滋賀県議会 2024-02-27
令和 6年 2月定例会議(第23号〜第32号)−02月27日-05号
令和 6年 2月定例会議(第23号〜第32号)−02月27日-05号令和 6年 2月定例会議(第23号〜第32号)
令和6年2月
定例会議会議録(第27号)
令和6年2月27日(火曜日)
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議事日程 第5号
令和6年2月27日(火)
午 前 10 時 開 議
第1 議第1号から議第51号まで(令和6年度滋賀県
一般会計予算ほか50件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
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本日の会議に付した事件
第1 日程第1の件
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会議に出席した議員(43名)
1番 谷 口 典 隆 2番 田 中 英 樹
3番 谷 成 隆 4番 小 河 文 人
5番 菅 沼 利 紀 6番 桐 田 真 人
7番 岩 崎 和 也 8番 野 田 武 宏
9番 森 重 重 則 10番 田 中 誠
11番 河 村 浩 史 12番 柴 田 栄 一
13番 中 山 和 行 14番 赤 井 康 彦
15番 河 井 昭 成 16番 佐 口 佳 恵
17番 小 川 泰 江 18番 田 中 松 太 郎
19番 清 水 ひ と み 20番 井 狩 辰 也
21番 本 田 秀 樹 22番 柴 田 清 行
23番 重 田 剛 24番 白 井 幸 則
25番 村 上 元 庸 26番 桑 野 仁
27番 周 防 清 二 28番 海 東 英 和
29番 加 藤 誠 一 30番 目 片 信 悟
31番 有 村 國 俊 33番 川 島 隆 二
34番 奥 村 芳 正 35番 駒 井 千 代
36番 木 沢 成 人 37番 清 水 鉄 次
38番 大 野 和 三 郎 39番 角 田 航 也
40番 冨 波 義 明 41番 九 里 学
43番 今 江 政 彦 44番 中 沢 啓 子
45番 節 木 三 千 代
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会議に欠席した議員(なし)
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会議に出席した説明員
知事 三 日 月 大 造
教育長 福 永 忠 克
選挙管理委員会委員長代理 細 江 正 人
人事委員会委員長代理 曾 根 寛
公安委員会委員長代理 北 村 嘉 英
代表監査委員 河 瀬 隆 雄
副知事 江 島 宏 治
副知事 大 杉 住 子
知事公室長 松 田 千 春
総合企画部長 浅 見 裕 見 子
総務部長 東 勝
文化スポーツ部次長 藤 原 久 美 子
琵琶湖環境部長 森 本 哲 司
健康医療福祉部長 大 岡 紳 浩
商工観光労働部長 林 毅
農政水産部長 岡 田 英 基
土木交通部長 三 和 啓 司
会計管理者 中 田 佳 恵
企業庁長 東 郷 寛 彦
病院事業庁長 正 木 隆 義
警察本部長 中 村 彰 宏
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議場に出席した事務局職員
事務局長 箕 浦 宏 昌
議事課長 野 口 浩 一
議事課参事 内 田 吉 行
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午前10時 開議
○議長(奥村芳正) これより本日の会議を開きます。
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△諸般の報告
○議長(奥村芳正) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。
谷口義博文化スポーツ部長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として
藤原久美子次長が、また、
選挙管理委員会吉田清一委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として
細江正人委員が、また、
人事委員会池田美幸委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として曾根寛委員が、また、
公安委員会大塚良彦委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として
北村嘉英委員がそれぞれ出席されておりますので、御了承願います。
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○議長(奥村芳正) これより日程に入ります。
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△議第1号から議第51号まで(令和6年度滋賀県
一般会計予算ほか50件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
○議長(奥村芳正) 日程第1、議第1号から議第51号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を続行いたします。
発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。
まず、4番
小河文人議員の発言を許します。
◆4番(
小河文人議員) (登壇、拍手)皆さん、おはようございます。自由民主党の小河文人です。
それでは、通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。
本県は全国有数の文化財の保有県であります。その文化財を次世代に継承していくためにも、文化財の保護、活用および拡充が必要であります。その取組を着実に進めていかなければならないと考えています。
近年の人口減少、少子高齢化、また過疎化などにより、特に中山間地域での文化財の維持管理が難しくなり、それらの要因から多くの課題が山積をいたしております。また、高額な修理保存の費用負担、後継者育成においても影を落としております。
地域での守る力の低下、そして、文化遺産の調査、修理、そして、文化財を観光として活用ということを知事もおっしゃっておられます。文化や伝統を確実に次世代に引き継ぐためにも、文化財の継承、保護は避けて通れない問題と、共通の認識として認識をいたしております。また、新たな文化財の掘り起こしや、それらを活用してこそ次世代に継承していくことと思っております。
そこで、県の文化財の保護、活用および拡充について、知事ならびに
文化スポーツ部長に質問をさせていただきます。
まず最初に、2019年、
文化財保護法および地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正が行われ、地方公共団体の長は管理執行が可能となりました。本県では2020年度に組織改編が行われ、
文化財保護課を知事部局、
文化スポーツ部に移管され、さらに、同課内に
文化財活用推進室と
彦根城世界遺産登録推進室を設置されました。その成果を知事にお伺いをいたします。
○議長(奥村芳正) 4番
小河文人議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
文化財保護行政におきましては、保存なくして活用なしという信念の下、知事部局に移管後も保存を第一にしながら、活用との好循環を生み出すことで本県の文化財を未来に向けて確実に伝えていく使命があると考えており、部局横断で取組を進めているところです。
具体的には、
文化財活用推進室を設置いたしまして、「出張!お城EXPO」、
文化財探訪事業などで観光振興や鉄道利用促進、健康しが等の施策と一体的な取組を展開し、活力ある地域づくりにつなげているところです。
また、
彦根城世界遺産登録推進室では、彦根市と手を携え、調査研究や推薦書素案等の作成などを進めており、昨年9月にユネスコの事前評価を国に申請いただき、彦根城の価値を世界に問いかける大きな一歩を踏み出せたところでございます。今後も、私がリーダーシップを執りながら他の機関と連携しつつ、文化財の保存と活用の取組を、より一層、総合的に展開することにより、心豊かな活力ある滋賀の実現を目指してまいりたいと存じます。
◆4番(
小河文人議員) (登壇)次に、本県は全国屈指の
文化財保有県でもありますことから、一日も早く
琵琶湖文化館の完成が待ち望まれておりますが、独自の調査研究や市町からの依頼による調査研究にも応えていかなければなりません。その成果を、また県内外に情報を発信していかなければならないと考えています。
現在、当館が休館中であるがゆえに、保存、活用のための調査をなお一層進められていると思いますが、その現状を
文化スポーツ部長にお伺いをいたします。
◎
文化スポーツ部次長(藤原久美子) (登壇)お答えします。
文化財を把握するための調査につきましては、
文化財保護法において、市町が策定をいたします
文化財保存活用地域計画の中に位置づけることとされておりますが、本県におきましても
琵琶湖文化館職員などが各市町とともに調査を実施しているところでございます。
例えば最近では、近江八幡市の長光寺が、近年、購入されました経典を調査いたしましたところ、もともと鎌倉時代に長光寺が所有しておりました一切経の一部であることが判明し、このような発見は極めて珍しく、
地域連携企画展でその成果を公表することができた事例がございます。
今日まで伝えられてきました文化財を適切に保存、継承していくため、今後も関係者と連携しながら、こうした文化財の調査を地道に継続してまいりたいと存じます。
◆4番(
小河文人議員) (登壇)今の答弁で近江八幡の長光寺という名前を出されまして、説明をいただきました。
長光寺さんはもともと信楽の和尚さんの出身でございまして、私の親戚にも当たります。(発言する者あり)その部分は、十分、承知をいたしております。
それもそうですけども、以前に信楽の玉桂寺というところに仏像が出てきまして、それは文化庁と
教育委員会等が調査を進めた結果、その調査をしっかりした中で、重要な仏像が、今度、知恩院さんに戻ったという経緯もございます。その仏像の調査の中で、4万6,000人余りの、レントゲンのX線等も含めてやられた調査の結果、署名みたいなものが出てきて、それが知恩院さんに戻ったという経緯がございます。これも、やはり担当されておられます学芸員ならびに調査をされている文化財の関係者の努力のたまものだと考えておりますし、今後も調査を怠ることなく、しっかり、新しい文化財に向けても調査を進めていっていただきたいなというふうに考えております。
3番目の質問ですが、中山間地域では人口減少が進み、高齢化や少子化の時代へと急速に進んできています。本県が抱える多くの文化財がある中、保存修理のための助成が少し薄いように思っています。市町から要望される額には程遠いと感じていますけれども、地域の歴史を継承していくためにも修理等の必要な予算措置も含め、支援が必要と考えていますが、
文化スポーツ部長に見解をお伺いをいたします。
◎
文化スポーツ部次長(藤原久美子) お答えいたします。
文化財の修理や維持管理等に対しましては、滋賀県
文化財保存基金を活用いたしまして
指定文化財保存修理等補助金を交付しているほか、職員による専門的、技術的な助言や指導を行うことにより支援をしているところでございます。
今後も貴重な文化財や地域の歴史を継承していくため、文化庁や市町とも連携をいたしまして、所有者に寄り添った支援を続けてまいりたいと存じます。
◆4番(
小河文人議員) (登壇)前回の一般質問の中で知事は予算額を大幅にアップしたということをおっしゃっておりましたけれども、これは新規事業も含めてやと思います。やはり文化財の保護という観点の中からの予算もきっちりと進めていっていただくと。これは基本的には市町がやっていくというのが基本でありますけれども、そこに県が支援していく、国が支援していくという形をきっちり進めることによって文化財の保護、活用というのが進んでいくのではないかなというふうに思います。
次に、「かがやく未来に」「受けつぐ伝統」、これは甲賀市の市民憲章の一文なんですけども、今後、受け継いでいけるのかということ。やはり過疎化や少子高齢化、人口減少等、確実に進んでいく中で、必ず地域や個人では限界を迎えます。
無住寺の今後の在り方というのを私ども地域のほうで検討されまして、自分たちでは、この先、受け継いでいけなくなるのではないかということの思いから県に仏像を寄贈されまして、今後もこのような事例が各地域から出てくると予想されるのではないかなというふうに考えています。
今後、地域の過疎化が進み、地域での管理が不可能になった場合、県に移管、移譲されたいとの申出に応えていけるのか、
文化スポーツ部長にお伺いをいたします。
◎
文化スポーツ部次長(藤原久美子) お答えいたします。
県内各地の大小様々な寺院などに仏像をはじめとする優れた美術工芸品が多数存在しております。長年にわたって地域に伝えられた文化財は先人の歴史を語る宝として、可能な限りそれぞれの地域で大切に守り、伝えられるべきものと認識しております。
一方、近年は人口減少などが原因で地元での維持管理が困難となる事例も見受けられ、今後も移管や移譲の御相談を受けることが想定されます。
県といたしましては、市町とも連携しながら、所有者や地域の意向を伺いまして、条件が整えば県内の博物館等への寄託や寄贈に向けて調整を図るなど、役割を果たしてまいりたいと存じます。
◆4番(
小河文人議員) (登壇)先日、九里議員の一般質問で、埋蔵文化財の収蔵庫については県内に9か所あるという答弁がなされたと思います。仏像とか美術工芸品の保管はどうなっているのか、また、保管先の確保、収蔵庫の建設等々の問題も浮かび上がってきています。それで、現状でよいのか、その議論はされていると思いますけれども、
文化スポーツ部長にお伺いをいたします。
◎
文化スポーツ部次長(藤原久美子) お答えいたします。
国指定、県指定の文化財に対しましては、現地での
収蔵庫建設等に係る補助制度があるものの、未指定の文化財や地域での管理が困難な文化財につきましては管理や保管先に苦労される場合が多いものと認識しております。
令和9年に開館いたします予定の新しい
琵琶湖文化館では、約1,500平方メートルの収蔵スペースを確保することとしておりまして、従来の収蔵品に加えて、幅広く新たな文化財の受入れにも対応できるものと考えております。
◆4番(
小河文人議員) (登壇)県の施設として、収蔵に関してなかなか予算が取られないというのが現状であるのかなというふうに思っています。というのは、
信楽窯業試験場の新築に当たっても、今までの収蔵品の保管をどうするかということで地元の甲賀市と調整をされまして、産業展示館の一部の使っていないところを倉庫にしているというような現状でありましたし、なかなか保存に関しては手薄いのかなというふうな思いも持っておりましたけれども、これが1,500平米で妥当なのかどうかという議論はあると思いますけれども、新しい文化館の中にもそのような施設が出来るということは確認させていただきました。
また、今まで寄贈されている新しい仏像なんかの新しい文化館や美術館での展示を企画展というふうな形で進めていただくと、また寄贈された地域の方も、またそこへ行ったら見られるんだなというような思いも募ってもまいりますので、その辺も併せてお願いをいたしたいと思います。
5番目ですけども、滋賀県の
文化財保護条例には
有形民俗文化財、
無形民俗文化財の保護制度があります。
有形民俗文化財と無形の民俗文化財について、その違いを
文化スポーツ部長にお伺いをいたします。
◎
文化スポーツ部次長(藤原久美子) お答えいたします。
民俗文化財は「衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能、民俗技術及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で、我が国民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの」と
文化財保護法で定義をされております。
その中で、有形の民俗文化財は、例えば農具、漁労用具、祭礼行事で使用される山車や衣装など形のあるものでございます。一方、無形の民俗文化財は、ふなずしの製造技術、祭礼行事の中で継承されている踊り、曳山の巡行行事やおはやしなど形のないものでございます。
なお、
県指定無形民俗文化財である
水口曳山祭りは、その曳山が甲賀市
指定有形民俗文化財に指定されるなど、無形、有形の両面の価値で指定されるものもあることが民俗文化財の特徴でもございます。
◆4番(
小河文人議員) (登壇)今、御紹介いただきました
水口曳山祭りというのは滋賀県の無形の民俗文化財、これも曳山と水口ばやしとのことでもございました。
その
水口曳山祭りを例に挙げますと、先日の水口小学校150周年に曳山が祭り以外で出されました。なかなかないことだそうでございますけれども、小学生に曳山を蔵から小学校まで引いてもらい、小学生と卒業されたOBの町衆の方々が水口ばやしの共演もされて、地域が1つにまとまったすばらしい事業であったと思います。
周年という場で地域の小学生に地域のつながりを文化財の祭りを通して育むということ、どこの地域のお祭りも地域との関わりが根強くつながっているのではないかと考えています。
しかし、これら無形、
有形民俗文化財も、先ほど来申させていただいております人口減少とともに今後の継続が困難になりつつあります。今後、地域に担い手が減少し、比較的小さな修理費用は市町の支援策で賄えますけれども、大規模な高額となると国、県の支援がなければ継続ができない状況であります。
県指定の民俗文化財に対する県の支援が引き続き必要と考えますが、現状の考え方を
文化スポーツ部長にお伺いをいたします。
◎
文化スポーツ部次長(藤原久美子) お答えします。
祭りなどの民俗文化財は、議員御指摘のとおり、人口減少や少子化などにより、これまでどおり実施することが難しくなりつつあります。また、祭りの催行に欠かせない道具類や曳山等の修理につきましても負担が大きく、継承の課題となっていると認識しております。
民俗文化財への支援といたしましては、曳山等の保存修理に対しまして、滋賀県
文化財保存基金を活用して補助金の交付を行うほか、職員による専門的、技術的な助言、指導を行っているところでございます。
また、祭りなどの文化財を守り、次世代に継承しようと取り組む地域の人や技術者にスポットを当て、その魅力を発信する事業等を通じまして、保存継承の機運醸成や担い手の確保、育成を図ってまいりたいと存じます。
◆4番(
小河文人議員) (登壇)今の保存修理ということで、県の職員さんも現地に向かっていろいろ講演等もされておりますし、その保存活用についていろいろ助言もいただいていることは承知をいたしております。
知事の答弁でもありましたように、未来を担う子どもたちに祭りなどの文化に親しむ取組というのを進めていくということもおっしゃっておられますので、その辺の考え方をしっかりと引き継いでいっていただきたいと考えています。
7番目になりますが、特別史跡の指定についてお伺いをいたします。
本県には国指定の史跡は多くありますが、その中でも特別史跡は彦根城と安土城跡の2か所であります。特別史跡として指定されることの本県の意義について、
文化スポーツ部長にお伺いをいたします。
◎
文化スポーツ部次長(藤原久美子) お答えします。
特別史跡は、史跡に指定された重要な遺跡のうち特に重要なものであり、令和6年2月1日現在、全国で62件が指定されております。
滋賀の歴史の中で育まれ、大切に引き継がれてきた遺跡が我が国にとって特に重要であると認められることは、全国屈指の
文化財保有県である本県の誇りをさらに高めることであり、文化財を生かした地域づくりや人づくりを進めていく上でも意義深いものと認識しております。
◆4番(
小河文人議員) (登壇)特別史跡については大変ハードルが高く、紫香楽宮が、
特別史跡指定の実現に向けて、現在、行われておるところであります。
紫香楽宮は聖武天皇が開かれ、大仏造立の詔もこの地で発せられたとされております。当初は幻の宮と言われておりましたが、当時の宮町地域の圃場整備事業で出土した1本の丸太が宮殿の一部ではないかと調査された結果、壮大な遺跡が確認され、井戸枠や釣鐘の型をはじめとする巨大な遺物や、7,000点に及ぶ木簡や墨書土器、また、大仏造営とも関わる甲賀寺やその工房などが明らかになってきております。周辺の発掘調査で、都の全体像が後の平城京に匹敵する規模の都造営であったことも判明をいたしております。その後、日本最古の歌木簡の出土など注目すべき事実も判明をいたしております。このことは県も十分に承知をされておりますし、発掘調査にも積極的に関与いただいた結果であると感謝をいたしております。
しかしながら、特別史跡の指定には、現実には進んでいない状況下にあります。当地域では貴重な史跡を保存し、公園整備へと期待を持っておられますし、甲賀市としても史跡公園としての構想を持っておられます。その一環として、民有地の買取りも国、文化庁の支援により進められてまいりました。県が負担する分が滞る状態では市の負担が大きくなっているのも事実であります。一日でも早く紫香楽宮跡が特別史跡に指定されるには県の支援が必要不可欠でありますが、その支援について、
文化スポーツ部長にお伺いをいたします。
◎
文化スポーツ部次長(藤原久美子) お答えいたします。
特別史跡の指定に向けましては、これまで実施されてまいりました
発掘調査報告書がまとめられ、その価値が明らかにされ、その上で、史跡の中でも特に重要なものであると認められることが必要であると認識しております。甲賀市では全4冊から成る紫香楽宮跡の
発掘調査報告書の作成を進められ、昨年、1冊目が完成し、現在、2冊目の作成に取り組まれているところでございます。
県におきましては、
発掘調査報告書の作成過程におきまして、技術的、専門的な見地からの助言や国との調整を行っており、4冊目の総括報告書の完成、さらには紫香楽宮跡の
特別史跡指定の意見具申に至るまで、引き続き、市の取組を支援してまいりたいと存じます。
◆4番(
小河文人議員) (登壇)特別史跡の道のりは、まず、甲賀市が
発掘調査報告書というのを整理して全容を解明していくということに尽きると考えています。市の調査員だけでなく、専門の知識等々を県としても支援いただくことを要望しておきます。
次に、伝統工芸等の後継者の伝承者についての質問です。
滋賀県文化財振興条例の基本には、「文化の振興に当たっては文化の継承および発展を担う人材が育つとともに、その地位の向上が図られるよう配慮されなければならない。」そして、「文化振興に当たっては、歴史、風土等に培われてきた地域の特色ある文化、新たに創造される文化その他の多様な文化がすべての県民に大切にはぐくまれ、次の世代に継承されるよう配慮されなければならない。」と記されています。また、滋賀県
文化財保護条例では、修理、継承などの支援も手厚く保護されています。
そこで、日本六古窯、日本遺産信楽焼の県指定の無形文化財の指定や保持者の認定についてお伺いをいたします。
本県では陶芸分野の青磁が指定され、保持者として、大津市に1名認定されています。県の認定には国の重要文化財の保持者の認定要件に準じたハードルの高さがあります。信楽焼の産地では、以前、2名の方が保持者でありました。しかし、お亡くなりになりまして、現在は信楽焼の県指定は解除となっています。
まず、県指定の無形文化財の指定ならびに保持者の認定の考えについて、
文化スポーツ部長にお伺いをいたします。
◎
文化スポーツ部次長(藤原久美子) お答えいたします。
県指定無形文化財の指定や保持者の認定につきましては、国の指定基準等に準じまして、演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で、本県にとって歴史上または芸術上、価値の高いものを指定し、伝統的な技術を高度に体得している人を認定しているところでございます。
保持者につきましては、芸術性を発揮することも求められていることから、文化庁等が主催する公募展での受賞等により、そのことが客観的に評価されている人について滋賀県文化財保護審議会へ諮問し、その答申に基づき、認定を行うこととしております。
◆4番(
小河文人議員) (登壇)今の無形文化財の支援体制について、県としても公募展であります日本伝統工芸近畿展の主催や若手陶芸作家の育成など、支援体制を組んでいただいております。
甲賀市の新年度予算においても、新規事業として信楽焼現代陶芸家展開催事業等、地場産業リーダー育成補助事業等が予算化もされておりますし、県、市を挙げて、若手作家の育成等々に支援体制を組まれております。
しかし、伝統工芸作家の継承課題として、商工労働部と文化財部局との連携が図られることが重要と考えますが、この点について、
文化スポーツ部長にお伺いをいたします。
◎
文化スポーツ部次長(藤原久美子) お答えいたします。
信楽焼につきましては、商工観光労働部の信楽窯業技術試験場や当地の窯元などにおいて、基礎的、伝統的技術が身につけられる長年培われてきた優れた仕組みがあり、その中から、これまでに数多くの伝統工芸士や陶芸作家が輩出しているところでございます。
当部といたしましては、このように高度な技術を体得し、さらに芸術性を磨き上げた陶芸家がその成果を発揮し、客観的な評価を獲得する機会を提供するため、近隣府県とともに日本伝統工芸近畿展を開催しているところでございます。
今後も、それぞれが役割を果たしながら、信楽焼の振興やブランド力の向上、未来の無形文化財保持者の誕生に向けて、両部が連携してまいりたいと存じます。
◆4番(
小河文人議員) (登壇)若手作家に対しても、技術の継承や創作意欲を持って次世代の後継者として育成していくということが必要ではないかということの共通認識をさせていただきました。
日々の仕事でのなりわいと意欲ある創作活動が両立していくという、その連携を市、県を挙げて図っていただきたいなというふうに考えています。
さて、
文化財保護法が改正され、令和3年6月以降、無形文化財について、指定制度に加え、より幅広く保存、活用を図るために、指定制度を補完するものとして、無形文化財と
