令和 5年 9月 定例会 令和5年 定例会 京都市会会議録 第3号 9月市会 令和5年10月2日(月曜日)出席議員(67名) 1番 平田 圭議員 2番 河村 諒議員 3番 朝倉 亮議員 4番 土方莉紗議員 5番 くまざわ真昭議員 6番 井崎敦子議員 7番 西村義直議員 9番 やまね智史議員 10番 えもとかよこ議員 11番 片桐直哉議員 12番 きくち一秀議員 13番 北尾ゆか議員 14番 中高しゅうじ議員 15番 北川みき議員 16番 もりもと英靖議員 17番 増成竜治議員 18番 中村まり議員 19番 山本しゅうじ議員 20番
谷口みゆき議員 21番
井上よしひろ議員 22番 とがし 豊議員 23番 山本陽子議員 24番 森田ゆみ子議員 25番 平井良人議員 26番 山田こうじ議員 27番
天方ひろゆき議員 28番 小島信太郎議員 29番 神谷修平議員 30番 久保田正紀議員 31番 森 かれん議員 32番 菅谷浩平議員 33番
兵藤しんいち議員 34番 松田けい子議員 35番 平山たかお議員 36番 森田 守議員 37番
田中たかのり議員 38番 みちはた弘之議員 39番 玉本なるみ議員 40番 くらた共子議員 41番 河合ようこ議員 42番 赤阪 仁議員 43番 大津裕太議員 44番 こうち大輔議員 45番 宇佐美賢一議員 46番 江村理紗議員 47番 中野洋一議員 48番 西山信昌議員 49番 かわしま優子議員 50番 青野仁志議員 51番 さくらい泰広議員 52番
しまもと京司議員 53番 椋田隆知議員 54番 下村あきら議員 55番 田中明秀議員 56番 西野さち子議員 57番 加藤あい議員 58番 北山ただお議員 59番 おんづか 功議員 60番 平山よしかず議員 61番 吉田孝雄議員 62番 湯浅光彦議員 63番 山本恵一議員 64番 寺田一博議員 65番 津田大三議員 66番 橋村芳和議員 67番 繁 隆夫議員 68番 富 きくお議員欠席議員(なし) 議事日程 開議日時 令和5年10月2日(月)午前10時第1 陳情の回付 一般質問(1)市政一般について 津田大三議員(2)市政一般について 田中明秀議員(3)市政一般について みちはた弘之議員(4)市政一般について
谷口みゆき議員(5)市政一般について こうち大輔議員(6)市政一般について 森 かれん議員(7)市政一般について 小島信太郎議員(8)市政一般について 北尾ゆか議員(9)市政一般について 河村 諒議員(10)市政一般について
土方莉紗議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時開議〕
○議長(西村義直) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。神谷修平議員と山田こうじ議員とにお願いいたします。
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○議長(西村義直) 日程に入ります。 日程第1、陳情の回付を行います。 今回受理いたしました陳情1件は、お手元に配付してあります文書表のとおり、所管の常任委員会に回付いたします。
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○議長(西村義直) これより一般質問を行います。 発言の通告がありますので、これを許します。市政一般について、津田大三議員。 〔津田大三議員登壇(拍手)〕
◆(津田大三議員) 裏を見せ表を見せて散る紅葉。おはようございます。私はこの市役所がございます中京区選出の津田大三でございます。同僚の田中明秀議員、みちはた弘之議員、
谷口みゆき議員と共に自民党京都市会議員団を代表し質問させていただきます。 さて、冒頭の句は、良寛和尚の辞世の句とも言われている私の大好きな句の一つです。物事には、裏と表があり、見せたい部分と見せたくない部分がある。あるいは知っていることと知らないことと言えるかもしれません。しかし、両方を自然にありのままを見せ、受け入れることで初めて本質が見える、そのような意味と解釈しております。片面だけを見せ伝えたり、誇張することは恥ずべきことです。あまり見えていないこと、知られていないことにも留意することを忘れず質問をさせていただきたいと思います。 まず、本市の決算・財政運営についてお尋ねします。門川市長は4期目の公約の筆頭に、長らく続く京都市財政の再建を掲げ、市民の負託を受け4期目のスタートを切られました。そして、これまでの延長線ではない抜本的な改革が必要であると決断され行財政改革計画を策定。この改革を推進する中で様々な批判の声もありましたが、不退転の決意を持って断行され、令和4年度決算では21年ぶりの特別の財源対策からの脱却、そして22年ぶりの実質的な黒字決算となりました。これまで姿形の見えてこなかった財政難克服への道筋をようやく目にすることができるまでになっています。もちろん市長自身も言及されているように、これで安泰ではなく、公債償還基金の返済を含め引き続き改革の気概を持って取り組む必要はあるものの、この行財政改革の成果については評価をするものであります。 しかし、私には一つ気になることがあります。それは余りにも急激に変化した財政状況に対する市民の皆様の受止めについてであります。本市は令和2年7月に持続可能な行財政審議会を設置し、議会でのやり取り、市民意見募集を経て令和3年8月に行財政改革計画を策定しました。その過程で市長は、このまま何も改革しなければ公債償還基金がいずれは枯渇。その後、数年の間に財政再建団体に陥る状況であり、京都市財政は破綻しかねないという非常に厳しい見通しを示されました。その僅か1年数箇月後、令和5年度予算では22年ぶりに収支均衡予算を達成。計画から750億円もの収支改善を果たし、その折には、安心してください、持続可能な行財政への道筋を付けることができましたと市民に語りかけられました。さらには、先ほど申し上げました今回の令和4年度決算における数字であります。 さて、我々議会はこの間の経過はよく分かっているはずですが、世間では急きょ破綻寸前と突き付けられたものが、2年もたたずに安心してください、さらに半年後には過去最高の77億円の黒字との説明。10年以上掛かると見込んでいたものが、僅か一、二年で達成したという受止めをされ、この急激な変化を理解できない市民も少なくありません。市長がうそをついてきたとまで言っておられる方もいます。財政状況がなぜ破綻寸前にまで悪くなったのか。なぜこんなに急激に回復したのか。このことを丁寧に、そして分かりやすく市民に説明することなしで、行財政改革について納得してもらうことはできないと考えます。私はこの間の急激な変化には明確な理由があると思っております。それは、深刻なコロナ禍により、税収の大幅な減少が見込まれていたこと、これに対し国が的確な財政出動を行い、国・京都府と連携した経済の下支えによりこれを回避したことであり、このことにより、結果として国も京都府も京都市も過去最大の税収となったことです。つまり、本市の税収が上がっても、以前のように交付税が減らされない新しいフェーズに入っているのです。もちろん京都市もそのことを説明してはおりますが、十分に理解されていない方は多く、この機に改めて市民へ分かりやすいメッセージを丁寧に発信しなければならないと考えます。また、公債償還基金の取崩し500億円について、高齢化がピークを迎える令和20年度をめどに、更に早期を目指して返済していく目標を示されました。これは財政再建への道筋を明確化したことと評価していますが、当該年度は返済されておりません。明確なビジョンを示したうえで、この新しいフェーズの中で、予算の削減のみではなく都市の成長戦略による財政基盤の強化こそが重要だと考えております。新たな時代をしっかり捉え、今後の持続可能な行財政運営の実現に向けた市長の思いをお伺いします。 さて、去る8月23日に、市長は次の市長選挙には出馬しない旨の記者会見をされました。4期16年にわたり本当に長く市政を担ってこられました。まだ残す任期はあるものの、京都市長としての激務をこなしてこられたことに深く敬意を表します。同時に、我々議員団も今後の京都市行政をしっかりと考えていかなければならないと思っております。門川市長の就任時は大きな混乱が生じており、正に波乱のスタートでありました。
リーマンショックによる過去最大の財政赤字や市職員による多くの不祥事問題があり、全国ニュースにも大きく取り上げられていました。我々自民党議員団とも力を合わせ、その解決に貢献されたことには評価をいたしております。 一方で、時には激しく意見を交わす場面もございました。例えば、看護短大廃止の折には我々との意見が合わず、議案を否決するに至ったこともありました。当時京都市の大きな課題は三つだったと思います。それは同和問題・景観と観光の調和、そして財政です。これらはこの16年の間に大きく変わりました。同和行政については、当時市職員による不祥事が多発し、またその中で、過去の同和選考採用についての課題が多く指摘をされていました。当時メディアではほとんど報道しませんでしたが、自民党議員団は、正面からこの問題に取り組んできました。それを受け、市長は同和行政終結後の行政の在り方総点検委員会を設置し、オープンの場で徹底的な議論の下、改革を推進され、現在では着実に改善が進み、昨日には京都市立芸術大学が開校され、京都駅東部地区が文化ゾーンとして生まれ変わることをはじめ、目を見張る結果を残しています。 また、景観問題にも積極的に取り組まれ、様々な課題はあったものの新景観条例を施行し、また、それら一つ一つの課題について、我々と一緒に議論のうえ検証し、改善すべきは改善する、そうした取組を進めてこられました。今般の
都市計画マスタープランなどはその集大成であると考えています。都市格の向上にも取り組み、これからが大切ですが、文化庁の全面的な移転が実現。あわせて、観光客数5,000万人構想も達成され、観光消費額は年間1兆円を超えています。現在のオーバーツーリズムに対応し、解決していかなければなりませんが、京都の魅力があってこそ多くの観光のお客様が来られるわけでありますので、京都の魅力発信にも努めてこられたと思っております。財政については先ほど述べたとおりであります。この16年にわたり市長は、京都市をどのような都市に押し上げようとしてこられたのか、そして、それはどの程度達成できたのか。また、今後に何を継続してほしいと願っておられるのか。そして京都の未来に何を期待するのかお聞かせください。 次に、少子化対策についてお伺いいたします。今年の上半期に生まれた子供の数は、外国人を含めた速報値で37万1,052人と、前年同時期と比べると3.6パーセント、1万3,890人も減少したことが厚生労働省の公表した人口動態統計で分かりました。2000年以降のデータでは最少で、少子化に歯止めが掛からない厳しい現状が浮き彫りとなりました。また、結婚の数も7.3パーセント減って24万6,332組となりました。この速報値から2023年の年間婚姻数を予測すれば46万8,000組となります。年間婚姻数が47万組を下回るのは106年ぶりの低水準となるそうです。これに伴い、出生数が今後も激減するのは確実と言われています。なぜなら、出生数と婚姻数は連動しており、前年の婚姻数に対して約1.5を掛けたものが翌年の出生数になるとの統計もあるからです。言い換えれば、婚姻が一つ減れば1.5人の出生数が減ることになるのです。この間、
子育て環境日本一とのキャッチフレーズの下、府市協調で少子化対策に取り組んでこられましたが、なかなか効果を得ておりません。このことを真摯に反省しながら対策を打っていかなければなりません。その一つは発信力です。本市は様々な子育て支援施策が従前より充実していますが、あまり知られていないと感じます。例えば待機児童ゼロは保育園で10年連続、学童保育では12年連続で達成。あるいは本市の児童生徒の学力は大変高く、
全国学力診断テストにおいて全国でトップクラス、政令指定都市においてはトップの成績を残しております。さらには、早くから私も提言いたしましたが、乳児への家庭訪問事業などもしてこられました。そして何より地域の皆さんが子育て支援に熱心であり、登下校の見守り活動など、本当に多くの皆さんがボランティアで子育てに力を貸していただいています。京都の魅力は人の魅力です。この人の魅力こそが最大の子育て支援と思っておりますが、それが十分に伝わっていないのが現実であります。 一方で、詳しい人口統計調査の中には意外な結果もありました。市内で最も地価の高い中京区の東部で子供の数が増えていることです。同様のことは東京都の千代田区でも起こっているようでした。
つまり子育て世代は、全てが金銭的支援を期待しているわけではないということです。ここで申し上げたいのは、SDGsなどを叫ぶのはいいにしても、足元の社会自体がとても持続可能な状態になってないということです。日本の人口が縮み国力が減退しても、小さいなりに安定していればそれはそれで一人一人平和で豊かな生活というのはあり得るでしょう。例えばヨーロッパには国は小さくとも豊かな国があります。しかし、少なくともある一定の状態を維持するためには、合計特殊出生率が2.07まで回復できなければなりません。それで初めて安定が獲得できるとの認識が不可欠ですが、現実は将来人口ゼロに向かっているのです。昨年の日本の合計特殊出生率は1.26と発表されています。まだ何とかなると思っていては遅くはないですか。このままでは日本は劣化するだけです。楽観論ではなく現実に即した議論を今こそ本気で進めるべきです。特に、今年度にはこども家庭庁が新たに開設され、政府として
こどもまんなか社会や次元の異なる子育て支援に取り組むとしています。平成29年に子ども若者はぐくみ局を開設し、切れ目のない子供・子育て支援ができる体制づくりを早くから進めてこられた本市として、今回のこども家庭庁の創設に当たり、何が本当に必要なのか、政府にしっかり訴える大きなチャンスが来ています。この機を逃すことなく、最大の効果を出すために、何を訴え、どう連携していくのかお答えください。 次に、障害者の介護保険への移行支援について伺います。先日、障害者団体の皆さんとの懇談の場がありました。そこで65歳の壁について多くの方からお話をいただきました。それは障害者が65歳以上になることで、
障害者福祉サービスを受けられなくなることです。御存知のように、
障害者自立支援法を改正するものとして2013年4月に
障害者総合支援法が制定されました。その対象者は、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害を持つ成人と児童、そして366種類以上ある難病患者であり、それまで対象でなかった発達障害と難病が含まれるようになりました。また、2018年の法改正により、自立生活支援、就労定着支援などの新たなサービスが加わりました。以前の自立支援法では、福祉サービスを利用する際に、障害程度区分を採用していました。しかし、障害の実態は人によって異なります。日常生活の中でも、自分でできるけど時間が掛かる、自発的にできない、症状が悪化するとできないなど様々であります。そこで、
障害者総合支援法では、障害程度区分を障害者支援区分に変更し、各人の生活環境に応じて必要な支援の程度を測定することになりました。当該区分は、コンピュータによる一次判定、かかりつけ医の意見書、市町村審査会による二次判定により認定されます。そこに65歳の壁問題が起きています。その直接的な原因は、
障害者総合支援法の第7条であり、介護保険法と
障害者総合支援法で同様のサービスがある場合、前者を優先するという規定があるためです。しかし、心身の状況やサービス利用を必要とする理由は多様であり、
介護保険サービスを一律に優先させ、一概に判断することは困難であります。政府は一律に
当該介護保険サービスを優先的に利用するものとはしないとし、市町村が利用者の意向を聞きつつ判断する重要性を強調しており、これに関連した訴訟においても、岡山地裁が、原告側の生活環境などを踏まえないまま
障害者福祉サービスの不支給を決めたことなどについて、考慮すべきことを考慮せず拙速な判断を行ったことが、本件処分を違法とする理由となっているとの判断がされています。日本の社会保障制度は様々な制度改正を積み重ねた結果、財源や国・自治体の担当部署、専門職の資格などがばらばらになっていることが多く、
障害者総合支援法と介護保険法のはざまで起きる65歳の壁問題は典型的な事例かもしれません。今後、障害者の高齢化や若年性認知症や高次脳機能障害など新しい対応を考えますと、二つの制度が有機的に連携することが望ましいと考えます。それは、
障害者差別解消法で定められた合理的配慮の概念にも一致していると思います。年齢で区分する現行制度を前提としつつも、現場である基礎自治体、あるいは専門職が障害者の状況やニーズに応じて柔軟に調整する方が望ましいと思います。本市は、白じょうをお持ちの方が一般道路を歩いておられる数が日本で一番多いと言われております。余り知られておりませんが、障害者に優しい取組を様々に進めておられます。また、
障害者自立支援法ができたときにも、京都方式という形を採り、障害者の皆さんがお困りにならないように様々な工夫をされてこられました。現在は、ヘルパーさんの助言などによってしっかり取り組んでいるとのことでありますが、実際には使い慣れた車椅子を取り上げられ、普通の車椅子に変えなければならないなどの課題が出ています。こういったことを起こさないためにも、スムーズな移行を確実にする新たな方式や手厚い相談体制を作っていただきたいと思いますが、いかがですか。 次に、自転車や最近話題になっている
電動キックボード等の走行環境の整備とルールの徹底、歩行者の安全確保についてお聞きいたします。この問題は議員になった当初から取り上げ、これまで多くの提言をし、改善にも取り組んできていただきました。例えば放置自転車の問題です。過去には1日数千台もの放置自転車が町中にあふれかえり、歩道を塞ぎ、時には点字ブロックの上に置かれていたため、白じょうの方が歩けないといった課題もございました。まちの美観を損ね、ひいては割れ窓理論のように、治安を悪くする一面もありました。当時、放置自転車をなくすために多くの駐輪場の設置を要望し、現在では放置自転車をほぼ見ることがなくなりました。多くの方のマナー向上ももちろんありますが、そのマナー向上のためにはハード整備も必要だったと考えております。さらには、様々な啓発活動なども提言し、小学校等での自転車教室、大宮交通公園の再整備では
サイクルセンターを整備いただきました。あわせて、矢羽根をはじめとする走行環境整備にも取り組んでいただきました。走行環境やルール等の理解も一定進みましたが、一方で、歩道は歩行者のためのものであり、車両である自転車などのためのものではないという基本的な原則さえ御理解いただいていない方が、いまだに多いのが現実だと思います。実際に、先ほど御紹介をした障害者団体の皆様からも、歩道での自転車や新たな乗り物の危険度や恐怖についてお聞かせいただきました。この問題は大変古くからあり、かつ新しい問題でもあると思います。特に、
電動キックボードなどの新しい乗り物は、魅力ある乗り物かもしれませんが、政府の対応が分かりにくく、ルールについて理解されている方はほとんどおられないのではないでしょうか。以前は
電動キックボードに乗るには運転免許が必要で、ヘルメットの着用も義務で車道のみの走行でありましたが、道交法の改正により最高時速20キロまでの車両は、16歳以上であれば運転免許不要で、ヘルメットの着用も自転車と同じ努力義務に緩和。さらに時速6キロに速度制限するモードで歩道の走行も可能となっています。 一方で、悪質な事故・違反も相次ぐ事態になっています。池袋のひき逃げ事件をはじめ、今年7月の
電動キックボードにおける検挙件数は全国で406件、信号無視違反が最多の187件、禁じられた場所を走る通行区分違反が151件などとなっております。フランス・パリでは、昨年のキックボードによる事故の負傷者が約430人と多発したこともあり、住民投票で
電動キックボードの
シェアリングサービスが廃止されたそうです。現在は自転車の違反者にも反則金を納めさせる青切符の導入が検討されている時代です。現場の声を上げなければなりません。また、走行者がルールやその特性を知っていなければ危険は避けられません。そのうえで、走行者だけがルールを知っていてもだめだと思います。全ての方が知っていてこそ安全が確保できます。
電動アシスト付き自転車のように初速が大変速いものなど新しい課題も出てきております。新しい便利な乗り物に頼ることは悪いことではありませんが、そのことによって歩行者の安全が確保できない、脅かされるということであれば大きな問題であります。観光の皆さんも含め、皆さんが混乱することのないような走行環境整備、安全対策、ルールの徹底について、また、どのように歩行者の安全確保との両立を図っていくのか、お取組をお聞かせください。 最後に、地元のことについて2点お伺いします。 一つは、三条大橋の改修です。この三条大橋の西詰はかつて放置自転車があふれていましたが、現在では鴨川沿いの良好な環境が保たれています。その三条大橋を美しくよみがえらせる補修・修景事業が令和5年度末の完成を目指し進められています。そこで、三条大橋の補修・修景による京都らしい道路景観の創造についてお聞きします。美しい景観は観光資源であるとともに、市民にとっても潤いのある豊かな生活環境を形づくるものであります。東海道の西の起点、駅伝発祥の地としても有名であり、豊臣秀吉により造営された当時の擬宝珠が残っているとされ、歴史と文化を感じることができる、正に京都を象徴する橋と言えます。新たな観光スポットとして十分な魅力があり、半世紀ぶりに木製高欄が更新されるということで地元の期待も高まっています。今回の補修・修景を契機に地域の活性化に資するような、京都らしい道路環境の創造を進めていただきたいと考えますがいかがですか。 もう一つは、現在無電柱化が進められている後院通です。この計画は地元からの長年の要望が実り、ようやく少しずつ前に進められております。しかし一方で、工事期間中様々な問題も発生しております。特に四条大宮では、警察との連携がうまくいかず、自転車の走行環境が誤って整備され、真っすぐ走ると事故をしてしまう、そういった報道がなされていました。後院通の無電柱化には大きな期待を持っているところでありますが、鉄道敷きの問題、下水管の問題などがあり、多くの時間を要しています。地元の皆様も早期の完成を大変期待されています。一方で、後院通のある四条大宮・千本三条の交差点は、市内中心部では大変珍しく、碁盤の目になっておらず、斜めに造られているため、両交差点は変則五差路という形をとっております。そのため十分な安全対策が必要です。折角の無電柱化が進む中、交差点の安全対策がうまくいかなければ、画竜点睛を欠くということになってしまいます。無電柱化整備に合わせ、この変則交差点についても、しっかりとしたデータの下、安全対策に十分配慮された交差点改良を行う必要があると思いますがいかがですか。お答えください。 現在、様々な情報があふれかえり、多くの人はそのことで自分は何でも知っていると勘違いをしているのかもしれません。しかし、その情報は表の部分だけ、あるいは裏の部分だけなのかもしれません。今の情報社会はそれを助長し、分断を広げているように感じるのは私だけでしょうか。古代ローマの哲学者ソクラテスは、無知の知との言葉を残しています。自分が知らないことを自覚することが大切なんだと思います。余りにも無知な私が使うような言葉ではありませんが、自分自身、おごることなく謙虚に、本質が見える人間でありたいと願っております。 市長はじめ理事者の皆さんの謙虚で思いの込もった答弁を期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。長時間の御清聴誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(西村義直) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 津田大三議員の御質問にお答えいたします。 本市の財政運営についてでございます。京都市では、これまでから国の基準や他都市を大きく上回る全国トップレベルの独自施策を維持・充実させてまいりました。しかしながら、国の三位一体改革による地方交付税の大幅な削減等を受け、財政改革を懸命に行ってもなお収支不均衡の状態が続いておりました。そして突然のコロナ禍、私自身、覚悟を持って議会や市民の皆様との議論を深め、行財政改革計画を策定し、従前の延長でない改革と都市の成長戦略を進めてきたところでございます。令和4年度決算では、市民、事業者の皆様の御理解・御努力はもとより、国と府との緊密な連携の下、市民生活や事業者の下支え、都市の成長戦略などにより、市税収入は過去最高に、令和3年8月の財政改革計画策定時は国と同様の
