出火場所につきましては,1階
胚芽室南側に設置された焙煎機の
フィルタータンク内から出火したものと断定しております。
出火原因につきましては,現在
フィルタータンク内部の構造も含め,
総務省消防庁消防大
学校消防研究センターと詳細な調査を進めているところです。
1ページにお戻りください。
時間経過ですが,同日10時17分に119番通報により覚知し,23時16分に鎮圧,翌6月2日2時21分に鎮火しております。
続きまして,2
現場活動の概要及び
消防職員の
殉職状況ですが,7ページの
活動イメージ図をお開きください。
まず,一番上の図ですが,同日10時30分ごろ,
小隊長と
隊員Aは
倉庫西面入り口から
屋内進入しました。そのときはまだ煙の噴出がなく,
天井部分にうっすらと煙が漂う程度で,
東側間仕切り壁まで見渡せる状況だったので,倉庫内に
ホースを延長し,10時31分ごろ,第1線目の放水を開始しています。殉職した職員は,
ホース,筒先及び
破壊器具である
エンジンカッターを携行し,10時33分ごろ先行して倉庫内に進入していた
小隊長及び
隊員Aと合流し,2線目の放水を開始しています。
8ページをお開きください。
上の図ですが,
消火活動中の10時34分ごろ,倉庫内に濃煙が急激に増加し,その直後に
天井部から火煙が激しく噴出したため,
小隊長から
退避命令がかかったものの,10時35分ごろ脱出できなくなったものであります。
1ページ,2
現場活動の概要及び
消防職員の
殉職状況にお戻りください。
その後,直ちに全
消防隊により
金属ラックを
トンネル状に並べ,倉庫内の
落下物からの
保護用に活用したり,火勢の制圧及び濃
煙熱気の排除のために重機を活用して
開口部を設けるなど,消火・
救助活動を実施しました。その後,19時48分,倉庫1階
西入り口から約22メートル,
東側間仕切り壁から1メートルの位置で発見されました。
3
事故対応状況ですが,平成21年6月1日月曜日11時30分,
消防局長を
本部長とした
株式会社三輪
北工場火災事故対策本部を設置し,
消防局一丸となって
事故対応に当たりました。その後,
事故対策本部では
緊急対策として,大
規模空間を有する
倉庫等の火災時における
事故防止と
安全管理の
緊急対策についてを職員に通知し,各
消防署管内の
類似施設の調査及び
緊急査察を行うとともに,
消防戦術等について定め,
火災現場における
事故防止と
安全管理の
徹底等,
緊急対策を行いました。
また,
事故対策本部では,
火災事故の原因を究明するために,有識者,市民及び
消防職員を構成員とした
株式会社三輪
北工場火災事故調査委員会を設置し,建物の構造及び
延焼拡大状況並びに
現場活動の
見地等から検証し,今後の
災害現場活動・
安全管理等の対策に資することとしました。
2ページをお開きください。
さらに,職員に対するメンタルヘルスサポートを実施するとともに,
事故再発防止に向けて
職員アンケート調査や,
事故対策本部長である私が全
所属職員と
意見交換を6日間,13回にわたり各
消防署等で巡回実施し,職員とじかに
意思疎通を図りました。
続きまして,4
延焼拡大要因についてご説明させていただきます。
2ページの下の図,
サンドイッチパネル施工状況の
平面図と
断面図をごらんください。赤線で示しております部分,1階全体と上階一部の天井,内壁,
間仕切り壁が
サンドイッチパネルで施工されていることがわかりました。
サンドイッチパネルとは,ポリスチレンフォームや
硬質ウレタンフォームなどを
金属製薄板で挟み込んだ
建築材料で,主に
断熱材料として使用されています。現場の
サンドイッチパネルは0.4ミリメートルの鋼板と
鋼板の間に
硬質ウレタンフォームを挟み込み,
パネル厚は44ミリメートルとなっていました。
硬質ウレタンフォームは熱に対して比較的低温で分解して
ガス化すること,
分解ガスの
発火温度が低く,
ガス化と同時に発火することから,火災時には爆発的に燃焼する
危険性が高いものです。この火災は
サンドイッチパネル内の
硬質ウレタンフォームを介して延焼を拡大していったものでありますが,その詳細につきましては3ページをごらんください。
延焼拡大イメージ図を示しておりますが,図1は
出火箇所直上の
つり天井材である
サンドイッチパネル内の
硬質ウレタンフォームに着火した状況です。図2は,この
天井材パネルから順次隣接する
パネルへ燃え移りながら建物全体に
延焼拡大していった状況です。図3は,
殉職職員が活動していた倉庫・
製品置き場内で一気に燃焼が拡大していった状況です。
今後,
総務省消防庁消防大
