平成16年12月定例会 ◎ 平成16年12月
岡山県議会定例会会議録 第6号〇 平成16年12月14日(火曜日) 議 事 日 程 午前10時30分開議第1 一般質問 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 本日の会議に付した事件日程第1 一般質問 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 午前10時30分開議
○議長(千田博通君) これより本日の会議を開きます。 ~~~~~~~~~~~~~~~
△日程第1 一般質問
○議長(千田博通君) 日程に入り,一般質問を行います。 6番加藤浩久君。 〔 6番 加藤浩久君 登壇 〕
◆6番(加藤浩久君) 皆さん,おはようございます。自由民主党の加藤浩久でございます。 本日も,私の地元の西の地域より40名の後援会の皆様に傍聴に来ていただきまして,一般質問3日目,質問通告に従いまして元気にトップバッターを務めてまいりたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。 まず,石井知事におかれましては,3選目をすばらしい得票で勝ち進められまして,御就任をなされましたことを,心からお喜びを申し上げます。厳しい財政状況の折ではありますけれども,御英断の中にもほっとするような心の県政がなされますよう,御期待と御要望をさせていただくところでございます。 昨日のニュース,そしてきょうの新聞報道でも,ことしの漢字というものを,京都の清水寺の森貫主が揮毫されておりました。これは「災」でありました。少々暗いイメージでありますけれども,森貫主いわく,「災い転じて和を招く」,来年は和の年となりますよう祈念したいものであります。 さて,9月の定例会では,私は台風災害の件を質問させていただきました。石井知事並びに土木部長より御答弁をいただきましたが,その後も21号,23号の台風が県土を襲い,いま一度災害に関連し,1,災害復旧・復興について,2,生活再建について,3,防災についてお尋ねをいたします。 今議会において,石井知事は,一連の災害についての検証や検討課題を御答弁されてこられました。また,御自身の選挙中にもかかわりませず,台風23号によってとうとい5名の命が奪われた宇野地区の災害現場へもすぐに足を運んでいただき,現場重視の石井知事には,感謝の気持ちを表しますとともに,亡くなられた方への御冥福をお祈りし,きょうお越しになっております方々,国道430号が通っている観光拠点の渋川地区,また港湾地域の日比・向日比地区,そしてまたその両方に関連のある和田・御崎地区の中にも多くの方々が災害を受けておられます。被災なされた皆様方にもお見舞いを申し上げるところでございます。 さて,国の災害査定も進む中,岡山県も補正予算を御提案いただいておりますが,9月定例会でもお話しさせていただいたとおり,さきの台風16号の際には,私の地元玉野市で2,000カ所を超える家屋が浸水し,渋川海岸の護岸の崩壊を初め,特に宇野地区では,災害対策本部の置かれた市役所のほか,警察署,消防署なども水にのみ込まれて孤立,パトカーや消防車,救急車も出動不能になったところであります。こうした大きな浸水原因は,台風の異常高潮による越波だけでなく,市役所近くを流れる西汐入川からの逆流も大きな原因の一つであったものと考えております。また,倉敷市では,4,000戸を超える家屋が浸水被害を受け,特に玉島勇崎では,新聞報道にもあるように,海岸堤防を越えた大量の波と停電による排水ポンプの故障が重なって,海水が住宅地に流入し,82歳の女性が自宅居間で水死されるという痛ましい被害が発生したところであります。県では,今回の高潮被害に対し,現地調査を進め,専門家に意見を聞きながら,高潮対策の基本となる計画の見直しの必要性を検討するとお話しされておりますが,被害の大きかった玉野市宇野地区などは,汐入川や排水管からの逆流,陸閘の不具合など,越流等の浸水原因が明らかであり,今後の検討をまたずとも早急に対応すべきと考えますが,どのように対応策を考えているのか,石井知事の御所見をお伺いいたします。 また,今,沿岸部各市及び町並びにその住民にとって知りたい情報というのは,先ほどの高潮対策を講じていただきながらも,台風が接近しているときの潮位及び浸水域の予測であると思います。現在,高潮と台風による潮位アップを予測することのできる
高潮情報提供システムが既に開発されており,地区ごとの潮位の予測,浸水域の予測が入力時から1時間後,2時間後,3時間後,そして6時間後,1日後など予想ができるものがあります。住民への通報,自主避難,避難勧告を的確な浸水予測範囲で警告を行うことができればと,玉野市などでもこのような
高潮情報提供システムの導入について調査研究を始めております。県としても,市町の苦しい財政状況を踏まえ,県費補助などの支援策を考慮していくべきと考えるところでありますが,知事の御所見をお聞かせいただきたいと存じます。 次に,先般開催された
県議会全員協議会において,自由民主党を代表しての小田春人議員の御質問への御答弁で,石井知事は,「玉野建設事務所を港湾管理業務以外は備前県民局に統合するが,災害復旧事業の実施については,現地に職員を常駐させるなどの対応を検討していく」とおっしゃっていただきました。地域の者にとりましては,心の温かさとそして安心を感じる御判断であると存じます。今回の災害時におきましても,土木関係だけでなく,農林,生活環境を初め県民生活全般にわたっての要望をしっかりと受けとめ,所長以下担当課を超えて現場へと走り回り,対処してこられたことは大変すばらしい評価を受けております。今後の玉野地域における体制について,急
傾斜地崩壊危険区域,
山地災害危険地区の見直しや新規設定の業務のほか,保健福祉業務なども含めた災害初動に差し支えなきような人事構成を整えていただきたいと考えますが,石井知事のお考えをお伺いいたします。 次に,生活再建支援策についてであります。台風16号につきましては,迅速に対応され,岡山県として県独自の生活に必要な家財道具の購入や住宅の応急修理等の経費を支援する
生活再建支援給付金補助事業を早急に講じていただきましたが,玉野市では,21号では床上浸水37棟,23号では全壊8棟,半壊11棟,床上浸水84棟と,
宇野地区災害現場だけではなく,後閑地区や児島湖周辺の八浜地区で,2級河川のはんらんによって被害を受けたものもあります。これらの被災者に対しましても,台風16号と同様に,
生活再建支援給付金補助事業を適用するなど,県独自の生活再建対策が望まれるところでございますけれども,石井知事のお考えをお伺いいたしますとともに,立ちどまっていた庄田川の河川改修計画の積極的な見直しと実行を要望するところでありますが,土木部長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。 次に,防災についてであります。9月定例会において,私の質問への知事の御答弁のとおり,県・
市町村防災対策研究協議会の3つの検討部会からの報告を受け,具体的な働きかけを行ってこられ,特に自主防災組織については,
自主防災組織連絡協議会を開催され,設置促進を図られているところであります。私も,災害対策では,先進県である鹿児島県
防災研修センターへ足を運び,調査・研修をしてまいりました。災害の記憶コーナー,鹿児島県の災害と防災コーナー,防災グッズ,
防災情報ライブラリーを初め火山,風水害,土砂災害,地震,火災など,それぞれの災害を紹介するコーナーや応急救護訓練室が備えられ,ことし4月から半年間の来館者は6,300名を超え,年間目標の1万人を大きく上回る予定で,既存の自主防衛組織も再研修されたり,新規に組織されたものも着実に,また実際に行動のできる組織となってきているそうです。とかく,のど元過ぎれば熱さ忘れるとも言われながらも,災害は忘れたころにやってまいります。岡山県として,
防災研修センターの設置を望むものでありますが,知事の御所見をお伺いいたします。 また,鹿児島県では,わかりやすいリーフレットが作成されており,「
自主防災組織ハンドブック」,30ページほどのもの,こういうもんですね(リーフレットを示す),それから「わが家の防災対策」,これは20ページほどのわかりやすいもんであります(リーフレットを示す),防災メモもついておりますが。目的に応じたリーフレットを配布いたしております。岡山県でも,
地域防災ハンドブックが平成13年度に作成されていたと聞きましたが,今は残部もなく,現在改訂版が発注段階と聞きますが,2,000部作成予定ということで,現在ある自主防災組織でさえ2,000団体以上あるわけですから,力を入れて県内の自主防災組織率を70%に上げていこうという熱意は感じられません。また,本年度,新規重点施策の
自主防災組織設置促進事業についても,助成の採択基準が厳しいように思われますが,来年度より一層多くの
自主防災組織設置に向けて採択基準の見直し,各市町村の補助限度額の的確な見直しなど考えられないものか,お尋ねをいたします。 平成16年の防災白書,大変分厚いものでございますけれども,内閣府が発行いたしております。この中にありますように,実はちょっと見にくいんですけれども,災害のサイクルというのがございます。災害,そして災害応急対応,復旧・復興,減災,事前準備,そして災害と位置づけられております。その中でも,減災につきましては,被害をもたらす要因,被害を小さくする要因を分析し,効果的な対策を選択し,そこに資源を集中することで被害を減らそうという考え方で明確な目標が必要であるとしております。本年の公共の被害額277億円を今後10年間でどこまで減額していくか,風水害だけでなく,地震を初め被災を受け得る可能性がある方を何名にするのか,そういった数値目標を示し,防災情報共有の
プラットフォームの構築を行っていくべきと考えますが,いかがでしょうか,石井知事の御所見をお伺いいたします。 さて次に,国際関係について質問並びに御提案をさせていただきたいと思います。 石井知事の提案説明でもお話しされましたが,11月より岡山-ソウル便がデイリー化され,上海便に次いで大変便利になりました。今後,国際線の充実をさらに一層図る必要があると思いますが,グアム便のデイリー化や他国へのチャーター便の運航についてどのような考えをお持ちでしょうか,石井知事の御所見をお伺いいたします。 また,本年7月には,県内で久しぶりに玉野市が米国のマサチューセッツ州のグロスター市と姉妹提携を行いました。式典に私も参加いたし,知事のメッセージもお渡しして,グロスター市民との交流の場を持たせていただきましたが,相互の交流が地球市民としての自覚が生まれることを感じたところであります。岡山県においても,平成4年に中国・江西省,平成5年にオーストラリア・
南オーストラリア州と友好提携され,県内市町村への国際交流・貢献の大きな波及効果があったと認識をいたしております。 さらに,他県に先駆け,
国際貢献活動推進条例を制定され,先月には,在住の外国人の増加対策として,おかやま
外国人生活サポートネットワーク会議を立ち上げられ,国内外のリーダー役となっておりますが,石井知事におかれましては,3期目4年間の目標,ライフワークの一つとして,新しい友好提携を結んではどうか,御提案をさせていただきたいと存じます。 例えば,インドのプーネ市,岡山から南西6,000キロ,デカン高原の西の端に位置し,人口250万人の都市で,現在,岡山の後楽園を模した日本庭園が着工され,日本語で「
プーネ岡山友好公園」と石碑が既に設置されています。また,本日,大原さんもお越しでございますけれども,印象派画家モネの邸宅があることで知られるフランスのウール県など,大原美術館にもモネの描いた絵や株分けされたスイレンもあり,文化や観光面での交流ができるのではないかと考えますが,石井知事の御所見をお伺いいたしたいと存じます。 最後になりましたが,私の提唱する21世紀3つのキーワード,J・F・Kであります。情報のJ,福祉教育のF,環境のK,この中より,今回は環境について提案,質問をさせていただきたいと存じます。 先般来,社団法人岡山県林業公社の問題が質問,審議されております。今後の分収林契約者としての説明責任,債務の累増防止,公益性を重視した経営体としての確立など,課題があると思いますが,長年にわたり山間地域経済の貢献もあったことは事実ですし,さらには災害の防止,水土保全,そしてCO2,二酸化炭素の吸収など,公益的機能の評価も平成13年の日本学術会議の答申による評価手法に基づいて公社造林地を評価すると,水資源涵養157億円,土砂流出防止320億円,土砂崩壊防止84億円,保健休養18億円,野生鳥獣保護6億円,大気保全120億円,合計705億円となっており,少々きれいな数字であるというふうにも思いますけれども,目に見えない効果も大きいと感じております。ロシアの下院が10月22日に京都議定書の批准法案を可決,続く27日に上院が可決,4日に大統領が署名したことによって,ロシア政府による批准手続が完了,そして11月18日,
国連アナン事務総長に批准書が寄託され,来年2月16日に,7年かかって京都議定書が発効されることになりました。激しく利害の対立する国際政治の中で,ここまで合意ができたということ自体が奇跡とも言え,その意味でも貴重な一歩であると言えます。無論,京都議定書が発効されることは,事の終わりではなく,始まりでしかないわけで,今後,
地球温暖化防止政策を初め環境に対する取り組みが実質的な形で残っていかなければなりません。ともあれ,今後の林業公社の環境面で果たす役割,森林の大切さを十分県民の方に理解をしていただくことが急務であります。石井知事の御所見をお伺いいたします。 「名は体をあらわす」という格言もあります。今議会の知事の御答弁の中で,名称変更のお話もありましたが,環境森林公社,
環境保全森林公社などいかがでしょうか,知事のお考えをお聞かせください。 本日は,12月14日,
赤穂義士討ち入りの日であります。300年余りたった今でも,日本の武士道,主君への忠誠を美学として,ドラマや歌舞伎で伝えられ,四十七士それぞれの思いを知ることができます。また,大石内蔵助のリーダーシップは,本懐を遂げ,お家再興を願うという目的の明確さが目的達成の原点であり,昼あんどんなどと言われ,多種にわたる非難を受けながらも,多くの手段を熟考しながら,人への気配りを重視し,1年9カ月で目的達成が果たされたものと思っております。早いもので,私も県議会の議員として1年9カ月,いま一度初心に戻り,「あら楽や 思いは晴るる 身は捨つる 浮世の月に かかる雲なし」と詠んだ大石内蔵助の心境になれるまで,岡山県並びに地元のために努力,精進をいたしますことをお誓いをし,質問の結びといたします。御清聴ありがとうございました。
○議長(千田博通君) 答弁を求めます。 知事石井正弘君。 〔 知事 石井正弘君 登壇 〕
◎知事(石井正弘君) 自由民主党の加藤議員の質問にお答え申し上げます。 その前に,私の3選につきましての祝意並びに今後の激励につきましてのお言葉を賜りまして,まことにありがとうございました。 まず,災害対策でございます。 浸水原因が明らかな箇所におきまして,早急な対応を図るべきであると,このように考えまして,玉野市宇野地区や日比地区におきまして,排水管の逆流防止装置の設置や防潮壁の補強などを既に実施してきているところでございます。 また,西汐入川につきましては,高潮対策を検討するため,現在,国や市と協議を進めますとともに,近く測量や
ボーリング調査等に着手をする予定でございます。
情報提供システムにかかわります市町村支援策でありますが,現在,
防災情報システムを通じまして,リアルタイムで潮位情報を市町村に提供しているところであります。今後,玉野市が調査研究を行いますこのシステムに,県といたしまして,必要な気象や潮位情報等を提供することを通じまして,支援を行ってまいりたいと思います。 今後の玉野地域における体制でありますが,相次ぐ台風によります災害復旧事業を早期に完成させるため,玉野建設事務所の廃止後も必要な職員を常駐させるなどの臨時的対応を検討しているところでございます。御指摘をいただきました種々の業務や災害の初動対応につきましては,玉野地域を所管する備前県民局で行うこととしておりますが,今回のような災害が現に生じた場合につきましては,今後も必要に応じ臨機応変に適切なる対応を図ることといたしたいと思います。 台風第21号及び第23号被災者への生活再建支援でありますが,台風第16号につきましては,災害救助法が適用されまして,過去に例のない未曾有の高潮によります床上浸水でありまして,住宅や家財に多数の被害を生じたということから,県独自の制度といたしまして,
生活再建支援給付金補助事業を創設したものであります。台風第21号及び第23号につきましては,本制度の適用は考えていないところでございますが,第23号によります災害に適用されることとなりました
被災者生活再建支援法を活用するなど,玉野市と連携を図りながら,被災者の生活再建支援に努めてまいる所存でございます。御理解を賜りたいと存じます。
防災研修センターでありますが,県民が,地震や風水害,火災等の災害に備え,災害発生時の行動等の知識を習得いたしますとともに,自主防災組織等が活動するための教育や研修を行うということは重要であると考えております。本県では,消防学校におきまして,防災プラザとして,防災グッズ,各種災害等を紹介いたします展示コーナーを設け,また,
自主防災組織等の教育や研修につきましても実施をしているところでありますが,今後とも,御紹介ございました鹿児島県の例なども参考にしながら,研修内容とあわせ展示物の充実等も図ってまいりたいと存じます。 自主防災組織でありますが,御指摘のように,組織率が全国平均に比べまして低いということでございまして,市町村の取り組みを一層支援をしていく必要があると認識をしております。こうしたことから,
自主防災組織普及啓発パンフレットにつきましては,これは組織率の低い市町村を中心に配布を考えているものであります。 また,本年度創設をいたしました
自主防災組織設置促進事業は,組織率の一層の向上を図ることを目的にいたしまして,組織率の向上が一定以上見込まれる市町村の取り組みを重点的に支援をしていきたいと,こういう考えで設けたものでございます。採択基準等の見直しにつきましては,このような制度目的,施策重点化の趣旨というものを踏まえました上で,本年度の実施状況等も勘案をしながら検討していく必要があるものと考えております。
防災情報共有プラットフォームについてのお尋ねでございますが,これは内閣府が災害発生時に
政府防災関係機関の間で横断的な情報共有をしていくためのシステムでございまして,県でも
防災情報ネットワーク高度化事業の中で,同様の考え方によりまして,
防災情報システムの整備を計画しているものであります。こうした整備によりまして,国や県,市町村等との防災情報の共有を行って,効率的,効果的な防災活動が実施できる体制を整備することとしております。 被害を減らすための数値目標についてでございますが,現在,
公共施設耐震化実施計画等のように短期間の目標設定をしているものはございますが,お話のような数値目標につきましては,防災対策を実効性あるものにするため,これは有効な考え方であると,このように考えておりまして,今後,国あるいは他県の例というものも参考にしながら検討してまいりたいと思います。 次に,グアム線のデイリー化等でありますが,グアム線につきましては,大学生のスポーツ交流や高校の修学旅行の誘致などの利用促進を図ってまいりました。その結果,11月末までの利用率は,昨年度より向上はしておりますものの,現在の週2便から一挙にデイリー化を求めるということは,これは困難であろうと思います。今後は,まず増便を目指しまして一層の利用促進を図っていくために,旅行代理店に対しまして,魅力ある旅行商品の提供などの働きかけをしてまいりたいと思います。 また,
国際チャーター便につきましては,本年度は,来年1月末までに,韓国,中国,グアム,アメリカ本土などへ合計29便が運航される見込みであります。今後とも,旅行代理店等に対しまして,中国を初めとする各国へのチャーター便の運航を強力に働きかけまして,岡山空港が中四国の中核的な国際空港となるように努力を重ねてまいりたいと存じます。 新しい友好提携でありますが,海外との友好交流の促進は,国際理解や人材育成,本県の経済,文化の発展などにとりまして重要なことと認識をしております。御提案のございましたインド・プーネ市は,IT及びバイオテクノロジーの分野での産業集積地となっているところでありまして,また,本県の官民が協働で支援をいたします「
プーネ岡山友好公園」も建設中でございます。 一方のフランス・ウール県には,児島虎次郎画伯が「睡蓮」の絵を求めて訪れましたモネの邸宅がございまして,先月来岡されました同県の
スーリエ事務総長さんも,モネにちなんだ交流や連携に大きな期待を私に表明されました。今後とも,本県の産業や歴史文化と共通点あるいはゆかりがある海外の地域との交流を積極的に進めていくことによりまして,双方にとってさらに有意義な交流が見込まれる,そういう環境が醸成されれば,友好提携の締結ということを検討してまいりたいと思います。 最後に,林業公社でありますが,近年,地球環境の保全が国際的な共通課題となっている中で,地球温暖化の防止などに寄与する森林の役割ということが改めて見直しをされておりまして,これら社会的要請が高まってきております環境保全を重視した森づくりへ向けまして,公社事業の抜本的な転換を図ろうとするものでございます。お話のように,公社が環境面で果たす役割あるいは森林の大切さということにつきましては,県民の皆さんに十分理解をしていただく必要があるということから,森づくりの各種集いとかイベント,さらにはホームページなどを通じまして,積極的に情報を提供してまいりたいと存じます。 また,名称につきましては,新たな役割を担うのにふさわしいものに変更する必要があると,こように考えているところでございまして,先ほど加藤議員から御提案いただきました名称も含め,今後検討してまいりたいと思っております。 以上でございます。
