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令和元年11月定例会(第4日目) 本文
令和元年11月定例会(第4日目) 名簿

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  1. 島根県議会 2019-11-04
    令和元年11月定例会(第4日目) 本文


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    島根県議会会議録検索 検索結果一覧へ戻る 検索をやり直す (このウィンドウを閉じます) 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 令和元年11月定例会(第4日目) 本文 2019-12-02 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別ウィンドウ表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 50 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長中村芳信選択 2 : ◯園山繁議員 選択 3 : ◯議長中村芳信選択 4 : ◯知事丸山達也選択 5 : ◯議長中村芳信選択 6 : ◯地域振興部長穐葉寛佳選択 7 : ◯議長中村芳信選択 8 : ◯健康福祉部長吉川敏彦選択 9 : ◯議長中村芳信選択 10 : ◯農林水産部長鈴木大造選択 11 : ◯議長中村芳信選択 12 : ◯商工労働部長新田典利選択 13 : ◯議長中村芳信選択 14 : ◯女性活躍推進統括監荒本弘美選択 15 : ◯議長中村芳信選択 16 : ◯教育長新田英夫選択 17 : ◯議長中村芳信選択 18 : ◯園山繁議員 選択 19 : ◯議長中村芳信選択 20 : ◯白石恵子議員 選択 21 : ◯議長中村芳信選択 22 : ◯知事丸山達也選択 23 : ◯議長中村芳信選択 24 : ◯総務部長犬丸淳選択 25 : ◯議長中村芳信選択 26 : ◯健康福祉部長吉川敏彦選択 27 : ◯議長中村芳信選択 28 : ◯教育長新田英夫選択 29 : ◯議長中村芳信選択 30 : ◯白石恵子議員 選択 31 : ◯議長中村芳信選択 32 : ◯総務部長犬丸淳選択 33 : ◯議長中村芳信選択 34 : ◯副議長(中島謙二) 選択 35 : ◯吉田雅紀議員 選択 36 : ◯副議長(中島謙二) 選択 37 : ◯知事丸山達也選択 38 : ◯副議長(中島謙二) 選択 39 : ◯地域振興部長穐葉寛佳選択 40 : ◯副議長(中島謙二) 選択 41 : ◯環境生活部長(松本修吉) 選択 42 : ◯副議長(中島謙二) 選択 43 : ◯健康福祉部長吉川敏彦選択 44 : ◯副議長(中島謙二) 選択 45 : ◯農林水産部長鈴木大造選択 46 : ◯副議長(中島謙二) 選択 47 : ◯土木部長(真田晃宏) 選択 48 : ◯副議長(中島謙二) 選択 49 : ◯教育長新田英夫選択 50 : ◯副議長(中島謙二) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:        午前10時2分開議 ◯議長中村芳信) これより本日の会議を開きます。  日程第1、「県政一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑」を行います。  引き続き一般質問を行います。  園山議員。  〔園山繁議員登壇、拍手〕 2: ◯園山繁議員 おはようございます。一般質問を行います。  ことしの誕生日に「もろびとの 思い知れかし 己が身の 誕生の日は 母苦難の日なりけり」という森信三さんが書かれたはがきの一節をいただきました。この歌を読んで、中村久子という人のことを思い出しました。日本のヘレン・ケラーと言われる人であります。ヘレン・ケラーは生涯に3度の訪日をしていますが、中村久子さんはヘレン・ケラーに「私より不幸な人、私より偉大な人」と言わしめた、そして3度の訪日で3度の会見をした人であります。  明治30年、岐阜県高山市に生まれた少女の足に激痛が走ったのは3歳の冬、しもやけがもとで肉が焼け、骨が腐る、突発性脱疽となり、両腕を肘の関節から、両足を膝の関節から切り落とされ、だるま娘と称されるようになりました。7歳のとき父が死に、8歳のとき母が再婚しました。少女が9歳になったとき、母は自分がいなくなったとき残された娘が1人で生きていけるようにと厳しいしつけを始めます。それまではなめるようにかわいがっていた母が豹変し、手足のない少女に着物を与え、ほどいてみよ、はさみの使い方を考えよ、針に糸を通してみよ、できるまで食事を与えない、容赦のない徹底的なスパルタ訓練の日々は今なら虐待で児相行きであります。しかし、少女は必死で小刀を口にくわえて鉛筆を削り、口で字を書き、12歳になるころには歯と唇を動かし、肘から先がない腕に挟んだ針に糸を通し、舌でくるっと回して玉結びにすることができるようになって、近所の友達に人形の着物を縫うまでになりました。しかし、母親に唾でべとべとになった着物を汚いとして川に投げ捨てられ、少女は歯を食いしばり、血のにじむような努力を続け、15歳になったとき、ぬれていないひとえの着物を仕立て上げることができるようになり、身の回りのことはほとんど自分でできるようになりました。19歳になったとき、少女はみずから名古屋の大須にある見せ物小屋、宝座でだるま娘の看板で見せ物芸人の生活を始め、24歳で結婚、そして翌年長女を授かります。2年後、夫と死別し、そして2度の再婚、出産を経て、自分の子どもを育てるようになった日、ある日恨み続けた厳しい母の深い愛情に気づき、人生が大きく変わっていきます。昭和12年、ヘレン・ケラーと会見し、口で縫った日本人形を贈り、そのときに「私より不幸な人、だけれども私より偉大な人」と称賛されるのであります。中村久子は以後、福祉や信心の生活の日々を送りますけれども、見せ物小屋で働き始めたときに、恩恵にすがって生きれば甘えから抜け出せない、1人で生きていかなければと決意し、生涯を通じて国からの障がい者の制度による保障を受けることはなかったといいます。  この中村久子女史の「ある ある ある」という歌があります。「さわやかな秋の朝 「タオル取ってちょうだい」 「おーい」と答える良人がある 「ハーイ」という娘がおる 歯を磨く 義歯の取り外し かおを洗う 短いけれど 指のない まるいつよい手が 何でもしてくれる 断端に骨のない やわらかい腕もある 何でもしてくれる 短い手もある ある ある ある みんなある さわやかな秋の朝」という歌であります。大石順教の言葉に、できないとやらないを混同してはならないとありますが、まさに根底は同じであります。島根県職員の皆さん、できるまでやるという強い意志が不可能を可能にするということの教えであります。ぜひ、こうした思いで県政に当たっていただければと思います。  さて、私は先日示されました島根創生計画について幾つかお尋ねしたいと思います。  初めに、女性の就労支援と起業支援についてであります。  島根創生計画の冒頭には、「笑顔あふれる しまね暮らし」宣言が書かれています。丸山知事が描く島根県の目指す将来像をうたい上げたものと捉えていますが、目を閉じると、かつて私が子どものころ、近くに日本一の石こう鉱山があった昭和鉱業鰐淵工業所が存置し、1,100人もの人が働く地域であったころの生活シーンが思い出されます。河下港の近くの地域は活気に満ち、映画館やスーパー、飲食店や診療所、歯科医院、美容院、公衆浴場もありました。昭和40年代の初めのことであります。しかし、今、目をあけますと、かつての社宅の跡には空き地が広がり、16の教室がある3階建ての鉄筋コンクリートづくりの小学校には30人ほどの子どもの姿が見えるのみで、まさに北海道や九州の炭鉱跡と同じ光景が広がっております。  「一言よく人を生かし、一言よく人を殺す」と言いますが、知事の人口減少に打ち勝つとする強いメッセージが県庁で働く職員の意志となり、立案する政策となり、実施する施策となり、その効果の発現によってもう一度生活の場に子どもや若者の姿がある地域をよみがえらせ、笑顔のあふれる光景を見ることができることを期待するところであります。  人口減少対策にはさまざまな観点が必要ですが、人口減少に打ち勝つためにはどうすべきかを県庁の職員に問うたとき、間髪を入れずに返ってきた答えは、若年女性の人口を確保しなくてはならないと思うということでありました。  ほとんどの若者は、15歳と18歳、22歳のときにみずからの将来、進路の選択を行います。島根県の若年女性が、進学、就職の選択をする18歳時点で県内に残る人はほぼ島根で生活を過ごすのに対し、県外を選択した人は島根に帰ってくる比率は極めて低いのが現状であります。そして、男性に比べて、女性が県内を選択する比率が圧倒的に少ないのであります。まず、女性の学ぶ場所、すなわち大学や専門学校の拡充はもとより、若者に魅力となる就労の場の確保や起業支援などについて、しっかりと現状の問題点を洗い出し、対応策を準備しなければならないのではないかと思いますが、知事、いかがでしょうか。  島根県も市町村も企業誘致に精力的に取り組み、1次産業就労者の受け皿を用意して定住人口の維持に努力してきましたが、例えば出雲市で展開している世界的な半導体メーカーは、3交代の24時間操業で、従事者の多くは男性、女性はごく一部の職種に限られている男性向きの職場であり、女性向けの職場は、弱電や縫製といった職種が主で、円高やメーカーの海外移転などによって閉鎖、縮小となり、今はコールセンターなどにシフトしているものの、男性職場に比べると給与などの待遇、水準は低いと思われます。  島根県を代表する企業と言えば、ごうぎん、JA、島根県庁などですが、いずれも大卒の上級職の採用は圧倒的に男性が多く、女性管理職や役員はゼロか、ごく少数であります。つまり、依然として、島根県の社会は男性の理屈が主となっており、女性のスキルや能力を生かす、あるいは発現させることに消極的だということです。18歳の選択で県外進学を選んだ女性が圧倒的な男性優位の場所にリターンする可能性が低いのは、当然であります。自分のスキルが生かせる、伸ばせる、そこに自分を生かす場所があると考えれば、女性が島根県を選択していただけると思うのであります。  古典に、「まず、隗より始めよ」とありますが、県職員の採用の方法を変え、当面、県庁職員の採用を男女同数、もしくは6分4分ぐらいに改め、県内企業にも同様の要請をすれば、島根県に若年女性がふえてくると述べたら、人事課の職員は法律があって難しいですわと答えました。私は、それなら女性活躍特区を申請して法の枠を超えることを考えろと応じたのですが、今度は違う県庁幹部から、憲法第14条の規定があって、女性特区の申請は難しゅうございますよとわざわざ電話をいただきました。今、政府は女性活躍を国家目標に掲げ、霞ヶ関の管理職の割合を30%にすると、女性に限定した起業支援や補助金制度の創設などを次期通常国会に提案するとし、国会も女性議員の立候補を法制化するなどの女性の社会参画を促進するために躍起であります。確かに、憲法14条を理由にした意見もあるようですが、ごく少数だと聞きます。一定期間女性の管理職の割合を増加させるとすれば、女性だからという理由で昇進させなければならなくなる、それこそ憲法違反であります。違憲請求は誰かの訴求があって初めて裁判所で決定されることであり、現状の男性優位を一定期間をかけて是正するための特区申請を、どこのどなたが違憲だと裁判所に訴えるでしょうか。
     島根県の若年女性の減少はもはや看過できる状況にはなく、対外的に大きなメッセージを発信する必要があり、島根は変わったとするに、今回の知事の交代は千載一遇のチャンスで、この時期を逃せばチャンスはまた次の知事と交代するずっと先になります。こうした機会を、これのおそれがありますとして封じてしまうことは私は笑止千万のわざだと思います。  女性担当部長や100人会議は私は導入点で、子育て支援の充実も端緒だと見ています。知事にはぜひ女性活躍特区の創設を考えてほしいと思っています。特区の創設にはほとんどお金はかかりません。特区申請は、丸山知事になって島根県は大きく変わったとアピールできる、そういうチャンスだと思いますが、いかがでしょうか。  日本の出生率はどんどん下降しております。初婚のカップルが何人の子どもを持ったかという完結出生児数は、ここ40年近く2.1から1.9でほとんど変わっていません。しかし、全国的にお一人様の増加、未婚率は、50歳までに一回も結婚したことがない人の割合ですけれども、男性は4分の1を超え、女性も2割に近づいております。県内の結婚をめぐる状況はもっと深刻だと思います。はぴこ事業は先般大臣表彰を受けましたが、効果はまだまだ限定的であります。結婚に対する学校教育も不足していますし、学校で男女交際をバツとする生活指導もあると聞きます。創生計画には若者が恋愛を楽しむとあって、とてもうれしかったのですが、出生率を上げるためには、お一人様対策がまず大事だと思います。県内の完結出生児数の推移や未婚率、お一人様の状況など、県内の結婚対策の現状と今後の対策を健康福祉部長にお尋ねいたします。  産科の先生に聞いたところでは、女性の月経開始は、おおむね身長146センチ、体重42キロとなる9歳から13歳で、閉経はおおむね50歳前後だそうであります。開始年齢はこの100年で四、五歳早まっていますが、終わりは余り変わっていないそうであります。とすれば、成人年齢の引き上げによって女性の結婚年齢が16から18に上がったのは生物学的にはちょっと奇妙だなと思いますけれども、一般には20歳から25歳の結婚はまだまだ、25歳から30もまだ早い、30を過ぎてそろそろ、35を過ぎるとはやはや、40を過ぎたらもうおせいわなというのが一般的になっています。  女性の結婚年齢は30歳に近づいていますが、高年齢での初産は障がいを有する子や流産、不妊の要因の一つとされております。初婚年齢が20歳前半の出産リスクは相対的には低く、そうした若く、20代の健康的な時期に出産し、30代、40代はスキルに合った仕事や趣味、才能を生かす年代というようなライフワークを奨励することが実は時代に合った生き方だと思います。人生100年時代です。寿命が延びても出産できる年齢はほとんど変わっておらず、かつて女性の人生の大半を占めた出産、子育ては人生の前半部分の4分の1にすぎないのであります。しかし、女性の生き方やスキルを伸ばす社会的な仕組みや見方はまだ不変で、もっと女性の生き方や結婚に対する考え方を改めてはどうかと思いますけれども、女性活躍統括監の見方、考え方をお伺いをいたします。  近ごろ、出産に立ち会う男性が増加し、そうした経験のある男性の育児休暇取得率は極めて高いそうであります。女性の出産の状況を目の当たりにすると、男性がいかに無力かを知るのだそうであります。子を産むことは女性にしかできませんから、一定期間は母性保護と子育て支援を手厚くして、就労よりも子育て支援という姿勢、そして子育てが一段落したらスキルアップ支援や再教育の支援を手厚くする、こうした考え方が必要ではないかと思います。  また、女性の新規就業を支援するのであれば、SOHO支援を手厚くすることが一つの手だてであり、同時に若者の起業や技術革新などを促す取り組みも充実させるべきであります。静岡県富士市に開設されたf-Bizは年間3万件もの経営相談を受け、経営支援方策をアドバイスしており、そのモデルが今全国に拡大し、大きな効果を生んでいると聞きます。効果を生んでいるBIZのほとんどは、チーフとなる人材が役所の出向者や管理職の兼務、あるいはOBの起用ではないということであります。島根県の新規創業が3.1%、全国44位の原因はここらあたりにあるのではないかと思います。そこで、全国各地で行われているBIZの取り組みについて参考になる事例、あるいは成功事例の把握がされているのか、商工労働部長にお尋ねをいたします。  