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  1. 広島県議会 2008-02-04
    平成20年2月定例会(第4日) 本文


    取得元: 広島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-05
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成20年2月定例会(第4日) 本文 2008-02-27 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 38 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長(林 正夫君) 選択 2 : ◯議長(林 正夫君) 選択 3 : ◯大井哲郎選択 4 : ◯議長(林 正夫君) 選択 5 : ◯知事藤田雄山君) 選択 6 : ◯議長(林 正夫君) 選択 7 : ◯農林水産部長妹尾幸太郎君) 選択 8 : ◯議長(林 正夫君) 選択 9 : ◯福祉保健部長(迫井正深君) 選択 10 : ◯議長(林 正夫君) 選択 11 : ◯教育長榎田好一君) 選択 12 : ◯議長(林 正夫君) 選択 13 : ◯議長(林 正夫君) 選択 14 : ◯議長(林 正夫君) 選択 15 : ◯議長(林 正夫君) 選択 16 : ◯議長(林 正夫君) 選択 17 : ◯知事藤田雄山君) 選択 18 : ◯議長(林 正夫君) 選択 19 : ◯山下智之選択 20 : ◯議長(林 正夫君) 選択 21 : ◯知事藤田雄山君) 選択 22 : ◯議長(林 正夫君) 選択 23 : ◯県民生活部長(山本航三君) 選択 24 : ◯議長(林 正夫君) 選択 25 : ◯教育長榎田好一君) 選択 26 : ◯議長(林 正夫君) 選択 27 : ◯警察本部長(飯島久司君) 選択 28 : ◯議長(林 正夫君) 選択 29 : ◯岩下智伸君 選択 30 : ◯議長(林 正夫君) 選択 31 : ◯知事藤田雄山君) 選択 32 : ◯議長(林 正夫君) 選択 33 : ◯総務部長(松田浩樹君) 選択 34 : ◯議長(林 正夫君) 選択 35 : ◯都市部長(岡崎修嗣君) 選択 36 : ◯議長(林 正夫君) 選択 37 : ◯教育長榎田好一君) 選択 38 : ◯議長(林 正夫君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:         午前十時三十二分開議 ◯議長(林 正夫君) 出席議員六十二名であります。これより会議を開きます。         自第  一 県第一号議案         至第五十六 報第五号 2: ◯議長(林 正夫君) これより日程に入ります。日程第一、県第一号議案 平成二十年度広島県一般会計予算から日程第五十六、報第五号 損害賠償額の決定についてまでの各案を一括上程議題といたします。  昨日に引き続いて質問を行います。大井哲郎君。         【大井哲郎君登壇】 3: ◯大井哲郎君 皆さん、おはようございます。私は、自由民主党広島県議会広誠議員会の大井哲郎でございます。今次定例会において我が会派を代表し質問の機会を与えていただき、議長を初め、先輩、同僚議員各位に心から感謝を申し上げます。  さて、我が国の経済は、ようやくバブル崩壊後の長い低迷から脱却しつつありますが、急速なグローバル化、世界的なIT化など新たな世界経済構造のもとで競争力が相対的に低下してきており、一人当たりGDPをドル換算で国際比較すると、我が国は、平成五年にはOECD諸国中第二位でありましたが、諸外国の順調な伸びの中で平成十八年には第十八位となっており、国際的地位も後退を余儀なくされております。また、これまでの長いデフレとの戦いの中で、伸びない賃金と伸びない消費、過疎地域では学校、病院などの暮らしを支える施設の利用が不便になり、それによって地域の魅力が薄れ、さらに人口が減るという悪循環が起こっております。このような状況が国民の閉塞感を生み、将来の展望を持つことを困難にしており、現状を打開し、閉塞感につながる悪循環を希望につながる好循環に転換していくことが求められております。  こうした中で、国は、ことし一月に公表された日本経済の進路と戦略において、希望と安心の国の実現を目指し、自立と共生の理念に基づき、つながりを重視して、成長力の強化、地方の自立と再生などの取り組みを進めることが必要であるとしております。私も、まさしくそのとおりであると考えるところでありますが、実際に国の各省庁がやっていることを見ると、つながり重視どころか、まさに省あって国なしという状況であると思うのであります。  例えば、最近問題となった輸入冷凍ギョーザなどの食の安全問題への対応や、情報通信技術の国際競争力強化における総務省と経済産業省の連携不足、地球温暖化対策における環境省と経済産業省の対立など、縦割り行政の弊害は枚挙にいとまがありません。地方分権改革への対応に至っては、結局、国の行政機関は自分の権限を守りたいだけではないかと言われても仕方がない状況であります。  私は、何も国の悪口を言いたいわけではありません。私が言いたいのは、我が国全体を覆う閉塞感を打破するためには、国を頼りにしているだけでは何も始まらない、知事のリーダーシップのもと、地域社会みずからが立ち上がり、長期的展望に立った連携と協力により、社会の至るところに生じている悪循環を地域社会全体で好循環に変えていくことが必要であり、広島県から日本を変えていくという気概を持って取り組むことが何より重要であるということであります。本日は、こうした視点から、地方分権改革の推進、過疎地域の活性化に向けた総合的な施策の推進、地域の医療を守るための取り組みの推進などについて質問をいたします。  知事は、今次定例会に、元気な広島県づくりと財政の健全化の両立を目指した総額約九千四百二十八億円の平成二十年度予算案を提案されたところであります。この予算額は「暮らしに優しい予算」と読むのだそうですが、県民が本県における暮らしに希望と安心感を抱けるような御答弁を期待いたしまして、質問に入ります。  質問の第一は、国・地方を挙げて大きなうねりの中にあります地方分権改革の推進と、本県の将来像に関してであります。  平成十八年に地方分権改革推進法が成立し、第二期地方分権改革と呼ばれる新たな改革が、この法に基づき設置された地方分権改革推進委員会のもとで、現在、鋭意検討が進められております。また、分権改革の総仕上げとも言うべき道州制についても、昨年一月から道州制担当大臣の私的懇談会として道州制ビジョン懇談会が設置され、三月末の中間報告取りまとめに向けて意見集約に入っております。  こうした中で、現在、地方分権改革推進委員会において、中央省庁の出先機関を見直す本格的な議論が始まっております。国と地方の役割分担をどうするかは第二期地方分権改革の主要テーマであり、国の出先機関の廃止も含めた抜本的な見直しは、国から地方への権限移譲の先に当然行われなければならない改革の本丸とも言うべきものであります。ところが、地方分権改革推進委員会が国の省庁に意見を求めても、ほぼゼロ回答であるというのが実態であります。  出先機関といっても、例えば、巨大官庁であります国土交通省の中国地方整備局について見てみると、職員数約二千人、予算規模約六千九百億円という大組織であります。国の出先機関の業務は、道路や河川の整備・管理など、地方でも同様の業務を行っているものも多く、また、産業振興や農業振興など、国と地方の役割分担が不明確な分野も多いと感じております。税関や出入国管理など、国でしかできない仕事はともかく、地方の隅々にまで国に口や手を出してもらう必要は全くないと思います。  少子・高齢化の進行や多額の財政赤字、社会保障の不安などの閉塞感の中、中国、インドなどを初めとする新興国の経済成長に伴い存在感の薄れている日本にとって、行財政の効率化は最優先で取り組むべき課題であります。各省庁は徹底抗戦の構えであり、議論が深まっていくほど、官僚の抵抗も族議員と連携してますます強まっていくことが予想されます。これからが正念場であり、霞が関の聖域に踏み込み、真の改革を実現させるためには、国民を挙げた世論による後押しがぜひとも必要であります。それなくして、この改革は成就しないと思います。  そこで、第二期分権改革の真の地方自治の実現に向け、広島県としてどのように県民に改革の必要性を訴え、世論を喚起していこうと考えておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、本県の将来像にとって重要であり、道州制とも関連します広域ブロックにおける国土形成計画である広域地方計画に関してお伺いしたいと思います。
     国土形成計画は、昭和三十七年以来、我が国の国土づくりの中心的な計画であった全国総合開発計画にかわるものとして、人口減少時代の到来を背景に、これまでの開発基調の量的拡大を目指す計画から、国土の質的向上を重視した計画として見直されたものであり、この新たな国土形成計画の全国計画について、今年度中に閣議決定が予定されております。この閣議決定を受けて、これから全国計画の地方版となる全国を八ブロックに分けた各広域ブロックによる広域地方計画の策定が本格的に開始されることとなります。  これまでも、中国圏プレ広域地方計画協議会を設置し検討が進められてまいりましたが、来るべき道州制を考えれば、中国ブロック一体として自立した国際競争力のある圏域になる必要があり、その中核たるべき本県の将来像を描く上で、広域地方計画は重要な役割を果たすものと考えます。  本県は、中国地方で唯一すべての県と県境を接しており、また、中国ブロックにおける経済・文化などを先導してきた拠点県でもあります。道州制をにらめば、広島県の発展だけを目指すのではなく、本県がリーダーシップを発揮し、隣県と目的を共有し役割分担も図りながら、ブロック全体としての将来の方向性を定めていく必要があります。  こうしたリーダーシップを発揮するため、本県では広域地方計画の策定に先立ち、広島都市圏の高次都市機能の強化や、従来から経済・文化面でつながりの強い岡山県の井笠地域を含めた備後都市圏における広域連携、拠点性強化に係る調査研究に取り組まれております。広域地方計画の策定については、近く中国圏広域地方計画協議会が設置され、本格的な検討が始まりますが、本県の将来像をしっかりと見きわめた上で、この計画策定に取り組んでいただきたいと思っております。  そこで、広島都市圏、備後都市圏の調査研究を踏まえ、本県の将来像をどのように描いておられるのか、また、将来像をもとに、ブロック内での広域連携や拠点性の向上について、どのように広域地方計画の中に反映していこうとされているのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第二は、過疎地域の活性化に向けた総合的な施策展開についてであります。  まず第一点目として、過疎地域における中長期的な地域づくりの戦略についてお伺いいたします。  知事は、今次定例会に提案された来年度の当初予算について、重点的な取り組みのまず一番に、新たな過疎対策を掲げておられます。昨年公表された都道府県別の将来推計人口によれば、全国的に大幅な人口減少が予想される中で、本県も平成四十七年までの三十年間で、福山市の人口を上回る四十八万人もが減少する見込みであり、改めて、事の重大さを認識させられました。また、過疎地域においては、都市部への人口流出と少子・高齢化が一層進むことから、この数字にあらわれる以上の大きな影響が生ずることと推測され、これからの過疎対策は、極めて大きな行政課題であると言えます。本県の過疎地域の現状は、全国と比べ、集落の小規模化、高齢化の進行が著しいということであり、危機感を持った知事の積極的な取り組みを評価するものであります。  過疎対策については、これまでも長い間取り組まれてまいりましたが、正直なところ、特効薬がないということも事実であります。過疎対策については、医師不足の解消や生活交通の確保など緊急に取り組むべき対策、農業や観光振興などの中期的に取り組むべき対策、将来の人口減少を見越した地域社会の再構築などの長期的視点を持った対策といったように、ある程度の戦略性を持って取り組む必要があると、私は考えております。  そうした中で、地域社会を持続可能なものとするためには、都市や周辺地域との連携強化による活発な交流人口の拡大により、定住人口の減少を補っていくことが重要になると思います。また、社会全体のトータルコストを抑えるための地域社会の再構築も重要となってまいります。コンパクトシティーという言葉を最近よく耳にするようになってまいりましたが、過疎地域におけるコンパクトタウンの発想も必要でありましょう。  そこで、今後の過疎地域における地域づくりの戦略について、特に中長期的な視点から知事はどのように考えておられるのか、また、その戦略をもってどのように実際の取り組みを行っていこうとされるのか、御所見をお伺いいたします。  過疎地域に係る質問の二点目は、農林水産業の振興についてであります。  まず、産業として自立できる農業の確立について伺います。  本県の四分の三以上が過疎地域であり、その多くは農村地帯であります。地域の主要産業は何といっても農業でありますが、公共事業に支えられた建設業も地域の重要な収入源であり、都市部からの所得の再配分機能を果たしてきたことも事実であります。しかし、国や県、市町の財政が大変厳しい中で公共事業が大幅に伸びることは望むべくもなく、農林水産業の活性化なくしては、長期的な過疎地域の展望を開くことは困難であると考えます。  過疎化の進行により地域農業の担い手が不足し、産業としての農業が成り立たないことでさらに人口流出が続くという悪循環に陥ってしまっているのが農村地域の現状であります。この悪循環を断つことができるのが、産業として自立できる農業の確立であると考えます。  県では、集落農場型農業生産法人や他産業からの農業参入企業、個人の企業的農業経営体を担い手として育成するとされ、特に集落法人の設立に積極的に取り組まれていると聞いております。