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  1. 広島県議会 2012-10-19
    2012-10-19 平成24年産業活性化対策特別委員会 本文


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    最終取得日: 2023-06-05
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成24年産業活性化対策特別委員会 本文 2012-10-19 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 24 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯黒田参考人 選択 2 : ◯江島参考人 選択 3 : ◯笠井参考人 選択 4 : ◯三好委員 選択 5 : ◯江島参考人 選択 6 : ◯三好委員 選択 7 : ◯江島参考人 選択 8 : ◯石橋委員 選択 9 : ◯黒田参考人 選択 10 : ◯石橋委員 選択 11 : ◯黒田参考人 選択 12 : ◯石橋委員 選択 13 : ◯黒田参考人 選択 14 : ◯石橋委員 選択 15 : ◯黒田参考人 選択 16 : ◯石橋委員 選択 17 : ◯黒田参考人 選択 18 : ◯石橋委員 選択 19 : ◯黒田参考人 選択 20 : ◯石橋委員 選択 21 : ◯黒田参考人 選択 22 : ◯田辺委員 選択 23 : ◯笠井参考人 選択 24 : ◯蒲原委員発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1: 6 会議の概要  (1) 開会  午後2時1分  (2) 記録署名委員の指名        石 橋 良 三        田 辺 直 史     休憩 午後2時2分     再開 午後2時4分  (3) 参考人意見聴取   (参考人の意見陳述の前に委員長があいさつを行った。) ◯黒田参考人 御紹介いただきましたコベルコ建機の黒田でございます。当社は御存じのとおり、資本金160億円で油圧ショベルという建設機械の生産、販売を行っておりまして、会社としての従業員は約960名、グループ全体で約7,000名おりまして、本社が広島と東京にございます。  それでは、我々の事業概要を御説明してまいりたいと思います。資料の目次をごらんください。まず、建設機械のマーケットの状況を御説明いたします。それから、2010年から2012年にかけての中期経営計画、それから、環境の変化と題して激変している中国の事業状況について御説明申し上げたいと思います。  このグラフは、6トン以上の重機ショベルの世界総需のグラフですが、重機というのは地球の上に乗っかって仕事をするものですから、自分の重さが大きさを示します。車でいうと排気量2,000ccと言いますが、建設機械の場合は重量が大きいほどたくさん仕事をすると御理解ください。ごらんのとおり、2003年からずっと上り調子で2007年、2008年と来ました。2009年にどんと落ちていますが、これがいわゆるリーマンショックと言われるものです。その後、2010年、2011年、2012年と右肩にまた上がってございますが、この中身をごらんいただきますと、色分けしているこの部分が実は中国ですから、リーマンショックの時代までの世界のマーケットは、日米欧という先進国が中心のマーケットでしたが、リーマンショックの後、中国が伸び始めまして、さらに現在伸びておりますのは東南アジアです。つまり、現在の世界の建設業の中核は、いわゆる新興国である中国や東南アジアが伸びておりまして、比率でいいますと世界の6~7割が先進国から新興国へマーケットの構造が変わりました。全体のマーケットは一たん落ち込んだものの、その後右肩上がりで推移しましたが、残念ながらこの2012年において、少しマーケットに変調がございまして、皆さん御存じのとおり、中国が10%強の高度成長から7~8%の安定成長へ向かっておりまして、この夏前後ぐらいから大幅に需要が後退いたしました。実は後退したという表現は正確ではありませんが、伸びが鈍化しまして、市場に完成機械があふれるという状況にあります。私ども重機の関係で言えば、中国では全体で大体3分の1ぐらいしか稼働していない状況になっております。この表は少し古いのですが、現在は2012年度も下期のほうになっていますので、もう少しこの傾向が落ちてきています。さらに、最後で申し上げますが、尖閣問題等の外交上の問題がありまして、一段と中国のマーケットは冷え込むという状況になってございます。もう一つの特徴は、東南アジアです。具体的にはタイやインドネシアが大変に台頭していまして、ここの成長率が非常に大きいことが将来の楽しみでございます。  次のグラフは、ミニショベルと言われる重量6トン未満の小さなものでございまして、この機械は都市型土木と申しまして、都市の中で水道管をつくるとか土木をやるといったときに使われるものです。2トンダンプや4トンダンプぐらいに乗せて現地に行って工事をして戻ってくるタイプのものです。これもごらんのとおり2007年に向けて非常に伸びていますが、この時代ではほとんどが日米欧の、いわゆる先進国がベースのマーケットでございます。それがリーマンショックでどんと落ち込みました。その後、中国と新興国でふえてきている状況でございます。  次のグラフは、こうした建設機械をつくっている全世界のメーカーでございます。御存じのとおり、一番多いのは世界のCAT、その次に日本のコマツ、それからVOLVO、4位が日立建機と続きまして、当社はこのあたりに位置します。事業規模で4,000億円ぐらいのレベルです。ごらんのとおり、建設機械の世界の総需が2011年で約15兆円、2012年はもう少しふえています。この建設機械の中で私どもがつくっていますショベルという土を掘る機械ですが、この構成比がおおよそ40数%ございまして、この10年の歴史で見ると、30数%から40数%へと構成比として大変大きくなってきています。建設機械の需要のかなりの部分、中核はこの油圧ショベルになっていますけれども、建設機械全体の動向をほぼ示しているのではないかと思います。注目すべきは中国のメーカーです。SANY、三一重工と書きますが、中国の半政府系の企業ですが、こういったところが大変な企業買収を繰り返して急激に大きくなってまいりました。2012年はさらに欧米メーカーが落ちる中で、彼らは伸びていますので、もっと高い位置、多分コマツに並ぶぐらいの位置に伸びてきているということで、中国企業の伸び率は非常に大きなものがございます。  このグラフは、中国のマーケットのシェアをあらわしたものです。当社は、6.4%から7.5%程度のシェアでございます。先ほど御説明しました三一重工ですが、急激にシェアを伸ばしています。中国のマーケットの中で、当初、中国系は3割程度だったものが、今ではもう4割以上にふえています。そういう意味では、中国系のメーカーの伸び率が非常に高く、中国系を除く外資系の中では当社のシェアは約13%です。世界のマーケットのシェアでは6%ぐらいのものですが、この特徴は、中国の現地のメーカーが非常に伸びている中で、当社は中国にも進出していまして、今、ある一定規模のシェアを確保しているということです。  次のグラフは、東南アジアにおける重機ショベルのシェアです。当社は、20%程度のレベルを維持しています。一時期、2011年は東日本大震災の影響から、部品が入らないことから、供給できなかったという供給上の問題で少し落ちていますが、マーケットのシェアとしては大体2割ぐらいのところを維持しております。東南アジアのマーケットで一番大きいのは人口2億人を抱えるインドネシアです。ここが最大のマーケットです。次はタイ、それから、将来伸びていくだろうと言われているのは、ベトナムやマレーシアです。そうしたところが将来期待されていまして、マーケット全体のボリュームでは、ここ数年かなりの成長率で伸びています。ですから、中国の次に伸びるマーケットとして、この東南アジアが大変期待できると思っております。  こうした市場環境を受けまして、コベルコ建機の基本戦略ですが、日本での収益力の徹底強化とグローバル体制へのシフトと書いてございますが、コベルコ建機という会社は3,000億円の売り上げがあるのですが、大半は中国です。中国で二千数百億円の売り上げがございまして、先ほどマーケットボリュームを見ていただいたように、かつては日本のこの広島で、生産規模では年間約1万4,000台をつくっていたものが、今は多くて8,000台です。ということは、逆に、中国での生産が2万5,000台ございまして、明らかにマーケットが日本から中国へ伸びています。御承知のとおり一時、中国は世界の工場と言われ、ものづくりの国でございましたが、今はマーケット、市場になっていまして、そこの要望に応じた商品を投入し収益を上げていかなければいけないというのがグローバル体制へのシフトということになります。そのために、伸びる新興国へのパワー・資源投入ということになります。ところが、世界の規模云々も見ていただいたと思うのですが、中国勢もなかなか大きな規模になっていまして、我々日本勢が何でそういう国と戦うのか、これはもう明確に技術での差別化です。ですから、商品レベルで言うと、売り値を含めて我々は一番高いプライシングで、高い品質でお客様の最大価値をとるという基本ポリシーでやっておりまして、安値で戦うというレベルになりますと世界では全く競争力がありませんので、いかにお客様が喜ばれる高い品質を適切なコストで供給できるか、そのための技術をどう磨いていくのかということが我々の一番重要な商品開発になります。それが他社の追随を許さない商品開発・品質・調達・生産技術力ということになります。それでは、日本で商品を開発するという具体的な行為をどうしているのかといいますと、実は当社の商品の8割以上は購入品です。エンジン、油圧機器はほとんど日本メーカーです。その日本メーカーの研究開発はすべて日本でやります。そういう意味で、これだけ世界でグローバルに戦ってはいるのですが、RアンドDの効率を考えますと、非常に狭い国土に生産が密集した日本というのは大変効率的な高い位置だと当社も理解をしていまして、商品を開発していく、品質を保持するといった競争力の源泉になるものは日本に置くというのが当社の基本ポリシーでございます。そのために、今回広島県には大変お世話になりましたが、五日市地区に10万平米の土地をいただきまして、ここに新しい基地をつくったということが、競争力で世界に勝つための基本的な布石でございます。  資料にGECとありますが、グローバルエンジニアリングセンターという名前をつけて展開しているものです。日本でどういう部品をつくっているかといいますと、御存じのようにエンジンや油圧機器といった技術の集積率の高いものは基本的に日本です。製缶構造物や運搬に費用がかかるものは現地でやります。そこにコストメリットがありますので、そうした方針で分けてやっております。グローバルな生産体制の確立、ものづくり力強化ということで、沼田の古い工場を現在リニューアル中です。