学校消防研究センターと連携しながらさらに実験を重ね,
延焼拡大の
メカニズムの解明に努めていく所存です。
次に,5
事故調査委員会報告書・提言の内容でございますが,
事故調査委員会では,
消防部隊の
活動状況や火災の
延焼拡大メカニズムを中心に,事実調査,
材料分析,
火災実験等を行った上で慎重に審議を重ねていただきました。そこで,
再発防止の視点に立って,その課題を解決するための施策の
方向性について,次の提言をいただきました。その主なものについてご説明申し上げます。
最初に,
災害現場で
余裕能力を保って活動できる
体制整備に関する施策ですが,まず(1)
危機リスクを意識した
消防戦術への転換ということで,早期に
災害実態を掌握し,
現場最高指揮者の統括的な指揮のもと,各隊が連携し,予測し得ない事態の急変に即座に対応することができるように,
組織活動による
余裕能力を保持した戦術に転換する。
(2)
安全管理体制の強化として,1)
指揮隊の整備ですが,
はしご隊と兼務している東灘・
垂水消防署は,早急に
指揮隊の
専任化を推進する。
4ページをお開きください。
また,3)として,
中隊長は
建物火災で最大15個の小隊を指揮しており,すべての局面や部隊の活動に対する
指揮活動は困難な状況であることから,
活動種別ごとに
指揮者を配置するなどといった
中隊指揮のあり方の検討や,4)
屋内進入時の
ホース延長体形は,筒先1口に対して2名以上配置するとともに,
小隊長は
小隊活動を的確に把握できる環境に立って安全を保持する必要があることから,
放水活動に必要な人員については,小隊の
放水体形や小隊間の連携の戦術,
新規車両の導入なども含めて総合的に検討する。
(3)
危機事象への
対応力の向上として,1)ですが,緊急時における事故の
発生状況を的確に把握し,部隊の把握と
情報共有を図る方策の検討や,2)
危機事象が発生した場合の
部隊投入の
基準化など,
支援体制の確立,3)
危機事象が発生したときの対応を意識した
緊急脱出・
退避訓練等を実施する。
(4)研修・訓練の充実・強化として,1)
社会情勢の変化や
特殊環境下を想定した訓練,また
危機事象に対する訓練をより実践的に行うことが可能な
訓練施設の整備の検討とともに,2)経験豊富なOB,
ベテラン職員による
災害知識・経験を伝承する教育を行う。
5ページをごらんください。
(5)装備・
資機材の充実として,1)
消防装備・
資機材の導入や更新・
改良等を図っていくとともに,
個人装備品の
基本的性能を熟知し,過信しない前提での
活動等を意識づけるほか,2)平成24年度
運用予定の消防新
管制システムで,
現場出動途上の
消防隊に
防御計画など情報を送信できるような
支援システムの構築,4)
重機等の
調達体制の整備などを検討する。
(6)
安全管理研究委員会等の設置ですが,
安全管理について,
職員自身が
資料収集・研究などを行い,決定権を持つ部署に対して意見を付与することができる制度をつくる。
(7)特殊な火災・災害など,他都市,海外での事例の
調査研究ですが,他都市や海外で発生したさまざまな
特殊火災などを常に調査・研究する体制を整備する。
続きまして,
防火対象物における防火上または
消防活動上の
危険要因の把握・排除に関する施策ですが,(8)
自主防火管理体制の推進では,1)
関係事業者や団体に対して
類似火災の予防及び危険の排除に取り組むよう働きかける,また,2)
自主防火管理体制の強化として,
火災発生時,消火困難な施設は
法的義務の有無にかかわらず,
防火管理者の資格を取得し,
防火管理業務を実施する体制を確保するなど,
事業者を指導する。
(9)
建築物の
消防活動上の
危険排除ですが,1)大
規模密閉空間を有する
建築物の
消防用設備等の設置について,国や
関係機関と連携して研究していく。
(10)
建築物の
消防活動上の
危険把握では,1)
表示マークの
条例化等への検討として,従来から
冷凍倉庫等に対して
内装表示マークの掲出を行政指導しておりますが,
可燃性の
断熱材は多様な用途の建物で使用されていることから,
掲示対象を拡大するとともに,神戸市
火災予防条例により規制を行うなど,確実に表示される方策を検討する。
6ページをお開きください。
また,3)現場での
情報収集の方策として,大
規模密閉空間を有する
倉庫等の火災時,建物に進入する前に,
消防隊が
消防活動上必要な情報が得られるような方策を検討する。
(11)
建築物の防火・避難上の
安全確保の配慮として,
国土交通省等関係機関に対し,
可燃性の
断熱材の大空間での
使用制約や,人の
