▼最初の箇所へ 午前10時00分開議
◯議長(稲田寿久君)ただいまから本日の会議を開きます。
本日の議事日程は、県政に対する代表質問であります。
これより、代表質問を行っていただきます。
28番
斉木正一議員
◯28番(斉木正一君)(登壇、拍手)おはようございます。
鳥取県議会自由民主党の斉木正一でございます。
私自身、久方ぶりの代表質問でございまして、このような機会をつくっていただきました我が会派の同僚議員に感謝を申し上げます。ありがとうございます。
本日は、傍聴される皆さん方、早朝から大変御苦労さまでございます。よろしくお願いをいたします。
きょうは彼岸の入り、暑さ寒さも彼岸までとはよく言われたものでございまして、つい今月初めごろまで続いたことしの夏の暑さは異常高温の連続でありました。その上、7月初めに襲った
波状的豪雨は、
中四国地方を初め近畿、岐阜までの各地に甚大な被害をもたらし、平成最悪の豪雨被害となりました。さらに、関西空港などを激烈な風雨で機能不全にした台風21号の襲来、そして9月6日発災の
北海道胆振東部地震と、まさに日本列島では大規模な自然災害が相次ぎました。亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げるとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。全てにおいて想定外と言わない備えが必要であることを痛感いたしました。
平井知事は鳥取県のために日ごろ大活躍されていますが、このたび8月下旬に
全国知事会と
全米知事会との交流会議が23年ぶりに東京で開催されました。会議の再開を主導された平井知事は、
日米知事交流の深化に期待し、アポロ11号の
アームストロング船長は、「一人の人間にとっては小さな一歩だが人類にとっては偉大な飛躍だ」と表現した、私たちは今、月面に着陸したところだと締めくくりの挨拶をされたと伺っています。日米双方で地域を重視した地方政府による動きが始まりました。
平井知事は、鳥取県のため、日米のために、互いに発展するよう八面六臂の活躍であります。これから先もさらなる活躍を期待申し上げて、質問に入りたいと思います。
まず初めは、平井県政3期目の総括と今後の課題についてであります。
平井知事は「人を元気に」「産業を元気に」「まちを元気に」「改革と絆で元気に」の4つの柱のもと、70項目から成る
鳥取元気プロジェクトをマニフェストに掲げ、平成27年4月の選挙戦を
全国トップの得票率で勝利されました。多くの県民がそれまでの2期8年の県政運営を高く評価し、3期目に大きな期待を寄せた結果であります。3期
目スタート後の同年10月には、鳥取県
元気づくり総合戦略を策定し、以降、施策の進捗状況や新たに生じた行政課題に対応するため、毎年度改定を重ねています。
昨年度までの
取り組み状況について、既に達成または順調が97.3%に上ると自己評価しておられ、KPIを9項目上方修正するなど、着実に成果が上がっているものと理解しています。これまでの県政を逐一振り返ることはこの場ではいたしませんが、
行財政改革を初め企業誘致、雇用の確保、観光振興、移住定住、
子育て環境の充実など、さまざまな分野で全国的なモデルケースとなった先進的な施策を積極果敢に展開し、県民の皆様からの大きな期待にしっかりと応えておられると評価をしています。
しかしながら、依然課題は残っております。例えば
国立社会保障・
人口問題研究所が公表した人口推計によると、2045年の本県の人口は約44万9,000人と危機的な予測がなされており、歯どめがかからない人口減少への対策にさらに注力する必要があります。地方創生の原点は、人口減少の流れを食いとめて、若年人口、
生産年齢人口をふやし、バランスのとれた地域社会を構築することであると考えます。
平井知事におかれましては、全力で走ってこられたこの3年半にわたる地方創生の取り組みをどのように総括し、残り半年間の課題をどのように捉えておられるのかお伺いをいたします。
また、折しも本日は、我が
自由民主党総裁選挙の投開票日であります。本県選出の
石破茂代議士と安倍晋三総裁との一騎打ちで選挙戦が繰り広げられました。事実上、我が国のこれからのリーダーが選出される重要な一日でありますが、知事御自身も鳥取県のリーダーとしての総括を踏まえ、4期目に対してどのような心境でおられるのか、その胸のうちをお聞かせいただきたいと思います。
次に、
参議院議員選挙の合区解消に向けた取り組みについてであります。
平成28年7月の第24回
参議院議員通常選挙から2年余りが経過しました。この選挙では史上初めて、鳥取・島根、徳島・高知の4県で合区が導入された結果、鳥取県内では過去最低の投票率となり、無効票が前回の1.5倍となる約1万1,000票に増加するなど、有権者の意識と関心が大きく低下し、結果的に、本県に地盤を置く議員を全国で唯一送り出せない事態になったことは御承知のとおりであります。
以来、この2年余りの間、合区制度の解消を目指して、対象4県を中心にさまざまな取り組みが進められてきました。平井知事のリーダーシップのもと、
全国知事会を初め地方六団体でもたび重ねて国に要望活動を行うなど、強く是正を働きかけてきたところです。
しかしながら、去る7月19日に、定数の6増と比例代表の一部に
拘束名簿式の特定枠を導入する
改正公職選挙法が成立し、来年夏の参院選では引き続き合区が存続することになりました。合区に対する地方と都市部の温度差や時間的制約がある中、緊急避難的な措置としてやむを得ないものであると一定の理解と評価をすべきでありますが、今回の法改正によって合区が固定化するようなことがあってはなりません。
参議院は、その創設当時から一貫して
都道府県単位で代表を選出し、それぞれの地方の実情を国政に届けるという非常に重い役割を果たしてきました。このまま合区が存続すれば、いずれ全国の
人口少数県に合区が広がり、国の政策決定が大都市優先となり、
地方切り捨てにつながってしまうことを強く危惧するものであります。憲法改正を視野に入れた抜本的な
選挙制度改革を行い、4年後の
参議院選挙では合区が解消されるよう、引き続き国民的議論を喚起しながら取り組みを進めていくべきですし、鳥取県がその先頭に立って旗を振り続ける必要があると思いますが、知事の所見をお聞かせください。
次に、大
規模自然災害に強い県づくりに向けてであります。
そのうち1番目として、平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興と教訓についてであります。
平成30年7月豪雨は、広島県、岡山県、愛媛県を中心に
西日本各地で大きな爪跡を残し、220名余りの方々が亡くなられる平成最悪の豪雨災害となりました。
本県もこの豪雨災害で大きな被害を受けました。県が発表した被害情報によると、
公共土木施設が356カ所、111億1,700万円、農地、農作物、林道など27億800万円に上るとのことであります。一日も早い完全復旧が待ち望まれるとともに、この災害から学ぶべき教訓をしっかり受けとめ、今後の対策に生かす必要があります。
県では、発災後間もない7月12日に県管理の道路や河川の応急復旧、農地・
農業用施設の復旧、
風評被害払拭に向けた
観光誘客促進など、総額18億2,300万円の補正予算を専決処分されました。この日の
県議会代表者会議で知事は、今回の補正は当面の応急対策であり、9月議会までのつなぎの予算である旨を発言されています。このたび提案された9月
補正予算案には、
豪雨対策関係として総額123億円が盛り込まれていますが、復旧・復興の見通し、さらにはこの災害から学ぶべき教訓をどのように捉えているのか、知事の所見を伺います。
今回の豪雨では、県内で初めて
大雨特別警報が発表されました。この特別警報は、これまでにない危険が迫っており、命を守るための行動を呼びかけるものです。県内の各市町では、避難準備、避難勧告、避難指示が発令されましたが、住民の方々からは、それぞれの違いがよくわからない、雨音で屋外の放送が聞こえなかったなどの声を聞きます。県内では約20万人を対象に避難指示が出されましたが、実際に避難したのは約2,100人と、1%にとどまりました。甚大な被害があった倉敷市真備町地区では、9割の方が住宅内でお亡くなりになったとの報道もありました。住民の危機意識をどうやって高めていくのかが大きな課題となっています。
県では、災害を受けて安全・避難対策の
あり方研究会を立ち上げ、年内を目途に避難情報の伝達のあり方や早期避難のための
体制づくりについて取りまとめを行っていますが、課題や今後の方向性について知事にお尋ねをします。
また、県警察におかれましては、被災地に応援部隊を派遣し、懸命の救助活動を行ってこられました。今後も、豪雨災害に限らず地震災害などについても大規模な被害を想定した対策が求められますが、警察における対策の状況と今後の取り組みの方向性について、
警察本部長にお尋ねをします。
2番目として、今夏の記録的猛暑の教訓についてであります。
ことしの夏は、気象庁が、これまでに経験したことのない命の危険がある暑さ、一つの災害と認識していると記者会見でコメントするほどの記録的な猛暑が続きました。報道によりますと、エアコンの設置、買いかえが追いつかなかったり、野菜の卸売価格が軒並み高どまるなど、家庭、家計にとっても厳しい夏となりました。
本県では、従来の
熱中症警報に加え、異常高温・
熱中症厳重警戒期間を新設し、7月25日から8月10日まで適用したところであります。また、本年4月30日以降8月末までの県内での熱中症による救急搬送は575人に上り、これまでの統計を大きく上回っています。
災害レベルの猛暑を前に何よりも優先されるのは、命を守ることであるのは言うまでもありません。特に高齢者や子供など、
体温調整機能が弱い、いわゆる
熱中症弱者とされる方々への注意が必要です。県では県民に、不要不急な外出を控えること、小まめな水分補給を呼びかけることなどの周知を行ってこられたと承知していますが、今夏の経験をもとに県民の命を守るための対策を部局横断的に検証し、来夏に向けた必要な対応を取りまとめるべきであると考えますが、知事の所見を伺います。
また、学校現場での取り組みも非常に重要です。学校での教育活動中や
高校野球等の
各種大会開催中に救急搬送された事例が数多くあったと仄聞しています。屋外での活動の延期や中止、時間短縮等、現場の皆様には大変な御苦労があったことと思いますが、どのような
リスク管理がなされていたのか、その点検結果と総括を教育長に伺います。
3番目として、鳥取県中部地震からの福興であります。
この場合の「ふっこう」の「ふく」の字は幸福の「福」でありまして、原状回復を上回る復興という意味でございます。
来月、鳥取県中部地震の発災から2年を迎えます。県では
復興本部事務局を設置し、被災市町や関係者と一体となって、復興、さらには原状回復を上回る福興に向けた取り組みを進めているところであります。
県が独自に設けた被災住宅の再建や修繕を支援する制度について、7月末までの申請状況を見ますと、住宅の損壊割合10%以上の世帯を対象とした
被災者住宅再建支援補助金は対象世帯の98%、損壊割合1から9%の世帯を対象とした
被災者住宅修繕支援補助金は対象世帯の99.9%が申請されているとのことでございます。この補助金の申請期限は10月末となっていますが、未申請の方への働きかけや最終的な見通しをどのように考えておられるのでしょうか。住宅は生活する上での基礎となるものであります。申請された方も含めて、被災された方々が福興に向けた歩みを進めることができるよう万全を期していただきたいと思いますが、知事の所見を伺います。
次に、県財政の現状と将来に向けた課題についてであります。
このほど本県の平成29年度
一般会計決算の状況が明らかになりました。平成29年度は単年度収支でマイナス25億円、平成28年度はマイナス50億円でしたので、2年連続して大幅に単年度収支がマイナスとなっております。非常に重く受けとめなければならない問題であると危惧しています。
状況を簡単に申し上げますと、歳入については、
臨時財政対策債を含む実質的な
地方交付税が大幅に減少したものの、国の経済対策による
