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11月30日-03号

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  1. 京都市議会 2012-11-30
    11月30日-03号


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    平成24年 11月 定例会(第5回)       平成24年第5回                 京都市会会議録 第3号       (定例会)                   平成24年11月30日(金曜日)出席議員(67名)   1番 江村理紗議員   2番 中島拓哉議員   3番 佐々木たかし議員   4番 片桐直哉議員   5番 清水ゆう子議員   6番 森川 央議員   7番 大西 均議員  11番 村山祥栄議員  12番 国本友利議員  13番 青野仁志議員  14番 松下真蔵議員  15番 青木よしか議員  16番 山本ひろふみ議員  18番 島本京司議員  19番 椋田隆知議員  20番 桜井泰広議員  21番 宮田えりこ議員  22番 加藤あい議員  23番 西村善美議員  24番 とがし 豊議員  25番 平山よしかず議員  26番 吉田孝雄議員  27番 湯浅光彦議員  28番 曽我 修議員  29番 天方浩之議員  31番 隠塚 功議員  32番 下村あきら議員  33番 山元あき議員  34番 西村義直議員  35番 吉井あきら議員  36番 田中明秀議員  37番 西野さち子議員  38番 玉本なるみ議員  39番 くらた共子議員  40番 河合ようこ議員  41番 樋口英明議員  42番 久保勝信議員  43番 津田早苗議員  44番 井上教子議員  45番 大道義知議員  46番 ひおき文章議員  47番 谷口弘昌議員  48番 山岸たかゆき議員  49番 安井つとむ議員  50番 宮本 徹議員  51番 山本恵一議員  52番 中川一雄議員  53番 寺田一博議員  54番 津田大三議員  55番 中村三之助議員  56番 橋村芳和議員  57番 山中 渡議員  58番 倉林明子議員  59番 井坂博文議員  60番 北山ただお議員  61番 岩橋ちよみ議員  62番 井上けんじ議員  63番 今枝徳蔵議員  64番 小林あきろう議員  65番 鈴木マサホ議員  66番 小林正明議員  67番 加藤盛司議員  68番 繁 隆夫議員  69番 富 きくお議員  70番 内海貴夫議員  71番 井上与一郎議員  72番 高橋泰一朗議員欠席議員(1名)  30番 中野洋一議員欠員(1名)   議事日程   開議日時 平成24年11月30日(金)午前10時   一般質問 (1) 市政一般について  繁 隆夫議員 (2) 市政一般について  寺田一博議員 (3) 市政一般について  山元あき議員 (4) 市政一般について  くらた共子議員 (5) 市政一般について  北山ただお議員 (6) 市政一般について  鈴木マサホ議員 (7) 市政一般について  片桐直哉議員 (8) 市政一般について  吉田孝雄議員 (9) 市政一般について  津田早苗議員~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開議〕 ○議長(大西均) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。山本恵一議員と青木よしか議員とにお願いいたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) この場合,議長から御報告申し上げます。 今回受理いたしました請願8件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託いたします。 以上,御報告申し上げます。御了承願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) これより一般質問を行います。発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,繁隆夫議員。 〔繁隆夫議員登壇(拍手)〕 ◆(繁隆夫議員) 伏見区選出の繁隆夫でございます。寺田一博議員,山元あき議員と共に自由民主党を代表し質問させていただきます。 本市の財政運営と平成25年度予算編成についてお伺いします。京都市は,元々財政基盤が脆弱なうえ,失われた20年とも言える我が国の長期にわたる景気低迷の影響を受け非常に厳しい財政運営を強いられております。とりわけ,およそ10年前,いわゆるバブル崩壊に伴う世界経済の同時減速により財政非常事態宣言を行って以降は,行政改革推進債という特別な市債の発行や市債の返済のために積み立てている公債償還基金の活用などの特別の財源対策に頼らざるを得ない状況が続いております。門川市長の就任早々には,リーマンショックに端を発した100年に一度と言われる世界金融危機の激流に見舞われ,一般会計が過去最大の赤字決算になるという深刻な事態に陥りました。市長は,こうした誠に困難な荒波の中で市政の舵を取り,市民生活をしっかり支え,未来の京都の発展を切り開くための施策を実行しつつ,この赤字を解消し,先の市会で認定しました平成23年度の決算では,全会計での連結収支も初めて黒字とすることができました。本市の財政がようやく他の指定都市と同じラインに立てたという点で朗報でありましたが,残念ながら,それも行政改革推進債の活用などの特別の財源対策を行ったうえでのことでありまして,本市の財政は,決して非常事態を脱したわけではございません。 こうした事態に対応し,少子高齢化が進む中で,特別の財源対策に依存しない持続可能な財政構造への転換を図るため,市長は,財政改革有識者会議を設置し,その提言を踏まえ,「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画において財政健全化への道筋を明らかにされました。この実施計画においては,平成27年度までの各年度の財政収支見通しを立てたうえで,職員数の削減や事業の見直し,資産の有効活用など,それぞれの具体的な数値目標を掲げて財政構造改革の取組を進めることで,特別の財源対策を毎年100億円程度に抑えることとしております。そのうえで,平成28年度以降,成長戦略の推進や国の制度改革等による一般財源収入の確保により特別の財源対策からの早期の脱却を目指すシナリオとなっております。こうしたビジョンの下,平成24年度の予算では,特別な財源対策を96億円に抑制されたところでありますが,将来に負担を先送りしない財源を確立していくため,25年度以降もこの計画の着実な実現を強く求めるものであります。 しかしながら,去る10月3日,平成25年度予算編成のスタートに当たり,その方針と併せて,向こう3年間の収入見通しが示されましたが,そこでは依然としてデフレ基調から脱却できずに税収が低迷する中,来年度の特別の財源対策の必要額が昨年度に見込んだ102億円から146億円までに増加し,26年度以降もほぼ同様の規模で推移する見込みとなっております。この新しい収支見通しを見て,私は大変危惧を抱いているのであります。これからの予算編成を通じて40億円以上の財源不足を解消していかねばならないことになるわけですが,人件費削減や事務事業の見直しを更に上積みすることは並大抵のことではないでしょうし,資産売却の50億円という目標もこれが限界がありましょうし,そう考えると,「京プラン」実施計画の目標達成が非常に危ぶまれるのであります。今後,来年度の予算編成を進めていく中で,どのように対策を講じていこうとされるのか,それとも,特別の財源対策を100億円に抑えるという目標は断念せざるを得ないのか,市長の率直な思いをお聞かせください。 このように,来年度の予算は,想定しなかったような困難な局面での編成作業となるわけで,財源不足対策を優先すると,例えば施設整備を凍結するなどの思い切った緊縮予算も想定されるところでありますが,厳しい経済情勢の下,市民生活や中小企業を支えるなど京都市政は課題が山積みであり一刻の停滞も許されません。これまでにも増して選択と集中が求められると思いますが,先ほどの財源不足対策と合わせて,政策という面で来年度予算に対する現時点での市長のお考えをお伺いしたいと思います。 次に,国際交流についてお尋ねします。京都市では,これまで,九つの姉妹都市,三つのパートナーシティをはじめ様々な海外の都市と交流を行い,世界文化自由都市として世界の平和に貢献してまいりました。昭和33年に,フランス・パリ市と初めての姉妹都市提携を締結して以降,50年を超える姉妹都市との交流を行う中で,当初は行政主体の交流であったものが,徐々に市民団体などによる市民主体の交流に広がっております。平成11年には,市民レベルの交流をより一層促進していくため,韓国・晋州市と初めてのパートナーシティ提携を締結するなど,行政と市民が一体となって様々な分野での交流を積み重ね,市民相互の交流が深まることで国際理解や友好親善に大きな成果を挙げてきたと言えるのではないでしょうか。私自身も,平成21年,ボストン市との姉妹都市提携50周年に当たり,議長としてボストン市を訪問させていただきました。現地では,多くのボストン市民の皆様から大歓迎を受け,これは,正に長年にわたってボストンと京都の市民の間で築いてこられた友好関係の賜物である,先人たちの努力のおかげであると実感いたしました。尖閣諸島の問題に端を発した日中関係の悪化など,現在我が国の外交は大変厳しい状況にあります。しかしながら,このようなときこそ,市民レベルでの交流が果たす役割がますます重要なものとなると思うのであります。本年8月,京都青島市民交流会訪問団が青島市を訪れた際には熱烈な歓迎を受け,訪問団一同,感激いたしました。こうした友好ムードの中で,めでたく京都市と青島市がパートナーシティ提携をすることができたのも,スポーツや文化,教育,観光など様々な分野での市民交流が大きなうねりとなって実を結び,提携が実現したのであり,いかに市民レベルでの交流が大切で意義のあるものかということを再認識するものとなりました。 これからも,京都は,日本の心が感じられる国際都市として,より一層,世界の多様な都市との交流を広げ,友好関係を深めていかなければならないと思います。常々,門川市長は,「国と国の枠組を超えた,都市と都市との交流が,世界平和や都市の発展に貢献する」とおっしゃっておられます。私も,一市民として4年以上にわたる青島市との交流やボストン市との交流などを実践してまいりましたが,やはり都市間交流において最も重要なことは,市民と市民による交流,すなわち市民外交ではないかと思うのであります。こうした市民外交を行政として力強く支援し都市間交流を推進していくことが,国際都市である京都市に求められている役割であると考えますがいかがですか,市長のお考えをお聞かせください。 次に,景観政策と都市の活性化についてお伺いします。世界遺産条約の40周年最終会合が先日この京都の地で開催され,そして京都ビジョンが発表されました。1200年の歴史に育まれた我が国を代表とする歴史都市であり,14の社寺が世界文化遺産に登録された京都において開催されたとは,誠に喜ばしいことであります。将来にわたり世界でも有数の歴史都市であり続けるためには,これらの世界文化遺産をしっかり守り続けることはもとより,三山の山並みなど美しい自然景観や京町家を初めとする風情のある町並みなど,京都の優れた景観を保全することは大変大事なことであります。そのため,京都市では,5年前にそれまでの政策を大胆に見直し新景観政策として実施されました。そのとき,京都市から「新景観政策により規制が強化されるが,そのことにより京都の魅力が更に向上し,それが都市の活力につながる」との説明を受け,私たち市会もその趣旨に賛同し全会一致で承認いたしました。それから5年,新景観政策により京都の景観がどのように変わり,そして京都経済の活性化につながる方向に向かっているのか,今の段階で具体的に実感することができません。私は,新景観政策を都市の活性化につなげていくためには,景観行政のみならず産業や観光,文化など様々な関連行政との連携も欠かせないと考えます。今年はものづくりと景観との両立を図るため,島津製作所の地区計画で高さ規制を緩和されました。このことは,景観行政と産業行政が連携した事例であり,都市の活性化に大いに寄与するものであると思います。しかしながら,これまでからの市内の工場等が市外に流出し,その大規模な跡地が商業施設や共同住宅になったり,低未利用地のまま有効活用されずに残った例もあります,私は,景観の保全も大切にしながら,このような工場等の大規模な跡地が発生した場合その活用については,都市の活力に資するものでなければならないと思います。今後京都の美しい景観を守りながら都市活性化につなげるため,新景観政策や都市計画をどのように進めていこうと考えておられるのか市長の御見解をお聞かせください。 市内農産物の地産地消の推進についてお伺いいたします。私たち京都市民は,ふだん当たり前のように食することのできる和食は,実は四季折々の多様な旬の食材を使用し,栄養バランスの取れた食事構成となっております。また,各地域の年中行事などとも結び付けたすばらしい文化であり,諸外国からも高い評価を受けています。そんな和食の代表格が,平安京として都が築かれて以来この京都の地で育まれた京料理であり,おばんざいであります。そして京料理,おばんざいに欠かせない素材は,やはり市内の農家により育まれてきた京野菜であります。京野菜は,伏見とうがらしや堀川ごぼう,山科なす,賀茂なすなど京都の地名を冠した伝統野菜をはじめとして,多種多様な野菜が「京に田舎あり」と言われる市内の生産緑地等を中心に栽培されております。市内農家には野菜作りの伝統と気概が今受け継がれており,現在でも京都府下の野菜生産額の約半分は京都市内産と聞いております。こうした京都野菜は,京都の食文化を支える大黒柱であること間違いありません。去る11月10日に伏見区の中書島にある伏見港公園で京の農林秋まつりが開催され,京野菜をはじめとして市内で生産された農産物を目当てに大勢の参加者でにぎわいました。私も会場をぐるりと参観させていただき,改めて市内産農産物の魅力と共に市内農家のパワーを大いに感じた一日でありました。京都の農業,京都の食文化に思いを巡らせるとき,その原点にあるのは京野菜の地産地消ではないでしょうか。特に,旬の時期の市内産京野菜は栄養価も高く,また輸送コストもかからず,人間にも環境にも優しいという大きいメリットがあります。今,社会構造の変化により食の外部化,簡便化が進んでいると言われます。京都の食文化を未来に継承していくためにも,生産者が誇りを持って栽培でき,そして家庭の食卓だけでなく市内の料理店も含め,市民が安全でおいしい市内産の京野菜を味わえるよう体制をしっかりと確立することが必要だと思いますが,市長のお考えをお聞かせください。 京都市の一般廃棄物処理施設でありながら,化製場法に基づく魚粉製造施設でもある魚アラリサイクルセンターの運営についてお伺いします。増え続ける世界人口に対して,限られた耕地面積での農業生産の拡大に限界が見られることと,健康食品としての魚が大きく注目され,数年前から魚食の増大が世界的に進みつつあります。このため各国で養殖産業が盛んになり,特に中国が養殖大国として年間200万トン近くの魚粉を購入するようになって魚粉の需給バランスが大きく変わり,それに伴い日本国内での魚粉価格も右肩上がりの状況です。しかし,20年前は全く逆でした。日本に南米方面から安価な魚粉が輸入されたことから魚粉の価格破壊が起こり,化製場は製造をストップし,京都市内には行き場を失った魚アラが路上に散乱して処理に困るといった事態が頻発していました。この事態を解決すべく,ここ京都市でリサイクルの輪を京都で止めてはならないと,循環型社会構築に行政が関与する最適事例として,この魚アラリサイクル事業に取り組まれることになったわけでして,私は,環境先進都市・京都の大英断を大変評価しております。家庭ごみ等はクリーンセンターで焼却し,その焼却灰は山科区の音羽の杜で埋め立て,また限りある地球環境資源の枯渇化を予防するという観点から缶びんペットなどは再資源化可能物として選別処理するなど,一般廃棄物処理は市民の生活環境を保全するということで行政サービスです。一方,魚アラリサイクル事業も環境保全という面では行政サービスではあり,施設建設費や設備の減価償却を除くとしても魚粉製造に係るコスト意識は民間並みになってもらわねばなりません。平成23年度の年間経費は,約2億4,000万円で,製品売上高は,約1億2,900万円,差し引き1億1,000万円が赤字ですので,もっと製造工程の合理化を進め,また原料の魚アラを現在の2倍以上増量しなければ黒字化は望めません。 私が調査したところ,分別排出をしていないスーパーや飲食店,冒頭申し上げたような魚粉需要から,他府県に魚アラが流れていることもありますので,原料の増量を図るには,環境政策局や産業観光局が共同して,更なる分別排出の啓発指導が必要です。また,一般廃棄物は行政域内での自己完結が原則ですが,周辺市と協議して市外の魚アラも受け入れることも可能ではありませんか。京都市が収集施策やリサイクル作業の改善を図らなければ,魚アラリサイクルセンターの存続が危ぶまれ,環境先進都市としての品格が問われることになります。また,中国のことですから,早晩,自前の魚アラリサイクルセンターを建設するでしょう。そうなれば,20年前の再来が起きるかもしれません。京都市がリサイクル事業に参入したということは,市場競争のフィールドに立っているということで,民間感覚を持ってフレキシブルに即応していかなければなりません。頭脳明晰な京都市ですから,そのことについては京都市循環型社会推進基本計画の中に,民間の知恵と工夫を取り入れるべく「外部委託化」を明示されていますが,その時期は具体的になっていません。直営化した事業を委託することは,職員労働組合との協議や地元への説明と協力を求めることなど課題が数多くあることは承知しております。市長は常々スピード感を持って仕事に当たることと言われています。魚アラリサイクルセンターという市民の目には触れない施設ですが,魚アラの排出から流れる一連のリサイクル事業に民間の活力が導入されれば,京都市が関与する公民協働の新しいリサイクルシステムとして,また全国の注目を集めることになるのではないでしょうか。近いうちにではなしに,具体的な内容のある答弁を求めます。 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(大西均) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 繁隆夫議員の御質問にお答えいたします。 まず,本市の財政運営と来年度予算編成についてでございます。本市財政は,繁議員御指摘のとおり,長引く景気低迷の影響で市税等の一般財源収入が伸びない一方,社会福祉関係経費が年々増加し,公債償還基金の取崩しや行政改革推進債の発行など特別の財源対策を活用せざるを得ない状況が続いております。依然デフレ基調が続く中,来年度の収支見通しにおいては一般財源収入の見込みを大きく下方修正せざるを得ないことなどから,特別の財源対策の必要見込み額が現時点では146億円と,「京プラン」実施計画の目標であるおおむね100億円を大きく上回る極めて厳しい事態となっております。このため,引き続き徹底した行財政改革を進め,総人件費の削減や事業見直しなどの実施計画に掲げた具体的な数値目標を確実に達成することはもとより,そのうえで公営企業においても徹底的な経営改革に努め繰出金の縮減を検討するなど全庁一丸となって更なる歳入歳出全般にわたる点検を進めているところであります。また,今年度の予算執行におきましても黒字を確保し,それを来年度予算に活用できるよう経費の節減と収入確保に努めるなど,あらゆる観点から特別の財源対策の縮減目標の達成に向けて最大限の努力を傾注してまいります。 一方,京都経済の再生や市民生活の安心安全など市政を取り巻く課題は待ったなしの状況でございます。現在予算編成において限られた財源の中で最大の効果を上げるため,施策の選択と磨き上げなど徹底した議論を深めているところであり,また,政府予算編成の越年が見込まれる例年にない不透明な状況の中での予算編成となりますが,市民生活をしっかりと支え明るい京都の未来を切り開く最善の予算を練り上げてまいります。 次に,国際交流についてでございます。繁隆夫議員が本年8月,これまでの青島市と本市との友好交流における御功績を大きく高くたたえられ,名誉市民に値する青島市人民対外友好協会栄誉理事の称号を受けられましたことに改めて経緯を表します。繁議員御指摘のとおり,国家の関係が必ずしも良好とは言えないときにこそ,長年にわたる市民交流により育まれてきた友情のきずなや揺るぎない信頼関係が大きな力を持つものであります。世界の各都市と互いに顔の見える関係を築いてこそ真の国際交流であり,姉妹都市をはじめとする行政間の交流と文化,スポーツ,教育などの様々な分野における市民レベルの交流を共に推進していくことが,京都市の発展,ひいては世界の平和に貢献すると考えております。本市では,これまでから市民が主体となった国際交流を推進するため積極的にパートナーシティの提携を進めるとともに,市民の皆様のお声にお応えし,市民交流の橋渡しや大使館,領事館等と連携した関係機関挙げての支援などに全力で取り組んでまいりました。さらには,現在新たなパートナーシティ提携に向けてイスタンブール市やフエ市との協議を進めているところであります。今後ともあらゆる都市間交流において市民の皆様による交流活動,すなわち市民外交を力強く支援し,京都市基本構想の未来像に掲げる「日本の心が感じられる国際都市・京都」の実現に向けて市民の皆さんと共に取り組んでまいります。 次に,環境政策及び都市の活性化についてでございます。京都市は,我が国を代表する歴史都市であり,また,147万京都市民が生き生きと生活する場であるとともに,日本でも有数の物づくり都市であります。したがいまして,景観をしっかりと保全しながら市民生活の充実や都市活動の活性化を図ることが大変重要でございます。本年2月に策定いたしました京都市都市計画マスタープランにおきましても,歴史や文化を継承し,創造的に活用する都市,誰もが快適に暮らすことができる都市であるとともに,活力ある都市を目標とした都市計画の方針を定めております。都市の活性化に当たりましては,この方針を踏まえまして,保全,再生,創造の土地利用を基本とし,京都の優れた景観の保全,形成に配慮しながら計画的な都市機能の配置や総合的な支援が必要でございます。そのため良好な景観の保全,形成及び住環境の保全,整備,並びに都市機能の整備,誘導の三つの観点を踏まえ,例えば創造を基調とする地域では,企業の立地促進に重点を置くなど地域の特性を考慮しつつ地区計画の指定や用途地域の変更といった都市計画手法の活用などにより,景観や市街地環境に重点を置きながら計画的な土地利用を誘導してまいりたいと考えております。今後とも,産業や観光,文化等の関連政策とも緊密に連携を図りながら,景観の保全と都市の活性化に資するまちづくりや景観づくりをしっかりと進めてまいります。 次に,市内農産物の地産地消についてでございます。繁議員御指摘のとおり,熱心な農家の手を経て受け継がれてきた京野菜は,古くから地産地消により京都の食文化を支えてまいりました。この地産地消の仕組みは,農家の生産流通コストを押さえるとともに市民が安心して新鮮な食材を入手できるなど,生産者,消費者双方にとっても非常に意義のあることであります。そこで,京都市では,中央卸売市場に京野菜の生産振興と消費拡大を図るため地元産野菜等を専門に扱います卸売市場を全国に先駆けて設置し運営してまいりました。このことが京野菜のブランド化にも大きく寄与していると考えております。また,平成10年度からは京の旬野菜推奨事業を実施し,栄養価が高い旬野菜を生産する農家の認定やその安全安心を確保する取組を進めてまいりました。あわせて,平成21年度からは,地下鉄駅ナカ等に直売所を開設し,旬の時期まで市内産の野菜を待って食べる「時待ち食」の普及啓発に取り組んでいるところであります。今後は大学等と連携して京てまりや京ラフラン,京唐菜,京北子宝いもといった新しい京野菜の開発と普及に取り組むとともに,山科なすや桂うりなど生産量は少ないものの繊細で風味がよく高品質な伝統野菜が数多くあることから,これらのより一層の生産振興と消費拡大に努め普及を図ってまいります。