を中心としたテストマーケティングコーナーの展開、県内での販路拡大セミナーの開催など、県内事業者等の商品力向上に向けた取り組みのほか、年間を通じたバイヤーへの個別の商品紹介、バイヤーをTAUへ招聘しての商談会の開催、首都圏の百貨店等へのTAUの出店といったBtoBによる支援施策にも取り組んでいるところでございます。  今後は、こうした取り組みに加えまして、首都圏での大規模見本市に出展するなど、さらなる販路拡大支援に取り組みますとともに、TAUにおけるテストマーケティングや商談会等を通じて得ました首都圏消費者やバイヤーのニーズなどを県内中小企業の販路拡大支援などを行っておりますひろしま産業振興機構と共有し、十分連携を図ることによりまして、商品力の向上支援や、より的確なバイヤーへの提案を実施することで県内事業者等の販路拡大につなげてまいりたいと考えております。  こうした取り組みによりまして、広島ならではの宝を多くの方に知っていただくことで、広島ブランドの価値向上というTAUの所期の目的を達成できるよう取り組んでまいります。 29: ◯議長平田修己君) 地域政策局長竹中正博君。         【地域政策局長竹中正博君登壇】 30: ◯地域政策局長(竹中正博君) 北朝鮮人権侵害問題についてお答えいたします。  北朝鮮による日本人拉致問題は、我が国の主権及び国民の生命と安全にかかわる重大な問題であり、拉致問題の一日も早い解決に向けては、国と地方が連携して、国民、県民の関心を喚起し世論を高めていくための取り組みが必要であると考えております。  このため、県におきましては、毎年十二月のヒューマンフェスタひろしまと連携した啓発パネルの掲示や、県庁舎への啓発懸垂幕の掲示など啓発活動を実施してきたところでございます。  県民へのより効果的な啓発につきまして、ことし一月に広島市内で開催された内閣府主催の改正拉致被害者等支援法等ブロック説明会などにおいて市町との意見交換を行ったところ、拉致問題をより具体的に紹介することで地域住民の理解と関心を深めたいとの御意見がある一方、啓発活動には予算的な制約があるといった御意見もございました。  こうした御意見を踏まえ、今年度新たに啓発パネルを県において作成し、希望する市町に貸し出すこととしたところ、来年一月から三月にかけて、複数の団体で拉致問題啓発パネル展が開催される見込みとなっております。  なお、これに先立ち、本日十二月十日から十六日までの北朝鮮人権侵害問題啓発週間に、県庁ギャラリーにおきまして啓発パネルの展示を行うこととしております。  今後とも、拉致問題に対する県民の理解や関心を一層深めるため、より効果的な啓発に努めるなど、拉致問題の解決に向けたさまざまな取り組みを行ってまいります。 31: ◯議長平田修己君) 傍聴者の入れかえを行いますので、しばらくお待ち願います。         【傍聴者入退場を待つ】 32: ◯議長平田修己君) 引き続いて質問を行います。辻 恒雄君。         【辻 恒雄君登壇】
    33: ◯辻 恒雄君 日本共産党の辻 恒雄です。早速質問に入ります。  まず、核兵器廃絶と安全保障法制、いわゆる戦争法について質問します。  十一月二日に国連本部で開かれた国連総会第一委員会でオーストリアなどが提案した核兵器の禁止と廃絶のための人道の誓い、南アフリカなどが提案した核兵器のない世界への道徳的な責務の決議案に日本はいずれも棄権しました。  これらの決議案は、核兵器使用の非人道性を非難し、核兵器を禁止する法的拘束力のある措置や効果的措置をとるよう交渉や行動を求めています。日本政府は被爆国でありながら、核抑止論、核の傘依存の立場から、核兵器禁止条約の交渉開始を求める国連総会決議に棄権を続けています。私は、被爆地広島の県議として、綱領に核兵器の廃絶を明記している日本共産党の議員として政府の立場は到底容認できません。被爆県広島の知事として、日本国政府のこうした立場について湯崎知事の御所見をお伺いします。  次は、九月十九日に自民党、公明党などの採決強行で成立した安全保障法制、戦争法の問題についてであります。  法律成立から三カ月になりますが、戦争法の廃止を求める世論と運動は全国で今も続いています。この法律は内容もやり方も二重に憲法違反であり、廃止するしかありません。  内容の面では戦闘地域での兵たん、戦乱が続く地域で治安活動、米軍防護の武器使用、そして集団的自衛権の行使、そのどれをとっても、戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認を明確にしている憲法九条をじゅうりんし、自衛隊の海外での武力行使に道を開くものとなっています。  やり方の面では、政府が戦後六十年余り、集団的自衛権行使は憲法九条のもとではできないといった憲法解釈を一内閣の専断でひっくり返す、立憲主義を破壊するというやり方をとりました。守る会のお母さんたちは誰の子供も殺させないと立ち上がり、学生団体のシールズは集会やデモで「民主主義って何だ、勝手に決めるな」とコールしました。憲法学者の大多数、内閣法制局の歴代長官、最高裁判所の元判事や元長官らは立憲主義の破壊は許さないと声を上げました。これらの戦いに励まされて野党は最後まで団結して安倍内閣を追い詰めました。  知事、あなたは憲法や民主主義に反する今回の採決強行をどう思われますか、御所見をお伺いします。  日本共産党は、法案が強行された九月十九日に国民連合政府実現を呼びかけることを決めました。この提案は三つの柱です。第一は、戦争法、安保法制廃止、安倍政権打倒の戦いをさらに発展させよう、第二に、戦争法廃止で一致する政党、団体、個人が共同して国民連合政府をつくろう、第三に、戦争法廃止の国民連合政府で一致する野党が国政選挙で選挙協力を行うというものです。我が党は、今、全国でこの提案について申し入れ、懇談を行っています。多くの賛同の声が寄せられ、反響が広がっています。憲法九条のもとで日本は戦後、自衛隊が殺し殺されることはありませんでした。ところが、戦争法をそのままにしておけば、自衛隊が海外で戦闘行為に巻き込まれ、殺し殺されるおそれが大きくなります。憲法違反の法律をそのままにしておけば、日本は無法国家、独裁国家になってしまいます。  だから、多くの人たちが、戦争法、安保法制廃止の声を上げ、日本共産党の提案が反響を広げているのだと思います。知事の御所見をお伺いします。  この点で私が危惧するのはテロの問題です。フランスのパリで同時テロが起こりました。今回の問題はいかなる理由があろうと絶対許されない卑劣な犯罪行為です。同時に、これまでの事態が示しているように、空爆ではテロの根絶はできません。過激組織ISは二〇〇三年に始まったイラク侵略戦争と二〇一一年からのシリア内戦の混乱で生まれ、勢力を拡大してきました。イラク戦争の当事者であるブレア元イギリス首相はイラク戦争がISの台頭につながったと認めています。テロを世界から根絶するためには、テロの土壌となっている問題をなくすなど国際社会の一致結束した取り組みが必要だと日本共産党は考えています。  戦争法によってISに対する空爆などの軍事作戦に自衛隊が参加する危険性が生まれています。テロ問題の解決に役立たないだけでなく、日本国民をテロの危険にさらすことになります。アメリカにノーと言えない日本政府のもとで戦争法の一刻も早い廃止が必要です。知事の御所見をお伺いします。  環太平洋連携協定──TPP大筋合意と本県農林水産業への影響についてお尋ねします。  TPPの大筋合意の概要が明らかになりました。