国庫補助金や県債などの収入が増加したことによって前年度を70億円上回りましたが、歳出は公債費や
普通建設事業の増などにより前年度より106億円増加しており、歳入の増加分を大きく上回っています。大変厳しい状況であり、これまで以上に効率的な事業執行が必要となりますが、まず、この
一般会計決算について知事の現状認識を伺います。
国においては、来年度の
一般会計予算の概算要求が8月末で締め切られ、各省庁からの要求総額は5年連続で100兆円を突破しています。世界に類を見ない財政赤字を抱える我が国の財政状況にあって、
社会保障費を初めとした歳出予算がさらに膨らむ中、
地方交付税を中心とした地方への配分予算に厳しくメスを入れていこうとする国の姿勢はもはや明らかであり、来年度以降もその延長線上に物事が進められるのではないかと容易に予測ができます。このままの状態が続くと、本県の目指す地方創生の実現が困難となることを危惧します。
今後、年末にかけて財務省と各省庁との予算折衝が本格的に行われることになりますが、このたびの概算要求に対して本県はどのように来年度予算に反映していくおつもりでしょうか。極めて厳しい歳入を見込んだ上で、未来にしっかりと投資をする非常に困難な予算編成が見込まれます。来年4月には
統一地方選挙を控えており、骨格予算をお考えかもしれませんが、来年度予算編成に向けた所見を知事にお伺いをいたします。
以上で最初の壇上からの質問を終わりたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)28番
斉木正一議員が行いました代表質問に対する答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)斉木議員の代表質問にお答えを申し上げます。
今、まず季節、彼岸の入りだということであるとか、さらに
日米フォーラムや災害のことにも触れられまして、私のほうにもエールを送っていただいたところでございます。
「雲去ればもののかげなくうす赤き夕日の山に秋風ぞ吹く」という若山牧水の歌がありますけれども、確かにそういう嵐の後、雲が去りまして、そんな穏やかな秋の日も最近は出てくるようになったかと思います。ただ、このような季節の移り変わりを見るにつけまして、ここ最近災害が大変続いていたことを改めて思い知る、そんなときでもあろうかと思います。
私たちは、ともにこの県政を担おうと、斉木議員が初当選されたころから私も鳥取県庁に奉職をさせていただきまして、一緒にこの県政をつくり上げてきた、そういうパートナーとして大変お世話になってまいりました。議員におかれましても、これからの御活躍をお祈り申し上げるところであります。
そういう中、
日米フォーラムが開催をされました。今、国際情勢も移り行く中でございます。折しも昨日は
南北首脳会談が行われたわけであります。これからアメリカがどういう出方をしてくるかということが注目をされており、日米間では日中の貿易摩擦、この余波が心配されますし、さらに自動車についての課税がどうなるのか、この辺も重要なところになってきております。
考えてみますと、私たちはともに地方自治を担っているわけでありますけれども、アメリカにおきましては我々の地方分権の母国のようなところでございます。そこと
サブナショナル、国レベルに準じた次のレベルでのしっかりとした交流を果たし、協力関係をつくろうと、パートナーシップをつくろうと、そういうように呼びかけて
日米知事フォーラムが実現をしたところでございます。
議員のほうからもお話がございましたように、あのアポロ11号の
アームストロング船長の言葉、「one small step for man,one giant leap for
mankind.」という有名な言葉でありますけれども、これを引きまして、人間にとっては小さな一歩かもしれないけれども、人類にとっては巨大な跳躍、飛躍であるというように私も申し上げたところでありまして、アメリカの知事もそのことを深くうなずいておられました。ただ、ここに来てZOZOTOWNの社長が月に行くとか言っていまして、人類の一歩もまた小さくなるかもしれないわけでありますが、ともかくそんなわけで、私たちは新しい時代を地方のレベルで国際間でも協調して開くようになってきているというわけであります。
今、国家間の関係が不透明になる中、我々地方の果たす役割は、世界とのつながりの中でも重要になってきているのではないかなというふうに思うところであります。
そういう中で、これまで3年半の地方創生の取り組みをどういうふうに総括し、残り半年間の課題をどう捉えているのかということ、さらには、折しもきょうが総裁選挙の日でありますけれども、私自身4期目というステップに向けてはどのような心境なのかと、こういうお話をいただいたところでございます。
この3年半の任期、議員の皆様とともにさせていただきまして、ある程度着実な成果も出してこられたかなと思います。議員もおっしゃっておられましたけれども、私自身も、人を元気にしよう、まちを元気にしよう、また産業を元気にする、改革やきずなで元気にする、そうした中で70の
チャレンジ目標をつくらせていただきました。そのうちの97%で大体めどが立ってきたり、既に達成済みというものが出てきております。これは私一人の成果ではなくて、皆さんとともにつくり上げることができた成果だと思っております。
例えば移住のことでも、昨年度は2,127名という移住者の数を数えることになりました。これはとても考えられない数字になってきておりまして、3年間で既に目標は達成して、今、上方修正をするというぐらいになってきているところであります。議員のおっしゃった人口減少の歯どめがかからないということにつきましても、これは厚労省の関係団体の
人口問題研究所のほうが推計を置くわけでありますけれども、私どもの2040年の
人口推計値、これが前回出した推計値よりも3万1,000人上がったわけです。7%ぐらい上昇したわけであります。これは全国から見ますと非常に卓抜した伸びということになります。ただ、それでもトレンドとしては人口減少はとまっておらないわけでありまして、それに今歯どめがかかりつつあるという状況を、例えば先ほど申し上げた移住のことでありますとか、そうしたことが評価されまして推計値も変わってきたということであります。
また、農業では764億円の生産額、V字回復ということになりました。これも関係者と大変喜び合ったものでありますが、今後はいずれ1,000億円を目指していこうと、そういうふうに意気も盛んになってきているところでございます。
そのほかにも、1人当たりの県民所得も225万円まで、これはまだ27年の数字でありますけれども、直近の数字がやや回復してきておりまして、今までの
減少一辺倒からフェーズ、段階が変わり始めているということにもなってきました。この辺も中小企業の振興策として
経営革新制度、これを積極的に導入をしたり、また、投資を呼び込むようなことをやってきたり、それから新規産業の目玉として医薬品や医療器材、さらには
航空機産業など、手のかかるような、そういう企業を呼び込んできていることなども効果が出てきているのかもしれません。
現に昨日も城洋という会社が、鳥取市内の
山手工業団地、こちらのほうに進出する地鎮祭をとり行ったところでありますが、ここも
航空機産業に関連する部品製造にかかろうと、こんなような目標のもとに今回の基地、拠点開設を図ったところであります。4年前ぐらいにはちょっと考えられなかったような、そういう企業の顔ぶれも出始めているということでございます。
ただ、片方で新しい課題も生まれてきているわけであり、それが、一つは、議員が強調された災害への対処ということだと思っています。残り半年となりまして、我々もいよいよ最後に向けてラストスパートをかけなければならないところであります。そんな意味で、目標の成就、達成はもとよりのこと、特にこの間、この任期が始まる前に予想していなかったそうした災害対策、中部地震からの復興、これに完全な道筋をつけていきたい。あるいは今回の
西日本豪雨対策、こうしたことにもこの半年間で一定の決着をつけるぐらい頑張っていく必要があります。また、将来に向けては、防災などの礎をつくっていかなければならないだろうと思っています。こんなようなことを、私たちとしても仕上げ段階として特に留意しなければいけないのではないかなというふうに思っているところであります。
そういう中、本日、
自由民主党の総裁選挙ということでございますが、折しも昨日、公明党のほうでは
山口那津男代表以外に選挙の届け出がございませんで、山口代表の続投が決まるということになりました。また、ついせんだっては、
国民民主党のほうで玉木代表が選出をされるということになりました。こうやって、今、与野党を通じて新しい代表の姿、体制というものが次々に固まってきているところであり、きょうは、議員もおっしゃったとおり、総理の座に直結をするような
自民党総裁選挙の大切な日ということであります。
やはり民主主義ということを我々は考えなければなりません。鳥取県は一番小さな県であります。だからこそ風通しのよいコミュニケーションを県民の皆様と一緒につくり上げていき、それでみんなで考えて、みんなで決めて、みんなで行動をする、こうしたことをしていく必要があります。いわば民主主義あるいは地方自治の原点を私たちはつくり得るのではないかというふうにも思っているところであります。
「the ultimate rulers」、つまり、究極の
ルールメーカーといいますか、支配者というのは、大統領でもなければ、上院議員でもなければ、下院議員でもなければ、ガバメントオフィシャル、政府職員でもない。それは私たちの有権者であると。これはフランクリン・ルーズベルトの言葉であります。我々はやはり常に謙虚でいなければならないわけでありまして、私たちは今ここで議場で話し合い、県の方針を決めていく、あるいは条例を制定する、予算を定める立場にございますけれども、私たちの実際のこの地域のリーダー、真のルーラー、支配者というのは、それは有権者であり、県民であるわけであります。ですから、それに対しては私は一番謙虚でなければならない、そういうように、自戒しながら今まで11年半、この県政を担ってきたわけであります。それは次の期についてどういうふうにするかということを考える上でも、この信条だけは曲げたくないというふうに思っております。
今現在の状況を申し上げれば、私どもは4年の任期の4年目の後半に入ろうとしているところでありまして、まだ前半の最後の段階であります。ですから県政を負託していただいた住民の皆様に対する礼儀からすれば、今、私たちは与えられた4年間の任期というものを全うし、きちんとした結果を出すことに全力を挙げるべきときではないかなと自分自身は思っているところであります。
したがいまして、先ほど申し上げました残る半年間で災害対策や防災対策、あるいは
少子化対策や来年に向けた新しい地方自治、財政のあり方、こういうことなど、今年度のうちに仕上げておかなければならない、方針を出さなければならないことにまずは邁進をさせていただきたいと考えておりますし、正直いろんなその余のことを考える余裕もなく走り続けてきた感があります。
議員も平井はよく走るというようなことを先ほどおっしゃっていただいたわけでありますが、安室奈美恵さんの引退のいろんな思い出話なりが今さんざん報道されていますけれども、安室奈美恵さんの言葉で、おお、そうかなというふうに思ったのは、私は余り器用でないので、小さなことであっても目の前にある高いかたい壁にしてしまうということをおっしゃっておられたのですね。実は、多分そんな感性って自分も似ているのかなと思います。災害対策もそうでありますし、あるいは物産の売り込みであるとか観光キャンペーンであるとか、それから企業の呼び込み、あるいは地元企業の振興、それから福祉では、手話のことを初め、そういう障害者とともに生きるまちづくりであったり子育てであったり、その一つ一つのこと、小さな政策かもしれませんけれども、自分の感性からすると多分、必要以上に打ち込んでしまうところがあるのかもしれません。この課題を解決しようと思うと、全力投球をして厚い高い壁に自分自身考えてしまう、そういういわば癖があるのかなというふうに思っております。
