サービス事業では、
常石地区にある
遊園地のみろくの里、それからサッカーのバイエルンツネイシのスポンサー等々、地域での活動をいろいろと行っている
企業でございます。
企業数については
造船事業であれば40社ありますが、今回は
環境事業に注目して書いていますので、上のほうに並べて7社書いています。
ツネイシカムテックスを
最初に、この3年間で6社ふやしてまいりました。2年前に
MアンドAで
埼玉県に
工場を取得し、去年11月に福島県に取得した
サニークリエーション、一昨年前、
大阪府に取得したアースクリエイトなど、いろいろな
コンサル事業から、いわゆる川上から川下へかけての
事業を増強し、これからの説明の中心になりますが、去年4月にバンコクに
現地法人として
ツネイシカムテックス・タイランドを開設してございます。
グリーンで書いているのが
造船・
汽船系の
海外展開です。前のほうで見ていただくと、
カムテックスはタイ、
ベトナムに
現地法人と
連絡事務所を持っています。今年4月にはもう少し西側のバングラデシュ・ダッカに
合弁企業を出していく予定でございます。
次に、
環境事業について簡単に御紹介いたします。
先ほど申しましたが、我々は福山市において
中間処理業を行っておりまして、
上流側では
排出企業の
環境コンサルタント事業や
処理企業からの収集・
運搬業務などがあり、
下流側としまして、最後は
最終処分地がございまして、そこまでに
リサイクル関係の
事業があります。
ツネイシカムテックス福山では、この表のちょうど真ん中の
中間処理業を営んでまいりました。先ほど御紹介しました
企業、例えば
大阪での
環境コンサルタント事業や、
廃プラスチックと
木材等からつくる
プラスチック燃料、RPFを製造しています福島県の会社、こういうところを買収してまいりまして、上流から下流まで
一気通貫で
事業を拡大してきたという格好でございます。
事業規模としましては、
ツネイシカムテックスの
売り上げ規模が40億円強、
埼玉サニークリエーションが20億円半ば、それ以外の
海外はこれから利益が上がっていくという格好でございます。
カムテックスは先ほどの
DVDで説明しましたが、
産業廃棄物の溶融、
スラグまでの
処理、それから一部、広島県の
補助金等をいただいたアスベスト──
廃石綿の
処理認定工場でもございます。また、
汚染土壌等の
処理もあわせて行っていまして、液と固体を合わせて1日約500トンの
処理ができる能力を有し、現在
フル稼働で
処理しています。最後の溶融した
スラグや焼成した
燃え殻等の
リサイクルは
埼玉でもしていまして、
廃棄物が入ってきて結果的に全プロセスを通してみれば、
リサイクルして
土木資材に変えるという
完全リサイクルのできる
企業群でございます。
埼玉のほうでは、一番下のところに書いていますが、
燃え殻などの
一般廃棄物、例えば
都市ごみを
焼却炉で燃やしたものが7割の比率でこの
工場へ入ってきます。あとの3割は
産業廃棄物の
燃え殻をロータリーキルン
処理しますと、最後は
リサイクルの
人工砂になる。これを先ほど申しましたように、
東京メトロ等の地下鉄の
点字ブロックなどいろいろな
ブロック製品や、
下層路盤材等に全量使っています。こちらでは1日300トンの
処理ができる
工場で、こちらも今は
フル稼働でございます。
これはこの3年間でふやしてきた
事務所と
製造拠点でありまして、今回かかわりがあるのが
ベトナムの
連絡事務所とタイの
現地法人の
海外2カ所をこの時期に増設してまいりました。
営業所は東京、名古屋、
大阪、福岡、それから本社という格好で、集めている領域としましては、沖縄の米軍基地の
産業廃棄物から北海道まで集めることができます。すべての収集運搬、北海道以外の収集運搬免許も弊社
グループで持ってございます。
これから、こういう
海外事業をなぜ展開しているのか、どうしてこういうことをやろうとしているのかということについて、少し掘り下げて背景等を述べさせていただきます。
いろいろな産業の国内空洞化が言われて久しいのですが、このグラフは年度ごとに平成22年度まで
産業廃棄物の排出量を示しています。産業が国内から空洞化しているかどうかは別にして、国内では
廃棄物の排出量は直近の数年を見ると下がってきているという状況でございます。自動車産業を含めて、東南アジアを中心に新興国へ
工場移転が加速し、これから先も国内での発生増は望めない環境かと理解してございます。
それから、逆に
工場が移転している東南アジア地域では環境問題が顕在化してきてございます。ほとんどの国がまだ埋め立て処分でございます。健康被害の発生や埋立量の限界が来ているということで、これからも御紹介していきますが、
ベトナムでは
日本でいう公害病が潜在的に発生してきています。我々はホーチミンのそばでいろいろな調査を始めていますが、そのすぐそばにロンアン省というところがあり、その政府からは我々のような
処理業者に来てもらいたいという要請が正式に出てきています。
では、どんなところをターゲットにしていくか。メコンデルタ中心に調査しています。その前にインドへも調査に行きました。一番下のこの絵はインド、一番西側のクジャラート州というところで船の解体、業界では解撤と呼びますが、解撤をしているところです。インドでは、ビーチにそのまま廃船を乗り上げてガスで切って油を海に垂れ流しているということで、水と油を分離する廃油
リサイクル能力は
ツネイシカムテックスが
日本一の能力を持っておりますが、その
リサイクル事業を三菱商事と一緒に展開していこうと検討しています。
それ以外はメコンデルタに集中していまして、ここに書いていますが、平成24年度に広島県の環境浄化産業クラスター形成
事業補助金もいただきまして、
ベトナム、タイの調査に活用させていただきました。メコンデルタでは水が非常に汚れていまして、一番望まれているのが
工場排水の
処理です。それから
ベトナムでは
工場がホーチミン近郊に日系も含めて増設され始めていまして、
産業廃棄物の焼却・焼成、
一般廃棄物の焼却というのも望まれています。また、バングラデシュでもセメント系の
リサイクル製品のニーズが高いということで
事業展開しています。
タイの
事業は、先ほど申しましたように、自分で集中
処理のできる
工場はまだ持っていません。日系の進出した自動車産業や化学産業等の
工場内の排水
処理設備の設計・製作・施工ということで、いわゆるエンジニアリング
事業の会社でございます。ここに下に赤い字で書いていますが、アマタナコンという大きな工業団地には、日系
企業が相当数入っていまして、集中的にこのあたりに攻勢をかけ、タイ
