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  1. 広島県議会 2004-09-03
    平成16年9月定例会(第3日) 本文


    取得元: 広島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-05
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成16年9月定例会(第3日) 本文 2004-09-28 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 43 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯副議長渡壁正徳君) 選択 2 : ◯副議長渡壁正徳君) 選択 3 : ◯副議長渡壁正徳君) 選択 4 : ◯東 保幸選択 5 : ◯副議長渡壁正徳君) 選択 6 : ◯知事藤田雄山君) 選択 7 : ◯副議長渡壁正徳君) 選択 8 : ◯環境生活部長吉村幸子君) 選択 9 : ◯副議長渡壁正徳君) 選択 10 : ◯総務企画部長横田真二君) 選択 11 : ◯副議長渡壁正徳君) 選択 12 : ◯農林水産部長中川日出男君) 選択 13 : ◯副議長渡壁正徳君) 選択 14 : ◯土木建築部長田原克尚君) 選択 15 : ◯副議長渡壁正徳君) 選択 16 : ◯教育長(関 靖直君) 選択 17 : ◯東 保幸選択 18 : ◯副議長渡壁正徳君) 選択 19 : ◯東 保幸選択 20 : ◯副議長渡壁正徳君) 選択 21 : ◯教育長(関 靖直君) 選択 22 : ◯副議長渡壁正徳君) 選択 23 : ◯議長(新田篤実君) 選択 24 : ◯吉井清介君 選択 25 : ◯議長(新田篤実君) 選択 26 : ◯知事藤田雄山君) 選択 27 : ◯議長(新田篤実君) 選択 28 : ◯福祉保健部長(新木一弘君) 選択 29 : ◯議長(新田篤実君) 選択 30 : ◯商工労働部長(藤井秀幸君) 選択 31 : ◯議長(新田篤実君) 選択 32 : ◯地域振興部長(玉川博幸君) 選択 33 : ◯議長(新田篤実君) 選択 34 : ◯山崎正博君 選択 35 : ◯議長(新田篤実君) 選択 36 : ◯知事藤田雄山君) 選択 37 : ◯議長(新田篤実君) 選択 38 : ◯福祉保健部長(新木一弘君) 選択 39 : ◯議長(新田篤実君) 選択 40 : ◯農林水産部長中川日出男君) 選択 41 : ◯議長(新田篤実君) 選択 42 : ◯警察本部長(内山田邦夫君) 選択 43 : ◯議長(新田篤実君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:         午前十時三十一分開議 ◯副議長渡壁正徳君) 出席議員六十二名であります。これより会議を開きます。  この場合、知事、行政委員会の長並びに説明員の出席を求めるに御異議ありませんか。         【「異議なし」と言う者あり】 2: ◯副議長渡壁正徳君) 御異議なしと認めます。よって、直ちに出席を要求いたします。         【知事、行政委員会委員長並びに各説明員出席】              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         自第  一 県第九〇号議案         至第四十八 報第 二〇 号 3: ◯副議長渡壁正徳君) これより日程に入ります。日程第一、県第九〇号議案 平成十六年度広島県一般会計補正予算から日程第四十八、報第二〇号 損害賠償額の決定についてまでの各案を一括上程議題といたします。  昨日に引き続いて質問を行います。東 保幸君。         【東 保幸君登壇】 4: ◯東 保幸君 おはようございます。県民連合の東 保幸でございます。本日は、多くの傍聴者においでいただいております。執行部には、わかりやすく、誠意ある答弁をお願いして、質問に入らせていただきます。  台風十六号、十八号が県内各地に大きな被害をもたらしました。被災された県民の方々に心からお見舞いを申し上げます。最大瞬間風速六十メートルという自然の猛威の前に、人間の無力さを痛感せざるを得ません。しかし、くじけることなく立ち上がることができるのも人間の持つ力でございます。藤田知事は、現地に立って、災害復旧に向けた決意を述べておられます。被災された方々に対する物心両面における支援と、一日も早い復旧と対策に全力で取り組むことが県政の喫緊の課題であることを訴えまして、質問に入ります。  まず第一の項目として、県財政にかかわって二点質問をいたします。  現在、国の借金とも言える国債、借入金などの債務残高は、七百二十九兆円を超え、国民一人当たり約五百七十一万円という大変巨額な借金に膨れ上がっています。そして、国の来年度予算歳費に占める国債費は二十兆円と言われるほどの未曾有の財政危機にあります。小泉内閣の進める三位一体改革は、地方切り捨てとも言える地方交付税や補助金の大幅な削減と、これに伴う税源移譲が十分になされないものであり、広島県財政も苦しめられております。  本年六月には、骨太方針二〇〇四において、国から地方への概ね三兆円規模の税源移譲に対し、国庫補助負担金改革の具体案を地方公共団体に対し要請がなされました。全国知事会は、八月、改革案を取りまとめ、義務教育費国庫負担金の中学校分八千五百億円及び高等学校私学助成金、奨学金、施設整備補助金などを移譲対象補助金として盛り込みました。本来、義務教育費国庫負担制度の趣旨は、子供たち一人一人が、確かな学力、生きる力をつけていくためのものであり、教育の機会均等、そして教育の水準の維持・安定にあります。しかし、今回の知事会が可決した案は趣旨に反するものであり、また、国はその責務を放棄したことにほかならないと私は思います。  そこで、質問の一点目は、義務教育費国庫負担制度についてです。  藤田知事は、義務教育費国庫負担制度の一般財源化には慎重な立場に立っておられると聞いており、敬意を表するものでございます。県財政が逼迫し、苦しい財政運営を強いられている本県にあって、義務教育費国庫負担制度の見直しが行われた場合、税源移譲されたとしても四十三億円減と試算されております。これでは、教職員の定数を充足していない広島県にあって、さらなる教職員の不足が危惧され、本県の未来を担う子供たちの教育の後退を懸念するものでございます。また、制度廃止に伴う地域格差も指摘されております。知事は、今後の義務教育費国庫負担制度について、現行の教育水準を維持するためにどうあるべきとお考えか、お伺いします。  質問の二点目は、教員の遠距離通勤に伴う通勤手当支給総額の増大についてです。
     このたび、県が明らかにした二〇〇九年度までの財政収支見通しでは、今後も財源不足は膨らみ、二〇〇六年度には財政再建準用団体に陥ることも危惧されています。効率的な財政運営に向けて、県行財政のスリム化が行われているところです。  そこで、教員の遠距離通勤に伴う支出が年々増額していることについてお聞きします。  教育委員会の資料によりますと、教員一人当たりの平均月額支給額は、平成十一年が八千二百五十五円、平成十五年が一万三百四十三円で二千円程度ふえています。一方、教員の数は、平成十一年が二万八百五十三人、平成十五年が一万九千四百十一人で、この間、千四百人程度減少しているにもかかわらず、通勤手当支給総額は、平成十一年が二十億六千五百万円余、平成十五年が二十四億九百万円余で、三億四千四百万円余の増となっております。  通勤時間については、所要時間が一時間以上の教員が、平成十一年は千三百七十九人、平成十五年は千八百二十六人と、四百四十七人増となっています。  さらに、病気休職者数の変化を見ると、平成十一年が百五十五人、平成十五年が二百二人です。  財政が逼迫する中で、今、なぜ金と時間、そして活力を浪費するような施策が続けられるのか、その趣旨と継続する理由となる根拠を具体的にお聞きします。  第二の項目として、男女共同参画社会にかかわる課題についてお聞きします。  国は、男女共同参画社会の実現を二十一世紀の我が国の社会を決定する最重要課題と位置づけて、一九九九年に男女共同参画社会基本法を制定しました。広島県においては、二〇〇一年に、二十一世紀の広島を豊かで活力あるものにしていくためには、男性も女性も自分の意思で自分の生き方を選択することが尊重され、お互いに支え合い、責任も分かち合うことのできる社会の実現が大変重要な課題であるとして、広島県男女共同参画推進条例を制定しました。  私は、将来的に男女共同参画が進み、女性の社会進出が拡大することにより、消費の活発化による経済活性化や社会保障制度の持続、出生率の回復も期待できるのではないかと考えております。  こうした社会の実現のためには、条例にもあるとおり、性別による固定的な役割分担などや、それに基づく社会慣行を是正するなど、社会のあらゆる分野における一層の取り組みが必要です。県においては、男女共同参画社会の実現に向けて、二〇〇三年に環境づくり、人づくり、安心づくりの三つの基本施策から成る広島県男女共同参画基本計画を策定しました。  具体的施策として、幼児期から高齢期に至るまでのさまざまなステージに応じ、男女共同参画に向けた意識の啓発を掲げています。個人がどのような生き方を選択しても、社会における制度や慣行にとらわれることなく生きていけるよう、人々の意識改革が必要であると考えます。基本計画の策定から約一年半が経過しましたが、これまでの取り組みと今後の施策の展開について知事の御所見を伺います。  また、市町村においても、男女共同参画社会の実現に向けて各種施策が実施されているところですが、その実効性を高めていくためには、県と市町村の連携が不可欠であると考えます。そこで、男女共同参画に関する施策の推進に当たり、県は各市町村に対してどのような働きかけを行われているのか、お聞きします。  教育委員会においては、基本計画に男女共同参画の理念を正しく理解し、だれもがお互いの個性や意思を尊重できるよう、幼児期から年齢に応じた教育を一層充実することを具体的施策として掲げておられますが、学校現場においてどのような取り組みをしているのか、お聞きします。  第三の項目として、教育課題について質問いたします。  質問の一点目は、高校入試における定員内不合格についてです。  現在、県内の中学校を卒業して九七%前後が高等学校に進学するほど、高校は準義務教育の状況にあります。教育委員会では、この九月初旬、来年度の県立高等学校の入学定員を決定されました。  広島県に住む子供たちの学びと進路の保障は、教育行政の最も根幹をなすものです。しかし、教育委員会は、入学者定員を設けて、生徒を受け入れて三、四年間の高等学校教育を行うことを県民に公約しているにもかかわらず、一九九九年からは、入学者定員に満たない状況の中で不合格者を出す、いわゆる定員内不合格の生徒が出る事態が続いております。二〇〇四年度の高校入学者選抜においては、五百七十九人もの定員内不合格が出ております。不合格による子供や保護者の受ける心の傷は大きく、十五の春にして行き先を閉ざされた子供とその家族の悲嘆を思うとき、何ゆえに教育委員会は県民を苦しめる施策を進めるのか、納得のいく説明を求めるものであります。  特に選抜IIIは、私学及び公立高校の選抜IIを受験して、行き先未定の受験生のために設けられたものです。ある高校では、三十人を超える枠を設けながら、合格者はわずか四人という状況です。まさに詐欺的行為と言わざるを得ません。「広島県以外の県だったら高校生になれたかな」、これは選抜IIIで不合格とされた生徒の言葉です。この言葉を教育長はどのように受けとめられるのか、そして定員内不合格急増をどのように認識し、年々増加する状況をこのまま各学校任せとして放置するつもりなのか、お聞きします。  二点目の質問は、高校の中途退学率についてです。  定員内不合格という入り口の段階で進路を閉ざす実態と符合するように、高校の中途退学率が高くなっています。一九九九年度に中途退学率二・九%で全国三位となって以来、二〇〇三年度も二・六%で全国三位と、依然最悪の水準にあります。定員内不合格ゼロであった一九九七年度の中途退学率は二・四%で、全国二十一位でした。すべての進学希望者を受け入れていたときの方が中途退学率の全国順位がよいという皮肉な結果となっています。中途退学率の急上昇の原因をどのように考えておられるのか、また、対応策についてお聞きします。  教育課題の三点目は、教職員の健康管理についてです。  病気休職者のうち、精神疾患の割合が一九九六年度には約二六%であったものが、二〇〇三年度には約五四%へと急増しています。教職員の超過勤務実態について、教育長は、校務運営の効率的な執行を図るとともに、部活動における休養日の確保など、時間外勤務の縮減に向けた取り組みを進めていると答弁されています。しかし、病気休職者数を見る限り、対策が全く効果を上げていません。  昨年度一年間に病気休職者の代替者、延べ千九百七十四人に支払われた賃金支給総額は五億六千万円余、一昨年は延べ千五百五十六人に五億一千万円余です。厚生労働省労働安全衛生研究班の調査によると、全国で心の病で休職している労働者は約四十七万人で、賃金ベースの損失は約一兆円と推定しています。精神障害に伴う疾病休業による社会的損失は非常に大であり、事業者の取り組みの強化が緊急の課題であると考えます。  県としても、こうした状況を踏まえるとともに、労働安全衛生法改正の動向を見据えた健康管理の取り組みが必要ではないでしょうか。教職員の健康管理に関する教育委員会の現状認識と取り組み状況についてお聞きします。  教育課題の四点目は、法教育についてです。  