公明党に限らず、それぞれの政党、議員が鳥取県中部地震の災害対策に取り組んでいただきました。よく働いておられると思います。最近は議員への風当たりが厳しくなっていますが、こうした議員の働きはマスコミは取り上げません。逆に避けるようにしております。そうしたことで、国民には余り知られていないのが現状であります。
鳥取県の政治行政を担う知事として、災害時の議員の役割について所見を求めたいと思います。
次に、手話革命、
手話言語法制定に向けてについて質問します。
手話は言語である。平成25年10月条例制定以来、手話サークルを初めさまざまな場面で聾者や手話を学ぶ人に接する中で、日本語言葉にはない手話のすばらしさを感じるようになりました。
手話の表現力は実に豊かで、直接感じることができます。日本語が繊細な余り、身ぶり手ぶりを余り使わず、言葉だけで表現しようとするのと違って、手ぶりで、体で、表情で表現をする立派な言語であり、すばらしい言語だと実感するようになりました。日本語を補完する言語ではなく、独立した言語であります。
鳥取県から始まった
手話言語条例の動きが、全国に広がっています。
現在、全国の55県市町村で条例が制定され、さらに6道府県と17市町で条例制定が検討されているということです。
また全国全ての自治体議会から
手話言語法制定を求める意見書が国へ提出されました。100%の自治体からというのは画期的なことであります。
その重みを国や国会はもちろん、政党も感じなければいけません。全ての地方から声が上がったということは、これは国民全体の声と受けとめるべきで、無視をしてはいけません。その思い、良識を法律という形に反映すべきであります。
また
手話言語法制定を求める首長の会も結成されております。ことしに入って、6月に
全国手話言語市区長会、そして平井知事が代表発起人・会長を務める手話を広める知事の会が発足しました。知事の会は、47名のうち実に7割の33道府県知事の参加で、さらに3県ふえ36道府県までふえました。
法制定を求める背景には、条例だけでは十分な対策がとれないこともあります。例えば教育で、法律がなければ正式な教科になりません。
ただ、内閣では法制定の兆しがありません。7月下旬、私は内閣府の担当者に
手話言語法制定について聞き取りを行いましたが、制定の考えは全くなく、議員立法で行うしかないことがわかりました。
そこで、国会の動きですが、これまで順次
障害者福祉関係の法律制定、改正が行われてきまして、いよいよ情報・
コミュニケーション法や手話言語法に向かおうとしています。手話を広める知事の会で公明党の
高木美智代衆議院議員が挨拶の中で述べたとおり、さまざまな障害のある方のソフト面でのバリアフリーを前に進めるということで、社会のあらゆる分野の
情報アクセス保障のあり方として、まず情報・
コミュニケーション法を制定したいと党内で現在進めています。議員立法となりますので、全会一致が原則で、慎重に進めなければいけないということです。
そして、その後の順番が手話言語法の制定ではないかと思っています。
情報・
コミュニケーション法で定める情報アクセスや意思疎通の手段としてさまざまな言語、手段がありますが、手話を言語として別途法律で位置づける必要があります。つまり、手話言語の選択、獲得、習得、使用ができる
手話言語教育と、手話を普及、保存する手話言語研究を法律として定めなければいけません。成立には情報・
コミュニケーション法に比べ、格段の難易度だと言われています。
そこで知事に質問します。手話を広める知事の会で知事は手話革命を起こしたいと2度おっしゃいました。鳥取県
手話フォーラムでもおっしゃいました。また知事の会で、障害のある方々がこの世の中を変えていくという願いに、ともに歩む決意をしていますともおっしゃっています。この言葉には、平等社会、ともに歩む社会をつくっていく、それには健常者が真に障害者の立場に立って、思いを同じくしていかなければ築けないということだと思いました。私は、
手話言語法制定の運動を突破口にして、統治機構、行政機関、議会、広く国民の意識改革を促し、機構や手続の革命をしていくということなのかと思いました。手話の革命が、実は万般に通じているということではないか。知事の
手話言語法制定への思いと手話革命の意味について伺います。
また、知事と教育委員長に伺います。手話言語法を定める大きな意義に、全国一律に教育で手話言語を教えることができるようになるということであります。そうなればいずれ一般社会の中に手話が普及定着していきます。また親子で手話による
コミュニケーションがとれないで、困ったという話もあります。家族に聾者がいるからといって、家族皆手話が使えるかといえばそうでないこともあります。聾者本人が使えない場合もあります。家族で
コミュニケーションが十分とれないといったことをなくすためにも、手話の早期教育が必要です。法律をつくることによって、早期支援教育を進め、本人や両親、家族へ手話を教えることができるようにすべきであります。この点について知事と教育委員長の所見を求めます。
そして教育委員長に伺います。手話言語法を制定するということは、日本で手話を正式に言語として認める、公用語として認めることになろうかと思いますが、かつて、旧文部省は認めないようだと聞いたことがあります。手話言語法は言語として制定するということなので、所管としては文科省が中心になるのではないかと思います。抵抗もあると思われます。
地方教育委員会としては、法律で制定されないと正式に手話教育をカリキュラムに取り入れて行うのは難しいと思います。予算上の問題もあるでしょう。教育現場を持つ教育委員会として、手話言語法の制定についてどう考えるのか。また制定されればどのような影響があると考えるのか、学習指導要領、カリキュラムなどの改変等も含めて伺います。
◯議長(斉木正一君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)銀杏議員の一般質問にお答えを申し上げます。
まず、鳥取県中部地震につきまして何点かお尋ねがございました。これまで公明党のほうから会派要望としていただきました相談体制をつくること、また、貸し店舗で営業する事業者への支援がいかがか、さらに災害の際の議会の議員の役割についての所見はいかがかと、こういうお尋ねでございます。
このたび鳥取県中部地震が10月21日に発災をして以降、ここにお集まりの県議の皆様それぞれに大変に御協力をいただき、現場に入っていただき、今、銀杏議員もおっしゃいましたけれども、そこで拾った課題についてみずからボランティアとして身を投じられたり、あるいは私ども現場のほうの災害対策本部であるとか、あるいは私どものほうにいろんな情報も提供していただき、仲介の労をとっていただくなど大変にお力をいただいたこと、この場をおかりして感謝を申し上げたいと思います。
確かに昨今、県会議員の役割についていろいろと言われることも多く、また昨日も静岡県の県議の問題が急にテレビで取り上げられたりなどなどさまざまなことが起こっているわけでありますけれども、私は鳥取県というのは、やはり
コミュニティーが小さいからだと思いますけれども、お互い地域でいわば監視をされている状況もあり、また地域の中でみずから役割を果たしていかないと
コミュニティーで生きていけないという、いわば地方特有の事情もあるのだと思います。それぞれの皆様がみずからを律しながらなすべきことを考え、行動をされる。そういう意味で震災というのは、皆様にとって大変に御苦労のある大きな挑戦の舞台ともなったのではないかと思います。皆様が動いていただくことで私どものふるさとの復興が一層早く進むことになりますし、一人一人の生活の安定を取り戻す大きな力になると思います。今後ともお力を賜りたくお願いを申し上げたいと思います。
今、銀杏議員のほうから議員の動きにつきましてお尋ねというか、御意見がございました。私も銀杏議員とのかかわりの中で、いろいろと思い当たることもございます。発災の翌日には、今もおっしゃいましたけれども、県議の皆様はもとよりでありますが、国会議員の谷合議員であるとか、あるいは斉藤議員、いち早く被災地のほうに入られたところでございました。
前回の鳥取県西部地震のときもいたく感銘を受けたわけでありますが、あのときも公明党の国会議員の皆さんや、あるいは県会議員の皆さんが公明党と書いた何か制服のようなものを着て、私、米子で災害対策本部におりましたけれども、そちらのほうに早い段階でやってきて、毛布を配るだとか、たしかそんなようなことをされていたと思います。どういうネットワークでそういう物資の調達をされているのか当時はよくわかりませんでしたけれども、皆様が体を張ってされている状況を当時も拝見をさせていただいておりました。
今回さまざまな意味でお世話になったことがございます。実は
山本参議院議員も、四国の方ではいらっしゃいますけれども、10月29日、30日と鳥取県のほうにお越しいただいております。これは本県など全国の都道府県で一緒になってやっておりました障害者の芸術文化をパラリンピックに向けて進めていこうという、そういう集まりでございました。
眞子内親王殿下も来られたわけでありますが、山本議員からも御挨拶の中で我々の被災に対する見舞いの言葉をいただきました。
そのとき山本議員に実は舞台の下といいますか、親しくお話しできるタイミングを捉えてお願いをいたしましたのは、実は石井大臣に私もいろいろお願いをしていると。1つは、早く災害復興を進めるためにも事業に着手しやすいような環境をつくっていただきたいし、しっかりとした国土交通行政でのバックアップをお願い申し上げたいということを申し上げました。
2つ目には、喫緊の課題であります
観光風評被害のことでございまして、これは石井大臣と実は最初に月曜日から電話でも御相談、お願いを申し上げているのですけれども、正直なかなかハードルが高いだろうなというような電話でのやりとりでありました。
九州ふっこう割のお話が今ございましたけれども、
九州ふっこう割については国が補正予算を組むタイミングがたまたまあったのですね。あのときは補正予算があって、議論がしやすかったと。今、銀杏議員がおっしゃいましたけれども、予備費というちょっとお話があって、私もそこはよくわかりませんが、今そういう補正予算を組むというタイミングではないものですから、機動的に動ける材料がないということもおっしゃっておられたと思います。ただ、お話は聞いていただけましたし、しっかり考えてみたいということをおっしゃっていました。
