7:
◯要望(
福知委員) 県の進め方として、集落法人、農業法人等も含めて稲作中心から収益性の高い野菜や園芸作物へ移行していこうということでありますので、まさにモデルになるような事業をしていただくよう、そして、次の雇用につながるようにしっかりとやっていただくようお願いします。
8:
◯答弁(
農林水産総務課長) 先ほど御質問のあった投資額でございますが、平成21年1月補正予算以降、平成21年12月補正予算まで数次にわたって予算を組んでおりまして、緊急雇用対策基金事業としましてはトータルで3億3,000万円となっております。
9:
◯質疑(
森川委員) この定例会に提案されております、農業用ため池の緊急調査について、お伺いします。
先日の
農林水産委員会で、島嶼部の干ばつに対する農業用水の重要性についてお尋ねしたところですが、ため池は農業用水を確保するために先人たちが大変な苦労の上、建設されたものと考えております。
今回、緊急調査を提案された理由には、ことしの豪雨災害の影響があったと考えられますが、まずは、ことしの災害でため池被害がどのくらい生じ、そして、どのような課題があると考えておられるのか、お伺いします。
10:
◯答弁(
農業基盤課長) ことし7月の梅雨前線豪雨によりまして、ため池の被害が約70カ所発生しております。
豪雨による異常出水や水位の急激な上昇などによりまして、ため池の堤防から漏水が生じたり、洪水箇所にある農業用の取水施設が破損して農業用水の確保が困難になったりした例がございます。また、ため池の決壊が懸念される中、下流の住民の皆さんが避難されるということが発生しております。
この件につきましては、管理者や市町も協力いたしまして、堤防開削をいたしまして決壊を未然防止するなどの対策を実施したところでございます。
ため池や農業用水を確保するための農業用施設は、仮に決壊いたしますと下流の住民の皆さんへの生命、財産に甚大な被害を与えるおそれがございます。
農業者の減少による管理体制の弱体化や施設の老朽化が課題であると認識をしておりまして、早期の改修が必要と考えております。
11:
◯質疑(
森川委員) 老朽化したため池の整備が課題であるとの回答であったと思いますが、今回の緊急調査で、どのような調査をして、また、その結果を今後どのような施策に反映していこうと考えておられるか、お伺いします。
12:
◯答弁(
農業基盤課長) 本県のため池は全国で2番目に多い2万183カ所ございます。平成12年と13年に、1,000トン以上の貯水量がある重要ため池について、老朽度合いを調査いたしました。その結果、約半数の2,166カ所において何らかの改修が必要ということでした。その後、部分的改修も含めて691カ所対応したところでございます。
今回の災害により被害が発生したため池40カ所について、すべてを一度に改修するということは困難な状況でありまして、計画的に進めていく必要があると思っております。
そこで、今回は、前回の調査後、まだ未改修となっている約1,500カ所のため池につきまして、その後に発生した豪雨によって、漏水や洪水吐きなどの施設の損傷が進んでいるのか、あるいは老朽度合いに変化があるのかどうかを緊急的に調査したいと考えております。
その結果について、老朽度合いや下流の状況、営農状況などを総合的に考慮し、今後の整備方針の判断材料にしていきたいと考えております。
13:
◯質疑(
森川委員) これまでにも多くのため池が梅雨や台風などの豪雨により被災しております。
また、先ほど
農業基盤課長の答弁の中にもございましたが、下流域の住民が不安を感じるとの声を私も聞いております。また一方で、ため池が上流からの土砂や流木を受けてとめたという例もあったと聞いております。
こうしたことを考え合わせますと、ため池というものは、農業用水を確保する役割とあわせて防災対策の役割も果たしていると思いますが、今後のため池の整備方針をどのように考えておられるのか、お伺いします。
14:
◯答弁(
農業基盤課長) ため池は、もともと農業用水の確保ということで整備されておりますが、農業支援策として改修する場合と、下流の住民の安全・安心を確保するための防災事業として改修する場合がございます。
また、あわせまして、管理者による適切な管理を支援していくということも大変重要であると考えております。