国会決議で交渉内容にしないとしていた米や牛肉など重要五品目を含め農林水産物の八割以上の関税を撤廃するなど重大な内容になっています。国会決議は、米、麦、牛肉、豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、除外または再協議の対象とすることとしています。  ところが、米の七万八千四百トンの別枠輸入を認め、牛肉は関税率を三八・五%から九%へ、豚肉は低価格品でキロ四百八十二円の関税が五十円へ、高価格品はゼロ関税へ、乳製品も生乳換算で七万トンの輸入を認める、重要品目五百八十六品目のうち約三割に当たる百七十四品目で関税を撤廃するなど、国会決議に違反し裏切るものになっています。安い輸入食品がふえ、国内の農家や地域産業が大打撃を受けることになります。JA全国農業協同組合中央会は十月十五日にTPPに関する特別決議で、衆・参農林水産委員会の国会決議の内容を逸脱しているとの懸念がある中、生産現場には不安と怒りの声が広がっていると批判しています。まず、全国漁業協同組合連合会は十月六日に、安価な輸入畜産物の増大による水産物価格の下落や畜産物への置きかわりにより多大な影響が生じると危機感を表明しました。  鈴木信弘東京大学教授のまとめでは、大筋合意による農業分野の被害額は、米約一千百億円、牛肉三千二百六十二億円、豚肉四千百四十一億円、乳製品約九百六十億円、小麦約八十億円、主要な果実は一千八百九十五億円と試算し、一兆一千億円を超えるとしております。二〇一三年の農業生産額は八兆五千億円余ですから、一三%もの減少になります。  本県農林水産業への影響についてどのように考えているのか、知事の御所見をお伺いします。  また、暮らしと経済を守るためにTPP協定作成作業から撤退し、協定の調印、締結、国会承認を行わないことを政府に求めるべきであると考えますが、知事の御所見をお伺いします。  マイナンバー制度についてお尋ねします。  マイナンバーは赤ちゃんからお年寄りまで全員に十二桁の番号をつけ、国民一人一人が管理し、税や社会保障の手続などで使用する仕組みです。現在、年金や税金、住民票などの個人情報は公的機関ごとにそれぞれ管理されています。マイナンバーでは、各情報を一つに結びつけることが可能になります。行政からすれば、国民の所得、年金、社会保障などの行政手続や雇用主への届けなど、各種の個人情報を効率よく把握できる一方、マイナンバーが一たび外部に漏れ出せば、悪用され個人のプライバシーが侵害される危険性は極めて大きくなります。一度漏れ出た情報は取り戻すことはできません。さきの日本年金機構の事件のように甚大な被害をもたらします。マイナンバー制度が実施されなくても住民生活への不都合は生じません。マイナンバー制度は直ちに中止するよう県として政府に求めるべきであると考えますが、知事の御所見をお伺いします。  子育て支援策についてお尋ねします。  まず、子供の医療費助成制度についてであります。  この制度は、子育て家庭の経済的負担の軽減と乳幼児の健康保持にとって重要な事業であり、少子化対策としても大きな役割を果たしています。県制度は入通院とも就学前までになっています。現在、県内二十三市町で県以上の助成をしているのは、入院は大崎上島町以外の二十二市町で、通院は十八市町で全体の七八%になります。大崎上島町は子育て環境を充実させ、若者や子育て世代の定住促進を図るために、来年度、入院通院とも中学三年生まで引き上げることを決めたほか、府中市も来年度、入通院とも中学校三年生まで引き上げます。全国的にも、小学校卒業まで入院は二十三都道府県、通院は十二都府県、中学校卒業まで入院は十五都県、通院は六都県で制度の拡充は進んでいます。県内市町において、子供医療費助成制度の対象年齢を引き上げ、子育て世代の定住の促進、安心して子供を産み育てる環境の拡充が進んでいることについて県はどのようにお考えなのか、知事の御所見をお伺いします。  国立社会保障人口問題研究所による第十四回出生動向基本調査二〇一〇年によりますと、夫婦が実際に持つつもりの子供の数──予定子供数二・〇七人が理想子供数二・四二人を下回る理由として最も多いのは、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからであった、とりわけ三十代未満の若い世代では、こうした経済的理由を選択する割合が高いと分析しています。  さらに、同調査では、理想を三人以上としている夫婦では、理想が実現しない理由として、一人目の壁は年齢・身体的理由、三人目の壁は経済的理由としています。経済的負担を軽くし、安心して産み育てる環境が充実したファミリー・フレンドリーな広島県を実現していくためにも、子供の医療費助成制度を中学校卒業までを目指しつつ、小学校三年生、小学校六年生までへと計画的に引き上げてはどうでしょうか。知事の御所見をお伺いします。  次に、子育て世帯への経済的負担の軽減では保育料の助成があります。  補助内容は、第二子三歳未満から第三子三歳以上就学前までなど、補助率も全額から所得階層別に区分するなどさまざまであります。全国的には十九府県で実施しています。中国五県の鳥取県、島根県、山口県では、既に保育料軽減措置をしています。また、十二月三日、岡山県知事は第三子以降の保育料の無償化に取り組む考えを示し、来年度実施を検討しています。  しかし、広島県には助成がありません。安心して子育てできる広島をつくるためにも、先進例を検討し保育料軽減の制度導入に踏み切ってはいかがでしょうか。知事の御所見をお伺いします。  小規模企業、小企業の振興についてお尋ねします。  昨年六月、小規模企業振興基本法が成立し、国と全ての自治体に小規模企業への支援が仕組みとして明確にされ、地域経済を支える中小企業の発展に行政が正面から取り組むことを求めています。県内企業の九九・八%が中小企業であり、また、八六・三%は小規模企業です。中小企業、小規模企業は雇用でも七八・六%を擁しており、地域経済と雇用を守るためには、小規模企業の振興は欠かせません。小規模企業振興基本法が中小企業基本法の理念を維持しつつ、個人事業者を初めとする従業員が五人以下の事業者を小企業者とし、その事業の持続的な発展・維持を正面から応援することも目的にしているのはそのためです。この法律に基づき、昨年十月、国は小規模企業振興基本計画を策定し、自治体に対して、国と連携を図りながら基本計画を踏まえ地域特性に応じた施策を策定し、効果的・重点的に実施を図ることを求めています。  さらに、本年四月、中小企業庁は初めて小規模企業白書を発表し、小規模企業の構造的問題や発展に向けた課題を明らかにしたところです。島根県では、小規模企業振興法も踏まえ、島根県中小企業小規模企業振興条例を十一月二十四日に成立させました。全国商工団体連合会の調べでは、三十四県、百四十九市町が中小企業振興条例を制定しています。  そこで、県として、小規模企業、小企業の持続的な発展・維持のためにどのような施策を考えているのかについて、また、あわせて中小企業、小規模企業振興に向け、広島県でもこのような条例を策定してはどうかと考えますが、知事の御所見をお伺いします。  次に、地域の小企業事業者への仕事づくりと地域内経済循環を活性化させる事業として、住宅リフォーム助成制度があります。  二〇一三年度現在で、全国六百二十八自治体、全自治体の三五・六%で実施されています。この事業は、予算の十から二十倍の仕事をつくり出し、業者の住民も地域も元気にすると好評であります。制度の発展・充実が求められています。  