リーマンショック並みの140億円の減収を危惧しておりましたが、計画の想定を大きく上回る130億円の増収を達成することができました。これらの取組効果も相まって22年ぶりに赤字を解消、財政状況は大きく改善しましたが、津田議員御指摘のとおり、市民の皆様の御理解なしに信頼を構築することはできません。この間の財政状況の変化について、分かりやすく丁寧に説明、発信してまいります。そして、特別の財源対策を脱却した今、持続可能な行財政の確立と成長戦略の実現に向けた認識をより明確にしていくことが極めて重要でございます。このため、過去負債を返済し、将来負担を軽減するとともに、市民の皆さんの御理解・御協力の下、たゆまず改革を進めながら、京都の強みを最大限いかし、市民の皆様の暮らしの豊かさにつながる都市の成長戦略を更に加速させることで、足腰の強い財政基盤の更なる強化・安定を図り、京都の魅力あふれるこの私たちの大好きな京都を未来へと継承・発展させてまいります。 次に、私の任期16年の総括についてでございます。この間の市民の皆様と共に進めてきた市政運営を高く評価いただき、誠に光栄に存じます。私の任期16年は、財政危機、台風などの自然災害、そして新型コロナの感染拡大など、正にいばらの道でございました。私は、危機を乗り越える知恵や力は現場にあると、徹底した現地現場主義を貫き、共に汗する共汗、行政の縦割りを打破する融合をモットーに、市民の皆様の安心・豊かさを実現する京都を目指し、市政運営に一身を捧げてまいりました。厳しい状況の中、行財政改革を断行しつつ、決して縮小一辺倒になることなく、議会をはじめ多くの市民の皆様と深い議論を行って、政策を磨き上げ、御理解・御協力を得ながら、京都の今と未来に必要な政策を推進し、持続可能な行財政に道筋を付けるとともに、全国トップ水準の子育て・教育・福祉施策のほか、京都経済の活性化、景観政策の進化、さらには新文化庁の京都への全面的移転、昨日開校した京都芸大の京都駅東崇仁への移転など、市民の皆様とお約束した4期目の公約はほぼ実現しました。京都の魅力・都市格は大きく向上しております。改めて、全ての関係者の皆さんに感謝申し上げます。 そして、これからの京都のまちづくりについてであります。人口減少対策は待ったなしであり、子育て支援・教育の更なる充実、若者を呼び込む住まいづくり、働く場の創出など、都市の成長戦略を一気呵成に進めていかなければなりません。決して容易ではございませんが、京都には全国随一の市民力、地域力、文化力がございます。誰一人取り残さないという理念を大切に市民の皆様への説明を尽くし、さらに緊密な府市協調、オール京都体制、国との強固な連携など、幅広い力を結集すれば、京都の地の持つ様々な強みを最大限発揮でき、魅力あふれる京都を未来へと継承・発展させていけることができると確信いたしております。私といたしましても任期満了までその実現に向けてまい進してまいります。 子育て支援による少子化対策についてでございます。国は、こども家庭庁を設置し、若い世代の所得を増やす、社会全体の構造や意識を変える、全ての子供・子育て世帯を切れ目なく支援するの三つを基本理念に掲げ、抜本的な施策の強化に取り組んでおられます。安心して子供を産み育てる環境を整えることは、少子化対策に資するものであり、本市では国に先駆けまして子ども若者はぐくみ局を創設、また、各区役所・支所14か所に子どもはぐくみ室を設置し、全職員が子育てコンシェルジュとして、子育て世代に寄り添って支援を行ってまいりました。また、政令市トップ水準の子ども医療費のこの度の引下げ、国基準を大幅に上回る保育士配置など、全国トップレベルの子育て環境の充実にも取り組んでまいりました。さらに、本市には、教育・福祉及び様々な関係団体など125団体が参画する京都はぐくみネットワークなど、地域ぐるみで子供たちを共に育む文化・土壌がございます。子育て支援による少子化対策に向けましては、国と地方が車の両輪となって、適切な役割分担の下、連携を強化していく必要がございます。国は全国統一的に実施すべき負担軽減等の経済的支援について、安定的な財源を確保し、着実に推進を図ることや地方の先進的な取組に対し、人的・財政的支援を求めております。加えまして、行政機関のみならずNPOや企業・団体等が協働して子育て支援ができるよう必要な支援も求めております。本市におきましても、今般の国が掲げた子育て支援策の充実を追い風に、全国トップレベルの子育て環境を更に充実するとともに、これまで培ってきた地域力、市民力を結集し、安心して子育てできる環境整備に更に取組を強化してまいります。 障害者の介護保険と移行支援についてでございます。障害のある65歳以上の方は、障害特性により、介護保険の支給量や内容により必要なサービスを受けられない場合には、障害福祉サービスを併用して利用することが認められており、現在約2,900人の方が利用されております。一方で、障害がある市民の皆さんから65歳以上の壁を感じるというお声もお聞きしていることから、65歳到達を機に、障害福祉の相談支援と介護保険のケアマネジャーの双方が情報共有を図っており、引き続き必要なサービスを継続して利用いただけるよう徹底してまいります。さらに、これまで実施している障害サービスを必要に応じて利用できることを説明した動画の活用や研修の実施、事業者向けの集団指導等、あらゆる機会を捉え周知を強化するとともに、障害特性に応じたものが必要となる車椅子等の福祉用具に特化した研修を実施するなど、住み慣れた地域での生活を支える取組を進めてまいります。また、65歳以上の高齢者が障害福祉サービスの居宅介護を利用された場合、国からの財政負担が対象外となっていることなどにより、本市に多額の超過負担が生じていることから、この間国に対してその是正を図るよう強力に訴えてきた結果、現在国において検討が進められているところであります。財政的な側面からも安心してサービスが提供でき、行えるよう取組を強化してまいります。 次に、三条大橋の補修・修景を契機とした京都らしい道路環境の創造についてでございます。この事業につきましては、全国の方々から多額のふるさと納税を頂き、取組を進めてまいりました。今回、半世紀ぶりに木製高欄を更新することと併せまして、歩道や防護柵のリニューアルを行い、そのときには、デザインにつきまして専門家や地域の方々の御意見を踏まえ、京都の文化を継承してこられた市松模様など、和柄や伝統色を採用し、京都らしい魅力的なスポットとして再生することを目指しております。更新する木製高欄は、市内産のヒノキを利用することで復元いたしますので、木の文化の継承や林業振興にも資すると考えております。また、一日でも早い完了を目指し、精力的に取り組んだ結果、予定より3か月前倒し、12月末に完了する見込みが立ったために、1月には地域の皆様などに再生した三条大橋を御覧いただける場を設けてまいります。 加えまして、三条大橋西詰の三条通では無電柱化についても年度内の完成を目標に行っており、あわせまして、三条大橋周辺の鴨川沿いをライトアップするなど、新たな魅力を創造することにより、京都、さらには日本の文化を象徴する環境の創造に向けて取り組んでまいります。 以下、副市長が御答弁申し上げます。
○議長(西村義直) 坂越副市長。 〔坂越副市長登壇〕
◎副市長(坂越健一) 私より2点お答えいたします。 自転車及び
電動キックボードの走行環境の整備、歩行者の安全確保についてでございます。本市の自転車政策につきましては、放置自転車対策をはじめ走行環境の整備、安全教育の推進等を積極的に進め、自転車事故件数がピーク時から約8割減少するなど、先進的な取組で大変大きな成果を挙げてきたところです。しかし、議員御指摘のとおり、自転車が歩道を走行する際のルールの徹底等がいまだ問題になっており、今後更に京都府警察とも連携し、自転車の交通ルール遵守を啓発するとともに、現在国において検討されている青切符の導入等の動きも注視しつつ、より効果的な交通安全教育学習をより一層充実させてまいります。また、今後普及が見込まれる
電動キックボードにつきましては、自転車と走行空間を共有するため、走行ルールや車両の特徴について利用者や歩行者など全ての方に対し幅広く周知していくことが、安全確保のうえで大変重要であり、京都府警察とも協力し、ホームページ等での発信や交通安全市民運動等で幅広く啓発に努めてまいります。 続きまして、後院通の変則交差点の安全対策についてでございます。後院通につきましては、地域の皆様から長年の御要望を頂き、平成30年度からは歩道のバリアフリー化と無電柱化に同時着手し、道路構造を抜本的に見直したことにより、かつての市電の軌道敷を撤去し、下水道本管など多くの地下インフラの移設を行いながら順次整備を進めてきております。工事中の交通規制の在り方など、安全対策については、改めて警察とも相互に確認しており、引き続き道路利用者の安全には細心の注意を払い、工事を進めてまいります。 また、議員御指摘の千本三条、四条大宮の交差点は変則的な五差路であり、特に車道部において車と自転車が共に安全に通行できる走行環境の整備が必要と認識しております。こうした課題に対し、交通状況調査等により車両動線を把握し、矢羽根等の道路整備、交通規制、自転車利用者へのルール周知など、警察とも連携のうえ安全対策を総合的に検討し、令和9年度の完成を目指す後院通の整備と合わせ、皆様に安心・安全、快適に通行いただけるよう順次対策を講じてまいります。以上でございます。
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○議長(西村義直) 次に、市政一般について、田中明秀議員に発言を許します。田中議員。 〔田中明秀議員登壇(拍手)〕
◆(田中明秀議員) 西京区選出の田中明秀です。自由民主党京都市会議員団を代表し、津田大三議員に続き、みちはた弘之議員、
谷口みゆき議員と共に質疑をさせていただきます。理事者の皆様には、誠意のある希望の持てる答弁をお願いいたします。 去る8月23日、門川市長は来年の次期市長選に立候補はしないと表明されました。私の議員生活17年のうちの16年間は門川市長。多岐にわたる問題について議論を重ねてきたことを思い起こします。特に4期目の3年間はコロナ禍の中、思うような市政運営ができなかったことにじくじたる思いで今日までこられたと推察いたしますが、残り任期もこれまで以上に全力投球で取り組んでいただきたいという思いで質問に入らせていただきます。 初めに、市バス・地下鉄事業についてお伺いします。新型コロナの感染症法上の位置付けが2類相当から5月8日に5類に移行し、コロナ禍前のにぎわいを取り戻してきています。市バス・地下鉄のお客様数についても、完全には戻り切っていないものの、一部では混雑対策が必要なほどに回復するなど、明るい兆しが見えてきました。コロナ禍の3年間、令和元年度からの3年間で両事業合計約325億円の減収との報告がありました。未曾有の危機の中、交通局では令和4年3月に経営ビジョンを改訂し、その中で市民生活と多様な都市活動を支える市バス・地下鉄事業を維持していくためには、市バスは8パーセント、地下鉄は7パーセントの運賃改定を見込まざるを得ないということでした。こうした中、お客様数は令和2年度を底に徐々に回復してきており、交通局のなりふり構わない経営改善に加えて、我々自由民主党京都市会議員団の度重なる要望行動、京都選出の我が党国会議員も協力しながら国に対し支援の要望を重ねた結果、国からの想定を超える措置がされたこともあり、地下鉄の運賃改定を回避することができました。 一方で、市バスについては、今年5月の代表質問において、我が会派橋村団長が市長に対し、市バスの運賃改定の必要についての認識を質問したところ、運賃改定を見込まざるを得ない状況に変わりはないが、コロナ後のお客様の動向や収支の状況を見定めつつ、運賃改定は最後の手段との認識の下、経営改善に取り組んでいくとの決意をお聞きしました。それから4か月がたちましたが、燃料費は高止まりしており、人件費についても、民間の動きに合わせて9月には給与の引上げの人事委員会勧告が出されるなど、経営の不安定な要素が続いています。こうした状況で迎える令和4年度決算です。まずは、令和4年度決算、そして今年度に入っての状況をどのように評価されているのか。市バスの運賃改定についての現状認識も改めて伺います。二元代表制の下、地方議会に市長与党、野党という表現はふさわしくありませんが、先般、一部報道では、市長野党が躍進した影響で市バスの運賃改定が先送りになったとの一部報道がありました。その内容は、これまで交通局からお聞きしていた内容と異なっています。この点も含めてお聞かせ願います。 一方、昨年の秋や今年の春の観光シーズンには、市バスの一部路線が混雑しました。8月には中国政府による日本への団体旅行が解禁され、今後も観光客の増加が見込まれ、市バスの混雑対策が重要な課題となってきています。交通局においては、増客による収支改善と市民生活と観光の調和に向けた混雑対策という一見矛盾する二つの大きな課題を解決していくことが必要となります。これらの課題にどのように取り組んでいかれるのか。今秋における対策も含め、市長のお考えをお聞かせください。 次に、上下水道事業についてお伺いします。令和4年度は、京の水ビジョン前期5か年の実施計画である中期経営プランの最終年度に当たります。新型コロナウイルス感染症の影響により、水道料金・下水道使用料収入のプランを大幅に下回る減収が続く中、電気料金をはじめとする物価高騰により支出が大きく増加するなど、経営を取り巻く環境は厳しいものと認識しています。こうした状況にあっても、上下水道局においては、この間、前期プランに基づき水道事業では安定的に水道水を供給するための配水管の更新・耐震化、下水道事業では、雨に強いまちづくりを実現するための浸水対策など、市民の命と暮らしを守る取組を進めてこられたと思います。また、令和4年5月には、南部エリアの事業・防災拠点となる上下水道局総合庁舎が開庁し、北部エリアを所管する太秦庁舎と共に南北2か所の事業・防災拠点としての新たな体制を構築し、災害・事故への迅速な対応やサービス向上などに努めておられますが、今後も厳しい経営環境が見込まれる中、水道・下水道は市民の生活に欠かすことのできない重要なライフラインであり、いかなる状況においてもその機能を維持・保全し、将来世代にしっかりと引き継いでいかなければなりません。令和4年度決算の結果を踏まえ、前期プランをどのように評価されているのか。老朽化した水道管路の更新は後期プランでの目標は達成できるのか。下水道管路の計画的な更新・耐震化は進められるのか。あわせて、専門技術職の技術力の向上と継承・育成も重要になってまいります。市長の思いをお聞かせください。 次に、本市の職員の能力向上の取組についてお伺いいたします。総務省は平成9年に策定した自治体職員の育成指針が時代に合わなくなったとして、今秋初めて、改正され学び直しによる職員の能力向上を促すとされています。近年、人的資本への投資が注目されており、本年6月に閣議決定された新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版にも、人的資本こそ企業価値の向上の鍵と示されるなど、公務においても人への投資を更に強化する必要があります。人への投資には様々な面からのアプローチが考えられますが、例えば給与面では民間企業では昨今の歴史的な物価高や人材獲得競争の激化を背景に、従業員の賃金引上げ等の処遇改善の動きが広がっています。また、人材育成面では、民間のシンクタンクが行った調査では特に20代が仕事を選ぶうえで重視することとして、色々な知識やスキルが獲得できることといった成長に関する項目が上昇してきており、若者が働きやすさと併せて成長できる機会を求めるようになってきているとのことです。そうした意識の変化への対応に加え、とりわけ民間企業では技術革新やビジネスモデルの変化に対応するため、会社の経営戦略と結び付け、リスキリング、学び直しの取組により社員の能力向上に力を入れているとお聞きしています。民間と公務との違いはあっても、これらの必要性や重要性に違いはありません。正にこれからの京都を希望と魅力あふれたものとしていくためには、適切な処遇を確保することはもちろんデジタル化をはじめ大規模災害や感染症など、新しく困難な課題に対応するためのリスキリングにどのように取り組まれていかれるのでしょうか。 また、近年、本市を退職する若手職員が増加傾向にあることも問題です。各都市の平成29年度から令和3年度の定年前退職者数、若手職員の退職者数及び全体の定年前退職者数に占める若手職員退職者数の割合とを比較すると、ほとんどの都市において全ての数値が増加傾向にあることが分かりました。令和2年度の定年前退職者数で見てみますと、札幌や福岡、名古屋など9政令市の平均が128人。本市は113人。身を切る改革の大阪市は突出して多い290人となっています。本市が大阪のようにならないためにも、本市で働くことの意欲・モチベーションを高め、自身の業務に責任とやりがいを感じることができるように取り組まなければなりません。門川市長のリーダーシップの下、私自身も日々市職員の皆さんと接する中で、職員力は高まってきたと感じていますが、今後の更なる人材確保と意欲・能力の向上について、市長の考えをお聞かせください。 次に、伝統産業の振興についてお伺いします。先日、門川市長5選不出馬の記者会見の中で、任期中の印象に残っていることに文化庁の京都移転を挙げておられました。京都の持つ歴史的な意義と共に、生活に根差した伝統産業が脈々と受け継がれていることも移転の背景にあると思います。近年、その伝統産業は需要の低迷、担い手不足、そして新型コロナウイルス感染症、ウクライナ危機に端を発する原油・物価高騰、更には原材料費の高騰などに直面し、京都・日本の文化を支えてきた伝統産業界を取り巻く環境は、厳しい状況にあります。本市では、販路拡大や後継者育成など従来からの伝統産業支援に加え、国の地方創生臨時交付金も活用し、令和2年度からは補正予算を間断なく計上するなど様々な支援策を実施されていますが、こうした支援策は補助金を渡して終わりといった一過性のものではなく、事業者の未来に向けた自走化につなげていくために実施されてきたものと理解しております。とりわけコロナ禍においては、伝統産業事業者が何を一番に求めているかを常に聴き取り、適宜効果的な支援を続けてこられました。今年5月にコロナが5類に移行し、経済活動は戻りつつあります。インバウンドをはじめ観光客も増えています。先日、トラベルアンドレジャー誌が発表したワールドフェイバリットシティランキングでは、京都が国内で唯一トップ3に選出されるなど、海外の方からも京都が評価されていることを改めて実感しています。国内外から注目される京都で、戻りつつある観光需要の増加に対応するための生産力向上の強化、そして海外からの観光客にも手に取ってもらえるような取組をこれまで以上に進めていくべきです。令和元年11月に設立された全国伝統工芸品振興市議会協議会も、私が議長を務めていた令和4年度から活動を活発化し、本年も7月に定期総会・理事会が開催されました。協議会の国への要望の中でも、物価高騰等への支援や販路の拡大をお願いしていますが、それと併せて需要の喚起を促す贈答品への活用や文化財等の保存修理での活用、さらには学校で学ぶ機会を創出することで、子供たちが伝統工芸品に触れる、学ぶ機会を増やし、価値の再発見や産地としての誇りを醸成するとともに、担い手育成につなげるよう要望しています。また、私自身も頻繁に訪れる京都伝統産業ミュージアムを拠点として、伝統産業を活性化していく方策についても議論してきましたが、9月から、我が会派の寺田議員が、長年にわたり提案していた展示物の価値にふさわしい観覧料の設定と観覧料を活用した更なる伝統産業の振興の取組を始められました。伝統産業への関心が高い方にも十分満足いただけるよう、引き続き展示や企画の充実に取り組んでいただきたいと考えております。そして、多くの方にお越しいただき、京都の伝統産業の魅力を直接感じてもらうことで、伝統産業の販売、業界の活性化につながることを大いに期待しているところです。本市としても、コロナ禍で財政が厳しい中でも、伝統産業への支援を途切れることなく行っていただきたいと思います。文化庁の京都移転、そして京都市立芸術大学の移転など、京都の文化に注目が集まるこの機会を捉え、文化を支える伝統産業を未来につなげていくため、今後どのように取り組まれるのかお答えください。 次に、持続可能な環境保全型農業の推進についてお伺いいたします。京都の農業は、農家の皆様の努力により先代から脈々と受け継がれ、世界に誇る京野菜や京料理といった豊かな京の食文化はもとより、山紫水明の美しい景観など私たちの暮らしを支え、多くの恵みを与える役割を担ってきました。私は、令和2年11月市会の代表質問において、その当時検討されていた農林行政基本方針について質問させていただきました。農業は、食料を供給し水源かん養などの多面的機能も有する大切な産業ですが、温室効果ガスを排出するなど環境に負荷を掛けています。その際、環境に配慮した農業を推進するため、低農薬栽培や有機肥料の活用、地産地消といった施策を方針に盛り込む決意が示され、その後、環境保全型農業推進事業として環境に優しい資材、技術の導入支援などの取組が進められてきました。本市は、令和元年5月、京都議定書誕生の地として門川市長が国内の自治体の長として初めて2050年CO2排出量正味ゼロを目指すことを表明し、国の施策を先導する様々な取組を進めてこられましたが、世界的規模で温暖化はなおも急速に進展しています。世界各地での熱波や頻発する山火事。我が国においても、本年8月近畿地方を直撃した台風7号により、京都の山間地域を中心に大きな被害が発生しました。数十年に一度の危機とされている特別警報も毎年各地で発令されており、正に気候非常事態であることを実感しています。このような中、国連のグテーレス事務総長は、地球沸騰化の時代が到来したとコメントされています。加えてロシアによるウクライナ侵略等の影響により、化学肥料原料の国際価格が大幅に上昇したことで肥料価格が高騰しており、有機肥料への転換が喫緊の課題となっています。 ところで、西京区をはじめ本市においても竹林の荒廃が課題となっていますが、NPOによって竹林整備を精力的に進めていただいているところであり、この活動の中で伐採した竹をチップにし、肥料としてタケノコ栽培や米作りに活用する話を聞いています。こうした取組を広げていくことで、放置竹林の解消と有機肥料への転換を同時に進めることができるのではないでしょうか。国のみどりの食料システム戦略として農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現をはじめ化学肥料や農薬の削減目標が示され、本年6月には、食料・農業・農村政策の新たな展開方向として環境等に配慮した持続可能な農業への転換を進めていくとされていますし、現在見直しが検討されている食料・農業・農村基本法の中でも同様の議論がされています。本市においても、持続可能な環境保全型農業への転換を進めていくために、これまでの取組を一段階高いレベルへと強化していく必要があると思いますがいかがでしょうか。 最後に、京都市創造都市圏・環状ネットワークについてお伺いします。門川市長4期目の市長選挙の際、141のお約束の冊子ができた後、最後のお約束としてA4一枚もので出てきたのが京都市創造都市圏・環状ネットワーク構想です。市営地下鉄網や南北に縦走する民間鉄道網を縦横断的に結び付ける新たな交通ネットワークを整備、京都府と協力、一丸となり国の強力な支援を得て推進、地下鉄延伸など既存交通システムに加え新たな交通システムも含めて検討とあります。京都市周辺部とその隣接する都市も含めた環状ネットワーク構想です。西京区民にとって長年の悲願である交通ネットワークの整備が選挙公約として出てきたこと、そして門川市長当選によって前進することに大きな期待がありました。しかしながら、コロナ禍の中、この公約が話題にも上がらなくなりました。コロナの5類移行、京都市決算も黒字決算となった中、改めてこの公約を前に進めていただきたいと思います。 西京区の一番の課題は洛西地域の活性化にあります。人口減少、高齢化。本市としても、やっと本気度を見せていただいたのが、坂越副市長を先頭とする洛西“SAIKO”プロジェクトです。先日このプロジェクトのタウンミーティングが開かれ、私も拝聴しました。その中でも一番に出てきたのが、地下鉄や鉄軌道、又はモノレール建設に最優先に取り組んでほしいという意見でした。洛西にお住まいの方の一丁目一番地は、やはり交通アクセスの向上ということを実感しました。そのほか芸大跡地の問題、バスの均一運賃化や利便性向上、福祉医療施設の充実、学校統合後の跡地活用など多くの意見が出されました。その後、グループディスカッションがあり、活発な意見交換が行われました。京都市立芸大の跡地活用に関する公募も始まっています。“SAIKO”プロジェクトの中でも、洛西ニュータウン再生に向けて、都市計画の見直しなどで若い世代を呼び込む政策も進めていただいており、私といたしましても大いに期待しております。そのためにも、門川市長4期目の142番目の公約として掲げられた京都市創造都市圏・環状ネットワーク構想が極めて重要です。この構想は、令和3年3月策定のはばたけ未来へ!京プラン2025や、令和3年11月策定の「歩くまち・京都」総合交通戦略2021などにも位置付けられています。政府におきましても、地域公共交通に関する関係省庁会議で広域的な幹線鉄道の利便性向上を目指す方針を確認され、国土交通大臣も地域の実情に寄り添った解決策を見いだし、お年寄りから子供まで誰もが、行きたいときに行きたい所へ行ける社会を実現したいと話されています。西京区民の長年の悲願である洛西での交通ネットワークの充実にもつながるものであり、西京区民、京都市民、京都府民にとっても夢と希望の持てるものです。実現に向けて多くのハードルがあることは承知していますが、門川市長には西脇知事と共にしっかり道筋を付けていただきたいと思います。改めてこの構想についての市長の思い、決意をお伺いします。 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(西村義直) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 田中明秀議員の御質問にお答えいたします。 市バス・地下鉄事業の令和4年度決算についてでございます。お客様数は、令和2年度を底に回復基調にありますが、コロナ前までは回復しておらず令和4年度決算では両事業とも3年連続の赤字となりました。こうした中でも、交通局を先頭に全庁一丸となり、あらゆる経営改善に努めたうえで安心・安全の取組を最優先に利便性向上策も実施するなど、市民の皆様の足である市バス・地下鉄を守るために必要な事業を着実に推進できたと考えております。 次に、市バスの運賃改定についてでございます。市バスのお客様数は今年度に入り一定回復しているものの、軽油単価の上昇や人件費高騰、さらには深刻な担い手不足など大変厳しい経営状況が継続しております。京都市のバスネットワークは、コロナ前においても4分の1の黒字路線が4分の3の赤字路線を支える構造であり、全国でもトップ水準にあるバスのきめ細かい路線を維持することが我々の使命であり、そのためには運賃改定を見込まざるを得ない状況に変わりはございません。引き続き、運賃改定は最後の手段との認識の下、あらゆる経営改善に取り組んでまいります。こうした考え方につきましては、これまでから丁寧に説明してまいりましたが、御指摘の報道は読者に誤解を与えるものであり、公平・公正な報道をされるよう交通局から申入れを行ったところであります。 最後に、市バスの混雑対策につきましては、混雑の一因となるバス1日券の販売を9月末に終了し、地下鉄・バス1日券の販売強化を行うほか、鉄道駅と観光地を結ぶ臨時バス便の運行、ピーク時となる11月には、市バスから地下鉄への無料振替を拡充するほか、新たに京都駅から清水寺へ向かう観光のお客様向け急行バスを運行します。市民生活と観光の調和に向けた混雑対策、そして増収・増客に全庁一丸となって取り組んでまいります。 次に、上下水道事業についてでございます。令和4年度までの前期プランの5か年は、新型コロナの影響による約80億円の減収や電力費の高騰など、プラン策定時には想定していなかった一段と厳しい経営環境となる中、職員数の100名削減をはじめ徹底した経費削減によりまして事業費を確保し、企業債残高をプランから更に93億円削減するなど、将来世代への負担も軽減させつつ、管路・施設の改築更新や5年確率降雨の雨水整備率が全国トップ水準の91パーセントとなる浸水対策、南部エリアの事業・防災拠点の整備等を着実に推進いたしました。 水道配水管の更新については、前期プランでは、更新率を従前の3倍となる1.5パーセントに引き上げ、本年度からの後期プランでは、災害発生時に広範囲に影響を及ぼす幹線配水管の更新事業費を約1.3倍に増額するなど、より優先度を考慮しながら、令和9年度の老朽配水管の