二〇〇四年六月一日、長崎県佐世保市の小学校で小学六年生が同級生を殺傷するという衝撃的な事件が起こりました。引き続く児童の殺傷事件に、「子供たちの心の根っこを育てよう」と地域とともに取り組んできた長崎県教育委員会の衝撃は大きいと新聞は報じています。命を大切にする指導、規範意識を高める指導の難しさを痛感させられます。私たちの未来の希望でもある子供たちの成長・自立は、私たち大人の責任です。見えにくくなっている子供たちの世界を非難し、管理するだけでは、問題の解決はできません。  そうした中、この八月、本県においては児童生徒の規範意識を高めるための法教育をテーマとした生徒指導主事研修が行われたと報道されました。私は、規範意識の育成のためには、法体系全般の基底にある理念や価値を学習する法教育が必要であると考えます。  現実社会は多くの困難な課題があり、答えが一つではない中、それらを解決していく力を身につけていくのは容易ではありません。個人の尊厳や法の基本原理を学び、自律と責任を持ち、社会の不合理を正していく能力や、みずからの考えを伝え、人の意見を聞き、そして、異なる意見の中で合意を得る能力などを目的とする法教育に期待する一人として、教育委員会は法教育についてどのように認識しておられるのか、お聞きします。  教育課題の五点目は、平和教育推進についてであります。  戦後五十八年、被爆者を生き抜いた石田 明先生が昨年十月、亡くなられました。原爆白内障や幾つものがんに苦しめられながらも、原爆の残虐性を訴え、同じ苦しみを我が子や孫、そして教え子に経験させてはならないと訴え続けられた人生でした。「ヒロシマを忘れたとき、ヒロシマを繰り返す」、これが石田先生のメッセージです。藤田知事が進めるひろしま平和貢献構想において、紛争終結地域における復興支援などに果たすべき役割の一つを、「原爆で甚大な被害を受けながら、敵意や憎しみを乗り越えて平和の実現を目指すこれまでの広島の姿勢は、憎しみの連鎖を断ち切るための啓発や平和教育に資する」ことであると提言しています。そこで、被爆地ヒロシマとしての、平和教育の充実についてお尋ねします。  一点目の質問は、平和学習についてであります。  人類史上初めて原爆の惨禍に見舞われ、無差別大量破壊兵器、そして生き延びた者さえも病気で苦しめ続ける残忍な兵器であることを、被爆者は世界に訴え続けてきました。二十世紀の最も大きな出来事である原爆投下と被爆の実相を未来に継承していくことは、私たち広島に生まれた者の責務であると考えます。  しかし、核時代の幕あけである原爆投下について、年月日・何時何分が正しく答えられない子供たちがふえつつあると広島市教育センターは報告しています。長崎県においては、小中高校の多くが八月九日を登校日として原爆の学習をしていると聞きます。広島県においても八月六日を登校日として、被爆の実相を伝えていくことが学習指導要領に即した教育であると思いますが、教育委員会の考えをお聞きいたします。  次に、平和教材についてです。  三年前に藤田知事が国連を訪問されたとき、ダナパラ軍縮担当事務次長から、国連として軍縮や核兵器不拡散を推し進め、教育・教材の開発のために平和教材の提供を要請されました。しかし、教育委員会みずから作成した平和教材あるいは資料はなく、広島市の作成した副教材や国語の教科書といったものを提供されたと伺っております。さきに延べたひろしま平和貢献構想の理念に沿った平和教育推進は、被爆県広島の子供たちのみならず、紛争終結後の地域において被爆の実相を伝え、憎しみの連鎖を断ち切る上で必要であります。教育委員会として、資料・教材を作成するつもりがあるのかどうか、お尋ねします。  次に、第四の項目として、平和行政についてお聞きします。  藤田知事が進められる平和貢献構想の「創り出す平和」について、二点お聞きします。  今なお世界各地で戦火に倒れていく人が絶えません。イラクでのやむことのない自爆テロ、ロシア北オセチアでの学校をねらったテロ、これら憎しみと報復の連鎖を見るとき、ヒロシマの世界化、平和憲法の普遍化を訴えていく必要を感じます。  質問の一点目は、カンボジアのひろしまハウスの活用についてであります。  内戦と圧制に苦しみ続けたカンボジアに、復興支援活動の拠点となるひろしまハウスの建設が市民の手で計画され、現在、募金が集まれば建設工事を進めるという積み上げ方式で行われています。教育・福祉・医療・文化の多面において、広島県内はもとより、海外での支援活動に意欲と関心を持つ日本の若者と、現地で支援を求める市民とをつないでいくことが求められています。  広島発の復興支援事業を行うことは、原爆被害に対する理解を深め、同時に、広島の経験を生かしていくという「創り出す平和」の理念に沿ったものです。ひろしまハウス活用に向けて運営委員会が発足し、広島県も参画していると聞きます。現在のひろしまハウス建設の状況と、県としての今後の支援策をどう考えておられるのか、お聞きします。  質問の二点目は、被爆六十周年を迎えるに当たっての取り組みについてであります。  藤田知事は、ことし八月六日の平和祈念式典あいさつの中で、「来年の被爆六十周年は核拡散防止条約再検討会議が開催される重要な年です。核兵器廃絶や世界平和の実現がより確実になるよう、機運を高めていかなければなりません。県も積極的な役割を果たします。」と述べておられます。被爆六十周年を迎えるに当たり、これからの一年、核兵器の廃絶と世界平和の実現のためにどのような取り組みを考えておられるのか、また、知事御自身が核拡散防止条約再検討会議に参加されるお気持ちがあるのかどうか、お聞きします。  第五の項目として、福祉課題についてお聞きします。  今日、がんによる死亡者は一九七九年に死亡原因の第一位となり、その後もふえ続けて、現在では、全死因の三割を占めるまでになっています。今後は、がん患者数を初めとしたさまざまなデータを十分に把握した上で、がんの発生予防から、早期発見、早期治療、そして緩和ケアに至るまで、総合的かつ積極的にがん対策の実施が望まれています。  こうした中、去る九月一日、県内の緩和ケア推進の拠点として、広島県緩和ケア支援センターが開所の運びとなりました。全国的にも先進的なこの施設は高い評価を受けていると聞きます。この施設は、がんの痛みの治療のみならず、精神的不安を軽減し、さらに患者や家族の意思を尊重しつつ、自分らしく生きることができるようにチームで支援することを目的に設置され、快適な住環境と優秀なスタッフが整えられ、まさに人の尊厳を考えることのできる施設となりました。こうした施設が全国に先駆けてつくられたことは、広島にふさわしいと確信するとともに、平和の大切さを改めて痛感いたしました。このような施設を率先してつくられた知事の英断に深く敬意を表するものであり、今後の緩和ケア支援センターの活動に大いに期待しているところでございます。今後、緩和ケア支援センターを拠点として、がんで苦しんでおられる患者とその家族の緩和ケアに対するニーズにこたえるため、どのような推進方策を立てておられるのか、知事の御所見をお聞きします。  第六の項目は、水源涵養税についてお聞きします。  藤田知事は、これまで水源涵養税導入については、多様な公益的機能、広域性をかんがみ、全国レベルの制度として導入すべきもので、中国五県は税の使途を含めて共同歩調をとるべきである、新たな税負担と既存施策との関係、県民の理解が得られるかなど、研究すべき課題も多く、慎重な検討が必要であると答えておられます。  戦前、森林資源は軍用に提供され、戦後は国の復興は植林からという大号令のもと、ヒノキ、杉の植林が行われてきました。しかし、植林、下刈り、枝打ち、間伐といった作業を経て半世紀、ほとんどの森林においては採算が合わないため、現在では多くの森林が放置された状態にあります。高齢化が進み、山林所有者の関心も低く、家を継いだ若い人も山の境界すらわからない状態にあり、今後ますます荒廃していくことが心配されます。  こうした中、みずからの手で森林を守り、水をつくり、川を育て、海を豊かにしていこうといった環境保全の機運が高まり、水源涵養税あるいは森林環境税の導入や検討が全国三十九都道県で進められています。中国五県においても、岡山県が全国で二番目となるおかやま森づくり県民税を本年度から施行、鳥取県は来年度から森林環境保全税を導入、山口県はやまぐち森林づくり財源検討委員会で協議中、島根県でも水と緑の森づくり税導入検討の段階にあります。  広島県においても、間伐材の利用や木材の認証制度導入など、徐々に、県内産木材の利用促進など、森林の整備保全が図られていますが、森林をあずかる人たちは、今、山を守っていかなければこの先どうなるのかと大変心配しています。孫のために木を植えるように、真に次世代のために備える施策の検討が必要です。豊かな自然の恵みを享受してきた世代が消費するだけにとどまっていてはなりません。  そこで、広島県として、水源涵養税導入に向けた国や他県への働きかけは、現在どのようになっているのか、また、水源涵養税導入に対する県民意識をどのように認識しておられるのか、お聞きします。  最後の項目として、地域課題について二点お聞きします。  その一点目は、関川ダム中止に伴う地域振興策について、再度お尋ねします。  本年三月十八日の予算特別委員会での質問に対して、土木建築部長は、未着手の県事業として関川の親水公園と乳母ガ堰と歩道について具体的に答弁をいただきました。病床にあった関川対策同盟の会長は、テレビで審議の模様を見て、具体的な地域振興策が答弁されたことを喜ばれたと聞きます。しかし、その二日後に亡くなられました。三十年に及ぶ父祖伝来の地である関川の流れを子孫に伝え、そして生活を守る闘いでした。御冥福を祈るとともに、一日も早い地域振興策である県事業の完成を願うものです。  現在、未着手事業の進捗状況はどうなっているのか、また、完成年度はいつを目標とされているのか、お聞きします。  二点目は、事故多発踏切の改善についてであります。  広島市安佐北区口田の芸備線において、一年余りの間に高齢者が列車にはねられて亡くなるという痛ましい事故が二件続けて発生しました。二〇〇三年五月に起きた事故は、遮断機のない警報機だけの踏切で発生し、犠牲者は聴覚障害者でした。難聴者が踏切を渡ることの不安を知ってもらいたいと、難聴体験の企画を進めておられ、実施直前の不幸でした。踏切事故による犠牲者が出てから遮断機などが設営されるケースが多く、事故を未然に防ぐための施策が必要と考えます。  さらに、軽自動車しか通れない踏切、狭い線路下のガードのために消防車や救急車が入れないといった指摘もあります。  この八月には、国土交通省が全国千八百カ所ある危険踏切の緊急改善の方針を固め、自治体が利用者の声を聞いて改良計画を作成し、事業者に協力を要請するとしており、県としても事業者や関係者に働きかけていくことが必要ではないかと考えます。県内の危険踏切などの状況把握はどうなっているのか、また、対応策はどうなっているのかについてお聞きします。  終わりに、二点要望いたします。  九月二十五日から広島県土砂の適正処理に関する条例が施行されました。この条例制定に当たり、藤田知事のスピーディーな対応に感謝を申し上げますとともに敬意を表するものであります。今後、条例を的確に運用し、県民が安心して暮らせるように、生活環境・自然環境の保全に向けて取り組んでいただきたいと思います。  また、知事の決断により、十月一日から乳幼児医療費公費負担制度が改正・実施されます。各自治体において、今後とも制度の安定的な運用が図られるよう、県から適切に助言していただくとともに、多様な子育てニーズに応じたきめ細かい支援策への取り組みについても、あわせて助言をお願いして私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 5: ◯副議長渡壁正徳君) 当局の答弁を求めます。知事藤田雄山君。         【知事藤田雄山君登壇】 6: ◯知事藤田雄山君) 東議員の御質問にお答えを申し上げます。  まず、義務教育費国庫負担制度についてお尋ねがございました。  義務教育の機会均等や教育水準の確保は国が責任を持って行い、その実施に当たっては、地方が責任を持ち、創意工夫して取り組むことが重要であります。こうしたことから、義務教育費国庫負担金については、国の責任のあり方や財源保障の具体策について十分な議論を行うべきであると考えております。  今後、国において三位一体改革の全体像が検討されることとなりますが、国民教育としての義務教育が損なわれることがないよう、そのあり方について十分な議論がなされるとともに、必要な財源が確実に措置されるよう、国に働きかけてまいりたいと考えております。  次に、男女共同参画社会の実現に向けた取り組みについてお尋ねがございました。  県におきましては、平成十五年二月に策定した男女共同参画基本計画に基づき、これまで働く場における環境の整備や子育て支援などの重点項目を初めとする各種施策を展開してまいりました。  具体的には、男女の均等な機会と待遇の確保に向けた女性労働者を対象とするキャリアアップのためのセミナーの開催、職業生活と家庭生活の両立に向けた子育て支援センターの設置などの保育サービスの充実、男女共同参画を推進するための人材養成講座の開設のほか、地域における男女共同参画推進体制の整備や意識啓発事業などを実施してまいりました。  こうした取り組みにより、平成十六年六月一日現在の状況は、県の審議会等委員への女性の登用率が、平成十七年度までの第一期の目標値二五%に対し二三・三%、市町村における男女共同参画計画の策定割合が、目標値五〇%に対し二九・二%となっているなど、基本計画に定めるそれぞれの施策の目標に向け、おおむね順調に推移しております。  