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  1. 広島県議会 2009-02-05
    平成21年2月定例会(第5日) 本文


    取得元: 広島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-05
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成21年2月定例会(第5日) 本文 2009-02-26 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 33 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長(林 正夫君) 選択 2 : ◯議長(林 正夫君) 選択 3 : ◯金口 巖君 選択 4 : ◯議長(林 正夫君) 選択 5 : ◯知事藤田雄山君) 選択 6 : ◯議長(林 正夫君) 選択 7 : ◯商工労働局長光本和臣君) 選択 8 : ◯議長(林 正夫君) 選択 9 : ◯土木局長大野宏之君) 選択 10 : ◯議長(林 正夫君) 選択 11 : ◯健康福祉局長迫井正深君) 選択 12 : ◯議長(林 正夫君) 選択 13 : ◯教育長榎田好一君) 選択 14 : ◯議長(林 正夫君) 選択 15 : ◯警察本部長岩崎和彦君) 選択 16 : ◯議長(林 正夫君) 選択 17 : ◯副議長山木靖雄君) 選択 18 : ◯沖井 純君 選択 19 : ◯副議長山木靖雄君) 選択 20 : ◯知事藤田雄山君) 選択 21 : ◯副議長山木靖雄君) 選択 22 : ◯危機管理監(抹香尊文君) 選択 23 : ◯副議長山木靖雄君) 選択 24 : ◯教育長榎田好一君) 選択 25 : ◯副議長山木靖雄君) 選択 26 : ◯城戸常太君 選択 27 : ◯副議長山木靖雄君) 選択 28 : ◯知事藤田雄山君) 選択 29 : ◯副議長山木靖雄君) 選択 30 : ◯教育長榎田好一君) 選択 31 : ◯副議長山木靖雄君) 選択 32 : ◯人事委員会事務局長(渡辺和子君) 選択 33 : ◯副議長山木靖雄君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:         午前十時三十一分開議 ◯議長(林 正夫君) 出席議員六十名であります。これより会議を開きます。         自第  一 県第一号議案         至第七十七 報第九号 2: ◯議長(林 正夫君) これより日程に入ります。日程第一、県第一号議案 平成二十一年度広島県一般会計予算から日程第七十七、報第九号 損害賠償額の決定についてまでの各案を一括上程議題といたします。  昨日に引き続いて質問を行います。金口 巖君。         【金口 巖君登壇】 3: ◯金口 巖君 皆さん、おはようございます。広島県議会民主県政会、尾道市選出、金口 巖でございます。この二月定例会で一般質問の機会を賜り、先輩議員及び同僚議員に心から御礼を申し上げたいと思います。  本日は、今次定例会において、これまでも再三にわたって質問が行われております、このたびの景気後退局面における雇用対策、経済対策などについて、労働者の立場から、どうあるべきかについて質問いたしますので、明快で前向きな御答弁をよろしくお願い申し上げます。では、早速質問に入らせていただきます。  質問の第一は、雇用対策についてお伺いいたします。  その一点目は、雇用の安定化についてお伺いいたします。  厚生労働省の調査によると、昨年十月から本年三月までの半年間で失職する非正規労働者は十二万五千人に上るとされ、百年に一度と言われるこのたびの世界的な景気後退は、我が国を未曾有の危機に陥れました。一方で、かねてより人出不足が深刻化していた介護施設や、後継者不足に悩まされていた農業生産法人などの求人に対して、景気後退のあおりで失業した人などからの問い合わせが殺到しているとのことであります。  介護関係や農林漁業の現場は、これまで仕事の厳しさやその待遇面などから敬遠される傾向にあった上、他産業に比べて定着率が低く、有望な就労現場としてかつてこれほどまでに注目を浴びたことはございません。こうした状況を千載一遇の好機ととらえ、全国各地で福祉関係や農林漁業関係の就職相談会が開催されておりますし、大手製造事業者などによる非正規労働者の大量削減に見舞われた大分県では、就農希望者を受け入れた農家に月額二万五千円を支給するなど、人材確保に向けた独自策を打ち出す自治体が相次いでいます。このように人出不足が生じている分野に人材を送り込み、雇用の安定化を図ろうとするその視点が、雇用環境が厳しさを増す中にあっては極めて重要であると考えております。  先月十五日には、労使の代表である経団連と連合の双方が、長期雇用システムが人材の育成及び労使関係の安定を図り、企業・経済の成長・発展を支えてきたという認識を再確認するとともに、労使は雇用の安定、景気回復に向けて最大限の努力を行う決意を確認し、政府に対して、社会が必要としている分野における雇用創出策の早期実施などについて求めていくとする労使共同宣言も採択されたところでございます。  平成二十一年度当初予算では、緊急経済・雇用対策を講じることとしていますが、短期的、臨時的な雇用対策に終始することなく、中長期的な展望を見据えた雇用の安定化につながる取り組みをどう進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  二点目は、職業訓練期間中の生活対策についてお伺いいたします。  緊急経済・雇用対策の一環として、離転職者やフリーターなどの就業を促進するため、高等技術専門学校などにおいて、緊急未就職者訓練や若年未就職者緊急訓練を実施するなど、職業訓練を強化することとされています。昨今の雇用情勢を踏まえ、雇用政策を担う行政の責務として実効性のある取り組みがなされなければなりません。  職業訓練の実施に際して課題となるのが、昨年、年末年始に日比谷公園で開設された年越し派遣村に見られるように、収入を得るすべがなく、住居すら確保できないという現実であります。さらに、シングルマザーや障害者など、いわゆる生活弱者が離職に追い込まれた場合においては、問題は一層深刻化し、生活面のサポートなくして職業訓練を促すこと自体の是非を、改めて問い直す必要があると考えております。訓練期間中の収入や住居の問題が解決されなければ、職業訓練を受けたくても足踏みをすることとなるのではないでしょうか。  そこで、シングルマザーなどの生活弱者を含め、訓練機会に恵まれない人たちに対して職業訓練の場を提供すべく、職業訓練の充実にあわせ、訓練期間中の生活対策を講じる必要があると考えますが、どのように対応していこうとお考えか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第二は、経済対策についてお伺いいたします。
     その一点目は、生活安全施設の緊急補修についてお伺いいたします。  雇用の場の確保と地域経済の活性化を図るため、平成二十一年度当初予算には、生活安全施設の緊急補修の実施が盛り込まれています。過去、国の経済対策に呼応した基盤整備が現在の財政悪化を招いたこともあり、轍を踏むことがあってはなりませんが、建設業者が著しく疲弊している状況を踏まえれば、やや遅過ぎた感はあるものの、その決断は大いに評価いたします。経済対策として取り組む以上は、地域経済の活性化につながるような配慮・工夫が不可欠であると考えます。  また、その内容も、交通の安全確保に向けた路面補修や、洪水等による氾濫防止に向けた河川堆積土砂の撤去などの緊急対策工事を実施するものであり、厳しい財政状況下にあっても欠かすことのできない、県民の安全・安心の確保に取り組んでいこうとする姿勢のあらわれであると理解いたしております。多額の財政出動を伴い実施する以上は、単なる維持管理の延長線上ではなく、短期的・集中的に目に見える効果が得られるものでなければならないと考えます。  そこで、生活安全施設の緊急補修の実施に当たり、どのような配慮・工夫のもと、地域経済の活性化につながる取り組みを進めていこうとされているのか、知事の御所見をお伺いいたします。  二点目は、最低制限価格の見直しに伴う賃金・労働条件の改善についてお伺いいたします。  公共工事の発注や行政サービスの外部委託については、低価格、低単価の契約条件を優先する余り、受注先企業の経営悪化や労働者の賃金・労働条件の著しい低下を招くという問題が発生しており、早急な改善が求められています。こうした状況を背景として、公共事業の入札に係る最低制限価格を引き上げる動きが活発化しており、既に国を初めとし、三十五都道府県が見直しを行っております。  また、さらにもう一歩踏み込んで、公共事業等を民間業者に発注する際に、労働者の最低賃金などを定める公契約条例の制定を求める取り組みも、全国で広まりつつあります。尼崎市では、昨年の十二月定例会に、高卒者初任給を時給に換算した九百四十五円以上を最低賃金額とし、業者が是正に応じない場合は契約が解除できるなどと規定する、尼崎市における公契約の契約制度のあり方に関する条例が議員提案され、継続審議がされております。最低条件を定める労働基準法や最低賃金法を遵守している場合の条例の有効性や、労使間で決定すべき賃金・労働条件への行政関与などの是非など、条例制定には解決すべき課題が多いことは認識しております。しかしながら、生活保護基準すら下回る現行の最低賃金の設定には課題があり、看過できない状況にある賃金・労働条件の低下は、早急に是正されるべきであります。  本県においても、これまで、一億円未満の工事について設計金額の七五%とするなどとしてきた最低制限価格について、一定の見直しを行うとのことであり、少なからず労働者の賃金・労働条件が改善されるものと期待いたしております。  そこで、改めて、現行の最低制限価格の課題をどう分析され、このたびの見直しにより、公共事業等の受注企業における労働者の賃金・労働条件がどの程度改善されるとお考えか、知事の御所見をお伺いいたします。  三点目は、中小企業者に対する資金供給支援についてお伺いいたします。  世界的な景気後退と急激な円高は、中小企業者の経営環境の急激な悪化を招いております。こうした状況に対応するため、昨年末、輸出関連事業者と下請事業者を対象とする三十億円規模の経営支援特別資金枠や融資要件の緩和による十億円規模の緊急経営基盤強化資金緊急支援枠が創設されたのを皮切りとして、さきの一月臨時会においては、雇用の維持・拡大を進める中小企業者に対する十億円規模の雇用対策特別資金枠の創設がなされました。  さらに、平成二十一年度当初予算においては、経済・雇用対策特別資金融資枠の百億円の増額や無担保スピード保証融資制度融資枠の三十億円の増額などが盛り込まれているところであります。中小企業者のニーズに応じて円滑な資金供給を可能にしようとするものであり、迅速な予算対応を評価いたしますが、こうして確保された資金枠が生かされているかどうかが極めて重要であります。  これまでの県費預託融資制度は、多様な資金メニューと十分な融資枠が確保されていながら、実際の融資は一部のメニューに偏る上、その融資額も融資枠を大きく下回る一方で、中小企業者からは、資金繰りが厳しいとの声ばかりが聞こえてくる状況にありました。いまだに地元の中小企業者からは、融資を受ける際に要する県信用保証協会の審査が厳しいと漏れ聞いており、これでは民間金融機関の貸し渋りと大差ないとの声すら聞こえてまいります。税金を財源として支援する以上は十分な審査が必要なことは当然でありますが、このたびの制度融資は、意欲ある事業者の金融環境を整えるための政策融資と相違し、資金繰りの悪化から経営破たんしかねない事業者を救済する側面が強いと理解しております。  しかしながら、昨年来創設した資金の一月末現在の利用状況を見ると、三十億円を確保した経営支援特別資金が三億五千万円余、同じく十億円の緊急経営基盤強化資金緊急支援枠が三千四百万円余、十億円の雇用対策特別資金が二百万円にとどまっているとのことであります。