解消率74パーセントの達成、さらには令和14年度の全面解消に向け更新を進めてまいります。下水道では、特に損傷リスクが高い旧規格の管路を対象に、前期と同水準の年間33キロメートルの対策に係る事業費を確保し、改築更新・耐震化を推進してまいります。 今後、今日まで本市の上下水道事業を力強く支えてきました優れた技術を持つ多くの技術系職員が退職を迎える中、技術力の向上・継承が重要であることは私も同じ思いであり、体系的な技術研修や体験型研修施設の活用など、培われてきた技術力を継承、更に高める取組に注力してまいります。今後も、あらゆる視点から経営基盤の強化を図りつつ、プランに掲げる取組を確実に実行し、市民生活に欠かせない水道・下水道を未来に継承、発展させてまいります。 次に、職員の確保、能力向上に向けた取組でございます。私は、市長就任以来、職員は市役所最大の財産であり、京都が誇る市民力、地域力を引き出すのもいかすのも職員であるとの認識の下、現地現場主義を徹底し、職員の意欲と能力を高め、存分に発揮できる職場づくりに努めてまいりました。とりわけ近年、複雑化・多様化する行政サービスやデジタル化等の時代の潮流にしっかりと対応していくためには、田中明秀議員御指摘のリスキリングをはじめ継続的な学習は大変重要な観点であり、資格取得の支援、ICTスキルを学ぶ研修、意欲を高めるキャリア開発研修など、職員がより成長し続けるための取組を充実させてきたところでございます。 また、若手職員の離職については、全国的な傾向と同様、本市においても増加傾向にあると認識しております。このため今後の市政を担う職員の採用については、活発な転職市場を好機とも捉え、この間、社会人経験者採用でのICT・デジタル枠の新設や、若手転職者等向けの新たな試験の実施など積極的に取り組み、有為な職員を確保しております。加えまして、職員の意欲と能力を高め、より働きやすい職場環境となるよう、安定的な公務運営の基盤となる職員の給与等を適正に確保することはもとより、職員のキャリア形成支援や、頑張った職員がより報われる人事給与制度への見直し、ICTを活用した業務改善、女性の更なる活躍や男性育児休業の取得の促進など全庁的な取組を加速させております。引き続き、職員が持てる能力を十分に発揮し、輝かしい京都の未来を作っていくことができるよう職員力の向上に職員と共にしっかりと取り組んでまいります。 京都市創造都市圏・環状ネットワーク構想についてでございます。人口減少社会においては、都市の持つ魅力・求心力が重要となっております。この間のたゆまぬ改革と成長の取組により、京都市の都市格が大きく向上する中、さらに、文化首都として京都が地方創生をけん引し、日本の未来を切り開くには、京都市の西部・南部と周辺自治体を含む都市圏としての活力・魅力の発展が不可欠でございます。本構想は西脇知事とも合意し、私の4期目の公約として掲げたものであり、京都市基本計画などに位置付けるとともに今年8月の西脇知事との懇談においても改めて認識を共有したところでございます。 田中明秀議員御紹介の洛西“SAIKO”プロジェクトにおいても、洛西地域はもとより京都全体の活性化に寄与する市立芸術大学の跡地の活用、バス路線の再編による鉄道駅へのアクセスの強化といった交通ネットワークの充実等、今お住まいの住民の皆様の利便性向上に加えまして、新たな住民や機能を呼び込むことのできるまちづくりに、全庁一丸、また住民・事業者の皆様と力を合わせて取り組んでまいります。このプロジェクトは正に本構想の一環を成すものであり、構想の実現に大きく寄与するものと考えております。本構想は20年、30年先を展望し、将来にわたって活力と魅力あふれる京都を作っていくものでございます。その実現に欠かせない先端技術の活用に向けた検討を進めるとともに、京都府や周辺市町との緊密な連携、国との協力・支援の下、市内周辺部及び近隣市を含めた創造的な都市圏の創出に向けまして着実に歩みを進めてまいります。 以下、副市長が御答弁申し上げます。
○議長(西村義直) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕
◎副市長(岡田憲和) 伝統産業の振興についてでございます。京都の伝統産業は、我が国の伝統と暮らしを支えるとともに、イノベーションにより先端企業を生み出す礎となっている日本の宝、世界の宝でございます。本市では伝統産業の継承発展のため、これまでから新商品開発や販路開拓の支援、企業の記念品やホテルの内装などに伝統産業製品を活用していただくためのマッチング支援により、需要喚起を図るとともに産業技術研究所による西陣織や京友禅などの伝統産業の担い手育成にも取り組んでまいりました。また、職人派遣・制作体験などを通して子供たちが伝統産業に触れ、学ぶ機会の創出にも取り組んできております。とりわけ、この間はコロナ禍、物価高騰の影響を受けている伝統産業従事者に対して総額約10億円の予算を確保し、事業継続に必要な道具等の購入や展示販売会への出展支援を行うなどしっかりと下支えを行ってまいりました。今後、文化庁の京都移転や京都市立芸術大学の移転、万博の開催など、京都が国内外から注目される好機を捉え、国内はもとより新たに海外展開などに取り組む事業者の自走化を積極的に後押しするとともに、本市会で御議決をいただきました事業の新展開などを図る設備投資への支援を進めてまいります。さらに、京都伝統産業ミュージアムにおきましても、この9月に機能や展示を充実させ魅力向上を図ったところであり、優れた価値を有する工芸品の展示・販売や実演・体験、漫画・アニメとのコラボなどを通じて、より一層伝統産業の魅力を発信してまいります。引き続き、文化庁や京都市立芸術大学などとも連携しながら、伝統産業の振興を図り、業界の売上増加と担い手の育成、さらには文化との融合による新たな価値の創出に向け、全力で取り組んでまいります。 次に、環境保全型農業の推進についてでございます。田中明秀議員から御意見を頂き、令和3年度に環境保全型農業推進事業を創設し、防虫効果のあるLEDの導入、堆肥化した竹チップを利用した米作りなどを支援してまいりました。さらに、昨年度は有機肥料への転換を促進する散布機などの導入を、今年度はみどりの食料システム戦略推進として、京北地域の減農薬米の取組に向けたライスセンター整備を支援するなど、環境に優しい農業を進めております。2050年CO2ゼロを先導する京都市として、気候危機をはじめ農業を巡る情勢の変化に的確に対応するためには、化学肥料、農薬に加えCO2の具体的な削減に向けての取組を加速していかなければなりません。そこで、農業者や団体、国・府とも連携し、スマート農業技術の導入など環境に優しいグリーンな栽培を実践するモデルの創出を目指してまいります。具体的には、竹チップなどの有機肥料への転換を進め、化学肥料削減と放置竹林整備の同時解決を図るほか、CO2削減による環境価値の活用など収益向上につなげてまいります。あわせまして、農薬や化学肥料の削減に伴う収穫量の低下、労力負担の増加などの課題を解消するとともに、新たな販路の開拓支援など農業者の努力が価格に反映される仕組みづくりに取り組んでまいります。京の食文化を支える農業者の皆様が夢と希望を持ち、持続可能性と経営力の強化を同時に実現できるよう、脱炭素をはじめ自然と調和した環境負荷ゼロを目指す農業モデルを構築し、地域全体に拡大できるよう取り組んでまいります。以上でございます。
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○議長(西村義直) 次に、市政一般について、みちはた弘之議員に発言を許します。みちはた議員。 〔みちはた弘之議員登壇(拍手)〕
◆(みちはた弘之議員) 私は、伏見区選出のみちはた弘之です。自由民主党市会議員団を代表して、津田大三議員、田中明秀議員、
谷口みゆき議員と共に市政一般の質問をさせていただきます。理事者におかれましては、誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。 平成24年、子ども・子育て関連3法が施行され、おおよそ10年後の今年、令和5年4月にこども家庭庁が発足され、こども基本法が施行されました。この基本法は、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、全ての子供が将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指し、子供政策を総合的に推進することを目的としています。この
こどもまんなか社会の実現に向かって重要な一翼を担っている保育園・こども園の整備・環境についてお伺いします。 去る8月31日に、京都市日本保育協会、京都市保育園連盟、全国認定こども園協会京都府支部、いわゆる保育3団体が、門川市長に対して、3団体からこれまでの本市の保育行政を高く評価したうえで連名の要望書が提出されました。少子化の急速な進展の影響もあり、保育現場においては様々な課題が生じています。また、新たな人件費補助制度に対して本市の説明が十分でないため、現場での混乱が起こっています。国を挙げて子供政策の更なる充実に取り組まれている中で、京都がこれまで築き上げてきた質の高い保育・教育環境を一層充実していくことが、人口減少対策や少子化対策にもつながるとの考えの下、三つの要望がありました。3団体がそろって市に要望書を提出することは初めてのことで、いわば保育関係者の総意とも言える内容であり、市としてもしっかりと要望を受け止め、今後の施策検討にいかしていただきたいと思います。 一つ目の要望は、施設や設備の整備費用の補助金の拡充です。他都市に先駆けて保育園の耐震化率100パーセントを達成し、今年度には施設の老朽化対策を検討するための調査を実施されていることは承知しています。そうした取組はしっかりと進めていただきたい一方で、保育現場からは、例えばエアコン、スチームコンベクションなどの設備の更新、屋根や外壁等の修繕など、中規模修繕への支援を求める声が多くあります。これらの施設更新や設備の修繕は、施設の長寿命化、老朽化対策に大きく資するものであり、子供たちの処遇の向上にもつながるものであります。保育園連盟への積立金を活用した整備助成金の廃止や人件費補助制度の見直しに伴い、中規模の修繕や減価償却に備えた積立てなど園が柔軟に活用できる財源が減ったという声もあり、各園にとっては深刻な問題です。先日、行われた日本保育協会の研修会で、独立行政法人福祉医療機構で公表されている社会福祉法人の決算状況を分析された結果、令和4年度事業収入、事業支出及び施設整備に関する収支の合計において、分析できる社会福祉法人211施設のうち、マイナスの施設が88施設、実に4割の施設が赤字であるという衝撃的な分析結果でありました。このような状況の中で、中規模な修繕への支援について実効性のある対策を講じていただきたいと思います。 二つ目の要望は、職種ごとの人件費の充実です。令和4年度に、保育士等の人件費に対する補助制度が大きく見直されました。従前の制度の課題を解消し、保育士処遇の維持・充実を図るための見直しであり、園運営に欠かせない職種を対象に、人件費が確実に行き渡るよう効率的かつ透明性の高い制度に再構築したものとは理解はしていますが、京都市によると、昨年度も今年度も約3割の園が給与の引下げが行われ、引上げを行なっている園はほとんどないとのことでした。子供たちの健やかな成長のため、各園は創意工夫をして保育しており、抱える事情も様々であります。現行の人件費補助制度は、補助上限額の範囲内で人件費収支の差額を市が補填する仕組みですが、各園の弾力的な運営を可能とするため、補助金額の算定に当たっては収入額の一定割合6.5パーセントが控除されています。例えば、この控除割合を拡大することで、より各園の様々なニーズに対応するものにできないかと考えています。5月開会市会では、我が会派の寺田議員からの質問に対し、門川市長は実態を踏まえ必要に応じて柔軟に対応する旨の答弁があったところであります。現在、制度の活用状況について実態検証をしていただいているところであると思います。私が先ほど提案した案も含め、制度の更なる充実に向け今後の方向性をお聞かせください。 三つ目の要望は、マイ保育園制度の創設です。妊娠中の方や未就園児を育てておられる方の中には、身近に相談できる相手がおらず孤立されているような方もいらっしゃると思います。そうした方々に対して、身近な保育園やこども園が、かかりつけ医ならぬかかりつけ園となり相談できるような制度があれば、安心して子育てができる、正に
こどもまんなか社会実現に近付くと思います。是非とも早急に制度を創設していただきたいと思います。 以上、3点の要望について、市として今後どのように取り組んでいくのか、市長の前向きな答弁をお願いたします。 次に、環境教育についてお伺いします。門川市長は、今までの任期を振り返る中で、自らのライフワークとして福祉や教育、子育て支援、安心・安全を挙げ、これらを大きく前進させたと述べられました。これに加え、本市の環境政策は飛躍を遂げていると思っています。象徴的なのがごみ量です。22年連続で減少し、目標であったピーク時半減を達成し、一人当たりのごみ量は政令市で最少となっています。これらにはもちろん市民・事業者の協力があってのものであり、物を大切に扱う精神が生活の隅々にまで息づく京都ならではの成果ではないかと思っています。 他方で、ごみ以外の分野ではいかがでしょうか。ここ最近を見るだけでも、全国トップレベルの府市協調をいかしたきょうと生物多様性センターを設置したほか、私の地元伏見を中心として国の脱炭素先行地域に選定されるなど多くの意欲的な取組がスタートしています。これらの取組はごみの減量と同様、多くの市民・事業者の行動が必要です。その前提として取組内容をしっかりと御理解いただけているのかといえば、心もとないというのが私の思いであります。周知啓発が重要であり、幅広い環境問題について市民・事業者のリテラシーを高めていくこと、すなわち環境教育が重要であります。そこで、ヒントになるのが環境教育の拠点施設である、さすてな京都であります。さすてな京都では、最新設備を導入したクリーンセンターの見学だけではなく、民間企業等と連携した多様なプログラムを実施するなど魅力あふれる施設であり、もっと多くの方に知ってもらいたいと思っています。今年度から、私が提案した保育園・幼稚園向けの送迎バス付きの見学も実施されており、参加された園からは、展示はもちろん絵本を用いるなど年齢に合わせて分かりやすく説明してもらい好評だったと聞いています。また、環境学習においては、実物を見て体験することの重要性を鑑みて、さすてな京都のビオトープの充実とアジサイの植栽も更なる改善が必要だと思っています。さすてな京都での取組をはじめ子供たちの育ちや学びの環境を充実させることが重要であり、このことが京都の環境政策をもう一段の高みに上げることにつながるのではないでしょうか。こうしたことも踏まえながら、今後、環境に関する意識の向上及び行動の活性化にどのように取り組んでいくのかお伺いします。 ここで、これまでの答弁を求めます。
○議長(西村義直) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) みちはた弘之議員の御質問にお答えいたします。 まず、保育環境の整備についてでございます。本市におきましては、国の給付費に加えまして京都独自の約53億円の予算を確保し、例えば90人定員の保育所の場合、国基準の1.3倍の保育士配置が可能となる全国トップ水準の配置基準や全国平均を100万円以上上回る給与水準、利用の実態に応じた柔軟な定員の変更など、保育環境の維持・充実を図ってまいりました。保育3団体の皆さんからは、こうした本市の保育施策を高く評価いただくとともに、今後も京都市と共に保育・教育の更なる向上を目指したいとの力強い決意表明をいただきました。みちはた議員から紹介のありました要望につきましても、重要なものばかりであり、しっかりと実現に向けた取組を進めてまいります。 中規模修繕への支援と人件費等補助金についてお答えします。現在、新制度の開始初年度である昨年度の人件費等補助金の運用状況の分析を進めておりますが、従前制度の課題でございました国給付費と市補助金の間での充当の優先順位がなかった点などが改善されるとともに、全国平均を100万円以上上回る保育士の高い給与水準も維持・確保できており、再構築の目的であった旧制度の課題解消と保育士処遇の維持・向上は一定図ることができております。一方、本給自体を引き下げる園は少数であるものの、昇給幅の縮小や賞与・各種手当の引下げなどを含めると、約3割の園で職員の処遇見直しが行われていることも事実でございます。こうした園につきましては、今年度から新たに開始した持続可能な経営をサポートする専門家からの助言や補助金を活用し、引き続き保育士の処遇の維持向上が行われるようきめ細かく対応しております。一方で、各園からは、補助上限の見直しのほか、積立てや修繕の備えへの不安など、多様な御意見、御要望をいただいております。みちはた議員御提案の控除割合の拡大は、現行制度の枠組みは維持しつつ、各園が抱える様々な課題に応じ、適切に対応していただくことを可能とする有効な方法の一つであることから、現在、人件費収入の6.5パーセントとしている控除割合を更に拡大することで、補助額を増やし保育士の処遇の更なる向上に必要な人件費の確保や中規模修繕への対応など、より一層、各園の実情に応じた対応を可能としてまいります。今後、昨年度の執行状況の分析を進めまして、年内に具体的な拡大幅を示し、速やかに更なる充実を実施してまいります。また、それに加えまして、中規模修繕につきましては、安心・安全な保育環境を今後も維持することができるよう、引き続き各園の実態を踏まえ必要な対策を検討してまいります。 次に、マイ保育園制度につきましては、こども園や保育園・幼稚園が、地域の皆様に身近なかかりつけ園として機能を果たすことは、子育て世代の不安解消につながり、地域全体で子供を育むという本市のはぐくみ文化を具現化するものであると考えております。早急に制度設計を進め、今年度中に実施してまいります。 次に、環境教育についてでございます。持続可能な社会の構築に向け、環境意識の向上と行動の活性化は極めて重要なテーマであります。その第一歩は、環境問題を市民の皆様に知っていただくことであり、さすてな京都を拠点にライフステージに応じた環境教育を積極的に推進することが不可欠でございます。とりわけ未来を担う子供たちにさすてな京都を訪れていただき、みんなで楽しく学んでいただくことが重要であります。みちはた議員御提案で実現した保育園・幼稚園等への送迎バスにより、多くの未就学児と保護者に御来館いただき大いに好評を得ていることから、今後、更に施設の魅力発信と送迎サービスの拡充を図るなど、より多くの方の来館につながる環境づくりを進めてまいります。また、本年6月、本敷地内の1万8,000株のアジサイに親しめるフェアを開催し、過去最多の来館者数となりました。今後、寄付によるアジサイの植栽や京都の生き物を身近に観察できるビオトープの充実を図るなど、民間事業者との連携による施設の魅力向上や、体験を通じた学びの充実にも努めてまいります。さらに、京都市には豊かな自然に育まれた文化や暮らしが根付いており、高度な技術や知見を有する大学や企業、研究機関も多数立地しております。こうした京都の強みを存分にいかした学習プログラムや、自然と触れ合う機会を創出するなど、さすてな京都の学習はもとより、学校や地域行事における日常のあらゆる機会を通じて環境への関心を高め、地球に優しい行動を促すことで環境共生と脱炭素のまち・京都の実現につながるよう環境教育の充実に全力を注いでまいります。
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○議長(西村義直) みちはた弘之議員の一般質問の途中ですが、暫時休憩いたします。 〔午前11時36分休憩〕 〔午後1時再開〕
○議長(西村義直) 休憩前に引き続き、会議を行います。
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○議長(西村義直) 休憩前の一般質問を継続し、みちはた弘之議員に発言の継続を許します。みちはた議員。 〔みちはた弘之議員登壇(拍手)〕
◆(みちはた弘之議員) 伏見区選出のみちはた弘之です。午前の質疑に引き続き、市政一般について質問いたします。 インクルーシブ教育についてお尋ねします。昨年9月に、国連の障害者権利委員会から、我が国の障害者政策についての総括的な所見が公表され、障害のある子供の教育について個々の教育上の要請を充たす合理的配慮の保障、さらには、インクルーシブ教育に関する研修の確実な実施などが勧告されましたが、私も、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に学ぶインクルーシブ教育の推進は、共生社会の形成に向けた基盤として極めて大切であると考えております。こうした中、昨年12月に文科省が行った通常学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査によると、知的発達に遅れはないものの、学習面又は行動面で著しい困難を示す児童生徒数の割合が小・中学校8.8パーセントと、10年前に比べ2.3ポイント増加するなど、通級指導教室の設置や通常の学級における個々の児童生徒への支援がますます重要となっています。 また、コロナ禍で子供の発達の影響についての研究結果の論文が発表されました。首都圏のある自治体の全認可保育所に通う3歳又は5歳の乳幼児887名に対して調査を行い、コロナを経験した群とそうではない群の間において、3歳又は5歳の発達を比較・分析の結果、5歳児においては4.39か月の発達の遅れが進んでおり、3歳児時点では明確な発達の遅れが見られないという内容でした。3歳と5歳で対照的な結果が示された点について、コロナ禍で保護者の在宅勤務が増え、より幼い年齢の子供は大人とのやり取りを通じて様々なことを学ぶため、大人との1対1のコミュニケーションが発達において重要であり、コロナ禍が3歳児の発達にポジティブな影響を与えた可能性がある一方、5歳児は発達段階において社会性を身に着ける時期で、他者との交流が重要であり、コロナ禍によって保護者以外の大人やほかの子供たちと触れ合う機会が制限されたことが、発達に負の影響を与えた可能性があると推測されています。今回の研究で見られた発達の遅れはあくまでも一時的なものであり、長期的な影響に関しては更なる調査が必要であると示されておりますが、コロナ禍で発達の遅れが生じた子供に対し、積極的な支援を行うことが求められています。本市の総合育成支援教育は、平成9年度という早い段階から、対象の子供が一人であっても地域の学校に育成学級を設置され、また、平成16年度には、障害種別ごとの教育から一人一人の教育的ニーズ、さらには、地域の小中学校の子供、保護者に対し、より幅広い支援を行う全国初の地域制、総合制の総合支援学校を設置されるなど全国に先駆けた取組を展開され、さらに、通常の学級に在籍する特別な支援を必要とする児童生徒への支援に当たっても、近年ニーズが高まるLD等の支援が必要な子供を対象とした通級指導教室を政令市平均の約3倍の割合の学校に設置されるなど、インクルーシブ教育やユニバーサルデザインの理念の実現に努めてこられたところであります。今後とも、ますますニーズが高まることが予想される通常の学級に在籍する特別な支援を必要とする児童生徒への支援に当たっては、総合育成支援員のような人的な支援もあれば、例えば、文字を読むことが苦手な子供が、音声読み上げソフトを活用すれば読むという部分でつまずくことなく学習が進められる、また、聴覚過敏や周囲の雑音が気になり集中することが難しい子供が、ノイズキャンセリング技術を利用したデジタル耳栓を使うことで周囲の環境音がカットされ集中できるといったように、ICT機器をはじめ様々な道具を使った物的な支援も有効であると聞いています。また、こうした技術は日々進化を続けており、近年ではⅤRやAIなどの最新技術についても応用の可能性が広がってきているところであります。私が園長をしている保育園でも、数年前には見られなかったノイズキャンセリング機能付きのヘッドフォンを使用する子供が増えてきて、日常生活を落ち着いて過ごせるようになっています。何よりも、子供自身が学習意欲を持てるよう支える環境づくりが大切であると考えます。今後の取組に当たり、ICT機器を含め、子供の困難を軽減し、持てる能力を引き出すことのできる有効なツールについて、教育委員会として先進的に研究するとともに、各学校へ積極的に取り入れていただきたいと考えますがお考えはいかがでしょうか。 次に、救急需要増加に対する取組について質問させていただきます。本市の令和4年中の救急出動件数は過去最多となる9万8,449件となり、10年前と比較すると約2万件、約3割の増加となったと聞いています。本市においては、ここ10年の間、救急需要対策として24時間運用の救急隊3隊に加え、救急需要の多い日中に運用する日勤機動救急隊モビリティ・アンビュランスを2隊増隊し、救急隊は28隊から33隊に充実され、日勤機動救急隊は、救急需要対策だけではなく子育てなどで夜間勤務が困難な救急隊員が働きやすい環境も確保できるなど、将来にわたって持続可能な消防体制の確立に向けた取組であると評価しています。このほかにも、救急電話相談窓口である救急安心センターきょうと#7119の運用などに取り組んでこられました。さらには、救急需要への対応がひっ迫したコロナ禍においては、臨時に救急隊を最大5隊編成したと伺っています。令和4年中は、コロナ禍の影響により全国的に救急要請が増加して、搬送先の病院がなかなか決まらない救急搬送困難事案が多発し、他都市においては出動できる救急隊がなくなる事態などが報道されていました。本市においても、救急出動が連続することで救急出動体制がひっ迫した状況でしたが、臨時に救急隊を編成したほか、京都府や医療機関との連携により、出動できる救急隊がなくなるような事案はなかったと伺っています。そのような中においても、本市の救急隊の平均現場到着時間については、9年連続政令市トップで、令和3年までの統計データでは、全国平均より約2分早い状況を堅持しており、すばらしい取組をしていただいているところと思います。 しかし、救急出動件数の増加に伴い、救急隊の平均現場到着時間は年々延伸傾向にあり、令和4年中は7分45秒でコロナ禍前の令和元年中の6分46秒から約1分延伸しています。また、市内の年間猛暑日の日数が過去最多の記録を更新しており、熱中症による救急搬送が前年比で増加していることなどから、本年8月末時点の本市の救急出動件数は前年同時期比約3,000件の増で、過去最多を記録した前年を上回るペースで増加しています。さらに、国においては、今後の救急需要について高齢化の進展等を背景として更に増加することが予想されます。 先日、私の地元の大手筋商店街の夏の祭りで消防団活動をしているときに、急に体調不良となり私の目の前で倒れられた市民の方がおられ、近くにいた人に119番通報をしてもらい救急車を要請しました。倒れられた人にお声掛けをしながら待っていましたが、心理的に時間がとても長く感じたことを今でも鮮明に覚えています。このような経験からも、いち早く救急隊が現場に到着することは市民の皆様の安心・安全に直結するものであり、とても重要な施策であると考えています。私は、本市における救急需要増加に対する今後の取組として、救急安心センターきょうと#7119や、他の大都市よりも早く現場に到着できる本市が誇る救急体制を更に周知、発信し、常日頃から市民の皆様に安心感を持ってもらうとともに、迅速な救急体制を安定的かつ持続的に提供していくことが重要であると考えています。そこで、増加することが見込まれる救急需要にいかに対応し、一刻も早く救急車に来てほしいと思う市民のニーズに応え続けていくのか、これまでの取組も含め、今後どのように取り組まれていくのかお伺いします。 最後に、私の地元の伏見は、その風光明媚な地形から平安時代には王朝貴族の別荘地として栄え、また、酒造りには欠かせない豊かな伏流水に恵まれた土地、京都南の玄関口でもあり、豊臣秀吉がその晩年に伏見城を中心とした城下町を形成しました。本市では、伏見酒造組合からの要望が提出され、我が会派が議員提案した京都市清酒の普及の促進に関する条例を平成25年に全国に先駆けて施行され、今年1月に10周年を迎えました。これは京都の酒造業界及び日本の食文化の発展に大きく寄与しています。また、伏見地域では、とっておきの京都プロジェクトにおいて、多くの歴史遺産、食文化など地域の魅力をいかした商品や情報発信など、地域と一体となった観光振興に取り組んでこられました。また、脱炭素先行地域の中心として様々な取組が展開されつつあります。そこで、伏見地域の経済・観光振興についてお伺いします。大阪・関西万博が令和7年4月から開催されます。大阪・関西万博と銘打たれているとおり、関西で誘致し関西で開催される万博であります。そこで、伏見地域の産業、経済振興に関して、会場での催事や開催時期に京都市で実施する関連イベント等の企画や情報発信による機運醸成などを通じて、伏見の持つ文化や歴史、産業等の資源をいかして更なる誘客、企業の活性化の取組をしていただきたいと思っています。大阪・関西万博を未来の京都につなげていくために、本市としても、特に伏見区についてどのように取り組まれるのか市長のお考えをお伺いします。 以上で私の代表質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(西村義直) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 引き続き、みちはた弘之議員の御質問にお答えいたします。 伏見地域の魅力をいかした情報発信についてでございます。伏見には、神社、寺院、酒造り、町家など、人々の暮らし、営みと共に歴史の中で育まれてきた文化的資源が多くあり、水と緑が広がる豊かな自然環境がございます。また、四つの大学をはじめとする様々な教育機関があり、らくなん進都など、世界に誇る技術と経営理念を有する企業が集積しております。本市はこのような伏見の持つ文化、歴史、産業など、すばらしい資源をいかした清酒の普及や産学公連携による研究開発拠点として、本市が創設しましたACT京都における新たな技術の事業化の取組、伏見港などをいかした魅力発信など、伏見へのより一層の観光客の誘致と産業振興、地域における経済的好循環の創出に取り組んでまいりました。みちはた議員御指摘のとおり、多くの国や地域が参加する大阪・関西万博を、伏見の、京都の地域の活性化に最大限いかしていかなければならないと考えております。そのため、本市は本年5月に、京都府や経済界、文化団体など多くの団体などと共に大阪・関西万博京都推進委員会を立ち上げ、多くの若者や学生さん等にも参加していただきながら、京都ブースの展示をはじめ多様な取組をオール京都で推進するための取組内容の企画立案を進めているところでございます。 伏見での取組につきましては、第2回きょうと推進委員会で、高瀬川や宇治川等の周辺で育まれた地域の魅力をいかす京都の川巡りや伏見地域の観光・経済振興などを示しており、万博を契機とした魅力の発信と併せまして、都市計画の見直しと連動した企業立地促進や若い世代の居住促進などの取組を強力に推進することにより、相乗効果を生み出し、更なる活性化へとつなげてまいるように、関係機関、地域と連携し、しっかりと取り組んでまいります。 以下、副市長及び関係者が御答弁申し上げます。