無形民俗文化財に登録制度が創設をされました。国の登録制度の現状と県の考え方を
文化スポーツ部長にお伺いをいたします。
◎
文化スポーツ部次長(藤原久美子) お答えいたします。
文化財保護法の改正によりまして、令和3年6月以降、無形文化財と
無形民俗文化財の登録制度が新設されたところでございます。この制度改正によりまして、食文化や書道など人々の暮らしの中でたしなまれてきたもの、また、価値がありながらも、保護団体の特定が困難なため指定されていなかったものなどが無形の登録文化財として光が当てられることとなったものでございます。
その後、現在までに全国でそれぞれ4件が登録されたところでございまして、本県につきましては令和5年3月に近江のなれずし製造技術が登録
無形民俗文化財に登録され、ふなずしなど本県特有の食文化が全国に改めて認知されることとなり、大変喜ばしく感じているところでございます。
今後も文化庁や市町と連携しながら、滋賀が誇る文化財として、その価値や魅力を発信してまいりたいと存じます。
◆4番(
小河文人議員) (登壇)令和3年の法改正を受け、国としても登録制度をどのように進めていくか、今、考察をされています。
登録制度には無形文化財に芸能や工芸、
無形民俗文化財に風俗慣習、民俗芸能、民俗技術が新たに創設されております。これらの無形文化財は過疎化や少子高齢化などに伴う担い手不足がそもそも課題となっています。それに加え、新型コロナウイルスの影響で活動機会が減るなどして継承が困難になっている状況がありました。このため、より緩やかな基準の登録を設けて、広い網で守っていこうということになったと聞いております。
国の法改正では地方登録制度も新設されたところですが、文化財の保護は指定をして厳格に保存を行うだけでなく、今後の文化財の継承を考える中で、現在の仕組みを継承しつつ、少し緩やかではありますけれども、当県でも登録制度を進めるという考え方も必要ではないかと思いますが、知事の見解をお伺いをいたします。
◎知事(三日月大造) お答えいたします。
議員も御紹介いただきましたとおり、
文化財保護法の改正により、令和4年4月以降、条例の定めるところにより、地方公共団体においても登録制度を創設することができるようになったところです。
登録制度は、歴史的、学術的な評価の観点から、指定にまでは至らない文化財に対しましても幅広く保護の網をかけることができる点でメリットがあると認識しております。
一方、本県では、歴史的、学術的な評価の上で、指定して保護を図るべき文化財が多数存在しておりますことから、指定に向けた取組を引き続き着実に進めていくことを優先したいと考えているところです。
登録制度の導入につきましては、他の都道府県の動向等を見極めながら、今後、研究を進めてまいりたいと存じます。
◆4番(
小河文人議員) (登壇)指定と登録ということでありますけども、手厚い支援と強い規制で文化財を守るのが指定でありまして、これに対して、金銭的な支援は手厚くないけど、規制は緩やかなのが登録制度であります。指定により少し価値のランクは下がりますが、あまり予算はかけられないけど、規制を緩やかにして、いろんな文化財をより網にかけて守っていくというのが登録制度であると私は考えております。
日本の多様な伝統文化を考えると、例えば食文化や書道、茶道、華道といった、より私たちの生活に身近な文化についても目を向けていく必要があり、まさに信楽焼は茶道、華道、食文化にも通じていますし、岡本太郎先生が信楽の土、釉薬の技術の高さからの造形作品を世に送り出したことに刺激を受け、活躍された方もおられます。このような要件を加味しながら、緩やかな登録制度を活用してはどうかと考えていますが、知事にお伺いをいたします。
◎知事(三日月大造) 議員も、冒頭、御紹介いただいたとおり、本県は文化財の宝庫であります。歴史的、学術的な評価を得て指定した上で保護していくべきものがまだまだ数多く存在しておりますため、先ほども答弁いたしましたが、まずは指定に向けた取組に引き続き傾注してまいりたいと存じます。
登録制度につきましては、国において無形の文化財が新たに追加されたところであり、また、地方登録制度も新設されてからまだ日が浅いことから、国や他府県、県内市町の今後の動向等を注視しつつ、既存の指定制度とのバランスをどのように整理していくのかなど、様々な観点を勘案しながら研究してまいりたいと存じます。
なお、信楽焼につきましては、かつては県指定無形文化財に指定されていたものでありますので、今後も関係者と連携しながら、県指定無形文化財、さらには国指定無形文化財の保持者、いわゆる人間国宝の誕生に向けて、県としても役割を果たしてまいりたいと存じます。
◆4番(
小河文人議員) (登壇)信楽焼には伝統技法というのもありまして、人を指定していくというより、全体を文化として活用していきながら登録していくことによって人材が育っていくという面もありますので、その辺は研究をしていただきながら、他県との関係もあると思いますし、それぞれの皆さん方の思い、登録される側の思いもありますので、これは県、市町との関係も踏まえて、しっかりと議論しながら、登録制度に行くかということも含めて検討を重ねていっていただきたいと思います。
今回の一般質問は災害のことがたくさんございましたし、災害のことも文化財の中に組み込んで質問させていただこうかなというふうな思いもしておりました。といいますのも、国の重要無形文化財に指定されております石川県輪島市の伝統工芸の輪島塗が、市内には100以上の事業所がございまして、今、復興に向けて着実に進められております。その支援等も含めて、やっぱり文化財というものを大事にしていくという気持ちがそれぞれに出てきているんだなというふうに思います。
また、石川県の教育委員会では文化財の被災状況の確認とか関係機関の連携、調整を進めながら、阪神・淡路大震災から出来ております文化財レスキュー事業というのがございます。今後、文化財をたくさん保有している滋賀県でもございますので、その辺も視野に置きながら、災害になったときの文化財をどういうふうに守っていくかということも視野に入れながら、今後の文化財の行政というものにお願いをしていきたいなというふうに考えております。
以上です。ありがとうございました。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、4番
小河文人議員の質問を終了いたします。
次に、1番谷口典隆議員の発言を許します。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇、拍手)自由民主党滋賀県議会議員団、彦根市犬上郡選出の谷口典隆でございます。私は、今期定例会議に当たりまして、2問について質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
初めに、北陸新幹線延伸開業を契機とした観光誘客戦略について、一問一答方式で質問させていただきます。
北陸新幹線、金沢─敦賀間の延伸開業を来月に控え、能登半島地震により被災された北陸地方復興のシンボルとしての役割や地域経済の活性化、もたらされる効果に期待する思いは、御当地の石川県や福井県のみならず、私ども滋賀県民とて同じでございます。先日の代表質問でも議員各位のそのような思いが反映されており、知事の御答弁の中でも大きな期待が寄せられていたように感じたのは私だけではないと思います。
本県では北陸新幹線敦賀駅の開業を県北部地域の振興に生かそうとの思いから様々な施策が新年度予算にも盛り込まれており、北の近江振興プロジェクトの側面からすると、またとないチャンスと捉えることができ、このタイミングで本県への観光誘客を促進することについては大変意義があるものと考えます。
しかし、一方で、北陸新幹線延伸開業による効果やメリットを県北部だけが享受することなく、湖北に隣接する彦根市や犬上郡、ひいては滋賀県全域がその範疇として網羅される戦略についても考えていただかなければなりません。
その一つとして、滋賀県が持つ魅力を生かした国際会議等の誘致促進もその手法と考えられ、企業等の会議であるMeeting、企業等が行う報奨、研修旅行──Incentive Travel、国際機関や団体、学会等が開催する国際会議であるConvention、展示会や見本市、イベントのExhibition/Eventの頭文字を使ったMICEの誘致をさらに活発化することも重要であると考えております。
本県観光振興局においても、MICEの開催のための支援という名目で施策に取り組まれていますが、その中でも滋賀県が持つ琵琶湖や文化財の魅力、とりわけ武士の文化が色濃く残る湖北地域や湖東地域の城郭や神社仏閣などの文化財を観光資源として活用するユニークベニューの活用は本県の特性を生かした効果が期待できるものと考えます。
私は、前職である彦根市議会議員時代に、観光都市である彦根市が従来の消費者をターゲットとした観光戦略からインバウンドを見据えた戦略へとシフトチェンジする可能性と必要性を求め、MICEやユニークベニュー誘致についての調査を進めた時期がございました。残念ながらコロナ禍により足踏みしたものの、今再び、MICEは高い経済波及効果をもたらし、ビジネス機会の創出にもつながるものとして、日本政府観光局や日本商工会議所など経済界も支援に乗り出し、誘致に向けた環境整備や取組が加速しつつあります。
詳細は後ほど詳しく述べますが、このように、アフターコロナの中、インバウンド需要の新たな基軸による掘り起こしで、まだまだ観光誘客を図ることができるリスタートの大きなチャンスが北陸新幹線延伸開業であると考えます。
そこで、初めに、北陸新幹線延伸開業に伴い本県全域にもたらされる効果について、
商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○議長(奥村芳正) 1番谷口典隆議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎
商工観光労働部長(林毅) (登壇)お答えいたします。
北陸新幹線の敦賀駅延伸は関西への新たな玄関口の誕生でございまして、東京─大阪間のいわゆるゴールデンルートに次ぐ新たなルートが構築され、首都圏等から北陸への新たな人の流れが生まれますことから、北陸との連携によります一体的な周遊を促すことによりまして、本県全域への新たな観光誘客につながるものと考えております。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)ありがとうございます。
今ほど、本県全域への観光誘客につながるものという御答弁をいただきました。それを受けまして、2点目に移らさせていただきます。
今年度予算においても施策としての取組が行われているようでございますけれども、来年度の施策も含めた北陸新幹線延伸開業を生かした観光誘客に向けた具体的な取組について、
商工観光労働部長にお尋ねをいたします。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
これまでから北陸新幹線延伸を見据え、北陸地方を経由する東京─大阪間のいわゆるレインボールートを近隣府県や鉄道事業者等と連携し、広く広報することで国内誘客および海外誘客の需要拡大を図ってきたところでございます。
また、米原市や彦根市、長浜市等で構成されます、まいばら駅広域観光交流圏コンソーシアムによります広域観光施策を支援しているほか、現在、北陸新幹線車内広告や敦賀駅のデジタルサイネージ広告等を掲出しているところでございます。
今後は、敦賀駅での開業イベントに出展するほか、鉄道事業者と連携いたしました観光周遊企画を実施するなど、本県への観光誘客につながるよう、一層推進してまいりたいと考えております。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)今、御答弁がございましたが、これまで鉄道を利用した観光客の本県へのアプローチといたしましては、その多くが米原駅をはじめ、東海道新幹線であるとか、あるいはJR琵琶湖線が主たるものであったというふうに思います。しかしながら、北陸新幹線の延伸開業に伴いまして、この構図は大きく変わることも予想されるわけでございますが、北陸新幹線延伸開業によりまして、今後、本県が見込む観光客のターゲット層というものをどのように想定、設定されているのか、
商工観光労働部長にお尋ねしたいと思います。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
まず、国内誘客につきましては、埼玉、群馬、新潟、長野などの北関東、甲信越圏から来訪される観光客の増加も見込まれることから、新たなターゲット層として誘客促進を図ってまいりたいと考えております。
また、海外誘客につきましては、新たな観光地を求める首都圏等からの外国人観光客をターゲットとして考えているところでございます。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)ありがとうございます。
今ほど、北関東からの来客をターゲットとしているというような、ターゲットといいますか、北陸新幹線の延伸開業に伴いまして、そうしたターゲット層が生まれるだろうということで御答弁がございました。
今ございましたように、例えば長野県であるならば、軽井沢をはじめ大きな観光地もございますし、滋賀県ではない草津、群馬には草津温泉もあろうかというふうに思います。草津温泉の草津もございます。そうした観光地、新たなターゲットということも引き込むことができるというふうに思います。
ただいま御答弁いただきましたようなターゲット層、北関東をはじめ多くの、これまでと違う新規の誘客を想定されているようであればなおのこと、北陸新幹線延伸開業というのは新たな観光需要も大いに見込めるのではないかと考えるわけでございます。
その上で、さきに述べましたMICEについても今後の取組を期待する中で、まずはこれまでの成果について、
商工観光労働部長にお伺いしたいと思います。これまでに県が助成してきたMICEの開催実績をお聞かせください。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
コロナ禍におきましては、ほぼ助成実績がない状況でございましたが、令和5年度に入りまして、県が助成したMICEの開催実績は、令和6年1月31日現在、10件となっているところでございます。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)今、御答弁いただきましたけれども、
商工観光労働部長に再質問させていただきたいと思います。開催実績10件でございました。県の助成によりMICEが開催された10件の地域あるいは自治体名というものをお聞かせいただけますか。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
開催場所につきましては、大津市におきまして8件、それから、南部地域の草津市におきまして1件、そして、近江八幡市において1件でございます。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)北部振興というのがまだ十分に行き渡っていないのか、大津が8件、草津が1件、近江八幡、ようやく1件ということで、かなり地域に偏りがあるように思います。
それでは次に、MICEの語源でございますMeeting、Incentive Travel、Convention、Exhibition/Eventを開催できる県内の施設、会場数を
商工観光労働部長にお尋ねしたいと思います。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
現在、MICEの会場として広報しております施設は、会議やコンベンションを中心に、びわ湖ホールやひこね市文化プラザ、北ビワコホテルグラツィエなど46施設となっているところでございます。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)46施設ございますけれども、先ほど御答弁いただきましたように、びわ湖ホールは別としまして、北ビワコホテルのグラツィエであったりひこね市文化プラザであったり、開催実績は県の助成をしたMICEの実績がないというのが実情であろうかというふうに思いますけれども、再度、
商工観光労働部長にお尋ねをしたいと思います。今ほど御答弁いただきました46施設のうち、湖北地域あるいは湖東地域というのには幾つございますでしょうか、お願いいたします。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
湖北地域には9施設、湖東地域は4施設となっているところでございます。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)ありがとうございます。
今、御答弁いただきました、県がMICEの取組を県全域で進めようとされている中においても、やはり施設の整備面では地域の偏在というものが明らかになりました。湖北、湖東を合わせても13件、46件のうち13件しか湖北、湖東にはないということでございました。先ほどの開催実績と併せても、滋賀県内の地域の偏在というのが明らかになりました。
そこで、滋賀県内の均衡を図る取組の一例を紹介しながら次の質問に移らさせていただきたいと思います。
我が国の社会が人口減少の局面に入った中で、交流人口を増やすことにより経済振興につなげることを目的とするMICEでは、ビジネス客の日本滞在時における利用金額が1人当たり約26万円と非常に高く、その経済波及効果は一般観光客のそれとは大きくかけ離れているとのデータもございます。しかしながら、2022年の国、地域別国際会議の開催件数では、日本はベルギー、米国、ポルトガル、スペインに次いで5番目であるものの、コロナ前には韓国に倍以上の差をつけられていたこともあり、世界を相手に国際会議の件数を競うよりも、アジアで開催される国際会議のビフォーコンベンションやアフターコンベンションによる誘客に注力すべきとの専門家の意見もございます。
また、トヨタ自動車をはじめ多くの大手企業が海外の顧客や取引先を日本に招待するインセンティブ旅行、先ほど御紹介しましたIncentive Travelもアフターコロナで再開されつつあり、コロナ直前の数値ではIncentive Travelだけでも年間12万人が企業の招待により日本を訪れていたという実績もございます。
加えて、MICEへの取組は必ずしも東京など大都市のみを利用する施策ではないことはユニークベニューの実績がその証左と言えます。
ユニークベニューとは、歴史的建造物や文化施設、公的空間等で会議やレセプションを開催することで特別感や地域の特性を演出、発信できる施設、会場を指し、MICE誘致に大きな効果を発揮する地方都市のユニークベニューは我が国においても積極展開が求められております。過去には岡山城でユニークベニューの実証実験も行われ、政府の文化経済戦略とも相まって、文化財を活用した観光開発が期待されているところでございます。
さきに述べた日本で開催される国際会議のうち、実に70%が300人以下の規模でありまして、ユニークベニューの推進も併せると、地方都市である我が滋賀県内とてMICEの受入れは十分可能であると、このように考えます。
そこで、次も
商工観光労働部長にお尋ねいたしますが、歴史的建造物や文化施設、公的空間等で会議やレセプションを行う、ただいま御紹介をさせていただきましたユニークベニューに対する評価をお聞かせください。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
本県にはびわ湖ホールなどの文化施設や比叡山延暦寺などの神社仏閣、日本遺産に登録されております旧長浜駅舎など、ユニークベニューに活用できる会場が多く存在しているところでございます。
MICEの誘致、開催に当たりましては他府県との差別化が必要であり、本県の地域資源を活用した特別感が感じられるユニークベニューは有効な誘致ツールであると考えているところでございます。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)ユニークベニューについて一定の評価をされているというふうに認識をさせていただいた上で、最後の項目についても
商工観光労働部長に質問させていただきたいと思います。
滋賀県には琵琶湖がございます。公的空間として多くの美術館や博物館がございます。また、湖北、長浜には、ただいま盆梅展を開催中ですかね、慶雲館もございますし、今御紹介いただきました旧長浜駅舎等々もございます。また、湖東地域には世界遺産登録を目指す彦根城や大名庭園である玄宮園、多賀大社や湖東三山、そして、名建築として誉れ高い豊郷小学校旧校舎群などがございます。
こうした地域の文化、歴史遺産を活用してユニークベニューを取り入れたMICEの誘致に向けた取組を新たな基軸として推進するべきと考えますが、もう一度、
商工観光労働部長に見解をお尋ねしたいと思います。お願いいたします。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
ユニークベニューを取り入れましたMICE誘致につきましては、大手旅行会社や学会運営会社の担当者を本県に招請し、MICE関連施設や神社仏閣等のユニークベニュー施設の見学会を実施しているところでございます。また、首都圏で開催されます国際的なMICEの商談会等に参加いたしまして、誘致活動を実施するとともに、びわこビジターズビューローのウェブサイトにより支援制度などのMICE関連情報を発信しているところでございます。
今後は、新たな施設の発掘や積極的なPR活動などユニークベニューの充実を図りながら、MICEの開催地として選んでいただけるよう努めてまいりたいと考えております。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)ありがとうございます。
外資系のホテルのインターコンチネンタルでありますとか、あるいは今年、客室料金が青天井の最高級ホテルが京都に開業されます。その運営会社のCEOの方が、こんな新聞記事を読ませていただきました。「大半の地域、特に人口減に悩む地方は旅行産業の恩恵を得たいと考えている。必要なのは観光客が集中する都市から、その外へ人の流れを生むこと。ホテルの開業で地域経済に活気を戻せないか、地域が行政とともに考えている」というような記事に接しました。
お隣の京都で、宿泊料金が青天井の最高級のホテルがここから10分ほどの場所に出来るということは大きなチャンスだというふうに考えています。いわゆるアッパークラスの方がどんどん京都にお越しになるということは非常に大きな契機だというふうに思います。
そこで、1点、先ほども御答弁いただきました、ユニークベニューに対して、またMICEに対して、これから積極的なお取組をいただけるという御答弁をいただいたものとしまして、再度、7番の再質問をさせていただきたいと思います。
政府観光局のホームページには、今御紹介させていただいたようなユニークベニューを中心とした日本国内の施設、会場を紹介するページがございますが、残念ながら、そこには滋賀県の施設が1つも掲載されておりません。そこには東京はもちろん、京都や大阪、福岡や名古屋といった国際会議に有利な大都市だけでなく、犬山市や高山市、松本市や上田市など地方都市も多く掲載されている中で、滋賀県が不掲載というのは、既にスタートダッシュで後れを取っていると言わざるを得ません。
同観光局にこの件で問合せをさせていただきましたところ、本県から申出、先ほど部長の御答弁でもございました、びわこビジターズビューロー等々を通じてお申出をいただければ、施設紹介はもちろん可能であるとの回答をいただいております。この件は事前に御指摘もさせていただいておりますので、
商工観光労働部長も既にページを確認していただいていると思いますけども、早急な取組を求めますけれども、再度、
商工観光労働部長の見解をお聞かせください。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
現在、日本政府観光局のウェブページに本県の施設が掲載されていないということでございました。日本政府観光局と早期に調整をいたしまして、さらなるMICE誘致につなげられるように努めてまいりたいと考えております。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)今後、毎日、ウェブサイトをチェックしたいと思いますので、早急な取組をお願いいたしたいと思います。
今回、質問しましたMICEやユニークベニューは、目的地そのものを商品として誘客を図るデスティネーション・マーケティング、デスティネーション・マネジメントの一つの手段でございます。アフターコロナの観光誘客を見据える中で、本県にとって重要な取組であると考えるものでございます。そして、その大きな契機となるのが北陸新幹線延伸開業であり、このチャンスを逃すことなく、地域経済の活性化も視野に入れた観光戦略やプロモーションを展開していただくことを願いまして、この項目の質問を終わらさせていただきます。
次に、アユの不漁対策について、一問一答方式で質問いたします。
今期の琵琶湖のアユについては、既に昨年来、県の調査等で漁獲量の減少が報告されており、県民の皆さんも御承知のことと思います。また、県内の漁業関係者や小売店、水産食品加工会社など現場の方々からも、アユの不漁による経営環境の厳しさや将来の琵琶湖の生態系に対する懸念の声が届けられております。また、先日は1月のアユの漁獲量が平年の3%にとどまったことが明らかになり、もはや近年にない不漁ではなく、半世紀ない不漁と表現されるほど事態は深刻であると考えております。
こうした状況の中、原因の究明、対策、漁業者への支援などについて、全て、農政水産部長に質問させていただきます。
初めに、琵琶湖におけるピーク時から近年のアユの漁獲量の推移をお示しください。
◎農政水産部長(岡田英基) (登壇)お答えいたします。
農林水産統計によりますと、アユの漁獲量のピークは平成3年の1,983トンでございます。近年は、平成29年から令和3年の5年間で見ますと279トンから375トンの間で推移しておりまして、直近の令和3年では315トンとなっておるところでございます。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)この30年で大きく減少したということが分かりました。改めて認識をしたところでございます。