地球温暖化などによりゲリラ豪雨あるいは大型の台風が発生している状況から、今後とも防災的見地での対策が大変重要であると考えておりまして、次期活性化行動計画におきましても、そうした考え方を加味して検討しているところでございます。
15:
◯要望(
森川委員) このたびの次期活性化行動計画の中間取りまとめには、農山漁村地域の暮らしの安全・安心の確保のため、減災対策、未然防止対策として、ため池改修を進めると記載されております。
農林農村整備事業の予算を初めとする公共事業の関係予算が大きく減額されている中ではありますが、この緊急調査を早期に実施され、その成果を来年度の施策や予算に積極的に反映され、県民の安全・安心が確保されるよう要望いたします。
16:
◯質疑(
小林委員) 数点お伺いします。
まず、応急、復旧を含めた災害対策についてですが、9月29日の本会議で、我が会派の窪田議員が質問した、農業用施設や農地について農家の一部負担をもう少し軽減できないかということに対して、
農林水産局長は教科書どおりの答弁をされました。
しかし、私は、農業施設というものは公共施設に準じるものではないのかと思います。例えば、先ほどの質問にもあったため池についても多面的な機能を有しており、そうしたものについて、個人所有物なので負担せよというのは無理があるのではないかというような感じがしてなりません。
農業用施設についても、圃場整備した排水路を農家だけでなく一般の方も負担金を払わずに流しているというような状況を見ると、これはもう、公共性を帯びているものではないかと思うわけです。
農林水産局長の答弁が悪いのでも何でもないのです。農業施設の公共性について明確にしていない現行の制度が悪いのです。
そこで、やはり県として、幾らかの負担をしてもよいのではないかということを聞いたわけです。ぜひとも、その辺の素直な考えをお聞かせ願います。
17:
◯答弁(
農林水産局長) 本会議での質問・答弁というのは、とりわけ農地での負担ということであったかと思っております。
御案内のように、農業用施設につきましては激甚災害の指定を受けますと国庫の補助率がかさ上げされます。とりわけ農地は食料の安定供給という国民全体の便益を担っているという点から高い国庫補助率となっております。
一方で、個人財産であるということも否めません。したがいまして、一定の個人負担をお願いするということも、その他の個人財産の災害復旧にかかる経費と負担とのバランスからやむを得ないものであろうかと思いますが、今回のようにみずからの住居を失うといったような状況を踏まえた場合、県民感情として自己負担をお願いするということについては、やはり、考え直す余地があるのではないかと思います。
今回の事例につきましては、現行のままでやらざるを得ないと思いますが、今後、国の制度のあり方も含めて検討してまいりたいと思います。
18:
◯要望・
質疑(
小林委員) 農地、農業施設に関する補助については、農地の場合は国が96%負担し、残りを市が2%、受益者が2%負担しています。農業用施設については国が98%負担し、残りを市が1%、受益者が1%負担しています。県は全然負担していないわけです。やはりその辺をどのように受けとめるかということであると思います。
私は、現行の制度が間違っていると思うわけでありますので、時代に即応した形で、農地はともかくとして、農業用施設については税金で100%を負担するということを国に働きかけていただきたいと思います。
さて、恐らく採択にならなかった場合を想定して、今回の補正予算でも県単独事業の小規模崩壊事業が1億1,000万円ほど計上してあります。
この事業では、県と市町が2分の1ずつ負担し、そのうち市町負担部分の半分は所有者が分担するということで、個人の実質的な負担が4分の1になっております。
どうして、国は山地崩壊に対する補助金を出さないのか、お聞かせ願います。
19:
◯答弁(
森林保全課長) 委員のおっしゃるとおり、山地災害に対する県営治山としては、このたび、庄原市においても採択されている災害関連緊急治山事業がございます。これは、国庫補助により県営で行っている事業で、人家10戸以上等の被害があるものが採択要件となっております。このほかにも、災害発生の翌年度に行う復旧治山事業がございまして、人家10戸以上等の被害があるものが採択要件となっております。それから激甚災害に指定されますと、これも翌年度の実施ですが林地崩壊防止事業がありまして、人家5戸以上の被害が採択要件となっております。こういった県営の事業がございます。
