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  1. 広島県議会 2011-02-02
    平成23年2月定例会(第2日) 本文


    取得元: 広島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-05
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成23年2月定例会(第2日) 本文 2011-02-14 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 27 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長(林 正夫君) 選択 2 : ◯議長(林 正夫君) 選択 3 : ◯議長(林 正夫君) 選択 4 : ◯松岡宏道選択 5 : ◯議長(林 正夫君) 選択 6 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 7 : ◯議長(林 正夫君) 選択 8 : ◯商工労働局長津山直登君) 選択 9 : ◯議長(林 正夫君) 選択 10 : ◯経営戦略審議官田邉昌彦君) 選択 11 : ◯議長(林 正夫君) 選択 12 : ◯農林水産局長冨永嘉文君) 選択 13 : ◯議長(林 正夫君) 選択 14 : ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 選択 15 : ◯議長(林 正夫君) 選択 16 : ◯議長(林 正夫君) 選択 17 : ◯蒲原敏博選択 18 : ◯議長(林 正夫君) 選択 19 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 20 : ◯議長(林 正夫君) 選択 21 : ◯教育長榎田好一君) 選択 22 : ◯蒲原敏博選択 23 : ◯議長(林 正夫君) 選択 24 : ◯蒲原敏博選択 25 : ◯議長(林 正夫君) 選択 26 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 27 : ◯議長(林 正夫君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:         午前十時三十二分開議 ◯議長(林 正夫君) 出席議員五十六名であります。これより会議を開きます。              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 2: ◯議長(林 正夫君) 諸般の報告がありますので、書記をして朗読いたさせます。         【書 記 朗 読】                                    平成23年2月8日  広島県議会議長 林   正 夫 殿                                    広島県人事委員会委員長 高升 五十雄            条例案に係る意見について   平成23年2月8日付けで,地方公務員法第5条第2項の規定により意見を求められた条例案について,本人事委  員会の意見を述べます。   県第20号議案 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例案  については,適当と考えます。              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         自第  一 県第一号議案         至第五十九 報第五号 3: ◯議長(林 正夫君) これより日程に入ります。日程第一、県第一号議案 平成二十三年度広島県一般会計予算から日程第五十九、報第五号 損害賠償額の決定についてまでの各案を一括上程議題といたします。  これより各案に対する質問に入ります。通告者に順次発言を許します。松岡宏道君。         【松岡宏道君登壇】 4: ◯松岡宏道君 皆さん、おはようございます。自民刷新会議の松岡宏道でございます。二月定例会の冒頭におきまして最初の質問の機会を与えていただきました。議長を初め、先輩、同僚議員に心から感謝をまず申し上げたいと思います。
     湯崎知事は、一昨年の就任以来、さまざまな形で地域に暮らす県民の声を聞き、県の考えや取り組みを積極的に発信するとともに、緊急の事案にも迅速に対応してこられました。そうしたフットワークの軽い、スピード感ある県政運営は、県民から多くの支持を得ており、湯崎県政はスタートダッシュに成功したと言えるのではないかと思っております。  昨年の代表質問におきまして、私は、平成二十二年度予算にはまだ湯崎カラーが出ていない、来年度はじっくり腰を据えて将来の広島県の姿を描きながら、湯崎カラーを前面に出してほしいと申し述べました。新たな総合計画「ひろしま未来チャレンジビジョン」や新年度当初予算案を見ますと、人づくりと新たな経済成長に重点を置く湯崎カラーが前面に出た、めり張りのある計画であるようにも思います。  知事の力量が試されるのはこれからであります。先月発表された国勢調査の速報では、県内人口が三回連続で減少し、特に、この五年間は二万人もの人口が減り、その減少率はそれ以前の七倍であることがわかりました。広島県の魅力を高めて、人口の社会減を食いとめることが必要でありますけれども、同時に、量より質、県民一人一人の力を引き出して、満足度、幸せ度を高めていくことが重要であるように思います。  本日は、知事が重点的に取り組もうとされる、人づくりと経済成長を中心に質問してまいりたいと思いますので、県民の笑顔がふえ、地域経済を覆う閉塞感が払拭されて、その先に希望が見えるような明るい答弁を期待いたしまして、質問に入らせていただきます。  最初の質問は、当初予算編成の考え方についてであります。  長引く景気の低迷は、県民の生活に影を落とし、県内の生活保護世帯数は、自助自立精神の欠落傾向とも相まって、この十年間で二倍に膨れ上がり、現在、三万世帯を超えてなおふえ続けております。  県内の多くの中小企業においては、リーマンショック以降の円高デフレによる企業収益の低迷からいまだ回復できておらず、新卒者を中心に、若年者を取り巻く雇用環境はかつてないほど厳しい状況にあります。  こうした中、湯崎知事は、昨年末、十年後の広島県の展望を描く「ひろしま未来チャレンジビジョン」と今後五年間の中期財政健全化計画を策定されました。これらの計画に沿った新年度予算は、ビジョン実現の第一歩となる予算であります。  今次定例会に提案された平成二十三年度一般会計当初予算は、対前年度比九九・五%の九千三百十九億円と前年並みの予算規模を確保されております。財政健全化という厳しい制約がある中、また、県税収入の大きな伸びも期待できない中で、我が会派が要望いたしました観光振興施策や中山間地域対策の拡充、農林水産業の競争力強化、地域医療の再生・強化に向けた予算も措置されており、腐心の跡が感じられます。  知事は、「ひろしま未来チャレンジビジョン」において、将来にわたって、広島に生まれ、育ち、住み、働いてよかったと心から思える広島県の実現を基本理念に掲げておられますが、この基本理念を実現していくためには、雇用や所得を生み出す経済成長こそが、広島県の活力を生み出すエンジンであり、安定した生活の基盤となるものであると思います。今こそ経済成長への足がかりとなる予算が求められているのであります。  仕込みと基盤づくりの一年目を経て、実行の年となる新年度予算案は、知事の情熱が具現化したものであると思われますが、経済成長を推し進めていくために、どのような仕掛けをしていかれるのか、当初予算編成の考え方について知事にお伺いいたします。  質問の第二は、若年者に対する就業支援についてであります。  県民の中で、今、最も未来に希望を見出せないのは、この春に卒業を迎える新卒者ではないでしょうか。全国における昨年十二月一日現在の大学生の就職内定率は六八・八%で、就職氷河期と呼ばれた平成十二年前後を下回っております。これは、文部科学省と厚生労働省が調査を始めた平成八年以降、過去最低の数字であり、就職大氷河期あるいは超就職氷河期などと呼ばれております。県内においても、十二月末の大学生の内定率は、一昨年より九・二ポイント低い六四・八%と大きく落ち込んでおります。短大生はさらに厳しく、五一・八%と、二人に一人しか内定を得ていない状況であります。  学生は、大学時代には学業に専念し、社会に出たら一生懸命働いて家族を支え、納税などを通じて国や地域に貢献していくという社会の基本的な構造が壊れつつあります。健全な社会構造を維持していくのは、社会全体の責任であります。企業は、国内市場の縮小が収益を圧迫することを懸念して、リスクをとってまで人材に投資することを控えており、欲しい人材の基準を下げてまで採用しないと、学生を厳選する姿勢を強めております。  また、就職活動する学生のライバルは、日本人だけではありません。企業は、グローバル競争に備えて、外国人学生の採用を積極化しているのであります。  一方、学生側には、依然として大企業志向が強く、有名企業しか回らない学生が多いようであります。最近では、面接の予約など、気軽にインターネットで登録できるため、大量の応募が大企業に殺到し、事務量の軽減を図ろうとする企業側が、あらかじめ応募者を大学名で絞り込む傾向が強くなっているようであります。自分をアピールする前に、大学名で振り落とされているのであります。  民間の研究機関の発表によれば、従業員が五千人以上の企業の求人倍率が〇・四七倍であるのに対して、従業員三百人未満の企業の求人倍率は四・四一倍であるとの調査結果が出ております。大企業に人気が集中する一方で、中小企業では逆に人材が不足しているのであります。名の知れた大企業だけでなく、中小企業には優良な企業や将来性のある企業はたくさんありますし、若い人には、中小企業に飛び込んで、みずからの力で会社を発展させるぐらいの気概が欲しいものであります。  国や県では、企業に対する奨励金や就職面接会の開催、緊急雇用対策基金を活用した新卒者の就業支援などに取り組んでおられますが、企業の経営戦略上の思惑と学生の意識のずれが埋まらない限り、いわゆる雇用のミスマッチが解消されない限り、根本的な解決にはならないのではないでしょうか。その解決なしには、たとえ景気が回復したとしても、氷河期の氷が解けることはないと思われます。  前回の就職氷河期で就職できなかった若者が、非正規社員やフリーターを余儀なくされ、将来の不安から結婚ができない、子供も産めないという構造的な社会問題になっていることを思えば、若年者に対する就業支援は最も急がれる対策ではないでしょうか。  そこで、県においては、若年者に対する就業支援について、とりわけ雇用のミスマッチの解消について、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。  質問の第三は、公共事業の役割と災害に強い県土づくりについてであります。  昨年七月の豪雨災害では、五名のとうとい命が犠牲となり、時間雨量九十一ミリという記録的な集中豪雨は、多くの住宅災害や農林水産業への被害、道路・のり面の崩壊や土砂崩れなど、県土に大きなつめ跡を残しました。  災害の直後、庄原市の被災地を訪れましたが、土砂や流木が堆積している現地の惨状を目の当たりにし、改めて災害の大きさを痛感いたしました。  本県は、地形・地質の特性から、土砂災害危険箇所が全国最多となっております。地震や集中豪雨が発生したら、土砂災害に巻き込まれるかもしれないという住民の不安を払拭するためにも、県民の生命・財産を守るという行政の根幹となる事業は、着実かつ早期に実施していかなければなりません。  そもそも、最近の、公共事業は要らないという風潮には、いささか閉口する感があります。「コンクリートから人へ」という言葉が、あたかも流行語のようにもてはやされ、国においては、今年度、公共事業関係予算が大幅に削減され、来年度さらに削減されようとしております。公共事業の必要性を論じることなく、気分や風潮で予算が削られているとすれば、何と不幸なことでしょうか。  とりわけ、建設業を兼業する農家が多い中山間地域にあっては、公共事業の減少によって生活が立ち行かなくなり、仕事を求めて都市部に転出していく者が後を絶ちません。残された田畑は耕作放棄地となり、手入れをされない里山や人工林は荒れ果てて、土砂災害の危険性が高まるといった負の連鎖に陥っているのであります。  少なくとも広島県にあっては、「人のためのコンクリート」を行っていくという姿勢を打ち出して、雇用の創出と地域経済の発展のための公共事業に取り組んでほしいと思うのであります。  そこで、公共事業の役割をどのように認識されているのか、また、急傾斜地崩壊危険箇所や土石流危険渓流などの危険箇所について、今後いつまでに整備しようとされているのか、今後の計画について知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第四は、基幹産業の高度化と次世代成長産業の育成についてであります。  