田辺市議会 2024-07-01
令和 6年第3回定例会(第3号 7月 1日)
6番 柳 瀬 理 孝 君
7番 浅 山 誠 一 君
8番 宮 井 章 君
9番 福 榮 浩 義 君
10番 松 上 京 子 君
12番 北 田 健 治 君
13番 橘 智 史 君
14番 尾 花 功 君
15番 市 橋 宗 行 君
16番 安 達 幸 治 君
17番 安 達 克 典 君
20番 佐 井 昭 子 君
――
―――――――――――――――――
〇欠席議員 なし
――
―――――――――――――――――
〇説明のため出席したもの
職 名 氏 名
市長 真 砂 充 敏 君
副市長 林 誠 一 君
副市長 木 村 晃 和 君
教育長 佐 武 正 章 君
企画部長 木 村 博 充 君
た
なべ営業室長 狼 谷 亨 君
自治振興課長 北 尾 幸 生 君
南部センター館長 小 倉 淳 志 君
総務部長 西 貴 弘 君
総務課長 狩 谷 賢 一 君
危機管理局長 茨 善 行 君
防災まちづくり課長 的 場 大 輔 君
市民部長 松 本 清 子 君
市民部理事 福 榮 寛 君
環境部長 久 畑 弘 幸 君
保健福祉部長 馬場崎 栄 君
子育て推進課長 吹 揚 恒 夫 君
健康増進課長 井 田 範 子 君
商工観光部長 古久保 宏 幸 君
農林水産部長 永 井 幸 彦 君
森林局長 榎 本 安 幸 君
山村林業課長 尾 﨑 和 久 君
建設部長 衣 田 克 君
大塔行政局長 岡 野 哲 士 君
消防長 戎 嶋 健 君
教育次長 狼 谷 千 歳 君
会計課長 岡 本 裕 文 君
水道部長 合 川 弘 君
監査委員事務局長 森 田 直 樹 君
――
―――――――――――――――――
〇
出席事務局職員
議会事務局長 前 溝 浩 志
議会事務局次長 坂 本 明 人
議会事務局主任 松 本 早也香
議会事務局主査 藤 田 祐 輔
開 議
○議長(尾花 功君) 皆様、おはようございます。
定足数がありますので、ただいまからお手元に配付の日程により、令和6年第3回
田辺市議会定例会3日目の会議を開きます。
(午前10時00分)
――
―――――――――――――――――
○議長(尾花 功君) それでは、日程に入ります。
◎日程第1
一般質問
○議長(尾花 功君) 日程第1
一般質問を行います。
3番、
加藤喜則君の登壇を許可いたします。
(3番
加藤喜則君 登壇)
○3番(
加藤喜則君) 皆様、おはようございます。
3番、公明党、
加藤喜則です。
通告に従いまして
一般質問をさせていただきます。
まず、大項目1、
ヤングケアラーへの相談・
支援体制の強化について2点伺ってまいります。
ヤングケアラーとは、一般的に年齢や成長の度合いに見合わない重責や負担を担って、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っていることで、これまでは18歳未満の子供とされており法定義がありませんでした。家族の世話やお手伝いをすることは大変すばらしい反面、それが年齢や成長の度合いに見合わず常態化することで、過度な責任や負担を伴うものであれば、現在の学業や将来に支障が生じたり、本来守られるべき子供らしい生活、子供自身の権利を侵害されている可能性があります。
一方、
ヤングケアラーは家庭内のデリケートな問題であるため、本人や家族に自覚がないことや表面化しにくいことがありますが、早期発見のための気づいてくれる目と第三者の積極的な介入が何よりも必要とされます。
そこで、質問の1点目として、
関係機関と連携し、
ヤングケアラーを早期に発見して、適切な支援につなぐための実態把握、
相談体制、
社会的認知度の向上、支援策の推進等、市当局のこれまでの取組について伺います。
(3番
加藤喜則君 降壇)
○議長(尾花 功君) 3番、
加藤喜則君の質問に対する当局の答弁を求めます。
保健福祉部長、馬場崎 栄君。
(
保健福祉部長 馬場崎 栄君 登壇)
○
保健福祉部長(馬場崎 栄君) 議員の御質問にお答えします。
子育て推進課への相談につきましては、児童虐待の疑いをはじめ、子育てに関する悩みなど様々な相談が多く寄せられておりますが、
ヤングケアラーに関する直接の相談は、所属の学校を通じての相談が数件となっております。
このように、
ヤングケアラーに関する相談件数は現在のところ多くありませんが、
教育委員会で学期ごとに実施している和歌山県
問題行動等発生状況報告を含め、
子育て家庭に関わる中で、幼い兄弟の世話をする
ヤングケアラーと疑われる事例が幾つか散見されています。
これらの
ケース家庭につきましては、
ヤングケアラーの解決、もしくは予防に向け、今年度から実施しております
子育て世帯訪問支援事業をはじめ、
障害福祉や介護保険などの分野も含めた様々なサービスの利用勧奨を行っているところです。
子育て推進課においても、
社会福祉士及び
保健師等の専門職員を配置し、
相談体制の強化を図っておりますが、今後も
子供たちにおける身近な存在である学校教諭などや
庁内外関係部署との連携を密に図り、それぞれの御家庭に寄り添いながら児童を見守り、小さな変化も見落としがないよう、きめ細やかな対応に努めてまいりたいと考えております。
加えて、
ヤングケアラーへの適切な支援をより一層進めるためには、まず、
関係機関、団体等において、認知度や理解度を深めることが重要と認識しております。
こうした中、本市においては、昨年度に
保健福祉部所管の
地域ケア会議及び
西牟婁圏域自立支援協議会が開催している
相談支援専門員部会への研修に講師として職員の派遣を行い、
ヤングケアラーについてお話しさせていただいております。
また、本市の田辺市
児童問題対策地域協議会の構成団体である
人権擁護連盟と生涯
学習人権推進員の合同研修におきましても、元
ヤングケアラーである講師の方から、当事者の立場として、自らの体験談や支援の
考え方等についてお話しいただき、
ヤングケアラーの問題についてより深く理解するための研修を実施されたと伺っておりますし、今年度においても地域の
民生児童委員協議会では同様の講演会を開催されたと伺っております。
さらに、
子育て推進課では、
子供たちが
ヤングケアラーについて理解できるようにパンフレットを作成し、市内の
小・中学校全ての
児童生徒に配布しております。
(
保健福祉部長 馬場崎 栄君 降壇)
○議長(尾花 功君)
加藤喜則君。
(3番
加藤喜則君 登壇)
○3番(
加藤喜則君) お答えをいただきました。この質問については、令和4年12月の定例会で
ヤングケアラーの問題について取り上げました。約1年半でありますが、今、
保健福祉部長からお答えいただいたとおりですけれども、当時
ヤングケアラーに関する法制の位置づけがなかったのです。そういった中でも、
世間一般になかなか効果的な方策やその情報が乏しい中、市当局において大変難しい問題だったと思うのですが、各
関係機関と連携しながら真摯に方策を模索して支援につなげようと動いていただいたことには本当に感謝申し上げます。今後もどうぞよろしくお願いしたいと思います。
先ほど答弁にも少しあったかと思うのですが、幼い兄弟の世話をする
ヤングケアラーと疑われる事例が
学校教育機関からあったということで、数件伺っているということもあります。これから
ヤングケアラーに対して
社会認知度が増えていきますと、様々な事例というのが発生していきます。それにどうやって対応していくのかというのがなかなかない中、問題に対して対応していかなければならないと思うのです。
先ほども冒頭申しましたけれども、
ヤングケアラーは家庭内のデリケートな問題であることを踏まえなければなりません。また、本人や家族の自覚がないといった理由から、実際に支援が必要であっても表面化しにくい構造となっていること、これが非常に
ヤングケアラーの特徴であるということを踏まえまして、今実際に起こり得る、また起きているかもしれない事例として、対象者である
児童生徒が家庭のプライバシーのことを知られたくないからSOSをなかなか出せないケース、それから、相談したことでもしかしたら家庭不和につながるのではないかといったおそれから、積極的なSOSに踏み出せないケース、そして、たとえ支援につながりそうでも訪問した際に保護者が支援を断ってしまうケースというのも実際起こり得る、また起きてしまっていると考えます。
今後ますます早期発見により様々なケースが考えられ、相談内容も多様化してまいると考えられますので、今後もどうぞ当局におかれましては、寄り添った相談とともに効果的な支援を
関係機関と連携しながら、粘り強く対策を講じられますようによろしくお願い申し上げます。
次に、
ヤングケアラーの定義を初めて法律に明記した
改正子ども・
若者育成支援推進法が先月6月5日に成立しました。
ポイントは2点です。まず1点目に、家族の介護その他の
日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子供・若者として、国・
地方公共団体等が
各種支援に努めるべき対象に
ヤングケアラーが明記されたことであります。
2点目に、
ヤングケアラー等の同法の
支援対象となる子供・若者に対し、子ども・
若者支援地域協議会と要
保護児童対策地域協議会が協働して、効果的に支援を行えるよう、両
協議会調整機関同士が連携を図るよう努めるものとすることが規定されております。
ヤングケアラーの定義に18歳以上の若者を含めた理由として、学生など経済的に自立していないケースが多いからです。成人すればケアの負担や責任が重くなり、切れ目のない支援が求められているほか、成人してから初めてケアが始まるケースもあるのです。
そこで、今回の法制化に伴い、本市においても18歳以上の若者を含めた
ヤングケアラーへの相談・
支援体制の強化が急がれますが、市当局の取組について伺います。
(3番
加藤喜則君 降壇)
○議長(尾花 功君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 馬場崎 栄君 登壇)
○
保健福祉部長(馬場崎 栄君) 議員の御質問にお答えします。
ヤングケアラー支援の強化を図るため、子ども・
若者育成支援推進法及び
児童福祉法の一部が改正され、家族の介護その他の
日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子供・若者、いわゆる
ヤングケアラーが
社会生活を営む上で困難を有する子供・若者として定義され、支援すべき対象として明記されるとともに、要
保護児童対策地域協議会と子ども・
若者支援地域協議会が協働して効果的に支援を行うために、この両協議会の調整機関が連携を図るように努めるものとされました。
子ども・
若者支援地域協議会とは、
関係機関が密接に連携して総合的に対応する必要がある者を
支援対象とし、協議会を構成する
関係機関が行う
各種支援を適切に組み合わせることにより、その効果的かつ円滑な実施を図ることを目的とした組織であり、そのために必要な情報交換や支援の内容に関する協議を行うこととしております。
支援対象となる子供・若者とは、
社会生活を円滑に営む上での困難を有している、不登校、ひきこもり及び
若年無業者など様々な30歳代までとなっています。
この協議会の設置状況を見ますと、県内では和歌山県のみ設置されております。
また、その構成機関として、子供・
若者育成支援に関する相談に応じ、
関係機関の紹介、その他の必要な情報の提供及び助言を行う子ども・
若者総合相談センターは県内に3か所設置されており、そのうちの一つは、
若者サポートステーションWith You南紀として
市民総合センター内に開設されています。
本市の要
保護児童対策地域協議会である田辺市
児童問題対策地域協議会では、
支援対象者が18歳になれば
終結ケースとして登録を解除し、その後は必要に応じて18歳以上でも支援可能な機関につなげており、
若者サポートステーションWith You南紀や
西牟婁圏域障害児・
者相談センターにじの
わに支援を依頼するなど、他機関との連携を図っております。
このような中、今後、市としましても、
ヤングケアラーをはじめ、困難を抱える18歳以降の若者への継続的な支援の重要性は認識しており、子ども・
若者支援地域協議会の設置の必要性を含め、連携体制の構築につきましては研究していく必要があると考えておりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。
(
保健福祉部長 馬場崎 栄君 降壇)
○議長(尾花 功君)
加藤喜則君。
(3番
加藤喜則君 登壇)
○3番(
加藤喜則君) お答えをいただきました。県内に子ども・
若者支援地域協議会を設置されている市町村というのはありませんが、県には設置されているということでございました。若者、いわゆる18歳以上のこれから多様化する、いろんな
ヤングケアラーを含めて、こういった
支援対象となるべき若者について、今後研究を重ねていっていただきたいなと思います。
今回は
ヤングケアラーに絞ってのお話でしたが、先ほども申したとおりですけれども、18歳を超えてもケアを継続されるケースもありますけれども、18歳を超えてから初めてケアが始まるケースがあるということも実際に起きておりますので、それに備えて若者の支援というのもこれから考えていく必要があるかと思います。切れ目のない支援というものが重要になってきます。どうぞよろしくお願いします。
それから、加えて、今回は
相談支援ということで絞って質問しましたが、当然今回の法改正に伴い、もう一度
社会認知度の向上が必要であると思います。そういった広報啓発に努めていただきますようによろしくお願いいたします。
総括しますと、やはり
ヤングケアラー問題というのは、全般的に家族の力が以前よりも弱体化していることを考慮しないまま家族の助け合いに頼るという考え、いわゆる昭和型といいますか、そういった考え方では子供や若者にそのしわ寄せが行き、
ヤングケアラーはその権利さえ守られないおそれがあるということを認識していただきたいと思います。
ヤングケアラーの問題は、関わる人はもとより、
世間一般もまだまだ意識改革が必要かと思います。その上で、ケアを必要とする家族の状況を把握した上で、ケアする子供や若者の立場に立って話を聞いたり、相談に乗れる専門職がこれからもますます必要となってまいります。今後も
社会認知度向上と併せ、
関係機関との連携で
ヤングケアラーへの相談、支援の強化にどうぞつなげていっていただきますようにお願い申し上げます。
次の大項目に質問を移らせていただきます。
公共施設等への
ユニバーサルデザインの積極的な活用について、小項目3点伺ってまいります。
まず、
ユニバーサルデザインとは、年齢や性別、国籍、障害の有無などにかかわらず、誰もが使いやすい、初めからデザインされた建物や製品、サービス、環境などのことです。その考え方はSDGsの精神と合致します。よく
バリアフリーと
ユニバーサルデザインは並べて使われることもありますが、
バリアフリーとは、高齢者や障害者などが
社会生活を送る中でバリア、いわゆる障害となるものを取り除くという意味があり、主に
既存建築物の追加の整備であったり、改修事業などに採用されることが多いです。本市において、
ユニバーサルデザインを初めて採用した
公共施設は、本年5月7日に開庁したこの新庁舎であります。
この一方で、田辺市
公共施設等総合管理計画に記載のとおり、1970年代からの