ですから、私自身も県政を担ってきて、正直心身も限界かなと思うときも多々あるわけでございまして、そんな自分のことも少しは考えなければいけないのかもしれません。ただ、私自身は県政の道具である、県民の道具である、こういうように考えております。最終的には県民の皆様はどういうふうにお考えなのかということをお伺いしながら、例えば次の4年間、それを担うことが果たして自分に必要なのだろうかと、これは特に客観的に自分自身についても問い詰めてみたいと思っています。そういう時間がいましばらく必要かなというふうにも思っておりまして、結論から申し上げれば、きょう現在では白紙であるというところであります。
次に、参議院議員の選挙制度につきましてお尋ねがございました。憲法改正を視野に入れた
選挙制度改革を行って、合区が解消されるようにすべきではないかと、こういうことであります。
これにつきまして、私自身も奮闘努力してきた分野でございまして、まず法律が通ったときに、
全国知事会でも声を上げさせていただきました。また、その法律に基づいて合区選挙が行われ、結果として鳥取県から一人も代表者が選出されなかった。それを踏まえて
全国知事会の場でもひときわ声を上げさせていただき、正直、神奈川県の知事だとかよその知事も、県から一人も代表が出ないわということで、うっとなりまして、決議に結びつけることができ、合区解消に向けた決議が調うこともございました。
そんなときも、当時の斉木議長が大変率直に相談に乗っていただきまして、議長みずから当時動いていただいたわけでありまして、今でも忘れられませんのは、我々が知事会で議決をした直後、平成28年8月だったと思いますが、御地元の米子のほうで中国5県の正副議長会議をされたわけでありますけれども、そのときこの合区問題というのが大切な問題だと、当時、斉木議長御自身も訴えられて、これを国への要望として取りまとめていただきました。
あの折、斉木議長とも時折お話もさせていただきましたけれども、結構、議長会の中にいろんな議論があって、簡単に全国一つにまとまるのもなかなか大変だというようなお話もございましたけれども、そこで力を発揮していただき、年を明けましたが、平成29年に入ってお正月のころにそうした合区解消に向けた決議を取りまとめていただきました。知事会が先頭を切らせていただきましたが、町村会だとか市長会だとか、地方六団体が最終的にはそろい踏みになるということになりました。ああいうような形で、斉木議員にも御尽力いただきまして一つムーブメントをつくることができたと思いますが、残念ながらこのたび成立した公職選挙法改正では合区解消には至らなかったところであり、御案内のように、憲法改正につきましてもその発議すらなされていないということであります。
実は現在、
自民党総裁選挙が開催されていまして、きょうはその投票日でございますけれども、この際にも地元の石破候補は、憲法改正としてこの合区解消というのを重点的な課題として訴えられました。実は我々知事会の中でも話し合ってまいりまして、両候補に、憲法改正等も含めた合区解消という項目を我々として提案をし、賛否を問うたわけであります。こうした項目を知事会全体の中でも入れていただくように私も発言をさせていただきまして、飯泉徳島県知事が代表者で両陣営に持っていきました。先週その回答が寄せられたわけでございますけれども、その回答は両方とも賛成でございました。ですから、石破陣営はもちろんでありますけれども、安倍陣営のほうも賛成という回答を返してきたわけであります。これから、きょう総裁選挙が開かれる後、どういうリーダーが誕生するか興味があるところでありますけれども、いずれの候補が勝ったとしても、この問題については知事会には合区解消を約束したということだと我々は受けとめています。
ちなみに
国民民主党さんも代表選挙が行われまして、そのときも同じ要請書を持っていっております。回答は求めておりませんでしたけれども、そのことは我々も意思表示をさせていただいたところであります。ぜひ今後とも、精力的にこの問題解消に向けてみんなで努力をしていきたいと思っております。
次に、災害からの復旧・復興につきまして何点かお尋ねがございました。まず、西日本豪雨について、復旧予算の編成に当たっての考え方や今後の見通し、それから、災害から学ぶべき教訓やいかんというお尋ねがございました。また、安全・避難対策の
あり方研究会、これを創設したわけでありますが、今後の方向性はどうだろうかと、こういうお尋ねがあったところでございます。
本県も非常に大きな被害がございましたけれども、実は私ども、この豪雨を前に気象庁にも来ていただきまして、その雨の見通し、こうしたことについてお話を伺っていました。非常に多くの水蒸気が日本のほうに流れ込んできていること、それから、活発な雨雲の活動が予想されることから警戒が必要だというお話をいただいておりました。そしてその後、7月6日の午後7時40分になりまして、本県としては初めてになります
大雨特別警報が発令をされたわけであります。これが若桜町、八頭町、智頭町、それから鳥取市の南部に発令をされました。その後、翌朝7月7日になりまして朝の6時半、早朝でありましたけれども、三朝町、それから南部町、伯耆町、それから江府町、日野町、日南町、鳥取市の北部に
大雨特別警報が追加で発令をされました。
私どもとしては厳重な警戒をとりまして、事前にリエゾンといわれる県職員を張りつけておきましたし、特に
大雨特別警報が出たものですから、土木等のわかる職員をあえて智頭町等に派遣をさせて、事前に対処させていただこうということをいたしました。それから、
大雨特別警報が発令されてすぐに我々も緊急に集まりまして、市町村と結びながら対策本部を設置したところでございます。その際にも呼びかけさせていただいたわけでありますが、やはり命を守る行動をしっかりとやっていただきたいと、こういう呼びかけをさせていただきました。これに呼応して、例えば智頭町長さんも、平井があそこまで言うのだったらということだったと後におっしゃっていましたけれども、御自身もマイクをとられまして、町内全域に放送で呼びかけて避難をお願いしたということもございました。
こんなようなことで、備えながらではありましたけれども、とんでもない雨が降りまして、雨の量からしますと、実は岡山、広島あたりで降っているのと同じ雨雲がかかっていまして、山間部を中心に、やはり未曽有の状況でございました。そういう中、多くの被災箇所が発生をしまして、公共土木でも316カ所、111億円の被害になりましたし、農林水産被害も27億円と大きな額に上りました。このほかにも、交通が途絶しましたので観光関係が痛手を受けるとか、大きな経済的な影響にも及ぶということになりました。
こういう中、議員の皆様の格別の御了解を得まして、発災の直後に緊急に代表者会議を開いていただきまして、その場で私どものほうで専決の補正予算をお願いし、御了解を得ました。そのときに御議論を申し上げたわけでありますけれども、これは当座、秋の県会までのつなぎであると、まだこれから被害が広がるわけでありまして、もしそうなった場合にはぜひ御検討いただくかもしれない、それは先議ということも含めて追加でまた予算をお願いすることになるかもしれないというお願いもその日にさせていただいていたところでございます。そんなわけで、今回123億円の予算はあえて分けさせていただきまして、災害関係、西日本豪雨関係をできるだけ早く御審議いただきたいとお願いをしたところでございます。
今回の予算の中に取り込まれておりますのは、そういう
公共土木施設災害の復旧・復興関係、それから農林水産業対策であります。林業なども、林道は作業道がございますけれども、それについて、基本的な枠組みについては専決補正予算のほうでもお願いをしておりましたけれども、ただ、非常に町の負担が大きくなると。そういうわけで、町の負担について県のほうから緩和できるように上乗せの補助率というのを設定させていただく、こんなようなことも含めて今回出させていただいております。
また、観光については、我々のほうで、あれ以来、中国地方の代表としても参りましたけれども、政府のほうに働きかけをし、観光風評被害対策、これは政府のほうでも発動してもらうことができました。本県でも2億円といったような宿泊のクーポンをいただけるということになりました。これはその後、実は政府のほうの方針変更がございまして、従来この事業は2県以上にまたがりまして宿泊をする場合に発動されるというものでありましたけれども、これを1つの県の中で2泊以上するということも対象とするように方針変更がなされました。これは関係県とも話し合いまして、明日の予約分から、10月1日以降の宿泊につきまして、同一県内での宿泊2泊以上というのも対象として加えることにさせていただこうということになりました。
また、今回は災害救助法の適用団体を中心に発動されていたのですが、私どももそうですが、中四国でいいますと徳島と香川が外れておりました。また観光風評被害ということでいえば、四国に行くお客さんが全体的になくなってしまっているということもありまして、この両県にも1億6,000万円相当、対象額を認めるということになりまして、これも含めて明日予約分から共同対処していこうということにさせていただきました。そのための予算が必要でございまして、今回追加でお願いをしているということでございます。そのほかにも、例えば清水川の排水機場の関係であるとか、さまざまな関連経費をお願いいたしております。
この災害の復旧の見通しはどうかというお尋ねでございますが、例えば道路関係でいうと、国や県の管理で通行どめにしたところが35カ所ございます。そのうちの29カ所については、全面通行どめが現在解消されております。残り6カ所につきましては、これは本格復旧の段階で開通させていただこうということにいたしました。実はこの6カ所は、民生といいますか、ふだんの生活にはかかわりのないところでございますので、中途半端に手を入れるよりも完全に直そうということであります。そういう意味で、災害の査定を国のほうでも急いでもらって作業に取りかかりたいということを申し上げておりましたが、今、相次いでこの9月に災害査定、農林水産省や国交省関係が入ってくるようになりました。そんなわけで、今回こうした対象事業につきまして、災害査定が終わればめどをつけることができますので、今回、本格復旧予算を入れさせていただいているということであります。このほかにも50カ所以上の林道関係につきまして、これも専決補正も含めて今対処中でございまして、追加の予算を入れればそうしたことにも対処できるようになります。こんなような予算をいろいろ今回入れておりますので、よろしく御審議いただければと思います。
教訓はいろいろとあったと思います。特に、私どもの県内もそうでありますが、岡山県真備町の状況であるとか、それから広島県内で目立った土砂崩落の状況、あるいはため池の災害等々、今回西日本を襲った豪雨、それは将来への手痛い教訓としなければなりません。
私どもはそれに向けて動こうということで、議員のほうからも御指摘がございました、平成30年7月豪雨を教訓とした安全・避難の
あり方研究会を創設させていただきまして、鳥取大学の松見先生を初め有識者の皆さんや、こういう防災関係者の皆さん、それから市町村等も加わっていただき、さらに、これの一つの部会としてダムの放流等のあり方も含めた検討もチームでさせていただき、これには国だとか県だとかが入って今作業を進めているというところでございます。
先週の9月14日に、この
あり方研究会、第2回目の会合を開催いたしました。そこでいろいろと意見の方向性が出てきたかなとも思えるのですけれども、一つは、ダムの取り扱いについては専門的な検討も交えながら、あり方も見直していくべきところは見直していきましょうと、こういうことになりましたし、それから、情報の理解を地域の人にしていただく、そういう啓発といいますか、PRも必要だろうと。例えば避難指示とか避難勧告だとか避難準備情報だとか、こういう言葉がございますけれども、これがどういう意味を持っているかというのはなかなかわかりにくいと。
