滋賀県議会 2024-07-01
令和 6年 6月定例会議(第2号〜第8号)−07月01日-04号
令和 6年 6月定例会議(第2号〜第8号)−07月01日-04号令和 6年 6月定例会議(第2号〜第8号)
令和6年6月
定例会議会議録(第5号)
令和6年7月1日(月曜日)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
議事日程 第4号
令和6年7月1日(月)
午 前 10 時 開 議
第1 議第88号から議第97号まで(令和6年度滋賀県
一般会計補正予算(第1号)ほか9件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
──────────────────────────────
本日の会議に付した事件
第1 日程第1の件
──────────────────────────────
会議に出席した議員(42名)
1番 谷 口 典 隆 2番 田 中 英 樹
3番 谷 成 隆 4番 小 河 文 人
5番 菅 沼 利 紀 6番 桐 田 真 人
7番 岩 崎 和 也 8番 野 田 武 宏
9番 森 重 重 則 10番 田 中 誠
11番 河 村 浩 史 12番 柴 田 栄 一
13番 中 山 和 行 14番 赤 井 康 彦
15番 河 井 昭 成 16番 佐 口 佳 恵
17番 小 川 泰 江 18番 田 中 松 太 郎
19番 清 水 ひ と み 20番 井 狩 辰 也
21番 本 田 秀 樹 22番 柴 田 清 行
23番 重 田 剛 24番 白 井 幸 則
25番 村 上 元 庸 26番 桑 野 仁
27番 周 防 清 二 28番 海 東 英 和
29番 加 藤 誠 一 30番 目 片 信 悟
31番 有 村 國 俊 33番 川 島 隆 二
34番 奥 村 芳 正 35番 駒 井 千 代
36番 木 沢 成 人 37番 清 水 鉄 次
38番 大 野 和 三 郎 39番 角 田 航 也
40番 冨 波 義 明 43番 今 江 政 彦
44番 中 沢 啓 子 45番 節 木 三 千 代
──────────────────────────────
会議に欠席した議員(1名)
41番 九 里 学
──────────────────────────────
会議に出席した説明員
知事 三 日 月 大 造
教育長 福 永 忠 克
副知事 江 島 宏 治
副知事 大 杉 住 子
知事公室長 小 林 雅 史
防災危機管理監 山 下 將
総合企画部長 松 田 千 春
総務部長 岡 田 英 基
文化スポーツ部長 東 郷 寛 彦
琵琶湖環境部長 中 村 達 也
健康医療福祉部長 山 田 忠 利
子ども若者部長 村 井 泰 彦
商工観光労働部長 林 毅
農政水産部長 中 田 佳 恵
土木交通部長 波 多 野 真 樹
会計管理者 谷 口 義 博
企業庁長 藤 原 久 美 子
病院事業庁長 正 木 隆 義
警察本部長 中 村 彰 宏
──────────────────────────────
議場に出席した事務局職員
事務局長 箕 浦 宏 昌
議事課長 一 丸 裕 介
議事課参事 内 田 吉 行
──────────────────────────────
午前10時 開議
○議長(有村國俊) これより本日の会議を開きます。
直ちに日程に入ります。
────────────────
△議第88号から議第97号まで(令和6年度滋賀県
一般会計補正予算(第1号)ほか9件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
○議長(有村國俊) 日程第1、議第88号から議第97号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を続行いたします。
発言通告書が提出されておりますので順次これを許します。
まず、19番
清水ひとみ議員の発言を許します。
◆19番(
清水ひとみ議員) (登壇、拍手)おはようございます。通告に従い、3項目の質問を行います。
1項目めは、淡海学園について、一問一答方式でお伺いします。
滋賀県立淡海学園は、全国に現在58ある
児童自立支援施設の1つです。令和4年4月に会派で視察に伺い、7月定例会において中村前議員から子供たちの未来に思いをはせ、特に教員の配置について質問をされました。
その後、10月に三日月知事、大杉副知事が初めて淡海学園を視察され、職員の皆様と意見交換をされました。昭和37年に現在の甲賀市に移転されたときに当時の谷口知事が訪問されて以来、現職知事として初めて淡海学園を訪問されたときを振り返り、率直な思いを知事にお伺いします。
○議長(有村國俊) 19番
清水ひとみ議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
淡海学園は、行動上の問題や発達上の課題、家庭環境上の問題等を抱えた子供たちを受け入れ、家庭的な雰囲気の中で職員と寝食をともにしながら、子供一人一人の状況に応じて必要な指導を行う、児童福祉法に定める
児童自立支援施設でございます。
長年にわたりまして、24時間365日、子供たちの安全・安心を守る安定した生活基盤をつくっていただいていること、また、子供たちが自信をつけたり、夢を描いたりすることに、教育部門と福祉部門が連携し
て、サポートしていただいていることなど、実際に訪問し、改めて大切な現場であると実感したところでございます。
一方で、子供一人一人に応じた生活環境や支援の在り方、また、学園に期待される機能の再確認など、自立に向けた施設や体制等の在り方について検討する必要があると感じたところでございます。
◆19番(
清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。
その後の経過も知りたく、本年5月、会派で改めて淡海学園に伺いました。中学校の教員時代に訪問した淡海学園を振り返ると、当時は児童福祉法の「不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所」とあるように、いわゆる荒れた子供たちに先生方が体を張って指導してくださっているように感じたことを思い出します。
一方、現在
児童自立支援施設を取り巻く環境はますます多様化、複雑化しており、子供の課題は福祉、教育、医療などにまたがり、子供の支援には関係機関との連携が不可欠になっています。
淡海学園における近年の子供たちの状況について、
子ども若者部長にお伺いします。
◎
子ども若者部長(村井泰彦) (登壇)お答えいたします。
淡海学園への入所は、近年、おおむね20名前後で推移しておりまして、本年6月1日現在では13名となっております。
非行に至る背景として、発達障害や被虐待経験等のある子供が多いことが近年明らかになっておりまして、医療対応や心理的ケアといった、一人一人の状況に応じた個別支援が必要になっていると認識しております。
◆19番(
清水ひとみ議員) (登壇)淡海学園の大きな特徴として、県立施設の中に教育の場と生活の場があります。教育、学びの場として大野小学校、土山中学校の分教室があり、甲賀市立の小学校、中学校で子供たちは学んでいます。本校とは、体育大会や文化祭などでの交流を続けておられます。学園の中にある体育館は、雨漏りやその日によってついたり消えたりする照明など、老朽化による不具合を今回の視察でも確認しました。
また、子供たちの言語能力の向上を目指して校内研究に取り組んでこられたこともお聞きしました。学園の子供たちの対人関係での未成熟さも課題で、言語能力は各教科の基礎であるとともに、自分の思いを言語化して相手に正しく伝えることは、人間関係を築く上でも重要です。本県において、こどもとしょかんの取組を始めています。淡海学園では、毎日朝礼前の15分間、朝読書の時間を取っておられますが、あまりにも狭い図書館には一日も早い整備をと願うばかりです。
そこで、今後の淡海学園の教育に関する施設整備の全体計画については、どのようにお考えなのか、
子ども若者部長にお伺いします。
◎
子ども若者部長(村井泰彦) お答えいたします。
校舎は築60年余り、体育館や管理棟は40年余りが経過しているため、耐震化工事や
長寿命化計画に基づく外壁、機械設備等の改修工事を実施してきているところです。また、モバイル端末の配備や教室におけますWi−Fi環境の整備など、学習環境のICT化も進めているところです。
また、図書室は、スペースの関係で蔵書が限られているということなんですが、市立図書館を活用するなどして、子供たちが最新の書籍に触れる機会を確保しております。また、今後は、こどもと
しょかんサポートセンターによる支援も活用しながら、読書環境をさらに充実してまいりたいと考えております。
教育環境に関する全体的な計画につきましては、今後、さらに関係者や有識者からの御意見も踏まえまして、よりよい学びの場を提供できるよう検討していく所存です。
◆19番(
清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。
60年余り、40年余りというお答えをいただきましたけれども、体育館ももう壁もぼろぼろで、体育の授業以外にもやっぱり講堂の役割がありますので、様々な卒業式とか入学式、子供たちの人生の節目になる式典も行われている中で、あの壁は何とかしてあげたいなという気持ちが非常にしました。
それと、Wi−Fi環境、ICT化ということで整えているとおっしゃいましたけれども、全ての教室、どこにも電子黒板も1つも設置がありませんでしたし、そういうことを考えると、やはり施設自体の今後の建て替えなり何か必要だと思いますけれども、それを待つのではなく、図書館にしても、実際に通うことも大事ですけれども、学校施設の中に学校図書館がきちんと整備がしてあるということは、私はまず、一番初めに行わなくてはいけないことだと思います。
昨年度、滋賀の公共交通の
未来アイデア会議のフォーラムがあって、それの前段階で、土木交通部の職員さんが非常に現場に出ていろんな人の声を聞かれた。それで、それをまとめてフォーラムをされて、非常によかったので、私はその後、知事と何かの折にしゃべったときに、今年度は動く県庁を目指してくださいという、そんなお話もさせていただいたことがあるんですけれども、それを考えると、これからの全体計画、関係者や有識者というお話がありましたけれども、一番の関係者はやっぱり教育長だと思います。滋賀のやっぱり教育の原点の1つがこういった施設にもあると思いますし、甲賀市教育長、よく御存じですので、教育長と一緒に、村井部長も本当に大きな期待と使命のある
子ども若者部の初代部長として今年度スタートされましたし、一緒に一度淡海学園に足を運んでいただいて、実際に見て、その上で、施設整備の全体計画を考えていただけたらというふうに思いますが、再度お答えいただきたいと思います。
◎
子ども若者部長(村井泰彦) お答えいたします。
今御指摘がありました、私も含めて、現場に足を運んでということで、私、就任当初に、まずは淡海学園も訪問させていただきましたけども、まだまだ細かいところまで拝見できていないところもございますので、今後、しっかりとそういったところを見ながら、次なる手だてというのを考えてまいりたいと思います。よろしくお願いします。
◆19番(
清水ひとみ議員) (登壇)就任当初に行ってくださっていたそうで、ありがとうございます。あとは、教育長、よろしくお願いします。
今年度、甲賀市の小中学校の特別教室に
エアコン設置がされると聞きました。今年も猛暑が予想され、子供たちの健康管理のためにはもはやエアコンの設置はどの学校においても急がなくてはなりません。
その中、同じ甲賀市の小中学校の分教室にもかかわらず、
淡海学園内校舎の特別教室の
エアコン設置は今年度の予定にはないとのことでした。
甲賀市立小中学校の分教室といえども県立の施設ですから、市の設置計画からは外れてしまうと聞きました。県立の施設として、教育の場も生活の場も県の責任で整備をしていく必要があります。
そこで、淡海学園の特別教室の
エアコン設置計画について、
子ども若者部長にお伺いします。
◎
子ども若者部長(村井泰彦) お答えいたします。
現状では実際に利用する子供の数や利用頻度などを考慮しながら、エアコンが設置されている普通教室において実施できる授業内容とするなど、現場で工夫しながら暑さ対策を行っているところです。
特別教室の
エアコン設置については、学園全体の改修計画における優先順位も考慮しながら、子供たちの学習に支障を来さないような対応方法を検討してまいりたいと存じます。
◆19番(
清水ひとみ議員) (登壇)今、子供たちの学習方法に支障を来さないというふうにおっしゃいましたけれども、音楽室のピアノを移動することは難しいと思いますし、あと、図工室は、教室が汚れたりすることをあまり気にせず使えるような部屋になっていますし、理科室も、顕微鏡ぐらいだったら持って出られますけれども、ガスバーナーを持ち出すこともできませんし、そういった特性があるから特別教室と言うわけであって、代替ができるわけではないですし、今月、もう7月入って、非常に暑くなりますし、また、すごくしんどいのは9月、10月の残暑の時期ですね。やっぱりそれに向けて何らかの対策が必要だと思いますので、今後しっかり検討をお願いしておきます。
次に、生活の場である寮についてお伺いします。
今回お伺いしたとき、お会いした若い職員さんがスウェット姿だったこともあり、一瞬、学園生かと見間違う感じでした。
寮では、子供たちの生活全般を支えることを考えると、職員の人事異動のスパンが短いともお聞きしました。
寮の職員について、現状どのように人事異動されているのか、
子ども若者部長にお伺いします。
◎
子ども若者部長(村井泰彦) お答えいたします。
学園内の寮では、自立支援員や生活支援員といった専門職の職員が交代で勤務に当たっていただいておりまして、現状では、職員本人の希望も考慮しながら、特に、経験の浅い職員を中心に、おおよそ3年から5年のサイクルで、
子ども家庭相談センターや近江学園、県庁などへ異動しているところです。
◆19番(
清水ひとみ議員) (登壇)子供たちに近い職員さんも必要ですが、多くの課題のある子供たちの生活全般に関わることを思えば、一定の経験の積み重ねは必要です。
今後の寮の職員の人材育成は、急務の課題だと考えますが、どのように取り組むのか、
子ども若者部長にお伺いします。
◎
子ども若者部長(村井泰彦) お答えいたします。
経験年数の浅い職員については、
異動ローテーションにより、複数の職場や施設を経験させることで、OJTにより専門性を高め、育成しているところです。
一方、中堅、ベテラン層の職員につきましては、短期間の異動を避け、職員の指導、育成や関係機関との連携強化など、施設全体の質の向上に向けた
マネジメント力の育成に取り組んでいるところです。
また、現場の職員からは、外部で行われる研修に参加しづらいといった声も聞いていることから、勤務シフト上の配慮を行うなどして、学園外での研修への積極的な参加を促し、また、支援しているところです。
◆19番(
清水ひとみ議員) (登壇)中堅の職員さん、非常に大切だと思いますので、今後ともよろしくお願いします。
次に、寮の職員体制についてお伺いします。
夫婦寮と言われる御夫婦で子供たちと共に寮で生活し、見守ってこられた多くの先人の皆様には心から敬意と感謝の思いでいっぱいです。しかしながら、負担の大きさは想像に難くなく、近年は全国でも夫婦寮は減ってきているのが現状です。
淡海学園には、現在3つの寮がありますが、職員体制の現状について、
子ども若者部長にお伺いします。
◎
子ども若者部長(村井泰彦) お答えいたします。
現在、学園内には夫婦職員が子供たちと一緒に生活しながら支援に当たる夫婦寮と、職員が交代勤務で支援に当たる交代制の寮がございます。
加えまして、これらの寮体制をサポートするため、
スーパーバイザーとして
ベテラン職員が各寮のフォローに当たっているところです。
◆19番(
清水ひとみ議員) (登壇)それでは、今後の夫婦寮の在り方について、本県はどのようにお考えか、
子ども若者部長にお伺いします。
◎
子ども若者部長(村井泰彦) お答えいたします。
夫婦寮では、特定の大人との関わりを通じて、子供がより家庭的な雰囲気の下で生活できることがメリットとして挙げられます。
一方で、夫婦が中心となって寮を運営するため、交代制の寮と比較すると、夫婦にかかる負担は大きくなる傾向にあるほか、全国的にも夫婦職員の確保が困難となっておりまして、夫婦寮が減少しているといった状況にございます。
こうした状況を踏まえ、子供たちの最善の利益を念頭に置きながら、持続可能な支援体制の在り方につきまして、引き続き検討してまいります。
◆19番(
清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。しっかりフォローしていただいて、今の夫婦寮の職員さんが安心をして勤めていただけるように、よろしくお願いをいたします。
子供たちの変化も踏まえ、児童福祉法が改正され、本年4月から施行されました。社会的養護下にいる若者の自立支援が、施設や自治体が自立可能と判断するまで支援できるようになりました。
しかし、令和4年10月時点の
全国児童自立支援協議会の調査によると、中卒児の支援は、58施設中23施設が実施していないとなっています。15歳の壁と言われるゆえんです。
私は、教員時代を経て議員という立場をいただきましたが、その環境変化の中で、なかなか変わらない大人に対して、子供は変わるということを改めて痛感しました。
だからこそ、淡海学園の中での子供たちの暮らしが、将来をどれほど大きく左右するものかと思うわけです。15歳で社会に出るのは、まだまだ厳しいです。
ケアリーバー支援を考えるとき、15歳を過ぎた子供たちの居場所を確保することが必要だと考えます。
最後に、子供たちのよりよい将来に向けて、生活の場であり学びの場である淡海学園の今後の在り方について、知事の見解を伺います。
◎知事(三日月大造) 私も、一昨年になるんですかね、秋に視察をさせていただいて、子供たちと一緒に夕食を取ったり、また、職員の皆さんと意見交換をしたり、施設内見て回ったりということで、様々な私自身も学びというか、大事な施設だなということを感じましたし、その後すぐ大杉副知事にも行ってもらって、心、希望、元気というこの3項目で改めて淡海学園をどうよりよくしていくのかという、機能向上を図っていくのかという、こういった整理をし、今、順次対応させているところでございます。
全ての子供が深い愛情を注がれて、心身ともに健やかに育つことは県民の願いであります。子供が安全かつ安心して生活できる環境の確保は、非常に重要な県の責務だと考えております。
様々な事情により、学園で生活する子供たちが、心豊かに過ごし、将来に夢と希望を持って、自立できることは、今、滋賀県が目指しております、子供を真ん中に置いた社会の実現にも通じるものだと考えております。
こうした考え方を基本に、入所中はもとより、退所後においても、福祉、就労、教育等の団体と連携した居場所づくりを進めるなど、子供一人一人の希望に寄り添った支援を行い、淡海学園で育ち、学ぶ子供が、現在、そして将来にわたって幸せに暮らせるよう取り組んでまいりたいと存じます。
◆19番(
清水ひとみ議員) (登壇)心、希望、元気の3項目で進めていただいているということで、引き続きよろしくお願いをしたいんですけれども、淡海学園、非常に環境はすばらしいんですけれども、ちょっと奥まっているので、子供たちが本当にそこから働いたり高校に行ったりというのは時間的に厳しいものがあるので、日野も遠い面もあるんですけど、新しい
子ども家庭相談所も、人員、まだちょっと今不足しているという状況がありますが、そこを充実していただいて、そこでの受入れであるとか、ちょっと広域的にいろいろな手だてを今後考えていただけたらなというふうに思います。
いずれにしましても、大切な施設ですので、これからも引き続きよろしくお願いをしておきます。
それでは、次の質問に移ります。
2項目めは、
ヒアリングフレイル予防について、分割質問方式で全て
健康医療福祉部長にお伺いします。
高齢化社会に入り、いかに健康寿命を延ばしていくかは大きな課題の1つです。
新型コロナウイルス感染症との3年以上にわたる長い闘いの間、感染の際に重症化リスクがある高齢者は、外出自粛を余儀なくされ、心身の虚弱と言われる状態、フレイルの増加やフレイルの前段階であるプレフレイルも増加傾向だと言われています。
その中、世界保健機構──WHOは、2021年3月3日の世界聴覚デーの前日に初めて聴覚に関する世界報告書を発表しました。その中で、2050年までに世界で約25億人、4人に1人が何らかの難聴を抱えて生活することになると警告しています。
近年、難聴はQOLの低下や認知機能の悪化に影響を与えることが分かってきており、介護予防や生活の質を維持していくための重要な要素の1つとして難聴の早期発見と介入が挙げられるようになってきました。
加齢に伴う難聴は、65歳以上では半数超が当てはまると言われています。滋賀県では、本年4月現在の65歳以上の人口が37万4,189人ですので、18万7,000人ぐらいの人が聞こえにくくなっているとも言えます。しかし、加齢性難聴は本人や周囲が気がつかないうちに進行してしまうことが多く、適切な支援や受診につながりにくいとも言われています。
フレイルの中でも聞こえの低下をユニバーサル・サウンドデザイン株式会社の中石所長は、ヒアリングフレイルとして、その予防を提唱され全国の自治体でも注目されるようになってきました。
そこで、ヒアリングフレイルの認識と本県における加齢性難聴の早期発見について、どのような取組がされているのか、伺います。
次に、加齢によるヒアリングフレイルを放置すると、認知症やうつになるリスクが高まる心配があります。
しかし、早期発見のための聴力検査については、新生児聴力検査、学校での聴力検査、職域での聴力検査はありますが、定年後など高齢期には、聴力検査の機会がないのが現状です。
東京都豊島区では、コロナ禍、感染防止のためのパーテーションを窓口に設置したところ、聞こえづらいと訴える高齢者が相次ぎ、難聴の早期発見の重要性を認識されたとのことです。そこで、2021年7月からアプリを使って聞こえのチェックをするヒアリングフレイルチェックと名づけた高齢者対象の無料の聴力検査を実施されています。
そこで、本県においてもヒアリングフレイルチェックの取組を県内市町と共に検討してはどうかと考えますが、見解を伺います。
次に、聞こえの低下を補う補聴器ですが、一般的に補聴器と呼ばれているものは、収集した音を増幅して外耳道に送る気導補聴器で、様々な原因で外耳道が閉鎖している方には、骨導聴力を活用する骨導補聴器が用いられてきました。
近年、これらの2種類の補聴器に加えて、耳の軟骨を振動させて音を伝える軟骨伝導等の新しい技術を用いたイヤホンが開発されています。軟骨伝導イヤホンは、外耳道を取り巻く軟骨組織に振動を与え耳の中に音を増幅させ、音声をクリアに伝える仕組みで、耳穴を塞がないので周囲の音もよく聞こえ、より自然な聞こえ方になるそうです。
また、合理的配慮の一環として、老眼鏡が様々な窓口に設置してあります。同じように、取扱いしやすく、清潔を保てる軟骨伝導イヤホンやロボット導入支援事業補助金の対象製品である対話支援機器なども自治体窓口での設置がされるようになってきました。
そこで、県内市町の窓口での軟骨伝導イヤホンなどの導入状況についてお伺いします。
私は、過去の議会質問で食のバリアフリーについて取り上げました。加齢に伴い嚥下能力が落ち、誤嚥を起こすと肺炎などにつながります。食のバリアフリーとともに、オーラルフレイル予防の推進に加え、
ヒアリングフレイル予防も進めていただきたいと考えます。本県においては、ホームページ上に、介護予防に関するリーフレット、資料が紹介され、別のページで、「口腔ケアで健康な生活を」とのタイトルで、オーラルフレイル予防について分かりやすく説明されています。
福岡県においては、県のホームページに、「フレイルを予防しましょう!」とのページがあり、その中でフレイル度のチェック、オーラルフレイル、ヒアリングフレイルについて説明がされていて非常に分かりやすくすばらしいと思いました。
また、奈良県立医科大学の細井学長が、4月に公明党の奈良県本部での講演の際、現在日本では1,400万人の難聴者のうち200万人しか補聴器を使っていないと言われていたと聞きました。これは、高齢者だから耳が遠くなるのは仕方がないとの諦めや、耳鼻科受診ができていないからではないかと言われています。
健康しがを目指す本県は、加齢による聴力の低下についても早期に聴覚支援機器、例えば軟骨伝導イヤホンや集音器などを活用することによって、認知症の予防とともに高齢者の積極的な社会参画を推進してほしいと考えます。
最後に、
ヒアリングフレイル予防について県民に広く周知することと、聴覚支援機器等の情報提供や積極的な活用を促進し、さらなる健康長寿の滋賀県を目指すことについて、見解を伺います。
◎
健康医療福祉部長(山田忠利) (登壇)
ヒアリングフレイル予防についての4点の御質問にお答えをいたします。
まず1点目のヒアリングフレイルの認識と取組についてでございますが、加齢による難聴は、生活の質の低下につながるとともに、社会との関わりの減少などで、心身の活力の衰えが進み、認知機能にも影響が出る可能性があることから、早期に発見し、適切な支援を行うことが重要であると認識してございます。
現在、2市町におきまして、通いの場や介護予防教室などで実施するフレイルチェックの項目に聞こえを追加することなどによりまして、今年度中にさらに1つの市におきまして同様の取組が実施されると聞いてございます。
2点目の取組の検討についてでございますが、国におきましては、本年3月に難聴高齢者の早期発見、早期介入の仕組みの構築に向けました手引きが作成されてございます。
県といたしましては、まず、市町担当者会議におきまして、国の手引きの周知や県内の取組状況の共有を行いまして、担当者に早期発見の重要性に関する認識をまず持ってもらいますとともに、加齢性難聴の対策に取り組む市町に対しましては、県の専門職による助言等の支援を行うことによりまして、早期発見、早期介入の取組が圏域で広がるよう努めてまいりたいと考えてございます。
3点目の軟骨伝導イヤホンなどの導入状況でございますが、野洲市、東近江市、米原市の3市におきまして、来庁される住民の聞こえをサポートするために、窓口等に対話支援機器が設置されてございまして、うち、東近江市では、軟骨伝導式のものが設置されていると聞いてございます。
4点目の県民への周知等についてでございますが、聞こえの問題やフレイルの関係につきまして、他県の事例を参考にしながら本県でも新たに、ホームページを作成することや、聞こえについての講演会を行うことにより、早期発見、早期介入の重要性について理解を促進してまいりたいと考えてございます。
また、軟骨伝導式集音器につきましても、県民に広く知っていただけますよう、福祉用具センターでの展示や貸出しを検討してまいりたいと考えてございます。
県といたしましては、これらの取組を進めることで、生活の質の向上を図り、誰もが自分らしく幸せを感じられる健康しがの実現を目指してまいりたいと考えてございます。
◆19番(
清水ひとみ議員) (登壇)大変前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
新たにホームページをつくっていただけるということですので、滋賀県のホームページの中で、がん情報しがをつくっていただいておりまして、これはやはりがん患者団体連絡協議会の皆さんとの本当に何度も意見交換をされる中で非常にバージョンアップされてきて、県民の皆さんからも喜びの声を聞いております。
このホームページを新たにつくってくださるということですので、耳鼻科の先生方とか、また、言語聴覚士の方々からの意見もしっかり聞き取っていただいて、今回、今定例会の初日、知事の提案説明の中でも、知事が、元気な高齢者を増やしていく取組を進めていくと明言をしてくださいましたので、こういったものがきっかけになりますように、よろしくお願いをいたしたいと思います。
それでは、次、最後の質問に入ります。
子供たちの文化芸術体験の推進について、分割質問方式でお伺いします。
本年で、滋賀の伝統の1つとも言えるびわ湖ホール舞台芸術体験事業、ホールの子事業も14年目となり、来場者が10万人を突破したと、うれしいお知らせもお聞きしました。海東議員のほうでも、ホールの子事業を何度も取り上げておられますが、今議会では私も取上げさせていただきます。
すばらしいびわ湖ホールで、フルオーケストラの演奏を鑑賞できることは、滋賀の子供たちの豊かな心の育みの大きな力になっていると思います。県下の全ての学校の子供たちに鑑賞してもらえるように令和4年度から交通費の全額補助も実現されました。その効果もあり、県内学校の参加も増え、ホールの子事業がきっかけで未来の音楽家が誕生する日を楽しみにしています。
また、このすばらしいホールの子事業のコンサートを、保護者をはじめ、県民の皆様にも広く鑑賞していただこうとのことで昨年度から一般公演の日を設けられました。
そこで、ホールの子事業の県内参加校の状況と一般公演の来場者数およびその感想などについて、
文化スポーツ部長にお伺いします。
このホールの子事業にもびわ湖ホール事業への文化庁の補助金も活用されているとお聞きしています。
ほかにも児童生徒を対象とした文化庁の事業としてどのようなものがあるのか、併せて教育委員会との事業案内の情報共有はどのようにされてきたのか、
文化スポーツ部長にお伺いします。
本県においては、学校と連携した文化芸術プログラムの参加児童数の目標を2万6,000人とされています。
文化庁では、学校における文化芸術鑑賞・体験推進事業をより効果的、効率的に実施するため、毎年テーマを定めて事業実施の検証等を行っています。
令和5年度は文化芸術による子供育成推進事業として実施しました。
この学校における文化芸術鑑賞・体験推進事業では、年度ごとに実施事業が変わります。昨年、私はその事業の中に、車椅子ダンスの公演があることを初めて知り、地元の小中学校に御紹介させていただき、文化庁に申込みされたところ採択をされました。滋賀県では初めてその団体の車椅子ダンスの公演がされ、私も鑑賞させていただきました。実施団体の方にお聞きしたところ、小学生や中学生、また、学校の規模などによって公演内容を変えておられるとのことで、車椅子を使っていない人と車椅子を使っている人が一緒にダンスをし、子供たちの車椅子体験やお話もあり、私も大変感動しました。文化庁の事業で、県の費用負担もなく、県内の学校にもっと応募があればと思います。
そこで、学校と連携した文化芸術プログラムの参加児童数の状況と昨年度、今年度の文化庁事業の採択の状況と今後の応募推進について、
文化スポーツ部長にお伺いします。
大津市では、毎年1校ずつ中学校で、平和の記念コンサート、地球のステージを実施されています。日本で医師として診療を行われる一方で、パレスチナ、東ティモールなどでの国際医療支援活動を行っておられる桑山氏の歌と語りのコンサートです。保護者への参加も学校によっては呼びかけをされています。文化芸術鑑賞というより平和教育としての行事ですが、子供たちの心の琴線に触れるすばらしい事業で、県内にもっと広まったらいいのにと思ってきました。
体育館への入場人数の兼ね合いなどがありますが、保護者も参加できたら、学校での文化事業は子供たちと感動を共有できる大切なひとときとなると考えます。特に、反抗期の子供たちと親子での感動共有は、大切です。
学校への文化芸術鑑賞などの取組の情報提供について、どのようにされているのか、お伺いするとともに、今後の文化庁の事業を活用した子供たちの文化芸術体験のさらなる推進について、教育長の見解を伺います。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) (登壇)子供たちの文化芸術体験についての4点の御質問のうち、私にいただいた3点についてお答えいたします。
1点目のホールの子事業についてでございますが、令和6年度の県内参加校は、過去最多となる177校であり、対象となる小学校240校のうち、約74%が参加したところでございます。
また、申込みによりどなたでも参加できる一般公演への来場者数は1,042人でございまして、昨年度の943人から増加したところです。
一般公演に参加した子供さんたちからは、「アンコールの曲が手拍子できて楽しかった」とか、また、県外から参加された方からは、「感動した。滋賀県の子供たちは幸せだなと感じた」といった感想が寄せられたところでございます。
2点目の文化庁事業についてでございますが、ホールの子事業は、文化庁の劇場・音楽堂等機能強化推進事業という事業を活用してございますが、それ以外に児童生徒を対象としたものとしては、議員お示しの学校における文化芸術鑑賞・体験推進事業がございます。
これは、小中学校等に団体や個人の芸術家を派遣し、子供たちに質の高い文化芸術を鑑賞、体験する機会を創出する事業でございます。
事業が募集される際には、教育委員会と情報共有しながら、教育委員会を通じて市町の教育委員会に通知し、各学校で積極的に活用されるよう働きかけているところでございます。
3点目の学校と連携した文化芸術プログラムの状況などについてでございますが、プログラムの参加児童数につきましては、コロナ禍の令和2年度には9,707人と減少いたしましたが、令和5年度は2万1,470人と回復してきているところでございます。
次に、文化庁事業の採択状況につきましては、令和5年度は42校、令和6年度は32校が採択されているところでございます。
今後も、子供たちの文化芸術体験の機会を提供できるよう、教育委員会とさらに連携を深めまして、事業の周知に努めてまいりたいと考えております。