私は、この事業は中小業者への仕事おこしと同時に、地域経済に大きく貢献する事業だと考えるものであります。秋田県では二〇一〇年度から五十万円以上の工事に対し一〇%補助・上限十五万円を基本とした住宅リフォーム推進事業を開始しています。同県の調べによると、二〇一〇年から二〇一四年度の五年間の事業効果は、活用件数が六万一千四百四十四戸、補助金総額は七十九億六千万円超で、工事総額は約一千二百十一億四千五百万円に上ります。産業連関表による経済波及効果は約一千九百十一億円で補助金の二十四倍に相当します。今年度も十億三千五百万円の予算を組み実施しています。  広島県は、子育て・高齢者等あんしん住宅リフォーム普及支援事業を経済的効果があると認めながらも廃止しました。秋田県のような増改築リフォーム、耐震・省エネバリアフリー改修など広範囲に活用でき、使いやすい住宅リフォーム助成制度を県として再度つくってはいかがかと考えますが、知事の御所見をお伺いします。  教育条件整備についてお尋ねします。  教員が病気休暇、介護休暇、産休に入ってもかわりの教員がつかない、いわゆる教育に穴があく事態についてこれまで幾度も指摘し、抜本的な改善を求めてきました。昨年度、病気休暇で二週間以上も代替教員の配置できなかった件数は小学校で六十五件、中学校で二十五件です。最大のおくれは、尾道の小学校で百六十五日、中学校も尾道市の保健体育で百十七日であります。事前に休暇がわかっている産前休暇でも小学校三十件、中学校でも一件あり、最大のおくれは福山市の小学校で百十二日となっています。  代替教員が直ちにつかない件数の多さはもとより、小学校では六カ月から八カ月近くも担任がいない、中学校では四カ月近くも先生がいない。これでまともな教育ができていると言えるのでしょうか。教育長の御所見をお伺いします。  今年度は、十月三十日現在で病気休暇の件数は、小学校三十六件、中学校十九件、合わせて五十五件となっています。介護休暇は小・中合わせて七件、産前休暇は小・中合わせて十二件と教育現場の実態は教育に穴のあく事態が改善されるどころか、ますます深刻になっています。代替教員の休暇予測や必要な時期があらかじめ正確に把握できない、免許の種類が合致できないなどの理由から、やむを得ず配置がおくれる場合もあるとしていますが、なぜこのような事態になるのか、どのように解決しようとしているのか、教育長にお尋ねします。  休暇申請があってから代替教員を確保することは容易ではありません。例えば、定数外で教員を確保する登録講師人材バンクをつくるなど抜本的な対策が必要だと考えますが、教育長の御所見をお伺いします。  定数内臨時教員の解消と正規教員の増員についてお聞きします。  今年度の定数内臨時的任用者、いわゆる定数内臨時教員は小中学校で七百三十四人、高等学校で六十七人、特別支援学校で百八十五人、合計で九百八十六人、この三年間で右肩上がりでふえ、平成十四年度の三百六十六人の実に二倍強となり、過去最高であります。これらの教員は正規教員として採用されてしかるべき人たちでもあります。県教委は、教育環境を整えるためには定数内臨時的任用者の減少を図ることは課題であり、必要な教員の確保に努力すると答えてきました。  しかし、現状は依然として改善されていません。その理由として新規採用者の辞退者と早期退職者が予想以上に多かったことなどを挙げていますが、これらは事前に予測できたことであります。なぜ改善されないのか、その理由と解消の方法を教育長にお尋ねします。  また、臨時的任用とはどのような場合に採用され、任期はどのようになっているか、あわせて教育長にお聞きします。  文科省の調査では、今年度公立小中学校の教員定数に占める正規教員の割合は、全国平均は九三・一%、全国一位は東京都の一〇二・六%、二位は鳥取県の九九・六%であります。広島県は三十六番目の九〇・七%であり、ここ数年この順位はほぼ変わりません。  昨年七月四日付で総務省は、臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用についてという通知を出しています。臨時的任用職員についてどういう点に留意すべきであるとしているのか、教育長の御所見をお伺いします。  二〇一五年度の広島県の教員の加配定数は八百六十九人、加配率は六・六%で全国最低水準であります。定数内臨時的教員を多数採用するなど、本県の安上がりの定数政策の抜本的な転換が求められています。全ての子供たちに行き届いた教育をするためにも、身分の安定した正規任用者を大幅にふやし、教育条件整備を進めるべきだと考えますが、教育長の御所見をお伺いします。  少人数学級の拡充についてお聞きします。  四十七都道府県で三十五人学級を小学校二年生までしか実施していないのは、広島県と熊本県、そして大阪府の三府県だけであります。少人数学級で行き届いた教育を進めるという点では、広島県は全国的にも極めておくれており、恥ずべき状況であると考えるものであります。中国五県では、広島県より財政力が厳しい島根県では、三十五人学級を二〇一四年度から三年間で中学三年生まで拡大します。文科省は、少人数学級で期待できることとして、理解度や興味・関心に応じたきめ細かな指導が可能、発言・発表機会がふえ、授業参加がより積極化する、教室にゆとりが生じ、さまざま教育活動が可能、生徒指導上の課題に即した個別指導の充実、幼稚園からの円滑な移行による小一プロブレムに対応など少人数学級の教育効果を明らかにしています。  広島県は、少人数学級の教育効果を認めながら、財政的な理由をもって少人数学級が進まず、全国最下位です。これでどうして日本一の教育県の創造に取り組むと言えるでしょうか。きめ細かく行き届いた教育を実現していくため、三十人学級を目指しながらも、当面三十五人学級を全学年に広めていくことに踏み出すべきだと強く求めるものですが、教育長の御所見をお伺いします。  県内大学、高校への期日前投票所の設置についてお尋ねします。  二〇一三年参議院選挙の広島県の投票率は四九・九九%でした。二十代の投票率は三三・三七%、実に三人に一人しか投票していません。実際、参議院選挙の全投票所から抽出した結果でも、年齢階層別で二十から二十四歳が三一・一八%と投票率が最低でした。昨年の総選挙でも、二十から二十四歳の投票率が二九・七二%と最も低い投票率でした。  こうした中で、選挙権年齢が十八歳以上に引き下げられた改正公選法が来年六月十九日に施行され、来年の参議院選挙が最初の選挙になります。福山市選挙管理委員会は、若年層の投票を促すことを目的に福山市立大学に期日前投票所を設けることを決めました。尾道市選管が尾道市立大学、東広島市選管が広島大学に期日前投票所を設けることを検討しています。  そこで、新たに選挙権を得た学生や高校生など若い人の投票率向上を図るため、県内の大学と高校に期日前投票所を設置するよう求めるものですが、御所見をお伺いします。  広島市東部地区連続立体交差事業について質問します。  広島市東部のJR向洋駅及び海田市駅周辺地区は、JR山陽本線及び呉線により市街地が分断され、踏切遮断による慢性的な交通渋滞や消防・救急活動に、より支障が生じ、都市機能が著しく阻害されています。これらを解決するため、関係市町村が四十四年前から取り組みを始め、二〇〇二年度事業認可を受け、広島都市圏東部六・三キロメートル全て高架にする最初の事業は二〇一五年度に完成するはずでした。  ところが、巨額の事業費や関係住民との調整など、計画の延期、縮小などを経て、本年六月、見直し案が示されました。