それで、この研究会でも第1回で提言がありまして、さきの台風から我々も試行的に使っているのですけれども、避難勧告というのは、お年寄りとか避難が必要な方は避難を始めていただきたいというようなことであるとか、避難指示であれば皆さん避難してくださいということであるとか、少し言いかえをしながらアピールをしようということを今始めております。また、特別警報だとかハザード、どういうハザードであるか、こういうことについても十分な理解がまだできていないのではないか、これを県民の皆様にもしっかりと持っていただく必要があるだろうと。また、伝達の手段や方法等、タイミング等の問題もあります。
今回皆さんで検討していただいています、やはり空振りを恐れずに出すことをよしとしようと、そういう御意見の方向性が出ているところでありまして、さらにはエリアメール等も有効ではないかと、こういうこともございました。今回の特別警報に当たりましても、実はエリアメールを我々も発出をしまして、平井の名前で知事からの呼びかけという形をして、皆さん、命を守る行動を起こしてくださいと、こういう呼びかけをしました。結構ネットのほうでそれがちょっと反響がありまして、初めて平井からメールをもらったという、県民が驚いておられたというふうなこともあるのですけれども。そんなようなことで、やはりこういうことをやらないと届いていかないということがあるのではないか。
さらには、消防団であるとか自主防災組織であるとか、こうした皆さんにも協力をしていただいて的確に伝達をする、これをもっと考えていこうということ、さらに、行政が呼びかけるのを待つということだけでいいのだろうか。自助、共助でありますので、自助、共助ということをみずから危険を察知したら動いてもらう、それから、隣近所で助け合いながら避難所に行っていただく、こういうことを役所が迎えに来なくてもやる、当たり前のことなのですけれども、それをさらに皆さんにも意識づけとして徹底して持っていただく必要があるのではないだろうか。また、避難所の開設も、これも的確に行っていく、こんなようなことなど、いろんな御意見が今出ていまして、これを取りまとめていこうということにさせていただいております。
ダムのことは非常に深刻であろうかなと思います。愛媛県の肱川のダムにつきましては、あれは一つの量がたまったら、これは一斉に放流する仕組みになっていたのです。ダムの規則としては不備はないということを関係者は強調されているのですけれども、ただ、ふだんの6倍とかそんなレベルで水が出ていきますと、下のほうは洪水を起こして、ひょっとしたら人が亡くなるのではないかというのは当然予測できるわけです。しかし、情報伝達が行ったのが非常に遅かったのではないだろうか、こんなようなことであります。だから情報伝達のことは一つあるのですけれども、それ以前の問題として、ダムの放流のあり方、これはタブーのようでありますが、やはりこうしたことも我々は他山の石として考えていかなければならないのではないだろうかと思います。
実は私ども、今回は本当に危なかったです。きのうも広島から国交省の整備局長が来られていましたので、率直なお話をさせていただきましたが、国交省のほうも千代川が危ないと思っておられたようです。私どもも、その現場の状況は、今カメラも置いていますし水位計も当然ありますし、地元からの情報も得ていたわけでありますが、今回は被害が出るかなという覚悟を私自身も決めかけた時間帯がございました。特に用瀬橋のあたりなどは、もんどり打ってその橋をたたくぐらいに水が来たわけですね。あの辺は非常に厄介なところでありまして、その上流は佐治川と千代川の本流が合流をするところであります。実はその佐治川のダムが非常に重要なのです。私どもは一定率一定量放流方式というのをとっていまして、徐々に放流量を上げていって、それで最後、入ってきた量と同じだけ流すというようなことなのですけれども、こういうようなやり方をしながら今回の場合は何とかコントロールができてきていまして、それで事なきを得たところがあったと思います。
ただ、残念ながら、事実としてはお一人その佐治で亡くなられた方がいて、ちょっと事情はまだ鳥取市が調査中のようでありますけれども、下流のほうに流されて見つかったということも発生をしました。それだけ緊迫感のある情勢であったわけであります。
また、バック堤をつくると我々は言うのですけれども、逆流をするのです。今回であれば、高梁川と小田川という問題がありまして、私も真備町の被災された方々の避難所のほうに職員も行っていますので、お見舞いを兼ねてそちらにお伺いをさせていただいたわけでありますけれども、実際に水があふれた箇所も拝見をさせていただきました。それはさらに小田川の支流なのです。中小河川のところまで水がさかのぼるというか、たまってしまうと。それが低いところは、そこから先、決壊してしまうわけであります。
実は私ども、この対策工事というのをここ最近進めていたわけです。皆様がよくおっしゃるように、鳥取県は、弁当を忘れても傘を忘れるなというところでありまして、雨が降ることを前提で物事を考えていますし、災害対策も、ある意味心配しながら一歩先回りをしてやっております。岡山のほうも当然その計画を立てておられるのですけれども、県全体の意識として、そこのところはなかなか、ちょっと山陰とは違いがありましたねということをきのうも広島局長さんがおっしゃっていました。そういう意味で私どもも、具体的には千代川の支流の大路川、ここで逆流した場合に水があふれないようにする、そういう堤防のかさ上げということをやっていたわけです。そのほかにも、例えば中流域で遊水地のような場所を確保するとか、そういうことが今回あふれなかった原因にも要因にもなったわけでありまして、これまでお金もかかりましたけれども、地道にやってきた災害対策、それが生きた側面も本県はあったのかなというふうに思っているところであります。
よく言われますのは、避難で逃げていただく、この難しさが今回浮き彫りになりました。真備町の場合もそうでありまして、避難指示になったのが夜中11時を越えていたわけであります。ただ、御案内のように、今回非常に凄惨なことになってしまいました。特に65歳以上の方が亡くなられた方の9割を占めていますし、また、さらに自宅で亡くなられた方が非常に多かったと。最近は垂直避難ということも言いまして、水が出るので、外に出ないで、むしろ2階等へ逃げたほうがいいというようなことも指導としては入るのですが、今回そうやって2階へ逃げていっても溺死したと、そういう非常に厳しい水位になったということもございます。
こんなようなことでありましたので、やはり事前に逃げておくというのがいかに大切かということが今クローズアップされております。実は、先ほど申しましたように、私どもも今回は通常よりもレベルを上げた呼びかけをさせていただきました。結果どうだったかということでありますが、現実には2,099名、多いときでは2,100人を超える方の避難がございました。これは率としては0.7%だったかなと思いますが、そういう比率は全体として見ると小さく見えるのですけれども、ただ、これは従来の避難者の数からしますと桁違いにはなっています。ちなみに昨年、台風が何回かやってきていますが、多いとき、避難してくださった方が60数名であります。台風が来ても全県で20数名、30名弱、30名前後ぐらい、そんなようなのが相場でありまして、2,000人を超えた方が避難するというのは今までなかったことであります。呼びかけが不十分という面は確かにありますけれども、従来とはレベルの違う呼びかけにはなったのかもしれません。
ただ、まだ反省点もございますので、さらにこれを前進させていく必要があるのではないかなというふうに思います。実際に県外の各地で多数の犠牲者が出たことを思いますと、これからの重点的な項目として、いかに避難してもらうかということはあるかと思います。
次に、熱中症対策につきましてお尋ねがございました。部局横断的に検討して来夏に向けた対策を取りまとめるべきではないかと、こういうお尋ねでございます。
先ほどの豪雨もそうでありますが、異常気象が続いています。暑さという面でも今回異常気象でありました。私どものところは最高気温の平均が30度に近くなりました。こういうことから588件の救急搬送がありました。これはここ数年どんどんレベルが上がってきているのです。実は気温の上昇がございまして、平成26年は191件と200件を切ったのですが、このときは最高気温の平均が28度台でございまして、今回とはちょっとレベルが違う。特に体感温度といいますか、危険を伴うようなものかどうかを判定するレベルでは、今回は異常な年であったということがありました。
それで、例えば高校野球のときも、5回のところでボールボーイが交代するとか、それから応援のことがございますので、スタンドのほうに日よけの設備をつくるとか、こんなようなことを工夫としてやったり、ミストシャワーを設置するようなところも出てきたり、いろいろと今回対策をとっているわけでありますけれども、それでも588回の救急搬送ということになっております。各部局はもとより市町村だとか関係者、ぜひいろいろとお知恵をいただいて、来年に向けて体制をさらに強化をしていく、これを図っていかなければなりません。
例えば、最近はクールシェアということを言います。これは冷房のきいたところで、そこにいていただく、そんなようなことをいろんな施設を開放してやっていきましょうという考え方であります。例えばスーパーマーケットやモールのようなところでも、実はクールシェアをすることで売り上げにもいい効果も出ますので、クールシェアということに協力する店舗もあるわけです。そうしたところにも御協力をいただいて、そうしたクールシェアというのをさらに進めていく。またその過程で、例えば介護予防の体操だとか、認知症を防止するためのことであるとか、そうしたことも含めてお年寄りの皆様等に来ていただき、そういういわばイベントなり事業を行うと、こんなようなアイデアもあるのではないかなと思います。
特にお年寄りの場合は、どうしても感度の問題が、体のメカニズムとして弱まってくることがございまして、それで体が想像以上に、自分が感じている以上にダメージを受けていることがあったりします。実は、熱中症で担ぎ込まれる一番多いのは、圧倒的に自宅なのです。自宅でクーラーをつけずに頑張っていると。これは節約ということもありましょうし、私は大丈夫だから私のためにクーラーつけてもと、こういうようなことを考えがちなのでありますが、命にかかわることにもなりますので、その辺、県民の皆様にも改めていただく必要もあります。そんな意味で、従来とはまた違ったレベルを上げた対策を来年度に向けて考えていきたいと思います。
次に、鳥取県中部地震からの福興につきましてお尋ねがございました。万全を期すべきではないかと、こういうことであります。
ブルーシートがどうしても話題になります。大阪北部地震でも今回台風が来て、改めてこのブルーシートの屋根が外れずにいるということが最近も議論になっています。なかなか職人が集まらないとか、ブルーシートの数が減らないということが当地で言われているわけであります。私どもは補助金も再セットしまして、それで一部損壊も対象にするようにさせていただくなど、市町村と共同事業でありますので市町村との歩調を合わせながらの対策をとり、さらには災害ケースマネジメントといわれる、一つ一つの御家庭の事情に寄り添いながら、そういうブルーシートのこと、あるいは暮らしぶりのこと、この辺の解決を丁寧に図っていこう、それが本当の災害復興ではないかと、こういう考え方で危機管理条例も改正をしていただきました。全国で初めてのことでございました。
そんなようなことが、今、徐々に浸透してきているところもあるのかなと思われますのは、住宅再建等支援事業費補助金というこの制度の申請率が、現在99.1%まで上がってきました。さらに住宅修繕促進支援金の申請も99.9%まで上がってきておりまして、今北栄町の23件が一番多い未申請者の数でございまして、ほかはもう1桁台ということになってきております。まだ震災発生から2年がたっていない段階でありまして、熊本だとか他地域のことを考えますと、本県はかなりそういう意味で精力的にこういう災害対策、住宅対策を浸透させてきているのかなというようなデータにはなってきているところでございます。