次に、水産試験場の調査による6月時点での産卵量予測では、今期は平年並みの産卵となることが予測されていたと聞き及んでおります。しかしながら、8月から10月まで、県内11河川での産卵数を調査されたところ、当初の予測に反して平年を大きく下回ったとの結果が明らかにされました。この原因について、農政水産部長に見解をお尋ねします。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
水産試験場が行いました調査結果に基づきまして、アユの5月の魚群数と6月の平均体長との関係から、昨年の秋の産卵数は平年並みと予測していたところでございますが、猛暑と少雨による河川の水温が高くなった影響により、予測を大きく下回ったものと考えております。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)農政水産部長に再質問させていただきます。
猛暑で水温が高くなったということが要因の一つということでございますけども、これまでにも今期のように産卵数が予測を大きく下回ったことというのはございますか、農政水産部長に再度お尋ねいたします。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
令和2年の産卵数は119億粒と予測されましたが、実際には48億粒にとどまったところでございます。
この年も水量が比較的少なかったことから、主な産卵場である姉川や安曇川で水量不足や高水温の影響があったと考えております。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)過去にもあったということで、過去の経験であるとか、そうしたことを生かしていただきたいなというふうに思うわけでございますけど、それは後ほどお尋ねするといたしまして、次に、近年のアユの漁獲量減少の原因について、農政水産部長にお尋ねいたします。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
アユの資源量は、平成4年以降、減少傾向にあります。特に平成17年以降は2,000トンを度々下回っており、資源の減少が漁獲量の減少の大きな要因となっているものと考えております。
アユ資源の減少に関しましては、平成24年や平成29年のようにアユの栄養状態の悪化に伴う成長不良によりまして産卵が激減するなど、餌不足が疑われる現象も見られております。
このほか、漁業者の高齢化や減少、アユの需要の長期的な低下なども漁獲量の減少要因になっていると認識しております。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)いろいろと御答弁いただきましたが、ちょっと幾つかお尋ねしたいと思います。
農政水産部長に再質問させていただきますが、ただいまの御答弁を受けて、素人考えで恐縮なんですけども、アユの漁獲量減少と琵琶湖の全層循環との関連性というのはございますのでしょうか。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
先ほどお答えいたしましたとおり、アユの漁獲量の減少には、1つ目に資源量の減少、2つ目に漁業者の高齢化とその減少、3つ目に需要の低下が関連していると考えられまして、現時点で琵琶湖の全層循環との直接的な影響というものは確認されていないというところでございます。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)直接的な影響はないということでございますけども、例えばプランクトン等々の餌不足につながるということは間接的な要因はあるのかなということは想定できるわけでございますけど、もう一度、3番目の再質問をさせていただきたいんですが、農政水産部長に再度お尋ねしますが、先ほどの御答弁の中で、栄養状態の悪化というのは琵琶湖のことかなというふうに思うんですけども、琵琶湖のいわゆる栄養状態の悪化であるとか、先ほども御答弁いただきました餌不足が疑われるといった趣旨の御答弁だったかというふうに思いますけれども、自然の摂理とも捉えられるそのような現象を前にして、我々は何か対策が打てるのか、もしくは、今後、県として、先ほど御答弁いただきましたことに対して対応していくというお考えがあるのか、お尋ねさせていただきます。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
近年、琵琶湖の水質が改善しているのに魚介類はなかなか増えない状況にある中、琵琶湖環境研究推進機構の研究では、水質と豊かな在来魚介類の生息環境の両立のためには湖内の物質循環が円滑に行われることが重要とされております。
今後、水産試験場におきまして、主としてアユ資源の安定化の観点から、大学などの専門家の研究者の助言の下、琵琶湖の栄養塩環境の解明と改善策の検討をしてまいりたいと考えております。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)いろんなお取組が始まるということでございますので期待しております。期待しておりますのは私だけじゃなくて、水産加工に携わられる皆さん方、事業者の方、漁業の方は期待されていると思いますので、ぜひともお取組をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
次に、アユの不漁と琵琶湖の水位低下の因果関係について、農政水産部長にお尋ねしたいと思います。今期のアユの不漁に琵琶湖の水位低下は影響しているのでしょうか。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
アユは冬の間、琵琶湖の比較的沖合で生活をしているため、アユ資源に対する水位低下の影響はほとんどないと考えられます。
一方、漁業者の方々からは、水位が回復しないとアユがえりに寄ってこない、えり周辺の水の流れが通常とは異なっていることから、えりで漁獲されにくいのではないかなど、漁獲について不安視する声を聞いております。
水産試験場では、現在、追加の調査を実施しておりまして、アユがどこに分布しているかなど多角的な視点から状況の把握に努めているところでございます。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)今、御答弁いただきました内容というのは知事が20日の日に開かれた定例会見でもおっしゃっていただいていたことだというふうに思っております。漁業者のお声というものを知事も紹介されていたという報道に接しました。
直接的な原因はないかもしれないけれど、今後、調査はやっぱりしていただく必要はあろうかというふうに思います。
次に、漁獲量減少に対するアユ資源への対策について、農政水産部長に所見を伺います。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
引き続き、資源や漁獲の状況を注視いたしまして、必要と判断した場合には人工河川への親魚──親の魚でございますが、親魚の追加放流など、来期以降のアユ資源を確保するための対策を検討してまいりたいと考えております。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)人工河川への追加放流、私は全く素人でございますので、補正予算をつけられて、どんどん追加放流すればいいんじゃないかというような考えであったんですけども、いろいろと調べさせていただくうちに、必ずしも決してそれがアユが増えるということにはつながらないということもございました。バランスを見ながら、その辺しっかり対応していただきたいと。よろしくお願いしておきます。
次に、漁業従事者の育成や支援について、農政水産部長に再びお尋ねをいたします。
昨年11月定例会議の我が会派、井狩議員の代表質問で漁業振興策について問われた中、担い手の確保、育成策として、漁具、漁船の取得等、着業後の支援の充実が課題とされまして、支援策を検討していく旨の御答弁がございましたが、今年度の取組や来年度の計画なども含め、漁業従事者への支援策は講じられているのでしょうか。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
漁業の担い手の確保と育成を目的に、就業希望者向けの漁業研修から着業後の漁具等の取得支援、経営スキルの向上、さらに湖魚販売の実践まで、担い手の経験と意欲に合わせた切れ目のないサポートを行ってまいりたいと考えております。
この中で、特に漁業研修修了者や新規就業者の就業、定着を促進するため、新たに着業支援といたしまして、漁船、漁具等の取得に係る費用や燃料費等の経費を補助するための事業を来年度予算案に計上しているところでございます。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)私どもが代表質問をさせていただいたことが形になったということでございますので、うれしい限りでございます。しっかり支援をお願いしたいと思います。
次に、過去、主に平成28年から29年だったとお聞きしておりますけれども、今期と同じようにアユの不漁に見舞われた年がございました。過去の不漁期においてはどのような取組がなされたのか、また、その効果について、農政水産部長に御答弁をお願いいたします。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
過去におきましては、アユ資源が少ない年には補正予算により、人工河川を活用し、秋の産卵数を増やす取組を行っておりまして、一定の効果を上げてきたものと考えております。
例えば不漁でありました平成29年は、6月の水産試験場の産卵予測に基づきまして補正予算を計上し、人工河川へ放流する親魚を追加する措置を取ったところでございます。その結果、翌年の資源を一定確保することができ、漁獲量は336トンと前年を上回る量となったところでございます。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)ありがとうございます。
先ほどの質問で、予測と違ったということもそうでございますけども、過去の経験、歴史に学んでいただきたいという思いもございます。賢者は歴史に学ぶという格言もございますので、ぜひとも過去の取組を生かしていただきまして、効果をしっかり出せるように、引き続き、お願いしたいと思います。
次に、これまでアユの不漁の原因などについて御答弁いただいてきましたが、アユの不漁が人為的なものでないとするならば、湖の幸として人気のビワマス、ニゴロブナ、ホンモロコ、イサザ、ゴリ、そして、今御紹介しましたコアユ、スジエビ、ハスの8つの魚介類を総じて命名された琵琶湖八珍への影響についても懸念するところでございます。
アユ以外の琵琶湖八珍の食材である水産資源への影響について、農政水産部長の見解をお聞かせください。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
琵琶湖八珍に代表されますアユ以外の魚種に対します昨年の猛暑と秋の河川の高水温の影響は、今のところ、確認をされておりません。
一方で、コロナ禍や魚食離れなどによる需要の低下に起因する漁獲量の減少がアユをはじめホンモロコなどの魚種で見られているところでございます。
琵琶湖八珍をはじめとします湖魚の漁獲量の維持、向上には資源の確保と積極的な需要喚起が必要であると認識しております。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)先日、休日にテレビを見ておりましたら、琵琶湖八珍を取り扱った番組もございました。積極的にPRしていただくことは結構なことかと思いますけども、今、資源不足というものにも危機感を抱いていただきまして、先手先手を打っていただきたいというふうに思いますので、しっかり琵琶湖八珍がこれからも維持できるように、お取組をお願いしたいと思います。
最後に、本県における水産業の展望について、農政水産部長にお尋ねしたいと思います。
琵琶湖のアユは、単に水産資源というだけでなく、琵琶湖の恵みであり、滋賀の魅力の一つでございます。本県で水産業をなりわいとされている方々は滋賀の魅力や琵琶湖に携わる仕事に誇りを持っておられます。そんな方々からは、今、未来に向けての展望が描けないとの嘆きの声も聞かれます。本県における水産業の展望は、県民の皆さんにとってもいずれ切実な問題に直結してまいります。漁業や水産加工を含む滋賀県における水産業の今後の展望についての見解をお聞かせいただきたいと思います。
◎農政水産部長(岡田英基) お答えいたします。
将来にわたり、本県の水産業が維持、発展するためには、水産資源の安定と魅力訴求の双方が必要であると認識しております。
水産資源の安定のため、科学的な資源管理を進めるとともに、確保した資源をしっかりと漁獲につなげるため、担い手の育成や広域での流通、漁業組織の強化を進めてまいります。さらに、びわ湖魚グルメなど、需要喚起のための魅力訴求により一層取り組み、湖魚の付加価値を高め、消費者へ届けていただいております水産加工業や養殖業の振興にもつなげてまいりたいと考えております。こうした取組を通じまして、消費者から選び続けられるように、本県水産業全体の強靱化を図ってまいる所存でございます。
◆1番(谷口典隆議員) (登壇)本県水産業の強靱化、ぜひとも約束していただきまして、お取組をお願いしたいと思います。
所管課が、びわ湖の湖魚グルメや食文化の継承など様々な取組をされていることを評価させていただいております。知事が先日も湖魚に舌鼓を打たれているお姿もニュースで拝見しました。しかし、肝腎の水産資源が枯渇してはセールスもPRもできません。そうならないためにも、将来を見据えた先手先手の取組をお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、1番谷口典隆議員の質問を終了いたします。
次に、2番田中英樹議員の発言を許します。
◆2番(田中英樹議員) (登壇、拍手)自由民主党滋賀県議会議員団、田中英樹でございます。
それでは、一般質問の許可をいただきましたので、通告に従い、地域防災力の充実強化について、一問一答方式で質問させていただきます。
なお、昨日、田中松太郎議員からの質問で同様な質問があり、重なる部分があるかと思いますが、その部分については通告に従い粛々と進めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
元旦に発生いたしました令和6年能登半島地震により、家族や大切な方を亡くされた皆様へ謹んでお悔やみを申し上げます。そして、被害に遭われた皆様へ心からお見舞い申し上げ、被災地の一日も早い復旧復興を心からお祈り申し上げます。
その中において、使命感に駆られ、輪島市消防団の団員が元旦午後4時6分に地震があった後、同居する母親と祖母を家の外に避難させ、自宅の1階で出動するための準備を始め、上着を着てズボンにベルトを通そうとした午後4時10分、2度目の揺れが襲い、たちまち2階が崩落、太い桁に足を押さえつけられ、生き埋めになり、救出されるも息を引き取った。亡くなった消防団員は片手に消防団の活動服のベルトを握りしめたままでした。そんな痛ましいニュースが入ってきました。私自身も消防団の一員として、悲痛な思いと悲しみはもちろんのこと、自身が同じ状況に置かれたときに、まず家族を避難させ、そして、消防団として活動行動をするといった同じ行動が取れるか、考えさせられました。
消防団は地域になくてはならない存在であり、まさに自助、共助、公助の地域防災体制の中心的な存在であり、消防は消防組織法に基づき、市町は、その消防事務を処理するため、消防本部、消防署、消防団の全部または一部を設けなければならなく、その責任が規定されていますし、消防組織法により、消防団は市町の条例により設置された公的な消防機関であります。
また、県の消防に関する所掌事務については、消防組織法第29条等に規定されている、市町の消防が十分に行われるよう消防に関する県と市町との連携および市町相互間の連絡協調を図るほか、消防に関し、13項目の掲げられた事務をつかさどると書かれています。消防団は欠くことのできない組織であり、県としても、その充実強化が図られることが非常に重要であると思います。
そこで、消防団活動につきまして、地域防災力の充実強化の観点からお伺いいたします。
まず最初に、消防団の現状について、知事公室長にお伺いいたします。
○議長(奥村芳正) 2番田中英樹議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事公室長(松田千春) (登壇)お答えいたします。
本県の消防団員数は、国の消防団組織概要調査によりますと、令和5年4月1日現在で8,338人となっておりまして、構成につきましては被雇用者──雇われている方が75.7%、自営業が16.1%、学生が0.46%、その他が4.5%でございます。
年齢構成につきましては、国の消防防災・震災対策現況調査によりますと、令和4年4月1日現在で21歳以下が0.6%、22歳から29歳が5%、30歳から41歳が41%、42歳から49歳が31%、50歳以上が21.5%でございます。
国の消防団組織概要調査によりますと、令和5年4月1日現在で県全体の充足率は88.2%となっております。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)昨日の田中松太郎議員の質問で令和5年度の入団者は何名かの問いで、滋賀県全体で501名であるということでしたが、令和5年度入団者の年齢構成はどのようになっているか、知事公室長にお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
21歳未満が4.6%、21歳から31歳未満が17%、31歳から41歳未満が41.7%、41歳から51歳未満が23.7%、51歳以上が13%となってございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)新入団員においても少し年齢が高くなっているように思います。年々、年齢層が高くなっているように思いますが、若い人を増やすための課題の一つとして、普通免許で運転できる車両重量制限があると思います。消防ポンプ車両は4トンから7トン程度と伺っていますが、道路交通法の幾度の改正により、普通自動車免許で運転できるのは平成19年6月2日以降に取得した方で車両総重量が5トン未満となり、平成29年3月12日以降に取得した方では車両総重量が3.5トン未満とされました。県内の消防団員で3.5トン未満しか運転できない普通免許をお持ちの方は何名おられるか、知事公室長にお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
県内の消防団員で3.5トン未満の車両しか運転できない普通免許をお持ちの方は、国の消防団組織概要調査によりますと、令和5年4月1日現在で172人となっておりまして、消防団員免許保有者数の約2.6%でございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)充足数もどんどん減っていくようなことであるのかなというふうに思いますが、長浜市さんにおかれましては、今年の令和6年度から、今まで2,014であった定数が880名にされるというふうにお聞きしているところでございますし、長浜市さんにおかれましては、現在、1,751名ですかね、その数字か、ちょっと分かりませんが、多分、令和5年だったと思いますが、充足率が86.9%であるというとこら辺で、今回、定数を6年度から変えられることによって、滋賀県全体の充足率を見ますと少しは上がっていくのかなというふうに感じている次第でございます。
次に、女性消防団員の現状について、知事公室長にお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
国の消防団組織概要調査によりますと、令和5年4月1日現在で県内15市町に186名の女性消防団員が在籍しておられ、横ばいで推移しております。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)ありがとうございます。中身はまた後ほど御質問させていただきたいと思います。
続きまして、県内公務員の消防団員の現状について、知事公室長にお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
先ほどの国の消防団組織概要調査によりますと、令和5年4月1日現在で、県内の消防団員のうち地方公務員が688名、国家公務員は49名でございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)平成25年に制定された、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律で盛り込まれました公務員の入団促進についての取組の成果について、知事公室長にお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
県職員に対しましては、定期的に庁内ネットワーク上の職員向け掲示板にて消防団への入団を促しております。
また、市町職員に対しましては、令和元年に消防庁長官より発出されました地方公務員の入団促進等に係る通知を踏まえまして、市町において各種方策を積極的に取り組むよう周知をしております。また、県内市町の中には新規採用職員向けの説明会時に入団を呼びかけたり、職場を巡回し、個別に入団を呼びかけるなどの取組を実施されているところもございます。
こうした取組により、5年前の平成30年4月1日現在と比較いたしますと、公務員の消防団員数は44名の増となってございまして、全体の消防団員数が減少する中で増加しているという状況でございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)ただいまの御答弁で、消防団員が減る中、公務員の消防団員はプラス傾向にあるということでございますが、積極的な県内公務員、県職員も含めてでございますが、消防団に興味のある職員に向けて、例えば入団を促すような相談窓口を設置するなどの取組も大事であるかなというふうに思っております。どうか全庁挙げて、よろしくお願いしたいと思います。
次に、機能別消防分団について、それぞれの能力やメリットを生かしながら特定の消防団活動や時間の許す範囲での活動ができる分団ですが、県内にはどのような分団があるのか、知事公室長にお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
県内では、令和5年4月1日現在で7市町で制度が導入されておりまして、計96名が入団されているところでございます。
その種類につきましては、栗東市の山岳救助や林野火災の際の誘導を行う山林分団をはじめ、大規模災害時に避難所運営の支援をする学生分団員、災害時に外国人の避難誘導を行う外国人団員などがございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)ただいま御紹介いただきました。
私も栗東市に在住しておりまして、平成24年に機能別消防分団として初めて栗東市において森林生産組合さんによる林道災害に特化した機能別消防団員制度が導入されたのかなというふうに思っております。火災時には山の中の道、林道がふだんの消防団員では分からないところをしっかりと御案内いただいて、そういうふうな機能を持った特別な分団と思っております。
そのほか、県内外で特色ある機能別分団や特色ある消防団活動はあるのか、知事公室長にお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
まず、県外では愛媛県松山市におきまして、郵便局員を災害情報の収集、危険箇所の巡視などに限定した機能別団員として採用されております。
特色のある消防団活動を行っている事例といたしまして、県内では、彦根市消防団で大規模災害時における情報収集などを目的にしたバイク隊があるほか、近江八幡市消防団沖島分団では消防団で消防艇を保有されておりまして、消防本部の消防救急艇が点検などで使用できない場合、消防団員が傷病者を堀切港まで搬送する場合があるということでございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)ありがとうございます。
松山の郵便局のそういうふうな機能別分団があるということですし、滋賀県でも導入できないのかなというふうに思いますし、これは各市町がやっておられることなんですが、残念ながら栗東市は琵琶湖に面していないんですが、例えば水上バイク隊なんていう、そういうふうな分団もあるそうでございまして、水や水難事故の救助など、通常の消防団では活動が困難を極める水害現場で活動されておられたり、本当に琵琶湖を有する滋賀県ではかなり有効な機能分団になり得るかもしれませんが、琵琶湖に面した市町におかれましては、そういうふうな御披露、ならびにそういう推進を図っていただきますようにお披露目いただければいいのかなというふうに思っております。
消防別機能分団のメリットとしましては、急な呼び出しもなく負担も少ないと。また、その道のエキスパートを確保できることがあったり、一般団員の負担が軽減されることによって一般団員の増加にもつながっていくのではないのかな、また、機能別消防団員が一般の団員に転換していただけるような、そういった事例もお聞きしておりますので、ぜひまた、この機能別消防分団、団員の増強に向けて、本県としても取り組んでいっていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、団員確保が課題であるとは思いますが、消防団員の確保に向けた県での取組状況について、知事公室長にお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
消防団は、消防組織法に基づき、市町が設置するものでございますが、県としては機能別消防団員の導入支援のための市町職員向け研修会、消防団協力事業所表示制度、学生消防団活動認証制度の各市町への導入促進、消防団応援の店事業を実施しているところでございます。
