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  1. 神戸市議会 2001-10-10
    開催日:2001-10-10 平成13年第3回定例市会(第3日) 本文


    取得元: 神戸市議会公式サイト
    最終取得日: 2023-04-24
    本文へ移動 ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1   (午前10時3分開議)  (吉田議長議長席に着く) ◯議長(吉田多喜男君) おはようございます。ただいまより本日の会議を開きます。  最初に,諸般の報告を申し上げます。  市長より,地方自治法第 243条の3第2項の規定に基づく「法人の経営状況を説明する書類」及び同条第3項の規定に基づく「土地の信託事務処理状況を説明する書類」が,また監査委員より監査報告第11号より監査報告第13号に至る3件の報告が,それぞれ提出されましたので,いずれもお手元に送付いたしておきましたから,ご了承願います。 2 ◯議長(吉田多喜男君) 以上,報告を終わります。  これより議事に入ります。  日程によりまして,日程第1 号外神戸市固定資産評価審査委員会委員選任の件を議題に供します。 3 ◯議長(吉田多喜男君) これより当局の説明を求めます。笹山市長。 4 ◯市長(笹山幸俊君) ただいまご上程になりました号外議案神戸固定資産評価審査委員会委員選任の件について,ご説明申し上げます。  このたび固定資産評価審査委員会委員福井昌一氏は,10月12日をもって任期満了となりますので,同氏を重ねて選任いたしたいと存じます。  同氏は,その人物・経歴・手腕等から見まして,固定資産評価審査委員会の委員として適任と認められますので,地方税法第 423条第3項の規定により,その選任について議会の同意を求める次第でございます。  何とぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。 5 ◯議長(吉田多喜男君) 当局の説明は終わりました。  本件に関し,発言の通告もありませんので,本件は委員会の付託を省略し,同意することに決しまして,ご異議ございませんか。  (「異議なし」の声あり) 6 ◯議長(吉田多喜男君) ご異議がないと認めます。  よって,本件は同意することに決定いたしました。 7 ◯議長(吉田多喜男君) 次に,日程第2 報告第2号を議題に供します。
    8 ◯議長(吉田多喜男君) 当局の報告を求めます。金芳行財政局長。 9 ◯行財政局長(金芳外城雄君) ただいまご上程になりました報告第2号平成12年度神戸市各会計予算繰越報告の件につきまして,ご説明申し上げます。  「神戸市各会計繰越報告書」の2ページをお開きください。  まず,一般会計予算繰越明許費では,心身障害福祉施設建設など35件で 725億 5,800万円を繰り越しております。  次に6ページ,農業集落排水事業費予算繰越明許費では,農業集落排水処理施設建設で2億 7,300万円を,  8ページ,海岸環境整備事業費予算繰越明許費では,垂水漁港改修で3億 5,600万円を,  10ページ,市街地再開発事業費予算繰越明許費では,六甲道駅南地区復興市街地再開発など4件で 205億 1,700万円を,  12ページ,市営住宅事業費予算繰越明許費では,市営住宅建設など2件で33億 4,700万円を,  14ページ,介護保険事業費予算繰越明許費では,介護保険システム整備で 7,600万円を繰り越しております。  16ページ,一般会計予算事故繰越しでは,地元調整遅延などのため,心身障害福祉施設建設など3件で5億 1,500万円を繰り越しております。  18ページ,下水道事業会計予算繰越では,工程調整のため,処理場建設など5件で 111億円を,  20ページ,港湾事業会計予算繰越では,工程調整のため,港湾建設など4件で59億 1,200万円を,  22ページ,新都市整備事業会計予算繰越では,工程調整のため,ポートアイランド沖事業など4件で97億 800万円を,  24ページ,高速鉄道事業会計予算繰越では,関係機関との協議遅延等のため,高速鉄道建設で 127億 2,900万円を,  26ページ,水道事業会計予算繰越では,工程調整のため,基幹施設整備工事など4件で23億 2,300万円を,  同事業会計の事故繰越しでは,工程調整のため,阪神水道企業団への出資金で1億 1,400万円を,  28ページ,工業用水道事業会計予算繰越では,工程調整のため,取浄配水施設改良工事で 9,400万円を,それぞれ繰り越しております。  以上,報告第2号平成12年度神戸市各会計予算繰越につきましてご報告いたしました。  何とぞよろしくお願い申し上げます。 10 ◯議長(吉田多喜男君) 報告第2号の報告は終わりました。 11 ◯議長(吉田多喜男君) 次に,日程第3 決算第1号より日程第11 第54号議案に至る9件,一括議題に供します。 12 ◯議長(吉田多喜男君) これより委員会審査の経過並びに結果について,委員長の報告を求めます。  決算特別委員会委員長土居吉文君。  (48番土居吉文君登壇) 13 ◯48番(土居吉文君) ただいま議題となりました決算第1号より決算第8号に至る平成12年度神戸市公営企業会計決算8件及び関連議案1件,以上合計9件について,委員会審査の経過並びに結果をご報告申し上げます。  まず,平成12年度公営企業会計の経営収支を概観いたしますと,8会計全体では収益 1,996億 5,400万円に対し費用は 2,063億 8,300万円で,差し引き67億 2,900万円の経常損失を計上しており,これに特別損益を加えた当年度純損失は42億 9,400万円となっているのであります。  これを平成11年度と比較すると13億 8,400万円の悪化となっており,収益の改善に努力しているものの,長引く景気低迷による影響も受けており,本市の公営企業を取り巻く経営環境は依然として厳しい状況にあると言わざるを得ないのであります。  次に,各会計ごとに経営状況を見ますと,まず下水道事業会計では,平成8年度以降増加を続けてきた使用料収入が減少したことなどに伴い経常損益は前年度より悪化し,10億 1,800万円の純損失となり,累積欠損金は 195億 8,900万円となったのであります。  次に,港湾事業会計では,岸壁使用料などの使用料収入の増加があったものの,減価償却費の増加などに伴い経常損益は悪化し,20億 1,400万円の純損失となり,累積欠損金は 336億 8,800万円となったのであります。  次に,新都市整備事業会計では,住宅宅地と経済基盤の強化を図るための産業用地の売却に伴い31億 6,500万円の純利益となり,一般会計に対し24億円の繰り出しを行うこととなっているのであります。  次に,病院事業会計では,西市民病院の全体オープンなどにより入院・外来患者とも増加しましたが,費用も増加しており,12億 9,100万円の純損失となり,累積欠損金は 313億 7,700万円となったのであります。  次に,自動車事業会計では,経営健全化計画に基づき乗客サービスの向上,経営効率化などに努めていますが,乗車人員・乗車料収入とも減少し,18億 7,500万円の純損失となり,累積欠損金は 216億 8,300万円となったのであります。  次に,高速鉄道事業会計では,乗車人員は減少しているものの,減価償却費や支払利息の減少により純損失は17億 7,100万円に減少しましたが,累積欠損金は 1,098億 4,200万円の巨額に上っているのであります。  次に,水道事業会計では,給水収益の伸びが引き続き低い水準で推移したものの,水道事業基金の活用と経費節減により3億 6,100万円の純利益となっていますが,平成13年度には阪神水道企業団の分賦金が改定されるなど,厳しい経営見通しとなっているのであります。  次に,工業用水道事業会計では,新規需要開拓に努めたものの2工場が撤退し,給水収益は減少しましたが,徹底した経費の節減等により1億 4,900万円の純利益となったのであります。  以上申し上げましたように,各会計ごとに見ましても震災の影響から徐々に回復しつつはあるものの,長引く景気の低迷等が影響して厳しい決算となっていることが確認できるのであります。  委員会は,去る9月21日にこれら9件の付託を受けて以来,連日にわたり局別審査を行い,さらに10月3日には市長・助役に対する総括質疑を行ったのであります。  以下,委員会審査における主な論点について簡単にご報告申し上げます。  まず,下水道事業については,震災以後赤字が続いている状況を踏まえての今後の経営方針について,また一般会計の負担区分に関し,汚水処理経費における一般会計と使用料との負担割合,高度処理やまちづくりにおけるせせらぎの設置等に係る費用の負担区分について,さらに雨水対策整備率が70%にとどまっていることに対する今後の整備方針についての議論がありました。  次に,港湾事業については,産業構造の変化や物流の変化,国際競争の激化に対する今後の神戸港のビジョンについて,また中古車の取り扱い拠点の立地などに見られる進出要件の緩和に伴う港湾関連用地の有効利用について,さらに神戸港の東側を物流拠点,西側を親水ゾーンとして再構築する方針についての議論がありました。  次に,新都市整備事業については,土地処分に関し,景気が低迷している中,今後の見通し,本年度から導入された新たなインセンティブ策による効果について,また神戸複合産業団地におけるリサイクル産業の集積について,さらに神戸空港に関し,埋め立てによる環境問題,ビジネスジェット受け入れ等活用策についての議論がありました。  次に,病院事業については,昨年策定された第4次市民病院経営計画の達成のための病床稼働率の向上など収入を確保する方策について,また中央市民病院に関し,先端医療センターとの連携や事業手法等を視野に入れたリニューアルに対する考え方,導入を予定している外来オーダリングシステムの稼働時期・効果について,さらに地域医療機関との連携にも有用な電子カルテの導入についての議論がありました。  次に,自動車事業及び高速鉄道事業については,経営健全化計画の目標である平成13年度単年度収支均衡の達成見込みについて,また地下鉄海岸線の乗客数が予想を下回っている原因と今後の乗客増対策について,さらに市バス路線の再編成について,短絡・廃止された路線を復活すべきとの立場と,全市的な観点から再編成したものを安易に見直すべきではないとの立場からの議論がありました。  次に,水道事業については,平成12年度より5カ年にわたる経営目標の達成のための取り組みについて,また大容量送水管整備工事について,大規模断水を防ぎ,神戸市民に安定した給水を行うために推進すべきとの立場と,財政負担や事業の必要度から見て凍結すべきとの立場からの議論がありました。  こうした質疑の後,10月4日に各会派からの意見表明を行い,さらに10月5日に意見決定を行ったのであります。  その結果,厳しい経営状況の中にあっても経営の効率化に取り組み,市民福祉の向上に寄与したことを評価して,決算第1号より決算第3号に至る3件,決算第5号より決算第7号に至る3件,以上合計6件については賛成多数で,また決算第4号及び決算第8号については全会一致でそれぞれ認定し,あわせて関連議案である第54号議案を全会一致で原案どおり可決すべきものと決定した次第であります。  なお,賛成多数で認定すべきものと決定した6件について,認定に反対する会派からは,その理由として六甲アイランド南・神戸空港島の埋め立てなどの開発施策を進めていること,市バス路線の再編成を実施したこと等の意見が挙げられておりましたことをご報告いたしておきます。  以下,委員会の要望事項について申し上げます。  まず,公営企業のさらなる経営改善に向けた取り組みについてであります。  本市の公営企業会計を取り巻く経営状況は,冒頭でも申し上げましたとおり,長引く景気低迷等の影響を受けて,依然として厳しい状況にあり,平成12年度末における8会計全体の累積欠損金は 2,000億円を超える事態となっております。  このような状況のもと,各公営企業においては,新行政システムの確立に向けて提案された具体的項目をはじめ,経費削減のためのさまざまな経営改善に取り組まれているところであります。  しかしながら,景気の見通しがいまだ不透明な状況にあることに加え,規制緩和の進展,地方分権の推進及び公的なサービスの供給方法の多様化等,本市の公営企業を取り巻く環境の変化に対応するためには,従来の経営改善手法とともに新たな取り組みが強く望まれているのであります。  よって,当局におかれては,公営企業が市民生活に身近な社会資本を整備し,市民サービスを提供する役割を担っていることから,企業環境が激変する中にあっても,より一層の経営の効率化と市民サービスの維持・向上を図るため,従来よりさらに踏み込んだ対応策を具体的に検討し,新たな発想と思い切った決断に基づく経営改善に取り組まれたいのであります。  次に,神戸港の港勢拡大策等についてであります。  神戸港は,開港以来,我が国の代表的な国際貿易港として産業・経済発展の一翼を担い,国際港都神戸の発展に大きな役割を果たしてきたのであります。  しかしながら,近年の港間競争は激しさを増し,国際的には釜山・シンガポールなどのコストの低い近隣諸国の港に,また国内では神戸港の背後圏に整備された大型岸壁を有する港湾に,それぞれ貨物の取り扱いがシフトしていることから,取扱貨物量の伸びは鈍く,厳しい状況にあります。  そのため,これまでに港湾施設の使用料体系を見直し,トータルコストの削減に取り組むほか,港湾EDIシステムなどによる情報化の推進,及び輸送技術の革新に対応した港湾施設の整備など,高水準の港湾サービスの提供に努めてこられたところであります。  しかしながら,神戸港が21世紀の国際港湾としての地位を確立し,より発展していくためには明確なビジョンを持った施策を講じていくことが必要であります。  よって,当局におかれては,物流及び貿易関連企業の積極的な誘致促進,民間事業者などの協力による一層のポートチャージの低減,及び利便性を高めるためのITを駆使した管理システムの整備に努めるとともに,海と空の情報拠点としての神戸港独自の魅力と優位性を伸ばす戦略に基づき,神戸港の活性化を図られたいのであります。  次に,医療サービスの充実についてであります。  市民病院は,市の基幹病院として,また地域の中核病院として高度医療・救急医療を中心に快適で患者に優しい医療環境を提供し,地域医療機関,福祉施設との連携を推進し,市民に信頼される病院を目指しているところであります。  しかしながら,現在我が国の医療を取り巻く環境は,急激な少子・高齢化,医療保険制度の見直し,医療ニーズの高度化・多様化などにより大きく変化しつつあります。  さらに,本市の病院事業は,医療産業都市構想との連携,中央市民病院のリニューアル,新行政システムの趣旨を踏まえた一層の効率化などの課題を抱え,新たな転機に立っているのであります。  このような状況の中,市民の生命と健康を守るため,患者のニーズに応じた医療をより多くの市民に効率的に提供していく必要があります。  よって,当局におかれては,市民の健康に対する関心の高まりや医療ニーズの高度化・多様化に対応するため,中央市民病院先端医療センターとの連携を緊密にし,PETなどの最先端の医療機器を積極的に活用した,より高度な医療を市民に提供するよう努められたいのであります。  また,少子化に伴い小児科医療機関が減少する傾向のもと,小児科救急体制の拡充,さらには効果的な救急医療を実施するための医療データバンク設置の研究・検討を図られたいのであります。  次に,公営交通事業の維持・発展についてであります。  市バス・地下鉄は,近年の長引く景気低迷や週休2日制の普及,学生数の減少などによる乗客数の減少,さらには本年度実施の乗合バス事業需給調整規制の廃止など規制緩和の急速な進展等により,交通事業を取り巻く環境は非常に厳しいものがあります。  このような状況にありますが,市民生活に不可欠な市民の足として,さらに地球環境の保全や高齢化社会への対応など,公営交通事業の果たすべき役割は依然大きなものがあります。  よって,当局におかれては,市バス・地下鉄の連携のもと,交通弱者に対する配慮も含めた市民の足の確保と乗客の利便性向上に努めるとともに,人と環境に優しいバスを積極的に導入されたいのであります。  また,本年7月に開業した地下鉄海岸線については,全庁挙げて沿線のリーディングプロジェクトを推進し,乗客確保に取り組まれたいのであります。  以上,委員会審査の経過及び結果並びに要望事項をご報告申し上げました。  終わりに当たり,委員会運営に終始絶大なるご協力をいただきました副委員長,理事の皆様並びに連日熱心な審査を賜りました委員の皆様に心から敬意と感謝の意を表しまして,報告を終わります。 14 ◯議長(吉田多喜男君) 報告は終わりました。  委員長の報告に関し,ご質疑はございませんか。  (「なし」の声あり) 15 ◯議長(吉田多喜男君) ご質疑がなければ,これより討論の通告がありますので,順次発言を許可いたします。  まず,31番森脇英雄君。  (31番森脇英雄君登壇)(拍手) 16 ◯31番(森脇英雄君) 私は,日本共産党議員団を代表して,平成12年度公営企業会計決算のうち決算第2号神戸市港湾事業会計,決算第3号神戸市新都市整備事業会計及び決算第5号神戸市自動車事業会計について認定できないので,その理由を述べ,討論を行います。  まず,港湾事業についてですが,港を活性化する上で今大切なことは,落ち込んでいる貨物の集積をいかに図るか,ポートセールスのあり方をどうするかであります。そして,これまで過剰投資となっている神戸港の施設拡張を見直し,ポーアイ2期や六甲アイランドの施設を有効に活用することに全力を挙げるべきです。  今日,大手船会社の集約と船舶の大型化が進んだとはいえ,神戸港はそれに十分に対応する施設を既に持っています。  特に,六甲アイランド南における大水深バース建設では 5,600億円もの巨費を投入しながら,投下資本回収の見込みはありません。この大水深バース建設はきっぱりと中止,見直すべきであります。  次に,新都市整備事業でありますが,バブル崩壊後,土地神話は崩れ去り,「山,海へ行く」の都市経営方式が大きな曲がり角に来ていることは明らかです。  ポーアイ2期は,売却予定とされる 190.2ヘクタールに対し売却実績は12.9ヘクタール,7%弱にとどまっています。  複合産業団地も,平成12年度の売却計画5ヘクタールに対し0.2ヘクタールしか売却できていません。にもかかわらず,西神南団地,複合産業団地など,さらに 105ヘクタールに及ぶ拡張を進めようとしていますが,これは中止すべきであります。  また,神戸空港島についても,小型航空機・ヘリコプターなどの格納庫,物流施設,機械器具製造の用地として新都市整備本部が民間に売ろうという計画です。約74ヘクタールを1平方メートル当たり27万円で売却しようとするものですが,この計画も現実的需要が見込めない極めて無謀なものであり,新都市整備事業会計をさらに破綻に追い込むことになります。新たな市民負担となる神戸空港は,今からでもはっきりと中止すべきです。  自動車事業では,需給調整規制撤廃地下鉄海岸線の開通,経営健全化計画などを理由にバス路線の全面的な再編成が強行されました。  この計画に対し我が党議員団は,一貫して住民の意向にこたえることを求め続けてきました。多くの住民から,「地下鉄の長い階段は怖くてつらい。病院にも行きづらくなった。長年なじんできた商店街にも気軽に行けなくなった。客足が落ち込み,売り上げも激減した。」などの悲鳴が上がっています。今回のバス路線再編成は,お年寄りや障害者はじめ交通弱者の足を奪い,まちの活性化にも大きな障害をつくり出しました。  短絡・廃止されたバス路線を直ちにもとに戻してほしいという住民と住民団体の運動は大きく広がり,市議会にも数万の署名を添えて再三にわたって請願・陳情が出されています。残念ながら当局も与党もこの声にこたえようとしていません。  公営バス事業の危機は,市民の理解と支持なしには打開できません。乗客の減少を食いとめ乗客の増加へと向かわせ,公営交通を守らなければならないはずのバス事業が,路線を切り捨てることによって逆に市民の大きな不信と反発を招き,事業運営に困難をもたらすものとなっています。このような事業姿勢には到底賛成できません。  以上,我が党が3事業会計決算を認定できない主な理由を申し上げ,議員各位のご賛同をお願いして討論といたします。(拍手) 17 ◯議長(吉田多喜男君) 次に,17番加納花枝君。  (17番加納花枝君登壇)(拍手) 18 ◯17番(加納花枝君) 私は,新社会党神戸市会議員団を代表いたしまして,決算第2号平成12年度神戸市港湾事業会計決算,決算第3号平成12年度神戸市新都市整備事業会計決算,決算第5号平成12年度神戸市自動車事業会計決算の3件につきましては,認定できない理由を申し上げ,討論に参加をいたします。  まず,港湾事業会計では,笹山市長は,埋め立ては空港島で最後にするとの公約を守られず,六甲アイランド南の埋め立てを12年度も推し進めてきたことが反対の理由です。  港湾事業の12年度の決算は,収益合計 219億 7,807万円,費用合計は 239億 9,240万円,純損失は20億 1,432万円であり,当年度末の未処理欠損金は 336億 8,767万円と膨れています。  このような財政状況の中,港湾関連施設の多様な利用策を考え,新しい業界を誘致するなど,港での雇用対策が進められていることは評価しますが,空きバース問題が深刻な神戸港の実態があり,景気は全く回復の兆しも見えない今日,また船会社のアライアンスが進む動きの中でこれ以上の大水深バースの建設は過大な投資で認めることはできません。今はテクノスーパーライナーという言葉すら聞かれなくなった港湾事業,審議の過程でも船会社の要求を聞きながらという答弁がありましたが,六甲アイランド南事業は中止をすべきです。  次に,新都市整備事業会計に反対する理由。複合産業団地など「山,海へ行く」開発行政を続け,ポートアイランド沖事業として空港島の埋め立てを,未解明の課題を市民に十分説明できないまま続けてきたことが理由です。
     複合産業団地については,25ヘクタールの拡張部分がことしの春には認可がおりたとのことですが,これ以上売れない土地を造成するべきではありません。複合産業団地は,全体計画 172.9ヘクタールで,造成済みが45ヘクタール,処分が23.3ヘクタールと半分の処分状況です。  また,ポートアイランド2期は,ことしの9月時点では都市再開発用地の処分可能面積 108.2ヘクタールに対して,12.5ヘクタールしか処分できておりません。12年──昨年の3月の段階で予定していた2ヘクタールを除きますと,この1年半の間にわずか1.8ヘクタールしか処分は進んでいないのです。それも国際ビジネスセンターなど行政絡みの処分にすぎません。  全国に宣伝をするために職員を動かしているとのことですが,引き合いはあるとの楽観的な答弁は余りにも無責任と言わざるを得ません。まず,ポートアイランド2期の売却など,造成した土地を有効活用することが先決です。複合産業団地の拡張は見合わせるべきです。  また,空港の問題です。  12年度は護岸築造工事,地盤改良工事が進められ,埋め立てが始まって2年が経過をしました。震災後,多くの被災市民が耳を疑った「空港は希望の星」との市長発言,神戸空港は今度の市長選挙でも大きな関心事,争点になるほど,建設から2年たつ今なお多くの市民が中止を求めています。  過大な需要予測は見直しがされず,また大阪湾上空を中心とした空の過密ぶりと危険性が指摘をされる中,安全性の問題はますます専門家から声が大きくなり,また国土交通省の調査報告の 578件のニアミス報道など,事故があった場合の責任問題も考えなければなりません。神戸空港に係る未解明課題はまだまだたくさんあるにもかかわらず,大事な資料が廃棄をされるなど多くの問題が出てきております。  私たち新社会党議員団は,今決算の審査で環境の問題を指摘してまいりました。さきの家島では──土砂やまた石材の調達先の家島では,採石法違反という事態が環境省に摘発されました。採石業者が直接砂利運搬船で積み出すと決めた認可時の計画を守らず,トラックなどに積んだ大量の削りとった土砂を一たん海に投下し,ガット船のクレーンのバケットですくい上げる海洗いという違反行為をし,海岸線が変わってしまったり,海の汚濁を進めていたのです。家島諸島の男鹿島や西島は採石産業で成り立っているとはいえ,島の半分が削り取られる痛々しい島の姿など,深刻な状況です。  瀬戸内海保全特別措置法によって閉鎖性海域の瀬戸内海は大変貴重な海とされて,埋め立ては厳に慎むこと,水質の保全や景観を守るために関係自治体は努力をすることなど,神戸市にも大きな責務があります。  にもかかわらず今回の問題でも,神戸市は発注者責任は全くないというような態度でありました。島の景観破壊,また空港島の埋め立てによっての水質への影響は,瀬戸内法に背く行為であり,空港島の埋め立ては即刻やめるべきです。  また,空港島周辺の環境への問題,アセスメントでも軽微であるとこれまで言い続けてこられましたけれども,ことしの8月8日に神戸大学発達科学部の研究室と市民の会の共同調査では,空港護岸を境に東側の海洋環境が変わった。透明度や低層が酸欠状態になった。西宮沖・芦屋沖は,調査したすべての環境指標から見て最悪だった等の報告がされています。通産省の中国工業技術試験研究所の指摘した神戸空港島の海流への影響が明らかに出始めていると指摘をされております。  当局は,「計画書に基づき事後アセスをやっている。事後調査では心配ない。」と言いながら,「ことしの夏の暑さは特別厳しく,分析中の結果では少し悪いようだ。」そのような答弁をされましたけれども,しかし市民団体の調査では,空港島の東側,市の調査地点ではナンバー4の水質は大変悪化が進んでおり,定生生物の生息に変化が出ているという,この市民団体の海洋調査についても重く受けとめていくべきではないでしょうか。  そういう意味からも神戸空港はやめて,そして空港をやめれば複合産業団地の拡張もやめることができるはずです。空港の計画が進められたこの会計には反対をいたします。  最後に,交通事業について申し上げます。  バス事業の経営健全化と称して進められたバス路線の再編成が大きな問題を起こしています。とりわけ11系統,81・82系統,91・92系統の復活の声は,多くの署名やアンケートに託されて私たちに届いています。  神戸市は,市民の声は十分聞いた,説明会もやったといいますが,全く不十分だったことが復活を求める多くの地域の団体名から見てもわかります。市場に行く足として多くの人が使っていた路線,買い物や通院の高齢者には,地下鉄では景色が見えないし,階段が多くてしんどい。また,中華同文学校の児童たちには,乗りかえや料金負担の増で,ぜひとも路線の復活をさせてほしいと多くの声があります。  今回の路線再編は,市電の廃止と同じくらいと当局は言いながら,直接の利用者や沿線の市場・施設などの意見などが十分に聞かれていない中で進められたとのことから,私たちは12年度の自動車会計決算は認定できません。  以上3件に反対の理由を申し上げましたが,他の5件と関連議案は承認いたします。  以上です。(拍手) 19 ◯議長(吉田多喜男君) 次に,1番井坂信彦君。  (1番井坂信彦君登壇)(拍手) 20 ◯1番(井坂信彦君) あらゆる計画には失敗の可能性があります。学者・役人・議員,どんな立派な専門家が考えた計画でも,現実の世界で実施してみたら,予定していた成果を上げられない可能性というのは幾らでもあります。  また,立案した当時は完璧な計画であったとしても,実施するころには世の中の環境が大きく変わってしまい,現実に合わない計画になってしまう可能性は幾らでもあります。  大切なのは,失敗をいち早く認め,あるいは世の中の変化をいち早く察知し,柔軟に計画を見直すことではないでしょうか。そして,それこそが議会に求められる1つの大きな役割だと考えるものです。  例えば神戸港の経営戦略──バースの数や深さなど,港湾設備はアジアでも最高のものを整えています。市街地に近く,交通アクセスも抜群,情報化もどんどん進めていく,あらゆる船に対応できる最高級の港を目指して投資を続けてきた神戸港ですが,実際には船と荷物は減っています。  総括質疑で助役みずからも認められたように,ユーザーはより安い港を求めています。今神戸港には時代に対応した価格戦略が必要だと考えますが,残念ながら当局には本気で取り組もうという姿勢が見られませんでした。  次に,新都市整備事業。もう毎度のことですので,多くは申し上げませんが,ポートアイランド2期や複合産業団地が全く売れない中でさらに造成を進めております。また,市民に直接賛否を確かめぬまま神戸空港計画を推し進めております。どれも見直しが必要な事業だと考えております。  最後に,市バス路線の再編。市バス事業全体の倒産を防ぐための経営健全化計画,あるいは路線再編は理解いたしますが,廃止した市バス路線の後にかわりの交通機関を準備しなかったことが大失敗であったこと,署名をはじめとする地元の声を聞けば明らかです。  ところが,総括質疑では助役が,「バスのかわりに地下鉄を走らせているから問題ない。」と,現実を全く直視しない,開き直り答弁をされました。私は,早急に,例えば民間バスの誘致など,代替交通機関の準備が必要だと考えております。  以上の理由より,決算第2号港湾事業会計,決算第3号新都市整備事業会計,決算第5号自動車事業会計の3件に反対し,討論を終わらせていただきます。ありがとうございます。(拍手) 21 ◯議長(吉田多喜男君) 次に,36番佐藤けん一郎君。  (36番佐藤けん一郎君登壇) 22 ◯36番(佐藤けん一郎君) 私は,決算第1号平成12年度神戸市下水道事業会計決算──以下,平成12年度神戸市までの修飾語は省略をさせていただきます。決算第2号港湾事業会計決算,決算第3号新都市整備事業会計決算,決算第4号病院事業会計決算,決算第6号高速鉄道事業会計決算,決算第7号水道事業会計決算,以上6決算の認定に反対をし,以下その理由を申し述べるわけであります。  この6事業につきましては,従来からも私は反対をしてまいったわけでありますが,このたび,従来の理由以外に認定に賛成できない新しい事実を発見いたしたのであります。まず,そのことからご説明をいたし,議員諸公のご賛同をお願いしたいのであります。  その1つは,水道事業会計の自己資本金についてであります。  市長が認定を求めてまいりました議案には,自己資本金は1本で 863億円余となっているわけですが,自治省──昔の自治省財政局の資料によりますと,これがさらに4つの項目に分かれているのであります。この資料は全国集計でございますので,その集計の関係上,平成10年度までしか出ておりませんので,その数字でご説明することをお許しいただきたいと思います。  神戸市自己資本金 858億円,これは神戸市長が平成10年度に提案をしてきた金額と全く一緒です。それは当然であります。これが固有資本金(引継資本金)3億円余,再評価組入資本金44億円余,繰入資本金13億円余,そして最後に組入資本金が 797億円余と,自治省の財政局の資料は,4項目に自己資本金を分けているのであります。  それぞれ自治省の編集しました公営企業経理の手引きに定義づけが出ております。どうなっているかといいますと,まず固有資本金(引継資本金)──これは地方公営企業法に基づく公営企業として経営をするようになった時点で,それ以前の水道事業──一般会計でやっていたか特別会計でやっていたわけでありましょうが,それの資産を引き継いだその評価額であります。  2番目の再評価組入資本金は,資産の時価が大きく変動したときに評価替えをした部分であります。  その次の繰入資本金は,一般会計などからの出資です。補助ではなくて出資分であります。  最後の組入資本金は,この公営企業の経理の手引きによりますと,企業開始後の利益を源泉とする自己資本の造成と定義づけられているわけであります。利益が発生しなければ,この組入資本金はあり得ないわけであります。その組入資本金が先ほども申しましたように,平成10年度の自治省の資料によりますと 858億円となっているわけであります。  昭和50年度の神戸市の水道事業会計にも,自治省は組入資本金という項目を設けて出しておりますが,それによりますと昭和50年度はこの組入資本金は27億円余しかなかったのであります。すなわち昭和50年度から平成10年度までの間に 831億円余増加をしているのであります。  そこで,私は,昭和50年度から平成10年度までの市長が提案をされた水道事業決算の資料の中の利益を集計をいたしました。24年間の集計をしたわけでありますが,その集計をした結果は 169億円 7,741万円余しかないのであります。 169億円余しかないのであります。  利益が 169億円余しか発生していないのに利益を源泉とする組入資本金,これは自治省の区分でありますが,利益を源泉とする組入資本金が 831億円も増加している。こんなおかしな話があるんでしょうか。全く不可解千万であると言わなければなりません。   169億円しか利益を計上しない。この24年間で 169億円余しか利益を計上しなかった。実際は 831億円以上利益があった。いろいろなところに返済なんかを利益からしているということもあり得ますので,利益を減債積立金に回しているところもありますので,少なくとも 831億円を超えるものを得ていたわけであります。この巨額の利益を隠していたわけであります。そして,平成9年には赤字だと称して水道料金の値上げを行ったわけであります。許しがたい話だと言わなければなりません。  いま1点,私が新しく発見した事実は,港湾事業会計についてであります。