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  1. 京都府議会 1996-02-01
    平成8年2月定例会(第2号)  本文


    取得元: 京都府議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成8年2月定例会(第2号)  本文 1996-02-26 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 21 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長小林弘明君) 選択 2 :  ◯議長小林弘明君) 選択 3 :  ◯佐藤宏選択 4 :  ◯議長小林弘明君) 選択 5 :  ◯知事荒巻禎一君) 選択 6 :  ◯議長小林弘明君) 選択 7 :  ◯教育長安原道夫君) 選択 8 :  ◯議長小林弘明君) 選択 9 :  ◯田中卓爾選択 10 :  ◯議長小林弘明君) 選択 11 :  ◯知事荒巻禎一君) 選択 12 :  ◯議長小林弘明君) 選択 13 :  ◯議長小林弘明君) 選択 14 :  ◯山本直彦選択 15 :  ◯議長小林弘明君) 選択 16 :  ◯知事荒巻禎一君) 選択 17 :  ◯議長小林弘明君) 選択 18 :  ◯教育長安原道夫君) 選択 19 :  ◯議長小林弘明君) 選択 20 :  ◯警察本部長小林奉文君) 選択 21 :  ◯議長小林弘明君) ↑ ページの先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1: ◯議長小林弘明君) これより平成8年2月京都府議会定例会を再開し、直ちに本日の会議を開きます。         ─────────────────── 2: ◯議長小林弘明君) 日程に入ります。日程第1、一般質問を行います。通告により順次発言を許します。  まず、佐藤宏君に発言を許します。佐藤宏君。    〔佐藤宏君登壇〕(拍手) 3: ◯佐藤宏君 私は、公明・新進党京都府議会議員団を代表いたしまして、平成8年度京都府予算案並びに諸提出議案を踏まえながら、府政の当面する重要課題について御質問をいたします。  質問に先立ち、お許しをいただきまして一言ごあいさつを申し上げます。  昨日実施されました京都市長選挙におきまして、21世紀を目指し「元気な京都、清新な市政」の実現を願う一党一派に偏しない多くの政党や経済団体、労働団体など各層の諸団体、そして広範な市民の皆様方の真心の御支援によって、桝本頼兼氏が22万 2,579票で見事当選されました。  歴史に残る戦いで、御支援いただいた良識ある市民の皆様に心より敬意と感謝を申し上げる次第でございます。結果を謙虚に受けとめ、今後はさらにがっちりと府市協調し、市政改革と京都発展のために邁進していただきたいことを切望するものであります。それにつけても、中傷とデマ宣伝に明け暮れた共産党は、不破委員長など党幹部の異例の陣頭指揮にもかかわらず、またあれだけの労力と資金を注ぎながら市民の良識には勝てなかったのであります。京都市長選に対する荒巻知事の御感想を伺います。  ところで、怒りと無念さとともに大変痛ましい限りでございましたが、降りしきる雪の中、去る2月10日に北海道古平町の豊浜トンネルで起きた岩盤崩落事故は、たまたま乗り合わせた20名のとうとい命を奪う大惨事となりました。祈りもむなしく亡くなられた方々に、この場をおかりし、衷心より哀悼の意をささげるものであります。  さて、世紀末の混沌とした情勢は混迷を深めるばかりで、21世紀まで5年となった今日に至るまで、新たな社会秩序の形成は、国内外ともいまだ模索の段階を脱していません。世界では東欧の地域紛争や中東和平問題等不安定な状況にあり、加えてフランス、中国の両大国が相次いで核実験を行ったことに満身で抗議するとともに、唯一の核被爆国として核廃絶と平和、そして人権と環境を守るために、日本政府は新たな世界秩序の構築に率先して寄与するべきであります。一方、国内においては、阪神・淡路大震災やオウム事件等、社会不安の勃発に見られる安全神話の崩壊と危機管理意識の欠如は、我が国社会の改革すべき新たな課題の存在を明確に示しました。さらに、憲法が保障する「信教の自由」と「政教分離の原則」を侵害する「宗教法人法」の改悪は、政権維持の政治的意図と絡んで21世紀「人権の世紀」への大いなる禍根として歴史に残るでありましょう。私たちは、こうした反民主、反人権の権力の暴走、暴挙に対しては断じて許すことはできないことを、ここに明言しておきます。  バブル景気に踊って経営破綻を来した住宅金融専門会社(住専)の不良債権処理に、政府は何の根拠も責任も明らかにしないまま、総額 6,850億円もの公的資金の投入を決め、さらに最終損失の半分を国民の税負担で穴埋めすることに決めたのであります。このあきれ果てた国民不在の政府の対応に対し、国民の怒りが頂点に達するのは当然であります。その責任は、閣外逃亡した政治家や総量規制など政策判断の誤りを犯し、なお住専処理策を強行する現内閣に求められねばなりません。予算から削除することなど法的措置も含め、大蔵省等の監督責任を初め、母体行、農林系金融機関の自己責任や借り手責任等も厳しく問われねばなりません。まさに金融構造や経済構造の抜本的改革が求められているのであります。  これらの対応を考えるにつけ、何のための政治か、だれのための政治かが厳しく政治に問われていることを深く認識するべきであります。そして、こうした政治や行政の改革に求められる要件は、生活者の視点に立った明確な政治理念と将来を的確に見通した強力なリーダーシップであります。京都府においても地方分権が進行する中、新たな時代に適合した府政の改革へのたゆまざる努力とともに、賢明なリーダーシップのもと、21世紀への確かなかじ取りが荒巻知事に求められているのであります。府市協調の決意と3期目の半ばを迎えた荒巻知事の御所見を伺います。  次に、予算案についてお尋ねします。  平成8年度京都府当初予算案は一般会計等総額1兆 131億 9,400万円となり、一般会計の対前年度の伸び率は 1.3%で、地方財政計画の伸び率 3.4%を大きく下回り、超緊縮型予算となっています。  歳入面から見てみますと、長引く景気低迷による金利低下の影響で府税収入は利子割の落ち込みとなり、対前年度比 1.8%の減で約 2,700億円を見込むとともに、地方交付税は横ばいとなっております。さらに、財政調整基金等各基金から 211億円を取り崩したため、一時期 218億円もあった財政調整基金は16億円を残すのみになったのであります。借金であります府債は、前年度当初予算より10.1%増の 960億円を見込んだため、府債残高は過去最高の 7,070億円となり、府民1人当たり約27万円の借金を抱えることになったのであります。いずれにしろ、苦労して財源確保を図った「やりくり予算案」であります。  歳出面では、経常経費の15%削減を実施するなどして、重点的できめ細やかな予算配分に努められているのであります。期待される景気回復は、その足取りが鈍く、今後の経済成長も急速な回復が望めず、京都府財政の将来が厳しい局面を迎えると予想され、予算における歳入と歳出のギャップが一段と拡大することにより、財政の対応力が硬直化するのではないかと心配されるところであります。それを克服するには、行政改革の強力な推進とあわせて、新たな時代に適応した財政改革の断行によって、一般会計の財源の確保に努めなければならないと考えますが、荒巻知事の御所見を伺います。  次に、予算の内容の評価でありますが、画像伝送システムの導入等防災対策の充実、不況と雇用対策として特別融資制度の融資枠の拡充を目指す等、中小企業振興対策や就職難に対する雇用確保対策の実施、またベンチャー企業の育成策の推進、福祉医療保健対策として特別養護老人ホームの新設や延長保育の拡大、周産期未熟児センターの整備促進、作業療法士や理学療法士への修学資金貸付制度の実施、京都縦貫自動車道建設を初め交通網の基盤整備、議員団がかねてより要望していました府立高校の単位制の導入と府立図書館の全面改築など、平成8年度の京都府予算に対する我が党議員団の要望内容を随所で予算化していただき、予算の評価とともに荒巻知事には深く感謝申し上げる次第であります。  地方分権と行政改革についてお尋ねします。  豊かでゆとりある生活と活力ある地域社会を実現するためには、現在の「中央集権型社会システム」を「地方分権型社会システム」へと着実に転換することが不可欠であります。そのためには、国は国家の存立に直接かかわる政策や全国的に統一されていることが望ましい基本ルールの制定等を担い、それ以外の内政一般については地方自治体に移譲させるべきであります。そして、その認識と時代の要請が5年間の時限立法として「地方分権推進法」を成立させたと思います。
     京都府においても、地方分権を進めるために、住民の目から見たあるべき行政システムの問題と財政改革とあわせて積極的に取り組まれているのであります。その取り組みとして、京都府は有識者からの最終提言を受けて、本年1月に地方分権の時代に対応した行政推進の方途を示す「新しい行政推進大綱」を発表したのであります。内容としては、地方分権の理念の言及とともに、取り組むべき行政課題を 148項目にわたって網羅し、平成7年度より平成12年度の5年間を実施計画期間として策定されているのであります。  ところで、府民に開かれた存在感のある府政の確立を実現するには、主体者たる府民の理解と協力が必要で、大綱の内容やその進みぐあいを府民の前に明らかにすることは当然として、さらに積極的に府民の意見を聞く体制が求められるのではないでしょうか。例えば、計画期間の5年間にわたり、各項目の実施度をスケジュール化する等、その進捗状況を目に見える形で府民に示すことが大切であります。発表された大綱の中身は、京都府民の生活にとって極めて密接で、直接関係の深い事項ばかりであるにもかかわらず、いま一つ府民とは距離があるように感じられます。この点で荒巻知事の御所見を伺います。  次に、内容の面で幾つかお尋ねします。  まず、組織機構の見直しについてであります。京都府行政推進懇話会の最終提言では「地域住民の生活と直接関係のある地方振興局等地方機関の機能やエリアの点検・見直しは、管轄地域の広域化を目指す方向で検討されるべき」との提言でありましたが、大綱では今後の検討課題として先送りされているようであります。地方分権を推進し、行政改革を実現する立場から、地方機関の統廃合を含め組織機構の見直しについての御所見を伺います。  次に、事務事業の見直しの点ですが、本格的な高齢化社会の到来や厳しい経済情勢への対応と行政への府民ニーズの高まりの中で、適切な事業の選択と見直しは行財政運営上極めて重要であります。それだけに、これまで以上に事業の推進に当たっては、スクラップ・アンド・ビルドの徹底が必要であり、予算計上の段階でサンセット方式を拡大する等の積極的な対応が求められると考えます。事務事業の見直しと効率化について荒巻知事の御見解を伺います。  ところで、大綱では言及されておりませんでしたが、京都府所有の土地・建物については施策を推進する上で当然必要なものであります。その取得、運用については、長期的、総合的な視点から取り組まなければならない重要項目であります。したがって、行政改革の推進や財政収支の改善に資するためには、京都府所有の土地・建物の効果的かつ効率的な検討が全庁的に実施されねばならないと考えます。これらの点から、京都府所有の土地や建物の有効活用と行政改革を推進する面から、土地・建物についてどのような考え方をお持ちか、お尋ねします。  次に、市町村との関係についてであります。地方分権は、都道府県と各市町村が車の両輪となって自主的、総合的に推進していかねばなりません。地方分権時代にふさわしい新たな関係の確立が求められるのであります。京都府においても、市町村優先の原則に立って各市町村との役割分担を明確にしなければなりません。この新たな役割分担のもとで、行財政の抜本的な改革について国に対し積極的に働きかけるとともに、当面可能な改革として地方自治法を活用し、京都府から市町村への権限移譲の推進、権限移譲に伴う財源措置や市町村における事務処理体制の整備への協力などを行うべきであります。  このような改革の推進に当たっては、市町村の自主的判断と選択に基づいて進めることが適切でありますが、一方、市町村との効果的な連携と協議が必要であります。そのために私は、例えば、京都版の地方分権推進制度を創設し、協議されてはいかがと考えるものであります。また、政令指定都市・京都市との関係において府市の政治的、行政的な協調、協力とともに、京都市における京都府行政のあり方や京都市民にとっての京都府機関の存在も検討されねばなりません。地方自治の総合保障機関としての京都府の立場より、地方分権の推進と行政改革について、荒巻知事の御所見を伺います。  次に、4府総についてお尋ねいたします。  御承知のとおり、国の方では自立分散型の国土を目指した新しい全国総合開発計画の基本的な考え方をまとめております。この計画では、安全と豊かさを両立させ、日本海国土軸等を含む4つの新国土軸構想を提唱しています。さらに、近畿2府7県3政令都市で構成する「近畿開発促進協議会」が「近畿の創生計画(すばるプラン)」を総合的な観点から点検し、新しい時代に対応する近畿圏の創生計画を策定したと伺っております。  京都府では「京都府民21世紀への設計図」として西暦1990年・平成2年1月に、西暦2000年を目指しての京都府づくりのビジョン「第4次京都府総合開発計画(4府総)」が策定されました。本年は、いよいよその後半の1年目に当たり、総仕上げの段階を迎えているのであります。しかしながら、阪神・淡路大震災の教訓等による防災面の抜本的な見直し問題や、人口動向並びに経済成長率の基礎指標と実績値からの乖離の問題、そして景気の長期低迷等、社会経済状況の急激な変化による各種のプロジェクトへの少なからずの影響など、検討されねばならない重要課題が出てきております。こうした社会状況の変化や国の動き、さらには地方分権時代への動き等を踏まえ4府総の総点検を実施される予定ですが、その総点検に当たっては、どのような視点と内容をお持ちなのか、荒巻知事の御見解を伺います。  次に、内容の面でお尋ねします。  その1つは、平成元年に「総合保養地域整備法」に基づき、国の承認を得て決定したのが「丹後リゾート構想」であります。約10年計画で京都府行政とともに民間の活力をも導入して、丹後半島を中心に大規模な都市近郊型リゾートの実現を目指したものであります。丹後2市11町の発展と地域の活性化になくてはならない構想であります。地元を含む府民の丹後リゾート構想実現への期待は高く、今日まで取り組んできた各種の事業やプランの実現はさらに推進されるべきと考えます。しかしながら、全体構想の実現に必要な総事業費は約 1,740億円とも言われ、バブル崩壊による民間活力の減退や社会経済情勢の変化等、計画当初とは異なった事業環境になってきており、全体構想の進捗度など不安材料があるのも事実であります。ハード面での推進も必要ですが、発想を転換し、ソフト面からも社会情勢に見合った計画として知恵を働かせた「手づくりリゾート」的な整備手法の検討も必要ではないかと考えますが、御所見を伺います。  次に、4府総の中では明確な位置づけがなされていないのが「京都南部新都心構想」であります。京都府南部については4府総の広域的プロジェクトの中で、京都市南部地域の宇治川、桂川、木津川の周辺地域において「京都半環状都市ゾーン整備構想」として策定されており、木津川右岸地域においては「木津川右岸地域産業文化公園都市ゾーン整備構想」として事業が推進されております。また、関西との関係では、京阪奈丘陵に既に第2ステージを迎えた「関西文化学術研究都市」が着々と建設されております。また、京都市域には「洛南新都市構想」があります。京都の経済界も提案していますが、これらと総合的にリンクさせた「京都南部新都心構想」として21世紀を目指した広域的な文化と学術・研究の拠点都市、情報や先端産業の拠点都市、また京都経済活性化のとりでとなる新産業拠点都市として、インフラの整備も含め、そのプラン化を推進すべきと考えますが、4府総の総点検とあわせて荒巻知事の御所見を伺います。  次に、防災・震災対策について伺います。  6,000名を超えるとうとい人命を奪った阪神・淡路大震災の教訓を生かし、21世紀に向けて安心で安全な防災都市を築いていけるかどうかが、府民の生命と財産を守る防災行政の生命線であります。