さらに,生産者と料理店との連携を強化するなど,新たな地産地消の仕組みを構築し,全国から京野菜が手軽に味わえてうらやましい,すばらしいと言われる京都市ならではの取組を強力に推進してまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(大西均) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) 魚アラリサイクルセンターの運営についてでございます。現在の魚アラリサイクルセンターは,市内で発生する魚アラの適正処理とリサイクルの推進のため建替え整備し,平成20年4月から本市直営の施設として操業を開始いたしました。施設の建替え及び運営に当たりましては,地元横大路地域の良好な環境の保全に万全を期すため,例えば臭気,においについてでございますが,国の基準を上回る自主基準の遵守等に関して地元団体と協定を交わすなど安定稼働に努めてまいりました。現在良質な魚粉を安定して製造し売却しておりますが,一方で,施設の規模に対して魚アラの搬入量が少ないこと等から収支については大幅な赤字が続いており,より一層効率的,効果的な運営を行うためには繁議員御指摘の小売店舗等での更なる分別排出の徹底はもとより,民間の知恵と工夫を生かしたコストの低減が必要であると認識しております。そのため,安定稼働の継続,運営コストの低減,良質な魚粉の製造や公害防止に留意しつつ地元との協議をしっかりと進める中で,来年度,平成25年度中に民間事業者の活用による魚アラリサイクルの推進に取り組んでまいります。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 次に,市政一般について,寺田一博議員に発言を許します。寺田議員。 〔寺田一博議員登壇(拍手)〕 ◆(寺田一博議員) 上京区選出の寺田一博です。突然の解散により来月には今後の日本の行く末を決める大切な選挙が行われます。私たち自民党議員団は,市会において責任ある第一党として市民の皆さんの大きな思いを受け止め,議会の姿や議員の活動がより一層身近に感じられるよう,しっかり働くことをここに改めてお約束いたします。 昨年3月11日に東北地方を中心とする日本国内観測史上最大と言われる地震が発生し,直後の統一地方選挙では震災の復興,そして防災やエネルギーの在り方が大きな関心となりました。私も当選直後の代表質問では,この場において,被災地を訪れたことや,その支援の在り方,本市の防災体制について質疑を行いました。昨年来,幾度となく被災地を訪れましたが,中でも本年6月11日に宮城県女川町へ訪れたときには復興の難しさに言葉を失いました。町の7割以上が被災した女川町は原発の立地としても有名ですが,1年3箇月たった後も瓦れきが多く積み上げられ,自力で物を作る力はまだまだ先といった状況でした。町長と面会し何が一番必要か尋ねたところ技術者の支援ということでしたので,早速京都に帰り,議会で質疑を行い,今月1日より本市建設局技術者の派遣が実現しました。また,陸前高田市や仙台市,石巻市など他の都市にも多くの本市職員さんが派遣され日夜復興に携わっておられます。時間がたてば復興支援の機運は薄れていく一方,被災地では長期的な支援が求められています。京都新聞において,連日「明日に向かって」という復興支援の紙面が続けられており,その姿勢に感銘を受け,担当責任者に話を聞かせていただいたところ,「震災後,時がたつにつれ市民の関心が薄れていくのを食い止めたい」という思いの中で,継続して紙面を通じて伝える難しさは,「特効薬はない,地道に伝えるのです」という言葉に現れておりました。今後本市におきましてもこれからの長期的支援と同時に継続の大切さを市民の皆様と共有することの答えがそこにはあるのではないでしょうか。 阪神・淡路大震災は,ボランティア元年と言われましたが,私は,昨年の東日本大震災がエネルギー改革元年になるのではないかと思っております。復興支援と同様,エネルギーに関しましても将来を見据えたビジョンを持ち,本市の方向を示さねばなりません。京都市の景観が50年後,100年後を目指すのと同様に,例えば新築時に太陽光発電を設置していただければ,将来は京都のまち全体がメガソーラーと言われることも可能なのではないでしょうか。早期にエネルギーに関する将来構想を構築し,市民の皆様と共に目標に向かって一歩一歩着実に進むことが必要だと考えます。その実現のためには,エネルギーの地産地消を本格的にスタートすることです。過日もバイオマス発電に関し全国20箇所をモデル地域とし拡大させようとする政府の方針が報じられました。本市は,中央市場や動物園などバイオマス発電の導入が検討できる施設も保有しております。また,小水力や太陽光など身近な小規模発電を推進する必要もあります。関西電力の株主でもある本市は,京都市民の安定的な電力供給の観点からも関西電力との情報共有化を更に進めつつ,京都モデルのエネルギー政策を構築する必要があります。中でもコージェネレーションシステムの普及推進や,断熱効果の高い建材を利用することにより消費を抑制することなども考えなければなりません。そこで市長にお伺いいたします。山紫水明の地・京都においてエネルギー地産地消等今後の施策についてどのようにお考えかお聞かせください。 次に防災対策についてお尋ねいたします。前回の代表質問では地域コミュニティ活性化推進条例の制定と地域防災の関わりについて質疑し,また,現場で工事に携わっておられる皆さんの知恵を生かした「まちの匠」による耐震改修を提言しましたところ,いずれも本市の政策として実現していただきました。特に耐震改修等に関しましては年度当初より申込みが殺到し,我々の議員報酬削減の一部をそこに充てるなど,補正で追加の予算を審議しまちの安全に寄与しています。また,京都市特有の細街路対策につきましては,当初私が提言したときと比べ最近では他会派の皆さんからの質疑も増えるなどその重要性については見直されてきたところであります。ただ,細街路問題は密集市街地や空き家対策など将来の都市像を見据えた立体的な政策を構築して,初めてその解決の道筋が見えてくるものです。局を超えた議論を更に進める必要があるのではないでしょうか。 また,避難所に関しましても,御高齢者の皆さんや障害をお持ちの皆さんが,一般避難所から状況によっては福祉避難所へ移られるわけですが,小さな子供たちは慣れない避難所での生活は大きなストレスになると思われます。そこで昼間の避難所とも言える保育園等が大きな役割を果たすことになります。しかしながら,特に民間保育園の耐震改修は大きく遅れており早期の支援強化が必要です。耐震診断の予算は付いておりますが,診断後直ちに改修できなければ不安感が残るだけです。耐震化の促進支援策を強く求めます。 「京都市民の命は必ず守る」という強いメッセージを発信するためにもその拠点となる常設の(仮称)危機管理センターの整備が不可欠となります。司令塔として各種被害情報の収集を行い,それを分析し発信,防災関連機関との連絡,調整など災害時に機能できる場所に設置する必要があります。また,災害廃棄物の仮置き場や仮設住宅用地,遺体安置所等についても平時より想定しておく必要があるわけです。そこで市長にお聞きします。市民の命を守るという強いメッセージとその根拠となる提言についてどのようにお考えでしょうか。 次に京都市及び京都を取り巻く交通政策について提言いたします。先般,自民党議員団の勉強会において京都大学の中川先生は,「道路が狭い,お金がないといった背景があるからこそ,運送コストを見直す必要がある。LRTを走らせないと1日120万円の損失という試算もある」と話されました。歩くまちという方針は示されているものの新しい交通体系に関しては具体的に進んでいるように感じられません。過日の連休でも観光地を中心に渋滞が拡がり,市民の皆さんや観光で京都を訪れていただいた皆さんから,目的地への到達が大きく遅れたといった不満の声が多く聞かれました。「日本の交通体系は世界より20年以上は遅れている」とも言われております。先進事例を学び,100万人以上の人口がありながら年間5,000万人もの観光客が訪れる京都市の特性をかんがみ,将来を見通した新たな交通体系を具体的に示すことが急がれています。また,リニアモーターカーに関しては,先日京都市会においても議員連盟を立ち上げ,関西空港からのアクセスも含めその必要性を発信することが確認されました。平成22年9月の代表質問では,「今の新幹線も当初の計画では京都に停車駅がなかったところ,当時の高山市長はじめ京都を挙げての働き掛けにより京都駅に見事に停車させることができた」という新聞記事を紹介いたしました。日本における京都への交通網,そして京都市民の足となる新しい交通体系は,市民の皆さんの共汗なくして実現はできません。市民の代表である議会,そして行政と経済界の三者が連携する必要があります。オール京都の体制づくりに共に汗することを提言いたします。 次に,公立高校の総合選抜制度の見直しについてお尋ねいたします。私の周りでは,「15の春は泣かせない」という言葉の続きに,「そのかわり18で泣くけどね」といったことがよく言われていました。また,「なぜ兄弟で同じ学校に行けないのか」や「京都では行きたい学校に行けない」といった声も少なくありませんでした。そういった背景の中,今なお総合選抜制度が残っているのは全国でも京都市・乙訓地域のみとなってしまいました。府内の高校進学率が98パーセントとほぼ全入時代を迎える中,ものづくりを支える技術者を輩出してきた高校,音楽,芸術の専門家を育成してきた高校と同様に普通科系でも各校が様々な特色ある学科やコースの中で生徒の個性を生かした教育が行われており,その中で,「あの高校に行きたい」と希望する生徒が増えてきています。しかし現状ではその希望がかなう学生は一部にとどまっていると聞いております。もちろん単独選抜が導入されると,希望校に合格できなかった場合に高校に進学できないのではないかという不安を持っている中学生や保護者の皆さんの声は切実であり,耳を傾けなければなりません。そこでお尋ねいたします。四半世紀ぶりの抜本改革となる総合選抜制度の廃止と単独選抜への移行には,子供たちや保護者の理解が得られる新たな選抜制度の構築を願うものでありますが,いかがお考えですか。お聞かせください。 次に,地元上京区に関して要望と質疑をさせていただきます。現在上七軒では無電柱化の工事が大詰めを迎え,いよいよ今年度完成します。これを機に住民の皆さんが更にすばらしいまちになるように願っておられます。また,この界わいは北野天満宮をはじめとする多くの歴史文化遺産が点在しており,歩いて楽しいまちとして多くの観光客が訪れています。もちろん地域の盛り上がりが必要ではありますが,この界わいを「世界遺産の候補地に」という声もございます。是非市長におかれましてもその夢が現実になりますよう御理解と御協力をよろしくお願いいたします。また,上京区内の大きな工事としましては中心部でもある橘公園の整備も今年度に完成いたします。震災の影響で完成が1年遅れ周辺の皆様には御迷惑をお掛けしましたが,健康増進運動公園としてリニューアルされます。1周250メートルのウオーキングコースや大小の広場では御高齢の皆様や小さな子供たちが楽しく健康的に集えるように考えられています。また,地域による体操なども計画されており,それぞれの体力に応じた運動ができるように考えられています。例えば夏場などは地域の銭湯と連携し,公園で汗をかいた後はお風呂に行くという楽しみ方もできるのではないでしょうか。こういった地域で運営される健康のための公園が広がるよう期待しています。 一方,計画は色々示されるもののその段階でどどまってきた堀川団地の再生ですが,いよいよ動き出すと聞いております。私も代表質問や委員会等で幾度となく提言してまいりましたが,この間,堀川商店街では先の見通しがないまま営業を続けなければならなかったという民間の感覚と掛け離れた事態が続いてきました。先日の堀川団地再生・事業推進委員会の資料を見たところ,多くのページが,アートと交流のまちづくり等であり,肝心の住民や商店街について見ますと,現居住者への対応案が1ページのみ,商店街に至っては全くと言っていいほど示されておりません。私は,アートと交流のまちづくりや,計画案にある職人工房や留学生センターを否定するものではありませんが,住民の皆様や商店街の理解なく進めることがあってはなりません。先日も強い不安の声が私に寄せられました。事業推進委員会のメンバーでもある京都市は,地元自治体として地域の声を京都府や公社に強く届ける必要があります。そこで市長にお尋ねします。堀川団地再生に関し京都市の考えをしっかり示し,京都府や京都府住宅供給公社へ強く働き掛ける必要があると思いますが,いかがですかお答えください。 さて,上京区には西陣織をはじめとする伝統産業が多くありますが,中でもネクタイ製造は大変厳しい業種の一つとお聞きしております。その原因の一つが行き過ぎたクールビズにあると私は思っております。特に本年は5月1日から10月末までと半年もの間クールビズの期間を延長しました。私は,夏の暑い時期にエアコンを控えて軽装で過ごすことに異論はありません。しかしながら,暑くもない時期や過度に空調が効いている部屋でネクタイを外すことに違和感を覚えるものであります。「寒い寒い」と言いながらネクタイを外す姿はもはや政策としてではなく単なるパフォーマンスにほかなりません。現在の京都市は,伝統産業活性化をうたいながら一方ではネクタイさえ外せば地球温暖化に寄与していると考える風潮が一部見受けられます。これは率先して改めなければなりません。そこで市長にお尋ねいたします。身近な伝統産業を活用した商品の普及啓発と併せお考えをお聞かせください。 上京区は市内でも一,二を争う御高齢者の多い地域でもありますが,学生の多く住むまちでもあります。伝統と文化の息付くまちで,そのまちの特性を生かした将来像を描き,明日を夢見てその将来像を少しずつ現実のものにしていきたいと思っております。御清聴,どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(大西均) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 寺田一博議員の御質問にお答えいたします。 まず,本市における今後のエネルギー政策についてでございます。京都市では,これまでからバイオディーゼル燃料化事業や「都市油田」と高い評価を受けている生ごみ,紙ごみからのバイオエタノール製造など先駆的な取組を市民ぐるみで進めてまいりましたが,東日本大震災に伴う原発事故を契機としてエネルギーの地産地消の取組を更に加速させていくためには,再生可能エネルギーをはじめとする地域のエネルギー資源を最大限に活用していく戦略の構築が不可欠であります。そのため,府,市,経済界がエネルギービジョンや目標等を共有するとともに,高い志を有する市民や地域の力,環境,エネルギー産業の集積,また大学を含めた産学公の強固な連携などの京都の強みを徹底的に生かし,府,市,経済界で構成します「京都産業育成コンソーシアム」の取組を通じて中長期的な戦略を策定し,本市エネルギー政策の新たなスタートの年としてまいりたいと決意いたしております。策定に当たりましては,一つは,太陽光発電や小水力発電,木質バイオマスなど豊かな自然の恵みを最大限に活用した再生可能エネルギーの飛躍的な拡大,次に,エネルギーの有効利用を促進するコージェネレーションシステムをはじめとした省エネの追求,さらには,京都が誇る環境,エネルギー産業の集積や大学の知を生かしたグリーンイノベーションの推進などが重要であり,エネルギーを地域で生み出し地域で賢く使う,そのための技術革新やシステムづくりなどを通じまして,京都ならではのスマートコミュニティの構築を目指して全力投球してまいります。 次に,防災対策についてでございます。私は,市民の皆様はもとより京都を訪れられる多くの方々の掛け替えのない命を災害時に,またあらゆるときにしっかりと危機から守っていくことが京都市政の最大の使命であると認識いたしております。そのために,東日本大震災発生後,直ちに専門家や市民の代表参画による防災対策総点検委員会を設置し,徹底した議論を積み重ねていただき,130項目の提言をいただきました。そして,これらをいち早く具体化するため,財政が厳しい中ではございますが,優先順位を付け,例えば橋りょうの耐震化,あるいは本市独自の住宅の耐震助成など積極的な取組を推進いたしております。とりわけ寺田議員御提案の民間保育所の耐震化の促進や危機管理センターの整備につきましても,早急に取り組むべき課題でございます。まず,子供たちの安全を守るための耐震化につきましては,全小中学校につきましては既に完了しておりますが,幼い子供たちの生活の場であり,また災害時に大きな役割を果たしていただくこともできる民間保育園につきまして,一層取組を推進する必要があるため,11月に専任の職員を配置し体制を強化するとともに,耐震診断未実施の全ての民間保育園に耐震アドバイザー派遣事業を拡大する補正予算を本市会に提案させていただいております。さらに,来年度の早い時期に各園の意向や状況等を踏まえた耐震化計画を策定してまいります。今後,民間保育園において耐震改修を促す支援方策を積極的に検討し実施してまいりますとともに,国に対しまして耐震化に係る財政支援の拡充を強く求めてまいります。 次に,災害対策の司令塔となります常設の危機管理センターにつきましては,耐震性のある消防庁舎の作戦室などを活用して早急に整備してまいります。そして将来的には,現在検討中の庁舎整備計画の中で十分な機能を備えたセンターを整備していきたいと考えております。今後とも地域防災計画の見直しを図る中で,災害廃棄物の仮置き場の事前指定等も含めまして多くの課題はございますが,検討を重ねまして大災害に備えた万全の対策を講じてまいります。 次に,堀川団地についてでございます。堀川団地の再生につきましては,現在,京都府及び京都府住宅供給公社により設置された商店街や入居者,地域住民などの意見を反映するための「堀川団地まちづくり協議会」や団地再生方針や事業スキーム等について検討を行う「堀川団地再生・事業推進委員会」において,アートと交流をテーマとした再整備計画の検討が進められているところであります。しかしながら,寺田議員御指摘のとおり,本市といたしましても,団地再生事業を進めるに当たりまして,商店街や入居者,地域住民の皆様の御理解や御協力が前提であると考えております。そのうえで,建物の耐震改修による安全性の確保はもとより,二条城や晴明神社,西陣織会館,さらには,京の七夕などと連携した観光振興,堀川商店街を中心とするにぎわいの創出,高齢者・障害者・子育て世代等の多様な主体によるコミュニティの活性化など地域が目指すまちづくりを着実に進めることが重要であると考えております。こうした観点から,本市といたしましても,これまでから「堀川団地まちづくり協議会」等に参画し京都府や京都府住宅供給公社に積極的に働き掛けてまいりましたが,今後は本市のこれからのまちづくりの考え方をしっかりとこれまで以上に示すとともに,京都府,京都府住宅供給公社が関係者の皆様に丁寧な事業説明を行い,意見を十分にくみ取ったうえで再整備計画に反映されるよう強力に働き掛けてまいりたいと考えております。 次に,西陣織のネクタイをはじめとする伝統産業の活性化についてでございます。寺田議員御指摘のとおり,西陣織のネクタイにつきましては,海外製品の流入の影響等を受け厳しい状況が続いていることに加えまして,近年のクールビズの実施等により出荷数量と金額が大きく減少してきております。クールビズにつきましては,全国的な省エネ,節電対策事業の一環であり,本市でも軽装の励行等を行っておりますが,寺田議員御指摘のとおり,本来の趣旨にかなっているかどうかということが一番重要であります。今後は時節や場面によっては必ずしもネクタイを外す必要はないことを積極的にアピールしていきたいと思っています。西陣織の夏物のネクタイは涼しさを演出する効果もございます。 次に,伝統産業製品の普及啓発についてでございます。本市では,京都の伝統文化を支える西陣織や京友禅等の染,織物から京焼,清水焼など伝統工芸品,清酒等の食品まで73品目の伝統産業製品として指定し,その普及に努めております。これらを日常生活の中に自然に取り入れていただくために,例えば食洗機に対応できる京焼,清水焼のお皿など現代のライフスタイルに求められている新製品の開発の支援を行うほか,首都圏において「ふだん使い」をテーマにした竹かご等の展示販売や着物姿で京野菜を使った料理と京都のお酒を楽しんでいただくイベント等を開催してまいりました。また,京都市役所と職員が率先して伝統産業製品を使用する「隗より始めるプロジェクト」に取り組んでいるところであります。今後とも業界等と連携し,京都市内のみならず首都圏,海外における展示会の開催や,インターネット等のあらゆる方法によりまして,京都の伝統産業製品の普及,事業拡大,京料理,日本酒も含めまして,それらの普及,啓発に努めてまいります。 私からは以上でございます。以下,関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(大西均) 生田教育長。 〔生田教育長登壇〕 ◎教育長(生田義久) 公立高校の入学者選抜制度についてでございます。議員御指摘のとおり,普通科第Ⅰ類の総合選抜制度では希望する高校に行けない,毎年のように入学校が変わるなど生徒の希望や努力が必ずしも報われない状況があります。こうした中,有識者会議の提言を踏まえ策定いたしました「新しい高校教育制度(案)」では,より多くの高校の中から生徒が主体的に希望する高校を選べるよう総合選抜制度から単独選抜制度への移行や,2通学圏の統合などをお示ししています。また,単独選抜制度に対する生徒,保護者の不安の声もお聞きしており,前期,中期,後期の計3回の受検機会を設けるとともに,中期選抜におきましては複数の高校を志願できるようにすることなどを検討いたしております。現在,市民の皆様から新しい制度案に対して幅広い御意見を頂いており,さらに,過日開催をいたしました4回の説明会では,1,000名を超える保護者などに参加をいただき,「制度の詳細について早く知らせてほしい」との多くの声をお聞きしたところであります。こうした保護者,市民の願いに応える新たな入試制度の詳細について,来年1月中を目途に公表できるよう,京都府教育委員会と協議を進めてまいります。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 次に,市政一般について,山元あき議員に発言を許します。山元議員。 〔山元あき議員登壇(拍手)〕 ◆(山元あき議員) 右京区選出の山元あきでございます。繁,寺田両議員に続き自民党京都市会議員団を代表して質問いたします。 質問に入る前に,まず,この場をお借りして一言申し上げたきことがございます。私は,昨年9月議会の途中から体調を崩し,約半年間,議会を休ませていただきました。その間,同僚議員の皆様はじめ多くの皆様に大変な御迷惑と御心配をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます。こうしてまた,この場に立たせていただくことができましたのは,皆様の御理解とお支えがあってのことでございます。心から感謝申し上げます。 床に伏しておりました間,何もすることができず,ふだん余り見ることのないテレビを見て過ごしておりました。お昼間には大抵サスペンスドラマというものが放映されており,興味本位で見てみましたが,すぐ犯人が分ってしまうので3日で飽きました。議員という肩書の人物が出てくると,2時間後に逮捕される犯人はほぼ間違いなくその人でした。「私を誰だと思っているんだ」という捨てぜりふを吐きながら手錠を掛けられる姿を見ながら,「なるほど,世の人々にとっての議員のイメージとはこういうものなのか」と,何ともやるせない思いがいたしました。思い返せば3年前,「最低でも県外」と思い付きで言った一言で,沖縄の人々に大いなる苦悩を与え,アメリカとの信頼関係をずたずたにした鳩山元首相は,今や自身が当選圏外であることにようやく気付き引退を決意されました。間もなく始まる総選挙において市民の皆様には確かな御判断で確かな人物を選んでいただきたいと思います。少々前置きが長くなりましたが,これから質問に入ります。 まず初めに,河川改修について質問いたします。近年,ゲリラ豪雨と呼ばれる集中豪雨の発生が増加しております。本年7月15日に京都市内で記録的な集中豪雨により,右京区の山間部や市内北部地域を中心に河川の護岸が損傷する事態となりました。また,8月14日には宇治市内を流れる弥陀次郎川の堤防が決壊し,家屋の損壊など甚大な被害が生じたことは記憶に新しいところでございます。