私も何人か今回大臣さんや政務の方々とお話を申し上げていますが、石井大臣は、自分の頭で割と考えられるタイプの方だと思います。それで被災の状況についても私のほうで率直なお話として、もうブルーシートもたくさん配られているし、1万を超える被害だと。数えるほうが間に合わないので、200、300という数字が出て、そういう頭に政府はなっているかもしれないけれども、それは間違いですよと。そこのところなど非常にすっと御理解をいただいて、被害の甚大さに鑑みて視察をしようということもお話としてはだんだんなってきたわけであります。ただ、なかなか厄介な課題でありまして、山本議員のほうにも同じ公明党なのでお力添えをいただけないだろうかということを申し上げました。
驚きましたのは、11月3日の大臣の視察のときに山本議員もお見えになって、一緒になって歩いていただきました。このとき公明党からは銀杏議員や、あるいは濱辺議員、澤議員、さらには北栄町の斉尾議員もおられたと思いますが、そうした皆さんも一緒に来られまして、公明党からも
観光風評被害などについてその場で御提言をしていただきました。こういうことが恐らくいろいろと今後、効果が出てくるのではないかと思います。
また、谷合議員にも国会での質問のチャンスがあったわけです。たまたまその前日、銀杏議員を初め公明党の会派の皆さんから先ほどおっしゃった緊急提言をいただいたときがございまして、その際に谷合議員が質問されるというお話がありましたので、
観光風評被害が難航するかもしれないので、ぜひお願いをしてもらいたいということを申し上げましたところ、銀杏代表等でお諮りいただいたのだと思います。谷合議員のほうから総理のほうにお話がございました。総理のほうから出てきたのが鳥取を応援するプログラムを考えようという言葉でありまして、非常にこれは我々としてはある意味収穫のある国会答弁を引き出していただいたというふうに思ったところであります。
これは別に公明党さんに限った話でもないわけでありまして、先ほども山口県議のほうから太田元大臣を通じて石井大臣のほうに
観光風評被害についてお願いをしたとかというお話も伺ったのですけれども、各党、各会派でそれぞれのお立場でチャンネルをつないでいただいて、我々鳥取県内だけではどうしても始末がつかないこと、これについて道筋をつけていただけるということとなりました。これはまだ結果が出ているもの、出ていないものいろいろあります。中には石井大臣から事前の着工的な、1,500万円まで簡易なシステムで着工できるという災害復旧の特例措置の適用を出していただいたり、既に効果があらわれているものもございます。
観光の被害については、正直申し上げて今渦中でございまして、さまざまな事務レベルでのやりとりもしておりますし、国会の先生、石破議員とか、あるいは赤澤議員だとか、いろんな話をしていただいていることも聞こえてきておりまして、ぜひ何とかなればなというふうに思っています。
議員の皆様に一つ、これはこの場でのお願いではございますけれども、既に先般、予算を提案させていただきましたが、
観光風評被害について仮に政府のほうで一定の措置を出してくださるというときには、議会の皆様に再々で申しわけありませんが、再度追加提案させていただくことを我々としてはお願いをしたいと思います。これはうまくいけばという前提つきでございますけれども、うまくいった場合には早目に観光対策をやらなければなりません。今からだともう年明け以降のことになるかもしれませんが、ただ、それでも早目にしなければいけませんので、ぜひまた今議会で相談をするチャンスがあれば受けとめていただければありがたいと思います。
次に、相談体制や窓口の御相談をいただいたことでありますけれども、これは11月22日に早速県としての相談窓口を総合的な窓口として
中部総合事務所に開設をいたしました。
また、11月24日には弁護士会であるとか、司法書士会であるとか、
土地家屋調査士ですかね、そうしたもののふの皆さんの合同相談会を県ももちろん入りまして、エキパル倉吉、倉吉駅のところで行いました。いろいろと相談も寄せられておりまして、市役所、町役場とあわせて活用をいただけるようになっております。
また、2つ目にお話がございました貸し家に入居されている店舗等の対策ということでありますが、今、我々個別のお店と相談をするようにしております。
倉吉商工会議所が倉吉のことを一応取りまとめることになっていますし、我々のほうでも直接いろいろとやろうということになっていますが、一応
倉吉商工会議所と相談しながら進めております。
例えばそのお店のタイプによってやり方が変わるわけでありますけれども、一般的な自分のお店が壊れて直すというときは、200万円以下のところの補助金を出させていただく復興・復旧型の経営革新制度をこのたび予算を増額していただきました。あれを適用することが可能であります。
貸し家の場合、ちょっと厄介なのは、自分でその家をさわれないことですね。その貸し家が使えないのであればよそでまた新たな店舗をつくるということになりまして、うまくこういう適用関係が難しいケースがございます。
そういうようなケースについて、例えば上井のところが被害が激しかったのですけれども、上井のビルの2階で店舗を営業されていて、地鶏とか非常に熱心にやっておられるお店も残念ながら被災をされました。こちらについては今、個別の話し合いもしているわけでありますけれども、近くの別のビルで営業を再開すると。その際にまた新しいメニューもつくって、いわば再スタートをするというようなことの話し合いを私どもと
商工会議所レベルでしているところです。こういうようなことであればスタート型という経営革新制度の別の事業を使って、かなり額も大き目な形で、300万円ぐらいいけたと思うのですが、そうした形で適用してみてはどうだろうか。無利子、無保証料という融資制度もあるということであります。
また、そのすぐ近くに例えば美容室がございまして、こちらも被災したものがありますが、これも別のところで着つけなども含めた新事業展開をしようと。そういうようなタイプとして経営革新制度のスタート型を使う。これによって被災の復興支援ができるのではないか。こういうようにいろいろと柔軟に、個々の事業者に沿った対策をとる、これを我々のポリシーとしてやってまいりたいと思っております。
次に、手話につきましてお話がございました。手話革命の意義はどういうところにあるのか、また教育委員会にもあわせてお話がございましたが、法律をつくって早期の支援教育や家族への手話等々が必要ではないだろうかと、こういうお話がございました。
私はあえて手話革命という言葉を使ったのは、
パラダイムシフトを起こそうということです。この議場で大議論をして、皆様にもお認めをいただき、私たちは
手話言語条例をつくったわけであります。議員もおっしゃいましたけれども、文部科学省には文部科学省の事情があって、なかなか難しいかもしれない。国がなかなか制度をつくれない状況の中で、我々はそうしたいろんな行政の垣根を超えてルールを設定したり、プロモーションをかけたりすることができる。条例という形で予算もつけながらスタートを切ろうということにしました。
今、実は私もあちこち非常に呼ばれるようになりまして、つい先般も札幌のほうで手話の話をしてくれというようなことがございましたし、今度和歌山に来いと言われたり、さまざまなところで鳥取県議会が決めた条例のすばらしさというのをぜひみんなに教えてくれという動きが非常に強まっております。そういうような形で55の自治体で今、
手話言語条例が現に成立をするということにまでなってまいりました。その着火点に火をつけていただいたのがお集まりの皆様でございます。この
手話言語条例をつくったことで我々の地域ではもちろんのこと、全国に向けて
パラダイムシフトを起こそうということを私どもとしては考えるべきではないかなと思います。
革命と言ったのは、いわばIT革命という言葉のアナロジーでございました。ITで新しい
コミュニケーション手段を得ることができる。それが手話というのも同様のものではないだろうか。手話を使う別の言語として認知をして手話というものを通していろんな方と
コミュニケーションができるし、ひょっとすると健常者の方も手話を多少覚えることによって新しい世界を開くことができるかもしれない。ITによって社会が劇的に変わったように、手話ということを正面から認知をすることで当然ながら障害者が使いやすい暮らしにもつながるし、また私たちの文化自体も変わっていくのではないだろうか、そんな意味で手話革命ということを目指したいと思っております。
これによりまして法律の制定をという動きもあり、我が県議会でも可決をしていただいたわけでありますが、それが何と今は全自治体まで広がったところでございます。
この上は国でそれを実行していただく以外ないと思っており、ぜひとも手話言語法の制定を求めたいと思いますし、それと関連して情報・
コミュニケーション法というものも当然ながら考えていただくこともあるだろうと思っています。高木美智代議員ですね、障害福祉の委員長をされておられまして、たびたびお会いをします。私のほうからもお願いをさせていただきますし、非常に御理解をいただいていると思います。ただ、国会には国会のやり方がありましょうから、いろんなステップを踏んでいかなければならないのだろうと思います。
手話言語法ができたときにそこでぜひ目指していただきたいのは、私どももここで議論をした学校等の場での教育、早期に手話というものを知ってもらうチャンスをつくることだと思っています。私どもも経験しましたが、学校教育で手話を入れることの難しさがあるだろう。現場での抵抗感もありました。しかし、手話のハンドブックをつくり、そして学校の先生方のサポートシステムもつくりやってまいりましたら、本当に子供たちも覚えるのも早く、ひょっとしたらこれで10数年後には世の中が変わるのではないかなというふうにも思えるぐらいになってきました。若干抵抗感があった現場だと思いますけれども、学校のほうも変わってきて、例えば岩美高校で今度手話の基礎手話Iというカリキュラムを設定することも今目指されるぐらいになってきておりまして、全国でも先端的なことも始まろうとしています。
手話を御家族が学ぶチャンスとして、これは事実上のことでありますが、聾学校においてその保護者の手話教室というのを毎週されたりしています。ただ、こういうことがどんどんと制度化されていく必要があると思うのですね。やはり社会の根幹のかかわることですし、鳥取県だけの問題でもないと思いますので、手話言語法がこういう早期の教育支援であるとか、御家族への支援等々の一つの土台になろうかと思います。ぜひ公明党でも党を挙げて取り組んでいただいていると伺っておりますので、実現に向けて御尽力を賜ればと思います。
◯議長(斉木正一君)中島教育委員会委員長
◯教育委員会委員長(中島諒人君)手話の早期教育についての御質問をいただいております。