海田市駅の周辺二キロメートルと向洋駅の周辺二キロメートルを高架化する一方、その間にある広島市安芸区船越地区などは高架化しないで、線路をまたぐ跨線橋や線路をくぐるアンダーパスを設ける計画になっています。船越地区の住民からは現地の交通状況を知らない計画であり、無用の長物だという声が寄せられています。  また、引地踏切は幅も狭く、人や自動車などの通行はいつ事故が起きても不思議ではない状況だと言われています。  この地域は国道や県道、JRなど入り組み、広島県内でも一番の交通の難所と言われているそうであります。特に跨線橋の南北入口付近は交通渋滞がひどく、見直し案が実施されると地域の人たちは跨線橋に乗らず、隣の堀越や海田の踏切道に行くと言われています。渋滞の解消どころか渋滞の分散になると懸念するものでありますが、知事の御所見をお伺いします。  船越地区を初め、関係住民の願いは、広島都市圏東部の交通渋滞の解消、南北一体化、踏切の安全確保であり、見直し案を撤回して当初計画に戻すか、または高さは低くしても全区間を高架にすべきだと求めるものですが、知事の御所見をお伺いします。  最後に、広島高速五号線、福山西環状線、福山沼隈道路について質問します。  広島市東部地区連続立体交差事業は、全区間の高架化を関係住民が求めているにもかかわらず見直し案を押しつけています。  その一方、広島高速五号線や福山西環状線、福山沼隈道路は、長年の反対運動があっても強引に進めているのが広島県であります。住民合意が進まないこれらの大型道路建設は直ちに中止することを求めるものでありますが、知事の御所見をお伺いいたします。  以上で私の質問は終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 34: ◯議長平田修己君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 35: ◯知事湯崎英彦君) まず、核兵器禁止条約の交渉開始についての御質問でございます。  核兵器のない平和な国際社会の実現に向けて取り組むことは、人類史上初の被爆地の自治体である本県にとりまして重要な使命であると認識いたしております。核兵器廃絶に向けましては、近年さまざまなアプローチがあり、法的な枠組みによって核兵器の使用を禁止し、その上で全面禁止へと向かう取り組みもその一つで、この道筋が世界的な潮流になることにより廃絶が実現できれば理想的な筋道の一つであると思われます。  一方で、現状では核兵器国と非核兵器国の間の溝が深まっているというのも事実であり、日本政府としては今回、核兵器国と非核兵器国が協力して核軍縮を進めるべきだという日本の立場と一致しなかったことからいずれの決議案にも棄権したとお伺いしております。  政府におかれましては、核兵器の廃絶に向けた取り組みを進めるという点で本県と思いを同じくしていると考えており、去る十二月七日には、核兵器国と非核兵器国との溝を乗り越える観点からも、我が国が国連に提出していた政治指導者の広島、長崎への訪問を促す内容を含む決議が可決されるなど、大変な御尽力をされていると認識しております。  また、県、市が連携して政府に対しG7広島外相会合開催時の各国外相の平和記念資料館見学等の実施を提案しており、政府において検討いただいております。  今後とも、日本政府におかれましては、唯一の被爆国として、核兵器廃絶に関しまして国際社会における積極的なリーダーシップを発揮していただきたいと考えております。  次に、県内市町における医療費助成制度の対象年齢引き上げについての御質問でございます。  子供は地域の宝であり、心身ともに健やかに育つよう、社会全体で子育てを応援する環境づくりが重要であると考えております。こうした中、乳幼児の医療費助成につきましては、県内市町において、過去五年間で三市三町で通院、三市四町で入院の対象年齢が拡大されております。これらは、人口の減少など地域の実情に応じた施策の一環として制度の拡充を図っておられるものと認識しております。  続きまして、子供の医療費助成制度の対象年齢の計画的な引き上げについてでございます。  乳幼児医療費公費負担事業につきましては、少子化が進行する中で、乳幼児の健康保持と子育て家庭の経済的負担を軽減するという観点から、重要な施策の一つであると認識しており、これまで対象年齢を現行の就学前まで拡大してきたところでございます。  一方で、自治体間によって子供たちが受ける医療サービスに差が生じることは適当でなく、国において全ての子供を対象とした全国一律のサービスが提供されるよう働きかけてまいりました。これを受けて本年九月から国の子供の医療制度のあり方等に関する検討会において検討が始められたところであり、対象年齢のさらなる引き上げにつきましては、その動向を注視いたしますとともに、本県が推進する子育て支援策全体のバランスの中で、今後の社会保障関係費全体の動向なども勘案しながら慎重に検討していく必要があると考えております。  次に、保育料軽減制度の導入についてでございます。  現在、保育料につきましては、同時入所の場合の二人目は二分の一、三人目以降は無償となっており、一定の負担軽減が図られているところでございます。県独自の減免につきましては、受益と負担の関係や安定的で持続的な制度の運営のために、他県での成果も参考にしつつ慎重に検討していく必要があると考えております。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 36: ◯議長平田修己君) 経営戦略審議官伊達英一君。         【経営戦略審議官伊達英一君登壇】 37: ◯経営戦略審議官伊達英一君) 大きく二点についてお答えいたします。  初めに、安全保障補正について、三点お答えいたします。  まず、安全保障法制の国会採決についてでございます。  いわゆる安全保障法制は、平和国家としての国のあり方の根幹にかかわるものでありますことから、国民による議論、国民の代表による国会での議論が重要であると考えておりますが、今回の採決は国民の代表による国会運営、国会審議の結果であると理解しております。  次に、安全保障法制の廃止に向けた動きについてでございます。  安全保障法制廃止を目指す一連の動きは詳細には把握しておりませんが、戦後歩んできた平和国家としての形が変わっていかないことや、戦争で殺されたり、他国の国民を殺さないことを望む県民の皆様の中には、国会審議の過程で安全保障法制への不安を感じる方もあるものと考えており、今後の運用面で、より丁寧な説明が必要であると考えております。  最後に、安全保障法制の廃止についてでございます。  県民の皆様は、我が国が将来にわたって憲法の平和主義を尊重し、国際社会から尊敬される平和国家として歩んでいくことや、そのために政府が努力していくことを望んでいると感じております。  今後、政府におかれましては、説明を尽くし、国民とともに国際平和構築に向けた取り組みに努めていただきたいと考えております。  続きまして、TPP協定締結反対に向けた政府への要請についてお答えいたします。  TPP協定は、物の関税だけでなく、サービス、投資の自由化も進め、さらには知的財産権、電子商取引、国有企業の規律、環境など幅広い分野での新しいルールを構築するものであると認識いたしております。こうしたことから、自動車産業などグローバル企業に強く連鎖した輸出型産業のウエートが高い本県におきましては、輸出の拡大等、国際競争力の強化や県内産業の維持に寄与するものと考えております。  一方で、零細な個別経営が大半を占める本県農業におきましては、関税の削減・撤廃や輸入枠の拡大で、安価な輸入農林水産物の増加による影響も懸念されているところでございます。  このため、国に対し、農林水産業の持続的発展に向けた体系的な対策及び経営安定のための対策や、リスクの不安などからこれまで海外展開に踏み切れなかった中小企業の支援を提案してまいりました。  あわせまして、TPP協定の締結に当たっては、妥結内容に基づく全体の影響と効果的な対策について十分な情報と明確な説明を行うとともに、国益の向上、地域経済の活性化という視点から総合的な検討を行い、国民合意を得た上で判断することを求めているところでございます。  さらに、TPP協定を契機とした中小企業の一層のイノベーションの促進や担い手が将来の生活設計を描くことができる農林水産業の確立に向けた取り組みを、近々示される国の対策とも連動させながら着実に進めてまいります。 38: ◯議長平田修己君) 農林水産局長寳来伸夫君。