◎教育長(福永忠克) (登壇)子供たちの文化芸術体験の推進について、私にいただきました、文化芸術体験の情報提供と推進についての御質問にお答えをいたします。
知事部局から提供されます文化芸術鑑賞などの情報につきましては、県の教育委員会から小中学校につきましては、市町の教育委員会を通じて、各学校にお伝えをいたしまして、その活用を促しているところでございます。
子供たちが文化芸術等を体験することは、子供たちの感性を高め、豊かな心を育むために大切なものと考えているところでございます。
御質問にございました文化庁の文化芸術鑑賞・体験事業につきましては、それに参加した児童や生徒、また教員の声を広く紹介するなどをして、各学校が実施することのよさを、一層理解できるように努めてまいりたいと考えております。
◆19番(
清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。
最後に教育長が参加した子供や教員の声を伝えていくと言ってくださったので、まさにそこがお願いしたいところだったので、うれしく思います。
今回鑑賞させていただいた車椅子ダンスは、公演自体もすばらしかったですけれども、準備運営を先生方が、隣の保育園でしたかね、幼稚園でしたかね、そこに照明が少し足りなかったので、自分たちが考えて貸出しをお願いに行かれたりとか、司会進行をしてくださった先生が本当に感動して、ちょっと涙ぐみながら最後お話をされた様子に、私も後ろから拝見していて、子供たちが公演を見ている最中にも、ぐーっと引き込まれているし、最後先生が感極まって挨拶をされた様子にも子供たちの気持ちがすごく、何というのかな、温かく包まれていましたし、先ほど言ったように、中学生でしたら反抗期で、でも、そういう子たちが思わず涙を流す様子も何度も見てきましたし、ですから、いろんな相乗効果というか幾つもの効果があるのがこの文化芸術体験だなというふうに思っています。
先生方への本当に、何というのかな、ただ単に子供に見せるんだ、じゃなくって、それを共有することによって感動を共有することが子供たちへの今後の指導にも非常に生きてくると思いますので、できればこれが増えていくといいと思うので、ただ単にお知らせするんではなくって、ちょっとめどを持ってもらって、できれば、今、先ほど、何校か、32校とか言っていただきましたので、来年度は、できたら40校は行ってほしいなとか、そういう大まかな、あまり数字ばっかりにこだわってはいけないと思うんですけども、少し目標を持っていただくことについて、教育長、再度お伺いをさせていただきます。
◎教育長(福永忠克) 学校現場において、子供たちがこういう文化芸術に親しむことというのは非常に大切だと思っています。
すいません、ちょっと学校数、何校にするかというのは、それぞれの学校の実態もございますので、また市町の教育委員会を通じて学校の声を聞きながら、どこまでできるのか、市町と共にしっかりと考えてまいる所存でございます。
◆19番(
清水ひとみ議員) 終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(有村國俊) 以上で、19番
清水ひとみ議員の質問を終了いたします。
次に、45番節木三千代議員の発言を許します。
◆45番(節木三千代議員) (登壇、拍手)それでは、あらかじめ通告しています項目に沿って、以下4項目質問をいたします。
まず、県立小児保健医療センターについて、一問一答で全て知事に伺います。
本定例会議に提案されています滋賀県立病院の設置等に関する条例の一部を改正する条例について説明を求めます。
○議長(有村國俊) 45番節木三千代議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
今回の条例改正は、令和7年──2025年1月1日に総合病院と小児保健医療センターを統合し、小児患者に対する医療の充実を図るとともに、医療資源を効果的、効率的に活用して、診療機能と診療体制を充実、強化し、子供から大人まで安心、信頼、満足の得られる高度専門医療の提供を推進することなどを目的としているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)今説明がありましたように、小児保健医療センターを総合病院に統合するという条例ですが、その説明でもありますように、医療資源、つまり、財源、人材、設備を効果的、効率的に活用することが目的であって、財源を抑えるということが私は目的ではないかと思います。
確認しておきたいんですが、統合によって現在の小児保健医療センターはなくす、廃止をするということですね。知事、伺います。
◎知事(三日月大造) 統合させていただくということですので、今ある小児保健医療センターは総合病院と一緒になるということですので、議員がおっしゃるように、なくなると言えばなくなるし、一緒になってより機能強化させていただくということを目的とさせていただいております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)小児保健医療センターはなくなるんです。これまで県民の皆さんに説明をされてこられたんですが、納得されていません。
6月の5日に県立病院の未来を考える会の皆さんが、小児保健医療センターをなくさないで、現在の100床を維持してくださいと、知事宛ての署名、第3次分も含めて合計、何かざわざわしていますね、1万7,073筆が提出されました。
県民の声を知事はどのように受け止めておられるのか、お聞きいたします。
◎知事(三日月大造) 病院の統合に不安を持たれ、約1万7,000筆もの署名が提出されたということにつきましては、私自身重く、大変重く受け止めているところでございます。
引き続き、病院統合の目的や目指すところについて、県民の皆さんに御理解いただけるよう、説明を尽くしていく必要があると考えております。
こうした署名活動につきましては、これまでの小児保健医療センターを高く評価していただいているゆえでありますことから、統合を通じて、重症心身障害児の成人後の対応の強化や、診療可能な疾患の拡大等を図り、皆さんの御期待に応えてまいりたいと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)重く受け止めておられるならば、今回の条例の提案はなかったと私は思います。
未来を考える会の皆さんだけではありません。医療的ケアを必要とする子供たちの保護者の皆さんが、6月の5日より、県立総合病院との合併によって小児専門のケアがおろそかになることを懸念していますとし、どうかこの計画の執行を今すぐ中止し、現在、そして、未来の子供たちへの最善のケアを確保するための計画へと変えていけるようにと、オンライン署名を呼びかけられているとお聞きをいたしました。短期間で400人を超えて賛同が広がっているとお聞きをいたしました。
今回の総合病院との統合、小児保健医療センターをなくすということを県民は決して納得されていないのではないですか、再度伺います。
◎知事(三日月大造) 今回、組織的にも統合させていただいて、その専門医療の能力を高めるということでありますとか、成人後に様々な対応が必要になってくるということに対しても、切れ目なく対応していくということをきちんと御説明申し上げ、様々な御不安等に寄り添いながら対応していくということが重要だと思います。
代替不可能な機能を有しているがゆえに、その持続可能性というものも追求していかなければならないと考えておりますので、そういった使命が果たせるよう取組を進めてまいりたいと存じます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)今日は私の質問を傍聴、またネットで御覧になっておられる方、たくさんいらっしゃると思いますが、今の知事の説明では納得されないと私は思います。
例えばレスパイト事業についてです。医療的ケアを必要とする子供のレスパイトができる施設は、(資料掲示)県内、この図にありますように、大変限られているという状況です。
統合によって、充実してもらえないのではないかと不安の声が上がっていますが、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) お答えいたします。
現在、小児保健医療センターでは、申入れがあった時点で、医師が入院を要すると判断した患者につきましては、受入れを行っているところでございます。
統合後は、障害者総合支援法に基づく医療型短期入所サービスの実施を計画しておりまして、これにより入院の必要性の有無にかかわらず受入れが可能となりますことから、需要が高いレスパイトへの対応が充実できるものと認識しているところでございます。
ただ、マンパワーのことでありますとか、施設容量のことでありますとか、また県内各地で必要とされる方々への対応ということがありますので、全県でそういったものを整備していくことに役割を果たしてまいりたいと存じます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)医療的ケア児の宿泊できる施設は大変少ないということは今示しましたけれども、私、病院事業庁の説明会にも行かせていただきましたけれども、保護者から、これ、何年も求めてきたけれども、なかなか県内全体に広がらないというのが実態だという声が出されていました。私がお話をお聞きした医療的ケアの必要な子供さんの保護者はレスパイトを申し込んでも、びわこ学園医療福祉センターでは3年待ちとおっしゃっておられました。
今回、進むようにという計画は福祉部のほうでありますけれども、しかし、まだまだ受入れができるような状況にはなっていません。
小児保健医療センターが、これまで県が責任を持って受け入れてきたレスパイト入院、これを今後、統合によってなくすのではないか。大きな後退になるのではないか。広げないといけないときに、なくすということは大きな後退となると考えますが、この点について、知事、再度伺いたいと思います。
◎知事(三日月大造) 多くの医療的ケアを必要とされる子供さん、またその保護者、世帯の方々がこのレスパイトの入院を必要とされているという、こういう問題意識は私も共有しているところでございますので、後退とならぬよう努めていきたいと考えているところでございます。
高まるレスパイト需要に対応するためには、県立病院が受け入れさせていただくことはもちろんのこと、県内の他病院等との連携協力が必要不可欠であると認識しております。
また、レスパイトを身近な地域で受けられる体制が必要でありますことから、本県においては、障害者プラン2021に基づき、令和8年度──2026年度までに、医療型短期入所事業所を各圏域に1か所以上整備することを目標として現在取組を進めているところでございます。
こうした体制づくりに向けて、小児保健医療センターが培ってきたノウハウも活用させていただきながら、レスパイトの受入れを検討される医療機関や施設に対し、専門的な知識や技術の研修に協力するなど、県立病院としても、健康医療福祉部や関係機関等と積極的に連携協力、また関与してまいりたいと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)今回の統合によって、レスパイトは市町の福祉事業として受入れをするということに変更をされます。
小児保健医療センターとしてのレスパイト入院はなくすということだと思いますが、知事に再度伺いたいと思います。
◎知事(三日月大造) 先ほども申し上げましたとおり、現在は、このレスパイト入院というのを、医師が、入院が必要だと判断した場合に、受入れを行っていただいているんですけれども、統合した後は障害者総合支援法に基づく、医療型短期入所サービスの実施を予定計画しております。
したがいまして、市町と連携しながら、総合病院以外の施設にも御協力をいただきながら、必要とされる方々に御利用いただけるような、そういうサービスをつくっていこうとしているところでございますので、そういったことでニーズに対応できるようにしていきたい。
ただ、現状、それがまだまだ整っていないじゃないか、まだまだ足りないじゃないか、という問題意識は私も持っておりますので、関係機関と協力しながらその充足をできるように努めてまいりたいと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)いろいろ述べられましたけれども、これまでのレスパイト入院はもうなくしてしまうということですよね。知事に再度伺います。
◎知事(三日月大造) いや、なくしてしまうということではなくて、必要とされる方々には受入れを、また入院を、また御利用いただけるようにしていきたいと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)ちょっと今の答弁は矛盾していると思います。市町の事業としてレスパイトを受けるということになりますし、小児保健医療センターとしてやってきたレスパイト入院そのものは、今回、統合によって子供医療センターに委ねるということになるというふうに思います。
2018年の県立小児保健医療センター基本計画を改めて読んでみました。本来なら、今年1月に開院の予定でした。医療部門の基本方針では、難治性、慢性疾患を対象とした医療、保険、療育、福祉サービスの中核機関として、安心、信頼、満足の得られる包括的なサービス提供をさらに充実されるとし、その機能、役割を担うために、小児保健医療センターの独立性を維持するとしています。
今回、統合をするというのは、医療、保険、療育、福祉サービスの中核機関として、安心、信頼、満足の得られる包括的なサービス提供ができなくなるのではないでしょうか、お聞きいたします。
◎知事(三日月大造) 先ほどの御質問のことでは、やはり多くの方々が、その辺りの分かりにくさというか、展望を持っていただきにくい状況があると思いますので、レスパイト需要に対応するんだと、対応し続けるんだということについては、きちんと御説明をさせていきたいというふうに思っております。
そして、今の問いにお答えをいたしますと、私は、この点は議員と強く認識を異にいたします。
病院統合後も、難治、慢性疾患の治療をはじめとする小児保健、医療、福祉サービスの中核としての役割を引き続き拡充していくことが必要だと考えております。
このため、統合後の総合病院においては、小児保健医療センターにおいて標榜していた診療科を引き続き存知いたしますほか、重症心身障害児等に対する包括的かつ専門的な医療や福祉サービスを提供するため、こども医療センターを設置するなど、引き続き安心、信頼、満足の得られる、より充実したサービスの提供に努めてまいりたいと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)レスパイト需要については、説明の中でも保護者の方が大変心配されておられました。今は呼吸器や様々な器具を持たなくてもレスパイト入院ができる。今回、レスパイトになれば、全部持ち込んで、市町に申し込んでサービスを受けなければならない。大きく変わりますと、保護者の方からもその心配の声が寄せられたということを紹介しておきたいと思います。
そして、今の答弁に対する再問ですけれども、この基本計画は県がつくった基本計画です。関係者の皆さんと本当に議論してこられてつくられた基本計画でありました。看護部門でも、それぞれ1つの単位として個別に管理する、将来ある子供たちの命を守る。権利を尊重し、その子らしく成長が遂げられるように、また、病気を持ちながらも家族と共に過ごせることを支援しながら、安心・安全で質の高い医療、看護を継続的に提供する、看護師一人一人がキャリアを積み、持てる力が発揮でき、働き続けたいと思える看護部にすると、本当にすばらしい基本方針がこの基本計画には盛り込まれていました。そして、基本計画には、独立性を維持し、100床を確保し、そのうち30床は在宅移行支援病棟として、レスパイト入院、NICU後方支援の受入れの対応をすると、ここまで書かれていたんです。
知事、子供の権利を尊重し、その子らしく成長が遂げられるように子供の発達を保障する、ここに県が責任を持ちますよ、だから独立して建てるんだと、私はこれが県の考え方だったし、これが大きく変えられた、この判断された理由について、知事に伺いたいと思います。
◎知事(三日月大造) 今おっしゃった子供の権利の保障ですとか、その子、その子に応じた特性個性を大事にしながら、その育ちを保障するというこういった思想というのは大事なことだと思っておりますし、それは貫いて、今回の統合後においても、小児の医療センターを設置するなどしながら、その専門性は維持していきたいと、また、向上させていきたいと思っております。
むしろ、その子の育ちを保障する観点からも、総合病院との統合をしっかりと生かして、その後の育ちのことも保障してあげられるような、そういう体制をつくることが重要だと考えておりますし、病床につきましては、その時々のニーズにも対応しながら、県立病院であるからこそ、ほかで果たし得ないことについてしっかりと担うということと併せて、持続可能性を追求するという視点で考えさせていただいているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)何回も言いますけど、子供の権利を尊重し、その子らしく成長が遂げられるように、子供の発達保障をするためにも、独立した小児保健医療センターでなければならないというのが県の考え方だったんです。何で変更されたのか、明確にお答えいただきたい。
◎知事(三日月大造) 独立性というものを、その時点でどのように記載したのかということは所論、様々あろうかと思います。組織的にも、別のものであるという考え方を持っていた面もあったのかもしれませんが、むしろ統合することにより、より専門性が発揮できるよう、また連携して、その子、その子、その時々に応じた対応が可能になる医療体制を構築していくという、そういう必要性もあるんでしょうから、ただ、子供のことじゃないと、子供を専門とされる方じゃないと分からない、そういった専門性というのは、むしろセンターできっちりと保障、継承していけるようにしていきたいと考えているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)独立していなければならない、子供の発達を保障するためにと議論が重ねられ、20年、30年先を見据えてこの計画がつくられたわけです。それを今、知事は、大きくやめようとされているということに激しい怒りを持つものです。
20日、県議会初日に知事の提案説明を多くの皆さんがお聞きになって、本当に抗議の県庁前でのリレートークが行われました。「知事の言う『子ども、子ども、子ども』には、障害があるうちの子供は入っていないのではないか。今日は知事にうちの子を見てほしいという思いです。でも、暑さに弱くてとても連れてこられません」と保護者から、県立高専には50億円もさらに必要になる県立小児保健医療センターは総合病院に統合する条例、あまりにも簡単に知事は述べられたと、怒りの声が次々と出されました。
知事、小児保健医療センターと総合病院との統合はやめるように強く求めるものですが、お聞きいたします。
◎知事(三日月大造) 今日もお取り上げいただいた、医療的ケアを必要とする子供たちのことであるとか、またその子供たちと一緒に過ごされる御家族のこと、世帯のこと、そのことについては大変我々も重く捉えて、むしろ、そうであるからこそ、その医療体制をどうしていくのかということについて、病院事業庁もそうですし、健康医療福祉部も一体となって整備していく、また、様々な民間の皆様方、市町の皆様方と連携して、その体制をつくっていかなければならないという、こういったことはきちんと踏まえているつもりですので、ただ、そのことを皆さんに御理解していただけるように、さらに努力を積み重ねていきたいと考えているところでございます。
この小児保健医療センターが、単独で医師等の医療職を確保し、継続的に人材育成を図りながら医療を提供していくことは困難な状況でもございます。将来を見据え、総合病院との統合は必要不可欠だと判断したところでございます。
また、今回の統合により、対象疾患の拡充や移行期医療の充実など、小児保健医療センターの専門性と総合病院の総合力が融合することにより、提供できる医療の質が相乗的に向上することを目指していきたいと考えております。
引き続き、県民の皆様の不安の払拭に努めながら、小児保健医療センターと総合病院の統合に向け、丁寧に取組を進めてまいりたいと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)残念ながら、知事には県民のそういう切実な声が全く届いていないのではないかというふうに思いますが、しかし、まだ議会は今開会中です。こういう答弁をお聞きになった議員の皆さん、本当に私は賢明な判断をしていただきたいと思います。
次に行きたいと思います。
PPP/PFI事業について、一問一答でお聞きします。
地方自治体の公務公共サービスを民間事業所に任せる方法は、もともと業務委託契約の方式でしたが、99年にできたPFI法以降、地方自治体の民営化が急激に進められてきました。
まず、PPP/PFI事業はどのような事業なのか、総務部長にお聞きします。
◎総務部長(岡田英基) (登壇)お答えいたします。
PPPとは、公共施設などの設計、建設、維持管理、運営等を行政と民間が連携して行うことにより、民間の創意工夫等を活用し、財政資金の効率的使用や行政の効率化などを図るものであり、PFIはその一類型でございます。
PFIは、PFI法に基づき、公共施設などの設計、建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力および技術的能力を活用して行う手法でございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)公共施設を民間事業者に広く委ねる制度だと思います。
2015年にPFI法が改定され、本県でも滋賀県PPP/PFI手法導入優先的検討方針が策定されて進められましたが、その概要を総務部長にお聞きします。
◎総務部長(岡田英基) お答えいたします。
滋賀県PPP/PFI手法導入優先的検討方針は、PPP/PFI手法導入の優先的検討を行うに当たって必要な手続を定め、PPP/PFI手法の積極的な導入を図ることにより、新たな事業機会の創出や民間投資の喚起を図るとともに、効率的かつ効果的な公共施設などの整備等を進め、県民に対する低廉かつ良好なサービスの提供を確保することを目的としているところでございます。
この優先的検討方針は、整備費で10億円以上、単年度の運営費が1億円以上の事業を対象としているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)この方針に基づいて滋賀県の公共施設の整備が進められてきました。対象となる事業も、今御説明がありましたけれども、PPP/PFI導入可能性調査が行われて、従来の手法との比較が行われてきたと思います。
これまでの対象事業の中で、導入調査の結果、PFI方式を導入しなかった事業はあるのか、再度お聞きしたいと思います。
◎総務部長(岡田英基) お答えします。
検討を行ったが、PFI方式を採用しなかった事業といたしましては、1つに県立学校の空調設備の整備事業で、こちらにつきましては、検討の結果、リース方式を採用したものでございます。
また、現在検討しております県立衛生科学センター整備事業につきましては、国庫補助の対象となります、デザインビルド方式を採用するとしております。
また、県立高専専門学校整備事業につきましては、先日もお話がありましたとおり、従来方式に見直したところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)後ほどまた事業を確認させていただきますが、ほぼほぼPFI方式で行われてきました。
PPP/PFI手法によるメリットについて、総務部長にお聞きします。
◎総務部長(岡田英基) お答えいたします。
設計、施工、運営管理までを一括発注することで、雇用や資材の確保が容易となりコスト削減が図れること、実際に運営を担う者が設計に携わることにより、民間のノウハウが施設の建設に生かされ、効率的な施設運営が可能となることで、サービスの向上やコストの縮減などが効果として期待できるものでございます。
また、財政面では、PFI法に基づく地方単独事業かつ財政措置の仕組みがない公共施設整備事業に対しまして、整備費の20%に交付税措置がある点もメリットとして挙げられます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)財政縮減の効果を今述べられましたけれども、県内においては、例えば野洲市の野洲小学校、野洲幼稚園の増改築と清掃などの維持管理のPFIが、経費が節減できると言われていたのに、かえって経費がかかった事態になって、委託契約を解除して、その結果年間5億円節約ができたと伝えられています。
メリットと言われる財政縮減の効果が本当にあるのか、再度総務部長にお聞きします。
◎総務部長(岡田英基) お答えいたします。
過去に整備しました施設につきましては、例えば近江学園の整備事業ですと、設計、施工を一括発注したことで資材を早期に確保ができ、建築時の資材不足の影響を受けずに、事業進捗が図れたところでございますし、また、県営住宅の整備事業では、移転の支援業務を附帯事業とすることで、円滑な入居者の移転が実現できて、1年以上事業のスケジュールが短縮できたというようなこともありまして、こうした点でも財政的なメリットがあったものと考えておるところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)財政的な縮減の効果を今述べられましたけれども、これは個々の事業で、例えば1年ごととか2年ごととか、検証は行われてきたのか、行われるのでしょうか、総務部長にお聞きします。
◎総務部長(岡田英基) お答えします。
PFI事業につきましては、やはり事業がきちんと行われているかどうかというモニタリングをすることが大事でありまして、例えば既に使用が開始されているような滋賀アリーナでは、毎月1回の頻度でモニタリングを実施しているほか、毎年、管理運営の状況を県ホームページで公開して、利用者数ですとか、収支の状況、モニタリングの実施状況、満足度調査の結果などについて、公表をしているところでございます。
財政の面でメリットがあったかどうかが明確にそこでなっているかどうかというのは、すいません、今ちょっと手元に資料がありませんけれども、必ずそうしたモニタリングをすることで把握するように努めているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)メリットで財政の縮減効果等は言われましたので、これ、縮減効果が一定期間ごとに本当にあったかどうかの検証がされなければならないと思いますけれども、それの資料は手元にないということですか。確認させてください。
◎総務部長(岡田英基) 申し訳ございません。細かな数字のデータは今手元で持ち合わせておりません。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)これ、検証できないですよ。確認はできないんですよ。
次に行きます。
PPP/PFI手法によるデメリットについて、総務部長にお聞きします。
◎総務部長(岡田英基) お答えいたします。
業務を任せる企業を選ぶ際には、価格だけでなく企業の持つノウハウや事業計画の内容についても評価しなければならないため、これまでと比べて事前の手続に要する事務負担が増え、時間も必要となるところでございます。
また、PFI事業におきましては、民間に幅広い業務を任せることになるため、行政がこれまで以上に民間の業務状況を把握して、管理や指導をしなければ、公共サービスの品質の低下を招く可能性があることが課題として挙げられます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)PFI事業は、県が発注するのは共同会社ですから、地元の業者の参入の機会が非常に難しいというデメリットもあると思います。また、15年、20年というパッケージでの長期契約ですから、企業秘密もあったり、様々な点で、住民や議会が資料の入手や、適正な運営が行われているか、ここが、本当に議論ができなくなるというデメリットがあると思いますけど、その点についての総務部長の認識を再度お聞きしたいと思います。
◎総務部長(岡田英基) PFI事業の場合、議員御指摘のとおり、契約期間が長期にわたりますため、県において、先ほども申しましたとおり、やはり適切にモニタリングを行って公共サービスの品質が保持されていることを確認するということが重要であると認識しております。
また、このモニタリングに当たりましては、施設利用者に対してアンケートを徴取するなど、県民の意見を反映した施設運営が行われるように努めているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)県で行ってきたPFI事業の状況について、総務部長にお聞きします。
◎総務部長(岡田英基) お答えいたします。
優先的検討方針の策定以前は平成14年──2002年にコラボしが21をPFI事業により整備いたしました。優先的検討方針策定後は、新県立体育館整備事業、新庄寺県営住宅整備事業、県立近江学園整備事業、東北部工業技術センター整備事業および(仮称)新・琵琶湖文化館整備事業の計5事業におきましてPFI事業契約を締結し、事業に取り組んでいるところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)優先的な方針によって5事業が進められてきたということです。
次に移りたいと思います。
希望が丘文化公園活性化推進事業の補正予算について、
文化スポーツ部長にお聞きします。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) (登壇)お答えいたします。
希望が丘文化公園活性化事業に係るPPP/PFI手法導入可能性調査業務委託料としまして、1,070万円を計上しております。
これは、滋賀県PPP/PFI手法導入優先的検討方針に基づいて、公園の再整備および管理運営につきまして、事業手法の詳細な検討を行うための調査でございます。
従来手法の場合とPPP/PFI手法の場合で事業費を比較する定量評価や事業手法のメリット、デメリット等を比較する定性評価を行いまして、導入手法に関する総合的な評価を実施するものでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)方針に基づいてPFI手法導入可能性調査が行われるということですが、こういう調査が行われれば、PFI手法で進められる可能性が、優先的ですから、非常に大きいというふうに思いますが、従来のプロポーザル方式で事業者を募るのとどう違うのか、少し分かりやすく、
文化スポーツ部長に再問でお聞きしたいと思います。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) お答えいたします。
今のプロポーザル方式とPPP/PFI方式の違いですけれども、ちょっとうまく説明できるかあれですが、PPP/PFI方式については、総務部長からも説明がありましたように、施設整備だけでなくて後の管理運営等も含めまして、長期的な視野に立って民間活力を活用して、コストの低減なり運用の効率化なりを図る重要なものでございます。
もう1つのプロポーザル方式につきましては、これは対象範囲をどこまでにするかということでまた違うところもあるかと思いますが、施設整備なりの内容だけを取ってみますと、長期的なところの違いとか、民間活力をどの程度まで長期的な効果で見るのかというところが違うのかなというふうに思います。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)従来方式のプロポーザル方式でも、様々な企業さんからの提案もあると思います。今、民間の活力というお話がありましたけれども、優先的にPFIが導入をされて、今回の事業も検討されているんですが、やはり何が違うかというと、企業がやはりそこで利益を上げる、そういうことが大きく違うというふうに思います。
県民の財産である、希望が丘文化公園全体が自然公園ですから、ここが企業の儲かる公園にしようとされているのではないですか。
文化スポーツ部長に再度お聞きします。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) お答えいたします。
先ほど総務部長が申し上げましたように、PPP/PFI事業については、事業を効率的に実施しようとするものでございまして、民間事業者が儲けるということを最優先にするものではないというふうに考えております。
事業を進めるに当たっての適正な対価等につきまして、適正に判断をしていくということになろうかと思います。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)そうであるならば、県が直接公設公営ですべきではないでしょうか。
文化スポーツ部長にお聞きします。
◎
文化スポーツ部長(東郷寛彦) お答えいたします。
そのような事業を進める中にあって、民間による独自のアイデアとか、効率的な運営方針とか、方法とか、そういうアイデアもお知恵をお借りしてというか、アイデアを採用して事業を行うことによって、より効率的に事業を進めるということを目指しているものと認識しております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)従来方式でも様々なアイデアを事業者さんは提案されると思います。
