島根県議会 2022-02-07
令和4年2月定例会(第7日目) 本文
今後、県といたしましては、沿線の雲南市さん、また奥出雲町さんと連携しながら、またJRから最大限の協力を引き出しながら、これまで以上に木次線の利用促進、また沿線の観光振興に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
5:
◯議長(
田中八
洲男) 山根
議員。
6:
◯山根成二
議員 御答弁にありましたように、JRは、代替列車の公費導入という提案に対しても拒否されました。この提案は、当初、JRが掲げた車両の老朽化という運行終了理由を公費支弁により解決するものでありまして、当初掲げた理由を消滅させるといってもいいものであります。運行の決定権はJRにあるとしても、そうした提案さえ、合理的な理由なしに拒否するJRの姿勢は、私からすると大いに疑問であります。
JR西日本の社長は、輸送密度が2,000人以下の路線の在り方を見直すと
発言しております。
そこで伺いますが、県内の路線の区間ごとの輸送密度はどうなっているでしょうか。
7:
◯議長(
田中八
洲男) 藤井地域振興部長。
8:
◯地域振興部長(
藤井洋一) 新型コロナ感染症の影響が少ない令和元年度の輸送密度は、山陰線は、米子出雲市間が5,860人、出雲市益田間が1,177人、益田長門市間が271人、木次線は、宍道出雲横田間が277人、出雲横田備後落合間が37人、山口線は、益田津和野間が535人となっており、山陰線の出雲市より東の区間を除き、いずれも2,000人以下となっております。
9:
◯議長(
田中八
洲男) 山根
議員。
10:
◯山根成二
議員 大変厳しい状況でございますが、三江線の沿線住民の皆様が、廃線となり御落胆されました様子を見ておりますと、同様の事態が再び起こらないように願うところであります。
その対応策としては、まずは利用促進であると考えます。若桜鉄道で実績のある通学利用の促進、便利なダイヤ編成でアクセス改善などを行い、通勤客を増やすこと、そして観光利用を促すことなど、行うべきことがたくさんあろうかと思います。今後の路線維持対策をどう講じていくお考えなのかお伺いします。
11:
◯議長(
田中八
洲男) 藤井地域振興部長。
12:
◯地域振興部長(
藤井洋一) まず、木次線については、今年度予算で強化した利用促進策を、来年度の当初予算案ではさらに内容を充実することとしております。具体的には、県民を対象としてJR運賃や貸切りバスなど、二次交通の費用の半額を助成する利用促進事業について、来年度は新たに県外の方の利用も対象にすることとしております。
また、県外の観光客を対象とした木次線の乗車を伴う旅行商品の造成支援については、広く県民にも木次線を利用していただくため、来年度は新たに県内の観光客も対象として実施することとしております。
次に、山陰本線については、昨年8月から、本庁の職員が浜田以西に出張する際に、JRと現地のレンタカーを組み合わせて移動する仕組みを設けており、来年度もこれを継続することにより、県職員が率先してJRを利用してまいります。
また、県内のJR路線の維持やサービスの向上に関しては、県、沿線の市町、商工団体等で構成する島根県鉄道整備連絡調整協議会において要望活動などを行っておりますが、来年度は要望活動に加えて利用促進に関する県民の機運醸成に力を入れて取り組みたいと考えております。
議員御指摘のとおり、路線を維持するためには利用を増やすことが重要でありますので、沿線市町と一緒になって利用促進に積極的に取り組んでまいります。
13:
◯議長(
田中八
洲男) 山根
議員。
14:
◯山根成二
議員 ありがとうございました。
木次線の話題ですけども、木次線、いろんな状況を考えますと、非常に厳しい状況だろうというふうに思っております。ただ今、おっしゃっていただきました対策をしっかりと講じていただくことを要望しておきます。
このたびの結果は大変残念でございますが、あめつちの運行は、特に鳥取県の方々を雲南地域に誘うことができる点で一定の評価もしております。問題は、効果であります。残念ながら、雲南地域の観光資源は、出雲大社や松江、大森銀山などに比べて規模も小さく、名前も売れていません。優れた眺望があるわけでもなく、最大の売りであるスイッチバックや奥出雲ループを一望する箇所や延命の水の出雲坂根駅にも行きません。加えて絲原家、櫻井家住宅、鬼の舌震、温泉、たたら関係施設などの観光資源は、多くがJRの駅からのアクセスに難点がございます。
地域観光の振興のためには、資源の創設、ブラッシュアップ、連携体制づくり、積極的なPR活動、あるいは語り部の育成など、多くの課題を克服する必要がありますが、施策展開についてのお考えを伺います。
15:
◯議長(
田中八
洲男)
田中商工労働部長。
16:
◯商工労働部長(
田中麻里) 木次線沿線地域の観光振興の考え方につきましては、12月13日に開催されました第4回木次線観光列車運行検討会において県から提案いたしております。その中で申し上げましたのは、木次線を一つの観光コンテンツとして捉え、地元の観光素材とともに沿線地域の魅力を面的に打ち出していくこと、そして停車駅を起点とする周遊観光や宿泊プランと組み合わせながら、滞在時間の延伸と観光消費額の増加につなげていくこと、定期列車を活用する場合は、乗車する動機づけとなる仕掛けや地元住民等によるおもてなしの取組が今まで以上に必要であることなどであります。
議員から御提案のありました語り部の育成も、定期列車内での講座や周遊観光プランで現地を訪れた際に、歴史や魅力を伝えるために必要であると考えております。
今後、具体策につきましては、木次線利活用推進協議会内に地元市町、関係団体、JR西日本などで構成されるプロジェクトチームを今月中に立ち上げ、検討を進める予定としており、県といたしましても、このプロジェクトに積極的に参画してまいります。
あわせて、情報発信につきましては、地元情報誌やテレビによる山陽方面への発信、SNSを活用したフォトコンテストなど、今後も有効な手段を研究しながら積極的に実施してまいります。
また、JRから提案のありましたあめつちの乗り入れや定期列車の内外装の装飾につきましては、今後、様々な調整が必要なことから、まずはゴールデンウイークに向け、定期列車を活用した周遊観光プランや宿泊プランを造成し、販売していきたいと考えております。
17:
◯議長(
田中八
洲男) 山根
議員。
18:
◯山根成二
議員 ありがとうございました。十分御議論をされまして、効果的な対策を打っていただきますようよろしくお願いをいたします。
次に、島根県ICT総合戦略について伺います。
これまでの質問と重複する点があることをお許しください。
この戦略の策定は、私は随分と期待しておりました。今、島根県経済は非常に厳しいものがあります。日本全体のデフレに加え、高齢化、過疎化による需要の減少が続いています。この状況を打破するためには、県経済の成長が無論必要ですが、労働力が減少する中では、一人一人の生産性の向上と民間資本の設備投資の増加が不可欠であります。したがって、ICTにより労働者の生産性を高めていくこと、グリーン産業とともに最も成長が期待されるICT分野の成長を促す施策は極めて重要であります。
戦略は、幅広い分野についてよくまとまっています。限られた体制と時間の中での成果に敬意を表したいと思います。
ただ、欲を少し言わせてもらえれば、推進していかれる熱意をもう少し込めてほしかった。経済界の活動や県民生活における諸分野のICTを進める施策の展開に関する記述を、方向性だけでも増やしてほしかったと思いました。特に、JA、森林組合、商工関係団体、あるいは個々の経済を担う方々に取り組んでほしい施策、メッセージや情報産業関連団体への期待の記述が欠けているのではないかというふうに思いました。
ICT化は県、市町村だけではなく、県民、経済界も含め一体となって推進すべきものであります。
そこで、島根県全体のICT化を目指すための推進体制や協力体制をどう構築していくお考えなのか、民間産業界、団体への期待はどういう点にあるのか、産業界の意見を施策にどのように反映していくお考えなのかお伺いします。
19:
◯議長(
田中八
洲男) 藤井地域振興部長。
20:
◯地域振興部長(
藤井洋一) 県全体のデジタル化に向けては、各部局のそれぞれの分野における産業界や関係団体との既存の連携の枠組みを生かして取り組むことが効果的であると考えております。
今後は、情報化の最高責任者CIOである副知事をトップとし、各部局の次長で構成をするICT戦略会議を新たに設置し、各分野の取組などを共有し、デジタル化を進めていくこととしております。
産業界や関係団体におかれましては、トップの方からデジタル化に向けた意識を高めていただき、積極的に推進し、県民生活の利便性向上や地域課題の解決、ひいては島根創生の実現につながることを期待しております。
県としましては、今後、産業界や関係団体からデジタル化に関する御意見をよくお聞きし、ICT戦略会議で共有した上で、どういった対応ができるのか検討していきたいと考えております。
21:
◯議長(
田中八
洲男) 山根
議員。
22:
◯山根成二
議員 戦略の下に施策集というのができておりますが、施策集については記述はいろいろありますが、産業界に対する記述が非常に希薄だなという気が私はいたしました。もう少し具体的に、目標数値もしっかりと掲げて、今後どうやっていくんだという具体的な記述が必要ではないかというふうに思いました。これからそれをつくっていくということで、私はいいと思いますけども、そのためには、経済団体や教育機関などを含めた戦略会議みたいなものを設けまして、そういった会議体でいろんな方の意見を聞きながら、具体的な戦術を練り、着実な施策の策定と、そして進行管理を図るべきだと考えますが、いかがでございましょうか。
23:
◯議長(
田中八
洲男) 藤井地域振興部長。
24:
◯地域振興部長(
藤井洋一) デジタル化に向けては、求められる取組についてはそれぞれの分野で異なっていることから、分野ごとに関係団体の皆様から御意見を伺っていくこととしております。その上で、先ほど申し上げました庁内のICT戦略会議において、施策の進行管理を行うこととしております。
一方で、効果的な施策立案等、着実な進行管理を行うためには、知見を持つ外部の方の御意見を生かしていくことも重要と考えておりまして、今年度、ICT総合戦略の策定に御意見をいただいた委員の方などに、引き続きアドバイスをいただくことを考えております。
25:
◯議長(
田中八
洲男) 山根
議員。
26:
◯山根成二
議員 知見を持つ外部の人の意見を引き続き聞いていくんだということですが、それをきちっとやっていって、進行管理も含めたことが私は必要だと思っています。ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
そして、戦術も施策集も、言ってみればこれでよしで、今回できましたが、これで全て最高のものができたというものでは、私はないと思っております。社会情勢も随分と変化していきます。そういった会議あるいはアドバイスのところで、それらの見直しを何回も重ねてよりよいものとしていただきたいというふうに思っております。
国の自治体DX推進計画では、システムの標準化、共通化が掲げられています。標準化はともかくでございますが、共通化となりますと、これは中央の大手が担う可能性が高く、その結果、地方のIT会社は阻害されるというふうに思います。大変共通化というのは推進のためにいいんですけれども、難しい点ですが、地域のIT産業育成を図るべき県の立場からは、この点についてはどのような対策を講じられるんでしょうか。
27:
◯議長(
田中八
洲男)
田中商工労働部長。
28:
◯商工労働部長(
田中麻里)
議員御指摘のとおり、地方公共団体の業務システムの標準化、共通化が進むことにより、地方のIT企業がこれまで担ってきたシステム開発、保守管理等の請負業務の減少が予想されます。県ではこれまでも、請負、下請中心の業態から自社サービス・製品の提供など、より収益性の高い業態への転換を促す取組を、しまねソフト研究開発センターを中心に行ってまいりました。令和元年度からは、IT企業と小売業や観光業などの異
業種企業とのマッチングの機会を提供し、両者が協働して行う課題の解決や新規事業を創出する取組を支援しています。
また、令和2年度からは、AI、ビッグデータの活用など、市場規模の拡大が見込まれる分野において、高付加価値なサービス・製品を開発し、販路開拓しようとする企業に対して、開発経費の助成と研究員等による伴走型支援を実施しています。
引き続き、こうした支援を通じて、国内外で自社サービスを展開する企業やより収益性の高い受注を獲得できる企業の育成に取り組んでまいります。
29:
◯議長(
田中八
洲男) 山根
議員。
30:
◯山根成二
議員 組織について伺います。
新年度は、県庁内のICT化推進のため、情報システム推進課が総務部に設けられますとともに、DXの最高責任者であるCIOを副知事とする方針も示されました。大変適切な対応であると考えます。
まずは、副知事のCIO就任の抱負と県全体のICT化推進に向けたお考えをお伺いします。
31:
◯議長(
田中八
洲男) 松尾副知事。
32: ◯副知事(松尾紳次) デジタル化の推進につきましては、地理的、時間的制約を解消し、県民生活の利便性向上や産業の生産性向上に、また行政におきましても、県民サービスの向上やスピーディーな対応を可能とするものでございます。したがいまして、日常生活をはじめ、医療、福祉、地域産業など様々な分野にICTの活用を広げていくことが必要でございます。そのためには、行政を含め、それぞれの分野において、実際の現場でデジタルをどう活用していくのか、企画、応用できる人材、デジタルにより課題を解決できる人材の育成が重要でございます。
その一方で、デジタル化を進めていくに当たりまして、誰一人取り残されることがないよう、高齢者など、デジタル機器の操作に不慣れな方への対策も必要となります。こうした対応や取組を、市町村、産業界、各種団体などと連携をし、CIOとして、全庁一丸となって、島根の実情に合ったデジタル化が進むようリードしてまいりたいと考えております。
33:
◯議長(
田中八
洲男) 山根
議員。
34:
◯山根成二