            【農林水産局長寳来伸夫君登壇】 39: ◯農林水産局長寳来伸夫君) TPP協定が農林水産業へ与える影響についてお答えいたします。  本県の農林水産業は担い手の減少や高齢化の進展、価格の低迷など非常に厳しい状況にあることから、TPP協定が締結されますと安価な輸入農林水産物の増加による影響が懸念されるところでございます。特に牛肉につきましては、輸入牛肉と肉質が競合する乳用種の牛肉を中心に価格が下落することが懸念され、さらには乳用種の子牛、いわゆる肥育素牛を生産している酪農経営にも影響が及ぶものと考えております。  また、かんきつ類につきましては、競合が見込まれるネーブルオレンジなど中晩柑類の比率が高い本県におきましては、輸入オレンジの価格が関税削減に応じて下落することにより生産基盤が脆弱なかんきつ経営に影響が生じるものと懸念しております。  米につきましては、現在、国内の主食用米の流通量削減に取り組んでいる中で、新たな輸入枠が設定されることにより国産米全体の価格水準が下落することが懸念されますが、国が輸入量に相当する国産米を備蓄米として買い入れることとなれば影響は限定的になるものと考えております。  今後、長期的・段階的に行われます関税の削減・撤廃に応じ、その段階での生産状況や取引価格、輸入量など影響を見きわめながら、国の対策の十二分な活用も含め、本県の実情に即した対策を展開してまいりたいと考えております。 40: ◯議長平田修己君) 総務局長山根健嗣君。         【総務局長山根健嗣君登壇】 41: ◯総務局長(山根健嗣君) マイナンバー制度の廃止を求めることについてお答えいたします。  マイナンバー制度は、社会保障・税等の行政手続に際しまして、より公正な給付と負担の確保を図るとともに、国民の利便性を高めることを目的とする社会基盤として位置づけられるものでございます。  また、取り扱う個人情報はマイナンバーをもとに一元的に管理されるものではなく、これまでと同様にそれぞれの行政機関で分散管理されますことから、マイナンバーを用いまして直接全ての個人情報を引き出すことはできない仕組みとなっております。  さらに、総務省のセキュリティーに関する検討会の報告では、マイナンバーを利用しまして個人情報を取り扱う情報システムについては他のネットワークと分離するなどのセキュリティー対策を講じることとされております。  このため、本県におきましても、総務省の検討会の報告を踏まえまして情報システムのセキュリティーを高める方策について検討しているところでございます。  引き続き、国や市町と連携いたしまして、マイナンバー制度に対する県民の不安解消を図り、制度の円滑な導入と効果的な活用に努めまいりたいと考えております。 42: ◯議長平田修己君) 商工労働局長寄谷純治君。         【商工労働局長寄谷純治君登壇】 43: ◯商工労働局長寄谷純治君) 小規模企業・小企業の振興について御答弁申し上げます。  本県の中小・小規模企業は、独自の技術やノウハウ等を生かして新たな分野に挑戦する企業も多く、本県経済の活性化に大きな役割を担っており、中小企業への支援は極めて重要であると認識いたしております。  今後、人口減少に伴う国内市場の縮小やグローバル化が一層進む中で、県内中小・小規模企業が持続的に発展していくためにはイノベーションを通じて付加価値の高い商品やサービスを生み出し新たな市場を創出していくことが必要でございます。  このため、本年十月に改定いたしましたひろしま未来チャレンジビジョンの中では、産業イノベーションという領域におきまして、中小・小規模企業を含めた県内企業がイノベーションを生み出しながら持続的に発展していくための取り組み方策を掲げますとともに、ビジョンを踏まえて策定いたします県政運営の基本方針におきまして、具体的な方向性を明らかにした上で産業施策を展開することといたしております。  こうした中、国におきましては、商工会及び商工会議所が市町や金融機関と連携して小規模企業の意欲ある取り組みを強力に支援するため小規模支援法を改正し、商工会等が小規模企業に寄り添って、需要開拓や経営承継等の課題解決を支援するための経営発達支援計画の認定が行われているところでございます。  県といたしましては、小規模企業の持続的発展に向けた施策を総合的かつ計画的に推進するため、商工会等の経営発達支援計画の策定を支援いたしますとともに、計画の着実な実行に必要な体制の確保や経営指導員等の人材育成、支援機関相互のネットワークづくりなど、地域ぐるみでの支援体制の強化に努めているところでございます。  なお、多くの道府県で策定されております中小企業の振興に関する条例につきましては、その多くは理念的なものにとどまっているものと受けとめております。  今後とも、中小・小規模企業のニーズなども踏まえながら、これらの取り組みをさらに推進いたしますとともに、市町や金融機関、産業支援機関との連携を一層強化し、中小企業及び小規模企業の振興に取り組んでまいります。 44: ◯議長平田修己君) 都市建築技術審議官石岡輝久君。         【都市建築技術審議官石岡輝久君登壇】 45: ◯都市建築技術審議官(石岡輝久君) 三点についてお答えします。  まず、住宅リフォーム助成制度の再創設についてでございます。  子育て・高齢者等あんしん住宅リフォーム普及支援事業につきましては、平成二十四年度及び二十五年度におきまして、市町に対し制度を創設する年度に助成する方式で実施したところでございます。現在でも十一市町が助成を行っており、一定の効果があったものと考えております。  住宅リフォーム助成制度につきましては、経済対策としてではなく、高齢者などの支援に加え、若者の定住促進や空き家対策など地域の課題に応じて市町により運営することが望ましいと考えており、また、国の交付金の活用も可能であることから県の事業を終了したものでございます。  今後とも、豊かな住まいづくりの実現に向け、地域において主体的な取り組みが継続してなされるよう市町と連携してまいります。  続きまして、広島市東部地区連続立体交差事業について御答弁申し上げます。  まず、船越地区の渋滞拡大の懸念についてでございます。  広島市東部地区連続立体交差事業は、広島都市圏東部地域の交通の円滑化や市街地分断の解消を図るものであり、まちづくりの観点から進めてきた事業でございます。