企業を含めて、会社設立から約半年間、受注ゼロが続いていたのですが、12月以降急速に受注が入り始めまして、一番下に書いていますが、1カ月で
日本円で約1億円くらいの受注がありました。非常に驚いていますが、受注活動も大変で、現地の社員が11人、
日本人社員が1人と、
日本に駐在していますが、この会社の
現地法人の社長が1人という構成でございます。
バングラデシュは今年4月に会社設立しますが、この会社はツネイシ
グループでは珍しく独資ではございません。一番上に書いていますが、相手方のアライアンスという会社、いろいろなアライアンス
事業を世界各国で行っている会社でして、その資本が30%、それから日系ビジネスとバングラデシュをつなぎ合わせるコンサルタント会社の資本が15%、残りの55%が弊社という格好です。赤い字で右のところに書いていますが、在バングラデシュの
日本大使館等の援助と、JICA、JBIC等の援助をいただきながら、このような会社の設立が本決まりになりました。最終的にはうまくいけばセメントを製造できるようにしたいのですが、
日本やメコンデルタ地域からセメント系の原料を持っていきながら、まずその調査会社を立ち上げたということで、バングラデシュのこれからの経済発展に今までの我々の技術をうまく抱き合わせていきたいと考えているところでございます。
次に、
ベトナムのJICAのPPP
事業について説明します。
JICAからは大きな補助金をいただきました。官民連携プロジェクトの頭文字であるPPP案件──官ですからパブリック、それから民間のプライベート、パートナーシップ、多分それで合っていると思いますけれども、1億5,000万円の補助金をいただいています。先月から本格的な
事業が始まりました。赤字で書いていますが、
一般廃棄物は神戸製鋼の環境子会社である神鋼環境ソリューションが
都市ごみの焼却を担当します。先ほど御紹介しています
産業廃棄物の焼却。中央にいろいろと書いていますが、できた
燃え殻から完全な
リサイクルの
人工砂をつくる全てのプラント、それから一部
最終処分地の運営まで含めて
事業化を計画していくつもりです。1年間かけて
事業化し、あと2年後ぐらいに現地パートナーと組んで、運営その他は現地で我々がノウハウを出すという格好で立ち上げていく所存です。総
事業費として、今のところ170億円ぐらいを見込んでいます。
今までみたいに設備だけをつくるのではなく、途中で言いましたが、一体型として我々がすべて
日本でやってきたものを持っていこうということで、言葉は適切かどうかわかりませんが、社会・制度の未成熟なところへ、そういう制度も含めて移行していこうと考えています。一言で言いますと、我々がやっているソフトと言われている部分、行政機関において監督しているようなところ、それからマニフェスト等の運営、その辺も含めて、今まで我々が培ってきた
日本株式会社みたいなものをそのまま持っていこうとする格好で、一番下に書いてますが、技術だけではなく、社会・制度を移転することによって適正
処理を早く達成してあげようという試みでございます。
我々の環境技術のバックボーンは、先ほど来、何回も言っていますが、
産業廃棄物を
完全リサイクルすることができます。それから
一般廃棄物も含めて最終的には
人工砂をつくっていくという格好です。我々は単独で出ていくわけにいきませんので、今後は現地で調査していくにはいろいろな政策、制度、向こうでの運営リスク等について徹底した調査をしていく、こういうところにJICA等の大きな補助金を使わせていただいております。最終的には調査結果に基づいて適正な
処理品目、アライアンス戦略、
事業規模等を決めてまいりまして、
事業的に失敗しないように、相手方にも迷惑かけないように、世界の環境保全のために貢献していきたいと考えています。
最後の、行政へ期待する支援事項ということで、我々は技術は輸出することできますが、先ほど来申し上げています制度、行政機関との橋渡し、
日本の行政が行っている内容、このあたりを一緒になって出していけば、よりうまくいくのではないかと思います。
ツネイシカムテックスは、横浜市が上下水道などで20年後、30年後のセブの発展のためにいろいろなことを考えている
事業に参加していまして、環境案件は
カムテックスが担当するということで、皆さんよりも先で申しわけないのですけれども、神奈川県議会議員と一緒に活動を開始したのが半年前で、行政機関と一緒になってやらせていただいています。
ちょうど時間なので、ここで終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
2:
◯鵜野参考人 よろしくお願いします。
私も
最初は5分間の案内ビデオから対応させていただきまして、その後に御説明をさせていただきたいと思います。
(
DVDを視聴)
それでは、目次の順番で説明を進めさせていただきたいと思います。
まず、ヒロテック
グループの紹介ですが、製品としましては大きく分けて3つあります。左上のようなドア、フタ物と言うのですが、そういったボディー部品。それから排気系部品。これはマフラーとかエキゾーストマニホールドと言います。それから下にあるのが金型・治具、溶接・組み立てラインなどの生産設備、ツーリングと言いますけれども、そういった製品のビジネスを行っています。
グループの紹介ですが、現在9カ国に15社で展開しています。
日本に4社、北米に3社、ヨーロッパは
事務所だけですけれども1社、それからアジア・太平洋地域に7社という構成であります。
ドア、フタ物部品をつくっている会社を青色でCと表示しています。排気系部品につきましては、ピンク色のEで表示しています。生産設備、金型につきましては、緑色でTと表示しています。
グループの従業員数は昨年末で約4,000人です。ヒロテックを含む国内が1,700人、
海外の
グループ会社は2,300人ということで、1990年には
海外の
グループ会社の従業員数は約10%だったのですが、2000年に52%、そして現在は56%ということで、半数以上が
海外となっております。
売り上げですが、
グループ全体で約1,200億円です。ドア、フタ物部品で約510億円、排気系部品で約370億円、金型・生産設備の合計が約310億円になります。ヒロテック
日本の本体が約640億円で、その他の
グループ会社が約550億円ということで、
海外の
グループ会社の
売り上げ比率は約45%になっています。
それからお客さんについてですが、左上ですが、フタ物と排気系の自動車部品についてはマツダ向けが61%、続きましてGM向けが28%、トヨタ