○議長(千田博通君)
土木部長山中義之君。 〔 土木部長 山中義之君 登壇 〕
◎土木部長(山中義之君) お答えを申し上げます。 災害対策に関しまして,庄田川改修計画の見直しについてでございますが,平成6年度に改修事業に着手をいたしまして,地元と協議を進めてまいりましたが,現在まで協力が得られていない状況でございます。このたびの災害を受けまして,現在,被災原因などを詳細に調査をしているところでございます。今後,住民の方の御意見をお聞きしながら,当面必要とされる対策につきまして地元との調整を進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(千田博通君) 20番赤坂てる子君。 〔 20番 赤坂てる子君 登壇 〕
◆20番(赤坂てる子君) おはようございます。日本共産党の赤坂てる子です。 まず,イラクへの自衛隊派兵延長に強く抗議をし,撤退を求め,通告に従い質問に入りたいと思います。 県政最大の課題は,県民の命と安全を守ることです。まず,連続する台風被害について,私は,被災者の方々が生活復旧への希望を持って新しい年を迎えられるよう願って,質問いたします。 党県議団は,市町村議会議員や支部とともに,高潮,土砂崩れ,倒木被害など,県下各地の被災地の救援に当たるとともに,被災者の声と要望をその都度県に申し入れ,国や関係機関へも,国会議員団と連携して現地調査や要望を行ってきました。また,全国各地の地震や台風,豪雨などの被災者救援の取り組みと連携して,一歩一歩改善させてきました。10月20日,大変な強風と雨を伴った台風23号が岡山県を襲いました。児島では,土砂崩れや県の管理する小田川,下村川がはんらんし,大変な事態でした。翌日からボランティアを呼びかけ,長靴とスコップで土砂の搬出をしましたが,床下まで入った汚泥の片づけだけでもたやすいものではございません。3度目の浸水被害に遭った方は,「やっと畳も入り,今度は高潮は大丈夫と思っていたら,あっという間に濁流が床上まで来た」と肩を落とされています。このような被災箇所の復旧・改善に住民の声をしっかり聞き,早急な対策・改善を求めますが,いかがでしょうか。 次に,台風被害に対する県支援策の改善強化です。さきの9月議会でもこの壇上から訴えましたが,冷たいお返事でした。指摘したように,被害の実態に比べ県の支援金は不十分です。台風16号被害に限定された10万円の支援金しかありません。利用は,床上浸水住家の約半数,2,900軒との見込みとお聞きいたしました。被災者にはまだ届き切っていません。4年前の新見の千屋地区の地震の際,被災実態とかけ離れた支援で,利用したくてもできず,予算の8割も残したという愚を繰り返すものです。再度改善を強く求めますが,いかがでしょうか。 岡山県が今回の支援策を打ち出したことは,一定の評価はしますが,しかし他県では,鳥取,福井,宮城,兵庫,京都,徳島などが住宅本体への支援策を打ち出しています。他県の行っているような住宅本体への支援策に一歩踏み出すときではないでしょうか,知事の御所見をお伺いします。 全国各地で,地震,台風,豪雨災害が相次いでいますが,現行の
被災者生活再建支援法は住宅の新築や補修は対象になりません。国に住宅本体にも支援するよう法改正を求めるよう要望いたします。いかがでしょうか。 次に,被害の実態調査について,知事にお伺いします。2001年に,災害被害認定基準が変わりました。標準的な調査方法及び判定方法を「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」で示しています。それによりますと,床上浸水についても,補修してももとどおりに住めないような家屋は全壊と判定され,支援金の支給や支援策が行えるようになっています。罹災証明に当たって,外観目視の1次判定だけでは被害状況がつかめないので,内部立入調査によって,部位による判定を行う2次判定が必要だとしています。 さて,台風16号は,高潮・高波被害などによる大被害でした。災害救助法が9市町に適用され,1人が亡くなられ,全壊1棟,半壊1棟,床上浸水5,757棟など,大変な被害でした。しかし,生活再建支援法の適用になったのは,笠岡市の1棟だけ。台風23号では玉野市だけです。私は,県内各地の被害実態を調査したところ,大変な高潮被害を受け,家を解体していてもどこも判定は床上浸水です。新基準に基づいて踏み込んだ調査が行われていません。県として,この運用指針を市町村と住民にどのように周知徹底したのか,お伺いをいたします。 本来ならば,生活再建支援法によって救われる可能性のある被災住民がいるにもかかわらず,放置されているとすれば重大な問題です。 さて,連続する災害を受けて,国は10月28日,都道府県に対して,浸水等による被害の認定について弾力化し,
被災者生活再建支援法の積極的活用を図るよう通知しました。これによれば,床上浸水でも,浸水により畳が浸水し,壁の全面が膨脹しており,さらに浴槽などの水回りの衛生設備などについても,機能を損失している場合等には,一般的には大規模半壊,または全壊に該当し,所得などの制限はありますが,100万円から300万円の支援策が受けられることになります。国は,被災認定に当たって,積極的に活用し,被災者の支援に万全を尽くし,県に対して市町村に周知徹底を求めています。兵庫県では,この通知に基づいて県がガイドラインを示しました。市町村でそれに基づく再調査が行われ,床上浸水とされた住宅のかなりが半壊・全壊の判定となって,国の支援の対象となっています。県は,この通知にどのように対処されるのか,市町村の取り組みはどうか,市町村任せとするのでなく,県の応援も入れ,戸別の丁寧な調査を直ちに行うことを求めますが,いかがでしょうか。 この項最後に,初動体制,特に被害の実態把握について,土木部長にお伺いします。 高梁川は,国管理の一級河川ですが,台風16号の高波・高潮により,河口部堤防が5カ所にわたり大きく損壊し,多くの住宅が浸水被害を受けました。西岸は住宅地とクラレの工場,東はJFEなどコンビナートに隣接しています。一歩間違えば堤防決壊のおそれもありました。しかし,県からの被害報告には記載がない。地元市議会議員とともに,国の河川事務所に説明を求めました。「テレメーター水位計は中流部の酒津だけ,河口付近には設置されていないため,指定水位以下と考えた。住民からの浸水被害の通報に慌ててポンプ車を配置した」,こうおっしゃる。余りにも無防備です。人命にかかわる問題です。県に被害報告がされたのはいつか,国の対応に対して厳しく抗議するとともに,復旧工事の早急な実施と抜本的な高潮対策を求めること,また国管理の一級河川河口部に潮位計の設置を求めるべきだと考えますが,いかがでしょうか。 現在,水防警報の指定は一部であり,被害の大きかった地域は指定されておらず,県下全域に指定を拡大するべきだと考えますが,御所見をお伺いいたします。 次に,知事のマニフェストの35人学級編制にかかわってお伺いいたします。 今議会にも,教育の充実を求めて30万人を超える住民からの署名が届いています。日本共産党は,少人数学級編制の実現を求め,本会議・常任委員会でも実現を何度も求めてまいりました。私も,知事選挙前の9月議会で質問しましたが,今議会で,知事が35人以下学級の中学校全学年での実施や小学校への導入も早急に取り組むべき課題としたことは評価するものです。全国では,少人数学級が大きく広がっています。長野県は,来年度から全額県費負担で30人学級,4年生まで実施を決めました。山形県教育委員会は,平成14年度より小学1年から3年生を対象に,21人から33人の少人数学級を実施し,15年度は5年にまで拡大し,小学校における少人数学級の効果について,学力が向上し,不登校,欠席が減ったとの調査結果をこのたび発表しました。倉敷市も,重点要望の中で,1学年の学級数が少ない学校でも39人の学級もあり,小規模校でも実施するようにと県に求めています。 知事にお伺いいたします。いつから,どのように実施されるのか,また学級数によらず,全学級での実施と小学校1年生からの実施を求めるものですが,いかがでしょうか。 次に,義務教育費国庫負担金についてです。知事は全国知事会で廃止の旗振り役をされましたが,国庫負担金制度は,国の責任で30人学級を実現していく上で土台となるものです。義務教育費の国庫負担廃止の要求はやめるべきではないでしょうか。廃止された場合,懸念されるのは,地方の財政力によって義務教育水準に地域格差が生まれることです。そして,国の方針では,自治体間の税源の格差を調整する地方交付税総額を大幅に削る方向であり,そうなれば,地方でも教育関係費の削減に結びつきかねません。知事は,三位一体の改革に乗った責任をどうとられるのか,お伺いいたします。 次に,「新岡山いきいき子どもプラン」についてお伺いします。 次世代育成支援対策推進法は,国,県,市町村,企業,地域社会が連携して,安心して子供を生み,健やかに育てる環境整備を進め,少子化対策の実効性を高めようと,期間を決めて取り組むものです。まず,前の「岡山いきいき子どもプラン」より男女共同参画の位置づけが後退したのではないかという指摘が今議会でありました。10月の素案に対するパブリック・コメントでも同様の指摘があり,加えられたものです。これは文言の問題ではありません。法の趣旨から,実効性のあるプランとする上で肝心なのは,仕事と家庭の両立をどう支援するかであり,301人以上の企業に数値目標を決めた行動計画策定が義務づけられました。育児・介護休業制度の法改正もなされました。前プランでは,「子育て,仕事が両立できる環境づくり」と大きく位置づけられており,「新世紀おかやま夢づくりプラン」には,男性の育児休業の取得率がありますが,このプランにはありません。女性の地位向上,男女共同参画をしっかり位置づけ,子育て支援が必要と強化されるよう求めるものですが,知事の御所見をお伺いします。 また,協議会の設置がされていますが,子育ての当事者をどう位置づけるかです。メンバーにどのように加わっているのか,今後,意見をどのように反映させるおつもりか,あわせてお伺いします。 母子保健医療対策の充実についてお伺いします。 まず,歯の健康です。8020運動を通じて歯に対する認識が高まってきました。自分の歯でかむためには,小児期からの虫歯,歯周病,不正咬合などの予防が重要です。県内でも,3歳で虫歯罹患率30%以下にという330運動に取り組まれ,大きな成果を上げておられ,目標をさらに虫歯罹患率25%とする325運動に取り組みを強められています。 以下,何点か保健福祉部長にお伺いします。 まず,6歳臼歯を中心とした口腔内の状況を把握し,8020実現に向けて虫歯予防を進めてはどうか,また三位一体改革の中で,8020運動推進特別事業補助金の削減が心配されます。存続・充実を国に求めるとともに,県として予算を確保すべきだと考えますが,あわせてお伺いします。 また,フッ素は,歯の質をかたくし,虫歯予防に効果的です。昨年度の県内のフッ素塗布事業の実施率が53%であり,これを高める対策を強めることが必要ではないでしょうか。 さらに,不正咬合の矯正治療は,費用負担が大きいため,保険適用を求める声が強いことから,国に要望してはどうか。
永久歯列が完成する前の乳歯列に行う不正咬合誘導は比較的費用も安く,効果的です。パンフなどで保護者への啓発を行ってはいかがでしょうか。 次に,アトピーやぜんそく,食物アレルギー,化学物質過敏症,花粉症など,子供のアレルギー疾患がふえています。保健・医療・教育・食育など,アレルギー対策を位置づけ,対策を総合的に進めることが必要と考えますがいかがでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。 化学物質過敏症は命にもかかわります。また,食物アレルギーの子供を持つ家庭では,食事療法は時間的,精神的,経済的にも負担は大変です。中でも,学校給食での除去食の実施や地産地消の取り組みは重要です。ところで,食料自給率が低下し,特にことしは台風による農業被害が追い打ちをかけ,輸入野菜が激増しています。農薬など安全チェック体制の強化を求めますが,いかがでしょうか,保健福祉部長にお伺いします。 この項最後は,国民健康保険について,保健福祉部長にお伺いします。倉敷市で,滞納を理由に,乳幼児を抱えた世帯の国保証が取り上げられ,資格証明書が発行されています。あってはならないことで,是正を求めますが,いかがでしょうか。 県の調査によると,国保料滞納で国保証を取り上げられ,資格証明書が交付される家庭が県内で昨年比約1.5倍にふえています。負担は限界に来ています。全国保険医団体連合会の調査では,国保資格証明書の交付を受けた被保険者の受診率は,一般被保険者の25分の1から100分の1という実態が明らかとなりました。健康と命にかかわる問題であり,資格証明書の無原則な発行をしないように市町村を指導することを求めますが,いかがでしょうか。 次に,若者の雇用問題について,知事にお伺いします。 全国の「高校生の就職実態調査のまとめ」によると,10月末現在,来春卒業予定の高校生で就職を希望している生徒の内定率は61.1%,県内では64.5%で,希望者の10人のうち4人が未定。底を脱したかのように言われていますが,深刻な事態になっています。まず,求人の絶対数が減少し,やむなくパートや派遣など,不安定雇用の職につく生徒がふえている。また,就職,進学以外の進路を選ぶ生徒の多くが,就職難を目前に就職をあきらめたと考えられ,フリーター,ニートになることが懸念されています。求人減少の大きな要因の一つは,大企業の身勝手なリストラ,人員削減です。しかし,政府は規制するどころか,産業再生法をつくって,リストラ企業への減税で応援してきました。岡山県内に事業所のある企業の産業再生法適用状況を調べると,2003年9月現在で,三菱自動車で約6億円,JFEの場合約5億円,三菱化学で約3億円と,人員削減計画に対して減税が行われているようであります。しかし,こうしたリストラ支援が間違っているということを政府自身が認めざるを得なくなっています。経済産業省がまとめた「青年の雇用問題に関する報告」,副題は「人材・雇用をめぐる神話と真実」です。リストラで人材投資を削減した方が企業利益は拡大するという神話がうそであり,教育訓練費を増加させた企業の方が利益や雇用を増加させているのが真実だとしています。もう一つの神話であるフリーターの大半は,自由を求めて好きで定職につかないのも神話であり,「定職につきたい」が64.7%,「フリーターを続けたい」が7%で,大半は定職につくことを希望しています。大企業の新規採用抑制をやめさせ,人材育成に本気で取り組ませるように働きかけること,派遣や請負など不安定で無権利状態に歯どめをかけ,本当に若者が仕事につけるような政策に真剣に取り組むことが求められていますが,知事の御見解をお伺いします。 おかやま若者就職支援センターは,カウンセリングやハローワークとの連携により就業など大きな役割を果たしています。機能の拡大が求められますが,いかがでしょうか。 サービス残業は,労働基準法違反の企業犯罪です。企業に対する啓発が必要ですが,どう取り組まれるのか,また若者に対しても,労働関係法等の周知が必要と考えますが,いかがでしょうか。 緊急地域雇用創出特別基金事業,これを継続するとともに,若者の失業対策として拡充するよう国に求めるべきですが,いかがでしょうか。 最後は,交通安全対策について,土木部長にお伺いします。 国は,交通渋滞など都市生活に著しい支障を来しているボトルネック踏切など,踏切道における事故防止及び交通の円滑化を図るため,踏切道改良促進法を改正しました。これにより,平成13年から5カ年間で,構造改善の必要な踏切道を都道府県知事の申し出制度と国土交通大臣による裁定制度が導入されました。改善が必要とされる踏切は幾つあるのか,この法律改正に基づいて県内での踏切改善計画と実施状況はどうなっているのか,お伺いいたします。 JR伯備線の倉敷市酒津県道踏切では,平成11年から15年の間に12件もの人身事故が発生しています。さらに15年は5件の発生です。ことし2月の夕方のラッシュ時に軽乗用車の脱輪事故があり,大事故には至りませんでしたが,大渋滞となりました。地域の方からも,「危険で渡るのが怖い」,「渋滞がひどくて買い物に行くにも大回りをしなければならない」など,改善を求める声は切実です。早急な改善を求めるものですが,いかがでしょうか。 最後に,安全で快適な歩行空間のバリアフリー化の推進を求めて質問をいたします。岡山県の人口10万人当たりの交通死亡事故は,全国ワースト10位に入っており,県民挙げて交通安全対策に取り組んでいるところです。警察庁と国土交通省は,死亡事故率が高く,または死傷事故が多発している交差点や単路を事故危険箇所として指定しています。改善状況をお聞かせください。 さて,昨年度の県内の市町村別交通危険度ワーストランキング1位は早島町です。ことし2月4日,子供議会が開かれ,議会に先立ち,子供たちはふるさとウオークで3時間も町内を歩き,交通や防犯,そして環境など,地域のさまざまな問題を見つけ出し,アンケートなども実施して調査し,みんなで質問をまとめたと言います。その質問の内容は,「僕たちは,町内を3時間かけて歩き,2号線無津交差点が非常に危険だと気づきました。そこで,陸橋を利用している人67人にアンケートして,51人の人が陸橋をつくり直してほしいと思っているということが明らかになりました」。子供たちの提案は「幅を広く,しっかりしたものにする。手すりを2段にして木にする。自転車用のスロープを中央につける」などです。私も調査しましたが,この陸橋は昭和43年につくられたもので,老朽化も目立ちます。子供たちの願いにこたえて改善するよう求めるものですが,いかがでしょうか。 以上で質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。よろしく御答弁をお願いいたします。
○議長(千田博通君) 答弁を求めます。 知事石井正弘君。 〔 知事 石井正弘君 登壇 〕
◎知事(石井正弘君) 日本共産党の赤坂議員の質問にお答えを申し上げます。 台風被害についてであります。 被災箇所の復旧等でありますが,今回の災害を教訓といたしまして,被災された住民の方の声もお聞きをしながら,早急な復旧対策等に取り組んでまいりたいと思います。 支援金の改善についてでありますが,
生活再建支援給付金補助事業は,災害救助法が適用されました台風第16号によって,過去に例のない未曾有の高潮による床上浸水で住宅や家財に多数の被害を生じたということから,県独自の制度として創設をしたものであります。11月末の段階で,約2,900件の申請が市町になされていると聞いておりまして,各種の支援策と相まって,被災者の生活再建に資するものとなっていると考えております。 住宅本体への支援についてでありますが,従来から,大規模な災害に際しましては,被災住宅の補修等に要する資金の借り入れに対する利子補給制度をその都度設けてきたところであります。しかし,住宅本体への支援につきましては,国民のコンセンサスを得るべき大きな課題でありまして,現下の厳しい本県の財政状況から,県独自の施策として行うということには,現時点におきましてはなお慎重な検討が必要であると考えております。