議員 一方で、地域的な施策については、地域政策課の内室が担当されることになりました。ちょっと私は、この地域政策課の内室ということでありますが、これから様々な産業、生活分野をICT化はカバーしていきますから、必然的に県庁の全部局、そして多くの産業団体あるいは個々の企業等について、働きかけとか調整ですとか要望への対応など、多くの業務をこなさなくてはいけません。そして、この施策の分野は、それこそ副知事さんが言われましたように、全庁一丸となって頑張っていく分野でありますから、むしろ体制の強化を図るべきではないかというふうに逆に考えるわけでございます。
例えば、御提案ですけれども、理事を配置された分野がありますし、それからあるいは担当部長を配置するなど、司令塔を置き、そのリーダーシップと調整の下で推進するような実効性ある体制を図っていただきたいと考えますが、お考えを伺います。
35:
◯議長(
田中八
洲男) 藤井地域振興部長。
36:
◯地域振興部長(
藤井洋一)
議員から御提案がありました担当理事や担当次長の設置は一つの考え方ではあると思いますが、来年度は、CIOを地域振興部長から副知事に変更し、先ほど申し上げましたICT戦略会議においてデジタル化の取組状況の共有などを行い、CIOの指揮の下、各分野のデジタル化施策を各部局において責任を持って実施していくこととしております。
また、地域振興部に新たに設置をしますデジタル戦略室におきまして、施策の進行管理や各部への提案、働きかけを行うこととしており、まずはこの体制により、島根の実情を踏まえたデジタル化を着実に推進してまいります。
37:
◯議長(
田中八
洲男) 山根
議員。
38:
◯山根成二
議員 体制はともかく、施策を推進していただくということですので、よろしくお願いいたします。
時間が少なくなりましたので、少し省略させていただきます。
人材育成について、少し詳しく聞きたかったんですけれども、エッセンスだけ聞かせていただきます。
新年度においては、デジタル人材育成計画を県庁内でつくるというお考え、これは結構だと思います。問題は、人材不足が課題である県行政以外の分野におけるICT人材の育成についてはどのように考えてらっしゃいますか。
39:
◯議長(
田中八
洲男) 藤井地域振興部長。
40:
◯地域振興部長(
藤井洋一) 県職員のデジタル人材育成計画については、職位別に、これからの県職員に必要な能力を明らかにし、デジタル技術の活用による県民サービスの向上や業務の効率化を図ることができる職員の育成について定めたいと考えております。
具体的には、職員のデジタルに関する知識やスキルの全体的な底上げを行うための基礎的な研修、デジタル化を見据えた業務見直しやデータ利活用のための研修などを盛り込みまして、実際の業務にデジタルを活用できるよう、これまで以上に人材育成に力を入れていきたいと考えております。
次に、各産業界での人材育成としましては、デジタルを活用して課題解決のできる人材が様々な分野で求められていることから、在職者向けに高等技術校における教育訓練や業界ごとの講座、研修などを、商工労働部等、各関係部局において実施しています。
今後、デジタル化が進むことで、農業、医療、福祉などの分野においても人材が必要になることが見込まれるため、各分野で求められる人材の育成については、担当部局を通じて産業界や関係団体の御意見をよくお聞きしながら、研修の充実などの必要な取組を検討してまいります。
41:
◯議長(
田中八
洲男) 山根
議員。
42:
◯山根成二
議員 人材育成について議論される際にお願いしたいのは、単にITの技術職の養成という観点だけではなく、データの活用とデータの分析能力、現状を変革する意欲、説明能力など、ソフト的な能力の養成、これも必要だろうと私は考えております。どの分野でも技術的な能力は無論必要ですが、変革する志、企画能力、説得力等々がないと進歩はありません。こうした能力は初等中等教育で養われますが、教育でこうした能力を養っていく重要性について、教育長のお考えをお尋ねいたします。
43:
◯議長(
田中八
洲男) 野津教育長。
44: ◯教育長(野津建二) 子どもたちに、国語、算数といった教科の学習だけでは身につかない力を育てるということを目指して、本県では、小中学校でのふるさと教育や高校での地域課題解決型学習に力を入れて取り組んでおります。特に、地域課題解決型学習では、自分たちの住んでいる地域をより住みやすくする方策を考えていく際の活動として、自ら課題を見つけ、地域の人々との関わりの中で、地域の方々と課題を共有する。住んでいる地域の方々や専門家の意見、他地域の事例など、様々なデータ等を参考にしながら考えを深め、よりよい解決方法を考えていく。関係する人々の協力を得るため、根拠をもって自らの考えを表現し、協力体制を築きながら課題の解決に向けて行動していくといったものがございます。こういった取組は、まさに
議員のおっしゃる変革する志、企画能力、説得力の育成に資するものと考えております。
45:
◯議長(
田中八
洲男) 山根
議員。
46:
◯山根成二
議員 教育長、全く意見が一致した、珍しいことでありますが、ぜひそれをしっかりと教育課程の中でやっていただきたいと思います。
特に、このたび高等学校で新たに必修となります情報Iについては、それは非常に効果的な科目であるなというふうに思っております。
そこで、情報Iを指導する情報担当の教員の充足状況、新科目導入に向けた準備状況がどうなっているのか伺います。
47:
◯議長(
田中八
洲男) 野津教育長。
48: ◯教育長(野津建二) 新たに必修となります情報Iは、各学校の教育課程によって、1年次でも2年次でも履修が可能となっております。また、情報Iは、プログラミングやデータ活用など、内容が高度化し、専門的にはなりますが、工業や農業などの専門学科では、工業情報数理、農業と情報などの科目での読替えも可能であります。読替えで実施する学校も含めて、全ての学校に情報を担当する教員を配置することとしております。
情報Iの授業を担当する教員には、最新の技術や利用環境などを含め、高度な知見が求められます。このため、質の高い授業が提供できるよう、国のCOREハイスクール事業を活用して、専門教員のいる拠点校から経験の浅い教員がいる学校へオンラインで授業を行うこともございます。
また、プログラミングなど、高度で専門的な学習内容に対応するため、ICT専門分野で活躍する人材が非常勤講師として授業に携わることができるよう準備を進めているところでございます。
来年度、情報Iの授業を行う学校では、年間計画を策定し、その準備を進めつつあります。大学入学共通テストに情報Iが課されることを見据えて、2年次に開講する予定の学校は、先行する学校を参考に準備を進めてまいります。また、効果的、効率的に指導するための学習教材
ツールを導入し、指導する教員を支援する体制を整えております。
49:
◯議長(
田中八
洲男) 山根
議員。
50:
◯山根成二
議員 この情報I、大いに期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
このようにしてせっかく育てた情報課程の卒業生、これを、問題は県内への就職を促す必要があります。こうした施策はどのように展開されているのか。受入れ側の商工労働部長と送り出し側の教育長にお伺いします。
51:
◯議長(
田中八
洲男)
田中商工労働部長。
52:
◯商工労働部長(
田中麻里) 全国的にIT人材の獲得競争が激化しており、県内IT企業でも技術者が不足しています。そのため、情報系課程卒業生の県内IT企業への就職を促進するため、県では、県内専門高校や松江高専、島根大学などにおいて、教員と県内IT企業が連携して企画授業を実施しています。この授業では、企業との交流機会が設けられており、県内IT企業の魅力を伝え、理解が深まるよう取り組んでいるところです。
今後も、対象校の拡大や企業との交流機会の充実を進め、県内IT企業への就職を促してまいります。
一方で、デジタル化の進展に伴い、幅広い業種でデジタルを利活用できる人材のニーズが高まることが予想されます。企業が人材を確保するためには、デジタルをどう活用し、自社にどのようなデジタル人材が必要かを考えていただくことが重要です。そのため、今議会において、企業のデジタル化を促すセミナーの開催や専門家の派遣事業を提案しております。こうした取組を通じて、企業が求める人材を明確にできるよう支援してまいります。
加えて、情報課程の生徒、学生に、企業が求めている人物像などが伝わるよう、企業情報の発信、学生との交流会、企業説明会などを行い、県内就職を支援してまいります。
53:
◯議長(
田中八
洲男) 野津教育長。
54: ◯教育長(野津建二) 県内の企業に就職したいと希望する子どもたちや県内にとどまるか県外へ出て就職するかを決めかねている子どもたちが、先ほどの答弁にあったような県内企業の情報をよく知らずに進路先を決めることは好ましくありません。県教育委員会としましては、子どもたちの進路
選択の幅を広げるため、県内の情報関連企業を含めた雇用情報が子どもたちに行き渡るように取り組んでまいります。こうした取組が、結果的に県内への就職者が増えていくことにつながっていくと考えております。
55:
◯議長(
田中八
洲男) 山根
議員。
56:
◯山根成二
議員 ITの技術者は何十万人も不足しています。そうした中で、この点にしっかりと力を入れてもらわなくてはならないと思っております。少しこの点をもう少し強化していただきたいなと、私は考えております。
次に、教育課程を終わって社会に出た人、その人が、いわゆる学び直しです。勉強してこなかった、あるいは勉強してきたけど、もうちょっと深くやりたい。リカレント教育についてですけれども、そういったリカレント教育がICTの分野でも積極的に行われる必要があると考えますが、いかがでございましょう。
57:
◯議長(
田中八
洲男) 野津教育長。
58: ◯教育長(野津建二) ICT分野のリカレント教育は、産業振興や地域振興にダイレクトにつながることから、全体としてリカレント教育が進んでいくことは大変有意義なことだと思っております。
松江高専や民間の専門学校では、商工労働部と連携して、デジタル人材育成のための講座やICTに関する資格取得講座を実施しておりますし、このほか放送大学では、情報コースで約50の講座が開設されており、インターネット環境があれば、どこからでも安価で受講することができます。
県内の大学や県立高校におきましては、人的体制の面から実施は困難な状況にございます。ICT分野でのリカレント教育をこれまで以上に進めていくためには、
議員御指摘のとおり、教える側の人材の確保が最大の課題であります。社会教育の観点から申し上げれば、学んだ人には、次は教える人になる役割が期待されております。今後、人材育成を行っていく際には、そうした視点を加えていただくことが大切であると考えております。
59:
◯議長(
田中八
洲男) 山根
議員。
60:
◯山根成二
議員 そのとおりなんですけども、圧倒的に人材が不足している中で、何とか養成していかなくちゃいけないんです。そうすると、例えばICTの関連会社から講師を出してもらうとか、そういったことで、県と産業界とマッチングして人材をつくっていく、そういった姿勢も検討に値するんじゃないか。会社はそれが自分のところの財産に返ってきますので、大変助かるわけでございますが、そういったことも御検討をいただきたいというふうに思います。
時間が参りました。もう一つは、定着の問題についても言及したかったんですが、育成と同時に定着、極めて大きな問題でございます。これについても、商工労働部長さん、よく御認識だと思いますので、企業の意識の改革といいますか、そういったことに力を尽くしていただきまして、そしてこの戦略がせっかくつくっていただいた戦略でございます。この戦略の策定を契機に、島根県のICTが飛躍的にバージョンアップすることを心から期待をいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
61:
◯議長(
田中八
洲男) 川上
議員。
62: ◯川上大
議員 おはようございます。県議会自民党の川上大でございます。
早速質問に入らせていただきます。
2月2日、原子力防災訓練が行われました。あいにく、まん延防止等重点措置適用の下で規模を縮小しての実施となりましたが、防災部長に今回の訓練の成果と課題等をお伺いします。
63:
◯議長(
田中八
洲男) 奈良防災部長。
64: ◯防災部長(奈良省吾) 今回の原子力防災訓練では、放射性物質放出後、放射線量が基準値を超え、一時移転を必要とする地区が生じたとの想定の下、島根県や関係市が取るべき対応やその手順を改めて確認したところです。
また、避難行動要支援者の避難に必要な福祉車両を必要な場所に配車するための手順や、積雪期における避難対策として、雪に関する気象情報や道路状況などを道路管理者や実動組織の連絡員と情報共有し、避難ルートの優先除雪や道路啓開を要請する手順も確認したところです。
今回の訓練で、原子力防災特有の課題が改めて確認されたということはありませんでしたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大期の対応として、自宅療養している方については、他の方と同様に屋内退避をしていただき、避難が必要となった際には、一旦県が別途指定する施設で一時滞在し、その後に避難していただくことなどを新たに確認したところです。
残念ながら、今回は住民参加の訓練については実施できませんでしたが、今後は、実際に福祉車両や人の動きを住民の方にも参加いただき確認する訓練などを実施し、関係機関の連携強化や関係者の防災技術の習熟を図るとともに、原子力災害時の避難方法等に対する住民理解の促進にも取り組んでまいります。
65:
◯議長(
田中八
洲男) 川上
議員。
66: ◯川上大
議員 全くその点では残念でございましたけれども、充実した訓練になってよかったです。
原子力防災訓練ということでは、この訓練は絶対に無駄になるようにしないといけません。しかしながら、今回の訓練を見学させていただいて、近年頻発する自然災害等への対処にも生かせることがたくさんあるんじゃないかという気がしました。
原子力防災の本題からは離れますけれども、刻一刻変化する道路の状況を、極めてアナログな手法で、地図の上に透明なビニールシートをかぶせながら伝えておられました。大変大切なスキルだと思って眺めておりました。災害発生時には、デジタル機器が全く使えなくなることも十分考えられます。あらゆる面でデジタル化が進むと、そういうアナログ的な工夫ができない人も出てくるのではないかと危惧しております。アナログ的な手法の訓練は日頃からどのように行われているのかお伺いします。