こういうのをさらに進めるためには、議員もおっしゃったように、福を興す福興という考え方が大切だと思いますし、さらにまちづくりを発展させていったり、これを機会に、生活に苦しいということで奮闘されている方にいろんな方々がかかわり合って、それで新しい生活に導くきっかけになるということもあるのではないかなと思っています。いわば福を高める福高という、そういうステージも徐々に見ていかなければならないのではないかなというふうに思います。
こんなような考え方で災害ケースマネジメントを進めて、それぞれのお宅に県も行きますけれども、市だとか関係者も行きまして、まずは相談事、ケースの把握から始めます。そこでどんな対策が必要かということを聞き取るわけです。例えば、屋根を修繕しようと思っているけれども、やはりお金がちょっとかかり過ぎるということでちゅうちょされているということがわかれば、現実にあったケースでは、建築士の方が行かれまして、それでこういうふうにやると比較的リーズナブルに仕上げることができるのではないかと、こういうような提案をして、それで現に屋根の修繕に向かわれたところもあります。また、そんなお金をかけるのも大変なのでというようなところには、縁(えにし)さんというNPOの団体ができていまして、これが応急的な手当てをするということで対処されるような例もございました。
さらにいろいろと話を聞いてみると、それ以前の問題として、いろいろと複合債務のような形で暮らしが大変だというようなことがわかった場合には、そういういわば法外な借金の金利を払わされているようなことを減じていくとか、そうしたファイナンスマネジメントのような、そういう専門の方にも対処していただくというようなことをやってみたり、また、これは客観的に見て生活保護の支援があってしかるべきというようなケースに出会えば、そうした生活保護のほうの手続に向かっていくとか、こんなように、実は今、仕分けをしながらそれぞれの御家庭の対処をしています。
これが最近、実は注目され始めていまして、東日本大震災で被災をされたところの、例えばNHKさんのようなところが鳥取まで取材に来られて、鳥取のやり方を見て、家の修繕から人の支援に鳥取は向かい始めていると、こんなように報道してくださるような番組も出てきています。最近はそういうお問い合わせもふえてきているわけでありますが、今後とも、鳥取県独自の寄り添った形の支援も展開をしてまいりたいと思います。
最後に、県財政につきましてお尋ねがございました。一般会計の決算について、マイナスの単年度収支が続いている、非常に重く受けとめなければならない、大変厳しい状況で、一般会計の現状をどういうふうに見ているのか。さらには、国のほうの概算要求が行われたわけでありますが、非常に地方に厳しいものではないだろうか、骨格予算になるかもしれないが、来年度予算編成にこの概算要求をどのように生かし反映していくのかと、こういうお尋ねでございます。
これにつきましては、単年度収支、おっしゃったように数十億円規模でここ2年間マイナスが続いています。と申しますのは、平成28年度、御指摘があった年は、私ども中部地震の年でありまして、どうしても一般財源を使わざるを得ないときでありました。昨年度、平成29年度も、やはり豪雪とか我々も対処しなければならない出来事もいろいろあるわけでございますし、そんなようなことで、中部地震の後片づけも含めて資金が必要だということになりました。
実は、これだけではない要因があります。一番大きい分野というのは、歳入のほうでここ数年、地財ショックのようなときと同じような、実質的な交付税の抑制を強いられていることであります。これは国のほうで大都市部のほうにも重点的に配分が行われるということも事実上始まってしまっていて、実際には法人課税などがふえてきていますので、大都市部は、財源は今じゃぶじゃぶ入ってきているのですが、交付税のほうの仕組みとして、大都市部でも高齢者がふえてきている、急増しているものですから、そういう意味で交付税の配分圧力を大都市部のほうに向かわせてしまっている。そこに歳出特別枠の廃止ということがありまして、いわば本県がその恩恵を受け得る部分であったものがなくなってしまってきていること、こうした要因が重なってきておりまして、現実の出口ベースで交付税が一挙に削減され続けているということであります。
こうしたことが非常に手痛いところでありますし、ここ数年は、過去の負債の返済、公債費というものが増嵩してまいりました。これの影響がありますのと、それから社会保障の負担もじわじわとふえてきています。公債費の負担とか社会保障の負担、これを平成25年度ベースで比較してみますと、両者合わせて100億円ぐらい歳出増なのです。それから、歳入のほうで実質的な交付税、これは平成25年度当時と今回の決算ベースとを比較してみますと110億円ベースで減っている。ですから、入りと出で200億円余りのダメージがこうしたことだけでも生じている。そこに災害が起こってきていると。それで我々は一生懸命やりくり財政するのですけれども、どうしても単年度決算で収支が赤字になってしまう。さらに実質収支のほうでも、ここ2年で50億円、30億円といったレベルで実質収支が減ってきています。かつては100億円台ぐらいで実質収支がありましたけれども、これも減少してきている。非常に厳しい状況になってきていると言わざるを得ないと思います。
そういう中、来年度の予算編成に向けた概算要求がなされたわけでありますが、102兆円を超える規模での概算要求になっています。今後、総裁選挙が終わった後、実際の予算編成の方向性がより見えてくるとは思うのですけれども、この102兆円の中で交付税の関係は、実質的な交付税ベースで20兆円ということであります。真の交付税、真水は15兆9,000億円で、今年度よりも0.1兆円減る見込みとされていまして、臨財債で若干補って20兆円でプラス・マイナス・ゼロぐらいと、こんなようになっているわけであります。ただ、この中身が、先ほど申しましたように実質の配分の中でまたぞろ大都市部のほうに配分の重点が移ってしまいますと、私どもはまた厳しい状況が続くことになります。こんなようなことなどがあります。
また、片方でいろいろと、例えば働き方改革での新規事業とか、それから注目されているのは子供の教育費無償化というようなこと、こうしたことがありまして、これらが国の事業も出てきます。それを活用しようということで我々もやると思いますが、あと地方の負担がどうなるのか、この辺も注目されるところでありまして、今後よく情報収集しながら、今後の予算編成の中に反映をさせていく必要があると考えております。
新年度の当初予算編成は、議員もそうですし私も任期が終わりますので、エチケットとしては骨格予算の編成にする必要があると思います。ただ、そういう中で、例えば「みどりの愛護」のつどいが新年度早々に開かれるとか、あるいは鳥取西道路が開通を控えております。その開通と合わせたキャンペーンの展開等も必要かもしれません。こんなようなことなどはしっかりと予算計上しておく必要があるかなと思いますし、また、防災系のもの、これも、たとえ人がかわったとしてもやらなければならないようなもの、それで早く着工したり対策をとれればそれにこしたことがないものはそのようにさせていただく必要がありますので、こういうものは計上を重点的に行う必要があると思います。政策的経費は先送りさせていただくものもあろうかと思いますけれども、そういう中でめり張りをつけて、今回の国の予算の反映も行いながら予算編成をさせていただきたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)山本教育長
◯教育委員会教育長(山本仁志君)(登壇)斉木議員の代表質問にお答えを申し上げます。
私には、教育現場における熱中症の防止対策につきまして、この夏の
リスク管理等々御質問がございました。
ことしの夏は、先ほどもお話がありましたが、気象庁も災害という表現をされるほど猛暑であったわけでございますが、そんな中、7月には、愛知県で校外学習の後に教室に戻った小学1年生の児童が亡くなるという痛ましい事故も発生したわけでございます。本県では幸い大事には至っておりませんが、公立学校でも部活動でありますとか各種大会、あるいは登下校中、中には給食のさなか、終業式など、学校教育活動中に児童生徒が体調不良となって救急搬送されるといった案件が、この8月末までの間に59件発生をいたしておるところでございます。
熱中症事故防止に向けては、県のほうでも例年5月ごろから学校現場に向けて注意喚起を始めるわけでございますが、特に今年度につきましては例年以上にこの通知等を通じて注意喚起を行ってきたところでございますし、また、
熱中症警報等が出された場合には、その発表の都度、各市町村でありますとか県立学校に情報提供を行い、注意喚起を行ってきたところでございます。
さらにこの夏は、県として7月24日から8月10日までの間、異常高温・
熱中症厳重警戒期間という設定をされたことを踏まえて、7月26日でございましたが、学校関係者でありますとか各種大会の関係者によります緊急会議を教育委員会の主催で開催をいたしておりまして、この中で予防対策の各方面の取り組みを共有したり、あるいは予防対策を強化することについて共通理解を図ったところでございます。あわせまして、私のほうでも緊急メッセージという形で例年にない注意喚起をさせていただきまして、この中で、児童生徒の命を守るために、従来の発想にとらわれず、臆することなく適切な判断をしてほしいということを関係者に呼びかけをさせていただいたところでございます。
こういう状況の中で、各学校でもいろんな工夫を行ってこられたところでございまして、例えば、先ほど校外学習の話がありましたが、場合によっては校外学習を延期したり中止したりといった判断をされたところもございますし、また、休憩時間の終了後に改めて児童生徒の状況を健康観察を入念に行うといったような取り組みをされた学校もございます。また、冷房のある図書館でありますとか研修室などをクラス単位で有効に回しながら活用をされて授業を行うといったこともありました。また、夏休み中にプール開放ということを行っておるのですが、状況を見て見合わせるといったようなこともやっておられましたし、各学校で水泳の記録会などを行うわけですが、例年ですと、周りで応援することも含めてずっとプールサイドでその記録会に参加するわけですが、ことしは順番を待つ児童に限ってプールサイドに出て、そのほかの子供たちは教室内の涼しいところで待機をするといったようなある程度工夫をされておるところもあったわけでございます。
また、全県の体育大会など各種大会におきましても、ミストシャワーでありますとかミストファン、これを設置するといったことでありますとか、1日の試合数が多くならないように調整をして、試合の日程を延ばすといったような工夫をされたところでもありますし、また、中学校の体育大会におきましては、屋内で大会を開く場合には、できる限り空調の設備が整った体育館を使用して開催をするといったようなこともされております。また、屋外でやる場合には、関係者が会場を巡回をして、ぐあいの悪そうな、そうした者を早目に察知をして、場内に待機しておられます医師でありますとか看護師につなげるといったような対応も例年以上に行われたところでございます。
このような高温の現象というのはことしだけのことではないのではないかなと思っておりまして、今後もたびたび発生する可能性もありますので、例年10月を過ぎますとこうした熱中症の搬送というのもなくなってくるわけですが、こうした時期を捉えて再度、学校関係者等に集まっていただき、本年度の対策の検証でありますとか来年度に向けての対応について、改めて意見交換を行っていきたいというふうに考えております。ことしの経験を生かしまして、子供たちの命と健康を守る対策を充実させていきたいと、このように考えておるところでございます。
◯議長(稲田寿久君)佐野
警察本部長
◯
警察本部長(佐野裕子君)斉木議員から、警察における大規模災害対策の状況と今後の取り組みの方向性についてお尋ねがありましたので、お答えいたします。
本年に入りましてから、7月の豪雨災害、台風21号に伴う風水害、
北海道胆振東部地震等、大規模な災害が全国各地で発生し、いずれも大きな被害となっております。亡くなられた方の御冥福をお祈りしますとともに、被災者の皆様には謹んでお見舞い申し上げます。