5戸未満につきましては、先ほど委員がおっしゃったとおり、個人負担が必要とはなりますが、県単独事業である小規模崩壊地復旧事業があります。したがって、5戸未満1戸以上につきましては、あくまでも地元の負担をいただくという制度となっております。
限られた国費、県費の財源の中で、これまでの長い歴史の中で定まってきた、費用対効果を含めたこうした採択基準を今すぐ見直すというのは非常に難しいと思っております。採択要件の中には、農地、農土が10ヘクタール以上といったものもございます。これらを十分に加味して、できるだけ県営事業などで採択できるよう、運用面でしっかりと勉強し、対応してまいりたいと考えております。
20:
◯要望・
質疑(
小林委員) 5戸以上とか10戸以上とか、町なかであればわかりますが、中山間地というのは1軒ごとに点在しているわけです。例えば、10キロメートル以内の中で被害に遭われた方を集めたら10軒以上になるかもしれませんが、それではいけないのでしょう。
現行法でそうなっているのでほとんど採択されない、採択はあっても非常にハードルが高いといった状況の中で、職員の皆さんも大変なことになってくるということだろうと思います。
農村では若い人たちはまちへ出ていってしまい、お年寄りたちが残っている状況にあります。限界集落が多くなっている中で災害が起きたら、もう家を捨てて出ていくしかないわけです。災害が過疎化に拍車をかけてしまうというような状況の中で、やはり20~30年前の状況と今の中山間地の状況というのは全然違うと思うのです。
やはり、国に条件緩和を要望して、普通の災害においても林地災害防止事業については国が半分負担するように言ってほしい。これは中山間地域の願いであると思っています。ぜひともよろしくお願いします。
もう1点は、8月の
農林水産委員会で質問しましたが、災害によって次年度に作付ができなかった場合の対策については、いまだ答えが返ってきておりません。作付指数が出ており、そろそろ来年の生産調整へ入る時期ではないかと思います。8月25日に激甚災害の指定がなされたわけでありますが、災害査定は11月で、それから本設計に入るわけです。工事を発注するのは12月になるか来年になるかわかりませんが、そろそろ農家は支度をしないといけません。1月の終わりには種もみも注文しないといけません。そのとき県は農家に対して、絶対に植えつけができるからということを言い切れますか。その辺をお聞かせください。
21:
◯答弁(
農業基盤課長) 委員から御指摘のように、今回発生しました7月の豪雨災害によりまして、庄原市の先大戸、篠堂地区が特にひどい被害を生じております。場所によっては地形がわからなくなるぐらいの被害を生じ、あるいは土砂や流木によって農地や農業用施設が完全に流出しているというような状況が発生しております。
災害復旧事業に対応するということでございますので、当然、国の災害査定を通過しなければ採択されないという状況でございます。この作業が既に始まっておりますが、御指摘のとおり、この作業は、11月いっぱい、あるいは12月の初めまでかかるのではないかと考えております。
県としましては、そういった査定の進みぐあいを勘案すると、先ほど申しました被害の大きい篠堂地区やその上流部分につきましては、来年の作付が危ぶまれると考えておりまして、このことは地域の方も市当局も同様の認識でおられると思っております。
その部分について明確にし、できる部分について早急に地元あるいは市当局と相談させていただいて、最大限、来年の作付に間に合う面積を広げていきたいというように考えております。
22:
◯質疑(
小林委員) 無理なことは言わないほうがよいと思います。やはり、こうしたことは、信頼関係の問題であるので、不可能なものは不可能と言ったほうがよいと思います。
当然、着手しやすい下流から復旧していくという素人のようなことを言ってはいけません。農業用施設というのは上流から水を引っ張ってくるものです。途中の田んぼはどうなっていてもパイプラインだけ引いておけばよいという、そんなばかげたことはないはずです。