グループというのは主にはダイハツなのですが7%となっています。その下の金型・治具装置につきましては、GMが52%、クライスラーが16%、ルノー・日産が8%ではあるのですが、これはモデルチェンジによりますので、年によって比率が変わってまいります。
グループ全体で見ますと、マツダが45%、GMが34%、ダイハツが6%ということになっております。
ヒロテックの概要ですが、本社につきましては石内にありまして、創立1932年、本社
工場、防府、光、大分、これらがメーンの
工場となります。技術研究所、安佐
工場、湯来
工場がそれ以外にもあります。
弊社の沿革について
海外展開を中心にまとめてみました。1953年にマツダよりオート三輪のトラックの部品の発注をいただきまして自動車産業、自動車部品に参入しました。
1959年にプレス金型、プレス機械などの製作をスタートしています。その後、1982年には、初の
海外からの大型取引先であるスウェーデンのサーブという会社からフタ物用の金型や組み立てラインを受注して、
海外取引がスタートいたしました。
排気系部品の開発・生産
事業への参入は1985年からでございます。そのころから国内外での
グループ展開をスタートしています。金型生産設備の
事業から
グループ展開を始めまして、1980年代の後半に2社、アメリカと韓国に設立しました。1990年代後半から2000年代前半にかけては、ドア、フタ物部品の会社を3社設立しています。そして2000年代後半になって今度は排気系の部品も
海外に進出し始めました。
約25年かけて
海外展開を進めておりますけれども、一方ではスペイン、
中国の蘇州またはタイに合弁会社があったのですが、それらは撤退した経緯もございます。
続きまして、ヒロテックの経営方針を簡単に説明させていただきたいと思うのですが、まずは、
選択と集中ということでドアに特化しております。マツダのオート三輪の部品からスタートしたのですが、一時期は軽乗用車のボディー、キャビン全体までつくっていた時期もあります。ただ、販売不振によって生産が終了しまして、やはり経営が不安定化し、そして投資リスクも大きいということで、ある車種に偏らないように、キャビンというのでなく、さまざまな車種のドアをつくらせていただきたいということで、マツダからドアを徐々にいただいてきたという経緯があります。
ドアに特化するメリットとしまして、やはり狭い分野に深く入り込んで技術力を上げていくというところであります。設備が効率的に配置できます。例えばドアの金型に合った大きさの工作機に統一できるとか、プレス機械は4台に統一してしまうとか、新しい生産技術を次のモデルでテストして、うまくいけばそれをまた展開することなどが挙げられます。部品が同じような形、大きさなので台車の流用ができたり、荷姿がよかったり、納入コストが安かったりします。また、ドアばかりつくっていますので、他社のドアのベンチマーク等、狭い範囲ですけれども、技術情報を集中的に収集できて深掘りが可能になりました。その後、ボンネットとかトランクリッドに拡大するという手もあったのですが、量的な拡大よりも質的に拡大したいということで、マツダにお願いしまして、実験研究などの開発要素が大きい排気系部品にも参入いたしました。
続きまして、設備の内製化ということで、自社で使うものは自社でつくるというのがあります。ドアというのはフェンダーとのとり合いもありまして、非常に品質面で厳しい部品です。通常は自動車メーカーが中でつくられる内製部品でもあります。そういったスキとか出入り、表面部の仕上げなどは、やはり金型とか治具装置のできばえに左右されるので、そういった設備自体を自分たちでつくるようになりました。生産現場からの改善や要望、アイデアを設計構想にフィードバックすることによって、より使い勝手のよい設備もできますし、設備の内製だけではなくて、ドアの開発や製品設計、それから設備の設計・製作、そしてプレス加工、組み立て加工というような一貫生産体制というものを構築してきました。それとともに設備自体を外に売って、
海外のお客様からも生産設備をターンキーで受注するということをしております。そうしたことによって設備のビジネスも拡大してまいりました。
これは参考までですが、これがドア、フタ物部品の開発から生産までの一貫生産体制のフローになります。排気系になりますと開発・シミュレーション、試作や実験評価といった開発要素が加わったフローになっていきます。
それと少し話は変わるのですが、改善というものにも力を入れておりまして、要は世界一を目指した改善、こだわり改善と言っていますけれども、徹底して継続的にこつこつと進めてきています。この例はプレス金型の交換時間の改善事例ですが、大体30~40分かかるのですが、それをまず10分。10分を切れば大体シングル段取りと言いましてよしとされるのですが、そこで終わらずに、毎年毎年進めて1分、そして最後は30秒まで改善してきて、これは世界一のレベルまで改善した例であります。金型交換コンペに参加したり、雑誌に掲載されたりしました。
それでは、私どもの
海外展開について御説明いたします。
まず、目的ですが、成長市場への展開というものがあります。国内の自動車市場、または生産台数というものにつきましては、大幅にふえるということはなかなか考えられないところがありますので、
海外展開を成長戦略の柱として位置づけております。基本的な考え方としては、小さく産んで大きく育てるというのが我々の方針であります。
海外事業の展開としては、設備製作の会社が先行して、その後に部品生産の会社が後を追う形で展開しています。最近では先進国から新興国へ
事業展開がシフトしてきました。営業面におきましては、
海外においては競争力があれば系列を超えたビジネスチャンスというものがあります。
アメリカには1988年に進出しておりますが、投資リスクの少ない生産設備の市場調査と自動車メーカーの動向調査、営業活動が当初の目的でした。また、ドイツへの進出につきましても、市場調査、営業活動に加えて、やはり自動車先進国の先端技術、生産技術ですけれども、そういった動向の調査とか情報収集も目的としております。
続きまして、商圏の確保というのがあります。例えばマツダの
海外展開としまして3拠点ございますけれども、それをサポートする
事業展開となります。
日本を含む複数の拠点で同じモデルが生産されるという環境でありますので、
日本以外はできませんとはなかなか言えません。次のモデルの受注を考えると全拠点での受注というのが必須となってきます。要は
日本の生産を守るためにも出ていかなければいけないというのがあります。
海外に出るリスクもありますけれども、
海外に出ないリスクというのも我々は抱えております。