しかし、集落法人が設立されただけで、地域の農業が自立できるとは考えにくく、消費者の視点で今何が求められ、経営者の感覚でどこへどのように売っていくかを考える次の段階へ進化しなければなりません。  また、今の過疎地域の農業を支えているお年寄りは、先祖伝来の農地を守る義務感から赤字覚悟で農業を営んでいると聞きますが、経済合理主義の中で育った次の世代に同じ考えで農業を継げというのは酷であります。  本県は、担い手が中心となった力強い農業構造の確立を目標とし、集落法人の育成や農業外企業の参入の促進などに取り組んでいるところでありますが、その進捗と成果、今後の取り組みの方針について、知事にお伺いいたします。  次に、農林水産物の地産地消の推進についてお伺いいたします。  今の日本は、スーパーマーケットに行けば、世界各国から輸入された食品が並んでおり、我々は比較的安価で世界じゅうからの農林水産物を手にすることができるわけでありますが、裏返せば、我々は胃袋を海外にゆだねているということになります。我が国のカロリーベースの食料自給率は、昭和四十年には七三%でありましたが、平成十八年には三九%に低下し、さらに本県は深刻で二三%であります。日本食の代表とも言えるてんぷらそばの自給率もわずか二〇%であり、そば粉の大半は中国産、エビの多くは東南アジア産、しょうゆの原料である大豆も米国産がほとんどであります。日本食であっても、輸入ができなくなると、日本人の口には入らなくなるのであります。  こうした中で、先月、中国で製造された冷凍ギョーザに混入していた農薬による中毒が明らかになりました。食の安全・安心のために、こうした輸入食品の検査体制の充実が必要なことは言うまでもありませんが、私は、今回の事件をきっかけに日本人の食生活を足元から見直す必要があると考えています。また、加工済み食品をレンジで温め食事を済ますという食生活や、消費者が行き過ぎた安さを求めることにも疑問を感じております。健康や命と引きかえにできる手軽さや安さは存在しないと思います。  私は、地域で生産されたものを地域で消費する、いわゆる地産地消を積極的に推進すべきと考えております。地域で生産されれば、少なくとも長距離を時間をかけて輸送するためのガソリン代などは必要なく、つくり手と食べ手は顔が見える関係となり、つくり手は安全なものを手渡したいと考え、食べ手も安心できます。このことはお互いの信頼関係を築き、消費者の農林水産業や農山漁村に対する理解が進むとともに、安全で安心できる農林水産物の安定供給についても、消費者の正当な評価と適切な消費行動が大きな手助けになると考えます。地産地消は食育や地球温暖化防止にも役立つ重要な取り組みであり、県、生産者、消費者が連携した積極的な取り組みの推進を望むところであります。  そこで、県は地産地消をどのように評価され、今後どう展開されるのか、知事にお伺いいたします。  農林水産業に関する質問の三点目は、持続的かつ安定的な水産業の確立についてであります。  本県の水産業を取り巻く環境は厳しい状態が続いており、平成五年に四千三百近くあった漁家数が、平成十七年には三千百程度と三割近く減少し、生産額も同時期に二六%も減少しております。このままの状況が続けば、瀬戸内海という豊かな漁場を目の前にしながら、県産の魚が食べられない事態に陥ってしまうことが懸念されております。漁業者の権利や利益を守り、漁業経営の安定と水産物の安定供給を目的に設立されている漁業協同組合の役割がますます重要となっています。  しかし、県内には海面だけでも六十の小規模漁協が存在しており、正組合員は八十人程度で、常勤の職員も二人か三人といったところが平均像であります。現在、本県では、オニオコゼやメバルなどの地先定着型の魚をふやしブランドを育成するという取り組みを進められており、漁協が先頭に立って推進すべきでありますが、なかなか体制が整わないのが実情のようであります。  こうした中、県は、漁業資源管理や組合員の経営安定など、漁協本来の活動が十分できる体制を整備するため、漁協の合併を支援するとされていますが、今は何とか漁協の運営もできており、今すぐ合併する必要はない、あるいは、全国の漁協の中には積極経営が裏目に出て養殖事業や販売事業に失敗した例もあると、合併に二の足を踏む漁協もあるのが実情であります。  本県水産業の振興のためには、漁業資源の管理や地場の魚のブランド化、つくり育てる漁業の推進を主体的に担える漁協の体制を整えることが重要であり、県による合併のメリット等の十分な説明と支援が必要であると考えます。  また、近年の漁獲量の減少は、漁業者の高齢化や過大な漁獲だけに起因するものではなく、魚の揺りかごと言われる藻場や干潟、中洲の破壊による魚介類の減少が大きな原因であります。高度経済成長時代に大量の海砂が採取され、大きく形を変えた海底がもとに戻るには気が遠くなるほどの年月が必要とされ、また、今も各地で続けられている海面埋め立ては、瀬戸内海だけでも三万ヘクタール近くに上っています。こうした状況から、各県とも漁業資源を回復させるため稚魚の生産・放流を行い、チヌなどの魚種について漁獲量が増加するなどの成果を上げてきました。  しかし、県は種苗生産に係る費用の負担割合を見直し、平成十六年度から直接生産費を原則漁業者負担とし、補助の段階的削減が行われています。多種多様な魚介類が生息することにより、海の循環や環境が守られ、また遊漁者も楽しく過ごすことができることを考えると、私は、種苗の生産・放流は漁業者や行政、遊漁者などが共同で行うことが公平だと考えています。  そこで、持続的かつ安定的な水産業の確立に向け県はどのように取り組まれ、その中で漁協合併やつくり育てる漁業をどう位置づけられ支援していかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第三は、社会意識を身につけた人づくりについてであります。  県は、総合計画「元気挑戦プラン」の新たな柱として位置づけた人づくりを推進するため、今後の県行政の指針となる広島県人づくりビジョンを今年度中に策定されます。このビジョンの案では、少子化・核家族化に伴う人と触れ合う機会の減少や地域社会との交流機会の減少などにより、社会意識や職業観などが子供たちに十分身についていないことを課題として挙げております。そして、すべての子供が基本的な生活習慣や規範意識などを身につけられる、しっかりとした養育や教育を受けることができるよう、保育所・幼稚園・小学校が連携する仕組みをつくるとともに、家庭・地域との連携の強化に重点的に取り組むとしております。  また、家庭に期待される役割として、基本的生活習慣、物事の善悪、社会ルールの遵守など、基本的なしつけの徹底などを挙げております。  近年、学校現場では、給食費未納問題に見られるような責任感や規範意識の欠如した親がふえており、保護者会を開いても親同士がおしゃべりに夢中で、学級参観が成立しない状況もあると聞きます。また、運動会で親が酒盛りをしたまま後片づけもしないで帰るといった報道も目にするようになりました。子供は社会の鏡であり、子供は大人たちの姿を見ながら行動しており、学校で道徳を言葉で説くだけではなく、子供に社会性を身につけさせるためには、まず大人が変わることが必要であると考えます。一部には、自我が確立した大人を変えることは難しく、社会性を持った人づくりを推進するために子供からのアプローチを優先すべきであるとか、また、親の教育力を高めるための取り組みを行っても、参加するのは良識的な保護者ばかりで、本当に参加してほしい給食費を納めないような親は参加しないので効果がないという意見もあります。しかし、ビジョンが基本理念とする「自立し、支え合い、社会に広がる人づくり」を推進していくためには、良識ある大人が率先してお手本を示し、地域や社会に広げていくことが重要であり、家庭や地域の教育力を高めることが必要であると考えます。  そこで、子供たちに社会の一員としての自覚を持たせ、社会意識を身につけさせるための家庭や地域が連携した取り組みを、今後どのように展開していこうと考えておられるのか、教育長にお伺いをいたします。  質問の第四は、地域の医療を守るための取り組みの推進についてであります。  健康で安心できる県民生活の基盤である本県の医療が、医師の不足という極めて深刻な事態に直面しており、特に中山間地域においては、医師充足率が満たされていない病院が三〇%近くに上り、診療体制を縮小せざるを得なくなった医療機関が相次いでおります。また、産科医の不足により、庄原市、大竹市など三市六町ではお産ができる医療施設がない状況が続くなど、地域の医療提供体制に大きな影響が出ております。さらに、全国で毎年八千人の新たな医師が誕生しているにもかかわらず、このたび発表された平成十八年の医師数に関する全国調査において、従来わずかながらも増加していた広島県の医師数が減少に転じ、実際に医療に従事している医師数についても、本県は減少しているという事態が明らかになりました。我が県議会においても、医師確保対策の重要性が何度も指摘され、私も医師不足が最も深刻な産科医の確保対策を中心に、県の施策の充実を求めてきたところであります。  こうした中で、県では、今次定例会で提出されている平成二十年度予算案で、中山間地域従事医師奨学金制度の充実や臨床研修プログラムの構築支援事業の創設などの中長期的な医師確保のための取り組みとともに、市町振興基金に平成二十二年度までの三年間で五億円の地域医療対策枠を設定し、医師の誘致や定着環境の整備を図る市町の支援を行うという即効性のある取り組みについても措置することとされており、実効性が期待できる医師確保対策に大きく踏み込んでいただいたものと、私は高く評価しているところであります。  しかし、全国的な医師不足の中、今後、実際の医師の確保に結びつけるためには、関係者の熱意を持った継続的な取り組みが必要になると思います。また、医師の地域への長期的な定着と安定的な医療提供体制を築くためには、今回打ち出された短期的対策と奨学金制度などの中長期的対策の有機的連携と、県民の十分な理解が不可欠であると考えます。  そこで、医師の確保に関する取り組みを今後どのように展開し、医師の確保・定着に結びつけていこうとされているのか、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  医療に関する質問の二点目は、医療に対する県民の理解の促進についてであります。  地域の中核的病院における医師不足の大きな要因として、新臨床研修制度の影響と並び、勤務医の過酷な労働環境による開業医への転出が挙げられます。病院勤務医の平均的労働時間は労働基準法の規定より月九十三・二時間も多く、これは労災認定基準の目安である八十時間をはるかに超える水準であり、勤務医の過酷な労働環境は、病院から勤務医がやめていく最大の要因となっていると思われます。こうした医師の退職は、残された医師にさらなる過重労働を強いており、過重労働とそれに伴う医療リスクの増大は勤務医から開業医への転出を助長し、それが勤務医不足を助長するという悪循環を生じさせています。  こうした中で、小児救急拠点病院の夜間外来を訪れる患者のうち九〇%は軽症であるという調査結果が報告されており、救急車を利用する患者の中には、無料だから、あるいは優先的に診てくれるからという理由で救急車を利用し、本来高度な救急を担う拠点病院の外来診療の支障となるケースも指摘されております。また、近年、患者の一部にはコンビニ的な感覚で夜間救急外来を利用する傾向もあると聞きます。患者のこうした受診態度は、救急病院を中心とした勤務医をさらに疲弊させることにつながっており、勤務医がやめていく悪循環の大きな要素となっていると思われます。  先日、この悪循環を好循環に変えていくヒントとなるのではないかと思われる、ある小児科勤務医に関する報道を見ましたので、概略を御紹介します。  その医師は、当直や深夜までの勤務が恒常的に続くため、地域の開業医に夜間救急診療への協力を求めましたが、協力を得られず、逆に病院への紹介患者の対応が悪いとクレームが出る状況から、一度は病院をやめることを決意しました。しかし、病院の窮状を聞いた小児患者の母親たちが県立病院の小児科を守る会を結成し、不急の受診をしないよう市民に呼びかけ始めたことに若手開業医も呼応し、医師会が夜間の応急診療室を設置、開業医が交代で診察を始めました。その結果、県立病院の夜間救急患者は五分の一に減り、その小児科医は辞職を思いとどまり、今も小児科の中核として診療を続けているとの内容でありました。  このように、医師が全国的に不足している現状の中で、疲弊した勤務医を救い地域の医療を守っていくためには、開業医の方々や患者を初めとした地域全体の理解と協力が非常に重要であると思います。  こうした中で、先日、知事、県医師会会長、広島大学学長、県市長会会長、県町村会会長が共同で、それぞれが役割を分担・協力・連携して本県の医療を守っていくとともに、県民に本県の医師不足の現状に関する理解と協力を求める旨の緊急アピールが行われたところであります。このアピールは、絶対的に医師数が不足する中、医療機関の役割分担と連携を推進することなどにより地域の医療を守っていく上で時宜を得たものと考えるところでありますが、今後、医療が置かれている現状とその対応策に係る県民の理解と協力に向け、どのような具体的取り組みを展開していこうとされているのか、知事のお考えをお伺いいたします。  質問の第五は、障害者の自立支援のための取り組みについてであります。  障害者が地域で安心して暮らせる社会の実現を目指した、障害者自立支援法が平成十八年四月から施行されましたが、この理念とは裏腹に、法の施行に伴い新たに導入された原則一割の利用者負担に障害者が耐え切れず、福祉サービスの利用を控えざるを得なくなっている問題や、報酬の支払い方式変更により障害者施設の収入が減少し施設経営に影響が出るなど、大きな問題が発生しておりました。  こうした中で、障害者からの悲痛な声を受け、本県議会を初め、全国各地の地方議会や自治体からも制度の改善を求める声が強まり、国も昨年度途中から利用者の負担の軽減や事業者に対する激変緩和措置について、平成二十年度までの特別対策を実施するとともに、来年度もさらなる利用者負担の軽減等に係る追加対策を行うこととしているところであります。  