神戸市議会 1996-09-24
開催日:1996-09-24 平成8年第3回定例市会(第2日) 本文
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(
浜本議長議長席に着く)
◯議長(浜本律子君) ただいまより本日の会議を開きます。
これより議事に入ります。
日程によりまして,日程第1 予算第26号議案より日程第39 第 118号議案に至る39件,一括議題に供します。
2 ◯議長(浜本律子君) これより委員会審査の経過並びに結果について,
関係常任委員長の報告を求めます。
まず,
総務財政委員会委員長福浪睦夫さん。
(39番福浪睦夫君登壇)
3 ◯39番(福浪睦夫君) ただいま議題となりました諸議案中,本
委員会所管分の予算第26号議案の関係分,第82号議案から第90号議案に至る9議案及び第 103号議案から第 118号議案に至る16議案,以上合計26議案について,一括ご報告申し上げます。
まず,予算第26号議案の関係分は,
西北神地域等開発基金の造成,財団法人阪神・
淡路大震災復興基金への補助の増等に伴い,予算を補正しようとするものであります。
次に,第82号議案は,
公有水面埋め立てに伴い,本市の区域内に新たに土地が生じたことを確認しようとするものであり,
第83号議案は,住居表示を実施する区域を追加し,当該区域における住居表示の方法を街区方式としようとするものであります。
次に,第84号議案は,宅地造成等に伴い,町及び字の区域並びにその名称を変更し,並びに町の区域を新たに画そうとするものであり,
第85号議案は,区役所出張所の所管区域を変更するに当たり,条例を改正しようとするものであります。
次に,第86号議案は,恩給法等の一部を改正する法律の施行により恩給年額の改定等が行われたことに伴い,本市の恩給及び年金についても,これに準じて改定しようとするものであります。
次に,第87号議案は,輸入の促進及び
対内投資事業の円滑化に関する臨時措置法,いわゆるFAZ法に基づき,神戸市内の輸入促進地域において,一定の輸入関連施設を対象として固定資産税の不均一の課税をするため必要な事項を定めるに当たり,条例を制定しようとするものであります。
次に,第88号議案は,本市所有の土地を
都市山麓グリーンベルト整備事業用地として,
また,第89号議案は,西区神出町の北財産区所有の土地を一般国道 175
号神出バイパス改築事業用地として,それぞれ建設省へ売却しようとするものであります。
次に,第90号議案は,
舞子ビラ新本館の建設等を土地信託方式で実施しようとするものであります。
次に,第 103号議案から第 118号議案に至る16議案は,いずれも
工事請負契約案件であります。
委員会は審査の結果,いずれも原案を承認することに決定いたしました。
以上,報告を終わります。
4 ◯議長(浜本律子君) 次に,
文教経済委員会委員長安達和彦さん。
(23番安達和彦君登壇)
5 ◯23番(安達和彦君) ただいま議題となっております諸議案中,本
委員会所管分の第93号議案について,ご報告申し上げます。
本件は,平成9年春に
神戸ファッション美術館を開設するに当たり,公の施設の設置及び管理に関する事項,その他必要な事項を定めるため,条例を制定しようとするものであります。
委員会は審査の結果,原案を承認することに決定いたしました。
以上,報告を終わります。
6 ◯議長(浜本律子君) 次に,
民生保健委員会委員長西下 勝さん。
(52番西下 勝君登壇)
7 ◯52番(西下 勝君) ただいま議題となっております諸議案中,本
委員会所管分の予算第26号議案の関係分,第91号議案,第92号議案について,一括してご報告申し上げます。
まず,予算第26号議案の関係分は,
環境保健研究所の災害復旧に伴い,予算を補正しようとするものであります。
次に,第91号議案は,
神戸高齢者総合ケアセンターの開設に当たって条例を制定しようとするものであり,
第92号議案は,優生保護法の改正に伴い,神戸市
優生保護相談所条例を廃止しようとするものであります。
委員会は審査の結果,いずれも原案を承認することに決定いたしました。
以上,報告を終わります。
8 ◯議長(浜本律子君) 次に,
都市建設委員会委員長武貞健治さん。
(64番武貞健治君登壇)
9 ◯64番(武貞健治君) ただいま議題となっております諸議案中,本
委員会所管分の第94号議案から第96号議案に至る3議案について,一括ご報告を申し上げます。
まず,第94号議案は,鈴蘭台北町1号線ほか 114路線を市道として認定し,部第6号線ほか26路線等を廃止するとともに,灘駅前線ほか3路線を変更しようとするものであり,
第95号議案及び第96号議案は,真陽地区及び大道周辺地区で進められている都市計画事業に伴う
従前居住者用住宅の建設を,神戸市
住宅供給公社に委託しようとするものであります。
委員会は審査の結果,いずれも原案を承認することに決定いたしました。
以上,報告を終わります。
10 ◯議長(浜本律子君) 次に,
港湾交通委員会委員長吉田多喜男さん。
(69番吉田多喜男君登壇)
11 ◯69番(吉田多喜男君) ただいま議題となっております諸議案中,本
委員会所管分の予算第27号議案について,ご報告を申し上げます。
本件は,
高速鉄道建設費の増及び
交通事業基金造成に伴い,予算を補正しようとするものであります。
委員会は審査の結果,原案を承認することに決定いたしました。
以上,報告を終わります。
12 ◯議長(浜本律子君) 次に,
住宅水道委員会委員長大西きよじさん。
(54番大西きよじ君登壇)
13 ◯54番(大西きよじ君) ただいま議題となっております諸議案中,本
委員会所管分の第97号議案から第 102号議案に至る6議案について,一括してご報告申し上げます。
まず,第97号議案は,市営住宅用地及び
老人福祉施設用地として,垂水区名谷町の土地を買い入れようとするものであり,
第98号議案及び第99号議案は,中央区脇浜海岸通の
東部新都心地区内において,
災害公営住宅等及び
従前居住者用賃貸住宅の建設工事を,それぞれ住宅・都市整備公団に委託しようとするものであります。
次に,第 100号議案は,旅費条例の改正等に伴い,条例の一部を改正しようとするものであり,
第 101号議案は,
非常勤消防団員等に係る損害補償の基準を定める政令の改正等に伴い,条例の一部を改正しようとするものであり,
第 102号議案は,
消防団員等公務災害補償等共済基金法施行令の施行に伴い,条例の一部を改正しようとするものであります。
委員会は審査の結果,いずれも原案を承認することに決定いたしました。
以上,報告を終わります。
14 ◯議長(浜本律子君) 以上で
関係常任委員長の報告は終わりました。
委員長の報告に関し,ご質疑はございませんか。
(「なし」の声あり)
15 ◯議長(浜本律子君) ご質疑がなければ,これより討論の通告がありますので,順次発言をお許しいたします。
52番西下 勝さん。
(52番西下 勝君登壇)(拍手)
16 ◯52番(西下 勝君) 私は,
日本共産党市会議員団を代表して,第87
号議案輸入促進地域における固定資産税の不均一の課税に関する条例の件に反対し,以下,その理由を述べます。
同条例は,輸入の促進及び
対内投資事業の円滑化に関する臨時措置法を神戸市に具体的に適用しようとするもので,
輸入促進基盤整備事業と
輸入貨物流通促進事業によって設置される施設に対して,土地・家屋・構築物などの固定資産税を3年間を限度に減額しようとするものであり,最高で年間9割の固定資産税を軽減することになっているのであります。3年間を通算すると約6割の税を減免すること,あわせて
輸入促進基盤整備事業に民活補助金や
産業基盤整備基金からの出資も行われるのであります。
今回提案されている議案は,進出企業に対して,地方としても税制面での優遇措置を講じるもので,こうした事業に対応できる企業の圧倒的多数は,大手の商社や物流業者であることは明らかであります。
そもそもFAZ法とは,日米構造協議の中で,アメリカの輸入圧力拡大や,海外に移転した日本大企業の逆輸入拡大の要請を具体化したものであります。大企業本位の
産業基盤整備を図り,大企業には至れり尽くせりの優遇措置を講じるものであります。産業空洞化を促進し,地方の中小企業や地場産業の振興にも,震災復興にもつながらないのであります。
神戸市では,1993年3月に
神戸市域輸入促進計画を策定しております。同促進地域として,東灘から須磨区までの6行政区を定めているのであります。この計画に基づいて,
輸入促進基盤整備事業で,1
神戸航空貨物ターミナル,2冷蔵倉庫団地,3
六甲国際流通センターを建設するとしており,
六甲国際流通センターを除いては,既に業務を開始しているのであります。
今回の条例改正は,1996年3月の法改正により,新たに前述の事業に係る民間企業にも同法が適用されるようになったことに対応するものであり,産業空洞化の基地としての問題点をさらに拡大し,被災地神戸をはじめ国内の中小企業と地場産業に多大の影響を及ぼすものであります。
この間の政府の輸入促進政策で,競争力の弱い中小零細企業はどのような事態になっているかは,神戸の代表的な地場産業である
ケミカルシューズ業界を見れば明らかであります。
今,市が力を入れるべきは,大震災の被害から生活・営業の再建に必死の努力を続けている
市内中小零細業者に対する支援施策の充実であります。地場産業の振興発展策の充実であります。
以上,第87号議案に反対する理由を述べて,討論といたします。(拍手)
17 ◯議長(浜本律子君) 次に,20番佐藤けん一郎さん。
(20番佐藤けん一郎君登壇)
18 ◯20番(佐藤けん一郎君) 私は,ただいま上程をされております第95号議案真陽第二
住宅建設工事委託契約締結の件並びに第96号議案大道第四
住宅建設工事委託契約締結の件,この2議案に反対の討論を行い,議員諸公のご賛同を求めるものであります。
まず,この2つの議案は,神戸市が大切な市民の税金を巨額に投入する建築あるいは土木工事の発注において,条例すなわち市会の議決に付すべき契約及び財産の取得並びにその処分に関する条例の精神に違反をしていると,この点であります。
私たちは,この巨額な5億円を超える工事の発注については,神戸市長並びに
神戸市議会ともに,全責任を持ってその名において,市長の名において工事業者を決め,その工事業者に発注をするということを議会で議決をするのが基本的な態度であります。
それにもかかわらず市長は,この2議案において,総額で16億円を超えるわけでございますが,実際に工事をする業者を定めることなく,この2つの工事を神戸市
住宅供給公社なる組織団体に預けてしまう。どこに発注するかも含めて,幾らで発注するかも含めて預けてしまう。もちろんこの
住宅供給公社には,今申し上げましたように第95号議案では11億 4,400万円,第96号議案では5億 3,800万円という金額を指し示しているわけでありますが,これを上限として幾らで発注してもいいよと,こういうことで預けてしまっているわけであります。
私どもが,従来神戸市が直接発注をしている住宅,そしてこのように外郭団体を経由して発注している住宅のそれぞれの平米当たりの単価を調査いたしますと,明白に
住宅供給公社を通して発注をしたものが業者の請負金額が安くなっている,こういう事実があるわけであります。
これは結局
住宅供給公社に対して一定の利益を供与するという結果をもたらしているわけでありまして,これは市長がなすべき工事発注契約を条例で規定しておりますが,その精神に反するものだ,このように私たちは判断をいたし,納得ができないという意見を有するに至ったわけであります。
いま1点は,今回提案の委託先である神戸市
住宅供給公社の
経理処理システムが,
地方公営企業法の精神から比較をしても問題の多い組織だ。要するに経理処理がでたらめではなかろうかという疑いを抱かざるを得ないような
経理処理システムになっている,こういうことであります。
この
住宅供給公社が私たちに,
外郭団体審査資料として出してきておりますものを見ますと,全く
地方公営企業法の精神から離れているわけであります。
それでは,
地方公営企業法の精神とは何ぞやということでございますが,
地方公営企業法はその第2条第1項及び第2項で,8つの事業を限定列記をいたしまして,すなわち1.水道事業,2.
工業用水道事業,3.軌道事業,4.
自動車運送事業,5.鉄道事業,6.電気事業,7.ガス事業,並びに第2条第2項で病院事業です。この8つの事業を特定し,限定列記をいたしまして,
地方公営企業法を適用すると,これを義務づけているわけであります。
ところが,その第2条の第3項で,それ以外の
地方公共団体が経営する事業については,この
地方公営企業法の規程の全部または一部を適用することができるということを,特に第2条の第3項で規定をしているわけであります。
これは適用を義務づけはしないが,適用することが望ましいということを精神的規定として記載をしているものだというふうに解釈をするものであります。
したがって,神戸市
住宅供給公社もその基本財産は全額を神戸市が出資をしているわけでありますから,れっきとした神戸市が経営する事業であります。公営──公共団体が経営する事業──この
地方公営企業法はそういう表現を使っておりますが,れっきとした
地方公共団体が経営をする事業であります。したがって,この規程の全部または一部を適用することができると,こうなっているわけですね。
それでは,実際に経理関係の問題についてこの
地方公営企業法はどのような規定をしているかということでございますが,これは
地方公営企業法の別表第1に細かく勘定科目が規定をされております。しかも,
地方公営企業法施行規則の第2条の2の第2項は,
地方公営企業法が適用しなければならないと規定している8つの事業以外のものも,別表第1号,要するに勘定科目を細かく──後でまた申し上げますけれども,勘定科目を細かく規定をしている別表第1号及び民間事業の勘定科目の区分を考慮して区分しなければならない──これは義務規定です。
要するに本法の方で──その第2条の第3項で全部または一部を適用することができると規定して,一方で施行規則では民間事業の勘定科目の区分,あるいは別表第1号の区分を考慮して──考慮という字が入ってますけれども,考慮して区分をして表示しなければならない,こうなっているわけですね。
それでは,一体どういうことが記載をされているかと申しますと,これは8つ事業があって,8つそれぞれについて勘定科目が細かく分かれておりますが,その1つとしてたまたまここにあります病院事業を取り上げますが,病院事業では
病院事業費用が款であります。その下の医業費用,これが項であります。そして,経費という目がある,その経費はさらに17の節が記載をされているわけであります。
ちなみに申し上げますと,厚生福利費,報償費,旅費交通費,職員被服費,消耗品費,消耗備品費,光熱水費,燃料費,食料費──いわば交際費でございますが食料費,印刷製本費,修繕費,保険料,賃借料,通信運搬費,委託料,諸会費,雑費,この17項目に細かく分かれている。これを考慮して,区分して総額費用を分けて表示をしなければならない。
これが
地方公営企業法の精神であり,当然に神戸市
住宅供給公社もこのような表示をしなければならないにもかかわらず,私が今読み上げました費用のうち,神戸市
住宅供給公社は,
病院事業費用に相当する各事業の費用としか書いてなくて,その中の項目は,事業費用と事業外費用の2つに分けただけであって,給与費もわからなければ,材料費もわからなければ,経費もわからない。目についても書いてない。いわんや目の下にありますところの私がただいま読み上げました17の節については,全く記載していないわけであります。
こういういいかげんな経理処理しかしていない団体に,なぜ多額の市民の税金を投入する工事の発注をするのか,全く理解ができないのであります。
以上をもって私どもは,第95号議案並びに第96号議案の2議案に対しましては賛同しかねるわけであります。
ひとつ議員諸公におかれましても,ご賛同くださいますように重ねてお願いを申し上げまして,私の討論といたします。(拍手)
19 ◯議長(浜本律子君) 以上で討論は終わりました。
これより順次お諮りいたします。
最初に,第87号議案を起立により採決いたします。
本件を委員長の報告どおり決することに賛成の方の起立を求めます。
(賛成者起立)
20 ◯議長(浜本律子君) 起立多数であります。
よって,第87号議案は,原案のとおり可決いたしました。
21 ◯議長(浜本律子君) 次に,第95号議案及び第96号議案を起立により採決いたします。
本件を委員長の報告どおり決することに賛成の方の起立を求めます。
(賛成者起立)
22 ◯議長(浜本律子君) 起立多数であります。
よって,第95号議案及び第96号議案は,いずれも原案のとおり可決いたしました。
23 ◯議長(浜本律子君) 次に,予算第26号議案,予算第27号議案,第82号議案より第86号議案に至る5議案,第88号議案より第94号議案に至る7議案,及び第97号議案より第 118号議案に至る22議案,以上合計36議案について,お諮りいたします。
本件は,委員長の報告どおり決しまして,ご異議ございませんか。
(「異議なし」の声あり)
24 ◯議長(浜本律子君) ご異議がないと認めます。
それでは,予算第26号議案,予算第27号議案,第82号議案より第86号議案に至る5議案,第88号議案より第94号議案に至る7議案,及び第97号議案より第 118号議案に至る22議案,以上合計36議案は,いずれも原案のとおり可決いたしました。
25 ◯議長(浜本律子君) 次に,日程第40 「請願の審査結果について」を議題に供します。
26 ◯議長(浜本律子君) これより委員会審査の経過並びに結果について,委員長の報告を求めます。
総務財政委員会委員長福浪睦夫さん。
(39番福浪睦夫君登壇)
27 ◯39番(福浪睦夫君) ただいま議題となりました請願第54号について,ご報告申し上げます。
本請願は,今後とも税負担の上昇は不可避の状況にあると懸念されるところから,平成9年度の評価替えに当たっては,固定資産税・都市計画税の評価額及び課税標準額を実情に沿って見直すとともに,政府に対し,意見書の提出を要望する趣旨であります。
委員会は審査の結果,本請願を採択すべきものと決定いたしました。
以上,報告を終わります。
28 ◯議長(浜本律子君) 以上で委員長の報告は終わりました。
委員長の報告に関し,ご質疑はございませんか。
(「なし」の声あり)
29 ◯議長(浜本律子君) ご質疑がなければ,本件は委員長の報告どおり決しまして,ご異議ございませんか。
(「異議なし」の声あり)
30 ◯議長(浜本律子君) ご異議がないと認めます。
それでは,請願第54号は,委員長の報告のとおり採択することに決定いたしました。
31 ◯議長(浜本律子君) 次に,日程第41 議員提出第25号議案及び日程第42 議員提出第26号議案を一括議題に供します。
32 ◯議長(浜本律子君) これより,順次提案理由の説明を求めます。
まず,議員提出第25号議案について,18番佐伯育三さん。
(18番佐伯育三君登壇)(拍手)
33 ◯18番(佐伯育三君) 私は,議員提出第25号議案消費税率の引き上げに関する意見書提出の件につきまして,提案者を代表いたしまして,提案理由の説明を申し上げます。
政府は,消費税の税率を現行の3%から5%に,来年の4月1日から引き上げることを閣議決定いたしましたが,これについては各方面から不満の声が上がっており,国民の十分な合意が得られているとは言いがたい状況であります。
確かに平均寿命が延びる一方,少子化が進み,近い将来必ず到来する超高齢化社会に備え,所得・消費・資産それぞれに対する課税のバランスを図りながら,長期的に安定した税財源を確保していく必要があるということについて,異論を挟むものではありません。
しかし,国民に対し新たな負担の追加を求めるのであれば,政府みずからがその前に,歳出削減に向け,特殊法人の整理統合や中央省庁の再編成をはじめ,徹底した行政改革に汗を流すべきではないか,また税率をアップすれば,物価が上昇して,緩やかながらも回復基調にあると言われる景気に水を差し,再び不況に陥るのではないか,消費税が基本的に有している逆進性がより強まることについて,その緩和策を考えているのか,あるいはまた勤労者に著しく偏った不公平な現行税体系のゆがみが一向に是正されていない中で,まず先に税制全般にわたって課税の適正化に取り組むべきではないのか等々,国民に対して示すべき努力を怠っているのであります。
そして,何よりもこの被災地神戸において,このまま税率をアップするだけで,それに対応する救済措置を講じないのであれば,復興に向けた市民の活力にブレーキをかけることになりはしないのか,強く懸念するものであります。
年間の負担増は,国民全体で4兆円,標準世帯で8万円とも試算されておりますが,当然のことながら,逆進性ゆえに低所得者により重くのしかかってきます。
しかも,被災地では,今なお多くの市民が震災で家や職を失ったまま,仮設住宅等で不自由な生活を余儀なくされておりますが,県が本年2月から3月にかけて調査した結果では,市内仮設住宅入居世帯の54%が家族全員の収入を合わせても 200万円以下であります。41%が世帯主が65歳以上の高齢者世帯であり,消費税率の引き上げは,まさしくこれらの人々を直撃するのであります。
そして,このような状況のもとで,十分な合意を得ることなくこのまま税率の引き上げを強行するのであれば,社会不安すら懸念されるのであります。
したがいまして,このような状況を踏まえるとともに,被災地神戸の現状を配慮して,政府に対し,消費税率の引き上げについて,その取り扱いを再検討するよう強く要望するものであります。
そして,そのことが神戸の復興を願う私たちの使命であると考えますので,議員各位におかれましては,何とぞ提案の趣旨にご賛同賜りますようお願い申し上げまして,提案理由の説明といたします。(拍手)
34 ◯議長(浜本律子君) 次に,議員提出第26号議案について,53番田島俊三さん。
(53番田島俊三君登壇)(拍手)
35 ◯53番(田島俊三君) ただいま議題となっております議員提出第26号議案消費税の増税中止に関する意見書提出の件について,提案者の日本共産党議員団を代表して,その提案の理由を述べます。
政府は,来年4月より消費税を5%に引き上げることを,6月25日の閣議で決定しました。住専では血税をつぎ込みながら国民には増税を押しつけることなどに,8割の国民が反対をしています。
消費税増税について明確に中止を求める第1の理由は,国民生活に大きな影響を与える消費税の増税について,前回の総選挙では,税率引き上げを公約した政党は1つもなかったはずであります。しかも,国民の信を問うことなく,また国会では,実施前に税率の見直しを検討することになっていたにもかかわらず強行しようとすることは,国民と国会を無視したものとなり,民主主義の立場から認められないからであります。
理由の第2は,消費税は所得の低い人ほど負担が重くなり,最悪の不公平税制であり,消費税が有するこの逆進性は,税率の引き上げによって,さらに拡大されることになります。消費税が5%になれば,4人家族の標準世帯で11万円の負担が18万円にもふえ,国民生活に深刻な打撃を与えることになるからであります。
また,中小業者への特例廃止や縮小によって税金が大幅にふえ,営業を困難にすることなども含まれているからであります。
増税中止を求める第3の理由は,長引く不況の中で,個人消費の落ち込みに拍車をかけ,景気回復に悪影響を与えるからであります。経済企画庁も,この増税が住宅建設や個人消費を落ち込ませ,景気回復に影響を与えることを認めていますし,多くの経済学者も指摘しているところであります。特に被災地神戸では,生活再建もままならないまま,不自由な生活を余儀なくされている今,消費税の増税は復興・再建の障害になることは,だれもが認めるところであります。
中止を求める第4の理由は,今回の税率アップが,消費税2けた増税に道を開くことになるからであります。言うまでもなく政府税制調査会会長,新進党党首,さきがけ元代表こぞって将来的に2けたの税率が必要と主張していることから見ても,今回の税率アップは10%以上への第一歩となり,さらなる増税の突破口になると考えるからであります。
さて,増税をする理由として,財政危機だからやむを得ない,高齢化社会のためだとか,行政改革をやるとかなどと挙げられていますが,果たしてそうでしょうか。住専には 6,850億円,沖縄の基地移転に1兆円,首都圏移転に14兆円などのむだ遣いはそのままにして,財政危機を理由に消費税アップで国民に押しつけることは認められないのは当然であります。行政改革についても,橋本内閣の言う行革の中に,医療制度の改悪によって新たに2兆円の国民負担増も含まれており,この上に消費税増税は到底認められないのであります。
本来,財政危機や行政改革としてメスを入れるべきは,欧米諸国よりも低いと指摘されている法人の直接税などの大企業優遇税制の見直しであり,ふえ続ける軍事費の削減と,先進国の中でも異常なまで巨額な公共投資の適切な見直し,こういったことが必要と考えるものであります。
最初に消費税が導入されたときも,高齢化社会のためと言われました。結果は,どうだったでしょうか。消費税導入後,新たな高齢者福祉いわゆるゴールドプランに使われた金額は,消費税税収の6%にすぎないと試算されています。さらには,老人保健法の改悪や入院給食費有料化で,お年寄りの1カ月の入院負担は 3.7倍にふえています。この経過からも明らかなように,同じ理由はもう二度とは通用しないのであります。
以上,消費税に対して明確に中止を求めるべき理由を申し上げました。皆さん方のご賛同をお願いし,提案説明を終わります。(拍手)
36 ◯議長(浜本律子君) 提案理由の説明は終わりました。
本件に関し,発言の通告もありませんので,本件は委員会の付託を省略し,順次お諮りいたします。
まず,議員提出第26号議案消費税の増税中止に関する意見書提出の件を,起立により採決いたします。
本件を,原案のとおり決することに賛成の方の起立を求めます。
(賛成者起立)
37 ◯議長(浜本律子君) 起立少数であります。
よって,議員提出第26号議案は,否決されました。
38 ◯議長(浜本律子君) 次に,議員提出第25号議案消費税率の引き上げに関する意見書提出の件を,起立により採決いたします。
本件を,原案のとおり決することに賛成の方の起立を求めます。
(賛成者起立)
39 ◯議長(浜本律子君) 起立多数であります。
よって,議員提出第25号議案は,原案のとおり可決いたしました。
40 ◯議長(浜本律子君) 次に,日程第43 議員提出第27号議案を議題に供します。
41 ◯議長(浜本律子君) 本件は,固定資産税・都市計画税に対する納税者の理解を得るとともに,震災復興に向けた活力を養っていくため,固定資産税の土地の評価替えに関し適切な措置を講じるよう,政府に要望するものであります。
42 ◯議長(浜本律子君) 本件に関し,発言の通告もありませんので,本件は委員会の付託を省略し,原案のとおり決しまして,ご異議ございませんか。
(「異議なし」の声あり)
43 ◯議長(浜本律子君) ご異議がないと認めます。
それでは,議員提出第27号議案は,原案のとおり可決いたしました。
44 ◯議長(浜本律子君) この際,お諮りいたします。
ただいま可決いたしました議員提出第25号議案及び議員提出第27号議案に関する取り扱いは,議長にご一任いただきたいと存じますが,ご異議ございませんか。
(「異議なし」の声あり)
45 ◯議長(浜本律子君) ご異議がないと認めます。
それでは,さように決定いたしました。
46 ◯議長(浜本律子君) 次に,日程第44 決算第1号より日程第53 第81号議案に至る10件,一括議題に供します。
本件に関する説明は,去る9月17日の本会議において終了いたしておりますので,直ちに質疑に入ります。
17番布施典子さん。
(17番布施典子君登壇)(拍手)
47 ◯17番(布施典子君) 私は,公明神戸市会議員団を代表して,平成7年度企業会計決算並びに関連議案について質問いたします。
震災による神戸市財政の危機的状況は周知の事実でありますが,企業会計においても,同じく震災の影響で極めて厳しい状況にあります。開発事業会計が唯一45億 7,000万円余の収益を出しているものの,他の会計はすべて赤字であり,企業会計全体で単年度赤字が 317億 8,000万円余,累積欠損金は実に 1,600億円余と膨れ上がっているのであります。これは,一般会計から 550億円余を繰り出した上の数字であり,公営企業の性格からも,また一般会計の苦しい状況からも,これ以上の繰り出しは難しいのではないでしょうか。
公営企業は,いずれも市民生活にとって重要なサービスを提供しており,大変な財政状況の中でも経営の維持が求められています。しかし,一般会計も含め現実の数字を前にしたとき,各事業における内部経営改善へのさらなる努力が必要でありますが,特に各事業の中での業務や投資の優先順位づけや民間への委託など,市民の理解を得て具体的な取り組みをすべきではないでしょうか。
さらに,一般会計からの繰り出しのあり方についても,単に従前からの負担区分のあり方の論議に加えて,各公営企業を見渡した上での優先度の検討など,抜本的な対応が今急務ではないでしょうか。苦しい選択を強いられる問題であろうと存じますが,あえて市長のご所見をお伺いするとともに,以下,各企業会計について,このような観点から質問してまいります。
第1に,下水道事業会計についてお尋ねします。
平成7年度決算は,純損失10億 1,000万円となり,その分損益累計も悪化して20億 4,000万円に減少し,今後は下水道事業も相当厳しくなると予想されます。この財政悪化の最大要因は,やはり震災による被害ですが,被災した下水道施設については,7年度末で汚水管渠の42%,雨水管渠の21%が復旧,また東灘下水処理場も仮復旧したとお聞きしており,そのご努力には敬意を表するものの,一日も早い完全復旧が求められるのであります。
その具体的問題として,いわゆる不明水が下水処理量の21%と,震災前に比べて2倍にもなっている事実があります。下水の処理量のおよそ5分の1が不明水ということは,下水処理のコストを確実に押し上げていることはもちろん,逆に汚水が地下水を汚染したり,地盤に浸透して地崩れを起こしたり,道路の陥没の要因となる等,環境面,災害対策の面でも大きな不安材料となっています。
そこで,この不明水の原因を明らかにして,従前に戻すためにも,汚水管渠・雨水管渠の早期復旧,また東灘下水処理場の本格復旧が待たれるところですが,その見通しについて,市長のご見解をお尋ねします。
次に,港湾事業会計についてお尋ねします。
経済のボーダーレス化が進み,海外への依存度は一層高まっている今日,輸出入の大部分は海上コンテナ輸送が占めております。各国間では,物流コストを下げるために競ってコンテナ船の大型化に拍車をかけてきており,本市も日本を代表する国際港として,極力大水深コンテナバースを整備してきたところであります。
しかしながら,コンテナ船の急速な大型化と船会社の寡占化や共同運航等が進み,神戸港埠頭公社のコンテナバースに空きバースが急激にふえてきたという状況が生じております。
仄聞いたしますところ,埠頭公社の空きバースを神戸市が買い取り,公共バースとして中小船社の需要を喚起しようとされているようであります。このこと自体は当を得た措置であると思われますが,港湾事業会計の現状から,空きバースの買い戻しの財源,買い戻し後の使用のめどについてどのように考えておられるのか,まずお尋ねします。
さらに,埠頭公社が現状のまま空きバースを保有し続けることと,公共埠頭として買い戻すことと,どちらがトータルとしてメリットがあるのでしょうか。例えば中国船社COSCOは,公共埠頭である摩耶埠頭からポートアイランド第2期へ移転しますが,その分,公共コンテナバースの余裕がさらにふえることになります。空きバース対策に苦心する中,あえて港湾局の財政悪化の要因をふやしかねない買い戻しは,むしろ慎重にすべきではないかと考えますが,市長のご見解をお尋ねします。
2点目は,震災後のソフト面の取り組みについてお尋ねします。神戸港の復旧状況については,当局をはじめ港湾関係者の努力によりまして施設の復旧が進み,港勢も徐々に回復されております。特にコンテナ船入港船舶数は震災前の平成6年同月比で92.5%,コンテナ取扱貨物量は80.5%であり,好調に戻りつつあります。当局の打ってがえ方式によります施設復旧はもとより,昨年の4月より始まりました,コンテナターミナルにおける暫定的な24時間及び日曜・祝日の荷役に踏み切った成果が大変大きかったと思われます。
神戸港の未来構想を考える上で,24時間の荷役の継続は不可欠であると思うのであります。その制度のあり方につきましては,交代制導入や労働時間・割り増し賃金の労使の合意,さらに料金をめぐる交渉など,さまざまな課題が含まれていますが,今後どのように対応されていかれるのか,市長のご所見をお尋ねいたします。
次に,開発事業会計についてお尋ねします。
今回の震災では,緊急対策として,西神ニュータウン,六甲アイランド,ポートアイランド等に約1万戸の応急仮設住宅の用地の提供を行うとともに,恒久住宅の早期大量供給を行うために宅地供給に努めてきたところであります。経常利益は前年度より若干下回ったとはいえ45億 7,000万円余の純利益を計上し,そのうち35億円を一般会計に繰り出し,広く復興事業に貢献していることに対し評価いたすところであります。
ただ,今後の開発事業会計を考えると,さまざまな課題の中でも,ポートアイランド2期の売却の進捗が最も大きな課題と言っても過言ではないと思います。現在,造成工事もほぼ8割完成しており,売却も始まっています。平成10年末の造成事業完了に向け,このポートアイランド第2期には,本市の21世紀を決定づける大きなプロジェクト等も計画されております。そして,これらの構想を具体化する企業誘致のために,輸入・
対内投資事業法──通称FAZ法で指定される輸入関連企業に対する固定資産税,不動産取得税の軽減措置が図られることになり,そのための固定資産税不均一課税の条例が今市会に上程されています。さらに,輸入関連企業にとどまらず,本市独自にマルチメディア関連の新産業や高度集客装置などに対しても固定資産税の軽減措置,家賃補助などの優遇策を講じる検討を進めているとのことであります。
しかし,現実の企業誘致の見通しは,いまだ厳しい状況であります。ところが,新聞報道などで仄聞するところ,複数の外資系企業がまとまった面積の用地購入を希望しているものの,価格交渉となると,具体的交渉窓口が明確でないなどの理由で進捗していないようであります。
この際,積極的に企業誘致を推進するため,各種の優遇措置のPRを行うとともに,将来の税収,雇用効果も踏まえて,大きな視野と展望に立って交渉できる体制と方針を整える必要があるのではないでしょうか。そのためにも,理財局,産業振興局,新都市整備本部など関係部局が一体となった専門チームのようなものを設ける必要があると存じますが,市長のご見解をお伺いいたします。
次に,病院事業会計についてお尋ねします。
震災以前,本市の市民病院は,平成5年度ベースで見ますと,外来・入院合わせて約 146万人の方が利用され,ほぼ全神戸市民の数に相当する状況でした。これは,市民病院に対する市民の信頼のあらわれであります。それだけに文字どおり市民のための病院として,高度医療や救急医療のサービスを提供する責務を担っているのであります。
しかし,一方でこれらの医療サービスの提供は,現在の診療報酬制度のもとでは,本来不採算の部門であり,決算の状況を見ますと,この平成7年度で36億円の赤字,累積赤字は 300億円を超えるという,まことに厳しい状況を呈しているのであります。その意味で経営改善に全力を傾けるとともに,一般会計からの繰り出しを行う以上,今後の医療サービスの向上,特に新たなニーズに対しての適切な対応を求めるものであります。
そこで,以下2点について,当局の見解をお尋ねします。
第1点は,西市民病院の再建方針に関する問題です。現在,再建計画が検討されていますが,新しい西市民病院の重要な機能として,老人性痴呆症の鑑別診断が予定されています。高齢化社会の到来とともに,老人性痴呆症の問題が深刻さを増していることは論をまたないところです。その意味で鑑別診断が実施され,通院治療ができることは,市民にとって喜ばしいことであります。
