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  1. 広島県議会 2008-09-04
    平成20年9月定例会(第4日) 本文


    取得元: 広島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-05
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成20年9月定例会(第4日) 本文 2008-09-25 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択・全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 34 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言・ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯副議長(山木靖雄君) 選択 2 : ◯副議長(山木靖雄君) 選択 3 : ◯蔵本 健君 選択 4 : ◯副議長(山木靖雄君) 選択 5 : ◯知事藤田雄山君) 選択 6 : ◯副議長(山木靖雄君) 選択 7 : ◯環境県民局長平田光章君) 選択 8 : ◯副議長(山木靖雄君) 選択 9 : ◯農林水産局長冨永嘉文君) 選択 10 : ◯副議長(山木靖雄君) 選択 11 : ◯健康福祉局長(迫井正深君) 選択 12 : ◯副議長(山木靖雄君) 選択 13 : ◯総務局長松田浩樹君) 選択 14 : ◯蔵本 健君 選択 15 : ◯副議長(山木靖雄君) 選択 16 : ◯蔵本 健君 選択 17 : ◯副議長(山木靖雄君) 選択 18 : ◯総務局長松田浩樹君) 選択 19 : ◯副議長(山木靖雄君) 選択 20 : ◯議長(林 正夫君) 選択 21 : ◯小林秀矩君 選択 22 : ◯議長(林 正夫君) 選択 23 : ◯知事藤田雄山君) 選択 24 : ◯議長(林 正夫君) 選択 25 : ◯農林水産局長冨永嘉文君) 選択 26 : ◯議長(林 正夫君) 選択 27 : ◯環境県民局長平田光章君) 選択 28 : ◯議長(林 正夫君) 選択 29 : ◯井原 修君 選択 30 : ◯議長(林 正夫君) 選択 31 : ◯知事藤田雄山君) 選択 32 : ◯議長(林 正夫君) 選択 33 : ◯教育長(榎田好一君) 選択 34 : ◯議長(林 正夫君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:         午前十時三十三分開議 ◯副議長(山木靖雄君) 出席議員五十九名であります。これより会議を開きます。         自第  一 県第七一号議案         至第二十九 報第二一号 2: ◯副議長(山木靖雄君) これより日程に入ります。日程第一、県第七一号議案 平成二十年度広島県一般会計補正予算から日程第二十九、報第二一号 損害賠償額の決定についてまでの各案を一括上程議題といたします。  昨日に引き続いて質問を行います。蔵本 健君。         【蔵本 健君登壇】 3: ◯蔵本 健君 おはようございます。つばさの蔵本 健と申します。県議会議員となって初めて、本日、質問者として質問の機会を与えていただきましたことに対し、議長を初め、議員の皆様方に厚くお礼申し上げます。また、この場をおかりしまして、今日、議員としてこの場に立つことができるまでお世話になった方々、また、私を皆様の代表として県議会に送ってくださった地元佐伯区の有権者の方々、そして、私の政治活動を理解し、支えてくれた家族に感謝の意を伝えたいと思います。  さて、私は、県民と県との関係を、信託者と受託者と例えることができると考えています。県民は生命・財産の保全や公共の福祉の向上などについて、税金という財産を県に信託することによって、受託者である県には受託責任が生じることになります。すなわち、県民から信託された財産である税金の運用について、県は受託責任を負って最少の費用で最大の効果をもたらすよう、意思決定や政策形成を行い、財・サービスの提供を行うことになります。また、受託者である県は、信託者である県民に対し、アカウンタビリティー、すなわち受託責任を説明する必要があります。  本日、私は、信託者である県民の視点に立って何点か質問をしたいと考えております。県民への説明責任が明確に示されるとともに、県の今後の施策展開について思いやりのある温かい答弁を期待して質問に入ります。  質問の第一は、平成十四年度から実施されている施策点検システムについてであります。  このシステムは、県の総合計画に位置づけられた七十四施策について、基本事業の進捗状況等を自主的に点検するシステムであります。この毎年の施策点検を通して、プランの進捗状況や課題等を明確にし、それらの施策の見直しと今後の展開方向等の検討に活用することにより、効率的で質の高い成果重視の県政の実現を目的とされております。この点検作業や目標とする指標の設定などに、県の職員の方々は多大の労力をかけていると聞いておりますが、ねらいとしている施策の見直しと今後の展開方向等の検討にどのように活用されているのかは、正直なかなか見えてこないと感じています。  また、施策点検の公表は、県の総合計画の進捗状況や施策の成果を県民へ周知するという役割も担っていると考えますが、施策点検システムに関するホームページへのアクセスは、昨年五月から本年三月までの間で七百十四件と、わずかな件数であり、一般の県民の方々にとって関心は薄く、外部の目によるチェック機能は望むべくもありません。点検対象の絞り込み、あるいは県民にわかりやすい目標指標の採用など、これまで県もこのシステムの改善・充実に取り組んでこられたと聞いておりますが、点検開始から七年を経過し、当初想定していた成果が本当に発揮されているのでしょうか。施策点検シートの作成そのものが目的化してしまい、やりっ放しになってはいないでしょうか。システムを推進すべき本部組織は、単なる旗振り役に甘んじてはいないでしょうか。点検結果が毎年度の予算編成に反映されているのでしょうか。また、その検証がなされているのでしょうか。  施策を立案・執行するみずからが、自身の活動を点検するという自主点検のよさを否定するものではありません。県の職員の方がみずから行っていることを振り返り、反省し、新たな一歩へとつなげていくことは大変にすばらしいことです。しかし、自主点検の限界として、失礼な言い方ですが、自己満足に陥ってしまう危険も大きいのではないかと考えます。それを避けるためには、どうしても専門家などの外部機関による評価や監視が必要と思うのです。  この外部機関において、例えばいわゆる業務棚卸し法や時のアセスメントなどの視点から、県の点検を評価してもらい、その結果をホームページに公開し、県民からのパブリックコメントを求める、これにより、県民視点からの点検、県の施策点検の点検が可能になると思います。  一部には、こうした行政職員による自己評価と外部の専門家や県民による二次評価によって新規事業の採否や継続事業の改廃が決定されるとしたら、議会の軽視になるのではないかという疑問もあるようでありますが、施策点検の結果自体により政策決定を行うわけではなく、施策展開の方向に係る案を示しているだけであり、議会に提出される政策案の質の向上に資するものであることから、議会制民主主義の観点からも望ましいものであると考えます。  効率的で質の高い成果重視の行政運営を確立するためには、計画・実施・点検・改善というマネジメントサイクルを的確に運用していくことは不可欠であり、施策点検システムはそのために必要なものであると考えておりますが、このシステムの運用についてはさらなる改善を図っていく必要があると考えます。  県では、この施策点検システムについてどのように評価され、その課題をどのように受けとめておられるのでしょうか、また、先ほど申し上げました外部による点検についてどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。  質問の第二は、出島埋立地区廃棄物処分場に係る廃棄物の海上搬入についてであります。  県は、西部地域の産業廃棄物の適正処理を図るため、五日市処分場の後継施設として、平成十一年三月に広島港港湾計画を改定し、出島地区の埋立地の一部に産業廃棄物処分場を計画され、平成十五年八月から工事に着手されております。
     この出島処分場は、平成二十三年度から供用開始される予定となっていますが、その廃棄物の搬入については、五日市地区まで産業廃棄物を運んで、船に積みかえて海上輸送で出島処分場へ搬入する計画となっております。産業廃棄物の発生抑制やリサイクルを強力に推進したとしても、現在の技術水準や経済性を考慮すると、最終処分量をゼロにすることは不可能であり、また、民間による埋立処分場の確保が極めて困難な状況からすると、適正処理を確保するために公共関与の処分場の整備が必要であることは十分理解できるものであります。  しかし、出島地区に処分場を整備するのだから、本来ならそこへ直接搬入するのが一般的な考え方であると思います。わざわざ五日市地区まで廃棄物を運び、そこで一たん保管した上でそれを船に積みかえて海上輸送により出島処分場へ搬入するというこの計画は、随分余分な費用がかかるものであります。聞き及ぶところによると、積み出し施設の建設だけでも約二十億円の整備費用がかかるそうであり、揚陸施設や海上輸送を含めると、直接搬入すれば必要のない膨大な費用がかかることが推測されます。  また、五日市地区の住民は、平成三年から始まっている五日市処分場への産業廃棄物埋め立てに十七年間にわたり協力してきておりますが、さらに出島への埋め立てが終了する十年以上先までの協力が求められるわけであり、余程もっともな理由がないと、さらに廃棄物の搬入が続くことになるこの計画は、なかなか納得しがたいものであると思います。  そこで、五日市処分場周辺の住民の立場を踏まえるとともに、その費用の回収の考え方も含め、こうした方法を県が選択した理由について合理的な説明をお聞かせいただきたいと思います。  次に、五日市地区の住民への説明についてお伺いいたします。  この出島地区産業廃棄物処分場の事業計画は平成十一年に策定されておりますが、宇品地区については、平成十三年から五日市地区からの海上搬入を前提とした住民同意に向けた説明会が開催され、また、平成十四年には連絡調整協議会での協議・調整が行われております。  しかし、産業廃棄物の積み出し施設を計画している五日市地区については、昨年の平成十九年から関係地区において町内会長レベルに対する説明が行われているだけで、地元住民への説明会などはいまだに開催されておりません。まちづくりにおいて、住民意見は重要であり尊重すべきであることから、そもそもこの事業計画が策定された平成十一年の段階で、産業廃棄物の積み出し施設が計画されていた五日市地区の住民の意見も聞くべきではなかったのでしょうか。  なぜ、宇品地区には五日市地区からの海上搬入が前提での協力要請をしておきながら、積み出し施設が計画された段階で、宇品地区同様五日市地区住民への説明が行われなかったのか、また、平成二十三年度からの供用開始であれば、積み出し施設の工事期間を考えると、残された時間は多くありませんが、今後どのようにして五日市地区の住民の理解を得ようと考えられているのか、お伺いいたします。  廃棄物の海上搬入に関する質問の三点目は、積み出し施設の位置についてであります。  