ここにさらに付加価値の高い油圧機器を含めた高度な部品をつくるセンターをつくりつつあります。これはかなりの円高であっても世界に供給できることを念頭に置きながらやっております。それから、最大市場の中国にかなりの投資を行いまして、年間2万5,000台規模の工場をつくりましたが、残念ながらことしは先ほど言いましたような一時的な落ち込みで3分の1程度しか稼働しておりません。それから、インドですが、これは御承知のとおり5~6年先には人口が中国を抜いてナンバーワンになると言われています。非常に経済成長も激しくて、鉄鋼生産でも日本が1億トンですが、既にインドは8,000万トンを超えていまして、数年後には日本を抜いて世界で3番目の鉄鋼生産になると言われる、将来大変有望な土地です。インドのチェンナイという町へ3年前に工場をつくりまして稼働しております。ただ、残念ながら、大変なインフレと円高のために、事業そのものは今、呻吟をいたしておりますが、少し長い目で見て育てていけるところだと思っています。  それから、東南アジアのマーケットは5,500台体制と書いていますが、3年前に新しい工場をつくりまして、約8万平米の土地に年産2,400台の工場をつくりました。既に現在伸びていまして5,000台規模に達しています。さらにこれは伸びる可能性があって、8,000台とかそういうところで、多分数年のうちには日本と肩を並べるぐらいのレベルになるという期待を持っているのが東南アジアです。  それから次は差別化ですが、ハイブリッドシステムです。数年前に8トンを出しまして、ことし、20トンという本格的なものを上市します。それから、新開発の解体機ですが、ビルなどいろいろなものを解体する都市型の機械です。それから、ITシステムです。どこで稼働しているかということがすぐわかるシステムを持った、技術開発をベースにした差別化です。
     次に、これはGEC・五日市の工場です。昨年6月に着工して、ことし2月に工場ができまして、3月、4月と祇園工場から移転して、5月7日に本格稼働しました。年内には祇園工場を完全に閉めて、五日市にすべてを集めると同時に、並行して沼田工場を整備していますが、ごらんのとおり、組立棟、製缶棟、出荷棟という工場機能と、GEC棟、あるいは総合研修センター、先行技術センターというグローバルに技術を開発し供給する機能を持ったものをつくりました。これはイメージ図ですが、ごらんのとおり日本、中国、東南アジア、インド、その他ヨーロッパ、アメリカとそれぞれのマーケットで我々は営業と工場を持っていますが、ものづくりの考え方を、すべてコベルコの経営思想のもとで行うという横ぐしの機能を通す、あるいは世界で最適な生産量の体制をつくるといったことのやりとりをするのがこのGECの機能です。このような概念で収益の向上、あるいはグローバル市場等マーケットの情報、技術の情報を出すと同時に吸い上げるという両方の機能がございます。  これは先行技術センターでございまして、将来のコベルコの商品を支える差別化技術の開発とありますが、当社の技術開発は大きく2つのステージに分かれております。将来における基幹技術は親会社の神戸製鋼、これは神戸市の西神に総合研究所がございます。そことのタイアップの技術をベースにして商品化するための技術をこの五日市に持っております。ごらんのように量産する前の試作するためのテストであるとか、図面の問題といった間違いの問題のチェック、それから、差別化したものを確認するといった技能を持っています。ここは社外秘で、当社で一番重要なポジションになっています。  それから、次に、これが総合技術センターでございまして、コベルコ建機の従業員は九百数十名ですが、グループ全体としては7,000人ぐらいおりまして、サービスマンが四千何百人いるであるとか、グローバルに中国人、タイ人、インドネシア人、いろいろな国の者がおりますので、この人たちにコベルコの考え方、重要な技術を教えることを行うためのものでございます。これは4月にできたばかりでありまして、まだ新入社員の教育ぐらいのレベルなのですが、中身を充実しながら海外の基幹になるようなメンバーを呼んできます。その人をきちんと教育して、本人が自国に戻って自国民を教育するためのものでございます。また機会あればごらんいただければと思います。  それから次に、これが差別化の一例でございますが、コベルコ独自のHILSシステム、ものづくり評価で技術力飛躍と書いていますが、どのようなことをしているかといいますと、ショベルを1台つくったときに、実際に土を掘るなり旋回するなりして性能はどうか、音はどうかということを確認するのですが、これは実機を使ってやるためにテスト時間の制約がありますし、もし機器にトラブルがあったら直すためにまた時間がかかるということで、大変にコストも時間もかかります。このHILSシステムはそうではなくて、実機を使う場合にいろいろなシステムで、例えばエンジンとポンプだけをセットにしてコンピューターシステムで実際に掘る操作をやりながらどこに負荷がかかるか、どういうところで温度が上がるかということを計測する高いノウハウを持っています。それによって個々の商品、部品のいろいろな調整を行いまして、実機を使わなくてもかなりのレベルまでデータがとれて、最適な組み合わせができるということが我々のこのシステムでございます。  これの成果がどうかといいますと、実は私ども、この業界の中で燃費が一番に高いメーカーだと思っています。通産省が行ういろいろな公式データでも、圧倒的に1位の機種がたくさんございます。しかし、当社のエンジンはエンジンメーカーから買っています。油圧機は川崎重工とか油機メーカーから買っています。他社であれば自社で部品メーカーを持っているところもあります。他社の部品を集めてなぜトータルで高い生産性あるいは燃費が発揮できるかというのは、実はこういう商品開発のシステムを持っていることが非常に特徴でございまして、世界の建機メーカーでもこうしたものを持って実際にやっている企業は余りございません。この設備がありますのは当社の沼田と五日市、要するに広島にそうした装置がありますが、中身の詳しいことは企業秘密なので申し上げることができませんが、そうしたことがこの日本でできていて、それが世界で商品を出して競争力があるということのベースになっていると御理解いただきたいと思います。  これは五日市工場のレイアウトです。今、8,500台ぐらいをつくるレベルで、たまたま日本は、東日本大震災等々ありまして、現在、能力いっぱいぐらいのレベルで生産しております。  これが中国でございまして、先ほど言いましたように、中国の生産能力レベルはごらんのとおり、2009年から年々倍々でふえておりまして、6,000台ぐらいだったものが今は2万5,000台と4倍に強烈に膨れ上がりまして、中国での利益も、中国だけで年間300億円以上の利益を稼ぐというように、相当な勢いで伸びております。先ほど言いましたように、ことしに入りましてやや中国が変調してまいりまして、残念ながらこのキャパシティーいっぱいの3分の1ぐらいしかないというのが現状でございます。  それから次に、これはインドでございますが、2006年に現地法人をつくりました。このときは、伊藤忠商事との合弁で販売会社をつくりまして、そこから2011年に工場をつくりました。マーケットシェアは基本的に伸びる方向で来ております。問題は為替ですが、始めたときは、2.6円とか2.7円だったものが、徐々に落ちまして、1.8円ぐらいで予算をつくっていたものが今は1.4円ぐらいと10数%を超える高いインフレ率に遭いまして、また、実質金利が10%ぐらいあり、為替の問題等で大変苦しんでおりますが、将来を考えれば明らかに伸びていくマーケットですので、将来を目指して今は耐えるタイミングだと思っています。  これが東南アジアのタイの状況です。生産台数の推移では、2008年に810台ぐらいだったものが、2012年では既に5,000台を超えています。このように一本調子で来ておりますように、今、タイは非常に成長しています。また、インドネシアには人口が2億人もおりまして、現在は政治的にも非常に安定しておりますので、最大のマーケットになっております。まだ伸びる余地があると見ております。当社はここでのシェアを約20%とって、トップシェアに近いところで頑張っています。将来はこの東南アジアでさらに高いポジションを持っていくべきと考えているところです。  それから、これは商品の一つ、ハイブリッドショベルです。これは各社がつくっておられます。ハイブリッドといいましてもいろいろなハイブリッドがございまして、100%電気ではなくて、電気とエンジンの両方で駆動するといった格好になっていますが、最大のネックはコストです。自動車ではハイブリッド車がどんどん出て、ハイブリッド用部品がかなり安価になってまいりましたので、かなりコストは下がってはまいりましたが、一般的に使うにはコストを下げていく、あるいはそのための高い技術開発が要るというものでございます。他社も中国で販売したり、日本だけではなく海外でも燃費の問題、環境の問題から有望視されている機械でございます。これは特殊な機械でございまして、グループ会社のコベルコクレーンという、もとは同じ会社だったのですが、物をつり上げるクレーンというものをつくっている会社でございまして、そこの部品も一緒につくられながらこういったビルを解体するようなものをつくる。一番高いのは、65メートルのもので、ギネスに載ったような高いものもこの広島でつくらせていただいたという経緯がございます。  最後に、中国の環境変化についてです。ごらんのとおり中国では、1月から4月という春節明けに販売がピークになります。そして、この後ずっと落ちて1年が回ります。冒頭申し上げましたように、当社では、既に売り上げが昨年比の40数%、一千数百億円が減少しているのですが、政治の問題等々ある中で、いよいよこれから最大の売れるタイミングが年明けに迫っております。環境の変化として、このような政治の問題が長引くと一番売れるタイミングに非常に厳しくなってまいります。これは当社だけでなく各社も同じ状況でございます。正直申し上げまして、来年のことがまだよくわからない状況であります。特に11月には中国政府指導者がかわられるようですので、その後の1~2カ月がどうなっていくのか大変注意深く情勢を見ながら、機敏に環境変化に対応していきたいと考えております。  以上でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 2: ◯江島参考人 オー・エイチ・ティーの江島でございます。よろしくお願いします。  まず当社の概要ですが、当社の技術の一体どこに優位性があるのかということについて、当社の技術は何が強みで、どういう技術を持っているのかという紹介をさせていただきます。その次が、先ほど委員長からも御紹介がありましたけれども、ひろしまイノベーション推進機構からの投資案件第1号ということであります。先般、投資をいただいております。こちらの概要と支援内容、それから現在までの効果を御説明させていただきます。