同会計は,その他資本剰余金──その他がついているんですが,その他資本剰余金として 1,879億円,これは震災で国の震災復興の補助金がなければトップですよ,資本剰余金で。資本剰余金のトップに位置する 1,879億円という巨額なものがその他になっている。何でその他か。中身は何かとお尋ねをしましたところ,事務当局は,港湾関連施設の利用に伴う権利金だと言うんです。  確かに利用すれば,利用させれば使用料を取っています。使用料の支払いの保証として保証金を取るなら,これは預かり金であります。これは横浜も大阪も取っています。金額は,こんな 1,879億円などという巨額ではなくて,大阪はわずか2億円余,横浜は 153億円余の預かり金勘定が出ております。これは使用料の支払を担保するために取っているんだと,これは当然の契約上の問題ではないかと思いますが,横浜・大阪は権利金は取っていない。取って自分の所有にするような権利金は,ただの1銭も取っていないのであります。  このような巨額なものを取っていれば,これはやはり業者の皆さんもひどいものだと──払うの払いますよ,そうしなけりゃ使えないから。だけど,ひどいものだということは必ず心の中で,あるいは社内では話をしているのではないでしょうか。歴史の古い,歴史のある実績を誇った神戸の港がなぜ振興しないのか。当たり前であります。私は,この港湾事業会計にも納得ができない。  以上2点を申し上げたわけですが,その他につきましては従来どおりの理由でございますが,簡単に申し述べますと,下水道事業は 2,000億円を超える巨額な資本投資を市民に負担をさせております。  新都市整備事業は,引当金勘定として調整勘定というのをつくっているんですね。 779億円も利益をそこにためている。利益の留保と見られる調整金勘定を置いている。これは民間の不動産業者に聞きましたら,「私ら,そんなことをしたら税務署から否認をされます。利益と見られて課税されます。」と言っていました。  病院事業は,52億円余の税金からの助成が行われているわけです。民間であれば破産状態であります。納得できません。  高速鉄道──地下鉄ですね。高速鉄道事業は,海岸線の新設で 2,000億円を超える巨額の資金を投入した。赤字になるのは火を見るよりも明らかであります。そして,一方では先ほど来話が出ているように市バスの路線の削減をしている。納得できるわけがないのであります。  以上,6事業決算についての反対の理由を申し述べました。議員諸公のご賛同をお願いいたしまして,終わりたいと思います。ありがとうございました。 23 ◯議長(吉田多喜男君) 以上で討論は終わりました。  これより順次お諮りいたします。  まず,決算第1号,決算第6号及び決算第7号,以上合計3件についてお諮りいたします。  本件を委員長の報告どおり決することに賛成の方の起立を求めます。  (賛成者起立) 24 ◯議長(吉田多喜男君) 起立多数であります。  よって,本件はいずれも認定されました。 25 ◯議長(吉田多喜男君) 次に,決算第2号及び決算第3号についてお諮りいたします。  本件を委員長の報告どおり決することに賛成の方の起立を求めます。  (賛成者起立) 26 ◯議長(吉田多喜男君) 起立多数であります。  よって,本件はいずれも認定されました。 27 ◯議長(吉田多喜男君) 次に,決算第4号についてお諮りいたします。  本件を委員長の報告どおり決することに賛成の方の起立を求めます。  (賛成者起立) 28 ◯議長(吉田多喜男君) 起立多数であります。  よって,本件は認定されました。 29 ◯議長(吉田多喜男君) 次に,決算第5号についてお諮りいたします。  本件を委員長の報告どおり決することに賛成の方の起立を求めます。  (賛成者起立) 30 ◯議長(吉田多喜男君) 起立多数であります。  よって,本件は認定されました。 31 ◯議長(吉田多喜男君) 次に,決算第8号及び第54号議案についてお諮りいたします。  本件は,委員長の報告どおり決しまして,ご異議ございませんか。  (「異議なし」の声あり) 32 ◯議長(吉田多喜男君) ご異議がないと認めます。  よって,決算第8号は認定され,第54号議案は原案のとおり可決されました。 33 ◯議長(吉田多喜男君) 以上で,平成12年度神戸市公営企業会計決算はいずれも認定され,関連議案は原案のとおり可決されました。 34 ◯議長(吉田多喜男君) 次に,日程第12「請願の審査結果について」を議題に供します。 35 ◯議長(吉田多喜男君) これより委員会審査の経過並びに結果について,委員長の報告を求めます。  空港・新産業に関する特別委員会委員長浜崎為司君。  (43番浜崎為司君登壇) 36 ◯43番(浜崎為司君) ただいま議題となりました請願第92号より請願第97号に至る6件について,委員会の審査の結果をご報告申し上げます。  まず,請願第92号は,神戸空港建設に関して,航空会社の就航予測や空域管制問題についての国との協議状況など7つの項目が未解明の課題であるとして,十分な説明を求める趣旨であります。  委員会は審査の結果,大半はこれまで何度となく繰り返し説明されてきた項目であるとの理由から,不採択とすべきものと決定いたしました。  次に,請願第93号は,神戸空港の需要予測には大きな誤りがあり,開港後需要予測どおりの利用者は発生せず,その場合における開発費等の費用の捻出先の説明及びその根拠があいまいであれば,空港建設の早急な中断を求める趣旨であります。  委員会は審査の結果,需要予測は一般的な予測手法を用いて合理的に算出されたもので,その手法・考え方・予測結果とも妥当なものであり,また請願のあいまいな前提のもとで費用捻出の根拠を説明するのは困難であるとの理由から,不採択とすべきものと決定いたしました。  次に,請願第94号は,去る7月の本会議で不採択と決定した請願第85号の不採択理由について疑義を申し出る趣旨であり,  委員会は審査の結果,裁判に影響のある事項など個別・具体的に回答することが困難な場合もあるとの理由から,不採択とすべきものと決定いたしました。  次に,請願第95号は,市民による需要予測に則して平成7年度神戸空港航空需要予測調査報告書の説明を求める趣旨であります。  委員会は審査の結果,市民による需要予測は独自のデータを一方的に使用しており,それに則して説明を行うことは困難であるとの理由から,不採択とすべきものと決定いたしました。  次に,請願第96号は,神戸市需要予測における相手空港の受け入れ容量や航空会社の機材繰りに関する数字的根拠等について説明を求める趣旨であります。  委員会は審査の結果,相手空港の受け入れ容量や航空会社の機材繰りは,新幹線との競合が厳しい一部路線について,より現実的な予測とするためのものであり,これまでも説明されてきた項目であるとの理由から,不採択とすべきものと決定いたしました。  次に,請願第97号は,運輸省航空局が作成した平成7年度空港整備水準に関する国際比較調査報告書を需要予測の手法に採用することを求める趣旨であります。  委員会は審査の結果,現在いまだ検討中で確立されたものとはなっていない予測手法を空港の需要予測として採用することは適当ではないとの理由から,不採択とすべきものと決定いたしました。  以上,報告を終わります。 37 ◯議長(吉田多喜男君) 報告は終わりました。
     委員長の報告に関し,ご質疑はございませんか。  (「なし」の声あり) 38 ◯議長(吉田多喜男君) ご質疑がなければ,これより討論の通告がありますので,順次発言を許可いたします。  まず,14番福田道代君。  (14番福田道代君登壇)(拍手) 39 ◯14番(福田道代君) 私は,日本共産党神戸市会議員団を代表し,本会議に提出され,空港・新産業に関する特別委員会で審査された請願第92号から請願第97号に至る6件の請願について,委員会の委員長報告に反対し,採択を求める討論を行います。  空港特別委員会に提出された6件の請願のうち4件は神戸空港の需要予測に関するものであり,残りは神戸空港に係る未解明課題と前議会で審議された請願第85号の不採択理由に関するものです。  まず,需要予測に関してであります。  神戸空港が完成した場合の空港利用者の数を予測する需要予測は,神戸空港の必要性を検討するためにも大変重要なかぎを握っています。また,神戸空港が採算がとれるかどうかを推測する上でも重要な資料となり,決定的な意味を持つだけに慎重の上に慎重を期して検討しなければなりません。  ことし5月23日総務省は,国土交通省に対して地方空港の需要予測が過大に見積もられている事態が明らかになったとして需要予測方法の検証を勧告しています。  2~3事例を挙げますが,岡山空港の場合,1985年には 208万人としていましたが,開港時わずか7万 5,000人,2000年でも73万人にとどまっています。鳥取空港も,1990年には 126万との予測が1995年で29万人と散々な状況となっています。  これらは他の地方空港の事例ですが,神戸市は2010年の神戸空港の乗降客数を年間 420万人と予測しています。新幹線新神戸駅の年間乗降客は約 450万人,限られた地域としか結ばれない神戸空港で,新幹線並みの利用者を見込むのは余りにも過大です。ちなみに,仙台では新幹線が 1,600万人に対し飛行機が 240万人となっています。  また,運輸省の旅客動態調査から我が党議員団が推計しましたが,神戸都市圏を発着とする伊丹空港の利用者は 101万人,関西空港の国内線利用者は約43万人,合計 144万人です。幾ら統計上の誤差があるとしても, 420万人という予測は余りにもかけ離れています。  しかし,空港整備本部長は,東京-福岡間については犠牲量モデルで計算すると現実的でない数字が出る。そのため航空機の能力・保有機数,羽田空港の受け入れ能力などを加味して東京便を 133万人,福岡を21万人と推定したと説明しました。このことは神戸市の需要予測方法がご都合主義の継ぎはぎだらけであり,科学的でないことを明らかにしています。  また,神戸空港では東京便が5便計画されていますが,伊丹・関西空港から往復2万 9,000円の格安で30分に1本ほどの間隔で東京行きのシャトル便が出ています。また,10月から新神戸駅には,のぞみもとまるようになりました。需要予測にはこうした利便性が考慮されていません。  このような数々の問題点を持つ神戸市の航空需要予測に対し,市民から繰り返し疑問の声が出されるのも余りにも当然のことです。神戸空港の需要予測は,神戸市の財政に大きく影響します。神戸市は市民からの批判の声を真摯に受けとめ,総務省の指摘も受けて,需要予測に関するすべての情報を公開し,需要予測のやり直しを行うべきです。  次に,神戸空港建設の財政問題です。  こうした過大な需要予測に基づく計画では計画どおりの収入が見込めないのは明らかです。さらに,最近は着陸料の引き下げなどがどの空港でも行われているのが実態です。このことも考慮すれば,ランニングコストでも赤字が出るのは必至です。  また,神戸市は,神戸空港建設の財源の大部分を空港島の土地の売却で賄うとしていますが,これも甘い見通しとなっています。空港施設用地,旅客と貨物のターミナル用地と駐車場,新交通車庫用地など神戸市または第三セクターに売却するものを除けば,ほとんどが民間に売却するものです。しかし,航空機の格納庫は,航空3社が設置しているのは成田・羽田・伊丹・関空と一部の地方空港だけであり,土地を購入しているところは1社もありません。民間企業が一地方空港である神戸市で,土地と格納庫に莫大な投資をする必要と可能性は皆無に近いと思われます。  また,小型航空機・ヘリコプターの駐機台数も超過大であり,輸送用機械器具製造業用地や総合物流施設用地も広大で,計画どおり需要があるとは到底思えません。神戸空港は,その造成地だけをとって見ても採算がとれず,今後神戸市の財政破綻を促進させることは火を見るより明らかです。  こうした点を放置したまま強引に計画を推し進めることは,市財政をさらなる危機に追い込み,市民生活を圧迫することとなります。市民から疑問の声が出され,中止を求める声が起こるのも当然です。  以上,請願第92号から第97号に至る6件の請願の採択を強く求め,私の反対討論といたします。(拍手) 40 ◯議長(吉田多喜男君) 次に,2番小林るみ子君。  (2番小林るみ子君登壇)(拍手) 41 ◯2番(小林るみ子君) 私は,新社会党神戸市会議員団を代表いたしまして,先ほどの委員長報告に反対し,請願第92号・請願第93号の採択を求めて討論に参加いたします。  9月1日発行の広報紙こうべに,市長への手紙からが引用されています。「神戸空港はなぜ必要なのですか。」という問いに対して,回答の中で,「採算面や安全面,環境面などに疑問があるとの意見もありますが,それぞれの疑問については問題がないことを説明してきています。」と記載されています。果たして問題がないと言えるのでしょうか。  また,10月1日発行の神戸空港ニュースでも,環境創造基本計画のあらましや空港島の環境施策Q&Aなどなど,環境に配慮した空港であることを広くアピールしています。果たして削られてしまった山や埋め立てられてしまった海は,環境破壊とは言えないのでしょうか。  空港島の護岸工事が完了しつつある今もなお,多くの市民が環境問題をはじめ安全問題,需要予測問題,財政問題などなどの未解明課題・未解決課題についての請願・陳情を重ねています。神戸空港建設反対の声は決して消えてしまったわけではありません。今もなお根強く残っています。  請願第92号の請願者は,神戸空港を考える会の活動を通じて,無謀な神戸空港建設計画をただしてきた方です。今回は未解明課題のうちの7点,  1.万が一開港した場合の航空会社の就航予測並びに協議状況について,  2.国際空港にという声がありますが,それについての神戸市の見解について,  3.空域管制についての神戸市の責任並びに国との協議状況について,  4.国の海上保安本部と神戸市との同一タイトル文書における内容の相違について,  5.人工ラグーンなどによる水質浄化機能や生物生息空間創出機能について,  6.ターミナルの事業主体や費用について,  7.神戸空港の沈下量の根拠について,  神戸市に対して十分な説明を求めているものです。  これらの課題に対しての神戸市の答弁は,「開港1年前でないと就航予測はできない。ターミナルの費用については本年度中に出したい。また,人工ラグーンのさまざまな機能についても,現在調査中である。」とし,着工2年を経てなお幾つもの不明な点を残したままの答弁で,到底納得できるものではありませんでした。  また,神戸空港は第三種国内空港として申請されており,それを根本から覆すような国際化発言が飛び交っていることについて,神戸市は決して否定するわけでもなく,多様化する空港として整備をしていくと,含みを残した答弁をされていることに大きな疑問を抱きます。  さらに,空港島造成工事による海上交通への影響を調べた平成10年度神戸空港島工事中航行安全対策調査委員会報告書が,同じタイトルでありながら,国が公開したものに比べ,神戸市が公開したものには議事録,シミュレーター実験の内容やデータなどの欠落があるなど,食い違いがあることが判明されたことで,その違いについての説明を求めたにもかかわらず,神戸市は調査の委託先である神戸海難防止研究会の結果だけをもらったとし,議事録などについては恐らく廃棄したのではないかという,公文書の扱いをめぐっての無責任な答弁でした。  そもそも同じタイトルでありながら,目次や構成の違う2つの報告書があること自体不可解なことであり,もし文書が差しかえられたりした可能性があるとすれば,これは看過できない課題となります。  沈下量の課題についても同様で,公文書とりわけ神戸市民の多くが関心を寄せている神戸空港についての情報公開のあり方,保存のあり方については,今後とも追求していかざるを得ません。  次に,請願第93号の請願者は,空港のない神戸のまちをつくる会の活動を通じて,この間神戸空港の需要予測について納得できない旨の請願を繰り返し行ってきた方です。請願者は,さまざまな資料をもとに,開港後決して神戸市の需要予測のとおりにはならないことを断言しています。  請願第93号は,一切市民には負担をかけないと豪語している神戸市に対して,需要予測のとおりにならなかった場合のポートライナー延伸や,神戸空港の開発費や維持管理費の捻出先の説明を求めるものです。  神戸市のこれらの請願内容についての答弁は,「神戸市のやっている需要予測の手法は妥当であり,決して予測を下回ることはない。」とし,「そのためにも利用を促進されるよう努力する。」という答弁でした。しかし,請願者のみならず市民はこれでは納得できません。  この間,地下鉄海岸線をはじめK-JET,ムービングウォークの利用,複合産業団地の土地分譲,ポートアイランド2期の企業誘致などなど,需要予測が大きく下回っている現状から見ても,市民の不安にはぬぐい切れないものがあります。納税者である市民に対して納得できる説明責務が神戸市にはあります。  ことし4月,国の情報公開法が施行され,さらに6月には神戸市情報公開条例が制定されました。