我が国経済は、世界の中での競争力が急激に低下しております。国際的調査研究機関が発表する国際競争力ランキングにおいて、日本は一九九三年に一位であったにもかかわらず、昨年は二十七位まで落ちているのであります。我が国では、もともとグローバル市場で稼げる産業や企業が限られており、すぐれた国際競争力を維持していたエレクトロニクス産業も、九十年代には凋落し、今やグローバル市場で稼いでいる産業は自動車産業のみと言っても過言ではありません。  こうした偏った産業構造を持つ日本経済は、一たん円高の波が押し寄せれば、総崩れとなってしまうのであります。輸出型製造業のウエートが高い本県産業は、まさに日本の縮図と言えるかもしれません。本県経済を立て直していくためには、付加価値の高い、高度な製品の供給基地としての地位を固めるとともに、内需型産業を集積していくことが不可欠なのであります。  昨年、経済産業省では、自動車産業並みの成長が期待できる分野として、鉄道や水、原子力などのインフラ関連産業、環境・エネルギー関連産業、医療・介護・健康・子育てなどのサービス産業、観光やファッションなどの文化関連産業、ロボットや宇宙開発などの先端分野、これらを戦略五分野とする産業構造ビジョンを策定しました。自動車産業に頼ったこれまでの一本足構造から多様な八ヶ岳構造へ、産業構造の転換を図ろうとするのが国の戦略であります。  それでは、広島県は、今後、何を売って稼いでいくのでしょうか。グローバル経済の中で安定した成長を遂げるためには、自動車、鉄鋼、造船、機械、電気など、本県の屋台骨を支える基幹産業における高付加価値のものづくりを進めるとともに、環境やエネルギー、医療、健康、観光産業など、次世代成長産業を集積し、為替リスクに脅かされない産業構造になることが求められております。  県においては、今年度、新たな産業振興ビジョンを策定するとお聞きしておりますが、二十一世紀の広島県の産業構造について、どのようなビジョンを描き、基幹産業の高度化と次世代成長産業の育成に向けてどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  産業の競争力強化には、人材の強化も必要であります。次の質問は、グローバル人材の育成についてであります。  人口減少社会への移行とともに国内市場が縮小する一方で、著しい成長が続く新興国の市場規模は拡大を続けており、アジアの成長を内需として取り込んでいけるかどうかが日本企業の重要なテーマになっております。中国での事業展開には大きなリスクが伴いますが、好むと好まざるとにかかわらず、中国とのビジネスなくしては日本の成長も発展も見込めないというのが現実であります。  しかしながら、日本企業は、これら新興国市場で苦戦を強いられ、かつて世界を席巻した日本製品のシェアは低下しつつあります。海外市場で成功するためには、日本企業の有する高度な技術力に加えて、現地の生活文化や商習慣にたけた人材や現地のスタッフと協調して働くことができる人材が求められますが、日本企業にはこうした能力を備えたグローバル人材が圧倒的に不足しているのであります。  近年、日本人の海外留学者数は減少傾向にあり、新入社員の海外勤務に対する受容性も低下するなど、内向きな若者がふえているそうであります。  日本国内の業務であってもグローバル化とは無縁ではいられません。国内の外国人労働者は年々増加しておりますし、海外販路の開拓のために積極的に外国人留学生を採用している企業がふえてきております。  また、日本を訪れる外国人も年々増加しており、運輸業や宿泊サービス業など、国内の観光関連産業においては、訪日外国人客を対象にしたビジネスが増加しており、内なる国際化への対応が急がれております。「瀬戸内 海の道構想」を進める本県においては、なおさらのことであります。  グローバル人材に求められる能力としては、通常の社会人に求められる基礎的な能力に加えて、外国語でのコミュニケーション能力と、異文化を理解し活用する能力であると言われております。異文化を理解するためには、自己に対する知識も不可欠であります。日本人らしさを失わない、日本人の強みを生かして、現地の人々と協力し合うことが重要であります。  こうしたグローバル人材を育成するためには、若い世代から社会人まで積極的に海外で学習・就労できるシステムや、逆に、海外から高度人材を積極的に受け入れて、日本人も含めて国内で切磋琢磨できるシステムが必要なのではないでしょうか。グローバル人材なくしては、本県産業の成長はないと言っても過言ではないと思います。  そこで、県内産業の競争力強化のためのグローバル人材の育成について、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第六は、広島版「産業革新機構」についてであります。  この事業については、十二月定例会や常任委員会などで多くの質疑がなされてきたところでありますが、県民の視点から見たとき、大きなポイントとなるのは二つに絞られるかと思います。すなわち、なぜ県がやるのか、やったらどうなるのかという二点であります。  県が特定の企業に投資し、ハンズオンで経営にも参画するということになれば、利潤を追求する公的企業が誕生することになります。競争関係にある他の企業から見れば民業圧迫にも映ります。行政の公平性の観点から問題はないのでしょうか。  出資が失敗に終わった場合の責任の所在について知事は、経営責任や執行責任はファンド運営会社にあり、県はファンド運営会社の株主、あるいは投資事業会社への出資者という立場から監督責任を果たしていくという説明をされておられます。確かに法的にはそうかもしれませんが、県の事業だから大丈夫だと思って資金を出資した者や、投資先企業と取引をした企業に対して県が責任を問われることはないのでしょうか。  県は、このファンドには市場機能を補完する機能があると説明しておりますが、前例のない巨額な公的資金を得た営利企業の誕生は、市場の秩序を乱すことになるのではないかと懸念する声もあります。  そこでお聞きしたいのは、行政として産業振興施策に取り組むのは当然でありますが、地方自治体である県がどこまで市場経済に介入する必要があるのか、民間企業に対する支援について、本来どうあるべきと認識されているのか、知事のお考えをお聞きいたしたいと思います。  このファンドに関するもう一つの疑問は、やったらどうなるのか、成果が見えにくいという点であります。  十二月定例会での山下議員の質問に対して知事は、この事業が目指す成果について三点挙げておられます。その三点とは、投資先企業の財務基盤の強化と信用力の向上、ハンズオン方式の支援による企業体質の強化、売り上げや雇用の増大であります。そして、ファンドの波及効果として、企業の新たな挑戦や民間資金の供給拡大といった好循環が生まれることを挙げておられます。十社に投資しても成功するのはよくて三社程度と言われておりますが、その三社の成功が、なぜ他の企業の挑戦意欲に結びつくのか、どのようにして産業振興に結びつくのかよくわかりませんし、リスクに飛びつく投資家がそう簡単にあらわれるとも思えません。  投資がうまくいけば、企業は成長し、雇用もふえ、県にも分配金が入ります。しかし、成功する保証はどこにもありません。県民の中には、こうしたリスクをとるよりも、補助金や融資といった従来の手法により支援すべきではないか、あるいは、厳しい財政状況の中で、四十億円もの県費を投資に使うよりも、もっとほかに優先してやるべきことがあるのではないかという声もあります。  そこで、四十億円のファンドへの出資について、そのリスクを懸念する声がありますが、知事の御所見をまずお伺いいたします。また、このファンドが県内産業への振興にどのように結びつき、県内経済にどういった波及効果をもたらすのか、その道筋について、より具体的に知事にお伺いいたします。  質問の第七は、「瀬戸内 海の道構想」実現の取り組みについてであります。  昨年十二月に示された構想の素案では、新たなビジネスモデルの創出を目指して具体的なプロジェクト戦略を掲げるなど、この構想を地域産業の勃興につなげていこうとする強い意志が感じられます。  また、今年度は、十九本の実証事業が実施されておりますが、広島県産の焼きガキが味わえる「ひろしまオイスターロード」は、現在、県内四カ所で営業され、一店舗当たり平日で三百人前後、休日には千人前後の来客があるなど、にぎわいを見せており、海の道構想の順調な滑り出しを予感させます。  こうしたフード・ツーリズムと呼ばれる食をテーマにした観光資源は、観光客誘致の大きな決め手になります。旅行先での食事は何よりの楽しみでもあり、それ自体が旅行の大きな目的にもなります。過去の定例会においても、地場食材を生かした食の施設の必要性について指摘されたところであります。  本県には、お好み焼きは言うに及ばず、アナゴ料理や尾道ラーメンなど、思わず舌鼓を打つような御当地フードがたくさんあります。また、カキのほかにも、海の幸、山の幸、バラエティーに富んだ食材がありますが、こうした地域の食材を生かしたメニューの開発や販路開拓は、いわゆる農商工連携による新たなビジネスの創出にもつながります。  海の道構想のプロジェクト例にも、そうした食の賑わい拠点となる施設整備や農商工連携の取り組みが盛り込まれており、今後の展開が楽しみなところでありますが、食の賑わい拠点を広げていくため、具体的に今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。  食の賑わい拠点といったフード・ツーリズムのほかに、私は、フィルム・ツーリズムも誘客の仕掛けづくりとして大きな期待ができると思っております。  フィルム・ツーリズムとは、いわゆるロケ地めぐりのことであります。映画やテレビドラマの舞台になった地域が繰り返し画面に映し出されることで、視聴者がその地域に関心を持ち、当地に赴いて、映画やドラマの世界観を実体験する旅を楽しむのであります。  大林宣彦監督の尾道三部作と言われる青春映画は、尾道のブランドを一気に高めました。これらの映画がきっかけとなり、尾道には、映画ファンばかりでなく、風情ある古都・尾道の町並みを楽しもうとする多くの観光客が足を運んでおります。  尾道といえば、昨年九月から放送されているNHKの連続テレビ小説「てっぱん」の舞台でありますが、日銀広島支店の試算によれば、「てっぱん」の広島県経済への波及効果は百億円で、約九十二万人の観光客の増加が見込まれるそうであります。  NHKの大河ドラマも、その舞台となる地域には多大な経済効果がもたらされます。このため、行政や民間の枠を超えて、全国各地で大河ドラマの誘致合戦が展開されております。先月スタートした「江」の効果について滋賀県は、年間観光客数が百三十四万人ふえ、百六十二億円の経済効果が見込めるとしております。  来年の放映が決まっている「平清盛」は、本県を初めとする瀬戸内海を舞台としており、海の道をアピールする千載一遇のチャンスであります。平清盛に関連する資源の発掘や広域観光ルートの開発など、誘客の仕掛けづくりに取り組むとともに、「てっぱん」や「平清盛」に続くドラマや映画の誘致に取り組む必要があります。  広島県内においては、各地にフィルム・コミッションが設立され、ロケーション撮影などに関するさまざまなサービスを提供し、映画やテレビドラマの誘致に取り組んでおられますが、こうした活動が安定的かつ効果的なものとなるよう、積極的に支援していく必要があると思います。ドラマ放映の翌年には、観光客数の反動減が見られるようでありますが、訪れた観光客においしい食事などの広島の魅力をアピールすることができれば、リピーターをふやすことが期待できると思います。  そこで、県においては、フィルム・ツーリズムの効果についてどのように認識され、映画やテレビドラマの誘致について、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。  海の道構想に関連して、もう一点お尋ねいたします。  この構想を実現していくためには、強力な推進体制が必要とされます。このため、構想の素案では、瀬戸内プラットフォームを設立し、この組織において、政策立案や事業調整、観光プロモーションを行うとともに、成長産業に対して資金供給を行っていくと説明されております。  一方、構想の素案では、平成二十一年度に約二千八百八十億円であった観光関連消費額を、平成三十二年度までに六千億円まで増加させるという数値目標を掲げております。観光関連消費額を九年間で二倍にするためには、相当な額の投資が必要であることは想像にかたくありません。そうした投資が、新たな地域産業を興していくことが期待されます。と同時に、資金だけでなく、各地域でプロジェクトを推進する人材や観光産業を支える人材の確保・育成も重要になってまいります。  そこで、今後、海の道構想を実現していく上で、その推進組織とされる瀬戸内プラットフォームの果たす役割と運営方法、資金の調達と供給の仕組みとその規模、並びにプロジェクト推進に必要な人材の確保・育成についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。  