京都府においては、荒巻知事を先頭に、抜本的な地域防災計画の見直しや災害に強い都市づくりの施策を展開されているところであり、敏感に反応される荒巻知事の防災対策にかける熱意を高く評価するものであります。  京都府は震災後の昨年より、地域防災計画を3段階に分けて見直すことにし、既に昨年の6月に、震災時の初動体制の充実、強化を盛り込んだ緊急の第1次の見直しを行ったのであります。そして本年、京都府の地震対策のあり方を検討している「地震に強い京都づくり懇話会」の中間報告を受け、第2次の、おおむね5年間程度の中期的な見直しを6月に行う予定と伺っております。また、来年6月には、21世紀に向けて災害に強い都市基盤づくりを志向した長期的な視点により、第3次の地域防災計画の見直しを行う予定と伺っております。  ところで、平成8年度は第2次の見直しを見据えての予算と思いますが、22億 9,000万円もの思い切った防災関係予算を見込み、各種の施策を展開されようとしております。これらの施策を踏まえながらお尋ねいたします。  まず、救出・救助体制の整備についてであります。災害発生時に被害を最小限に食いとめ、1人でも多くの人を救うためには、救出・救助の体制強化が極めて重要であります。その点で、災害時に多数の負傷者が同時に出た場合、すぐに対応できるような後方医療施設の拡充が必要ですし、また限られた状況下で多くの傷病者に最善の治療を尽くすため、緊急な重症患者から優先的に搬送、治療をする「トリアージ」の考え方に立った医療救援活動の体制整備の充実も必要であります。そのためには、医療機関や関係機関との連携をとりながらトリアージ活動が整然と行われるようなトリアージ・チームの編成を検討しておくことも必要であります。実際にトリアージが行われた場合、治療優先度の順番は、緊急治療が赤、準緊急治療が黄、軽症が緑、死亡が黒と、分類のタッグがつけられるようであります。  ところで、患者につける識別票の「トリアージ・タッグ」は全国共通ではなく、日本赤十字社や陸上自衛隊、消防署等、各機関でばらばらの様式になっているようであります。人命の救助を速やかにするとともに、災害現場の混乱を避けるために早期に統一しておくことが望ましいと考えられます。自衛隊を初め各関係機関との調整など必要ですが、災害時における救援・救護活動の体制整備について、荒巻知事の御所見を伺います。  次に、今回の震災を契機に注目されているのが、ボランティアの育成と支援の問題であります。提案されている予算案において、京都府は「災害ボランティア」の登録制度を創設されるようであります。これらには各種の専門的な技能を持った「技能ボランティア」の採用が予定されており、災害時における多種多様な救援・救護活動に活躍することが目的であります。私は、この技能ボランティアとあわせて道路、河川等の専門的知識と経験を持った土木技術者等も防災エキスパートとして技能ボランティアに登録していただき、長年の知識と経験を災害時に役立たせてはと考えるものであります。知事の御見解を伺います。  次に、防災教育の充実についてであります。災害時には、府民の命を守るためには行政の対応とともに、府民1人1人が自分の生命・財産は自分で守るという観点から、備えや心構え等自主的努力が大切であります。さきの大震災の経験を風化させないためにも、府民の防災意識の高揚にさらに取り組んでいくことが重要であります。とりわけ、次代を担う青少年の防災意識の向上への地道な積み重ねが、安心・安全な災害に強い京都府づくりにつながっていくと考えます。その意味で学校教育において、児童・生徒の防災意識の向上と災害発生時における安全の確保を図るため、防災教育の一層の充実を図るべきと考えますが、教育長の御所見を伺います。  次に、子育て支援策についてお尋ねいたします。  平成6年度における1人の女性が一生の間に産む子供の推定数は、全国平均が1.52人、京都府は1.37人と全国平均を下回り、極めて深刻な数値を示しています。21世紀を目前に、超高齢社会の到来とともに、同時並行して少子化社会が進行しているのであります。特に京都府は、超高齢社会と少子化社会への動向が全国平均より高く、それだけに多くの克服すべき問題を抱えています。そうした少子化社会の原因として、女性の社会進出や住宅環境の制約、子育て環境の不備、そして長時間労働による子育ての機会の減少などの社会的側面とともに、住宅費や教育費の負担、また医療費の負担等、経済的側面も挙げられるのであります。さらに、少子化社会の影響は、生産人口の減少による社会全体の活力の低下や高齢者増加に伴う国民負担率が若年労働者に集中することによって、現役世代の労働意欲の喪失をもたらすことになるのであります。加えてゆゆしき問題は、最も小さな社会と言われる家庭が少子化によって核家族化し、本来、家庭ではぐくまれるべき人間性や社会性等、人格形成の場の喪失が懸念されるのであります。このような産みにくい環境を是正する方策と出生率の回復への施策こそ、国並びに行政に課せられた責務と言えます。  そういった面で平成5年に、我が党を初め、多くの京都府民の熱心な請願運動が展開される中、府議会の意思と荒巻知事の決断によって、少子化社会への子育て支援の1つとして「乳幼児医療給付事業助成費」制度が実現しました。利用されるお母さん方を初め、保護者の皆さんに大変喜ばれております。実現を推進してきた我が党としても感謝している次第であります。  さて、この制度は平成5年の10月より実施され、全国でもトップレベルの内容を持ち、平成6年度は実績額として約6億円、そして平成7年度は12月現在で約6億 2,000万円となっております。ところで今日、不況は長期化し、雇用不安は増幅するばかりで、家計への影響ははかり知れない状況にあります。その家計の一助という経済的な面からも、乳幼児医療給付事業助成費制度の適用年齢の延長などによる制度の一層の拡充策が必要であると考えるものであります。  さらに、乳幼児医療や障害者医療など福祉医療につきましては、一昨年の10月に、いわゆる入院給食費に係る自己負担制の導入に際し、本会議でも福祉の観点から、だれもが安心して医療が受けられるよう、公費助成のあり方を検討されたい旨の附帯意見を付し、議会として幅広い視点からの検討を求めていたところであります。  ところで、今議会に提案されている予算案の中に「乳幼児、障害者医療改善準備費」が計上されておりますが、具体的にどのような視点から改善を検討されるのか、さきの拡充策とともに荒巻知事の御所見を伺います。  次に、青少年育成条例についてお尋ねします。  最近、見知らぬ男女を結びつける有料電話サービス「ツーショットダイヤル」の自動販売機をよく街で見かけます。このツーショットダイヤルは、利用しようとする者が自販機でツーショットカードを購入し、そのカードに記載された暗証番号を電話で入力すると、フリーダイヤルでかけてきた女性と電話でつながり、会話ができるようになっているのであります。男女とも自宅から簡単に電話で利用できることから、テレクラとは違った一形態としてひそかな人気を集めていると言われています。このツーショットダイヤルやテレクラを好奇心から利用した中学・高校生が性的被害に遭ったり、また青少年の性非行や性犯罪の温床となっていると言われております。さらに、他府県では暴力団の資金源として利用されているとも言われております。  京都府警察の検挙数では、テレクラは毎年増加し、平成7年で18歳未満の被害児童数は31件、ツーショットダイヤルは、検挙件数は平成6年が31件で被害児童は12人だったのが、平成7年には47件の検挙件数で34人の被害児童が出ているのであります。ちなみに、ほとんどが京都市並びにその近郊の地域ですが、ツーショット自販機の設置業者数と設置台数は、平成6年が27業者で 177台、平成7年は26業者で 253台と急増しているのであります。設置台数がふえれば被害児童数も比例して増加しているのも実情であります。言い方がどうかと思いますが、現実のところ、この種のものは全く野放し状態ではないかと思います。「文化首都」をうたい「国際文化都市」を志向する京都にとっては、いかがなものかといぶかるものであります。このような状況は全国的で、これらの業者に対し何らかの合法的な規制を加えて青少年への影響を排除すべきとの立場より、関係条例の見直しや改正に取り組む自治体がふえているのであります。  京都府には、昭和56年に制度化され、その後、時代に適応して改正がなされてきた「青少年の健全な育成に関する条例」があります。その第1条で「府民参加のもとに青少年を取り巻く社会環境の整備を助長し、その健全な成長を阻害するおそれのある行為から青少年を保護し、もって青少年の健全な育成を図ることを目的とする」と明確に記され、また第3条には「府は、国及び市町村と連携し、青少年の健全な育成に関する総合的施策を策定し、これを実施する責務を有する」と、その行政の責務を述べています。さらに、平成3年3月に策定された「京都府青少年プラン」には「社会環境浄化活動の推進」として、青少年の健全育成のための環境整備への施策を挙げています。  京都府においても、この条例やプランの精神に照らして規制を設け、テレクラやツーショットダイヤルの設置業者の届け出義務の強化や、公共施設と教育施設近くでの営業の禁止区域等の設定、そして違反者への罰則規定等が検討されるべきと考えます。そのためには「青少年の健全な育成に関する条例」の改正で規制をするか、また新たにそれらの規制のための条例を策定するかにあると思います。もちろん、これらの条例は規制を伴うものでありますから、生活権とのかかわりから関係業者の理解と協力を得る努力をしなければならないし、条例と憲法との法律的関係性や京都府警察等関係機関との連携も必要でありましょう。青少年の健全な育成を推進する荒巻知事の積極的な答弁をいただきたいと存じます。  最後に、いじめ対策についてお尋ねいたします。  一昨年、いじめが原因で、前途ある愛知県の男子中学生が自殺をしたことを知ったとき、同じような悲劇を二度と繰り返してはならないと、だれもが痛感したはずでありました。しかし、いじめによる犠牲者は後を絶たず、昨年もまた新潟県の男子中学1年生がいじめを苦にして、家族に遺書を残し、みずからの命を絶ったのであります。遺書を手にした御家族の心境を考えると、言葉もありません。いじめの抱える問題がいかに深刻かを、そしてまた、行政は当然として、社会として、いじめ根絶への根本的な取り組みの重要性を改めて認識した次第です。  文部省は昨年暮れ、94年度中のいじめ件数は5万 6,601件で、これは前年度の 2.6倍と発表しました。さらに公表された内容では、昨年度のいじめは小学校で2万 5,295件、中学校が2万 6,828件、高等学校が 4,253件で、小学校は3校に1校が、中学校は2校に1校の割合でいじめに悩む子供が存在していると伝えています。また、全国で5万人もの子供が今も不登校問題に苦しんでいると言われております。  ちなみに、京都市を含む京都府のいじめ発生件数は、平成5年度の小学校で77件、平成6年度で85件となっており、中学校では、平成5年度が 289件、また平成6年度では 286件となっております。また、不登校の児童・生徒数は 1,558人で、前年度より微増傾向を示しております。しかしながら、いじめがますます潜在化、陰湿化する傾向にある中で、この数字が的確に実態をあらわしているのか疑問は残りますが、事実として、小学校、中学校ともに増加傾向にあることは間違いないのであります。教育委員会としても、いじめと不登校問題の根本的な解消のために、学校側そして教師の側、またいじめる側、いじめられる側、さらには保護者と社会の側と、あらゆる側面より諸施策を実施されていることを承知しているものでありますが、ここでは深刻化するいじめ問題を解決するには教師の資質向上が1つのかぎになるとの立場より、幾つかの問題点について教育長にお尋ねします。  まず、いじめや不登校問題に直接的に対応するのは教師であります。教師が教育の生死を決定づけると言っても過言ではありません。したがって、まず入り口である教員の採用に当たっては、使命感が強く熱意ある人間性豊かな教員を確保できるような採用のあり方を検討するとともに、価値観の多様化、国際化の進展等、大きく変化する社会に対応するため、例えば、実社会を経験している社会人などの確保を検討していくことが重要だと考えますが、教育長の御所見を伺います。  さらに、いじめの芽を早期に摘み取るために、担任教師が児童・生徒と接触する機会をふやす方策をとることであります。そのためにも、人間性豊かな教育や社会常識の指導が行えるような教員を養成するために、教員の再教育、研修制度の充実を図るべきであります。また、国においても取り組んでいますが、特に今日においては、子供はもちろん保護者の悩みをも受けとめ相談相手になる「スクールカウンセラー」の増員が必要であります。カウンセリングのできる力量を持った教員を養成するとともに、すべての小中学校にスクールカウンセラーとして配置し、教育現場でのきめ細やかな対応ができる相談体制をつくることが急務であると考えますが、御所見を伺います。  ところで、さきの日教組教育研究全国集会で、不登校の子供たちがみずからの生々しい経験と心境を語ったと言われています。子供たちは、不登校を問題視する学校や教師たちの姿勢に子供の側から批判をし「学校へ行かなくてもよい権利を認めてほしい」との切実な訴えをしたとのことであります。このような状況の中で、いじめによる自殺防止について教育長の御所見を伺います。  以上で私の質問を終わります。御清聴大変ありがとうございました。(拍手) 4: ◯議長小林弘明君) 荒巻禎一知事。    〔知事荒巻禎一君登壇〕 5: ◯知事荒巻禎一君) 佐藤議員におかれましては、新年度の京都府の当初予算につきまして高い評価をいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  御質問にお答え申し上げるわけでございますが、最初に、市長選の感想を言えという御指示がございましたので、一言だけ申し上げたいというふうに存じます。  私は、京都市というものは京都府の中核都市であることは当然でございますけれども、さらにその深い歴史と文化・学術というものの集積が、日本人の心のふるさとであり、また世界的にも有名な愛される都市であるということからいたしまして、この京都市にふさわしく、市の発展を願い、そして市民、同時に京都府民でおられる 146万の方々の幸せを進めていくということが大変必要であろうと存じておりまして、そのために、良きパートナーとして府政と力を合わせて進むことができる市長さんに誕生していただきたい、このように願い行動してまいった次第でございます。昨日の京都市長選挙におきまして、共産党を除く各政党の方々あるいは団体等の御努力のもとに、京都市民の皆様の良識ある審判が下されまして、桝本新市長さんが誕生しましたことを心から喜んでおります。  今後とも、私が申しております京都市と京都府が協調すれば、また市長と知事が力を合わせれば、1足す1は2あるいはそれ以上になる、逆にお互いが反対し合えば1引く1でゼロ以下になる、こういうふうなことから、さらに府市協調いたしまして、市民の方々に2倍、3倍の行政サービスをさせていただきたい、このように思っておりまして、政令指定都市である京都市とは相互の信頼のもとに機能を分担し合って、一層緊密な協力、協調を図ってまいりたいと考えております。  また、府政の改革についてでありますが、「戦後50年」という節目を迎えまして、政治や経済、そして行政の分野におきましても、これまで社会を支えてきたさまざまなシステムの抜本的な改革が求められておりまして、まさに現在は時代の大きな変革期であると実感をしているところでございます。このようなときにあって、議員御指摘のとおり、地方自治の原点に立ち返り、府民の声を真摯に受けとめ、何が府民のためになるかという観点から施策を進めることが大切でございまして、将来を的確に見通す中で、前例や慣例にとらわれず思い切った見直しを進めていくことが必要であると考えております。  京都府におきましては、既にこうした観点から行政の各分野にわたり見直しを進めてきたところでございまして、今後におきましても、さきに策定いたしました「京都府新しい行政推進大綱」などに基づきまして、議会の御協力もいただきながら、安心・安全で公平・公正な京都府づくりに向けまして、積極的に取り組んでまいる所存でございます。  次に、地方分権と行財政改革についてでありますが、行政改革を進めていくに当たりましては、府民の理解と協力を得ることが大切であると考えております。このため「新しい行政推進大綱」を府民の皆様に閲覧していただけるように本庁や地方振興局に備えつけておきまして、また近々、この大綱の要旨を「府民だより」や「ニュービジョン」などの府政広報誌により周知を図ることといたしております。