しかし,痴呆老人を介護する家族の立場に立って考えるとき,単に鑑別診断のみならず,やはり急性期に入院することができ,夜間せん妄や物取られ妄想などの痴呆の縁辺症状の緩和などの治療ができれば,さらに救われると思われます。歴史的背景が違うとはいいながら,札幌市立病院では,入院治療に加え,介護する家族に介護指導を行ったり,デイケア,ショートステイも行っています。一気に実施することは無理があるかもしれませんが,利用者の立場から,医療と保健・福祉を統合しようという方向性の上では,鑑別診断,入院治療,介護指導,デイサービス,ショートステイが一体的に提供できる体制づくりが必要と考えますが,見解をお尋ねします。
第2点は,災害時の医療情報システムについてであります。厚生省では,各都道府県に基幹災害医療センターを1カ所,2次医療圏ごとに拠点災害医療センターを1カ所整備することとしています。兵庫県下での指定はまだなされておりませんが,市民病院は当然拠点病院としての役割を果たすことになろうと存じます。その際には,ベッドの空き情報や医師等のマンパワー情報などをいかに迅速に把握するかが重要になってきます。県は,救急医療の体制の中で検討されているやに仄聞しており,また一部民間病院でも,パソコン通信などで情報提供を試みているようです。本市では今,郵政省通信・放送機構の防災情報ネットワーク実験が進められているところでありますが,その中で市民病院群としてはどのような取り組みをされるお考えか,お尋ねします。
次に,自動車事業会計についてお尋ねします。
市バスは,震災直後から困難な状況の中,市民の足として運行に尽力され,仮設住宅地域でのバス停新設,増便など,市民生活に大きく貢献されていることは評価いたすところであります。しかし,震災の影響は,道路の破損,復旧工事,交通渋滞などの定時運行に対する障害,さらに被災市街地からの人口流出による乗客減などの形で,自動車事業会計に重くのしかかっているのであります。そして,それは単年度純損失30億円余,累積赤字96億円余という危機的な決算に大きくあらわれているものと思います。
ただ,従前から自動車事業会計は収支構造が改善されておらず,一般会計からの多額の繰り出しを続けてきたところであります。しかし,乗客数の減少からすれば,これ以上の繰り出し増にも問題があり,乗客増対策も何度も叫ばれながら,十分な効果が出ているとは言えません。また,市バス利用者が,いわゆる交通弱者であるという実態からは,収支面だけからの路線整理にも問題は残ります。震災による大きな負担を抱えた今,従来からの対策にとどまらず,抜本的な対策を実施すべきであると存じますが,市長のご見解をお尋ねします。
最後に,水道事業についてお尋ねします。
上程されました平成7年度事業会計決算書及び上下水道事業審議会に先日提出されました平成11年度までの事業見通しでは,極めて厳しい財政状況が示されています。しかし,震災で落ち込んだ業務量の早期回復や水道事業への国庫補助制度の拡充要望及び徹底した業務見直しなど,より一層取り組むべきと考えますが,市長のご見解をお尋ねします。
以上,問題が多岐にわたりますが,市長の積極的かつ明快な答弁をお願いいたします。(拍手)
(「議長」の声あり)
48 ◯議長(浜本律子君) この際,当局に申し上げます。
本日は多数の質疑者が予定されておりますので,答弁は簡明に行っていただくようお願い申し上げます。
笹山市長。
49 ◯市長(笹山幸俊君) 布施議員のご質問に私からまず数点,お答えを申し上げます。
公営企業についての運営の基本方針ということでまずご質問がございました。ご指摘がございましたように,平成7年度の決算につきましては,全般的に開発会計を除きまして非常に苦しい決算になってございます。特にご指摘も中にありましたが,こういった時期に一般会計から繰り出しをしていくというのが,普通の場合はそういうこともかつてあるわけでございますが,今回は一般会計そのものについても非常な災害その他によりまして窮屈になっております。余力としては現在のところないんではないか,こう思っておりますが,そういった問題につきまして,今後の課題として検討させていただきます。
特に運営方針についてどういうことをやったらいいかということなんですが,まず震災を受けております企業の施設あるいは設備,そういったものをできるだけ早く再建するということが1つでございます。それから,できるだけ業務内容について見直しをしていくということで,例えば不急といいますか,少し後に回した方がいいんではないか,こういった問題につきましては当然その順序を変える,こういうことが必要であろうと思います。それから,特に復旧事業については,国の方も相当予算を獲得していただいたわけですけれども,この中で特に不採算事業というのがございますが,どうしても採算がとれないという事業がございます。これについては,かねてから国に対しては補助の制度をつくってもらいたい,こういうことを申してきております。そういったことが全体的にスムーズにいけるようになりましたら,こういった繰り出しも一部可能になるんではないか,こう思っております。
特に先ほどもお話がございましたが,企業会計につきましては,独立採算というのが原則になってございます。ご承知のとおりだと思いますが,こういったことがございますので,特に先ほど申し上げましたように病院あるいは港湾管理業務,こういった問題につきまして不採算部門が相当ございますので,10数項目にわたって今検討をしておる最中でございます。それから,各企業ごとに,それぞれみずから採算についてどういうことをやったらいいかということで,経営計画なりあるいは財政計画を今改善に向かって進めておるというのが現状ではないかと思います。それにもかかわらず,まだまだ課題が多うございます。こういった問題につきましては,少し時間がかかるかもしれませんが,ひとつ努力をしていきたいと思います。
しかし,こういった非常に厳しい状況でございますけれども,市民生活の安定のためのいわゆるサービスの事業でございますから,こういった問題については議会のご支援もいただきまして,また市民の皆さん方のご理解もいただいて,相当苦労はいたしますけれども,できるだけ早く元へ戻していきたい,こう思っておりますので,よろしくお願い申し上げたいと思います。
それから,一般会計との負担区分,これは先ほど少し申し上げましたが,8企業会計の中で,できるだけ優先度を決めたらどうかというご指摘でございます。ご指摘のとおりだと思います。特にこの繰り出しの問題につきましては,国の基準がございますので,これを参考にして区分を見直しておりますが,一部8年度からもやっておりますが,実は国の繰り出しの内容につきまして,神戸市の場合は少しプラスアルファといいますか,そういった繰り出し方をやっておりますので,こういった問題につきましても,国の方からは多少のクレームもついている部分もございますが,なおこれを進めていきたいという気持ちは変わりません。
しかし,震災後の各企業の経営状況がそれぞれ違っておりますので,8会計一律にというわけにはいかないんではないか,こう思っておりますので,その会計ごとに,また事業内容ごとに検討させていただきたい,こう思っております。その検討の中で,この優先度を決めていくということになろうかと思いますけれども,これは全体的にそういう順位を,例えば水道と交通というようなことで一様にやるんだ,どっちが先だと,こういうことではなくて,その会計ごとに,施策事業ごとに徹底した見直しをやる必要がある,こう思っておりますので,そういった問題も必要と認識をいたしております。
また,会計につきましては,企業会計,一般会計を通じまして,今後は震災の状況の変化を踏まえまして順位をもちろん事業ごとに決めていきたい,こう思っております。大きな課題を抱えておるわけでございますから──大きな課題がありますので,単純に資金なりあるいは人員を増減していく,こういった考え方でなくて,それがあるいは集中的に投資をする,あるいは効果的であるかどうか,こういった問題も含めまして検討させていただきたいと思います。
それから,開発事業の中で特に企業誘致の問題でございますが,この問題につきましては,かねてから産業の立地促進ということで,産業立地推進本部というのを持っております。産業立地に関しましては,各局それぞれ担当者を集めまして調整をしていくということでやっております。例えば今回の震災もそうですが,以前から市街地にあります企業で,そういったポートアイランドあるいは六甲アイランドに移りたいという企業の皆さんの情報収集については,やはり都市計画なりあるいは住宅局なり土木局なりいろんな部局がこれにかんでまいりますので,開発事業をやっております所管だけではいけないし,また産業関係をやっております局だけではまとまらないということでございますので,ご指摘のとおりの調整を図ってやっていく,それで窓口をできるだけ一本化というよりは,的確にお答えできるようにしておきたい,こう思っております。
今回の特にポートアイランド2期の企業誘致につきましては,もう既に市街地内から数企業が移転をしてまいっております。希望してきておられますし,もう既に工事をやっておられる方もございますが,そういったことで市内での移転がまあいえば最優先というような格好になっておりますので,ひとつそういった面でいわゆる優遇策を講ずるということは非常にいいんではないか,こういうのが原則でございます。
しかし,それだけでは,既存の市街地にあります企業だけでは,やはりまだまだ不足をしておりますので,市外あるいは県外あるいは外国からの投資もあるというようなこともございますが,それぞれ非常に条件が厳しゅうございますので,それに対応できない場合もあろうかと思いますが,やはり神戸市としてはそれぞれこういった土地の問題でございますし,産業復興の問題にもかかわりますので,今後部局間でその経済効果あるいは雇用促進をどれだけ持っている企業か,こういったことも選考の対象になろうかと思いますので,今後皆さん方に対しましてはそういう意味でのお話をさせていただきたいと思います。
特にポーアイ2期のいわゆる起業ゾーンという区域については,特別の網をかけるということで今,国に申し上げております。特別の網をかけるということにつきましては,外国には,例えばアジア地域が顕著でございますが──に立地する場合には優遇策がございます。ところが,日本に入ってくる場合には,そういった優遇策がないというのが現状でございますから,日本の企業との競合も中にありますけれども,そういった面ではやはり受け入れるだけの体制づくりが必要ではないかな,こう現在思っております。これも場所と期間とを限定してやろうというのが,今の考え方でございます。
それから,水道の事業の問題ですが,確かにご指摘がございましたように,今まで余りなかったような赤字を出しております。これは震災によりまして相当の損害を受けたわけでございますが,こういったものをできるだけ早く回復するということで,当初の8年度の予算から既にいわゆる赤字予算を組まざるを得なかったということでございます。また,これに加えて阪水の分賦金が改定されるということが1つ,今度の災害によりましていわゆる給水収益といいますか,そういった戸数が減っております。ですから,当然水を使う量が減るわけでございますが,これが10年度には大体戻るであろうと思われます。しかし,給水収益の方,これにつきましては11年ぐらいまでかかるんではないかと思います。
これは,先ほども少し不明水の話がございましたが,できるだけ早くそういう量を減すということが大事なことでございます。かねてからこの不明水の量がどれだけあるかということ,ということは給水と実際に使用した水との間に差がございます。ですから,どっかで漏れているということになるわけですが,そういったものをできるだけ早く修復して,給水水量とあるいはそれを使っていただく皆さん方の数量とが,できるだけ接近するようにというのが水道局の仕事でございますので,多少時間はかかりますけれども,このために国に対しましては,できるだけ耐震化の事業を制度化してほしいということ,また制度についても拡充してもらいたいということ,あるいは減収をいたしましたので,その補てん債について元利償還に対する支援をしていただきたい,こういった問題を国に申し上げております。内部としては,当然ご指摘がございましたように,事業の中身をできるだけ効果のあるようにやっていくということではないかと思っております。
それから,基金を取り崩しておりますが,この基金についてはできるだけ活用していくということで,今回もさせていただいておりますが,この上下水道審議会にも,既に基金の活用,取り崩し,あるいは遊休資産こういったものの処分等についてもご提案をさせていただいておりますので,ご審議の過程でご方針を伺えればと,こう思っております。
以上,私から数点お答え申し上げました。他は助役等からご答弁申し上げます。
(「議長」の声あり)
50 ◯議長(浜本律子君) 緒方助役。
51 ◯助役(緒方 学君) 私から港湾事業と病院事業について,ご答弁申し上げます。
港湾事業のまず第1点でございますけれども,埠頭公社バース買い上げに伴う問題でございますが,ポートアイランドの水深12メートルコンテナバース,そのうち11・12バースにつきまして,港湾計画を改訂いたしまして,公共の多目的バースに変更いたしまして,公社から買い取りたい,そういうことを今進めております。それぞれ岸壁部分と後背地とあるわけでございますけれども,岸壁部分の買い取りにつきましては補助事業を導入していきたいということで,運輸省におかれましても,新たな補助制度の創設を大蔵省の方に要求されております。後背地につきましては,起債事業を導入して買い取って,基盤整備を行って,港湾関連の民間企業に貸し付けまたは売却する,そういうことで収支のバランスはとれるんじゃないかと考えております。
最近,中国,東南アジアからの貨物の伸びがふえてまいっておりまして,12メートル水深バースにつきましても,近海航路の中小船社等に対する需要が見込まれております。しかしながら,中小船社の中には,どうしても埠頭公社のバースを専用して借り受ける,そういうような力のない,集荷力のない船社があるわけでございまして,それらの船社の利用に供するために公共バースは必要ではないかと考えております。
また一方,摩耶埠頭あるいは新港突堤等で既存突堤間を埋め立て,再開発をするというようなことで,公共バースの数が減ってまいります。そういう面もありますので,当面オーバーバースにはならないと考えておりますが,ふえる分,減る分,そういうことのバランスをよくとりながら,港湾会計の現状も踏まえて今後運営をしてまいりたいと考えております。
それから,2点目でございますが,いわゆる日曜・祝日24時間荷役の問題でございます。震災によりまして港湾機能が低下し,それを回復するために平成8年度をめどに今,港湾施設の早期復旧に取り組んでいるところでございますけれども,神戸港の24時間荷役につきましては,平成7年4月11日に労使協議によりまして,神戸港が復興するまでおおむね2年間,コンテナターミナルにおきます本船荷役,ゲート作業等について,日曜・祝日を含む24時間体制を行うという確認がなされております。このことは,震災によりまして限られた港湾施設の有効利用ということと,一時的に集中するコンテナ荷役需要に対応できるということから,船舶・貨物の神戸港への復旧を促す上で大変効果的であると考えております。
神戸港と競合関係にあります東南アジア諸港では,既に制度が定着をしておりまして,暫定期間終了後もこの体制が継続されるかどうかという問題があるわけでございますけれども,基本的にはこの問題は労使間の問題でございまして,労使間協議を待たなければなりません。しかしながら,アジアのマザーポートとして国際競争力を維持していくためにも,継続されることが望ましいと考えておりますし,ぜひそのようにやってほしいと期待をしているところでございます。
それから,病院事業でございますが,1つは西市民病院で計画しております老人性痴呆疾患センター,あるいはその診断結果に基づく取り扱いのご質問でございますけれども,この老人性痴呆疾患センター──県下で今5つぐらいの病院が設置をしておると思いますが──につきましては,高齢者に対する総合的な医療の提供の1つとして,老人性痴呆と言われる人々を対象に,痴呆であるかどうかの振り分け,いわゆる鑑別といいますか,あるいはまた治療方針の選定をするということを主な目的に運営していきたいと考えております。
老人性痴呆と総称して言われる中でも,例えば鬱病とか甲状腺疾患などに起因して痴呆症状を生じさせていることがあるわけでございますが,治療が可能な場合,あるいは治療によってその進行をおくらせることができる場合があるわけでございます。このために西市民病院での鑑別診断の結果,老人性痴呆であると診断され,施設への入所を希望さる場合には,老人保健施設あるいは特別養護老人ホームなどへの紹介をする,それもあんしんすこやか窓口の連携を強めて対応する,そういうことでいきたいと思っておりますし,また痴呆症状を呈する原因となっております疾患が発見され,治療可能という場合は,個々の状態によるわけでございますけれども,西市民病院が適当であれば西市民病院で,そうでなければほかの病院との連携も図りながら,入院治療も含めて適切な対応を図っていきたいと考えております。
入院,通院,施設介護,デイサービス,居宅介護と,いろんな形でこれからサービスが必要になってくるわけでございますけれども,今後そういう面の一体的な運営ができますように,あんしんすこやか窓口の機能も強化し,そしてまたそういうことを一体的に見据えて市民福祉総合計画の後期計画,これは平成9年から13年度になるわけでございますけれども,その策定に向けて現在取り組んでいるところでございます。そういうことで,こういう面のサービスの一層の強化に努めてまいりたいと考えております。
それからもう1つは,災害時の情報の管理でございますけれども,ご指摘のように震災等大規模災害に際しましては,広域的な対応が必要であることは言うまでもないわけでございまして,本市といたしまして,国,県と連携しながら,災害医療情報システムの整備を図っていきたいと考えているところでございます。
現在厚生省では,災害時の医療機関の防災状況あるいは救急医療情報など総合的な情報収集を行えるように,現行の救急医療情報システムを再編・強化するということにいたしております。これを受けまして兵庫県では,空きベッドの状況や診療可能な診療科目等の情報に加えて,医療機関の被災状況,医療マンパワー情報,災害時の情報項目を現行システムに追加するということで進めておりまして,神戸市内では市民病院を含め,病院・診療所合わせて85の医療機関がその情報システムの端末を設置することとしておりまして,平成8年度中の整備・拡充が予定されております。
また,ご指摘の郵政省の次世代総合防災通信ネットワークシステムへの取り組みでございますけれども,現在中央市民病院が中心となりまして,市民病院群との連携について検討を進めているところでございます。こうした情報システムのほか,電話回線等が途絶した場合にも無線による一斉通信あるいはグループ通信もできるよう,医療機関相互の情報ネットワーク体制の整備も必要と考えて,検討を進めているところでございます。
今後はこれらのシステムが,災害時はもとよりでございますが,平常時の段階から有効に働きますように,防災計画の観点から次世代総合防災通信ネットワークシステムということで研究を進めております通信・放送機構とも連携を図りながら,検討を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
(「議長」の声あり)
52 ◯議長(浜本律子君) 山下助役。
53 ◯助役(山下彰啓君) 私の方から下水道事業及び自動車事業の2点について,お答えを申し上げます。
まず,下水道施設の復旧の問題でございますけれども,ご指摘にありましたように懸命に震災後復旧作業をやってまいりまして,相当進捗をいたしておりますけれども,お話の中にもございましたように,例えば不明水が相当ふえておる,こういったご指摘もあったわけでございます。事実でございまして,不明水の増加の原因というのをいろいろ調べておりますけれども,1つは管路の被災箇所から地下水が混入してまいった,あるいは倒壊・焼失家屋の撤去跡地における個人の下水管が破損をしたままで,雨天時に雨水が混入したとか,あるいは東灘の合流区域の海岸部では,護岸の被災から満潮時に海水が側溝から合流管路に混入する,こういったいろんな事情がございまして,平常年の3倍程度に実は増加したことも事実でございます。
ご指摘のように,こういう不明水量が多いということは,下水処理費用の当然増高あるいは管路の流下機能にも影響しますし,また道路陥没等の2次災害といいますか,そういった発生にもなる危険性がございます。
なお,地下水の汚染の問題のご指摘がございましたが,被災区域内の井戸水の調査をいたしまして,その結果では,汚水による汚染というのは見受けられておりません。
したがいまして,こういう不明水対策といたしましては,現在災害復旧工事の早期完成に努めておりますが,さらに一層の努力をいたしまして完成に努めたいということと,同時に建物の損壊等の撤去箇所等における公共下水道接続部の閉塞作業,あるいは管路点検の強化に現在努めておるところでございまして,現在被災区域内に設置をいたしました管渠のうち,目視によりまして大きな被害箇所が確認をされた約10%の管渠というのも,これはさらにテレビカメラ等によって詳細調査を行いまして,復旧工事を実施しておるというところでございます。今後もこういったテレビカメラ等を入れました詳細調査によりまして,復旧工事に取り組んでまいりたいというふうに思っておりますが,やはり傷みが相当ひどうございますので,数年の歳月と相当の費用が要るということも事実でございます。
なお,現在実施をいたしております下水道施設の災害復旧工事につきましては,管渠の方は平成8年度末にはすべて完了いたしたいということで努力をいたしております。また,処理場,ポンプ場でございますが,これにつきましては,東灘処理場を除くすべての施設につきまして,これは8年の8月末,この夏に完了いたしたところでございます。ただ,東灘処理場につきましては,管理本館その他の施設については,本格復旧工事を施工中でございまして,平成10年度末に完了させる,こういう予定で作業を進めております。
それから,バス事業の問題でございます。ご指摘のとおり,バス事業を取り巻く環境というのは非常に厳しくなってございます。従前からバス事業を取り巻く環境といいますのは,例えばマイカーがどんどんふえておる,あるいは少子化傾向によりまして学生数がこれからどんどん減少に入ってまいります。また,景気低迷による雇用機会の減少等によりまして,従来から減少傾向というものをたどっておりました。加えて,ご指摘にありましたように,昨年の旧市街地といいますか,市街地人口の減少,また道路の走行環境が非常に渋滞によりまして悪い,こういった状況で非常に厳しい状況が続いておるというのは事実でございます。
ただ,一方でバス事業と申しますのは,市内の交通体系の中で大動脈であります鉄道と有機的に一体となって,きめ細かいところで市民生活に結びついておる,そういう不可欠な基盤施設として我々も位置づけをいたしておりまして,今後とも重要な役割を果たしていかなきゃならない,そういう思いでおります。
当然今後,高齢化社会というものがどんどん進んでまいります。そういう中で身近な足としてのバスの機能,そういうものを考えていかなきゃならない。いわゆる単に採算だけではなしに,福祉的な面の配慮もどんどん必要になってくる,こういう時代に入ってまいります。現に震災後は,仮設住宅の皆さんの足の確保のためにバスの運行開始をいたしましたし,また新たな行政需要の面からも,バス運行の充実というものを図っていかなきゃならない,そういう思いでやっておりますが,こういう基礎的なサービスを提供して運行を継続していくためには,当然財政の問題があることも事実でございまして,これをどのように解決していくか,我々自助努力ができる範囲のことをいろいろ考えながら,今現在考えておりまして,当然乗客増対策の路線の見直しもやらなければいけないと思いますし,またサービスの向上等にも従前にも増してやはり真剣に取り組んでいかなきゃならない,そういうことを考えております。
そういうために交通局としては,現在経営改善につきまして,労使一体となりまして経営改善項目を詳細にわたり検討し,取り組んでいこうと,こういうことで現在やっておりまして,48項目にわたる改善目標をつくっておるわけでございますが,その個々について,今後具体的に前へ進めてまいりたい,そういうふうに考えておる次第でございます。
以上でございます。
(「議長17番」の声あり)
54 ◯議長(浜本律子君) 17番布施典子さん。
55 ◯17番(布施典子君) 多岐にわたります質問にご答弁いただきましたが,時間も参りましたので,後に設置されます特別委員会で論議させていただくこととしまして,私の質問を終わります。
56 ◯議長(浜本律子君) 次に,60番寺坂光夫さん。
(60番寺坂光夫君登壇)(拍手)
57 ◯60番(寺坂光夫君) 早速でありますが,質問を始めたいと存じます。私は,自民党神戸市会議員団を代表いたしまして,平成7年度公営企業決算について質問をいたします。
6,000名を超えるまことにとうとい生命を奪い,多くの住宅,道路,ライフライン,そして港湾などの社会基盤に未曾有の大被害をもたらしました大震災から,早くも1年8カ月が経過をいたしております。その間,一日も早い市民生活の安定と都市機能の回復を目指して,神戸市みずからは3年間で 500人の定数削減,さらには給与カット,極めて厳しい努力を続けております。さらには,たび重なる国への要望活動など,議会と行政がともに手を携えて,全力を挙げて復旧・復興に取り組んでまいったのであります。
しかしながら,その一方では,仮設住宅等の仮住まいで今なお不自由な生活を余儀なくされておられる多数の方々や,震災による影響で大きな打撃を受けられました企業,とりわけ中小零細の方々など,まだまだ復興の途上でご苦労をされていることもあります。神戸市の復興を一日も早く進めていくことこそが,私どもに課せられた最大の使命であると考えます。
さて,本市の財政に目を向けますとき,平成7年度一般会計では37億円,企業会計全体で 318億円と,ともに過去最高の赤字となり,極めて厳しい状況にあります。しかし,この赤字は震災後の激減した市税収入,また使用料の減少等がありましたが,市民生活の再建を第1に最大限の努力をなされた結果であり,ある程度やむを得ないものと考えております。復興は,短期日でできるものではありません。これからこそが正念場であり,国の支援はもちろんでありますけれども,本市の一層の自主努力が強く求められているのも当然のことでございます。
特に企業会計につきましては,効率経営という原点にいま1度立ち返られ,真に市民のために必要な経費とは何なのか,いかにすれば市民負担の軽減を図られるのかということを企業局のみならず全庁,全局を挙げて,総合的施策展開を今こそ真剣に考え直すときが来ていると考えるものであります。公営という名に甘えることなく,民間企業でもそこまでできないと言われるぐらい徹底した内部検討を追求し,一方ではいかに利用者サービスを向上させていくかという,一見矛盾する2つのテーマを実現していくことこそ,そしてそれは震災後の厳しい経営状況にある今こそ市民の信頼を得て強く,早く進めていくときだと思うものであります。
以上の視点を踏まえまして,以下,それぞれの企業会計について具体的に質疑を行ってまいりたいと存じます。
まず,下水道事業についてであります。
震災によりまして 540億円もの被害を受けた下水道事業も,東灘処理場が平成10年には修復するということでもあり,他のすべての施設は平成8年度中には復旧のめどがついたと報告を受けております。甚大な被害を受けながら,快適な市民生活の回復のため,地道に努められていることは評価をするものであります。
しかし,震災から1年8カ月が過ぎ,復旧の見通しもほぼついた今,将来に向けての下水道のあり方を考えますとき,新しい事業展開を図る時期ではないのか。すなわち,これまでの大きな目標であった水洗化の人口普及率も97%を超えたため,市民の中にはもう下水道事業は終息しつつあるというような印象を与えていることも事実であります。水洗化は確かに1つの大きな目標でありましたけれども,これに連動する次の事業,すなわち公共用水域の水質保全──海や川へ浄化したきれいな水を流すということであります。これの実現については,いまだ何らその方向づけがなされていないのであります。
公共用水域の水質保全という観点から,これからの下水道事業が目指す未来像をどのように考えておられるのか,そしてそのための施策をもっと市民に具体的に明確にPRしていくべきだと思うものでありますけれども,いかがでございましょうか。
次に,神戸は海と山に囲まれました,自然に恵まれた住みよいまちと言われておりますけれども,しかし市街地が北から南の傾斜,いわゆる坂道の地形のため,昔から水害による被害も幾度となく受けてきたのであります。最近では,平成元年9月局地的集中豪雨によりまして,東灘区の東部地区で床上浸水等大きな被害が生じております。このような水害から市民を守ることも,下水道局の持つ大きな役割でありましょう。
平成元年の水害以降,新雨水総合排除計画の策定,平成7年9月の降雨情報システムの完成などを見るにつけましても,浸水対策の取り組みは他都市にまさるとも劣らないものとは思いますけれども,しかし海と山に挟まれ,南北が斜面という神戸の地形が,市民に対し浸水・災害のない安全なまちを保障するためには,まだまだなすべきことが多くあるのではないのかなと思います。例えば,道路の舗装化による不浸透面の増加による雨水流出量の増大や,ヒートアイランド現象を背景とする局地的集中豪雨により,都市型の浸水を懸念するものであります。
そこで,こういったことも含め,今後どのように下水道事業として浸水対策に取り組まれるのか,お伺いをいたします。
次に,港湾事業についてであります。
神戸港は,震災によりまして壊滅的な被害を受けましたけれども,国の補助等を得て, 5,700億円もの巨費を投入し,我が国港湾建設史上最大級の工事密度による懸命の復旧工事がなされ,現在約半分のバースが復旧しておりますけれども,道まだ半ばであります。それでもコンテナの取扱量も震災以前の約80%にまで戻るなど,かなり港勢を回復しておりますけれども,これは関係機関のほか港湾関連業界の努力を多とするものであります。
神戸港発展の歴史は,神戸市そのものの発展の歴史であります。いかにファッションであり観光でありコンベンション等々都市機能が強化されましても,ベースは港にあると考えます。これは,将来を通じ神戸の生きる道でもあろうと思います。
状況といたしまして,世界に目を向けますとき,我が国から海外への生産拠点の流出,その一方での急激なアジア経済の躍進,さらには輸送技術の革新など,現在の経済環境,貿易構造の変化の潮流は,うねりとなって我が国にめぐってまいっております。そして,島国日本の国際貿易の物流手段は,海上輸送が貨物量の99.8%を担っております。世界の海上荷動き量は,毎年1億トンベースでふえております。東アジアのコンテナ貨物の取り扱いは,ここ10年で3倍以上となっておることからいたしましても,港の世界をつなぐ国際ゲートウエーとしての重要性はますます大きくなっております。神戸港は,もはや国内インフラにとどまらず,世界インフラとでも位置づけられるべきものであります。これを踏まえ,今こそ従前の神戸港に戻すだけでなく,この時期だからこそ新しい神戸港創生のために対応していかなければならない課題も多くあると考えるものであります。
本年1月には世界最大 6,000個積みのコンテナ船が就航,既に国内他港でも大水深コンテナターミナルの整備を始めているとともに,貨物が神戸港から横浜港,東南アジアその他へシフトを始めていることを考えますとき,港を取り巻く環境変化を先取りした上で,神戸港に大水深コンテナバースをはじめとする最新鋭の港湾施設を重点配置をし,トランシップ機能など国際貿易港としての機能を強化していかなければなりません。
そこで,まず世界という視野における神戸港の位置づけから,船舶の大型化の動向をどのように見通し,どのように港の整備を行っていくのか,お伺いをいたしておきます。
そして,ハード面の取り組みは不可欠でありますけれども,この大きなうねりの中で,港湾もソフトの選択合戦,サービス合戦,この時代に突入をいたしております。安い,早い,利用しやすい港をつくり上げていくことが求められております。そして,単に貨物を積み,おろすだけの港ではなく,付加価値を生み出す港にしていく視点が求められております。例えば流通基地として輸入貨物の加工や製造を行う施設をはじめ,物流ニーズの多品質化・小口化・情報化に対応し,物流の高度化に取り組む施設を立地・集積させていくことが急がれます。このような観点から,思い切った規制緩和を行い,民間業者の立地誘導に取り組むべきだと考えますが,いかがでしょうか。
また,港の規制緩和につきましては,ここ数日,国の各省庁を巻き込んだ問題が出てきております。外国貨物船が港の利用に際し提出する書類は,約30種類に及ぶとも言われております。この様式の簡素化やファクス等による受け付けを神戸港から働きかけているということであり,またこれに対する神戸の受け入れ体制はどうなっておるのか。まず神戸が先鞭をつけ,これをどのようにプラスにそしゃくをし,どのような体制を整えていくのか,お伺いをいたします。
新都市整備事業の今後のあり方であります。
特に震災以降,神戸の開発行政に対する安直な批判が多く出てきております。しかし,それは時代の要請に応じ,新しい都市空間を生み出し,17万人の居住の場を提供するとともに,9万の雇用機会の拡大にも寄与してきたほか,市街地再開発の受け皿を提供,さらにはこのたびの震災に際しましても,これらの用地があったればこそ3万戸を超える仮設住宅の手当てができ,恒久住宅につきましても,その対応が可能となったのであります。こういったことを正しく評価すべきであることもありましょう。これをまず指摘をし,質問をいたします。
その第1点は,これまでのような事業発展の必要性も認めるものではありますけれども,今日被災市街地の復興が最重点課題であることを思いますと,新都市整備本部という新しい名称にもなったことでもありますし,この際持っておりますノウハウと活力を被災市街地のまちづくりに最大限生かすべきだと考えますけれども,どうでございましょうか。
また,開発事業は神戸の発展に寄与してきた一方で,緑を減らしたことも事実であります。ために,一般会計への繰り出しとは別に,新都市整備事業で市街地の緑化事業を行ってはどうか。今回の震災におきましても,耐火性・耐震性という面から,樹木の果たした効果ははかり知れないものであると言われております。加えて,まちの美化,空気の浄化ということから考えましても,ぜひ行うべきだと考えております。
病院事業についてお伺いをいたします。
震災によりまして西市民病院が倒壊をする,病院事業は未曾有の被害を受けました。震災後におきましても,市街地人口の減少,加えて交通アクセスの復興が長引く中で,患者数の減少等によりまして,病院経営の状況は大幅に悪化をいたしております。また,市民の医療に対するニーズはますます高度化かつ多様化してまいっており,患者の選択を尊重した医療,これの提供が求められてきております。このように医療を取り巻く環境が変化をしていく中で,市民病院としてはその方向性を的確に把握をし,それを直ちに経営に包含していく必要があるのではないかと考えます。
そこで,質問の第1点は,この夏,近隣都市でO- 157の発生があり,市民は長い間不安を感じたのであります。申すまでもなく市民病院の使命は,地域市民の基幹病院・中核病院として,市民,患者に対して高度医療・救急・先駆的医療を提供すること,これは当然の重要な役割であります。しかし,一方では地域の医療ニーズ,発生する不安に対しまして保健・医療と連携した立場,このたびのO- 157問題をはじめ健康・医療に関する市民の不安・ニーズにこたえることも必要であると思うものであります。そのためには,医師を含め医療従事者がその質的向上を図り,その経験・知識を市民に還元するという姿勢が求められておると考えます。このような方向性に対応するために,今後の市民病院のあり方についてお伺いをいたしておきたいと思います。