公共建築物が多く存在し、利便性やその価値、利用者の満足度は年々老朽化に伴い失いつつあります。その一つが
公共施設等のトイレと言えるのではないでしょうか。
以上の点から小項目1、
公共施設等のトイレの整備について2点伺ってまいります。
近年、高齢者の増加、障害者の社会参加、子供連れの外出機会の増加により、
公共施設等のトイレを取り巻く環境が変化しており、安心して外出していただくにはトイレの充実が欠かせません。このことは、令和4年3月定例会の
一般質問においても、
バリアフリートイレの機能充実により、
一般利用者を含む利用集中を分散させるための
一般トイレの洋式化を推奨させていただきました。
国土交通省では、令和3年4月施行の高齢者・
障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の改正により、高齢者、
障害者等用施設等である
バリアフリートイレの
適正利用の推進が、国、
地方公共団体、
施設設置管理者等及び国民の責務として規定されております。
よって、高齢者や障害者、
子供たちや
子育て家族が安心して外出でき、国内外の観光客などが満足して、次も来ていただける環境整備の第一歩として、
ユニバーサルな視点での
公共施設等のトイレの整備や
適正利用の推進が不可欠ではないかと思われます。
そこで、第1点目、本市の
公共施設等のトイレは利用者の多様な特性に配慮したものとなっているかについて、現況を伺ってまいります。
(3番
加藤喜則君 降壇)
○議長(尾花 功君)
総務部長、西 貴弘君。
(
総務部長 西 貴弘君 登壇)
○
総務部長(西 貴弘君) 議員の御質問にお答えします。
公共施設等のトイレについては、公園内や
熊野古道沿いに設置している、いわゆる
公衆トイレのほか、
観光施設や
体育施設、
小・中学校、本庁舎、行政局及び
市民総合センターの160施設につきましては、
バリアフリートイレも含む大便器1,687か所のうち、洋式便器が948か所であり、その設置率につきましては56%となっております。
施設の類型ごとで見ますと、公園内のもので35%、
熊野古道沿いのもので66%、
観光施設で73%、
体育施設で66%、
小・中学校施設で52%、本庁舎で97%、行政局及び
市民総合センターで46%です。
なお、160施設中、
バリアフリートイレを設置している施設は115施設であり、その割合については72%です。
議員御質問の
公共施設等のトイレについて、利用者の多様な特性に配慮されたものとなっているのかということにつきましては、用途や整備した時期により多様な特性に十分な配慮ができていないトイレも存在していることは認識してございます。
(
総務部長 西 貴弘君 降壇)
○議長(尾花 功君)
加藤喜則君。
(3番
加藤喜則君 登壇)
○3番(
加藤喜則君) 今、数値としてお答えいただきましたが、令和4年3月定例会でも、先ほども申したとおり同様の質問をさせていただきました。
調査施設の対象を今回は拡大しています。2年前の質問時では103施設だったのですが、今回は160施設に対象を拡大しております。いわゆる便房、大便器ですね、そういった対象も当時は405か所から4倍の1,687か所と。それに追加して今回は
バリアフリーのトイレ、施設数における設置率についても出していただきました。前回は出しておりません。
2年前の洋式率からいいますと51%というお答えでしたが、今回は56%と5ポイント上昇しております。それに加えて、今回初めて
バリアフリーの設置率については施設数に対しまして72%ということですから、これは全施設、これから法定義に基づき
バリアフリーの適切な設置が必要かと思います。これは検討いただきたいなというふうに思います。
事前に当局で今回調査していただいた数値、細かいデータというのは担当課別に事前にはいただいておりますが、今回洋式率の50%、今
総務部長からお答えいただいている中で50%を下回っている施設というのが主に
公園内トイレであると。それから行政局及び
市民総合センターであった。そういうところは50%を下回っているということですから、これも適切に、検討課題かなというふうに思います。
また、いろんなデータを分析すれば、いまだに男女共用のトイレしかない施設もあります。それから依然、
和式便器率が相対的に高い施設もあります。かなり老朽化が進んだくみ取式トイレもあるという現状です。これをまた検討課題に、今後対策が必要かなというふうに思います。
本市の
公共施設等のトイレについて、利用者の多様な特性に配慮したものになっているか今質問しましたが、お答えとしては、用途や整備した時期により進んでいないところもあるということもお答えいただきました。これは後ほどまた総括させていただきたいと思いますが、次の2項目めの質問へ行きます。
公共施設等のトイレの整備は、市民のみならず訪日客を含む観光客など行動範囲を広げるための重要な要素であります。よって、担当課が管理する
施設単体だけでなく、今後の
老朽化対策を含む適切な整備、配置も検討が必要であります。例えば、設計においては、圧倒的に
一般利用者が多いことも踏まえた上で、トイレの利用率や利用者の特性などを的確に想定して設計なり整備することで、
バリアフリートイレに利用が集中することなく
一般トイレへの誘導が可能になると思います。特に既存のトイレは利用実績など、比較的そのデータが取りやすいと思います。
また、
ユニバーサルな視点として、洋式化をはじめとし、男性用トイレのサニタリーボックスの設置であったり、自動水栓化であったり、また、ピクトグラムのサイン表示であったり、
一般トイレの個室ドアの開閉の工夫など、清潔な環境面だけでなく、防犯力の向上といった視点も取り入れていただき、トイレ利用者の満足度向上のための整備が必要だと考えます。
さらに言えば、こうしたトイレの整備や維持管理費の財源確保のためには、例えば、外国の
公衆トイレは有料という観点からも、
観光施設の
公衆トイレに設けられています協力金箱について、現金での協力金をキャッシュレス化にすること。また、
公衆トイレへのネーミングライツの活用などで財源を確保することも考慮してはいかがかと思います。
そこで、本市の
公共施設等のトイレについて、その整備状況に格差が生じている点、また、用途や整備した時期により利用者の多様な特性に十分配慮ができていない箇所がある点を踏まえ、今後のその整備について、
ユニバーサルデザインの採用といった整備方針や計画が必要かと思いますが、市の見解を伺います。
(3番
加藤喜則君 降壇)
○議長(尾花 功君)
総務部長。
(
総務部長 西 貴弘君 登壇)
○
総務部長(西 貴弘君) 議員の御質問にお答えします。
田辺市
公共施設等総合管理計画では、第3章、
公共施設等の管理に関する基本的な方針において
ユニバーサルデザイン化に触れており、国の官庁施設の
ユニバーサルデザインに関する基準に規定する
ユニバーサルデザインに関する基本方針を踏まえながら、施設の更新や修繕の検討を行うこととしています。
そうした中、トイレの改修につきましては、各担当部署においてそれぞれの目的や利用状況等を踏まえながら、洋式化等の整備に努めているところです。
公共施設等の新築や建て替えの際には
ユニバーサルデザインの導入に努めてまいります。
また、既存の
公共施設等のトイレの整備に係る
ユニバーサルデザイン導入を含めた市全体としての整備方針や計画につきましても、今後研究してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。
(
総務部長 西 貴弘君 降壇)
○議長(尾花 功君)
加藤喜則君。
(3番
加藤喜則君 登壇)
○3番(
加藤喜則君) お答えをいただきました。ぜひ研究よろしくお願いいたします。あくまで田辺市
公共施設等総合管理計画にあるとおり、今後の人口減少社会に備えて施設の複合化であったり集約化、官民連携での利活用、いわゆる適正配置といった適切な管理や運営は大前提であります。
公共施設等のトイレについて今回データを取っていただきましたが、
公共施設等総合管理計画にのっとって言わせていただきますと、各担当課による維持管理と整備が基本であるということを踏まえれば、整備状況もさることながら、ばらつきがあり過ぎるという点を知っておいていただきたいなというふうに思います。
ところによって、担当課によれば、データ化して管理していても、なかなか洋式率であったり
バリアフリー設置率についても数値の向上に反映されていないということです。これについては利用者のニーズが取れていないか、ほかの原因、予算面の原因があるのか、それをまず精査していただきたいと思います。
ここが一番重要なのですが、残念ながら現況をデータ化されていない担当課も実際ありました。把握されてないということが主な理由であると思うのですが、ここについては意識向上が必要ではないかということを申しておきます。これは、今回この質問に至って
調査施設を拡大したことで明るみになったということでございますので、まずしっかりデータ管理をしていただきながら、トイレの整備という方針をまず今後決めていただきたいなというふうに思います。
ユニバーサルな視点の出発点というのは、まず意識改革から始まるということを申しておきたいと思います。その元になるのは、庁内での標準化したデータ管理が必要であると。現状の把握、管理、利用実績等を標準化して、またこれを促すために、市民に、例えばオープンデータ化する、公表するという見える化を通じ意識改革を促すのも一つの手ではないかと思われます。
何にしても、今後より一層当局におかれましては、利用者の多様な特性に配慮した
ユニバーサルな視点でのトイレ整備につなげていっていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
次の質問に移らせていただきます。
今日、社会の高齢化に比例して難聴の方が年々増加しています。難聴は認知症の危険因子であり、さらに人や社会とのコミュニケーションを避けがちになり、その後社会的に孤立するおそれがあります。
500年以上前から音が聞こえる経路として、空気中の振動を鼓膜を通じて内耳に伝えられる気道経路と、鼓膜を通さず頭蓋骨を振動させて内耳に伝えられる骨伝導経路の2経路は知られておりますが、これらを利用した多くの機器がこれまでも利用されてきました。
一方、2004年に奈良県立医科大学の細井教授が耳たぶの軟骨に音声情報を含む振動を与えると、気道経路や骨伝導経路と同じ程度に音声情報が明瞭に鼓膜を通じて内耳に伝えられることを発見し、第三の経路、軟骨伝導として発表されました。実に500年ぶりの新発見であり、これらのことは聴覚実験で実証され、多くの科学論文で発表されております。
これにより開発された軟骨伝導イヤホンは、耳の穴を塞ぐことがないので清潔で、過度な使用による難聴を防止でき、周りの音も聞きながらの聞き取りや会話が可能であり、小さな音や声でも明瞭に聞こえ、周囲に音が漏れることがなく、雑音を除くなどの特徴があります。また、骨伝導よりも痛みや音漏れが少ないといった利点もあります。
これまでは、相談窓口で職員が高齢者に大きい声で伝えようとすると、個人情報がほかの周りの人に伝わってしまうという問題がございましたが、最近では、全国各地の庁舎をはじめ、医療機関、金融機関、警察署などの窓口に軟骨伝導イヤホンの導入事例が増えています。県内では有田市役所が採用しており、今後も各自治体での普及が見込まれます。
そこで、本市においても、本庁舎をはじめ各行政局においても、耳が聞こえにくい来庁者が利用される相談窓口での軟骨伝導イヤホンの導入を検討されてはいかがかと思いますが、市の考えを伺います。
(3番
加藤喜則君 降壇)
○議長(尾花 功君)
総務部長。
(
総務部長 西 貴弘君 登壇)
○
総務部長(西 貴弘君) 議員の御質問にお答えします。
現在、市の一部の窓口では、感染症対策として飛沫感染防止用のつい立てを設置しているところもあるため、声が聞こえにくい場合もあるものと考えております。
議員御指摘のとおり、窓口相談等において大きな声で伝える場合、周囲の方に個人情報が伝わってしまう可能性があります。
こうした現状を受けて、現在一部の窓口において難聴者向け対話支援スピーカーを設置しており、これを利用することで聞こえやすくなったという声をいただいております。
一方、議員御提案の軟骨伝導イヤホンにつきましては、金融機関や医療機関、一部の自治体等において導入している例もあると把握しております。
これにつきましては、既存の難聴者向け対話支援スピーカーの利用状況等を踏まえ、導入の可否について研究してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(
総務部長 西 貴弘君 降壇)
○議長(尾花 功君)
加藤喜則君。
(3番
加藤喜則君 登壇)
○3番(
加藤喜則君) お答えをいただきました。今、一部では難聴者用の対話支援スピーカーで対応しているということでありますが、まず軟骨伝導イヤホンを体験していただきたいと思います。これは健常者にも言えることで、よさがはっきりと分かります。ちなみに値段は集音器つきで1台2万円から3万円だそうです。これも今後の検討課題に入れていただきたいと思います。
また、
ユニバーサルな視点に立てば、軟骨伝導イヤホンは音漏れがない、会話内容も漏れにくい、食事中のそしゃく音も気にならない利点も生かせますので、多くの一般の人が使用する媒体にこれからなると思います。今後の普及に期待が見込まれます。まずは導入に向けて前向きな検討、研究をどうぞよろしくお願いいたします。
次に、高齢者や障害者及び体調不良者等によりつえを使用される方が来庁されて、窓口で申請書を記入したり、相談等される際につえの置場に困ることや、つえをバランスよく一時的に置けたとしても倒れてしまうことがしばしばあり、そのためにかがんでつえを拾うといった負担が生じたり、ほかの来庁者がつまずいて転倒したりする危険性があります。よって、つえ使用者が安心して窓口やトイレ等を利用できる環境、その方の立場に立った、分かりやすく親しみのあるサービスの提供こそが
ユニバーサルな視点であります。
そこで、今後、行政局などを含めた庁舎内の窓口カウンターやトイレ等につえホルダーの設置を検討されてはいかがかと思いますが、市の考えを伺います。
(3番
加藤喜則君 降壇)
○議長(尾花 功君)
総務部長。
(
総務部長 西 貴弘君 登壇)
○
総務部長(西 貴弘君) 議員の御質問にお答えします。
今後とも高齢化が進むことが見込まれ、つえを使用する方がより増加する傾向にあると考えられることから、議員御提案のつえホルダー等を設置することは、そうした方の安全性、利便性の向上につながるものと考えています。
本市の現状といたしましては、本庁舎においては、トイレにつえをかけるためのフックを設置し、窓口カウンターには、議員の御指摘を受け、つえなどの持ち手部分を置くことができる滑り止めの配置を進めており、つえなどの置場に困らないような工夫をしているところでございます。
しかしながら、こうした対応ができていない施設もあることから、可能な範囲において順次必要な対応を進めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(
総務部長 西 貴弘君 降壇)
○議長(尾花 功君)
加藤喜則君。
(3番
加藤喜則君 登壇)
○3番(
加藤喜則君) お答えをいただきました。順次また対応のほうよろしくお願いいたします。