一方、県内におきましても、平成28年10月の鳥取県中部地震のほか、先ほど申し上げました7月の豪雨災害等が発生しており、災害はいつどこで発生してもおかしくないということを改めて強く認識いたしました。
県警察における大規模災害対策につきましては、東日本大震災の反省、教訓を今後の災害対策に生かすため、
警察本部長を長とする鳥取県警察災害対策検討委員会を設置いたしまして、組織横断的な危機管理体制の点検、初動体制の確立や装備資機材の整備、本県の地理的特性に応じた災害対策のあり方の検討などを進めているところでございます。
具体的に御説明いたしますと、初動体制の確立につきましては、鳥取県警察災害警備計画の一部改正などを行い、災害警備本部の体制の区分をふやし、災害の程度に応じて、よりきめの細かい的確な対応ができるよう見直しをしております。
装備資機材の整備につきましては、平成25年度に導入いたしました職員安否確認・非常招集システムにより、大規模災害発生時、早期に動員可能な職員を把握して必要な体制の確立を図ることが可能になったほか、警備部機動隊に小型重機のミニバックホーを整備いたしました。本年7月の豪雨災害では、広島に派遣した本県広域緊急援助隊の警備部隊が、このミニバックホーを用いて土砂による倒壊家屋等からの行方不明者の捜索に当たり、その有用性が改めて認識されたところでございます。
また、琴浦大山警察署には、県西部地域における防災拠点としてテレビ会議システムなどを備えつけ、県災害対策本部との情報共有や活動調整を円滑に行うための実動機関共同調整システムを整備しております。
職員の教育訓練につきましては、東日本大震災の教訓から津波災害時の警察活動要領を作成し、職員の二次被害防止の徹底を図るとともに、気象台や消防の専門家による専門研修を継続的に実施しているところでございます。さらに、ブラインド型の災害警備訓練、職員安否確認・非常招集システムを用いた非常招集伝達訓練、装備資機材の取り扱い習熟訓練、関係機関と連携した住民避難訓練等を反復実施し、部隊対処能力の向上を図っております。
さきの7月豪雨の際には、県警察は、
大雨特別警報の発表と同時に総合災害警備本部を設置いたしまして、早期体制強化を図るとともに、土砂災害の発生した智頭町、若桜町等にリエゾンを派遣して自治体との連携強化を図り、情報集約を徹底いたしました。また、管内で災害が多発した郡家及び智頭の両警察署に対し、警察本部主導のいわゆるプッシュ型による早期の部隊投入を実施いたしまして、交通規制や住民の避難誘導など各種警察措置を迅速に実施することができました。
一方、管内の治安維持を責務とする県警察といたしましては、災害は従前の経験や想定を超える規模や頻度で発生する可能性があることを念頭に、万全の準備が必要であると考えております。今後も引き続き、災害警備活動や訓練等を通じた各種計画等の不断の検証及び見直し、想定外を想定し創意工夫を凝らした訓練の実施による災害対処能力の向上、関係機関との一層の連携強化、大規模災害の反省、教訓を踏まえつつ、県民の方々の御理解を得た予算確保による計画的な装備資機材の整備を重点に取り組み、災害による県民の被害を防止するとともに、災害現場の最前線で一人でも多くの命を救うため、緊張感を持って着実に諸対策を推進してまいりたいと考えております。
◯議長(稲田寿久君)28番斉木議員
◯28番(斉木正一君)御答弁をそれぞれいただきまして、ありがとうございます。
知事から先ほど御答弁いただきました。壁を高くしたり壁を強くしたり、そういう性分があるんだという話をされましたけれども、私は、やはり物事に向かっては一生懸命になられるという、そういう性格がそのまま出ているのではなかろうかなと思います。よく言われますように、百獣の王ライオンでも、事に及んだら、例えばどんな小さなネズミを捕まえるときでも、もう全身全霊でそれに向かっていくということでありますので、何事もいいかげんにはできないという性格のあらわれではなかろうかと思いますので、ぜひこれからもそういう気持ちでやっていただければありがたいなと思います。昔からよく名君というのは、治山、治水をやって、そして産業を興してその地域を豊かにすることが、政をする者の務めだと言われております。まさに平井知事は、今この鳥取県の国土強靱化の地域計画などをやっておられますし、また、それに基づいて安全・安心な県土づくりをやられました。そして手話言語条例や、あいサポート条例などをつくられまして、やはり思いやりのあふれる地域社会を築こうと努力をされております。知事自身が、私は県民の道具であるということを本当に盛んに場面場面でよく言われておりますが、これからも粉骨砕身、県民のために御活躍をいただくことをぜひとも私からもお願いを申し上げたいと思います。
また、きょうは、先ほど言いましたように石破代議士の総裁選挙の投開票日、午後からのようでございます。石破代議士のあの街頭演説の顔、そして声、もう本当に地方のために何とかしなくてはならないということがあふれておりまして、本当に精気があふれるような総裁の選挙戦ではなかったかなと私は思います。ぜひ、いい結果が出ることを願っております。
次に、公職選挙法の今の参議院の合区の問題がございました。
多くの関係者の方から、来年の
参議院選挙までには絶対合区を解消しますということを私は以前から聞いておりましたけれども、結局これはできませんでした。今回の
改正公職選挙法によって、この合区というのが本当に固定化されるのではなかろうかなということを一番心配するわけでございまして、4年後の
参議院議員選挙までには何としてもこの合区を解消できるようにしなければならないと思っております。
知事も先ほど言われましたように、私も2年前、全国議長会のほうに出させていただいたときには、役員会等でこの合区の問題を提起いたしました。やはり全国47都道府県がありますと非常に温度差があるわけでございまして、そういう面で、合区のことはどこの話というのが最初のころありました。やはり直接関係する県というのはもう一生懸命になるのですけれども、それ以外のところはなかなかその気持ちにならないということを肌身で感じました。そういう面で、これから少子高齢化がどこも進んでいくわけでございまして、我々鳥取・島根、徳島・高知のような合区にならないように、ほかの各県にも働きかけていかなければならないなという気がいたしております。
次に、豪雨災害からの復旧・復興についての質問をさせていただきます。
このたびの豪雨災害で痛感するのは、住民の避難、特に高齢者や障害のある方の避難をどうやって円滑に進めるかという点であります。ハザードマップの住民への周知と浸透、支え愛マップづくりの加速化、避難受け入れ体制の整備など、課題は山積していると感じます。今後どのように市町村や住民等と連携して進めようとされているのか、改めてお伺いをいたします。
また、先ほど話がございましたように、倉敷市の真備町地区では、市が事前に作成しました避難行動要支援者名簿が民生委員に提供されていましたが、自宅にあった名簿が水没したり、一刻を争う状況の中で対象者が多く、全ての方をケアできなかったという事例があったと耳にしております。民生委員の高齢化も進む中、町内会や民生委員に多くを頼るのではなく、別の手段、手法を行政主体で検討していく必要があると考えますが、知事の御所見をお尋ねいたします。
もう一つ、このたびの豪雨被害もそうでありますが、昨年7月の九州北部豪雨でも流木の被害が大きくクローズアップされました。流木によって河川の増水で越水をしたり、農業用ため池の決壊につながるケースもありました。県では、昨年の九州北部豪雨や近年の県内における集中豪雨を受け、総合的な流木対策の検討に着手してトラブルスポットの抽出などに取り組んで、今年度当初予算でも約9億8,000万円を投じておられます。対策が急がれると思いますが、ハード面、ソフト面それぞれの対策の進捗ぐあいについて知事に伺います。
以上、お願いいたします。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)斉木議員から重ねてのお尋ねがございました。まず、これからの県政のあり方についてということで、どういうものを残していくのかということだと思います。
先ほどもお話にありましたように、治水とか、それから用水、そうした大きな事業、今でいうと国土強靱化のようなことや産業振興のようなこと、そうしたことをやる、これがやはり必要な資質ということではないかということであります。
亀井茲矩公がまさにそういう人だったと思いますが、農業を興そうと、そうした用水というものを考えたり、また安全を考えた河川対策、そうしたこともされたわけであります。鹿野におられた時期は短かったかもしれませんけれども、逆に、現在に残る産業振興や安全の基盤というのが400年も前につくられていたこと、それは我々も記憶に刻まれることとなりました。
また、考えてみますと、米子のまちが栄えたのも、吉川公があそこに四重やぐらをつくられて、そこがちょうど海を見渡すといいますか、日本海側、あるいは中海側、そうしたものを見通すのに一番いいところということだったのだろうと思うのです。そこがいわば交通の要衝として、米子がその役割を将来にも果たし得るところだということであそこを城と定めた、これもやはり今日に残る大きなことがあるのではないかなというふうに思います。
また、麒麟獅子舞、今、日本遺産へということでありますが、これも池田光仲公が考案されたものでありまして、全国どこにもないものであります。そこで舞われる姿は中国の故事に由来する麒麟でありまして、これは、この土地の繁栄、それから平和ということ、それを願うものであります。その願いが今日なお舞われていること、こういうようなことで、その時々だけのためでなく、やはり将来を見通してやっていく事業、これが必要だと思われますし、場合によっては地域でやったことが世の中を変えることではないかなと思います。
議員から御指摘がありました、あいサポート運動や手話言語条例、この議場からも生まれたアイデアでありますけれども、こうしたことが今では全国にも影響を与えているわけであります。ぜひこうした厳粛な県民の皆様の信託というものを私どもは形に変えていく、その際に、大きな視野で物事に挑戦をしていく、これが大切ではないかなというふうに思います。
また、石破議員の総裁選でございますけれども、今回どういう結果になるかはわかりませんが、多様な意見というものが生かされる民主主義の本質というものを今回の論戦の中で私たちは感じることができたのではないかなというふうに思います。一強というようなお話がよく言われるわけでありますが、1つ強い勢力があること、それはパワーとしては強いと弱いがあるかもしれません。しかし、それが恐怖の「恐」、一恐ということになってはいけないと思います。1つ強いものがあって、それが他を全部萎縮させ、そして本来国民の中にあるいろんな民意というものが満たされなくなる、そういうようなことになってはいけない、そういう党のあり方が争われた面も今回あったと思うのです。そんな意味で、いろいろと後世に対しても影響を与えるような、そういう総裁選挙になりつつあったのかなというふうに思います。きょうの結果に注目をしてまいりたいと思います。
また、合区が固定化されることがないようにしなければなりません。本来、昭和58年の大法廷判決で、最高裁も
都道府県単位で行う選挙制度の合理性ということを説いていました。ところが平成24年以降、判例変更が行われまして、
都道府県単位で行うから1票の価値の平等が失われがちであり、このあり方の見直しも含めた検討を国会に促してしまった。それが今の合区につながったわけでありますけれども、今ちょうど明治150年、これを検証することを、この県庁かいわいでも展示はやっておりますが、明治150年の中で生まれてきた我が国の社会や政治の仕組み、
都道府県単位にまずは自主的に物事を考え、それを国全体へ反映させていく、この大きな胎動が失われかけていること、これに我々は警鐘を鳴らさなければなりません。ぜひ決意を持って対策をとってまいりたいと思います。
次に、豪雨災害につきまして何点かお尋ねがございました。ハザードマップ、それから支え愛マップ、こうしたものをどういうようにやっていくのか、さらに真備地区のことでございますけれども、こうした中で民生委員だけに頼る、そういうのでは高齢化に対処できないのではないか、こんなようなお話がございました。