第2点目は,このたびの震災を教訓といたしまして,災害に医療体制の確保は急務であります。その中でも市民病院は地域拠点としての役割を担うことは当然でありましょう。特に震災の体験として最もありがたく思いましたのは,筑波大学附属病院から応援に来ていたバスであります。それは,必要機材を積み込み,それ自体が動く診療所でありました。このことを考えますとき,市民病院が持つべき医療救護チームは,医療従事者と必要な機器・薬品を包含した車を持ち,自己完結型のものが必要であると思うものでありますけれども,これについての所見をお伺いいたします。
災害における相互応援協定については,さきの質問と同一でありますので,省略をいたします。
次に,バス事業でありますけれども,既に答弁がされましたので,質問を省略いたします。
交通事業の一元的経営であります。
バス事業は小動脈,地下鉄は大動脈として,それぞれ市民の足として役割分担をしながら,交通ネットワークとして機能しております。そして,一元的な経営体としてこれは考えてみる必要が今あるのではなかろうか,かように思います。例えば海岸線の開通時には,沿線のバス乗客はバスから地下鉄に移行することは容易に予想されます。しかし,市バス,地下鉄を含めた交通事業全体から見ますと,乗客数は減少はしない,むしろこれからの沿線開発によっては,全体としては乗客は増加傾向になると考えられます。民間バスの場合には,鉄道の新設に伴う乗客減に対して営業補償が必要でありますけれども,市バスの場合はそのような補償は地下鉄からはありません。まさにこのことは,市の交通事業として1つのものと見ておるからではないかと存じます。
公営企業会計上,バス,地下鉄は,それぞれ別会計として収支が経理されておりました。このため,それぞれの事業だけで収支のバランスをとろうといたしますと,どうしても事業展開に制約が生じてまいります。したがって,単独の会計の収支ではなく,交通事業会計全体としてバランスをとるという考え方で有機的な連携をして,積極的に交通事業を進めていくべきだと考えます。いかがでしょうか,お伺いをいたします。
次に,平成7年度は,特に仮設住宅入居者のその足を確保するため,西神・北神などで路線の延伸・変更・増便を行っております。仮設住宅対応路線の中でも,鹿の子台地区のように新設に近い路線は大きな赤字が発生をいたしております。震災によって必要な仮設住宅の入居者の足の確保は,福祉行政の範疇に入るのではないのか。応急的で時限的な対策路線について,バス事業者にそのすべての負担を求めていくのではなく,行政が福祉政策の一環としてその経費を補てんすべきものであると考えますけれども,いかがでしょうか。
最後に,水道事業についてお伺いをいたします。
神戸の水道は,間もなく給水開始 100年を迎えるのであります。その間,先人たちが琵琶湖・淀川に水源を求められ,営々として市民の皆水道を達成し,施設の高度化を進められ,今日の安定した基礎を築き上げてきたのであります。我々もこれらの業績を受け継ぎながら,さらなる長期的視野に立って事業を推進していくことが課せられた責任であると思います。21世紀は,世界的な水戦争,水源獲得戦争の時代であると言われております。
そこで,質問いたします。近年,地球の温暖化等地球的規模で起こっている環境の変化,それに伴う影響が世界的に危惧をされてまいっております。我が国におきましても,異常気象による少雨化傾向によりまして,渇水の問題が各地で生じており,加えて酸性雨等による湖沼や河川等の水質の悪化も懸念をされているところであります。しかしながら,水道の使命が,いつの時代におきましても,安全・良質な水を安定的に供給することにあるとするならば,50年 100年先を見据えた長期的,超長期的な視点に立って,水源の量と質の両面を確保する方策を今から検討していく必要があると考えるものであります。
あえて申しますけれども,ライフラインと言われる電気,ガス,これはかわるべきもの,代替はあるわけでありますけれども,上水につきましては代替はないのであります。海水の淡水化も一部地域でありますけれども,現実のものとなってきておりません。もちろんこれにつきましては,コスト面や海水汚濁の問題等々,克服すべき課題も多いとは存じますけれども,これらを含め,将来に向けた水源の多様化と水質の保全のための方策,これが求められるのであります。また,このように確保された水を確実に供給するため,水道の施設整備について,震災を教訓とした耐震化事業,これを含め,災害や事故に強い施設づくりが何よりも今必要であります。
市民が安心できる将来の水道事業,水源の量と質の確保・保全,さらには安定供給のための給水施設の整備等,これについてどのように考えておられるのか,お伺いをいたします。
次に,公認業者制度についてであります。震災後の復興の中でも,住宅復興は市民生活安定のためにも極めて重要な課題であることは言うまでもありません。これらをスムーズに進めていく上で,水道,下水道といった生活に密着をした設備工事が,公認業者によって迅速・的確に行われていくことが必要であります。このような中で,これまで水道工事に関する公認業者制度につきましては,各市町村がそれぞれの基準によりまして指定要件を定めていたのでありますが,本年6月に規制緩和の一環といたしまして,公認業者制度に関して水道法の改正が可決・公布をされました。この水道法の改正によりまして,営業の広域展開による市場の活性化が期待をされる一方で,地元業者への影響と緊急時の修繕体制のあり方など,いろいろな問題が懸念をされるところであります。
震災による特に住宅復興に当たり,公認業者制度の問題点が指摘をされている現状におきまして,今後神戸市として,この法改正を受けてどのように対処していこうとしているのか,お伺いをいたしておきます。
以上であります。
(「議長」の声あり)
58 ◯議長(浜本律子君) 笹山市長。
59 ◯市長(笹山幸俊君) 寺坂議員のご質問に私からまず数点,お答えを申し上げます。
まず,港湾の関係でございますけれども,ご指摘がございましたように,神戸港は世界でも有数の貿易港でございまして,現在までその力を発揮してきたこと,また日本に対しても,また神戸市のまちにとっても,非常に大事な機能であったわけです。それが,こういった震災はもちろん1つの原因になろうかと思いますけれども,経済状況といいますか,それぞれの国間の貿易のやり方,そういった問題で非常に難しい局面に入っていることはご承知のとおりだと思います。そういうことから見まして,最近の輸送についての──物流といいますか,そういった問題について非常に変わってきております。
例えば,今までは日本の船社同士が一緒になってやるということ,それから船籍を外国へ移すということ,こういったことがずっと行われてきたわけですが,今現在では外国の船社同士が一緒になる,日本もそれにくっつく,こういうことになってまいりました。これは非常に効率よくやろうということだと思いますが,それによっていろんな弊害といいますか,そういうものも出ていることは確かでございます。しかし,これが海運業界としては一番のサービスということで,今進んでおります。
例えば,お話がございましたように, 4,000個,大積みコンテナ船がもう既に 102隻,世界で動いております。近々には 100隻ほどプラスになります。これはヨーロッパ,アメリカ,そういったところへ行くわけですけれども,例えばパナマ運河を通らずにアメリカへ持っていく,後は列車で持っていくわけですけれども,そういったやり方が今アメリカではもう定着しつつあるわけです。ヨーロッパも,恐らくスエズを通らずに,例えばアジア,中国,ロシアを通って列車で運ぶ,こういうような時代が来るのではないかということで,非常に集約化といいますか,拠点ですね,港の拠点をつくるということで各国が競争しているのが現状です。
ですから,日本ではハブの港としてはどこを使うかということになろうかと思います。私どもは,過去の経過からいきまして神戸と横浜,こういうことをよく言っておりますが,アジアに対しては神戸だろう,対アメリカ,カナダについては横浜だ,こういうふうな感じを持って今までやってきておるわけです。
ところが,そう簡単にいきません。アジア向けでも,少なくともアジアにあります釜山あるいは高雄なり香港,シンガポールと,こうあるわけですが,今回香港が中国に返ります。ですから,今までの力の恐らく倍ぐらいの力を持つ港になるんではないか,私はそう踏んでおりますが,それが倍になるということは,中国から出る貨物あるいは入る貨物が倍になるということもあるかもしれませんが,しかし今の量の中で,先ほどもお話がありましたが,1億トン現在ありますが,それが2億トンになれば問題ないんですけれども,1億トンということの範囲内で取り合いをする,こういうことになります。そうしますと,フィーダーが非常に楽にできる,いわゆるハブ港というものに物が集まってくる,そういうことになるんではないかなということになりますから,その機能を持ってない港は,当然でございますけれども衰退すると,私は衰退論をいつも言うんですけれども,これは日本の国内でもこの 1,000数百年の間に,いろんな船が物を運んだり情報を運んだりしてきた,それがどんどん世の中が変わっていった,物の動きも変わった,それによってつぶれていったまち,あるいは港は幾らでもあるわけです。
ですから,こういったものは,世界的にも現にあったわけでございますから,やはり日本としては,昔よく言われましたが,貿易国家なのか,あるいは神戸は貿易都市なのか,これをはっきりしないと,まちを──自然に壊れる場合もありますけれども,意識的に壊すというようなことをみずからやるということがあってはいけないということで,いろんな対応を迫られておるわけでございます。
ですから,これが一辺倒でということではありませんが,この港湾が占めるいわゆる市民所得の37~38%の方々,関連する企業があるわけでございまして,市民の皆さん方も何らかの形で関連をしております。ですから,それが減れば減るほど市民生活は,働く場所を失ってきて苦しくなる。これは今回の復興委員会で──東京の委員会ですけれども,こういったことを放棄すればもとへ戻らないということをはっきりと言明をされました。ですから,そういったことを承知しながら,神戸でないとできないということを考えなさいと,これが国の復興委員会の先生方の意見です。ですから,確かにそういったことがあり得るという危機感を持って今後のまちをつくっていく,その中の港湾であり,いろんな交通機関であり,企業の立地,そういったものも,そういう意味で現在進んでおるわけでございます。
ですから,国際的に使い物にならん港を持っておったんでは,これは競争にならない。都市間の競争とよく言いますが,ただ競争をしているということは,取り合いをしているというぐあいにとらずに,市民が,神戸の場合 150万の市民がそこで生活をしているわけでございますから,生活ができる,働ける場所をみずから放棄するということは,私どもにとってはできないということでございます。そういう意味で,いろんな問題点もございますけれども,これを克服していくのが,先輩の皆さん方がやってこられた中で欠点は欠点として直していくということではないか,こう思っております。
特にこういった時代に,特に港湾事業等については,過去からいろいろ国の管理から市の管理になってきたいきさつもございます。港の機能も変わりました。戦前戦後を通じて変わってきたわけでございますから,特に現在ではこの港を使っていただく船社あるいは関連の民間の事業者,こういった方々が,神戸の港はもう使えなくなったね,よその港へ行きましょうかと,こういうことになりますと,当然これだけの施設を使うだけの力は神戸市単独ではできないということになります。
そういうことから見て,今回,国の復興委員会でいろんな議論が出て,それを何とか取り戻すところまで行くためには,あるいは民活法であったりあるいはFAZ法,それらを緩和したり,そういったことで支援策をとったらどうかというのが出てきたわけでございます。特に新しい法律をつくってくださいと,こういうことを言ったんですけれども,それはできないということになりましたので,私どもとしてはこういった民活法あるいはFAZ法を拡大適用していただくためには,まず神戸市としては一体何をやるかということを言われておりますし,当然そういった状況にするのが私どもの仕事だろうと思いますので,今回不均一課税に関する条例を提出させていただいたわけでございます。それに加えて,今後都市計画税減額,あるいは起業ゾーンというものを決めまして,そこに立地をしていただく市内の企業の皆さんあるいは市外の方々,そういった方々がその立地条件を見て,やはり神戸港がいいということであればおいでいただきたいというのが,今の考え方でございます。
もちろんいろんな支払い,お金にかかわる問題ですから,そういった規制緩和あるいは神戸市の中の──国だけではないんですね,規制緩和というのは。あるいは県であり,また市であり,そういったところがある程度規制緩和をしながら進めていくということではないかと思っておりますので,いろんな企業の方の問い合わせもございますけれども,やはりこういった神戸においでになる企業は,少なくとも世界に向けての企業であってほしいし,また現在市内から移転していただく方々も,自分のもとおられた工場跡地は市が直接市民のために使ってくださいよという条件で,ポーアイ2期に行かれる企業の方もおられます。そういった方々もおられますので,そういったことも含めて両方が協力し合う,また企業の方々も,そういう復興についての協力を惜しまないという企業の方々もたくさんおいででございますので,そういった方々に対する支援の策は当然あってもいいんではないか。これも限定的に地域と期間を設けて,その率を調整しながらやっていく,こういうことでやらせていただきたい,こういうことでございます。
また,港湾を使用する場合にいろんな手続ですね,これもまた非常に難しい,これはもうご指摘のとおりでございまして,相当のペーパーを出さないと入港あるいは税関──通関ですね,こういったものができない。こういうことでは対応できないということです。船の中から既に入港バースなりあるいはそれに対するいろんな手続ができるようにしていただきたいというのが私どもの考え方で,いろいろと神戸港復興推進協議会──官公庁,業界あるいは労働組合の皆さん方に寄っていただきまして,こういった問題についてできるだけ早く具体的に決着をしていただきたいということで,国に対して要望させていただいているところでございます。市でできること,管理者としてできることは,もう既にやってきております。相当の項目を緩和をしながら,国に対しては国の分をしてくださいと,こういうことで今進めさせていただいております。最近の……
60 ◯議長(浜本律子君) 発言中でございますが,予定されております時間が残り少なくなっておりますので,答弁は簡明にお願いいたします。
61 ◯市長(笹山幸俊君) ……はい。
それから,新都市整備事業ですが,先ほど少し触れましたけれども,市街地で今いろいろと計画をしておりますが,こういったところと新しく開発した場所の入れかえ,これについていろいろとご支援をいただいておりますので,こういったまちづくりについては,それぞれの受け皿をお互いがつくり合う,こういうことで進めていきたいと思っておりますので,今後いわゆる開発をやっております本部も,都市計画,土木,それぞれ各局がお互いにつくり合う,そしてまちづくりの中に開発局が担当するもの,間接的あるいは直接的に関連してまいりますので,この点について,ご指摘がありました水と緑,こういったものも十分この中で考えてやっていくということでその計画を進めておりますので,ご期待に沿えるように努力したい,こう思います。
以上です。
(「議長」の声あり)
62 ◯議長(浜本律子君) 緒方助役。
63 ◯助役(緒方 学君) 私から病院事業と水道事業について3点,ご答弁申し上げます。
まず,病院事業の中で市民病院のあり方についてご指摘がございました。市民病院は,市民の生命と健康を守り,その信頼にこたえることを強く期待されております。したがいまして,市民病院は地域の基幹病院・中核病院としてその役割を果たすと同時に,他の医療機関が行うことが困難な救急医療・高度医療・特殊医療などの不採算医療を担うべきだと基本的に考えております。
本年の夏,病原性大腸菌いわゆるO- 157でございますが,その患者発生の際にも,市民病院群での患者の受け入れのみならず講演会での講師の派遣をするなど,他の医療機関へ情報提供も努めたところでございます。また,エイズの拠点病院は,現在県下で10カ所公表されておりますが,中央市民病院ではHIV感染者診療マニュアルの改定作業を進めておりまして,また院外からも参加を得まして,エイズに関する研修会を開催するなどの取り組みを行っております。
市民の医療に対するニーズが高度化・多様化する中で,ご指摘のとおり市民病院は院外も含めた医療職員の質的な向上に努め,地域の医療水準の向上にも貢献すべきだと考えておりまして,保健・福祉との連携を含め,地域全体にも目を向けた医療を目指して,地域の医療機関とも十分連携しながら,医療関係者あるいは市民のさまざまなニーズにできるだけ対応してまいりたいと考えております。
それから,災害時等におきます医療救護チーム,自己完結型の救護チームをつくって,専用の自動車といいますか,そういうものを備えたらどうかというご指摘でございます。このたびの大震災によりまして,ご指摘がありましたように筑波大学等も含めて,全国から延べ5万人余りの救護班の応援を受けたわけでございます。市民病院におきましても,独自の防災計画を策定いたしておりまして,ご指摘の自己完結型の応援を念頭に置いて,本市の内外を問わず,院外での医療活動も想定をしているところでございます。中央市民病院では,救護班は8班編成すると定めまして,1班は医師2名,看護婦4名,連絡員1名で構成されておりまして,また衛生用品,医薬品といった資材も準備いたしております。
ただ,ご指摘の特別の自動車──専用車というんですか,そういうものを持つかどうかにつきましては,今後の課題とさせていただきたいと思っております。
それから,水道事業でございますけれども,水源の量・質両面の確保についてご質問がございました。水道の使命は,言うまでもないわけでございますが,いつの時代においても安全で良質な水を安定的に供給し,市民が安心して信頼できる水道を目指して事業を展開していくということでございます。
そこで,水源の量の確保につきましては,自己水源,阪神水道それから県営水道で,現在のところ十分な量が確保されておりますが,長期的には河川水のみに限定せず,水源の多様化を図っていくことは重要なことだと考えております。将来的には,循環型供給処理体制の確立,あるいは科学技術の進歩によりまして下水処理水,雨水貯留水,海水なども有効な水源となると思われますので,今後とも長期的な視点に立った水源の多様化について研究していきたいと考えております。
また,水質の確保でございますけれども,広域的な環境保全により対応することが必要であるわけでございまして,国や流域関係団体とも協力していくことが必要であると考えます。水を利用する水道事業といたしましては,将来の水質変化の動向を見ながら,上水処理におきます新しい技術の研究についても怠りなく進めてまいりたいと考えております。
それから,水道施設の整備,いわゆる災害に強い水道施設の整備につきましては,事故や断水がなく,災害・渇水に強いシステムをつくる必要がもちろんあるわけでございまして,今回の大震災の教訓と反省を踏まえた施設の拡充・更新を行って,市民が安心して信頼できる水道の構築に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
(「議長」の声あり)
64 ◯議長(浜本律子君) 山下助役。
65 ◯助役(山下彰啓君) 私の方から下水道事業と自動車事業につきまして,お答え申し上げます。
下水道の将来像の問題でございますが,当然下水道というのは都市の市民生活をより快適に,しかも衛生的に維持する,その上で美しいまちをつくっていく,こういう面に非常に大きく貢献してきたものと自負をいたしております。普及率についてのみ申し上げますと,おおむね目標はご指摘のとおり達成をしつつございますけれども,今後は災害に強い下水道,また公共用水域の水質保全といった次の目標達成に向かって進んでいかなければならないと考えております。そのため,実はこの本年1月に神戸市下水道長期計画基本構想の改定版をまとめまして,市民とともに歩む下水道,こういう視点から都市の発展と暮らしを支え,自然環境を守り育てる下水道の構築に向け,下水道の目指すべき将来像というものを明らかにしたところでございます。
特に最近の環境問題,地球環境問題というものに非常に大きく市民の関心が高まっておる中でございまして,公共用水域の水質保全というのは,今後の下水道事業に非常に大きく求められる役割の1つであるというふうに認識をいたしておりまして,川に魚や蛍が戻り,またいつまでも須磨の海水浴場が市民が自由に泳げるようにしていかなければならない。失われた自然というものをもとの姿に戻しまして,人間だけでなく,あらゆる生物が共存できるような環境を回復するということが下水道の重要な役割と,そういうふうに考えておりまして,今後ともPRには積極的に努力をしてまいりたいと思っております。
それからもう1点,下水道の浸水対策の問題でございます。当然下水道の役割として,先ほど申し上げました生活環境の改善なり,あるいは公共用水域の水質保全といったものがありますが,それと同時に浸水防除というのが下水道の役割の中にはございます。雨水の整備状況につきましては,平成7年度末におきまして,対象区域の約3分の1の整備というものがまだ残っております。また,近年市街化の進展によりまして,降雨時の雨水流出量が増大をしてきておりまして,市街地中心部への社会資本の集中によりまして,浸水被害の増大も予測されるところでございます。浸水対策というのは,平成2年度より実は取り組んだ新雨水総合排除計画によりまして,既設の流下能力不足管渠の拡張のほか,今後とも未整備地区の整備につきまして鋭意努力をしてまいる,そういうことでございますので,ご理解をいただきたいと思います。
それから,バス事業の中で,実は仮設住宅の市民の足の確保に伴う採算性の問題,費用の負担の問題というご指摘がございました。仮設住宅というのは,先生方ご承知のとおり,昨年震災に対応すべく緊急対策として建設してまいったわけでございます。当然その中に入っておられる市民の方の足ということを,やはり我々としては考えていかなきゃならないという思いでやってまいりました。そのため,交通局の方で路線の延長とかあるいは変更とかあるいは増便,あるいは停留所の新設等々を行いました。また,観光バスを路線バスに編入をして台数を確保する,こういった可能な限りの対応を行ってまいりまして,仮設にお住まいの市民の方の足の確保に努力をしてまいったわけでございます。
当然こういった施策は,全市的な,特に市民福祉的な側面が非常に強うございますので,若干交通局いわゆる公営企業に負担を強いるというのは酷な面もあるのかなと,実はそういうことは考えておりますけれども,これはそういう個々の公営企業とか一般会計とかいった問題ではなくして,全市的に,全庁的に,財政的にも苦しくなっておりますその中で,それぞれがお互い支え合っていかなきゃいけない,そういう面もあることも事実でございますので,まあ我慢して頑張ってもらっておるというのが現状でございますが,何とか早くこういう仮設住宅の解消を目指していくというのが我々に課せられた最大の課題でございますので,むしろそれに向けて努力をしてまいる,その間ちょっと交通局は我慢してもらって頑張ってもらう,そう思って交通局長には言っております。
あとの問題につきましては,交通局長からお答え申し上げます。
(「議長」の声あり)
66 ◯議長(浜本律子君) 藤田水道局長。
67 ◯水道局長(藤田 徹君) 私から水道公認業者制度につきまして,お答えさせていただきます。
給水装置の工事を取り扱う業者を指定する指定店制度,いわゆる公認業者制度でございますが,現在条例に基づきまして,各水道事業体ごとでまちまちに指定要件を定めておりまして,実施してきております。そのため,このたび広域的な事業活動を阻害しているという理由から,給水装置工事に係る規制を緩和するため,本年6月に水道法の一部が改正されたところでございます。
今後の対応でございますが,水道法の改正に伴う給水装置工事指定店制度の施行期日が平成10年4月に予定されておりまして,この運用につきましては,今後国から細かい点につきまして政省令が公布される予定になっております。
ご指摘のように,営業の広域的展開によります市場の活性化が期待されるということもございますが,一方で地元業者への影響や緊急時の修繕体制のあり方などの問題,また工事後のアフターサービス,それから神戸市の給水システム,給水装置工事基準の周知徹底などの問題もございます。これらの問題の解消につきましては,国にも要望してきているところでございますが,私どもといたしましては,国の政省令が明らかになった時点でないと対応できない要素も含まれておりますので,その時点で市民サービスの低下につながらないような対応をとっていきたいと考えております。
以上でございます。
(「議長」の声あり)
68 ◯議長(浜本律子君) 東村交通局長。
69 ◯交通局長(東村 衛君) 交通事業の一元的経営について,お答えを申し上げます。
おっしゃいますように市営交通は,市民の生活基盤施設として重要な役割を担っておりまして,バス事業を小動脈,地下鉄事業を大動脈として,相互に連携して交通ネットワークの形成を目指して事業を進めておるところでございます。しかしながら,現状では料金設定など国の許認可の事業が別々に行われておりまして,それに対応して事業ごとに経理をする必要がございますし,他都市におきましても,バス,地下鉄は別々に会計をしておるというのが現状でございます。
公営交通の使命を果たしていくためには,バス,地下鉄が有機的に連携して市民の足としての確保を図っていくことが不可欠でございまして,また交通事業財政の健全化につきましても,バス,地下鉄が個別に事業展開をするのではなくて,両者が相まってその役割を果たし,全体として乗客増を目指していくということが重要であると考えておりまして,即会計を一元化するということは無理といたしましても,バス,地下鉄の例えばストアードカードの共通化──これは来春から予定をしておりますが,また地下鉄の建設とバス路線の見直し,さらにはバス,地下鉄の乗り継ぎの場合の料金設定のあり方などについても,相互の連携を基本にしまして,十分検討して進めてまいりたい,こう考えておるところでございます。
以上でございます。
(「議長60番」の声あり)
70 ◯議長(浜本律子君) 60番寺坂光夫さん。
71 ◯60番(寺坂光夫君) 質問は終わります。
ただ,一言,昨日オリックスが優勝いたしました。それを皆さんとともに喜び,幹事長として心からお礼を申し上げて,終わります。ありがとうございました。(拍手)
72 ◯議長(浜本律子君) この際,暫時休憩いたします。
午後1時40分より再開いたします。ご苦労さまでした。
(午後0時45分休憩)
(午後1時44分再開)
(佐藤副議長議長席に着く)
73 ◯副議長(佐藤清次君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
直ちに議事に入ります。
午前に引き続き,公営企業会計決算並びに関連議案に対する質疑を続行いたします。
6番松本周二君。
(6番松本周二君登壇)(拍手)
74 ◯6番(松本周二君) 私は,新こうべ21市会議員団を代表して,平成7年度神戸市公営企業会計決算及び関連議案について,市長並びに関係当局に質問いたします。
震災以降,市当局と議会が一体となって神戸の復旧・復興に懸命に取り組んだ結果,市民生活も徐々に落ち着きを取り戻し,まちにも活気とにぎわいが戻りつつあるように思われますが,一方では今なお多くの被災者の方々が,仮設住宅や不便な仮の住まいで極めて厳しい生活を送っておられます。
こういった状況の中で平成7年度の公営企業会計決算を見てみますと,各会計とも甚大な被害を受けた施設などの復旧を最優先,最重点に置いて全力を挙げて取り組まれ,市民生活の一日も早い安定のために努めてきたわけですが,その経営状況は開発事業会計を除く7会計で赤字決算となるなど,震災後の極めて危機的な状況を再認識した次第であります。
震災から1年8カ月経過する中で,改めて被害の全貌が明らかになり,それぞれの課題も明確になってきたわけですが,各会計とも今後の展望が見えてこない現状であります。今後事業が本格化する中で,各会計とも厳しい財政状況が続くのは必至であり,震災後の状況を踏まえ,中長期的な展望を持った,計画的で効率的な運営が必要となっています。
震災を経験した神戸市には,必ず復興を果たし,神戸が再び「世界の神戸」としてよみがえっていく過程を全国に向けて発信していくという使命があります。この復興のための新たな力を生み出すには,徹底した行財政改善と国へのさらなる支援を求めるとともに,市民の理解と協力を得る努力が不可欠であると思うのであります。
市の本体というべき一般会計の状況は,平成17年度までに約 6,300億円の赤字が見込まれるなど,以後企業会計が一般会計に頼ることが困難になっていくことは明白であり,いま一度各企業会計が独立採算という原点に立って,徹底した行財政改善を行うことが必要であります。今後各企業会計とも仕事を進めるに当たっては,従来の枠を取り払って全く新しい発想で取り組んでいくことが必要であります。
以下,これらの点を踏まえて各会計について質問をいたします。
まず最初に,下水道事業についてお伺いいたします。
下水道事業会計の決算を見ると,2カ年続きの赤字決算となっていますが,平成7年度末では約20億円の累積黒字を残しており,これだけ見れば,まだ十分余力を残しているようにお見受けいたします。
しかし,平成8年度当初予算で一般会計から下水道事業会計への繰り出しを,本来 150億円から51億円減額していることにつきましては一定の評価をいたしますが,使用料収入の減収などにより約90億円の赤字が見込まれており,この赤字傾向は少なくとも使用料収入が震災以前のレベルに戻る平成10年度ごろまで続くと聞いております。
さらに,あと数年頑張って,もう少し経費を切り詰めていくなどの内部努力によってスリム化を図り,一般会計の安定のために寄与していくことが必要で,またこういった努力を示すことによって神戸市も頑張っているという評価を得ることができ,震災後の福祉や教育など一般会計における厳しい状況も市民に理解されやすいのではないかと思いますが,いかがでしょうか,ご所見をお伺いいたします。
また,災害復旧事業は,一部を除いて平成8年度で終わるということでありますが,道路や護岸などと異なり,下水道管は地中にあるため詳細な調査は困難であり,口径や被災の程度などで国の査定基準に合うものの調査を優先させたと聞いております。
調査できずに残った下水道管についても今後被害が明らかになってくれば,その管渠延長から見積もっても試算の仕方によっては 100億円を超えるとも聞いておりますが,このことが今後の負担になり,経営を圧迫してくるのではないかと思われます。
このような状況のもとで,経営の効率化により事業の安定化を図ることは,市民サービス維持の観点から非常に重要なことと考えますが,例えば統廃合した処理場やポンプ場等の売却や用地を生かした民間活力の導入を図るにしましても,有馬の用地など処分可能な用地には仮設住宅が建っており,当面処分できないという難しい問題もあると思います。
そこで,下水道事業として今後どのような経営努力をしていかれるおつもりなのか,あわせて市長のご所見をお伺いいたします。
次に,ポートアイランド2期事業についてお伺いをいたします。
ポートアイランド2期は,魅力的な国際都市神戸を復興し,さらに発展させていくための新しい都市機能空間として非常に重要であり,ここに企業を誘致できるか否かは,新都市整備事業会計のみならず神戸市全体の浮沈がかかっていると言っても過言ではないと思います。
バブル崩壊後,経済は緩やかな回復基調にあるとはいえ,震災都市神戸にとっては依然厳しい状況にあり,地価の回復の兆しが見えない中で,企業進出の用地取得意欲は沈滞したままであり,ポートアイランド第2期への企業誘致も非常に厳しい状況にあると思われます。神戸経済も震災後,製造業や地場産業など,競争力の弱い分野を中心に市外流出や海外へのシフトも見られています。
復興のテンポは鈍く,また3次産業においても人口の流出,観光客の減少,震災による都市イメージの低下などで復興のおくれが目立っており,これらの事態を打開するためには,既存産業の再建を積極的に推進する一方で,神戸経済の本格的復興を先導するための成長分野の先進的産業を集積させる必要があるのではないでしょうか。
現時点では,本格的復興を目指すための新しい都市機能空間を目指すポーアイ2期については,積極的に用地を売却したくても2期の将来像がはっきり見えてこないのが現状であります。また,2期の外債償還計画では平成11年から非常に厳しい状況を迎えます。
そこで,このような問題に対応して,国に対し平成9年度の予算要望に規制緩和を要請するならば,ことしの11月ごろまでにはまちづくりのコンセプトを明らかにしなければならないと思いますが,どのように考えておられるのか,お伺いをいたします。
また,その中で港湾用地を考えてみますと,ポートアイランドには空きバースがあり,これも貴重な用地とは言えないでしょうか。空きバースについては利用の可能性を早期に見きわめた上で,港での利用の見通しのないバースがあれば積極的に用途変更を国に求め,これまでと違う再利用ができるような働きかけをしていくことも考えられます。国に対してどのような対応をしていくお考えか,お伺いいたします。
また,ポートアイランド2期の用地でも,処分計画上すぐに売却の必要のない場所もあるのではないでしょうか。外債償還計画も考慮し,処分予定時期まででもよいのですが,市で土地利用の制限を加えておくといった明確な方針を示した上で,例えば第三セクターを活用するなどして土地を有効活用するのはいかがでしょうか。
思い切った政策的決断をして復興の起爆剤となるような施設を誘致するといったことも必要ではないかと思いますが,市長のご所見をお伺いいたします。
次に,病院事業について3点質問をいたします。
まず第1点目は,西市民病院の再建についてでありますが,震災により西市民病院は本館が壊滅するなど大きな被害を受け,経営状況は患者数の大幅な減少等によりさらに悪化しており,一方一般会計も今後巨額の財源不足が生じることが見込まれており,厳しい財政状況にあります。
このような財政状況の中で西市民病院を再建していかなければならないわけでありますが,今回の再建計画では現時点で総事業費約 170億円に対して,災害復旧の補助認証事業費は約96億円となり,残りは補助対象外となっています。
さらに,平成5年度決算においても,震災前の西市民病院の一般会計繰入金は約16億円であり,今回の再建計画の中では救急医療の充実や精神障害者の身体合併症への対応などの不採算部門の増加により,新病院開設後もさらなる繰入金の増が見込まれます。
一方全市的に緊急の課題として行財政改善に取り組まれ,健康福祉の分野でも事業の見直しをされるなど厳しい環境の中で,このような再建計画の実施は可能なのか。また,再建に当たっては従来の運営方法では病院会計の財政破綻を来すおそれがあり,思い切ったリストラの発想や西神戸医療センターのような業務委託の推進をはじめとする効率的な運営を取り入れることなどが必要であると思いますが,具体的な手法についてどのような手法を取り入れていかれるのか,お伺いをいたします。
2点目に,西市民病院の周辺は被災が大きかった地域で人口も減少している中で,再建後の西市民病院についてはどのような医療水準で運営していくかが重要な課題であります。聞き及びますと,市街地西部の地域中核病院という位置づけの中で,高齢者を中心としながら地域医療にこたえていこうとされています。
そこで,周辺の民間医療機関の苦しい経営状況にある事情を踏まえて,例えば救急医療については,既存の優秀な地域の民間医療を積極的に活用することによって救急医療のシステム全体を見直すなど,今後民間医療機関との連携強化を推進していくことが重要であると思いますが,医療水準も含めて具体的にどのように考えておられるのかをお伺いいたします。