最後に、当社だけではなく、これから各社がグローバル展開していかなければいけないことを総括して、グローバル展開とは一体何なのか、そのグローバル展開を図るために何が課題でどういうことをしなければいけないのかといった総括的なお話をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、まず会社の概要を御紹介します。当社は大きな会社ではございませんが、アジアを中心にグローバル展開を積極的に図っています。その中で、私が掲げている経営指針としては3つのスピードということで、まず問題に気がつくスピード、意思決定するスピード、実行するスピードをとにかく加速化していこうということで、真のグローバルカンパニーを目指して世界規模でものづくりと供給体制を組み直すということを大方針として経営しています。  当社の概要ですが、広島県の福山市に本社がございます。資本金が現在4億2,000万円、社員数が単体の本社で約90名、連結で約250名です。事業内容ですけれども、各種電気検査装置、電子応用機器の企画・開発・製造・販売を行っています。連結子会社は、エスジーテック株式会社、日本電針株式会社が日本にございます。そのほかに、中国に卓超高科技電子と奥輝光電子、台湾、タイ、韓国は現在販売代理店だけになっていますけれども、以前は子会社ということで、本社と子会社7つでグループ会社を構成しています。  当社の沿革ですけれども、設立は1994年です。広島県にありましたオカノ電機株式会社という東京本社の会社の営業所から始まっています。それから2年後に非接触電気検査装置の製造・販売を開始しました。この装置の製品化に世界で初めて成功しました。この装置の概要は後で御紹介します。その後、その応用として非接触電気検査装置「GX-3」という液晶用検査装置の開発に成功しております。その後、子会社を買収したり、海外拠点をふやしたりといったことで、設立して18年ですので、まだそんなに古い会社ではございません。  当社のグローバル体制は、先ほど御紹介したとおり、特に日本を中心としたアジアに拠点を構えている状況にございます。  主要取引先ですけれども、こちらの資料にはほんの一部だけを書いています。当社は電気検査装置を取り扱っており、皆さんがお持ちの携帯電話、デジタル機器、自動車など、あらゆるところに電子回路が入っておりますので、電子回路をつくっているところ、電子回路を使って電化製品を仕上げているメーカー、それらすべてが当社のお客様でして、非常に数多くのお客様に使っていただいております。  それでは、非接触式検査とは何なのか、当社の検査技術とは一体何なのかをお話しさせていただきたいと思います。この資料はわかりやすい例です。液晶テレビを例にしました。液晶テレビには、液晶ガラスという液晶パネルがあります。当然にその液晶パネルを駆動させるためのプリント回路基板という電子回路基板がございます。また、その電子回路基板には、IC、コンデンサー、半導体部品が実装されます。こういったもので液晶テレビは構成されています。その中で、当社はどういうことをやっているのかですが、実装基板、ベアボード、ガラス基板と3つに分けていますけれども、この3つで検査方法がそれぞれ異なります。  まず、実装基板は、部品が既に乗っている状態ですので、半導体が動くのか、部品が逆に入っていないか、ハンダがきちんとついているかという機能的な電気検査を行います。これは、「ピンtoピン」といって、コンタクトプローブという針を実際に基板に当てて電気を流して、その基板がきちんと動いているのかどうかを確認するものです。これは従来からの技術でして、全国のいろいろなメーカーがこういった検査装置をつくられています。  次の検査方法を御説明します。部品が実装される前の状態の基板をベアボードと呼んでいますが、この実装される前の基板が良品でないと部品を実装できません。それではその実装される前の基板をどうやって検査するのかといったときに、片側をコンタクトプローブ、片側を非接触センサーというやり方を使っています。なぜ、非接触センサーで行っているのかというと、コンタクトプローブと反対側の電極のところ、特にICやコンデンサーが乗るところは非常にファインピッチなために、コンタクトプローブを当てることが非常に困難なので、当社では、ここに非接触センサーを使って信号をピックアップすることで電子回路を判定しています。こういったやり方をしているのは世界で当社だけです。次に、さらに進化した検査方法を御説明します。ガラス基板、液晶パネルは、目で見てもわからないほど、超ファインピッチのパターンが形成されています。縦と横に20ミクロンとか30ミクロンといった髪の毛よりも細い回路が形成されています。そのガラスパネルの中の回路が1本でも断線していたら、テレビをつけたときに、ドット欠けといってそこだけ映らない現象が起きます。この液晶パネルの回線、1本1本をすべて、断線がないか、ショートがないかということを確認していかなければなりません。そのためにどうするのかというと、以前はコンタクトプローブを20ミクロンとか30ミクロンのところに当てており、検査するためにかなりの消耗品が必要で、かつ検査するための時間がかなりかかっていました。それだと当然に生産量も上がらないし、しかも誤判定も多いという問題が起きます。そこで当社はセンサー技術を応用しまして、コンタクトプローブを使わず、入力側も出力側もすべてセンサーでガラス基板に一切さわらずに断線やショートが検出できるという検査装置を世界で初めて開発しました。  今、世界じゅうで液晶パネルをつくっているメーカーは10数社しかないのですが、皆さん御存じのとおりシャープは、テレビのパネルからほぼ撤退しました。日立や東芝等の液晶パネルは台湾メーカーのものを使っていますので、現在のパネルメーカーは統廃合により10数社しかありません。そうした液晶パネルメーカーのすべてでこの検査方法を採用いただいております。これによって、液晶パネルの検査効率、検出率が上がり、さらには不良品の修理もできるようになりました。このような背景があり、世の中に出ている液晶パネルの値段低減に当社の検査装置が大きく寄与しているという事実がございます。一部の顧客からは当社の検査技術を御評価いただきまして、表彰していただいたこともございます。  片側非接触検査方式の対象製品はどのようなものかというと、TAB、Flip Chip、PDP、FPCといろいろ書いていますけれども、いろいろな電化製品の中にこうした回路基板が入っていますが、この回路基板を検査して必ず品質保証をしてあげないといけないわけです。例えば、皆さんが家電店に行ってスマートフォンを買います、パソコンを買います、デジタルカメラを買います、ビデオを買いますといったときに、買って帰ったものがつかなかった、動かなかったということは多分ないと思います。それはなぜかというと、先ほど申し上げたように、当社のような検査装置を使って、メーカーである当社のお客様が、電気回路をきちんと品質保証しているということなのです。そういう意味からして、当社の扱う商品群、ターゲットは無尽蔵に、こうした形で存在しています。製品を分解すると、液晶パネルを駆動させる基板、液晶モニター、デジタルカメラ、携帯電話、ハードディスクといったように無尽蔵に製品の中に電気回路が入っています。  簡単な例を言うと、ここにあります携帯電話ですが、今はスマートフォンと言われるものを皆さん使われていますが、14~15年ぐらい前を思い出していただくと、肩に背負って使うくらいの大きな携帯電話の時代がありました。あれは何でそうだったのかというと、当時はまだこうしたファインピッチの回路基板がなかったためです。簡単に言うと、どんどん回路基板が薄く、高精細になってきたので携帯電話も小さくすることができたということです。今後、製品の中に入る回路基板がどんどん高精細になってくると思われます。それらの高精細な回路基板を検査する技術もさらに難しくなり、当社の技術が世の中からさらに必要とされると御理解いただけたらと思います。お客様がつくった新しい回路基板が検査できませんと言ってしまったら、そのお客様は、その商品を世の中に出せなくなるわけです。当社に今、課題をいただいている製品では、例えば有機ELといった新しいパネルがございますが、そうした非常に難しい液晶パネルをきちんと品質保証できる技術がないとお客様は量産できないわけですから、当社が担っている役割は非常に大きいものだと認識しています。当然、自動車にも回路基板が入っていますから、もし回路不良を発見できなかったら命にかかわるということなのです。  それから、ガラス基板、液晶パネルです。資料の写真で透明に光っているのが液晶ガラス、液晶パネルだと思ってください。ここにセンサーを2つ配置して、ラインスキャンといって、縦軸に動いて単純にオープンショートの検査ができるというものです。この生産ラインは合計200台以上を全世界のパネルメーカーに出荷しています。  液晶パネルの現状ですけれども、今非常にニッチなのがタブレットサイズです。スマートフォンやタブレットと言われるものです。そういったサイズの生産量がすごく伸びています。逆にテレビの三十何インチ、四十何インチといった液晶パネルは、台湾や中国メーカーの台頭により、非常に価格がだぶついて、安くなっています。昔、この液晶パネルはすべて日本の技術だったのですけれども、今こうした大型テレビ用は台湾メーカー、中国メーカー、韓国メーカーに全部とられています。日本はどこで優位性を出すのかというと、このような小さなところで高精細のものをつくろうということで、タブレットサイズのほうへ今、日本のメーカーが非常に力を入れて頑張っています。ただし、この部分についても台湾メーカー、中国メーカーがたくさんつくっていますので、日本のメーカーが、どう優位性を出すのかがこれからの課題になってくると思います。  当社の強みについて御説明します。先ほど申し上げたとおり身近にある電化製品や電子機器は必ず品質保証しなければなりません。品質保証しない電化製品はありませんから、それを考えると、アジアを中心に、こうした回路基板メーカーは非常に多いですから、顧客が非常に多いということです。当社でも把握し切れていない回路基板メーカーが世の中に、アジアにたくさんあるということです。当社にしかできない技術があって、その市場独占率が非常に高いということと、品質保証という非常にニッチなマーケットであるということです。品質保証の概念ですが、まだ日本以外のアジアでは非常におくれています。アジア地域は非常に人口が伸びておりますから、ここで技術革新が進み品質保証が求められてくると、当社のニーズも高まるということです。それから、品質保証は、先ほど申し上げたとおり無駄なものをつくらない、不良品を出さないことにつながりますので、環境ビジネスの位置づけにもなるというのが当社の強みになります。  ここからは、先ほどお話ししたひろしまイノベーション推進機構、以下HINetと呼ばせていただきますが、今回、HINetから成長資金を受けておりますので、この投資概要と、この投資をどういうふうに当社が使って事業戦略を立てているのかについてお話させていただきたいと思います。  まず投資概要です。御存じの方もいらっしゃるかと思うのですが、前の経営陣が粉飾決算を行いまして、当社は2009年に上場廃止になっています。