それから同一モデルを各拠点でつくられますので、小さくて安い部品につきましては1カ所で生産し、グローバルにその他の拠点に供給するというのも求められております。これはグローバル調達といっております。そしてコスト競争力の強化ということで、生産設備におきましても部品におきましても、コストの競争というのが非常に厳しいわけでありまして、そういった中でより安価な生産コストを求めて進出するということもあります。例えば金型をつくるのであればインドで設計して、製作は
日本、韓国といった
グループ内で分業体制を確立する。そうすることによってコスト競争力をつけて、グローバルな競争に勝つというようなことも目的の一つとなります。
続きまして、
海外展開の具体例を説明させていただきたいと思います。
まず、ヒロテックアメリカなのですが、これはデトロイトで生産設備をつくっている会社でございます。1988年に設立して、現在、
売り上げ約120億円、330名で、お客さんは主にビッグスリーとなります。当初は市場調査や営業の拠点として5人からスタートしたのですが、ビッグスリーに技術を認めてもらえまして、現在までになってきております。ただ、ビッグスリーに入るまでは5年近くかかっておりますので、幾らいい技術を持っていても、そう簡単には新しいお客さんに入るということはできないのだと思いました。現在、
日本人が6名で、インドとメキシコに設備の設計・製作の子会社を展開しております。
インドですが、南部のコインバトールというところにヒロテックアメリカの子会社として2005年に設立しました。設備の設計会社としてスタートしています。現在220名で、レンタル
工場を借りて製作もスタートしましたが、現在では自前の
工場を建設して、設計だけではなく製作もインドでスタートします。
続きまして、ヒロテックメキシコになります。これはドアなどのフタ物の
工場でございます。1998年に設立しました。シラオという町なのですが、これはマツダの今回のメキシコ
工場から1時間弱ぐらいのところにございます。現在、
売り上げ160億円、約800名で、もともとはデトロイトでのGMとのビジネスからスタートしまして、GMの要請で進出しました。GMのトラックのドアやボンネットなどの生産をしております。
これは住友商事との合弁でありまして、ヒロテックは製造・技術という分野に専念しています。今回からマツダのドアやボンネットなどのフタ物に加えて、新しく排気系部品というのが入ってきまして、先月から徐々に量産がスタートしたところでございます。
タイですが、もともとプレス部品で現地パートナーとの合弁会社を持っていたのですが、これにつきましては、やはり方向性が違うということで解消をいたしました。一方で今度は排気系部品ということで、マツダの新しいプロジェクトに対応して一昨年新しい会社を設立しております。これもレンタル
工場からスタートしておりまして、現在、自前の新
工場が完成したところであります。将来的には90名、
売り上げ約45億円を目指しております。タイにつきましては、グローバル調達ということで部品の供給拠点としての位置づけもあります。タイからメキシコや
日本に部品を供給するといった役割を担う拠点にもなってまいります。
それでは、
海外展開における我々の課題を御説明いたします。たくさんあるのですけれども、製造・技術面と管理面の2点に分けて説明をいたします。
まず、製造・技術面ですが、当然
海外では現地での競合先というのがあります。これはローカルの会社でもありますし、欧米系のサプライヤーとの競争というのもあります。やはり品質の絶対的な優位性、コスト競争力、プラス競合先ではできない何か、差別化できる技術とか、そういった付加価値がないとやはり長続きはしないというのがあります。
日本で培った技術をどのように展開していくかということなのですが、それと同時に、継続的に
日本で競争力のある技術を開発して提供しないと、現地でも競争力を失うという状況であります。
部品の
事業は投資額が大きいので、お客さんからの明確な発注意思とか約束がないとなかなか進出できないのですが、たとえ進出したとしても次の仕事を継続的に発注していただける保証はありません。やはりリスクというのはみずから負うしかないので、初期投資を回収するために次の仕事を確実にとる、または販路を拡大していくというのが非常に大事になってきますし、大きな課題になります。そのためにも競争力の維持、品質・コスト・技術力、これが最重要の課題であります。
次に、部品調達のグローバル対応というのは、最近の重要な課題の一つなのですけれども、他の複数拠点に部品を供給するというケースがふえていますので、何らかのトラブルがありますとその国だけではなく、複数拠点の自動車メーカーまでもとめてしまうというリスクが今はあります。リスクの要因としては設備的なものもありますし、ストライキなどの人的な要素もあります。政治的なリスクもあります。もちろん震災のような自然のリスクというものもありますので、これは自分たちだけではなく、現地での我々の外注先も同じでありまして、リスクの見きわめとかバックアッププランの策定、外注管理、こういったものが最近では非常に重要になり、大きな課題となっております。
それから最近は世界複数拠点同時立ち上げというのがありますので、これにつきましては、過去の立ち上げノウハウとか経験によって少しずつ効率的に進めてはいるのですが、いかに
日本から技術者を円滑に派遣して、不具合もなくうまく立ち上げていくかということも大きな課題であります。
経営管理面の課題ですが、やはり優秀な人材の確保と人材育成ということが最大の悩みであります。これは
海外の現地スタッフ、
日本側の両面ありまして、
海外では一般に技術系スタッフの採用が難しいことが多いです。
日本に連れてきて教育しても帰国後にやめてしまうというケースもあります。いかに定着させるかが課題でありまして、技術者にしても現場のリーダーにしても労務、営業、なかなか
日本人ではできない分野というのがありますので、そういった人たちをどのようにリテンションしておくかということが大きな課題です。
それから
日本側の課題ですけれども、これは技術者の場合もあるのですが、やはり経営管理者、経営ができる人です。なかなか我々のレベルでは社内におりません。そういった人材の不足ということで経営幹部等の教育といったものが非常に重要になってきています。
次に、現地の法制度、政治問題、労働環境等への的確な対応でありますが、我々の
海外進出の形態としましては2つありまして、100%独資で出る場合と商社や現地