日に日に厳しさを増す中小企業の経営環境を考慮すると、制度創設から幾ばくもないことを差し引いても、まだまだ不十分であると言わざるを得ないと考えます。  そこで、創設した中小企業支援に係る資金の利用が低迷している要因をどう認識し、中小企業者が置かれている大変厳しい状況を踏まえ、今後の制度運営に当たり、どのような点に配慮して、迅速で円滑な資金供給に努めていかれるお考えか、知事の御所見をお伺い申し上げます。  四点目は、学校施設の耐震化の推進についてお伺いいたします。  住宅・建築物の計画的な耐震化を図るため、平成十八年一月に建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律が施行されました。国は、住宅及び学校、病院、百貨店など多数の者が利用する建築物の耐震化率について、現状の七五%を、平成二十七年度までに少なくとも九〇%にするという目標設定を含めた基本方針を定め、都道府県は基本方針に基づく耐震改修促進計画の策定が義務づけられました。  県では、大地震発生時における建築物の倒壊等による被害から、県民の生命、身体及び財産を保護するため、県、市町及び建築関係団体等が連携して、県内の住宅・建築物の耐震化の目標を設定し、住宅・建築物の耐震診断及び耐震改修を計画的に促進するための基本的な枠組みとする広島県耐震改修促進計画を策定しています。  大地震発生時における建築物の倒壊等は、人的被害を引き起こすだけでなく、火災発生や救急活動の妨げにつながるため、建築物の耐震化の推進は地震被害を軽減させる上で大変重要であります。特に、学校施設の耐震化は、あすの広島県を担う児童生徒を地震の被害から守るため、何に増しても最優先で進めていくべきと考えます。  しかしながら、昨年四月一日現在の耐震化率は、県内の公立小中学校は四八・五%と全都道府県中四十二番目に位置し、公立高等学校は五〇・二%と三十八番目に位置するなど、遅々として進んでいない状況に見受けられます。  平成二十一年度当初予算では、緊急経済・雇用対策に位置づけ、県立学校施設の耐震化に取り組んでいくとのことでありますが、小中学校を含めた学校施設の耐震化について、どのような目標を設定し、今後、具体にどのように取り組んでいかれるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。  質問の第三は、観光振興についてお伺いいたします。  その一点目は、観光振興による地域経済の活性化についてお伺いいたします。  改めて申し上げるまでもありませんが、本県は、原爆ドーム、厳島神社という二つの世界文化遺産を初め、私の地元尾道や大和ブームに沸いた呉など国内外に誇れる観光資源を有しています。こうした観光資源が一定程度評価され、本県の観光客数はこれまで増加基調で推移しており、特に外国人観光客は、平成十九年は五十五万人に上り、五年前の一・五倍の水準になっております。フランスのミシュラン・ガイドブックで宮島が三つ星で紹介されるなど、外国人観光客数は今後さらに増加するものと期待しておりますが、このたびの世界的な景気後退や円高が暗い影を落とすのは明らかであり、その影響ははかり知れません。  本県では、平成十八年にひろしま観光立県推進基本条例を制定し、行政、観光事業者、観光関係団体を初め、県民一人一人が担い手となって観光立県の実現を目指すこととしたところであります。このような時期だからこそ、改めて、風光明媚な瀬戸内海の島々や先代から守り継がれてきた心和む棚田の風景など身近にある多彩な観光資源を再認識し、県民一丸となって観光振興に取り組むべきと考えます。本年五月一日には、しまなみ海道が開通十周年を迎えます。世界有数の斜張橋・多々羅大橋や世界初の三連つり橋・島海峡大橋など、十本の橋から楽しめる多島美を改めてPRする絶好の機会であります。  使い古された言葉ではありますが、観光は、旅行業、宿泊業、運輸業だけではなく、飲食業や小売業、レジャー・娯楽産業などすそ野の広い総合産業であり、観光の振興はさまざまな分野に経済効果が及びます。旅行需要が冷え込んでいる時期ではあれ、地域経済の活性化を図る観点から、戦略的に観光振興の取り組みを進めていくべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  二点目は、しまなみ海道の自転車道の整備についてお伺いいたします。  本州と四国を結ぶ瀬戸内三橋のうち、しまなみ海道の強みは、言うまでもなく自転車歩行者道が併設されていることであり、島内道路も含めてしまなみ海道サイクリングロードを構成し、自転車で四国まで通行することができる特徴を有しております。多島美が織りなす美しい景観を眼下に望み、瀬戸内海の潮風を感じながらサイクリングをできるのが最大の魅力であり、年々利用客が増加しております。  しかしながら、愛媛県側の島内は大規模自転車道が整備されているのに対し、広島県側の島内は、看板等の案内表示も不足している上、自転車道の整備がおくれており、利用者から道路がわかりづらい、愛媛県側との格差が大きいとの声をよく聞きます。沿道地域では、このしまなみ海道を国内外に誇れる地域資産と位置づけ、開通十周年を迎える来年度には、改めてしまなみ海道の魅力を再認識してもらうための取り組みを進めることとしております。  しまなみ海道の魅力をさらに一層高め、より多くの観光客を呼び込むなどして地域経済を活性化する観点から、案内表示の設置を含め、島内の自転車道の整備を進めていくべきと考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第四は、中四国を結ぶフェリー航路への支援についてお伺いいたします。  国の平成二十年度第二次補正予算が成立したことに伴い、三月末にも高速道路通行料の大幅割引が実施されることとなり、私の地元尾道市に位置するしまなみ海道を含めた本州四国連絡橋道路についても、土曜日、日曜日、祝日のETC利用に限定して、一回千円で通行できる見通しとなりました。しまなみ海道は、これまでも利用料金の引き下げ措置が講じられ、昨年十月からはETC利用に限定して、平日の深夜は大型車など半額、土曜日、日曜日、祝日の昼間は普通車などが半額となっておりましたが、このたびの引き下げは、他の交通手段が閉ざされていた島民の悲願がようやく結実するものと一定の評価をいたしております。  一方で、私が危機感を募らせているのが他の交通手段に与える影響であり、特に、本州と四国を結ぶフェリー航路の行く末についてであります。昭和三十八年から半世紀にわたり竹原市と今治市の間を結び、中国と四国の産業、経済、交通、観光、文化の交流発展のため重要な役割を果たしてきた中四国フェリーが、四月末をもって廃止される方針が決定されました。廃止決定に至った理由としては、しまなみ海道の開通に伴う利用客の減少により、これまでも赤字が続いてきており、このたびの高速道路利用料の値下げ方針を受け、航路存続は困難と判断されたようであります。  国土交通省が集計した平成二十年度瀬戸内海などの定期航路の動向を見ると、廃止が六件、減便は二十六件に上り、昨年度の廃止、減便の十五件を大幅に上回っております。利用者数がこれまで減少の一途をたどってきた広島市、呉市と松山市を結ぶ航路は今後も存続される予定でありますが、このたびの高速道路利用料の値下げは、フェリー業者にとってまさに死活問題であります。しまなみ海道の利用促進も確かに重要でありますが、これまで国策として進めてきたモーダルシフト政策の観点や、災害など有事の際における交通手段の確保という観点、さらに、地域における生活交通の確保の観点から、フェリー航路の維持・確保に向けた支援策を講じていくべきと考えます。  新聞報道によりますと、国土交通省において、平成二十一年度予算で創設される地域活力基盤創造交付金を財源として、港湾使用料の軽減や港湾施設の整備など、フェリー支援策の検討が進められているとのことであります。  高速道路利用料の値下げが本県と四国を結ぶフェリー航路に与える影響をどのように認識され、今後、フェリー航路の支援についてどう取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第五は、ワーク・ライフ・バランスの推進についてお伺いいたします。  平成十九年十二月にまとめられたワーク・ライフ・バランス憲章及び仕事と生活の調和推進のための行動指針に基づき、平成二十年一月、国は都道府県知事などへあてて「総合的な少子化対策の推進について」と題する通知を行いました。この通知では、仕事と生活の調和の実現に向けて、働き方の見直しも含めた総合的な少子化対策を推進するため、各地方公共団体で、庁内の推進体制の整備、地域の企業や民間団体等との協働の推進、点検・評価等の施策への適切な反映、住民にとってわかりやすい情報の提供に取り組むことが要請されております。こうした国の動きに呼応して、昨年六月、仕事と生活の調和の推進に向けて、労使、行政が連帯して取り組むこととし、連合広島、経営者協会、広島労働局及び県の四者が共同で広島県四者宣言を行ったところです。  我が国を未曾有の危機に陥れた世界的な景気後退により、人員削減のニュースが紙面を飾る頻度は増加の一途をたどるなど、その雇用環境は日に日に厳しさを増しております。企業経営者は、改めて業務の効率化や生産性の向上を余儀なくされている状況にある一方、よい人材を確保するための好機でもあります。改めて言うまでもありませんが、ワーク・ライフ・バランスの推進は、単なる福利厚生にとどまるものではなく、すぐれた人材の確保といった経営戦略の一環として有効であることを企業経営者は再認識するべきであります。  その意味において、今こそワーク・ライフ・バランスを推進すべきと考えますが、四者宣言でうたわれた労働現場での意識改革や社会全体への理解促進に向けて、今後どう取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第六は、プラチナ世代の社会参画についてお伺いいたします。  団塊の世代が退職期を迎え、高齢化が一層進展している状況にありますが、これからの高齢者は言うまでもなく、社会を支える重要なマンパワーに位置づけられるべき存在であります。こうしたことから、平成二十一年度当初予算においては、団塊の世代を含む高齢者の一人一人が地域の担い手として活躍できる社会の構築に向け、プラチナ世代社会参画促進事業に取り組むこととされています。プラチナ世代とは、おおむね五十五歳以上の元気な高齢者を指す呼称として用いているとのことでありますが、まさに私もその年代に差しかかっており、まだまだ元気に満ちあふれた年代であることは間違いございません。  これまで高齢者の社会参画というと、どのように第二の人生を充実させるかといった生きがい対策の側面が強かったように思いますが、二〇〇七年度問題に端を発した定住・交流促進の流れをくむ、高齢者を活力としてとらえる方向性に大いに共感いたしております。プラチナ世代という呼称の普及も含め、元気な高齢者に向けて、これからの社会を支えていこうという機運を大いに盛り上げていくべきと考えます。  そこで、改めてプラチナ世代に何を期待し、社会参画の促進に向け、どう取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第七は、第八次広島県交通安全計画についてお伺いいたします。  本県では、交通事故ゼロの活力と安心、希望のある元気な広島県の実現を図るため、平成十八年に第八次広島県交通安全計画を策定し、平成二十二年までに交通事故死亡者数を百四十五人以下、交通事故発生件数を一万八千件以下とする数値目標を掲げ、県警察を初めとする関係部局が各種施策を強力に推進していると承知しております。そうした中、本県における昨年の交通事故発生件数は一万七千七百五件、死者数は百二十八人と、二年も早く計画目標を達成したところであり、これまでの御努力に対し、改めて敬意を表したいと思います。  