障害者自立支援法は、施行後三年を迎える平成二十一年度から抜本的な見直しが行われる予定でありますが、国の特別対策はあくまでそれまでの暫定措置であることから、障害者の方々は、平成二十一年度以降に安心して障害福祉サービスを受けることができるか、大きな不安を抱えております。  また、障害者の負担を軽減するため、県内には、福山市や廿日市市など、独自の上乗せ支援策を実施している市町があり、同じ施設で同じ福祉サービスを利用しても利用者負担が異なるという事態も発生しております。ぎりぎりの生活をしている障害者や障害児の保護者にとっては負担が異なることはなかなか納得できないことであり、私は、障害者の実態を踏まえ、県内同じ負担で福祉サービスを受けることができるようにする必要性も大いに感じているところであります。  障害者自立支援法は、クローズアップされた応益負担の導入のみならず、障害種別ごとに縦割りで提供されていたサービスの一元化や就労支援の抜本的強化など、障害者保健福祉施策における大きな変革でありますが、その導入が短期間で行われたため、多くの課題を抱えているのが実態であります。例えば、障害程度区分認定は統一的な手続により行われることとなりましたが、知的障害者と精神障害者については、実際に要する支援と比べて低く評価される傾向がありますし、障害福祉サービスの一元化を具体化するサービス体系の再編については、これから本格的な取り組みが始まる段階であります。  こうした中で、これから検討が本格的に行われることになる障害者自立支援法の抜本的な見直しに向け、県は障害者の置かれている実態を市町とともに把握し、国へ必要な提言を行っていくなど、県として必要な対策を検討することが重要であると考えます。  そこで、県では、障害者自立支援法施行後の障害者福祉の置かれた現状をどのように認識されているのか、また、障害者が地域で安心して暮らせる社会の実現に向け、どのように取り組みを進めていこうとしているのか、知事の御所見をお伺いいたします。  障害者に関する質問の二点目は、障害者の経済的自立に向けた取り組みの推進についてであります。  障害福祉サービス体系の再編整備等と並び、障害者自立支援法の大きな柱として、働く意欲や能力のある障害者の就労支援があります。  本県では、平成十九年三月に策定した広島県障害福祉計画において、障害者の経済的自立の実現を目指し、平成二十三年度までに福祉施設利用者の一般就労移行者数を計画策定時の四倍以上に当たる百七十人に、また、平成十八年三月に九・八%であった特別支援学校卒業生の就職者の割合を二三%まで高めるという数値目標を設定し、施策を推進しているところであります。  私も、障害者が地域で安心して暮らしていける社会をつくる上で、経済的自立に向けた取り組みの積極的な推進は不可欠であると考えているところでありますが、現状からすると、障害福祉計画の目標値はかなり高い水準にあることや、障害者の就労にかかわる行政機関が国のハローワークや県の福祉保健部、商工労働部、教育委員会などに分立しており、行政が必ずしも得意としていない連携と総合力が障害者の経済的自立に向けた施策には求められることから、その達成について一抹の不安を感じているところであります。  また、本県の障害者雇用率は昨年六月の時点で一・六%であり、法定雇用率を〇・二ポイント下回っております。ここ数年、毎年千人の障害者が新たに雇用されていますが、仕事内容の変更などにより離職するケースが多いため、雇用率が伸び悩む原因となっていると聞いております。就労した障害者の職場定着に向けた取り組みも大変重要であると考えております。  そこで、障害者がその能力や適性に応じて就労し、能力を発揮できる社会の実現に向けた県の取り組みの現状と、県障害福祉計画に掲げる目標達成に向け、今後どのように施策を展開していこうとされているのか、知事のお考えをお伺いいたします。  以上で、私のすべての質問を終わります。御清聴、まことにありがとうございました。(拍手) 4: ◯議長(林 正夫君) 当局の答弁を求めます。知事藤田雄山君。         【知事藤田雄山君登壇】 5: ◯知事藤田雄山君) 大井議員の御質問にお答えを申し上げます。  まず、真の地方自治の実現に向けた世論の喚起についてお尋ねがございました。  分権改革は、住民に身近な行政をできるだけ身近な地方公共団体が自己完結的に処理することを基本とするものであり、各省庁にとりましては、組織や権限の縮小につながることから、強い反発や抵抗が繰り返されているところであります。  このような動きを乗り越え、このたびの第二期地方分権改革において真の地方自治を実現するためには、何としても地方の自立を実現したいという我々の不退転の決意に加え、県民の皆様の同じ思いに立った強い御支持が必要であると考えております。  このような世論を喚起するため、県といたしましては、地方分権懇話会の開催を初め、あらゆる場面を活用して、分権改革の目的や国における議論の動向などを、県民の皆様にできるだけ具体的にお伝えしてまいりたいと考えております。  また、県の広報紙やホームページなどにおきましても、権限移譲や国への要請活動など、本県のさまざまな取り組みについて、引き続き積極的な情報発信に努めてまいります。  さらに、先般、全国知事会において国の出先機関の見直しに係る具体的な提言を取りまとめたところであり、今後は、さまざまな機会を通じて、こうした地方の主張を関係機関に申し入れるとともに、活発な議論を展開し、国民的な世論を喚起してまいります。  次に、広域地方計画における本県の将来像についてお尋ねがございました。  将来の道州制を展望し、中国ブロックが国際競争力のある自立した経済圏として発展していくためには、その牽引役となる中枢・中核都市圏や産業集積の形成が重要であります。本県がその中心的役割を担っていくためには、広島都市圏や備後都市圏が名実ともにブロックの拠点となるよう、都市型産業の集積促進やにぎわいの創出といった高次都市機能の強化、ものづくり産業の高度化など、拠点性のさらなる向上に取り組んでいく必要があると考えております。  また、こうした拠点都市圏や産業集積の形成には、県境を超えた都市圏の一体的な発展が重要であるとともに、ブロック内外の各都市圏を結ぶ高速交通ネットワークやグローバルゲートウエーの整備が不可欠であります。  このため、県境を超えた都市基盤の整備や産業政策の展開、広域的な高速道路網の整備や空港・港湾機能の強化などが広域地方計画に反映される必要があると考えております。  本県といたしましては、本計画の策定に当たりましては、こうした観点から自立した中国ブロックの形成が図られますよう、関係県や広島市などと連携をしながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、過疎地域における中長期的な地域づくり戦略についてお尋ねがございました。  本県の過疎地域の実態は、人口減少・少子高齢化の著しい進行などにより、深刻な医師不足や農業の衰退、耕作放棄地の増加など、緊急に対応しなければならない多くの課題が生じ、また、小規模・高齢化集落の拡大等により地域社会の維持が困難になるなど、県土保全等の公益的機能の著しい低下も懸念されております。  こうした現状を踏まえ、今後の過疎対策を進めるに当たりましては、過疎地域を守ることが将来的には県土の保全と県民全体の暮らしを支えるという長期的な観点に立ちながら、直面している緊急課題に機動的に対応していくことが重要であると認識をいたしております。  また、これまでの過疎対策は生活基盤等の整備を中心に市町村単位で進めてまいりましたが、今後は、地域ごとに異なる個々の集落の実態等に応じて、生活交通の確保や冬期生活の支援など、ソフト施策を重点に、きめ細かく対応するという視点も必要であると考えております。  さらに、人口減少や高齢化の進行により地域社会の深刻な担い手不足を招くことが予測されるため、都市との交流・連携、企業やNPOなど多様な主体との協働関係を粘り強く構築し、地域の活性化につなげていくことも大切になってまいります。  こうした観点から、新年度予算におきましては、新たな過疎対策を重要課題の一つとして位置づけ、医療、産業・雇用、生活・福祉など、幅広い分野で総合的に取り組むことといたしております。  今後とも、長期的な観点に立って、先導的な過疎対策に積極的に取り組み、平成二十一年度末に期限切れとなります過疎地域自立促進特別措置法に続く新たな立法措置にも反映させてまいりたいと考えております。  次に、産業として自立できる農業の確立についてお尋ねがございました。  本県では、小規模で零細な農業を足腰の強い生産構造へ転換するため、効率的で収益性の高い経営を行うことが可能な集落法人や企業的個別経営体などの育成と、資本力や経営ノウハウを持つ農業外企業の参入を積極的に進めております。  集落法人につきましては、県内各地域で法人設立の機運が高まってきており、現在までに百二十法人が設立されるとともに、法人間のネットワーク化による経営合理化や、園芸、畜産など収益性の高い品目を導入する取り組みも進みつつございます。また、農業外企業の参入につきましては、大規模な野菜の施設栽培に取り組む建設業や原料作物をみずから生産する食品加工業など、現在までに二十五の企業が参入しております。  このように、本県農業の構造改革を進める上で中心となる経営体の育成・確保は着実に進んできており、今後とも、市町や関係団体と連携し、さらなる加速化を図ってまいりたいと考えております。  次に、医師確保対策の推進についてお尋ねがございました。  全国的にも深刻な状況となっております医師不足問題の背景には、制度上の課題や社会的・経済的な要素が複雑に絡んでおり、改善を図るためには、国や県はもとより、地域の関係者や住民が一丸となった取り組みが重要であります。  このため、県といたしましては、特に医師が不足する地域や診療科を対象とした直接的な支援対策、中長期的な視点での本県医師の絶対数を確保し、その結果として中山間地域等にも必要な医師を供給する仕組みづくりに視点を置いた取り組みを推進しているところでございます。  とりわけ、地域における医療体制の確保には住民の医療ニーズや地域の実情を十分に踏まえた対応が重要でありますことから、住民に最も身近な市町が取り組む県外から就業する医師の住宅確保や医療器材の購入などの事業を支援する、新たな交付金制度を創設することといたしました。  さらに、県民に対しましては、医療に関する情報を積極的に発信し理解と協力を呼びかけますとともに、国に対しましては、今後の社会保障制度のあり方を検討する中で、抜本的かつ実効性のある対策を講じられるよう、引き続き要望してまいります。  この医師不足問題は、今や中山間地域だけではなく都市部も含めた県民全体にとっての重要な課題となっており、今後とも、県民の皆様の御理解や御協力を得ながら、地域医療の確保に向けて全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。  次に、医療に対する県民の理解の促進についてのお尋ねがございました。  医師不足問題への取り組みの一つとして、県民の皆様にも、単に医療の受け手としてだけではなく、医療者が置かれている厳しい状況に御理解をいただきながら、医療を支える側の一員として御協力いただくことが不可欠と考えております。  さらに、一般的には、本人や家族が体調を崩したり病気に罹患したときに初めて、医療の大切さを実感し、医療を守ることの重要性を認識したというような場合が多いことから、ふだんからの医療に対する県民の理解や協力を得るための取り組みが喫緊の課題となっております。  このため、県といたしましては、今後、ひろしま健康づくり県民運動の展開などを通じ、健康づくりの普及・啓発とあわせて、医療者に過度な負担をかけない受診の仕方やかかりつけ医を持つことの大切さなどについて積極的に呼びかけてまいります。  また、それぞれの地域においても、地域の医療が直面している課題や限られた医療資源の効率的な活用方策などについて、市町を初め、地域の医療関係者や住民が一緒になって考えていく機会の提供に取り組んでまいりたいと考えております。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁いたさせます。
    6: ◯議長(林 正夫君) 農林水産部長妹尾幸太郎君。         【農林水産部長妹尾幸太郎君登壇】 7: ◯農林水産部長妹尾幸太郎君) 二点につきましてお答え申し上げます。  まず、農林水産物の地産地消についてでございます。  地産地消は、地元でとれた新鮮な農林水産物を消費者が安心して購入できるだけでなく、消費拡大により生産者の所得向上につながり、また生産者と消費者の相互理解が深まるとともに、輸送コストや環境負荷の低減なども期待できる重要な取り組みであると考えております。  現在、市町では、直売所などで地元産の農林水産物の販売に取り組まれておられますが、流通エリアが限定されていたり販売量や品ぞろえが少ないなどの課題を抱えております。また県でも、農業団体と連携いたしまして、都市部の量販店に県内産品の常設売り場を設置する取り組みを進めておりますが、販売する産品の確保が課題となっております。  このため、集落法人等の担い手が中心となった力強い農林水産業へ向けた構造改革を加速させることによりまして、消費者ニーズを的確に反映した産品の生産拡大を図るとともに、消費者に県産品をPRするなど、今後とも地産地消の取り組みを推進してまいります。  次に、安定的な水産業の確立についてでございます。  持続的かつ安定的な水産業を確立するためには、競争力のある担い手が主体となった生産構造への転換が重要であると考えております。  そのためには、経営基盤が弱く、資源の増大や担い手育成などの取り組みが困難となっている漁協の広域合併を促進し、漁業者の生活や漁業活動を支えるという漁協本来の役割が果たせる体制を構築する必要がございます。広域合併をした漁協では、経営基盤が強化され、地域の特色ある魚種の種苗放流、資源管理などのつくり育てる漁業にも積極的かつ主体的に取り組めるようになり、特産魚種のブランド販売を通じた漁業所得の向上が可能になるものと考えております。  本県の水産振興を図る上では、当面、漁協合併が最重要課題であると考えており、市町や県漁連と連携いたしまして強力に取り組んでまいる所存でございます。 8: ◯議長(林 正夫君) 福祉保健部長迫井正深君。         【福祉保健部長迫井正深君登壇】 9: ◯福祉保健部長(迫井正深君) 二点についてお答えをいたします。  まず、障害者自立支援法の見直しに向けた県の取り組みについてお尋ねがございました。  障害者自立支援法については、施行後、障害者団体や事業者などから、利用者負担や事業者報酬のあり方など、さまざまな問題点が指摘されております。このため、国の特別対策後に本県が独自に行った実態調査の結果では、利用者負担額やサービス利用抑制の減少など、一定の改善が認められましたものの、依然として低所得者や障害児を抱える世帯の利用者負担などの課題が残されているものと認識をいたしております。  県といたしましては、新たに国が示した利用者負担軽減の拡大や事業者の経営基盤の強化などの追加措置を着実に実施するため、必要な予算の確保に努めるとともに、障害者や事業者等への制度の周知を図り、今後とも市町と連携し、その改善に取り組んでまいりたいと考えております。  さらに、平成二十一年度の障害者自立支援法の抜本的見直しに向け、障害程度区分の認定のあり方や障害者の所得の確保に係る施策などの課題についても、障害者の実態に即した必要な改善策が法改正に盛り込まれるよう、引き続き国に対して積極的に提案を行ってまいります。  次に、障害者の経済的自立に向けた取り組みの推進についてお尋ねがございました。  障害者が自立した生活を送るためには経済基盤の確立が不可欠であり、就労を促進するための支援が必要であることから、企業等への啓発広報の強化を初め、就業継続を目的とした職場定着支援や福祉施設における就労訓練など、雇用施策と福祉施策が効果的に実施されることが重要であると考えております。  このため、県では、国の雇用施策と連携を図りながら、障害者雇用に関するトップセミナーの開催など啓発活動に取り組むとともに、今年度、新たに障害者の職場定着支援を行うジョブサポーターを九十六人養成し、延べ三十六件の派遣を行っております。また、関係機関で構成いたします障害者職場定着支援等連絡会議を新たに設置をいたしまして、就業面と生活面の一体的支援を行う障害者就業・生活支援センターを中心といたしました就労支援ネットワークの強化を図っているところでございます。  さらに、福祉施策では、障害者自立支援特別対策事業を活用いたしまして、障害者の職場実習を受け入れる企業に対して設備の更新等に係る費用を助成し、実習受入事業所の拡大などに努めております。  来年度は、引き続きジョブサポーターを活用した職場定着の促進を図るとともに、職場実習を行う福祉施設に対する助成制度の創設など、就労支援施策のさらなる拡充を図ることとしており、こうした施策を通じまして、今後の計画目標の達成に向け、積極的に取り組んでまいります。 10: ◯議長(林 正夫君) 教育長榎田好一君。         【教育長榎田好一君登壇】 11: ◯教育長榎田好一君) 子供に社会意識を身につけさせる取り組みについてのお尋ねがございました。  子供たちに社会の一員としての役割意識や規範意識を身につけさせるためには、学校教育の充実に加え、家庭や地域の教育力を高めていくことが重要であります。  教育委員会では、来年度から新たに親の教育力を高める出前講座を乳幼児健診時やPTA研修会などで行うとともに、地域の人材を講座の講師として育成し、より多くの親に学習機会を提供する家庭教育応援プロジェクト事業を実施することとしております。  また、本年度から地域全体で子供を育てることを目指した放課後子ども教室を実施しており、現在十四市町において、子供たちが地域の方々から社会のルールやマナーを学ぶなど、社会生活に必要な礼節や感謝の心を育てる取り組みを、放課後児童クラブとも連携し、行っているところでございます。  今後とも、こうした取り組みを通じ、家庭や地域の教育力の向上を図るとともに、学校、家庭、地域の連携を深め、子供たち一人一人に社会の一員としての自覚を持たせ社会意識を身につけさせることができるよう、積極的に取り組んでまいります。 12: ◯議長(林 正夫君) この際、暫時休憩いたします。午後の会議は一時から開きます。         午前十一時三十五分休憩              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         午後一時二分開議 13: ◯議長(林 正夫君) 出席議員五十九名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。  諸般の報告がありますので、書記をして朗読いたさせます。         【書 記 朗 読】                                    平成20年2月27日  広 島 県 議 会 議 長 殿                                    広  島  県  知  事                                      (財  政  室)           2月定例県議会の追加議案及び説明書について  平成20年2月定例県議会の追加議案及び説明書を,別冊のとおり提出します。 14: ◯議長(林 正夫君) 別冊はお手元に配付しておりますので、朗読は省略いたします。  お諮りいたします。ただいま報告の追加議案十四件を本日の日程に追加し、一括上程議題とするに御異議ありませんか。         【「異議なし」と言う者あり】 15: ◯議長(林 正夫君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決します。              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~        自追県第 一号議案        至追県第一四号議案 16: ◯議長(林 正夫君) この場合、知事から追加議案に対する提案理由の説明を求めます。知事藤田雄山君。         【知事藤田雄山君登壇】 17: ◯知事藤田雄山君) ただいま追加提出いたしました平成十九年度補正予算案について、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計補正予算案についてであります。  歳出予算のうち、公共事業については、補助事業における国の認証額の減、災害復旧費や直轄事業負担金の確定等に伴う整理を行うこととしております。  次に、公共事業以外では、原油高騰対策として、今後の原油高に備えた設備投資を支援することとし、バス事業者が燃費のよい車両へ更新する経費や農業法人等が省エネルギー型農業機械等を導入する経費を助成するため、五千七百万円余の予算を追加計上しております。  また、職員公舎建設のために地方職員共済組合等から借り入れた資金のうち、利率が高いものを繰り上げ償還するための予算を計上するほか、税関係の交付金や預託融資など事業費の確定等に伴う予算整理を行うこととしております。  職員給与費等については、地方職員共済組合の負担率改定に伴う予算整理等を行っております。  なお、福祉医療公費負担事業に係る広島市への補助金については、県・市協議の結果、本年度は従来どおりの補助率としたため、所要額を計上しております。  歳入予算については、経済状況が全体としては回復しつつあるものの、企業収益が伸び悩み、法人関係税等が見込みを下回ったため、県税収入を百三十三億一千万円減額しております。  県債については、法人関係税等の減額に伴い、減収補てん債等を追加発行するとともに、財政調整基金からの繰入金については、二十一億円増額することといたしました。  このほか、本年度予算のうち、やむを得ず翌年度に繰り越して実施する事業について、繰越明許費を計上しております。  以上の結果、一般会計については、百八十六億一千五百万円余の減額となり、本年度予算の累計額は九千五百七十八億二千万円余となります。  また、特別会計予算案は、九会計で十九億七千四百万円余の減額、企業会計予算案は、四会計で二十三億五千七百万円余の増額となっております。  どうぞ、慎重に御審議いただいた上、適切な御議決をくださるよう希望いたします。              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 18: ◯議長(林 正夫君) 引き続いて質問を行います。山下智之君。         【山下智之君登壇】 19: ◯山下智之君 皆さん、こんにちは。私は、自由民主党広島県議会刷新議員会・県民会議の山下智之でございます。昨年の選挙で、廿日市市選挙区にて初当選をさせていただきました。今回、質問の機会をいただき、議長を初め、先輩、同僚議員各位に心より感謝をいたします。私は、この世に生を受けて議場での質問は初めてでありまして、いささか緊張しておりますので、どうか、よろしくお願いいたします。  さて、私の選挙区廿日市市でございますが、合併により山口県、島根県とも接する瀬戸内海から中国山地までの広いエリアとなりました。面積は約十倍となり、居住地域の標高差は七百メートルもあります。都会と豊かな自然があり、海水浴からスキーまでできる広島県の縮図とも言える市であります。人口も一・六倍と膨らみ、十万人を超える大きな市となりました。市内には、猿や特定鳥獣保護管理計画のもとにあるツキノワグマ、シカなども多数生息しております。さらに、特定外来生物のアルゼンチンアリも大繁殖しております。人と多くの動物などが共存共栄し、ある意味ではにぎわいがあり、いろいろな意味で魅力のある廿日市市であります。  一般質問者のトップバッターとして、私は七つの質問をさせていただきます。執行部におかれましては、県民に対して責任のある明快な御答弁をお願いいたします。  質問の第一は、広島都市圏の拠点性強化のための魅力づくりについてであります。  少子・高齢化が進み人口が減少していく中で、人々が住んでみたい、住み続けたいと思う地域は人々を引きつける魅力や求心力があり、各地域はにぎわいや活気を維持するために、居住地として、観光地として、また、ビジネスの場として選択される地域を目指す必要に迫られており、他の地域との競争を余儀なくされています。そのため、各自治体は、子育て支援や高齢者支援あるいは教育などの公共サービスの質を高めることなどで定住人口の確保に努め、観光イベントや地域資源の開発や道路などの基盤整備に投資して、交流人口の確保を図ろうと懸命に努力を積み重ねています。しかしながら、総務省の人口調査を見ると、経済活動の活発な大都市部への人口集中が加速しており、中国地方は軒並み人口減少という厳しい現状があります。  県の「元気挑戦プラン」は、活力と安心、希望のある元気な広島県を実現するため、非常に厳しい財政状況の中にありながら、選択と集中を図り、重点的に事業を実施していますが、今後、広島県が県外からも認めてもらうためには、まず、県民自身の生活実感を高めていくことが必要であります。  道州制が議論される中、広島都市圏が地方の中枢拠点として選択される都市圏となるための魅力づくりの観点から、幾つかお伺いいたします。  まず一点目は、広島都市圏における幹線道路網のネットワーク化による魅力づくりについてであります。  中国地方の国内総生産は約二十九兆円、人口は約七百七十万人で、ヨーロッパでいうとスウェーデン等に匹敵すると言われています。つまり、地方分権が進み、道州制で中国ブロックが、現在、国が持っている権限のうち、外交、防衛、金融など以外の国内政治の権限を持つと仮定すれば、中国ブロックは、ヨーロッパの一国に匹敵する経済活動を基礎に自立した経済圏と生活圏を持ち、日本の他のブロックとの交流ばかりでなく、海外との経済交流も主体的に行いながら発展していかなければなりません。  そのためには、中国ブロックの中枢である広島都市圏を中心とした広島県の拠点性を高めることにより、中国ブロックの競争力をつけていかなければなりません。すなわち、海外とのグローバルゲートである広島空港や広島港などの整備、機能強化及び高速道路とそれを補完する周辺道路の整備が大切であると考えます。  広島都市圏は、新幹線、在来線、LRT、新交通システムなどを持ち、全国的に見ても公共交通基盤は充実しておりますが、都市圏の骨格をなす幹線道路のネットワークの整備状況は低位にあります。このため、広島都市圏を中心として道路、船舶により二時間以内でアクセスできる人口を見ると、広島都市圏は仙台よりも下回り、福岡の半分程度と言われています。また、残念なことに、山口方面から広島都市圏西部を経由して広島市内中心部へ向かう幹線道路の整備がほとんど進んでいない状況であります。  私は、広島都市圏西部から広島市内中心部へより円滑にアクセスするためには、西広島バイパスの延伸事業、そして広島高速四号線の山陽自動車道への接続が不可欠であると考えておりますが、いまだに西広島バイパスの延伸は凍結されており、地域住民も慢性的な交通渋滞に悩まされています。また、現在の広島高速道路ネットワーク全線二十九キロメートルの整備計画には、広島高速四号線から山陽自動車道への接続計画は入っておりません。  今後の道州制をにらみ、広島都市圏機能をさらに高めていくためには、広島都市圏西部から広島市内中心部へ流入する交通の渋滞を一刻も早く解消する必要があると考えていますが、広島都市圏西部の交通渋滞対策に向けて、今後どのように取り組もうと考えておられるのか、また、山口県や島根県など県外からの利用者の利便性も向上させる高速道路ネットワーク化に向け、山陽自動車道と広島高速四号線との接続計画については、知事はどのように考えておられるのか、あわせてお伺いいたします。  質問の二点目は、文化・芸術の振興によるにぎわいづくりについてであります。  