この項の最後の質問ですけども、PFI手法も自治体民営化に関わる手法の一環だと思います。(資料掲示)この図は経済的特徴を示しています。行政の担当する場合の経費の内訳を示しています。物質的経費と人的経費のほかには経費はかからないわけです。矢印に従って、民営化された場合のときの収入、かかりません。地方自治体は、利益を上げて利益を配当するという必要が全くありませんし、事業の収入から役員の報酬を払う必要もありません。矢印に従って、民営化、PFIも1つの手法ですけれども、ときの経費です。
民間の儲けのために公共分野が市場に開放されたというふうに思うんですが、私は今のこのPFIを優先する方針は改めるべきだと思いますが、知事に所見を伺います。
◎知事(三日月大造) これも大変重要なテーマだと思います。要は公のもの、公に期待されることを官と民でどのように連携しながらやっていくのかという、これは本質かつ根源的なテーマだと思います。
大規模事業ですとか、公共施設が様々老朽化してきます。それらをどのように更新、維持させていくのかという課題でありますとか、県が持っております公園等、これらを民間活力も導入しながらどう利用していってもらうのか、よりよくしていくのか、こういうときに民間活力も活用し、コスト削減やサービスの質の向上を図るというPFI手法の活用は、引き続き私は重要だと認識しております。
先ほども一部総務部長が説明いたしましたように、これまで県営住宅の整備事業ですとか、また近江学園の整備事業等で様々なメリットもありましたし、事業進捗も図れてきたこともございます。
ただ、施設整備に係る知見を持つ部局との連携不足でありますとか、この間議会でも御指摘いただいておりました、予定価格と実勢価格の間に大きな乖離が生じるなど、運用面での課題も顕在化してきておりますので、今後同様の事案が生じないように、必要な対策も講じていかなければならないと考えております。
また、議会等でも累次にわたりPFI/PPPに対して様々な御指摘をいただいておりますので、これまでやってきた県の事業に対してこの効果がどのように出ているのか、そして、それらを考えて今後、PFI/PPPをどのように活用していくのかという、この方針の検証というものは、今行わせていただいているところでございまして、こうしたことも十分踏まえまして、事業手法の検討を行うに当たりましては、まずは従来手法とPFI手法等を定量的かつ定性的な観点から、施設の特性、財源、事業のスケジュール、また民間事業者の創意工夫の余地などを総合的に比較検討しながら、適切な手法を選択していけるよう、県庁全体で方針を持っていきたいというふうに考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)共同会社に全部丸投げをして、長期間パッケージでするというこのPFIそのものの本質的なところで、やっぱり優先すべきではないということを意見として言うときたいと思います。
次に移ります。
県立高等専門学校の整備費用について、一問一答でお聞きします。
まず、議第97号滋賀県
一般会計補正予算(第2号)について、総合企画部長にお聞きします。
◎総合企画部長(松田千春) (登壇)お答えいたします。
当初の入札におきましては、県内等の類似施設の整備実績に物価上昇等を加味して算定いたしました単価を基礎として積算を行っておりました。
しかしながら、結果として、大幅に事業費が不足するという事態が生じたことから、算定に用いる実績データを改めまして、また、実例数を増やすなど、算定方法を見直した結果、51億円の事業費増加が必要となったところでございます。
あわせまして、発注方式を従来方式に切り替えたことから、今後の事業推進に必要な設計費について補正予算として計上させていただいたところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)51億円、整備費用が増えて138億円になろうとしています。基本構想2.0で3月に策定されて、そのときは87億円でした。そして、5月の8日に入札が不落になって、僅か1か月半で51億円増額になるということを県は示されて、1.6倍にもなりました。
私は、この間に、原因とか分析、県民の皆さんに分かりやすく説明すべきだと思いますが、明確な答弁をいただきたい。総合企画部長にお聞きします。
◎総合企画部長(松田千春) お答えいたします。
これまで、主に県内の整備実績をベースといたしまして、建築費指数を用いて物価変動を反映したところでございます。
その積算方法が、妥当性の検証が不十分であったことなどの要因によりまして、実勢を反映し切れていないと考えられましたことから、算定に用いるデータを、全国の直近の事例に改めることといたしました。
その結果、45万円程度でありました平米単価が、70万円程度まで増加するに至ったということでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)去年の9月からこの3月までの調査は何だったかというふうに思います。
基本構想に掲げた87億円というのはサウンディング調査をされたんですか。再度、総合企画部長にお聞きします。
◎総合企画部長(松田千春) 87億円の算定に当たりましては、聞き取りなどを行っております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)サウンディング調査をされたということですか。すいません、ちょっとよく分からなかったので、もう1回お聞きします。
総合企画部長、お願いします。
◎
総合企画部長(松田千春) 行っております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)では、その上で、1か月半で51億円の増額になった、今平米単価の御説明がありましたけれども、何でこんなことになったのか、もう1回分かりやすく県民に説明いただきたい。
総合企画部長、お願いします。
◎
総合企画部長(松田千春) お答えいたします。
今回整備いたしますのは学校ということで、関連する類似施設を主に県内から採取いたしまして、その実績を基に物価の変動などを反映いたしまして積算をしております。
しかしながら、類似施設が、あまり最近整備がないということもありますし、これまで県内での実績を見ておりましたのは、やっぱり違う県になりますと単価が変わってくることもあるということで、主に県内で見ておりましたが、それでありますと、なかなか最近の事例が採取できないということでありましたので、全国に広げまして、さらに事例数も増やして行いました結果、単価が大幅に変わったということでございます。
また、物価が上昇しているということについては考えておりましたけれども、思っている以上の高騰があったということで、乖離が生じたという事態でございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)51億円整備費が増えるということで、県民の皆さんから大変怒りの声が私のところにも寄せられています。全く見込みが甘かったと言わなければなりません。
PFI方式をやめた理由について、
総合企画部長にお聞きします。
◎
総合企画部長(松田千春) お答えいたします。
見直し、検討に当たりましては、令和10年──2028年4月の開校時期の維持を最も重視いたしました。
その上で、入札中止を受けた再検討の中で、PFI方式では入札スケジュールの確保が難しかったことから、今回のこの事例につきましては、発注方法を従来方式に変更いたしたところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)当初聞いていますと、PFIの検討に係る経費は1億円余りかかったというふうに聞いています。
財政負担の軽減の最大のメリットとしてきたPFI方式そのものが破綻したのではないかと考えますが、総務企画部長にお聞きします。
◎
総合企画部長(松田千春) お答えいたします。
今回は、先ほど申し上げましたとおりに、開校時期を何としても維持したいということがございまして、PFIといいますのは、先ほどから答弁ありますように、塊、ブロックでやるということがありますので、一斉に、同時に動かす必要がございます。
開校時期を守るために、もう一度中身について検討いたしましたところ、分解して、ほぐしてやる従来方式を取れば間に合うのではないかということになりましたので、今回のこの高専の整備については、従来方式を取るということでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)今後、県立高専の整備費の経費について、今後の整備費について、
総合企画部長にお聞きします。
◎
総合企画部長(松田千春) お答えいたします。
見直し後の施設整備費につきましては、現時点で約138億円程度を要すると見込んでおります。
この額は現時点での見込額でございまして、今後、建築費が大幅に上昇した場合、現時点での施設整備費では対応し切れなくなることもあり得るというふうに考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)まだまだ膨れ上がる可能性があるということだと思います。全体の整備費を示して、その予算でいけないならば、設計そのものも縮小するなり、様々なところでの見直しをすることこそ私は必要だというふうに思います。
当初の整備費用の見込みから、今回のように事業費が大幅に短期間に一気に増えた事業はあるのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 県の施設整備事業において、公告後の入札中止等を受けて見直しを行った結果、これほどまでに増額となった事例というのは、私が知事に就任して以降、今回の県立高等専門学校を除いて、ほかにはないと認識しております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)ないんですね。
県の財政に大きな負担になると考えますが、その認識はあるのか、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 今回の見直しにより、増加すると見込まれる51億円につきましては、本県の財政負担が高まる要因の1つであるということは間違いないというふうに認識しております。
しかしながら、交付税措置のある県債を活用させていただくとともに、国庫補助制度、公立高専に対する交付税措置の拡充について、最大限活用すると同時に、国にも要望しながら、財源の確保に努め、増加する財政負担の低減に努めてまいりたいと存じます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)結局、県民の福祉や暮らしの予算が私は切り取られるのではないかと思います。
特別支援学校の分離新設は、今年は調査の段階で調査費がつきましたけれども、いつ整備されるかまだ決まっていません。一方、県立の高専は、令和10年4月開校を揺るぎないものとして、1.6倍と、これまで、知事が就任されてから、このように一気に増えた事業がないとおっしゃるように、大きな51億円が整備費用としてさらにまた膨れ上がろうとしています。私はこれについて本当に県民は納得しないと思います。
先日、中山議員が、高専予定地は貴重な河辺林があるということを指摘しました。
巨額の費用を必要とする県立高専は、中止を今、決断すべきと考えますが、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 県立高専の整備につきましては、多くの事業費を伴うものでございますが、本県の未来に対する、人づくりという点からも、地域の産業をつくるという観点からも、重要な投資であると認識しておりまして、今後とも設置に向けて取組を進めてまいりたいと考えているところでございまして、ただ、多くの御理解、そして、御支援をいただきながら進めるものであると思っておりますので、そういったことに意を用いながら事業を推進してまいりたいと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)産業界の要望を受けられて、県立の高専が令和10年の4月開校ということで、莫大な費用が使われようとしています。財政負担になる、県民にしわ寄せが及ぶ、こういう大規模な事業は中止することを強く求めたいと思います。
最後に、特別支援学校のスクールバスについて、全て教育長にお聞きします。
特別支援学校に通う児童生徒が利用するスクールバスは、毎年、競争入札で委託されています。
今年度当初、野洲養護学校では、様々な問題が生じたとお聞きしていますが、どのような状況だったのか、教育長にお聞きします。
◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。
御質問の野洲養護学校に係るスクールバスの運行管理業務につきましては、一般競争入札の結果、前年度から業者が変更になり、2月22日付けで委託契約を締結したところでございます。
委託業者は代わりましたが、バスの運行につきましては、4月8日の学校開始から故障以外では1日も止まることはなかった状況でございます。
ただし、今回の委託業者の変更に伴いまして、運転手、介助員の大半が交代したこともございまして、児童生徒の対応、特に障害特性に係ります個別性の高い支援について、学校から委託業者、そして、介助員等への伝達がスムーズにいかなかったことから、個々の子供さんに応じた対応が不十分な面もあったこと、また、バスが遅れることがあったことという点を、学校から報告を受けているところでございまして、この点につきましては、保護者の皆様に御心配をおかけしたこと、教員に心配や負担をかけたことにつきましては、教育長として大変申し訳なく思っているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)今御説明がありましたように、委託業者が代わって、運転士さん介助員さんも代わられたと、一人一人の子供さんの特性に応じた対応ができなかったという状況だと思います。
この間聞き取ってきた声を紹介したいと思います。バスの停車場所も、大変広いところでは、いつも止める位置とは違うところにずれて、大変子供たちに不安を与えてしまった。年度当初は行き渋りもあって若干遅れてくる子供さんも生まれますけれども、その辺のさじ加減がなかなか慣れていないためにバスが発車してしまった。シートベルト、腰、肩付け根の締め方が緩くて、子供さんが車内を歩き回る状況になった。2台のバスが相次いで故障して、予備のバスが1台あるが、修理中で使えず、他校の中型バスを借りて、乗れない子供はタクシーをレンタルで借りたと。
私は、この状況は、今、教育長、お答えになりましたけれども、大変な事態になったというふうに思います。何でこのような事態になったのか、もう少し掘り下げて、教育長に再度お伺いしたいと思います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
スクールバスの運行委託につきましては、毎年度、一般競争入札において実施しております。ただ、年度ごとに業者さんが、委託業者さんが代わることもございますので、その準備期間が必要だということで、令和6年度──本年度につきましては少し早めに委託契約できるように議会に債務負担行為もお願いしたところでございます。
それで、同じ業者さんが実施される場合には、運転手、介助員さんは特に変更もなく、一定御理解をいただきながら実施しておりますが、やはり一般競争入札を実施いたしますので、業者が変更になる場合もございます。その際にも、できる限り運転手さんとか介助員については、引き続き、雇用についてもお願いをしているところでございますが、ただ、状況によりましては、連続した雇用が困難な場合もございまして、そういった場合には、新しい運転手さんあるいは介助員さんが慣れていただくまでに少し時間を要したというのが今回の事例であるというふうに認識をいたしております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)現在どのような改善をされているのか、教育長にお伺いします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
日々の業務の中で課題が見られた事案につきましては、その都度、学校から業者に連絡をいたしまして、運転手、介助員へ指導をいただいているところでございます。
また、学校と業者の間や、また、業者独自で研修を行っていただきまして、児童生徒の特性や個別の支援について伝えるなど、取組を行っていただいているところでございまして、学校からは3か月経過しておりますが、改善が見られていると報告を受けているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)先日、栗東駅で野洲養護学校へのスクールバスを乗車するときに、保護者がバスに乗り込んで自分の子供のベルトをかけなければならない事態になっていると保護者からお聞きをして、私、6月に入って、栗東駅のスクールバスの停車場所となっているところに行きました。そしたら、やはり保護者の方が、心配で、バスの中に入って我が子の安全を確認されておられたんです。これ、まだ、今、6月の段階です。
教育長、改善されたと聞いていると言われますけれども、この状況を知っておられるのですか、お聞きします。
◎教育長(福永忠克) 議員から様々な形で状況の御質問をいただきました。私も、今回の事案を含めまして、児童生徒の安全に係る対応について、事例の学校報告を読ませていただいて、状況の把握に努めております。
特に、介助員あるいは運転手さんが、できるだけ同じ人が継続して乗務いただくことが大切だと思っております。ただ、介助員につきましては、まだ入れ替わることもございまして、今、議員から御質問のあったような事例があり、保護者の皆様に御心配、また御負担をおかけしていることは、できるだけ速やかに改善するように、引き続き、具体の対策を、学校を通じて業者に伝えてまいりたいと考えております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)伝えるだけでは改善されないんです。
令和6年度滋賀県立特別支援学校スクールバス運行管理等業務委託仕様書には、受託者、車両管理者および介助員についてどのように示しているのか、教育長に伺います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
業務委託仕様書の運転手および介助員について定めた項目につきましては、仕様書の4(6)に、受託者は、車両管理者および介助員に自らが企画した研修を受講させるとともに、委託者、こちらは県でございますが、が企画するスクールバス乗務員研修も必ず受講させ、適正に業務が遂行されているか、管理、監督を行うこと、また、仕様書の4(7)に、車両管理者および介助員は、連携して安全・安心なスクールバスの運行業務に従事すること、あわせて、一人一人の障害種別や障害の程度を把握し、それに応じたケアについて十分配慮すること、と記載しているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)朝の短期間に、スクールバスに子供たちが安心して乗って登校するというところで、私も見せていただきましたけれども、自分の空間がほしい子供さんは、ベニアで仕切って、自分の空間の中で学校に登校される、車椅子で来られた方は、また違う車椅子に乗換えられるなどなどの本当に介助員さんのスキルが本当に問われているなと思います。
今言われましたけれども、一人一人の障害の種別や障害の程度を把握し、それに応じたケアについて十分配慮が今の現状では行われてこなかったのではないか、仕様書に書かれているようにされてこなかったのではないのか、これでいいのか、教育長に再度伺います。
◎教育長(福永忠克) 今、申し上げました仕様書に示されたように、子供たちへの配慮が十分なされることが必要でございます。
確かに年度当初においては、配慮が十分ではなかった点もあったというのは認識をいたしておりまして、速やかに十分な配慮がなされるよう様々な研修あるいは指導を通じて、十分な配慮がなされるよう取り組んでいくことが大切だと認識をいたしております。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)いや、年度当初じゃなくて、6月でもまだこういう状況があるということを私は取り上げました。
そもそも子供たちの命に関わる問題です。先日、スクールバスの乗務員を募集するチラシが新聞に入っていたんですが、見てみますと、運転好きな方、子供が好きな方お待ちしています、60歳以上の方でも活躍中です、こういうチラシなんですね。これで本当に特性に応じた対応ができるのかというふうに思います。
ここの大きな問題は、一般競争入札によって、価格の低さで事業者を選定することだというふうに思います。私は、今後、子供たちの安全と保護者の安心、また、学校の皆さんの御心配を考えれば、直営も検討すべきと思いますが、教育長の見解を伺います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
スクールバスの運行に関しましては、令和3年度決算におけます決算特別委員会の委員長報告によりまして、スクールバスの運行に関する契約につきましては、コロナ禍が落ち着いた後の入札の執行においては、しっかり競争原理を働かせつつ運行の質が担保できるよう検討されたいと指摘をいただいたところでございます。
このことに基づきまして、今年度は、先ほども少し御答弁申し上げましたが、債務負担行為の設定をお願いし、業者の準備期間を考慮した早期の一般競争入札を実施したところでございます。
今後も、民間の持つ技術、また、ノウハウ等を活用したサービスの向上を考えますと、一般競争入札を適切に実施して執行することが妥当であると考えているところでございます。
◆45番(節木三千代議員) (登壇)以前、八日市養護学校で2日間運転手がいなくてバスが動かなかった問題がありました。
競争入札で、今後このようなトラブルが絶対起こらないと言い切れますか、教育長に再度伺います。
◎教育長(福永忠克) 今、御質問のございました八日市養護学校の件につきましては、今回、債務負担行為で入札時期を早めることによって、業者の準備期間を確保したところでございます。
ただし、業者が変更になりますとやはり不慣れなところもあろうと思いますので、この点については業者との連携を密にいたしまして、速やかな対応がしていただけるようにしっかりと取り組んでまいる所存でございます。
◆45番(節木三千代議員) 終わります。(拍手)
○議長(有村國俊) 以上で、45番節木三千代議員の質問を終了いたします。
しばらく休憩いたします。
午前11時55分 休憩
────────────────
午後1時 開議
○副議長(目片信悟) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
次に、7番岩崎和也議員の発言を許します。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇、拍手)発言通告に従いまして、2項目を質問いたします。よろしくお願いいたします。
1項目め、ウクライナ避難民への支援について、分割方式にて知事、
総合企画部長に質問します。
2022年2月24日、ロシアプーチン政権によるウクライナへの軍事侵攻が開始され、2年と4か月が経過しました。両国の激しい戦闘が長期化していることによって、ウクライナ国民は絶望の淵に立たされています。紛争を解決するべき立場にある国連安全保障理事会も、大国間の対立が原因で、本来の役割を果たすことができていません。
イスラエルとハマスによるパレスチナの紛争もそうですが、一部の政治家の独断によって何の罪もない人々の命が失われ続けております。2度の大戦からの教訓により、このような悲惨な出来事があってはなりません。
しかしながら、近年では、ミサイルやドローンなどの技術も格段に進化し、AIを搭載した兵器も開発されることで、殺傷能力も高められています。戦争は一旦始まってしまうと、止めることが極めて困難であるということも分かります。ミサイル攻撃で廃墟となった町、そして、悲しみにあえぐ人々を見るたびに、私たちにできることはないものかと考える日々です。
旧ソビエト連邦の大統領でノーベル平和賞受賞者のゴルバチョフ氏がこのように語っていたのが印象に残っています。技術が主役となってきた文明の次に来る時代は、人類の幸福こそが最大の目的となる時代であると。かつては、ソ連という1つの国であった両国が争うこととなり、国民が分断されてしまいました。大変に残念で仕方ありません。
大津市在住で女性の人形作家さんがおられます。その方を中心としたボランティアグループが、ウクライナの現地の子供たちのために手作りで人形を作り、それを日本におられる避難民のルートを通じて一体一体手渡しをされております。「戦争で家族や家を失い、心の傷を少しでも癒やしてあげたい」との思いで、さくらちゃんと名づけられた人形を送っておられます。ボランティアさんは、県内だけではなく、県外からも参加をされており、このような活動が滋賀県内で続けられることに大変心強く感じています。
さて、6月の一般質問で、ウクライナから県内に避難されている方々の支援について質問をいたしました。それから1年が経過し、避難民の方々の状況はどのようになっているのか、行政の支援がどのように進められているのか、質問をいたします。
1点目に、避難民の状況について、
総合企画部長にお尋ねします。
昨年6月時点で、本県におけるウクライナからの避難民は、18名とのことでした。それから1年が経過しましたが、現在、県内にどのくらいの避難民がおられるのか、人数とこれまでの動向をお示しください。
2点目に、在留資格について、
総合企画部長にお尋ねします。
昨年6月時点では、ウクライナ避難民の方々は、在留資格が1年、就労も可能な特定活動という在留資格で滞在されており、在留期間の更新も可能であるとのことでした。戦争の長期化で、帰国が見通せないことから、昨年12月には補完的保護対象者として保護する制度がスタートされたとのことです。
この制度により在留資格はどのように変わるのでしょうか。
3点目の相談支援について、
総合企画部長にお尋ねします。
県と県国際協会、しが外国籍住民支援ネットワークの3者が居住先の市や町と協力連携して、住まいの確保に関する支援、金銭的な支援、生活相談などに取り組んでおられるとのことでした。特に就労についてですが、戦争の長期化により、帰国の見通しが立たず、日本で自立して生活を続けたいと希望する避難民もおられるとお伺いしています。これまでは、支援金の支給によって生活をサポートしてこられましたが、これからは、就労によって自活できるように支援していくことが重要であります。
就労の支援については、しが外国籍住民支援ネットワークが個々のニーズを聞き取りし、企業等とのマッチングを行うなど、細やかな支援を行っているとのことでしたが、具体的に就労に結びついた事例はありますでしょうか。
4点目に、難民の支援金について、
総合企画部長にお尋ねします。
しがウクライナ避難民応援支援金との名称で、滋賀県庁、大津市のピアザ淡海、米原市の文化産業交流会館にて募金箱を設置、さらには口座振込でも募金を受け付けてこられました。
これまでの募金総額と避難民への支給額をお伺いします。
5点目に、新たな支援策について、
総合企画部長にお尋ねします。
日本で引き続き避難を希望される方々に対して、一定の条件の下、国からの支援があると聞いておりますが、具体的な支援内容をお示しください。
6点目に、帰国時のサポートについて、
総合企画部長にお尋ねします。
日本に引き続き滞在を希望される避難民がおられる一方で、家族や親類のいる本国に帰国をしたいと考えている避難民もおられると聞いています。
帰国時にはどのような支援があるのか、具体的に教えてください。
最後に、知事にお伺いします。
報道は減っておりますが、ウクライナ戦争は激化し、現在も双方ともに多数の死者が出ています。また、中東では、イスラエルとハマス等による戦闘が始まってしまい、子供や女性など多くの民間人が犠牲になっています。目を覆いたくなるような報道が続いています。
そのように、世界のあちこちで情勢が緊迫している中であるからか、ウクライナ国内から逃れた数百万人と言われる避難民の報道に接することがありません。ウクライナは、人口約4,000万人で、この3月の時点で約650万人が国外に逃れているという状況です。そして、なお、日本国内、そして本県にも避難民がおられるのですが、関心が薄れているように感じています。
知事は、避難生活が長期化する中で、どのような支援が必要と考えているのか、お考えをお伺いいたします。
○副議長(目片信悟) 7番岩崎和也議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)ウクライナ避難民の方々への支援について7点御質問いただきました。私には1点、最後に賜った御質問にお答えいたします。
ロシアのウクライナへの軍事侵攻が始まってから2年4か月が経過しております。また、その後には、パレスチナガザ地区での戦闘も起こり、続いているという、こういう状況がございます。いまだ終結の見通しが見えず、一刻も早く平和、そして平穏が訪れることを皆さんと共にお祈りしたいと存じます。
私たちは、ウクライナの皆さんや県内に避難しておられる方々が直面している困難と痛みに心を寄せ、また関心を持ち続け、風化させないことが必要であると考えます。
議員御紹介のさくらちゃんプロジェクトなどがきっかけとなり、県民の皆さんがウクライナへの関心を持ち続け、避難民の方々への支援の輪が広がることを期待したいと存じます。
県といたしましては、共に滋賀に住む仲間である、県内のウクライナ避難民の皆さんのお声に耳を傾け、長期化してきましたので、様々なニーズも生じることも十分想定しながら、引き続き、一人一人に寄り添った支援を行ってまいりたいと存じます。
◎
総合企画部長(松田千春) (登壇)私にいただきました、ウクライナ避難民への支援についての6点の御質問のうち、1点目の避難民の人数等についてでありますが、令和4年──2022年3月に1組目として2名の方が来県されてから、これまで16組24名の避難民の方を受け入れているところでございます。
既に帰国された方や県外転出された方もおられますので、6月24日現在で14組20名の方が県内で生活しておられます。
2点目の在留資格でございますが、令和5年──2023年12月1日から、難民の地位に関する条約上の難民に該当しない紛争避難民を補完的保護対象者として保護する制度が施行されました。
ウクライナ避難民が同制度に認定された場合には、在留期限が1年の特定活動から、5年間の在留が可能な定住者への在留資格の変更が可能となりまして、より安定的に我が国に滞在いただける道が開けたところでございます。
3点目の就労の支援でございますが、しが外国籍住民支援ネットワーク等において、就労を希望される避難民の方に対して聞き取りを行いまして、企業等とのマッチングを行ったり、ハローワークを通じた職業紹介の際に、面接に同行するなど、一人一人に寄り添った支援を行い、実際に就労につながった事例もございます。
また、就職後も就労条件や労働環境など、様々な相談に対応するなどして、少しでも安定した暮らしとなるよう支援を続けているところでございます。
4点目の支援金についてでございますが、この支援金は、県民の皆様から頂いた募金を原資といたしまして、ウクライナ避難民の本県での生活立ち上げを一定期間支援するものでございます。
令和6年──2024年5月31日時点で、募金、寄附金総額は1,674万円余となっておりまして、これまで1,492万円余を避難民の方にお届けいたしました。
5点目の国の新たな支援策でございますが、補完的保護対象者に認定された方に対しましては、日本語教育や日本の法令や生活のルールなどを学んでいただく生活ガイダンスといった定住支援プログラムが提供されております。
また、ハローワークなどによる就労支援や相談員による生活相談も実施されるなど、ウクライナ避難民の自立に向けた支援が実施されているところでございます。
6点目の帰国時のサポートについてでございますが、令和6年──2024年2月に、公益財団法人日本財団において、ウクライナ避難民が帰国時に要する費用を支援する制度が創設されました。
支援内容といたしましては、ウクライナの隣国ポーランドまでの航空券、日本における自宅退去費用や帰国後の生活を整える費用といたしまして1人当たり一時金30万円を支給するものでございます。
本県においても、この制度を利用して帰国された避難民の方がおられます。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)回答ありがとうございました。
まず、知事の回答から、一人一人に寄り添った支援を引き続きしていただけるということで、今後もよろしくお願いしたいと思います。
募金については、1,674万円いただいたということで、これも、期限がちょっと延長をされている状態ですけれども、長期化になっている、そして、引き続き滋賀県に住まれたいというウクライナの方もたくさんいらっしゃいますので、引き続き募金についても続けていただきたいと思います。
現在も20人の方が避難されているということで、しっかりと私自身も関心を持って、時々、時あるごとに皆さんに訴えていきたい、そのように思っております。
避難民の方と直接お会いすることはなかなかありませんけれども、私たちのできるサポートを考えていきたいと思います。知事におかれましても、引き続き必要な支援をしていただきたいとお願いしますし、何よりも、避難民の方々に寄り添う心が大切だと思いますので、どうか折に触れて、戦争の悲惨さをお話しいただければ、そのように思っております。