このような豪雨災害を踏まえ,本市では,建設局の土木事務所の職員が中心となり速やかに河川の緊急点検を実施,その点検結果を踏まえて今議会に河川浸水対策緊急事業に要する補正予算が提案されました。河川改修には多額の経費と時間を要します。また,災害の予防対策というのは成果が見えにくく,実際に被害に遭遇するまでその重要性を認識しづらいものでもございます。我々自民党議員団は,かねてから浸水対策の強化を要望してまいりました。今回,門川市長が市民生活の安全を守るため浸水予防緊急対策に取り組むことを決断されたことは高く評価するものでございます。しかしながら,今回のこの浸水対策事業に要する補正予算1億6,300万円の財源は全額一般財源が充てられ,国からの援助は全くございません。「コンクリートから人へ」という訳の分からない理念を掲げた民主党政権下ではゲリラ豪雨対策という市民の生命,財産を守る事業でさえ見捨てられ,京都市の一般財源で実施せざるを得ない状況です。しかし理想だけは富士山よりも高く,実行力と誠実さは一かけらもなかった政権がようやく終わり,間もなくまともな政権が誕生することでしょう。国に対して財政措置を講じるよう強く求めたうえで,来年度の河川の整備や維持,管理に関する予算については更なる拡充を図る必要があると考えます。改めて国に対する要望と,今後の浸水対策を進めるに当たっての門川市長の決意をお聞かせください。 次に,子ども医療費支給制度について質問いたします。本年9月から京都市子ども医療費支給制度の拡充が図られ,これまで小学校就学前までを対象としていた通院医療費の支給が9月からは中学校就学前までの児童が対象となり,1箇月3,000円の自己負担で受診が可能となったことは大変喜ばしいことです。ただ,2月議会で自民党市会議員団が中心となって取りまとめた決議にあるように,現実的かつ計画的な制度拡充に努めることが今後更に必要であると考えます。特に償還払い制度については,居住区以外の区役所・支所や郵送での受付を可能とするなど市民の皆様の手続負担の軽減に一定の努力はされておりますが,もっと踏み込んだ見直しをするべきであると考えます。現在の制度では,窓口で3,000円以上を支払った場合,その超えた額は申請により払戻しの支給を受けることになっておりますが,後日の払戻しではなく,それぞれの医療機関の窓口での支払が上限額3,000円で済むようにし,市民の皆様の負担軽減と利便性の向上に一日も早く取り組む必要があると考えますがいかがですか。さらに,子ども医療費の負担軽減は国の責任の下で恒久的に実施されるべきものです。社会保障と税の一体改革を踏まえ,全国一律の制度を創設するよう今こそ国に強く求めるべきと考えますがいかがですか。 次に,情緒障害児短期治療施設「青葉寮」の再整備について質問いたします。待てど暮らせどコウノトリが来ない私にとって,折角授かった我が子を虐待するなど到底理解し難いことでございますが,児童虐待は年々増え続けているというのが哀しい現実です。また児童虐待だけでなく子供や子育て家庭を取り巻く課題は山積いたしております。こうした状況を踏まえ,平成22年6月に第2児童福祉センター(仮称)等基本構想が策定され,増加する児童虐待や発達相談への対応,療育事業の一部民営化を含む運営主体の検討,一時保護所と青葉寮が合築されている建物の狭あい化といった課題と解決策が示されました。その解決の第一段階として,京都市では,本年4月に第2児童福祉センターを開設,また,児童発達支援センター「こぐま園」と総合療育事業「カンガルー教室」については社会福祉法人に委託するなど基本構想に沿って着実に取組を推進されています。しかし,一時保護所と青葉寮の狭あい化にまだ課題が残っております。基本構想では,青葉寮について,「近い将来の移転,再整備が必要であり,民設民営での整備を検討する」とあり,一時保護所については,「青葉寮の再整備後に改修,拡充する」とされています。現在の青葉寮の整備時には小学生のみの利用を想定されていましたが,近年,発達障害のある子供や虐待を受けた子供の入所が増加し,さらには中学生も多く入所していることから,プライバシーや生活空間の確保が十分にできない状態であります。第2児童福祉センターの整備が完了した今こそ,次のステップとして,まずは青葉寮の民設民営による移転整備を速やかに行い,一時保護所の充実に向けた道筋を付けるべきと考えますがいかがですか。今後の方向性をお聞かせください。 次に,地下鉄の増客対策について質問いたします。地下鉄事業では,駅ナカビジネスによる収入が平成23年度は4億4,500万円となり,経営健全化計画で定めていた目標5億円を2年前倒しでほぼ達成され,先日発表された中期経営方針では「平成30年度には年間収入10億円を目指す」とされています。駅を中心とした賑わいの創出は大変結構なことであり,今後も着実に成果を出していただきたいと思います。さて,その一方で増客目標は順調に成果が出ておりません。本市では,平成30年度までに5万人の増客を目指しておられますが,一昨年は対前年度比1日当たり3,000人増,昨年は4,000人増,2年で7,000人の増客とはなっているものの,平成30年までに5万人増を達成するためには今後年間約1万人ずつの増客を図っていかなくてはならないことになります。これは大変な難問です。特に地下鉄東西線が苦戦しているのは皆様御存じのとおりでございます。私は,西の終点太秦天神川駅から市役所までいつも地下鉄で来ております。議員になった当初は車で市役所まで来ておりましたが,「折角出来た地下鉄を利用しなければ」と最初は義務感にかられて乗りました。しかし,乗ってみると非常に便利で,今では地下鉄愛用者の一人でございます。いつでも必ず座れて全く混雑していない東西線は,狭いところと人混みが苦手な私にとりましては正に快適そのもの。ですが,これではいけない,私が乗りたくなくなるくらい混雑する日が一日も早く来てほしいとも思っております。太秦天神川駅の1日平均乗車人員は平成23年度で6,490人,平成20年度に比べると1,369人増とはなっておりますが,正直申しまして,まだまだ寂しい数字と言わざるを得ません。2015年4月に山ノ内浄水場跡地に京都学園大学太秦キャンパスが開設される予定で,これが大きな増客につながればよいのですが,それを待つだけでなく,これまで地下鉄を利用していなかった方々にどうしたら乗っていただけるようになるか真剣に考えなければなりません。5万人増客というとてつもなく大きな目標を達成するために,今後どのような取組をされていくのか御所見をお聞かせください。 次に,水道老朽管の布設替えについて質問いたします。蛇口をひねればいつでもきれいな水が出てくることを私自身も含め,我々は余りにも当たり前に思い,ともすればその有り難さを忘れがちです。しかし,ひと度水がなくなればどうなってしまうのか,それは命にも関わる問題です。市民のライフラインである上下水道を将来にわたって安全安心,安定的に使い続けることがでるよう財源をしっかり確保して,老朽管の取替えの計画値の引上げや耐震化を行っていかなくてはなりません。次期経営計画では,「地震をはじめとする災害対策や老朽化した施設の改築更新等に取り組む」とありますが,それには多額の経費を要します。一方で,節水意識の高まり,節水機器の普及,地下水利用の増加により水道使用量は近年減少し続け,料金収入も平成23年度決算では前年比マイナス7億900万円となっております。それでも京都市では,経費削減等様々な経営努力をすることで,平成13年に料金の改定を行って以降,同水準の料金を維持されてまいりました。しかし,法定耐用年数を超え取替えが必要な水道管が京都市内にはまだ560キロメートルもあり,現在は財源の問題からそれらを1年に0.5パーセントずつ更新するのがやっとです。これではいつになったら全ての取替えが終わるのか,いつどこで破損が起こるのか,考えただけで背筋が寒くなります。次期経営計画では更新を年1パーセントにまでペースアップしたいとのことですが,これには年間60億円の費用が必要となります。現在,京都市上下水道料金制度審議委員会の中で,水道料金体系の見直しも含めて今後の上下水道の在り方が検討されています。京都市では,「京都の水道水は世界最高水準」とうたい,そのおいしさの宣伝を懸命に行っていらっしゃいます。確かにおいしいに越したことはありませんが,私はそれよりも,安全安心な水道水を今後も安定的に供給していくために,どれだけ莫大な維持管理費用が必要なのか,目には見えない道路の下で,現在水道管がどういう状況にあるのかを市民の皆様に理解していただくことの方がずっと大事であると考えます。その説明を行うことによって,はじめて市民の皆様に水道料金体系の見直しを提案することもできるのではないでしょうか。料金の値上げなど,できれば誰もしてほしくはないでしょう。しかし,現実を見据え,誰かが決断をしなくてはならないのです。「なくして分かるありがたさ,親と健康,水道の水」,そうなる前に,この老朽管の布設替えの更なるスピードアップと財源確保をしていただきたいと考えますが,市長のお考えをお聞かせくださいませ。 最後に,私は,ドジョウに心から同情いたします。時の総理にたとえられたばかりに,今やドジョウはうそつきの代名詞となりました。私が子供のころは,「うそつきは泥棒の始まり」と言われましたが,最近では「うそつきは政治家の始まり」とさえ言われる有りさまでございます。今ではセピア色の忌まわしき思い出となった事業仕分けで,「2番じゃ駄目なんですか」と言い放った某民主党国会議員がありました。間もなく行われる総選挙でどうぞ心置きなく民主党の皆様は2番を目指していただきますようお願い申し上げます。自民党は,この京都はもちろん,全ての選挙区で1番を目指し,必ず政権を奪還し,本当の意味で国民に寄り添い,国土と国民を守る政治を今後行っていくことを皆様にお誓い申し上げ,私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(大西均) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 山元あき議員の御質問にお答えいたします。 まず,河川改修についてでございます。本市では,これまでから河川改修と下水の雨水幹線整備を二本柱として浸水対策を強力に進めてきており,その結果,床上,床下浸水の被害戸数は大きく減少し,三,四十年前には年平均1,000戸であった被害件数が,近年は約60戸程度となってきております。しかしながら,今年は300戸を超える状況となっており,局地的な集中豪雨への対策が喫緊の課題となっております。このような中,8月に宇治市等で大きな被害を発生したことを受けまして,本市が管理する河川のうち,天井川や過去に浸水被害が発生した河川,あるいは土砂が堆積している河川について,本市の土木技術職員が集中的に緊急総点検を行うとともに,応急対策を実施いたしました。そして,早急に対策が必要と判断した39の河川につきまして,堆積した土砂の撤去や護岸の補修などを,雨量が多くなる来年6月までにしっかりと完了させてまいります。また,過去30年間で浸水被害が発生した16の河川のうち既に事業に取り組んでいる河川を除いた8河川については,より専門的な治水安全度調査を行うとともに,河川の状況に合った対策などを取りまとめた整備プログラムを来年8月までに策定したうえで,緊急度の高いものから優先順位を付けて対策を実施してまいります。緊急対策として,当面必要な経費につきましては,財源をやりくりし全額一般財源で補正予算案を提案させていただいておりますが,河川の整備や維持管理には,山元議員御指摘のとおり巨額な財源が必要であり,国の財源措置が不可欠であります。このため,国に対しまして補助制度の拡充や新設など抜本的な制度改正を強く働き掛けてまいります。今後とも積極的に予算を確保し,計画的な河川改修と良好な維持管理に努めまして,災害から市民の皆様の命,暮らしをしっかりと守ってまいります。 次に,地下鉄の5万人増客についてでございます。地下鉄御利用ありがとうございます。本市では,地下鉄事業の健全化の最大の柱である1日5万人増客を達成するため,平成22年4月に副市長をトップに全局長,区長等で構成する「京都市地下鉄5万人増客推進本部」を立ち上げました。この間,市民生活の向上や活力あるまちづくり,歩いて楽しい公共交通優先のまちづくりの推進につながります地下鉄事業の充実と利用促進に向けまして全庁体制で取り組んでまいりました。その結果,1日当たりのお客様数は,3年目となる本年10月末時点で1万2,000人の増客を図ることができました。5万人増客は御指摘のとおり非常に高いハードルでございますが,地下鉄事業の継続と発展のためには,何としても達成させなければなりません。このため,まず第一に,交通事業者全国一のお客様接遇の実践や駅空間の魅力をアップさせるコトチカの充実など徹底したお客様目線に立った利便性の向上,第二に,山ノ内浄水場や東部クリーンセンターの跡地活用をはじめ岡崎地域や二条駅地域など沿線地域での民間活力を生かした賑わいある活力あるまちづくりの推進,第三に,地域,企業,大学,観光,MICEとも協働したオール京都の取組による公共交通優先の「歩くまち・京都」の推進が重要であります。今後とも私自らが先頭に立って京都市のあらゆる政策を総動員し,市民の皆様の積極的な御協力も得ながら地下鉄5万人の増客目標の達成に向けまして強い決意で取り組んでまいります。 次に,老朽化した水道管の更新の促進とその財源確保についてであります。山元議員御指摘のとおり,上下水道は市民生活や事業活動を支える極めて重要なライフラインであり,いついかなる場合も,その機能を確保しなければなりません。そのため,老朽化した水道管の更新は喫緊の課題であります。そこで,上下水道事業の次期経営計画につきまして,東日本大震災や洛西地域での事故等を教訓とし,水道管や施設の更新,災害対策を重要課題に位置付けて,より一層強化する計画の策定を指示いたしております。特に水道管の更新につきましては,事業費を平成20年度から平成24年度までの5箇年総額162億円を平成25年度からの5箇年では344億円と2倍以上に増加させ,現在0.5パーセントである更新率を,平成29年度には1.2パーセントまで引き上げ,さらに,その後には1.5パーセント以上を目指してまいります。これらに必要な財源の確保につきましては,更なる経営の効率化を徹底するとともに,現役世代と将来世代との負担の公平性などを考慮し,老朽化の状況,更新の必要性をしっかりと市民の皆様に御説明申し上げ,来年2月には新たな料金制度をお示しし,十分な御理解をいただけるよう努力してまいります。こうして,安心安全な上下水道を守ってまいります。 以下,副市長が御答弁申し上げます。 ○議長(大西均) 星川副市長。 〔星川副市長登壇〕
    ◎副市長(星川茂一) 私からは,2点についてお答えいたします。 まず,子ども医療費支給制度の改善についてでございます。子ども医療費の支給制度につきましては,国による補助制度がない中,府市協調の下で,これまで5回にわたり制度の拡充を図ってきており,本年9月からは通院に係る助成の対象を小学校卒業まで拡充したところであります。議員お尋ねのいったん医療費の自己負担額を窓口で支払ったうえで,1箇月3,000円を超える額を払い戻す,いわゆる償還払い制度の見直しにつきましては,本年2月市会の「改善に向けて取り組むべき」との決議を踏まえまして,これまで鋭意検討を進めてきたところであります。制度改善には,システム改修に多額の経費を要するなど課題もございますが,利用者の負担軽減,利便性の向上を図るため,来年度中には窓口で3,000円までの支払のみで済む現物給付化の実施ができるよう取組を進めてまいりたいと考えております。なお,議員御指摘のように,子ども医療費の負担軽減施策につきましては,国の責務として,全国一律に実施されるべきものと考えております。これまでから,補助制度の創設を求めているところでありますが,引き続き他の市町村とも連携をいたしまして,より強力に要望を行ってまいります。 次に,情緒障害児短期治療施設「青葉寮」と一時保護所の再整備,充実についてでございます。青葉寮は,発達障害,虐待などにより情緒面での課題を抱え,社会適応が困難となっている子供たちに対して,入所や通所による心理治療と生活指導を一体的に行う施設として大変重要な役割を担っておるところでありますが,議員御指摘のとおり,近年,対象児童の増加や,当初予定していなかった中学生の入所などにより,子供たちの適切な処遇に必要な生活空間が確保できず,結果として,青葉寮で受け入れることが望ましい子供が児童養護施設などに入所せざるを得ない状況となております。このため,青葉寮につきましては,一昨年6月に策定をいたしました第2児童福祉センター等基本構想に基づきまして,施設拡充を伴う移転再整備を喫緊の課題として捉え,これを民設民営で行うことを検討いたしておりましたけれども,全国的に見ましても,同種施設は約9割が民営方式で開設されております。こうしたことを踏まえまして,今後京都市におきましてもこの方向での整備を急ぎたいと考えております。具体的には,来年度の早い時期に設置運営に当たる事業者を公募,選定するなどいたしまして取組を進め,平成28年4月の開設を目指してまいります。また,現在青葉寮と同じ建物内にあり手狭となっております一時保護所「すばるホーム」につきましても,青葉寮の移転,再整備に伴う空きスペースの活用によりまして,これまでの施設環境を改善,向上するべく,青葉寮の移転後,直ちに改修,整備を行い,児童の処遇向上を図ってまいります。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 暫時休憩いたします。 〔午前11時35分休憩〕 〔午後1時01分再開〕 ○議長(大西均) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,くらた共子議員に発言を許します。くらた議員。 〔くらた共子議員登壇(拍手)〕 ◆(くらた共子議員) 上京区選出のくらた共子です。私は日本共産党市会議員団を代表し,市長に質問します。国会が解散し,総選挙が目前となりました。政権を交代させた国民は新しい政治を求めています。原発再稼動,消費税増税と社会保障の改悪,TPP参加など,国民の声を無視し,歴史までも逆流させようとする,「こんな政治を変えたい」との声が広がっています。日本共産党は,内政,外交における新しい日本の改革ビジョンを示し,国民の皆さんと一緒に行動し,即時原発ゼロの実現など,命と暮らしを大切にする政治の実現に全力で頑張る決意を述べて質問に移ります。 まず,市民生活に対する消費税増税の影響についてです。小学生と保育園児の子供を持つあるお母さんは,「子ども手当も廃止になる。夫の賃金は増えず,自分もパートで必死に頑張るが,毎月家計はかつかつ,これで消費税が増税されたら食費を減らさざるを得ない。二人の子供の成長に合わせお金が掛かるが,やっていけるか不安でたまらない」と述べておられます。内閣府による国内総生産速報値は,年間換算で3.5パーセント減となっており,景気の後退は致命的な状況です。この状況下に消費税を増税するなど断じて許されません。消費税に対する世論調査で,子育て中の30代で96パーセント,40代でも95パーセントが,「暮らしに影響する」と答えています。背景には若い世代の不安定雇用など低収入の広がりがあります。今でも子供のいる世帯の69.4パーセントが,「生活が苦しい」と答えていることから,消費税増税が尋常でない影響を与えることが明らかです。2011年と2015年時点での世帯の可処分所得の政府の試算によりますと,40歳以上の片働きで年収300万円の世帯では24万円以上減ります。年収500万円の世帯では31万円以上減るという事態です。市長は,厳しい生活を強いられる子育て世帯の状況をどう認識されていますか。「消費税は社会保障に必要な財源を確保するために重要」との認識は,市民生活を顧みないものではありませんか。いかがですか,お答えください。 雇用の面では,賃金の下落が続き,若者の就職難は引き続き深刻です。改正された労働者派遣法は完全な骨抜きで,非正規雇用労働者を拡大させる仕組みが作られました。そのうえ,大手の電機,情報関連企業が経営悪化を理由に13万人にも及ぶ大量のリストラ,解雇を進めています。京都ではロームが1期の赤字を理由に250人の希望退職者を募るとしています。しかし,ロームの内部留保は7,000億円。京都会館の改築でネーミングライツ料として52億5,000万円支払うなど十分な体力があります。しかもロームは雇用確保を目的とする京都市企業立地促進事業の補助を受けた企業です。たった1期の赤字を理由に職員の大量解雇を進めるロームに対し,市長は何も言わないのですか。雇用確保に対する企業の社会的責任を果たすよう要請すべきです。いかがですか,お答えください。 次に,商店街の振興についてです。我が党は商店街を守るために,「商業集積ガイドプランの撤回,京都市まちづくり条例を大型店出店を規制するものに見直すこと,大規模小売店舗立地法は需給調整が可能となるよう国に求めるべき」と繰り返し指摘し,求めてきました。しかし実現されず,京都市としての効果的な対策は採られていません。現在,堀川丸太町南西角の元ニュー京都ホテル跡に大型スーパーの建設計画があります。この計画に対して地元住民から,「コミュニティ道路でもある猪熊通に出入口をつくることは決して認められない」との強い意見が出されています。住民が合意できない出店は認めるべきではありません。住民説明会で,事業者から「商業圏は1キロ,北は晴明神社,南は三条商店街,西は七本松通,東は高倉通あたりで,1日3,000人の来客数を確保したい,南と西は厳しいが,北,東方面で客層を得たい」と説明がありました。これは堀川商店街を凌駕する商業戦略だということが明らかです。京都市は「商店街は地域になくてはならないもの」としてきましたが,堀川商店街の地域における位置付けをどう考えておられますか,商店街を守るために新たな出店を規制することを求めますがいかがですか,お答えください。 また,堀川商店街では,京都府住宅供給公社堀川団地の再整備計画案が出されていますが,団地の住民や商店主から,「まともな説明は聞いていない,私たちの意見は聞かれない」と,事業の在り方に対する意見と共に,「ここに住み続けられるのだろうか,家賃の値上げが心配」との声も寄せられています。建物の安全を確保すると同時に,市民が安心して住み続けられるように,市としてしっかり役割を果たすことが必要ですが,いかがですか。また,現在ここで営業を営んでいる商店への配慮が必要です。商店街関係者からは,「京都府が示した直近の再整備計画案で,果たして商店街として成り立つのだろうか,整備後も営業できるのだろうか」との意見があります。地域住民の生活を支える立場からも,住民や商店街関係者の意見を,まずはよく聴くことが必要です。そのうえで,商店街の活性化が図れるよう市の役割を果たすことを求めますが,いかがですか。はっきりとお答えください。 次に,TPPについてです。TPPに参加することになれば,アメリカの経済ルールが日本に押し付けられることになります。関税撤廃が迫られるだけでなく,日本の国内制度をアメリカが非関税障壁だと見なせば,その制度の撤廃すら求められることになります。京都市が定める中小企業を優先し,育成する仕組みなども攻撃にさらされるとの指摘があります。アメリカの多国籍企業が,日本の国民を守る国内制度の制約を受けることなく企業活動ができるようになれば,食の安全や農業,医療と薬業,金融,保険,雇用など国民生活のあらゆる分野で打撃を受けることは必至です。私は,とりわけTPP参加が国民皆保険制度を崩壊させるものであることを見過ごすことができません。京都府保険医協会のある医師は,「アメリカは「日本の国民皆保険制度には手を付けない」と言っているが,信用できない。例えばアメリカから輸入している心臓のペースメーカーはワンセット100万円,抗がん剤は一錠10万円するが,国内の安いレートで一般的な保険医療として今国民に提供されている。アメリカがこれをもうけの障壁とすることは明らかである。混合診療の拡大と民間保険の導入で,お金がなければ受けられない医療へと医療制度が変質することになる」と指摘しておられます。市長は,決算議会でTPPに対する態度を自らの言葉で表明されませんでしたが,日本のTPP参加は正にアメリカと財界の圧力に屈した亡国の政策ではありませんか。住民の命と暮らしを守るために,市長は国に対してTPP参加の中止を強く求めるべきです。いかがですか,お答えください。 次に,社会保障の問題についてです。社会保障制度改革推進法は,消費税増税と合わせて社会保障予算削減のための制度改悪から,国民の権利としての社会保障を否定する方向に改悪の質を加速させるひどいものです。