また、びわ湖放送やFM滋賀、県公式SNSにて消防団の使命、役割を発信し、消防団の担い手確保に努めております。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)引き続き、よろしくお願いしたいと思いますし、今の消防団員なんですが、高齢化ならびに地域を離れて仕事を持つサラリーマン団員の増加による即応態勢への不備が指摘されているところでございます。さらには遠方に勤める方が増えているという、そういった現状の中で、また、急速な少子高齢化や過疎化による人口減少に伴う影響も懸念されるところであると思います。
次に、女性や学生等の参加を促進する取組について、知事公室長にお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
2019年度に聖泉大学看護学部の学生から成る聖泉大学防災サポーターチームは、彦根市消防団機能別分団となりまして、彦根市消防団の一員として活動を開始され、防災訓練、救急フェア、火災予防啓発活動など市の行事にて活動されております。
限られた時間の中で自分の得意分野を生かして活動いただける機能別消防団員制度の導入支援のための市町職員向け研修会を令和2年度から実施することによりまして、女性や学生等の参加を促進しております。
また、令和3年度から、女性をはじめとした消防団員の担い手育成を目的とした講習会を実施いたしまして、女性の消防団活動への参加を推進しております。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)大学生、大学院生、専門学校生等の消防団員、いわゆる学生消防団員の数は令和5年4月1日現在、全国では前年に比べ850人増加し、6,562人となっています。消防団員数が減少する中、学生消防団員の数は増加傾向にありますが、県内の状況について、知事公室長にお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
本県の学生の消防団員数は、例えば大津市や彦根市では市内に立地する龍谷大学や聖泉大学と連携いただき、学生による機能別消防団員、分団制度を導入するなどの事例も見られまして、令和5年4月1日現在で、平成30年と比較して15人増加の39人でございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)こちらもそういう学生の団員が増えていくというふうな傾向にあるかと思いますので、引き続き取組、こちらのほうもよろしくお願いしたいと思います。
女性団員については、平日の日中、男性の消防団員が地元を離れて勤務されておられる団員が増える中、初期消防や救護が必要であり、能登半島地震では避難所運営でも女性視点での重要性が報じられていることから、今後ますます女性団員の増加や活動の輪が広がることが期待されると思います。女性に関心を高めていただけるような取組を行い、入団支援をお願いしたいところでございます。
学生に対しましては、未来の活動はもちろんのこと、中心的な役割を担い、活躍が期待できるところでございますので、積極的な支援をお願いいたします。
次に、団員確保以外に、現在、県下の消防団が抱える課題について、県はどのようなことがあると認識しておられるか、知事公室長にお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
担い手確保が、やはり最も大きな課題であるとは思いますけれども、これに付随いたしまして、高齢化に伴う現場活動における負担の増加、あるいは世代交代のサイクルがうまくいっていないということを推測しております。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)ほかにもないのかなというふうには思うところでございますが、その課題に対しまして、消防団に対する支援策について、国、県からどのようなものがあるか、知事公室長にお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
消防団員の負担軽減策といたしまして、消防操法訓練大会について、令和4年度より開閉会式の簡略化を図るなど、負担軽減に取り組んでおります。
また、総務省消防庁は、消防団員の処遇の改善を図るため、令和3年度に消防団員の報酬等の基準を策定し、年額報酬3万6,500円、出動報酬1日当たり8,000円を標準とする通知を発出したところでございます。
県といたしましては、基準を満たしていない市町に対しまして、引き続き、処遇改善に必要な情報を提供しております。
また、消防団の車両および資機材につきましては、車両無償貸付制度や補助金によりまして総務省消防庁が支援しているところでございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)報酬の話も出たんですが、私はお金じゃないのかなというふうには思っていますし、準公務員であるということで、ボランティアではないのかもしれませんが、私は、報酬で、多分、誰も活動されている方はいらっしゃらないと思いますし、また違った形でしっかりとした御支援、資機材の充実であるとかそういうことに向けて、県として何か補助をしていただけたりとか、それぞれの消防団員さんの地位向上のために、しっかり消防団活動、そして地域の安全・安心のために活動していただいているような、そういうふうなPRを県としてはしっかりやっていただいて、消防団員の確保も含めて、現職の消防団員の方の地位向上に努めていただければなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、消防団協力事業所表示制度の狙いについて、知事公室長にお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
本制度は、勤務時間中の消防団活動への便宜や従業員の入団促進など、事業所としての消防団への協力が事業所の社会貢献として広く認められるものでございます。令和5年4月1日現在、11市で制度を導入されておりまして、計118の事業所が認定を受けておられます。
この制度によりまして、企業等の理解、協力を得ることで仕事と消防団活動の両立が可能となり、担い手の確保につながることを期待しているところでございます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)次に、滋賀県消防団応援の店の状況について、知事公室長にお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
消防団応援の店とは、地域を挙げて消防団を応援する機運の醸成および消防団活動に対する理解の促進を目的としておりまして、消防団を応援する事業所および店舗などが県内の消防団員およびその家族に対し、優遇サービスを提供していただいているものでございます。消防団応援の店事業の登録店舗数につきましては、令和6年──本年1月末現在で666店舗、登録いただいております。
平成28年度よりびわ湖放送「しらしがテレビ」で制度や店舗の紹介をしておりまして、引き続き、消防団への加入に向けて機運醸成に努めてまいりたいと考えております。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)少しお触れいただいたんですが、滋賀県消防団応援の店について、今後の拡充についてのもう少し踏み込んだお考えがあるのか、知事公室長にお伺いしたいと思います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
今回、こういう形で消防団員の活動などについて質問の形で御紹介させていただけるということで、より理解が広まるいい機会になればというふうに考えております。
県といたしましても、地域と地域防災力を高める、あるいは消防団と地域をつなぐものの一つとして応援の店の事業もあるかなと思っておりますので、より広がるように周知に努めてまいりたいと考えております。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)私も消防団員カードを持っていまして、掲示使用の許可を得ていないので、いつも携帯しているんですが、どこでもいつでも使えるように。なかなかそのお店を探すのも、ホームページ等を見て探していかないといけないということでございますし、しっかりと、今、665の店舗、徐々に増えていっているのかなというふうに思いますが、拡充、充実に向けて、よろしくお願いしたいと思います。
今まで消防団に関する質問は、木沢議員はじめ駒井議員、そして目片議員、そして、消防団員である井狩議員などがいろんな場面で質問されたり、昨日は田中松太郎議員が質問されておられましたが。
最後になりますが、消防団の充実強化、活性化を一層に推進し、現職の消防団員が使命感と誇りを持って活躍でき、みんなが消防団に入団したくなるような組織づくりについて、所見を知事にお伺いしたいと思います。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
消防団は消防組織法に基づき市町が設置されるものでございますが、県といたしましても、消防操法訓練大会における負担軽減など消防団を支える各種取組により、消防団の加入促進に向けた機運の醸成に努めているところです。また、消防団員にやりがいを持って継続して活動していただくためには、家族や地域住民に消防団活動を理解していただくこともとても重要だと考えます。
豪雨災害の頻発化、南海トラフ巨大地震の発生が危惧される中、1月に発生した能登半島地震を受け、消防団の重要性を改めて認識しております。地域防災力の要である消防団が地域防災の中核となるよう、充実強化に努めてまいりたいと存じます。
◆2番(田中英樹議員) (登壇)知事のほうにもそのような認識を持っていただいているということでございますので、今やっておられる消防団員さんは本当に使命感と誇りを持ってやっていただいていると思いますし、私もやっていますし、そういった中において、しっかりと応援もしていただきたい、そして、「消防団員さん、頑張っていただいているな」とみんなに言ってもらえるような、そういうふうなPRというか、もちろんその中にいる者がしっかりとやらないといけないわけですが、県としても取り組んでいただきたいと思います。
冒頭に輪島市消防団の団員さんのお話をさせていただきましたが、本当に痛ましいことで悲しくなることばかりですが、そういった気持ちで、それぞれ県内の消防団員皆さんがそういう使命を持ってやっておられると思いますので、今後とも、また県としても、一層の取組と御支援をよろしくお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、2番田中英樹議員の質問を終了いたします。
しばらく休憩いたします。
午前11時59分 休憩
────────────────
午後1時 開議
○副議長(有村國俊) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
次に、8番野田武宏議員の発言を許します。
◆8番(野田武宏議員) (登壇、拍手)チームしが 県議団、野田武宏です。よろしくお願いします。
それでは、通告に従いまして質問させていただきます。
まず、本年1月1日に起きた能登半島地震で亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、御遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。また、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
さて、既に240人を超える方が亡くなっている能登半島地震ですが、2016年の熊本地震では、地震が直接の死因となった方が50人であった一方、約4倍以上の218人の死因は避難生活中の心身の不調や負担といった災害関連死となっています。つまり熊本地震の死者のうち実に8割が災害関連死ということが明らかになっています。
また、その5年前、2011年には東日本大震災が発生、昨年3月の時点で死者と行方不明者は合わせて2万2,212人に上り、そのうち3,789人が災害関連死で亡くなっています。この震災の翌年、2012年1月に文部科学省では、福島県と仙台市立校を除く宮城県で避難所として利用された学校525校を対象に、避難所となったことによる課題についての調査を実施しました。その中で、避難所で問題となった施設や設備を聞いたところ、給水、上水設備や暖房設備を抜いて最も高かったのがトイレという結果になっています。
能登半島地震でも、56歳の女性が息子と避難所の小学校で合流できたものの、水の流せないトイレには汚物がたまり、トイレを我慢したが、耐えることができず、翌日に被災している自宅に戻ったと報道が伝えるほど避難所のトイレの状態は劣悪です。
本県からも避難所運営支援には202名と多くの職員が今回の被災地支援に向かったことで、現地のトイレ環境については既に多くの関係者の耳に入っていると思いますが、報道などでは、尊厳を傷つけられるほど劣悪な環境にある被災地のトイレは、夜間では犯罪リスクすら含んだ実態があると仄聞しています。
このように様々な問題が重なり、トイレを我慢するために水分摂取を控えてしまうと脱水症状につながり、血栓が出来やすくなってしまうのでエコノミークラス症候群で亡くなる方が出てきます。また、口の中の水分が不足することで口内細菌が増加し、誤嚥性肺炎となり、亡くなる方も少なくありません。当然ながら、排せつを我慢することで便秘となり、循環器疾患にもつながるなど、熊本地震時の死因8割となる災害関連死と大きくつながっているのがトイレです。つまり、災害時におけるトイレ問題は命の問題と言っても過言ではありません。
今回、能登半島地震を経て、トイレトレーラーの予算が導入されたことは三日月知事の思いがあってのことかと思いますが、トイレトレーラー導入の目的を知事に伺います。
次に、トイレトレーラーの運用に際しては、その大きさから軽トラ型のトイレなどを活用するほうが道路寸断時などに運用しやすいのではないかという声も聞こえてきます。車両通行の問題に対する考えを知事公室長に伺います。
次に、トイレトレーラーの効果について伺います。
全国の19市町と、都道府県では群馬県が導入しているトイレトレーラーですが、富山県魚津市と福島県棚倉町が納車待ちで、全国22自治体のネットワークが出来上がっているとのことです。今回の震災で、滋賀県のカウンターパートとなった石川県能登町には、都道府県では初めて導入された群馬県のトイレトレーラーが派遣されていたと仄聞しています。
そこで、実際にトイレトレーラーが運用されている現状を見てきた活用事例と併せて、トイレトレーラーを導入することによって想定している具体的な効果を知事公室長に伺います。
トイレトレーラー購入後、災害時の派遣に至るまでの間、防災カフェなどの活用を検討していると、昨日の清水ひとみ県議の質問に対する答弁がありました。防災カフェをはじめイベントの機会を有効に活用し、県民の皆様が災害時のトイレ対策に一層関心を持ち、自分事として捉えていけるように活用した催しを行っていきたいとのことで、防災意識向上という点からも大いに期待しています。
また、能登町に設置されていた群馬県のトイレトレーラーは、車体に群馬県のマスコットキャラクターであるぐんまちゃんが描かれていたことから、避難所の子供たちを中心に、「ぐんまちゃんに行ってくる」と親しみを持って呼ばれていたと仄聞しています。
イベントなどを通じて、かわいい、格好いい、使ってみたいという純粋な子供たちの思いから親しみを持ってもらうことで、大人も巻き込んだ県民の防災意識向上につながることにも期待しますが、既に導入されている自治体はマラソン大会や花火大会などのイベントでも活用を行っています。
一方で、平時に活用する際に気になるのが運用方法です。そこで、イベント時の運用方法やイベント活用時に災害が発生した場合のルールづくりが必要かと思いますが、現時点で想定している平時の運用方法について、知事公室長に伺います。
次に、費用面について伺います。
通常のトイレトレーラーについては、その費用が1台当たり約2,800万円と仄聞していますが、今回、1台約3,600万円で計上されている理由を知事公室長に伺います。
既に導入されている自治体では、国の事業やクラウドファンディングを活用することで自治体負担を減らしている事例が多く見られます。本年1月にクラウドファンディングを終了したばかりの富山県魚津市では、目標額600万円のところに約1,170万円の寄附が集まりました。また、4年前ではありますが、2020年12月に終了した千葉県君津市のクラウドファンディングでは、目標金額500万円のところに、その3倍近い約1,480万円の寄附が集まっています。
そこで、クラウドファンディングだけでなく国の緊急防災・減災事業債の活用について、現時点で、これらを活用するお考えがあるか、知事公室長に伺います。
○副議長(有村國俊) 8番野田武宏議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)トイレトレーラーについて、私に賜りました御質問にお答えいたします。
能登半島地震の被災地では、広い地域で断水が長期化したことなどにより、避難所におけるトイレの問題が改めて顕在化したところでございます。
これを受けまして、県といたしましては、トイレを含めた避難所の衛生環境の在り方について、市町とともに検討していく必要があると考えているところです。
たちまちの備えとして、ライフラインの復旧状況などに関わらず利用でき、また、長期の使用でも衛生状態を維持できるトイレトレーラーを導入し、市町の取組を補完していきたいと考えているところでございます。
◎知事公室長(松田千春) (登壇)6点の御質問のうち、私に5点頂きました。お答えいたします。
1点目の、車両通行の問題でございますけれども、御質問にある軽トラ型の車載式のトイレといいますのは、機動性がある一方で、積載できるトイレの数が少ないというデメリットもございます。災害時には様々な選択肢を備えておくことが大事であると考えておりますので、機動性のほか、運用面での効率性、利便性などを総合的に勘案して、トイレトレーラーの導入を検討してまいりたいと考えております。
2点目の、活用事例と想定している効果でございますけれども、能登半島地震の被災地では20を超えるトイレトレーラーが避難所で活用されているのを派遣した職員が確認しております。
トイレトレーラーは、仮設トイレと比べまして機動性に優れているとともに、一定の広さや設備が確保されていること、バリアフリー仕様により誰もが快適に使用できること、断水している場合でも衛生的に使用できることといった面で、日常に近い状態でトイレの使用が可能になることが効果であると捉えております。
3点目の、平時の利用方法についてでございますが、導入予定のトイレトレーラーには啓発を促すラッピング、外側にラッピングを予定しておりまして、多くの人の目に留まる場で活用することを通じまして、広く県民に災害時におけるトイレ問題の啓発を図りたいと考えております。このため、公園やイベント会場などでの設置をはじめ、市町での導入の機運醸成にもつなげたいと考えておりまして、平時においても有効に活用できるよう、ルールづくりも含めて検討してまいりたいと考えております。
4点目の、1台当たりの費用についてでございますが、提案している予算案では、車両本体、附属品、車検等の諸経費などの標準的な費用に加えまして、高齢者や障害者など配慮を要する方でもお使いいただきやすいよう、バリアフリー仕様として車椅子用の昇降機などを設置する改造費用を含んでいるところでございます。
5点目の、来年度当初予算案で計画しているトイレトレーラーの導入に当たりましては、議員からクラウドファンディングの活用についても御提案いただきましたけれども、国の緊急防災・減災事業債の活用が可能でございまして、また、県として、この起債を充当し、着実に導入に向けた準備を進めてまいりたいと考えているところでございます。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございました。車椅子用の昇降機をつけるということで、福祉に優しい滋賀県のトイレトレーラーにとてもふさわしいものになっていくのかなと思います。
今お答えいただいた中で、最後のクラウドファンディングについて、もう一度、現在どのようにお考えか、お聞かせいただけないでしょうか。
○副議長(有村國俊) 答弁者は。
◆8番(野田武宏議員) 知事公室長、お願いします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
クラウドファンディングにつきましては、歳入確保の面で効果があるだけではなくて、広く県民の皆様の参加を募ることを通じまして防災意識の向上に資する面もあると考えております。防災対策を進めていく上で、どの事業に活用するのがふさわしいのかも含めまして、一度、先行している自治体の事例なども情報収集してみたいと考えております。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
避難所では、汚いトイレを1度だけ使い、そのときだけ我慢するのではありません。避難生活が続く間、継続して使わなければいけないことが、和式トイレに慣れていない子供や足腰が弱い高齢者にとってちょっとだけトイレを我慢しようにつながり、亡くなってしまう方を増やしていく要因となります。
また、災害時のストレスから生理不順や不正出血を起こしやすくなる女性にとって、荷物を置けないところや暗く狭いトイレで生理に対処するのは容易なことではないはずです。
例えば高齢者や子供、要支援者など、助けが必要なところをサポートする仕組みがない場合や、建物の耐震状況など、その脆弱性に大きな自然現象が重なることで災害が発生します。だからこそ、その仕組み1つでは災害をゼロにすることができなかったとしても、災害の中で亡くなる方を1人でも減らし続けることを目指していく必要があると考えます。
今回のトイレトレーラーがその旗振り役になることを期待し、よりよい活用方法や購入方法をさらに御検討いただきながら、県内の先進事例として進んでいってほしいことをお伝えして、次の質問に移ります。
30年ほど前まで我が国では、「24時間戦えますか」とCMで歌われるなど、1日の大半を働くことに費やす、働くために生きるジャパニーズビジネスマンが当たり前でした。しかしながら、平成27年には大手広告会社の新入女子社員が過重な業務によって心身を病み、自ら命を絶ったことが大きな話題となり、そこから4年たった平成31年4月には働き方改革関連法が施行され、時間外労働の上限規制、年次有給休暇の取得義務など、いわゆる働き方改革が本格的に動き始めました。
一方で、同年8月、アメリカの企業が世界主要40都市を20個の要素で総合評価し、ワーク・ライフ・バランス状況をランクづけするワーク・ライフ・バランス都市別ランキングを公開しました。1週間当たりの労働時間で、東京は42.1時間と22番目に長く、38.9時間と最も短かったノルウェーのオスロとは約3時間もの違いがありました。また、1週間当たりの労働時間が48時間を超える割合でも、東京の20%に対してオスロは4%と5分の1しかありませんでした。結果、ワーク・ライフ・バランス都市別ランキングにおいて、東京は下から2番目の39位と、世界と比較して我が国は労働時間が長く、休みが少ない、つまり仕事と生活の両立が難しいという現実から働き方改革がスタートしていったことが分かります。
少子高齢化が進展し、労働力人口が減少している中で、世界的にも重要視されているワーク・ライフ・バランスを高めることは本県の活性化実現にもつながると考えます。
働き方については昨日も多くの質問がありましたが、働く視点からの改革が一定進んできた中で、勤勉で、与えられた規則を正しく守ると言われる日本人の特性から、休みを生み出していくことを中心とした休み方改革について、県民全体のワーク・ライフ・バランスの充実と生産性向上による地域経済の活性化の実現を目指すために取り組んでいる愛知県のデータを参考に伺います。
まず初めに、本県職員における有給休暇取得率について、総務部長に伺います。
◎総務部長(東勝) (登壇)お答えをいたします。
知事部局における令和4年の有給休暇の平均取得日数は11.6日でございまして、これを通常の1年当たりの付与日数であります20日で除して算出をいたしました場合の有給休暇取得率は58.0%となるところでございます。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
次に、県内企業における有休取得率について、
商工観光労働部長に伺います。
◎
商工観光労働部長(林毅) (登壇)お答えいたします。
令和4年県の労働条件実態調査によりますと、県内民間事業所におきます労働者1人当たりの平均付与日数は16.6日、平均取得日数は9.9日で、平均取得率は59.8%という状況でございます。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)双方とも6割には満たないということでお答えいただきました。
一般的に休みが発生し、労働時間が減るということは生産性が落ちるというイメージもありますが、愛知県で公表されているデータによると、有給休暇取得率が高い産業は労働生産性が高い傾向が見られ、休みを取れることで仕事をする意欲につながっているとも受け取ることができます。
世界の大手総合旅行ブランドであるエクスペディアが令和3年に行った有給休暇の国際比較調査によると、日本の有休取得率が60%だったのに対し、ドイツは93%でした。先日、大きなニュースにもなりましたが、日本はドイツにGDPで抜かれてしまったことからも、有給休暇の取得率の高さが労働生産性を下げることに大きくつながっているということではないことが改めて分かります。
また、愛知県のデータでは有給休暇の取得率と離職率にも一定の相関がみられ、有給休暇取得率が高い産業は離職率が低い傾向が見られます。
次に、県内の観光目的客50%以上の宿において、コロナ禍前である平成31年1月から令和元年12月までの月の客室稼働率が最も低い月と最も高い月について、
商工観光労働部長に伺います。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
観光目的客50%以上の宿におきます客室稼働率につきましては、観光庁宿泊旅行統計調査によりますと、コロナ禍前の平成31年1月から令和元年12月までの1年間のデータにおきましては、全国では8月が最も高く、63.7%となっており、1月が最も低く、46.8%となっております。