質問の第八は、農林水産業の競争力強化と農商工連携の推進についてであります。  本県を初め、我が国においては、過疎化・高齢化の進行に伴う農林漁業者の減少や耕作放棄地の増大、農林水産物価格の低迷による所得の減少、異常気象の頻発など、さまざまな問題に直面しており、農山漁村の活力は著しく低下しております。  とりわけ、生産条件が不利な地域が多い本県においては、農林水産業の競争力の強化は喫緊の課題であります。  昨年十二月には、農林漁業者の所得を確保するため、農林水産業経営の改善と国産の農林水産物の消費拡大の促進を目的とする六次産業化法が制定されました。  時を同じくして、本県においては、二〇二〇広島県農林水産業チャレンジプランが策定されました。  さらに、本議会においても、本県農林水産業の持続的な発展を目指す、ひろしま地産地消推進県民条例の素案を策定したところであります。  県のプランでは、競争力を強化するため、生産から販売までが一体となった取り組みによる農林水産物の販売力の強化を目指しており、「つくったものを売る」から「売れるものをつくる」という意欲的なスローガンには、大きな期待も集まっているところであります。  私は、売れるものをつくるかぎは、やはり農商工連携にあると思います。一次産業の農林水産業と二次産業の食品製造業、三次産業の小売業、飲食業の関連産業が連携して新たな商品・サービスを生み出すことで、大きな付加価値が生まれ、販路が広がり、雇用の創出にもつながっていくのであります。  昨年、我が会派は、農商工連携に関する先進的な取り組みを調査するため、財団法人いわて産業振興センターを訪れました。ここでは、独立行政法人中小企業基盤整備機構の融資制度を活用して、県内の農商工連携の取り組みに対して助成を行っております。例えば、地場の食用ホオズキを活用した新ブランドの立ち上げや、木質バイオマスを活用したキノコ栽培と加工品の開発など、さまざまなチャレンジに助成しておられます。  平成二十一年度から始めた制度であるため、具体的な成果が出るまでもう少し時間がかかるとのことでしたが、本県においても、こうした民間の発想や熱意を財政的に支援する仕組みが必要ではないでしょうか。  また、当然ながら、そうした地域の農商工連携の取り組みの核となる人材の確保とその経営力、生産力、販売力などのスキルアップも重要であります。  そこで、県においては、地域の農商工連携の取り組みに対する支援並びに人材の確保とスキルアップを図るため、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。  次の質問は、ドクターヘリの運航と近隣県との連携についてであります。  ドクターヘリは、平成十三年に岡山県で導入されて以来、現在、国内では二十一道府県、二十五カ所に配備され、傷病者の救命率の向上や後遺症の軽減に大きな成果を上げております。  国の研究によりますと、ドクターヘリの救急要請から医師が治療を開始するまでの時間は平均十四分で、救急車による場合と比べて、平均二十七分短いそうであります。また、ドクターヘリの導入によって、死亡については三九%の減少効果、重症・後遺症については一三%の減少効果があると推計されております。  中国地方では、岡山県のほかに鳥取県と山口県が今年度導入し、島根県においても来年度導入する予定であると聞いております。  本県においては、県の防災ヘリと広島市の消防ヘリの二機によってドクターヘリ的事業を実施しておりますが、専用機でないため、途中で医師をピックアップする時間を要するなど、機動性に欠け、その出動回数は、年間四百回を超える岡山県に対して、本県では年間三十回程度にとどまっております。このため、かねてから我が会派が専用機の導入を要望していたものでありますが、県においては、このたび、平成二十五年度までにドクターヘリを導入する方針を打ち出し、新年度、その導入に向けた調査と検討を行うこととしております。  県においては、早急に調査・検討を行い、早期に導入することによって、救えるはずの命を少しでも早く救っていただきたいと思います。  中山間地域や島嶼部を多く抱える本県において、救急医療、僻地医療、災害医療などさまざまな場面で、ドクターヘリの潜在的需要は多いはずであります。ドクターヘリの導入によって助かる命の数は多いものと思われます。  ただ、気になるのは、近隣県との連携であります。ドクターヘリがカバーするエリアは、基地病院を中心として半径五十キロメートルから七十キロメートルが目安とされておりますが、各県がそれぞれ単独でドクターヘリを導入した場合、その飛行範囲が近隣の県のドクターヘリと重複し、効率性の観点から望ましくない状況が生じることも考えられます。  現在、県東部地域においては、岡山県の川崎医科大学を基地病院とするドクターヘリの飛行範囲となっておりますが、県北部や県西部について、今後、島根県や山口県との飛行範囲が重複することもあり得るのではないでしょうか。  年間経費約二億円と言われるドクターヘリが効率的に運用されるよう、近隣県と連携した取り組みが必要であります。  そこで、お聞きしたいのは、本県においては、ドクターヘリの導入によって何人の命が助かるのか、導入の効果を具体的にどのように見込んでおられるのでしょうか、また、近隣県との連携についてどのようなお考えなのか、あわせてお伺いいたします。  次の質問は、児童虐待防止対策の強化についてであります。  幼い子供の虐待死が相次いでおります。昨年は、県内でも四名の幼い命が犠牲になりました。育児に疲れた母親に首を絞められて死亡した四歳と一歳のきょうだい、おなかを踏みつけられて死亡した二歳の女の子、お湯を入れた衣装ケースに沈められて死亡した二歳の女の子など、心が締めつけられるような事件が続きました。人間関係が希薄になっていく中で、親となる覚悟や努力を身につけていない者がふえているような気がいたします。虐待を行う者の中には、自身が虐待を受けて育った者が多いという指摘もあります。そうした負の連鎖を断ち切っていくためには、行政だけでの対応では限界があります。  子育てに悩む親には、そっと支援の手を差し伸べ、虐待の気配を感じたときにはいち早く役所に通報する、そうした地域全体で子供を見守る気持ちや体制が求められます。そういう意味で、住民に身近な市町の役割には大きなものがあります。  東京都内の区市町村では、都の方針に基づいて児童福祉司の資格を持つ虐待対策ワーカーを配置し、さらに来年度からは、児童相談所など関係機関との調整に当たる虐待対策コーディネーターを配置し、その人件費を全額都が補助することとしております。  そもそも、子供や家庭の相談については、児童福祉法により、すべて児童相談所が対応することとされてきましたが、児童虐待相談件数の急増などを背景に、平成十七年に法律が改正され、住民に身近な市町村において、子供や家庭に関する相談に応じることとなりました。  この法律改正によって、軽微なケースについては市町村が対応することになりましたが、立入調査や臨検、子供の捜索、一時保護など行政権限の発動を伴うような行為は依然として県が持ったままなのであります。新生児訪問や乳幼児健診などの際に子供の異変に気づいたり、子供の身に危険が迫っているときに迅速な対応をとることができるのは、住民に身近な市や町なのではないでしょうか。
     県や市町、関係機関が総力を挙げて、虐待の未然防止、早期発見・早期対応、子供の保護まで、切れ目のない支援ができる体制をつくり上げなければならないと思います。  そこで、県においては、立入調査や臨検などの権限を市町に移譲する考えはないのか、また、今後、どのようにして市町の児童虐待防止対策をバックアップしていこうとされるのか、お伺いいたします。  最後の質問は、東部地域における療育体制の整備についてであります。  県の東部地域には、重症心身障害児に対する療育体制が西部地域に比較して整っておりません。東部地域唯一の療育拠点である県立福山若草園においては、四十四名の定員は常時満床となっており、濃密な医療が必要な超重症児が増加する中、設備も老朽化が進んでおります。  施設の利用状況を見ますと、十年以上在園している者が全体の八四%を占めており、新たに入所できるまで数年かかるのが現実であります。  また、入所者の保護者の高齢化が進む中、交通アクセスの改善も求められているところであります。  さらに、発達障害に関する相談や診断のニーズが激増しており、全県的に専門医が不足していることもあって、初診まで数カ月待たなければならないという状態が続いております。  福山若草園では、東広島にある県立障害者療育支援センターからの医師派遣を受けて、発達障害児の診療を行っておりますが、施設規模などに限界があることから、紹介制による診療しか行われておりません。  こうした中、平成二十年に東部地域の四市一町が、県に対して療育センターの整備を要望したところ、県においては、今年度、東部地域における療育体制の検討を行い、福山若草園の移転建てかえを行うことが決定されました。県の英断に感謝を申し上げる次第であります。  そこで、県立福山若草園の移転建てかえにより、東部地域における療育体制について、具体的にどのような機能強化が図られるのか、お伺いいたします。  私の質問は以上でありますが、冒頭、私は、県民一人一人の幸せ度を高めていくことが重要であると申し上げました。幸せ度を計量的にはかるすべはありませんが、人はだれでも自分に課された仕事を果たしていくことで、自分自身に誇りを持ちます。働く場がないということは、生活の手段ばかりでなく、自尊心をはぐくむ機会をも失うことになるのではないかと思います。  そういう視点から、本日は雇用を生み出す経済成長を中心に質問してまいりました。逼迫した財政状況下ではありますが、全国のどこよりも早く地域経済の回復をなし遂げて、雇用環境の改善はもとより、県外からも有為な人材が集まるような広島県を目指していきたいと思います。  そのため、知事の強いリーダーシップのもと、県行政に携わる者全員が一丸となって「ひろしま未来チャレンジビジョン」の実現に取り組んでいただくようお願いいたしまして、私の質問を終わります。  御清聴、まことにありがとうございました。(拍手) 5: ◯議長(林 正夫君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 6: ◯知事湯崎英彦君) まず、当初予算編成の考え方についての御質問でございます。  平成二十三年度は、「ひろしま未来チャレンジビジョン」を初め、これに連動する各種計画の初年度となるほか、私のマニフェストにおける重要事項である広島版「産業革新機構」や「瀬戸内 海の道構想」が本格稼働することから、平成二十三年度当初予算案は、仕込みと基盤づくりから実行へ、新たな第一歩を踏み出すための重要な予算として編成したものでございます。  このため、平成二十三年度当初予算案では、「ひろしま未来チャレンジビジョン」に掲げた人づくり、新たな経済成長の重点二分野に集中的な財源配分を行いつつ、平成二十二年度二月補正予算と一体的で切れ目のない緊急経済・雇用対策を進めるとともに、中期財政健全化計画に基づく財政健全化に向けた取り組みを進めることとしております。  また、今年度の事業仕分けや議会の事業成果の検証等を踏まえた事務事業の見直しにより財源を捻出するなど、思い切った予算の再構築を実施したところであり、その結果、四つの政策分野における新規重点事業等に百五十四億円の予算を確保することができました。  とりわけ、本県経済が活力を持って中長期的に発展していくためには、人材の育成が大きなかぎとなることから、県内の中小企業等が国内外の大学、企業、あるいは研修機関等において行うイノベーション人材の育成の取り組みへの支援、県立学校や私立の高等学校における海外の学校との姉妹校提携や留学生の相互派遣等の実施への支援など、国際的視野を持ったグローバル人材や新たな成長を促す産業人材の育成・確保に重点的に取り組むこととしております。  また、新しいアイデアで、新たな価値を創造するイノベーション力を徹底的に強化する必要があることから、広島版「産業革新機構」を設立し、資金面、経営面から成長事業を集中的に支援するほか、新たな事業展開に向けた県内中小企業等の研究開発活動に対する支援、本県農産物の生産者に対するマーケティング力強化の取り組みなど、県内産業の成長促進と競争力強化に向けた次世代投資を進めてまいります。  さらに、経済波及効果や雇用創出効果を早期に発揮させるため、ハード・ソフト両面から「瀬戸内 海の道構想」の実現に向けた施策を推進するとともに、中山間地域の強みを生かした観光資源の開発に向けた取り組みへの支援など、観光誘致の目的や対象を明確にし、効果的に観光・交流産業の振興に取り組んでまいります。  このような予算を編成する過程におきましては、各事業の目的を明確にするとともに、各種計画との整合性を確保する一方、思い切った財源配分により、相当の事業規模を確保することで、早期に成果に結びつくよう工夫したところでございます。  