ハザードということ、これは現状の分析をいろいろと進めていかなければなりません。実は九州北部の豪雨災害などもありまして、今、本県は精力的にきちんとした情報を謙虚に出していこうと、それを県民の皆さんも共有していただき、ハザードマップづくり、あるいは避難につなげてもらおうと、こういうことにさせていただきました。国のほうでも1,000年に1度の災害ということを想定して、日野川であるとか、さらに千代川等も含めましてそういう見直しをし、これは、あそこまで水につかってしまう可能性があるのかというような波紋も結構投げかけていますが、ただ、それを前提として今後の避難対策ということを考えようというように国も動いていました。私どもも、そういう水位周知河川とか、そうした20河川についてハザードをこのたび公表をさせていただきましたし、さらに81の河川をまず公表をいたしましたが、これは鳥取県方式で独自に簡易シミュレーションをやろうと。例えばこんなようなところは浸水域になり得ますよということを、簡易シミュレーションで早く皆さんにも御提供しようということをさせていただきました。残る190の河川も今月中にこういう簡易シミュレーション、鳥取方式をやりまして、公表することにさせていただいております。これをもとにしてハザードマップづくりなどを市町村のほうでも続けていただければと思いますし、それを危機管理の交付金で県も2分の1支援していこうと考えております。
また、支え愛マップも有効な手段になります。先ほどおっしゃったように、真備町の場合は民生委員に情報を持たせていたわけであります。本県もそうですけれども、民生委員自体、今、平均年齢は65歳とかそんなような年齢になってきているわけです。したがいまして、御自身が避難に要支援ということもあり得るわけでございまして、ですから、ある程度地域の中で情報を共有していただく必要がある。その一つの手段として支え愛マップがあります。
私どもは防災危機管理条例を改正しまして、その中で、一つは支え愛マップの普及ということ、あともう一つ、市町村のほうで配慮をしてもらって、そういう個人情報に当たるものでありますけれども、条例改正等も行ってそういうものの共有化を図っていただきたい、これをメッセージとして防災危機管理条例に書かせていただきました。
支え愛マップにつきましては、今年度いっぱいで540を超える支え愛マップができると思います。さらに、残るところにつきましても今作業が進んでおりまして、実は600地区でまずはつくることを目指そうという数値目標を持っておりましたが、これが前倒しで達成される可能性も出てきたのではないかなというふうに思います。平成24年ぐらいから比べますと、今年度いっぱいでかつての4倍のエリアでこの支え愛マップが完成するということになります。
ただ、今回の災害を踏まえますと、ただそれで十分だろうかということはあるわけであります。特に情報の共有化というところでありますけれども、これも市町村の条例改正などを私どもも一つの例示として促したわけでありますが、現実に今現在、条例改正に進まれたのは北栄町1町だけであります。いろいろとやはり事情もあるようでありまして、それ以外の手段も含めた情報の共有化というのを進めていただかなければならないのではないかなと思います。
そんな中で、支え愛マップをその代用品として、有力な手段でありますので、これの方向で、要は住民側のほうで情報共有を図るというやり方を推奨されているところもあり、中には智頭町のように7割ぐらいそういう支え愛マップをつくられた町もできてきているところであります。
要支援者情報の提供については、条例を改正するということではなく進めておられるところもあるわけで、鳥取市などではもう既に97%、そういう共有化が図られるに至っております。他方で、米子市さんはまだ2割台でございます。そのかわりに、こうしたそういう個人情報の問題があるものですから、その個人情報を一つ一つ丁寧に今進められているということがございます。ですから市町村によってまだばらつきがあるのですけれども、中にはそういう共有化が進み始めたところもありまして、民生委員さんだけが持っているという状況ではないものをつくろうと、地域の中でも動き始めているところであります。
次に、九州北部豪雨の教訓に基づいて、トラブルスポットの抽出、ハード面、ソフト面での対策はいかがかと、こういうことであります。
今回もため池が決壊をした、それも32個あったところが壊れてしまったというところもありまして、深刻な被害に至りました。特に流木が悪さをする場合がある。これが九州北部豪雨でクローズアップされました。今回も同様のことが広島等で起こっております。私どものほうでもそれを他山の石としてしたわけでありますが、本県でも実は平成19年に、若桜の屋堂羅ですね、そこでやはり同じようなことで流木が悪さをしまして、川をせきとめてあふれるというようなことがあったり、また同じようなことは、同じ年、琴浦町でもございました。こういう強烈な雨が降るとそういうことが本県でも起こるということは、我々も対策をとらなくてはいけない要因になっています。
そこで、今トラブルスポットを探そうということをし、水系ごとに一つモデル的な事業でも始めてみようかと、それから直せるところはどんどん直していこうと。それは河川の事業もありますし、それから砂防の事業などもあります。また、農業用ため池などもあります。部局あるいは課をまたがってそれぞれ対策をとり得るわけでありますけれども、それを一つにまとめて、この水系として安全をつくり上げていくということが必要ではないだろうか。そこで、そのトラブルスポットの抽出に今当たってきて、河川や砂防渓流、ため池、それぞれでやり、その次のステップとして対策をとる方向に今動き始めています。
例えば、最近でも鳥取市河原町北谷のほうでもございましたけれども、赤井谷川のところの砂防堰堤がございますが、ここがそのポケットに流木をため込んだのです。それで災害がさらに拡大するのを防いだと。それでもやはり孤立集落が生まれたりしましたけれども。去年の10月の災害のときに効果を発揮したことなど、最近でも起こっております。流木が流れてきたときに、ため池の中で例えば網を張って、さらに流れないようにするとか、また、ため池自体の強化ということもあり得ます。それから砂防堰堤でも全部せきとめるやり方もありますが、流木等を考えて透過型の砂防堰堤という技術もございます。
いろいろとやり方があるわけでありまして、それをどう組み合わせていくのか。それに向けて、今1億円ぐらい事業費をつけまして具体的な調査を進めることにさせていただいておりまして、ハード対策の概略設計などを行おうと。また、ハザードを考え、そういうマップづくりなど、先ほど申しましたことがありますし、それからカメラを設置してその状況を把握し、情報の共有化を図る等のソフト対策も今進めているところでございます。例えば佐治川の水系とか、それから土師川の水系とかですね、そうしたところでそういう林とか土木とかもあわせた対策をとると。流木対策もございますので、山の荒廃を防ぐというそちらの林地対策をやり、それにため池、それから砂防、河川、これを組み合わせてやっていこうというアイデアでございます。ぜひ実効性ある対策となるように、関係地域とよく協議をしてまとめてまいりたいと思います。
◯議長(稲田寿久君)28番斉木議員
◯28番(斉木正一君)御答弁ありがとうございました。続いて質問をさせていただきます。
今回の西日本豪雨で、全国のダムの4割が洪水調整機能を果たし、一定程度の減災効果があったと言われております。先ほど肱川上流ダムの話が知事のほうからございました。今回特にこのダムあるいはため池の越水、あるいは集中豪雨で壊れるような状況になるというのは非常に誰もが心配するわけでございまして、特に今回の西日本豪雨では、鳥取県内では東部地区、特に我々同僚議員の西川議員がおられる智頭町地内なんかは集中的な被害が出たわけでございます。西川議員から、ぜひこのダムや池の話は質問してくれという、たってのお願いでございますし、きょう私は会派の代表でございますので、言われた議員のは全部言わないといけませんので、そういう面で、ぜひ知事のほうにはよろしくお願いを申し上げたいと思います。
それと、今回いかに設備をきちんとするのがいいかということを感じましたのは、鳥取県の西部地区、法勝寺川に青木地区というのがあるのです。市の洗川、そして県の小松谷川、そして法勝寺川という、この3つが合流する地区でございまして、それが青木という地区なのですけれども、昔からもうここが雨が降るたんびにバックウオーターになりまして、そこがつかるということでございます。今回この大雨が降りましたけれども、おかげで昨年から工事が進んでおりまして、バックウオーターにならない工事をしていただきまして、私も見に行きましたけれども、うそではないかというようなぐあいで、整然と水が流れておるということでございました。やはりいかに早く工事をする、その危険を取り除くということが必要でありますので、そういうことでは、ぜひこういうことは早くやるということが必要だろうということをつくづく感じました。
それと、このたびの豪雨災害では、物流や企業にも大きな影響がありました。食料品を中心に品不足が生じたり、製造業では出荷のおくれや部品発注先企業の変更などが発生をいたしまして、7月25日に豪雨災害対策企業支援ネットワークを開設し、商工団体、金融機関を交えて被害の実態把握と企業支援体制の構築を進めておられると理解していますが、どのような方向性で今後の取り組みを進めていかれるのか、知事にお尋ねをいたします。
それと、今回BCP、事業継続計画でございますけれども、以前は東日本大地震とか熊本地震なんかでこの事業継続計画のことが言われておりましたけれども、今回の津波以外の洪水を想定したものというのは3割しかやっていないということでございまして、もうこのように毎年我が国で地震とか大水害あるいは洪水等が起こるわけでございまして、我が鳥取県はほとんどが中小企業でありまして、BCPの策定が速やかに進展するような対策支援が必要だろうと考えますが、県内企業の状況を含めて知事の所見をお伺いいたします。
◯議長(稲田寿久君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)斉木議員から重ねてのお尋ねがございました。
まず、河川等の災害関係でございますが、肱川の野村ダムの課題がございます。先ほど申しましたように、安全・避難対策の
あり方研究会で精力的にここを議論させていただきたいというふうに思います。議員がおっしゃいましたように、バックウオーター対策も重要でございます。御指摘がありました小松谷川は、今年度中にちょうど合流点のつけかえの工事を完了しようという段階まで来ておったわけでありまして、こういうことが今回いい方向に作用しているということだと思いますし、同じ日野川水系でも、やはり水貫川、これもバックウオーター対策が必要なところでありまして、こうしたことなどに我々としては今着手し始めているということであります。できるだけ早くこうした対策をとっていかなければなりません。
また、企業でありますが、御指摘のようにさまざまな影響をこのたびの災害で受けています。私どもは企業支援のネットワークを立ち上げて、非常に経営の苦しい企業さんの業態転換とか立ち直り、新たな挑戦、これを支えようと金融機関なども交えて対策をとっているところでありまして、この仕組みを災害にも応用しています。中部地震のときも、例えば倉吉の松風荘旅館さん、こちらが被害を受けられまして、改修しなければならないということになりましたが、そのときに、むしろ外国人客が泊まりやすいようにベッドの部屋をつくるとか、それから犬猫が最近人気でありまして、ペットの泊まれる部屋をつくるとか、こんなことをそのネットワークの中でも議論をして支援したことがございました。7月末にこのネットワークの会議を開催しまして、現下の災害の状況、これに対する対処を総括し、200社ぐらい企業のほうにも出かけていって、見るということをさせていただいているところでございます。