また、人口急減地域に人材派遣の事業協同組合を新設し、都市部から移り住んだ若者や希望する地元の方々を登録し、農業や林業を始めとする地域産業の働き手として派遣する仕組みをつくることで安定した収入を得られ、UJIターンを含めて定住しやすくなる制度創設を想定した人口急減地域特措法が成立しましたが、県内市町村の多くは対象地域であり、単独の市町村で対応が難しい場合は、隣接する広域自治体での連携など県の支援を検討すべきですが、制度開始に備えるためにどのように対応されますのか、地域振興部長にお尋ねをいたします。  2点目は、100年先を見据えた森林整備についてであります。  県内の森林は、戦後や高度経済成長期に植栽された杉やヒノキなどの人工林が大きく育ち、木材として利用可能な時期を迎えております。ようやく、「伐って、使って、植える」という森林の循環利用が可能となってきましたが、長期的な林業の低迷や所有者の世代交代等により森林への関心が薄れ、災害防止や地球温暖化防止など森林の公益的機能の維持増進にも支障が生じつつあります。  森林環境税と森林経営管理法の成立により、森林の整備や管理は市町村の役割が大きくなってまいりましたが、この際、県が主体となって森林整備の100年計画をつくり、木材の循環利用や林道整備などについて検討してみてはいかがかと思いますが、農林水産部長の御見解をお尋ねいたします。  3点目は、教員の働き方改革についてであります。  給特法の改正によって教員の勤務時間が弾力化され、夏季や冬季休業中の勤務が振りかえ可能となるなどの改善が図られましたが、根本的に教員の勤務を改革するには、教員の勤務実態をきちんと調査し、どこに問題点があるのかを洗い出しする必要がありますが、まず現状についての御認識を教育長にお尋ねいたします。  部活動など教科以外の課外活動やPTA活動、生活指導などを過重負担に上げる声は多いのですが、道徳の必修化や小学校の英語指導、プログラミングの導入といったたび重なる指導項目の追加や指導要領の改正、急激なICT化なども現場のストレスとなっているように思います。十分な準備期間もないままに制度変更が行われ、その負担が学校現場に負わされ、押しつけられているように思われてなりませんが、現場の負担軽減をどのように図るのかお尋ねいたします。  都市部では放課後の塾通いが一般化しており、学校の授業以外に学力の補完、増進の道がありますが、田舎にはそういった場所は一般的でなく、学童保育の場でも自習もしくは宿題をする程度であります。先般、益田市で2学期制が導入されると伺ったところですが、広島市では2学期制が一般的になっていると聞きます。教員の負担軽減や海外学校からの帰還などへの有効性もあるように聞きますが、県教委において2学期制の導入について事例の功罪を研究されてはいかがでしょうか。  私は、教員の負担軽減に必要なことは、現場に人を入れる以外に方途はなく、30人学級の見直しによって減員となる教員数はできるだけ圧縮すべきだと思います。教育委員会には、たたき台として示した案に理解を求めるという姿勢ではなく、丁寧に学校現場や市町村教委との議論を尽くしてほしいと考えますが、いかがでしょうか。教育長の見解をお尋ねいたします。  最後に、島根の強みを生かした子育て支援についてお尋ねいたします。  知事は、子育て支援の一環として来年度から学童保育、いわゆる放課後児童クラブの拡充を打ち出されました。核家族が進み、また世帯や近隣の子どもの数が減り、放課後に地域で子どもを見守ることが難しくなってきたことは否めない事実で、学童保育のニーズに応えることは時宜を得たものと思います。  生まれた子どもの社会は、お母さんの腕の中であります。ハイハイやよちよち歩きができるようになったら、その範囲が子どもの社会であります。通常なら、近隣、歩ける範囲、その後は保育所、幼稚園、小学校と子どもの社会は広がるのでありますが、子どもの数が減って学校などの統廃合が進み、子どもはいや応なく車に乗せられて、家庭から10キロも20キロも離れた施設で少年時代を過ごすことになります。「兎追いしかの山 小鮒釣りしかの川」は歌の中だけで、田舎に生まれただけで、豊かな自然の中で春夏秋冬を過ごす子どもが減っているように思えてなりません。子どものころの思い出を持たない者がふるさとの担い手になってくれるでしょうか。傷だらけになって虫を追い、川に入って魚をとり、海辺で遊ぶ子どもの声を聞かなくなって久しいなと思います。  県内ではファミリーサポート事業や公民館活動での子育てや学童支援が行われていますが、公的サービスの充実が島根の強みを失わせることになっては本末転倒であり、学童保育の充実とともに島根が持っている強みである地域社会・コミュニティーの力や、核家族が拡大したとはいえ、他地域に比べ3世代の同居家庭が多いことなど、自助や共助で子育てを応援する取り組みを同時に進めてほしいと思っており、所要の対策を望むものですが、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  最後に、11月26日にインドのケララ州のピナライェン・ビジャヤン首相がお越しになったパーティーの模様を申し上げます。  皆さんは、大阪での経済セミナー、そして28日には東京での経済セミナーが予定されており、その間の27日に交流のある山陰で知事への表敬や、あるいは市長会とのランチミーティングなどを企画され、松江にお越しになりました。夜遅くなってからの到来でしたので、午後8時半から始まった歓迎会は相当お疲れでございました。中には、あくび、居眠りをされている方もありました。ですけれども、10時前、安来節が始まりました。わずか4人、歌は1人、鼓と三味は1人ずつ、そして踊り手も1人でありました。ところが、最後にドジョウすくいが始まった折、ほとんど眠りかけている人たちが立ち上がりました。そして、舞台の前へどんどん進み、一斉に目を開いて大拍手でございました。そして、最後に答礼に立たれた首相や、あるいはインド政府から派遣をされている州の首席次官から、ケララの一番大きな祭りは毎年8月に行われます、そこにこの安来節チームを派遣してくれという要請がありました。私たちの住んでいる郷土にはすばらしい本物がある、そのことを痛感した次第であります。わずか3分ほどのことでしたが、言葉が通じない、文化も違う、全く遠くからお越しになった方の目、耳、心をつかんだ瞬間だと思いました。島根にはすばらしいものがあります。一緒に頑張ってまいりましょう。私の質問を終わります。(拍手) 3: ◯議長中村芳信) 丸山知事。  〔丸山知事登壇〕 4: ◯知事丸山達也) 園山議員の御質問にお答えいたします。  最初の御質問は、女性の学ぶ場や若者に魅力となる就労の場の確保、起業支援などへの対応であります。  人口減少に打ち勝つためには、議員御指摘のとおり、県外に転出された女性が男性に比べて島根に戻ってこられる比率が低いことから、女性の学ぶ場を拡大し、働く場を確保していくことが重要であると考えております。大学や専門学校の誘致も対応策の一つであると考えますが、学生たちに県内に戻ってもらうためには、そこで学んだことを生かせる職場を確保することが必要でありまして、まずは若者にとって魅力のある就労の場を確保し、企業を支援していくことに取り組む考えであります。  就労の場の確保につきましては、若い女性は工場などの生産現場よりも事務系職場を好み、自分が学ばれたことを生かせる職場につきたいという傾向をお持ちであります。このため、県の企業誘致としてIT系やウエブメディア系の企業、県内のサービス業と競合しないサービス業、例えば民間企業の福利厚生を代行するサービス業といったITソフト産業を誘致してきたとこであります。また、近年では、土木の技術職や研究開発職など、従来男性職場と思われてきた職場でも女性の活躍が進んでおり、男女の区別なく、やりがいを持って働く場がふえつつあります。しかしながら、都市部と比較して県内には女性が希望される職種や職場が少ない状況にあります。女性にとって魅力ある職場をふやすために、県内産業と競合しないウエブメディア系や情報処理サービス業などの企業誘致を進めるとともに、県内のIT産業や観光関連産業の振興に取り組んでまいります。その上で、個々の企業に対しまして、男性が適していると考えられてきた職種に、男女の区別なく、個人の能力を見て採用してもらうことを働きかけてまいります。また、女性のライフステージに応じた働きやすい環境づくりに取り組んでもらう必要もございますので、企業の職場環境改善の取り組みを支援してまいります。  もう一方の起業支援につきましては、県が支援した起業家の4割が女性になっているといったことも踏まえまして、自分の資格や経験を生かしてライフスタイルやライフステージに応じた独立、開業などの起業を希望する女性もふえておられます。こうした働き方もあることを多くの女性に知ってもらい、自分のやりたいことにチャレンジしてもらえるよう支援していく考えであります。  このように若い女性の働く場を確保する取り組みを進めていくことによりまして、その職業に対応した大学や専門学校のニーズも出てくるものと考えております。現状といたしましては、若い女性に県内に定着してもらう観点からの現状分析、問題点の洗い出しがまだ十分であると言えませんので、若い女性のニーズや課題の把握を進めていきたいと考えております。こうしたことを踏まえまして、若い女性に県内で働くことを選択してもらうための有効な対応策の準備を進めていきたいと考えております。  次に、若い女性に戻ってきてもらうために、県庁職員の採用に係る特区創設を含めた対応をすることについてお答えをいたします。  議員御指摘のとおり、若い女性に残り、戻ってきてもらうためにはその環境づくりが必要でありまして、そのためには安定した魅力ある仕事につくことや、充実した家庭生活を送れると、そう思ってもらえる状況をつくることが重要であります。島根県の合計特殊出生率は1.74と全国、常に2位でありまして、働く女性の割合が74.6%、育児中の女性の働く割合が85.3%といずれも全国1位であります。その一方で、子育て世代の家事、育児時間は、男女の別で見ますと、女性が1日当たり407分であるのに対して、男性は69分と約6分の1であり、現状として女性に負担が偏り、そこに依存している状況にあります。こうした女性への依存の状況が女性が仕事や地域社会で活躍する上で足かせになっていると捉える必要があると考えております。  女性活躍の推進をするため、また若い女性に戻ってきてもらうためには、法制度の見直しというよりも、こうした家庭や社会の実態を変えていくことが重要であると考えておりまして、男性や企業の意識、行動を変えていくことが求められていると考えております。例えば、男性が育児休業を取得することについて本人や家族、職場の理解を進めることによりまして、制度はあっても実際に男性が取得していないという実態を変えていく必要がございます。そのために、家庭においては、男性の家事、育児、介護の参加を促す取り組みや、職場においては、経営者や管理職の意識改革、仕事と家庭を両立できる職場環境づくりの支援を進めていく考えであります。こうしたことにより、島根が若い女性にとって、仕事や地域社会でその個性や能力を生かして、その能力を発揮し、生き生きと活躍をしてもらう環境を整え、島根での生活、人生を選択してもらえるように取り組んでまいります。  また、県職員の採用の関係につきましては、現在、教員、警察、病院の部門を除いて、過去5年間の新規採用職員における女性の割合は全職種で35.6%、事務職に限りますと46.2%と半数近くなっておるとこであります。これは、平成28年3月に策定いたしました島根県特定事業主行動計画に基づきまして、県職員や職務の能力を紹介するプロモーション映像を公開したり、職員募集のパンフレットやホームページにおいて先輩職員からのメッセージや子育て支援制度を紹介するなど、県庁が子どもを育てながらでも働きやすい職場であることをPRしていることが要因の一つであると考えております。  一方で、技術職について、同じく過去5年間で見ますと、例えば総合土木が13.6%、建築が5.9%と新規採用職員に占める女性の割合が低くなっております。したがいまして、これら技術職の女性が県庁で働くことの魅力をさらにPRする必要がございます。  議員から御提案の職員採用における特区申請につきましては、採用試験合格者の一定割合を女性とするといった性別で異なる取り扱いをする採用試験を実施することは憲法、地方公務員法に定める平等取扱の原則の規定に反することになりますので、難しいと考えております。その保障につきましても、そういった制度のもとで不合格となられた男性からの提訴は考えられるわけでございます。そういった意味で、そういった提訴が考えられる特区申請が認められるということについては見込めないというふうに思っておりますし、あわせてそういった率先行動をとった上で、議員の御提案ですと、県内の各事業所それから企業に働きかけていくという御提案でございましたが、やはり男女雇用機会均等法の法律のもとにあるこの民間事業所、各事業所の中で波及効果を望むのもなかなか難しいのではないかというふうに考えておりますので、この女性の応募者が、特に技術職等の現在少なくなっている部門においてさらにふえるような地道な取り組みを進めていくことで対応していきたいと考えておりますので、御理解をいただければと思うとこであります。  次に、島根の強みである地域社会の力や自助、共助で子育てを応援していく取り組みについてであります。  議員のおっしゃられた島根の強みである地域の力や自助、共助を維持、拡大して、子育ての応援をしてくということは、島根の子どもさん方にとりましても、故郷に愛着や誇りを持って豊かな心を育んでもらう、地域の将来を具体的に考えてもらいながら、自分の将来を考えてもらうという意味でも大変重要なことだというふうに思っております。現在の島根創生計画の最終案におきましては、この放課後児童クラブの利用時間の延長などの支援策の検討を進めているとこでありますけども、これまでたくさんのクラブにおきまして地域のボランティアの皆さんに支えられて運営、発展してきたこのサービスでありまして、今後もこのような地域のボランティアの方々の力は不可欠であると考えております。また、ファミリー・サポート・センター事業につきましても、子どもの預かりなどの援助を受けたい子育て中の保護者が地域の方から援助してもらうという共助の仕組みで行われておりまして、この自助や共助の精神で子育てを応援していただいている事業であります。県としては、こうした取り組みを通じて、長らくボランティアとして子育てを応援してくださっている方々に対しましてきちんとした感謝の意を表するとともに、何らかの顕彰をしていきたいと考えているところであります。島根創生計画を進めていくためには、島根の強みであります、この地域社会の力や自助、共助の精神を、子育てだけではなく、さまざまな中山間地域・離島対策始め、この県民生活に密着したさまざまな事業の中でしっかりと活用していく、この御理解をいただいて、この協力をしていただくということが大事でありまして、そういったことを前提とした施策構築を進めてまいりたいと考えておるとこでございます。私からのお答えは以上でございます。 5: ◯議長中村芳信) 穐葉地域振興部長。  〔穐葉地域振興部長登壇〕 6: ◯地域振興部長穐葉寛佳) さきに国会で可決成立をいたしました、地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律に係る県の支援についてお答えいたします。  これまでも県では、この制度に特に関心の高い複数の市町村から御意見を伺い、それぞれの市町村とともに組合設立や事業内容の想定、収支シミュレーションなどを行ってまいりました。そうした内容はその都度所管省庁となります総務省に対して情報提供をした上で、制度設計についても意見交換してきたところであります。  この法律では、県は市町村に対し特定地域づくり事業の適正な運営を確保するための事務の実施について情報の提供、助言及び援助をすることと定められております。今後、法律の施行に合わせ関係の省令等も定められますが、県としては、まずはそうした情報の把握と市町村への速やかな情報提供に努めてまいります。さらに、市町村においては、組合の設立や運営に当たり、事業計画や収支計画の作成のほか、関係事業者間の調整、そして組合の中核となる人材の派遣などさまざまな役割が想定されることから、議員御指摘のような複数自治体で連携するといったケースも含め、市町村の事情をよく伺って、組合の設立、運営が円滑に進むよう支援していく考えであります。以上でございます。 