今後は、できるだけ早期にこの予算を着実に実行し、将来にわたって、広島に生まれ、育ち、住み、働いてよかったと心から思える広島県を実現してまいる所存であります。  次に、公共事業の役割と災害に強い県土づくりについての御質問でございます。  公共事業は、社会資本の整備を通じて、地域住民に安全と安心を提供するとともに、各地域の活力をつくり出すなど、本県の安心な暮らしづくり、豊かな地域づくり、新たな経済成長を進める上で重要な役割を果たしているものと考えております。  また、公共事業の実施は、とりわけ中山間地域などにおいて、地域経済の底上げや雇用の確保などの効果を有しているのも事実でございます。  このように、公共事業には社会資本形成というストック面と経済・雇用対策としてのフロー面の効果がございますが、投資余力が減少していく中、将来に向けて真に必要な社会資本を形成していく必要がございます。  このような観点から、今後の社会資本マネジメントの基本方針を定める、社会資本未来プランの案を先日取りまとめ、広域的な交流・連携基盤の強化や防災減災対策の充実強化など、七つの重点分野などを定めたところでございます。  お尋ねの、土砂災害対策等の防災施設につきましては、整備が必要な箇所が数多くございますが、整備に当たりましては、過去の災害の発生状況などを踏まえ、地形・地質の状況、人口や産業の集積状況、防災上の配慮を必要とする高齢者などが利用される福祉施設の立地状況等、地域性を勘案し、緊急度、重要度の高い箇所から施設の整備を着実に進めるよう努めてまいります。  また、このようなハード整備とあわせて、より防災機能を高めるため、防災情報の充実や土砂災害警戒区域等の指定など、ソフト対策もあわせて進め、安心な暮らしづくりを推進してまいります。  次に、基幹産業の高度化と次世代成長産業の育成についての御質問でございます。  おおむね十年後を展望して策定した「ひろしま未来チャレンジビジョン」におきましては、人口減少や少子・高齢化による国内市場の縮小や新興国の台頭などにより、地域間競争や国際競争が一層激化する中で、本県経済の持続的な発展に向けて、社会経済情勢や市場動向に柔軟かつ的確に対応できるイノベーション立県の実現などを目指す姿として掲げております。  この将来像の実現を図るためには、多様な産業やすぐれた技術の集積など、本県の強みを最大限に生かして、県内企業が新分野や新市場に果敢に挑戦していくことが必要であると考えております。  具体的な取り組みの方向としては、自動車関連産業はもとより、電気、一般機械などの基幹産業について、引き続き本県経済の牽引役を担うよう、次世代技術の開発等により競争力をさらに強化していくこと、ものづくり技術の集積を生かして、環境・エネルギー関連など成長が見込まれる分野で新たな産業クラスターを形成し、より多彩でバランスのとれた産業構造を構築すること、すそ野が広く、経済波及効果や雇用創出効果が高い観光関連産業について、観光地広島のブランド化やインバウンド観光の推進により育成・強化を図ることなどが重要であると考えております。  また、これらの取り組みを促進するため、地域に根差した産学連携による研究開発の促進、イノベーションの原動力となる高度な産業人材の育成、広島版「産業革新機構」による成長資金の供給など、新たな支援の仕組みづくりも不可欠であると考えております。  今後、こうした方向性を明確にした上で、企業や産業支援団体等と連携を強化し、県民が将来に向けて大きな希望が持てる強固な産業構造の確立を目指してまいりたいと思っております。  また、早期に効果を発現するため、新年度予算において産業振興施策に重点的な財源配分を行うとともに、産業イノベーション、産業人材育成、さらには海外転換の推進を図るため、商工労働局の体制を抜本的に再編することとしております。  次に、産業競争力強化に向けたグローバル人材の育成についての御質問でございます。  国際間の競争がさらに激化する中で、県内産業が持続的に発展していくためには、競争力のある新製品・新技術の開発やアジアを中心とした新たな海外市場の獲得などに向けた企業の意欲的な取り組みが求められております。  こうした新たな事業展開においては、それを担う人材が大きなかぎとなりますが、とりわけ、経営資源が限られた中小企業においては、その育成・確保が喫緊かつ重要な課題となっております。  新年度予算においては、こうした点を踏まえて、グローバル人材育成のための施策を構築しておりますが、その際、従来の考え方にとらわれることなく、特に、今までにない事業規模を確保することにより、早期に効果が出るよう配慮いたしました。  具体的には、中小・中堅企業が国内外の大学、企業、研修機関に派遣して行う研修等に対して全国でも最大規模の助成制度を創設するほか、産学官が連携して、アジアから海外展開へのキーパーソンとなる優秀な理工系人材を大学に受け入れ、育成し、県内企業への就職につなげる仕組みの構築、県内への留学生と、留学生の県内就職の倍増を目指すための支援組織づくりなど、企業の国際競争力の強化に向けた人材の育成・確保を図ってまいります。  さらに、県立学校のみならず、私立の高等学校を対象に加えて、海外の学校との姉妹校提携を通じた海外留学の支援など若い世代に対する取り組みを進め、将来において、企業で活躍できる、グローバル感覚を持った人材の育成に努めてまいります。  次に、産業振興施策における県の役割についての御質問でございます。  県の産業振興施策の目的は、産業振興を通じて雇用の確保・創出と県民所得の向上による県民生活の安定・向上を図っていくことでございます。  とりわけ、人口減少や高齢化、経済活動のグローバル化など、社会経済情勢が今までにないほど大きく変化する中では、社会経済情勢や市場動向に柔軟かつ的確に対応して、新しい事業を創出し、積極的に事業展開を図ろうとする企業が数多く出てくることが、将来にわたる地域経済活性化のかぎであり、このような企業の成長を促進することが本県の重要な政策課題であると認識しております。  一方、こうした企業の思い切った事業展開に当たっては、中長期的な資金が必要となりますが、成長資金としての投資システム自体が我が国ではまだ緒についたばかりであり、とりわけ地方においては、民間事業としての集積が不十分であることなどから、こうした成長資金の供給に対する市場を補完する意味からも、現状においては県がその仕組みづくりを主導していく意義が高いと考えております。  さらに、成長性をより確実なものとするためにも、資金提供にとどまらず、専門人材が技術、営業、マーケティングなど多面的な分野において経営参加型で支援するという、今までにない仕組みを構築していくことが不可欠であると考えております。  次に、広島版「産業革新機構」への出資のリスクについてでございます。  議員御指摘のとおり、企業の事業展開に対する県の支援策といたしましては、出資のほかに補助金や貸し付けなどがあり、政策目的に照らしまして、最適な手法を選択するべきであると考えております。  広島版「産業革新機構」に関するリスクについて検討する場合には、支援対象事業そのものが有します事業リスクと、県がそれを支援することによる財政負担上の資金リスクの二種類に分けて考えることが必要であります。  まず、県の財政負担上の資金リスクについて考えてみます。大枠を理解するために、詳細な点、いろいろございますが、捨象して考えたいと思いますので、その点を御容赦いただければと思います。  まず、ある事業に対して一定の同一金額の資金支援を、補助金、貸し付け、そして出資の三つの方法のいずれかで行うと考えて比較いたしますと、まず、補助金の場合では、事業が成功する、あるいは失敗するといった結果にかかわらず、県が交付した金額について財政負担上のリスクを確定的に負うことになります。つまり、リスクというよりも財政負担を確定的に負うということでございます。  また、貸し付けの場合には、事業が失敗して、元本を含め、すべて交付金額を全額財政負担するというケースから、事業が成功して、元本に加えて利息が加算されて返還されるというケースまでの範囲で、これは不確定の財政負担上のリスクを抱えることになります。  そして、出資の場合には、貸し付けと同様に、事業が失敗して出資した金額のすべてを財政負担するというケースから、事業が成功して、出資以上の非常に大きな資金を回収するというケースまでの範囲で、同様に不確定のリスクを負うということになります。  このように、ある特定の事業に対して同一金額を支援する際に、補助金、貸し付け、そして出資の三つの手法を比較した場合に、事業の成否にかかわらず、交付した額について全額財政負担することが確定的に決まる補助金が最も不利となり、当初交付した資金以上の資金が返ってくる貸し付け及び出資のほうが有利ということになります。  さらに、貸し付けと出資を比較した場合、回収資金額が、元本に利子を加えたものが上限となる貸し付けに対し、出資の場合には回収資金額に上限がないことから、財政負担上のリスクの観点から見ますと、出資が最も有利となります。  ただし、これは、支援対象事業が大きく成長する可能性があるということが前提でございます。  次に、支援対象事業の事業リスク、対象の事業そのもののリスクについて考えます。  まず、補助金の場合には、事前審査で関与が終わり、一たん補助金を交付した後は、支援対象事業の成否に対する影響力を行使することはできません。  貸し付けの場合にも、一たん貸し付けをしたら、返済猶予を求められるなど回収可能性が危機に面した際、すなわち事業の成功が危うくなった際に、初めて対象事業に関与するというケースが多くなります。  これらに対して、広島版「産業革新機構」で想定している出資の場合には、専門人材が当初から成長可能性を高める努力を続けることから、結果として事業リスクの軽減が図られることになります。  さらに、貸し付けは、支援対象企業の財政基盤にマイナスの影響を及ぼし、場合によっては経営を不安定化させるのに対して、出資は資本金を充実させ、財政基盤を強化するという効果もございます。  このように高い成長可能性がある事業への支援を前提とすれば、県の財政負担上の資金リスクと支援対象事業の事業リスクのいずれの面からも、出資による支援が最も適切な方法であると考えられます。  また、資金使途が極めて限定される補助金や、一定の限定がある貸し付けよりも、柔軟かつ機動的に資金を活用できる出資金のほうが、成長のための資金としては使い勝手がよいという側面もございます。  あわせて、広島版「産業革新機構」においては、複数の企業に出資を行うことによってリスク分散を図り、全体としての財政負担上の資金リスクの低減も図ることとしております。  以上、補助金、貸し付け、そして出資について、県の財政負担上の資金リスクと支援対象事業の事業リスクの観点から御説明申し上げましたが、重要なことは、こうした手法の役割やリスク等を踏まえながら、対象とする事業の目的や企業のニーズ等に応じて最も有効な手法や対策を講じていくことではないかと思っております。  私としては、人口減少等による経済縮小の懸念がある現在、本県経済の成長力を強化することが喫緊かつ中長期的にも重要な課題であり、潜在成長力を有する企業や事業を後押しし、その成長力を顕在化するよう支援することが政策的に極めて重要であると考えております。  このため、広島版「産業革新機構」を通じて、そのような成長力のある事業への支援を行いたいと考えているところでございます。  次に、広島版「産業革新機構」の県内経済への波及の道筋についての御質問でございます。  広島版「産業革新機構」は、投資先の企業の中長期的な成長を支援する仕組みであり、県が主導して新たな仕組みを創設して四十億円の出資をすることにより、政府関係機関や民間からの出資の呼び水となり、総額百億円という一定規模の資金が確保され、投資先企業の新たな設備投資や研究開発等に活用されることになります。  また、投資先企業の事業規模等の拡大により、売り上げや雇用の増大が見込まれるなどの直接的な効果に加えまして、取引や消費の拡大など、地域経済への間接的な波及効果も見込まれるところでございます。  広島県の経済規模から見ますと、総額百億円規模の成長資金の供給による経済効果は決して大きいものであるとは考えておりませんが、成長モデルを示すことにより、これに続こうとする民間企業が数多く出てきて、それに対する成長資金の供給も拡大していくといった効果も期待しており、こうした好循環が本県経済の活性化に寄与するものと考えております。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 7: ◯議長(林 正夫君) 商工労働局長津山直登君。         【商工労働局長津山直登君登壇】 8: ◯商工労働局長津山直登君) 二点について御答弁申し上げます。  まず、若年者に対する就業支援についてでございます。  近年の若年者の厳しい就職状況の背景には、景気停滞による企業の採用抑制、厳選採用といった要因に加え、御指摘の、いわゆる雇用のミスマッチという面もございます。  