それでは、2項目めの質問に移ります。
水害対策と、まるごとまちごとハザードマップの推進について、一問一答方式で、全て
土木交通部長にお尋ねをいたします。
地球温暖化による気候変動の影響で、日本のみならず世界中で局地的な大雨による洪水被害が発生しています。日本では、令和2年7月には梅雨前線が停滞し、西日本や東日本で大雨となり、特に九州では記録的な豪雨となりました。気象庁は、熊本県、鹿児島県をはじめ7県に大雨特別警報を発表し、最大級の警戒を呼びかけました。また、令和4年4月には、滋賀県内でも1時間に約60から90ミリという記録的な大雨を経験したことは記憶に新しいところです。
国土交通省が令和4年8月に発表した、平成27年から令和元年の水害統計調査によると、水害被害額についてですが、平成29年には5,300億円余りであったものが、平成30年には約1兆4,000億円、令和元年には約2兆1,500億円と毎年被害額が増大しています。近年では、1時間の降水量が50ミリを超える非常に激しい雨が降る回数が増えており、発生回数は約30年前と比べて1.4倍、今後さらに増加すると予測されています。
私たちも、時に激しく打ちつけられるような雨に遭遇し、運転中のときには身の危険すら感じることがあります。先月6月21日には近畿地方にも梅雨入りが発表されましたが、間もなく23日には西日本から東日本に警報級の大雨が降りました。
それでは、
土木交通部長に質問いたします。
まず初めに、こういった激しい雨が頻発化していることから、これまで以上に、水害対策に、ハード面のみならずソフト面についても取組を進めていかなければならないと考えています。
まず、県として、出水期までにどのような取組をされてきたのか、お伺いをいたします。
◎
土木交通部長(波多野真樹) (登壇)お答えします。
本県では、毎年、出水期に先立ち、国や市町と連携し、地域ごとに、水害・土砂災害に強い地域づくり協議会を開催しており、この場で、過年度の出水対応の振り返りや、新たな気象情報の読み解き方などについて情報共有を行うとともに、それぞれの河川に設定されております重要水防箇所を市町の担当者と一緒に現地で点検し、何かあったとき、すぐに出動できるように準備するなど、事前にできる備えは事前にきっちり行う、そういった姿勢で出水期に備えているところです。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)御回答ありがとうございます。
では、次に、滋賀県は琵琶湖を中心に周りを山に囲まれている地形であります。大雨の場合、水害のリスクについても特徴があるのではないかと考えているのですが、本県の特徴から起こり得る水害についてどのように分析をされているのか、お伺いをいたします。
◎
土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
本県の河川の特徴は、県境の山地が分水嶺となり、また、盆地の中央に琵琶湖が位置しているため、降雨のほとんどが琵琶湖に流入することから、小流域の河川が多く、一方で琵琶湖から流出する河川が瀬田川しかないという特徴が挙げられます。
また、風化により崩れやすい花崗岩が広く分布していることから、山地からの土砂流出により、河川は天井川を形成していることが挙げられます。
これらの地形的特徴から、本県の水害は、まず、地先の小さな河川があふれ、小規模の浸水が発生し、次いで、天井川をはじめとする大きな河川が氾濫し、大規模な浸水被害が発生します。
また、多くの河川から洪水が一斉に琵琶湖に流入するものの、出口が1つしかないことから、水位が上昇し、湖岸付近では長期にわたり浸水するといった特徴があります。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)本県の特徴を教えていただきまして、ありがとうございました。
小さな河川があふれ、また、大規模な浸水が起こりやすいということです。
では、次に、ハザードマップについてお伺いをいたします。
ハザードマップとは、河川や琵琶湖、水路の氾濫時に、危険な区域や避難場所、避難所などの情報を分かりやすく示すことで、人的被害を防ぐことを目的に作成されたものです。平成27年度の水防法の改正により、想定し得る最大規模を考慮した洪水浸水想定区域図というものが、国、滋賀県で新たに作成をされました。また、地先の安全度マップが令和2年3月に更新されたことから、市町においてもそれらを反映するために、水害ハザードマップを改定し、公表されています。
さらに、令和3年度の水防法改正により、想定し得る最大規模を考慮した洪水浸水想定区域図の対象に中小河川が追加されました。これは、大河川だけではなくて、中小河川でも洪水浸水想定区域図を作成する必要ができたということであります。
大変に手間のかかる作業と考えられるのですが、先ほども述べられたように、本県の水害リスクの特徴を踏まえて、本県には数多くある中小河川の洪水浸水想定区域図をどのように作成していく予定なのか、お伺いをいたします。
◎
土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
本県の中小河川の洪水浸水想定区域図は、国の作成マニュアルに基づき、想定最大規模、いわゆる1000年に一度程度発生する降雨を対象に、本県独自の地先の安全度マップの解析モデルを活用し、作成を進めているところであり、令和7年度中に公表する予定としております。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)ありがとうございます。
(資料掲示)では、データにも掲示させていただいているんですけれども、ホームページに掲載されていますが、本県では、20か所の浸水警戒区域というものが設けられています。
この浸水警戒区域とはどのようなものなのか、お伺いをいたします。
◎
土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
浸水警戒区域は、滋賀県流域治水の推進に関する条例第13条に基づき、200年に一度程度の降雨が発生した場合に浸水深が3メートルを超えるエリアにおいて、浸水時にも安全な避難空間を確保するといった、安全な住まい方を推進する区域のことであります。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)ありがとうございます。
では、次に、県民の皆様に、水害のリスクを知っていただくためには、県側も発信、周知していく必要があると考えます。
県が作成した水害リスク情報をどのように周知しているのか、お伺いをいたします。
◎
土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
浸水リスク情報は、滋賀県防災情報マップというホームページにおいて公表させていただいているとともに、その使い方について、ユーチューブで解説する動画も公開しているところであります。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)ホームページやユーチューブ等で周知してくださっているということですが、それももちろん大事なんですけれども、特に、自分たちが住んでいる場所や地域がどのぐらいの浸水深になるのか、ハザードマップなどで確認し、知っておくことが重要だと考えます。
近年では、全国的にまるごとまちごとハザードマップの取組が進みつつあります。(資料掲示)こちらなんですけれども、各家庭で確認できるハザードマップのみならず、電柱や塀などに想定浸水深や避難所、避難所もここに、下の辺りに書けるんですけれども、避難所などが記載された表示が、こういったものが設置されれば、住民は日常生活の中で災害対策への意識を高められるのではないでしょうか。
まずは、このまるごとまちごとハザードマップにはどのようなメリットがあるのか、お示しください。
◎
土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
まるごとまちごとハザードマップは、水害ハザードマップの内容を、生活空間に表示することにより、平時から水防災意識を高めることを目的とされています。
そのメリットは、意識しなくても視界に入り、防災に興味がなくても浸水深や避難所の情報を知ることができ、さらにその浸水深を実際に目にして体感することができるといったメリットが挙げられます。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)まるごとまちごとハザードマップのメリットを教えていただきましたが、意識しなくても見に入るということ、そして、目にして体感ができるということですね。
では、このハザードマップについては、実施主体は主に市や町です。自治会やまちづくり協議会などが進めておられるところもあるんですが、県では、この作成、設置費用の助成はあるのでしょうか。
◎
土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
本県では、国の社会資本整備総合交付金を活用した、ハザードマップ活用支援事業において、市町がまるごとまちごとハザードマップを作成、設置する場合、その費用の50%を補助しております。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)50%補助していただいているということですが、これまで、この助成事業に対する市町からの申請状況についてお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
これまでの助成実績は、湖南市1市となっております。
湖南市では、平成30年西日本豪雨の際、岡山県倉敷市真備町で発生した水害の浸水区域が、事前に各戸配布していた紙のハザードマップとほぼ同じであったものの、それを住民の避難行動に十分に生かせなかったとの事例を踏まえ、市民の皆さんにこの水害を自分事として捉えてほしい、日頃より当市の浸水リスクを意識してほしいとの思いから、本助成事業を活用するに至ったと伺っております。
具体的には、まるごとまちごとハザードマップとして、令和2年度から令和5年度にかけて、同市内の電柱に浸水深表示板を460枚設置したと伺っております。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)湖南市が積極的に進めてくださって、460枚ということで、やはりこれは県内各地でもまるごとまちごとハザードマップ化を進めていってもらいたい、そのように思っているわけですが、このまるごとまちごとハザードマップについてですが、ふだんの日常生活において目につくところに表示されていることから、日頃からの水害に対する意識向上や、避難所も記載できることから、災害時にはスムーズな避難につながると考えています。
先ほどメリットについてもお示しいただきました。市町がまるごとまちごとハザードマップの設置を進めていくためにも、県と市町とのより一層の連携が必要であると考えますが、お考えをお示しください。
◎
土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
先ほど答弁申し上げた湖南市では、まるごとまちごとハザードマップを設置したことにより、市民から「浸水深を視覚的に認識することができた」「リスクが分かりやすい」といった感想が寄せられており、非常に効果が高かったと実感しておられます。
このような好事例を参考に、今後、他の市町でも設置が進むよう、積極的にこのような好事例や助成事業について周知してまいります。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)ありがとうございます。積極的に推進していただきたいと思います。
まるごとまちごとハザードマップの実施手引きというものが国土交通省から提供されています。そこには、河川を管理している都道府県も、地域の実情に応じて、市町村の連携協力の下、主体的に実施する場合もあるとあります。県も主体的に実施できるということです。
このことから、先ほど述べました、県が指定しています浸水警戒区域、ここにおいても、地域の方々との相談の上に、まるごとまちごとハザードマップの設置を県が主体的に進めてはどうかと考えますが、お考えをお伺いします。
◎
土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
浸水警戒区域やその指定を見込んでいる区域のうち、現在18地区で本県により、まるごとまちごとハザードマップを設置しております。
例えば、高時川沿いに位置する長浜市菅並地区では、平成30年度に設置し、令和4年8月の豪雨時には適切な避難行動につながったと聞いております。
こうした取組をしっかりと横展開してまいりたいと考えております。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)どうぞよろしくお願いいたします。
では、最後に、気候変動によって、私たちが想定する以上の災害が頻発をしています。それに伴って、防災減災対策についても、ソフト面、ハード面ともに、より一層、迅速に進めていかなければならないと感じています。
最後になりますが、これまでの取組に加えまして、水害のリスクを知り行動につなげる流域治水について、今後のさらなる取組について、
土木交通部長にお伺いをいたします。
◎
土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
本県では、築堤や堤防強化、しゅんせつといったハード対策はもとより、地先の安全度マップを活用した避難体制の充実や安全な備え方への誘導など、流域治水の取組を全力で進めてきたところです。
一方、国では、昨年8月に水害リスクを自分事化し、総力を挙げて流域治水に取り組む流域治水の推進に向けた普及施策の行動計画が取りまとめられたところであり、これは本県のこれまでの取組と方向性を一にするものと考えております。
本県においては、こうした国の方針も取り込みながら、市町と連携したまるごとまちごとハザードマップの設置をはじめとする水害リスクの自分事化に取り組むなど、滋賀の流域治水を深化させ、強力に推進してまいります。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)御答弁ありがとうございました。
流域治水の取組、また水害対策は、大規模な事業で大変だと思いますけれども、昨今の災害を見てみると、本当に大規模で、また頻発化している状況ですので、ハード面、ソフト面ともに、市町としっかりと連携をして進めていただきますように、よろしくお願いいたします。
以上で質問終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(目片信悟) 以上で、7番岩崎和也議員の質問を終了いたします。
次に、11番河村浩史議員の発言を許します。
◆11番(河村浩史議員) (登壇、拍手)それでは、まず初めに、県立高校体育館への
エアコン設置の必要性について、一問一答方式にて質問をいたします。
気象庁が統計を取り始めてから120年余りがたつとのことですが、今年は4月から、新潟県三条市で32.5度を記録するなど、全国各地で4月の平均気温としての観測史上、最も高い気温を更新したとのことです。
異常気象については、日本だけの話ではなく、今、地球上の至るところで起こっているのですが、日本国内の猛暑については、もはや夏の風物詩かのように、観測記録が毎年更新され、昨年の夏にも過去最高となる平均気温が観測されています。むしろ、更新されることのほうが、異常ではなく当たり前となりつつある状況です。今年の夏については、ラニーニャ現象によって、さらに昨年の気温を更新する暑さになるということが予測されています。
もはやこの猛暑については、決して特異な状況ではなく、平常な状況であるという認識の下で、行政としての対策が必要であると考えます。
そのような中、大津市や草津市では小中学校の体育館に
エアコン設置をしていくための予算が令和6年度予算として計上されています。また、愛知県においても、2024年度から2027年度にかけて県内全ての高校体育館および武道場にエアコンを整備していくことが計画されています。
滋賀県においては、残念ながら、エアコンの導入については、過去から現時点までにおいて、質問のたびに、検討をしていないという、決して前向きとは言えない答弁が幾度もなされてきていますが、子供たちの命を守る熱中症対策として、体育館へのエアコン導入については早急に取り組むべき事項であると考えます。
まずは、学校の教育環境の整備責任を負う立場として、教育長に対して、県内の小中学校や他県のエアコン導入に対してどのように評価をされているのか、その必要性に対しての認識をお伺いいたします。
○副議長(目片信悟) 11番河村浩史議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。
御質問にございました各自治体の取組につきましては、施設の使用状況や財政状況など、それぞれ事情が異なる中で、それぞれの自治体が御判断されているものと認識をいたしております。
体育館に空調設備を整備することは、児童生徒にとっては、安全かつ快適に運動ができ、教科活動や部活動等の活用の幅も広がるものであることから、必要性はあるものと認識をいたしております。
近年、猛暑が続いている状況を踏まえますと、どのような対策を取れば無理なく学びの継続が可能となるのか、体育館への空調整備も含めまして、様々な観点から検討を進めることが必要であると考えているところでございます。
◆11番(河村浩史議員) (登壇)再問させていただきます。
教育長、先ほど、必要性については十分認識をされているということであります。そのお答えを聞けて、まずは安心はしたんですけども、ただ、やはり早急にしていかなければ、本当に今熱中症で、全国的にも熱中症になる学生、子供たちが毎年5,000人を超えてくるという、そういったことが現状になっている中、特に、一番、高校1年生が熱中症で倒れられている数が多いということも聞いているので、先ほども話をさせていただいたように、大津市とか草津市では小学校、中学校で計画されている。財源の問題もありましたけども、小中でできていて、県でできないということは決してないと思うので、前向きに、その辺、どう、いろいろ財源の問題もあるのは十分理解はしているんですけども、小中でできてやっぱり県でできないということはないと思いますので、早急な対応が必要だと思いますけども、改めて教育長の見解を伺います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
各学校の施設整備に関しましては、国において、義務教育諸学校、小中学校と県立高校とは少し財源のスキームが異なっております。
そういった中で、どのような手法を取ることが一番いいのか、ここはしっかりと考えなければならないと思っております。
ただ、現実、県立学校の体育館には、
エアコン設置に必要な断熱性が確保されておりませんことから、設置に当たりましては、屋根でありますとか外壁あるいは窓などの大規模な改修工事も必要になるなど、そういった部分における課題もあるものと認識をいたしております。
このため、県立学校におきましては、引き続き、学校施設の老朽化、またトイレ改修を進めつつ、他府県の先進事例でありますとか最新の知見も参考にしながら、個々の体育館の老朽化の状況、また長寿命化改修工事の状況などを踏まえて、それぞれの学校でどのような対応が必要なのか検討していくこととしているところでございます。
◆11番(河村浩史議員) (登壇)理解をしました。改修に合わせてやっていっていただける方向ということで捉えていいのかなというふうには思いましたけど、この後ちょっと知事にも伺いますので、その辺は後で聞きます。
それでは、次、防災面からの質問をさせていただきたいと思います。
以前から体育館の
エアコン設置の必要性は、子供たちの教育環境のためだけではなく、災害時における避難所運営の観点からも必要不可欠であるという指摘がなされております。
令和6年1月1日に能登半島地震が発災し、多くの方が避難所生活を余儀なくされることとなりました。夏日ではない季節のため、熱中症の心配はありませんでしたが、逆に、真冬の季節だったため、暖房が十分でない体育館での避難所生活が健康被害にもつながってしまったとも伺っております。
体育館の
エアコン設置の必要性について、避難所運営の観点からはどのように認識されているのか、
防災危機管理監の見解を伺います。
◎
防災危機管理監(山下將) (登壇)お答えいたします。
避難所の指定および運営につきましては市町で実施されるものでございますが、避難所となる県立高校体育館の空調設備につきましては、熱中症をはじめとする暑さ対策や冬の寒さ対策として、避難所の環境改善につながるものと認識しております。
◆11番(河村浩史議員) (登壇)再問いたします。
防災危機管理監、答弁いただいたんですけれども、環境改善につながるものというお話があったんですけども、必要ですよね。必要か必要じゃないかと言えば、今の御答弁というのは必要だと。先ほど教育長にも質問をしたんですけども、やっぱりこれ、早急な対応が必要かなというふうに思っています。
やはり災害というのはいつ起こるか分からない。もしかしたらこの夏に起こるかもしれない。その中で、本当に、高校体育館が今、避難所指定になっているとこ、大津は多いんですけど、この体育館で本当に安全な避難所運営が本当にできるのかどうか。僕はちょっと厳しいと思っているので、早急な対応が必要だと思いますけども、再度答弁をお願いいたします。
◎
防災危機管理監(山下將) お答えいたします。
避難所運営の観点からは、空調設備が整備されることが望ましいと考えておりますが、施設管理者において施設の状況、いわゆる日常の使われ方であるとか建物の状況、そういったものを勘案された上で検討されるものと認識しております。
◆11番(河村浩史議員) (登壇)分かりました。
では、最後、知事に伺います。
エアコンの導入に当たっては、先ほどから答弁にあるように、コスト面での課題があることというのは十分承知をしていますが、先ほど教育長からありましたけども、体育館の改修のタイミングに合わせるなど、しっかりと計画的に導入をしていく検討をすべきであると考えます。
改めて、知事に、高校体育館への
エアコン設置の必要性についての認識をお伺いいたします。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
学校施設は、生徒にとって、学びと生活の場であるとともに、災害時には避難所として活用されることも想定されます。子供たちが安全・安心で、快適に過ごせる教育環境の整備と避難を余儀なくされる方の生活の質の向上に努めることは重要であると認識しております。
例えば、体育館本体の建て替えや全面的な改修工事に併せて、断熱性能を確保した上で空調設備を設置するなどの方策も選択肢の1つであると存じます。他の都道府県の事例や最新の知見も参考に、費用対効果も含め、教育委員会と共に検討してまいりたいと存じます。
◆11番(河村浩史議員) (登壇)ぜひ前向きに検討をお願いしたいと思います。
それでは、次の質問に移ります。
次は、大阪・関西万博への子供の無料招待について、分割方式で質問いたします。
いよいよ大阪・関西万博の開催まで1年を切ってまいりました。知事は、大阪・関西万博の開催を見据えて、早い段階から、県内の4歳から18歳までの全ての子供に対して、万博に招待されると言及をされており、今年度より事業が開始しております。
万博が日本で開催されるのは、前回の愛知万博から実に20年ぶりのことであり、関西では、1970年の大阪万博以来、55年ぶりの開催であり、県内の子供たちにとっても、大変貴重な経験の機会になることが期待をされます。
しかし、その一方で、万博への招待の手段として考えられている学校単位での参加については、会場におけるメタンガスの爆発事故や、大混雑による子供たちの安全確保等、様々な不安の声が上がってきております。
開催地である大阪や近隣他府県においても、学校単位での招待については、子供たちへの安全確保の課題などによって、実施に前向きな声と後ろ向きな声とが入り交じっている状況です。
滋賀県においても、直接、県内の学校に対しては、意向調査を実施されたと伺っていますが、その結果として、学校現場からの反応についてはいかがだったのでしょうか。意向調査の結果の受け止めについて、総合企画部長にお伺いいたします。
また、大阪府でのアンケート調査においては、参加を希望しないといった項目が最初から選択肢になく、必然的に参加希望が増えるというかなりバイアスのかかった調査になってしまっていたということも報道されていますが、滋賀県においては、そのような偏った調査にはなっていなかったのでしょうか。意向調査の手法について、総合企画部長にお伺いいたします。
一方、私は、意向の結果にかかわらず、学校単位の参加については、子供たちの安全面、また教職員の負担等を考えると、現実問題としてかなりハードルが高いのではないかと思っています。
会場の地元である地域でさえも、バスの手配や、集団での移動等、学校単位での行動することの難しさを不安視されている状況であると聞いています。
会場から距離のある滋賀県では、大津であれば、1時間弱で万博会場まで行くことも可能ですが、長浜からであれば、2時間以上かかることとなり、県内の地域によっても、大きな差があります。片道2時間以上かかるとなると、滞在時間のほうが短くなる可能性もあり、万博を十分に堪能することも難しいのではないかと考えます。
バスの手配、熱中症対策、下見や年間カリキュラム変更、随行も含めた教員の負担等、想定し得る様々な懸念事項に対して、しっかりと全てクリアできると考えられているのか、教育長の見解をお伺いいたします。
最後に、私は、やはり教職員への負担を考えると、学校単位ではなく、家庭単位、あるいは、県や地域が主導で実施するツアー等、別の手段でもって、子供たちを招待するための検討が必要だと考えますが、知事の考えをお伺いいたします。
◎知事(三日月大造) 大阪・関西万博への子供の招待について、私には最後にいただきました御質問にお答えいたしますが、その前に、メタンガスの発生については、大変多くの御心配、御懸念のお声をいただいております。一昨日、関西広域連合でもこのことを議論いたしまして、緊急の申入れを博覧会協会に対してさせていただくことといたしました。様々な不安にきちんと応えて必要な対策が取られるよう、またそのことがきちんと共有されるように、これからも確認してまいりたいと存じます。
子供たちの万博招待につきましては、より多くの子供たちに万博を体験していただけるよう、まずは学校単位での教育旅行を検討していただきたいと考えております。
教育旅行での万博訪問を円滑に行うため、来場予約やバスの手配等で学校をサポートする事務局を設置しており、教職員の負担軽減を図っているところでございます。
また、議員の御質問にもございましたように、教育旅行だけでなく、家庭や個人、または県が企画するツアーでの訪問についても準備を進めているところでございます。
世界各国から人類共通の課題解決に向けた英知が関西へと結集する場であり、訪問する機会は、多様な形で提供してまいりたいと考えているところでございます。
◎総合企画部長(松田千春) (登壇)私にいただきました2点の質問のうち、1点目の意向調査の結果についてでございますが、昨年11月に県内の小、中、高校、特別支援学校等、404校に対し、教育旅行における大阪・関西万博の活用意向について調査を実施いたしました。
340校から回答いただきまして、その約65%が「活用予定または活用を検討する」と選択されたところでございます。
2点目の意向調査の手法でございますが、昨年11月に実施した意向調査では、「活用予定または活用を検討する」という選択肢と「活用する予定はない」という2つの選択肢を設けまして、事業の実施に向けて、学校の率直な意見をお尋ねしたところでございます。
また、現在、9月6日締切りで、県内の学校に対しまして、万博招待事業の活用希望について調査しておりまして、この調査では、活用を希望する、希望しないという選択肢を設けているところでございます。
◎教育長(福永忠克) 私にいただきました懸案事項に対する見解についてお答えをいたします。
6月18日に開催されましたオンライン説明会におきましては、各学校から、安全面、バスの手配、下見の時期等について質問があったと聞いております。
県教育委員会としては、各学校が現場の状況に応じまして、子供たちの安全や教育の質を考え、判断されることが大切であると考えているところでございます。
安全対策が徹底され、万博への参加について、各学校が適切な判断をしていただくため、まだ質問等に十分答えられていない面もあろうと思いますので、引き続き、窓口である知事部局万博推進室から適時適切に情報が出されるよう教育委員会としても連携して取り組んでまいる所存でございます。
◆11番(河村浩史議員) (登壇)再問いたします。知事に対して再問させていただきます。
先ほど様々答弁をいただいたんですけども、昨年に意向調査をされたときの、また今の状況と、また、今また各学校で調査をしていただいているんですけども、また状況が大きく変わってきているのかなというふうにも思っていまして、先日、共産党の中山議員のほうからも質問があって、やっぱり、何というのかな、学校の現場感、今学校のほうで意見を聞いているという話なんですけども、それというのは、各先生に対して聞いているのかなという。校長先生の判断になっちゃうと、知事が基本的に学校でということを言われちゃうと、忖度といいますか、やっぱり知事が言われたら、学校としても前向きに考えないといけないんじゃないかという、そういう気持ちになると思うんですよ。そんなそこまでプレッシャーはなかったとしても、やっぱり校長の立場であれば、そう感じてしまう部分もあるのかなと思っていまして、現実的にはいろんなクリアしないといけない大きな課題がたくさんあると思うんですよね。
それが本当にクリアできるのか、そこはしっかりと学校の先生の声というか現場の声を聞くようにしていただきたいなというふうに思いますし、あと、学校単位だけではなくて、私も質問させてもらったような家庭単位とか、あるいは、県のツアーとかも今考えていただいているというお話があったんですけども、例えば大阪市なんかでは、子供がいる希望の御家庭に対しては、夏休みの期間にフリーパスというのを考えているというのも聞いていますし、そういったいろんな手法というか、まだまだいろんな行き方って検討できるのではないのかなというふうにも思っていますので、そういったところのさらなる検討もいただきたいと思いますし、また、もしかしたら県内の市町において独自の手法というのももしかしたら考えられている、あるいは、今から考えられる、検討される可能性もあると思いますので、そういった部分も、ばらばらでやるんじゃなくて、しっかりとその辺の情報共有、情報収集しながら、やっぱり県と市町で一緒にやっていくということも検討が必要ではないのかなと思うんですけども、再度答弁をお願いいたします。
◎知事(三日月大造) いや、今おっしゃったこともとても大事だと思います。まず、学校単位で検討いただきたいということについては、決して強制ではなく、それぞれの学校ごとに御判断いただくということですし、その際に、現場感、校長先生や指導される方々だけではなくて、現場感というのを大事にするというのはそのとおりだと思います。先般も中山議員から下見のお話がございましたし、なるほどなと思って聞かせていただきました。
また、直近、様々な情報を集めていますと、子供たち、行くはいいんだけれども、どういうところが見どころで、例えば環境ならこういったところ、世界の技術というならこういったところ、小中高校によってもそれぞれ関心が違うでしょうから、ちょっと推奨するルートのようなものをできるだけ早く示してほしいというような、学習のためならなおさらのこと、そういったお声も聞いておりますし、バスで来られた場合、バスが着くところ、そして、降りて歩いてパビリオンに行くところ、そういったところの案内がまだまだ不十分、そして、配慮が不十分じゃないかという、こういった指摘等もいただいておりますので、何より現場感を大事にして、必要なことを博覧会協会に届け、そして、いただいた情報を教育機関とも共有しながら、検討に付していけるようにしたいと思います。
また、様々な選択肢を用意するべきではないかというのもそのとおりでございまして、まずはそういった学校単位で行っていただくことを御検討いただきつつ、それだけではない行き方、鑑賞のされ方についても提示できるように、これも努めてまいりたいと思います。
その際に、市町と連携してやるべきだろうというのもおっしゃるとおりでございますので、まだまだ我々が得られている情報が少ないので、窓口の担当もちょっと苦慮しているようなところでありますが、今後いろんなものものが明らかになってくるでしょう。いろんな紹介もされることと思いますので、そういった情報をできる限り早く、また、分かりやすく共有して、連携して取組を進めてまいりたいと存じます。
◆11番(河村浩史議員) (登壇)ありがとうございます。
我々も、この万博というものには推進する立場でありますので、しかしながら、やっぱり子供の安全第一で検討していただくことを最優先で、頑張って検討していただければありがたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。
次の質問に移ります。
次は、滋賀県と国立滋賀大学教育学部および附属学校園との連携強化について、分割方式にて質問いたします。
