平成14年 5月 定例会(第2回) 平成14年第2回 京都市会会議録 第3号 (定例会) 平成14年5月15日(水曜日)出席議員(72名) 1番
小島健市議員 2番 竹内 譲議員 3番
小川ひろき議員 4番
砂川祐司議員 5番
田中英之議員 6番 中村三之助議員 7番
磯辺とし子議員 8番 井上けんじ議員 9番
玉本なるみ議員 10番
東山洋子議員 11番 安井 勉議員 12番
井上教子議員 13番 山口 勝議員 14番
安孫子和子議員 15番 中村十一議員 16番
石黒利雄議員 17番 加地 浩議員 18番
橋村芳和議員 19番
加藤盛司議員 20番 繁 隆夫議員 21番 せのお直樹議員 22番
岩橋ちよみ議員 23番
中村かつみ議員 24番
西野さち子議員 25番 柴田章喜議員 26番
久保省二議員 27番
大道義知議員 28番
日置文章議員 29番 天方晶英議員 30番 宮本 徹議員 31番
鈴木マサホ議員 32番 富 きくお議員 33番
内海貴夫議員 34番 大西 均議員 35番 巻野 渡議員 36番
田中セツ子議員 37番
北山ただお議員 38番
倉林明子議員 39番
井坂博文議員 40番
加藤広太郎議員 41番
佐藤和夫議員 42番
谷口弘昌議員 43番
高嶋弘恵議員 44番
中西賢治議員 45番 可児達志議員 46番
中西正三議員 47番
今枝徳蔵議員 48番 梅林 等議員 49番
小林あきろう議員 50番
伊藤義浩議員 51番 二之湯 智議員 52番
中野竜三議員 53番
井上与一郎議員 54番
川中増次郎議員 55番
高橋泰一朗議員 56番 森 ます子議員 57番 藤原冬樹議員 58番 若宮 修議員 59番 山中 渡議員 60番 山本正志議員 61番 三宅誠孝議員 62番 有吉節子議員 63番
宇都宮壮一議員 64番
山口幸秀議員 65番
椋田知雄議員 66番
中村安良議員 67番 北川 明議員 68番
国枝克一郎議員 69番 西脇尚一議員 70番 青木善男議員 71番 津田幹雄議員 72番
坂口芳治議員欠席議員(なし) 議事日程 開議日時 平成14年5月15日(水)午前10時 一般質問(1)市政一般について
加藤盛司議員(2)市政一般について
橋村芳和議員(3)市政一般について 加地 弘議員(4)市政一般について
倉林明子議員(5)市政一般について
加藤広太郎議員(6)市政一般について
宇都宮壮一議員(7)市政一般について
井上教子議員-------------------------------- 〔午前10時1分開議〕
○議長(磯辺とし子) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、席上に配付致しておきました。 本日の会議録署名者を指名致します。中村十一議員と山口勝議員とにお願い致します。
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○議長(磯辺とし子) この場合、議長から御報告申し上げます。 今回受理致しました請願2件及び陳情1件は、お手元に配付してあります文書表のとおり、所管の常任委員会に付託又は回付致します。 以上、御報告申し上げます。御了承願います。
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○議長(磯辺とし子) これより一般質問を行います。発言の通告がありますので、これを許します。市政一般について、
加藤盛司議員。 〔
加藤盛司議員登壇(拍手)〕
◆(
加藤盛司議員) 今年は春の訪れが殊のほか早く、例年なら小学校の入学式ごろに満開を迎える桜も知事選挙の告示に合わせたように開花し、満開の桜の下、21世紀最初の知事選挙が熱く戦われました。4期16年間尽力されてきた荒巻禎一前知事の後継者として、我が党をはじめ多くの政党から推薦された山田啓二候補が広範な市民、府民の支持で当選されました。心からお祝い申し上げるとともに、桝本市長とスクラムを組んで府市協調を一層強固なものとする中で山田新知事が大いに御活躍されることを期待致しております。
自由民主党中京区選出の加藤盛司であります。同僚の
橋村芳和議員、加地浩議員と共に市政一般について質問致します。 去る2月市会の市長総括で桝本市長は、我が党椋田議員の
地方分権時代と
政令指定都市の今後の在り方についての質問に対し、地方分権を真に実効あるものにするためには、住民に最も身近な市町村を優先し、その規模や能力、住民ニーズに応じて事務配分や権限、財源の移譲を進めていくべきであり、
政令指定都市が都道府県と法的に同じレベルに位置付けられてこそ魅力あふれるまちづくりを一層円滑に進めることができ二重行政の解消につながると答えられました。次に特別市構想について、人口の集中に伴う
都市基盤整備や環境対策、産業、経済、情報の集積に応じた都市機能の改善拡充に向け十分な権限の移譲や抜本的な税財源の充実確保の具体策が示されていない。
政令指定都市制度が制度疲労を起こしているにもかかわらず40年以上も見直しがされなかったこと自体に問題があるとされ、京都、大阪、神戸の3都市の市長会議で3市は大都市制度を国に求めていくと答弁されました。 さて、京都市民が府に納めている府税は1,800億円で、これは府税全体の62パーセントに当たります。一方、府が補助金等を通じて京都市に支出している予算はおよそ600億円であり、これは京都市民が納めている府税の33パーセントにすぎず、余りにも京都市民に還元されていない現実があります。戦後、日本は大都市の人口集中を避けるため工場等制限法を制定したり、過疎地域に手厚い補助金を交付し日本全体の均衡ある発展を目指してきましたが、現実には大都市周辺に人口が集中し、逆に都心部からは企業、大学等が流出し大都市の活力がそがれてきました。現在でも12
政令指定都市と東京都特別区には合計2,770万人、日本の人口の21.8パーセント、実に5人に1人以上は大都市に住んでいるのです。経済の面からも
政令指定都市と東京都の総生産額は174兆円で、これは我が国の国内総生産513兆円の34パーセントに当たります。
政令指定都市は、人口、産業の集積に伴う大都市特有の行財政需要に対応し我が国の発展に寄与してきたにもかかわらず、現在の
政令指定都市制度では権限、財源共に実情に合った大都市行政を展開するには不十分であります。 知事選挙後、桝本市長と山田知事の会談で府市間の二重行政の解消に向け今後話し合っていくと報道されています。短期間で見通しが付くものでないでしょうが、21世紀のまちづくりを展望した英断であり大きな期待を寄せております。
介護老人保健施設の開設許可権限とか市立高校の設置や学科の新設、薬局、病院の開設等の許認可など多くの懸案がある下、早急に協議を開始するとともに移管に見合う財源の移譲が是非とも必要であります。実現に向けての課題も含め市長の考えをお聞かせください。 また先に述べたように大都市への集中を避け各地の均衝ある発展という政策が採られてきましたが、京都でも
蜷川府政時代からの負の遺産ともいうべき京都市内に薄く京都市以外の府内に厚いという従来の府の施策についても、この際、協議の俎上に上げるべきと考えております。知事選挙に当たって京都市民の立場に立って
市議会与党会派から具体的な要請書を山田知事に提出していることは御承知のことと思いますので、今後この課題について山田知事とどのように協議され取り組んでいくかお聞かせください。 次に、桝本市長は、最終的には基礎的自治体である京都市が市民に責任ある行政を進めるうえから府から独立した形の特別市が望ましいとされていますが、昭和22年に創設された特別市制度は関係府県から猛烈な反対があり、31年に
政令指定都市の特例が設けられたうえ廃止された経緯があります。今後どのように進めようと考えておられるのかお聞かせください。 次に、都心部の町並み保全についてお尋ね致します。都心部では
バブル経済崩壊後、地価の下落と地域経済の不振により事業所跡地や未利用地が
高層マンションに変貌し、まちの様相を一変させています。御池、堀川、五条、河原町通りに囲まれたいわゆる田の字の中には道幅が六、七メートルほどの通りに11階建て31メートルのマンションが建設されています。本市は、平成5年の基本計画で都心部を中心とする歴史的市街地を都心再生地域と位置付け、桝本市長は、就任以来大きな課題である都心部の町並みの保全と再生に尽力され、景観・
まちづくりセンターの創設や京町家の実態調査などに実績を残してこられました。平成10年には
職住共存地区整備ガイドプランが策定され、地域協働型地区計画が都心再生に向けた取組の中心に位置付けられてきましたが、住民の
コンセンサスづくりや計画策定までに長時間を要し、私権の制限など困難な課題がある下、
高層マンションの建設が続いてきたことも事実であります。中京区に建設されたマンションに対する平成12年4月の建築審査会の裁決書には、
本件建築確認処分に違法な点は見当たらない。しかしながら、どのように見ても京都市が進めている都市景観、町並みの保全、そのための建築協定等をほとんど無意味にするほどその場にふさわしくない規模と形態を示していると付言され、様々な研究、提言がされているが現実には効果を挙げるまでには至ってない。京都市民の英知を結集して的確な対応を打ち出すべき時期に至っていると考え、これを希望したいと提言されています。そして、この度、都心部のまちなみ保全・再生に係る審議会の提言が昨日提出されました。これであります。それによりますと、
高層マンションの建設に対し地域の町並み資源を維持、改修する負担を求めるため
法定外目的税の検討を提言されています。
法定外目的税については、地方分権のメーンテーマの一つでもありますので市長の基本的な考えをお聞かせください。 また、周辺環境との調和を図るため、現行の都市計画内容を尊重しつつ一定以上の高度利用に対しては採光や通風へ配慮する基準を設けたり、最近でも御池通りの
マンション計画が華やぎとにぎわいを創出する
シンボルロードにふさわしいか論議があったように、
幹線道路沿道地区では商業との調和を図る観点から低層階に店舗などの設置を義務付けるなど適切な規制、誘導策を検討すべきであるとしています。今、都心部で問題になっている
高層マンション建設や
幹線道路沿道地区などの課題について具体的な提言が行われております。この提言を京都市としてどのように受け止めどのように具体化されるのか考えをお聞かせください。 次に、教育問題について質問致します。近年の我が国の社会経済状況は、科学技術の目覚ましい進展とそれに伴う産業構造の変化等大きな転換を遂げつつあります。一方、少子化が進行する中で、高校教育においては生徒一人一人の個性を尊重し多様な進路希望にこたえることのできる多様化、個性化が一層強く求められています。そうした下、
京都市立高校においては、伝統と実績ある工業、商業、芸術の各専門教育の充実に努めてきたほか、普通科4校においても特色ある学科、類型を設置し、また定時制においてもきめ細やかな教育を実践されるなど常に時代の要請に応じた先駆的かつ特色ある教育を進めてこられました。その中にあって、今、注目を集めている堀川高校についてお尋ね致します。堀川高校の改革は、桝本市長が教育長在職当時の平成7年、21世紀を展望した魅力ある新しい
京都市立高等学校の在り方について、その羅針盤を作ろうと設置された
京都市立高等学校21
世紀構想委員会にさかのぼるかと思います。この構想委員会の答申に基づき堀川高校が
市立高校改革のパイロット校として位置付けられ、新校舎の建設に併せて平成11年4月に人間探究科、自然探究科を設置されました。この
新生堀川高校において、今春、第1期生6クラス240名の生徒が卒業致しました。先日新聞で報道されていましたが、卒業生の進学実績は、京都大学6名、神戸大学8名など国公立大学に106名が現役合格したとのことです。昨年は6名でしたから一挙に100名も増加するという大きな成果を挙げました。また、慶応、中央、関関同立などの私立大学にも昨年度より88名増の218名が合格する著しい伸びを示しました。 私は、今回の成果は、
蜷川府政時代、15の春は泣かせないと自画自賛しつつ結果として18の春を泣かせてきた京都の公立高校が市民の皆さんの信頼を再び取り戻すことができたという意味で画期的なものであると思います。これは教育委員会はもとより教職員が一丸となって生徒の旺盛な学習意欲に対し精力的かつきめ細やかに補習や進路指導を行ったたまものであり、
堀川高校改革の成功に大きな拍手を贈るものであります。しかし、改革はまだ始まったばかりであり、更なる前進が期待されております。そうした中、文部科学省が我が国の技術革新や
産業競争力強化を担う将来有為な
科学技術系人材の育成を狙いとして科学技術、理科、数学教育を重点的に行う学校を指定し支援措置を講じる
スーパーサイエンス・ハイスクールに堀川高校が指定されました。多くの市民の期待に沿ったものになると確信しております。そこで教育長にお尋ね致します。堀川の奇跡と称賛されている
堀川高校改革の成果に確信を持ち、今回
スーパーサイエンス・
ハイスクール指定など更なる飛躍を遂げるため、堀川高校の発展に向けて今後、教育委員会としてどのような支援を図ろうとされているのか考えをお聞かせください。 次に、
西京商業高校では、現在堀川高校に続く
市立高校改革の第2弾として新校舎の全面改築と併せて新学科、
エンタープライジング科開設準備が進んでいると聞いています。
エンタープライジングという名称は耳慣れない言葉ではありますが、進取の気性、あえて困難なことに挑戦する敢為の精神、独創力という意味を有するものであり、私は、21世紀の経済社会をリードする独創的な発想力や積極果敢な行動力を兼ね備えた人材を育成しようとする新生西京にとって正にふさわしいものであると思います。またこの不況下、今春の高校卒業生の就職率は全国平均で86.3パーセントでありましたが、西京高校では97.2パーセントに上る成果を挙げられました。また大学等の進学者についても生徒の進路希望に向けたきめ細かい指導がされているとのことであります。更に先日学校から
新生西京高校への
中高一貫教育導入の早期決定を求める要望書が教育長に提出されたということであります。学校関係者の改革に対する意気込みが強く伝わって参りました。
中高一貫教育は、6年間一貫した理念の下、計画的、継続的な教育を行うものであり、長期にわたって生徒の興味関心に対応した学習や基礎基本の確実な定着、学力の伸長を図ることが可能となります。既に私学では中高一貫の学校が数多くありますが、公立学校で新たに
中高一貫教育を導入することは保護者、児童の多様な進路選択に資するものであり、一層公教育への期待や信頼にこたえることができるものと思います。また全国的に見ても大都市中心部ではまだ設置されておらず、教育の先進都市として
中高一貫教育のあるべき姿を全国に発信することができる絶好の機会ではないかと考えております。西京高校の改革、とりわけ一貫教育の導入については初めての試みであるがゆえに周辺中学校との関係、カリキュラムの編成、建築中の施設で対応できるのかなどの課題もありますが、小学校、中学校、高等学校と全校種の教育を直接所管する本市のメリットを生かし、保護者、市民の期待にこたえる新生西京の創設に向けた取組として具体的にどのように対応されるのか考えをお聞かせください。 次に、中京区の統合中学校についてお尋ね致します。都心部に住んでおられるお年寄りから、小規模校の子供は元気がない。もっと切磋琢磨し大勢の中でもまれた方がいいと言われたことがあります。長く人生を歩んでこられ、まちの活気や住む人の移り変わり、歴史の流れを肌身で感じてこられた方であればこそ直観的に小規模校の現状に不安を持っておられる様子でした。このように学校統合は、教育問題であるとともに地元問題でもあるわけですが、行政主導の審議会方式による統合が多い他都市に対し、京都市では市内中心部の小学校が全国に先立ち明治2年に町衆の手によって建てられ地域の自治活動の拠点としても地元と密接にかかわってきた経過を踏まえ、桝本市長が教育長時代の平成4年から現在に至るまで地元主導による全国に例を見ないいわゆる京都方式で32の小学校が10校に統合致しました。この間の経過から、保護者や市民と共に、まず子供たちの教育環境という観点から統合問題を捕らえ、行政側からの的確な情報提供とアカウンタビリティの発揮について桝本市長が既に当時から実践されていたということであります。また学校統合による教育条件の整備に伴い御所南小学校や高倉小学校に代表される全国レベルの取組や様々な研究指定がなされる等、統合校は京都の教育力向上の主要な牽引役を担ってきました。 このような優れた実績の中で、城巽中学校と柳池中学校、そして上京の滋野中学校といういずれも明治2年の番組小学校を前身とする歴史ある3中学校が本年4月に統合されました。三つの中学校区、14もの元学区にわたる地元の方々やPTAの方々の熱い論議を経て断腸の思いの英断によって実現された京都で初めての中学校の大型統合であります。来春には400人を超える新しい中学校が本統合によって誕生し、いよいよ現在の
京都柳池中学校の跡地での新しい中学校施設の建設に向けた準備が進むことになりますが、それに先立ち今年のうちに
京都城巽中学校を改修し、15年度からは生徒全員がいったん
京都城巽中学校の校舎に通うことになると聞いております。また、現在の
京都柳池中学校東側に隣接し、かつて駐車場であった用地については新しい中学校の敷地として確保できれば中学校敷地が現在の2倍近い面積となり、子供たちの教育環境の更なる充実が図られることになることから、地元14学区の自治連合会から強い要望が出されたところであります。こうした地域や保護者の熱意にこたえ、極めて異例のことでありますが桝本市長の英断により隣接地を新中学校の用地として確保していただきました。14学区の地元住民の方々と子供を持つこの地域のすべての親の切実な願いを受け止めていただいた桝本市長に心からお礼を申し上げる次第であります。もちろん
財政非常事態宣言下での事業ですが、現在の
京都柳池中学校の敷地が
御池シンボルロードに面し市内でも有数の立地条件を誇る中心地に位置しているメリットを十分に生かし、京都市として建設が必要な公共施設との合築など、前例に捕らわれず最大限有効な敷地活用を検討する必要があると考えております。更に最高の立地条件を有効に活用するためには、施設の建設に当たっては設計から建設、維持管理まで民間に蓄積されたノウハウや活力も思い切って導入することなどPFIも視野に入れて検討してはいかがでしょうか。結果は別として、民間事業者による斬新な発想や熟練の経営手法を大胆に活用しようとする姿勢こそ、これからの行政に求められる対応であり、市民から負託された貴重な財産の効率的、効果的な運用を図るうえで最小限の努力義務であると考えます。そこでお尋ねします。
中京統合中学校施設新設に当たって、限られた予算をいかに有効に活用し、より良い行政サービスを展開していくうえでどのような対応が可能なのか、更にそのうえで今後何十年間にもわたって子供たちが目を輝かせて通学することのできる立派な中学校施設の建設を追求すべきと考えますが、現時点での進捗状況と今後の見通しについてお示しください。桝本市長をはじめ理事者の皆さんの建設的な答弁を期待し私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(磯辺とし子) 桝本市長。 〔
桝本市長登壇〕
◎市長(桝本頼兼)
加藤盛司議員の御質問にお答え致します。 まず京都市政の方向性に関する府市協調の今後の取組についてでございます。先の知事選挙に際して
自由民主党京都市会議員団をはじめ与党各会派の総意として山田啓二知事に御要請いただきました内容については、
乳幼児医療費助成制度の拡大や30人学級を目指した少人数教育の充実、地下鉄東西線の延伸など、そのいずれもが市民生活の向上を図るとともに
都市基盤整備を進めるために非常に重要なものばかりであり、誠にありがたく力強い限りでございます。私は、市長就任以来、府市協調を基本に荒巻禎一前知事と揺るぎなき信頼関係を築き、与党各会派の先生方のお力添えをも得ながら中小企業への融資や緊急雇用対策など数多くの具体的な成果を挙げて参りました。この度、府民の信託を得て21世紀の京都府政を担われることとなりました山田新知事とも定例の懇談会をはじめあらゆる場面で忌憚のない意見交換を行い、連携、協力関係を一層深めることにより147万人の京都市民の生活を守るとともに京都市の発展に尽力して参る所存でございます。 次に、京都府と本市の間における二重行政の解消についてお答え致します。京都府とのいわゆる二重行政は、例えば文化、スポーツ施設の建設運営や産業振興に関する事項など同じ業務を重複して行っているものや、更には医療法人に関する事務について診療所の開設の許可は京都市が所管しているわけでありますが、一方、医療法人の設立の許可は京都府が所管しているなど類似業務で許認可権限が京都府と京都市に分かれているものなどがあります。効率的で総合的な行政運営という観点から見て市民や府民の目線からは理解しにくいものがございます。私は、二重行政の問題は都道府県と市町村という我が国の
統治構造そのものに原因があると考えており、その構造は根本的には国において決定されているものであって最終的には国に対してその見直しを強く求めていくべき課題でありますが、現実の問題として京都府との協議によって解消できるものも数多くございます。このためこれまでから荒巻前知事と二重行政の解消について協議を重ねてきたところであり、現在京都市の
衛生公害研究所と京都府の
保健環境研究所の共同化について私が主体的に問題提起し、その後働き掛けを行って具体的な取組を進めて参りました。今後ともこうした共通認識に立って、二重行政の解消をはじめ市民にとってメリットのある効率的な行政を進めるため山田啓二新知事との協議を積極的に進めて参りたいと考えております。 次に、特別市制度についてでございます。加藤議員御指摘のとおり現在の
政令指定都市が有する権限、財源では、大都市行政の抱える諸課題に迅速かつ的確に対応することができないため、一層の権限、財源の移譲を推進することはもとより、大都市を都道府県と同じレベルに位置付け、都道府県の権限や財源を京都市に一元化する特別市のような新たな大都市制度の創設が都市の魅力と活力を高めるために必要であると確信しております。また、こうした大都市制度の見直しが中核市や更には特例市等への一層の権限移譲を促すなど市町村全体に対する地方分権の推進に向けた先導的役割を果たすことにもなると考えております。私は、21世紀における我が国の活力の源泉は大都市にあると考えており、都市の再生なくしては日本の展望は開けないということを他の指定都市とも連携して国に対して強く求めて参りたいと考えております。具体的には、近々のうちに大阪市、神戸市と
地方分権時代にふさわしい大都市制度について実務者レベルでの協議検討を始めるほか、既に庁内に
プロジェクトチームを設置しております。今後、特別市制度や京都府との二重行政の解消に向けた検討を精力的に行うなど新たな大都市制度の確立を目指した取組を積極的に進めて参ります。 次に、都心部の町並み保全のための
法定外目的税の検討についてでございます。私は、日本人の心のふるさと京都の町並みを保全、再生していくためには、既存の都市計画手法にとどまることなくあらゆる手段を講ずるべきであると考えております。
高層マンションの建設に対しまして、町家や文化財といった地域の町並み資源を維持、改修するための負担を求めるべきとの今回の御提言についても、歴史都市であり、かつ大都市でもある京都ならではの貴重な御提言であると考えております。
法定外目的税は、地方分権の一層の推進を図り地方自治体の実態に即した魅力あふれるまちづくりを実現するために創設されたものであり、本市独自の税源確保はもとより政策目的の達成にも寄与するものであります。このため昨年12月に設置致しました京都市税制研究会において、
法定外目的税を含め本市にふさわしい税制の在り方について研究検討を進めていただいているところであり、御提言いただいた
法定外目的税については、京都の近未来のまちづくりを洞察しつつしっかりと検討していただくよう要請しているところでございます。その実現に当たり困難な問題もございますが、今後は様々な角度から研究検討を進め市民的に広く御議論いただきたいと考えている次第でございます。 以下、河内副市長及び教育長が御答弁申し上げます。
○議長(磯辺とし子) 河内副市長。 〔河内副市長登壇〕