その原因の一つには、若年者の根強い大企業志向がございますが、一方、やりがいがあれば中小企業で働きたいという学生がここ数年ふえているにもかかわらず、中小企業において人材が不足している現状から見ますと、魅力的な企業や採用意欲の高い企業に関する情報不足もあると考えております。  このため、産業界や大学と連携いたしまして、学生を対象に、在学期間を通じまして段階的に県内企業への就職意欲を高めるため、企業による講義とインターンシップを組み合わせました企業講座を大学に開設するとともに、バスツアーなどにより企業を訪問し、技術力や魅力を直接体感できる取り組みなどを積極的に行っております。  また、企業に対しましては、効果的な情報発信やプレゼンテーション能力の強化を図るため、セミナーや個別コンサルティングなどに取り組んでいるところでございます。  今後とも、こうした取り組みの成果の検証を行いまして、ミスマッチの解消に向けて、より効果的な施策を展開していくことによって若年者がその能力と適性に応じた職場に就職できるよう、全力を挙げて取り組んでまいります。  次に、フィルム・ツーリズムの促進についてでございます。  ドラマゆかりの地や映画のロケ地は、これまでも観光地として注目されてきたところでありますが、近年では、韓国ドラマや中国映画のロケ地となった秋田県や北海道への外国人観光客が飛躍的に増加するなど、フィルム・ツーリズムは国内外からの観光客誘致に有効な手段の一つであると認識いたしております。  本県でも、映画「海猿」、「男たちの大和」や連続テレビ小説「てっぱん」の放映を契機とした地域の取り組みが、ロケ地めぐりを行う観光客の増加につながるとともに、本県の食材への強い関心を呼び起こすといった状況も生まれております。  来年一月からは、大河ドラマとしては「毛利元就」以来となる、本県も舞台となる「平清盛」が放映されますので、地元自治体や観光関連団体などとの推進組織を設立いたしまして、二百五十万人の観光客数の増加を目標として、来年度から二年間で、総額一億円規模のキャンペーンを展開することとしております。  一方、フィルム・ツーリズムには、地域のフィルム・コミッションなど地元の受け入れ体制の確保や、誘客効果が一過性にとどまるといった課題もございますので、ロケ地の受け入れ等に対する支援のあり方や放送終了後の継続的な誘客のための仕組みづくりを検討いたしまして、実績を積み重ねながら、さらなるフィルム・ツーリズムの推進に努めてまいりたいと考えております。 9: ◯議長(林 正夫君) 経営戦略審議官田邉昌彦君。         【経営戦略審議官田邉昌彦君登壇】 10: ◯経営戦略審議官田邉昌彦君) 「瀬戸内 海の道構想」について、二点お答えします。  まず、食の賑わい拠点づくりへの取り組みについてでございます。  食は、多くの人々を強く引きつけ、世代や国籍を問わない共通の観光資源であると考えております。  「瀬戸内 海の道構想」においても、瀬戸内の特徴的な強みとして、多島美景観・町並み景観、地域に根差した文化・芸術・産業、独特の食材・農林水産物という三つのサブブランドの一つに位置づけているところでございます。  今後は、瀬戸内食のトップブランドを戦略テーマとして掲げ、御指摘のように、瀬戸内の食文化を観光につなげるひろしまオイスターロードの広域展開や、豊かな地元産の食材を活用した瀬戸内の食のトップブランド化など、民間事業者などの主体的な取り組みを後押ししてまいりたいと考えております。  特に、観光客はもとより、地元の方々にも楽しんでいただけるような試みがフード・ツーリズムとして各地で定着すれば、県内外からの集客や瀬戸内ブランド化に大きく寄与することが期待されます。  このため、食材の安全かつ安定的な供給体制の確保、広域展開に必要なノウハウ・ルールの共有化、農商工連携による新たな食の商品開発、食以外の観光資源などとの相乗効果によるにぎわいの創出、集客促進のための交通利便の確保・情報発信など、実証事業を進める上で明らかとなってきた課題などを踏まえながら、市町や企業、地域団体などと一体となって、食の賑わい拠点の広域展開を進めてまいりたいと考えております。  次に、「瀬戸内 海の道構想」の推進体制についてであります。
     この構想の推進に当たっては、市や町、企業、NPOなど、さまざまな主体の参画と実証事業を踏まえた事業の具体化などを積極的に促進し、総力を挙げて、瀬戸内全体の魅力向上、経済波及効果、雇用などの拡大につなげてまいりたいと考えております。  これら地域の継続的な事業促進に向けては、瀬戸内全体のマーケティング調査による需要傾向など基礎的な情報の共有、瀬戸内ブランド構築に向けた共同の広報活動、プロジェクトの担い手や観光関連人材の育成・確保、ネットワーク化、新たな事業に取り組むための資金確保などが課題であると認識しております。  このため、情報、人材確保・育成、資金などの課題を地域全体で共有し、行政だけでなく、民間を初めとするさまざまな主体と連携し、一元的に解決を図るための機能が必要であると考えております。  瀬戸内プラットフォームとは、こうした機能を発揮するための共通基盤をイメージしており、具体的な役割や組織形態、運営方法、県のかかわり方などにつきましては、来年度、先行事例や専門家などの意見も踏まえながら検討し、方向性を明らかにしてまいりたいと考えております。 11: ◯議長(林 正夫君) 農林水産局長冨永嘉文君。         【農林水産局長冨永嘉文君登壇】 12: ◯農林水産局長冨永嘉文君) 農商工連携の推進についてお答えいたします。  農林水産業の競争力の強化を図るためには、生産から販売までが一体となった取り組みが重要であり、地域資源を活用した商品開発や新たな販路の開拓などが必要であると考えております。  このため、平成二十一年七月に、生産者団体、流通・食品関係事業者をメンバーとする広島県農産物販路開拓協議会を設置いたしまして、県内農産物に対する需要動向調査やニーズに対応した販売戦略などを検討してきたところでございます。  こうした中、近年、広域合併した商工会におきまして、農商工連携強化を新たな取り組みとして位置づけ、農林水産物などの地域資源を活用した商品開発や、展示商談会への出品による販路開拓などの支援事業を実施しているところでありまして、今後とも、こうした取り組みを支援してまいりたいと考えております。  また、農業経営者の経営スキルの向上を図るためのビジネス研修や、生産者と実需者をマッチングさせるコーディネーターの設置、あるいは加工・流通業者等のニーズに対応した大規模野菜経営モデルの構築などに取り組むことによりまして、農商工連携につながる人材の確保とスキルアップを図ってまいりたいと考えております。 13: ◯議長(林 正夫君) 健康福祉局長佐々木昌弘君。         【健康福祉局長佐々木昌弘君登壇】 14: ◯健康福祉局長佐々木昌弘君) 三点、ドクターヘリ、児童虐待、東部地域の療育体制についてお答えいたします。  まず、ドクターヘリの運航と近隣県との連携についてです。  今年度、県が設置している、専門家から成るドクターヘリ的事業に関する協議会におきまして、現行事業の検証とヘリコプター搬送に対する潜在的な需要等に関する調査を行い、先般、今後の方向性を含め、報告書をまとめていただいたところでございます。  平成二十一年度において、県内の救命救急センターへ搬送された重篤なケース全体における死亡割合は九・二%であるのに対して、同報告書によれば、ドクターヘリの対象になると考えられる、救急車で搬送に三十分以上要した重篤なケースにおける死亡割合は一八・五%となっております。同じ集団のデータではなく、単純には比較できませんが、ドクターヘリの導入による救命効果といたしましては、死亡率の大幅な改善が見込めるものと考えております。  また、ドクターヘリの潜在需要は、同報告書では、平成二十一年度の実績ベースで二百七十三件と見込んでおり、救命効果以外にも、救急医療における後遺症の軽減や、病院間搬送による高度医療に関する医療連携、さらには災害発生時の医療救護活動の充実が図られるものと考えております。  なお、来年度、導入に向けた準備委員会におきまして、県境を越えた迅速で効果的な運用についても検討を行いますとともに、近隣県との協議を進め、広域的な救急医療体制の確保に努めてまいります。  次に、児童虐待防止対策の強化についてです。  児童虐待防止法に基づく立入調査や臨検などの権限は、特例条例により、知事から市町の長に移譲することは可能となっております。  一方、立入調査や臨検で虐待が確認された場合に必要となる、児童福祉法に基づく一時保護などの権限は、知事ではなく児童相談所長に付与されておりますことから、市町の長に権限移譲はできないため、市や町が児童相談所を設置することが必要となります。  現在、県内では、県と広島市のみが児童相談所を設置しておりますが、一定の人口規模を有し、体制が整った市から設置を希望する申し出があった場合には、児童相談所設置市として政令指定されるよう支援してまいりたいと考えております。  また、虐待の未然防止等の対策といたしましては、福山市の事案を踏まえて、昨年十二月に外部有識者から成る検証委員会で取りまとめられました報告書を受け、来年度は、相談業務に従事する市町職員への研修の拡充、児童の安全確認のための体制強化など市町の地域の実情に応じた取り組みに対する助成制度の新設、地域ぐるみで取り組む市町や関係機関からなる協議会の機能強化や積極的活用、児童養護施設の専門性等を活用して二十四時間、三百六十五日相談に応じる児童家庭支援センターの新設などを通じまして、より積極的に市町をバックアップしてまいります。  次に、東部地域における療育体制の整備についてです。  先月、県が策定いたしました県立福山若草園整備基本構想においては、利用者に安心と信頼を提供できる施設、地域に開かれ、地域とともに歩む施設を基本理念として、同園の機能強化を図ることとしております。  具体的には、入所が必要な重症心身障害児・者の受け入れ定員を四十四名から六十名に、通園できる重症心身障害児・者の受け入れ定員を五名から十五名に増員するなど、量的な拡充を図りますとともに、超重症児等に対応できる医療体制の整備、発達障害等の外来診療体制の充実、施設機能の地域への開放などにより、質的な充実も図ってまいります。  県といたしましては、福山市内に、仮称と聞いておりますが、こども発達支援センターの整備が検討されるなど、東部地域の各市町における取り組みも進んできておりますことから、今後、関係機関や市町と緊密に連携を図りながら、東部地域における療育体制の整備を推進してまいります。 15: ◯議長(林 正夫君) この際、暫時休憩いたします。午後の会議は一時から開きます。         午前十一時五十二分休憩              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         午後一時一分開議 16: ◯議長(林 正夫君) 出席議員五十六名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続いて質問を行います。蒲原敏博君。         【蒲原敏博君登壇】 17: ◯蒲原敏博君 皆さん、こんにちは。民主県政会の蒲原敏博でございます。会派を代表して質問いたします。  昨年、湯崎知事は三人目の子供さんの出産で育児休暇をとられましたが、随分世間で話題となりました。その中で、今や喝采政治の旗頭で、地域政党を立ち上げて、知事みずからが議会を牛耳ろうとしている大阪の橋下知事から、これを世間知らずと評されたものですから、湯崎知事は、それに腹を立てられたかどうかはわかりませんが、「大きなお世話だ、ほっといてくれ。」と応酬されました。それを聞いて私は、すかっとした痛快な気持ちがいたしました。強い信念を持って何事にも積極的に対応される知事の一面をかいま見たような気がいたします。  また、湯崎知事は、知事就任の最初の議会でも、「より多くの県民の皆様の将来の利益につながると判断される場合には、従来の考え方にとらわれることなく、勇気を持って改革を続けてまいりたいと考えております。」と答弁されておられます。まことに頼もしい限りの決意表明だと受けとめています。  さて、新しい年を迎えましたが、日本の政局は何とも気の重い毎日ではありませんか。一九五五年以降続いた自民党の長期政権が名実ともに終わり、我が国の戦後政治における劇的、歴史的な政権交代が実現し、それから一年半が経過いたしました。  「国民の生活が第一」、「自立した外交」を掲げた民主党新政権でしたが、正直言って、期待が失望に変わったと思われる国民は少なくないと思います。  せっかく政権交代を果たした民主党が、もたもたしながら党内抗争に明け暮れているようでは、国民から見ても日本の前途は開かれないような気がいたします。  いみじくも、自民党の中曽根元総理大臣は、このような民主党の政治を、「狡知に欠ける。新米だ」と評しています。狡知とは、悪賢い知恵のことで、さしずめ自民党の政権なら悪賢くうまくやれるのにと言いたかったのかもしれません。  