4:
◯答弁(
財政課長) インフレターゲット論についてお尋ねがあったと存じます。今、長引く不況について、デフレがここずっと10数年続いている中で、やはり物価上昇、インフレを目指すべきというのは、ある程度合意というか、合意がとられているところなのかと認識しておりましたが、実際それを達成するに当たって、今まで金融政策、財政政策、なかなか実効性が伴う施策をとれない。今、金利が非常に低い中、とれる施策が限られている中で、こういった目標値の設定をして、そこを目指していくということが、今回
一つの考え方として示されたものだと認識してございます。
ただ、なかなかここはいろいろ議論があるところでございまして、まず、そのインフレターゲットのとらえ方が目標値として示していくものなのか、本当に目標値を達成しなければ、量的緩和を無制限にやっていくべきものなのか、まだはっきりしていないということでございます。一方で、インフレターゲットについて、安全面から見ますと、ハイパーインフレになると、要は1回すごい量的緩和をしてしまったことによって、インフレがはね上がってしまった後になかなかそこを収縮させるのは難しいというようなことは経済学者の中でも言われたりしまして、当然目標値を掲げて、一定のメッセージというような意味はあるのかもしれないですけれども、実際に、その目標値をどういうふうにとらえていくのかとか、それに伴う施策をどの程度実行していくのか、本当にその目標値に達するまで無制限にやるのかどうか、そういったところを総合的に見てみないと、今の情報だけではなかなか判断しづらいというのが実情でございます。
5:
◯質疑(
中原委員) もう
一つの名目
経済成長率3%は、前回、政策監もおっしゃられましたが、
県内のGDPを例えば10兆円と仮定した場合に、3%の
成長というと、3,000億円の新しい富を
広島県の経済の中で生み出さないと、3%の
成長率は達成できないということです。だから、具体的に3%の名目
経済成長率を掲げるということは、
広島県も同じ目標を達成するということを同時に求められていくことだろうと思うのです。東京だけがよくなって、
広島はよくならないというわけにはいかないと思います。すると、そういう富を新たに生み出す、価値を生み出す、3,000億円という
一つの数字が出てくるわけで、
経済成長、
成長戦略を考える上で、県としてそういうことが可能なのか、あるいは、考えないといけないと思っておられるのか、どうですか。
6:
◯答弁(
経営戦略審議官) 私は、経済の専門でなく、全くの素人ですから少しとんちんかんかもしれませんけれども、今、委員御指摘の議論の中にポイントが2つあるのだろうと思っております。1つはマクロ経済、国全体の経済をマクロの
ツールを使ってどうリードしていくかという部分と、あと1つはミクロ経済の中で地域がどう頑張っていくかということであろうと思います。
先ほど、インフレターゲットというのが設定されて、
経済成長率という具体的な数値が出されておりますけれども、私が理解してきたのは、その議論の中の本質の眼目というのは
経済成長率にあるというふうに考えております。ですから、インフレターゲットというのもマクロ経済の
一つの
ツールであるわけなのです。通貨供給量をどうコントロールしていくかということの
一つの
ツールであって、それ以外の為替であるとか、あるいは長期金利であるとか、マクロ経済を動かしていくための幾つかの
ツールは当然あろうかと思います。それは現時点において、どこの国においてもそうですが、これは基本的に国家が握っている。ですから、マクロ経済をどうリードしていくかというのは、まさに我々が政府に対してきちんと我々の考えを述べて、政府の政策に取り込んでいただく努力をしていかざるを得ないということで、全国知事会におきましても、中国5県の知事会におきましても、まず、デフレについては脱却しろ、高水準にある為替相場というのは適正数字に戻せ、そのための金融政策というのはしっかりとやる、これは我々が主張していることであります。
それを含めて、その上で、これはマクロの経済の話でありますから、ミクロの経済について我々は何をなすべきかというときに、今の具体的なビジョンの中の各ワークの目標とすれば、例えば、自動車部品製造業の製造品出荷額をこのように上げていきましょう、あるいは、我々が
技術支援、経営支援をしている
企業の売り上げをこう伸ばしていきましょうという、各局面においてそれぞれの少し分割した経済活動における
成長過程の目標を設定していって、それで地域経済の活性化の循環をつくっていこうというのが我々の役目であると思っております。
その過程と政府におけるマクロ経済とがうまく合致すれば、その結果において、国全体で3%、あるいは、地域によっては当然跛行性があると思いますけれども、
広島県においても何がしかの