7: ◯議長中村芳信) 吉川健康福祉部長。  〔吉川健康福祉部長登壇〕 8: ◯健康福祉部長吉川敏彦) 私からは、県内の結婚対策の現状と今後の対策についてお答えをいたします。  厚生労働省の出生動向基本調査によりますと、全国の完結出生児数は、これは夫婦の最終的な平均出生子ども数とみなされますが、議員御紹介のとおり、昭和47年の2.2人から平成14年の2.23人まではほぼ横ばいで、その後、平成27年の1.94人と微減傾向にございます。県内数値は示されておりませんが、中国、四国地方の平成14年以降の推移を見ましても、おおむね同様の傾向が見られます。同期間の合計特殊出生率の推移と比較いたしますと、少子化の要因としましては、結婚した夫婦の子どもの数の減少よりは未婚化の進行による影響が大きいものと捉えております。また、50歳までに一度も結婚したことがない人の割合、50歳時未婚率は、平成27年国勢調査によりますと、県内男性は全国平均とほぼ同水準の23.2%、県内女性は全国平均よりも3ポイント低い11.1%となっており、前回調査の平成22年からの5年間で男性が3.4ポイント、女性が3.6ポイントの増と、上昇傾向にございます。20代、30代の未婚率についても増加傾向が続いております。  また、議員御質問のお一人様を独身者と捉えますと、昨年度実施した島根県子育て・結婚支援に関する意識調査の結果によりますれば、抽出調査ではございますが、18歳から50歳の男女の独身者は34.4%で、前回5年前の平成25年度調査が31.9%ですので、これも上昇してきております。この調査で未婚者が独身でいる理由として、複数回答でございますが、適当な相手にまだめぐり会わないとの割合が45%と最も高く、次いで時間やお金の面で自由や気楽さを失いたくないが30%、安定した雇用、収入がないが24%、結婚に魅力を感じないが20%の順となっております。特に結婚に魅力を感じない割合は、5年前から5ポイント増加してきております。  こうした未婚化への対策といたしまして、結婚したい方の希望をかなえるため、現在、しまね縁結びサポートセンターにプロフィールを登録した独身男女に対し、縁結びボランティアはぴこの皆様が相談に応じ、お見合いの場を設定するなどの活動をされております。はぴこの皆様が仲を取り持った成婚件数は、事業開始の平成19年度から本年9月末までの累計で637件に達しており、今後もこの活動をしっかり支えてまいります。また、登録した独身男女がみずから相手探しができるサービスといたしまして、コンピューターマッチングシステム、しまコを昨年度から開始したところでございます。また、出会いの場の創出による支援といたしましては、しまね縁結びサポートセンターが直接出会いイベントを開催するほか、民間団体による開催の支援を行っております。  これらとあわせまして、若い世代の結婚や子育てに対する理解を深め、関心を高める啓発活動も大切だと考えております。現在、小中学校、高校で助産師が講師となりまして、自分たちがかけがえのない命として生まれてきたことに気づくのを狙いとして、生きることを楽しく習うと書きます生の楽習講座を開催しております。また、高校生や大学生を対象に、若いときから結婚観、家族観が持てるよう、男女ともに妊娠適齢期があること、今の20代の多くが結婚を望みながら過半数が交際相手がいないという状況、平均年収や生涯賃金の変化、仕事と子育ての両立状況などを正しく伝えた上で、10年後、20年後のみずからの将来について考える機会を提供するライフプラン設計講座を開催しており、今後もこうした啓発活動の充実を図ってまいります。私からは以上でございます。 9: ◯議長中村芳信) 鈴木農林水産部長。  〔鈴木農林水産部長登壇〕 10: ◯農林水産部長鈴木大造) 私からは、森林整備の長期計画の作成についてお答えいたします。  島根県では、平成25年に約25年後の2040年に原木生産量を80万立米にするという長期ビジョンを策定いたしました。国が策定する基本計画でさえ最長で15年先を見通すものとなっておりますが、25年というスパンは原木需給量、必要な植林面積、苗木の需要の見通し、林業就業者などの具体的な数値を盛り込んだビジョンとしては異例の長期にわたるものでございました。関係者の努力によりビジョンは現在のところ順調に実現してきており、今般、島根創生計画を策定するに当たりまして、80万立米の達成の目標時期を10年前倒しして、2030年、令和12年とし、業界と行政が連携して、さらに積極的に取り組む決意を確認したところであります。  このような状況で最も優先すべきは、新たに設定した目標時期に原木生産量80万立米を確実に達成することであり、このために必要なことから取り組んでまいりたいと考えております。50年スパンの林業では、その間に技術イノベーションも大幅に進みますし、木材の需要、価格も将来の国内外の経済、社会の姿に大きな影響を受けることとなります。そのため、計画的な森林経営の一助として行政が非常に長期的な将来ビジョンを示すことは有効な手段と考えております。一方で、議員御提案の100年先というものを見通して、定量的に整備するということは不確実性も大きく、率直に申し上げて、我々の手に余るものというふうに判断しております。このような事情を勘案して、農林水産部としては今後次の2点について検討していきたいと考えております。  1つ目に、原木生産量の80万立米を目標時期に確実に達成するために林業専用道などの路網の整備や高性能林業機械の導入、製材工場を始めとする県内の需要、林業を支える担い手などについてどの程度必要となるか、これは定量的に数字の形でお示しして計画的な確保を進めてまいります。  2つ目に、原木生産量80万立米を達成した暁に、その先の島根の森林のあり方について県としてどのような方向を見据えているのか、このことはやや定性的になるとは思いますが、お示ししていく努力をしてまいります。  今後、5年間の取り組みにつきましては、島根創生計画の案において既にお示ししているところでありますが、申し上げたような非常に長期なビジョンにつきましては、来年度から開始される新たな県農林水産業の基本計画の中でお示しし、県内の森林、林業関係者が認識を共有して、安心して計画的な森林経営に取り組める環境を整えてまいりたいというふうに考えております。以上です。 11: ◯議長中村芳信) 新田商工労働部長。  〔新田商工労働部長登壇〕 12: ◯商工労働部長新田典利) 私からは、SOHO支援などの女性の新規就業支援と若者の起業や技術革新の促進などに向けた、BIZの取り組みについてお答えをいたします。  まず、SOHO支援などの女性の新規就業についてであります。女性が生き生きと暮らし、働くためには、起業しやすい環境の整備も重要であると考えております。県内で女性が起業された事例を見ますと、子育て中の女性たちによります事務代行などのアウトソーシング事業の受注を柱とした起業や、アロマテラピーやメイクなど趣味を生かした起業など、小さなオフィスや自宅での、いわゆるSOHO形式での起業が多いといった特徴がございます。こうしたSOHO形式の起業に対する支援といたしまして、県内では、市町村や民間事業者による事務所や交流スペースの提供にとどまっておりますが、先進的な事例を見ますと、営業支援やマッチング支援、人材育成支援など、きめ細やかな支援にも取り組まれております。  次に、若者の起業や技術革新の促進などに向けた、BIZの取り組みについてであります。議員御紹介の静岡県富士市の産業支援センター、f-Bizと申しますが、このf-Bizでは、金融機関出身のセンター長を中心にマーケティングや販路開拓などの専門家を9名配置され、さまざまな相談に対してチームとして具体策を提示し、きめ細やかな支援を通じて多くの成果を創出をしておられます。現在、こうした民間の人材によります起業から創業後も含めたこの中小企業等への支援手法が注目をされ、愛知県岡崎市や広島県福山市など20以上の自治体にここ二、三年のところで広がりつつあります。県内でも、邑南町が民間からセンター長を招聘した、おおなんBizを平成29年12月に開設をされました。平成30年度には285件の相談に対応された上で、5名の方の起業につなげておられます。県内には、このほか産業支援センターを設置している市町もございますが、議員御指摘のとおり、行政職員やOB職員がこの支援に当たっているケースがほとんどであります。  冒頭述べました女性の創業も含めまして、以上のようにこの先進的な取り組みを見ますと、女性や若者の起業や技術革新などを目指す中小企業等に対しましては、身近な地域でさまざまな専門家からきめ細やかで実践的な伴走型の支援を受けることができるこの環境の整備は有効と考えます。一方で、中山間地域が多く、新規創業、この開業率が低い島根県では、県や市町村、関係団体が連携して支援していくことを基本としながらも、島根県に適した有効な産業支援の手法について先進事例を参考としながら検討していきたいと考えております。以上であります。 13: ◯議長中村芳信) 荒本女性活躍推進統括監。  〔荒本女性活躍推進統括監登壇〕 14: ◯女性活躍推進統括監荒本弘美) 女性の生き方や結婚に対する考え方についてお答えいたします。  県においては、若い年齢から結婚や妊娠、子育てに対する知識や理解を深めたり、みずからの人生設計を主体的に考えてもらうことが重要であることから、そのための取り組みとしましては、先ほど健康福祉部長から答弁がありましたように、生の楽習講座、あるいはライフプラン設計講座などを実施しております。環境生活部においても、多様なライフキャリアの選択と実現などをテーマとした講座を大学生や専修学校などの学生を対象に実施しております。また、今年度開催しております女性活躍100人会議では、さまざまな年代や立場の方々から御意見をお聞きしておりますが、20代前半の独身の女性の方からは、職場の先輩の中には子育てと仕事を両立している方もいるが、大変だと思う。自分が結婚して、仕事と家庭の両立がうまくできるか心配。また、30代の方からは、周囲を見ると子育てと仕事の両立に苦労している人が多く、そういったことが結婚や出産にブレーキをかけているのではというような御意見がございました。このように、結婚後の生活に対する不安を感じている御意見があり、こういったことも女性や、またその周囲の方々に影響を与えるのではないかと考えております。安心して、結婚や妊娠、出産を迎えることができ、子育てをしていただくためには、このような不安や懸念を払拭していくことが必要だと考えております。  県では、知事を本部長とする女性活躍推進本部において、安心して出産や子育てができるよう、結婚、妊娠期、出産期、子育て期までの切れ目のない支援策、また子育てや介護などと仕事の両立に向けた職場環境の整備に対する支援策、こういったことを検討しているところでございます。男性にも女性にも妊娠適齢期があるという医学上の知識や情報を若い方々に適切に伝えながら、議員から御提案のありました、女性が20代の健康な時期に出産し、30代、40代はスキルに合った仕事や趣味、才能を生かす年代という選択を含めまして、さまざまな女性の方々が安心して妊娠、出産ができ、出産後も仕事を続けたり、キャリアアップができる環境づくりを進めてまいります。以上でございます。 15: ◯議長中村芳信) 新田教育長。  〔新田教育長登壇〕 16: ◯教育長新田英夫) 教員の働き方に関します4点の御質問にお答えいたします。  まず、教員の勤務実態調査についてであります。  教員の働き方改革を進める上では、まずは教員一人一人の勤務時間を正確に把握することが第一歩であると考えております。県教育委員会では、教員の勤務時間に関する調査結果を踏まえ、本年3月に教職員の働き方改革プランを策定しました。今年度から令和3年度までの3年間で時間外勤務時間を段階的に縮減することを目指した数値目標の達成に向けまして、各学校において長時間勤務是正に向けた取り組みを進めているところであります。このプランを着実に実行していくためにも、問題点を洗い出し、対応策を講じていく必要があり、教員の勤務時間の把握に加え、時間外勤務の内容や仕事の進め方など、教員の勤務実態を明らかにしていくことが不可欠であると考えております。  まず、教員の勤務時間につきましては、県立学校においては、これまで本人が始業時刻と終業時刻を毎日記録することで勤務時間を把握していましたが、本年8月からは、パソコンの使用時間の記録を基礎とした客観的な方法により始業時刻と終業時刻の確認を行い、勤務時間の正確な把握に努めております。また、市町村立学校では、客観的な勤務時間の把握のため、ICカードの導入やタイムカードによる記録などに取り組む市町村がある一方で、本人の自己申告による勤務時間の記録にとどまっている市町村もございます。  こうした勤務時間の客観的把握の取り組みに加えまして、県教育委員会では、昨年度から年次有給休暇の取得状況や多忙感、ワーク・ライフ・バランスについての意識調査を定期的に実施しており、今後も継続的に行っていく計画であります。  今年度は、プランに基づいた初年度の取り組みとして、県内小中学校の全管理職を対象に働き方改革の研修を実施しました。研修の中で、各校の取り組み状況を情報交換して、まとめる活動も行いました。この研修で集めた情報や、先ほど申しました勤務実態調査をもとに問題の洗い出しをしていくことも重要であると考えております。今後は、市町村教育委員会とも情報交換を重ねながら、教員の働き方に関する問題の洗い出しを行い、引き続き改善の取り組みを進めてまいります。  次に、現場の負担軽減をどのように図るのかについてであります。  一例を挙げますと、現場の教員は来年度から順次実施される学習指導要領に対応するため、日々学習の充実に取り組んでおります。教員一人一人の新学習指導要領への対応をより軽減するために、学習指導要領の改訂の趣旨や留意すべき点を指導主事がコンパクトにまとめ、伝達する説明会を実施したり、今、必要な教育情報を随時提供するウエブページを活用した教育情報紙を発行するなどして支援しております。  また、研修の場の設定の例でありますが、特別の教科道徳の研修には多くの教員に参加してもらう必要があり、講師役の指導主事が各学校を訪問して実施することとしました。研修の性格にもよりますが、受講する教員の移動時間をなくすことでも効果のあった例であります。  また、テレビ会議システムを活用した説明会など、伝達内容を吟味しながらさまざまな方向を検討し、実施しております。さらには、現場の負担軽減を図るため、小学校英語専科加配教員を18名、小学校専科指導加配を23名配置しております。県教育委員会といたしましては、国に対しての教職員定数の改善、充実要望、専科教員やスクール・サポート・スタッフ、部活動指導員などの配置促進、教職員の組織管理、健康安全管理、時間管理等の研修の実施、教職員の事務業務の軽減など、働き方改革プランに掲げた取り組みに加え、さまざまな方策を工夫しながら積極的に取り組んでまいります。  次に、2学期制の導入についてであります。  2学期制は、平成14年の学校週5日制完全実施を契機に、授業時間数や学校行事の日程確保を主な目的として全国的に導入が進められました。2学期制のメリットにつきましては、始業式や終業式、定期試験、通知表の作成などの回数を減らすことができることや、学期中に夏季休業が入るためこの期間中に指導内容の確認や評価資料を整理する時間が生まれることなどがあると承知しております。  一方で、国の調査によりますと、2学期制を導入している学校は、平成20年代前半をピークにその後は減少している状況にあります。減少している主な要因としましては、さまざまな行事や部活動の大会などにおいて3学期制の学校との日程調整に苦慮することがあること、成績開示が2回に減少することに対する保護者の方の不安、そうしたことが上げられております。  このたび、益田市教育委員会では、新学習指導要領全面実施に伴う年間授業数の増加に伴い、教職員が子どもたちとしっかりと向き合う時間を確保するため、校長会とも連携し、市教育委員会で検討された結果、各学校の選択制という形で本年10月に規則改正を行われました。県内の公立学校における2学期制の導入は、定時制、通信制、単位制の高校を除いては、今回の益田市の取り組みが初めてであります。他県での先行事例を調査、分析することは意義のあることであると考えております。