企業との合弁という2つのパターンがあります。先ほど説明しましたリスク発生の可能性や管理、アドミニストレータの面での困難が予想される場合には、商社あるいは現地の同業者と組んで進出します。そして我々は製造とか技術の役割分担に専念をいたします。情報というのは刻々と変わりますので、現地の弁護士や税理士、コンサル等からの情報収集など、専門家の上手な活用も大きな課題の一つであります。
それから
グループ経営というものをいかに効率的に行うか。先ほど説明しました分業体制の構築もそうですが、人・物・金をいかに効率的に
グループに配置するかというのが今後出てくる課題の一つであろうと思います。
今後の
事業戦略といたしましては、もちろんオンリーワンの技術をいかにして持つかというのが一番大事で、強みが何か、差別化できる技術力をいかに持ち続けることができるかというのがキーとなります。我々の分野で言いますと、環境対応技術、燃費とか軽量化、ロボットなどの自動化の技術、そしてコストや品質の優位性をどうやって保つかというようなこともあります。
それと自動車成長市場への展開ということで、自動車産業はグローバルに見ればまだまだ成長産業と思っておりますので、持続可能なペースで我々も成長市場に今後も展開していきたいと考えております。
以上が私からの説明ですが、行政の方々への要望としましては、先ほど
ツネイシカムテックスの篠原社長さんからありましたものと同じような内容ではあるのですが、やはり派遣幹部社員の教育であったり、それから
海外研修生の受け入れサポート、または投資環境や現地法制度の相談窓口等、そういったところは非常に助かります。それと、やはりもととなる技術力が一番大事ですので、新技術開発のための補助的なプログラムというのが国内外を問わず、最も重要なのだろうと思います。
以上で説明を終わらせていただきます。(拍手)
3:
◯川田参考人 広島果実連の川田でございます。
きょうのテーマは
海外販路ということでございますが、大きく言いますと、広島県の果樹の今後の消費拡大と担い手育成をどうしていくのかということです。その一環として、やはり
海外戦略というふうに考えているところでございます。
資料1ページにあります私どもの概要ですが、場所は広島県竹原市忠海というところにございます。もともと発足したのは島嶼部を中心としたミカン地帯で、当時の交通手段が船での輸送、それから陸揚げから消費地への物流がJRであったということで、ちょうど忠海が港町であったのと同時に、JRの貨物ヤードがあったということでございます。ちょうどお隣にアヲハタ株式会社がございまして、同じように忠海の地で昭和23年に
事業を始めたということでございます。
メーンの仕事と申しますと、一つには会員の方々、生産者がおられますので、その方々の新しい農業における果樹の技術振興です。専門の技術員を養成しながら営農指導に当たるというのが我々の大きな仕事の一つでございます。もう1点は、農家や産地から預かった商品をいかに有利に販売していくかという、この2つが一番大きな仕事であると考えております。情報機能ということも当然大きな仕事の一つでございます。
関連では、昭和39年に段ボール
工場をつくりました。当時、木箱でのいわゆる石炭箱での輸送というものから、
日本で初めて段ボールによる輸送容器をつくる
工場を直営でつくったということで、その後、愛媛、佐賀というふうに連続して青果物の物流が段ボールに変わっていたというところでございます。あとミカンの過剰時代に備えての果汁の搾汁
工場ということで、ヒロシマ・コープを持っている次第でございます。
右のほうに広島県の現在の果物の戦力、産地における戦力を数字にあらわしております。まず、ミカン、それから中晩柑という、いわゆるかんきつというジャンルになります。下のほうが落葉果樹でブドウなどです。冬になると葉っぱが落ちるものが落葉果樹ということで色分けしております。
広島県の特徴は、ここでわかりますけれども、ミカンで見ますと2万7,320トンということで、全国のランキングからいくと7位でございます。当然王道どころといいますと静岡であり和歌山であり愛媛であって、ミカンの生産量は圧倒的に多い。
それと右側のほうに中晩柑類がございますが、これが平成25年産で2万5,560トン。全国でもミカンと中晩柑の生産量がフィフティー・フィフティーというのは非常に珍しい組み合わせでございます。どちらかというとミカンが主力の産地が多いという中で、特に中晩柑につきましては、広島県は全国でナンバーワンのものが結構多くございます。例えば上のハッサク、これは御存じのように、因島の「はっさくゼリー」とかございますけれども、やはりハッサク発祥の地であるということで、ランキングから言いますと和歌山に次いで生産量が2位となっています。下のレモンにつきましては5,920トンで、全国のシェアの大体65%から70%の圧倒的なシェアを今とっているところでございます。あと瀬戸田を中心にしたネーブル、これがランキングナンバーワンであります。また、「はるみ」も中晩柑の中では全国的なレベルで見ても自信を持てるところでございます。
広島県は御存じのように、一番標高の高いところで、恐らく世羅台地あたりで標高450メートルぐらいから海抜ゼロメートルの沿岸、島嶼部がございます。落葉果樹につきまして、特に北部におきましては、三次のピオーネ、三良坂のピオーネのように、既に全国を代表するブドウの産地が形成されております。また、福山地区では沼隈ブドウということで、南部独特のベリーAというものでしっかりしたブドウ産地ができております。
一方、世羅へ行きますと、つくられてから40年、50年という幸水農園、大豊農園がありまして、もう第三世代に入るということで、落葉果樹等におきましても、量的には全国ベースで見ますと少ないわけでございますが、一つ一つ取り上げると全国的に見ても非常に優秀な産地を我々は持っております。
そういった意味におきまして、
海外戦略と関係があるわけですが、我々広島県の位置づけをどう考えているかということでございます。基本的な考え方は、先ほどヒロテックさんからもございましたように、ナンバーワンになるかオンリーワンです。やはり果物の世界というのは
海外からの輸入物、また、国内のいろいろなかんきつ類での競合、競争の中で勝ち抜くためには、やはりナンバーワンかオンリーワンであることが一番いいというのが基本的な考え方でございます。
広島県の消費環境でございますが、我々はやはり広島を中心に販売をいたしたいというふうに考えます。それはなぜかといいますと、
中国地方で二百八十五、六万人の人口を抱えている消費圏というのはまずないわけでございまして、おまけに幸か不幸か、都市の集中率が非常に高い。広島市を中心にした110万都市、これは一方で言えば社会問題であり、過疎・過密の問題が出てくるわけでございますが、都市化率が非常に高いということは、消費人口が非常に多いということの結果でもございますので、やはり消費環境としては