その第1章総則の第1条に,「市民の知る権利を尊重し,市の保有する情報の一層の公開を行い,及び市の諸活動を市民に説明する責務が全うされるようにするとともに,市民の市政への参加及び協働のまちづくりを推進し,もって地方自治の本旨に即した市政の実現に資することを目的とする。」と述べられています。  日本国憲法で保障されている基本的人権──知る権利は,最大限尊重されなければなりません。それとともに説明責務も問われてきます。情報公開条例に基づき神戸市は,神戸空港建設に疑問を抱く市民に対して,誠実に説明責務を全うすべきだと考えます。  以上,神戸のことを思う市民の切実な願いをぜひお酌み取りいただき,請願第92号並びに請願第93号の採択を強く願うものです。  以上です。(拍手) 42 ◯議長(吉田多喜男君) 次に,16番恩田 怜君。  (16番恩田 怜君登壇)(拍手) 43 ◯16番(恩田 怜君) 私は,請願第92号から97号の6件の請願に対しまして,委員会審議の不採択に反対いたしまして,採択を主張するものでございます。これらの請願は,いずれも市民が正しい正確な情報を得ようとして出されているものでございます。  これまでも同じような趣旨の請願が何回も出されている。これはまさに請願の趣旨を理解して,市民に情報開示していないことを示す証拠と言えるのであります。当局が請願に対しまして真摯に取り組んでいない,従来からの主張をまるでテープレコーダーを聞いているような答弁に終始して,何ら新しい情報が提供されていないからであります。  また,空港工事が着工2年を超えて進んでいるにもかかわらず,このような請願や陳情がたびたび出されていることは,空港建設に対しまして市民が納得していないことを示すものでございます。  請願第92号は,神戸空港にかかわる未解明課題に関する請願でございます。7点が挙げられておるわけでございますが,その1つは先日の新聞などでも報道されておりましたが,空港工事中の船舶海上交通に関する資料が国と市と,公開された部署で異なる,まさに神戸市の情報隠ぺい体質のあらわれであると言わざるを得ないのであります。  不利な情報を隠して都合のよい情報だけを流すというのは,市長の言っておられる参加と協働という理念からはほど遠いものと言わざるを得ないわけでございます。  第93号・95号・96号・97号は,いずれも神戸空港の需要予測に関するものでございます。公共事業の甘い需要予測は,政府部内でも問題になっているところであり,このような甘い需要予測による公共工事をやめることがまさに構造改革であります。  7月に開通した地下鉄海岸線におきましても,1日8万人の乗降客があるという需要予測に対して3万 5,000人しかないという惨状を示しておるわけでございます。  神戸空港については,神戸市が行った需要予測よりさらに新しい,精度の上がった手法が旧運輸省から提示されているのであります。この手法を使った市民の試算したその結果に耳を傾けるべきであります。  局長は,この手法が適当でない旨の発言をされておりますが,この手法は新しい空港を計画するときは適用されることが義務づけられている,オーソライズされたものであります。神戸市が行った,東京-福岡便などの予測が,これはまさにオーソライズされていない,恣意的なものであると言わざるを得ないのであります。  この旧運輸省が提示しております手法が不適切というのは,まさに自分たちの都合の悪い情報には耳をかさないと言われてもやむを得ないものであります。神戸空港の需要予測が神戸市の期待を大幅に下回った場合の市民の危惧についてもきちんと説明すべきであります。  それから,最後に請願第94号でございますが,これは7月に出された請願第85号の不採択理由に関するものでございまして,裁判で係争中であることを理由に当局が回答しなかったものでございます。これを理由に不採択となったものでありますが,このことはまさに基本的人権としての請願権を揺るがす,三権分立の趣旨からいってもゆゆしき問題であると言えるのでございます。  どうか議員諸氏におかれましては,神戸空港に対する市民との情報共有という観点から,どうかこれらの請願に対しまして賛成をしていただくようにお願いをする次第でございます。  私は,このような討論をしながら大変むなしい思いに襲われるのであります。このような市民の声を聞こうとしない市政はこの議会を終わりとして,次回からは市民の声を真摯に耳を傾ける,市民と情報を共有し得るような市長の誕生することを心から願うものでございます。  以上で討論を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) 44 ◯議長(吉田多喜男君) 以上で討論は終わりました。  これよりお諮りをいたします。  請願第92号より請願第97号に至る6件を採択することに賛成の方の起立を求めます。  (賛成者起立) 45 ◯議長(吉田多喜男君) 起立少数であります。  よって,本件はいずれも不採択と決定いたしました。 46 ◯議長(吉田多喜男君) この際,日程の追加をお諮りいたします。  お手元に配付いたしております追加議事日程に記載の1件を,本日の日程に追加し,直ちに上程したいと存じますが,ご異議ございませんか。  (「異議なし」の声あり) 47 ◯議長(吉田多喜男君) ご異議がないと認めます。  それでは,さように取り計らいます。 48 ◯議長(吉田多喜男君) それでは,日程第13 議員提出第40号議案を議題に供します。 49 ◯議長(吉田多喜男君) 本件は,狂牛病問題について,国が現在緊急対策の一環として公表している施策では十分とは言えないため,万全の措置を講じられるよう国に要望しようとするものであります。 50 ◯議長(吉田多喜男君) 本件に関し,発言の通告もありませんので,本件は委員会の付託を省略し,原案のとおり決しまして,ご異議ございませんか。  (「異議なし」の声あり) 51 ◯議長(吉田多喜男君) ご異議がないと認めます。  よって,本件は原案のとおり可決されました。 52 ◯議長(吉田多喜男君) この際お諮りいたします。  ただいま可決されました議員提出第40号議案に関する取り扱いは,議長にご一任いただきたいと存じますが,ご異議ございませんか。  (「異議なし」の声あり) 53 ◯議長(吉田多喜男君) ご異議がないと認めます。  それでは,さように決定いたしました。 54 ◯議長(吉田多喜男君) 次に,議案外質問通告がありますので,この際,順次発言を許可いたします。  まず,71番森原健一君。  (71番森原健一君登壇)(拍手) 55 ◯71番(森原健一君) 私は,日本共産党議員団を代表して,退任される笹山市長に最後の質問をいたします。  笹山市長が就任された12年前は,バブルがはじけ, '90年代の不況に突入する直前でありました。全国の地方自治体は,地方単独事業を押しつけられ,巨大な開発会社になってしまい,財政危機に瀕していました。  神戸市も決してその例外ではなく,「山,海へ行く」大規模開発を続け,むしろその典型的な存在でありました。そこへ阪神・淡路大震災が起こり,神戸市民の生活と神戸のまちは壊滅的な打撃を受けました。このとき神戸市は,被災者の生活と営業の再建にすべての力を注ぐべきでした。しかし,神戸市は,旧運輸省すら渋る神戸空港の建設を申請し,30万人が参加した住民投票の要求を拒否しました。  また,首相の諮問機関,阪神・淡路復興委員会の特別顧問であった後藤田正晴氏が,開発中心の復興になったといううらみがある,悔いは残ると言ったように,開発志向,インフラ整備重視の復興計画を推し進めました。神戸市は,市政を開発型から暮らし・福祉優先型に転換すべきときに,相変わらず開発会社的手法の都市経営を続けたのであります。そして,その結果,神戸市は全国でも最も深刻な財政危機に陥っています。  私は,その犠牲とされた社会保障問題から質問に入ります。   '90年代に入って,財政危機と増大する福祉需要への対応として,国と地方自治体を問わず,行政の市場主義,自由競争,規制緩和,民営化,民間活力の導入,自立と自助,共助論が強力に展開されました。  具体的には,保育の措置制度が契約制度になり,公的ホームヘルパーが廃止され,介護が民間の施設に任されることになりました。介護・国民健康保険料の負担が生活を圧迫しています。公立の福祉施設はほとんど建設されず,福祉施策の多くは民間の施設や団体にゆだねられています。神戸の誇る老人医療の助成制度が後退させられ,高齢者の自立・自助が要求されています。学校給食の共同調理場も民間委託されようとしています。  このことは,国と自治体による福祉サービス・教育施策を切り捨て,民間企業の参入により市場主義的競争に任そうということであります。ここには,小さな政府,小さな自治体論が貫かれています。市会では,これにとどまらず,保育所・幼稚園・学校給食・病院・バス等への民間活力の導入,民営化を求める意見すら出されています。これは弱肉強食の論理であり,弱者切り捨ての論理です。小泉内閣の骨太方針もこの論理で貫かれ,医療・福祉・教育等あらゆる分野に及ぼうとしています。  今,神戸市政は,震災と不況とリストラの三重苦で苦しむ市民生活を守るため,憲法に保障された住民の生存権を守り,医療・福祉・教育を充実させる市政に転換させることが必要であります。市長の見解を伺います。
     次に,具体的施策について伺います。  小泉内閣の国民に痛みを強いる構造改革は,まず医療制度の大改悪として具体化されつつあります。9月25日に発表された厚生労働省の医療制度改革試案によると,サラリーマン本人の患者負担を2割から3割に引き上げるとともに,老人医療の助成制度を現行の70歳以上を75歳以上に引き上げ,70歳から74歳の負担を1割から2割へ2倍にするなど,高齢者に大きな負担をかけようとしています。さらに,財務省もまた別の改悪案を示しています。こうした動きの中で,現行の国民健康保険や介護保険制度による負担の重さが市民生活にも多くの矛盾を生むことが予想されています。  そこで,まず健康保険制度について伺います。  長引く不況とリストラの中で,失業者の激増と高齢者の生活苦などが原因で保険料を払えない人が1割にも及んでいます。その結果,ことしの6月1日現在,保険証を交付されていない世帯が 7,016世帯,短期保険証の発行が 8,390世帯にも上っています。国民健康保険は,制度そのものが破綻状態にあります。国の補助をもとの45%に戻させることが必要だと思いますが,見解を伺います。  ところが,政府は,制度を改善するどころか,国民健康保険法を改悪し,滞納世帯への罰則を強め,保険証を交付せず,資格証明書の発行を指示しています。これでは,病院の窓口で10割の治療費を支払わなければならないようになり,病院から足が遠のき,結局病状が悪化してしまう可能性があります。国民皆保険の精神にも反します。  保険証は命と健康を守るものであり,全加入者に交付されるべきものであります。資格証明書や短期保険証を発行しないようにされたいのでありますが,見解を伺います。  また,保険料を払いたくても払えない実態があります。不況の中での市民の生活の実態に合わせ,所得制限を引き上げるなど,実際に役立つ保険料の減免制度をぜひ拡充していただきたいのでありますが,見解を伺います。  次に,介護保険制度について伺います。  制度の発足から1年半になりますが,多くの矛盾が浮き彫りになっています。保険料は年金等から強制的に天引きされるにもかかわらず,サービスは十分提供されていません。特別養護老人ホームへの待機者の解消は一向になくなっていません。1割の利用料が払えずにサービスを減らす人が多く,平均で限度額の4割程度のサービスしか受けていません。10月から介護保険料が満額徴収され,2倍に値上げされることにより,矛盾はさらに激化することは必至です。医療費の値上げ,高い国民健康保険料に加え介護保険料の負担が重くのしかかります。  当局は,介護保険制度は国民の相互の助け合いの制度だからやむを得ないとの説明をしてきましたが,切実な願いにこたえて,保険料や利用料を減免する自治体が広がっています。例えば東京都では,62市区町村のうち44の自治体が保険料・利用料の減免制度をつくっています。生活の実態に合わせた保険料の減免制度を拡充し,一般会計の負担とされたいのであります。見解を伺います。  また,特別養護老人ホームの待機者は,1月現在で 2,472名,在宅で 1,029名,当局は平成13年度中に解消すると説明してきました。待機者の解消は,笹山市長の4年前の公約のうち達成していないものの1つであります。いつまでに,どのようにして待機者の解消を実現するのか,展望と計画を示されたいのであります。  次に,震災対策について伺います。  神戸市は,約8カ月にわたり60億円の規模で震災復興記念事業を実施しました。しかし,震災による心と暮らしへの影響は,復興したと記念するどころか,まだ深刻な状況が残っています。  国連の経済的,社会的及び文化的権利に関する委員会は,8月31日に発表した最終見解で,阪神・淡路大震災被災者に十分な支援を行うよう日本政府に勧告しました。その内容は,多くのひとり暮らしの高齢者に各種のケアが必要であると指摘し,日本政府が兵庫県に対し,被災者へのサービスを拡充するよう求めることを勧告しています。それとともに,低所得者が住宅再建のための資金調達でますます困難になっていると憂慮を表明し,継続中のローン返済を援助する実効ある措置をとるよう勧告しています。この勧告は,住宅再建の支援策を国に求める上で大きな励ましになるものです。  住宅再建とローンの支払いへの支援は,まだ未解決の大問題であります。国に対し,その実現を求めるとともに,神戸市独自の対策をつくられたいのでありますが,見解を伺います。  次に,神戸港の軍事的利用について伺います。  今,非核神戸方式に対する干渉が激しくなっています。昨年来,フォーリー元駐日大使やルーダン総領事が,米軍の艦船の神戸港への入港を要求してきました。全国の港への米軍の艦船の入港が激増しています。ことし8月には,横須賀港を母港とする米第7艦隊の艦船が強引に姫路・和歌山・名古屋・清水港に入港しました。  神戸市は最近2度にわたり,非核証明書なしで神戸港への外国の艦船の入港を許可しました。神戸市当局は,市会の非核決議を尊重する,非核神戸方式を守るとの姿勢を示していますが,世界に誇る非核神戸方式はどんなことがあっても守り通さなければなりません。  今,神戸港が直面している問題は,周辺事態法の地ならしのための神戸港包囲作戦が展開されていることであります。テロに対する軍事制裁のため,新たな事態が起こる可能性もあります。当局は,周辺事態法に基づく米軍の艦船の入港要請があれば,法に基づく要請であり,議会と相談して対処すると答弁してきました。しかし,民間船であれ軍艦であれ,入港を認めるかどうかは,港湾管理者である自治体が決めることです。   '75年の市会決議の内容は,核兵器を積んだ外国軍艦の入港を許さないというものですが,その精神は,国際商業港の機能を守り,市民に不安と混乱を起こさせないというものであります。米国による神戸市政への干渉に抗議し,いかなる場合でも米軍による神戸港の軍事的利用を認めないとの自治体の主体性のある姿勢を明確に示すことが必要です。市長の見解を伺います。  最後に,神戸市政と民主主義のあり方について伺います。  震災以降,被災者に対する救援活動や復興事業のあり方に対し,市民から強烈な市政批判がありました。特に神戸空港の建設に対し,30万人を超す住民運動が起こるとともに,今日でもなお神戸空港の計画に問題が多いとの研究や調査が発表されています。年間 420万人の需要予測が過大過ぎるとか,空港島の埋立地はほとんど売れない,大阪湾の環境汚染が進む,管制の安全に問題がある等の疑問が専門家から,また学者から提起され,議会でも繰り返し論議をし,当局の説明を求めてきました。  しかし,当局は,十分な説明責任を果たすことなく,神戸市の計画の正当性を主張し続けてきました。民主主義の社会において,このような事実はどういう意味を持つのでしょうか。  神戸市政とも深いかかわりを持つある学者は,神戸市は対岸から集中砲火を浴びているが,ただひたすらざんごうにこもり,我が道を進んでいるという意味のことを書いていますが,うまく言ったものであります。  私も,全国の空港の土地利用の実態,空港会社の調査をしてきました。また,需要予測,管制と空の安全,埋立地の沈下,大阪湾の汚染問題等で,専門の学者やパイロット・管制官などの研究結果と見解を勉強してきました。そして,市会の審査の中で当局に迫ってきました。しかし,当局は一貫して,ただひたすらざんごうの中にこもり,我が道を行く姿勢に終始しました。  議会の審議というものは,科学的な研究の成果の上に立って議論を交わすことにより,何が真実かというところに到達しなければなりません。議会制民主主義というのは,単に多数決で物を決するだけで終わらせてはなりません。民主主義の社会では,議会の審議を通じ,市民の英知を集め,真理に接近し,よりよい市政をつくり上げることが必要だと思います。