文化・芸術は、人間の創造力を涵養し、人々の共感をもたらし、個々人の自己形成に資するものであります。その文化・芸術活動は、経済面においても高い付加価値や新たな需要や雇用を生み出し、特に第三次産業を誘発する経済波及効果があります。また、文化・芸術を目的とした消費者は、文化・芸術そのものに対する支出のみならず、同時に宿泊費、交通費、飲食費等に対して消費活動を行うなど、大きな需要創出効果が見込めます。  内閣府が実施した国民生活に関する世論調査によりますと、物質的にある程度豊かになったのでこれからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きを置きたいと答えた人の割合は、実に六二・六%に達しています。この結果が示すように、人々は生活の質を高め、よりよき人生を送ることへの関心を高めつつあるのです。  県の「元気挑戦プラン」は、芸術活動を通じて、生涯にわたって豊かな感性と教養を磨き、県内各地の文化遺産や伝統文化に接することのできる社会の実現を目標に掲げています。また、個性豊かで活力のある地域社会の形成を目的とした、議会からの提案による広島県文化芸術振興のまちづくり推進条例も制定し、機運の醸成を図っています。  各市町も、廿日市のさくらぴあ文化ホールや三次の奥田元宋・小由女美術館など、地域に根差した個性あふれる文化施設の整備を行い、地域文化の積極的な発信をされていますが、各地の文化施設の活用は十分図られていないところが多いと聞いております。  私は、新しい魅力づくりとして、ロビーや展示室などをファッションショーの会場やパーティーの会場に貸し出すなど、違った活用も集客や魅力づくりの一つの方法になるのではないかと思います。  また、民間との協力による地域から全国に向けた文化・芸術の発信事業など、広島県ならではの独自性を持った事業を計画するとともに、それらの事業の企画・実施に精通したプロデューサー的人材の採用を県などが行い、事業実施体制の強化を図ることも、にぎわいづくりにつながるよい方法ではないかと考えます。  県には、昨年四月から広島県立文化芸術ホールとして出発したALSOKホールを初め、多くの文化・芸術に触れ合うことのできる施設があります。すぐれた文化・芸術を鑑賞する機会や住民の文化・芸術を発表する機会の充実によって文化・芸術振興を図ることは本来の姿であるとは思いますが、一方で、現存する施設を生かした、ほかにない視点での魅力づくりを行い情報を発信していくことも、広島都市圏のにぎわいづくりになると考えますが、今後、どのように文化・芸術施設の活用や振興を図っていかれるのか、知事にお伺いいたします。  質問の三点目は、交流・定住人口の増加策による魅力づくりについてであります。  少子・高齢化や人口減少社会では、U・J・Iターンなどにより人材を地方に誘致し、定住や二地域交流につながる人の交流を促進することは、地域の活性化を図っていく上で重要な課題であります。  スローライフという言葉に代表されるように、田舎暮らしや自然志向といった考えを持つ人がふえ、田舎での生活が見直されつつあるとも言われています。特に中山間地域においては、農山漁村での過疎化・少子高齢化が進み、荒れた田畑、空き家の増加が深刻な問題とされる中で、ふるさと回帰の流れをとらえ、新たなまちづくりを進めていくことが大切であります。  県では、交流・定住対策の一つとして、ロングステイ型観光促進事業に取り組んでこられました。平成十八年度の参加者のアンケートによると、半数が再度の訪問を希望し、広島県へのリピーターになり得る可能性があることもわかりました。また、ツアー後も地元との交流が続いていたり、市の空き家バンクへの登録がなされたなどの効果も出てきており、あわせて県が定住・交流を促進するため、東京や大阪で相談コーナーを設けたイベントや関西の大学の学園祭でのPRなど精力的に活動を行った結果、定住・交流に対する前向きな反応もあったと聞いております。  また、広島県のホームページにある交流定住ポータルサイト「広島暮らし」へのアクセス件数は一年間で十万件を突破するなど、広島への関心の度合いは確実に高くなってきております。  そこで、これまでの誘致活動を踏まえ、今後、魅力ある交流・定住施策をどのように展開されるのか、知事にお伺いいたします。  質問の四点目は、観光振興によるにぎわいづくりについてであります。  国は、外国人旅行者の訪日を二〇一〇年までに一千万人にするとした観光立国推進基本計画を策定し、その目標達成のため、ビジット・ジャパン・キャンペーンを展開しています。また、ことしの秋に観光庁を新設する方針を固めており、まさに国を挙げて海外からの観光客の受け入れ態勢の構築が進んでいます。  県においては、ひろしま観光立県推進基本条例に基づく基本計画が、この三月には策定される予定で、計画では、過去最高を記録した平成十八年の広島県の総観光客数五千七百九十九万人を、平成二十四年には七千万人にふやすとしています。  近年、広島県への観光客は県内客、県外客ともに伸びており、平成十八年の外国人観光客は、前年に比べ二一%の伸びを示しており、今後は、現在の五十万人を八十万人にする目標を設定しています。また、特にアジアからの入り込み客の伸びが大きく、現在策定中の基本計画の中でも、引き続き堅調な景気が見込まれる東アジア地域をターゲットとしているということです。  さて、私の地元・廿日市市の厳島神社は、フランスのタイヤメーカー、ミシュランが昨年初めて刊行した日本への旅行ガイドブックで最高の三つ星にも選ばれました。このガイドブックに厳島神社が掲載されたことや、ことしの秋に広島市においてG8議長サミットが開催されることからも、ますます県内への外国人観光客は増加するものと予想されます。
     しかし、観光地などの現状を見ると、特に外国語表記の案内板が少ないことや、また、英語のみの表記が大半となっていることに気がつきます。受け入れ態勢整備を充実していく上で、観光ボランティアガイドの育成、補助犬等の受け入れ、観光情報、旅行商品の提供など、多岐にわたるソフト面での充実も急務でありますが、観光パンフレット、案内板、駅などへの外国語の表記を充実させ、外国人観光客が一人歩きできるためのハード面での整備は最低限必要ではないかと思うのです。  県の基本計画では、このような整備は市町、観光事業者などが主体的に取り組むとされていますが、例えば、県が看板の絵文字や外国語の案内表示例などを示して、積極的に市町に働きかけを行い、県内で統一された外国語などの案内表示を充実させることも、広島の温かいおもてなしという魅力につながるものであると考えます。  観光立県ひろしまとして、国内外から多くの観光客をお迎えし、その観光客の方に広島のよさをPRしてもらうためには、このような方法による案内板の整備も含めたおもてなしの充実が必要と考えますが、今後どのように充実を図られるのか、知事にお伺いします。  質問の第二点は、読書活動の推進についてであります。  読書のもたらす意義は大きく、子供の読書環境を計画的に整備し、子供の発達段階に応じた読書活動を推進していくことは社会的にも極めて重要な課題であります。  しかしながら、現代の子供たちは、読書離れ、活字離れや国語力の低下、対話による問題解決能力の低下等が指摘されています。実際、本年度実施した全国学力・学習状況調査では、記述式の設問で正答率が伸び悩んでおり、正しく読み取る、考えをまとめるなどの読解力や表現力に課題があることがわかりました。こうした状況は、本県が毎年実施している基礎・基本定着状況調査においても同様でありました。  国は、図書館整備によってより読書しやすい環境づくりを進めることを求める文字・活字文化振興法を平成十七年七月に制定し、国と地方自治体の責任を明記しました。また、国は、平成十九年度から二十三年度まで、学校図書館に本を整備する予算として毎年度約二百億円を地方交付税で各自治体に交付し、子供たちの読書力の育成を進めようとしています。私は、この読書を基礎として、子供たちに図書館活用教育をきちんと教えることができれば、もっと生き生きした学校教育の場ができるのではないかと思うのです。  しかしながら、文部科学省の調査によると、平成十七年度末における本県の公立学校の学校図書館の蔵書数は、国が定めた目標冊数に達しているのは、小学校で四二%、中学校は三二%にとどまっており、不十分であると言わざるを得ません。  広島県では、平成十五年十一月に広島県子どもの読書活動推進計画を策定し、学校、家庭、地域が一体となった子供の読書活動推進の取り組みを進めてきました。市町が計画策定すること、また、その計画の着実な実行により、読書活動を通じて子供たちが言葉を学び、感性を磨き、創造力豊かに育つよう取り組んでいくことが必要です。  市町によっては、子供たちが自主的な読書活動が行えるように、県の計画を参考に読書活動推進計画を策定しており、私の地元・廿日市市では、各学校に読書活動推進員を配置し、児童生徒の読書環境の整備に努め、思いやりや優しさなど、子供たちの豊かな心をはぐくんでいます。その結果、ある中学校では、読書活動推進員を配置する前の平成十三年度には年間の貸出冊数が十三冊であったものが、設置後の平成十八年度には三千三百二十三冊と大幅にふえております。この効果はすぐにははかり知れませんが、将来に向けた貴重な財産になったということは言えるのではないでしょうか。  しかし、これは一部の市町の取り組みであり、県内では温度差があります。私は、このような取り組みが県内全域に浸透し、読書活動を通じた子供の心豊かな成長が促進されるように、県として積極的に市町を指導すべきと考えますが、今後の読書活動の推進方針を教育長にお伺いいたします。  質問の第三は、警察署並びに交番等の再編の考え方についてであります。  広島県警では、安全・安心を県民とともに築く力強い警察を基本方針として、「減らそう犯罪」広島県民総ぐるみ運動を精力的に推進しています。これにより、平成十九年中の犯罪情勢の刑法犯認知件数は対前年二千三百二十六件減の三万二千六百九十六件で、五年連続して大幅に減少しています。  警察では、刑法犯認知件数をピーク時から半減させるという行動目標を掲げて取り組んでおり、着実に成果は出ていますが、アンケートによりますと、県民の体感治安は改善されていない現状にあります。特に、廿日市市においては、平成十六年十月に起こった女子高校生の殺人事件は、現在も警察の最重要課題として懸命に捜査を行っていますが、未解決のままであり、地域住民の不安解消のため早期解決を望むところであります。  その警察署や交番・駐在所の設置等については、地域警察運営規則などにより、昼夜の人口、世帯数、面積、行政区画及び事件または事故の発生状況等の治安情勢などに応じて設置されております。  県内の警察署、交番等の配置状況は、平成十三年には、二十七警察署、三百七十七交番・駐在所がありました。現在、七十九の交番・駐在所が廃止されており、組織を統廃合されている努力は見えますが、市町村合併の進展により二十三市町となった現在、市町ごとに見た場合、人口比較、事件・事故の発生状況からアンバランスな設置状況になっているのではないかと思います。  例えば、警察署ごとに管内の一交番・駐在所当たりの平均人口比較を見ると、少ないところでは二千八百人、多いところでは二万七千人となっており、実に十倍近い差があるのです。人口比較のみでは判断は難しいかもしれませんが、過去のデータを見ますと、人口に比例して事件・事故が発生している実態があり、団地などの造成により人口がふえる地域には、交番の新設や近隣交番の移設などのバランスのとれた再編整備が必要であると思うのです。その際、安全・安心なまちづくりの視点からも、都市計画とあわせて検討されるべきであると考えます。  道路網等の整備により広域での活動や対応が可能となった現在、より計画的な再編整備や柔軟な対応が必要ではないでしょうか。当然のことですが、ハード整備には時間とお金が必要でありますから、安易に設置、移転はできませんが、県内には、設置当時は適切だった交番の配置が、現在では別の場所に移転した方が機能強化につながるような交番があるのではないでしょうか。また、他の交番との連携活動により警戒力が強化できる拠点交番などの検討が必要ではないかと思います。警察署も同様のことが考えられると思います。  そこで、県内における警察署や交番・駐在所の適正配置と警戒力の強化方策についてどのように考えているのか、県警本部長にお伺いいたします。  質問の最後は、岩国基地への厚木基地の機能移転問題についてであります。  私の地元・廿日市市には、国際的な観光地の宮島があります。昨年、十年ぶりに国内外からの観光客が三百万人を突破して、広島への入り込み観光客のかぎとなる宮島でありますが、この観光客や地域住民などを幻滅させる問題となるのが厚木基地から岩国基地への米空母艦載機と隊員等の移駐問題であります。  世界遺産として登録された区域は、社殿を中心とする厳島神社と、前面の海及び背後の天然記念物である弥山の原始林を含む区域の四百三十一ヘクタールで、宮島全島の約一四%を占める広い範囲にわたっており、宮島の全島は、その登録範囲を囲む緩衝地帯になっております。  先日、私も弥山に登ってきました。岩国基地が非常に近くにあることを認識しました。後で調べると、最短で八キロメートル余りしか離れていないことがわかり、問題の大きさを再認識したところであります。  今でも住民は、訓練機などによる爆音に悩まされておりますが、岩国基地への空母艦載機などの移駐が行われれば、航空機数は大幅に増加し、広島湾岸地域や県北地域における騒音被害や事故など、住民生活に多大な負担を強いられることが懸念されます。特に、やっと年間三百万人まで回復した宮島の観光に多大な影響が出ることは、広島県にとっても大きな損失です。また、後世にわたり、瀬戸内の文化、自然、観光などにとって重要である静寂な環境や広島湾の水産業などに及ぼす影響ははかり知れません。  在日米軍の再編計画が実施されると、厚木基地からの空母艦載機五十九機が移駐し、米軍などの人員が約四千人ふえ、極東最大級の基地になると聞いています。  