このように信用力が低下してしまったことから、成長資金の確保が非常に困難になっていたという状況がございました。それからもう一つ、海外を含む新たな事業展開や成長を目指す県内企業を支援するというHINetの投資方針に当社が合致したということがありました。大きな理由としてはこの2つであったかと思います。  投資概要については、第三者割り当て増資と、TOB、その他を含めて約10億円の資金を今回出資していただいております。  それを何に使うのかと申しますと、まず1番目は研究開発費です。こちらは、先ほど申し上げた当社にしかできない技術である非接触センサーに対するものです。液晶パネルもどんどん高精細になって、さらに有機ELといった新しいものも出てきましたので、こちらのほうに研究開発費を投じなければならない、付加価値を上げようということがあります。それから2番目は、当社の検査装置を海外向けにつくりかえなければならないということがあります。なぜかというと、日本で使っていただいている検査装置を海外に売ろうとしても、そんなに高価なものは要らないと言われてしまいますので、品質と性能を少し落としてでも、現地のニーズに合った戦略的な製品をつくらなければならないということが2番目です。次に事業展開です。特に中国大陸には人口が13億人を超える非常に大きなマーケットがありますので、こちらにもたくさんの電子回路やアセンブリーしているメーカーがあります。今まで当社は日本のお客様としか商売をしていませんでしたので、我々の検査技術をもってすれば中国大陸のお客様にも受け入れられるだろうと思っています。日本のメーカーが非常に苦しい中で、これから我々は市場のある海外のお客様を相手にしていかなければならないということで、そのための戦略機械の開発とサポート体制の拡充を考えております。  もう一つがタイです。既にこちらにも拠点がありますけれども、タイは非常に自由貿易協定の枠組みが大きいところで、日系企業がもう7,000社、8,000社進出しているとも言われております。自動車産業を頂点にした親日国でもあり、インフラも整った国です。こちらの日系企業を相手に我々も製造力を強化してアジアへ展開していきたいと考えているところです。  もう一つは、新規事業として昨年の4月に設立した中国の子会社です。LEDの検査事業をやっています。これは非接触検査装置ではないのですけれども、皆さん御存じのLED照明ですが、これから蛍光管からLEDにかわってまいりますが、例えばバックライトや自動車など、いろいろなものがLEDにかわってまいります。このようにしてLEDは実際に伸びていきますけれども、そのLEDチップメーカーの品質保証を当社がかわりに行うという戦略を打ち立てて、昨年会社を設立しました。LEDチップと言っても、自動車用のチップ、照明用のチップ、それから、こうしたレーザーポインターのように光ればいいだけのものもあります。このようにLEDチップには用途に応じていろいろなランク分けがあります。当然そのランクに合わせてチップの値段が違います。お客様ごとにつくられたLEDチップのウエハーを当社がお預かりして、ソーティング仕分けといって、これはAランク品、これはBランク品といったように、輝度をすべて検査装置で計算して、A、B、C、Dランクに分けてお客様に仕分けして返すという検査サービスを去年から始めています。これによって、お客様は自動車用のチップ、パソコン用のチップ、テレビ用のチップ、あるいはおもちゃ用、照明用等という用途に応じて仕分けをします。その検査のお手伝いをする会社を中国につくりました。  それから、この図は、ひろしまイノベーション推進機構、HINetのスキームですけれども、当社と今まで運転資金を供給いただいていた金融機関とのおつき合いがあります。仕入れ先があります。ここにHINetがこれから入っていただくということで、先ほど申し上げた資本を使って事業を拡大していきたいと思います。開発も促進していきたいと思います。また、HINetから役員も派遣していただいております。県が持っているネットワークをフルに使ってくださいと言っていただいていますので、海外展開におけるいろいろなアドバイスや人脈の紹介などをしていただいております。そうすると当然、当社のネームバリューも上がり、事業も拡大して、そこで雇用も拡大するということになりますので、官民の連携で当社の企業価値が非常に上がっているということを簡単に御説明させていただいています。  HINetによる具体的な支援内容ですけれども、経営面、管理面、事業面といろいろなことがあります。社外役員として参画していただいていますので、役員会も出ますし、我々の報告会という月1回の事業戦略会議にも来ていただいています。投資担当の方も週に何回か当社に足を運んで会議とかミーティングとか、いろいろな形で参加していただいて、アドバイスをいただいております。管理面の強化も当然あります。それから、事業面についても海外戦略の支援、県のネットワークの活用、それから研究開発の促進、予算のアクションプラン、信用の回復、与信の問題、金融機関との折衝の仕方など多方面にわたってHINetからの事業支援をいただいているという現状でございます。  ここからは、問題、課題を変えて、これから日本企業は何を考えなければならないのかということについてお話しさせていただきます。日本は景気が悪いと言われている中で、日本企業は本当に競争力がないのか、どうすればいいのかということについて、少し総括的なお話をさせていただきたいと思います。  アジアの人口は、2030年には50億人を突破すると言われております。当然その中で日本がアジアの先駆者にならなければならないということで、アジア全体を内需ととらえるといった動きを考えなければならないと思います。真のグローバル展開をどうやって図ったらいいのかについて真剣に考えなければならないと思っております。先ほど50億人の人口になると言いましたけれども、人口が伸びたらどうなりますか。当然に消費が上がります。消費が上がるということは生活が豊かになります。そうすると、皆さんがぜいたく品を欲しがります。デジタル機器や自動車の需要がどんどん伸びます。サービス産業も盛んになります。そうなると、技術革新が生じます。よい品質のものをつくらなければならなくなります。そうなると日本企業にはまだまだたくさんのチャンスが眠っているという結果になると私は思っています。  そのためには、日本企業が海外で何を売るのかということを明確に考えた上で、海外展開をしなければならないと思います。現在、日本人が23万人ほど海外に赴任しておりますけれども、やはりそれぞれの国によって戦い方もいろいろと違います。その戦略を国ごとに考えなければならないということと、我々日系企業として何が強みで、何をその国で売るのかを考えていかなければならないのです。それは、繊細さを売るのか、サービスを売るのか、技術を売るのか、ものづくりを売るのか、市場に合った商品や戦略商品で戦うのか、あるいは品質重視で戦うのか、大きく分けるとこうしたポイントで海外をどう攻めるかということを各企業は考えられていると理解しています。今まで、たくさんの日系企業が海外展開を失敗されています。人ごとのような言い方で大変申しわけないのですけれども、そういう方からお話を聞いたり、私も中国に十何年来行っていますので現地でいろいろと見ていると、非常にやり方が悪かったということがあります。それは何かといいますと、まず、日本企業が日本人だけで日本式の会社経営を海外でもやっているということです。これは何を意味しているかというと、例えば、現地で中国人を雇っても、結局はディストリビューター、通訳、ワーカー、自分のお抱えの相談役としてしか見ていないということがあります。そこで育った中国人というのは、現地法人であってもトップが日本人、管理職は全部日本人、やり方も全部日本式、決裁権は全部日本が持っているということになりますと、何のために自分は中国の日系企業で働いているのかという疑問を抱くようになります。中国は社会保障が非常に脆弱な国ですから、基本的に社長になりたい、会社のトップになりたい、それで自分の給料を稼いで生活を安定させたいと考えます。このように中国人は高いプライドを持った人種なのに、トップはすべて日本人で、経営方針も決裁権もすべて日本人が持っていると、当然中国人はついてきません。一方で日系企業は雇った現地スタッフを一生懸命に優秀な人材になるように育てますが、そうして育てた優秀な中国人は、全部がほかの外国企業にとられています。それはタイでも中国でも一緒です。やはり、このやり方を変えていかないと、日本企業は海外ではうまくいかないと思います。  同じようなことですが、国内を見渡すと非常に危惧される問題があります。昨今、我々の業界で、特に電子業界、電気業界でたくさんの人員削減という言葉を耳にしていますけれども、そうした人たちは一体どうしているのかといったら、東京にある台湾系、中国系のモバイルメーカーや電子機器メーカーへ、たくさんの日本人が毎週のように入社していると聞いています。せっかく育てた日本人が大量に中国などの新興国の企業にとられてしまっているという現状があります。  当社が展開している拠点ごとに新興国の姿はさまざまですので、その戦略や理由を簡単にまとめています。現在の中国の状況ですが、これまで非常に経済成長しておりましたけれども、今は鈍化しています。賃金も増加して、GDPの2けた成長にもブレーキがかかっているという状態です。また中国では、何かあるとすぐ景気刺激策といって国のお金をたくさん投入します。2012年9月に1兆元を超えるインフラ計画が発表されました。それによって薄型テレビや省エネ製品の購入に対して補助金を出しましょうという戦略を打ち出していますので、そうしたことは当社の事業のチャンスになるだろうと思っています。  もう一つは、皆さんが非常に関心をお持ちである問題です。今、チャイナリスクが非常に顕在化しています。私は先週中国へ行っておりまして、その前ですと、先月の15日、16日の大暴動があった前日も中国にいました。現地の中国人といろいろと話をしていたのですけれども、中国のビジネスマンはああいったことはやめてほしいと言っていました。きちんとビジネスをやっている人にとって尖閣諸島問題は関係ない、ビジネスの問題と政治の問題は別であって、今までどおり日本とのビジネスで協調していきたいというのが中国のビジネスマンの考え方です。皆さんテレビでごらんのとおり、あの暴動に参加しているのは20代前半の若者ばかりです。彼らというのは、1980年代にちょうど愛国教育が中国で始まって、愛国無罪という言葉が中国にありますけれども、中国の愛国のためには何をやってもいいという思想で教育された人たちがあのデモに参加している若者たちです。今、中国は景気が悪いですから、彼らはワーキングプアと呼ばれる出稼ぎ労働者であったり、就職難といった問題を抱えている人たちがあの暴動に参加しています。100元あげるからデモに参加しろと日当を払っている姿も見ました。結局は、普通にビジネスをしている中国人にとって、ああいった問題には全く無関心であって、逆にやめてほしいというのが本音でした。ただし、国が関与していることですから、全く楽観視ができるものではありませんけれども、きちんとビジネスはやる国だと今のところ私は思っています。