◎副市長(河内隆) 京都市都心部の町並み保全、再生に係る審議会の御提言に関する御質問にお答え致します。本審議会は、平成13年1月に設立以降すべての審議を市民公開で開催してきているものでありますが、都市計画、建築、経済、行政法などの学識経験者や実務家及び地元の市民委員の方々による真摯な議論を経てこの度提言が取りまとめられ、昨日審議会座長の青山吉隆京都大学大学院教授より提出されたところでございます。本提言の御趣旨は、町家の減少や
高層マンション、駐車場の増加といった近年の本市都心部における土地利用の急速な変貌を踏まえ、本市独自の魅力ある都市づくりに取り組む必要があるというものであり、大変貴重な御提言であると受け止めております。御指摘のとおり、提言の中には一定以上の高度利用に対して周辺環境への配慮を義務付けることや都心のにぎわいへの配慮を義務付けることなど京都の都心再生に向けた多くの方策が示されております。本市と致しましては、この提言を踏まえ、今後地域にお住まいの皆様からの御意見なども伺いながら提言の中で直ちに実施すべきとされた方策につきましては早急に具体化に向けた取組に着手致しますとともに、提言で触れられている残された課題につきましても更に検討を深めて参りたいと考えております。以上でございます。
○議長(磯辺とし子) 門川教育長。 〔門川教育長登壇〕
◎教育長(門川大作) 堀川高校における御指摘の輝かしい成果についてでありますが、平成11年京都
市立高校改革のパイロット校として人間探究科、自然探究科を設置し、我が国の社会、文化、科学技術立国を担う知的探求心と豊かな人間性を兼ね備えた人材の育成を目指し、教職員がまず自らの意識改革に努め、教育内容、教育実践の充実に全力を傾注して参りました。これまでの3年間の取組の成果は、生徒の目的意識と学習意欲、そしてこれにこたえる教職員の昼夜を分かたぬ努力とが相まって実現したものであり、御指摘のとおり堀川の奇跡とまで言われる高い評価をいただいております。市民の皆様の更なる期待にこたえるため、今学校では堀川から世界へを目標に文部科学省が全国5,500の高校の中から26校を指定した
スーパーサイエンス・ハイスクールの取組などを契機として更なる改革の推進に向け教職員、生徒が一体となって燃えに燃えております。これらの成果を本市立高校全体の更なる活性化へつなげていきたいと考えております。 次に、西京高校の
中高一貫教育の導入についてであります。堀川に続く本
市立高校改革の第2弾として、西京では商業科を廃止し独創的な発想力と積極果敢な行動力を兼ね備えた人材の育成を目指し、来年4月の新学科
エンタープライジング科の開設に向け現在全力投球しております。この新学期から目指す教育をより効果あるものとするため6年間一貫した教育理念の下、既存の枠に捕らわれない柔軟な教育課程が編成でき、計画的、系統的な教育の実践を可能とする併設型の
中高一貫教育を導入致します。全国でも先駆けとなる大都市での設置であり、西京はもとより子供たちの目的意識の向上や進路選択の拡大などを通して小中学校を含む本市立学校全体のより一層の活性化を目指して取り組んで参ります。中学校の専用教室などにつきましては、来年夏着工の西棟の設計の一部変更により整備を行うため、改めて議会にお願い申し上げ平成17年4月の併設中学校の開校を目指して参ります。 次に、柳池、城巽及び滋野中学校の3校統合による新中学校についてでありますが、中学校の規模にふさわしい敷地の確保と現
京都柳池中学校東側にビルが建設され教育環境が悪化することのないようにとの地元14学区の方々の強い要望を受け3,500平米の隣接地を都市整備公団から取得致しました。この結果、敷地東側にグラウンドを整備し西側に校舎を配置することなどによって日照面など良好な環境を確保し、かつ十分な施設規模の中学校の建設と共に他の施設との複合化が可能となりました。都心部でかつ
御池シンボルロードに面した土地を最大限に活用するため関係各局と連携し市民ニーズを踏まえ他の施設との複合化、高層化の下での施設内容や民間活力の導入も視野に入れた事業手法の検討に取り組んでおります。今後とも保護者、地域の方々の御理解と御協力を得て、子供たちが生き生きと学びかつ地域に開かれた学校づくりを進めて参ります。以上でございます。
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○議長(磯辺とし子) 次に、市政一般について、
橋村芳和議員に発言を許します。橋村議員。 〔
橋村芳和議員登壇(拍手)〕
◆(
橋村芳和議員) 私は、京都市内最大の行政区である伏見区から選出いただいております橋村芳和でございます。自由民主党を代表致しますとともに、私も若い若いと言っていただいておりましたけれども、今40歳の年を迎えましたので新しい時代の京都を担っていく責任ある世代の一人と致しまして市長並びに関係理事者に声高らかに質問させていただきます。21世紀の京都市政を力強く推進するような答弁を期待致しております。 まず初めにスーパーテクノシティ構想、京都発ものづくり創発ビジョンの実現についてお伺い致します。私は、すべての市民生活を支える基盤として何よりも重要なものは活発な経済活動であると考えております。京都市基本計画に掲げる安らぎと華やぎに満ちた世界に光り輝く都市として京都が21世紀においても発展し続けるためには、京都経済を活性化させることが最重要課題であると考えております。ようやくにして我が国の景気も底入れに向けた動きを見せ始めてきたとはいえ失業率は依然過去最高の水準にあります。とりわけ京都は、繊維産業をはじめとする伝統産業の低迷などから厳しい経済状況にあります。市長は、これまでから経済の活性化を市政の最重要課題の一つに掲げ様々な施策を実施され大きな実績を挙げてこられたところであります。しかし、私は、今後京都経済の更なる発展のためには長年にわたり京都のまちを支え、経済的な波及効果も大きいものづくり産業をもっと飛躍させていくことが大切であると考えております。市長も、ものづくりにより経済の活性化を進めるため、本年3月末に新たなものづくりで活力あるまちづくりを実現するスーパーテクノシティ構想を策定され、更には21世紀の新しい産業を振興するための体制整備と致しましてこの4月にスーパーテクノシティ構想の実現を図るため産業観光局にスーパーテクノシティ推進室を設置されたところであります。この構想に掲げてある知的クラスター創成事業につきましては、市長の熱心な活動成果もあり、本市の京都ナノテク事業創成クラスターが全国に30ある候補地域の中から見事に指定を受けました。今後もスーパーテクノシティ構想に掲げられたバイオシティ構想や桂イノベーションパーク構想の推進、ベンチャービジネス育成、支援など様々な事業や施策を産学公の連携の下に進めていくことが京都経済の活性化にとって不可欠と考えていますが、スーパーテクノシティ構想の実現に向けた市長の決意をお聞かせください。 ちょっと難しい言葉が続きましたが、続きまして京都市の南部開発についてお伺い致します。京都市には、北は保全、都心は再生、南は創造というまちづくりのコンセプトがあります。創造のまちづくりとして位置付けられ京都市南部地域の重要性が叫ばれて久しく、前回の市長選挙でもこのことが大きな争点となりました。この地域には高度集積地区をはじめとする水垂の跡地利用、京都高速道路の促進、旧伏見市街地の活性化、また移転を伴う伏見区役所の総合庁舎化など多くのプロジェクトや課題が混在しております。こうしたことから南部開発は、小手先で行うことなく21世紀をしっかりと見据えた大胆な発想で取り組むことが大切であると常々指摘して参りました。21世紀の京都の新しい活力を生み出す拠点であるこの地に、私はかねてから平成の新都ともいうべき副都心を建設することを強く望んで参りました。しかし、昨今の景気動向や本市の財政状況等から南部開発は大丈夫なのかという声も一方にあります。私は、こうした今こそ京都市がしっかりとリーダーシップを持って中心となり強力な執行体制の下に南部開発を推進していかなければならないと考えています。南部開発に対する力強い御決意をお聞かせください。 高度集積地区のPR策についてお伺い致します。南部開発の中核となる高度集積地区への取組は、平成10年に策定された整備ガイドプランに基づき平成12年3月に都市づくりの実践の核となる推進協議会が設立され、続いて4月には高度集積地区土地利用誘導プランが策定されました。また本年2月には京都市南部創造のまちづくり推進プランが示されたところであります。これにより近年企業立地環境の向上が著しいこの地域の魅力をプロモーションビデオ等で積極的にPRし、京都商工会議所をはじめとする経済団体や地元企業とも連携を図りながら企業誘致活動を積極的に展開されることになりました。平成14年度には企業の誘致施策の目玉としてPRビデオの作成費が予算化されております。現在どのような方向でその内容を検討されていますか。ビデオに代わり、より新しいDVD等も普及し、技術は日進月歩を遂げております。ビデオに捕らわれることなく多様な方法でより効果的なPRを取り組まれてはいかがかと考えております。在り来りの内容ではなく、市長自らがおこしやすの精神で出演されてはいかがでしょうか。企業の誘致に向けたビデオ制作の取組についてお答えください。また、かねてから高度集積地区という名称にどうも親しみにくいものを感じておりました。この地区が目指す姿も徐々に見え始めてきたことから、広くその名称を公募してはどうかと提案し続けて参りました。全国から多くの応募があれば、古い京都の良さばかりでなく新しい京都の魅力を全国にアピールするよい方法になると考えますがいかがですか。 先ごろ伏見桃山、中書島地域において中心市街地活性化法に基づきまちづくりと一体となった商業、観光振興を図るための株式会社伏見夢工房がスタートし話題になりました。その社名も応募により決定致しております。ちなみに私は、21世紀の新しい活力を生み出すこの地域を千年の南都あるいは平成の夢新都と呼んではどうかと考えているところでございます。御感想をお聞かせください。 次に、南西部地域の
都市基盤整備についてお伺い致します。この地域は極めて
都市基盤整備が遅れており、とりわけ道路交通網の整備促進が望まれております。広域交通ネットワークの向上がこの地域の開発ポテンシャルを飛躍的に高める重要な課題であります。先ごろ大宮大橋が完成し、平成14年度にはこの地域の南北幹線道路である油小路通りが九条通りから外環状線まで全線開通する予定であります。これにより都市部や京都駅からのこの地域への自動車交通の利便性が大きく向上することになります。広域幹線道路としては、平成15年春に洛南道路を含む第二京阪道路が外環状線から枚方市まで、京都第二外環状道路が大山崎ジャンクションから国道1号線までそれぞれ完成し供用が開始されます。また京都高速道路については、平成15年度に新十条通が、また平成18年度には油小路線が完成する予定であります。これらの整備により交通渋滞の緩和と都市活動の活性化に寄与することが大きく期待されているところであります。しかし、南西部地域の都市基盤の整備の遅れは道路交通網だけではないという指摘が従来からあります。河川に架かる橋梁の不足によるものであります。特に桂川に架かる橋は、はるかかなた上流の渡月橋から数えても9本しかないうえに、淀の宮前橋から淀川に架かる枚方大橋までの長い間に1本の橋もない現状で常に渋滞を来し日常生活に大きな影響を及ぼしております。現在、架け替え工事が進められている久我橋や第二外環状線の完成、また第二久世橋の促進を待ってもまだまだ橋梁不足は解消されないと考えられます。桂川に新しい橋を建設していくよう強く求めるものであります。市長、京都の川は鴨川だけではないのです。桂川に新しい橋建設の必要性をどのように考え、今後どう取り組んでいかれるのかお伺い致します。 次に、伏見区役所の総合庁舎化についてであります。昨年その誕生から70年を経た伏見区は28万人の人口を抱える市内最大の行政区となりました。市民の5人に1人は伏見区民であります。人口の規模だけを見ると地方の県庁所在地のある都市と十分に肩を並べるだけの人口を有しています。しかしながら、その行政の拠点である伏見区役所は、狭いうえに老朽化が激しく新たな
地方分権時代に対応できる総合庁舎の早期建設が急務の課題となっております。こうしたとき、市長選挙を目前に控えた平成11年、大手筋の西、竹田街道の南西に位置する府立医科大学の伏見分院の跡地及び隣の京都府
保健環境研究所敷地の合計約7,000平方メートルの土地を伏見区総合庁舎の建設用地として使用したいと市長から当時の荒巻知事さんに申入れがありトップ会談で合意に至りました。そして市長公約となりました。また同研究所と中京区にある市の
衛生公害研究所は、業務内容が重なる部分が多く将来の一元化を進めることも決まったことから府市協調の取組の目玉となったわけであります。この敷地を活用することを前提に伏見区総合庁舎整備実施に向けての取組がスタート致しております。現在、京都府との事務レベル折衝が続いており、京都府からは府市共同研究所の用地確保と伏見区総合庁舎建設に伴う京都府立医科大学附属病院伏見診療所跡地及び京都府
保健環境研究所の補償が求められているところでありますが、一方で総合庁舎の整備基本計画策定に向け準備が進められておりまして伏見区民の間に大きな期待が高まっております。この問題に関しましては、新しく知事に就任されました山田知事が当時総務部長としてかかわられ、先般の選挙の際にも取り組む考えを表明しておられます。この機会を捕らえ一日も早い府市協調の実現のために積極的に進めていただきたいと考えております。市長の御所見をお伺い致します。 また、伏見区につきましては以前から分区の意見があります。昨年度の議員定数等特別委員会においても、分区、合区についての議論がなされたところであります。総合庁舎建設に向けた検討を行う際には、こうした議論を避けて通ることはできないと思われます。今年度において、分権、IT時代の行政区制度の在り方検討のための予算が計上されておりますが、これはどのような執行を行い、どういった検討を行っていくのか。また分区問題とのかかわりについてはどう考えておられるのかお伺い致します。 私は、住民の生命と財産を守り安全な暮らしを保障することは自治体の最大の責務であると考えております。こうした観点から、これまでも消防行政や防災に関しては他の分野よりも多くこの議場や委員会で採り上げて参りました。中学生に対する普通救命講習の普及、非常持出品の展示の充実、国際消防救助隊による国際貢献、大災害に備えた自衛隊との連携、水防訓練への自衛隊の参加、文化財への放火対策等であります。折しも本年7月23日から4日間、国立京都国際会館において開催されます第22回アジア消防長協会総会は、メーンテーマを防災新世紀の探求として21世紀の新しい消防像を共に考え、アジア各国の消防が共に発展していくことが提唱されます。この会議は、国際会議などコンベンションの誘致やアジアをはじめとする海外からの観光客の誘致の促進を掲げる京都市基本計画の方針に沿って京都市消防局が誘致したもので、京都市にとって産業や観光の振興を目指しつつ国際文化観光都市としての京都をアジアの国々の参加者にアピールする絶好の機会となります。京都市にとっては初めて開催される消防の国際会議であります。会議が成功裏に終了するよう取り組むことは当然として、京都ならではという発信を行うことが重要であると考えます。平安遷都以来、様々な火災に見舞われながらもその都度その都度不死鳥のごとくよみがえり、先の大戦においても戦禍を免れた本市で開催されることは大変有意義なことだと考えます。COP3の京都議定書に比肩するような防災分野での取組を期待致しております。消防局長からお考えをお伺い致します。来年には世界水フォーラムも開催されます。コンベンションシティ京都の名を世界に知らしめる機会を逃さないよう重ねて求めておきます。 次に、魅力ある消防団づくりについてであります。消防団長を務められます西脇議員にははるか遠く及びませんけれども、私も一人の団員として10年目を迎えました。地域で微力ながら取り組んでおります。時代の変化に伴い団員を確保することが大変困難なことから、魅力ある消防団、また入団しやすい環境づくりのためポスターを作ったり、リーフレットを作成したり、最近ではホームページを開設して団員募集のPRが続けられてきました。その成果として10代と女性の入団も増え、全国的に消防団員数が減少している中で本市は現状を維持しているとのことであります。京都市の団員数は現在4,034人で充足率89パーセント、特に平成4年に各消防団において任用が開始された女性団員は217名で全体のまだ5.7パーセントと少ないですが、その中には副分団長を務めて頑張っておられる団員さんもおられます。学生消防団員については現在21名と少なく、大学のまち京都としてもっと入団を促してはどうでしょうか。阪神大震災や日本海重油流出事故の際にも若い人が多くボランティアとして活動し、そのすばらしさを感じさせてくれたのは記憶に新しいところであります。少年消防クラブについては、対象は小学校4年生から小学校6年生までの少年少女で構成されています。昭和55年から結成を開始し、現在11クラブあり、クラブ員は423名であります。主な活動は施設見学、防火ハイキング、防火に関する学習等体験することを中心とした内容となっています。ちなみに少年消防クラブ経験のある消防団員の数は現在8名であり、将来の人材育成として更なる充実を求めておきたいと思います。更なる人材確保のために魅力ある消防団づくりに向けた今後の取組についてお答えください。 次に、消防団器具庫の名称であります。前時代的であり、もっと地域の防災拠点にふさわしい名前に変更してはどうかという意見が以前からありました。私も伝統を大切にしながらも、もっと親しみやすい名称に変えることに賛成であります。いかがでしょうか、その取組についてお答えください。 総合防災訓練に向けた訓練に要する時間と負担についても今後の課題であります。大会のための訓練ではなく、もっと現実に即応した訓練に変えていく方が望ましいのではないかという声も多くありますが、ここでは指摘にとどめておきたいと思います。 最後に地下鉄東西線の醍醐から六地蔵への延伸工事についてお尋ね致します。六地蔵への延伸が遅れるのではないか、西への延伸に影響は出ないのか、また建設費が膨張するのではないかといった声が起こり始めております。この六地蔵延伸は、東西線とJR奈良線、京阪宇治線が結節することにより広域的な鉄道ネットワークを形成し、交通利便性の飛躍的な向上をもたらすものであり、私も地元議員の一人として大きな期待を寄せております。私は、この議場で度々二条醍醐間の建設工事における建設費の膨張や工期延期を大きな教訓として、二度と同じ失敗を繰り返すことなく開業目標の平成16年秋には開業できますか、建設費712億円で完成できますか、安全管理体制は万全でありますかと問い続けて参りました。地質や地下水などのボーリング調査を念入りに行っても、地面の中で工事を進める地下鉄工事では予測し難い事態が発生することに一定の理解を示すものではあります。しかしながら、既に1月に石田駅工区において地下水の異常出水が発生していながら先日の交通水道委員会まで報告がなされず、原因調査とその止水対策に5月末まで要することも明らかになりました。加えて先月には死亡事故も発生致しております。正に憂慮すべき事態に陥っていると考えます。私は、今、京都高速鉄道東西線建設史を読み返しております。東西線の建設に際して経費が膨張し、工期が遅れ、その挽回策のために幾つかの事故が発生したこと、市の財政を圧迫する地下鉄問題のために臨時市会が開かれ多くの議論が交わされ、その発覚が余りにも突発的であったために多くの市民から市政に対する不信の声が上がったことを今思い出しているわけであります。今後、止水対策が完了し工事にめどが立つ6月中に、開業時期を含めた今後の見通しを明らかにするとのことでありますが、工事の安全管理に万全を期す中で行程短縮のためのあらゆる努力を行い目標どおりの完成に邁進することが求められております。現在の状況と今後の見通しについて管理者からお聞かせください。 賢者は歴史に学ぶと申します。前回の過ちから大きな教訓を学び万全の執行体制で必ずやり切るという新たな決意の下でしっかりと臨んでいただきたいと思います。責任ある世代の一人としまして京都市政一般につきまして質問させていただきました。21世紀を押し開くような市長からの力強い答弁を更に求めまして私の質問とさせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(磯辺とし子) 桝本市長。 〔
桝本市長登壇〕
◎市長(桝本頼兼)
橋村芳和議員の御質問にお答え致します。 スーパーテクノシティ構想の実現についてお答え致します。橋村議員御指摘のとおり、ものづくりは商業や観光産業の振興から教育、文化、芸術活動やまちづくりの推進まで都市活動を支える基盤であり、私もその活性化が何よりも大切であると考えております。このため、すべての人の生活を豊かにする本物のものづくりを京都から次々生み出したいという信念に基づきましてスーパーテクノシティ構想を策定致しました。この構想では、事業所開業率10パーセントなど達成すべき数値目標を明確に掲げるとともに、バイオシティ構想や知的クラスター創成事業など新しい取組をはじめ21世紀の京都にふさわしい産業振興の在り方を示しました。とりわけ知的クラスター創成事業が本市市議会の議員の先生方や国会議員の先生方の御支援を賜りまして全国12地域の一つとして採択されましたことは構想の推進に大きな弾みとなる大変な成果であると認識しております。私は、本構想を着実に推進する第一歩として本年4月にスーパテクノシティ推進室を設置したところでありますが、構想に掲げる具体的な事業の推進に向けて京都府や経済界、大学と一層の連携を図り市民の皆様との揺るぎないパートナーシップの下、元気一杯活力にあふれる21世紀のものづくり都市京都を築き上げるために渾身の力を振り絞って取り組んで参る所存でございます。 次に、南部開発の推進についてでございます。21世紀においても京都が世界の中で独自の存在感を持って、安らぎと華やぎのある都市として新たな発展を遂げていくために南部地域の果たす役割が極めて重要であるのは間違いありません。本年度は、橋村議員御指摘のとおり、油小路通りや第二京阪道路等の道路整備が大きく進展する中で、これを一つの起爆剤としつつ新たに創設した企業立地促進助成制度の活用により企業誘致活動を強力に推進するなど、本年2月に策定した京都市南部創造のまちづくり推進プログラムに基づきまして都市づくりと産業振興施策を総合的に推進して参ることとしております。今後とも多くの市民や経済界の皆様との揺るぎないパートナーシップによってこのプログラムを着実に具体化するため、私の強力なリーダーシップの下、南部創造のまちづくり担当の副市長をはじめ全市、全庁一丸となって邁進して参る決意でございます。 次に、伏見区総合庁舎の建設及び京都市
衛生公害研究所と京都府
保健環境研究所の業務の共同化についてでございます。本事業につきましては、御指摘のとおり新たな
地方分権時代において京都府との協力関係の強化と、いわゆる二重行政の解消に努め市民にとって分かりやすいメリットのある行政を進めることが不可欠であるという強い認識から、私が荒巻前知事に提案し平成11年12月に合意したものであります。現在伏見区総合庁舎の建設用地となる京都府敷地の取得方法についての協議を行うとともに敷地利用計画等について検討しているところでございます。また両研究所につきましては、業務内容が重なるものがありいわゆる二重行政となっており、府市で整理していくという私の強い思いから全国初の試みとなる府市協調のシンボル事業として積極的に取り組んでいるところでございます。今後とも山田知事と手を携え役所の論理を乗り越えて、私が市民の利益に必要なものについては、それに焦点を当てて伏見区の活性化と更なる飛躍の拠点となる伏見区総合庁舎の建設及び両研究所の業務の共同化の実現に向けまして鋭意取り組んで参ります。 次に、第22回アジア消防長協会総会についてお答え致します。本年7月本市で開催されますこの会議は、アジア地域における16箇国2地域の消防機関の代表者等が参加するもので、京都市コンベンションシティとしてアピールする絶好の機会として取り組んで参りたいと考えております。会議では、市民と行政が強固なパートナーシップの下に進めております現在の身近な地域の市民防災行動計画づくり推進事業など本市の防火防災の取組を京都モデルとして発表することに致しております。更に会議の開催に合わせまして本市の伝統文化、産業などを国内外の参加者に紹介し本市のPRに努めて参りたいと思っております。また今回初めてアジア地域の消防に関する統一指針の策定に向けた検討が行われる意義深い会議であります。本会議を通して安心、安全のまちづくりに取り組んでいる京都消防の意気軒高な姿をお示ししたいと思っております。アジアの消防が共に大きく発展する契機となることを願っておる次第でございます。 以下、副市長、公営企業管理者及び局長が御答弁申し上げます。