安全避難の観点で必要な対策の検討を講じるよう求める。
(12)全国的な情報の発信ですが,
全国消防本部や
関係業界・
事業所,
防災福祉コミュニティ等に向けて,今回の火災における教訓を情報発信していく。
以上,12項目についてこのたび提言をいただきました。神戸市では6年前にも
伊川谷火災事故で4名の
殉職者を出しており,6年で2回もの
殉職事故が起きたことは,
神戸消防にとって極めて重く深刻であると考えています。今後絶対に
殉職事故を起こさないためには,
事故調査委員会の提言や
職員アンケート,職員との
意見交換で明らかになった課題を早急に解決しなければなりません。現在既にできるものから順次着手しておりますが,今後さらに
職員一丸となって
課題解決に向け邁進していく所存ですので,何とぞご支援をいただきますようお願いいたします。
以上で「
株式会社三輪
北工場火災」
事故調査委員会の答申結果についての報告を終わらせていただきます。
5
◯委員長(大井としひろ) 当局の報告は終わりました。
これより質疑を行います。
それでは,
報告事項,「
株式会社三輪
北工場火災」
事故調査委員会の答申結果についてご質疑はございませんか。
6
◯委員(
池田りんたろう) ちょっと教えていただきたいんですが,2ページで
延焼拡大要因について,この
サンドイッチパネルのことについて触れられておるわけですが,さらに5ページ最下段の
建築物の
消防活動の
危険把握ということで,1)で
条例化等への検討というものがされているんですけども,この
サンドイッチパネルというのが
建築基準法上,認められている,こういうことになりますと,この5項で示している
可燃性の
断熱材云々とあって,
掲示対象を拡大して
条例化するというふうにうたわれておるんですけど,これで規制ができるというふうになっているんだろうと思うんですけども,法令と条例の関係で言うと,法律で認められておるものを条例で規制するということは非常に難しいというふうに思ったりするんですが,この辺の見解はどうなのかということと,幾つかの提起があるわけですが,お金を使えば,資金投入すればできるというものもありますけども,人員問題ももちろん資金で財源を手当てすれば人材を確保することはできるんですが,
人材面においてさまざま提起されておりますが,
現行体制で果たしてこれらができるものなのか,人材をどれぐらい手当てしないとできないのか,来年度予算に絡んでくると思うんですけども,そういったところについての検討というのはどのあたりまで進んでおられるのか,ちょっとお聞かせ願いたいというふうに思います。
以上です。
7
◯小野田消防局長 初めのご質問ですけども,この
サンドイッチパネルは現行の
建築基準法では使用できるといった状況になっております。ただし,今回我々が
条例化していこうという検討を今していることは,その表示を──つまりこの建物には
サンドイッチパネルが使われていますよと,そういう
表示マークをその建物の玄関なり,あるいは周辺に配置して,
消防隊が火災時に,あ,この建物は
サンドイッチパネルが使用されてるから
進入規制だとか
進入統制とか,そういう十分な慎重な活動が必要になると,そういうことを
消防隊に知らせると,そういった
表示マークの
条例化というのを考えております。そういう意味で,
建築基準法で可能であることと今回の
条例化というのは両立すると,そういうふうな考え方でございます。
それと,
2つ目のご質問ですが,今回我々は二度とこういった
殉職事故を起こしてはならないと強い気持ちで臨んでいるわけですが,その方法を総合的に考えていきたいと。まず
1つ目は,先生がおっしゃるように,
人員増。これも
人員増を図っていく工夫としまして,例えば今,
指揮隊がまだ整備されてない,そういった状況の解消だとか,あるいは
兼務運用というのを現在やってる部隊があります。そういうものをやはり解消していくことで
余裕能力を持った部隊ができると。あるいは,4人乗り組みですから,それを5人乗り組みにすると,そういった方法も考えられます。また,部隊を
ポンプ小隊を増隊すると,そういった方法も考えられます。こういうことは多数の
人員増が要るわけですから,
優先順位を考えて,それからそういう今の神戸市の
財政状況等をかんがみて最大限努力していきたいと,そんなふうに思っています。
それともう一方,この
人員増だけが問題の
解決策ということではなくて,並行して考えていきたいのは,1つは今ご指摘あったような人材の育成,つまり訓練のやり方,あるいは戦術,今回こういった建物に関しましては,
進入規制を図り,あるいは