海上搬入するという方法の選択が仮にやむを得ないとしても、私は、現在計画されている積み出し施設の位置が、海を挟んで住宅地と向かい合う場所に予定されていることについて疑問を感じております。  廃棄物の積み出し施設は住民の日常生活において目に入る位置に建設されることになっており、住民は、積み出し施設とともに、これから十年以上にわたり廃棄物の搬入や船への積み出しを眺めながら暮らしていくことになります。こうしたことは、まちのイメージにも大きな影響を与えるものであり、住民の視点に立った配慮が欠けていると言わざるを得ません。  せめて、このような施設は住民の目に入りにくい最も沖側の岸壁にそもそも計画すべきであり、それが県民に対する温かい配慮というものではないでしょうか。沖側の岸壁は背後地に積み出し施設を整備できる土地もあり、民家から最も離れていることから、この場所に積み出し施設を変更すべきであると考えますが、県当局の御見解をお伺いいたします。  質問の第三は、五日市漁港フィッシャリーナ施設についてであります。  このフィッシャリーナは、増大するプレジャーボートの係留保管場所を確保することによって、漁港の適正な管理運営を図るとともに、漁業と海洋レクリエーションとの共存、周辺の環境に配慮した漁港を構築し、地域の活性化を図ることを目的に、総事業費約五十一億円と十三年の歳月をかけて県が整備したものであります。  背景には、余暇の増大やレジャーの多様化、船舶の低価格化などが進み、一般の県民でもプレジャーボートを趣味の一つとして楽しむことが可能になった一方で、プレジャーボートの増加に見合う収容施設が十分に確保されず、結果として不法係留や港内の安全航行に支障を来す事態が生じていたことがあります。その意味では、フィッシャリーナの整備により、こうした問題が解消され、健全な海洋レクリエーションの振興が図られることは大きな意味があると考えます。  穏やかな瀬戸内の海に面した広島では、海は暮らしの身近な存在として多くの県民に親しまれており、プレジャーボートを海洋レクリエーションの気軽な楽しみ方の一つとして環境を整え、広く普及させることができれば、広島を全国にアピールしていくことができる貴重な地域資源の一つになるのではないかと考えています。  しかし、ことし七月から供用開始されたこのフィッシャリーナの使用料をめぐり、一部の使用者と県との間でトラブルが生じ、暫定供用時よりも利用者が減少していると聞いております。  私は、本来であれば必要最小限の設備でできるだけ安価な使用料を実現するのが、利用者から求められている県の役割であり、そもそも五日市漁港フィッシャリーナの設備水準自体が県民のニーズと比べ豪華過ぎたのではないかと思っております。そのことは、平成十六年に広島市公共事業見直し委員会がまとめた第二次中間報告でも、五日市漁港フィッシャリーナ整備について、コスト低減の努力をするように求められてもいました。一方で、環境に配慮した施設と提唱しながら、有料のマリーナ施設にはあって当然の、分別されたごみ捨て場もないと、利用者からの苦情も聞かれます。  そこで、このフィッシャリーナの整備に当たり、地域住民や利用者のニーズをどのように把握してつくられたのか、また、整備されたフィッシャリーナについて、県民・利用者の視点からどのように評価されているのか、お伺いいたします。  さらに、同じ港内にあり、標準的なプレジャーボートの公共係留施設である廿日市ボートパークにおいては、係留施設がすべて契約済みであり、九月上旬時点で九十二隻もの待機中のボートがあるにもかかわらず、五日市漁港フィッシャリーナでは、同じく九月上旬時点で入艇率が三六・八%と四割にも満たない状況であり、特に膨大な敷地と施設整備費を要した陸上施設については一六・二%と、ほぼがらがらの状態であることも大きな問題であると考えています。  五日市漁港フィッシャリーナは、民間資金を活用して施設整備を行っており、その使用料で借入金を償還していく計画であると伺っておりますが、こうした低い入艇率で経営が成り立つのでしょうか。また、そもそもこのフィッシャリーナは五日市地区において不法係留の状態となっているプレジャーボートの数を目安に、それらを適正に収容する目的で整備された施設でありますが、残りの六割以上のプレジャーボートはどこに係留されているのでしょうか。地元利用者からは、結果的に不法係留がふえたのではないかという声も聞かれます。  施設経営の面からも、不法係留対策の面からも、早急な入艇率の向上対策が喫緊の課題であると考えますが、入艇率の向上に向け、今後どのように取り組んでいこうとされているのか、あわせて県当局の御見解をお伺いいたします。  質問の第四は、近年社会問題になっており、昨日田辺議員からも質問があった自殺対策についてであります。  私は、特に、自殺対策において忘れてはならない残された遺族や自殺者の周りの身近な人たちのための支援策についてお伺いいたします。  皆さん、人の悲しみの中でも大きな悲しみを指す言葉として、悲嘆という言葉があるのを御存じかと思いますが、人には愛するもの、大切なものを失い、未来への希望が絶たれたときに、現実感の喪失、思考、判断、感情の停止、罪悪感と自責感、孤独感などを伴う悲嘆反応と呼ばれる心理的反応があらわれます。  特に、自殺のように突然予期しない形で家族や友人などが亡くなると、複雑で強い悲嘆反応が起こります。一人の自殺者の背後には、五人以上の悲嘆体験者がいると言われております。御遺族の後追い自殺や悲嘆反応が長期化し、心身の不調や健康被害が出る方も少なからずいらっしゃり、そうした方々への救済策が求められております。こうした遺族へのケアは、後追い自殺を防ぎ、自殺予防の上でも重要な役割を果たすと考えられます。  また、自殺による死に対して、現在もなお偏見があり、就職、結婚等に際して影響がある場合もあるため、そのことを隠し、ひとりで孤独の中に追い込まれ、精神的不安にさらされている御遺族の方も少なくないと思います。こうした偏見を結果として助長するようなマスコミなどの報道による二次的被害から、居住地を変えざるを得なくなったという御遺族の方もいらっしゃるようであります。さらに近年、働き盛りの一家の大黒柱が自殺するというケースも増加しており、残された遺族の経済的支援や多重債務がある場合の相談体制の充実なども求められております。  そこで、愛する人を失うばかりでなく、周りの偏見や経済的困窮に苦しんでいる人も多いと思われる自殺者の遺族に対する支援策の現状と今後の展開方針についてお伺いいたします。  質問の第五は、周産期医療確保における助産師の活用についてであります。  近年、深刻な医師不足が社会問題となっておりますが、特に深刻な状況にあるのが産科医の不足であります。医師全体の数が増加している中で、産科は二十四時間体制の勤務が求められ、休みが取れないなどの労働環境の厳しさや訴訟リスクの高さなどから志望者が激減し、絶対数が減少している診療科となっております。また、産科医師を確保できない医療機関が相次いで分娩を休止した結果、残りの施設に分娩が集中し、それにより負担が増加した産科医師が医療機関を去っていくという悪循環も生じております。  本県においても、庄原市や大竹市を初めとする三市六町で分娩を取り扱う医療機関がない状況が続いているだけでなく、福山市や呉市などの都市部においても分娩の取り扱いを休止する医療機関が出るなど、産科医療機関の勤務医の労働環境の改善は喫緊の課題であります。  県においても、医学生に対する奨学金制度の充実や市町への交付金制度の創設など、医師確保に向けた施策に積極的に取り組んでいただいているところではありますが、奨学金などの施策についてはその成果が出るまでに十年程度の期間を要すると考えられ、産科医療の危機的な状況を見ると、短期間に効果が期待できる対策の充実も不可欠であると考えます。  こうした中で、近年注目されているのが、助産師が中心となって健診や保健指導を行い、医師が定期的な診察によりサポートを行う助産師外来と、医師のサポートのもと正常分娩について妊婦のケアを助産師が行う院内助産所の取り組みであります。いずれも医師と助産師が連携して産科医の負担を軽くしようという取り組みであり、産科勤務医の労働環境の改善策として、比較的短期間で成果が期待できるものではないかと考えております。  本県においても、本年度から助産師外来のモデル事業に取り組んでいるところではありますが、この事業の実施状況と今後の施策展開の方向性についてお伺いいたします。  また、県内の助産師の現状を見たとき、総数が三十年近く前から五百人前後でほとんど変化がない中で、産科以外の診療科で看護師業務に従事している者も多いと考えられることや、新規の養成数も広島大学と県立広島大学における毎年二十人前後にすぎないことなどから、助産師外来等の取り組みを拡大していくためには、助産師の確保が課題になってくるのではないかと思います。  今後、助産師の養成数の拡大、研修の充実、資格を持ちながら業務を行っていない休眠状態にある助産師の掘り起こしなどについても取り組んでいく必要があるのではないかと考えておりますが、こうした取り組みに関する県当局の御見解をあわせてお伺いいたします。  最後に、知事後援会の政治資金規正法違反事件について、三点知事にお伺いいたします。  知事は、昨年六月、御自身の後援会問題に関して、これ以上の事実を明らかにするための手だてを失ったと判断せざるを得ないとして、真相解明を断念する内容の総括を発表されました。  その理由として、元後援会事務局長と元秘書の二人のかたくなな態度を挙げる一方で、記者会見では、節目が来れば、わかったことをレポート等にまとめたい旨の発言もされたように記憶しています。  あれから一年以上がたち、この間には、広島地検が対策費を受け取った疑いのある県議の実名を含む訴訟記録を県議会に開示するなどの状況の変化もありました。  知事も、ことし四月の記者会見で、「自分が何も知らなかったところで何が行われていたかということについて知りたい気持ちはもちろんある」と述べられております。  同時に、知事は、元事務局長らの供述内容を真実かどうかは別問題とも指摘されていますが、一方で県議会が現在、弁護士に委託して進めている真相解明のための調査も、基本的に二人の供述調書に基づいて実施されており、二人からの話を聞くことは、真実への手がかり、足がかりになり得るものではないかと考えます。  知事は、昨年六月以降、元事務局長や元秘書へのアプローチを試みられたことがあるのでしょうか。された場合はその結果を、されていない場合はその理由をお聞かせください。  次に、我々が情報公開請求をしたところ、県議会が九月末までを期限に弁護士へ委託して進めている対策費関連の調査では、二百七十九万三千円の委託料が議会費から支払われます。また、委託により実施する理由について、調査の公平性、客観性を確保するとありますが、であるならば、一般的な解釈として、複数の弁護士に調査を依頼すべきであるところ、業者選定理由では広島弁護士会会長の推薦を受けた者である等の理由を挙げ、お一人の弁護士に限定されております。しかし、通常、広島弁護士会では、公共団体等からの依頼については推薦委員会を開催し、審議を得ると伺っておりますが、推薦状等はいただいているのでしょうか。  このたびの調査業務を委託する上で真の目的は、県民に対する県政の信頼回復であるところ、本当にこの第三者に対する業務委託作業は公平性、客観性を確保しているのか、委託契約者御本人である知事の御見解を伺います。  最後になりますが、この一連の知事後援会問題では、県民の政治不信や批判を招くことはあっても直接的に税金が支出されることはありませんでした。  