交通安全に対する取り組みについては、交通社会を構成する人間、車両及びそれらが活動する交通環境という三要素について、それら相互の関連を考慮しながら、今後、さらに県民と行政が一体となって推進していく必要があると考えます。  そこで、第八次広島県交通安全計画の目標達成がなされたことに満足せず、交通事故でとうとい命が失われることのないよう、さらに取り組みを強化すべきと考えますが、今後、何を重点課題として取り組んでいかれるのか、警察本部長の御所見をお伺いいたします。  以上で、私の質問を終わります。御清聴、大変ありがとうございました。(拍手) 4: ◯議長(林 正夫君) 当局の答弁を求めます。知事藤田雄山君。         【知事藤田雄山君登壇】 5: ◯知事藤田雄山君) 金口議員の御質問にお答えを申し上げます。  まず、雇用の安定化についてお尋ねがございました。  厳しい雇用情勢のもと、県民の皆様の不安の解消を図り、その暮らしを守るためには、即効性の高い手法に限らず、将来的にも効果が見込まれる中長期的視野に立った雇用対策を実施していくことが重要であると考えております。  このため、国からの交付金をもとに造成する基金を活用し、雇用機会を創出してまいりますとともに、就職相談や生活相談を総合的に実施することによって、短期の雇用から安定した就業へつなげてまいります。また、離職者等に対し、雇用のミスマッチを解消し、人材が不足している農林水産業や福祉・介護分野等に労働力を誘導するため、就業環境の整備や職業訓練を実施することといたしております。こうした取り組みに加え、県内産業の活性化と成長が期待される新たな産業づくりなどにより、将来の雇用の受け皿づくりにも取り組んでまいります。  今後とも、県民の皆様の暮らしと雇用の安定に向け、戦略的・効果的な経済・雇用対策に全力を尽くしてまいりたいと考えております。  次に、生活安全施設の緊急補修についてお尋ねがございました。  このたびの緊急経済・雇用対策におきましては、地域生活基盤の整備の一環として、生活安全施設の緊急補修を行うことといたしております。この事業は、県民の日常生活の安全・安心を確保するため、交通事故防止に向けた道路施設の緊急点検や補修、また、災害防止に向けた河川の緊急対策工事等を実施するものでございます。具体的には、交通の安全確保に向けた舗装や道路施設の補修、橋梁とトンネルの未点検箇所の点検実施、また、洪水による氾濫防止のための河川堆積土砂の撤去やため池の改修などを実施する市町等への支援を行うことといたしております。  この事業の執行に当たりましては、緊急経済・雇用対策でもありますことから、事業の内容が県内に幅広く及びますよう配慮いたしますとともに、事業効果を最大限に発揮するよう、平成二十年度補正予算と連動させ、早期の事業実施を図るなど、切れ目のない予算執行に努めてまいります。  次に、観光振興による地域経済の活性化についてお尋ねがございました。  観光産業は、そのすそ野の広さから経済波及効果や雇用創出効果も高く、地域経済の活性化を図る観点からも重要な産業であると認識いたしております。このため、さらなる観光振興に向けた具体的な施策の指針といたしまして、昨年三月、ひろしま観光立県推進基本計画を策定し、風光明媚な瀬戸内海や二つの世界文化遺産など、本県ならではの地域資源や国際的な知名度を生かした取り組みを積極的に推進いたしております。来年度もこの計画に基づき、まず国内観光におきましては、JR西日本や地元自治体と連携した観光キャンペーンの実施や県観光ホームページによる情報発信機能充実などに取り組むことといたしております。  また、国際観光につきましては、東アジア地域に加え、京都と共同で新たに米国を対象とした誘致活動など、それぞれの国のニーズや旅行形態に応じた戦略的なプロモーション活動を展開してまいります。  今後とも、市町や観光関係団体等との適切な役割分担のもと、地域経済の活性化に資する観光振興に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、ワーク・ライフ・バランスの推進についてお尋ねがございました。  県では、仕事と生活の調和の実現に向けた機運の醸成を図るため、関係機関と連携いたしまして、昨年六月に広島県四者宣言を行い、労使、行政を初め、県民が一体となってワーク・ライフ・バランスの推進に積極的に取り組むことを確認いたしました。  その一環として、現在、労使、学識経験者、行政から成る仕事と生活の調和推進会議におきまして、ワーク・ライフ・バランスの必要性や、その実現に向けた具体的手法などを盛り込んだ行動指針の策定に取り組んでおります。その中では、勤労感謝の日をワーク・ライフ・バランスの日、十一月を推進月間に設定し、スローガンの募集やノー残業デーの呼びかけを行うなど、県民一体となって機運の醸成を図ることを検討いたしております。  今後は、この行動指針を企業や労働組合を初めとした関係機関はもとより、広く県民の皆さんにも周知し、職場における意識改革や社会全体の理解促進に努め、仕事も家庭も大事にしながら働き続ける職場環境づくりに取り組んでまいりたいと考えております。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁いたさせます。 6: ◯議長(林 正夫君) 商工労働局長光本和臣君。         【商工労働局長光本和臣君登壇】 7: ◯商工労働局長光本和臣君) 二点につきまして御答弁申し上げます。  まず、職業訓練期間中の生活対策についてでございます。  平成二十一年度の離職者に対する職業訓練は、定員を過去最大の二千二百五十二人に拡充いたしますとともに、介護福祉士の二年訓練や介護一級、IT分野の六カ月訓練など、新たに長期の訓練に取り組むことといたしております。離職者の方々の訓練期間中の生活は、基本的には雇用保険での対応となりますが、雇用保険が受けられない方々のうち母子家庭の母や障害者などの方々には、訓練期間に応じまして職業訓練手当が支給されることとなっております。  なお、これらの給付を受けられない方々に対しましては、国の技能者育成資金制度で、訓練期間中の生活を保障いたします貸付給付枠が拡充されております。また、ひろしまジョブプラザや雇用労働情報サイト「わーくわくネットひろしま」におきまして、社会福祉協議会の生活資金貸し付け等や各自治体などの住宅の利用案内につきましても、一元的に情報提供いたしているところでございます。  今後とも、関係機関と連携いたしまして、離職者の方々が安心して職業訓練を受講できますよう努めてまいりたいと考えております。  次に、中小企業者に対する資金供給支援についてでございます。  世界的な景気後退の影響によりまして、中小企業を取り巻く経営環境は一段と厳しさを増しておりまして、資金繰りの悪化によります企業倒産の増加が懸念されております。  こうした状況に対応いたしますため、昨年来、緊急の資金繰りの対策としての特別資金を相次いで創設いたしました。  各資金の融資実績は御指摘のとおりでございますけれども、まず経営支援特別資金につきましては、十二月のみでも二億円を超える融資実績がございまして、年末の資金需要に一定の成果があったものと考えております。また、緊急経営基盤資金につきましても、緊急支援枠を合わせた一月の融資実績は約五億円となっておりまして、中小企業の皆様方の資金需要にこたえられたものと考えております。  なお、本年一月二十日から取り扱いを開始いたしました雇用対策特別資金につきましては、融資対象となります雇用安定助成金等の申請企業も増加をいたしておりまして、今後の利用が見込まれますため、年度末の資金需要期に向け、さらに周知を図ってまいります。  今後とも、融資動向に注視しながら、金融機関や保証業界に対しまして制度の積極的な活用を要請いたしますとともに、特別資金を初めとする制度融資の利用促進に努めてまいります。 8: ◯議長(林 正夫君) 土木局長大野宏之君。         【土木局長大野宏之君登壇】 9: ◯土木局長大野宏之君) 三点についてお答えいたします。  まず、最低制限価格の見直しについてでございます。  公共事業が減少する中で低価格での入札が増大しており、現行の最低制限価格制度では、工事の品質確保や安全対策が徹底されない可能性があると認識しております。このため、建設工事コスト調査の結果を踏まえ、工事品質の確保等の観点から、最低制限価格等を見直すことといたしました。この見直しによる労働者の賃金や労働条件の変化については推移を見守りたいと考えておりますが、優良な建設業者が地域に存続できることになれば、地域の活性化や雇用の改善につながるものと考えております。  次に、しまなみ海道の自転車道の整備についてでございます。  しまなみ海道の自転車道は、西瀬戸自動車道の建設にあわせ、沿線住民の交通利便性の向上と、自転車によるレクリエーション利用を目的として整備を行ったもので、現在、一連のサイクリングロードとして利用されているところです。この自転車道は供用後二十年程度経過している区間もあることから、来年度のしまなみ海道十周年記念事業にあわせ、沿線の案内標識や路面表示などをリニューアルすることとしております。  しまなみ海道は本州四国連絡橋三ルートの中で唯一自転車道が併設され、自転車で四国まで行くことができる特徴を有しており、今後とも尾道市など関係機関と連携を図り、このサイクリングロードを活用した地域の活性化に努めてまいります。  次に、中四国を結ぶフェリー航路への支援についてでございます。  このたびの経済対策における高速道路の通行料金の割引につきましては、期間が二年間と限られているものの、その実施によるフェリー航路等への影響は決して少なくないものと認識しております。また、仮に航路が休廃止に追い込まれた場合、これまでの例から見ましても、その復活は厳しいものと危惧しております。  国においては、支援策の検討を進めているとのことではありますが、現時点では、その具体的な内容は明らかにされていない状況にございます。  県といたしましては、今後の割引による影響を見きわめながら、他県等とも連携して国に必要な対策を講じるよう求めていくなど、適切に対応してまいりたいと考えております。 10: ◯議長(林 正夫君) 健康福祉局長迫井正深君。         【健康福祉局長迫井正深君登壇】 11: ◯健康福祉局長迫井正深君) プラチナ世代の社会参画について御答弁申し上げます。  高齢化が一層進展していく中、本県の活力を維持・向上させていくためには、退職期を迎える団塊の世代や高齢者に、これまで培ってきた豊かな技能や知識を生かし、地域を支える一員として活躍していただくことが期待されているところでございます。このようなことから、退職後も切れ目なく地域活動に参加するといういわゆる地域デビューが円滑にできるよう、現役世代に対して積極的に働きかけていくことが重要になると考えております。  このため、現役世代が地域活動に抵抗感なく参加できるよう、プラチナ世代支援協議会を新たに設置いたしまして、県と関係団体がこれまでのノウハウを生かしながら、従来の高齢者社会参画とは異なる取り組みを推進していくことといたしております。具体的には、退職前の意識啓発や将来のリーダー育成を見据えた実践力を高めるための体験型研修など、現役世代に着目した研修の導入、あるいは、ホームページを活用した情報提供や、交流の場の提供などによる動機づけの強化といった取り組みにより、効果的なプラチナ世代の社会参画を推進してまいりたいと考えております。 12: ◯議長(林 正夫君) 教育長榎田好一君。         【教育長榎田好一君登壇】