行政改革についての今後の進捗状況等につきましては「行政推進懇話会」に適時報告をいたしますとともに、府民の皆様へもお知らせをいたしてまいりたいと考えております。  また、地方機関は、市町村や住民と直接接触する第一線機関であるところから、その見直しにつきましては、住民サービスや今後の地方分権の動きを見きわめながら検討を進めていく必要があると考えております。特に分権の問題が今「分権推進委員会」で検討され、間もなく政府の方針も決まるという中で、やはりその内容を見きわめて、それに合致した制度、組織にしませんと、手戻りになりましたり、あるいはせっかく改正してもまたすぐ改正するというようなことになりますので、そういう現状の動静も無視できませんので、そういうことを頭に置きながら進めてまいりたいと思っております。しかしながら、当然今までの方針のもとで間違いはないと思っております、あるいは進んできておりますものにつきましては、どんどんと実施していきたいと思っておりまして、例えば、保健婦専門学校の医療短大への統合、労働セツルメントの廃止、あるいは総合資料館と図書館との内容の調整、このようなものを実施できるものから早急に取り組んでまいりたいと考えております。  事務事業の見直し、効率化についてでありますが、御指摘のように、常に府民ニーズに合致した行財政運営を展開していくことが肝要であろうと存じます。このために、京都府におきましては、平素から社会経済情勢の動きや府民要望の的確な把握に努めますとともに、予算編成などを通しまして、既にやっております事業の効果や目的、期間などにつきまして徹底した検討を行ってまいったところでございます。そして、既に目的を達成した事業や府民のニーズにそぐわなくなってきた施策等につきましては、思い切ってスクラップやあるいはサンセットをする一方で、高齢化や少子化等、新たな行政需要に対しましては積極的な事業展開を図っているところでございます。  今後とも、予算編成や事業執行のそれぞれの段階におきまして一層厳しく点検、見直しを行いますとともに、職員のコスト意識も一層喚起しながら事業の効果的な執行に努めてまいる所存でございます。  府有財産の有効活用についてでありますが、その管理運用につきましては、昭和63年の6月に「府有財産活用検討委員会」というものを設置いたしまして、全庁的に総合的な検討を図りながら、効率的な活用に努めてまいってきたところであります。また「京都府民総合交流プラザ」と「京都コンサートホール」のように、市町村とも連携を図りながら有効活用も図ってきたところでございます。御指摘のように、厳しい財政状況のもとで土地や建物など現有の財産の有効活用がさらに求められておりますところから、今後とも、一層財産の効果的、効率的な運用に努めてまいりたいと思っております。  市町村への分権の推進についてでありますが、地方分権の実現のためには、地域の個性や特性を発揮しながら地域づくりを推進できるよう、国と地方との間で権限や財源の再配分、関与、規制の見直しなどを行う必要があるものと考えております。その中で、住民に最も身近な基礎的自治体であります市町村の権能につきましては、充実、強化を図ることが重要であると考えております。府内市町村におきましても、地方分権について研究する場を設けられるなど、機運が盛り上がりつつありますので、その取り組みに対して支援してまいりますとともに、今後とも、地方分権推進委員会などの動きをよく見定めまして、市町村とよく連携し対処してまいりたいと考えております。  なお、京都市との関係につきましては、新しい行政推進懇話会からも「むだな二重行政が生じないよう役割を分担し、広域的観点から連携を強化するよう」提言をいただいているところでございまして、提言の趣旨を踏まえ、適正な機能分担を図るとともに、京都市内の地方機関につきましても、市内における府民サービスをどう向上し府政をアピールしていくかといった観点から見直しの検討を進めていく必要があると考えております。  財政問題についてでありますが、厳しい財政環境の中で新たな行政需要や多様化する府民要望に的確に対応していくためには、御指摘のとおり、抜本的な財政改革に取り組み、財政の体質を強化してまいることが必要であると考えております。このため、京都府におきましては、従来から徹底した事務事業の見直しを行ってきたところでありますが、さきに策定いたしました「京都府新しい行政推進大綱」に基づきまして、今後とも行財政改革を強力に推進してまいりたいと考えております。  次に、第4次京都府総合開発計画につきましては「真の豊かさが実感できる京都府づくり」「地域の均衡ある発展を遂げる京都府づくり」、こういう大きなテーマのもとに公平・公正、そして安心・安全な地域づくりの構築を目指しましてやってまいりました。立ちおくれていた道路・鉄道等の高速交通網の整備を初め、関西文化学術研究都市の建設、京都迎賓館の建設促進など、京都ならではの取り組みを進めてまいりました。また、福祉のまちづくりや環境を守り育てる京都づくりなど、府民の皆様が安心・安全に暮らすことのできるきめ細かな施策も着実に進展しておりまして、4府総はおおむね順調な進展を見ているものと考えております。  一方、4府総の策定後、東西冷戦の終結、国際貿易の自由化の一層の進展、また各種規制等の緩和など、急速に社会経済情勢が変化をしておりまして、それに加えて、高齢化の一層の進展、あるいは円高による産業空洞化のおそれ、地球環境問題など、対応しなければならない新たな課題が多く生じております。また現在、国における新しい「全国総合開発計画策定」の動きなどもございまして、4府総の目標年次まで4年を残すところとなった現時点におきまして、総合的な点検を行うことが必要であると考えております。  総合的点検に当たりましては、こうした情勢の変化を踏まえて課題を整理いたしますとともに、その対応方向について、まず広く各界各層の有識者の方々から御意見を賜りたいと考えております。こうした点検作業を進めながら、真の豊かさと均衡ある発展を目指して、4府総の仕上げと21世紀の京都の基礎づくりに向けまして、全力で取り組んでまいりたいと考えております。  リゾート整備の手法についてでありますが、京都府といたしましては、総合的な地域づくりを目的として「丹後リゾート構想」を策定し、長期的な視点に立って地域整備を進めてきたところであり、議員御指摘のような、社会経済情勢の変化にもかかわらず着実な地域づくりが地元市町を中心に進められ、丹後の特性を生かした地域振興が図られてまいりました。  御提言の「手づくりリゾート」につきましては、現在、国において委員会が設置されまして、その整備手法について全国各地で新たな試みや研究が進められております。京都府におきましても「丹後地域文化オープンカレッジ」を取り組み事例といたしまして発表するなど、この委員会に参画して研究をいたしているところでありますが、基本的には、大規模な施設整備を中心とせず、地元の創意を生かして、地域交流や文化の発信を進める整備手法が大切であると理解をいたしております。今後、このような考え方も十分参考にいたして取り組みを進めまして、丹後リゾートの整備の促進あるいは新たな展開に努めてまいりたいと考えております。  府南部における広域プロジェクトの推進についてでありますが、京都府におきましては、府南部の振興のために4府総に基づき、お話のような関西文化学術研究都市の建設を促進、あるいは京都半環状都市ゾーンの整備構想及び木津川右岸地域整備構想を策定いたしまして、市町村などの地域整備の指針としてもらっております。これらの整備構想では、それぞれの地域の特性を生かしました整備を推進しながら、より広域的な観点から互いに有機的な連携を図りながら、相互の波及効果を高めていくということが重要であると考えております。したがいまして、今後「京都府南部新都心構想」という議員御提案の趣旨をも踏まえさせていただきまして、京都市とも協調しつつ整備構想の推進を図ってまいりたいと考えております。  次に、防災・震災対策についてでありますが、大規模災害の発生など、同時に多数の負傷者が発生する場合に、負傷者の中から緊急治療で救命できる重症患者を選び出す「トリアージ」が重要であることが、阪神・淡路大震災の教訓として指摘をされたところでございます。このため、昨年実施しました京都府総合防災訓練や近畿府県合同防災訓練におきまして、トリアージ・タッグの装着による治療訓練を実施するなど、救急・救護の初動体制の整備に努めてまいったところでございます。  現在、ここにありますような(資料提示)これは京都市消防局の分でございますが、それぞれ色によりまして、一番下はもう既に亡くなってしまっておられる方、その次は重症あるいは中程度、あるいは軽症、だんだん色が青になるほど軽くなるわけでございますが、こういうものをつくっておりましたり、また違った様式がありましたりいたしております。このようにトリアージにつきましては、各機関が独自に様式を定めるなど、災害現場で混乱を生じるおそれがあるとも聞いておりますので、迅速、適切な救出・救助体制を確保いたしますためにも、こうした様式の統一を国に働きかけるとともに、議員御提案のトリアージ・チームの趣旨を踏まえまして、医療関係者に対するトリアージ技術の研修、訓練の実施を検討するなど、災害時の医療救急体制の整備に努めてまいりたいと考えております。  ボランティア制度についてでありますが、阪神・淡路大震災においては京都府からも多くの方々がボランティア活動に参加されまして、献身的に活躍されたことを、私は今も大きな感動として鮮明に脳裏に焼きつけております。京都府といたしましては、ボランティアの皆さんが災害時に大きな役割を果たされるところから、ボランティアの方々と連携した災害時の支援活動を防災計画に位置づけてまいりたいと考えておりまして、まず平成8年度においてはボランティア活動の一層の普及を図りますとともに、関係団体と連携を図りながら、専門的な知識や技能を持っておられる方々に呼びかけを行いまして、登録をお願いすることといたしております。そして、本議会に、そのための所要の経費をお願いしているところでございます。  また、建築物の2次災害を防止するために「地震被災建築物応急危険度判定士」の登録制度を、この1月から発足をさせているところでございます。  御質問の土木技術者等の登録につきましては、道路、河川が公共施設であるところから、管理者である国、府県、市町村がまず対応することや、相互の応援が基本的でございますが、さらに民間の方々のボランティアにつきましても、そのシステムづくりなどを研究、検討してまいりたいと考えております。  子育て支援についてでありますが、京都府といたしましては昨年12月に「京都府子育て支援を考える懇話会」からいただきました提言を受け、子供が健やかに生まれ育ち、みんなで子育てを支える社会づくりに全力を挙げてまいる考えでございます。このため、周産期・新生児医療体制の充実を図りますとともに、乳幼児健康支援、デイサービス事業や地域子育て支援センター事業に新たに取り組むなど、総合的、計画的な子育て支援対策を積極的に推進していく考えでございまして、乳幼児医療制度につきましても、その一環として、今般一層の改善に着手することとしたところでございます。  また現在、京都府障害者基本計画につきましても、その策定作業を進めているところでございます。この中で障害の重度化、重複化の進展等に対応いたしまして、福祉・保健・医療のより一層の充実を図るために、障害者医療制度の改善に着手することとしたところであります。これらの制度の改善は、議員御指摘のとおり、入院給食費に係る自己負担の導入の際に府議会からも賜りました附帯意見を踏まえたものでございまして、この改善によって給食費に換え、医療費負担の軽減を図ろうとするものでございます。その実施に当たりましては、実施主体であります市町村や医療機関を初めとする関係者と今後十分調整していく必要がございますので、今議会に乳幼児・障害者医療改善準備費として予算をお願いしているところでございます。  最後に、青少年の健全育成についてでありますが、議員御紹介のとおり、青少年がツーショットダイヤルを興味本意で利用し、性的被害や非行が増加するなど、全国的にも大きな社会問題となっているところでございます。また、既に条例改正された岐阜県、福岡県のほか、幾つかの府県で規制に向けての検討が進められており、京都府内におきましても青少年育成団体を中心に規制を求める署名活動が進められ、大きな取り組みとなってきているところであるとお聞きしております。  京都府といたしましては「青少年環境浄化審議会」の御意見もいただき、青少年の健全育成の観点から有効かつ適正な対応が図られるよう、必要な検討を進めているところでございます。 6: ◯議長小林弘明君) 教育長安原道夫君。    〔教育長安原道夫君登壇〕 7: ◯教育長安原道夫君) 佐藤議員の御質問にお答えをいたします。  まず、防災教育についてでありますが、阪神・淡路大震災を教訓とし、昨年8月、近畿の各府県に先駆けて、児童・生徒を対象とした地震防災安全の指導資料を作成いたしました。各学校では、9月の「防災週間」や、本年の1月17日を中心にこれを活用し、地震に対する知識や日常の心構えなどの指導を行い、避難訓練も実施したところであります。平成8年度は、新たに安全担当教員を対象に、防災安全教育の指導方法やメンタルヘルス、応急処置などの研修会を実施し、指導力の向上を図りたいと考えております。  また、防災教育研究推進校を指定するとともに、本庁及び各教育局に防災安全教育のビデオライブラリーを設置し、学校での活用を図るなど、防災教育を一層充実してまいりたいと存じております。  次に、いじめ問題についてでありますが、子供の健全な成長にとって見過ごすことができない重大な問題であり、学校、家庭、地域社会が一体となって積極的に取り組むことが大切であると認識をいたしております。  議員御指摘の教員の採用につきましては「心豊かでたくましい人間を育成する」という本府の教育方針を具体化できる優秀な人材を確保するため、知識や人間性、さらには社会的経験など幅広い観点から採用しているところでありますが、今後とも、いじめ問題など今日的課題に積極的に対応できる情熱あふれる教員を採用するため一層工夫をしてまいりたいと考えております。  また、教員研修や相談体制についてでありますが、従来から子供の内面理解や教育相談の力量を高める研修を行うとともに学校の相談体制の充実に努めているところであります。平成8年度からは、子供の小さな変化をも察知し機敏に対応できる力を養うため、小・中・高校及び盲・聾・養護学校の採用後5年目、10年目に当たる全教員を対象とした「いじめ問題特別講座」や、7年度までの中学校に引き続き、小学校の全教員を対象とした「カウンセリングマインド養成講座」の実施を初め、臨床心理士をスクールカウンセラーとして配置している学校をふやすなど、教員の指導力の向上や相談体制の充実を図ってまいりたいと存じております。  また、いじめによる自殺についてでありますが、そのような痛ましいことは断じてあってはならないことであり、学校と家庭が十分連携を図り、その子供の立場に立って最善の手だてを講じることが、何より大切であると考えているところでございます。 8: ◯議長小林弘明君) 次に、田中卓爾君に発言を許します。田中卓爾君。    〔田中卓爾君登壇〕(拍手) 9: ◯田中卓爾君 田中卓爾でございます。私は、社民・さきがけ・府民連合府会議員団を代表し、既に通告してあります質問を知事並びに関係理事者にいたします。  その前に時間をいただきまして、昨日行われました京都市長選挙に我が会派として推薦いたしました桝本市政が、ようやく産みの苦しみの中で誕生いたしました。まず、御支援をいただきました府民の皆様に心から感謝を申し上げると同時に、我が会派も、府市協調を進める中で、公約実現のために奮闘する決意でございます。府民の皆様方の一層の御支援を心からお願いする次第でございます。  また、先日、北海道豊浜トンネル崩落事故が発生し、20名のとうとい命が犠牲となりました。20名の方々へ御冥福を申し上げると同時に、被害者の家族の皆様方に哀悼の意を表する次第でございます。  本府におきましても、災害・危機管理のあり方を再び問われました。我が会派は、この事故を教訓化し、一層危機管理体制を強化していく決意であります。  次に、先日、菅厚生大臣が初めて薬害エイズの国の責任を認められました。この責任の明確化が問われる中で、薬害根絶に向けて、薬害被害者の皆さんと連帯し、我が会派も心を新たにして奮闘することをお誓い申し上げる次第でございます。  それでは、予算に移ります。  22日より平成8年度予算府会が始まりました。本府会は、バブル崩壊後、数年間のデフレ不況の中で府税収入が落ち込んでおります。