今回、御自身の後援会問題を契機に税金が使われる事態となったことについて、知事としてどのように受けとめておられるのかを伺い、私の質問を終わります。  御清聴、まことにありがとうございました。(拍手) 4: ◯副議長(山木靖雄君) 当局の答弁を求めます。知事藤田雄山君。         【知事藤田雄山君登壇】 5: ◯知事藤田雄山君) 蔵本議員の御質問にお答えを申し上げます。  まず、施策点検システムについてお尋ねがございました。  成果重視の行財政運営を確立するためには、施策の推進に当たり、計画・実施・点検・改善を的確に行うことが不可欠でございます。このため、施策点検システムでは、総合計画に掲げた施策につきまして、目指す姿を明らかにするとともに、施策や事業の進行管理のための指標を設定し、毎年度、環境変化や施策の進捗状況等をみずから点検して取り組むべき課題を抽出し、施策の見直しに反映しているところでございます。  このシステムにつきましては、「元気挑戦プラン」の策定を契機として、県民の皆様にわかりやすい成果指標による進捗状況の把握に努めるとともに、施策全体を評価するために、それまでの細かい事業単位の点検から、大くくりの施策単位の点検へ転換するなど、改善に努めてきたところでございます。  また、外部評価制度につきましては、公共事業や試験研究といった個別の事業分野には既に導入しており、一定の成果を上げているところでございまして、今後、他県の事例等も踏まえ、拡充を図ってまいりたいと考えております。  今後とも、指標の見直しを行うなど、施策点検システムの効果的な活用により成果重視の行財政運営に努めてまいりたいと考えております。  次に、周産期医療確保における助産師の活用についてお尋ねがございました。  医師の確保が極めて厳しい状況の中で、地域の医療体制を確保していくためには、限られた医療資源を効率的に活用した医療体制づくりも重要な視点であると認識いたしております。特に周産期医療におきましては、助産師が妊婦健診などを行う助産師外来や、病院において助産師が中心となって分娩を取り扱う院内助産所といった医師と助産師が役割を分担し、周産期医療に当たる新たな体制づくりについて検討が求められております。  一方で、助産師外来の実施に当たりましては、対応する助産師の養成や異常が発見された場合の対応などの課題もあり、そのメリットが発揮できるような方策を検討するため、今年度は助産師外来のモデル事業に取り組むこととしたところでございます。  今後、このモデル事業によりまして得られた成果や課題などを踏まえながら、効率的かつ安全な周産期医療体制の確立を目指して取り組んでまいりたいと考えております。  また、助産師の確保につきましては、離職中の助産師に対する再就業のための研修を実施するとともに、来年度からは県立広島大学三原キャンパスに助産学専攻科を設置し養成を充実するなど、助産師の確保対策を引き続き推進してまいります。  次に、後援会問題についてお尋ねがございました。  まず、私と元事務局長ないしは元秘書とのその後の接触でございますけれども、昨年六月、これ以上の事実を明らかにするための手だてを失ったと判断せざるを得ない状況から、私自身総括を行ったところでございます。その後も、六月付の元事務局長あるいは元秘書からの書状にもございましたように、これ以上話をすることはないという理由から、元事務局長あるいは元秘書と面会するに至っておりません。真相解明の気持ちは変わりはありませんが、とるべき方法を見つけるに至っていないというのが現状でございます。  次に、弁護士の選定方法についてお尋ねがございました。  この弁護士の選定方法につきましては、議会の御判断でなされたものというふうに考えておりまして、私どもの方から何らかのお手伝いをしたとか、どういう方が好ましいとか、そういったことは一切行っておりません。  費用につきましては、担当説明員より答弁いたさせます。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁いたさせます。 6: ◯副議長(山木靖雄君) 環境県民局長平田光章君。         【環境県民局長平田光章君登壇】 7: ◯環境県民局長平田光章君) 三点についてお答え申し上げます。  まず、出島処分場に係る廃棄物の海上搬入の理由とその費用の回収についてでございます。  廃棄物の処理に当たりましては、生活環境を保全し、安全で安心していただける処理システムを整備することが肝要でありますことから、地域の環境保全のため、できる限りの対策を講じる必要があり、海上からの搬入方式もこうした考えに沿って選択したものでございます。  具体的には、平成六年に計画した出島地区港湾整備事業では、全体の埋立用材が約二千万立方メートルと膨大な量であること、また、宇品地域で道路交通騒音が環境基準を超えている地点があることから、交通量の増加は避けるべきであるとの判断により、埋立用材全量を海上搬入することとしておりました。平成十一年に埋立区域の一部を廃棄物処分場に変更する際も、この基本的な考え方に沿ったものでございます。  海上搬入を行うためには、積み出し施設が必要となり、その立地条件としては運搬船が接岸できる出島に近い岸壁で、悪天候時に運搬船が航行できない場合等に対応できる廃棄物の保管施設を含んだ一ヘクタール余りの土地が確保できる埠頭を検討したところ、条件に合う埠頭は五日市に限定されたものでございます。  五日市地区の皆様方には、平成三年の処分場開設以来、御協力をいただいていることを深く認識いたしているところでございますが、積み出し施設の計画につきましても、御理解と御協力を賜りたいと考えております。  なお、海上搬入に必要な関連施設の整備につきましては、処分場の管理運営を行う財団法人広島県環境保全公社が積み立てている準備金で行い、また、海上輸送や埋立処分等に係る費用につきましては、排出事業者からの処理料金の負担により運営することといたしております。  次に、五日市地区の住民への説明についてお尋ねがございました。  廃棄物の積み出し施設につきましては、平成十一年の広島市環境影響評価条例に基づく実施計画書作成の時点で、五日市地区に設置することを計画しておりましたが、廃棄物の積みかえ・保管に伴う周辺環境への影響は、従前と変わらないと判断しましたことから、この段階では地元への説明を行っておりません。  しかしながら、地域住民の御理解を得るためには、早い段階で五日市地区の住民の皆様方に説明する必要があったと認識いたしております。積み出し施設の計画につきましては、昨年度、地区代表者の方々に事業概要を説明し、今後の対応について、現在調整を行っているところでございます。  県といたしましては、住民の皆様方の御意見等をお聞きし、地域との連携を密にして事業を円滑に推進するため、宇品地区と同様に行政と地域住民で構成する協議会を設置し、住民の皆様方の御理解を得られますよう、誠心誠意努めてまいりたいと考えております。  次に、積み出し施設の位置についてでございます。  御提案のありました現計画地より沖側の岸壁及び背後地につきましては、港湾計画上三万トン級の大型貨物船により、外貿貨物を取り扱う国際海上輸送網の拠点、また、大規模地震発生時における住民の避難及び緊急物資輸送のための防災拠点と位置づけられておりますことから、廃棄物の積み出し施設に使用することは困難であると考えております。  現計画地におきましては、周辺環境への影響をできる限り小さくするため、廃棄物の荷おろし、保管等のすべての作業は屋内で行い、景観にも配慮する等、万全の環境保全対策を講ずることといたしておりますので、御理解いただきたいと考えております。 8: ◯副議長(山木靖雄君) 農林水産局長冨永嘉文君。         【農林水産局長冨永嘉文君登壇】 9: ◯農林水産局長冨永嘉文君) 五日市漁港フィッシャリーナ施設について、二点お尋ねがございました。  まず、五日市漁港フィッシャリーナの利用者のニーズ把握と評価についてでございます。  五日市漁港では、昭和六十三年ごろからプレジャーボートの不法係留がふえるとともに、不法駐車や騒音、ごみの不法投棄などによる地元住民からの苦情、さらには漁業者とのトラブルなどが社会問題化したため、早急な対応が求められておりました。  このような状況の中、プレジャーボートの不法係留対策として、平成三年にマリーナネットワーク整備計画を策定し、五日市漁港フィッシャリーナを広島湾の五日市、廿日市地区の中心的な施設として位置づけました。整備に当たりましては、広島市との共同事業とし、利用者に対する説明会などを経ながら、一定の収容力の確保と利用者の利便性、安全性に対する配慮や採算性を考慮した上で、必要な施設を配置することといたしました。また、事業実施に当たりましては、管理棟や陸上保管のためのクレーン施設の規模縮小など、経費削減を図ってまいりました。  こうしたことから、施設は整備目的に適した規模であり、また、使用料は近隣のマリーナの施設サービス水準から見ても適正であると考えており、引き続き利用者の方々の御理解が得られるよう、適切な管理運営に努めてまいります。  二点目は、入艇率向上に向けた今後の取り組みについてでございます。  五日市漁港フィッシャリーナは、七月の供用開始から今月までは、これまで暫定的に使用していた方々の入艇手続を先行して行っていたため、入艇率は四割弱となっております。このたび、その手続がほぼ完了いたしますので、十月から新たな利用者の募集を行うこととしております。広島湾や周辺河川でのプレジャーボート係留実態から見ますと、当施設はその収容施設として重要な役割を担うことから、今後、県のホームページやマリンレジャー専門誌などさまざまな媒体による広報・宣伝を行うなど、入艇率の向上に向けた取り組みを強化してまいります。 10: ◯副議長(山木靖雄君) 健康福祉局長迫井正深君。         【健康福祉局長迫井正深君登壇】 11: ◯健康福祉局長(迫井正深君) 自殺者の遺族に対する政策についてお答えをいたします。  自殺対策の重点課題の一つであります自殺者の遺族への支援につきましては、自殺により残された家族の方々の苦痛を和らげるための心のケアが重要であり、遺族の方々自身による自助グループづくりへの支援や、偏見を解消するための普及啓発が必要であると認識いたしております。  このため、本県では遺族同士が心の痛みを分かち合い、お互いを励まし合うことができる場としての自助グループづくりを支援するため、遺族の方々を対象にした講演会や遺族の支援者を養成するための研修会の開催などに取り組んでおります。  また、自殺により残された家族の方々に対する偏見を解消するためには、周囲の人々の自殺に関する正しい理解が不可欠であることから、遺族の方を講師にお招きした講演会を開催するなどの普及・啓発を行っているところでございます。  今後とも、このような施策を実施することにより、総合的な自殺対策を着実に推進してまいります。 12: ◯副議長(山木靖雄君) 総務局長松田浩樹君。