3点目に,今重要視されている在宅支援をうまく機能させていくためには,かかりつけ医制度の推進,訪問看護ステーション,ホームヘルプなど在宅サービスの拡充,老健施設や療養型病床群の整備など,保健・福祉・医療の連携を進めていく必要があると考えますが,西市民病院の新しい医療機能としての在宅医療支援システムの整備については,午前中の質疑の中にございましたので,推進していただくということをお願い申し上げまして,省かせていただきたいと思います。
次に,バス路線の再編成についてお伺いをいたします。
バス事業の7年度決算は30億 5,200万円の赤字となっておりますが,これは乗客数の減少が大きな原因であり,震災前の平成5年度は1日32万 5,000人の乗客数が,7年度は1日29万人と3万 5,000人減少しています。
バス事業の経営改善には,赤字路線の見直しなど路線再編成が不可欠と考えますが,今後の路線再編成について数点お伺いをいたします。
まず,赤字路線対策についてでありますが,神戸市内では,神姫バスや山陽バスなど民間業者との権益調整が求められておりますが,民間バスの積極的な利用を考えられないでしょうか。
西北神地域ではバス路線の新設に際し,例えば西神─押部谷栄間の20系統では神姫バス・神姫ゾーンバスと共同運行し,箕谷駅前──しあわせの村間の 158系統では神鉄バスと共同運行をしています。
これを一歩進めて,市バス単独の赤字路線を民間バスに譲り,民間バスに運行させることはできないのか。具体的には民間の既存路線に市バスの赤字路線を吸収することで,民バスは収支を取れないでしょうか。市バスは,赤字路線の減った分,その余力をほかに回すことができると考えますが,いかがでしょうか。
次に,震災後の人口移動に合わせた路線を今から計画し,住民にもPRすべきではないかと考えます。仮設住宅住民の足には一時的な路線の延伸,増便等で対応しましたが,今後は恒久的な住宅の張りつきに合わせた路線が必要になります。
災害復興住宅の建設計画も明らかになっており,震災後の人口移動に対応した路線再編成を行う必要がありますが,どのように対応されるのか,お伺いをいたします。
続いて,海岸線の乗客確保対策についてお伺いいたします。
海岸線はインナーシティ活性化のリーディングプロジェクトとして計画され,震災後は復興のリーディングプロジェクトとして一層重要性が増しております。海岸線の乗客13万人の確保についてはいろいろ議論がありますが,その乗客を確保するための具体的取り組みについて数点お伺いをいたします。
まず1点目は,震災後に沿線プロジェクトの中にも見直しがされ,当初の予定から後退したものもあるように聞いております。震災前と震災後で沿線プロジェクトから発生する乗客見込み数に変化があると考えられますが,どうでしょうか。
海岸線の収支に影響を及ぼさないのか,ひいては好調な西神山手線と合わせた高速鉄道事業会計の収支に影響を与えることはないのかについてお伺いをいたします。
3点目に,和田岬線についてでありますが,和田岬にある大手企業の通勤客は,主に明石など西方面からのJR利用者が多いと聞いておりますが,JR和田岬線は海岸線と競合関係にあることから,海岸線が開通すれば乗客の何割かが海岸線利用に移行し,JR和田岬線の収支が悪化することになります。
そうなればJRでも和田岬線の廃止や土地を売却することなどの検討がなされると考えますが,JRとの事前協議をされておられるのか,またその場合新長田駅に快速をとめてもらうことなどが条件となってきますが,JR西日本に対し具体的に要望すべきと思いますが,どうでしょうか。
さらに,料金改定については,JR新長田─和田岬間が 180円でありますが,政策的に海岸線も同一料金にすべきであると考えます。
また,西神山手線との乗りかえがスムーズに行えるようにするとともに,料金も通し料金で設定すべきであると考えますが,いかがでしょうか,市長のご所見をお伺いいたします。
次に,水道事業について質問をいたします。
水道事業の経営状況は,昭和59年以降順調な経済成長に支えられ,順調に推移してきましたが,平成4年度に阪神水道企業団の受水費が改定され,また平成5年度は不況や冷夏・長雨等による影響で10年ぶりに赤字を計上し悪化傾向にあったところに,平成6年度は渇水と大震災により経営状況は急激に悪化をしました。平成7年度決算では,単年度で約39億円を計上し,累積赤字87億 6,000万円となり,また8年度予算においても40億 7,000万円の赤字が見込まれ,さらに10月1日から阪神水道企業団からの受水費が23.4%改定され,これによる影響を含めると8年度末の累積赤字は 136億円を超えると予想され,まさに水道事業創設以来の危機的な状況に陥っています。このような状況下においては,改めて言うまでもなく最大限の内部努力を積極的に推進する必要があります。
今回経営安定化積立金を累積欠損金の処理に活用することも予定されておりますが,この厳しい財政状況を勘案すると,経営の効率化はもちろんのこと,これからの受水費高騰対策については,基金の受取利息の範囲内で充当するという従来の考え方に限定せず,基金元本も積極的に取り崩し,また遊休資産の有効活用についても民間への売却を含めた民間活力の導入を行うなど,水道事業としてあらゆる方策を講じて経営の健全化に努めなければならないと考えます。
市としては本年7月に上下水道事業審議会に今後の水道事業経営について諮問し,現在審議中であり,その経過を見守る必要がありますが,現時点において当局はどのような観点に立って経営の健全化のための企業努力を行っていこうと考えておられるのか,市長のご見解をお伺いいたします。
さらに,国の財政支援についてでありますが,震災直後に各家庭に給水するために,本来は市民負担の宅地内の給水管修繕についても,水道局が16億ともいわれる無料修繕を実施したり,住宅復興に当たり市民負担の軽減策として復興給水本管整備事業を新設するなど,国庫補助がない中で水道局の対応については評価をいたします。
また,配水管等の災害復旧工事についても,補助率2分の1から10分の8に引き上げられるなど一定の充実が図られました。しかしながら,補助基準と実工事費との乖離などに伴う局負担の増加が財政悪化の要因にもなっており,さらに国庫補助の査定が終了した現時点においては,新たに被災箇所が判明しても補助を受けることができないため,単独事業として実施していかなければならず,加えて今後震災復興に向けた水道施設の耐震化事業も推進していかなければなりませんが,そのための補助の新設や充実が必要であります。
今までの震災に対する国の補助制度は,既存の法律や制度の枠組みの中での運用であるため,未曽有の被害の実態に即した十分な財政支援とは言いがたい面があると考えています。
もし今回のような大地震が他の都市において発生しても,十分な国の財政支援により被災都市に財政負担が生じることのないよう,今後のためにも神戸市がモデルとなるような補助制度の改革を求めるべきであると思いますが,いかがでしょうか,市長のご所見をお伺いいたします。
最後に,国からの支援につきましては,震災後は困難と思われた各種の要望も,市当局と議会の粘り強い要望活動の結果として,例えば復興区画整理事業や復興再開発事業での補助対象の拡大や起債・交付税措置の拡大など,また懸案であった公営住宅の確保や家賃負担の軽減などについても,国から一定の支援を得ることができました。
さきに申し上げましたように,今後各企業会計で抱える諸問題については,例えば下水道事業における国基準の対象外となった管渠などの整備についての財政措置や,病院事業における西市民病院の再建,特に超過負担部分の財政支援の拡充など,各企業会計にはこういった被災した時期だからこそ要望すべき点があると思われます。これら実現が難しいと思われる内容でも国に要望していくということが大切だと思うのであります。
災害復旧・復興に関する国の財政支援について,神戸市民の負担軽減のために引き続き国に対して強く要望すべきである考えますが,今後どのように国に働きかけようとしているのか,重ねて市長のご所見をお伺いいたします。
以上,多岐にわたりましたが,新こうべ21議員団を代表して質問といたします。どうぞよろしくお願いします。(拍手)
(「議長」の声あり)
75 ◯副議長(佐藤清次君) 笹山市長。
76 ◯市長(笹山幸俊君) 松本議員のご質問に私からまず数点,お答え申し上げます。
ポートアイランドの2期のいわゆる土地利用についてご指摘がございました。ご指摘のとおりでございまして,今後の神戸の経済復興あるいは既存のいわゆる産業の支援,こういった問題についてぜひ必要な地域であることはご指摘のとおりでございます。現在,国との折衝の中で,住宅問題は一応ああいった格好になりましたが,今やっておりますのは生活再建についての問題点の協議でございます。それから,もう2回目,3回目になりますが,経済復興についての議論でございます。
ですから,できるだけ早く──実は9年度の予算編成までにというようなテンポでお願いしておったんですけれども,それが少し延びておりまして,特に住宅問題は急ぎましたので,そちらに重点がかかっておりますし,生活再建についてもできるだけご指摘がございましたようにことしの末ぐらいまでには何とかけりをつけていただきたい,こういうような要望も現在させていただいております。
特に企業用地といいますか,ポートアイランド2期につきましては,どんどん神戸経済復興なりあるいは発展させていく必要な用地でございまして,土地利用としては余り変えておりません。今後変わるかもしれませんが,例えばファッション街区とか国際交流施設とか,あるいはベンチャーの関係もございますし,あるいは企業の成長性の高い情報,あるいは通信,あるいは生活・文化産業,あるいは集客産業,こういったもの,それに外資系も話があります。そういったことが神戸の既存の産業の活性化にもつながる,また支援策にもなるというようなもの,あるいは今後の経済が雇用及び効果の高いもの,こういった企業を目指しておりますのはご承知のとおりだと思います。
そういうことで,これにはやはり網かけが必要でございますので,できれば神戸起業ゾーンというのをつくっていただきまして,またKIMEC,その他スーパーコンベンションとか,あるいはもう既にビジネスセンター等のプロジェクトもそろそろ具体化していく段階になってございます。
ですから,私の方でできる内容のものについては,そういった方向で進めさせていただいて,それに国にやってほしいもの,あるいは企業の皆さんにやっていただきたいもの,そういうぐあいに分類をしまして今整理をさせていただいて,各皆さん方にご了解を得て,随時立地をしていただく,今こういう段取りでございます。
そのためにいろんな優遇措置をという話が出ているのはご承知のとおりだと思いますので,ご指摘がございましたように順次,できるだけ早く神戸の復興への足がかりといいますか希望といいますか,そういうものを市民に見ていただきたい,こういうぐあいに考えて進めていきたいと思います。
それから,もう1つは空きバースの問題でございますが,これもいろいろ大型化してきました神戸港について,それぞれ船社が移転を行っております。これはもう既にご説明申し上げているとおりでございますが,ただこれと寄港地としてのハブ機能を持った神戸港には,少なくともフィーダーをしてまいります小さな船といいますか,そういうものがどんどん神戸に入ってこないといけませんので,そういうことが現在では日本の中小の船が韓国へ行って,韓国から大型に乗る,こういうことになっておる港が実はございます。
ですから,できるだけ早く神戸に戻っていただきたいなと思いますが,そういう意味でも12メートルバースといいますのは,近海航路の皆さん方にとっても必要になりますので,できるだけ安い賃借料で利用していただけるんではないかなと,こういうぐあいに考えて進めておるところでございます。
既に大型のコンテナバースがどんどん転換をしてまいりますが,今後いろんな状況は出てまいろうかと思います。例えば臨海部の再開発その他がどんどん出てまいりますので,そういった企業の方がそちらへ移ってもいい──土地利用に特に支障がなければですね。もし支障があってもむしろ陸地側といいますか,あるいは埠頭の関係で土地利用の転換をした方がいいなと,そういう企業があるとすれば,運輸省と十分調整を図りまして,今後転換を図るべく港湾計画の変更なりあるいは所定の手続をしていく必要がある,こういうぐあいに考えております。
これがどんどん復興にかかってまいりますと,少なくとも今のところ東部臨海に,あるいは東部の方の臨海部あるいは兵庫南部,こういったところからもいろいろ出てこようかと思いますので,こういった面の対応を十分考えておくということだと思います。ご指摘のとおりと思っております。
それから,今も少しお話がございました,そういった土地の分譲を十分計画的に行っていかないと,いわゆる償還計画に引っかかるというのは支障が出る,こういうこともございますので,十分注意をしていきたいと思いますし,その誘致についても十分波及効果なりあるいは雇用促進なりに寄与できる,こういう企業に来ていただくように折衝していきたい,こう思っております。十分そういった点も私どもとしては今いろんな企業の皆さんあるいは国と話し合いをさせていただいておるところでございます。
それから,国への要望もご指摘がございましたように,国・県に対しまして議会の先生方も強行軍でご支援いただいて,それぞれの分野で,ある成果をいただいたわけでございます。特に財政措置ということが非常に今後の市の財政に対して影響を与えますので,こういった措置については粘り強くといいますか,相当長期にわたって頑張らないといけないなという部分もたくさんございます。
今回は企業会計の中でも下水等の復旧事業につきまして,それぞれ採択基準などの緩和等について実現した部分もございます。しかし,復興にかかわりまして,ご指摘がございましたように9年度の予算についていろいろと申し上げてきたんですけれども,特に補助の対象事業の拡大,あるいは補助枠の拡大,それから採択基準の中身の問題,こういう補助制度にかかわる問題につきましては非常に国は厳しゅうございます。
そういった面で例えば融資にかわったり交付税にかわったり,こういったことになってきておりますので,特に不採算のような事業につきましては当然していただきたい,こういうことで特に西市民病院に関する問題と公営企業に関する財政措置については今後とも要望していきたい,こう思っております。
それから,こういった問題は特に国に行って理屈を言っても通らないものも実はございますが,被災地として,また神戸でないとできない,神戸が一番ふさわしいんだ,そういった事業,こういうものをやはり考えて持っていかないといけないなという気が今いたしております。そういう意味で国の理解を得るためには,やはりそういった具体的に提案をしていかないといけない,こう思っておりますので,今後ともぜひご支援を賜りたいと思っております。
以上,私からお答え申し上げました。他は助役等からお答え申し上げます。
(「議長」の声あり)
77 ◯副議長(佐藤清次君) 緒方助役。
78 ◯助役(緒方 学君) 私から病院事業について2点,ご答弁申し上げます。
西市民病院の再建に当たって,財政的な問題もあるわけでございますけれども,効率的な運営はどうかというようなご趣旨のご質問でございました。西市民病院は,神戸市復興計画におきまして,おおむね5年以内に高齢者などへの総合医療にも対応する病院として再建するというふうに位置づけられておりまして,市街地西部の中核病院として再建を行うべく現在作業中でございます。
そういうことで,新しい病院におきましては,救急医療のほか老人,痴呆患者の鑑別診断,あるいは在宅支援などの機能も新たに加えて,地域中核病院としての役割を果たしていきたいと考えております。
ご指摘のように総事業費約 170億円が現在予定されておりますけれども,できるだけ国庫補助金あるいは交付税措置などを導入して,一般会計,市の財政負担の軽減を図っていきたいと考えております。
そういう中で効率的な病院運営に努めることが肝要なわけでございまして,西神戸医療センターあるいは他の病院の長所について,例えば地域医療機関との連携など,西市民病院にふさわしいものにつきましては取り入れていくなどしまして,効率的な病院運営に努めてまいりたい,そういうふうに考えております。
それから,同じく救急医療についてご質問がございました。救急体制につきましては,従前にも増して地域住民の方々に安心感を持っていただけるようにしたいと考えております。中央市民病院,救命救急センター,これがいわゆる3次救急を担当しておるわけでございますけれども,そのほか西神戸医療センター,地域医療機関と連携を図りながら,1つは市内の67の私立病院及び公的病院によります2次救急病院群輪番制を補完するという形で,内科系,外科系による通年2次救急を行いたい。
もう1つは,現在既に実施している夜間一定時間まで小児科救急も継続する方向で考えておりますけれども,ご指摘の点も踏まえまして,今後より詳細に検討を進めてまいりたい,そういうふうに考えております。
以上でございます。
(「議長」の声あり)
79 ◯副議長(佐藤清次君) 山下助役。
80 ◯助役(山下彰啓君) 私の方から下水道事業,バス事業,地下鉄海岸線の3点についてお答え申し上げます。
まず,下水道事業の財政の問題でございます。
先生ご指摘のとおり,今後下水道事業会計も予断を許さないという状況が出てまいっていることは事実でございまして,経費を切り詰めていくという施策についても,これからもぜひとも努力をしてまいりたい,そういうふうに思っておる次第でございます。
やはりこういう厳しい状況の中にあっても,安定した市民サービスを提供するということが至上命令というふうに考えております。そのためにどういう施策があるかということをいろいろ考えておるわけですけれども,まず幹線の系統を多系統化するとか,あるいは処理場間のネットワークというもの,そういうものを進めることによりまして,非常の場合でも安定した処理ができるような体制を目指す,こういうことがまず必要かなと思ったりいたしております。
またさらには,これは経常的にやっていきたいと思っておるわけですけれども,現在クリーンセンターからの電力受け入れということをやり始めておりますが,そういうものをふやすことによりまして処理場の電力料金,こういったものの削減も図ってまいらなけりゃならないというふうに思います。
また,既存設備の──これは改良しなければなりませんけれども,近代化を図ることによりまして,薬品代等の処理コスト,そういうものも削減を図ってまいりたい,こういうふうに考えておりまして,できる限り内部の経営努力によりまして,ある意味では一般会計の安定化にも資する努力をさらに続けてまいりたい,そういうふうに思っておる次第でございます。
それから,災害復旧の問題でございますけれども,現在災害復旧工事に取り組んでいる管渠の延長は,被害の大きい区域にある管渠延長約 1,300キロほどございますが,そのうちの10分の1程度の調査により判明したものでございまして,詳細な調査を行っていない,まだ行えていない箇所がかなり残っていることは事実でございます。
すべての管渠の調査を行い,改良を行うというためには,やはりここ4~5年の年月と相当な費用を要するということでございますが,これらの管渠は健全な管渠に比べまして機能が早く低下するということでございますので,ご指摘のように補修費用が今後大きく圧迫する,こういうことも考えられます。
我々といたしましても,経営努力の一環として処理場跡地処分も始めていかなきゃいけないというふうに思っておりまして,新多聞処理場等は仮設住宅も建っておりませんので,そういうところから順次売却を始めていきたい。ただ,一部にはご指摘のようにまだ仮設住宅が建っているところがございますので,これについてはやはり優先順位としてそれらの問題が片づいてからということになろうかと思います。
それから,バス事業の問題でございますが,民間バス事業の積極的な利用ということでございますけれども,バス事業は,午前中にもお話し申し上げたとおり,走行環境が極めて悪い状況が現在来ておりますし,また週休2日制の定着とかあるいは少子化現象というようなことによりまして乗客数が減少しておる。これらは構造的な問題でございまして,公営,民営を問わずに厳しい経営環境にあるということでございます。もちろん震災の人口減少による経営悪化ということが神戸の場合には拍車をかけておるわけでございます。
公営バスと申しますのは,単に公営企業というようなことで企業性を求めるというばかりではなくして,やはり公共的な側面あるいは福祉的な側面というものが求められておりまして,ますますその傾向が今後高齢化社会を迎えて強まってくるというようなことも考えられます。
市バスに対しては,非常に身近な交通機関としてさまざまな需要が出てまいるわけでございまして,できる限りきめ細かい路線の設定とか,あるいは運行路線の確定・確保,こういうことに努めてまいらなければならないというふうに思っております。
ご指摘の赤字路線の民営バスへの譲渡の問題でございますが,我々の考え方としましては,やはり民営バスも同様に厳しい環境にあるわけでございまして,民営バスの状況を見ていますと,厳しい環境にある場合には割と,我々のところと比べますと回数を減らしてしまうとか,路線を整理してしまうとか,そういうことが行われやすいというような状況もあるように思われますので,現在のサービス水準というものを全体的に図っていくということで考えますれば,路線の譲り渡しというようなことは難しいのではないかというふうに現在考えておる次第でございます。
もちろん我々としましても,採算というものについてはやはり厳しく内部的にも努力をしていかなきゃいけない,そういう認識は強くいたしておりますので,ご理解を賜りたいというふうに思います。
それから,海岸線の問題でございます。
海岸線の乗客の確保の問題でございますけれども,1つは沿線の住宅関連プロジェクトによります夜間人口の定着,それから2番目には沿線の企業活動の活発化によります従業者数の増加,それから3番目には沿線の集客施設関連プロジェクトによる来訪者の増加,こういったことが必要になってくるわけでございまして,ご指摘のように海岸線のプロジェクト,それぞれこういった3つの分類のもとにいろいろと計画を立ててまいったわけでございますが,震災の影響で一部検討中のものもあることは事実でございます。例えば大規模工場跡地の活用の問題とか,あるいは中央卸売市場の再開発の問題等ございますけれども,その他プロジェクトにつきましてはほとんどが従前どおり事業継続をいたしておりますし,もしくは事業化が始まっておるというものもございます。
特に海岸線の乗客数に最も大きくかかわります住宅関連プロジェクトについて申し上げますと,震災復興のために重点的に整備をする,促進するということで例えば新長田の駅前の再開発とか,あるいは浜山地区の再整備,こういった問題は従前の計画よりも早いペースで実は事業進捗をさせておるというようなものもございます。
それから,今後もそういった住宅関連プロジェクトの促進を図りますとともに,産業あるいは集客プロジェクトの推進にも取り組みまして震災復興を進めまして,全庁的な体制が必要であるというふうに思っておりますので,全庁で集まりまして,海岸線の乗客の確保に努めまして,高速鉄道事業会計の健全化に資してまいりたい,そういうふうに思っております。
それから,和田岬線の廃止等の問題でございますけれども,実は海岸線の需要予測調査といいますのは,将来人口あるいは将来の交通体系というものを予測して行っておりますが,実は和田岬線につきましては存続するという前提で需要予測を行っておるわけでございまして,海岸線の乗客見込み1日13万人ということになっておりますが──現在実は和田岬線でございますが,1日の利用者数が大体1万 4,000~ 5,000人ということで運行されております。そのうち約半数程度が海岸線の開通によって移行する,こういう予測のもとに立てておるわけでございます。
和田岬線の存廃の問題を我々の方からどうこうという立場にはないわけでございまして,交通事業管理者の立場からすれば,競合しないという方がそれはいいということでございますけれども,JRの方から存廃について話も聞いておりません。また,我々の方からも積極的に実は存廃について言及するという段階でもないということでございます。
それから,快速等の停車につきましては,これは実は──海岸線の問題は別にしまして従前から,これはもう随分以前から実は新長田駅への快速停車というのを要望──これはまだ国鉄時代からずっと続けておる。なかなか実現しないということも事実でございますけれども,今後とも全市的な交通体系のあり方とか,あるいは新長田駅のターミナル機能としての集積が高まってくれば,こういうことももっと話がしやすくなるのかなと。
実は住吉駅の場合にそういうことがございまして,以前からやっておりましたが,なかなか実現をしなかったわけですが,やはりターミナル機能性というのが住吉駅は現実化してまいりました。その中でむしろJRの方から積極的に快速をとめるというような話もあったりしておりますので,やはり新長田駅のターミナル機能というものが,海岸線ができることによって機能強化されれば話が非常にしやすくなる,そういう考え方を現在持っておるということでございます。
以上でございます。
(「議長」の声あり)
81 ◯副議長(佐藤清次君) 藤田水道局長。
82 ◯水道局長(藤田 徹君) 私から水道事業2点につきましてお答えさせていただきます。
まず,水道事業の経営の健全化のための企業努力でございますが,水道事業におきましては公平性の確保に努めるとともに,常に企業としての経済性を発揮すべきであると考えております。
この観点に立ちまして,これまで昭和59年度から平成8年度までに 112人の職員定数の削減を図るなど組織の簡素化や事務事業の見直しを行いますとともに,資産の有効活用や基金の活用等あらゆる角度からの企業努力を続けてきたところでございます。
現在の厳しい財政状況におきましても,市民サービスを低下させることなく,安全で良質な水を安定的に供給することが水道事業の使命でございます。このためには財政支援等につきまして引き続き国等に対して働きかけを行っていくのはもちろんでございますが,今後とも事務事業や組織の見直しによる職員定数の削減等,可能な限りの経営の効率化に努めていきたいと考えております。
また,水道事業基金の取り崩し,遊休資産の活用につきましても,中長期的に安定経営の維持が可能であり,かつ当面の経営改善にできるだけ役立つような方策を講じたいと考えているところでございます。
いずれにいたしましても,現在上下水道事業審議会におきまして,今後の水道事業経営について諮問してご審議をいただいているところでございまして,具体的にはその答申をいただいてから検討していきたいと考えております。
次に,国への財政支援の働きかけについてでございますが,今回の災害復旧工事における国庫補助制度は,補助率が2分の1から10分の8に引き上げられるなど一定の充実が図られたわけでございますが,ご指摘のとおり不十分な面もございまして,将来に向けて災害時の迅速な復旧のために強力かつ恒久的な財政支援策を整備するよう,指定都市要望や大都市水道事業管理者会議を通じまして,国へ現在要望しているところでございます。
災害復旧工事等につきましては,平成8年度政府予算におきましてライフライン機能強化費が盛り込まれ,大容量送水管の一部区間が補助事業として認められ,また上水道安全対策事業としまして,耐震化の観点から通常の事業に上積みして実施する配水管等の改良更新事業につきまして,一般会計出資制度が創設されました。また,減収補てん債の発行が認められましたし,資金不足に対します利子補給の交付税措置が認められております。これらは今回の震災を契機としまして,初めて制度化されたものでございます。
今後の課題としましては,復興事業にかかる費用に比べ,現在認められております国の補助金はわずかでございます。そのためライフライン機能強化費につきましては,予算額の増額とともに水道施設の耐震性強化に係る国庫補助制度の拡充として,特に大容量送水管整備事業につきまして,一部区間のモデル事業だけではなく全区間が補助対象となるよう働きかけていくほか,上水道安全対策事業に係る一般会計出資制度につきまして,交付税措置の拡大とともに,現在5年となっております実施期間の延長及び減収補てん債の元利償還に対する財政措置につきまして,指定都市要望,大都市水道事業管理者会議をはじめあらゆる機会を通じまして強力に働きかけてまいりたいと考えております。
以上でございます。
(「議長」の声あり)
83 ◯副議長(佐藤清次君) 東村交通局長。
84 ◯交通局長(東村 衛君) 自動車事業と海岸線につきまして2点,お答えを申し上げます。
まず,自動車事業の震災復興関連の震災後の路線再編を中心にしての問題でございますけれども,神戸市の震災復興住宅整備緊急3カ年計画が発表されましたけれども,これでは災害復興住宅約2万 6,000戸の建設が目標にされております。しかし,現在約 9,000戸の建設計画が発表されておるところでございます。これにつきましては,我々一部増便等を行いながら対応可能であるというふうに判断をしております。また,残りの災害復興住宅の建設,入居計画につきましてはまだ未定でございますので,今後とも関係局と連携をとりながら,震災後の人口移動に対応した路線の見直しを含めて需要等に対応してまいりたい,かように考えております。
2つ目に,地下鉄海岸線の料金の問題でございますけれども,海岸線の運賃体系につきましては,西神山手線,在来線と同じ対キロ区間制の運賃体系にしたいと考えております。西神山手線との乗り継ぎ運賃につきましても,通算料金といたしまして,これは新たな負担増を生じないようにしようということです。ということは初乗り運賃をかけないということでございます。
また,ハード面におきましても,西神山手線との乗りかえにつきましては,現状の地下道などを利用して,乗りかえがスムーズにできるようなレイアウトにしたいと考えております。
JRの新長田から和田岬間との料金上の競合の問題は,海岸線の乗客確保対策の観点から,料金の設定について何らかの配慮が必要と考えておりますけれども,他の駅間との料金のバランスの問題がございますので,今後の研究課題にさせていただきたい,こういうふうに考えておるところでございます。
以上でございます。
(「議長6番」の声あり)
85 ◯副議長(佐藤清次君) 6番松本周二君。
86 ◯6番(松本周二君) 時間がないようなんですが,いろいろございますけれども,空きバースのところで,用途変更のことで市長の方からいろいろと申し出るということでお答えをいただきまして,またいろいろと勉強させてもらいたいと思います。
そこで,神戸起業ゾーンの設定に関する基本方針というところをお答えいただいたように思います。このことによってこの効果を非常に期待しているわけですが,1点だけということなんで,市長の方からこのことによる企業が誘致できるという見通し,大ざっぱな質問ですけれども,この点にお答えいただけたらなという気がいたします。
(「議長」の声あり)
87 ◯副議長(佐藤清次君) 笹山市長。予定時間が超過いたしておりますので,簡潔にお願いいたします。
88 ◯市長(笹山幸俊君) 特に今議論をしておりますのは,ポートアイランド2期について,あの区域全体といいますか,全体をいわゆる起業ゾーンとして,よく言われておりますようにその中にいろんな施設が入りますので,そういう起業ゾーンという名前でいこう,その中に例えば長江との話が出たり,関税を安くするとか,いろんなエンタープライズゾーンと言われるようなゾーンを決める。それは個々の施設でもいい。しかし,考え方は,施設ごとにずっと積み上げていきましたらゾーンになった,こういう考え方でないと,国の方は頭からエンタープライズゾーンをというようなことはちょっと困るということを言っておられますんで,結果的に見てエンタープライズゾーンになったなと,こういうやり方はどうかというような議論もしております。
それから,長江との問題で中華街をつくりたいと,これは卸関係だと思いますが,いろんな考え方がございますんで,そういうものはあの区域にできるかどうか,もしできるとすれば1つの埠頭地域を使う場合にはちょっと変更せないけませんから,そういったいろんな作業が今から要りますんで,これはもうしばらく,今回10月に長江との会議が神戸で開かれます。そのときに大体大まかな枠が両方から出てくるんじゃないか,こう思っておりますんで,その際またご説明したいと思います。
(「議長6番」の声あり)
89 ◯副議長(佐藤清次君) 6番松本周二君。
90 ◯6番(松本周二君) 時間が参りました。後の委員会もございますので,そちらの方で質問させていただくということで,私の方の質問は終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
91 ◯副議長(佐藤清次君) 次に,71番森原健一君。
(71番森原健一君登壇)(拍手)
92 ◯71番(森原健一君) 私は,日本共産党議員団を代表して,平成7年度公営企業会計決算並びに関連議案について質問いたします。
平成7年度の予算は,1月17日の阪神・淡路大震災の直後の大混乱の中で骨格予算が組まれ,以後4回の補正予算が組まれたものであります。その決算の最大の特徴は,震災の影響が公営企業の運営と財政に大きく影を落とし,危機的状態をもたらしていることであります。
震災による公営企業会計の被害額は,資本的収支で 3,342億円,収益的収支で 423億円に上ると言われ,累積赤字は 1,600億円となっています。公営企業8会計は,市民生活に直接結びつくものが多く,この厳しい財政状況のもとで早期に復旧・復興を進めるとともに,いかにして市民生活の安定と市民サービスを維持向上させるかが最大の課題となります。以下,この観点から数点質問を行います。
まず第1に,財政運営に対する国の責任について伺います。
何百年に一度と言われるような大災害が地方を襲った場合,基本的には国が責任をとって復旧・復興を行うことが大原則であります。未曾有の被害を受けた一地方自治体の力では到底対応は不可能ですし,まして独立採算制を強いられた公営企業会計ではどうしようもありません。
この間,災害復旧事業には国が補助率の引き上げや交付税措置をとり,また起債や一部利子補給などもされました。しかし,復興事業にはその措置がとられないなど不合理な状態が続いています。一層の改善を国に求めるべきだと思いますが,見解を伺います。
また,上下水道管などは地下に布設されているために,破損の発見がおくれたものは国庫補助の対象とならず,今後発見された段階で企業会計で復旧工事を行わなければならないものがふえる可能性があります。
この問題については,つい先ほど質問と答弁がなされました。私は国に対して認定基準の見直しとか,期間の延長などにより実質必要な経費を国が補助するよう要求されたいという質問をしようと思っていたわけですが,市長の答弁では,ややこれにはまだ国の方に重さがあるという意味のご答弁があったようでありますが,基本的にはこういう方向で,市長の答弁なされた方向で努力をされたいと,要望にしておきたいと思います。
また,震災の影響で収入が減少していますが,この対策も必要です。病院事業会計をはじめ交通,上下水道など直接生活にかかわる分野で,これを将来の市民の負担に転嫁することは理の通らないことであります。収入減少に対して,国と一般会計による措置も必要であると考えます。見解を伺います。
次に,水道事業会計について伺います。
水道事業会計では平成7年度に39億円の赤字を生み,平成7年度末には累積赤字が87億 6,000万円になるため,水道料金の値上げはやむを得ないことであるかのように報道されています。
しかし,これには過去の会計処理上の大きな問題が絡んでいます。前回水道料金の引き上げが行われたのは昭和59年度でした。この年から単年度で最高37億円余の黒字が組まれ,平成4年度まで続いた黒字の総額は 227億円に上っています。そのうち79億円は経営安定化基金に積み立てられ,今回赤字解消のために取り崩すとのことであります。これは当然必要なことであります。
しかし,減債積立金に組み込まれた 132億円は,企業債の償還に使われ,自己資本に組み込まれています。企業会計上,赤字解消等には活用できないとのことであります。市民が支払った水道料金が資本金になり,そのために赤字がふくらみ,その結果水道料金の値上げが必要になる。このような財政運営のあり方を今見直すべきではないかと思いますが,見解を伺います。
次に,病院事業会計についてお伺いいたします。
震災で市民病院も大きな被害を受けましたが,市民の医療ニーズは多様化,高度化し,市民病院の果たすべき役割はますます重要になっています。今後西市民病院の復興,中央市民病院の整備などの多額の資金を必要とするわけですが,