○議長(磯辺とし子) 高木副市長。 〔高木副市長登壇〕
◎副市長(高木壽一) 本年度の予算に計上致しております分権、IT時代の行政区制度の在り方の検討についてお答え致します。地方分権の本格化や高度情報化の進展など地方自治体を取り巻く環境は大きく変化しておりまして、こうした中で市政推進上区役所の果たす役割はこれまで以上に大きなものになって参っております。この度行います検討は、分区、合区について直接的な議論を行うものではなく、今後の行政区制度の在り方や区役所像を明らかにすることを目的に致しております。具体的には、今年度から2箇年にわたりましていわゆる大区役所制の取組を進める観点から区役所の機能と権限の在り方や高度情報化時代を迎えた区民サービスの在り方などについて広範な調査を行いながら学識経験者や市民の皆様の御参画をいただいて検討を行って参りたいと考えております。以上でございます。
○議長(磯辺とし子) 河内副市長。 〔河内副市長登壇〕
◎副市長(河内隆) 京都市南西部地域の
都市基盤整備とりわけ桂川に架かる新しい橋の建設につきましての御質問にお答え致します。議員御指摘のように本市の南西部地域における道路網はここ一、二年で格段に向上されるわけでございますが、更に桂川への架橋を図ることが交通渋滞を緩和し社会経済活動の活性化を促すなど南西部地域の発展に欠かせない重要な交通基盤を形成するものと認識しております。本市におきましては、現在平成15年度中の完成を目指し久我橋の架け替えを実施しますとともに、新たな架橋となる第二久世橋を平成19年度中の完成に向けて整備を進めているところでございます。また京都第二外環状道路に伴う橋梁整備も進められており、大山崎ジャンクションから国道1号に至るまでの区間の平成15年春の完成後にはかなりの交通渋滞の緩和が期待できるものと考えております。今後更に議員御指摘の趣旨を十分踏まえまして残る都市計画決定済みの羽束師墨染線、伏見向日町線及び向島神足線に係る三つの橋につきましても、厳しい財政状況の中、長期にわたる事業とならざるを得ませんが周辺の整備状況及び架橋による効果を考慮しながら順次整備を進めて参りたいと考えております。以上でございます。
○議長(磯辺とし子) 海堀都市計画局長。 〔海堀都市計画局長登壇〕
◎都市計画局長(海堀安喜) 南部地域のPR策についてでございますが、プロモーションビデオは、京都における企業立地の魅力や南部創造のまちづくりの様々な取組を分かりやすく紹介し市民の関心や国内外の企業の進出意欲を高めることを目的としており、オリジナリティあふれる京都ならではの効果的なPRができるようDVDやCD-ROMなどの新しいPR方法の採用も含め現在庁内で検討を進めているところでございます。 また高度集積地区の名称につきましては、南部地域の積極的なPRを図るため議員の御提案も参考にさせていただきながら、親しみやすく地域イメージの向上につながる方策について検討して参ります。
○議長(磯辺とし子) 山口消防局長。 〔山口消防局長登壇〕
◎消防局長(山口豐) 魅力ある消防団づくりについてでございますが、平成11年度から消防団員、各種団体、事業所、学生など様々な皆様から御意見を伺い、その結果を踏まえて服装や装備の改善、資格取得の際の支援などを進めて参ったところでございます。今後の更なる人材確保のためには特に青年層や女性の方々により多く入団していただくことが大切と考えており、これまでの取組を更に充実するほか、ホームページによる広報、女性団員のための器具庫の改修、活動内容の見直しなどを行い、誇りを持って消防団活動に参加していただける環境づくりを一層進めて参ります。 また消防団器具庫の名称につきましては、地域に最も密着した消防防災拠点としてのイメージをより高めるため消防団員や市民の皆様の御意見もお聴きしながら検討して参ります。以上でございます。
○議長(磯辺とし子) 江草公営企業管理者。 〔江草公営企業管理者登壇〕
◎公営企業管理者(江草哲史) 地下鉄東西線六地蔵延伸工事につきましては、工事の安全の徹底を図り事業を進めてきたところであります。しかしながら、先般4月6日に石田駅工区において死亡事故が発生したことは誠に残念であり、亡くなられた作業員の方の御冥福を心からお祈り致します。今後このような事故を二度と起こさないよう改めて安全管理の徹底を図っております。また本年1月に石田駅工区北端部において発生した地下水の異常出水につきましては、既に止水対策が完了し現在掘削工事を再開致しております。 開業時期につきましては、工程短縮を図るためのあらゆる方策を検討したうえで6月中に明らかに致したいと考えております。今後とも醍醐二条間の建設における種々の経験を教訓として工事の安全と工程管理の徹底を図り、総事業費の範囲内で工事を完成させるよう万全の執行体制で取り組んで参る決意であります。以上でございます。
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○議長(磯辺とし子) 次に、市政一般について、加地浩議員に発言を許します。加地議員。 〔加地浩議員登壇(拍手)〕
◆(加地浩議員) 私は、北区選出の加地浩でございます。同僚議員に引き続きまして、
自由民主党京都市会議員団を代表致しまして桝本市長並びに関係理事者の皆様に質問させていただきます。議員だけでなく議場で傍聴されている方やテレビを御覧の市民の皆様にも分かりやすい御答弁をよろしくお願い致します。 さて、環境の世紀とも形容される21世紀の最大の問題は地球温暖化問題であります。本年はCOP3、地球温暖化防止京都会議開催都市である本市の名を冠した京都議定書の発効を目指す重要な年であります。国においても本年3月に新たな地球温暖化対策推進大綱を決定するとともに地球温暖化対策の推進に関する法律の改正が検討されております。京都議定書に掲げる我が国の約束である1990年比6パーセント削減に対して、京都市では更に高い10パーセント削減を目標に掲げ様々な施策を展開しておられるところでありますが、その達成は決して容易ではなく、国、地方公共団体、事業者、市民といったすべての主体がそれぞれの役割に応じて総力を挙げて取り組むことが不可欠であります。こうした中、事業者が環境に優しい活動を推進していく手法として環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001が平成8年に制定されると、我が国でも大企業を中心に認証取得が進み京都市内の企業においては約80社が認証取得しているとの情報を得ております。また自治体においても全国で約300自治体が認証取得し、本市においても平成11年度から4事業所において認証を取得し、本年度から市役所本庁舎でも認証取得に着手されるなどこの動きが広まっております。更に京都市独自のシステムとして市民、事業者とのパートナーシップにより組織された京のアジェンダ21フォーラムでは、ISO14001の認証取得が困難な中小企業でも取り組める環境マネジメントシステムである京都環境マネジメントシステムスタンダード、KESを創設し、京都市域だけでなく認証取得の輪が全国的に広がってきていると聞いております。京都市として今後環境マネジメントシステムを採り入れた環境に優しい活動をどのように展開していくのか市長の決意をお伺い致します。 次に、ごみの分別収集についてお尋ね致します。我が国における社会経済活動は戦後一貫して拡大し、急激な経済成長を遂げることによって市民生活に物質的な豊かさをもたらしましたが、一方で大量生産、大量消費のひずみが当然の結果として地球規模での環境破壊や廃棄物の急増など深刻な社会問題となって我々の目の前に突き付けられることとなりました。天然資源に恵まれない我が国では、石油などのエネルギー資源や金属類などの鉱物資源のほとんどを輸入に頼り、その加工や製品化における人的財産と技術力をもって国際競争力を身に付けてきました。しかしながら、1960年、70年代の地域的な公害問題から現在の地球温暖化問題への変遷が進む中で、企業活動のみならず我々自身の市民生活が環境に及ぼす影響を軽視していた面も否定できないと感ずるところであります。とりわけ廃棄物処理においては、全国的に焼却場のダイオキシン問題や最終処分場がほとんどないというような深刻な問題から我々の生活における身近な問題として市民によるごみを出さないライフスタイルの実践や積極的な分別収集への協力といった問題に至るまで環境対策として解決すべき多くの課題があるものと思われます。京都市においては、昭和56年にいわゆる空き缶条例を先駆的に制定し今日の容器包装類の分別収集に取り組むとともに、近年のダイオキシン類などの環境汚染問題に対しては全国に先駆けてクリーンセンターに最新の公害防止技術を導入するなど環境先進都市として積極的な取組を推進されてきたところであります。しかしながら、国では循環型社会元年として位置付けられた平成12年において循環型社会形成推進基本法を制定し循環型社会を構築する枠組みを明確化するとともに、従来の容器包装リサイクル法や家電リサイクル法に食品リサイクル法などの各種のリサイクル法を加え、ごみの減量化、再資源化を促進し環境負荷を低減するためのより積極的な取組が展開されているところであります。昨今、京都市のごみ行政において分別収集すなわちリサイクルが遅れているという報道を聞くことがあります。確かにごみゼロ社会を実現するためには、やむなく発生する廃棄物に対するリサイクルの推進が重要であると考えていますが、私は、循環型社会を構築していくためには廃棄物を出さない取組と共に京都のまちの特性と調和のとれたリサイクルを進めることこそが大切であり、分別品目を増やして何でもリサイクルすればよいというものではないと思います。そこで質問であります。このごみ行政の根幹となる家庭ごみの分別収集について、現在、容器包装である缶、瓶、ペットボトルを主体に実施されていますが、今後どのような方針で取り組まれようとしているのかお聞かせください。 次に、光をテーマとする観光新資源創出事業の京都花灯路についてお尋ね致します。この事業は21世紀における活力ある京都を目指し、しかも5,000万人観光都市京都の実現のための戦略的リーディング事業、シンボル事業であると位置付けされております。5,000万人という大変大きな目標を実現していくためには京都を挙げての地道な努力の積み重ねが必要でありますが、どうしても新たな魅力アップ事業も必要であると考えます。京都の夏は蒸し暑く、冬は底冷えすると敬遠されがちで、また夜は見るものが少なく魅力に乏しいとも言われています。そこで四季に左右されない通年型観光、夜の魅力アップによる宿泊型観光振興策として提案されたのがこの京都花灯路事業であろうと思います。京都は様々な顔を持ち、奥深い魅力を有したまちでありますが、中でも歴史的文化遺産や美しい自然景観、町並みは京都が世界に誇る至宝であります。これらに光を当て、しかも京都らしい陰影のある灯りと花でつなぐという発想のこの事業は京都ならではの事業であり、強烈にインパクトのある観光の新しい目玉事業になるものと期待を寄せております。一方では、財政非常事態宣言の下で各種イベントをはじめ多くの事業見直しが断行される中での1億円を投入する新規事業でありますから、当然ながら市民の関心も高く費用対効果が強く求められる事業であります。この事業を2月予算市会でお聞きしてから3箇月余りが経過しました。この間パートナーとなる京都仏教会や京都商工会議所など6団体間で協議を重ねられ事業実施の具体化に向けて準備を進められていると思いますので、京都花灯路事業の取組状況をお聞かせください。またこの事業に懸ける市長の決意の程もお聞かせください。 次に、京都市民健康づくりプランについてお尋ね致します。現在、我が国はおおむね豊かな生活を享受し、生活環境の改善や医学の進歩などにより世界で最も高い平均寿命の水準を維持しています。しかしながら、近年の少子高齢化の進展や長引く景気低迷の中で生活習慣病やうつ病等の心の病が国民の健康を脅かす存在となっており、経済面においても企業倒産による失業者の増加など将来の経済的安定に不安を抱くようになってきています。一方、個人としては職場や家族といった一つの場に全面的に帰属するような状況は少なくなり、様々な自己実現の場を個人の価値観に応じて選択できるようになりつつあります。自己実現を達成していくためには何よりも個人個人が健康な状態を維持、向上させていくことが大事であります。この度、本市においては国の健康日本21の趣旨を踏まえた京都市民健康づくりプランが策定されたところですが、このプランを拝見させていただき特に感銘を受けたのは、プランの名称が京都市民となっているところであります。昨今は、市長が京都市基本計画の一つの柱として市民の皆様とのパートナーシップの下に市政を進めていく重要性を示されていますが、この京都市民健康づくりプランは、行政施策の推進という枠を越え京都市民自らが健康づくりに取り組んでいく目標としての私の行動目標と、個人の健康づくりを支えていく私を支える社会の行動目標を同じに掲げ、これらが相まってすべての市民が心身共に健やかに暮らせるまち京都を実現していこうというまさしく京都市全体で健康づくり運動を進めていこうとする計画であり、その視点が非常に重要であると思うところであります。そこでお尋ね致します。このような立派な計画を立て、これからどのように市民に浸透させていくかが非常に重要なことと考えますが、市民への周知はどのように行っていくのかをお示しください。また個人の健康づくりを支えていく社会の役割として、行政のみならず健康づくりを支援していく関係者の連携なくしては推進していくことができないと考えますが、推進体制をどのように構築していき、今後どのような施策の充実を図っていかれようとするのか併せてお伺い致します。 最後に税制度の見直しについてお尋ね致します。平成12年4月に地方分権一括法が施行され地方分権をいよいよ本格化しなければならない時期となりましたが、地方が自主的に決定を行いかつ自己責任の下で様々な施策を実施していくためには、その財源をどのように確保していくのかということも今後明らかにしていかなければならない課題であります。ところで、地方公共団体において財源の最も大きな位置を占めているのは地方税収であることは言うまでもありません。本市においても財政収入の4割近くを税収入で占めている状況であります。市町村税の種類としては住民税や固定資産税をはじめ幾つかありますが、市町村税の基本的な性格を端的に示すものとして負担分任の原則と言われるものがあります。これは、その地域に必要な費用はその構成員で負担していくという原則であります。地方分権の時代にあっては市町村がそれぞれの個性を発揮して様々な施策を展開していくことになりますが、その費用については市町村構成員自らが負担をしていく仕組みを更に強化することが必要になってきます。このためにも従来から指定都市共同で要望活動を行っている大都市財政の実態に即応する財源の拡充についての要望の取組も重要となって参ります。また現在国においては経済財政諮問会議や政府税制調査会において今後の税制度の在り方について幅広い論議がされているようでありますが、所得に対する課税の論議では、国民が広く薄く負担していくという観点から税制度の見直しを行おうとしているところであります。 我が自由民主党におきましても地方分権の時代にふさわしい税制度の在り方について様々な所で論議されているところですが、先日、自由民主党
政令指定都市議員連絡協議会の下部組織であり若手の議員で構成されているアーバンユースネット12西ブロックの勉強会があり、その中で次のようなことも論議されました。固定資産税が非課税であっても、私立の学校法人や宗教法人に対しては都市計画税については課税できるように国に対し制度改正を求めていけるよう研究していこうというものであります。都市計画税は、昭和31年に導入された市町村税で、地方税法においては、市町村は都市計画法に基づいて行う都市計画事業又は土地区画整理法に基づいて行う土地区画整理事業に要する費用に充てるため、都市計画区域として指定されたもののうち市街化区域内に所在する土地及び家屋に対し、その価格を課税標準として当該土地及び家屋の所有者に都市計画税を課することができるとされております。また、都市計画税の非課税の範囲としては、固定資産税の非課税範囲や免税点の規定により固定資産税を課することができない土地又は家屋に対しては都市計画税を課税することはできないことになっております。このように地方分権の時代にあっては、現在地方税法において非課税とされているものについてもその妥当性、合理性について根本的に見直し、国民的に論議を進める必要があると考えております。また都市計画税については、本市では新築住宅に対して一定の期間都市計画税の減額措置を行っております。これは地方税法の固定資産税の新築住宅に対する軽減措置に対応して本市の条例において定めているものでありますが、この減額制度についてもその意義や効果を改めて検討すべきではないかと考えております。本市においては、京都市税制研究会を設置し新税等についての議論がされているところでありますが、今述べた都市計画税の課題のように既存の税制度の見直しが必要とされている部分もあると思われます。今後、税制研究会ではどのような論議がされていくのかお尋ね致します。以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(磯辺とし子) 桝本市長。 〔
桝本市長登壇〕
◎市長(桝本頼兼) 加地浩議員の御質問にお答え致します。 まず持続可能な社会を構築するための仕組みであります環境マネジメントシステムの取組についてでございます。本市は、京都議定書が採択された地球温暖化防止京都会議COP3の開催都市としてあらゆる政策の基本に環境を置き、地球環境問題を重視し、地球環境温暖化対策をはじめ環境問題に対する様々な取組を積極的に推進して参っております。その中でISO14001の取組につきましては、平成11年度から東部クリーンセンターなどそれぞれ特色のある4事業所で認証を取得し大きな成果を挙げてきたと自負致しております。しかしながら、私は更なる対策を市役所自らが率先して実践実行していくための施策が是非とも必要であると考え、本市行政の中枢であります京都市役所本庁舎でISO14001の認証取得を目指すことと致しました。認証取得に当たっては、私自身が先頭に立って職員が一丸となって省エネ、省資源やごみの減量対策の推進などに取り組んで参ります。またISO14001の取得が困難な事業者でも取り組みやすいように京都市が独自に開発し他府県、他都市にも広く波及しつつある京都環境マネジメントシステムスタンダードいわゆるKESにつきましては、新たに学校に向けて学校向けの取組を開始したところでございます。今後は、本市機関及び民間企業でのISO14001やKESの拡大を図るとともに取組の成果を分かりやすく評価できる環境会計の手法を市役所においても導入して参りたいと考えております。 次に、光をテーマとする新しい観光資源の創出事業、京都花灯路についてお答え致します。この京都花灯路事業がオール京都の取組により市民の皆様はもとより国内外の人々から愛される21世紀から始まる京都の風物詩となるよう現在京都府、京都商工会議所、京都仏教会、平安建都1200年記念協会、京都市観光協会と協議を進めております。この事業の実施時期は、観光客の少ない時期での対策となるよう平成15年3月7日から18日までの12日間、また開催場所につきましては歴史的、文化的遺産や美しい町並みが一体化し京都らしい趣のある東山地域において、具体的には円山公園を中心として清水寺から青蓮院に至るまでの間と致しました。加地議員御指摘のとおり、京都がこれまでにはぐくんできた懐の深い文化や美意識を随所に散りばめた灯りと花の演出により思わず歩きたくなる道、華やぎのある道を創出し、これに社寺の夜間拝観、ライトアップが相まってスケールの大きな京都ならではの夜の時空間が生まれるものと確信致しております。できるだけ早く詳細な事業計画を発表する予定でございますが、今後とも地元の皆様をはじめ社寺や関係団体等多くの方々の御理解と御支援、御参加を得ながら京都花灯路事業の成功に向けて全力で取り組んで参る決意でございます。 以下、副市長及び局長が御答弁申し上げます。
○議長(磯辺とし子) 河内副市長。 〔河内副市長登壇〕
◎副市長(河内隆) 京都市税制研究会における研究内容についてのお尋ねにお答え致します。地方分権の一層の推進を図り、地方自治体の自主的、自律的な行財政運営を実現するためには自主税源を拡充することが不可欠でございます。そのためには国から地方への税源移譲が何より重要であります。この点につきまして他都市とも連携し、大都市財政の実態に即応する財源の拡充につきまして引き続き国に対し粘り強く要望して参ります。また一方、本市の逼迫した財政状況の下ではとりわけ本市独自の税源の確保も極めて重要でございます。このため京都市税制研究会において新税を含めた本市にふさわしい税制の在り方について研究検討を重ねていただいているところでございます。しかしながら、新税は市民の皆様に新たな御負担をお願いすることになりますだけに、その検討に先立ちまして、まずは現行の税制度の見直しをお願いしているところでございます。すなわち減免など本市が独自に講じている軽減措置が果たして今でも公平で市民の皆様の御理解を得られるものであるかどうかについての見直しであります。議員御指摘の新築住宅に係る都市計画税の軽減措置につきましても、収益事業を行う公益法人等に対する法人市民税の減免措置などと共に制度の目的や効果が現在も妥当であるかどうかといった観点から負担分任の原則を踏まえ、その見直しの論議がなされているところでございます。こうした本市独自の軽減措置の見直しについての考え方につきましては、この夏ごろにも研究会から中間報告が頂けるものと考えております。その後、新税についての研究検討を行っていただく予定であり、その御意見を踏まえ公平で本市にふさわしい税制度の整備に取り組んで参ります。以上でございます。
○議長(磯辺とし子) 松井副市長。 〔松井副市長登壇〕
◎副市長(松井珍男子) 京都市民健康づくりプランの推進についてでございます。本プランは、市民一人一人の健康づくりには社会全体の支援が必要であるという理念の下、栄養、食生活などの生活習慣の見直しと改善及び癌などの重点を置くべき生活習慣病の予防の10分野において具体的な健康づくりの数値目標を設定致しまして京都市全体で健康づくり運動を進めていくため策定したものでございます。計画の周知につきましては、市民の皆様お一人お一人が健康に関心を持っていただくことが必要でございますので概要版、これでございますが、これを15万部印刷致しまして市役所や区役所、更には関係団体を通じて配布するとともに、市民しんぶんや健康増進課のホームページに掲載するなどの取組を行っており、今後も様々な広報媒体を活用して効果的な普及に努めて参ります。 次に推進体制でございますが、本市全体で健康づくりを進めていくためには、行政のみならず学校や企業、医師会などの市民の健康づくりを支援する関係団体が計画に掲げた行動目標をお互いに共有し、自らの役割を確認しながら取組を進めていくことが必要であります。このため仮称ではございますが京都市民健康づくり推進会議を設置し、健康づくりを支援する社会の環境づくりを進めて参ります。本市と致しましては、今年度は禁煙支援に係る個別健康教育を市内のすべての11保健所で実施するなどの取組を行っていくこととしておりまして、(発言する者あり)ありがとうございます、今後ともすべての市民が心身共に健やかに暮らせる京都の実現を目指して計画の推進に取り組んで参ります。以上でございます。
○議長(磯辺とし子) 上原環境局長。 〔上原環境局長登壇〕
◎環境局長(上原任) 家庭ごみの分別収集の今後の方針についてでございます。本市のごみ行政においては、公衆衛生上の配慮とごみの容積を減らすことに重点を置き、内陸都市という地域的な特性も踏まえ従来廃棄物の焼却処理を基本としてきましたが、昨年1月に策定しました京都市基本計画では、大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会から環境への負担の少ない持続可能なまちづくりを進める一環として資源ごみの分別収集の拡充を掲げています。この方針を具体的に進めるために今年度から来年度にかけて平成11年に策定しましたごみ処理基本計画の見直しを行いますが、分別収集の拡大に係る多大な処理コストの負担や環境に与える影響、更には地域の特性にも配慮し他都市に例を見ない検討手法である戦略的環境アセスメントの手法を用いて環境保全に高い意識を持ち、物を大切にする京都にふさわしい資源循環の仕組みを明らかにして参ります。それまでの間の取組としましては、本年10月を目途に新たに年間2,000トンを超えるやかん、鍋等の金属類の分別収集に取り組むとともに、プラスチック製容器包装廃棄物のモデル分別収集を全市約1万1,000世帯に拡大して参ります。今後ごみ問題に関する市民の皆様のより一層の御理解と御協力を得ながら市民、事業者及び行政が一体となってごみ減量リサイクルの取組を進め循環型社会の構築に向けて全力を注いで参ります。以上でございます。