在日米軍が起こす事件・事故の数は多く、一九五二年度から二〇〇四年度までに、公務内外における在日米軍による全国での事件・事故件数は二十万件を超え、日本人が巻き込まれて死亡した人数も千七十六人になっていると聞いています。沖縄県では今月、アメリカ海兵隊員による女子中学生暴行事件を受け、県民の怒り、不安は一層強まっていますし、広島県でも、昨年の米軍岩国基地の海兵隊員が関与するトラブルは記憶に新しいところです。  基地への増員などにより、このような事件・事故などが増加することのほか、広島県西部の沿岸部には、石油コンビナート、紙パルプ、化学繊維などの企業が立地し、瀬戸内工業地域の一大拠点があることから、墜落事故による大惨事を引き起こす可能性もあります。こういったことからも、県民の不安は一層高まるばかりであります。  知事は、これまで何度も、騒音を減らすなど住民の不安を解消する対策を示すように、また米軍機による低空飛行訓練の中止を米国側に働きかけるように求めています。駐日大使からは「米国政府は基地周辺や飛行訓練地域の住民に十分配慮している」と返書が届いたと新聞報道がありましたが、余りにも不十分な回答であり、県民の不安や懸念は解消されていません。  今後、県は国などに対してさらに強く働きかけを行い、県民が納得する回答を得ることが必要であると考えますが、どのように対応されるのか、知事にお伺いいたします。  以上で私の質問を終わります。御清聴、どうもありがとうございました。(拍手) 20: ◯議長(林 正夫君) 当局の答弁を求めます。知事藤田雄山君。         【知事藤田雄山君登壇】 21: ◯知事藤田雄山君) 山下議員の御質問にお答えを申し上げます。  まず、広島都市圏における幹線道路網のネットワーク化についてお尋ねがございました。  将来の道州制を見据え、広島都市圏の高次都市機能の強化を図るためには、都市圏の骨格を形成する放射・環状型の幹線道路網の整備が重要であると考えております。  このため、太田川放水路渡河部を含めた広島高速道路の全線ネットワークの平成二十五年度完成に向け、鋭意取り組んでいるところでございます。  都市圏西部の交通課題に対する取り組みといたしましては、広島南道路の未着手区間の整備や広島はつかいち大橋の四車線化、並びに西広島バイパス都心部延伸が重要な事業であると認識をいたしております。加えて、広島高速四号線と山陽自動車道との接続につきましても、早期整備が必要であると考えており、今後、広島市及び広島高速道路公社に対し、実現に向けた協議を進めてまいります。  一方、三月二日に社会実験の開始を予定しております宮島サービスエリアのスマートインターチェンジにより、山陽自動車道を経由した広島市中心部へのアクセス性の向上を図ることとしております。  今後とも、これら道路ネットワークの早期整備に向け、国、広島市や高速道路公社と密接な連携を図り、計画的かつ着実な事業の推進に取り組んでまいる所存でございます。  次に、交流・定住人口の増加策についてお尋ねがございました。  交流・定住の促進につきましては、平成十八年度に県と全市町、民間団体等により構成する協議会を設置し、大都市圏等での積極的な誘致活動やホームページの開設、ロングステイ型観光事業への支援など、これまで官民一体となった取り組みを積極的に進めてまいりました。  また、多くの市町において、相談窓口を設置するなど、重点施策として交流・定住対策に取り組み、その結果、相談件数や定住実績が前年度より大幅に増加するなど、成果が徐々に上がりつつございます。  こうした動きをさらに進めるため、平成二十年度におきましては、特色ある地域資源を魅力ある独自の観光資源へと生かすための地域の取り組みや、不動産関係団体と連携し、定住促進を図る上で課題となっている空き家確保の取り組みを強化するなど、交流・定住施策の充実を図ってまいります。  今後とも、交流・定住人口を増加させていくため、歴史・文化などの地域資源に恵まれ、都市と自然の距離が近く、便利で住みやすい本県の魅力を積極的にPRするとともに、地域における受け入れ態勢を充実強化し、住んでみたい、住み続けたい広島県の実現に努めてまいります。  次に、観光振興によるにぎわいづくりについてお尋ねがございました。  観光立県の実現のためには、国内外からの観光客を温かく迎え入れるためのおもてなしの充実による受け入れ態勢の整備を促進することが重要であると考えております。  このため、ひろしま観光立県推進基本計画では、おもてなしの充実等による受け入れ態勢の整備促進を基本方針の一つに定め、総合的かつ計画的に取り組むことといたしております。  その中で、おもてなしの充実に向けましては、市町や民間事業者等との適切な役割分担のもと、シンポジウムの開催や職場・業界単位での研修会の開催促進、また、わかりやすく快適な旅行をしていただくためのガイドマップの作成や案内標識の内容充実等に取り組んでまいります。  また、観光案内板の多言語化や表記についても、国の示す観光活性化標識ガイドライン等に基づき、その統一が図られますよう設置者との調整を行うなど、国内外から広島を訪れるすべての人が安全で快適に観光でき、そして満足していただけるよう、受け入れ態勢の整備に努めてまいります。  次に、岩国基地への厚木基地の機能移転問題についてお尋ねがございました。  岩国基地への米軍艦載機移転問題に関しましては、これまでの国からの説明では、騒音被害の増大などの懸念は依然として払拭されておりません。また、昨年十月には、広島市内で岩国基地所属の米軍人による事件が発生し、治安面においても県民の不安や懸念が深まっております。  このため、昨年十一月に、改めて国に対し、騒音被害の軽減などに向けた具体的な措置を明らかにし着実に実行すること、県民が生活している地域での低空飛行訓練が行われないよう米国側に働きかけることを強く要請いたしました。  あわせて、米軍人等による事件・事故について、教育訓練の徹底と厳正なる綱紀粛正、再発防止に真摯に取り組むよう米国側に申し入れること、また、日米地位協定のあり方についても抜本的な見直しがなされるよう強く要請したところでございます。  こうした本県の動きを受けて、本年二月上旬、駐日米国大使から低空飛行訓練について文書による回答がございましたが、その内容は県民の皆様の懸念を払拭するに至るものではございませんでした。  このため、今後とも、飛行コースの変更、休日・夜間や雅楽等の行事開催中の訓練飛行中止などによる騒音被害の軽減や低空飛行訓練の中止、米軍人等による事件・事故の再発防止に向け実効性のある対応がなされるよう、国を初め、駐日米国大使や米海兵隊岩国航空基地司令官など関係者に対し、粘り強く働きかけてまいる所存でございます。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁いたさせます。 22: ◯議長(林 正夫君) 県民生活部長山本航三君。         【県民生活部長山本航三君登壇】 23: ◯県民生活部長(山本航三君) 文化・芸術の振興によるにぎわいづくりについてお答えを申し上げます。  文化・芸術は、人々の生活を豊かにするとともに、地域のにぎわいづくりにとりましても大きな役割を果たすものと認識しております。  このため、その拠点となる文化施設として、これまで県立美術館や県民文化センターなどを整備するとともに、本県の中枢性の確保など広域的な観点から、旧広島郵便貯金ホールを取得し、ALSOKホールとして運営しているところでございます。今年度、このALSOKホールでは、芸術性が高く評価されている劇団四季による中四国地方で初の「美女と野獣」のロングラン公演を初め、集客力の高い舞台公演やコンサートなど、多彩な催し物が開催されております。また、県立美術館では、中国の貴重な文化遺産を公開する「始皇帝と彩色兵馬俑展」や日本を代表する平山郁夫先生の作品展など、多くの展覧会を開催し、県内外から多数の方々が来館されているところでございます。  これらの施設を初めとする文化施設が文化・芸術の発信拠点として重要な役割を担っていることから、今後、施設の管理者等とも十分連携を図り、文化・芸術団体や施設利用者の御意見をお聞きしながら、さらなる魅力づくりとにぎわいの創出に努めてまいります。 24: ◯議長(林 正夫君) 教育長榎田好一君。         【教育長榎田好一君登壇】 25: ◯教育長榎田好一君) 読書活動の推進についてのお尋ねがございました。  読書活動は、子供が言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身につけていく上で極めて重要なものであり、本県では、平成十五年に広島県子どもの読書活動推進計画を策定し、推進を図ってきたところであります。  現在、九割を超える学校で読書指導計画が作成されており、朝の読書活動については、すべての小・中・高等学校で実施されております。また、一カ月に一冊も本を読まない児童生徒が減少するなど、成果が着実に出てきているところでございます。  一方、学校図書館の蔵書の数に差があることや、子供の読書活動推進計画が策定されていない市町があることなどの課題もあります。  県教育委員会といたしましては、読書活動を支援するボランティアの育成などの先進的な取り組み事例についての情報提供や推進計画を策定していない市町に対する働きかけなどを行うとともに、来年度、県の推進計画を改定し、読書活動の一層の推進に努めてまいります。 26: ◯議長(林 正夫君) 警察本部長飯島久司君。         【警察本部長飯島久司君登壇】 27: ◯警察本部長(飯島久司君) 警察署並びに交番等の再編についてお答えをいたします。  警察署並びに交番・駐在所の再編につきましては、人口や世帯数の増減、事件・事故の発生状況、自治体の行政区域との整合性、地域住民の皆様の要望など、さまざまな要素を勘案して、施設の新設や移転、統廃合など、地域の実情に沿って進めているところであります。  具体的に申し上げますと、都市化が進む福山市北部地域の安全・安心を確保するため、今春、福山北警察署を新設してまいります。また、警察事象が多く、区内に警察署がないため、警察署の新設要望が強い佐伯区において用地の確保を図ることとしており、広島市における一行政区一警察署体制の整備を進めることにしております。  さらに、交番・駐在所につきましては、県内百五十四交番のすべてに交番相談員を配置しましたほか、業務多忙な駐在所における勤務員の複数化、勤務員の増員や配置見直しによる交番・駐在所間の業務負担の平均化、複数の交番・駐在所のブロック運用による連携強化を図るなど、警察力の適正配置と警戒力の強化を推進してまいる所存でございます。 28: ◯議長(林 正夫君) 引き続いて質問を行います。岩下智伸君。         【岩下智伸君登壇】 29: ◯岩下智伸君 皆さん、こんにちは。民主県政会の岩下智伸でございます。昨年春の統一地方選挙におきまして、府中・海田・熊野・坂四町の多くの町民の皆様から御支援をいただきまして、安芸郡区から初めて当選させていただきました。私は、製造業のエンジニアとして三十年を過ごしてまいりました。長年にわたってものづくりの現場を見てきた経験をもとにして、民間技術者としての視点から、県民の皆様の御意見に耳を傾けながら、広島県が抱える諸問題を解析し課題を解決していくことで、さらなる県政発展の実現を目指して努力していきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。また、名誉ある広島県議会において初めての一般質問の機会を与えてくださいました先輩、そして同僚議員の皆様に厚くお礼申し上げます。  では、これから質問に入らせていただきます。  最初の質問は、広島県の財政運営についてであります。  質問に入るに当たって、まず、現在の広島県の財政を見てみますと、現時点の利子を含めた実質的な県債残高は、一般会計のトータルで約一兆九千億円とのことであり、一般会計規模の約二倍になります。また、財政健全化をあらわす指標の一つであるプライマリーバランスは、平成十九年度当初予算では十億円の黒字化を達成していましたが、決算では七十二億円の赤字となる見込みであります。来年度予算案を見ても、財政調整基金から十九億円を拠出することで財源不足を補い、その結果、基金残高は十年前の六百四十一億円に対して二十四億円まで低下する見込みです。万一にも大きな災害などが発生した場合に、自力での再生が危ぶまれるような危機的状況であります。また、次に続く世代に重い負担を強いらざるを得ない状況は早急に改善していく必要があります。  そこで、新たな視点で財政運営に関して質問をしてみたいと思います。  一つ目は、弾力的な財政運営についてであります。  県の財政規模と同じような規模の民間企業では、昨今、四半期決算の導入やキャッシュフロー経営を行っております。経営を維持していくには、確かできめ細やかな収入・支出の計画立案と確実な実行、そして素早い検証と問題点の修正のサイクルを回していくことがキーポイントです。  本県においては、今年度の行政システム改革の中で、民間ノウハウの活用により効率的な資金管理を行い、適正なリスク管理のもとで運用益の拡大や調達コストの削減に取り組む方針とのことです。まさに、民間に近い資金管理運用を考えられているということではないでしょうか。  一方、スピード感のある素早い財政運営が行われているかについては、疑問な点があります。本日提案された平成十九年度補正予算案によると、平成十九年度の県税収入見込みは当初予算に対して約百三十三億円程度の不足ということです。県は、財政調整基金からの繰り入れや減収補てん債の発行で対応するということです。民間企業では、もしこのような収入の低下が判明した場合は、直ちに予算に対して執行残が出ている項目を洗い出し、予算の見直しなどの対策が打たれて、影響を最小限に抑える活動が行われております。  もちろん、利益を追求する民間企業と住民サービスを提供する地方自治体では、経営に対する考え方が異なることは承知しております。しかし、今年度のような大幅な歳入不足の場合には、情勢変化に素早く対応し、事業の実施方法にむだがないか改めて徹底的に見直すなど、弾力的な考え方を取り入れた財政運営が図られるべきと考えますが、知事の御所見をお伺いします。  