その辺もきちんと計画しながら、復旧できないところは制度改革や臨時的な措置を講じながら、こういう形で救っていくのだというものを明確にすべきであると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
23:
◯答弁(
農業基盤課長) 先ほどお答えしましたのは、篠堂地区については地形が変わるほどの大きな被災であり、地域の皆さんも来年度の復旧は難しいという判断をされているということで、それは県も同じ考えであるということでございます。
先大戸地区の上流の道路より山側についてはかなりの被災があります。そういった部分については、復旧が難しいのではないかと考えており、市ともいろいろと相談させていただいております。
また、先ほど御指摘がありました農業用水のお話ですが、下流側の道路より南側の、災害復旧ができて作付が可能となる部分につきましては、用水を確保するための仮設の対応を考えております。
すべての面積について復旧ができるという約束はなかなかできないのではないかという御指摘は、そのとおりだと思います。
24:
◯質疑(
小林委員) 当然、復旧には最大の努力をしないといけません。私が言っているのは、できなかったときのことを聞いているのであって、要するに、きちんとした補償ができるのかどうかということです。8月の
農林水産委員会でも聞いたのですが、それから時間が経過し、いろいろと煮詰まってきたでしょうから、その辺をちょっとお聞かせ願いたい。
25:
◯答弁(
農業基盤課長) 災害復旧事業に関して申し上げますと、これは、基本的には3カ年で復旧するという事業になってございます。
これまでの通常の災害でございますと、初年度でほぼ復旧を完了させております。特に農地のような部分については、年度をまたがるにしても作付までには何とか間に合うように復旧させるという方針でやっております。一部には2カ年度にわたって整備するものもございますが、それによって生じる作付ができないことに対する補償については、災害復旧事業の現制度では対応いたしかねるというのが現状でございます。
26:
◯質疑(
小林委員)
農林水産局長のほうからも、御答弁をお願いします。
27:
◯答弁(
農林水産局長) 農業基盤的な補償はないということで、
農業基盤課長が答弁いたしましたが、実際にどれだけの作付が来年度不可能なのか、その状況をよく見た上で、国の制度やその他の行政的な制度も検討するとともに、もちろんそれらの活用はなかなか難しい面があるというのは私も承知しておりますので、市とも十分協議をしながら、どのような対策をとることができるのか検討してまいりたいと思っております。
28:
◯要望(
小林委員) 被災をなさった方々も行政の丁寧な対応に対して感謝していらっしゃる現状でございます。ぜひとも、引き続き、災害の応急復旧に対して御尽力いただいて一日も早い復旧がなされるようにお願いします。
(5) 表決
県第73号議案外2件(一括採決) … 原案可決 … 全会一致
(6) 一般所管事項に関する
質疑・応答
29:
◯質疑(
森川委員) 先ほど水産課長のほうから、広島カキの生産出荷についての説明がありました。生産量と生産額が例年以上ということで大変喜ばしい結果だろうと思うのですが、こうした場合には平均単価が下がるような気がします。平均単価も上がっているというのはどのような原因があったのか、その辺をどのように分析しておられるのか、教えてください。
30:
◯答弁(水産課長) 生産量、金額とも上がっております。特に単価のほうにつきましては、加工向けの単価の上がり方が非常に大きかったというのがあります。
加工向けにつきましては冷凍品で貯蔵されているのですが、現在、その在庫品が少なかったという要因があります。それと中国向けの加工が順調であったということもありまして需要が多く、それに伴いまして単価も上がっているものと思われます。
生鮮向けにつきましては、若干ではありますが例年より多い状況にあります。これまでは、国内消費量に比べ供給量のほうが若干少な目であるため、輸入に頼っている面がありましたが、ことしは輸入に頼らなくてもその分を国内産や広島県産分で賄えたので値段もよかったのではないかと思っております。
31:
◯要望(