生活保護に対するバッシングと切捨てはその典型です。ある先天性の障害により生活全般で介護を必要とする60歳代の弟さんと,持病のある70歳代後半のお姉さんの実態について述べます。最近,弟さんが医療的ケアが必要となり入院され,独り暮らしとなったお姉さんも心身の衰えでいつまで在宅生活ができるか分かりません。お姉さんは,弟が退院できたなら二人で一緒に施設に入り,お世話になりたいと願っておられます。しかし,介護保険制度はこれに応えられるものでしょうか。このお姉さんは,これまで百歳を超える認知症のお母さんをみとり,同時に自分の身体をぼろぼろにしながら弟さんの世話をしてこられています。その余りにも過酷な暮らしに,支援に関わる方々から,「いつかお姉さんが倒れてしまう。なんとかならないのか」と意見が寄せられてきました。二人の暮らしは,わずかな年金を合わせて生活保護基準をかろうじて上回る水準です。医療的ケアを必要とする弟さんと共に,すぐに入所できる可能性があるのは医療的ケアのできる有料老人ホームとなりますが,高額な費用の掛かるサービスを二人が選択できる余地は全くありません。通常の介護保険施設への緊急的な入所であっても,在宅で虐待を受けている要介護者の対応でいっぱいという状況ですし,入所待機者が多い状況からも,二人そろっての入所はおろか,お姉さん一人の入所でさえ申請から何年も待たなければならない,これが今年12年目を迎える介護保険制度の実態です。市長はこうした高齢者の実態があることを認識しておられますか。お金の心配をせずに老後を安心して暮らせることを保障する介護保障が市民の願いです。市長は,国の介護保険制度では市民の願いに応えられていない実態を掌握すべきです。介護サービス基盤の整備を進めると同時に,福祉事務所の体制を強化し,地域包括支援センターや市民からの相談に速やかに対応すること,市職員が現場で判断し,困難を抱える市民の処遇に責任を果たすことを求めますがいかがですか,お答えください。また,介護保険料についてですが,介護保険料は納めても,いざ介護サービスを利用するときの1割の利用料は払えないとの声が寄せられています。今年度,保険料が高過ぎるなどの理由で,決定通知された介護保険料に対する不服審査請求は1,090件となっています。過酷な保険料は,介護保険制度がうたう自立支援に逆行するものです。「使えるか分からない介護保険の保険料を払うより,今,栄養のあるおいしいものを食べる方が元気でいられるのに」は,率直な市民の声です。本市の介護保険料は2000年,2,958円から2012年,5,440円になりました。このままでは,介護保険サービスを利用するまでに高齢者の暮らしそのものが成り立たなくなります。市長は国に対して,介護保険料の負担軽減を図るよう強く求め,京都市独自の保険料減免制度の拡充を図るべきです。いかがですか,お答えください。 次に,京都市国民健康保険制度についてです。京都市は,単年度の国保会計が黒字となった後も,保険料を値上げてきました。さらに,保険料を分納している市民にも保険証の取上げ通知を行うなど,強引な保険料の取立てを行っていますが,許されないことです。私は,これまで難病の患者であることを難病手帳を示して申し出た市民に対しても,滞納保険料を支払わなければ資格証明書を発行するという対応があったことを指摘し,改善を求めてきました。なぜこうしたことが起こるのでしょうか。滞納保険料の支払計画を検討し,それに基づいてきちんと納入している市民に対しても,資格証明書発行の京都市独自のルールをかぶせて,当初の納付誓約をほごにし,残額を今年度内に支払わせようとする指導が行われています。ここには,本人の支払能力について親身に相談に乗り,市民が安心して保険料を納められるように援助しようとする態度はありません。市長は,「京プラン」に「債権を回収するための専門部署を作り,その体制を強化する」としていますが,ここに市民生活の実態よりも国保の滞納保険料の回収ありきの姿勢が明らかです。平成20年10月30日付けで,厚生労働省は資格証明書の交付に際しての留意点に,「資格証明書は納付相談の機会を確保するために交付しているものであり,機械的運用を行うことなく,特別の事情の有無の把握を適切に行ったうえで行うこと」と困窮している世帯への発行を戒めています。京都市の対応は,この厚生労働省の通達にも反しているのではありませんか。滞納保険料の取立てが最優先となっていることは重大です。副市長はこれまで,「一律的,機械的な対応はしていない」と繰り返し答弁されていますが,実態は違うではありませんか。早急に是正すべきです。根本的な問題である資格証明書の発行を中止することを求めますがいかがですか,お答えください。そして,市民の切実な願いである高過ぎる保険料の値下げを行うべきです。いかがですか,お答えください。 次に,原発問題と再生可能エネルギー政策についてです。「大飯原発の敷地内の破砕帯が活断層ではないか」と指摘されている問題で,原子力規制委員会は「活断層の可能性を否定できない」として,追加調査を関西電力に求めるとしました。このことは,安全性の確認もなしに大飯原発を再稼動させていることの重大性を指摘するものです。市長の判断はいかがですか。電力は足りており,原発を稼動させなければならない理由はありません。安全性を確認できない原発が稼動していることが問題なのですから,関西電力と国に対し,大飯原発を即時停止させることを求めるべきではありませんか,お答えください。また,再生可能エネルギーは,地域循環型経済の起爆剤として位置付けることが重要です。市民は節電を意識すると同時に,再生可能エネルギーの具体化を求めています。「地域で作り出したエネルギーを地域で活用する」というコンセプトに中小企業や地域の事業者を参画させ,地域内循環型経済の具体化を図ることを強く求めますがいかがですか,お答えください。 最後に,上京区における防災のまちづくりについてお聞きします。京都大学防災研究所の研究等から,上京区では,高齢者が老朽木造家屋や長屋,袋小路などに多く居住しており,建物の倒壊,延焼,避難路の遮断などによる被害を受けることが予想されています。直近の東日本大震災の分析を基に,予想される被害を最小限に食い止める対策を急がなければなりません。そこで,京都市は今年7月より,京都市細街路対策事業を始めました。これは狭い道の拡幅と,行き止まりの道を災害時に避難しやすくするために,塀の撤去や袋路入口の建物の耐震強化などの改修費,入口付近の通路の拡幅工事などを行うために,上限30万円を補助する事業です。11月10日まで5軒の相談があり,工事が実施されたのは3軒とのことです。私は,先日上京区仁和学区で制度を活用し,工事完了した現場を確認させていただきました。ここは元々路地の入口も広く,路地の突き当たりに隣の墓地に抜けられる入口があったところを再整備したものでした。今後,入口が狭く,住居が密集し,抜け道のない地域の本腰を入れた細街路対策となるよう検討が求められるのではないでしょうか。市民からは,「路地の奥の住民のために入口側の住民の協力をどのようにして得るのか,世代交代した際の土地家屋の財産所有に関わる問題がある,30万円では手が付けられない」などの意見があります。上京区全体の細街路は600箇所,市内全域では4,330箇所です。危険区域の課題解決を急がなければなりません。地権者及び建物所有者や借家人に理解される制度とすること,改修に伴う経済的な負担の軽減が必要です。スタートした事業の補助制度は30万円の上限設定ですが,制度を活用するインセンティブが働かなければ,成果を挙げることができません。防災に関わる事業ですから,対象箇所ごとの具体的な対策が必要です。私は細街路対策事業を京都市の防災対策としての位置付けを高め,事業内容を発展させることが必要だと考えます。このことを求めますがいかがですか,お答えください。災害に強いまちづくりは住民福祉の基本です。住民の命を守る施策の拡充を重ねて求めまして,私の第1質問といたします。ありがとうございました。(拍手) ○議長(大西均) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) くらた共子議員の御質問にお答えいたします。 まず,堀川団地の再整備計画についてでございます。現在,京都府及び京都府住宅供給公社により設置された商店街や入居者,地域住民などの意見を反映するための「堀川団地まちづくり協議会」や,団地再生方針や事業スキーム等について検討を行う「堀川団地再生・事業推進委員会」において,再整備計画の検討が進められており,本市もこれらの協議会や委員会に参画いたしております。このような状況の下,建物の安全性の確保はもとより,にぎわい創出やコミュニティの活性化など,地域が目指すまちづくりを着実に進めるため,商店街や入居者,地域住民などの御理解を得たうえで再整備計画を進めるよう,これまで以上に京都府及び京都府住宅供給公社に対して働き掛けをしてまいります。 次に,エネルギー政策についてでございます。大飯原発については,電力の安定供給のため,政府が,暫定的な安全基準に基づき,限定的に再稼働を認めたものであり,国の原子力規制委員会において,早急に新しい安全基準を策定したうえで再審査を行い,安全確保に万全を期すべきと考えております。特に,同敷地内に存在する破砕帯につきましては,原発の安全確保に重大な影響を及ぼす可能性があることから,関西広域連合といたしまして,原子力規制委員会による主導的かつ迅速な調査の実施と明確な見解の早期提示を国に強く申し入れたところでございます。 次に,再生可能エネルギーにつきましては,大規模集中型電源から自立分散型電源への転換に大きく寄与するものであり,また,エネルギーの地産地消を通じて,市民生活や経済活動の活性化につながるものでもございます。このため,これまでから住宅用太陽光発電システム助成の実施や資材,施工を地元業者から調達しました水垂埋立処分地におけるメガソーラー発電所の建設,更には広く市民誰もが参加できる市民協働発電制度の仕組みづくりなどを進めてまいっておりました。今後とも,京都の地域資源として再生可能エネルギーを最大限に活用するなど,産学公連携の下,環境と経済が融合する社会経済システムの構築に全力で取り組んでまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(大西均) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) TPPについてでございます。TPPに関しましては,現在政府において各国との協議が進められているところでございます。この協定に参加することにより,関税の撤廃や貿易手続の簡素化が進み,輸出産業の国際競争力が高まる可能性がある一方で,農林業や医療分野などへの影響が危惧されているところでございます。本市といたしましては,食の安全安心の確保や国民皆保険制度を堅持するという視点は大変重要であると認識しておりますが,交渉への参加につきましては,十分な国民的議論を踏まえて,国策として判断されるものと考えており,その動向を十分に注視してまいります。以上でございます。 ○議長(大西均) 平口副市長。 〔平口副市長登壇〕 ◎副市長(平口愛一郎) 消費税についてでございます。今回の消費税率の引上げは,少子高齢化が進む中,乳幼児医療費助成など地方の単独事業を含む年金,医療,介護,子育ての社会保障制度を将来にわたり持続可能なものとするため,あらゆる世代が広く負担を分かち合い,国・地方を通じた社会保障に要する財源を安定的に確保していく必要があることから行われるものであると認識しております。今後,国において,経済状況を見極めたうえ,その実施に当たっては,子育て世帯も含め,国民の生活への影響を踏まえ,社会保障と税の一体改革関連法に基づき,低所得者に配慮する観点から,複数税率等の導入の検討や,それまでの暫定的,臨時的な措置として,簡素な給付措置の導入など,低所得者への影響を最小限にとどめる対応策が十分に講じられるべきものと考えております。 ○議長(大西均) 白須産業観光局長。 〔白須産業観光局長登壇〕 産業観光局長(白須正)企業における雇用の確保についてでございます。ローム株式会社は,昭和29年に京都の地において創業されて以来,わが国を代表するベンチャー企業として,京都経済の発展,雇用の創出に大きな役割を果たしてこられました。今回,収益の悪化等によりまして,希望退職者の募集を行われることになりましたが,早期に業績を回復され,今後とも京都経済を牽引する中核企業として,京都を拠点に,更に売上げを伸ばし,雇用の拡大を図られることを期待しております。 次に,堀川丸太町における大型スーパーの出店についてでございます。大規模小売店舗立地法におきましては,出店調整等の商業調整を禁じられておりますが,京都市では,無秩序な商業開発を抑制しつつ,店舗の適正な立地誘導を図るため,全国に先駆けまして,平成12年6月に京都市商業集積ガイドプランを策定し,それぞれの地域特性に応じた売場面積の上限を示してまいりました。これまで,本市の指導により,大型店の出店に当たりましては,この上限が厳守されております。今回の出店に当たりましても,この地域の店舗面積の上限であります3,000平方メートルを守らせるとともに,大規模小売店舗立地法に基づき周辺地域の生活環境保持に十分に配慮するよう事業者に強く求めてまいります。以上でございます。 ○議長(大西均) 高木保健福祉局長。 〔高木保健福祉局長登壇〕 保健福祉局長(高木博司)私から2点についてお答えをいたします。 まず,介護保険についてでございます。高齢者福祉の推進につきましては,京都市民長寿すこやかプランに基づき,介護サービス基盤の整備を着実に推進するとともに,市民からの相談に対しましては,地域の身近な相談機関として地域包括支援センターを市内61箇所にきめ細かく設置し,今年度には専門職員を1名ずつ増員するなど体制を拡充しつつ,福祉事務所との連携の下,適切に対応しております。介護保険料につきましては,平成24年度の改定に当たりまして,より一層低所得者に配慮した保険料設定を行うとともに,本市独自の減額制度を更に拡大するなど負担の軽減を図っております。また,引き続き国に対しましても保険料の負担軽減策を講じるよう,あらゆる機会を通じて強く要望してまいります。 次に,国民健康保険についてでございます。保険料は,制度運営の基幹的な財源であり,きめ細やかな納付相談を行っているところでございますが,そのうえでもなお,特別な理由もなく長期にわたって滞納されている方に対しは,法令に基づき資格証明書等を交付することは,公平性の観点からやむを得ないものと考えております。また,平成24年度の保険料につきましては,約148億円もの巨額の一般会計繰入金を確保することで,保険料率を平成23年度と同率に据え置き,被保険者の皆様の負担軽減に最大限努めておりますが,依然といたしまして,約37億円もの累積赤字を抱える現状では,更なる保険料の引下げは困難であると考えております。以上でございます。 ○議長(大西均) 小笠原都市計画局長。 〔小笠原都市計画局長登壇〕 都市計画局長(小笠原憲一)京都市の細街路対策事業についてでございます。本年7月に策定いたしました京都市細街路対策指針の下,緊急に行うべき事業といたしまして,通り抜けのできない,いわゆる袋路の避難安全性を向上させる「京都市細街路対策事業」を立ち上げたところでございます。本事業は,地権者等の経済的負担を軽減するために,上限を定めたうえで,工事費の100パーセントを補助するということでございまして,現在,事業チラシの全戸回覧,関係団体への事業説明を行うなど,その普及促進に努めております。本事業の補助額は,現時点では妥当なものと考えておりますが,事業の実施に当たりましては,住民の皆様や不動産事業者の方々とも連携をいたしまして,問題意識の共有化を図りつつ,細街路の特性に応じたきめ細やかな対応を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(大西均) くらた議員。 〔くらた共子議員登壇(拍手)〕 ◆(くらた共子議員) まず,TPPについてですけれども,「注視する」という御答弁でした。注視している場合ではありません。市民生活を守っている様々な条例にも影響が及ぶと言うことが指摘されております。そして消費税の増税ですが,社会保障の財源に消費税を充てるという,そのことが根本的に間違っているということを厳しく指摘したいと思います。さらに,商店街の問題ですが,堀川公団の再整備と併せ,そして大型店の進出と,正にダブルパンチとなっているということをしっかり認識をいただき,地域住民のためにしっかり力を尽くしていただきたい,求めたいと思います。今,本当に消費税の増税やTPPの参加,これで関税撤廃などされたら,たちまちやっていけない,市長は景気のどん底で踏ん張っているこうしたものづくりの現場の声,そして市民の声こそしっかりと聞くべきではありませんか。それが自治体の役割だということを強く指摘し,私の第2質問といたします。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 次に,市政一般について,北山ただお議員に発言を許します。北山議員。 〔北山ただお議員登壇(拍手)〕 ◆(北山ただお議員) 私は,日本共産党市会議員団を代表いたしまして,市長並びに関係理事者に質問いたします。国会が解散されまして,12月4日から総選挙となるわけであります。私は10月26日の本会議上のこの場所で,衆議院の解散総選挙を求める決議の賛成討論を行い,「公約を投げ捨て消費税増税など国民に負担と不安を押し付ける政治に厳しい審判を下そう」と呼び掛けました。まさにそのチャンス到来となったわけであります。日本共産党は,暮らしと平和を守ろうという国民の声をしっかりと受け止め,提案し,行動する党として全力を挙げて戦うものでございます。さて,昨年の3・11東日本大震災及び福島原発事故から1年9箇月がたとうとしております。今なお,福島からは16万人の方が避難をされておられ,多くの命が失われたわけであります。私は,改めてお悔やみとお見舞いを申し上げるとともに,一日も早い復興を願うものであります。 第一に,京都市の復興支援について質問いたします。現在,京都市内には292世帯,727人の方が避難をされておられます。そのうち市営住宅には81世帯,220人の方が避難をされているのでありますが,入居いたして3年たちますと,入居延長ができないというのが今の現状となっております。昨年,私はこの本会議で,当時入居は1年間しかできない問題を取り上げて,長期入居ができるよう訴えまして,現在3年まで入居可能となったわけであります。私は先日,市営住宅に入居されておられる方からお話を伺いました。その方は,「3年で入居が終わるとなれば,子供の学校のことや仕事についても安心して暮らせない。住まいを長期に確保することができるかどうかは一番の関心事です。被災者グループでお願いに行きたい」と,こうおっしゃっておられました。政府は,「被災者支援に万全を期す」と大見得を切ったわけでありますけれども,避難者の居住の安心確保すらできないのでは責任が果たせていないのではありませんか。市長は,政府に対して,その根拠となっております被災市街地復興特別措置法の改善を求めること,京都市としても長期入居を可能とするよう決断することを求めるものであります。御答弁願います。 復興に関わって大問題のもう一つには,復興予算の流用問題があります。震災復興を口実として,被災地と関係のない事業に復興予算が流用されていることが明らかになり,国民の厳しい批判が広がっております。国内立地補助金の名目で,被災地とは関係のないトヨタやキャノン,三菱電機,京セラ,東芝などの大企業が2,356億円もの補助金を復興予算から受け取っております。11月に編成された第三次補正予算では,国内立地補助金をはじめ,被災地と関係のない予算が多数計上されているのであります。日本共産党は,国民の強い批判を真摯に受け止め,復興予算の流用を直ちにストップさせ,被災者の住宅と生業の再建に必要な公的支援を行うよう強く求めております。地方自治体が被災者支援で大きな負担をしながら努力を重ねているときに,流用で大企業支援などを行う政治は許されません。 第二の質問は地下鉄事業についてであります。地下鉄事業には2011年度決算で156億円の一般会計からの繰入れがされておりますが,必要額を確保しつつも,一般会計の圧迫で市民生活に負担を与えることがあってはなりません。過日発表された「京都市交通局市バス・地下鉄中期経営方針」で,地下鉄事業は,5万人の増客,駅ナカビジネスの推進,サービス向上,コスト削減,一般会計からの支援を基本にしていくことが示されました。しかし,そこには決定的な項目が欠落をしております。それは,「国の補助制度の改善を求めること」が明記されていないことであります。このことについて理事者は,口頭で「重大な事項だ」と言いながら,文書では示されていなかったわけでありまして,これでは再建の基本ができていないと言わざるを得ないのであります。京都市の国への要望や,これまでの議会答弁でも強調されてきたことの内容から見ましても,最重要事項として表明すべきであり,経営方針に明記をして努力を重ねるべきであります。 そもそも地下鉄事業会計が厳しくなっている原因はどこにあったのか。地下鉄東西線の建設費が,当初2,450億円が完成時は4,500億円へと2倍にも膨張いたしました。当時まともに資料の提出もなく,情報開示もされないまま契約変更を繰り返し,工期の延長,建設費の膨張をさせて,正にゼネコン言いなりになってきた京都市にその原因があることは明らかでありました。我が党の提起で,1994年7月に臨時市議会が開会され,徹底審議もされてきたところであります。さらに,地下鉄烏丸線の転落防止柵の早期設置の課題におきましても,理事者は四条烏丸駅,御池駅,京都駅の3箇所に再来年から順次設置するという重い腰をやっと上げることになったわけでありますけれども,この問題でのネックになっているのが,やはり国の補助制度が大変劣悪であるということでありました。「早期設置と国への要望を強めるべき」と私は質問いたしまして,市長総括質疑の答弁で,「国への最重点要望として取り組んでいく」との決意が示されておりますが,今回示された経営方針の文書にも国の補助制度の改善が出てこないのでは,「決意やいかに」ということになるのであります。この数年,地下鉄会計は現金収支では黒字となったことが大きな特徴として示されたわけでありますが,しかし,これは乗客の増加が少しあったこととか,駅ナカビジネスが好調だということもありますけれども,黒字になった内容の基本的なことは,経営健全化債による一般会計の繰入れや三セクを廃止して地下鉄会計への繰入れを増やすなど,資金のスキームを変えたことに大きな要因があるわけであります。私がかねてからただしてまいりましたように,国の補助制度におきまして,地下鉄の建設,維持管理,安全対策,バリアフリー対策,施設の更新などの国補助制度の抜本的改善なしには,地下鉄会計の改善がないことを示していると思うわけであります。市長,これまでの経過を見ても,改めて国の補助制度改善に他都市とも連携しながら必死の要望活動を行う決意を求めるものでありますが,いかがでしょうか。 さらに,地下鉄経営健全化計画では,運賃値上げが規定されておりましたが,初乗り運賃が日本一高い京都市営地下鉄で値上げなどすれば,一層の乗客離れを引き起こすことは明らかであります。計画の前半に予定していた値上げを見送ったことは当然であります。さきの決算市会市長総括質疑で,副市長は私の質問に答えて,「健全化計画の達成状況を見極めながら,その時々,適切に判断する」と答弁をされておられました。つまり,計画期間中の値上げを回避することが可能であるとの認識が示されたわけであります。ですから,地下鉄の改善は,運賃値上げではなく,補助制度の改善や徹底した利便性の向上,駅トイレの改善,バリアフリー化の推進,施設の耐震化などの努力によって乗客増を実現し,大量輸送機関としての地下鉄の役割を果たして,公共交通の軸として運営すべきでありますが,改めて市長の決意を求めるものであります。同時に,消費税10パーセント増税は事業を一層困難にすることは明白であります。我が党は今回の選挙で増税を実施させない政治の実現を求めて奮闘していく決意でありますが,公営企業の事業に責任を持つ市長は,増税中止及び公営企業適用除外を求める姿勢を表明することを強く求めておきます。 次に,上下水道事業について質問いたします。命の水である水道,そして都市根幹施設の下水道は,ほぼ100パーセントの市民が利用する重要な事業であります。昨年,洛西地区で水道管の破裂事故が頻発し,市民生活に多大な被害を与え,大阪ガスへの損害賠償なども10億円となるなど,水道老朽管の更新が大きな問題となりました。