次は、県の財務情報の公開についてであります。  県債の発行で民間資金の活用を進めている状況においては、財務情報の公開を進めることは非常に大切なことではないでしょうか。民間信用機関の信用格付が高いと、県債発行に当たって信用力の向上や県債購入者の拡大などが見込め、金利についても有利な扱いを受けることができます。  幸いなことに、広島県債の公開情報に基づく評価は上から三番目の評価となるAAのようですので、県民、金融機関などに対して一定の情報発信が行われていると考えられます。しかし、内容が十分になされているかについては、疑問な点があります。  民間企業においては、業績発表が情報公開の一番のイベントであり、相当数の企業が自社の努力分というものをアピールの意味合いもあって発表しております。外部に対して社内活動の強みを公開することで、信用力を増すことができ、社内にとっては、外部に自分たちの業務の成果が公開されるということで、やる気の増幅につながるといった効果をもたらします。  こうした視点から、現在の広島県の公開情報を評価してみると、行われているはずの自助努力の部分に対しては説明が不明瞭です。例えば、平成十八年度に実施した事務事業総点検の結果に基づく取り組みについても、一般に理解できる形にはなっていません。改善が必要ではないでしょうか。  また、さまざまな指標の公開において、地方自治体の財務情報は民間企業の財務情報と違ってまだまだ確立されていない部分がありますので、他の自治体の動向も見きわめる必要があると思います。  そこで、財務情報の公開に対する県の方針と具体的な取り組みについて、知事の見解をお伺いします。  続いて、広島県のものづくりをさらに発展向上させる立場から質問をいたします。  まず、ものづくり人材の育成についてです。  広島県のものづくりを支えてきたのは製造現場で働く方々でありますが、二〇〇七年問題と言われる、団塊の世代が大量に定年を迎えており、労働者の質・量の両面での減少が今後の経済に及ぼす影響を懸念しております。  広島は、船舶や自動車、鉄鋼などに代表されるものづくり、それも世界水準のものづくりに深くかかわってきた土地柄であり、広島に生まれた人がものづくりに触れ、興味を持ち、楽しさを知り、広島でものづくりの高度な技術や知識を学び身につける、そして広島のものづくり企業を支える人になる。これは、ごく自然なことであり、一つの形として守りたいものだと以前から考えていました。  それでは、広島に生まれた人がものづくりに触れ、興味を持ち、楽しさを知るためにという視点から、小・中・高校でのものづくりの心をはぐくむ教育について質問いたします。  一昨年成立した改正教育基本法では、教育の目標の一つとして、「職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養う」と規定されており、学童から社会人に至るまで、ものづくりに資する人材育成を総合的に推進することとなっています。この小・中・高校におけるものづくりの心をはぐくむ教育は、基礎となるものであり、広島県の伝統を保持していく上では欠かせないものであると考えております。
     また、先日、新しい学習指導要領が発表され、理科、数学への取り組みの強化として授業時間数をふやしていくといった新聞報道もありました。まさに、理科や数学が好きな子供の裾野を広げ、知的好奇心にあふれた子供を育成していくためには、さまざまな場面で子供が科学技術に親しみ、学ぶ環境が整備される必要があります。理科の実験がおもしろかった、理科の授業が楽しかった、博物館や工場の見学で興味がわいたなどが進路を決定する上でポイントになったという声も聞きます。  県においての取り組みを見ると、小学校では、ものづくりに関しては、児童生徒が自然の事物や現象に対する興味・関心を高めることを目指して、高学年を対象に理科支援員の配置を行う事業が県内三市町で行われておりますし、小中学校における理数大好きモデル地域事業も県内六市町で実施されています。また、高校においては、理科・数学教育を重点的に行うスーパーサイエンスハイスクール事業が県立一校、国立一校で行われております。  このように、実にさまざまな事業が行われておりますが、地域に偏りが見られるなど、体系的に整備された状態での取り組みになっていないと感じます。また、スーパーサイエンスハイスクール事業に関しては、こんなデータがあります。岡山県の県立二校、私立一校の合計三校を初めとして、静岡県や三重県でも三校で事業が行われているなど、広島県より取り組みが進んでいるように感じられます。  ものづくり県である本県としては、今後の小・中・高校でのものづくり教育について、一層の取り組みの強化が必要と考えます。そして、ものづくりの楽しさを感じた生徒がふえれば、理工系への進学者もふえ、本県のものづくり企業を支える人材の育成につながると思います。  そこで、広島県における小・中・高校でのものづくり教育の現状認識と今後の取り組みについて、教育長にお伺いします。  次に、広島でものづくりの高度な技術や知識を学び身につけるという人材の育成に関連して、広島県立技術短期大学校の設置についてお聞きします。  県内には、広島、呉、福山、三次に高等技術専門校があり、職業能力開発を通じて長年にわたり地場産業に貢献して、存在を認知されています。平成二十一年度から、広島高等技術専門校の科目の一部にかえて、より高度なものづくりのできる人材を育成するため、技術短期大学校を設置されるとのことです。  仕事を遂行する上で必要な能力を職業能力と言います。その中でも、ものづくりは私たちの生活をより豊かにする上で大切な役割を担っています。それには、高度な技術や知識を備えて、内容をよく理解し、さらに順序づけて企画遂行する能力が必要となります。このことは、ものづくり企業の側から見ると、将来、会社の中核を担う技術者としての能力を身につけることにほかなりません。こうしたものづくりの職業能力を身につけ高めるためには、従来の高等技術専門校の枠にとらわれない県立の職業能力開発短期大学校が必要であると、私なりに理解しております。  都道府県立の職能短大については、本県のように設置予定の県を含め、全国で十一県に設置されています。ものづくり県と呼ばれている二十一県と重ね合わせますと、実に九県が合致しています。職能短大を設置している県は、ほとんどがものづくり県であるという相関が認められます。  二〇〇七年版ものづくり白書にも、「ものづくりの基盤技術の振興のためには、これを支える創造性に富んだ人材の育成が不可欠である」と述べられており、ものづくり県を支えるこうした積極的な人材育成は大切にしたいと、私は考えます。一見遠回りのようですが、ものづくり人材の育成は、今後の産業政策の大きな柱であると確信しております。  技術短期大学校と同等の公共職業訓練機関として、独立行政法人雇用・能力開発機構が運営する職能短大が全国に十三あり、本県では福山市にポリテクカレッジ福山があります。同一県内に職能短大が二校になるのは全国初と聞いておりますが、ポリテクカレッジ福山への入学応募状況を見ますと、八六・九%が福山、尾道、府中、三原の四市の出身者で占められ、平成十八年度三月卒業生の就職状況は、この四市への就職が全体の七八%を占めております。ポリテクカレッジ福山は、まさに地元密着型の短期大学校と言えます。  一方で、県内全体を見ますと、新卒理工系大学生の約七割が県外企業に就職し、なかなか県外流出に歯どめがかからないと聞き及んでおりますから、技術短期大学校の設置は人材確保の面でも有意義であると期待しています。  いずれにせよ、社内に短大を設置できる大企業や備後地域の四市は別としても、人材不足に悩む製造業など地場中小企業は、技術短期大学校に期待を高めています。こうした中小企業の期待を背に、技術短期大学校設置の意義を私なりに述べました。  その一方で、会社の中核を担う技術者を育成することは企業がみずから行うべきであり、行政が肩がわりすべきでない、厳しい財政状況下にあって、準備経費を含めると約十億円の投資規模になるが、年々の運営経費を含め、どのような収支見通しを持っているのか等々の疑問の声もございます。  そこで、改めて、広島県立技術短期大学校はどのような人材育成を目指すのか、地域にどのような貢献をしていくのかなど、広島県立技術短期大学校の進むべき方向性について知事にお伺いします。  また、人材育成とともに県の産業施策の柱として重要であるのは、ものづくりの高付加価値化を実現する研究開発であります。  ものづくりは、日本の全産業の中でも最も国際競争力のある分野であり、他産業への波及効果が大きく、経済成長の原動力となっております。また、近年、東アジア諸国などの発展途上国での技術力の向上により、その地位は脅かされようとしており、日本が常に世界をリードしていくためには、ものづくりの能力をもっと高め、他に追随を許さない速さで付加価値を生み出すことが重要であると考えます。  本県の製造品出荷額は全国で十二位、三大都市圏を除く地方圏では四位の規模を有しています。また、企業誘致の成果により、本県には、造船、鉄鋼、自動車、電子・電気機械、一般機械など多様な分野の大手企業が立地するとともに、これらを支える技術力の高い中堅・中小企業が数多く立地しています。その結果、本県は特定の産業に過度に依存することのないバランスのとれた産業構造を有し、大きな強みとなっております。  こうした県内企業がグローバルな競争環境下において一番に取り組むべきことは、生き残りをかけた技術開発競争に勝っていくことです。  我が国の製造業の構造を見ると、全国で約五十六万社の企業が製造業に属しており、そのうち九九%以上が中小企業で構成されています。中小企業の従業員数は約六百六十万人に上り、中小企業が雇用創出に果たしている役割は大きいものがあります。  また、電気機器、輸送機器など我が国を代表する製造業の構造的な特徴としては、多様ですぐれた技術、具体的には、経済産業省が指定する鋳造・鍛造・金属プレス加工など二十種の特定ものづくり基盤技術を有する中小企業群が多段階の階層を構成しており、最終製品を製造する企業群と堅密な連携のもとで付加価値の高い製品を企画・製造していることが競争力の源泉の一つになっています。  今後とも、これらの産業が国際競争力を発揮するためには、中小企業のものづくり基盤技術の高度化や底上げを図ることが重要であると考えます。  本県では、以前から新規成長産業分野の研究開発やベンチャー企業の創出に向けた各種施策を実施されており、先日の産業活力・雇用対策特別委員会の参考人から、県の助成制度の効果で年間五十億円レベルの売り上げ増加が達成されているというお話がありました。来年度予算案を見ても、厳しい財政状況ながら、さまざまな工夫が凝らされているようです。  私は、特定ものづくり基盤技術を有する中小企業の力を引き出していくために、先進性が大きな採用要件となっている現在の研究開発助成制度を改善し、本県の技術力が脆弱な分野について効果的に支援を行っていく必要があると考えますが、本県のものづくりの高付加価値化に向けた取り組みについて、知事の見解をお伺いします。  次は、産業廃棄物埋立税の有効活用についてであります。  環境行政の推進については、先日、我が会派の代表質問でお聞きしたところですが、私は、特に産業廃棄物の排出抑制に向けた取り組みについて質問いたします。  私は、産業廃棄物の削減に対しては、常々、発生源をなくす対策と廃棄物を資源として利用していく取り組みが車の両輪のように働いていく必要があると考えております。その実現のためには、実用的な技術の研究開発と処理設備の拡充が肝要であります。この技術開発の促進のためには、実用化や事業化の各段階における助成制度が重要であります。本県で見ると、出島処分場の完成のおくれにより、綱渡りでごみ最終処分場の運営を迫られているようなことも起きており、ますます技術開発やリサイクル施設の拡充が重要になってきていると考えます。  平成十五年四月に導入した産業廃棄物埋立税は、経済的手法によって産業廃棄物の埋立抑制を図るとともに、産業廃棄物の削減、減量化、リサイクルの推進などを目的とした法定外目的税で、この税を活用して、リサイクル施設の整備助成やリサイクル関連研究開発助成のような各種の助成制度が設けられていることは承知しております。しかし、本県の研究開発助成制度は、三社以上の企業グループで申請しなければならないため、使いづらいというような声も聞いております。他県では、一企業単独で申請できるケースや、中小企業については助成割合が有利なケースもあります。  そこで、広島県の産業廃棄物埋立税を活用した事業の予算が実際に執行されているかを調べてみますと、平成十八年度の予算執行率は五〇%であり、十九年度にはさらに低下して三五・四%になるということです。また、埋立税を積み立てている産業廃棄物抑制基金は年々増加を続けており、今年度末には二十三億二千万円になる見込みのようです。これでは十分に活用されているとは言いがたい状況ではないでしょうか。来年度予算案では、一部助成条件の緩和が盛り込まれておりますが、最終処分量が増加すると推測される状況から見ると、まだまだ不十分と考えます。  今後の世界経済にとって、環境、資源、エネルギーが制約要因となっており、この問題を解決し、環境保全と経済成長が両立する持続可能な社会へ転換していくことが重要です。我が国では、強みであるものづくり技術と環境・エネルギー技術とをうまく調和させて、大量消費から環境・人間重視の技術革新を実現していくエコイノベーションの必要性が高まっています。  そこで、私は、本県の助成制度も、リサイクルにこだわらず、広い意味で産業廃棄物の排出抑制につながる技術開発・実用化案件について適用を広げる、あるいは産業廃棄物対策のための事業をより積極的に実施するなどの取り組みの必要があると考えますが、産業廃棄物埋立税のさらなる活用について、県の見解と具体的な取り組みを知事にお伺いします。  質問の最後は、広島都市圏の一翼を担っている広島市東部地域についてであります。  この地域は、昨今、大型商業施設の開業やJR天神川駅の新設、そして、今後広島市東部地域の発展の起爆剤として期待される新球場の建設が進められており、地域住民の生活環境は大きく変化を遂げつつあります。