現在、全国的に教員不足の問題が顕在化しており、滋賀県においても、教員採用試験の前倒し実施や、潜在教員の掘り起こし、採用選考における年齢の引上げといった教員の人材確保に向けた取組を様々していただいているところではあります。しかし、その効果については、これらの取組だけでは疑問に感じるところです。教員志望者を増やすためには、働き方改革や職場環境の魅力向上等、決して一朝一夕でできるものではありません。しかし、教員不足の問題はもはや待ったなしであり、今考え得ることのできるあらゆる手段を講じて、この問題解決に向けて取り組んでいかなければならないと考えます。
私は、この問題解決の重要な糸口になり得るのが、国立滋賀大学教育学部にあると考えます。
滋賀大学教育学部は、明治8年に設置された小学校教員伝習所を起源とし、教育基本法の精神と大学の理念にのっとり、豊かな一般教養と専門学科に関する最高の教育を授けるとともに、最新の学理を極めもって日本国の文化の発展を図り、世界の進歩に寄与することを目的として、これまで150年にわたって地域教育の中核として、多くの教員を輩出されてきました。県内には、教育委員会や、現在、教鞭を取られている方の中にも、御出身である教職員の方も多くいらっしゃることだと思います。
国立滋賀大学教育学部のさらなる魅力向上こそが、県内における教員志望者の増加につながるものと考えますが、滋賀大学教育学部に対し、国立の教育学部としてどのような役割を期待し、県として今後どのように関わっていく必要があるのかについて、教育長の見解を伺います。
また、少子化の波についても、とどまることを知りません。滋賀大学教育学部には、教員養成のための附属機関として附属幼稚園、小学校、中学校、特別支援学校4校園が設置されていますが、令和7年度以降、段階的に幼、小、中の入学定員、クラス数および1クラスの人数を削減する方針であると聞き及んでいます。この削減により、幼、小、中全体のクラス数は現在の3分の2未満に縮小され、定員規模は約2分の1にまで縮小されるとのことであり、同時に教員についても削減が図られます。長く滋賀県の教育研究校として、教員の養成のみならず、県内の学校教育の発展、向上にも寄与してきたと言っても過言ではない附属学校園ですが、今回の大幅な定員の削減による体制の変更は、所在地の大津市の教育だけにとどまらず滋賀県全体の教育への影響も大きいものと考えます。附属学校園が設置以来、これまで県の教育に果たしてきた役割をどのように評価され、今回、計画されている大幅な縮小による県への影響をどう捉えるのか、また県として何らかの対応していく考えはないのか、教育長の見解をお伺いいたします。
最後に、国立大学は、独立行政法人化以降、運営に関する課題が山積しており、滋賀大学教育学部についても、例外ではないと聞き及んでいます。さきに述べた、定員の削減計画についても、財政的な課題から検討されたものであると承知をしています。これまでは、国立大学と県という関係から、お互いの課題の共有や協力をあまり積極的に実施してこられなかったと思います。
しかし、教育を取り巻く環境が刻々と変化する中、今後は国、県の管轄の垣根を越え、これまで以上に密接な関係を築き、教員確保、教員育成に向けた取組を、連携して進める必要があると考えますが、教育長の見解をお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) 滋賀大学および附属学校園との連携についての3点の御質問にお答えをいたします。
1点目の滋賀大学教育学部の役割や県の関わりについてでございますが、これまでから教員養成をはじめ、教職大学院におけます現職教員の資質向上、また、県教育委員会が実施をいたします事業や調査に対して助言をいただくなど本県の教育の発展に寄与していただいており、今後もその役割を期待しているところでございます。
また、平成27年──2015年に、滋賀大学教育学部と県教育委員会で連携協定を結んでおりまして、毎年実施をいたします地域教育連携推進会議におきまして、人材確保や地域の教育課題についての研究協議を行っているところでございます。
今後も、県と滋賀大学が連携協力しながら、優秀な教員の育成や地域のニーズに応じた教育の提供などに取り組んでいく必要があるものと考えております。
2点目の附属学校園の役割、縮小の影響とその対応についてでございますが、附属学校園は、教員養成学部の附属学校として、優れた教員を送り出す教育実習校として大きな役割を果たしていただいているところでございます。
また、公立学校の教員の資質、能力の向上や教育活動の推進に寄与できるモデル校としての役割や、先進的、実践的な取組を中長期的な視野から調査研究する研究校としての役割を果たしていただいていると評価しているところでございます。
さらに、県教育委員会は、附属学校園と人事交流を行いまして、教員の資質向上や教育研究の一層の充実と発展を図っているところでございます。
今回の見直しの県への影響でございますが、教員の養成や先進的な教育実践に関しましては、一定の影響はあるものと考えますが、影響は限定的ととらまえております。ただ、学生の実習時間や受入人数につきましては、その縮小が想定されますことから、こういった学生の実習機会の確保の協力など、県教育委員会としてその対応に努めてまいる所存でございます。
3点目の教員確保、教員育成に関する連携推進についてでございますが、一昨年度、滋賀大学が採択されました文部科学省のデジタルと掛けるダブルメジャー大学院教育構築事業におきまして、大学と県教育委員会が連携をしながら、教育データサイエンスを活用できる教員の育成を図っているところでございます。
また、今年度、滋賀大学が採択されました文部科学省の地域教員希望枠を活用した教員養成大学、学部の機能強化事業におきましても、先ほど述べました連携推進会議の枠組みを活用し、教員確保の取組を進めることとしているところでございます。
今後も、これまで以上に滋賀大学との連携を密にしながら、教員確保や教員養成を推進してまいりたいと考えております。
◆11番(河村浩史議員) (登壇)再問をさせていただきます。
滋賀大学の今まで果たしてきた役割であったり、県との連携とかという部分の答弁を教育長からいただいたんですけども、今、様々な新しい取組といいますか、そういったことも御紹介をいただいたんですけども、私は、本質的な連携が必要かなというふうに思っていまして、そういった表面的な連携というわけではなくて、もっと信頼関係の構築といいますか、今回、質問の中でも言わせていただいたんですけども、クラス数が現在の3分の2未満に縮小されて、そして、定員規模も約2分の1に縮小される。これって幾ら世の中が、今、少子化とはいえ、物すごい削減計画になっているかなというふうに思っていまして、この影響というのが限定的だというふうな御答弁をいただいたんですけども、そもそもこの情報を県として共有されていたのかなという部分も私は疑問なんですね。限定的とはいえ、やっぱり県に対して大きな影響があるこのことに対して、事前に県としては把握をされていたのかなというのがまず1つ目の疑問なんです。
そのことに対して、何ができるのかというものを、県側としても、滋賀大学というのは、先ほど教育長からもお話があったように、県内唯一の研究校なわけですよ。やっぱりそことしての役割をこれからも期待をするのであれば、この附属の役割というのは今後も大事になってくるというふうに思いますし、そういったところに対してしっかりと寄り添っていく姿勢を見せる必要があると思うんですけども、教育長の言われている連携というのがそこまで含まれているのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
今回の滋賀大学におけますこの見直しにつきましては、私は少し前から滋賀大学の関係者からお話を聞いております。滋賀大学の竹村学長をはじめ、教育学部長からもお話をお聞きしております。
議員の質問の中にもございましたが、一番大きな理由は、滋賀大学としての財政的な課題についてが一番大きな課題であるという御説明を受けております。ただ、この見直しが、全く影響がないわけではございません。幾つかの観点がございます。先ほど限定的と申しましたのは、この取組の中で、教育研究でありますとか、そういった点、学術的な面については、3クラスが2クラスにはなりますが、引き続き、維持されますので、そういった点については、限定的であるというふうに申し上げたところでございます。
ただし、先ほど申し上げましたように、滋賀大学教育学部で、教員になろうという学生さんが、教育実習をしっかりやってもらう場というのが、3クラスから2クラスになりますと縮小いたしますので、その点については、県内の他の市町の小中学校を、教育実習の場として、もっと活用していただけるように、これは県の教育委員会として、この問題をしっかり受け止めて、市町の教育委員会と共に対応をしていく必要があると思っています。
なお、この見直しは、幼稚園から、そして、小学校、中学校と段階的に実施されますので、この段階的な実施の状況をしっかりと見据えながら、その対応を考えていきたいと思っております。
また、滋賀大学教育学部の附属校園につきましては、多くの園児、児童、生徒は大津市の方であるというのも、状況をお聞かせいただいておりますので、この点については、大津市をはじめ、少しほかの市からも通学をしている子供さんもいますので、関係市に対して滋賀大学からしっかりとした説明がなされるようにお願いをしておりますし、私も大津市の教育長とも情報共有をしているところでございます。
◆11番(河村浩史議員) (登壇)最後の質問に移ります。
最後は、自腹を切る教職員の実態把握と環境改善について、分割方式にて質問いたします。
先日、研究者らによる、全国における教職員の自腹の状況についての調査結果が発表され、新聞報道等がなされました。調査結果によると、2022年度の1年間の間に、教材費など自己負担をした経験のある方は8割近くとなり、その負担金額は5,000円未満から10万円以上と、個人により異なるとのことですが、中には部活の楽器やタクシー代などで2,500万円もの自己負担をされている方もおられたとのことです。
私のほうでも、県内在勤の教職員複数に聞き取りをさせていただいたところ、授業等で使用する付箋や赤ペンインク、ボールペン、鉛筆、のり、ホッチキスといった文房具や、教材や資料を保管する棚等も自腹で購入されているケースも見受けられるとの話でした。
また、会議で使う資料の紙代さえも自腹、修学旅行や、校外学習の下見における自己負担も大きいという話もありました。
市町によって、程度の差があるのかもしれませんが、このような自己負担が日常から当然のように行われていることは、大きな問題であると思います。
先日、知事より、公務員の名刺の自己負担を見直す必要があるとの発言がありましたが、教職員の自腹の状況が事実であるなら、名刺の負担どころの話ではありません。早急な改善が求められます。
県教育委員会として、教職員の自己負担の状況についてどこまで把握をされているのか、もし把握をしておられないのであれば、まずはしっかりと調査が必要かと考えますが、教育長の見解をお伺いいたします。
次に、状況の改善についてお聞きいたします。
このような全国的な教職員の自腹の状況が起こっている原因については、そもそも公立学校へ配分されている予算が少ないということ、また、負担金額の申請手続が煩雑で使い勝手が悪いということが考えられているのですが、そもそも学校現場の中で、教職員が生徒児童のために自腹を切るのは当たり前という空気感が出来上がっているということも考えられるのではないかと思います。
そういった教職員の意識に対しては、頭が下がる思いでありますが、無理をして自腹を切るという負担については、様々な面での綻びの原因にもなりかねません。
金銭に関することについては、教職員の善意に任せた対応ではなく、公私の区別をはっきりとすることが必要であると思いますが、その認識と対応の必要性について、また、あわせて、教職員が業務上で支出したものの公費負担か自己負担かの基準の明確化についての検討も必要ではないかと考えますが、教育長の見解をお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
自腹を切る教職員の実態把握と環境改善について、2点の御質問にお答えをいたします。
1点目の教職員の自己負担の状況でございますが、私も議員の紹介のありました新聞報道の内容は承知をいたしております。本来、学校運営に必要な経費は、各学校の設置者がその責任におきまして予算をしっかりと確保すべきものと認識をいたしております。決して教職員が無理に負担をすべきものではないという認識を持っているところでございます。
今ほど議員から、県内の教員の状況について一部御紹介をいただきました。県立学校、高校、特別支援学校の現場でありますとか各市町の教育委員会とは、私も様々な場面で情報交換、意見交換をする機会がありますので、まずはそうした機会を通じまして県立学校の状況、各市町の状況の把握に努めてまいりたいと考えております。
2点目の公費負担と自己負担の基準についてでございますが、こちらも先ほど御答弁申し上げましたように、本来、学校運営に必要な経費につきましては、公費で負担すべきものでございまして、各学校の設置者がその責任において確保に努めることが大切だと認識をいたしております。
こうした認識の下において、県立学校につきましては、教育委員会におきまして適切に見積りをし、知事部局に対して必要な予算をお願いしているところでありまして、今後もこの点については意を用いてまいりたいと考えております。
ただ、業務効率の観点から、やはり公費が出るんだけれども、使い勝手が悪いよねというお声もいただいていることも承知をいたしております。
県立学校で支出する経費は公費である以上は、財務規則等に基づいた手続は当然行う必要がございます。ただ、業務効率の観点から、手続の簡素化については、しっかりと検討を進めるべきものでありまして、現場のお声も聞きながら、この手続につきましては不断の見直しに努めてまいりたいと考えております。
◆11番(河村浩史議員) 終わります。(拍手)
○副議長(目片信悟) 以上で、11番河村浩史議員の質問を終了いたします。
次に、18番田中松太郎議員の発言を許します。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従いまして、大きく2項目質問させていただきます。
まず1項目め、デジタル人材の育成とシステムの内製化について、一問一答で質問をさせていただきます。
滋賀県では、デジタル技術の進展に的確に対応しつつ、県民、事業者、各種団体、大学、行政等の多様な主体が、デジタル技術、データの利活用の促進やDXの取組についての方向性を共有し、それらの取組において連携を深めていくため2022年3月に滋賀県DX推進戦略を策定いたしました。社会変革のスピード等を考慮し、2022年4月から2025年3月までの3年間を戦略期間としており、今年はその3年目となります。
DX推進戦略の中では、暮らしのDX、産業のDX、行政のDXの各分野において目指すべき姿を示しており、年度ごとの具体的な施策や目標は滋賀県DX推進戦略実施計画において示されています。
なお、DX推進戦略においては、DXの定義について、「組織内部の文化や意識の変革を引き出しながら、デジタル技術を活用して、施策やビジネスモデルを新たに創出または柔軟に組み替えること」と定義しています。
県庁内のDXについても滋賀県DX推進戦略実施計画に基づき、これまで2年間様々な施策を行ってこられました。
こうした中、県は、去る5月7日に発送した令和6年度の自動車税納税通知書について一部の方に誤って送付したことを、5月17日に記者発表されました。発表によりますと、納税通知書を別人の方に誤って送付したものが10件程度、住所変更前の住所に送付してしまったものが700件程度とのことであり、一部報道では、今年度から、デジタル技術を活用した事務処理方法に変えたことで起きたミスであると伝えられています。
そこで、まず、今回の自動車税納税通知書の誤送付について、その概要を総務部長に伺います。
○副議長(目片信悟) 18番田中松太郎議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎総務部長(岡田英基) (登壇)お答えいたします。
今回、令和6年度の自動車税納税通知書の一部で生じました誤送付では、関係の皆様に、御迷惑と御心配をおかけしましたことにつきまして、改めて、おわびを申し上げます。
今回の誤送付につきましては、結果として、複数の自動車を所有される方の情報を集約し、税務システムに登録する名寄せの作業におきまして、誤って別人のデータにひもづけ、誤送付となったものが12件、また、車検等において、住所変更の情報を税務システムへ反映させることを失念し、旧住所に誤送付したものが701件発生したものでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)今回の誤送付の対応につきましては、それぞれの所属の方が総動員で、休日返上で対応いただいたということもお聞きしておりますし、また、御迷惑をおかけしました県民の方に対しても丁寧に御対応いただいたということに関しては感謝申し上げたいと思います。
さて、先ほど述べましたとおり、一部の報道では、今年度から、デジタル技術を活用した事務処理方法に変えたことで起きたミスであると、このように伝えられています。
今回の誤送付の原因についてどのように考えておられるのか、総務部長に伺います。
◎総務部長(岡田英基) お答えいたします。
まず、名寄せ作業の誤りによる誤送付は、税務システムのデータを表計算ソフトに取り込み、同一人物として名寄せする際の確認が不十分であったものでございます。
また、旧住所への誤送付は、運輸支局などから車検証登録情報の変更を税務システムに反映する業務におきまして、実行処理を失念したことが主な原因でございます。
そのほか、昨年度は職員の異動や長期休暇なども重なり、所属内での担当職員へのサポートが不足し、結果的に複数名での確認体制が十分確保できなかったことも、こうしたこともミスにつながったものと考えております。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)一定、デジタル技術を活用して業務を進めようとされていた中でミスが発生したということなんですけども、結局、デジタル技術を活用した事務処理に変えたこと自体が直接的なミスの原因ではなく、担当者の確認ミスであるとか認識の誤りといったことで、これ、結局、手作業を行っていたとしても同様のミスが起こり得たのではないかと考えますが、総務部長に再度伺いたいと思います。
◎総務部長(岡田英基) お答えいたします。
今回は、約50万台の自動車に係る納税通知書の一斉発送に備えた作業におきまして発生したミスでありますが、仮に、この名寄せの作業などの業務を、手作業で行っていた場合におきましても、やはり同様に起こり得るミスであると認識しております。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)一般的に、ヒューマンエラー、いわゆる人間によるミスというのは、1,000回の作業をすると大体3回ぐらい発生すると、このように言われております。このヒューマンエラーを補うのがDXの役割の1つでもあろうかというふうに思います。
今回、結果的にミスが起きてしまいましたけれども、もともと進めようとしていた業務改善の狙いについて、総務部長に伺います。
◎総務部長(岡田英基) お答えいたします。
今回の誤送付のうち、名寄せにつきましては、令和4年度までは、手作業では、年間1,000件程度が限界でありましたが、未処理件数の縮減などを目的に、令和5年度から一部自動化できる仕組みを導入しまして、約40倍の、40倍以上の処理が可能となったところでございます。
また、旧住所への誤送付では、令和2年度より、納税者の宛名管理を、より正確かつ効率的に行うことを目的に、住所情報などを、データベース管理ソフトを使用し、一括で処理できるよう改善を図ったものでございます。
業務のデジタル化などは、限られた組織体制の中で、県税の正確な賦課、徴収に寄与する有効な手段でありますことから、今回のミスの検証、再発防止策を講じた上で、引き続き、積極的に推進してまいります。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)ありがとうございます。
非常に重要な視点で業務改善に取り組んでいただいていることと思います。こうした取組は今後さらに、進めていく必要性があると思いますので、くれぐれも業務改善によるそのリスクを恐れて、現状のまま何もしないという、そういう思考にならないように、ぜひよろしくお願いしておきたいと思います。
さて、今回、業務改善に取り組んだ担当者の方は、滋賀県DX推進戦略実施計画に基づくDX推進チャレンジャーだったとお聞きをしております。
このDX推進チャレンジャーとはどのようなものなのか、総合企画部長に伺います。
◎総合企画部長(松田千春) (登壇)お答えいたします。
DX推進チャレンジャーとは、デジタル技術の活用を主体的に行い、業務改善化および行政サービスの向上を目指しまして、知識等を学び、自らの業務で業務改革を実施する職員のことでございます。
令和4年──2022年6月に策定いたしました滋賀県デジタル人材育成計画に基づきまして、令和4年度──2022年度からの3年間で450人の育成を目指しておりまして、昨年度末で303人のDX推進チャレンジャーを養成したところでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)現在、303人のDX推進チャレンジャーの方がおられるということで、それでは、このDX推進チャレンジャーによるシステムの内製化の状況について、
総合企画部長に伺います。
◎
総合企画部長(松田千春) お答えいたします。
DX推進チャレンジャーは、主に3つのツールを用いて内製化に取り組んでおります。
1つ目は、人間が繰り返し行う作業をロボットが代わりに行うRPAを用いたもので20業務、2つ目に、プログラミングの知識がなくてもシステムを開発できるローコード、ノーコードツールの1つであるキントーンを用いたもので22業務、エクセルに搭載されたプログラミング言語で、ExcelVBAという一連の操作を自動化できる技術を用いたもので48業務、合計90業務の内製化を行ってきております。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)現在、RPAが20業務、ノーコード、いわゆるキントーンが22業務、VBAが48業務で、合計90業務ということで、これは、もともと3年間の目標が、内製化100業務という目標に対し、既に今90業務ということで、この進捗については一定の評価ができるというふうに思います。
一方で、DX推進チャレンジャーが現在303人、3年間で450人育成されるということで、例えば1人が1件の業務改善に取り組めば、もう少し内製化の実績も増えるのではないかというふうに考えます。ただし、既存の業務を行いながら、並行して業務改善やシステムの内製化に取り組まなければならないという現場の状況を考えますと、日常の業務に追われてなかなか進まないと、そういったことも考えられます。
そこで、実際にこのDX推進チャレンジャーがどの程度業務改善にチャレンジできているのか、再度、
総合企画部長に伺います。
◎
総合企画部長(松田千春) お答えいたします。
昨年度末に行いましたDX推進チャレンジャーへのアンケート結果によりますと、約3分の2のDX推進チャレンジャーが何らかの取組を行ったというふうに回答しております。
ローコードツール等以外にも、電子申請や電子収納の実現、生成AIを使った議事録作成、エクセルの関数や集計機能を活用した効率化など、それぞれの職務に応じた業務改善に取り組んでいるところでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)3分の2のDX推進チャレンジャーの方が何らかの業務改善に取り組んだということで、303人ですから、それからいきますと、100人のDX推進チャレンジャーは、言い換えれば、何も取り組んでいないという、そういう実態もあろうかと思います。
このDX推進チャレンジャーをはじめ、デジタル変革のための人材育成事業としての研修費など、3年間で総額は幾らになるのか、
総合企画部長に伺います。
◎
総合企画部長(松田千春) お答えいたします。
デジタル変革のための人材育成として、幹部職員を含む全職員を対象といたしました、意識変革を促すためのマインドセット研修と、DX推進チャレンジャーなどを対象とした、RPA、ローコード、ノーコードツールなど専門的な知識を習得するスキルセット研修を行っております。
取組の初年度に当たる令和4年度は約2,300万円、令和5年度と令和6年度は約3,200万円、総額で約8,760万円となっております。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)総額で8,000万円の予算を組んで、人材育成を行っているということで、8,000万円で3年間で450人最終的に育成すると。1人当たり幾らかというところは、なかなか単純に数字は出せないかも分かりませんけれども、いずれにしても、それぞれ450人に対して、それだけの8,000万円分の予算をかけて育成しているということは、やっぱり庁内のシステムの内製化というのは8,000万円以上の成果を生み出さないといけないというふうに思います。
先ほども申し上げましたように、内製化の実績が、今既に、目標100に対して90件作成されていますけれども、やはり3分の2と言わず、300人のDX推進チャレンジャー、最終的には450人のDX推進チャレンジャーが、もっとより積極的に内製化に取り組んでいただければ、その実績というのはもう少し数字が増えてくるのではないかというふうに思います。
目標、3年間で100件に対して、もう既に今90件来ているということであれば、目標をここで改めて、せめて130件ぐらい増やしてもいいかなと思いますけれども、
総合企画部長、再度見解を伺います。
◎
総合企画部長(松田千春) お答えいたします。
業務それぞれの性質がありますので、すぐにできるものとできないものとあるのかなと思います。
たちまち、今、数値目標というのは、ちょっとお答えはできません。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)ありがとうございます。
多分答弁できないだろうなと思って聞いてみましたけど、私だったら、目標は、100件は変えられないにしても、実績としては、限りなく130件に近づくように件数を増やしていきたいというような答弁をしたいなというふうに思いながら、結局、DXの阻害要因が、やっぱり管理職の方々がなかなか積極的に取り組めていないという部分もありますし、私は、できたら、このDXの研修を管理職の方に受けていただきたいなというふうに思うぐらいであります。
さて、現在までに90件のシステムの内製化がDX推進チャレンジャーによって実現されているということですが、具体的なシステムの内製化の成功事例について、
総合企画部長に伺います。
◎
総合企画部長(松田千春) お答えいたします。
システム内製化の成功事例でございますが、プレジャーボート適合証の申請に係る業務でいきますと、約1,400件の紙の申請を受け付けまして、エクセル台帳に手入力し管理していたものを、ウェブ受付と電子収納に変更したことで、県内外の申請者の負担を軽減し、事務の正確性の向上も図ることができました。
また、県内の中小企業支援施策ニーズを把握するため、700社を対象に実施しておりますアンケート調査では、ローコードツールなどを使用することによりまして、集計作業の効率化も図れたところでございます。
なお、こういった好事例につきましては、庁内で掲示板等を通じまして共有し、横展開をしてまいりたいと考えております。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)ありがとうございます。
専門用語がずらずら並んでいるので、皆さんだんだん眠くなってきたかも分かりませんけれども、今、御紹介いただきましたプレジャーボートの適合証の電子申請につきましては、三日月知事が公約にも掲げられています手のひらスマート県庁、わざわざ県庁に出向かなくても、手のひらのスマートフォンで全て手続が完結できるという、そういった事例の1つであろうかというふうに思いますし、こうした環境がDX推進チャレンジャーの手によって内製化されているというのは、これは県民にとっても、また、職員の皆さんにとっても、そしてまた、財政的な観点から見ても、大きなメリットがあるのではないかというふうに思います。
また、そのほかの事例についても、DX推進チャレンジャーの方々を中心に、庁内でも情報共有していくということでございましたので、さらなる業務改善に生かしていただけるようお願いしたいというふうに思います。
次に、県庁内では、AIや生成AIも導入し、業務改善に取り組んでおられます。
現在のAIの活用状況について、
総合企画部長に伺います。
◎
総合企画部長(松田千春) お答えいたします。
令和5年度──2023年度からAIの活用を開始いたしまして、感染症情報の週報作成業務など4件の業務にAIを導入したところでございます。
さらに、令和5年──2023年7月からは、チャットGPTのような生成AIの活用方針を作成いたしまして、試行後、12月から本格的に導入いたしました。
職員が挨拶などの文章作成や、エクセル関数の作成などに利用しておりまして、さらに利用促進するため、今年度は、職員向けの研修も実施しております。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)AIの世界、特に生成AIなんかは日々すごいスピードで技術革新が進んでおりまして、先日も、生成AIが音楽をつくる、それ、曲だけじゃなくって、歌詞も含めて、指示をすれば、歌も曲も、1つの曲が出来上がるという、そういうシステムを実際にちょっと見せていただきまして、かなりの完成度。ただ、何となくどっかで聞いたことある曲にしか仕上がらないんですけれども、そういうところまで来ているんだなというところを実感させていただいております。
さて、DX推進戦略に基づき、2年間、DX推進チャレンジャーを中心にシステムの体制化に取り組んでいただき、その現状についていろいろお伺いしてまいりました。これまでの取組を踏まえ、システムの内製化におけるメリットやデメリットについてどのように捉えておられるのか、
総合企画部長に伺います。
◎
総合企画部長(松田千春) お答えいたします。
内製化のメリットといたしましては、業務の実態に合わせたシステムが開発できること、外部委託するよりも短期間、低コストで開発や改修ができることなどがございますが、何より、職員のシステムに関する知識の蓄積あるいは業務の改善のきっかけになることが大きいと考えております。
現時点でのデメリットといたしましては、システム自体の品質が職員の能力や経験等に左右されること、また、担当者の交代によるシステムの維持管理に課題があると考えております。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)今、内製化のメリットやデメリットについて御答弁いただきましたけれども、最初に質問をさせていただきました自動車税の納税通知書の誤送付のような問題は、今後システムの内製化を増やしていけば、さらに増える可能性があるのではないかと危惧しております。今回の納税通知書のケースは、もし仮に担当者が異動した後に問題が発生していれば、その原因究明にはかなりの時間を要したことが予想されます。
そもそも、県民の個人情報を扱うシステムの改善業務と、例えば県庁内で完結するシステムの改善業務を同列で扱うべきではないというふうに考えます。様々なシステムの業務改善を体系的に捉えていくべきであり、また、内製化するか外部委託するかも含めて、その優先順位や重要度というものを客観的に評価していく仕組みが必要で、システムの内製化におけるルールづくりというのが求められるというふうに思います。
そこで、今後さらなるDXの業務の効率化を進めるに当たり、システムの内製化におけるガイドラインの作成が必要と考えますが、
総合企画部長の見解を伺います。
◎
総合企画部長(松田千春) お答えいたします。
システムを内製化する際に、一定の基準を示すガイドラインを作成することは、職員が漏れなく作業を進めるために有効であると考えます。
そこで、システム開発の際に事業者が実施するテストやドキュメントの作成、システム構築などのスケジュールや注意点など、内製化する際に気をつけるべき事項をガイドラインとして策定してまいりたいと考えます。
また、全職員向けのマインドセット研修や、DX推進チャレンジャーの養成を進めることで、県庁全体の意識やスキルの向上を図り、県庁のDXを推進してまいりたいと考えております。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)ありがとうございます。
ガイドラインを作成していただくということで、ぜひこのガイドラインに基づいて、3年間で130件以上の内製化が実現されますことお願い申し上げまして、次の項の質問に移らせていただきます。
次に、滋賀県警察防犯アプリ、ぽけっとポリスしがについて、一問一答で質問を行います。
滋賀県警察では、3月1日から県警初となる公式防犯アプリ、ぽけっとポリスしがの運用を開始されました。ぽけっとポリスしがはスマートフォン向けの防犯アプリで、同様の防犯アプリとしては2016年から警視庁において提供されているデジポリスが特に有名で、行政機関が提供するスマートフォンアプリとしては異例のダウンロード数を誇っており、その数は2024年5月末現在で76万7,000件に上っています。