神戸市のすべての幹部の方にこのことを理解してほしいと思います。市長の見解を求め,私の質問を終わります。(拍手)  (「議長」の声あり) 56 ◯議長(吉田多喜男君) 笹山市長。 57 ◯市長(笹山幸俊君) 森原議員の質問に,私から1点お答えします。  最後にお話がありました市政に関する問題ですけれども,この問題は,議会と市との問題を非常に分けて考えておられると思います。そういったところから,この過去の経過というものも先ほどお話がございました。議会で決議をしたことについて,実際にやるのは管理者だと,こういうぐあいにはっきり言われております。その議会で議決されたことについて,私どもは忠実と言ったらおかしいですけれども,それぞれの分野でそれぞれの仕事を進めてきたということです。  これをまず否定されておりますので,その点1つの例を申し上げましたら,空港の問題でも,この問題は57年から始まっておりまして,市会で平成2年に全会一致ということで推進決議がされておるわけです。それに対して,平成5年──これはまだ震災前ですね──に,5カ年計画の新規事業として格上げになっているわけです。その段階,この3年ほどの間,全会派の方々は国に要望しておられます。それぞれ要望してこられたわけです。  そういったことで格上げになり,新規事業になり,震災が途中であったからそれはおかしいという──世の中変わったからということだと思います。しかし,そういうことの経過を忘れていただいたんでは,行政──我々としては,一体どうして信用して,議会がこう決めましたからということで仕事ができるんですか。できないです。  ですから,そういうことについて,経過・歴史について,やはりお互いに話し合いをするということは,これは大事なことです。ですから,設置許可については震災後になっておりますけれども,こういった経過があるので,国は,市会あるいは私ども,県会もそうですけれども,行政もみんな寄って要望してきた案件でもあるし,震災による特定事業の中ではなしに,もう既に着工しているという判断をして,この設置許可が出た経緯がございます。  そういったことが私どもにとっては──議会に対しましても,いろいろとお願いして現在までいろんな仕事をさせていただいたわけです。ですから,そのやり方として不備な点も中にはあると思います。市民と直接対話する,その中で話が,議会で決まったことについてまたお話が出る,それに対して反論もします,しかし同意もします,そういったことで前に進めていくというのが,いわゆる参加と対話ということなんです。ですから,それを無視してやってきた覚えはございません。  特に「市長への手紙」,最近ではメールで入ってまいりますけれども,それは必ず私は見ます。そして,ちょっと難しいなという問題については担当に聞くと,こういうことでやってきております。ですから,皆さん方がいろんなご指摘がございますけれども,私の方がむしろ問題点をたくさん知っているんじゃないか,こう私はいつも思っております。ですから,お話が出れば,あっ,あの場所のあの人かなと,こういうのをすぐ判断できるわけです。ですから,そういった点について私どもは対応していくというのが今回の震災直後から問題点として,職員,2万職員がそれぞれの分野で対応してくれているわけです。メールが来れば,すぐメールで返すか,訪問してお聞きするか,電話で聞くか,こういったことを現実にやっておるわけでございますので,皆さんにはその点を理解していただきたいと思います。  特にふれあいトークとか,あるいは市政懇談会,自治会あるいは婦人会,いろんな団体がございます。また,出前トークですね,これは皆さん方がこういうことをやりたいということで集まっていただければ,職員がそこへ出張していく,こういうやり方,またアンケート──アドバイザー,こういった方々との話し合いというのを積極的にやっておりますので,そういった点についての今までの経過・歴史というものを,ある部分はそれは情勢が変わったんだということで議論はしていただいて結構ですけれども,本質的なところでそれは知らないということでは,私ども行政側としては仕事のやりようがないわけですから,ひとつその点はご指摘を受けながらでも,私どもは仕事を進めていくという,こういうことでいきたいと思います。  ですから,最近よく言っておりますように,市民と事業者・市がその役割を自覚するということが1つ,そしてそれを実践するということが入っているわけです。「協働」の「働」という字を変えたのは,そういう意味が入っているわけですので,その点についてそれぞれの役割を,また役割と責任ですね,これを持たないと前に進まないということです。  先ほども申し上げましたように,長と議会といいますのは,もう私から申し上げる必要はございませんけれども,市民の負託にこたえて出ていただいております議会の先生方との話ですから,それにこたえるというのが責務と考えております。ですから,協働のまちづくりなり,あるいは参加・対話,こういったことにつきましては,それぞれの案件で議会のご理解をいただきながら現在まで進めてきたわけです。ですから,一貫してこういったご意見が議会で,きょうもありましたように,あります。それについては真摯に受けとめながら現在まで進めてきたということは,ご承知のとおりでございますし,お答えもしましたし,また実行しなければこれは何にもなりません。そういうことで実行させていただきましたわけです。  議会と──議会制といいますか,議会制度,こういったものと直接的な──先ほどのお話で議会制民主主義と直接民主主義と,そういうものが一緒になってうまく動き出せば非常にありがたい,こう思っております。  以上,私からお答え申し上げました。  (「議長」の声あり) 58 ◯議長(吉田多喜男君) 前野助役。 59 ◯助役(前野保夫君) 私から2点お答えいたします。  まず,福祉行政の市場主義といった点についてのご質問がございました。  今,国において社会福祉の基礎構造改革が進められているのは,もうご案内のとおりでございますが,やはりこれは急速な高齢化現象ということ,特に2025年には4人に1人が高齢化を迎える,こういう本当に超高齢化社会の到来があるということが1つ,それからもう1つは,やはり国民の自立意識といったものも高まってまいっております。こういったことに対応して,要は持続的に社会福祉サービスをどう供給していくかというのが基本でございます。具体的な内容につきましては,福祉サービスの提供の仕組みを,これは森原議員ご指摘のとおりでございますけれども,利用者と事業者の契約に移行して,これもあくまでも利用者本位のサービスの提供を実現するということでございます。  例えて申し上げますと,昨年の4月に開始されました介護保険制度について言いますと,利用者と事業者の契約によってサービスの供給を受ける形になっているわけでございます。また,介護保険制度の導入とあわせて,在宅サービスを中心として必要となるサービスの量的な拡充,それと利用者の選択を可能にするために,従来の社会福祉法人に加えNPO法人・企業など,多様な主体の参入が進められているところでございます。  実際の介護サービスの提供でございますが,こういった民間事業者等が主体となって行っていただいておりますが,あくまでも市は介護保険事業の運営者でございます。したがって,介護保険事業計画を策定し,計画に基づいて介護サービスの充実を進めているところでございます。また,財源につきましても,半分は保険料で賄っておりますが,残りの半分は公費で負担ということがなされているわけでございまして,公としての責任は十分果たしているというふうに考えております。  今後とも国等の制度改革の状況を見据えながら,今市長が申し上げましたとおり,市・事業者・市民の役割分担と,そして社会的な連帯に基づき,市の果たすべき役割を担いながら,ともに支え合う市民福祉社会を実現してまいりたいというふうに考えているところでございます。  それから,もう1点,国連の社会権委員会の勧告についてのご質問がございました。  これも森原議員ご指摘のとおり,国連の社会権規約委員会から最終見解が8月末に出されたわけでございまして,その中で阪神・淡路大震災関連について見解が示されているのは,もうご案内のとおりでございます。見解では,阪神・淡路大震災後の対処に相当の努力が払われた──これは例えば仮設住宅・恒久住宅,そういうものに素早く対応したということに対して評価をしていただいておりますけれども,一方で多くの独居老人が,個人的な注意がほとんど,あるいは全く払われることなく,また全くなれない環境で生活しているといった文言であるとか,あるいは貧困層にとって,みずからの住宅再建資金の調達が困難になっている,そういった懸念も示されているところでございます。  ただ,私どもこういった見解につきましては,これまで実施してまいりましたさまざまな施策が認識あるいは評価されていないというふうに考えているところでございます。例えて申し上げますと,仮設住宅の居住者の方々に対しまして,これは全員の実態調査を行っております。その結果,自立生活が困難な方々に対しましては,特別養護老人ホームなど福祉施設へ優先的に入っていただいております。また,被災者の状況に応じて災害公営住宅に生活復興相談員を配置したり,また高齢世帯支援員をはじめ各種の支援員を設置したりいたしております。さらには,保健婦による災害公営住宅入居者に対する訪問指導,さらには健康相談,こういったものも行っているところでございます。そのほか,こころのケアセンターでの個別相談を行ったりいたしておりまして,市民・ボランティアとともに見守り活動も行っているところでございます。  何よりも私,やっぱり市の職員よう頑張ったと,懸命に汗を流して頑張ったということだけはつけ加えておきたいというふうに思います。  また,住宅の再建につきましても,大量の災害公営住宅を建設いたしました。また,低所得者を対象に10年間,家賃の軽減を行っておりますほか,民間賃貸住宅に入居されている方に対しまして家賃の負担を軽減するほか,既に住宅ローンの償還を行いながら住宅を建設・購入・補修される方に対しましては,利子補給あるいは融資,そういったことの措置を行っているところでございます。  したがって,今回のこの国連の最終見解につきましては,やはり事実に対する認識を欠いた記述があるというふうに言わざるを得ないと考えておりまして,その旨,兵庫県を通じまして国に対しましても,国連に申し入れをしていただくように求めたところでございます。  ただ,そうはいいながら,神戸市といたしましては,今回の勧告にかかわらず,引き続き被災高齢者の見守りを充実するなど,きめ細やかな対応をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  なお,住宅再建の支援につきましては,これも何回もこれまでご説明してまいっておりますけれども,10年の5月に国会で成立いたしました被災者生活再建支援法の附則で「総合的な見地から検討を行うもの」というふうにされていることから,法成立後,国で検討委員会を設置し,報告書をまとめられたり──これは12年12月,報告書がまとめられております。さらには,超党派からなる国会議員で法案の骨子を作成していただいております──これは12年10月でございますが,そのそれぞれに対しまして,神戸市も意見を述べておりまして,現在検討が進められている状況でございます。  神戸市といたしましては,この住宅再建支援については,基本的に相互扶助の観点に立ったそういう新たな制度を一日でも早く創設されるように,引き続き国に対して要望してまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。  (「議長」の声あり) 60 ◯議長(吉田多喜男君) 鶴来助役。 61 ◯助役(鶴来紘一君) 私の方から神戸港の軍事利用の件につきまして,お答えを申し上げます。  この問題についても,先日も市長から本会議でお答えを申し上げました。また,これまでも申し上げておりまして,繰り返しになって恐縮でございますが,神戸市としては,神戸港が今後とも国際貿易港としての役割を果たしていくこと,さらに市民・利用者が安全で安心できる港でなければならないということを十分認識しております。そういうことで,昭和50年3月に市会で全会一致で成りました核兵器積載艦艇の神戸港入港拒否に関する決議,いわゆるご指摘の非核神戸方式,これについては十分尊重して事務を今後とも進めていくということには変わりございません。  また,ご指摘のありました──周辺事態法の話がございました。これは9条に,国以外の者による協力等の規定がございまして,港湾施設等の利用について協力を求められる可能性があるということは,我々も十分承知をいたしておりますが,これにつきましても,森原議員からご指摘がありましたように,法に基づく要請でありますので,市民の安全確保という観点から,具体的な事案に則して議会とも十分相談をしながら対応してまいりたいというふうに思っております。  以上です。  (「議長」の声あり) 62 ◯議長(吉田多喜男君) 梶本保健福祉局長。 63 ◯保健福祉局長(梶本日出夫君) 森原議員のご質問のうち福祉施策の充実について3点,私の方からご答弁申し上げます。  まず,1点目の国民健康保険についてでございますが,保険料の収納につきましては,国民健康保険財政の基本的収入を確保する上でも,また加入者間の負担の公平を図る観点からも,大変重要な課題であると認識をいたしております。  国民健康保険では,他の医療保険と同様,急速な高齢化によりまして老人医療費が増大する一方,長引く経済不況の中で企業のリストラなどによりまして納付資力の低い被保険者が増加をし,給付と負担の関係で運営が困難になってきておる状況でございます。  こういった中で,現在の国民健康保険制度に対して国の財政措置といたしましては,療養に要する給付費の国の負担が 100分の40でございまして,さらに 100分の10を標準といたしまして,調整交付金が交付されることになっております。神戸市では,平成12年度で約50%の国庫負担を受けております。さらに,毎年国に対しまして,国庫負担率の引き上げを含む所要の財政措置を講ずるよう要望してまいっているところでございます。  保険料の減免につきましては,法律に基づくいわゆる法定減免のほか,神戸市の独自の制度といたしまして,所得が前年より大幅に減少した世帯,あるいはまた所得の低い世帯に対しましても実施をしてきております。平成12年度では,国民健康保険加入世帯の約56%の世帯が保険料の減額・減免を受けております。こうした減免措置を含めまして,大変厳しい財政状況の中ではありますけれども,13年度におきましても約 134億円の一般会計からの繰り入れを行いまして,保険料の負担の軽減を図っておるところでございます。  保険料の収納に当たりましては,従来から区役所の窓口相談あるいは徴収嘱託員によります戸別訪問の際に,各世帯の生活実態等をよく聞き取りまして,保険料の納付が困難な世帯に対する保険料の減額あるいは減免あるいは分割納付,こういった相談に応じてきておりまして,きめ細かく対応してきているところでございます。  ご指摘の資格証明書につきましては,昨年の法改正によりまして,任意から義務交付になったわけでございますが,一律に交付するということではなくて,個別に災害あるいは病気,事業の廃止,こういった特別の事情を十分考慮して対応してまいりたいと思っておるところでございます。  それから,2点目の介護保険の市独自の減免制度についてのご質問でございますが,介護保険料につきましては,本市では独自の減免制度として,市民税の世帯非課税の方が属します第2段階の方のうち生活に困窮している方に対する減免を,もう既に実施をしてきているところでございます。  また,昨年の4月からの1年半にわたります国の特別対策がこの9月末で終了したことに合わせまして,より生活に困窮している方を対象にいたしまして,さらに減免を拡充し,基準額の4分の1まで減免を──軽減することによりまして,10月以降も負担がふえないようにする,こういったようなことで国よりもさらに低所得者に対する配慮をいたしまして,実施すべき減免は既に実施をしてきているところでございます。  このような保険料の独自減免につきましては,神戸市では制度発足当初から他都市に先駆けまして実施をしてきているところでございまして,他都市で制度化してきているところの多くは,神戸市の減免制度を参考にしているものと思われます。  保険料の減免の財源につきましては,高齢者全体の負担の中で分かち合いの問題として保険料を財源とすることといたしております。一般財源の繰り入れにつきましては,国におきましても,保険料減免の3原則──これは免除あるいは一律減免あるいは一般財源の繰り入れは,いずれも不適当と,こういった国の保険料減免の3原則がございますので,この中で不適当であると明示しているところでございます。  また,減免を実施している他の7つの政令市につきましては,すべて保険料を財源としておりまして,近隣市におきましても,一般財源を繰り入れているのはまれというのが現状でございます。  