○議長(西村義直) 坂越副市長。 〔坂越副市長登壇〕
◎副市長(坂越健一) 救急需要の増加に対する取組についてでございます。高齢化の進展をはじめ、新型コロナや熱中症などの影響を受け、全国的に救急需要が増加している中、本市の救急車の現場到着時間は全国平均よりも約2分早く、9年連続して政令市トップであります。これまで本市においては、この10年で救急隊を28隊から33隊に増隊するとともに、救急隊の位置をリアルタイムで把握し、現場に最も近い救急隊を選定できる高度な指令システムの導入や救急需要の高い地域に救急隊を一時的に移動させる運用などを行ってまいりました。また、熱中症多発期や感染症流行期など、救急需要の著しい増加が見込まれる場合には、予備の救急車を活用してあらかじめ救急隊を増やすなどの取組を行ってまいりました。しかしながら、みちはた議員御指摘のとおり、本年の救急件数は過去最多となった昨年を上回る状況にあることから、救急需要の多い時間帯に特定の消防隊が予備の救急車に一時的に乗り換え、救急隊として出動する新たな体制を検討してまいります。 また、本市では、救急車を呼ぶかどうか迷ったときに、市民の皆様が電話で相談できる窓口、いわゆる#7119を令和2年から運用しております。その利用件数は年々増加しておりますが、限られた救急車を適正に利用していただけるよう更なる周知を図ってまいります。今後もいち早く救急車が現場に到着する体制を維持し、市民の皆様に安心を実感していただけるよう、救急需要に応じた救急体制の充実に努めてまいります。以上でございます。
○議長(西村義直) 稲田教育長。 〔稲田教育長登壇〕
◎教育長(稲田新吾) インクルーシブ教育についてでございます。全ての子供が共に学ぶインクルーシブ教育の理念に基づき、一人一人の教育的ニーズに応じた指導や支援を推進することは大変重要であります。みちはた弘之議員御指摘のとおり、音声読み上げソフト等のICT機器を含む支援機器の活用は有効な支援であり、本市におきましては、特別な支援を要する児童生徒の学習に活用するため、20種類以上の支援機器・グッズを教員が実際に手に取れるよう、総合教育センター内に常設展示し、学校への貸出しを行っており、先進的な取組として全国から注目されております。 また、こうした支援機器やGIGA端末等で読み書きを支援するアプリを活用した実践的な指導・支援の研修を進めるなど、その普及にも努めております。今後、様々なツールを活用した学習や支援が子供たちにより身近なものとなるよう、聴覚過敏等の困りに有効なデジタル耳栓や読み書きを支援する文房具など、貸し出し希望の多い支援機器・グッズを年内には小中学校に新たに配置し、更なる活用につなげてまいります。さらに、特別支援教育におけるICT活用を進めるために配置している専門主事を中心に、日々更新される先進的な機器やアプリの機能・効果を検証するなど有効な支援の研究も進め、子供たちの困難を軽減し、誰一人取り残さない教育の推進に今後とも努めてまいります。以上でございます。
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○議長(西村義直) 次に、市政一般について、
谷口みゆき議員に発言を許します。谷口議員。 〔
谷口みゆき議員登壇(拍手)〕
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谷口みゆき議員) 私は、北区選出の谷口みゆきです。本日は、自由民主党京都市会議員団を代表し、津田大三議員、田中明秀議員、みちはた弘之議員に続き質問をさせていただきます。4月の統一地方選挙で初当選させていただきましたことを改めて感謝し、本日、この伝統ある京都市会にて代表質問の機会を与えていただきました先輩諸氏の皆様に感謝し、これからの市政運営に対してしっかりと取り組んでまいる所存でございます。本日の代表質問では、人口減少問題や地域の安心・安全に向けて、私が子育て、またPTAや地域活動をしてきた中で感じてきたこと、考えてきたこと、御意見いただいたことを取り入れて、京都で生まれ育ち京都を愛する一人として質問をさせていただきます。 京都市においては、京都市はぐくみプランを策定し取組を進めており、これまでから、子育てに関わる負担軽減、子供を健やかに育む支援など全力で子育て支援に取り組んだ結果、京都市の子育て環境は全国トップレベルと承知しています。他方、京都市においても全国と同様に少子化が進行しているほか、結婚・子育て期に当たる若い世代の転出が顕著であるなど人口減少が喫緊の課題となっています。このような中、今年度、人口減少対策の司令塔として、総合企画局に人口戦略担当を設置するとともに、全庁横断的な人口減少対策の一層の推進と強化を図る観点から、人口減少対策推進タスクフォースを立ち上げ、対策の検討と実行を進められています。特に、結婚・子育て期の世代の転出の課題に対しては、若い世代のニーズに合った居住環境の創出や京都市の全国トップレベルの子育て・教育環境の更なる充実といった観点から、各関係部署において精力的に取り組んでいただいているところです。それらの取組内容を必要な人たちに着実に届けるために、もう一段の踏み込みが必要と考えています。 そこで、この観点から次の3点質問させていただきます。一つ目は、子育て世帯向けデジタルツールを活用した子育て支援策の情報発信、二つ目は、誰もが産後ケアを受けられる体制の構築、三つ目は、子育て世代・若者世代の住まいの創出に向けた空き家活用の促進についてです。 まずは、人口減少対策の一つであります子育て施策の視点から、具体的な政策についてお尋ねします。一つ目は、京都市はぐくみプランでは、妊娠前から子ども・若者までの切れ目のない支援、結婚・出産・子育ての希望を持つ全ての人の思いをかなえる京都ならではの市民力・地域力・文化力を結集した市民の生き合う力を高めることを基本理念とされており、子ども若者はぐくみ局の創設、区役所・支所子どもはぐくみ室の設置など体制整備に取り組んでこられましたが、京都市の少子化は進み、出生数は平成30年に1万人を割ってから令和3年は8,767人、合計特殊出生率は1.17と低下しています。こうした中、京都市においては、子ども医療の拡充などの施策を推進するとともに、情報発信の強化など人口減少対策や
こどもまんなか社会の実現に向けて全庁を挙げて取り組まれていますが、京都市のすばらしい子育て環境を市民の皆様に十分お伝えするために更なる取組が必要と考えております。私が3人の子育てをしていた約20年前は、乳幼児期の情報収集は休日診療の冊子、新聞や市民しんぶん、回覧板などの行事案内、地元児童館での子育てサークルのチラシなどの紙媒体や人づてからの情報でしか入ってこない時代でした。携帯電話の普及でメールができるようになり、情報交換が容易になり、デジタル化した現在ではあらゆる情報を手軽に取り入れることができるようになりました。ただ、あふれる情報の中から、これを調べたい、知りたいというときに、必要な情報になかなかたどり着くことができないのが現状です。環境がよく、文化都市であり、教育力も高い京都市で子供を産み育てたいと思っている方も多い中、京都市の子育て施策や情報をすぐに調べることができる即効性のある子育て世帯向けデジタルツールを活用した子育て支援策の情報発信を提言いたします。 他都市では、おむつ定期便、高校3年生までの医療費無料化などの目を引く施策もされているところもありますが、家族や地域社会の関係性の希薄化による孤立も課題に上げられるのではないでしょうか。核家族化が進み、子育てニーズが多岐にわたり、疑問や不安をどこに持っていけばよいか、引っ越してきた地域のことが分からないなど、すぐに問合せができる体制づくりが必要という御意見も聞いています。子育てへの不安から体調や精神的な不安、また虐待へとつながることも少なくありません。現在、京都市子ども若者はぐくみウェブサイト、京都はぐくみアプリ、子育て応援パンフレットもある中で、多岐にわたる施策から今欲しい情報が検索しにくく使いにくいという御指摘もあります。例えば、遊び場を探したいということでしたら、公園や遊び場を検索すれば、地図だけでなくどんな公園か写真も出ることで様子も事前に分かります。さらには、子育て支援金の申請方法などを分かりやすく紹介するなど、見やすく、分かりやすい内容の情報発信を望みます。 また、子育てに関わる不安や問合せに24時間対応できるAIチャットボットなどのデジタルツール活用は必須ですので、専門業者に委託して効果的な情報発信である新たな京都市子育てポータルサイトの構築ができるかお伺いします。 二つ目は、産後ケアについて御質問します。子育て期、とりわけ産後間もない時期は、心身の不調に陥りやすく、いわゆる産後うつから深刻な事態につながる事例も報じられています。先にも述べましたが、核家族化や地域社会の関係性が希薄になる中で、親子を孤立させず、新しい命をしっかりと守り抜くためには、産後間もない時期に寄り添って支援していくことが極めて重要です。そこで、産後の母親が地域で安心して子育てができるよう、産科医療機関や助産院などでのショートステイやデイケアを通じて、心身のケアや育児の支援を受けるいわゆる産後ケアが、今、強く求められています。京都市では、スマイルママ・ホッと事業としてショートステイ、デイケア、それぞれ最大で7日ずつ、計14日受けることができます。令和3年10月からは、赤ちゃんの対象月齢がこれまでの3か月未満から1歳未満までに拡充され、また、今年4月1日から来年3月31日まで利用料も軽減され、計5日までは一般世帯のショートステイ2,670円、デイケア0円となったことで利用しやすくなりました。ただ、支援を受けられる対象は、母親の産後の回復が思わしくなく母体管理が必要な体調不良の方、育児に不安があり、授乳やもく浴などの方法についての相談・助言といった心理的支援が必要な方、産後に家族などから母子への支援が受けられず、家事、育児などの日常生活を行うことが困難な方といった条件を満たす方で、妊娠・出産後に子どもはぐくみ室などの職員による家庭訪問・面接などを通じて、京都市がこの事業による支援が必要であると認めた方が対象と明記されています。ということは、この条件を満たさない方、もしくは認められない方は、産後ケアの支援を受けたくても受けることができないのが現状です。特に一人目の妊娠・出産は不安が多く、産後うつ病発症頻度が高くなります。心身の不調、自殺行為、子供がかわいいと思わなくなるなどに陥らないためにも、京都市民なら誰でも産後ケアが受けられるようにお願いしたいと思います。心身共に疲れたとき、育児へのアドバイスが欲しいときに、本人や家族が無条件で申し込める体制を採ることのほかに、本人が疲れを自覚していないこともあるので、出産した施設や子どもはぐくみ室との連携で、産後ケアが必要だと思われる方に産後ケア事業を受けるよう勧める体制も必要です。これから京都市で子供を産み育てようとされている方の不安感をなくし、誰もが安心して子育てできる環境づくりの事業拡大をお願いします。 三つ目は、子育て世代、若者世代の住まいの創出に向けた空き家活用の取組についてです。京都市では、令和8年度から全国初の空き家に対する税、非居住住宅利活用促進税が導入されるということで、私の地元・北区の空き家状況を調べたところ、平成30年の住宅・土地統計調査によると、京都市の空き家率が12.9パーセントの中で、北区は14.1パーセントであり高い割合を占めています。住宅総数6万7,510戸のうち空き家は9,540戸であり、そのうち売りに出したり賃貸に出していない、使われていない空き家が2,810戸ということです。北区は町家も多く残り、京都ならではの閑静な住宅地が形成され、歴史的建造物や文化遺産も多く残り、一戸建て住宅が主流となっています。交通の便はよい一方で新築物件は高く、これから結婚して家を持とうとしている若い世帯や子育て世帯は購入を踏みとどまる方も多い中、既存住宅なら手が届くのではないかと考えておられる方も少なくありません。北区の小学校の中で小規模校になっていく理由の一つに、引っ越して住みたくても、流通している住宅がなかなか見つからずに諦める方が多いという面もあります。ここで、解決の糸口になるのが使われていない空き家です。令和4年2月市会に、京都市非居住住宅利活用促進税条例の制定に係る議案が審議され、付帯決議として、この条例制定の目的は非居住住宅の利用や流通を促進して、市内の居住促進による市民生活とまちづくりの活性化を目指す政策誘導であるということを、施行日までの期間も含め、市民や事業者に周知・理解していただくよう努めることということが付されて可決されました。単に新しい税が導入されるだけを広報するのではなく、使われていない空き家を活用につなげ、居住促進による市民生活とまちづくりの活性化を実現する施策であることをしっかりと周知し、行動につなげていただく必要があります。社会全体で子供を育む
こどもまんなか社会を合言葉に、全庁挙げて人口流出をストップせねばならないと強く思います。若者・子育て世帯の市内居住を進めるため、空き家が新たな住民の受け皿となるよう取り組むには、空き家活用の機運醸成に取り組んでいただく必要があると考えますが、具体的にどのように進めるのかお答えください。 次に、安心・安全の取組についてお尋ねいたします。京都市では、令和5年3月、第4次地震被害想定を策定されました。京都盆地とその周辺には10の断層が分布していますが、その中でも京都市に最も大きな被害をもたらす花折断層地震では、マグニチュード7.5、左京区、北区、上京区など七つの区において震度7、市街地の広範な地域で震度6強の揺れが予測されております。最も大きな被害が生じると想定されている冬の18時の発災の場合、建物の全壊・焼失が12万1,000棟、死者4,100人、避難者20万6,000人と想定されています。ライフラインの被害についても、停電率7.2パーセント、断水率62.9パーセント、固定電話不通率13.8パーセント、都市ガス供給停止率89.7パーセントが見込まれ、停電率は発電所、変電所などの拠点施設・機能の被災状況などにより大幅に増加する可能性もあり、依然として大きな被害が想定されています。加えて、これらの被害の解消までに、電力は発災後1週間、上・下水道は1か月、都市ガスは1.5か月掛かると想定されており、行政やライフライン事業者もすぐに対応できない場合があります。このように大規模地震が市民生活に与える影響は非常に大きく、地域防災の要である自主防災会の役員の方々はもとより、市民一人一人が、身の危険、建物やライフラインの被害、これにより生じる日常生活上の困難を理解すること。そして、自らの命は自らが守るとの考えの下、家庭で相談し、地域で協力して大規模地震への備えに万全を期すことが何よりも大切であると考えています。内閣府では、国民に大規模地震による被害などを実感していただくため、CGを用いたシミュレーション映像をホームページで公表しており、京都市では、令和3年4月から、市民に災害への具体的な備えをイメージしていただき、計画としてまとめる我が家の防災行動計画マイ・タイムラインの作成支援に取り組んでおられますが、まだまだ浸透していないのが実情です。もし大地震が起きればどうなるか。まずは、マイ・タイムラインのホームページに内閣府のシミュレーションをリンク付けするなど市民の防災意識を高める対応を求めます。地域の集合場所、避難所及び広域避難場所の事前確認、飲食料や日常生活品の備蓄や家具の転倒防止などの日頃の備え、地震発生直後の自分の身を守る行動、避難所への避難、避難所運営への積極的な協力。市民一人一人が大規模地震を見据えて、あらかじめ日頃の準備から地震が起こった際の行動を考えておくことでスムーズな避難につなげることができます。こうした意味では、マイ・タイムラインの作成は非常に有効な取組であり、今後も一層作成を促していく必要がありますので、あらゆる機会でPRをお願いいたします。また、地域における災害への備えの一つとして、避難所運営における地域住民の協力体制を構築しておくことが非常に重要であります。平成24年に策定された京都市避難所運営マニュアルに基づき、災害時には、地域住民の一人一人が積極的に協力し合い困難を乗り越えていくことができる、そのような地域住民主体の避難所の運営体制を全学区において構築することが非常に重要であります。 また、地域住民の方々の中には、避難所運営において、自らがけがをした場合、第三者に損害を与えた場合への不安をお持ちの方もおられます。避難所運営に従事される自主防災会や地域住民の方々の不安を軽減し、避難所運営に協力しやすい環境を整えることも大切な視点であると考えますがいかがでしょうか。できるだけたくさんの方々が避難訓練に参加し、機会を積極的に捉え、改めてマイ・タイムライン作成の啓発や避難所運営への不安軽減も含め、地域住民による避難所運営体制の構築への支援をしっかりと行い、市民一人一人が自助として、また共助としての防災対策に積極的に、主体的に取り組んでいく機運を醸成していくことが重要であると考えますがいかがでしょうか。 また、行政に対しては、防災活動に必要な設備の充実についても大いに期待するところであり、自助、共助の基となる自治会や町内会などが地域の防災活動を行えるよう、その活動拠点の充実も必要な対策として実施すべきと考えます。防災活動の拠点においては、水や食料などの物資の備蓄も重要な要素ではありますが、災害時の市民生活に有効な設備の充実も重要な要素であります。こうした設備の一例である、かまどベンチやマンホールトイレについて、私の居住する北区の大宮交通公園では、令和3年の再整備時に設置されました。そのほかの公園においてはこうした整備は十分とは言えない状況にあります。特に、西賀茂地域においては、身近な活動拠点となり得る比較的大きな公園が8か所あり、その中には学区の自主防災会の活動拠点として利用されている公園もありますが、かまどベンチは1か所設置に過ぎず、マンホールトイレの設置が完了している公園はゼロであります。京都市では、避難所として指定されている小学校などにマンホールトイレの整備が進められていることは承知しておりますが、身近な防災活動拠点の更なる充実として、地域の集合場所など災害発生時において主として一時的に避難の用に供するような公園においても、かまどベンチやマンホールトイレの設置を地域の皆様と、設置のみならず防災訓練時に使用し、確認するなどの協議を重ね進める取組を推進していただくよう要望いたします。 最後に、地元要望として防災の観点から、北山3学区はいまだに光回線が通じておらず、インターネット速度が遅く、災害非常時にはテレビ電話も不便になることから、早期の光回線開通が求められます。光回線を山間部に通すには多額の費用が掛かると予想されます。自治体だけの負担では大変な事業かと思いますので、国との連携でできないかと考えます。災害の観点からも通信経路の冗長化や強じん化に向けた最適な伝送路の構築をお願いいたします。 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(西村義直) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作)
谷口みゆき議員の御質問にお答えいたします。 デジタルツールを活用した子育て支援策の情報発信についてでございます。本市では、スマートフォン普及率が高い子育て世代の方々に向けて、子育てアプリの運用を他都市に先駆けて開始し、ウェブサイトと併せて子育て関連の情報発信を行っておりますが、多岐にわたる施策の中から必要とする情報を探しにくいという課題が生じておりました。
谷口みゆき議員御指摘のとおりであります。こうした課題の解消やAIチャットボットなどの利便性の高いデジタルツール、民間の子育てアプリの登場などの背景を踏まえ、現在のウェブサイトとアプリを抜本的に改善し、本市の充実した子育て支援施策をより分かりやすくお伝えできるように、新たな子育てポータルサイトの構築や民間アプリの活用を進め、これらの運用を来年1月から開始いたします。 初めに、ポータルサイトでは、本市の子育て支援施策等を届出、健康、相談など利用者がイメージしやすいカテゴリで掲載するほか、本市の充実した子育て・教育環境についても知っていただいて、いかしてもらうことが大切であり、9月から配信を開始しております動画やコンテンツを積極的に御利用いただけるように、利用者の視点に立った情報発信を積極的に改善してまいります。 また、子育て支援施策の情報やお子様と共に参加できるイベントなど、子育てをされる市民の皆様が必要とされる情報に簡単にアクセスできるような検索機能を向上させるとともに、子育て支援施策や相談窓口を自動的に案内できるように、24時間365日対応可能なAIチャットボットを導入します。 次に、子育てアプリは民間のアプリを活用し、子供の成長、その過程ですね、身長や体重の記録、さらには予防接種のスケジュール管理が可能となるほかに、お住まいやお子様の月齢に応じた子育て情報等の発信機能を充実するとともに、子育てに役立つコンテンツの配信により、主に乳幼児を対象とした子育て世帯の利便性の向上を図ってまいります。このほか、出産・子育て応援事業においては、伴走型相談支援の充実が大切であります。市民の皆様が相談したいタイミングで妊娠や子育ての悩みを相談できるように、SNS等を活用した相談支援を開始することにより、子育て世帯の皆さんの不安の解消に努めます。
谷口みゆき議員御提案のとおり、デジタルツールを活用することによりまして、市民の皆さんが知りたい情報にたやすくたどり着いていただけるようにしっかりと取組を充実させてまいります。 次に、産後ケアについてでございます。子育てに不安を抱く全ての妊産婦とその子供を守り抜く。私はこの決意の下に、子育て支援を市政の最重要政策として、妊娠前から妊娠期、出産前後、育児期と、それぞれのステージに応じた切れ目のない支援に全力で取り組んできたところであります。一方、核家族化や地域のつながりの希薄化が進む中、痛ましい児童虐待を防ぐ、あるいは母子の命を守り抜くためには、身体面の疲労に加えまして、育児不安による様々なストレスを抱えられる母親が精神的に追い詰められて孤立されないよう寄り添うことが重要でございます。本市では、産後ケア事業を国が市町村の努力義務として法定化する前の平成26年度から、全国に先駆けて開始いたしました。さらに令和3年10月からは、一層の充実を図るべく、乳児の対象月齢の期間をそれまでの3か月未満から1歳未満まで拡充するとともに利用料の軽減も行い、必要な方が支援に届いていただくように取り組んでまいりました。御利用に当たっては、本人の申出のほかに、産婦健診の際の産後うつ病に関する医療機関からの情報提供、さらには、区役所・支所の子どもはぐくみ室が実施するプレママ訪問やこんにちは赤ちゃん訪問などの様々な機会を捉えて利用を進めてまいりました。しかし、受入体制の確保が困難であったことなどから、日常生活を行うことが難しい方など、対象に一定の条件を設けて実施しており、利用する方々がハードルを感じるということも事実でございます。そこで、これらの課題解決に向けまして、事業者との協議を早期に進めまして、受入体制を抜本的に強化することで、希望される方全ての方が産後ケアを受けられるように、対象要件を撤廃いたします。対象者拡充の実現に向けましては、財源の確保はもとより、受け皿となる医療機関等の事業者の更なる確保、さらに委託事業者と本市のこれまで以上の連携体制の強化、さらには、御利用いただく方の利便性に配慮した手続の簡素化などの準備に直ちに取り組みます。そして、令和6年度の早期に拡充をいたします。引き続き、誰一人取り残さない社会の実現に向けまして、誰もが安心して子育てできる環境づくりに全力で取り組んでまいります。 次に、子育て世代、若者世代の住まいの創出に向けた空き家活用の取組についてでございます。子育て世帯や若者の定住を進めるためには、手頃な価格で子育てに適した広さの住宅を提供することが不可欠でございます。景観を大切にしつつ、都市計画の大胆な見直しによる新たな住居の誘導や市営住宅を子育て世帯に向けて供給する全国初の取組など、あらゆる施策を総動員して住まいの創出を徹底的に行う中で、とりわけ空き家の活用が大きな鍵であると認識しております。京都市が全国でもいち早く空き家の利活用に視点を当てた空き家条例を制定し、不動産や相談などの専門家と連携して、空き家の発生予防から活用までを一体的に取り組む総合的な空き家対策を推進することにより、活用を促進してまいりましたが、市内には市場に流通していない4万5,000戸の空き家があります。
谷口みゆき議員御指摘のとおり、これらの空き家を活用しようという社会的な機運醸成が必要でございます。そのため、空き家の所有者に対しては、全国初の非居住住宅利活用促進税の導入に先立ちまして、本年4月から固定資産税の納税通知と併せた相談窓口の御案内など利活用を積極的に働き掛けており、空き家所有者からの相談件数も大幅に増加いたしております。また、住まいをお探しの方に対しまして、新築住宅に比べて低廉な価格、京都ならではの路地住まいなど幅広い選択肢がある既存住宅について、安心して相談できる事業者を京都市が登録して紹介する政令市初の安すまパートナー制度を構築するとともに、既存住宅の魅力をホームページやSNS等で配信しております。これらの取組は、不動産関係者等との長年の信頼関係の下に構築できるものでございます。また、この11月には、空き家活用に先駆的な実績がある市内及び全国の不動産事業者等によるトークセッションを実施し、参加者からの提案やアイデアをいかしまして、中古住宅、空き家という言葉のマイナスイメージを払拭してまいります。さらには、国土交通省からの先駆的なモデル事業として選定を受け、金融機関や住宅事業者と連携し、既存住宅のカルテを作ることにより、住宅ローンを受けやすくし、既存住宅を中心に安心して住まいできる仕組みづくりを構築してまいります。今後とも、地域の事業者と連携し、空き家活用の社会的な機運を醸成するため、できることは全てやり抜くという決意で取り組んでまいります。あわせまして、魅力的な空き家活用や改修事例を紹介するウェブ記事の充実など、若者・子育て世代の価値観を訴求する発信も戦略的に行い、子育て世代や若者が選択できる住まいの供給をより一層強化促進してまいります。 以下、関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(西村義直) 瀬危機管理監。 〔瀬危機管理監登壇〕