67:
◯議長(
田中八
洲男) 奈良防災部長。
68: ◯防災部長(奈良省吾) 県内で災害が発生した際には、孤立世帯や河川の氾濫、それから道路の寸断などの発生、あるいは解消の状況などについては、現在、机の上に地図を広げまして、その上に透明のビニールシートを置いて、収集した情報を記載あるいは消去していき、関係者の間でそれを見ながら情報共有を行っているところです。
デジタル化することも考えられますが、災害対応の初動時に人命救助などの対応を迅速に行っていくためには、県内各地で断片的に収集され、かつ刻一刻と変わる被災地域の状況をスピーディーに視覚化し、県の関係部局のほか、自衛隊、海上保安庁、国土交通省などの関係機関が、同時かつ相互に情報を共有することが重要であり、現段階ではこの方法が最も有効であると考えております。
この情報共有の方法につきましては、毎年、県庁で実施しております防災シミュレーション訓練、防災図上訓練でございますが、その際に確認しているほか、台風や豪雨等の災害後に行うこととしております災害対応の振り返りの会議の際に、その地図を見ながらさらなる改善について検討を重ねているところです。こうした訓練などの繰り返しにより、県の災害対応力を向上するとともに、新たなデジタル技術も活用しながら、災害対応に万全を期すよう取り組んでまいります。
69:
◯議長(
田中八
洲男) 川上
議員。
70: ◯川上大
議員 ありがとうございます。そういう訓練もぜひ進めてください。安全・安心と一言で言いますけれども、何事にも絶対安全というのはありません。しかしながら、安心を究極まで高めるということは可能だと思っています。
原子力防災についても、真剣な訓練を重ねて、県民の安心の度合いを高めていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
次の項目に移ります。
ちょうど1年前、島根県立大学について質問をしました。その中で、浜田キャンパスでは令和3年度入学生を選抜する入試から、意欲のある県内出身学生が出願しやすいように入試制度の見直しが行われると答弁されました。
その見直し内容をもう一度御説明いただき、昨年度、その入試結果がどのようになったか、総務部長にお伺いします。
71:
◯議長(
田中八
洲男) 山口総務部長。
72: ◯総務部長(山口研悟) 浜田キャンパスでは、県内高校からの県立大学進学者を増やすため、入試制度を見直し、県内高校生を対象とした新たな推薦枠を設け、原則、大学入学共通テストによらず、高校で取り組んだ地域貢献活動を評価するなど、意欲のある県内出身学生が出願しやすい制度にいたしました。
昨年度、県内高校から浜田キャンパスへの進学者は、前年度の67名から86名に増加いたしました。
73:
◯議長(
田中八
洲男) 川上
議員。
74: ◯川上大
議員 一定の成果があったということでよかったと思います。
昨年のその質問のやり取りの中で、大学の運営経費のうち、県からの運営費交付金が約57%、つまり半分以上を占めているという答弁がありました。そこで、今回、島根創生計画と結びつけて質問をさせていただきます。
島根創生計画では、若者の県内定住ということが大変重要なことであることは言うまでもありません。島根県立大学は、島根大学と並んで重要な役割を担っています。
私は、島根県を人材輩出県にしたいという思いを持って長年仕事をしてきましたので、県議会
議員になってからも何度か、優秀な人材はどんどん県外、さらには海外に出ていってほしいと
発言をしてきました。しかしながら、優秀な人材が島根県立大学や島根大学を志望してくれることはもちろん大歓迎です。県議会ですので、ここでは島根県立大学のことを取り上げたいと思います。
学生募集の鍵を握るものの一つに奨学金制度があります。私自身、貧乏のどん底の中、奨学金制度があったおかげで、高校、大学と行くことができました。奨学金制度には本当に感謝しています。
嘉本
議員が、昨年、安来市の生徒の事例を挙げて詳しく質問をされていましたので、重なるかとは思いますが、島根県立大学の学生が利用できる一般的な奨学金制度や授業料等の減免制度にはどのようなものがありますか、お伺いします。
75:
◯議長(
田中八
洲男) 山口部長。
76: ◯総務部長(山口研悟) 一般的な奨学金制度として、国の修学支援制度が活用できます。この制度は、校種、居住形態に応じて上限額が設定され、第1区分となる住民税非課税世帯の学生には上限額の全額、第2区分となる家族4人世帯の場合、年収約270万円から300万円までの世帯の学生は上限額の3分の2、第3区分となる年収約300万円から380万円までの世帯の学生は上限額の3分の1、入学金、授業料の減免、給付型奨学金が受けられます。
また、新型コロナウイルス感染症に係る影響により経済的に修学が困難となる学生の修学の継続を図るため、県がこの制度に上乗せする形で、第3区分及び年収約380万円から590万円までの世帯の学生について、上限額の最大2分の1の授業料減免が受けられます。
77:
◯議長(
田中八
洲男) 川上
議員。
78: ◯川上大
議員 島根県立大学は、浜田、出雲、松江のキャンパスを合わせれば、学部が文系から理系まで多岐にわたるという魅力があります。経済的理由で大学進学を諦めそうになっている生徒たちにとって、授業料の面でも生活費の面でも、魅力は大いにあります。その上に奨学金制度が充実すれば、優秀な学生が島根に残る可能性は十分あると考えております。
島根県立大学には県内就職を目的としたしまねの未来を担う人財奨学金制度があると聞いております。どのような奨学金か、お伺いします。
79:
◯議長(
田中八
洲男) 山口総務部長。
80: ◯総務部長(山口研悟) 県立大学では、将来にわたり島根のために貢献する意欲を持ち、島根県内における就職を強く希望する学生に対し、企業からの寄附金を原資としたしまねの未来を担う人財奨学金制度を今年度より設けました。この制度は、県内就職を希望していること、県内法人などのインターンシップや意見交換会へ参加すること、一定数以上の単位を修得していることなどを要件に、毎年10名程度の学生を募集し、採用された学生には給付決定の翌年度に年間25万円が給付されるものでございます。
81:
◯議長(
田中八
洲男) 川上
議員。
82: ◯川上大
議員 島根創生計画推進の観点から、しまねの未来を担う人財奨学金、今説明していただいたような奨学金制度が、卒業後の県内就職を条件とする給付型あるいは返還免除条件のついた貸付型の奨学金制度の拡充が効果があると思っております。先週も、島根県立大学と県商工会連合会が人材育成や産業振興に関する包括協定を結んだとの報道がありましたが、経済界にも強く働きかけるなどして、県としても、奨学金制度の拡充に一層力を入れていただきたいと思います。よろしくお願いします。
3番目の項目は、石見神楽についてです。
12月12日、松江市内で「シン・イワミカグラ~石見神楽の過去・現在・未来」というイベントが開催され、参加してきました。4回にわたるシリーズの第3回で、神楽の未来についてのシンポジウムが行われました。後日、山陰中央新報紙上でも取り上げられていましたので、御覧になった方もあるかもしれません。
当日は、浜田市内の社中の代表の方から石見神楽の概要説明があり、また神楽を支えている面工房等のたくみの方々のインタビュー映像が流されました。その後、5人のパネリストが神楽の未来について熱く語られ、予定時間が来ても誰一人席を立たない熱いイベントになりました。特に、神楽が大好きだという小学校低学年のお子さんが2人、最初から最後まで熱心に聞いておられたのには感動すら覚えました。「シン・ゴジラ」になぞらえての「シン・イワミカグラ」という命名のようでしたが、まさしくこれからの石見神楽を考えるすばらしい企画であると、私は思いました。この企画には、県の観光振興課も協力されていましたので、この企画がどのような内容であったのか、商工労働部長にお伺いします。
83:
◯議長(
田中八
洲男)
田中商工労働部長。
84:
◯商工労働部長(
田中麻里)
議員から御紹介のありましたイベントについては、次のような内容だったと聞いております。
まず、このイベントは、石見神楽の魅力を県東部でも知ってもらうとともに、島根県全体として、その重要性を再認識し、この貴重な文化を未来へつなげていくことを目的として、今年度、松江市内において3回開催されています。
それぞれ20人から30人程度の参加者があり、6月19日の第1回は、神楽団体の代表者の講演会や神楽衣装の着つけ体験、10月30日の第2回は、松江市内で活動する子ども神楽の公演、12月12日の第3回は、神楽の舞い手や神楽面や衣装の制作者など、神楽を支えている関係者の講演会と石見神楽の可能性と未来をテーマにシンポジウムが開催され、県からも担当者がパネラーとして参加しました。
シンポジウムでは、神楽団体の代表者から、昔から続くスタイルを踏襲しながらも、新しい演目の創作や軽快な八調子、多数の大蛇が登場する演出など、ニーズに応じて柔軟に変化してきたこと、人口減少が著しい石見地域において、今なお130以上の神楽団体があり、地域全体で活動を支えていることなどの報告がありました。
また、今後の取組として、SNSや動画配信を活用した情報発信の必要性や、石見神楽を観光に活用して地域を盛り上げるといった提案もあり、いずれのパネラーからも、神楽への熱い思いがあふれていました。
このようなイベントは、石見神楽の魅力やその歴史に触れていただくよい機会であり、参加された方々の理解も深まったことと思います。
85:
◯議長(
田中八
洲男) 川上
議員。
86: ◯川上大
議員 第4回は2月に計画されていたんですが、残念ながら、コロナの関係で中止になったようでございます。そのシンポジウムの中で、浜田市には小さな部署だけれども、石見神楽係があり、石見神楽係長がおられるという話が出て驚きました。その担当者も会場に来られており、神楽は神事であり、単なる観光
ツールとして見るのはふさわしくないのではないかという趣旨の
発言をされました。それはそれでもっともな
発言だという気はしましたが、私はやはり、あの勇壮な石見神楽は島根県の誇る観光資源として活用すべきだと思っております。後半のトークセッションでもそういう意見が大勢を占めました。何より、社中の代表が、先ほど部長からも話がありましたけれども、次のように語られました。文化財は変えることができないけれども、石見神楽は演出も舞いも面や衣装なども、時代を読みながら変化してきた。その結果、ビジュアルなスタイルが確立されたからこそ、日本だけでなく世界でも認知されてきたという話はうなずけるものがありました。大蛇が何頭も登場する今のスタイルも、50年前の大阪万博での演出からだとお聞きして驚きました。
また、大田市では、5年前から、石見神楽とオペラを融合させた斬新な創作舞台オペラ「石見銀山」を市民がつくり上げ、高い評価を得ておられます。先日も、地域に活力を生むイベントとして、ふるさとイベント大賞のふるさとキラリ賞に選ばれたという報道がありました。
今はこのコロナ禍で大変厳しい状況ですが、今後の島根県の観光業、特にインバウンドの受入れには、石見神楽をどう生かしていくかが非常に重要だと考えますが、商工労働部長の御意見を伺います。
87:
◯議長(
田中八
洲男)
田中商工労働部長。
88:
◯商工労働部長(
田中麻里) 石見神楽の豪華で勇壮な舞は、日本人観光客だけではなく、外国人観光客の心も引きつける魅力的な観光素材であると考えています。
コロナ禍の前にはなりますが、欧米の方を中心としたモニターツアーを実施し、浜田市の三宮神社や大田市の龍御前神社で夜神楽公演を鑑賞していただきました。参加者全員が深く感動され、同行した外国人観光誘客の専門アドバイザーからも観光素材として高い評価を受けました。
海外から訪日できない現状におきましては、多言語によるホームページやSNSによる国外向けの情報発信が中心になっておりますが、アフターコロナに向けて、多言語により石見神楽の演目を紹介するパンフレットの制作、石見神楽の練習の見学と舞い手との交流会や神楽面、衣装、道具の制作工房巡りといった体験コンテンツの造成など、受入れ体制の整備を進めているところです。
石見地域におけるインバウンド対策は、広島まで訪れられている外国人観光客の誘致が鍵となってきます。石見神楽は、石見地域への周遊を促す動機づけとなる魅力的な観光素材でありますので、引き続き国外に向けた情報発信と地元市町や民間事業者と連携した受入れ体制の整備を進め、国際定期路線の再開後の誘客につなげていきたいと考えております。
89:
◯議長(
田中八
洲男) 川上
議員。
90: ◯川上大
議員 期待したとおりの答弁ありがとうございました。ぜひ頑張ってください。
私も微力ながら応援してきましたサッカーJFL松江シティFCが、今年度からチーム名をFC神楽しまねに変えました。これも、松江にとどまらず、島根県内全域で愛され、全ての島根県民に力を与える存在であり続けたいという願いからの名称変更で、天岩戸神話に由来する神楽をモチーフとして、ピッチ上で力強く舞う選手たちが、応援していただいている皆様にとって光を照らす存在であることを願っているそうです。
今日は石見神楽を取り上げましたが、島根県には、出雲神楽、隠岐の島前、島後の神楽もあり、県民にとって神楽は非常に身近な存在で、実に的を射たネーミングだと思います。FC神楽しまねには、チーム名変更を契機にさらなる飛躍を期待して応援し続けたいと思っております。皆さんも、応援のほどよろしくお願いいたします。
さて、最後の質問項目は、神楽、天岩戸ときましたので、天照大神の弟スサノオノミコトにちなんで名づけられました島根スサノオマジックでございます。
バスケットボール男子Bリーグ1部のスサノオマジックが、現在、24勝8敗の勝率7割5分という好成績で、西地区11チーム中2位につけております。島根県内唯一のプロスポーツチームの躍進に、胸を躍らせていらっしゃる県民の方も多数いらっしゃるのではないかと思っております。
スサノオマジックについては、2年半ほど前に原
議員が取り上げられ、やり取りを興味深く聞かせていただきましたが、あれから状況がいい意味でかなり変わってきていると思いますので、最新の状況をお尋ねします。
まず、県としては、現在どのような支援をしていますか。環境生活部長にお伺いします。