まさに人の流れ、物の流れが日々変わりつつあり、新しいまちづくりが行われていると言ってもいいのではないでしょうか。  この新たな枠組みの中で、他に誇れるような、住む方々に安全・安心、そして夢や豊かさを感じていただけるまちづくりを行っていかなければなりません。この地域の特性として、広島市と安芸郡四町が複雑に境界を接しており、それぞれ単独ではまちづくりに対して判断していくことは難しいという事情があります。したがいまして、県が大局に立った視点から、地元自治体への指導や意見調整の音頭取りを行っていくことが求められているのではないでしょうか。  さまざまな課題がある中で、まず地域の発展を実現していくための基礎として重要なものは、広島都市圏東部のまちづくりを支える交通体系の新しい将来像の確立ではないでしょうか。この地域では、県・市・二町共同で行われる広島市東部地区連続立体交差事業と、各市町で実施される区画整理事業や県道広島海田線の四車線化の都市計画事業があります。しかも、周辺では、天神川駅の新設、大型商業施設の開業により交通の流れが変わり、新たな渋滞などが発生しており、今後も、大州インターチェンジに起因する混雑や、新球場完成後にはさらなる交通量の増加により、著しい混乱が発生するおそれがあります。これらの新規要因の追加によって、広島駅から天神川駅、向洋駅、海田市駅に沿っての交通体系をどうするべきかを、いま一度議論していく必要性があるのではないかと感じます。  また、その中での直近の課題として、広島市東部地区連続立体交差事業と区画整理事業の関係があります。  現在、この地域の交通はJRによって分断されており、ラッシュ時には一時間に四十分前後の遮断を抱える踏切があり、私自身も踏切で二十数分も待った経験がある一人であります。まさに、あかずの踏切に近い状況が一部に存在しております。こういった問題は早急に改善していく必要がありますが、JR路線の高架を実現する連続立体交差事業は、財政的な事情により、当初は平成二十七年度完成の予定でしたが、平成三十四年度完成へと変更されております。  しかし、同時に進められる予定であった区画整理事業では、府中町のように既に一部工事が開始されているところがあります。関係する住民の方々には、公共の福祉の向上を図って住みやすい町並みにつくり直すために、居住面積の縮小や長年住みなれた場所を移動していただくという非常につらい内容に対して協力をしていただいております。これまで着工から十一年間の工事期間が予定されておりましたが、このままでは、もっと長期にわたって周辺住民の方々に悪い影響が出るおそれがあります。また、この断腸の思いでなされた決断に、一刻でも早く報いるということも重要であります。仮に、二つの事業の進捗をうまく連携させることができれば、効率が向上し、工事期間や事業費の圧縮が可能となるようであります。  そこで、広島都市圏東部の交通体系の将来像と現在進行中の広島市東部地区連続立体交差事業の事業計画の見直しについて、知事の見解をお伺いします。  次に、この件については、昨年二月の定例会で、事業スケジュールの延期に伴う地元自治体での諸問題に関する認識について、海田市駅や向洋駅のバリアフリー化や改札口の新設など、まちづくりを進める上での課題が出ており、これらの課題について地元関連自治体と検討を進めるという答弁をされております。  来年度予算案を見ると、一部答弁に沿った海田市駅のバリアフリー化への援助が盛り込まれておりますが、事業スケジュールの延期に伴う地元自治体での諸課題に対する県の対応状況と今後の見通しを知事にお伺いします。  これで私の質問を終わらせていただきます。今後とも、初心を忘れず、県民の皆様のためにお役に立てるように精いっぱい努力をしていきます。どうぞ、引き続きよろしくお願いします。御清聴、どうもありがとうございました。(拍手) 30: ◯議長(林 正夫君) 当局の答弁を求めます。知事藤田雄山君。         【知事藤田雄山君登壇】 31: ◯知事藤田雄山君) 岩下議員の御質問にお答えを申し上げます。  まず、弾力的な財政運営についてお尋ねがございました。  本県では、これまで弾力的で持続可能な財政構造への転換を図るため、全国に先駆けて行財政改革に取り組んでまいりました。しかしながら、国の三位一体改革による地方交付税の大幅な削減などにより歳出全体に見合う財源が十分に確保できないなど、厳しい財政運営を強いられております。このため、十九年度の当初予算編成時におきましても、財政健全化に向けた具体化方策に沿って、徹底した歳出の見直し等に取り組むことといたしましたが、その一方で、歳入では、国が地方交付税の配分の基礎となる税収の伸びを高く見込んでおり、本県といたしましては、それに沿って税収を見込まざるを得ない状況にございました。  しかし、年度途中において、企業収益の伸び悩み等により県税収入が当初予算を大きく下回る見込みとなることが判明をいたしました。これに対しましては、本来であれば、それに見合う地方交付税の増額がなされるべきでございますが、既に配分された後であったため、やむを得ず、本県としては減収補てん債の発行を行うこととしたものでございます。  その一方で、直ちに全庁を挙げて、さらなる内部管理経費の見直し等に取り組むとともに、入札残等による不用額の洗い出しを行ったところであり、そうした年度途中の取り組みをまとめて、その最終的な整理として、補正予算案として計上し、本日、提案させていただいたところでございます。今後とも、計画的に財政健全化の取り組みを進めつつ、必要に応じ機動的な対応を行うなど、柔軟な財政運営を行ってまいる所存でございます。  次に、県立技術短期大学校の進むべき方向性についてお尋ねがございました。  昨年度、第八次職業能力開発計画を策定するに当たり、県内の企業からは即戦力となる高度な技術人材の養成を求める声が多くございました。  このため、二年制専門課程の広島県立技術短期大学校を平成二十一年四月に開設し、生産技術科と制御技術科を設けることにより、ものづくりに関する幅広い知識や技術を有し、将来、工場全体のマネジメントができる人材の育成を目指すことといたしました。  既に、東部地域にはポリテクカレッジ福山がございますが、今回、西部地域にも技術人材の育成拠点を設けることで、県全体として技術人材の供給力を高めることができるものと考えております。  また、短期大学校の開校にあわせて、学校運営に協力いただける企業から成る賛助会を設置いたしますとともに、社員の職業訓練を行う事業主への支援や高度な訓練機器の有料開放などを通じて、企業との連携を強化し、地域に貢献してまいりたいと考えております。今後とも、地域の人材ニーズや訓練ニーズの把握に努め、ものづくり県を支える人材の育成に積極的に取り組んでまいる所存でございます。  次に、ものづくりの高付加価値化に向けた取り組みについてのお尋ねがございました。  すぐれたものづくり基盤技術を有する層の厚い中小企業の集積は、本県基幹産業の国際競争力を支える強みであり、こうした中小企業の技術の高度化や新分野への進出を図ることが、本県産業の発展に不可欠であると考えております。  このため、県では、ひろしま産業創生補助金等による研究開発支援や総合技術研究所による技術支援、広島テクノプラザ等における技術者育成などにより、中小企業のものづくり基盤技術の高度化に取り組んでまいりました。  今後は、こうした取り組みを一層促進するとともに、幅広い基盤技術のさらなる活用を図り、競争力を強化するため、取り組みがおくれている自動車部品の急速なエレクトロニクス化に対応するための支援体制の構築、技術革新に大きな波及効果が期待できるロボット技術分野の戦略的支援などに取り組むこととしております。  このような、ものづくりの高付加価値化に向けた取り組みを総合的に進めることにより、県内中小企業の研究開発、技術開発の促進を図り、国際競争力のある、ものづくり産業拠点の形成を目指してまいります。  次に、産業廃棄物埋立税の有効活用についてお尋ねがございました。  産業廃棄物埋立税制度につきましては、平成十五年四月に導入し、これまでその税収を産業廃棄物の排出抑制やリサイクル等の推進を目的として、各種施策に活用してまいりました。その結果、リサイクル施設整備助成事業では、十五件の採択により年間十万トンの処理能力の向上が図られたほか、三次元レーザースキャナーを用いた産業廃棄物処分場の高度監視事業による適正処理の確保など、着実に成果を上げております。  また、本年度の産業廃棄物埋立税の期間を延長するに際し、廃棄物適正処理懇話会において、税の活用についてさまざまな御意見を伺っております。このような御意見も踏まえまして、県といたしましては、税を有効活用することとし、昨年十二月に策定した第二次廃棄物処理計画に新たな施策を幅広く盛り込んだところでございます。  その具体化に当たりましては、産学が連携して取り組む排出抑制やリサイクルにつながる研究開発について、新たに実証経費を補助対象とすること、アスベスト廃棄物の溶融による減量化を促進するための施設整備の補助制度を創設すること、さらに、県内初のリサイクル団地への企業立地を支援する施設整備費等の補助制度を創設することなどの取り組みを考えております。今後とも、排出事業者など関係者の意見を十分お聞きをしながら、産業廃棄物埋立税の効果的かつ計画的な活用を通じて、持続可能な循環型社会の実現に努めてまいる所存でございます。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁いたさせます。 32: ◯議長(林 正夫君) 総務部長松田浩樹君。         【総務部長松田浩樹君登壇】 33: ◯総務部長(松田浩樹君) 財務情報の公開についての御質問にお答えいたします。  本県の財政状況や財政健全化に向けた取り組みなどを、県民の皆様はもちろん、金融市場関係者の方々に対してもできる限りオープンにし、適切かつわかりやすい内容でお示しすることは非常に重要であると考えております。  この考えに沿って、これまでも県の広報紙やホームページはもちろん、投資家に対する説明会の開催など、さまざまな手段や機会を活用いたしまして、本県の財務情報の開示にも努めてまいりましたほか、財政健全化に向けた取り組みや将来の税収確保に向けた産業振興施策の内容なども説明してまいりました。  しかしながら、県民の皆様などにとって必要な情報をわかりやすくお伝えできているかという点では、まだまだ改善の余地があると考えております。このため、今後、他県の状況や金融市場関係者等の御意見なども踏まえつつ、よりわかりやすい財務情報の開示に向けて努力してまいりたいと考えております。 34: ◯議長(林 正夫君) 都市部長岡崎修嗣君。         【都市部長岡崎修嗣君登壇】 35: ◯都市部長(岡崎修嗣君) 二点についてお答えします。  まず、広島都市圏東部の交通体系と連続立体交差事業についてでございます。  広島都市圏東部におきましては、現在、広島高速二号線や、これに関連する県道広島海田線の大洲橋付近及び都市計画道路大須土橋線などの周辺街路整備を進めているところでございます。  これらにあわせて、JR山陽本線などの連続立体交差事業により分断された市街地の一体化を進め、南北交通の円滑化を図るとともに、東西方向の関連道路整備によりネットワークを形成することが、この地域の交通体系の将来像と認識しております。  また、広島市東部地区連続立体交差事業の計画の見直しにつきましては、共同事業者である広島市とともに府中町及び海田町と協議会を設け、土地区画整理事業への影響等について慎重に協議・検討を重ね、昨年決定したものでございます。今後とも、関係機関と連携を図りながら、見直し後の事業計画に沿って、着実に事業を推進してまいります。  次に、連続立体交差事業の延期に伴う対応についてでございます。  議員御指摘の広島市東部地区における諸課題への対応につきましては、海田市駅において平成二十年度から二カ年で構内エレベーターの設置が予定されており、県も財政支援を行うこととしております。あわせて、用地を取得している駅北口の一部区間において道路の整備に着手し、生活の利便性を確保することとしております。また、向洋駅北改札口の新設につきましては、現在、地元府中町とJRとともに土地区画整理事業の進捗に合わせて整備ができるよう、協議を進めているところでございます。  事業スケジュール延期に伴う諸課題の解決に当たりましては、引き続き、広島市、府中町及び海田町との連携を図り、取り組んでまいります。 36: ◯議長(林 正夫君) 教育長榎田好一君。         【教育長榎田好一君登壇】 37: ◯教育長榎田好一君) 小・中・高校におけるものづくり教育についてのお尋ねがございました。  本県のものづくりを支える人材を育成するためには、子供たちに科学的な物の見方や考え方を育てるとともに、ものづくりへの興味、関心を高めることが大切であると考えております。  現在、小学校では理科支援員の配置に加え、企業などから講師を招聘し、観察・実験を伴った探究的な授業づくりを推進しております。また、中学校では技術の授業での製作活動や職場体験などを通して、ものづくりのすばらしさを体感する取り組みも行っております。高等学校におきましては、最先端の科学研究や技術開発を行っている大学教授などによる講義や、現代のたくみである「ひろしまマイスター」の実践的な指導による実習を行うなどの取り組みを行っております。  教育委員会といたしましては、今後とも、産業界と連携し、ものづくり体験や企業実習を行うとともに、大学や研究機関と協働して高度な研究を行うなど、小・中・高校を通じ、ものづくり教育の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。 38: ◯議長(林 正夫君) 明日も引き続いて質問を行います。明日は午前十時三十分から会議を開きます。  本日はこれをもって散会いたします。         午後二時三十五分散会 発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...