    13: ◯教育長榎田好一君) 学校施設の耐震化の推進についてのお尋ねがございました。  公立学校施設の耐震化の推進は、県、市町を通じて、極めて重要な課題であると認識しております。公立学校施設全体の耐震化の目標値を設定することは、財政状況が厳しく、また県、市町それぞれの事情も異なる中、難しい面がございますが、耐震化の推進に向け、各設置者が積極的に取り組んでいくことが必要と考えております。  このため、県立学校施設につきましては、平成二十一年度当初予算で施設等整備に係る予算総額の約七割、四十七億六千万円を耐震化対策に充てることとしており、本年度十二月、一月の各補正予算に計上した二十一億九千万円の耐震化対策とあわせて積極的に対応することとしております。  また、公立小中学校施設につきましては、財政負担軽減のための国の支援措置が充実されたことを受けて、耐震化に積極的に取り組んでいただくよう市町へ継続的な働きかけをしており、その結果、各市町では耐震化の計画を前倒しするなどの検討が進められております。  今後とも、市町とも連携を図りながら、学校施設の耐震化を一層推進してまいります。 14: ◯議長(林 正夫君) 警察本部長岩崎和彦君。         【警察本部長岩崎和彦君登壇】 15: ◯警察本部長岩崎和彦君) 第八次広島県交通安全計画についてお答えいたします。  第八次広島県交通安全計画における抑止目標につきましては、県民の皆様の御理解と御協力などにより二年早く達成いたしましたが、この成果に甘んじることなく、この減少傾向を維持・定着させて、最終年の平成二十二年につなげることが重要だと認識しております。このため、今後とも、交通事故は県民の皆様にとって最も身近な治安指標であるとの認識のもと、交通安全教育や広報、道路交通環境の整備はもとより、交通指導取り締まりを初めとする街頭活動を強化するなど、総合的な交通事故防止対策を推進してまいります。  とりわけ、昨年、交通事故死者の約四割を占めた高齢者の交通事故防止対策につきましては、老人クラブや交通ボランティアの協力も得て、運転免許の有無などに応じたきめ細かな交通安全教育や情報発信を推進することとしております。また、いまだに後を絶たない飲酒運転など悪質危険、迷惑性の高い違反に対する取り締まりを強力に実施してまいります。  交通事故のない社会を実現するためには、交通安全に携わるすべての機関・団体と県民の皆様が一体となって交通安全活動を行っていくことが重要であり、今後とも、より一層連携を強化して取り組んでまいる所存でございます。 16: ◯議長(林 正夫君) この際、暫時休憩いたします。午後の会議は一時から開きます。         午前十一時二十三分休憩              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         午後一時二分開議 17: ◯副議長山木靖雄君) 出席議員六十名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続いて質問を行います。沖井 純君。         【沖井 純君登壇】 18: ◯沖井 純君 皆様、こんにちは。自由民主党広島県議会議員会の沖井 純でございます。今次定例会で質問の機会を与えていただき、議長を初め、先輩、同僚議員各位に心より感謝申し上げます。  現在、県政に突きつけられている課題は多く、かつ厳しいものでございますが、私は、目いっぱい考え、生きた言葉で論じることが県民へのマナーであり、克服への道であると信ずるものであります。その思いとともに質問に入らせていただきます。  質問の第一は、地方分権の進め方についてであります。  地方分権は、県がこれまでの市町村合併、権限移譲、道州制への機運づくりという方向で推進しておられるテーマであります。まず確認しておきたいのは、地方分権は住民の幸福や安全を増進・確保させるための手段であるということであります。地方分権自体を目的にして論じれば、肝心の住民の理解が得られなくなりますので、その点については留意しながら質問に入らせていただきます。  まず一点目に、地方分権推進に伴う基礎自治体の危機管理力・防災力についてお聞きいたします。  よくこれまでの地方分権推進のメリットは何であったかの問いに対し、例えばパスポートが市町で受け取られるようになったとのお答えが出されることがありますが、私は、本質的なメリットとして、基礎自治体が合併により規模が拡大したことで、人員や財政力など自治体としての基礎体力がつき、危機管理力・防災力が向上した点があるのではないかと思います。  二年半前、私の地元江田島市が送水トンネル事故による断水に見舞われましたが、その際、既に旧四町の合併がなし遂げられていたため、市長や創設されたばかりの危機管理課を中心に統一的行動が図られ、処理人員、エネルギーが投下され、早期の事態収拾につながり、規模の拡大に伴うメリットを実感した次第であります。実際、地方分権が唱えられ始めた背景に、阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件などに際し、自治体の危機対応がうまくいかなかったという反省があります。また、地方分権の根底をなす住民自治は、危険に対し集い合い、守り合おうという精神がまず原点にあるのではないかと私は思うのであります。もっとも、江田島市と他の基礎自治体とそれぞれの事情は異なるかもしれません。  そこで、県内の基礎自治体の危機管理力・防災力は、合併前に比べどのように向上したか、御所見をお聞かせ願いたいと存じます。  二点目として、道州制に向けての実体づくりについてお聞きします。  道州とは、今の四十七都道府県を十前後の自治体に組みかえ、国から大幅な権限を移譲するもので、県では、中国地方ブロックでの枠組みを念頭に、広報・シンポジウムなどを通じて早期導入を目指し、県民への啓発に努められています。しかし、ホームページは難しい言葉や行政用語で埋め尽くされ、シンポジウムは関係者の姿ばかり目立ち、肝心の一般市民の関心や盛り上がりは薄いようであります。道州制という枠組みづくりができれば、何となくよいことがあるというような理論展開が多く見られますが、制度をつくるだけで必ずしも成功は保証されるものではありません。  代表的な分権国家にアメリカ、ドイツがありますが、もともと州が国のような実体、歴史を持ち、それらをまとめて統一し、合衆国あるいは連邦となったわけであり、日本がこれからとろうという方向はそれとは逆であります。実際、中央集権国で分権化を図ってみたものの、苦戦を強いられているところもあります。  また、各州が競争するので地方は活性化するなど競争原理論に乗る向きもありますが、中国州はできたものの、産業構造や交通体系、教育機関などにおいて、首都圏や関西圏の州と差がつき過ぎ、初めから勝負ありましたということにもなりかねません。風土を踏まえ、産業基盤をどう構築するか、地理を踏まえ、対外交流をどう展開するか、州のセールスポイントをどこに置くか、そして何より、歴史文化土壌が異なる各県民が一緒になる中、自治社会の根幹をなす協働の精神や住民の一体感をどのようにはぐくむかなど、吟味・検討すべき課題は山のようにあります。  道州制は、地方及び国家の命運を左右する重要な問題であります。抽象的に早期導入を呼びかけるばかりでなく、そろそろ他県をも交え、多角的かつ具体的な検討を通し、住民の姿が見える実体づくりを模索されるべきではないかと私は思うのであります。  二点目として、道州制に向けて、いかに実体づくりを進められていくか、お答えいただきたいと存じます。  質問の第二は、新しい過疎対策についてであります。  県で最近重点的に推し進められている事業に過疎対策があります。一昨年、過疎対策のための少数精鋭プロジェクトチームを設置され、現地調査や聞き取りを行い、過疎地域の置かれた深刻な状況を浮き彫りにし、医療体制確保、生活交通整備、集落維持支援などの新事業に取り組んでこられました。施策というものは、本来、現実を正確に直視した上で知恵を絞り、実践されるべきものであります。県が過疎対策の推進に当たり、足で歩かれ、具体的アイデアを意欲的に提示している点を大変高く評価するところであり、今後も引き続き、熱意を持って進めていただきたいと考えております。  しかし、人口減など過疎地に生じる現象から本質にさかのぼるに、私としては、過疎問題は生活の糧をその地で得られないことが根本要因であると思います。そこで、地域の将来を見据えたとき、真に求められるものは、地域を将来にわたり支える産業基盤の構築であり、過疎地の場合、有効であるのは、歴史的、自然的に見て、農林水産業の再生を図り、担い手を呼び込むことではないかと考えます。  そうした見地から次年度予算案を見ますところ、農林水産業の活性化に向けた取り組みに重点が置かれた方向性については、過疎対策の点からも評価されるところであります。とりわけ、これまで中北部に偏っていた農業集落法人について、かんきつ産地や園芸産地でも展開することは、南部をも含む全県過疎地に就労の場、生活の糧を得るための場を創出する試みになると考えられます。また、地域の漁業振興を図るため、流通改善のための事業を打ち出されているところにも同感できます。  金融経済が行き着くところまで行き着き、バブルに帰した後、文字通り第一次産業である農林水産業の振興を図ることは、古くて先進的な試みであるとも言えるのではないでしょうか。現に、緊急雇用対策の就業促進研修において、農業・林業分野に定員を超える多くの申し込みがあったようであり、まず農業法人との就農面接会などを通じて、県としては地域に定住するよう働きかける必要があります。人口割合は一割であっても面積割合が六割を占めている過疎地域を守れば、県土全体に環境保全の効果を波及させ、食料自給率の向上にもつなげていくことができます。  過疎問題は、もちろん過疎地でも新規流入者を温かく迎える体制を組んだり、住民が熱意を持って地域のよさを発掘するなどの要素も必要であり、とても県のみで解決できる問題ではありませんが、人口減少社会を迎えた今日、過疎問題は全国広い領域で通じる問題であり、各局連携を図るなどして広島県が成功事例を生み、リードしていくならば、大変国家的にも意義のあることであり、この際、腰を据えて戦略的に取り組むべき課題であると言えます。  そこで、知事に置かれては、過疎問題の本質をどうとらえ、今後どのように施策を進めていかれる所存なのか、そのお考えを伺いたいと存じます。  質問の第三は、瀬戸内海における水産資源の回復対策についてであります。  地球温暖化など、空の環境に対する問題意識が高まっていますが、海についても、とりわけ本県については身近な瀬戸内海の環境保全について、もっと真剣に目を向ける必要があります。瀬戸内海で熱帯の魚が確認されるなど、地球規模での環境変化が懸念される情報も寄せられています。瀬戸内海は、本来、自然景観や水産資源に恵まれた海でありますが、現在、水質の改善が見られないことや、大量の海ごみ、漁獲量の減少などの課題があります。  本県では、それに対し、水質改善に取り組む一方で、新たな法整備を含めて瀬戸内海を再生するための方策を関係する自治体と共同で国に提案されています。また、江田島市の漁協においても、海ごみの持ち帰り活動が地道に続けられておりますが、先日、自治体、漁協、民間団体などが共同で海ごみの回収処理を進めていくためのマニュアルを作成したとの記事が掲載されておりました。  このような動きもある中、とりわけ私が重要と考えるのは、漁業環境の改善を通した漁業の振興であります。それは、さまざまな要因による海洋環境全体の変化は、水産資源、ひいては漁獲量がバロメーターになるのではないかと考えるからであります。瀬戸内海の漁獲量はピーク時に比べ半減しており、特にハマグリ、アサリなどの二枚貝類は三十分の一程度にまで減少し、養殖業についても、ノリの色落ちの発生などの問題が生じております。江田島湾も、かつては多くの藻場・干潟を有し、クルマエビやワタリガニが育つ大切な場所でありましたが、近年は漁業環境の悪化から、漁獲が伸び悩んでいます。こうした原因には、乱獲、漁業者の減少など人為的な要因も影響しており、環境面の対策と、水産資源を適正に管理し、回復させるための取り組みがともに必要であることは言うまでもありません。  本県でも、農林水産局が、放流を初め生産面を主体とした漁業者への支援に取り組んでおりますが、これまで申し上げたように、漁業が海の環境や幅広い原因に左右される営みである以上、環境県民局を初めとする多くの部局が横断的に取り組んでいかなければ、その実効性は十分確保できないのではないかと考えます。  