経済成長を目指していける、こういう経済構造、こういう
取り組みを我々は進めていくべきだろうと考えておりますので、製造品出荷額を前年水準で維持していこうという大きなビジョン全体の目標は持っておりますけれども、各ワークにおいては、各個別の経済活動をどう支援していくかという目標設定で、今、我々は
事業に取り組んでいると認識しております。
7:
◯質疑(
中原委員) 財政規律の問題と日銀の金融政策の問題と2つあって、要するに金融政策をいじってインフレターゲットを定める、そして、
経済成長を達成するためには、財政規律よりも、公共
事業なり、あるいはそういう積極的な財政政策を自治体も国もとっていくというのが、要するに今回の自民党のマニフェストだろうと思うのです。今までは、木村政策監が多分おっしゃったように、県では
経済成長率の目標は立てられない、1兆円ぐらいの県の予算で10兆円のGDPを何がしかするような目標というのは難しいという議論をしたのですけれども、どうもそう言っていられない
状況にこれからなっていくのかと思っているのです。
だから、
成長戦略自体もイノベーションというキーワードで、これからミクロのことを積み上げれば
成長が達成できるという考え方ではなくて、
成長率はこれが目標だから、こういうことをやっていかないといけないというように、思考回路を変えないといけないのではないかと思うのです。だから、そういう意味では、政権がどうなるかわかりませんが、
経済成長のシナリオというのは変わってきます。その辺をとらえていかないといけないと思うのですが、県の今のビジョンというのは、やはりそういう国の流れによって変えないといけないことがあるのではないかと思うのですけれども、その辺の認識はいかがですか。
8:
◯答弁(
経営企画チーム政策監(
経済成長・
地域づくり担当)) 今後の戦略的な
取り組みについて、
広島県が国の
成長戦略に沿って新しく発想を変えなければならないのではないかという考え方について、今検討しております
県政運営の
基本方針の翌年度に向けたたたき台の中から申し上げます。まず、我々が理解しておりますのは、これまで国のいろいろな
成長戦略がございました。これに沿って各地方が画一的に同じことをやりながら束ねていってきました。いわゆる金太郎飴とよく言われておりましたけれども、我々が今認識しておりますのは、今後、各地方で多様性を生かしながら、できるだけ知識というものを基盤とした新しい発展モデルを構築していく必要があるということで考えております。
したがって、今、我々が
基本方針の中で中心にしたいのはイノベーションを起こすこと、そういったところから、新しい創意工夫、知識等を活用して、地方の発展モデルをつくりながら、国全体の活性化に寄与していくことが地方の責務であるという認識をしております。したがって、国の
成長戦略でこういうことをやります、それと同じようなことのミニ版を各地方でやっていくということではないという意味で、今回改めてイノベーションを起こす、その中で、
広島県として強みを生かしながら地方の多様性を寄与していくという考え方で進めております。
9:
◯意見・
質疑(
中原委員) 非常によくわかりました。地方でそれぞれが独自に発展モデルということなのでしょうけれども、ただ、イノベーションということは国も言っていました。ライフイノベーションとグリーンイノベーションというのは民主党も今回掲げて言っていますから、そこまで今おっしゃるようなことが
広島県で独自にできれば、それにこしたことはないと思いますけれども、やはり国の大きな流れが、経済に対する見方なり、
成長戦略というのが変わってくるということを、今回の選挙戦の中で思いますので、その辺はしっかり対応していかないといけないと思っています。
もう
一つ、前から言おうと思っていたのですが、先日何名かでハワイ州に行かせていただいて、向こうの3世、4世の方が我々に盛んに訴えられたことが
一つあって、要は3世、4世なんて
日本語もわからないし、
日本への関心も薄れてきているから、
広島県が今までやってくれていた子弟に対する交流
事業というのは、
広島県へのアイデンティティーを確立する意味ですごい大事なのだと言われていました。どうもいろいろ県人会があったけれども、時間がたつにつれて解散する県人会が出てきていて、
広島県はもともと移民の多い県で、そういう
広島県人会だけは何とかハワイで残していこうという思いを持たれている方がたくさんいらっしゃって、そういう
方々から、この留学の
事業をぜひ続けてくれということをすごく言われました。これについて、今どれぐらいお金を使って、ハワイの2世、3世、4世、5世ですか、どれぐらいの人を対象としたプログラムをやっていて、今後も続ける意思はあるのかどうか、そのことだけお尋ねします。
10:
◯答弁(
国際課長) 今お話があった
事業は、