地方公営企業法と診療報酬体系のもとでの運営を余儀なくされている病院経営の将来展望は,決して明るいものではありません。国に諸制度の改善を求めることや,横浜市などが行っているように,2年ごとに赤字分は一般会計から繰り入れて赤字を解消するなど,その事業の重要性から考えて,抜本的な方向を打ち出すべきではないでしょうか,見解をお伺いいたします。
また,病院の経営改善の中心を内部努力と合理化に置くことは適切でないと思います。過去市民病院の看護婦の退職者数は,この5年間で 725名であり,在籍年数は平均6年余であります。高い医療知識と技術のもと,患者との種々さまざまな人間関係を要請され,また人間性のすべてを打ち込む専門職であるにもかかわらず,その労働条件は極めて過酷なものがあります。
私も,実際に入院して経験したわけですが,医療現場は看護婦さんの質の高い,献身的な労働によって支えられ,ぎりぎりのところで維持されているように感じます。その看護婦が体の限界を感じると,職場環境の改善を望む前に退職したり,医療の世界から去ってしまうという状態が繰り返し続いているのが現状ではないでしょうか。人をふやし,労働条件を改善し,社会的にも必要なマンパワーを確保することが必要だと思いますが,対策を伺いたいと思います。
第4に,交通事業についてお聞きします。
初めに,バス事業についてであります。バスは被災した鉄軌道の代替輸送機関として,また仮設住宅への路線の新設など,震災後大きな役割を果たしてきました。にもかかわらずこの間の乗車人員は,平成6年度で年間 700万人減少し,平成7年度はさらに 540万人減少しています。この結果,バス事業会計の累積赤字は96億円に達し,37億円もの不良債務を生じる結果になっています。
さらに,現在市内各地で道路の復旧工事が行われ,交通渋滞が起こっています。そのためにバスの定時運行やスピードアップができない状態となり,一層乗客離れが進んでいます。こうした震災による経営への影響について,財政的な援助を国に求めるべきだと思いますが,見解を伺います。
次に,地下鉄海岸線について伺います。地下鉄海岸線は,乗客見込み数との関連で財政的に極めて厳しいことが予想されていますが,地域の活性化,インナーシティ対策として必要との判断から建設が進められています。問題は地下鉄が建設されることにより同地域を活性化させるということが重要であります。大量の住宅建設や雇用の場の確保,集客施設の誘致建設を進め,地域全体のまちづくりを震災復興の観点でどう進めるかという計画が必要であると思います。地域の利便性だけでなく,住みよい環境をつくる──文化施設の建設,レジャー施設の誘致を含む,夢のある具体的な計画が必要であると思いますが,見解を伺います。
次に,港湾事業について伺います。
平成7年度の港湾事業予算に対し,我が党は神戸港の機能を回復することの必要性を認めながら,六甲アイランド南の埋め立てには反対であるとの態度を表明しました。その理由は,ポートアイランド2期に加えて六甲南の建設は設備過剰になるおそれがあること,環境問題や財政面でも問題があること,港湾計画変更が審議された港湾審議会は,震災直後の1月30日に開かれ,復旧問題が中心に論議されたものの,六甲南の埋め立ての必要性,環境問題,財政問題は十分論議されなかったことを上げています。
現在,国際的に船舶の大型化が進んでいます。水深15メートル級のバースが必要であるとして,大水深バースの建設がアジア各地でも行われていますが,神戸港では六甲アイランドやポートアイランド2期に大水深バースの建設が進められており,現状で十分対応できるのではないでしょうか。
どんどん船舶の大型化が進み,それに合わせて自治体がどんどん埋め立てを行い,大水深バースを建設する。まさに果てしない港間競争が行われる状態が続いています。このような事態を改めて,適正な規模の埠頭を必要な港にだけ整備するなど,役割分担の方向へ転換を求めるべきだと思いますが,見解を伺います。
当然港湾計画,港湾整備計画策定の段階で民主的な論議を踏まえて,市の主体性を堅持した上で,国に調整機能を求めるべきではないでしょうか。
また,大水深バースが建設されると船社が六甲アイランドに移り,ポートアイランドの旧コンテナバースに空きができるという矛盾が起こっています。この活用をどう考えるのか。
さらに,空いた公社バースを神戸市が公共バースとして多額の費用で買い戻すことや,利用効率の高いバースを埠頭公社が持って船社に専用貸しをし,利用効率の低いバースを公共でという港湾管理のあり方も見直す必要があると思いますが,見解を伺います。
最後に,開発事業について伺います。
神戸市の開発行政は,公共ディベロッパーによる宅地と住宅の供給,開発による経済効果や開発利益による市財政への貢献など,その積極的側面が全国の注目を浴びてきました。しかし,今回の震災で,旧市街地や埋め立て地の被害が余りにも大きかったため,市政のあり方に対して厳しい批判と見直しが求められてきました。
我が党も以前から一貫して開発のマイナス効果を指摘し,開発の抑制,中止を求めてきました。人口のドーナツ化による旧市街地の公共施設の遊休化,新開発地への交通網の整備,公共施設の建設などの財政問題とともに,埋め立てによる自然破壊,海洋や大気の汚染と健康被害など多くの公害問題が発生しました。一度失われた自然と財産は取り戻すことはできません。
しかし,震災後も復興計画の中で臨海部の六甲南埋め立て,神戸空港の建設,内陸部でいろいろな大型プロジェクトが計画されていますが,経済情勢の変化により今までどおりの開発を進めていくことの危険性も危惧されています。今日までの開発行政の功罪を総括し,開発行政を見直すべきときに来ていると思いますが,見解を伺います。
市長の答弁を期待し,私の質問とします。(拍手)
(「議長」の声あり)
93 ◯副議長(佐藤清次君) 笹山市長。
94 ◯市長(笹山幸俊君) 森原議員のご質問にまず私からお答え申し上げます。
まず,今回の震災によりますいろんな課題について,それぞれ各局また各省に対しましていろんな要望をしてきておりますが,特に大枠として国の方の復興委員会,そしてそれを受けて復興本部がその作業をしておりますので,各省及びその復興本部事務局に対してそれぞれ要望をさせていただいております。
その中で8年度についてそれぞれ成果のあったものも,先ほどから説明申し上げているとおりでございまして,確かに難しい話も随分ございます。ただ,今回企業会計に対してできるだけ繰出金を出していきたいという気持ちはあるわけですけれども,一般会計そのものもそういった余裕のあるような状態でないというのが現状でございます。
ですから,国に対しては先ほどもお話し申し上げましたように,ただ要望するというだけでは話としては難しい。ですから,個々の問題についてどうだということを今やっているわけです。ですから,制度そのものを変える,あるいは新設をしてもらう,こういったことで成功したものも実はございます。それは復旧にかかわるものでございまして,例えば一般会計が補助して,そして交付税で措置をするといったやり方,また減収補てん債の発行なども認めてもらっている企業もございます。
ですから,こういうことを具体的にやっていかないと,それぞれ1つの枠の中で動くということになってしまいますので,これについては私どもも努力いたしますが,議会また神戸市民の皆さん方がそういうことで要望に対してのご支援をいただきたい,こう思っております。
特に午前中も申し上げましたように,市民病院あるいは上下水道の復旧工事は長期にわたります。これは相当のお金がかかりますので,今後なお要望していきたい,こう思っております。
病院なんかでも,現在の病院の不採算部分をどうするか,こういった問題もかねてから言っておりますけれども,震災があってもなおそれに対して理解をいただいてないということでございますので,この点については国に対しては全面的に,神戸市に限らず病院を持っておられる都市は同じことでございますので,お互いに協力しながらやっていきたいと思います。もちろんバスについても同様だと思います。今後ともよろしくご支援をいただきたいと思います。
それから,地下鉄海岸線の問題ですけれども,ご指摘がありましたように確かに沿線のインナー問題を解決するということで議会で,いわゆるプロジェクトについての特別委員会その他をつくっていただきましてご議論をいただいて,その議論の中にありました,いろんな問題点が今回の震災ではっきりしてきたということは事実です。ですから,議会の委員会でご議論いただいて,こういうことをやったらいいではないかという1つの提案は,非常に当を得た計画であったと,また委員会であったと,私はそう思っております。
ですから,この中にありますいろんな計画を進めていくということが大事ではないかと思います。具体的には先ほどもお話がございましたように,いろんなプロジェクトが既にありますので,それをひとつ順序よくといいますか,皆さん方に,地域の方々の協力をいただいてつくり上げていくということではないかと思います。
住宅問題にしてもそうですし,また企業の皆さん方にとっても早く,震災前以上にこの地域のためにひとつ新しいアイデアを出していただいて立地をしていただく,雇用の拡大を図っていただくということが必要ではないかと思います。
また,集客施設にしても,御崎公園という計画も出ているわけでございますから,これにプラスアルファの,いわゆる防災公園的なアルファを入れて進捗をさせるということも1つの経験による私どもの,また議会からのお話の集客施設に対するお答えではないか,こう思います。
もちろん大阪ガスの跡地等についても,もう既に方向づけは決まっております。長田港の再開発といったものも,今度の震災によってそれは要らないということではないと思います。震災があって,むしろそれを早く促進するという気持ちで地域の方々のご協力をいただきたい,こう思っております。
それから,開発事業につきましては,いつも議論になるわけですけれども,特に今回の震災について,開発事業のいわゆる功罪といいますか,これは両方出たではないかということでございます。罪の方だけが出ているわけではない,私はそう思っております。
ですから,こういったことはあり得るということで,やはり都市にはいわゆる容量がある,環境的な容量──環境といいますのはいろんな面を含んでいるわけですので,そういった容量をオーバーするということは,もともとないものを,人を当てにして,他を当てにしてまちをつくっていくということじゃなくって,最初,神戸市としての枠内でできる範囲で考えると,それでなおかつそれでは今の神戸にとってはそうは簡単にいかないから,少し手を伸ばしておかないとだめだろうというのがこの開発事業なんです。西神ニュータウンにしても企業団地にしても,北神の3団地,企業団地,こういったものもそういった新しいものをつくるときに,インナー問題その他を解決するためにはやはりそういうものが必要なんだということで,1つの手法としてやっているわけです。まちをつくる手法としてやっているわけです。
ですから,当然まちの構造,神戸の都市構造というのは変わるわけですから,その変わるのにどう変えたらいいかと,どんな,どういうまちを神戸市は今望むんだということでございますので,できるだけ環境のいい,働きやすい,また利便性といいますか,いろんな福祉施設からいわゆる教育施設,文化施設,あらゆるものが手近に市民がいつでも利用できる,こういったまちがいわゆる私どもが考える神戸のまち像ではないか。そのためにはある枠の中で動くべきであろうという考え方には変わりがないんです。
ですから,これがオーバーしていくというのは,どうオーバーするかという議論がいまだに具体的にされてない。これをやったら必ずオーバーするということについては一向にないわけですから,これをどの辺で枠組みをするかということが今問われているわけです。
そこへ今回の震災です。ですから,その枠をはみ出すのか,枠内でおさめるのか。あるいは,枠内でおさめるということは永久に復興しない。午前中もちょっと申し上げましたように,復興しないという前提なのか,いやそれをはみ出してでもいいから,もっともっといい神戸にしようとおっしゃるのか,その辺をこの1~2年の間に十分議論をしていただいて,神戸のまちの方向づけというものをもう一回再確認していただきたいというのが私の希望でもございますし,まちづくりについての考え方でもございます。
以上,私からお答え申し上げました。
(「議長」の声あり)
95 ◯副議長(佐藤清次君) 緒方助役。
96 ◯助役(緒方 学君) 私から病院事業,それから港湾事業について4点,ご答弁申し上げます。
まず,病院会計非常に厳しいわけでございますけれども,抜本的な改善策はいかがというご質問でございました。本市の病院事業会計の負担区分につきましては,昭和54年度より自治省の運用基準を基本として導入いたしております。その後,何回かの見直しを行いまして,現在に至っているわけでございますけれども,自治省の負担区分の基準と神戸市の基準を比べてみますと,市といたしましては,看護婦確保あるいは建設等の起債利子などの,項目によっては自治省基準を上回っているものがありまして,7年度では金額にして約25億円基準を上回っている,そういうことになっております。一般会計から繰り出しておるわけでございます。
一般会計自体が非常に厳しい状況になっておりまして,これ以上の国基準を超えての抜本的な見直しということは今現在大変困難な状況にあります。ただ,病院事業を取り巻く経営環境も震災による影響で極めて厳しい状況にありますので,国に対しまして診療報酬制度の改善あるいは救急,高度医療等への補助金の増額等の要望を引き続き働きかけてまいりたいと考えております。
それから,労働条件等を改善してマンパワーの確保を図れというご趣旨だったかと思いますが,市民病院では患者の疾病構造の複雑化,重症化といった動向を踏まえまして,病院の果たすべき役割と診療報酬基準等を総合的に勘案して医療技術職員の配置を行っておりまして,特に中央市民病院におきましては,高度医療,3次救急を担っているということから,現状では医療法や診療報酬基準で定められております必要人員より多い人員配置となっております。
また,これまでも必要な部署につきましては,職員配置の調整を行い,医療水準を低下させることがないように,現場の職員の勤務条件を悪化させないよう努力をしてまいりました。震災後,病院経営を取り巻く状況が一層厳しくなっている中で,少しでも職員が働きやすい職場として,職場環境をよくするということがマンパワー確保のために必要なことであるわけでございまして,特に退職者の多い看護職員につきましては,夜間勤務の負担を減らすために,夜間看護業務の見直し等の努力をしてまいっておりまして,今後ともさらに工夫を重ねてまいりたいと考えております。
それから,港湾事業でございますが,港間競争が激しい中で,現状で十分ではないか,国の調整機能はどうかというご趣旨での質問だったかと思いますけれども,午前中も市長からいろいろとご答弁がありましたが,世界の海運界ではスケールメリットによります輸送効率,あるいはサービスの向上のためにコンテナ船の大型化が進んでおりまして,これに対応するためハブポートにおきましては大水深かつ高規格コンテナバースの整備が急務となっております。ご承知のとおりでございます。
神戸港は日本を代表する国際貿易港であるわけでございまして,将来ともコンテナ輸送を中心とした国際ハブポートとして機能していくことが必要であります。そのために現在ポートアイランド第2期で水深15メートルを有する高規格バースの整備を進めておりまして,さらに今後六甲アイランド南におきまして水深16メートルを有する高規格バースの整備に向けて準備を進めておるところであります。
これら港湾整備の基本となります港湾計画は,各界からの委員によって構成されております神戸港あるいは国の港湾審議会による審議を経まして策定されるわけでございます。また,運輸省では平成7年6月,長期港湾整備政策として「大交流時代を支える港湾」を策定いたしまして,その中で国全体の主要港の港湾機能につきまして,1つは中枢国際港湾,これは大阪湾とか東京湾などを指すようでございますけれども,そういう中枢港湾,それから中核国際港湾,そういうものの役割分担を示しております。これを踏まえて港湾整備緊急措置法に基づき,5年ごとに港湾整備5カ年計画を策定して,国内各港湾の整備が進められることとなっておりまして,国全体としての調整はそういう形でなされるということが言えるかと思っております。いずれにいたしましても,港間競争に負けない神戸港の整備は大変重要だと考えております。
それから,公社バースと公共バースの問題,港湾管理のあり方を見直すべきではないかというご指摘でございますけれども,これも午前中にご答弁申し上げましたが,最近,中国,東南アジアからの貨物が伸びてきておりまして,そういう貨物のために水深12メートルバースが必要なわけでございます。
ただ,そういう地域からの場合は,えてして中小といいますか,専用バースを借り切るだけの力がない船社が多いわけでございますので,そういう場合に公共バースを利用していただくのが適当じゃないかということを考えまして,国の援助等も踏まえて公共バースの整備を,公社バースからの転換を図りながら進めている面もございます。
いずれにいたしましても,埠頭公社の経営を助ける,支援するということだけじゃなくて,あくまでも公社にもそれなりの努力をしてもらわんといかんわけでございますけれども,神戸港の活性化のために公社バースと管理者公共バースとが一体となってコンテナポートとしての役割を果たしていきたい,そういうふうに考えているところでございます。
以上でございます。
(「議長」の声あり)
97 ◯副議長(佐藤清次君) 山下助役。
98 ◯助役(山下彰啓君) 私の方からバス事業の財政援助の問題についてお答え申し上げます。
ご指摘のとおりバス事業といいますのは,このたびの震災によりまして停留所あるいは営業所などの事業施設が損壊いたしました。また,同時に人口減少あるいは走行環境の悪化等によりまして乗客が減少しておるということも事実でございまして,非常に大きな影響を現在受けておるというのが実態でございます。
なお,施設の損壊については,平成6年度と平成7年度の2カ年で復旧を完了いたしました。この災害復旧事業費につきましては,その2分の1を一般会計からの繰出金ということで処理をいたしました。それに対しましては地方交付税が措置されたというところでございます。
一方,バスの乗客数でございますけれども,平成7年度は1日当たり乗客数が29万人ということになっておりまして,震災の影響のなかった平成5年度の32万 5,000人に比べまして3万 5,000人,約1割,10.8%減少ということになっております。
このため国家予算要望におきまして,他の企業会計と一緒になりまして,公営企業の営業収入減少に対する補てん措置及びそれに対する交付税措置を要望いたしましたが,一部については実現をしたものもございますけれども,交通会計については実現をしていないという現状でございます。
減収補てんにつきましては,減収がバス施設の損壊が直接の原因ではないということ,あるいは民間バスとのバランスというようなことが言われておりまして,国は消極的であったということでございます。ただ,私どもとしましては,バス事業に対する財政支援を要望する中で,さらに9年度についても要望を続けてまいりたい,そういうふうに思っております。
特に大都市と共同しまして,やはりやっていく必要があるのかなと,大都市にしましても今度の震災というのは他人事でないことでございまして,一たん緩急あれば同じような状況になるということもよく理解をいただいておりますので,共同歩調でもってやっていきたい,そういうことも思っておりまして,決してあきらめたということではございません。
以上でございます。
(「議長」の声あり)
99 ◯副議長(佐藤清次君) 藤田水道局長。
100 ◯水道局長(藤田 徹君) 私から水道事業の減債積立金の会計処理につきましてお答えさせていただきます。
減債積立金は,毎事業年度,利益を生じた場合に欠損補てん残額の20分の1を下らない金額を企業債の額に達するまで積み立てなければならないと,
地方公営企業法第32条1項で規定されておりまして, 132億円を積み立てたものでございます。減債積立金を償還財源としまして,昭和61年度から平成7年度まで 132億円,借換債発行を中止したことによりまして,借換債を継続して発行したときと比べ,支払利息は平成7年度だけでも7億円,昭和61年度から平成7年度までの累計では43億円減少させていることになります。
このように減債積立金を活用しまして企業債の残高を減らし,財務体質を強化しておくことは,将来にわたり元金償還の軽減,費用の抑制,こういうものにつながるわけでございまして,長期的に見て市民負担の軽減を図ることができるものと考えております。
なお,減債積立金を使用して企業債を償還した場合には,その相当額を自己資本金に組み入れなければならないと,
地方公営企業法施行令第25条1項に規定されており,この規定に従って会計処理を行ったものでございます。
以上でございます。
(「議長71番」の声あり)
101 ◯副議長(佐藤清次君) 71番森原健一君。
102 ◯71番(森原健一君) 国との関係ではいろいろ努力をいただいてきたという報告を受けました。それでまた,多岐にわたりますが,いろんなところで援助の制度はあるけれども,不十分であるとか,あるいは要望したけれども,だめだったというようなこともあるというようなことが,いろいろな具体的な事例を挙げて説明,答弁がなされたわけです。
やはり最初に申し上げましたように,この震災というものの復旧・復興をどうするかという点においては国家的責任,これは一般会計の分野といいますか,やはり市民生活の分野では個人補償ということを私たち,要求し運動しておりますけれども,企業会計の分野においても特に独立採算制ということでの枠がはまっているだけに,市民生活に,独立採算制だからということで震災の被害の影響をかけるわけにはいかない,料金に転嫁するわけにはいかないだろうという性格のものが多いと思いますから,さらに引き続いて我々議会としても,あるいは各会派としても努力をしなければならんと思いますが,当局におかれてもより一層の努力をされることと,それから負担区分の見直しについても,一般会計も大変だからということで,また企業会計にしわ寄せがいくということは,結局この震災の中における市民生活に対するいろんな影響を及ぼすことになりますから,そこのところは賢明な判断をしていただくようにお願いを申し上げたいと思います。
それから,バスの問題とか病院の問題については,先ほどのことと関連するわけですけれども,震災による影響も大きかったし,減収も大きかったしということであり,それ以前から財政的に非常にどう展望を持てばいいのか,内部努力だけではいかないとか,国にいろいろ援助といってもそれには限界があるということで,抜本的なあり方の検討を必要とする企業会計であったのではないかというように思います。
そういう点で,差し当たり国に対するいろんな要求をされることとともに,この公営企業会計の枠を取っ払うといいますか,もう少し大きな観点から抜本的な財政対策を検討していく必要があるだろうというように思います。
震災のときだから,このままじっと一般会計も企業会計も大変だからということで,しばらくにらんで置いておくということでは抜本的な解決にならないのではないかと思いますが,その点も要望をして,意見として申し上げておきたいと思います。
少し質問をします。
まず,水道ですが,確かに経常の利益の中から20分の1以上の減債積立金をやるということが国の制度として決まっておるようですが,20分の1ということになれば, 227億円ですから12億円弱ということになりますね。それが今回は 132億円が減債積立金になっていますから,それだけに経常の収益的収支でいえば赤字が大きくふくらんだように見えます。新聞報道でも大体87億円の赤字ですか,値上げ必至という記事がなされて,今も上下水道審議会が開かれておるということは,ぼつぼつ値上げの準備かなという勘ぐった見方があるわけです。
ところが,例えば経営安定化基金に79億ですか入れてますが,この減債積立金に積み立てたものとのバランスをかなり入れかえることによって,あるいは20分の1なら20分の1ということにすれば,ここに数十億円から 100億円の違いが出てきます。87億円,平成7年度末赤字だということも,この配分の仕方によっては30億円前後の黒字になるということもあり得るわけです。だから,そういう財政運営のあり方が適切であったのかということをまずお聞きして──事実はもうようわかっています。
今後87億円の赤字だというその数字がひとり歩きして,料金値上げ必至と,つまり市民の料金が──いわゆる資本をふやしたと,将来の市民と現在の市民のだれがどう負担するかという問題は確かにありますけれども,今の問題としてその数字87億円というのがひとり歩きして,それが大きな影響を及ぼすことがないかという懸念をしておりますが,この水道会計の問題について値上げとの関連でどう考えておられるのかということをお聞きしたいと思います。
もう1つ,港の問題でお聞きします。確かに神戸港の発展というのが国民生活を支える物流基地になり,雇用の問題,地域の経済の発展等については非常に重要であるということについては,私たちも否定するものではありません。現在の日本の港湾建設というのは,やはりアメリカとの日米構造協議で物の輸入を迫られるという側面,それから商社が組みましてコンソーシアムという形になって,とにかく船を大きくして大水深バースをつくる。いわゆる資本主義のあくなき競争原理ですね。
だから,商社がそういうことをどんどんやるということに対して,それにいわば追随した形で自治体がいつまでもどんどんそれに合わせて港湾をつくり,港をつくり,大水深バースをつくっていくということになっておりますが,果たしてこういうことで適切なのかという問題,考え方です。いわゆる港間競争から役割分担,協調へ,企業に追随するんではなく,逆に一定のコントロールをしていく問題。
それから,もう1つ申し上げたいのは,とにかくアジアのマザーポートになるんだというその論理はよくお聞きするんですが,そこから出てくるマイナス効果,マイナスの効用についてはどうされるんかという話がひとつも出てこない。なぜこういう形で神戸市がどんどん埋め埋め,と港をつくっていかざるを得ないのかというバックの政治的状況についても,答弁との関係では出てこないんです。私はそこの問題をお聞きしておるわけで,過剰と思わないのかどうか,現状のこういうあり方が果たして適切かどうかということについて重ねてお聞きしたいと思います。
これは開発事業との関係もありますけれども,やはり海の開発と山の開発というのが震災との関係でいろんなマイナスの評価がされてきた側面があります。最初に申し上げたように,積極的な効果というものを大いに全国的に宣伝されていますけれども,今神戸のこういう自然を見た場合に,いわゆるサステーナブルディベロプメントということがよく言われますが,神戸の開発が余りにもスピードが速いという問題と規模が大きいという問題と,果たして容量がこれでいいのかという問題が問われておるし,他の行政とのバランスがどうかということが問われておると思うんです。
そういう点から神戸の開発行政,この復興計画でも非常にまた,果たしてこれが震災復興かと言われるような新たな開発もかなり含まれていますけれども,再検討し,収束に向かう必要があると思いますが,見解をお聞きします。
以上です。
(「議長」の声あり)
103 ◯副議長(佐藤清次君) 笹山市長。
104 ◯市長(笹山幸俊君) 港の問題ですけれども,今ご指摘がありましたようにマイナス面は言わないと,こういうことですけれども,マイナス面は一体何かということです。これは非常に功罪ということを申し上げましたけれども,罪は何か,功は何か,これはやはりお互いに議論をして出さないといけないと思います。マイナス面があるとすれば何がマイナス面か。罪があるとすれば何か。全然功はないのか。プラスはないのか。これはやはりお互いに認めないと前に行かないということになります。
ですから,じゃあ極端な話を申し上げますと,港間競争は神戸はもうやめたと,こうおっしゃりたいのかどうかということでございます。やめて,じゃあもう適当にやっていたらいいではないかと,開発も適当にやれと,こうおっしゃってお互いに責任がとれるかと,こういうことになります。それによって出てくる問題というのは,これはもうはっきりしているんです,実際に。神戸がもし手を挙げたのをおろしたら,よそに行くのは決まっています。これは現に実例があるわけですから,その実例があるにもかかわらず手をおろすというやり方は,午前中も申し上げましたように少し神戸のまちに対して無責任ではないか,こういう気がいたしますんで,それはしたくない。これは神戸市民にとっても大きなマイナスになります。働く場所のないまちに人は来ません。これはもう現にあるわけですから,現に震災によって実例としてあります。ですから,そういったことが自然に行われるということでございます。
一方では森原先生は,インナー問題についてきょうお触れになりました。これとお話が矛盾しているんではないかと私は思います。こういったことがそれぞれまちをつくっていくのに,これは議論する必要はありませんけれども,そういった問題がお互いにプラスマイナスがあるということを前提にいかないと,プラスだけあるいはマイナスだけが行われるんだということはあり得ないということを申し上げたいと思います。
それから,水道の問題につきましては,今局長からも説明がありましたように,こういった1つの法制度の中で進んでおりますので,これを外してやっていくということについては,むしろこういった補助制度,国に対していろんな制度をつくってほしい,あるいは拡大してほしい,こういうことと裏表になります。ですから,こういった問題については慎重に局長も言っておりますけれども,そういった制度は制度として守りながら,言うべきことは言うていくということをやっておりますので,ご理解をいただきたいと思います。
(「議長71番」の声あり)
105 ◯副議長(佐藤清次君) 71番森原健一君。
106 ◯71番(森原健一君) 手をおろしてもいいのかということですが,私が申し上げておることを正しく受けとめていただいてないと思います。現状の大水深バース──建設しておるもので足りるのではないか。人が来なくなってもいい,働く場がなくなってもいい,衰えてもいいと言っておるわけではないんです。
私は外国へ行ったことはないんですが,我が会派のアジアの主要な港を見に行った人が言ってますが,これほど多くのバースはつくってない。ただ,利用の仕方が違う。国の制度が違う。専用貸しにするとかいうことで日本がどんどん多くのバースを必要とするというような状態があると思います。そういうことも1つの矛盾点ですから,そういう政治的な背景も含めて,これを変えていくようにすればむだな投資もなくなるんではないでしょうかという積極的な意味での質問をしておるんですが,その点はいかがお考えでしょうか。
水道の問題は,今の制度の中でということをおっしゃいましたが, 100何十億円の金をどう配分するかというのは別に──法で決まったのは20分の1以上ということだけですから,自由裁量ではないかと思いますが,その点はどうでしょうか。
(「議長」の声あり)
107 ◯副議長(佐藤清次君) 笹山市長。
108 ◯市長(笹山幸俊君) アジア地域の港についてごらんいただいたようでございますが,神戸あるいは横浜に機能的に匹敵する港というのは実のところありません。シンガポールにしてもあるいは香港にしても,釜山といったところにしても,みんな神戸あるいは横浜の後進の港です。ですから,今ちょうど拡充していこうという,その段階にあるわけです。ですから,もうでき上がった港というのはないわけです。釜山にしてもそうです。シンガポールでもそうです。今度は香港が返還になれば恐らくもっと大きくしてくると思います。ところが,日本の神戸と横浜がほとんどいっぱいいっぱいで今やっているというのが事実ですから,歴史的に違いますので,次元的に違いますから比較は難しいのではないか,こう思います。
それと,水道の問題ですけれども,今特にお金をためたらいかんとおっしゃっているのか,それは十分使えとおっしゃっているのか,ちょっとその辺がはっきりしません。私自身がわかりませんが,要は市民の皆さん方に59年から非常に努力をして,値上げをせずにいこうと,そのためには内部努力をしていく。職員にもそういうことを十分に話し合いしながら今まで来たわけです。
ですから,そういった内部努力的なことについて皆さんの理解を得てやってきたことと,震災があったということと,これによってお金がたくさんあるではないかというような議論とはちょっと違うと思います。
ですから,そのお金があるからもう値上げをせんでええということではない。もしなかったとすれば,59年から何とかしのいできたことができなくなります。これは調書を見ていただいたらわかりますけれども,そういった苦しい時代を経て,水道局としては一丸となってやってきたわけですから,これについて今後そこへ戻すための努力が要るということです。
ですから,震災があったから値上げをするんだということではなくて,当然今までよく説明してましたように,阪水の分賦金が高くなります,水源についても琵琶湖の水源についていろんな開発計画のお金も払わないけません,こういう時代に来ております,こういったことから10年以上頑張ってきたわけですから,その功はひとつお認め願った上で上下水道審議会でご議論をいただきたい,こう思います。
109 ◯副議長(佐藤清次君) 次に,26番田路裕規君。
(26番田路裕規君登壇)(拍手)
110 ◯26番(田路裕規君) 私は,民社市民連合議員団を代表して,平成7年度公営企業会計決算並びに関連議案について,市長及び関係当局に質問いたします。
昨年1月17日の大震災以来1年8カ月が過ぎました。この間,復旧から復興へと,そして平成8年度は復興元年と位置づけております。確かに一部地域においてはその努力が成果をあらわし,以前のまち並みを形成しつつあるところも見受けられます。しかし,まちの人々が通行・利用している生活道路や空き地の様子を見かけるとき,まだまだ道のりは遠いなと身につまされます。一刻も早い復興の成果が上がるように一致して努力をしていかなければならないと思います。これは,私の心情としてまず申し上げておきたいと存じます。
平成7年度の各事業会計の決算を見ますと,すべて大震災がもたらした結果,赤字決算であったというように受けとめられます。唯一開発会計を除いてであります。いわく港湾 181億円,水道39億円,病院36億円等々の赤字であります。そして,公営6事業でおおよそ総額──翌年度繰越額 2,241.8億円,不用額 559.8億円とあります。これらのことについては,大震災後,復旧・復興のために各事業を迅速に推進されようとしたことと,国の予算措置制度の結果だったかもしれませんが,いずれにしてもこれら公営企業の会計を立て直していくことは容易なことではないと思います。
そこで,質問ですが,この震災後の厳しい現実を見つめるとき,各事業の経営改善については相当の決意を持って対処していかなければならないと思いますが,その決意のほどをお伺いしたいと存じます。
市長は昨年の本会議において,事務事業の見直し等,大きく3点を挙げられておられましたが,その進捗度もあわせてお伺いいたします。
また,このことが極端な市民サービスの低下につながらないようにと思います。神戸市政は神戸市民のためにあり,神戸市民とともに歩むものであるという神戸市の基本精神を念頭に置くとき,このたびの経営改善策は迅速かつ的確に行われなければならないと思いますが,いかがでしょうか。
さて,下水道事業についてであります。
昨年の本会議において,我が会派が質問いたしました東灘処理場のことであります。確かに復旧対策等るるご説明をいただいております。そして,本日もお話がございました。完了予定は平成10年度末とのことでありますが,私のお伺いしたいところは,東部新都心の計画また東灘地域の需要等を考えると,工期の前倒し等を図るべきではないか,問題は多々あると思いますが,いかがでしょうか,お伺いをいたします。
次に,港湾事業についてであります。
既設埠頭の再開発ということで摩耶埠頭18.5ヘクタール,新港東突堤34.5ヘクタール,兵庫突堤7.4ヘクタールと,港湾計画に沿って順次実施中であると聞いております。このもたらす結果についてお聞きしたいと思います。