こうした保険料の軽減など低所得者対策につきましては,全国共通の課題であることから,13大都市共同で要望してきたところでございます。今後とも引き続き要望を続けてまいりたいと思っております。  それから,3点目の特養の待機者の解消の問題でございますが,これにつきましては13年度中に解消を図ることとしたいということで申し上げましたが,これにつきましては,平成13年1月末時点の特養の待機者 922名,これにつきましては1年以内の入所を希望されておる待機者でございますが,これにつきましては,この8月末現在で 488名の方が既に施設等に入所などされておりまして,残り 434人が待機となっております。この 434人の方につきましては,今年度末までに開設予定の特養が 110床,それから老健施設が 245床,合計 355床と,既設の施設におきますところの自然退所等が約年間 800人程度ございますので,これらによりまして,13年度末までには無理なく解消できるものと考えております。  さらに,ショートステイ床の特養への転換を図っておりまして,ことしの1月には40床,そしてこの10月からは34床,計74床の転換を実施いたしまして,待機者の早期解消に努めているところでございます。  なお,14年度以降の施設整備につきましては,今後の高齢者人口の増加等を踏まえまして,今年度策定予定の新たなこうべの市民福祉総合計画におきまして検討しているところでございます。  以上でございます。  (「議長」の声あり) 64 ◯議長(吉田多喜男君) 森原健一君。 65 ◯71番(森原健一君) 市長から最初,経過を認識してないと言わんばかりのお話があったんですが,よく承知しています。議会と行政との関係も,憲法のイロハですから,自分なりにちゃんと理解しているつもりです。  ただ,低成長の時代に入り,バブルがはじけて,そしてさらに神戸では大震災が起こったという社会経済情勢の大変革の中において,議会が決めたからどうのという形式論理の話じゃなしに,実際の生きた政治の社会の問題として,神戸市は変わらなければならないのに変わらなかったという主張を私はやっとるんです。それは与党の皆さんにも意見がありますけれども,今は市長との討論ですから,それは別の機会にしたいと思います。  そこで,市長ね,そういう中でやはり神戸市は,世の中変わりつつある,開発行政とかということがあちこちで破綻してきた,ましてまちが壊滅的な打撃を受けたときに,空港をつくるというのは,どう考えても──これは象徴的な問題ですけれども,異常な事態だという認識に立たれなかったのかどうなのかということが,全国の1つの珍事として問題になると思うんです。だから,私はそこのところを言っておるわけで,いつも議会の決議とか何とかおっしゃいますけれども,そうではないですね。問題を提起しておるんです。  で,お答えがなかったわけですけれども,そこで民主主義というのは一体何なのか,単なる多数決だけではないでしょうという問題を提起したんです。ざんごうの中にこもらずに,いろいろ科学に基づいて──科学といえば,自然科学もありますし,経済学もありますし,政治学もあると思うんですが,あらゆる専門家がいろんなことを言っておることについて,やはり謙虚に耳を傾けて批判を受け付けて,それに対して反論があれば,科学的に立証して説明をしていく必要があると思うんです。  ただ,もう資料は全部焼却した,しかし我々はこういう計画を持っておる,これは間違いないんだ,正しいんだ正しいんだと言うけれども,一般的に見て,いろんな専門家が見ても,これはおかしいということが否めない事実ですね。こういう問題を通じて,私は神戸市政の民主主義のあり方についてもっと謙虚にならなければならないんではないかという意見を申し上げたんです。  改めてお聞きしますけれども,そういう '90年代と震災以降の情勢の変化の上に立って,神戸市政がこれでよかったのかどうなのか,それからいろいろあった批判に対して謙虚に聞く耳を持たなかったのではないかということについて,どう認識しておられるか,改めてお聞きしたいと思います。  それから,社会保障の福祉の市場化の問題ですけど,これは日本社会全体が,我が党が今までも国政問題も含めて言っておるんですが,公共事業優先型で社会保障が弱いと,これを改めなければならないという大前提になっておるんです。福祉についてのご説明がよくあったんですが,私,理解した前提の上で質問したんですが,また制度の説明を詳しくしていただいたんです。そうではなしに,やはり自立・自助とか民間任せ・市場化ということではいかんではないかということで,質問の中でも具体的なここ数年間の神戸市で行われた事例を挙げて,悪い時流に流されておるんではないかという警告を発したんです。  それで答弁は,やっぱり制度の説明とか財政からの出発で説明をされるわけですけれども,こういう中で市民生活の実態はどうか,それに対して行政はどうこたえていくかという立場での発言が全くないんです。例えば国保料の滞納者が 8,000名からおられますけれども,では当局の皆さん,この人たちはどうなんか,怠け者なのか,どう生きよというのか,どうせよというのか,そこのところ,この制度の矛盾の中で,実態,もう破綻しつつある状況の中で,今の政治と生活の間に矛盾が起こっておるわけですから,こういう実態をどう見詰め,市民の願いにどうこたえるかという角度からご回答いただきたいと思います。これが第2問です。  国連の勧告については,神戸からも代表団が行かれて,資料も提供されて,簡単な,1分30秒の発言しかできなかったとおっしゃるんです。ところが,一方で政府見解というのも,時間をかけてヒアリングをやってますから,国連の委員会が認識を誤っておるということは絶対ないと思います。むしろ政府の説明の方をよく聞いておるわけですね。だから,今の答弁は納得できないし,この住宅再建の問題と,それから神戸港への軍事的利用の問題については,単に神戸市政の問題だけではなしに全国にも…… 66 ◯議長(吉田多喜男君) 森原議員に,質問の途中でありますけれども,時間がもう2分となっておりますので,どうぞ簡潔にお願いします。 67 ◯71番(森原健一君) それで,全国的な問題ですから,だからやはり神戸が自治体としての主張を,主体性をしっかり持って頑張っていただくように,中身については触れませんが,お願いしたい。  それから,国保・介護等については,やはり生活の実態から出発して努力をしていただきたいということをお願いして,2点お願いします。  (「議長」の声あり) 68 ◯議長(吉田多喜男君) 笹山市長。 69 ◯市長(笹山幸俊君) 震災前と震災後をごっちゃにお話をされていると思いますけれども,世の中は変わっていくと,神戸の都市構造も産業構造も変わっていきますというのは,前から,震災前の昭和の末から既に言っていたわけですから,その中でこういった問題が起こったということです。
     だから,前のことは全部パアだということなら──議会は先ほど形式と言われましたけれども,そういうものかなと,私はそう思います。これは非常に残念だと思いますが,議会に対して形式だと,決めることはですよ。そういうことはちょっと議会人としてはおかしいんじゃないかと,私はそう思っております。  特にバブル,震災ということから来て,その後に起こった問題というのは,1つの波の中で当然考えておったとは言いません,震災にかかわる問題はですね。しかし,経済もよくない,生活もよくない,まちの様子もインナー問題が起こってだんだん陳腐化していくということは,既にそれに対応する仕事をやってきていたわけですから。ですから,そういった問題については,その変化に対応していくと。空港の問題でも,むしろ逆に,あのときに空港はやめますと言ったらどうなります。また,地下鉄をやめますと言ったらどうなりますか。そういうことは言わない──言えない。  ですから,皆さん方が決められたことであり,将来そういった時期が来ても,それが神戸市の将来の発展のためになるということは,復興委員会でもそれをある程度認めたわけですね。だから,特定事業に入れなかったわけです。そういう経過がありますんで,そういったことが将来の変化に対応できる大きなプロジェクトだということで申し上げたわけです。  やめたこともありますね。やめたものもあります。地下鉄はやりました。大きな問題は,この2つですね。そういうことについて,あとは──世の中の人は珍事だと,こう言っているようですけれども,それもおかしいと私は思います。ある外国の方に聞いても,各ほかの都市の人に聞いても,あのときの判断はよかったんじゃないかと。震災という痛手をこうむりながら,なおかつ元気を出していこうではないかという励みにもなっておるということです。  例えば国連の話がそこで出ましたけれども,あの問題でもそうですね。どういう説明をされたか知りませんけれども,むしろ私どもが受けている感覚は,外国の方に受けてますのは,神戸であった震災そのものよりは,後の処理をどうしたということについて聞きたいと,世界の人,世界の都市の人を集めますから言うてくれますかと,こう言われたことがあります。これはアルゼンチンでやりますからと,場所まで指定されたことがあるんです。  しかし,それはむしろこういった問題については,私はいい参考ですね,神戸がやったことについては参考として私どもは受け取ってます。それが,国連,どういう評価をしておられますか,知りませんけれども,例えばアメリカで──今回いろいろ想像しますと,ニューヨークの市長は恐らく参考にしていると思います。  以上です。  (「議長」の声あり) 70 ◯議長(吉田多喜男君) 前野助役。 71 ◯助役(前野保夫君) これからの福祉社会でございますが,これは今現在新しい市民福祉総合計画の調査委員会でも議論をいただいておりますが,やはり基本は自立・自助をベースにした,ともに支え合う社会の構築であるというふうに私は考えております。  以上でございます。  (「議長」の声あり) 72 ◯議長(吉田多喜男君) 森原君。 73 ◯71番(森原健一君) 私は,議会が決めたから行政はやるんだという…… 74 ◯議長(吉田多喜男君) 質問はもう遠慮してください。 75 ◯71番(森原健一君) ……ことではなしに,社会の変化に対応すべきではなかったかということを申し上げたんです。  それから,社会保障のあり方についても問題があるということを発言しておきたいと思います。  一応議論は以上にしまして,市長,長期にわたってご苦労さんでございました。 76 ◯議長(吉田多喜男君) この際,暫時休憩をいたします。  午後は1時30分より再開をいたします。   (午後0時25分休憩)   (午後1時33分再開)  (吉田議長議長席に着く) 77 ◯議長(吉田多喜男君) それでは,休憩前に引き続き会議を開きます。  直ちに議事に入ります。  午前に引き続き,議案外質問を続行いたします。  34番粟原富夫君。  (34番粟原富夫君登壇)(拍手) 78 ◯34番(粟原富夫君) 私は,新社会党神戸市会議員団を代表して,笹山市長に質問をいたします。  まず,今回で退任される笹山市長の12年間を振り返って,幾つかのことについて質問をしたいと思います。  その第1点は,市民との参加と対話ということについてでございます。  笹山市長は,初当選された '89年の11月議会の冒頭で,最重要施策として「参加と対話による市民主体のまちづくり」を進めると述べられました。そして,「少数意見や反対意見の人々も含め,市民との対話を十分行い,理解と協力のもとに進めることが自治の原点」だと所信を表明されました。そして,住民運動の代表的存在であった中田さんたちを呼び,何回か市幹部職員との意見交換が行われたと聞きました。  しかし,その後は途絶え,2期目の11月議会では「協働」との理念が強調されるに及び,反対者や少数意見に耳を傾けるという姿はだんだんと希薄になり,むしろ市民の義務が強調される状況となりました。  特に '98年の神戸空港の是非をめぐる住民投票の直接請求時には,35万人という有権者の4人に1人が住民投票で市民みずからの立場や意見を明らかにしようとしたのに対し,市長意見で笹山市長はこれに反対し,しかも直接請求時には,笹山市長への直接請求であるにもかかわらず,広聴課の課長に対応させるなど,他の自治体では考えられない対応をいたしました。そして,市民投票や市長リコールなど,住民の意見の表明を求める運動がその後も展開されましたが,その後は広聴課の係長で対応させるなど,反対者や市役所に意見がある人々には会わないという市長の姿が浮き彫りになりました。  初当選時の「少数意見や反対意見の人々も含め,市民との対話を十分に行い,理解と協力のもとに進めることが自治の原点」だとまで言った笹山市長はどこへ行ってしまったのか,と思わざるを得ないのでございます。  そこで,笹山市長に質問しますが, '89年11月の初当選時の11月議会で表明された反対者や少数意見の人々との対話について,この12年間どう実践されたのか,質問をいたします。  次に,第2点目の開発の抑制について質問をいたします。  笹山市長は,同じ初当選の '89年11月議会で,開発行政批判に答えて,所信表明演説の中で「神戸にとって,海と山は市民にやすらぎと潤いを与えてくれる市民共有の財産」と主張し,公的な開発は「神戸空港をめどに抑制していく。」と言われました。  ところが,笹山市長の就任後,フェニックス事業である六甲アイランド南事業の事業着手がされ,その後,高規格バース建設計画や大規模公園構想など,開発事業は抑制されるどころか,ますます開発事業は拡大される現状にあります。  笹山市長の '89年11月議会の「神戸空港をめどに抑制していく。」という公約はいかに果たされたのか,質問をいたします。  次に,第3点目に,市長の政治性ということについてでございます。  笹山市長の2期目に, '95年1月17日に阪神・淡路大震災がありました。神戸は,戦災と水害そして今回の震災と,3度にわたって大被害を受けました。とりわけ今回の大震災は,単なる大地震による被害というだけでなく,日本では戦後初めての大都市災害です。このような大都市災害は,一地方自治体で解決することは到底かなわないことは,だれの目にも明らかです。したがって,国が大都市災害にいかに対処するかが問われたと言えます。  しかし,震災の対応は,災害救助法や都市計画法など,結局は従来の法律の上に立っての処理で済まされてしまいました。経験のない大都市災害が起こったのに,その処理が特別法でなく,現行法を基本に処理されてしまったということです。したがって,時がたつに従って震災報道が少なくなり,震災が風化されるに従って,他の施策との整合性が問われ,他の自治体との公平性が国によって強調されるという事態を迎えてしまったのです。  したがって,多くの市民を中心に,震災が風化されることがないよう,また震災での多くの死をむだにしないようにと,後世に残すことができる,すべての被災者を救うための公的支援法をつくろうとの市民=議員立法運動が起こったのであります。そして,多くの市民が連日のように国会に駆けつけ,テントを張って泊まり込みまでやりました。公的支援法の成立を求める運動を展開いたしました。しかし,市長は一貫してこの運動の先頭に立つことはありませんでした。   '98年の3月,予算市会本会議で私は市長に,市民立法案の国会成立のために,その先頭に立っていただきたいと質疑しました。それに答えて笹山市長は,私は政治家でなく実務屋でやってきたし,これからもそうありたいと思っている,建設省からもその点を評価されている,と答弁したのでございます。しかし,鳥取の片山知事や長野の田中知事などは,政治家としての立場をはっきりさせて市長を務めておられます。そして,貝原知事も地震共済制度を提案されるなど,政治家としての首長としての立場を明らかにされています。  今回のような未曾有の大震災,そして戦後初めての大都市災害で,その地元自治体の市長としての政治性が一番問われた時期だったと思います。現行法での実務的対応でなく,新しい法律をつくるという政治性が一番問われたと思うのでございます。  笹山市長は,「政治家としての市長」という言葉にどんな感想を持たれるのか,質疑をいたします。  次に,大きな質問の2番目として,有事体制下での非核神戸方式の堅持について,質問をいたします。  日本時間の10月8日未明に,米英の軍隊によるアフガンへの空爆攻撃が開始されました。テロ事件の平和的解決を願っていた多くの市民にとって,極めて憂慮する事態となっております。しかも,アメリカは,この攻撃はアフガンに限ったものではないと表明するなど,世界じゅうが戦争に巻き込まれる危険な国際情勢が生まれております。イスラム諸国では反米デモが続き,ただでさえ政権基盤の弱いアジア・中東諸国では,政変そのものが起きかねない状況となっております。  テロに報復を繰り返せば,その被害をこうむるのは罪もない一般市民でございます。本来,平和憲法を持つ日本政府は,こんな時期だからこそ,戦争でなく平和での解決に全力を挙げるべきです。