被災者生活再建支援法の改正要望についてでありますが,これまでも県独自あるいは中国知事会や全国知事会等を通じまして,制度の充実を要望・提案をしてきたところでありますが,住宅本体への支援につきましては,先月11日に,全国知事会で採択の上,国へ緊急提言をしたところであります。 被害認定基準運用指針の周知徹底についてでありますが,平成13年7月に国から指針が示されまして,同月,各市町村に周知をしたところであります。平成14年2月に再度各市町村に対しまして通知をし,周知徹底を図っております。 また,ことしの高潮災害では,生活再建支援制度の適用となる世帯が見込まれるということでありまして,ホームページにも掲載をいたしまして,県民の皆様にも周知をしているところであります。 被害認定弾力化通知への対応でありますが,国の通知を受けまして,直ちに各市町村に運用指針を添付し,被災者の支援について万全を期するよう通知いたしますとともに,沿岸部の市や町には,別途,床上浸水した住家には大規模半壊や全壊となる可能性がある旨の通知をしたところであります。 また,被害認定に万全を期するため,11月に,市町村担当職員を対象といたしまして,全国の被災者生活再建支援基金を所管をしております財団法人都道府県会館の職員による説明会も行ったところであります。現在,関係市町村で被害状況を精査しておりまして,来年1月末までには調査が終了すると聞いております。 なお,被害認定は,本来市町村が行うべきものでありまして,県といたしましては,市町村から相談がありますれば適切に助言をしてまいりたいと存じます。 次に,小中学校の35人学級編制でありますが,現在,中学校第1学年と第2学年で実施をいたしております。中学校第3学年での実施や小学校への導入も早急に取り組むべき課題と認識をしておりまして,今後とも,教育課題を的確に把握し,その改善に向けて最も効果的に教員配置を行うという観点に立って,対象とする学校の規模や学年など,具体的な実施方法等について,教育委員会と十分協議しながら対処してまいりたいと存じます。 義務教育費国庫負担金の廃止でありますが,三位一体の改革は,地方の自主性,自立性を高めようとする地方分権を税財源の面から推進をするものでありまして,分権改革のためには避けて通れない改革であります。その中では,廃止対象の国庫補助負担金といたしまして,義務教育費国庫負担金も例外ではないと考えております。もちろん,地方の改革案でも求めておりますように,税源移譲後の自治体間の財政力格差の調整につきましては,国の責任において,地方交付税等により適切に行うべきものでありまして,この点,政府等に対し強く働きかけをしており,今後も,当然継続をしていくこととしております。いずれにいたしましても,私といたしましては,人づくりのその柱となります教育施策は最も力を入れて取り組んでいる分野の一つでありまして,義務教育費国庫負担金の廃止・税源移譲後におきましても,少人数学級等,本県独自の事業を初め必要な教育施策につきましては的確に予算措置をしてまいりたいと考えております。 次に,「新岡山いきいき子どもプラン」についてであります。 男女共同参画の位置づけでありますが,次代を担う子供たちが健やかに生まれ育つ環境づくりのためには,男女が協力して家庭を築くことや,子育てと仕事が両立でき,出産,子育てがしやすい職場環境づくりなどが重要であると考えており,新プランにおきましても,これらを重点施策として盛り込んでいるところであります。今後とも,男女共同参画社会の形成とも相まって,新プランに基づき,子育て支援に全力で取り組んでまいりたいと存じます。 子育ての当事者でありますが,新プラン策定に当たりましては,母親クラブ,子ども会連合会,PTA連合会など,子育て当事者を含む岡山県子どもを健やかに生み育てるための環境づくり推進協議会を初めといたしまして,県民意識調査や説明会,パブリック・コメントなどを通じまして,広く御意見を伺ってきたところであります。今後は,新プランの実施状況を適宜適切に先ほどの推進協議会等に報告をいたしまして,御意見等を伺いながら,子供たちが健やかに生まれ育つ環境づくりに努めてまいりたいと存じます。 若者の雇用対策でありますが,フリーター等の増加は,日本の社会経済の維持・発展という観点からも憂慮すべきことと考えております。このため,県といたしましては,就職面接会の開催や新たな求人の開拓,経済団体等に対しまして採用枠の拡大を要請いたしますとともに,高等技術専門校におきましては,企業内労働者がより高度な技能を習得できるよう在職者訓練を実施しているところであります。今後とも,岡山労働局等関係機関と十分連携をしながら,若年者の雇用対策に取り組んでまいりたいと存じます。 おかやま若者就職支援センターの機能拡大でありますが,厳しい若年者の雇用環境を踏まえまして,県といたしましては,今後,出張相談会の開催や職種紹介機能の充実,教育現場での職業意識の普及啓発など,センター機能を充実強化いたしまして,若者の就職支援に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。 賃金不払い残業,いわゆるサービス残業等についてでありますが,岡山労働局におきましては,サービス残業の防止に向け,労働基準法等の周知徹底に努めるとともに,指導監督を強化していると聞いております。県では,広報誌への掲載,啓発パンフレットの配布,各種セミナーの開催等を通じまして企業等に周知を図っているところであります。 また,若者に対しましては,今年度,労働関係法等の基礎的な知識や社会人としてのマナーを盛り込んだ「ヤングサポートガイド」を高校卒業予定者等に配布をしたところであります。今後とも,岡山労働局等と連携をいたしまして,サービス残業の防止に向けた普及啓発,あるいは若者に対する労働関係法等の周知に努めてまいりたいと存じます。 最後に,緊急地域雇用創出特別基金事業の継続・拡充についてでありますが,県では,本年7月に,国に対し継続要望を行ったところでありますが,厚生労働省におかれましては,平成17年度予算の概算要求は行っていないところであります。県といたしましては,国の雇用対策の動向を踏まえまして,また,今後の雇用情勢等を勘案しながら,継続要望につきまして検討してまいりたいと存じます。 以上でございます。
○議長(千田博通君) 保健福祉部長宮嵜雅則君。 〔 保健福祉部長 宮嵜雅則君 登壇 〕
◎保健福祉部長(宮嵜雅則君) お答え申し上げます。 まず,6歳臼歯を中心とした虫歯予防等についてでございますが,最初に生えてくる永久歯で,かみ合わせのかなめである6歳臼歯の虫歯予防は,8020運動の推進に極めて重要でございまして,学校保健と連携して,検診結果から得られる虫歯罹患率等のデータを活用し,就学前からの子供の虫歯予防に努めてまいりたいと考えております。 また,国の8020運動推進特別事業補助金につきましては,現在検討中というふうに聞いておりますが,県といたしましては,今後とも,8020運動を中心に,生涯を通じた歯の健康づくりに取り組んでまいりたいというふうに考えております。 次に,フッ素塗布事業についてでございますが,「健康おかやま21」の中でも,フッ素塗布経験者の割合の増加などを目標に掲げ,フッ化物利用の促進に努めており,今年度新たに4市1村が実施することとなっております。今後とも,より多くの市町村で効果的にフッ素塗布事業が実施できますよう歯科保健推進会議等を通じて支援してまいりたいというふうに考えております。 次に,不正咬合についてでございますが,医療保険は,疾病,負傷等に対して保険給付を行うものでございまして,不正咬合の矯正治療は一般にこれには該当しないものと考えております。 また,お話の咬合誘導につきましては,一般には余り知られていないことから,今後,市町村が実施する健診等の場で情報提供ができますように市町村を支援してまいりたいというふうに考えております。 次に,アレルギー対策等で,総合的な対策についてでございますが,県では,これまでにパンフレット等を作成してアレルギーに対する正しい知識の普及啓発を行うとともに,保健所において,アレルギーに関する食事相談等を行ってきたところでございます。アレルギー性疾患は,治療だけではなく生活環境の改善等の対策が必要でございまして,今後とも,保健・医療・教育等関係機関と連携をして,情報提供や相談を行うなど,アレルギー対策に取り組んでまいりたいというふうに考えております。 次に,輸入野菜の安全性チェック体制についてでございますが,近年,野菜を初め輸入食品が増加していることから,国において,検疫所におけるモニタリング検査や輸入者への指導の充実強化等が図られているところでございます。 また,本県におきましても,残留農薬の検査項目の拡大など検査体制を強化し,輸入野菜等の安全性の確保に努めているところでございます。 次に,国民健康保険の資格証明書についてでございますが,県では,長期滞納者のうち,災害,病気など,政令で定める特別な事情がある場合には,滞納しているという理由だけで資格証明書を発行することなく,個々の被保険者の実情に即して適切に判断するよう,倉敷市を初め各保険者に対し指導をしているところでございます。 以上でございます。
○議長(千田博通君)
土木部長山中義之君。 〔 土木部長 山中義之君 登壇 〕
◎土木部長(山中義之君) お答えを申し上げます。 まず,高梁川河口部に関するお尋ねのうち,国からの被害報告等についてでございますが,災害発生時に国からの被害報告を受けたという事実は確認をできませんでしたが,その後,県からの申し出によりまして詳細な報告を受けたところでございます。今回の災害を教訓といたしまして,国を初め関係機関との連携を強化いたしますとともに,復旧工事の早急な実施と高潮対策について国に要望をしているところでございます。 次に,高梁川河口部への潮位計の設置についてでございますが,現在,国の管理する一級河川につきましては,必要な箇所に水位計が設置されていると聞いております。今回の災害を教訓にいたしまして,新たに潮位計などの設置が必要かどうか検討をしていただくよう国に対して申し入れをしているところでございます。 次に,水防警報の指定区域拡大についてでございますが,現在行っております高潮の浸水原因や浸水実態の調査を踏まえまして,今後,水防警報の指定区域の追加について検討をしてまいりたいと考えております。 次に,踏切道の改善に関する御質問のうち,まず箇所数と改善計画等についてでございますが,踏切道改良促進法に基づきまして,改良が必要であるとして法指定されております踏切道は3カ所ございます。これらは,いずれもJR山陽本線と交差する踏切道でございまして,このうち県道倉敷清音線の寿町踏切につきましては,現在,倉敷駅周辺連続立体交差事業による計画を策定中でございます。 また,県道穂浪吉永停車場線の閑谷道踏切は,具体的な事業計画はございませんが,代替のルートとなる近傍の町道の立体交差化が完成をしております。 さらに,倉敷市の市道柏島道越線の玉島道踏切につきましては,現在,倉敷市におきましてJRと協議中と聞いております。 次に,JR伯備線酒津県道踏切についてでございますが,交通量が1日当たり約2万台ございまして,対策が必要であると考えております。今後,周辺の都市計画道路を活用した抜本的対策につきまして,地元倉敷市やJRとともに研究をしてまいりたいと考えております。 次に,歩行空間のバリアフリー化に関しまして,まず事故危険箇所の改善状況についてでございますが,平成15年7月に,県内の国・県道で85カ所が事故危険箇所として新たに指定され,公安委員会と連携して,集中的な対策を講じているところでございます。現在,すべての箇所で事故の状況分析等の調査を進めておりますが,既に調査の終わりました国道430号の倉敷市児島支所東交差点など44カ所におきまして,交差点改良や信号機のLED(発光ダイオード)化などの対策工事を行っております。今後は,残る箇所につきましても早期に事業着手し,危険箇所の改善に最大限の努力を払ってまいりたいと考えております。 最後に,国道2号無津交差点陸橋についてでございますが,この陸橋は国が管理しているものでございます。地元の御要望の趣旨を国に対して伝えてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○議長(千田博通君) 20番赤坂君。 〔 20番 赤坂てる子君 登壇 〕
◆20番(赤坂てる子君) 再質問させていただきます。 まず最初に,高梁川の堤防の破損の問題なんですが,(パネルを示し,以下パネルで説明)調べましたら,ここらあたり5カ所,河口部です。南西の風が吹いていました。ですから,この南西の風が吹いて,これが反射をするとか何らかの原因でここが大きな損壊を受けたということで,普通の高潮というのではなく,高波も伴ったような事態になっているということですので,国に対してこの河口部の安全対策というのを求めない限り,高潮対策を幾ら県がやられたとしても,これは不十分であるということで,前に質問いたしましたが,明治17年のときのあの高潮被害では,ここの四十瀬まで船が上がったという記録があるということですので,もうこれは国が責任を持ってやるべきだということで,強く求めていただきたいということでございます。 それで,私はお手紙をいただきました。全部しよったら時間がないのであれですが,その方は八幡に住まわれている方なんですが,ここは4メーターから5メーターの波が来たというんです。万歳しても届かないぐらいの波がやってきて,畳が飛ばされ,足をけがし,ガラスが割れて,ドアがひん曲がったというような,大変な被害。ですから,ここを含めてしっかりとした対策をする。例えば,ここに防波堤,波を消すようなものをする。ここの堤防も考えるとかしないと,この西を通った台風,この山部方面を通った台風で大変な被害をもたらしたという経験だと思いますので,ぜひこうした被災者の方の声をしっかり受けとめてやっていただきたいというのが第1回目の質問と高梁川の問題でした。 じゃあ2点目に入りますが,実は先ほど被害認定の件については言われましたが,国が言ったのは,2次判定をやりなさいということなんですよ。あの分厚い運用指針ですが,今持ってませんが,置いてきましたが。運用指針にあるのは,床上浸水になった場合は,1次判定,2次判定をやりなさいというのが,これが運用指針の重要な問題だったわけですが,今回,それがされたのかということで,私は倉敷市を見ましたら,5,000戸余りもの,何千戸もの被害があったにもかかわらず,全壊もない,半壊もない,これは本当に判定がちゃんとやられていないということではないかと。先ほどの八幡の方がありましたが,家はもう入れないような状態です。壁が屋根の近くまで壊れているのにもかかわらず,これが床上浸水の判定ということで,県がこの運用指針を本当にちゃんと徹底されたのかどうか,この点についてどういう説明会をされたのかということを,改めてお聞きしたいと思います。国の方は,これについて県が求めれば説明会を開くということを,私たちの国会議員の方に言っておりますので,ぜひこの点を御検討いただきたいということが1点です。 それともう一点は,弾力運用についてお伺いしました。この指針をさらに弾力運用するということですから,県としてその弾力運用をどのように考えられるのかということを,改めて知事にお伺いをしたいというふうに思います。 それと,あわせまして,実は県の防災計画があるんですけれども,この防災計画のとおりに市町村はやったというんですよ。市町村は,県が言うとおりに被害のことやったって言われたので,私も見ましたけれども,被害認定にかかわって,この運用指針のことは一言も書かれてありません。それから2次判定のことも書かれてありません。県がそういう被災に対しての無防備な,こういう状況にあったということを私は指摘をしたいと思います。そういう意味で,今回の台風16号,18号,そして21号,23号等の連続被害,この実態を県がちゃんとつかんでいない。これが私は今大問題であって,それをきちっとせずに,支援策がお金がないとかどうとか,コンセンサスどうとかということで済ませてしまうような問題ではないということで,私は改めて被災者の方への支援策の拡充,特に連続被害者への支援の問題,ぜひやっていただきたいと,法適用にかかわらずやっていただきたいということをお願いしたいと思います。御答弁をお願いします。 それと,あわせまして,少人数学級については,ぜひ御検討いただきたいということで,小学校1年生からやってほしいという声もたくさんあります。山形県は,実際に研究会までつくって,少人数学級を進めていますので,そういう体制も含めてやっていただきたいということをお願いしたいというふうに思っています。 それと,義務教育費の国庫負担制度のことなんですが,私調べてみましたら,この義務教育費の国庫負担が廃止されれば,県には約65億円もの収入不足が起こるんじゃないかということと,あわせまして,調べてみると,今の教員の年齢構成によって年間約100億円近くもふえる……。
○議長(千田博通君) 赤坂てる子君,発言時間を超過しておりますから,注意をいたします。
◆20番(赤坂てる子君) (続)そういう財政が給与を圧迫するというようなこともあります。改めてこの義務教育費国庫負担制度の堅持を強く求めて,再度質問いたします。 以上です。
○議長(千田博通君) 答弁を求めます。 知事石井正弘君。 〔 知事 石井正弘君 登壇 〕
◎知事(石井正弘君) 再質問にお答え申し上げます。 先ほども申し上げましたとおり,今回の台風によりまして被災をされました住民の方々,さまざまな御意見も私自身もお聞きをしておりますし,担当部あるいは出先もお聞きをしております。しっかりとその声をお聞きしながら,また有識者等で構成されますその検討組織,その御意見というものも踏まえまして,具体的な防災に資するような,そういう復旧対策等に取り組んでまいりたいと存じます。 それから,被害認定基準運用指針の周知徹底の問題でございます。今,具体的に倉敷市ということを挙げられましての再度の御質問をちょうだいいたしました。 先ほども御説明申し上げましたとおり,県としては,市町村に対しまして2度通知をする等,徹底を行っているところでございまして,基本的には,被災者に対しましても個別に通知をされるなど,市町村におかれまして適切なる対応がなされていると考えておりますが,もしもそのようになされてないという例がございました場合におきましては,再度,当該市町村に通知をいたしまして,周知徹底を図ることといたしたいと思います。 弾力運用をどのように考えるかということでございますが,この弾力運用につきまして,先ほど兵庫県の例等も引用されましてのお話がございましたが,これにつきましても,御案内のとおり,先ほど御説明申し上げたさまざまな手法を通知するとか,あるいは説明会を行う等,いろんな方法を活用いたしまして,周知徹底を図っているところでございまして,この被害認定は,あくまでも本来市町村が行うべきものでございますので,県といたしましても,市町村からの相談に応じまして適切に助言をし,被災者の方々の対応を,そういう被害の認定が適切に行われますように,弾力運用につきましても徹底をさらに図ってまいりたいと思います。 それから,
生活再建支援給付金補助事業につきましては,これは先ほども申し上げましたとおり,過去に例のないタイプの被害であると,今回の台風による高潮という,あのような未曾有の被害であるということから,県といたしまして,生活再建が困難な方,その方に早期の自立した生活の開始を支援するということで,今回,制度創設を行ったということでございまして,御理解を賜りたいと存じます。 少人数学級についての再度の御質問でございますが,これも先ほど御説明申し上げましたとおり,私のマニフェストに掲げている事項でもございます。中学校第3学年での実施,あるいは小学校への導入,これを早急に取り組むべき課題であると,このように認識をしながら,教育委員会と協議・調整を今現在進めているところでございます。 今回の義務教育費国庫負担金の廃止を我々知事会として要求を,リストに挙げまして政府の方に回答したものでございますが,あくまでもその前提条件といたしまして,国庫補助負担金の削減及び税源移譲によって生じる自治体間の財政力格差,これを地方交付税によって適切に調整すべき,これを前提条件にして我々はリストとして掲げたということでございますので,そういうことで,我々としては今後とも政府の方に対しまして主張をし続けていきたいと考えております。 以上でございます。
○議長(千田博通君) 土木部長への質問は,知事さんが住民の御意見を聞きますとおっしゃられたんで,それで包含してよろしいか。 はい,それでは再び,20番赤坂てる子君。 〔 20番 赤坂てる子君 登壇 〕
◆20番(赤坂てる子君) 知事の御答弁をお聞きしまして,私はがっかりしました。こういうことを被災者の方に言えるのかというふうに思いましたが,本来,県が周知徹底を市町村にしなければならなかったこうした被害の認定にかかわる手続が,市町村がやれていないというのは,市町村の責任では,私は全部が全部言えないというふうに思います。先ほど言いました防災計画にそういうことが書かれていない。そして県は今回,災害対策本部を解散して,翌日に災害復旧のための特別な対策本部までやられた。そして,その本部長として知事はやられたと思うわけですが,そこで災害復旧についてまともに議論をされていればこうした事態にはなっていなかったということを,私は指摘したいというふうに思います。私は,先ほど倉敷の例を言いましたが,倉敷だけではありません。川上村に行きました。屋根が天井ごと吹っ飛んで,対岸にある家の屋根を壊して,もう一つ向こうの屋根まで壊した,こういうお家も一部損壊や半壊です。また,屋根が飛んでしまって,傘を差して,ひとり暮らしのおばあさんが涙ながらにその日を過ごしたとおっしゃるわけです。もう住めない家です。それでも全壊や大規模半壊にはなっていない。こうした例が各地で行われていますし,私は,「運用指針を知っていますか」ということを各町村に聞きました。「知らない」という方や「あったようだが」ということでございまして,県として,これは周知徹底していく責任がある。そのことを運用指針の中でもきちっと位置づけてあります。国の方もそのことを言っているのでありまして,私は岡山県だけというわけではない,これは全国的な傾向でもありますので,国に責任ある,そういう対応を求めるとともに,県としてきちっとこの災害認定,もう災害復旧を受ける基本中の基本,法的な適用を受ける,また救援策を受ける,基本中の基本ができていなかったということを真摯に御反省いただいて,改めて災害認定について,県として説明会を開いていただきたい,このことを重ねてお願いをしたいというふうに思います。 それと,弾力化の問題なんですが,県が11月22日に説明会をされました。どうも市町村の方に聞きますと,県は消極的だというような感想を持たれているようにお聞きしますが,そうではないと思うのですけれども,本当にこの認定基準をさらに弾力的にして,被害の実態に合ったものにしていく,これが県の役割だと思います。兵庫県に行きましたら,こうした「浸水等による住宅被害の認定に係る内閣府通知の解釈について」,こういうものまで示しているわけです(資料を示す)。今,私の地元の倉敷もそれから今度瀬戸内市になりましたが,それとか笠岡や玉野市でも,担当者の方は今必死でどういうふうにしようかと困っているわけです。災害で大変な過労状態,パニックのような中で被災者の支援に当たられたわけです。そのときに,県の助けがこういう面で本当に必要だったのではないか。そのために災害救援のための対策本部までわざわざ立ち上げられたのではないか。その趣旨を生かして,お願いをしたいというふうに思います。 それと,支援策の拡充なんですが,実は我が県出身の村田担当相も,国や市町村が住宅再建などで独自の支援措置をとった場合は,国としての財政支援についても検討するようなことまで言われているような事態です。私は,災害の現場に行って,災害被災者の方のきちっとしたその被害状況をつかんで,それにどの法律が適用されるのか最大限生かしていく。災害救助法の適用があれば,応急復旧51万9,000円,適用できないかと考える。それでも適用できなければ,さらに県として何をすべきかを考える。これが災害復旧,災害支援の私はとるべき態度だと思います。そういう点で,私は,知事の御答弁を改めて求めたいというふうに思います。 それと,義務教育費国庫負担制度のことなんですけれども,実は県議会の文教委員会が文部科学省を視察しましたけれども,このときに文部科学省が言っておられる言葉が,私ちょっと気にかかって,本当にこういうことにならねばいいがなと思っているわけですけれども。文科省は,総額裁量制で100という枠をいかようにもお使いくださいと今言っていると。私は,これは余り賛成ではないわけですけれども。知事は,それ以上に自由度が欲しい,これはどの知事かはわかりませんが。欲しい自由度とは何かというと,教育以外に充てる自由度しかない。危ない自由度だと言っていると言われました。知事は,聖域なき行革を進め,教育予算も例外なくこれまで削られてまいりました。高校の統廃合や学校統廃合が各地で今進められています。本当に教育を守っていくという立場を貫いて義務教育費国庫負担制度堅持を求めて……。