本県におけます同期間の客室稼働率は、同様に8月が最も高く、62.8%となっており、1月が最も低く、33.5%となっていたところでございます。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
続いて、県内企業における完全週休2日制度の採用状況について、
商工観光労働部長に伺います。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
令和4年県労働条件実態調査によりますと、県内民間事業所におきまして完全週休2日制を採用しております事業所の割合は40.0%という状況でございました。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
今の点なんですけど、従業員の希望別での状況もお聞きしたいと思います。
商工観光労働部長に再度お聞きいたします。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
今ほどの調査によりますと、企業規模300人以上の事業所では46.6%、300人未満の事業所では38.3%でございまして、規模が小さいほど割合が低下する傾向にございます。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
企業の規模が小さくなると完全週休2日の割合が減り、休みが少なくなる傾向が分かりました。
休みが少ない企業にこそ有給休暇が活用できるようにしていく必要があるのではないでしょうか。
また、国内の旅行をする際に、なるべく長い休みを取って出かけたいと考えるのが一般的で、愛知県の作成した、宿泊を伴う国内旅行の出発日に関するデータによると、土曜日に出発する割合が17.8%と最も高く、日曜日と祝日を合わせた16.1%が次いで2番目となっていることが分かります。一定の曜日に対して、旅行に関しても集中が見られます。
そこで、本県における平日、土曜日、日曜日に働いている人について、それぞれの割合を
商工観光労働部長に伺います。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
総務省の令和3年社会生活基本調査によりますと、県内の有業者のうち、平日、仕事をしている人の割合は81.7%、土曜日は41.6%、日曜日は27.3%という状況でございました。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
当たり前と言えば当たり前なんですけど、平日には約8割もの人が働いているということで、多くの人が働いている平日に休みを取ることで旅行時の集中を分散することにつながります。例えば1年で客室稼働率が最も低いと先ほどお答えいただいた1月の平日に有給休暇の取得が進めば、県民のワーク・ライフ・バランスの充実に加え、生産性向上による地域経済の活性化の実現にも結びつくのではないでしょうか。特に休日の割合が少ない中小企業の有休取得は大きな効果を生むと考えられます。
愛知県では、有給休暇の取得を推進するに当たり、県内の中小企業を対象に、積極的に推進している企業を奨励する休み方改革マイスター企業認定制度を実施しています。この制度では、平均年次有給休暇取得率等に応じて、ブロンズ、シルバー、ゴールドの3区分で認定したり、知事表彰やハローワークの求人票に認定企業の表示、建設工事の入札参加資格における優遇など、認定区分に応じて様々な優遇措置を受けることができます。
民間企業、特に中小企業における本県の有休取得率をさらに向上していくために、このような仕組みを創設すべきと考えますが、
商工観光労働部長に伺います。
◎
商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
本県では、ワーク・ライフ・バランス推進企業登録制度を設けまして、有給休暇の取得促進などワーク・ライフ・バランスの実現に自主的に取り組む企業を広く紹介するとともに、入札、公共調達での優遇措置を講じているところでございます。
有給休暇を取得しやすい環境は、心身の疲労回復やリフレッシュ効果により仕事、生活の質を高めるとともに、企業におきましては人材の確保、定着にもつながりますことから、愛知県の取組についても研究し、さらなる取得率向上に向けた施策の一つとして検討してまいりたいと考えております。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
有給休暇取得をしやすい環境づくりを進めることは、以前、川島県議から、ある意味、子供の有給休暇と提案があったラーケーションの導入ともつながり、大人と子供、相互に休みを取る環境を生み出し、子供が学びながら大人と一緒に過ごす時間を生み出していけると考えます。大人と子供が、平日、一緒に休むことで旅行の出発曜日や時期をずらし、混雑を避けることにもなり、より満足度の高い休暇にすることができます。あわせて、宿泊稼働率が低い時期の宿泊客確保にもつながります。
また、愛知県では県内の公立の幼稚園、小中学校、高校、特別支援学校を対象に11月21日から27日までを県民の日学校ホリデーとし、期間中1日を選択し、休業日としています。これは、家庭や地域における体験的な学習など多様な活動の充実を図るために独自の休校日を定めることができる学校教育施行令第29条の体験的学習活動等休業日によるものです。
県民の日学校ホリデーの活用は、子供の休みに合わせて大人の休みを生み出していくきっかけにもなるもので、保護者と子供が一緒に過ごせるよう、愛知県からは県内経済団体を通じ、これに合わせた有給休暇取得推進を呼びかけています。ただ、ラーケーションもそうですが、様々な事情から取得が難しい子供たちの居場所づくりも併せて考えていく必要は言うまでもありません。
本県では、平成29年1月の新年挨拶で三日月知事から話があった、びわ湖の日を県民の休日にする話など、休日を生み出すことに対する前向きな動きは以前にもありました。入り口の角度は異なりますが、びわ湖の日を県民の日学校ホリデーのように体験的学習活動等休業日で休校し、有給休暇取得を生み出すことは、琵琶湖への思いを多くの県民で共有していくことにつながるのではないかと考えます。
7月1日のびわ湖の日や9月29日の滋賀県誕生の日、またビワイチ週間など、県として、子供や大人の休みを生み出していくきっかけとして活用できる記念日はたくさんあるのではないでしょうか。
働き過ぎと言われる日本人が子供と過ごす時間を積極的につくるためにも、体験的学習活動等休業日の活用や有給休暇が取りやすい仕組みづくりを県として進めていくこと、有給休暇の取得を推進することで県民全体のワーク・ライフ・バランスの充実と生産性向上による本県の活性化の実現につながると考えますが、これら休み方改革を本県で進めることについて、知事の考えを伺います。
◎知事(三日月大造) 働き方改革は休み方改革でもあると思います。働く人一人一人、多様な休み方を選択し、充実した余暇を過ごすことは生活を豊かにするだけではなく、仕事の質も高め、ワーク・ライフ・バランスの充実につながるものと認識しておりまして、本県においても、基本構想が目指します未来へと幸せが続く滋賀の実現のため、いわゆる休み方改革を、ラーケーションを含め、経済団体や労働団体、教育関係者等とともに進めていく必要があると考えているところでございます。
このため、本県での導入に向けて、2月上旬には担当職員が先進的に取り組まれている愛知県を訪問いたしまして、取組状況や課題等についてヒアリングもさせていただいたところでございます。愛知県では、現在、県民の皆様方へのアンケート等による取組の検証が行われているということでございます。
今後、まずは庁内関係課で検討する場を設けたいと思います。愛知県でも、例えば休めない御家庭の問題ですとか、休むと収入が減るという課題、さらには子供の学びの進捗をどのように見ていくのかという、こういった課題が様々あるようでございますので、愛知県での取組の検証結果や、休み方改革と関連する本県における働き方改革の取組成果や課題等を踏まえて検討を進めてまいりたいと存じます。
◆8番(野田武宏議員) (登壇)ありがとうございます。
先日の我が会派の代表質問で、男性職員の育児休業について伺ったところ、令和4年3月に男性職員の育児休業100%宣言を行ったことや、育休職員を支える職員への適切な評価の実施などの取組を強化したことなどをお答えいただいた上で、令和5年12月時点の育児休業取得率は75.3%と大きく向上したが、取得者のうち5.5%は1週間以内と、まだまだ取得期間が短い例が見られるという答弁を頂きました。
県庁内でも家族のために長期の休みを取ることはまだまだ難しいのが現状で、特に人数が少ない課などによっては休暇を取る際の自分の仕事を託す相手を探すのも難しい状況ではないかと思います。
また、次年度予算を作成する時期からこの2月に至るまでの間だけを見ても、県庁内で、特に答弁をされる皆さんは一層休みが取りにくい状況となって、休みを取れる時期が短縮されてしまうということが予想されます。仕方がないと言えばそれまでなんですが、その言葉の行き着く先にはワーク・ライフ・バランスを重視する若者の公務員離れにもつながっていくのではないかと考えています。
県庁内で一層、休みが取りやすい環境をつくるためにも、離職率を防ぐためにも、そして、県内の活性化を進めていくためにも、ワークシェアを部局を横断して考えていくような仕組みが必要かと考えますが、知事のお考えを伺います。
◎知事(三日月大造) 先ほども申し上げたように、総体的に、今おっしゃったことには私は同意いたします。
働き方改革は休み方改革にもつながります。この休み方というものをより柔軟に、そして、様々な選択肢が広げられる形で取得可能にすること、これは雰囲気も含めて、体制も含めてということでございますが、そのことは能率向上にもつながるでしょうし、また、魅力向上ということにもつながるでしょうし、いろんな意味で、三方よし、四方よしの効果というものも得られるのではないかと思います。
ただ、そのことがすぐに全てかなうわけではありませんので、どのような形で行っていくのか、また、伴う弊害や課題をどのようにみんなで乗り越えていくのかという、こういう議論も必要だと思いますので、そこは、先ほど申し上げたような、県庁だけではなくて民間企業を含めた県全体の取組と併せて、県庁内の取組についても丁寧に議論をしていきたいというふうに思います。
◆8番(野田武宏議員) 終わります。(拍手)
○副議長(有村國俊) 以上で、8番野田武宏議員の質問を終了いたします。
次に、28番海東英和議員の発言を許します。
◆28番(海東英和議員) (登壇、拍手)通告に従いまして、まず、能登半島地震に学ぶ防災力の強化についてを分割方式にて御質問申し上げます。
まず、今回の地震で犠牲となられた方々の御冥福をお祈りし、被災された皆様にはお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧、復活を念じます。そして、苛酷な環境の中で献身的な救済救援のお働きに対し、深甚なる敬意をささげます。
能登半島地震は、高齢化が進み、耐震補強されていない木造住宅が多い地域事情や道路の寸断による孤立、限られた道路によるための流通回復が遅れるなど、滋賀県の北部地域と共通する課題が多く、教訓に満ちていると感じます。さらに、積雪地域でもあり、柱なども太く、阪神・淡路大震災の木造住宅とは強度が違うと思ってきたところもありましたが、今回の能登半島地震では、1秒から2秒周期の地震動により、柱が太くても倒壊した家屋が非常に多く発生しました。
能登半島地震の教訓について取りまとめをされていることに敬意を表します。ただ、いつ地震が襲うかもしれないことを思うと、一刻も早い対応のバージョンアップが期待されます。
多くの議員が御質問なさっていますので、なるべく重ならない点について質問をさせていただきます。
1、滋賀県において琵琶湖西岸断層は危険度Sランク、30年以内の地震発生危険度3%以上に匹敵し、関西でも特に危険な3つの断層であることは県も何度か発表されてきました。今回の能登半島地震は、20キロ離れた断層と連動したことが報告されており、危険な琵琶湖西岸断層の南部と北部に加え、葛川や朽木谷を走る花折断層と連動があるとマグニチュードは7.5となることを考える必要が生まれました。そうなると、琵琶湖沿いの地域だけでなく、国道367号の大津の葛川地域や高島朽木地域など山間部も道路の寸断で孤立することを前提で対策を考えておくことが不可欠であると考えます。断層が最大6メートルから8メートルずれるという想定に対し、県の見解はどうでしょうか。
2、道路寸断による孤立のパターンを具体的にシミュレーションすることが必要ですが、これまでとこれからの取組状況を説明してください。
3、また、孤立集落にはドローンで物資の輸送も可能な時代になってきています。農業用の薬剤散布用ドローンなら9キロ、ヤマハとかヤンマーの無人ヘリコプターなら30キロも自動運転で運べます。これらの活用も平時に実験をしておくことができると思いますが、いかがでしょうか。
具体的には、県道麻生古屋梅ノ木線の沿川集落は台風等で頻繁に孤立、停電が発生しています。また、積雪による孤立集落救済も湖北地域には現実にある問題です。例えば高島市朽木生杉をはじめとする何度も孤立してきた集落や地域をモデルにして、ドローン技術などを使って実際に物資輸送などを定期的に実験されることに意義があると考えます。防災計画の見直しに際して盛り込んではいかがでしょうか、お尋ねします。
4番、加えて、万博の空飛ぶクルマも4者が展開されます。琵琶湖の上は実験、実用化に最もふさわしいのではないでしょうか。観光と防災の観点から積極誘致、意欲的なアプローチを考えていってはどうかということを考え、お尋ねします。
5番、また、琵琶湖からの救援について、先般の知事との政策協議の場で、琵琶湖西岸に県が管理する港がないことについて、災害時に公の港だ、民間の港だと言ってはいられないので、県が防災の観点からも港の問題に真剣に向き合うべきと指摘がありました。これは長年申し上げていますが、民間施設であっても災害時に貢献が期待される港湾施設は国の支援も織り込めるように、制度がなければ、国に提案して、災害に対応できる整備が待たれます。知事は担当課に検討を命じるとお答えになりました。いつまでにどのような方向で検討を命じられましたか、知事にお尋ねします。
令和元年9月議会で、うみのこを災害時に派遣する話をお尋ねしましたが、シャープな回答はありませんでした。災害時は、琵琶湖の上は安心度が高いと思います。校外学習や観光を言っている場合ではありませんので、うみのこやビアンカを救援船として差し向ける約束を県民と共有することは大きな安心につながると思います。滋賀ならではの災害対策であります。フロート桟橋は100平方メートル220万円でインターネットで売っています。4年半の検討で見いだされた対応について問います。
7番、木造住宅の倒壊問題は能登半島地震の最大の教訓ではないかと思います。伝統的な滋賀県の木造住宅に対して耐震補強の処方箋を示せるように研究は進んだか、お伺いします。
8番、倒壊した住宅に住む人々が地域に残るように、地域の消滅につながらないように、個人住宅に300万円の支援金を支給することに加え、今回限りと、300万円を上乗せする制度が執行される見込みですが、倒壊する前に耐震補強等に助成をして倒壊を防ぐほうが賢明な政策であることは疑いの余地がありません。このことについて滋賀県はどのようにお考えか、お伺いします。
9番、特に南側に縁側を配置して、開口部の広い四つがらみとか四つ住まい、田の字型住宅と言われる滋賀県に多い木造家屋の場合、どのような工法が効果的なのか、ちゃんと県民に訴えられているでしょうか。家全体が予算的に無理でも、部分的に強度を高める安全対策を講じたり、特定の部屋に特化しての耐震補強も有効だと危機管理担当者からアドバイスを受けました。そのようなことに建設、建築業界は共通認識が高まっているでしょうか。資金面で応援する制度は整っているでしょうか。ぜひ、バリアフリーも合わせ技で制度の充実を考えていただきたいと思いますが、どうか、お伺いします。
災害時に頼りとする拠点の一つに警察署があります。大津北署の次は高島警察署を建て替える計画だと予算委員会では答弁をいただいておりますが、耐震や免震の工夫、災害時の拠点としての備えを踏み込んでお考えいただくよう、お願いしたいと思います。御所見を求めます。
11番、高島土木事務所も接する道路が狭隘で、建物も古く、災害時の拠点としては課題が多いと思います。この際、保健所も併せて、ひいては北部振興の一助となるよう県の機能を再構築されることを提案しますが、いかがでしょうか。
12番、道路啓開について検討されると承り、意を強くしております。危険な啓開作業に当たってくださる方々に敬意と感謝をささげるとともに、余震の中での道路を開く危険な業務ですので、リモートで操縦できる重機を採用することが必要と考えます。滋賀県の考えを問います。
13、私の友人が旅行先の能登半島の千枚田の手前で被災し、車では前にも後ろにも行けず、そして、自身の強い食品アレルギーでお米も小麦製品も食べられないゆえに救援を求めました。県にもお正月から相談をしました。対応に当たっておられた職員さんはじめ多くの方に敬意を表したいと思います。
旅先で被災者が頼るのは知っている人、また、地元の行政関係者でありました。旅先の最寄りの自治会のことなど、被災先で自力で探し出すのは難しいことです。山間部など、電波のつながらないエリアもあります。滋賀県の災害対策に、滋賀県民が旅先で被災した場合の窓口も御検討いただくよう特別委員会で申し上げました。特殊な帰宅困難者対応です。いかがでしょうか。
最後に、14番、あわせて、旅行者が被災されたときのシミュレーションも必要だと痛切に感じました。滋賀県だと、能登半島のお正月より外からの人が多いのではと思います。孤立の中での旅行者の対応も不可欠であります。日常でも、マキノ駅などでメタセコイヤ並木を訪ねた観光者が突然の湖西線の運休に遭い、途方に暮れておられる場面が増えました。旅行者対応はどのようにしていくか、問います。
見直しは大変でありますが、大切な命を救う崇高な仕事であります。能登半島での知見、経験を生かして、県民を守るために現実に即した精度の高い検討をお願い申し上げ、全問、知事に答弁をお願いします。
○副議長(有村國俊) 28番海東英和議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)能登半島地震に学ぶ防災力の強化ということで14点、御質問いただきました。
まず1点目の、断層が6メートルから8メートルずれる想定についてでございますが、能登半島地震では輪島市西部で最大4メートル程度の隆起、最大2メートル程度の西向きの変動などが発生し、住家や道路などのインフラに甚大な被害が発生したと承知をしております。
国の地震調査委員会は、今回の能登半島地震では能登半島周辺にある複数の活断層帯が連動し、発生した可能性が高いと見解を出されております。琵琶湖の周りに複数の活断層が分布する滋賀県におきましても、今後の国の地震調査委員会の評価や被害想定の見直しを注視し、対応してまいりたいと存じます。
2点目、道路寸断による孤立のパターンについてでございますが、平成26年3月に見直しました滋賀県地震被害想定におきましては、孤立する可能性のある地域の想定にとどまっておりました。国の被害想定の見直しなどを参考にしながら、孤立の可能性のある地域に加え、必要な備えに資するシミュレーションがどのようにできるのか、研究してまいりたいと存じます。
3点目のドローンの問題でございますが、能登半島地震では、土砂崩れで孤立した高齢者施設に食品などの物資をドローンで輸送されたと伺っております。ドローンによる輸送は、天候に左右されることや墜落したときの対処などの課題もございますが、災害時に孤立地域に物資を届けることができるなど、有用な手段であると考えております。地域防災計画の見直しの中でドローンを活用した物資輸送について検討するとともに、関係する民間企業等と連携いたしまして、各種訓練での活用など、導入に向けて取り組んでまいりたいと存じます。
4点目、空飛ぶクルマのアプローチについてでございますが、空飛ぶクルマは、次世代における都市のモビリティーとしてだけでなく、過疎、山間部、離島などの地域の交通、物流手段や災害時の輸送、移動手段として、世界的に研究開発等の取組が進められております。本県におきましても、近畿経済産業局が中心となって設置された社会実装推進会議に参画いたしまして、自治体連携により、観光も含め、社会実装に向けた様々な可能性について議論、検討しているところです。
空飛ぶクルマは、様々な社会課題の解決につながる空の移動革命の実現に向けた新しい移動手段であり、将来的には災害時の救助や物資輸送の有効な手段の一つになり得るものとして、今後の社会実装に向けた取組を注視してまいりたいと存じます。
5点目、港湾施設の検討の方向性についてでございますが、能登半島地震を受け、本県においても来年度当初予算案において湖上輸送調査を行う予定でございます。この調査では、近江今津港や堀川揚陸施設など、現在、地域防災計画において広域湖上輸送拠点に位置づけております18の施設の経年変化を踏まえた調査ですとか、活用でき得る船舶や台船の把握等を行いますとともに、他に拠点となり得る適切な候補地があるかにつきましても調査を行いたいと考えているところです。これは、新たに港を整備したり改修することを目的とした調査ではなく、今ある資源を最大限活用することを基本に、災害時の輸送能力をいかに高めることができるのかという防災の観点から、湖上輸送能力の現状把握および輸送計画を検討し、災害時の輸送手段の早期確保につなげてまいりたいと考えております。
6点目、うみのこ等の災害時の対応についてです。滋賀県地域防災計画において、県などが保有いたします船舶を活用した救援物資等の輸送を計画しており、災害用の備蓄倉庫を備える学習船うみのこもこれに位置づけているところでございます。
来年度の地域防災計画の見直しの中で、能登半島地震での経験も踏まえ、消防等の救命救助に係る機関との連携の模索ですとか災害時の輸送に係る民間事業者との協定の充実に向けた協議を進めるなど、学習船うみのこを含む県有船だけでなく、民間旅客船の多目的利用の可能性も検討してまいりたいと存じます。
また、議員御提案の浮き桟橋につきましても、来年度の湖上輸送調査の中で活用方法について検討してまいりたいと存じます。
7点目、木造住宅についてです。
議員御指摘の、壁が少ない田の字型の木造住宅を耐震化する場合、以前は大がかりな補強が必要とされてきました。その後、こうした木造住宅におきましても研究開発が進み、現在では、例えば部材や接合部ごとに、より詳細に耐震性を評価し、補強箇所を絞り込めるようになったということであったり、床や天井を残したまま耐力壁を追加する施工方法が開発されたことにより、従前のような大がかりな工事をしなくとも耐震補強が可能となっているということでございます。
8点目、その耐震補強等への助成についてでございますが、住宅が倒壊してしまうと、その後の生活再建が大変困難となるということから、議員御指摘のとおり、まずもって事前に住宅の耐震化を図り、災害に備えていくことが望ましいと考えます。このため、県では耐震化の促進に向けた啓発活動を行うとともに、市町と共同で無料の耐震診断や耐震改修補助を行うなど、木造住宅の耐震化を推進しているところでございます。能登半島地震では旧耐震基準の家屋が数多く倒壊したことから、令和6年度には、特にそうした家屋の所有者を対象に耐震化の一層の促進に向けた啓発活動を重点的かつ強力に推進してまいりたいと存じます。
9点目、資金面で応援する制度についてでございますが、議員御提案の住宅耐震対策は、地震による住宅の倒壊から命を守るため、住宅の一部に木材等で強固な箱型の空間をつくる、いわゆる耐震シェルターでございます。建設、建築業界の共通認識については把握できておりませんが、周知は必要であると認識しております。
また、自宅へ耐震シェルターを設置する際に、市町の補助金に対して1戸当たり最大20万円を交付金として算入し、耐震シェルターの設置を促進しているところでございます。現在、12の市町において制度化されているとお聞きしておりますが、この事業の利用率は低く、県民への周知が課題となっているところです。県といたしましても、ホームページや広報誌、広報番組等を通して、まずは市町とともに一層の制度の周知を図ってまいりたいと存じます。
10点目、警察署の備えについてでございますが、高島警察署につきましては、滋賀県県有施設更新改修方針に基づきまして、令和8年度以降の事業実施に向けて、方向性の検討、また課題整理に着手しているところです。
議員御指摘のとおり、警察施設につきましては災害等有事の際にも県民の皆様の安全・安心を確保できるよう、災害対応や治安維持活動の拠点としての役割を継続できることが重要であり、緊急度、優先度等を見極めながら整備してまいります。
今後の具体的な整備に当たりましては、これまでの大規模災害で得られた課題や琵琶湖西岸断層帯を震源とする地震に関する想定を踏まえ、建物および設備の機能強化をはじめ、全国から応援に来ていただける部隊の受入れなど受援対策も視野に入れながら検討を行っていく方針です。
11点目、県の機能の再構築についてです。
高島合同庁舎につきましては耐震化が完了しており、長寿命化計画等に基づく適切な維持修繕に努めておりますものの、本館が築56年を経過いたしまして、老朽化が著しく進行しているという、そういう建物でございます。高島保健所につきましても、耐震診断の結果、耐震性は確認されておりますものの、本館は築45年を経過し、施設や設備の老朽化が課題となっております。
老朽化した県有施設の建て替え等に当たりましては、滋賀県県有施設更新改修方針において、施設の集約化や複合化について部局横断的に検討を行うことを基本方針としており、両施設への対応につきましても、災害時に県が果たすべき機能に十分考慮して検討を進めてまいりたいと存じます。
12点目の、リモートで操作できる重機の採用についてでございますが、リモートで操作できる重機は危険な現場でも操作員の安全を確保しながら作業を行えるため、余震による2次災害のおそれのある被災地で道路啓開作業を実施する場合に特に有効なツールと考えます。しかしながら、現時点では大変高価であり、また、作業効率や施工の精度が低減してしまう等の理由から、平時においては山間部での大規模土工など、それを使用せざるを得ない現場での活用に限られ、広く普及はしていないと伺っております。今後は、リモート重機の普及状況を注視しつつ、災害時での利活用についても研究してまいりたいと存じます。