昨年の世界的食料危機で明らかになったように、食料自給率の向上は国家国民の課題と言えますが、その自給率に魚介類も含まれていることは見逃してはならないことであります。我が国の食料自給率は、平成十八年、四〇%以下にまで低下しておりますが、魚介類についても、約四十年前の一一〇%から六〇%以下へと半減しており、かつて自給した上に輸出できていたものが、現在では輸入に頼らざるを得ない状況になっているのであります。また、近海でとれる魚が減り、貝やノリなどの多くの品種に質・量の低下が見られることは、日本人の食文化、伝統の断絶や栄養バランスの狂いが生じかねないことであります。目の前の海という資源を生かさないのはもったいないというものであります。  そこで、瀬戸内海の環境保全と水産資源の回復のために、関係自治体と連携のもと、広域的な視点を持ちつつ、藻場・干潟の造成など、漁業環境の保全・創造を図り、水産資源そのものの適正な管理と回復策を講じていくことが重要と考えますが、今後どのように取り組んでいこうとされているのか、お伺いいたします。  質問の第四は、授業力の向上についてであります。  授業力は非常に大切なものであります。授業がわかりやすければ生徒の学力はつき、やる気も高まります。また、授業は知育のみならず徳育にも通じ、例えば作品鑑賞は人の気持ちの読み取りを覚えさせ、計算鍛錬は精神の集中を促します。授業力は、教員の権威にも直結しています。特に、最近の子供は、時代柄、実益志向が強く、進学などで自分の将来を有利にする授業のうまい先生を求める傾向があり、下手な授業をすれば、まず尊敬されません。県としても、近年、求められる教職員像に確かな授業力を身につけていることを掲げ、各校での授業改善のための研究促進やエキスパート教員認証制度などで教員の授業力の向上を図ることに取り組まれており、見識を示されております。  しかし、問題は、一部の意識や技術の高い先生のみならず、全体的、そして均質的に授業力向上が図られているかであります。かなり理解力のある子供でも、教員のめぐり合わせが悪く、将来のため塾に通わざるを得なくなった子、同じ定期テストでも担当者によって十点以上平均点格差が出るケース、当たったが最後、その教科での受験を事実上不可能にする教師、これらは、かつて私が見聞したことであります。特に、高校理数系科目の場合、教員間の授業力のばらつきはひどく、幾ら聞いてもわからないため生徒に聞いてもらえない授業もあるなど、放置されているのが不思議な問題であると感じておりました。  塾は一般に学校より授業については定評がありますが、その要因に、シビアな生徒の評価が待っていて、授業力のない教師はすぐに首が飛ぶことなどがあります。公務員の生活保障や精神ケアの観点から、現実にはそのようなシステム導入は困難ですが、学校の人事評価システムが生徒の視点や焦点からずれていないかについては、検討の余地があると思います。また、塾の場合、比較的先生が授業力向上のためにエネルギーや時間を費やせる環境を与えられております。質の高い授業を提供するため余裕を持たせ、無駄を省く環境づくりを学校も志向すべきではないでしょうか。  例えば先生を困らせる問題のある親などについては、個々の教員のみならず、校長中心の学校組織として防衛する、あるいは、生じた結果について、何でも教員に責任を負わせる風潮に安易に乗らず、理不尽なクレームに対しては、だめなものはだめだと毅然とした態度をとることなどが挙げられます。また、文部科学省でも、教員が生徒と向き合う時間をふやすよう、報告書や会議などの短縮を進める動きもあるようですが、生徒と離れ、授業の下準備に割く時間を捻出するなどの視点もあえてつけ加えたいものであります。  授業力の全体的、均質的な向上をいかに図るか、現在の実情を踏まえ、教育長に伺いたいと存じます。  質問の第五は、ことばの教育についてであります。  「ゆとり世代」なる言葉があります。これは、ゆとり教育を受けた世代を指す言葉で、気ままで学力がついていない世代であることを指摘し、冷やかすニュアンスを込めて用いられるものであります。実際、ゆとり教育は反省のもと学力向上路線へと転換を余儀なくされており、一つの世代が大人の教育行政に翻弄されてしまったことになります。ほうっておくと子供は怠けやすいという当たり前の現実が見えず、自分たちが受けたいタイプの教育を導入したのがゆとり教育のそもそもの誤りであると私は考えております。  公教育は、子供全般に必要とされるものは何かを冷静に考えて行われるべきものであります。広島県教育については近年高い評価が定着しておりますが、私も同感であり、その一つにことばの教育を中核に上げられているということがあります。実際、言葉をうまく使いこなすことは、子供全員にとって大切なことであります。他人とのコミュニケーションはもちろんのこと、言葉は思考力をつくる上で大きな役割を果たしています。特に、我々は他人と話さないときでも、無意識のうち、無言のうちに考える際、母国語という名の言葉を用いています。こうした観点から、子供が言葉をうまく使えるようにすることは、非常に重要な眼目であります。  ことばの教育の特徴は、各校で実践的な取り組みがなされていることであります。本県では、朝の読書として、公立小学校、中学校、高等学校で一〇〇%実施されています。これは大変よい試みであり、本を読まない子が減少しているという結果も出ています。ただ、おおよそ十分程度という時間、各人の好きな本でいいということで、次の小テストのための準備本でも黙認されるところもあると聞きます。若い人たちの十分間は重い十分間であります。本を名作に限定するなどの配慮が要るところもあるのではないでしょうか。学校によって、平家物語や百人一首など古くから伝わるものを教材に朗読・暗唱させる試みがあります。口から口へ、世代から世代へと伝えられ、移り行く時代の風雪に耐えたものには、耐えてきただけのものがあります。洗練された表現のお手本に親しみ、言葉の感性を高める意味からも、広がることが望まれる試みではないかと思います。  特に重要なのは、国の言葉を大切にする、情感をはぐくむことであり、これは我々大人の姿勢が問われるのではないかと思います。  教育は、国家百年の大計と言われます。その礎であることばの教育を、よい教材、お手本からの学びなどを通して、いかに図るかについて、教育長のお考えをお聞かせ願いたいと存じます。  質問の第六は、心の健康づくりについてであります。  統計的にも心の病にかかる人の数が増加し、県内の自殺者数が年間六百人を超えているという状況を踏まえ、県としては、心の健康づくりには留意して施策展開を図る必要があると考えます。特に、最近の不況により、見つけようにも仕事がなく、精神的にもまいり、追い込まれていく人がさらに増加していく忍びない現状があります。心の健康は、いかに県民が豊かな暮らし、安定した仕事を持てるかなど経済面も大きくかかわり、産業振興、雇用政策、景気対策などあらゆる分野が絡まる領域であり、本来は県の全知・全力、プライドをかけて当たるべき問題なのであります。県では、自殺予防までを視野に入れ、心の健康づくりのための普及啓発・情報提供や、県の機関での心の相談などを軸にして展開しておられますが、あえぐ人たちの立場に立って、汗を流し、知恵を絞り出していただきたいと願う次第であります。  まず、心の健康にかかわる表現においては、繊細さが要求されると思います。例えばよく使われる睡眠を十分にとろうなどの標語は、ときに誤解を招くもとであります。確かに睡眠量の確保は大切でありますが、眠ろうとする努力が睡眠を妨げるという言葉もあるように、眠るための計らいが意識の緊張をもたらし、かえってあだとなることもあります。ちなみに、厚生労働省の「健康日本21」のホームページに、「最新の研究では、眠いときだけ床につく、十分眠れなくても毎朝同じ時間に起きることで睡眠薬の使用に負けないだけの効果がもたらされることがわかってきた」とありますが、これなどさりげなく工夫された有益な情報であり、アレンジして普及させればいいのではないでしょうか。  また、キャッチコピーづくりも大切な要素ではないかと思います。最近、県で成功したキャンペーンに「減らそう犯罪」県民総ぐるみ運動があります。これは当初、事務レベルで「犯罪を減らそう」としていたものを、当時の県警本部長が、それでは県民の心に届かないと熱い思いを込めて、「減らそう犯罪」にトップダウンで改めたと聞きます。実際「減らそう犯罪」は覚えやすく、メディアにも載りやすく、運動推進に大きな役割を果たしています。こうした直感的メッセージを心の健康づくりにも活用し、県民に届けるべきではないでしょうか。  また、県において、心の相談を無料で受けられるところが各地に多くあるにもかかわらず、県民に余り知られていない気がいたしますので、そのPRに努めるべきだと存じます。カウンセリングの効果は、カウンセラーの技術ばかりではなく、その人から伝わるぬくもりからも生まれると聞いたことがあります。心の健康づくりには、確かな考え、熱い思い、そしてエネルギーが要求されると思います。  県として、いかに心の健康づくりに取り組んでいこうとされているのかについて、お伺いしたいと存じます。  以上をもちまして、私の質問を終わります。御清聴、まことにありがとうございました。(拍手) 19: ◯副議長山木靖雄君) 当局の答弁を求めます。知事藤田雄山君。         【知事藤田雄山君登壇】 20: ◯知事藤田雄山君) 沖井議員の御質問にお答えを申し上げます。  まず、道州制についてお尋ねがございました。  道州制は、これまでの中央集権の仕組みを改め、国の役割を国家の存立にかかわる事務などに限定した上で、住民に身近な行政サービスはできるだけ身近な地方公共団体において、迅速かつ自主的に提供していくことを基本とした地方分権の究極の姿であると考えております。  道州制の実現に当たりましては、関係県も含めた幅広いコンセンサスの形成が必要であり、中国地方知事会におきましても、広域自治体のあり方検討会で議論を進めながら共通認識の醸成に努めているところでございます。また、中国地域全体の発展や一体性を形成する観点から経済界の提案で設置されました中国地域発展推進会議に積極的に参画するなど、まずは各県の理解が得られるものから、共同・連携事業の拡充に向けて取り組みを進めているところでございます。  今後とも、こうした取り組みを通じて経済界や関係県などとも十分に議論を行いながら、道州制の実現に向けて積極的なコンセンサスづくりに努めてまいる所存でございます。  次に、新しい過疎対策についてお尋ねがございました。  過疎問題の主たる要因は、過疎地域の基幹産業である農林水産業の長期的な衰退などにより若者を中心とした人口流出が続く中で、地域の活力が徐々に失われたことによるものであると認識いたしております。また、今後一層の人口減少が予想される中、昭和一けた世代や団塊の世代がその人口の相当部分を占める過疎地域は深刻な後継者不足が懸念され、早期の安定的な産業基盤の確立により若い世代が地域に定着できることが重要であると考えております。  このため、地域医療や公共交通など緊急対策として実施している施策の充実を図りながら、集落法人の設立を基本に収益性の高い園芸や畜産の導入を図るなど、産業として自立できる農林水産業への構造転換を促進し、過疎地域を支える産業基盤の早期確立を図ってまいります。さらに、豊かな自然環境やさまざまな地域資源など過疎地域が本来持つ強みを生かし、都市との交流、定住の促進などの取り組みも積極的に進めてまいります。  今後とも、過疎地域を守ることが県土の保全と県民全体の暮らしを支えることにつながるという理念のもと、過疎地域が将来にわたって魅力ある地域となるようその維持・再生に努めてまいりたいと考えております。  次に、瀬戸内海における水産資源の回復対策についてお尋ねがございました。  持続的かつ安定的な水産業を確立するためには、競争力のある担い手が主体となった生産構造への転換を図るとともに、瀬戸内海の漁業環境保全と水産資源の適切な管理が重要であると考えております。