91:
◯議長(
田中八
洲男) 竹内環境生活部長。
92: ◯環境生活部長(竹内俊勝) 今年度の県の取組といたしましては、アウエーゲームで選手の練習用ウエアに島根のロゴマークを入れてPRしております。また、公式戦の機会がない県西部などの市町村において公開練習を行いました。今年度は浜田市の県立体育館でしたが、その際の県立体育館の利用料を減免いたしております。また、ホームゲームにおいて、県内市町村によるPRイベントを実施しております。また、選手が小学校や特別支援学校へ訪問して体験授業を実施したり、中高生の部活動を指導しました。また、試合会場内で人権啓発や宝くじ普及などのPRをしております。こういったことを島根スサノオマジックと連携して実施しております。
そのほかにも、県立図書館でのPR展示、市町村や関係機関へのポスターなどの配付、県職員向け団体観戦の呼びかけや、現在、新型コロナウイルス感染症の影響で行ってはおりませんが、県庁前でのPR用チラシの配布など、支援を実施しているところでございます。
93:
◯議長(
田中八
洲男) 川上
議員。
94: ◯川上大
議員 今シーズン、コロナが少し落ち着いていた頃、知人から次のような話を聞きました。水曜日と次の土日、スサノオマジックのホーム戦が続いたその間の木曜日のことです。お昼に、行きつけの飲食店になじみのない女性がおられ、聞いてみると、スサノオマジックの追っかけで東京から来られていたそうです。もともとスサノオを応援していたけれども、今シーズンは特に有力選手が多数加入し、応援に一層力が入っているとのことでした。せっかくのよい機会なので、木曜、金曜と島根観光をする予定で、母親も後から東京から合流すると言われたそうです。まさに、スサノオマジックが島根県の観光業に好影響を与えている事例だと思います。
また、ホームゲームの開催日には、会場周辺に、この地では珍しい行列ができて、お弁当やグッズを購入されている姿を見かけております。
原
議員の質問で提案されていたスサノオマジックの経済効果の把握は、その後どうなりましたか、お伺いします。
95:
◯議長(
田中八
洲男) 竹内環境生活部長。
96: ◯環境生活部長(竹内俊勝) 昨シーズン、チームの協力を得まして、ホームゲームでの来場者に対しまして、飲食代や土産代などの消費額についてアンケート調査を実施いたしました。延べ2,145人の来場者の方から回答をいただきました。1人当たりの平均消費額は約6,037円でありました。これを基に全体の消費額を推計しますと、昨年度の観客動員数は全26試合で3万1,744人でありますので、1億9,000万円余りとなります。昨年度は、新型コロナウイルスの影響で試合会場の収容人数を制限しておりましたが、仮に収容人数の制限を設けずに全26試合の観客が満員になった場合としますと、7万9,046人の収容人数でありますので、その場合の全体消費額は4億7,000万円余りとなります。なお、今シーズンのように、チームの成績が好調であれば、グッズの売上げが伸びるなど、1人当たりの平均消費額が増えますので、現在のような好調な成績を維持していただくことが期待されるところであります。
97:
◯議長(
田中八
洲男) 川上
議員。
98: ◯川上大
議員 ぜひ引き続きそういう形で把握に努めてください。お願いします。
先日、運営会社である株式会社バンダイナムコ島根スサノオマジックの社長の話を聞いてきました。島根から頂点へと熱く語っていただきました。社長とは、2010年の球団創設時から親しくさせていただいておりますが、もともと別のスポーツをされていたはずなのに、バスケットボールの戦術等も非常に詳しくて驚きました。そうしましたら、当たり前です、僕は日本で一番スサノオマジックの試合を見てますからと言われ、大さんもっとスサノオマジックの試合を見に来て勉強してくださいと叱られました。
そのお話の中で、今後2026年を目標に進められているBリーグの新リーグ構想の話を聞きました。今シーズンの好成績だけに浮かれている場合ではないというのが率直な感想です。ホームアリーナの基準についてもハードルがかなり高くなるようです。皆さん御存じのとおり、2019年から強力な親会社がつきました。今回の大型補強もそれによって可能になったと私は思っていますが、親会社からは、地元の皆さんの球団に対する熱い熱意が伝わったから、頑張れ島根ということで運営に参画したと言われているそうです。我々島根県民は、引き続き熱い思いを伝え続けなければなりません。
そこで、丸山知事に、島根県内唯一のプロスポーツチームである島根スサノオマジックへの熱い思いを述べていただきたいと思います。
99:
◯議長(
田中八
洲男) 丸山知事。
100:
◯知事(
丸山達也) 島根スサノオマジックは、県内唯一のプロスポーツチームでございまして、県民の皆さんにとりまして貴重な存在でございます。今シーズンは、東京オリンピックに出場されました選手などに加入していただいたということの効果もありまして、2月終了時点での成績が24勝8敗で西地区2位という好調でございまして、チームの躍進を大変喜んでいるところでございます。
選手の迫力あるプレーやひたむきに練習される姿を県民が間近に見れるということ、また子どもさんにとって憧れや将来の夢になるということでございまして、県民の皆さんに勇気と感動を与えて、また町が活気づくなど、様々な面で地域に貢献していただいているというふうに認識をいたしております。
試合では、大勢のファンが一緒に応援をすることで、県民、市民の一体性が高まり、また県外で開催される試合では島根のPRにもつながっているというように考えております。また、地域向けの活動として、選手の皆さんが学校や地域で交流を深める取組を継続して行っていただいておりまして、島根の子どもたちや地域の方々のスポーツへの関心、意欲を高めていただいております。
このように、スサノオマジックは、スポーツの振興のみならず、幅広く地域の活性化に貢献をしていただいておりまして、今後も県民に愛されるプロスポーツチームとして、さらに大きく成長していただきたいというふうに願っているところでございます。
101:
◯議長(
田中八
洲男) 川上
議員。
102: ◯川上大
議員 ありがとうございます。
親会社は日本を代表するエンターテインメント企業ですが、地域おこしということに非常に熱心だそうでして、島根が何々の聖地と呼ばれるようなコラボが企画されることも夢ではないのではないかと思っております。単なるバスケット球団の応援というだけでなく、今、知事もおっしゃった地域活性化につながる積極的な取組を今後も期待しております。よろしくお願いします。
ところで、球団社長の話が多岐にわたりましたけれども、バスケットの話以上に熱く語られたのが、2030年の国民スポーツ大会についてでした。社長は、前回島根でのくにびき国体当時、中学生で、地元選手が連日活躍して盛り上がった、あのにぎわいが忘れられないそうです。夢のような2週間だったと回想されていました。その後の人生にまで大きな影響を与えたイベントだったそうです。今回も、子どもたちにそんな夢を与える大会にしてほしいと強く要望されておりました。そして、スポーツに関わる者として、球団も含めて、大会成功に向けてできる限りの協力をしたいともおっしゃっておりました。
今まで何回か、同様の質問をさせていただいておりますが、この話を受けまして、改めて2030年に島根県で開催予定の国民スポーツ大会及び全国障害者スポーツ大会の意義について、知事に御所見をお伺いします。
103:
◯議長(
田中八
洲男) 丸山知事。
104:
◯知事(
丸山達也) 昭和57年に開催されましたくにびき国体、ふれあい大会では、本県の選手団の活躍や県民総参加で大会運営を支えた誇りと自信というのは、その後の県の発展の原動力となり、県政の発展に大きな影響を与えたというふうに考えております。
次なる大会は、人口減少また少子高齢化、また厳しい財政状況の中での開催となるということでございまして、一過性のスポーツイベントで終わらせることなく、将来にわたる持続可能な競技力の向上や、全ての県民がスポーツに親しむことによる体力向上や健康増進、スポーツを通じた地域、人づくり、郷土愛や地域への誇りの醸成、また全国に向けた島根の発信、そして障がい者の方々への理解を深めて、共に支え合う社会の実現など、多くの意義があると考えております。
奥出雲町のホッケーや美郷のカヌーのように、オリンピックや世界大会で活躍する選手を輩出するなど、開催を契機とした地域に引き継がれたくにびき国体の成果というものを念頭に置きまして、次の大会におきましても、後々に引き継がれるレガシーというものが残るように取組を進めていただきたいというように考えているところでございます。
105:
◯議長(
田中八
洲男) 川上
議員。
106: ◯川上大
議員 ありがとうございます。
両大会の成功に向けて、スポーツの持つ力を大いに利用して、島根県をますます元気にしていきたいというふうに思っております。
今日はちょっと内容を詰め込み過ぎまして、早口になってしまいました。今年、満99歳になる私の母親が、いつも大田の実家でケーブルテレビで見ておりまして、早口だと聞き取れんよと注意をしてくれておりました。今回は、お年寄りには優しくない早口の質問になってしまいました。すいません。これで私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
107:
◯議長(
田中八
洲男) 平谷
議員。
108: ◯平谷昭
議員 民主県民クラブの平谷昭でございます。さきに通告いたしました3項目について質問をさせていただきます。真摯な答弁をお願いをいたします。
コロナ禍3年目となる令和4年も、新型コロナ感染拡大でのスタートとなりました。オミクロン株は感染力が非常に強く、第5波までとは比較にならない勢いで、全国で新規感染者数が過去最大値を超えていきました。この2年間の経験値を生かして、最良な対策を国は講じていただけると信じていましたが、感染拡大の勢いに翻弄されているように見えます。3回目のワクチン接種の加速化や医療体制への対応もスピード感があるようには見えません。しかし、現場である地方自治体としては、今までどおり、目の前にある危機をどう回避し、課題をどう解決するか、常に現状を分析して最良な判断をし、スピード感を持って対応していくしか
選択肢はありません。
島根県も、1月に新規感染者数が過去最多となりましたが、早め早めの、そして丁寧な対応が功を奏し、減少に向かっています。改めて、関係者の皆様の御苦労、御努力に敬意を表し、感謝を申し上げる次第であります。今年もコロナ禍からの脱出はなかなか思うようにはいかないと思います。関係者の皆様におかれましては、引き続き、県民のために御尽力いただくことを、この場をお借りしてお願いを申し上げます。
それでは最初に、地方空港対策についてお伺いをさせていただきます。
さて、昨年、コロナの感染状況が収まりつつあった11月頃より、人の流れは少しずつ戻ってきていました。空港の月別利用率も、コロナ禍前にはまだまだ及びませんが、12月度は、県内各空港とも、前年を大幅にクリアしています。新しい年もよいスタートを切りたかったところでありますが、年末年始より再び猛烈な勢いで感染拡大してきたオミクロン株の影響で、航空各社は国際線、国内線とも厳しい船出となりました。
報道によると、ANAグループは、2022年度は人員抑制を含む構造改革を断行するしかないとありました。このコロナ禍の2年間は、早期の資金繰りやコスト削減で対応できたものの、まだまだ収束が見えない現状では、今後の会社経営の健全化を図るためには厳しい経営判断をせざるを得ないと思います。
昨年9月の
定例会において、私の地元、萩・石見空港に関して、空港を活用した地域活性化策について質問させていただき、国内の他空港の活性化策についても御紹介をいただきました。現在のところ、空港活性化のための大きな柱がなく、これから中長期のビジョンを策定し、都市間交流を中心に空港活性化策を展開していきたいところですが、なかなか現状は厳しい状況が続いていきそうであります。
一般質問で地方空港について内藤
議員が詳しく質問をされていました。私は、ここから萩・石見空港についてお伺いをしたいと思います。
まず、県として、民間業者である航空会社ANAの今後の経営戦略など、情報をお持ちなのか、どういった情報交換をされているのかお伺いをいたします。
109:
◯議長(
田中八
洲男) 藤井地域振興部長。
110:
◯地域振興部長(
藤井洋一) ANAは、羽田発着枠政策コンテストの共同提案者でもありますので、本社や山陰支店との定期的な会議や地元協議会が毎年実施される本社及び大阪支店との意見交換会の際に、萩・石見空港各路線の運航や首都圏等の旅行者の動向、他空港の新たな取組などの情報交換を実施しており、緊密に連携して利用促進に取り組んでおります。
また、益田市内で開催されます同社の執行役員講演会において、同社の経営戦略等についても情報提供をいただいております。
111:
◯議長(
田中八
洲男) 平谷
議員。
112: ◯平谷昭
議員 国土交通省が行う羽田発着枠政策コンテストで、現在のところ、令和5年10月まで発着枠の配分期間が決定されていますが、今後も継続使用が認められる可能性はあるのか、またコンテスト自体、継続されていくのか、状況をお伺いします。
113:
◯議長(
田中八
洲男) 藤井地域振興部長。
114:
◯地域振興部長(
藤井洋一) 今、
議員からも御紹介がありましたが、羽田発着枠につきましては、令和5年10月まで配分決定をされております。その後の令和7年3月までの期間の取扱いにつきましては、令和5年春頃に予定されております中間評価によって検証の上、決定されます。
また、令和7年3月以降の取扱いにつきましては、政策コンテストが実施されるかどうかを含めて、現在のところ未定であり、今後の国での検討状況に注視してまいります。
115:
◯議長(
田中八
洲男) 平谷
議員。
116: ◯平谷昭
議員 次に、呼び込むための切り口として、企業間のつながり、ビジネスによるもの、また都市間交流を伴う人のつながり、関係人口によるもの、そして観光や体験といった、この地でしか味わえないものなど、様々ありますが、萩・石見空港に、ひいては県西部に人を呼び込むための新たな取組があるのかお伺いします。
117:
◯議長(
田中八
洲男) 藤井地域振興部長。
118:
◯地域振興部長(