環境県民局で平成8年から実施している
事業であります。国際交流ユースinHIROSHIMAという名前で実施しておられます。
県内の高校生のグローバル感覚を養成するということと、ハワイを初めとした県人会の高校生の
方々のために、ふるさと
広島をよく知っていただくという目的で実施しておられます。そういうことで、非常に意義あることと思っております。
事業につきましては、10日間ほど受け入れまして、ホームステイとか高校生との交流とか視察などを行うというものでありますが、これまでに
日本で延べ484人の受け入れをしておりまして、うちハワイ州から122人受け入れをしております。今年度につきましては、7月に17名受け入れをしまして、そのうちハワイ州が6人ということです。予算については、680万円程度の予算で毎年この
事業を継続しておられるという
状況でございます。
11:
◯要望(
中原委員) ぜひ続けてやっていただきたいと思います。
12:
◯意見(
渡壁委員) 先日、補正予算の
説明を泉水部長から聞きました。そのとき泉水部長に言ったのですが、私は議会が終わるたびに報告書を書いているのだけれども、たしか毎回、緊急経済・雇用対策でした。毎回ですと、これはもう、緊急な対策でも何でもない。要は恒常化しているわけです。それでお金がなくなって、もうすぐ終わるらしいのですが、国の補助金を使ってやっているわけですけれども、極めてのんべんだらりとした経済・雇用対策だということを泉水部長には申し上げたのです。泉水部長は商工労働局へちゃんと言っておきますという話でした。言っていることを伝えてくれていたらいいのですが、それで、
広島県は
経営戦略審議官の制度をつくったというのは非常にいいと私は思うのです。その役割を十分に果たしているかどうかは別だけれども、趣旨は非常にいいと私は思うのです。
あのとき、私は言ったのだけれども、御案内のとおり、シャープが福山、三原、東
広島にもあるけれども、今はあっぷあっぷしているのです。エルピーダメモリは再建の裁判の中に入っているけれども、今、何人首切りをしたかどうかという報告書が私に回ってきているのです。それについて、どうやって
広島県が助けの手を差し伸べるかというのが、今の経済・雇用対策の一番の柱だと私は思うのです。エルピーダメモリやシャープへの対応を誤ったら、それに関連している下請の
企業が幾つもあるけれども、みんな手を上げてしまうのです。いつも言っていますが、
広島県の
事業所が3年間に1万3,000件減っているのに、雇用対策を幾らやっても焼け石に水で、そこのところを直さないとだめなのです。だから、
中原委員が
広島県の経済を発展することを言っていますが、発展する前につぶれるところをとめたり、やせ細っていくのをとめないことにはどうにもならないのです。ところが、とめるということはだれも言わないのです。いや、発展するのですと言って上のほうばかり見ていて、足元がどんどん崩れていくわけです。それが、
広島県の人口の減少やその他のことをもたらしているわけです。だから、そこのところを直さないといけないと私は思うのです。そのためには、泉水部長的な意識ではいけないのです。あるいは、商工労働局のものだという意識ではいけない。県全体として、何ができるかということを考えないといけないのです。
例えば、マツダが経営難に陥ったとき県がマツダの自動車を200台買いましたが、あれは別に商工労働局の仕事ではないです。ほかのセクションの者がそういう気持ちになったからやったわけです。県がやったから、市町がそれに協力するようになったし、県民もそういう意識になっているのです。
県内の
企業も大事にしなかったら、
広島県の経済や財政がやせ細ってしまうし、下請などもたちまち行き詰まるし、何とかしないといけないという気持ちが広がったわけです。それに問題提起したわけです。だから、そういうものはやはり
経営戦略審議官が言わないといけない。土木は土木、商工労働は商工労働、あれは他の仕事、これはここの仕事と県の職員は言って、県の組織はそうなっているかもしれないけれども、地域住民は県として
一つだから、
経営戦略審議官の制度を設けたのは非常にいいと思いました。そういう各セクションのものをつなぎ合わせて、ある程度、副知事ぐらいの権力を持たせてもいいのです。それで、余りあちこちでセクションにとらわれずにやれるということにしなければ、まともな対策はできないのではないかと私は思います。
それで、現状をどのようにしたらよいのかを研究しなければいけないのです。例えば、今は
円高ですから、外国から物を買うのが安いのです。人を雇っても、外国人を雇うのは安いです。どうなるかといったら、例えば、内田副委員長のところにはJFEがあります。大きい
企業が