屋内進入する場合は必ず2人で1線を確保すると,そういった戦術の転換,こういったことも方法だというふうに考えています。さらには,
出動部隊をふやすと,つまりこういった燃えてる建物に対して,消防車を初めからたくさん出すと,これも運用上できる話です。あるいは,今後考えていきたいのは,例えば
キャフスつきの
小型ポンプ車というのは,従来の水の放水にかえまして泡,こういったものを使うことで従来の水の10分の1で消火できると,そういった車も今年度1台試行的に運用するということで取り組んでます。あるいは,今回
消防庁から配備していただく予定の
大型ブロアー車と,これはこういった大空間の排煙と
消火活動を容易にすると,そういったさまざまな取り組みがこの今回
殉職事故を絶対に起こさないという中で考えられますので,総合的に考えていきたいというふうに思ってます。
以上です。
8
◯委員(
池田りんたろう) 6年前の事件と今回の本当に悲惨な事件があったわけですが,
消防当局の
皆さんにおかれましては,十分な検証をされて,これからあるべき姿を追求されると思いますけども,阪神・
淡路大震災以来,
消防体制というか,市民の安全・安心を守っていく,もちろんそこで働く職員の安全を守っていくということで,これまでいろんな検証・評価もされてきたと思うんですけども,今回特にまたこういう事象も起きたんですから,財源のことは今の状況の中で考えていかなあかんということはあろうかと思いますけども,やはり,しかし市民の安全・生命を守っていくという,そこに携わる職員の安全というものもやっぱり大切なことですから,そのことを最優先的に考えてひとつ検証を加えていただきたい。財源的なのは僕はまた後からついてくると,こういうふうに思ったり考えておりますので,ぜひそういった面でさらなる検証を加えて,今後の活動に生かしていただければということをお願いをしておきたいというふうに思います。どうもありがとうございました。
9
◯委員長(大井としひろ) ほかにご質疑はございませんか。
10
◯委員(
高山晃一) 消防新
管制システムを構築していくということを検討されるということですけれども,そもそも屋内に進入する前に,進入される隊員の方とかはどの程度の情報を入手した上で入っているのかというところがちょっとわからないので教えていただきたいんです。例えばここに
平面図とか載ってますけれども,こういう
データというのは神戸市の中のどこかには前もってあるはずだと思うんですけど,そういう情報は持った上で隊員の方は
屋内進入を現状されているのかというようなところですね。例えば壁面については,表示をこれから
条例化でしたらというような検討もされてますけども,そういった情報は,内装については現場に行って見ないとわからない情報だというふうに今把握してますけれども,そういったことも例えばこういう新
管制システムとかが構築される中で,前もって把握しておくことも将来可能だとは思うんですね。ですので,現状とこれからこういうふうな情報が前もって入手できるようにしたいと考えてるというふうなところをお聞かせいただければと思います。
11
◯小野田消防局長 現状は,今先生がご指摘のところもありまして,現状を申し上げますと,まず
防御計画書というのが──
消防隊が各事前に
対象物を調査し,それを
事前計画として有していると。ただ,これが全
神戸市内の
対象物すべてにあるかといったら,やはりその限界もありまして,主要な部分といったことに対して作成していると。しかし,今回考えてますのは,現場に行って初めて知ると,そういうことではなくて,1つは
FDカードと言いまして,ファイアディフェンスカード,それは1つ検討していきたいと思ってるんですが,
事業者の
対象物の
皆さんにその建物の
危険性,あるいはそういった
サンドイッチパネル等が使われてる状況,そういったものを
事業所の
皆さんの責任において作成していただいて,それを
消防隊が現場に行ったときに受け取る,あるいはそういった情報をこの新
管制システムの中で事前に把握をしておれば,それを入力して,
出動途上にその隊員に知らせる,そういったやはり今ご指摘あったように,途上,つまり119番が入って
消防隊が出動するときに,その現場に着くまでにその情報をいかに把握するかというのは極めてこれ大事なことです。もう現実に今現在でも119番通報のときに,
管制室の職員はそういうことを聞き取ります。どういう
危険性があるのか,あるいはどういうふうに
収容物等があるのか,しかしそれも聞き取りですから限界がありますので,それをさらに確実にするためにはそういうことも考えていきたいと。
それともう1点,今回
消防体制の再構築の中で,