早期教育ということで、ふと、では、聞こえる人間がどういうふうに言語を習得していくのかということを思いました。大体3歳までに言語の素地ができると。それでそのときに私たちは、普通聞こえる場合、生まれたときからわからないまでも母親などを中心にして言葉がそれこそシャワーのように浴びせられ、そして家族から、そして周囲からということで言葉を浴びせられることでもって物には名前があるということを知り、そしてそれを呼ぶ、それによって周りと
コミュニケーションが開けていくというヘレン・ケラーの伝記などで語られるようなああいう世界を体験していくことでもって私たちは言語の世界に入っていくのかなと思うのです。
それとパラレルに耳が聞こえないお子さんの言語習得ということを考えてみると、まず本人にどのように手話を入れていくかという水準と、それから家族の方にどのように手話を入れていくか、そしてそれを取り囲む、すごく大きい言い方になりますけれども、社会に対してどういうふうに手話というものを入れていくかというふうに恐らく3層で考えられるのではないかなというふうに考えました。
今、本人ということについて言うと、まずは鳥取聾学校などにおいて手話の一歩手前のところでキューサインとか指文字を学び、それからだんだんと手話に入っていくということをされていると。
その御家族の皆さんには、幼稚部の段階から、今、知事からも御紹介がありましたけれども、PTAの手話学習会が月に2回から4回開催されるというようなことがあるようです。その他の形でも保護者にいろんな支援も実施してきていると。それからまだ幼稚園に入られる以前のお子さんに対してもいろんな教育相談のような形で保護者の方にも学んでいってもらっているということがあるようです。基本的には今、本人とか御家族についての早期教育というプロセスは、ある程度は行われているということを言っていいのではないかなというふうに思っております。
ただ、一方で、手話に対する障害についての理解というのが家族の方に薄くて、それで手話を学ばせたくないというようなことをお考えになる耳に障害のあるお子さんの保護者の方もいらっしゃるということもあるようで、こういう方も含めてどういうふうに周りの理解を広げていくかということが非常に大きな課題になるかなと思います。
また、それから社会に対する啓発という意味では、手話普及支援員であるとか、手話ハンドブックというようなことも進んでおりまして、手話に対する理解が非常に
手話言語条例以降高まっているということもあって、手話普及支援員の派遣の数とかが非常に伸びてきているということで、これは非常にいいことなのではないかなと思っておりますけれども、何にせよより手話というものを理解し、それを通じていろんな意味での他者理解を進めていく、そして聴覚に障害のある方がより積極的に社会に参加してもらって、その能力を生かしていくという状況をつくるために教育委員会としても環境整備をしっかり進めていかなければいけないなというふうに思っております。
手話言語法が制定されたとして、学習指導要領、カリキュラムなどの改変等も含めてどういうことが、どういう影響があるかということなのですけれども、現在調べてみるとオーストリア、ハンガリーなど6カ国で憲法の中で手話が位置づけられ、スウェーデン、ベルギーなど11カ国で公的言語ということで法律で位置づけられているということのようです。
実際確かに法律で位置づけられると、学習指導要領の中で手話が位置づけられるということも当然出てくるのかなというふうに思います。
聾学校の現状を聞いてみると、授業に手話という授業がないのですよね。それでなるほどなと思ったのですけれども、例えばそうすると聾学校の中でももしかして手話という授業が教科として入ってくるということもあるのかなというようなことも思うのですが、聾学校の現状についてお聞きするとベーシックなものとしていろんなあらゆる場面を捉えて手話を教えているので、教科化にすることのメリットというのがどれぐらいあるのかなというような意見も少しあったりするようなのですけれども、この辺は実際現場の意見も聞きながら、いろいろ教えなければいけないことも非常に多いという中で、どういうふうにカリキュラムになったときに手話を位置づけていくのかということも考えなければいけないかなと思っております。
また、その他の聾学校以外の学校の中でもどういうふうに手話を位置づけていくかということ、これは今、先ほど知事からも御紹介があったように、例えば岩美高校の中での取り組みというようなこともことしからありますし、来年度から学校設定科目として岩美高校の中で手話を教えるというようなことも進んでおりますので、こういうことを先進事例としながら、どういうふうに学校のカリキュラムの中に位置づけていけるかということも考えていかなければいけないかなと思っています。
あと教育委員会として大事だなと思っておりますのは、こういう手話に対する対応とあわせてほかの障害も含めて障害に関する理解、障害者とともに生きていくということをどういうふうに進めていくか、これを教育の中でしっかりとやっていくということが非常に重要なことだなと思っております。今、障害が大体において逆説の言葉として使われるということが私は多いのではないかなと思っています。障害があるが、このようだというふうに言われるようなことがすごく多い。これをセットにされない、障害が逆説の言葉とセットされない世界をつくっていく、障害がある人もない人もそれぞれのよさを認め合いながら生きていける社会をつくっていく、これが私たちにとっての社会的な目標であり、先ほど知事もおっしゃった革命ということの意味なのではないかと思いますけれども、この小さい鳥取県の中で学校教育を中心にしてそういう発信をしていくということ、これは教育委員会としてぜひやっていかなければいけないことだと認識しております。
◯議長(斉木正一君)33番銀杏議員
◯33番(銀杏泰利君)初めに、鳥取県中部地震であります。
総合相談窓口の開設をしていただいております。いろんな課題を抱えて相談に来られる方がいらっしゃろうかと思いますが、そうした相談窓口が情報収集機能を担うということもございまして、その中から次の現場対応の施策が生まれるのではないかというふうに期待をしておりますので、よろしくお願いいたします。
中部地震では、私も発災当日すぐさまほかの同僚議員とも行きました。倉吉市役所であったり、災害対策本部、北栄町役場等々に行って、本当に激しい余震を感じてまいりました。議会議員の役割ということで思いますに、自分自身がそうなのですけれども、余り議会としてのまとまりがなかったかなというふうに反省をしております。倉吉市のボランティアセンターで川部議員や福浜議員にもお会いしたことがございました。多分ほかの方もたくさん来ていらっしゃったのだろうというふうに思いますけれども、現地に入ってどうだったのかとか、課題はどうかなど、そうした情報の共有が県議会においては議員間での情報のやりとりというのが、会派の中であったかもしれませんが、全体の中ではなかったかなと。本当は個々の議員がそれぞれ災害対策本部なり行政に要請していくというよりも、ある意味課題を集約して、その中からまとめて出していったほうがより的確なものが要請できたのかなというふうな反省も自分はしております。これはまた議会のほうでの課題になるかもしれません。
ところで一昨日、情報がございまして、国のほうではいよいよ具体的な対応策を考えておられるのか、総理が直接知事にお会いしたいというふうなお話があるということをお聞きしております。支障のない範囲でもしお知らせいただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。
全日本ろうあ連盟、石野富志三郎理事長が石田倉吉市長、そして平井知事と面談されて、その内容が新聞報道されておりました。一つには、個人情報保護法が壁になって、中部の在住の約180人の聴覚障害者のうち、30人しか安否確認ができなかったというふうな記事であったと思いますが、実はこれは私の記事の読み間違いの部分もございまして、正確に言うと中部聴覚障害者センターが30人しか把握できていなかったという記事だったということであります。
これにつきまして要援護者の登録と、それらの要援護者の方に迅速正確に必要な情報を提供する、これが大変必要なわけでありますけれども、その中で関係機関、この場合は聴覚障害者センターですけれども、十分な情報共有が私は必要だというふうに思うわけですね。安否だけではなく、その後のサポートのためにもその180名全員との連携がとれるべきだろうなというふうに思いました。新聞報道にもありました指摘について知事の所見を求めたいと思います。
もう一つ、避難所で市の職員から手話の
コミュニケーションを受けられて大変気持ちが落ちついた聴覚障害者がおられたということも、これも報道されておりました。使いなれた手話言語の必要性が再認識されたことだと思いますが、これに対してやはり手話を使える支援者をもっとふやす必要があるなというふうに思いますが、また一般県民の方でも、例えば10人に1人ぐらいでも多少なりとも手話が使える方がふえていくと、避難された方同士で何かと意思疎通ができて避難所生活のストレスが減るのではないかなというふうに思いました。一般向けの手話の普及を進めていかなくてはいけない、また感じたわけであります。と同時に、そうした一般の避難所にも健聴者にも使えるように、手話の辞典なり、緊急災害時の手話や日常会話の手話の一覧、ポスターなどを避難所に配置すべきではないかと思いました。筆記用具も当然必要でございます。避難所での情報アクセスの保障、意思疎通の確保について、知事の所見をお願いいたします。
手話についてもさらに質問をしたいと思います。
知事の会へお願いしたいことがございまして、
手話言語法制定に対しては、政党や国会議員の同意が必要であります。ぜひ知事の会は、それらの方への働きかけを強めていただきたいと思います。知事にお伺いをいたします。
聴覚障害者支援や手話を普及するために、地方での条例制定や具体的施策を実施していくことが必要でありまして、先ほど北海道に行かれての講演もありましたようですが、そうした機会が多いということで安心もするわけでありますけれども、知事の会が先導して、また
全国手話言語市区長会にも呼びかけて広げるように進めていただきたいと思いますが、知事の所見をいただきたいと思います。
手話を広める知事の会の中で、条例制定県による事例発表が4件ございました。情報へのアクセス、災害時の情報保障、手話による文化芸術振興、手話推進の日の制定、広報などなど各地でいろんな取り組みが行われているというふうに思いました。