中国地方ナンバーワンであるということで、基本的には果物の販売につきましては県内を中心として、また、県内だけではさばき切れないものを全国へ展開していく、また、
海外へ展開していくというスタンスで考えております。
輸出関係で見ますと下にありますように、戦前からミカン関係はもう輸出がなされております。特にカナダ向けのミカンは、カナダのクリスマス需要に応じた、いわゆるTVオレンジ──テレビを見ながら食べられるオレンジということで、早くから実は輸出しておりました。また、レモン等につきましても、旧満州やウラジオストクなど
海外で消費があるところにつきましては、昔から輸出していたということでございます。
次に、3ページにあります現在の取り組みでございます。平成16年に台湾と広島空港の間の航空路線が開通したということで、当時、知事から果実連にせっかく台湾との路線ができたのだからと、果物の小売についてのお話がございまして、当時、私とオタフクの佐々木さんと賀茂泉で、では行こうかということで始まった記憶がございます。
行ってみますと、確かに台北も大都市でございまして、所得も
日本の大体2分の1ぐらいある。また、当時から1億円以上の所得の方がかなりいるということでございました。やはり基本的には一番いいものを高く買ってくれる消費者をターゲットにした販売をしようという考え方は今も全く変わっておりません。だから三次のピオーネであれ沼隈のブドウであれ、基本的には一番いいものを高く買ってくれる方オンリーの販売展開をしていきますということでございます。当然
最初には太平洋そごう百貨店であるとか、それからまた微風広場あたりの所得が非常に高いところをターゲットとした高級果物を売っていくという戦略で、いまだにそのようにやっております。
もう1点は、消費の拡大なり販路拡大の一環なので、私どもの大きな仕事の中に産地と我々の役割の分担の中で、産地にできないことを我々はやらなければならないという一つの宿命がございます。産地でなかなかできないことは営業活動であり、どう高く売っていくかをお客さんに企画提案していく必要がある。やはりこれが我々の一番の大きな仕事になってまいりますので、それには専門の人材をつくる必要があります。先ほど申しましたように、産地では技術者の、販売には販売の人材を育成するということです。同じ
海外へ売りに行くのだったら、やはり楽しく仕事ができるようでないとだめだということで、一つには仕事を喜んでできるような人材をつくっていく、そのことが結果的には産地へのフィードバックになるのだろうということでございます。
もう1つは、生ものでございますので、腐るという致命的な問題がございます。果物は鮮度が命でございますので、幾らいいものでも商品が腐ってしまえばクレームが非常に来るわけでございます。やはりその辺のリスクというのがありますし、今後も青果の販売にはネックになってくるということでございます。
あとは味覚がやはり全く違う。
日本でうまいと言われているものが、必ずしも台湾とかマレーシアでうまいと言えるかということで、これは全く違う。所変われば味変わるではございませんけれども、やはりここは全く違う。大体東南アジア近辺の方々の味覚は果物というのは甘い、甘くなければ果物ではない。基本的には酸っぱいのは果物ではないという味覚でございます。だから、それに合うものを持っていかないと、
日本で幾らぴりっとしてうまいと言われても実は向こうへ行ったら全く通用しないというようなことが、いろいろやっていくうちにわかってきたところです。だから、基本的にはターゲットであるお客さんには、日ごろからそういった
選択をしていけばお金を出してくれるということでございます。
当然価格も
日本の価格の1.5倍から2倍ぐらいで売るわけでございますから、少しお金持ちでないとなかなか買えないという状況ではなかろうかと思います。
それと、平成23年に台湾向けの豊水梨穂木の出荷というのがここに書いてあります。これは果物を直接出荷するのではないのですが、東
日本大震災による原発事故の影響と関係しています。台湾の気候は暖かいので、新高山の標高300m以上のところで梨をつくらないと、花にならないのです。台湾ではどうやって梨をつくっているかというと、
日本で1回寒さを受けたような穂木を輸入して、それを芽接ぎをかけて、それから出た芽に摘果させるということでございます。福島からの穂木の出荷量が全国の25%以上あり、台中の梨農家は穂木が調達できないと飯が食えないということで、我々のほうへお話が来まして、お互いに農業者でございますので、ウイン・ウインの関係で、ではやりましょうということでございました。結果的には余りいい話ではないのですけれども、我々は同業者として、梨をつくっておられる方々を踏みにじるというつもりはございませんし、
日本のよさを受け入れてくれることを基本的に考えていくというスタンスをとっております。
輸出実績等につきましては、青果ベースで大体500万円のところでやっております。今後考えられるのは、やはり青果での販売というのは生ものですから、どうしても限界がある。特に需要期というのはお正月であったり中秋節──お盆です。そうした季節性もあるということで、今後考えなければならないのはこういった果物を使った加工、また、付加価値のある加工品等の、賞味期限が長いものでクオリティーのあるものの同時販売、また、継続販売というようなことが必要なのかなと思います。
青果と同時に、我々は産地の加工品についても輸出しているわけでございますが、青果の弱点を補うべく、新たな加工品を輸出することが今後考えられるかと思います。
今後の課題に入りますけれども、先ほど嗜好の違いというのは申し上げました。中下副知事から、イオン
グループ関係につきましてはトップセールスをしていただきまして、今後マレーシアのイオン
グループを含めて、カルフールあたりを買収したということで店舗数もふえたことから、広島県を今後代表する石地温州の定着を図っていきたいというのがございます。
もう1点、私もマレーシアへほかのことで行ってまいりまして、感じておりますのは、宗教による食べ物という問題でございます。マレーシアはもともと中華系、マレー系中華、インドネシア系、それからインド系ということで、宗教的に言いますとインド系がヒンズー教でございますので、牛はだめだと。それからイスラムが豚がだめだと。
中国人は何でも食べるということでございますので、やはり宗教に基づいた食生活ということは当然あるわけでございます。行ってみますとやはり先ほどありましたように、日系の