13点目、滋賀県民が旅行先で被災された場合の対応についてです。
まず、最寄りの行政機関や避難所に、困っているというメッセージを発信していただくことが最も早く身の安全を確保する手段であると考えます。ただ、議員御指摘のとおり、知らない土地で不安を感じ、相談しにくい場合も想定されますため、そのような場合には県の防災危機管理局に御連絡いただければ、御相談にお答えしていきたいと存じます。
14点目、旅行者への対応についてでございますが、現在、県では、災害等による交通機関の停止等によって発生する外出者や旅行者などの帰宅困難者への対策について、地域防災計画において定めているところです。具体的には、帰宅困難者に対して交通情報や県内の被害状況等、一時滞在施設の開設状況などの情報を伝達すると定めているところです。
今回の能登半島地震においては、お正月という季節的な要因から多くの旅行者や帰省者などが避難所に集中したことや、その避難が長期化したという課題が明らかになったとのことでございます。この能登半島地震を教訓に、地域防災計画の見直しの中で、市町や関係機関とともに、さらにどのような対応が必要であるのか、検討してまいりたいと存じます。
◆28番(海東英和議員) (登壇)1、4、6、9、12で再問します。
まず1、今のマグニチュード7.5とか、北部は7.1で2メーターから6メーターずれる、今回の6メーターから8メーターずれるというのは現在でも滋賀県の計画に載っているわけです。ですから、それを注視していくということはどういうことなのか。
4番、空飛ぶクルマ、注視していく。どういうことなのか。
6番、うみのこに対しては、輸送を私は期待しているのではなくて、例えば1週間、そこで被災して家のない人がうみのこに泊まらせてもらえて、その間に仮設住宅やらが出来るとか、そういうようないとまのために、最大限、うみのこの能力というのは泊まれる、シャワーが入れる、御飯を食べられるということやと思うんですけど、もう一度、答弁を御検討いただきたいと思います。
9番、木造改修については、おっしゃるように周知が課題ですので、プッシュ型でもっとやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
それから、12番、道路啓開について、高価であるので注視していく。今日は注視がようけ出てきましたが、もうちょっと積極的な検討はできないものか、もう一度、答弁をお願いします。
◎知事(三日月大造) 5問、再問いただきました。
まず1つ目の、断層のずれの話は、今回の能登の震災を受けて、国の地震調査委員会が改めて評価されますので、それを受けて、県の被害想定をどのように見直せばいいのかということを考えていきたいという意味で申し上げました。
2点目、これは4つ目の空飛ぶクルマの話でございますが、もちろん車が空を飛ぶようになれば、こういった災害時、また防災の観点からも有効な輸送手段だと思いますが、今すぐにそれらが活用できるかというと必ずしもそうではありませんので、我々自治体が、今の、直近起こった防災対策を検討する際の手段というよりも将来的な輸送手段の一つだということで、例えば安全性の問題ですとか実用可能性の問題ですとか、そういったことを検討していかなければならないのではないかと考えているところです。
3点目はうみのこに関してでございます。
当然、うみのこは宿泊の施設も持っていますし、様々な機能も有しておりますので、災害が起こったときには活用する船の一つになり得ると思います。したがって、そういったことを改めて規定すると同時に、必要な設備等を持たせておくということを考えていきたいということでございます。
そして、8つ目の、耐震補強にもう少しプッシュ型で支援をすべきではないかということでございますが、どこをどのような形でプッシュすればいいのかということも含めて、プッシュする先はあまたございますので、それをどのような優先順位をつけてやっていくのか、県だけではなくて、市町とどのように役割分担、連携してやっていくのか、こういったことを考えていかなければならないというふうに思っております。
最後、リモートでの重機の問題は、確かに人が乗らなくても作業できるということはあるんですけれども、その分、精度が、現時点、落ちてしまうということでありますとか、まだまだ普及していない現状もございますので、こういったことを業界団体の皆様方とも連携して一緒に考えていきたい、対応していきたいというふうに思いますし、それを持つ民間事業者の皆様方の様々な投資計画など、見合いというものもございますので、よくその辺りは情報交換しながら、普及状況を確かめながら、防災計画の中への位置づけについても検討してまいりたいと存じます。
◆28番(海東英和議員) (登壇)防災は命のことでありますし、実際の現場に行くのは契約会社の人であったり民間企業の方であったり、その方々の命ということも、もっと真剣にしっかりと考えていっていただくようにお願い申し上げまして、次の質問に移ります。
一般財団法人滋賀県教育会館問題について、一問一答方式でお尋ねします。
1、前回の質問と決算特別委員会では、一般財団法人滋賀県教育会館の公益法人の解散の届けを令和4年度末に受理し、県への財産の寄附の手続は令和5年6月21日に行われたことを確認しました。実際には存在しない滋賀県教育会館の公益目的財産額の1億1,400万円の簿価、建物の寄附を採納されたと思いますが、どのような会計処理で、令和5年度の県の財産にどのような名目で計上されているのか、財務会計処理上、問題はないのか、総務部長にお尋ねします。
◎総務部長(東勝) (登壇)お答えをいたします。
旧教育会館の取得に関しましては、令和5年6月21日付で一般財団法人滋賀県教育会館から残余財産帰属先承認申請書と併せまして、建物の所有権帰属申出書が提出をされまして、同月30日に受納することを通知いたしまして、同日付で所有権が移転をいたしました。これを受けまして、県は公有財産事務規則に基づきまして、普通財産として公有財産台帳のほうに登録をしたところでございます。
県の財産につきましては、毎年度決算におきまして年度中の増減および年度末の残高、土地建物につきましては面積になりますが、これを財産の種類ごとに報告することとなっておりまして、旧教育会館建物は令和5年度中の取得となりますため、令和5年度決算として、令和6年度に普通財産の建物として面積を報告させていただく予定としております。
◆28番(海東英和議員) (登壇)再問します。
公益目的財産額1億1,400万はどうなったんですか。
○副議長(有村國俊) 答弁者。
◆28番(海東英和議員) 総務部長です。再問です。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
財産のほうにつきましては面積で公有財産台帳のほうに記載をしておりますし、簿価といいますか、評価額につきましては、県の財政に関する参考資料といたしまして、毎年度末時点の貸借対照表を11月に公表しておりますが、この作成に向けまして評価額を算定することとしておりまして、その際には総務省の統一的な基準によります地方公会計マニュアルに基づきまして、構造や面積、経過年数を基に評価額を算定していくというふうにしております。
◆28番(海東英和議員) (登壇)教育会館の評価額は幾らと算定されたのか、御答弁をお願いします。総務部長、お願いします。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
先ほど御答弁申し上げましたように、令和5年度末時点の貸借対照表をこれから作成をしていくことになりますので、その際に算定をするということで、現在、評価額のほうにつきましてはお答えさせていただくことができない状況でございます。
◆28番(海東英和議員) (登壇)昨年2月9日に最高裁で判決が確定し、建物を解体して土地を県に返還するように、収去するようにと決定した段階で、教育会館の簿価はなくなったと判断することが一般的で、さらに1億とも2億とも言われた解体費が要ることを認識し、準備できていないという状況は債務超過状態であり、滋賀県教育会館は、県に対して残余の財産を寄附して円満解散、いわゆる法の202条1項3号の基本財産の滅失その他の理由による一般財団法人の目的である目的の成果の不能で解散を受理したと、県はホームページに上げておられますが、実際は社会に対して責任を果たせない状況になっていることを明らかにして、第4章の清算、206条の清算の開始原因に基づいて清算手続の開始の決定を解散事由とするべきではなかったか、解散後に清算人を立て、清算手続をしていくように法人に指導することが県の公益法人に対する適切な監督ではなかったか、総務部長に問います。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
先ほど議員のほうから御指摘がございましたけれども、今回の解散の事由といいますのは、判決の確定に伴いまして、維持管理の目的となっております教育会館が収去しなければならないという状況になりましたことから、法人の目的が達成できないというふうな状況でございましたので、その目的が達成できないということで、先ほど解散原因を御紹介いただきましたが、目的の達成不能というふうなことで解散をするというのが基本的な考え方だというふうに判断をいたしまして、そのような対応をさせていただいたものでございます。
◆28番(海東英和議員) (登壇)法人の目的の、適正に維持管理するということは解体を含まないんですか、総務部長にお尋ねします。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
定款のほうには教育会館の維持管理ということで、維持をしていくというふうなことが前提になっているかと思いますので、法人の目的という意味では、その会館を維持するということが目的であったというふうに解釈できると思いますので、それがなくなったという時点でその目的は達成されないということになると解釈をしております。
◆28番(海東英和議員) (登壇)次に、再質問になるかも分かりません。
公正な公益法人制度を守り、社会秩序を維持する上で、移行認定審査で建物の解体費用を見込んでいない公益目的支出計画を認めたこととか、平成27年に立ち退きを県が要請したときから、県は毎年提出される公益目的支出計画の実施報告書に解体費の準備を助言することができたのではないかと思います。3月31日の解散届受理後でも、清算をし、行政代執行ということになれば県民も納得すると思うんですが、適切な監視、監督ということについて瑕疵はなかったのか、総務部長にお尋ねします。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
公益法人制度の所管行政庁といたしまして、県は移行法人に対しましては、法令に基づきまして、保有する公益目的財産の適正な支出を確保するという観点からの指導監督権があるところでございます。
今回、公益目的支出計画に解体経費を見込んでおくべきではないかとの御指摘でございますけれども、公益目的支出計画は、将来にわたりまして公益のために支出すべき金額を算定いたしまして、その履行を求めるものでございまして、法令等によりまして、将来の損失に備えて設定することが要請されるなど確定的に支出が義務づけられるものを除きまして、一定の財産の保全を求めるものではないということでございまして、そのような解体経費を見込んでおくということの指導監督ということまでは難しかったのではないかというふうに考えております。
◆28番(海東英和議員) (登壇)県から頂いた資料に、公益法人に対して公益目的財産額に比して当該移行法人の貸借対照表上の純資産額が著しく少ないにもかかわらず、整備法第125条第1項の変更の認可を受けずに将来における公益目的支出計画の実施に支障が生ずるおそれがあるときは、県は指導、助言をするものと書いてありますが、今の総務部長の答弁はおかしいんじゃないですか。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
今、議員御紹介いただきましたように、公益目的支出財産が少なくなってきたときに助言をするということは確かに取扱いにも定められているところでございますけれども、先ほどおっしゃっていただきましたように、公益目的財産の中から将来の解体経費を見込むということにつきましては、それは、将来的に貸付け期間が明確に定まっているものとか、そういった将来的な支出が確定的に定まっているものであればそこから確保することはできますが、そういうものではないということで、そこまでの指導はできないという意味で申し上げました。
◆28番(海東英和議員) (登壇)円満解散か清算による解散かによって法人が清算を結了するまで法人は存続するという項があるんです。ですから、それはやっぱりちょっとしっかり考えてほしいと思います。
次へ行きます。
令和5年2月9日にその判決が出た結果、解体費用がないのが分かっていたのなら、教育会館の役員さんや法人の恩恵を受けた人々が相談をされて、クラウドファンディング等を例えば立ち上げて寄附を募り、少しでも県費の負担を減らそうと努力されるような余地も残されていたと思います。負担を引き受ける県民に誠意ある説明や謝罪をせずに、逃げ得と言うと叱られますが、知らん顔されていることは、教育に携わってこられた方による法人の振る舞いとして残念に思いますが、どうなんでしょうか。
県は、建物が解体されずに長期間放置されるリスクも考慮して総合的に判断したとコメントされています。これだけの尻拭いを引き受ける話合いについては、いつどのように臨まれたのか、総務部長にお尋ねします。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
令和5年2月9日の判決確定後、直ちに当時の総務部長のほうから法人理事長に対しまして、判決の履行として建物の解体収去と土地の明渡し、使用料相当損害金の支払い、さらに、履行確認のため、行政財産返還計画書の提出を求め、履行に向け、役員が職務の執行を怠る場合、役員に対し損害賠償請求を行うことも併せて申し伝えたところでございます。その後も判決の履行の要請を行いますとともに、あわせて、判決の履行を促す手段といたしまして、速やかに資産を差し押さえられるよう、金融機関に対する預金調査なども実施したところでございます。
令和5年3月20日には返還計画書が提出をされまして、解散の時期等の明示がございましたものの、解体費用がないため建物の解体は困難であるとの回答がございましたことから、改めて、建物の解体は法人が行うべきであることを申し入れたところでございます。その後、3月31日に法人が解散されまして、法人自らの解体が困難な状況となってまいりましたことから、強制執行による建物解体も検討しつつ、その前提となる入居者の退去調整を責任を持って進めるよう求めますとともに、清算人である役員の任務懈怠があれば、その責任追及を行うことも念頭に、随時、会館に立ち入り、解体に向けて必要な業務が進捗しているか確認しながら、履行を求め続けてきたところでございます。
◆28番(海東英和議員) (登壇)再問します。
昨年5月12日のNHKのインターネットニュースで、解散した滋賀県教育会館の内海元理事長は、「およそ1億円と見込まれる建物の解体まで求められるのは現実的でなく、実際に費用もない。建物を含む財産を県に寄附して、解体を県で実施するように求めることにしています」とNHKに答えています。この頼み事をいつ誰が受けたんですか。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
引受けの依頼ということでございますが、法人からは、解体経費がなく、解体が困難であるとの話は、先ほど御答弁申し上げましたとおり、私どもが3月20日の時点で受けておりました。法人としては、判決の確定に伴いまして、法令の解散事由に該当したということで法人が解散となりましたが、法人には建物以外に資産がなく、当該建物を残余財産として公共団体に帰属させなければならないような状況にあったということで、そうした中で、県以外の建物が建物を取得した場合に、取得した団体には土地の所有権がございませんので、県以外の帰属先は考えられないということで、強制執行などの方法も県としては含めて検討いたしましたが、さらに必要となる費用、時間、解体費用の回収見込みなども踏まえまして、県が残余財産として引き継ぐことが最善の方法であると判断したものでございます。
◆28番(海東英和議員) (登壇)一応、4番に行きます。
昨年6月定例会では、医療福祉拠点構想の早期実現のために解体を急ぐ必要があり、法人から回収できる見込みがないので、間に合わせるためには県費で肩代わりするしかないとの説明で、議会は附帯決議をつけて解体の設計費用を可決したいきさつがあります。今、その約束が守れないと説明を受けています。改めて、一民間団体の2億円余の負担を伴う残余財産帰属先承認申請を、議会の議決に付すことなく承認したことは地方自治法の精神に反すると考えますが、いかがでしょうか。
続いて、地方自治法96条1項9号の負担つき寄附でないとの顧問弁護士の判断は、前に知事が答弁いただきましたが、そのとおりでありますが、議会に諮らなくてもよいとの解釈は承服できません。本件は、地方自治法が想定していなかった行為であることを鑑みて、同条同項6号の適正な対価なくして譲渡することや、8号の政令で定める基準に従い、条例で定める財産の取得または処分に関する行為は議会に諮るように示していることを参酌し、議会に諮るべきと判断するのがいわゆるコンプライアンスではないでしょうか、総務部長にお尋ねします。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
今回の財産の取得に当たりましては、法令の規定に基づき適切に対応するため、庁内関係課や弁護士のほうにも相談をさせていただきまして、議決事件に当たらないと判断をしたところでございまして、その判断につきましては適切なものであったというふうに考えております。ただし、県が解体を行うことにつきまして、県民への説明責任を果たすことは重要であるというふうに認識しているところでございます。
それから、議員のほうから御質問がございました、規定の趣旨を参酌して、提案したらどうかということでございましたが、地方自治法の96条1項という議決事件の規定につきましては限定列挙で規定をされているところでございまして、議会と執行機関との権限の範囲を限定列挙で確定した、こういった規定につきまして、その趣旨を踏まえて対応するということはその権限の範囲が不明確になるというふうなおそれもありまして、法令の規定の解釈に沿った対応がやはり基本であるというふうに考えております。
◆28番(海東英和議員) (登壇)96条1項は限定列挙であるので、それに正確にヒットしないものは諮らなくてよいということですが、同条2項の、地方公共団体は条例で議決すべきものを定めることができるとあるんです。ですから、滋賀県が自分たちで自治を考えて、この特別、県民に負担を強いるものは議決事項として、要綱を加えて議決案件としようということは我々の自治として決められることを地方自治法は2項でうたっていますが、このことについてどう思われますか。
○副議長(有村國俊) 答弁者は。
◆28番(海東英和議員) 総務部長、お願いします。
◎総務部長(東勝) お答えをいたします。
御質問の地方自治法第96条2項ということでございますが、この規定は、議員御紹介いただきましたとおり、議会の権能を強化する観点から、96条1項の規定に加えまして、議決事項として追加指定できるとされているところでございますが、先ほど申し上げましたように、財産の取得および処分につきましては制限列挙で規定をされている第1項の議決事件ということで、さらに、政令に定める基準というものが具体的に定められておりまして、それに従って条例で定めることとされておりますので、そういった規定との関係をどう考えるかなどにつきましては慎重に検討する必要があるというふうに考えているところでございます。
◆28番(海東英和議員) (登壇)昨年、選挙を終えて6月定例会に臨んで、法人は6月21日に、いわゆる申請しているんですね。県はオーケーと言うてるんですけど、我々の議会は6月22日から始まっているんですね。数万円の奨学金でも、債権放棄というか、返せないというのは、数万円でも議会に1件ずつ諮るんですよね。だから、これはやっぱりよく考えていただきたいし、そして、総務省と滋賀県のやり取りの中で、いわゆる文章づらだけを読めば、解体経費については議会も議決をしているので民主的なプロセスを踏んでいると総務省は答えているんですけど、私たちは解体経費は議決していないんですね、設計費だけなんですね。だから、丁寧にもう一度、今、検討すると言うてくださったので、検討をお願いしつつ、5番目、知事にお尋ねします。
滋賀県議会の議決に付すべき契約および財産の取得または処分に関する条例は、予定価格5億円以上の工事または製造請負に係るものと7,000万円以上の不動産の買入れまたは売払いを議会の議決に付すべきとしています。2億4,700万円もの解体費が必要なことが明らかになった今、一民間法人の負担すべきだった費用を県費で肩代わりする支出を伴う行為を、負担のほうが上回る財産の取得と見て、議会は参考人招致ぐらいはして、法人の言い分を聞き、法人にも解体資金造成の努力、いわゆるクラウドファンディング等をやりませんかなども意見交換して、負担すべきかどうか、議会がしっかり確認をするプロセスを持ちたい、知事は県民に対する説明責任を果たすための議会の議決に付し、民主的プロセスを丁寧に踏むことを求めたいと思いますが、いかがでしょうか、知事にお尋ねします。
◎知事(三日月大造) 議会のことは議会で様々御議論の上、御決定されることになると思いますが、現状の滋賀県議会の議決に付すべき契約および財産の取得または処分に関する条例におきましては、議決事項を不動産もしくは動産の買入れもしくは売払いに限定しており、贈与による取得については議決の対象外となっており、今回の旧教育会館の取得に当たりましては、関係法令等を十分確認させていただいた上で、議決事件には該当しないと判断させていただいたところです。
ただし、議員も御指摘いただきましたとおり、県が解体を行うことについて県民への説明責任を果たすことは重要であると認識しており、今議会で計上させていただいております解体工事費の予算審議において、御理解を賜れるよう、丁寧に説明をさせていただきたいと存じます。
◆28番(海東英和議員) (登壇)基本的な予算の提案も2億4,700万円が令和6年度一般会計に上がっていますが、このことの提案の法令根拠はどれによるんですか、知事に御答弁をお願いします。
◎知事(三日月大造) 予算案として組成し、提案させていただく権限、権能として、地方自治法をはじめ関係法令に規定されていると承知をしております。
◆28番(海東英和議員) (登壇)やっぱり議会、いわゆる自治ということに関しては、例えば企業誘致促進条例によって補助金を出しますとか、子供何とか条例によって子供のこういう育成制度をこうしますとか、全部、法令根拠があって予算というものは編成するのが本来であると私は考えているんですが、違うんでしょうか、知事にお答えをお願いします。
◎知事(三日月大造) それぞれ国の立法機関がつくった法令に基づき条例を定め、予算を予算案として計上させていただいているものもございますし、総合的には地方自治法等の法令によりまして、それらに属さないものにつきましても、予算をどのように組み、そして、お諮りするかという権能は地方自治法等で定められておりますので、そういったものに基づいて提案をさせていただいているということでございます。
ただ、おっしゃったとおり、そのことについて御理解いただけるように丁寧に説明すべきではないかという、そういったことは私どもも重々踏まえて対応していかなければならないと考えているところです。
◆28番(海東英和議員) (登壇)またこれから常任委員会等でも御審議をいただくと思いますし、予算の審査もあると思いますので、引き続き、いろいろと考えてまいりたいと思います。
本日はこれで終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(有村國俊) 以上で、28番海東英和議員の質問を終了いたします。
次に、14番赤井康彦議員の発言を許します。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇、拍手)私は、今定例会に際しまして、大きく1点に絞って質問させていただきたいというふうに思います。理事者の明快なる御答弁をお願い申し上げ、質問を進めてまいりたいと思います。
まずもって、このたびの令和6年能登半島地震により、犠牲となられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災された全ての皆様に心よりお見舞い申し上げます。これから一日も早い復旧復興に向け、私自身も支援に努めてまいりたいというふうに思っております。
今回の地震では、この滋賀県においても揺れを大きく、そして長く感じたわけであり、いつ何どき同様の地震や災害が来るか分からず、滋賀県内でも琵琶湖西岸断層帯地震や南海トラフ地震、風水害などの災害リスクは当然あり、県における災害対策について、今回は特に令和2年度より策定し、展開されている防災と保健福祉の連携促進モデル、通称、滋賀モデルについて質問してまいります。
まず初めに、福祉避難所についてでありますが、避難所には、災害対策基本法施行令第20条6の1号から4号を全て満たしている施設で市町村が指定する避難所、いわゆる学校体育館など被災者の方が避難する一般避難所と、災害対策基本法施行令第20条の6の1号から5号を満たした施設で市町村が指定する指定福祉避難所、さらに、指定されていないが、協定を締結するなどしている福祉避難所、分かりにくいですが、少なくとも3つのタイプの避難所があるとされております。その中で、指定福祉避難所と協定による福祉避難所の対象者は、災害対策基本法の中で要配慮者と定義づけられており、要配慮者に該当するのは高齢者、障害者、乳幼児、そのほかの配慮を要する者となっております。記載上は障害者となっておりますが、18歳未満の障害児や医療的ケア児も福祉避難所の対象であります。