いずれにいたしましても、六十年近くも続いた自民党政治の功罪のことは棚に上げて、わずか一年半足らずの民主党政権に対して、余りにも性急に結果を求め過ぎるのは気の毒な気がしてなりません。  財政的にも危機的な状況に追い込まれている日本を元気で活力の出る国にするために、党利党略に走ることなく、与野党がもっと実りある論戦を闘わせて、協力し合うことができないものかと思うのは、私だけではないと思います。  そこで、我が国の来年度の予算案を見てみますと、入ってくる税金はわずか四十兆九千億円しかないのに、九十二兆四千億円の予算を組んでいます。足りない分を賄うために国の借金である新規国債を四十四兆三千億円も発行し、税収を超える借金に頼る異常な予算編成になっています。国債を中心にした国の借金の残高は、来年の三月末で九百七十三兆円にも達すると言われています。こんな膨大な借金をどうやって返済できるのでしょうか。気が遠くなるような話です。  一方、少子・高齢化もどんどん進んでおり、二〇一〇年、昨年の国勢調査の速報値を見てみましても、人口減少時代の本格的な到来がわかります。  広島県の減少は二万七十六人でしたが、湯崎知事も、地域社会の活力を維持するため、新たな仕組みが求められていると述べられているように、人口減少社会に突入した広島県も人口減少対策にどう取り組むのか、待ったなしの施策展開が求められていると思います。  人口減と並行して高齢化も進んでいます。日本では、年金を受給し、医療・介護費がかかるお年寄りがふえ、年金、医療、介護などの社会保障にかかる費用はふえ続け、深刻な財源不足に陥っています。  また、雇用形態や家族のあり方も大きく変わり、核家族化が進み、ひとり暮らしの高齢者がふえ、家族がお年寄りの生活を支える家庭は減少しています。さらに、終身雇用制度が崩れ、不安定な非正規労働者が働く者の三割を占めるような雇用環境の中で、広島県の失業率も依然として高水準にあり、生活保護を受ける世帯はふえ続けています。  このような経済・社会環境の中にあって、湯崎知事は、就任二年目の新年度予算案をこの二月予算議会に提案されています。税収が減り、社会保障費が増大し、借金である県債残高が県財政を圧迫している状況は、国の状況と少しも変わりません。  何しろ、本県の平成二十一年度の経常収支比率が九二・二%ですから、この予算編成で知事自身が自由に使えるお金が、わずか二十三億円しかなかったというのは気の毒な話でございます。  十年連続のマイナス予算の中で、十年後を展望した県の施策の方向性を示した「ひろしま未来チャレンジビジョン」に基づき、人づくり、新たな経済成長、安心な暮らしづくり、豊かな地域づくりの四分野に重点配分したとされています。知事就任二年目のことしを、仕込みと基盤づくりから実行の年、県が新しい一歩を踏み出す重要な年と強調されています。  そこで、菅総理大臣も発言されていますが、「一に雇用、二に雇用、三に雇用」と言われるほど、雇用の確保は政治の最大の課題です。地域経済の活性化と雇用創出のための施策は、広島県にとっても最も大きな課題だと思います。広島県内の完全失業率は、七月から九月期、平均で四・一%、六万人の人が職を求めているばかりでなく、新規学卒者の就職内定率も極めて厳しい状況下の中で、雇用の場を創出することは政治の責任であります。  確かに、現在、国の施策として、緊急経済・雇用対策事業で六カ月という短期の雇用を提供していますが、あくまでもつなぎにしかならず、安定した就労を希望する失業者の要望にこたえるものにはなっておりません。つなぎの雇用が終了した労働者が正規雇用に就労した例は、ほんのわずかしかありません。  現在の状況下のもとで、何よりも大きな課題がある当面の雇用環境の改善に向けて、新年度予算の中でどのようにして雇用の拡大を図ろうとしているのか、具体的な施策とその成果目標について明らかにしていただきたいと思います。  また、新たな経済成長について、県内の事業所数がこの十年間で一万五千カ所も減少している状況の中で、地域経済の活性化をどのように図ろうとされているのか、新年度予算の中で具体的な施策と、その成果目標についてお尋ねいたします。  なお、安心な暮らしづくりの分野で、住宅リフォームや増築の際に経費の一部を県が補助する住宅リフォーム助成制度をスタートさせる予算案が計上されています。長引く不況で苦しむ中小零細業者の仕事をふやし、地域経済を活性化させる上で、大いに効果が期待されています。いささか予算額が少ないのが心配ですが、新制度の扉が開かれたことは大いに評価したいと思います。今後、制度が執行されれば、予算が足りなくなることは必至だと思いますので、今後さらに予算の拡充を求めてまいりたいと考えています。  次に、広島版「産業革新機構」設立推進事業についてお伺いいたします。  投資事業有限責任組合への出資金として四十億円が予算計上されています。規模としては、民間等からの投資を含めて百億円規模の投資ファンド、広島版「産業革新機構」をスタートさせようとするものです。国と民間企業の出資で、一昨年七月にできた株式会社産業革新機構がモデルになっていると伺っています。湯崎知事の選挙公約である新規企業・新産業の活性化という政策の実現を図ろうとするものだと思います。  しかし、県民の皆さんから見ますと、ファンドという響きからは、村上ファンドやホリエモンを連想させ、何となくいかがわしく、インチキなマネーゲームを思い起こす方も少なくないと思います。  しかし、アメリカなどでは、ファンドの責任者となることは、経営者の究極の目標として社会からも高い評価を受けています。  県の説明によれば、県内には中長期的に出資する民間ファンドは少なく、県外からのファンド投資も少ないため、新しい技術やアイデアを持ちながら、資金や経営体制が不十分であり、企業を起こすことが困難で、新たな事業展開に苦しんでいるという現状があります。  ファンドへは民間等からの出資を募り、資金に困っている企業への投資で成長を促すとともに、技術や人材提供、マーケティングなどの経営にも参加し、多面的に支援することによって、県経済を元気にしようとする事業として、大いに期待するところでございます。  歴史をひもとけば、ファンド事業で地域おこしをして成功した事例は、日本でも江戸時代にさかのぼりますが、当時、財政難にあえぐ藩の財政を再建するために、朝鮮から磁器の創始とされた李参平を佐賀県の有田町に招き、有田焼を世に出して、全国にその名が知られ、今日に引き継がれています。石川県の加賀藩における九谷焼もしかりで、藩の財政再建のために貢献し、領民が豊かな生活を送れるようになるなど、今日までその名声が受け継がれているものでございます。  リーマンショックによる世界不況が続く中、日本もその影響を受けて、ことし三月の県内の大学や高等学校を卒業する学生の就職内定率は、昨年末現在で大学が六四・八%、高等学校で八二・九%となっており、とりわけ大学生にとっては極めて厳しい状況が続いております。世界不況を受けて、企業の数がどんどん減少する中で、就職するところがない学生の受け皿をどうつくるのか、県の責任は極めて重いと考えます。  リスクを恐れて何もしないのが一番怖いと発言された経営者がおられますが、今日の県の状況を考えますと、知事が提案されたこの事業が、企業の成長に貢献し、雇用拡大効果をもたらすものとなるよう、県が支援していくことが重要だと考えます。  そこで、午前中にも丁寧な説明と答弁がありましたが、この事業にかける知事の決意のほどを改めてお聞かせいただきたいと思います。  次に、農業振興に真剣に取り組んでおられる農家の皆さん方のために、農業問題について質問したいと思います。  平成五年の米の輸入自由化に伴い、平成七年からミニマムアクセス米が輸入されており、その結果、米の産出額はこの間、三兆二千億円から一兆九千億円にまで激減しています。販売農家戸数も平成二年には約三百万戸あったものが、平成二十二年には約百六十万戸に、この二十年間で四五%も減少しています。主業農家の数も八十二万戸から三十五万戸になり、この二十年間で六割近くも主業農家がなくなっています。このように、米の自由化だけでこれほどの影響が出ています。  また、平成十一年には、食料・農業・農村基本法という法律が制定され、少数の担い手による大規模化を推進するという発想のもとで、対象を担い手に限定した品目横断的経営安定対策が平成十九年度に創設されました。  この基本法ができた当時の日本のカロリーベースでの食料自給率は四〇%で、平成十二年三月に、この法律に基づき策定された食料・農業・農村基本計画では、平成二十二年度に四五%に引き上げるという目標が出され、その後の計画見直しで五〇%に上方修正されました。あれから十年がたちましたが、平成二十一年度の日本の自給率は四〇%で、全くふえていません。目標を掲げるばかりで、まともな対策がとられていませんから、このようなありさまです。  また、五年ごとに見直しされる基本計画の最新版が、昨年三月三十日、当時の鳩山内閣で閣議決定されています。その内容の一つ目は、食料の安定供給は国家の最も基本的な責務であるとしています。もっともなことです。二つ目は、基本的には、この食料・農業・農村政策を国家戦略とするとあります。三つ目は、国民全体で農業・農村を支えるというものです。  この基本計画を継承・発展させるべき民主党政権の菅首相は、先般の施政方針演説で、平成の開国と称して、アジアの成長を我が国に取り込むその方策として、環太平洋連携協定、いわゆるTPP交渉参加に向けた協議を表明されたところでございます。  TPPとは、農産物を含めて、すべての品目の関税を原則ゼロにするという協定です。もし、TPP参加が現実のものとなれば、大規模農業国アメリカなどから農産物が津波のように日本に押し寄せ、食料自給率の向上どころか、農業・農村が壊滅的な打撃を受けることは明らかです。国の独立の基礎である食料自給率は完全に踏みにじられ、国土の荒廃はさらに一挙に進むでしょう。  農林水産業は、国民に安全な食料を安定的に提供する機能に加えて、自然環境、国土保全にとってもなくてはならないものです。また、地方経済においても基幹的な産業であり、多くの人たちがこれによって経営と暮らしを維持しているのであります。  問題は農業にとどまらず、TPPは関税の原則撤廃であり、物、金、人の移動が完全に自由化され、経済的には国境がなくなることを意味します。  外資による我が国の優良企業や技術の買収、支配が野放しとなり、農林水産物だけでなく、ありとあらゆる海外商品があふれ、また、労働市場も一体化され、この間進められてきた介護士などへの移民の導入拡大で国内賃金はさらに低下が避けられなくなると思います。これでは、中小零細企業や商店街は、より深刻な状況へと追い込まれます。  今のままでも、日本の食料自給率を四〇%から五〇%に引き上げるのは容易でないと言われている日本が、TPPに参加すれば、農林水産省の試算でも食料自給率は四〇%から一三%に急落し、米の生産高は九〇%近くも落ち込み、農林水産物の生産額は四兆五千億円も減少するとしています。  ちなみに広島県では、県がその影響について試算されていませんので、JA広島中央会が試算されているのを拝見しました。県の農業産出額が千七十三億円あったものが五百七十三億円にまで減少して、ほぼ半額になる壊滅的な打撃を受けるとされています。  自給率が四〇%まで下がっている日本が、関税を一〇〇%撤廃して自由化するのは、納得ができないという声があるのは当然で、とりわけ知事が、TPP参加に賛意を表明されていることに対して、農業関係者からは心配と厳しい声が出されています。  知事として、TPP参加表明の真意と広島県の農業振興をどのように進めようとされているのか、お伺いいたします。  次に、広島高速五号線についてお伺いいたします。  御承知のとおり、昨年四月に、広島高速二号線と三号線の一部が開通し、広島都市圏の高速道路網がさらに一歩前進したところでございます。広島港から広島空港までが高速道路で結ばれ、その経済効果が大いに期待されるところだと思います。強いて申し上げれば、通行料金が高過ぎるということぐらいでしょうか。  さて、残るのは高速三号線の一部と五号線だけとなっています。高速五号線四キロの道路を建設するに当たっては、いわゆる二葉山トンネル一・八キロの建設をめぐって多くの住民からトンネル建設に強く反対する意見が表明され、住民のトンネル建設絶対反対運動が続いています。  私は、これまでに、一昨年の一般質問、昨年の予算特別委員会でこの問題を取り上げ、なぜこんなに無謀で多くの住民を犠牲にするような道路建設を強行しようとするのか、反対される多くの住民の皆さん方の正当な理由をるる述べてまいりました。  そこで、私は、完成したばかりの高速二号線の府中ランプをおりて、一直線に道路を何度か走りましたが、確実に五分以内で広島駅新幹線口に到着いたします。この間、距離にしてわずか二・三キロであります。高速二号線がこのようなルートで建設されて、府中ランプから広島駅新幹線口まで二・三キロで結ばれることは、計画段階で当然わかっていたことだと思います。  わざわざ、二・三キロの倍に近い高速五号線四キロの道路を新設する計画は、仮に二葉山トンネル問題がなかったとしても、県民の理解をいただけるものとは到底考えられません。