しかし,日本政府が後方支援を強調すればするほど,周辺事態法の適用も含め,日本が戦争に巻き込まれる可能性が非常に高くなってくると言わなければなりません。そして,核を搭載した米艦船の神戸港入港につながる事態が起こるのではないかと,多くの市民が危惧の声を上げております。  先日の米艦船ビンセンスの姫路入港に対して,海務課長は,あくまで非核証明書の提出なきでは神戸港への入港を認めない,とマスコミに言明されました。このことは高く評価をしております。  ところが,笹山市長は,非核神戸方式は堅持すると言いながらも,記者の質問に答えてガイドライン関連法の発令のような有事を除けば,非核証明書の提出を求めるという今までのやり方を変えることはない,と立場を説明しておられます。これは,有事であれば核の持ち込みがあってもいいと受け取られる発言であります。  日本は,そもそも非核三原則を国是としていますから,有事体制であっても,周辺事態法が発令されようが,この非核三原則は変わっておりません。この非核三原則を実効あるものにしようというのが非核神戸方式であり,有事であっても,当然非核証明書の提出を求める制度に何の変更の必要もないはずでございます。  市長は,さきの本会議で「議会と相談して」と言われましたが,有事の場合であっても,神戸港への核艦船入港を拒否するというのが非核神戸方式であり,非核三原則です。特に周辺事態法と,港の管理者は国でなく地方自治体の長だと定めた港湾法は,法的にも同等の立場に立ち得るものです。したがって,港の管理者である市長の位置は非常に重いものであります。  したがって,あらゆる場合であっても,神戸港には核を持ち込む艦船の入港は認めないと言明すべきであり,さきの記者会見での有事は,という表現については,この場で撤回を表明していただきたい。  以上,新社会党神戸市会議員団を代表しての質問といたします。笹山市長への最後の質問でございますので,ぜひとも笹山市長みずからお答えになるようお願いし,私の質問といたします。(拍手)  (「議長」の声あり) 79 ◯議長(吉田多喜男君) 笹山市長。 80 ◯市長(笹山幸俊君) 粟原議員の質問にお答え申し上げます。  まず,12年間の総括をしていただきました。粟原議員も12年間,実は総括してほしかったわけですけれども……。(発言する者あり)  それは,この総括の中に,まず参加と対話ということでお話がございましたが,午前中にもお答え申し上げましたように,いろんな方法で市民参加の仕組みをつくってきたというのはご承知のとおりだと思いますので,特に申し上げません。しかし,この形成過程,特に計画を決める過程においていろんな審議会がございますけれども,その審議会に市民の代表委員も参画していただいております。これは,それぞれ意見を言っていただくと,こういうことで幅広い市民の意見もその中に含まれておると,私どもはそう考えております。  特に公文書公開の問題も進んでまいりました。この6月に決めていただきまして,12月に施行するという段階に来ております。この情報公開の問題は,非常にいろんな問題を抱えておりますので,これらについての判断といいますか,それぞれ物事によっては変わる場合もありますし,また十分検討しないといけない問題も出てくるんではないかということがございます。  そういうことで今,震災,特に震災から──午前中も申し上げましたように,震災からの話と,それ以前の話とが,いつもこんがらかってくるわけですけれども,特に震災から復興・復旧への過程ということで,まちづくりあるいは生活再建,こういったことについても相当変えておることはご承知だと思います。協議会というのは前からあった,そしてそれに福祉コミュニティもあった,しかしそれに防災をつけた,こういったこと,あるいはふれあいのまちづくりとか区民まちづくり会議,そういったいろんなことで神戸の市民運動,いわゆる元気アップ神戸,こういったこともやってきたわけです。そういうことから,協働のまちづくりというところへ進んできたと,こういうぐあいにお考えいただければと思います。  特に新しいやり方として,出前トークをやっております。これも実績,既にご承知だと思いますけれども,年に1万 4,000~1万 5,000の方々が来ていただいておりまして,いろんな意見を言っていただいております。ことしも,もう既に 320回ほど会合をやっておるわけです。そういうことで,これらについては実質的な参加の方式ではないかということです。  しかし,この問題は,相当やり方等についていろんな意見がございますので,学識経験者あるいは市民代表の方々に市民参加研究会というものをつくっていただいておりまして,既に5月に報告をいただいております。ですから,その報告を十分考えながらやっていこうと。それに出てきたのが,意見提出手続の問題がございます。よく言われますのが──パブリックコメントと,こう言われておりますが,こういったもののやり方,例えばインターネットを使ってどんどんやってくる,こういった問題も出てきます。ですから,広報・広聴,それぞれがそれに対応をすぐにするというのが今回のやり方になっております。  ですから,この問題は,情報公開というのは,いろんな問題で,これも公開できないというような内容も中に出てまいろうかと思いますけれども,こういったことが今後どんどん出てくるんではないか,こう思っております。  それから,六甲南のフェニックス事業,これはもう既に説明しているとおりでございまして,もう既に工事にかかっておりまして,来年の1月から受け入れを開始するということになっております。  ですから,当然ですけれども,バースについては,そのときにも申し上げたと思いますけれども,要請があれば長期的に検討すると,こういうことを申し上げておるわけです。ですから,そういった時代になればということで,平成7年に港湾計画を決定しております。ですから,それまでについては,そういった構想はあっても,具体的に動いたのは平成7年の港湾計画の変更からということで,ユーザーの要請によってつくると。これは,ユーザーといいますのは,その船についての大きさとか深さとか,そういった問題に適合するようにということで考えてきたわけです。  ですから,こういった事業実施については,午前中も申し上げましたように議会の議決,国の認可,こういったものの手続が要りますので,その手続を進めていくのに,午前中のように形式的と言われますとちょっと困ると,こう思っておるわけです。ですから,そういった1つの方針を議会の議決を経てやるというルールを,それは守っていくのが私どもの仕事でもあるわけですので,そういったことについても今後の支援をいただきたい,こう思っております。  特に震災復興あるいは復旧等について,いろんな制度あるいは法律,こういった問題について余り先頭になってやってないではないかと,こういうことでございますが,最初から震災復興委員会──国で設けましたけれども,そこに1回の欠席もなしに,商工会議所の会頭,知事──3者は全部出席をして,それぞれの立場で,それぞれの内容で意見を申し上げてきておるわけです。  この意見を申し上げるときに,私はよく言うんですけれども,制度と法律というものは,ただこんなことがあるからこうしてくださいと,これだけでは通らないわけですね,国は。ちゃんとルールに乗って,法律に対する提案というもの,あるいは制度に対する提案というものを持って行かないと相手にしてくれません。なぜかと,そういう理由も含めてやります。  ですから,私自身のやり方は,やはり実現可能な案というものをつくって,あるいは提案する,そういうやり方になってます。ですから,途中でも,各省にありますいろんな研究会・審議会あるいは報告会,こういったものには必ず出てこいと,こういうことで全部出てやっているわけです。そして,そこでいろんな話を申し上げてきたということでございます。  ですから,その間の生活再建とかいろんな制度つくる場合でも,最初から厚生省は厚生省,いわゆる救助法の改正から都市計画法等の改正,こういった制度の改正,こういったものについてすべて意見を申し上げてきております。ですから,現状のような形で,住宅に関する件については,それぞれ多少残っておりますけれども,これについては今議論がされて,今後それに続く内容のものだと思います。  特に住宅再建と生活再建──特に生活再建については,午前中もありましたように,国連が言っているというようなことを言っておりますけれども,いろんな制度というものをつくって国に要望し,なおかつそれを実施していただいておると,こういうことです。もう余り時間がありませんので,細かくは申し上げませんけれども,いわゆる自然災害に対する補償,あるいは地震災害の共済制度,あるいは国民安心システムといったこと,また災害の相互援護支援基金,こういった問題ですね,こういったものもすべてこちらで,県・市・商工会議所共同で,あるいは10市10町の方々と一緒になってつくって,それを持って行く。行く場所は,それぞれ各省にまたがりますから,代表で行ってくると。それから,指定市の会議あるいは全国市長会,こういったところにもすべて説明をしていく,こういったことをやってきたわけです。  ですから,今回の生活再建支援金についてもそうですし,もっと細かく今現在なっております。年齢等についても対象を緩和していただいたのも,こういった成果の上ではないか,こう思っております。生活再建支援法についても,国会でも成立をいたしておりますので,これはあと内容の問題ということになります。  そういうことで,各知事は政治的に動いておると,こう言われているんですけれども,知事のやる仕事と市町村長のやることとは違います。仕事が第一違います。ですから,同じように判断をしてもらうということはよくないんではないか。  私どもは,市民に対して,いろんな問題があれば──よく職員にも言うんですけれども,いわゆる地をはいずり回ってでも仕事をしていくんだということです。そういうことが職員にとっては──非常に今の職員がやっていただいたという実績ですね。これは国あるいは各地方公共団体の支援もあって,実際に支援に来られた職員が,それをよく知っております。ですから,そういったことが神戸市民,あるいは神戸市の職員のやってきたことについては,長くこれは残るんではないか。世界に向けてそういったことの話をしても,何も恥ずかしいことはない,恥ずかしいことをしてないと,こう私は思っております。  以上です。  (「議長」の声あり) 81 ◯議長(吉田多喜男君) 鶴来助役。 82 ◯助役(鶴来紘一君) 非核神戸方式の件で,私の方からご回答申し上げます。  先ほども,森原議員のときにも申し上げたとおりでございますが,やはり神戸市としては大前提として──いわゆる昭和50年3月の決議,これを前提として今後事務を進めていくというのが,これはもう大前提でございます。  それから,もう1点,有事の場合,言われましたが,いわゆるガイドライン関連法の発令,そういう場合が予想されるわけですが,例えば周辺事態法第9条,そういうような要請がある場合,これはその周辺事態法という法律に基づく要請であるわけでございますので,これについては,やはり市民の安全確保という観点から,具体的な事案等,それに即して議会と相談をしながら対応して──議会の決定に基づいて対応していきたいということを申し上げたわけでございます。  (「議長34番」の声あり) 83 ◯議長(吉田多喜男君) 粟原君。 84 ◯34番(粟原富夫君) そうしたら,再質問させていただきますが,実は残念ながら私が市長にお聞きをしたのは,1つは反対者の意見,例えば少数者の意見というのをくみ上げる努力──実際にはさまざまな事例がこの12年間あったわけですから,その努力の中で,市長はいつも前に出てこられたことはなかったということについて,市長みずからが,反対者の意見も聞いてやるのが自治の原点だということを12年前に言われたわけで,そのことがどのように履行されたのかということを,実はお聞きをしたかったわけです。  しかし,制度として,こういう制度をつくってきましたし,これからの課題で情報公開が,広聴がというふうな回答をされたんですけれども,本質は,市長が本当に前に出て,そういう反対者の意見を聞いて,それを施策に反映する努力ということをどうされてきたのかということについて,私は聞きたかったわけです。  特に直接請求署名運動があった。これは確かに空港反対という思いがあった人もたくさんおられました。しかし,その中には,自分たちで自分たちの神戸の将来について考えたいという思いというのが,実はたくさんあったと思います。それを酌み取る努力というものを,例えば市長みずからができたんではないか。少なくとも直接請求時に,あれだけの署名を持って来られた市民に対して,市長が前に出てそれを受け取るというぐらいの姿勢があってもよかったんではないか。12年前に言われたあの内容であれば,そういう姿勢を示すべきではなかったのか,そういうことに対する反省というものが一切ないではないか,こういう思いがあるから質問させていただきました。そのことについて,ちゃんとお答えをいただきたい。これが第1点です。  そして特に,市長,実は私たちが広聴課に行って,市長と会いたいという話をいたしました。そのときに,ある若い職員が,市長も組織の一部であり,私はその組織の担当として市長のかわりを務めていますと,この人は市長も組織の一部であるというふうに言いました。私はそれに対して,市長は選挙で選ばれているけれども,あなたは選挙で選ばれていますかということを,私は彼に言いました。市長は市民から選ばれたのであって,市職員から選ばれたわけではないわけです。その若い職員には混同がある。行政のまさに組織の末端の人が,組織の1つの庁の中に市長が一緒にいるという発想になっていると思います。  したがって,神戸市が一家意識になっている,率直に言って。この一家意識ということが,反対意見に対しても,それを聞き入れないという体質をやっぱりつくっているんじゃないか,そういう思いを持ちます。  きょう午前中にも質疑がありました。その質疑で,神戸市がやっぱり殻に閉じこもっているということがありました。この一番原因になっているのは,やっぱり神戸市の一家意識ではないか。50年間も助役が市長になり,助役が市長になりを繰り返してきた弊害ということが今出ているんじゃないか。  若い職員,またここにおられる局長の皆さんも,実はだれも市職員以外の市長を見たことがない,こういう現状が,神戸市を守りの神戸市にしているんじゃないか,こういう思いを持ちますが,いわゆる市長さんの──こういう市役所の現状になっているということに対して,笹山市長はどう思っておられるのか,このこともちょっとあわせて質問しておきたいと思います。  そして,もう1つ,市長の政治性の──もう時間がありませんから,もう1点質問させていただきますが,市長の政治性という問題について質問をさせていただきました。先ほど市長は,さまざまな事例を言われて,こういう努力をしたと言われた。しかし,それは──実現可能な提案をするということが市長として非常に大事だったというふうに思ったと,こう言われました。しかし,それは逆に言えば,ある意味で今現在の法律に基づくという立場での提案でしかなかったんではないか。  実は今回の大震災というのは,今までの法律では対応できないような事例がたくさん起こった。そういう意味では,今までの法律では対応できないという問題に対して,やはり政治的な立ち回りということが必要なんではなかったか。そういう意味では,特別的な例えば法律をつくって,震災の問題に対して対応していくだとか,そういうふうな動き方にもっと市長は動いてもらうべきではなかったのか,こういうことを私は言ってます。  市長が何も震災でやらなかったということを言っているんじゃない。そうではなくて,市長は市長としての動き方があったんではないか,そのことを聞かせていただいているわけですから,そういう視点でお答えをいただきたいと思います。  以上2点です。  (「議長」の声あり) 85 ◯議長(吉田多喜男君) 笹山市長。 86 ◯市長(笹山幸俊君) まず,法律を守るということ──守らなくてもいいというお考えのようですけれども,法律を守るということが1つあるわけです。  ですから,いわゆる政治的なということの解釈ですね。どう解釈しておられるのか,私とは全然違うと思います。平たく申し上げましたら,ええ格好すれば政治的やと,こういうような格好に聞こえます。だから,そういうことを望んでおられるのか。実際に制度・法律,そういうものについて,現にその制度について国に相当厳しく言っているわけです。だから,それに対してそういうお考えというのは困ります。