デジポリスがヒットした背景には、2019年にアイドルグループ、NGT48のメンバーが男性に襲われた事件をきっかけに、当時のツイッター上で、お勧めしたい防犯アプリとして話題になり、マスコミが防犯の手段として紹介したことや、2022年には10代の女性が電車内で痴漢被害に遭った際に、デジポリスの痴漢撃退機能を使用し周囲の乗客に助けを求めた結果、50代の男性が現行犯逮捕されたことがニュースで取り上げられ、これをきっかけに多くの方々がダウンロードされるようになりました。
こうしたデジポリスのヒットを受け、全国の警察においても同様の防犯アプリの導入が進められており、本県においても今年の3月から新たに運用を開始されたところです。
そこで、改めて、本県で提供されているぽけっとポリスしがはどのようなものなのか、警察本部長に伺います。
◎警察本部長(中村彰宏) (登壇)お答えいたします。
ぽけっとポリスしがは、ただいま議員からも御紹介いただきましたように、主に、スマートフォンで利用していただく防犯アプリであり、本年3月1日から導入を開始したものであります。
これまでに、アプリの特性を生かして、特殊詐欺の予兆電話や不審者の注意情報などタイムリーに発信しているところであります。
このアプリは、マップ上で犯罪や不審者の情報が分かりやすく表示されますほか、各種の防犯機能を備えるなど、安全のための機能が充実をしております。
ぽけっとポリスしがは、その名のとおり、県民の皆様に滋賀県警察からの安全・安心情報を常に身近に持ち歩いていただきたいとの意図がございます。
将来的には、幅広い分野での活用を見据えているところでありますが、まずは県民生活の基盤となる安全・安心に特化した防犯アプリとして運用をしているところでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)非常に多くの機能を有したアプリですけれども、より多くの県民の皆様に御利用、御活用いただくためには、まずは、ダウンロードしていただかなければなりません。
先日の自民党会派の代表質問や菅沼議員の質問でも触れられましたが、改めて、ぽけっとポリスしがのダウンロード数の状況について、警察本部長に伺います。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
本年度中のダウンロード数の目標としては、県内人口の約1%となる1万4,000件を設定しておりましたところ、本日朝の時点でのダウンロード数は1万4,130件と、目標を達成したところであり、利用者は日々増加をしているところであります。
既に同種アプリを運用している都道府県警察の中で、最も高いダウンロード率が、先ほど議員からも御紹介のありました警視庁も含めまして、人口の約5%でありますところ、当県におきましても、県民の5%、約7万人のダウンロードを当面の目標としておりますので、さらに多くの県民の皆様に御利用いただけるよう、努めてまいりたいと考えております。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)今朝の時点で初年度の目標を到達されたということで、おめでとうございます。先ほども、総合企画部でもお話ししましたけど、より高い目標を再設定いただく必要性があるのかなというふうに思います。
ダウンロード数をお聞きしておりますと、かなり好調なスタートということで大変安心しておりますが、一方で、ダウンロード数の目標について、今、5%とおっしゃっていただきましたけれども、これ、皆さんあまりピンと来ていないようなので、あえて説明しますが、これは、先ほどから紹介しております警視庁のデジポリス、これが、東京都の人口が1,400万人に対して、現状、76万件のダウンロードということで、滋賀県が140万県民に対して7万件ということで、滋賀県警が目指しておられるこの目標数というのは、防犯アプリで異例のダウンロードを誇るデジポリスの人口当たりのダウンロード数を目標とされているということで、要はトップを目指そうという、非常に高い目標を掲げておられるということに大変驚いておりますし、これはぜひ応援しなければいけないなと。さっき
総合企画部長に申し上げましたけど、やっぱり高い目標をぜひ掲げていただいて、結構KPIを見ていますと、達成できそうな数字が並んでいることが多いんですけど、やっぱりそうではなくって、トップを目指していただくということで、しっかりと応援していきたいというふうに思っております。
警視庁のデジポリスなんですけれども、当初は、オレオレ詐欺などの特殊詐欺への注意喚起を主な目的とされていましたけれども、その後、様々なユーザーからの要望を受け、痴漢被害を周囲に知らせる痴漢撃退機能や、大音量のブザー音が鳴り、事前に指定した連絡先へとメールが届く防犯ブザーなどの機能を追加されるなど、ユーザー目線で改良を加えてこられました。特に、痴漢撃退機能は、若い女性から寄せられた、痴漢に遭っても声を出せないというそういった課題に応えたものと聞いております。
こうしたユーザーの使いやすさも防犯アプリに求められる条件の1つであり、いざというときに直感的に操作できるという操作性も求められます。
そこで、ぽけっとポリスしがの非常時における活用方法について、警察本部長に伺います。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
議員御指摘のとおり、非常時においては、声が出せないということは、しばしば聞かれるところでありますが、ぽけっとポリスしがには、そのような非常時にも使いやすい防犯装置としての機能を備えております。
具体的には、音や光で警告を発する防犯ブザーや、痴漢の被害に遭ったときに音声や画面で犯人に警告を発したり、周りの人に助けを求めたりすることができる痴漢対策などの機能がございます。
いずれの機能も、ホーム画面上から非常時にワンタップで素早く使用できるように工夫をしており、また、使用した事実が事前に登録した家族等に通知をされ、現在位置情報も自動で送信される仕組みになっております。加えて、タップをすることで警察への通報も可能となっております。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)操作性については、今御紹介いただきましたとおり、非常に優れたアプリだなというふうに感じております。
さて、警視庁の管轄エリアである東京都と滋賀県を比較いたしますと、それぞれ治安情勢や犯罪状況というのは異なる点も多いと思われます。同じ防犯アプリでも、都市部とは異なる、滋賀ならではの活用方法も考えられるのではないかというふうに思います。
そこで、ぽけっとポリスしがのパトロール機能について、警察本部長に伺います。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
パトロール機能は、防犯パトロールや交通安全の見守り活動を行う際に、個人やチームで、活動の時間や距離などを記録することができる機能であります。利用者が登録した各市町やチーム別にランキング表示され、その活動状況を確認することができます。
また、活動に応じたポイントが付与され、アプリの中で階級が巡査から、最高で警察本部長を超えます警視監まで昇任いたしましたり、滋賀県警察のマスコットキャラクター画像が当たる抽せんを行っていたりといったことができまして、楽しみながら活動を行っていただける機能となっております。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)個人の方がゲーム的な感覚で楽しみながら、実際に防犯パトロールをしていただけるという、非常にいい機能ではないかというふうに思います。
一方で、以前から、滋賀県内には、防犯パトロールや、通学時の交通安全の見守りなど、それぞれの地域においてボランティア活動されている方々が多くおられると思います。
現在、本県において、防犯や交通安全など、ボランティア活動に御協力いただいている方はどれぐらいおられるのか、警察本部長に伺います。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
現在県内では、通学路などで子供を見守る活動を行う子ども安全リーダーの方々をはじめ、少年補導員や、交通安全ボランティアであるおうみ通学路交通アドバイザーの皆様など、延べ8,000人ものボランティアの方々が各地域で活動をされているところであります。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)ありがとうございます。
延べ8,000人おられるということで、今御紹介いただいた、こういう実際に様々なボランティア活動されている方々にアプリをダウンロードしていただき、活動の際にはこのアプリのパトロール機能を御活用いただくことで、ボランティアの方々のモチベーションの向上につながりますほか、それぞれの活動団体ごとにチーム登録を行っていただければ、県内の活動団体ごとの防犯活動の状況がランキングで表示されることになろうかと思いますので、地域にとっても安心感が生まれ、また、団体ごとにもさらにモチベーションが上がることにつながるのではないかと考えます。
そこで、既存の防犯や交通安全ボランティア団体へのぽけっとポリスしがのパトロール機能の活用の周知をするべきと考えますが、警察本部長の見解を伺います。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
議員御指摘のとおり、パトロール機能は、ボランティアの方々の活動を支援し、平素の活動のモチベーションの向上につながる機能であると考えております。
このため、引き続き、各団体のネットワークを通じて啓発チラシや動画を活用して利用を促進いたしますほか、研修会や合同パトロール等のあらゆる機会を通じて、詳細な機能の説明を行いますなどして、今後も一層の周知に努めてまいります。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)滋賀県は、これまでに、スマートフォンの保有率が全国1位になったこともあり、他の都道府県と比較しますと、比較的多くの県民の皆さんがスマートフォンを保有されているという、そういう現状があります。
また、ボランティア活動、特に安全な生活のための活動の10歳以上の年間行動者率が、これ、5.4%で、全国1位という、そういう優位性を組み合わせることで、ぽけっとポリスしがの人口に対するダウンロード数を全国1位により近づけることができるのではないかというそういう思いから、今回のこういった提案をさせていただきました。
そのほかにも、あらかじめ登録しておいた家族などで活用できる現在地送信機能というのがありますが、この現在地送信機能の活用状況について、警察本部長に伺います。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
現在地送信機能は、利用者間で事前に登録をした家族などに、「ついたよ」ですとか、「いまここ」などの簡単な言葉を添えて自分の現在地を通知することができる見守り機能であります。
親と子供との間の利用や、家族と離れて暮らす女性などとの間の利用に加えまして、高齢者が、その家族との間での日常の定時連絡や、仕事中の家族との安否確認などにも活用をされておりますなど、本アプリの趣旨に沿った幅広い年代の方々に活用していただいているところであります。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)ありがとうございます。
当初、子供の見守りが中心かなというふうに思っていたんですけれども、結構、高齢者の安否確認ですとか、やっぱり滋賀県ならではの活用方法というのがあるのかなというのを特に感じさせていただいております。
冒頭、警察本部長もおっしゃいましたけれども、ポぽけっとポリスしが、当面は防犯に特化したアプリですけれども、最終的には、いろんな機能を追加しながら、幅広い機能を盛り込んでいきたいというふうにおっしゃっていただきました。実際これ、予算見積りの初期の段階では、ぽけっとポリスしがという名称ではなく、「健康しが」安全・安心アプリという、そういう事業でスタートした経緯もございます。
そういう意味では、子供の防犯ということであれば、
子ども若者部であるとか、教育委員会でもこの機能というのは大いに御活用いただけると思いますし、また、高齢者の見守りということであれば、健康医療福祉部のほうでも御活用いただけるのかなということで、やはり全庁挙げて、ぽけっとポリスしがを盛り上げていく必要性があるのかなというふうに考えております。
それでは、このぽけっとポリスしが、今後の周知方法について、警察本部長に伺います。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
今後の周知方法につきましては、安全教室の対面型の周知活動を引き続き実施いたしますほか、今後は、動画を活用した啓発や、ウェブ広告やSNS上での広告によるインターネット利用者への周知を推進してまいる予定であります。
また、子供や女性、高齢者の利用促進のため、議員からもお話がございましたように、関係部局とも連携をいたしますとともに、アプリの趣旨に御賛同いただきクーポン掲載に御協力いただいている県内企業などとも連携をいたしまして、さらなる周知に努め、利用者数の向上を図りまして、県民の皆様の安全・安心のための総合的な情報発信ツールとなるように運用を図ってまいりたいと思います。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)ありがとうございます。
今、周知方法の中で、クーポンというお話がございました。そう、これ、クーポン機能というのがありまして、県内でクーポンが使えるお店が、ずらっとは今出てこないんですけど、ちょろっと出てくるんですけど、これ、過去に中小事業者支援で、しが割、特に第3弾では、滋賀県140万県民で81万人がLINEの友達登録するという、そういう県民性を考えますと、ぽけっとポリスしがも多くの方にダウンロードいただける可能性があるんですけど、このときの店舗数が約6,500店舗御協力いただいておりますので、ぜひこういった店舗に、これは商工観光労働部さんの御協力をいただきながら、そういうところにもお声がけをすれば、少なからずとも店舗の方はダウンロードされますので、その時点で6,000件ぐらい数は増えますし、自分のお店が載っていれば、お店の方は、クーポン使えますよということで、またさらにPRしていただけるので、ぜひそういうことも進めてくださいということを答弁協議で話していましたら、担当の方、ちょっとまだ当面はシステムの安定運用に注力したいということもおっしゃっておられましたので、またしかるべきタイミングで、しっかりとこのクーポン機能も充実させながら、大事なことは、ダウンロードの数を増やすことではなく、やはりこれ、多くの方にしっかりとこのアプリをダウンロードしていただきながら、県内の防犯、犯罪の発生率、あるいは安心・安全をしっかりと高めていくことが目的でありますので、そういった安心・安全のまちづくりに向けてしっかりと取り組んでいただきますことをお願い申し上げまして、質問のほうを終わらせていただきます。ありがとうございます。(拍手)
○副議長(目片信悟) 以上で、18番田中松太郎議員の質問を終了いたします。
しばらく休憩いたします。
午後2時59分 休憩
────────────────
午後3時20分 開議
○副議長(目片信悟) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。
次に、12番柴田栄一議員の発言を許します。
◆12番(柴田栄一議員) (登壇、拍手)滋賀維新の会、柴田栄一です。議長のお許しをいただきましたので、通告書に従い質問させていただきます。大問は1点、質問形式は一問一答方式で行います。
では、質問に際して一言申し上げます。
滋賀県立総合病院と小児保健医療センターは、令和7年1月に統合を予定されています。
第5次中期計画を令和4年3月に、令和7年度までを計画期間として策定しておりましたが、総務省からの公立病院経営強化プランの策定要請を受けて、総合病院と小児保健医療センターの統合も踏まえた計画として、令和6年3月に、令和9年度までを計画期間として、計画改定が行われました。
改定趣旨として、大きく2点挙げられています。1点目として、現行計画を総務省公立病院経営強化ガイドラインに基づく経営強化プランに見直すこと。2点目として、医療や県立病院を取り巻く環境の変化への対応の中では、総合病院と小児保健医療センターの病院統合により、総合病院のがん診療や小児保健医療センターの重症心身障害児、者医療を含む難治、慢性疾患などの小児医療など強みを堅持、伸展させること。また、小児新棟の整備や、総合病院の救急医療提供体制等機能強化の推進、そして、感染症対策や災害対応、緊急医療、子育て支援など、県や国の政策との連動を改定趣旨として挙げられています。
これまでの県立3病院の取組としては、総合病院では、3大疾病等の高度専門医療の提供、救急医療の提供、臨床研究センターにおける画像診断等研究に取り組まれていました。
小児保健医療センターでは、小児保健医療分野における中核的役割、難治、慢性疾患に対する全県型の専門医療を提供されています。
精神医療センターでは、アルコール、薬物、ギャンブル等依存症、思春期精神障害に対する専門医療の提供、医療観察法病棟の運営に取り組まれてきたとともに、3病院では、一般の医療機関では対応が難しい政策医療や不採算医療を担い、三次保健医療圏を対象とした拠点病院としての役割も果たしています。
このような取組をされている現在も、病院を取り巻く環境は少子高齢化や感染症拡大など日々刻々と社会情勢も含めて大きく、そして、厳しく変化しています。
今回の滋賀県立総合病院と小児保健医療センターの統合においても、少なからずこのような病院を取り巻く環境や社会情勢の影響に伴う経営や効率化などが関係していることと考えます。
令和7年1月に病院統合されることが県のホームページやマスメディア、マスコミを通して、県民の皆様に情報開示されました。
病院利用者様にとってはとても大きなことであり、内容はともかく、統合という変化に対して、不安感やストレスを感じておられる方が私の知人にもいます。その不安の多くは、小児保健医療センターに対してのものです。
小児保健医療センターは、県内唯一の小児専門病院として、重症心身障害児の医療を担ってこられました。また、隣接する守山養護学校で学びながら入院することができ、小児整形外科としても全国有数の実績があるため、県内だけでなく、県外からの患者様も多く、難治、慢性疾患の高度専門医療を担っています。
小児保健医療センターは、患者様や保護者様にとっては、ここしかない唯一の特別な病院であることが分かります。そのことを鑑みると、どんな理由があるとしても、第一に患者様のことを考え、統合という変化を受け入れていただき、理解いただくことが最優先であるべきと考えます。
病院統合に関する情報を見ていると、大きく3つの言葉が特に目に入ってきます。1点目は、県立総合病院と小児保健医療センターの統合を考え直してほしい。2点目は、小児病床を現在100床から統合後72床へ減らさないでほしい。3点目は、利用者や保護者の声を聞いてほしいの3点です。
これらを踏まえて、1点目の質問をします。
病院を統合することに至った背景にはどのような理由があるのでしょうか。病院事業庁長に伺います。
○副議長(目片信悟) 12番柴田栄一議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎病院事業庁長(正木隆義) (登壇)お答えします。
病院統合に至る背景につきましては、平成30年──2018年3月策定の滋賀県立小児保健医療センター基本計画におきまして、その方向性について記載がございます。
基本計画には、医療を取り巻く環境を基に、患者の推移や医療に対するニーズの変化など、20年先、30年先を見据えると、小児保健医療センターが、単独で医師、看護師等の医療職を確保し、継続的に人材育成を図りながら医療を提供していくことは困難で、総合病院との一体的運用の必要性が記載されております。
こうしたことから、小児保健医療センターが担っている大切な機能を守り、充実していくためには、病院統合が必要であると判断し、以降、総合病院との病院統合の具体化に向けて準備を進めてきたところでございます。
◆12番(柴田栄一議員) (登壇)答弁いただきました。1点だけ再問させていただきます。
今回の統合は、どうしてもしなければいけなかったのか、それとも、継続でもよかったのか。その点について、病院事業庁長にお伺いします。
◎病院事業庁長(正木隆義) 今ほど御答弁申し上げましたとおり、小児保健医療センター単独で、20年先、30年先、今まで提供してきた医療を守っていけるかという点につきましては、非常に困難であるという判断をしておりましたので、やはり統合は必要不可欠と判断したところでございます。
◆12番(柴田栄一議員) (登壇)統合は必要であったという答弁をいただきました。
では、次に、今回の総合病院と小児保健医療センターの統合後の小児専門医療の提供体制について伺います。
小児保健医療センターの統合前後の医療の提供体制の違いについて、具体的な違いを教えてください。病院事業庁長に伺います。
◎病院事業庁長(正木隆義) お答えします。
病院統合後も、難治、慢性疾患の治療をはじめとする小児保健、医療、福祉サービスの中核としての役割を確実に引き継ぐことはもちろん、総合病院の機能を活用した医療の充実、小児保健サービスの一層の機能向上、小児専門医療の提供体制の拡充を図ってまいりたいと考えております。
例えば、専門医等の連携強化により、診療できる疾患の拡大や重症心身障害児の成人後の対応の強化などを進めていくこととしております。
◆12番(柴田栄一議員) (登壇)再質問をさせていただきます。
総合病院と統合することによって、小児医療の質であるとか、そういったところにつきましては、向上するという認識でよろしかったでしょうか。病院事業庁長にお伺いします。
◎病院事業庁長(正木隆義) お答えします。
これまで、小児の専門分野だけでは完結しない、新たな治療等が総合病院の医療資源を活用することによって可能となるなど、統合により子供の命と健康を守る大切な機能を高められるものと認識しております。
◆12番(柴田栄一議員) (登壇)今の答弁では、よりよくなっていくという認識で間違いないということで、次に移らせていただきます。
病院統合に伴い、小児病床数を現在の100床から、令和8年1月予定の病棟移転後は72床に縮小する予定になっていますが、縮小するに当たり、過去の病床利用数などを考慮された上での縮小であると聞いています。
例えば、想定外の事態になった場合、一時的にでも病床利用数が72床以上必要になった場合はどのように対応されることをお考えでしょうか。病院事業庁長に伺います。
◎病院事業庁長(正木隆義) お答えします。
少子化の進展や小児予防医療の進歩、県外患者の減少などにより、小児保健医療センターの入院患者数は、近年減少傾向にあることなどから、小児病棟の病床数としては、予定している72床が適正であると認識しております。
なお、万が一、小児病棟に不足が生じた場合におきましても、一般病棟を活用することが可能であり、必要な病床数は確実に確保できるものと考えております。
◆12番(柴田栄一議員) (登壇)次に、病院事業庁では、今回の統合を計画するに当たり、数回の説明会を開催されたと聞いています。
説明会は、広く県民の皆様に対して行われているものだと認識していますが、その中でも特に優先されるべき現在病院利用されています患者様や保護者様に対して十分な説明内容であったのか、しっかりと理解されたのか、または納得されたのか。病院事業庁として説明会の成果をどのように考えておられますか。病院事業庁長に伺います。
◎病院事業庁長(正木隆義) お答えします。
病院統合の意義や効果につきまして、県民の皆様に御理解を深めていただくために説明会を開催してきたところでございます。
説明会の参加者からは、総合病院と統合することについては、「統合については、メリットが多い」や「病床数は適正な規模である」といった趣旨の御意見が寄せられたところでありますが、一方で、議員から御紹介のあったような、病院統合を求めないような御意見、あるいは保護者の会が取りまとめられたアンケート結果の内容や、知事宛てに多くの署名が提出されたことなどを踏まえると、いまだ不安の声があることも承知しており、引き続き、県民の皆さんに安心していただけるよう、様々な機会を設けて説明を尽くしてまいりたいと考えております。
◆12番(柴田栄一議員) (登壇)答弁いただきました内容では、説明会の中では一定理解はいただいているということですが、やはり理解はしているけど納得していないとか、声を聞いていないということも結構多かったのかなということがあると思うんですね。
そういった中での説明会での反省点などはありますでしょうか。病院事業庁長に伺います。
◎病院事業庁長(正木隆義) お答えします。
反省点といたしましては、やはり会場に集まっていただくという形式ですと、やはり時間的制約等により参加ができなかったり、発言時間が限られてしまうことなどから、ホームページで意見を求めたり、病院の受付に意見募集箱を設置してきたところでございます。
◆12番(柴田栄一議員) (登壇)次に、統合に向けて、県民の皆様の声や意見を広く聴くことが、統合に伴い、多角的な視点と気づきが得られるという観点から必要であると考えます。
たくさんの方の意見を聴くために説明会以外の方法もあるのではないかと考えますが、県民の声を聴くための方法をどのようにお考えでしょうか。病院事業庁長に伺います。
◎病院事業庁長(正木隆義) お答えします。
県民の皆様の意見を聴くということは、よりよい医療を提供し、信頼を得ていく上で大事なことだと認識しております。
先ほど申し上げましたような、ホームページで意見を求めたりとか、病院の受付に意見募集箱を設置するであるとか、そういった取組に加えまして、今後も、御希望に応じて説明に出向くほか、リモート形式での説明会を開催するなど創意工夫を図りながら、県民の皆様の声を聴く機会を設けてまいりたいと考えております。
◆12番(柴田栄一議員) (登壇)次に、レスパイトについて伺います。
在宅で療養しておられる、常時医療管理が必要な重症の難病患者さんを介護する方が休養したいときや病気等で介護ができないときなど、一時的に困難になった場合に利用していただける制度としてレスパイトがあります。
これらを踏まえて質問させていただきます。
県内の他施設では、レスパイトの予約が数か月先まで埋まっており、利用したくても予約が取れないため、保護者様が疲弊しているとの声を聞いております。
他所ではそのような状況と聞いていますが、小児保健医療センターでの現在の状況を教えてください。病院事業庁長に伺います。
◎病院事業庁長(正木隆義) お答えします。
小児保健医療センターでは、患者家族など、介護者の負担軽減、休息のみを目的とした受入れは行っておらず、医師が医療上の必要性を判断した上での入院として対応しているところでございます。
医療保険制度にのっとった受入れであるため、正確なデータは把握できておりませんが、患者家族の申出による計画的な入院の状況を確認できる範囲では、令和5年度は、445人の申出があったところであり、その全てを受け入れているという状況ではございません。
◆12番(柴田栄一議員) (登壇)今、現在の状況を伺いましたが、統合後につきましても特に変化点などはございませんでしょうか。病院事業庁長に伺います。
◎病院事業庁長(正木隆義) お答えします。
先ほど申し上げたとおり、これまでは、医療保険制度に基づき、医師が入院の必要性を判断しておりましたが、統合後にレスパイトを障害者総合支援法に基づく医療型短期入所サービスとして実施する計画であります。
これによりまして、患者家族の生活を支える福祉サービスとして、介護者の負担軽減、休息のみを目的とした受入れが可能となることで、患者家族が希望されるレスパイト需要に応える対応を進めてまいりたいと考えております。
◆12番(柴田栄一議員) (登壇)今の答弁だと、先ほども節木議員がちょっと聞かれていましたけど、変化という意味だけを取ると、変化点があるというふうに捉えると思いますが、これから統合に当たって、そういったところも含めて、現在利用されている患者様の声などをよく聴いていただいて、また、計画のほうに落とし込むなりしていただけたらなというふうに思います。
次の質問に移らせていただきます。
次に、第5次中期計画の中では、充実、強化の中で、小児保健サービスの一層の機能向上として、レスパイト需要に対応する医療型短期入所サービスの体制整備、レスパイトを障害者総合支援法に基づく医療型短期入所として位置づけ、必要な体制を構築とありますが、必要な体制の構築とはどのような体制を構築されようとしているのか教えてください。病院事業庁長に伺います。
◎病院事業庁長(正木隆義) お答えします。
この制度を利用される入院患者へのケアの主要な担い手となる医師、看護師等の医療スタッフにつきましては、現在の小児保健医療センターの体制で対応が可能と考えております。
今後は、現在の体制をベースに、利用希望者との入所手続や、お住まいの市町に対する利用条件の確認などを円滑に実施するための体制づくりを進めていきたいと考えております。
◆12番(柴田栄一議員) (登壇)では、最後に、三日月知事に伺います。
今回の滋賀県立総合病院と小児保健医療センターの統合について、病院を利用されています患者様や保護者様からの声として聞く不安感や統合拒否などされる多くの理由は、今の小児保健医療センターが、延べ年間数万人もの子供たちに高度な医療サービスを提供しており、多くの家族にとって不可欠な
存在であるために、現在のケアレベルや医療サービスが維持できないのではないか、それは直接命に関わることではないのかという不安感だと解釈しています。
その不安感を払拭すべく、病院事業庁の皆様は、統合に伴う医療サービスやケアレベルについて、統合することで、今まで以上の医療サービス向上やケアレベル向上を考えておられることが今回の答弁でよく分かりました。理解できました。
しかし、統合という変化に不安感を持っておられる総意として、現在約1万7,000筆とも言われる署名があることも事実であり、私自身重く受け止めております。
何をもって十分かということではあるかと思いますが、数回行われた説明会では理解できていない、もしくは、説明内容の理解はできているが、納得はできていない、利用者の声を十分に聴いてもらっていないなど、いずれにしても、今の説明会では不十分だという結果を捉えています。
当事者の声を聴くという意味では、説明会の後に座談会の場を設けて声を聴く機会を利用者様には大切であり、意見交換をすることができれば理解や納得、そして、何よりも命に関わる不安感は払拭できるのではないでしょうか。
先ほども言いましたが、病院事業庁の皆様が、滋賀県民の皆様や利用者様に対して、今まで以上によりよいサービスの向上や医療体制の構築、そして最適化に取り組まれている中、利用者様の皆様に安心感と納得いただき、病院統合して本当によかったと感じていただけることが何よりも大切だと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
議員御指摘のとおり、病院統合を円滑に進めていくためには、当事者の皆様に丁寧に説明をし、理解を求めていくことが大変重要であると認識しております。
こうした認識の下、これまでから説明会の開催や患者団体の皆様との意見交換などを通じて病院統合への理解を求めてきたところでございますが、いまだ病院統合という変化に対して御不安をお持ちの方がいらっしゃるということも事実でございます。
先ほど来、病院事業庁長から答弁がありましたとおり、将来にわたりまして、子供から大人まで、安心、信頼、満足いただける高度専門医療を提供し続けるためには、この両病院の統合は必要不可欠であると考えており、引き続き、より多くの皆様に御理解、そして御納得いただけるよう、様々な機会を設けて、説明、意見交換に努めてまいる所存であります。
◆12番(柴田栄一議員) 終わります。(拍手)
○副議長(目片信悟) 以上で、12番柴田栄一議員の質問を終了いたします。
次に、1番谷口典隆議員の発言を許します。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇、拍手)自由民主党滋賀県議会議員団、彦根市犬上郡選出の谷口典隆でございます。今定例会議に当たり、私からは、北陸新幹線の敦賀─新大阪間の延伸「米原ルート」についておよび上下分離方式移行に伴う近江鉄道の運賃見直しについての2点について質問をさせていただきます。
初めに、北陸新幹線の敦賀─新大阪間の延伸ルートについて、分割方式で質問いたします。
今回、この質問を作成し提出しましたところ、担当課から、与党整備委員会が決定されていることなので自民党会派の議員がこのような質問をされるのはという御心配をいただきました。大変ありがたい御託宣として受け止めさせていただきましたが、我が自由民主党県議団は意外と風通しがよく懐の深い会派でございますので、御心配には及びません。通告どおりの質問をさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。
北陸新幹線金沢─敦賀間の延伸開業を翌月に控えた本年2月定例会議において、私は、北陸新幹線延伸開業を契機とした観光誘客戦略について、能登半島地震により被災された北陸地方振興のシンボルとしての役割や、地域経済の活性化、延伸によりもたらされる効果について、大いなる期待を込めて一般質問を行いました。