今後とも、男女共同参画社会の実現に向けて、職場や家庭、地域での取り組みが一層推進されるよう、計画の着実な実施に努めるとともに、平成十八年度からの第二期推進期間における新たな目標の設定や事業の重点化などの検討に着手してまいりたいと考えております。  次に、被爆六十周年の取り組みについてお尋ねがございました。  原子爆弾投下から六十年目を来年に迎える今なお、国際世論や県民の願いに反し、核兵器の廃絶が達成されていない状況にあることは、まことに残念であります。このような中で、人類史上最初の原子爆弾の惨禍を経験した本県にとりまして、世界平和の実現に向けて果たす役割は非常に大きいものがあると考えております。このため、私は、核兵器廃絶に関する広島県宣言に立脚し、臨界前核実験に対しても厳重な抗議を行うなど、核兵器の廃絶と世界の恒久平和の実現をさまざまな機会を通じて国の内外に訴えてまいりました。  こうした取り組みに加え、今後は、ひろしま平和貢献構想に基づいて、紛争終結地域における復興支援や途上国の人材育成などの平和貢献活動を進め、国際社会の平和と安定の実現に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。また、来年開催されます核拡散防止条約再検討会議において合意事項の実現に向けた取り組みが推進され、核兵器廃絶が実現されるよう、平和を願う広島県民の心をメッセージとして伝えたいと考えております。  次に、緩和ケア支援センターについてお尋ねがございました。  県においては、がん患者とその御家族が、痛みや不安などの症状を和らげながら充実した日々を過ごせるよう、住みなれた地域で希望に応じた緩和ケアを受けることのできる体制づくりを目指しております。このため、県内の緩和ケア推進の中核的拠点として、質の高い診療や地域連携支援、専門研修などの事業を行う緩和ケア支援センターを整備いたしました。  センターでは、入院患者の受け入れを初め、それぞれの事業は順調にスタートしており、今後、地域における緩和ケアに関するさまざまな取り組みに対し、拠点施設として、専門的、技術的な観点から積極的に支援を行ってまいります。  一方、県内各保健医療圏においては、緩和ケア地域連絡協議会を活用し、主治医や訪問看護ステーション、在宅介護支援センター、中核病院などの医療・福祉関係者による緩和ケアのネットワークづくりが進められているところでございます。県といたしましては、こうした地域の取り組みを支援するとともに、緩和ケア支援センターの事業を着実に推進することによって、県全体としてがん患者とその御家族を支える体制の整備を進めてまいりたいと考えております。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁いたさせます。 7: ◯副議長渡壁正徳君) 環境生活部長吉村幸子君。         【環境生活部長吉村幸子君登壇】 8: ◯環境生活部長吉村幸子君) 男女共同参画社会の実現に向けた市町村への働きかけについてお答えいたします。  男女共同参画の推進のためには、県民に身近な市町村におきます取り組みが極めて重要であると考えております。このため、市町村における体制の整備や、男女共同参画計画の策定を働きかけるとともに、関連施策の推進につきまして、相談・助言を行うほか、担当課長会議を開催し、男女共同参画に関する施策について情報提供や意見交換などを行っているところです。  今後とも、さまざまな機会を通じて一層の連携を図り、市町村における主体的な取り組みが促進されるよう働きかけてまいります。 9: ◯副議長渡壁正徳君) 総務企画部長横田真二君。         【総務企画部長横田真二君登壇】 10: ◯総務企画部長横田真二君) カンボジアのひろしまハウスについてお答え申し上げます。  ひろしまハウスは、広島アジア競技大会を契機に、内戦終了後のカンボジアの一日も早い復興を願いまして、カンボジア支援と相互交流のための施設として、市民グループの発案でプノンペンに建設が進められてまいりました。  現在、建物は鉄筋コンクリートの骨格が完成し、現地を訪れた広島の市民グループや学生らの手をかりながら、少しずつ作業が進められておりますが、完成までにはさらに相当の建設資金が必要とされております。  こうした中で、本年七月にNGOや学識経験者、県等が参画をいたしまして、ひろしまハウス事業運営委員会が発足し、今後取り組むべき事業等について協議・検討がなされ、今年度はエイズ教育や識字教育などのソフト事業への取り組みが検討されたところでございます。  県といたしましては、今後、ひろしまハウス事業運営委員会や関係するNGO等と連携しながら、現在取り組んでおりますカンボジア復興支援事業を推進していく中で、どのような支援が可能か、検討してまいりたいと考えております。 11: ◯副議長渡壁正徳君) 農林水産部長中川日出男君。         【農林水産部長中川日出男君登壇】 12: ◯農林水産部長中川日出男君) 水源涵養税についてお答え申し上げます。  森林は、安全で豊かな県民生活を支える大切な役割を担っており、広く県民の理解と参加を得ながら森林づくりを推進することは重要な課題であると考えております。  しかしながら、森林の整備などを目的とした新税につきましては、その公益的機能の効用の及ぶ範囲が一つの都道府県域にとどまらず、広域的なものでありますことから、本来、全国レベルの制度として導入すべきと考えております。このため、現在、国において検討されております温暖化対策税の動向も踏まえながら、全国知事会や中国地方知事会を通じて、森林整備のための新たな財源確保について国に強く要望しているところでございます。
     また、それとは別に、県単独で新税を創設することにつきましては、全国レベルでの税制との関係の中で、目的、役割をどうするかなどの課題も多く、また、県民の負担増にもなりますことから、慎重に検討する必要があると考えております。 13: ◯副議長渡壁正徳君) 土木建築部長田原克尚君。         【土木建築部長田原克尚君登壇】 14: ◯土木建築部長田原克尚君) 地域課題の二点についてお答えいたします。  まず、関川ダム中止に伴う地域振興策につきましては、ダム建設の中止に伴います地域の皆様からの要望項目のうち、未着手事業といたしましては、親水公園の設置と乳母ガ堰の復活及び歩道の設置がございます。  親水公園につきましては、河川事業の中で、親水性護岸等を主体に整備することとしております。今年度中には、事業規模や実施箇所等の計画案を取りまとめ、地域の皆様に提示してまいりたいと考えております。また、関係者の合意が得られれば、概ね五カ年で整備したいと考えております。  また、乳母ガ堰につきましては、現在、発電管理者及び地元水利権者等において、利水機能の確保について調整が行われております。引き続き地元関係者の協力を得て、早期解決に向け、努力してまいります。  次に、県道東広島白木線につきましては、現在、未改良区間の二車線の整備を鋭意実施しているところでございます。歩道の設置につきましては、今後、歩行者の利用状況等を勘案しながら検討してまいります。引き続き地域の皆様からの要望項目につきましては、早期に完成が図られるよう努力してまいります。  次に、事故多発踏切の改善につきましては、国土交通省が、平成十七年度の概算要求に当たり、歩道が前後区間に比べて一メートル以上狭い踏切のうち、通学路に指定されている箇所、歩行者交通量が多い箇所、自動車と歩行者の交通が錯綜する箇所の千八百カ所を危険踏切として選定したところです。広島県内では、三十三カ所が選定されております。  この三十三カ所のうち、広島市域部を除く箇所は二十四カ所あり、国道・県道と交差する箇所が五カ所、市町村道と交差する箇所が十九カ所ございます。この二十四カ所につきましては、道路改築事業などにより、県道二カ所、市町村道一カ所について踏切の解消を図っているところです。今後も、鉄道事業者など関係機関との調整を図り、危険踏切の改善に向けて努力してまいります。 15: ◯副議長渡壁正徳君) 教育長関 靖直君。         【教育長関 靖直君登壇】 16: ◯教育長(関 靖直君) 八点についてお答え申し上げます。  まず、教員の遠距離通勤に伴う通勤手当支給総額の増大についてお答え申し上げます。  教員の人事につきましては、全県的な視野に立って適材を適所に配置し、人事の刷新を図るために、広域にわたる人事異動を推進してきたところです。  広域人事の推進については、平成十二年度の人事異動方針から明記しておりますが、当時は、是正指導の背景として、同一市町村または同一校における長期在職による学校組織のマンネリ化や教員の多様な経験の不足、また、主任制の形骸化など学校が組織として機能していないことなどの課題がありました。  これらの課題に対処するため、広域人事の推進、同一校在職期間の適正化、校種間交流や他県との交流などの人事交流の推進を積極的に図ってきたところです。この結果、県内全域にわたって是正指導の徹底が進むとともに、新たな地域で仕事に取り組むことによる教員の職能成長や、教員が学校に新しい風を吹き込むことによる学校の活性化などが図られてきています。  平成十七年度人事異動方針におきましても、広域人事の推進を明記しているところであり、今後とも、人事異動に際して、特定の教員に長期にわたる通勤上の負担をかけることのないよう配慮しつつ、適切な人事異動を行い、公教育の充実を図ってまいりたいと考えております。  次に、男女共同参画基本計画の学校現場の取り組みについてお答え申し上げます。  学校における男女共同参画に関する教育の充実につきましては、広島県男女共同参画基本計画を踏まえ、具体的には、学習指導要領等にのっとり、幼稚園においては相手を尊重する気持ちを持って行動できるようにすること、小中学校においては、社会科、道徳、特別活動等を中心に、児童生徒の発達段階に応じて男女相互の理解を深める等の指導を行っております。さらに高等学校におきましても、公民科等で男女共同参画社会の視点から男女の対等のあり方等について理解させるなどの指導を行っております。  今後とも、基本計画や学習指導要領等にのっとり、各学校で適切な指導を継続し、男女共同参画社会に関する子供たちの理解が深まるよう努めてまいりたいと考えております。  次に、定員内不合格の急増に対する認識についてお答え申し上げます。  本県の選抜制度では、一般入試に加え、推薦入試、二次募集など受検機会を複数化し、高等学校進学を希望する者に対して、その機会の拡大を図っているところでございます。  公立高等学校の入学者選抜は、教育委員会が定めた基本方針に沿って、各校長の判断と責任によって行われるべきものであり、また、合否の決定についても、各学校・学科の特色に応じ、学力検査や調査書等の判定資料に基づき、それぞれの高等学校における教育を受けるに足る能力・適性や進学意欲等を校長が総合的に判断して行うものでございます。  選抜において各高等学校長が総合的に判断した結果、定員内でも不合格はあり得るものであり、教育委員会が校長の判断を細部にわたって制約するようなことには、慎重であるべきと考えております。  今後とも、中学校では、基礎学力や学ぶ意欲、態度等を身につけさせるなど基礎・基本の定着を図るとともに、高等学校では多様な生徒に対応できる指導力の向上に努めてまいりたいと考えております。  次に、中途退学率についてお答え申し上げます。  本県の中途退学率については、平成八年度に前年度比〇・五ポイント増の二・三%となった後、上昇を続け、平成十二年度の三・二%をピークに、その後、減少傾向となり、平成十五年度は二・六%となっております。  中途退学率の増加の要因を特定することは困難でありますが、中途退学の原因には、学校不適応、別の学校へ入学を希望する、問題行動によるなどさまざまある中で、学業のおくれや学校生活への意欲が低いことなど学校への不適応とするものが約四割を占めています。また、中途退学者のうち、一年次でやめた者が半数を超えるという状況もあります。  本県の中途退学率が高いことは重要な課題であるため、平成十四年度以降、中途退学者が多い学校の中から生徒指導重点校を指定し、生徒指導体制の確立、学習の基礎・基本の充実及び保護者や関係機関との連携などについて取り組みました。その結果、この重点校では、指定前の平成十三年度と比較して、ここ二年では、中途退学者が三割ないし四割の減となるなど、大きな成果を上げております。  今後、これらの成果を踏まえて重点校の取り組みを全校に普及を図るとともに、義務教育では、基礎学力の定着、進路指導の充実などに、また、高等学校においては、多様な生徒に対応する特色ある学校づくり、学校選択の幅の拡大、教員の指導力の向上に努めてまいります。  次に、教職員の健康管理についてお答え申し上げます。  本県における教職員の休職者数は増加しており、県教育委員会としては、これまでも職員の健康管理に努めてきたところでございます。  厚生労働省によりますと、長時間労働や職場におけるストレスは、業種や事業場規模に関係なく、すべての事業場に共通する問題であり、すべての事業場において必要な対策を講ずることが求められるとの認識に立って、そうした対策を労働安全衛生法に織り込むべく、法改正を目指しているとのことであります。  県教育委員会としては、本年八月から、県立学校等を対象として、所属長が直接教職員に面談して健康状態を把握し、長期間にわたる疲労の蓄積があると思われるときは産業医等の保健指導を受けさせることなどを内容とする職員健康管理システムをスタートさせました。  また、市町村教育委員会においても、それぞれの実情に応じて、適切に対処していただくよう通知したところであります。  さらに、教職員のメンタルヘルスについては、本年四月から、教職員が、専門医療機関で面接相談が受けられるようにしたところでございます。  