中国の場合は少し市場が特殊でして、日本の品質がよいものだけでは戦えないのです。中国ではにせもの産業が存在していますけれども、何でにせものがなくならないかというと、安物でも使えればいいという考え方があります。まだそれだけお金を持っていないので、高価で品質がよい日本のものはなかなか売れないので、少しプライオリティーを落としてでも中国で売れる戦略製品が必要になっているのだと思います。これは中国だけではありません。例えば携帯電話ですと、日本の携帯電話の技術は世界一ですが、世界のシェアでは4%しかありません。世界でシェアをとっているのはフィンランドのノキアや中国メーカーといったところです。彼らが持っている携帯電話は何がいいのでしょうか。白黒の液晶です、ストレートです、折り曲げできません、スマートフォンでもありません、でも世界一売れています。その国ごとに売れる携帯電話をつくっています。充電が長もちするとか、懐中電灯がついているとか、ラジオが聞けるとか、その国に合わせた戦略製品をつくっているところがもうかっているのです。そうしたことは、中国企業だけではなくて日本企業も考えるべき問題だと思います。特に独自の商流を持っている中国ですので、資本提携、合弁、あるいは強いパートナーであるとか、必ずそういった部分の戦略が必要だと思います。決して日本人だけでは中国では商売できないと考えています。  台湾は、逆に非常に親日の国です。しかも技術力も高く、液晶や半導体の分野で非常に競争力が高まってきています。台湾は、これも特殊で、親日でもありながら中国人とも商売ができるという国です。台湾は、日本と中国とで商売ができるという独自の商流を持った国であるということで、日本企業にとって台湾メーカーをうまく使うことでさらに中国ビジネスを成功させる可能性が出てくると思っています。また、非常に安価なコストで高い技術力がありますので、日本のものづくりにおいても協調できる国であると考えています。  それから、先ほど申し上げたタイです。こちらもアジアを中心とする輸出産業が非常に盛んで、特に自動車をピラミッドの頂点にした産業が盛んです。こちらの日系企業にお聞きしますと、海外では安い人件費で物をつくって海外に出すという商流と違って、タイの場合は現地調達率が非常に高いと言われます。現地へ出ているメーカー企業に聞くと90%以上が現地から部品調達できているということで、調達率が非常に高い国です。しかも、自由貿易協定の枠組みも多いことから、タイに進出する日系メーカー企業が多くなっています。  次に、海外でビジネスをする上でどうやってリスクを回避したらいいのかという考え方ですが、現地で生産して現地で販売するという戦略と、日本で生産して輸出して販売するという2つのやり方がありますけれども、現地で物をつくって現地で売るという商流を日系企業だけでやると必ず失敗すると私は思います。それでは、日本企業はどうやってもうけるのかというと、先ほどのコベルコのお話のように基幹部品になります。日本の技術を使ってこれだけは日本製を使いなさいというものを明確に決めるということと、そこで技術漏えいを防止するということです。ものづくりは全部現地に任せて、日本の本社は品質の指導に入ります。合弁会社であれば、そこである程度の政治的リスクも回避できます。中国の現地企業にももうけさせることによって現地企業のモチベーションも上がって、市場全体も大きくなり、シェアが伸びますので、日本企業と日本の子会社だけで運営するというよりは、合弁というやり方も視野に入れていいのではないかと私は考えています。  日本で物をつくって日本の製品を輸出して販売するやり方ですが、こちらも結局は一緒です。日本人がつくったものを日本人が売りに行っても、結局は中国のお客様は買ってくれません。現地に子会社を置いて、販売代理店を現地につくって、その販売代理店を現地の子会社が指導に入って営業をサポートするというやり方をして、現地の強いパートナーをつくるべきです。現地の商品に強い人脈を持っているパートナーを探すことが非常に大事だろうと考えています。  最後にまとめさせていただきますけれども、HINetからの投資と経営支援の件は、先ほど申し上げたとおり、特に官民タッグで現地コネクションを有効に使わせていただきたいと思います。特に進出企業のパートナー探しなどに期待したいと考えています。  また、現地のニーズをつかんだ製品開発が海外戦略の上で一番大事です。それから、事業リスクをどうやって回避するのかということがまとめになります。先ほど申し上げたとおり、現地の責任者を採用して現地の責任者にきちんとインセンティブをあげる。本社のコントロールのもとで決定権も委譲してあげる。それで現地のインセンティブを上げてあげると現地のスピードも上がります。もう一つは、商流をきちんと整理しようということです。現地で物をつくるのか、日本でつくったものを売るのか、工場はどこにつくって、どういうリスク回避をして分散するのかといったことを考えなければなりません。グローバル展開すると日本の産業の空洞化になるとお話しされる方もいらっしゃいますけれども、私は、海外展開イコール国内産業の空洞化だとは思っていません。海外展開と海外移転は決してイコールではないということです。我々は日本で稼げないわけですから、海外で稼いだお金を日本に持って帰るということです。日本の企業が海外でもうけて、その資金で新たな研究開発をして新しいものをつくり、戦略を練ってまた海外に売りに行くということです。当然、海外で仕事がふえると日本人の雇用先はアジア全域に伸びていくものと考えております。グローバル展開に対して誤解を招かないように、ぜひとも各社が考えていただきたいテーマであると思っております。  以上でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 3: ◯笠井参考人 NPO法人医工連携推進機構の笠井と申します。よろしくお願いします。  名前で推進機構と言っていますけれども、何なのか皆さん御存じないと思いますので、少し自己紹介させていただきますと、私はもともと経済産業省で医療機器の担当をやっておりまして、その後、関東経済産業局で医療機器関係の仕事をしたということでございまして、その当時、やはり医療機器の開発には必ず医と工が必要だ、コーディネーターが必要だ、そのコーディネーターが必要だけれども、電話してもどこに行ったらコーディネーターに会えるのかわからないので、そういうコーディネーターに会える組織をつくらないといけないということで、そのときの委員長たちと一緒に意気投合しまして、コーディネーターの集まりということでつくったのが先ほどの医工連携推進機構になります。その後、私は退職後、医工連携推進機構でいろいろな仕事をさせてもらっています。このコーディネーターの事務局をNPO法人がやっています。  この10年ぐらいで医療機器を取り巻く環境に大きな変化が出ていまして、簡単に言いますと、医療機器参入がブームになる、医療機器開発の参入への環境がいろいろと変化して、参入に便利な時代になっていると言えるかと思います。  特に大きな変化は、医療機器を含めたライフ・イノベーションという政府の重要政策が打ち出されたことは皆さん御存じのとおりだと思います。  それから、参入希望の企業が非常にふえています。特に、自動車産業から展開する企業が非常に多くなっていまして、先ほどの自己紹介のところにありますが、RAPSジャパンというアメリカに本部のある薬事専門家のNPO法人の日本支部をつくろうという際に私も働いたことがあったのですけれども、そこのボスが当時、デトロイトの自動車メーカーが若干傾いて多くの企業が医療機器に参入していて、ビジネスとしてよい状況だということを言っていたのが印象的でありました。  これと同じようなことが日本でも起こっており、自治体支援、医療機器参入政策が非常に活発になっておりまして、こちらの広島でもそうでありますけれども、自動車関連産業が多く立地している、例えば栃木県や群馬県といったところも、自治体支援を拡大しています。その他では、例えば単に参入ということだけではなくて、MアンドAでの事業拡大もこの10年来、非常にふえています。  それから、海外企業を中心として日本の企業から技術調達しようという動きもあります。例えば中国へ進出する欧米企業で、部品調達の拠点を日本に置きたいというメーカーがたくさん出てきています。  これも大きな変化かと思いますけれども、10年、20年前、特に化学メーカーですけれども、医療機器メーカーに材料を提供して、それが故障して人命にかかわったら心配だということで、材料供給しない、医療機器はしないという会社が非常に多かったのですが、最近では新聞に、命を守るためにこんなに頑張っていますという化学メーカーの宣伝を見ることがありますけれども、当時とはイメージも変われば変わるものだなと思います。これは、政府の政策にもよるのだと思いますけれども、イメージが変わってきているのが大きいことだと思います。  機械学会など大手の学会で、医工連携に取り組むことを標榜するところがたくさん出てきています。  それから、規制緩和が進んでいるということがあります。昔であれば医療機器の会議がありますと、最終的な結論は規制があるから難しい、厚生労働省が悪いで終わっていたのですけれども、これが実行するほうへ移ってきているのではないかと思います。実際に規制の緩和、規制の改革が始まっているということであります。  これは少し宣伝ですけれども、医療機器のコーディネーターが非常にふえていると思います。我々が10年ほど前にコーディネーターを集めた組織をつくったときは50人ぐらいしかいなかったのですけれども、今はちょうど多くの高齢者が退職の時期を迎えているということもありまして、医療機器のOBが非常にたくさん出ていまして、コーディネーターで独立してやりますという方がたくさんおられるというのが実感であります。  一方で、全然停滞していると感じるところも多くありまして、それは医工連携人材といわれる研究者です。特に医師で医療機器を専門にしている方が世の中にほとんどおられないのです。昔であれば数人は医療機器専門の医師が学会の重鎮でおられたのですけれども、そういう方も亡くなられて、単に年をとっただけで、新たに私は医療機器の専門だという医師が余りおられないのです。若干の救いは、再生医療の分野で、医師が医療機器関係で御参加されているところです。  規制のほうで、特に薬事方面ですけれども、10年間これだけの改革をやりますという計画自体はいろいろあるのですが、ふたをあけてみたら中身としては余り変わっていない、人数がふえたけれども審査のスピードが上がっていないといった、中身がついてきていないところが若干心配であります。  次に、参入支援政策ツールのバリエーション不足ですが、これは各自治体でいろいろな支援策をやっておられますが、中心になっているのがマッチングの場と講演会、セミナーですが、どこでもやっておられるので、新しい支援ツールがなかなか出てきていないという印象です。特に医療機器産業に関して、産業政策自体が支援ツール不足になっているのではないかという気がいたしております。  これは皆さん御存じのとおりですけれども、日本再生戦略の11の成長戦略と38の重点施策の一部にライフ成長戦略があり、ここには革新的医薬品・医療機器をつくることが掲げられています。