            【総務局長松田浩樹君登壇】 13: ◯総務局長松田浩樹君) 知事後援会の問題にかかわる県議会の調査に対しまして、公費・税金が投入されていることについてお尋ねがございましたけれども、このたびの調査につきましては、県議会において議会活動の一環であると御判断された上で経費の執行がなされているものと認識しておりまして、私ども財政当局としても、そのように受けとめている次第でございます。 14: ◯蔵本 健君 議長……。 15: ◯副議長(山木靖雄君) 再質問を許します。蔵本 健君。 16: ◯蔵本 健君 先ほどの知事の後援会の政治資金規正法違反事件について質問いたします。  知事、私は、高校で知事と同窓でございまして、知事のことを尊敬申し上げております。ただ、知事の御発言が、まるで他人事のように聞こえるのは私だけでしょうか。  先ほどの御答弁は、議会が委託して進めていることであって、知事御自身の管轄外だという、まるで二元代表制における弊害だと言わんばかりのお答えでしたが、私が言うまでもなく、予算を執行しているのは知事であり、その管理責任があるわけでございまして、なおかつ委託契約者として署名捺印までされている立場からすると、当然、説明責任があるわけであります。  ましてや、この調査委託業務は、知事御自身の後援会問題を契機に行われているものであり、知事も道義的な責任を感じておられると思いますので、もう一度お伺いします。  契約の方法に記載されているように、自治法施行令の第百六十七条二の二を根拠に随意契約を結ばれたということは、この契約は、あくまでも地方公共団体が結んだ業務委託契約であって、本来であれば正式な広島弁護士会の推薦状が必要なのではないですか。  私は、このたびの調査を依頼された弁護士の方を決して批判しているわけではありません。ただ、国ではよく各省庁の税金の無駄遣いということで随意契約が話題になりますが、仮に広島弁護士会からの正式な推薦を受けていないとなると、調査委託業務の公平性、客観性が失われることになり、この調査委託は、ただお友達にお願いした調査ということになりませんか。  また、その調査に税金が使用されることについて、県民が理解を示し支持をするとお考えですか、知事にお伺いいたします。 17: ◯副議長(山木靖雄君) 当局の答弁を求めます。総務局長松田浩樹君。         【総務局長松田浩樹君登壇】 18: ◯総務局長松田浩樹君) 再質問についてお答え申し上げます。  まず、経費執行のいかんということについてでございますけれども、このお話につきましては、先ほど私の方で御答弁させていただきましたとおり、今回の調査につきましては、県議会におきまして議会活動の一環であると適切に御判断された上での経費の執行であるというふうに私ども執行部として受けとめております。繰り返しになりますけれども、そのように御答弁させていただきたいと思っております。  また、契約のあり方についてでございますけれども、これは法令の規定等にかんがみまして、県議会としてできる限り早急に調査を行う必要があるという御認識のもとに弁護士会等と御協議の上で御判断されたものであるというふうに認識しておりまして、その経緯等につきましても、繰り返しになりますけれども、県議会で適正に判断されたものであるという受けとめを私どもとしてはいたしております。 19: ◯副議長(山木靖雄君) この際、暫時休憩いたします。午後の会議は一時から開きます。         午前十一時二十五分休憩              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         午後一時三分開議 20: ◯議長(林 正夫君) 出席議員六十一名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続いて質問を行います。小林秀矩君。         【小林秀矩君登壇】 21: ◯小林秀矩君 皆さん、こんにちは。自由民主党広島県議会良政議員会の一人会派、小林でございます。この後は井原議員も一人会派ということで、きょうは極小会派の質問でございまして、よろしくお願いしておきたいと思っております。質問の機会を与えていただきまして、議長を初めとして、皆さんに心から感謝を申し上げる次第であります。  さて、近年、世界を引っ張ってきたアメリカ景気もサブプライムローン問題の発生を契機に減速する一方で、BRICs等の経済発展に伴う資源需要の高まりを背景に、原油、食料などあらゆる資源のグローバルインフレが加速し、この二つのリスクが世界で同時進行することにより、今、世界経済が危機的状況に直面しております。  こうした世界情勢は日本経済にも大きな影響を与え、原油、鉄鉱石、飼料などの輸入資材が高騰したため、海外から安価な資材を輸入し、国内の高い技術で加工し、付加価値をつけた商品を輸出することによって利益を得るという、日本が長年にわたって築き上げてきた輸出モデルが大きく揺らぎ、アメリカの景気後退とも相まって日本経済を牽引してきた製造業を中心とする輸出産業に陰りが出ております。  一方、国内消費に目を転じると、景気の減速により賃金水準が上がらない中、ガソリン、食料といった生活必需品の値上がりが家計を直撃し、消費の冷え込みが起きております。小売業界が一層の低価格設定を求められるため、コスト増を商品に転嫁することができない川上側の一次産業、二次産業の経営悪化に拍車がかかるという悪循環に陥っております。内需拡大も困難な状況となっております。この結果、政府の決定した八月の月例経済報告から回復という表現が消え、事実上景気が後退局面入りしたことを認める内容になるなど、外需に依存する成長を続けてきた日本経済は大きな曲がり角を迎えております。  経済の専門家の間では、現在起こっている世界経済の変化は、一過性のものではなくパラダイムシフト、いわゆる構造転換が顕在化しつつあるとの考え方も示されており、我が国においても、このような世界情勢を十分認識し、資源の安定確保対策や産業政策に取り組んでいく必要があると考えます。そのためには、現状を徹底的に分析するとともに、既成概念から脱却し、新たな視点と発想を持って抜本的な対策を講じていくことが必要不可欠な時代となっております。  本日は、こうした時代認識のもとで、本県での既存産業の活性化や新産業の創出に向けた取り組みを中心に何点か質問したいと思いますので、執行部からのしっかりした御答弁を期待いたします。  質問の第一は、インバウンド観光の振興についてであります。  内需の拡大が停滞し、日本経済を牽引してきた輸出産業も減速している厳しい状況の中では、輸出以外の産業分野により外貨をいかに国内に流入させるかが喫緊の課題になっており、その点で海外から我が国への入国旅行、いわゆるインバウンド観光の重要性が高まっています。  観光白書によれば、観光が我が国にもらたす生産波及効果は平成十八年度で国内生産額の五・六%に相当する五十三兆円と推計されており、観光に直接関係する産業のみならず、農林水産業、食料品、小売業など、多くの分野にまたがるすそ野の広いものであることから、観光振興は地域活性化の切り札となり得る施策であります。平成十九年の数字で見ると、日本からの出国者数千七百三十万人に対し、海外から我が国への入国者数は八百三十五万人と約五割であり、また、我が国の外国人入国者数は世界第二十八位、アジアの中でも五位と低水準にとどまっております。  本県でも、ひろしま観光立県推進基本条例に基づき、本年三月、平成二十四年までの基本計画を策定したところであり、外国人観光客の誘致についても、この計画の柱の一つとして、外国人観光客数を六割増の八十万人に拡大する積極的な目標を設定し、さらなる取り組みを始めたところであります。  本県は、原爆ドーム、厳島神社の二つの世界遺産を有し、国際的な知名度から言えば国内でも屈指の県であり、多くの外国人の心に訴えかける観光資源を有しております。こうした観光資源に光を当て、多くの外国人観光客にリピーターとして長期滞在してもらうには、おもてなしの心を中心に据え、ハード・ソフト両面から取り組みを進める必要があります。  また、本県の観光は滞在型や中山間地域の観光客数が少ないことが課題となっておりますが、外国人観光客の来日の目的はさまざまであり、ヨーロッパからの旅客は日本の歴史や伝統文化に興味を抱いている人が多いと聞きます。そうであれば、中山間地域の特徴を生かした取り組み、例えばその地域ならではの食材を地元の食品製造業者が商品化し、伝統家屋の農家民宿で提供するなど、農商工連携による観光モデルの開発なども検討していく必要があるのではないでしょうか。  こうした農商工連携で観光振興を進めるのに、EUではリーダー事業と呼ばれる施策が活用されております。この事業は、農村住民、自治体、企業などが一体となって取り組む提案型の農村活性化事業に対し財政支援する制度で、グリーンツーリズムや農産物のブランド化、中小企業振興など多種多様な取り組みが可能であります。EUでは、この事業を通じて斬新なアイデアが生まれ、観光を中心とした農村振興に成功した例も多いようであります。  本県も、過去にふるさと一品運動や農業の六次産業化に取り組んできた経験もあり、こうした事例を参考にしながら中山間地域の観光振興にも力を入れていただきたいと考えます。新たな基本計画に基づき事業を始めて半年が経過しましたが、ヨーロッパ系、アジア系など国ごとのニーズに合わせた取り組みをどのようにされてきたのか、また、外国人観光客数の大幅な伸びを目指し、これまでのインバウンド対策と異なる新たな切り口での取り組みをどのように進めていこうとしているのか、知事にお伺いいたします。  質問の第二は、水田農業の再構築についてであります。  一点目は、集落法人の経営高度化による園芸産地等の育成について伺います。  農業生産に必要な資材が軒並み高騰し、農業者の経営が極めて厳しい環境にさらされております。  本県では、広島県新農林水産業・農山漁村活性化行動計画に基づき、産業として自立できる農業を目指して、担い手中心型の生産構造への転換、新たな担い手の確保、水稲中心から園芸作物への転換の三つの視点から農業構造改革に取り組んでおります。この結果、集落農場型農業生産法人が全国一の百三十二法人設立され、園芸作物の導入や和牛の導入について新たな取り組みが始まるなど、一定の成果が出始めております。しかし、集落法人の経営内容を見ると、依然として売り上げの約八割を米が占めており、下げどまらない米価の下落により経営が苦しくなる法人が出てくることが懸念されます。集落法人化を進めることは、小規模零細な本県の農地を面的に集積することで、農業経営の発展や農地の有効利用に多くの選択肢を与えますし、法人化の過程で集落の合意形成を図ることは、これまで見過ごしてきた集落の現状を見詰め、将来ビジョンを描くことにもつながり、重要な取り組みだと評価しております。  しかし、集落法人化は農地集積の一つの手段であります。法人化することは、ゴールでなくスタートであります。集落法人という器にどのような酒を注ぎ、熟成させていくかが課題であります。地域に適した作物を導入し、収益の確保により経営を発展させ、ひいては県民への食料の安定供給や地域の活性化、農地の保全につなげることこそがゴールであると考えます。こうした観点から言えば、集落法人を中心とした農業構造改革はいまだ道半ばということであろうと思います。  本県でも過去には多くの園芸産地がありましたが、県内産自給率を持ち出すまでもなく、今では見る影もないのが現状であります。これらの産地が衰退した背景にはさまざまな要因があると思いますが、今、集落法人を核に、産地育成を目指すのであれば、過去の産地が衰退した原因をしっかり検証し、集落法人ならではの長所を生かした具体的な解決手法を地域に提示していく必要があると考えます。特に、新たに産地を育成するときには、販路の確保が大きな壁になると思います。よって、生産面のみならず流通、販売面の支援も欠かせないものと考えます。  先日の新聞に、イトーヨーカドーが自社で販売する農産物を安定確保するため、千葉県のJAや農業者と共同出資し、新たな農業生産法人を設立したとの記事が掲載されていました。