翻って本県の取り組みが全てを網羅しているわけでは当然ありませんが、全国をリードする平井知事といたしまして、これからどのように施策を本県の中で新たに進め、また上乗せしていくのか、さらに施策に沿った条例に改正してより充実させていくつもりはないのか伺います。
実は私は、もともと内気で引っ込み思案でございまして、手話を勉強しようとしまして、いろいろ抵抗があったのですが、自分を外に向けて体も動かして表現をしていかなくてはいけないと、そういうことから積極性を出すには大変これは効果があるなというふうに思いました。こうした効果を教育に積極的に生かすべきだと思いますけれども、教育委員長の所見を伺います。
◯議長(斉木正一君)平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)銀杏議員から重ねて災害や手話につきましてお尋ねがございました。
まず観光等で今、私どもでお願いしていることの今後の動きということにつきましてでありますが、10月27日に安倍総理、それから
石井国土交通大臣を初め政府の要路の皆さんに私のほうから市町村長や、あるいは観光関係者を伴いまして風評被害対策を強く求めたり、財源対策、復旧対策を求めて歩きました。そのとき安倍総理にも私どもの要求を受けとめていただきまして、そうしたできることはやっていくというお言葉だったと思いますけれども、受けとめていただいたわけであります。その後いろいろとやりとりをしておりまして、私どもとしては何とか道筋をつけていただければと思っております。
今現在の状況では、そうした再度総理にお会いをいただくことも含めて政府側への働きかけ、面談の機会を今いろいろとアプローチをしているというのが現段階であります。現状まだ決まったことはございませんで、先ほど申しましたように今動いているものでありますから、今後、何か決まってくるものが出てきたときは再度議会のほうに追加的な御相談をするかもしれないという状況であります。
聴覚障害者の災害対応につきましてお尋ねがあったわけでございます。
これについては報道にもありましたように、私も直接会いました。全日本ろうあ連の石野理事長さんとお会いしました。もちろん手話を通じての
コミュニケーションになりますが、何となくニュアンスはある程度わかるのですけれども、石野理事長は、鳥取県のこれまでの
手話言語条例の取り組みは生きていたということを言いたかったのが一つだと思います。そこはただ、十分上手に報道の中に出ていない部分でありまして、例えば手話を使える人に出会ったらほっとしたとか、そういうお話はそういう文脈の中で語られていました。ですから鳥取県の対応が非常によくなかったと言いに来たわけではなかったのですね。ですから見舞金もあわせて持ってきたということだったわけです。
ただ、そこで事実としてこんな話を聞いたということをおっしゃったわけでありまして、それが私ども聴覚障害者センターを東・中・西つくりました。そこのセンターのほうで全部の人がわからないと。会員が23名いらっしゃるのですけれども、170名ぐらい実は手帳を持っている方がいらっしゃるわけです。そこが聴覚障害者協会と現実の障害者の方とのギャップがありまして、これは中部に限らず東部、西部でもあるわけです。そこのところのどういうような聴覚障害の方がどういう状況なのか、なかなか情報がなくて面談ができないというお話なわけですね。私はその後、早速石田市長とも電話でお話をしたりして、対策をとろうということでお互い話し合ったところであるのですけれども、実態の状況はどうだったかということを、その後、情報が入ってまいりましたが、170名の方全てに市の職員が安否確認に行ったのだそうです。要支援者名簿に載っておられるので、その支援者名簿に沿って、手帳を持っておられる方には全員安否確認をとったということでありました。ですから、初動で全く孤立していたわけではどうもなかったようです。ただ、聴覚障害者同士の
コミュニケーションで安心することもありますので、そうした
コミュニケーションというのをしっかりとれるような体制も本当は必要なのだと思います。これは個人情報保護審議会の市のほうで許諾をしてもらうとか、厄介な手続も正直あるのですけれども、今回の災害を機として、今回これを総括した上で、次の対策としては、そうした情報の開示等も含めて、聴覚障害者センターとの連携ということも含めて、対策をとれるようにすべきではないかと思います。
また、今回については、順次、今個別の方に了解をとって、情報開示ができるかどうかを今市が動いてくださっていますし、また、アンケート調査をしながら、了解がとれるのであれば、そうした中部の聴覚障害者センターとコンタクトをとれるという体制を今つくろうとしているところであります。
また、そのほかにも情報アクセスの課題が今回も当然ながら避難所等でも十分でないことはあったと思います。先般も申し上げましたが、この辺も総括をして、新年度中には地域防災計画、あるいは避難計画等の改定に向けて動きたいと思っております。
手話言語法の制定につきまして、あるいは
手話言語条例の普及についてお話がございましたが、これはぜひ市区長さん、あるいは知事会のメンバーでこうした働きかけを今後ともやってまいりたいと思います。
知事がメンバーにおります手話を広める会には、公明党から高木議員がお見えでありましたけれども、そのほか、自民党からも古川議員であるとか、今井参議院議員、それから、川田さんですかね、エイズの関係の民進党の先生であるとか、そうした党派を超えて御招待した方々、呼びかけた中で参加された各党の皆さんもいらっしゃいました。党派を超えて、こういう課題について、先ほど議員立法というお話がありましたけれども、取り組んでいただければというふうに思っております。
また、手話の施策についてでありますが、今PDCAサイクルを回して、年々バージョンアップを図っていくようにいたしております。今々見えている課題でいえば、やはり今回の災害時のことでの課題があるのではないかということだとか、それから、聴覚障害の方が孤立しがちなのではないだろうか。ですから、集まれる場の確保だとか、そうしたアプローチをもっと考えるべきかなということがあります。また、手話通訳者の安全等々、そうしたことも含めて、今も見えている課題もあります。こういうものは、またPDCAサイクルを回しまして、新年度予算や今後の計画の中に入れていきたいと思います。
あわせて、あいサポート条例を今検討させていただいておりまして、この中で、情報
コミュニケーション、情報アクセスという観点で、聴覚障害者の課題も当然取り上げることになると思います。そうした中で、今我々で向かっていかなければならない条例上の手当て、これもあいサポート条例のほうの提案の中に盛り込んでまいりたいと思います。
◯議長(斉木正一君)中島教育委員会委員長
◯教育委員会委員長(中島諒人君)手話が積極性を出すには効果があるのではないかというお話です。
私もそのとおりだと思います。ありがとうございますというのをただ手でやっても伝わらなくて、何かありがとうという気持ちを持たないとだめだというので、要するにただ形をやるのではなくて、あるエネルギーを持って他者に向かってそれを出して関係をつくっていくのだということを前提としないと、
コミュニケーションが成立しない。それは、いわゆる聞こえている子供たちにとっても、どういうふうに人に言葉を出し、あるいは体の動きなども見せて、自分の中の何かを伝えていくのかということが、今多くの子供たちにとって非常に課題、なかなかそれがうまくできない子供が多いという状況の中で、議員がおっしゃることはそのとおりだろうと思います。
実際、この間、銀杏議員もごらんになりましたけれども、
手話フォーラムのときの演劇を私も見ましたけれども、皆さん非常に表情が豊かで、エネルギーが前に出ていらして、すばらしいなと思いましたし、それから、アメリカ・ロサンジェルスでデフ・ウェストというミュージカルの劇団がありまして、これはブロードウェイでも上演をやって、2016年のトニー賞にノミネートされたというぐらいすばらしいミュージカルをやるのですけれども、この人たちも本当にエネルギーがばんばん前に出るのですよね。そういうことを子供たちにどういうふうに体験してもらうかということは、まだまだ工夫の余地があるのではないかなというふうに思います。
手話普及支援員の皆さんとかが、今はどちらかというと恐らくサインを教えるというニュアンスのほうが強いのではないかなと思うのですけれども、学習発表会などにもいろいろ支援をしていただいているというような状況の中で、より自分の中のエネルギーを出していく一つの機会とか、ツールとしての手話というものを捉え、それが子供たちに影響を与えて、ふだんの
コミュニケーションのあり方も変えていくということは、これは全然あり得ることだと思うので、学校現場における手話の指導の仕方とかも含めて、少し検討させていただきたいなと思います。
◯議長(斉木正一君)33番銀杏議員
◯33番(銀杏泰利君)この手話を言語として認めてもらうような、そうした法制定をしていくための弾みといたしまして、手話を広める知事の会で読売新聞大阪本社の井手編集委員による講演がありまして、これが大変核心を突く講演で、ヒントになるかなと私は思いました。手話革命を起こしたい、
手話言語法制定に向けてというテーマでありましたけれども、その講演の中で、デフリンピックの開催を提案されております。デフリンピックは聾者のオリンピックで、夏季大会は1924年から始まって、来年で第23回大会を迎える。冬季大会は1949年に始まって、去年、第19回大会が開催をされたと。歴史がある大会であります。4年ごとに開催をされておりますけれども、聾者自身が運営をする聾者のための国際的なスポーツ大会であります。そこで使われる言葉は国際手話で、井手氏は、国の壁を破るためにはデフリンピックを招致するのがよいというふうに提案をされました。夏季大会で80カ国3,000人近い聴覚障害者が来日をされ、国際手話が公用語として使われますので、政府は、これは何もしないわけにはいかないと強調されておりました。そして、さらに、鳥取にはコカ・コーラウエストパーク陸上競技場があると。この競技場を使ってぜひ開催してほしいとも呼びかけておられます。
私はこれは大変な試みでありますけれども、皆と協力して開催できたら、大きく前進することは間違いないというふうに思いました。一つの県でできなくても、他県と協力してでも開催をすべきではないかなと思います。