今後とも、法改正の動向に留意しながら、教職員の健康管理の徹底が図られるよう、あらゆる機会をとらえて指導を行ってまいります。  次に、法教育についてお答え申し上げます。  学校におきましては、将来の社会生活を営む上で必要とされる資質や能力等を育成する観点から、法や決まりの意義、司法の仕組みについて理解させ、それらをみずからの生活に生かすとともに、社会の一員として法や決まりに基づいて、よりよい社会の形成に主体的、積極的にかかわろうとする態度を育成するような指導を行うことが大切であります。このため、学習指導要領にのっとり、例えば、中学校の社会科及び高等学校の公民科で、日本国憲法の基本的原則、法の支配、権利・義務の関係、法に基づく公正な裁判の保障があること、裁判制度の概要など、法や司法に関して学習することとしております。  また、道徳の時間でも、約束や決まり、法を守ることの意義や大切さについて考えさせる指導をしております。  法教育については、現在、法務省の研究会において調査研究が進められているところであり、その動向を踏まえながら、指導のあり方について検討する必要があると考えております。  次に、平和学習についてお答え申し上げます。  平和教育は、日本国憲法の理念に基づく教育基本法に示されている教育の根本精神を基調として、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を目指して行われるものであります。  八月六日を登校日とすることについてのお尋ねでございますが、本県は、人類最初の被爆県であることから、学校においては、それぞれ適切な機会をとらえ、平和記念資料館の見学や被爆体験の聞き取りなど、被爆や戦争の実相に触れるさまざまな学習に取り組んでおります。今後とも、各学校が地域の実情に即しながら、実施時期や指導内容について適宜適切な工夫や取り組みを行っていくことが大切であると考えております。  次に、平和教材についてお答え申し上げます。  本県におきましては、これまで、平和記念資料館の見学などの体験的な学習の中で、原爆や戦争に関する遺構、展示物などの貴重な資料や、公的機関が作成した冊子やビデオなどの資料を活用して、被爆や戦争の実相に関する具体的な学習が既に進められているところでございます。  一方、県教育委員会といたしましては、例えば、昨年度に引き続き、本年度も、復興支援プロジェクトに係るカンボジア現地調査に参画するなど、ひろしま平和貢献構想に基づく国際協力の分野に取り組んでおりますので、今後もこうした取り組みに力を尽くしてまいりたいと考えております。  具体的には、現在、青年海外協力隊経験者を講師に迎え、国際貢献の意義を理解する学習や、国際交流員や留学生と交流することを通して他国の文化を理解しコミュニケーションを深める学習など、広い意味での平和学習が進められておりますので、このような県内のすぐれた取り組みを情報提供することなどを行ってまいりたいと考えております。 17: ◯東 保幸君 議長……。 18: ◯副議長渡壁正徳君) 再質問を許します。東 保幸君。 19: ◯東 保幸君 一点再質問をいたします。  冒頭の質問ですけれども、遠距離通勤に伴う通勤手当支給総額の増大につきましては、二月の予算特別委員会でも同趣旨の質問をいたしております。当然のことながら、同じような答弁でございました。  前回は、「広域の人事異動によって、新たな地域で気持ちを新たに仕事に取り組み、職能成長を遂げているという事例もよく耳にいたしますし」という答弁だったのが、今回は、効果を上げているといったような答弁だったように思うわけです。しかし、大変財政状況が厳しい中で、国同様、県におきましても行財政のスリム化が今どんどん進められているわけでございます。そうした中で、まさにこういったところで通勤手当の支給総額がどんどん伸びていっている、このことに対して、どうしても今の答弁では納得ができない。九月二十五日の新聞には、「通話料入札でコスト減」、大変大きな見出しです。その削減の内容は、幾らコストが減ったかと言えば三百八十万円です。皆大変厳しい状況の中で財政を運営しておられるわけです。  そうした中、通勤手当の総支給額においてのみどんどんふえている。そういった財政とのかかわりで教育長はどのようにお考えか、答弁をお願いいたします。 20: ◯副議長渡壁正徳君) 当局の答弁を求めます。教育長関 靖直君。         【教育長関 靖直君登壇】 21: ◯教育長(関 靖直君) 広域人事の具体的な効果、そして財政との関係についての御質問がございました。  学校は、教育を受ける機会を確保し、一定水準の教育を保障するという公教育の特質上、中山間地域及び島しょ部も含め、県内全域にわたり設置をされております。このことから、職員の資質向上と学校組織の活性化を図るためには、広域にわたる人事異動が必要でございます。  特に本県教育においては、是正指導を受けるに至った背景・課題を解消するためにも、広域人事を積極的に推進してきたところであります。  この結果、県内全域にわたって是正指導の徹底が進むとともに、県全域にわたり教員の意識改革や職能成長、学校組織の活性化が進み、例えば、研究公開を実施する学校は、小中学校においては、平成十一年度百七十八校であったものが、平成十五年度には七百十三校と増加をし、また、希望をして教育センターの研修を受講する教職員の全教職員に対する割合は、平成十一年度に四〇・一%であったものが、平成十五年度には一三二・三%と大幅に増加をしております。また、習熟度別指導の実施校も平成十二年度に百四十五校であったものが、平成十五年度には四百九十九校と三・四倍となっております。  このような例に見られるように、広域人事の推進は県全体の教育の活性化や充実につながっていると考えておりまして、今後ともこの広域人事を積極的に推進することによりまして、本県の新たな「教育県ひろしま」の創造に向けて努力することが大切であると考えております。 22: ◯副議長渡壁正徳君) この際、暫時休憩いたします。午後の会議は二時から開きます。         午前十一時三十六分休憩              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         午後二時一分開議 23: ◯議長(新田篤実君) 出席議員六十三名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続いて質問を行います。吉井清介君。         【吉井清介君登壇】 24: ◯吉井清介君 皆さん、こんにちは。自由民主党広島県議会議員会の吉井清介でございます。今次定例会におきまして質問の機会を与えていただき、まことに光栄であり、議長を初め、先輩、同僚議員各位に心より感謝を申し上げます。  質問に入ります前に、さきの台風災害により犠牲となられました方々に対しまして、心から哀悼の意を表しますとともに、被災されました皆様に心からお見舞いを申し上げます。県政に携わる者の一人といたしまして、一日も早い復旧と災害に強い県土づくりに向け、微力ながら全力を尽くしてまいりたいと決意を新たにいたしております。  さて、長期にわたって低迷を続けておりました本県経済も、昨年後半あたりからようやく回復へ向けた脈動が感じられるようになり、景気に少しずつ力強さが戻ってきておりますが、こうした明るい兆しの中にあっても、県民の皆様の不安感や閉塞感をぬぐい去ることができないもどかしさを感じております。  申し上げるまでもなく、県政を取り巻く環境は、かつてない困難な状況に直面しております。本県の財政は巨額の財源不足を抱え、破綻の危機に瀕しており、早急に財政健全化に向けた処方せんをまとめなければなりません。  こうした中にあって、国と地方をめぐる税財政改革、いわゆる三位一体改革の全体像が目下検討されておりますが、この改革が県民生活に犠牲を強い、地方の切り捨てにつながるのではないかと多くの方々が疑問と懸念を持っておられることと思います。  市町村合併についても、期待よりも不安の声が聞こえてまいります。市町村合併は、地域に暮らす人々にとって、合併それ自体が目的でもゴールでもなく、まさにスタートであることは改めて申し上げるまでもありません。基礎自治体としての市や町と県の役割分担を明らかにしながら、合併後の市や町の将来像が実感できるまちづくりが進められなければなりません。さらに、市町村合併の延長線には、都道府県合併や道州制といった都道府県再編も待ち構えており、県民に明確な方向を示す時期にもあります。  こうした県民の疑問などに素早く反応し、県民生活の将来像を明らかにしながら、それを着実に実現していくことが、今日、県政にかかわるすべての者に課せられた共通の責務であります。しかしながら、ここ当分の間、県議会が県民の期待にこたえ、十分に機能を発揮する状況にはなかったことを県議会議員の一員として遺憾に感じております。本格的な分権時代を迎え、二元代表制のもとで、執行部と県議会がそれぞれの役割と責任を果たしながら、ともにこの難局を乗り切っていかなければなりません。  私は、こうした基本認識を持って、今後の県民生活の行く末を大きく左右する諸課題について質問いたしますので、何とぞ、知事を初め、執行部の皆様方の誠意ある答弁を期待するものであります。  それでは、質問に入ります。  質問の第一は、義務教育費国庫負担制度についてであります。  御承知のとおり、さきの全国知事会において、国庫補助負担金等に関する改革案が取りまとめられ、国に提出されました。これは、国と地方の行財政のあり方を見直す三位一体改革の中で、地方の側から三兆二千億円の国庫補助金削減案を国に提案し、国から地方への応分の税源移譲を求めるものです。この改革案の取りまとめに当たって最大の争点となったのが、公立小中学校の教職員給与費の半額を国が負担する義務教育費国庫負担制度を、第一期の補助金の削減対象に加えるかどうかということであります。広島県知事を初めとする七人の知事が、この改革案に反対を表明されました。藤田知事が、義務教育制度の根幹を維持するための税財源措置は、国の責務として確保すべきであり、平成十六年度において国と地方の信頼関係を損なわせるような大幅削減が行われた地方交付税による財源保障は、現段階では確実に担保される財源とは考えられないと主張されたことについて、私も共感を覚える次第であります。  しかしながら、結果は、賛成多数で中学校教職員給与費相当分など八千五百億円を削減対象に盛り込むことで決着をいたしました。この知事会の決定に至る過程で、三兆二千億円という補助金の削減規模が優先され、我が国の将来を見据えた人づくりという最も重要な観点の論議が尽くされなかったことは、極めて残念であります。  今、時代は、国主導による統一的で、画一的なサービスを提供する集権から、多様な地域事情や住民要望に的確に対応できる分権へと大きく転換しようとしております。しかし、たとえ地方分権が徹底したとしても、国が果たすべき役割があることを忘れてはなりません。財源の担保がないまま、このたびの改革案が実施されるならば、自治体ごとに教育の質や水準に差異が生じる懸念が強く、果たして、将来の我が国を支え、牽引していく人材を輩出していけるのか、極めて不安であります。  御承知のとおり、本県の公教育は、平成十年、当時の文部省から十三項目にもわたる是正指導を受け、本格的な教育改革に乗り出しました。その後、改めて申し上げるのも悲痛の極みでありますが、私の地元尾道市の教育現場で、改革の先頭に立ち、粉骨砕身取り組まれていた校長、教育次長が相次いでお亡くなりになる不幸な事件が起こったことは、私にとりましてもいまだに悔やんでも悔やみ切れないこととして残っているのであります。こうした決して忘れてはならないとうとい犠牲と教育関係者の懸命の努力によって、本県の教育改革は、現在、真の再生・復活に向けて徐々に実効を上げてきておりますが、義務教育費国庫負担金の削減が、その改革の芽を摘み取ってしまうことになりはしないか、憂慮しております。  このたびの義務教育費国庫負担金の削減問題について、今後、国に対し、どのような働きかけをなさるお考えであるのか、また、国の方針決定のいかんにかかわらず、本県の教育改革を一層推進される決意を持っておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、分権改革についてであります。  先般公表された県の今後の財政収支見通しによりますと、二つのケースに分けて試算が行われております。  地方交付税の影響が比較的少ない想定のケース一で、平成十七年度以降、四百五十億から六百六十億円程度の財源不足額、また、地方交付税の影響が大きいケース二では、五百五十億から九百十億円程度の財源不足額がそれぞれ生じる見込みとなっております。いずれのケースも、財源不足額は巨額に上り、県財政はまさに正念場を迎えております。こうした危機的事態を打開するためには、これまで以上に行財政改革の推進が求められます。  我が国の景気は回復していると言われますが、業種や地域によってはまだ十分な景気回復に至っていないと感じております。また、最近のガソリン価格の高騰に見られるように、今後の原油価格の上昇など、不安定な国際情勢のもと、景気回復は予断を許さないところであります。  こうした先行きが極めて不透明なときだけに、県政に携わる者に求められることは、前例や過去の経験にとらわれるのではなく、時代感覚を研ぎ澄まし、地域の声を的確にとらえた施策を機敏に展開することであります。  市町村合併が進んでいる本県にあっては、これから来年春に向け、新しい枠組みの市や町が誕生します。多くの方々の語り尽くせない努力が合併という実を結ぶわけですが、地域の人々にはまだまだ不安があろうと思います。