平成二十七年六月にお示しした見直しの方向性では、向洋駅周辺及び海田市駅周辺については鉄道の高架化や東西幹線道路の整備を行うことにより、関係市町が実施する土地区画整理事業と一体となってまちづくりが行われるものと考えております。  また、高架化されない区間につきましても、東西幹線道路の整備とともに、主要な道路と鉄道との立体交差化、引地踏切の延長短縮、歩行者動線の立体化などにより渋滞緩和や踏切の安全確保が可能となり、当事業に求められている交通の円滑化などが図られるものと考えております。  最後に、広島市東部地区連続立体交差事業見直し案の撤回についてお答えいたします。  当事業につきましては、全区間を高架化する当初の計画で事業を実施した場合、昨今の公共事業を取り巻く環境の中では事業の長期化などさまざまな問題が生じるため、大幅なコスト縮減を図り、早期に事業効果が発現できるよう平成二十四年二月に事業の見直し検討に着手したところでございます。平成二十五年八月には、広島市安芸区から海田町につきましては高架化しないものの、鉄道をまたぐ道路の整備などにより都市内交通の円滑化など一定の事業効果が見込まれる検討案を県・市連携して関係する皆様にお示ししたところでございます。  その後、海田町におきまして、現在進められている土地区画整理事業とあわせた南北市街地の一体化など今後のまちづくりのあり方について海田町と協議を重ねるとともに、国土交通省や広島市など関係機関とともに調整を図りながらコスト縮減策について検討を行ってまいりました。その結果、海田市駅周辺につきましては、高さを抑えた高架化を行う見直し案の方向性を平成二十七年六月に県と広島市で取りまとめ、この内容について府中町及び海田町を含む関係四者で合意したところでございます。このたびお示ししている見直し案の方向性では、事業費は全区間を高架化する計画に比べ約三割の縮減が見込まれ、事業効果の早期発現も可能となるとともに、当事業に求められている事業目的がおおむね達成できるものと考えております。  県といたしましては、引き続き関係する皆様の御意見を伺いながら、できるだけ早期に工事着手できるよう、共同事業者の広島市とともに関係者と協議するなど取り組みを進めてまいります。 46: ◯議長平田修己君) 土木建築局長児玉好史君。         【土木建築局長児玉好史君登壇】 47: ◯土木建築局長児玉好史君) 広島高速五号線、福山西環状線、福山沼隈道路の建設中止についてお答えいたします。  広島都市圏及び備後都市圏は人口、産業、都市基盤などが集積し、中国地方全体の自立的な発展を牽引する役割を果たしてきたところであり、これらの都市圏が引き続きこうした役割を担うためには、広島高速道路や福山環状道路、福山沼隈道路など物流機能を強化し、地域間交流を支える広域道路ネットワークの構築が重要であると考えております。  広島高速五号線につきましては、住民の不安をできるだけ取り除くため、地表面沈下の抑制にすぐれたシールド工法の採用や一定の地表面沈下などが発生した場合に土地の買収などを行う仕組みの構築など、安全確保と安心の構築に向けた取り組みを行っているところであり、十一月末にシールドトンネル工事の入札公告を行ったところでございます。  また、福山西環状線及び福山沼隈道路につきましては、福山市と連携し、地元への説明や調整を図りながら用地買収や工事を進めているところでございます。これらの路線は、広域連携基盤の強化や交通混雑の緩和など広島都市圏及び備後都市圏の拠点性をさらに高める上で必要不可欠であることから、引き続き関係機関と連携し、地域の住民の皆様の御理解と御協力が得られるよう丁寧な対応に努めながら着実な事業推進に取り組んでまいります。 48: ◯議長平田修己君) 教育長下崎邦明君。         【教育長下崎邦明君登壇】 49: ◯教育長(下崎邦明君) まず、代替教員が直ちに確保できない現状に対する認識についてお答えいたします。  学校におきましては、本来、定められた数の教員を配置しなければならないものでございますが、本務者の急な病気休暇等により、一部に代替教員を直ちに配置できない状況もございます。このような場合には、学級担任をしていない教員がかわりの担任を務めたり、学校の時間割を変更したりするなど、校内体制の整備によりまして教育活動に支障が生じないよう工夫しているところでございますが、教育環境として適切とは言えず、改善していかなければならない課題であると認識いたしております。  次に、代替教員が直ちに確保できない理由と対応策についてでございます。  代替教員の確保につきましては、より多くの候補者情報を収集しておくことが必要と考えており、臨時的任用職員や非常勤講師の募集におきまして、ホームページへの掲載、採用試験受験者に対して受験願上での任用希望の確認や募集チラシの配付、辞退職者に対する臨時的任用や非常勤講師の希望の有無の確認などに、これまでも積極的に取り組んできたところでございます。また、収集した臨時的任用職員や非常勤講師の候補者情報を教育事務所などと共有するなど、代替教員が必要となった場合に速やかに対応ができるよう必要な体制整備に努めてきたところでございます。  しかしながら、候補者が既に他の職に就いていたり、地域や時期によっては必要な校種・教科と勤務を希望する者の免許の種類が合致しないといった状況があることなどから配置がおくれる場合があると考えております。このことから、今年度から新たに秋の大学訪問を行い、四年生を対象に臨時的任用などの募集活動を始めたところでございます。  教育委員会といたしましては、これらの取り組みをしっかりと行うことによりまして代替教員の確保に努めてまいります。  次に、代替教員確保に向けた抜本的対策についてでございます。  講師人材バンクなどを設置し定数外で教員を確保しておくことにつきましては、多額の経費が必要となることなどから制度化は困難でございます。  教育委員会といたしましては、代替教員を配置できていない状況があることは改善すべき重要な課題であると認識しており、引き続き必要な人材の確保に努めてまいりたいと考えております。  次に、定数内臨時的任用者が減少しない理由と対策についてでございます。  教育委員会におきましては、定数内臨時的任用者の減少を図る観点から、新規採用教員数を計画的にふやしているところでございますが、特別支援学級の増加等の理由から必ずしも定数内臨時的任用者を減少させることができていない状況でございます。そのため、特別支援学級の増加等に対応する教員数を見込む際には、一定の予測を立て、採用数に反映させておりますが、その予測以上に必要となる教員数が増加し、定数内臨時的任用者は増加しております。  教育委員会といたしましては、児童生徒数の推移や早期辞職者数等の精査を図り、中長期的な視点に立って必要な新規採用教員数の確保に努めてまいりたいと考えております。  次に、定数内臨時的任用者の採用理由と任期についてでございます。  定数内臨時的任用者は、見込みを超える早期辞職者が生じた場合や年度当初に学級数が増加した場合など、定数に欠員が生じた場合に採用しているものでございます。任期は法令の規定によりまして六月を超えない期間とされており、また、六月を超えない範囲で一回の更新ができることとなっております。  次に、臨時的職員任用の留意すべき点についてでございます。  