この地域に所在する上屋等建物の扱いはどのようになるのかということであります。市としては,当然内陸部となった諸施設は突堤部分にかわっていただけるものと考えておられるようでありますが,社内事情等の問題から現地にとどまらざるを得ないということになればどうなのでしょうか,お伺いいたします。
また,計画が順調に推移するとして,輸入関連産業を集積させる特定集積地区としても現在検討がなされつつあり,施設に対する固定資産税等を減免する条例案も明らかにされたところですが,いわゆるFAZ法ですが,この関連はどうなのでしょうか,少しでも港湾事業改善の一助となる方途を見つけることができるのでしょうか,お伺いをいたします。
次に,開発事業でございます。
六甲第2次コンペで売却したAOIAの問題であります。当初順調に推移していくかと思われた事業でありますが,あの大震災です。そして,現在は休業中であります。買い戻し特約も10年ということでありますが,現時点では8年を超えようとしています。この残された短い期間内で神戸市と交わされた計画を遵守できるのかということであります。お伺いをいたしたいと存じます。
次に,病院事業についてです。
さきの大震災により市民病院は甚大な被害を受け,経営状況は震災による患者数の減少や固定資産除却費等の特別損失の計上により大幅に悪化し,現行の経営計画の収支計画と大きく乖離してしまいました。今年度策定されようとしている経営改善計画の基本的な考え方はどのような視点に立って考えておられるのかということであります。
そして,今回の経営改善計画には,市民病院群として西神戸医療センターも内容の一部として関係しているように思いますが,西神戸医療センターの経営改善計画上の位置づけはどのようになっているのでしょうか,お伺いをいたします。
また,西神戸医療センターは,神戸市地域医療振興財団が運営主体となる新しい運営形態を取り入れた第三セクター経営の病院として,効率的な運営にするとともに,地域医療システムのモデル病院として地域医療機関との連携を進めてきたと思いますが,そこで新しい運営形態を取り入れた西神戸医療センターの内容で特筆すべきところ,例えば地域医療機関との連携が進んでいることや,平均在院日数が短縮されていること等を中央市民病院,西市民病院の経営改善に積極的に生かしていくべきだと思いますが,いかがでしょうか,お伺いをいたします。
次に,西市民病院についてであります。早期の再建が求められていることは事実であります。現時点での工程は,平成9年度に着工し,平成11年度中のオープンを目指していると聞いております。長田区周辺の地域医療の空白の面からしても,また中央市民病院の経営状況の悪化からしても,もっと早くオープンさせるべきではないかと考えます。
さらに,既成市街地は高齢化が進んでいます。このような状況の中では高齢者医療を特に早急に実施するべきだと考えますが,いかがでしょうか。この件についても先ほど痴呆症患者の対応ということでお話がございましたが,トータルとしての高齢者の医療についてお伺いいたします。
次に,工業用水道のあり方についてであります。
神戸市の
工業用水道事業は,昭和39年から給水を開始し,産業の発展に伴う需要の増加に対応して,現在日量15万立方メートルの給水能力を有するようになったわけですが,平成7年度は契約水量が大震災の影響と大手受水企業の一部が撤退するなど,平成6年度末に比べ8万 8,000立方メートルと,2万 5,000立方メートル減少しております。
工業用水道事業の経営改善のためには,1つの方策として受水企業の開拓が必要だと思いますが,神戸市の今後の経済構造については,必ずしも製造業の発展拡大を念頭に置いていないように見受けられます。このような厳しい状況の中で,将来展望を本当に描けるのかということであります。また,
工業用水道事業経営のあり方を抜本的に考え直す必要があるのではないかと思いますが,いかがでしょうか,お伺いをいたします。
最後に,交通事業についてであります。
平成7年度バス事業の決算は30億 5,000万円と巨額な赤字となっていますが,震災による乗客減が大きな原因でありますが,大変な経営状況であります。今後一層の経営努力が必要ですが,市バスの今後は市民,利用者に対する乗客サービスの向上が大切ではないかと思います。乗客サービスに対する基本姿勢がしっかりしていなければ,乗客不在の運行が行われることになります。
確かに大震災後,仮設住宅等への対応として路線の増強等,大変努力をされておることは承知しております。一方で路線の変更や便数の減少が見られるところもあり,これらの地域へのサービスの低下が懸念されます。大変な経営状況の中で,市民ニーズを踏まえ,市民サービスの低下を招かないということは難しいこととは思いますが,公共交通機関としての市バスの役割をどのように考えておられるのか,お伺いをいたしたいと存じます。
また,地下鉄海岸線に関係することですが,平成11年春の完成を目指して鋭意工事中であります。いよいよ現実のものとして目に見えてきています。そこで,東部新都心との関係について尋ねたいと思います。
神戸市復興計画の中で重要プロジェクトとして位置づけられております東部新都心計画は,居住人口3万人,従業員人口4万人,利用人口10万人のビッグプロジェクトであります。そして,この6月22日に起工式が挙行されたところであります。
東部新都心には住宅のほか,WHO神戸センターをはじめとして,大学の研究施設や国際エメックスセンター,留学生会館といった教育研究機関等さまざまな施設が設置される予定と聞いております。このビッグプロジェクトを成功させるためにも,東部臨海部土地利用策定委員会の報告にある鉄軌道の導入が不可欠であり,現在進行中の地下鉄海岸線の延伸が最も効率的であり,かつ実現の可能性が高いと考えますが,いかがでしょうか。
また,東部新都心の整備をきっかけに,神戸東部エリアでのインナーシティ対策の振興策の一環としても,JR,阪急,阪神と,それらを南北に結ぶバス等が連携し,複合的な交通体系を創設していく必要があると思いますが,いかがでしょうか。
質問は以上でありますが,市長並びに関係当局の答弁を求めて終わらせていただきます。(拍手)
(「議長」の声あり)
111 ◯副議長(佐藤清次君) 笹山市長。
112 ◯市長(笹山幸俊君) 田路議員のご質問に私からまずお答えを申し上げます。
各企業会計の今後の対応の仕方でございますが,相当の累積赤字が出ておりますので,これをできるだけ早く消していくということだと思います。一般会計も余力がないと言いながらでも,やはり余力をつくり出す努力が要るんではないかと思いますし,企業は企業で経営改善についてそれぞれが考えていくということではないかと思います。
また,企業の方は管理者でございますから,当然そういった責務も持っておるわけでございますので,独自の経営計画あるいは財政計画というものを当然考えていく必要があると思います。それに対して一般会計がどうかかわり合うか,こういうことになろうかと思います。
しかし,そういった状況に早くなる努力を私どもが一緒になってやっていきたいと,こう思っておりますし,特に公共団体だけでは解決できないような不採算事業等については,また補助制度でも均衡を欠くというような補助制度については,当然国に対しては要望していきたい,こう思っております。
現在ご承知のとおりでございますけれども,8年度予算におきまして局の統廃合をやりました。できるだけ機構が動きやすいようにということで4局統合をやったわけでございますが,これについてはそれぞれ関連する事業をみずから持っておりますので,局長あるいは部長それぞれがやっていけるような体制になっておる,こう思っております。
特に医療関係でも福祉と保健ということで一体的にやっていく時代でございます。建設局にしてもそうだと思います。下水道を持って,あるいは下水道の中にあります雨水,これの側溝その他については土木局が実際にやっておるわけでございますから,これを別々にやるということではなくて,一緒にやるということではないかと思います。
そういうことで,全体的に機構とそれから各局の事務事業,それが特にサービスを低下させないようにというのを前提でやっておりますので,それだけの努力と工夫が要るんではないか,こう思っております。それぞれが忍耐強い取り組みをやっていかなければ,こういった問題については対応できないということも十分承知の上でやっておりますので,ご支援を賜りたいと思います。
それから,地下鉄の問題,これは特に交通機関の問題ですが,東部臨海部いわゆる東部新都心の計画の中にいろいろと交通機関を入れたらどうか,こういうことがございます。東西には非常にうまく交通機関があるんですが,南北に結ぶ交通機関が非常に弱いということでありますし,歩くにしてはちょっと距離がある,こういった状況でございますので,こういったバスと鉄軌道とをうまくつないでいくというやり方をひとつ考えていきたいと思います。実はこの東西に地下鉄を入れるということと,それから南北に新線を引くということと両方がちょうど交差する場所に相なりますので,こういった問題についてもう少し時間をかけて議論させていただきたいと思います。
少し様子が不明なものも随分ありますので,こういったことがどんどん計画が煮詰まってまいりますと,当然需要予測から見てこれが必要ですというようなことの説明ができるんですけれども,今の段階でただ構想だけで議論をしておりますと,最近のことですから,話が前に進まないということでございますので,東西,いわゆる南北軸,それぞれこういった交通機関をうまく結んでいくというやり方を特に今回こういった役割分担といいますか,そういうものを踏まえて適正な交通機関のネットワーク化を図っていきたい,こう思っております。
以上,私からご答弁申し上げました。他は助役等から説明申し上げます。
(「議長」の声あり)
113 ◯副議長(佐藤清次君) 緒方助役。
114 ◯助役(緒方 学君) 私から港湾,開発,病院事業につきまして数点,ご答弁申し上げます。
まず,既設埠頭の再開発ということでご質問あったわけでございますけれども,摩耶埠頭等既設の埠頭を平成7年に改定いたしました港湾計画に基づきまして,再開発を進めておるわけでございます。埋め立て等をやっておりまして,突堤間の埋め立て等に伴いまして,水際線から離れる公共上屋の利用者あるいは民間倉庫の所有者で,将来とも水際線が必要な企業に対しましては,埋め立ての終了後,公共上屋を建て,それを利用してもらうということで調整を進めております。
また,水際線から離れました場合も,業務に支障のない民間倉庫の所有者等につきましては,建物も使用可能な間は現状のまま利用していただき,将来企業におきまして建てかえ等を行う際には,利用方法に応じた代替地に移転してもらうなどの方法によって対応してまいりたいと考えております。
それから,FAZの問題でございますけれども,神戸港全域は既にFAZ地域に指定されておるわけでございまして,物流センター等の輸入基盤整備事業に対する税制優遇等の支援は従来どおり可能であります。さらに,平成7年の11月の改正で新たに特定集積地区の制度が盛り込まれまして,特定集積地区内に進出する輸入貨物物流促進事業者に対しまして,税制面等の支援が行われることとなりました。
現在特定集積地区の指定約 1,000ヘクタールぐらいになろうかと思っておりますが,これの指定につきましては,
輸入貨物流通促進事業者の集積の可能性の高いポートアイランド──1期及び2期でございます。六甲アイランド,さらに新港突堤,摩耶埠頭の再開発用地等を候補地として運輸省,通産省等関係機関と調整中であります。今年度中に指定手続を完了する予定であります。
これらの3地区は,幅広く港湾関連企業に進出してもらえるように門戸を広げております。また,FAZ法を適用して進出しやすい環境を整えております。被災した企業はもちろん,新たに進出する企業の方々にもこれらを利用してもらいまして,神戸港の活性化が図れるよう港湾事業の経営改善の一助となるよう考えてまいりたいと考えております。
それから,六甲アイランドに進出いたしておりますAOIAの問題でございますけれども,ご指摘のように買い戻し特約期間の10年が迫ってきております。ご承知のとおりでございますが,このゾーンは文化・レクリエーションゾーンとして事業コンペによりまして民間の企画力,ノウハウ等を活用したまちづくりを行うということで土地の分譲をいたしまして,事業者が地区の整備を進めてきたわけでございます。
平成3年にはスプラッシュガーデンのオープン,平成4年にはダイナボックスのオープン,平成5年には西ゾーンの屋外遊園地ゾーンのオープンと,順次整備が進められてきたわけでございますが,一部を除きましてほぼ完成に近い状態となっていたとき,この大震災を受けて休園状態に至ったという大まかな経緯がございます。
AOIAが今回の震災により大きな損害を受けたこと,そして交通アクセスが震災直後悪くなったことなどから,休園せざるを得ない状態になったことにつきましては,やむを得ないものがあったと考えております。
このような状況ではございますが,市といたしましても,AOIAの一日も早い再開を願っておりまして,これまで事業者と協議を続けておりますが,事業者からは,震災による大きな被害のために現在のところ再開のめどは立っていないと聞いております。
しかしながら,震災後2シーズン目となりましてこのような状態が依然として続くことはまことに遺憾なことでございまして,事業者に対しまして何らかの形で事業の継続を要請しているところでございます。現在のところはっきりした返答はまだ参っておりません。
それから,病院経営の問題で,西神戸医療センターの位置づけ,経営改善計画の中での西神戸医療センターの位置づけについてご指摘がございました。今回の大震災によりまして,市民病院を取り巻く環境は大変大きく変化をいたしました。
このような状況を踏まえて,本年度に平成11年度に予定をしている西市民病院の本格復興までの間の経営計画を策定する予定であります。現在の西市民病院が限られた診療体制でありますので,今回の計画はあくまでも暫定的なものになります。計画の策定に当たりましては,医療水準を下げることがなく効率的な運営を目指して,困難な状況のもとではありますが,できる限りの経営改善努力を行っていきたいと考えております。
また,西神戸医療センターは,医療面では市民病院群の1つとして高度医療,救急医療,結核医療等を提供しているわけでございますが,経営面では第三セクターとしての特色を出しております。今年度策定の経営計画の内容は,1つは目指すべき医療機能という面と,もう1つは経営改善の面とに分かれるわけでございますけれども,西神戸医療センターは医療機能面では市民病院群の1つとして一体的に運営しますし,経営改善面では市民病院とは別個のものとして,計画の中では位置づけられると考えております。
それから,西神戸医療センターの特徴を市民病院経営改善へ活用したらどうかというご指摘でございます。ご承知のように西神戸医療センターは,神戸市と神戸市医師会が出資した財団法人の地域医療振興財団が運営する病院であります。こうした方法によりまして,市の関与した病院としての性格を保持しながら,病院の機能に即した弾力的な運営を目指しているところでございます。
この財団は,設立当初から地域医療機関との連携を重視し,地域医療システムの推進に努めてまいりました。現在西区,垂水区,須磨区の医療機関のうちこの財団の連携システムへの参加医療機関は約9割に達しております。
また,こうした連携の努力の結果もありまして,平均在院日数は短くなっております。西神戸医療センターと中央市民病院,西市民病院とは,地域性や医療の内容等が異なっておりますので,一概に比較できませんけれども,ご指摘のとおり西神戸医療センターの経営のすぐれた点をできるだけ市民病院の経営に取り入れていきたいと考えております。
それから,西市民病院のオープンをもっと早くすべきというご指摘だったかと思います。大変な被害を受けた西市民病院でございますけれども,平成7年6月に西市民病院復興検討委員会を設けて,病院を復興すべきか否かを含めて白紙の状態から審議いただきまして,平成7年11月に復興の必要性,建設運営主体,新西市民病院の基本理念,医療機能などにつきまして報告をいただきました。平成8年度では設計費を予算計上し,現在鋭意設計を進めているところであります。
ご指摘のように西市民病院の再建につきましては,災害復旧事業として行われるものでありまして,早期の再建が求められておりますが,21世紀の医療の発展にこたえる病院として再建する必要があると考えておりまして,新館以外の部分を全面的に建て直すことから,本来であれば1年は必要な設計に要する時間を,本年中には終える方向で作業を進めているところであります。来年早々には工事着手いたしまして,平成11年中の一部オープンを目指しておりますが,一日でも早くオープンできるよう,今後とも工期短縮に努めていきたいと考えております。
高齢者医療面をできるだけ早くというご指摘もあったかと思いますが,新しくこの西市民病院に取り入れる在宅支援システム,こういうものも計画しておるわけでございますけれども,原則全面同時オープン,そういう形にならざるを得ないんじゃないか,そういうふうに考えております。
以上でございます。
(「議長」の声あり)
115 ◯副議長(佐藤清次君) 山下助役。
116 ◯助役(山下彰啓君) 私の方から2点,下水処理場の復旧の問題とバス事業の問題についてお答え申し上げます。
まず,下水処理場の復旧の工期の前倒しを図るべきではないかという点でございますが,実は東灘処理場というのは通常の処理機能は全く停止をするというほどの被害を受けたわけでございますが,震災後約 100日で応急的に機能復旧はいたしました。しかしながら,水処理施設とか,あるいは管理本館などの主要な構造物が変形したり,あるいは傾斜,基礎杭の破損等の被害を多々受けておりまして,本格復旧工事を平成10年度末ということに向けて現在施工中でございます。
先生の方から,問題点は多々あると思うがという条件つきでほっといたしておるわけでございますが,実は下水処理場というのは1日も休止ができないという,その中で実はやらなきゃならないということでございまして,応急補修もしながら,その上で通常運転をしながら本格復旧工事をやっていくと,こういうふうになっておるわけでございまして,また実は処理場の敷地内に新たな施設建設のためのスペースがない,こういうような制約条件の中で実は復旧工事を行っておる次第でございます。
最も長い工期を要します水処理施設の建設工事は,実は10メートル以上の掘削工事を施さなきゃならない,また稼働中の処理施設が隣に隣接しておる,こういったような事情もございまして,非常に実は複雑で大規模な工事ということになってございます。
また,工事も少しでも早くやらなきゃいけないということで,実は施工は24時間工事の突貫体制をずっとしいてきておりまして,時間的にこれ以上時間を延ばすというわけにも実はまいらないというような状況もございます。
この施設が完成いたしますと,当然ながら東灘処理場は,東部新都心で発生をいたします下水の処理にも対応ができるようになるわけでございますけれども,実は東部新都心のいわゆるまち開きというのが平成10年春ということになってございまして,1年ずれておるんではないかということでございますが,実はこの間の汚水処理というのは,既存の処理能力で対応可能な流入量になる,そういうふうに実は判断をいたしておりまして,10年春にすべての施設が全部完成するということになれば,これは大変でございますが,いわゆるまち開きでございますから,それから順次大きくなっていく,こういう状況には十分対応できると実は判断をいたしております。
ただ,遅ければいいというものではございません。一日も早く完成に向けて努力をしてまいらなきゃなりませんので,なお土木とかあるいは建築工事,あるいはプラント設備工事との工程調整というものがどこまでできるか,可能な限り煮詰めてまいるという努力は進めてまいりたい,そういうふうに思っておりますので,ご理解いただきたいと存じます。
それから,バスの問題でございますけれども,公共交通機関としての市バスの役割ということをどう判断しているのかということでございます。市バスの事業というのは,もちろん公営企業でございますから,一定の限られた人員と車両の中で市民の足を最大限確保して利便性を図るということを目的としてやっておりますが,市民サービスの向上をさらに徹底しなきゃならないということで,ダイヤ編成についてもより弾力的にやるようにということで,乗客需要に対応した編成に努めておるというところでございます。
新たな乗客需要というものが発生のある場合には,当然ながら住民のニーズにこたえなきゃならないということで,バス路線の新設あるいは増便を行っておりますけれども,一方最近,昨今の厳しい財政状況の中で,現状の人員と車両でこれに対応していくというためには,乗客が減少している路線については減便をお願いせざるを得ないという状況も生じておるということはご理解いただかなければならないと思っております。
交通局としましては,当然多くの市民の方にできる限り利用していただけるよう,ダイヤ編成についても一層綿密な計算を行いまして,市民サービスの向上ができるように最大限の努力をしてまいりたいというふうに思っております。
いずれにしましても,公共交通機関としての市バスの役割というものがございます。単に収支が合えばいいというだけのものでもないという点もありまして,特に最近の,午前中申し上げましたが,福祉的な配慮というものを特に今は必要としている時期でもございますので,その点には十分配慮しながら内部的な努力も進めていくということにさせていただきたいというふうに思っております。
以上でございます。
(「議長」の声あり)
117 ◯副議長(佐藤清次君) 藤田水道局長。
118 ◯水道局長(藤田 徹君) 私から
工業用水道事業の経営のあり方についてお答えさせていただきます。
昭和39年に給水を開始して以来,長期的には重厚長大産業の総体的低下,各受水企業での水使用の合理化等によりまして,需要水量は低減傾向にはございます。工業用水道は限られたユーザーからの必要とする水量に基づきまして建設してきた事業でございますから,責任使用水量制という料金体系で今日まで受水企業が応分の負担をして維持してまいったわけでございます。
これまでいろいろな場を通じまして,受水企業と協議してまいりましたが,企業としても事業を存続させることにつきまして異論のないところでございまして,一方神戸市としましても神戸経済を支える事業としても
工業用水道事業を維持していきたいと考えているところでございます。
なお,琵琶湖開発事業の償還の負担は大きいものがございますが,今後繰り上げ償還等抜本的な経営改善策を実施するとともに,責任使用水量制のもと,雑用水等をはじめ新規需要を確保していくことにより,
工業用水道事業の維持は可能であると考えております。
以上でございます。
(「議長26番」の声あり)
119 ◯副議長(佐藤清次君) 26番田路裕規君。
120 ◯26番(田路裕規君) それでは,少しばかりお聞きし直しをしたいと思います。
先ほど下水処理場また西市民病院の再建については,素人判断として,住宅等が一生懸命に早く建ち上がるように努力していると,そういうことを考えるとやっぱり西市民病院にしても下水処理場にしても,やはり市民が一番必要とするものであるから,早く建ち上がるようにしてほしいと,こういう意向を込めていたしました。
それともう1点,AOIAの問題なんでございますけれども,今鋭意交渉して努力中ということでありますが,再開のめどは立たない。しかし,時間としてはあと2年ばかりを残すのみです。そうしますと,その2年の間に再開のめどが立たないということは,ずるずるといってしまうとその後はどうなるのだろうなと。それとも何かいろいろ考えがあって,地震以降のことはちょっと時効の停止という形で延長してやれるのかどうか。それともAOIAさんは,もう10年たってしもたから,いやもう自分ところはいろいろ考えて,別の事業を考えますという形になるのか。というふうに,ちょっと心配なものですから……。努力をされていることは事実なんですけれども,やはり時間の制約がありますね。それがどういう形になるのかなということです。
それともう1点は,新都心における海岸線の延伸のことなんですけれども,まだ具体的なことは決まっていないのでというふうなことで言われてましたですね。しかし,2年先,平成11年ですか海岸線が完成する,そのときには平成10年の春に新都心もある程度オープンといいますか,まちが開けておると。そういう中では1つの目安というものが必要だと思うんですね。そういう意味ではもうこの時期にはやっぱり海岸線の延伸計画というのは,言いにくいでしょうけれども,あってもしかるべきではないかという感じがするわけです。
やはり東部の新都心,東部の副都心,もろもろ考えて東部一帯のまちづくりというか,まちの計画をするときに,まだ地下鉄の海岸線がどう──これは別にしても1つの方策としては,具体的にもうぼちぼち図はかけておっていいんじゃないかなという気がするわけです。
それと,これはえらい話が飛躍しますけれども,鉄軌道とバスの循環コースといいますか,1つのサイクルがありますね。鉄軌道を中心にしながらバスを回していくという方針を考えていくと,東部の新都心を中心とするか,副都心を中心とするかは別にしまして,南北交通体系というものもある程度考えていける,図はかけるんじゃないかというふうに勝手に想像したんですけれども,そのあたりのことについて2点だけお答えいただきたいと思います。
(「議長」の声あり)
121 ◯副議長(佐藤清次君) 笹山市長。
122 ◯市長(笹山幸俊君) 東部新都心について,交通機関をどう入れるかということについては,ご指摘がございましたようにもうそろそろ決めてかからないと,ちょっとおくれるんじゃないか,こういうお気持ちはよく理解をいたしておりまして,今東部新都心については大体立地──施設立地ですけれども,いろんなものが具体的に上がってまいりました。特に国あるいは県の施設が主になるんではないかな,そういう気がいたしておりますが,それに私の方でポーアイの2期をにらんでおりますので,ポーアイの2期の土地利用が大体先ほどもお話がありましたように,できるだけ早くしないと,制度その他についての要望ができないではないかと,これはご指摘のとおりなんで,できるだけ年内には何とか大まかに決めていきたいなと思っております。
先ほど緒方君から話がありました集積ですね,高度集積地区の指定をやったり,あるいはいろんな網かけをやっていけば,そろそろ具体的な立地ができるんじゃないかと,こういうところを実はにらんでおりまして,それによって需要予測が大分変わります。
例えば今の地下鉄は,もともとの計画はずっと新神戸の方に上向いて行っているわけですね,西神では。ところが,それをやめて東へ持っていくということになりましたら,それ相当の南北軸はどうするんだという議論になりますから,これを同時に解決をせないかんだろう,こう思ってますので,それも十字になりますんで,この辺をスルーで行くのか,いやこういうぐあいにお互いに乗り入れをやるのか,それとも一般の規格でやるか,いわゆる新交通形式でやるか,そういったいろんな議論が出ておりますんで,これは需要予測によって変わってくるということでございますから,当然その時期までちょっと時間をいただきたい,こう思っております。工事には支障のないようにちゃんと用意をしてございますので,ご安心いただければと思います。
それから,AOIAの問題は,実はもうそろそろ買い戻しの時期といいますか,それがあります。ご心配いただいておりますように1つの例として今までにあります。10年を過ぎた途端に第三者に売却したという例がありますので,これはちょっと困りますんで,できるだけ期限内に解決をしたい,こう思っております。
また,再利用する──今のまま利用するか,また別の形でするか,全然やめてしまうか,この辺はもう少し時間をいただきたいと思っております。
(「議長26番」の声あり)
123 ◯副議長(佐藤清次君) 26番田路裕規君。
124 ◯26番(田路裕規君) AOIAの問題ですけれども,聞くところによりますと,西区で近々に──近い過去にあったようなこともありますので,そういうことは二度三度と繰り返されるようなことがありましたら,やっぱり市民に対する信用の問題もあるでしょうし,また決してAOIAさんをどうこういうわけやないけれども,もしできることなら市が援助してでも,いろいろ方法があるなら,まちづくりの一環として動かせる方法があれば考えてやっていただきたいなというふうに思います。
それと,海岸線の問題ですが,あんまり今の時期に言い過ぎると何かあれですけれども,市長の今言われたお言葉を信じて,いい東部の新都心のまち,東部の副都心が連携した有機的なまち──東部ブロックのまちになりますようにお願いして,若干時間は早いですけれども,終わります。(拍手)
125 ◯副議長(佐藤清次君) この際暫時休憩いたします。
(午後4時24分休憩)
(午後4時45分再開)
(
浜本議長議長席に着く)
126 ◯議長(浜本律子君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
直ちに議事に入ります。
なお,この際申し上げます。
本日は,議事の都合により,会議時間を延長いたします。
休憩前に引き続き,公営企業会計決算並びに関連議案に対する質疑を続行いたします。
28番池田林太郎さん。
(28番池田林太郎君登壇)(拍手)
127 ◯28番(池田林太郎君) 私は,こうべ市民連合議員団を代表して,平成7年度公営企業会計決算に関し,笹山市長並びに関係当局に質疑いたします。
なお,既に質疑・答弁がなされたものについては省略をさせていただきます。
震災後1年8カ月が経過した今日,鷹取東地区で新しいまちづくりの第一歩が記され,また阪神高速道路神戸線の今月末全通など,復興への着実な足取りが感じられるようになりました。
しかし,公営企業会計決算を見るときに,その財政は非常に厳しいものとなっています。震災の影響を大きく受け,7会計で2年連続の赤字決算となっており,黒字を計上し,本年も35億円を一般会計に繰り出すなど市財政に大きく寄与してきた開発事業会計も,対前年比3億 2,000万円の減益となり,ポートアイランド2期への企業誘致を中心に,その事業進捗によっては大きな影響を受けることになり,厳しい状況下にあると言わざるを得ません。
そこで,まず開発事業についてお伺いをいたします。
1点目は,ポートアイランド2期の土地分譲,企業誘致についてであります。先ほど来市長の答弁を伺っておりますと,見通しについて,むしろ楽観的にさえ聞こえるわけでありますし,危機感が余り感じ取れないわけであります。償還も既に始まっている現在,ポーアイ2期の現状と展望は非常に厳しいものであります。その成否は,将来市政の根幹にかかわる問題であると私たちは認識をしているのであります。神戸起業ゾーンとして,FAZ法の関連で固定資産税や都市計画税の軽減など,支援優遇策は提示されましたが,進出に関心を示す企業が最も注目している土地分譲価格の問題は,これからであります。市の財政事情から容易に分譲価格が下げられない事情は理解をいたしますが,全国で産業用地がだぶついている中,土地分譲から利益を期待するというのではなく,将来の税収,雇用創出などトータルで市政に寄与できればよいと考えるべきであります。原価を割ることを恐れず,思い切った価格設定をすることが大切と考えるものであります。
また,多くの自治体が創意工夫を凝らし,企業に対して魅力のある優遇策を競い合う中,神戸市が,大都市に隣接し,アクセスのよさを最大限アピールすることは当然として,進出を期待する産業分野の企業群には,賃貸・リースも含め,従来の手法にとらわれない多様な誘致促進メニューを用意すべきだと考えます。今,ポートアイランド2期をめぐり,大規模商業施設や新中華街など大型プロジェクトの建設が俎上に上っておりますが,それらの実現には何よりも長期的視野に立った戦略の確立とトップの決断が不可欠であります。強くこのことを強調しておきたいというふうに思います。
そこで,分譲価格と企業誘致の見通しについて,市長の決意のほどをお伺いいたします。
もう1点,開発事業の関係ですが,AOIAの問題について,前の質疑者の方からありましたので省略をさせていただきますが,六甲アイランドから六甲アイランド南への交通アクセスについてどのように取り組んでいかれようとしているのか,特に新交通システムの問題についてどのように考えていくのか,お伺いをしたいと思います。
次に,病院事業についてお伺いをいたします。
我が会派は,西市民病院が直営を堅持して,高齢者などへの総合診療にも対応する病院として,また地域の中核病院として再建されることに大きな期待を寄せるものでありますし,震災後も同病院に対する市民の信頼は厚く,現在の暫定診療でも長田区を中心に一般外来1日平均 440名と聞いており,西市民病院が,中央市民病院,西神戸医療センターなど市民病院群のかなめとして,最も重要視しているところであります。
そこで,西市民病院の新たな出発,本格復興を願う立場から,以下3点についてお伺いをいたします。
1点目は,注目されている高齢者総合診療科の設置についてでありますが,市民の高い期待にこたえるために,どのような医療スタッフの構成と運営を考えておられるのか,お伺いをいたします。
また,地域との密接なつながりが求められる在宅医療支援事業をどう進めていくのか,特にその中心的な役割を担う訪問看護センターのあり方について,基本的な考え方をお伺いいたします。
2点目に,最先端機器の導入とスタッフの確保についてどのように考えておられるのか,お伺いをいたします。
3点目には,現在病床数 350床で再建計画を立てておられますが,西部地域の中核病院として考えるならば,将来西神戸医療センターと同規模の 500床が求められるというふうに思いますが,どう考えておられるのか,お伺いをいたします。
次に,港湾事業についてお伺いをいたします。
神戸港について市長は,「平成の開港」をキャッチフレーズに,あらゆる船舶に対応した便利で使いやすい,世界に開かれた港として再生させるべく,全力を注いでこられたことは高く評価するものであります。ハード面での埠頭の復旧,耐震化では,これまでかなりの国費が投入され,成果が上がったと考えています。これからは,港湾事業に係るコスト面での競争力の強化と思い切った規制緩和の実現であることは,各方面から指摘されているとおりであります。5月には,行政,港湾業者,労働組合,関連団体が一体となった神戸港復興推進協議会が発足をし,神戸港復興への体制が整いつつあり,ぜひ成功させ,神戸港主導で規制緩和を進めるとともに,外航海運のコスト低減による集荷エリアの回復を実現し,日本を代表するアジアのハブ港として神戸港の地位を固めるべきであります。
そういった立場から,以下3点についてお伺いいたします。
まず1点目には,21世紀には米国と中国間の物流が世界一の規模に達すると見込まれ,神戸港が世界物流の中から取り残されるのではないかとの危惧が指摘されているわけであります。例えば北九州では,アジアを視点に置いた明確な戦略が打ち出されていますが,今後神戸港はどこに視点を置いてポートセールスを展開していくのか,その戦略についてお伺いをいたします。
2点目には,現在上海・長江交易促進プロジェクトが進められていますが,発展が目覚ましいASEAN諸国,ベトナムとの交流を進めていくべきだと考えています。これら経済の急速な発展が見込まれる地域・国との関係についてどのような対策を考えておられるのか,お伺いをいたします。
3点目に,強制水先基準の見直しについてですが,中国航路などに多い 3,000トンクラスの船なら,パイロットが要らない大阪港を利用するだけで35万円節約になると言われております。切実な問題であります。規制緩和の1つとして要望しておりますが,現在どういった状況になっているのか,解決への見通しについてお伺いをいたします。
次に,交通事業についてお伺いをいたします。
1点目は,地下鉄海岸線の開業に伴うバス路線の再編整備についてであります。工事が順調に進捗し,平成11年春の開業を視野に入れるならば,バス路線の再編整備,運行計画を立てていかなければならない時期にあると考えるものですが,どのように考えておられるのか,お伺いいたします。
また,地下鉄の整備により,地下鉄と地域をつなぐ中距離路線が必要となり,そこでは中型バスの運行拡大を図っていくべきである,このように考えますが,いかがでしょうか。