現在,老朽管の更新は,年間13キロ,全体の0.5パーセントの更新でありまして,これでは全て更新するのに200年も掛かるということが示されました。理事者はこれを1パーセント,さらには1.5パーセントへと引き上げていく決意を示され,午前中の理事者の答弁でもそういう内容が示されておりました。しかし,この費用は1,500億円も掛かることが明らかになり,この費用負担のために料金値上げが避けられないかのような議論がにわかに起こっています。老朽化した水道管の更新を計画的に実施することは当然のことでありますが,なぜこれが遅れてきたのか。それは,水道管更新に対する国の補助制度が極めて不十分であることがその原因となってきたのであります。私ども日本共産党議員団は,かねてから水道・下水道事業への国の補助制度を大きく拡充することを予算要求で求めてまいりました。理事者も,「努力している」との答弁はされていますが,残念ながら実現をしておりません。国への改善要望を強く求めるものですがいかがですか,御答弁願います。 昨年11月に,上下水道局料金制度審議委員会が設置をされ,今月の11月21日に意見書が答申をされております。私は,審議委員会の設置に当たりまして,「学識者や市民から意見を聴くことはいいことでありますけれども,料金値上げにリンクしないように」と求めました。理事者は何回も,「値上げをするものでは決してない。広く制度についての御意見を聞くため」と回答され,決算委員会でも,「その位置付けは変わっていない」と表明されました。今の市民生活は大変厳しい状況にあることは市長も認識されていることと思いますが,市民にとって料金値上げなど到底受け入れられないことは自明であります。私は,審議委員会意見書を値上げの理由にしないこと,上下水道料金値上げは行わないことを求めるものであります。市長の決意を述べてください。 次に,焼却灰溶融施設について質問いたします。私は,昨年の9月市会本会議でもこの問題を取り上げて,事故続きで税金の無駄遣いとなる施設は契約破棄することを求めました。日本のスーパーゼネコンである住友重工業が,市民の税金114億円も契約をしながら,設計ミスでダイオキシンの発生やトラブルが相次ぐ事態となり,来年8月末まで引渡しができないという最悪の事態になっております。つまり欠陥商品だったということが証明されたのでありますから,契約を破棄することは,もうここにきて当然ではありませんか。元々,この施設は造る必要性のないものであり,この施設は京都市の決断で設置しなくても良かったものだと私は考えております。結局,総事業費180億円もの多額の市民の税金を使っての箱物づくりでしかなかったと言わざるを得ません。 さらに,設置する目的について,「東部山間埋立処分場の延命をするんだ」と説明されてきました。50年使える施設をこれで70年に延命するということでありますが,果たして50年後のことを今から決めなくてはならないのでしょうか。しかも,完成した場合の年間維持経費には20億円掛かるとのことでありますから,50年間では1,000億円,その間の施設改修や損傷対応などを含めると,もっと多額の経費が必要となるわけであります。年間20億円,そして50年で1,000億円以上の財政があれば,ごみの減量化に向けた取組が充分できるのではないですか。「京都市の財政が困難」だとか,「夕張のようになる」と盛んに宣伝された京都市が,年間20億円もの税金を投入して進める効果をどのように証明されるのでしょうか。他都市でも施設の廃止や凍結が広がっておりますが,全てお金が掛かり過ぎることであり,その旨を,昨年私も調査結果として紹介をしたところであります。全国的にも事故が相次ぎ,まだ未完成であることが報告されております。市民のごみ減量化への努力と,京都市が真剣な再資源化と減量化に取り組むこと,さらに,企業に対してごみ排出抑制を強力に指導していけば,溶融施設がなくても山間埋立地の延命を図ることは十分にできると考えております。財政困難を掲げる京都市が施設運営する余裕はありません。今こそ無駄遣いとなる焼却灰溶融施設は契約破棄すべきと考えますが,市長の決断を求めるものであります。 最後に,東大路通の歩道拡幅計画について質問いたします。この計画は,東大路通を「歩いて楽しい東大路」として,現在の道路幅員の中で,歩行者の安心安全を確保していくという事業であります。東大路通は清水寺など多くの世界遺産や観光地があり,東山警察署さらには消防署など,緊急出動のある重要幹線道路であり,沿道の地元業者や皆さんの生活道路でもあります。ここで3点についてお尋ねいたします。 第一は,「歩いて楽しい東大路」との理念はそのとおりと思われますが,住民の充分な総意とはなっていないことであります。私は東大路通の沿線,沿道の方のお話を伺ってまいりましたところ,「歩道の拡幅は車線の減少につながることになり,渋滞が更に厳しくなるのではないか,緊急車などの通行確保はどうしていくのか,もっと沿道住民の声を聞いてほしい」とのことでありました。京都市はこうした住民の声をよく聴いて,住民合意を基本とすべきではないのですか。この点についてお尋ねいたします。 二点目は,車の流入規制の実効性ある具体的計画を直ちに作ることであります。東大路のパンフレットの中には,「自動車交通の抑制を目指します」とありますけれども,具体的には,「パーク&ライドなどによる」としか記述がありません。つまり具体策が十分ではありません。しかもパーク&ライドの拡充はされているものの,他都市から来られる観光客などへの広報や周知が不十分な状態であることは,以前から指摘をされてきたところであります。自動車流量の社会実験が東大路から始まったように,ここの交通渋滞をどう解消していくかは全市の課題でありました。流入規制についてより具体化することが必要ですが,いかがでしょうか。 三点目は,東大路だけの問題ではなく,京都市のまちづくりの基本をどうするかが問われるということであります。観光シーズンや土曜,日曜,祝祭日などの京都市の交通をどうするかは,かねてからの課題であり,そのために都市計画局で「歩くまち・京都」の総合交通戦略が進められてきたのであります。公共交通を中心としてのまちづくりが検討されてきまして,自動車分担率を28パーセントから20パーセントに引き下げることや,公共交通を一層充実させることが基本となっておりますが,しかし,具体的な内容に弱く,交通不便地域解消についての見通しもありません。総合的な対策を立てるために,市民的な検討機関をより充実させること,大津市や大阪など近隣他都市との連携も強化をして,国への働き掛けも一層強めていくことを求めるものであります。 答弁を求めまして私の質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(大西均) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 北山ただお議員の御質問にお答えいたします。 まず,東日本大震災の被災者支援についてでございます。本市では被災者の皆様の命と暮らしを守るため,大震災の発生直後から無償で市営住宅を提供し,延べ147世帯,496名,現在は81世帯,219名の方にお住まいいただいております。無償での入居期間後につきましては,今回の大震災で住宅を失われた方に加えまして,本年9月市会において全会一致で議決をいただきました市営住宅条例の改正により,福島原子力発電所事故に伴う避難指示区域に居住されていた方にも,引き続き市営住宅に正式に入居していただける措置を講じたところでございます。今後,入居中の被災者の全世帯を戸別に訪問し,生活の状況をしっかりと把握したうえで,市営住宅への入居の手続を進めるとともに,民間住宅の入居を希望される方につきましては,これまでから善意で御協力いただいている地元の不動産事業者を通じて,民間の賃貸住宅を紹介してまいります。引き続き,被災地の復興の状況や国の動向を見極めながら,被災者の皆様の個々の状況に応じたきめ細やかな居住支援策を講じてまいります。 次に,水道事業への国の財政支援の要望と上下水道料金についてであります。老朽化した水道管の更新に係る国の現行の財政支援制度は,水道料金が平均より高い都市を対象としており,具体的に申しますと,1箇月10立米で1,119円以上となっております。京都市では,料金を平均より相当低い913.5円と低く設定していることから,制度の適用を受けられない状況にあります。このため,これまでも,国に対してあらゆる機会を通じ,対象の拡大をはじめとする要望を行ってきております。今後も,引き続き全国の水道事業体等と連携し,財政支援制度の拡充や創設を国に強く要望してまいります。また,上下水道料金制度審議委員会の意見書は,市民意見の丁寧な募集も実施され,基本水量の見直しや,水道管の更新等の財源となる資産維持費の料金への算入など,料金の体系について十分な御審議をいただいた貴重な提言でございます。一方,料金の水準については,本市が次期経営計画の策定を進める中で,水需要の減少に伴う料金の減収や,施設の更新等に要する多額の経費などを総合した財政収支見通しに基づき,判断を行ってまいります。意見書を踏まえた料金体系の見直しと,将来にわたりまして持続可能で安心安全な上下水道サービスを提供するため,必要な料金水準を盛り込んだ新たな料金制度を来年2月にはお示しいたします。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(大西均) 平口副市長。 〔平口副市長登壇〕 ◎副市長(平口愛一郎) 地下鉄事業についてでございます。地下鉄事業の運営につきましては,この間,経営健全化計画を着実に推進するとともに,夜間ダイヤの充実やコトチカの開業といったお客様サービスの向上に徹底して取り組んでまいりました。先般,京都市交通局市バス・地下鉄中期経営方針を策定したところであり,今後4年間の地下鉄事業推進の基本方針と重点取組を明確にいたしました。この中期経営方針に基づき,まだまだ厳しい財政状況にある地下鉄事業の収支改善と安定経営に向け,経営健全化の着実な推進を図りつつ,お客様第一のサービスの実現を目指して,駅ナカビジネスの更なる展開,烏丸線の駅トイレのリニューアルや可動式ホーム柵の設置など,利便性と安全性を一層向上させ,「歩くまち・京都」をリードする公営交通として,市民の皆様の生活基盤の中核を担ってまいります。 次に,国への要望についてでございますが,平成25年度の国の予算に対する要望において,本市の最重点事項といたしまして,転落防止柵の整備に対する補助金の確保,これは新規項目として要望いたしました。2点目,鉄道施設の安全対策及び長寿化等を目的とした既設線の改修更新事業に対する補助制度の拡充,3点目といたしまして,地下鉄事業の特例債制度の継続及び所要の財政,これも新規項目として要望いたしました。4点目として,高金利建設企業債の借換制度の拡充などを強く求めてまいりましたし,まいっているところでございます。また,地下鉄事業を経営する他都市と連携した要望といたしましては,10都市交通事業管理者会議,公営交通事業協会との連携,日本地下鉄協会との連携など,他都市と連携した要望活動も進めておりまして,今後とも,粘り強く国の制度改善を働き掛けてまいります。 ○議長(大西均) 堀池交通政策監。 〔堀池交通政策監登壇〕 交通政策監(堀池雅彦)東大路通整備構想についてでございます。本事業は,東山区全学区の御要望を受け,平成21年度に着手し,この間,地元住民の皆様や関係団体等が参画する会議で議論を深めるとともに,パブリックコメントでいただいた2,000件近い御意見を踏まえ,本年8月に,東大路通整備構想を策定いたしました。このパブリックコメントでは,地元東山区の約8割の方から「整備が必要」との御意見をいただいておりますが,本事業に不安や心配をお持ちの方には,職員が地元の皆様と共に説明を行うなど,御理解が得られるよう努めております。今後は,諸課題の解決に向けて実施する,東大路通や周辺道路の詳細な交通調査の結果を住民の皆様に丁寧に御説明するとともに,御意見をしっかりお聞きしながら,「歩いて楽しい東大路」の実現に向け,全力で取り組んでまいります。 次に,車の流入規制についてでございます。本市では,観光シーズンの渋滞対策として,近隣自治体等と連携した広域的なパークアンドライドを展開し,市内への車の流入抑制に効果を上げております。とりわけ今年度は,近畿地方に加え東海地方でもテレビや新聞等を活用した積極的な情報発信を行ったところでございます。御質問の車の流入規制につきましては,嵐山及び東山地区において,地元の皆様や関係機関との合意を基に,秋の観光シーズンに実施しております。規制の拡大につきましては,周辺道路の交通環境や市民生活,経済活動に影響を及ぼすこともあり,パークアンドライドの拡充や公共交通の利便性向上などの取組と併せ,幅広く流入抑制策を議論する中で検討してまいります。 次に,交通困難地域解消への総合的な対策についてでございます。本市では,北区雲ケ畑地域において,路線バス撤退後の生活交通を確保するため,地元自治振興会との協議を重ね,地域住民の皆様の総意として,自らが運営主体となる「雲ケ畑バスもくもく号」が今年度から運行をいたしました。1日平均乗客数は,地域外の方の御利用もいただいた結果,昨年度実績8.4人を大きく上回る17人となるなど,地域の活性化につながる活動として前進をしております。また,地域全体の機運が高まっている山科区小金塚地域や伏見区藤城学区等においても,現在,住民の皆様を中心に本市や関係機関等との連携の下,生活の足の確保に向けた取組が進んでおります。引き続き,地域の実情に応じた生活交通の確保に向け,区役所,支所と連携して,住民の皆様への主体的な活動に対し支援を行ってまいります。以上でございます。 ○議長(大西均) 桐澤環境政策局長。 〔桐澤環境政策局長登壇〕 環境政策局長(桐澤孝男)焼却灰溶融施設についてでございます。住友重機械工業株式会社は,引渡し期限を平成25年8月末と確約し,現在,その履行に向け,全力を挙げて対策工事を行っているところでございます。東部山間埋立処分地は,本市にとって唯一の最終処分地として,計画から完成までに22年の歳月と約523億円もの巨額の経費を投入して建設した市民の貴重な財産であります。徹底したごみ減量やリサイクルの推進に加え,焼却灰溶融施設を稼働することにより,焼却灰の容量を減らすことができるとともに,生成されたスラグを建設資材等に再利用することで,環境負荷の軽減や埋立処分量の減量を図ることが可能となるものでございます。これにより,埋立処分地を今後さらに約70年間の長きにわたり活用できると見込んでおります。そのため,引き続きプラントの安全性や安定稼動を確保する対策に徹底して取り組み,安心安全な施設として完成させるとともに,稼働後は,効率的かつ経済的な運転に努め,経費の削減を図ってまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 次に,市政一般について,鈴木マサホ議員に発言を許します。鈴木議員。 〔鈴木マサホ議員登壇(拍手)〕 ◆(鈴木マサホ議員) 多くの国民の皆さんの期待の中で政権交代を成し遂げて3年余。「近いうちに」と野田総理が約束していた国会がついに解散になり,師走のときに衆議院選挙が行われることになりました。我が民主党政権下で,未曽有の東日本大震災が起こり,多くの犠牲者を出すとともに,福島原発の事故による放射能汚染問題,エネルギー問題が生じ,また欧州の経済危機,中国の反日デモなど,内外に多難な課題を抱えつつ,昨年9月に誕生した野田政権は,自公との三党合意に従い,社会保障と税の一体改革の道筋を作りました。マニフェストの実現については,多くの御批判があるのを承知していますが,反省すべきは反省したうえで,「官から民へ」,「コンクリートから人へ」,地域主権の確立の方向性は間違っていなかったと我々は確信をしています。 〔大西議長退席,山岸副議長着席〕 ◆(鈴木マサホ議員) (続)さて,片桐直哉議員と共に民主・都みらい議員団を代表して質問します,左京区選出の鈴木マサホです。今日は,「コンクリートから人へ」との考えの下,社会保障について,とりわけ障害者福祉施策について質疑をします。現在,障害者週間ポスター展が市役所の1階玄関で催されていいます。是非御覧になって,中学生の作品のものを見ていただいたらいいかと思います。 さて,この間,長年障害者の自立に取り組んでこられた方が亡くなりました。一人は,知的障害者の施設「修光学園」の理事長の森昇さんです。享年63歳,私と同い年でした。社会福祉協議会の役員もされ,2011年には,社会福祉功績で藍綬褒章を授章されています。秋のバザーで訪問すると,森先生から,障害者自立支援法に怒りをぶつけられたこともありました。敬虔なクリスチャンとして福祉一筋の生涯を過ごされました。長橋栄一さんは,「誰でも乗れる地下鉄にする運動」や「パーフェクトバスを走らせる運動」など,バリアフリー運動の先頭に立ってこられました。自立生活センターを立ち上げ,車いすを自在に操りながら議員団室を訪ねて来られ,市役所前広場にリフト付きバスが披露されたときは喜んでおられたのを記憶しております。養護学校の校長先生だった永井實先生は,退職後,知的障害者の施設運営に携わられ,加藤登紀子さんなどを招いて,福祉の風土づくりを目指した「ヒューマンふれあいコンサート」で出会いました。障害児教育に頑張ってこられた方であります。また,京都府視覚障害者協会会長だった玉中修二さんは,授産施設「洛西寮」や中途失明歩行訓練施設「鳥居寮」の設立など,大きな業績を上げられました。御本人は全盲でしたが,大きな声で周りを明るくされる方でした。この4人の方々をはじめ,障害者の福祉や社会参加に貢献されてきた皆さんの御冥福を祈りつつ,またその御意志を継承することが大切だと思い,質問をする次第であります。 最初に,京都における障害児教育のことを簡単に振り返っておきます。私の小中学校時代は,50年前ですが,当時は「特殊学級」という名のクラスがありました。1979年,養護学校の義務化がされました。就学猶予,就学免除が原則として廃止されたことにより,重度・重複の障害者も養護学校に入学できるようになりました。一方,普通学級からの障害児の排除も見られ,それに対して「各地で障害児を普通学級に」という運動もあることも記しておかなければなりません。私が1期目のとき,当時,教育委員会の担当課は特殊教育課と言われていましたが,「障害児を普通学級に」という考え方に共鳴して,教育委員会と質疑をしたことを記憶しています。平成4年,養護育成教育課に名称が変更されたことは象徴的なことです。その後,私は娘のことを例に,Learning Disabilities(LD,学習障害児)への学校現場における配慮を教育委員会に求めてきました。平成9年から「地域の学校で学びたい」という保護者,本人の願いに応え,積極的に育成学級を設置され始めました。平成16年,北総合養護学校を開校と共に7校全ての養護学校は,総合養護学校に名前を変え,さらに平成19年には,総合支援学校と名称も改称されました。普通学級で学ぶLDや高機能自閉症児等への具体的な取組をスタートしたことに伴い,総合育成支援教育と称されるようになったのであります。平成17年,発達障害者支援法も施行されました。 さて,我が家の近くにある白河総合支援学校のことについて述べておきたいと思います。1976年,錦林小学校分校に養護学校として開校した現白河総合支援学校は,高等部職業学科単独の特別支援学校で,食品加工,農園,情報印刷や,地域コミュニケーションでは,介護予防事業や配食サービスの補助活動など地域福祉を学んでいます。校内にある「喫茶ミルキーウェイ」では,生徒が実習でサービスをしてくれ,またリヤカーで学校周辺を野菜の引き売りして近所の人に喜ばれています。そして,何よりも特筆すべきは,日本で初めての取組である総合支援学校で教育と職業訓練を同時に進めるデュアルシステムを推進していることでしょう。企業とのパートナーシップに基づく産業現場実習を実施し,卒業後の就労を目指し,その就職率は100パーセントと言われています。なお,養正の旧学習センターは,サテライト施設として生徒に実習の場として活用されていますし,そして来年25年4月より,元東山小学校跡地に分校を開設する準備が進んでいます。地コミ(地域コミュニケーション)を大切にした教育を行い,地域の皆さんの理解のもと,教育を進めることになるのでしょう。以上,この間の障害児教育について沿革や現状を述べました。門川市長は,教育委員会時代に総合育成支援教育を進めた苦労を思い出されると思いますが,生田教育長から,総合育成支援教育について,就職状況や課題,そして東山分校開設へ向けての進捗状況についての答弁をいただきたいと思います。 さて,民主党政権下では,子ども手当の一部実施,診療報酬を改定,医師不足が改善され,子宮頸がんワクチンなどの公費助成,また児童扶養手当を父子家庭に拡充,待機児童の解消への取組や肝炎対策基本法の制定など,そして介護報酬の改定,低所得者への障害者福祉サービスなどの利用者負担を無料化し,障害者権利条約の批准に向けた見直し作業が進み,保健福祉の分野では前進を見たという風に考えています。平成23年には改正障害者基本法が施行され,障害者が権利の客体から権利の主体に大きく転換するなどの大きな見直しがなされました。平成24年には障害者自立支援法を廃止,改正し,新たに障害者の範囲に難病患者を加え,障害者総合支援法と地方自治体等が使用する物品やサービスを障害者施設等から優先的に調達することなどを定めた障害者優先調達推進法が成立し,共に来年4月から施行され,また,障害者虐待防止法は既に施行されました。また現在,障害を理由とする差別の禁止の法制化に向けた取組作業が進められており,弱い立場の人々の暮らしと生活を守るべき努力がされてきたと思います。これらの施策は,与野党を問わず,多くの当事者団体からも評価をされるものだと思いますが,当時に京都市の福祉行政を大きく進めることになると私は考えています。市長は,これらの国の制度の改善をどう評価されているのか,御答弁ください。 さて,京都市では,長年,福祉の風土づくりを唱え,門川市政になって,「はばたけ未来!京プラン」では,「全ての人が違いを認め合い,支えあうまちづくり」を目標にし,平成20年には,「支えあうまち・京のほほえみプラン-京都市障害保健福祉推進計画」を策定,推進され,また自立支援法施行後でありますが,新京都方式で,福祉サービスの利用者の負担を軽減されてきました。過日,総合支援学校生徒の進路開拓を目指す巣立ちのネットワーク主催の「障害のある市民の雇用フォーラム」に私も参加しました。卒業後5年間勤続した卒業生の表彰式と雇用者への感謝状の贈呈式が行われ,介護施設で働く青年が,その体験を語り,企業の方も参加されておりました。本市では,福祉施設からの一般就労の促進や総合支援学校生徒及び卒業生の企業就労の一層の推進等を掲げた「京都市障害者就労支援推進会議」を平成21年度に設置し,様々な関係機関の連携によるライフステージを通じた就労支援環境の整備等に取り組んでおられます。この地道な取組の成果もあってか,障害のある人の就職件数は増加して,社会参加も着実に進んできているという風に私は思っています。しかし,一方で,企業への就職は果たしたものの,残念ながら道半ばで離職し,福祉施設を利用されるケースへのそのケアも重要になってくるのではないかと危惧しているところであります。そこで,京都市として,一般就労の促進に加え,企業に就職された方の職場定着,やむを得ず離職を余儀なくされた方への支援などの課題に対し,どのように取り組まれるのか伺いたいと思います。御答弁ください。 障害者ワークフェアでは,障害者雇用を積極的に行っている企業を「はあとふる企業」として認定する式もありました。障害者雇用を促進する施行令の改正で,来年から1.8パーセントから2パーセントに障害者の雇用率が引き上げられ,事業主への助成金も活用しながら,各事業所の雇用率を上げてほしいと願っています。ジョブコーチやハローワークなど関係機関の協力でもって大いに進めていただきたい。企業への働き掛けなど今後の方策をお答えください。また京都市においては,チャレンジ雇用が21年から行われていますが,事業所として今後,雇用率を上げるのが喫緊の課題だと思いますがいかがされますか,御答弁ください。また,福祉施設で作られる授産製品のことです。はあとフレンズストアも開店,この秋には様々なところでの,バザーやあるいはほほえみ広場が開催されましたし,各行政区のふれあいまつりなどでも授産製品(ほっとはあと製品)のブースも出されています。先日はNPO法人「京彩都」というグループのユイハート福祉まつりも行われました。