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○議長(磯辺とし子) 暫時休憩致します。 〔午前11時49分休憩〕 〔午後1時1分再開〕
○議長(磯辺とし子) 休憩前に引き続き、会議を行います。
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○議長(磯辺とし子) 休憩前の一般質問を継続致します。 次に、市政一般について、
倉林明子議員に発言を許します。倉林議員。 〔
倉林明子議員登壇(拍手)〕
◆(
倉林明子議員) 私は、日本共産党市会議員団を代表し市長並びに関係理事者に質問致します。 4月7日投票で行われた知事選挙について一言申し上げます。民主府政の会森川明候補の得票は、昨年の参議院比例代表選挙で日本共産党が獲得した票の2倍を超え、相乗り候補の得票は6党の比例得票の半分程度にとどまりました。鈴木、加藤疑惑など底知れない腐敗が明らかになる中、自民党政治に対する怒りの大きさを示しました。同時に24年間続いた相乗り政治の矛盾と破綻を示すものであり、京都経済と府民の暮らしから活力を奪った府政への厳しい審判となりました。(発言する者あり)オール与党体制が崩れ始め、自民党中心のオール与党政治の終わりの始まりを示すものでした。日本共産党市会議員団は、引き続き暮らしを守る地方政治本来の役割を守るために全力を挙げる決意です。(発言する者あり) 質問の第1は、医療制度改革についてです。今回の医療改革で増える国民の負担は1兆円にも上り、深刻な不況の中、市民からはこれ以上の負担は到底受け入れられないとの声が出ています。高齢者には昨年1月の値上げに続き今年4月から既に窓口負担が値上げされたばかりです。現在の負担は1箇月3,200円から5,300円とそれでも上限が決まっていますが、これを今年の10月から上限制をやめて窓口での1割負担を徹底するとしています。これでは一体幾ら準備して病院に行けばいいのか分からないということになります。医療機関の試算によれば、白内障の手術をした場合の負担は7倍にもなります。上限制はあるものの、一般で1万2,000円の限度額を超える部分については後で返すという償還払が導入されるため返ってくるのは3箇月先です。これを聞かれた高齢者は、私の年金は月4万円足らず。介護保険料は天引きされたうえにどうやってもそんな負担はできない。もう病院には行けないとおっしゃっていますが、多くの高齢者が今途方に暮れておられます。今回の改革に対し反対の声がかつてなく大きく広がっています。医療費負担増に反対する署名は既に2,500万人、国民の5人に1人に当たります。労働組合の連合は、創立以来最大の775万の署名を集め、日本医師会も署名に続き4月23日患者負担の増額に断固反対する声明を改めて発表されています。日本の窓口負担は今でも大変重いのです。欧米16箇国中外来、入院とも窓口負担がないイギリス、カナダ、スペインなど8箇国、外来だけ負担ゼロはドイツ、オランダなど4箇国と原則窓口負担がないのが世界の先進国の流れです。市長は、2月議会公営企業特別委員会で、ある程度の痛みという意味でやむを得ないと答弁されていますが、医療改革に伴う患者の負担が増えることを容認するものでとんでもありません。そもそも政府の医療改革は、増大する医療費の抑制だと言いますが、負担増が一体何をもたらすでしょうか。97年に負担が2割に引き上げられた健保本人では、病気の自覚症状のある人のうち13パーセント280万人が医療を受けずに我慢する状況が既に生まれています。今でも3割負担の国保加入者は、ぎりぎりまで我慢して我慢できなくなって病院に掛かる例が少なくありません。窓口での負担を増やすことは国民の健康、命の破壊につながるものであり、早期発見、早期治療という医療の基本を壊すものだと言わなければなりません。更に患者負担増は、結果として医療費総額の増大を招くということです。政府の中央社会保険医療協議会に出された医療経済研究機構の患者数と医療費の関係によれば、軽症の患者の医療費に占める割合は1割にもなりません。一方、患者数の1割にすぎない重症患者の分は医療費の50パーセントを超えています。重傷になるほど1人当たりの医療費は高くなるのです。受診抑制が患者の重症化をもたらし、医療費を増やす結果になることは明らかで、長期的には保険財政の更なる悪化を招くことになるのではないでしょうか。市民の健康を破壊し、医療保険財政を破綻させる医療改革にはきっぱり反対の声を上げるべきです。市長の答弁を求めます。 京都市が繰り返し政府に求めている医療制度の抜本改革の中身も、政府の打ち出している方針は新たな国民負担増にほかなりません。2004年度実施を目指す高齢者医療制度では、すべての高齢者から新たに保険料を徴収し、消費税増税とセットで検討されています。政管健保の民営化も含めて5年以内に見直し、中小企業で働く加入者の負担を一層引き上げる方向がはっきりしています。抜本改革で市民の負担は一層重くなるばかりです。小泉首相は、改革を叫ぶのであればメスを入れるべき所に入れなければなりません。公明党も改革なき患者負担増には反対を公約に掲げてきたのであれば明確な改革の方向を示すべきではありませんか。日本共産党は、第1に税金の使い方を徹底的に見直し、削ってきた医療保険への国庫負担割合を80年レベルまで計画的に戻すことを提案しています。銀行支援や宗男問題で浮上している北方支援、ODA、大型公共事業こそ削るべきではないでしょうか。第2に高い薬価、薬剤費の引下げです。日本の薬価を欧米並みに引き下げれば1兆5,000億円の医療費の削減が可能だと試算しているのは経済産業省です。これだけでも今回の改革をやめる十分な財源があるのにどうしてメスが入れられないのでしょうか。薬価の見直しはしたというものの医療機関の収入となっていた薬価差額が減少しただけで、武田製薬や藤沢薬品など製薬大手15社の経常利益率は22.1パーセントと大もうけを続けています。2000年度の政治資金収支報告書によれば、これらを含む製薬会社で作る製薬産業政治連盟から自民党に1億1,000万円の献金、小泉首相に400万円、国民政治協会に8,500万円、合計約2億円が製薬企業から自民党に流れています。製薬企業から莫大な献金をもらっていては薬剤費にメスを入れられないのは当然です。第3に病気の予防、早期発見、早期治療を保障する体制の確立です。市長、抜本改革を求めるだけでは市民の健康も国保をはじめとする医療保険財政の安定もありません。どう抜本改革すべきか見解をお聞かせください。 第2に、市民の暮らしを応援する具体的施策について伺います。まず国民健康保険についてです。今でも重い保険料負担に加え窓口での3割負担は国保加入者に深刻な健康破壊をもたらしています。自覚症状はあるが幾ら掛かるか不安で病院に掛かれない人が増えています。全国商工団体連合会の調べでは、病院に掛かってから亡くなるまで24時間しかなかったという方が97年は9.9パーセントが2001年は18.2パーセント、ほぼ倍増しています。まるで医者に掛かるときは死ぬときというような事態が拡大しているのです。政府は、元々1984年に健康保険本人の自己負担を導入する際、給付率を8割に統一するとしていました。国保財政への支援と併せ国保加入者が安心して病院に掛かれるようにするため国の制度としてかつての方針どおり国保の窓口負担を2割に引き下げるよう求めるべきではないでしょうか。同時に加入者の過重な負担となっている国保料引下げこそ検討すべきです。いかがですかお答えください。 保険料滞納者への資格証明書及び短期証の発行について繰り返し機械的な発行はやらないと答弁されています。国民健康保険は社会保険制度であると同時に社会保障制度としての位置付けがあるのですから当然です。それでも昨年の短期証発行は9,385件、資格証明書の発行は3,474件、今年も更に増え過去最高の発行件数になっています。他の政令市は資格証明書で大阪、神戸、名古屋など6市が発行しておらず、短期証も横浜、福岡市では発行していません。京都市の国保加入者は特別悪質だというのでしょうか。今年度の国保証の更新に当たって滞納者の世帯数はどうだったのか。現に治療中の加入者には発行しないなどの手立てはどう打たれたのかを具体的にお聞かせください。窓口での10割負担を求める資格証明書の発行は京都市による受診の制限にほかなりません。資格証明書の発行は原則やらないこと、事実上の保険料の督促状となっている期限付の短期証発行もきっぱりやめるよう求めるものですがいかがですか。 京都市独自の国民健康保険料、一部負担金の減免制度は一層重要になっています。先日も救急車で入院された家族の方から医療費の負担ができないのにどうすればよいかと切羽詰まった御相談がありました。不況でお商売も立ち行かない中での非常事態です。早速一部負担の免除制度を御利用いただき、無事治療ができて退院することができました。国保加入者の最後のより所ともいうべき制度を十分周知すると同時に一層の充実を求めるものです。 次に介護保険についてです。今年度介護保険事業計画の見直し作業が始まり、併せて来年度から保険料も見直しされることになっています。京都市は、このままでは保険料の値上げは避けられないと早々に来年度保険料値上げ予告をしていますが、市民への挑戦とも言えるものです。年金から天引きされる介護保険料は、昨年10月から満額徴収となり、介護保険始まって以来、事実上毎年の値上げが高齢者に重くのし掛かっています。高齢者の実態から見て、これ以上の保険料値上げはどうしても避けなければなりません。介護保険はその制度上、自己負担を除いて2分の1を公費、残りを保険料で賄うために給付費が増えれば保険料も増える仕組みになっています。保険料の負担軽減のためには国庫負担の増額を求めると同時に一般会計からの繰入れも検討すべきだと考えます。厚生労働省は、自治体の行う保険料の減免制度に対して一般会計からの繰入れは駄目などとクレームを付けていますが、坂口厚生労働大臣は、一般財源の投入であっても原則を超えて自治体がやるというのならその自主性を尊重すると答弁しています。保険料の値上げか保険料負担の軽減かは市長に問われています。来年度の介護保険料の値上げ予告は撤回し、高齢者の負担軽減のために思い切った保険料、利用料の減免制度を作るべきです。市長の答弁を求めます。 京都市独自の介護保険料の一部減額措置もほとんど知らされていません。当初3,000人利用見込みが半年たってなお利用者は700人にとどまっています。所得、貯金など厳しい条件も利用を妨げる原因ですが、知らなくては申請さえできません。今年度の保険料の通知が一斉にされましたが、減額措置については全く触れられていません。これでは減額措置を採った値打ちがありません。せめて減額措置の対象である保険料第2段階の被保険者に対し通知すべきではありませんか、お答えください。 次に、
乳幼児医療費助成制度の拡充について質問します。京都府下44市町村のうち小学校入学前まで独自に拡充している自治体は京田辺市、宮津市など24自治体、中学校まで拡充しているのが6自治体となっています。同じ京都府民なのになぜ京都市では2歳までなのかが市民の率直な疑問です。国が制度として作ることが求められるのは言うまではありませんが、国の制度がない下でも市町村独自で制度の拡充に取り組んでいるのです。国や府の制度がないからやれないと言われても市民は納得できません。市長の選挙公約の子育て支援の中で乳幼児の健康を守るため乳幼児医療費助成を拡充しますと明確に述べられています。せめて小学校入学までは安心して病院に掛かれるよう制度の拡充を求めるものです。市民に公約実現の展望を示すべきではありませんか、お答えください。 子育て支援で緊急に改善が要望されているのが学童保育です。2月議会で今年10月からの利用料徴収がそれぞれの学童保育所で始まることになりました。しかし、学童保育の保育環境は全く改善が見られません。今年4月段階で申込みをしても入所できない児童が226人に上り、60人以下の定員を超える多くの施設では狭い施設に子供がすし詰めであふれています。保護者からは学童は9月まで、後はやめるとの声まで出ています。完全週休2日制が始まった今年、放課後や土曜日を支える保育体制の充実は市民の強い願いです。児童館、学童保育所の建設を急ぐことはもちろん、すし詰め状態の改善は今すぐ手を打つべきではないでしょうか。空き教室や余裕教室も含め教育委員会と連携し児童館、学童保育所臨時分室として活用するなど緊急策を具体化すべきです。10月の利用料徴収の前に改善策を示すべきではないでしょうか。 第3に、市バスの今後の在り方についてです。2月から乗合バスの規制緩和が始まり、市バスがこれからどう対応していくのかが問われています。市長は2月議会で、公営の長所を生かしながら民営並みの低コストの運営が可能となる管理の受委託の拡大に努めると発言されています。走っているバスも運転手の着ている制服も市バスだけれども、やっているのは民間バスという管理の受委託は、他都市では民間委託の京都方式と呼ばれています。この方式が本当に将来的にも低コストで市民の足を守ることになるのでしょうか。委託料には事業者の利益を必ず含めていることから低コストが将来的にも維持できるのかどうかは全く分かりません。コスト最優先となれば赤字でも必要な路線が守られる保障もありません。そのうえ大量の市バス職員の生活権を奪うことにもつながります。管理の受委託拡大の方針を採ることは市バス民営化に道を開くものにほかなりません。市バスの管理の受委託拡大については撤回すべきだと考えますがいかがですか。 今何よりも必要なことは市民から愛され支持される市バス事業に転換することです。そのためにも様々な団体や個人から寄せられている市バスへの積極的な提案にこたえて乗客サービスを向上させることが欠かせません。その一つは、高齢化が進む中、頼れる市民の足として全国的にも新たな広がりを見せているコミュニティバスへの積極的な対応です。市内8行政区の基本計画に盛り込まれたコミュニティバスを市バスが率先して取り組むのは当然のことではないでしょうか。直ちに実現に向け努力されるべきですがいかがですか。二つ目に、利用しやすい市バスにするために乗換え自由の料金制度に切り替えることを提案します。大幅な系統の変更は乗り継ぎしないと目的地に行けない不便さと事実上の料金値上げを強いています。料金制度の見直しの検討を直ちに行うことを求めるものです。市長の答弁を求めます。 第4に、京都市における男女平等の取組について質問します。この3月、きょうと男女共同参画推進プランが策定されました。きょうと男女共同参画推進プランは、懇話会を中心に練り上げられ、寄せられた市民意見207件の多くが反映されたものです。素案の段階では盛り込まれていなかった保育所待機児童の解消、夫やパートナーからの暴力であるドメスティック・バイオレンスから女性が緊急一時避難できる施設の検討整備なども明記された点など多くの改善がされました。一方、平和についての具体的施策が国際的協調にとどまっている点は極めて不十分です。国際文化観光都市と自らも認める京都市がその特徴を生かし豊かな国際交流の機会に平和のメッセージを発信するなら男女平等の実現に大きな力を発揮するのではないでしょうか。今、アメリカのテロに対する報復戦争が続き、自衛隊の協力は度重なる法改定により各段に拡大されています。今国会では更に有事法制3法案が提出され、有事イコール戦争に備える国づくりが進められようとしています。第4回世界女性会議で採択された北京宣言及び行動綱領では平等、開発、平和が3大テーマでした。女性の権利は人権であることが確認され、男女平等がなくては開発も平和も保障されないこと、また平和がなければ平等も開発もないことが明らかにされました。改めて日本国憲法の平和原則をしっかり守ることが求められています。男女平等の取組であるプランに世界平和を維持することを基本として位置付けるよう求めるものです。お答えください。 プランの中でも紹介されているとおり、今もなお男女の格差は解消されているとは言い難いのが実態です。女性の社会的自立に欠かせない働く現場での格差は雇用均等法が成立したものの、女性労働者の47パーセントがパートタイムや派遣、契約社員などの非正規雇用にとどまっています。男女平等社会の実現に向けた取組は一層重要になっています。京都市での取組に加え国の制度が大きく影響することは言うまでもありません。それなのに政府は、今年度から児童扶養手当の大幅な削減を決めています。母子家庭を支える児童扶養手当は所得制限を一挙に100万円も引き下げ大幅な減額措置が4年前に採られたばかりです。今回の改定で増額効果はわずか3パーセント、支給額が減る家庭は46パーセントにも及びます。最悪なのは、母子家庭も自立を目指すべきとして子供が18歳になるまで支給される現在の手当を支給期間5年間と短縮、以後は半額としたことです。深刻な不況の中、子供を抱えながらどうすれば5年で自立できるというのでしょうか。支援の打切りは子供の将来にも大きな影響を及ぼすこととなるでしょう。きょうと男女共同参画推進プランにも、一人親家庭の生活の安定と自立の促進が推進施策に盛り込まれており、一層の充実こそ望まれています。児童扶養手当の復活を国に対して求めるべきだと考えます。いかがですか。 次に、男女平等社会を目指す条例制定について質問します。各地で条例制定が進んでいます。既に政令市の中でも男女平等かわさき条例など五つの政令市で整備されましたが、本市では来年度の制定を目指し、これから本格的な議論が始まります。京都市の条例は、単に理念を定めることにとどめず実効ある条例とすることが求められています。そのために欠かせないものの一つが苦情処理システムの確立です。第三者を委員として相談及び救済ができる権限を持つ独自のオンブズパーソンを作ることは第2次女性行動計画からの懸案でもあります。条例での明確な位置付けをすべきだと考えます。また市民の意見を広くお聴きするために公聴会の開催をきめ細かく実施することを求め私の質問と致します。(拍手)
○議長(磯辺とし子) 桝本市長。 〔
桝本市長登壇〕
◎市長(桝本頼兼)
倉林明子議員の御質問にお答え致します。 医療制度改革についてでございます。我が国は、いまだ経験したことのない世界的に突出した少子長寿社会を迎える中で、国民医療費が増加し続けており医療保険財政は極めて厳しい状況にあります。このため将来にわたっても持続可能な揺るぎない国民皆保険制度へと再構築していくためには制度の抜本的改正が待ったなしの状況となっており、国においては医療制度改革関連法案の審議がなされているところでございます。私は、世界に冠たる国民皆保険制度を守っていくためには、昨年の11月市会定例会において採択されました意見書の趣旨と同様、市民の皆様が将来にわたり安心して必要な医療が受けられるようにしていくことが必要不可欠であると考えており、今後とも国に対し保険者の統合、再編などの抜本的改革の実現に向けて引き続き強く求めて参りたいと考えております。 次に、本市バス事業における管理の受委託についてのお尋ねでございます。本市バス事業は、お客様の大幅な減少傾向に加え規制緩和による新規参入が予測されるなど一段と経営環境が厳しくなっていることから、本市の目指す市バス、地下鉄ネットワークによる公共交通優先型の交通体系を構築し、将来にわたり京都市民の足を確保していくためには更なる経営体質の強化が急務となっております。このため本市バス事業の今後の在り方について全庁的な体制で本年秋を目途に公営交通としての経営形態の抜本的な見直しを進めているところでございます。この見直しに当たっては、何はともあれ、まずは147万人の京都市民の足を守るという本市の責務を果たすことを最重要課題と位置付け、公営として路線、運賃等の決定に責任を負いつつ、民営並みの低コストでの運営が可能となる管理の受委託の拡大を含め更なる経営健全化に努めて参る所存でございます。 以下、副市長及び局長が御答弁申し上げます。
○議長(磯辺とし子) 河内副市長。 〔河内副市長登壇〕
◎副市長(河内隆) バス輸送サービスに関連するお尋ねにお答え致します。まずコミュニティバスにつきましては、福祉目的や過疎対策など様々な利用形態があり、その効果や課題をしっかりと把握していく必要がございますため全国での事例を調査致しますとともに、地域住民の利便性向上のため一定地域内を運行し運賃、ダイヤなどを工夫するというコミュニティバスの特性や地元での具体的な取組の状況を踏まえたうえで利用対象者の状況や事業主体、更には採算性など多面的な検討を行って参りたいと考えております。 次に、本市バス事業の運賃制度の見直しにつきましては、現在市会の付帯決議を踏まえまして、規制緩和時代における利便性向上策として採算性や効果などを十分に考慮しながら検討を行っているところでございます。以上でございます。
○議長(磯辺とし子) 松井副市長。 〔松井副市長登壇〕
◎副市長(松井珍男子) 介護保険制度についてお答え致します。介護保険制度は、社会全体で高齢者の介護を支えていくためその費用を国や地方自治体と被保険者が負担していくものであり、介護サービスの提供に必要な費用の水準に応じて第1号被保険者の保険料が決定されることとなっております。本市におきましては、市民の間に介護保険制度が定着して参りまして、介護保険認定者数やサービス利用料が現行の介護保険事業計画に比べてかなり増加しており、現段階においてもなお増加傾向が継続しております。新たな保険料につきましては、介護報酬等の制度全体に関する国での見直しの議論、本市における介護サービスの実施状況を踏まえ介護保険等運営協議会における議論や市民説明会の開催を通じ次期介護保険事業計画の中で市民の皆様に御理解いただけるものとなるよう決定して参りたいと思っております。なお減免制度につきましては、基本的には全国一律の方法で措置が採られるべきものと考えており、引き続き国への要望を行って参ります。 次に、児童館、学童保育についてでございます。本市では京・子どもいきいきプランに基づき学童クラブ機能を有した児童館の整備目標を120館と掲げ、子供の生活圏とのかかわりや児童数の動向等を考慮しながら整備を進めているところでございます。整備に当たりましては、かねてから教育委員会との連携の下、学校内敷地や余裕教室の活用など多様な手法で進めているところであり、本年度においても財政状況が極めて厳しい中で学校敷地を活用して2館の整備を行って参ります。更に既存の児童館、学童保育所につきましては、利用状況等に応じてスペースの拡充や老朽化対策などの改修を行い環境改善に向けた取組を進めているところであります。今後とも教育委員会との連携はもとより学童クラブの実施状況を十分把握し事業の充実に取り組んで参ります。以上でございます。
○議長(磯辺とし子) 杉原文化市民局長。 〔杉原文化市民局長登壇〕
◎文化市民局長(杉原和彦) きょうと男女共同参画推進プランにおける平和の位置付けについてお答え致します。きょうと男女共同参画推進プランは、男女共同参画のまちづくりを市民の皆様と共に進めるため第2次女性行動計画の成果を継承し、その内容を更に充実発展させた計画として本年3月に策定致しました。本市では1975年の国際婦人年世界会議で採択された平等、開発、平和の実現に向けてこれまでから国際交流や協力、また世界の多様な文化の共生を推進しており、今回のプランにおきましても国際社会への貢献を視野に入れた交流、連携づくりを基本目標の一つとして取り組んでいるところでございます。 次に、現在制定に向けた取組を進めております仮称京都市男女共同参画推進条例についてお答え致します。この条例は、本市、市民、事業者等の連携の下、男女共同参画のまちづくりを総合的に推進することを目的とするものであり、同条例に盛り込むべき基本的事項について本年4月に京都市男女共同参画懇話会に諮問を行ったところでございます。具体的な内容につきましては、今後懇話会からの答申を踏まえるとともに公聴会などの開催により市民の皆様から広く意見をお聴きする中で検討して参ります。以上でございます。
○議長(磯辺とし子) 西保健福祉局長。 〔西保健福祉局長登壇〕