○議長(千田博通君) 赤坂てる子君,発言時間を超過しておりますから,注意いたします。
◆20番(赤坂てる子君) (続)私の再々質問とさせていただきます。よろしくお願いします。
○議長(千田博通君) 答弁を求めます。 知事石井正弘君。 〔 知事 石井正弘君 登壇 〕
◎知事(石井正弘君) 再々質問にお答え申し上げます。 被害認定基準運用指針についてでございますが,適切な対応が各市町村においてなされていると思いますが,不適切な対応がある,そういうような例が我々認識されました場合におきましては,被害認定につきまして,当該市町村に再度通知をし,周知徹底を図ることといたしたいと思います。 それから,今回の被害認定弾力化通知,これはもともと私も内閣府へ行きまして防災担当の政策統括官の方に対しまして,ぜひ今回の岡山県の被害を法の対象にしてほしいと強い要望をいたしまして,他県からも当然そういう要望もあったかと思いますが,それらを受けて今回踏み込んでいただいたということでございまして,大変私もありがたく思っております。当然,これは市町村においてこれを適切に運用していただくことが私としても望ましいところでございますので,これからも市町村に対しまして適切に助言をして,徹底をしてまいりたいと思います。 それから,
被災者生活再建支援法,これにつきましては,知事会レベルでも改正につきまして要望をしてきているわけでございます。私といたしましても,住宅本体,ぜひこれも支援をしてほしいという立場で,引き続き国の方に対して要望をしていこうと思っております。 教育関係についてでございますが,私は,教育関係の予算を削ろうとは全く思っておりません。むしろ最重要課題の一つとして充実強化をしていく所存でございます。 以上でございます。
○議長(千田博通君) この際,午後1時10分まで休憩いたします。 午後0時1分休憩 ~~~~~~~~~~~~~~~ 午後1時12分再開
○副議長(中塚正人君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問を継続いたします。 15番蓮岡靖之君。 〔 15番 蓮岡靖之君 登壇 〕
◆15番(蓮岡靖之君) それじゃ,失礼いたします。自由民主党の蓮岡靖之でございます。通告に従いまして,順次質問をさせていただきたいと思います。 石井知事におかれましては,3期目の県政のかじ取りを担うということになりまして,改めてお祝いを申し上げますとともに,その御労苦に対しまして深甚なる敬意と感謝を表する次第であります。 そのような観点から,まずは知事の3期目に向けられた行政運営の中で,これだけはというような熱い意欲をお伺いしたいと思います。と申しますのも,かつてない財政の瀕死の危機的な状況の中であります。すばらしい行政手腕をお持ちの知事であっても,ないそでは振れないと思います。知事は,このたびマニフェスト選挙を実行されました。この中に記しているよというだけではなく,議会に対しまして熱い意欲の披瀝をしていただきたいと存じます。夢づくりプランの推進の中にありましても,知事の特別の思いのある具体の施策につきまして,お聞かせを願えればと思います。 また,先日も,内山議員からもございましたけれども,最近の道州制をめぐる多くの行事につきましては,目を見張るものがあり,その機運はかつてないほどの盛り上がりを見せているようでございます。 そこで,我が中四国州にとりまして,最近は,特に州都の関係でホットな論争を展開中でございますけれども,中四国州の実現という道州制導入につきまして,知事の思いを改めて展開していただければと存じます。 さらに,その実現に向けた意気込みを示すものとしまして,民間を巻き込んだ中四国州実現に向けました組織づくりを進めてはどうかというような御提案をさせていただきます。知事の御見解とあわせてお伺いするものであります。 また,私は,議会としても道州制を調査・研究するような特別委員会を立ち上げるべきではないかというふうにも考えているところであります。 次に,3期目,石井県政の中で,議会との関係につきましてお尋ねをいたします。現在,首長と議会の関係では,いわゆる二元代表制をとる我が国では,昨今,両者は現実的に対等な力関係にはなく,数多くの執行機関を抱える首長と議会との情報力は段違いであることは,多くの指摘のあるところであります。 そこで,議会側は,条例の制定権等をてこに,権限の拡大を図ろうとするものでありますけれども,それとて政策を条例化しようとする執行機関側の勢力に抵抗しようとしても無益なことであります。ストロングガバナーというような言葉があるそうでありますけども,議会の弱体化の問題でございます。 そこで,知事は,この問題につきましてどのような御認識をお持ちなのか,お伺いをさせていただきたいと思います。 続きまして,通告の2番目,介護保険制度について質問いたします。 2000年4月から施行されました介護保険制度は,当初より5年後,つまりは来年度を目途に見直しが行われることになっております。鳴り物入りでスタートしたこの制度も,施設介護偏重の傾向は変わらず,そのためのサービス利用がふえつつあり,介護保険会計が赤字となる保険者が全国的に増加しているようであります。給付の効率化重点化を思い切って進める必要性が声高に叫ばれているのも当然のことかもしれません。 そこで,現在の県下における介護保険制度の問題点,例えば施設入所等の需要に対するサービスの供給状況などはどうなっているのか,保健福祉部長にお尋ねをしたいと思います。 そして,制度見直しにつきまして,今後どのような方向性に向かうのか,わかり得る範囲でお答えいただきたいと存じます。 また,保険料や自己負担率の引き上げなどにつきましては,必至とも思われますが,見直しがされるのでしょうか,あわせて保健福祉部長にお伺いをいたします。 かく言う私も,この10月で不惑の40歳になりまして,いよいよ11月からは介護2号被保険者ということで,多少なりとも介護保険という国民の義務を果たさせていただいておりますが,しかしながら,その通知がなかなか明確に来ておりません。それをちょっと調べてみますと,世帯主の方へ変更決定通知書(異動分)という中で,「あなたの保険料等が変更になりましたのでお知らせします」と記されたものがあるだけで,欄のところへ介護2号取得という理由が記されているというものだけでありました。一番頭にきましたのが,更正というような言葉を使われているというのは非常に頭にきまして,何か悪いことをしておったのがよくなりましたというような感じにとられるような感じがいたしまして,頭にきました。当然,事務の主体は市町村でございますけれども,県もノータッチではございません。通知書の改善につきまして,対応していこうとするおつもりがあるのかどうか,御見解を保健福祉部長にお伺いしたいと思います。 いずれにいたしましても,少子・高齢化の社会の中で,当然若い者が年配の方々をお支えするという制度でございます。高い意識を持ち,効率的な運用をしていくためにも,国,県,市町村が連携を密にして,このような問題に対しましても真摯に対応していただきたいと思います。 続きまして,通告の3番目,教育問題についてお尋ねをいたします。 昨今の教育に対する危機感は,今や未曾有のものがあろうと思います。子供の側の問題を指摘する声や,教員側の問題含めて学校や教育委員会や地域や親が悪いという声が多く存在し,問題の深刻化多極化の様相を呈しております。かつて明治から終戦直後までは,教育委員会なるものはなく,先生も体罰は当たり前,飛び級や能力別クラス編制など,割と自由闊達に教育が謳歌された時代であり,今日的に,猫の目までとは申しませんが,くるくると制度が変わるようになったのは,教育委員会ができたからだという本もありました。いずれにしても,日本の公教育制度そのものの変遷が,教育現場を今日のような泥沼に陥れてしまったことは,間違いないことであり,その責任は逃れないことであります。そのことは,2002年4月にゆとり教育なるものを推進するとして,学校週5日制を導入いたしましたが,そのために授業時数が1割減るということになったわけですけれども,これにあわせて,文科省は,教える内容を3割も削減したというものであります。そして,新しく総合的な学習の時間を導入し,ますます学力低下につながる施策を展開したものであります。自分の首を自分でという状況でありますけれども,また2002年12月より,小泉内閣の構造改革による特区制度が創設されましたが,教育分野におきましては,規制緩和が大きく拡大をされました。その結果,制度創設以来,わずか1年余りの間で,従来,学校法人に限定されていたような学校設立が,NPOや株式会社などにも認められるようになりました。また,そのように,教育関連では既に75の特区が認定をされ,以前では考えられなかった制度も現実のものとなっております。まさに教育問題は,切実なものとなっていることのあらわれであろうと思います。しかしながら,その制度が創設される現場では,当の子供や教員の方は,その変化に対応し切れているのだろうかという疑問が生ずるのであります。 例えば,某市では,小学校低学年から英語教育を,という特区申請がなされたというふうに聞いておりますが,一体どこにその時間数を確保する時間帯があるのか。また,品川区の学校選択制などは,選択に値するほど学校ごとの特色や違いが結局あるのかどうかというようなことに帰結し,さらには学校の序列化を促すのではないかというふうなデメリットも指摘をされております。また,ほかにも,校長先生に学校運営という側面を重視するリーダーシップを図ってもらおうとか,民間からの校長登用,学習指導要領によらない授業,校長会の一般公開,教員版フリーエージェント制,あとチャータースクールなど,枚挙にいとまがありません。私は,現場の先生や生徒の戸惑いや不安感など,どうもそちらの方のデメリットが大きいのではないかと推測するものであります。というのも,結局は,学力で勝負しなければならない大学受験が待っている以上,どうしても目先を変えた制度よりは,やはり親も子も最終的には,学力の向上という側面を重視することになるのではないでしょうか。そして,諸施策につきまして,制度が変わり過ぎることにより,現場の子供たちの側がどのような影響を受けるかという側面が欠如しているように思えるのであります。私は,このような目先を変える制度よりも,徳育を重視した子供が子供らしく成長できるような教育制度を構築することこそが,まずは重要な観点ではないかと考えるものであります。 そこで,教育長にお尋ねをいたしますが,今日のこのような教育改革にかかわるさまざまな制度の諸施策につきまして,どのような認識をお持ちなのか,また県として徳育重視の教育を強化的に行うことにつきまして,そのお考えをあわせてお伺いしたいと思います。 続きまして,このようなさまざまな教育改革に関する諸施策の中で,私なりに以下の3つの制度は比較的メリットも多く,子供たちにとりましても有益なものではないかと考えるものでありますが,そのことについてお伺いをいたします。 まず一番最初に,全国的にも取り入れる学校が増加傾向にあります2学期制というものにつきまして,お尋ねをいたします。ここでは,視察をさせていただきました金沢市の例をとらせていただきますけども,金沢市では,今年度より全市で2学期制を導入したそうであります。メリットにつきましては,落ち着いて学習できる期間が確保され,授業が充実をし,学力の向上が図られるとか,子供と保護者へ学習状況が丁寧に伝えられる,子供と教師の触れ合う時間がふえる,長期休業日の学習が充実するということでございます。当初は,聞きなれない言葉などに戸惑いもあったそうでありますが,地域やPTA,さらには生徒自身などからもおおむねよい評価を得ているということであります。肝要なことは,明治の時代から身にしみついてきている3学期制を変えることでありまして,このことは大きなエポックメーキングであり,学校としてのビジョンや具体の教育プランなどがここには不可欠であり,まずもって,それを行う教員自身の意識改革が大変重要であると感じました。 ここで,まず教育長に,2学期制の導入につきまして,御認識をお伺いし,全国的な傾向を踏まえた上で,我が県下の状況につきましてもお知らせを願いたいと存じます。 そして,この制度は,文科省は積極導入を提唱しておらず,各学校長の裁量で取り組んでいるというために,試行的に制度導入を行っているところや,これからという市町村村につきましては,判断材料なるものが余りなくて,保護者に配布したり地域へ理解してもらうことが比較的難しく,困惑している状況がございます。 そこで,県として,2学期制のアカウンタビリティーという意味合いで,そのためのリーフレットなどが作成できないものでしょうか。メリット,デメリットを明記し,学校行事もこのように変わりますというようなわかりやすい資料が,制度導入に当たっては必要不可欠と考えます。実施主体で取り組むべきとは存じますが,できばえに差があってもよくありません。県立高校もあることでありますので,ここはひとつ県がイニシアチブをとって,2学期制のわかりやすいリーフレットを作成すべく御協議をお願いしたいと思います。御見解をお聞かせください。 続きまして,有益と思われる制度の2点目でありますが,「スーパーティーチャー制度」についてであります。現在,全国的にも教員の評価に新しい制度導入を図っているようでありますが,我が県の場合,目標管理制の導入が検討されているようでありますが,これから例示をいたします宮崎県は,いわゆる従来の勤務評定にかえて,職員一人一人が発揮する職務遂行能力を評価する職務行動評価というものと,一定期間における業務目標に対しての達成度を評価する業績評価によって,この2つを総合的に評価するというものであります。結果だけではなく,職務遂行能力向上に向けてのプロセスを重視していくことがこの制度の柱だそうであります。業績評価の結果につきましては,特別昇給や勤勉手当に反映させることで検討中。管理職の評価は,多面評価を導入予定ということです。要するに,現場で教える技術がすぐれた先生は,そのまま校長や教頭というようなルートには乗らずに,ずっと現場で生徒に教える。そして,給与面とか地位の面でも,校長と対等というような制度でございます。これは,教育面ですぐれた人材が,いつまでも子供たちのために現場に残っていただけるといういい面が発揮されるというものでございます。選ばれたスーパーティーチャーたちは,それぞれの地域を代表するすぐれた実践家として,他の教師たちの教育実践のモデルとなったり,助言を与えたりする役割が期待されているというものであります。ここの県教委からの資料の中には,次のような文書がありました。 「教諭,教頭,校長といったキャリアルートは,学校の官僚制を推し進めてきた面がある。上しか向かない教師を生み出してきたという批判もあるが,今回の制度により,専門職集団としての教員=学校の運営の仕方に一石を投じる可能性がある」いずれにしても,現状認識を正確に行っているという意味合いで,私はすぐれた識見をお持ちの県であると思いました。この制度の導入につきまして,教育長の御見解をお伺いしたいと思います。 また,我が県の導入しようとしている制度に加えまして,このスーパーティーチャー制度も検討したらどうかと考えるものでありますが,御見解をお聞かせ願いたいと思います。 次に,メリットある制度の3点目は,中核市に小中学校の教員人事権を移譲してはどうかというものであります。これは,文科省も,法案の提出ということを目指しているそうでありますが,現在,35ある中核市の中では,2000年度から教員研修の義務を持たされております。その一方で,人事権は引き続き都道府県教委が握っているというために,せっかく研修した教員が他の市町村に移ってしまうというなどの不満が中核市側の方から上がっていたというようものであります。ひるがえって言えば,そのことだけではなく,やはり地方分権という大きな流れの中で,中核市には県から人事権の移譲が必要であると思いますがいかがでしょうか,教育長の御見解をお聞かせ願いたいと思います。 最後でございますけれども,知事は,このたびのマニフェスト,そしてさらに代表質問の答弁,そして先ほども35人学級の強い意欲を述べられました。改めて説明することでもございませんが,現在,40人学級ということになりますと,120人いる学年は1クラス40人という3クラス編制になるわけですけども,121人になると1人だけふえただけで30人のクラスが3つと31人のクラスが1つという4クラス編制になって,現実的には40人いる学級は多分多くないのではないかというのが現状であろうと思います。40人で割り切れる数字になった学校は,大変不幸だというふうに思います。まさに,知事の御判断は,実態に即したまことに時宜を得たものであると賛意を表するわけであります。 そこで,教育長に,先ほども出ましたけれども,この実現のための具体のスケジュールや予算などにつきまして,説明できるものがありましたらお聞きをしたいと思います。 以上,教育は国の基,人は財産でございます。まともな教育がまともに受けられるように,教育県岡山の発展を念願し,質問を終えたいと思います。御答弁よろしくお願いいたします。御清聴ありがとうございました。
○副議長(中塚正人君) 答弁を求めます。 知事石井正弘君。 〔 知事 石井正弘君 登壇 〕
◎知事(石井正弘君) 自由民主党の蓮岡議員の質問にお答え申し上げます。 3期目のかじ取りについてでございます。 先ほどは,3選につきましての祝意を賜りまして,まことにありがとうございました。熱い意欲等についてでございますが,今後の県政推進の基本的な方向を示します「夢づくり政策推進指針2005」や私のローカルマニフェストでございます「おかやま大地夢づくり宣言」にお示しをいたしておりますとおり,3つの柱を今後の最重点政策としております。 第1は,県民の豊かさの基盤となる,地域の活力を支える根幹であります「活力ある産業の創造と雇用の確保」に取り組んでまいりたい。第2に,協働社会を支え,これからの新世紀おかやまを支える人を創造していくため,「将来の地域社会を支える人づくり」を進めていきたい。そして第3に,快適で豊かな生活環境と安全の確保された生活環境の“まち・むら”を創造していくため,「県民の生涯にわたる快適で安全・安心な生活の確保」を図っていくこととしていきたい,このように考えております。今後は,「選択と集中」の視点に立ちまして,予算の重点投入を行って,具体的には,産学官の連携によります新産業の創出,そして35人学級など,特色ある学校教育の推進あるいは子育ての支援,災害・防災対策あるいは医療・福祉の充実など,本県発展のため必要な各種施策を強力に推進いたしまして,元気で安らぎに満ちた「快適生活県おかやま」の実現に向けて,全力を傾注してまいる所存でございます。 次に,中四国州の実現でございますが,私といたしましては,道州は21世紀の分権型社会にふさわしい自立力と競争力を備えるべきであると,このように考えておりまして,そのためには,地理的・歴史的・文化的な結びつきのほか,一定の人口と経済規模の確保が必要であると,このように考え,かねてからこの地域におきましては,中四国州がふさわしいと提唱をさせていただいておるものであります。中四国各県におきましては,道州制に対する考え方につきまして,まだまだ温度差があるというのが実情でございますが,この国のあり方や地域の将来にとりまして,極めて重要なテーマでありまして,私たち自身の問題として,広く議論を展開していく時期に来ておると,このように考え,お話にございました民間を巻き込んだ組織ということにつきましても視野に入れながら,中四国州の実現に向けて機運の醸成に努めてまいりたいと存じます。 議会との関係でございますが,私も議員の皆様方も,県民の方々から直接の信託を受けて,郷土岡山県の明るい元気な未来を創造すべく,県政の推進に邁進をしているところでございます。今後,市町村合併の進展や三位一体の改革の実現によります本格的な地方分権の時代の到来に伴って,これからの地方自治体は,自己決定・自己責任の原則のもと,自主性自立性を発揮し得る一方,ますます責任ある行政運営が求められることとなります。したがいまして,私は,今まで以上に,我々執行部と県議会は,お互いに知恵を出し合って,力を結集し,あらゆる諸課題に対しまして,責任を持って的確に対応していかなければならないと,このように考えているところでございまして,今後とも,県議会の皆様方の御協力をお願い申し上げる次第でございます。 以上でございます。
○副議長(中塚正人君) 保健福祉部長宮嵜雅則君。 〔 保健福祉部長 宮嵜雅則君 登壇 〕