様々な市民による製品の紹介,販売など,利用者の工賃を上げる努力と共に,市民交流,心のバリアフリーの普及などにも努められています。各施設では様々な製品の開発など工夫をしていますが,百貨店やスーパーなどの販売促進を京都市として応援することが大切であります。また,障害者優先調達推進法にうたわれているように,行政団体としての京都市自身が,受注機会を拡大し,物品調達を促進することが必要ではありませんか,要望しておきます。 次に,バリアフリーのまちづくりについてお尋ねします。毎年,視覚障害者らによる白杖デーが開催されています。「白い杖見たら声かけて 何かお手伝いしましょうか」このスローガンを書いたのは,成安造形大学の学生さんですが,このポスターが今年は表彰されました。これこそ心のバリアフリーの根本です。本市では,「人にやさしいまちづくり要綱」によって,集客施設や道路のバリアフリー化が進められてきました。いわゆる交通バリアフリー法が施行され,今では,阪急桂駅から始まって25の駅についてエレベーター等が設置されました。「歩くまち・京都」交通バリアフリー全体構想は,この3月に策定されましたが,今後は旅客数3,000人以上の駅の改善が求められています。今後どのように展開していくのか,御答弁ください。また段差解消や視覚障害者の誘導用点字ブロック等,また車いす対応のトイレの設置も進んでいますが,オストメイトの対応トイレなども更なる設置を求めておきます。みやこユニバーサルデザイン推進指針も踏まえてのソフト対策が必要です。今後の課題は何か,お答えください。 次に,交通局にお尋ねします。地下鉄烏丸線が開通したとき,エレベーターが設置されていたのは4駅だけでした。今では全ての駅についています。駅員の補助による,いわゆる渡り板を活用して,地下鉄に乗車される車いすの方は,1日およそ100人だと聞いています。今,障害者の方が熱く願っておられることは何か。安全対策としての烏丸線の可動柵,ホームドアの設置です。これらは高齢者や時には酔っ払い対策にもなります。既に交通局から財政は厳しいけれど,国の補助を受けて,京都駅,四条駅,御池駅の3駅に設置すると発表していますが,今後の見通しをお聞かせください。なお,市バスにリフト付きバスが導入されたのは平成7年で,今はノンステップバスが好評でありますが,全車両100パーセントのノンステップバスが導入されることを要望し,そして停留所の不法駐車対策や,乗客の市民等への御理解が必要でないかという風に要望しておきます。 なお,地域主権一括法が公布されたことによって,本市独自の京都市道路構造条例(仮称)ですが,定めることができるということで,今パブリックコメントが行われています。例えば車いすと歩行者がすれ違うための有効幅員の確保や歩道の段差を独自の規定で決められるという,そういう提案でありますが,今後パブリックコメントを踏まえて,車いす利用者やお年寄りが転倒しない安全な道路環境の整備を要望しておきます。このようなバリアフリーに向けた取組では,例えば,伏見の納屋町商店街では障害者施設の「福祉工房P&P」と協力して,商店街の人が視覚障害者などの疑似体験をし,バリアフリーの商店街づくりの取組を進めています。市民が地域の中で暮らしやすいまちづくりを進める取組に期待しています。 最後に,精神障害施策についてであります。京都府特例から精神保健が京都市に移されたのは平成8年,その拠点となる京都市心の健康増進センターがオープンしたのは平成9年でした。今,国の考え方は,知的,身体共に精神障害も法律や制度上において一緒に考えることになりました。過日は,人権擁護委員として京都市朱雀工房の見学会に参加しました。京都光彩の会が運営していますが,箱折りの作業を黙々とされる部屋を見学し,利用者と懇談いたしました。ある人はサラリーマンとしてばりばりに仕事をしておられましたが,鬱になってここに通い始め,社会復帰を目指しているとのことなどをお聞きいたしました。企業就労の困難さもお聞きしました。また20年ほど前には,左京区においても反対運動がありましたが,今なお,グループホームなどの建設時には,地元住民の反対運動が起きるなど,精神障害者に対する偏見もいまだ根強いことを改めて実感した次第です。今では,精神疾患は,がん,脳卒中などと同様,5大疾病として国民病として位置付けられています。アルコール依存症の傾向が私にもありそうでありますが,過労やストレスがたまって誰でも鬱になることがあるということは,やっぱり考えておかなければならないことであると思います。 本市では,ふれあいサロンや相談員の配置や障害者地域生活支援センターの設置など施策が進められています。保健医療と福祉の連携と,何よりも地域の福祉の力で,市民の偏見,差別意識を克服しなければなりません。今,国では,先ほど言いましたように,障害者制度の改革が進んでいます。このような国の動向を受けて,ほほえみプランの見直しが進んでいると思いますが,障害者も地域で生き生きと暮らせる共生のまちづくりにしっかりと取り組む必要があります。精神障害者対策も含めて,今後の方向性と決意をお示しいただきたいと思います。市長の福祉に掛ける思いも,またお聞かせいただければという風に思うところであります。国際障害者年から30年,完全参加と平等社会を目指し,障害の有無によって分け隔てられることなく,相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現づくりもを私も目指したいと思っています。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(山岸たかゆき) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 鈴木マサホ議員の御質問にお答えいたします。 ただ今,鈴木議員から,長年障害者の社会参加や教育など先駆的で尊いお取組をいただいた方々のお名前をお聞きし,鈴木議員の実践も含めて様々な場面が思い起こされます。胸が熱くなってまいりました。私も教育の分野で,また市政運営において,長年にわたり障害のある人と出会い,語り合い,また多くの支援者や教育者の方々からたくさんのことを学ばせていただきました。そんな中で私が常に感じておりますのは,障害のある人もない人も全ての人々が違いを認め合い,地域において共に生き生きと支え合いながら暮らすことのできる共生社会の実現が何よりも重要であるということであり,今後もその思いを胸に市政運営に携わり,また個人としても活動してまいりたいと考えております。 まず初めに,国の障害者施策に対する評価についてでございます。国においては,障害者権利条約の批准に向けまして,各党の合意の下に障害者基本法や障害者自立支援法の改正,障害者虐待防止法の制定などが既に行われ,さらに,障害者差別禁止法の制定をはじめ教育や労働などの各分野で,現在も制度改正の検討が深められております。福祉分野では,全国に先駆けて実施いたしました京都方式による独自の負担軽減策など,本市の取組も反映された障害者自立支援法の下で,通所や居宅介護の事業所数が,この5年間で1.5倍に増加するなど,障害のある方の地域生活を支援する体制が大幅に充実し,様々な制度改革によりまして障害のある人を取り巻く環境は大きく改善してまいっております。今後も必要な制度改善を国に要望していきますとともに,障害のある人の置かれた実態を踏まえた本市独自施策もきめ細やかに実施していくなど,あらゆる分野において支援を行い,共生社会の実現に取り組んでまいります。 次に,障害のある人の就労支援についてでございます。障害のある人が社会的に自立し,生きがいを持って生活していただくためには,就労支援が極めて重要であります。このため,本市では京都市障害者就労支援推進会議を設置し,オール京都体制で就労支援に積極的に取り組んでおり,福祉施設から一般就労への年間移行者数50人の目標を2年連続で超えるなどの成果を挙げるとともに,総合支援学校においても,学校と企業等が連携した京都ならではのデュアルシステムで就労支援に積極的に取り組み,大きな成果を上げているところであります。更に,各企業における雇用を促進するため,アドバイザーを派遣して障害者雇用計画の作成などの支援を行っております。また,本市としても,事業主としての責務を果たすべく,平成15年度から身体障害者の方を対象とした採用試験を実施しており,今年度の市長部局における雇用率は2.35パーセントと,来年4月,2.30パーセントに引き上げられる法定雇用率を既に上回っている状況ではございますが,チャレンジ雇用の成果も踏まえながら更なる雇用の促進に努めてまいります。また,施設から就職された方が職場に定着されるよう,就業生活支援員の配置など悩みを相談できる体制づくりに取り組んでおります。また,卒業後の状況を継続的に把握している総合支援学校による就職先への職場訪問などにより,卒業生の職場定着に引き続き取り組んでまいります。一方,就職された方が離職された場合については,把握そのものが難しいという課題もあり,推進会議などにおいて離職者の把握方法や就職への再チャレンジに向けた効果的な支援策を検討してまいります。これらの取組を通じまして,様々な障害の人がより一層働きやすい環境づくりを市民の皆様と共に進めてまいります。 次に,バリアフリーのまちづくりについてでございます。京都市では,これまでから,交通事業者や国,京都府と共に駅のバリアフリー化を推進しており,本年3月に策定された「歩くまち・京都」交通バリアフリー全体構想では,平成32年度までに11駅の整備を行うこととしており,これにより利用者数3,000人以上の駅全てのバリアフリー化が完成いたします。今年度は,太秦地区と大宮地区において,地元代表や障害者団体の皆様などの御参画の下に,現地踏査や意見交換を行っているところであり,来年度の早いうちにJR太秦駅,阪急大宮駅のバリアフリー化工事に着手できるよう取り組んでおります。残る9駅につきましては,整備が技術的に困難な駅も含まれておりますが,できる限り早期にバリアフリー化が実現するよう全力で取り組んでまいります。また,バリアフリーにつきましては,ハード整備に併せて,御指摘のとおりソフト施策が大変重要であり,みやこユニバーサルデザイン推進指針に基づき,多機能トイレの位置等を示す駅のバリアフリー情報の提供や,障害のある方などに対しまして,駅関係者をはじめ市民の皆様が声掛けを積極的に行っていただく心のユニバーサルデザインの普及啓発などにも,今後とも一層取組の充実を図ってまいります。 次に,精神障害のある人への支援についてでございます。精神障害のある人は年々増加する傾向にありますが,市民の皆さんの理解や支援施策が十分でないため,地域で生活を送ることがいまだ厳しい状況におかれておられます。こうした中,私は,精神障害のある人への偏見と差別を払拭し,安心して地域で暮らしていただけることが,何よも大切であると考えております。このため,今年度末に計画期間の満了する「支えあうまち・京のほほえみプラン」の改定に当たりましては,京都市障害者施策推進審議会に精神障害のある方にも委員として御参画いただき,鋭意検討いただいているところであります。精神障害のある人の支援に当たりましては,これまでから,居宅介護等の福祉サービスの拡充や他の障害との施策格差の解消等に努めてまいりましたが,次期プランにおきましては,精神障害者支援を重点取組の一つとして新たに位置付け,精神疾患や精神障害のある人に対する正しい理解の促進,また医療行政を担う京都府と連携した保健医療と福祉の総合的な施策を推進し,精神障害がある人もない人も,共に暮らせる共生社会の実現に積極的に取り組んでまいります。 私からは以上でございます。以下,理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(山岸たかゆき) 西村公営企業管理者。 〔西村公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(西村隆) 地下鉄烏丸線への可動式ホーム柵の設置についてでございます。議員御指摘のとおり,可動式ホーム柵の設置は,お客様に地下鉄に安心して御乗車していただく上で有効な方策でございます。厳しい経営状況を克服するための経営健全化計画を推進する中で,必要な整備経費を確保するため種々の手法について検討を重ねまして,車両改造を伴わない方法で,まずは,お客様の利用が多く混雑する京都駅,四条駅,烏丸御池駅の3駅での整備を国の補助制度を活用し実施することといたしております。総事業費はおよそ9億5,000万円と見込んでおり,今年度は基本設計に取り組んでおります。平成25年度早々に国の事業認証を得て実施設計を行った後,速やかに工事に着手し,平成26年度に烏丸御池駅,平成27年度に四条駅,京都駅で供用を開始してまいります。その他の駅の設置につきましては,今後の大きな課題と認識をしており,国に対して補助制度の拡充と,安全かつ整備費用が安価な可動式ホーム柵の技術開発の促進を要望してまいります。以上でございます。 ○副議長(山岸たかゆき) 生田教育長。 〔生田教育長登壇〕 ◎教育長(生田義久) 障害のある子供の教育についてでございますが,本市では,議員御指摘のとおり,門川市長をはじめ本市教育の充実に心血を注がれてきました多くの方々,教職員や保護者の熱心な取組により大きく前進してまいりました。特に総合支援学校での就労支援につきましては,平成16年度に職業学科を開設し,200社を超える企業・事業所の全面的な御協力をいただき,3年間で30週間に及ぶ実践的な企業実習を取り入れ,さらに定員を5割拡大するなど,生徒や保護者の願いに応える取組を進めてまいりました。以降,卒業生は5年連続で就職100パーセントを達成し,昨年度は,総合支援学校全体で過去最多の67名の就職を実現しております。 一方,実習先の確保や雇用の促進に向けた企業啓発,また従事業務の拡大,職場定着などの課題があり,学校と保健福祉局をはじめとする本市関係部局はもとより,京都府の福祉,労働機関などオール京都の体制で,卒業後も含め切れ目なく生徒の支援に努めております。また,来年4月に開校します白河総合支援学校東山分校では,高齢者への配食サービス,買物支援や陶芸教室を地域の方々と共に実施することなどを通して,生徒に就労の基盤となる社会性を育むとともに,企業に加えて職業能力開発校などへ進路の幅を広げる新たな学校づくりに向け,準備を進めております。今後とも,企業,地域,関係機関との連携をより一層緊密にし,卒業生の就労支援,自立と社会参加を推進してまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(山岸たかゆき) 次に,市政一般について,片桐直哉議員に発言を許します。片桐議員。 〔片桐直哉議員登壇(拍手)〕 ◆(片桐直哉議員) 私は北区選出の片桐直哉でございます。民主・都みらい京都市会議員団を代表いたしまして,鈴木マサホ議員に引き続き市政一般について質問をさせていただきます。市長並びに理事者の皆様には,明確な御答弁を賜りますようよろしくお願いいたします。 初めに,昨年,条例も制定した地域コミュニティの活性化について質問をさせていただきます。私は去る11月7日に,北区役所の主催した「北区地域と若者つながるワークショップ」を傍聴させていただきました。このワークショップは,北区の自治会の会長をしておられたり,学区の各種団体の役員などをされている地域の住民の方々と,北区に住んでいる,学校に通っている,北区を拠点に活動している若者たちとの間で,地域のまちづくり活動について活発な議論が交わされる場でした。その中では,まず地域の自治に関わっている住民の方々から,「若い人に地域の行事に出てきてほしいが,どこに誰がいるか分からない」,「学生のサークルなどに地域の行事に出てもらいたいと思っているが,連絡を取る窓口が分からない」,「誰かが若者と地域のパイプ役にならないといけない」,「若い人の企画力やパワーを求めている」というような意見が出されていました。また,若い世代からは,「地域の祭りなどに参加したいけれど情報がない」,「地蔵盆などを一緒にやりたいと思う」,「地域の住民が何を求めているかが分からない」,「学区や自治会の組織がどうなっているか分からない」などの意見が出されていました。この議論の中で私の気付いた問題点は,若い人たちも地域で自治に関わっている住民も,実は求めていることはかみ合っているけれども,情報共有の仕組みづくりや,つながるきっかけづくりがうまくできていないのではということでした。ライフスタイルや価値観,活動時間の違いなどを乗り越えていく,地域情報の共有の大切さが全ての参加者の共通認識になっていました。これからの地域コミュニティの活性化を考えていく上で何が必要か,行政が果たすべき役割とは何か,ヒントがたくさんあったように思います。 昨年,本市では市会でも議論を重ね,京都市地域コミュニティ活性化推進条例を制定しました。条例には,基本理念として「地域住民相互の交流を促進することにより,地域住民が支え合う地域のつながりを強化するとともに,地域住民相互の協力と支え合いの精神に基づく自主的かつ活発な地域活動が行われるようにすること」が掲げられています。現在,地域コミュニティの活性化に向けて,本市では転入の手続のとき,地域コミュニティの活動に積極的に参加を呼び掛けるチラシを渡していること,新築マンションについて地域との連絡調整担当者を知らせることができるようになったこと,地域コミュニティサポートセンターを設置して相談を受けることなどを行っていますし,自治会加入率の実態についての調査も行い,結果を現在分析中だと伺っています。また,本日からは,「自治会・町内会&NPO応援ポータルサイト」を開設して,自治会や町内会の情報発信ができるようにという取組も始まります。 しかし,現状の取組だけを見たときに,地域コミュニティの活性化策として行われている取組は,事務事業評価の評価指標一つを例に見ても,自治会加入促進パンフレットの作製部数であることなど,自治会の加入率をどのようにアップさせるかが目標になっているものが多いのではないかと感じます。地域コミュニティの活性化というものは,自治会の加入率向上をすれば,それだけで達成できるものではありません。もちろん自治会に加入をしていただくことは重要ですが,その先にある面識をうまく作り出すことや,地域の課題を一緒に考え,行動できる輪をどう広げていくかが重要であります。今後,そうした視点での政策展開がなされていくべきであると思っています。 これからの取組として,鍵を握るのは区役所での取組だと思います。情報ギャップのある住民相互の情報の仲立ちをしていくことや,つながりを生み出す機会づくりの相談など,専門能力と財源をもって住民と一緒に取り組める体制づくりを今以上に進めていくことが必要です。区役所が学区単位だけではなく町内というレベルまでしっかり見ていくこと,冒頭紹介したような,幅広い層のコミュニティへの考え方を拾い上げる機会を継続的に持っていくことが必要だと考えますが,いかがでしょうか。あわせて,地域コミュニティを活性化しようとしたときに,行政が地域と関わっていく中で,これから変わっていかなければならないと思うことがあります。 現在,地域コミュニティとの関わりの中で,学区を中心にして,福祉,防災,スポーツ,教育など,行政が市の部局別に住民協力組織を作り,ばらばらに補助金や交付金を配分しています。さらに,各局が個々の地域のニーズに関わらず,サポーター制度などを画一的に作っています。また,それぞれのお金の使い道はかなり固定的で新しい創意工夫を生み出せる仕組みであるとは言いにくいものがあります。そうした縦割りの仕組みが,特に若い世代や新しい住民から地域コミュニティの自治組織の姿を見えにくくしているのではないでしょうか。自治連などがしっかり機能し,多くの住民団体がそれぞれ協力関係を構築できている地域もあれば,なかなか連携を図ることが難しい地域もあります。住民の連携を進め,自分たちで考えて地域コミュニティを作っていけるようにしていくために,たくさんの住民協力組織を作って,色々な部局や組織を通して地域に予算を流す今の仕組みから,小学校区単位での地域交付金のような形で行財政権限を渡していく。その中で幅広い住民が集まり,今,地域に何が必要かを住民が考え実行できる形にしていくことが地域コミュニティの活性化に必要ではないかと考えています。今後,そうした行政の関わり方になっていくように検討を進めていくお考えはありますか。御見解をお聞かせください。 次に,ソーシャルビジネスの支援事業についてお聞きします。ソーシャルビジネスとは,地域のきずなづくりや商店街の振興,高齢者対策や子育て支援,環境保護対策などの社会的な課題をちゃんとお金が回る仕組みの中で解決していくビジネスのことです。最近,注目をされているビジネスの形であり,本市でも昨年度からこのソーシャルビジネスの支援を行っています。ソーシャルビジネスには,市民活動が持続可能な形のビジネスへと育っていくというモデルと,企業や起業家が社会的な課題を見付け,その解決のための新しい事業を起こしていくというモデルがあり,前者は特に府の施策として,後者は本市の施策として取り組まれていて,府市のすみ分けができていることは高く評価をしております。今年度が2年目であり,本格的な政策展開はここからでありますので,ソーシャルビジネスが次々と生まれ,本市に新しい産業や雇用が生まれてくるようになるまでには,まだ時間は掛かるものと思いますが,しっかりとした取組を求めておきます。 私からは,ソーシャルビジネス支援のために何が必要であるかを提案したいと思います。11月13日に,我が民主・都みらい市会議員団は,市民と共に京都市の事業の在り方を考えるために,会派として3回目の事業仕分けを行いました。今回は事業仕分けの判定を市民の方に行っていただく市民判定人方式で行いましたが,仕分けの中で気付いたことは,市の事業の中にも,ソーシャルビジネスが活躍していくべき分野ではないかと思えるものが,市の外郭団体やその子会社に委託される形で行われているということでした。全ての市民が適正な住まいの情報を得ることができ,いつまでも安心して生き生きと住み続けられる状態を目指す住まい体験館の運営事業や,要介護状態に陥らないよう,運動機能の維持向上を図り,健康寿命の延伸を図ることを目的とした筋トレ事業などです。このほかにも,昨年私が予算委員会でも質問した成年後見の支援など,ソーシャルビジネスの活躍の場として広げていくべきではないかと思っております。公共分野での担い手,あるいはその仕組みが非常に多様化してきていますし,これからもっとそのすそ野は広がっていきます。 ソーシャルビジネスを育てていくためには,何から何まで行政の仕事とするということではなく,行政の仕事を整理して,民間との役割分担をしっかりしていく,ソーシャルビジネスが活躍できる領域を広げていくことが必要ではないかと考えますが,いかがでしょうか。また,行政の仕事の委託に当たっても,漫然と外郭団体やその関係企業,今までやってきたところに委託をするということではなく,ソーシャルビジネスに取り組む企業と協働関係を築いていくことで,市民にとってよりよいサービスが提供されるようになると考えます。今後,本市としてソーシャルビジネスの認証制度などを作っていくに当たっては,そうした協働関係を構築していくことにつながるものとしていくことを提案したいと思いますが,併せてお考えをお聞かせください。 最後に,家庭ごみの有料指定袋の財源活用について質問します。平成18年の10月から始まった有料指定ごみ袋制度ですが,この制度により実施前の平成17年度に30万7,000トンであった家庭ごみは,平成23年度には21パーセント減の24万2,000トンになるという効果がありました。一定の負担感を市民に持っていただきごみの減量を実現するということは,非常に効果の高い政策であったと言えます。同時に,この有料化による財源として昨年度は約13億7,000万円の財源が生み出されました。この財源の活用について,私は,制度導入のときにはまだ議員ではありませんでしたので,市会で当時どのような議論があったかを議事録からたどってみました。「財源をごみ減量やリサイクルの推進など,市民の皆様が脱温暖化社会,循環型社会の構築に実感を持って関わっていただけるような施策に活用していく」というのが,平成18年の2月市会本会議での当時の桝本市長の御答弁でありました。 こうした議論の経過があって,現在の財源活用が決まってきたことは承知をしています。平成23年度の財源活用を見れば,太陽光発電の普及促進の助成に2億8,000万円,プラスチック容器包装リサイクルの推進に2億2,000万円,そのほか上流対策やごみ減量推進会議の活動の推進,他局活用の森の力活性利用対策など,合わせて35の事業で決算全体の77パーセントが使われ,京都市民環境ファンドへの積立ては23パーセントの3億2,700万円となっています。