藤井洋一) 来年度は、中間評価に向け、重要な年でありますので、一層の利用実績を上げる必要があると考えております。このため、来年度からは、地域の生産者への訪問、地域課題の解決、地域の手伝いなどを目的とする訪問など、関係人口の拡大につながる利用やワーケーションやキャンプなど、コロナ禍に対応した利用に対して新たな助成メニューを設けることとしております。
また、石見地域や萩・石見空港を、まだ認知してもらっていない多くの方々に知っていただき、萩・石見空港を利用して来県いただけるよう、首都圏の電車広告など、これまでにない情報発信を行ってまいります。
このほか、昨年12月から実施しています個人利用に対する助成金や団体向け旅行商品の造成支援への上乗せを、来年度1年を通じて実施してまいります。このように、人を呼び込み、利用促進につなげる取組を今後も常に模索し、取り組んでいく考えであります。
119:
◯議長(
田中八
洲男) 平谷
議員。
120: ◯平谷昭
議員 先日、津和野町の日本遺産認定継続の報道がありました。関係者の皆様は大変御苦労されたと推察をいたします。今日の御尽力を踏まえ、県内の他の日本遺産に関わる自治体も、日本遺産認定の本来の意義や、それを活用した持続可能なまちづくりについて、情報共有をしていかなければならないと考えます。
石見の地域には5つの日本遺産が認定されており、おのおののストーリーは、観光資源、体験資源として十分な価値があります。日本遺産という切り口は、今後しっかり活用していかなければならないと思いますが、所見をお伺いをいたします。
121:
◯議長(
田中八
洲男)
田中商工労働部長。
122:
◯商工労働部長(
田中麻里) 日本遺産認定の目的は、地域にある有形、無形の文化財を一連のストーリーとして結びつけ、国内外に広く発信していくことで地域の活性化や観光振興につなげていくことにあります。
日本遺産を所管する文化庁の委員会では、日本遺産を生かした持続可能な地域づくりを進めるためには、民間事業者等との連携が必要である点を指摘しています。
このことから、先般、継続認定となった津和野町においても、日本遺産津和野百景図の活用を検討する協議会に、新たに民間の事業者やコーディネーターを加え、推進体制を強化されたと伺っております。
日本遺産の活用を図るためには、まず地元の市町や住民、民間事業者など、関係者の方々が一緒になって活用策を共有し、役割分担の下、取組を継続していただくことが大切であると考えております。
加えて、地元ならではの食や体験などの観光コンテンツを日本遺産と組み合わせ、エリアとしての魅力を高める地元主体の観光地域づくりが、萩・石見空港の利用者を増やす上でも必要です。
県といたしましても、地元と連携しながら、日本遺産を活用した観光地域づくりの取組を支援してまいります。
123:
◯議長(
田中八
洲男) 平谷
議員。
124: ◯平谷昭
議員 観光業界に関しては、2025年度、大阪万博の年をターゲットに、コロナ禍から脱出して再びインバウンドを含む観光需要を享受できるように準備しているとお聞きしています。9月の質問の際に事例として御紹介いただいた和歌山県の南紀白浜空港の地域連携DMO化は、萩・石見空港にとってもとても参考になる事例であります。
萩・石見空港は、山口県萩市とも隣接していることなどから、南紀白浜空港同様、観光や様々な体験をこの空港から始めるというポテンシャルを持っていると思いますが、所見をお伺いをいたします。
125:
◯議長(
田中八
洲男) 藤井地域振興部長。
126:
◯地域振興部長(
藤井洋一) この圏域には、日本遺産の中世益田、石見神楽、北前船寄港地・船主集落、津和野百景図、世界遺産の萩市の明治日本の産業革命遺産をはじめ、古代、中世、近代にわたる様々な遺産や名勝や、県の芸術文化センター、しまね海洋館アクアスなど、集客力のある施設がございます。また、高津川でのカヤックやサイクリングなどの体験など、当地ならではの魅力を味わうことができるコンテンツも数多くあります。
このように、観光や体験を味わうことのできる目的地や素材を数多く有していることから、萩・石見空港はこの空港からいろんなことを始めることができるというポテンシャルを持っていると考えております。こうしたポテンシャルが最大限発揮できるよう、引き続き地元協議会と連携を取りながら、首都圏での効果的な情報発信などにより利用促進に取り組んでまいります。
127:
◯議長(
田中八
洲男) 平谷
議員。
128: ◯平谷昭
議員 今後、コロナ禍が収束すれば、おのずと人の行き来が始まってきます。利用率向上のための助成金制度だけではなく、空港を生かした地域活性化策の柱が必要と考えます。
羽田発着枠政策コンテストにおける提案書が、その期間中の方針、計画であることは承知をしておりますが、環境の変化や地域の実情や課題に応じた地元の基礎自治体としての独自の計画なども必要ではないかと思います。このような独自の計画があるのかお伺いをいたします。
129:
◯議長(
田中八
洲男) 藤井地域振興部長。
130:
◯地域振興部長(
藤井洋一) 益田市において、
議員御指摘のような独自の計画はありませんが、市の総合振興計画の中で、地域活性化につながる航空路線の利用拡大を図り、路線の維持、拡大に努めることを取組方針とされ、都市間交流や各種イベント等により、利用促進と空港を活用した地域活性化に取り組まれております。
また、政策コンテストにおける提案書は、県、地元協議会、航空会社の三者で作成、提案したものであり、目標や具体的な取組などについても記載したものであります。しかしながら、この提案書作成後に生じた新型コロナの影響によって、計画どおり実施できていない取組もあります。コロナの状況を見ながら、代替の取組などを地元協議会と常に考え、実施しており、今後も益田市など、地元市町とともにしっかり取り組んでまいります。
131:
◯議長(
田中八
洲男) 平谷
議員。
132: ◯平谷昭
議員 目の前の利用率や席数だけを追い求めるのではなく、地元経済の底上げにつながり、利用率なども上昇していく、という本質的な地域活性化策が展開されることが重要と考えます。所見をお伺いします。
133:
◯議長(
田中八
洲男) 藤井地域振興部長。
134:
◯地域振興部長(
藤井洋一) 空港は、住民の利便性向上のほか、観光、企業誘致などの産業振興などに寄与するものと認識しております。また、益田市と川崎市の商工会議所の友好協定締結とそれに伴う経済分野での連携や交流の強化など、地元市町と首都圏自治体との交流、首都圏企業の技術と地元の地域資源を活用した研究プロジェクトの展開、首都圏大学と地元市町が教育分野で連携した活動などは、産業振興や関係人口拡大の面からも、地域の持続可能なまちづくりに寄与するものと考えております。
県といたしましても、首都圏の多様な団体や企業との様々な交流や活動等を通じて、地域活性化が促進されるよう取り組んでまいります。
135:
◯議長(
田中八
洲男) 平谷
議員。
136: ◯平谷昭
議員 次に、ハラスメントについてお伺いいたします。
昨年11月にDVに関する県民公開講座を受講いたしました。講師の高山直子氏から言われたモラルハラスメントは魂の殺人という言葉は、深く心に残りました。そして、ハラスメントの構造は、被害者の努力で改善できる問題ではないとの指摘も深く心に響きました。私たち一人一人が関心を持ち、よく理解すべきだと強く思ったところであります。
例えば、相手が会話をしたがるのを無視する、物事が思うように進まないと怒り出す、人前で相手の欠点を指摘する、自分がいないとおまえは何もできないと言う、不機嫌な態度で威圧するなど、無意識に我々も行っているのではないかということも、実はこれ全てモラハラであると指摘をされました。もしかして自分も、知らぬ間にハラッサーになっているのではないかと我が身を省みたところであります。
私は、改善の糸口は気づきだと考えます。所見をお伺いいたします。
137:
◯議長(
田中八
洲男) 竹内環境生活部長。
138: ◯環境生活部長(竹内俊勝) モラルハラスメントは、ハラスメントの一種でありまして、精神的暴力とも言われまして、
議員御紹介の高山直子氏によりますと、言葉や態度、身ぶりや文書などで人格や尊厳を傷つけたり、精神的に追い詰めたり、雰囲気を悪化させる行為とされております。
モラルハラスメントは、職場や家庭など、親しい間柄でも起こり得るため、決して誰か別の人に起こる問題ではありません。
議員がおっしゃるとおり、私たちはモラルハラスメントについて理解することで、無自覚のうちに加害者とならないように気づくことが大切だと考えております。
139:
◯議長(
田中八
洲男) 平谷
議員。
140: ◯平谷昭
議員 相手の気持ちや場の空気を察することが美徳とされる日本では、加害者はやりやすく、被害者は置き去りにされやすいとされ、被害者は自分を守る意識が必要と言われています。しかし、現実には、被害者は自分を責めるスパイラルに陥ってしまいがちです。ハラスメントからの脱出をサポートするためには、こういった当事者心理を認識する必要があると思います。所見をお伺いします。
141:
◯議長(
田中八
洲男) 竹内環境生活部長。
142: ◯環境生活部長(竹内俊勝) ハラスメントは繰り返し行われ、またエスカレートしていきます。そのため、被害者はだんだんと自尊心を奪われて無気力になることで、周囲の方との関係まで悪くなったり、また自責の念にさいなまれ、ひどい場合には鬱病を発症したりすることもあると言われております。
しかしながら、このようなハラスメントの構造を社会全体で理解することが、ハラスメントを断ち切り、被害者を孤立させず、救うことにつながるものと考えております。
143:
◯議長(
田中八
洲男) 平谷
議員。
144: ◯平谷昭
議員 当事者も周囲の人も、ハラスメントの構造について共通認識を持つことが大切であります。今回私が受講したようなこの講座について、皆がもっと積極的に参加し、内容を共有すべきだと思いますが、DVに関する県民公開講座のほかにどのような講座が開催されているのかお伺いをいたします。
145:
◯議長(
田中八
洲男) 竹内環境生活部長。
146: ◯環境生活部長(竹内俊勝) 島根県では、様々な人権課題などに対応しました講座や研修会を庁内各部局において実施しております。具体的には、県職員や教員、警察官などを対象といたしましてハラスメントに関する研修を行っております。
また、広く一般県民を対象としまして、女性に対する暴力などに関する公開講座を実施するほか、障がい者施設や市町村職員に対しましては、障がい者虐待防止や権利擁護に関する研修を、農林水産業団体の職員や一般企業には、ハラスメントに関する研修や講演会を開催しております。それ以外にも、様々な企業や団体からの依頼に基づきまして研修講師を派遣するなどしているところであります。
147:
◯議長(
田中八
洲男) 平谷
議員。
148: ◯平谷昭
議員 仕方なく受講するのではなく、自分事として興味関心を持って受講することが大切だと考えますが、講座の目的も含め、どのように周知をされているのかお伺いをいたします。
149:
◯議長(
田中八
洲男) 竹内環境生活部長。
150: ◯環境生活部長(竹内俊勝) できるだけ多くの関係者や県民の方に参加していただくためには、その方々の興味、関心やニーズに沿ったテーマを選定したり、受講者の理解が深まるように実践的な手法を取り入れたりするなど、工夫を凝らした内容としているところであります。
また、県のホームページへの登載や関係機関への案内のほか、県政メディアによります広報やSNSの利用など、様々な媒体を活用して周知を図っているところであります。
151:
◯議長(
田中八
洲男) 平谷
議員。
152: ◯平谷昭
議員 講座を開催することで、具体的にどのような成果を期待されているのか、改めて伺います。
153:
◯議長(
田中八
洲男) 竹内環境生活部長。
154: ◯環境生活部長(竹内俊勝) 先ほどの質問にもお答えしましたとおり、ハラスメントの加害者については、自らの言動が相手に対して、精神的、身体的苦痛を与えていないかどうか気づくことが大切であります。加害者にハラスメントをやめさせるのは簡単ではないため、被害者におきましては、加害者の言動を変える努力をするよりは、1人で抱え込まずに、ハラスメントに理解のあるなるべく外部の第三者に相談するなど、まずは自分を守ることが大切であると思います。周囲の方におきましては、このようなハラスメントの構造を理解しまして、被害者の自尊心の回復や安心・安全を提供できるように支援していくことが大切であります。
このような点を、様々な研修や講座を通じまして、組織や個人の方に認識していただくことによりまして、ハラスメントの防止や解決につながっていくことを期待しているところであります。
155:
◯議長(
田中八
洲男) 平谷
議員。
156: ◯平谷昭
議員 ありがとうございました。
次に、児童虐待についてお伺いをいたします。
18歳未満の子どもへの児童虐待は30年連続で増え続け、2020年度には過去最多の20万5,029件となりました。20万件を超えたのは初めてで、2019年より1万1,249件も増えました。件数が増えている要因の一つは、相談経路の50.5%を占める警察などからの連絡の増加であります。通報で駆けつけた警察官が、夫婦間のトラブル、暴力が子どもの前で行われている、いわゆる面前DVを心理的虐待として判断し、児童相談所に連絡するケースが目立っています。
厚生労働省も、コロナ禍において、感染拡大による休校が影響した可能性があるとも見ており、虐待の見落としが懸念されています。
虐待のタイプ別では、最も多いのが心理的虐待の12万1,325件で、全体の59.2%を占めています。その次が身体的虐待で5万33件、24.4%、そしてネグレクトが3万1,420件で15.3%、性的虐待が2,251件で1.1%と続いています。
最も多い心理的虐待については様々なケースがあります。言葉による脅かしや脅迫、子どもの心を傷つけることを繰り返し言う、子どもの自尊心を傷つけるような言動をする、他の兄弟とは著しく差別的な扱いをする、DVなどを子どもの前で見せ、苦痛を与えてしまうなど、大人がそうと意識しないまま心理的虐待に至っている事例も多く見られます。このことも、周囲が、社会が共通に持たなければならない認識だと思います。
伺います。
大切なのは、モラルハラスメント同様、私たち一人一人の気づきであると考えますが、所見をお伺いをいたします。
157:
◯議長(
田中八