さらに,市長は,区長権限を強化して行政を推進されています。難しい点はあるかもしれませんが,地域住民の声にこたえるためにも,行政路線の拡充は欠かせません。1度各区ごとに,区役所が中心となって,交通局の意見も加味し,地域のバス路線計画等を計画してみてはどうかと思いますが,ご所見をお伺いいたします。
2点目に, 900億円余の累積欠損金を抱える高速鉄道事業にとって,附帯事業の拡充を図ることがますます重要になっています。特に駅舎や関連地下道の有効活用を積極的に進めるべきだと考えます。ただその際,道路下部分については,建設省が使用を認めないということが大きなネックになっていると聞いています。この問題は長年の懸案ではありますが,規制緩和の今の時代に,もう少し柔軟に対応してほしいものだと考えるものであります。当局はこの点についてどう考え,中央への要望をどうしているのか,お伺いいたします。
3点目に,北区民の交通確保についてお伺いをいたします。市営地下鉄と北神急行との相互直通運転開始から8年,期待された北神急行ですが,北区の市民はそのメリットを十分に享受できているとは言えません。高い運賃と,谷上までの直通運転が少ないという不便なダイヤに対する区民の不満は募る一方であります。緑のUラインのうち,新神戸と谷上の間を民間鉄道に任せざるを得なかった当時の事情はわかりますが,運行上の課題が改善されないまま,長い間放置されているのはいかがでしょうか。現在,新神戸どめになっている電車を谷上まで早急に全車両運行し,名実ともに緑のUラインを実現すべきであります。打開策として,北神急行を市が買収してはとの話があったようにも聞いていますが,谷上行きの増便をはじめとして,北区民23万人の足の確保についてどのように考えておられるのか,お伺いをいたします。
4点目に,JR三ノ宮駅南の総合バスターミナル化についてであります。市長は,平成7年第3回市会において,我が会派の橋本議員の質問に対して,新聞会館跡地の北側3分の1程度を買収できたらとの答弁がされたわけでありますが,その後の進捗状況はどうなっているのか,お伺いいたします。
最後に,水道事業についてお伺いをいたします。
まず,阪神水道企業団,兵庫県水道用水供給事業からの受水についてでありますが,平成7年度の配水量は1日最大66万トン,平均配水量は56万トンとなっており,配水量は減少しています。さまざまな問題がありますが,それらの受水計画を引き延ばし,経営に与える影響を抑える必要があると考えますが,見解をお伺いいたします。特に阪神水道企業団からの受水費が平成4年に改定され,またことしの10月から改定されることになっており,経営に大きな影響を与えることからかんがみても,その必要性を強くするからであります。
次に,琵琶湖総合開発事業が今年度で終了することになります。滋賀県においては,ポスト琵琶総として,1兆 8,800億円をかけて水質保全,自然的環境や景観も含めた事業を行おうとしているというふうに聞いています。これらの動きに対する神戸市としての考え方や対応について,お伺いをいたします。
質問の最後に,水源保全対策事業の1つに羽束川・波豆川流域水質保全基金を,三田市,宝塚市,神戸市の3市で設立し,神戸市最大の自己水源である千苅貯水池の水質保全事業を進めていますが,この運営は基金の運用益で行われており,今日の低金利政策の中で,その運営に危惧の念を抱くものであります。これまでの事業の評価と今後の対策についてお伺いをし,質問を終わらせていただきます。(拍手)
(「議長」の声あり)
128 ◯議長(浜本律子君) 笹山市長。
129 ◯市長(笹山幸俊君) 池田議員のご質問にまず数点,お答え申し上げます。
まず,港湾事業についてでございますが,特に神戸港はどういったところを考えながらつくっていくのかという,将来の問題につきましてお尋ねがございました。
特にこの神戸港の内容につきましては,もう既にご承知のとおりでございますが,最近アジア地域が非常に急成長をいたしております。物の動きも非常に多くなってきたわけでございますが,特にそれに伴って船舶会社,いわゆるアジア地域の船舶会社が非常に大きく出てまいっておりまして,その船社間の競争が現に行われつつあります。特に会社同士の提携によります共同運航,こういったものも入ってきております。特にアジア地域では,台湾のエバーグリーンの会社が世界一,こう言われておりますが,それに中国のCOSCO,こういったところが相当の競争が入っておりますし,シンガポール,香港,それぞれの船社が競争しているわけでございますが,この大きな変化に対応できるというのは,やはり神戸か横浜だと私は思っておりますけれども,特にこういったいわゆる幹線航路,これをコンテナ船が寄港するわけでございます。その意味でのハブ港は,この2つではないかと思っております。
特にこういったアジア地域の船がどんどん出てまいりますが,インドネシアとかシンガポールに近いところのマレーシアあるいはタイ,ベトナム,こういった地域──フィリピンもその範疇に入るかもしれませんが,そういったところで,今シンガポールあるいは香港へフィーダーをしておるわけですが,それが船を持ちだしますと,当然日本に直行してくる,こういったこともありますし,他の地域へ,それぞれの国がそれぞれの船社をつくって,それで物を運んでいく,こういうようなことが今後起こり得る,こういうぐあいに考えておるわけです。
そういう意味から見まして,近海航路というもののいわゆる拠点港というのが必要になってきますので,それをお互いに取り合いをするというような格好になるかもしれないということでございますので,やはりこういった問題については対応できるようにしておきたい,こういうことでございます。そういう拠点港をつくりますと,当然内陸部へ物を運ぶ必要がございます。午前中もちょっと申し上げました,いわゆるよく言われておりますモーダルシフトの展望というようなことがございますので,そこから広域幹線道路あるいは地域へ鉄道あるいはトラックで運ぶ,こういうシステムが強化されてくるんではないか,こう思っております。
そういうことがございますので,この埠頭にしても,できるだけ対応できる埠頭と,それから荷役関係と,それからそれぞれの業界の皆さん方,倉庫業者も含めまして一体的にこれが進まないと,そういう機能を全うすることができない,こういうことでございますので,特に神戸とすれば,今回そういったCOSCO船は,中国の方は神戸に入っておりますが,台湾のエバーグリーンは大阪に入っている,こういった状況でございますが,そういった状況の中で近海のいわゆるフィーダー船が神戸に寄っていただきたいなと,こういうことでございます。
ですから,いろんな物の動きが今後始まると思いますので,神戸──アジアのマザーポートとしての歴史的な問題もありますが,これがそうであったから今後もそうであろうと,こういう安易な考え方はやはりいけないんではないかということでございます。ですから,西日本から出ていくもの,あるいはアジアから入ってくるもの,こういったものを,この近畿圏という大きな後背地を持っている神戸港でございますから,相当威力を発揮できるということは,もう既に外国の人もよくご承知でございますから,こういった問題を,できるだけコストを下げて物を運ぼうとすれば神戸港が有利ではないか,私どもはそう考えております。
特にこういったところにつきまして,アジア地域の皆さん方との接触をできるだけ密にしたい,こういうことで,かねてから海外のポートセールスをやっております。ベトナムとかインドネシアあるいはマレーシア,そういったところに官民によりますポートミッションの派遣をいたしております。こういったことで,企業同士がお話し合いをして,物を神戸港へということをしていただいております。
それから,地域の情報でございますけれども,それはエージェントをそれぞれ持っておりまして,それの情報をいただく,そういったことと,それによってこちら側の情報を神戸港復興ニュースということで,それを海外の船社へ送付したりいたしております。海外のマスコミに対しましても,それぞれ情報提供をさせていただいております。今後ポートセールスのミッションの関係につきましては,エージェントの活用が重要でございますし,いい情報をどんどんいただくという意味でも,絶えず連絡をとり,またきめ細かな情報提供に努めていくということ,また先ほどからお話があります24時間荷役をやってますよと,こういうような情報等,またそれにそれぞれ後背地の道路も復興しましたというようないろんな情報をやっていきますし,また先ほどから議論になっております強制水先対象船舶の見直しもやっておりますと,あるいは情報化によりまして事務手続を簡素化いたしますと,こういったことをそれぞれ皆さんにお知らせをして,新規の航路なり貨物の誘致に努めていきたいと思っております。
特にアジアに対して,例えば非常に熱心にやっておられますのは,福岡市と北九州市でございます。しかし,北九州市と福岡市との関係も,これまた非常に微妙でございますけれども,それぞれ分担をしながらということでやっておりますが,瀬戸内を通る船は北九州を通りますので,そういったいろんな調整事項もありますけれども,協力体制が必要であるということではないか,こう思います。
韓国あるいは北──中国の北ですね,大体上海から北については,やはり西日本を向いておるんではないか。上海から南,杭州,香港等については,むしろ南あるいは台湾,こういったところのつながりが非常に強うございますので,こういった問題の物の動きをどうやっていただけるか,これは産業界,企業間のいろんな話し合いといいますか,優遇とかそういった話を十分しながらやっていただきたいなと,こう思っております。そういうことで,特にアジアとのつながりは非常に多いわけでございますので,努力をしたいと思います。
しかし,アメリカ──北米あるいは南米,それからオーストラリア,そういったところの拠点港でもあるわけでございますので,こういった問題に対してもできるだけ対応できるようにしていきたいというのが,今までの考え方であります。
それから,北区の交通確保ですが,ご指摘がございましたように,長年一向に話が進まないというのは,まことに申しわけないわけでございますが,北神急行については,神戸電鉄の輸送力を補完するということで,鉄建公団方式でやりました。そういうことが,鉄建公団の施設を北神急行が買い取るというようなことでございまして,その金利負担について,一部金利を超える分については国と
地方公共団体が助成するという仕組みになっております。これのお金の方なんですけれども,最近金利が安くなっておりますから,それぞれ借りかえが可能なものについては借りかえをしていると思います。そういう意味では,余り最近では高い金利の助成はしてないと思っております。
しかし,できるだけ状況がよくなれば,この運賃等につきましても考慮いただきたいということは申し入れいたしておりますし,またこれについては,こういった問題が,北部北神を含めまして非常に不便をかこっておりますので,研究会を実は持っておりまして──北神急行,神戸電鉄,阪急電車が入ります,それから運輸省と兵庫県,神戸市,そういったところで研究会を持って,この将来の計画についてどうするかということを検討させていただいております。
例えば北神急行から神戸電鉄に乗りかえ,こういった利便性をもっとよくしていただきたいということ,それからバスとよく似ているんですけれども,相互乗り入れの形になっておりますが,相互乗り入れをするときには,バスでもよくもめるんですけれども,神戸市のバスもよくやっていることですけれども,自分の通っているところについては半分しか認めんとか,こういったいろんなことを今までやってきておりますから,それに対しても乗り入れの区間あるいは本数,こういったものの話し合いを十分やっていく必要があります。
そういったことがこの地域の住民にとっては非常に大事なことでございますので,できるだけ北神と都心が早く入れるようにということ,それと料金の問題ですね。特に神戸電鉄は普通の電鉄と違いまして,単価が高うございます。これは当初から,電鉄ができた時分から高いわけでございまして,そういった問題も含めまして,いつかの時点で市内交通は市内交通としての,大体この辺の単価ではないかというようなところまでおろしていただきたいという気持ちは,前から申し上げてきたんですけれども,そう簡単におろしていただけないということでございます。
それから,北神急行をできるだけ使うという,利便性を上げるためにはたくさん乗ってもらわないけませんので,本線の複線化──粟生線なりあるいは田尾寺から横山にかけての複線化をできるだけ早くやってほしいと,こういうようなことも1つの提案でございますので,できるだけ早くやってもらえるように,特に阪急電車に申し入れをいたしております。神戸電鉄では,財政的にはちょっと無理のようでございますので,阪急さんにひとつ力を入れてほしいと,こういうことを申し上げております。
特に市として支援できるといいますのは,沿線開発というんですか,住宅立地あるいは企業立地をできるだけ早くやる,こういうことが私どもの応援する内容ではないかなと,こう思っておりますので,十分ご趣旨に沿うように努力をしていきたい,こう思っております。
以上,私からご答弁申し上げました。
(「議長」の声あり)
130 ◯議長(浜本律子君) 緒方助役。
131 ◯助役(緒方 学君) 私から開発事業,港湾,病院事業等について数点,ご答弁申し上げます。
まず,開発事業の中で,ポートアイランド2期の分譲価格と企業誘致の見通しということでございます。特に分譲価格については,将来の税収も踏まえて思い切った価格を出せというご指摘でございますけれども,ご承知のように市財政がここ10年ほど大変厳しい状況にございます。そういうことも踏まえて検討すべきだと思いますけれども,土地の価格というのは一般的に原価,特に開発事業で生み出した土地につきましては,その土地をつくるについてどれだけの原価がかかっているか,そういうようなことと,それから周辺の地価,そういうものが基礎になって客観的に決められるというのが一般的な形でございますけれども,ポーアイの2期といいますと,新しい神戸の都市機能の拠点として期待しておりますし,また神戸経済の復興・発展のための起爆剤の1つの拠点として考え,位置づけられておるわけでございまして,そういうような一般的な,客観的な土地の決め方でいいかどうかということは,これからもいろいろと検討していかなければならないとは思っております。しかしながら,やはり開発事業の採算性といいますか,そういうものを考慮して決めると,そういうふうにお答えせざるを得ない,そういうふうに考えております。
それから,企業誘致でございますけれども,これも企業に対するインセンティブ,基本的な考え方を大体まとめた段階でございまして,そういうものを積極的に打ち出しながら,全庁的に取り組んでいく必要がある,そういうふうに考えております。いろんな形でまちづくりが具体化しつつございます。そういうような中で,どういうような企業を,どういうふうにして誘致していくか,進出される企業に対してどういうような優遇措置が打てるか,そういうことをこれから真剣に考えていきたい,そういうふうに思っております。
それから,六甲アイランド南への交通アクセスでございますけれども,六甲アイランド南には,大型高規格コンテナターミナルをはじめといたしまして,港湾施設あるいは質の高い物流機能用地,規模の大きい緑地──大規模緑地等を整備する計画でございます。六甲アイランドとの間に,現在のところ自転車も通行できる歩道を備えた6車線の道路橋を計画しております。また,六甲アイランド南で働く人々や緑地などを訪れる人々の利便向上ということで,また自動車交通の軽減も図るということで,公共輸送機関は必要だと考えておりまして,六甲ライナーの延伸も含めて,今後検討していく課題だと考えております。
それから,西市民病院に先端的な機器を導入すべきじゃないか,スタッフの確保が重要ではないか,あるいはまた 500床の病室が必要であると思うがどうかというようなご質問だったかと思いますけれども,新西市民病院は地域の中核病院として,市民からも信頼される存在として,充実を目指していかなければならないと思っておりまして,そのために医療スタッフあるいは医療機能,医療機器,患者サービスなど,医療の内容の充実を図っていかなければならないと考えております。
なお,医療機器につきましては,今後の医療の進展を想定しながら,必要な機器は可能な限り設置していくということで,市民のご期待にこたえていきたいと考えております。
それから,再建を行う場合の 500床の問題でございますけれども,現状の敷地面積,容積率から,再建後の延べ床面積は約2万 4,000平方メートルが限界となります。建築上の制限もあり,面積の使い方がある程度制約を受けることになります。患者の方々の快適性といいますか,アメニティーといいますか,そういうことの向上のために,1床当たり面積を広くして,そしてまた患者食堂を設ける,さらには廊下の幅を広げる,そういうようなことを予定いたしております。
西市民病院の許可病床数は 370床でありますが,それを超えることは,病床規制がございまして,さらに災害復旧事業ということで厳しい財政状況を考えますと,再建後の病床数は 350床程度としたい,そういうふうに考えて今進めておるところでございます。将来の拡張を含めた問題につきましては,今後の医療の需要とか地域医療機関の状況とか用地の問題とか,いろんな問題があるわけでございまして,将来の検討課題とさせていただきたいと思います。
それから,港湾事業にかかわりまして強制水先基準の見直しの問題でございますけれども,ご指摘ありましたように,神戸港では 300総トン以上の外航船, 1,000総トン以上の内航船につきましては,水先人を乗り込ませなければならないということになっておりまして,一方大阪湾内でも神戸港以外は1万総トン以上の船舶についてそういうことになっておるわけでございまして,異なった取り扱いがなされております。こうしたことで神戸港を利用する船舶の費用負担が,大阪湾内他港と比較して大きくなっている,そういうことで,それが神戸港への船舶の寄港再開を阻害している要因の1つと考えられるわけでございまして,神戸市の復興計画の中でも,神戸港の国際競争力の強化のために見直しが必要であると位置づけられております。
この問題につきましては,港湾利用者の関心も高くて,平成7年8月には利用者の方々から見直しに関する要望書が出ておりますし,それから神戸市も管理者の立場から,平成7年9月に運輸大臣あてに要望書を提出いたしました。運輸省,国におきましても,こういう事情を踏まえまして,平成8年5月に水先問題検討会を設けて,船舶の航行の安全の観点からこの問題の検討を始めたところでございまして,平成8年9月4日・5日の両日,検討会が神戸港のヒアリング及び現地調査を行ったところでございます。船舶の安全航行に関するものでありまして,その対象も全国に及ぶために検討期間は明確でございませんが,港湾管理者としては早期に検討していただいて,同一湾内のアンバランスの解消をお願いしているところでございます。
以上でございます。
(「議長」の声あり)
132 ◯議長(浜本律子君) 山下助役。
133 ◯助役(山下彰啓君) 私の方から地下鉄海岸線の開通に伴うバス路線の編成の問題と総合バスターミナルにつきまして,お答え申し上げます。
地下鉄海岸線のルートになっている現在の地域でございますが,当然バスがその主役を担って市民生活を守ってきたということでございます。海岸線が開通いたしますと,当然その状況は一変することになります。したがいまして,市民の需要に応じた路線の見直しを行うという段取りになってこようかと思います。このため路線の見直しにつきましては,乗客増対策の一環として,平成9年度から地下鉄海岸線の開通時期にかけて,段階的な実施を目標に路線の見直しを実施してまいりたい,そういうことで現在検討を重ねているという時期でございます。今後海岸線の開通を前提として路線の見直しを進めていく中で,当然ご提案のありました中型バスですね,こういうようなものの運用についても研究を重ねてまいりたい,そういうふうに思っております。
また,貴重なご提言があったわけでございますが,区でいろいろ検討してみてはどうか,こういうお話があったわけでございます。実は震災前に1度──各区ごとに,さまざまな住民の要望にこたえるために区政振興費というのをつけているわけでございますが,その区の予算の中で1度公共施設や医療施設などを結ぶ区民バスというような運行について,いろいろ検討してみてはどうかということでやってまいりましたけれども,実は震災でそれどころではなくなりまして,現在そういう案も実現はしておらないわけでございますけれども,財政状況等非常に厳しゅうございますけれども,1度こういうような区が中心になって,区内のいろんなバス路線について研究してもらってはどうか,そういうようなことも実は考えております。
ただ,これが公営企業の交通事業の中でどれだけ実現できるかというような問題はございますけれども,1度そういうようなご提案の趣旨を生かしていろいろ勉強もしてもらい,住民のニーズも研究をしていただき,その中で住民の足というものがもっとよりよいものになればという気持ちもいたしておりますので,今後研究課題とさせていただきたいと思っております。
それから,総合バスターミナルの問題でございますが,この問題は以前からやはり神戸というまちの表玄関でございます三ノ宮駅の南,これをやはり魅力ある都心づくりをするためにターミナル整備が必要であると,これは長年市長が言い続けてまいったわけでございまして,ただ現在までの状況の中では非常に公共空間に限定がある,こういうことでなかなか実現ができなかったわけでございますが,実は神戸新聞社の社屋の損壊の問題がございまして,我々といたしましては,この都市空間というものをできる限り利用させていただいて,長距離バスあるいは空港リムジンバスあるいは市内観光バス等々,いろいろターミナルですね,1つの大都市の玄関口としてのターミナル機能を持ちたいという気持ちは今も変わっておらないところでございまして,新聞社に買収の話を申し出ておりますが,実は新聞社の方でもビル再建等の計画もあるや,というような話も若干お聞きをしておりますけれども,その中で,全体的な話の中でターミナル機能が確保できますように今後とも協議を進めてまいりたい,そういうふうに思っておる次第でございます。
以上でございます。
(「議長」の声あり)
134 ◯議長(浜本律子君) 藤田水道局長。
135 ◯水道局長(藤田 徹君) 私の方から水道事業のご質問に3点,お答えさせていただきたいと思います。
まず,阪神水道企業団からの受水量の見直しでございますが,これまで水需要の増大または渇水への対応のために,水資源の確保は水道事業にとりまして最重要課題でございまして,自己水源に恵まれない神戸市におきましては,これまでも水需要の動向に即し,長期的な視点に立ちまして計画的に受水してまいりました。現在は,震災により水需要が一時的に減少はしておりますが,将来的には神戸の復興とともに回復していくものと考えられ,需要動向や渇水・災害等においても安定給水を確保するためには,水需要量に対して給水能力にある程度の余裕が必要であると考えております。このような観点から,阪神水道企業団の拡張工事に基づく受水量は必要でございまして,現在のところ受水計画を見直すことは考えておりません。
なお,短期的ではございますが,実は私の方の自己水源の千苅貯水池がございます。これから上ケ原──市街地向けに,年間 1,000万トン以上の水を市街地の方に持ってきております。ところが,その千苅導水路がこのたびの震災で被害に遭いまして,9年度いっぱいその補修工事にかかるというところでございまして,現在のところはむしろ阪神水道企業団から応援をしていただきたいということで, 1,000万トンぐらいを予定しております。なるべく市街地の貯水池の水を有効利用しまして,それを少しでも減らしたいということで今努力しているところでございます。
一方,私の方は兵庫県水道用水供給事業から受水しておりまして,これにつきましては,市街地では,当面現在の受水量を増量することは市街地向けには考えておりません。単価のこともあるわけでございますが,北神では,北神戸3団地の開発に伴いまして水需要が増加してまいりますので,これに対応するとともに,水源の多様化による給水の安定性の確保も念頭に置き,必要最小限を順次受水していきたいと考えております。
次に,ポスト琵琶総──琵琶総といいますか,琵琶湖総合開発事業についてでございますが,琵琶湖総合開発特別措置法が平成8年度末に期限切れになりますことから,滋賀県は本年4月「琵琶湖の総合的保全のための課題と今後の取り組み」ということで発表をいたしました。ここでは,琵琶湖の総合的保全のため,水質保全,水源の涵養,自然的環境と景観の保全を柱とする各種施策を総合的に実施することが必要として,その取り組みの支援のため新しい仕組みづくりが必要であるとしております。安全で良質な水を供給することは水道事業の使命でございますので,そのためには琵琶湖・淀川の水質保全が図られていくことは,神戸市にとりましても好ましいことでございます。また,今後ともこれまでと同様,都市の発展を琵琶湖・淀川とのかかわりの中で図っていかざるを得ないところでございまして,これらの動きに対してもまた関心を持たざるを得ないところでございます。しかしながら,下流負担については,現在言及されておりませんが,2010年を目標としまして1兆 8,800億円の費用が必要であるとの試算もされていることを考えますと,一面において慎重な対応も必要と考えております。
今後,国の考え方なり関係団体の動向に注目しながら,どういった形で広域的な連携を図っていくのが神戸市として,さらには近畿圏全体として望ましいか,具体的な展開の中で検討していきたいと思っております。
それから,3点目でございますが,羽束川・波豆川流域水質保全基金についてでございます。基金では,これまで上下流市民交流会の開催等の水質保全に関する普及啓発事業,それから合併浄化槽の維持管理費助成等の生活排水対策事業,河川清掃助成等の河川環境美化事業を行ってきております。これらの事業は,単独または相互補完的に働いておりまして,地元の住民の方の水質保全に対する理解を深め,河川周辺の美化や水質保全に寄与してきたと考えております。
基金運営は,基本財産6億円の運用利息を事業費の財源としておりますが,昨今の低金利によりまして,基金収入は大幅な収入減となっております。このような問題に対応するために,これまでの事業の評価と今後の対応につきまして検討し,役割を終えた事業を廃止いたしまして,水質保全に資する度合いに基づく優先化を図りまして,実効性の高い事業を展開していきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
(「議長」の声あり)
136 ◯議長(浜本律子君) 東村交通局長。
137 ◯交通局長(東村 衛君) 交通事業について1点,お答え申し上げます。
附帯事業を積極的に推進することは,交通事業の経営基盤強化のために必要かつ重要なことであり,またあわせて乗客サービスとしても必要不可欠なものと認識をしておりまして,従来から所有地の活用,駅ビルの活用,また広告,駅構内売店・店舗・自動販売機などの附帯事業を展開しているところでございます。
ご指摘の道路敷の地下部分につきましては,今のところ建設大臣の許可を受けて行うこととなっておりまして,それも地下鉄事業につきましては必要最小限のものという条件がございまして,附帯事業の展開にとっては大きな制約となっておるところでございます。地下部分の有効利用のためには,地方の道路管理者にこの建設大臣の権限を移譲していただくことが肝要であると考えておりまして,去る6月17日に国の地方分権推進委員会におきまして,他の指定都市の要望も合わせまして,神戸市長がその代表として,地下鉄の道路下敷設にかかわる建設大臣の許可を道路管理者の占用許可に改めることということを要望されたところでございます。我々といたしましても,今後とも引き続きこの方向で努力を続けてまいりたい,こう考えておるところでございます。
以上でございます。
(「議長」の声あり)
138 ◯議長(浜本律子君) 喜旦保健福祉局長。
139 ◯保健福祉局長(喜旦元和君) 私の方から2点,お答え申し上げます。
まず,高齢者総合診療科についてであります。高齢者総合診療科は,高齢者が老化に伴いまして複数の病気を持つということがしばしば見受けられるわけであります。もちろん急性の病気を合併することも多々あるわけでございます。従来の個々の臓器に着目した診療体系より,患者を全人的にとらえた医療が必要であろうということで,地域に高齢者の多い西市民病院に高齢者総合診療科を設けたわけであります。
経過を申し上げますと,平成4年の新館の完成に合わせまして,内科に老年科というのを設けましたけれども,やや名称がまずいのかなということもあって,平成6年4月からは高齢者総合診療科という名称で,試行的に診察を行ってきたところであります。今回改築します新しい西市民病院におきましても,従来の考え方を引き継ぎまして,内科に高齢者総合診療科を設けて,高齢者に対する総合的な医療の方向を探っていきたいというふうに考えております。
従来に比べましてさらに内容を充実させたいということで,現在の段階では,検査のために何回も病院に来なければならんというふうなケースもあるわけでございますので,本人のご希望があれば検査のために入院できるベッドを確保するとか,あるいは脳血管障害あるいは糖尿病,高血圧症など,高齢者に多く見られます疾患につきましては,専門外来を設けて,充実した医療が提供できるような体制をとっていきたいと考えております。もちろんこれらに必要なスタッフの確保については,これから十分検討をしてまいりたい,必要なスタッフは確保したいというふうに考えているわけであります。
それから,在宅医療と訪問看護ステーションの問題であります。午前中からもいろいろ申し上げておりますけれども,特に西市民病院の建設に当たりましては,在宅医療支援病棟を設置する,それから地域医療機関からの紹介患者の初診予約を実施する,それから地域合同コンファレンスの開催などによりまして,地域医療機関との連携を強化していきたいというふうなことを基本的には考えておるわけでありまして,在宅医療の支援を十分やっていきたいというのを基本的に考えておるわけであります。もちろん在宅支援病棟では,かかりつけ医のもとで診療を受けている場合,患者の容体が悪化したというふうな場合には,応急入院の受け入れ,あるいはかかりつけ医の病床訪問の受け入れ,それから西市民病院医師との共同指導,こういうふうな治療を行うとともに,入院中の患者回復への指導による在宅医療への移行の円滑化を図りたいと考えておりまして,今申し上げたような形での在宅医療の支援を充実したいというふうに考えておるわけであります。
それから,訪問看護ステーションの問題につきましては,もちろん在宅医療を支えるものとして,保健所との連携であるとか老健施設との連携であるとか地域医療機関との連携,あるいは訪問看護ステーションの活用等があるわけでありますけれども,今私どもとしては神戸在宅ケア研究所が,既にしあわせ訪問看護ステーションを開設いたしております。平成6年の暮れに開設しておりますけれども,このしあわせ訪問看護ステーションとの連携・活用を図りながら,在宅医療の支援を十分に行っていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
(「議長28番」の声あり)
140 ◯議長(浜本律子君) 池田議員に申し上げます。
予定時間が既に経過いたしておりますので,簡潔におまとめを願います。
141 ◯28番(池田林太郎君) 時間が過ぎておりますので,多くを申し上げません。
ただ,今の西市民病院に係る高齢者総合診療の関係ですが,必ず専任医師を設けて,高齢者診療にひとつ対応していただきたい,このことを強く申し上げておきたいと思います。
あと,地下道の問題等々,まだ掘り起こしたい面がありますが,特別委員会の方でひとつ議論をしたい,このように考えますので,よろしくお願いします。
この1点だけ強く要望して,終わっておきます。
142 ◯議長(浜本律子君) 次に,4番高山晃一さん。
(4番高山晃一君登壇)(拍手)
143 ◯4番(高山晃一君) 私は,さわやか神戸・市民の会を代表し,平成7年度神戸市公営企業会計決算について,3点質問をいたします。
予定しておりました港湾事業に関する質問は,省略させていただきます。
公営企業は,神戸市の基本計画において重要な位置を占めていることは言うまでもありません。震災後の平成7年10月に出された第4次神戸市基本計画を見ると,大変華やかな計画が満載されています。果たして基本計画の実現に向けて日々経営を進めておられるのか,病院と自動車,高速鉄道事業について,まずお尋ねいたします。
まず,病院事業ですが,基本計画の基本方針の中に「かかりつけ医を中心とする保健・医療サービスの提供体制を充実する。市内のすべての地域において適切な医療を受けられるよう,地域医療機関を充実し,医療施設の機能分担と相互の連携の円滑化を進める。」と,すばらしい言葉が並んでいます。現実はどうでしょうか。中央市民病院,西市民病院を利用する患者の各区分布を見ますと,垂水区民が多くなっています。垂水区には総合病院がないためだと思われます。市民病院ではありませんが,日赤病院が須磨区から,総合病院が林立する中央区へ移転するという計画も聞きます。中央市民病院は,交通手段の制約からポートアイランドの住民にはサービスと安心を提供することができましたが,神戸市民全体をカバーしているとはとても言えません。震災の折にはそれが如実にあらわれ,市民の救命救助は,民間の病院・医療施設によって行われました。
医療法に基づく兵庫県保健医療計画により病床,つまりベッド数の規制がかかっているため,ベッド数が過剰な神戸市において,病院建設を安易に進められるわけにはいきませんが,市民病院の立地が市民へのサービス・安心の提供に大きく影響することは事実です。市民病院の近くにお住まいでない市民に対して,病院事業は今後どのようにサービスや安心を提供していくのか,お伺いいたします。
次に,高速鉄道事業,自動車事業ですけれども,神戸市の基本計画には「地域の交通需要に応じた交通基盤の整備を図り,市域における30分交通圏を確立すること。鉄軌道については,都心周辺や都心から郊外への放射状鉄軌道網の整備・増強を進めるとともに,新たに環状鉄軌道の検討を行う。」などとなっています。ところが,鉄軌道の今後の計画を見ると,地下鉄海岸線,神戸空港と新神戸を結ぶ路線,六甲アイランドと六甲アイランド南を結ぶ路線など,既にある地域の交通需要や,毎日繰り返されている通勤ラッシュ地獄を無視するかのごとく,新規開発に伴う路線が先行しています。
市民は,既にある交通需要への対応や,毎日繰り返されている通勤ラッシュの解消を強く望んでいますが,市域における30分交通圏の確立に向けて,高速鉄道事業,自動車事業は何をしなければならないとお考えになっているのか,お伺いいたします。
最後に,公営企業の過剰な現金預金・基金の保有についてお伺いします。
震災による一時的な収入減は認められましたが,国からの補助も多く,その結果,公営企業会計の現金預金・基金は地震後も着々とふえ,7会計を合わせると 6,000億円を超えています。公営企業会計の経営は,一部企業を除いて思ったほど厳しい状況ではない。焼け太りとも言える状況です。
緒方助役は,昨年の9月22日公営企業決算本会議質疑において,「それぞれの企業において,企業債の償還あるいは今後の施設整備の改築・構築などに必要な資金であるわけでございます。上下水道,港湾をはじめ,これから管理の時代を迎えるということで,その施設の維持管理あるいは更新が大きな今後の課題でございまして,負担要因となってまいります。これらに対しても一定の財源を確保しておく必要があるわけでございます。」と答弁されています。山下助役は,昨年10月4日の公営企業決算特別委員会総括質疑において,「将来の施設の改築とかあるいは更新,あるいは今後の拡充ということは,多額の経費が一挙に要る場合がございます。ここで持ちませんと,その都度そしたら市民からいただく,そういう非常に余りにも弾力性が強過ぎないかということを考えてやってきております。」と,恩田委員の質疑に対して答弁されました。
現金預金・基金は,あった方がいいに決まっています。企業も家庭も,備えや蓄えが多いにこしたことはありません。しかし,公営企業にとっては,現金預金・基金はあった方がいい,つまり別になくてもいい,不必要なものです。札幌をはじめ他都市の公営企業が現金預金・基金を過分に持ち合わせていないのは,イソップ童話のキリギリスのようにその日暮らしをしているからではなく,別になくてもいい,不必要なものだからです。