◎保健福祉部長(宮嵜雅則君) お答え申し上げます。 介護保険制度について3点のお尋ねがございました。 まず,サービスの供給状況についてでございますが,本年4月から10月までの介護給付費の支給状況で見ますと,市町村が介護保険事業計画で見込んだ介護サービスの需要に対しまして,県全体では,居宅サービスは100.6%,施設サービス費は90.4%,合計では95.3%となっておりまして,おおむね順調に推移していると考えております。 一方,今後の高齢社会におきましても,持続可能な制度とするためには,介護予防・地域ケアの推進など,新たな課題への対応が必要となっているところでございまして,県では,在宅生活を支援する体制の整備・充実等,特に改善を要する事項について,国に提言しているところでございます。 制度の見直しの方向性等についてでございますが,現在,国において,4年間の施行状況等を踏まえ,在宅ケアの推進など,基本理念の徹底を図るとともに,今後の高齢社会においても持続可能な制度とするため,介護予防・痴呆ケアの推進や,地域ケア体制の整備など,新たな課題に適切に対応できるよう,制度改革の取り組みが進められているところでございまして,おおむね県の提言に沿った方向であるというふうに承知しております。 お話の保険料につきましては,給付の見込みや実績に応じて改訂される仕組みとなっております。サービス利用に伴う自己負担率につきましては,現段階では見直しの対象とはなっていないというふうに聞いております。 次に,国民健康保険料の通知書の改善についてでございますが,国民健康保険に加入している40歳以上65歳未満の方は,介護保険2号被保険者となり,世帯主は介護保険相当分を国民健康保険料として納付することとなっております。このことについては,保険者において,毎年度の国民健康保険料の決定通知書等に記載するとともに,パンフレット等により広報しているところでございますが,介護保険制度の趣旨や仕組みについても十分周知を図るよう,お話の通知書も含めて保険者に助言してまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。
○副議長(中塚正人君) 教育長宮野正司君。 〔 教育長 宮野正司君 登壇 〕
◎教育長(宮野正司君) お答えいたします。 まず,教育改革についてでございますが,経済の高度成長下における教育の量的拡大から,一人一人の個性を重視した教育の質的改善へと,戦後の教育は常に社会の要請を踏まえて改革が行われてきたと認識をいたしております。さらに,これまでの画一的な横並び意識から脱却し,それぞれの地域が創意工夫して教育を活性化させることが求められるようになってまいりました。近年,地方分権や規制緩和の流れの中で,それぞれの教育委員会で独自性のある施策が展開されるようになってまいりましたが,諸施策が成果を上げるためには,実施に当たって,そのねらいなどについて,保護者や地域の方々に十分御理解いただく努力が大切でございます。 また,お話の「徳育」を初め,いわゆる「読み・書き・そろばん」といった基礎的な学力を身につけさせることが,人間として備えるべき素養として,いつの時代にも学校に課せられた主な使命であると考えております。 次に,2学期制についてでございますが,この制度により,授業時数をより多く確保できる一方で,定期考査の回数が減ることや学期の途中に長期休業日が入り,学習の連続性が失われるおそれがあるなどの声もございます。この制度を導入するかどうかは,こうした教育効果の観点や学校や生徒の実態,保護者の意見等を踏まえながら,各設置者が主体性を持って適切に判断することとなっております。 現在,全国では,小中学校で1割,高等学校で3割程度実施されておりまして,県内の公立学校では,小学校7校,中学校6校,高等学校15校で実施されております。県教育委員会といたしましては,さまざまな新しい教育制度を検討する中で,2学期制につきましても,その一つとして研究を進めているところでありまして,それらの研究成果をリーフレットという形ではございませんが,Q&Aにまとめ,先進校の実践例とともに,市町村教育委員会へ参考資料として提供するなどの支援を考えているところでございます。 次に,宮崎県のスーパーティーチャー制度についてでございますが,これは,従来の教諭から教頭,校長へという管理職へのルートとは別に,授業実践にすぐれた業績を上げた教員にふさわしい処遇を与えることにより,教員の意欲の向上や学校組織の活性化を図ろうとする点で評価できる面があり,興味深く拝聴いたしました。本県では,特段の名称は与えておりませんが,長年すぐれた教育実践を通して大きな成果を上げた中堅・若手の教員を,表彰制度により顕彰し,処遇に反映させているところでございます。現在,教員の評価に関する調査研究協議会で,すぐれた実践力を有する教員に与えるポストなども議論されており,今後その最終報告をまって研究してまいることといたしております。 次に,中核市への人事権の移譲についてでございますが,現在,教職員の人事は,中核市を初め市町村の教育委員会の意見も十分に聞きながら,全県的視野に立って行っております。 中核市への人事権の移譲につきましては,現在,中核市と県教育委員会との関係も含めて,中央教育審議会で議論がなされており,その結果を受けて,国が検討に着手すると聞いております。 お話の中核市は,一定水準の規模もあることから,政令市同様の移譲を希望する声もございますが,中核市だけでなく県下全体の教育水準の維持向上の観点に立ち,適材を適所に配置するという広域人事の持つ意義や給与負担と人事権との関係などをどのように考えるのかという課題もあり,慎重に検討する必要があると考えております。 最後に,35人学級についてでございますが,現在,中学校の第1学年と第2学年で実施しており,指導の継続性の観点からも,残る第3学年での実施が課題であると考えております。また,小学校でも,基礎学力の定着や不登校などの生徒指導上の問題もあり,早期の導入が課題であると認識をいたしております。今後,国の教職員定数改善計画の進捗状況なども踏まえながら,私といたしましても,できるだけ早く実施したいと考えておりまして,どのように予算に反映できるか検討いたしているところでございます。 以上でございます。
○副議長(中塚正人君) 30番小田圭一君。 〔 30番 小田圭一君 登壇 〕
◆30番(小田圭一君) 自由民主党の小田圭一でございます。 2004年の世相を象徴することしの漢字に災害の「災」という字が決まり,昨日京都市東山の清水寺で発表されておりました。確かに,ことしは新潟県中越地震や相次ぐ台風襲来などの天災やイラクでの人質殺害や,子供が被害者となった殺人事件など,人災が多数発生いたしました。まさに「災」の1年だったかもしれません。このことしの漢字の意見を募集した京都市の漢字能力検定協会には,「災」の文字を選んだ人から「災いを転じて福となす」ことを祈る意見が多数寄せられたと言います。 岡山県にとっても,来年はいよいよ岡山国体の年を迎えます。また,合併により相次いで新しい自治体も発足いたします。大量得票により見事3選を果たされリフレッシュした石井知事のもと,本県が来年とり年にふさわしい羽ばたくような福多い飛躍の年を迎えることができますよう祈念いたしまして,通告に従い順次質問に入らせていただきます。 まず最初に,森林行政について,何点か,知事にお尋ねをいたします。 ことしは,全国各地で熊が出没し,出くわした人間が襲われたり農作物が荒らされる被害が頻発いたしました。こんなにも人里に熊が出没するには,さまざまな要因があると,専門家も指摘しております。まず,人間を恐れない,いわゆる新世代熊の増加が指摘されております。これは,ハンターが減少したことに加え,野生動物保護のため禁猟区域がふえ,熊が鉄砲を撃つ人間に遭遇し,人を恐れる学習をする機会が減ったこと。さらに,山村の高齢化が進み,山村には足腰の弱いお年寄りばかりが残り,熊も追い立てられる危険が少ないことを敏感に感じ取っていて,人間を怖がらなくなっていることが原因と言われております。また,昔は,熊の住む奥山には,ブナ,カシ,ナラ,栗,ヤマブドウなどが生い茂る広葉樹の森が広がり,熊も食料に困らず,生息することができたと言われておりります。一方,人里近くの里山はよく手入れされており,アカマツがはえ,マツタケも芽を出しておりました。ところが,戦後自然の生態系を無視した誤った植林政策が推し進められ,水を蓄え,生き物をはぐくんだ広葉樹の森は杉やヒノキの人工林に姿を変えました。また,里山も手が入らなくなり,アカマツにかわりドングリなどが伸び放題になりました。広葉樹の森を奪われた熊は食べ物がある里山に生息の場を移し,時には人里までねらい始めたというのが,熊の足取りを調べた専門家の分析であります。手入れ不足の杉やヒノキの人工林は,災害に弱く,先日の台風23号では,甚大な風倒木被害が県北部を中心に発生いたしました。近隣の民家はいつ風倒木が家を押しつぶすか,山肌の土砂崩れに気をもんでおります。他方,705億円に上る債務を抱えた岡山県林業公社に対し,県は無利子貸し付けを行い,債務全額を繰り上げ返済させる計画を本議会に提案されておられます。全国の林業公社が総額で1兆円を超える借金返済に苦しんでいますが,岡山県林業公社は,全国第1位の借入金残高を抱えております。林業公社の支援で県が借入金全額を貸し付けるのも全国で初めてのことであります。森林行政に,今や大きな転換の時期が押し寄せてきております。 そこで,まず県は,岡山県内の近年の熊,イノシシなどの野生動物による被害の実態をどのように把握され,どのような対策をとられておられますでしょうか,お尋ねいたします。 台風による広範囲な風倒木被害の復旧には,多くのボランティアも参加されたようでありますが,いつごろ,どのような形で復旧を完了されるのでしょうか。またしても,杉やヒノキの人工林をつくられるのでしょうか。それとも,自然に近い森に戻すお考えなのでしょうか。さらに,知事は,今後,長期にわたって県中北部の山林をどのような形にしていきたいとお考えなのか,その構想,つまり今後長期にわたっての森林政策の基本的考え方をお尋ねいたしたいと思います。 知事は,今議会の提案説明の中で,「林業公社について見通しが甘く,まことに遺憾に存じている。この事態を真摯に受けとめ,公社の既存債務の繰上償還を行い,県への償還金を林業公社経営改善推進基金に積み立て,これを財源とし,近年要請が高まる環境保全を重視した森づくりへ向け,公社事業の抜本的転換を図る改革の方策を取りまとめた」と述べておられます。林業公社は維持したまま,環境保全の方向性を打ち出されたように感じます。しかし,私はまだまだ現状の林業政策の延長線上にあるように感じております。この際,思い切って林業公社の看板を外し,お隣の兵庫みどり公社のような森づくりを全面にイメージさせる名前に変えることが必要と考えております。知事も名称を変更されることを,代表質問に答える形で表明しておられます。熊も住めなくなり,人里におりてくる。自然災害に弱く,付近の住民を危険にさらし,さらには採算に合わない人工林を思い切ってストップし,自然林に返すプログラムをスタートさせることが,今や求められてきていると感じております。県民全体の税金を注ぎ込むわけですから,地権者や林業従事者にも納得していただける方法で,人工林を早く自然林に返す戦略を練らなくてはなりません。事後処理機関でなく,失われた自然を復旧し,保水力を持った広葉樹の広がる水源林をつくる,前向きで積極的な公社こそ,今後求められる公社像ではないでしょうか,御所見を伺いたいと思います。 次に,県産農産物の輸出について,知事にお尋ねいたします。 中国や台湾など,東アジア地域の所得が向上する中で,日本国内の農産物を海外に輸出する動きが広がっております。農産物の輸出額は,平成15年輸入額4兆3,681億円の約22分の1,1,959億円,輸出先の第1位は台湾で,以下,アメリカ,香港,韓国,中国,シンガポールと,アジア諸国が上位を占めております。自治体の連携で農産物の輸出を促進する農林水産ニッポンブランド輸出促進都道府県協議会が,昨年5月に設立され,現在39道府県が参加をしております。1年目は,海外市場の情報交換や国への輸出支援策の要望などを行い,2年目のことしは,海外で品質の評価が高い農産物をブランド化し,海外に積極的に売り込む方針で,9月には,上海で開かれた国際見本市に加盟道府県が特産品を持ち寄り,共同出店いたしております。 平成14年にWTO(世界貿易機関)に加盟し,輸入制限が大幅に緩和され,地理的にも近い台湾も注目の的となっており,岡山県でも,全農岡山県本部がことし10月に,県産のマスカットとピオーネの市場調査を台湾で実施いたしました。「守り」から「攻め」へ。海外の安い農産物に押されることの多い日本の農業の競争力を育てたいと,国や自治体は先を競って輸出促進を支援しております。 そこで,まず県産農産物の輸出に向けた取り組みの現状はどのようになっておりますでしょうか。今後,県としてどのように県産農産物の輸出促進を支援していかれるのか,お尋ねをいたします。 この夏,私は,十数年ぶりに上海を訪れ,岡山県上海事務所も視察をいたしました。経済発展著しい上海の中で,岡山県の唯一の,ただ一人の海外事務所の職員として,庄所長がJETROの一角にデスクを置き,孤軍奮闘している姿に,「岡山のため頑張ってください」とエールを贈って帰ってまいりました。その庄所長が,先日,新聞紙面に中国への県産農産物の輸出へ向け,意欲的な文書を寄稿しておられました。今後,上海事務所などを活用しながら,県産農産物輸出へ向け積極的な対応を望むものであります。 次に,道路と橋梁の問題について,土木部長にお尋ねをいたします。 まず,道路であります。国土交通省は,国民からの電話やインターネットによる道路工事の問い合わせに対する詳細な情報提供など,道の相談室の体制を強化してきております。これまで,同省に設けられている道の相談室には,全国で月平均で電話600件,メール300件の苦情や相談が寄せられてきております。しかし,苦情に対する回答が遅いことやフィードバックがないなどの課題がございました。そこで,道路工事看板に工事問い合わせ番号を明示し,ドライバーが道の相談室に電話するかインターネットでアクセスし,この工事番号を入力すれば,工事の内容や期間,進捗状況,入札契約状況などをリアルタイムで知り,工事の不人気投票ができるようになります。さらには,国民へのフィードバック用のレポートを準備しております。国交省では,今年末から,東京23区で先行実施し,来年度から全国の直轄国道での展開を目指しております。岡山県でも,道の相談室を設けられておられるとお伺いいたしますが,県管理の道路に関する年間の苦情,相談件数はどのぐらいで,その相談体制はどのようになっておりますでしょうか。また,国交省と同様に,工事看板に工事問い合わせ番号を明示し,ドライバーなどの苦情,相談に瞬時に答える仕組みづくりを行ってはと考えますが,いかがでしょうか。 次は,橋梁に関してでございます。阪神大震災を契機に,国交省では,旧基準で設計された橋梁の耐震補強工事を進めておるところでございますが,最優先で実施すべき橋梁のうち,河川にかかる国の直轄国道約700橋の約75%と,都道府県が管理する国道や都道府県道など約2,400橋の約58%で工事が全く実施されていないことが会計検査院の調べでわかりました。国交省も,「予算に制限があるので,優先度を考えてやるしかない」としておりますが,橋脚の倒壊による一時的な被害はもちろん,橋が落ちると道路は完全に遮断され,市民生活は麻痺してしまいます。県管理の橋梁の耐震補強工事の進捗状況はどのようになっておるのでしょうか。また,今後,どのようなスケジュールで進めていかれるお考えなのか,お尋ねいたしたいと思います。 次に,警察本部長にお尋ねをいたします。 今月1日,犯罪被害者基本法が参議院本会議で可決成立をいたしました。同法は,犯罪被害者保護を国や地方自治体,国民の責務と規定し,具体的対策として,犯罪被害者に対する精神的ケアのほか,給付金支給の充実を盛り込んでおります。また,加害者への捜査・公判手続の進捗状況を被害者へ情報提供するほか,被害者が手続に関与できる制度を整備すると規定しております。戦後犯罪者の人権が強調される一方,被害者は何ら救済されないという長い暗やみの後に,一筋の明かりが差し込んだようでもあり,同法の制定は遅過ぎた感も否めません。同法制定以前から,都道府県警察では,被害者のためのカウンセラーによる心のケアなど,被害者支援を本格化させてきております。これまでは,事件事故に巻き込まれ,司法解剖した御遺体を自宅に運ぶ費用さえ遺族負担でしたが,やっとことし4月から公費負担の対象となりました。それでも,自治体の財政難から,なお遺族に請求している都道県が多い中,本県では,早々と平成8年に公費搬送に切りかえたことは,評価できると思います。また,民間の被害者支援活動をするボランティア団体である「被害者サポートセンターおかやま」も,弁護士会などが中心となり,昨年11月に発足し,電話相談などを受け付けております。少しずつではありますが,被害者支援の芽が出始めている中,本県の犯罪被害者支援体制はどのようになっておりますでしょうか。また,基本法制定に向け,新たに計画されておられることがあればお聞かせいただきたいと思います。 次に,関連して,犯罪情報の提供についてお尋ねをいたします。奈良県の小学生殺人事件に見られるような,子供をねらった連れ去り事件やいたずら目的の事件が各地で頻発をしております。被害者保護,被害者を未然に守るという観点から見ると,これも犯罪者や犯罪者予備軍との人権の壁に阻まれる問題ではありますが,我々はなさねばならないことがあると考えます。日本以上に幼児に対する性犯罪やそのための誘拐事件の多いアメリカなどでは,過去この種の凶悪事件を起こした人物の現在の居住地を公表しております。日本においても,残念ながらそういう時代が来たのではないかと感じております。幼児に対する性犯罪者は,なかなか更生が困難だと言われております。この人たちを周囲が見守ることで,子供たちが被害者になることを未然に阻止する必要があるのではないでしょうか。県警察として,一挙にアメリカ並みに犯罪者情報を開示することは困難とは思いますが,子供たちをねらった犯罪が多発する今,犯罪情報を学校や父兄がいち早く知り,対応することが求められていると感じます。県警察として,子供をねらった犯罪の情報提供を学校や保護者に対してどのように行っておられるのか,また今後,過去の犯罪者情報も含め,さらに進んだ情報提供も求められると思いますが,どのように対応なさいますでしょうか,御所見をお伺いいたしたいと思います。 最後は,高齢者の運転免許返納についてお尋ねいたします。高齢者が高速道路を間違えて逆走したり,ブレーキとアクセルを間違えて店舗に突っ込んだという事故の情報に時折接することがございます。高齢ドライバーの事故は増加傾向にあり,免許証の自主返納が全国的に推進されております。道路交通法で自主返納が認められるようになったのは,平成10年4月からですが,平成14年6月には,さらに道路交通法が改正され,希望者には返納した免許証と引きかえに,身分証明書として使用できる運転経歴証明書が発行されることになりました。法制化にもかかわらず,自主返納に対する意識は地域によって異なり,24県では,昨年の自主返納者は100人にも満たない数字で,最低は高知県の16人でありました。一方,静岡県では,昨年1,474人が自主返納しており,これは人口がずっと多い東京,神奈川,大阪といった地域を抜いて全国トップの成績であります。静岡県警では,平成8年から,免許更新時などに免許を返納した高齢者に安全運転永年功労証書を贈呈する制度を設けるなど,自主返納を積極的に推進してこられました。そうした地道な活動が自主返納の意識を高めたのではないかと言われております。 さて,岡山県下の昨年の運転免許自主返納者は何人で,全国的に見るとどういった位置にあるのか,今後自主返納推進に向けどのような取り組みを行っていかれるのか,お尋ねをいたしたいと思います。 私の質問は,以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○副議長(中塚正人君) 答弁を求めます。 知事石井正弘君。 〔 知事 石井正弘君 登壇 〕
◎知事(石井正弘君) 自由民主党の小田圭一議員の質問にお答えいたします。 まず,森林行政についてであります。 野生動物による被害でありますが,近年の県内における農林水産業への被害額は,毎年5億円前後で推移をしておりまして,昨年度は,イノシシによる被害額が全体の50%,シカが11%,猿が5%などという状況でありました。これらの対応といたしましては,関係市町村と連携をいたしまして,有害鳥獣駆除や防護さく,捕獲さく設置への助成を行って,被害防止対策に取り組んでいるところであります。 また,お尋ねがございました熊につきましては,ことしはこれまでに100件を超える出没情報がありましたが,幸い人身被害は発生をしていないところであります。今後とも,市町村と連携をいたしまして,早期の情報収集と地域住民への注意喚起に努めてまいりたいと存じます。 次に,風倒木被害の復旧でありますが,森林災害復旧事業や県独自の応急的な風倒木処理対策事業の実施,さらには保安林改良や造林事業を活用するなどいたしまして,総合的な復旧対策に取り組むこととしておりまして,森林災害復旧事業の実施期間とされております5カ年間,すなわち平成20年度末を目標にいたしまして,復旧してまいりたいと考えております。 復旧事業の実施に当たりましては,市町村,森林組合と緊密な連携を図り,森林所有者の意向も聞きながら,広葉樹の混植を進めるなど,より多様性に富んだ災害に強い森づくりを進めてまいりたいと思います。 森林政策の基本的考え方でありますが,森林・林業は,木材資源の生産供給という重要な役割を担いますとともに,これらの生産活動を通じまして,水源の涵養や土砂流出の防止など,公益的な機能の発揮にも大きな役割を果たしております。県中北部の森林は,杉,ヒノキの人工林が多く,優良材生産のための間伐施業等を積極的に行って,木材生産という大きなその目的の中で,自然環境の保全などの役割も担っていくこととし,長伐期施業への変更や択伐による針広混交林化などによりまして,公益的機能の発揮も期待できる森林に,所有者の意向も踏まえながら誘導してまいりたいと思います。 環境保全に重要な役割を果たす森林を,今回の風倒木被害も教訓にいたしまして,さまざまな施策を講じ,木材生産機能と公益的機能を相兼ね備えた多様で豊かな森へと導いていきたいと思います。 求められる林業公社像でありますが,このたびの改革方策に沿って,林業公社が取り組む森づくりは,植栽から45年で皆伐する従来の計画を,環境保全を重視した自然林に近い針広混交林の森づくりに向けまして,非皆伐を基本とし,50年生と65年生で択伐を行い,その空間に広葉樹を育てながら,公益的機能が高い森づくりを目指すものであります。 また,これらの新たな役割を担う公社としてふさわしい名称やあり方を検討いたしますとともに,県民の森林に対する期待に十分こたえられる森林整備法人といたしまして,生まれ変わらせてまいりたいと考えているものであります。 最後に,県産農産物の輸出についてでありますが,県では,東アジア地域への輸出の実現可能性を把握いたすため,10月に,農業団体と協力をいたしまして,台湾で市場調査を行ったところでございます。また,先般のソウル便デイリー化に当たりまして,韓国を訪問した際,私も訪問いたしましたが,その際,マスカット,ピオーネの試食宣伝や市場性の調査を行って,品質自体は大変高い評価をいただきました。私もその席に同席しておりましたが,大変評判はよかったということで自信を深めましたが,ただ輸送中の荷傷みや植物検疫,そして関税が高いといったこと等の課題も明らかになったものであります。マスカット等岡山ブランド農産物の輸出は,農家に夢を与え,生産意欲の高揚等にもつながることから,近く農林水産物の輸出について,その品目や販路開拓先等の戦略を協議し,市場開拓を進める組織を,農業団体や日本貿易振興機構等と立ち上げたいと考えております。そして,台湾等で実施をする商談会や試食宣伝会の開催等を積極的に支援するなど,農産物の輸出に向けた取り組みを強化してまいりたい,私自身もその先頭に立って努力をしてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○副議長(中塚正人君)