今回、大項目2の質問は、そもそも
ユニバーサルな視点、デザインということを追求しております。導入する際も、あくまで安全性が高く、誰が見ても分かりやすい、こういったシンプルな、例えば説明つきのつえホルダーの設置ですね、そういった部分での提案もお願いしたいと思います。
最後にですが、
ユニバーサルデザインの7原則を紹介して終わります。七つございまして、まず1点目が公平な利用、これは公平性をうたわれております。2点目に利用における柔軟性・自由度であります。3点目に単純で直感的な利用。4点目に認知できる情報、いわゆる明確さであります。5点目に失敗に対する寛大さ、これはいわゆる安全性です。今申したとおりです。6点目に少ない身体的な能力、これは負担軽減につながります。7点目に接近や利用のためのサイズや空間づくり。これが以上7原則でございます。
本市においては、冒頭も申しましたが、この庁舎こそが唯一の
ユニバーサルデザインの先進であります。いわゆるモデルになっていくと思います。
ユニバーサルデザインに100%の正解はないかもしれません。しかし利用者の多様な特性に配慮することを出発点として、トイレの件でも申しましたが、まず職員の意識改革から始まる思います。そういったデータ管理、利用実態に反映させた対策を講じながら、本市がこうした先進の
ユニバーサルデザインの取組により、全国あるいは全世界から注目される自治体を目指されることを願いまして、私の今回の
一般質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
(3番
加藤喜則君 降壇)
○議長(尾花 功君) 以上で、3番、
加藤喜則君の
一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(尾花 功君) この場合、午前10時55分まで休憩いたします。
(午前10時44分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(尾花 功君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午前10時55分)
○議長(尾花 功君) 続いて、20番、佐井昭子君の登壇を許可いたします。
(20番 佐井昭子君 登壇)
○20番(佐井昭子君) 皆様、おはようございます。
20番、公明党、佐井昭子です。
通告に従いまして、大項目2点、
一般質問をさせていただきます。
今日7月1日、能登半島地震から半年がたちました。今年、令和6年1月1日16時10分、能登半島をマグニチュード7.6の地震が襲いました。家族、親族、友人が集まり、暖かい部屋の中で団らんを満喫していたであろうそのとき地震が起こりました。1年で一番おめでたい日と流れてくる映像の悲惨さの落差に言葉もありませんでした。地震による建物の倒壊・損壊に加え、輪島市では市街地の火災による複合災害発生、石川県珠洲市、能登町など、津波による被害も発生しました。インフラの被害は、道路、上下水道、液状化、鉄道などに及び、復旧に大変な時間がかかっております。この地震で犠牲になられた方は281名になりました。改めましてお悔やみとお見舞いを心より申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興をお祈りいたします。
犠牲になられた方の死因は、石川県では9割近くの方は家屋倒壊だと発表されています。阪神・淡路大震災のときも家屋倒壊による圧死が9割と言われました。それ以降、住宅等の耐震基準が改められ、命を守るための耐震建築、改修工事が進められてきました。残念なことに能登半島地震でも耐震ができていない古い家屋が倒壊し、多くの犠牲者が出てしまいました。お正月であったために帰省をしていた家族の方も犠牲者となってしまったことが、今までの災害とは違う怖さを感じさせました。
さて、本市は5月7日、新庁舎が開庁いたしました。真砂市長が、巨大地震、津波が来る前に完成させたいと語られていた言葉がずっと心の中で響いていました。災害時の司令塔となる庁舎が巨大地震、津波が来る前に完成することを祈るような気持ちで見守ってきました。御関係の皆様の御尽力で無事開庁の運びとなったことを心から喜びたいと思います。
新庁舎の開庁に合わせたかのように、今年度、住宅耐震改修工事の補助金が県下で一番高い150万円に拡充されました。田辺市耐震改修促進計画の目標年、令和7年度が来年に迫り、耐震改修への速度をアップされました。国においても、令和7年度に耐震性の不足するもののおおむね解消を目指しています。
能登半島地震を受け、私のところにも耐震改修の御相談が何件かございました。担当課におかれましても、耐震診断、工事費補助金の問合せ、申請が急増したとお聞きしております。
そこで、大項目1点目、耐震改修補助制度について3点お伺いをいたします。
まず、1点目、今年度の耐震改修事業の申込み状況と今後の対応についてお聞かせください。
(20番 佐井昭子君 降壇)
○議長(尾花 功君) 20番、佐井昭子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 議員の御質問にお答えします。
令和6年度の木造住宅耐震事業につきましては、建物の状態を調べる耐震診断業務として、1件当たり4万8,000円の100件分、改修工事補助金として最大150万円の50件分を予算計上しております。
現在の執行状況ですが、耐震診断については、本年1月1日に発生した能登半島地震の直後から申込みが殺到したことから100件の枠が既にいっぱいになり、急遽この6月議会に追加で150件分の補正予算を計上しているところであります。
また、改修工事補助金につきましては、さきの能登半島地震において耐震化していない建物の倒壊による人的被害に加え、道路閉塞による避難、救助、支援活動に大きな支障が出ていることなどの状況を踏まえ、田辺市においても同じ状況が想定されることから、今年度、多くの方に耐震工事を実施していただけるように、補助金を116万6,000円から150万円に拡充したところ、この効果は大きく、6月上旬で50件の申込みに達している状況です。
改修工事の補助金150万円の財源内訳は、国費50万円、県費33万3,000円、市費66万7,000円となっており、現在、国費、県費の追加要望をお願いしているところであります。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(尾花 功君) 佐井昭子君。
(20番 佐井昭子君 登壇)
○20番(佐井昭子君) 市長から御答弁いただきましてありがとうございます。6月上旬で50件の申込みに達したとお答えをいただきました。市民の皆様の関心の高さ、耐震改修への希望を強く感じます。この6月議会で耐震診断の補正が出されています。住宅耐震改修工事を進め、市民の皆様の命を守るという強い意志の表明だと受け止めています。耐震改修補助金についても国や県に追加要望をお願いしている、今後は適切に対応してまいりたいというお答えは、住宅耐震改修事業も補正予算を組んで一気にやり上げるということだと期待いたします。時を逃がさず、補正予算を組んで、さらに住宅耐震改修事業を進めていただくことを強く望みます。
次に2点目、耐震改修補助金の代理受領制度の導入についてお伺いいたします。
代理受領制度とは、市が交付する補助金について、申請者、住宅の所有者に代わって耐震診断等を実施した業者、耐震診断・改修技術者、解体業者などが受け取ることができる制度です。この制度を利用することで、申請者は、診断費用等から補助金を差し引いた金額を用意すればよいので、準備する費用の負担の軽減が図られます。
例えば、ざっくりとした話ですけれども、耐震改修工事費が200万円かかったといたします。補助金額が150万円の場合、市が交付する補助金について、申請者に代わって診断等を実施した業者が150万円を受け取ることができ、この制度を利用することで、申請者は診断費用、改修費用等から補助金を差し引いた額、つまり50万円だけを用意すればよいので費用の負担が軽減され、耐震診断から改修工事へと進みやすくなります。
現在の本市の制度では、一旦申請者が全額を業者に支払い、その後市から補助金150万円を受け取るということになります。最初に200万円を用意するのと50万円用意するのとでは全然負担感が違います。住宅改修工事を進めるために、ぜひこの制度を導入することを御検討いただきたいと思います。御見解をお聞かせください。
(20番 佐井昭子君 降壇)
○議長(尾花 功君) 建設部長、衣田 克君。
(建設部長 衣田 克君 登壇)
○建設部長(衣田 克君) 議員の御質問にお答えします。
代理受領制度につきましては、申請者が工事代金について、補助金額を差し引いた自己負担分のみを業者に支払い、補助金については田辺市から直接業者へ支払うことで申請者が補助金分を一旦立て替える必要がなくなることから、申請者の負担が軽減される制度となります。そのため、耐震改修工事補助金のように、補助金額が150万円と多額になればなるほど有効な制度であると認識をしております。具体的な制度、手続等を整理した上で申請者の負担を軽減できる取組を進めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(建設部長 衣田 克君 降壇)
○議長(尾花 功君) 佐井昭子君。
(20番 佐井昭子君 登壇)
○20番(佐井昭子君) 補助金が多額になればなるほど有効な制度と認識されているとお答えいただきました。具体的な制度、手続を整理し、負担を軽減できるよう取組を進めたいという御答弁をいただきました。早急に取り組んでいただけますようお願いをいたします。
それでは、3点目の質問、部分的耐震改修工事への補助についてお伺いいたします。
2点目の質問で、代理受領制度に取り組んでいただけることをお答えいただきました。費用を用意することが困難だった方も諦めなくて耐震改修を現実的に考えることができるようになると思います。耐震改修が一段と進むことが期待されます。
それでも、まだ耐震改修に進めない方々がおられます。診断は受けたけれど、築年数が古く、耐震改修に多額の費用がかかる高齢者の住宅です。子育ての間に部屋数の多い住宅を建て、
子供たちが出て行き、高齢者のみの暮らしになると日常使う部屋が限られます。家屋全体を耐震改修すると莫大な費用がかかり、診断を受けた時点で諦めざるを得ません。現在本市では、全体改修のみが補助の対象となっております。
田辺市にはシェルター設置の補助金の制度があります。この考え方を基に、例えばダイニング、居間、寝室のみ耐震改修、シェルター化耐震という発想で、部分的耐震改修工事の制度は考えられないでしょうか。この制度は既に幾つかの県・市で採用されています。例えば、富山県、岡山県、福島県なども部分的耐震改修の制度を採用されております。それぞれ条件は違うのですけれども、例えば高齢者の世帯であったり、障害の方がおられる世帯であったりというふうな条件がつけられております。
本市においても、命を守り、避難する、できる耐震という観点で、部分的耐震改修にも補助金を出せるという制度に拡充できないか、御見解をお聞かせください。
(20番 佐井昭子君 降壇)
○議長(尾花 功君) 建設部長。
(建設部長 衣田 克君 登壇)
○建設部長(衣田 克君) 議員の御質問にお答えします。
現在行っている耐震改修工事については、耐震診断結果を基に耐震改修設計を行いますが、その設計内容を第三者の構造専門家がチェックを行い、その設計内容に間違いがないか精査した上で工事を実施することにより一定の安全性が担保されています。
しかしながら、部屋の一部を耐震補強する場合には、現状ではその安全性を確認する方法がなく、設計者の独自の判断に委ねられることとなり、安全性の担保が取れないことから現時点では採用していない状況です。
田辺市では、個人の命を守る対策として、耐震ベッドや耐震シェルターの購入設置費を最大26万6,000円補助しているほか、個人の命と財産を守るだけでなく、地域の防災力向上につなげるため、耐震改修工事補助金を116万6,000円から150万円に拡大し、個人の負担を軽減することで耐震化の促進につなげる取組を進めているところではありますが、富山県などにおいては、住宅の面積が広いため、改修費用が多額になることが要因で改修が進まないことから、やむなく部分改修を認めているなど、それぞれの地域の事情に応じた対応が取られています。
今後は、このような他市の取組や安全性の確認、その有効性など、様々な観点において精査をし、また、国や県とも情報共有を重ねることで有効かつ負担軽減にもつながる耐震化が促進される方法を模索してまいりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
(建設部長 衣田 克君 降壇)
○議長(尾花 功君) 佐井昭子君。
(20番 佐井昭子君 登壇)
○20番(佐井昭子君) 御説明いただきましたように、いろいろと難しいことは認識しております。安全性、有効性、それから地域の防災、大変に大事な視点でございます。ですが、既に部分的耐震改修については様々な工法が生まれているようです。ぜひ前向きに御検討をしていただき、耐震改修を望まれる方が諦めることなく自宅を耐震改修し、地震発生時に命を守れるよう進めていただきたいことを要望いたします。1点目の質問はこれで終わらせていただきます。
それでは、大項目2点目、子宮頸がんワクチンの情報提供・キャッチアップ接種制度について3点お伺いいたします。
皆様既によく御存じだと思いますが、簡単に子宮頸がん、ワクチンについてお話をさせていただきます。
まず、子宮頸がんは、ウイルス感染を原因とする数少ないがんと言われています。日本では年間約1万1,000人が罹患し、約2,900人が亡くなっておられます。発症は20歳から30歳代で急増し40歳代がピークです。原因となるHPVヒトパピローマウイルス、以下HPVというふうに呼ばせていただきます。この原因となるHPVは、性的接触によって感染するありふれたウイルスと言われています。ほとんどの人は免疫の力で自然に排除されますが、ウイルスが子宮頸部にとどまり続け発症する場合があるようです。罹患すると、初期治療でも子宮出口をくり抜く手術になったり、進行すると子宮摘出になる場合が多いようです。
子宮頸がんワクチンは、子宮頸がんを起こしやすい危険性の高い種類のウイルスの感染を防ぐワクチンで、2013年に無料の定期接種となっており、小学校6年生から高校1年生の女子が対象です。2007年頃から世界各国で公費接種プログラムとして始まりました。このワクチンによりHPV感染はほぼ予防できるようになりました。WHOは、その有効性と安全性に基づきワクチン接種を推奨しています。定期接種化された後、接種後に強い痛みなど多様な症状が報告され、国は接種を促す積極的勧奨を停止しました。しかしその後、接種の有効性が副反応のリスクを上回ることが専門家会議で認められ、2022年から接種勧奨が再開されました。また、積極的勧奨が停止されていた世代への対応として、来年3月末までを期限として無料で接種できるキャッチアップ接種を実施しています。
状況を少しお話しさせていただきました。それではこの項目で3点お聞きしたいと思います。
1点目、子宮頸がんワクチン接種の対象者、定期接種、キャッチアップ接種者にどのように周知をされているのかお聞かせください。
(20番 佐井昭子君 降壇)
○議長(尾花 功君)