県教育委員会といたしましては、市町村教育委員会や他県での先行事例や取り組み状況も調べながら、2学期制の導入が各地域や各学校に与える効果や課題等についてよく研究してまいりたいと考えております。  次に、小中学校の少人数学級編制の見直しによって減員となる教員数についてであります。  少人数学級編制の見直しにつきましては、このたびの指示を受けて、たたき台としての案を次のようにまとめたところであります。小学校1、2年の学級人数の基準を緩和し、現行30人から32人、小学校3年から6年と中学校2年、3年では、現行35人から38人に、中学校1年は、中1ギャップ対応のため、現行の35人を維持すること、スクールサポート事業は廃止することであります。このたたき台の案どおりに見直しを行った場合、少人数学級編制により県単独で加配措置を行っている教員数は、現行のおよそ200人からおよそ100人縮減されることになります。一方、少人数学級編制の見直しにより縮減した財源の一部を用いて、この見直しによる影響の緩和や教育上の個別課題に対応するための新たな教員の加配を、常勤に換算して40人分新たに配置することとしております。  したがいまして、今回のたたき台としての案の全体を見ていただきますと、県単独の加配教員数は100人減、40人増で、およそ60人の減になるものと試算しております。この60人の縮減という数値は、議員からありました、見直しによって減員となる教員数をできるだけ圧縮した場合の人数と同数になるものと考えております。そのような意味では、少人数学級編制自体をどのレベルまで緩和すべきかという検討につながる御指摘であると受けとめております。県教育委員会では、市町村教育委員会や学校関係者などへの説明と意見交換を行うこととしております。その中で、議員から御提案がありましたような考え方も議論されることと思います。どうすれば学校現場への影響を小さくし、教育の質の維持、向上ができるのか、各方面からの御意見をよく伺って柔軟に検討を深めてまいりたいと考えております。 17: ◯議長中村芳信) 園山議員、いいですか。 18: ◯園山繁議員 はい。 19: ◯議長中村芳信) 白石議員。  〔白石恵子議員登壇、拍手〕 20: ◯白石恵子議員 民主県民クラブの白石恵子でございます。  一般質問を行いますが、質問に先立ちまして、今議会の初めに知事から提案がございましたスクラップ・アンド・ビルドの具体的な対象施策について、少し私の思いを述べさせていただきたく思います。  少人数学級編制の恩恵を一番受けている松江市内の校区に住んでいます私としては、制度が完成したばかりでもございますし、よい効果も出ているので、いささか残念な気持ちがしているところです。また、学校図書館司書配置の県交付金の見直しについては、市町村が新しい考え方をしっかり理解し、今までと同様、人のいる図書館を継続してくれるかどうか、とても心配をしております。  しかし、一方で中山間地域を中心に統廃合の対象になるようなそもそも全体の人数が少ない小中学校があることや、放課後児童クラブの充実については以前から要望が多いことも承知しています。島根県の財政に余裕があれば、あれもこれも充実したいのは誰もが同じ思いだと思いますが、現実は毎年20億円前後の収支改善が必要となるような大変厳しい財政状況にあり、どこかを充実しようとすれば、どこかを縮小して財源を生み出さねばならない苦しい現実があります。そこで、恐らく苦渋の選択をされてこのたびのたたき台が示されたとは思います。ただ、あくまでもたたき台であり、議論はこれからです。できるだけ丁寧に関係者の意見を聞き、修正すべき点は修正し、本当にこのほかに財源が生み出せる余地がないのかも再度検討していただき、できるだけ痛みの少ない制度見直しをしていただきたいと願っております。  そして、ピンチはチャンスとも申します。この機会を捉えて、小中学校の教育が今よりもよいものになるような改革をしていくことをお願いしたいと思います。例えば、9月定例会で御紹介した麹町中学校のように、授業の内容や試験のやり方、担任制度をドラスチックに変えることで今よりずっとよい教育効果を期待することもできます。学校図書館司書についても、その役割が再認識され、学校にとってなくてはならない存在であり、チーム学校の大切な一員であること、子どもたちの健全な発達を支える、なくてはならない仲間だと再確認されることが期待できます。  いずれにしても、今回の見直しで島根の教育の質が落ちることのないよう、しっかり考えていただきますようお願いいたしまして、質問に入ります。  質問の第1は、県職員の働き方改革についてございます。  国を挙げての働き方改革は、労基法改正により今年度4月から時間規制が法制化されました。島根県では、平成28年度から地公法36条対象職場はもちろん、締結が任意の職場も含め、三六協定、または三六協定に準じた確認書を結びました。4月から7カ月が過ぎましたが、その実効性はどうなっているのか気になるところであります。人事課の調査によると、9月までのどの月も健康に何らかの影響を与えるとされる45時間以上の時間外をした人員は前年同月比全てマイナスになっていますし、月80時間超えの、いわゆる過労死ラインを超えた人員数も確実に減り、一人もいない月も6月と8月、2カ月あります。この数字だけを見ると確実な成果が上がっていると思われます。
     しかし、労働組合のアンケートを見ると、管理職が時間外を正確に把握し、適切に対応していると思うかとの問いでは、思わないと答えた割合が、県庁では25%、地方機関で46%あります。また、その理由として、管理職が正確に把握していない時間外があるが20%、管理職からの具体的な指示がないが、県庁では42%、地方機関で24%、時間外への締めつけがあるが、県庁で29%、地方機関で27%となっています。正確に把握し、適正に対応していると答えた割合は、県庁が27%、地方機関が19%で、その理由は、時間外を正確に把握したが、県庁64%、地方機関67%で最も多く、業務の平準化や業務の削減、効率化がされたと答えた割合は20%から7%と、県庁、地方機関とも低くなっています。自由記述を見ますと、時間外が減ったことを評価する記述もございます。しかし、ログの管理に意識が向き過ぎ、時間外削減の対応ができていない、業務量の削減がなければ根本的な解決にはならない、職員数が少な過ぎるなど、さらなる解決を求める声が見られます。  このアンケート結果からは、時間外が減ったことをよしとせず、管理職の皆さんが時間外の削減だけを気にするのではなく、職場の実態をよく見て時間外の多い職員には理由を聞いたり、適切な対策をとったりするなど、業務量や職員一人一人の実態をしっかり見ていく必要があると考えますし、実態に合わせた多様な働き方の工夫も必要ではないかと思います。そういう意味では、以前業務の効率化として試行されたサテライトオフィスの設置やテレビ会議システムの導入、AIやRPAの導入は現在どのように実行に移されていますでしょうか。また、朝礼、終礼の実施などの試行が行われ、評価が高かったと記憶しています。さらに、柔軟な働き方の促進として、時差出勤制度、勤務時間インターバルの確保、年休の確実な取得等なども今年度から取り組まれていると思いますが、多様な働き方につながると思われるこういった取り組みは現在どのように実施されているのか、またその評価はどうなのか、総務部長にお伺いいたします。  また、中でも配慮が必要なのは、子育て中の職員への配慮ではないかと思います。私たちの年代が子育てをするころは、育児休業もなく、産休明けに預かってくれる保育所も少なかったこともあって、県庁内保育所の必要性を議論したこともありました。最近では、民間企業が事業所内保育所を設置する例も見られるようになりましたが、残念ながら県庁内保育所の話は聞きません。ですから、勢い地域の保育所を利用することになりますが、近くに親がいて、送り迎えや発熱など緊急時の対応を任せられる場合ばかりではないと思います。それぞれの状況は違うと思いますが、子どもが小さい時期にはどうしても毎日の送迎や子どもの急な病気の対応が必要になりますから、出産する予定や妊娠の可能性のある女性職員には異動時期に丁寧に希望を聞き、育児と仕事が両立できるような職場への配置を考えてほしいと思います。また、配偶者が妊娠、出産する可能性のある男性職員にも同様の配慮が望まれます。こういう状況は高齢者などの介護に当たっている職員も同様と考えます。妊娠の可能性のある職員、子育て中の職員、加えて介護中の職員に対し、希望を十分聞いて育児、介護が両立できる職場に配置するといった考えはありますでしょうか、お伺いいたします。  子どもを持つ女性職員の働き方改革を進める上では、パートナーの育児参加も大きな課題です。一方に負担が重くならないよう両親で仕事と子育ての分担をし、仕事も育児も無理なくできるようにすることは男性にとっても大切な働き方改革だと考えます。過去、男性の育児休業取得等の推進については何回も質問をいたしましたが、遅々として進まないという印象がありました。しかし、最近男性がとっているということを見聞きするようになり、人事課の調査でも、徐々にではありますが、取得する人がふえているようです。配偶者出産休暇や育児休暇は、平成30年度では100%取得され、育児休業は10人の方が取得しています。出産休暇、育児休暇は定着したと考えられますが、育児休業はまだまだ進めていかないとなりません。人事課通信で紹介したり、職員ポータルに載せたり、座談会を開いたりと工夫をされていると聞いていますが、そもそも子どもができたことを周囲が把握することが難しい男性の場合、上司に言いにくいこともあるのではないかと思います。何らかの方法で対象者を把握する工夫をすること、例えば扶養手当の申請があったときに上司が声をかけるといったことも背中を押すことになるかもしれません。また、既に育児休業をとった男性職員を紹介し、話を聞く機会を設ければ、ロールモデルとしてイメージしやすく、休業を申請するきっかけになります。男性の育児休業取得が増加するような工夫をされる考えがありますでしょうか、お伺いをいたします。  いずれにしても、真の意味で時間外削減が適切に行われ、職員が健康で生き生きと働ける職場にするには、特に管理職の方々の意識と前向きな姿勢、適切なマネジメントにかかっていると言ってもいいのではないかと思います。今後のさらなる取り組みについて、特に業務量の適正化や仕事量の平準化など、細かな気配りを管理職に求める取り組み、あわせてマネジメント力を高める工夫についてお考えを伺います。  次に、災害あるいは災害支援を想定した人員配置についてお伺いをいたします。  10月の台風19号の被害は記憶に新しいところですが、ことしは特に台風被害が大きく、10号、15号、19号と非常に大型の台風が上陸し、広範囲にわたり死者や行方不明者、家屋への浸水など大きな被害が出ました。また、日本から離れた進路を通った21号では、影響による豪雨被害も発生しました。ことしは特に台風による水害による被害が顕著でしたが、最近毎年のように今まで経験したことのない大雨による被害が全国で発生しています。これは地球の温暖化の影響と言われていますので、恐らくこれからも続くだろうと考えているところです。また、日本は地震の活動期に入ったと言われるように、東日本大震災以降に震度5以上の地震が相次ぎ、記憶に新しいところでは、平成30年北海道胆振地方地震、大阪北部地震がありますし、ここ山陰でも大田市を中心とする島根県西部地震、倉吉を中心とする鳥取中部地震が発生しています。  こういった大きな災害が発生すると、近隣であればもちろんのこと、遠くても大規模災害の場合では復興支援に県の職員が派遣をされています。平成23年東日本大震災では延べ481人が、平成28年熊本地震では1,150人、鳥取地震では247人、台風などの被害では、平成30年7月豪雨で94人、令和元年台風19号被害では71人が派遣されています。職種を見ると、地震では、医師、保健師、土木技師を始め、家屋調査等に行政職員が、台風の被害では、家屋被害調査に当たる技術職員、行政職、医師、看護師、保健師、警察官などが派遣されています。この中でも、派遣期間が長くなるのは土木系の技術職、家屋被害調査などに経験のある行政職員ではないかと思いますが、毎年のように災害支援に派遣される職員のいる職場ではとても厳しい状況だと聞いています。県職員全体でここ10年余りに1,000人以上削減され、慢性的に人員不足の状態で、どこの職場もぎりぎりの状態で仕事をしていますから、1人支援に出かければ通常の仕事に影響が出ますし、他職場から応援の職員を回すことも難しいだろうと思われます。  今でも支援に派遣される職員を抱える職場は、できるだけ1人が長く席をあけないよう工夫もされているようですが、大きな災害の場合、長期にわたることもあり、被災地支援は経験も大切ですから同じ職員が何度も派遣されているようです。  支援に行ける職員を育てることは、島根県で災害が起こったときにも役に立ちますし、交代で支援に入る職員が多ければ負担も少しは軽くなるのではないかと思います。  土木系の職員の増員については、以前にも同様の質問をいたしました。平成25年の津和野の災害時には期限つき職員や次年度採用の前倒しで増員をされましたが、平成21年に災害が起こったときのために備えて土木系の職員を増員してはどうかという提案をしましたときには、災害を想定した人員配置はできないという御答弁でした。しかし、その当時と違い、災害支援が相次ぐ現状を見ると、被災地の支援や県内の災害に備え、経験者を育てるという意味でも、土木系の技術職員の増員や土木部行政職員の厚い配置を考える必要があると考えますが、県のお考えをお伺いいたします。  最後に、困難を抱える人の支援についてお伺いをいたします。  ある日、私の事務所に来られた方のお話を聞いて、この質問をしてみようと思いました。その方は娘さんが個人で店を持っておられ、そこで雇用されている幼い子どもを持つシングルマザーがある日無断で休まれたので家を訪ねると、リストカットをしていたのでびっくりして救急車を呼んで手当てをしてもらったという出来事があったそうです。それを契機に周りを見渡してみると、機能不全家庭に育って何らかの問題を抱えている人がそこここにおられることに気がついたけれど、困難を抱えていてもみずから声を上げられない人は何か問題が起こらないと支援の対象にならないと思う。声を上げられない人に支援の手を差し伸べる制度はあるのでしょうかというお話でございました。その方はかつて福祉系の仕事をしておられ、困り事を抱えているけれど、みずから助けを求められない家庭をほっておくと、児童虐待に結びついたり、同様の機能不全家庭の連鎖を招くことにならないだろうか。DV被害者支援相談、生活困窮者相談などさまざまな相談窓口はあるが、そこは待ちの姿勢で声を上げられない人を救い上げる場所にはなっていないとも話されました。  私もかつては地域の民生児童委員が身近な支援の窓口になっていたと思うのですが、最近個人情報の縛りがきつく、担当地域で支援が必要な方がおられるのか、情報が全くないので活動がとても難しいと民生児童委員の方に聞いたことがあります。  大変難しい問題ですが、私は、お話しくださった方が、特に親が問題を抱えていることが見過ごされ、そのことが結果として児童虐待につながることや機能不全家庭が連鎖していくことを心配されていましたので、そこに着目して、困り事を抱えた家庭に子どもがいるなら、その家庭の子どもの変化を敏感に捉え、支援をしていく方法があるのではないかと考えました。子どもにかかわる保健師、保育士、教師、小児科の医師や看護師といった専門職が、子どもの状態から見える親や家庭の困り事に気づくことのできる目を養うことはできるはずです。  乳幼児期では、平成29年度に母子保健法の改正により、市町村に子育て世代包括支援センターの設置努力が求められ、フィンランドのネウボラに倣った支援センターが広がりつつあります。発祥の地であるフィンランドでは、妊娠がわかった時点で担当の保健師が決まり、妊娠期から出産、育児期間を通して小学校入学まで切れ目ない支援が行われます。担当がかわらないことでお母さんとの信頼関係ができ、困り事を話せる関係性ができます。また、家庭訪問を重ねることで、その家庭の経済状況や、時にはDVにも気づくことがあるといいます。