経済産業省が目指す経済産業政策ですが、自動車、エレクトロニクスの一本足構造から、5つの戦略産業分野という八ヶ岳構造へ移行する中に医療、介護、健康、子育てサービスが入っていますので、ライフとグリーンといったキーワードに関する政策は、間違いなくこれから何十年も続いていくものと思われるところです。  これも経済産業省の資料ですけれども、この中に医工連携の推進と掲げられています。私どもの団体の名前をそのままとった表現ですが、企業等の医療機器産業への新規参入支援を政策としてやられています。これは、経済産業省の助成事業ですが、非常に大きな金額が出ますし助成率が100%です。こうした事業は余りないのですけれども、医療機器産業の関係で助成しているということと、特に注目すべきは経済産業省など官公庁は産業別に部門が分かれていて、それぞれの産業を支援しておりますけれども、この医療機器産業関係だけは新規参入を支援する非常に珍しい体系になっています。私が経済産業省で担当していた時代には、既に参入している企業が研究開発する際に助成金を出して、いろいろな研究開発をやっていただくということをしていたのですけれども、この助成制度は新規参入した場合を対象としていることから、中小企業等へ医療機器産業にどんどん参入してくださいという政策になっているところが珍しく特徴的だと思います。  それから、国内の医療機器市場ですが、2兆円程度の規模の市場ですので、余り大きくありません。しかも成長率は、3%から、多くても7%や12%という時代もあったのですけれども、日本の特徴として、この医療機器市場が健康保険等の医療保険から支払われている管理市場だということです。つまり、市場自体が急激に伸びることはないということを意味していまして、しかも、日本の場合は国民皆保険ですので、医療行為が保険から賄われることが原則になっておりますので、自由市場が一部しかない国家管理型の市場であるために、ニーズは非常に多くあるのですけれども、金額はこのようにゆっくりとした伸びになっています。  それともう一つは、皆さん御存じのことだと思いますけれども、この分野だけは海外製品のシェアが非常に高く、50%ぐらいが海外製品だということです。どんどん海外製品が入ってきておりますが、この2~3年だけは若干シェアが落ちていますので、これもライフ・イノベーション政策の結果かなと思えるところもあります。  次に、どのような医療機器がふえているのかですが、大きく分けて医療機器と一般的に言いましても、おなかを切り開いたりといった治療系のものと、エックス線などで診断するものなどいろいろあります。大きく見ますと、治療系が非常にふえてきていまして、診断系はシェアがだんだんと減ってきています。これは競争力マップですけれども、横軸がいろいろな製品の国内企業のシェアです。日本の企業がどれだけのシェアを持っているか、高いところを持っているのか、それから海外製品との間で見ると競争力が強いかどうかをあらわしています。昔、日本初の医療機器といえば、内視鏡と超音波診断装置、それから透析器と言われる血液体外循環機器でした。この3つが日本初の技術ですが、当時は日本のお家芸と言われたのですけれども、これが年を経るに従って若干シェアが落ち、競争力も落ちてきていますが、超音波診断装置は再び盛り返しております。この図表をごらんいただくとおわかりかと思うのですが、国際競争力もシェアも高く偏った位置にあるものが、次第に散らばって、だんだんと一般化しているということであります。先ほど御説明したとおり、海外製品のシェアが伸びているということと相呼応しまして、こういう状況になっています。  それでは、日本の医療機器産業の状況を詳しく見ていきたいと思います。なぜ、企業が医療機器産業へ参入しているのかですが、少し古いデータではありますが、売上高の推移を見ますと、リーマンショックのときに大きく落ちているのが自動車関係やロボット関係の企業でした。一方で、矢崎総業、テルモや日本光電といった医療機器関連産業を見ますと売上高の落ち込みが比較的少ない、あるいは落ちないでまだ右肩上がりの状況にあります。この安定感が非常に魅力だと思っております。  それともう一つは、収益率が高いということであります。ここに比較表がありますけれども、利益率を見ますと、医療機器は規制に守られているため利益率が高いと言われています。それから、これも特徴でありますが、独占的製品が多いため、2,500社で30万品目を売り上げておりまして、逆に言うと1品目当たりの市場が非常に小さいということであります。  日本発の医療機器について、我々が研究会を開いて研究を行いました。先ほど御説明しました内視鏡や超音波機器もそうですが、パルスオキシメーターという血液の酸素濃度をはかる機械があります。これは、もともとは日本で原理が発明されましたが、海外で実用化されて、もう一回日本へ戻ってきて、そこで日本の企業が参入しているという経緯の製品です。  改良型ですといろいろとありまして、鼻から入れる内視鏡などがあります。永久磁石MRIは、丸いドーナツのような形をした中に入って検査するものです。このようにドーナツのような形をしたものは超伝導の検査装置になります。こうしたものが日本発の技術であります。  この模式図をごらんください。新規医療機器の種類が書かれております。実例が書いてあります。医師主導型、工学主導型、中小イノベーション型と分類していますが、医工連携の程度が上がるほど新規のブランドになる医療機器が多いということをあらわしています。もともと内視鏡は、東京大学の先生からの胃カメラをつくってほしいという要望に対して、カメラメーカーのオリンパスだったらできるだろうと頼まれたものであります。超音波診断機は、京都大学の医師が、魚群探知機をつくっていたアロカという会社に、魚群探知機の技術で頭の中が見られないかと頼んだのが開発の経緯であります。人工硬膜という膜ですけれども、これは医師が紡績業の東レに対して頭の中で縫った後消えてしまう糸の製作を頼み、それから発展してできたのが人工硬膜であります。  先ほど申し上げた永久磁石MRIは、工学主導型でつくっております。医師主導型に比べて医工連携の程度が低いものに分類されます。中小イノベーション型は、このような治療系のところに特に多いのですけれども、中小企業が今まで培った技術を使って、どちらかというと改良型の製品をつくっています。医師主導型でやると新規の医療機器になりやすいということはありますが、そんなことより、日本で改良型でもいいから、日本型の機器をつくってほしいと今皆さんが思われて、動いているところであります。  医療機器への参入ということで見ますと、いろいろな医療機器がありますし、独自のプロセス、独自の課題があります。特によく言われているのが、薬事の問題です。このような典型的な課題のほかに、例えばビジネスモデルが非常に重要であります。  日本で医工連携が進まないのは、そもそも医師が治療に専念している状況があり、しかも職として安定していますので、医療機器をつくる必然性が全くないので、自分たちが医療機器産業に参入しようとされないことがあります。それから、医師の権限が非常に強くて、看護師などの権限が非常に少ないということもあって、実際の医療現場で工学系の者が入れるチャンスが少ないところもありまして、医工連携が進んでいないと言われております。それから、もう一つ大きな問題が、実際の市場がすべて保険で賄われているということでありまして、自由診療ではありませんので、保険の点数によって価格が決まっています。このため、急に価格が上がらない、材料を売っている場合には2年に一度価格が下がってしまうところが問題や課題であると思います。参入のルートを見ますと、先ほど申し上げたような新規の医療機器製品をつくる産業の形態がありますけれども、そのほかに部品や部材を企業に売る、単なる下請として納めるだけではなく自分たちも製造業の許可をとって売る、製造販売業という難しい許認可を取って参入する。また、試作、受注に参加するといったいろいろな形の参入方法があります。非常に範囲が広い、参入の方法が非常に多いので、一般的に医療機器産業への参入というと製品開発だけを考えがちですけれども、部品供給や技術供給、試作の提供といったことまで含めると、しかもそれを国内、海外を入れますと、いろいろな形での参入が考えられるということであります。実際の医療機器の技術ですが、ここにたくさん書いてありますけれども、簡単に言うと、あらゆる分野の技術が使われています。化学系から工学系、情報通信サービスといったいろいろなものが入っておりますけれども、独自技術さえあれば参入分野は広いということであります。  我々は、コーディネーターの協議会ということで、実際にコーディネーターとして相談を受けて、医療機器産業参入のマッチングやアドバイスをやっているのですけれども、ここで実例を見ていただきたいと思います。これはある栃木県の自動車下請メーカーですけれども、ラジエーターに使うパイプを曲げる技術をお持ちの会社でございます。この会社は、流体の流量変化が非常に少ない曲げ方ができるという技術を持っていて、他社に負けない技術であるということで、この技術を何とか医療機器に応用することはできないかと相談されたわけです。このパイプだけを見ると一体何に使えるのだろうと思いますけれども、実際には内視鏡メーカーがこの技術に注目され、内視鏡の先端に冷却するところがあって、非常に小さな細いパイプをこの技術でつくってほしいという共同開発でしたが、最終的にビジネス的な事情で、最終製品までにはいきませんでした。しかしながら、そうした参入への努力が実って、ほかの会社で12月に違った製品を出す予定となりました。  もう一つは、これは会社名を言ってもよいとのことでしたのでそのまま出しておりますけれども、一部上場企業の高周波熱錬という会社です。ここは誘導加熱をやっている会社ですけれども、大物の機械などを誘導加熱で熱処理する会社です。いろいろな誘導加熱の技術に非常にすぐれていると言われていまして、この技術も何に使えるのかわからなかったのですが、実際には、止血に使う電気メスです。簡単に言いますと、血管が破れているところを焼き肉の原理で焼いて血をとめるのですけれども、そういうものを誘導加熱でできるということで、共同研究開発されました。ところが市場規模がこの会社としては小さ過ぎるのではないかということから、この分野は断念されましたが、今でもいろいろな医療機器の展示会に行きますと、高周波熱錬は必ず展示されていますので、これが参入のきっかけになったのではないかと思っております。このように、私が最初に申し上げましたが、独自技術を持っておられると、ほとんどの企業が、何らかの医療機器、何らかの形で参入できるメリットがあるというのが結論ではないかと思っております。  参入の阻害要因ですけれども、薬事審査等の規制リスクもありますけれども、市場規模の問題も大きいのではないかと思われます。品目当たりが1,300万円と、小さなものがたくさん集まっているのが医療機器産業ですので、投資に見合う回収ができないといった点が課題であると思います。それから、ビジネスモデルが大きな問題だと思われます。