企業がかなり進出されておりますし、東南アジアへ行くとほとんどそうでございますけれども、ある意味では
日本の消費者もふえつつあるのかなという感じもいたしております。特にマレーシア、シンガポールあたりになりますと、老後に住みたい人気ランキングの1~2位ぐらいということでございまして、私も老後は暖かいところで女房と一緒に、できればイスラム教徒になって過ごしたいというような気もいたしております。
最後になりますが、
日本も同じですけれども、
海外も東南アジアも所得が上がってくると共通の現象が起きてまいりました。一つはやはり健康です。健康で長生きしたいと。食糧難のころの、とにかくそんなことは言っていられないという時代から、やはり皆さん、ある程度所得が上がってくると、次は何かというと自分の健康であり、長生きしたいということです。食べるものの傾向も同じです。だから今、台湾あたりへ行きますと、ものすごいダイエットブームです。
日本ではBS放送の番組をつけると、夜中、サプリメントのコマーシャルだらけですけれども、アメリカではもう終わったという情報が入っております。やはりいい果物と生の野菜をきちんととることによって、持続的な体力がついてくるし、健康増進になるという意味では非常に共通しているのかなと思います。だから健康志向になりつつあるということは間違いございません。我々が今後目指すべき商品開発なりターゲットというのは命と健康で、これを新しい付加価値として商品化していくということです。我々は大地があって初めて作物ができるわけで、
海外に出るわけにはいきませんので、その辺が今後の一番大きなポイントになろうかと考えております。
あと、資料等につきましては、また目を通していただきまして、私の報告並びに陳述ということにかえさせていただきます。どうも、御清聴ありがとうございました。(拍手)
(4) 意見交換
4:
◯尾熊委員 どうもありがとうございます。
先ほど
海外に進出し、また拠点を設ける場合のいろいろな課題等の話をしていただきました。
特に製造業におきましてはオンリーワン、ナンバーワンを目指していく中で、先ほどの農業においても一緒だと思いますが、やはり技術力、品質が重要であり、
海外に拠点を設け、進出していく場合に人材が非常に大事になってくるという話もいただきました。たくさんの
日本人を現地に置いておくわけにもいかないと思いますので、現地で優秀な人材を発掘し、育てていくというのが大事だと思います。
そういった中で先ほどの鵜野社長からも、人材の発掘・育成が課題ということでありましたけれども、
ツネイシカムテックスにも共通だと思いますが、現地で採用された優秀な人材を育てていく、そういった御苦労があるかと思います。特に
日本では愛社精神をはぐくむということでいろいろな教育をしたり、社内研修や訓練をしたりということもあるかと思います。
現地採用した社員の方については技術力がつくと、逆によその会社に行ってしまうとか、給料のいいところに引き抜かれてしまうということもあるかと思います。そういった面で現地採用された方、優秀な人材を長くとどまらせる、愛社精神をつくっていくという部分での御苦労があるかと思いますが、取り組みとしてどういったものがあるのか、篠原社長と鵜野社長にお願いしたいと思います。
5:
◯篠原参考人 2年ほど前からタイ、
ベトナムの現地では、現地の方を9割方採用しています。先ほどこの3人でも話していたのですけれども、若手学卒者においては、
日本で採用するよりも技術力・向上心の相当レベルの高い人を簡単に集めることができます。委員がおっしゃられるとおり、愛社精神、これは我が社の例で、
日本人社員にも適用していますが、毎日ツネイシスピリットという会社理念を唱和していただいています。基本的に一番何が
海外の方の協力を得るのに効くかというのは、
日本人の行っていることを背中で見てもらうということで、徹底的な全社共通の考え方をOJT──オン・ザ・ジョブトレーニングとして、仕事を通じて教育しています。一部では弊社含めて
海外の人を
日本へ呼んで、スタッフの教育研修、
日本人学校等を運営していますが、それ以上にスタッフの場合、
日本人がやってみせる。それで
日本人というのは真面目に一生懸命技術を探求する。それから困難なことが起こってもそう簡単には諦めない。向こうの文化にも一生懸命溶け込もうとする姿を見せながらやっています。
一つ特徴的なことをいいますと、メコンデルタ地帯では女性が非常に優秀で、
日本人の女性比率、管理職の女性比率というのは、タイ、
ベトナムあたりの弊社
グループでは
日本よりはるかに高く、向こうで育てた人間を
日本の一部へも適用していきたいというぐらい優秀な女性が育っているのが実情です。
6:
◯鵜野参考人 現地の優秀なスタッフをどうやって育てるかということなのですが、まずは
日本と違って終身雇用という発想は全くありませんので、ずっと会社にいる、自動的にいるという発想は
海外の人にはございません。ただ、愛社精神というものは皆さんお持ちでありますので、
最初のころはどうしても定着化というのはなかなかできないのですけれども、その中でキーとなるリーダー格となる現地のスタッフ、その人たちにいかに定着してもらうか。もちろんお金の面もあるのですが、それと大事なのは、
最初はみんな小さな会社なので、会社の成長とともに彼らも成長するのだと。それは収入的にもそうですし、レベル的にも成長していくのだという絵を見せてあげる。そうなると彼らはこの会社でずっとやってみようというような発想になっていくのだろうと思います。
それとやはり日系としてのよさであったり、我々でいえば改善の文化とか、そういったDNA的なものをきちんと彼らに
日本で教育したりしながら、将来、君たちはこういうふうになってほしいということを伝える。ヒロテックアメリカの今の社長はアメリカ人なのですが、彼は2人目に雇ったアメリカ人であります。それからメキシコ
工場の
工場長も今はメキシコ人になっておりますので、長期的に
海外で成功できるかどうかというのは、最終的には現地でいかに優秀な人が育ってくれて、それも我々のスピリットとかDNAをちゃんと自分で理解し吸収したのをその現地の人たちに展開してくれるというところまで回ってくると、非常にいい回転になっていくのだろうと思うのです。なかなかそこまでいくのには大変ですが、やはり何人か優秀な人間をまず採用して、彼らを教育もして、ずっといてもらうようにしていくことも非常に大事なことだろうと思います。
7:
◯宮委員 せっかくですので、1点だけ最後に質問させていただきたいと思います。