一方、日本ではまだ事業が始まったばかりで、保健師の数も十分でないこともあって、以前調査に訪れました愛知県高浜市など一部を除いて、そこまで十分な手厚い支援ができているところは少ないように思います。ここをもう少し手厚くし、保健師の皆さんにも、お母さんの困り事に気づき、話を聞いて支援につなぐことができるようなノウハウを身につけてもらえればと思います。  若年の妊婦等明らかにハイリスクの場合は、最初から手厚い支援があるのでしょうが、問題がないと思われても、出産後1カ月が一番産後鬱になりやすく、特に初めての子どもの場合は、退院した途端、なぜ泣くのかわからない、母乳やミルクは足りているのか、体重はふえているのだろうかなど心配は尽きず、とても不安になる時期です。ですが、今はこの時期の支援が手薄な気がいたします。この時期に保健師が適切にかかわることで信頼関係も生まれ、困り事を抱えたお母さんが相談してみようかという気持ちも生まれるように思います。  できるだけ早く、もっときめ細かく充実した体制を整えるとともに、保健師の敏感な気づきの感覚を養うことができれば、困難を抱えた母親が声を上げるきっかけをふやせるのではないかと感じます。  平成30年度予算で子育て世代包括支援センター開設促進のために、国2分の1、県4分の1の補助をしていますし、つい先日、11月25日の女性活躍推進本部で女性活躍推進を図るアクションプランの素案が示され、その中の子育て世代に向けた支援として、市町村の妊娠、出産、子育ての切れ目のない相談、支援体制づくり支援が拡充され、加えて新規に産後ケア事業実施の支援も打ち出されていますので、この取り組みによって先ほど申し上げました子育て世代包括支援事業のきめ細かい取り組みが格段に進むことを期待しております。子育て世代包括支援センターの県内全市町村への設置促進とフィンランドのネウボラや愛知県高浜市のように、妊娠から出産、小学校までの子育てを切れ目なく支えることができるよう内容を充実することについて、女性活躍推進本部長である知事のお考えをお伺いいたします。  少し成長した子どもに接する保育士や教師など専門職の皆さんには、子どもの様子の変化に気づける敏感な目を養ってもらえるような研修が行われているでしょうか。小児科病院の医師や看護師は別途全国的に児童虐待対応の研修等があると思いますので、できるだけ受講してもらい、情報提供や必要性を理解してもらう努力が大切だと思います。  助けてと言えるのも力であり、能力であると聞いたことがあります。力を失い、助けてと声を上げることができない人に気づく一つの方法として、子どもにかかわる人が子どもの変化に着目して、親の困り事にできるだけ早く気づき、支援の手を差し伸べることができる環境を整えていくために、保健師、教師、保育士等に対し、親や子どもの変化に敏感に気づき、アプローチができるような研修をどのように取り入れられているのかお伺いをいたします。  さらに、親や子どもの困り事や変化に気づいた保育士や教師等が保育所や学校全体で取り組み、外部の支援にもつなげられるような体制ができているのかもあわせてお伺いをいたします。  困難を抱えていても、声を上げられない人はほかにもたくさんいらっしゃると思います。例えば、いじめに遭って苦しんでいる子ども、性暴力被害に遭った人、アルコールやギャンブル依存症の人、引きこもっている人、見えない障がいを持つ人など、上げれば切りがないほどです。助けてと言えない人たちに気づき、どう寄り添い、支援していけるのか、各相談機関やかかわる専門職はもちろんですが、私たち一人一人にとっても大切な課題だと思います。先日、障がい者の理解と配慮を推進する、あいサポートバッジの着用依頼がありましたが、障がいはもちろん、さまざまな助けてのサインに気づき、必要とされる支援ができる県民がふえることを願って、質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 21: ◯議長中村芳信) 丸山知事。  〔丸山知事登壇〕 22: ◯知事丸山達也) 白石議員の御質問にお答えをいたします。  子育て世代包括支援センターの県内全市町村への設置促進と、切れ目ない支援の充実についてであります。  子育て世代包括支援センターにつきましては、本年の10月時点で県内13市町村で設置されており、来年度中には全市町村で設置される見込みとなっております。議員から御指摘がございましたとおり、このセンターでは、親御さん、子どもさんの困り事にできるだけ早い段階で気づき、適切な支援につなげていくことが求められており、お一方お一方に寄り添ってきめ細やかに支援していくことが必要であります。保護者の方々が必要なときにタイムリーに相談でき、適切な支援が受けられるよう相談窓口の周知の工夫や相談しやすい環境づくりを進めていくとともに、早期から支援者との関係づくりを関係職員が構築をしていくことが必要であります。今後は、市町村の実際に活動されます保健師などへの研修の充実や子育て世代包括支援センターの優良事例の紹介、全県横展開などによりまして、市町村と一体になりまして子育て世代包括支援センターの機能の充実強化を図ってまいりたいというふうに考えておるとこでございます。  また、出産直後は特に母親の負担も大きく、産後鬱といった状況にもなりやすいといった課題も多いことから、県といたしましては、保健師や助産師が訪問して支援する産後ケアなど、市町村における幅広い子育て支援の取り組みを支援し、妊娠から出産、子育てまでの切れ目のない支援ができるよう対応していく考えでございます。私からの御答弁は以上でございます。 23: ◯議長中村芳信) 犬丸総務部長。  〔犬丸総務部長登壇〕 24: ◯総務部長犬丸淳) 私からは、県職員の働き方改革などに関する5点の質問にお答えいたします。  まず、多様な働き方につながる取り組みについてであります。  昨年12月から全庁的に導入したテレビ会議システムについては、現在本庁舎に10台配備するなど、22カ所に43台の機器を常設しており、遠隔地を結んだ会議に活用されています。また、本年4月に11カ所に設置したサテライトオフィスは、出張先でのパソコンを使用した業務に活用されています。これらにより、会議出席に係る出張の削減や出張中のすき間時間の有効活用が図られ、勤務時間の短縮につながっております。  AI、RPAの活用につきましては、今年度はAIによる会議録作成や国の補助事業を活用したRPAの実証実験を行っております。会議録作成は今月から全庁で利用を開始することとしており、RPAについては今年度12の対象業務で業務処理時間が4,000時間短縮される見込みです。来年度以降も業務改善効果の高いものから順次導入を進めてまいります。  本年8月から導入した時差出勤勤務制度については、約1割の職員が利用しており、通勤混雑の回避、家族と過ごす時間の確保、自己啓発や地域活動の時間の確保、朝の時間の活用などによりワーク・ライフ・バランスの推進と公務能率の向上に効果が上がっていると考えております。このほか、勤務時間の割振り変更制度の活用推進や年次有給休暇の確実な取得などの新たな取り組みを行っております。引き続きこれらの取り組みにより多様な働き方が可能となる環境の整備を進めてまいります。  次に、子育て中の職員などの職場配置に対する配慮についてであります。  県においては、全ての職場において仕事と家庭の両立ができる環境整備に取り組んでいるところでございます。一方で、現在のところ、本庁を中心に一部の所属において長時間勤務が生じていることも事実であり、子育てや介護をしている職員について一定の人事異動上の配慮をするよう努めております。具体的には、適材適所を原則とした上で、職員から提出される自己申告書や所属長による個人面談を通じて、職員一人一人の家庭の事情などをよく把握した上で、担当業務の内容や周囲のフォロー体制なども含め、子育てや介護中の職員であっても働きやすい職場に配置するなど丁寧に対応しております。子育てや介護はライフステージにおいて誰にでも一定期間訪れる可能性があるものであり、職場全体でお互いにフォローしながら、子育てや介護中の職員の能力を最大限発揮できる職場に配置できるよう努めてまいります。  次に、男性の育児休業取得の促進についてであります。  県では、平成28年に女性活躍推進法などに基づく行動計画を定め、男性職員の育休取得率を令和2年度末までに13%とすることを具体的目標の一つに掲げております。昨年度、知事部局における男性職員の育休取得率が19.6%になるなど実績は上昇傾向にありますが、今後より一層の取得向上を図っていきたいと考えております。そのためには、男性職員自身の制度理解に加え、管理職の意識も含め職場全体として男性の育児休業取得を後押しするような環境づくりが大変重要であると考えております。現在、女性活躍推進プロジェクトチームにおいて検討を重ねており、例えば、配偶者の出産から職場復帰までに男性職員が取得可能な休暇制度を上司から紹介する仕組みや、育休を考えている男性職員と取得経験者との意見交換の場の設定など、管理職の意識づけや男性職員に対する動機づけとなる取り組みを今後具体化してまいりたいと考えております。  次に、時間外勤務縮減に向けたさらなる取り組みについてであります。  時間外勤務縮減に向けた取り組みについては、昨年12月、各所属長に対し時間外縮減に向け適切にマネジメントを行うよう通知しております。具体的には、今年度から導入した時間外勤務の上限規制を超えるおそれのある職員がいる場合は、早急に所属内で業務改善や業務の平準化等を行い、所属で対応が困難な場合は部局内で検討を行い、それでも困難な場合は総務部が一緒になって必要な対策を講じることとしております。その結果、通知を行った昨年12月からことしの9月までの10カ月において月80時間超となった者が、前年と比べ延べ142人、約6割減少し、月45時間超となった時間外勤務者についても、延べ214人、1割強減少したところでございます。引き続き縮減に向けた取り組みを徹底する必要があると考えております。このため、各部局に対して予算のスクラップ・アンド・ビルドのほか、予算を伴わない業務の縮減も進め、来年度に向け業務量を削減するよう指示したところです。議員御指摘のとおり、時間外勤務を縮減するためには、管理職のマネジメントが重要であり、管理職向けのワーク・ライフ・バランスに関する研修を行っているほか、個別の対応として、長時間の時間外勤務者が生じた所属について、当該所属長及び部局の主管課長と総務部次長などで面談を行い、要因確認と再発防止策の議論を行っております。この面談は、これまで月80時間超の時間外勤務者を対象としておりましたが、今月から月45時間超の時間外勤務が複数回となった者にも対象を広げて実施することとしております。これらの取り組みを通じ、管理職の意識改革やマネジメント力の向上を図っていきたいと考えております。また、時間外勤務縮減を始めとする働き方改革の重要性について私自身も職員に伝えていくよう努力していきたいと考えております。  最後に、災害に備えた職員の配置についてであります。  県内外における大規模災害の発生に伴い、現場の対応や被災地支援をしていただく土木職場などに大きな業務負担が生じていることは十分承知しております。しかしながら、財政見通しにおいて毎年度20億円前後の財源不足が見込まれるという厳しい財政状況の中では、災害の発生を見越して人員に余裕を持たせることは現時点では難しい状況にあります。また、土木系の技術職員の採用については、近年民間企業の採用意欲が高いこともあり、予定どおりの職員採用ができていない状況にありますので、まずは関係部局とともにこの状況を改善する努力をこれまで以上に行ってまいりたいと考えております。  一方で、全国的に大規模災害が多発していることにより、全国の自治体から被災地への多数の職員派遣が恒常的に発生しており、今後も半ば常態化する懸念もあります。したがいまして、大規模災害に備えた職員配置は国全体の課題であり、県としては、今後の国の対応を注視しつつ、どういった対応が考えられるのか、研究、検討してまいりたいと考えております。私からは以上でございます。 25: ◯議長中村芳信) 吉川健康福祉部長。  〔吉川健康福祉部長登壇〕 26: ◯健康福祉部長吉川敏彦) 私からは、困難を抱える人への支援に関する2点の御質問にお答えをいたします。  まず、保健師、保育士等が親や子どもの変化に敏感に気づき、アプローチができるような研修についてでございます。  母子保健の分野におきましては、家庭訪問や各種教室、乳幼児健診等において、母親に寄り添った支援ができるよう、県や関係機関において保健師等への研修を定期的に実施いたしております。具体的には、母子の変化を敏感に感知できるよう面接技術の向上や、気づきのための各種チェックシートの活用方法の習得、事例検討による幅広い知識の習得などを図っております。また、こうした研修のみならず、日ごろから担当者を中心に職員間で情報を共有し、課題や支援方策を検討するよう働きかけております。保育士への研修につきましては、毎年度、新任保育士及び中堅保育士等をそれぞれ対象として、児童虐待予防や発達障がいへの支援の観点などから、保護者や子どもの変化の気づきに関する研修を実施しております。また、研修受講者による保育所内での復命研修を行い、保育所内で情報の共有が図られるよう取り組んでおります。いずれにいたしましても、保護者や子どもの変化に敏感に気づき、支援していくことは児童虐待防止の観点からも大変重要な視点であり、県といたしましても、さまざまな職種の研修の実施に当たりましてこうした視点の研修を取り入れていきたいと考えております。  次に、親や子どもの困り事や変化についての保育所での支援及び外部機関との連携についてでございます。  保育所では、子どもが発するサインを見逃さないよう心身の健康状態の確認や記録を行うなど、日ごろから子どもの成長を注意深く見守っておられます。また、保護者との送迎時の会話や連絡帳などによるコミュニケーションを通して、保育士が気づいた保護者の様子、例えば子どもの発達への不安や貧困、DV等の懸念といった情報を所内で共有し、どうすべきか話し合って対応をされています。外部の支援機関へのつなぎが必要な場合には、市町村の子育て世代包括支援センターや発達障害者支援センター等の専門機関へ保育所から相談したり、保護者へ支援機関への相談を促すなどをされております。また、虐待の兆候が見られる場合につきましては、各施設で策定されたマニュアル等に基づき、市町村や児童相談所へ速やかに通告し、その後は各市町村の要保護児童対策地域協議会において具体的な支援の内容を協議するなど、関係機関と迅速に連携し、個々の事情に応じた対応をされているところでございます。私からは以上でございます。 27: ◯議長中村芳信) 新田教育長。  〔新田教育長登壇〕 28: ◯教育長新田英夫) 2点の御質問にお答えいたします。  まず、親や子どもの変化に敏感に気づき、アプローチができるような研修についてであります。  子どもや家庭の変化への気づきは支援の必要な子どもの早期発見、早期支援のための大切な視点であると考えております。県教育委員会が実施するさまざまな職種の研修の中でも、それぞれの職務に関する子どもや子どもの背景にある家庭への気づきの視点やアプローチの仕方などを取り入れています。  今年度も、次のように各研修において取り入れております。子どもの心身の健康をつかさどる養護教諭の研修では、子どもの変化に気づくポイントや声のかけ方などを織り込んでおります。生徒指導にかかわる教員の研修では、児童生徒の理解に関する内容において子どもの変化への気づきの視点も盛り込みました。また、校内の教育相談の中核となる教育相談コーディネーターの研修では、不登校の児童生徒への多面的なアプローチから背景にある家庭環境などを把握し、支援につなげる事例研究を行いました。学校事務職員に対する研修においては、学校集金の状況や保護者からの電話を受け付けたときの様子などから家庭の変化に気づくことがあり、その気づきが子どもへの支援につながることを研修内容に取り入れました。支援の必要な子どもや家庭への早期対応のために、家庭の変化に気づき、その背景を読み取り、アプローチできる力をつけることが重要であり、そうした内容を研修の中でさらに充実させる必要があるものと考えております。加えまして、組織的に対応していくため、研修の内容を職員間で共有することを徹底してまいりたいと考えております。  