このため、本県では、漁協の広域合併を促進し、経営基盤の強化を図ることによりまして、漁協が漁場環境の保全や水産資源の増大などに積極的かつ主体的に取り組める体制づくりを進めているところでございます。さらに、海底堆積物の除去や魚介類の育成の場となる藻場・干潟の維持修復やメバル、オニオコゼなどの放流に加えまして、瀬戸内海の関係府県と連携して、サワラなどの広域回遊魚の資源管理に取り組んでいるところでございます。また、来年度から、新たに地域において藻場・干潟を維持・保全する活動や、市町が漁協と一体となって海ごみを回収・処理する取り組みについて支援することといたしております。  今後とも、本県の水産振興を図る上で、最も重要課題と位置づけております漁協合併を推進していく中で、市町や漁業関係者と一体となって、効果的な漁場環境の保全と水産資源の回復に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、心の健康づくりについてお尋ねがございました。  心の健康づくりにつきましては、県民一人一人がストレスなどに対処する知識や方法を身につけ、それをみずから実践するセルフケアがまず重要でございますが、あわせて、そのようなストレスが生じにくい環境づくりも大切であると認識いたしております。  このようなことから、県といたしましては、県民のセルフケアを支援するために、保健所などで心の健康に関する相談を行うほか、市町や民間と連携し、いのちの電話など多様な相談窓口の整備も推進しており、今後につきましても、より積極的な広報に取り組んでまいります。  また、環境づくりにつきましては、その中でも重要な、職場における取り組みを推進するため、今年度、経済団体なども参画するひろしま健康づくり県民運動推進会議を立ち上げまして、事業者みずからの取り組みによる心の健康づくりを今後推進することといたしております。これらの推進に当たりましては、健康づくり県民運動の一環としてキャッチコピーを工夫するなど、県民一人一人の心に届くメッセージを発信しながら、自殺予防まで視野に入れた心の健康づくりに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  また、こうした対応にとどまらず、福祉施設全般の充実に努めますとともに、県民の皆様の安全・安心につながる経済・雇用対策に積極的に取り組むことにより、心の健康づくり、そして元気な広島県づくりにつなげてまいりたいと考えております。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁いたさせます。 21: ◯副議長山木靖雄君) 危機管理監抹香尊文君。         【危機管理監抹香尊文君登壇】 22: ◯危機管理監(抹香尊文君) 合併後の基礎自治体の危機管理力についてお答えいたします。  近年、自然災害や危機事案は激甚化、多様化の傾向にあり、これに適切に対処するためには、地域における防災力を強化することが極めて重要であり、市町の果たす役割はますます大きくなっております。こうした中、合併によって基礎体力が高められた市町においては、情報の一元化を図り、迅速な応急対策を実施するため、危機管理を担当する専門部署を設置するとともに専任スタッフを配置するなど、組織の強化が図られております。  また、消防本部においても、管理機能の統合により現場での活動要員を増強されたほか、高度な資機材が整備されるなど、消防力が強化され、より高度な消防サービスの提供が可能となったところであり、消防団についても広域的な動員体制が確保されたところでございます。こうした体制の充実強化に加えて、各市町においては、対処能力向上のための実践的な訓練の実施や、共助のかなめであります自主防災組織の活動の活性化に向けた取り組みも行われており、地域における防災力は着実に向上しております。  県といたしましても、引き続き、地域防災の担い手である市町と連携して、総合的な防災・危機管理体制の一層の充実に努めてまいります。 23: ◯副議長山木靖雄君) 教育長榎田好一君。         【教育長榎田好一君登壇】 24: ◯教育長榎田好一君) 二つのお尋ねがございました。  まず、授業力の向上についてです。  教員の指導力の向上を図るため、これまで教育センターの研修の充実や学校における研究授業の実施などに努めてきたところですが、あわせて研修や研究の成果を校内で協議し深め合い、教員間で共有するなど、学校全体での取り組みをさらに進める必要があると考えております。このため、各学校において年間指導計画を作成・実施し、生徒による授業評価や定期考査などを通した評価により検証するなど、組織的に指導方法の改善を図るとともに、開発した教材や指導案を教員間で共有するよう指導してきたところでございます。  また、昨年から、小中学校では、効果的な指導の実践例や授業研究の進め方などを収めたDVDを配付し、研修会で活用を図っており、高等学校では、教科主任を対象に授業改善の研修を実施し、学校が一体となって取り組みを指導しているところでございます。  さらに来年度から、中学校では,複数でグループをつくり、指導内容や指導方法の研究を行うこととしており、高等学校では、生徒の実態に応じて教材や指導方法の研究などを行う学校を三つのタイプ別に指定し、タイプごとに教員の合同研修を実施することとしております。  今後とも、これらの取り組みを通じ、すべての教員に確かな授業力を身につけさせ、学校全体としての指導力が向上するよう努めてまいります。  次に、ことばの教育についてです。
     言葉の力は考える力の基礎であり、同時に、人と人を結ぶコミュニケーションの基礎でもあることから、基本的な言葉の技能や能力を児童生徒に身につけさせることは極めて重要でございます。このため、本県においては、全国に先駆けてことばの教育を推進してきており、学校においては、読書や言葉に親しむ活動の充実や、順序や筋道に気をつけながら話したり、伝えたいことを考えながら書いたりする指導の充実を図ってきたところでございます。  新学習指導要領では、言語活動の充実を図ることが示されており、特に国語科においては漢字の読み書き、音読、対話、発表などにより基本的な国語の力を定着させること、古文・漢文の音読などにより言葉の美しさや古典特有のリズムを味わうことなどが求められております。  教育委員会といたしましては、新学習指導要領の趣旨の徹底を図るとともに、これまでの実践において開発された教材や効果的な指導方法の普及に努めるなど、ことばの教育の一層の充実に努めてまいります。 25: ◯副議長山木靖雄君) 引き続いて質問を行います。城戸常太君。         【城戸常太君登壇】 26: ◯城戸常太君 自民党立志議員会の城戸常太でございます。  いざなぎ景気を超える戦後最長と言われた好景気は、百年に一度と言われる経済危機を契機に、まさにがけから飛び落ちたかのように急降下しております。大手企業の最終決算は軒並み赤字が見込まれ、解雇の波は非正規労働者から正規社員にまで広がっております。深刻な日本経済に対してどのような対策を打つべきか、そして、これからの日本はどの方向にかじを切っていくべきかが盛んに議論されております。これまでの構造改革路線を堅持するのか、それとも、行き過ぎた、また行き届かなかった改革を是正するのか、日本の将来のあり方を問う重要な岐路に立たされております。  私は、小泉政権以来取り組まれてきた構造改革は単に表面的な改革にとどまり、そこに内在する根本的な問題が置き去りにされてきたのではないかという気がしてなりません。例えば、これまで行われてきた規制緩和などによって大手企業の寡占化が起こり、これによって大企業は系列化とも言われる大多数の下請け企業を支配下に置き、そして、下請け会社に対して一方的なコストカットや値引きを迫る。それに反発する下請け企業は取引を外されて日干しにされるため、下請け企業は文句が言えない。そして、さらなる無理難題やコストカットの要求を突きつけるといったことが頻繁に起こっているのであります。こうした大企業の理不尽とも言える行為が、日本の強さの象徴でもあった中小企業の弾力性や粘り強さを次々と破綻させていると考えるのであります。  また、行政においても、国は、みずからの行政改革のおくれを地方交付税の削減などによって地方にしわ寄せをする形でしのぎ、結果として、地方を疲弊に追い込んでおります。まさに官も民も、その下へ下へとしわ寄せをしていくだけで、根本的な解決は先送りされております。  そのようなことを背景とし、今まで日本の社会が築いてきた一体感、温かさ、安全・安心、人のきずなや信頼関係といったものが次々と毀損されていき、その結果、個人が孤立し、社会の崩壊を招いているのではないかと強く感じております。くしくも構造改革の旗振り役であった方が、構造改革だけでは人は幸せになれない。功よりも罪の方が大きくなっているとざんげの本を出版しておられますが、私は、これまで進められてきた国の構造改革はどこに問題があったのか、日本社会をもう一度一体感のある温かい社会に戻すためには、今後どのような取り組みが必要なのかということが、本気で議論されなければならないと思っております。  本日は、こうした構造改革の問題点や現下の厳しい経済情勢を踏まえ、県が果たすべき役割とは何か、また、公務員のあり方をどのように考えていくべきかといった視点で、何点かの質問をさせていただきます。  質問の第一は、緊急経済・雇用対策についてであります。  平成二十一年度の当初予算編成に当たっては、ほとんどの方が、さきの臨時議会で措置された予算ではどうにもならない、もっと本格的な対策が必要であるという認識を持っておられたのではないかと思います。さきの臨時議会予算から当初予算までを合わせた十五カ月予算は、総額五百九億五千万円となると言われておりますが、私は、経済危機に直面している地域経済の現状を踏まえた対策としては、ふさわしい規模・内容なのか、疑問を感じている部分がございます。  この経済情勢を受けて、中小企業の融資依頼が金融機関に殺到しております。県では、今回の対策として融資枠を大幅に引き上げたと言われますが、多くの中小企業は、実際には融資を受けられないのではないかと感じております。なぜかと申しますと、今の金融機関の融資体制は、ランクづけによる減点評価によって融資するかどうか、指標に基づく融資決定を行っており、事業の将来性までを見通した経営評価による融資は限りなく見送られているのであります。本来の金融機関の使命とも言える、与信に対する金融機関の判断力が大きく欠如しているという実情が内在しているのであります。かつての金融機関では、地元の中小企業に数多く足を運び、その企業の資金需要や経営実態を細かく情報収集するという地に足のついた行員が育成されておりました。しかし、旧大蔵省から現在の金融庁に金融行政、民間金融機関の検査・指導が移って以来、金融庁による指標に基づく指導などの影響もあって、金融機関の考え方が大きく変わってきております。  昨年十月に導入された緊急保証制度の保証率は一〇〇%で、金融機関にとってはたとえ貸出金が焦げついても一〇〇%回収ができます。また、通常の制度融資は、責任共有制度が導入されたとはいうものの、金融機関のリスクは二割であります。ほとんどリスクを負わないで金融機関は金利収入を得ているのであります。制度融資が拡大すればするほど、金融機関は、プロパー資金による融資は健全な一部の企業に回し、少しでもリスクがあると判断すれば、そのほとんどを信用保証協会の保証つきの制度融資を活用するといったことが起きております。金融機関のプロパー資金で融資を受けてもいいような案件が制度融資に回され、結果として、制度融資が受けられるはずであった企業が玉突きによってはじき出されているのではないでしょうか。  緊急対応融資の新規融資枠が昨年の百七億円から二百二十億円に拡大されておりますが、現下の経済情勢では経営内容の健全な貸し出し先はふえるはずもなく、新たな貸し出し先がふえるとは到底思えません。融資枠の拡大で、今まで制度融資を受けられなかった企業が受けられるようになるのではありません。