私は、県職員の皆さんが積極的に地域に出向いて、そうした不安などに謙虚に耳を傾けていただくことを改めてお願いしたいと思っております。こうした思いを込めて質問に入らせていただきます。  第一は、市町村への権限移譲についてであります。  現在、具体的な市町村合併後の基礎自治体の姿を前提とした分権改革に向けて、分権システム推進計画の策定作業が行われております。その一つとして、保健・福祉、土地利用など、主に地域事務所が担当している業務を中心に、市町に対し、権限移譲が検討されております。市町村合併により新しい市や町が生まれます。私は、県以上に地元基礎自治体の方が地域の実情に詳しく、きめ細かい動きが期待できることから、権限移譲は住民にとっても望ましいことであると考えているところであります。  ただ、気がかりなことは、県から基礎自治体に対し、権限移譲にふさわしい財源移転が保障されるのかということであります。市や町に十分な財源の保障がなされないまま権限移譲が行われ、市や町の負担ばかりが増加するようなことがあってはなりません。また、担当者が県職員から市や町の職員にかわっても、窓口での十分な説明ができるなど、県民が不自由を感じることなく、移譲事務が円滑に実施されるようにするため、県から専門職員が派遣されるなど、アフターケアが行われるとともに、中長期の視点に立ち、分権型行政システムを担う人材育成に取り組んでいくことも重要であると思うのであります。  福山市のように、中核市に昇格する際に県からの権限移譲を受け、今また、さらなる権限移譲を受ける場合と、幾つかの町が合併した新たな市とでは、権限移譲を受ける基礎自治体側の体制はおのずと異なります。権限移譲の受け手側の市や町の状況を考慮しながら、慎重に権限移譲が進められなければならないと思うのであります。  こうした観点から、権限移譲についてのこれまでの取り組みの状況と、今後の県の方針についてお伺いいたします。  第二は、国から県への事務と権限の移譲についてであります。  地域の最前線で約三十の基礎自治体がその機動力を発揮しながら住民に接し、県は、広域的、先導的、補完的な観点から、これら基礎自治体の相談役に回ることになるでしょう。そのとき、国、とりわけ国の地方機関が担っている事務や権限の相当部分が県に移譲されることにより、住民福祉のさらなる向上が期待されます。  国の機関に国道事務所や河川事務所というのがあります。幾つかの府県に関係する国道二号や五十四号などについては重要な国道ということで国が管理していますが、このうち、国道二号で言えば、松永バイパスや尾道バイパスの開通に伴い、旧道となった区間は県が管理しています。県道はもとより、いわゆる三けた国道は県の管理となっていますし、国道よりも立派な県道を整備しているところも見られます。こうした事例について考えてみると、どうして国と県が同じような業務を行わなければならないのでしょうか。車を運転するドライバーから見れば、国道や県道であろうが、はたまた農林道であってもスムーズに通行できれば、それにこしたことはないのです。道路法や河川法で管理者が規定されているからという説明では、素人には理解できません。役人の常識は、国民にとっては非常識と言われますが、結局、国や県の役人が自分たちだけに納得のできる理屈で、都合のいいようにすみ分けをしているとしか思われません。県には、広島県内の国道や河川を管理できるだけの能力も実力もあると思いますし、何よりも県民にわかりやすく、道路や河川に関する情報を提供することが肝要であります。  このような国と県の二重行政とも言える実例に触れるにつけ、市町村への権限移譲と同様の論理でもって国の権限の移譲を積極的に求めていかなければならないと考える次第であります。国の事務や権限について、分権改革システム推進計画の検討の中でどのように議論され、具体化されようとしているのか、お伺いいたします。  次に、道州制並びに州都広島の実現に向けた戦略についてであります。
     現在、県内各地域で市町村合併が積極的に推進されているところですが、住民に身近な問題であるだけに、住民説明会や住民投票など、活発な議論が展開されております。同様に、道州制についても第二十八次地方制度調査会において議論が始められたところであります。  先月には、広島県分権改革推進審議会から、早期に道州制に移行すべきこと、そして、その区域は中国州が適当であることなどが知事に中間報告が行われたところであります。また、岡山県は中四国州を提言されております。  今後、各方面で活発な議論が展開されるものと思いますが、このように重要視されている道州制の問題も、住民の間ではどうしても市町村合併に関心が集まり、議論を期待するどころか、理解さえ薄いのではないかと感じられます。  もっとも、道州制以前に、平素からの県の役割についても、県民に広く認識されているとは言いがたく、今後、住民意識を反映させていくために、市町村合併と同様に、道州制についてもまずは住民説明に積極的に取り組んでいかなければならないと考えるところであります。  一方、今後は道州制の検討が進むにつれて、地域間競争は一層激しくなることが予想され、州都を目指すべき広島市にはこれまで以上に中枢性を確保することが求められます。しかし、さきに中国地方総合研究センターが発表した中国地域経済白書二〇〇四によりますと、全国の主要都市との比較の中で、情報・通信や教育・学習など都市型産業の従業者数の減少幅は広島市が最大であります。長期にわたる不況による製造業の不振、人材不足、東京への一極集中などに加えて、空港や高速道路からの市内へのアクセスや、魅力ある高次都市機能などインフラ整備のおくれも影響しているものと思われます。今こそ、県と広島市が一体となり、さらには経済界や周辺自治体をも巻き込んで、広島高速道路や広島大学本部跡地など、当面する重要課題に取り組むとともに、広島都市圏の将来像を描いていかなければ、州都はおろか、都市の中枢性すら低下しかねないのではないでしょうか。  県と広島市が道州制と州都広島の実現という共通の目標を明確に掲げ、その上で、広島都市圏の高速交通基盤や国際交流基盤の整備など高次都市機能を確保していかなければならないのではないでしょうか。  道州制並びに州都広島市の実現に向けた調査研究を行うなど、広島市との連携した推進体制の構築について知事の御所見をお伺いいたします。  次に、乳幼児医療の公費負担についてであります。  厚生労働省がまとめた医療費の動向調査によりますと、平成十五年度に自己負担を含めた医療保険と、公費で支払われた医療費は三十兆八千億円で、前年比に比べ二・一%増加し、過去最高となっております。サラリーマン本人の自己負担の割合が三割に引き上げられたことに伴い、サラリーマンの医療費は五・二%減少したものの、高齢者の医療費は前年よりも四・七%ふえ、十二兆円を突破いたしました。  このように、ふえ続ける医療費を含め、年金、介護など社会保障の一体改革は焦眉の急であります。改革の一端として、受益と負担の関係を明確にし、国民に応分の負担を求めるなど、医療費抑制への意識を高めることは当然のことであると考えるのであります。  そうした中、就学前児童の医療費は、子育て世帯の消費支出の中でも高い割合を占めていることに加え、受診の際に仕事を休まなければならないことなど、保護者の精神的、金銭的な負担が少子化の一因にもなっていると言われております。  このようなことも考慮し、少子化対策の柱として医療費助成制度が実施されておりますが、このたび、制度の見直しが行われ、本年十月一日から対象者の年齢が引き上げられるとともに、一部負担金が導入されます。しかし、公費負担に対する県内市町村の対応がまちまちで、一日五百円の自己負担を制度化する市町村がある一方で、約二割の市町村が自己負担を導入しないと聞いております。市町村の財政力の違いなどから、保護者の負担に格差が生じることは理解いたしますが、自己負担を導入しない市や町に住んでいる乳幼児が、一日五百円の自己負担金を徴収する市の医療機関で受診をした際、窓口で誤って負担金を徴収されるといった事態や、逆に一部負担金を支払わなければならないはずの保護者が、自己負担を導入しない市町村にある医療機関で診察を受けた際、窓口で支払いを免れるといった事態も想定されます。  このように、市町村によって取り扱いが異なることにより、医療機関などで混乱が生じたり、保護者に不公平感を抱かせるようなことがあってはならないと考えますが、現在、県としてこのことについてどのように取り組まれているのか、お伺いいたします。また、将来的には乳幼児医療費の公費負担に係る格差は是正されるべきであると考えますが、県としての見解をあわせてお伺いいたします。  次に、しまなみ海道沿線活性化についてであります。  地域に活性化をもたらす夢のかけ橋として沿線の三十万人を超える人々が大きな期待を寄せ、待ちわびる中、平成十一年五月一日にしまなみ海道が開通いたしました。穏やかな瀬戸内海の多島美と我が国の技術の粋を集めた十の橋が織りなす景色は壮観で、郷土の誇るべき財産であります。本州と四国を結ぶ物流を初め、沿線の人々の通院や通学など、生活橋としてその大役を担うとともに、観光振興の大きな切り札として多大な期待を背負っております。  開通した平成十一年の広島、愛媛両県の関係十一市町村の入込観光客数は千五百十六万人を数え、前年の二・五倍に上り、まさに私たちの期待にたがわぬ開通効果を発揮したところであります。  その後、ブームが沈静化したこの三年間における年間平均入込観光客数は七百五十七万人で、開通前の一・二倍を維持しております。これもひとえに官民挙げての熱意あふれる取り組みの成果であり、関係各位の努力のたまものであると敬意を表する次第であります。  中でも特筆すべきことは、広島、愛媛両県の沿線の二十一市町村が加入する瀬戸内しまなみ海道周辺地域振興協議会の前身の西瀬戸自動車道周辺地域振興協議会が、早くから開通を見据えてガイドマップの作成やシンポジウムの開催などに取り組んできたことや、現在、千七百人余りの受講生が集う瀬戸内しまなみ大学の運営などに対し、精力的に取り組んでいることであります。  これらは、地域のさまざまな人々や各種の団体が、それぞれの地域が持つ人材、食材、文化財など、地域が誇る財産を有効に生かし、県内はもとより、遠く海外の人々をこの地域にいざなう魅力、いわゆる地域力を発揮している絶好の事例と言えるのではないでしょうか。  一方、こうした地域づくりを行政が支援していくことで、県政中期ビジョン「ひろしま夢未来宣言」にうたわれる、魅力にあふれ、内外の人々や企業から選ばれる元気な広島県になっていくと私は信じております。  そこで、この地域力をさらに高めるために、県としてどのようにかかわっていくのかという視点からお伺いをいたします。  まず、その第一点は、観光面での展開についてであります。  平成十四年に我が国から海外に出かけた旅行者は千六百五十二万人に上り、海外から我が国に訪れた旅行者はその三分の一に満たない五百二十四万人と、完全な観光客輸出大国となっております。  観光は、交通、宿泊、外食などサービス関連産業などすそ野が広く、経済効果も多大で、雇用の創出や産業構造の転換を促すことが期待されており、県もこうした効果に注目し、本年度から「ええじゃん広島県」をキャッチフレーズに全国規模の大型観光キャンペーンが展開されております。海外からの旅行客を含め、多くの観光客を呼び込むためには、瀬戸内海周辺の自治体や観光業界が相互に力を合わせて内外にPRしていかなければならないと考えております。しまなみ海道を含め、瀬戸内海をセールスポイントにした観光面での具体的な取り組みについてお伺いをいたします。  第二点は、全線開通記念イベントについてであります。  御存じのとおり、来年度、平成十七年度中には、広島県の生口島と愛媛県の大島の島内道路が完成し、瀬戸内しまなみ海道が全線開通いたします。先般の広島、愛媛両県知事の会談におきましても、しまなみ海道の全線開通記念イベントの実施が話題になったと伝えられております。橋が開通した平成十一年に実施された「しまなみ海道99」というしまなみ地域のイベントが記憶に新しいところですが、これを起爆剤として、現在でも年間七百万人を超える観光客を集めるなど、全国的にも高い注目を集め、しまなみ海道の名称を全国ブランドにまで押し上げることに成功いたしました。  今再び、しまなみ地域は全国の注目を集めることのできる千載一遇の好機を迎えようとしております。市町村合併が進み、地域の姿が大きく変貌しようとしているとき、合併した地域に暮らす人々が、これから自分たちの愛する地域をつくっていこうと心を一つにして取り組んでいくことを願うのは私だけではないと思います。このような地域の人々の願いがかなうよう、広島、愛媛両県知事の会談におけるしまなみ海道の全線開通記念イベントについて、広島県では今後どのように取り組んでいかれようとしているのか、お伺いいたします。  最後に、一言申し上げます。  平成十二年に地方分権一括法が施行されたとき、中央集権型システムを変えることは権限と財源と人にかかわる極めて困難な課題であり、明治維新、戦後改革に匹敵する大きな改革になると指摘されてきました。事実、今日まで、国・地方を通じてさまざまな議論と取り組みが行われてきましたが、地方自治体を取り巻く環境はむしろ厳しさを増しており、また、多くの不確実な要因を抱え、今後の方向すら定かではないと思うのであります。県政のかじ取りはまさに正念場を迎えていると言っても過言ではありません。  これまで、藤田知事は、県政運営の基本方針として選択と集中を掲げてこられました。しかし、この困難な正念場にあって、今、県民の皆さんが藤田知事に求めているのは決断と実行であると私は考えるのであります。豊かで活力ある広島県を築くために、県政の進むべき方向を示し、決断力と実行力で山積する課題に取り組んでいただくことを期待いたしまして、私の質問を終わります。  