保健福祉部長、馬場崎 栄君。
(
保健福祉部長 馬場崎 栄君 登壇)
○
保健福祉部長(馬場崎 栄君) 議員の御質問にお答えします。
子宮頸がんは、主にヒトパピローマウイルスの感染が原因であり、ワクチンは、子宮頸がんの原因であるウイルスの感染を防ぎます。
平成25年度から定期接種が開始されましたが、ワクチンを接種した方の中に、ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な痛み等が見られた方がいたことから、平成25年6月から積極的勧奨が一時差し止められました。
国の審議会で安全性と有効性を整理し、検討を重ねた結果、令和3年11月に積極的勧奨の差し控えの終了と個別勧奨の再開について国から通知があり、令和4年度から積極的勧奨が差し止められていた期間に接種の機会を逃した方に対して、キャッチアップ接種を開始しております。
定期接種対象者は、小学6年生から高校1年相当の女子、今年度のキャッチアップ接種対象者は、平成9年4月2日生まれから平成20年4月1日生まれまでの女子であり、今年度末までの実施となっております。
定期接種の案内は、子宮頸がんとはどういう病気であり、ワクチンの予防効果や副反応について記載した説明書きとともに、予診票と依頼券をセットにしたものを年度当初に封書にて個別発送しております。
キャッチアップ接種の案内につきましては、年度末に未接種者に定期接種対象者同様、病気やワクチンの効果、副反応について記した接種勧奨の個別通知のはがきを発送しております。
さらに、定期接種、キャッチアップ接種について、ホームページ、広報田辺での案内をしております。
(
保健福祉部長 馬場崎 栄君 降壇)
○議長(尾花 功君) 佐井昭子君。
(20番 佐井昭子君 登壇)
○20番(佐井昭子君) 御答弁いただきました。対象者お一人お一人に説明書きをつけて丁寧にお知らせをしていただいている、ホームページ、広報等でも御案内をしていただいていることがよく分かりました。
それでは、2点目の質問に入ります。
本市の子宮頸がんワクチンの接種状況、接種率などお聞かせください。
キャッチアップの対象者の方に対して、本年3月に接種勧奨のはがきを通知されたということでありますので、その後の接種状況もお聞かせください。
(20番 佐井昭子君 降壇)
○議長(尾花 功君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 馬場崎 栄君 登壇)
○
保健福祉部長(馬場崎 栄君) 議員の御質問にお答えします。
令和5年度末において、定期接種対象者1,544名のうち231名が接種しており、接種率は15.0%となっております。また、キャッチアップ接種につきましては、対象者2,570名のうち242名が接種しており、接種率は9.4%となっており、接種率の合計は11.5%となっております。
キャッチアップ接種対象者のうち、未接種者に対しての接種勧奨はがき発送後の状況に関しましては、今年度末で公費による接種が終了するため、保護者や対象者からのお問合せが増えております。特に県外接種の問合せは、田辺市ホームページからの申請が可能となり、利便性が高まったことにより、令和5年度は年間2件の申請であったのが今年度に入り、現時点で9件の申請と増加しております。
(
保健福祉部長 馬場崎 栄君 降壇)
○議長(尾花 功君) 佐井昭子君。
(20番 佐井昭子君 登壇)
○20番(佐井昭子君) 接種率は定期接種15.0%、キャッチアップ接種9.4%、計11.5%である。それから、状況として、キャッチアップの対象者、保護者からのお問合せもあり、昨年より接種者が増加しているとのことでした。お一人お一人への御案内の効果の現れだと思います。
令和5年12月に日本産婦人科医会、日本産婦人科学会、日本医師会は3者連名で、武見厚生労働大臣に対し、子宮頸がん排除への施策に対する要望書を提出されました。HPVワクチンの接種を推進するために、キャッチアップ接種周知のための施策の充実及び必要に応じたキャッチアップ実施期間の延長が要望されました。令和6年1月に開催された厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会)で、生まれた年度ごとのHPVワクチン接種率の分析データが公表されました。80%を超える世代がある一方で10%にも満たない世代があることが分かりました。特に2000年以降生まれの多くの世代で30%を切っており、制度終了までに集中して取り組む必要があります。
厚生労働省は、令和5年8月にアンケート調査をし、結果を公表されました。「リスクについて十分な情報がなく、接種するかどうか決められない」について、本人、保護者、それぞれ51%、「非常にそう思う」、また、「そう思う」と回答しています。「接種することで、報道で見たような健康被害が起こるのではないかと思っている」という問いに対し、本人38%、保護者49%が、「そう思う」、「非常にそう思う」と回答されています。これまで個別通知による情報提供は実施されているものの、接種率は十分に伸びているとはいえず、健康被害への懸念が接種の妨げになっていることが分かります。
過去にHPVワクチン接種後に起こったと報道された多様な症状は、その後の調査の結果、HPVワクチンとの因果関係が証明されませんでした。このことのほとんどは接種対象者や保護者に伝わっていないのではないかと思われます。このままでは正しい情報が十分に伝わっていないことが原因で、接種を決断できない未接種者が多く残ったまま制度が終了してしまうことになりかねません。
アンケート調査の結果として、副反応、健康被害に対する不安を払拭するために子宮頸がん発症予防に関するエビデンスなど、さらに積極的な情報提供が必要、対象者向けの詳細なリスクや安全性について記載されている情報教材、研究内容を分かりやすく示す資料、重篤な副反応より子宮頸がんになる確率のほうが高いことを分かりやすく比較した情報が必要などがありました。
情報の伝え方、届け方として漫画を活用するなど、簡単に読んでいただける資料、ワクチンのリスクより予防効果が大きいことの事例や、罹患・治療情報、医師などからのアピール、教育機関との連携が提案されています。
キャッチアップの期限も近づいており、再度、対象者本人、保護者の不安に寄り添った情報提供、例えば今回、公式SNSとか、特に最近本市が力を入れている動画配信による視覚に訴える方法などを考えていただきたいと思いますが、今後の取組についてどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。
(20番 佐井昭子君 降壇)
○議長(尾花 功君)
保健福祉部長。
(
保健福祉部長 馬場崎 栄君 登壇)
○
保健福祉部長(馬場崎 栄君) 議員の御質問にお答えします。
議員御指摘のとおり、接種率が低い原因につきましては、健康被害が怖いといったことも一因であるかと存じます。
しかし、子宮頸がんは、日本で年間約1.1万人が罹患、約2,900人が死亡しております。
こうしたことから、子宮頸がんはワクチンで予防できる病気であるということ、重篤な副反応の出現率についてはごく僅かであるという正しい情報、令和5年度から定期接種で使用可能となった9価ワクチンは、従来のワクチンより重篤な副反応の出現率が低いことと予防効果がさらに高いという有益な新しい情報についても対象者に発信することが重要であります。
しかしながら、ワクチンを接種しても完全に子宮頸がんを予防できるわけではないため、子宮頸がん検診によって早期発見することも大切であり、20歳を過ぎたら子宮頸がん検診を定期的に受けることが推奨されており、ワクチンの接種勧奨とともに、検診の受診勧奨についても啓発が重要であると考えます。
今後は、今年度がキャッチアップ接種の最終年度であり、接種期限が迫っていることもあるため、リーフレットの配布や健診等のあらゆる機会を捉えた対面での情報提供、対象者にとって身近なツールであるSNS等から情報発信し、広く周知をしていくとともに、より多くの方に関心を持っていただけるよう情報を発信してまいります。
(
保健福祉部長 馬場崎 栄君 降壇)
○議長(尾花 功君) 佐井昭子君。
(20番 佐井昭子君 登壇)
○20番(佐井昭子君) 御答弁ありがとうございました。
今おっしゃっていただいたことがきちんと伝われば非常によい結果になると思います。行政は大事な情報を住民の皆様に届けていただいておりますが、実はなかなか住民の皆様には伝わっていないのが現実です。ぜひ今御答弁いただきましたように、あらゆる機会を捉え、多種多様な方法でお届けいただきたいことを切に願います。
最後に、2022年、積極的勧奨が再開されたときNHKが子宮頸がん治療を経験した4人の当事者のオンライン座談会を開催。そこで語られていたことを少し御紹介したいと思います。
そのうち3人が子宮を摘出され、その後体験をつづった本を出された方、予防啓発のための講演活動をされている方、健康教育を通じて予防医学の実現を目指す活動をされている方などです。その方々の言葉として、子宮頸がんの知識すらなかった。婦人科に行くこと自体、物すごくハードルが高かった。この病気は、がんの初期に見つかっても、多くの場合、子宮を取る手術が必要なので、そのことをもっと知ってほしい。仕事、恋愛、結婚といろいろなところに影響がある、本当に大変な病気。産まないと自ら選択するのと産めないというのは全然違う。女性にとってセンシティブな問題だから発信していくことは大切。両親がパニックになった。子宮頸がんは若い女性でもなるがんなので、情報の受け止め方も違う。若い人がかかるがんだからこそ課題はすごく多い。こんな言葉が語られていました。このような生の声もしっかり若い世代、また保護者の皆様に届けていただき、不安に寄り添った再度の情報提供をお願いしたいと思います。
ワクチン接種、検診、併せて予防につなげていただきたいことを切に願います。これで私の
一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
(20番 佐井昭子君 降壇)
○議長(尾花 功君) 以上で、20番、佐井昭子君の
一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(尾花 功君) この場合、午後1時まで休憩いたします。
(午前11時31分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(副議長 橘 智史君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 1時00分)
○議長(副議長 橘 智史君) 続いて、5番、谷 貞見君の登壇を許可いたします。
(5番 谷 貞見君 登壇)
○5番(谷 貞見君) 皆様、こんにちは。
5番、くまのクラブの谷です。
まず、能登半島地震が発生し、今日で半年を迎えました。今なお仮設住宅等での生活を余儀なくされております多くの被災者が、一日も早く通常の生活に戻られますようお祈りいたします。
それでは、通告により、今回は空き家対策と中山間地域における事前復興計画について、2項目を一問一答方式にて質問させていただきます。よろしくお願いします。
大項目の1点目、空き家対策について質問させていただきます。
空家等対策の推進に関する特別措置法が平成27年5月に施行され、本市においても、同法第6条第1項に基づく田辺市空家等対策計画が平成28年4月に策定されており、以降、空家等実態調査や所有者等へのアンケート調査などで、空き家率や危険度、所有者等意向調査等を行い、危険家屋等の除去及び発生抑制等を推進するとともに、移住推進に伴う空き家の活用に対しても補助事業を設けるなど、対策が講じられております。
そこで、令和4年9月議会において安達幸治議員から、令和5年9月議会において
加藤喜則議員からの
一般質問で、平成30年度に実施した空家実態調査に基づき把握されている件数を答弁されておりますが、本市における空き家等の現状についてお伺いします。
(5番 谷 貞見君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 5番、谷 貞見君の質問に対する当局の答弁を求めます。
建設部長、衣田 克君。
(建設部長 衣田 克君 登壇)
○建設部長(衣田 克君) 議員の御質問にお答えします。
平成30年度に実施した空家実態調査では、本市全域3万7,021棟の住宅用建物のうち1,760件の空き家を確認しており、本市における空き家率は4.8%となっております。
また、平成27年に空家等対策の推進に関する特別措置法が施行されてから今日までの9年間において、不良空き家等の解体などに携わった件数は494件であり、年間約50件から60件で推移しております。
さらに、空家特措法の施行に伴い、これまで特定空家に指定した件数13件のうち勧告が3件、そのうち命令及び代執行が1件となっておりますが、これら13件は全て除却済みであり、現在特定空家に指定している空き家はない状態となっております。
(建設部長 衣田 克君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 谷 貞見君。
(5番 谷 貞見君 登壇)
○5番(谷 貞見君) 答弁ありがとうございました。
特定空家と指定している空き家はないということです。
それでは次に、具体的な取組状況についてお伺いします。お願いします。
(5番 谷 貞見君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 議員の御質問にお答えします。
本市の空き家対策としましては、空き家バンクの活用と移住者の住居として空き家を改修する移住推進空き家活用事業を県と連携して行っています。
相談を受けた空き家物件は、県の空き家バンクへ登録し、わかやま住まいポータルサイトを通して移住者向けの賃貸・売買物件として公開し、空き家の登録から成約に至るまで調整やサポートを行っています。
また、空き家改修補助金とセットで県外からの移住希望者に紹介することで、都市部から地方への移住促進につなげるとともに、空き家の流通促進にも寄与しています。
次に、放置された空き家等に対する取組ですが、放置空き家が発生する原因は大きく二つあり、一つ目は、立地的要因として、古くから形成され、車両の進入ができないエリアや津波浸水想定エリアなどで、土地の価格よりも解体費用のほうが高くなることなどが放置の一因となっています。
二つ目は、個別の人的要因であり、経済的理由や遠方居住、相続人間の確執、それから、そもそもどうしてよいのか分からないなどが上げられます。
これらの要因を踏まえて、市としましては、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく特定空家や管理不全空家に指定し、対応を求めるだけでは解決しないことから、所有者や相続人に寄り添い、伴走することで空き家問題を解決に導いています。
具体的には、不良空家等除却補助制度や空家等対策事業者紹介制度を活用し、経済的理由によりあと一歩が踏み出せない方、また、遠方居住などで本市の解体工事業者が分からず困っている方々に対して支援を進めています。
また、補助制度を活用しても、経済的理由により解体費を負担できない場合には、隣地所有者に解体費プラス登記費用程度で空き家跡地を購入してもらうことで財源を捻出する隣地売却あっせん制度は、これまで56件の実績がございます。