また、全国の地方自治体は財政難の厳しい現状にあり、厳しいからこそ地方自治体が住民の暮らしと命を守っていくことがいかに重要か、歴史的使命を持った府議会となっております。全国的には予算が昨年より減少する府県もありますが、本府におきましては、昨年より 1.3%増の一般会計 8,064億 8,600万円となり、特別・企業会計を合わせて初めて1兆円を突破いたしました。本年度予算編成に当たられた知事並びに関係理事者の努力にまず敬意を表する次第でございます。  歳出の面でも、第1に不況・雇用対策、第2に阪神・淡路大震災の教訓に学んだ防災体制の充実、第3に高齢社会に対応していく福祉施策の充実、第4に 260万京都府民の幸せと命を守るまちづくり、第5に21世紀を担う子供たちの教育の充実など、「一切の後退が許されない」現状の中で「前進と改革」が目に見えるものとなっていることに対し、まず会派を代表して、荒巻府政を高く評価するものであります。後は、荒巻府政3期目の折り返し点であります。知事におかれましては「第4次京都府総合開発計画」の完成と、21世紀のビジョンとも言われる「第5次京都府総合開発計画」作成へますます御努力されることをお願いするとともに、我が会派も荒巻府政を強力に推進することを表明させていただきます。  まず、税収と財政見通しについてお伺いいたします。  1991年12月、ソ連邦の崩壊をもって、第3次世界大戦と言われる冷戦が終結いたしました。戦後の混乱が旧社会主義国だけではなく、全世界に及んでいることであります。新しい21世紀の国際秩序の確立が今求められていますが、世界的に悪戦苦闘しているのが現状でございます。まさに激動・激変の時代となっておるのであります。我が国においても、55年体制が音を立てて崩れ、国民の政党政治に対する不信や否定となり、21世紀に向け、新しい強力なリーダーシップを持った政党政治への転換が求められています。  住専の処理をめぐり、今、国会で厳しい論議がなされているところであります。現在の不況を一口に言えば、デフレ経済下の不況であるのではなかろうかと思います。デフレ不況の第1の基底的要因は、先進国における需要の飽和化ということでありますが、開発途上国や旧社会主義国ではいまだ供給不足にあり、その解決が求められています。そして、日本におけるデフレ不況の当面の問題は、昨年春からの急激なる円高であり、1ドル70円台になったのでありますが、日米協調介入の中で現在は 105円の相場を推移し、一応落ちついているのであります。  他方、資産デフレは、不良債権の処理や解決で土地の流動性を促し、景気回復を目指すということであります。資産デフレの解消の第1は、不良債権の解消にあります。住専処理をめぐり注目すべきことは、なぜバブル経済が発生したのか、バブル経済がなぜ崩壊したのか、不良債権はなぜ発生したのか、また、不良債権の処理はなぜ今なのか、これまで5年間、金融機関、政府は何をしていたのか、ということが大きな問題となっております。  住専処理をめぐり「金融不安を解消し、金融システムの安定化」という論議があります。資産デフレと言われる住専を中心とした日本の不良債権の処理を誤れば、金融恐慌の可能性を含んでおります。ちょうど1929年の世界恐慌は、1920年代のデフレ経済への突入、デフレ不況の解決のための有効な処方せんが見つからないまま、世界恐慌に突入いたしました。しかし、第2次世界大戦以降は、先進国において「ケインズ政策」を実施しているため、古典的なデフレは姿を消しております。どの国でも恐慌を回避するためにインフレが進むようになり、そのインフレが「狂乱物価」をつくったり、あるいは「経済のバブル化」となり、デフレ政策が登場し、深刻な不況と大量失業となっているということであります。  住専処理をめぐるもう1つの問題は、何といっても「護送船団方式」であります。この護送船団方式が、今日まで高成長・インフレ経済のもとで有効性を発揮し、世界に誇る経済大国・日本をつくり上げたのは事実であります。ところが、デフレ不況のもとでは「赤信号みんなで渡れば怖くない」という、日本的な護送船団方式が「無責任」という一言で片づけられるようになるわけであります。日本的護送船団方式は「不良債権」の大量の生産という犯罪を構成しました。この犯罪を隠ぺいするために、何の犯罪の責任も明らかにせず、また、犯罪から逃れるために「公的資金の導入」を言っているにすぎないのであります。そして「金融犯罪者」の護送船団方式は強力になって残存しようとしているのであります。このトップの大蔵省という「お上」の権威は失墜し、官僚政治への不信が今国民の間で募っているのであります。  この問題は、経済に対する政府・行政の介入の仕方であります。ケインズ理論を採用する国家の経済の介入の仕方は「間接介入」というのが原則でございます。ところが、日本の「お上」は「行政指導」という形で戦前の統制経済のままで経済に直接介入を行い、また、そのために護送船団方式をつくり上げるのであります。また、この現象が政・官・財・暴の4者の癒着をつくっているのであります。当面は、金融恐慌の一要因である護送船団方式という決定機構を解体し、政府が経済に間接介入するというシステムが求められ、これが住専の処理機構となっていく道筋を明らかにする必要があります。  また国民は、今、公的資金導入を行い、安易な解決を図れば、70兆円とも 100兆円とも言われる不良債権の処理が国民の肩に背負わされると直感しているのであります。国民は、公的資金導入で不良債権問題が解決できるとは思っていないのであります。  このような厳しい経済状況のもとで、 260万京都府民の命と暮らしを守るために、今日のデフレ不況がまだまだ続きそうであるため、今後京都府財政に大きな影響を与えることとなります。21世紀の地方分権時代を切り開くためにも、今後の本府の経済の見通し、財政・財源の見通しに対する知事の御所見をお伺いいたします。
     次に、行政改革・地方分権に移ります。  明るい・安心・安全な21世紀を創造するために、今日のデフレ不況を克服しつつ、地方行政の財政状況の拡大を図りつつ、地方行政の21世紀に対応すべき地方分権が全国都道府県の当面の課題となっております。また、本府においても、地域経済の活性化、高齢社会に対応する福祉社会の建設、停滞する農林漁業の近代化と国際競争力への対応、災害に対し安心・安全な京都府づくりに向けて、ますます本府の役割は重要性を増しています。そのためには、3割自治の限界を突破しつつ、地方分権を拡大し、公正・公平な活力ある地域社会の実現に向けて、府民に信頼される行政運営を確立していくことが強く求められております。  このような21世紀の地方分権を踏まえ、本府では、知事の強力な指導に基づき、平成5年11月、庁内に「新しい行政推進会議」が発足し、平成6年8月には、府民で構成する「新しい行政推進懇話会」が設置され、平成7年1月に「第1次提言」がなされました。この提言に沿って、平成7年4月に、本庁の部制などを38年ぶりに改革してまいりました。知事の努力を高く評価するものであります。  そこで、知事にお伺いいたします。部制などの改革も10カ月を経ましたが、本改革の成果は何であり、今後進むべき方向は何であるのか、ということを明らかにしていただきたいと思います。  昨年度末「官官接待」ということが全国的に問題にされました。この官官接待の構造は、中央政府に予算をいただきに行く地方自治体と、3割自治の中で財政運営に苦しむ地方自治体の首長に予算をつける中央官僚という構造の中で、出す方がいただく方に接待を要求する、あるいは強要するということになっています。弱い立場の地方自治体がこれらの中央政府のたかりに屈服するという形になっているのが今日の官官接待の構図であります。  21世紀に向けて地方分権を確立するためには、首長の先を見通した決断でこれらを廃止していく過程が、また逆に地方分権を進めるということになると思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。  また、昨年12月25日に「地方分権の推進」「事務・事業の見通しと新たな展開」「組織・機構の見直し」など7テーマの提言を受け、本年1月22日、第9回推進会議で「分権時代を拓く行政システムの確立をめざして」という「京都府新しい行政推進大綱」が発表されました。「府民から見た地方分権の推進」で「住民の目から見たあるべき行政システムの問題」という視点を定められていることに、私は敬意を表するのであります。  また、主権在民論を深めていく見地から「投票率の低下」や「住民の行政離れ」が指摘されています。ともすれば国民は、行政・政府を「お上」と位置づけ、「お上に従順か」「お上に逆らうか」という尺度で判断をしているのであります。これは、中央集権国家のあしき名残であり、地方分権時代は住民も「主権在民」思想を深めていく見地より、ボランティア活動などを通じながら、行政に政策を提案していく市民運動が住民の中から提案されていくということになるのではないか、また、政策を提案する市民運動のリーダーが我々議員の新しい役割になるのではないかと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。  「国に対する働きかけの強化」の中で「中央省庁の消極姿勢が地方分権を阻害してきた」と現状規定を行い、「地方への大幅な権限と財源の移譲、関与の縮小」となっています。私の把握では、3割自治が10割自治に近づくことを本府も志向しているととらえておるのであります。  私どもも、選挙で府民より負託を受けた議員でありますが、府行政の3割の内容しか知事と論議をし政策として具体化していくことしかできない現状に不満を持っており、権限と財源の拡大によって府民のさまざまな要望にこたえることができ、代議制民主主義の中で、議員としての役割と責任が果たせるということになるのではなかろうかと常々思っておるところでありますが、知事の御所見をお伺いいたします。  「中央集権型行政システムが、現実問題として、職員の意識にも根深い影響を与えている」と指摘されております。21世紀に向けて、我が国のすべての改革がなされなければ、21世紀を創造することはできないと言われております。それらを自分に引き寄せて見れば、私も50年間、中央集権国家の3割自治の中で育った、また育てられた歴史的制約を持った人間でございます。自分の意識の中に、中央集権的独裁と主権在民的分権的民主主義が混在した2つの対立するものを持っております。ここにまた、戦後民主主義の限界が存在するのではなかろうかと思います。  そこで問われるのは、みずからの分権型人間へ体質改善する努力が問われているのであります。恐らく、地方分権の完成期に生まれ育った人々は「お上」という発想はなくなり、分権を前提に発想し行動する人間となり、ボランティア活動をするのが当たり前になっていくのではなかろうかと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、和風迎賓館についてお尋ねをいたします。  1990年(平成2年)11月7日、国会で「国会等の移転に関する決議」が採択されて、戦後、長年論議があった首都機能移転問題は現実的課題となりました。そして、1992年(平成4年)12月24日「国会等移転に関する法律」が定められました。また、同日「国会等移転調査命令」が定められました。それに基づき、1995年(平成7年)12月13日「国会等移転調査会報告」がなされたところであります。  この報告書によれば「東京より60kmから 300kmの範囲で、2年を目途に移転先候補地を選定し、国会が移転先を決定し、建設開始後、約10年を目途に新首都で国会を開催する」ということになっております。これを契機に、さまざまな都市で首都移転の誘致活動が盛んになっていると新聞報道は伝えております。この首都移転問題をめぐり、歴史都市京都は何を考え、何を具体的に行動として起こすのかが問われ始めていると思うのであります。  ちょうど明治2年3月7日、天皇が再び東京へ向け出発されました。これを機に、京都では、天皇が東京へ行かれることは実質遷都であるとし、不安と動揺が広がりました。同年10月5日、皇后が東京へ向け出発されることをめぐり、9月24日には反対の 1,000人のデモが行われました。この当時の京都の認識は、天皇・皇后両陛下が東京での政治の安定のために、やむを得ず東京へ行かれ、いずれかは京都にお戻りになられるということでありました。しかるに、正式な天皇の遷都令がないまま、 120数年以上もたった今日もなお、お戻りになっていないのが現状であります。  そこで、首都移転という流れの中で、江戸城改め東京城の天皇陛下の位置はどうなるのか、であります。この明確な回答は、1989年(平成元年)11月、当時の京都商工会議所会頭の塚本幸一氏は「天皇陛下に京都にお戻りいただきたい。日本文化の真髄を受け継いでいる古都・京都が天皇陛下がお住まいになられる最上の場所だ。これが京都人の共通の認識であり、願望であろう」と述べられたことに、すべての結論があるのではないかと思います。  そこで私も、もう一度、憲法第1章「天皇」を読ませていただきました。1条から8条で構成され、第1条には「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」と規定しています。「天皇が日本国の象徴」であるならば「京都は歴史的文化都市の象徴」であります。今日まで、この憲法第1条から8条を完全実施するという護憲運動を私はお目にかかったことがございません。  憲法を守ることが日本国民の義務であるならば、当然、天皇陛下に京都にお戻りになっていただき、天皇陛下とともに京都人は憲法の1条から8条の完全実施をなしていく歴史的責務を持っているのではないだろうかと考えておるところでございます。そして、天皇・皇后両陛下や皇太子殿下・妃殿下が警備もなしに自由に京都御苑や鴨川を散歩することのできる状況が、憲法の言う1条から8条の完全実施された状況にあるのではないかと思うのであります。  首都移転と、歴史都市・京都と天皇に対する知事の御所見をお伺いいたします。  「静寂で趣があり、奥ゆかしい御所の森」に本当に溶け込んでゆく、和風迎賓館の論議がさまざまなところで、さまざまな形でなされております。本年は、総理府においても、基本設計費 8,100万円、環境影響調査費1億 100万円、合計1億 8,200万円が計上されています。また、これと同時に、本府では京都御苑内運動公園整備関連調査費 2,000万円と京都和風迎賓館建設推進費 500万円、合計 2,500万円が計上されております。私は、今日までの知事の努力に敬意を表するものであります。和風迎賓館建設により、京都御苑並びに周辺への環境変化に関する調査が行われ、環境変化に対し、良好な見込みがつきつつある段階であります。  残るは警備問題であります。重警備が行われたのは、7年間に、ブッシュ訪日、ノ・テウ訪日、ゴルバチョフ訪日の3回でありましたが、当時の警備、交通は大変なものであったことを私も記憶をしております。交通にハイテク機能を持たせるということで、 110番指令センターができました。大変喜ばしいことであります。この迎賓館の警備にも、ハイテク技術世界一の日本国の成果を私は導入すべきであると思いますが、この点に関し、知事及び府警本部長に強く要望をいたします。  交通、警備の論議が完了すれば、住民から出された要望がすべて解決される予定になっております。すべての条件が満たされる見通しの中で、御苑内に和風迎賓館をつくることに反対の方々がいまだ存在をしておるわけでございます。この方々の最後の理論的根拠は、国民公園の京都御苑内に和風迎賓館をつくるのはおかしい、また、国民公園でなくなると主張している点であります。  そもそも国民公園とは、現在御苑を使っている、また御苑に関与している人々だけのものではなく、1億 2,000万人の国民の共有財産であります。京都が国際的文化観光都市であるならば、全世界の人々に京都御苑は開放されるべきものであります。国民公園であればあるほど、全国民に全世界の人々に開かれる必要があると私は思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。  昨年11月25日「桝形石畳舗道完成式」に知事も寒さをつき出席をされたことに、まず感謝を申し上げる次第でございます。  この出町商店街というのは、京都御所の「門前町」であります。門前町という性格から、和風迎賓館の建設に賛成であります。知事は「出町商店街と和風迎賓館の建設は、共存共栄する」と式典で述べられました。私もそのとおりだと思います。また、昨年の「西陣夢まつり」の成功、「京都まつり」の成功の中で、西陣業界、商店街、地域住民一体の祭りが行われてまいりました。