消防隊が今査察をする,そういうふうな体制をとっています。今後さらにそういうことを現場に足を運ぶことで,
消防隊が実際に
データだけでなく,目に見てそれを体で記憶しておくと,やはりそういったことも非常に大事なことだというふうに考えてますので,24年度
運用開始ですから,ちょうどそういう時期にこういう対応は可能ですから,そういうのも検討していきたい。あるいは車の中でそういう情報が見れないかどうか,
紙ベースじゃなくて,そういういわゆる映像的にも,あるいは視覚的にもそういうのができないか,そういうのも含めて
消防隊が現場で円滑に活動できるように考えていきたいというふうに思っています。
以上です。
12
◯委員(
高山晃一) ありがとうございます。ちょっと数点わからないので教えていただきたいですけども,
防御計画書という中に建物の
平面図等が記載されてて,
進入路がどこにあるとかということがわかるようになっているということですね。今回の三輪事故の場合は,そういうものがもう事前にあったのですか,なかったのか,その辺確認だけしたいと思います。
13 ◯村上
消防局警防部長
防御計画書は,百貨店であるとか,病院であるとか,そういう不特定または多数の方の入る建物について
防御計画書をつくってきておりまして,工場あるいは倉庫といったところについては,つくっていないというのが現状でございます。ですから,このような事件を受けまして,今後そういう大規模な空間を有する倉庫,工場につきましても
防御計画をつくって,それを新
管制システムの方に導入して,
消防隊の方に初期から情報を送っていくと,そういうことで現場に到着する前に作戦が立てられますし,事前の指示ができる,そういうようなシステムをつくっていきたいと,そういうふうに考えております。三輪につきましては,ございませんでした。
14
◯委員(
高山晃一) 三輪の今回の場合は,現場に到着して,そこの従業員の方とかの話を聞いて,大体内部構造がこうなってますというようなことを聞いて,そして進入をされたということでよろしいんでしょうか。
15
◯小野田消防局長 今回の火災が極めて特殊な火災だったということは,通常こういったウレタンの
危険性というのは,もう昭和50年代から冷凍冷蔵庫等,そういった
断熱材に多数使われていると,これは
消防局も当然把握してますし,そういう
表示マークは要綱で指導して,
消防隊も熟知していると。ただ,今回図面でありましたように,建物の中に新たに空間をつくる,つまり
パネルで天井をつくったり,壁をつくったり,そういった対応──これはクリーンルームをつくったり,あるいはアスベストを封じ込める,そういったことで聞いておりますが,そういった構造というのはやはりこれはなかなかふだん掌握が難しいという状況にありました。そういう意味で,
事業者の方もそういうことについては知識がなくて,あるいは
消防隊もそれをわからずに,しかし我々の反省点としまして,いろいろ調べてみますと,やはりそういう類似の火災というのは全国,世界でも起きてると。やはり今後大事なことは,そういった特殊な災害について事前に十分に研究して掌握していくと,そういうことが大事だというふうに考えてますので,今後もその辺に力を入れていきたいというふうに思っています。
以上です。
16
◯委員長(大井としひろ) 次に,この際,
消防局の所管事項についてご質疑はございませんか。
(「なし」の声あり)
17
◯委員長(大井としひろ) 他にご質疑がなければ,
消防局関係の審査はこの程度にとどめたいと存じます。
当局どうもご苦労さまでございました。(「起立,礼。」の声あり)
なお,委員各位におかれては,都市計画総局が入室するまで,この場においてしばらくお待ち願います。
(都市計画総局)
18
◯委員長(大井としひろ) これより都市計画総局関係の審査を行います。
それでは,議案1件及び報告1件について,一括して当局の説明及び報告を求めます。
局長,着席されたままで結構です。
19 ◯伊藤都市計画総局長 都市計画総局でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは,第57号議案神戸市民の住環境等をまもりそだてる条例の一部を改正する条例の件につきまして説明申し上げます。
本件は,特別用途地区である大規模集客施設制限地区の都市計画決定及び地区計画の都市計画決定に伴い条例を改正するものでございます。
資料の1-1に議案を掲げておりますが,資料1-2に概要をまとめておりますので,そちらをごらんください。
まず,特別用途地区の建築制限の
条例化について説明申し上げます。