これらの制度を利用し、解体が決定したものの、遠方居住や高齢等の理由により、現地での対応が難しい場合、担当職員が本人の代わりに解体見積り徴収の代行、電気や電話線の撤去連絡、そして解体後の隣地境界との調整など、空き家に関するサポートを行っています。
不良空家等除却補助制度の創設以降、約400件の空き家が解体されましたが、そのうち補助金利用者は152件、僅か4割であり、残りの6割の方は、少しのサポートさえあれば補助金がなくても解決までに至っております。
このような寄り添う伴走型空き家対策の取組姿勢は、全国から高い評価を受けており、
国土交通省の先進地事例での紹介をはじめ、テレビやニュース、書籍等で紹介いただいているほか、他自治体からも視察が相次いでいる状況です。
現在、この田辺独自の取組により、年間50件から60件の不良空き家等の問題を解決しているところでありますが、2025年には団塊の世代全てが後期高齢者となり、大量相続時代に突入することから、行政の取組だけで解決できる数をはるかに上回る空き家が発生することが確実な状況となっています。
今や空き家問題は個人の問題にとどまらず、安全性の確保ができずエリアの価値が下がるなど、地域全体が抱える深刻な課題となっているため、これまでとは違った新しい対策が求められています。
増え続ける空き家問題に行政として寄り添う姿勢を大切に取り組むことはもとより、それだけでは限界があることから、今後は民間事業者の協力を得ながら、空き家を資源として活用する新たな取組を今年度から着手したところであり、これらの取組を積極的に推し進めることで、次世代を担う
子供たちをはじめ、誰もが住みたいと思うまちづくりを推進し、持続可能な田辺市の実現を目指してまいります。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 谷 貞見君。
(5番 谷 貞見君 登壇)
○5番(谷 貞見君) 答弁ありがとうございました。
和歌山県の空き家の状況では、総務省の平成25年住宅・土地統計調査によると、和歌山県の空き家率は18.1%と全国第3位となっていました。これは5年ごとの調査ですが、昨年10月1日時点の県内の空き家率は21.2%と、徳島県と並ぶ全国最高となりました。
先ほどの答弁によりますと、本市での平成30年度の空き家率が4.8%と、県内の空き家率よりも大幅に下回っております。調査方法に差異があるとしても、市長の答弁にもありましたように、移住希望者を含め、空き家を必要とされている方々に対してきめ細やかなサポート体制に取り組まれており、また、空家特措法に基づく特定空家や管理不全空家に指定し、対応を求めるだけでは解決しないことから、所有者や相続人に寄り添い、伴走することで、空き家問題を解決に向けて取組を強化していること。さらに民間事業者の協力を得る取組もスタートさせるとのことで、増え続ける空き家に対して抑制されていくものと認識しました。
平成27年5月に、空家等対策の推進に関する特別措置法が施行され、特定空家に関しては、住宅用地の特例が適用されなくなる制度改正がありました。空き家が建っている土地が、住宅用地の特例で課税標準額を減額されていた固定資産税が減額されなくなる制度でありますが、本市での適用状況をお伺いします。
(5番 谷 貞見君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 市民部長、松本清子君。
(市民部長 松本清子君 登壇)
○市民部長(松本清子君) 議員の御質問にお答えします。
特定空家または管理不全空家として勧告された場合は、空家等対策に関する特別措置法に基づき住宅用地の特例が解除されることになります。
本市では、これまで特定空家等の勧告につきましては、平成28年度に2件、令和2年度に1件、計3件を実施しており、それぞれの土地に係る住宅用地の特例を解除しております。
なお、繰り返しになりますが、現在は特定空家等に勧告された建物は全て撤去されております。
(市民部長 松本清子君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 谷 貞見君。
(5番 谷 貞見君 登壇)
○5番(谷 貞見君) ありがとうございます。
空き家を有する持ち主に対して、空家特措法での住宅用地の特例が適用されなくなる制度改正については、より周知を行っていただければ、自ら解体等により空き家解消と活用に働くことにもつながると思いますので、今後もよろしく取組をお願いしたいと思います。
もう1点、固定資産税の賦課課税についてお伺いします。
移住推進空き家活用事業につきましては、空き家の改修に要する金額から、県補助金額の上限額100万円を除いた数の2分の1、上限80万円。まちなか移住推進空き家活用事業につきましては、空き家の改修に要する金額の3分の2、上限80万円として本市から補助金が交付されています。これらの補助金が交付された対象家屋については、固定資産評価基準に基づき家屋調査を行い、課税の見直しを行っているかどうかお伺いします。
(5番 谷 貞見君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 市民部長。
(市民部長 松本清子君 登壇)
○市民部長(松本清子君) 議員の御質問にお答えします。
田辺市移住推進空き家活用事業補助金につきましては、平成25年度の施行から令和5年度までの11年間で85件、田辺市まちなか移住推進空き家活用事業補助金につきましては、令和元年度の施行から令和5年度までの5年間で10件となっております。
これらの事業の補助対象となるのは、生活に必要な機能の一般的な改修・リフォームであり、増築や住居部分以外の改修・リフォームは対象外となります。
家屋を改修した際に固定資産税の見直しを行っているかについてですが、家屋の年月の経過による劣化に伴う外壁や屋根の修繕、トイレやキッチンなどの設備の更新、
バリアフリー改修や耐震補強など、家屋の維持や環境改善を目的とする改修については、評価の見直しの対象となりません。
ただし、家屋の主要構造の改修や骨組みだけを残して内部をつくり替えるような建築基準法に基づく建築確認申請が必要となる大規模な改築、床面積の変更を伴う増築、店舗から住宅へと用途を変更した場合などについては、評価の見直しの対象となります。
(市民部長 松本清子君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 谷 貞見君。
(5番 谷 貞見君 登壇)
○5番(谷 貞見君) ありがとうございました。
固定資産税は、新築や増築に対しては、建築確認や衛星画像などで把握も容易かと思いますが、改築といった場合においてはなかなか把握が困難かと思います。市や県から補助金が交付された家屋については、公費が投入され改修されていますが、再評価には該当しないとのことですし、生活に必要な機能で一般的な改修・リフォームは該当しないと理解しました。
しかしながら、本市のホームページを見ますと、固定資産税の項目の中に届出が必要な場合として、家屋の新増築や取壊しをした場合、または新増築や取壊しの予定がある場合とありますが、改築を行った場合の記載はありません。
県内の自治体においては、改築についてもホームページには掲載されている自治体もあります。他の自治体の手法も参考に税の公平性を担保していただきますようお願いいたします。
次に、固定資産税についてお伺いしましたが、今年4月1日から不動産の相続登記の申請が義務化されました。相続登記が進むことにより、固定資産税の賦課課税業務が簡素化されますし、相続人全員に発送していた納税通知書の郵送料の節約にもなります。また、地籍調査における土地所有者の判明についても迅速に行われることになります。何よりも空き家の所有者の特定等が進み、有効活用にも結びつくものと思われますが、本市における不動産の相続登記の義務化における情報提供等について積極的に行われているかどうかお伺いします。
(5番 谷 貞見君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 市民部長。
(市民部長 松本清子君 登壇)
○市民部長(松本清子君) 議員の御質問にお答えします。
相続登記がなされていない土地、また、所有者が特定できない土地を所有者不明土地といい、本市でも増加傾向にあります。こうした土地が増えることで、公共工事の推進の妨げや土地の管理がなされずに環境が悪化するなど、社会問題として取り上げられるようになり、これらの問題を解決するため令和6年4月1日から相続登記の義務化が施行されたところです。
本市では、令和元年度から所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律第8条の規定に基づき、法務局へ固定資産税課税台帳の情報提供を行っているほか、法務局から提供されたチラシによる窓口での啓発や市広報紙での周知、また、土地や家屋を所有する方がお亡くなりになった際には、相続人に対し、納税義務者の届出の書類と併せて相続登記の申請の義務化をお知らせするチラシを送付しております。
市といたしましても、相続登記が進むことで、業務の効率化や土地の有効利用につながるものと考えており、今後も啓発などについて積極的に取り組んでまいります。
(市民部長 松本清子君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 谷 貞見君。
(5番 谷 貞見君 登壇)
○5番(谷 貞見君) ありがとうございました。
私も祖父、曾祖父名義の農地の権利書を譲り受けてはおりますが、今となっては登記を行うことは無理にひとしく、今後そういった事例が少しでも少なくなれば、土地家屋の流動化にもつながり、本市の多様な施策にも効果をもたらすことにもなると思いますので、引き続き取組をお願いしたいと思います。
次に、空き家の発生要因の5割強は相続であると言われており、そのうち所有者が遠隔地に居住していることも少なくはないかと思われます。空き家が発生してしまった場合、所有者が分からない、所有者が遠方にいる、権利者が複数いる、対応してくれないなど、解決が困難で事務量も増加するため、空き家になる前の予防も重要かと思います。
一般的に65歳以上の高齢者しか住んでいない持家のことを空き家予備軍といいます。この予備軍に対して数などを把握しているのでしょうか。また、空き家になる前の早めの対策は考えられないのでしょうか、お伺いします。
(5番 谷 貞見君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 建設部長。
(建設部長 衣田 克君 登壇)
○建設部長(衣田 克君) 議員の御質問にお答えします。
本市における高齢者のみの世帯のうち一戸建てにお住まいの世帯は約8,000世帯あり、近い将来、空き家になると想定した場合、20年で割ると年間約400件の空き家が毎年増えることが予測されます。
これまでは、危険空き家の除却を推進してきましたが、令和5年度以降、除却の相談だけではなく、住まいの終活相談等が急増しており、徐々に空き家の活用に向けた段階に変化しつつあります。
そこで、空家等対策事業者紹介制度の業種拡大を通して、宅建業者や工務店、司法書士等との連携を強化し、危険空き家になる前の段階における中古住宅の流通促進に取り組むため、空き家対策事業者説明会を本年6月に2度実施し、約80社の方々に御参加をいただきました。現在は、本市の取組に賛同いただける事業者の登録申請の受付を行っている段階です。そして、8月から空家等対策事業者紹介制度の拡充を開始いたします。多業種にわたる事業者と共に取り組む住まいの終活支援は、市としましても初の試みであるため、事業者と共に支援スタイルを模索しながら、空き家の活用実績を積み重ね、自立した運営が可能となった際には中間支援組織の設立を考えております。
今後とも増加し続ける空き家問題に対して、事業者との連携強化を図り、空き家を資源として生かすことで、放置空き家の発生抑制と適正なる管理者への引き継ぎを進めることを目指して取り組んでまいります。
(建設部長 衣田 克君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 谷 貞見君。
(5番 谷 貞見君 登壇)
○5番(谷 貞見君) ありがとうございました。
本市の取組が先進地事例になると思いますので、ぜひとも中間支援組織の設立に至るまで、
関係機関、事業者等との良好な関係で進められることを望みます。
次に、移住者向けの空き家登録を平成19年度から行っていると、令和4年9月議会で安達幸治議員の質問に対する企画部長の答弁がありました。そして、その情報を県の住まいポータルサイトであるわかやまLIFEへ掲載しているとのことでした。今年度、空き家・移住をコーディネートする地域おこし協力隊を2名募集し、山村地域の活性化及び地域コミュニティを再生することに期待が寄せられています。地域おこし協力隊員の活動により、今後掘り起こされる空き家情報が増加することとなります。
この質問は、市独自の空き家バンク制度を設けてはどうかということです。何も県外からの移住定住者向けだけではなく、市独自で行うことで、市内に住む方の住居の確保や県内からの移住者を迎え入れるなどの自由度が増し、空き家のみならず空き店舗や事務所、作業所等を含め、情報公開することで、起業など幅広いニーズに応えることにもなるのではないかと考えますが、当局のお考えをお聞かせ願います。
(5番 谷 貞見君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 企画部長、木村博充君。
(企画部長 木村博充君 登壇)
○企画部長(木村博充君) 議員の質問にお答えします。
先ほどの答弁でもございましたが、本市では、空き家の御相談を受けた場合、県の空き家バンクに登録し、わかやま住まいポータルサイトを通して情報を公開しています。本サイトでは、県内の空き家情報や民間の中古物件が約300件近く掲載されており、VR紹介等機能も充実していますので、本サイトは空き家情報を紹介する手段として効果的であると考えています。
また、掲載物件には、住居を目的とする店舗兼住宅や農地、山、倉庫つきの住宅等も登録されています。移住先で起業を考えている方、特に山村部におけるゲストハウスやカフェ等の飲食店などを検討される方は、当初から事業用物件を求めるのではなく、店舗兼住宅を購入されたり、住居の一部や敷地内の倉庫等を店舗スペースとして改装する事例も多いことから、本サイトの住居物件にも多くの問合せをいただいているところです。
このように、県の空き家バンクにつきましては、移住を目的とする方、また起業も含めて移住を検討されている方のニーズにも十分に対応していると考えておりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
(企画部長 木村博充君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 谷 貞見君。
(5番 谷 貞見君 登壇)
○5番(谷 貞見君) ありがとうございます。
県の空き家バンクで十分に事足りるという考えの答弁だと解釈しました。しかしながら、移住定住者向けだけではなく市内に居住する方の中には、いつかマイホームを、いつか起業をと夢を持つ方に対して、新築よりも空き家の活用をしたほうが、先ほどの固定資産税の質問において勘づかれた方もいるかと思いますが、そういった負担を少なくして生計を立てていく方法にも結びつくものではないかと思います。