こうした中、滋賀県内の市町によっては、指定福祉避難所ではなく協定による福祉避難所のみや、指定福祉避難所と協定による福祉避難所の併用の市町があります。それぞれの市町の特性を生かしているとも考えられますが、統一することなく、市町任せにすることでよいのか、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
○副議長(有村國俊) 14番赤井康彦議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) (登壇)お答えいたします。
福祉避難所につきましては、市町におきまして、社会福祉施設や公営施設、施設当たりの収容人数、そして要配慮者の状況など、地域の実情に応じて適切に確保されるものであると承知しております。
国のガイドラインでは、一般避難所での生活が困難で、日常から利用している施設へ直接避難したいという当事者のニーズに対応するために、指定福祉避難所の確保を進めていくこととされております。
県としましても、市町へ訪問しまして取組状況や課題などをお聞きし、県下の全市町とも共有を図っておりまして、今後も市町において指定福祉避難所の確保が進むよう取り組んでまいりたいと存じます。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)ありがとうございます。そうすると、滋賀県は指定福祉避難所を進めていくというようなことかなというふうに理解をいたしております。
また、滋賀モデルでは、避難先で必要となる物資、資機材、専門的な人材、要支援者の移送手段等についてあらかじめ調整しておく必要があると明記されておりますが、指定福祉避難所と協定による福祉避難所との違いから調整の違いが出てこないのか、
健康医療福祉部長にお伺いします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
滋賀モデルでは、個別避難計画の策定におきまして、要配慮者に必要な物資や資機材、移動手段等を踏まえまして、特定の避難先を想定しまして個別に調整を行うこととしておりますことから、避難先である福祉避難所の指定の有無に関わらず、要配慮者に必要な条件が整っているものと考えております。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)それでは、さらに、あらかじめ避難先で必要となる物資、資機材、専門的な人材、要支援者の移送手段等について用意や設置していなければ、調達や移送の遅れが生じるおそれがあります。協定を結ぶ民間施設においては、善意で空き部屋等を用意はしているものの、実際、避難者が来たときの物資等が施設にはなく、準備ができずに心配であるとの意見があります。スムーズに避難できるように、県として予算化する考えはないのか、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
避難所において必要となります物資、資機材等の整備に係る経費につきましては設置者である市町で御対応いただくこととなっております。
県におきましては、福祉避難所への支援としまして、広域的な観点から食料や生活用品等の備蓄、災害派遣福祉チーム、いわゆるDWATの養成を行うとともに、民間事業者との協定によりまして、物資の供給や要配慮者の広域輸送手段を確保するなどの調整を行っているところでございます。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)個別避難計画の対象者は毎年変化すると思いますが、現時点における県内の個別避難計画作成の対象者がどれくらいおられるのか、知事公室長にお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) (登壇)お答えいたします。
個別避難計画作成の対象者は、避難行動要支援者名簿に掲載されており、かつ計画策定に同意をした方でございまして、令和5年1月1日現在、計画作成の対象者は2万8,280人おられます。
なお、滋賀モデルにおいては、心身の状況、社会的孤立の状況、ハザード等から計画作成の優先度を判断し、特に災害時に被害者となる可能性が高い方から計画作成を進めるよう、市町に示しております。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)再質問させていただきますけれども、そもそも個別避難計画の策定は全ての市町でできているんでしょうか、知事公室長にお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
現在、県内の個別避難計画の作成状況でございますが、一部作成済みが16市町、未作成が3市町となってございます。なお、未作成の3市町においては、現在、計画着手に向けて、対象者の選定や庁内会議をなされているところでございます。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)今、3市町というようなお答えでございました。
再質問します。この3市町について、何か県として御対応する考えはあるのかどうか、お聞かせください。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
県といたしましては、この作成をまだされていない市町の支援に注力いたしますため、直接、訪問いたしまして、課題なども聞き取りながら、必要な情報提供、助言を行うなど伴走支援を実施し、防災と福祉部局の連携が活発になるような動きも見られたところでございます。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)できるだけ速やかに3市町が作成していただけるように、ぜひ、注力をしていただきたいというふうに思います。
加えて、協定による福祉避難所や指定福祉避難所に避難する方は要配慮者と呼ばれる高齢者、障害者、乳幼児、その他の配慮を要する方ですけれども、令和5年10月1日現在での県内における福祉避難所の数は、指定福祉避難所59か所、協定による福祉避難所384か所の合計443か所であります。要配慮者の実数から、福祉避難所の受入数は足りているのか、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
要配慮者の状況によりまして、医療機関であったりホテル、旅館へ避難するケースであったり、家屋が大きな被害を受けていなければ在宅にとどまられるケースもございまして、全ての要配慮者を福祉避難所で受け入れることは想定をしておりませんが、市町におきまして、福祉避難所への避難を必要とされる方を把握し、受入れに必要な福祉避難所の確保に向けて、取組を進めていただいているところでございまして、今後、今回の能登半島地震の教訓も踏まえながら、県としても市町とともに検証を行ってまいりたいと存じます。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)足りているかどうかというのがちょっと分かりにくかったんですけれども、先ほどの再質問でもお答えいただきました、3市町というのがまだ作成できていないというような状況の中で、やはりまだこの数というものは足りていないというふうに判断するのがいいのかなというふうに思っております。ぜひ、早急に御対応いただきたいというふうに思います。
次に、滋賀県は令和2年度より、防災と保健、福祉の連携促進モデル、通称、滋賀モデルを策定し、展開をいたしております。福祉避難所に避難するためには前もって個別避難計画を作成する必要があり、個別避難計画の作成主体は市町となっておりますが、個別避難計画の作成に係る関係者は当事者とその家族、介護支援専門員、相談支援員、自治会、自主防災会などとなっております。ほかにも関係団体が滋賀モデルには明記されておりますが、障害者などを把握する団体として、特別支援学校関係者が挙げられております。しかしながら、成人した精神障害者などを把握する団体等が見受けられませんが、成人した障害者の個別避難計画の作成状況は把握できているのか、知事公室長にお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
県として、全体の個別避難計画の作成状況につきましては把握をしておりますけれども、御質問の、成人した障害者など対象の属性ごとの作成状況までは把握しておりません。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)再質問をさせていただきます。
具体的に、もう少し教えていただきたいんですけれども、どういった団体が成人した障害者の状況を把握し、個別避難の作成をしているのかなど、具体的にお聞かせ願えればと思っております。知事公室長に再質問いたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
障害者の方の情報につきましては市町が実施する障害支援区分認定調査などで把握されているところでございまして、優先度が高い方から計画を作成されているというふうに認識しております。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)分かりました。ケアマネジャー等ではなくて、市町が成人した障害者の方々を把握しているというようなことの御答弁だったと思います。
また、指定難病、小児慢性特定疾病の医療費助成制度受給者については、県保健所が避難行動要支援者となる可能性がある方の情報を市町の求めに応じて共有していると書いてありますが、市町の中で求めていない市町があるとお聞きしております。その理由を
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
指定難病、小児慢性特定疾病の医療費助成を受給する避難行動要支援者につきましては、市町がケース会議や訪問支援を通じまして状況を把握しておられまして、改めて県に情報提供を求めない市があることは承知をしているところでございます。
引き続き、市町との連携を図ることによりまして、必要に応じて避難行動要支援者の情報共有に努めてまいりたいと存じます。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)福祉避難所は災害時に開設をいたしますが、市町によっては、台風時において、すぐには開設しないとしている市町もございます。県が想定している災害時とは何を指しているのでしょうか、
健康医療福祉部長にお尋ねいたしたいと思います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
震災や風水害などの災害の種類は問わず、住民の生命、身体を保護するべき状況を災害時と捉えております。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)市町によっては、先ほど申し上げたとおり、台風時にはすぐには開設しないと。これは福祉避難所の話でございますけども、一般避難所を開設するというようなところもございますので、そういったところで市町によってばらばらであるということをもう少し考えていただければなというふうに思っております。
その中で、市町の特性を生かすことは本当に悪いことではありませんが、市町での認識の違いというのは大変な事態を招くおそれもあろうかと思っております。改めて、市町と災害時の認識を確認し、コンセンサスを図るべきかと思いますが、いかがか、
健康医療福祉部長にお聞きいたします。再質問させていただきます。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
福祉避難所は地域の実情に応じて市町が開設されるものでございますけれども、県としましては、どのような災害であっても、どの市町におきましても、配慮が必要な人が福祉避難所へ直接避難できるよう、各市町間の意見交換の場を通じまして認識の共有を図ってまいりたいと存じます。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)ありがとうございます。ぜひ、よろしくお願いいたします。
次に、対象者となる要配慮者の高齢者や障害者やその家族が個別避難計画自体を理解してもらわなければなりません。計画作成対象者や地域住民を対象にした理解を深める研修は行われているのか、知事公室長にお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
県で作成いたしました滋賀モデルにおいて、対象者や地域住民向けの研修会を実施するように市町にお示しをしているところでございます。研修を実施しておられる市町もありますけれども、温度差はあるのかなというふうに認識しております。
今後、引き続き研修会や会議を開催し、滋賀モデルの取組を市町に展開できるようにしてまいりたいと考えております。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)開催している市町があるということは、していない市町もあるということなんですよね。やはり、こうした計画を作成したとき、またやっぱり開催をしていただいて成り立つものかなというふうに思いますので、そういったところの主導というか、導きをまたお願いを申し上げたいというふうに思います。
次に、滋賀モデルにおいて、個別避難計画作成時に行政内部の部局や当事者、福祉専門職をつなぐ人材であるインクルージョンマネジャーの養成研修は、これこそ県主催の事業となっております。県において、行政職員等向けに研修会を開催しており、令和4年度は33人、令和5年度41人、参加いただいたとのことであります。参加していない市町もあるのか、知事公室長にお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
令和4年度からインクルージョンマネジャー養成研修を開催しておりまして、多くの市町から防災部局、福祉部局の職員に御出席いただいております。
ただ、当日の業務の都合上、出席いただけなかった市町に対しましては、後日、県職員による個別訪問などを行い、フォローをしております。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)今、フォローというようなお言葉がございましたけれども、誰を対象にフォローされているのか、再質問はしませんので次に移りたいと思いますけども、ちょっと疑問に思いました。
加えて、個別避難計画作成の関係者として、防災や福祉担当の行政職員のほか、地域包括支援員や社会福祉協議会職員などの福祉専門職や特別支援教育コーディネーターなど学校職員が挙げられていますが、行政職員以外を対象にした研修などを実施しているのか、知事公室長にお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
令和3年度からケアマネジャーや相談支援専門員など保健、福祉専門職を対象としまして、個別避難計画の作成演習や調整会議を模擬体験する研修などを実施しているところでございます。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)それじゃ、再質問させていただきますが、ちなみにこの研修、インクルージョンマネジャー研修ですか、研修に参加していなくても個別避難計画作成はできるかなというふうに思うんですけれども、このインクルージョンマネジャーが必要な理由というものをお聞かせ願いたいと思います。知事公室長にお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
インクルージョンマネジャーは個別避難計画の作成時に行政内部や当事者、福祉専門職などをつなぐ人材でございます。個別避難計画の作成はあらゆる関係者が連携することが重要であることから、インクルージョンマネジャーがいることで、より当事者の実情に応じた計画が速やかに作成できるというふうに考えております。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)必要だというような御答弁でございますので、これからもっともっとこのインクルージョンマネジャーを増やすような研修を密にしていただければなというふうに思います。
次に、滋賀モデルでは、当事者力アセスメントとして、当事者や御家族を対象に、対象者の自助力を調査するとなっております。具体的には自宅周辺の災害リスクの理解、非常持ち出し品の備え、家族、近隣住民との人間関係などを福祉専門職の方に聞き取るとのことであります。また、地域力アセスメントとして、自治会長や民生委員を対象に、地域がどの程度の支援力を備えているのか調査をすることとなっており、具体的には、移送用の車椅子などを保有しているか、備蓄食糧や非常用電源を保有しているか、コミュニティーなどの人間関係はどうなっているのかを聞き取りすることとなっておりますが、当事者力アセスメントや地域力アセスメントの実施状況を知事公室長にお伺いしたいと思います。
◎知事公室長(松田千春) アセスメントでございますけれども、県で作成いたしました滋賀モデルにおいて、実施するように市町にお示しをしております。県内市町におきまして、実施している市町もございますが、やはりこれにつきましても温度差があるのかなというふうに思っております。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)先ほど来の御答弁で、やはり市町によって温度差があり、やっていないところ、多分たくさんあるんじゃないかなというふうに推測されます。後ほどまた質問してまいりたいというふうに思います。
これまでお聞きしてきたことは個別避難計画作成のための事前準備でありましたが、個別避難計画が作成された後、地域調整会議を開催したり検証のための防災訓練の実施をしなければなりませんが、防災訓練の実施状況について、知事公室長にお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
令和5年1月1日時点で個別避難計画に係る訓練を実施したことがあるのは5つの市、5市でございまして、様々な関係者と連携し、避難所までの避難経路を確認するなどの訓練を実施されたというふうに聞いてございます。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)今までの答弁を聞いていると、全ての市町でやっていることというのは全くないように聞こえます。これはまた後ほど質問したいなというふうに思いますが。
次に、滋賀モデルの事業スケジュールの3年目に当たる令和4年度に滋賀モデルを展開するとされ、インクルージョンマネジャーの研修、そして、滋賀モデル推進連絡会議、滋賀県防災と保健、福祉の連携プラットフォームの設置、福祉専門職を対象とした防災力向上研修などを実施されてきましたが、令和5年以降はこの事業を継続的に取り組むとされております。
まず、令和5年度の事業展開はどのようなものなのか、知事公室長にお伺いしたいと思います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
令和2年度に作成した滋賀モデルを県全域に展開し、これまで取組を行ってまいりました。今年度は個別避難計画作成時に重要な役割を担っていただきます保健、福祉専門職向けに、時間や場所にとらわれず視聴していただけるよう、個別避難計画作成に係る研修動画を新たに作成しております。また、関係団体等からの御要望も受けまして、難病患者等の個別避難計画の作成が推進されますよう、保健所と市町の連携を促し、一部市町では保健所と連携して計画作成に着手されているところでございます。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)ありがとうございました。確認の意味で、もう一度、再質問させていただきますけども、5年度の事業内容というのをお聞かせ願ったつもりでございます。6年度以降、これからどのようにしていくのか、どのような目標となるのか、知事公室長に再質問したいと思います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
来年度は、既に作成されました計画の実効性の確保に向けて、市町において訓練実施を通じた計画の検証を支援したいと考えております。また、先ほど来、答弁しておりますように、なかなか取組が進んでいない市町もございます。また、難病患者等の計画作成の取組も進めていきたいと考えておりますので、アドバイザーの派遣などを行っていきたいと考えてございます。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)ありがとうございます。
計画の検証を行っていくということでございますが、何度も申し上げますけども、全ての市町で足並みをそろえて行動しているというようには全く見えないわけでありますし、市町によって温度差があるというのが大変問題であるというふうに思っておりますので、ぜひ、活発な活動というか、滋賀モデル推進に向けて、お取り組みいただきたいというふうに思います。
また、避難行動要支援者名簿の作成においても市町がそれぞれの様式で作成されておりまして、本当に指定福祉避難所が必要な人を把握できるのか疑問が残りますが、県として、滋賀モデルを示すことに当たり、滋賀モデルにおける様式の統一については県としてどのように考えているのか、知事公室長にお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
避難行動要支援者名簿や個別避難計画の様式につきましては、国の指針で示されている標準様式を踏まえて、各市町で定められているところでございます。
県といたしましては、国の指針において標準様式を示されていることから、各市町がそれぞれの地域の実情を踏まえて、個別避難計画を使用する関係者と連携して様式を検討されることが適当であるというふうに考えております。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)国の様式、そしてまた、地域の特性を生かしていくというような答弁であったかなというふうに思いますけれども、個別避難計画を作成する際に、国の施策として、ケアマネジャーが作成した場合には1件につき7,000円の報酬が申請できるとのことであります。県内にもこの制度を利用している市もありまして、個別避難計画がより詳しく細部にわたっており、資料も多いとのことでございます。そして、比べてみると、ほかの市町の個別避難計画は簡素で資料も少ないものが多いとのことでありました。ただ、災害時に内容が濃く、資料が多い計画が本当に機能するか、また、簡素な内容で大丈夫なのか、災害時にどちらが機能するか分からないと思っておりますが、改めて県が様式を統一することを考えたほうがいいのではないか、知事公室長に再度お伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
いざというときに、やはり災害に対応する能力というのは、それぞれの市町がどれだけ自分のこととして対応、備えているかということかなと思います。
先ほどお伝えしておりますように、市町においては、地域の実情を踏まえまして、それぞれやっぱり必要なことを濃く求めるものというのが様々あるかなと思っておりますし、名簿や計画の様式は既に作成されているところでもございます。このため、県といたしましては、市町の工夫や主体性を尊重することが計画の実効性を高めることにつながると考えております。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)それでは最後に、市町は各地域において努力しておられるかというふうには思います。小さな市町では担当者が1人であるとか、滋賀モデルを遂行するには大変な労力が必要であり、その結果、市町によって個別避難計画作成の内容や進捗状況に違いが見られるかというふうに思っております。
地域のそれぞれの特色を出していくことはよいことですが、市町によって、要配慮者の災害時の避難において差が出ることがないように、県がもっと主導的に動くべきではないかと思いますが、知事公室長に見解をお伺いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
計画がまだ策定できてない市町につきましても、それをおろそかにするつもりがあるわけではなくて、やっぱりそれぞれが非常に忙しい中で取り組もうとされているのだと思っております。
県といたしましては、まだ作成できていない市町への支援に注力するため、今年度は、直接、訪問いたしまして、課題などを聞き取りながら必要な情報を提供する、あるいは助言を行うなど伴走支援を実施してまいりました。その結果、防災と福祉部局の連携が活発になるなどの動きが見られてきているところでございます。
市町間において個別避難計画作成の進捗に差が生じないように、地域の実情も踏まえながら、市町の取組を一層後押しし、引き続き、全市町で計画が作成できるように支援を行ってまいりたいと考えております。
◆14番(赤井康彦議員) (登壇)ありがとうございます。
滋賀県は誰一人取り残さないというふうにうたっておりますし、伴走型支援、一緒に走りながら支えるというような意味合いなのかなというふうに思っております。ぜひ、一緒に走りながら、市町をよりよい方向に支え、そして、機能する滋賀モデルをおつくりいただきますことをお願いを申し上げ、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(有村國俊) 以上で、14番赤井康彦議員の質問を終了いたします。
しばらく休憩いたします。
午後3時7分 休憩
────────────────
午後3時30分 開議
○副議長(有村國俊) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。
次に、13番中山和行議員の発言を許します。
◆13番(中山和行議員) (登壇、拍手)私は、1、大阪・関西万博、2、高時川濁水問題、3、原発災害、4、補聴器の助成の4点について、全て一問一答形式で質問をいたします。
まず初めに、大阪・関西万博について質問します。
来年に開かれる予定の大阪・関西万博ですけども、2024年度予算では、県はこの万博に幾らの予算を上げておられますか。各事業名とその金額を総合企画部長にお尋ねいたします。