これらの方々の意見は、西陣の振興、商店街の振興、地域の振興の象徴として、和風迎賓館の建設を早期に実現しようということになってきております。  そこで、地元の振興と和風迎賓館建設との共存共栄についての知事の御所見をお伺いいたします。  福祉について質問をさせていただきます。  1999年(平成11年)までの本府のゴールドプランにかかわる「高齢者保健福祉計画」の数値目標がほぼ達成されるということになり、厳しい財政状況の中で、知事並びに関係理事者・職員の皆様方の努力に敬意を表する次第でございます。  1997年(平成9年)に「公的介護保険」が導入される予定となっております。厚生大臣の諮問機関である老人保健福祉審議会によって、本年3月にも最終答申をまとめられ、いよいよ公的介護保険が国民から見える形で国会で論議される段階に来ました。私は、この保険が国民健康保険制度の補充財源になるのではなく、積極的に「介護の地域化・共同化・社会化」を実現するために実り多い論議を期待しているところであります。  2026年に向けて 100万人以上の保健・福祉・医療の分野でマンパワーの確保が必要となっています。バブル経済崩壊後、今日の女子大生や学生の就職難がまた、企業のリストラにより失業率が3%を超えたのであります。  そこで、この不況を逆手にとって、大胆に福祉分野へのマンパワーの確保が求められ、そこに府民の熱い期待が寄せられております。本府も、平成5年度より「福祉職場就職フェア」を開催され、先日2月14日の開催で5回目の就職面接会を行ったところであります。本府が保健福祉部と府民労働部の共催で行ったこの5回の福祉職場就職フェアの成果と今後の課題について、知事の御所見をお伺いいたします。  また、本府の本年度予算案で「京都府理学療法士及び作業療法士修学資金の貸与に関する条例制定の件」が提案されております。この条例制定はタイムリーなものであり、高く評価をしている一人でございます。さらにこれにつけ加えるならば「ST」と言われる言語療法士の存在であります。脳血管障害の1つのあらわれ方として、言語障害が発生し、発声練習等のリハビリテーションを行い、言語の発声が病気以前の状態に戻るというものであります。これに対し、今後いかに対応していくのか、知事の御所見をお伺いいたします。  また、公的介護保険の導入で「介護の地域化・共同化・社会化」ということが実現される方向性が示されているとき、本府においても「あんしん介護の窓口」が創設されています。この窓口を中心に「高齢者福祉の地域化・共同化・社会化」を進めるということになっているのではないかと私は考えているところであります。これらを達成するために、本年度予算にも高齢者保健福祉の情報システム整備予算が計上されておりますし、また各関係団体を中心に各地域ごとにネットワークを構成する必要が既に出てきているのではないかと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。  昨年10月「京都府福祉のまちづくり条例」が施行されました。「本条例は、病院や飲食店、物品販売店など、不特定多数の人が利用する建築物、道路、公園等の施設について、障害者や高齢者を初め、すべての人の利用に配慮した整備を進めるとともに、私たち府民の1人1人が社会の構成員として、ともに生き、支え合うことのできる地域社会づくりを実現しようとするものでございます」と知事は述べられております。私もそのとおりであると理解をしているところであります。例えば、京都府総合社会福祉会館(ハートピア京都)や府民総合交流プラザなどの新しくできる建築物は、まちづくり条例を満足させるものであります。今日までの府立施設の改善事業として、平成7年度、2億 9,300万円の予算の執行をされました。本年は3億 3,100万円の予算を計上されております。まずは、これらの改善事業の今後の計画と見通しを知事にお伺いいたします。  また、本年度、西陣労働セツルメント廃止に伴い、この施設を改修するために 5,340万円の予算が計上されております。私は、かねてより、この施設は高齢者や障害者に冷たい施設であるということを繰り返し指摘をしてまいりました。この建造物のように、構造上、まちづくり条例が適用できない施設に対して今後どのように対応されるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、西陣について質問させていただきます。  本年度の西陣は、昨年秋の「西陣夢まつり」の成功、そして「第3次西陣機業振興対策ビジョン」の終了と「第4次西陣機業振興対策ビジョン」の作成と第1回「きものサミット」の開催ということで幕が切って落とされました。そして、本年度予算、第4次西陣振興対策費 2,900万円、その他和装関係で 3,081万円、きものサミット開催助成金 1,500万円を計上していただき、産地はもとより、地元議員として、知事の並々ならぬ努力に感謝を申し上げる次第でございます。  日本における繊維産業は、1968年の繊維染色の構造改善事業や1972年の繊維製品の対米輸出規制に始まり、構造的不況が続いております。しかるに、その中で、本府の繊維産業は産業全体の中で全国的には5%以下であるにもかかわらず、京都においては10%の産業としてしぶとく生存しているのであります。これは、伝統を守ろうとする業界の努力、また府民の理解、行政の熱意ある支援のたまものであると考えているところであります。  第4次西陣機業振興対策ビジョンの骨子のテーマは「ルネサンス」であります。応仁の乱・西陣が「ルネサンス」という言葉を問題とし始めたのであります。生産者中心の産地が、生活者を問題にし、生活者の視点を導入し、生活者中心の物づくりに転換するという改革案が出されているのに特徴があると思います。  生糸内外価格差、外国からのダンピングと言われる絹製品の逆輸入という厳しい状況下で、第4次西陣対策ビジョン、きものサミットに対するまず本府の指針を知事にお伺いいたします。  しかるに、一口に「改革、ルネサンス」と言っても、その通過過程には大変なものがあります。それは生糸の内外価格差であります。業界や本府の努力により、生糸一元化は形式上撤廃はされましたが、いまだに内外価格差は一元化時代と変わらぬ問題となっています。これが本府における平成6年の「生糸輸入の関税化に伴う関税相当量の設定に関する意見書」や昨年12月の「生糸の内外価格差解消に関する意見書」となったのであります。今日まで生糸の内外価格差解消のために努力をしてこられた知事といたしまして、内外価格差解消の見通しと御所見をお伺いいたします。  さらに、中国を中心とする外国からの絹織物の逆輸入であります。日本は自由主義国家であり、自由貿易を原点に貿易立国であります。しかし「海外生産された帯・帯地の原産国表示義務化に関する意見書」でも見られるように、本府議会は、西陣、丹後、友禅業界を守り発展させる見地より、行政施策を国に要望しましたが、これらの現状はどうなっているのか、知事にお伺いいたします。  また、私が生活し行動する上京区で、西陣・商店街は構造的不況にあえいでいます。不況突入期に知事の英断により「借換え融資制度」が創設され、地元では大変人気を呼んだのであります。なかなか不況から脱しない今日、この制度の復活に期待を寄せているのが現状でございます。そこで、知事にこの場で、この制度の復活を要望させていただきたいと思います。  次に、7月20日「海の日」についてお尋ねをいたします。  「我が国は、四面を海に囲まれた海洋国家である。海は、日本人の食生活の多くを占める水産品の調達はもちろん、日常生活に欠くことのできない物資を海上輸送によって確保し、貿易立国としての我が国を支えてきた。海は、また、人々の憩いの場として親しまれ、これからも余暇活動に大きな役割が期待されている。京都府においても、海は、産業・文化をはじめ、あらゆる分野で深く結び付き、海を架け橋として、国際交流にも積極的に取り組んでいる。よって、政府におかれては、我が国と海のこのような歴史的、文化的及び社会的な関わりにかんがみ、国民が海の恩恵に感謝し、かけがえのない海の環境資源を守り、海の大切さを理解する契機とするため、海洋国家日本が世界に先駆けて、『海の日』(7月20日)を国民の祝日として制定するよう強く要望する」という内容を、平成4年10月、故徳田善一府議会議長の名によって、当時の宮沢総理大臣へ「国民の祝日『海の日』制定に関する意見書」を提出いたしました。京都府議会を中心とする全国の都道府県議会で決議され、平成7年3月8日、政府の手により、平成8年1月1日より施行されるようになり、本年の7月20日より「海の日」の祝日となったのであります。  今日まで、環日本海時代を築くために、第4次京都府総合開発計画の実現のために努力されてきた知事に敬意を表するとともに、この海の祝日が、府民の創意と工夫により、新しい日本海時代を切り開く1ページとするために、府民ぐるみの祭典が必要となっていますが、知事の御所見をお伺いいたします。  以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手) 10: ◯議長小林弘明君) 荒巻禎一知事。    〔知事荒巻禎一君登壇〕 11: ◯知事荒巻禎一君) 田中議員におかれましては、会派を代表して府予算につきまして御評価をいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  御質問にお答え申し上げます。  本府の経済見通しについてでありますが、現在、京都府内の中小下請企業や和装産地等を中心に依然として厳しい状況が続いておりまして、今後の見通しについても、予断を許さない状況にあると考えております。  こうした状況の中で、歳入の大宗を占めます府税収入はいまだ回復が見込めず、本年度におきましても4年連続の減収も覚悟しなければならないという、極めて憂慮すべき事態となっております。また、来年度の財政見通しにつきましては、歳入面で法人2税に大きな回復が期待できないこと、個人府民税の減税が継続されていることや、低金利による府民税利子割の大幅な減少が引き続き見込まれるなどでございます。一方、歳出におきましては、義務的経費の増加が見込まれることなどから、本府の財政環境はこれまでにも増してさらに厳しくなるものと考えております。  しかしながら、このような時期であるからこそ、府民の暮らしを守り、向上させるために、また地方分権の動きにも的確に対応していくために、京都府の果たすべき役割はますます大きくなるものと考えております。このため、去る1月に策定いたしました「京都府新しい行政推進大綱」に基づく取り組みを推進しながら、従来にも増して一層の施策の見直しや経費の節減・合理化を進めますとともに、国庫支出金、地方交付税、有利な起債など、あらゆる財源の確保に努め、府民要望に的確にこたえ得る財政運営を行ってまいりたいと考えております。  行政改革についてでありますが、昨年4月の京都府の本庁の部制等の改正につきましては「新しい行政推進懇話会」からの提言を踏まえまして、厳しい行財政環境の中で、変化する社会経済情勢の中、府民の皆様からの行政需要に柔軟かつ的確に対応できるよう、組織の簡素化、効率化を徹底するとともに、21世紀を見据えた施策の総合的推進を図るために、福祉部門と保健・医療部門の統合、府民生活の充実に向けた労働部の再編、企画部門の充実など、先ほどお話しのように、府政といたしまして38年ぶりの部の減少を行うという大改正として、現在の執行体制の整備を図ったところでございます。  組織改正後1年近くを経過いたしましたが、全体的には統合した部局のもとで関連施策を一体的、総合的に展開できる条件が整えられ、また職員の視野の広がりなども効果が出てきたものと認識をいたしております。今後におきましては、先般策定いたしました「新しい行政推進大綱」に沿って、効果的、効率的な事務事業の執行に努めますとともに、地方・外郭組織などにつきましても、多様に変化する社会経済情勢に的確に対応し得る、そういう組織への検討、実施を行ってまいりたいと考えております。  いわゆる「官官接待」の問題についてでありますが、議員御指摘のように、地方分権を推進する立場からいたしましても、また、これらの経費が府民の方々の貴重な税金で賄われているということからいたしましても、ゆるがせにできない問題でございまして、京都府におきましても、その財源が税金で賄われているということにかんがみまして、いやしくも府民の方々の不信を招くことがないよう、これまでから申しておりますように、世間の常識の範囲ならよいというのではなく、より厳しく対処していかなければならない、このように徹底をいたしておりまして、他府県にも増して、批判を受けることのない執行を図ってまいりたいと存じております。  なお、平成8年度の国への予算要望活動に当たりましては、職員の東京派遣や在京部長会議の規模を必要最小限にいたしますなど、これまで以上に簡素・合理化に努めたところでございますが、今後とも実質本位の要望活動に努めるとともに、できるだけ権限や財源が地方に移譲されるよう国に働きかけまして、真の地方分権の確立に向けて努力をしてまいりたいと考えております。  地方分権についてでありますが、地方分権の目的は、主権者たる住民の方々の価値観の多様化や個性化の流れを踏まえ、住民の要望が実現しやすい行財政システムを構築することにあると考えております。このような地方分権社会におきましては、議員御指摘のように、住民の方々の積極的な行政への提言や参加により、地方自治が住民の視点から身近に感じられるものになることが必要であると考えております。また、地域の課題がそれぞれの地域で解決ができるだけの権限と財源が各自治体に保障されることは、議員の方々におかれましても、従来よりも幅広く住民要望の実現や地域政策の立案に関与されるなど、より充実した議員活動を展開できることとなり、その役割も一層高くなるものと思っております。さらに、地方分権が進んだ社会においては、住民はサービスの受け手にとどまらず、自律的に判断し、行動する地方自治の真の担い手として活動することになるものと存じております。いずれにいたしましても、住民の願いや思いが行政の場に反映され、地域の自治体の中で解決が図られるようになってこそ地方自治体の存在感が高まり、信頼も増していくものと考えておりまして、今後とも地方分権の推進に一層努めてまいりたいと考えております。  首都機能の移転についてでありますが、国会、行政、司法に関する中枢的な機能を東京圏以外の地域に移転させようということ自体は、東京への過度な一極集中の是正などの観点から、国民的合意のもとに検討してしかるべきものと考えておりますが、それにも増して、実効ある地方分権の推進が図られ、地方の特性や個性を生かした地域社会を創造することが重要であると存じております。  また、京都は平安建都以来1200年にわたり輝かしい歴史を築き上げてまいりました都市でございまして、日本人の心のふるさととして、また皇室ゆかりの地として、全国民に親しまれておりますが、明治維新によりまして、いわゆる東京遷都により厳しい試練に直面いたしました。そうした中で、京都府民は産業や教育を中心に積極的な近代化に取り組むことによって、この苦境を克服し、歴史的資産を生かしつつ発展を続ける都市として、世界の京都を育ててきたところでございます。今後におきましても、京都のさらなる発展に向けて、現代に生きる私たちは、先人の努力と情熱を受け継ぎ、次の世代への礎を築くため努力してまいる責務があるものと考えております。  和風迎賓館についてでありますが、京都御苑はその歴史とともに豊かな自然に恵まれた憩いの場として、地域住民はもとより、国民に広く親しまれております。今回、御苑に京都迎賓館が設置されました場合、引き続き国民公園としての機能を発揮するとともに、議員御指摘のとおり、外国賓客の接遇や首脳会談などを通じ、広く世界に向けてより一層日本と京都のよさを発信することができるものと考えております。  また、桝形商店街のお話も出ましたが、迎賓館の建設と地元との共存共栄につきましても極めて重要なことと考えておりまして、例えば、京都迎賓館のしつらえやもてなしに京都の伝統的な産業や技術、技能、文化を活用することなどを通じて地元京都の活性化を図るべく、国に対しても強く要望をしているところでございます。  福祉人材の確保についてでありますが、21世紀を間近に控えた現在、急速な高齢化の進展とともに、保健・福祉サービスに対する需要が増大、多様化する中で、サービスの担い手の量的な確保とともに、質の面でも充実を図っていくことが重要な課題となっております。こうした課題に対応するため、京都府といたしましては、平成4年に「京都府福祉人材研修センター」を設置いたしまして、人材の養成、あっせん、資質の向上のための研修事業などを実施しているところでございます。  