また、うつほの杜学園に就学される方は、県外からだけではないかと思われますので、より情報を提供することで就学の機会を促すことにもなるのではないかと強く思いますので、再度検討を重ねていただきますよう要望いたします。
この項目の最後の質問になりますが、空き家を第三者に譲渡する場合に足かせになるのが、その空き家内に残っている家財道具の処分についてであります。空き家を貸すにしても売買するにしても、家財道具等を残したままではなかなか譲渡する相手が決まらないのが実情かと思います。自らが家財道具等を処分するにしても、ごみ処理手数料や運搬車両等の借上げ料、エアコンや冷蔵庫など特定家庭用機器のリサイクル料金等多額の費用が必要となる場合があります。また、専門業者に依頼する場合においてもそれなりの費用が必要となります。
空き家の増加を抑制し、空き家の流通を促すためにも、例として空き家バンクに登録した家屋や空家等対策事業者紹介制度を介して移住定住などをした場合を対象に、空き家の片づけ支援として、家財道具等の処分に係る経費を一部助成する制度を設けてはどうかと提案しますが、当局の考えをお聞かせください。
(5番 谷 貞見君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 企画部長。
(企画部長 木村博充君 登壇)
○企画部長(木村博充君) 議員の御質問にお答えします。
現在、移住施策の一つといたしまして、県の移住推進空き家活用事業補助金のメニューには、家財道具の処分費等の補助がございます。この補助制度は、県の空き家バンクに登録された物件のうち県外の移住者が住居として活用する際、物件内に残された家財の整理・撤去・処分に要する経費の10分の10、上限8万円を補助する制度で、本市における過去3年の状況を申し上げますと、令和3年度に3件、令和4年度に3件、令和5年度に4件御活用いただいております。
議員御指摘のとおり、家財道具の処分については、空き家対策としての一つの課題であると認識しており、今後も県と連携しながら支援制度の周知に努めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようお願いいたします。
(企画部長 木村博充君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 谷 貞見君。
(5番 谷 貞見君 登壇)
○5番(谷 貞見君) ありがとうございました。
空き家バンクと同様、県が行っているから市はそれ以上のことまでは踏み込まないということだと感じました。
本市の空き家対策は、様々な取組やサポート体制においては職員も本当に頑張っていると思います。しかしながら、県外の方だけを対象にするのではなく、せめて家財道具の処分については、市独自の空き家バンク制度を創設し、登録した物件に対して支援をすることにより空き家等の活用に結びつくものと思いますので、また、将来的には空き家だけではなく空き地についても空き家バンクに組み込めれば、災害対策や新たな家屋等建築の推奨にもつながると考えますので、田辺市としてのやる気、本気度を持って取り組んでくれることを期待して、次の質問に移ります。
それでは、大項目の2点目、中山間地域における事前復興計画について質問させていただきます。
今年3月に策定された田辺市事前復興計画は、南海トラフ地震が発生した際に、目の前の災害対応に追われ、地域の復興に時間がかかる事態が発生すると、被災住民や企業は疲弊し、再生する意欲を失うことが懸念される。さらに、被災住民がまちを離れる事態を招くなど、地域の活力が失われ、まちの存続が危うくなるおそれも想定される。被災地において、被災住民が意欲を持って働き、暮らすためには、迅速によりよいまちの復興を成し遂げることが重要となる。
そこで、南海トラフ地震発生後の復興まちづくりの姿を見据え、被災前から復興計画を事前に策定し、大規模災害に備えることで被害の軽減を図るとともに、発災後は、事前復興計画に基づいたまちづくりを速やかに実施することを目的とされています。
本計画では、本市の津波浸水想定区域が広がる地域を対象に、西部地区、中部地区、東部地区の3地区に区分し、事前復興計画を検討されてきており、一応の見通しが出来上がり、市民の不安を払拭することになったと思います。
しかしながら、市域は広大で、西側の海岸部で都市的土地利用がなされ、東側は中山間・山間地域が広がっています。
これまでに地方都市で発生している地震や土砂災害等では、中山間地域の集落において、地域全体が孤立した場合や地域内で応急仮設住宅の建設が可能な用地の確保にも限度があった等の理由で、集落単位で市街地への長期避難を行わざるを得なかった事例があります。
また、復興期において、なりわい維持や住宅再建費用調達の困難さ等の経済的理由や利便性等から市街地へ移転を希望する住民も多く、集落の再建・維持が困難となるという課題があります。
また、農林業等の第一次産業や観光業が地域経済の主体となっている地域が多く、農林業基盤への被災や風評被害により事業の再建に影響が発生する場合もあると考えられます。特に中山間地域では、農林業等のなりわいの再建と、住宅・生活の再建が一体不可分となっているケースも多く見られます。
このように、本市においては、高齢化問題や自然環境との共生、産業の衰退等の地域の課題があり、復興を契機としてこれらの課題を解決した地域の将来像を描くプロセスがその後の地域全体の再建に必要であります。
それらのことから、広大な市域を持つ本市であるがゆえに、大規模な自然災害に備えて、中山間地域においても地理的等条件に沿った事前復興計画の策定が必要であると考えますが、当局の認識をお答え願います。
(5番 谷 貞見君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君)
危機管理局長、茨 善行君。
(
危機管理局長 茨 善行君 登壇)
○
危機管理局長(茨 善行君) 議員の御質問にお答えいたします。
本市では、令和2年度に大規模災害復旧復興検討委員会を設置し、令和5年度までの間、業務継続計画、受援計画、事前復興計画の3計画について協議するとともに、それぞれ策定してまいりました。
このうち、事前復興計画については、和歌山県の復興計画の事前策定の手引きを基に策定しており、その内容としては、東日本大震災からの復興まちづくりをモデルとして南海トラフ巨大地震により被災したまちを速やかに復興できるよう、被災前から産業エリアや、住民生活エリアなどの都市基盤をはじめとしたまちづくり計画を策定しておくものとなっております。
この計画では、津波被害からの復興を想定した内容をメインとしているものの、復興基本方針として、市民の命を守る復興まちづくり、一日も早い生活再建、創造的復興に向けての3本柱から成っており、こうしたことは、沿岸部のみならず中山間部であっても共通するものでございます。
こうしたことから、南海トラフ巨大地震により中山間部が被災した場合においても、当計画の基本方針をはじめ、これまでの紀伊半島大水害からの復興に倣い、地域防災計画を基本として、速やかな復旧・復興を目指してまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(
危機管理局長 茨 善行君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 谷 貞見君。
(5番 谷 貞見君 登壇)
○5番(谷 貞見君) ありがとうございます。
昨日の読売新聞の一面に、能登半島地震の被災地、石川県輪島市で少なくとも4地区、計257世帯が集団移転を検討していると掲載されておりました。4地区はいずれも高齢化と過疎が進む主に山あいの地区で、道路寸断などで一時孤立したことで住民たちは災害時に孤立するリスクの低い場所へ移転を希望され、輪島市は実現に向けて支援する方針とのことでした。
過疎と高齢化が進んだ地区では、将来的に自助・共助が困難になり、災害時に再び孤立した場合には深刻的な事態が生じるおそれがあると考えられます。
田辺市事前復興計画は、津波被害からの復興を想定した内容をメインとしており、まとまった相当規模の区域で道路・上下水道等の施設整備を宅地開発と面的に整備するものだとは認識しておりますが、災害は、津波被害だけではなく地震による被害が市域全域に発生するおそれがあり、また、豪雨などでの水害や土砂災害についても、広い市域の中ではどこで発生してもおかしくない状況でありますので、地域の特色や実情、防災に関する各種情報を基に絶えずカスタマイズしながら、住民の不安解消に今後とも取り組んでいただきますようお願い申し上げ、今回の私の
一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
(5番 谷 貞見君 降壇)
○議長(副議長 橘 智史君) 以上で、5番、谷 貞見君の
一般質問は終了いたしました。
休 憩
○議長(副議長 橘 智史君) この場合、午後1時55分まで休憩いたします。
(午後 1時41分)
――
―――――――――――――――――
再 開
○議長(尾花 功君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
(午後 1時55分)
○議長(尾花 功君) 続いて、8番、宮井 章君の登壇を許可いたします。
(8番 宮井 章君 登壇)
○8番(宮井 章君) 皆様、こんにちは。
紀新会の宮井でございます。
議長のお許しをいただきましたので、これより
一般質問をさせていただきます。
私も一番くじを引いて、まず最初に質問したかったのですけれども、残念ながら本日2日目、最後の質問となってしまいました。そして、昨日から前壇の皆様にもありましたとおり、私も当然この新しい場で初めての
一般質問でございますので大変緊張しております。よろしくお願いいたします。
ここで、今回の
一般質問のテーマが森林環境譲与税及び森林環境税ということで、ある意味その恩恵を受けていることに関連して、この田辺市新庁舎に使用された木材について少しお話をしたいと思います。少し前置きが長くなりますけれどもどうか御了承ください。
まず、最初に庁舎に入ったときの感想としまして、想像以上に木材が使われていることに驚き、感心させられました。これだけ豊富な木材が全面に使われておりますと、森の中にいるような感覚と言えば大変大げさになりますけれども、科学的な根拠があるとされるフィトンチッドやマイナスイオンの作用により森林浴をしているような効用が少なからずあるのではないかと思います。このような環境が訪れる市民の皆様や働く人々にとって心地よい様々な効果をもたらす可能性が大いにあると考えるところでございます。
また、庁内の階段の吹き抜け部分に使用されている五寸角の柱は、それぞれ旧市町村で採取された木材と聞いております。具体的にお聞きしてみますと、旧田辺市は秋津川の字森之尾地内、そして、龍神村は三ツ又の古溝地内、そして、大塔村は深谷の字本谷地内、本宮町は三越の字ドンデ地内、そして私のふるさとの中辺路町は野中廣見川地内から伐出された木材が使用されているとのことでございました。特に私の地元であります中辺路町の廣見川地域は、森林組合時代に測量や事業計画のためによく訪れた場所でございます。山林所有者の方についても大変お世話になったことから、非常に懐かしい思いをしたところでございます。
内装については、紀州材がふんだんに使用されておりますが、中でも特にヒノキの台形集成材が随所に使用されております。この集成材については、昭和61年に旧中辺路町時代から稼働している中辺路木材加工場で生産されている貴重な地域資源の一つでもあります。
創業当時を思い起こしますと、地域の山々から人力で、人が肩で木材を運び出す木材搬出・人肩運動などと声を掛け合った時代でした。各人が自ら人力で搬出した木材を軽トラックで集成材工場に直接納入しまして、森林組合職員が木材の寸法を測って個々の材積を計算し、買取り価格を提示する業務や仕入れ伝票の整理に忙しく対応していました。私自身も早朝からこのような作業に追われた日々を思い出したところでございます。
そしてまた、この議場においては、田辺市の誇りであります世界遺産紀伊山地の霊場と参詣道熊野古道をイメージし、壁は熊野古道の荘厳な景観を表現し、床のブルーは青い海を象徴しているとお聞きしました。
さて、田辺市の森林には、資源循環林等の経済林をはじめ、動物と人間が恵みを分かち合う共生林、そしてまた、水資源を含む地球環境を保全する環境林など様々な恩恵をもたらしてくれる多くの森林があります。こうしたかけがえのない森林の持続可能な育成と保全について考えたとき、その貴重な財源の一つである森林環境税について、順を追って質問していきたいと思います。
まずは、森林環境譲与税創設に至るその背景については、既に皆様も御存じのとおりでございますが、改めて簡潔に申しますと、この森林保全のための税制は、1991年に本宮町、当時の中山喜弘町長が提唱したことから始まっております。
森林は、木材生産だけでなく、渇水や洪水の水量調節、そして土砂の流出防止、大気の浄化、そして野生生物の保護、そしてまたレクリエーション機会の創出など、多面的・公益的な機能を有することから、農山村に限らず人間が生活する上で不可欠なものであり、それらを維持する費用は国民全体が負担するべきものであるという主張に基づいたものでありました。
その後、サステナブルな持続可能な社会への関心や、環境に対する意識の高まりなど機運の醸成が進む中、さらに森林の荒廃と適切な管理の必要性、地方財源の格差と森林管理の地域負担、そして地球温暖化対策と環境保全の強化、そして最後に林業の再生と地域経済の活性化の必要性、これなどを背景としながら、森林面積の多い自治体による賛同もあって政策化されまして、2019年4月に念願であった森林環境譲与税が導入されることが決定したところでございます。
次に、ここでこれまでの森林環境譲与税に関する
一般質問を振り返りますと、大変多くの議員が関心を持たれ、取り上げられております。
まずは、平成元年に柳瀬議員から、活用基金として積み上げられていく森林環境譲与税の今後の使途について、地域づくりへの利用を含めての早期なる具体的施策の提示を求める質問があったほか、松上議員からは、木を生かした子供の遊び場、いわゆるおもちゃ美術館の建設に向けた譲与税の充当について。そして、令和2年には浅山議員からゼロカーボンシティの実現に向けた質問の中で触れられておりました。この令和2年6月には私からも森林環境譲与税の有効活用に向けたアプローチということで、4点ほどお聞きしております。一つ目は、今回と同じく使途について。各団体からの意見集約について。そして次に、森林に係る事業支出の少ない都市部との連携運用について。三つ目に、林業専門技術員及び林業普及員の養成や採用について。そして四つ目に、さらに市民に対して効果の見える使途として、景観保全及び里山整備を防災・減災対策も含めた事業設計ができないかなど、小項目にして4点ほどお聞きしております。その後も、安達克典議員から、高知市で取り組まれている森林環境譲与税を使用した台風被害による風害森林の整備事業、そして、福岡県南部にある添田町の自然災害や獣害などにより荒廃した森林の植生再生事業など、従来の林業施策から取り残されてきた作業に森林環境譲与税が活用されている例を挙げながら、本市における災害復旧、このときは主に風倒木処理でございましたけれども、それと災害防止の観点から、小規模治山事業の必要性を訴えられておりました。そのほか、この後の所管の委員会においても、森林環境譲与税の今後の活用方法については、振興山村地域以外での里山の整備についての意見、そして林業に限らない多様な分野での活用方法の検討について、多くの質疑と意見が繰り返し出されてきました。