次に、教員等が親や子どもの困り事や変化に気づいた際に、学校全体で取り組み、外部の支援にもつなげるような体制についてであります。  学校現場では、担任だけでなく、校内全ての職員がそれぞれの立場で把握した情報を教育相談コーディネーターを中心とした校内の支援会議などで情報共有することが重要であります。支援会議などにおいては、教員はもとより、心理の専門家であるスクールカウンセラーや福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーなどもかかわり、対応方針を決定し、外部の機関とも連携して支援していくよう各学校に徹底しているところであります。  一例を述べますと、担任から不登校傾向の子どもの報告があり、学校では担任だけでなく、養護教諭や事務職員などからの情報を集め、対応を検討した結果、家庭への支援が必要なケースとしてスクールソーシャルワーカーがかかわることとなりました。スクールソーシャルワーカーが保護者の就労面や住居面での困り感を聞き取り、ハローワークや福祉部局につないだ結果、保護者の就労や新しい住居の確保が実現しました。家庭が安定することで子どもの安心感につながり、登校ができるようになったという事例であります。  学校での支援においては、こうした事例のように、子どもや家庭の変化に気づき、それを学校全体で取り組み、支援につなげる体制が必要でありますが、こうした体制が全ての学校で十分に機能している状況ではないものと認識しております。子どもや子どもの背景にある家庭への気づきは子どもの支援への入り口の視点として重要であります。教職員の意識が高まるよう引き続きさまざまな研修の中に盛り込んでまいりたいと考えております。さらに、先ほど紹介したような校内の支援会議から外部との連携により支援ができた事例や、逆にうまく支援につながらなかった事例での問題点などを研修内容に組み込み、学校においては、その内容を校内全体で共有することを積み重ね、外部の支援につなげる体制が確実なものになるよう働きかけていきたいと考えております。 29: ◯議長中村芳信) 白石議員。  〔白石恵子議員登壇〕 30: ◯白石恵子議員 御答弁ありがとうございました。総務部長に2点再質問させていただきたいと思います。  1点は、妊娠、出産の予定のある女性職員の配慮についてということですが、十分配慮をしておられるということはお聞きをいたしました。ですが、私もちょっと経験がありますけど、自己申告書に書いても、自分の希望はなかなか通っていかない、それは人事上のいろんな問題点もあってだとは思いますが、特に小さい子どもさんを抱えられてる方ってそんなに物すごく多い数ではないと思うので、ぜひ人事課のほうでも職場任せにせずに、きちんと把握をする努力をしていただきたいなと思うんですが、その点がどうでしょうかということ。  そして、もう一つは、土木系の職員の、技術系職員の増員の話ですが、災害や災害支援で厳しい状況ということは把握されているということでした。私自身も、20億円の、言ってみれば赤字を抱えて県財政が厳しい状況であることは前段で申し上げましたので、重々把握しておりますが、しかし今、ちょうど県職員が大量に毎年退職する時期に当たり、100人を超える新しい職員を採用している時期に当たっていると思います。ということは、人事予算というのが差し引きで少し余裕が出ているのではないかと思うんですね。それをもっとほかに使いたいという気持ちもおありかと思いますが、そうはいっても、厳しい職場の状況を踏まえたときに、せめて1人でも2人でも増員ができないものかと思うわけですが、その点についてもう一度お伺いをいたします。以上です。 31: ◯議長中村芳信) 犬丸総務部長。  〔犬丸総務部長登壇〕 32: ◯総務部長犬丸淳) 2点の再質問にお答えいたします。  まず、妊娠、出産の予定のある職員への人事異動の配慮ということでございますが、自己申告書につきましては、人事課においても全て目を通した上で人事異動を行っております。ただ一方で、人事異動というのは、職員の総数と職場の職員が一人一人配置されるコストが決まっておりますので、そういった中で全ての職員の希望どおりにはならないということは現実としてはございますけれども、できる限り自己申告書に目を通した上で丁寧に一人一人の事情に寄り添った人事異動を心がけているところでありまして、今後もそのように努めてまいりたいというふうに思います。  2点目は、土木職場の増員ということでございます。大規模災害等に備えた話でございますが、御指摘のとおり、大量退職で、今、大量に新規職員を採用しておりますので、総人件費という意味では新陳代謝に伴って若干の余裕が出てくる時期ではありますけれども、これはそのサイクルがございますので、新陳代謝効果で人件費の予算が浮くこともあれば、ふえてくこともあるということがございます。また、先ほども御答弁したとおり、技術系の職員につきましては、そもそも採用予定者数を十分確保できていないという現状があるということ、また事務局についても、近年倍率が非常に下がっておりまして、なかなか県が思うように順調な採用ができてるわけでもないというような実態もございます。そういう中ではございますけれども、土木系職場の増員が1人でも2人でもできないかということにつきましては、来年度に向けて改めて検討してまいりたいというふうに考えております。以上でございます。 33: ◯議長中村芳信) この際しばらく休憩し、午後1時10分から再開をいたします。        午後0時8分休憩        午後1時11分再開 34: ◯副議長(中島謙二) それでは、会議を再開いたします。  引き続いて一般質問を行います。  吉田議員。  〔吉田雅紀議員登壇、拍手〕 35: ◯吉田雅紀議員 自由民主党議員連盟、隠岐選出の吉田雅紀でございます。  知事は、就任以来、島根を守るため、県土の大部分を占める中山間地域及び離島地域の再生に取り組む決意を示され、精力的に県内各地を訪問して実情を探り、同時に県民を鼓舞していただいています。この現場主義の姿勢に改めて敬意を表しますとともに、挑戦する島根県政が始まったことに期待を申し上げる次第であります。その離島の立場から私は質問いたしますので、知事始め執行部の積極的な御答弁をよろしくお願いいたします。  初めの質問は、一昨年から施行されました有人国境離島法における支援策のさらなる充実についてであります。  隠岐諸島は人口減少が著しい外海遠隔離島であり、国により特定有人国境離島地域として地域社会維持のための居住条件の整備が特に必要な地域と指定をされております。この施策の基本目標は、隠岐諸島における人口の社会増であります。  離島であることから生じる居住条件の不利性、すなわち人や物の移動を担う航路及び航空路運賃が高いための経済格差が生活のしにくさにつながり、定住促進の足かせになっている現状の中で、真っ先に航路、航空路の住民運賃の低廉化に取り組んでいただいたところであります。本来は離島住民に限らず、誰もが本土並みの移動コストで行き来ができることが求められますが、まずは住民票のある離島住民から始まった。そしてこの間、準住民としての位置づけで、本土に出ている高校生や離島留学をしている学生の保護者、あるいは長期研修などで訪れている者などへの拡充が図られてきましたが、いまだ極めて不十分であります。準住民とは地元町村長が認める者とされていますが、どのような定義であるか、改めてお伺いいたします。  島民からは、高校生だけでなく、扶養している専門学校生や大学生の帰省にもこれを拡大してほしいとの声を耳にしますが、これについてどのように考えているか、お聞かせください。  また、私が全国各地の隠岐人会に出かけますと、出郷者の方々から、家族で帰ろうにも交通費が高い、我々も隠岐人として同様の運賃低廉化の対象としてもらいたいとの声を数多く聞くのであります。隠岐地域では毎年の光景ではありますが、お盆に島は人口が倍以上に膨れ上がると言われます。隠岐汽船は七類港や森山、大江岸壁、そして境港に臨時駐車場を含め5,000台分のスペースを確保しても間に合わない。都会に住みながら、いつかは帰ってきたい、ふるさとへの思いを持ちながら都会で暮らしている者が多いことの裏返しではないかと私は想像しているのであります。ふるさとへ帰省すれば、その中から帰ってこようと決意する者が必ずあらわれると確信をします。これら出郷者の方々を準住民とみなすことについて、有人国境離島法に係る財政枠の拡大を国に強く働きかけていただきたいのであります。これは必ず基本目標である人口の社会増につながる、知事の島根創生が目指す人口減少対策につながります。所見をお聞かせください。  さて、特定有人国境離島の地域社会維持の施策は、運賃低廉化だけではありません。「生活又は事業活動に必要な物資の費用の負担の軽減」、これについては、これまで主に戦略産品の移出を念頭に運賃補助並びに一部生産資材の運賃補助が講じられてきましたが、住みにくさの象徴でもある物価高への視点が欠かせません。すなわち、物流全般に関する支援策の必要性を訴えるものであります。去る6月、県は隠岐地域における物価・物流に関する実態調査報告書を議会に示しました。この内容について改めて簡潔に説明するとともに、この報告を今後どう活用し、物価高の改善につなげていく考えであるか、所見をお伺いします。  地産地消への対応はもちろん大きな課題でありますが、島の生活を考えたとき、特産品の出荷だけでなく、人の移動についてと同様に物の移動について、島から出ていく物、島に入ってくる物全てにおいて本土並み移動コストの実現を求めたいのであります。調査によると、隠岐諸島の物価は、平均すると松江の店舗に比べ約2割高いと報告されましたが、品目ごとの実態はかなり違います。例えば、野菜においては、松江を100とした場合、隠岐の島町148、海士町162、西ノ島町164、知夫村156。果物においては、隠岐の島町137、海士町188、西ノ島町142、知夫村149など、2割高どころではない物価水準となっています。何割も高い物を買わなければ島で暮らせない。吉田がまた極端なことを言うと笑うかもしれませんが、年金支給額が消費者物価指数に連動するというなら隠岐の年金額は2割高くしてもらいたい、それぐらい言いたいわけであります。物価が高くても年金が一緒というのなら、人はやがて住まなくなっていくでしょう。全国には生活物資の海上運賃への補助によって物価抑制の取り組みをしている離島もあると聞きます。消費者物価の問題に目を向けなければ、世代を経るごとに過疎になっていくという認識のもとに、国とともに物流コスト低減の知恵を絞っていただきたいのでありますが、所見を伺います。  公共事業には離島運賃を含めた積算単価がありますが、商業はそうではありません。売り上げに占める海上運賃の割合は、少なく見積もって、大型店で五、六%、小さな店で七、八%以上と言われておりますが、これに粗利が食われている。粗利を運賃に取られると利益率は下がり、企業としての投資活動がおくれます。これは大きなハンディであります。これが純利益として商店に入れば、地域に税金面でも貢献できるでありましょう。隠岐の商店も住民のために本土並みの価格を出したい、品ぞろえを充実させ、住民の暮らしやすさに貢献したいと願っています。私は、そのための新たな施策の展開が必要だと申し上げたいのであります。隠岐の物価は20年前、30年前はもっと本土との格差が大きかったと私は記憶をしています。また、ネット通販がこれほど普及したことによって、離島において豊かな生活物資が手に入るようになりました。これを支えているのは宅配業者であります。かつてヤマト運輸の故小倉昌男会長が離島運賃というものはないとまで言ったユニバーサルサービスの理念は、今や過疎化の進行によって極めて危うくなっていると私は認識をしているのであります。  予算を伴う新たな施策の拡充を求める上で、島根県単独では発信力が十分ではないかもしれません。特定有人国境離島を抱える地域は、北海道、新潟、石川、島根、山口、長崎、鹿児島、そして東京都の8都道県に及びます。溝口前知事は他県に呼びかけ、連名で政府に要望活動を展開されましたが、組織化はできておりません。日々の活動は離島自治体による全国離島振興協議会に委ねられているのであります。外海遠隔離島である隠岐を再生することは、近年極めて危うくなっている海の国境線を守ることに直結する。人が住まなくなれば、国境線を守るために国家は莫大な資金と労力を強いられるでありましょう。有人国境離島法の大義はまさにここにあるのであります。離島の産業や生活機能を守ると公約された丸山知事におかれましては、その行動力を発揮され、ぜひとも7都道県知事に呼びかけ、目的達成のための協議会を立ち上げてでも、国に対して離島住民の声を強力に発信していただきたいと期待いたしますが、決意と所見をお聞かせください。  さらに、特定有人国境離島地域の地域社会維持のための施策は、雇用機会の拡充や安定的な漁業経営の確保など産業政策に及ぶわけであります。島根創生計画のもとに、聖域を設けず、徹底したスクラップ・アンド・ビルドによって財源を捻出し、飛躍のための新たな事業を展望する中で、今年度が最終年度となる新たな農林水産業・農山漁村活性化計画第3期戦略プランの見直しが進行中であります。知事は農業を本県の基幹産業と捉え、現在630億円である産出額を、生産性を上げることでさらに100億円ふやしていくという意欲的な数値目標を示されました。その中心は水田園芸の推進によって農地の収益力を高めることとされていますが、次期戦略プランの策定に当たっては、どうか地域性を十分に考えていただきたいと思うところであります。  隠岐地域で農業という場合、主力は出荷額の4分の3以上を占める畜産であります。隠岐は牛突き文化もあるように、牛は大変身近な存在でもあります。また、放牧により低コストでの生産を行っており、近年の子牛価格の高どまりもあって、高齢化による廃業はあるものの、中核的担い手の増頭意欲は高く、またUIターン者による新規就農など伸びしろを持った分野であります。隠岐牛産地強化のため、県内外からの優良繁殖雌牛の導入、保留への支援や、今後更新される予定の繁殖雌牛の有効利用への取り組み、そして海士町に次いで隠岐の島町でも始まった肥育牛増頭への支援などにしっかりと取り組んでいただきたいと考えますが、所見をお聞かせください。  また、かつて隠岐は林業の島でありました。貨物船での大量輸送によって競争力を持ち、財産といえば山のことであった時代が長く続きましたが、輸入木材による国産材価格の下落により、林業は長い間低迷をしてまいりました。特に島前地域では、松くい虫被害により松資源が壊滅的状況になったことから、島前3町村が主体となり、平成8年に隠岐島前森林復興公社が設立され、被害跡地の森林再生に取り組み、資源は年々回復をしてきています。これを受けて、集荷、積み出し拠点である別府港十景地区岸壁の拡張整備に取り組んでいただいていることに感謝を申し上げます。一方、島後では、ようやく近年出荷も上向き、林業に従事する若者もふえつつあり、将来に明るい展望が開けたところであります。主伐期を迎えた森林は8割に達すると言われる中で、「伐って、使って、植えて、育てる」循環型林業の推進とともに、出口である出荷体制の整備が求められています。供給をふやす上でネックとなっているのが、手狭な積み出し岸壁であります。西郷港小田地区の通称材木団地の整備拡充を求めて久しいわけでありますが、現状をどう理解していますでしょうか。一刻も早い整備を求めるものでありますが、見解と整備方針をお聞かせください。  また、隠岐の基幹産業は、何といっても漁業であります。島内経済に占める漁業生産額の割合は、県内の他地域と比べて1桁多いのであります。6月議会において水産物の流通について私は質問いたしましたが、その際に言及が足らずに、関係者に不快な思いをさせたことをおわびしたいと思います。少ない人数で現場の漁協職員たちは懸命に努力をしている。県はしっかり中に入り、役職員と連携をとって漁業を支えていただきたい、このことを申し上げたかったところであります。早速に県の主導で、地元漁協や小売店、飲食店、宿泊業者、地元自治体など関係者参加のもとに隠岐地域水産物の島内流通検討会を立ち上げ、検討に入っていただいていることに感謝を申し上げます。また、移出への取り組みについても、海上輸送やトラック便への支援に目が行きがちでありますが、沿岸漁業で揚がった魅力ある隠岐の水産物を、小ロットであっても空輸によって首都圏のユーザーに届けることがブランド戦略の上からも競争力を持つと私は考えています。