◎危機管理監(瀬智史) 市民の防災意識の向上に向けた取組についてでございます。
谷口みゆき議員御指摘のとおり、科学的知見に基づく最大級の地震動による被害として、令和4年度に策定した京都市第4次地震被害想定では、建物の耐震化や地域の防災活動の推進などにより、約20年前の前回想定より減少したものの依然として大きな被害を想定しております。このため、市民の皆様に大規模地震への備えの大切さを広くお伝えし、日頃から自助や共助による地震対策に取り組んでいただくことが重要と考えており、令和3年度から、地震発生時に取るべき行動をあらかじめ御家族や地域で相談しながら決めておく我が家の防災行動計画マイ・タイムラインについて、作成手順の解説動画を京都市防災ポータルサイトに掲載するとともに、市民しんぶん、SNS、地域の防災訓練や研修など様々な機会を捉え、作成を呼び掛けております。今後、議員御案内の内閣府の大規模地震シミュレーション映像も活用し、市民の皆様に想定される被害をしっかりお伝えしながら、更なるマイ・タイムラインの普及に取り組んでまいります。あわせて、本市では、避難所開設・運営の基本方針の第一に、住民の自治による開設・運営を目指すことを掲げており、この実現に向け、かねてより地域の自主防災会の皆様を中心に400を超える避難所ごとにマニュアルを策定いただき、訓練等に取り組んでいただいてきたところでございます。避難所を運営するに当たっては、避難者や生活環境の管理、食料の配布などその活動は多岐にわたるため、多くの方の参加が望まれます。このため、議員御指摘のとおり、避難所運営に協力しやすい環境づくりが非常に重要であるとの考えの下、本市として避難所の運営に従事いただく地域の方々を対象に、令和3年度から、けが等をされた場合の通院費用や入院費用等を補償する傷害保険に加入しており、さらに、今年度からは、避難者など第三者に誤って損害を与えた場合の損害賠償金の支払いなどに対応するための賠償責任保険に加入いたしました。新型コロナウイルスにより、地域活動が一時停滞を余儀なくされておりましたが、感染法上の位置付けが変更され、活動が再開されてきた状況を好機と捉え、避難所運営訓練の再開並びに拡充を呼び掛けるなど地域防災力の更なる向上の機運を醸成してまいります。
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○議長(西村義直) 次に、市政一般について、こうち大輔議員に発言を許します。こうち議員。 〔こうち大輔議員登壇(拍手)〕
◆(こうち大輔議員) 右京区選出のこうち大輔です。先の4月に行われました京都市会議員選挙におきまして、これまでの京都市政を刷新してほしいとの皆様からの大きなお声を頂き、その一員として私はまたこの場に立たせていただいております。3期目の初めての代表質問の機会を頂くに当たりまして、この機会を与えていただきました市民の皆様に対しまして、まずは心より御礼申し上げます。また、その選挙戦におきまして、私は、これまで何十年も続いてきた議会の構図を変えることが、これまでの京都市を変えるために必要不可欠なことであることを訴えてまいりました。それを具現化するために、我々はこれまでにない枠組みを作ることに挑戦いたしました。すなわち、日本維新の会と地域政党京都党、そして国民民主党の3党による新会派、維新・京都・国民市会議員団であります。18名となった我々は、行財政改革、次世代への投資、市民サービス改革、文化首都京都の確立、京阪神連携の推進、議会改革の六つの目指す政策を柱に、今議会も取り組み、挑戦してまいります。本日は、新会派の同僚であります森かれん議員、小島信太郎議員、北尾ゆか議員、河村諒議員、土方莉紗議員と共に会派を代表して質問いたします。どうぞよろしくお願いいたします。 初めに、令和4年度決算と京都市財政について質問いたします。令和4年度決算において、将来への負担の先送りとなる特別の財源対策が21年ぶりにゼロになったことや、22年ぶりとなる黒字となったことについては、これまでの京都市財政を考えれば明るい材料であります。また、令和4年度2月市会において、将来への負担の先送りをせず、財政運営を行うための京都市持続可能な行財政の運営の推進に関する条例が制定されたことについても同様であります。これらのことは、かなり以前から我々が提言してきたことであり、それらがようやく形になった点において評価しています。しかしながら、令和4年度決算のような状況が引き続き継続されていくのか、市民の皆様の不安が完全に払拭されたかについては、今後も注視していく必要があると考えます。その理由について何点か述べます。 1点目に、歳入増の要因についてです。市税収入額3,119億円は過去最高の収入額となっていますが、これはコロナ禍による経済対策の影響が残っていることや落ち込んでいた経済が正常化に近付いたことなど、国全体の施策や景気情勢が大きな要因であり、全国的な傾向です。京都市だけでなく全20政令市が同様に市税収入増となっています。今後の国の政策や海外情勢などによっては変動リスクを伴います。また、地方交付税については、コロナ禍における追加交付のあった令和3年度と比べて205億円のマイナスとなっており、令和2年度比較でマイナス7億円、令和元年と比較してもマイナス78億円となり、今後交付税措置の先行きは不透明です。これらの点において今後の歳入に関して不安が残ります。つまり、純粋に京都市の財政力と言えるかは疑問です。 2点目に、京都市財政についての市民への伝え方と姿勢についてです。これまでからも指摘してきましたが、通常当たり前である特別の財源対策からの脱却や収支均衡について、市民への広報において他都市にはない偉業が達成されたかのように取れる表現や、またこれまで、市民が急に驚いてしまうような財政危機の発表、その財政危機もすぐに脱却し、今後何も心配ないかのように取れる表現が極短期間で使われ、市民が負担とともに混乱している状況や声を目の当たりにしてきました。また、今決算では、特別の財源対策が初めてゼロになったところですが、現時点で脱却とまで言い切ってよいのか。本来、何年か続けることができて、さらにその見通しが計画的に示されて初めて脱却ではないのか。これらに見られるような伝え方と姿勢は現在の京都市の性格を表すものであり、市民にとって今後の不安材料となり得ると考えます。 3点目に、いまだ残る過去の負債である公債償還基金470億円の積戻し計画の考え方についてです。この返済については、令和6年度予算時に改めて中期財政収支試算が示され、これからようやく計画的に返済が始まる予定でありますが、現在、高齢化がピークを迎えるまでの令和20年度をめどに、できる限り早期に返済との考え方を示され、毎年度10億円に加え、決算黒字額を活用し返済に当たるとされており、その額は平均で35億円を見込まれています。そもそも、京プラン後期実施計画では、令和2年度には特別の財源対策から脱却を目指すとなっていたことを考えると、試算と裏付けが具体的に示されないと不安が残ります。我々は将来負担を計画的に少しでも前倒しするべき考えを持っています。できる限り早期に返済という曖昧な表現ではなく、具体的な表現を用いて示していただく必要があると考えます。 これらの点を踏まえて、市長に3点質問をいたします。1点目に、令和4年度決算においての市税収入増についてどのような政策効果によるものなのか。また、根本的な長年の課題であった京都市の税収構造の現状はどうなったのか。その分析をお聞かせください。 2点目に、京都市の財政危機とは何だったのか。財政危機を克服したのではなく、まだ現在進行形ではないのか。市民への伝え方について何がいけなかったのか。様々な市民負担を伴ってここまできたのにもかかわらず、さも伝え方のみが悪かったかのように問題をすり替えるようにも私には聞こえます。この度退任を表明された門川市長の認識をもう一度お聞かせください。あわせて、財政問題について、門川市政4期16年間の最終任期の残り2年間ほどの期間で、それまであまり前向きではなかった単年度の収支均衡や特別の財源対策からの脱却、また、京都市持続可能な行財政の運営の推進に関する条例の制定などの政策が急展開で実行されましたが、これは計画どおりであったのか。仮に、コロナによる経済不安がなければ実行されなかったことであったのかお聞かせください。 3点目に、今決算で出た77億円の黒字分の使途について提案いたします。今回、補正予算で活用された53億円のうち35億円は、公債償還基金の積戻しに活用され、過去負債の返済が前進することについては賛同いたしますが、残りの24億円につきましては、単に財政調整基金に積み上げるのではなく、例えば、公債償還基金の計画外の取崩し残額470億円については、将来負担を早期に解消し少しでも前倒しになるように更なる検討をすることや、これからの京都市が子育て教育政策をより積極的に展開していく意思を示すために、周辺自治体から後れをとっている中学校全員制給食の実施を早めるための経費としての活用の検討、また、コロナ以前の観光客数に戻りつつあるオーバーツーリズム対策として、バス車両の追加導入の検討など、明確な意思を持って活用すべきと我が会派は考えます。市長の考えをお聞かせください。 以上、令和4年度決算と京都市財政についてお聞きいたします。 ここで、一旦市長の答弁を求めます。
○議長(西村義直) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) こうち大輔議員の御質問にお答えいたします。 令和4年度決算と京都市財政についてでございます。まず、歳入増と財政構造についてでございます。市民・事業者の皆様の御努力はもとより、国や府との緊密な連携の下、新型コロナや物価高騰等に対する市民生活・事業者の下支え、都市の成長戦略を推進してきたそれらの取組効果も相まって、市税収入は過去最高の3,119億円。さらに、地方交付税を国へ徹底的に要望し確保するとともに、ふるさと納税の受入額は、指定都市トップとなる95億円を確保することができました。京都市は、これまでから人口に占める大学生が全国一多いこと、数多くの歴史的資産、木造住宅が多いことなど、京都ならではのすばらしい魅力が、あるいは強みが、残念ながら税収面では課題となっております。しかし、この魅力や強みを最大限いかしつつ、厳しい財政状況の中でも、若者・子育て世代を中心とした定住・移住の促進、景観を大切にしつつ都市計画の見直しなど都市の活力を一層高め、都市格を向上させるとともに、決して縮み志向にならず都市の成長戦略を長年にわたって粘り強く推進してきたことなどにより、市民一人当たりの市税収入は、私市長就任当時1万7,000円程度であった指定都市との平均との差が4,000円程度まで縮小しました。このことが、財政健全化への大きな要因、成果となっております。 次に、財政状況の認識及び財政状況の発信についてでございます。市民の皆様の御理解・御協力を得ながら改革と都市の成長戦略をスピード感を持って進めてきた結果、22年ぶりに赤字を解消、財政状況を大きく改善することができました。改革に当たっては、市民の皆様の御理解・御協力が不可欠であります。改革の趣旨、この間の財政状況の変化について御理解いただけるよう、分かりやすく丁寧に説明、発信してまいります。 また、いまだ残る過去負債の返済が必要であること、高齢化等による社会福祉関係経費の増加、景気変動リスクへの懸念など油断は禁物であります。このため、行財政の改革に向けた道筋をより確かなものにしていくことが極めて重要であり、都市の成長戦略の推進などを加速化させ、足腰の強い財政基盤の更なる強化・安定を図ってまいります。なお、私は市長4期目に当たり、長年の課題であった収支均衡の道筋を付けるために、従来の延長でない改革と挑戦を公約に明確に掲げ、市民の皆様の信託を得て、行財政改革と都市の成長戦略の取組に全力投球しようとした矢先の突然のコロナ禍でございました。コロナ禍がなければ、改革を行わなかったのではないかとの御指摘は全く当たりません。 最後に、決算黒字の使途についてでございます。黒字は魅力ある京都の今と未来のためにしっかりと活用してまいります。9月補正予算では、過去負債を返済し将来負担を軽減すると同時に、喫緊の課題である物価高騰への対応、観光課題等への対策の強化、中小企業等の更なる成長支援など、都市の成長戦略につながる必要な対策を講じております。さらに、市民の暮らしの豊かさにつながる都市の成長戦略、子育て支援など、魅力あふれる京都のために引き続き活用してまいります。
○議長(西村義直) こうち議員。 〔こうち大輔議員登壇〕
◆(こうち大輔議員) 今3点質問させていただきましたけれども、特に3点目に、黒字分の使途についてですが、市民のためにいかに使っていただくか、我々の提案も早急に進めなければならないことばかりだと考えております。是非答弁にはありませんでしたが、御検討ください。よろしくお願いいたします。 次に、大阪・関西万博開催に向けての取組についてお聞きいたします。2025年大阪・関西万博が、いのち輝く未来社会のデザインをテーマに、2025年4月13日から10月13日まで、184日間にかけて開催される予定です。1970年に開催された大阪万博は、人類の進歩と調和をテーマに77か国が参加し、当時6,400万人の来場者数がありました。今回も想定入場者数約2,820万人、約2兆円の経済波及効果が見込まれる関西では近年まれに見る大きなイベントであることには間違いありません。京都でも、これを契機として京都の魅力を世界に発信し、府内各地に人や投資を呼び込むことで経済の活性化や地域振興につなげるため、行政、経済界、関係団体の長や有識者等の皆さんで構成される大阪・関西万博きょうと推進委員会が本年5月に設置され、オール京都体制により、万博に向けた具体的な取組を推進されているところです。もちろん、門川京都市長も推進委員のお一人として名前を連ねておられます。この推進委員会で示された大阪・関西万博きょうと基本構想では「一緒につくろう、京都の未来~伝統と革新で拓く~」を全体テーマとして掲げられ、文化・環境、産業、観光、地域の4分野が密接に連携・融合した取組を実施していくことを取組の考え方として示されています。そして、その考え方を基にした具体的実施取組が、大阪・関西万博きょうとアクションプラン(案)の中でこの9月に示されたところです。これらの取組が今後より一層すばらしいものになるように願っています。 そこで、推進委員の一員である京都市として、より積極的に取り組んでいただきたいことを3点お聞きいたします。1点目に、今後の機運醸成について、本年12月1日には万博500日前機運醸成イベントが岡崎エリアで開催される予定です。本イベントは、推進委員会主催で開催されるものですが、今後本格的に機運醸成を高めていくに当たり、委員会主催はもちろんのこと、京都市が行う単独のイベント開催や既存のイベントにも絡めるなど、機運醸成の機会をできる限り増やしていただきたいと思います。また、京都市としてもより一層自分ごととして、SNSなどを活用した情報発信を行っていただきたいと思いますが、京都市の考えをお聞きします。 2点目に、大阪・関西万博きょうと基本構想やきょうとアクションプランにおいては、京阪神連携に関する記述が見られません。現在、京阪神連携のスタートアップ・エコシステムの取組が行われるなどしておりますが、イベントだけでなく、その後の経済的な連携を強化できる機会とするための取組として京都市の考えをお聞きします。 3点目に、開催地である大阪府は、小中高校に通う児童生徒と入場券が必要となる4歳、5歳の計約102万人を対象に、20億円規模の予算を使って子供たちを無料招待するとのことです。滋賀県でも、子供たちに対する支援を検討中とのことです。また兵庫県でも、子どもの夢プロジェクトとして、万博という機会に子供たちが参画できる企画を実施するとのことです。今のところ、京都では子供たちに対するアクションが消極的に感じます。是非、この万博の機会に関西広域連合の一員として、オール京都で子供たちに対するアクションを行っていただきたいと思います。例えば子供たちを招待することや、教育旅行などは考えられないか。また京都市単独ではなく、府や関係団体、推進委員会に対して積極的に呼び掛けていただき、子供たちと万博を結び付けていただきたいのですが、京都市の考えをお聞きします。以上、大阪・関西万博開催に向けた取組についてお聞きいたします。 最後に、将来に向けた中学校通学区域の在り方の検証についてお聞きします。京都市では、生徒が就学すべき中学校は、通学区域外就学事務取扱要綱で定める許可基準に該当する場合を除き、居住所の住所地による通学区域に基づいて指定されていますが、何十年も前の生徒数が多かった時代や、当時の地域事情により統合や分校したままの背景が残り、現状に照らし合わせたときに必ずしも最適ではない中学校通学区域になっている状況があるのではないかという認識を持っています。例えば、私の地元であります右京区の四条中学校区におきましても、これまで統合と分校を繰り返し、現在は安井小学校区と山ノ内小学校区の2校からとなっており、その時々に生徒数や地域事情を考慮して適正規模化してきた経緯があるかと思います。学区に関しては、それぞれの生活文化圏があり、簡単には変えることができないものであることは重々承知しておりますが、少子化による将来的な生徒数や時代によって変化してきたエリアごとに偏りがある生徒数や学校規模、また、今後の小中一貫統廃合なども考えるに当たり、現状と将来予測に合った最適な中学校通学区域の在り方について、学校施設の適正規模も含め、今から地域の声を聴き、地域と一緒になって検証していくべきと考えますが、京都市教育委員会としてどのような見解を現状お持ちなのか、将来予測も併せてお聞きいたします。 以上で私からの質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(西村義直) 岡田副市長。 〔岡田副市長登壇〕
◎副市長(岡田憲和) 大阪・関西万博についてでございます。大阪・関西万博は、環境先進都市、SDGsの先進都市でもある本市の魅力や京都の豊かな文化を世界に発信する機会であり、より多くの市民、地域、事業者の皆様に御参画をいただきながら、国内外の人、企業、文化の新たなつながりを創り、京都の、更には日本の成長・発展につなげてまいりたいと考えております。今後の機運醸成につきましては、本市は、これまでから日本国際博覧会協会や文化首都・京都を会場として、今年から開催され万博後も継続して行われる日本国際芸術祭の主催者である夢洲新産業・都市創造機構等とも連携し、万博の魅力を発信しております。引き続き、オール京都としても、SNSをはじめあらゆる媒体による情報発信を工夫を凝らして取り組んでまいります。 次に、京阪神の連携につきましては、大阪・関西万博の略称が表すとおり、関西として取り組んでいる万博であり、関西広域連合委員会等の機会に現状・課題を共有し、取組内容等について意見交換を行っております。きょうと基本構想、きょうとアクションプランにつきましては、オール京都として主体的にその考え方を取りまとめたものであり、世界スタートアップ三都物語や、けいはんな万博2025のように、京阪神はもとより広域での取組も掲げております。関西の飛躍を京都の活性化につなげ、それが日本の更なる飛躍につながるよう引き続き取り組んでまいります。 また、スタートアップにつきましては、令和2年7月に、国のスタートアップ・エコシステムグローバル拠点都市に選定され、京阪神が一体となり国内外の投資家等への情報発信に努め、482社のスタートアップが誕生するなど大きな成果を挙げております。アクションプランにも記載のとおり、万博後も見据えながら、3都市がより一層連携を強化して取り組んでまいります。現在、万博を契機に未来の京都を担う人や企業、文化を創っていくため、多くの若者や学生等に参画をいただき、京都ブースでの展示内容等の企画立案を進めております。子供たちに対するアクションにつきましては、諸課題も含め、京都府や関係機関と協議をしてまいります。私からは以上でございます。
○議長(西村義直) 稲田教育長。 〔稲田教育長登壇〕
◎教育長(稲田新吾) 中学校の通学区域についてでございます。本市では、明治の初めにまちの復興を教育に懸け、地域の皆様がお金を出し合い、日本で初めての番組小学校を創設された伝統を受け継ぎ、地域に開かれた学校づくりの理念の下、学校・家庭・地域が一体となって、地域の自然や歴史、伝統文化を学ぶ活動、環境教育、歴史、食育など、京都ならではの教育活動を展開しており、そうした中で通学区域は重要な役割を果たしております。 また、小中学校の通学区域については、長年にわたり定着し、地域の諸団体の活動とも密接に結び付いております。そのため通学区域の変更は、学校統合をはじめとした限定的な条件が伴う場合に実施することとしておりますが、関係する地域での総意をもって御要望いただいた場合に、子供たちへの影響はもとより、児童生徒数の推移や施設状況等を総合的に勘案しながら、一定地域全体としての通学区域を変更する場合もございます。 また、戦後の中学校の義務教育化に伴い、既存の小学校を中学校に転用したといった経過から、同一の小学校から複数の中学校に通学する地域など、複雑な通学区域が存在することについては、全市で進める小中一貫教育を充実するうえでも課題であると認識しており、例えば中京区の一部地域におきましては、中学校の通学区域を変更するなど複雑な通学区域の解消を進めてきたところであります。今後とも、地域の子供は地域で育てるという本市教育の伝統と理念を大切にしながら、保護者、地域の御理解の下、通学区域の適切な運用を進めてまいります。
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○議長(西村義直) 次に、市政一般について、森かれん議員に発言を許します。森議員。 〔森かれん議員登壇(拍手)〕
◆(森かれん議員) 上京区選出の森かれんです。維新・京都・国民市会議員団を代表し市政一般について質問いたします。 初めに、令和4年度公営企業決算について伺います。一般会計決算については、税収増が追い風となり77億円の黒字を計上したことについては評価するものの、公営企業、とりわけ交通局については苦戦を強いられています。地下鉄事業が計画から2年前倒しで経営健全化団体から脱却し、市バス・地下鉄の乗客数は回復傾向にあることは好材料ですが、問題が先送りになっている料金改定やオーバーツーリズム対策などに加え、担い手不足、燃料費の高騰など抱える課題は山積みです。オーバーツーリズム対策で言えば、市バスについては、4分の1の黒字路線については混雑で再び市民が乗れない問題が発生しています。生活路線と観光路線の分離や、金閣寺前、清水寺前などの観光名所前のバス停に生活路線では停車させないなどの工夫については、検証も含め、採れる対応をすぐに行うべきと考えます。 さらに、交通渋滞についても、コロナ禍前は平成22年の28.9パーセントから9パーセント前後にまで順調に減少させてきたものの、コロナ禍で感染予防の観点から公共交通機関の利用控えが起こったためか、令和2年度から徐々に増加傾向です。市バス・地下鉄共に感染予防対策を徹底していること、車移動ではなく公共交通機関の方がスムーズに観光ができるというPRも含め急務であります。 運賃については、原則、同一サービス、同一運賃にすべきですが、法律上、観光路線と市民路線を別路線にして金額で差をつけることも市民にポイント還元することも可能です。単純に観光路線の値段を上げると、そのバスに観光客を誘導するのは経済合理性から見て困難であり、何らかの付加価値を付けて対応しなければなりません。付加価値をどのように提供するのかが最大の課題であります。 地下鉄事業についても、インバウンド収入が期待できる地下鉄のキャッシュレス決済の導入については、実証実験を実施するなど収入増を目指すべきです。市バス・地下鉄共に、今はアイデアを総動員し、増客増収に向け実効性のある施策を行うべきであります。 上下水道局については、両事業共に黒字を確保したことを評価しますが、長期的な経営状況を見れば楽観視できません。特に、老朽配水管の更新については、平成20年から令和14年の期間に計画的に進められていますが、この25年で更新できるのは水道管総延長の4,250キロメートルに対し610キロメートルと、7分の1しか進んでおらず、さらに耐用年数40年で区切ると、令和23年には全体の75パーセントに当たる3,170キロメートルが老朽化すると言われています。費用についても、現在の計画の610キロメートルの更新で総額1,000億円するともされており、今後老朽化する配水管3,170キロメートルのうち、既に決まっている610キロメートルを除いて、仮に半分を令和23年までに更新するならば、少なくとも2,000億円近くの財源が必要です。2018年から2022年までの中期経営プランでは、水道料金・下水道使用料水準は維持すると明言していましたが、2023年から2027年のプランにおいては、厳しい経営環境の見通しの中、世代間の負担が公平なものになるよう、将来の事業量の見通しや社会情勢等を踏まえ、適正な水道料金・下水道使用料の在り方について検討しますと、料金改定について含みを持たせています。急な値上げを避けるため、管路更新について全てを曖昧にせず現状と今後必要な管路更新キロ数や財源についてしっかり把握し、市民に対し情報をオープンにすべきと考えます。 市長に2点伺います。一つは、市民の耳目を集める交通局の運賃改定についてです。2年前倒しで地下鉄事業が経営健全化団体から脱却したこと、バス・地下鉄共に乗客数が回復し始めている今を契機と捉え、増客増収に向けて取り組む段階であることから我が会派は運賃について据え置くべきと考えますが、市長はどのようにお考えですか。お答えください。 二つ目は、水道管の更新についてです。近年激甚化する水災害や地震などのリスクに加え、万が一水道管に亀裂が生じた場合の市民への影響を鑑みれば、いつまでに、どのようにして財源を確保して、更新をしていくかは非常に重要な課題です。水道料金に影響が出ないのか、管路更新の優先順位をどのようにつけるかも含め早期に実態を公表すべきですが、市長のお考えをお聞かせください。 次に、地域企業における脱炭素経営への支援について伺います。本市は、2019年5月に、国に先駆けて全国で最初にカーボンゼロシティ宣言行ったことは国内外から評価され、今後の動向がより一層注目されています。脱炭素の取組について、あくまでCSRの一環という認識であった産業部門についても、ESG投資の拡大などによってビジネスチャンスと捉えられるようになっただけではなく、大企業の要請が脱炭素経営に乗り出すインセンティブの一つになっていると言われています。例えば、アップル社のホームページでは、パーツと部品を製造する全てのサプライヤーは、2030年までに全てのアップル製品の製造において100パーセント再生可能電力を使用することを確約していますと明記しています。アップル社のサプライヤーリスト2022に掲載された京都市内企業は2社のみですが、この宣言は決してその2社だけに向けられたものだけではありません。その2社の下請け企業は市内にも多数存在しており、最終的に、iPhoneやアップルウォッチなどに組み込まれる部品を再エネ電力で製造できない場合、今後納品させてもらえない可能性も出てきます。また、アップルだけに限った話ではなく、トヨタ自動車においても数百社の仕入先に対して、CO2排出量を2019年度比で毎年4パーセントずつ減らし2050年に実質ゼロを要請するなど、脱炭素でのものづくりは欧州をはじめとする世界各国へ製品を輸出する多くの京都企業が今後向き合うべき時流と言えます。つまり、規模に関係なく地域企業も脱炭素経営に乗り出さざるを得ない状況にあり、脱炭素でのものづくりができる環境整備を整えることは、今後の京都のものづくりを支える重要施策になるということであります。 四半期に一度実施される京都市中小企業経営動向実態調査において、脱炭素に向けた貴社の取組状況について付帯調査が行われました。