三年以内に全国十カ所に同様の法人を設立するとともに、店舗から出る食品残渣を堆肥化し、食品リサイクルシステムにも取り組むとのことであります。  本県でも、農業外企業の農業参入に力を入れるとともに、集落法人と流通・販売業者との連携も模索していると聞いております。食の安全・安心に対する関心が高まり、地産地消に力を入れる量販店もふえており、こうした連携に積極的に取り組み、販路開拓の成功事例を生み出すことが集落法人の経営高度化や産地育成の後押しになると考えます。  そこで、集落法人の経営高度化の現状をどのように評価しているのか、また、今後、集落法人を核とした園芸産地等の育成に向けてどのような手法によって取り組もうとしているのか、そして、その結果として集落法人の経営が持続可能となり得るのか、知事にお伺いいたします。  二点目は、米の生産振興についてであります。  県では平成二十七年度に県内農地の四六%を担い手に集積し、力強い農業構造を確立するとしておりますが、一方で担い手以外の農地の利用については、中山間地域等直接支払制度の活用などはあるものの、必ずしも明確な方向性が示されていないように感じられます。  県内には、その立地条件から集落法人を設立したくてもできない地域も多く存在しますが、昨今の世界的な食料情勢を考慮すれば、こうした地域の農地や耕作放棄地も含め、農地をフル活用し、農業生産の拡大を図っていく必要があると考えます。世界的な食料需給の逼迫、食料輸出国の輸出規制措置、WTO農業交渉における各国の主張の対立などを見るとき、食料が戦略物資化し、金さえ出せば好きなときに欲しいだけ食料を買える時代は過ぎ去ったことを痛感したところであります。まさに世界の食料をめぐっても構造転換が進行しているのであります。  「食料を自給できない国、それは国際的圧力と危険にさらされている国である」、これはアメリカのブッシュ大統領が農業関係者向けの演説でしばしば用いるフレーズであります。世界有数の農業大国であり、農産物輸出のために食料輸入国に貿易自由化を求めてやまないアメリカでさえ、これほど自国の食料安全保障を重視しているのであります。ましてや、食料輸入国である我が国においては、食料自給率の向上はより切実な問題であり、食料安全保障の観点から農業政策を見直す時期に来ていると考えます。  国では、こうした情勢変化を受けて、食料自給率の目標を五〇%に引き上げることを決め、工程表づくりに着手したところであり、平成二十一年度予算に具体策が盛り込まれると聞いております。  そこで、私が主張したいのは、米の生産振興であります。本県の耕地利用率は米の生産調整の拡大と軌を一にして低下しており、転作作物が必ずしも定着していないことが耕作放棄地の大きな要因であることは明白であります。県で進めている水稲から園芸への転換は、担い手の経営安定のために重要な取り組みとは思いますが、園芸などの転作作物だけで本県の農地をカバーするには、適地性の問題もあり、現実的には不可能であります。その点では、我が国最大の食料生産装置である水田土壌や気候風土に適し、過去からの技術が蓄積された米を作付することが、農地の利用を図るには最も有効と考えます。  米は、価格維持のため長年にわたり生産調整を実施していますが、その努力のかいもなく、米価は長期的に下落し続けています。本当にこの状況を黙認してよいのでしょうか。数年後には本県の農業は立ち行かなくなってしまうおそれがあり、何らかの対策が必要であります。今こそ、米を本県農業の柱として位置づけ、積極的な施策にかじを切る最後のチャンスと考えます。  例えば、WTO農業交渉では日本の高関税ばかりが取り上げられますが、アメリカやEUなどは輸出補助金や類似の支援策を活用し、余剰農産物を大量にダンピング輸出しているのが世界の現実であります。我が国も交渉で防戦一方になるのではなく、生産者の所得を確保しつつ、低価格で外国に米を輸出できるような仕組みを検討する必要があるのではないでしょうか。  また、ここに来て、事故米の事件が起き、姿がはっきりしない輸入米七十七万トンに対する国民の怒りは頂点に達しており、輸入米はもう要らない、自分たちの食べる米はすべて自国でつくるべきだとの声が日増しに高まっております。世界で多くの人々が飢餓に苦しむ中、自国で余っている米を大量に輸入するこうした不条理なやり方はもう改めるべきではないでしょうか。もちろん、これは一つの県でどうこうできるものではなく、我が国全体で取り組むべき課題であり、WTO交渉上の制約など、多くの解決すべき事項があるのも承知しておりますが、県としても今後の検討課題として心にとめておいていただければと思います。  いずれにしても、米の作付を拡大できる仕組み、そして生産者の所得を確保するシステムを構築することが、食料自給率の向上や中山間地域の農地保全に寄与し、また、本県で進めている集落法人の経営安定にもつながると考えます。  そこで、水田農業における米の位置づけについて再考し、単なる生産の縮小といった将来展望のないやり方ではなく、前向きな施策が必要と考えますが、県として非主食用米を含め、米の生産振興についてどのように考え、どのように取り組んでいこうとされているのか、知事にお伺いいたします。  質問の第三は、木質バイオマスの推進による新産業の創出についてであります。  国土面積の三分の二を占め、多様な価値を有する森林は、資源小国である我が国に豊富に存在する数少ない資源であり、この資源の有効活用がさまざまな面から求められております。地球温暖化防止対策において、森林の吸収源としての重要性が高まっていることに加え、林業生産の面でも中国や中近東などの木材需要の増加やロシアの輸出関税の引き上げによる需給の逼迫、加えて原油価格の高騰などにより輸入材の価格が上昇し、国産材に追い風が吹きつつあります。また、洞爺湖サミットの首脳声明で、木材などの非食料系バイオマスの開発加速がうたわれ、日本でも将来の量産を目指したプロジェクトが始まっております。  このように、これから本格的な伐期を迎える森林と林業は、資源と環境という二十一世紀の我が国にとって極めて重要となる二つの分野で期待が高まっており、長年にわたる低迷を脱し、再生するチャンスが訪れております。本県にも中山間地域を中心に約六十一万ヘクタールの森林があり、県では、山元への利益還元のコンセプトのもと、ひろしまの木材供給体制構築事業に取り組み、県産材の需要拡大やこれまで利用されていなかった曲り材、低質材の商品化に取り組んでおります。これまでの取り組みが具体的な形になりつつあり、ぜひ山元への利益還元を現実のものとし、今後の林業再生のモデルとなることを大いに期待するところであります。  一方、地球温暖化が進む中、クリーンエネルギーとして木質バイオマスへの関心が高まっております。従来、木質バイオマスは資源循環の視点で語られることが多かったわけでありますが、中山間地域における新産業の創出にも大きな可能性を秘めているのではないでしょうか。原油価格の高騰や二酸化炭素削減の広がりを背景に、木質バイオマスを発電などのエネルギーに利用する事業者がふえ、木質チップなどの需要量が増大し、現在では供給が追いつかない状況になっております。また、技術面でも私の地元の庄原市がバイオエタノールの生産に取り組んでおりますし、マツダが広島大学との共同研究により自動車部品に使うバイオプラスチックの開発を始めるなど、多くの企業が従来にはない独創的な発想で木質バイオマスの開発に乗り出しております。  そこで、中山間地域の新たな産業を育てる視点から、これまで十分活用されてこなかった間伐材などを商品化する仕組みの構築など、木質バイオマスの利用促進にどのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いいたします。  質問の第四は、地球温暖化対策の推進についてであります。  一点目は、新エネルギー対策について伺います。  本年七月に行われた洞爺湖サミットで地球温暖化問題が主要テーマとして取り上げられましたが、我が国の平成十七年度の二酸化炭素排出実績は、基準年度対比で一三・一%増となっております。このままでは、京都議定書の目標達成が危ぶまれております。こうした状況を打開するためには、省エネルギー対策の一層の推進はもちろんのことでありますが、化石燃料にかわる新エネルギーの導入に積極的に取り組んでいくことが必要不可欠と考えます。  例えば、太陽光発電であります。国では太陽光発電の導入量を二〇二〇年までに現状の十倍、二〇三〇年には四十倍に引き上げる高い目標を掲げ、住宅用太陽光発電システムの導入を初め、支援策を強化すると聞いております。本県は日射量に恵まれ、太陽光発電の適地である一方で、二酸化炭素排出量の伸びが高い家庭部門の排出削減が課題となっており、国の施策との連携を図りながら、積極的な取り組みを行っていくべきではないかと考えます。  新エネルギー対策については、本来、国が主体となって推進すべき課題とは思いますが、地球温暖化や原油高騰が経済に与える影響は深刻さを増し、その重要性が一層高まっている中、本県の特性を生かしつつ積極的に施策を進める必要があると思いますが、今後、本格的な新エネルギーの導入についてどのように取り組んでいこうとされているのか、知事にお伺いいたします。  二点目は、森林の二酸化炭素吸収源としての機能評価についてであります。  国では、この十月から国内排出量取引制度の試行を決めておりますが、私は、森林の持つ吸収源としての機能を十分評価し、排出者である企業が資金を提供し、森林の整備を支援した場合には一定の排出量削減を行ったと認める制度にすべきだと、機会あるごとに発言してまいりました。  本県は、全国に比べ産業部門からの排出量が多いという特色がありますが、産業部門は主に沿岸地域に立地し、森林は中北部の中山間地域に広がっております。排出量の取引に森林吸収源を組み込むことは、下流域を中心に集めた資金を活用し、上流域の森林環境を整備することであり、中山間地域の公益的機能を活用した活性化策とも言えるものであります。もちろん、制度化に当たっては森林が持つ吸収能力をどのように評価するかなど多くの課題があることは承知しておりますが、いたずらに議論を重ねるのではなく、そろそろ具体的な取り組みを始めるべき時期に来ているのではないかと考えます。  国が制度の検討に時間を費やし、ルールづくりがおくれる中、全国では自治体が先行して独自の取り組みを始めております。東京都では大規模事業者を対象にしたキャップ・アンド・トレードによる排出量取引制度を導入し、京都府では一般家庭も参加するエコポイント制度を開始するそうであります。また、東京都新宿区と長野県伊那市は、カーボン・オフセットを活用し、森林整備を通じた二酸化炭素の取引を行う協定を締結するということであります。  確かに県単独では大がかりな取り組みは無理であるにしても、国の施策を待つだけではなく、他地域の事例も参考にしながら、県民の啓発活動から一歩踏み込んだ県独自の仕組みも検討していく必要があると思いますか、森林吸収源を組み込んだ排出量取引について、どのように評価されているのか、また、評価されるのであればどのように取り組みを進めていこうとお考えなのか、知事にお伺いいたします。  最後に、私の思いを述べさせていただきます。  小泉改革以降、官から民への合い言葉のもと、市場原理を重視した構造改革が進められてきましたが、ここに来て、民間活力そのものが低下しております。とりわけ、中山間地域の中小企業や農林水産業においては、悲鳴とも言える声が広がっており、何ら策を打つことなく時をやり過ごせるほど体力も時間も残されていないのが現状であります。  