昨年七月の総務省通知におきましては、臨時・非常勤職員の採用に当たり、例えば、社会保険や労働保険の適用について、法律に基づく適用要件にのっとって適切に対応すること、研修や福利厚生について、従事する業務の内容や業務に伴う責任の程度に応じて適切に対応すること、同一の者が繰り返し臨時職員などとして任用されることは、計画的な人材育成への影響や臨時職員としての身分の固定化などの問題を生じさせるおそれがあることなどが留意すべきポイントとして示されており、教育委員会といたしましても、引き続きこうした点を十分配慮して臨時的任用職員等の任用を行っていく必要があると考えております。  次に、正規採用職員の増員による教育条件の整備についてでございます。  新規採用教員数につきましては、今後の退職者の増加に対応して計画的にふやしているところであり、平成二十二年度以降は七百名から八百七十名程度まで増加させて採用してきているところでございます。  しかしながら、近年、児童生徒数が減少しているため、将来の教職員定数の減少を勘案する必要があることや、優秀な人材を確保する観点から採用数を大幅にふやすことは難しい状況でございます。  教育委員会といたしましては、教育環境を整えるために、今後とも中長期的な視点に立って必要な正規教員の採用に努めてまいりたいと考えております。  次に、少人数学級の拡充についてでございます。  少人数学級編制につきましては、仮に、中学校三年生まで三十五人学級とした場合、新たに人件費として約四十五億円の経費が毎年度必要となることが見込まれます。こうした多額の経費負担を伴うことから、国からの特段の措置なしに小人数学級を拡大することは困難であると考えております。  なお、義務教育における少人数学級の推進は国が責任を持って標準法の改正を行い導入されるべきものと考えており、国に対しまして全国都道府県教育長協議会などを通じ、引き続き標準法の改正による三十五人学級の導入を要望してまいります。 50: ◯議長平田修己君) 選挙管理委員会事務局長來山 哲君。         【選挙管理委員会事務局長來山 哲君登壇】 51: ◯選挙管理委員会事務局長(來山 哲君) 大学や高校への期日前投票所設置についてお答え申し上げます。  近年の投票率を見ますと、若年層の投票率の低さには深刻なものがあり、投票率向上に向けた取り組みが重要な課題であると認識しております。こうした中、十八歳選挙権に係る公職選挙法の改正とも相まって、大学内への期日前投票所を設置することは、若者の政治参加意識を促進する上からも意義あるものと考えております。  一方、設置に当たりましては、投票の秘密が保持できるスペースの確保や専用オンライン回線の設置が必要となるとともに、通常は当該大学の所在する市区町内から通っている学生に投票が限られるなど、さまざまな課題もございます。  こうした課題もありますが、県選挙管理委員会といたしましては、福山市立大学などの先進事例の情報提供や具体的な課題に対する助言を行うなど、市町の選挙管理委員会と連携しながら大学内への期日前投票所の設置の拡大に向けて取り組んでまいりたいと考えております。  なお、高校における期日前投票所の設置につきましては、先ほどの課題に加え、投票できる者が十八歳になった生徒に限定されること、また、期日前投票所では市区町内の有権者は全て投票できることから、生徒以外の有権者が来校することによる学校教育への影響などが考えられますため、今後の全国的な動きを注視しながら慎重に検討を進めてまいりたいと考えております。 52: ◯辻 恒雄君 議長……。 53: ◯議長平田修己君) 再質問を許します。辻 恒雄君。 54: ◯辻 恒雄君 再質問をいたします。  まず、安全保障法制、いわゆる戦争法についてですけれども、国会論戦を通じて、この安全保障法制が憲法九条をじゅうりんする憲法違反の法律だということが明らかになっているわけですが、この点について、知事、あなたの見解をお伺いしたいと私は思います。ぜひお答えください。  それとあわせて、こういう法律が存続していくこと自体が今の立憲主義あるいは法の支配というものを覆す状況を国政上ではつくると同時に、そのことがやはり地方政治にも影響を与えてくるということにもつながりかねないと私は懸念しているわけですけれども、この点での知事の認識をお伺いしたいと思います。  二つ目は、TPPについてですけれども、先ほど本県農林水産業への影響についても語られましたけれども、そうならばこそ、広島県として、その影響額は一体どうなるのかを試算して県民に明らかにして、対策を打つということが私は必要だと思うのです。  他県では、これは県レベルではありませんけれども、長野県では農協のグループなどが三百九十二億円に上る影響がある、あるいは茨城県でもJA中央会がその影響額を出していますけれども、県としてもそういう試算を出して公表し、そして対策をつくるということが必要だと思うのですが、この点での答弁をいただきたいと思います。  それから、子供の医療費の助成制度の拡充についてでありますけれども、全国も、また、県内でも県制度よりも制度の拡充が進んでいるというのが現状なのです。そういう現状の中で、広島県は十年間足踏み状態のままになっているわけで、なぜ進まないのか、たび重ねて質問しても同じような答えしか返ってこないわけでありますけれども、例えば、小学校三年生まで拡充すれば、ことしの予算特別委員会では八億円追加すれば可能、小学校六年生までだと十五億円追加すれば可能だという答弁も返ってきているわけですが、実施に踏み切らない最大の理由は、こういう財政的な問題が一番大きいのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。  それから、三十五人学級の件でありますけれども、他県では教員の加配とか、あるいは単県負担で財政状況が厳しい中でも拡充している。より豊かな教育を、どの子にも行き届いた教育を施していくというのが本来の公教育のあり方だと、どの子にも行き届いた教育を進めていくという立場が欠けているのではないかと私は思っているわけです。  そこで、先ほど中学校卒業までの経費負担も出ましたけれども、例えば小学校三年生あるいは六年生まで引き上げた際の費用、人員はそれぞれ何人ぐらい必要となるのか、教育長にお伺いしたいと思います。 55: ◯議長平田修己君) 当局の答弁を求めます。経営戦略審議官伊達英一君。         【経営戦略審議官伊達英一君登壇】 56: ◯経営戦略審議官伊達英一君) 安全保障法案が憲法に違反するかどうかについてでございます。  日本国憲法は三権分立を原則としており、いわゆる違憲審査権は裁判所の権限とされております。知事という機関や地方公共団体は、法律の合憲・違憲について判断する権限を有しておりません。  続きまして、この法律が立憲主義、民主主義、法の支配を覆しかねないということについてでございますが、立憲主義、民主主義、法の支配は国家の基本的な理念であり、地方自治に携わる者として、当然のことながら尊重し遵守すべきものと考えております。  繰り返しになりますが、知事という機関や地方公共団体は法律の合憲・違憲について判断する権限を有しておりません。 57: ◯議長平田修己君) 農林水産局長寳来伸夫君。         【農林水産局長寳来伸夫君登壇】 58: ◯農林水産局長寳来伸夫君) TPPの農林水産業への影響の本県独自の試算というお尋ねであったと思います。  国におきましては、年内に農林水産業を含めたTPP全体の経済効果分析の結果を公表すると言われております。  県といたしましては、その分析の考え方や影響額の算出方法など、その内容を確認した上で本県独自の要素も加味した影響額について検討してまいりたいと考えております。 59: ◯議長平田修己君) 健康福祉局長笠松淳也君。         【健康福祉局長笠松淳也君登壇】