経営再建のために既に制度融資を受けて借りかえをした企業は、金融機関によって要注意先、要管理先企業と位置づけられます。この不況でさらに業績が悪化し、新たに借り入れを希望する場合は、金融機関や信用保証協会の審査が必要となり、審査の結果、融資を断られることになります。  また、戦後最悪とも言われるこの不況によって、大手優良企業の業績も悪化し、借り入れを希望するといった事態が起きているため、中小零細企業に回される融資枠自体も一層絞られてきているという実態もあります。止血をしたが輸血はしないということではなく、止血の後に輸血をしなければ生き返れません。企業はただ倒産するだけであります。このような制度では今回の不況に対応できない、そのように私は思います。平成十年に期限つきで設けられた特別保証は、モラルハザードを起こしたという批判はありますが、私は、この特別保証に近い制度にでも改正しない限り、この不況では企業を救えないと思いますので、そのような制度改正を国に強く要望していただきたいと思います。現に、東京都では、信用保証協会の保証による融資を受けられなかった企業を対象として融資が検討されております。  単に既存制度の融資枠を拡大して経済対策をしたという形をとるのではなく、もう少し融資を取り巻く環境の変化、起こっている現状を踏まえた対策を検討していただきたいと思いますが、今の金融機関の融資姿勢をどのように認識しておられるのか、また、融資枠の拡大の効果をどのように考えておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  私は、今回措置された緊急経済・雇用対策の事業財源は、ほとんどが国の交付金によるもの、また、中小企業対策は、融資枠を拡大して見かけ上大きく見せているだけで、県が独自で財政出動を行う事業があまりにも少ないと感じております。かつて経験をしたことがないような不況で、しかも牽引する産業が見出せないこういうときこそ、官は借金をしてでも需要を創出する思い切った対策が必要なのであります。  本県では、緊急経済・雇用対策を打つ一方で、財政健全化にも取り組むといった考えを持っておられますが、私は、景気対策と財政健全化の同時並行は成立し得ないと考えます。期間限定による思い切った対策を打たないと、それこそ中途半端に終わり、何の効果もなかったということになりかねません。  そこで、私は、公共事業の雇用効果を再認識し、県による直接的な財政出動として公共事業の積極的な拡大が図られるべきだと思うのであります。仕事をつくらなければ雇用はふえないわけであります。中小企業に対する金融支援も重要ではありますが、地域経済的には公共事業で仕事をつくり、雇用を吸収していく効果をもっと認識するべきではないでしょうか。融資などの対策経費は最終的には消えてなくなりますが、公共事業は社会資本という公共財産が残るわけですから、景気刺激策として積極的に活用を図るべきなのであります。  本県の緊急経済・雇用対策の事業財源がほとんど国の交付金であると、先ほども申し上げました。国の関連法案の成立がおくれ、本県では、学校の耐震化事業などを見切り発車で事業発注したと聞いておりますが、このような対応を余儀なくされる財源手当てでは、緊急対策としての効果は期待できません。国の予算成立の見通しがつかない中で、本当に地域経済を支えようとするならば、私は県単独の公共事業を積極的に措置するべきであると思うのであります。  しかしながら、本県の平成二十一年度の単独公共事業は対前年度比で一〇・一%と大幅なマイナスとなっており、これでは地域経済を支える予算とは言えません。島根県では単独公共事業を対前年度比で九・九%の増、また鳥取県では六・六%の増と、厳しい財政状況の中にあっても、まずは景気対策が必要であると認識し、身近な公共工事を中心に、地域の景気にてこ入れを図っております。平成二十年の企業倒産増加率は、本県では対前年比で二六・五%と全国平均の一一%を大きく上回っております。行政の役割は、民間の仕事を手伝うのではなく、民間の投資・活力を引き出すことであります。それが県民の雇用につながり、そして、県民の消費につながるのであります。  では、その流れを生み出すために、県民や企業に何を喚起し誘導していくか、これが経済・雇用対策の考え方であり、県に求められている役割であると思うのであります。既に、国では新年度の補正予算も議論されつつあります。国の公共事業予算を積極的に受け入れる、そして、借金を恐れず、県単独公共事業も積極的に措置するという姿勢を持っていただきたいと思います。  県内の全産業が不況にあえいでおります。景気回復の牽引役が見つからない、この状況にあっては、県の単独公共事業を拡大して地域の雇用を支え、活性化を図ることが、経済・雇用対策として有効ではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第二は、公務員のあり方についてであります。  来年度、生涯学習センターや自治総合研修センターの移転が予定されておりますが、移転の理由は県民の納得が得られるものなのかどうか、また、県民から求められるセンター機能のあり方などを内部で十分に議論した上で方針決定されたのかどうか、私は疑問に思っております。例えば、自治総合研修センターは、単にエソール広島に空きスペースができるから移転するというのが理由になっております。残った跡地をどうするのかという議論を先送りし、とりあえず移転するという安易な考え方に思えて仕方がありません。地域事務所の統廃合や公の施設の移転などは、なぜ今、その統廃合や移転が必要なのか、その先にはどのような将来があるのかといったことについて、県民に対して説明を十分果たす必要がありますが、残念ながら果たされていないように思えて仕方がありません。  また、安芸津病院は、近年、患者が大幅に減少し、経営状況が悪化しているから、病院規模を縮小して経営健全を図ると言われますが、単に資金収支を合わせるために縮小するという発想では、永遠に経営改善は図れません。地域の中で患者がどこの医療機関に流れているのかというリサーチもなければ、どうやって患者をふやしていくかという検討、どういうサービスをしたら患者がふやせるのかという検討や説明が全くされておりません。  その一方では、民間病院に対して約二十二億円という多額の無利子貸し付けが行われることとなっております。今まで地域の医療を支えてきた公立病院が縮小され、一方では、民間病院でありながら、地域の拠点病院化という理屈で多額の無利子貸し付けが行われる、このようなことが県民に十分な説明がないままに進められているのではないでしょうか。  さらに、このたびの緊急経済・雇用対策においても、疑問に思う事業があります。県産材住宅モデル普及推進事業が一億千七百万円余り計上され、県産材を活用した展示住宅の整備に対して補助することとされておりますが、実施予定箇所がなぜ広島市と東広島市だけなのか。広く県内に県産材を普及させるのであれば、県内全地域を対象としてバランスをとる必要があったのではないかと考えますが、さしたる説明はありません。  このほかにも、地域の建設業者がこれだけ倒産している中に、十分な説明もないまま、国の認証額と差が出たという理屈だけで、公共事業予算が新たな具体化方策に掲げられた削減額以上に予算が削減され、その一方で、一般職の給与の三%カットを三年間継続する予定が、結果として三年間のトータルでは一部が復元される形となり、人件費の削減額は目標額に達していない。この上、時短の導入によって実質的な人件費単価アップも行われようとされる、そうした一連の行為に対し、県民は疑問と失望感を抱いているのではないかと思います。  そこで、知事は、行政改革を推進するに当たり、県民に必要な事業をも縮小・廃止し、その一方で、職員の給与は勧告制度によって守られているという意見をどう受けとめておられるのか、県民にどう説明しようと考えておられるのか、お伺いいたします。  我が国の経済は、物価はインフレ傾向にある一方で人件費はデフレになるという、過去に日本が経験したことがない現象が起こっておりました。しかし、今回の金融危機を契機として人件費も物価も両方が下がり始め、本格的にデフレに突入したと判断すべきであると考えます。  そのような中にあって、今次定例会での提案は見送られましたが、実質的な人件費単価アップにつながる時短は、この時期にどう考えてもおかしいわけであります。環境が整い次第、提案する方針であるとのことですが、環境が整うとは具体的にどのような状況になった場合のことを言うのか、私には理解ができません。  十二月定例会では、地域手当の引き上げがなされ、職員給与は増となりました。この上、実質的に人件費単価三%アップとなる時短の提案は、本当に県民に理解されるのかどうか、財政健全化の見通しがつかない中で、景気が回復したらそこで環境が整ったということになるのか、どのように考えておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  時短という直接的な人件費単価アップでなくても、形を変えた実質的な人件費単価アップがほかにも平然と行われようとしているのではないでしょうか。県教育委員会は、国の教員給与の優遇措置の縮減を受けて教員手当が見直されることになり、本年一月から義務教育等教員特別手当を本給の三・八%から三%に引き下げられておりますが、その一方で、学校における組織運営体制及び指導体制の充実を図るために、四月から主幹教諭・指導教諭を設置することとされております。この新たな職の設置によって発生する給与の増額分は、職員手当の引き下げによって生まれる原資で賄うことができるので、教育委員会全体としての給与総額はふえないという説明がありました。  しかし、それは本当なのかどうか、疑問であります。この主幹教諭・指導教諭は管理職という位置づけがなされておりません。県教育委員会では人材を見て任用すると言われますが、管理職という位置づけがない状態で、土日の行事等を含め、本当に校長をサポートする職として機能するのかどうか、疑問であります。それどころか、この職が単なる処遇的な職に形を変えて、一定の年齢を重ねたら任用され、それが実質的に給与アップにつながり、最終的には教員手当の縮減効果が消えてなくなってしまうのではないかと私は考えております。主幹教諭・指導教諭という職の設置は、事実上の人件費単価アップとなることは目に見えております。  そこで、教育長にお伺いしますが、管理職としての位置づけのない主幹教諭・指導教諭が本当に機能すると考えておられるのかどうか、また、このような職の設置は実質的な人件費単価アップであると考えますが、どのように認識しておられるのか、あわせてお伺いいたします。  現在、国においては、国民全体の奉仕者である国家公務員について、一人一人の職員がその能力を高めつつ、国民の立場に立ち、責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行することという精神のもと、国家公務員改革が進められようとしております。本県では、行財政改革に取り組んでいると言われますが、現在の公務員システムの延長線上で行うものだけが改革ではありません。そのためには、地方自治法や地方公務員法の改正も視野に入れた考え方をしなければなりませんが、私は、現在の地方公務員システムの延長線上では、多分、行財政改革はなし遂げられないであろうと考えています。  内閣府が発表した平成十八年の一人当たり県民所得によりますと、一位は東京都の四百八十二万円、広島県は三百十万円、山口県は二百八十八万円、最下位は沖縄県の二百九万円であります。この一人当たり県民所得は企業の利潤なども含んだ県民経済全体の水準ですので、純粋な個人の所得水準をあらわすものではありませんが、この額は、ある種の地域間格差が実感として受け入れられるものだと感じております。  また、本年一月に、厚生労働省から平成二十年賃金構造基本統計調査の速報が発表されておりますが、これは十人以上の正規職員等を雇用する民間事業者の集計であります。