冒頭申し上げた世界経済のパラダイムシフトに対応し、県内経済と地域の再生を図るためには、当然ながら民間の力だけでは限界があり、市場原理に偏った発想の転換が必要となっております。今こそ、行政もでき得る限りの手を差し伸べ、官民一体となって、まずは中小企業対策、農林水産業施策を早急に行い、次に将来を見据え、新たな資本主義モラル、ルール及び新たな持続可能な経済システム構築を本県から力強く進めていただくことを切望しまして、私の発言を終わります。  御清聴、まことにありがとうございました。(拍手) 22: ◯議長(林 正夫君) 当局の答弁を求めます。知事藤田雄山君。         【知事藤田雄山君登壇】 23: ◯知事藤田雄山君) 小林議員の御質問にお答えを申し上げます。  まず、インバウンド観光の振興についてお尋ねがございました。  少子高齢・人口減少社会を迎える中で、観光交流人口のさらなる拡大を図るためには、海外からの観光客の増大に向けた取り組みを強化していくことが重要でございます。  このため、アジア地域に対しましては、広島空港から国際定期便が就航しています韓国、中国、台湾など、東アジア地域を重点地域とし、団体旅行客をターゲットとして取り組んでおります。これまで、現地旅行エージェントを招請しての視察ツアーや現地でのプロモーション活動など、旅行商品造成のための事業を実施したほか、将来のリピーターとなり得る青少年の訪日教育旅行の誘致を行ってまいりました。  次に、欧米地域に対しましては、広島の高い知名度を生かしながら、個人旅行客をターゲットとして、マスコミの受け入れやインターネットによる情報発信、旅行雑誌等への広告など、広報宣伝を行ってまいりました。引き続き、これらの事業を効率的に実施するとともに、東京から京都、大阪に至る、いわゆるゴールデンルートからの誘致促進のため、関西圏や首都圏との連携強化に取り組んでまいります。  また、受け入れ態勢の充実に向けて、おもてなしの向上や外国人観光客がひとり歩きできる観光地づくりに加え、海外で人気が高い安全・安心な国内農産物の提供など新たなニーズにも対応した取り組みを進め、戦略的な国際観光施策を推進してまいりたいと考えております。  次に、集落法人の経営高度化による園芸産地等の育成についてお尋ねがございました。  集落法人に対しましては、収益性の高い園芸作物などの導入を進めておりますが、平成十九年度の実績でキャベツやブドウなどが四十六法人で三十四ヘクタール、広島牛の導入は十一法人にとどまるなど、まだ不十分な状況にございます。この原因といたしましては、集落法人が稲作を経営の中心とする意識から脱却できていないこと、新たな作物の生産技術や販売ルートを持たないこと、労働力が不足していることなどが挙げられます。  このため、市町や農業団体などが中心となって組織する農業の地域戦略組織において、明確な産地ビジョンを策定し、その実現に向けた取り組みを進める中で、県としても生産技術の向上対策や集落法人と流通・加工業者との連携を通じた販路の開拓、さらには人材の育成確保などについて積極的に支援をしているところでございます。  こうした取り組みを通じて、集落法人が持続可能な経営体として地域農業を担っていくものと考えており、今後とも、集落法人が中核となった競争力のある産地を県内各地に育成してまいりたいと考えております。  次に、木質バイオマスの推進についてお尋ねがございました。  木質バイオマスの利用促進は、地球温暖化の防止や循環型社会の形成に資するとともに、森林整備を推進する観点からも重要であると考えております。近年、木質バイオマスはエネルギーや新素材への利用に大きな期待が寄せられておりますが、実用化に当たりましては原料調達から製造に至るコスト高などの課題がございます。このため、県内の研究機関や民間企業においても技術開発への取り組みが積極的に行われているところであり、実用化に向けた技術の集積が進んでおります。また、県におきましては、木質バイオマスの実用化に向けた研究開発を促進するため、民間企業に対する助成制度による支援を実施しているところでございます。  こうした技術開発にあわせまして、木質バイオマスの需要拡大に応じた供給量の確保が必要となりますことから、現在利用されていない間伐材と建築用材を同時に搬出することにより低コスト化と安定的な供給を図るなど、木質バイオマスの利用促進につながる取り組みを進めてまいりたいと考えております。  次に、新エネルギー対策についてお尋ねがございました。  新エネルギーにつきましては、石油や石炭等の化石燃料にかわる環境への負荷の少ないエネルギーとして、その普及を進めていくことが重要であると考えております。また、昨今の原油価格の高騰による世界経済への影響の大きさを見るとき、代替エネルギー開発の必要性を痛感したところでもございます。  これまで、県といたしましては、新エネルギーの活用等に関する基礎的情報の収集や市町の活動に対する支援など、地域の特性に応じた新エネルギー導入に向けた取り組みを促進しているところでございます。また、国におきましては、原油価格の高騰などを背景に、太陽光発電にかかわる技術革新や導入支援による需要の拡大など、新エネルギー対策の強化を検討されているところでございます。  こうした状況を踏まえ、県といたしましても、太陽光発電の率先導入の検討など、本県の特性を生かした新エネルギーの普及に向けた取り組みを推進し、地球温暖化の防止に努めてまいりたいと考えております。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁いたさせます。 24: ◯議長(林 正夫君) 農林水産局長冨永嘉文君。         【農林水産局長冨永嘉文君登壇】 25: ◯農林水産局長冨永嘉文君) 米の生産振興についてお答え申し上げます。  米は農業生産の基幹を担う作物であり、また、水田は水源涵養や景観保全などの多面的機能を有しており、食料の供給や県土保全に重要な役割を果たしております。
     しかしながら、米は生産調整品目であることから、農業経営の高度化を図りますためにも、転作による園芸作物の導入を促進する一方で、米の生産については引き続き集落法人化による省力化や低コスト化に取り組むとともに、消費者ニーズに沿った米づくりを進めることとしております。  また、米粉や飼料用米等の非主食用米は、主食用米と同じ機械装備や技術で栽培できるため、生産者が取り組みやすく、作付されていない水田の有効な活用策であると考えております。本年度は県内三カ所で試験的に飼料用米の取り組みを始めておりますが、米粉や飼料用米の本格導入は、価格の問題に加え、販売先の確保や製粉等の施設、新たな流通保管体制も必要となることから、農業団体と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。  今後とも、自給率の向上や農地保全の観点から、水田を有効利用する施策の推進により水田農業の再構築に努めてまいります。 26: ◯議長(林 正夫君) 環境県民局長平田光章君。         【環境県民局長平田光章君登壇】 27: ◯環境県民局長平田光章君) 森林の二酸化炭素吸収源としての機能評価についてお答え申し上げます。  二酸化炭素の国内排出量取引制度は、国におきまして、これまでの検討成果を踏まえ、来月からの試行的な実施に向けて準備が進められており、この制度への関心が高まっているところでございます。  国内の森林を吸収源として組み込んだ排出量取引制度につきましては、京都議定書の目標を達成する手段として想定されていないこと、個々の森林吸収量の算定が困難なことなどから、制度上の課題があると認識いたしております。  一方、一部の自治体で実施されている森林の吸収源としての機能に着目した、いわゆるカーボン・オフセットの取り組みは、森林整備の促進が期待されるなど一定の評価ができるものと考えております。  今後、県といたしましては、国の排出量取引制度の試行状況や他県の取り組み事例の成果などを踏まえ、関係局とも十分に連携を図りながら、県民、事業者等による主体的な地球温暖化防止対策を促進する取り組みとして検討してまいりたいと考えております。 28: ◯議長(林 正夫君) 引き続いて質問を行います。井原 修君。         【井原 修君登壇】 29: ◯井原 修君 改めまして、皆さん、こんにちは。先ほど小林議員から御紹介をいただきました一人会派の井原でございます。フォーラム広島はフォーラムひとりと名称を変えなければいけないのかなと思いますけれども、皆さん方の温かい視線と心優しいやじの中で質問を進めていきたいと思います。今次定例会におきまして、こうした機会を与えていただきました林議長を初め、先輩、同僚各位に対して感謝を申し上げながら、そして執行部の皆さん方から本当に前向きで心ある御答弁をいただけるものと確信して、質問に入らせていただきます。  国の地方分権改革推進委員会におきましては、本年五月に生活者の視点に立つ地方政府の確立を目指すとする第一次勧告を取りまとめ、さらに八月には国の出先機関の見直しに関する中間報告がなされるなど、国・地方の抜本的な再構築が議論されております。  また、昨年は、三位一体改革に伴い、決して十分なものとは言えませんが、税源の移譲が行われ、地方譲与税から地方税への振りかえが行われたところであり、本県の県税を例に挙げてみますと、平成十八年度当初予算における県税の占める割合は三二・二%でありましたが、本年度当初予算を見ると、その割合は四〇・六%にまで大きく伸びており、市町におきましても県全体で三・六%も伸びております。このように、財源一つを例にとっても、地方の自覚と責任が問われているということではないでしょうか。  こうした国と地方の抜本的な改革について、その議論の方向を慎重に見定めていく必要があると考えておりますが、本日は国から税源移譲が行われた本県の県税収入などについて質問させていただきます。  質問の第一は、県税の収納対策であります。  昨年行われました税源移譲では、国税である所得税と地方税である住民税の税率を変えることによって、国の税収は減少し、地方の税収はふえることとなったところであります。  本県の個人県民税をとってみますと、平成十八年度決算額で五百六十六億円、平成十九年度の決算見込み額では一千十九億円余となっており、四百五十三億円、一・八倍の大きな伸びとなっております。一方で、これに連動して個人県民税の収入未済額も平成十八年度の三十八億円余に対して、平成十九年度は五十億円余と十二億円も増加しております。国からは、以前の地方譲与税から住民税へと、地方へ税源移譲されましたが、譲与税の場合は百億円は百億円でありますが、例えば住民税になって百億円の税源移譲をされたとき、収納率が九五%であるとするならば、その間に既に五億円の収入が減ってしまう。各地方公共団体は確実に税を徴収しなければ、税源移譲が確実に担保されたということにはなり得ないということであります。  本県あるいは県内各市町におきましても、非常に厳しい財政状況にあり、財政基盤の充実強化を図ることが喫緊の課題となる中で、歳入に占めるウエートが高くなった税の徴収に対する地方の責任は、著しく大きくなったと言えるのではないでしょうか。  そこで、質問の第一点目は、収入未済となっている個人住民税の滞納整理についてであります。  県民税と市民税、あるいは町民税につきましては、市町が賦課徴収をする制度になっております。