洲男) 丸山知事。
158:
◯知事(
丸山達也) 県内の児童虐待につきましては、令和2年度の数字で申し上げますと、県内の児童相談所が認定した件数が364件ございまして、その内訳を見ますと、最も多いのが心理的虐待で52.3%、保護の怠慢、拒否、いわゆるネグレクトと言われるものが23.6%、身体的虐待が22.0%、性的虐待が1.9%となっておりまして、身体的虐待よりもはるかに心理的虐待のほうが多くなっているという状況にございます。
こういう心理的虐待につきまして、大人が意識しないまま行っている場合が多く、例えば
議員から今御指摘いただきました兄弟の間の差別ですとか、子どもの面前でのDVのほか、兄弟に対する虐待を見せるということにつきましても心理的虐待に当たる場合がございます。
これも
議員が御指摘になったとおりですけれども、大切なことは、大人が子どもの立場になって、自分の言動一つ一つが子どもにどのような影響を与えるかを意識することが大事であります。
よくありがちなのは、自分が親から受けたことを、それを当然として繰り返してしまうといったことというのは、知らず知らずといったケースに当たろうかと思いますので、そういった知らない方にきちんと意識をしてもらうという点も含めて、県として様々な機会を捉えて周知啓発を行っていきたいというように考えているところでございます。
159:
◯議長(
田中八
洲男) 平谷
議員。
160: ◯平谷昭
議員 様々な要因で増加している児童虐待ですが、根本原因の対処やその予防策、現状の危機からの回避と問題が起きたときの解決策などはケースごとに対処方法が異なり、行政側の担当部署も様々です。専門性を持った人材、彼らに協力する人材、そしてその人々が横断連携していく仕組み、つまり人材とチームの総合力が求められます。
また、件数の増加に伴い、相談体制、関係機関との連携が不足しているとも言われています。体制整備はもちろんですが、それだけではなく、関係機関とも連携した取組が必要であろうかと思います。
児童虐待の予防や解決のための取組の方向性について、知事のお考えをお聞かせください。
161:
◯議長(
田中八
洲男) 丸山知事。
162:
◯知事(
丸山達也) 児童虐待の予防や解決のためには、早期に発見し、迅速に対応、そして適切な支援につなげていくということが大事であります。早期発見のためには、県民の皆様や子どもに関わる関係機関の啓発が大事でございまして、親が子育てに悩んだり困ったときに相談できたり、また周りの人が虐待を疑ったときに通告することで、予防また重篤化防止が期待されます。近年は通告をいただく件数が増え続けておりますので、児童虐待を周囲が防ぐという意識というのは浸透してきているのではないかというように思っているところでございます。
次に、相談や通告を受けてからの対応につきましては、子どもや家族がどのような状態にあるかを様々な情報を基に適切に評価しまして、必要な支援につなげていくわけでございますけれども、そのためには、身近な相談先である市町村や専門的な支援を行います児童相談所職員の専門性の向上が求められますので、専門研修の実施や専門職の配置を進めているところでございます。
支援に当たりましては、身近な立場にございます市町村が中心となりまして、保健や医療、福祉、教育などの関係機関が相互に連携しまして、家庭の状況に応じて課題解決に向けた支援を行ってまいります。
県としましては、より一層の啓発、または対応機関の専門能力の向上、関係機関の連携強化にしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
163:
◯議長(
田中八
洲男) 平谷
議員。
164: ◯平谷昭
議員 ありがとうございました。
昨年末、民主県民クラブとして、丸山知事に要望書を提出いたしました。その中で、人権同和対策課の所管事務について、DVや児童虐待、LGBTQ、ハラスメントなど、多岐にわたる人権問題に対し、各関係課との調整役にとどまらず、人権に関わる主担当課として、積極的に防止、啓発に努めるように要望しております。
コロナ対応をはじめ、県民のために日々努めておられる職員の皆様には大変感謝をしております。一方で、県民の信頼を損なうような残念な事案も耳にします。悲しいことであります。人権問題については、民間同様、いや、それ以上に啓発、防止に努め、模範となる姿勢を示さなければならないと思います。最後に提言させていただき、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
165:
◯議長(
田中八
洲男) この際しばらく休憩し、午後1時から再開いたします。
午前11時45分休憩
午後1時3分再開
166:
◯議長(
田中八
洲男) それでは、会議を再開いたします。
引き続いて一問一答質問を行います。
田中明美
議員。
167: ◯
田中明美
議員 自民党
議員連盟
田中明美でございます。一問一答質問をさせていただきます。
このたびは5項目について質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
初めに、高校の魅力化について伺います。
現在、島根の教育において、地域を学びのフィールドとし、地域課題解決型学習が行われております。この学習は、いわゆる探究学習の一つであります。
まず、探究学習が高校教育の中でどのように実施されているのかお伺いをいたします。
168:
◯議長(
田中八
洲男) 野津教育長。
169: ◯教育長(野津建二) 探求学習は、小学校低学年時に行う生活科の授業や小中学校での総合的な学習の時間での学びを土台といたしまして、高校で、実際の社会や生活と自身との関わりから、これはなぜこうなっているのだろうかといった疑問から仮説を立て、どうしたら解決するのだろうかと、その解決に向けて情報を集め、整理、分析し、まとめ、最後にそれを人に分かってもらえるよう発表する過程を経て、生徒の学びを深めていくことを目的としております。
また、この学びは、1つの課題に対して長い時間向き合い、先ほど申し上げた過程を何度も繰り返す学習となっております。
この学習では、教員のみならず、コンソーシアムや市町村の協力を得ながら、地域と学校とが一体となって子どもたちを育む体制の中で進めており、地域住民や地元企業など、多くの方の力をお借りして取り組んでおります。
170:
◯議長(
田中八
洲男)
田中明美
議員。
171: ◯
田中明美
議員 地域住民や市町村、保護者会、卒業生会、企業等、多様な主体と高校が一緒になってつくる高校魅力化コンソーシアムは、先ほど言われたとおり、高校教育の充実と島根創生の両立を図るため重要な組織であり、今年度全ての県立高校に設置をされると聞いております。
高校魅力化コンソーシアムをより一層強固なものとし、高校生が地元地域をよく知り、地域課題に触れ、その解決について学ぶ質の高い探究学習が行えるような学習環境を整えていくこと、また授業以外でも地域活動に高校生が積極的に参加していくように意識醸成を図り、島根に根差した取組としてほしいと強く願っております。所見を伺います。
172:
◯議長(
田中八
洲男) 野津教育長。
173: ◯教育長(野津建二) コンソーシアムの仕組みを構築する前は、探究学習に必要な地域とのネットワークづくりや地域資源を活用した教育教材の作成は、個々の教員の努力に頼っておりました。そのため、地域とのつながりを持った教職員が転勤などでその高校を離れた場合には、新しく担当になった教職員が再度地域と高校との関係性をつくり直さなければならない状況となり、その間、探究学習が一旦停滞するといった懸念がございました。
現在進めておりますコンソーシアムの制度が成熟していけば、教職員個々の努力への依存が薄まり、担当の教員が去った後でも、組織として地域と高校との関係性が維持できることから、探究学習の質が担保でき、さらに向上していくことができると考えております。加えて、このコンソーシアムは、地域と高校とが一体となって子どもたちを育んでいくといった理念から、地域の方々にも教育に主体的に関わっていこうとする意識が高まり、探究学習へ協力いただける教育資源もさらに拡大していくと期待しております。
こうした取組を進めることで、生徒の地域に対する関心が高まり、授業以外でも地域との関わり合いを深めたいと思い、地域での活動を積極的に行う者も増えていくことにつながると思っております。
174:
◯議長(
田中八
洲男)
田中明美
議員。
175: ◯
田中明美
議員 地域との関わりが本当に強くなってくるわけでありますが、小さな拠点づくりは、中山間地域の各地区で、今取組がなされております。まだまだ課題解決にまでに至っていない地区も多くあります。
例えば、高校の探究学習で、小さな拠点づくりの住民の話合い等に高校生に参加をしてもらい、若い人の意見を聞くような環境をつくってはと考えますが、教育長、地域振興部長にそれぞれ所見をお伺いいたします。
176:
◯議長(
田中八
洲男) 野津教育長。
177: ◯教育長(野津建二) 地域運営の担い手不足が深刻化し、地域コミュニティーの維持や買物、介護など、日常生活に必要な機能の確保が困難となっている中山間地域・離島の課題をテーマに取り上げて探究学習に取り組む生徒もおります。こうした生徒は、フィールドワークの一環として地域に足を運び、地域住民の声を聞きながら自身の考えをまとめる学習手法を取っております。
議員御提案の生徒が地域住民の話合いの場に参加するということは、課題を解決しようとする地域住民の真剣な声を聞く貴重な場となるため、探究学習の場として参加できるのであれば、子どもたちの学びも深まると考えます。
178:
◯議長(
田中八
洲男) 藤井地域振興部長。
179:
◯地域振興部長(
藤井洋一) 小さな拠点づくりでは、多くの地域において、住民アンケートや地域課題の解決に向けた話合いに高校生なども参加しています。例えば、大田市志学地区では、地元の小中高生を交えたワークショップを複数回開催し、そこで出た意見を地区計画に反映しています。また、出雲市伊野地区で開催されたまちづくりセミナーでは、市内の高校生も参加し、地区のまちづくりに対する意見を述べておられます。若者の視点による意見は、住民にとって新たな気づきにつながることから、地域や学校からの御相談があれば、市町村や教育委員会と連携し、その実施に努めてまいります。
180:
◯議長(
田中八
洲男)
田中明美
議員。
181: ◯
田中明美
議員 ありがとうございました。ぜひ連携して行っていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
2番目の質問に入らせていただきます。
しまね留学についてであります。
島根県の令和2年の18歳の人口は5,888人でありました。その年の出生数は4,473人でありました。単純に増減を比較できるものではありませんが、1,415人の減となっております。
この現状から、公立高校のクラス減や高校再編について早期に検討していかなければならない時期になっていると思っています。この状況下で、しまね留学の今後の在り方や考え方は、高校存続に大きく関わってくると思っています。
しまね留学を見本に広まった県外高校生を受け入れる地域みらい留学は、全国の各高校も県外高校生の受入れを積極的に行ってきております。
地域みらい留学の説明会の令和元年の参加人数は3,100人、オンラインで開催された令和2年は1,900人の参加人数だったと聞いています。それだけ都市部から地方に関心を向けている中学生とその保護者がいることになりますし、それぞれの地元出身の生徒にも地域にも大きく効果があり、全国で期待がされているということだと認識をしています。
しまね留学の入学者は、昨年230人でありました。
しまね留学の受入れ人数について、どのような考えでKPIの目標を令和6年度まで一律200人としていらっしゃるのか、また県立高校の存続も含め、しまね留学について、今後どのような方向で進めていく考えかお伺いをいたします。
182:
◯議長(
田中八
洲男) 野津教育長。
183: ◯教育長(野津建二) 県立高校の設置につきましては、まずは県内の子どもたちに適切な教育環境を提供することが第一であると思っております。そして、子ども同士が切磋琢磨し、多様な学校行事が実施できる学校規模であることが望ましいと考えております。
近年の人口減少、少子化、過疎化などにより、県内生徒だけを対象としていては、適切な教育環境の維持どころか、学校の存続も危惧される状況も生じていました。そこで、県外生徒を一定程度受け入れることで学校を維持し、子どもたちの教育環境を守っていく必要もあり、しまね留学に取り組んでおります。したがって、どの程度、県外生徒を受け入れるのかといったことは、各地域における県内生徒とのバランスを考慮する必要がございます。各高校の県内生徒の入学がこれくらい見込めるので、入学定員をこのくらいにして、県外の生徒の規模がこの程度になるという、言わば引き算で考えることとなります。また、寄宿舎での指導管理体制では、県外生徒の保護者は全国各地に住んでいて、日常生活や緊急時への対応ができないため、教職員が親代わりとなって、子どもの生活面の面倒を見たり、病気のときは親身になって看病や通院の対応をするなどしており、教職員に大きな負担がかかっていることも考慮する必要がございます。なお、現在のコロナ禍の状況においては、帰省など、移動に伴う感染拡大防止のための対応にも追われており、教職員にはさらなる負担も生じてきております。
県教育委員会としては、県外の子どもたちにこの島根の教育を受けさせたいということを第一義的に考えて、しまね留学に取り組んでいるわけではないということであります。ただ誤解のないように申し上げておきますが、学校では、県外から来てくれた生徒も県内生徒と同様に、一人一人を大切に育んでおりますし、県内外の生徒の間でも、互いが多様な価値観と出会い、切磋琢磨できる教育環境ができております。また、県外から生徒が来てくれることで、学校の規模も一定程度維持され、有意義な学校行事を実施できております。
私は、15歳という年齢において、島根に行くという判断をして、それを実践してくれる子どもたちに敬意を表したいと思いますし、また感謝の気持ちでいっぱいでございます。卒業後に島根に残る、ふるさとに帰る、一旦島根を離れても戻ってくると、様々な進路を歩んでいる、あるいはこれから歩んでいくわけでありますが、いつまでも共に学んだ友として、県内生徒との絆を大切にしていってほしいと思っております。