これによると、東京都が三百九十七万円、広島が三百二十三万円、山口県が二百九十三万円、沖縄県が二百三十五万円となっており、この調査でもこれだけの格差が出ております。  一人当たり県民所得や賃金構造基本統計でこのような結果が出ているのに、なぜ各県の人事委員会の勧告はほとんど横並びなのか、県民には理解できないのではないかと思います。正規職員でホワイトカラーのみを調査対象とすることや、現在の公務員の組織規模と比較するために、一定の小規模事業所は対象外とせざるを得ないというのは人事院の理屈であって、県民が納得できる理屈ではないように思います。  私は、かつて、県人事委員会に独自の給与表を作成すべきではないかと提案したことがありますが、その際、県の単独の体制では作成ができない。それなりの体制と機能強化が必要であると言われました。それならば、将来の道州制をも視野に入れて中国地方各県が議論し、単に人事院の勧告に準拠するだけの組織ではなく、中国五県で一つの、機能が強化された組織をつくるのも一案ではないかと思うのであります。  基本に立ち返ってみれば、民間団体であれ公的団体であれ、どのような組織を定め、その構成員にどのような賃金・給与を支給するかは、当該団体の存立にかかわる基本的事項であります。給与を含めた地方公共団体の人事行政は、組織管理と並んで、本来的には各団体における自主性と自立性が最も発揮されなければならない分野であります。また、経済成長が過去のような右肩上がりのときならばいいのですが、マイナス成長の場合、特に財政の立て直しが必要な場合には勧告を守るといっても限度がありますので、地方公務員の労働基本権のあり方をどのように考えるのかも議論が必要であります。  さらに、国の人事院を見てもわかるように、単に公務員のOBが総裁になって、本当の独立性が疑われるような組織とならないためには、各県の行政組織と一定の距離を置き、中立性・公平性を確保するという意味で、中国地方で一つの組織という考え方もできるのではないかと思います。人事委員会と同様、監査委員もそうですが、中国五県で一つ独立した機関を設置して、中国五県の行政をチェックできるような仕組みも検討ができないものかと考えます。  そこで、地方の人事委員会の真の中立性・公正性が確保され、地域の勤務労働条件がより反映されるためには、人事委員会のあり方をどのように考えるべきなのか、また、今後、中国地方各県に呼びかけて、人事委員会制度のあり方を議論していただきたいと思いますが、そのような考えができないのかどうか、あわせて人事委員会事務局長にお伺いいたします。  大阪府、新潟県などが、国直轄事業や整備新幹線などの事業に対して、国に納得できる説明をしてもらわなければ、たとえ法律で規定されていても地方の負担金は払わないといった国の制度に反対する姿勢を示しております。法律は変えるためにあり、そのために国会があるのですから、政府や各省庁、国会議員などへ地域の実情と現状を訴え、必要な法律改正、制度改正を実現していかなければなりません。タイムズ・アー・チェンジングであります。時代は変わりつつあります。時代に合った法律や制度に変えるべく、知事以下行政に携わる職員の方々には、単に法律で規定されているからとか、国へ準拠するとかといった考え方を変え、本来どうあるべきかを真剣に議論し、日々の業務に精進していただきたいと切望するものであります。  以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 27: ◯副議長山木靖雄君) 当局の答弁を求めます。知事藤田雄山君。         【知事藤田雄山君登壇】 28: ◯知事藤田雄山君) 城戸議員の御質問にお答えを申し上げます。  まず、金融機関の融資姿勢と融資枠の拡大の効果についてお尋ねがございました。  経済・雇用環境が一段と悪化し、企業の倒産も高水準で推移する中で、中小企業に対する、より柔軟かつ積極的な金融機関の融資姿勢が求められております。このため、国においては金融機関に対し、企業の決算内容だけではなく、技術力や成長性、経営改善に向けた取り組みを重視するなど、企業の実態を踏まえた融資判断の徹底を要請するとともに、その結果について点検を実施することとされております。  本県におきましても、特別資金の創設や要件緩和の実施に当たり、金融機関や信用保証協会に対し、厳しい状況にある中小企業を対象とした融資制度の趣旨を十分に説明するとともに、個々の企業の実情に応じたきめ細かな対応を要請したところでございます。  こうした中、地元金融機関におきましても、緊急保証制度の積極的な活用による融資の拡大を初め、企業再生や経営改善指導などを通じた中小企業に対する支援を強化しつつあると認識いたしております。こうした状況を踏まえまして、来年度予算におきましては、売上減少や経営の悪化により資金繰りに支障を来した中小企業を対象とする緊急対応の融資枠を拡大することといたしており、これにより企業の倒産防止や経営改善につながるものと考えております。  今後とも、経済情勢の動向に留意しながら、金融機関や信用保証協会と緊密な連携を図り、中小企業者の資金ニーズに的確に対応してまいりたいと考えております。  次に、単独公共事業の拡大についてお尋ねがございました。  公共事業は、道路、河川等の社会資本整備を通じて、中枢拠点性の強化による活力づくりや防災機能の向上による安心づくりなどを進める重要な施策であり、計画的かつ効果的に実施していく必要がございます。一方、現下の厳しい本県財政の状況にかんがみ、これまで財政健全化に向けた具体化方策に沿った取り組みを進め、公共事業につきましても、事業費を縮減する中で、地域の実情に応じた整備手法の採用等により重点化や効率化を図り、県民生活や産業活動へ影響を与えないよう取り組みを進めてまいりました。  また、公共事業の実施が地域産業の活性化や雇用の維持・確保といった効果を有していることにも配慮し、このたびの緊急経済・雇用対策におきましては、従来の公共事業とは別に、新たに県民の安全・安心に直結する道路の補修や河川等の緊急対策工事を県単独の事業として実施することといたしております。  こうした取り組みにより、地域の雇用の確保と県内経済の活性が図られますよう、機動的かつ効果的な対策の推進に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、公の役割と説明についての御質問がございました。  行政改革の推進に当たりましては、行政サービスのコストは税負担により賄われているという原点に立ち、県民の視点から、最少の経費で最大の効果が得られますよう取り組んでいくべきものと考えております。こうした中で、既存の事業の実施や施設の運営につきましては、不断の見直しを進めているところでもあり、また、新規事業につきましても、その目的が達成できますよう事業の内容や費用対効果について十分な吟味を行っているところでございます。  一方、このような厳しい財政状況の中で事業を実施する場合にありましても、県民の皆様へのサービス水準をいかに維持・向上させるかという点を重視しつつ取り組みを進めているところであり、引き続き、御理解が得られますよう努めてまいりたいと考えております。  人事委員会の報告につきましては、民間企業の企業実態を踏まえまして、県職員の適正な給与水準を確保するための制度であり、基本的に尊重すべきものと考えております。こうした認識に達しつつも、厳しい財政状況等を勘案し、職員の協力を得て、平成十一年以降、長期にわたって給与抑制や人員削減による人件費の圧縮に取り組んでいるところであり、これらの取り組みも含めて、公務員の給与のあり方について、県民の皆様の御理解を得られますよう十分な説明をしてまいりたいと考えております。  今後とも、さらに厳しさを増す経済・財政状況の中ではございますが、県民の皆様の理解に努めつつ、県として本来提供すべき行政サービスの質を落とすことなく、簡素で効率的な行政運営に力を傾けてまいりたいと考えております。  次に、勤務時間の短縮についてお尋ねがございました。  勤務時間の改定につきましては、人事院勧告制度が労働基本権制約の代償措置であり、最大限尊重すべきものであること、また、地方公務員制度におきまして、職員の勤務条件は国との均衡が求められていることなどから、国に準拠して実施すべきものと考えております。  しかしながら、県内の景気や雇用労働環境が一段と厳しさを増している状況を考慮いたしますと、今議会に勤務時間の短縮に係る条例を提案することにつきましては、県民の理解を得ることは困難であると判断し、提案を見送ったところでございます。  県といたしましては、当面する緊急経済・雇用対策に全力を挙げて取り組むことなどを通じて、県民の理解が得られますよう、環境整備に引き続き努めてまいりたいと考えております。  なお、勤務時間の改定に当たりましては、時間外勤務縮減の徹底はもとより、勤務体制の整備や公務能率の一層の向上を図ってまいることなどにより、行政サービスや行政コストに影響を与えることのないよう対応してまいりたいと考えております。 29: ◯副議長山木靖雄君) 教育長榎田好一君。         【教育長榎田好一君登壇】 30: ◯教育長榎田好一君) 主幹教諭・指導教諭の設置についてのお尋ねがございました。  主幹教諭及び指導教諭につきましては、学校における組織運営体制や指導体制を充実させるために設置することとしており、教諭よりも上位の立場で校務分掌間の調整や外部対応、他の教員への指導助言を行うものでございます。特に主幹教諭につきましては、校長、教頭を補佐し、所掌する校務の整理に当たって、主任や教諭などに対して職務命令を行うことができる職としております。  このため、それぞれの職の任用候補者の選考に当たり、主幹教諭につきましては、法規に関する筆記試験やマネージメント能力を評価するための面接試験をし、指導教諭につきましては、指導力を確認するための授業観察などを行い、能力・識見を慎重に判断することとしております。  また、給与につきましては、地方公務員法に基づくいわゆる職務給の原則にのっとり、教頭と教諭の間に位置づけることを考えており、これに伴う給与費につきましては、教職員給与費全体の中で十分対応できるところでございます。  教育委員会といたしましては、主幹教諭及び指導教諭がその職責を十分に果たせるよう適材を適所に配置するとともに、市町教育委員会や学校と密接な連携を図ってまいりたいと考えております。 31: ◯副議長山木靖雄君) 人事委員会事務局長渡辺和子君。         【人事委員会事務局長渡辺和子君登壇】 32: ◯人事委員会事務局長(渡辺和子君) 人事委員会制度のあり方についてお尋ねがございました。  人事委員会制度は、人事委員会が中立的な立場に立って、職員の給与等の勤務条件が社会一般の情勢に適応したものとなるよう努めることで、行政運営の安定に寄与する役割を担った制度でございます。このため、職員の勤務条件のうち給与につきましては、制度は国家公務員に準拠しながらも、給与水準は地域の民間賃金水準にできるだけ準拠したものとなるよう、これまで全国で取り組んできたところでございます。  なお、人事委員会制度につきましては、地方公務員法に根拠を持つものであり、現行の制度の枠内で独立した一つの組織を中国ブロックで立ち上げるといったことは、現時点では困難であると考えております。  一方で、人事委員会の機能強化、相互の連携を図ることは喫緊の課題と考えており、中国ブロックにおきましては、地域の民間給与水準をより適切に反映させる給料表の改定などを共通の課題として位置づけ、五県の勉強会を今月から開始したところでございます。こうした取り組みを通じまして、今後とも中国ブロック各県との連携をこれまで以上に強化していく中で、地域の民間給与水準の反映に一層努めてまいりたいと考えております。 33: ◯副議長山木靖雄君) 明日も引き続いて質問を行います。明日は午前十時三十分から会議を開きます。  本日はこれをもって散会いたします。         午後二時二十四分散会 発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...