執行部からは、県北部を中心に、その経済効果が見込めるとの御答弁を頂戴しましたが、福井県内の観光事業者などに現況をお尋ねしますと、福井市までは一定の影響や効果は見られるものの、敦賀市など、嶺南地方まではまだまだ経済効果が届いていないのが実感であるとの声があり、滋賀県までその影響や効果が届くのは遠い先ではないかとの残念な感触を得たところでございます。
そんな矢先、北陸新幹線の敦賀─新大阪間の延伸ルートを協議する与党整備委員会の委員長が、米原ルートについて、経済的にメリットがないと発言されたとの報道があり、私は驚きとともに大変残念な思いを致しました。
確かに、敦賀から新大阪までは、現在のところ、小浜─京都ルートが採用されており、小浜から京都駅、松井山手を経由して新大阪駅に向かうルートや駅が選定されています。また、米原ルートでは、JR東海が運行している東海道新幹線への乗入れに対する課題や、沿線の府県が総工費の3分の1を負担するとされている財政上の課題などもあることは承知しております。
加えて、本県にとっては、北陸新幹線延伸に伴う並行在来線の廃止に絡む課題もあろうかと思います。しかし、米原ルートにメリットなしとされたことに、多くの県民が失望の念を抱かれ、また、三日月知事が米原ルートについて何ら言及されていないことに疑問を抱く県民も多いのではないかと推察するところであり、私もその1人であります。
一方で、先頃、石川県議会が東海道新幹線米原駅経由のルートを検討するよう求める決議を可決されました。この決議では、建設費の高騰や着工見通しが立たない現行計画の問題点を指摘されており、一刻も早く東海道新幹線につなぐことが肝要であるとされています。また、南加賀6市町が連携して広域観光など地域づくりに取り組む加賀地域連携推進会議──オール加賀会議においても、米原ルートへの再考を求める決議が採択されるなど、滋賀県以外の地域で米原ルートを支持する声が高まってもいます。
今さら蒸し返す話ではないと一笑に付されるかもしれませんが、私たち滋賀県民は新幹線問題で、いわゆる新幹線新駅では苦い思いをしているのも事実でございます。
そもそも、新幹線新駅については、滋賀県知事であられた嘉田由紀子参議院議員が、平成18年7月の県議会定例会において、新幹線新駅凍結を表明されたことで、我が県の鉄道交通計画は、鉄道会社との関係性も含めて大きな転換を受け入れざるを得ませんでした。
しかし、今、その嘉田氏が現在所属されている政党が、この期に及んで米原ルートを支持され、衆院選や参院選の争点にするなどと発言されることには違和感しかなく、またぞろ滋賀県の新幹線問題が政争の具となることに懸念を抱くものであります。
そこで、知事にお尋ねします。
知事が諸会議や会見等で北陸新幹線小浜─京都ルートを支持される発言を報道で見聞きする者として、小浜─京都ルートを支持されている理由についてお聞かせください。
また、北陸新幹線の延伸ルートをめぐっては、技術的課題や投資効果、財政負担などの課題なども絡み合い複雑化しているのも事実であり、今現在の滋賀県としての立ち位置や思いを明確に県民に対して示す必要があると私は考えます。
本年元日に発生した能登半島地震により、大規模災害時の避難経路等に対する意識や、災害時における交通インフラの在り方に対するロジックは確実に変化していると考えます。
そこで、米原ルートに対する知事として、また、滋賀県としての評価や、今のお考えをお聞かせください。
以上、よろしくお願いいたします。
○副議長(目片信悟) 1番谷口典隆議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)北陸新幹線について、2点御質問いただきました。
1点目、小浜─京都ルートを支持する理由ということでございますが、北陸新幹線の敦賀─新大阪間の整備につきましては、平成28年──2016年12月に与党整備新幹線建設促進プロジェクトチームにおいて、小浜─京都ルートが適切と決定され、以来、着工に向けて検討が続けられていると承知をしております。
本県といたしましては、敦賀以西の区間の早期着工ひいては北陸新幹線全線の早期開業を強く望む立場から、小浜─京都ルートを支持しているものでございます。
2点目、米原ルートに対する本県の今の考えということでございますが、現在のルートが決定されるまでは、関西広域連合において、費用対効果や開業までの期間などを総合的に判断すると、米原ルート案が最も優位であるとし、その建設費負担や並行在来線の経営分離に係る課題は関西全体で解決を図るとの方針を取り決めておりましたことから、本県も構成団体の一員として、当時は米原ルートの実現を目指していたところでございます。
しかしながら、さきにも述べたとおり、国の判断として、小浜─京都ルートが決定された現状においては、その早期着工、早期開業の実現に向けて全力で取り組むべきであると考えているところでございます。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)理由について、また米原ルートについても見解をお聞かせいただきました。
今御答弁いただいたようなことが県民の皆さんにはなかなか見えにくいのでは、見えていない、見えにくいというか、浸透していないのではないかなというふうに考えております。
県議会でもいろいろ御議論があったかというふうに思いますし、関西広域連合でもいろんな御議論があったのでしょう。ただ、私もそうかも分かりませんけれども、じゃあ政府与党整備委員会が決定した方針、早期着工でということが理由であるならば、早期着工ということだけに関していえば、米原ルートのほうが現実味を帯びているんじゃないかという議論もあるわけでございます。
詳しいことは、これまでの経緯も当然重要なんでしょうが、今現在、県民の皆さんの思いとしては、じゃ、これだけ世論が、是非は別にしても、世論がいろんな再燃してくる中で、もう一度、県知事としてのお立場を私はしっかりお示しいただくべきではないのかなというふうに思います。
私も含めてそうなんです。勉強不足と言われればそうかも分かりませんけれども、ただ、報道で見聞きする限り、なぜ滋賀県知事は米原ルートを言わないのだろうと。石川県や福井県の皆さんがこうしたことを、米原ルートを支持されているのに、なぜうちの知事は米原ルートについて一言も触れないのということが現実的なやっぱり皆さんの思いだというふうに私は受け止めております。現実に、そうしたお声が私のところにも届いています。
私は政府与党、先ほど冒頭申し上げましたけども、与党の委員会が決めていらっしゃるということも重々承知しております。しかしながら、どこかのタイミングでやはり知事の今の思い、お立場というものをやはり明確にしていただくこと、それが我々滋賀県民にとってメリットがあるんだということをもっと説いていただくことが私は必要だというふうに考えております。決して米原ルートに転換してくださいというものではありません。今の県の立ち位置、知事のお考えをもっと説明する機会、それが、必要性があるというふうに私は考えております。
今後も機会をとらまえていただいて、今おっしゃっていただいたようなことをもっともっと発信していただきたいと思うんですが、いかがですか。
◎知事(三日月大造) 高速鉄道ネットワーク、新幹線ネットワークの意義、効果は、私は強く信じておりますし、それらはつながって何ぼですので、かつ、大きな投資を伴うものですから、費用対効果等も十分に勘案して検討されるべきものであると承知をしております。
いろんな議論があるからこそ、知事として立場を明確にすべきだという御指摘をいただきましたけど、だからこそ、私は、決めたんであれば、早めに小浜─京都─大阪と、つなぐべきだということを申し上げているところでございまして、これからもそういったことをしっかりと皆様方にお届けをしていきたいというふうに思っております。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)国が決めた、政府与党が決めたということに、しっかりそれを早期実現してくれという立場も重々承知しております。ただ、私も県会議員にならせていただいて1年少し。冒頭にちょっと触れましたけれども、国が決めたこと、政府が決めたこと、与党が決めていることだから質問しないということではなくて、やはり県民の皆さんの思いであったり、御意見であったり、そういうものを受け止めて、自分なりにそしゃくして、私は質問に立たせていただいているつもりでございます。
その辺は御理解をいただけると思いますけども、よく国民との意識の乖離、永田町の論理なんていう言葉、釈迦に説法かも分かりませんけども、知事もよくよくそんなことに触れてこられたと思いますけれども、滋賀県庁に通わせていただくようになって、これだけではなくて、いろんな課題について、やはり私は、県庁の論理というものが、はびこっているという言い方はまた御指摘があるかも分かりませんけど、県庁の論理だけで動いているような感が否めないところも正直ございます。
特に、いろんな高専の問題とか、いろんな問題があろうかというふうに思いますけれども、特に新幹線問題、北陸新幹線の延伸については、率直に、多くの方が、米原ルートのほうが早いんじゃないのというお話、先ほどおっしゃいました、つながって何ぼ、ミッシングリンクの解消というのをやっぱりしていかなければならないというふうに、私は、それは高速道路だけではなくて、高速鉄道でもそうだというふうに考えておりますけれども、そうした意味で、私はもっともっと知事には発信していただきたい。なぜ、じゃあ、米原ルートじゃなくて小浜─京都なんだということを、私は知事には発信していただきたいし、我々も、じゃ、それであるならば、早期実現に向けて頑張りましょうというような思いではございますので、その辺をはっきり、機会をとらまえていただいて、発信してください。もう一度ちょっとお願いします。
◎知事(三日月大造) 今、議員もお触れいただいたように、決めたことだからといって意見しないという、意見すべきではないというのは決して思いませんし、様々な意見を言っていくというのは重要だと思います。また、私が言うのもなんですけど、国とか政府与党がすること全てが正しいとは決して思っておりませんので、そういったことにそれぞれの地方から声を上げていくという姿勢は大事だと思います。
ただ、新幹線の問題は、かかる負担に対して受ける効果がどうなのかということをやはりシビアに見ていく視点というのも必要だと思いますので、そういった視点で国も判断されたと思いますし、今の時点では、私は決めたことを一日も早く実現をしていくということが、滋賀県知事として与えられた使命でもあると思っておりますので、こういったことを累次にわたり申し上げているところです。
ただ、小浜から先、通していくに当たりましても、例えば並行在来線をはじめとするこの問題ですね。これは着工条件を整えるための条件にも入っておりますので、その同意を取り付けるためにも、敦賀以西には並行在来線が
存在しないことなど、着工条件を整える。必要性があるというようなことについても、累次にわたり申し上げておりますので、これらをこれからも分かりやすく、県民の皆さんに御理解いただけるような形で発信をしていきたいというふうに思います。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)ぜひとも情報発信をお願いしたいというふうに思います。
先日の海東議員の御質問に対する知事の御答弁で、北陸線のお話で、北陸新幹線の敦賀開業による効果を最大化するためにも、湖西線の強風対策について要望できないか考えていき、というような御答弁がございました。
湖西線はもちろんですけども、北陸線や琵琶湖線など、敦賀や近江塩津から県内への乗継ぎ、乗入れの利便性がこれまで以上に私は高まるようにJR西日本にも申入れをしていただきたいというふうに思いますので、その辺はお願いしておきたいと思います。
1点目は以上で終わらせていただきます。ありがとうございます。
続きまして、2点目の上下分離方式移行に伴う近江鉄道の運賃見直しについて、一問一答方式で質問いたします。
本年4月に上下分離方式に移行した近江鉄道は、これまで鉄道事業が足かせとなっての赤字が30年も続いてきたとされ、沿線自治体が支援する上下分離方式により、ようやくその赤字から脱却し、新しく生まれ変わることが期待されております。
出発式が行われた記念式典に際し、同社の飯田社長からは、「安全をしっかり確保しながら、今までにないサービスを取り入れ、沿線の地域を元気にしていきたい」との決意も述べられたとのことであり、近江鉄道は県東部地域の貴重な公共交通としてこれからも住民の利用が望まれるところであります。
しかし、上下分離方式への移行による一般社団法人近江鉄道線管理機構が担う10年間の総事業費は約158億3,000万円とされており、国からの交付金を除く県と沿線5市5町の負担額は116億1,000万円と見込まれております。
そこで、以下、全ての質問について、
土木交通部長にお尋ねをいたします。
県および沿線5市5町それぞれの管理機構への10年間の自治体ごとの負担額総額をお示しいただきたいと思います。
◎
土木交通部長(波多野真樹) (登壇)お答えします。
国に提出した鉄道事業再構築実施計画で見込んだ金額でございますが、県の負担額は49億5,100万円。沿線5市5町の負担額は66億5,900万円でございます。
また、市町ごとの負担額は、東近江市が26億4,200万円、彦根市が12億8,000万円、甲賀市が7億7,100万円、近江八幡市が5億200万円。日野町が4億900万円、愛荘町が2億9,100万円、豊郷町が2億1,400万円、甲良町が1億9,300万円、多賀町が1億7,700万円、米原市が1億8,000万円でございます。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)1点再質問をさせていただきます。
今御答弁いただきました5市5町の負担金ですけれども、これ、10年間ということですけど、10年限りではないと思うんですが、この辺はどう、期間というのはどのように設定されているのか、改めてお聞かせください。
◎
土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
現時点のこの数字は、鉄道事業再構築実施計画で見込んでいる金額ということでございます。この計画の期間内の費用ということで考えております。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)これ、10年間だというふうに思いますが、10年で終わりではないですよね。10年近くになったら見直しが行われて、また、その後10年というふうになるのかどうかというのはお分かりですかね。
◎
土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
現時点では、現行計画に基づいて実施していくということですので、その次またどうなるかというのは、また期限が迫ってきたときに検討するものであると認識しております。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)では、次行きます。
次に、昨今の資材高騰や物価上昇、また賃金引上げなど社会情勢の変化による影響についてお尋ねしたいと思います。
ただいま御答弁いただきました、県と沿線10市町が負担するとされている設備投資費、修繕費と鉄道施設の保守管理費および機構運営費等についても、物価上昇などの社会情勢が影響を及ぼし、その場合には自治体の負担額は増えるものと考えますが、見解をお聞かせください。
◎
土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
現時点において、資材高騰や物価上昇など社会情勢の見通しは不透明でありますが、今後これらの費用が変動する可能性はございますが、施設等の更新時期について最適化を図ったり、修繕工事等において、より低廉で汎用的な工法がないか調べて採用するなど、できる限り経費の節減を図りながら、設備投資や修繕に努めてまいりたいと考えております。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)再質問させていただきます。
先ほど5市5町のそれぞれの負担金、負担額をお示しいただきました。一番少ない多賀町でも1億7,000万円強ということでございましたけれども、先ほどの5市5町のうち、令和4年度でございますけども、財政力指数の数値を見てみますと、10市町のうち財政力指数が0.5を下回る自治体が2つあって、0.5台も含めると半数の自治体が、財政力指数が決して高いという状況ではないということになっています。
過度な財政負担になるんじゃないかなというふうなことを懸念するわけでございますけども、先ほど答弁いただきました今後の増額についてですね。今現在示せるものはないというものの、各市町と、そうした情報共有というか、その辺の見込みというのは共有されているのか、お話しされているのか、その辺いかがですか。
◎
土木交通部長(波多野真樹) お答えいたします。
こういった状況については、関係市町と適宜情報共有しておりますけれども、現時点ではその具体的な内容についてまでは共有はしておりません。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)当然ながら、今いろんな事業で、物価高騰のあおりを受けて、影響を受けているという県の事業もあるわけですから、早めにやはりこの10年は変わらない。変わらないということは決してないというふうに思います。見直しが必要であるならば、先ほど御答弁いただきましたような、できるだけ影響が少ないようにという御努力も分かりますけれども、それを超えてしまっている実態というのが、県内、県の事業でも、いろんな取組の中であらわになっているわけですから、その辺はしっかり情報共有していただきたいというふうに思います。過度な財政負担にならないことを願っておりますし、当然ながら、御努力いただきたいというふうに思います。早め早めに情報共有はしていただきたいというふうに思いますので、お願いします。
では、続きまして、3点目に行きます。
次に、管理機構が負担する固定資産税についてお尋ねしたいと思います。
建物や線路、車両といった構築物など鉄道資産に係る年間約7,000万円の固定資産税は軽減されることなく同機構が負担することとされています。
県では、これまでから、国に対し、法整備による非課税措置などを求めてきた経緯もあるようでございますが、現状についてお聞かせください。
◎
土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
議員御指摘のとおり、これまで、国に対しまして、鉄道施設の譲渡に伴い生じる近江鉄道線管理機構と近江鉄道株式会社の税負担の軽減を図るため、固定資産税等の税制特例措置の創設を求めてまいりました。
その結果、固定資産税に係る制度創設はかないませんでしたが、不動産取得税の非課税制度と登録免許税の税率軽減制度が新たに創設されたところでございます。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)では、次行きます。
次に、線路使用料についてお尋ねします。
昨年の常任委員会でも確認をさせていただきましたが、鉄道事業法では、線路の所有者は、旅客または貨物を運送する事業者である第2種鉄道事業者から線路使用料を徴収することができるとされています。例えば、JR貨物は、第2種鉄道事業者として、JR旅客鉄道各社に線路使用料を支払い、各社の線路を借りて貨物輸送を行っています。
この論によると、今回の上下分離を受けて、運行事業者である近江鉄道は、機構に対し、線路使用料を支払うべきものと考えますが、昨年の常任委員会では、線路使用料は求めない方針との見解が示されておりました。
新生近江鉄道が正式に発足した今、線路使用料についてはどのような整理がなされたのかお聞かせください。
◎
土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
近江鉄道線の公有民営化に当たっては、近江鉄道株式会社の鉄道事業における収支均衡と経営安定化を図りながら、鉄道事業で生じる利益については、それを原資として、様々な利便性やサービスの向上を図ることを目指しております。
その上で、残った利益は、機構に繰り入れることとしているため、線路利用料は徴収しないこととしております。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)では、次に行きます。
近江鉄道の経営状況についてお尋ねしたいと思います。
機構に対し公金が投入されている以上は、県として、近江鉄道の経営状況をつぶさにチェックする必要があるのではないかと私は度々申し上げてまいりました。
こちらも昨年の常任委員会でお示しをいただきましたが、同社の経営状況については、「少なくとも年2回報告させていただきたい、1回目は6月に前年度の経営状況と当該年度の事業実施計画を報告したい」との御説明がございました。
そこで、お尋ねいたします。
近江鉄道の前年度の経営状況についてどのような評価をされているのか、見解をお聞かせください。
◎
土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
近江鉄道株式会社の令和5年度における会社全体の決算状況は、前年度──令和4年度と比較し、営業収益、営業利益ともに増加しました。
そのうち鉄道事業につきましては、令和4年度と比較し、営業収益は増加しましたが、公有民営化への移行に向けた人員体制の拡充や、譲渡する鉄道施設の修繕費の増加に伴い、営業損失は若干増加しました。
令和5年度の近江鉄道線の乗車人員につきましては、沿線事業所の通勤利用の回復や、イベント列車、ガチャフェスをはじめとする各種利用促進策の実施により、定期利用者と定期外利用者ともに、令和4年度と比較し、着実に増加しており、公有民営化を前に先行して実施した利用促進策が一定効果を発揮したものと評価しております。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)1点確認をさせていただきたいと思います。再質問でございます。
先ほど、前の質問で、鉄道事業の利益分については機構に繰り入れるという御答弁をいただきましたが、これは、そうすると、令和5年のこの3月期決算の結果を受けて、今年度はどういう形になるんでしょうか。
◎
土木交通部長(波多野真樹) お答えいたします。
上下分離は本年4月1日からということになってございますので、令和5年度については近江鉄道事業の中で、株式会社の中での収益ということになると認識しております。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)1点、先ほど、私、令和5年と言いました。令和6年3月期です。ごめんなさい。令和6年3月期の決算を受けてということですね。すいません。
もう1点だけ、鉄道事業は損失が若干増加したということでございましたけれども、令和5年3月期、前々年度ですね。前々年度の決算、近江鉄道の決算を見ると、近江鉄道全体としては黒字でございました。鉄道事業の詳細は分かりません。ただ、タクシーであるとか観光トラベルなんかの子会社2社は赤字決算ではありましたが、例えば土山サービスエリアを経営しておられる事業会社においては2億円以上の黒字。前々年度です。令和5年3月期の決算です。
あくまで鉄道事業の経営収支しか見ないという、先ほどの御答弁でございましたけども、先ほど一番最初に御答弁いただきました、多くの公金が、税金が投入されている中で、これだけのグループ会社として大きな利益、黒字が出ていることもあるのに、鉄道事業だけを切り取って見るということに対して県民の理解が得られるのかどうかということについて、部長の見解をお聞かせいただきたいと。
◎
土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
当然、近江鉄道も様々な事業を経営されていると思いますけれど、今回焦点を当てておりますのが、上下分離方式ということで、鉄道事業の収支の中でどのように判断をしていくのかということかと認識しておりますので、その対応についてはこれまで答弁申し上げたとおりという理解でおります。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)まあそうかなというふうに思いましたけれども、では、最後、行きます。
本題でございます近江鉄道の運賃見直しについて質問させていただきます。
これまで、県および沿線5市5町の機構への負担額や機構が負担する固定資産税、また線路使用料などについてお尋ねしてまいりました。
近江鉄道が、県東部地域の住民の皆さんの生活に欠かせない公共交通インフラとして存続することに何ら異議を唱えるものではありません。しかし、上下分離方式で機構に対し多額の公金が今後10年間にわたり、少なくとも今後10年間にわたり投入されることにより、経営リスクが大きく減少し、経営が安定するであろう鉄道事業者としての近江鉄道が慢心せぬよう、利便性の向上はもとより、5市5町を束ねる県として、より厳しいチェック体制と経営責任を問い続ける姿勢を保持し続けることが、上下分離移行を決断した側の責任の在り方ではないでしょうか。
その上で、私は、近江鉄道の運賃についても、今後見直しを求めていくことこそが、多額の公金を負担していただく県民の皆様に果たすべき説明責任の1つであると考えます。近江鉄道の運賃見直しについて、つまりは近江鉄道の運賃引下げを求めることについての県のお考えをお聞かせください。
◎
土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
現在、近江鉄道株式会社では、春休みや夏休み期間に限定した子供向け10円1デイパスや、沿線在住の高齢者がどの区間でも100円で乗車できるシルバーパスの販売をはじめ、様々な利用促進策を実施することで、住民や利用者の方々に公有民営化の効果を実感いただきつつ、新たな利用者の獲得と収益拡大に向けて取り組まれております。
御質問のありました運賃値下げにつきましては、そのまま運賃収入の減少にもつながり、場合によっては将来の事業運営に大きな影響を与えることが想定されますことから、今後の事業利益の推移や利用促進策の実施効果を慎重に見極めつつ、住民、利用者の意見も幅広く伺いながら、鉄道事業者と沿線自治体が協働連携し、その実現に向け、調査、研究を進めてまいりたいと考えております。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)再質問させていただきたいと思いますが、運賃見直しをしないということであるとか、あるいは、今御答弁いただきましたシルバーパスなんかも沿線の10市町だけですよね、利用できるのが。例えば、じゃあ県が機構への負担金を出しているにもかかわらず、近江鉄道が走っていない地域ではシルバーパスが利用できないという問題もあろうかというふうに思います。
じゃあ上下分離を、運賃は引き下げないということであって、当然ながら、利便性向上でいろんなサービスをされるというのは分かりますけども、じゃあ上下分離した意味、メリットというのは、公共交通を維持していくということだけになってしまわないかというふうに思います。目に見える形で、上下分離方式を導入したんだと、今新しい新生近江鉄道が出発したんだということを、目に見える形で取組を求めていくことは、私は決しておかしなことではないというふうに思うんですが、その辺を踏まえ再質問させていただきます。
先日も木沢議員から御質問がございましたICOCA導入について、相当の期間を要すると伺っているという御答弁がございました。しかし、今年3月に、これは新聞記事によりますと、三日月知事が近江鉄道の飯田社長に対して、ICOCA導入は、来年の国スポ・障スポ開催までに何とか間に合うようにしてくれという要望をされたら、飯田社長は、努力しますというお答えがあったというふうに記事で確認をさせていただきました。
こうしたことも、上下分離方式を導入したメリットである、利便性向上というのであれば、運賃も引き下げない、黒字になっても、いや、繰入れだけで、なかなか今後の経営状況、推移しながら見守るということでは、全く上下分離をした意味というものが私はなかなか見いだしにくいというふうに思います。
県民の皆さんの御理解をいただくことも含めまして、再度、せめてICOCAの導入時期を来年の国スポ・障スポに間に合わせてくださいと。努力するというふうに社長さんがお答えであるならば、導入が難しいということであれば、努力していないということとイコールだというふうに思います。
そうならないためにも、再度、ICOCA導入は、せめて国スポ・障スポの開催時期までに間に合わせてほしいというぐらいのことは、県としてやっぱり言うべきではないですか。その辺は強く要望していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
◎
土木交通部長(波多野真樹) お答えします。
ICOCA導入につきましては、現在、近江鉄道株式会社とメーカーの間で調整を進めていますけれども、まだ導入時期の見通しについて調整中ということは先だって答弁をさせていただいたとおりであります。
また、数多くの入場機、出場機を設置するということで、その設置完了にも相当の期間を要すると。また、昨今の半導体不足等、なかなかちょっと近江鉄道さんの努力だけではどうにもならない部分もある中で、今、議員の御指摘も踏まえまして、我々としても非常に大事なターニングポイントであります、国スポ・障スポに間に合うかどうか、その点について、しっかりと近江鉄道株式会社のほうにも申入れをしていきたいと思います。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)上下分離方式に移行したということのメリットがもっと見える化していただきたいというふうに思いますし、県民の皆さん、沿線10市町の皆さんが、やっぱりこれだけの負担しても、よかったねと言っていただくのは、存続だけではないというふうに思います。必ず国スポ・障スポまでに間に合わせてほしいんだということを最大限努力していただくように改めてお願いをしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。
以上で終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(目片信悟) 以上で、1番谷口典隆議員の質問を終了いたします。
次に、25番村上元庸議員の発言を許します。
◆25番(村上元庸議員) (登壇、拍手)早速始めさせてもらいます。
子宮頸がん予防について。
がんは、遺伝子が傷つくことによって起こる病気で、現在、日本人の2人に1人はがんになるという身近な病気で、死亡原因の第1位です。男女とも50歳代から増加し、高齢になるほど多くなります。また、がん予防には、たばこをやめる、お酒や塩分を控える、バランスの取れた食生活や適度な身体活動をするなどがありますが、確実に予防することは困難です。
このように一般的にがんは高齢者に多く、予防が困難であると言えます。
しかし、今日のテーマの子宮頸がんは、一般的ながんとは別で、若い世代の患者が多い、特異的な予防方法があるということで、特別ながんと言えます。
子宮頸がんは、子宮の頸部という子宮の出口の部分にできるがんです。子宮頸がんは20歳代から発症し、30歳代でピークとなり、働き盛りや子育て世代が多く罹患します。子宮頸がんは出産時期と重なり、子育て世代の母親が家族を残して亡くなることもあるので、マザーキラーとも呼ばれます。そうなれば大変悲しいことです。
厚生労働省の資料によると、日本では毎年約1万1,000人の女性、すなわち100人に1人の女性が子宮頸がんに罹患しますが、がん治療で子宮を失って妊娠できなくなってしまう人も、毎年、約1,000人おられます。そして、約3,000人の女性が、子宮頸がんで亡くなっています。この子宮頸がんは、日本では、20年前と比べて2倍に増加しております。
このように子宮頸がんは、大変厳しいがんですが、がん検診とワクチン接種で発生を予防できます。
まず、子宮頸がん検診についてです。子宮頸がんは、一般的ながんと同じで、初期には症状が出ないため、そのまま放置されますと進行して、出血や痛みなど自覚症状が出た頃には手後れとなります。検診で、がんになる前の状態、すなわち前がん状態で病変を発見することにより、子宮頸がんの罹患を防ぎます。また、がんになった場合でも検診で早期に発見して治療することにより、妊娠の可能性を残すために子宮を温存できたり、子宮頸がんで亡くなることを防ぐことができます。
このように、子宮頸がん検診の受診率を向上することは、非常に重要なことだと思います。国別の検診受診率について、欧米では80%ほどですが、我が国ではその半分の約40%、特に20歳代の受診率は約20%と著しく低いと、がん研究振興財団が報告されています。市町では、20歳から69歳までの女性を対象として、2年に1回、子宮頸がん検診を実施しており、無料のクーポン券を配布する等、受診率向上に向けた取組をしていると聞いています。
そこで、本県の子宮頸がん検診の現状と受診率向上に向けた若い世代への取組について、知事に伺います。
次に、ワクチンです。
この子宮頸がんの原因の多くは、性交渉によるヒトパピローマウイルス──HPVと略します──の感染です。HPVと似た略語にPHVというのがありますが、PHVはプラグインハイブリッドビークルという車の種類ですので、間違わないようにしなくてはいけません。性交渉によって、女性の50から80%が一生に一度はHPVに感染すると言われています。そのうち、感染が持続すると、数年で子宮頸がんになります。早ければ10代に性交渉して感染したら、20歳代でがんになることがあります。