御清聴、まことにありがとうございました。(拍手) 25: ◯議長(新田篤実君) 当局の答弁を求めます。知事藤田雄山君。         【知事藤田雄山君登壇】 26: ◯知事藤田雄山君) 吉井議員の御質問にお答えを申し上げます。  まず、義務教育費国庫負担制度と本県の教育改革についてお尋ねがございました。  まず、義務教育費国庫負担制度につきましては、今後、国において三位一体改革の全体像が検討されることとなりますが、国民教育としての義務教育が損なわれることがないよう、そのあり方について十分な議論がなされるとともに、必要な財源が確実に措置されるよう、国に働きかけてまいります。  一方、本県の教育改革につきましては、平成十年の文部省是正指導以降、信頼される公教育の確立に向けて取り組んできたところであり、県民の負託にこたえることができる公教育の基盤が整ったと受けとめております。  今後、さらに教員一人一人の資質・指導力の向上と、学校がそれぞれに抱える教育課題を主体的に解決していくための学校経営体制の充実が必要であると考えております。  県民の信頼と期待にこたえる教育を推進するため、教育改革の方向をより確かなものとして進めるよう、引き続き教育委員会の取り組みを支援してまいりたいと考えております。  次に、市町村への権限移譲についてのお尋ねがございました。  真に地方分権改革を推進していくためには、住民に身近な基礎自治体が地域の実情や住民ニーズに沿った行政を自主的、総合的に実施できるよう、基礎自治体に対して県から大幅な事務・権限の移譲を行っていくことが必要でございます。このため、昨年十月に取りまとめた事務事業の見直し及び行財政改革に係る基本方針及び本年三月の分権システム推進計画の骨格に基づき、まちづくりや保健・福祉など住民に身近な行政について、できる限り事務・権限を移譲する方針で検討を進め、基礎自治体の御意見もお聞きした上で、このたび具体的な移譲項目の取りまとめを行ったところでございます。  今後は、透明性の高い移譲事務交付金の制度の創設など、適切な財源措置、専門職員の派遣、基礎自治体の職員の研修などの人的支援、事務分野ごとの移譲時期の設定などといった課題を整理し、現在策定作業を進めております分権システム推進計画にこれらの方策を盛り込んでまいります。  また、計画策定後は、移譲先の基礎自治体の状況に応じて、個別に移譲スケジュール等を含む移譲の具体化プログラムを策定することとしており、基礎自治体と協議しながら、計画的かつ円滑な移譲に努めてまいりたいと考えております。  次に、国から県への権限移譲についてのお尋ねがございました。  昨年七月に設置いたしました広島県分権改革推進審議会等における議論を通じて、国、県、市町村の役割分担のあり方について検討を進めており、昨年十月に取りまとめた基本方針においても、県内で完結する国道や一級河川の管理などを県において実施することが適当な事務として具体的に明示したところでございます。  こうした項目につきましては、既に本年春の国に対する主要事業提案において、国から県への移譲項目として盛り込んだところであり、引き続き権限移譲について全国知事会等とも連携して国に働きかけてまいります。  また、将来道州制が導入されますと、国は国家の存立にかかわる事務並びに全国的規模や視点に立って行わなければならない事務に重点化し、道州は国の地方支分部局から大幅な権限の移譲・移管を受けて、県を超える広域的な社会資本整備や交通・運輸、産業・雇用、環境問題など、地方における行政のほとんどを担うべきであると考えております。  本年秋に策定する分権システム推進計画におきましては、こうした考え方を踏まえ、道州制における国と道州の役割分担を明らかにするとともに、早期に道州制が実現できるよう、積極的に取り組みを進めてまいりたいと考えております。  次に、道州制・州都広島市の実現に向けた推進体制の構築についてのお尋ねがございました。  広島県分権改革推進審議会の中間報告において、州都にふさわしい都市あるいは都市圏の要件としては、国の地方支分部局などの行政機能や企業の集積があること、人、もの、情報の交流を促進するための空港・港湾などの国際的な交流基盤が整備されていること、ブロック内外の各都市を結ぶ高速交通ネットワークが整備されていること、高等教育機関や文化・スポーツ施設、大規模商業施設等の高次都市機能が集積していることが掲げられております。  本県は、中国地方各県の中ではこれらの中枢拠点機能が最も集積しておりますが、来るべき道州制の時代に本県が中心的役割を担っていくためには、産業集積や高次都市機能の充実、空港・港湾や高速交通ネットワークなど、交流基盤の整備などにさらに一層積極的に取り組んでいく必要があると考えております。  こうした中、広島都市圏における都市機能の充実強化は、本県、ひいては中国地方全体の発展に不可欠であることから、広島市の積極的な取り組みが何より期待されるところでございます。県といたしましても、広島市と連携して、指定都市高速道路や広島港などの交通基盤並びに高次都市機能を着実に整備していく必要があると認識いたしております。  来るべき道州制に向けて、内外の人々や企業から選ばれ、さらには周りの自治体からも選ばれる魅力のある広島の実現を目指し、今後ともより一層、広島市を初めとする広島中枢都市圏内の各自治体や経済団体などとの連携を強め、協力体制の構築に努めてまいりたいと考えております。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁いたさせます。 27: ◯議長(新田篤実君) 福祉保健部長新木一弘君。         【福祉保健部長新木一弘君登壇】 28: ◯福祉保健部長(新木一弘君) 乳幼児医療費の公費負担についてお答え申し上げます。  今回の乳幼児医療公費負担制度の改正においては、一部の市町村で県の見直し内容と異なる対応となったことから、実施に当たって、医療機関の窓口等で混乱が生じないよう、改正内容の十分な周知に努めているところです。  まず、県民に対しましては、この制度の実施主体である市町村からは、新たな受給者証の発行や広報誌等によって周知が図られておりますが、県においても、県民だよりやホームページ等を活用した広報や医療機関掲示用のポスターの配布などを行ってまいりました。  また、医療機関等に対しましては、的確に窓口事務を行っていただくため、各市町村の改正状況について早期に連絡するとともに、研修会や医師会報を通じて、事務処理の詳細について周知を図るなど、鋭意、情報提供に努めてまいりました。  さらに、十月一日からの開始に当たっては、医療機関からの問い合わせ等に対応するため、臨時的な体制をしくなど、円滑な実施に向け、万全を期す所存であります。  また、この制度を今後とも安定的で持続可能な制度として運営していくためには、一部負担の導入はぜひとも必要であると認識しており、今回、県と異なる対応となった市町村に対しては、今後とも引き続き、県の見直しの趣旨に沿った取り組みをされるよう強く要請してまいります。 29: ◯議長(新田篤実君) 商工労働部長藤井秀幸君。         【商工労働部長藤井秀幸君登壇】 30: ◯商工労働部長(藤井秀幸君) しまなみ海道沿線の活性化に関連し、観光面での取り組みについてお答え申し上げます。  瀬戸内海地域は、世界に誇れる多島美や二つの世界文化遺産、さらには現代技術の粋を集めたしまなみ海道を有するなど、国内有数の多彩な観光資源に恵まれております。  この観光資源の活用に当たっては、観光客のニーズに合わせて観光資源の魅力づけを行うとともに、それらをルート化することが重要であると考えております。このため、地域の観光の拠点づくりへの支援や瀬戸内の島々をめぐるせとうちおさんぽクルーズの設定など、官民を挙げた広域観光ルートの形成に取り組んでいるところでございます。  また、PRについては、関係県などと連携して、実際の観光客の誘致に効果のある旅行会社やマスコミの視察、取材を積極的に受け入れてきております。特にインバウンドへの対応として、本年度は、アジアや欧米の十一カ国・地域から、十四回にわたり、延べ約二百人の旅行関係者等を招き、海外旅行客の誘致や知名度の向上に努めているところでございます。  さらに、大型観光キャンペーンにおいては、本年十一月に全国の約四百名の旅行関係者による全国宣伝販売促進会議を開催し、しまなみ海道を含む瀬戸内海の視察等を行い、旅行商品の開発を強く働きかけてまいります。今後とも、国内外へ積極的に情報発信するとともに、広域的な観光ルートの開発を通して、入込観光客の増加を図ってまいります。 31: ◯議長(新田篤実君) 地域振興部長玉川博幸君。         【地域振興部長玉川博幸君登壇】 32: ◯地域振興部長(玉川博幸君) しまなみ海道全線開通記念イベントについてお答えいたします。  しまなみ海道沿線地域の活性化につきましては、沿線自治体で構成されました瀬戸内しまなみ海道周辺地域振興協議会が中心となりまして、瀬戸内しまなみ大学やレンタサイクルの運営など、さまざまな活性化事業に取り組んでおられます。  この周辺地域が今後とも地域の活力を高めていきますためには、観光振興などによります交流をさらに促進する必要があり、全線開通する来年度は、しまなみ海道の魅力を再発信する絶好の機会であると考えております。  現在、海道周辺地域振興協議会を中心に、「新たな発見しまなみ海道」をテーマとして、全線開通を祝いますとともに、広く情報発信をするための記念イベントの実施が検討されております。本県といたしましては、愛媛県と連携しながら、全線開通の記念イベントが成功し、全国に大きくアピールできるよう、積極的に支援、協力を行ってまいります。 33: ◯議長(新田篤実君) 引き続いて質問を行います。山崎正博君。         【山崎正博君登壇】 34: ◯山崎正博君 私は、自由民主党広島県議会刷新議員会の山崎正博でございます。このたび、質問の機会を与えていただき、感謝申し上げ、喜んで、進んでお受けいたします。  地方分権の流れの中で、広島県においても市町村の再編が進み、今後、道州制を視野に入れた広島県のあり方を考えていく時期に来ております。このような中で、広島県では、平成十二年十一月に、二十一世紀初頭の元気な広島県の実現に向けて、県政中期ビジョン「ひろしま夢未来宣言」を出されており、また、その総仕上げとなる第四期実施計画を本年三月に策定され、計画期間である本年度と来年度にかけて集中的に実施すべき重点施策を挙げられております。  この実施計画の冒頭で、知事は、元気な広島県とは、安心できる環境のもとで県民の皆様や企業が気力に満ちあふれ、生き生きと活動し、住んでよかったと心から実感できる広島県と言われており、今こそ元気な広島県の実現に向けた施策を積極的に展開していくべきであると考えます。  そこで、その実現に向けた取り組みを中心に質問させていただきたいと思いますので、知事を初め当局には、県民が安心して暮らせる御答弁をお願いします。  質問の第一は、総合的防犯対策などについてであります。  最近耳にするのは、痛ましい子供の殺害、お年寄りをねらう巧妙な詐欺、とどまることがない交通事故などの悲劇であり、治安情勢はますます厳しさを増し、住民の不安は増大しています。住民の安心と安全を守ることは、元気な広島県を目指すに当たり、最も大きな課題であると考えます。  こうした観点から、総合的防犯対策などについて四点ほどお伺いします。  一点目は、「減らそう犯罪」県民総ぐるみ運動についてであります。  本県では、県内の犯罪発生件数が、平成七年の約四万件から、平成十三年には約六万件まで増加したため、その対応策として、県民、学校、行政、警察などが強く連携して、全国に先駆けて平成十四年度から「減らそう犯罪」県民総ぐるみ運動を進められています。  この運動は、地域が中心となった防犯意識や犯罪の起こりにくい環境の形成と、犯人検挙を向上させ、治安を守るための警察力の充実という二つの柱によって総合的に進める取り組みであり、高く評価しております。  しかしながら、犯罪は常に変化しており、最近は、車をねらう犯罪が急増し、おれおれ詐欺などの新たな犯罪も増加しています。このような犯罪を阻止するために、新たな犯罪に対する対応も含め、「減らそう犯罪」運動の検証を絶えず行い、さらなる運動の展開が必要だと思います。  つきましては、この県民運動の達成状況と、今後の目標及び対応方針について、広島県「減らそう犯罪」推進会議の会長である知事にお伺いします。  二点目は、急増する知能犯の対策についてであります。  県内で発生したおれおれ詐欺のことしの被害は、八月までに三百八十九件、約一億六千万円であり、架空請求による詐欺の被害は同じく二百八十八件、約二億五千万円に上ります。全国の被害も七十五億円を超え、住民は、これらの新たな知能犯によって大変大きな損害と打撃を受けています。  新聞報道にもありますように、おれおれ詐欺の最近の典型的な手口は、警察官を名乗る男が突然電話をかけてきて、「御主人が交通事故を起こした。相手の車に乗っていた妊婦が病院に運ばれている。」、夫役の男が泣きじゃくる横で、もう一人の男が、「警察も示談でというので応じます。」と現金を要求するといったものであり、肉親の交通事故を装い、身内を思う心につけ込んで、現金をだまし取るという極めて悪質な犯罪です。被害者の方も、詐欺のことは知っていても、実際には気が動転して、犯罪に巻き込まれていると言います。  犯行は、家庭の主婦や高齢者をねらい、複数の犯人が役割を分担して犯行を計画し、利用する電話はプリペード式の携帯電話、振り込む口座はインターネットなどで転売された県外の口座を使うなど、手口は巧妙になり、被害は広い地域に及んでいます。県警では、「減らそう犯罪」運動の一環として、犯罪の手口などの情報を発信し、被害に遭わないために周囲に相談するなど、防犯の啓発を行っておられますが、犯罪を抑えるためには犯人の検挙率を上げることが極めて重要であります。  残念ながら、これらの知能犯の検挙件数は少なく、犯人が野放しになり、常習化し、そして組織犯罪へと拡大していくことも考えられます。警察官を偽った犯行は、警察への挑戦でもあります。全国的に被害が広がり、組織化する犯罪に対しては、警察庁や都道府県警と連携して、もっと検挙をふやし、住民の不安を取り除いていくべきだと考えます。  そこで、このような知能犯を抑止するために、どのような対策をとっているのか、また、どの程度成果が上がっているのか、さらに、今後の新たな対応策についてお伺いします。  三点目は、交通安全対策についてであります。  昨年の本県の交通事故の発生件数は六年ぶりに減少に転じ、交通事故で亡くなった方も百八十七人まで減少しましたが、ことしは、新聞報道によりますと、九月十五日現在、百三十六人の方が亡くなられ、再び増加の兆しがあらわれています。今まで築いてきた交通事故の減少の流れをとめることなく、一瞬にして人命を奪う交通事故を減らすために、今こそ対策を強化しなければなりません。  昨年、国では、十年間で交通事故の死者を半減させ、世界で一番安全な道路交通の実現を目指すという目標を設け、交通事故を減少させるために、道路交通環境の整備や交通安全教育、交通規制や取り締まりなど、総合的な対策を推進されています。  中でも、道路交通の環境を改良していく新しい仕組みとして、社会資本整備重点計画に基づき、事故件数を削減する成果目標を設定し、交通事故が多発する場所から、事故危険箇所や歩行者の安全な通行を確保するあんしん歩行エリアを選んで事故防止策を推進されています。  本県においても、事故危険箇所に百十六カ所、あんしん歩行エリアとして二十カ所を選定して事故防止策を積極的に推進されています。