活用事業のその一つ一つはそれぞれに意義があり,またこれまでの議論の積み重ねに沿った使われ方ではあるのですが,市民が有料化財源がどのように使われているか,具体的な使われ方がイメージできるようにはなっていないのではないでしょうか。 導入から既に6年が経過しました。昨年の東日本大震災以降,市民の環境分野への関心は,脱原発依存社会へ向けた再生可能エネルギーの開発に集まっています。これは,これまでの柱建ての一つである地球温暖化対策にもつながります。現在のように少しずつ財源を活用するのではなく,市民の目に見える再生可能エネルギーの分野への大きな投資のために,何年間で何十億円かを計画的に積み立てるような財源活用の方法を検討することはできないでしょうか。現在,ファンドの積立総額は12億円です。例えば,今年福島県の会津若松市で稼働を始めた未利用の間伐材を燃料にした木質バイオマス発電所は,年間4万メガワットアワーの電力を生み出すことができますが,この建設などの投資額は23億円でした。また年間5,500メガワットアワーの電力を生み出す立山アルプス小水力発電事業の総投資額は約10億円でした。単純に同じことをやれというのではありません。財源の多くを単年度の事業で使うだけではなく,しっかり基金として財源をため,本市にしかできない,より大きな環境への投資に財源を活用していくことが,さらに市民の目に見える,意義のある財源活用になるのではと思いますがいかがでしょうか,お考えをお聞かせください。 以上,大きく3項目の質問をいたしました。すぐに具体的で前向きな御答弁がいただけるようなものではない質問であるかもしれませんが,これからの京都の姿を作っていくために重要な課題についてお伺いいたしました。これからも議論を重ねながら,市民にとってよりよい京都をつくっていくための取組をお願いし,議員団を代表しての私からの質問といたします。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○副議長(山岸たかゆき) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 片桐直哉議員の御質問にお答えいたします。 地域コミュニティの活性化についてでございます。京都のまちに脈々と受け継がれてきた「自分たちのまちは自分たちでつくる」という住民自治の伝統は,京都が誇る最大の財産であり,このすばらしい地域力は,京都の未来を切り開く原動力でもあり,私は,この京都の地域力をしっかりと維持し,一層高めていくことが極めて重要であると認識いたしております。そのため,3年に及ぶ侃々諤々の議論を経まして,昨年9月の市会で御議決いただき,地域コミュニティ活性化推進条例を制定いただき,本年4月から施行いたしました。本市におきましては,地域コミュニティの更なる活性化のためには,市民の皆様の主体的な取組をしっかり支援していくことが大切であると認識しており,地域のきずなの大切さを多くの市民の方々に御理解いただくための様々な機会を捉えた啓発や,自治会,町内会やNPOに関する情報を一元的に発信するポータルサイトの開設など,新たな取組を順次進めているところであります。 同時に,私は,コミュニティの活性化は市民に最も身近な区役所が中心となって地域の皆様と共に進めていくべきであると考えておりまして,このため,本年4月に区役所に地域力推進室を設置し,また地域防災係長を新たに配置し,さらに各区役所に熱意あふれる職員を配置するなど,区役所機能の質的な強化も図っております。新たな予算制度「区民提案・共汗型まちづくり支援事業予算」を創設いたしました。片桐議員御指摘の北区での取組を初め,各区において,「自分たちの地域を良くしたい」という共通の思いを持たれた様々な区民や学生,NPO,事業者等が一堂に会し,区役所の職員も含めまして一緒に課題や解決策を考えていく,共に汗する共汗型の試みが始まっているところであります。とりわけ,区民が自ら企画し実践する区民提案型支援事業では,各区の募集に対し,予算額を大幅に上回る申請があり,現在169の事業が各地域で着々と進められているところであります。私も幾つか参加させていただきましたが,自治会,町内会はもとより,NPO,様々な団体や若い世代の方々が互いに連携し,創意工夫を凝らしながら,自分たちのまちづくりを自分たちの手で進められている姿に,京都の未来に向けた大きな希望と可能性をひしひしと感じております。今後とも,こうした区民自らの行動をしっかりと支援する取組を継続し,また,より一層充実させてまいります。 なお,片桐議員御提案の地域交付金についてでございますが,現在,本市が地域団体に対して交付している補助金等は極めて少額で,かつそれぞれの法令や団体の事業目的に基づくものであり,これもかなり縮小してきているという状況でありまして,必ずしも一括交付にはなじまないものであると考えております。しかしながら,事業の効率的,効果的な運営やコミュニティ活性化の観点から,地域におきまして個々の事業の連携あるいは融合を図っていくことは極めて重要であります。そのため,地域の実情を一番良く知り,地域と共にまちづくりを進めている区長,担当区長が,地域のために本庁の事業部局に対しまして意見を言い,巻き込んでいく,また,本庁事業部局も区役所との十分な連携の下で事業を進めていく,そうしたことによりまして,区役所を先頭にいたしまして,活力と魅力あふれる地域づくりを推進していく,そんな取組をより一層強化してまいりたいと思います。 私からは以上でございます。以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○副議長(山岸たかゆき) 塚本副市長。 〔塚本副市長登壇〕 ◎副市長(塚本稔) ソーシャルビジネスへの支援についてでございます。近年,複雑,多様化する社会的課題を,ビジネスとして収益性を確保しつつ,解決していこうとするソーシャルビジネスが注目されております。こうしたソーシャルビジネスに取り組む企業を支援することは,新たな産業の創出や雇用の確保につながるものだけではなく,行政だけでは手が届かないサービスの提供の拡大にも結び付くものでございます。そこで本市では,中小・ベンチャー企業のまち・京都の特性に着目し,ソーシャルビジネスの手法を用いまして,中小企業の第二創業やベンチャー企業の育成を図っているところであり,全国的にも大きな注目を集めております。具体的には,平成23年度から財団法人京都高度技術研究所と共に,経済団体等との共同セミナー,先進事例を学んでいただく企業視察などを実施し,これまで500人以上の方々に御参加いただきました。また学識経験者,金融機関及びソーシャルビジネスに取り組む企業などで構成いたしております「京都市ソーシャルビジネス支援事業実行委員会」を設置いたしまして,海外事例などを研究しながら熱心な議論をいただいております。 また,片桐議員御指摘の民間との役割分担につきましては,京都市でも公民の役割分担を絶えず見直し,「民間でできることは民間で」を基本に,指定管理者制度をはじめといたしまして,民間活力の積極的な活用による適切な市民サービスを提供するとともに,業務の委託に当たりましては,外部委員の意見を踏まえた透明かつ適正な契約に基づいて取り組んでまいりましたが,今後はソーシャルビジネスに取り組む事業者も業務や事業の受託先として一定の役割を担われるものと認識しているところでございます。現在,京都市内でも森林バイオマスの活用や途上国における学校建設など,多岐にわたる分野でソーシャルビジネスに取り組む事業者が誕生し始めております。今後も更に優良事例となる企業を1社でも多く輩出できるよう,また,これまで行政が担ってきた分野においても,ソーシャルビジネスに取り組む企業が生まれるよう京都発の支援体制や認証制度を構築してまいる所存でございます。以上でございます。 ○副議長(山岸たかゆき) 桐澤環境政策局長。 〔桐澤環境政策局長登壇〕 環境政策局長(桐澤孝男)家庭ごみ有料指定袋制度からの収入,いわゆる有料化財源の活用についてでございます。有料化財源につきましては,京都市廃棄物減量等推進審議会からの答申や市民の御意見を踏まえ,ごみ減量・リサイクルの推進,まちの美化の推進,地球温暖化対策の3分野の事業に充当いたしております。平成21年度からは,毎年度の事業に加え,中長期的な展望に立った施策への活用を図るため,京都市環境共生市民協働事業基金,いわゆる京都市民環境ファンドを設置し,計画的な積立てを行うとともに,指定袋製造経費の入札残や事業経費の節減等により生じた額についても積み立ててきております。その結果,京都市民環境ファンドの積立額は,平成23年度末現在,指定袋の製造経費の高騰に備えて積み立てている2億円を含め,約12億円となっております。現在,25年度予算の編成に向け,引き続き有料化財源の計画的な積立てを検討するとともに,現在までの積立額の活用方法について,例えば南部クリーンセンターの建替えにおいて,これまでのクリーンセンターのイメージを一新し,先進的なモデルとして整備する,世界最先端の楽しく学べる環境学習拠点への活用や,議員御提案の再生可能エネルギー分野への活用などについても検討を進め,市民の皆様の目に見える本市ならではの事業への活用に努めてまいります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(山岸たかゆき) 暫時休憩いたします。 〔午後3時10分休憩〕 〔午後3時30分再開〕 ○議長(大西均) 休憩前に引き続き,会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 休憩前の一般質問を継続いたします。市政一般について,吉田孝雄議員に発言を許します。吉田議員。 〔吉田孝雄議員登壇(拍手)〕 ◆(吉田孝雄議員) 上京区選出の吉田孝雄でございます。津田早苗議員と共に公明党議員団を代表し,市政一般について質問いたします。市長並びに理事者におかれましては誠意ある御答弁をお願いいたします。 いよいよ解散総選挙です。時代の大転換期にあって日本が再建できるのか,それとも迷走を続けるのかが問われる選挙です。日本は3年間の民主党政権によって,まさに沈没しはじめています。外交の失政と経済の無策。中小企業や商店街だけでなく全ての企業が大変な苦境に陥り,円高とデフレが市民生活を直撃しています。これを国難と言わずして何でありましょう。日本再建,それができる党,ぶれない党はどこかが問われているのではないでしょうか。この3年間,政治は迷走を繰り返し,今や漂流しています。「一遍やらせてみよう,あかんかったらやめさせたらええやん」というようなムードやイメージが優先する風頼みの選択は,「もうこりごり」と多くの人が痛感しておられます。政局よりも政策の中身が大事であり,誠実かつ謙虚に市民の声を求め,断固たる決意で具体化する実行力こそ大切です。私たち公明党は,その決意で地域に根を張り,草の根ネットワークを張り巡らせ,苦しい生活の中奮闘する生活者に寄り添って,身近で大切な政策を実現してきました。地方分権,行財政改革,経済再建,平和外交などで,最もぶれずに,きめ細かく,実現力のある政策を打ち出している公明党の勝利こそが,日本再建の突破口になると申し上げ,質問に入ります。 まず,高齢者の介護予防についてお聞きします。御高齢の方が寝たきりになるのを防ぐ上で,最も効果的なのは,手や腕,足腰などを積極的に動かして,運動機能を日ごろから少しずつ活用していくということであるとのことです。こうした観点から,御高齢の方が無理のない範囲で筋力トレーニングに取り組まれることは,非常に効果的であると考えます。京都市では,平成15年に財団法人京都市健康づくり協会と共同で,御高齢の方でも無理なく取り組むことができる筋トレプログラム「京からはじめるいきいき筋力トレーニング」を開発されました。これは,特別な機材を使わずに,自分の体重を利用して手軽にできる運動プログラムで,400人を超える普及推進ボランティアの皆さんの御尽力もあって,着実に広まりつつあります。さらに平成19年には,南区の健康増進センターに加え,市内北部の筋トレ普及の拠点として,元春日小学校跡に「いきいき筋トレルーム」が開設されました。この筋トレルームには地元の上京区だけでなく,左京区や中京区,北区などを中心に,年間約5,800名の御利用があり,好評を博しているということです。 この介護予防に大きな効果がある筋力トレーニング施設については,公明党京都府本部代表である竹内ゆずる前衆議院議員が,上京区選出の市会議員であった平成15年から,本会議代表質疑や委員会で,「学校跡地などに設置するべきである」と粘り強く提案してきたものです。現在はいきいき筋トレルームも定着し,ボランティアの皆さんの活躍もあって,地域ぐるみで介護予防に取り組もうとの機運が盛り上がりつつあり,高齢化時代における大きな可能性を持った事業であると考えます。そこで提起したいのは,上京区における先駆的な取組を,人口の多い市内東部や西部地域などにも広げていくべきではないかということです。お聞きしますと,これらの地域では施設が遠方のため近所の公園や集会所で小単位の同好会的にされているとのこと。このような方々を含め,多くの方が近距離ならば利用したいと考えておられるのではないでしょうか。上京方式を応用して既存の施設に併用するなど実情に合わせた工夫をして新たに設置する意義は大きいと申し上げたい。介護予防を一層拡充し,地域コミュニティ活性化を前進するためにも,「京からはじめるいきいき筋力トレーニング」の普及拠点を市内の東部や西部に設置し,更なる普及を促進するよう求めますがいかがでしょうか,お答えください。 次に,子育て支援,とりわけひとり親家庭への支援についてお聞きします。公明党では,かねてから,ひとり親家庭を支援する様々な事業について父子家庭への拡充が重要であると議論してまいりました。昨年9月議会の代表質問において,私が,「京都市母子福祉センターの名称を京都市ひとり親家庭支援センターに改め,制度の充実を図るべきではないか」と提案したところ,本年4月から正式に名称が改められ,母子・父子合わせたひとり親家庭の支援体制を確立し,本格的に取り組まれているところであります。12月3日には,センター内にハローワークの就労支援窓口も設置されるとのことで,ますますの充実が期待されていますが,大切なのはこれからです。父子家庭に対しても母子家庭と同様に,年金や医療費等の必要な経済的支援を充実していく必要があります。 こうした中,社会保障と税の一体改革において,公明党が遺族基礎年金の父子家庭への支給を提言し,関連法案に盛り込まれました。また,医療費についても,京都府のひとり親家庭の支援施策検討会において,現在,府市協調により取り組んでいる母子家庭等医療費支給制度の在り方について議論が進められているところであるとお聞きしています。私は,このような経済支援については,母子家庭・父子家庭を問わず,真に必要とされる方に手当てされるべきであると考えます。そこでお聞きします。京都市母子家庭等医療費支給条例の対象と所得水準の在り方を見直し,一定の所得に満たない父子家庭にも拡充するべきではないかと申し上げますがいかがでしょうか,御答弁をお願いいたします。 次に,観光客へのおもてなしについてお聞きいたします。京都市は,誰もが京都の奥深い魅力を堪能することができる観光都市づくりを目指し,高齢者や障害のある方をはじめ全ての観光客を対象に,モデルコースの作成やユニバーサル情報の発信を実施してこられました。こうした取組は,地道ではあるものの,「また京都に来たい」と思っていただく最も重要なおもてなしであると確信します。特に,障害のある方々やその御家族から評価され,リピーターになっていただくためにも,数ある観光都市の中で京都が一番きめ細かく配慮されていると自他共に認める体制を拡充する必要があると申し上げるものです。ところが先日,上京区在住の市民から御要望が寄せられました。観光案内所に主要な観光施設の障害者割引や高齢者割引,団体割引の価格を問い合わせ,おすすめコースを相談しようとしたところ,あまりにも該当する施設が多いため,対応された方が気の毒なほどてんてこ舞いであったというのです。これが観光シーズンのピークなら,正にパンクしてしまうかもしれません。私はこのお話を聞き,窓口担当者の負担軽減ときめ細かなサービス向上の仕組みを今以上に充実する必要があるのではないかと痛感しました。 インターネットでは,平成20年度に京都市ユニバーサル観光ナビを開設し,アクセス数も22年度の8万6,538件から23年度,10万6,471件と前進していますが,膨大なデータを状況に応じて検索するのも限界があります。事前の段階で問い合わせてこられた方に対して,各観光施設の割引サービス,バリアフリーの有無や多目的トイレの情報などをきめ細かく提供し,コーディネートする心の通った事業に力を入れる必要があるのではないでしょうか。観光客をもてなすユニバーサルツーリズムを推進するため,観光案内所やホームページの充実と共に,京都の魅力を熟知し,真心を込めたおもてなしの素晴らしさを体現する民間の方々との連携による観光コンシェルジュの制度を早期に立ち上げ,多くの市民の皆さんにユニバーサルツーリズムへの関心や理解を深めるべきであると考えますが,いかがでしょうか。 次に,自転車の安全対策についてお聞きいたします。京都市自転車安心安全条例の制定から丁度2年がたちました。市民の皆さんの意識も少しずつ浸透し,市長への手紙に寄せられる御意見の中で,自転車安全利用に関する案件が,22年度,7件であったのが,23年度では15件と倍増し,今年度上半期も既に11件寄せられています。簡易型の自転車損害賠償保険TSマークの加入数も,平成21年度2万2,180件であったのが,23年度4万1,640件と,これも倍増したということです。京都府警が主管される自転車安全教室についても,市立小学校の開催回数が平成20年45校であったのが23年は86校と倍近くに増えており,着実な前進を実感しております。商店街の安全活動も活発です。現在,市内の多くの商店街で垂れ幕や看板,カラーコーンなどを設置されているほか,深草商店街が市民ぐるみで啓発パレードを実施され,河原町商店街はシルバー人材センターとタイアップし,アーケード内を自転車で走行する方を呼び止めて降りてもらうように啓発するという取組で効果を発揮しておられます。 しかしながら,TSマークの加入が倍増したといっても,100万台を超えるといわれる市内の全保有台数の1割に満たない数にとどまっており,また,自転車が関係する事故の件数も劇的に減少しているとは言えないのが実情です。こうした事業は,成果がすぐに目に見えるような即効性は期待できませんが,着実,地道にカタツムリのように前進していくものです。だからこそ,長期ビジョンに基づいた多角的な具体策を粘り強く継続していく強固な決意と大胆な施策展開が重要ではないかと考えます。その意味で,交通安全教育については,市立の小学校,中学校,高校を対象とする自転車交通安全教育プログラムに準拠したカリキュラムの一層の充実と共に,府立高校や私立の各学校及び市内の各大学との連携が重要になってきます。危険を強調し,規制を強化するようなイメージだけが先行すれば,若い方々にとって自転車に関する施策が窮屈なものに受け止められてしまいかねません。子供たちやお年寄り,障害のある方々を自分たちが守っていくことが格好いい,交通安全を作りゆくことがこれからのトレンドだと思われるくらいの魅力ある施策が求められていると申し上げるものです。そこで,お尋ねします。学生をはじめとする若い世代の交通安全の意識を高めるため,広報啓発活動と学校教育を更に拡充すると共に,地域ぐるみの交通安全活動への参加促進を図っていくべきであると考えますがいかがでしょうか,市長の御所見を求めます。 最後に,自転車走行環境,いわゆる自転車レーン等の整備についてお聞きします。昨年10月に警察庁が通達を出し,自転車は原則車道を通行することが徹底されました。自転車が安全に走行する環境を整備するための自転車レーン等の拡充は,市民の命を守る極めて重要な施策ですが,継続的な予算措置が必要であり,一朝一夕に進展するものではありません。本市では,昭和60年代から昨年度末までに,38キロにわたる歩道の自転車走行部分のカラー舗装化を推進していますが,本年3月に「京都市自転車通行環境整備プログラム(案)」を策定し,市街地エリアの幹線道路を活用したネットワーク化に本格的に着手する方針を発表されました。その第1段階として,24年度予算に御池通と烏丸通で自転車走行レーンを設置する事業を計上し,まもなく工事が本格的に開始されるとのことです。 私は,本年4月,半年がかりで市内の幹線道路を現地調査して作成した政策提言「京都市まちなか自転車走行環境提案書」を市長,副市長に提出し,また今月13日には,同僚議員と共に栃木県宇都宮市を訪れ,現地の自転車レーンを調査させていただきました。宇都宮市では,「自転車のまち推進計画」が多角的に進められ,一つ一つの施策が魅力に満ちたものでした。特に自転車走行空間整備は優先整備路線を実に16も選定し,地域の実情に合わせた五つのパターンで着実に設置を進めておられます。私はこのスピード感に感心しました。同時に,引かれたレーンが途中でぶつ切りにならないネットワーク化を実現する施策の連続性が重要だと痛感しました。物理的な面からも,時間的な面からも継続性を重視し,多様な地域特性を尊重して,地域の声を反映する丁寧な手法を積み重ねつつ,スピード感を持って,自転車通行環境整備を進めていくべきと考えます。いかがでしょうか,お答えください。 以上で,私の質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(大西均) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 吉田孝雄議員の御質問にお答えいたします。 まず,ユニバーサルツーリズムの推進についてでございます。本市におきましては,障害のある方や高齢者をはじめ全ての方に,安全,快適に京都観光を楽しんでいただくため,これまで,車いすで回れるモデルコースや飲食店,施設等のバリアフリー情報をホームページ「京都ユニバーサル観光ナビ」により発信し,年間10万件を超えるアクセスをいただいております。さらに,民間のボランティアによります専門のコンシェルジュが,身体の状態や必要なケアの内容に合わせて無料で相談に応じ,また,きめ細かな情報提供を行う「京都ユニバーサルツーリズムコンシェルジュ制度」を,来月中旬に全国に先駆けて創設いたします。吉田議員御指摘のとおり,こうした取組と併せまして,市民の皆様の関心や御理解を広めることが非常に重要でございます。今後は,案内所をはじめ京都観光の第一線で活躍される方々を対象に,ユニバーサルツーリズムをテーマにした研修会を実施するなど,障害のある方や高齢者を京都のまち全体で丁寧におもてなしする風土づくりを進め,誰もが,奥深い京都の魅力を存分に味わっていただける5,000万人感動都市を目指してまいります。 次に,自転車の安全対策についてでございます。議員提案により制定された自転車安心安全条例の理念を実現するためには,自転車の安全利用をはじめ交通安全の啓発や教育に加えまして,活動のすそ野を広げることが極めて重要でございます。こうした考え方の下,学校教育においては,教育委員会と京都府警との連携を深めまして,自転車運転免許証の交付を伴う自転車安全教室の実施校を増加させるとともに,本年度から自転車交通安全教育プログラムを導入し,取組の充実を図ってきております。また,若者を対象とした啓発活動につきましても,新たにスタントマンによる交通安全教室の開催や,フリーペーパーへの啓発記事の連載などを重点的に取り組んでまいりました。これらに加えまして,地域の皆様と共に取り組む交通安全市民運動においても,大学生や高校生の街頭啓発への参加はもとより,その一環として,若者ならではの発想でダンスや吹奏楽の披露なども行っていただいております。さらに,市内の大学においては,近年,交通安全啓発活動を目的としたサークルが結成されており,こうした若者たちと連携した取組も展開いたしております。京都市といたしましては,吉田議員御指摘のこうした点を踏まえまして,若者と地域の皆様が共に汗して取り組む共汗の芽を大きく育み,自転車の安全対策をはじめ交通安全運動の更なる充実を図ってまいります。 次に,自転車通行環境の整備についてでございます。吉田議員の力作「京都市まちなか自転車走行環境提案書」を私も熟読させていただきました。地球環境に優しい自転車レーンの整備は京都市100年の大計を立てる事業であるという思いは,私も共鳴するものであります。