土木部長山中義之君。 〔 土木部長 山中義之君 登壇 〕
◎土木部長(山中義之君) お答えを申し上げます。 まず,道の相談室についてでございますが,この相談窓口では,国と連携をいたしまして,相談を受けております。県管理道路につきましては,平成15年度に道路の管理や工事などに関する73件の相談がございました。このほかにも,マルチメディア目安箱や,件数は把握しておりませんが各地方振興局に日常的に数多くの苦情や相談が寄せられておりまして,これらにつきましては,現地に出向くなど,適切に対応しているところでございます。 また,工事問い合わせ番号の工事看板への明示につきましては,県の管理する道路延長が長いこと,工事件数が多いこと,工事期間が短いものが多いことなどから,直ちに導入することは困難であると考えておりますので,御理解を賜りたいと存じます。 次に,橋梁の耐震補強工事についてでございますが,県では,震災時における緊急輸送活動の確保や二次災害防止の観点から,昭和54年以前の旧基準によって整備された重要橋梁58橋につきまして,平成7年度から優先的に対策工事を進めております。本年度までに18橋の工事を終える予定でございます。今後は,緊急輸送道路や鉄道をまたぐ橋梁などを中心に,優先度の高いものから順次対策を講じてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○副議長(中塚正人君) 警察本部長福島克臣君。 〔 警察本部長 福島克臣君 登壇 〕
◎警察本部長(福島克臣君) お答えいたします。 まず,犯罪被害者支援体制等についてであります。 県警察の被害者対策につきましては,平成9年7月に岡山県警察被害者対策要綱を制定し,被害者の支援のための各種施策を推進しているところでございます。その一つとして,殺人,傷害,ひき逃げ等,精神的被害の大きい犯罪の被害者等に対しましては,県下で447人の警察職員を支援員に指定し,捜査や裁判に関する説明,病院等への付き添いなどを行い,その精神的負担の軽減や二次的被害の防止に努めているところであります。また,カウンセリングの必要な被害者等に対しましては,委嘱した3人の臨床心理士が要望に応じてカウンセリングを行っております。 加えて,犯罪の被害者等のうち,加害者から再度被害を受ける可能性の高い方に対しましては,防犯機器の貸与,パトロールの強化などを行うとともに,いわゆるDV事案等の被害者等を応急的に保護するため,ホテルなどの施設を借り上げて一時的に隔離するなど,各種保護活動を行っているところであります。 このほか,不慮の犯罪による被害者に対する犯罪被害者等給付金資金制度により,経済的支援を行っているところであります。 次に,犯罪被害者等基本法の制定を受けた新たな被害者支援のための計画についてであります。 このことにつきましては,犯罪被害者等基本法に基づき,今後,国において策定される基本計画やこれに伴って実施される各種施策の推進状況を見きわめながら,被害者の立場に立ったそのニーズにこたえられるよう,検討してまいりたいと考えているところでございます。 次に,子供をねらった犯罪の情報提供についてであります。全国的に,子供をねらった犯罪が多発しており,大きな社会問題となっておりますが,子供の安全を確保する上で,学校,保護者はもとより,地域住民へ迅速的確に犯罪情報を提供することは,極めて重要であると考えております。 県警察といたしましては,これまでに学校,教育委員会,自治体,職域団体などへファクスや電子メールを利用した,桃太郎っ子サポートライン,岡山県安全情報提供ネットワークにより,不審者情報を提供しておりますほか,警察署におきましても,交番速報,地域安全ニュースなどの広報紙や,地元ケーブルテレビを活用して注意を呼びかけているところでございます。 また,県警察のホームページで,10月1日から開設しております「くらしの安全WebMap」では,事件事故の発生状況をタイムリーに提供しておりますが,さらに明日,12月15日から,子ども安全情報の項目を追加し,不審者出没箇所などを詳細に表示して提供することといたしております。これは,通学路や公園などにおける子供たちを対象とした犯罪発生状況を初め,声かけやつきまといなどで,具体的な犯罪に発展するおそれがあり,警戒を要する事案や,犯罪に発展するおそれは少ないが注意を要する事案を,不審者情報として地図上にピンポイントで表示し,自分の希望する地域を自由に表示させて確認ができるもので,子ども安全情報としては,全国初めての試みであります。今後とも,子供を犯罪から守るために積極的に情報提供を行ってまいりたいと考えているところでございます。 次に,過去の犯罪者情報の提供等についてでありますが,これにつきましては,個人の過去の犯歴等の情報は,個人のプライバシーにかかわる情報であるため,行政機関の保有する情報の公開に関する法律や岡山県行政情報公開条例等の法令により保護されているのが現状であります。したがいまして,議員御指摘のように,過去の犯罪者の情報を地域に提供することは困難であると判断しております。そういった状況の中で,県警察におきましては,犯罪被害者等が加害者から再び被害を受けるおそれが高い場合には,これを組織的に保護し,その被害を防止するため,犯罪被害者等の求めがあれば,加害者の刑務所からの出所時期等の一定の情報を教示するとともに,被害者宅等のパトロールを強化するなどして,再被害の未然防止を図っているところでございます。 最後に,高齢者の運転免許証返納についてであります。 昨年,自主的に免許証を返納された方は,全国で1万632人,本県では144人でありました。岡山県のこの数字は,全国では第20位,中国管区内では山口県に次いで第2位であります。返納された144人のうち,65歳以上の高齢者が137人と,大多数を占めており,また,身分証明書的機能を持った運転経歴証明書につきましては,78人に交付しております。 今後の推進に向けた取り組みでありますが,高齢者の人身事故関与件数は,この10年間で2.4倍と著しく増加していることから,高齢者講習や交通安全体験車による各種講習などにおきまして,高齢運転者に対し,視力や聴力など,身体機能の低下やみずからの安全と道路交通に与える影響を自覚していただき,免許証の自主返納を推進していく所存であります。 なお,免許証の自主返納を促進していくためには,高齢者が運転しなくても生活できる社会の実現が必要であり,関係機関,団体等の御理解が重要であると考えているところでございます。 以上でございます。
○副議長(中塚正人君) 続いて,23番長瀬泰志君。 〔 23番 長瀬泰志君 登壇 〕
◆23番(長瀬泰志君) 民主・県民クラブの長瀬でございます。 質問に移る前に,石井知事におかれましては,さきの知事選,すばらしい成績で当初の目的を果たされました。心よりお喜びを申し上げます。 岡山県が中四国圏の雄県となるべく,所信表明にもございましたけれども,粉骨砕身,県勢発展のために御身を捧げ尽くしていただきたい,そう願う一人でございます。 それでは,通告に従い質問に移らせていただきます。 さて,我が国で環境問題が大きく取りざたされ始めたのは1960年代,企業活動により汚染された大気や水が起因し,当時は4大公害病とも呼ばれておりました「イタイイタイ病」,「水俣病」,「四日市ぜんそく」,「阿賀野川水銀中毒」,この時代を経て,1989年のアルシュサミット,ここでは,「成層圏オゾン層の破壊,将来気候変動をもたらし得る二酸化炭素及びそのほかの温室効果ガスの過剰排出を指摘し,この深刻な驚異に対応するため,持続可能な開発に根差した政策を世界規模でやらなければならない。」その旨の経済宣言がなされました。そして,1997年12月,京都では,地球の温暖化を防ぐために,先進各国の温室効果ガスの削減義務を定めた国際議定書,いわゆる京都議定書が採択されたのであります。 前置きが少々長くなりましたけれども,この京都議定書に関連して,幾つか知事の御見解をお聞かせ願いたいのであります。 京都議定書採択から7年を経た今日,にわかにこの問題がクローズアップされたのは,ロシアのプーチン大統領が11月4日,京都議定書批准法案に署名をしたことが明らかになってからであります。このことにより,京都議定書の発効は,明年年明けの2月からということになるようであります。ロシアの議定書批准により,日本を初め排出削減義務がかかる先進39カ国と地域が,2008年から2012年に二酸化炭素など温室効果ガスの排出を削減しなければならないわけであります。ちなみに,日本は,1990年比で6%削減しなければならないのでありますが,2003年度の国内排出総量が二酸化炭素換算で13億3,600万トン,1990年の排出量から8%もふえているのであります。したがって,日本は1990年比,実質14%の削減が必要となるわけであります。問題は,2001年3月,アメリカが産業あるいは国力の衰退をおそれ,京都議定書不支持を表明したことであります。世界の二酸化炭素排出量の24%を占めるアメリカが,国際的なこの枠組みに参加をしないということであれば,地球規模での温暖化防止は,極めて困難な事態になりはしないかと,私は危惧をするのであります。さらに言うならば,近年,経済発展の目覚ましい中国やインド,韓国が削減義務を負っていないという問題もございます。ロシアの議定書批准と前後し,小池百合子環境相は,石炭や石油など,化石燃料中の炭素1トン当たり2,400円を課税するとした,環境税案を発表されました。日本経団連を初め産業界は,早くから産業・企業の衰退につながりかねないとして,国の動向に注視をしていたようであります。少々長くなりますけれども,事例を1つ紹介し,知事の見解を求めたいと存じます。 8月30日号日経ビジネスの「一刀論断」の欄で,日本鉄鋼連盟地球温暖化対策本部長の數土文夫氏は,このように述べております。 「環境税の課税で本当に炭酸ガスの発生が抑止できるのだろうか。北欧諸国やドイツ,イタリア,イギリスなどが既に環境税を導入しているが,イギリス以外の国では,目立った削減効果を上げているとは言いがたく,逆に排出量が増加した国さえある」と指摘し,さらに,「炭酸ガス発生量に落とし穴」と題して,「炭酸ガスを削減しているイギリスは,税負担増が国内製造業の競争力を損ねたとの報告もある。日本に導入されれば,事態はもっと深刻だ。日本の総輸入44兆円のうち,原燃料は約3分の1の15兆円,一方で総輸出55兆円のうち51兆円を工業製品が占めている。製造業は,実に3倍以上にも付加価値を高めている。この付加価値を生み出す素材に,新たに税金を上乗せすれば,産業界に大きな影響を及ぼすのは明らかだ。一見,国民には受け入れられやすい名目のもと,実態は日本の製造業をねらい打ちにする新税としか思えない。鉄鋼業界は,1971年から2003年までに,4兆4,000億円を環境関連の技術開発に投じてきた。こうした努力の結果,2002年度には1990年度比でエネルギー消費量を6.6%削減し,世界最高のエネルギー効率を達成している。仮に,日本が粗鋼生産,今約1億トンやってますが,この1割,つまり1,000万トン減らせば,1,600万トンの炭酸ガスを削減できる。だが,世界の需要から見て,減らした生産量は恐らく中国が増産をするであろう。とすれば,現時点では,中国は日本鉄鋼産業の1.5倍のエネルギーを使って生産をしているから,約2,400万トンの炭酸ガスが新たに発生をする。世界規模では,炭酸ガスの排出量がふえてしまう。また,海外に生産拠点が流出をすれば,法人税収入も減るだろうし,また雇用もますます失われる。空洞化は日本の国益に合致をし得ない。地球温暖化対策にも貢献をしない」と,極めてわかりやすくその見解を示されているわけであります。 そこで,知事にお尋ねをいたします。 1つは,世界の二酸化炭素排出量の24%を占めるアメリカの不参加及び中国,インドなど,削減義務を負わない国があるという,この課題を抱える中での京都議定書の履行をどのようにとらえ,かつまた評価されるのでありましょうか,見解をお聞かせください。 2つは,長々と紹介いたしました日本鉄鋼連盟地球温暖化対策本部長の見解についても,知事の御所見をお聞かせいただきたいのであります。 あわせてお伺いをいたします。2002年度の日本の炭酸ガス排出量は,1990年度比で,産業部門は2%の減少,民生部門が30%,運輸部門が20%増加をしております。進みつつある地球の温暖化を防止するためには,だれもが加害者であり被害者でもあるとの認識に立って,温暖化ガスを排出している国や企業,生活者のすべてが主体的に幅広い取り組みを行うことが肝要ではないかと私は考えます。今後,県として取り組むべき課題・施策について,知事のお考えをお聞かせください。 そして,この項最後の質問となりますが,日本には水島臨海工業地帯を初め,多くのコンビナート地域がございます。コンビナートを抱える市や県は,コンビナートを構成する産業・企業が活性化をすればするほど,雇用の安定,財政の安定につながるということは,今さら言うに及ばないのであります。京都議定書の無理やりな履行は,国内のコンビナートを構成する産業・企業の衰退につながりかねません。コンビナート地域を抱える岡山県の知事として,取り得る方策はどのようなことが考えられるのでありましょうか,見解をお聞かせください。 コンビナートを抱える市町,道府県の首長と連携をとる中で,国などにアピールをし得る施策はないのでありましょうか。こうした状況のもとでの知事の前向きな行動は,県内に立地をする企業を大切にする県,岡山県の姿として映り,今後の企業誘致にも関係してくるものと考えます。既に手を打たれておれば,そのことも含め,知事の御見解をお聞かせ願えれば幸いでございます。 次は,岡山情報ハイウェイの活用についてお尋ねをいたします。 知事は,豊かな生活環境の創造と地域産業の活性化を図るために,全国に先駆けて,高速大容量の光ファイバー網,岡山情報ハイウェイの整備に着手をされたのであります。全国に先駆けたこの取り組みは,情報先進県岡山を自負するに足りるすばらしい取り組みであると私は思っております。既に基幹回線とすべての市町村を結ぶ地域情報網の整備がなされております。これからは,ラストワンマイルを早急に具現化することで,県内津々浦々,どこにいても,だれもがひとしく高速インターネットの恩恵が実感できる,いわゆるユビキタス社会の実現に一歩近づくのでありましょう。 そこで,知事にお伺いをいたします。 公共施設,民間企業,各家庭まで含めて現状のアクセス網の整備状況について,まずお聞かせをください。 あわせて伺います。近未来にユビキタス社会を目指すとするのであれば,各家庭に最低1台はパソコンが常設をされ,老いも若きもだれもが簡単に利用でき得る環境の整備が急がれるわけであります。公共施設へのアクセス網並びに端末機器の整備は,県あるいは市町村の対応で何とかなるにしても,一般家庭までのラストワンマイルとなると,かなり難しいのではないかと思われます。 さて,私のふるさと勝田町では,勝田町総合光ファイバー網整備事業を,総務省の超高速インターネットの接続を前提とした補助事業を活用し,某通信事業会社の協力を得ながら整備が進められております。多分,来年の早い段階では,ケーブルテレビやインターネットで娯楽番組も含め,幅広く町民が楽しめるであろう環境が整備される予定になっております。さらに,これまで勝田町の行政情報やお知らせなどをしていたオフトーク放送これにかわりまして,光ファイバ網を利用したIP告知放送サービスが提供されるとのことであります。高齢化が進展する中にあって,風水害や地震発生時など,緊急対応時には大いに威力を発揮するのではないかと,今から期待をされているようであります。 そこで,知事にお伺いをいたします。 多くの県費を投入し,整備を進めた岡山情報ハイウェイも,ラストワンマイルの整備ができない限り,絵にかいたもちになりかねないのであります。現在,岡山情報ハイウェイにアクセスし,そして得られる情報は,失礼かもわかりませんが。極端な言い方をすれば,各市町村と振興局に勤めておられる皆さんが,いながらにして県情報が得られると,こういった段階にとどまっているように,私には思えるのであります。今後,ラストワンマイルと端末機器の整備に県費を投入することはできないでありましょう。したがって,勝田町方式もよし,今まさに市町村合併のさなかでもございます。合併特例債などの活用も考えられます。いずれにいたしましても,情報ハイウェイ敷設の当初の目的を果たすためには,岡山県の情報のみならず,映画鑑賞などの一般的な娯楽も含めた多様な県民ニーズに対応でき得る,アクセス整備のための施策が必要不可欠でありましょう。そして,その旗振りの任は,知事にあると考えます。御所見をお聞かせ願いたいのであります。 最後に,いま一つお尋ねをいたします。電子県庁の推進,少なくとも県民のニーズを十分に把握し,そしてその上に立って提供するサービスを考察しなければならないと考えます。未確認情報でまことに恐縮ではございますけれども,ある県では,インターネットを利用し,遠隔地から書類申請の手続ができるとのことで申請手続をしたところ,その申請手続は単に県庁窓口の順番どりにすぎなかったという笑い話であります。冗談にもほどがあると思いますけれども,情報優先県を自負する岡山県であります。現在,県では,ホームページの行政情報の提供を初め,インターネットによる自動車税納税証明書などの交付申請や総合グラウンドなどの公共施設の予約ができるサービスが行われております。今後,県が広く県民に提供されようとされているITサービスの検討内容についてお示しをいただければ幸いであります。 以上で私の質問を終えさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○副議長(中塚正人君) 答弁を求めます。 知事石井正弘君。 〔 知事 石井正弘君 登壇 〕