「福祉職場就職フェア」は、こうした取り組みの1つといたしまして、平成5年度から毎年開催しているところでございまして、これまで多くの方々の参加をいただいております。とりわけ本年度は、最近の厳しい就職状況を反映して、2回の開催で 2,200人の参加があり、求職者及び求人施設の双方から大変好評をいただいているところであります。今後とも、こうしたフェアの開催を初め、大学などでの就職ガイダンス、就職担当者の施設見学会、施設関係者を対象としたセミナーなどを通じ、人材の確保が図られるよう積極的に取り組んでまいりたいと存じます。  次に、いわゆる言語療法士(ST)についてでありますが、高齢化の進行に伴い、脳血管障害者などの障害等の疾病や、加齢により、発声機能、聴力機能などに障害を持つ方々が増加することが予想される中で、議員御指摘のとおり、その需要や役割はますます高まってくるものと考えているところであります。このような状況を踏まえ、国においては資格制度の法制化に向け関係団体などとの調整が行われていると聞いておりまして、今後、国の動向や府内の需要を踏まえながら、京都府といたしまして、必要な施策について研究をしてまいりたいと考えております。  高齢者の介護にかかわる地域ネットワークについてでありますが、京都府におきましては、地域の関係機関との連携のもとに、介護に関する相談や手続の代行を行う「あんしん介護の窓口」をネットワークの中核と位置づけまして、その整備促進に努めているところでございます。また、保健、医療、福祉の関係者からなるケアチームにより総合的な介護サービスを提供するシステムの構築を図るために「高齢者総合介護モデル事業」を実施しているところでございまして、その成果を各地域におけるネットワークづくりに生かしていきたいと考えております。さらに、今後の情報化の進展を見据え、利用者のニーズに即応した保健・福祉情報を速やかに提供できるよう「高齢者保健福祉相談・情報システム整備費」の予算をこの議会にお願いをしているところでございます。今後とも、こうした取り組みを進めていくことにより、介護を要するお年寄りが、いつでも、どこでも、だれでも安心して介護が受けられる体制づくりに努めてまいりたいと考えております。  福祉のまちづくりについてでありますが、条例施行から4カ月を経過した現在、事業者を初め、建築関係者の御理解を得て、JRや地下鉄の駅舎整備を初め、共同住宅やホテル、旅館などの建設に伴う事前協議は、府内全体で 101件に上っておりまして、条例の趣旨が浸透してまいりましたことを大変心強く感じておるところでございます。このような中、府立施設の整備につきましても、建築物や歩道などの整備改修に鋭意取り組んでおりまして、平成7年度には府立体育館や亀岡総合庁舎、府営住宅の改善なども行ったところでございます。今後とも、府民の利用度の高い施設から順次整備を進めてまいりたいと考えております。なお、平成8年度におきましては、自動車運転免許試験場や総合庁舎などの改善を行うことといたしております。また、建物の構造上、改善工事が難しい施設につきましては、できる限りの整備を図った上で、不十分な部分につきましては、京都府職員も含め、相互の助け合いによってやっていきたいと考えております。  西陣の振興についてでありますが、西陣織を初め、着物の振興のためには、そのすばらしさを多くの方々に知っていただくことが必要であると考えておりまして、そのため、京都府も参画する中で策定が進められております「第4次西陣産地振興対策ビジョン」に基づきまして、産地が総力を挙げて取り組まれる「京都西陣夢まつり」や、大消費地である首都圏に向けて西陣織を発信する「西陣織京都展」の開催、さらには京都商工会議所が中心となって開催される「きものサミット」などの需要拡大事業を積極的に支援してまいりたいと考えております。  次に、生糸の内外価格差の解消と原産国表示の義務化についてでありますが、国内の生糸価格が国際水準から見ても極めて高い状況にあり、加えて海外からの低廉な帯や着物の輸入増加が和装業界の不振の大きな要因であると考えられますので、これまでから京都府議会から国に提出していただいている意見書も踏まえまして、国に強く改善を働きかけてきたところでございます。その結果、織物業者等の生糸輸入関税が廃止されました。また、輸入統計において今まで「ベルト」という中にすべて一括して扱われておりました「絹製の帯」が独立した統計品目とされまして、原産国のつかまえ方が非常にはっきりしてきた、こういうことになっております。こういうことの一定の前進が図られてきておりますけれども、まだまだ抜本的な解決に至っておりませんので、近々、私も業界の皆さんと一緒に東上いたしまして、国に対し、産地の窮状を訴え、一層の改善を強く求めてまいりたいと考えております。  なお、御要望ではありましたが、西陣を初め、和装関連業界に対する融資制度につきましては、既往借入金の金利の軽減など、融資条件を改善した新しい借換え制度を行うこととしておりますので、田中議員におかれましても、地元議員として、西陣振興に御協力を賜りたいと存じます。  7月20日の「海の日」についてでありますが、本府議会を初め、関係各位の熱意によりまして、本年から国民の祝日に制定されましたことは、まことに喜ばしい限りでございます。従来から、この日は「海の記念日」でありましたところから、京都府といたしましても、舞鶴市、舞鶴商工会議所などの関係機関と連携をして実行委員会を組織いたしまして「海の写真コンクール」や寄港中の船舶を表敬訪問しての交流活動など、記念事業を実施してまいりましたけれども、今年は祝日の制定記念といたしまして、いろいろな船舶の運航により各地の港を結び「海の日」の旗をリレーするイベントなどが全国的に計画されておりますので、これに参画するなど、今後とも関係市町と連携を図りながら、積極的に対応してまいりたいと考えております。  なお、今年は石川県で「第16回全国豊かな海づくり大会」という大きなイベントが開かれておりますけれども、京都府といたしましても、将来、この「海の日」に関連する事業として、この「全国豊かな海づくり大会」を誘致していきたいと考えておりまして、今後努力をしてまいりたいと考えております。 12: ◯議長小林弘明君) この際、暫時休憩いたします。    午後3時02分 休憩         ───────────────────    午後3時28分 再開 13: ◯議長小林弘明君) 休憩前に引き続き会議を行います。  次に、山本直彦君に発言を許します。山本直彦君。    〔山本直彦君登壇〕(拍手) 14: ◯山本直彦君 自由民主党の山本直彦であります。私は、自由民主党府会議員団を代表いたしまして、さきに通告いたしております数点について、できるだけ重複を避けあるいは角度を変えて、知事並びに関係理事者に質問をいたします。  質問に入るに先立ち、お許しを得て一言申し述べさせていただきます。  昨日、投票が行われました京都市長選挙におきまして、我が自由民主党は、府市協調のもとに大輪の花を咲かせようとしている田辺市政の今日までの実績を損なうことなく、着実に京都市政が発展することを願って、桝本頼兼候補を総力を挙げて支援してまいりました。建設的なあすの京都づくり、安心できる市民生活の確保、京都の伝統を踏まえつつ新たな活力をつくり出す京都産業の振興など、私どもが切実に訴えてまいりましたそれぞれの政策について、賢明なる京都市民の皆様の大きな御理解を得ることができたものと考えております。非常に厳しい戦いでありましたが、御支援をいただきました皆様方に、この場をおかりして心から厚く御礼を申し上げる次第であります。  かつての京都府と京都市が全く不毛の関係にあった不幸な時代に逆戻りすることなく「市民は同時に府民である」という当たり前の前提に立って、荒巻府政と新たな桝本京都市政が協調、協力して相互に補い、助け合う「府市協調」の路線が、引き続き強力に展開されていくものと大いに期待するところであります。  荒巻知事と田辺市長との間で築き上げられた府市協調のもとに、京都府と京都市が相互に土地を提供し合って進められた京都市のコンサートホールは昨年立派にオープンいたしましたし、京都府の府民総合交流プラザも、この4月にはいよいよ開館の運びとなっております。また、困難をきわめておりました地下鉄建設につきましては、知事の英断のもとに京都府の強力な財政援助が決定され、市民の足の確保に向けて大きく前進することになりました。このように府市協調は、今まさに目に見えて成果が広がってきているのであります。  申し上げるまでもなく、京都市は府内最大の人口と産業を抱える、まさに京都の中心たる都市でありますし、本府が21世紀に光り輝く京都づくりを進める上でも極めて重要な地位を占めるものであります。それだけに、府市協調を一層強固なものにしていくことが重要であると考えますが、新しい市長が誕生いたしました京都市との今後の基本的な関係や行政運営の方針についてどのようにお考えか、まず知事の御所見をお聞かせ願いたいと存じます。  また、今日の情報通信網や道路交通網の目覚ましい発展に伴って、府民生活の広域化が進みつつあります。この流れは行政においても、またしかりであります。地理的に京都府を2分する位置にあります京都市とその周辺の市町村とは、相互に整合性のある広域的な視点に立った地域開発を進めることが不可欠であります。広域行政を担う京都府としては、周辺市町村の意向を踏まえて、京都市との間で効率的な行政が展開されるよう、総合的な調整機能を果たすことが期待されるわけでありますが、知事はこうした観点から、どのような取り組みを進めていかれるお考えか、御所見をお伺いいたします。  私は、効率的な広域行政を進めていく上で、とりわけ道路交通網の整合性を確保することが大切であると考えております。周辺地域から京都市内に円滑に流入できる道路網を構築することが大きな課題でありますが、今後、京都市とどのように調整を進めていかれるのか、お尋ねいたします。  さらに、産業政策の面での京都市との関係でありますが、京都産業の活性化を図る上で伝統産業と先端産業が共存する京都市内の特性を踏まえた振興策が重要と考えます。今後の本府の産業振興策に関しましては、後ほどお尋ねすることにいたしますが、京都市との関係においてどのように連携し、どのような役割分担のもとに市内の産業政策を進めていかれるのか、知事の基本的な考えをお聞きしておきたいと存じます。  いずれにいたしましても、今日までに築き上げられてきた京都府と京都市との良好な関係を保ちながら、お互いの信頼の上に立って、一層実りのある府政、市政が推進されることこそ、昨日の市長選に示された市民の願いであると確信するものであります。積極的な御所見をお示しいただきたいと存じます。  さて、我が京都府に目を転じてみますと、荒巻知事は一昨年の4月、2期8年に及ぶ豊かな実績の上に立って新たな3期目の府政をスタートさせられたのであります。この間、バブル経済崩壊後のまことに厳しい財政環境のもとではありましたが、持ち前の行財政手腕を生かされ、厳しさをはね返す勢いで府政運営に当たってこられました。とりわけ、かつての共産党主導の「民主府政」などと呼ばれた時代に大きくおくれをとってしまいました「高速交通網」につきましては、そのおくれを回復すべく精力的な取り組みを展開されました結果、今日大きな進展を見るに至っております。この3月には、JR山陰本線、KTR宮福線が電化され、京都-天橋立間がわずか1時間40分で結ばれることになります。また、京都縦貫自動車道も丹波町までの供用が目前に迫ってまいりました。  このように、京都府の社会基盤の整備は、荒巻府政のもとで府民が肌で感じ目に見える形で急速に前進してまいりました。平成8年度は、その荒巻府政3期目の折り返しの時期となります。公約の1つ1つをいま一度点検し、安全で安心できる府政の実現に向けて、さらに邁進していただきたいと存じます。  同時に、平成8年度は京都府の長期計画であります4府総、すなわち「第4次京都府総合開発計画」の後半を迎える時期でもあります。4府総に示された計画課題について、その取り組み状況や成果を点検しながら、残された課題を明らかにする中で、計画の達成を目指して積極的に取り組み、21世紀の活力ある豊かな京都府を築き上げていかなければなりません。そうした重要な段階を迎えているこの時期に、京都府財政が窮地に立たされていることは、まことに憂慮されるところであります。  今回、提案されました当初予算を見てみましても、府税収入が昨年度よりもさらに減少し、ほとんど5年連続の減少に等しい税収見込みが計上されているのであります。しかも、ピークの平成3年度決算と比べて実に 700億円以上の減収になるわけであります。「言うは易く行うは難し」と申しますが、財源の見通しや将来の財政負担を考えずに、あれこれ夢物語を並べ立て、不十分さのみを批判することは、いとも容易でありますが、 700億円減収という現実を踏まえ、多種多様の施策に取り組み責任を持ってそれを実行することが、いかに大変なことであるかを改めて痛感する次第であります。我が自由民主党議員団は、京都府のさらなる発展も、府民の豊かな暮らしも、安定した府政運営が続けられてこそ初めて実現できるものであると確信し、府議会の責任与党として、今後とも安定した府政運営のために、その責任と役割を果たしていく所存であります。  さて、このたびの平成8年度予算は、不況下での切実な住民要望を踏まえながら、また京都府財政の健全性を保つことにも十分意を用いながら編成されたと伺っております。厳しい財政事情を反映して思い切った経費節減が行われ、総額 8,064億円、伸び率 1.3%というスリムな予算となっておりますが、一方では、防災対策や不況対策、高齢化や少子化対策など、当面の緊急課題に重点的に取り組んでいこうとされる知事の意気込みが十分伝わってまいります。  財政運営の見通しや個々の予算の内容につきましては、今後の予算委員会の審議にゆだねることといたしまして、私は、知事がどのような思いで予算編成に取り組まれたのかをお聞きしたいと思います。すなわち、今日の財政難の中で進めたくとも進めようがない、必要性を感じていながら財源との相談から見送らざるを得ない、そうしたいら立ちや歯がゆさもあろうかと存じます。また、共産党議員団の主張に見られるごとく、現実の財源見通しも将来の財政負担も全く無視した無責任な主張に対して、憤りを感じられることもあろうかと存じます。そうした知事の思いのほどはいかばかりなものか、かつてない財政事情の厳しさの中で予算を編成された知事としての率直な感想をお聞かせいただきたいと存じます。  次に、防災対策についてお尋ねいたします。  未曾有の大惨事をもたらした阪神・淡路大震災からはや1年が過ぎました。「関西では決して大地震は起こらない」と思い込んでいた私どもに数多くの貴重な教訓を残し、「地震に強いまちづくり」がいかに重要であるかを改めて考えさせられたのであります。その後、全国至るところで「安心・安全なまちづくり」が叫ばれるようになりましたが、実は大震災の前年に行われました京都府知事選挙、この選挙の公約で荒巻知事は「安心・安全」を最大のテーマとして取り上げ、その必要性を有権者に力強く訴えておられるのであります。私どもは、この知事の先見性に改めて敬意を表する次第であります。  大震災の発生直後に提案されました昨年の当初予算では、知事は地域防災計画の抜本的な見直しと防災に対する府民啓発にまず取り組むことが先決であるとして、 6,500万円の予算を計上されました。当時、共産党の諸君は、この防災対策予算を強く批判し、直ちに実施予算に組みかえるべきだなどと、オクターブを上げて主張されていたのでありますが、果たしてこの主張は妥当なものと言えたのでしょうか。防災対策、とりわけ今まで経験したこともないような大地震の対策を、手当たり次第に思いつくままに実施すればよいというものでは決してありません。「地震に強い京都づくり」に向けて、まず府として確固たる防災理念を確立すること、そしてその上でおくれをとることなく、真に必要な対策を講じていくことが必要なのであります。また、行政としてどのような対策を進めるべきか、府民1人1人は何をなすべきか、企業や地域での取り組みはいかがかなど、体系的に整理することも重要であります。そのためには、庁内の議論はもちろんのこと、関係機関や学識経験者、さらには住民の代表など、幅広い層から意見を求めることも大切であると思うのであります。