吉田議員の提案書にも引用していただいておりますが,本市では本年3月に,歩行者と自転車が共に安心安全に通行することのできる道路づくりの基本方針と整備手法を定めた「自転車通行環境整備プログラム(案)」を取りまとめました。このプログラムでは,歩行者や自転車,自動車の通行量や沿道の利用状況等の多様な地域特性を踏まえたうえで,既存の道路を活用し,車道での自転車レーンの設置や,歩道における自転車通行位置の明示などにより,歩行者と自転車を分離する手法を一つ一つ選定していくことといたしております。このプログラムに基づきまして,地元の皆様や自転車利用者の御意見も十分お聞きしながら,連続性のあるネットワークの整備を進めてまいります。今年度は,その皮切りといたしまして,地下鉄の駅や学校,観光地,オフィスビルなどが多く存在し,ネットワークの東西の軸となる御池通,南北の軸となります烏丸通において整備に着手いたしております。今後とも,自転車等駐車場の整備や放置自転車の撤去,自転車利用マナーの啓発等を総合的に進める中で,歩行者と自転車が共存し,安心安全に通行できる道路づくりに取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(大西均) 星川副市長。 〔星川副市長登壇〕 ◎副市長(星川茂一) 私からは,高齢者の介護予防,筋トレ普及拠点の拡大についてお答えいたします。 高齢者の加齢に伴う運動機能の低下を防ぐことは,いつまでも元気に暮らし,豊かな日常生活を送っていただくための基本となるものであり,介護予防の基本ともなるものであります。現在,地域におきましては,各区で御活躍いただいております健康づくりサポーターをはじめ,多くの皆様が高齢者の健康づくりに向けた取組を進めておられます。京都市におきましても,議員から御紹介いただきましたように,南区のヘルスピア21や上京区の元春日小学校に筋トレルームを設置いたしておりまして,「いきいき筋力トレーニング教室」を開催いたしており,さらには施設利用にとどまらず,地域で筋トレプログラムを普及していただくボランティアの育成にも取り組んでいるところでございます。これらの事業は,これまで大変多くの方に御利用をいただいておりまして,利用者からは,運動機能の向上だけではなく,外出機会の増加など,「より良い日常生活を送ることができるようになった」との声を頂いているところでございます。議員お尋ねの「京からはじめるいきいき筋力トレーニング」の普及拠点の拡大につきましては,これまでの取組の成果を踏まえまして,来年度には市内の東部と西部にも拠点を確保し,全市展開を図ってまいりたいと考えております。また,併せまして市民,関係団体の皆さんと連携をしながら,地域ぐるみでの高齢者の健康づくりや介護予防に今後とも積極的に取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(大西均) 高木保健福祉局長。 〔高木保健福祉局長登壇〕 保健福祉局長(高木博司)母子家庭等医療費支給制度についてでございます。母子家庭等医療費支給制度につきましては,国の補助制度のない中,府市協調の下,これまでから拡充に努めてまいりましたが,平成22年8月に,児童扶養手当の対象が父子家庭にも拡大されるなど,本制度を取り巻く状況は大きく変化しております。このため,吉田議員御指摘のとおり,父子家庭も含めたひとり親家庭に制度の対象を拡充する必要があると認識しており,現在,京都府が設置した有識者等で構成する「ひとり親家庭の支援施策検討会」において,本市も参画のうえ,父子家庭への対象拡大に向けた検討を鋭意行っているところでございます。また,一般世帯の平均年収を大きく上回る現行の所得基準につきましては,福祉施策として,市民の理解が得られる制度としていくためにも,見直しを行うべきと考えており,本検討会において,本市としての意見を述べているところでございます。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 次に,市政一般について,津田早苗議員に発言を許します。津田議員。 〔津田早苗議員登壇(拍手)〕 ◆(津田早苗議員) 伏見区選出の津田早苗でございます。吉田孝雄議員に続き,公明党京都市会議員団を代表して市政一般について質問させていただきます。門川市長並びに理事者におかれましては誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。 初めに,災害用備蓄についてお伺いします。京都市は東日本大震災を教訓に,147万人の命と暮らしを守るため,防災対策総点検委員会を設置して,これまでの防災対策の現状を把握するとともに,課題や問題点を検証して,避難所の開設・運営,防災訓練,物資調達,情報,都市基盤施設の耐震化等について多くの意見や提案等が聴取され,昨12月に最終報告が取りまとめられました。これを受けて策定された避難所運営マニュアルでは,公明党が強く要望してきた,運営に女性の視点や参画を十分配慮した取組を進めていただいていることは評価しておきます。この指針を基に,約70箇所のモデル避難所については先行して今年度内にマニュアルを完成させ,26年度までには市内406箇所の避難所ごとに地域の実情に合ったマニュアルを作成予定となっていますが,災害はいつ来るか分かりませんので,早期に全避難所の策定を要望いたします。 震災発生後から避難所において被災女性の支援活動を一貫して続けた「NPOイコールネット仙台」は,昨年9月から10月にかけて3,000名を対象に東日本大震災に伴う震災と女性に関する調査を行い,発災直後,何を体験し,何を考え,どう行動したかが報告書につづられていました。その調査によると,発災後の避難所における生活の不安については,プライバシーのない集団生活によるストレスや,トイレなど衛生環境の悪さ,そして希望する物資が来ないなどの報告がありました。京都市においては,花折断層を震源とした地震が発生した際の市民の最大避難者を想定してアルファ化米などの備蓄食料を約30万食が保管されているとのことですが,各家庭において発災直後の3日間の食料・水・生活用品等の備蓄を用意することの啓発をすることも大切です。食料の備蓄は現在,区役所や市の施設などの19箇所の拠点備蓄倉庫で管理されていますが,直下型の地震であれば建物の崩壊や道路が閉鎖されたら運搬はできません。避難所に指定されている小中学校などに分散備蓄をすることが必要だと思いますが,いかがでしょうか。さらに食料以外の資器材の備蓄については,避難所の運営をより円滑に行えるよう,プライバシー確保のための間仕切り,非常用発電機,照明を早く配備していただくとともに,遅れている防寒用毛布,飲料水の備蓄については早急に確保をしていただきたいと思います。また,現時点で避難所に指定されいる施設は406か所で,約16万人の収容人員となっています。最大避難者30万人収容できる避難所の確保は喫緊の課題であり,早急に拡大を図っていただきたいと思います。市長の御所見をお聞かせください。 次に団塊世代についてお伺いします。敬老の日に総務省が発表した推計によると,65歳以上の高齢者の人口は3,074万人となり,総人口に占める割合も24.1パーセントと過去最高を記録しました。京都市における総人口及び高齢者人口の推移を見ますと,総人口は横ばい傾向にありますが,65歳以上の高齢者人口は増加し続けています。平成23年度では34万1,518人で,高齢化率は23.2パーセントとなっています。今年度からは,毎年約1万人強の団塊世代が65歳を迎えるため,高齢化率も25年度に25パーセントを超え,4人に1人が高齢者となります。2012年問題とは,団塊世代がシニアに入り,今までは労働と消費の両面で高度成長を,あるいは保険や年金などで社会保障制度を支える大きな力となってきましたが,定年を迎え,大きな数が一転して支えられる立場になれば,経済や社会保障制度の崩壊を招くといった懸念がされました。私は,平成22年度に団塊世代問題の調査をして,「超高齢社会対策への初めの一歩と捉え,団塊世代の人たちに生涯現役の心構えで,仕事,健康,地域において力を発揮してもらう団塊世代対策が必要である」と提言をさせていただきました。都心部における団塊世代対策を先進的に取り組んでいる世田谷区では,生涯現役推進課を設置して,高齢者の地域ライフが充実できるようNPO,事業者,大学,行政等が連携して,参加の場や機会づくりの応援をしています。福岡県では,60歳以上の高齢者に地域の子育てを応援してもらおうと,7日間,30時間,子育てに関する専門的研修会を受けてもらう,「ふくおか子育てマイスター制度」が9月からスタートしました。 また,育児に積極的に参加する父親を「イクメン」と言われていますが,孫世代の子育て支援に力を注ぐ高齢男性を「イクジイ」と呼ばれ,注目を浴びています。核家族化が進み,異なる世代と関わりを持つ機会が少なくなった今,イクジイは子供たちにとって貴重な存在であり,孫育てを支援する男性が全国で増加し,地域のイクジイとして活躍しています。本市においては,高齢者対策としてシルバー人材センターはじめ生きがいづくりに取り組んでいただいておりますが,団塊世代が退職後,企業社会から地域社会へと移り,これまで培ってきた経験,智恵,能力を生かしながら,地域の中で活躍する場の創出や情報提供などを推進する組織を設置すべきと考えますが,市長の御所見をお聞かせください。 次に,理科教育支援員についてお伺いします。今年4月に実施された全国学力・学習状況調査では,初めて理科が追加され,8月に公表された結果からは,日常生活の中の現象や観察,実験の結果を,授業で習った原理や数式と結び付ける問題で正解率が伸びず,また理科に対する好感度や理解度が,小学校時代は比較的良好ですが,中学に入ると大きく落ち込むなど,子供たちを引き付ける理科教育の充実が喫緊の課題であることが改めて明らかになりました。 21年度に民主党政権の下で行われた事業仕分けでは,小学校五,六年生の理科の授業における観察や実験の充実を目的とした理科教育支援員配置事業が廃止と判定されました。文科省では,廃止判定に対する国民からの意見等を踏まえ,22年度以降は,引き続き事業を実施するが,3年程度掛けて廃止する方向を示し,今年度がその最終年度となっています。本市においては,24年度は38校に理科教育支援員を配置されていますが,これまで配置された学校では,授業の前後のスムーズな教材整備や発展的な授業を行うことにより,子供の興味や関心を伸ばすことができ,今回の学力調査においても成績向上させることができたと大変好評にも関わらず,そうした声を無視して,子供たちの理科離れを食い止めるという視点からも,廃止は課題解決に逆行するという判定であると思います。現在,文科省は,事業の名称や実施主体の変更を加え,25年度から,小中学校における理科の観察実験を支援する補助員の配置のための補助制度について予算要求を行っていると伺っています。子供たちに理科への興味,関心を一層高める絶好の機会であるこのときに,学校での実験や観察活動を促進するための理科教育支援員を,国の補助制度が万が一見送られた場合でも,京都市独自に継続されるべきだと強く思います。いかがですか,お答えください。 伏見区にあります,青少年科学センターは,昭和44年に開設し,年間約16万人の利用があります。先日久しぶりに科学センターに行ったところ,「青少年のための科学の祭典」を行っており,入館料も無料でした。中に入ってみると,雨にも関わらずたくさんの子供たちが目を輝かせながら実験をしたり話を聞いていました。科学センターは築後43年経過し,建物はもちろん特に常設の展示物や設備の老朽化が目立ち,子供たちが理科や科学に関心を持てる展示にと,早期に改善してほしいと思います。また,理科が好きな子供たちを育てるために,隣にあるエコロジーセンターと共にこの一帯を「京(みやこ)のサイエンスパーク」として科学センターの再整備を要望しておきます。 次に,乳がん検診についてお伺いします。乳がん検診の受診を呼びかけるピンクリボン運動は,今では我が国においても広く認知されるようになりました。10月の乳がん月間には,全国で検診受診を推進する運動が展開され,京都市においても市役所の本庁舎や京都タワーなどがピンクに彩られ,多くの女性が改めて乳がん検診への認識をされたのではないでしょうか。公明党では,女性議員を中心に乳がんや子宮頸がんについて無料クーポン券の配布による受診勧奨を実施するよう取り組み,平成21年度から国において制度化されました。このほど,がんの制圧を目指して普及啓発や検診受診の推進に取り組まれている「公益財団法人日本対がん協会」が,この無料クーポン券配布が受診者数の拡大にどの程度効果があったかを調べたところ,平成21年度の子宮頸がんの受診者数は,前年度に比べ14.8パーセント増,乳がん検診では20.6パーセント増とそれぞれ大幅に増加していることが分かり,無料クーポン券が受診向上に大きく貢献していることが証明されました。 京都市においても,乳がん検診については40歳から60歳まで,子宮頸がん検診については20歳から40歳まで,5歳刻みの,いわゆる節目年齢に対してクーポン券の配布が実施され,受診を促す大きなツールとして機能しているものと考えています。しかしながら,乳がんについては,欧米では80パーセント以上の受診率により死亡率が低下している中,我が国では逆に死亡率が上昇しており,受診率も20パーセントから30パーセントと低く,早期発見,早期治療を図るための更なる取組が必要だと思います。このほど,公表された厚労省の平成25年度予算の概算要求には,とりわけ罹患率の高い40歳代後半から50歳代の方に重点的に無料クーポン券を配布する事業が盛り込まれていました。本市においても,乳がん検診の更なる受診を図るため,節目年齢に当たるかどうかに関わらず,無料クーポン券の配布対象を拡大して受診を促してはどうかと考えますがいかがですか,お答えください。 最後に,造血幹細胞移植推進法成立に伴う京都市の取組についてお伺いします。去る10月8日,幅広い応用と人類全体への大きな貢献が期待されるiPS細胞を世界で初めて作製した山中伸弥教授の希望あふれるノーベル医学・生理学賞の受賞が決定したことは多くの国民の喜びであり,京都市は名誉市民の称号を授与させていただく方針です。また,京都市は医工薬産学公連携支援事業として「クリエイションコア京都御車」へのバイオ系ベンチャー企業への賃料補助やiPS細胞自動培養ロボット開発支援など,iPS細胞に関わる後方支援を続けております。 さて,公明党は,自公政権時代に「科学技術予算の充分な確保,投資は,資源が乏しい日本にとって極めて重要である」との認識に立ち,その拡充を推進してまいりました。マスコミでも報道されましたが,山中教授がiPS細胞の作製に欠かせなかったと振り返るのは,「平成15年に獲得した研究資金だ。5年間で約3億円が支給され,研究のスピードが一気に加速した」など,自公政権時代の予算の重要性を指摘しています。これらiPS細胞を有効に活用していくために,さきの国会において造血幹細胞移植推進法が全会一致で成立いたしました。山中教授からは,「造血幹細胞移植推進法の意義は大きい。成立に尽力した公明党に心から感謝したい」と語っておられます。と申しますのも,臍帯血は採取,保存して10年を越えるものや,ある一定数の細胞数がなければ移植に適さず,残念ながら廃棄処分となります。この推進法の35条に,「臍帯血を研究に用いることができる」との規定が盛り込まれ,iPS細胞など再生医療に利用できることが法的に可能となり,廃棄されてしまうところの臍帯血でiPS細胞ストックを作り,パーキンソン病や脊髄損傷など今後の再生医療に役立てたいとされています。 この推進法の成立の背景には,公明党の15年間にわたる地道な取組がありました。平成9年白血病患者の命を救おうと,浜四津敏子参議院議員は,日本臍帯血バンク支援ボランティアの会第1回全国大会に出席し,臍帯血の公的バンク設立を目指していた有田美智世代表に支援を約束し,全国で220万人を突破する署名を集め,10年に臍帯血移植への保険適用,翌11年,公的バンク設立を実現し,これまでに9,000件を超える移植が行われています。そこでお尋ねします。造血幹細胞移植推進法の成立を契機に,改めてバンクをはじめ患者さんや造血幹移植関係機関とも連携し,本市としての役割を推進していただきたいと存じますがいかがでしょうか,御所見をお聞かせください。 以上,私の質問とさせていただきます。公明党は,「どこまでも大衆とともに」の立党精神を胸に,人間主義の下,一生懸命頑張ってまいります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(大西均) 門川市長。 〔門川市長登壇〕 ◎市長(門川大作) 津田早苗議員の御質問にお答えします。 まず,災害用備蓄及び避難所の確保についてでございます。過去の大災害の事例から,発災直後には,市民力,地域力を生かし,人と人とのきずなに根差した自助,共助の取組が大きな効果を発揮することから,住民主体の避難所運営や各御家庭での備蓄の促進をお願いいたしております。一方,行政の取組である津田議員御指摘の備蓄の分散化,資器材の拡充,避難所の更なる拡大等については,防災対策総点検委員会の最終報告でも提言をいただいており,優先課題であると強く認識し,取組を進めております。具体的には,食料の分散備蓄につきましては,昨年度に拠点倉庫を3箇所増設し,全行政区に備蓄倉庫を確保いたしましたが,各避難所にできるだけ近いところに備蓄することがより望ましいため,今後は,避難所となる市立小中学校内を中心に,備蓄場所や倉庫設置箇所の拡大に取り組んでまいります。また,資器材の拡充に関しましては,避難所の機能強化に向け,間仕切りや非常用発電機,照明設備を来年度までに全避難所に備蓄できるよう積極的に取り組むほか,備蓄が遅れております飲料水や毛布につきましても,目標数の早期確保に向けて努力してまいります。さらに,避難所の拡大につきましては,現在,各区役所・支所において積極的に新規指定を行っているところではありますが,今後も,市立小中学校の空き教室はもとより,ふれあいサロン,武道場,ランチルーム,家庭科室等を活用するほか,私立学校等の民間施設にも協力を求め,避難所として追加指定するなど,市民の皆様の命と暮らしを守る避難所の更なる拡大に全力を挙げて取り組んでまいります。 次に,団塊の世代に関する施策についてでございます。我が国の成長を担ってこられた豊富な知識や経験をお持ちの,いわゆる団塊の世代の方々が順次高齢期を迎えられる中で,津田議員御指摘のとおり,高齢者の皆様が意欲や能力を最大限に生かされ,地域できずなを大切に,生きがいを持って暮らしていただくためにも,「支えが必要な人」というこれまでの高齢者像の固定概念を抜本的に変え,支える側として生涯現役で活躍していただくということが非常に大事であります。こういう中で,地域においても,例えば京都市老人クラブ連合会におきまして,60歳代から70歳前半の方の若手委員会が設置されるなど,高齢者の皆様が自ら意欲的に活動される取組が広がりを見せてきております。本市では,高齢者の皆様の知恵や経験,技能等を地域社会で生かしていただくために,知恵シルバーセンターの運営や,子育てを支援するファミリーサポート事業への高齢者の参画などの取組を進めており,さらには,地域における活動を促進していく一助として,本日,自治会,町内会やNPO活動に関する情報を一元的に発信するポータルサイトも開設いたしました。今後とも,団塊の世代の皆様をはじめとする高齢者の自主的な活動を支援する取組を,幅広い市民や関係団体の皆様と共に知恵を重ねまして推進し,健康長寿のまち・京都を構築してまいります。 私からは以上でございます。以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。 ○議長(大西均) 星川副市長。 〔星川副市長登壇〕 ◎副市長(星川茂一) 私からは,乳がん検診と臍帯血移植についてお答えをいたします。 まず,乳がん検診についてでございます。乳がんは,女性が発症するがんの中で最も多いがんでありますが,早期に発見できれば完治できる可能性が高く,そのためには定期的に検診を受けていただくことが最も重要であります。京都市におきましては,平成21年度から,各区保健センターでの集団検診に加えまして,市内の指定医療機関でも受診できるよう受診機会の拡大を図りますとともに,議員から御紹介をいただきましたように,40歳から5歳間隔で60歳までの節目年齢の方に無料クーポン券を配布するなど,積極的な取組を進めてまいりました。その結果,乳がん検診の受診者数は,この間で約3,500人以上増加するなどの成果を挙げることができましたが,全体の受診率はまだ高いとは言えない状況でございます。なお一層の取組が求められております。議員御指摘の乳がんの罹患率が高くなる40歳代後半から50歳代の方への重点的なクーポン券の配布拡大につきましては,この受診率の向上に更なる効果が見込めるものであります。今後の国の予算編成の動向等も見つめながら,実施に向けまして引き続き検討を進めてまいります。 次に,臍帯血移植についてでございます。臍帯血には,血液細胞を作り出すもととなる造血幹細胞が多く含まれていることから,その移植は白血病等の患者さんへの有効な治療法となっております。また,議員御指摘のとおり,今年9月に成立いたしました造血幹細胞移植推進法により,臍帯血バンクの安定的な運営を図るため,国から財政支援が行われることになったことは,移植を待っておられる患者さんに大きな期待と光明を与えるものであります。また,あわせて法の成立によりまして,最先端の再生医療研究での活用に道が開かれましたことは,血液難病のみならず,様々な病に悩まれる方の命を救う可能性も生まれたものと考えております。京都市では,これまでから,臍帯血バンクにつきましてホームページ等において情報提供を行うとともに,臍帯血バンクの提携病院の一つとなっております京都市立病院におきまして,出産される妊婦の皆様にお願いをいたしまして,約4割の方から臍帯血の提供をいただいているところであります。今後とも,患者さんの御意見も聞きながら関係機関と連携を強化し,妊婦をはじめ市民の皆様に臍帯血について御理解を一層深めていただきますよう取組を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(大西均) 生田教育長。 〔生田教育長登壇〕 ◎教育長(生田義久) 理科支援員についてでございます。理科好きな子供を育成するためには,観察・実験活動を充実させ,理科への興味,関心を高めることが重要であるとの認識の下,本市では,国の委託事業を活用し,平成19年度から理科支援員を小学校に配置し,観察・実験の準備や教材作成の支援など,理科の授業充実に努めてまいりました。事業開始からの6年間で,大学生,院生や退職された教員,企業技術者など,延べ450人を派遣し,本年度は38校に配置いたしております。その結果,「児童の探究心を引き出す魅力的な授業ができるようになった」など,学校現場から高い評価をいただいております。議員御指摘のとおり,国の委託事業は本年度で終了いたしますが,文部科学省では,理科における観察・実験等を重視した新学習指導要領の趣旨を踏まえ,来年度から対象を中学校にまで広げ,観察・実験を支援する補助員の配置を概算要求に掲げております。本市におきましても,これまでから国に対し繰り返し事業継続を要望してきているところであり,理科支援員の成果を生かし,理科教育の一層の充実を図るため,来年度,観察・実験活動の支援員を配置できるよう具体的に検討を進めてまいります。以上でございます。 ○議長(大西均) これをもって一般質問を終結いたします。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(大西均) 本日は,これをもって散会いたします。 〔午後4時25分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~             議長    大西 均             副議長   山岸たかゆき             署名議員  山本恵一             同     青木よしか △(イメージ)請願文書表「受理番号103」「消費税増税反対の要請」・請願文書表「受理番号104」「保育及び学童保育施設の充実」 △(イメージ)請願文書表「受理番号105」「妊婦健診及びヒブワクチン等への公費助成継続の要請」・請願文書表「受理番号106」「生活保護基準の引下げ反対の要請」 △(イメージ)請願文書表「受理番号107」「新しい高校教育制度案の拙速な導入反対」・請願文書表「受理番号108」「選択制中学校給食の見直し」 △(イメージ)請願文書表「受理番号109・110」「遊技場建設の指導等(左京区高野)」...