◎知事(石井正弘君) 民主・県民クラブの長瀬議員の質問にお答え申し上げます。 その前に,先ほどは私の3選に関しまして祝意並びに激励のお言葉を賜り,ありがとうございました。粉骨砕身の努力を傾けてまいる所存でございます。 環境問題でございます。 京都議定書の履行についてでありますが,地球温暖化対策は,地球環境の保全上,緊急かつ重大な問題の一つであると認識をしております。京都議定書は,地球温暖化防止のため,温室効果ガス排出削減義務を定めた国際的な取り決めでございまして,アメリカの不参加や中国・インド等が削減義務を負っていないなどの課題がありますものの,来年2月の発効を契機にいたしまして,地球温暖化防止に向けた世界の取り組みが本格的に開始されるということから,議定書の履行は大変意義があるものと考えております。 環境税への日本鉄鋼連盟の見解についてでありますが,環境税の導入につきましては,導入により国際競争力が失われ,景気の悪化を招く等の反対意見があるその一方で,早期の導入を求める意見もあるところであります。いずれにいたしましても,環境税の導入には,国民・企業の理解と協力が不可欠であると考えておりまして,現在,国において幅広い観点から検討されているところであり,今後,国の動向を注視してまいりたいと存じます。 温暖化ガス排出対策についてでありますが,県は,温室効果ガス排出量削減目標を6.5%に設定いたしまして,各種施策に取り組んでいるところでありますが,2002年度の排出量は2.5%の増加となっておりまして,なお一層の取り組みが必要となっております。今後とも,岡山県地球温暖化防止行動計画に基づきまして,県民,事業者,市町村と協働して,省エネルギー型ライフスタイルの実践,低公害車やコージェネレーション,太陽光発電,燃料電池の導入促進など,温暖化対策になお一層取り組んでまいりたいと存じます。 取り得る方策についてでありますが,現在,国において京都議定書の6%削減目標を達成するため,地球温暖化対策推進大綱が見直しされているところであります。同大綱は,温暖化対策への取り組みが環境と経済の両立に資するよう,仕組みの整備・構築を図るということを基本的考え方としておりまして,見直しに当たりましては,産業界を初め各界の意見を十分に踏まえ,効果的な温暖化対策が決定されるものと,そのように考えており,その動向を注意深く見守っていきたいと存じます。 岡山情報ハイウェイの活用についてであります。 アクセス網の整備状況についてでありますが,市町村役場を初め学校・公民館など約2,000カ所の公共施設が光ファイバーなどを利用して,岡山情報ハイウェイに接続をされておりまして,地域公共ネットワークの整備率は100%となっており,全国第1位であります。 また,家庭,事業所等につきましては,県内の約95%でADSLやCATV,さらには加入者系光ファイバー(FTTH)などによって,高速インターネットを利用できる環境が整備をされております。世帯加入率を見ましても,31.3%となっており,これは中国地方ではトップとなっております。 アクセス整備のための施策でありますが,本県の地域情報化の整備に当たりましては,基幹回線である岡山情報ハイウェイは県が,それにつながる地域公共ネットワークは市町村が整備を行って,各家庭までのラストワンマイルにつきましては,民間通信事業者がサービス環境を整備するという,役割分担の考え方によって推進をしてきたものであります。しかしながら,過疎地域などの条件不利地域におきましては,民間事業者による整備が進まないという現状から,県といたしましても,国の補助制度の活用ということに加え,独自の補助制度を設けるなどいたしまして,民間事業者によるサービスの提供を促しますとともに,市町村に対しましては,整備計画の策定に際し,地域の実情に即した計画となるように,技術的な助言を行うなどの取り組みを進めてきたところであります。今後とも,市町村とより一層連携をしながら,私自身,夢づくりプランに掲げておりますラストワンマイル整備目標の達成に向けて取り組んでまいりたいと存じます。 本県の今後のITサービスでありますが,各種行政情報の提供のさらなる充実や電子申請手続,公共施設予約にかかわる対象のなお一層の拡大等を図ってまいりたいと存じます。とともに,新たに来年1月からは,全国に先駆けまして,地方税の電子申告やインターネットバンキングを利用いたしました手数料等の納付手続の電子化を開始することとしております。 さらに,市町村と連携をいたしまして,電子自治体の構築を進めてまいりますほか,防災分野におきまして,情報ネットワークの高度化を推進してまいりますなど,今後とも,ITを活用いたしました行政サービスの充実に積極的に取り組んで,県民の皆様の利便性の向上に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○副議長(中塚正人君) 23番長瀬泰志君。 〔 23番 長瀬泰志君 登壇 〕
◆23番(長瀬泰志君) 1点だけ,もう一度知事の見解をお聞かせいただきたいと思います。 私は,この京都議定書に関して,岡山県にもコンビナートございますし,他の都道府県にもございますが,そういった首長さんと連携をしながら,今の経団連含めて自動車業界あるいは石油業界,鉄鋼業界等々,国にそれぞれ事情の説明をし,問題提起をしております。こういったことも含めて,そういったコンビナートを抱える県の首長としてそういうことはできないかと,こういった質問をしたつもりなんですが,そのことにはお答えをいただいてないように思っております。このことについて,もう一度知事の御見解をお聞か願いたいと思います。よろしくお願いします。
○副議長(中塚正人君) 答弁を求めます。 知事石井正弘君。 〔 知事 石井正弘君 登壇 〕
◎知事(石井正弘君) 再質問にお答えを申し上げます。 先ほど申し上げましたとおりでございまして,コンビナートを抱える首長と連携をして,国にアピールする等の御質問に対しましては,先ほど申し上げた国の大綱の見直しの動向を注意深く見守っていきたいということ,このことにとどめさせていただきたいと思っております。特に,具体的に私自身が行動を起こすということは,現時点では考えておりません。 以上でございます。
○副議長(中塚正人君) この際,10分間休憩いたします。 午後2時43分休憩 ~~~~~~~~~~~~~~~ 午後2時56分再開
○副議長(中塚正人君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問を継続いたします。 9番神宝謙一君。 〔 9番 神宝謙一君 登壇 〕
◆9番(神宝謙一君) 瀬戸内市選出の自由民主党の神宝謙一でございます。 まずもって,石井知事におかれましては,さきの知事選挙において,圧倒的な得票をもって3選を果たされ,まことにおめでとうございます。今後とも,引き続き,岡山県政のかじ取りをよろしくお願い申し上げます。 地元から今回も多くの皆さんが傍聴に来てくださっており,百万の味方を得た思いであります。大変心強く,感謝を申し上げます。 さて,11月1日,邑久町,牛窓町,長船町の旧邑久郡3町の合併により,瀬戸内市が誕生をいたしました。瀬戸内海の観光美のごとく,美しく輝かしい未来の地方自治に向かってすばらしいスタートを切ったわけでございます。先日の初代市長選挙で新しい市長も決まり,新市長のリーダーシップのもと,4万人の市民が手を取り合い,一致団結して,仲よく,安心,安全でお互い幸せを実感できる活力ある地域となり,日本だけでなく世界に誇ることのできる瀬戸内市として大きく羽ばたくことを,新市民の一人として大いに期待をいたしております。そして,その夢,目標の実現のために,微力ながら,粉骨砕身努力を惜しまないものであります。しかしながら,多くの問題を抱えたままでの船出でございます。さらに,三位一体の改革の行方も不透明であり,地方を取り巻く情勢は予断を許さないものであります。知事には,今後とも,御支援をよろしくお願い申し上げます。 瀬戸内市がスタートダッシュを決めるには,諸課題につきまして的確に対応することが肝要であります。いささかローカル色に満ちた質問とはなりますが,御容赦願いたいと存じます。 それでは,通告に従いまして順次質問に入らせていただきます。 まずは,高潮対策についてであります。 本年の8月の台風第16号による海岸における被害と対応についてお尋ねをいたします。鹿児島県に上陸し,鳥取県に抜け,日本海から津軽海峡を通って北海道に再上陸した台風第16号は,西日本を中心に大きな被害をもたらし,特に高潮による浸水被害は大きく,床上,床下浸水は,岡山県で1万1,000棟に達しました。私の地元瀬戸内市,(旧邑久郡)でも,約750棟が床上もしくは床下浸水の被害をこうむりました。ことしは,今まで最多であった6個を大幅に更新する10個の台風が日本に上陸し,各地で大きなつめ跡を残しました。また,今後,日本の夏は猛暑と豪雨が増加するという気候予想もされています。温暖化の影響か,気象庁も「1980年代の半ば以降,日本沿岸の海面水位は上昇傾向にあり,この100年間で最も高い状況にある」と発表をいたしております。現に,私の地元の漁師さんも,10年前から毎年1センチぐらい水位が高くなっていると話しています。日本が高度成長していく過程で,瀬戸内海は埋め立てが進みました。昭和40年以降,2万8,000ヘクタールを超える面積が埋め立てられており,瀬戸内海の面積は確実に減少をしています。瀬戸内海の潮流にも変化があらわれてきていると聞きます。これらが直接高潮並びに水害,災害と関係するかはわかりませんが,私自身,地元の被災地を視察し,被害の実態を把握し,今後の対策を講じなくてはならないと考えます。 そこで,幾つか質問をさせていただきます。 台風第16号の接近時,岡山県から市町村に対し潮位情報はどのように伝達されたのか。かつてない異常潮位にあって,地元の旧牛窓町の現在設置されている潮位計では計測不能になったと聞いていますが,潮位情報を正確に把握できていたのでしょうか。 また,今回,計測不能だったため,今回のような異常潮位でも計測できる機器に更新してもらいたいと思いますが,いかがでしょうか。 堤防のかさ上げ等は非常に有効な対策ではありますが,整備が完了するまでには膨大な経費と時間を要します。ハード対策と並行したソフト対策も重要だと考えます。現在,岡山県の沿岸部のテレメーター化されている潮位観測所は全部で6カ所しかないそうですが,風の向きなど,場所によって潮位差が随分出ると聞いています。潮位観測所の数をもっとふやし,正確に速く市町村に伝達するべきだと思いますが,いかがでしょうか。 また,全国で水防警報などを行う海岸の指定を行っているのは13府県であります。そのうち4府県では,全域を指定しております。岡山県も13府県の中に含まれてはいますが,指定は一部で,三蟠・九蟠海岸のみであります。この区域については,ことしの台風16号においても適切な水防活動が行われ,背後の集落を防護したと聞いています。本県も,他県の先進的な取り組みに倣い,海岸における水防警報の指定区域を早期に全県下に拡大する必要があると考えますが,台風第16号災害を教訓としたソフト面での高潮対策について,あわせて伺います。 次は,岡山ブルーラインについてであります。 昭和49年に有料道路として一部供用開始後,昭和52年に全線開通した岡山ブルーラインは,地域の有機的な開発を促進するとともに,東備地区の基幹道路として,産業並びにすぐれた観光資源の開発を図り,あわせて国道2号線のバイパス的性格を有する道路として利用されてきました。岡山ブルーラインは,4月の無料化後,交通量も約3倍に増加し,すばらしい眺望と2つの道の駅を有し,沿道には竹久夢二の生家,牛窓ペンション村など,さまざまな観光名所,観光施設のある観光県岡山のシンボル的な道路であり,また同時に,新たに誕生した瀬戸内市の今後の振興にとりましても,必要不可欠な基幹的な道路であります。建設中の豊原インターも急ピッチで工事が進んでおり,来年の3月には使用できると,地元の住民も大きな期待をいたしております。 そこで,伺いますが,岡山ブルーラインの持つ高い機能を有効に活用して,地域振興につなげていくためには,瀬戸内市の新市の建設計画にも示されておりますが,東西に延びる岡山ブルーラインに対して,南北方面との接続の強化や周辺道路整備が不可欠であると考えます。岡山ブルーラインとその周辺道路の整備についてどのようにお考えか,お伺いをいたします。 また,今年,多くの台風は日本に上陸し,私たちの地域を直撃し,多くの被害をこうむり,道路網も寸断され,岡山ブルーラインも崩土などにより通行どめとなりましたが,特に岡山ブルーラインのような基幹的な道路は,たとえ台風とはいえ,簡単にダメージを受けるようなことがあってはならないと考えます。ことしの台風襲来を教訓とし,今後,岡山ブルーラインを初めとして,災害に強い道路づくりを目指していただきたいのですが,このことについて御意見をお伺いします。 さらに,岡山ブルーラインのような観光客が多く通る道路は,観光美化の観点からも,きちんとした維持管理業務が大変重要であります。岡山ブルーライン建設計画段階で,地元との協議された内容では,道路の維持管理はきちんとされるとの約束があったと聞いていますが,守られているとは思えません。幾ら周りの景色がよくても,道路沿いが草ぼうぼうでは,魅力は半減です。細かい話ですが,こうした道路沿いの草花,花木などの手入れなど維持管理業務等,力を入れていただきたいと思いますがいかがでしょうか,土木部長にお伺いいたします。 また,昼夜を問わず,以前の3倍から4倍の交通量となっています。道路沿いの住民からは,防音壁の設置の要望がございます。県の担当課も,騒音の測定を行ってくれてはいますが,季節によって条件がかなり異なります。旧邑久町は,見渡す限り田園地帯で,その真ん中を岡山ブルーラインが東西に連なっております。田んぼに水が入った田植え時期には,音が反射し遠くまで響き,また稲の米の収穫時期には,稲穂が消音の役目となり,道路周辺は意外と騒がしくないと言われています。こうした点を踏まえた騒音対策について,土木部長にお伺いをいたします。 岡山ブルーラインは,人や自転車は通行できません。人や自転車の進入禁止の標識が設置されておりますが,過去に人が岡山ブルーラインを歩行していて死亡事故があったと記憶をいたしております。以前は料金所があり,ある程度チェック機能がありましたが,今後は今までの事例を検証され,より安心,安全なブルーラインとなるよう努力をいただくことを,この項最後に強く要望をしておきたいと思います。 最後に,市町村合併と警察署の関係について,警察本部長にお伺いをいたします。 瀬戸内市誕生と同時に,牛窓警察署も瀬戸内警察署に名称を変更して,新しいスタートを切られたわけであります。明治9年に旧長船町に巡査屯所が設置されたのが瀬戸内警察署(旧牛窓警察署)の起源と言われております。以後,幾度もの統廃合を繰り返し,現在,名称も所在地も変遷しております。昭和29年7月の岡山県警察の発足により,牛窓警察署となり,昭和52年8月には,現在地に新庁舎が建設され,現在に至っております。この瀬戸内警察署についてでありますが,警察署の所在地が旧牛窓町であり,新しい市役所本庁舎とは随分距離がございます。牛窓町は,昔から港町であり,海上交通の要衝として栄えており,警備が必要であります。また,海からの,外国からの不法侵入などに備えるため,防犯の必要性もあるなど,たちまち旧牛窓町から新しい市役所本庁舎の旧邑久町に移転することは困難だと思われます。しかし,先ほども申し上げましたとおり,本年の4月1日には,管内を横断する岡山ブルーラインが全線無料化をされ,それまで1日当たり3,300台だった交通量が,一気に1万台になりました。ざっと3倍増でございます。県警察では,巡回パトロールや交通違反取り締まりなど,対応はしていただいているようですが,車の流れもふえ,町の様子も随分変わったように思います。 そこで,警察が行う交通や地域安全等のいろいろな施策や行事が,地元自治体との協力のもとで行われていることや,先般の台風被害に見られるような危機管理の観点からも,市役所本庁舎と同じ旧邑久町にある6駐在所を改めて見直し,市役所本庁舎の付近に24時間体制の大型の交番を設置され,それに伴う警察官の増員などについて御検討をいただきたいと思います。将来的な見通しも含め,警察本部長の御所見をお伺いいたします。 以上,大きく分けて3つの項目について御質問を申し上げました。今回もまた地元優先の質問となりましたが,知事を初め関係皆様の簡明かつ誠意ある御答弁を期待いたしまして,私の一般質問を終わらさせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。
○副議長(中塚正人君) 答弁を求めます。 知事石井正弘君。 〔 知事 石井正弘君 登壇 〕
◎知事(石井正弘君) 自由民主党の神宝議員の質問にお答え申し上げます。 私自身の3選につきましての祝意並びに激励のお言葉を賜りまして,ありがとうございます。 高潮対策でございます。 台風第16号接近時の潮位情報等でございますが,旧牛窓町など県内6カ所で観測をいたしました潮位を,水防テレメーターシステムによって県庁に集約をし,さらに
防災情報システムを通しまして,リアルタイムで全市町村へ提供しております。お尋ねの牛窓潮位観測所では,台風第16号の暴風雨による停電のため,8月30日に,一時計測不能となりましたが,翌日には回復をしたところであります。今後,無停電電源装置を設け,計測機器の改良を図ることとしております。 ソフト面での対策でありますが,現在,沿岸区域全体の被害原因等の詳細な調査を実施しておりまして,この調査結果をもとに,沿岸市町の水防活動の指針となります各海岸の基準潮位の設定を検討いたしますとともに,必要な潮位観測所の増設や改良を行うこととしております。 また,潮位情報等の防災情報を県民へわかりやすく提供できるシステムを整備する計画であります。 また,水防警報の指定区域についてでありますが,先ほど申し上げました調査結果を踏まえまして,今後,追加指定をするということで検討してまいりたいと思います。 岡山ブルーラインであります。 周辺道路の整備でありますが,本年4月の無料化に合わせまして,市道を利用いたしました一本松インターチェンジの新設や虫明インターチェンジと大平山インターチェンジの改良を行ったところであります。現在,瀬戸内市邑久町豊原地内におきまして,本年度末の完成を目指し,県道神崎邑久線に接続する豊原インターチェンジの新設工事を進めるなど,岡山ブルーラインへのアクセス機能強化に努めてきております。 また,邑久町本庄地内の邑久インターチェンジに接続いたします県道瀬西大寺線と県道備前牛窓線におきまして,道路改良工事を進めております。これらの整備によりまして,岡山ブルーラインの有効活用が一層進み,沿線の地域振興活性化に資するものと存じます。 災害に強い道路づくりでありますが,これまでも道路防災整備計画に沿いまして,幹線道路であります国道,県道,さらには岡山ブルーラインなどを中心といたしまして,対策工事を順次実施していたところであります。今後とも,道路網の安全安心の一層の確保を目指しまして,今回の台風を教訓にし,災害に強い道路づくりに鋭意努めてまいることにいたしたいと存じます。 以上,瀬戸内市に関係いたします諸問題につきまして,基本的には前向きに答弁をさせていただきました。 以上でございます。
○副議長(中塚正人君)
土木部長山中義之君。 〔 土木部長 山中義之君 登壇 〕
◎土木部長(山中義之君) お答えを申し上げます。 まず,岡山ブルーラインの維持管理についてでございますが,現在も通行の安全確保や植栽等景観に配慮しながら,適切な管理に努めているところでございます。今後も,御指摘の点を踏まえまして,県としての適切な管理はもちろんでございますが,道の駅周辺などにおきましては,地域の皆様に御参加をいただいておりますアダプト制度を引き続き活用いたしまして,そうした皆様の御協力をいただきながら,管理水準の確保に努めてまいりたいと考えております。 次に,騒音対策についてでございますが,無料化後大幅に交通量が増加をいたしましたことから,本年7月に,瀬戸内市邑久町北島地内など10地点におきまして騒音測定調査を実施いたしました。いずれの地点も環境基準を下回っておりました。今後も,交通量の推移を見きわめながら,必要に応じて調査を行いまして,周辺環境への影響を見守ってまいりたいと考えております。 以上でございます。
○副議長(中塚正人君) 警察本部長福島克臣君。 〔 警察本部長 福島克臣君 登壇 〕
◎警察本部長(福島克臣君) お答えいたします。 瀬戸内市の誕生に伴う旧邑久町内への交番の設置とそれに伴う警察官の増員についてであります。 交番,駐在所の設置及び体制につきましては,管轄区域における世帯数,人口,面積,事件事故の発生等の負担状況や警察活動の効率性,地域住民の方々の利便性などの状況を踏まえて,県下全体の見地に立ち,その必要性,優先順位等を検討しているところでございます。 現在,旧邑久町内には,尾張,大富,本庄,福元,尻海,虫明の6駐在所が配置されております。このうち,邑久駅周辺は,特に世帯数,人口,事件事故の発生件数等が増加傾向にあり,現在,隣接交番やパトロカーによる支援を強化しているところでございます。このため,将来的には,6駐在所の管轄区域の治安情勢等を総合的に勘案し,体制の見直しなどについて検討していく必要があるのではないかと考えているところでございます。 以上でございます。
○副議長(中塚正人君) 27番井元乾一郎君。 〔 27番 井元乾一郎君 登壇 〕