     それから,局長・職員ですね,これは悪い,弊害だとおっしゃってますけれども,なぜ悪いんかということについては,わかりません。私は,職員が一応現場へ行けばですよ,現場へ行けば市長の意思があったと,こういう意思でやっているんだということを自分なりの誇りを持ってやっていただく,これがなぜ悪いかと,こういうことだと思います。  それから,反対者に対する問題ですけれども,たくさんの団体と話をしました。その中には,賛成者ばっかりじゃないんですよ。反対の方,いっぱいおられるわけですから,そういう特定の反対者を入れないと,こういうことでは──それを入れないと,その反対者と話をしてなかったと,こういうのはちょっと言い過ぎではないか,こう思います。  (「議長34番」の声あり) 87 ◯議長(吉田多喜男君) 粟原議員に申し上げますが,既に時間が経過をいたしておりますので,質問は控えてください。 88 ◯34番(粟原富夫君) 今,市長,そういうふうに言われましたけれども,少なくとも35万という大変な数の皆さんが,署名を集めて,自分たちでこのまちのことは決めたいと,こう言ったわけですね。そして,市長と会いたいと言って,市長に対する直接請求なんです。それを広聴課の課長で対応してて,実際に反対者との話し合いをしてきたと,こういうふうに言えるんですか。これは私は率直に言えないというふうに思います。  それと,もう1点,今の政治性の問題です。私は法律を守らないといけないというんじゃなくて,守ったらいかんというふうなことを言った覚えは一切ありません。現在のあの大規模な大震災に対して対応する法律というのは,実際にはなかったんですね。したがって,被災者の支援法というものもみんなで一生懸命運動してつくったわけです。したがって,そういう法律というものがなければ,例えばその法律をつくろうということを一生懸命提言をして,一生懸命その先頭に立って動くというのは,市長としての当然の役割ではないですか,そしてそれは市長としての政治性ではないですかと,こういうことをあの議会のときに質問させていただいたんです。  そのときに市長は,実務屋であり,私は政治家ではない,そういうことをしていただくのは,粟原さん,あなたみたいな政治家がやるべきなんです──こういう政治性,そこに市長としての問題があるんじゃないですか。  市長というのは, 150万市民の,やはり市民を代表して,政治家として当然動いてもらわないといけない,こういう思いがあったから,あのとき質問させていただいたんです。それに対しても,きょうも同じ答弁です。これでは全く納得できません。  そういう思いで私の質問を終わらせていただきます。 89 ◯議長(吉田多喜男君) 次に,36番佐藤けん一郎君。  (36番佐藤けん一郎君登壇)(拍手) 90 ◯36番(佐藤けん一郎君) 私は,自由党市会議員団を代表いたしまして,関西空港株式会社についてお尋ねをいたしたいと思います。  「関空会社廃止を検討 2期工事中止も 施設国有化 民間に運用委託」──自由党ではなくて,これは自民党ですな,自民党行革本部が方針を決定──これはこの9月3日の産経新聞,6段抜きのトップ記事であります。  確かに関西空港は,問題山積であります。激しい不等沈下,予想を3メートル50センチも上回る激しい沈下により,地下水圧によって燃料タンクが破壊をされる,そのため周辺 3.4キロメートルにわたるコンクリートの壁を設置,その費用 272億は,修繕費として計上せずに資産計上して,赤字回避の粉飾決算をしているわけであります。  また,2期工事の土地の造成,1兆 1,400億円という巨額の工事を,みずから行わずに,わずか5億円の資本金の会社を設立して,そこにさせる。関空は,それを借地するだけであります。腰が入っていないのであります。  国際的にも評判が悪い。私の中国の友人は,関空へ──来るときは関空へ来るんですが,帰りは,岡山・広島から帰るんであります。岡山・広島からは,上海・北京・西安・大連・香港,1日両方の空港で2便出てるわけですね,定期便が。関空離れが起きているわけであります。この広島・岡山から中国への1日2便の,週14便の運送は,関空がオープンする前にはなかったんであります。関空がオープンしてから,来るときは関空へ,帰りは岡山・広島から帰る。何を一体全体関空はやってるんだと。  こういう事情の中で,関空から今年度も増資の要請が来ているのであります。これに応じると,神戸市の出資額は40億円を超えてしまうのであります。関西国際空港株式会社法という法律の第4条には,「地方公共団体は,総務大臣と協議の上,会社に──関西空港株式会社ですが──会社に対して出資することができる。」──義務でも何でもないわけであります。出資が可能だということが規定されているにすぎないのであります。  8メートルの沈下が12メートルまで沈下するというような見通しの悪い,無責任な事業に対して,市民の納めた大切な税金を,向こうの要請によって出資をしていく,こんな評判の悪いプロジェクトに出資をしていく,それでも市長としての立場が成り立つのか。  私は,関空の問題が大きな欠陥事業として提起をされてきている現時点で,はっきり出資を断るべきではないかと思うのですが,市長の市民を思う最後の決断・仕事として,これを決められてはいかがかと思いますけれども,市長,いかがでしょうか,ご答弁をいただきたいと思います。  以上です。  (「議長」の声あり) 91 ◯議長(吉田多喜男君) 西川企画調整局長。 92 ◯企画調整局長(西川和機君) 佐藤議員の関西国際空港株式会社に対しましての出資を断るべきではないかというご質問に対して,お答えを申し上げます。  関西国際空港,関西圏における航空需要に対応するというのはもちろんでございますが,我が国を代表するハブ空港として整備を進めつつあることは,ご存じのとおりでございます。関西全体の活性化をさせる,そして関西全体の将来をはかる上では必要な都市基盤という考え方に立っております。  こうした観点から,国あるいは関係自治体──これは12団体ございますけれども,ここで決定されました負担ルール──これは昭和59年にこの負担ルールを決めておるわけでございますが,これに基づきまして出資を行っておるわけでございます。先ほど佐藤議員からお話しございましたように,13年度予算の段階では46億円の出資ということで,40億を超えているのは,そのとおりでございます。  それで,この関西国際空港の経営基盤の問題につきましては,1つは,2期事業について事業費の削減ということで 1,400億,そしてまた段階的施工をしていくということで,事業費圧縮をするということで 3,100億,計 4,500億の削減あるいは先送りをするという国提案が先ごろ出ておりまして,地元の各自治体といたしましても,新たな負担を伴わないという,こういう範囲内で会社の経営改善の強化ということで,経営基盤の強化という点で必要な協力を行っていこうと,こういうようになっているわけでございます。  それに加えまして,先ほど佐藤議員からご指摘がございました9月3日付の産経新聞の記事でございますけれども,確かに記事には「関空会社廃止 2期工事中止も」という見出しは躍ってはおりますが,この内容は,空港島など既存施設を国有化し,施設整備・運用を民間委託するという案が,自民党本部内で最有力のものとして浮上しているという,中身はこういう中身でございまして,その後9月の下旬になりまして,国土交通省の扇大臣から,成田・関空そして中部の3国際空港につきまして,いわゆる用地の下物部分,そしてターミナルビルなどの上物部分,これをそれぞれ分けまして,別々の法人に分離して保有するという,上下分離方式を導入する考えが示されております。これは,今議員がおっしゃいました,自民党の行革本部で出ておった案に沿った考えかなというような感じがいたしております。  詳細はまだ決まっておりませんが,この上下分離方式につきましては,これまで地元の財界あるいは我々自治体が,関空の経営基盤の強化ということを強く求めてきておりました,この流れに同じ方向にあると私は受けとめております。  したがいまして,今後,関係自治体と連携を図りながら,関西国際空港につきましては,新たな地元負担を伴わないという,こういう前提条件の上で,さらなる経営改善を国に対して要望してまいりたい,こういうように考えております。  以上でございます。 93 ◯議長(吉田多喜男君) 佐藤議員に申し上げますが,時間が経過いたしておりますので,発言はご遠慮ください。 94 ◯議長(吉田多喜男君) 次に,18番高山晃一君。  (18番高山晃一君登壇)(拍手) 95 ◯18番(高山晃一君) 早速始めたいと思います。神戸市庁舎に関してお伺いをしたいと思います。  先日の市会本会議で私は,神戸のまちににぎわいがない原因の1つに,都心部・旧居留地周辺の大半をオフィスビルが占めていることが考えられる,今後臨港地域に住宅が確保され,人が暮らし,食事を楽しむ,そうなるべきではないかといった発言をいたしました。  まちのにぎわいを取り戻す1つの方策として,夕方5時半を過ぎると人が帰ってしまうオフィスビルの代表格である市庁舎をポートアイランド2期へ移転して,跡地に住宅などを確保してはどうかと私は考えているのですが,これについては別の機会に伺うとしまして,きょうは理想的な市庁舎の姿について,笹山市長のお考えを伺いたいと思います。  1つの見方・とらえ方ではありますが,市庁舎というものは,市行政の姿勢を具体的に表現したシンボル的な意味合いが強いと思います。私は,先日神戸市史を読み,神戸市庁舎の変遷,市庁舎1号館の建設に至った経緯などについての概要を知りました。市役所1号館が完成した平成元年当時,日本一だったでしょうか,とにかく超高層ビルとして評判になり,港神戸のランドマークとして親しまれました。時代の象徴であったようにも思います。  しかし,バブル崩壊後,特に震災後,この1号館を見上げるたびに,私は何か違うのではないかというイメージを受け,現在に至っております。天空にそびえ立つ御影石で覆われたその重厚な姿は,自然との調和・融合を大切にする東洋的な感覚とも少し違うような気がします。  笹山市長は,日ごろより,市民に開かれた行政,市民・事業者・行政の役割分担による協働のまちづくりを進めていこうとおっしゃっておられます。しかし,それらとも,私がこの市役所1号館から受けるイメージは,率直に申し上げてどうも合致いたしません。やはりこの市庁舎1号館からは,市民と行政との距離が遠いのではないか,そんな印象を受けてしまいます。  感覚的なお話が先行しましたが,別の視点からも述べてみます。日本を5年でIT先進国にするといった声が,中央政府から聞こえてきます。ITの必要性が叫ばれ続けていますが,ITによってどのように収益を生み出すのか,産業を成立させるのか,これが日本の,そして神戸の大きな課題です。この課題解決のかぎを握っているのが行政ではないかと,私は考えています。行政手続を電子化する,ペーパーレス社会を構築する,個人認証を電子的に行うなどなど,行政みずからが自己変革しようとすることが,神戸経済の活性化につながるのではないかと考えます。  IT社会の構築には,計画に従って法律も教育も変え,細かな軌道修正もしなければなりません。ですから,早くとも20年はかかると言われています。IT社会の構築ということを考えましても,現在の市庁舎の形・立地では限界を感じます。また,環境への配慮という点においても,現在の市庁舎の形・立地では限界を感じます。  市民に開かれた行政,市民・事業者の役割分担による協働のまちづくり,IT社会を牽引する行政などを実現する理想的な市庁舎の姿を,私なりにイメージしてみました。  簡単に申しますと,ポートアイランド2期のような敷地に制約されない場所で,柱も,そして部屋と部屋との仕切り,廊下と部屋との仕切りもない,広大な工場のような建物にフラットなオープンスペースを確保する。その中で自由に席がえ,組織の拡大・縮小ができ,市民に開かれた,階段といったバリアはもとからない。現在の組織・人員をそのまま持っていけば,10ヘクタールほどの巨大な建物になってしまうでしょうが,仕事が完了した部局や,ITの推進によってあいたスペースをNPOやベンチャーに提供するなどして,市民やNPOと共有するスペースを徐々に広げていく,そのようなイメージになりました。笹山市長,いかがでしょうか。  そこで,お伺いしますが,笹山市長の現在の市庁舎に対する評価と,笹山市長は理想的な市庁舎の姿・形をどのようにお考えになっているのか,ご見解をお伺いいたします。  以上です。  (「議長」の声あり) 96 ◯議長(吉田多喜男君) 金芳行財政局長。 97 ◯行財政局長(金芳外城雄君) 高山議員の理想的な庁舎の形について,私からお答えをしたいと思います。  市庁舎に求められる機能としては,何よりも市民サービスを基本に据えた市民の利便性,あるいは他の官公署との近接性,また最近では特に災害時における防災拠点としての機能などが求められているところでございます。  現在の市庁舎は,交通の利便性は言うまでもなく,親しまれる庁舎として1号館では展望ロビーを設け,市民開放により年間約18万人の利用をいただいております。また,ご承知のように,あの大震災も,この1号館があったから乗り切れたものと信じております。また,国・県の行政機関も近く,震災も経て防災機能もさらに充実させております。以上のような現庁舎は,市民にとって利便性の高い庁舎として,機能を十分に発揮しておると考えております。  今後とも市庁舎が市民に親しまれ,市民満足度を高めるよう,ハード・ソフト両面にわたりまして一層努力してまいりますので,ご理解をお願いしたいと思います。  以上です。  (「議長」の声あり) 98 ◯議長(吉田多喜男君) 高山君。 99 ◯18番(高山晃一君) 市長の理想的な市庁舎の姿についてお伺いしたんですけれども,それについての答弁をお願いします。  (「議長」の声あり) 100 ◯議長(吉田多喜男君) 笹山市長。 101 ◯市長(笹山幸俊君) 一般的には日本人が非常に好むであろうという庁舎のあり方ですけれども,これはヨーロッパのまちに行きますと,市庁舎というのは大体古い建物をそのまま置いて,事務は別のところでやると,それで幹部の人が2~3人おるだけと。その建物全体は,ギャラリーであったり,あるいは皆さんがワイワイ言うところであったり,そういった形式が非常に多いですね。  ですから,そういうことを考えれば,その方がいいのかなと,こう思っておりますが,今からはそのIT革命で,1つのコンパクトなところで大きな仕事ができる時代になってますから,先ほどのように広い場所がもしあるとすれば,それは一般に開放したらいいんじゃないか,こういうような気はします。  (「議長」の声あり) 102 ◯議長(吉田多喜男君) 高山君。 103 ◯18番(高山晃一君) なぜこういう質問をいつもするのかと言うと,やっぱりこの議会という場所は,非常に実務に沿った仕事をしなければいけないということはわかっていますが,非常に今,神戸の経済は冷え込んで,市民も非常に心が冷えている,そんな中でやっぱり理想を語るとか,そして神戸市行政が本気になって構造改革をやろうと,そういう姿勢が市民に伝わってくる,そういうことも今求められているのではないか,そんな思いがあって,こういう質問をさせていただきました。  以上で終わります。 104 ◯議長(吉田多喜男君) 以上で質問は終わりました。  以上で本定例市会に提案されました案件は全部終了いたしました。  この際,市長より発言の申し出がありますので,許可いたします。  笹山市長。  (市長笹山幸俊君登壇)(拍手) 105 ◯市長(笹山幸俊君) 閉会に当たりまして,一言お礼を申し上げます。  本定例市会におきましては,平成12年度公営企業会計決算の認定及びその他の案件をご提案申し上げましたが,議員各位におかれましては,終始熱心にご審議を賜り,すべて原案どおり決定していただきました。厚くお礼を申し上げたいと思います。  また,委員会におきます要望事項は言うまでもなく,本会議及び委員会審議におきまして賜りました貴重なご意見は,その趣旨を十分尊重いたしまして,市政運営に反映していきたいと存じます。  さて,皆さん方も既にご承知のように,私の市長の任期も,あと一月余りとなりました。平成元年11月より3期12年間にわたりまして,議員の皆様方のご支援・ご指導を賜りながら市政を担当させていただきましたが,特に震災以降,非常に解決すべき多くの課題に直面いたしました。市民生活の一日も早い復興と,神戸のまちの復旧・復興のための数多くの施策についてご議論をいただいたほか,国等への要望活動についてもご尽力を賜りました。  議員の皆様方の力強いご協力・ご支援によりまして,ここまで復興することができましたことは,深く感謝いたします。  引き続き,残された課題解決に向けて,残る期間を力いっぱい務めてまいりたいと思います。  最後になりましたが,議員各位の一層のご健勝をお祈り申し上げまして,ごあいさつといたします。  本当にありがとうございました。(拍手) 106 ◯議長(吉田多喜男君) 市長の発言は終わりました。  これをもって平成13年第3回定例市会を閉会いたします。   (午後2時28分閉会) 神戸市会事務局 Copyright (c) Kobe City Assembly, All Rights Reserved. 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