そういう中、早速、融資制度を今活用してきているということでございまして、例えば、温泉旅館の関係でお客様がなかなかお見えにならない、そんなところでの緊急融資的なことであるとか、そうしたことでの資金の発動も既に始まっているところであります。
BCPにつきましても、おっしゃるようにレベルを上げて対象をふやしていかなければなりません。今、四百数十社ございますけれども、私どもとしては、30人以上のところで40%の規模でBCPをということを今目指しているところでございまして、だんだんとその状況も見え始めていると思います。実は今回、災害後、企業回りをして歩かせていただいて、BCP対策をしっかりやらないといけないという声が多数上がってきました。そこで今回予算の中にBCPの策定支援を含ませていただいておりまして、例えば補強対策が必要だとか、そういう助成金の制度、これを設けさせていただいたり、また融資として、こういうBCP関連の事業、この融資制度、これも発動させていただく、こういうことを今回盛り込ませていただいているところでございます。
企業も、例えば大阪北部地震や西日本豪雨ということなどがありまして、やはりサプライチェーンが切れてしまった、そういうことは実は想定していない、BCPの想定外のところだった、この辺もまた見直さないといけないなと、こんなような声も出ていまして、そういうバージョンアップもできるようにしたほうがいいのかなと思っています。
私どもでは、入門編と、それから応用編のBCP策定支援をプログラムとして考えようと。入門編のほうを終えた段階で、BCPがとりあえず簡易的にも作成できる、それでさらにレベルを上げてBCPの精度を上げていく、こういうことの支援体制を関係者と一緒に今つくらせていただいているところであります。
◯議長(稲田寿久君)斉木議員、暫時休憩を、いいですか、続けますか。(斉木正一君「もうちょっと。要望のことだけ」と呼ぶ)そうですか。
それでは、28番斉木議員
◯28番(斉木正一君)どうも御答弁いただきましてありがとうございます。
先ほど財政の問題等の御答弁をいただきました。この後、来年度が知事の改選期ということで、我々も改選なのですけれども、骨格予算で臨むというお考えでございます。
今回、消費税が来年は10%に上がる予定になっております。そうなると地方法人特別譲与税の廃止などもあるいは予定されておるようなことでございまして、本県のような財政力の弱い地方の税収が減少し、都会の税収が増加するような事態も想定されるわけでございまして、ぜひこの税制に対しまして知事のほうがしっかりとその辺を見ていただきますように、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
これを要望して、以上で午前中の質問を終わります。
◯議長(稲田寿久君)暫時休憩いたします。
午後の本会議は午後1時10分より再開いたします。
午後0時10分休憩
────────────────
午後1時10分再開
◯副議長(福間裕隆君)再開いたします。
引き続き代表質問を行っていただきます。
28番斉木議員
◯28番(斉木正一君)(登壇)引き続き質問をいたします。
大きな5番目として、平井県政3期目の総仕上げと地方創生の実現に向けた県政の諸課題についてのうち、1番目として、地方創生の実現に向けた交通インフラの整備についてであり、最初は、高速道路の4車線化促進についてであります。
山陰地方、但馬地方は、高度成長期の太平洋ベルト地帯を中心とした開発から取り残され、さらには、道路、鉄道などの高速交通網においても北陸、新潟、東北地方におくれをとり、以前は───────とやゆされていました。平成元年に、中国横断自動車道岡山米子線のうち江府インターチェンジから米子インターチェンジ間が供用開始され、待ち望んでいた高速道路ができたことを地域住民とともに喜んだのを覚えています。そして平成4年には米子自動車道が全線開通し、本県が初めて全国の高速道路ネットワークと結ばれました。今日に至るまで岡山米子線は、山陰と山陽、関西方面、さらには四国方面をつなぐ人流、物流の大動脈として、地域の経済、観光振興を支える重要な社会基盤となっており、また、災害時の救助支援、物資輸送や住民避難路など、命の道としての役割を兼ね備えています。
岡山米子線が平成9年に全線開通してから、ことしで21年目を迎えました。国土の均衡ある発展を支えるために昭和41年に
国土開発幹線自動車道の予定路線に指定されてからは、半世紀以上が経過しています。この間、米子自動車道の岡山県側は既に4車線化が完了していますが、残る蒜山インターから米子インターチェンジ間32.6キロのうち22キロメートルがいまだ暫定2車線区間のままであり、対向車線へのはみ出しによる重大事故や大雪による除雪作業が困難なことによる全面通行どめなどが発生し、高速道路が本来持つべき速達性、定時性、安全性に問題を抱えています。
そんな中、昨年12月には、江府インターチェンジ付近、延長3.4キロメートルにおいて付加車線設置事業の着工式が行われたことは、全線4車線化に向けた大きな一歩であり、大変喜ばしいことであります。しかし、この事業が完成しても依然6割の区間が暫定2車線のままであり、残る区間の付加車線設置を強く求めていくことが重要であることは、知事も同じ思いでいらっしゃると思います。実現に向けた今後の取り組み方針や見通しについて所見を伺います。
次に、鉄道の高速化推進についてであります。
JR伯備線は、山陰と山陽、さらには京阪神や四国とつながる鉄道交通の大動脈であります。平成30年7月豪雨によりJR伯備線と因美線の一部が不通となり、山陰両県の観光や経済に大きな影響を及ぼしました。JR伯備線については、線路への落石や土砂流入、変電所の水没など大きな被害があり、過去最長の27日間に及ぶ運休を余儀なくされ、約9万人に影響が出たとのことであります。平成12年の鳥取県西部地震のときでもこれほどの運休はなかったものと記憶をしております。切り立った斜面の真下を走る伯備線は、今回のような斜面崩壊や倒木、また冬季の雪害など、日々自然災害に直面しており、JR関係者の保線等の御尽力によって利用者の安全が保たれていることに感謝を申し上げる次第であります。
さて、伯備線の特急やくも号は、その導入以来35年が経過し、一般的に30年程度とされる特急車両の更新時期を迎えております。また、伯備線は中国山地を走るため、曲線半径300メートルの急カーブが多く、現在は自然振り子式車体のため、利用者から、乗り心地がよくない、時代のニーズに対応できていないという声を聞きます。そのため鳥取県議会、島根県議会、岡山県議会の沿線3県議会の議員連盟では、快適性、速達性を向上するための新型車両導入についてJR西日本へ要望活動を行ったところです。平井知事におかれましても、ことし1月に来島社長と面談され、同趣旨の要望をされたところです。こういった経緯があり、平成30年度からのJR西日本中期経営計画に特急やくもの輸送品質向上が明記されることになりました。
この上は、早期の導入が実現することを期待するものでありますが、JR西日本からはどのような見通しを伝えられているのでしょうか、知事にお尋ねをします。
次に、航空ネットワークの維持、充実についてであります。
山陰と北東アジアを結ぶ空のゲートウェイである米子鬼太郎空港への国際定期便は、平成13年4月にアシアナ航空の米子-ソウル便が就航したことに始まり、現在は香港便を含めて2路線が運航しています。ソウル便は就航以来、中国でのSARSの流行や竹島問題、東日本大震災による訪日客の減少など幾多の危機に見舞われ、運航休止寸前まで追い込まれる事態となりましたが、そのたびに官民挙げた利用促進に努め、路線を維持してきました。運航当初は週3便であったものが、一昨年よりLCCのエアソウルに運航主体が移り、週5便まで増便となりました。現在は定期点検による機材繰りのため3便に減便中ですが、同社のチョ・ギュヨン社長は、10月28日から週6便に増便すると明らかにされました。週5便から週3便への減便が固定化されるのではとの危機感が高まっていた中での方針表明に、多くの県民が驚きを交えながら歓迎の意を表した次第であります。
エアソウル社の決定は、米子-ソウル便の潜在力を高く評価した上でのものだと思いますが、週6便化後の目標搭乗率は80%以上に設定するとのことであります。エアソウル移行後の平均搭乗率は69%であり、月間搭乗率が80%を上回ったのは数度にとどまっている現状を考えると、目標はいささか高く設定されているように感じます。増便による利便性の向上を広く国内外に周知するなど、インバウンド、アウトバウンド双方の取り組みをこれまで以上に強化する必要があると考えますが、目標達成に向けた今後の取り組みについて知事の所見を伺います。
また、国内定期路線の新規開拓にも取り組んでいく必要があります。米子鬼太郎空港の国内線は全日空の東京便のみであり、昨年度の利用者は過去最高の57万9,899人で、搭乗率は72.4%であり、好調と評価してもよいと思います。過去にはスカイマーク社が乗り入れており、成田、神戸、茨城、札幌、那覇の5路線が就航しておりましたが、平成28年8月に全て撤退となったのは御承知のとおりであります。お隣島根県の出雲空港は最近、仙台空港、静岡空港と相次いで新規路線が開設され、季節運航便を含めると、札幌、東京、名古屋、伊丹、福岡といった国内主要都市と空路で結ばれています。それに比べて我が県の両空港に新規定期路線開設の動きがない状況にいささか残念な思いを抱く県民も多かろうと思います。路線開設に向けた取り組みに差があるのか、空港の性格や後背地の潜在力に違いがあるのか、知事はどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。
次に、本県の魅力を生かした地方創生の推進についてのうち、最初は、移住定住の推進についてであります。
本県の人口は昭和63年をピークに減少傾向が続いており、現在の推計人口は56万人となっています。今後も鳥取県らしい地方創生を実現し、地域の活力を維持するためには、人口減少に歯どめをかけ、都市圏に集中する人の流れを変えようとする移住定住の取り組みは、本県にとって最重要課題の一つであることは言うまでもありません。
先ごろ平成29年の本県への移住状況が公表されました。過去最多の2,127人が移住をされましたが、年代別に見ると30代以下が約7割を占めています。継続的かつ安定的に人口を維持していくためには若い世代の定住が不可欠であると言われている中にあって、このような傾向は大変よいことであり、他自治体と比較して本県の取り組みが魅力あるものとなっていることが功を奏していると感じています。
鳥取県
元気づくり総合戦略では、平成27年度から31年度までの移住受け入れ目標を8,000人としており、目標達成に向けて引き続き取り組んでいかねばなりません。一方で、平成28年度以降、移住者数の伸び率は鈍化しており、やや頭打ちになっている状況とも言え、全国規模での移住者獲得競争の影響があるのではと感じています。今後は、県内外の学生を中心とした若者との関係づくりをさらに強化するなどの対策が必要であると思いますが、今後のさらなる移住定住の促進に向けた展望について、知事の所見を伺います。
また、若い世代のIJUターンを進めるためには、高校卒業後に県内から巣立った若者を再び鳥取県に取り戻すことが重要です。そのためには、県外への関心や憧れが高まる中学、高校時代に、将来は鳥取県で仕事をする、暮らしていくというビジョンを持ってもらうことが必要です。ふるさとで働くことの意義や、やりがいを実感できるような機会をつくり出すことが大切であり、教育委員会の積極的関与が求められると思います。県教育委員会としてどのようなスタンスで取り組んでおられるのか、教育長にお伺いします。
次に、大山開山1300年祭と「山の日」記念全国大会についてであります。
我が家の玄関から、朝な夕なに雄大な秀峰大山を仰ぎ見ています。子供のころから、母が東に仰ぐ大山に手を合わせて拝むのを見て育ちました。誰からも大山さんと呼ばれ、この地が台風などの自然災害から免れると、大山さんのおかげだと感謝していました。米子市の水道水は大山の恵みを受けた井戸水であり、昔から蛇口に直接口をつけておいしい水を飲んでいたものです。日々の暮らしの中で、大山さんは心のよりどころであり、大変ありがたい存在なのであります。