広島県にはいろいろあります。それらのメンテナンスとかに膨大なお金を使っているはずです。今どうなっているかというと、メンテナンスのための資材や人というのは、人のことは調べていないけれども、資材などは
円高だから、国内のものほど高くつくから、安くつく
海外のものを入れるというのが多い。
県内でそういうものをつくっていた者がどうなるかといったら、国内でつくっていけないから、
海外へ出ていってつくるか、あるいは、もう
海外の
企業にお任せするということになるのです。そういうことが起きており、1万3,000件の
事業所がなくなっているということに反映しているわけです。
しかしながら、今は
円高だからいいです。安倍さんは、今度は円安にすると言っている。
日本銀行にどんどん一万円札を刷ってもらって、円安にするわけです。それで、今は
円高がいけないと言っているけれども、今度は円安になったらどうなるかといったら、そういうものが輸入できなくなります。しかし、輸入できなくなったときに、国内でそれを生産できるかといったら、国内ではしばらくの間生産していなかったのだから、つくる能力がないのです。今度は高くても買わないといけないようになるのです。経済が変動したら、そうなっていくわけです。そうしたら、
日本の国というのは立ち直りにくくなります。
技術も
海外に流出するわけですし、そういうところを見過ごしたら立ち直りにくくなります。だから、経済・雇用対策であふれている失業者を助けますというのは手おくれなのです。そういうことも大切なのだけれども、今度、中小
企業に貸しているお金の制度も、3月でもう満期になってやめると言っているのですが、その前に今言ったようなものを、為替格差のところを穴埋めするというような制度をつくって、
事業所を残すということをしなければいけません。そういうことがどのくらいできるか、研究してみないといけないです。それで、具体的にそういうことをやって生き残らせる。今度は反対に、円安になったときは、それが物を言うはずです。そういう助け方をすれば、失業者の数を抑えることができるし、抑えることができれば税収も上がるし、少し使ったとしても元が取れると私は思うのです。そんなことを基礎にしてやらないと、細っていくものをほっておいて、幾らやっても効果が出ないわけです。
広島県の元気が出てこない。経済も拡張していかない。だから、まず今のものを最大限守って、その上に立って次の一歩を踏み出すということをやはりする必要があるのではないかと思います。
それで、これは
経営戦略審議官がみんなの中を取りまとめて、土木や農林や商工やその他の各部局が
一つの体のようになって、
一つの問題にきちんと対応できるというような体制をつくらないと、
広島県は元気になっていかないと思います。これはあなたたちの仕事、こちらは私の仕事と言っている間は、元気な
広島県をつくるとか、
経済成長させますとか言ってみても、絵にかいたもちで、絶対実現しないと私は思います。だから、ぜひそういう体制をつくってもらって、
広島県が全体で
一つの意思で動くということをしないといけない。今、やるべきことは何かということをやらないといけない。失業者がどんどんふえているのに、
事業所が減ったら、方法がないのでほっておかざるを得ないのです。とりあえず手当てしたからといって、そんなものは3カ月、あるいは半年したら、
職業訓練をやったからといって、職場そのものがないのだから、また失業するのです。そんなことを積み上げていくということが大切なのではないかと思います。審議官はしっかりやってください。役割が十分果たせるかどうかわからないという意味はよくわかってもらえると思うけれども、もう少し言いにくいことを各部局に言って、けんかをしながらでもやらないといけない。まあまあ言っているような話ではうまくいかないのだから、まとめていかないといけない。湯崎
県政の先行きもおぼつかないものになってしまいます。私はこのように思いますので、よろしくお願いします。
13:
◯答弁(
経営戦略審議官) 知事・副知事から面接の際に御指導いただいているような気分で、今こちらで聞いておりました。
渡壁委員が御指摘いただいたように、まさに審議官組織というのは、幾つかありますが、一番大きな眼目は県庁に横ぐしを刺すということにあると思います。ただ、1点申し上げておきたいのは、経営戦略会議をつくって、自分に関係ないテーマであっても、すべての局長でいろいろ議論するということをやってきておりますので、各局の一体感というのは随分高まってきていると私は思いますけれども、さりとて、やはりきっかけをつくったり、あるいは、我々なりの気配りをして、もっと強くバインドしていく必要があるという点において、肝に銘じてまいりますので、微力ながら頑張ってまいります。
(5) 閉会 午前11時23分
発言が指定されていません。
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