そのためのシステムづくりにも取り組むべきだと思いますが、所見をお聞かせください。  さて、お盆の最中、台風10号が隠岐島上空を通過しました。事前に予想進路が発表されていたため、西郷湾内は隠岐周辺海域で航行、操業する船舶や県外沖合漁船と地元漁船の避難で混乱が見られました。東側の西郷港は、国の重要港湾として荒天時には島外からの船が避難をしてきます。また、西側の西郷漁港は利用範囲が全国的であるとして第3種漁港に指定をされています。近年大型化する台風の猛威の前に、安全な避難港としての整備の必要性を感じたところであります。漁港区域は西郷湾の西側でありますが、土砂の堆積により水深が浅くなり、船の大型化によって回航しようとしてもプロペラが当たり利用できないとの声も耳にするところであります。しゅんせつ工事を含め、地元漁業者の声に耳を傾けながら、西郷漁港の全面的な活用が図られるよう、次の整備計画の策定に取り組んでいただきたいと考えますが、今後の西郷漁港整備計画について所見をお聞かせください。  離島振興は多岐にわたります。有人国境離島法による地域社会の維持に係る計画は、離島振興計画の10本の柱のうち、交通と産業にかかわる分野でしかありません。定住のための課題はあまたありますが、本県の離島振興計画の重点戦略の一つ、「隠岐の豊かな独自の自然・文化の保存・継承」のうち、循環型社会の形成の観点から1点申し上げます。  2015年9月、ニューヨークでの国連サミットで採択されたSDGsにより、持続可能な社会への関心はかつてない高まりを見せています。これを受けて政府は昨年4月、第五次環境基本計画を閣議決定し、ことし2月、地域循環共生圏の構想が打ち出されたことは御承知のとおりであります。環境に最大限の配慮をしながら自然の中で共生していく、そこにこそ未来の住み方があるという価値観を発信することが、隠岐ユネスコ世界ジオパークをより魅力あるものにしていくことになるでしょう。  このような視点で隠岐地域の産業廃棄物処理を見ると、極めておくれていると言わざるを得ません。例えば漁業系廃棄物であるプラスチック廃船や漁網類を島外で処分しようとすれば、運搬費を含めた処分費が高くつき、処分に踏み切れないとの声を聞きます。このままでは海洋汚染の元凶であるマイクロプラスチックの発生源ともなりかねません。運搬費を補助すればよいとの考えもありますが、島内のごみを外に持ち出すばかりでなく、可能な限り島内処理を考えるべきでありましょうし、このことは域内経済の循環にもつながることであります。既存の廃木材を中心とした中間処理施設において廃プラスチックの処分を新たに行う場合、大きな投資となりますが、公共性の高いこういった設備への支援策が必要であります。プラスチックを例に出しましたが、ユネスコ世界ジオパークに認定された国立公園隠岐を所管する環境省とも連携し、地域循環共生圏のモデルとなるような地域を目指すべきであります。隠岐は、ビジネスを始めあらゆる面で環境に配慮し、自然と共生していくという価値を前面に出すことで、若者を引きつける先進的な離島でありたいと私は考えますが、所見をお聞かせください。
     最後の質問は、島根の次代を担う青少年の健全育成についてであります。  青少年育成の大もとは、家庭教育にあります。平成18年に改正された教育基本法において新たに家庭教育の重要性が規定されました。第10条では、第1項で「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。」、第2項では「国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。」とあります。本県においては、この第2項に規定する「必要な施策」を具体的にどのように展開しているか、その評価とともにお伺いいたします。  私は、島根創生の根幹は人づくりにあると考えております。そして、教育の魅力化に代表されるように本県の教育の基本理念である、島根を愛し世界を志す心豊かな人づくりのもとに、学校、家庭、地域が協働する教育環境を目指す中で、ふるさと教育を掲げ、社会教育、生涯教育の振興にも力を注いでいることに敬意と期待を寄せる者の一人であります。しかし、学校、家庭、地域と言いながら、こと家庭教育についてまだまだ施策が弱いとの印象は否めません。古今東西、家庭教育こそ教育の出発点であり、人間形成の原点であるとの認識は共通するものでありましょう。「家族との触れ合いを通して、子どもが、基本的な生活習慣や生活能力、人に対する信頼感、豊かな情操、他人に対する思いやり、基本的な倫理観、自尊心や自立心、社会的なマナーなどを身につけていく上で重要な役割を果たしています。」と、文部科学省も社会全体で家庭教育を支え合う家庭教育支援の重要性を強く意識をしています。「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有する」と明記された第10条を踏まえて、より積極的な展開を図ろうではありませんか。全国的にも家庭の教育力の低下が叫ばれ、増加の一途をたどる児童虐待やいじめや暴力行為、不登校といった問題に対して、子どもたちの生きる力の大もとである家庭教育の強化が必要と感じますが、所見をお聞かせください。  私は、去る7月31日、同僚議員とともに熊本県議会を訪問し、熊本県の家庭教育支援の施策体系を調査してまいりました。そこでは、くまもと家庭教育支援条例に基づき、5部局18課75本の施策が体系的にまとめられ、県民にわかりやすい広報とともに展開をされておりました。とりわけ感銘を受けたのは、学校、地域、家庭の教育力を三位一体のものとして捉え、社会教育における「親の学び」プログラムの推進に県民とともに取り組む姿であります。そこでは、「親の学び」のトレーナーや進行役養成講座に多くの親が参加し、受講後はその方々がそれぞれの地域で今度は講師となり、例えば青年会議所や各業界団体青年部の集まり、あるいは就学時健康診断の場や学校説明会の場などで「親の学び」講座をその方々が開催し、また既に幼稚園、保育所における乳幼児の保護者にまで普及が始まっているとのことでありました。さらには、「親の学び」次世代編として、集団宿泊研修やホームルームにおいて中高生が親になるときのための学びの機会も提供されていました。さらなる工夫、周知が必要ですと言いながら、この「親の学び」プログラムの受講者数が5年間で何と31万人だというんです。まさに県民運動。保護者だけでなく、地域の人々も、子どものために親が学ぶのは当然と考えている。これらを続ける中で、県庁内の意識改革が進み、市町村との連携が進み、PTAを含め学校等での取り組みの機会が増加したとの成果が報告され、教育庁の担当者が自信にあふれた態度で親の価値観が経済の物差しから幸福の物差しに変わってきたと発言したことに、私は大きな衝撃を受けたのであります。万葉の歌人、山上憶良が「銀も金も玉も何せむに勝れる宝子にしかめやも」と詠んだ光景が目に浮かんだのであります。全国学力・学習状況調査において高い評価を受ける秋田県では、学校が宿題をきちっと出して、それを親が責任を持って家庭でさせるという連携が話題になったところでありますが、熊本県では、よりよい社会をつくるという長期的視点から、いじめや虐待や不登校、さらには非情な事件が相次ぐ時代の根本を深く見据えた取り組みがなされていたのであります。飛躍と思われるかもしれませんが、この取り組みは必ず人口減少対策につながると確信をしてまいりました。家庭教育支援条例の制定を含め、この熊本県の取り組みに学ぶべきだと思いますが、教育長の所見をお聞かせください。  親への教育といえば、教育委員会だけの仕事ではありません。しまね青少年プランであるスサノオプランの中で、家庭の教育力向上のための親学プログラムの活用がなされていますし、地域全体で青少年を育む意識の醸成がうたわれています。しかしながら、本気の県民運動としてこれが私たちの日常生活に根づいているかといえば、甚だ心もとない。本県にも全県の関係団体で構成される青少年育成島根県民会議がありますが、青少年健全育成の視点からも、今こそ県民が主体となった家庭教育支援の積極的な取り組みを県民運動として展開すべきではないでしょうか。健康福祉部長の所見もお聞かせください。  もう一つ、福島県は会津若松市のあいづっこ宣言を紹介いたします。これは、会津の伝統的な規範意識を踏まえて、家庭、学校、地域が一体となり、青少年健全育成の共通の指針として策定されたものであり、6つの行動規範とそれを締めくくる1つの行動規範で構成されています。「1つ、人をいたわります、2つ、ありがとうごめんなさいを言います、3つ、がまんをします、4つ、卑怯なふるまいをしません、5つ、会津を誇り年上を敬います、6つ、夢に向かってがんばります」、そして最後に「やってはならぬやらねばならぬならぬことはならぬものです」と結ばれます。決して時代錯誤ではありません。自分たちはこんなふうに成長していきますという子どもたちの宣言であると同時に、大人もまた子どもたちの手本となり、このような子ども、会津人を育てますという、子どもから大人までみんなの宣言だというんです。そして、その取り組みは家庭教育講座や朝のあいさつ運動、年上の人への絵手紙作品募集、小学校1年生を対象とした暗唱合格証の授与、地域単位での活動の表彰など多岐にわたり、市内各所にあいづっこ宣言の立て看板が設置され、啓発のための宣言書は企業や店舗も含めてそれこそ無数に張られています。会津もまた住民運動推進母体は、会津若松市青少年育成市民会議及び青少年育成推進協議会であります。このように全国各地で現代社会の風潮に警鐘を鳴らし、次世代によりよい社会を紡いでいこうという行動が展開をされています。そこに共通するのは、人づくりこそ地域発展の土台であるとの認識であります。島根創生においても、子どもから大人まで全ての世代において人づくりが重要であることは論をまたないところでありますが、その実現には縦割り行政の制約を改めた組織体制が必要と考えるところであります。その上で、これまでの議論から、最後に知事に人づくりへの思いをお伺いいたします。  もろもろ申し上げてきましたが、いよいよ島根丸は丸山知事という新しい船長のもと、令和の時代にこぎ出しました。経済の活性化なくしては若者は帰らないのは当然であります。しかし、そこには時代の変化というものが常にある。現在のものを活性化するだけでは活性化にならないのであります。まさにスクラップ・アンド・ビルド、令和2年度当初予算編成方針に示されたとおり、極めて厳しい財政状況の中で知恵を絞って新しいものをつくっていかなければ島根県は活性化しないとの思いは、その認識は私も同じであります。県行政と県民が同じ方向を向いて、情報を共有してしっかり取り組んでいく、知事はこうおっしゃられました。この人口減少に打ち勝ち、笑顔で暮らせる島根を目指して、そしてそういう中で全体を考えて、県民の努力をもっともっと積極的に求めていくことが必要だと私は考えているところであります。今後の知事のリーダーシップに大いなる期待を申し上げまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 36: ◯副議長(中島謙二) 丸山知事。  〔丸山知事登壇〕 37: ◯知事丸山達也) 吉田議員の3点の御質問にお答えをいたします。  最初の御質問は、運賃低廉化の対象者を出郷者まで広げることについてであります。  特定有人国境離島に対する支援の拡充を求める意見については、地元隠岐4町村を始め、これまでいろいろな場面でお聞きしており、運賃低廉化に対し、議員御指摘の大学生などや出郷者のほか、観光客など島外にも広げてほしいといった声のほか、本土に比べ割高な生活物資などの輸送費への支援拡大などさまざまな御要望を伺っているところであります。  運賃の低廉化に関しましては、国の制度改正に合わせ、隠岐においても平成29年10月からその範囲が拡大され、住民に加え、住民が扶養している離島地域外に居住している18歳以下の児童生徒などや、離島での移住・定住や継続的来訪を検討する方などを住民に準ずる方として対象が拡大されたとこであります。また、平成30年度からは、観光客を含む全ての方々を対象に企画乗船券が設定されるなど、一定の事実上の運賃低廉化が図られてきたところであります。国に対しましては、これまでも重点要望などを通じまして拡充を求めてきておりますけれども、さらなる拡充を要望をする際に運賃低廉化においてどのような対象者への拡大を求めるのか、またもう一つの課題であります生活物資等の輸送費への支援拡大を優先して求めるのかなど、隠岐4町村のお考えをよく聞いて対応する必要があると考えております。  いずれにしましても、有人国境離島の地域社会の維持、発展が図れるよう、隠岐4町村と連携しながら、国に対し制度拡充や十分な予算枠の確保について働きかけていく考えであります。  次に、関係いたします7都道県に呼びかけて協議会を立ち上げ、離島住民の声を強力に発信していくことについてであります。  一般に国に対して支援拡充などの要望を行う際には、同じ状況にある関係の都道府県が一体となって要望するほうが国の受けとめも大きくなりますので、要望を実現するに当たって有効な手段であるというふうに考えております。一方で、この特定有人国境離島地域について見ますと、指定されたそれぞれの地域は都道県ごとの人口規模が100人程度のところから12万人程度のところまであり、比率を見ましても1%未満から9%程度と、各都道県ごとにその置かれている状況がさまざまでありまして、有人国境離島法に基づく支援の拡充について、どういった内容を国に求めていくかといった内容も一律でないという傾向がございます。また、議員御指摘の組織化についての各都道県の受けとめ方、考え方もさまざまかと思いますが、まずは冒頭に申し上げました組織化する、関係都道府県が連携するということのメリットも示しながら、7都道県の考え方を確認した上で対応を検討していきたいというふうに考えております。  次に、人づくりを実現するための組織体制と人づくりへの思いについてであります。  体制といたしましては、人づくりが多くの部局にかかわるものであるため、担当の組織はつくらず、政策企画局を中心として各部局の次長級の職員で構成するプロジェクトチームにおいて、部局横断で施策検討、推進を進めているとこであります。この島根をつくる人づくりプロジェクトにおきましては、私からも職員に対しまして、みずからの部局の中で完結するような提案ではなく、他の部局にもわたる幅広い提案を行うように指示をしているとこであります。プロジェクトチームからは、先日、施策の方向性について報告を受け、これから予算編成を通じて事業内容の検討を行うことといたしております。今後も、プロジェクトの中でフォローアップを行うことといたしておりますので、当面はこの体制で施策の推進、見直し、それからこの推進といった形で進めていきたいというふうに思っております。  そして、人づくりに対する私の考え方についてでありますけども、島根創生の実現のためには、島根に愛着と誇りを持ち、この地域の将来を支えたいと思っていただける若い方々を育んでいく、そしてその方々に残っていただける、戻ってきていただける環境をつくっていくということが大事であります。人づくりにおきましては、特にこの島根において自分の一生を暮らして、過ごしてもらうという観点から、進学ですとか就職、地域活動など、女性の方ですと出産、子育てといったさまざまなライフイベントがございますので、人生を切れ目のない視点で捉えて、家庭、学校、地域社会や行政、市町村も含めた、県も含めた、一体となって取り組みを進めていくことが欠かせません。こういったことを県行政と県民の皆さんがしっかりと共有することが大事だと思っております。議員からも御指摘がございましたとおり、県政として県民の皆さんのやる気、力をどれだけ引き出していけるかということは、この人づくりにおきましても、その帰趨を決める大事な要素であると思っております。行政のみならず、家庭や地域社会を支えていただいている県民の皆様の御理解と御協力をいただきながら、島根の次の世代を担う、次代を担う人材の育成と、そして戻ってきてもらえる、人の還流づくりに取り組んでいきたいというふうに思っております。私からのお答えは以上でございます。 38: ◯副議長(中島謙二) 穐葉地域振興部長。  