     こうした観点から、昨年5月には「地震に強い京都づくり懇話会」が設置され、総勢50名の委員によって、あらゆる角度から熱心な議論が交わされたと伺っております。このほど意見の集大成が「中間まとめ」として知事に提出されたようでありますが、これを本府の防災対策の指針としながら今後の取り組みを進めていくべきと考えますが、知事は懇話会の「中間まとめ」をどのように評価されているのか、また今後「地震に強い京都づくり」を進めるに当たって、懇話会の意見をどのように生かしていくお考えか、知事の御所見をお示し願いたいと存じます。  あわせて、被災時の救援活動について1~2お尋ねいたします。  被災地での救援活動や負傷者の搬送、救援物資の輸送などにヘリコプターが非常に有効であることは、さきの大震災でも明らかになったところであります。京都府では警察ヘリ2機、京都市の消防ヘリ2機が装備されておりますほか、近畿府県や自衛隊の協力も得て、ヘリコプターによる救援活動がいつ何どきでも可能なように準備が整えられております。また、医療スタッフなど災害ボランティアの登録も計画されているようでありまして、ハード、ソフト両面にわたって機動的な救援体制が整備されつつあります。こうした機動力をフルに発揮するためには、ヘリコプターの離発着や救援物資の荷おろしなどに支障が生じることのないよう必要なスペースを確保すること、さらには救急患者の搬送が十分受け入れられる医療機関の体制を整備することなども不可欠であります。被災時の救援活動や医療活動への備えを一層充実させるため、今後、府としてどのような点に力を注いでいくべきとお考えか、知事の御所見をお伺いいたしたいと存じます。  次に、産業振興についてお尋ねいたします。  私は、京都の産業振興を考える場合に、3つのキーワードといいますか、3つの視点を踏まえることが重要であると考えております。1つ目は「伝統産業」、2つ目は「中小企業」、そして3つ目は、昨今注目を浴びる「ベンチャー企業」であります。  まず第1の視点、伝統産業でありますが、言うまでもなく、西陣織物や丹後織物などを初めとする伝統産業は、京都経済を支える基幹産業として大変重要な役割を担っております。伝統産業というと、何か衰退産業と同義語のごとく語られることがあります。しかし例えば、和装産業がその大部分を占める繊維工業について調べてみますと、平成5年の工業統計調査では、府内の製造品出荷額の約8%、さらに事業所数では何と約52%、従業員でも約20%の割合を占めております。これは製造業分野だけを見たものですが、関連する商業や観光分野を勘案するなら、その経済的重要性が改めて浮き彫りになってまいります。  伝統産業が持つ意味は経済的な側面だけではありません。日本文化の原点とも言える京都文化は、着物を初め伝統産業によって生み出されるすぐれた工芸品によって支えられています。さらに、職住近接と言われるまちの構造や我々京都人の生活様式に至るまで、伝統産業は広く、そして深く根をおろし、まさに「京都の顔」を形づくっているのであります。したがって、今後の京都の活性化にとって伝統産業の振興をいかに図っていくかは極めて重要な課題であると考えるのでありますが、この点について知事の御所見をお伺いいたします。  次に第2の視点、中小企業の振興対策についてであります。報道によりますと、経済企画庁は先日の「2月月例報告」において事実上の景気回復宣言を行いました。しかし、一昨年の景気回復宣言が阪神・淡路大震災による被害やその後の急激な円高、さらに金融機関の不良債権問題などが要因となって空振りに終わった経過を振り返りましても、今後の経済の動向を慎重に見きわめていかなければならないと考えます。特に今の段階では、一部の業種、さらにその中でも大企業が景気のリード役となっている傾向がうかがえます。中小企業の設備投資は依然として慎重でありますし、個人消費の回復の足取りもまだまだ弱含みの状態にあります。特に懸念されるのは、失業率が3%を超えて極めて高い水準にあることであります。  こうした中で、京都の中小企業の方々にお聞きしましても、取引先の大手企業のリストラの影響などで、受注量や受注単価の面でまだまだ厳しい状況にあるとの声が大半を占めております。景気回復の足取りをより確かなものとし、一日も早く京都経済の活力を取り戻すために、中小企業対策の手を緩めることなく、さらに充実強化すべきであります。融資制度を初めとする中小企業ヘの支援策を当面どのように進めていくお考えか、御所見をお伺いいたします。  次に第3の視点、ベンチャー企業の育成対策についてであります。先ほども申し上げましたように、昨今「ベンチャー」という言葉を見聞きしない日はないと言ってもよいぐらい、まさにベンチャーブームの様相を呈しております。自動車産業や家電産業といった、これまで日本経済を支えてきた、いわゆるリーディング産業が成熟期を迎え、またアジア諸国の工業化等によって日本産業の海外進出が進む中で、次の時代の日本経済を支える新たな産業の育成が急務となってきているのであります。かつて数多くのベンチャー企業が京都で生まれ世界的な企業へと成長してきたことから、京都は「ベンチャーの都」と称されています。  ベンチャー企業が育つには、その核となる独創的な技術が必要であります。この意味で、京都における大学の集積や関西文化学術研究都市における研究機関の立地の進展などは、ベンチャー企業が育つために大変有利な条件であると言えます。こうした条件を生かして、京都府としても21世紀を開くベンチャー企業を京都から生み出していくために環境づくりを進めるべきと考えますが、この点について知事の御所見をお伺いいたします。  加うるに、先ほども申し上げましたように、長引く不況によって就業状況においても大きな不安を生じております。総務庁の発表によりますと、昨年11月の完全失業率が 3.4%と、現行方式での調査が開始されて以来、最悪の数値を記録したとのことでありますが、とりわけ私が危惧いたしますのは、若年層の失業率が飛び抜けて高いことであります。「超氷河期」とも言われる新規学卒者の就職難は、若者が希望を持って社会人の第一歩を歩み出そうとするときのつまずきとなるもので、見過ごすことのできない大きな問題であると考えます。産業構造の変革の中で今後も雇用不安が続くことも予想されるわけでありまして、学生自身の真摯な職業観の形成とともに、大学における就職指導にも新たな工夫が必要となっております。本府では、既に学生に対する職業相談などに先進的な取り組みをいただいているところでありますが、今後の計画について知事の御所見をお伺いします。  次に、監視区域制度の今後の取り扱いについてお尋ねいたします。  本府の監視区域の経過を見てみますと、昭和62年12月、近畿の他府県に先駆けて関西文化学術研究都市の区域に監視区域を指定して以来、乙訓地域、京都市近郊の南部市町、丹後リゾートというように監視区域を拡大し、バブル期の土地取引について厳しい価格指導を行ってこられました。京都府においては、この制度により土地転がしの防止が相当図られてきたものと考えております。しかしながら、本府における最近の地価の動向を見ておりますと、直近の地価調査結果では5年連続して下落しており、全国的にもほぼ同様の結果となって、地価の下落、安定化の傾向は定着したものと考えられます。こうした中で、監視区域について全国的にも解除、緩和の見直しがなされ、現在は、リゾート地域やプロジェクト地域を除いて解除した政令指定都市を含む自治体が10、全域を解除した自治体が43となっております。こうした動きの中で知事は、昨年11月の決算特別委員会における総括質疑において「中・南部地域の指定期限が平成8年3月末となっているので、その時期に関係諸方面の考え方も参考にして判断したい」旨の答弁をされたところであります。「景気の緩やかな回復軌道に乗ってきた」と言われる昨今、京都府においても住宅建設や土地取引を活発化させ、個人の消費活動を一層活気づけることが肝要かと考えます。3月末まで、あと1カ月余りとなっておりますが、今後の監視区域の取り扱いについて、知事の積極的な御所見をお伺いしたいと思います。  次に、学校教育のあり方について教育委員会にお尋ねいたします。  本府では、全国に先駆けて、昭和60年から高校教育制度改善に着手し、それ以前の画一的、没個性的教育から、生徒の個性を伸ばし多様なニーズに対応するにふさわしい制度・内容の確立を目指してこられました。その結果、それ以前の本府の教育の行き詰まりや停滞、閉鎖的な学校の改善に大いに成果があり、多くの府民に安心を与えてきたものと評価しております。一方、全国的には、昨今の新聞、テレビに連日取り上げられている「いじめの問題」を初め、教育そのものを根底から揺るがすようなゆゆしきことが学校に発生し、学校不信、学校批判のあらしが吹き荒れている模様が見られるところであります。  しかしながら、私は最近のマスコミの報道の中で感心したことがあります。先般、いじめ、不登校などを論議する日教組の教育研究集会が開催されたようでありますが、そこで教組側は「学校そのもののあり方が厳しく問われており、みずからの責任を問い、閉鎖的な学校を開く必要がある」と述べ、従来の姿勢を自己反省しているのであります。また、マスコミもこの姿勢を前向きに評価し「これまでの教職員組合の集会とは打って変わり、他に責任を求める体質が変化し、国や府県教育委員会の教育行政批判さえしていれば事足れりとする従来の光景が影を潜めた」と報道しております。  こういう議論が組合の集会でなされるべきことかどうか、それについては疑問でありますが、少なくとも全国的に教職員組合員も、このように姿勢転換を図ろうとしている中で、片や本府の教職員組合はどのような状況でありましょうか。多くの学校では校長を中心とする学校運営に教職員が一致協力して取り組み、成果が上がっていると考えられますが、まだ一部には旧態依然として「管理教育」「詰め込み教育」「教員には暇がない」などと、自分の立場を安全なところに置いた上で、特定の運動論に固執し自己の勢力拡張の目的をオブラートに包みながら、相も変わらず行政批判だけに身をやつし、あげくの果ては、真に子供たちのことを考えるべき時間を割いてでも多数の教職員組合員が選挙のときにビラまきに走るようなことがあるということは、子供を持つ親、大多数の良識ある府民の認めるところではないと厳しく批判するものであります。教職員は、公務員として公教育に携わるものであります。正当な組合活動は当然法律上保障されるべきものでありますが、組合活動に名をかりて与えられた職務に専念しないことは、決して許されることではありません。  そこで、教育長にお伺いします。まず、学校体制のあり方をどのように認識されているのか、校長はみずから汗を流し、全教職員を掌握・管理して、学校全体の能力向上、ひいては本府全体の教育の進展に着々と邁進すべき責任を持っていると考えますが、指導の成果はどのように上がっているのでしょうか。また、個性の重視やいじめの対応など、今日の学校教育に課せられたさまざまな課題に対する基本的な認識とその対応策について、あわせて教育長の御所見をお伺いしたいと存じます。  次に、このたび立派に完成した「 110番指令センター」についてお尋ねいたします。  昨年は、一連のオウム真理教関連事件を初め、銃器を使用した凶悪重要事件が相次ぎ、日本の治安を根底から脅かしたばかりか、ここ京都にあっても、暴力団抗争に伴う連続発砲事件が多発、そのような中で警察官までが犠牲になるなど、かつてない治安情勢の悪化に府民は少なからず不安を感じたところであります。加えて、阪神・淡路大震災や北海道で発生したトンネル崩落事故など、災害や事故はいつ我々の身近に起こるかわからない状況にあります。知事も常々府民の安全と安心の確保について申しておられますが、府民の間でも今日この問題が大きな関心事であります。こうした時期に京都府警察の「 110番指令センター」の完成を見たことは、まことに時宜を得たものであり、高く評価するものであります。  この「 110番指令センター」は、事件や事故などが発生した場合、 110番を受信するや否や、通信指令センターを初め、交通信号機の制御、交通情報の提供等を行う交通管制センターなどに最新のハイテク機器を導入し、また屋上にはヘリポートを整備して空陸一体の警察活動を行うなど、事件、事故等に迅速、的確に対応できる警察活動の司令塔として、高度情報化時代にふさわしい最新の近代的施設と設備を備えた立派な庁舎であると聞き及んでおりますが、その効果を大いに期待しているところであります。  そこで、この「 110番指令センター」の中枢部である「通信指令センター」は5月から運用されると伺っておりますが、運用が開始された場合、府民に対してどのような効果が期待されるのか、警察本部長にお尋ねいたします。  最後に、地元の山科川の河川改修についてお尋ねいたします。  私の地元山科は、国道1号やJR東海道線、名神高速道路といった大動脈が通過している交通の要衝となっております。このような交通の便のよさから都市化が急激に進み、土地利用の形態が大きく変わってまいりました。市街化が進み、人口の集中とともに、家屋や道路、橋梁、鉄道等の都市施設が増加してまいります中で、一たび河川がはんらんいたしますと、大きな浸水被害が生じることとなります。したがって、まちづくりに当たりましては、まず地域の治水対策を講じることが重要な課題となってまいります。  このようなことから、山科を貫流いたします山科川につきましては、早くから河川改修に取り組んでいただいたところであります。これまでJR奈良線橋梁から上流に向かって順次改修を進められ、三ノ宮橋までの区間が完成したところであります。河川改修が完成いたしました旧安祥寺川との合流点付近では「京(みやこ)の川づくり」事業により、散策路整備や飛び石等の整備が行われ、地元住民はもとより、広く人々が親しめる水辺環境の整備が着々と進められております。残る未改修区間につきましては、長年の懸案でありました用地買収にめどがつき、上流区間の改修に近々着手できる状況と承知いたしております。山科川の河川改修の一日も早い完成を地元住民とともに期待しているところでありますが、河川改修の今後の見通しについて知事の御所見をお伺いいたします。  以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手) 15: ◯議長小林弘明君) 荒巻禎一知事。    〔知事荒巻禎一君登壇〕 16: ◯知事荒巻禎一君) 山本直彦議員におかれましては、会派を代表して私の府政推進につきましての温かい、そして力強い御激励と御評価を賜りまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  御質問にお答え申し上げます。  まず、府市協調についてでありますが、ただいまいろいろお述べいただきましたが、京都市民の皆様方の良識ある審判が下され、桝本新市長さんが誕生しましたことを心からお喜び申し上げます。  何と申しましても京都市は、千年の都として世界的な学術・文化・産業の蓄積を持つ日本人の心のふるさとであるとともに京都府の中心地でもありますので、私が常々申し上げておりますとおり、 146万市民は同時に大切な京都府民でもあるという視点に立ちまして、政令指定都市である京都市とは相互の信頼のもとに機能を分担し合って、互いによきパートナーとして助け合い、府市民の期待にこたえられるよう、一層緊密な協力、協調を図り、21世紀へ向けた京都の礎づくりに邁進してまいりたいと考えております。  また、京都市と周辺市町との連携につきましては、整合性ある地域の発展を図るために、私も知事・市長会議などでいろいろ調整もいたしておりますけれども、昭和61年度から京都府が中心となって京都市と京都市周辺市町との定期的な協議の場を設けまして、広域行政の基礎となる道路交通網を中心に幅広く共通する行政課題について意見交換を行ってきたところでございます。今後とも、広域行政を担う京都府といたしましては、京都市と周辺市町との間を取り持ち、必要な助言、調整を積極的に行ってまいりたいと考えております。  京都市と周辺地域を結ぶ道路交通網の整備についてでありますが、京都府といたしましては、京都市とその周辺地域を結ぶ広域的な道路網の整備は極めて重要であると考えておりまして、従来から京都市とは、京都第2外環状道路や第2京阪道路はもとより、これと連絡する京都高速道路などにつきまして、先ほども申し上げましたように、私と京都市長さんとの定期的な協議調整を積み重ね、相互協力のもと、その促進に努めてきたところでございます。今後とも、効率的な広域行政の推進を図るために、総合的な調整機能を発揮しながら、京都市とのより緊密な連携のもとに、一層府民・市民のために役立つ道路網の整備に努めてまいりたいと存じております。  産業振興に係る府市協調についてでありますが、京都市域の産業振興は、京都府域の経済全体に大きな影響を与えるものであるということは言をまちません。このため、京都府といたしましては、伝統産業や観光の振興を初め、産業の高度情報化の推進、コンベンションの誘致など、さまざまな分野で京都市との密接な連携のもとに施策を進めているところでございます。