心臓の中に埋め込むペースメーカーですが、これも今、全製品が海外製品です。輸入しておりますけれども、かつて、それではいけないということで、厚生労働省が助成金を出して研究開発したことがありますが、技術的にはつくれるのですが、実際には、先発メーカーがアフターサービスで利益を出すというビジネスモデルが確立されているために、新たに製品として出せなかったということがありました。この点が課題で、いまだにペースメーカーは全品海外製品になっているということであります。それから、先ほど申し上げた保険の問題もあるということであります。  薬事規制の課題で言いますと、申請の方針でリスクが大きくなると言われておりますけれども、今までの事例を見ておりますと、最初の段階で、よい薬事の専門家を見つけると、いろいろな問題が解決できるケースが非常に多いのではないかというのが我々の経験となっています。少し専門的な話になりますけれども、どういうものが薬事戦略かといいますと、例えば三次元手術ナビゲーションがそうです。これは医師が手術するときに画面に患者の頭の中が三次元で透けて見えるというまだ開発中の装置です。その画面を横で見ながら手術する装置ですけれども、例えばこれだと、PMDAという独立行政法人で承認をもらわないといけない機器になるわけですけれども、この同じ装置を手術室の外に持っていって、外でこの機器を見て、中で手術だけすることになると、これはただのパソコンということになって医療機器ではなくなります。こうしたことは薬事の専門家がこうすればいいとアドバイスするだけで、大変に承認の厳しい手術機器がただのパソコンにも変わりますので、薬事戦略のコーディネーターがいることが必須になります。しかしながら、厚生労働省のOBの方に聞きますと、こうした薬事戦略までできる薬事の専門家は、全国に40~50人しかいないのではないかと言われているぐらい難しいことであります。  実際の医療機器の事例を御説明します。どのようなものが医療機器なのかというケーススタディーをお示ししたいと思います。骨髄移植フィルターという製品がございまして、これは白血病の方が骨髄を移植治療するためのフィルターです。骨髄をとりましたら、中に骨の破片などが入っていますので、それをこして全部取り除くというフィルターですが、この全品が海外製品です。世界にこの製品を製造しているのが2社しかなくて、日本にはそのうちの1社の製品しか入っていなかったのですが、その会社が製品部門を別会社に売ったところ、日本に入ってこなくなりました。これでは骨髄移植の順番を待っている患者の皆さんが大変だということで、厚生労働省も非常に困りまして、急遽もう1社の製品を輸入して、すぐに承認という事態になりました。このように早期に承認されたことで非常に有名な製品でありますが、この製品の写真を見ていただくとわかりますが、だれでもつくれるような製品のように見えるわけです。実際に私どもは、ある中小企業へ製作できないかと話をしましたところ、費用さえかければすぐにつくれますという返事でした。ではなぜ、市場に日本の製品が出回らなかったのかですけれども、市場規模が6,000万円しかなかったからです。つくって全部売れても6,000万円しかとれないということが理由です。  それから、この製品にもビジネスモデルがありまして、非常によくできております。この製品は台にかけて操作しますが、この台のほうが大変に高価だということです。それから、この血液バッグは、他社の製品にもある血液バッグですが、つなぎ目がこの会社の製品でなければ合わないようになっています。このように非常に優秀なビジネスモデルになっていまして、製品の全体でもうけるという仕組みになっています。ところが、なかなかそうしたものを日本の企業がつくれないので、こうしたモデルをぜひ広島県の中小企業でお考えいただきたいところです。金型がつくれて、プラスチックを成形できるところであれば、技術的には問題なくつくれるはずなのですけれども、現状では日本製品がありませんので、不思議に思っているところです。  参入課題にもいろいろありまして、単につくって売ればいいということではありません。薬事のクラスは低くても、医師が実際に使って検証してもらわないとだれも買いません。医師が使える形になって、実際に使ってみてこうだという結果がなければだれも買ってくれません。そうした検証をやってくれる人がいないといけません。  参考に、最初に申し上げました全国的な医療機器産業の参入ブームについて御紹介します。全国の自治体で医療機器産業参入の支援政策にいろいろな名前をつけてやっておられます。この近辺で有名なのは神戸医療産業都市です。空港から神戸に向かう場所に、病院もあれば理化学研究所もあり、国からのいろいろな支援策がすべてコンプリートされた形で投入されていて、非常にうまく助成策を使われています。その他では福島県があります。東日本大震災の復興財源を使った医療都市を目指して、医療系産業クラスターが発展していくのではないかと言われています。  最近の例では、特殊な政策ツールを使って支援されているケースもありますので、私が関係している事例だけ少し御紹介します。青森県の場合は、重点戦略を、医工連携、サービス、プロダクトの3つに絞りまして、ほとんど製品化しそうな企業を支援する実用化重視で、弘前、八戸、青森の3つの地域に分けて、担当機関を決めてやられている事例があります。それから、さいたま市のメディカルリサーチパーク構想を御紹介します。特徴は、インキュベーションのための研究所をつくられている点です。既にある施設をインキュベーションとして活用し、新しい医療機器をつくることを目指しています。ニーズとシーズのマッチングシステムについては、医師が中心になっている学会が、医療機器に関する医師のニーズを発信しておりまして、ここに行けばいつでもニーズを聞くことができるというシステムをつくろうとされています。このように各地域でいろいろな特徴を持って参入支援をやられています。  いずれにしましても、成果も随分と出てきておりますので、ぜひ広島県でも、自動車関連産業が多数ありますので、積極的にビジネスモデル等も考えながらやっていただくとありがたいと思っております。よろしくお願いします。(拍手)  (4) 意見交換 4: ◯三好委員 オー・エイチ・ティーの江島社長に何点かお話を聞かせていただきたいと思います。まずは中国との関係悪化についてもお話が若干あったのですけれども、具体的に御社の子会社などで何らかの被害をお受けになったことがあるのかないのか、実際にあったとするとどの程度で、どのような影響があったのか、また、今後の事業展開への影響といったところをお聞かせいただきたいと思います。 5: ◯江島参考人 当社の工場は、中国に2カ所ありますが、幸いに全く問題ありませんでした。今回デモ行進した場所は、事前にインターネットなどで予告されていました。日系企業のこことここをデモ行進して襲撃するといった情報が予告されていました。日系企業の中でも、パナソニックなどの超大手の有名企業がデモ行進の対象に入っていました。日系企業すべてがデモのターゲットになっていたわけではありませんでした。先ほど申し上げたとおり、日当を払ってデモ行進に参加させていましたから、計画を組んでやっていたというのが地元の実態です。  当社もそうですが、日系企業は、デモ行為が発生して以降は日本の旗を全部おろしました。ジャパンと書いてある看板は全部隠して中国の国旗だけにしています。やはり、しばらくはそのようにして様子を見ないといけないという状況で、ほとんどの日系企業はそうした対応をしています。  今後の事業への影響については、私は一経営者なので政治的なことまでは言及できませんけれども、ビジネスマン同士、中国人同士の話では、国の政策がどうだとか、日本のビジネスがうまくいかなくなるだとか、そのような話は絶対していません。本音を聞く限りは、我々はビジネスマンだ、ビジネスマンというのは経済のため、中国人のためにやっている。中国のマーケットのために日本人と中国人が一緒に経済を発展させているのだからビジネスはきちんとやりますと言います。こうした考え方はビジネスマンの根底にあるので、誤解しないでくださいというのが大概のビジネスマンの考え方だろうと思います。ただし、これから11月に中国共産党全国代表大会が開かれて国の指導者がかわりますので、ここで軍事的な話が出てきますと、さすがに幾らビジネスだといっても武力的な衝突をしてしまったら、輸出入制限が出てくるだろうと思っています。実際に、現状でも非常に通関の通りが悪いです。以前と同じ機器を輸出していても、以前なら1週間で通関を通れたものが1カ月かかったこともありました。各社で多分同じ意見だと思うのですけれども、そういうことがありますと、中国政府からも少し嫌がらせ的な影響が出始めたのかなと思っています。 6: ◯三好委員 引き続きもう何点かお聞きしたいと思います。まとめてお聞かせいただきたいと思います。少し聞きにくい部分ですけれども、過去の経営陣の不祥事で株式上場廃止という事態を経験されたわけですけれども、そんな中で、当時の苦しい状況をどのように乗り切ってこられたのでしょうか。今、完全に抜け切れたと言われないかもしれませんけれども、その原動力は何だったのかをお聞かせいただきたいと思います。  それから、今回、ひろしまイノベーション推進機構の投資を受けられたわけですけれども、信用面を初め、御社を取り巻く環境にどのような影響があったのかをお聞かせいただきたいと思います。また、お金だけではなくて人的な支援も入っているわけですけれども、そのことで当然メリット、デメリットもあったのだろうと思います。今後のひろしまイノベーション推進機構の支援のあり方を考える参考にもなると思いますので、そのあたりのことを差しさわりのない範囲で教えていただけたらと思います。 7: ◯江島参考人 上場廃止の件ですけれども、当時、東証マザーズに上場しておりましたが、粉飾決算により利益を水増ししたことで元の経営者3人が逮捕され、上場廃止になりました。その後に私が社長になりました。私はもともと現場で工場長をやっていた、現場で物をつくっていた人間なので、全く寝耳に水の急転直下のことでありました。それまでの私は現場ばかり見ていましたので、ほかのところは余り回っていなかったのですが、社長になって、例えば液晶パネルメーカーや、当社の検査装置の入っているメーカーのところへ行くと、ほとんどのお客様が大丈夫か、頑張ってくれと言ってくださいました。当社の検査機器がなくなったら困るということで非常に応援していただきました。こうした不祥事があった会社にもかかわらず、当社がやっている事業がお客様から非常に必要とされていたということが、経営者になって改めてわかりました。そういったお客様からの声があって、今の私はあるのだと思います。言いかえればそれが原動力であるということにもなると思います。  それから、HINetからの投資により、先ほど申し上げたスキームのとおり、金融機関はもちろん、仕入れ先に対して信用面がかなり回復しています。当社は、上場廃止になってから手形決済や現金取引といろいろな形で取引条件を変えられていたのですが、その後支払い条件を変えていただけるようになって、キャッシュフローが非常によくなりました。もう一つは、やはり社員のモチベーションの違いです。