◆27番(井元乾一郎君) 随分遅くなりまして,次のスケジュールのある皆さんも多いと思いますが,どうぞ行っていただきたいと思います。 井元乾一郎でございます。通告に従って質問をさせていただきたいと思います。 「日本の自衛隊を占領軍と規定した。」占領下のイラクで,サドル師派が定めたと報道されました。日本をあるいは日本人を代表して,国際貢献に活躍する自衛隊が,イラクの人々に理解され,安全に活動されることを願うばかりであります。また,国内の台風禍,地震災害等に救世主のように頼りとされ,大きな活躍をされる自衛隊であります。自衛ばかりでなく,今日広範な任務につく自衛隊に,常に誇りある大義名分が与えられ,国民に感謝されることを願っております。 一方,今も世界じゅうに何の責任もない一般国民が,政治の愚かさでいや応なく戦争に巻き込まれ,多大な犠牲となっている悲惨なさまを見れば,日本のグランドデザインは,戦争放棄の精神を未来永劫,決して失ってはなりません。県としても理念とされ,常に主張していただきたいことだと願っております。 内憂外患,激動する地方自治にあって,二,三,お伺いをいたします。 まず,岡山県のグランドデザインについてでございます。 知事の3選,まことにおめでとうございます。県民の大きな信頼で大いに活躍していただきますよう願っております。 岡山県は,かって工業県への躍進を目指した時代もありますし,観光県を目指した時代もありました。今,石井知事は,「快適生活県おかやま」を目指され,行動計画として,夢づくりプランが実施されております。現状に数値目標を掲げて前進するとされ,プランもさまざまな分野に及び,それぞれに目標を達成してきておられます。喜ばしいことでございます。ただ,できれば成果を県民皆さんが十分実感してほしいと願うものでございます。経済低迷と相まって,中四国の結節点とも言われる交通の利便性が,一方では通過県ともさせて,県中北部では工業などの誘致も冷えて,雇用にも期待感が感じられません。観光客も減っている現状だと思います。対する取り組みの成果が住民の皆さんに十分アピールされ,実感されることが,さらなる期待感を生み,一層の活性化につながるものと期待しますが,アピールのお取り組みについて,知事の御所見をお伺いいたします。 同様に,全体の現状を今よりよくする計画はわかりますが,例えば「ピオーネの生産を日本一にするがごとく,「下水道整備率を100%にする」だとか,「工業団地を満杯にする」だとか,求めるとされる計画の柱の部分を,県民にわかりやすくアピール願いたいと思いますが,御所見をお伺いいたします。 さて,市町村合併が進んでまいりました。これまで特色あるまちづくりを目指し,独立国としての誇りを持ってきた市町村が,次々と新しい町を誕生させております。新しい姿は,概して商業を中心とした最も大きい人口集積地が中心になっているようであります。存在感を示してきた周辺町村は,今日までのたくましい姿が消え,山間地あるいは海辺などと,その町の自然環境,地理的条件が体をあらわして,合併に及んでいるかのようであります。岡山県も,やがて道州制論議になろうかと思いますが,こうした市町村の姿から学びますと,やはり人口集積を目指していくことが大きな課題でありますし,自然環境を生かし,大局的な地の利にかなった県土づくりが大事かと思わせられます。さらに,今日の財政難では,事業評価あるいは事前評価も大切にされながら,めり張りのきいた事業展開が望まれます。中四国州の中心を唱えられるであろう知事におかれては,求める岡山県のグランドデザインをわかりやすくお示しいただき,強いリーダーシップを発揮され,県民の協働を求められたいと願いますが,知事の御所見をお伺いいたします。 次に,災害対策についてでございます。 ことしの台風が記録的な数の日本上陸であったことは,たびたび報道されました。これまで災害の少ないと言われる岡山県でも,山から海まで大きな被害をこうむりました。私ども山間地域では,山林被害,家屋被害,電気等ライフラインの寸断等,多大の被害をこうむり,「ひとり住まいはなれてどういうことはないけれども,台風の強風と停電,電信不通の中で過ごした数日間は,どうにも不安でならなかった」との高齢者の声も多数聞かれたわけでございます。 さて,全国の台風禍で伝えられたことと,新潟県の中越地震で伝えられこと,共通の事に,被災住民と行政の情報交流の不十分さがあります。今日,災害に対しては,情報網の発達があると心丈夫に言われますが,やはり自然災害の前には,有線,無線とも十分な威力を発揮し得ない現実が露呈しております。その上,岡山県でも市町村合併で基地局,いわゆる命令指揮をつかさどる役所は遠くなる。地域の振興局も整理統合される。まさにそんな地域の不安は増大してまいります。とはいえ,その中で十分な体制整備がなされることを望むほかありませんが,今台風禍で有線機器が寸断された実情からすると,一つに,やはり県下全域に住民各戸と自治体を結ぶ無線設備の充実は必要と思われます。避難勧告も伝わらなかったでは,万全な災害対策とはとても言えないのではないか。市町村の役割であろうかもしれませんが,広域調整役の県の積極的な指導を求めたいと思いますがいかがか,知事の御所見をお伺いいたします。 さらに,災害のつぶさな情報を集めるためには,現地の情報収集と通報する者の存在など,その手段を講じる必要があると思いますがいかがか,あわせてお伺いいたします。 いま一つに,先般,県が打ち出された災害情報の携帯電話等への情報提供構想も,携帯電話不感地域では意味をなしません。従来からお願いをしております携帯電話不感地域の早急な解消を進めていただきたいことをお願いいたします。 さて,県北では,かって見たこともない山林被害があります。知事におかれては,早速に対策に奔走され,激甚災害の指定も受け,その復旧に当たるとされたところでございます。御苦労に感謝を申し上げたいと思います。ただ,御承知のとおり,林家は高齢化が進んでおります。風倒木の処理と跡地の植林が義務化されている国の指導にどれほど沿えられるかが心配であります。かといって,放置されれば,次の災害要因になることも思わなければなりません。復旧を促進する知事の御所見をお伺いいたします。 耕作放棄地ならぬ,手入れがなされず放棄された山林の姿は,何よりも自由化された低価格の輸入材が元凶であることは言うまでもありません。世界に躍進する日本の第2次産業の犠牲者とも言える国内の第1次産業の姿であります。風倒木の山が満足に市場に受け入れられるかは,推して知るべしであります。ぜひ知事におかれては,日本林業が生きていける輸入材対策がなされるよう,国に働きかけをいただきたいと思います。知事の御所見をお伺いいたします。 次に,岡山県文化財保護についてでございます。 県立津山高等学校の本館が,国の重要文化財に指定されております。先日,卒業の先輩から,「随分傷んでおるようだが,補修の計画でもあるのかなあ」というお話をいただきました。常々感じておりますことは,日本は地震の国であったり,木の文化の国であったりで,建造物などを長く保存することには,多くの困難があろうと思いますが,悲しいことは,バブル時代から財に任せて建造物は古きを取っ払い,遺跡は調査しておしまい。欧米文化崇拝一辺倒式で,日本文化の破壊が随分定着したかのような経済大国日本の姿であります。一時の価値判断で破壊に及ぶ罪悪を思わないではいられません。 さて,ともかく,このたび大廻小廻山城跡を国指定の史跡にするよう文化審議会から答申されたとのことですし,最近,建造物に対しても朗報が伝わっております。旧閑谷学校は,世界文化遺産に登録してもらおうという運動も展開されていて,全くすばらしいことだと思っております。夢のある明るい話題ですが,旧閑谷学校の世界文化遺産登録の行く末を,県としてどのようにお考えか,また運動を大いに先導されたいとも願いますが,お考えを教育長にお尋ねいたします。 一方,このたびの台風で,岡山県の文化財の被害の状況はどうであったのか,また平素文化財の修復は計画的になされていることと思いますが,さまざまな文化財がおおよそ修復時期に合った修復がなされているのかどうか,実情を教育長にお尋ねいたします。 なお,前述の津山高校本館についても,計画があればあわせてお尋ねをいたします。 次に,安全社会の実現についてでございます。 数年前,津山で主婦の誘拐事件が発生して,震撼させました。以後の捜査にもかかわらず,主婦を発見できないでおります。本年,津山で小学3年生の殺害事件が発生しました。これも犯人逮捕に至りません。また,最近,町内でも多く空き巣の事件を風聞します。何と物騒な世の中になったものか。完全犯罪をねらった推理小説だとかテレビドラマは,完全犯罪とは難しいもので,不可能なことなのだというのがストーリーになっていて,読者,視聴者にもそんな思いが植えつけられてきました。そんな日本人の意識が,生活態様の変化,国際化,IT化の進展などによってか,殺人をいとも簡単に考える風潮,社会,警察にゲームでもしているかのように挑戦する言動など,隔世の感があるほどに変化し,社会の不安は増大の一途であります。伴って,警察の仕事量も,御苦労も倍増していることと思います。述べました事件も,御苦労の捜査が忍ばれますが,勝手なもので,巷間にはさまざまな憶測が飛び交っております。信頼されるべき警察に,田舎の警察だから頼りがいがないのではないか,あるいは十分な警察の体制がとられていないのではないかというたぐいの話であります。素人ながら,凶悪犯罪には十分な警察の人員確保はもとより,都市部と変わらない科学捜査の体制も必要と思いますし,これらの事件にも十分な体制がとられていることと思いますが,安心の実情を警察本部長にお尋ねいたします。 昨今,いろんな事件で報道がワイドショー化され,被害者の怒りを買うといったことがよく報道されます。捜査に支障を来したのではないかとさえ言われます。前述の津山の事件でも,被害者の方の報道に対するそんな思いが伝えられもしたと思います。いろんな事件のワイドショーを見ておりますと,推測からストーリーをつくり上げているとは思いながらも,全くのつくり話ではないのではないかとも思わせられます。なぜ捜査の途中の事柄が被害者の心情もおもんぱかられずに報道されるのか,疑問に思うこともあります。さらに,そのことがネット上で被害者の誹謗中傷にまで及んでくるとすれば何をか言わんやであります。情報の公開も確かに重要とは思いますが,知り得た情報が捜査途中に無節操に流れることもいかがかと思わせられます。警察の捜査に関する情報提供は,慎重を期されていることと思いますし,事案それぞれに対応は違うと思いますが,おおよその現状について,警察本部長にお尋ねいたします。 いずれにしても,安心社会の実現には,警察力は欠かせません。岡山県の今後の体制整備の計画をあわせてお尋ねいたします。 また,以前から,地域の駐在所の配置計画があり,これに基づいて整備を行うと聞いておりましたが,時代が変わり,犯罪が凶悪化,増加するなど,不安が増大する中にあっては,駐在所はますます重要さを増しております。配置計画の見直しに当たっては,安易に廃止などをしないようにしていただきたいと願いますが,お考えを警察本部長にお尋ねいたします。 以上,御質問いたします。
○副議長(中塚正人君) 答弁を求めます。 知事石井正弘君。 〔 知事 石井正弘君 登壇 〕
◎知事(石井正弘君) 自由民主党の井元議員の質問にお答え申し上げます。 私の3選につきましての祝意を賜り,ありがとうございました。 まず,岡山県のグランドデザインでございます夢づくりプランの成果等のアピールでありますが,毎年度の夢づくり政策評価の結果や,このたびの改訂・加速版の内容などを,ホームページを初め各種広報媒体,さまざまな会議の場を活用いたしました説明会などを通じまして,広くお知らせをしているところであります。お話のとおり,成果を県民に実感をしていただくということが大切でありまして,成果の実感がさらなる協働の輪の広がりにもつながっていくと,こういうことが期待されることから,広報活動の中で重点的な成果とか,あるいは計画の柱を強調するなど,工夫を凝らしながら,県民の皆様にわかりやすいアピールに努めてまいりたいと存じます。 わかりやすいグランドデザインということでございますが,私は,将来の道州制を見据えた中四国地方の姿といたしましては,それぞれの地域が人口・経済的にもほどよく分散をして,そして独自性を発揮しながら連携・補完をし合い,そしてともに発展をしていく,中四国の全体がそういう圏域となって,そしてその中で,岡山県が存在感を保って地域全体に貢献をしていく役割を果たしていきたい,こういうデザインを描いております。 そのため,本県といたしましては,陸海空の広域交通網あるいはIT環境など,地の利を生かしまして,自立と,それから協働の精神のもとに,産業,文化などの各地域の資源や強み,これを発揮いたしまして,それぞれの地域が個性を持って生き生きと光り輝き,それらがお互いに連鎖し合って大きな力となっていく地域づくりを進めていく必要があると思っております。私は,こういった考え方を基本にいたしまして,分権型社会にふさわしい各地域のまち・むらづくりが着実に進められますように,未来を志向した県政を全力で推進してまいりたいと存じます。 災害対策であります。 無線設備の充実でありますが,市町村から住民への迅速・的確な情報伝達,これは重要な課題であると認識をいたしておりまして,特に市町村防災行政無線同報系は,市町村から各戸に一斉通報する機能というものがありまして,大変有効な手段であると考えております。このため,県といたしましても,関係市町村に対しまして,市町村防災行政無線同報系の整備を働きかけしておりまして,より一層の整備促進を図っていくため,新たな支援策につきましても,今後,検討してまいりたいと存じます。 現地情報の収集手段でありますが,災害対策基本法におきましては,災害が発生するおそれがある異常な現象を発見した者は,遅滞なくその旨を市町村長または警察等に通報することを国民の義務として課しております。 お話がございました現地情報の通報者につきましては,このことをあらかじめ制度化し,強化充実をしていこうとの御提案と受けとめさせていただきますが,災害発生時におきましては,通報者自身の安全確保や情報のふくそう等の課題も現実にはあるということから,慎重に研究をさせていただきたいと存じます。 山林被害でございますが,その復旧につきましては,森林所有者の負担を軽減し,復旧を促進するため,森林災害復旧事業につきまして,より高率の補助となるように,県独自の上乗せ助成を行いますほか,応急的な風倒木処理対策事業を実施するなど,総合的な復旧対策に取り組むこととしております。実施に当たりましては,市町村,森林組合と緊密な連携を図り,人家や学校の裏山等,緊急を要する箇所から取り組みますとともに,再造林を促進するため,森林所有者に対し,樹種や植栽方法等,きめ細かい助言をするなど,森林の早期復旧に努めてまいりたいと存じます。 最後に,輸入材対策の国への働きかけでありますが,国産材の競争力を高めるためには,製材品の品質・性能の向上や供給ロットの拡大など,生産体制の整備が重要でございます。 また,国は,外国からの木材製品の輸入につきまして,国内林業を振興し,自然環境の保持・保全を図るという観点から,関税存続に向けて取り組んでおりまして,本年8月には,WTO一般理事会において,枠組み合意がなされまして,今後,交渉が行われることとなっておりますので,その推移を見守ってまいりたいと存じます。 以上でございます。
○副議長(中塚正人君) 教育長宮野正司君。 〔 教育長 宮野正司君 登壇 〕
◎教育長(宮野正司君) お答えをいたします。 まず,旧閑谷学校の世界文化遺産登録についてでございますが,本県の文化遺産が世界文化遺産に登録されますことは,本県を世界に向けて発信する絶好の機会になると考えております。 登録につきましては,旧閑谷学校の世界的な意義づけが求められることなどから,課題は多いと認識しております。こうしたことから,去る10月には,就実大学におきまして,旧閑谷学校についてのシンポジウムが開催され,改めて旧閑谷学校の歴史の全容を明らかにし,その果たした役割について再評価がなされました。また,さらなる盛り上がりを求めて,現在も活発な署名活動が続けられており,活動の輪が広がっております。県教育委員会といたしましても,4年計画で旧閑谷学校の公有化を進めてまいりましたが,今後は,公有後の整備を計画的に進めることにしておりまして,旧閑谷学校の文化財的価値の保存に努めますとともに,文化庁へも積極的に働きかけるなど,できる限りの対応をしてまいりたいと存じます。 次に,台風による文化財の被害状況でございますが,被害の主な原因は,記録的な強風によるもので,県北を中心に被害が目立っております。被害件数は,国指定の文化財が24件,県指定の文化財が17件,合わせて41件でございます。主な被害といたしましては,建造物の屋根,壁の損傷及び倒木による史跡の毀損でございます。現在,被害を受けた文化財の大半は修復が行われておりますが,特に被害の大きかった数件につきましては,文化庁,関係市町村,所有者と協議しながら,修復方法等の検討を進めているところでございます。 最後に,文化財の修復計画についてでございますが,県内の国及び県の指定文化財は約670件に上っております。修復につきましては,市町村や文化財所有者からの要望件数も多く,すべてに対応できないため,緊急度の高いものから計画的に実施をしているところでございます。 なお,津山高校の本館につきましては,明治33年に建築され,平成7年に国の重要文化財に指定されたものでありますが,お話のように,老朽化が進んでいることは承知をしておりまして,今後,県全体の整備計画の中で検討してまいりたいと存じます。 以上でございます。
○副議長(中塚正人君) 警察本部長福島克臣君。 〔 警察本部長 福島克臣君 登壇 〕
◎警察本部長(福島克臣君) お答えいたします。 さきの自民党代表質問でもお答えいたしていますとおり,津山市内における2つの凶悪事件につきましては,いまだ事件の解決には至っておりませんが,引き続き,鋭意捜査を行っているところでございます。 これら凶悪犯罪に対する捜査体制についてでありますが,発生場所のいかんを問わず,事件発生と同時に,警察本部の捜査第一課,機動捜査隊を初め隣接警察署を中心に指定捜査員を応援派遣するなど,所要の体制を迅速に立ち上げているところであります。 また,鑑識,科学捜査に関しましても,発生場所のいかんを問わず,警察本部から機動鑑識班や現場科学検査班を派遣して,証拠資料等の収集に当たらせるとともに,採取した資料は警察の本部の鑑識課及び科学捜査研究所の専門の鑑定員により一元的に鑑定を実施しているところでございます。 次に,捜査情報についてでありますが,警察では,さらなる犯罪の未然防止の観点から,県民にお知らせすべきもの,県民から事件に関する情報の提供を求めるものなどにつきましては,積極的に情報提供をしているところでございます。しかしながら,捜査活動は秘密のうちに行われることが原則であり,情報が無節操に漏れますと,捜査に大きな支障を来すことになりますので,捜査責任者と広報担当者が協議の上,関係者のプライバシーにも十分配意しながら,適切な報道対応に努めているところでございます。 次に,岡山県警察の今後の体制整備の計画についてでありますが,大きく3点についてお答え申し上げます。 第1に,市町村合併に関連した管轄区域等の見直しについてでありますが,県内全体の市町村合併の動向を見定めて,総合的に検討を行うという方針のもとで,現在,部内の委員会で具体的な見直し計画案を策定中であり,今後,地域住民の方々の要望・意見を十分にお聞きし,それらを踏まえて平成18年4月に見直しを行いたいと考えております。 第2に,警察官の増員についてであります。平成14年度以降,215人の警察官増員が認められているところでありますが,本県警察官1人当たりの負担人口や刑法犯検挙人員等の面において,依然として高負担となっているところであります。県警察といたしましては,安全・安心の岡山県の実現を図るためには,業務の見直しや合理化等を推進する一方で,ぜひともさらなる増員が必要であると考えており,平成17年度につきましても,国に本県警察官の増員を強く要求しているところでございます。 第3に,人員の配置についてでありますが,空き交番の解消や交通事故の抑止を初め街頭犯罪の抑止や組織犯罪対策,凶悪事件の捜査等に十分な体制が確保できるよう,現場部門への重点的な人員配置に努めてまいりたいと考えております。 最後に,駐在所の配置の見直しについてでございます。 現在,県下には199の駐在所が配置されておりますが,駐在所は地域における警察活動の拠点であると同時に,地域住民の方々にとって最も身近な警察施設であり,地域の安全・安心のよりどころとなっております。 駐在所の配置の見直しにつきましては,一般的には,駐在所の管轄区域における世帯数,人口,面積,事件事故の発生等の負担状況や警察活動の効率性,地域住民の方々の利便性等の状況を考慮するとともに,地元の意見,要望等を踏まえた上で検討しているところでございます。今後におきましても,こうした考え方により対処してまいる所存でございますので,御理解を賜りたいと思います。 以上でございます。 ~~~~~~~~~~~~~~~
○副議長(中塚正人君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。 ~~~~~~~~~~~~~~~
△12月15日の議事日程
○副議長(中塚正人君) 明日の議事日程は,午前10時30分開議で,一般質問,議案委員会付託,請願陳情委員会付託であります。 ~~~~~~~~~~~~~~~
○副議長(中塚正人君) 本日は,これをもって散会いたします。 午後3時51分散会〇 平成16年12月14日(火曜日)出席議員 1番 森脇 久紀君 2番 増川 英一君 3番 蜂谷 弘美君 4番 山本満理子君 5番 小倉 弘行君 6番 加藤 浩久君 7番 遠藤 康洋君 8番 栗山 康彦君 9番 神宝 謙一君 10番 西岡 聖貴君 11番 波多 洋治君 12番 小林 清子君 13番 久徳 大輔君 14番 高橋 戒隆君 15番 蓮岡 靖之君 16番 姫井由美子君 17番 三原 誠介君 18番 森本 徹磨君 19番 吉田 政司君 20番 赤坂てる子君 21番 武田 英夫君 22番 山田総一郎君 23番 長瀬 泰志君 24番 草苅 隆幸君 25番 佐藤 真治君 26番 池田 道孝君 27番 井元乾一郎君 28番 末藤 守君 29番 伊藤 文夫君 30番 小田 圭一君 31番 渡辺 英気君 32番 内山 登君 33番 小野 泰弘君 34番 河本 勉君 35番 岸本 清美君 36番 小田 春人君 37番 住吉 良久君 38番 鈴木 一茂君 39番 景山 貢明君 40番 高橋 英士君 41番 藤村 欣裕君 42番 古山 泰生君 43番 天野 学君 44番 中塚 正人君 45番 市村 三次君 46番 三村 峰夫君 47番 千田 博通君 48番 森 正人君 49番 桑山 博之君 50番 戸室 敦雄君 53番 井手紘一郎君 54番 小枝 英勲君 55番 大杉 尚久君 57番 門木 和郎君 58番 原 寿男君 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~欠席議員 56番 蜂谷 勝司君 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~出席した事務局職員 事務局長 古矢 博通 次長 藤原 洋一 議事課長 前原 耕二 政務調査室長 曽田 章楷 議事課長代理 河井 伸充 議事課長補佐 亀山 節子 議事課主幹 石川 幸二 議事課主幹 米戸 健浩 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~説明のため出席した者知事部局 知事 石井 正弘君 副知事 本田 茂伸君 副知事 内野 淳子君 出納長 黒崎 一秀君 公営企業管理者 龍門 功君 政策審議監 窪津 誠君 知事室長 小野 隆夫君 国体・障害者スポーツ大会局長 島津 義昭君 総務部長 前田 一浩君 総務部次長 古宮 正範君 企画振興部長 板野 忠司君 生活環境部長 山田 宗志君 保健福祉部長 宮嵜 雅則君 産業労働部長 池上賢太郎君 農林水産部長 森 義郎君 土木部長 山中 義之君教育委員会 委員長職務代理者 大原謙一郎君 教育長 宮野 正司君 教育次長 門野八洲雄君公安委員会 委員 多胡 幸郎君 警察本部長 福島 克臣君 警務部長 西郷 正実君人事委員会 委員長職務代理者 平松 掟君 事務局長 藤原 師仁君監査委員 代表監査委員 吉永 謙一君 事務局長 高橋 泰治君選挙管理委員会 委員 松尾 淑子君...