HPVワクチンは、ウイルスの一部を含むもので、それ自体、病原性はありません。それを人体に接種して感染を防ぐ抗体をつくります。HPVは、200種類ほどあり、今までは、2種類か4種類のウイルスに効果のあるワクチンが使用されていましたが、昨年4月から、9種類のHPVに効果があるワクチンが公費で接種できるようになりました。この9種類の9価ワクチンで90%感染を予防できると言われています。
性交渉により感染する前にワクチン接種をすることが、より感染を防ぐことが期待できるので、小学6年から高校1年に相当する女子に、公費での定期接種が2013年4月に始まりました。世界では、女性に141か国が公的接種を施行しております。
しかし、その定期接種が始まった直後から、全身のしびれや痛みなどを訴える方の報告があったため、厚生労働省は、2か月後の2013年6月に積極的勧奨を中止しました。一方で、WHOや国際婦人科連合からは、安全性に関するあらゆる情報を検証した上で、引き続き、HPVワクチンを推奨していました。
その後、日本で調査が行われ、安全性と有効性が確認されたため、今から2年前の2022年4月に、9年ぶりに接種勧奨が再開されています。この接種勧奨を控えていた9年間に定期接種の対象年齢だった1997年から2007年生まれの女性に対して公費による救済接種、すなわちキャッチアップ接種をしています。
ということで、現在、小学校6年生から高校1年生までの定期接種と、高校2年生から27歳までの年代にキャッチアップ接種が行われていまして、すなわち11歳から27歳までの女性がHPVワクチンの接種対象となります。
接種勧奨被害が始まる前の2012年では、80%ほどの高い接種率でありましたが、その後9年間の接種控えが終わり、2年前から積極的接種が再開されましたが、先月の新聞報道によりますと、2022年度は、定期接種の初回接種率は全国で8.4%、キャッチアップ接種率は全国でも6.1%と低迷していました。また、昨年度の接種率でも、滋賀県全体では定期接種14.4%、キャッチアップ接種4.4%と低く、特に、高1と高2が顕著でした。
今年3月の厚生労働省のアンケートでは、HPVワクチンを知らないと答えた接種対象者が36%もあり、また、キャッチアップ接種を知らないと答えた対象者は48.5%と半数にも上りました。キャッチアップ接種の期間が来年の3月で終了するため、半年前の今年の9月末までに1回目の接種が必要となり、タイムリミットまで、あと3か月しかありません。今回、このタイミングで今私がこの質問をさせていただいているのは、このタイムリミットをしっかりと周知していただくチャンスになればとの思いからでもあります。
接種率の低さは、周知や広報が不足しているのではないかと考えますが、このHPVワクチン接種の接種率の低さの原因について、知事に伺います。
先月の日本医師会からの情報では、市町村を対象としたアンケート調査で、キャッチアップ接種について、令和5年度、接種券を発送した自治体は70%弱で、未接種者への再勧奨を行っていないと回答した自治体は全体の80%強を占めたとしております。HPVワクチン接種先進国のオーストラリアでは2007年から12歳女性へ定期接種を始めており、数年で前がん病変の減少が証明され、近い将来に子宮頸がんの減少につながると言われています。我が国のこの不十分な接種率では、がん予防効果が乏しいと考えられます。接種率の目標数値を示して、しっかり対応し経過を確認することが重要と考えます。
接種率を上げるためには、未接種者への再勧奨などが必要ですが、県としての取組について、知事に伺います。
小学生から高校生がワクチン接種の対象となっています。子供の権利が大切にされる今日この頃ですので、特に子供には納得して接種を受けてもらうことが望ましいと思います。それとともに、保護者への啓発が大切です。
このような中、複数の産婦人科ドクターから、教師が生徒にワクチンを打たないように指導していると聞きました。事の真偽の確認はできていませんが、本当であるなら、ゆゆしきことと考えます。国として、積極的に接種する方針で、安全性も確認されていて、医師会からも、産婦人科学会からも推奨している中で、個人的な考えを押しつけてはいけないと思います。
学校教育で、子宮頸がんについて、ワクチン接種も含め、指導などされておられるのか、教育長に伺います。
ワクチン接種後の健康被害については、機能性身体障害という持続的な身体の疼痛と運動障害などが問題となりましたが、検査をしても明らかな異常所見が見つからない非系統的、変動的、多様な症状で、国内外で数多くの研究が行われましたが、因果関係は認められず、ワクチン接種との関連は認められないというのが医学的な見地です。しかし、十分な説明と、発生した場合の対応は大切です。
接種後の体調不良者に対する県の対応について、知事に伺います。
HPVは、性交渉が同一相手でも、男性から女性に、女性から男性に感染し、片方が治っても、また片方にうつし、それが繰り返すことで、いつまでも感染が続くことをピンポン感染と言います。これを防ぐために、男性の感染予防は大切です。また、HPVは男性においても、咽頭がん、陰茎がんや肛門がんの原因ウイルスと言われています。世界では、59か国で男性にHPVワクチン公的接種をしております。日本国内でも東京都の一部の区などで費用助成を始めています。
男性への公費接種を国に要望することについて、知事のお考えを伺います。
○副議長(目片信悟) 25番村上元庸議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)子宮頸がん予防について6点御質問いただいたうち、私には5点賜りました。
まず1点目、子宮頸がん検診の現状と取組についてでございますが、本県の子宮頸がん検診の受診率は、令和4年度──2022年度の国民生活基礎調査によりますと、20歳から69歳で40.7%となっております。
検診受診率の向上に向けた若い世代への取組としては、若年層に届くよう、大学生と連携したSNSでの発信や、令和5年──2023年11月には、子宮頸がん撲滅世界一斉イルミネーションイベント、ティールブルージャパン in SHIGAを開催し、県庁正面をティールブルー色にライトアップしたということがございます。
今年度も引き続き、様々な関係者や団体と連携し、若年層に届く啓発、情報発信に取り組んでまいりたいと存じます。
2点目、HPVワクチンの接種率の低さの原因でございますが、議員御指摘のとおり、HPVワクチン接種の積極的勧奨が再開されていることや、機会を逸した方へのキャッチアップ接種に関する情報が十分届いていないことが要因の1つであると考えております。
さらに、国の調査では、「HPVワクチンのリスクについて十分な情報がなく、接種するかどうか決められない」と回答した人が約半数いることから、安全性や有効性など、接種を検討、判断できる情報がまだまだ行き届いていないことも原因ではないかと考えております。
3点目の未接種者への再勧奨等、県としての取組でございますが、県では、ホームページ等による情報提供と併せまして、県の広報誌プラスワンや保護者向け情報誌「教育しが」での広報、キャッチアップ接種世代である大学生の入学式などの機会を活用したリーフレットの配布等を行っております。
また、予防接種の実施主体である市町の担当者会議を開催し、取組の情報共有や意見交換を行い、県内全ての市町でキャッチアップ接種の対象者に個別の勧奨通知を行うことを確認しているところでございます。
今後は、若い女性が目にしやすいフリーペーパーや、県公式SNSのXやインスタグラム等による広報に加え、私自身も定例会見の場を活用するなど、情報発信に取り組んでまいりたいと存じます。
4点目、接種後の体調不良者への対応についてです。県では、接種後に体調の変化や気になる症状が現れた際に相談していただけるよう、健康危機管理課と県教育委員会に相談窓口を設置しております。加えまして、そうした症状に悩まれる方が相談や診療を受けられるよう、滋賀医科大学医学部附属病院を協力医療機関に指定しております。
また、HPVワクチンに限らず、予防接種法に基づくワクチン接種によって、医療機関での治療や障害が残るなど健康障害が生じた場合、医療費や障害年金等の給付を受けられる予防接種健康被害救済制度があり、市町で受け付けた申請について県から国に進達しているところでございます。
5点目の男性の公費接種を国に要望することについてでございますが、男性に対するHPVワクチンの定期接種化につきましては、国の専門会議において議論されており、有効性や安全性は一定程度確認されましたものの、費用対効果については課題があるとされているところでございます。
HPVは、主に性的接触で男女を問わず繰り返し感染するウイルスでありますことから、女性への波及効果等も勘案し、男性に対する定期接種についても速やかに国において検討を進めていただきたいと考えており、国の動向を注視しつつ、全国知事会等を通じて、国に働きかけてまいりたいと存じます。
◎教育長(福永忠克) (登壇)子宮頸がん予防について、私にいただきました学校における指導についての御質問にお答えをさせていただきます。
教育委員会では、学校におけます「性に関する指導」指導者研修会を実施しておりまして、令和5年度には、京都大学からの外部講師による子宮頸がん予防ワクチンの研修を実施したところでございます。
児童生徒に対しましては、がん教育をはじめ、健康や安全を守る様々な教育を進めるに当たりまして、保健の授業で取り組むのは当然でございますが、それに加えまして、専門的な知識や経験のある外部講師による講演が効果的であると考えているところでございます。
HPVワクチンの接種につきましては、教員が正しい知識を持つことが大切でございまして、今後とも、外部講師等を招いた研修を開催いたしますとともに、関係部局と連携をいたしまして、リーフレットを配布するなど、その理解の促進に努めてまいる所存でございます。
◆25番(村上元庸議員) (登壇)ありがとうございます。
教育長からは、いろいろしてくださるということですけども、中途半端な知識が一番まずいと思うんですよね。ですから、先生もいろいろ勉強してる人とせえへん人いるんですけども、中途半端に、何でもそうなんですけど、分からんかったら、国はそう言うてるからというふうにとか、医者がそう言っているからと、その辺に任してもうたほうがええと思っております。ありがとうございます。
それから、知事のほうからは、男性のHPVワクチン接種について、積極的な意見をいただきまして、ありがとうございました。よろしくお願いします。
それから、2つ目と3つ目の質問に対して、知事に再質問させてもらいます。
まず、2つ目について、キャッチアップ接種の低さ対策についてですが、1回目が、この9月を過ぎますと、高額な自費払いとなりますので、ますます接種率が下がると思われます。
このHPVワクチンは、初めての性交渉までに接種することが最も効果的ですが、45歳までも効果があると言われています。周知不足で来年3月までに接種が完遂できない女性も多く発生すると予想されますので、キャッチアップ期間の延長を国に要望していただきたいと思いますが、知事の所見を伺います。
次に、3つ目の質問に対する再質問ですが、接種率を上げる対策について、より簡単に受けてもらえるように、対象が若い女性ですので、スマホで申込みができるようにしたり、ポイントをつけるなど、また、オーストラリアのように、学校に出張して接種をしたり、コロナワクチンのときのように、接種センターの設置はいかがでしょうか。知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 2つ再質問いただきました。
まず、キャッチアップ接種につきましては、制度の認知度が十分でないことや、コロナ禍の令和4年度──2022年度から開始され、気軽に医療機関にアクセスしにくい時期でもございましたので、接種期間を延長することが適当であると考えております。
このため、この6月には、
健康医療福祉部長が直接厚生労働省を訪問し、期間の延長について要望したところでございます。
制度を知らなくて接種できなかったという方をできるだけなくすため、引き続き、国の動向も注視しながら、本県だけでなく、全国知事会等の機会も活用して、粘り強く要望してまいりたいと存じます。
また、2つ目に再質問いただきました、接種にインセンティブを設けたり、集団接種の会場を設置するという議員のお考えもございますが、HPVワクチンに限らず、予防接種は副反応やアレルギー反応に備えることが必要でありますため、まずは本人が納得された上で、医療機関において接種していただくことが基本であると考えております。
現在、県内多くの医療機関でHPVワクチンの接種が可能となっており、電話だけではなくネットで予約ができる医療機関もあり、接種へのアクセスは一定確保されていると思われます。
このため、これまで課題となっている効果的な普及啓発について、市町や関係団体に加え、将来の妊娠を考えながら生活や健康に向き合うプレコンセプションケアの取組や小児保健医療センターに設置している予防接種センター等とも連携いたしまして、接種に向けた取組を強化してまいりたいと存じます。
◆25番(村上元庸議員) (登壇)先ほども、情報がまだ不足しているということで、しっかりと啓発をしていただきたいと思います。
こういう啓発にはプッシュ型とプル型とあると思うんですけど、ネットに出しましたというのは見に行かなあかんので、もっと、例えば、バスに貼るとか電車に貼るとか、放っておいても情報が飛び込んでくるような、そういうプッシュ型の啓発をぜひお願いしたいと思いますのと、お願いしておきます。
それと、最後なりますが、知事の人の健康という方針には強く共感します。滋賀県が全国の模範となるように、子宮頸がんの予防対策をしっかりやって、まず、滋賀県から子宮頸がんをなくそうではありませんか。
少子化対策にもつながりますので、積極的な対応を期待しまして、私の質問を閉じます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(目片信悟) 以上で、25番村上元庸議員の質問を終了いたします。
最後に、6番桐田真人議員の発言を許します。
◆6番(桐田真人議員) (登壇、拍手)皆さん、お元気ですか。お元気そうで何よりです。私は元気です。
文月に入りました。昨晩のNHKの大河ドラマ、光る君への最終盤で、主人公のまひろさんが、「そうだ、石山寺へ参ろう」とおっしゃっていただきました。ぜひ皆さん、県民の皆さんも、皆さんも石山寺へお運びいただけたらありがたく存じます。
それでは、本題の滋賀県における金融経済教育について、分割質問方式により質問を行います。
我が国における金融教育とは、お金や金融の様々な働きを理解し、それを通じて自分の暮らしや社会の在り方について深く考え、自分の生き方や価値観を磨きながら、より豊かな生活や、よりよい社会づくりに向けて、主体的に判断し行動できる対応を養う教育であると理解、認識されています。
我が国においては、2005年──平成17年を金融教育元年と位置づけ、内閣府、文部科学省や金融庁および日本銀行、民間の金融機関が主に参画をし、学校における金融教育の推進に重点を置き取り組まれ、現在は、生きる力の形成の観点から、学校で正確かつ幅広い知識を教育するべきであるという認識の下、学習指導要領の改訂に合わせ、2020年度に小学校で、2021年度に中学校で、2022年度には高等学校と、それぞれの教育段階において取組が本格的に開始をされています。
この間、国民の金融を取り巻く環境は、金融技術──フィンテックの進化により、QRコードなどのキャッシュレス決済の普及、仮想通貨の流通、多様な就労形態に応じた企業、個人年金制度の改革や、少額投資非課税制度、いわゆるNISAの拡充、恒久化、マイナス金利政策の解除による金利のある社会への転換など、日々変動している状況にあります。
加えて、2022年の4月から、民法改正により、成年年齢が18歳に引き下げられたことに伴い、多くの高校3年生の年齢に、クレジットカードの作成やローン契約などの行為が本人の意思で可能となり、また、保護者の同意なく契約の取消しができる未成年者取消し権が18歳以上には適用できなくなってきています。
このように、若者を取り巻く社会環境も大きく変容しており、詐欺的な投資勧誘や悪質商法などの金融トラブルに巻き込まれる懸念はこれまで以上に高まっており、正しい判断に必要となる金融リテラシーを早い段階において習得が求められており、小学校、中学校、高等学校において効果的な金融教育の提供が重要と考えます。
このような社会情勢と社会要請を踏まえ、国では、2024年2月に改称された金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律に基づき、日本銀行金融広報中央委員会、一般社団法人全国銀行協会、日本証券業協会が発起人となり、2024年4月に、金融と経済の知識を普及、教育するための組織である金融経済教育推進機構が金融庁の認可法人として設立され、来月の8月から本格的な活動を開始される予定であります。
今後、各発起団体が取り組まれてきた活動や培われてきた経験が一元化され、官民一体で全国的にさらに充実した金融教育活動が推進されることが期待をされています。
私は、よりよい社会づくりとより豊かな生活に向けて、金融の働きを正しく理解することが重要であると考えます。そして、より早い段階で金融に関する知識に親しむことのできる環境の整備が、着実な金融リテラシーの習得に成果をもたらすものと考えます。
そこで、初めに、本県における小学校、中学校、高等学校における金融教育の取組の現状とその評価、今後の目標について、教育長に伺います。
次に、今後、効果的な金融教育の在り方を追求していく上で重要と考える金融教育の担い手となる学校教職員の支援の強化と、金融経済教育推進機構との連携、教育内容の中立公正、標準化に向けた取組について、知事にお伺いをいたします。
○副議長(目片信悟) 6番桐田真人議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)金融経済教育について、2問目にいただきました私に対する質問にお答えをいたします。
まず、学校教職員の支援につきましては、これまでに研修会の開催や、消費生活センターに配置している、消費者教育コーディネーターによる個別支援を実施しているところでございます。今後は、文部科学省の講師派遣事業を活用するなど、さらに拡充してまいりたいと存じます。
また、金融経済教育推進機構と連携し、放課後児童クラブ等への出前講座の回数を増やすほか、児童生徒の成長段階に応じた金融経済教育を研究、実践する学校等に対して助成等を行う、金融経済教育研究校制度につきましても、各学校に強く応募を呼びかけ、金融経済教育活動の普及、啓発を強化してまいりたいと存じます。
さらに、今後は、機構が新たに導入する認定アドバイザー制度により、一層中立公正で、特定の企業や金融商品に偏らない教育が効率的に実施できるものと認識しております。
機構成立を契機に、こうした取組を通じて、近年大きな社会問題となっております、SNSを利用した投資詐欺の被害防止を図るとともに、金融リテラシーの向上にもつなげてまいりたいと存じます。
◎教育長(福永忠克) (登壇)滋賀県における金融経済教育について、私にいただきました、学校における金融教育の現状とその評価、今後の目標についてお答えをいたします。
小中学校におきましては、金融教育として家庭科や社会科などで学習を進めているところでございます。自立した消費者を育成するために、例えば、家庭科では、小学校で買物の仕組みや消費者の役割を、中学校では売買契約の仕組みや消費者の基本的な権利と責任、消費者被害の背景とその対応について学習をしております。高等学校では家庭科や公民科などで、金融商品を活用した資産運用などについても学習を進めております。
さらに、外部講師による講座でありますとか、高校生が小学生に対して金融について教えるといった学校独自の取組などにより、金融教育の充実を図っているところでございます。
高等学校在学中に成年になるということを踏まえまして、より身近で具体的な事例を用いるなどの工夫によりまして、自立した主体として社会に参画するための必要な資質、能力の育成に努めてまいる所存でございます。
◆6番(桐田真人議員) (登壇)金融教育は、既にお取組がなされていること、そしてまた、今年の8月から本格的に開始をされるということで、いわゆる積極的に、かつ、柔軟に、そしてまた、丁寧に、そしてまた、より深い知識を持って子供たちに、金融というものの意義とか教育を増やしていただきたいというふうに思っています。
その中で、もう1点教育長にお伺いしたいのは、先ほど、学校独自のということがありました。私が懸念をしておりますのは、偏った金融教育によって子供たちが苦手意識を持つ、そのことによって第一歩が、苦手意識を持ちますと、次、教育というのはなかなかつながりにくいというところがあります。
ですので、今、学校独自の取組ということがありましたけれども、例えば、そういう若い、若いというか、子供の小学校、中学校、各教育段階において、学び方なんですけども、何か親しめる実践的な、例えば、高校であれば、投資を部活動にしている、そういった学校もあります。より実践的に、そしてまた、より楽しんで金融というものに親しんでいるということがあります。そういったところは、先ほど知事がお言葉いただいたように、研究校の指定にも入りまして、その取組が全国に広まって、それが新しいモデルになっています。
私は、ぜひとも、近江商人発祥の地であります滋賀県で、そういった金融教育に、やっぱり金融といえば滋賀県なんだと言われるような取組、こういったものを私は大いに期待をしています。
先日も、県内出身の方が、有名な、世界的な投資業務、投資銀行のアドバイザーに就任をなされています。滋賀県の出身者の方です。そういったことも通じて、やはり今、金融教育というものがなかなか皆さんの中でも、あるいは、保護者の中でも、あまり周知がなされていないし、理解もされていないところもありますけれども、お金あるいは金利、貯金、これは、我々の一生でずっと必要になってくる知識であり、生き抜くすべでもあります。
そういったことを、より身近に、若い段階で学んでいく、そして、楽しめるような金融教育の環境、こういうことについて、もう一度教育長にお伺いをしたいというふうに思います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
先ほど、小学校、中学校、高等学校それぞれにおいての学びというのを御答弁申し上げました。
先ほどその答弁の中にも、高校生が小学生について、金融について教えるという授業をやっておるというのをお話しさせていただきました。
いかに自分が得た、高校生が得た知識を小学生に分かりやすく伝えるにはどのような工夫をしたらいいのか、小学生が興味を持って自分たちの授業に聞いてもらうのにどうしたらいいのか、それを高校生自らが実践することによって、小学校の先生についても、こういった教え方がありますよねというのがございます。
その中で、これ、新聞記事にも出ておりましたので、実は7月3日からですか、新しい紙幣が導入をされます。この一万札、千円札の紙幣が幾らでできているんでしょうというようなことを小学生と一緒に考えたり、それを学んだりすることで、お金あるいは金融について、いろんなことを、興味を持って学ぶ第一歩にすることが非常に大切だと思っております。
私は、学ぶことの一番の大切なことは、そのスタートとして、興味、関心を持って自ら学ぼうとする姿勢だと思っておりますので、そういった姿勢を、小学生、中学生また高校生それぞれが持てるような工夫というのを、子供たちのアイデアも取り入れながら、先生が一緒に考えていただくことが大切だと思っております。
◆6番(桐田真人議員) (登壇)それでは、次の質問に移ります。
滋賀県における未成年者に対する喫煙防止教育と禁煙教育について、分割質問方式により質問を行います。
「あなたのために、そばにいる人のため 禁煙は愛」この言葉は、組織一丸となり禁煙推進活動に取り組まれている公益社団法人日本医師会が、国民の生命と健康を守る立場から、広く国民に禁煙を呼びかけるため制作された小冊子のタイトルであります。
「禁煙は愛」は2017年に制作、これまでに2回にわたり改訂が行われました。このほど、2024年版が完成し、先ほどの5月31日、世界禁煙デーに合わせてイベントが開催をされました。この冊子が、多くの医療機関や多くの企業で、社員の禁煙教育などで活用されています。私は、「禁煙は愛」に共鳴をしております。
既に御承知のとおり、たばこには、発がん性物質など多くの有害物質が含まれており、中でも、ニコチン、タール、一酸化炭素は3大有害物質として広く認知されています。
また、喫煙が、細胞や器官が傷つき、がんや呼吸器疾患、脳疾患、心疾患、歯周病などの原因となり、加えて、妊娠中の喫煙は、早産や低出生体重児など、母体や胎児に悪影響を及ぼすとされています。
同様に、他者の喫煙により発生するたばこの煙──副流煙、喫煙者が吐き出す煙──呼出煙を吸う受動喫煙──二次喫煙や、煙の成分が付着、残留、揮発することにより引き起こされる残留受動喫煙──三次喫煙についても、喫煙と同等以上の有害物質が含まれているとされ、健康への影響は深刻であります。
とりわけ、未成年者は、短期間でニコチン依存症になりやすいと言われており、加えて、非喫煙者は、たばこの煙に感受性が強い傾向にあり、より深刻な健康被害を受ける危険性が高まります。
また、近年の社会問題である若年層の薬物乱用は、その入口として、未成年者の喫煙が大きく影響していることが知られています。
さらには、子供のアレルギー疾患に及ぼす影響が大きいことから、日本小児アレルギー学会からも、その危険性が指摘をされています。
私は、これらの医学的知見を踏まえ、未成年者、子供に対して、より早い段階で喫煙やたばこの煙による健康被害などを理解してもらうための継続した喫煙防止教育と禁煙教育が重要であると考えます。
現在、県内各地に、分煙対策やたばこのポイ捨て対策の1つとして、子供たちが通学など日常生活の中で多く利用する駅の広場などの公共的空間に喫煙所が数多く設置をされています。たばこの煙は、直径14メートルの円周約95畳──約48坪と広範囲に及ぶとされていることから、子供たちが通学の際に、自らの意思によらず無意識に、他者の喫煙により発生する副流煙にさらされ、健康への影響が懸念される環境下にあります。
私は、このように、たばこが未成年者、子供の日常生活の身近にあると同時に、健康に及ぼす影響は多岐にわたることから、我々大人が、たばこを未成年者や子供に近づけないという共通理解と強い覚悟の下、子供が喫煙者にならないように、小学校から高等学校まで、学校や家庭、地域および企業などが、あらゆる場で、あらゆる機会を通じて、未成年者に対する喫煙防止教育と禁煙教育の推進が今こそ重要であると認識をいたします。
そこで、初めに、本県における総合的なたばこ対策の取組と評価、今後の目標について、知事に伺います。
次に、子供が喫煙者とならぬよう、小学校から高等学校まで、学校における喫煙防止教育、禁煙教育の推進がさらに重要と考えます。
本県における現状の取組と評価、今後の目標について、教育長に伺います。
次に、県内各地の分煙対策や、たばこのポイ捨て対策の1つとして、子供たちが通学など日常生活の中で多く利用する駅の広場などの公共的空間に喫煙所が数多く設置をされています。子供たちが通学など日常生活の中で、自らの意思によらず無意識に、他者の喫煙により発生する副流煙にさらされ、健康への影響が懸念される環境下にあります。
本県は、喫煙防止教育、禁煙教育を進めていく中で、このような現況をどのように認識され、児童生徒、保護者などが懸念を示す県民の行為に向き合い、子供たちの健康を守っていかれるおつもりなのか、知事に見解を問います。
次に、たばこの煙を吸いたくないという周りの人に伝える手段として、長崎県佐世保市の市民のアイデアから生まれたイエローグリーンリボン運動があります。今、私がしているこのリボンです、イエローグリーンリボン。
本県においても、全県的な運動として、より一層積極的に展開されるべきと考えますが、知事に認識を伺います。
次に、世界保健機構は、たばこを吸わないことが一般的な社会習慣になることを目指し、平成元年に、5月31日を「世界禁煙デー」と定め、厚生労働省は、「世界禁煙デー」から始まる1週間を禁煙週間とし、喫煙や受動喫煙の健康影響等の普及啓発を行っています。
本県における令和6年度の取組と成果について、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 5点の御質問をいただいたうち、私には4点御質問をいただきました。順次お答えをいたします。
「禁煙は愛」ですか。周防先生、そうなんだそうでございます。
まず1点目の総合的なたばこ対策の取組などについてでございますが、本県は、健康影響に関する知識の普及、20歳未満の喫煙防止、受動喫煙防止、禁煙の支援を4本柱といたしまして、市町や関係機関の連携の下、たばこ対策に取り組んでまいりました。
その結果、令和4年度──2022年度の県民の喫煙率は11.0%となり、約20年で20ポイント低下したところでございます。
引き続き、喫煙が及ぼす健康影響を低下させることを目標に、喫煙率の減少や、望まない受動喫煙のない社会の実現を目指し、施策を推進してまいりたいと存じます。
2点目の子供の健康を守ることについてでございます。これまでから、健康増進法に基づき、公共施設や飲食店等における受動喫煙防止の取組を進めてまいりましたが、日常生活の中で、子供の意思に沿わない受動喫煙の場面がまだあることが課題と認識しております。
このため、「子どもの前で吸わないで」を合い言葉にした子育て世代への周知や、喫煙時の周囲への配慮に係る啓発など、受動喫煙防止の取組を学校等と連携して継続的に進めることで、子供の健康を守ってまいりたいと存じます。
3点目、イエローグリーンリボン運動についてです。本県でも、市や関係団体と連携いたしまして、彦根城において、イエローグリーンライトアップを既に実施しているところでございます。
望まない受動喫煙のない社会の実現を目指している本県といたしましても、議員御提案のイエローグリーンリボン運動についても、積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
最後、4点目、禁煙週間における取組についてでございますが、県公式SNSやラジオでの周知とともに、彦根市内では、自治体と事業者が連携し、彦根城においてイエローグリーンライトアップを行ったところです。また、滋賀県薬剤師会や県内大学をはじめ、関係機関においても啓発を行っていただきました。
今年度は、特に、たばこが最大の原因であるCOPD──慢性閉塞性肺疾患に関する県民の認知度向上を図るため、重点的に周知を行いました。
引き続き、市町や関係団体と連携し、喫煙が及ぼす健康影響の正しい知識について、県民の理解が深まるよう取組を進めてまいりたいと存じます。
◎教育長(福永忠克) 私にいただきました、学校におけます取組と評価、今後の目標についてお答えをいたします。
小学校6年、中学校2年、高校1年の保健の授業において、喫煙は、未成年者の体に大きな影響を及ぼし、依存症になりやすいことを学習しているところでございます。
令和4年度に健康医療福祉部が実施されました滋賀の健康・栄養マップ調査において、「今までに一度でもタバコを吸ったことがある」と回答した高校生は、調査対象は3校432名でございますが、そのうち6名、率にいたしますと1.4%という結果でございました。
今後も、生徒自身が、喫煙が体に与える影響とともに、自分だけでなく、周囲の人の害にもなることの理解を深めながら、禁煙に向けた意識を育み、将来にわたって健康な生活につなげていけるよう、効果的、そして継続的な学習に努めてまいる所存でございます。
◆6番(桐田真人議員) (登壇)イエローグリーンリボン運動につきまして、彦根城でライトアップをしてくださっているということであります。
私がなぜこれを取り上げましたかといいますと、やはり制度はあっても、運動はしていても、県民の多くの皆さんに御周知がされないと、その運動の成果というのは最大限発揮できないというふうに思います。ですので、イエローグリーンリボン運動、これを通じて、子供たちがこのリボンを持っている、でも、このリボンが、大人が理解していなければ、運動の効果は、求めた以上のものは出てこないというふうに思います。ですので、最大限大々的な、私はこの週間に合わせて、次年度の週間に合わせて、禁煙週間に合わせて、ぜひとも滋賀県のシンボルであります母なる湖、琵琶湖の大津港にあります噴水などをこの色に照らしていただけるとか、あるいは、先ほど村上先生の質問にもありましたけども、県庁をライトアップしていくとか、こういった意味で、みんながこの運動に参画をし、理解をしていく、こういった取組をぜひともお願い申し上げたいというふうに思います。
そして、たばこの害というのは、大人が引き起こすんですね。大人がたばこを吸うんです。その煙によって、子供たちなどが健康被害に遭う可能性、懸念が高まっているんです。ですので、我々のやはり強い覚悟と共通の理解をしっかりとしていきながら、子供にたばこを近づけない、こういった共通認識の下、本県におきましても、たばこの害から子供を守る、こういう取組を大いに推進していただきたいし、また、私も全身全霊をもって取り組んでまいりたい。
決意を申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(目片信悟) 以上で、6番桐田真人議員の質問を終了いたします。
以上で本日の質疑ならびに一般質問を終わります。
明2日は、定刻より本会議を開き、質疑ならびに一般質問を続行いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時18分 散会
────────────────...