     特に交通事故で亡くなられた方のうち、約四割を占める高齢者の安全を守るために、お年寄りにも通行しやすい道路の整備や安全意識の啓発など、高齢者のための重点的な交通安全対策が必要であります。  そこで、国の目標に対して、県警ではどのような目標を設定し、その実現のために具体的にどのような交通対策を実施するのか、お伺いします。  四点目は、警察署の管轄区域の見直しについてであります。  県内の市町村の合併が進み、それに伴い、警察署の管轄の見直しが行われており、今回の定例会でも議案が提出されています。  警察署の管轄について、県警では、治安情勢を初め、行政区域や人口、そして住民の意見を考慮して、効率的かつ有効な管轄になるように設定すると伺っております。しかし、広域化した行政区域の中では、道路などの交通網から、どうしても見直した管轄では利便性が悪いという場合もあります。県警では、ことしの七月から、優良運転者や高齢者講習受講者の運転免許の更新については、広島市内五警察署を除く県内の警察署でも手続ができるように運転免許更新の窓口を拡大されておりますが、一般の運転者に対しては、窓口は広げられておりません。  また、交通事故の現場検証など、専門的な知識が必要な業務については、交番だけでなく、警察署からも担当者が現場に向かうことになりますが、道路の交通状況によっては、現場への到着にかなりの時間がかかるなど、不便が生じます。  警察署から離れた地域においては、住民の利便に配慮して、交番の機能を強化するとか、警察署間での広域的な対応をするなどで、本当に業務を補うことはできるのでしょうか。  そこで、警察署の管轄区域を変更した場合に、治安の確保に向けてどのような対応を講じられるのか、また、住民へのサービスが低下しないようにするためにどのような対策を講じられるのか、お伺いします。  以上、四点について質問させていただきましたが、現在の警察の活動は、暴力団の取り締まりにおいては、共政会会長を逮捕されたのを初め、暴走族対策についても、深夜における暴走行為もほとんど聞かれなくなり、さらに全国的に多発している悲惨な殺人事件など、凶悪事案も県内において今のところ発生しておりません。それぞれの分野において大きな成果を出されており、数年前に比べ、県内の治安についても回復に向けて明るい兆しが出てきているように思われます。これも警察本部長を中心とした全警察職員が一丸となり、努力されている結果であると思います。  今後とも、住民が安心して生活できるよう、交番や警察署などの警察基盤の整備や交通安全施設の整備の充実を図るとともに、知能犯罪を初め、新たな犯罪に積極的に対応していただき、手を緩めることなく、全力を傾注していただきますよう、強く要望します。  質問の第二は、医療の充実を図るために重要な役割を果たす県立病院の運営についてであります。  県民が、安心・安全な生活を送る上で、医療の充実は最も重要な施策の一つであります。その一環として、県立病院の果たす役割は非常に大きいものがあると思います。  こうした観点から、県立病院の運営について、二点ほどお伺いします。  一点目は、病院事業経営の健全化についてであります。  病院の経営環境は、近年ますます厳しさを増しており、御存じのとおり、平成十四年四月に、医師の技術料など診療報酬本体が初めて引き下げられましたが、それ以降も、サラリーマン医療への三割自己負担の導入、あるいは高齢者医療制度の見直しなど、増大する医療費の抑制策が次々と打ち出される一方で、医療の質に対する関心も高まっており、患者の視線も非常に厳しくなっております。まさに今日の病院経営は、医療の質の向上と経営の効率化の両立が求められる時代になったと思います。  このような状況にあって、県立広島病院を初めとする県立四病院は、平成十二年度から始まりました病院事業経営健全化計画の最終年度を迎えております。この経営健全化計画は、単年度の収益的収支の赤字を二十億円から十四億円に削減することなどを具体的な目標に掲げ、収益性の向上や病院機能の充実などを基本方針として取り組むことを内容としており、この計画期間において、各県立病院にあっては、経営健全化実践プログラムを策定し、各年度ごとに見直しを行いながら経営の健全化に向け努力しているようですが、依然として大幅な赤字が続いていると伺っております。  そこで、最終年度に当たり、その進捗状況をどのように評価されているのか、本年度の収支見通しを含め、お伺いします。  また、本計画は本年度で終了しますが、次期計画の策定について、どのように考えているのか、その検討状況についてあわせてお伺いします。  二点目は、臨床研修指定病院における医師の育成についてであります。  近年、医療は、患者ニーズの多様化、高齢者の増加などを背景として、医師に対して、患者や家族との十分なコミュニケーションのもとに総合的な診療が行われることが必要とされており、医療現場での研修である臨床研修は、そうした幅広い診療能力を医師が身につける場として極めて効果があると思います。また同時に、受け入れる病院にとっても、公共的意義はもとより、研修医の参加による活性化、患者とのコミュニケーションの円滑化など、診療の質の向上といった効果も期待されます。  これまでの臨床研修制度のもとでは、この臨床研修が学問の修行であるとともに労働であるという性格を有するといった認識が、研修を行う側、あるいは研修を受け入れる側の双方にとって薄く、研修医に対して適切とは言えない対応がなされていることが医療の現場では多く見受けられるなど、研修効果や医療安全面でも問題が多いことが指摘されています。  こうした状況を受け、厚生労働省においては、平成十六年度から、初期医療を中心に幅広く医師として必要な診療能力を身につけ、人格を涵養することを目的とする新たな臨床研修制度をスタートさせ、臨床研修指定病院に対しては、幅広い臨床研修を提供できる体制や研修環境の確保などが求められることになったと伺っております。  こうした新たな研修制度のもとで、研修医は、命を預かる緊張の続く医療現場で研修を受けると同時に労働しているため、研修を受け入れる側は、研修時間や健康管理など、十分な研修環境の整備を図っていくことが極めて重要であると考えます。  そこで、臨床研修指定病院として臨床研修医などを受け入れている県立広島病院において、効果的でかつ医療安全面に配慮した研修を実施していくため、どのような体制整備を図っているのか、また、研修医の研修環境の整備など、研修医に対して十分な配慮がなされているのか、知事にお伺いします。  患者から信頼される医師を中心とした医療体制の構築により、多くの患者が安心してかかれる病院をつくることができ、このことが病院の経営改善につながっていくと思いますので、ぜひとも医師の卵である研修医を大事にしていただくよう要望しておきます。  質問の第三は、米政策改革についてであります。  高齢化・過疎化が全国に先行し、農林水産業の担い手が減少していく中で、地域の基幹産業である農林水産業は、一方では、生産基盤である集落の機能が低下するとともに、他方では、輸入農林水産物の増加などに伴う地域間競争の激化にさらされるなど、多くの課題に直面しております。  このような状況の中で、食料、木材などの安定供給に加え、県土保全、水源涵養など県民全体の生命・財産を守る重要な役割を担う農林水産業の再生が、元気な広島県を目指すに当たり、欠かせないと考えております。特に米政策改革を積極的に進めていくことは大変重要なことであり、こうした観点から、二点ほどお伺いします。  一点目は、食料・農業・農村基本計画についてであります。  現在、我が国の農業は急速な構造改革が進められており、食料・農業・農村基本法に基づき、平成十二年三月に閣議決定された食料・農業・農村基本計画を、十年先を見通して、新しい計画とするための検討を農林水産大臣の諮問機関である食料・農業・農村政策審議会で行っており、本年八月にこの企画部会から中間論点整理が出されたところであります。  これは、今までの守りから攻めの農政への転換を目指すものであり、ばらまき農政を転換し、担い手となるプロ農家に補助金を集中させ、農業の担い手をプロ農家に位置づけし、各種施策の重点化や株式会社の農業参入を可能にする農地制度の見直しなど、これまで日本の農業を支えてきた大多数の家族的農家のあり方を抜本的に見直していく内容となっております。  また、これよりさき、平成十四年十二月には、今までの水田農業政策・米政策の大転換を図ることを内容とした米政策改革大綱が決定され、さらに、本年四月にはこの大綱の趣旨が反映された改正食糧法が施行されております。  この中間論点も、これらの改革の方向に沿ったものであり、今後、この方向で新たな食料・農業・農村基本計画がまとめられますと、米農家は、売れる米づくりへの対応が迫られることになり、過疎・高齢化に悩む中山間地域では、市場競争原理を前提とするこの改革の中で、集落崩壊の危機さえ迎えることになります。  この中間論点整理は、農政の改革が、食料、農業、農村の各領域で国民生活に深くかかわっており、この改革が成功するかしないかが直接、国民生活に影響するところから、食料、農業、農村に関する国民的な議論が広く展開されることを期待されて出されたものでありますので、この機会に、広島県においても、大いに議論していくことが必要であると考えます。  今後、食料・農業・農村政策審議会では、来年三月に向けて最終答申を行う予定でありますが、それまでの間、県として何らかの形で意見を伝えていくなど、対応を考えておられるのでしょうか、県としての対応方針をお伺いします。  二点目は、地域水田農業ビジョンについてであります。  農林水産省が平成十四年十二月に策定した米政策改革大綱では、平成二十二年度を目標に、米づくりの本来あるべき姿の実現を目指し、平成二十年度までに、農業者、農業者団体による主体的な需給調整システムの構築を目指す改革となっております。この改革を推進する重要なポイントは、原則市町村を単位とした地域水田農業ビジョンを策定することと、その実践にあると考えます。  特に、このビジョン策定に当たって、担い手の明確化、売れる米づくり、米以外の作物などによる水田の利活用などを、農業者を含めた地域の関係者が十分議論を深め、地域の水田農業の将来方向を決めていく必要があり、調整役である県の果たす役割は大変大きいと考えます。  県は、昨年九月に、広島県水田農業振興方針を策定され、関係者一丸となってビジョン作成に取り組まれておりますが、ビジョンの策定状況と今後の見通し、さらに今後の県の支援策についてお伺いします。  質問の最後は、林業振興対策についてであります。  本県の森林は、その多くが昭和三、四十年代の拡大造林期に植林され、今後、順次伐採期を迎えようとしておりますが、木材価格の低迷などから、生産活動は停滞し、保育などの森林整備も十分とは言えません。また、森林所有者の高齢化や後継者不足に加え、地元に所有者のいない山が増加することなどが原因で森林の手入れ不足に拍車をかけており、このままの状態が続くと、森林の持つ多面的機能に著しい影響が出て、地盤が弱くなり土砂崩れを誘発することなども懸念されております。森林を育て、その多面的機能を発揮させることは、元気な広島県を実現するために必要であり、この観点から二点ほどお伺いします。  一点目は、森林の整備・保全についてであります。  本県では、今年度、ひろしまの森再生検討事業を創設し、広く県民の理解と協力のもと、社会全体で森林の整備・保全等を推進するための方策を幅広く検討することとしております。  森林の整備や環境の保全は全国的な問題であるから、国が取り組むべき課題であるとの考えもあります。しかし、豊かな森林を次世代に引き継いでいくためには、国の施策を待つまでもなく、森林からのさまざまな恩恵をひとしく受けている県民が一体となって、自分たちの大切な財産を守るという意識を高めることが大切ではないかと思います。  