◎保健福祉局長(西晴行) 国民健康保険の窓口負担の引下げについてでございますが、危機的な医療保険財政を維持するため現在国において被用者保険についても3割負担とすることが審議されている厳しい状況であり現実的でないと考えております。また国民健康保険料の引下げにつきましては、本市国保財政は平成13年度末時点での累積赤字が90億円を超える見込みであり、本市会において繰上充用の御審議をお願いしているところであります。このような危機的な財政状況の中、保険料を引き下げることは他の医療保険制度と比較して財政基盤が脆弱である国民健康保険にとって事業運営の破綻につながるものであり実施する考えはありません。 また資格証明書及び短期証の発行についてでございますが、本市では保険料滞納者に対しては区役所への来所を指導するなどできる限りの接触を図り国民健康保険制度の趣旨を十分説明するとともに、減免制度の活用も含めたきめ細かな納付相談を行っており、資格証明書や短期証の機械的な発行は従来から行っておりません。しかしながら、特別な理由もなく保険料を滞納している方に対しましては国民健康保険法の定めにより資格証明書や短期証を交付することもやむを得ないものと考えております。 また国民健康保険料及び一部負担金の減免についてでございますが、本市は極めて厳しい財政状況にありますが、引き続き一般会計から過去最高となる135億円という巨額の繰入れを行うことにより被保険者とりわけ低所得者の方々の負担の軽減に最大限努めて参りました。しかしながら、これ以上本市独自の減免制度を拡充させることにつきましては多額の財政負担を伴うこととなり実施することは困難であると考えております。 次に、本市独自の低所得者対策としての介護保険料の減額制度につきましては、平成13年10月の実施以降市民しんぶん等により広報に努めてきたところであり、平成13年度には702人の方に適用致しました。本年度におきましては、この4月に第1号被保険者全員に送付した平成14年度介護保険料の暫定賦課通知に併せ減免制度の内容を記載した文書を送付し広く周知したところであり、今後とも様々な機会を捕らえて市民周知を図って参ります。 次に、乳幼児医療費支給制度については、子育て家庭の医療費の負担を軽減し安心して医療を受けることができるよう京都府との協調の下に平成5年10月に創設したものであります。本市では制度創設以来2度の制度拡充を行い、現在3歳未満児を対象に実施しているところであります。子育て支援は全国共通の課題であることから、本制度は基本的には国の制度として確立されるべきものと考えており、かねてから要望を続けているところであります。本市独自の乳幼児医療費支給制度の拡充につきましては、多額の財政負担を伴うため厳しい状況にありますが今後とも京都府と協議して参ります。 次に、児童扶養手当制度についてでありますが、今般国におきまして母子家庭等自立支援対策大綱が策定され、現在大綱に沿った自立就労に主眼を置いた支援策の法案が国会に提案されているところであります。また支援策と並行して児童扶養手当額につきましては現行の2段階の手当額から就労等の収入が増えれば手当額が減るという方向での見直しが予定されているところであります。本市と致しましては、依然として一般世帯との所得格差が大きい母子世帯の経済的な負担軽減を図るため、引き続き国に対し児童扶養手当の支給範囲の拡大及び所得制限の緩和等について要望して参ります。以上でございます。
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○議長(磯辺とし子) 次に、市政一般について、
加藤広太郎議員に発言を許します。加藤議員。 〔
加藤広太郎議員登壇(拍手)〕
◆(
加藤広太郎議員) 日本共産党京都市会議員団を代表して質問致します。まず最初に政局の動向と地方自治に関して桝本市長の政治姿勢を問うものであります。今、自民党政治の腐敗は正に底なしです。鈴木宗男議員の疑惑もムネオハウスの不正入札にかかわった鈴木氏の秘書らが逮捕され、日本共産党の追及が真相を突いていたことが裏付けられました。既に議員辞職に追い込まれた自民党元幹事長の加藤紘一氏や三権の長であった井上裕元参議院議長は、いずれも公共事業を受注した大手建設業者から政策秘書が多額の口利き料を受け取っていた口利き疑惑。これらはいずれも癒着と利権で政治をゆがめてきた実態が露呈されたものであります。更に時の政権が税金を党略的、私的に流用してきた官房機密費という一大疑惑も首相官邸を直撃しております。これだけの疑惑を出しながら小泉首相は解明のために調査究明もせず、疑惑をまるで人ごとのように扱い離党や辞職で厄介払したかの態度です。政治腐敗究明の意思も能力もない小泉首相には、国民に痛みを強いる医療改悪の強行や国民を戦争に動員する有事法制の押し付けをする資格などはありません。井上前参議院議長の秘書に絡む競争入札妨害事件で熊谷組の役員が逮捕され、京都市では北部クリーンセンター新設工事の仮契約を解除しましたが、市長としてこの一連の金権腐敗事件の抗議と徹底糾明を小泉首相に要求すべきではありませんか。市長の見解を問うものであります。 第2に、今国会に提案されている有事法制、つまり戦争国家づくり法に対する対応です。小泉首相は備えあれば憂いなしと言っていますが、地震や台風など自然災害は日常的に備えることが必要です。これが大きく遅れているからこそ災害は後を断たないのです。しかし、軍事面で備えを大きくすればするほど戦争というのが日本の歴史でした。かつて日本が中国へ侵略戦争を行ったとき、有事立法である国家総動員法を作り国民を戦争に駆り立てたという苦い経験を忘れてはなりません。現在、外国からの武力攻撃の現実的な可能性のないことを政府自身も認める下で、日本は平和憲法に基づく平和、友好の外交を進めることこそ平和への最大の備えではないでしょうか。有事法制の中身を読めば読むほど恐ろしい内容です。有事法制は、アメリカがアジアにおける介入戦争を始めれば武力攻撃事態と周辺事態を同時に発動して日米共同で介入戦争を行うためその国家体制を作るのが最大の目的です。そのために国民の自由と人権を踏み付けて戦争に強制動員する戦時体制を作ることが狙いです。戦争への国民の協力を義務付け、地方自治体に首相が指示し、地方自治権まで破壊し市立病院、交通、水道、土木なども協力義務とし、従わない場合は首相が直接執行できることにしております。また電波、通信、交通など指定公共機関も同じように首相の指示、直接執行の下に置かれます。物資の保管命令を無視する個人を犯罪者扱いにし、懲役、罰則まで列記しております。日本共産党京都市会議員団は、4月25日市長に対して有事法制が憲法9条の平和原則を破り基本的人権も地方自治も破壊し、首相に絶対権限を与えて議会制民主主義をも破壊するアメリカの戦争に日本を参戦させる法案だときっぱり反対するように申入れ致しました。既に長野、高知、埼玉、徳島の知事は、緊急性はない、到底納得できない、阻止せねばならないと反対、疑義を表明。その他多くの知事や市長も十分な議論が必要と疑問を投げ掛けております。市長は、憲法、地方自治法、京都市非核・平和都市宣言に基づき行政を行う義務があります。危険な有事法制に反対の声など表明すべきであります。見解をお聞かせください。 深刻な京都経済への対応についてお尋ねします。中小企業を中心とする和装産業をはじめ伝統産業の低迷など中小企業のまち京都は依然として深刻な状況にあります。市長は、財政非常事態宣言の原因の一つとして税の大幅な減収を挙げておりますが、京都の中小法人の7割は赤字で零細企業、労働者所得の減少も大きく、安定した税収を確保するには一部の法人の利益による税収よりも大半を占める中小法人の経営が良くなることが税収の安定につながると言われるように、経済対策もここに力点を置いたものにしなければならないのも当然です。この間産業振興ビジョンの策定の議論がされ、私どもも意見を言って参りました。そして先日、スーパーテクノシティ構想として発表されましたが、多くの企業者にとって支援になるのか疑問を持つものであります。ものづくりの観点からの支援は大切ですが、グローバル化、IT革命、大企業の海外生産シフトの流れや消費不況、不良債権処理問題など深刻な事態を招いている中小企業を支援するものになるのか疑問であります。国の悪政の下で大企業の一方的な工場の閉鎖や移転、労働者や下請いじめ、不良債権の早期処理の強行は、中小企業の経営が断ち切られるだけに21世紀の産業振興ビジョンを言うならば、地域経済を支える中小企業に軸足を置く政策こそ重要と考えます。高齢社会は地域をベースにしている中小企業が活躍できる分野であり、この中小企業を自治体や市民が大事に育てることが地域社会の繁栄につながります。この立場から考えたときに、本当に今困っている企業者の頼りになり経営の励みになっているのかという点では、地域で頑張る商店、市場を閉店に追い込む大型店誘致プランともいうべき商業集積ガイドプランの在り方、京都らしさがどんどん壊されていく町並み、景観問題、福祉施策の充実、観光客5,000万人対策、中小企業制度融資の在り方、中小企業支援センターや工業試験場、染織試験場の役割等々、商業や産業の振興ビジョンが問われております。 ある異業種交流による商品開発、仕事おこしの努力をされているグループの声です。市は相談に乗ってくれるが話を聞くだけで具体的なアクションがない。京都経済を活性化させようという意思が感じられず、相談しても無駄と感じる。結局、補助金など予算がないとなる。一度決まった補助は変わらず、新規にはなかなか回ってこないと語っておられます。このグループは既に実績もあり、活用が可能と考えた国の地場産業等活性化補助金の適用を市に相談しても申請が進みませんでした。局の担当者は、補助金に使った分の金はほかの事業を削って返せと理財局から言われている。来年度この補助金を活用しようと思っても従来の事業を削らなければならないと説明しております。市長は、制度融資265億円を予算化し700億円の融資枠を確保していると自慢げに言いますが、利用が少なく3年連続で今年も預託金68億円を減額補正しており、起業支援、ものづくり支援の掛け声の下でこのような叫び声を上げている人たちの声にこそこたえるべきではありませんか。知事選挙の争点の一つに深刻な不況、雇用問題と中小零細企業の多い京都での問題がありました。私たちは、府庁を挙げて雇用拡大、仕事おこしを府の施策のすべてに貫く地域経済振興条例を作り府の予算と体制の抜本的強化を求めてきました。新知事も、伝統、文化を生かした観光産業振興条例を策定し、京都の伝統文化やものづくり技術を生かした新産業創出等を支援すると産業振興条例の制定を公約されていたのであります。京都は、中小企業の発展なくして市民生活の発展はあり得ないように、地域に根を張る中小企業を支援するために市の経済の基本としての京都らしい地域経済振興条例を制定し全局挙げて系統的に取り組むことを改めて要求するものであります。お答えください。 次に、京都市土地開発公社についてです。12年度決算も1億5,000万円の当期純利益を出し優良法人のように見えます。本市事業の実施に当たって公社が事前に用地を購入して市が買い戻すのですが、取得価格に金利、維持管理費、事務費等を上乗せをするために赤字にならないのは当然で、逆に1億円を超す利益があること自身、維持管理費や事務費の数字に問題があると考えます。市民の税金であり、適切な数値へと改善すべきと考えますがいかがでしょうか。 問題は、保有土地とりわけ取得して10年、5年を経過しているいわゆる塩漬け土地がたくさんあることです。5年以上の長期保有は21万9,000平方メートル、保有額666億円と説明されていて、保有土地の75.5パーセント、金額にして68.9パーセントが塩漬け土地になっています。この面積は、阪急より北側の西京極運動公園の1.5倍に相当致します。総務省が昨年3月に5年以上の塩漬け土地は全国で53パーセントに達したと発表しましたけれども、本市は大きく上回っております。昨年3月、公社が10年間保有していた下京区の44.4平方メートルの土地を買い戻しました。国の補助を受けたため鑑定したところ4,000万円余りの評価でした。公社の購入額は2億900万円で余りにも高く、10年間の金利、維持費の1億円を含めて国補助分を除いたら2億9,400万円が市の持ち出しになったと我が党議員が委員会で批判した土地もありました。わずか13坪、4,000万円余の土地に3億円近い市民の税金を使ってしまったのであります。また、塩漬け土地の中には依頼局も不明で事業目的も明確でないままに29年間保有している1万平方メートルの土地や埋立てがいつ可能になるか不明のまま池、沼地を購入し、いまだにそのままというとんでもない土地まで含まれているのであります。これがその土地です。これが池、今回、後で言いますが消防局が買った池がここにあります。平成6年、新たに外環状道路に面して大型車も出入りができる消防局訓練用地として買ったのですが、新たに判明したのは、その後土地区画整理組合の事業化に当たり市の土地である道路の法面を事業対象に組み入れることを了承し、道路との間に土地区画整理組合の保留地が出来てしまったのであります。そのような池を買収価格は周辺宅地を大きく上回る坪165万円の12億円弱で購入したのです。なぜこんな買物をしたのですか。公社が購入するときは、議会の監視が届かないためにこんな事例はほかにもあると推測されます。地元有力者の働き掛けによっていつ事業がされるのか不明の計画道路だけの土地を購入している物件も多数あります。事業局からの依頼によって購入するのですから、事業局の依頼が正しかったのかどうか検証することが求められます。依頼があったから買っておけばよいになっていたのではありませんか。長期保有による金利負担、維持管理費、地価下落による損失は結局市民の税金で賄うことになります。副市長は、取得目的や用途は確定していると答弁されていましたが、ずさんな購入がなぜされたのか、その原因を明らかにすることこそ必要ではありませんか。再精査を行い、それぞれの問題点と今後の方策を打ち出すべきと考えますがいかがでしょうか。 第三セクターの問題です。債務超過に陥っている山科駅前再開発株式会社と京都駅南口再開発株式会社が本年7月に合併することになりました。両社の累積赤字の合計は9億7,500万円にもなります。役員の人員削減など経営健全化で再建できるとの説明ですが、南口再開発には2年間6億円を無利子で貸付けして支援してきました。平成14年度に単年度黒字に、17年度には債務超過の解消、累積欠損金は20年度には解消と語っていますが、内実はどうでしょうか心配です。財政非常事態宣言をして市民に負担を押し付けながら大型開発の付け、三セクに多額の税金をつぎ込むでは納得できません。新たな支援はないこと、早期の6億円の回収など経営改善の約束ができますか。 次に、昨年1月、平和堂の東館アル・プラザ醍醐が開店したパセオ・ダイゴローを経営する京都醍醐センターです。理事者は東館の開店をビジネスチャンスにすると悠長な答弁をしておりました。第8期決算は、売上高は微増したが当期の損失は約5億円も生じて累積欠損金は10億円近くにもなっております。空き店舗も多く長期借入金の返済も始まっていて、今の状況が続けば数年で資金ショートを生じて債務超過になるおそれが十分です。どのように対応されるのですか。御池地下街株式会社は、取締役10人のうち5人が市の幹部で代表取締役は市のOBです。昨年3月末の決算期にエレベーターや地下階段の買取りに14億7,000万円を支援して市民の批判を浴びましたが、当期損失2億2,400万円を生じて累積赤字は11億4,600万円にもなっております。理事者は、店舗内容を改善して平成29年で赤字解消と夢のような説明をしております。投資額の大きさが累積赤字の原因であるかのように説明し、ゼスト御池活性化計画で改善するかのような問題の先送りは許せません。一般会計から毎年のように会社への貸付金30億3,600万円をはじめ駐車場分貸付金、駐車場償還補助金、公共地下道等維持管理費委託などに39億2,700万円も支出していて、これも市財政を厳しくしている要因です。これ以上の財政支援をしないのはもちろんのこと、一日も早く解決への抜本対策を出すべきです。いかがでしょうか。 三セク全体の問題ですが、退職幹部職員の天下りに市民は厳しく批判しております。OB職員が役員に就き、また高額の給料を得て退職金ももらう。赤字であっても給料は高い。それに退職金をもらうでは到底理解できません。それぞれの法人が決めること、非課税の程度と答弁していますが、市民の税金を投じながら二重取りとも言えるものは改善する必要があります。検討するとの副市長の答弁がありましたが、検討の結果はどうなりましたか。 来年3月第3回世界水フォーラムが開催されることになり、会議開催市として推進室が設けられました。4年前COP3が開催され京都議定書が交わされましたが、いまだに世界最大のCO2 排出国のアメリカが参加せず、そのわがままが世界的に批判の的となっております。その態度に強い批判もせずに容認するに近い日本に対しても厳しい批判があります。京都市のその後の取組においてもごみ行政、交通問題等の取組にアジェンダ21や市環境審議会の計画委員など関係者からも厳しい声が寄せられております。今回の世界水フォーラムの目的に、総合的な水資源管理が必要で、ビジョンから行動へ転換する持続的な仕組みを作るを掲げており、大切なのは会議の開催ではなく行政が先頭に立って水問題を通して地球環境の保全にリーダーシップを取ることです。私は、一昨年11月のこの本会議において大型事業優先となっている雨水対策ではなくて雨水の総合的な流出抑制を市長に求め、その後も求めて参りました。改めてこの立場から質問するものであります。雨が降ればすぐ側溝へ、下水管へと河川にいかに流すかが市の基本で、大雨に備えて一時に河川に集中するのを防ぐために巨大下水管や地下貯水槽にためる考え方は際限ない巨大投資を必要としてきました。本市では1時間に62ミリの雨に対応するためには下水道の合流地域と分流地域の約1万5,000ヘクタール、ここへ増加する10ミリ分の雨量は約150万立方メートルとなり、河川を含めて総合的な治水計画が必要と当局は説明しております。現在取り組んでいる下水道第9次5箇年計画の達成目標などから推計すると、合流地域と分流改善を合わせて数千億円の事業規模と推計されます。膨大な費用は市民の負担となります。ヒートアイランド現象など都市化が進む中での都市型水害対策に巨大な投資は際限ない財源を必要とします。市の総合治水対策は、河川の処理能力限界を超す分を下水道幹線と地下貯留槽で引き受けるというもので大きな工事にならざるを得なくなるもので、抜本的な見直しを求めるものであります。都市の集中豪雨は年々増加の傾向にあり、行政には市民の財産、生命を守る対応が求められますが、河川と下水道対策だけでなく雨水の流出を抑制する総合的な対策を採ること、費用対効果など厳密な検討が求められます。市長、どのように考えておられますか。 そこで降った雨を貯留させる、地下浸透させる、利用することにより下水に流す時間を遅らせる対策を市政の方針として実行することが重要です。市長は、基本計画等に位置付け、公共施設での雨水貯留槽の設置等の実施と答弁されましたが、本市の施設で雨水の利用はエコロジーセンターなど6箇所、1,065トンと微々たるもので、透水性の歩道はまだまだ少なくて道路での採用も太秦地域の市道でやっと実験が始まった段階です。学校、公園、駐車場など公共施設での流出抑制も進んでおらず今後の課題となっております。市の環境管理計画に雨水浸透システムの導入、地下水の涵養、雨水利用がうたわれておりますが、これを推進する市の方針の具体化、支援策がないために企業や民間の取組は自然発生的であります。既に多くの自治体では総合的な指針や要綱を作り、雨水流出抑制のお願いで企業や民間の取組を促し、そして助成なども行っております。本市会は平成13年度の下水道予算に対して雨水に対する全部局間での研究、検討体制の確立を付帯決議で求め、その後、市は建設、都市計画、下水道、消防局の4局で連絡会議を設置して検討を始めましたが、新年度予算においても市民や民間企業への取組の支援、誘導策は何もなく新たな施策もありません。水フォーラムの理念の一つに議論から具体的な行動を実現する会議とあります。今地球がおかしいとみんなが心配しております。COP3の経験からも世界水フォーラムを祭りごとで終わらせてはならず、この機会に行政が大きく変わる必要があります。そのためにも早期に指導要綱にとどまらず指針と全庁的体制を採って具体的な支援策まで踏み込んでこそ市民協力の広がりの保証となります。併せて見解を伺います。 最後に地元右京ふれあい文化会館隣地のイマジカ跡地の土地利用です。未利用地の約6,000平方メートルがフェンスに囲まれたままになっております。ここに対しては、以前より公園が事実上ない安井学区だけに公園設置の強い要望もあり、また右京区全体としても不足している特別養護老人ホームなど高齢者施設や障害者の授産所の要望、そして市青少年問題協議会から西京、右京の西部地域に青少年施設がないとの指摘もあって、それらの施設との合築も含めて考えてほしいとの強い要望があります。本年12月で土地開発公社が購入して10年目となります。区民からは、いつまで空き地で置いておくのかと厳しい声です。公共施設が少ない右京にこのようにまとまった土地はなく、一日も早く活用策を定めるべきと思います。また具体的計画を実施するまでの間、周辺学区の自治連や諸団体に管理委託して利用の便宜を与えるべきと考えます。併せて答弁を求めて質問と致します。(拍手)
○議長(磯辺とし子) 桝本市長。 〔
桝本市長登壇〕
◎市長(桝本頼兼)
加藤広太郎議員の御質問にお答え致します。 地域経済振興条例の制定についてでございます。私は、中小企業が本市の経済活動のみならず、まちの雰囲気づくりや文化の創造など京都の個性を形づくる核となるものであり、京都が活力にあふれ、市民の生活が豊かになるためには中小企業の活性化が不可欠のものであると認識致しております。このため、これまでから製造業、商業、観光産業、農林業などのそれぞれの分野における振興計画を策定するとともに、都市計画、環境、文化、福祉など京都市の施策全般において中小企業のまち京都が元気になるよう取り組んで参りました。今後とも条例を制定するまでもなく、社会経済状況に機敏に対応し、きめ細かな中小企業支援施策をはじめとし京都市を挙げての総合行政として地域経済活性化策を推進して参りたいと考えております。 次に、雨水流出抑制についてお答え致します。本市におきましては、近年多発している都市型水害から市民の生命と財産を守るため災害に強いまちづくりを目指し、河川改修を進めるとともに一部の流域では雨水貯留施設を整備するなど治水事業を積極的に進めて参りました。しかしながら、御指摘のとおり急速な都市化の進展がアスファルト層など不透水地の増加を招き、河川の平常水の枯渇や都心部におけるヒートアイランド現象などの状況が生じて参りました。そのため循環型都市の構築を目指し、従来の手法に加え京エコロジーセンターなど新たに建設する公共施設への貯留施設の設置や透水性舗装、浸透枡の設置などの雨水浸透による地下水涵養や雨水利用を進め水環境の再生に取り組んでいるところでございます。今後、更に雨水流出抑制対策を一層進めるためには、市民、事業者、行政が一体となった総合的な取組を展開する必要があることから平成13年12月に庁内検討委員会を設置し、全市的な観点からの対策について既に検討を行っているところでございます。 以下、副市長及び局長が御答弁申し上げます。
○議長(磯辺とし子) 高木副市長。 〔高木副市長登壇〕
◎副市長(高木壽一) 国政にかかわる御質問につきましてお答え致します。まず有事法制についてでございます。21世紀は平和、人権、そして環境の世紀と言われておりまして、人類はその理念実現に向かって不断の努力を続けていかなければなりません。京都市におきましては、これまでから平和を希求する市民の皆さんと共に世界平和の実現に向けて市民レベルの国際交流によりまして世界の人々との相互理解を深めるなど様々な取組を進めているところでございます。いわゆる有事3法案は万一の有事に関して我が国の平和と独立、そして国民の安全の確保を図ることなどを目的としているものでありまして、外交や防衛の延長線上にある国政上の重要な問題として現在国会で審議が行われております。この法案には、市民の生命と身体と財産の保護や地方自治体が果たすべき役割についての規定も含まれておりまして様々な角度から十分な議論が尽くされるべきであると考えております。(発言する者あり) なお政治倫理にかかわっての御質問でございますが、これにつきましては京都市として意見を申し上げるべき立場にはないと考えております。以上でございます。(発言する者あり)
○議長(磯辺とし子) 河内副市長。 〔河内副市長登壇〕