これは考え方の相違ですが,地震の被害を受け,市民がそれほど豊かでないときに,公営の企業が不必要なものをこれほど蓄えているのはおかしいのではないですかと,私たちは主張しているわけです。私企業,株式会社ではないのですから,財テクなどに熱中せず,公営企業らしく,公務員らしく全体の奉仕者として,与えられた仕事に専念すべきではないでしょうか,お伺いいたします。
以上です。(拍手)
(「議長」の声あり)
144 ◯議長(浜本律子君) 緒方助役。
145 ◯助役(緒方 学君) 高山議員のご質問のうち病院事業について,私からご答弁申し上げます。
市民病院に遠い住民,どういうふうなサービスを受けられるかというような趣旨だったかと思いますけれども,これは午前中も答弁いたしましたが,市民病院群は地域の基幹病院・中核病院として,高度医療・救急医療等の他の病院では困難な採算のとりにくい医療を中心に市民の医療ニーズにこたえることを使命といたしておりまして,そういうことで地域の医療機関との連携を推進しながら,地域医療の充実に貢献していくべきだと考えております。医療機関相互の連携に当たりましては,市内全体の地域医療のネットワークづくりが望まれるわけでございまして,市民病院群もその一端を当然担っていくというふうに努めていきたいと思っております。
こういうような考えのもとで,連携に当たっては,連携のための窓口機能を充実し,地域医療機関への患者さんの紹介とか,あるいは病状急変時の救急対策とか,救急対応のための院内の受け入れ体制の整備とか,そういうことを行っているところであります。また,地域合同コンファレンス等の開催,適切な情報提供といった地域の医療従事者の質的向上にも努めているところでございます。
今後とも,市民病院群と地域の医療機関との連携の推進によって,地域医療の充実に寄与していきたいと考えております。
以上です。
(「議長」の声あり)
146 ◯議長(浜本律子君) 山下助役。
147 ◯助役(山下彰啓君) 自動車事業と高速鉄道事業について,何をしなければならないと考えているのかというご質問でございますが,30分交通圏の拡大といいますのは,市民の生活圏の拡大に対応しまして,第4次神戸市基本計画に掲げられました交通基盤整備の理念の1つでございます。これは,明石海峡大橋あるいは大阪湾岸線,地下鉄海岸線の整備を踏まえまして,都心をはじめとする市内の交通拠点の間の時間距離を30分以内にするということを目標とする考え方でございます。第4次神戸市基本計画では,隣接市町との相互依存関係の緊密化の進展を踏まえまして,30分交通圏の拡大を,神戸を取り巻く広域生活圏にも広げていく必要性についても,長期的な観点から位置づけているところでございます。
市域における30分交通圏を確立するために市営交通事業の果たすべき役割としては,高速鉄道事業につきましては,現在建設中の海岸線の早期開通に全力を挙げることであると考えております。また,長期的な課題として,中央都市軸鉄軌道等,将来の地下鉄整備計画についても検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
一方,バス事業につきましては,乗客需要の動向に合わせ,まちの構造に応じた適切なバス路線の編成を進めていくとともに,地下鉄などの鉄軌道と有機的に連携したネットワークづくりを進めることにより,利便性の高い都市圏交通体系を形成していく,これが2025年を目指した神戸市のマスタープランの考え方でございます。
以上でございます。
(「議長」の声あり)
148 ◯議長(浜本律子君) 杉田理財局長。
149 ◯理財局長(杉田文夫君) 6月市会の佐藤議員の質問にお答えいたしましたが,過剰流動性が高いというお話が,どうも理解できないわけでございます。
何度もご説明してございますが,企業会計でございますけれども,神戸市の企業会計,下水から水道事業8事業で,概数でございますが,償却前で約2兆円の資産がございます。そのうち,特に下水の例で申し上げますと,償却前資産が 6,400億ほどございます。これが更新の時期にこれから入ってくるわけでございますが,現在の再建築価格は1兆円を超えるんではないかと,私,下水におりましたときにそんなふうな数字を議論してございます。約1兆円。そういう非常に膨大な更新資金が必要になってくるということが,まず1つでございます。
それから次に,これらの企業会計の起債でございますけれども,8つの会計で約 9,000億円,8年度の災害復旧債等を含めますと,8年度の末には約1兆円を超えると考えられます。これの元利償還がすぐに始まってまいります。このために手許現金といいますか,この程度の流動性が過剰であるとは到底考えられないわけであります。
札幌の話とか横浜の話がよく出ますが,これはその都市のいろいろのやり方でございまして,神戸市は,この前にもご説明いたしました,負担区分方式でもって経理をやってきているということでございます。
ただ,しかし,今回の震災の復旧・復興といいますのは,一日も早い市民生活の安定のために最優先課題として取り組むということでございます。したがって,下水道事業と開発事業会計から3年間に約 300億円の繰り入れ増をお願いしておる予算を編成しておるところでございます。
以上です。
(「議長4番」の声あり)
150 ◯議長(浜本律子君) 4番高山晃一さん。
151 ◯4番(高山晃一君) 今,杉田局長の方から,更新資金が必要だとか,起債償還の費用が要るというお話がありました。施設整備の改築とか構築など必要な場合において,株式会社であれば株式の発行などで賄うわけです。ところが,公営企業の場合は株式会社ではありませんから,借り入れ,つまり企業債の発行で賄っているというわけですね。
で,緒方助役や山下助役がおっしゃる神戸市の公営企業の施設整備の改築・構築,維持管理というのは,ちゃんと企業債を発行して,今現在も行っていることじゃないんでしょうか。多額の経費が一挙に要る場合,その都度市民からいただくという山下助役の昨年の答弁は,どうもおかしいんじゃないかと私は思います。市民が納めている料金の中には,当然改築など必要な事業のために既に借りた企業債の金利も含まれているわけですけれども,いかがでしょうか。この考え方は間違っていますか,お伺いします。
それから,せっかく時間がありますので,自動車事業ですけれども,自動車事業に対する期待は大きいんですが,どこまで市民のニーズにこたえることができるか,大変気がかりです。決算書を見ますと,「近年は,景気低迷や週休2日制の普及,高校生数の減少など,経営環境の変化により,再び厳しい財政状況となっている。」となっていますけれども,そういった外的要因はよくわかるんですけれども,外にばかり原因を求めていては問題は解決しません。提供するサービスの質や内的要因を改善していくことが必要だと思います。
例えば運転職員の年収を民間と比べてみますと,神戸市の市バスの場合,大変高いです。平均 991万円。民間の場合は,これは在阪の企業に聞いたんですけれども,S社は 700万円,K社は 700万円,H社は 762万円など,随分格差が見られます。これだけ高い給料を支払っているのですから,その違いをサービスなどで実感したいと市民が考えても当然だと思います。また,観光都市を自称するんであれば,中途半端な都市低床バスではなくてノンステップバスとか,バス停と車体を同じ高さにするなど,乗降のしやすさを追求すべきではないかと思います。
その他,例えば毎月20日はノーマイカーデーと言っておりますけれども,市バスと地下鉄の共通パスがない,大阪の場合はきちんとつくっているとか,細かいことはまた各局別でやりますけれども,やはり今のままでは市民に,市バスに乗って本当にみんなの公共交通を守ろうというような気持ちになっていただけていないのではないかと思います。内的な要因で改善しようとお考えになっていることがあれば,お聞かせください。
病院事業ですけれども,結局医療機関との連携という言葉が出てきましたけれども──これは質問じゃないです。医療機関との連携ということなんですけれども,現実は患者さんの奪い合いといいますかね,同じような医療を提供して,本当に連携というものがどういう形になってくるのか,いまひとつ市民にはまだ見えてきていません。その辺をもうちょっと具体的に今後聞いていきます。
それから,自動車事業,余り具体的なお話をお聞かせいただけなかったんですけれども,やはり市民のニーズとかなりギャップが──ここは質問じゃありません。市民のニーズと取り組みの間に随分ギャップを感じます。行政は市民のしてほしくないことばかりすると,最近エイズの問題ですとか,日本国中でそういう不満の声が高まっている状況なんですけれども,これも否定できないような状況ではないかと思います。
質問の方は,現金預金のものと自動車事業,この2つお願いします。
(「議長」の声あり)
152 ◯議長(浜本律子君) 山下助役。
153 ◯助役(山下彰啓君) 自動車事業について,内的要因といいますか,いろんなことをやったらどうかということでございます。これは当然でございまして,私どももできる限り内部的な努力を進めなきゃならんと,これは午前中からいろいろな議員のご質問にお答えをして,検討課題あるいは研究課題等もお話を申し上げてまいったとおりでございまして,それぞれの時代に対応して公共交通機関のあり方というのは変わってまいります。それに応じて,我々としても最大の努力を図っていく。
また,内部的な努力としては,交通事業管理者が組合ともよく相談しながら,実際にやはりこれから市民の足として生きていく,サービスをよくしていく,そういうことも考えようというような提案もいたしておりまして,48項目の中身を決めたということも,午前中お話申し上げたとおりでございまして,可能な限りそういう内部的な努力を進めてまいりたい,そういうふうに思っております。
以上です。
(「議長」の声あり)
154 ◯議長(浜本律子君) 杉田理財局長。
155 ◯理財局長(杉田文夫君) 公営企業会計,起債を幾らでもやったらいいようなお話でございますが,起債の許可制度がございまして,これは自治大臣の許可を得て公共団体が起債をやっておるわけでございます。先ほどもお話しました元利償還分についての起債の許可といいますのは,ただ1つ例外で地下鉄事業の元利について認められる場合がございますが,他のものについては,私の知る限りございません。したがいまして,元利償還,全部自腹でやっていくということでございます。
また,その他の下水道の例で申しますが,償還につきまして今まで起債の許可といいますか──更新につきまして起債の許可あるいは補助制度というのは,数年前まで原則ないということでございましたので,きちっと補助部分まで含めて償却をしてきておったわけでございますが,数年前から,起債許可制度とそれから国庫補助制度がきちっと認められるようになりました。
ただし,これも大規模な更新というただし書きがついてございます。したがいまして,通常の──どの程度が大規模かどうかといいますのは,一々申請をして,その上で補助あるいは起債が認められるということでございまして,先ほど申しましたような1兆円ばかりの更新といいますのは,あらわれる時期がいっときにあらわれませんので,そのときどきに許可があるのか,起債・補助があるのか,これはそのときどきのことでございますので,やはりきちっと準備はしておかないと,そのときに大変なことになる,こういうことでございます。
(「議長4番」の声あり)
156 ◯議長(浜本律子君) 4番高山晃一さん。
157 ◯4番(高山晃一君) 現金預金・基金のことですけれども,私たちが主張しているのは,やはりこういうやり方がよくないんではないか。地震の被害を受けて市民が余り豊かではないときに,公営企業が不必要なものをいっぱい持っている。神戸市の公営企業はこういう形でやるんですというお答えだったんですけれども,やはり常識から考えて,公営企業というものは,やはり私企業,株式会社とはちょっと違いますから,幾らでも現金預金や基金を持つというのはちょっとおかしい。私企業や株式会社であれば,幾ら持とうとそれは勝手なんですけれども,やはりある種独占を認められた公営の企業ですから,そういったことを忘れないでいただきたい。私たちはスリム化を望みます。
以上で終わります。
158 ◯議長(浜本律子君) 次に,50番原 和美さん。
(50番原 和美君登壇)(拍手)
159 ◯50番(原 和美君) 私は,新社会党神戸市会議員団を代表いたしまして,1995年度公営企業会計決算につきまして市長にお伺いをいたします。
震災から施設の復旧に全精力を注がねばならなかった昨年度,職員の皆さんをはじめとする多くの皆さん方の努力で,いわゆる生活関連社会資本の回復を見ることができ,市民生活の安定に大きく貢献してきたことに心から敬意を表するものです。
そういった意味で '95年度企業会計が決算でマイナスを出したことをもって即経営改善の強化や,新たな市民負担を求めることとなってはならないのです。 '95年度決算で赤字は,震災で収入が減少した以上,やむを得ない事態であるからです。震災による施設の被害などで収入を得ることができなかったものについて,例えば水道事業における減収補てん債などのように,瓦れきの間を縫って走り続けた市バスつまり交通事業や,西市民病院の倒壊で医療行為ができなかった病院事業会計での財政的支援の方策について,国への支援を求める立場で,また市の財政全体の立場からお伺いする予定でした。
先ほどの答弁では,国に対して不採算事業について補助制度を求めているとのことで,今後とも要望していきたいとのことでした。その努力については引き続きお願いをしたいと思います。また,一般会計からの繰り出しも,国基準に沿った見直しを国から求められているが,8会計一律とはいかないが進めていきたいとのことでした。この点につきましては,必要と思われるものについては当然長として判断をし,必要な繰り出しをすべきと考えます。
ただ,気になることといたしまして,震災後の神戸市全体の行財政改善の基本的スタンスは,みずからが努力し,その姿勢を国に理解してもらいつつ,なお足りない財源について国に求めていくという考え方です。このことについての議論が不足をしていることです。行財政改善の中身についてもう少し議論をしておかないと,一致した国への要望になりにくいのではないかと思いますので,ご見解があればお伺いをしておきたいと思います。
次に,2点目といたしまして,市民病院経営改善計画についてお伺いをいたします。
新たに策定されようといたしております市民病院経営改善計画では,計画年次が平成8年度から11年度となっています。これは西市民病院が本格復興するまでの間とのことです。暫定計画だとのご答弁もございましたけれども,現在西市民病院は 370床のうち38床しか稼働しておりません。全面オープンしていない西市民病院の収支を含めて,神戸市全体の財政再建を図る中で市民病院群の経営改善の取り組み強化が必要であるとの趣旨のもと,経営改善計画を立てても,収支均衡を図ったり,累積赤字の解消は実際上無理だと思うのですが,この点,計画の内容はどうなっているのか,計画を立てる意味も含めてお考えをお伺いいたします。
また,市民病院経営改善計画には,市民病院群の1つとして,新しいシステムでオープンした西神戸医療センターが含まれていますが,地域の医療機関との連携などの利点を反映する趣旨であればいいのですが,委託化の推進など外郭団体方式による効率性のみが計画の中で追求されるようなことにはならないか,その意図するところについてお伺いするつもりでしたが,経営改善面では市民病院とは別個のものとして位置づけられると,明確な答弁がございましたので,その立場での計画が立てられるのか,見ていきたいと思います。
3点目は,地下鉄海岸線についてお伺いをいたします。
地下鉄海岸線につきましては,震災によってまちの状況が一変し,また市民生活や市の財政事情も非常に厳しくなっている中でも,既に工事発注がなされてしまっています。しかし,このような状況の変化を踏まえて,再度計画を見直すことについてのお考えをお伺いしたいと思います。
先ほどから関連プロジェクトの取り組みを促進させるとのお話もございましたが,なお膨大な赤字を抱えることの不安はぬぐえないものです。再度お伺いをしておきたいと思います。
4点目に,自動車事業会計についてお伺いをいたします。
最初の質問に関連をするのですが,ことしの3月市会で自動車事業会計補正予算で,営業収益つまり料金収入を20億円減額補正しております。震災による乗客減と走行環境の悪化で料金収入が伸びなかったことによるもので,この減収分について国に補てんを要望したものの,理解が得られなかったと答弁がございました。引き続き要望していく,決してあきらめていないということでしたけれども,なかなか要望がかなえられない場合,累積欠損金として残っていきますが,この分につきまして明確に区分して残しておくべきだと思います。あいまいに残しておくことは,結果として市民負担になるのではないかと危惧するものですので,ご見解をお伺いしておきたいと思います。
次に,バスと地下鉄のネットワーク化についてお伺いをいたします。
先ほど海岸線の開通を前提として路線の見直しということを9年度から実施しようというお話がございました。しかし,これによってバス路線が切り捨てられるようなことがあってはならないのです。特にお年寄りなどにとりましては,バスはぜひとも必要な交通手段であり,バスへの需要はなくなりません。今後,将来を見据えて,お互いに補完できるような地下鉄とバスのいわゆるネットワークづくりというものについて,具体的な計画を早急に立てるべきと思いますけれども,お考えをお伺いしておきたいと思います。
最後に,水道事業についてお伺いをいたします。
震災で水道施設に大きな被害を受け,さらには契約戸数の大幅な減少,阪神水道企業団負担金の値上げなどで,経営安定化積立金を全額取り崩してもなお赤字ということで,上下水道審議会に水道事業の経営改善のあり方について諮問をされ,審議中とのことですが,例えば財政計画の中で先ほど給水戸数については10年度には戻るであろうが,給水収益が震災前の水準に戻るのは11年ぐらいまでかかるとのことでした。給水収益が早期に回復するのであれば,例えば言われております料金改定をする必要性も乏しくなるわけであります。現在の見通しの上に立ってのお考えをお伺いいたしまして,私の質問を終わります。(拍手)
(「議長」の声あり)
160 ◯議長(浜本律子君) 笹山市長。
161 ◯市長(笹山幸俊君) 私から減収補てんにかかわる問題につきましてお答え申し上げます。
既にお答えを申し上げておりますけれども,今回の震災によって減収をしたということは,これは歴然としておる部分がはっきり出ておるわけでございまして,その分についてお願いをいたしております。
これは国に対してそういったことも言っておりますが,実際には国が補助をしてもやはりその裏というのは一般財源を使わざるを得ないわけでございますから,その分がふえるということは確かでございます。ですから,施設復旧費の制度等がある程度認められましたけれども,交付税措置をしていただいてもその裏を見ざるを得ない,こういうことでございます。
ですから,こういったことの費用が実際にはかかっておりますので,今後特に申し上げておりますのは,どうしても不採算の事業というのがかねてからあるわけでございまして,それプラス今回の震災ということでございますから,これについては何とかしてもらわないと困りますというのが私どもの気持ちです。特に病院,特に西市民病院等の──これはもう倒壊でございますから,当然やっていただきたい,今までのルールではちょっと困ります,こういうことを言っております。
それと不採算の診療ももちろんですし,いわゆる救急も含めての話ですが,それと交通事業におきます慢性的な不採算の問題,こういったものも要求をしていきたいと思います。
ただ,震災によるということがはっきりしておるものと,震災がなくっても減収ではないかという振り分けが非常に──私どもも説明に行って言われるわけです。そういうことがございますので,先ほどちらっと言われましたけれども,市と──議会もお願いしておるわけでございますけれども,それが意見が違う,そういうことで国に要望するということはちょっとやっぱりこれは困りますので,議会からのいろいろご支援をいただきながら,国の方がそういったいろんな話を出してきて,先ほど少し前の高山議員が言われたような話が出てまいります。特には申し上げませんけれども,現に言われておりますので,こういった点についてはやはりまじめにいかないと,話としては通らないということでございます。
神戸市民あるいは市もそうですが,議会も事業者もみんな,そういうことがもし頭の中にあるとすれば,これはもう国は相手にしないということははっきりしておりますので,これは現に私どももそういう意味での交渉のやり方をさせていただいておりますんで,特にご理解をいただきたい,こう思っております。
(「議長」の声あり)
162 ◯議長(浜本律子君) 緒方助役。
163 ◯助役(緒方 学君) 私から市民病院の経営改善計画についてご答弁申し上げます。
ご指摘のとおりでございまして,西市民病院が現在十分な機能を果たしておりません。そういう中で計画を立てるわけでございまして,何をするかということでございますが,こういう非常事態の中で医療水準を下げることなく,どうしてそういう限られた状況のもとでも最善の努力ができるか,そういうことを検討したいということでございまして,1つは期間は8年度から11年度までということになります。ということで,言うまでもなく暫定的な計画になるわけでございます。
計画の内容は,市民病院群の目指すべき医療の内容,それから市民病院の経営改善の方策,そして市民病院の収支計画等を予定いたしておりまして,予定では年末ごろにそういうことをテーマにして計画を検討しておりますので,年末ぐらいには市長への報告ができるかなと,そういう状況でございます。
以上です。
(「議長」の声あり)
164 ◯議長(浜本律子君) 山下助役。
165 ◯助役(山下彰啓君) 地下鉄海岸線の問題と地下鉄とバスとのネットワークの問題についてお答えします。
地下鉄海岸線の問題でございますが,確かに震災によってまちの状況が一変しました。また,財政状況も非常に厳しくなっておる。これ2つとも事実でございます。ただ,地下鉄海岸線といいますのは,インナーシティ対策の切り札として考えてまいりました。当然兵庫,長田南部あるいは周辺地域の衰退化現象をどうしようかと,こういう議論を非常に長く何年もかかってやりながら,1つの起爆剤として地下鉄をつくろう,こういうことになりました。
現在はその当時,そういう議論をした当時よりもはるかに事態が深刻なことは事実でございます。家も倒壊し,亡くなった人もたくさんございます。ただ,そのためにこそ,今現在再開発なり事業を興し住宅を建てる,そういう努力を最大限行っております。このままほっておきますと,まさにインナーシティ対策どころかそれ以下の状態が来てしまう,あの時代でも切り札としてやろう,こういうことだったわけです。
したがいまして,これを何とか敷設することによってまちの活性化──人が集まってくる,人が住む,まちに賑わいができる,こういうことをやっぱりやっていかなきゃならないのではないか。非常に財政が厳しい中でもやろうという選択の1つがそういう理由でございます。そういう中で我々やっていきたいというふうに思っておる次第でございます。
それから,バスと地下鉄とのネットワークの問題でございます。当然市営交通事業といいますのは,市民生活にとって必要不可欠な都市の基盤施設である,都市装置である,そういうことを考えておりまして,また神戸の復興にとっても重要な役割を担っておるという認識をいたしております。
総合交通体系における交通機関の役割といたしまして,鉄軌道が大量輸送を受け持つ,バスは市バスを中心に民営バスも含めまして鉄軌道を補完する輸送機関,こういう位置づけをして現在までやってきておるわけでございます。
バス,地下鉄が市民の身近な足としての役割を果たしていくためには,それぞれがばらばらに個別に事業展開をするのではなくして,両者がやはり総合的,一体的に機能するということが必要だということは十分認識しておるつもりでございます。
このような観点から,地下鉄と有機的に連携したバス路線の設定をしなけりゃならないだろう。また,2番目にはカード乗車券等の共通化を図っていく。これはソフト面で連携を図る。それから,乗り継ぎの場合の料金設定のあり方についても一度検討してみようとか,あるいは民間の交通事業との調整も当然必要である。そういうようなことでいろいろ取り組んでおりまして,これによりまして全体として市民の利便性というものを向上させてまいりたいというふうに思ってございます。
当然地下鉄ができることによってバスがいろいろ再編を迫られることは事実でございますが,以上申し上げたような観点に立って再編ネットワークを図ってまいりたい,そういうことでございますので,よろしくお願い申し上げます。
以上です。
(「議長」の声あり)
166 ◯議長(浜本律子君) 藤田水道局長。
167 ◯水道局長(藤田 徹君) 私から水道事業の給水収益の回復の見通しと財政の見通しについてお答えさせていただきます。
ちょっとダブるかもしれませんが,平成7年度決算では,給水収益は震災前すなわち平成5年度と比較しておりますが,9%の減少でございまして,金額にしまして約27億円の減収となっております。今後の水需要の見通しにつきましては,ちょっとダブりますが,給水戸数については10年,有収水量につきましては11年度ということでございますが,給水収益そのものは業務用がおくれているという,今のところ見込みでございまして,回復がおくれておりますので,11年でもちょっと難しいんではないかと考えております。
今,神戸市上下水道事業審議会でいろいろご議論をいただいておりますが,今の状況,何もしない状況といいますか,一応我々の内部でできることはするわけでございますが,それをしましても平成11年度で累積赤字としまして 300億円を超えるものになろうかという見通しを立てております。
以上でございます。
(「議長」の声あり)
168 ◯議長(浜本律子君) 東村交通局長。
169 ◯交通局長(東村 衛君) 自動車事業会計の震災における減収補てんについてお答え申し上げたいと思います。
先ほどの助役答弁で同じようなことがございましたので,多少ダブるかもわかりませんけれども,確かにバスは震災の前の平成5年度に比べますと1日当たりにして32万 5,000人ぐらいであったものが29万人ということで,3万 5,000人ぐらい,10.8%ぐらいの乗客減があったんではないかと我々見ております。
また,これによって他の企業会計とともに,国家予算要望としても国に公営企業の営業収入減少に対する補てん措置及びそれに対する交付税措置を要望してきたわけでございます。しかし,これは残念ながらバスの減収については実現をいたしませんでした。国のバスへの支援といたしましては,施設復旧費の補助,これは一般会計が2分の1,自動車事業会計について補助をする,それに対して地方交付税措置をするということで認められたわけでございます。
重ねて申し上げますが,料金収入の減収補てんについては,減収がバス施設の損壊が直接の原因でないことや,民間バスとのバランスなどがあって,国は消極的であった。ただ,我々としては全くあきらめたわけでございませんで,今後ともバス事業に対する財政支援を要望する中で,引き続き国に対して要望を続けてまいりたい,こう考えておるところでございます。
それから,減収額を明確にしてということでございましたけれども,我々経理上ということではございませんけれども,一連の国に対する要望をしております中で,額も推計をいたしまして明確に把握をしておりますので,これはいつでもはっきりしておると思っております。
以上でございます。
(「議長50番」の声あり)
170 ◯議長(浜本律子君) 50番原 和美さん。
171 ◯50番(原 和美君) 少し再質問なんですけれども,ちょっと最初に市長の方からご答弁いただきましたことの理解なんですけれども,例えばつまり神戸市当局と議会が一致をして要望していく場合に,その認識に違いがあるのではないかというような,そんなニュアンスでのご答弁だったような気がいたしております。それは,震災による被害だとはっきりしているものと,そうじゃないものとの振り分けがなかなか難しくて,そこのところの認識が違うのではないかということなのでしょうか。もしそういうことでありましたら,例えばどういうことなのかということを何か,私自身がちょっとわかりにくいので,お聞かせいただければと,こんなふうに逆に思っております。
それから,今の交通事業会計について言われました,明確に区分していて,いつでもこの分は出せるということであれば,例えばその分の赤字が将来的に公営企業のバス事業の赤字として残っていく中での,例えば将来的な料金改定の部分については,当然別の話として置いておくものとして理解していいということでよろしいでしょうか。
以上,お伺いします。
(「議長」の声あり)
172 ◯議長(浜本律子君) 笹山市長。
173 ◯市長(笹山幸俊君) 意見が違うとおっしゃいましたのは,私の聞き違いか知りませんが,先生からお話があったんで申し上げたわけです。「意見が違う」とここにメモしてありますんで……。
これは私の推測は,いろんなご意見があって,いろんな要望をしますね,そのときに物の考え方,例えばよく言われます個人補償はどうだと,こういうことです。個人補償をしてくれというのと,それに近いやり方でこういう方法でやってほしいということと,これは相手方から見れば全然意見が違うんです。これなんかは典型的な例だと思いますが,そういったことがあるということを先生からおっしゃったと私は聞きましたので,申し上げたわけです。
ですから,もちろん震災と振り分けがはっきりしないというようなことについての意見の相違というものもあって当たり前なんです。これは両方とも申し上げておりますけれども,あって当たり前なんですが,相手さんと話をするときには,やっぱしそういうことをちゃんと断って話をせざるを得ないということです。そういうことで,例えば「震災でこの分は傷んだんですわ。」ということで言った場合に,「いやそれは震災は関係ないよ。」と言われたときに,どう私どもが反論するかということなんです。
例えばよく災害がありますね。災害があって昔からよく言われているんですが,去年の災害,ことしの災害,同じ箇所で災害があった場合にわからなくなるんです。そのときに査定をされるわけです。そのときにどう答えるかということが今回の震災で,認定とか何とかよく言葉で使っておりますけれども,査定をしているわけです。10壊れましたと言ったら,いや8ではないかとよく言われます。 100%認められない,査定されない,そのうち1割か2割は査定漏れがある,こういうことをよく震災のときに先生方はお聞きになっていると思いますが,そういったことがこういった問題に出てくるわけです。そのときに私どもはその査定漏れという言い方もありますし,それはしようがないですねと,こういう言い方をするか,その辺の交渉の仕方といいますか,考え方に多少のずれが出てくるということでちょっと申し上げたわけです。
以上です。
(「議長」の声あり)
174 ◯議長(浜本律子君) 東村交通局長。
175 ◯交通局長(東村 衛君) 区分をしてと,推算をしてと申し上げたのは,それ以上の意味はございません。額ははっきりしておりますと申し上げたんで,将来の云々については,私としては申し上げた気持ちはございません。
以上でございます。
(「議長50番」の声あり)
176 ◯議長(浜本律子君) 50番原 和美さん。
177 ◯50番(原 和美君) 先ほど見解の相違という部分については,私が申し上げたのは,行財政改善の部分で,例えばこの部分は行政の側として努力をしていく部分と,それと例えば私たちがその部分については当然国に求めていくべきだというふうな部分について,やはりもう少し議論が必要ではないかという意味で,その部分については申し上げましたので,このことについては今後いろんな場で議論をしていきながら,ともにこの震災からの財政面での国への支援を求めるということについては,行政当局も私たち議会の側も同じような思いですので,そういう意味で言えば議論をして,同じように要望をしていきたいというふうに思っておりますので,その辺は申し上げておきたいと思います。
バスのことにつきましては,金額ははっきりしているということは,そういうことかなというふうに私は受けとめました。将来的にこれは神戸市が努力をして解決をしなくてはならない金額ではないというふうに明確にしておくということの理解をするようにいたします。
それで,最後に1つ,先ほどお聞きすることを忘れたんですけれども,市民病院の収支計画なんですが,この分は暫定計画ということでありましたら,あわせて市民病院経営計画は収支計画も明らかにしていくということですけれども,これまでの累積赤字の部分だとか収支均衡の部分について,この部分については一部棚上げをする部分もあるというふうに考えていいのでしょうか。それをもう一度お聞きしたいと思います。
(「議長」の声あり)
178 ◯議長(浜本律子君) 緒方助役。
179 ◯助役(緒方 学君) 申しわけありませんが,細かいところまで私,把握しておりませんが,要するに委員会をつくって,委員会の中で議論をして,計画を立ててもらうということになりますので,今のご質問の点,局長なりお答えできれば,局長の方からいたしたいと思います。
(「議長」の声あり)
180 ◯議長(浜本律子君) 喜旦保健福祉局長。
181 ◯保健福祉局長(喜旦元和君) これは単年度単年度の収支を均衡させていくためにはどうするかということであって,累積赤字まで消せるほどの収支改善計画が立てられたら,それほど幸せなことはないわけでありますが,そこまではいかない。じゃあ当面4カ年でいかに収支を均衡させていくか,そのあたりの研究あるいは意見をいただく,あるいはそういう収支計画を立てていく,そういう考え方でおります。
以上です。
(「終わります。あとは決算特別委員会で議論したいと思います。」の声あり)
182 ◯議長(浜本律子君) 以上で質疑は終わりました。
この際お諮りいたします。
本件は,議員23名をもって構成する決算特別委員会を設置して,これに審査方を付託いたしたいと存じますが,ご異議ございませんか。
(「異議なし」の声あり)
183 ◯議長(浜本律子君) ご異議がないと認めます。
それでは,さよう決定いたしました。
なお,決算特別委員会委員は,委員会条例第6条第1項の規定に基づき,議長より指名いたします。
184 ◯議長(浜本律子君) 委員の氏名は,事務局が朗読いたします。
(樽谷市会事務局議事課長朗読)
──────────────────
決算特別委員会委員
高 山 晃 一 君
松 本 周 二 君
橋 本 秀 一 君
上 脇 義 生 君
布 施 典 子 君
佐 伯 育 三 君
佐 藤 けん一郎君
平 野 章 三 君
安 達 和 彦 君
田 路 裕 規 君
池 田 林太郎 君
亀 井 洋 示 君
野 尻 範 明 君
浜 崎 為 司 君
植 中 進 君
前 島 浩 一 君
横 山 道 弘 君
原 和 美 君
南 原 富 広 君
寺 坂 光 夫 君
長谷川 忠 義 君
田 中 健 造 君
森 原 健 一 君
以上23名。
──────────────────
185 ◯議長(浜本律子君) 以上で決算特別委員会委員の指名は終わりました。
決算特別委員会委員は,ただいまご指名申し上げましたとおり決しまして,ご異議ございませんか。
(「異議なし」の声あり)
186 ◯議長(浜本律子君) ご異議がないと認めます。
それでは,さよう決定いたしました。
187 ◯議長(浜本律子君) 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
この際申し上げます。
次回本会議は,来る10月9日午後2時より開きます。
なお,ただいま在席の各位には,文書による開議通知は省略させていただきますから,さようご了承願います。
なお,この後,直ちに決算特別委員会を開会いたしますから,委員の方は27階第2委員会室にお集まり願います。
本日はこれをもって散会いたします。
(午後6時42分散会)
神戸市会事務局
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