さて、200人というKPIの数値につきましては、設定した当時、現実に195人を受け入れていたことから持ってきた数値でございまして、目標設定期間の5年間で大きく県内生徒が減少しないことや、現実にその人数を受け入れていることから、この規模を維持することが当面適当であると判断したことによるものであります。
184:
◯議長(
田中八
洲男)
田中明美
議員。
185: ◯
田中明美
議員 教育長の思いもよく分かりました。令和6年度までは、そんなに減少しないから、今のままで200人だったということであります。しかしながら、検討していく時期に来ておると思いますので、ぜひまた教育委員会として御検討いただきたいというふうに思っております。
先日、「地域で育てる ~高校生のしまね留学~」という特別番組を見ました。その番組では、しまね留学生が、単に地域の人との交流にとどまらず、地域の方に地域課題であるイノシシの防除対策の網の張り方を教わり、手伝いを行っていました。私は、地域出身の高校生でも、イノシシ対策のような作業は、自ら積極的に手伝いをする機会はそんなに多くはないのではと思っております。しまね留学やしまね高2留学の生徒たちにも、地元の高校生たちにも、島根の課題やすばらしいところについて、留学生には発見と感動を、地元の生徒には再発見と感動を、一緒に体験し、理解し、感じてほしいと強く願っています。
現在、地域振興部で策定中の島根県過疎地域持続的発展計画の素案においても、将来の島根を支える人づくりのための有効な施策としてしまね留学が掲げられると聞いています。
しまね留学、しまね高2留学は、留学生にとっても地元の高校生にとっても、そして地域の方々にとっても、それぞれ刺激をし合い、大きな相乗効果につながると考えています。
地域づくり、将来の担い手確保等の観点から、貴重なIターン候補や関係人口候補としても、地域振興部としてもっと踏み込んで支援を行ってほしいと考えますが、地域振興部長に所見を伺います。
186:
◯議長(
田中八
洲男) 藤井地域振興部長。
187:
◯地域振興部長(
藤井洋一) 県立高校における地域課題解決型学習では、しまね留学の県外生を含む生徒たちが、互いに刺激を受けながら、地元の大人との関わりの中で探究的に学ぶ意欲と地域への愛情や誇りを育んでいます。
このほか、部活動やボランティア活動でも同様に、地域と一緒になって取り組んでいるものがあり、例えば津和野高校のグローカル・ラボ部では、地域のイベントへの参加や農業体験を通して地元の方々と交流することにより、津和野町への愛着が培われ、しまね留学を終えた後も県内でのインターンシップに参加するなど、島根との関わりを持ち続けている学生もいます。また、こうした活動が、地域にとっても担い手の確保や若者ならではの新しいアイデアを生かした取組につながっている事例があります。
県としましては、しまね留学生の将来の関係人口化や地域の活性化につなげるため、このような高校生と地域の双方に効果をもたらす取組が広がるよう、市町村や県内地域に対して様々な機会を通じてPRするなど、働きかけてまいります。
188:
◯議長(
田中八
洲男)
田中明美
議員。
189: ◯
田中明美
議員 よろしくお願いします。
しまね留学やしまね高2留学を積極的に行ってほしいと私は思っておりますが、積極的に行っていくには、住宅確保対策は必須であります。
令和3年9月の
定例会、園山
議員の質問に対して、教育長は、市町村に主体的な役割を果たしてもらいながら、Uターン、Iターン施策を担当する地域振興部、住宅施策を担当する土木部と密接に連携をし、住まいの確保について検討していくと答弁されました。3部局はこれまでにどのような検討がされてきたのかお伺いいたします。
190:
◯議長(
田中八
洲男) 野津教育長。
191: ◯教育長(野津建二) 高校生の住まいの確保に向けては、知事部局に対して、しまね留学の取組内容や現状、市町村からの要望などについて情報共有を行いつつ、県としてどのような取組を行うことができるのか検討を行ってきております。
議員御指摘の9月議会での答弁の後も、複数の市町村から、高校生の住まい確保に対する問合せや相談が寄せられました。県教育委員会では、その内容について知事部局とも情報共有をし、地域の実情に応じた支援の在り方について検討を重ねた結果、各市町村がより柔軟かつ機動的に高校生の受入れに取り組むことができる新たな仕組みが必要であると判断し、来年度当初予算案に、市町村や民間が所有する施設を市町村が主体となって高校生の共同下宿として管理運営する場合に、その運営費を補助する新たな仕組みを盛り込んで、今議会に提案しております。
この共同下宿に対する支援は、市町村の主体的な取組が前提となるという点では、従来のみなし寄宿舎に対する支援と同じであります。他方、みなし寄宿舎が市町村が整備した公共的施設を対象としており、建物の構造や機能面で県寄宿舎と同等の基準を満たすことを求めているのに対しまして、共同下宿は、民間が所有する建物も対象となり、必ずしも県立寄宿舎と同等の基準を満たすことまでは求めないことから、既存の小規模な建物も活用することができるようになるなど、柔軟な仕組みとしており、地域の実情に応じて迅速かつ機動的に高校生の受入れ体制を整備することが可能になるものと考えております。
なお、市町村からは、運営費補助だけでなく、施設整備に関する支援を求める声も寄せられております。この点につきましては、引き続き、中山間地域・離島の振興やUターン、Iターン施策を担当する地域振興部、住宅施策を担当する土木部などの関係部局と連携しながら、どのような対応ができるか検討をしてまいります。
192:
◯議長(
田中八
洲男)
田中明美
議員。
193: ◯
田中明美
議員 私が質問させていただきましたのは、地域振興部と土木部とちゃんと連携が取れているかという質問でありました。教育長の答弁では、知事部局全体での話だったのかなというふうに受け取りました。やはり教育委員会だけでは、この住宅施策というのはできないというふうに思っております。限界があると思ってます。しっかりと土木部と地域振興部と、本当に教育長がおっしゃったように密接に連携をして、今後も進めていっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
平成15年度から令和3年度まで、しまね留学、しまね高2留学生の合計は約3,000人にも上ります。県内出身の卒業生だけでなく、しまね留学の学生たちにもしっかりつながりをつけておくべきと思います。
県内卒業生に島根の情報をLINEで送る事業があることは承知をしております。現在は、商工労働部中心に県内の企業案内等での活用と聞いておりますが、それだけでなくその
ツールを使って、島根県や市町村が行うイベントやお祭りなど、夏休みに帰ってみようかなどと思ってもらえるような内容も発信をしてほしいと考えますが、地域振興部部長に所見を伺います。
194:
◯議長(
田中八
洲男) 藤井地域振興部長。
195:
◯地域振興部長(
藤井洋一) 島根の情報をLINEにより提供するしまね登録では、県内外へ進学した学生や県外で就職した方に対して、ふるさと島根定住財団が県内就職につながる情報のほか、若者に興味を持ってもらえるような島根に関する話題など、幅広く定期的に提供しています。
また、来年度から実施をします県内高校卒業生とのつながり創出モデル事業では、市町村がしまね登録をはじめ、独自の手段により、県外に進学した学生を対象に、島根を離れても地元への愛着や関心を持ち続けてもらえるよう、地元ならではのイベント情報等を提供いたします。
県といたしましては、市町村や関係機関とも連携しながら、しまね留学生などを含め、県内の高校を卒業した学生に対して、訴求力のある情報を届けてまいります。
196:
◯議長(
田中八
洲男)
田中明美
議員。
197: ◯
田中明美
議員 お願いします。
3番目、学力向上について伺います。
生徒たちが目指した目標を達成させることが各高校の使命であると思っています。県教育委員会は、各県立高校に高大連携を推進し、学力向上のための主幹教諭を配置し、来年度も増員する予定であります。また、高大連携推進員も今年度から配置をされています。
現在、各高校で主幹教諭はどのような仕事をしているのか、また高大連携推進員についても具体的な活動と成果を伺います。
198:
◯議長(
田中八
洲男) 野津教育長。
199: ◯教育長(野津建二) 主幹教諭は、学力向上のための授業改善、生徒の実情に合わせた教育課程の構築、大学を理解するために県内大学を身近に意識した高大連携を含めた進路指導体制の強化、地域と協働した探究学習の授業設計など、各高校においての学力底上げを基盤とした生徒一人一人の夢の実現を図る役割を担っております。
今年度は、来年度から教育課程、学習評価が新しくなることから、生徒一人一人が学んだ知識、技能を活用し、他者と協働して自分の考えをさらに質の高いものにしていくという授業となっているのか、各教科の学習計画が、学んだことが社会で生かされるという教科横断的な視点で作成されているのか、学習評価が生徒の学習成果を的確に捉え、さらに教員の指導の改善につながるものになっているのかなどということについて、学校全体で点検して対応していくために、校内研修を開催するなどして改革に取り組んでおります。
次に、高大連携推進員については、学校での学びはどういったものなのか、大学生となったらどういう生活を送るのか、大学の入試が近年どのように変わってきているのかなど、生徒が大学の理解を深めるために配置しております。具体的な活動としましては、主幹教諭と連携し、探究学習の授業設計や探究学習の学びの成果と進路との連携が図れるよう研究を開始いたしました。
また、授業に県内大学の教授等を招き、教科学力の向上や探究学習のアドバイザーをお願いするなど、大学の知見を取り入れる授業を推進するため、大学との連携強化にも取り組んでおります。
加えて、大学生としての学びや生き方、在り方を理解するため、大学が求める生徒像、いわゆるアドミッションポリシーの読み解きや現役大学生との交流にも力を入れております。
主幹教諭や高大連携推進員の配置は始まったばかりで、現在、その仕組みづくりを試行錯誤して取り組んでいる最中でございますので、成果が出るのはもう少し時間がかかるものと思っております。
なお、以前と比べて、県内大学を身近な大学として捉える高校生が増えてきているということは聞いております。
200:
◯議長(
田中八
洲男)
田中明美
議員。
201: ◯
田中明美
議員 昨年3月、県立高校から県内大学を希望し受験した904人のうち、385人が不合格だったと聞いています。県内出身の高校生が、県内大学を目指したが、不合格によって県外へ出ていくことは非常に残念です。
島根創生、また人づくりプロジェクトの観点からも、特に県内大学を受験する全ての県内高校生に合格を勝ち取らせていくことを目標に、県教育委員会と各高校は積極的に対策を行ってほしいと考えますが、所見を伺います。
202:
◯議長(
田中八
洲男) 野津教育長。
203: ◯教育長(野津建二)
議員御指摘のとおり、県内大学を希望し、受験したが合格できず、結果的に県外の大学等へ進学してしまう生徒が相当数おります。県教育委員会としましては、子どもたちの夢をかなえるため、第1希望の大学に合格できるよう支援することが大切であると考えております。これを具体的に進める取組が、主幹教諭や高大連携推進員の下で始まっております。
受験対策の取組としては、高大連携推進員を配置した学校では、多くの大学で令和3年度から取り入れられている総合型選抜入試や学校推薦型選抜入試への対応を始めております。この総合型選抜入試とは、大学が求める学生像に合致する人物を選ぶに当たり、ペーパーテストのみではなく、大学で学ぶ意欲や目的意識を論文やプレゼンテーションを基に総合的に評価し、判定する入試方法であります。また、学校推薦型選抜入試とは、大学の求める学習成績や部活動実績などの水準、人物像を高等学校長の推薦や面接などを基に評価し、判定する入試方法であります。
こうした入試への対策として、具体的には、生徒になじみが薄かった入試情報の読み解き方や総合選抜等に重要な志望理由書のまとめ方、志望理由書につながる学問探究などを取り入れた基礎講座、進路探究ゼミを試験的に開催いたしました。参加した生徒からは、総合型、学校推薦型選抜に必要なことが理解でき、入試へのイメージが湧いた。志望理由を自らの言葉で言語化できたなど、講座が有益だったと評価を得ております。
来年度は、配置校だけでなく、インターネットを活用し、配置校以外の高校でも活用できるよう検討を進めております。
このように、主幹教諭や高大連携推進員が先ほどの御質問にお答えしたような役割をきちっと果たすことにより、各校の生徒の実態に応じた進路の実現がかなうよう、学力育成に取り組んでまいります。
204:
◯議長(
田中八
洲男)
田中明美
議員。
205: ◯
田中明美
議員 各高校は、例えば平均偏差値等学力向上に係る一定の目標値の設定を行って、それを県教育委員会は情報共有をして、各高校と一緒になって学力向上に取り組んでいく必要があると考えますが、教育長の所見を伺います。
206:
◯議長(
田中八
洲男) 野津教育長。
207: ◯教育長(野津建二) 私は、本来、高校での教育に期待されているものは、生徒一人一人が自ら定めた自分の夢や目標を実現できるよう支援することであると思っております。生徒が持つ夢や目標は様々であります。一般入試で大学進学を目指す者もおれば、先ほど述べた総合型選抜入試で合格を目指す者、スポーツや芸術の世界で進学を目指す者もおります。就職のための資格取得を目指す者、あるいは在学中から地域活動への参加を目指す者など多様であります。こうした多様な夢や目標がある中で、それらの全てを一つにまとめて数値目標とすることは難しゅうございますし、例えば一般入試を目指す生徒のみの偏差値を切り取って学校の数値目標として設定することは教育上好ましくはないと考えます。仮に、どんな数値目標を設定したとしても、教職員や学校は、全ての生徒一人一人と真剣に向き合い、その将来について考えておりますし、生徒自身、学校が定めた数値目標に届かなくても、あるいはそもそも目標の外側に置かれていたとしても、自分の夢や目標に向かって一生懸命に努力をいたします。したがって、数値目標の設定よりも、結果が出るまでの過程を重視すべきと考えております。また、その結果については真摯に向き合うということが、学校教育上は大切であると考えております。