〔穐葉地域振興部長登壇〕 39: ◯地域振興部長穐葉寛佳) 有人国境離島政策に関する4点の御質問にお答えいたします。  まず、準住民とはどのような定義であるのかについてであります。  国の特定有人国境離島地域社会維持推進交付金の交付要綱では、航路、航空路運賃低廉化の対象者を住民及びこれに準ずる者として市町村が定める基準に適合すると認められる者とされており、さらにその市町村が定める基準についてもあらかじめ大臣の承認を得ることとされております。また、この交付金事業の実施要領において、この住民に準ずる者、いわゆる準住民につきましては、対象となる者として3つ列挙されております。1つに、住民が扶養し、特定有人国境離島の地域外に居住している18歳以下の児童生徒と、2つに、移住・定住促進施策の一環として行う事業によって特定有人国境離島地域における体験移住、体験居住、体験就業、居住物件の探索などのために来訪する者、3つに、市町村長が交流拡大施策の一環として行う事業によって特定有人国境離島地域において一定期間学習、研修、就労、実習等を行う者、島留学もこれに当たります、そしてその者が未成年者にあっては、その保護者や兄弟、姉妹を含む、この3つとなっております。  次に、運賃低廉化の対象を扶養している専門学校生や大学生に拡大することについてであります。  先ほどお答えしたとおり、交付金の実施要領では、島民が扶養し、島外に居住している18歳以下の児童生徒等が準住民として運賃低廉化の対象とされております。これを、専門学校生や大学生までを含む、つまり低廉化の対象年齢をさらに広げていくためには、国が定めている準住民の対象者の範囲が拡大されることが必要となります。先ほど出郷者に対する御質問に対し知事が答弁いたしましたように、国に対してはこれまでも重点要望などを通じ支援制度の充実を求めてきておりますが、さらなる拡充を要望する際に運賃低廉化においてどのような対象への拡大を求めていくのか、優先順位も含め、隠岐4町村のお考えをよくお聞きしながら対応を検討していく必要があると考えております。  次に、物価・物流に関する実態調査報告書の説明、そして物価高の改善に向けた活用方法、あわせまして国とともに物流コスト低減の知恵を絞っていくこと、この3点につきまして関連がありますので、一括してお答えいたします。  昨年度、実施した物価・物流に関する実態調査は、隠岐地域の生活に必要な物資の輸送コストが価格形成に与える影響を把握するため、隠岐地区のほか、松江市の小売店、卸売業者、さらに運送事業者を対象に実質調査したものです。この調査で行った小売店や物流業者への聞き取り等により把握できた主な傾向は次のようなものであります。1つには、本土との物価の比較についてであります。先ほど議員から品目ごとの比較を御紹介いただきましたが、松江市における各品目の物価平均値を1とした場合、隠岐地区の中型店で1.11、小型店で1.29と、1割から3割程度高いこと、2つに、隠岐地区の一部の中型店では物流コストを系列店全体で吸収をし、本土側と同一の価格で販売しているケースもありますが、ほとんどの小売店は海上輸送に係るコスト分が商品価格に転嫁されていること、3つに、隠岐地区の小売業者は小規模であるため、仕入れ量や仕入れルートの影響から仕入れ価格自体が高くなっていること、4つに、海上輸送費は毎日のように注文する中型店では年間約6,000万円かかっているところもあり、箱単位で時々注文する小型店でも年間数十万円から数百万円かかっていること、こういったことが把握できたところであります。  この調査結果につきましては、去る8月に開催をいたしました離島総合振興会議において、4町村及び農林水や商工などの業界団体に説明をし、議論の素材として提供したところであります。物流コストの低減にどういった方策が効果的であるのか、国とともに知恵を絞るためには、まずは現場である隠岐において何ができて、何ができないのか、課題解決のためには何が必要なのかについて具体的に明らかにしていく必要があると考えております。今後、隠岐4町村の御意見を伺った上で、物流コストの低減に向けた対策として説得力のある具体案の提示につながるよう、関係者で連携しながら取り組んでいきたいと考えております。以上でございます。 40: ◯副議長(中島謙二) 松本環境生活部長。  〔松本環境生活部長登壇〕 41: ◯環境生活部長(松本修吉) 私からは、隠岐のあらゆる面で環境に配慮し、自然と共生していくという価値を前面に出していくことについてという御質問にお答えいたします。  隠岐地域は、ユネスコ世界ジオパークに認定されるなど、類いまれな自然や歴史、文化に恵まれており、この魅力をさらに高めるためにも、環境に配慮し、循環型社会の形成を目指した取り組みを推進することはとても重要であると考えております。国、環境省が推進しております地域循環共生圏は地域の活力を最大限に発揮し、環境で地方を元気にするとともに、持続可能な循環共生型の社会構築を目指すものですが、隠岐地域においてはそうした先進的な取り組みが既に始まっております。  例えば、隠岐の島町では、バイオマス産業都市構想を策定され、豊かな森林資源を活用したエネルギーの地産地消を目指して、木質バイオマス利用などに取り組んでおられます。また、海士町にある民間企業、AMAホールディングスでは、地域内経済循環の向上や持続可能な環境資本の活用などの計画づくりに国の地域循環共生圏の支援制度が活用されております。このような隠岐の豊かな地域資源を活用した循環型社会の形成を目指した取り組みをさらに進めることは、地域の魅力を高め、国内外に向けたPRにつながり、ひいては若者を引きつけることにもつながると考えます。  議員御指摘の廃プラスチックの処理に関しましては、国は5月にプラスチック資源循環戦略を策定し、リサイクル等を推進しております。こうした新たな国の動きや支援制度について、引き続き隠岐の4町村と情報共有を図り、環境に配慮した施策が展開されるよう支援してまいります。以上です。 42: ◯副議長(中島謙二) 吉川健康福祉部長。  〔吉川健康福祉部長登壇〕 43: ◯健康福祉部長吉川敏彦) 私からは、青少年健全育成の大もとであります家庭教育支援の県民運動としての展開についてお答えをいたします。  島根県が進めております青少年健全育成につきましては、教育関係団体や民間企業等の関係者が青少年育成島根県民会議を構成し、県民運動として取り組んでまいりました。県が策定したしまね青少年プランでは、青少年育成への視点を健全育成の裾野を広げる、誰もの参画を促す、青少年の能力を生かす、自然や年長者の恩恵を受けるの4つとし、裾野、参画、能力、恩恵の頭文字をとってスサノオプランとしております。  具体的な取り組みといたしましては、県民会議と県が連携して行っている、しまね家庭の日運動や「しまニッコ!(スマイル声かけ)県民運動」などがありますが、まだ周知不足のため、現時点におきましては、県民運動としての機運を醸成するところにまでは至っていないというのが実情です。そのような中におきましても、「しまニッコ!県民運動」につきましては、その取り組みを広めるサポーターになっていただいた方がさらに新たなサポーターを誘っていただいたり、勤務地が移動になった方が新しい勤務地で新規のサポーターをふやしていただいたりと、少しずつではありますが、広がりを見せているところでございます。  県や県民会議の取り組みが県民運動として大きなうねりとなるためには、よい取り組みというだけでは不十分であり、自分でやってみたい、伝えたいと思える内容となっているかが重要であります。県民が主体となってみずから取り組みたいと思ってもらえるように事業内容を改善し、一層の充実に努めていきたいと考えております。  また、家庭教育支援につきましては、現在まで県民会議と各市町村の青少年育成会議とが連携して進めてきたところです。今後は、もっと多くの民間企業や団体の方にも会員になっていただいて、今まで以上に家庭教育支援が県民運動として盛り上がっていくようPRや啓発の強化に努めてまいります。私からは以上でございます。 44: ◯副議長(中島謙二) 鈴木農林水産部長。  〔鈴木農林水産部長登壇〕 45: ◯農林水産部長鈴木大造) 私からは、隠岐の第1次産業の振興に関して3点の質問にお答えいたします。  まず、隠岐における畜産振興についてでございます。  隠岐は、島に広がる公共放牧場を活用して良質な子牛を生産し供給するという全国でも他に類を見ない、ユニークな肉用牛生産に取り組んでおります。肉用牛の子牛価格は全国的にいっときに比べて落ちついてまいりましたが、隠岐の子牛生産コストは、県平均と比較して1頭当たり20万円以上安く、今後産地の発展を図る上で大きな優位性があるものと考えております。隠岐における産地の拡大に向けた大きな課題は、公共放牧場の新規整備や荒廃が進んだ牧野の再整備、そして肥育産地が求めている子牛を生産するという観点からの優良繁殖雌牛の導入、この2点が大きいものというふうに考えております。  また、隠岐は、これまで子牛の供給産地としての地位を確立してまいりましたが、今後、良質な子牛を全国にアピールする上でも、更新牛の活用や、現在徐々にふえている肥育牛生産を地域全体でどう取り組んでいくのか、そういった方向を明確にしていく必要がございます。現在、地域の生産者や関係者の間で、現状約2,000頭の繁殖雌牛を今後10年間で1,000頭ふやして3,000頭にするという意欲的な目標をベースに議論が進められていると承知しております。これらのさまざまな課題について関係者が認識を共有し、地域一丸となって取り組めるよう議論の進展を期待しております。県といたしましても、将来的な担い手の確保につながる産地の前向きな取り組みに対して支援を講じてまいります。  次に、隠岐の水産物のブランド化についてであります。  水産物の空輸ということでは、朝、地方の漁港から水揚げされた水産物を、産地や消費地の卸売市場を経由せず、流通を簡素化させて、その日の午後には東京都内のスーパーや飲食店に届けるといった先行事例もあるというふうに承知しております。水産物のブランド化に向けたアプローチは必ずしも鮮度だけではないと考えますが、議員が御提案されたシステムもブランド力強化に向け大きな可能性を秘めているものというふうに考えております。一方で、隠岐の水産物に限らず、このようなブランド化の取り組みが成功するためには、目指すブランド化の姿、そのために狙うマーケットニーズやビジネスチャンスが関係者の間である程度はっきりとイメージが共有されており、生産者を始めとする地元の方々が当事者意識を持ち、新たなビジネスに対して意欲的であることが前提となりますが、現在、隠岐の水産物のブランド化についてはそこまで煮詰まった議論となっていないと認識しております。  県としては、これまで、しまねの食ご縁づくり事業を始め、消費者のニーズや市場動向の把握、新たな商品開発等を支援してまいりましたが、今後とも漁業者の所得向上に資するブランド化の取り組みを後押ししていくことは重要と考えております。まずは、地元における議論がさらに活発に行われることを期待しており、県においても、沿岸漁業者の方々と直接対話する場を設定するなどして、こうしたブランド化についてどのような考え方を持っているのか、よく把握してまいりたいというふうに考えております。  最後に、西郷漁港の今後の整備についてであります。  県が管理する西郷漁港は、中型まき網漁業等の基地となっており、この漁港に所属する船の漁獲高が県全体の約3割に及ぶなど、県漁業にとっても重要な漁港であります。西郷漁港の整備については、県において平成26年度に策定した水産生産基盤整備事業基本計画に基づき、現在まき網運搬船の大型化に対応した岸壁の新設と臨港道路の耐震化を進めております。一方、本年に入り、台風など荒天時に漁船の避難場所として利用している西郷湾西湾奥部の水深が浅くなり、船の回航に支障を来しているとの声が地元漁業者から上がっているというふうに承知しております。県として、現時点で令和5年度を終期とする現在の基盤整備計画を変更する必要があると、そういった認識までは至っておりませんが、速やかに支障の実態を把握した上で、しゅんせつも含めたとり得るべき対策と対策の時期を検討し、遅くとも来年度中に本件についての対応方針を決定したいというふうに考えております。以上でございます。 46: ◯副議長(中島謙二) 真田土木部長。  〔真田土木部長登壇〕 47: ◯土木部長(真田晃宏) 西郷港小田地区の現状と整備方針についてお答えいたします。  小田地区から松江などの島外に出荷される木材は年々増加しており、野積み場が手狭になっていると認識をしております。今後、船舶の大型化に対応する岸壁の整備や、不足している野積み場の拡張整備を行うこととしております。具体的な整備計画につきましては、地元とも調整をしながら検討をしております。 48: ◯副議長(中島謙二) 新田教育長。  〔新田教育長登壇〕 49: ◯教育長新田英夫) 家庭教育に関します御質問にお答えいたします。  まず、家庭教育を支援するための施策とこれまでの評価、そして家庭教育の強化の必要性についての2つの御質問にあわせてお答えいたします。  県教育委員会では、子育て中の家庭における親の学びを支援することを目的とした親学プログラムと、我が子だけでなく、地域の子、地域の親という視点にまで広げ、家庭外や地域社会における親の学びを支援する親学プログラム2を開発してきました。平成22年から24年までは、県が親学ファシリテーターの養成、派遣を行い、プログラムの活用、普及に努めてまいりました。現在は、各市町村において各学校のPTA研修会や、乳幼児の保護者を対象とした研修会などで数多く実施されております。このプログラムの参加者にとっては、育児に関する悩みや不安などを本音で語り合いながら学習する場となっているとともに、参加者同士のつながりづくりや家庭教育を支援する人材のネットワークづくりにもつながっており、子育てに向けた気づきや学びを通して親自身の教育力の向上が図られているものと考えております。  このほかにも、親、PTAの役割や可能性を考えるPTA連合会研修会の開催、専門家、専門員による基本的生活習慣や健康とメディアなどに関する指導事業、そしてしまねのふるまい推進指導員派遣事業など、さまざまな形で家庭教育を支援するための施策を展開しております。  児童虐待やいじめ、暴力行為、不登校といった問題に対してだけでなく、未来を生きる子どもたちにとって必要な力を育む上で、家庭教育の力は非常に大きいものと考えております。引き続き、関係部局や市町村と連携しながら、家庭教育支援の充実を図ってまいります。  次に、熊本県の家庭教育支援の取り組みについてであります。  議員から御紹介のありました熊本県とは10年ほど前から互いに情報交換を行っており、ほぼ同時期に先ほど御紹介した親学プログラムの開発に取り組んだ経緯もございます。その後、熊本県では条例を制定され、学校、地域、家庭が一体となって展開し、成果を上げられていることは議員から御紹介があったとおりと承知しております。  一方、島根県では、県議会において教育に対する県民の意識を高めるため、平成14年度にしまね教育の日を定める条例を制定されました。その中で、11月1日から7日までをしまね教育ウイークと定め、未来を託す子どもたちの教育を、家庭、地域、学校、行政が手を携えて推進することを狙いとしたさまざまな取り組みを行っているところであります。また、毎月第3日曜日をしまね家庭の日と定め、家族で過ごし、家族のことを考える日とするなど、家庭が担う役割の重要性を再認識し、家族のきずなを強める取り組みも行っているところであります。このように、県民の機運の醸成を図りながら、親学プログラムの普及、活用を始めとした家庭教育の支援に取り組んでおります。今後の島根創生、次世代の人づくりを進めていく上で、次の世代の親となる中高生を対象とした学びの機会の提供など、熊本県の取り組みは大変参考になるものと受けとめております。熊本県を始め、全国のすぐれた事例を研究し、本県の家庭教育支援のさらなる充実を図ってまいりたいと考えております。 50: ◯副議長(中島謙二) 以上で本日の議事日程は終了いたしました。  次の本会議は12月3日に開きます。  本日は、これをもって散会いたします。        午後2時14分散会 発言が指定されていません。 島根県議会 ↑ 本文の先頭へ...