脱炭素に向けた取組状況に関する質問について、取組を進めていると回答した企業が13パーセント、必要性を感じており、今後取組を進める予定が17.4パーセントと3割に及ぶ事業者が脱炭素経営に乗り出していることが判明した一方で、必要性は感じているが、取り組めていないと回答した企業が47.1パーセントと半数近くを占めています。脱炭素経営に取り組めていない要因については、何をすればよいか分からないが47.9パーセントと、必要性は感じながらも、実際には何から始めればよいかが分からないという実態が浮き彫りとなりました。また、自社のCO2排出量を把握しているかという問いについては、把握していないが80.6パーセントと、企業におけるCO2排出量の見える化が進んでいないことも調査で明らかになっています。産業サプライチェーン全体で脱炭素を進めるためには、第一段階として、各企業がCO2排出量を正しく把握することが重要です。意欲のある企業がどのようなニーズを持っているのかを把握するとともに、まず、CO2排出量の見える化を支援することから始めるべきではないでしょうか。宮崎県では、令和5年度県内企業50社限定で民間企業のCO2排出量可視化のクラウドサービスを活用し、排出量の見える化や削減計画の策定のサポート、脱炭素経営の基礎的な研修などを全額補助する事業を約500万円で予算化しています。既存のものを活用し、委託によってニーズに対応する方法も含め、是非御検討いただきたく存じます。 さらに、温室効果ガス排出の8割を占める電気・ガス・燃油などのエネルギーをどのように再エネシフトさせるかが肝要です。現在の再エネ電力の調達方法は、ソーラーパネル等を設置して自家発電する方法だけではなく、技術革新と共に選択肢が増え始めています。京都市は土地特性上、メガソーラーや風力発電などの大規模再エネ発電設備を整備することは困難であるため、契約で指定した再エネ電力を長期に購入するコーポレートPPAや再エネ電力が生み出す環境価値を証書で購入する方法などについて、コスト面、メリット、デメリットも提示しながら普及すべきです。ただ、個々の企業が自社で賄う電力を再エネにするために、どのような方法であればコストが安く、よりメリットが得られるかの判断は非常に難しく、専門知識を有する人材が不可欠です。けれども、GXに対応できる人材も圧倒的に不足していると言われており、人材育成も含めて企業努力だけに委ねるのは困難であります。大阪府と大阪市が共同で実施している電力需要家である事業者と、再エネ100パーセント電力を供給する発電事業所とのマッチングを専門に扱う民間事業者が掘り起こす事業が実施されています。マッチングを行う企業と協定締結をするだけではなく、他都市の動向も注視し、再エネ電力シフト並びに企業の脱炭素経営を後押しすることは重要なのではないでしょうか。 市長に2点伺います。脱炭素はもはや環境政策局だけの問題ではなく、カーボンニュートラルイコール新たな産業革命と言うべき世界的時流であり、全庁を挙げて取り組む課題であると認識を新たにしていただきたいところであります。一つ目は、脱炭素経営に乗り出そうとしている地域企業について、CO2排出量の測定、研修など、民間活力を支援を行うべきと考えますがいかがでしょうか、お答えください。 次に、再エネ電力普及についても、広く企業にお知らせしながら行政で支援すべき仕組みを作るべきと考えますがいかがでしょうか。 以上で質問を終えます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(西村義直) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 森かれん議員の御質問にお答えいたします。 地域企業の脱炭素経営に対する支援についてでございます。京都市は、2050年CO2排出量正味ゼロを全国に先駆けて宣言し、また、全国初の地球温暖化対策に特化した条例を議会で制定していただき、先進的な取組を全庁挙げて実施しております。環境政策局の仕事とは、誰も思っておりません。よろしくお願いします。そして何よりも、この中小企業、零細企業が多い中で、市民、民間事業者の皆様と共に、先進的に取り組んでまいりました。その結果、エネルギー消費量がピーク時から約3割減るなど、着実に成果を挙げており、こうした京都市の取組は、全国的にも国際的にも高い評価を得ております。京都市の市民ぐるみ、民間ぐるみの気候変動に対する取組は、国際的な環境の評価システム、開示システムCDP Citiesで最も高いA評価を受けており、それが日本でA評価2年連続は、基礎自治体では京都市のみであります。市民の皆さん、事業者の皆さんにも敬意を表したいと思っています。 さて、脱炭素の実現には、大企業はもとより、中小企業も含めて全ての事業者による更なるエネルギーの消費量の削減と再生可能エネルギーの導入拡大が必要不可欠であります。そのため、昨年度からは先進的な中規模事業者対策といたしまして、脱炭素への気付きと、更なる取組の契機となることを目的としたエネルギー消費量等の報告書制度を開始し、そのフィードバックにおいてCO2排出量の見える化を図っております。さらに、今年度からは、先般予算拡充の議決もいただきました中小事業者に対する高効率機器導入への補助、また、市内中小企業を対象とした脱炭素経営セミナーの開催等に取り組み、企業の脱炭素化を支援いたしております。さらに、これまでから、京都府や地元金融機関、経済界等とも連携し、中小企業等の脱炭素化を地域ぐるみで支援する体制を構築しており、各種のセミナーを通じた担い手の育成や、CO2排出量算定支援ツールの作成等の取組を進めているところであります。 再エネ電力につきましても、企業が自主的に再エネ転換を宣言し実践することで、企業価値の向上やビジネスチャンスの拡大にもつなげる再エネ100宣言RE Actionの普及促進や、相談窓口を設けたプラットフォームの構築のうえ、0円ソーラー事業者と企業など建物所有者とのマッチング支援に取り組むなど、企業の再エネシフトを促しております。今後とも、京都議定書、また、パリ協定の実行を支えるIPCC京都ガイドライン採択の地、誕生の地として、事業者の皆様をはじめとするあらゆる主体と危機感と目標を共有し、更なる地域企業の自主的な脱炭素化の促進を図ってまいります。 以下、関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(西村義直) 北村公営企業管理者。 〔北村公営企業管理者登壇〕
◎公営企業管理者(北村信幸) 市バス・地下鉄の運賃改定についてでございます。運賃収入はこの3年間で325億円もの減収となり、令和4年3月に策定いたしました経営ビジョン改訂版では、市バス8パーセント、地下鉄7パーセントの運賃改定を見込まざるを得ない状況でした。地下鉄につきましては、経営改善の取組やお客様の回復に加えまして、積極的な要望活動により実現した国の財政支援の効果がとりわけ大きく、更なる経営努力が前提とはなるものの運賃改定を回避することができました。 一方、市バスは、地下鉄と収支構造が異なり国の財政支援の効果が限定的であり、お客様数は令和2年度を底に回復基調にあるとはいうものの、コロナ前までは戻り切っておらず、さらには、軽油単価の上昇や人件費の高騰など、大変厳しい経営状況が継続しております。特に、現在大きな社会問題となっております担い手不足は、本市交通事業にとっても深刻な課題であり、現在の路線を維持しながら混雑対策にも対応していくためには、市バス・地下鉄の運行を支える職員の処遇改善に取り組んでいく必要があると考えております。 市バスネットワークは、コロナ前においても、4分の1の黒字が4分の3の赤字を支える構造となっております。市内をきめ細やかに走る全国でもトップ水準のバス路線を維持することが私どもの使命でございます。そのためには、運賃改定を見込まざるを得ない状況に変わりはございませんが、経営ビジョン改訂版の策定時に市会で御議決いただきました付帯決議の趣旨をしっかりと踏まえ、運賃改定は最後の手段と認識し、引き続き利用促進や収入増加策などあらゆる経営改善の取組を推進してまいります。
○議長(西村義直) 吉川公営企業管理者。 〔吉川公営企業管理者登壇〕
◎公営企業管理者(吉川雅則) 水道配水管の更新についてでございます。老朽化が進む配水管については、昭和52年度以前に布設した初期ダクタイル鋳鉄管を解消すべく、平成20年度からその他の配水管も含めた計画的な更新を進めております。平成25年度からは、更新率をそれまでの3倍となる1.5パーセントまで段階的に引き上げてスピードアップを図っており、平成20年度から令和4年度末までに、553キロメートルの更新を実施したところであります。今年度からの中期経営プランでは、令和9年度までの5年間で更に255キロメートルの更新を見込んでおり、災害発生時に広範囲に影響を及ぼす口径の大きい幹線配水管の更新割合を増加させるなど、これまで以上に優先度を考慮して事業を推進してまいります。 また、京の水ビジョンに基づき、令和14年度末までに初期ダクタイル鋳鉄管を解消した後も、老朽化により更新が必要な配水管の増加が見込まれることから、既に令和4年度に設置した施設マネジメント推進プロジェクトチームにおいて、今後30年以上先を見据えて将来の適正な事業費の規模を把握するための調査・検討を開始しております。今後、配水管の性能向上や最新の知見も踏まえて、長期の使用年数を設定することで、事業量・事業費の平準化に向けた検討を進め、中期経営プランの期間の中間時点を目途に、将来必要となる事業費等の長期的な見通しを検証することとしています。そのうえで、料金収入の見通しや配水管の更新財源となる積立金の必要額を再検証し、今後の経営計画に反映してまいります。以上でございます。
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○議長(西村義直) 次に、市政一般について、小島信太郎議員に発言を許します。小島議員。 〔小島信太郎議員登壇(拍手)〕
◆(小島信太郎議員) 山科区選出の小島信太郎です。先のこうち大輔議員、森かれん議員、続く期待の新人3名、北尾ゆか議員、河村諒議員、土方莉紗議員と共に維新・京都・国民京都市会議員団を代表して質問いたします。 令和3年度予算における200億円超の収支不足から、2年後の令和5年度予算では収支が均衡。令和3年度決算の85億円の赤字から本決算では77億円の黒字と、予算では2年で236億円、決算は1年で162億円と、コロナ禍を背景に本市財政は大きく揺れ動いたことになります。この間の大き過ぎる想定外を可能な限り排除しなければ、行財政改革の成果を正しく検証することはできません。令和5年度予算では、2年で赤字が解消された要因として、改革による歳出削減効果が64億円、税収・交付税増加による歳入の伸びが172億円であると示されてきましたが、本決算では、改革による経常的な歳出削減効果がどの程度か明確になっていません。予算ベースで行財政改革を検証するならば、令和5年度に改革の効果とされた約64億円は、コロナ禍以前・令和元年の約128億円の赤字解消に対して不十分であると言えます。同様に、決算ベースで見たときに、令和元年度の収支不足84億円に対して、本決算における歳出削減効果が十分であるかどうかでこの間の行財政改革を評価しなければなりません。財政の改善を支える収入増については、先ほどこうち議員から申し上げたように、不透明な要素が多くあります。だからこそ、単年度の収支に一喜一憂することなく、行財政改革の効果について検証し、本市が抱える潜在的な財源不足が解消したか否かをつまびらかにしなければなりません。本決算をにらみ、行財政改革の十分性についてお答えください。 さて、私はかねてから、改革により削減した予算のできるだけ多くを今求められる施策に付け替えることこそ改革のゴールであると申し上げてきました。しかし、行財政改革スタート時のやり取りでは、財政上の危機感を墜落寸前の飛行機に例えられ、今は墜落を避けるため、とにかく歳出削減に取り組むしかないと、新たな施策に再分配する余裕まではないと難色が示されてきました。改革の効果が十分か否かにかかわらず、幸いなことに財政状況が改善した今こそ、目指すべき改革の道筋を立て直すべきではないでしょうか。行財政改革の対象となった本市独自施策は、この間の財政危機以前より見直しの必要性が指摘されてきました。見直しの必要性があることは確かですが、市民負担増と引き換えに財政が改善するというのでは、市民理解は望めません。本市の内情からすればつらいところですが、税を納めているのだから赤字なく運営するのは当然というのが市民感情なのです。歳出を削る改革をとことん行ったうえで、生み出した予算のできるだけ多くを新たなサービスとして市民に還元してこそ市民理解を得られるはずです。また、時代に先駆けて本市独自施策を実施してきた諸先輩方に対し、真に敬意を示すのは、施策を形だけ継承することではなく、これからの時代に必要な施策を作り上げる改革マインドを継承することであります。改革を後ろ戻しにするのでも、予算を削って施策をマイナーチェンジするのでもなく、お金の使い道を変えて、新たな市民サービスを構築する改革を今こそ徹底すべきではないでしょうか、お答えください。 門川市長、既に今任期での退任を表明しておられますが、市長の4期目を応援した立場として、あらゆるしがらみから解放される今こそ、真に耐えるべきものに向き合っていただくことを期待して、次の質問に移ります。 本市における最も大きな課題は人口減少です。緊急性の高い課題にスピード感を持って対応する機動部隊を意味するタスクフォースが設けられることから、課題認識については共有されていると考えます。本市の人口減少の問題点は、若者の周辺自治体への人口流出が顕著であるというところであり、そこには、住む場所、働く場所といったハード面のほかに、自治体間の人口獲得競争の激化が関係していると申し上げてきました。本市が望む望まないにかかわらず、競争にくみしなければ負け組となり、人口を失うばかりであり、若者ひいては現役世代が減少すれば全ての世代を支える福祉施策がますます持続困難になります。 そこで、若年・子育て世代をターゲットに、各自治体が、是非我がまちにと施策を戦わせる最大の主戦場となっている子育て施策について三つのポイントから質問いたします。 人口獲得競争に打ち勝つポイントの一つ目は、戦う相手が誰であるかを明確にすることです。先ほど触れたように、本来は京都市に住み続けられるはずの若者が、わざわざ周辺自治体へ流出していることが課題であり、周辺自治体というのは、言うまでもなく政令市ではなく、府内や大阪北部、滋賀県の一般市です。これまで本市が制度を比較する相手は常に政令市でした。これは条件を公平にするうえでは妥当な比較対象でありますが、人口減少を緊急性の高い課題と認識すれば不十分であると言わざるを得ません。本市と土俵の異なる不利な競争相手である一般市が相手であることを自覚し、どこまで独自施策の存在感を示すことができるかが肝要です。例えば、本市ではこの9月から、子ども医療費の助成拡充により、上限額を1,500円から200円まで引き下げられました。これは正に政令市トップ水準の施策でありますが、残り数億円の予算を捻出すれば、括弧書きを外して、全国トップ水準となる医療費無償化を実現することが可能なはずです。本気で人口獲得競争に向き合うのであれば、一定無理をしてでも施策を政令市水準から全国トップ水準に引き上げる必要があると考えますがいかがでしょうか。 人口獲得競争における二つ目のポイントは、受益感の創出です。独自の財源を用いて独自施策を行うのであれば、本市に住む、働く、子育てすることの利益を感じていただかなくてはなりません。施策の受益感という観点で、民間保育園等への人件費等補助金の課題について2月の市長総括で申し上げました。当の保育士の方々による制度理解が進んでいなかったということです。これまでの施策の恩恵は感じられず、見直されることになって初めて不満だけが募っているとも見受けられます。全国で保育士不足が深刻化する中、待遇改善で注目されている自治体の一つが千葉県松戸市です。松戸手当と呼ばれる制度では、勤続年数により4万5,000円から7万8,000円を通常給与に上乗せすると明記しており、給与補助のメリットが非常に分かりやすくなっています。あわせて、松戸モデルでは、市独自の返済不要の修学資金援助など、これから学び、働く保育士の方々にとって大変魅力的なものになっています。今後、民間保育園等への人件費等補助金について更なる見直しが進められる中、本市で働くことの魅力につながるより受益感のある制度への転換を求めますがいかがでしょうか。 三つ目のポイントとして、競争にはトレンドがあるということです。かねてから指摘していますが、果たして、本市の看板施策であり続ける待機児童ゼロは、競争において時宜を得ていると言えるでしょうか。現在、少子化の加速により、全国の自治体で待機児童が減少傾向です。他方で、待機児童が増えている自治体は、若年人口と子供が増えている自治体であると言えます。横浜市が政令市初の待機児童ゼロを達成したときのように、待機児童ゼロのまちに子育て世代が集まるというのは今や昔です。もちろん潜在的な待機児童解消や細かな保育ニーズに対応した待機児童対策は続けるべきでありますが、子育て世代に訴え掛ける施策として、待機児童ゼロは時機を逸してしまっています。また、ゼロへのこだわりが、保育園等の定員割れを招いているという懸念もあわせて、今行うべきは待機児童ゼロに執着することではなく、新たな子育ての看板施策を掲げることにほかならないと考えますがいかがでしょうか。改革の徹底による施策の充実が、本市に住み、働き、子育てすることの喜びにつながることを願います。 次に、教育について質問します。愛知県で9月よりラーケーションなる制度が導入されました。学び・ラーニングと、休暇・バケーションを組み合わせたとする本制度では、年間3日間、学びや体験をすることを条件に公休扱いで欠席し、家族と過ごすことができるとされています。また、平日の家族旅行を認める別府市のたびスタも類似の制度です。土曜・日曜に働く保護者が多くなっていることが導入の背景とされますが、温泉観光地である別府市は、飲食・宿泊関係業に従事する保護者が多いことが特段の理由とされています。本市の飲食・宿泊関係業の就業者割合は別府市に僅か及ばないものの、愛知県より5パーセント程度高く、土曜・日曜に働く保護者の割合は高いと考えられます。学校での学習が大事であるのは当然ですが、家族との体験・経験が掛け替えのないものであることは疑いようがなく、働き方によって子供との大切な時間が失われている現状は看過できません。本来は、これらの制度がなくとも、自由意志で欠席すればいいとも思いますが、授業を休んで出掛けることに子供も保護者も抵抗感が根強いというのが現状です。現に今、質問を聞いておられる方の中にも、学校を休んで遊びに行くなんてけしからんと思っていらっしゃる方もおられるのではないでしょうか。不登校を考えるうえでも、学校に行くというのが唯一の選択肢でないことを啓発し、学びの多様性を広めることが重要とされています。学校では得られない体験・経験を得るために、何より保護者との愛着関係を深めるために、ラーケーションやたびスタのように公に欠席を認める制度を検討すべきと考えますがいかがでしょうか。 次に、これまではばかっておりましたが、私情も込めて猫について質問いたします。殺処分される猫を減らしたい愛猫家と野良猫による被害を訴える住民の双方の思いを酌み取るために、野良猫を捕獲して去勢避妊を施し、元の場所に戻すTNR活動が重要です。本市では、まちねこ活動支援事業でTNR活動を促進していますが、制度を利用するハードルが高いことで思うように成果が得られていないと懸念します。まちねこ活動を始めるためには、地域住民2名以上でグループを作り、町内会の合意形成を図る等が必要とされていますが、特に、町内会長の合意を得るという過程については難しく、次期会長に先送りされたり、会議や回覧に多くの時間を要することになります。TNR活動は一刻を争うと言われます。それだけ猫は繁殖力が高く、出産から二、三か月もすれば新たに子供を産み、更にその子供も数箇月で妊娠可能となり、猫ではありますが、ねずみ算式に増えてしまいます。まちねこ活動に地域理解が必要なのは当然ですが、制度を利用できず、結果として子猫が生まれて野良猫が増えてしまったり、個人や民間団体が自己負担で対応せざるを得なくなってしまっています。事業の利用にハードルを設けて入口を狭めるのではなく、去勢避妊手術と餌やり等の指導、地域理解を同時並行で行い、効果的に野良猫の数を抑制することが周辺住民にとっても有意義なはずです。ここで確かなことは、TNR活動の前後で周辺環境が悪化するということは一切ないということです。自分自身が目にする野良猫を取り巻く環境からすれば、まちねこ活動支援事業の実績は少ないと言わざるを得ません。制度利用の条件緩和や去勢避妊手術を受け入れるキャパシティの増加に向けて取組が必要と考えますがいかがかでしょうか。また、あわせて、保護猫の譲渡に取り組まれる民間団体が、本市の公営施設で譲渡会を開催することができるよう検討することも求めておきます。 最後に、地域要望を申し上げます。地域交通を支援するうえで、地域のモビリティ・マネジメント活動は重要な尺度です。山科区では、鏡山循環バスやくるり山科など、精力的なモビリティ・マネジメントを展開いただいていますが、小金塚地域ではある意味究極のモビリティ・マネジメントと言える地域住民によるボランティアバスを運行いただいております。現状として、バスが安全に運行できる支援について要望いたしますが、中長期的にボランティアで運行を続けていくのは難しいというのが地域の切実なお声です。他方で、2024年問題を皮切りに2030年に向けてバス運転手不足はますます深刻化し、事業者による運転再開に向けては、お金の問題だけではない大きな課題が生じています。運転手不足に鑑み、地域交通を維持するためには、需要の高い市街地・観光路線では連節バス、交通不便地域では自動運転やライドシェアといった次世代交通の導入に向けて、民間企業の実証実験を呼び込むなど精力的な取組が求められます。特に、献身的なモビリティ・マネジメントに取り組む地域においては、持続可能な交通手段の確立に全力を傾けるべきことを強く要望いたします。 あらゆる社会課題が噴出し、人口獲得競争がし烈化する中、変わらなければ衰退するのみであることを痛感しております。本議会が本市の未来に向けて前向きな転換点となることを望み、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(西村義直) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 小島信太郎議員の御質問にお答えします。 行財政改革の効果と今後の進め方についてでございます。令和4年度決算では、21年ぶりに特別の財源対策から脱却し77億円の黒字となり、行財政改革計画で10年以上掛かるとした目標を2年で達成できることができました。これは市民の皆様、関係者の皆様の御理解・御協力を得ながら、国との緊密な連携、府市協調の下、行財政改革と都市の成長をスピード感を持って進めてきた成果であります。しかし、いまだ残る470億円の過去負債、高齢化等による社会福祉関係経費の増加、景気変動リスク等への懸念など、依然として油断は禁物であります。持続可能な行財政改革の確立に向けた道筋をより確かなものにしていくために、今年8月には過去負債の返済、都市の成長戦略の更なる推進、たゆまない改革を柱とする今後の財政方針をお示ししたところでございます。この間、行財政改革を進める中におきましても、例えば今年度予算で改革で捻出した財源を活用し、子ども医療費支給制度の充実、民間保育所等の老朽化度調査、全員制中学校給食実施へ向けての調査を実施するなど、子育て支援・教育を充実し、京都の魅力を更に伸ばしているところでございます。さらに、今般の9月補正予算では、高齢化がピークを迎える令和20年度目標にしつつ、できる限り早期に過去負債を返済するための35億円を過去返済に充てまして将来負担の軽減を図ってまいりました。同時に、都市の成長戦略として、コロナ禍から回復しつつある中小企業等の更なる成長支援や観光課題解決に向けた経費として17億円もの一般財源を投入しております。 今後も、改革と市民の豊かさにつながる成長戦略を加速化させることによりまして、足腰の強い財政基盤の更なる強化に、また安定に取り組み、魅力ある京都を未来へと引き継いでまいります。よろしくお願いいたします。 以下、副市長及び関係理事者が御答弁を申し上げます。
○議長(西村義直) 吉田副市長。 〔吉田副市長登壇〕
◎副市長(吉田良比呂) 人口減少対策としての子育て施策についてでございます。人口減少対策については、子育て支援、住まい、仕事など、あらゆる施策に全庁体制で取り組んでおります。子育て支援については、市政の最重要施策として子ども医療費の大幅な自己負担額の引下げや国を上回る保育士配置や処遇改善による手厚い体制での保育など、あらゆる政策に取り組み、本市の子育て環境は全国トップ水準にあります。また、こうした子育て環境は全国統一的に実施すべきであり、国に制度化するよう要望しております。目立った施策だけをするのではなく、国とも連携し、妊娠前から子供・若者まで、切れ目なく市民力・地域力・文化力も結集して、総合的に子育て支援の充実に取り組んでまいります。 また、人件費等補助金につきましては、令和4年度の制度再構築後も、全国平均を100万円以上上回る給与水準を確保するなど、周辺市と比べても非常に手厚い支援を行っております。補助金につきましては、全体的な処遇を改善するものであるため、保育士個人ではなく雇用主である法人にお支払いをしておりますが、保育士の方々にも施策の趣旨を理解いただくことは、保育現場の担い手確保を進めていくうえでも極めて重要であります。この間、保育士会との意見交換などを行っておりますが、引き続き制度の周知に努めるとともに、現場で働く方々に魅力を感じていただけるよう取り組んでまいります。 また、待機児童については、今年度においても待機児童が生じている政令市がある中、誰一人取り残さないという理念の下、先進的に医療的ケア児を受け入れ、ゼロを継続しており、子育て世帯の安心感にもつながっております。今後とも、これまで培ってきた子育て支援の理念を大切に、全国トップレベルの子育て環境を更に強化してまいります。以上でございます。
○議長(西村義直) 安部保健福祉局長。 〔安部新型コロナ対策・ワクチン接種統括監登壇〕
◎新型コロナ対策・ワクチン接種統括監(安部康則) まちねこ活動支援事業についてでございます。まちねこ活動は、地域住民の理解の下、地域で暮らす野良猫をしっかりとしたルールを定めて世話することで、一代限りの命を全うさせながらその数を減らしていく活動であり、本市ではその支援として本市職員が無償で避妊去勢手術を実施しています。これまで延べ323の活動地域が登録され、2,100頭の避妊去勢手術を滞りなく行ってまいりました。こうした取組により、ふん尿に関する苦情件数も着実に減少しており、まちねこ活動を行う有志の方、地域住民の双方にとって意義ある制度となっています。また、この事業については、平成27年度に地域で活動される人数要件を3名から2名に緩和し、令和3年度には毎年7月から9月を避妊去勢手術の強化期間として、手術体制を構築のうえ受入日数を拡大するなど利用しやすい制度に適宜見直していますが、事前に地域住民の理解を得たうえで実施してこそ、持続可能かつ効果的なものとなります。本市といたしましては、地域住民の理解を得るため、これまでから本市職員が地域住民への制度説明や活動者に対する助言などを行い粘り強く支援しておりますが、今後とも、まちねこ活動が地域においてより一層進むよう取組を進めてまいります。また、より効果的で利用しやすい制度となるような事業の在り方についても研究し、引き続き、人にも動物にも暮らしやすい共生のまちづくりを進めてまいります。以上でございます。