2013年10月にJR九州がクルーズ型の豪華列車、ななつ星in九州を送り出して、この秋で3年が経過をいたしました。これまで最も安いもので1泊2日25万円という価格ながら、平均倍率26倍という高い人気を誇っております。そのななつ星に続きまして、来年、2017年春には、いよいよ我々の地域にもJR西日本のクルーズ型豪華寝台列車がデビューすることになっています。トワイライトエクスプレス瑞風であります。議長にお許しをいただきまして、お手元にJR西日本米子支社より御提供いただいた資料を配付させていただきましたので、御参照いただきたいと思います。
JR西日本は、観光立国の推進、日本の人口減少といった観点から、豪華列車の導入を決め、先週29日には大阪のJR西日本本社にてその運行スケジュールが発表されました。運行ルートについては、京都駅から中国地方をめぐり、京都駅へ戻る2泊3日の周遊型のほか、京都、大阪駅と山口県の下関駅の間を山陽、もしくは山陰本線を経由して1泊2日で走る片道移動型が用意されています。そして、料金は、2人用のツインが1人27万円から55万円、1人から2人用のシングルが1人25万円から67万円、1両1室で、バルコニーや浴槽を備え、2人から4人用のスイートは1人56万円から125万円と高価な設定となっております。
なお、この豪華列車は、途中下車しての観光も大きな魅力であり、瑞風を地域との共生の手段ともするJR西日本は、その停車駅で地元自治体などと連携し、乗客をおもてなしする考えであります。その停車駅の一つで、我が鳥取県の岩美町にある東浜駅では、地びき網体験が用意されていると伺っております。また、この豪華列車瑞風は、車内で提供される料理もセールスポイントであり、JR西日本は、恵み豊かな西日本の食のすばらしさを提供したいとしており、我が県の食材の活用についても大変気になるところであります。JR西日本米子支社の松岡支社長も新聞社の取材に対し、観光資源や食材の魅力を発信できる絶好のチャンスと、地元からの期待を感じているとされており、立ち寄り先でのおもてなしなど、地元の皆様と一緒に地域全体の盛り上げを実現したいと、こうコメントをされております。
その料理の監修は、料理雑誌「あまから手帖」の編集顧問などを務めている門下武司氏のプロデュースのもと、京都の高級料亭、菊乃井の村田吉弘氏、大阪の高級フレンチレストラン、HAJIMEの吉田肇氏が担当することになっています。
そこで、この豪華列車、トワイライトエクスプレス瑞風の運行がいよいよこの春に迫る中で、我が県として、これまでJR西日本とどのような連携を図ってこられたのか、平井知事にお伺いいたします。
また、現在のところ、我が県への停車駅は鳥取駅と東浜駅のみと伺っていますが、千載一遇のチャンスと、この春の瑞風の運行を心待ちにしているのが東浜駅のある岩美町であります。東浜駅近隣の東浜海水浴場は、昭和後期から平成初期にかけて、関西方面などの海水浴客でにぎわい、ピーク時には海岸周辺に何と60件もの民宿があったといいます。しかしながら、現在では10分の1ほどに激減しており、榎本岩美町長は、地域衰退をとめるきっかけにしたいとお話をされております。
私は、この絶好の機会を捉えて、山陰海岸の美しさを強調し、山陰海岸ジオパークのブランド化をさらに全国に向けて図っていく必要があると考えておりますが、この瑞風の運行に向けての平井知事の意気込みと我が県への波及効果について、平井知事の御所見を伺います。
私は、JR九州の豪華列車、ななつ星in九州を初めとする観光列車が九州全域にどれだけの経済効果をもたらしているかを調査するため、これまで3回、JR九州本社を訪問し、お話を伺ってきました。JR九州の担当者は、車両本体の魅力だけではなく、沿線の歓迎ムードや地域の素材が人気を下支えしていると強調されていました。そして、観光列車の成功には、地元住民の協力に加え、自然、食、文化、歴史などの観光資源の発掘、活用が欠かせないとさらに強調をされていました。
熊本県人吉市では、2009年から薩摩線を走るSLを生かした地域振興に力を入れており、市が打ち出した手振り運動が定着しています。住民は、通過する列車を見れば、反射的に手を振るようになったとのことであります。また、地元民泊施設のおかみでつくる会は、ノスタルジック人吉と題して、訪れる乗客にSLが現役だった100年前の時代の服装をまとい、郷愁を覚える音楽を奏でて歓迎する運動を展開されています。人吉市によりますと、これらの取り組みで、2009年以前、70万人から80万人だった観光客は、ここ5年で100万人を超え推移しているとのことであります。
そこで、瑞風運行に向けて、沿線住民の歓迎ムードの演出や観光関係者によるおもてなし精神の醸成等について、関係市町村と連携をしながらどのように取り組まれようとされているのか、平井知事の御所見を伺いたいと思います。
観光列車の成功には、地元住民の協力に加え、観光資源の発掘や活用が欠かせないと、先ほどJR九州の事例を紹介いたしましたが、JR西日本でも、このたび瑞風の運行に向けて、鳥取、島根両県の地域資源の発掘や情報発信を進めています。JR西日本米子支社が主体となって取り組んでいる山陰いいもの探県隊であります。初代の内山興、現在2代目の木内吾平JR西日本松江支店長をキャプテンに、山陰両県の文化や食、観光などに精通する民間の45人の隊員が、ガイドブックに載らない、これまで埋もれていた地域資源を掘り起こしてブランド力の向上を目指しております。
JR西日本は、ことし8月8日にトワイライトエクスプレス瑞風の車内を飾るアート作品や伝統工芸の作家を発表しました。地元作家の作品を乗客に見て、使ってもらい、運行する山陰、山陽両ルート沿線の魅力を伝えるのが狙いとのことであります。山陰いいもの探県隊など、沿線各地域からの推薦を受け、瑞風のデザインを担当したインテリアデザイナーの浦一也さん監修のもと、現時点で鳥取を初め、京都や島根など、7府県20人への制作依頼が行われています。瑞風の資料の11ページを御参照いただければと思います。
我が鳥取県関係では、人間国宝で白磁作家、前田昭博さんの作品が通路の展示スペースに飾られるほか、因州・中井窯の坂本章さんが各客室に備えつける瑞風オリジナルの茶器を担当、鉄筋アーティストの徳持耕一郎さんの作品がラウンジカー、写真家、植田正治さんの作品が各車両通路でそれぞれ展示されることになっております。
また、もう一つの停車先である鳥取駅での立ち寄り先を見ますと、鳥取砂丘だけではなくて、仁風閣や鳥取民藝美術館、さらには、通常非公開である鳥取の民芸建築の旧吉田医院が決定をしています。ここで注目したいのが、この立ち寄り先の全てに鳥取民芸の祖、吉田璋也氏がかかわっている点であります。こちらも議長にお許しをいただき、一般財団法人鳥取民芸協会様より御提供いただいた参考資料を配付させていただいておりますので、ぜひ御参照いただければと思います。
鳥取砂丘や仁風閣といった鳥取の観光名所が破壊されずに今日の姿をとどめているのは、吉田璋也氏らが設立した鳥取文化財協会の活動のたまものであり、吉田璋也氏が築いてきた鳥取民芸や、吉田璋也氏がつくった鳥取民藝美術館や旧吉田医院が立ち寄り先に採用されたことは、我が鳥取県として大変誇らしいことだと私は思っております。
これまで我が鳥取県にはいいものがたくさんあると県民誰もが薄々感じていましたが、行政や経済団体主導では、平等性に配慮する余り、商品を絞り込むことができなかった部分があったのではないかと思います。その点、JR西日本が主体となっていいもの探県隊では、山陰の西から東まで、いいものを隊員が気兼ねなく選定されました。単にいいものというだけでなく、誰がどういうふうにつくっているのか、物語まで考えて選ばれております。私は、この機会に、吉田璋也氏がつくってきた物語を、そして、積み重ね、構築してきた鳥取民芸を、鳥取民藝美術館を、新作民芸運動の発祥の地、鳥取県として大きく売り出すべきだと考えますが、平井知事の御所見を伺います。
次に、ツキノワグマ対策について質問をさせていただきます。
近年、全国で熊が人里に出没し、人を襲う被害が相次いでいます。秋田県では、ことし6月に山林で4人が相次いで熊に襲われた事故が発生し、4人目の女性が襲われた現場近くで射殺した熊を解剖したところ、胃の中から人間の体の一部が見つかっております。お隣の兵庫県でも、この10月17日に60歳の男性が熊に襲われ、頭と左腕をかまれて重傷、岡山県でも16年度のツキノワグマの出没情報は214頭、有害捕獲数は10頭で、いずれも年度ごとの過去最多を更新しております。10月中旬には、県境をまたいだ美作市や西粟倉村で、1日7頭が捕獲されている事態も起きております。
我が鳥取県でも、他県同様、熊の目撃情報や負傷事故が相次いでおり、県もその対応に苦慮していると伺っております。5月に若桜町の山中でランニングをしておりました男性が襲われて、指を骨折、6月には、八頭町で捕獲したツキノワグマをおりに入れる際、作業員2人がかまれ、それぞれ左手にけがを負う事故も発生をしております。県内全体で見ると、今年度のツキノワグマの出没情報は453件あり、推定生息数は250頭から400頭程度と見込まれております。私の住む八頭町では、毎朝、防災行政無線で目撃情報と注意喚起が繰り返し行われており、私のほうにも小さいお孫さんを心配するおじいさんやおばあさんから、何とかこの現状を平井知事に伝えてほしい、平井知事にいい対策を講じてもらうようにお願いしてほしいと切実な声が多く寄せられております。
そこで、県内の過疎地域で深刻化しているツキノワグマによる被害について、平井知事の現状認識を伺いたいと思います。
鳥取県を含む東中国地域のツキノワグマは、環境省の絶滅のおそれのある地域個体群に指定されており、県のレッドデータブックでも県内で絶滅の危険が増大している種類である絶滅危惧II類とされています。そして、全国的な被害を受け、生息数が増加している兵庫県では、先月15日からツキノワグマ猟が20年ぶりに解禁され、県北部でツキノワグマの出没が相次ぐ岡山県でも、このたび2017年度から狩猟を解禁する方針を明らかにしております。
兵庫県では、ツキノワグマの推定生息数が100頭以下に減少した1996年度から狩猟を禁止し、保護に取り組んできました。その後、熊は順調にふえ、人的被害も懸念されたため、2014年度、兵庫県の保護計画で推定生息数が800頭以上になった場合に狩猟を再開する方針を決定しています。その後、2015年度の調査で940頭に達し、今回の解禁を決めたとのことであります。我が鳥取県も、県独自の保護管理計画に沿って、これまでツキノワグマ対策に取り組まれてきたと思いますが、その取り組みの中身についてお聞かせ願いたいと思います。
お隣の兵庫県や岡山県が熊猟を解禁していく中で、今年度、我が県では保護管理計画の見直しが行われると伺っております。これまで鳥取県は、保護優先でツキノワグマの対策が行われてきたと思いますが、毎年徐々にツキノワグマは増加をしており、私は個体数を調整する時期に来ていると考えております。子供たちや高齢者が犠牲になる前に、我が鳥取県としましても、熊猟を解禁し、しっかり対応していくべきだと思いますが、平井知事の御所見を伺い、壇上での質問といたします。