県教育委員会としましては、生徒の夢や目標がかなうよう、今後とも全力で取り組んでいく考えでございます。
208:
◯議長(
田中八
洲男)
田中明美
議員。
209: ◯
田中明美
議員 ありがとうございました。
しかしながら、私は各学校はそれぞれ公立大学に何人出そうかとか、そういう目標は実は立てていらっしゃるということなので、それぞれが各高校は目標値を持ってらっしゃると思います。そういうこともしっかり県教育委員会と共有しながら進んでいっていただきたいと思いますし、また数値目標については検討いただきたいというふうに思っております。
島根県は慢性的な理系の人材不足というふうに言われております。先日公表されました学力調査でも、島根の小中学生は算数や数学について、全国平均より低い結果が出ました。
来年度、小中学生に対して、算数、数学や科学に興味関心を持つよう取組を行う市町村に対してのみに支援する予算が組まれています。各市町村に任せるのではなく、県内全ての小中学校で取り組むよう支援すべきと考えますが、所見を伺います。
210:
◯議長(
田中八
洲男) 野津教育長。
211: ◯教育長(野津建二) 私は、子どもたちの
選択肢を広げ、子どもたち一人一人が選んだ夢の実現を支援していくためには、小中学校から系統性、連続性のある学力育成の取組が非常に重要であると考えております。この点につきましては、県教育委員会としても、これまで授業改善プロジェクトの研究推進校など、モデル校を指定した取組を進めてまいりました。指定校においては、児童生徒の意欲向上などの成果が出ておりますが、その成果を広げるためには、さらに工夫した取組が必要であると考えたところでございます。
小中学校の学力育成の主体は市町村教育委員会でありますが、
議員御指摘のしまねの学力育成プロジェクト事業は、そのための経常的な財政支援ではございません。来年度から3年間の実証事業と位置づけており、この事業の成果を取り入れた授業は、特別な予算や教員の加配がないとできないということでは意味がないと考えております。通常の、普段の授業を変えたいと思っております。この実証事業は、具体的には、市町村教育委員会が学力育成協議会を設置したり、大学教授などの外部の力を借りて、子どもたちが本物に触れ、学ぶ意欲を高める取組を行うことなどにより、理数教育を含めた学力の育成が進むのかどうなのかを実証してもらうもので、手挙げ方式でありますが、全市町村の3分の1程度の6市町村を対象として予算案に計上しております。
県教育委員会は、それぞれの取組に深く関わるとともに、6市町村の研究校における学力や学習状況を分析する経年での比較調査の実施や、外部有識者も入れたプロジェクトチームを組織し、県全体の学力育成策を検討してまいります。今後、この取組で得た成果を各市町村に広め、全県の学力育成に生かしていきたいと考えております。
212:
◯議長(
田中八
洲男)
田中明美
議員。
213: ◯
田中明美
議員 早い段階での結果を出していただいて、全県に広げていただきますようにお願いをいたします。
それでは、次の質問に入らせていただきます。
県内の主要渋滞箇所についてであります。
道路管理者や警察、トラック協会などで組織します島根県幹線道路協議会交通渋滞対策部会が、今年も2月7日オンラインで開催されました。この組織は、県内の主要渋滞箇所の公表を行い、主要渋滞箇所の対策に係る基本方針を策定し、フォローアップを実施していくとのことであります。
県内の主要渋滞箇所の状況をお伺いいたします。
214:
◯議長(
田中八
洲男) 井田土木部長。
215: ◯土木部長(井田悦男) 交通渋滞対策部会では、県内の渋滞対策を推進するため、通行する車両速度などの渋滞の度合いを示すデータや道路利用者からの意見などを踏まえて、対策が必要な交差点を主要渋滞箇所として選定しております。
現在、県内の主要渋滞箇所は47か所あり、このうち対策が完了し、経過観察中の箇所が19か所、対策未了の箇所が28か所となっております。
216:
◯議長(
田中八
洲男)
田中明美
議員。
217: ◯
田中明美
議員 主要渋滞箇所47か所は、渋滞状況等で対策を実施する上で優先順位がつけられているのか、また対策未了の28か所についてはどのように渋滞緩和を行っていくのか、今後の対策方針についてお伺いいたします。
218:
◯議長(
田中八
洲男) 井田土木部長。
219: ◯土木部長(井田悦男) まず、対策の優先順位づけについてですが、交通渋滞対策部会は、主要渋滞箇所の状況や対策の内容、効果などを関係者で整理、共有する場となっており、対策の順位づけは行っておりません。対策を実施する時期については、各道路管理者や警察等において、渋滞の状況や対策に要する費用や効果などを考慮し、総合的に判断されております。
次に、対策未了の28か所についてですが、このうち19か所においては、松江北道路などの道路ネットワークの整備や局所的な交差点改良など、ハード事業が進められているところです。残る9か所においては、ソフト施策も含めた対策の立案に向けて、関係機関と連携し、検討を行ってまいります。
220:
◯議長(
田中八
洲男)
田中明美
議員。
221: ◯
田中明美
議員 ありがとうございました。
もちろん予算状況もありますので、順次の対応となることは承知をしております。今年度、渋滞緩和としての国道等、国土交通省への要望は出雲バイパスの4車線化についてのみでありました。国道9号においては、平成27年度全国道路・街路交通情勢調査によりますと、要望が行われた出雲バイパス周辺だけでなく、安来市の清水入口交差点から鳥取県の米子市の陰田町交差点にかけての県境部などにおいても渋滞が大変顕著であるとの調査結果もあり、朝夕の通勤や土日などは住民活動が確保されていない状況があると考えられます。
この県境部の渋滞は、鳥取県側の陰田町交差点の混雑が原因であると思っておりますが、交通渋滞対策部会における陰田町交差点及び国道9号の県境部の交通渋滞の取扱いについて伺います。
また、県境部の渋滞については、県境を挟む鳥取県及び道路管理者である国土交通省と連携を取って、早急に対策を検討すべきと考えますが、所見を伺います。
222:
◯議長(
田中八
洲男) 井田土木部長。
223: ◯土木部長(井田悦男)
議員御指摘の県境部の渋滞の原因となっている米子市の陰田町交差点は、鳥取県の交通渋滞対策部会で主要渋滞箇所として取り扱われておりますが、現時点では具体的な対策は示されておりません。このような状況の中、今年度、安来市から県境部の渋滞緩和対策に関する要望があり、島根県の交通渋滞対策部会において課題提起を行ったところです。
今後は、国及び鳥取県に、県境部の渋滞に係る課題を訴え、対策の検討をお願いするとともに、島根県といたしましても、安来市の考えをよく聞いた上で、必要に応じて国や鳥取県と連携して渋滞緩和に取り組んでまいります。
224:
◯議長(
田中八
洲男)
田中明美
議員。
225: ◯
田中明美
議員 よろしくお願いをいたします。
では、最後の質問、米の消費拡大について伺います。
丸山知事は、島根の米の消費拡大のため、女優の
田中美佐子さんと一緒にCMに出演をされておられます。私の周りの方々からも、知事のきれいなベージュの色のジャケットはとても似合っておられますし、知事の爽やかですてきな笑顔が大好評であります。
一昨年からのコロナ禍での影響によります飲食店等外食産業の落ち込みもあり、米の消費が激減し、市場は米余り現象となり、令和3年産米の価格も大幅に下がりました。離農を検討している農家は少なくないと聞いています。
米余りについては、コロナ禍以前からの大きな問題で、日本人が米を食べなくなったことが一番の原因だと思っています。
農林水産省によると、米の消費は、1年間で1人当たり、昭和37年度がピークで118.3キログラム、平成28年度は54.4キログラム、令和2年度では50.7キログラムと、ピークのときから半分以下までに減少してきました。
島根県は、米作りから水田園芸などに移行するよう積極的に進めていただいています。また、食べている米を島根米にしてもらうための施策は様々行われています。私はさらに、いま一度、米の消費拡大そのものについても対策を打つべきと考えます。園山
議員の米粉消費拡大もすばらしい御提案でありました。例えば、1人が毎週米1合、150グラムだけ、おにぎりにいたしますと2個から3個でありますが、多めに食べるキャンペーンを行ってみるとか、それだけで1年間で1人当たり7.8キログラムの消費量が増えることになります。
改めて、米の消費拡大につきまして、発信力のある知事がPRするなど、積極的に対策を取っていただきたいですが、知事の所見をお伺いいたします。
226:
◯議長(
田中八
洲男) 丸山知事。
227:
◯知事(
丸山達也) 米の消費拡大に私のPR力があるかどうかというのはちょっと分からないんですけど、意欲としてはございますけども、残念ながら、具体的なPRポイントというものがまだ見つからないという状況ですので、具体的な予定といいますか、具体的にこうしようというところが定まらない状況であります。理由を申し上げますと、今、
議員がおっしゃった、積み上げていきますとそうなりますけれども、現実問題として考えますと、我々、総カロリーを増やすのかと、そういう呼びかけをして、取るカロリーを単純に増やすということは、これないわけです。恐らくカロリーの中でも、炭水化物というジャンルの中から、何か米以外のものを外してもらって、米に換えてもらうというやり方で実現しなきゃいけないということは、結局のところ、今米が選ばれていない理由をきちんと押さえて、そこを改善をしていくということがどうしても必要になるんじゃないかというふうに思っております。
年々消費量が減っているのは、これは1つには、1人当たりが減っているのは、間違いなく高齢化が影響していると思います。若い年齢の人口1人と高齢化した人口1人と、1日当たりの消費カロリーが減ってくれば、当然摂取するカロリーも減るわけですから、そういう影響というのはどうしても高齢化に伴う影響もある。そういう中で、ターゲットは小麦になるというふうに思いますけれども、小麦からいかにシフトしてもらうかということを具体的に考えなきゃいけないんじゃないかというふうに思っております。
これ一番は、やはり米を買って、米を売る当事者である県単位のJAなのか、全農なのかというエリアの捉え方はありますけども、JAグループが一番の利害関係者といいますか、当事者でありますので、そういうところで考えていただくのが一番だと思いますけども、例えばですけど、身近に考えてみると、私も18から、大学1年から大学4年までは一人暮らしをしておりましたので、自分でも小さな炊飯器で御飯を食べてましたが、後で知りましたけども、1つ知っていたことは、御飯の炊き上がりのときにしゃもじを入れてほぐして、粗熱と蒸気を取らないと、そのまま置いとくと、当然おいしくならないということ。それから、これは結婚してから妻に教えてもらいましたけども、保温をしているとおいしくない。なので、電子レンジがあるのであれば、そのまま炊き上がりのところで粗熱を取ってかまどを閉じて、ジャーを閉じてそのまま置いておくとか、夏場であれば冷蔵庫に入れるという食べ方をしないとおいしくない。つまり我々が身近でやっている食べ方がおいしくない食べ方をみんながしている可能性って相当あるんじゃないか。なので、おいしくないので避けられているというか、そういう要素がないのかどうか。そういう本当に消費者がなぜ避けるのか。おいしくないと思われているんだとすると、どこを捉えて思われているのか。そこは働きかけをすることで改善が可能なのかどうかということを、ある程度絞って、そういうことを促すことで、おいしいものだということで食べていただくということのために、どういう働きかけとかどういうことを知ってもらうということが必要なのか。または、食育の一環で、学校の中で、家庭科の中でちょっと教えてもらうとか、そういうことも含めて、どうしても単純にオンするものではなくて、何かを、炭水化物の中から追い出して米を増やしてもらうということのために何が要るかというふうにある程度考えて、具体的に行動してもらうということが、何がいいのかなということを考えていかないといけないかなというふうに思っておるところでございまして、県で考えつけるのか、基本的にはJAさんとよく相談しながら、小麦よりもお米のほうがおいしいという自然な形でより食べてもらえるような環境といいますか、知らない知識だったら知らない知識を補充する、または行動が欠けているんであれば、そういう行動をしてもらうということを通じて消費を拡大していかないといけないと思っています。
私も単純に考えますと、高齢化で1人当たりの消費が減っていく。そして、人口減少でさらに掛け算のもう一方も減っていくわけですから、放っておきますと、需給ギャップはどんどん拡大していきますので、そういう意味では、1人当たりの消費量を上回る増がなければ、今の作付を維持していく場合に需給ギャップが広がっていくという大きな問題だと思いますので、これは県としても問題意識を持たないといけませんし、JAさん、また農政全体としても問題意識を持っていただいて、どういったことが有効なのかということを真剣に考えて、PRができるところがあれば努力をしていきたいというように思いますし、そういった重要な課題だということで、対策を様々に講じていかなきゃいけないというふうに思っているところでございます。
228:
◯議長(
田中八
洲男)
田中明美
議員。
229: ◯
田中明美
議員 ありがとうございました。
確かに、農家の意識、JAさんの意識、変えていかないと、買ってくれ、買ってくればかりでは進まないというふうに思っています。ですので、県の農林水産部とJAと農家さんが一緒になって、今後の米の消費について、具体的なこともしっかりと今後の展望を考えながら進めていっていただきたいと思いますので、ぜひ検討をいただきたいというふうに思います。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
230:
◯議長(
田中八
洲男) 以上で本日の議事日程は終了いたしました。
次の本会議は3月3日に第1会議室で一問一答質問を行います。
本日は、これをもって散会いたします。
午後1時50分散会
発言が指定されていません。
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