広島県のファンドが当社の事業性と戦略を認めてくれ、応援してくれていることを明言していただいているので、それによって社員のモチベーションがかなり上がっています。ただし正直、その分のプレッシャーがあります。当然、与えられたミッションがあり、県の大事なお金を当社に投資していただいているわけですから、認めていただいた分、責務があると感じています。人的な問題ですけれども、当社が広島県の投資案件第1号という記事を大学の先生もよく見ていただいていますので、学生からも非常に評判がよくなって、就職活動で当社に応募しようという学生が多くなったということがあります。  以前、当社は日本企業を相手に商売していたのですけれども、今では当社の市場は海外に移っております。海外へ攻めるための成長資金が手当てできなかったので非常に困っていたところに、HINetとのビジネスモデルがマッチしたということであります。当社は、既に海外に市場を持っていましたが、機動的に動けていたわけではありません。海外に子会社がありますけれども、できている事業はまだ一部です。これから開拓しなければならない海外事業がたくさんあるという課題を抱えた状態で、HINetに入っていただきましたので、経営戦略や事業の進め方、会社経営の基盤といったものに対して、プロとして、どんどんメスを入れて、とにかく強い会社にしようと一緒にタッグを組んでやっていただいているのが事実です。 8: ◯石橋委員 コベルコ建機の黒田参考人に何点かお聞きしたいと思います。昨年、この特別委員会で中国成都のコベルコ建機へ視察に行きました。中国の拠点として、アジアの拠点として操業されており、とても大きな工場で大変驚いて帰りました。広島県では中国政府の四川省と友好関係を持っておりますけれども、昨今の領土問題による日中関係の悪化で、いろいろな経済交流が中止になるなど支障が出ておりますけれども、御社の現地工場で何か問題が起きたとか、労働者に何か騒動が起きたといったことはございませんか。 9: ◯黒田参考人 先ほど申し上げた要因として2つございます。経済環境が成長期に変わったという状況が一つです。また最近、政治問題があったわけですから、どちらがとは言えないのですが、売り上げ規模は各社で3割から4割と相当落ちているようです。この問題がどのように影響しているのかというと、確実にあるだろうと見ています。定量的に把握するのはとても難しいのですが、一部ディーラーでは不買運動であったり、通関の問題であったり、許認可をおくらせるといったことがあります。それが売り上げにどう影響しているかについては、まだ各社よくわかっていないのではないかと思います。来年の1月、2月、3月が大きく売れるタイミングですが、その時期にどうなっているのかを厳しく見ていこうとしているところです。中国のマーケットが高度成長から既に安定成長へと移って、成長曲線、成長モデルが変わりましたので、中国政府が要求するものも、量より質を求める方向に明らかに政策転換してきております。ですから、我々のビジョンのあり方も、シェアをとって量を拡大するのか、ある収益を確実にとっていくのかを、我々の業界は同じように信用しながら様子を見ています。この問題で、各社が余剰要員をたくさん抱えているのですが、雇用対策はとても難しいことがございまして、環境の変化に対して経営者がどう対応していくかということになりますが、やはり中国政府との長年のつき合いといったことを勘案しながら、慎重に対応すべき状況だろうと認識しております。 10: ◯石橋委員 続いてお聞きしますが、広島県では、中国に限らずアジアを中心とした新興国に対する事業展開をするに当たって、キーパーソンになり得る人材養成などで企業の海外展開の促進に取り組んでおりますが、御社ではグローバルに事業展開される中で、どういったことをポイントにやられていますか。 11: ◯黒田参考人 まず全世界レベルで見ると、この建機のマーケットが成長産業であると思っています。海外戦略のポイントは、グローバル化であって、インターナショナルではなく、現地とウイン・ウインな関係にならないといけないというのがベースです。日本的なものを押しつけることによってうまくいくとは全く思っていません。ですから、相手国の事情と我々の思いを、どうやってウイン・ウインの関係にしていくかは、お互いに納得できるかどうかが一番大事です。そうしたことが経営的に重要なポイントになります。教育をするときに知識や技術を教えることは簡単ですが、それを生かすのは、その人のモチベーションなり、その会社の経営ポリシーによりますので、そこをどう上手に乗せていくのかがポイントであろうかと思います。当社も海外で長く事業をやっていますので、その経験、ノウハウを集大成したような形で、一つの新しい機関として総合的にやっていく体制でスタートを切ったところです。
    12: ◯石橋委員 海外に進出しますと、機械を模倣されたり、類似品が出るようなことがあろうかと思いますが、そのあたりの状況はどうでしょうか。 13: ◯黒田参考人 結局、技術は開示しない限り自分の成長もないですし、マーケットも盛り上がりませんので、模倣は当然にあると思います。そして、いつかそれは抜かれると思います。ですから我々もある程度、技術を開示しております。グローバル化の中で、全くクローズにするということは、みずからが生きていけなくなると思いますので、開示はせざるを得ない問題だと思います。その上で、やはり自分たちの特色を持つ以外に進む道はないわけでして、隠したところで人材も抜かれますし、絶対に保持することはできないと思っております。 14: ◯石橋委員 さきの東日本大震災がありまして、部品供給ルートなどが分断されたのだろうと想像いたしますが、その復旧にどれくらいの時間がかかり、どう復旧されましたか。 15: ◯黒田参考人 当社は、現時点では完全に復旧しております。かかりました時間ですが、電子部品など特定のものに限られておりましたので、比較的短く、数カ月でもとに戻りました。 16: ◯石橋委員 広島県内の工場の部品供給ですが、どれくらいの割合になるのでしょうか。 17: ◯黒田参考人 県内からは10%くらいかと思います。余り大きくございません。御存じのとおり、内外価格差が非常に厳しいので、中国でつくった品物を日本へ持っていきますと約3割安くなります。材料も安いです。しかしながら、すべてが中国製になるのかといいますとそうではなくて、やはり納期などのいろいろな問題がございますので、いかにして中国の価格で対応できるようなことを日本でやるかを広島県内のベンダーにお願いして共同でやっています。材料費について、安い海外の材料を使うことをお願いすることがありますが、その場合には新しい技術が必要になりますので、そこをサポートすることもあります。当然、取引会社とは、長いおつき合いの中で関係を維持しなければなりませんので、明らかに内外の経済的な差がある中で、何らかの前向きなアクションを打たないと難しいと認識しております。 18: ◯石橋委員 先般、五日市の県の土地を買っていただきましてありがとうございました。そこで、五日市工場の生産力や従業員数はどうなっていますか。 19: ◯黒田参考人 生産能力を年産8,500台と想定していたのですが、現在、ほぼフル回転で動いております。国内では、東日本大震災の復興のための内需が強くなっていますので、新しい工場の国内生産はフル稼働しております。 20: ◯石橋委員 今、五日市工場の従業員数はどのぐらいですか。 21: ◯黒田参考人 従業員は、全部含めて1,400人から1,500人おります。 22: ◯田辺委員 医療機器産業の参入についてお聞きします。医療機器クラスター全国会議が31機関とありましたが、成功事例と失敗事例といろいろあるのでしょうか。また、その境目は何なのでしょうか。  それから、自動車産業からの参入の成功を目指すには、行政なのか企業なのか、どこがリードすべきなのでしょうか。以前、九州を視察した際に自動車関連会社がリードしている事例を聞いたことがありますので、その辺を教えてください。 23: ◯笠井参考人 自動車産業からの転換というケースが非常に多いので、自動車産業が立地している自治体が医療機器クラスターをつくるケースが多いということであります。クラスターに自動車産業の方が入っているところは余りないのですけれども、自動車関連の下請企業が医療機器へ展開するというケースが多いということです。有名なケースでは、栃木県にあります株式会社スズキプレシオンという精密加工の会社ですが、全国的な参入の成功事例として講演をしておられます。歯のインプラントの材料をつくられています。ほかにも先ほど御説明したパイプの曲げ技術にすぐれた会社の例のように、自動車関連からの転換でうまくいっておられる企業が結構ありますので、ぜひ、技術力さえあれば参加できることだと思います。  それから、このクラスターの成功事例、失敗事例ですけれども、うまくいっているところとうまくいってないところと、いろいろありまして、例えば、東北6県全部でクラスターを立ち上げていますが、やはり県によって成功しているところと、少し沈滞ぎみなところとがあります。結局、企業の皆さんが求められているのは情報だと思います。技術はもちろん必要ですし、資金も必要ですけれども、何といっても情報が大事です。先ほど御説明したように、最初の入り口のところで薬事が心配になります。少しその辺に誤解が多いということもありますし、それから、最終的に何が課題なのかということを、きちんとその会社に合ったアドバイスがもらえるのかであるとか、みずから考えてもよいのですが、そのための情報が重要になるのではないかと個人的に思っております。 24: ◯蒲原委員 質問ではないのですが、広島県にもすばらしい企業があるということを大変うれしく思いました。本来、政治と経済は一心同体でありますし、政治が経済を後押ししていかなければならないはずです。人のつき合いには国境はありませんが、これが領土の問題になると、このような事態になるのかと驚いております。1978年に日中平和友好条約を締結しておりますが、時の田中総理大臣と周恩来首相の間では、この尖閣諸島の問題は棚上げしようとはっきりと約束しています。それが今、こうした事態になっていて、もし両国の間で紛争などの問題が起きたときには、やはり武力に頼らず平和的に解決すべきです。企業がどんなに努力していても、資源のない日本がこのような外交をしていたら、大変だなと感じております。早くこの問題を、沈静化、整理してもらいたいと思います。そうしたことを本日の皆様の話を聞いていて痛感しました。企業が伸びていく環境を整えるのが政治の一番の責任ではないかと思いました。  (5) 現地調査の実施時期についての協議    現地調査の実施時期について委員会に諮り、11月26日(月)~29日(木)で実施することを決定した。  (6) 閉会  午後4時10分 ○ 参考人名簿   コベルコ建機株式会社 専任顧問 黒田 清和   オー・エイチ・ティー株式会社 代表取締役社長 江島 貴志   特定非営利活動法人医工連携推進機構 専務理事・事務局長 笠井  浩 発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...