特別用途地区とは,地区の特性にふさわしい土地利用の増進,環境の保護等の特別の目的の実現を図るため,用途地域を補完して都市計画で定める地区でございます。
資料1ページ,右下の参考をごらんください。
特別用途地区による
建築物の建築制限の
条例化の根拠規定は,
建築基準法第49条であり,この条文において,その地区の指定の目的のためにする
建築物の建築の制限に関して必要な規定は,地方公共団体の条例で定める旨規定されております。条例で定めることにより,これらの制限は建築確認の審査対象となります。
資料1ページ,左側の(1)をごらんください。
現在神戸市では,特別用途地区として,大規模集客施設制限地区及び文教地区の2つが都市計画により定められております。文教地区については,既に条例に定められておりますが,大規模集客施設制限地区については,本年6月23日に(2)の地図で示す区域約1,078ヘクタールにおいて都市計画の決定がされたところでございます。今回このことを受け,大規模集客施設制限地区内での
建築物の建築制限を条例により定めるものでございます。
資料右側(3)の条例のあらましをごらんください。
大規模集客施設制限地区内の建築の制限については,条例第18条の3第1項に規定しております。この条文において,大規模集客施設制限地区内においては,特定大規模
建築物は建築してはならないとしております。特定大規模
建築物とは,具体的には劇場,映画館,店舗,飲食店,展示場,遊技場,その他これらに類する用途に供する
建築物で,その用途に供する部分の床面積の合計が1万平方メートルを超えるものをあらわしております。
また,第18条の3第2項におきまして,特定大規模
建築物の立地計画が都市基盤や周辺環境への影響を踏まえ支障がないものとして判断され,地区計画が定められた場合の制限緩和を規定しております。また,18条の2及び第18条の4において,既存不適格
建築物の一定範囲内での増改築等を行う場合の制限緩和を規定しております。
その他の規定として,第19条において,敷地が特別用途地区の内外にわたる場合の措置について,敷地の過半が特別用途地区に属すれば,制限規定を適用するものとしております。
また,第40条において,大規模集客施設制限地区の規定に違反した場合の50万円以下の罰金による罰則を
建築基準法に基づき規定しております。
以上,大規模集客施設制限地区における
建築物の建築制限の
条例化についてご説明申し上げました。
続きまして,地区計画の内容の
条例化につきましてご説明申し上げます。
資料1-2の2ページ目を開いていただき,右下の参考をごらんください。
地区計画の内容の
条例化の根拠規定は,
建築基準法第68条の2であり,この条文において,市町村は地区計画の区域内の
建築物等に関する事項で,地区計画の内容として定められたものを条例でこれらに関する制限として定めることができる旨規定されております。条例で定めることにより,これらの制限は建築確認の審査対象となります。今回は新たに下谷上南山地区において地区計画が都市計画決定されたことに伴い,当該地区計画の区域内において条例により
建築物に関する各種制限を定めるものです。
資料左側,2.下谷上南山地区地区計画の概要及び条例による制限をごらんください。
下谷上南山地区は,北区山田町下谷上字南山に位置し,土地区画整理事業による住宅団地の整備が進められている面積は約13.1ヘクタールの地区でございます。当地区は平成21年4月28日に地区計画が定められております。
条例による
建築物に関する制限の内容としましては,下の表をごらんください。敷地面積の最低限度及び壁面の位置の制限について,表の右欄に記載しております内容を定めるものでございます。
続きまして,資料右側をごらんください。
3.その他の地区計画の変更等に伴う条例の変更についてご説明申し上げます。
1点目は,(1)の表に記載しておりますように,既に
条例化されている東部新都心地区,妙法寺駅東地区,原野地区及びひよどり台南地区における地区計画の変更等を受け条例の変更を行うものでございます。それぞれの地区の変更の内容につきましては,表の右欄に記載しております。
2点目は,(2)の条例中の別表第2の形式の変更を行うものです。別表第2は,地区計画等の区域内における
建築物に関する制限につきまして規定したものです。この変更は,従来の縦書き形式の表から横書き形式の表に改めることにより表を見やすくするためのもので,制限内容の変更を伴うものではございません。
以上申し上げました変更事項の詳しい内容につきましては,資料1-1の議案及び新旧対照表にまとめておりますので,ご参照ください。