◯副議長(藤縄喜和君)答弁を求めます。
平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)福田県議の一般質問にお答え申し上げます。
まず、福田県議、さらには、先ほども島谷県議から中部地震につきまして、心温まるお言葉をいただきました。県民一丸となって復旧復興へ向かってまいれればと存じます。
また、花御所柿についても言及いただきましたけれども、先般、新宿の京橋千疋屋の店頭におきまして、私もプロモーションに参加をさせていただきました。召し上がっていただきますと、皆さん、表情が緩みまして、確かに甘いということであり、かなり高額の販売ではありますけれども、何人かにお一人は買いに戻られるというようなことでございまして、これからのブランド化に向けた手応えも、2年目として感じるようになってまいりました。この京橋千疋屋さんには、あわせて復興関係で王州梨なども販売をお手伝いいただいておりまして、ぜひこれからもよいつながりをつくっていければと思います。福田県議や、あるいは石破代議士、また、御婦人に大変にお世話になりまして、御縁ができたことを感謝申し上げたいと思います。
まず、トワイライトエクスプレス瑞風につきまして、何点かお尋ねがございました。
JR西日本とどういう連携を図ってきたのか、また、運行に向けての意気込みやいかん、さらに、歓迎、おもてなし、そうしたことをどういうふうに地域と連帯しながらやっていくのか、こういうお尋ねがございました。
このトワイライトエクスプレス瑞風は、いわば日本版のオリエントエクスプレスでございます。非常に豪華な列車でございまして、先般発表されましたけれども、6月17日からいよいよ運行開始する。また、12月に入りまして、そのチケットの発売も始まるということで、恐らく予約、抽せんということになるぐらい人気が出てくるのではないかなと思われます。九州のななつ星が先行しておりますが、それ以上に高額な商品も今回出されて、少しく驚いたところでございます。
本県へのルートもこのたび発表になりました。2泊3日コースですと、3日目に東浜に停車をしてブランチを食べる。イタリア料理のブランチを東浜の駅のところに新しくつくるレストラン、ここで召し上がっていただくというコースになります。また、1泊2日の山陰コースについて、2日目に鳥取でおりて、鳥取砂丘や仁風閣などを回る、こういうコースも計画をされているわけです。
これに至るまで、随分年月がございまして、最初に構想が示されたときに、これは非常に新しい旅のテーマとして重要ではないかなと私も考え、多くの方々もそのように思われたと思います。平成26年6月に、JR西日本の米子支社長さん初め、幹部の皆様とまずお話をさせていただく機会がございました。これは、JRと我々県のほうとの意見のすり合わせをする連携の会議でございます。その席上で、ぜひ瑞風を県内にとめてもらいたいと。また、瑞風のプロジェクトの中で県産品などをぜひ活用してもらいたいということを強く申し上げました。また、あわせて、鳥取県としては特別の応援プロジェクトを始めたいということを申し上げまして、その夏に市町村だとか、関係者と一緒になりまして、この瑞風を応援するプロジェクトを始めました。
そうこうしていますと、あちらのJRのほうで、先ほど福田県議がおっしゃいましたいいもの探県隊というのが始まりました。実はそのいいもの探県隊が動き回るのと、私どものプロジェクトとはかなり連動して、下支えをさせていただいております。そういう中で、鳥取の産品である伯耆町のカゴノキを車体の中で使うとか、また、中井窯であるとか、また、やなせ窯であるとか、さらに、徳持耕一郎さんのあの針金アートといいますか、ああいう造形であるとか、植田正治さんの写真であるとか、そうしたアイデアを一緒につくり上げていったところでございました。
ここまでJRさんといわば共同歩調でやってまいりまして、非常に前向きに山陰の新しい旅を掘り起こそうとしていることが私どもにも伝わってきたところでございます。ぜひ今回の瑞風のプロジェクトを成功させ、いわば世界でも最高級の旅の宿の聖地として、単に瑞風に乗っている人だけでなくて、瑞風に憧れる層、あるいは鉄道に憧れる方々、こういう方々の魅力を引きつけてやまないような、そういう観光リゾートに山陰、鳥取県を育てていければと思います。そういうチャンスにも一つなり得ると思います。
先ほど人吉市のお話がございました。九州のななつ星では、鉄道が走るということで、これで経済効果、観光効果が生まれているというお話がございました。お考えいただければ、すぐおわかりかと思うのですが、一つの列車に乗れる方は30名です。ぐるぐる同じ列車で30名の方が回っているわけでありまして、それを幾ら足し算しても年間でたくさん運ぶということにはならないわけです。希少性がありますから、それはそれで人気が出るわけでありますが、乗っておられる方だけで地元が潤うとかということにはならないわけです。だから、むしろ、その最高級の列車が走る、あの景色を私も見てみたい、あるいは東浜の新しくできたレストラン、これは瑞風のお客さんが食べるところだと、私たちも行ってみたい、そうやって広がりが出てこないと、地域としては本当の果実を得られないと思っています。
また、鉄道ですから走り回るわけでありまして、正式な停車駅以外のところもあるだろうと思います。JRさんとは結構率直なお話もさせていただいていて、米子だって支社があるのだから、とまればいいではないですかと、何か考えましょうよとかということを呼びかけたり、中部のほうでも何かポイントがあってもいいのではないかとか、水面下ではいろんな御要請もさせていただいております。どういうふうに最後、転がってくるかはわかりませんけれども、JRのほうでも、せっかく地域を走っているのですから、何か考える方向性は出してくださるのではないかなと思います。
そういう中では、一つは大山を見に行こうということで、少し回り込んで、大山を見てもらうというような時間を瑞風の中でつくられることが決まりました。また、先ほどお話がございましたように、鳥取の民藝美術館であるとか、それから、吉田医院であるとか、そうしたところも視察先として加わることも出てきましたし、単にただ停車駅だけの問題ではない広がりが、徐々にではありますが、生まれてきていると思います。これを成功させるためには、やはり地元としてのおもてなしの気持ちが大事だと思うのです。それは、単に瑞風に乗っているお客様のためのものだけでないと私は思います。
先ほどまで、美保南の子供たちもいましたが、子供たちが豪華列車を見たら手を振るというのは当たり前の感情なのですね。ただ、それに触れることで旅の情緒として、旅情として、思い出に残る、感動するということであります。こういうことは、観光地としては必要な素養でもあるのですね。ですから、先ほどお話がございましたようなこと、例えば福岡県のうきは市でも手振りという、手を振るという運動を始めたわけです。それが評判になりまして、結局ななつ星がとまるということにもなったのですね。また、旗を振ってお出迎えをする。そんなようなことも大牟田などでもございます。実は今、東浜でも旗を振ってお出迎えをしようということを今計画されているわけであります。
今、大山のほうに回り込んで、大山のすばらしい景色を見てもらう、この伯耆町のほうでは、菜の花畑を見せて、菜の花を植えて、きれいなそうした大山の風情も感じてもらおうと、そんなような準備も始めているところでございます。また、麒麟獅子舞やお茶で、仁風閣でもてなそうと、これも県が今助成をしておりますけれども、そういうもてなしのプログラムも準備が始まりました。いろいろな形で市町村や地域の方々と一緒におもてなしの輪を広げていければと思います。
これができることが、外国から来たお客様であるとか、全国各地から来られるふだんのお客様、それに向き合う地元のホスピタリティーにもなってくるわけであります。それが観光として産業を育てる大きな起爆剤にもなり得るのではないかと思います。
次に、瑞風の運行の機会に、鳥取民藝美術館など、民芸運動の発祥の地として売り出せないかということであります。
これはぜひに考えてみたいと思いますし、関係者とぜひ進めていければなというふうに思います。最近、皆様が想像される以上に、実は民芸が見直されてきております。これについては、例えば若い方のセレクトショップのようなBEAMSという店がある。あれに出したことが皮切りになりまして、最近もいろいろとそうしたクラフトショップのようなところで鳥取の民芸品を売っていただけるようになってまいりました。それがまた人気があるのですね。さっき申し上げたBEAMSであれば、例えば中井窯とかから出しています。そうすると、すぐに売り切れてしまうわけですね。だから、生産が追いつかない、それぐらい、高い値段なのですけれども、そういうようにお取引が進むようになってきました。
また、こうした民芸を紹介する旅行本も刊行されてきておりまして、「山陰旅行」という本であるとか、それから「ことりっぷ 鳥取 倉吉・米子」という本、こうした本は、若い女性であるとか、結構人気のある手引書なのですけれども、そういうのが、例えば「ことりっぷ」であれば、版を重ねて重版になりました。そうやって結構市場性があるのですね。その証拠に、そういうようなガイドブックを見て鳥取民藝美術館に来られるお客様もふえていまして、最近も1,500人ぐらいふえてきているということであり、勢いが今戻り始めているとも言われています。
これは、別にそうした旅だけでなくて、物の需要としても民芸についての興味は高まっているようでありまして、去年、おととしぐらい、京都や大阪の高島屋で、鳥取民藝美術館やたくみさんのほうでお世話になって、向こうで展覧会をやったのですね。民芸のための展覧会。これは県のほうでもそうしたものの販路拡大などを応援させていただくプロジェクトで支援させていただきました。これは非常に評判がようございまして、正直、高島屋さんの注文がさばけないというような悩みが出るぐらい、こういう意味で活気を呈しているわけであります。今がいわば旬になり始めているのだと思うのです。そこに今回の瑞風というものもやってきますので、ぜひそうした意味で、この民芸運動を見直す契機になり、全国や世界に向けてアピールするチャンスになればと考えております。
最後に、ツキノワグマについてお話がございました。
このツキノワグマの被害について、ぜひ認識を深めてもらいたいと、こういうことでございました。