しかしながら、市あるいは町においては徴収業務を行うに当たって専門職員が不足している、担当者の人事異動などによって専門知識またはノウハウの蓄積がなかなかできない、あるいは滞納者との距離が近いことから強制処分を通した差し押さえ処分による滞納整理が難しいといった課題があることも事実であり、程度に差はあるものの、各市あるいは町において大きな負担として抱えている状況があるのではないでしょうか。県内各市町の状況を見たときには、平成十八年度決算額では県全体で九二億円の収入未済が生じている状況であります。  こうした中、本県におきましては、県の税務職員が市町の税務職員を併任して共同で徴収業務を行うことにより、滞納整理の促進あるいは市や町の税務職員の滞納整理技術の向上に取り組まれており、また、本年七月からは三原市において、市の協力によって県が直接滞納整理を行う直接徴収制度を開始されました。この取り組みは、収入未済となっている歳入の確実な確保という面では、確かに一定程度の効果があると考えますが、県としての役割はそれだけでよいのでありましょうか。これからの地方の時代を考えたとき、元気のある広島県をつくるということは、元気のある市町をつくるということでもあり、そのためには市町が健全な歳入確保をするといった体制づくりを初め、さまざまな面でサポートしていくことが広島県の役割として求められていると考えております。  例えば、他県を見ますと、全市町村が参加した地方税回収機構といった一部事務組合を設立し、この組織に派遣された県職員及び市町村職員が市町村単位では処理が困難な事案を引き受け、差し押さえ等の滞納処分を前提に整理を行うという、いわゆる滞納整理の専門的機関を置いている例もあります。こうした組織では、県から派遣された専門職員や国税のOBなど専門家の指導により徹底した財産調査の実施、速やかな滞納処分に当たっております。また、市町村税務職員に対して、専門研修を実施するほか、市町村の滞納整理業務の現状を分析し、各市町村の現状に即した滞納整理事務の提言を行うなど、徴収業務を総合的に支援している例もあります。  こうした徴収体制の整備は、専門的で効率的かつ迅速で徹底した滞納整理を行うという直接的な効果にあわせて、滞納整理を回収機構に移管することを滞納者に対して予告した時点で納付に応じるというケースもあるなど、間接的な効果も生まれております。さらには、この組織に派遣された市町村職員を通じて、徴収実務の知識やノウハウが市町村にフィードバックされる、そうした効果も期待できるところであり、このような体制づくりを県がサポートしていくことが最も必要なことではないでしょうか。  そこで、本県においても個人住民税の歳入確保をより一層確かなものにするため、県と全市町が一体となった徴収体制の整備を進めていくべきであると考えますが、これまでの本県での市町と連携した滞納整理の取り組みの成果をどのように評価されているのか、また、全市町と一体となった回収機構の設置の必要性について御所見をお伺いいたします。  質問の第二点目は、県税納付に向けた県民意識の向上についてであります。  住民は、税金を初め、国民健康保険、年金や上下水道などの公共料金の支払いなど、住民としての義務や責任を確実に果たすことが求められております。一部に滞納者があるとすると、滞りなく納税や支払いをしている大多数の住民との公平性からも重要な問題であります。最近では、学校の給食費の不払いも社会問題化しております。税金や公共料金など、これらを支払わなくても平然としている、一部にではありますが、社会的モラルの低下が現実に広がっているのではないかと思います。国においても地方自治体においても、納税意識の向上には苦労しながら取り組んでおられますが、なかなか特効薬がないのが現実ではないでしょうか。しかしながら、これからの地方の時代を考えると、本県みずからがこれまで以上に積極的、効果的な取り組みを行っていく必要があると考えます。  また、県民の中には、納税意識はあるものの、経済事情などにより期限までに納税できない場合もあります。こうした納税者の事情には、丁寧な相談に応じ、分割納付などの指導を適切に行う、あるいは福祉関係機関などとも連携して、県民の立場に立ったきめ細やかな相談や助言を行うことが必要であると考えております。  そこで、県民の納税意識の向上に向けた取り組みと、きめ細やかな納税の相談体制について御所見をお伺いいたします。  質問の第二であります。  本県の財政は依然として厳しい状況にあり、先般示された今後の財政収支見通しによりますと、今後五年間の財源不足額は、年間おおむね六百億円台で推移すると試算されております。  このような状況の中で、県では第二次行政システム改革推進計画に基づき、県民の視点に立ち、最少の経費で最大の効果を得るよう、簡素で効率的なシステムの構築を図るとともに、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現に向けた施策を展開できる行政主体として、体質の改善・強化に取り組まれております。  具体的な取り組みとして、一点目に、国・県・基礎自治体や行政と民間との新しいパートナーシップのもとで、行政サービスがより効率的・効果的に提供される分権型行政システムの構築を目指す、二点目として、行政需要の変化に即応して事務事業をより効率的・効果的に執行できるよう編成すべきであり、県と基礎自治体、行政と民間の新たな役割分担や交通機能の発達による生活圏の拡大、情報通信網の整備など、新しい状況変化を踏まえた上でよりよい行政サービスを的確かつスピーディーに提供できるスリムな組織づくりに取り組む、三点目には、人、物、金といった限られた行政資源で、県民が納得できる良質な行政サービスを提供していくため、達成すべき明確な目標を定め、成果等を適切に把握、点検することにより、施策、事務事業の一層の効率化・重点化を図る、以上三点を挙げられております。  このような県の厳しい財政状況や行政改革に向けた取り組みの方向性を念頭に置いたとき、私は、未利用県有地を活用した企業誘致の新たな取り組みにより、行政と民間がともに地域の活性化に取り組む必要があるのではないかと考えておりますので、この点について質問させていただきます。  近年、生産拠点を海外に移してきた製造業各社に、国内回帰の動きが強まってきました。自動車や電機メーカーを中心に、国内工場の新設、増強が相次いでおります。これらの動きにより、自治体間の企業争奪戦は一段と過熱をしてきており、大阪府では百五十億円という破格の企業立地促進補助金によって大手電機メーカーの誘致をかち取り、生産活動で約一兆一千億円、雇用面で八万人という経済効果が予測されております。企業誘致に対する補助金や助成金の平成十九年度における上限額の都道府県ランキングでは、大阪府が百五十億円でトップでありますが、中国地方では岡山県が第四位で七十億円、広島県は二十七位の二十億円となっております。  雇用の創出や税収の増に直結する企業誘致は、地域活性化の即効薬となるため、企業誘致補助金のほかにもさまざまな優遇策を打ち出して、企業へのアピールを強化していくことも重要なポイントであると考えております。これらの現状を踏まえて、厳しい財政状況の本県が、今後企業誘致の促進に向けてどのように取り組んでいこうとされているのか、提案をしながらお考えを伺います。  企業誘致に最も効果的なのは、企業誘致助成金の上限額を引き上げることだと思っております。しかし、これは財源的な制約があることから、非常に難しいと考えています。これまでのように、県と地元自治体が協力してインフラ整備を進めるとともに、産業団地の造成を行政が行う、そして完成後にはさまざまな優遇措置を講じて企業誘致の実現を図っていくというスタイルは、地元自治体も現在の厳しい財政状況の中で実現は困難でありましょう。実現が困難ということになれば、企業誘致は自治体間競争に敗れ、他の都道府県に進出することになり、また、既存企業の事業拡大についても工場移転などによって地域経済の空洞化につながるという負のスパイラルに陥るのではないかと懸念するところであります。  私の出身地であります東広島市においては、高規格道路が充実していく中で、企業の新規立地も相当実績があり、既存の公的団地は既に九七%以上の分譲率を示していることから、新たな産業団地を整備する必要があります。しかし、これまでのように行政が主体となって整備できるような財政事情にはないことから、新たな発想での分譲システムの構築が求められていると考えております。  例えば、東広島市には未利用の県有地が三百三十三ヘクタールもあります。インフラや公共交通網に恵まれた立地条件のすぐれた県有地については、そこに立地を希望する企業には造成前の状態で売却し、その企業は民間の開発事業者と連携して、効果的かつ早期に産業団地を造成するといったことができれば、最小限の行政負担で大きな地域経済の活性化が図られるのではないでしょうか。  このような分譲システムを県と地元自治体で連携して構築し、開発に係る許認可への支援や周辺のインフラ整備での行政支援を図ることにより、企業誘致が実現し、さらには県有地の売却が財政健全化へもつながると考えます。他の都道府県に先んじて、新たな行政支援サービスを検討し、本県の優位性を高めるといった取り組みが非常に重要であると考えております。  厳しい県財政の中で何もできないというのではなく、これまでに実施してきたさまざまな行政投資を生かすとともに、他とは違う全国に先駆けた新たな発想による企業誘致システムの構築をし、民の力を最大限に活用した施策を展開していくことにより、第二次行政システム改革推進計画の具体化、さらには、財政健全化に積極的に取り組むことになるのではないでしょうか。本県では、備後地域における新たな企業用地の確保に向けて、適地調査や新たな事業手法について調査・検討が行われていると聞いております。東広島市を初め、他の地域における未利用県有地の活用やそれぞれの地域の事情に応じた新しい発想での効果的な産業団地開発についてのお考えをお尋ねいたします。  最後に、特別支援教育についてであります。  一昨年、学校教育法が改正され、従来の盲学校、ろう学校及び養護学校は、複数の障害種別に対応した教育を実施することができる特別支援学校とするとともに、幼稚園、小学校、中学校、高等学校の要請に応じて、それぞれの在籍する生徒などの教育に関して助言・援助を行うことが示されました。  県教育委員会においても、この法改正に速やかに対応され、昨年四月からは特別支援学校あるいは特別支援学級と名称を改められました。本年七月には今後の特別支援教育の推進方針となる広島県特別支援教育ビジョンをまとめられるなど、特別支援教育の充実に取り組まれていると考えております。  そこで、質問の第一点目として、県立特別支援学校の再編整備についてお尋ねをいたします。  今回まとめられましたビジョンの中には、障害児施設等に併設した特別支援学校について、併設施設等の入所者以外の就学について方向性を示され、早速八月には、肢体不自由の子供たちが在籍する西条特別支援学校について、来年度からは、併設施設以外の東広島市在住の子供たちが就学できるよう就学区域の拡大を決定されました。  また、知的障害特別支援学校においては、職業観、勤労観の育成、職業的自立に必要な知識、技能の向上を図るために、福山北、広島北特別支援学校の高等部に職業コースを設置し、具体的な取り組みを進められることになりました。  近くに特別支援学校がありながら、遠方の学校まで通学していた子供たちや保護者の長年にわたる負担や思い、あるいはこれから就学する子供を持つ保護者の不安、さらには特別支援学校に在籍している生徒や保護者が抱いている卒業後の進路に対する不安、こうしたことを思うとき、これらの決定は生徒や保護者のニーズに応じた適切な判断であり、高く評価をするものであります。  