なお,本条例の施行に関しましては,大規模集客施設制限地区の建築の制限につきましては,公布の日から約1年半の周知期間を置いた後の平成23年4月1日から,それ以外につきましては,公布の日から施行する予定でございます。
以上,第57号議案神戸市民の住環境等をまもりそだてる条例の一部を改正する条例の件につきましてご説明申し上げました。
続きまして,平成20年度神戸市各会計予算繰越しの報告についてご説明を申し上げます。
お手元の資料2の1ページ及び2ページをお開きください。
なお,金額は万円単位でご説明いたします。
平成20年度一般会計予算繰越明許費繰越計算書でございます。
繰り越しいたしましたのは,中ほどの翌年度繰越額の合計欄にございますとおり,113億8,027万円でございます。
3ページ及び4ページをお開きください。
各事業の繰り越しの内容につきましてご説明申し上げます。
阪神三宮駅改良は土どめ工事等を,浜山地区整備は建物移転等を,組合等区画整理は学園南地区の整地工事等を,復興区画整理は新長田駅北地区の建物移転等を,再開発事業促進はハーバーランド地区の大型映像装置改修を,組合等再開発は旭通4丁目地区の埋蔵文化財調査を,街路築造は山手幹線等の街路築造工事等を,街路立体交差は阪神電鉄立体交差工事を,住環境整備は長田東部地区等の道路工事等をそれぞれ繰り越したものでございます。
次に,5ページ及び6ページをお開きください。
平成20年度市街地再開発事業費予算繰越明許費繰越計算書でございます。
繰り越しいたしましたのは,新長田駅南地区復興市街地再開発事業で,中ほどの翌年度繰越額欄にございますとおり,13億8,921万円でございます。繰り越しの内容でございますが,再開発ビル建築工事等を繰り越したものでございます。
次に,7ページ及び8ページをお開きください。
平成20年度市営住宅事業費予算繰越明許費繰越計算書でございます。
繰り越しいたしましたのは,中ほどの翌年度繰越額欄にございますとおり,20億5,988万円でございます。繰り越しの内容でございますが,市営住宅建設では公営住宅建設等を,市営住宅修繕では照明器具取りかえ等を,市営住宅計画修繕では外壁改修等を,市営住宅耐震改修では耐震改修をそれぞれ繰り越したものでございます。
次に,9ページ及び10ページをお開きください。
平成20年度一般会計予算事故繰越し繰越計算書でございます。
繰り越しいたしましたのは,街路築造事業で,10ページの左から
2つ目の翌年度繰越額欄にございますとおり,3億20万円でございます。繰り越しの内容でございますが,神戸三田線等の用地買収等を繰り越したものでございます。
これまで報告申し上げました事業につきましては,それぞれ早期完了に向けて全力を挙げて努力しているところでございます。
以上をもちまして,平成20年度神戸市各会計予算繰越しの報告について説明を終わらせていただきます。
以上,議案1件,報告1件,合計2件を一括して説明申し上げました。何とぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。
20
◯委員長(大井としひろ) 当局の説明及び報告は終わりました。
これより順次質疑を行います。
それではまず,第57号議案についてご質疑はございませんか。
(「なし」の声あり)
21
◯委員長(大井としひろ) 次に,
報告事項,平成20年度神戸市各会計予算繰越しの報告のうち,都市計画総局の関係分についてご質疑はございませんか。
22
◯委員(
池田りんたろう) 1点教えてください。3,4ページになりますけども,組合等再開発の中で,埋蔵文化財調査で繰り越しが1,100万円ほどあるんですが,時期的にはいつごろ終了する予定なんか,調査をいつごろ終える予定なのか,ちょっと教えていただきたい。
23 ◯伊藤都市計画総局長 埋蔵文化財調査そのものはもう既に終了してございます。(「終わってるの。」の声あり)
はい,予算としては,事業として今年度に入りましたんで繰り越しましたけど,現段階ではもう終了してございます。(「はい,わかりました。」の声あり)
24
◯委員長(大井としひろ) 他にございませんか。
(「なし」の声あり)
25
◯委員長(大井としひろ) 次に,この際,都市計画総局の所管事項についてご質疑はございませんか。
26
◯委員(
池田りんたろう) 1人ばっかりしゃべって申しわけございません。都市計画総局の前に
消防局の審査をさせていただいたんですが,東灘の三輪
北工場火災事故で
消防職員が1人亡くなったということで,その事故調査の検証報告がされたわけですが,その中で延焼の拡大要因ということで,
サンドイッチパネルのことが指摘されてるわけですね。その