これについては、大変に私も憂慮するものであります。ことしは、ちょっと山の状況も変わっていて、ブナが大凶作であります。コナラやミズナラといったところも凶作でございまして、要はドングリ、全部の種類ではないですけれども非常に作柄が悪い。それで勢い、里のほうに餌を求めておりてくる、こんな状況が全国各地であります。記憶に新しいところでは、秋田県のほうの鹿角市で、連続して襲われるというようなことがありました。山陰でも、島根県の浜田、あちらのほうでは西中国系の群体がございまして、人が負傷するということがありました。隣の兵庫県でもことし、久しぶりに負傷するということがあったとして騒ぎになっております。
本県に至りましては、岩美町、それから鳥取市国府町、また若桜町、また八頭町では専門家の方がかまれるということになりましたけれども、そういうように4件にわたりまして負傷事故が起きているわけであります。看過できない状況になってきていると思います。
今折しも、議員がおっしゃるように、鳥獣保護管理の計画の改定時期に入っていまして、今年度いっぱいで、今後、では、どういう方針で向かうかというのを議論する時期でございます。今その議論の過程なのですけれども、従来は確かに希少動物という側面で保護するほうに重点が若干置かれがちであったのではないかなと思います。そうはいっても、実は前回の改定時期にやはり同じような議論がございまして、それで、ある程度抑制をしながら、個体数管理をしていくのだということに本県としては踏み出したわけでありますが、今回議論を今進めているところであり、専門家の方、地元関係者の方、みんな交えて議論をすることになりますが、ぜひ踏み込んだ議論をお願いできないかなというふうに思っております。
これは、専門的見地のアプローチも必要でありますので、私どもでこうしろということだけで押し切れるものでもないのですが、幾つか問題意識を申し上げれば、現在の個体数管理として800頭というのが一つの目標値になっているのですね。これは国全体の指導もあるということでございまして、国の法律と、それに基づくガイドラインで設定されている数字でもあり、さっき兵庫県が狩猟に踏み切ったといいますが、800頭を超えて940頭ぐらい確認されたので、140頭を限度とした狩猟ということを解禁したということであります。そういう意味で全国的にこういう数字はあるのですけれども、ただ、個体群としては東中国地域は一つ、一体のものでありまして、もともと本県にそんなにいなかったのですよね。ですから、岡山が過敏に反応して、今同じように狩猟解禁に踏み切ったというのは、その辺が背景にあると思います。
本県も、数年前までは400頭いくかいかないかぐらいのところまででございましたのが、急速に今ふえてきているというような観測になっています。今最終的な調査がなされているわけではありませんが、いずれにせよ、これはふえているというふうに皆さん感じています。
これについて、実は昨日、県の市町村会が県政への要望を持ってこられました。皆さん口をそろえておっしゃったのは、熊を何とかしてもらいたいということです。例えば有害捕獲との関係をおっしゃったり、それから、わなに捕まったところ、これを教育放獣する、学習放獣するわけでありますが、そういうことに対する地元の理解ももう得られなくなってきているとか、そういうようなお話が相次いだところでございます。
ですから、例えば、実は800頭というのは、400頭から800頭という幅がある中で800頭と設定されている、いわば環境省的な優等生を目指しているのかもしれませんけれども、実態に即して、例えば400頭ぐらいを管理の目標にするとか、また、ゾーニングをして、こういう里に近いところにおいては、錯誤捕獲といいますが、わなにかかった熊については、それは殺処分するということも入れるような、新しいタイプの管理手法、こういうところについての議論も必要ではないかなと思っております。
ただ、いずれにせよ、今はまだ議論のさなかでございまして、きょうの議場での御議論も誠実にその検討会のほうに御報告申し上げたいと思いますし、また、願わくば現場の集落の方の話とか、町長さんの話とかも聞いてもらいながら方針を話し合ってもらうのがいいのかなと思います。今のままの管理計画を続けていきますと、800頭に至るまで、まだまだふやせということになります。果たしてそれが本県の県民感情に合うのか、また、里の安全・安心ということに果たしてそのままでいいのかというようなことだと思います。ですから、見直すことも含めて、これについては、十分議論していただくように、私どものほうからも申し上げていきたいと思います。
◯副議長(藤縄喜和君)22番福田議員
◯22番(福田俊史君)知事の御答弁から、瑞風の運行につきましては、しっかりJR西日本と連携が図られておりますし、共同歩調でやってこられたということでよくわかりました。
また、沿線住民の歓迎ムードの演出でありますとか、観光関係者によるおもてなし精神の醸成についても、関係市町村と今しっかりやっているという話でありましたので、しっかり運行までに形にしていただきたいなと思います。
先ほども申し上げましたけれども、今回の瑞風の運行によって、一番すばらしいなと思ったのが、やはりいいもの探県隊だと思います。今まで行政とか、経済団体というのは、やはり平等性というものを余りにも重視してきた、配慮してきたために、商品を絞り込むことができなかったと思うのですが、今までエースで4番になれなかった鳥取民芸でありますとか、鳥取民藝美術館というのが、ここになって実は一気にクローズアップされていて、これから非常に脚光を浴びる可能性が出てきたということだろうと思います。平井知事のほうからも、先ほど改めて今回見直しをして、応援をしたいということを言っていただきましたので、続きまして、吉田璋也さん、そして、鳥取民芸についてさらに質問を続けさせていただきたいというふうに思います。
吉田璋也は、鳥取砂丘や仁風閣だけではなくて、湖山池にも大きくかかわられております。湖山池の景観は、古くは江戸時代の文人、安藤箕山らがいおりを建てて、その景観を楽しみ、小説家、志賀直哉も称賛をしております。しかし、さまざまな開発計画が進み、景観が損なわれようとしたことに歯どめをかけるため、吉田璋也ら鳥取文化財協会は、その景観保護や遺跡保存などの運動を起こしました。また、その価値ある景観を多くの人々に公開するため、吉田璋也は絶景の地を買い求めて、鳥取民藝美術館別館として昭和39年に湖山池阿弥陀堂を建てました。湖山池の北岸に位置し、小高い山の上にあり、津生島を正面に据え、中国山地が遠望できるこの景観は、現在では山陰海岸ジオパーク内の景勝地としてすぐれた観光資源であることを確信いたします。資料の一番最初のページです。これが湖山池から見た阿弥陀堂であります。そして、一番最後のページ、これが阿弥陀堂から見た湖山池であります。
この阿弥陀堂でありますが、特に湖山池の遊覧船などとの連携によって、インバウンドを含めた付加価値の高い観光商品としての可能性も十分見込めるのではないかなと思います。また、その建築は、吉田璋也のすぐれた設計であり、現在国の登録有形文化財として文化庁に進達がなされていると伺ってもおります。しかし、残念なことに、築後50年を経て、雨漏りをするなど、老朽化が進み、活用するには大改修が必要だと伺っております。
瑞風が運行するこのタイミングに施設を所有する公益財団法人鳥取民藝美術館や地元の鳥取市とも連携し、整備や活用に向けて当初予算編成過程の中で協議してみてはどうかと考えますが、知事の所見をお伺いします。
◯副議長(藤縄喜和君)平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)福田議員から重ねて、民芸について活用のお話がございました。
民芸について、いろいろと側面はありますが、器をつくる、あるいは着物ということにとどまらず、さらにその用の美は建築にも及んでいます。旧吉田医院もそうですし、また、民藝美術館もそうでありますが、非常に例えば窓枠の桟の一つとってしても、一つ一つが洗練された感性に基づくデザインがなされています。
今御指摘ございました阿弥陀堂については、湖山池の北のほうにあるわけでございますが、ちょうど三徳山と言うとちょっと言い過ぎですが、一つ、岩の上に建つお堂のような形でつくられているところであります。この阿弥陀堂は、吉田璋也の晩年の非常に手をかけた一つの作品と言っていいものでございまして、当時の民芸作家たちがこの建設にも大きくかかわっているわけであります。木谷理事長を初め、こうしたことを顕彰しようとイベントをされましたときに、私もお伺いをして、阿弥陀堂の中に座らさせていただいたこともございました。また、民芸の全国大会のような場でも、こうしたすばらしい施設というのが各界からの評価を集めたところでございました。
幾つか特筆すべき点があるのだと思います。例えば構造材にクリを使って、それがまた、いわば用の美であることだとか、また、ケヤキの大きな板で床材をふくとか、そういうような当時非常に先端的だったと思われます工芸品のような家をつくる、それがちょうど湖山池のほうにせり出すような形で八角堂をこしらえるわけでありますが、その八角のうちの5つの面までガラス張りにしまして、パノラマ展望台のような、そういうつくりにし、奥のほうに茶室があるというような、日本のよさを心行くまで楽しめる、湖山池というものをモチーフにした、そこでなければ建てられないような建物になっています。
ここから見える景色、今解説もいただきましたけれども、目の前のほうに津生島がある。津生島というのは、こんこんと湧き上がる泉の津と、それから、生まれるということでありまして、無量寿、阿弥陀仏に係るものであると。それの脇を固めるかのように、青島や団子島がございまして、それが勢至菩薩や観音菩薩、いわば阿弥陀三尊を構成しているというようにも読み取りながら、そこの場を選ばれたのだと思います。こんなような非常に考え抜いた一つの作品として、あそこにあるわけでありまして、例えば瑞風のお客様のような、そうしたテーストをしっかりと味わっていただけるような方々にも満足していただけるところではないかなと思います。私も伺いまして驚きましたのは、バーナード・リーチのスケッチがかけてありました。あれはわざとかけたのかもしれませんが、そういうようなことで、当時いろんな世界の人たちとつながっていた一品であるということだと思います。
議員からも御指摘もございましたので、改めて鳥取市であるとか、民藝美術館であるとか、私どものほうでも話し合いをさせていただきたいと思いますが、そういう新しい旅先の発掘、あるいはジオパークの一角にもなりますから、そういうジオパークの一つの施設として、改修のお手伝いをさせていただく検討をいたしたいと思います。当初予算の中でちょっと関係先と議論をさせていただきたいと思います。