非常に遠慮がちに県行政に対する期待ということで述べられたのではないかと思うのですが、例えば進出先の行政とのマッチングの話や、現地情報の提供などは、残念ながら、県行政単体では非常に限定的にしかならないのかなという気はいたしております。それから国内で持っている技術力の高さをどうやって維持するか、また、向上させていくかという話もございました。先ほども人材育成や商品開発という話もございましたけれども、県行政としてやはり限定的にならざるを得ない分野と、それから実は気がついているはずなのですけれども、もう一押しが足らないという分野があるのではないかと思うのです。こういう場でございますので、フランクに県行政のここをもう一押しというのをお一方ずつ話していただければと思います。
8:
◯篠原参考人 個人的な意見ということでお断りをした上ですが、ひろしま産業振興機構を含めて、非常にお付き合いをさせていただいています。私自身も県の国際委員の活動をさせていただいていますが、国際委員会でもいつも言うのですが、ツネイシ
グループが
海外へ進出するときは県のサポートをほとんど受けずに、勝手気ままにやってしまっている。一つはスピード感です。冒頭申し上げましたように、去年4月に会社をつくりました。もう今年には受注しています。去年の1月、2月には会社は全くありませんでした。一生懸命に県のサポート部隊の方と意見交換しながらしていきたいのですけれども、我々はもうやると決めたら猪突猛進ですぐさま形に直すのが民間、特にうちの
グループです。そういう意味では、少し申し上げにくいのですけれども、スピード感に少しギャップがあり、知事の周りにうちの元社長等がよく来ているみたいなので、余り大きなことは言えないのですが、我々が欲するのは民間並みの考え方と視線、スタンス、スピード感です。お金は出していただければ非常にありがたいのですが、我々はお金だけではなく、やはり行政の持っている範囲の協力をいただきたいということです。本当に協力いただきたいのですけれども、そのあたり若干ずれている感じがいたします。そのあたりをよろしくお願いいたします。
9:
◯鵜野参考人 広島県には我々も産学官、産振構などいろいろなところで大変お世話になっておりますので、それぞれの立場でベストなことをしなければいけないだろうと思うのですけれども、先ほど言いましたように、一つは教育へのいろいろなサポートをしていただくということをもっとふやしてもらいたいという部分もあります。それから自動車メーカーの下に一次メーカーがあり、それをティア1と言いまして、我々は大体ティア1なのですが、その下にあるティア2、ティア3のメーカーの技術力を上げるとか、または
事業展開力を上げるというところは、どうしても小さな会社なので限界はありますが、ティア1に比べるとその辺が何か薄いような感じがするというのがあります。具体的にこれだというのはなかなかないのですけれども、ティア2とかティア3により注力していただくのも一つかなと思っています。
10:
◯川田参考人 私どもはこのたびいろいろな意味で恩恵を受けております。「おしい広島県」の中で、特に農林水産物におきましてはカキとレモンのほうは
選択と集中の中、2品目にさせていただいたということでございます。我々も40年かかってようやくレモンを
日本一の産地にした中で、県挙げての集中的な支援をいただくということで、一つはその波及効果が非常にあらわれています。我々だけではなく、県内のお菓子業者など、いろいろなものにレモンを使って商品開発されているということにおきましては、
選択と集中の効果があらわれた一つではなかろうかと思っております。
ただ、我々はどちらかいうと生産サイドにいるわけでございますけれども、果樹の世界というのは非常に時間がかかり、1年生の苗木を植えて収穫が始まるまで5年かかるわけでございますから、やはりそれぐらいのスパンで育成しなければならない。
選択と集中ということでございますので、支援もいつかは終わるのでしょうけれども、中長期的な育成というところをお願いできたらと考えております。
11:
◯商工労働局長 いろいろな形で助成することはあると思いますので、我々としてもスピード感を持って、できることについて
企業の皆さんとしっかりとコミュニケーションをとって、ポイントを絞りながらやらさせていただきたいと思っております。
12: ◯三好副
委員長 関連でよろしいですか。きょうはありがとうございます。
特に
ツネイシカムテックスにおいて技術をパッケージで売るというお話があって、これからの
日本がまさに考えていくことなのだろうというふうに思うのです。業界等でよく聞く話なのですけれども、JICAなどの個別の施策の中で実際にやろうと思うと、
日本のいろいろなものを持って
海外に行くというよりは、
海外で仕入れてつくったほうが、いろいろな意味で利益が上がるというところが痛しかゆしであり、その辺がなかなかうまくいかないと聞きます。パッケージで
海外にものを持っていくときの制度面の障壁等がありましたら、国や行政は実際にどれぐらい理解しているかということも含めて教えていただきたいと思います。あとお二方についてもそういうところがあれば教えていただけたらと思います。
13:
◯篠原参考人 まさしく非常に困っているところを三好副
委員長がおっしゃったのですが、冒頭御説明しましたPPP案件で、例えば
ベトナムで設備をつくろうとすると、本邦技術として
日本の比率を幾らにしないといけないという取り決めができています。今おっしゃったとおり、例えば
中国、韓国などいろいろなところの安価な技術でつくろうとしても、ある比率で
日本製品を使わないとJICAの融資はしませんという歯どめも強烈にかかっているので、そのあたりがなかなかうまくできない。これも個人の意見なのですが、タイの
現地法人をつくった場合、
カムテックスの
現地法人であれば
日本製に見ていただけるというような非公式な見解がございまして、タイの
カムテックスがつくったものを例えば
ベトナムやミャンマー、バングラデシュへ持っていく。これがPPPのやり方で今は定着しているみたいです。ですから、両方の国がうまく発展できるように、制度そのものを柔軟に運用していただければと思います。
海外製を使うのが目的ではないのですが、そういう非常に大きな歯どめといいますか、枠がかかっているのも事実です。
(5) 閉会 午後3時21分
○
参考人名簿
ツネイシカムテックス株式会社 代表取締役社長 篠原 幸一
株式会社ヒロテック 代表取締役社長 鵜野 徳文
広島県果実農業協同組合連合会 代表理事会長 川田 洋次郎
発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...