○議長(西村義直) 稲田教育長。 〔稲田教育長登壇〕
◎教育長(稲田新吾) 児童生徒向けの公休の導入についてでございます。児童生徒の健やかな学びと育ちにとって多様な体験活動は大変意義深く、本市では、全市立小中学校での茶道・華道体験や宿泊を伴う自然体験活動の推進等を実施し、家庭環境にかかわらず全ての子供たちが学校教育全体を通して豊かな体験活動を経験できるよう取り組んでまいりました。先ほど議員から御紹介いただきましたラーケーションの日やたびスタ休暇につきましては、体験活動の大切さと共に教育の原点である家庭での取組を大切にし、家庭での親子の触れ合いを支援するものとして、その趣旨は理解しております。しかし、一方で本取組については、公休日を申請した児童生徒への学習保障の在り方や公休日が集中した場合に、教育活動に支障を来すなどの懸念も指摘されているところです。今後、そうした懸念される課題への対応の在り方等について、導入される自治体の状況を注視するとともに学校現場やPTAとも意見交換し、本市での実施の是非について慎重に検討してまいります。 なお、不登校児童生徒への支援については、ラーケーション等の取組と趣旨が異なると認識しておりますが、本市では、従来の在籍校への登校再開ありきでなく、ICTを活用した学校からの支援やフリースクール等との連携、さらに市内5か所に設置するふれあいの杜学習室での学習や全国の公立学校で14校しかない学びの多様化学校、いわゆる不登校特例校を本市では全国に先駆けて2校設置するなどの取組を進めており、引き続き、多様な学びと場の充実を図ってまいります。以上でございます。
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○議長(西村義直) 暫時休憩いたします。 〔午後3時11分休憩〕 〔午後3時36分再開〕
○議長(西村義直) 休憩前に引き続き、会議を行います。
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○議長(西村義直) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について、北尾ゆか議員に発言を許します。北尾議員。 〔北尾ゆか議員登壇(拍手)〕
◆(北尾ゆか議員) 下京区選出の北尾ゆかです。維新・京都・国民市会議員団を代表して市政一般について質問いたします。4月に行われました統一地方選挙において多くの下京区の皆様からの御支援を受けて、初めて議席を頂戴いたしました。改めて感謝申し上げます。京都市のため全力でまい進してまいります。 それでは、質問に入らせていただきます。京都市は、観光都市としてはブランドを確立しました。コロナ禍が明けた近頃、またたくさんの観光客でにぎわっています。しかし、その一方で京都市内はホテルが建ち並び、子供たちを伸び伸びと遊ばす環境もない中で土地は高騰し、子育て世帯が家やマンションを購入するのにはハードルが高く、子育て世帯の居場所はなくなり、他都市に流出しています。私の友人や知人も他都市に引っ越し、人口流出を身近に感じました。そして私自身、二人の子を産んで知った京都市の子育て世代の住みづらさが立候補のきっかけでもありました。実際、京都市基本計画実施状況の子ども・若者支援の政策分野において、市民生活実感調査の総合評価が過去3年いずれもC評価になっています。そうしたことを踏まえ、私からは京都市の子育て環境に関しまして質問させていただきます。 まず、産後の子育て支援の拡充についてです。京都市では、第三子以降等産前産後ヘルパー派遣事業、育児支援ヘルパー派遣事業が展開されています。体調不良や育児不安を抱えるお母さんのいる御家庭や第三子以降といった現状の支援では対象となる方が限定されているうえ、母親にフォーカスを当てた事業となっており、育児休暇を取得する父親もいる今の時代に即しておりません。例えば福岡市では、日中、家族等から家事や育児の支援が受けることが難しい妊娠中、または生後1年未満の赤ちゃんがいる御家庭を対象に、妊娠中は最大10回、産後最大20回、第二子以降は出生時点で兄弟が未就学の場合は、最大40回まで産前産後ヘルパーの利用が1回500円でできる支援制度が整っています。出産後、ライフスタイルががらりと変化します。子育てに不安を感じたり周りからの協力が必要であったり、各世帯によって様々に悩みをお持ちです。また、夫婦のどちらか一方に家事や育児の負担が掛かっている状態をワンオペ育児と呼ばれるようになりましたが、ワンオペ育児の御家庭は誰かに頼りたくても頼れず、自分の子供だからと全部自分でしなければならないと抱え込み悩んでいる方々が多くいます。そのストレスが産後うつや虐待につながりかねません。そんなとき、ベビーシッターや家事代行サービスの支援を利用することができれば子育て世帯は救われるのです。市長、対象者を広げる等の産前産後ヘルパー制度を拡充すべきではないでしょうか。 また、併せて令和5年3月から、京都市出産・子育て応援事業を実施されております。これは、物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策において国が創設した出産・子育て応援交付金事業を活用した施策であります。京都市独自の施策としては、赤ちゃんのお生まれになった御家庭に保健師の方が家庭訪問される際、出産お祝いレター、子育て応援パンフレット等と共に京都市家庭ごみ有料指定袋無料引換券をお渡ししておられます。マンションに住む世帯が増えている中で、京都市の有料指定袋でごみを出さない世帯も多く、無料引換券が無駄になっている状況もあります。一方で、明石市や福岡市などおむつ等を定期的に届けてもらえる手厚い自治体もあります。9月から、草津市では草津市すくすく応援事業が始まっており、令和5年4月1日以降に出生した乳児一人当たり乳児の紙おむつ等の購入費を助成するため、3万円の商品券の支給を実施されています。本市も、産後の子育て世帯に需要のある物品の支援と京都市も更に施策を打ち出すべきではないかと提案いたします。我が会派は、子育て支援施策は市外流出を防ぐ点においても注力すべきであり、予算面においても一定の強化が必要であると考えます。さらに、今後も絶え間ない行財政改革を行い次世代への徹底投資を行っていくべきですが、市長のお考えをお聞かせください。 次に、子育て支援のデジタル化の推進について2点御質問いたします。京都市では、子育て支援の利便性を高めるため、子育てポータルサイト京都市子ども若者はぐくみウェブサイトや京都はぐくみアプリを運用しておられます。私が出産した約5年前とまだ余り変化はございませんが、令和6年1月にポータルサイト・アプリ共にアップデートの公開が予定されています。子育て支援の各種手続を済ませることができ、保護者の子育て支援を活用する際の利便性を必ず向上するように努めていただきたいと考えます。 まず、1点目に、子育て支援に係る予約のオンライン化についてです。例えば乳幼児健康診査に関してです。各区役所の子どもはぐくみ室から指定される日時の案内が対象者に郵送されます。乳幼児健康診査が実施されている時間帯は、育休を終えて職場復帰されている保護者にとって仕事を調整する必要があります。変更しようにも、現行は電話で日時の変更をするシステムのため、区役所に電話しなければならず、仕事や子供の送迎により変更も気軽にできない環境の御家庭も多くなっています。そのためオンラインで予約変更ができるシステムがあると重宝されます。実際、乳幼児健康診査のネット予約や予約変更システムを仙台市や大津市・草津市・明石市、ほかにも多くの自治体で導入されております。京都市では、離乳食講習会のオンライン予約を始められました。乳幼児健康診査の予約変更はもちろんのこと、子育て支援に関連する予約をオンライン化すべきです。 2点目は、子育て支援に係るペーパーレス化に関してです。先ほどお話ししました乳幼児健康診査の日時の案内と共に健康診査質問票等が郵送されます。子供の成長や発達についてや既往歴・予防接種の接種履歴を数枚にわたる大量の質問項目を記入しなければなりません。育児や家事や仕事で多忙を極める保護者の方々は、合間を縫って何枚もの紙に記入しなければなりません。予防接種の度に書く予診票もしかりです。数種類の予防接種を同時接種する際には、全ての予診票に何枚も手書きで記入するのが大変負担になっています。厚生労働省が乳幼児の定期予防接種について民間による電子的な予診票を利用可能とし、先行対応可能な市区町村から統一された予診票のデジタル化を順次実現することを目指すとも決定されています。千葉県市原市では、アプリから一括提出することができ、紙の提出が不要なデジタル予診票に既に取り組まれています。本市では、予防接種の接種履歴や子供の成長記録を個人で管理できる母子手帳アプリを令和6年1月に公開予定ですが、アプリを個人で管理するだけにとどまらず、接種記録の連携、予防接種の予診票のデジタル化の搭載にも取り組んでいただきたい。第二子保育料無料等の子育て支援を先進的に取り組んでいる自治体がある中で、京都市は後れをとっており、京都市から他都市へと子育て世帯が流出していくことに拍車を掛けていると考えます。まずは、今ある京都市の子育て支援制度に切り込み、子育て支援のデジタル化の推進を積極的に行うべきだと提案いたしますが、市長のお考えをお示しください。 続きまして、学童クラブ等の長期休み期間中の昼食の提供の推進について質問させていただきます。共働き世帯の親たちは、我が子の小学校入学前に自身の転職や退職、働き方に悩みます。本来、子育ても仕事も両立して母親も父親も平等に働ける環境でなければならないですが、今はその環境が整っていないため悩むのではないでしょうか。私自身も年中の娘がおり、小学校に入学したらどうしようかと悩んでいる一人です。それを小1の壁と呼びますが、子供たちの長期休みの過ごし方が原因の一つと言っても過言ではありません。長期休み期間中、子供たちの預け先が学童クラブに決まったとしても、毎日のお弁当作りがあるというハードルがあります。こども家庭庁は、小学生の夏休みに伴う放課後児童クラブでの昼食提供の推進に乗り出しました。自治体の判断に委ねられていますが、事業者と契約してお弁当を配っている奈良市、札幌市では、令和5年度の夏季長期休暇期間中、放課後児童クラブにおける昼食提供の試行実施が行われました。現段階でも取組を始めてられる自治体がありますが、京都市も学童クラブの長期休暇期間中の昼食提供を行うべきです。京都市の子育て環境ナンバーワンに一歩近付ける施策になり得ますが、市長の見解をお示しください。 最後に、京都市の子育て環境の意識改革について質問いたします。まず、市役所・京都市内の全区役所にキッズスペースを設けてはいかがでしょうか。京都市は各SNSやウェブサイトはぐくーも等で子育て・教育環境の広報活動をされておりますが、京都市民からも、他都市の方々からも、京都市は子育てしにくいまちというイメージをなかなか払拭できていません。京都市が先頭に立って京都市の子育て環境の意識改革をけん引していくべきです。奈良市役所では、9月1日より屋上こども広場をオープンされました。屋上に木製遊具や丸太ベンチ等を設置し、子供たちが遊べるスペースを確保されています。ほかにも数多くの自治体の役所内に設置されています。本市では、洛西支所で親子のあそびば、らくさいきのひろばを常設しています。その取組を速やかに全区役所に展開していただきたい。スマート区役所構想で活用しなくなったスペースを有効活用することもできるのではないでしょうか。出生届から乳幼児健診、保育園の申込みなど子供を出産すると度々訪れる区役所。子育て世帯の窓口である区役所にキッズスペースは必須であります。 また、先日まで、京都市役所の地下通路に子育て環境の広報物を配置されておりましたが、地下通路の奥の休憩スペースに、夕方、幼稚園や保育園帰りの親子が遊んでおられるのは御存知でしょうか。あのスペースに子供たちが遊べるスペースを施すことはできないのでしょうか。ゼスト御池の店舗内や空きスペースには既に設けられています。京都市内でなかなか屋内で遊ぶ施設がない中、京都市の中心となる京都市役所内の休憩スペースや屋上等に子供たちが遊べる親子の場所が実現できれば、京都市の子育て環境の意識改革に寄与することができるはずです。キッズスペースには、京都市の子育て環境についてのアンケート箱を置き、実際に子育て中の方々の生の声を集め市政に反映することも可能です。市役所・京都市全区役所に親子が憩える居場所キッズスペースを確保すべきと考えますが、本市のお考えをお示しください。 そして、京都市には、授乳やおむつ交換のスペースが設置されている乳幼児の子連れの外出に配慮された駅や店舗・企業が京都市内に数多く存在します。先日、文教はぐくみ委員会の視察で訪れました福岡市や北九州市等では、授乳やおむつ交換のスペースがある施設を赤ちゃんの駅と登録し、登録された施設にはステッカーやのぼりを掲示し、福岡市のLINE公式アカウントから登録施設が検索できる取組をされています。このような事業を展開すれば、乳幼児連れの方の外出中に大変便利なことはもちろんのこと、観光客の方々には京都市と子育てをひも付けるきっかけになります。京都市民の方々には、京都市の子育て環境に関する意識改革につながるのではないでしょうか。御説明しました赤ちゃんの駅に倣い、本市全体でも子育て世帯を支える意識の醸成を図ることを目的とした事業を展開すべきだと考えますが、市長の見解をお聞かせください。 京都市は数多くの著名人の出身地であります。それは京都市にあふれる文化や芸術に触れて育ち、感性が磨かれているからではないでしょうか。葵祭、祇園祭、時代祭、五山の送り火といった京都市の四大行事、茶道・華道・歌舞伎等の伝統文化や食文化。文化庁が京都市に移転したことは京都人として何よりの誇りだと思います。どんなまちにも代えがたいここ京都市から子育て世帯が流出していることが残念でなりません。子育て支援施策を底上げするとともに、京都市で育った子供たちが京都市で子育てしたいと思える包括的な環境づくりを目指し、本市全体が一丸となって門川市長が目指す子育て・教育環境日本一に取り組んでいただきたいです。 質問は以上で終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(西村義直) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 北尾ゆか議員の御質問にお答えいたします。 産前産後の子育て世帯への支援についてでございます。本市では、地域や関係機関の皆様と共に、充実した医療や相談体制、子育て支援のネットワークの構築等、きめ細かな取組を実施しており、全国的にも高い評価を頂いております。こうした京都市の子育て施策、子育て環境を市民の皆様に広く知っていただくことが重要と改めて痛感いたしております。例えば、本市独自の物品の支援は行っておりませんが、これまでから、産前産後期には4か月未満の乳児がおられる全ての家庭を対象に訪問するこんにちは赤ちゃん事業や、小児科医や歯科医師、保健師、保育士、心理職など専門職がワンストップで対応する乳幼児健康診査、さらには産後ケア事業等の施策を通じて、子育て家族の悩みに気付き、寄り添う支援をいたしております。第三子以降等、産前産後ヘルパー派遣事業につきましては、多胎児には最大32回まで利用可能とするとともに、市民税非課税世帯等には利用料の無料化など、家事や育児が困難な家庭に対して必要な支援を実施しております。 また、育児支援ヘルパー派遣事業につきましては、対象者を母親に限定せず父親も含めた家庭全体の養育力の向上に向け、体調不良や育児不安等の方を対象に、産後うつや虐待の未然防止の観点も含めて取り組んでおります。さらに、産後ケア事業につきましては、先にお答えしてましたように、来年度の早い時期から希望する全ての方を対象といたします。今後とも母親が不安やストレスを抱え孤立されないよう、産前産後の子育て世帯への施策の充実に取り組んでまいります。 加えて、子育て支援を市政の最重要政策として、子ども医療費のこの9月からの大幅な自己負担額の引下げや、保育所、学童クラブ事業における待機児童ゼロの継続、国基準を大きく上回る保育士加配による手厚い体制での保育等、あらゆる施策に取り組み、京都市の子育て環境は全国トップレベルであります。今後とも、市民の皆様と共に作り上げてきた本市の子育て環境を実感していただき、京都で産みたい、育てたいと感じていただけるよう、妊娠前から妊娠期、また出産前後、育児期と、切れ目のない子育て支援を充実できるように全力で取り組んでまいります。 以下、副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(西村義直) 吉田副市長。 〔吉田副市長登壇〕
◎副市長(吉田良比呂) 子育て世代を支える施設整備を通じた意識の醸成についてでございます。本市では、全国に先駆けて様々な子育て支援に取り組んでおり、子供の屋内の遊び場としては、こどもみらい館や洛西口高架下のガタゴトを設置しており、大変多くの御利用をいただいております。さらに、身近な地域において、乳幼児親子が気軽に集い、交流や相談できる拠点も全国で最も多い約180か所設置しているほか、NPOや地域団体などにおいても様々な取組が行われております。区役所・支所では、洛西支所のきのひろばのほか、総合庁舎整備を進めている西京区役所においても、子供の遊び場としてしても活用できる区民交流ロビーを整備予定です。また、南区役所においても、子育て支援ルームを設置していることに加え、再整備に係るサウンディング調査では、子育て環境の充実の観点からも提案を募っているところです。本庁舎地下2階奥のスペースにつきましては、北庁舎完成後に北庁舎への通路となる見込みでありますが、市庁舎では、授乳室を設置し、フリースペースや屋上庭園で保育園児のお散歩、親子でのひと休みなど様々な御利用をいただいております。 また、授乳・おむつ替えスペースや子育て世帯への割引サービスなどを提供する施設につきましては、本市も参画する京都府や経済団体、保育・教育機関などのオール京都で構成する
子育て環境日本一推進会議において、10月1日から新たにキッズフレンドリー施設として発信を始めたところです。今後とも、子供や子育て世代に優しく、子育ての楽しさや安心を感じていただける社会に向けて、子育て支援の更なる充実や民間の取組も含めた子育て情報発信の充実に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(西村義直) 福井子ども若者はぐくみ局長。 〔福井子ども若者はぐくみ局長登壇〕
◎子ども若者はぐくみ局長(福井弘) 私から2点お答えいたします。 まず、子育て支援関連手続のデジタル化についてでございます。本市では、利便性の高いデジタルツール、民間の子育てアプリの登場などの背景を踏まえ、現在運用している子育てアプリを抜本的に改善し、来年1月から民間のアプリを活用いたします。これにより、子供の身長や体重の記録、さらには予防接種のスケジュール管理が可能となるほか、お住まいやお子様の月齢に応じた子育て情報等の配信機能を充実し、利便性の向上を図ってまいります。なお、予防接種記録との連携や乳幼児健診の予診票のデジタル化等については、現在、国において、地方公共団体の基幹業務とシステムの統一・標準化の目標時期である令和7年度を目途として子育て支援関連手続のデジタル化の検討が行われており、今後、円滑な導入が進められるよう国の動向を注視してまいります。子育て手続のオンライン化については、これまでから順次取組を進めており、令和4年度に学童クラブ事業の利用者登録、令和5年度に子どもはぐくみ室で行う離乳食講習会の利用申込みにオンライン予約を導入したところです。なお、仕事の都合やお子様の体調等で乳幼児健診の日程を変更する場合のオンライン化につきましては、他都市の取組も含め研究してまいります。引き続き、国などの動向を注視しつつ、子育て世帯の利便性向上のため、デジタル化の推進に取り組んでまいります。 続いて、学童クラブにおける長期休業期間中の昼食提供についてでございます。本市におきましては、両親の共働きやその他の事情などで昼間留守になる御家庭の小学生の児童を放課後・長期休業期間中、安全に保護し、かつ健やかに育成するために、児童館や学童保育所などで学童クラブ事業を実施しております。長期休業期間中の昼食については、保護者の御理解・御協力により、利用児童に保護者の用意した弁当や市販品を持参していただいているところでございます。長期休業期間中の昼食提供については、他都市の実施事例を見ても、その手法は様々であり、学校や保育園に併設する学童クラブにおいて学校・園の給食設備を活用して調理を行うものや、民間事業者と連携し宅配システムを利用するものなどがございます。これらについては、各自治体において学童クラブの規模や箇所数、事業形態等に応じた手法を検討のうえ実施されているものです。本市の児童館等は、基本的に調理設備等を有していないため、実施手法としては、各学童クラブにおいて、民間事業者から弁当等の手配を行うことが考えられますが、弁当の昼食の申込みをした児童との照合、配膳や片付け、急なキャンセルや追加申込みへの対応、アレルギーへの配慮、料金の収受に係る職員負担など導入に当たって様々な検討課題がございます。このため、本市において一律に長期休業期間中の昼食提供を直ちに実施することは困難ですが、児童の健全育成と保護者の負担軽減のバランスも考慮のうえ、運営団体と共に先行事例の研究を進めてまいります。以上でございます。
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○議長(西村義直) 次に、市政一般について、河村諒議員に発言を許します。河村議員。 〔河村諒議員登壇(拍手)〕
◆(河村諒議員) 左京区選出の河村諒です。先の統一地方選において多くの方に負託をお寄せいただきましたこと、心より感謝申し上げます。元京都市職員として、市民の皆様と行政、そして議会の三方をつなぐ架け橋となれるよう全力を尽くしてまいります。 さて、私からは、市職員の人事制度について3点、地域コミュニティの在り方に関して2点質問いたします。 人事制度に関する1点目は、本市市長部局内の自己都合退職者増加に対する受止めと対策についてです。昨今深刻化している人口減少対策について、本市はこれから本腰を入れて移住・定住促進事業を実施する段階にあると認識しております。京都市外にお住まいの方々に対し、新たな居住地の紹介や働き口となる企業の誘致に力を入れていくことと思われますが、他方で、本市施策の根幹を支える本市職員のうち少なくない人数が市外居住を選んでいること、20から30代を中心とした退職者が年々増加していることを市長は認識されておりますでしょうか。本市市長部局の職員数は令和5年4月1日現在で7,007人、人員整理等で総数は2014年から約800人減少しているにもかかわらず、平成28年度から自己都合退職者が年々増加傾向にあり、令和4年度97人で、今より10年前から倍近く増加しております。特に20から30代の若手においては、令和2年度を境に激増しており、令和3年度では、その5年前に比べ約2.3倍の87人が退職しました。若年層の離職は社会的な潮流であるとはいえ、この数値は総務省の地方公務員の退職状況等調査から算出した全政令指定都市における定年を除く普通退職者に占める40歳未満離職者の割合と比較しても、令和3年度で82.8パーセントと全政令市数値70.4パーセントよりも12.4ポイント高く、令和2年度でも14.6ポイント上回り、それ以前の5年を遡っても全政令市分の数値を上回っております。これに加え、令和4年度の入庁者が250人に対し同年度の自己都合退職者が97人であるなど、令和元年度以降は入庁者の人数に対する自己都合退職者の数が3から4割を推移し、このうえ、更に定年退職者が加わるとなると、将来的に職員の年齢や配置に偏りが出て市民生活と現場職員を圧迫してしまうのではないかと危惧をしております。 退職理由の分析についても課題があります。主だった理由には、元々興味のある分野への転身、子育てや結婚、本市の将来に対する不安などが挙げられておりますが、これらは退職者の上司の予想を聴き取る形で集計されており、直接本人に聞いたわけではありません。実際、何が不満でどんな問題があったのかを又聞きで処理するのは確実性に欠けますし、例年100人未満の退職数であれば、全員に直接人事関係部局が聴き取りをして原因を究明すべきであります。現状でも活発化する転職市場からの人員獲得手段として社会人経験者の採用数を増やすなどの対策が講じられておりますが、総職員数の面でいえば、退職した20代後半以降の人数に対し採用数が十分な補充になっておりませんし、退職理由で最も多いとされる自身の能力やスキルをいかせる現場で働きたいという希望が可能な限りかなう環境にしなければ、どれだけ新卒や経験者を補充しても元の木阿弥であります。自身を希望配属先に売り込む庁内フリーエージェント制度も導入されておりますが、昨年度の成立件数は5件と十分に機能しているとは言いがたい状況にありますし、令和6年度から導入される管理職への昇給制度についても、一般係員への導入を目指していかなければ、年齢要件で管理職になれない若手のモチベーションを保つことができなくなるのではないかと考えます。現行制度が職員のやりがい向上や退職防止に効果的なのかを今一度検証しなければなりませんし、他都市や国の出方を伺うより先に本市独自の制度設計を積極的に進めていく方が、本市で働く魅力の増進につながるのではないでしょうか。いずれにせよ、職員数の減少、特に若年層の流出がこれ以上進めば、今後も適切に市政を運営できるか危うく思えますし、これから働き手が減少していく社会の中で、相応の公費を掛けて採用した職員が数年で辞めていく現状について市長はどうお考えでしょうか。最低限、行政運営を維持できる明確な目標職員数や年齢分布を考えたうえで採用計画や退職者の対応に当たっておられるのかお聞かせください。 2点目は、職員の市内居住数についてです。令和5年7月現在、市長部局約7,000人のうち約35パーセントとその家族が市外に居住、特に30から40代といった子育て世代の4割が市外居住をしていることが分かりました。20代まで76パーセントが市内に居住しているのに対し、30代の市内居住率は60パーセントまで下落しており、ほかでもなく本市職員が、本市に住む魅力を感じていないと言わざるを得ない数値です。もちろん住む場所は個人の自由であり、誰にも侵害されるものではありません。しかし、全庁を挙げて本市への移住・定住を推進するとしながら、この数値では余りに説得力に欠けるのではないでしょうか。市長の肝煎りとされている人口減少対策推進タスクフォースには、人事関連部署が加入していないそうですし、これでは市長御自身が職員の居住地について関心がないととられても仕方がありません。他都市の方々や各企業に対し市内居住を呼び掛けるのであれば、まずは手前の組織の現状について正しく分析し対応しなければ、人口減対策全般に説得力が生まれません。市役所は市内でも最大級の働き口であることを認識し、対外的な移住・定住促進事業と並行して、市の政策や実態を知る職員自身に直接事情を聞く機会を設けたり、関連事業への参加を促したりして市内居住への可能性を最大限に増やす必要があるのではないでしょうか。加えて、住居手当についても、現行より移住・定住の一助になる金額設定や制度に発展できないか、聴き取った意見を参考に再度議論していくべきだと思いますがいかがお考えでしょうか。 3点目は、職員の休暇制度の在り方についてです。特別休暇の一つである生理休暇ですが、令和4年度の利用者は対象者2,930人に対し195人でした。個人差もあるゆえ単純な取得日数の増加を求めるわけではありませんが、その名称については、上司や同僚に個人的な身体状況を知られたくないなどという理由で利用できないとの声を複数頂いております。