なぜかといえば、この高速五号線は、四キロの道路を新設するために九百億円以上もの税金を使おうとしており、既に主だった用地買収のために五百億円余りのお金が、まるで湯水のごとく、何のためらいもなく使われています。ある特定の企業の約四千二百坪の土地を取得するために、三百二十億円余りの膨大な用地買収費を惜しげもなく使っています。  今日、県も広島市も財政難にあえいでいるとき、こんなお金の使い方をしてまで道路をつくることを県民は絶対に許さないと思います。有料道路の建設だから、建設費は広島高速道路公社が好き勝手に使えると思っているのでしょうか。  これまで高速道路建設のために、広島高速道路公社が使っている資金の調達状況を調べてみました。県や広島市の出資金や民間等からの借入金などを含めて、事業がスタートした平成九年度から平成二十一年度までで、三千三百十八億六千万円もの金を使っています。そして、これまでに通行料金の収入で返済している額は、百九十四億三千八百万円余りでございます。これは借入金総額のわずか六%足らずでございます。高速二号線と三号線の一部が開通する以前の平成二十一年度までの一年間の料金収入は、せいぜい年四十億円で、二号線と三号線の一部が開通した平成二十二年度の料金収入の見込みとして七十七億二千万円を計上していますが、今後、人口が減少していく中で、これまでの県と広島市の出資金の累計は七百五十三億七千五百万円で、返済は非常に厳しいと考えます。  有料道路とはいいながら、実態は、公社を隠れみのにして、税金をつぎ込んで道路をつくる以外の何ものでもございません。だから、こんなずさんで無謀な道路建設が行われるのだと思います。まことに県民に申しわけないと思います。  ましてや、この高速五号線の建設は、事もあろうに、五百世帯に余る住宅が密集している住宅団地の真下に二葉山トンネルを掘ろうとしているわけで、計画自体が前代未聞で、断じて許されることではありません。  確かに、現在、県と広島市は、一昨年末に二葉山トンネル建設に反対する住民の要求を受けて、その道の専門委員十六名から成る安全検討委員会を設置して、これまでに五回の委員会を開催し、トンネルを掘った場合の地盤の影響等について、専門家の委員の皆さんで協議が進められています。  これまでに委員会に提出された資料の中には、二葉山トンネルを掘ることによって住宅密集地の地盤は二十七・四ミリ沈下することが報告されています。ちなみに、福木トンネルを掘ったときには、広島高速道路公社は、地元説明会で地盤沈下は十五ミリ程度と予測しておきながら、実際にトンネルを掘りますと百八十二ミリもの地盤沈下が発生し、住宅に大変な被害をもたらしています。  しかも、二葉山トンネルが掘られる住宅団地は、四十年近く前に山を切り崩して、その土砂を谷に埋めて造成した、いわゆる大規模盛土造成団地なのです。国土交通省では、大規模盛土造成団地の地震時の安全性について指摘しており、自治体や住民に対して安全対策が強く求められている団地なのです。  知事は、昨年六月に現地を視察され、住宅が建っている十メートルにも及ぶ擁壁の中心部に切れ目ができ、膨らんで今にも崩壊しそうな造成団地の実情をしかとごらんになられたと思います。  今日、異常気象の中で、いつ、どこで発生するかもしれないゲリラ豪雨や大地震が万が一発生したとすれば、ひとたまりもなく、団地はもとより、団地周辺は崩壊の危機にさらされ、人命や財産は大変な被害を受けかねないと思います。  安全検討委員会の委員の中には、こんなところにトンネルが掘れるのかと懸念を示された方もおられると聞いています。高速二号線が完成し、府中ランプから二・三キロ、広島駅新幹線口まで五分で到着できる今となっては、もはや高速五号線という新しい高速道路を九百億円以上もかけて建設する理由は全くないと言わざるを得ません。安全検討委員会の議論を待つまでもなく、一刻も早く知事は、広島市と協議して高速五号線の建設を断念すべきであると考えます。知事の勇断を強く求めるものでございます。  そこで、知事の勇断を後押しする提案をこれから申し上げたいと思います。  私たち民主県政会は、昨年七月に竹原火力発電所の現地調査に行き、その後、竹原市役所に寄って、竹原市長を初め、市議会議長、地元住民の皆さんの出席のもと、県政について意見交換を行いました。そのとき、ぜひ県として力をかしていただきたいとして出された意見が、県は広島空港への軌道系アクセスについて大変御苦労されていますが、その対応策としては、JR新幹線の東広島駅と三原駅の間で、広島空港に最も近いところに竹原新駅を設置していただき、広島からでも、福山からでも、新幹線に乗れば二十分以内で確実に竹原新駅に到着でき、広島空港への軌道系アクセスとして機能を発揮できると考えます、県として、JR西日本株式会社に働きかけをして、竹原新駅設置の実現を図ってもらいたい、というものでした。  広島空港は、開港してことしで十八年目を迎えます。開港前の平成元年から、県は八億八千万円余りのお金をつぎ込んで空港への軌道系アクセスの調査研究をされましたが、何一つ結論が出ないまま、最近では、高速道路の土日の千円料金の影響で、年末年始を初め、五月の大型連休やお盆の里帰りなどのときは、高速道路は身動きのできないありさまです。リムジンバスの定時性は完全に失われ、バスの運休は広がっています。広島空港へのアクセス道路として高速五号線が必要だという主張は完全に破綻してしまったというのは言い過ぎでしょうか。
     知事は、このような渋滞状況になるのは限られた日数だけだと軽く受けとめておられるようですが、事は深刻だと思います。だからこそ、県は、昨年、広島空港アクセス対策ワーキング部会を立ち上げて、広島空港へのアクセスについて協議を進めているのだと思います。だとしたら、竹原市で私たちがお聞きした提案は、行き詰まった軌道系アクセスに活路を見出す、まことに実現可能性の高い提案だと考えます。利用者はJR新幹線を利用するわけですから、竹原新駅設置にJR西日本株式会社が反対するとは思われません。もちろん、竹原新駅から空港までのアクセスは、当然、県が整備すべきものと考えます。  竹原新駅設置について、県としてぜひ実現できるように取り組んでいただきたいと思います。あわせて、高速五号線については白紙撤回し、高速二号線府中ランプから広島駅新幹線口までの道路改良に全力を挙げていただきたいと思います。それによって、高速五号線としての機能と経済効果を上げることは十分可能だと考えます。  知事の成果主義を実現する立場からも、英断を期待するところですが、知事の御見解をお聞かせいただきたいと思います。  次の質問は、県立高等学校再編整備についてであります。  県立高校の統廃合が進み、小規模県立高校の地域の住民は、学校がなくなってしまうのではないかという強い不安を抱いておられます。小規模校の多くは、過疎の中山間地域と島嶼部にあります。過疎ゆえに小規模となった現実を考慮せず統廃合すれば、過疎化に拍車がかかることは必至です。  県立高等学校再編整備基本計画は、平成十三年に広島県高校教育改革推進協議会が答申した、県立学校における教育改革の推進についてが出発点です。答申には、過疎地域の学校の小規模化が進展することを予測し、適正な学校規模を確保するとともに、特色ある学校を、全県的な視野に立ち、適正に配置していくことが求められるとあります。この答申を受け、県立高等学校再編整備基本計画は策定され、学校規模の適正化は、少子化に伴って大規模校を解消し、小規模校を統廃合する方針が打ち出されました。しかし、全県的な視野に立った学校配置の適正化は、通学区域の見直ししか示されず、過疎化対策の視点はみじんもありません。  学校は、地域の文化の拠点です。昨年十月に策定された「ひろしま未来チャレンジビジョン」にも、豊かな地域づくりの分野に中山間地域の地域振興策がうたわれているではありませんか。過疎化対策の観点から、発想の転換が必要です。  答申の、全県的な視野に立った適正配置をいま一度考え、県立高等学校再編整備基本計画を見直し、今後の県立高校のあり方について幅広く県民に意見を聞き、新たな計画をつくり直すべきだと考えます。教育長の御見解をお伺いいたします。  次に、今年度から、生徒の多様な学習ニーズへの対応やお互いに切磋琢磨する機会の拡大など、教育活動の充実を図るとの趣旨で小規模県立高校間の連携推進事業が展開されています。しかし、この事業は、統廃合に向けてのステップではないかと、懸念が地域に根強くあります。  地域の声を踏まえ、この事業は学校存続を前提にしたものであること、統廃合は当面行わないことを明言していただきたいと思います。教育長の御見解をお伺いいたします。  また、授業交流について、兼務発令された教員が、連携校には授業のときにしかおらず、生徒が質問したいときにはいない、連携校での成績会議への出席や追指導が困難と、教育効果を疑問視する声も聞いています。  教育委員会として、この事業のメリットとデメリットを提示し、メリットは伸ばし、デメリットを克服する施策を打ち出すべきだと考えます。教育長の御見解をお伺いいたします。  最後に、犯罪をなくし、県民の安心・安全なまちづくりを推進する立場から、一行政区一警察署体制の整備について知事にお伺いいたします。  県が平成十八年度に策定した総合計画には、広島市内における一行政区一警察署の導入に向けた計画的な整備が盛り込まれています。広島市佐伯区における警察署の新設が順調に進み、あと残された課題は、広島東警察署の東区内への移転でございます。  現在、中区に所在している広島東警察署は、所管している東区や安芸郡府中町からのアクセスが不便で、事件・事故への迅速な対応や住民の利便性を考えると、東区内に整備されることが強く求められています。また、現在の広島東警察署の庁舎は、狭隘で設備も古く、老朽化が著しく、加えて駐車場も狭く、一刻も早い移転整備が急がれています。しかしながら、東区内に警察署を建設するのに必要な相当な広さの土地は見つかりそうにもありません。  そこで、タイミングよく、現在、JR広島駅北口の再開発事業の中で、一等地にある中国財務局所有の土地、六・八ヘクタールの利活用が検討されています。東区に所属するこの場所に広島東警察署が設置されれば、警察業務を遂行する上で機能を十分に発揮できる好立地であることは間違いありません。財政的にも極めて厳しい状況にあることは十分承知していますし、移転用地については幅広く検討していく必要があることも理解できますが、広島東警察署の移転用地については、ぜひとも、このJR広島駅北口の再開発事業の土地を最優先に検討していただきたいと思います。  現に、県は今年度の予算で、このJR広島駅北口の土地を六千平方メートル取得して高精度放射線治療センターを整備し、平成二十六年度の開設を目指そうとされておられます。がん医療の拠点として、県民の御要望にこたえようとされているわけです。  この際、あわせて、広島東警察署の用地を先行取得していただき、県民の安心・安全と犯罪のない広島県づくりのために、県民の信頼と期待にこたえていただきたいと思います。知事の決断をお聞かせいただきたいと思います。  以上で、私の質問は終わります。御清聴、まことにありがとうございました。(拍手) 18: ◯議長(林 正夫君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 19: ◯知事湯崎英彦君) まず、雇用環境の改善に向けた施策等についての御質問でございます。  本県の雇用情勢につきましては、有効求人倍率が上昇傾向にあるなど、一部に改善の兆しが見られるものの、依然として厳しい状況が続いております。  このような状況の中で、県民の皆様の暮らしを守っていくためには、臨時的な雇用の創出など緊急的な取り組みに加えまして、安定的な雇用につながる対策を実施していくことが重要であると考えております。  新年度におきましても、市町と連携して新規雇用の創出を目指すとともに、安定的かつ長期にわたる雇用を確保する観点から、人材不足感の強い福祉・介護、農林水産の分野を担う人材育成や就業の促進、経営革新に取り組む中小企業における即戦力となる人材の確保、さらには過去最大規模の職業訓練を実施いたします。  また、新規学卒者につきましては、来年度も厳しい雇用情勢が続くと見込まれますことから、国や関係団体等との連携による就職面接会を充実するほか、今年度増員した求人開拓員や就職支援専門員による求人ニーズの掘り起こしなどにも、引き続き積極的に取り組んでまいります。  あわせまして、中長期的には、成長力のある産業を創出することにより雇用の拡大を図っていくことが必要であると考えております。  次に、地域経済の活性化に向けた施策等についての御質問でございます。  人口減少、少子・高齢化や経済活動のグローバル化が急速に進む中、将来にわたって本県経済の活性化を図るためには、即効性の高い緊急経済・雇用対策に加えて、中長期的な観点に立って本県産業の競争力強化に取り組むことが重要であると考えております。  このため、新年度におきましては、県政運営の基本方針において、具体的な成果目標ともなる五つの柱を立てて取り組みを進めることとしております。  その第一は、経済波及効果や雇用創出効果の早期の具現化でございます。  