◎副市長(河内隆) 本市の第三セクターに関連する御質問にお答え致します。まず京都駅南口再開発株式会社と山科駅前再開発株式会社について並びに両社合併後の第三セクターの経営改善についてでございます。京都駅南口再開発株式会社に対しましては、金融機関からの借入金を補完するものとして平成12年度から本市が有利子で単年度ごとに貸付けを行って参りましたが、いずれも各年度の年度末には利子も含めて全額返済されており、回収に支障は生じておりません。この京都駅南口再開発株式会社と山科駅前再開発株式会社につきましては、これまでそれぞれが経営改善に努めて参りましたが、より一層の健全化策として本市の積極的な指導の下に本年7月に合併することとしたところでございます。この合併により経費の削減やそれぞれの営業ノウハウの利点を生かした収益性の向上など経営の改善を図りますとともに、資本金や資金の増加に伴う財政基盤の強化により平成15年度以降は本市からの貸付金は不要となる見込みでございます。今後とも合併効果を着実に実現し会社の活性化が図れるよう本市の指導性を発揮して参る所存でございます。 次に、京都醍醐センター株式会社と京都御池地下街株式会社の経営改善対策についてでございます。まず京都醍醐センターでは、パセオ・ダイゴロー西館におきまして家電量販店1階部分の拡張や専門店街のリニューアルによって一層魅力ある施設となるよう努めております。また京都御池地下街では、駐車場事業が好調に推移しておりますが、苦戦を強いられております地下街におきましても新たに美容、いやし、健康に視点を置いたゾーンを構築し、集客力を更に高める取組が行われているところでございます。本市と致しましても集客力の強化と経費節減を重点になお一層の経営改善が進められますよう強力に指導して参ります。 また、これらの団体の給与及び退職金についてでございますが、それぞれの団体の規程に基づき支給されているところであり、経営状態に応じて退職金を減額支給するなど既にその適正な執行に努められているところでございます。更に本市職員に準じた給与減額措置の実施を指導しており、その方向で取組を進めていただいていると考えております。以上でございます。
○議長(磯辺とし子) 松井副市長。 〔松井副市長登壇〕
◎副市長(松井珍男子) 雨水流出抑制の取組についてお答え致します。総合的治水対策は適切な役割分担の下、河川と下水道による基盤施設の整備を基本として進めております。生命と財産を脅かす浸水から市民を守るためにはできるだけ雨水の河川への流出量を抑え、かつ流出時間を遅らせるための貯留機能を持った下水道幹線や地下貯水槽の建設が不可欠であります。なお議員御指摘の雨水流出抑制対策につきましては、これまでにも西京極総合運動公園プール棟など新たに建設する公共施設への貯留施設の設置や歩道部分等への透水性舗装の採用を行っているところでありますが、十分な効果が出るまでにやはり長い期間を要するなど課題があります。雨水流出抑制の取組は雨水対策として有効であると認識しておりますが、現在このような課題も含め全庁的な取組について関係局が更に総合的かつ具体的な検討を進めているところであります。以上でございます。
○議長(磯辺とし子) 成瀬理財局長。 〔成瀬理財局長登壇〕
◎理財局長(成瀬英夫) 京都市土地開発公社に関するお尋ねについてお答え致します。まず公社の維持管理費や事務費についてでございますが、維持管理費は公共用地として取得しました土地を適正に管理していくうえで実際に必要とした経費であり、また事務費は用地取得に従事する職員の人件費等の経費に充てるものでございます。特に事務費につきましては、用地取得事務に要する経費を正確に反映するよう平成10年度に見直しを行ったところでございます。平成12年度決算における当期純利益は土地の有効利用に伴う貸付料などの収入によるものであり、用地取得事務に関する収支についてはほぼ均衡しております。したがいまして現行の事務費は、公社の健全な経営を行っていくうえで適正な水準にあり、現在見直すことは考えておりません。 次に、長期保有土地についてでありますが、土地開発公社の主な役割は公共用地の先行取得であり、公共事業を円滑に推進するために必要な用地を計画的かつ適正な価格で確保するという重要な機能を従前から担って参りました。とりわけ地価の高騰など公共用地の取得が極めて困難な時期にありましては、公社による先行取得は都市の健全な発展と秩序ある社会資本整備の促進に多大の貢献をして参りました。しかしながら、現在事業の進捗状況から買戻しが遅れ長期にわたって保有している用地や社会経済情勢など事業を取り巻く諸状況の変化に伴い取得目的どおりの利用が困難になっている用地もございます。これらの長期保有土地につきましては、厳しい財政状況の下にありましても従前からその縮減に努めて参りました。その結果、公社保有地はピーク時の平成8年度末と比較致しまして面積で21パーセント、金額で25パーセントの減少となっております。今後も事業の一層の推進や事業目的どおりの利用が困難になっている用地についての新たな活用計画の検討を進めるとともに、用地の先行取得に際しましては用途や事業計画などにつきまして取得依頼局と十分に協議を行い、その明確化に努めて参ります。 次に、右京区太秦安井西裏町の土地の活用についてでございますが、この土地は、地域文化会館及び地域体育館の建設用地と致しまして平成4年12月に公社において先行取得したものでございます。このうち地域文化会館につきましては平成13年5月に右京ふれあい文化会館として開館し多くの御利用をいただいておりますが、地域体育館につきましては、交通アクセスや財政負担軽減等の観点から天神川駅周辺整備事業の中で一体的に整備することとしたものでございます。このため地域体育館の建設を予定しておりました用地につきましては、関係局や府とも協議しながら現在活用計画を検討しているところでございます。以上でございます。
○議長(磯辺とし子) 加藤議員。 〔
加藤広太郎議員登壇(拍手)〕
◆(
加藤広太郎議員) 有事法制の問題は、市長自身の問題として問われておりますのに答弁に立たないこと自身が無責任です。このような態度こそ、一連の疑惑事件に対して小泉総理が他人事のように発言しているのと同じで、これが京都市政を預かる人かと疑うものであります。幾ら自民、公明などに担がれた市長であっても、アメリカが行う戦争のおそれ、予測だけで国民、市民を総動員するための法案であり、市長もそのために役目を命じられて、その結果、憲法9条と共に市民の基本的人権などを侵害するものなのに傍観者のような答弁は無責任です。少なくとも政府に慎重な対応を求めるのは当然ではありませんか。しかも、個人情報や人権擁護の名でメディア規制の法案も出して、取材の自由、報道の自由、知る権利も制限しようともしており、良識ある者なら批判の声を出すのが当然ではありませんか。(発言する者あり)強く指摘しておきます。 塩漬け土地の問題です。事業化の遅れだけで問題がないかのような答弁でした。どこが適正な価格なんでしょうか。先ほど指摘しましたけれども、事業化されることが明確でないのに買戻し年度を書いておけば買い取る、これが多数の塩漬けの実態です。先ほどのは桃山因幡池の例でございますが、平成10年度には到底活用できるめどがないのに、そのうえ埋立造成に莫大な費用が要るのに周辺宅地以上の価格で買っている、買わされている、なぜこんなことが起こるのですか、はっきりさせねばなりません。この土地を利用するには道路との間にある保留地をまた組合から買うことになり、更に多額の税金を投入する事態が生じかねません。塩漬け土地の中にはこうした疑惑の土地がほかにも含まれている疑いがあるからこそ精査して問題点を明らかにして繰り返すことのないように求めているのです。事市民の税金です。今後の委員会で日本共産党市会議員団挙げて追及、解明することを約束して私の質問と致します。(拍手)
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○議長(磯辺とし子) 暫時休憩致します。 〔午後2時29分休憩〕 〔午後2時50分再開〕
○議長(磯辺とし子) 休憩前に引き続き、会議を行います。
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○議長(磯辺とし子) 休憩前の一般質問を継続致します。 次に、市政一般について、
宇都宮壮一議員に発言を許します。宇都宮議員。 〔
宇都宮壮一議員登壇(拍手)〕
◆(
宇都宮壮一議員) 右京区選出の宇都宮でございます。民主・都みらい議員団を代表して市政一般について質問致します。 昨年2001年は21世紀幕明けの年であり、21世紀がどのような時代となるか期待を持って迎えましたが、4月に自民党総裁選による小泉内閣の登場と80パーセントを超える驚異的な支持率があり、9月にはアメリカにおける同時多発テロとその報復としてのアフガン空爆、タリバン政権の崩壊がありました。今年2002年に入り、落ち着いて時代の流れを見ておりますと、2001年を代表するこれらの事象は21世紀を象徴するようなものではなくむしろ幻惑を与えるものであり、時代は情報化、国際化、グローバリゼーションが進む中で日本経済を立て直すためにどのような改革を進めていくのかが問われており、国内的には進み行く少子高齢化にどう対応していくのかが問われております。そして言葉のとおり地球規模で深刻化する地球温暖化など環境悪化の中でどのように地球環境を保全していくのかという時代的なテーマが浮かび上がっております。 私たちの身の周りでもどんどん情報化が進んでおります。20世紀後半の情報化はワープロやファクス、コピーなどでありましたが、今やパソコン、携帯電話、BSデジタルテレビの時代に移り、典型的な20世紀人間である私などは分かったような顔をしておりますが、実は、もはや付いていけないという思いでうろうろしているばかりであります。先般のみずほ金融グループの統合に伴うコンピューターシステムの混乱は、逆に私たちの生活がどれほどコンピューターに依存しているかを示す好例となりました。 国際化、グローバリゼーションについては多くを語る必要もありませんが、東西冷戦構造の崩壊により世界単一市場化が達成され、中国などから安価な農産物、工業製品が大量に流れ込み日本経済不振の大きな要因となっております。少子高齢化の進行は、教育問題をはじめ医療、福祉、年金などの各分野にいや応のない改革を迫っております。地球温暖化の進行など環境問題については後に触れたいと思いますが、不況による財政悪化の中で国も地方自治体もやるべきことが山積している状況であります。以上のような認識をベースとして以下京都市政にかかわる七つの点について順次質問致します。 〔磯辺議長退席、高嶋副議長着席〕
◆(
宇都宮壮一議員) (続)4月7日投票の京都府知事選挙では、私どもが推薦した山田啓二候補が知事に初当選されました。この間、桝本市長は、私たちの設営した演説会の応援弁士や街頭演説の弁士を務められるなど府市協調のできる唯一の候補者として山田候補の応援に奮闘されたことに敬意を表するものであります。私たち与党4会派は、選挙に入る前に、1.30人学級を目指す教育行政や福祉行政での府市協調、2.地下鉄東西線の延伸事業やJR山陰線の複線高架化事業への京都府の協力、3.市内行政区とマッチした警察行政の推進などの要望書を山田候補に提出、山田候補も快諾されたわけであります。今後、山田新知事と府市協調を進めていただきたいと考えておりますが、過去6年間続いて参りました荒巻知事、桝本市長の府市協調、協議と少し様変わりして、年齢、首長経験ともに桝本市長が先輩として協議に当たられることとなりますが、府市協調の実が上がるようしっかり協議されますよう要望申し上げます。 今回の知事選挙を通じて府市の制度上の問題が論議されたことが一つの特徴でありました。選挙直前の本年2月に京阪神3都市市長会議で各市長が府県から都市が独立して行政を進める特別市制度の実現に意欲を示されたこともきっかけの一つでありました。京都市内の府議会議員は何をしているのか、市内の府議会議員の定数を減らせなどの意見が聞かれ、現実の問題として京都市民にとって府の行政の姿が見えるのは警察行政と府立高校くらいのもので、自然に京都市内での選挙戦は擬似国政選挙の様相を呈していたのであります。10年前から始まった地方分権の論議が進み地方分権推進法が施行され、現在分権の受皿である地方自治体の在り方として全国的に市町村合併が現実のものとなってきております。10年前の地方分権の論議が巻き起こったころ民間では道州制への論調が活発でありましたが、地方分権推進委員会では、都道府県サイドの反対があったかどうかは別として道州制には触れないとされ、国、府県、市町村の現行制度の枠内で論議が進められました。しかし、現実に市町村合併が進み、例えば鳥取県では二つの市しか残らないということになってくる。京都、大阪、神戸が府県から抜けて特別市になるとなれば、残る府県はもたないということになって再び道州制の論議が出てくるのではないかと思われます。京都府にしてみれば260万府民の中から146万京都市民が抜けた残りの114万府民でどんな行政がやれるのかということになります。私は、特別市制実現の道は、道州制への移行と並行して進むしかないのではないか。交通、通信手段の発達した今日、廃藩置県の言葉どおり江戸時代から引きずっている府県の制度は必ず揺らいでくるとの中期展望を持っておりますが、市長の御所見をお伺い致します。 昨年の予算議会で私は本会議質問に立ち、財政危機の問題に触れ臨時財政対策債いわゆる赤字地方債の活用と市庁舎整備基金から113億円の借入れなどの超やりくり予算であることを指摘しましたが、一方ではその前年度の800億円の市債発行予定額を550億円へ250億円も抑え込んだことを評価したのであります。しかしながら、年度末の2月補正で113億円の借入れには手を付けなかったものの232億円の市債の追加発行を行うなど前年度を超える870億円の市債発行になってしまいました。平成14年度予算についても、臨時財政対策債170億円に加えて財政健全化債103億円を含め716億円の市債発行を予定、一方、借金の返済である公債費は892億円と膨らんできております。特に14年度は一般職員を含む賃金カットなど指定都市の中でも最も厳しい対応をしながらの借金財政であり、いつになったら財政の健全化はできるのか、国の借金体質の地方への拡散の流れに巻き込まれているのではないかと不安は募るばかりであります。市債の発行による事業の推進は、世代間の負担の公平の名の下に、実はインフレによる借金の目減りを前提にした手法であり、デフレのときは低金利という利点もありますが、デフレ経済の時代には考え方を変えて対応しなければならないと思うわけであります。市債の発行水準について市長の御所見をお伺い致します。 5月1日、例年のとおり私はメーデーに参加致しました。今年のメーデーは、雇用対策一色、ほとんどの労働組合で賃上げはなく、雇用を守るのが精一杯の現状であります。完全失業者数は全国で350万人を超え、とりわけ近畿圏の失業率は高く深刻な社会問題となっております。私の中学生当時、父親が失業して辛い思いをしてきました。養うべき妻子がありながら働きたくても働けない。こんな辛いことはありません。現在の日本の政治が直面する最大の課題は失業問題であると私は考えております。しかし、雇用問題、失業問題は国、都道府県の仕事であって、本市として対応できる分野は国の緊急雇用対策交付金を活用して行うなどわずかなものに限られております。先般、本市は新たな雇用機会の創出についてという発表を行い、平成13年度に実施した勧奨退職による財政効果の一部を原資として、14から15年度の2年間に合わせて120人の臨時職員を採用することと致しました。財政非常事態宣言の下、厳しい状況の中での緊急雇用対策を実施される決断を評価するものでありますが、行政のスリム化を進める方向と市民の求める緊急雇用対策で臨時とはいえ市が直接採用する方向は矛盾する面があり、考え方を整理して今後の緊急雇用対策に当たっていただきたいと思っております。 指定都市である本市がやり得る、そしてやらなければならない雇用対策は地域経済の振興、地域産業の振興であります。そのため本市は今年3月京都市スーパーテクノシティ構想を発表、京都にある優れた技術、技能、研究成果、ビジネスモデル等の多様な資源の融合により新たなものづくりが次々とわき出てくること、すなわち創発することを目指し様々な産業活性化策を盛り込んだと説明しております。そして、その中心の柱となっているのは産業界と大学などの研究機関の融合を本市など公共団体が促進することにより、すなわち産学公の連携により新たなベンチャー企業を創出していくことにあります。少し余談的になりますが、この構想を取りまとめられた21世紀産業振興ビジョン策定委員会の委員長を務められた吉田和男京都大学教授は、一時知事選挙の候補者として名前の上がった方であり、候補者選考の経過を考えますと産業界のこの構想に対する大きな期待感を感じることができます。 京都はベンチャー企業のふるさととも言われております。かつてベンチャー企業であった多くの企業が今や世界的企業へと成長し、京都の経済、雇用を支えている現状を見ますと、これらの元ベンチャー企業が育っていなければ京都は衰退し雇用事情ももっと悪化していたと思うのであります。ベンチャー企業が育つには、アメリカのシリコンバレーに見られますように一定の条件があると言われております。その条件とは、大学などの研究機関が存在し、古くからの知的集積があり、ベンチャーを育てる資本があることであります。このような条件を京都は備えているからこそベンチャー企業のふるさとと言われるのであります。不況から脱出し、景気回復が始まるとき、それは従来型産業の再生というよりは、必ずそこには技術革新があり新しい産業の発展があります。今、新しい産業分野と言われているナノテクノロジー、バイオテクノロジーをどこの地域、どこの都市が企業化、産業化していくかという都市間競争が始まっており、これらの分野でベンチャー企業を育成していくことこそ京都の経済、雇用問題を解決する決定打になると私は考えております。このような考え方は平成16年から独立行政法人への移行が迫られている京都大学などの国立大学にもあり、産学公の連携による知的クラスターの構築の準備が進められ、本年4月、文部科学省から京都ナノテク事業創成クラスターとして全国で12地域のうちの一つとして指定を受けたわけであります。そこで京大桂キャンパスに移転する京大国際融合創造センターが中心となって進めるこの知的クラスターの指定は、本市のスーパーテクノシティ構想とどのような関係を持つのか。仏作って魂を入れることになるのかどうかお伺い致します。併せてこの知的クラスター事業の推進に当たって本市の担う役割は何か、市民にとってどのような成果が期待されるのかお伺い致します。 本年4月から小学校、中学校において完全週5日制が実施され、文部科学省の新しい学習指導要領に基づく教育が進められることになり教育改革元年とも言われております。先月、市立堀川高校から報告書が届き、国公立大学へ106名が合格、私立大学にも218名の合格、大躍進を遂げたとのことでありました。この成果は平成7年に設置された
京都市立高校21
世紀構想委員会の答申に基づき、
市立高校改革のパイロット校として位置付けられ、人間探究科、自然探究科を設置するなどの改革を進めてきた成果であると報告されております。大学進学だけが高校教育の目的ではありませんが、学力の向上は高校教育の基本であり大学進学率の向上を私は高く評価する者の一人であります。そこで今年の堀川高校進学率躍進のポイントはどこにあったのか教育長の御所見をお伺い致します。 さて、先ほどの本市スーパーテクノシティ構想の中に教育に関して興味深い記述があります。すなわち21世紀の経済社会に対応できる起業家精神の旺盛な人材の育成と市立
西京商業高校において21世紀の経済社会で活躍できる人材の育成を目指した新学科を開設するというものであり、教育改革の一つの方向として思い切った方針を打ち出していると思われます。地域経済の振興にとって人材の育成が必要であることは言うまでもありません。また一人一人の子供たちにとっても難しい社会経済情勢が続くと思われる21世紀の時代をたくましく生き抜く力を付けることは重要なことであります。現在校舎の全面改築が進められております
西京商業高校の教育改革について、何を目指しどのような新学科を開設されるのか、
中高一貫教育をやるのではないかとも言われておりますが、方針をお伺い致します。 今年は桜の開花が例年より約2週間早く様々な影響が出ております。桜だけでなく、5月の花とされる山吹が4月の終わりに散っており、5月の初めに藤の花が終わっております。例年、嵐山の桜の季節は大勢の観光客が押し寄せ、罧原堤から四条通りに掛けて車の大渋滞が発生しておりましたが、今年はさしたる渋滞も発生しませんでした。桜のタイミングがずれて宿泊施設のキャンセルが続出し、観光業界は期待外れに終わったと嘆いております。京都は桜と紅葉を中心に季節感に富んだ観光をアピールしており、異常気象はこたえるのであります。私は、五七五七七の短歌を趣味としておりますが、私の最も好きな歌の一つに、夕光のなかにまぶしく花みちてしだれ桜は輝を垂るという歌があります。これはアララギ派の歌人佐藤佐太郎が昭和43年4月、京都二条城のしだれ桜を見て詠んだ歌であります。同じ桜を歌った歌で4月末の朝日新聞の短歌欄に載った歌があります。2002年騙し絵の春セルロイドの造花みたいにさくらは咲いて。この歌に私は強い印象を受けました。純粋に桜の美しさを歌った先の歌とは様変わりして、狂い咲きにも近い今年の早咲きの桜に作者は地球の異常を読み、現在の社会のうそっぽさを鋭く捕らえているのであります。今年はまたちょうの生息分布が北へ広がっているとか、南方系の害虫も北上を始めているとかの報道がしばしば見られ、温暖化の生きたあかしとして昆虫の分布や植物の植生の変化が心配されています。今年の開花の時期のずれは一年のみの異常気象によるものではなく、地球温暖化の進行を物語っているものにほかなりません。いよいよ地球温暖化が観光不振という具体的な影響を現し始めたのであります。色々対策してみても地球温暖化はもう防止できない所まで来ているという悲観的な意見もありますが、私は、21世紀において環境保全こそ人類が取り組むべき最重要課題の一つであると考えております。本市は平成9年COP3地球温暖化防止京都会議が開催され京都議定書が作られた都市として世界に向けて地球温暖化防止に関する情報を発信し続けていく重要な役割があります。環境に優しいライフスタイルについて本市が昨年11月に実施したアンケートの結果がこの程発表されましたが、都心部へのマイカー乗入れ抑制については72パーセントの市民が賛成と答え、何らかの対策を望んでいることをうかがわせております。この度、地球温暖化対策地域推進計画の見直しを行うべく京都市環境審議会から答申が出され、内容としては、炭酸ガス10パーセント削減を目指し仮称地球温暖化防止条例の制定など大きく踏み込んだものとなっております。地球温暖化防止へ具体的な行動を起こし、そのことを世界に発信していく意味から、この答申を受けて市長はどう対応されるのか、前向きな姿勢を期待しつつ御所見をお伺い致します。 50年に一度の制度の大改革と言われました介護保険制度が導入されて丸2年が経過致しました。昨年の秋から経過措置として半額に抑えられていた1号被保険者の保険料も全額徴収となり、制度本来の姿になって半年以上が経過致しました。この制度は、特別養護老人ホームなどの施設福祉だけでなくデイサービスセンターやホームヘルパーの派遣、高齢者住宅の改造など在宅福祉の分野も制度的に保障し、より人間らしい高齢者の暮らしを保障するため、むしろ在宅福祉の分野を拡大していくことが制度導入の目的の一つに挙げられておりました。ところが今春市内に定員60名の新しい特別養護老人ホームが開設されましたが、このホームに対し800名の入所希望が殺到したとお聞きして少なからぬ衝撃を受けたわけであります。介護保険制度導入以前、特養への待機者が2,000名を超えたと論議しておりましたが、そのころと実態が余り変わっていないのではないか、在宅福祉にはケアマネジャー、その他の手間暇が掛かるので安易に入所を希望するのか、実態をどのように把握されているのかお伺い致します。 いずれに致しましても制度的に安定している施設福祉の方へ流れやすいのは事実でありましょう。しかしながら、高齢者にとって住み慣れた家で住み慣れた地域社会で支援を受けながらでも生きていくことの方がより人間的な生き方であることに間違いはありません。今年、京都市社会福祉協議会は創設50周年を迎えます。この間、市社協、区社協、学区社協の三層構造が確立し、地域福祉、在宅福祉の普及、実践、充実に取り組んでこられました。介護保険制度導入の目的の一つでもある在宅福祉の充実のため市社協と協議するなどその取組の強化を求めるものでありますが御所見をお伺い致します。 建都1200年の記念事業として地下鉄東西線の建設、みやこめっせ、コンサートホール、JR京都駅などの建設事業が華々しく進められましたが、これらの事業は、平安京の時代の都の東西を分ける朱雀大路、現在の千本通りでありますがこの朱雀大路より東ばかりで進められ、江戸時代以来、京都は東山の方へ大きく片寄ってきました。21世紀の京都のまちづくりは西部にありと私は予算委員会などで訴えてきたところであります。最近になって地下鉄東西線の西伸が決まり、御池通りの二条駅御前間が開通し、右京ふれあい文化会館が完成、西京極プールも間もなく完成、更に京大桂キャンパスが建設中と市西部で多くの予算が投入され、まちづくりが進み始めましたことは誠に喜ばしいことであります。今後の課題として、1.地下鉄東西線の洛西ニュータウンへの延伸、2.葛野大路の北伸、3.桂川架橋と桂川街道の北伸など多くの課題があり、今後のまちづくりを巡って住民の間には様々な意見や質問が起こっております。そこで今後のまちづくりにとって重要と思われる以下の点について質問致します。 第1に、天神川までは先輩の努力により立派な御池通りがありましたが、地下鉄東西線の天神川以西、桂川街道までの間は幹線街路がなく建設が最も困難な区間になります。年月が掛かっても御池通りを西に延ばし桂川街道を北伸させてこれとつなぎ、その下に地下鉄を走らせるのか、あるいは住宅地の下を掘っても洛西ニュータウンへの延伸を急ぐなど他の方策を採られるのか、財政事情も含め基本的な考えをお示しください。第2に、当面の終着駅となる仮称天神川駅周辺は、乗客数の増加を図るためにぎわい施設として右京区総合庁舎、そして地域体育館を建設する整備計画がまとめられました。このこと自体は右京区の発展にとって大きなプラスであり歓迎されておりますが、天神川駅の真東に水道局の山ノ内浄水場があり、飲料水の安全確保のため一般市民の立入りを禁止する極めて非にぎわい的な施設であります。地下鉄計画よりはるか以前に建設された浄水場であり誰が悪いというわけではありませんが、同じ京都市の施設として都市計画的見地から整合性がないと言わざるを得ません。巨額の費用を投じて建設された浄水場を今すぐどうこうせよという話ではありませんが、将来的にどのように考えるのかお伺い致します。以上をもちまして私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(高嶋弘恵) 桝本市長。 〔