また、京都市内の新たな産業振興の拠点でございます、五条御前下ルにございます「京都リサーチパーク」におきましては「京都府中小企業総合センター」そして「京都市工業試験場」などの公的試験研究機関を集積をさせまして、それぞれの特徴を生かして共同した研究、あるいは共同した機械の使用、こういう形の中で中小企業に対する支援を展開しているところでございます。  さらに、今後の産業振興に係る企画立案につきましても、本年1月に設置いたしました、私が座長を務めさせていただいております「京都府産業政策会議」におきまして、京都市からの参画を得て、21世紀に向けての産業振興政策の検討を行っているところでございます。  いずれにいたしましても、今後、経済活動が全国からアジアへ、さらに世界へとますます広域化する中で産業振興施策を真に実効あるものとするためには、京都府がその広域的な行政主体としての役割を担いつつ、京都市や京都商工会議所などの産業界と連携していくことが極めて重要であると同時に不可欠でもございますので、常にこの点を念頭に置きながら施策の展開を図ってまいりたいと考えております。  平成8年度当初予算の編成についてでありますが、議員御指摘のとおり、現下の財政環境は容易ならざる状況にございます。こうした中で本当に苦心惨たん、いろんなやりくりをして編成した予算というのが率直な私の感想でございます。議員も御指摘のように、財源の裏打ちもなしに、また将来の負担も考えずに何でもやるような主張をする政党やグループもあるわけでございますが、これは府政に責任を持つ立場にないからできる主張でございまして、府政に責任を持つ私は全く立場を異にするものでございます。  今回の予算につきましては、先ほど申し上げましたような厳しい財政環境の中で、事務事業の見直しを徹底し、経費の節減・合理化に努めたこと、また7年度の予算に計上しておりました「府民総合交流プラザ」などの大型事業が完成したこともございまして低い伸び率となっておりますが、21世紀へ向けた安心で安全な京都府づくりを目指しまして、防災対策、高齢者対策、少子化対策、西陣・丹後対策等、当面の緊急課題に的確にこたえ得る施策を積極的に展開することといたしております。  防災対策についてでありますが、「地震に強い京都づくり懇話会」につきましては、阪神・淡路大震災を教訓に、地震災害に強い京都府確立に向け、幅広く府民の御意見を得るため設置させていただきまして、去る1月24日に「中間まとめ」を御報告いただいたところであります。この中には、御案内のとおり、京都府が今後防災行政の新たな展開を図るに当たって確立すべき防災理念のほか、直ちに、あるいは中期的に取り組むべき重点事項など幅広くきめ細かく貴重な御意見が数多く含まれております。  現在、京都府地域防災計画の第2次見直しを進めておりますけれども、この「中間まとめ」の御意見を反映させるべく防災理念の明記、発災後の時間経過に沿った計画への編成替え、あるいは高齢者、障害者など特に配慮を要する方々に係る防災対策の整備、さらにはボランティア等自主的な防災活動の促進などにつきまして、鋭意検討を行っているところでございます。  次に、災害発生時の救援活動や医療活動への備えについてでありますが、御指摘のように、救急患者や救援物資などの円滑な搬送のために、ヘリコプターが離発着できるスペースを確保しておくことは極めて重要なことと認識をいたしておりまして、これまでから市町村が地域防災計画において指定いたしておりますヘリコプター離着陸場を阪神・淡路大震災を契機に再点検いたしまして、 300カ所余りの離着陸場を確保しているところでございます。  大規模災害には、自衛隊などの後方支援基地や応急物資の備蓄、集配拠点、さらには先日締結いたしました近畿2府7県の相互応援協定に基づく応援の受け入れ、あるいは派遣基地としての使用が想定されますので、これらに対応した大型ヘリコプターの基地のあり方について、さらに検討してまいりたいと考えております。  次に、災害時の医療体制につきましては、京都府では国の新年度予算案で示されました「災害拠点病院整備事業」の動向も踏まえながら、現在、大規模改修が進められております京都第一赤十字病院を府内の災害時医療の基幹となるセンターとして位置づけてまいりたいと考えております。この基幹災害医療センターは、医療救護班などの要員の訓練や研修を実施いたしますとともに、緊急医療機材・医薬品の備蓄を行いまして、ヘリコプターの離発着も可能となるよう整備をしてまいりたいと考えております。  さらに、災害時の医療体制を充実するためには、平常時の救急医療体制のレベルアップが必要でありますので、京都第一赤十字病院には一般病院では対応困難な重篤患者を受け入れるための「救急救命センター」を設置するなど、総合的な救急医療体制の整備に努めてまいる所存でございます。  伝統産業の振興についてでありますが、西陣織、京友禅、清水焼を初めとする伝統産業は、京都経済の活性化や京都文化の発展を促し、生き生きとした地域社会をつくる上で極めて重要な役割を果たしているものと考えております。そのため、京都府も参画して、西陣織工業組合で現在取りまとめておられます「第4次西陣産地振興対策ビジョン」に沿って「西陣夢まつり」や「西陣織東京展」の開催等に対しまして支援いたしますとともに、丹後織物の総合産地化の推進を柱としながら、地域産業や丹後リゾートとの連携も視野に入れた「丹後産業21世紀ビジョン」の策定に取り組むなど、産業の活性化を図ってまいりたいと考えております。  なお、丹後、西陣などの和装関連の中小企業を取り巻く環境は極めて厳しい状況にございますので、かねてから強い御要望がございました、一定の売上高が減少している和装関連業者の方で、京都府の既往制度の融資の利用者につきまして、原則として担保、保証人の条件を変更せずに既借入金の金利を3%に軽減する新たな特別借換え措置を実施してまいりたいと考えております。  また、清水焼を初めとする伝統工芸品の振興を図るため、いわゆる「伝統産業振興法」や、昨年度京都府が独自に創設いたしました「伝統工芸品指定制度」などを活用しまして、後継者の育成、需要開拓への取り組みを支援するために、本議会におきまして所要の予算措置をお願いしているところでございます。  中小企業の振興についてでありますが、京都府といたしましては中小企業の経営の安定を図るために、従来から金融支援を初め、新分野への進出、下請受注の確保など、総合的な対策を推進してきたところでございます。とりわけ、融資制度につきましては、平成7年度において貸付利率の過去最低水準への引き下げや既往借入金の返済猶予の特例措置などの拡充を行ってきたところでございます。しかしながら、依然として厳しい状況にあります府内中小企業の経営環境を踏まえまして、今回、京都府独自の政策として強化して、マル小の3%の利率に当たるものを 2.3%にし、そしてマル小の 450万円限度のものを、さらにこちらの方は 750万円とする、そういう平成6年度に創設しました緊急無担保資金を今回無担保・無保証人制度に変更いたしまして実施したいと存じておりまして、これはまたさらに貸付対象要件を、従来10人以下の事業所としておりましたのを、20人以下の事業所というふうに緩和をいたします。  こうなりますと、従来のマル小とは全くこちらの方が有利な形になるわけでございまして、陳腐化したマル小制度の改善だけにいろいろ取りついておられます共産党や民商の施策、これよりか私は、まさしくこれこそ平成の京都の新施策のマル小、新しい全国をリードするマル小施策というふうに自負を持っておりまして、今回これを改善していく決意でございます。これにつきましては、京都市とも十分事務的にも打ち合わせておりまして、今回新市長が誕生しましたので、事務整備も終わっておりますので、新市長の決断によって府市協調で実行してまいりたいというふうに存じております。  また、緊急経営支援資金や既往借入金の返済猶予の特例措置について、その取り扱い期間をさらに本年12月末まで延長するとともに、貸付条件を緩和するなど、制度融資の拡充措置を講じることといたしております。今後とも、京都経済の活性化に向けて積極的に中小企業対策を推進してまいりたいと存じております。  ベンチャー企業の育成についてでありますが、京都経済の将来的な発展を期するためには、創造的な技術や知識を生かした新規産業の育成が極めて重要な課題であると考えております。このため、京都府といたしましては、いわゆる「中小企業創造活動促進法」に基づきまして、新技術の研究開発や事業化を行う企業に対して、助成や融資などによる支援を行っているところでございます。  また、平成7年2月に策定の「京都産業技術振興構想」に基づき、創業者のためのセミナーの開催やアドバイザーの派遣、産・学・官の共同研究事業など、京都府独自の取り組みを進めているところでございます。これに加えて、平成8年度におきましては、ベンチャー企業に対する資金供給の円滑化を図るために、民間ベンチャー・キャピタルを活用して株式や社債の引き受けを行う「創造的中小企業創出支援事業」を創設することといたし、この議会に必要な予算をお願いしているところでございます。今後とも、21世紀の京都経済をリードするベンチャー企業の育成を目指して、国や地元産業界とも十分に連携を図りながら積極的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。  新規学卒者の就職対策についてでありますが、京都府といたしましては、これまでから厳しい雇用情勢を踏まえ、事業主への求人拡大の要請や大規模な就職面接会の開催、学生職業情報センターにおける情報提供や就職相談などを通じて、積極的にその支援に努めてまいったところでございます。最近の景気動向は緩やかながら再び回復の動きが見え始めたと言われておりますが、依然として厳しい雇用情勢にあるところから、平成8年度におきましては、これらの取り組みを引き続き実施するとともに、情報提供の充実に努めることとしております。  また、議員からの御指摘も踏まえまして、有名企業や事務職などにとらわれず、早い段階から職業選択の幅を広げ、みずからの適性と能力を生かした職業選択に臨めるよう、職業意識を高め現状認識を深めることを目的として、大学の3回生などを対象とした就職の事前準備セミナーを開催してまいりたいと考えております。今後も、大学や高等学校などと連携を強め、新規学卒者に対するより有効な就職支援策の実施に努めてまいりたいと考えております。  次に、監視区域についてでありますが、御承知のとおり、京都府の地価がかつて全国一の上昇の後、一転して全国一の下落を示しまして府民の生活や企業の経済活動に大きな支障を来した経過がございましたので、これまで慎重な対応をしてまいったところでございます。  今後の監視区域の取り扱いにつきましては、中・南部の指定期限が今年の3月末日までとなっているところから、北部を含めた京都府全体の監視区域について見直しを行いまして、各地域ごとの地価の動向や土地取引の動向に関する資料の整理を行いますとともに、また他府県の状況なども含めて検討を行ってまいりました。その結果、関西文化学術研究都市区域と丹後リゾートの区域につきましては、地域プロジェクトの進捗状況を踏まえまして、当面、監視区域の面積要件を緩和して継続することといたしますが、その他の一般原則に当たりますこれらの地域以外は4月1日から監視区域を廃止することが適当であると考えております。今後、関係市町の意向も踏まえ、土地利用審査会の御意見を伺う中で、そのような方向づけをしてまいりたいと考えております。  次に、山科川の改修についてでありますが、地域住民の生命と財産を守り、安全で安心できる快適な生活環境を実現する上で大変重要な事業であると認識をしております。現在、JR奈良線から上流の約 5.7kmの区間につきまして河川改修事業を実施しているところでございまして、全体の96%が完成をいたしております。残る三ノ宮橋から上流の未改修区間につきましては、懸案となっておりました用地買収が地権者の方々や地元の皆様方の御協力をいただきまして昨年完了し、引き続き離宮橋につきまして、新たな歩道を設置し、道幅を広げる橋梁改良を実施いたしますとともに、護岸工事に着手し、平成9年度末完成を目指して事業を促進してまいりたいと考えております。  また、京(みやこ)の川づくり事業により、治水の対策とあわせて散策路や休息のためのベンチ、飛び石、階段護岸を設置するなどいたしまして、既に水辺の散策を山科地域の皆さんに楽しんでいただいているところでございます。さらに、魚道の設置をいたしまして、魚にも優しい川づくりを進めているところでございます。  今後とも、潤いと安らぎのある水辺環境の創造に努めてまいりたいと考えております。 17: ◯議長小林弘明君) 教育長安原道夫君。    〔教育長安原道夫君登壇〕 18: ◯教育長安原道夫君) 山本直彦議員の御質問にお答えをいたします。  まず、学校教育に課せられた今日的課題についてでありますが、複雑多様に変化する社会に、柔軟かつ的確に対応する能力や資質の育成に努めるとともに、個性を伸長し、心豊かでたくましい人間の育成を目指すことが重要であると考えております。  とりわけ、社会問題化しているいじめ問題は、生命、人権を脅かすものであり、絶対に許されないものとの認識のもとに、学校、家庭、地域社会が連携して、緊急かつ重点的に対処する必要があると考えております。また、多様化している生徒のニーズや保護者の期待に積極的にこたえるため、現在の高校教育制度を基本に、多様で柔軟な教育システムの構築を目指し、嵯峨野高校「京都こすもす科」の開設や普通科第I類へのコースの導入など、順次取り組んでまいりました。さらに、平成9年4月には、西宇治高校全日制、桃山高校定時制、朱雀高校定時制・同通信制の3校において、学校間連携を含めて単位制を設置してまいりたいと考えております。  また、こうした今日の状況の中で公教育に課せられた使命と責任は極めて重大であり、その責務を全うするためには校長を中心とした運営体制を確立し、全教職員が一致協力して学校を挙げて取り組む必要があると考えております。また、教職員は教育公務員としての自覚と使命感を持って関係諸法令を守り、職務に邁進することが強く求められているところであります。このため、各学校において校長の強力なリーダーシップのもと、日常的な指導を行うとともに、府総合教育センターで教職員の研修の充実に努め、その資質の向上を図っているところであります。その結果、例えば一部未提出者がおりました小・中学校の1週間の指導計画である、いわゆる週案についても昨年全教員が提出し、授業改善の進むところとなっております。  また、教職員の服務規律の確保につきましては、これまで機会あるごとにその徹底を図ってまいったところでありますが、議員御指摘のような、府民から批判を受けるような問題があれば、今後も、府民の公教育に対する信頼を損なうことがないよう、毅然たる対応をしてまいりたいと考えているところでございます。 19: ◯議長小林弘明君) 警察本部長小林奉文君。    〔警察本部長小林奉文君登壇〕 20: ◯警察本部長小林奉文君) 山本直彦議員の御質問にお答え申し上げます。  「 110番指令センター」が関係者の御尽力により、このほど完成しましたが、その中枢である「通信指令室」は広域化する犯罪や大規模な災害に迅速、的確に対応することのできる最新のハイテク機器を活用したシステムを導入しており、府民の安全確保に大いに役立つものと考えております。  具体的には、事件・事故現場の地図を瞬時に検索する地図情報システムにより、パトカーの現場臨場に要する時間が短縮されること、パトカーの現在位置を地図上に表示するカーロケーターシステムにより、現場に最も近いパトカーに現場急行指令をするなど効率的な運用ができること、犯罪発生後の経過時間、逃走手段等に応じて、犯人の逃走可能範囲を予測し、それに応じた緊急配備箇所を表示するシステムにより、効果的な初動活動ができることなどであります。犯罪等の初動活動に多大な効果を発揮するものと考えております。また、災害発生時には、ヘリコプターからの映像受像システムにより迅速に被災状況の把握ができ、効果的な救助活動を行うのに有効であります。  これらのシステムを総合的に活用することにより、これまで以上に安全で安心できる明るいまちづくりに貢献できるものと考えております。         ─────────────────── 21: ◯議長小林弘明君) 本日はこの程度にとどめ、明2月27日午後1時から本会議を開きますので、御参集願います。  本日はこれをもって散会いたします。    午後4時33分 散会 発言が指定されていません。 ↑ ページの先頭へ...