少々前置きが長くなりましたけれども、この森林環境譲与税の財源とその活用については、これだけ注目されると同時に、大きな期待といいますか、希望や明るい展望が見てとれるわけです。
そして、森林環境譲与税の導入から5年が経過しまして、いよいよ今年度から森林環境税の徴収が開始されるに当たって、それぞれ一問一答方式でお聞きしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、森林環境譲与税導入から5年間の成果と今後の計画と展望などについてお聞きしていきたいと思います。
まず初めに、(1)森林環境譲与税導入からの5年間の実績について。
アとしまして、これまでの取組についてということで、森林環境譲与税の活用については公表することが義務づけられておりますので、実績については担当課のサイトで確認が可能となっているところでございますが、改めてお聞きしたいと思います。
まず、譲与された金額に対する使用率やその金額についてお聞かせください。そして、年度ごとの取組であるとか経過についてなのですけれども、まず初めに、森林管理をするに当たって重要なのは現況把握と思われます。森林所有者への意向調査の進捗とそれに伴う森林整備の成果についてもお聞かせください。加えまして、5年間で森林環境譲与税を利用して実施されたプロジェクト、取組の中で特筆される事項などがあればお聞かせ願います。
以上です。よろしくお願いいたします。
(8番 宮井 章君 降壇)
○議長(尾花 功君) 8番、宮井 章君の質問に対する当局の答弁を求めます。
森林局長、榎本安幸君。
(森林局長 榎本安幸君 登壇)
○森林局長(榎本安幸君) 議員の御質問にお答えいたします。
森林環境譲与税は、市町村における森林の整備に関する施策、森林の整備を担うべき人材の育成及び確保、森林の有する公益的機能に関する普及啓発、木材の利用の促進、その他の森林の整備の促進に関する費用の財源として、令和6年度からの森林環境税の徴収に先立ち令和元年度から譲与が開始されています。本市においては、令和5年度までの5年間で11億2,918万5,000円が譲与されており、うち約94%に当たる10億5,968万8,000円を関連施策に活用してまいりました。
本市においては、森林環境譲与税の使途方針も含めた本市の森づくりの指針として、令和3年度に田辺市森づくり構想を策定し、その指針にのっとり、学識経験者である委員の助言をいただきながら具体的な施策を展開しております。
また、議員御紹介のとおり森林環境譲与税の活用実績については、市のホームページや広報等を通じて公表しております。
これまでの主な取組といたしまして、森林経営管理制度に基づく森林整備事業、森林の育てびと育成・確保事業、
公共施設等の木造・木質化事業、森林環境教育推進事業などがあります。
森林経営管理制度に基づく森林整備事業は、令和元年度から山林所有者への意向調査に向けた情報の整理を行い、令和2年度には意向調査及び間伐事業に着手し、令和5年度末時点では1万2,644ヘクタール、延べ4,613人に意向調査を行い、所有者から908ヘクタールの森林の委託を受け、そのうち454ヘクタールの森林整備を実施しております。
森林の育てびと育成・確保事業につきましては、林業従事者を新たに雇用した林業事業体に対し、森林の間伐事業を優先的に配分し、一定期間の安定した事業量を確保することで、森林整備の担い手の確保・育成を支援することを目的にした制度であり、これまで4事業体が計6名の新規林業従事者を雇用しております。
公共施設の木造・木質化事業は、令和2年度から
小・中学校の机天板や教室床の木質化に着手するとともに、令和4年度には、本宮小学校の木造・木質化、また、本年5月に開庁しました新庁舎においても、ルーバーやカウンター、議場など様々な箇所の木質化に取り組んでまいりました。
さらに、森林環境教育推進事業は、市内の小学5年生を対象として、森林学習、間伐や植林、炭窯体験などのフィールドワークを組み合わせた多様なカリキュラムを作成し、体験を通じて森林への理解と生活との関係について学べる機会を創出しています。この事業は、令和4年度から着手し、年間実施校数の増加とカリキュラムの充実を図りながら継続して実施しているところです。
(森林局長 榎本安幸君 降壇)
○議長(尾花 功君) 宮井 章君。
(8番 宮井 章君 登壇)
○8番(宮井 章君) 御答弁ありがとうございました。
田辺市における森林環境譲与税の有効な活用について、市当局から詳細な報告をいただきました。初年度から順当に森林の現況把握の一環である森林所有者への意向調査から、喫緊の課題であった荒廃森林の森林整備、間伐に取りかかり、さらに肝腎要であります現場の労働力の確保、担い手の育成について支援策を講じられているようです。そして、その担い手の育成の先の先、将来を予見しまして、市内各所で小学生を対象にした森林環境教育推進事業を実施されていることは非常に重要なことであると思います。このように森林整備、そして人材育成、木材利用の促進など、多岐にわたる施策が展開されることは、特に山村における持続可能な地域社会の構築にとって非常に重要であると思います。これらの施策が今後も継続し、さらに発展していくことを願いつつ、森林組合出身の私としましても、これからの取組に積極的に関わりながら支援していく責任があると感じているところでございます。引き続き、どうかよろしくお願いいたします。
それでは、次の質問に移りたいと思います。
イとしまして、これまでの評価と課題についてということでございます。
ただいま御紹介のありましたこれまでの取組を含めての評価についてお聞かせいただきたいと思いますが、評価といいましても森林局としての評価、そして、市民あるいは山林所有者のほか、林業事業体からの評価などいろいろな評価があると思います。御意見も含めての全体的な事柄についてお聞かせください。あと、森林環境譲与税を活用していく中で、これまでに見られた課題といいますか、改善の必要性を感じた部分などありましたらお聞かせください。よろしくお願いします。
(8番 宮井 章君 降壇)
○議長(尾花 功君) 森林局長。
(森林局長 榎本安幸君 登壇)
○森林局長(榎本安幸君) 議員の御質問にお答えいたします。
本市においては、森林経営管理制度を効率的に進めるためのスキームの構築や、田辺市森づくり構想策定等委員会での意見を踏まえ、それに基づく各種施策の展開など、森林環境譲与税の効果的な活用に向けて施策の具体化を進めており、森づくり構想策定等委員からも、構想の将来像の実現に向けて着実に進んでいるとの評価をいただいています。
また、森林経営管理制度で山の管理を委託した山林所有者からは、手入れができず放置していた山の間伐をしてもらえて感謝している。森林環境教育推進事業では、参加した児童から、近いけど今まで行けなかったところに行けて楽しいといった御意見、御感想をいただいています。
また、森林の育てびと育成・確保事業を活用した林業事業体からは、手入れがされておらず細い木が多いので、若手作業員が経験を積むにはよい現場となっており、森林整備をしつつ人材育成もできる制度でありがたいといった御意見、御感想をいただいているところです。
今後の課題といたしましては、配分された森林環境譲与税をより有効に活用するため、庁内横断的な連携を一層強化して施策を展開していく必要があること、及び森林環境譲与税がどういったことに活用されているのか、市ホームページの掲載だけでなく、様々な機会を捉えて市民の方々に知っていただき、御理解いただけるよう、継続的な広報活動に取り組んでいく必要があると考えております。
(森林局長 榎本安幸君 降壇)
○議長(尾花 功君) 宮井 章君。
(8番 宮井 章君 登壇)
○8番(宮井 章君) 田辺市における森林環境譲与税の活用に関する評価や課題ということで御答弁いただきました。具体的な取組と成果が年度を重ねるごとに充実されており、市の森林管理に対する積極的な姿勢が感じられたところでございます。
また、森林管理制度や森づくり構想策定委員会の取組、さらには森林教育や若手の育成などに多角的なアプローチが行われていることがよく分かりました。特に里山整備の一環としまして、景観と安全を守る山村集落の森林整備事業でございますけれども、これは私のところにも地域の皆様方から大変多くの感謝の声が届いているところでございます。
今後の課題として上げられました庁内の横断的な連携の強化や、市民への情報提供に向けた継続的な広報活動については、将来に向けた新たな譲与税の活用方法を見いだすことにつながると思いますし、さらに担い手の育成という観点からは、経験の浅い林業従事者向けの作業メニューとして、山道の作設や植栽作業など、安全かつ基本的作業で構成された事業の考案も必要かと思われます。今後とも幅広い活用メニューの考案に期待しておりますので、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
続きまして、(2)今年度から徴収される森林環境税についてということで、アとしまして、税の徴収方法とその内容について。
税の徴収に当たってはその方法や仕組み、対象者についてなど詳細をお聞かせ願いたいと思います。ちなみにこの場合、本市の課税対象者はどのぐらいの人数になるのか分かりましたら併せてお願いいたします。
(8番 宮井 章君 降壇)
○議長(尾花 功君) 市民部長、松本清子君。
(市民部長 松本清子君 登壇)
○市民部長(松本清子君) 議員の御質問にお答えします。
森林環境税は、令和6年度から日本国内に住所を有する個人に対して課税が開始された国税で、税額につきましては、市区町村において個人住民税均等割と併せて、納税義務者1人当たり年額1,000円が課税されます。
課税対象者につきましては、個人住民税が非課税の方は課税対象外となり、田辺市における令和6年度の納税義務者数は約3万3,000人となっております。
また、徴収方法につきましては、個人住民税均等割と一体であることから、納付書または口座振替で納めていただく普通徴収、給与から天引きされる給与特別徴収、公的年金から天引きされる年金特別徴収がございます。
(市民部長 松本清子君 降壇)
○議長(尾花 功君) 宮井 章君。
(8番 宮井 章君 登壇)
○8番(宮井 章君) 御答弁ありがとうございました。
それでは、次に移ります。
イとしまして、市民への周知活動と理解促進に向けた取組についてということで、森林環境税の本格的な始動から、いよいよ税の徴収が開始されるに当たり、市民の理解と協力が不可欠だと思います。税の目的や使途についての市民の理解を深め、信頼関係を築くことが重要であると考えることから、市民への周知活動と理解促進に向けた当局の現在の取組状況についてお聞かせください。
(8番 宮井 章君 降壇)
○議長(尾花 功君) 森林局長。
(森林局長 榎本安幸君 登壇)
○森林局長(榎本安幸君) 議員の御質問にお答えいたします。
森林環境税及び森林環境譲与税の意義や市の取組の周知活動としましては、納税通知書へ森林環境税徴収の案内文を同封するとともに、広報田辺3月号では、森のある暮らしと題した特集記事を掲載し、令和6年度からの森林環境税の徴収開始や森林環境譲与税を活用した事業に加え、森林の持つ様々な役割や課題、身近なところに木を使った生活などを紹介しております。
また、市のホームページにおいて、森づくり構想に基づく委員会の協議経過や事業実績を掲載しております。
さらに、地元FMラジオ局に出演させていただき、森林の持つ役割や森林経営管理制度の取組などの周知活動を行ってまいりました。
今後も様々な媒体をより有効に活用し、市民への周知活動と理解促進に向けた取組を継続していきたいと考えております。
(森林局長 榎本安幸君 降壇)
○議長(尾花 功君) 宮井 章君。
(8番 宮井 章君 登壇)
○8番(宮井 章君) ありがとうございました。
それでは次に、(3)としまして、改正された配分基準と本市の税収についてということで、アとしまして、改正された配分基準について。
このことについては、農林水産省から総務省へ税制改正の要望書が提出されております。今春の税制改正に伴い、森林環境譲与税の配分額が変更になったと認識しているところでございますが、旧基準と比較しまして、改正された配分基準の具体的な内容について、併せて改正に至った背景やその理由についてもお聞かせください。よろしくお願いします。
(8番 宮井 章君 降壇)
○議長(尾花 功君) 森林局長。
(森林局長 榎本安幸君 登壇)
○森林局長(榎本安幸君) 議員の御質問にお答えいたします。
森林環境譲与税の配分基準につきましては、令和5年度まで私有林人工林面積割合50%、林業就業者割合20%、人口割合30%であったところ、令和6年度から私有林人工林面積割合55%、林業就業者割合20%、人口割合25%へと変更となりました。この背景といたしましては、市町村の森林整備事業の体制整備が進み、森林整備への森林環境譲与税の活用割合が増加する中で、森林整備をより一層推進する観点から、私有林人工林の多い地方自治体への譲与額を増加する目的で変更されたものと承知しております。
(森林局長 榎本安幸君 降壇)
○議長(尾花 功君) 宮井 章君。
(8番 宮井 章君 登壇)
○8番(宮井 章君) ありがとうございます。
それでは、イとしまして、本市における森林環境税の収入額についてということですが、この問いかけはちょっと分かりづらい表現になってしまいました。要するに、田辺市に入ってくる譲与税額、配分額は幾らかということでございます。本市にとって森林環境税は、地域の森林整備や保全活動に充てられる重要な財源となっております。森林環境税の税収の総額については、当初の試算でフルスペック時で約600億円と示されたところでございます。本市に充当されるその配分額の推計は、今後の適切な予算編成や施策の立案の基礎となってまいります。状況に応じた正確な推計を行うことは、効率的かつ効果的な森林環境譲与税の運用を実現するために不可欠であることから、今年度の本市における譲与税の配分額について分かりましたらお聞かせください。お願いします。
(8番 宮井 章君 降壇)
○議長(尾花 功君) 森林局長。
(森林局長 榎本安幸君 登壇)
○森林局長(榎本安幸君) 議員の御質問にお答えいたします。
森林環境譲与税につきましては、9月期と3月期の年2回に分けて譲与されており、令和6年度の正確な譲与額については、第1回目の譲与時期である9月頃に確定されることになります。
現時点では、県による試算額しか把握できておりませんが、令和6年度の本市への譲与額は約4億550万円になる見込みであると聞き及んでおります。
(森林局長 榎本安幸君 降壇)
○議長(尾花 功君) 宮井 章君。
(8番 宮井 章君 登壇)
○8番(宮井 章君) 御答弁ありがとうございました。
それでは、次の(4)新たな取組の提案と今後の展望についてということでございます。