    60: ◯健康福祉局長笠松淳也君) 医療費助成制度についてでございますが、この制度は自治体間において対象年齢が異なり、受けられる医療サービスに差が生じていることは適当でなく、国が全国一律のサービスとして提供すべきと考えております。  したがって、これまでも県としまして、国において全ての子供対象とした全国一律のサービスを提供されるよう働きかけてまいりました。  さらなる引き上げに際しましては、こういった国の検討会の動向を注視しますとともに、本県が推進する子育て支援策全体バランスの中で、今後の社会保障関係費全体の動向も勘案しながら慎重に検討していく必要があると考えております。 61: ◯議長平田修己君) 教育長下崎邦明君。         【教育長下崎邦明君登壇】 62: ◯教育長(下崎邦明君) 少人数学級の拡大についてでございますが、三十五人学級につきまして現行の小学校二年生までを小学校三年生までに引き上げた場合、教員数といたしましては八十名程度、人件費として約七億円でございます。  同様に、小学校六年生まで引き上げた場合、教員数といたしましては三百名程度、人件費としては約二十五億円が毎年度新たに必要となるところでございます。 63: ◯辻 恒雄君 議長、再々質問。 64: ◯議長平田修己君) 再々質問を許します。辻 恒雄君。 65: ◯辻 恒雄君 再々質問をいたします。  安全保障法制、いわゆる戦争法は憲法違反ではないかという質問で答えがありました。私は判断せよと言っているのではないのです。どう考えているのかということを、知事、あなたにお聞きしたわけなのです。それを、経営戦略審議官がかわりに出てきて答える。私はあなたに聞いていないのです。私は知事にお考えを聞いているわけです。知事がどう判断しているかという最高裁判所のような判断を聞いてはいないのです。あなたはどのように考えているのか、だいたい経営戦略審議官がしゃあしゃあと出てきて、知事のかわりに答えるというのは、そういうこと自体本当におかしいです。  やはり、私は知事に直接聞いているのだから、知事の考えをお示しになったらどうですか、私はそう思うのですけれども、この点を改めて知事にお聞きしたいと思います。経営戦略審議官が答えてはだめだと私は言っておきます。  それから、TPPの関係では、国の影響調査を受けて県も検討してみたいということですが、広島県へのTPPの影響に対して具体的に抜本的な対策をとろうと本当に思うのだったら、どういう大きな影響が起きるのかということを試算して、そういうもとで対策をとるようにやっていただきたい。その折に試算をちゃんとしていただいて、お示し願いたい。このことを約束していただきたいと思います。  それから、子供の医療費ですけれども、結局、全国一律の制度にしたほうがいいので国に働きかけているから、検討会も注視して見守っています、福祉医療費全体の中で考えていくというようなことですけれども、そういうようなことがあっても、全国的には対象年齢を引き上げて、子育て支援を進めているではないですか。この広島県内でも、大崎上島町の例を出しましたけれども、府中市も中学校三年生まで拡充していく、さらに広島市も対象年齢を引き上げようかというようなことになっているわけで、こういう子育てへの支援と定住促進、さらにそれ自身が人口をふやしていくというようなことにつながるということが言われているのです。  ぜひ、対象年齢を引き上げて、広島県が全国的に見ても後のほうを走るというようなことでないように、やはりファミリー・フレンドリーな広島県、子育てするならこのまちでと言われるのだったら、それぐらいのことまで踏み切るべきだと思うのですけれども、あわせてお願いいたします。  三十五人学級のことを言われましたけれども、言われたとおりです。小学校三年生まで約七億円、八十名の教員の増加でできるということで、これは大いにやるべきではないかと私は思うのです。例えば、財政力指数から言えば、広島県は十四位というような状況のもとで全国で最低水準の三十五人学級。ところが、全国財政力指数で言うと島根県は四十七位、鳥取県は四十五位です。そういうところでも少人数学級、三十五人学級を拡充して進めているではないですか。本当にやろうという気持ちがあるのかどうか、疑わざるを得ないような状況ではないかと思います。  私は、当面小学校三年生まで三十五人学級を確立してはどうかということを求めるものですけれども、お答え願いたいと思います。 66: ◯議長平田修己君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 67: ◯知事湯崎英彦君) 安全保障法案が憲法違反であるということについての見解を求めていらっしゃるということでございます。見解を求めるということで判断は要らないということでございますが、判断しなければ見解を述べることはできません。知事という機関あるいは地方公共団体はその権限を有しておりませんので、これは経営戦略審議官が答えても私が答えても同じでございます。 68: ◯議長平田修己君) 農林水産局長寳来伸夫君。         【農林水産局長寳来伸夫君登壇】 69: ◯農林水産局長寳来伸夫君) 先ほど答弁の中で、国が年内に全体の経済分析等を示すということは、どういう形であるのかはわかりませんが、批准等の署名に向けた国会審議が始まる前に基準等の全体を明らかにしていこうという趣旨だと受けとめております。先ほど申しましたように、本県に定性的な影響がある中で県がいろいろな対策の打ち出しを考えるときに、どの程度の影響があるのかは十分に考えた上でないといけないと思っております。  先ほど答弁しましたが、国等の算出の仕方等も参考にして、県としての試算といいますか、影響はできる限り示した上で前に進めていきたいと思います。 70: ◯議長平田修己君) 健康福祉局長笠松淳也君。         【健康福祉局長笠松淳也君登壇】 71: ◯健康福祉局長笠松淳也君) 子育て施策につきましては、子供が心身ともに健やかに育つよう社会全体で子育てを応援する環境づくりが重要であると考えております。そうした中の医療費助成につきましては、やはり子育て施策全体のバランスの中で、今後の社会保障関係費全体の動向なども勘案する必要があります。  また、全国一律のサービスが必要であり、提供されるべきものだと考えておりますので、国の動向や子育て施策全体のバランス等を勘案しながら慎重に検討するべきと考えております。 72: ◯議長平田修己君) 教育長下崎邦明君。         【教育長下崎邦明君登壇】 73: ◯教育長(下崎邦明君) 少人数学級の対象年齢を、ひとまず小学校三年生まで引き上げてはどうかというお尋ねでございます。  先ほど答弁申し上げましたように、小学校三年生まで三十五人学級とした場合、約七億円の新たな負担が生じることになります。義務教育における少人数学級の推進は、国が責任を持って標準法の改正を行い導入されるべきものと考えております。  国に対しまして、全国都道府県教育長協議会などを通じ、引き続き標準法の改正による三十五人学級の導入を要望してまいります。 74: ◯議長平田修己君) 明日も引き続いて質問を行います。明日は午前十時三十分から会議を開きます。  本日はこれをもって散会いたします。         午後三時二十分散会 発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...