森川委員) よい結果だということでありますから、特に言うことはありませんが、今後とも地域の特色づくりというのを推進していただきまして、戦略的な食品販売に取り組むことで、広島カキのブランド力の向上を図っていただくよう要望します。
32:
◯質疑(
小林委員) もう1点、米価について、前回の
農林水産委員会でもお聞きしましたが、どうもしっくりこないものですから、質問いたします。
米価について、今、大変な危機であり、集落法人も含めて、今のような状態でこのままやっていけるのだろうかと思っております。
個人の農家であればもう米で食べていけないと、今回の米価下落はそこまで来たのではないかと本当に真剣に心配しております。
稲作中心としてきた本県農業は、いろいろな条件の中で苦心惨たんして集落法人の形成を行ってきました。米価下落は、ことしに限らず、おそらくずっと続くであろうと思っており、非常に心配しているのですが、今後の見通しと農林水産局の中ではどのような話が出ているのか、率直なところを聞かせてください。
33:
◯答弁(
農林水産局長) 米価につきまして、このような事態が早晩来るであろうということはこれまでも申し上げてきたつもりでございます。
米価が上がる、右肩上がりになるということは考えにくい状況が続いており、米価は今後も下がり続けるだろうという一つの予想を持って、現在、取り組んでいる次期活性化行動計画を策定してまいりました。
その予想を上回るものであるということについては、私のコメントは差し控えさせていただきますが、こういう事態が生じるであろうと予想したからこそ、農地の集積を図り、農業経営の効率化を図り、そして、生産性を高めていく取り組みをしなければならないと考えまして、その一つが担い手の育成であり、その中の大きな取り組みの一つが集落法人の育成というものでございました。
今回の米価の動きは、まだはっきりしておりませんが、大変厳しい状況であると思っており、集落法人の育成のためにさらに経営の効率化を図るよう支援を行っていかなければならないと思っております。
34:
◯要望(
小林委員) 事態がここまで来たということになれば、もう農業関係者はもとより消費者も含めて、本県の稲作に対する方向性、言いかえれば農業をどのようにしていくべきかについて、真剣に話し合いを始めなければいけないと思うのです。
自分たちの既得権とか利益とか、そのようなものではないと思うのです。ぜひとも、他人事ではなく真剣にお考えいただいて、当局の責任において広島県の農政を引っ張っていただくようお願いします。
35:
◯要望(大井委員) 先ほど水産課長からカキのことについて、広島県のカキの値段がよいので安心しているような言い方をされましたが、あなたが一番説明しなければいけない大事なことが抜けているのではないですか。
ことしは、東北地方のカキが津波の影響で生育が悪く、岡山県産も韓国産もだめだったのです。広島県産が順調に生育したため、結果的に価格が上がったわけですから、来年は、ことしと同じような結果となるかどうかはわかりません。
それを、県のほうで何か安堵したような言い方をされると、皆さんがカキはもうかっているのだと勘違いされるのではないですか。ことしの利益は今までの赤字がやっといえたかというぐらいのものなのです。来年、また韓国産や岡山産、東北産がどっと入ってきたら、こんな甘い推計をしていると方向を見誤ります。その辺をもう少し勉強していただいて、水産行政を手抜かりのないようにやってください。
(7) 「地産地消推進」の条例化について
委員長がひろしま地産地消推進県民条例(仮称)要綱案について、別紙5により説明
した。
(8) 「地産地消推進」の条例化に関する
質疑・応答
36:
◯質疑(日下委員) 先ほど、委員長が勉強されてこれを提議したと言われましたが、ひろしま地産地消推進県民条例ということで名前に「ひろしま」がついており、広島オリジナルのようなものをどこかににじませているのだろうと思います。他県に比べて広島だからというような思いでつくられたところ、考えていらっしゃるところというのはあるのでしょうか。
37: ◯委員長 私も実際に農業をやっておりますが、広島県の自給率というのは御存じのように二十数%しかないというような中で、中山間地域を中心として広島県の農業者は、本当にしっかりと頑張っていただいていると認識をしております。
それらの方に報い、消費者の皆さんに農業者の努力を御理解いただきたいという思いを一番の中心にしております。