来年四月に向けては、それぞれの特別支援学校あるいは関係の教育委員会とも十分な連携を図った上で万全の準備を進めていただくよう、心よりお願いをするものであります。  しかしながら、特別支援教育の推進・充実に向けては、まだまだ積極的な対応が求められているのではないでしょうか。特別支援教育の理念の中には、これまで障害児教育の対象としてきた障害だけではなく、知的なおくれのない発達障害も含め、特別な支援を必要とする幼児・児童生徒が在籍するすべての学校において実施されるものと示されており、こうした理念に基づく特別支援学校制度は、これまでの各学校における取り組みを推進することは当然でありますが、さまざまな障害種別に対応することができる体制づくりや、小学校や中学校の連携などを一層進めていくことなど、特別支援学校の役割はますます重要となってきております。  近年では、知的障害のある児童生徒に対する教育を行う特別支援学校や特別支援学級の在籍者が大きく増加してきております。平成二十年度の在籍者数は、平成十一年度──十年前に比べて、特別支援学校で一・五倍、特別支援学級においては一・八倍にも達しております。こうした状況に対応した環境整備も急がれる課題でありますし、また、特別支援学校高等部の卒業者の就職率においては全国平均にも達していないという状況でもあります。  他県においては、三十四都道府県の百二十四校で、複数の障害種別に対応した学校が既に設置されており、また、職業教育に重点を置いた指導を行う高等特別支援学校の整備も進んでおります。お隣の岡山県においても、閉校になった高等技術専門校の跡地に、来年度、中国地方では初めての高等特別支援学校を開校する予定で準備が進められております。  近隣の学校で障害の種別や程度に応じた特別な配慮のもとに教育を受けたいという子供たちや保護者の切実な願い、あるいは将来に向けて職業的な自立を図るためにも、複数の障害種別に対応した新たな特別支援学校の再編や未利用となった県有地や施設を有効に活用した高等特別支援学校設置など、環境整備に積極的に取り組み、それぞれの地域での特別支援教育の一層の充実を図ることが急務であると考えます。  そこで、特別支援教育ビジョンにも示されております県立特別支援学校再編整備の早期実現に対する教育長の決意をお尋ねいたします。  次に、小学校、中学校に置かれております特別支援学級についてお尋ねいたします。  県教育委員会では、児童生徒が障害の種類や程度に応じ、特別な配慮のもとに教育を受けられるよう、就学についての適切なアドバイスについて市町教育委員会を指導されておりますが、こうした中で市町教育委員会が小中学校に設置する特別支援学級に在籍する児童生徒は年々ふえてきており、これは教育相談などに取り組まれてきた結果であると考えております。  特別支援学級は、比較的軽度な障害のある児童生徒が自主的に生活していく力をつけるよう指導を行い、日常生活習慣の確立、集団生活への適応力、教科面での読解力、表現力、計算能力などを養うことが目標であると思いますが、こうした子供たちの中には、コミュニケーションが苦手で自分から友達の中に入っていくことができないなど、一人一人にさまざまな特性があります。特別支援学級では、一人一人に応じたきめ細やかな指導が求められており、担任する教員には特別支援教育に対する専門性のみならず、保護者とも十分に連携を図りながら、一人一人の子供を深く理解して日々の様子に応じた指導を行う熱意も必要であると思います。  しかし、特別支援学級を担任する教員の特別支援学校教諭免許状の保有率を見ますと、三割程度しかありません。さらに、担任した教員の特別支援学校や特別支援学級等での経験年数を見ると、その六割以上は五年以下ということであります。このような中で、保護者は安心して特別支援学級に子供を預けられるのでしょうか。市町によって、学校によって、さらには担当教員の熱意によって、その指導はさまざまであると感じております。保護者や子供たちは、学校を選択することはできないのですから、どこの学校へ行っても、どの先生が担当しても、熱意を持って指導していただくことを望んでおります。  県教育委員会では、特別支援教育の理念を実現するために、校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの指名など、校内支援体制の整備に積極的に取り組まれておりますが、子供たちに直接接する担当教員の熱意を持った指導があって初めて、この理念が実現されるものと考えております。  今回まとめられたビジョンにも、教員の専門性の向上について示されているように、すべての特別支援学級で専門性のある指導が受けられる取り組みも急務であると考えますが、具体的にどのように取り組んでいかれようとするのか、教育長のお考えをお尋ねして、以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 30: ◯議長(林 正夫君) 当局の答弁を求めます。知事藤田雄山君。         【知事藤田雄山君登壇】 31: ◯知事藤田雄山君) 井原議員の御質問にお答えを申し上げます。  まず、個人住民税の滞納整理についてお尋ねがございました。  本県では、国の三位一体改革に伴う税源移譲を目前に控えた平成十八年度から、市町と連携して徴収対策の強化を図るため、県職員が市町へ出向き市町職員とともに滞納整理を行う個人住民税の併任徴収を初め、さまざまな取り組みを行ってきたところでございます。  こうした取り組みと相まって、インターネット公売やタイヤロックなど、新たな徴収手法を積極的に展開するなどの市町の努力により、県内市町の平均収入率は高まり、全国平均を上回る水準を維持いたしております。  しかし、一方で、税源移譲に伴い個人住民税のウエートがふえ、収入未済額も増加しつつございます。また、これまでの併任徴収は四カ月間に限定して実施しており、市町の税収確保及び徴収意欲、徴収技術の向上に役立つものの、中核となる職員の育成につきましては、必ずしも十分ではないと考えております。  このため、七月から年度末まで、三原市をモデルとして直接徴収制度を活用し、市の徴収対策の中核となる職員を県職員として受け入れ、その育成に重点を置いた新たな徴収強化の取り組みを行っているところでございます。  全市町が一体となった回収機構を設置してはどうかとの御提案でございますが、まずは、基礎自治体としての体制整備が図られつつある市町みずからの徴収力を高めることが何よりも重要であると考えておりまして、今後とも、こうした市町の徴収力強化の取り組みを展開することを基本としつつ、市町と連携したさらなる徴収強化方策につきましても議論・検討してまいりたいと考えております。  次に、県税の納付に向けた県民意識の向上についてお尋ねがございました。  納税意識の向上を図るためには、県民の皆様に県税の仕組みやその使途を正しく理解し、県税に対する関心を高めていただくことが極めて重要であると考えております。  このため、県といたしましては、従来から国・県・市町や広島県法人会連合会などの関係機関と共同して、広島県租税教育推進協議会を設置し、小中学校への税に関する教材の配付や国・県の税務職員による租税教室の開催など、租税教育の推進に積極的に取り組んでおります。加えて、今年度は地方税納税推進の標語を広く県民から募集するなど、本県独自の新たな取り組みも進めております。さらに、毎月二十日の県税の日には、午後八時まで納税相談窓口を開設いたしまして、納税者の方からの相談にきめ細かく応じているところでもございます。  また、納税モラルの向上に向けて、悪質な滞納事案に毅然たる姿勢で臨むことなどにより、公正な税務行政の姿を県民の皆様にお示しすることも重要であると考えております。  今後とも、県民の皆様の納税意識の向上を図るため、これらの取り組みを地道に続けていくとともに、さらに効果的な方策を打ち出すことができないか、関係機関と十分に連携いたしまして検討を重ねてまいりたいと考えております。  次に、未利用県有地を活用した企業誘致についてお尋ねがございました。  県内の産業団地は、これまでの好調な企業立地を反映して分譲用地が残り少なくなってきております。このため、新たな企業用地の確保に向け、産業集積促進戦略本部等において未利用県有地の活用の検討を行ってきたところでございます。  最近の先端的企業の立地動向を見ますと、立地決定から操業開始に至る期間が非常に短くなっており、その面からも、未利用県有地の活用は企業ニーズに適応した工期や価格を実現するための有効な手段ではないかと考えております。  また、これからの産業団地の整備に当たりましては、民間活力を活用するなどの取り組みが必要と考えられますことから、今年度、備後地域を対象といたしまして、こうした新たな整備手法について調査を進めているところでございます。  県といたしましては、これらの調査結果を参考とし、全県的に未利用県有地を企業用地として活用する可能性及び手法について、引き続き、地元自治体と十分に連携を図りながら検討してまいりたいと考えております。 32: ◯議長(林 正夫君) 教育長榎田好一君。         【教育長榎田好一君登壇】 33: ◯教育長(榎田好一君) 特別支援教育について、二つのお尋ねがございました。  まず、県立特別支援学校の再編整備についてです。  教育委員会では、障害のある子供たちの自立と社会参加を図るため、本年七月に広島県特別支援教育ビジョンを策定し、複数の障害種別に対応した新たな特別支援学校への再編などに取り組むこととしております。  複数の障害種別に対応した学校への再編につきましては、知的障害のある子供たちの増加に対応するため、今後の在籍者数の見込みや施設の活用状況、また、異なる障害のある子供たちが同一校で学習する場合の教育環境の整備などについて検討しているところでございます。  また、高等特別支援学校につきましては、来年度設置する職業コースの状況を踏まえるとともに、通学の利便性や企業の立地状況などを考慮しつつ、その設置を検討してまいります。  教育委員会といたしましては、こうした点についてさらに検討を重ね、広島県特別支援教育ビジョンに示す県立特別支援学校の再編整備の着実な実現に努めてまいります。  次に、特別支援学級についてです。  近年、特別支援学級に在籍する児童生徒の数が大幅に増加する中、指導に携わる教員の専門性の向上など、特別支援学級の指導体制の整備が課題となっております。  そのため、教育委員会では、特別支援学級の担任が特別支援学校教諭免許状を取得できるよう、講習会を実施しているところでございます。また、平成十八年度から特別支援学級における教育課程や授業の改善を図るための事業を実施し、その成果をハンドブックとしてまとめ、県内すべての学校に配付し、普及に努めているところでございます。  さらに、特別支援学級の教育の充実を図るため、各校の推進役である特別支援教育コーディネーターの研修を実施するとともに、今年度から小中学校と特別支援学校間の計画的な人事異動を行い、教員の専門性の向上に努めているところでございます。  今後とも、こうした取り組みをさらに推進することにより、特別支援学級の教育に携わる教員の専門性の向上に努めてまいります。 34: ◯議長(林 正夫君) 明日も引き続いて質問を行います。明日は午前十時三十分から会議を開きます。  本日はこれをもって散会いたします。         午後二時二十一分散会 発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...