「瀬戸内 海の道構想」の推進を初めとする観光・交流産業の振興、あるいは、企業誘致などによる県内投資の拡大・促進などに取り組んでまいります。  第二に、イノベーション力の徹底強化については、県内企業の付加価値と競争力を上げるためのイノベーションマインドの醸成や知的財産の活用支援、生産から販売までが一体となった買い手のニーズにこたえる農林水産業への転換等に取り組んでまいります。  第三ですが、成長事業への集中的支援でございます。これにつきましては、太陽電池や環境など、成長が見込まれる分野における企業や事業の育成・支援、そして、広島版「産業革新機構」の設立などに取り組んでまいります。  第四に、海外市場をターゲットとした戦略といたしまして、成長著しい中国やインドをターゲットとした県内企業の海外展開支援、定期航空路線や物流機能の強化などを図ってまいります。  第五に、新たな成長を促す産業人材の育成・確保につきましては、県内企業の競争力を強化し、新たな産業に挑戦していくために必要な経営人材やグローバル人材の育成、理工系大学生の県内企業への就職促進などに取り組んでまいります。  こうした取り組みを実施することによりまして、地域経済を活性化させ、雇用の維持・創出に努めてまいりたいと考えているところでございます。  次に、広島版「産業革新機構」についての御質問でございます。  人口減少や高齢化、経済活動のグローバル化など、社会経済情勢が今までにないほど大きく変化する中にあっては、新たな発想を持って変革にチャレンジすることがピンチをチャンスに変える契機になると考えております。  このままでは人口減少による経済の縮小が懸念される中、広島版「産業革新機構」は本県の経済発展に向けた原動力の一つとなる新たな挑戦として取り組むものであります。  私としては、このように、本県産業の置かれている厳しい状況のもとでは、企業の新たな事業展開への支援を通じてその成長を加速させ、もって本県経済の成長を図ることは、喫緊に取り組むべき最重要な政策課題であると認識しておりまして、広島版「産業革新機構」を通じてその課題に強力に対応してまいりたいと考えております。  TPP参加表明の真意と本県農業の振興についての御質問でございます。  TPPに参加することは、アジア太平洋地域の成長を我が県あるいは日本に取り込んで、日本経済を活性化するための原動力になると期待されております。  こうした中で、自動車産業など、グローバル経済に強く連鎖した輸出型産業のウエートが高い本県におきましては、関税が原則撤廃されることにより、輸出が拡大するなど、国際競争力の強化や県内生産の維持に寄与するものと考えております。  一方で、関税の撤廃に伴いまして、米などを初めとする安価な輸入農産物の増加が予想され、稲作を中心とする零細な個別経営が大半を占める県内の農業には少なからず影響があると思われることから、農業の経営体質の強化に早急に取り組まなければならないと考えております。  TPPの参加問題につきましては、こうした状況を考慮しまして、十分な国民的議論を経て方針決定される必要があると考えております。  本県農業の振興につきましては、農林水産業チャレンジプランに基づきまして、生産から販売までが一体となった持続的な農業の確立を目指して、農地の集積や整備などによる、地域の核となる経営力の高い担い手の育成、あるいは加工業務用に対応できる、新たな産地育成などによる「つくったものを売る」から「売れるものをつくる」生産体制の確立、そして、流通体制の高度化や、いわゆる農商工連携などによる産地と実需者や産地と産地が連携する仕組みづくりなどを推進することによって、競争力の強化に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、広島高速五号線建設計画等についての御質問でございます。  広島高速五号線は、広島市中心部から広島空港へのアクセス性の向上を初め、県の東部地域との連携強化や周辺の一般道路の交通混雑の緩和、広島駅周辺の開発促進への寄与など、広島都市圏の中枢拠点性の向上を図る上で重要な役割を担う自動車専用道路でございます。  このため、平成二十五年度の完成を目指して事業を進めているところでございますが、トンネル建設につきまして地域住民の方の不安の声があることから、現在、学識経験者で構成されます検討委員会におきましてトンネル建設に伴う安全性について検証を進めているところでございます。  御指摘の、高速二号線府中ランプから広島駅新幹線口までの一般道路につきましては、現況で交通が混雑している状況にあり、仮に道路改良を実施したとしても、信号交差点が連続することから、高速性・定時性にすぐれた都市交通基盤としては不十分であると考えております。  県といたしましては、検討委員会におきまして高速五号線のトンネル建設に伴う安全性の結論が早期に得られるよう努めるとともに、この結論を踏まえて適切に判断してまいりたいと考えております。  また、御提案のございました竹原新駅の設置につきましては、新幹線の駅間の距離が短くなる、あるいは、駅建設のための経費が原則として地元負担となるなどの課題がございます。さらに、現在のJR白市駅経由のアクセスルートと比較して、広島からの所要時間や頻度、また、その頻度からくる待ち時間等を総合的に勘案しますと、必ずしも優位性があるものではないと考えられているところでございます。  最後に、一行政区一警察署体制の整備についての御質問でございます。  広島市域におきましては、行政区と警察署の管轄区域が一致していないことから、住民にとって管轄区域がわかりにくい、警察署と行政機関との連携が図りにくいなどの問題点が指摘されているものと承知しております。  こうした問題点を解消するため、現在、仮称ではございますが、佐伯警察署の新設整備を進めております。  御指摘の、広島東警察署移転のための用地取得につきましては、全体の整備状況及び財政状況を見きわめつつ、今後幅広い視点で進めてまいりたいと考えているところでございます。 20: ◯議長(林 正夫君) 教育長榎田好一君。         【教育長榎田好一君登壇】 21: ◯教育長榎田好一君) 県立高等学校の再編整備について、三つのお尋ねがございました。  まず、県立高等学校再編整備基本計画の見直しについてです。  高等学校の生徒の減少が進む中で、生徒がお互いに切磋琢磨しながら活力ある学校生活を送ることができるよう、本県では、県立高等学校再編整備基本計画を策定し、魅力と活力ある学校づくりを進めてまいりました。  こうした取り組みなどにより、全県的に学力が向上し、中山間地域におきましても、近年、特色ある学校づくりが進むとともに、生徒が希望する進路を実現する取り組みが充実してきているところでございます。  現行の計画は、平成二十五年度までを計画期間としており、今後の県立高等学校のあり方につきましては、県民からの御意見を踏まえて検討を行うことが大切であると考えております。  このため、本年度は、教育改革推進懇談会や教育の日のフォーラムにおいて、高等学校教育をテーマとして、PTA、産業界、私立学校などの関係者から広く意見を伺ったところでございます。  また、これまでも学科改編や小規模校の学校間連携などの実施に当たっては、地元の関係者の意見を丁寧に伺っているところでございます。  教育委員会といたしましては、今後とも、幅広く意見を聞くことにより、県民のニーズにこたえる魅力と活力ある学校づくりを進めてまいりたいと考えております。  次に、小規模県立高校の統廃合についてです。  学校間の連携を効果的に進めていくためには、地域の方々の御協力をいただきながら進めていくことが大切であると考えており、市町や学校関係者などに、事業の目的や内容などに加えて、この事業が統廃合を前提に行うものではないことを丁寧に説明してきております。  こうした取り組みの結果、平成二十三年度には、小規模校の半数を超える学校において連携事業を実施することとなり、この事業が小規模校の充実策であることについて理解が進んでいるものと受けとめております。  教育委員会といたしましては、入学者数などが極端に減少して、統廃合などその学校のあり方について検討せざるを得ない状況とならないよう、この事業にしっかりと取り組み、学校の活性化を支援してまいりたいと考えております。  次に、小規模県立高校間の連携推進事業のメリットとデメリットについてです。  学校間の連携事業における授業交流は、教員が、みずからの専門性の高い科目を連携する学校で相互に教えるものであり、教員の意欲と授業の質の向上につながるものと考えております。  授業交流を実施している学校では、生徒から、授業が詳しくてわかりやすい、保護者からは、他の教科でも授業交流をしてほしいといった声が寄せられております。  本年度の事業開始に当たっては、決定から実施までの間に両校での準備期間が十分とれず、授業時間を中心に調整したことから、生徒の質問時間を設けるなどの工夫が難しかったという面がございました。  次年度に向けて、教育委員会といたしましては、より効果的な授業交流を行えるよう必要な支援に努めるとともに、連携校の校長間で時間割りなどを事前に調整するなど、しっかりと準備を進め、取り組みの充実を図ってまいりたいと考えております。 22: ◯蒲原敏博君 議長……。 23: ◯議長(林 正夫君) 再質問を許します。蒲原敏博君。 24: ◯蒲原敏博君 広島高速五号線と広島東警察署の移転について、二点ほど再質問いたします。  高速五号線の知事の答弁を聞きますと、もう五号線は必要なのだ、安全検討委員会がどういう結果を出そうが、五号線はつくらなければいけないのだというふうに私には聞こえるのですが、それは間違いでしょうか。検討委員会で、もし、安全ではないから掘れないとなったら、五号線はつくれません。にもかかわらず、五号線は必要だということを非常に強調されるところが心配です。  それから、今、安全検討委員会がどういう状況になっているかということを御存じですか。ですから、その二つをもっときちんと受けとめて、もう少し客観的に、住民の皆さん方の声をしっかり受けとめて行政対応をしていかないといけないと思います。二・三キロの一般道路ではだめだと言われたが、知事はそこを自動車で通られたことはありますか、そんなに混雑していないので、わざわざ一千億円もかけて新しく道路をつくる必要性は全くないということをもう少し謙虚に受けとめてもらいたい。先ほどの知事の答弁は、五号線は何が何でも必要だと、つくらなければいけないのだというふうに受けとめられます、そうではないということを、再度、知事のほうからきちんと答えてもらいたいと思うのです。  もう一点、警察の問題です。今、この機を逃したら、JR広島駅新幹線口の再開発事業の用地を取得することはできないのです。今からゆっくり考えて適切に処置しますと言うのではでなくて、期間が限定されていますから、そういうことで受けとめていただけないかという思いで質問させてもらったのです。今から悠長に警察署の用地は探しますと、それはそうでしょう。それはいいのですが、今、この機を逃したら、中国財務局が持っている新幹線口のあの六・八ヘクタールの土地は、もうすぐ用途が決まってしまうのですから、やはり県のほうできちんと先行取得していただく、移転は何年先になるかわかりませんけれども、今のこの機を逃したら土地の確保はできないのではないかという思いです。この思いは、私だけではないのです。東区選出の間所議員も緒方議員も皆言っているのです。私が代弁しているだけですから、皆、何回も質問したのです。そういうことです。 25: ◯議長(林 正夫君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 26: ◯知事湯崎英彦君) まず、広島高速五号線の安全検討委員会についてでございますけれども、県としては、先ほども申し上げたように、まず、安全性について検討委員会においてしっかりと検討していただいて、その結論を早期に得られるように努めた上で、この結論を踏まえて適切に判断したいと考えているところでございます。  それから、安全検討委員会の進捗状況につきましては、現在、植生調査の調査計画案を策定しているところであり、また、ボーリング等の追加調査を行うことが決定されているところでございまして、次回の委員会については、これらの結果を整理した上で開催されるというスケジュールが組まれていると認識しているところでございます。  それから、二点目の広島東警察署の件でございますけれども、これにつきましては、東警察署を仮に移転する場合に、どの場所がよいかということにつきましては、まだ結論に至っていないという点、それから、警察の各施設の整備に当たりまして、老朽化した施設とその優先順位について総合的に勘案して整備を図る必要があると考えているところでございます。 27: ◯議長(林 正夫君) 明日も引き続いて質問を行います。明日は午前十時三十分から会議を開きます。  本日はこれをもって散会いたします。         午後二時三分散会 発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...