量がそろわないとか物がないとかという意見も中にはございますが、結局は鶏が先か卵が先かという議論になっていくわけで、まず、消費者の皆さんに御理解をいただいて県産品をぜひ買いたいという動きが生まれれば、生産者のほうもそれなりの意欲がわいてくると思っておりますので、ぜひともこういう形で地産地消を進めたいと思います。
広島県の思いがどの部分に入れてあるのかと言われたら、はっきりとは示すことは難しいのですが、そのように私は考えております。
38: ◯意見(日下委員) 非常に大事な観点であると思います。
このような条例をつくって県と事業者、生産者、県民の皆さんが一体になって盛り上がろうということ、この考え方自体は非常に大切だと思いますし、川上から川下につないでいくのがこの地産地消であろうと思いますので、しっかり推進していくべきだと思っておりますが、その上で、ちょっと気になることがありますので申し上げます。
先ほど委員長のほうからも、生産者の必死の思いに報いたいという思いがありました。私としても、生産者の大変な御苦労も視察等で見せていただいて、本当に何とかしないといけないという思いでこうした条例が必要だと思っておりますが、他方、やはり消費者のほうも日々の生活が非常に大変な中で、少しでも安いものを買おうと努力しているわけであります。日々、スーパー等で消費者の方が本当に一生懸命安いものを探されている姿を目の当たりにするにつけ、この地産地消というものをどうやって進めていけばよいのか、非常に憂うところがあります。
前回の委員会の中で、地産地消における消費者ニーズの創出ということを申し上げさせていただきました。広島県への愛郷心が大事だという話もありましたが、愛郷心に訴えるだけで果たして地産地消が進むのかと思っているわけでございます。例えば、政府が行ったエコカー減税等では、環境に配慮した車が随分売れました。また、エコポイントで環境に配慮した電化製品への買いかえがかなり進んだ面もあります。
この条例における県と事業者と生産者、消費者の役割についてですが、私は皆さんで協同して頑張ろうという中でも、県の責任があいまいになってはいけないと思います。やはり、その中で県がぐっと背中を押すような施策を推進することが非常に大事になってくると思っております。
県の責務として、地産地消推進に関する施策をまとめて総合的かつ計画的に実施するとあります。県民の役割として、県内農産物を優先して消費するよう努めなさいとあるのですが、やはり、消費者が優先して県産品を消費したくなるよう誘引する施策が大事であると感じます。前回の委員会では、エコポイントを例に地産地消ポイントのことを申し上げたのですが、このほかにも、消費者が広島県産の物を買ったら、その売り上げの幾らかを広島の海をきれいにするための資金として寄附するという民間会社の取り組みがあると聞いております。要するに、広島県産の物を買うことによって、みずからも広島県民の一員として広島県の海をきれいにすることに一役買うといった、県をよくしていこうということにつながる一体感というか好循環につながるような工夫ができないかと思うわけです。
そもそも、広島県産の物をまず食べてもらわないと、それが他県産の物とどう違うのか、どのようにすぐれているのかがわからないわけです。広島県産の物を購入するごとに地産地消ポイントが付与され、そのポイントがたまったら、例えば広島県産のお米5キログラムをプレゼントしますといった、まず、広島県のものを広島県の皆さんが口にしていただけるような工夫がないと、条例をつくって、いざふたをあけたら結局何も変わらなかったというのでは、余りにも寂しいことだと思います。
広島県議会において初の委員会提案による条例として、県民の皆さんに地産地消が進んだという実感を持っていただくためには、多少の予算的な措置と知恵が非常に大事になってくるのではないかと思います。生産者の方の必死な思いは当然理解しておりますが、消費者の方にそれを知っていただかなければ生産と消費の循環はできないわけです。先の委員会でも申し上げたとおり、スーパー等で購入する消費者は女性のほうが多いわけでございますので、かけ声だけでなく広島県産の物を実際に買いたくなるような具体的な動機づけというものをみんなで知恵を出して考えていきたいということを、意見として申し上げておきます。