そこで、ひろしまの森再生検討事業の現在の検討状況と今後の予定、さらには社会全体で森林の整備・保全などを推進するための新たな方策について検討されているかどうか、お伺いします。  二点目は、林業振興に向けた取り組みについてであります。  先ほども申しましたが、これまで森林を守ってきた林業は、高齢化や過疎化による担い手不足、木材価格の長期低迷による採算性の悪化などから、極めて厳しい状況にあります。森林の整備は、本来、所有者の責任において行われるべきでありますが、ピーク時に比べ、木材価格は三分の一程度に、林業労務費は逆に二倍となっており、森林所有者だけの自助努力で林業の活性化を図ることは困難な状況になっております。  森林は、水源涵養機能、表面侵食防止機能、表層崩壊防止機能などの公益的機能を有しておりますが、本県の森林における公益的機能は約一兆八千億円と評価されており、これだけの森林の公益的機能を維持・発揮させるためにも、県を挙げて林業活性化に取り組むべきではないかと考えております。  そこで、林業振興に向けた具体的な取り組み及び成果についてお伺いいたします。  以上で私の質問を終わりますが、さきにも申しましたが、大好きな人のために、そして、たくさんの笑顔に出会うために、最後に、あなたの笑顔が見たいから、重ねて心の元気の出る御回答をお願いします。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 35: ◯議長(新田篤実君) 当局の答弁を求めます。知事藤田雄山君。         【知事藤田雄山君登壇】 36: ◯知事藤田雄山君) 山崎議員の御質問にお答えを申し上げます。  まず、「減らそう犯罪」県民総ぐるみ運動についてお尋ねがございました。  県政運営の目標である「元気な広島県」の実現に向けて、県民の安全・安心を確保するため、現在、県では、県民・事業者・行政・警察などが一体となった「減らそう犯罪」県民総ぐるみ運動を展開いたしております。  これまでのさまざまな取り組みにより、犯罪の認知件数を、平成十五年からの三年間で三割減少させるという犯罪抑制目標につきましては、初年度に当たる平成十五年では、九・八%の減少となっており、ことしに入ってからも減少傾向が続いております。  しかしながら、依然として県民だれもが被害者となり得るひったくりなどの身近な犯罪が全体の約七割を占めるとともに、高齢者、女性、子供などをねらった犯罪も多発をしております。また、いわゆるおれおれ詐欺や、はがき、携帯電話を使用した架空請求詐欺など、巧妙で悪質な知能犯罪も増加をいたしております。  こうした情勢を踏まえて、私自身も先般、内閣府や総務省に、架空請求等に関する消費者トラブルの防止に関する緊急提案をしたところでございます。今後とも、犯罪の起こりにくいまちづくりを進めるため、県民、事業者、NPO、ボランティア、市町村などと連携を強めながら、県民総ぐるみ運動のさらなる広がりを図り、安全で安心な広島県の実現に努めてまいる所存でございます。  次に、食料・農業・農村基本計画についてお尋ねがございました。  先般取りまとめられた国の食料・農業・農村基本計画の見直し作業における中間論点整理では、各種施策の対象を担い手に絞り、集中的・重点的に実施すること、麦や大豆などについては、個々の品目別の価格対象から品目横断的政策として経営全体に着目した直接支払いを検討すること、農地制度の見直しや農業環境・資源保全政策を確立することなどが示されたところでございます。  これらは、いずれも農業構造改革の立ちおくれや農業従事者の減少、高齢化の進行、農地の荒廃など、我が国の農業・農村を取り巻く危機的な状況に焦点を当てたものであり、本県においても緊急に対応すべき事項であると認識いたしております。  一方、過疎化、高齢化の著しい農山漁村の活性化や農業・農村の持つ多面的な機能の維持・発揮等を図るためには、中山間地域等直接支払いなど地域の特性を考慮した施策を実施することが必要であると考えております。  こうしたことから、国に対しましては、本県が重点的に育成に取り組んでおります集落型農業生産法人を品目横断的施策の対象となる担い手に位置づけることや、中山間地域等直接支払制度の継続などについて、あらゆる機会をとらえて強く要望してまいりたいと考えております。  次に、地域水田農業ビジョンについてお尋ねがございました。  新たな米政策のスタートにあわせて、昨年度、県は消費者重視、市場重視の考え方に立った売れる米づくりの推進や、地域ごとの特色ある水田農業の実現を目指す広島県水田農業振興方針を策定いたしました。  各市町村においては、この方針を踏まえ、地域特性に応じた地域水田農業ビジョンの策定に取り組み、昨年度末までにこの政策の対象となるすべての市町村において、地域水田農業ビジョンが作成されました。  県といたしましては、米については、直まき栽培等による低コスト化の徹底や地域の実態に合った付加価値の高い米づくり、大豆については、契約栽培等を通じた加工業者のニーズに対応した高品質な大豆づくり、野菜・花卉については、地域の気象条件等を生かした品目の選定と集落法人による取り組みの強化等を通じた特色ある産地づくりなどを推進してまいります。今後とも、地域水田農業ビジョンの実現に向けて、市町村や農業団体と緊密な連携を図り、地域での取り組みを支援してまいりたいと考えております。  次に、林業振興に向けた取り組みについてお尋ねがございました。  森林の持つ公益的機能の維持・発揮のためには、公的関与による森林整備に加え、森林所有者の取り組みが重要であります。  一方、林業は、木材価格の長期低迷による採算性の悪化などから厳しい状況にあり、林業生産の低コスト化が大きな課題となっております。このため、作業道等の整備と高性能林業機械の導入やコスト削減につながる間伐方法の普及を行うとともに、木材の産地直送システムの導入等を行い、その結果、生産から流通・加工の全過程で一定のコスト削減が図られてきたものと考えております。  さらに、今年度は、県産材の利用促進を図るため、木材市場の取引情報を活用した産地証明制度の導入や、製材の端材等を木材乾燥の燃料などとして活用する木質バイオマス資源の有効利用対策等に取り組むことといたしております。今後とも、一層のコスト削減に努めるとともに、これらの施策を総合的に推進することにより、林業の振興に努めてまいりたいと考えております。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁いたさせます。 37: ◯議長(新田篤実君) 福祉保健部長新木一弘君。         【福祉保健部長新木一弘君登壇】 38: ◯福祉保健部長(新木一弘君) 県立病院の運営についての二点の御質問にお答え申し上げます。  まず、病院事業経営の健全化についてでございます。  平成十二年度から取り組んでおります病院事業経営健全化計画におきましては、最終年度である平成十六年度に新たな長期借入をすることなく、資金収支の均衡を図ることを目標としております。  この計画に基づく取り組みの結果、過去四年間の実績は、平成十五年度を除き、各年度の資金収支は黒字で推移してきました。本年度も、平均在院日数の適正化や定員管理計画によるコストの削減などによりまして、おおむね目標は達成できるものと考えております。  しかしながら、多額の長期借入金を抱えるなど、依然厳しい経営状況にあります。このため、平成十七年度からの次期経営計画につきましては、県立病院経営検討委員会を設置し、長期借入金残高の大幅な縮減などに向けて検討を進めており、年内に成案をまとめたいと考えております。  病院事業を取り巻く環境は引き続き厳しい状況にありますが、県立病院に求められている診療機能が十分に発揮できるよう、経営健全化の取り組みをさらに進めてまいりたいと考えております。  次に、臨床研修指定病院における医師の育成についてお答え申し上げます。  臨床研修指定病院である県立広島病院は、医師育成の重要性の観点から、現在、臨床研修医と専門研修医、合わせて六十名の医師を受け入れており、そのうち今年度からスタートした新たな臨床研修制度に基づく研修医が十三名おります。この研修制度においては、副院長を研修責任者として、二年間で初期医療を中心に必要な診察能力が習得できるよう、複数診療科にまたがるプログラムを作成しており、各診療科の医師を臨床研修指導医として指名し、病院を挙げて指導に当たっております。  また、研修医がより研修に専念できるよう、その処遇など環境の整備が必要と考えており、手当や公的保険制度、定期健康診断の実施等、環境の整備について一定の水準を確保するよう努めております。  今後とも、県内における医療水準の向上のため、質の高い、県民から信頼される医師の育成に力を入れてまいります。 39: ◯議長(新田篤実君) 農林水産部長中川日出男君。         【農林水産部長中川日出男君登壇】 40: ◯農林水産部長中川日出男君) 森林の整備・保全についてお答え申し上げます。  林業を取り巻く環境が引き続き厳しい中で、森林所有者等の自助努力のみでは適正な森林管理が困難となっております。  こうした中、今年度は、ひろしまの森再生検討事業によりまして、本県の森林の将来の目指すべき姿や効果的な誘導方策について検討を行うこととしております。これまで、モニタリング調査等による森林の実態把握や、広く県民が森林づくりに参加できる推進体制及び森林管理のあり方等の検討を進めてきたところでございます。今後、広く県民の意見も聞きながら、ひろしまの森再生の方向づけを行うとともに、企業やNPO団体等の参画による森林整備推進の仕組みづくりや森林の管理を合理的に行うための森林地図情報システムの導入など、健全で活力ある森林の整備・保全方策の検討に取り組んでまいります。 41: ◯議長(新田篤実君) 警察本部長内山田邦夫君。         【警察本部長内山田邦夫君登壇】 42: ◯警察本部長(内山田邦夫君) 初めに、急増する知能犯罪の対策についての御質問にお答えいたします。  おれおれ詐欺を初めとするなりすまし詐欺や架空請求詐欺等の、いわゆる身近な知能犯罪につきましては、県警察の「減らそう犯罪」情報官を中心に細かく注意喚起情報を発信するとともに、市町村や寺院、医師会等の御協力のもと、高齢者等へ安全情報を直接提供するなど、情報発信に努めております。最近では、実際に現金を振り込んだ被害者の数は減少する兆しがうかがえるなど、犯罪情報が県民に浸透しつつある状況にあります。  検挙対策につきましては、本年六月、本部と各警察署に所要の体制で身近な知能犯罪対策本部を設置して、鋭意捜査を推進し、プリペード式の携帯電話が使われるなど、難しい捜査条件もありますが、現在までに、なりすまし詐欺の被疑者など合計二十二名を逮捕し、全容解明に向け、取り調べを進めているところであります。  いずれにしましても、犯行手口が巧妙化するなど、今後の推移は予断を許さないところであり、関係都道府県警察との情報交換や捜査協力による取り締まりの徹底、県生活センターと連携した適切な被害者対策の推進、金融機関等に対する顧客の安全対策に向けた働きかけの強化など、総合的な犯罪抑止対策に努める所存でございます。  次に、交通安全対策についての御質問にお答えいたします。  県内における交通事故による死者数は、本格的な高齢社会の到来、県民の生活様式の多様化等を背景に、現時点では、昨年同期に比べて大幅に増加しており、まことに厳しい状況にあります。  こうした中で、政府が示した新たな目標を達成するため、県警察としましては、年間交通事故死者数が昨年まで三年連続減少してまいりましたので、今後もこの傾向を定着させることを目標に諸対策を推進していくこととしております。  申し上げるまでもなく、交通事故を抑止するためには、交通安全対策の基本である交通安全教育、交通指導取り締まり、交通工学の三つの施策を総合的に推進することが必要でありますが、とりわけ県民一人一人が交通安全をみずからの問題として受けとめていただけるよう、交通安全意識の高揚を図っていくことが重要な課題であると認識しております。具体的な施策といたしましては、関係機関・団体等と連携して、小中学生を対象とした自転車の正しい乗り方指導の徹底、高齢者宅を訪問して行う交通安全アドバイス活動の強化、さらに、情報のネットワークを活用した交通情報の提供などを効果的に推進し、政府目標の達成に努める所存であります。
     次に、警察署の管轄区域の見直しについての御質問にお答えいたします。  市町村合併の進展に伴う警察署の管轄区域の見直しにつきましては、署の管轄区域と新たな行政区域との一体性及び緊急事案への的確な対応が重要であると考えております。このほか、各種事件や交通事故の発生状況や、これに対応するための距離・時間、警察署での行政手続の現状などについても検討を重ね、管轄見直しの適正を期しております。  今回、条例改正の御審議をいただきます管轄移管につきましても、同様に慎重な検討を行ったものであります。また、今回の管轄見直しに伴い、警察署から遠隔地となる交番につきましては、住民の方々に最も身近な免許更新業務や道路使用許可業務等は、これまでと同様、継続することとしております。  いずれにいたしましても、条例改正を承認いただきました折には、新たな管轄での体制の見直しや確実な業務引き継ぎ等を実施し、緊急事案への的確な対応や住民サービスに支障のないよう対応してまいりたいと考えております。 43: ◯議長(新田篤実君) 明日も引き続いて質問を行います。明日は午前十時三十分から会議を開きます。  本日はこれをもって散会いたします。         午後三時三十三分散会 発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...