サンドイッチパネルというのは,有毒ガスを低温で発生をするという非常に危険な材料のようなんですね。それは何か
建築基準法上ではその材料を使うことに問題がないというようなことのようなんですね,消防の話によると。したがって,そういうことであるんで,表示,そういう材料を使っているという表示を──材料の表示の
対象物を拡大をして,
条例化をして対応していこうというふうに──いこうというんか,そういう方策を検討しなさいというのがこの
事故調査委員会の答申の中にあるんですね。恐らく消防もそれに応じて対応されていくと思うんですけども,そういう危険な材料を,材質を認めているという
建築基準法の中で,それは仮に仕方ないとしても,この
事故調査委員会が報告されているように,そういうものをここは使ってますよという表示を指導する──神戸市の建築確認申請の段階でね,指導して,こういう危険なものを使っているよということが一目瞭然わかるような,何か事故があったときに,火災が起きたときに消防が行ってもすぐわかるような,そういう表示形式を都市計画総局としても指導すべきではないかというふうに思ったりするんですが,そのあたりについてはどうでしょうかね。
27 ◯伊藤都市計画総局長 今回の件につきましては,私どもも調査
委員会には参加をさせていただいて,先ほど事故報告の中にもあったかと思いますが,委員ご指摘のとおり,
可燃性断熱材を鋼材とした
サンドイッチパネルについては,材料としてはやはり広く使われてるものでございますが,使われ方の問題ですね。やはり大空間での使用に制約を設けるなど,火災拡大防止への配慮を求めるとともに,国土交通省,建築関係団体などに情報を提供し,必要な対策を求めるような,そういうような提言をいただいております。私どもとしましても,この答申を踏まえまして,都市計画サイドでは,要するに実際に設計に携わっておられる建築士の方と,我々で
建築物安全安心推進協議会──要するに建物の安全性を高めるための官民協働のそういう協議会を持っております。そこの場で,まずこういうことがあって,こういう問題がある材料なんですよということは情報発信をしていきたいということで,だから使用方法についてより研究をしていくと,まずそれが大事かなと思っております。それとあわせて,この答申内容についても,国土交通省,
関係機関にも報告をして,いわゆる人の
安全確保の観点で必要な対応を求めていきます。それとあわせて,今委員ご指摘の件につきましても,どんなやり方があるのか,どんなふうにできるのか,恐らく緊急時にぱっと理解できるようなものでなければならないと思います。今ちょっと申しわけありません。どんな方法が,具体的には思いつきませんが,前向きな研究していきたいというふうに思います。
以上でございます。
28
◯委員(
池田りんたろう) 研究していきたいというか,そういう建築関係の委員なんかも入って議論されてるわけですから,ひとつ人の命というのは本当にもうかえがたい,大切なことですから,ひとつ建築面の方からも,都市計画の方からもひとつ努力をお願いをしておきたいというふうに思います。よろしくお願いします。
29
◯委員長(大井としひろ) ほかにございませんか。
(「なし」の声あり)
30
◯委員長(大井としひろ) 他にご質疑がなければ,都市計画総局関係の審査はこの程度にとどめたいと存じます。
当局どうもご苦労さまでした。
なお,各委員におかれては,都市計画総局が退室するまでしばらくお待ち願います。
31
◯委員長(大井としひろ) それでは,これより意見決定を行います。
第57号議案神戸市民の住環境等をまもりそだてる条例の一部を改正する条例の件について,いかがいたしましょうか。
(「異議なし」の声あり)
32
◯委員長(大井としひろ) それでは,本件は原案を承認することに決定いたしました。
以上で意見決定は終了いたしました。
次に,本
委員会の行政調査についてお諮りいたします。
本年度も他都市の施策・事業等を調査するため,ただいまお手元にお配りいたしております資料のとおり,10月28日から30日までの3日間の行程で行政調査を実施したいと存じますが,ご異議ございませんか。
(「異議なし」の声あり)
33
◯委員長(大井としひろ) それでは,さよう決定いたしました。
なお,詳細が決まりましたらご連絡をさせていただきますので,ご了承願います。
34
◯委員長(大井としひろ) 本日ご協議いただく事項は以上であります。
本日の
委員会はこれをもって閉会いたします。
(午前10時58分閉会)
神戸市会事務局
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