実際は必要であるにもかかわらず、そうした事情から取得が困難であった事例が一定存在することは容易に想像でき、体調不良休暇など名称を変えることで本当に必要な方が取得しやすいように工夫する必要があると考えますが、市長はいかがお感じでしょうか。 ここまで、人事制度一般について広く触れる質問になりましたが、本市の業務を遂行するのはほかならぬ職員であり、彼らが本市にとどまれない環境をよしとすることは、市民の皆様からお預かりした税金を浪費するも同義であります。現行の人事制度全般は市民と懸命に働く職員に報いる内容になっているでしょうか、誠意ある答弁を求めます。 次に、地域コミュニティと伝統・地域行事についてお聞きします。1点目は、地域コミュニティ活性化条例と関連施策の是非についてです。地域コミュニティ活性化条例が制定されてから11年が経過した現在、昨年の自治会加入世帯数減少報告もあり、自治会応援サイトの導入や不動産業界と協力した啓発活動などが実施されておりますが、残念ながら自治会への加入はほぼ進んでおりません。地域の主体性が第一という考えも理解できますが、御高齢の方に地域の役を掛け持ちしてもらうことで運営ができている現状と、20年後には現行制度を維持できないことをきれいごとなく認識すべきであります。総務省でもこうした状況を危惧し、条例で定めれば、公務員の地域貢献活動休暇を創設できるようにすると年度内に通知を出すそうです。職員のボランティア休暇でも一見代替えできそうですが、当該休暇は条件が非常に限定的で、昨年度では利用者が市長部局で約7,000人中、僅か1名。地域活動はボランティアではないとして利用が認められなかったとの声も元職員さんから頂いております。日本有数の自治会組織を抱える地方自治体であり、自ら定めた地域コミュニティ活性化推進条例や推進している真のワーク・ライフ・バランス、職員のための市民参加推進の手引などに、職員は地域活動に積極参加すべしという旨を記載している京都市なのですから、他都市に先駆け地域活動専用の休暇を創設し、職員が率先して活動に参加し、地域を支えられる環境を整えるべきではないでしょうか。いざ自治会が機能しなくなってから対応を考えるのではなく、今のうちから現状を踏まえ、最低限地域活動を維持できるよう、新しい地域ビジョンや制度を設計していく必要があると考えますが、今後の地域コミュニティと本市の関わりについてどのようにお考えかお聞かせください。 2点目は、伝統・地域行事の保存と継承についてです。私が選出いただいた左京区の伝統ある鞍馬の火祭でも、年々松明の数が減っており、10年前は40本近くあった大松明が昨年は20本まで減ってしまったそうです。修学院第二学区では、約20年前に地域の結束を守ろうと始めたふれあい大根炊きも実行役の方が少なくなり、もう10年後にはないかもと非常に寂しいお声を頂きました。無形文化遺産については、文化財保護課を中心に記録保存に御尽力をいただいておりますが、担い手の募集や仲介には踏み込めておらず、細かな生活文化や行事は記録すら間に合っておりません。若者と伝統を知る世代の両方が減っている本市は、今まさにこうした伝統・地域行事の保存に重きを置くべき時期に来ており、先ほど述べたような職員による地域行事振興や、今夏報道でも取り上げられた祇園祭のボランティア奉仕者などをモデルにした担い手の仲介施策、最低限でも、後の世代が生活文化や行事を再興できるよう、リスト化と記録だけは早急に人員と時間を注ぎ実行すべきではないかと考えますがいかがでございましょうか。 質問は以上でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(西村義直) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 河村諒議員の御質問にお答えいたします。 職員の自己都合退職についてでございます。就業意識の変化等に伴い、雇用の流動化は官民を問わず全国的な傾向となっており、本市におきましても、若年層職員の退職が増加傾向にあることを認識しております。職員の働きがいを高め、有為な職員が本市で働き続けることは、質の高い市民サービスを提供し続けるうえでも極めて重要であり、これまでから職員のキャリア形成支援や働き方改革、人事給与制度の見直し等の取組を進めているところであります。 一方、活発な転職市場を職員獲得の好機とも捉え、社会人経験者採用におけるICT・デジタル枠の新設や若手転職者に向けた新たな試験の創設など、積極的に優れた職員の採用確保の取組を進めております。今後とも幅広い年代から職員を採用することで、年齢構成の標準化も図ってまいります。職員数については、本市の都市特性も踏まえながら政令市平均の職員数となるよう、事務の徹底した効率化を行いつつ、新たな行政需要へ対応するための人員をしっかりと確保するなど、計画的な職員定数の管理を行っております。引き続き、必要な体制の確保はもとより、職員一人一人が高い意欲を持ち能力を十分発揮できる職場づくりに、体制づくりに取り組んでまいります。 以下、副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(西村義直) 吉田副市長。 〔吉田副市長登壇〕
◎副市長(吉田良比呂) 地域コミュニティと本市の関わりについてでございます。本市では、地域コミュニティ活性化推進条例施行以降、地域コミュニティサポートセンターや区役所を中心に地域の主体的な活動を支援してきました。令和3年度には、社会情勢や担い手不足などの地域の実情を踏まえ、新たに地域コミュニティ活性化ビジョンを策定し、誰もが参加しやすい地域づくりや、ICTの活用など、地域ごとの課題に応じた持続可能な組織運営に向けた支援にも取り組んでいるところでございます。職員は、地域の担い手として率先して町内会、PTA、自主防災会、文化事業などに積極的に関わっており、更に参加を促進するため、活動事例を庁内で発信するなど啓発にも取り組んでおります。 地域活動専用の休暇につきましては、地方公務員法に規定する国・他都市との均衡の原則や国の通知内容も踏まえながら必要な検討を行ってまいります。引き続き、職員が率先垂範できるよう意識向上を図るとともに、時代に即した活動の見直しなどの取組を支援することで幅広い世代の参加による持続可能なまちづくりを進めてまいります。以上でございます。
○議長(西村義直) 砂川文化芸術政策監。 〔砂川文化芸術政策監登壇〕
◎文化芸術政策監(砂川敬) 伝統・地域行事の保存と継承についてでございます。京都には千年を超える歴史の中で、祇園祭をはじめとした数多くの伝統行事が今日にわたって継承されているところです。本市では、無形の民俗文化財について、文献調査によるリスト化や映像等による記録作成を含めた詳細調査、行事に使用される用具の修理助成などに取り組むとともに、大根炊きを一例とする京の年中行事や地蔵盆などについても、本市独自の制度、京都をつなぐ無形文化遺産として選定し、それらの維持継承のための普及啓発などを行っております。なお、伝統行事の担い手確保につきましては、行事の実施主体や地域の御意向を踏まえることが大事であります。そのうえで、行事の保存継承に係る各種御相談の中で個別の事情に寄り添った対応を行ってまいります。以上でございます。
○議長(西村義直) 藤田監察監。 〔藤田監察監登壇〕
◎監察監(藤田洋史) 本市職員の市内居住についてでございます。本市では安心して暮らすことができ、多くの人に選ばれる持続的に発展する都市を目指し、市民の皆様と共に取り組んでいるところであり、職員の市内居住は、災害発生時など危機管理体制の確保、地域コミュニティ活性化等の観点からも非常に重要なことと考えております。このため、職員に対して、新規採用時などあらゆる機会を捉えて市内で居住する意義や魅力を発信するとともに、市内企業の社員を対象とした市内定住を促進するすまいの相談会への参加を促すなどの取組を行っているところです。また、既に平成28年度から、本市独自に実施しております市内に居住する職員への住居手当の加算措置については、職員から評価する声も聞くなど、市内居住促進の一定の効果があるものと認識しておりますが、引き続き必要な検証を行ってまいります。 次に、本市職員の休暇取得についてでございます。本市ではこれまでから、管理職が率先垂範するなど休暇を取得しやすい職場風土の醸成、各休暇制度を分かりやすくまとめた手引きの作成、出産・育児などライフステージに応じた職員への周知など、その制度の理解と取得促進に取り組んできたところです。議員御指摘の生理休暇の名称については、取得のしやすさだけでなく、分かりやすさ、適正な運用の確保等の観点も踏まえつつ、その目的と合致したものであることが必要と考えております。職員が必要な休暇を取得でき、生き生きと働ける勤務環境の整備に今後とも努めてまいります。以上でございます。
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○議長(西村義直) 次に、市政一般について、土方莉紗議員に発言を許します。土方議員。 〔土方莉紗議員登壇(拍手)〕
◆(土方莉紗議員) 南区選出の土方莉紗です。維新・京都・国民市会議員団を代表して質問をさせていただきます。この度の統一地方選挙において、多くの市民の皆様の負託を受け当選することができました。皆様の生活をより良いものにするため誠心誠意取り組ませていただきます。 門川市長は、様々な改革に取り組み、京都市の代表として、4期16年を務め、この度、退任を発表されましたが、取り組むべき課題はいまだ山積しており、今後どのように考えておられるのでしょうか。また、京都市は若い世代や子育て世代の流出が進んでおり、今後どのような政策で挑み、未来を描かれるのでしょうか。京都市は、
子育て環境日本一を掲げ、門川市政では様々な子育て環境の充実に向き合ってこられました。待機児童ゼロや保育園申込み時のデジタル申請、病児保育の受入施設の拡充や全国トップレベルの教育環境づくりに取り組まれたことは評価をしております。
子育て環境日本一を掲げた以上、誰もが京都市で子育てがしたいと思える魅力的な環境を作り、妊娠・出産から子育て・若者へと切れ目のない、多岐にわたる支援の拡充を、さらに本気で取り組んでいただきたいと切にお願い申し上げます。そして、どの都市よりも、一歩、二歩リードした支援の提供をしていただきたく市長に御質問いたします。 まず一つ目に、流産や死産のグリーフケアの周知についてお伺いします。グリーフケアとは、大切な人が亡くなった経験をされた際、喪失感や深い悲しみ、いわゆるグリーフを抱える人に対して、その声に耳を傾け、寄り添い、そのプロセスを見守り、支援を行うことです。最近では、流産や死産を経験された方を対象として、支援の必要性や在り方についての明文化がなされ、厚労省からも支援の強化について通達がなされています。妊娠・出産は私たちにとって奇跡の連続です。たくさんの命が誕生する一方で、時に流産や死産、乳幼児突然死症候群や持病により子供を失う経験をされる方がおられます。子育て環境を整えるには、不妊治療への取組や、妊娠期から考え、トータルでサポートができる配慮がなされるべきものです。現在、子ども若者はぐくみ局では、流産や死産を経験した母親へのグリーフケアについてカウンセリング施設の紹介を個別に行っておられるとお聞きしました。ただ、問合せをしないと支援が受けられず、全く周知がされていません。昨年、保健福祉局障害保健福祉推進室こころの健康増進センターがグリーフケアについて取り組まれました。リーフレットを作成され配布もしておられます。その中には、配偶者を亡くした高齢者をはじめ様々な方に対応した複数の相談窓口の記載があるのですが、流産や死産を経験された方を対象とした支援窓口はありませんでした。実際、支援を必要としグリーフケア窓口にお電話をされた際、対応してもらえなかったと落胆される事例があり、京都市には支援制度が何もなくつらかった、
子育て環境日本一じゃなかったのと批判のお言葉を聴いています。 また、京都市ホームページによると、出産子育て応援事業の給付対象者に、流産、死産をされた方は含まれるとされています。ただ、その支援の名称は流産や死産の方に対して出産応援ギフト、出生後すぐお亡くなりになった方に対して子育て応援ギフトとなっており、神戸市ではそもそも寄り添い給付金となっています。京都市の名称では、当事者を深く傷つけしまいかねず、今後見直しが必要ではないかと私は思います。流産や死産を経験すると、日常生活に復帰したいと望んでも突然の喪失感による心の負担が大きく、うつ症状や不安障害につながるおそれがあります。また、心から友人の出産を喜べないなどその精神的な苦痛ははかり知れないものであります。本市が、どれだけ子ども若者はぐくみ局内で個別に支援を行っていても、当事者やその家族に周知されていなければ、一人で抱え込み、社会復帰ができない方もいらっしゃるのではないでしょうか。 また、支援については、当事者のみならず家族全員が理解をして一緒に乗り越えていくことが必要です。例えば父親や兄弟へは、どのようなケアサポートができるかについても同様に考えていく必要があります。
子育て環境日本一を掲げる京都市は育児や教育への支援と同様に、グリーフケアについての支援を今後しっかり行うべきです。また、流産や死産等で子を失うつらさや喪失感は、母親のみならず父親も同様です。男性には産休制度がなく、社会復帰を余儀なくされ、感情を殺して仕事をしていた、妻のサポートに徹しようと必死だったが、自分自身もつらかったというお声も聴いています。現在は、社会的にも支援の拡充の必要性を感じています。そのつらさを経験した当事者からも、社会全体で認知してほしいという声が上がっております。まずは、保健福祉局との連携を図りつつ、子ども若者はぐくみ局として、新たにリーフレットの作成やホームページ上に明記する、医療機関に配布するなど、支援内容や支援先を具体的に記載し支援の周知すること、当事者のタイミングで相談しやすい環境を作り、寄り添う姿勢が必要だと考えますがいかがでしょうか。本市でも、しっかりと考えを進めて取り組んでいただきたく思いますが、市長は今後どのように考え進めていくのか御見解をお聞かせください。 続いて、子供たちの遊び場についてお伺いします。私は京都市で3人の子育てをしております。今、京都市内には、子供たちを遊ばせる公園や遊べる施設が少なく、公園の遊具の設置、子育てへの配慮が足りていないと感じます。子育てをしていく中で、公園は必要不可欠な存在でありますが、本市の子育て環境としての公園の位置付けは優先順位が低いような印象です。例えば、最近本市では誰もが遊べるインクルーシブな遊具の設置を進めてこられました。しかし、本来インクルーシブな公園とは、障害がある人のために限定されたものではなく、誰もが楽しんで遊べることがコンセプトであり、子供の対象年齢を考えつつ、障害があっても遊びやすい遊具を配置することやバリアフリーの配慮、おむつ交換台の設置、同伴する保護者や支援者が座って見守りができるようなベンチの設置、トイレ環境の充実などトータルで利便性を考えて作られるべきものです。本市の取組のように、ただ単品の遊具を取り入れたというだけでは足りません。本市の公園についての考え方は、緑の基本計画や京の公園魅力向上指針等で示しておられます。しかし、現状は方針の中にインクルーシブの考え方や遊具についてのガイドライン、ましてや子供の遊び場というようなコンセプトが明確になっておりません。京都市の代表的な遊び場である宝が池公園や梅小路公園もインクルーシブ公園としての設計をされているわけではありません。公園や遊具については、老朽化した遊具の入れ替えを年に6回程度、既存公園の再整備が年に1回程度にとどまっており、子供たちのため、子育て環境という姿勢になっているのでしょうか。もっと、誰もが遊べる・子育て環境を最大のテーマとした子供の遊び場の充実に取り組むべきではないでしょうか。 私は、京都市で11年間子育てをしております。子供が小さい頃は、授乳やおむつ交換、子供のトイレの度に一度自宅へ帰る必要があり、公園に子育ての目線の配慮がなく利用しづらいなと感じていました。現在は年の離れた兄弟と出掛けますが、幼児と児童とでは遊び方が異なるため一方が退屈してしまい、一緒に遊ばせる場所がありません。特に本市の大型遊具に関しては幼児向けが多く、小学生向けのわくわくできる遊具がほとんどありません。市長は、教育環境を通じて熱心に児童の育ちを見てこられたことと思いますが、遊具の対象年齢については特に課題に思われなかったのでしょうか。(パネルを示す)例えば、兵庫県小野市にあるひまわりの丘公園は、もともとヒマワリやコスモスの咲く植物公園に、子供たちのために大型遊具が追加され、公園の規模を格段に広げられました。関西最大級規模で、児童エリア、幼児エリア、乳児エリア、そしてインクルーシブな遊具が設置されていて、乳児向けに芝生やおむつ交換台の設置など子育て世代を応援するという配慮も考えられています。例えば、大きなタワー内はスロープで上れる設計で、トランポリンやネットフロアエリア、幼児エリアには車椅子でアクセスできる遊具や指先を使い脳に刺激を与えるパネル遊具があり、正に理想の公園です。休日には約500台ある駐車場が午前10時には足りなくなるほどの人気で、来場者数は大型連休には1日1万人、市内外を含めたくさんの子育て世帯が集まっています。この現状を踏まえ、近隣都市の加古川市でも子供たちの憩いの場として大型遊具や乳幼児向けの遊具を改修する方針を明らかにされています。公園には無限の可能性があります。公園に遊びに行くとその周辺でお弁当を買ったり、ランチを楽しんだり、またショッピングに行ったりするのでその周りは必然的に活性化します。もちろん京都市内にひまわりの丘公園ほどの大規模な敷地はなく、同規模の公園を造ってほしいとは言えません。ただ、子育て世帯がどれだけ公園や遊具を重要視しているか、必要とされているかを改めて認識いただき、取組の強化をお願いしたいと思います。 また、話題性は非常に大切です。今の子供たちの発信源はSNSであり、その効果は絶大です。我が家の子供はユーチューブで話題になっている公園の動画を見て行先を提案してくれます。話題になる公園を作ることは子育て世帯を呼び込むのに最大の武器にもなります。京都市内に様々な対象を想定しつつたくさんの子供たちを呼び込めるような、子供たちが満足できる公園づくりの方針を定め、今後の公園整備の際に、ぜひ取り入れていただきたいと思います。そして、将来的には各行政区の公園に取り入れていただきたいと思いますが、市長の御見解をお聞かせください。 最後に、南区の市バス路線の見直しや新設についてお伺いします。京都市内には、いまだ交通格差が存在します。門川市長は、公共交通機関の利用促進に取り組んでおられます。しかしながら、まだまだ困っている地域が存在しています。私が住む南区上鳥羽や生まれ育った久世の地域はそれが顕著で、バス路線のない道路やバス停までかなり距離がある住宅、地下鉄路線や私鉄へつなぐバスが走っていない地域や、朝夕の限られた時間しか走っていないのが現状です。自宅から離れたバス停まで歩いてこられ、1時間に1本のバスに時間どおり乗れず、炎天下の中ずっと待っている御高齢の方を見かける度、不びんに思います。地域の御高齢の方から、免許証の返納をしたいがバス停もなく現状は厳しい、コロナ禍やインバウンドでタクシーの台数が激減して予約ができなくなり、自分で運転するしかなくなった、地域の中で乗合いなどの工夫をしているが、いつまで運転できるか不安という相談が後を絶ちません。今後、上鳥羽周辺はらくなん進都の企業誘致推進エリアとして雇用の増加が見込まれます。また、171号線から1号線をつなぐ祥久橋周辺は、向日市上鳥羽道路の延伸工事の取組が進んでいます。ポテンシャルが高い地域だということは、門川市長も、南区で御挨拶に立たれた際は市民の皆様にお話しされているので、よく御存知のことと思います。南区は出生率が1.42パーセントと高い傾向にあり、子供が多い地域で、今後も人口の増加が見込まれます。子供たちは未来の乗客です。公共交通機関がない地域で育った子は、将来バスに乗ることを生活の選択肢から除外される傾向にあります。公共交通機関が便利なことをしっかりと教育に取り入れることが必要です。例えば、私が中学生の頃は、市内を1日乗車券で回るという授業が存在しました。公共交通機関は、観光客や市民の生活利用目線にとどまらず、各局連携を行って、例えば学校の校外学習での利用、学校区でスクールバスのように通学できるようにするなど視野を広げて、前向きに考えて課題を乗り越えていただきたいと思います。市民の生活のために公共交通機関があります。利用が少ないという理由で、なかなか新設できない地域があることも理解できます。市民の暮らしのため、今後の雇用、未来の乗客を育てるという観点からも、南区の市バス路線の見直しや新設をぜひ検討していただきたいと思っておりますが、お考えをお聞かせください。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(西村義直) 門川市長。 〔門川市長登壇〕
◎市長(門川大作) 土方莉紗議員の御質問にお答えいたします。 流産や死産のグリーフケアの周知についてでございます。流産は妊娠された方の約15パーセント、六、七人に一人、死産は全国で令和3年度に1万6,277胎、残念ながら、こうした悲しみに直面される方は決して少なくありません。流産や死産でお子様を亡くされることは、当事者の方々にとって耐えがたい悲しみとなることは想像に難くなく、その悲しみを受け止め、思いに耳を傾け、心と体の健康の回復に向けて寄り添い、支えていくことが何よりも重要であります。各区役所・支所14か所に創設しました子どもはぐくみ室では、妊娠の届けをされた全ての妊婦の方々に保健師が面談し、様々な相談に対応しております。また、初めての妊娠の方や不安を訴える方に対しましては、御家庭を直接訪問するなど、妊婦お一人お一人に寄り添い、妊娠に関する不安や体調の変化、お悩みに丁寧に対応し、また伺いながらきめ細かい支援に取り組んでおります。そのような継続した関わりの中で、流産や死産を経験されたことを把握した場合には、保健師等が寄り添って支援を行っております。 さらに、京都府助産師会と連携し、不妊・不育相談事業を実施しており、不妊症や不育症等でなかなか子供を授かることができない方のほか、流産を繰り返す方からの不安や相談にも助産師がお応えいたしております。いずれの対応におきましても、これまでから、当事者やその御家族のお気持ちをしっかりと受け止めながら丁寧な対応に努めてきたところでございます。こうした取組におきまして、ホームページのみならず、様々な媒体を活用して周知に取り組んでいるところではありますが、必要な方に情報がしっかりと届くよう、より分かりやすい表示や産婦人科医院での相談窓口紹介の協力依頼など、当事者に相談先の情報がしっかり届くように検討してまいります。 さらに、相談しやすい環境づくりにつきましては、本年度当初予算におきまして、伴走型相談支援の一つとして、SNS等を活用した相談支援につきまして予算計上しております。妊娠、出産、子育てについて市民の方々が相談しやすいタイミングで相談できる支援体制の拡充につきまして、現在準備を進めているところでございますが、グリーフケアに関する相談につきましても、この取組でもしっかりと対応してまいります。今後とも、死産や流産を経験された方の悲しみに社会全体で寄り添うまち、それを率先する京都市政、これを目指して全力で取り組んでまいります。 以下、関係理事者が御答弁申し上げます。
○議長(西村義直) 古川建設局長。 〔古川建設局長登壇〕
◎建設局長(古川真文) 子供の視点に立った公園整備についてであります。本市の公園につきましては、京都市緑の基本計画において、多世代の市民が利用し、地域コミュニティの核となる重要な施設と位置付け、特定の世代だけでなく、幅広い世代の方々の憩いと潤いの場となる公園づくりに取り組んでまいりました。この方針に基づき、これまでから子供向け遊具やあらゆる年代層の方々に親しんでいただける健康遊具等を設置した952か所の公園を整備しており、市民の皆様の多様な余暇活動や健康増進活動を支えるとともに、環境保全や景観形成、防災の観点においても、豊かな市民生活の実現に必要不可欠な役割を果たしてきたところです。 また、インクルーシブ遊具につきましては、バスケットブランコや車椅子のまま利用できるテーブル型砂場などといったユニバーサルデザインを取り入れた遊具をこれまで市内6か所に10基設置し、本市ホームページにおいて広く周知を図り、多くの方に御利用いただいております。さらに、本市では、梅小路公園、宝が池公園子どもの楽園、大宮交通公園、岡崎公園等、子供たちが笑顔になる魅力的な公園が充実しています。その中でも、宝が池公園子どもの楽園ではプレイパーク、遊具、大広場といった三つのゾーンに分け、子供に人気の遊具ザイルクライミングや授乳スペースを完備したトイレを設置するなど、全ての子供が存分に楽しめる公園、また、子育て世代にとっても優しく利用しやすい公園として大変多くの方々に親しまれ、御利用いただいております。本市では、誰もが生きやすい多様性、包摂性のある社会を目指していくことを施策の基本理念としており、公園整備等に関する考え方につきましても、そのような視点に立ち検討を進めてきております。引き続き、利用者の方々や専門家、関係団体等からも多様な御意見を伺い、市民に身近な公園が子育て世代をはじめ多様な方々の重要な拠点となるよう取組を推進してまいります。以上でございます。
○議長(西村義直) 北村公営企業管理者。 〔北村公営企業管理者登壇〕
◎公営企業管理者(北村信幸) 南区の市バス路線についてでございます。これまでから地域の皆様の御要望や新駅の設置など、まちづくりの進展に合わせ、市バス路線のダイヤの利便性向上に取り組んでまいりました。具体的には、上鳥羽地域と四条大宮とを結ぶ18号系統と特18号系統の二条駅西口への乗入れ、吉祥院地域と京都駅とを結ぶ42号系統の阪急洛西口駅、JR桂川駅への乗入れなど、路線の延伸に加え、等間隔でのダイヤ編成や河原町東寺道や西大路九条へのバス停留所の新設など、より多くのお客様に便利に御利用いただけるよう工夫を重ねてまいりました。その結果、現在、南区では市バスの全74系統のうち20の系統が運行し、お住まいの皆様の生活を支えております。今後、らくなん進都へのオフィス・ラボの誘導や向日町上鳥羽線の延伸など、都市基盤整備の進捗に合わせて路線やダイヤについて検討を進める必要があると認識しております。 一方、南区を運行する20の系統のうち17の系統が赤字であり、そのうちの七つの系統は100円の収入を得るために必要な経費を示す営業係数が200を超えるなど、採算面で大変厳しい状況にあります。加えて、バス運転手等の担い手不足にも直面している中、限りある輸送力を通勤・通学輸送や混雑対策などにも配分する必要があり、まずは今運行している系統を一層御利用いただくことが極めて重要であると考えております。これまでに沿線にお住まいの皆様が主体となって、地域の代表者を中心に積極的に市バスに乗っていただくモビリティ・マネジメント活動に取り組まれたことで、御利用が大きく増加し、路線・ダイヤの充実につながった事例もございます。 今後とも、関係機関や役所、地域の皆様と連携し、また、市バスのファン獲得に向けて、夏休み期間に小学生の運賃を無料にするきょうとエコサマーや市バス・地下鉄のガイドブックを京都市立の小学校4年生全員に配布するなどの工夫も重ねながら、市バスの利用促進を図り、持続可能なバス事業の運営を目指してまいります。以上でございます。
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○議長(西村義直) 本日はこれをもって散会いたします。 〔午後4時45分散会〕
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△(イメージ)陳情文書表「受理番号933」「就学援助における加算対象年齢及び所得基準額の引上げ」...