まずは、アの林業事業体からの新たな取組の提案についてということで、森林環境譲与税及び森林環境税については、市町村の判断により幅広い事業に活用できるとなっております。その一方で、各自治体におきましては、新たな使い道、使途についての模索が続いていることから、林野庁と総務省は令和5年6月、これは毎年6月に出るのですけれども、これまでの各市町村が森林環境譲与税を活用して実施してきた取組事例を踏まえて、森林環境譲与税を活用しての実施可能な市町村の取組例として、通称ポジティブリストと言われていますけれども、これを作成し、公表されております。同リストでは森林整備、そして人材育成、木材利用、そして普及啓発活動の分野別に具体的な取組事例を紹介するとともに、全国の新たな活用例を紹介しながら森林環境税の積極的な活用を推進しているところでございます。
先ほどからありますように、森林環境譲与税の配分金額については、今後ますます森林の人工林率や林業従事者の数が積算基礎として重視されていくと予想されます。その配分額が全国的にも上位である田辺市は非常に注目されており、特にその中でも森林面積の多い自治体としてリーダーシップが必要であり、また求められていると思います。
これらのことから、活用方法については、より先駆的に、より柔軟に捉え、積極的に意見を聴取し、要望・提案を求めていかなくてはならないのではないかと思い、そのようなことから、今回の
一般質問に当たり、田辺市内の幾つかの林業事業体からいろいろとお話を伺ってまいりました。特に、伺う中で条件や制限を設けずに拝聴しましたので、森林環境税使用の事業として適用可能かは別としまして、まず検討材料の一端としてここで御紹介させていただきたいと思います。
まずは、田辺市の管理する林道の維持管理の充実ということでございました。これは特に、側溝や横断溝など排水処理と流末処理の管理について、定期的に点検整備することにより路体の長寿命化が図れる。特にこれからの台風シーズンへの備えとして必要であるのではないかという御意見です。これは、ほかの事業でも使える補助金でもできることなのでまた御検討お願いします。
そして次に、谷部や河川及び周辺の林地残材及び不用木の整理除去ということですが、山土場や谷部にある林地残材の除去及び劣勢木の伐採管理について、下流への影響だとか二次災害防止と生物多様性の観点から、環境保護関連の事業として必要性を感じたところです。
次に、J-クレジットの山林調査費用への助成、スマート林業への助成ということで、これからの山の新たな価値の創造とスマート林業に関連する機材、測量機代ですとか林業支援のソフトであったりとかシステムであったりとか、そういうものの導入に助成することにより、若者の林業参入への支援と現在の人材不足の解消につながるのではないかと思います。
次に、獣害防止ネットの点検と造林地の現況把握ということでございますけれども、獣害防止ネットが山林に張られるようになってから、私の記憶では約30年ぐらいになると思うのですが、補修点検を含めた効果の検証が必要であると思います。その場合、植栽地の生育不良があった場合などはネットの補修であるとか、ほかの防獣対策を施すとか、あと補植事業あるいは樹種転換が必要であると考えております。
そして次に、天然記念物や学校敷地内、観光地等の樹木診断についてです。これについては樹木の長寿命化、そして観光地の魅力の保全、そして観光客の安全確保、そして学生に対する緑育の事業として必要であると思います。
そして次に、学生インターンの受入れ事業についてですが、これは林業を通じて、関係人口の創出や将来の担い手候補の育成として有効であると思われます。
そして、緑育について、緑育の幅を広げる事業ということですが、例として、昨年に中学校と連携して行ったイベントがあるのですけれども、中学生の1年生でどんぐりを拾って、それを学生が2年間育てて中学校3年生で記念植樹を行うといった事業だったらしいです。この緑育事業をモデル化することにより、人工林の増産と将来の担い手育成について寄与できるのではないかといった内容でございました。
次に、林業従事者の雇用促進と人材育成と雇用の創出についてなのですけれども、これについては、どの事業体からも強い要望があったところでございます。内容としましては、林業従事者雇用の機会づくりをしてほしい、そして多様な担い手募集に関する広報手段の利用についての検討、林業関係者が連携できるプラットフォームづくりなどが上げられておりました。以前、平成15年当時ですか、和歌山県が行っておりました緑の雇用事業がありましたが、ここで担い手対策として、大規模な面接を開催したわけでございますが、そのときには私も携わったわけですけれども、約250人余りの志願者が訪れたことを記憶しております。再度このような採用活動を田辺市で再現してはどうかということでございます。
さらに、外国人労働者の採用に向けた研究と労働環境の改善。これは、外国人といえば今般出入国管理法が改正されまして、育成就労制度が設けられる中、初めて林業が新たな職種として加わったことに注目しております。この辺りの問題についてはまた機を見ながら、林業の担い手対策ということで取り上げていきたいと考えているところでございます。
また次に、緑の雇用住宅の老朽化についてということで、平成15年から平成16年には旧市町村に多くの緑の雇用住宅が建設されております。細かい数字は割愛させていただきますけれども、龍神、本宮、中辺路、そしていろいろなところで、大塔村もそうです。合わせて約24軒の緑の雇用住宅があるのですけれども、特に本宮町のほうでは老朽化が進んでいるということが叫ばれておりました。これについては、山林現場作業員の住環境の保全という観点から点検と補修が必要ではないかと思いました。
作業歩道の補修と新設事業ということで意見もございました。山の現場への通勤路である歩道を整備、作設することは、林業従事者、特に新規採用者の安全確保の面から労働災害防止とともに緊急時の救急対応に必要であると思います。加えて、通年雇用に向けた労務の確保にもなります。そして森林整備や森林パトロールの効率化が見込めるのではないかと思います。
緑の雇用の例を申しますと、都会の方がIターンで林業に従事するときに面接で一番多く聞かれるのが通勤路、山に行くまで、現場まで道はあるのですか、歩いていく通勤路はありますか、そしてトイレと食堂はありますか、この2点が一番多いのです。こういった面から行きますと、ふだん、私は山に行くときに山道をただ歩いていくのですけれども、歩道というのは安全面、労災面からしても非常に重要であると思います。
次に、企業の森の保育に対する助成ということで、現在の造林事業で対応できない部分についてフォローアップされたい。それにより企業の森の体験メニューの確保につながります。また、企業に属する県・市町と連携し、森林環境譲与税の効率的なやり取り、双方向の運用ができないかなどが上げられています。
次に、花粉の少ない森林への転換促進支援について。これについては、田辺市では、日本森林技術協会の花粉対策事務局が支援する花粉の少ない森林への転換促進事業に申請したいが、採択条件である県が設定する杉人工林伐採重点区域に本市が該当していないことから、同等の事業支援ができないか考えられたいということでございました。
最後に、普通林における予防治山。これも結構皆様から要望が多いのですけれども、今まで予防治山事業は保安林のみ対象としていたことから、普通林の崩壊地や荒廃地は拡大の一途をたどっております。そこで、小崩壊地の土留工、張芝工、植栽工などを施行し、土砂の流出や持続可能な森林環境の保全に努めたいということです。以前は、対象地の把握や資材運搬が困難だったため計画するに至らなかったのですが、現在はドローン技術が発達しており、現地の状況把握や計画、そして資材運搬から施工まで可能であると思われます。
いろいろと申し上げましたが、これらの提案や要望については即時回答はなかなか難しいと思います。今後の検討材料として受け止めていただきながら、今後の各事業体からの意見の吸い上げについて、当局の考えをお聞かせ願います。よろしくお願いします。
(8番 宮井 章君 降壇)
○議長(尾花 功君) 森林局長。
(森林局長 榎本安幸君 登壇)
○森林局長(榎本安幸君) 議員の御質問にお答えいたします。
林業の基盤施設となる林道の維持管理をはじめ、林業従事者の育成確保、災害への対応、教育分野、企業の森など、多岐にわたる御意見や御要望をいただきました。
御意見や御要望の詳細な内容等が把握できておりませんので、個別の見解などは差し控えさせていただきますが、森林整備の中心的な担い手である林業事業体は、本市の森林整備の促進には欠かせない存在でありますので、いただきました御提案をはじめ、必要な支援策につきましては、県をはじめ林業事業体等
関係機関と連携を図り、議論を重ね、御意見をいただきながら検討してまいりたいと考えております。
(森林局長 榎本安幸君 降壇)
○議長(尾花 功君) 宮井 章君。
(8番 宮井 章君 登壇)
○8番(宮井 章君) 御答弁ありがとうございました。
答弁が抽象的になった点につきましては、こちらの情報収集や事業体からのフィードバックの把握に課題がありまして、この点については詳細な説明と組立てが必要であったと認識しているところでございますが、これをきっかけとしまして具体的な実行策や林業事業体とのコミュニケーションの強化に向けた取組は、市民からの信頼を得るとともに、実際の森林管理と林業支援の改善につながると考えておりますので、今後も林業事業体との意見交換、吸い上げについて、どうかよろしくお願いいたしたいと思います。
続きまして、イ、今後の利用計画や展望についてということでございます。
あくまでも個人的な考えになりますが、基本的に今後の展開を考えたときに、森林環境税の配分率を高めていくことが有利であると考えております。その場合、積算基礎に作用する因子として、まず一つ目として、林業従事者の雇用推進ですが、これについては人材養成プログラム、フィールドの提供、そして年間を通じた作業メニューの構築、そして環境教育、森林学習、そしてスマート林業の推進などが必要であると思っています。
そして、続いて二つ目は、人工林面積の拡大でございますけれども、植栽と保育への上乗せ補助を含めた支援策、そして企業の森事業をはじめとする都市部の企業との連携、そしてまた苗木増産や獣害や枯死による未立木地への補植事業が有効であると思います。
そして最後の三つ目は、田辺市の人口増加に当たるのですけれども、これは市民が住みやすい環境づくりと読み替えまして、そういう観点からでは、山間部の防災・減災対策、そして民家の周辺森林を対象とした住環境の整備、そして、紀州材使用時の支援の拡充など、住宅の木質化への支援などが必要ではないかと考えます。
以上の中で、特に一つ目の林業従事者数と二つ目の人工林面積については、今後も加配率が上がると予測されますので、維持向上に努める必要があると思います。もちろん、田辺市森づくり構想に掲げられている理念を基本とした活動となってくると思いますが、このことを含めて、田辺市としての今後の利用計画や展望についての見解をお聞かせ願います。よろしくお願いします。
(8番 宮井 章君 降壇)
○議長(尾花 功君) 市長、真砂充敏君。
(市長 真砂充敏君 登壇)
○市長(真砂充敏君) 議員の御質問にお答えします。
議員御指摘のとおり、私有林面積の割合による森林環境譲与税の配分が大きい本市としましては、その広大な森林の整備の促進が重要であると認識しており、これまでも植栽への継続支援をはじめ、森林経営管理制度に基づく森林整備事業を拡大するとともに、そのために必要な林業従事者の育成・確保対策に取り組んでまいりました。
繰り返しになりますが、この5年間の成果として、手入れの行き届いていない454ヘクタールの森林の間伐を行うとともに、そうした森林整備を通して6名の新規林業従事者の雇用にもつながっております。
また、本市におきましても、森林経営管理制度をより一層推進するため、令和5年度に林業専門員1名を新たに雇用したところです。
本市が有する広大な面積の森林が、地球温暖化防止や山地災害防止等の公益的機能を十分に発揮するよう努めることは、山村地域を代表する自治体として重要な責務であると認識しており、今後におきましても、恒常的な財源である森林環境譲与税を有効に活用しながら、本市の重要な基幹産業である林業の振興はもとより、出口戦略としての建築物等の木造・木質化による木材利用の推進、将来を担う世代への森林環境教育活動や都市と山村の交流等を総合的に展開してまいりたいと考えております。
田辺市森づくり構想の基本理念である「恵みへの感謝と、守り・はぐくむ誇りを胸に、森林の力を未来へつなぐ」ことにより、森林と人との共生が紡ぐ丁寧な暮らしの息づく山村風景の実現に引き続き取り組んでまいりたいと考えていますので、御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
(市長 真砂充敏君 降壇)
○議長(尾花 功君) 宮井 章君。
(8番 宮井 章君 登壇)
○8番(宮井 章君) 御答弁ありがとうございました。
私見としましては、森林環境税は恒久的な税収であるため、持続可能な活用メニューの発案と長期的な戦略の構築が望まれております。そして、納税者であります市民への恩恵はもちろん重要でありますが、その一方で、森林所有者、そして森林組合等の事業体、そして山林労務者にとってもある意味バランスの取れた施策でないと、持続的かつ発展的な活用には結びつかず、加速化しづらいと考えております。
林業政策は長期にわたる取組でありまして、時代や環境の変化に伴いその答えや方向性も変わることがままあります。山は動かずして木々の成長や営みも昔から何ら変わっていませんが、林野行政側の都合や制度によって状況が変わることが少なくありません。このため、時々に応じた運用が大変重要になってくると思います。
また、先ほどからもありましたように、田辺市への森林環境譲与税の配分額がおおよそ4億円ということでございます。全国で3位となることで、その高い人工林率も相まってクローズアップされる中、本市の果たすべき使命は非常に大きいものと感じております。言い方を変えれば、提示された森林環境譲与税の配分額は、まさに本市の豊富な森林資源と充実した労務体系を評価するものだと思います。このことから、世界遺産登録の地である田辺市が持続可能な未来を築くリーダーとして、20周年を迎えるこの機会を通じて、田辺市林業施策の取組をさらに発展させながら全国に発信していく必要があると感じております。
どうか今後も引き続き田辺市の森づくり構想を基に、各林業事業体と足並みをそろえながら、連携・協力して柔軟な運用に取り組んでいただくことをここにお願いしまして、今回の
一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
(8番 宮井 章君 降壇)
○議長(尾花 功君) 以上で、8番、宮井 章君の
一般質問は終了いたしました。
お諮りいたします。
本日の会議はこの辺にとどめ延会し、明日7月2日午前10時から再開いたします。
これに異議ありませんか。
(「異議なし」の声あり)
○議長(尾花 功君) 異議なしと認めます。
よって、さよう決しました。
延 会
○議長(尾花 功君) それでは、本日はこれをもって延会いたします。
お疲れさまでした。
(午後 2時42分)
地方自治法第123条第2項の規定により署名する。
令和6年7月1日
議 長 尾 花 功
副議長 橘 智 史
議 員 浅 山 誠 一
議 員 宮 井 章
議 員 福 榮 浩 義...