桝本市長登壇〕
◎市長(桝本頼兼)
宇都宮壮一議員の御質問にお答え致します。 まず道州制と特別市制度についてでございます。宇都宮議員御指摘のとおり、現在市町村合併が各地で具体的に検討されているところであり、今後大規模な合併が行われ、また市町村への権限等の移譲が進めば都道府県の役割は広域的自治体として市町村の調整や市町村の規模、能力に応じた補完、支援等に純化され、必然的に都道府県の在り方が問われることになると考えております。現在の府県の区域は、明治21年に香川県が設置されたのを最後に100年以上も基本的に変わっておらず、当時と比べおっしゃるとおり交通、情報、通信手段が比較にならないほど発達していることや府県の区域を越えて生活圏、都市圏が形成されている状況を考慮すれば、都道府県の在り方やその区域の拡大を検討すべき時期に来ていると見て間違いないと存じております。現在国の地方制度調査会においても道州制の導入を含めた都道府県の在り方などについて検討が行われているところでございますが、現実問題としては道州制の導入には相当の期間を要するのではないかと認識致しております。私が新たな大都市制度の方向として目指している特別市構想は、府県の権限や財源を市に一元化しようとするものであり、都道府県と市町村という現在の地方制度の枠組みそのものの見直しや道州制の論議にもつながって参るものであると見ております。私は、21世紀における我が国の活力の源泉は大都市にあると考えており、都市の再生なくして日本の展望は開けないということを他の指定都市とも連携して国に対して強く強く今後とも求めて参りたいと考えております。具体的には、まず大阪市、神戸市と新たな大都市制度について実務者レベルでの協議、検討を始めるほか、既に庁内に
プロジェクトチームを設置したところであり、今後、特別市制度や京都府との二重行政の解消に向けた検討を精力的に行うなど地方分権の時代にふさわしい大都市制度に向けた議論を積極的に展望しつつ具体策の早期化を図って参りたいと考えております。 次に、市債の発行水準についてのお尋ねでございます。本市におきましては、市民の福祉を向上させるため特別養護老人ホーム等の介護基盤、保育所、児童館、学校等の身近な施設整備から京都発展に不可欠な
都市基盤整備に至るまでバランスよく市債を活用しての整備を進めて参りました。また平成13年度以降、自主的、主体的な地方財政運営を確保するため地方交付税に代わる財源措置として臨時財政対策債の導入がなされるといった国の制度改正も本市の市債依存度を高める要因となっている面もございます。財政基盤が脆弱な京都市と致しましては、これまでから市債の発行に際し可能な限り交付税措置のある有利な市債を活用し、将来の財政負担が過大なものとならないよう努めて参りました。そもそも市債の発行水準を考えるに当たっては、後年度の元利償還金と標準的な財政規模とのバランスを保つことが重要であるのは御指摘のとおりであります。その指標となるいわゆる起債制限比率が20パーセントを超えると市債発行が制限されますが、本市におきましては、ピーク時を0.5ポイント下回る13.0パーセントとなり、指定都市平均をも下回る水準にまで改善して参ったところでございます。しかしながら、デフレ経済の時代にあっては予算規模の縮小などにより公債費の負担比率が上昇し、一層財政を圧迫することは宇都宮議員御指摘のとおりでございます。今後の市債発行に当たりましては、起債制限比率が上昇することのないよう、これまでにも増して市債発行規模の適正な管理に努めて参りたい決意でございます。 次に、スーパーテクノシティ構想及び知的クラスターの指定に関する質問にお答え致します。議員御指摘のベンチャー企業創出などを大きな柱とする本市構想の実現にとりまして知的クラスター創成事業の推進は欠かせないものでございます。このため市議会与党の先生方や国会の先生方、更には産業界の御支援も得つつ京都市の総力を挙げてその採択に向け取り組んで参りました結果、京都市と京都大学が中心となり提案して参りました京都ナノテク事業創成クラスターが全国12地域の一つとして文部科学省の指定を受けることができました。知的クラスター、大変耳慣れない言葉でございますが、知的クラスターは大学を核に、知恵を茎とし地域の研究機関、研究開発型企業を粒とするぶどうの房を作ることにより国際的な競争力のある技術革新の集積を目指すものでございます。今回のクラスター指定は、京都大学桂キャンパスの隣接地において新たな産業振興拠点を目指す桂イノベーションパークの実現に大きく寄与するとともに、21世紀の京都経済を担う新事業の創出が多数期待できるなどスーパーテクノシティ構想の実現に向けた京都市の努力に対して大きな影響を与え、また更なる前進の第一歩になって参ると確信しているところでございます。京都市と致しましては、今後とも産学公連携の下、世界レベルの知的クラスターの構築に向けて積極的に取り組み、京都経済の活性化を図ることにより市民の皆様の期待にこたえて参る所存でございます。 次に、地球温暖化防止に向けての取組についてでございます。二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスによる地球の温暖化は、集中豪雨など自然災害の増加や食糧危機の深刻化など人類の生存基盤も揺るがす重大な問題でございます。本市では、これまで二酸化炭素10パーセント削減という目標を掲げ多様な取組を進めて参りましたが、自動車の増加などにより温室効果ガス排出量が大幅に増加することが予想される中、一層の強い取組が求められております。私は、COP3開催都市の市長として地球温暖化防止に向けた取組に全力を傾注していくため、本年4月副市長の特命事項として全国でも例のない地球温暖化対策を担当することとしたところでございます。先日、京都市環境審議会から八つの重点的に取り組むべき項目を含む17の充実強化対策についての御答申を頂きました。今後この答申を踏まえ京都市地球温暖化対策地域推進計画を見直し実効性のある取組を進めるとともに、ストップザ温暖化京都市民会議の開催や今春オープン致しました京エコロジーセンターを核とした地球温暖化問題についての普及啓発、市役所本庁舎におけるISO14001の認証取得に向けた取組を開始して参ります。私は、京都が世界の先頭に立って地球温暖化防止に向けた取組をリードしていくため温室効果ガス10パーセントの削減がいかに困難な状況にあろうとも不退転の決意をもって具体的な政策を積極的に推進して参りたいと決意する次第でございます。 以下、副市長、教育長及び局長が御答弁申し上げます。
○副議長(高嶋弘恵) 河内副市長。 〔河内副市長登壇〕
◎副市長(河内隆) 地下鉄西伸とそのための
都市基盤整備についてのお尋ねにお答え致します。地下鉄東西線の二条以西洛西までの延伸につきましては、京都市西部地域の発展はもとより京都大学の桂キャンパスへの足の確保のためにも是非とも必要な都市施設であると考えております。また平成12年度に国土交通省において実施された都市鉄道調査の中でも一定の整備効果及び採算性の確保が見込まれるとされており、こうした中で交通事業の経営状況や本市の財政状況を考慮して段階的に整備することとし、現在平成19年度中の開通を目標に二条から天神川までの整備に全力を傾けているところでございます。地下鉄東西線の天神川以西への延伸につきましては、議員御指摘のとおりその導入空間となる道路の整備が大変重要でありまして、当面御池通りの延伸を優先して整備に努めて参ります。今後これら道路の整備状況や大変厳しい交通事業の経営状況及び本市の財政状況などを勘案しながら検討して参りたいと考えております。以上でございます。
○副議長(高嶋弘恵) 松井副市長。 〔松井副市長登壇〕
◎副市長(松井珍男子) 山ノ内浄水場のお尋ねについてお答え致します。仮称でございますが天神川駅周辺整備事業につきましては、天神川駅を中心に交通拠点として整備するとともに、人々が集いにぎわう右京区の新しい拠点づくり、安心して住み続けられる持続性のあるまちづくりをコンセプトに平成19年度の事業完了に向けて鋭意取組を進めているところでございます。しかしながら、議員御指摘のとおり天神川駅の東には広い面積を有する山ノ内浄水場がございます。この浄水場は、市民生活に欠かすことのできない飲み水を供給するという重要な施設であるため法律上も安全かつ衛生的な措置を講ずることを義務付けられており、市民の皆様の立入りを制限するなどの措置を行っていることから、人々が集いにぎわう拠点というまちの姿とは趣を異にするものでございます。将来、施設の抜本的な更新を図る際には周辺のまちづくりと調和のとれた施設づくりに向け新たな発想も採り入れながら研究して参りたいと考えております。以上でございます。
○副議長(高嶋弘恵) 西保健福祉局長。 〔西保健福祉局長登壇〕
◎保健福祉局長(西晴行) 地域福祉、在宅福祉の充実についてでございますが、本市におきましては、介護保険制度の円滑な運営と共に介護保険の対象とならない高齢者の方々を含めた保健福祉施策全体を充実し、高齢者の方々が住み慣れた地域で生き生きと健やかに暮らしていただくことが極めて重要であると考えております。介護保険制度施行後の特別養護老人ホームの入所申込者の状況につきましては、平成14年1月に実施した実態調査の結果、在宅の方で2,033人となっておりますが、この中には予約的に申込みされた方もあり、その実態を現在分析しているところであります。また、国においては在宅サービスの充実に向けケアマネジャーの介護報酬単価や支援方策を含めた制度の見直しの議論がなされております。本年度50周年を迎える京都市社会福祉協議会につきましては、地域福祉の推進を図る中核的な団体として長年にわたり地域に根差し住民を主体とした福祉活動の取組を幅広く展開されており、本市におきましては、配食サービスや健康すこやか学級、老人福祉センターの運営等の事業の担い手として重要な役割を果たしていただいているほか、平成15年度には現在菊浜小学校跡地に建設中の地域福祉活動の拠点となるボランティアセンターの運営を行っていただくことになっております。地域福祉や在宅福祉の充実を図る観点から今後とも一層社会福祉協議会との関係を深め、高齢者の方々が健やかで安心して暮らしていただけるよう、また長生きすることを誰もが喜び合える豊かで活力ある長寿社会の実現に向け努めて参ります。以上でございます。
○副議長(高嶋弘恵) 門川教育長。 〔門川教育長登壇〕
◎教育長(門川大作) 堀川高校の大学進学の躍進についてでありますが、今春の進学実績は、生徒と教職員が日々真剣勝負を繰り広げ共にたゆまぬ挑戦を続けてきたことが結実したものと受け止めております。かつて京都の公立高校が長期低落傾向にあると指摘されたことで多くの識者や市民の方々のお声にこたえるため堀川高校を京都
市立高校改革のパイロット校として位置付けて以来、堀川高校におきましては教職員が意識改革を図りつつパイオニアとしての自覚を持ち、昼夜を分かたず生徒の知的探求心や創造性、更には豊かな人間性を涵養する教育実践に努めて参りました。具体的には希望大学への進路実現を目指す計画的な学習指導や専門科目探求基礎などにおける主体的学習活動を中心に7時限目授業や補習、学習合宿の実施など生徒の旺盛な学習意欲に徹底的にこたえ、生徒一人一人の個性と将来の進路展望に応じたきめ細かな指導を行い、将来の大学での専門研究に必要な総合的な学力と人間性を培ってきたところであります。堀川高校の改革を成功させることは、高校のみならず小中学校を含めた本市の公教育の信頼向上につながるものであり、その成果を単に1校の改革にとどめることなく、市民の方々の期待にこたえる本市教育の改革につなげて参りたいと決意しております。 次に、西京高校の改革についてでありますが、商業科を廃止し、市民のニーズに対応した新生西京を創造すべく学校と一丸となって新学科
エンタープライジング科の開設に全力を傾注しております。新学科では、学科名に込められた進取の気性、あえて困難なことに挑戦する精神を持った次代に対応できる豊かな知識に裏打ちされた独創的な発想力や積極果敢な行動力を兼ね備えた21世紀をリードする人材の育成を目指して参ります。そのため学科内に自然科学系及び社会科学系の二つのコースを設け、大学、更には大学院への進学を前提とした高度な授業を展開し、創造的コミュニケーション能力や情報活用能力の育成と確かな進路実現を図って参ります。また起業家精神の涵養を図る教育につきましても新校舎の最先端設備や伝統産業とハイテク産業やベンチャー企業が共生するまち、更には国際文化と大学のまち京都の豊かな人的、物的財産の更なる活用を図るとともに、高等学校、コンソーシアム京都などの関係機関と密接な連携を強化しその充実に努めて参ります。なお
中高一貫教育につきましても、新学科が目指す教育をより効果あるものとするため6年間の一貫した教育理念の下、弾力的な教育課程による教育の実践が可能となるよう併設型の
中高一貫教育を平成17年度に導入致します。以上でございます。
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○副議長(高嶋弘恵) 次に、市政一般について、
井上教子議員に発言を許します。
井上教子議員。 〔
井上教子議員登壇(拍手)〕
◆(
井上教子議員) 下京区選出の井上教子でございます。公明党京都市会議員団を代表して市政一般について質問させていただきます。私が最後の質問者となりますので質問が重なることがあるかもしれませんが、理事者におかれましては誠意ある前向きな御答弁をよろしくお願い申し上げます。 まず最初に男女共同参画社会推進についてお尋ね致します。急速な少子高齢化社会が進んでいる今日でございますが、現在の少子化は、1人の女性が産む子供の数が減ったのではなく、結婚して子供を産む女性が減ったからだと言われております。女性の社会進出が進む中で、仕事を続けながら結婚、出産という選択をしようとしたときに企業や社会のバックアップがほとんどなく、そのため女性たちは結婚にメリットを感じなくなってしまいました。未婚の女性が増えることで未婚の男性も増えております。つまり社会の制度が転換しないうちに個人化がどんどん進んでいるのです。静岡大学の馬居政幸教授は、性差から個人差への社会システムの転換をと題した講演の中で次のように述べられております。男女にかかわらず単身者は親の介護と仕事の両立、自分の老後の心配など夫婦中心の家とは異なる様々な課題を抱えています。少子高齢社会の課題解決のかぎは、男性も女性も一人一人が自立した人間である。自立した人間同士が共同生活をするという人と人の在り方を支えるシステムへの転換です。しかも、その実現の遅れが日本社会を崩壊させかねないという状況がすぐそこまで来ているという切実感を持っていただきたいと。21世紀は女性の世紀、このように申しますと男性中心から女性中心の社会への変革を目指しているのかと誤解されることがありますが、男女共同参画社会の実現は21世紀の日本にとって避けて通れない国民的な課題であり、女性が生き生きと働き活躍できる社会は男性にとっても安心できる社会であり希望あふれる未来を開くかぎにほかならないのです。 本市では、この程きょうと男女共同参画推進プランが策定されました。これは学識経験者等で構成する京都市男女共同参画懇話会からの提言を基に市民意識実態調査の結果や市民意見も踏まえて検討されました。その内容は、女性と男性が等しく個人として尊重され、性別によらない多様な生き方が保障されるとともに、あらゆる場において共に責任を担いつつ個性と能力を発揮することができる男女共同参画社会の実現を理念として、女性と男性が共に安心して働き続けられる環境づくりなど六つの基本目標を提示し、それを実現するため平成22年度までに取り組む70項目の推進施策を掲げています。近年、少子高齢化の進行、経済、産業の構造変革、高度情報化の進展など市民を取り巻く社会経済情勢が急速に変化する中で男女が共に充実した豊かな暮らしを営んでいけるようにするためには、女性に対する暴力の根絶、性別役割分担意識の解消、仕事と家庭の両立支援、政策方針決定への女性の登用促進など解決しなければならない課題が今なお残されております。そのため本市においては男女共同参画社会の実現を重要施策の一つと位置付け、市民、事業者等との連携、協力の下、教育、福祉など広範な分野に及ぶ取組を総合的、効果的に進めていく必要があります。そこで男女共同参画社会の実現に向けた取組に関して次の2点についてお伺いします。国は、平成13年1月、内閣府に男女共同参画局を設置するなど推進体制の整備を図っています。本市においても、きょうと男女共同参画推進プランや今後制定を予定している男女共同参画推進条例を全庁的に推進していくことが重要であると考えますがいかがですか。桝本市長の御所見をお聞かせください。京都市男女共同参画懇話会は、本年中に男女共同参画推進条例策定のための答申をされると伺っております。全国政令市初の女性議長、副議長が誕生した京都市議会でございます。その意義ある年に是非議長、副議長出席の下に市民代表の女性議会を開催するなど京都らしさをアピールし、多くの女性の声を条例制定に反映させていただきたいと思いますがいかがですか。また条例制定に当たってどのように市民の意見を集約され京都らしい内容にされていくのか具体的にその方法とスケジュールをお聞かせください。 次に、教育問題について何点かお伺い致します。まず初めに学校週5日制についてであります。いよいよ本年4月1日の新学期から新学習指導要領と完全学校週5日制がスタート致しました。マスコミ等でもこのことが大きく採り上げられていることもあり、学習内容が減ることで学力低下を招くのではないかとか家庭や地域は子供たちとどのようにかかわっていけばよいのかなど、これまでになく家庭や地域などの社会全体の大きな関心事となっていると同時に、特に保護者にとって不安になっていることも事実です。私も地元小学校のPTAの役員として活動する中で子供たちにどのように充実した土曜、日曜を過ごさせるのかということは大きな課題だと感じております。このような不安に対して、今、明確に説明していくことが求められております。もちろんこの週5日制は急に決まったことではなく平成4年には月1回、平成7年からは月2回というように段階的に実施されてきたもので、休日の土曜日の過ごし方のアンケート調査などを基に色々な観点からの議論が行われて参りました。本市においては平成13年7月に京都市新世紀教育改革推進プロジェクトが発足、完全学校週5日制の実施に向けた条件整備や子供たちの学力保障、開かれた学校づくりなどについて市民参加の下で検討が進められてきました。人づくり21世紀委員会では、週5日制実施1箇月前に京都市PTA連絡協議会、市立学校長会、京都市教育委員会と連名で学校、家庭、地域がそれぞれどのような役割を果たすべきかを明確にしアピールを行いました。また子どもエンジョイ通信では、人づくり委員会の幹事団体が実施している事業の紹介がされ、ホームページには子育てに役立つ情報が数多く発信されています。このような積極的な情報発信は家庭や地域からも大変喜ばれているところですが、学校週5日制を本当の意味で子供たちが家庭や地域の中で生き生きと成長できる制度としていくためにも、現場の中で課題となっていることを明確にしなければなりません。そしてそれを克服していくためにはどうすればよいかを議論し、すばらしい取組をしていただいている所の情報を交換するなど、子供、保護者や地域などの現場の意見を反映できる体制づくりが必要であると考えます。例えば全国で一番進んでいる学校評議員制度や今後導入される学校評価システムを活用することも重要であると考えますがいかがですか。また、全国的なデータでは土、日に親が休みとなっている家庭は48パーセントとなっています。52パーセントの家庭の子供たちは親がいない中で土、日を過ごすことになります。子供たちが土曜日を有効に過ごすためには、家庭、地域、学校の連携の下、対策がなされていく必要がありますが、特に学校はその場合の拠点施設となると考えます。したがって学校週5日制を本来の目的に沿って進めていくためには学校の活用が不可欠だと思いますが、教育委員会として学校施設の活用という視点でどのような具体策を進めていかれるのかお示しください。 次に、学校施設の整備についてお尋ね致します。活字離れが指摘される現代にあって読書が持つ教育効果が今改めて注目を集めています。私たち公明党はかねてより青少年の健全育成の問題に真摯に取り組んで参りました。その中で子供時代の読書の重要性に着目し、子ども読書年の2001年1月には党女性委員会の中に子ども読書運動