◯副議長(藤縄喜和君)22番福田議員
◯22番(福田俊史君)大変前向きな御答弁ありがとうございました。
続きまして、先ほど知事が一番最初の御答弁でお話があった若い人への民芸ですね、鳥取の民芸の現代的なブラッシュアップと販路拡大について、続けて質問をさせていただきたいと思います。
鳥取の民芸は、都市部で大変高い人気をかち得ております。98ページを御参照いただければと思います。そのきっかけは、鳥取民藝美術館が工業デザイナー、柳宗理らを招聘し、製品開発をして、それが大変有名なセレクトショップ、先ほど知事からも御紹介がありましたBEAMSの目にとまり、新たなレーベルとして平成15年にBEAMS渋谷店で発売を開始されたことでありました。平井知事は、当時副知事として、その記念すべきオープニングに立ち合われたということであります。
公平性を保つために、これまでのように、県内の全ての民工芸品を同列に扱うようなことはもうやめまして、特徴あるこの鳥取民芸などのような製品開発に意欲の高い工房や、それをまとめる流通組織、例えば鳥取たくみ工芸店を有する公益財団法人鳥取民藝美術館などを積極的に支援することが今必要だろうと思います。先ほど知事からも前向きな御答弁をいただきました。BEAMSを初めとする全国のセレクトショップや有名百貨店との連携、デザイン開発など、鳥取県が積極的に補助金等でさらに支援をすべきだと思いますが、知事の御所見を伺いたいと思います。
◯副議長(藤縄喜和君)平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)福田県議から重ねてのお尋ねがございました。
先ほど申しましたように、県としてもこの民芸の販路拡大、認知度を高めるためのアピールに協力をこれまでもしてまいりましたし、ぜひ今後も積極的に仕掛けていければと思います。
先ほどのBEAMSだけでなくて、最近人気のCLASKAという店があります。これは、日本橋のあたりとか、それから東京駅前のKITTEという、ちょっと騒動も起きましたけれども、あのビルの一角にありますが、こちらのほうでは、国造焼とか、それから大因州製紙さんのものをクラフトとして置いていただいて、結構売れ行きもいいわけであります。そのほかにも、銀座三越であるとか、そうしたところでも中井窯等々を扱っていただいたりしておりまして、大変引き合いも出てきているわけです。
先般、新宿の伊勢丹の鷹野店長さんとかとお話をさせていただいて、また、今まで余りやっていないのですけれども、鳥取の物産だとか、それから食べ物、食の魅力、これを伊勢丹として全店舗的に展開をするような、そういう物産展をやろうということで今準備が始まりました。恐らくこの冬、年が明けて後になろうかと思いますけれども、そういうときに新しいそういう物産展をやろうと、イロトリドリというような形で、鳥取をもじりながら、鳥取のよさを知っていただこうと。この中にもそういう民芸のクラフトなども出していってはどうかと思います。
また、あわせまして、グーグルのそういういわばサイトがございまして、そちらのほうで国内外に民芸の魅力を発信する、そういうチャンスもあるのではないかということで、これは今、そちらのほうのページ開設の準備を始めているところでございます。近々そちらのほうも公開できるのではないかなと思います。
見ていただいて、使っていただければ、なるほど、すばらしい時代を超えたデザイン性があるなとか、その心遣い、息遣いがわかっていただけるものだと思っております。これからいろんな形で、そうした販路拡大や情報発信の支援をさせていただきたいと思います。
◯副議長(藤縄喜和君)22番福田議員
◯22番(福田俊史君)先ほどは鳥取民芸のブラッシュアップとか、販路拡大について質問を続けたわけでありますが、次は、鳥取民芸の後継者問題について、続けて質問させていただきたいと思います。
かつて、石破二朗知事は、地域の特産物の生産を奨励するために、鳥取の民芸などを県庁がエンジンとなって積極的に購入し、活用したと聞いています。しかし、今日、鳥取民芸が、先ほどの話で都市部で大変高い人気を誇っているにもかかわらず、後継者不足により鳥取の民芸が品不足で、せっかくのチャンスを逃し、逆に苦境に立たされていると聞いております。なぜ後継者が少ないのか、ここで、平井知事とその問題について議論をしてみたいと思います。
私は、現在ある後継者育成の助成金での支援にとどまらない幅広い支援が必要だというふうに考えております。まず、現在の後継者育成のための助成金の1人当たりの上限額を引き上げなければならないと思います。現在あるふるさと産業支援事業(後継者育成)補助金についてでありますが、私の八頭高校の先輩であり、先ほど瑞風での採用が決まった因州・中井窯の坂本章さんにお話を伺ったところ、現在の補助金制度の実効性が低いため、一部改善して、実効性の高い仕組みにすることを望んでおられました。
具体的には、1つ、補助期間2年を3年とし、技能の習得を確実なものにする。2つ目は、研修滞在費補助は1カ月当たり10万円を8万円に引き下げ、研修事業者が4万円を研修事業者に対し負担し、1カ月当たりの手取りを10万円から12万円とする。研修事業者も4万円を負担することにより、研修事業者の労働力目的の研修受け入れを防ぎ、研修事業者の生活が向上いたします。そして、3つ目、研修地は中山間地域であるため、研修期間中は車両費補助として、1カ月当たり2万円を新たに設ける。4つ目、研修終了後、さらに2年間の雇用努力義務を研修事業者に負わせる。そして、最後、その他、研修受け入れ助成、同伴家族滞在費助成、家賃助成は従来どおりとする。これらにより、現在の補助金制度が改善されるのではないかというのが因州・中井窯の坂本章さんの御意見です。
ぜひとも平井知事は、現場からの意見を酌み取っていただきたいというふうに思いますが、御所見を伺います。
◯副議長(藤縄喜和君)平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)民芸などの後継者の育成につきまして、お尋ねがございました。
本県でも、近年そういう後継者育成に向けて県の補助金なども使って支援しております。今、坂本さんの御提案がございましたが、そういうようなスキームを適用しながら、私どものほうでも支援をさせていただいてまいりました。
例えば前田昭博さんのところのやなせ窯のほうで、森和之さんという若い方がいらっしゃいまして、この助成金を使っていわば弟子として育てられたわけでございます。今では青谷のほうに窯を開かれまして、そちらのほうで制作活動をし、日本の伝統工芸展でも入選をする、そして、正会員になる、さらに、デパートでの個展も開く、今有望株の後継者が育ってきています。
また、そのほかにも、例えば若桜の山根木工店がございます。こちらのほうに女性の研修員の方、覚えておられると思いますが、今、河原の西郷地区のほうに工芸村をつくろうと今我々も動いているのですけれども、あちらのほうに転じられまして、そちらのほうで制作活動をされている藤本さんという方がいらっしゃったり、また、今回、被災地域でありますが、倉吉の町なかで、これは商工会議所も結構バックアップをして、はこた人形の後継者づくりをしています。このほうでも、山脇さんとか、高田さんとか、そうした助成のスキームを使いまして、後継者として今順調に育ちつつあるというような方もいらっしゃるわけです。
ですから、今までやってきたことは、そんなに成果が出ていないわけではないのですけれども、おっしゃるように、坂本さんもそうやって人を抱えておられましたので、いろいろと反省すべき点もあると思います。率直にちょっと関係者と意見交換をさせていただいて、例えば今のスキームのままやりたいという人もいれば、別のこういうような、今おっしゃったような、予算額は多分変わらないのだと思うのですけれども、やり方としてそういう工夫をした別の雇い方をしていく、そういう何かある程度メニュー化した、若干フレキシブルな、そういう助成体系をつくるということもあり得ると思います。当初予算に向けまして、関係の方々の御意見も聞いて、より使いやすく、人が育ちやすい制度づくりにしていきたいと思います。
◯副議長(藤縄喜和君)22番福田議員
◯22番(福田俊史君)最後に、ツキノワグマ対策について質問をさせていただきたいと思います。
先ほど申し上げましたように、平成28年度ツキノワグマ目撃情報は、鳥取県全体でこれまで453件となっております。このたび、熊の狩猟を解禁する方針を明らかにした岡山県は、今年度214件ですので、我が県は岡山県の倍以上出没していることがわかります。この453件の目撃情報を市町村別で見てみると、トップが八頭町の204件で、全体の9割を東部が占めております。そして、そのうちの6割が八頭町ということになっております。
花御所柿のお話もあったのですが、今果樹園で大変な熊の出没がありまして、生産者は高齢化しておりますので、なかなかその対応ができないことになっております。先ほど平井知事から、今後人命を守るため、専門家会議にきょうの議論は伝えるという話がありましたが、いつ出てくるかわからない状況ですので、きょうあすの喫緊の対応策が必要と考えますが、平井知事の御所見を伺い、今議会の一般質問とさせていただきたいと思います。
◯副議長(藤縄喜和君)平井知事
◯知事(平井伸治君)(登壇)福田県議から重ねてのお尋ねがありました。
非常に切迫した状況でありまして、もうすぐ冬眠してしまいますから、一旦はここでやむのだと思いますけれども、ともかくそれに至るまで、気を抜けない日々だと思います。これは市町村のほうと十分連絡をとって、もし出没したということがあったりしたときに、適切に1件1件対処をしてまいりたいと思います。そして、実績を見ながら、このたびの状況も踏まえた、より地元にふさわしいような鳥獣保護の計画に改定をしていくと。そのときに、目標値として、ただふやせばいいという時代ではないと思いますので、適正な個体数に管理をしていく。そのためにゾーニングをしたりして、里を守るようなことを加えた形、特に有害鳥獣捕獲が有効でありまして、今シーズンは69頭、既に有害鳥獣で捕獲をしております。兵庫よりも多い数になっております。こういうようなことをしっかりとやっていって、まずは、今シーズン、まず終わらせた上で、次のシーズンに新しい計画をつくって臨んでいければと思っております。
◯副議長(藤縄喜和君)本日の議事日程は全て終了いたしました。
これをもって散会いたします。
午後2時53分散会
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