プロジェクトチームを設置致しました。これまで地域のボランティア団体などと連携を図りながら読み聞かせ運動や学校での朝の読書運動を推進して参りました。このような取組が昨年の12月5日、子ども読書推進法の成立という形で実を結び、4月23日を子ども読書の日と定められました。本市においても具体的な子供の読書活動の振興施策について幅広い観点から研究、検討し提言を行うため、4月21日に樋口和彦京都文教大学学長を座長とする京都市子ども読書活動振興市民会議が発足し、早速活発に議論されたと伺っております。また子ども読書の日を記念して子供たちをパネラーにした読書フォーラムや全市19図書館で読み聞かせや紙芝居など様々な取組が実施され好評を博しました。これからもこのような運動を積極的に取り組んでいただきたいと思います。また今後これらの運動の展開と共に必要となるのは子供たちの読書環境の整備です。そこで是非ともお願いしたいことは学校図書室の冷房化です。学校図書室の冷房化は平成13年度末で小学校で86.6パーセント、中学校で90.7パーセントまで整備が完了しておりますが、平成14年度から国の補助制度の適用基準が変更されたと聞いており、この整備自体がストップしてしまわないか危惧しております。子供たちにより落ち着いた読書環境を確保するため、図書整備費の一層の拡充と共に早急に全校の図書室冷房化を実現していただきたいと思いますがいかがですか。 次に、学校施設の整備についてもう1点お尋ね致します。京都のまちに息づく歴史と伝統の中で地域社会の中心となっている学校は、単に子供たちの教育の場としてだけでなく、生涯学習や防災面でも重要な拠点であります。こうした観点から本市では校舎や体育館の増築、改築の際や大規模改修などの機会を捕らえて多目的スペースの整備や生徒の心の居場所となる心の教室の積極的な整備、地域の活動の拠点であるふれあいサロン事業、バリアフリーのためのエレベーターの設置などを計画的に進められており誠に心強い限りであります。同時に学校は1日の生活の大半を過ごす子供たちにとって、何よりもまずゆとりと潤いのある快適な居場所でなければなりません。にもかかわらず、これまでややもすると日の当たらない存在だったのがトイレであります。本市では平成10年度から今年度まで5箇年計画で快適トイレ整備事業として3A、明るく安心でき愛されるトイレを目指して照明の自動点灯や手洗いの自動水栓など省資源化にも取り組まれ、子供たちだけでなく学校施設を利用される保護者や地域の方々にも大変喜ばれております。こうしてこの5年間ですべての学校、幼稚園に最低1箇所は快適トイレが実現するわけですが、児童生徒数の多い学校などでは子供たちが休み時間に殺到するほどの人気であるとも聞いております。厳しい財政事情ではございますが、今後とも是非この快適トイレ整備事業を継続していただきたいと思いますがいかがですか、教育長のお考えをお聞かせください。 次に、昨今大きな教育課題となっておりますいわゆるLD、ADHDの児童生徒の教育問題についてお尋ね致します。全児童の5パーセントが何らかの情緒障害を持っている実態があると言われておりますが、LDとは全体的な知的発達に遅れはないが読み書き等のうち特定のものの習得と使用に著しく困難を示す状態を指す学習障害のことを言い、ADHDは注意欠陥多動性障害のことを言います。従来LD、ADHD、高機能自閉症等と考えられる児童生徒については、一般に知的な発達の遅れが見られないことから就学相談においても普通学級で学ぶことが適切とされながらも、普通学級に在籍した結果、往々にして効果的な教育的手立てが採れず子供の能力を十分に引き出せなかったり、保護者のニーズに対応できないケースもあるのではないでしょうか。また情緒障害は目に見えない障害だけに周囲から理解されず自殺や社会的反抗など2次障害を生じさせる例もあることから、私たち公明党は教育改革第2次提案の中でこれらの障害を持った子供たちへの支援策として保健室や心の相談室などの教育相談体制の整備充実、専門教師の増員やチームティーチングによる指導、個別指導などの体制整備の推進を促しているところですが、幸い本市においては国の学習障害等に関する調査研究協力者会議発足に先立ち平成4年4月から学習障害に関する教育的手法の在り方について調査研究を進めるとともに、昨年は教職員に対して特別な教育的支援を必要とする子供たちに関する研修を実施され、更に今年度には具体的な支援の取組を進められると聞いております。そこで教育長にお尋ねします。一人一人の子供を大切にする教育を進めていただくため、これらの障害を持った子供たちに対して今後どのような考え方で具体的に取組を進められるのかお聞かせください。 次に、介護保険制度についてお伺い致します。平成12年4月に制度がスタートして2年、平成14年3月現在で本市の要介護認定の数は4万934人、65歳以上の高齢者の約15.1パーセント、当初計画の11.7パーセントを大きく上回りました。在宅サービスは大きく伸び、施設サービスもほぼ満杯状態の利用状況となっていることからも関連する事業者の皆様の御努力でおおむね制度の周知ができ、介護の社会化が進んできていると言えますが、どちらかというと制度本来の在宅介護よりも施設介護に比重が掛かっているのではないかと感じます。次期計画を立てるに当たって制度を安定的なものにしていくためには、施設サービスから在宅サービスへいかにシフトさせていくかが大きな課題となっております。そのかぎを握るのはケアマネジャーの資質の向上とその支援であると考えます。私の所に寄せられる介護保険に関する御相談の中で感じることは、ケアマネジャーからの説明や情報提供が不足していること、現在利用している事業者への要望など十分吸い上げられていないのではないかということです。このことを裏付けるように平成14年3月にまとめられた高齢者の生活と健康に関する調査、居宅サービス利用者の単純集計結果を見ますと、現在のケアマネジャーへの要望という問いに対して、サービスや事業者についてもっと情報提供してほしいが15.7パーセント、ケアプラン作成後も訪問や電話を小まめにしてほしいが12.4パーセント、ケアプランの内容について十分説明してほしいが8.8パーセントなどの結果が出ており、ケアマネジャーが利用者の要望に十分にこたえられていない状況もあることがうかがえます。本市においては現在各区役所、支所において対応困難事例等の相談に応じ助言することや、サービス事業者連絡会を開催し情報の提供や事例検討等を通じてケアマネジャーの業務を支援していただいているところですが、施設サービスに比べて在宅サービスのケアプランの作成はケアマネジャーにとって大変負担が大きいと聞いております。利用者の要望を十分に反映できるようケアプランの内容の充実を図ることが必要ですし、ケアプラン作成後も利用者の声を吸い上げて事業者のサービスがケアプランどおりに提供できているかを把握することが大変に重要です。このような観点からケアマネジャーの資質向上のための施策とその支援を具体的にどのように推進していかれるのかお答えください。 次に、介護保険制度における住宅改修についてお尋ね致します。在宅介護サービスを充実させていくためには手すりの取付けや床段差の解消など身体状況に配慮した住宅改修も積極的に行う必要がありますが、現行の制度では利用者がいったん費用の全額を支払わなければならず、これが利用者の大きな負担となっております。大阪市や北九州市では、本市の重度障害者住宅環境整備費助成事業と同じように介護保険での住宅改修について工事完了後に施工業者に費用を保険者である自治体が直接支払う方式を採り利用者に大変喜ばれているということです。是非本市においてもこの方式を採用し、利用者の負担を軽くし住み慣れた地域で介護サービスが受けられるよう制度の改善をする必要があると考えますがいかがでしょうか。 次に、京都市交通バリアフリー基本構想についてお尋ねします。近年日本においても障害者や高齢者の福祉はどうあるべきかという議論が活発にされるようになり、バリアフリーやノーマライゼーションという言葉はかなり定着してきた感が致します。今まではどちらかというと障害者は特別の人たちで保護すべきものだという意識が社会一般にあったと思います。障害者を納税者にをテーマに活動するプロップステーションの理事長である竹中ナミさんは、重度の心身障害者である娘さんの介護を通して次のように語っておられます。障害を持つ方々は実は色々な可能性を持っているにもかかわらず、今の日本の福祉のシステムの中では気の毒な人、何とかしてあげなければいけない人という位置付けで、それは結局保護であり隔離であり、彼らに何も期待していないことではないかということを強烈に感じたのです。納税者というのは、仕事をし社会参加することによって障害者が自分の誇りを自分自身で取り戻すという意味ですと障害者の可能性を引き出していくことこそが本当の福祉ではないかと訴えておられます。高齢者や障害者がなるべく自力で自分らしい社会や生活自立にチャレンジするためには誰にも使いやすい交通システムを作り上げていくことが必要です。 〔高嶋副議長退席、磯辺議長着席〕
◆(
井上教子議員) (続)そこでお尋ね致します。平成12年11月15日国において交通バリアフリー法が施行されたことを受け、本市においても京都市交通バリアフリー全体構想及び移動円滑化基本構想の策定に向け13年度で全体構想の素案が作成されたところですが、14年度で全体構想を策定するに当たって市民意見をどのように具体的に採り入れていくのかお答えください。バリアフリーはハード的な整備と共に人と人のコミュニケートによる手と心によってつながれてこそ初めて有効で心のバリアフリー社会を実現することが重要であると考えます。そのために市民の皆様がバリアフリーについて理解を深めていただくとともに、ボランティアに関する意識を高めていただくための取組が必要であると思います。国においては一般市民が高齢者、身体障害者の介助体験、擬似体験等を行うことにより交通バリアフリーについての理解を深める交通バリアフリー教室が平成13年9月より全国10箇所で実施され、14年度は更に拡充されていますが、本市として今後重要となる市民意識の向上のための施策を全体構想の中で具体的にどのように位置付け、取組を進めていかれるのかお答えください。また14年度で重点整備地区を2箇所選定するために旅客施設のバリアフリー状況及び地区の状況から見た評価を基にその優先順位が検討されているところですが、特に高齢者や障害者の多い地域、交通機関の利用者の多い地域、行政区はその優先順位が高く緊急を要すると考えますが、この2箇所の選定はいつごろどのような観点で行われるのか具体的にお示しください。 来月6月は環境月間でございます。最後に環境問題を採り上げたいと思います。有害物質であるPCB廃棄物処理対策についてお尋ね致します。PCBは、ポリ塩化ビフェニールと呼ばれ、1929年にアメリカ企業が初めて工業生産を開始して以来、化学的安定性、耐熱性、絶縁性が持てはやされ、我が国でも1954年から生産が始まり、高圧トランスや高圧コンデンサーを中心に盛んに使用されてきました。しかし、1968年に北九州市で起きたカネミ倉庫が製造した食用米ぬか油による中毒事件いわゆるカネミ油症事件でPCBの毒性が社会問題化してからは、72年に行政指導による製造に関する法律の制定、施行によってPCBの製造と輸入、使用が原則禁止とされました。その理由は、言うまでもなくPCBが農薬のDDTやダイオキシン類に似た化学構造を持つ有機塩素系化合物で非常に毒性が強く生命に多大な影響を及ぼすからであります。PCBの製造が禁止されて以来、PCB廃棄物の処理については高温焼却処理も検討されたものの、ダイオキシンなどの有害物質が副次的に生成される危険性があることや、何よりも処理施設建設が十分に進まなかったことからPCB廃棄物やPCBを絶縁油として使用されているトランスやコンデンサー、PCBを含んだ複写用のノーカーボン紙などは現在に至るまで厳重保管が義務付けられております。使用禁止から四半世紀余り、私たちの記憶からはほとんど忘れ去られた存在になっているPCBですが、実際はそのほとんどが処理されずに保管され、一部では使用され続けてきたのが実態でございます。2000年7月には高圧トランスやコンデンサーが未処理のまま約22万台も保管されていることや約1万1000台が紛失している実態が判明しており、教育現場の一部では依然としてPCBが実際に使用されていることも明かになりました。 私たち公明党は、PCB対策についてPCB回収処理法を制定するとともに、PCB廃棄物保管の実態を国が情報公開し、早期回収と無害化処理を講ずるよう主張するなど一貫して環境と安全な生活を守るため奮闘して参りました。こうしたことにより昨年7月に国において有害物質のPCBを含む廃棄物を早期に安全処理するためPCB廃棄物の適正な処理の推進に関する法律が成立し、向こう15年の間にPCB廃棄物を完全に処理することになりました。この程環境省が全国のブロックごとに建設を計画しているPCBの広域処理施設について、大阪市が土地を提供する方針を固めたことが新聞報道されましたが、これが正式に決定すれば近畿2府4県の処理施設用地としてPCB無害化処理に向けて大きな一歩となります。そこで市長にお尋ねします。京都市ではPCB問題は大丈夫なのでしょうか。本市は今日までに有害物質であるPCB廃棄物にどのように対応されてきたのか。特に地下鉄や高圧トランス保管や教育現場での対応などPCBの処理及び保管の実態を具体的数値を挙げて明らかにしていただきたいと思います。また今後は本市として引き続き事業者の適正保管の徹底指導と啓発を図ることはもちろんのこと、広域処理施設への輸送ルートの設定や輸送中の事故防止対策や監視体制、更には中小企業者の保管するPCB廃棄物の処理支援対策など多岐にわたる取組が必要であります。市民の生活環境をPCB汚染から守り、PCB廃棄物を適正に処理するためには全庁体制で取組を進めていくことが必要であります。適正処理の推進体制と今後の計画策定に向けた基本方針についてお答えください。以上をもちまして私の一般質問とさせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(磯辺とし子) 桝本市長。 〔
桝本市長登壇〕
◎市長(桝本頼兼)
井上教子議員の御質問にお答え致します。 まず男女共同参画の推進及び仮称でございますが京都市男女共同参画推進条例の制定についてお答え致します。男女共同参画社会の実現は21世紀の最重要課題の一つであり、本市におきましては、人が輝き未来への夢を彩るまち京都の実現を目指して本年3月にきょうと男女共同参画推進プランを策定致しました。このプランに掲げた各種の施策を着実に実施していくためには市民や事業者等の皆様とのパートナーシップを深めるとともに、庁内の推進体制の一層の強化を図る必要がございます。このため本年4月に共同参画社会推進部を新たに設置し、より総合的かつ効果的に取組を進めるための体制を整備したところでございます。更に従前からの庁内横断組織であります男女共同参画推進会議に加えまして、6月を目途に各局、区に男女共同参画推進員を新設するなど全庁、全職員を挙げてプランを推進していく体制の充実を図ることと致しております。 次に条例の制定についてでありますが、全国の先駆けとなる政令市初の女性議長、副議長の誕生に象徴されるように女性が様々な分野で生き生きと活躍されている京都の先進的な気風を生かしつつ、目指すべき男女共同参画社会の実現に向けて本年4月には京都市男女共同参画懇話会に対し条例に盛り込むべき基本的事項について諮問を行ったところでございます。今後8月下旬を目途に中間まとめを公表し、年内には答申を頂く予定と致しております。この間公聴会を開催するほか女性議会という大変興味深い御提案の趣旨を踏まえながら、より多くの市民の皆様とりわけ女性の方々から御意見をお聴きし、新しい時代の京都にふさわしい男女共同参画社会の実現に向けた確かな指針となる条例として議会にお諮りしたいと考えております。 次に、介護保険制度における住宅改修についてでございます。井上議員御指摘のとおり介護を要する高齢者が住み慣れた地域で在宅生活を続けていくためにはホームヘルプサービスやデイサービスなどの利用に加え生活の場である家庭内において手すりの設置や段差の解消などの改修を行うことは非常に有意義であると存じております。本市の住宅改修制度は、身近な工務店など幅広く御利用いただけるという利点があり、平成13年度の利用実績は5,300件を超えるものとなっております。しかしながら、一方では御指摘のとおり、いったん必要な費用の全額を支払っていただく必要があることから利用しにくい側面もあることは事実であります。このため市民の皆様にとってより利用しやすい制度となるよう次期介護保険事業計画の策定作業の中で実施に向けて積極的に検討して参りたいと考えております。 次に、PCBの保管状況と適正処理についてであります。本市におきましては、昭和47年に製造が中止され保管が義務付けられて以降、昭和49年に保管状況の実態調査を自主的に行い、平成4年に再度実態調査を行うとともに、立入調査を実施しPCBの保管状況の把握や適正保管についての指導に努めて参りました。京都市内の保管状況でありますが、工場、病院や大学など1,201事業所で高圧コンデンサー8,140台、高圧トランス123台、蛍光灯安定器6万7,757個等が保管されております。平成13年7月にPCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法が施行され、向こう15年間にPCBを完全に処理することが所有者に義務付けられたのは御指摘のとおりでございます。近畿圏では大阪市にPCB処理施設が建設されることになり、本市においても今後各都市と連携を図りながらPCBの適正処理を行っていくことと致しております。具体的な処理に当たりましては、処理計画の策定、事業者への保管管理の徹底、PCB輸送中の事故防止対策や市民への周知の仕方などについて検討する必要があることから、御指摘のように全庁的な検討体制を確立する必要があるため近日中にPCB特別対策専門部会を設置し市民の安全を確保しながらPCBの適正な処理に努めて参りたい考えでございます。 以下、副市長及び教育長が御答弁申し上げます。
○議長(磯辺とし子) 河内副市長。 〔河内副市長登壇〕
◎副市長(河内隆) 交通バリアフリーに関します二つの御質問にお答え致します。まず京都市交通バリアフリー全体構想の策定についてでございますが、平成13年11月に設置致しました学識経験者、高齢者、身体障害者の代表をはじめ公共交通事業者、関係機関から成ります京都市交通バリアフリー推進連絡会議におきまして現在多面的な検討を行っているところでございます。今後この会議での検討を踏まえて全体構想案を作成致しまして、高齢者や身体に障害のある方々からの御意見を伺ったりパブリックコメントを実施するなど様々な手法を活用し幅広く市民の御意見を伺った後に全体構想を取りまとめたいと考えております。また議員御指摘のとおりバリアフリー化の推進のためにはハード面の整備だけではなく市民の皆様の深い御理解と御協力、いわゆる心のバリアフリーが不可欠でございます。この心のバリアフリーの推進は国が定めた基本方針におきましても国及び地方公共団体が講ずべき措置とされているところでございます。本市と致しましても全体構想の中にはバリアフリー化推進に関する本市の基本方針の一つとして心のバリアフリーの推進を掲げ、今後とも市民の皆様の御理解を深めるための啓発に努めて参ります。 次に、交通バリアフリー重点整備地区をどのように選定していくのかというお尋ねでございます。この点につきましては、これまで京都市交通バリアフリー推進連絡会議におきまして移動の支障となっている段差の程度など国が定めた移動円滑化基準に照らした評価や利用者数などの客観的な手法に基づきまして整備優先度の検討を行って参りました。その結果、平成14年3月開催の連絡会議において市域の104地区の中から重点整備地区の検討対象地区として30地区を抽出したところでございます。現在はこれらの地区における技術的な課題の解決方策などについて検討を行っているところでございます。今後、鉄道事業者の事業化に向けての取組状況なども勘案し、検討対象地区である30地区の中から平成22年を目標年次としてバリアフリー化を重点的、一体的に推進する重点整備地区を選定するなど本年9月をめどに全体構想を取りまとめて参ります。その中で移動円滑化基本構想を平成14年度中に策定することになります2地区につきましても選定して参ります。以上でございます。
○議長(磯辺とし子) 松井副市長。 〔松井副市長登壇〕
◎副市長(松井珍男子) ケアマネジャーの資質の向上策についてでございます。ケアマネジャーは介護サービス提供のかなめであり、利用者の希望を酌み取った介護サービス利用計画の作成や利用調整を行っていただくことが重要であると考えております。このため本市におきましては、従来から研修会や業務説明会を開催するとともに区役所、支所においてサービス事業者連絡会を開催し情報提供や事例検討などの取組を進めております。更に本年度は介護サービス利用計画作成等にかかわる研修を新たに実施するとともに、昨年度に実施致しましたケアマネジャーが行政に期待する支援などを含めた実態調査の集計分析を行い、その結果を踏まえた支援策についても検討して参りたいと考えております。以上でございます。
○議長(磯辺とし子) 門川教育長。 〔門川教育長登壇〕
◎教育長(門川大作) 学校週5日制をはじめとする教育改革についてでありますが、教育改革の理念は、学校、家庭、地域が連携してそれぞれの役割を果たしてこそ実現するものであります。特に議員御指摘の学校休業日を含め家庭、地域において子供たちが生き生きと学び体験する機会の充実を目指して地域ぐるみで子供をはぐくむ取組を推進していくことが重要であります。そのため本市では開かれた学校づくりを積極的に進め、先進的な取組の情報交換など学校、家庭、地域が相互に教育力を高める関係の構築に努めております。今後とも全国に先駆けて全校に設置しました学校評議員や来年度から全校導入致します学校評価システムを活用して3者の連携と相互理解を深め学校教育活動の充実に努めるとともに、学校からも家庭、地域の求める情報と果たしていただきたい役割を的確に発信するなど地域ぐるみで地域の子供をはぐくむ取組を進めて参ります。 次に、学校施設の活用についてでありますが、学校週5日制を子供たちにとって意義深いものとするには学校、家庭、地域がそれぞれの機能を発揮する中で学校以外でも様々な自然体験や社会体験などを行う場や機会を増やすことが重要であります。こうした趣旨を踏まえ、4月から青少年科学センターなどの子供たちへの無料開放や生涯学習総合センター京都アスニーにおける子供向け体験教室など多彩な取組を関係者の理解の下で新たに実施しておりますが、身近な学校施設の活用も選択肢の一つとして大切であると考えております。今後は運動場やほぼ全小学校に設置しましたふれあいサロンの活用促進に加え、特別教室の活用につきましても開放に際しての課題となる管理面や安全面の検討を進め、PTAや地域の方々による自主管理体制が確立した学校から施設の開放を更に進めて参りたいと考えております。 次に、子供の読書活動についてでございますが、子供たちの豊かな感性を磨き、創造力を高め道徳心をはぐくむために読書が果たす役割は大きく、本市では図書館や各学校において幅広い取組を進めてきております。この度の子ども読書活動推進法の成立を契機に市民とのパートナーシップの下で子供の読書活動のより一層の振興を図る京都市子ども読書活動振興市民会議を設置し協議を進めているところであります。こうした中、学校図書館は子供の身近な読書活動の場として、更に総合的な学習時間での子供自身による調べ学習を進める場としてその重要性がますます高まっております。このため本年度学校図書費を3,000万円増額したところでありますが、今後とも読書活動の重要性を踏まえた取組の選択と集中を進め、御指摘の全校の図書館の冷房化を本年度中に実現致します。 次に、快適トイレの整備についてでありますが、かつて暗い、汚いなど5Kと言われた学校トイレを明るく安心でき愛される3Aトイレとすべく全国に先駆けて平成10年度から20億円を超える巨額の経費を投入し、本年度までの5箇年計画ですべての学校に1箇所以上の整備を完了致します。その結果、学校トイレの従来のイメージを一新し、保健指導におきましても大きな役割を果たすとともに、子供たちをはじめ保護者や地域の方々からも大変好評を得ており、全国から京都市の学校トイレは注目を集めております。(拍手)厳しい財政状況の下ではありますが、御要望の趣旨を踏まえ来年度以降となる2巡目の整備計画を今年度前倒しで新たにスタートさせ、引き続き快適トイレの整備を進めて参ります。 次に、普通学級で学ぶ学習障害、注意欠陥多動性障害等により特別な教育的支援が必要な児童生徒への取組についてであります。本市では一人一人が自らの良さや可能性を発揮しながら主体的に学習に取り組めるよう個に応じた指導を徹底する取組に努めて参りました。今後より一層学習障害等の児童生徒の教育的ニーズにこたえる指導を推進するため、教職員の正しい理解と認識を深める研修の充実を図って参ります。更に本年6月には学識経験者、医師、教職員などによる特別支援教育専門家会議を新たに設置し、具体的な指導方法の研究や校内体制の充実について専門的な見地から検討を進め、学習障害や注意欠陥多動性障害いわゆるADHD、更には高機能自閉症等児童生徒の教育の充実に努めて参ります。以上でございます。
○議長(磯辺とし子) これをもって一般質問を終結致します。
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○議長(磯辺とし子) 本日は、これをもって散会致します。 〔午後4時35分散会〕
-------------------------------- 議長 磯辺とし子 副議長 高嶋弘恵 署名議員 中村十一 同 山口 勝
△請願文書表「受理番号770」「有事法制関連法案反対の要請」・請願文書表「受理番号771」「有事法制関連法案反対の要請」
△陳情文書表「受理番号66」「有事法制関連法案反対の要請」...