○副議長(有村國俊) 13番中山和行議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎総合企画部長(浅見裕見子) (登壇)お答えいたします。
関西広域連合が設置運営する関西パビリオンの負担金といたしまして8,797万1,000円、パビリオン内に出展する滋賀県ブースの展示や会場内および県内での催事、子供招待、それぞれに係ります準備運営費用であります万博推進事業として5億3,055万3,000円、合計6億1,852万4,000円を総合企画部で計上しております。
また、万博を契機として取り組む関連事業として、近未来技術等関連産業・企業間連携等促進事業で2,500万円、商工団体による大阪・関西万博プレ事業で950万円、シガリズム観光誘客キャンペーン事業のうち万博関連で8,065万8,000円、合計1億1,515万8,000円を商工観光労働部で計上しており、総計7億3,368万2,000円となっております。
◆13番(中山和行議員) (登壇)今おっしゃられましたように、今年度、総額7億3,300万円くらいのお金を計上するということです。大変大きな金額だというふうに私は思っています。
さて、昨年12月に私は関西万博の予定地を視察してきました。パネルをちょっと見ていただきたいんですけども。(資料掲示)議員の皆さんもあると思います。
パネル、写真1は会場となる夢洲を上空から見たものです。1区──こちらです──一般と、それから産業廃棄物で、2区は建設工事に伴う掘削残土、3区は海のしゅんせつ土砂で埋立てを行っています。2区が万博の会場予定地です。3区がIR、いわゆるカジノの予定地です。
写真、次ですけど、これで大きく概要が分かっていただけたと思います。
写真2です。写真には、1区に置かれているPCBの汚泥袋です。こういうふうに1区のところに置かれているものです。
写真3です。これも1区の場所ですけども、ここにパイプが見えると思うんですけども、79本のパイプとか煙突が立っています。土中のガスを抜いています。この場所が駐車場、それからイベントとか空飛ぶクルマの会場になります。
写真4です。これは1区から出た汚染水をためる池です。こちらです。隣のウォーターワールドの会場となる2区に流しています。
万博会場は一般廃棄物や産業廃棄物、大阪湾のしゅんせつ土砂で出来ている島です。本来、これからも長らく処理場として使うはずだったところにカジノや万博を持ってくること自体がおかしいと思います。国内、また海外から2,820万人もの多くの人を招くという会場予定地がいかにイベントを行う会場にふさわしくないか分かると思います。しかも会場へのルートは橋とトンネルの2つしかありません。これで1日十数万人の入場者を見込むというのはあまりにも無謀です。南海トラフ地震の可能性も言われています。仮に地震など災害が起きたら、入場者を大きな危険にさらすことになります。県のお金を使って、4歳の幼児から18歳までの高校生を対象に教育旅行も企画して万博に行かせる、このことを知事はどのように考えておられるのでしょうか、所見を伺います。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
万博会場の区域は廃棄物最終処分場と建設残土の埋立処分場でございますが、大阪市によって適切に管理されているものと認識しております。また、主な来場者想定ルートとしては、橋とトンネルのほかに水上ルートが計画されております。また、万が一の災害発生時の対応につきましては、運営責任者である2025年日本国際博覧会協会が令和5年12月に防災基本計画を策定されており、今後も継続して検討され、実施計画等が作成されると認識しております。
いのち輝く未来社会のデザインをテーマとする今回の万博での体験は将来を担う子供たちにとって大きな価値を持つものと考えており、ぜひ、子供たちに入場の機会を提供したいと考えているところでございます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)今、そのように避難計画とか子供の教育効果というふうに言われましたけども、私はそうは思いません。
万博の総事業費は幾らになると報道されていますか、総合企画部長にお尋ねします。
◎総合企画部長(浅見裕見子) お答えいたします。
何をもって万博の総事業費とするかは大変難しいところと考えておりますが、万博の運営主体でございます博覧会協会の本年2月6日時点の資料によりますと、会場建設費が2,350億円、運営費が1,160億円と承知をしております。
◆13番(中山和行議員) (登壇)昨年12月に報道されました赤旗の日曜版によりますと、いろんな計算はあるんですけど、万博の関連事業は約8,600億円ということになっています。このうちの8割が公費負担で、6,700億円ものお金を国民が負担しなければならないということになります。
それでは、万博に関わる国民、そして大阪府民、大阪市民の負担金は幾らになるか、同じく総合企画部長にお尋ねします。
◎
総合企画部長(浅見裕見子) お答えいたします。
議員、言っていただきました金額とは少し違っておりますけれども、今後、明らかになってまいります経費を除きまして、現時点で国の費用は1,649億円である資料、また、大阪府市の費用は1,325.4億円という資料につきまして確認をしておりますが、その詳細や国民、府民、市民の負担額は承知しておりません。
◆13番(中山和行議員) (登壇)計算されておられないということですけども、国の負担が3,457億円、そして、大阪府の負担が553億円、大阪市の負担が2,712億円ということになって、1人当たりに計算しますと、日本国民は1人約2,800円、大阪府民は9,100円、大阪市民は何と10万7,000円になります。国民の赤ちゃんからお年寄りの方まで、大変な金額ということになります。多くの国民は税金でこんなにも負担するということを知らされていません。このことを知れば強い驚きと怒りが湧き起こることになるでしょう。実質賃金は上がらない、年金も目減りする、物価高騰で少しでも安い買物をしなければならない苦しい生活を送っている庶民の生活です。僅か半年間の開催のためにこれほどまでに国民の負担を強いる万博、私は、これはもうやめるしかないというふうに思います。
昨年12月に大阪府と大阪市が行った万博についてのアンケートの結果を紹介します。アンケートは府内の4,000人、府外の2,000人、合計6,000人によるものですけども、万博に行きたいと思う人、この3年間で下がり続け、大阪府内でも36.9%、全国では33.8%です。3人のうち2人は行かない、こういうことです。しかもこのアンケートは能登半島地震が起きる前に行ったものです。今、再度、意向調査をすれば、さらに下がることは間違いないというふうに思います。
さらに、共同通信の世論調査でも、計画どおり実施すべき、これは27%で、延期すべき、縮小すべき、中止すべき、これを合わせますと73%の人が見直しを求めています。SNSでも、大阪万博より被災地復興、万博は中止しかない、予算も資材も人手も被災地に回せ、こういう声が多く上がっています。また、被災者の方は「能登で被災した者です。万博で夢や希望なんぞ持てません。それより1分1秒でも早くライフラインの復興を望んでいます」「半年で潰すパビリオンよりライフラインの再開が最優先。震災で苦しんでいる人が大勢いるのに万博で楽しめるのか」、こういう悲痛な声もあります。万博協会の副会長である経済同友会の新浪剛史代表幹事でさえ、今年の年頭記者会見で「被災者への対応は何よりも優先されるべきだ。そういうことであれば世界は理解してくれる」、このように言われまして、万博延期に言及されました。
万博に資材や人材、重機、巨額の税金が投入されれば被災地の復旧復興にしわ寄せが起こることは明らかです。吉村大阪府知事は二者択一ではないというふうに言われますけども、国民に大変なお金を負担させる、さらに、震災復興の妨げになるこの万博は中止しかありません。
そもそもこの万博は、新聞でも報道されていますように、カジノを夢洲に持ってくるために計画されたものです。2015年に松井知事、当時ですけども、橋下徹氏、安倍首相、菅官房長官の4人で、忘年会の席、この席で決まったと松井氏は著書の中で書いておられます。万博はカジノの露払いになっています。
4月の12日までに中止を決めれば350億円の違約金で済みます。過去にも財政問題やコロナで中止に、あるいは延期になった例も数多くあります。
そこで、知事にお尋ねします。このような能登半島地震復興の妨げにもなる万博は、今からでも国に中止を求めるべきではありませんか、知事の所見を伺います。
◎知事(三日月大造) お答えいたします。
現時点の情報を基に考えます限り、万博に向けた準備が能登半島地震の復旧や復興の妨げになっているとは認識しておりません。
今回の万博は命をテーマにしています。災害からどのように命を守るのか、また、老いや病からどのように命を輝かせていくのかという視点で、その時々の最高、最新、そして世界の知見等を紹介し合うことは大いに意味のあることだと考えております。
このため、本県としては、万博の中止を求めるのではなく、万博の開催と能登半島地震、被災地の復旧復興への支援の両方に精力的に取り組んでまいりたいと存じます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)吉村知事と同じようなことを言われるというふうに感じたんですけども、私は、国民の多くが今の能登の地震を見ても、現実的にそうやないやろうと、万博どころではないだろうという、これがやっぱり実感だろうというふうに私は思っています。
それでは引き続き、4月12日までもう少しあるんですけども、大阪でもこれに反対するデモとか行動が連日行われています。私もやっぱりそういう運動を支持しますし、今後も中止を求めていきたいというふうに考えています。
それでは次に、高時川の濁水問題について、全て
琵琶湖環境部長にお尋ねをいたします。
2月9日に行われました高時川濁水問題に関する報告会で、参加者の方に報告、説明された内容を少し詳しく教えていただきたいと思います。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) (登壇)お答えいたします。
報告会では、国、県、長浜市で構成いたします連絡調整会議で昨年末に取りまとめました、長期の濁りの原因とその軽減対策についての報告書案の概要につきまして報告をいたしました。また、1月16日の第4回検討会議で、濁水に関して情報提供がありました長浜市の田川や、高時川流域に隣接します福井県の日野川の状況のほか、今後、地域の方々に幅広く参画いただく検討会議の進め方について報告をしたところでございます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)私がもう少し詳しくお話をしていただきたいと言ったのは、私に答弁していただいているんじゃなしに、県民が見ているわけですよね。そういう意味で、今は高時川の問題で県はどういうふうなことをやっているかということをやっぱり説明をしていただきたかったんですけども、次へ行きます。
県として、関係部局が様々な取組をやっておられます。このことについては私は感謝をしています。もちろん地元の方もです。また、これからの検討会議に地元の漁業関係者、それから自治体関係者の皆さん、環境活動の団体の皆さんにも入ってもらうように決まりました。このことは私は評価したいというふうに思っています。そして、さらに要望したいのは、年数回の検討会議だけではなくて、地元関係者の方々との間で月1回くらいの頻度で連絡会を持っていただきたい、このことです。今、この問題で何が取り組まれているのか、あるいは工事の進捗状況、地元の現地の状況、こういったことを交流することが大変これから大事になってくると思います。ぜひ、検討をお願いしたいと思います。
報告会にはたくさんの方が参加をされていました。参加者の方はどのようなことを発言されておられましたか、できるだけ詳しくお願いいたします。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) お答えいたします。
今回の報告会は長浜市役所の高月支所で開催をいたしまして、参加者が報道関係者を含めまして40名ございまして、地元在住の方や漁業関係者、環境問題に取り組まれている方などの参加がございました。
参加者のうち11名の方から、スキー場跡地の是正工事に関する御意見のほか、治山や河川の工事内容について、アユの産卵区間での河床の耕うんなど、主に対策についての御意見、御要望があったものでございます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)そういう発言があったというだけじゃなしに、どういう内容をしゃべられたかということを本当は言ってほしかったんですけども。私も参加していましたけども、多くの方が切々と川の状況や被害を訴えておられました。私も川の汚れを、今朝も濁っていたんですけども、その様子を見るたびに胸が痛くなります。川や琵琶湖をなりわいとされています漁業関係者の方はなおさらだというふうに思います。県職員の皆さんにも、ぜひともこの思いを共有していただきたい、こういうふうに思います。
高時川に関わる来年度予算はどういった内容で計上されていますか、お伺いします。(発言する者あり)
○副議長(有村國俊) 最初に全てとおっしゃいましたので大丈夫ですよ。(発言する者あり)
◆13番(中山和行議員) 全てなんですけども。
○副議長(有村國俊) 全ての場合は大丈夫です。
◆13番(中山和行議員) よろしくお願いいたします。(発言する者あり)
◆13番(中山和行議員)
琵琶湖環境部長、お願いします。(発言する者あり)
○副議長(有村國俊) しばらく休憩します。
午後3時52分 休憩
────────────────
午後3時53分 開議
○副議長(有村國俊) 休憩前に引き続き、会議を再開します。
13番中山議員の発言を許します。もう一度、お願いします。
◆13番(中山和行議員) (登壇)それじゃ、もう一度、言います。
高時川に関わる来年度予算について、どのようなものを計上されていますか、
琵琶湖環境部長にお伺いします。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) お答えいたします。
支川の大音波谷川から高時川本川への土砂流出を防止する施設の設置に係る現地測量の経費でございますとか、濁水などの情報を共有し、対策の効果検証を行うための検討会議の運営の経費といたしまして、合わせて、琵琶湖環境部で623万2,000円を計上してございます。また、その他の部局では、漁業者等による河床耕うん等の取組への支援でございますとか湖北の地域資源を活用した漁村活性化の取組などに係る経費が計上されていると承知しております。
◆13番(中山和行議員) (登壇)来年度は、他の事業も入れまして、全体で1,150万円ということです。先日の報告会でもありましたけども。
私は、この額はやっぱり少ないんではないかなというふうに思うんです。ほかのいろんな県の事業からいいまして、そして、北部振興ということを知事も言っておられます。そういったことを考えると、1,150万というのはやっぱり少ないというふうに思います。ぜひとも、今後ともさらに予算を増やしていただいて、積極的に県が取り組んでいただくことをお願いしたいと思います。
続きまして、高時川上流付近で計画されています風力発電についてお聞きします。
昨年3月の20日、経産省に提出された余呉南越前第一・第二ウィンドファーム発電事業、これについての意見書の内容をお聞きします。
琵琶湖環境部長、お願いします。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) お答えいたします。
令和5年の3月20日に経済産業大臣に提出いたしました環境影響評価準備書に対する知事意見では、希少猛禽類であるイヌワシ、クマタカや、ブナ林を基盤として成立する生態系への影響等を指摘いたしました。また、令和4年8月に発生した豪雨では事業予定地の一部も被災しており、風力発電事業の実施に伴う森林伐開や土地の改変により、土砂流出等に伴う下流河川環境への影響に対する懸念が増大していることにも触れた上で、準備書で示された環境影響の予測評価結果の見直しや環境保全措置の充実を求めたところでございます。加えて、あらゆる環境保全措置を講じても、なお重大な環境影響を回避または十分に低減できない場合は、事業の取りやめや事業規模の大幅な縮小など、事業計画の抜本的な見直しを検討するよう求めたところでございます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)私も長浜市とか滋賀県が出された意見書を読みました。確かに今言われましたように、県のほうは、事業者が作成されました環境影響評価準備書、このことについて懸念を示されています。しかし、風車39基、これだけ、今、計画されてるんですけども、そのうちの24基ぐらいを再検討を求めるというふうなことも書いていますけども、明確に風力発電について反対であるというふうな、今現在、立場に立っていないように思います。風力発電事業について、今後の動きはどのように進んでいくのか、環境部長にお伺いします。
◎
琵琶湖環境部長(森本哲司) お答えいたします。
知事意見を提出した後、経済産業省において環境大臣などの意見も踏まえた審査が行われまして、令和5年の5月19日に経済産業大臣勧告が事業者に発出されました。その後の手続といたしましては、大臣勧告を踏まえた環境影響評価書を事業者が作成し、同省の審査を経て、その内容が確定すると、評価書で示された風車配置や環境保全措置を基に工事計画が作成されることになります。
大臣勧告では、風車の配置等の事業計画を抜本的に見直すことに加え、その検討の際には専門家等からの助言を受け、科学的に検討を行い、その経緯を公開することなど、知事意見と同趣旨の指摘が盛り込まれたところであり、今後、大臣勧告に対して、事業者として何らかの対応が行われると考えております。
県では、引き続き事業者の動向を注視しているところでございまして、今後も情報収集に努めてまいりたいと存じます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)ありがとうございます。
高時川の問題を考えていく上で、この風力発電の問題というのは、今後、非常に大きく関わってくるというふうに考えています。これからの推移を今後も見ていきたいというふうに思っています。
それでは、次に、原発災害について質問をします。
今回の能登半島地震によって志賀原発ではどのような被害状況がありましたか、知事公室長にお尋ねします。
◎知事公室長(松田千春) (登壇)お答えいたします。
原子力規制庁の発表によりますと、志賀原子力発電所におきまして、能登半島地震を受けて、変圧器の油漏れに伴い、5回線ある外部電源のうち2回線が使用できなくなったということでございますが、残る3回線を活用いたしまして、使用済み燃料の冷却や電源など安全機能は維持されているということでございます。また、使用済み燃料プールからの溢水なども起きましたけれども、発電所内の排気筒モニターおよびモニタリングポストでは、引き続き、異常は確認されてございません。
◆13番(中山和行議員) (登壇)今言われたのは、関西電力が事故後に発表された内容とほとんど変わらないかなというふうに私は思いました。
少し補充します。志賀原発では外部電源を受けるために必要な主な変圧器が損傷しまして、2万リットル、油が流出しました。そのため、外部電源の1系統が、先ほどもありましたように使用できなくなりました。使用済み燃料プールでは、1号機、2号機で、地震の揺れにより冷却水が建屋内にあふれ出て、そして、2号機ではプール内に異物が落下するという事故も発生しました。原発の敷地内で地割れや段差も見られ、津波対策のための高さ4メートルの防波堤も影響を受けています。志賀原発は運転停止中でしたけども、もしこれが再稼働していたら大変大きな事故になった、そういった可能性があるというふうに思っています。
それでは、避難経路の被災状況はどうだったでしょうか、同じく知事公室長に伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
志賀原子力発電所で事故が発生したときの避難経路につきましては、石川県の計画により、原子力災害対策重点区域の30キロメートル圏外へ通じる国道や県道の幹線道路を中心に基本的な避難ルートが11路線、示されております。内閣府に確認しましたところ、能登半島地震により、幹線道路11路線のうち7路線について、その一部が通行止めとなったところでございますけれども、迂回経路があることなどによりまして、能登半島南側への避難経路は確保できていたというふうに聞いております。
◆13番(中山和行議員) (登壇)今の答弁、先ほどの答弁もそうなんですけども、印象がやっぱり何か、被害を小さく小さく言われているような気がするんですけども、ずたずたに道路が寸断されて、そして、避難も救助もできない状況になっていたというのは事実だと思うんです。
滋賀県においても、若狭の原発からUPZ内には高島市や長浜市が含まれています。山間部も多くて、高齢者の方もたくさん住んでおられます。道路も少なく、大きな道が1本や2本しかないという、そういった状況です。一たび地震とか原発事故が起これば屋内退避も避難もできない、こういった状況です。
私も行ったんですけども、予行練習も行った避難訓練ですけども、本当にそのとおりにできるのか、こういった疑問を持っています。
このように危険な、そして、人類がいまだ放射性物質をコントロールできない、こういった原発は一日も早く稼働を停止すべきである、私はこういうふうに考えています。
さて、県内各地の市民の皆さんから、安定ヨウ素剤を事前配布してほしいという要望があります。少なくとも、まず、30キロ圏以内では事前配布をすべきではないか、こういうふうに考えていますけども、知事はどのようにお考えですか。
◎知事(三日月大造) 議員のお考えと異にいたします。
国の指針によると、原子力災害が発生した場合、安定ヨウ素剤の配布、服用につきましては、原則、避難と併せて行うこととなっています。また、安定ヨウ素剤は適切なタイミングで服用されなければ効果を得られませんので、バス避難を原則としている本県におきましては、UPZ内の小学校等、一時集合場所に備蓄いたしまして、配布し、服用していただくことが適当であると考えております。
安定ヨウ素剤の事前配布につきましては、薬剤の誤飲、また紛失、指示を待たずに服用されるといったことなどのリスクがありますことから、県として、行わないこととしているところでございます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)意見が違うんですけども、現実に、福島の原発のときに安定ヨウ素剤を、きちっとした指示がなくて飲まれなかったと。小さな小学生、中学生くらいの子供たちが飲めなかったと。配られたけども、結局、服用しなかったために甲状腺がんになって、今現在、高校生とか大学生の方がいはるんですけども、その方が本当に大変な思いで苦しんでおられるという、やっぱりそういう現実があるわけです。だから、飲んだときの副反応とかいろんな危険性とかそういうことも言われますけども、そうじゃなしに、本当に飲まなかったらそれだけがんになってしまう、甲状腺がんになるんやという、そのことを私はしっかりと捉えてほしいなというふうに思います。
UPZ以外の、校区の話ですけども、米原市とか、あるいは犬上3町でも保育園、幼稚園、小中学校で備蓄をされています。先日ですけども、長浜市で条件つきですけども、事前配布を求める決議というのが全会一致で採択をされました。今後、それが進んでいくことを望んでいるんですけども。
現在、国内で10基の原発、そして、そのうちの福井県では5基の原発が稼働しています。40年を超えるものが3基です。高浜原発1、2号機、美浜原発3号機です。このような大変危険な老朽原発、これは一日も早く運転停止にすべきだというふうに私は考えていますけども、知事のお考えを伺います。
◎知事(三日月大造) まず、これまでに至るまで、原子力発電所の立地を受忍いただいて、電力の安定供給に御協力いただいている立地自治体の住民の皆様に心を寄せ、心から敬意を表したいと思います。また、原子力発電所の安全確保等に、現場で日夜、御尽力いただいている方々に対しても感謝を申し上げたいと存じます。
日々、私たちは電気電力、今もそうですけれども、使っております。現在のエネルギー情勢を鑑みますと、安定してエネルギー需給を賄う視点からは、安全に動かせる原発を動かすという国の方針は一定理解するものでございます。しかしながら、中長期的には、県民の命と暮らし、琵琶湖とその集水域を預かる滋賀県として、実効性ある多重防護体制の構築が依然として道半ばであること、この実効性ある多重防護体制とはソフト、ハード両面です。任意ではなくて法的に担保されることです。そして、立地自治体だけではなくて被害を受ける可能性のある周辺自治体も含めて、インサイトだけではなくてオフサイトも含めた防護体制というものを構築すべきだということ、このことがまだまだ道半ばであるということ、それが1つ目、そして2つ目として、使用済み核燃料の処理など原子力の静脈部分が未整備であること、そして3つ目として、原子力発電所に対する国民、県民の不安感が払拭されていないことから、稼働、非稼働の違いや運転期間に関わらず、再稼働を容認できる環境にはないという認識に変わりはございません。
能登半島地震を踏まえて、県といたしましては避難の課題に係る情報収集に努め、引き続き避難計画の実効性を高めるとともに、国や電力事業者に対しましては、国の地震調査委員会の評価や被害想定の見直しなど新たな知見を生かし、発電所の安全性評価に、再度、検証を加えるよう求めてまいりたいと存じます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)知事は非常に原発に対して慎重であるという立場は理解すると思うんですけど、事故が起こったときはもちろん危険ですけども、その生み出される放射性物質、それをどうするかということで、今、全国で幾つかのところで調査が始まっていますけども、10万年もかかって地下300メーターに埋めると。人類の歴史から考えて、10万年後に、じゃ、人類がいるんかどうか、そのことさえ本当に疑問に思う。我々、こんだけ進んで、月へ行こうかという人類がいまだ放射性物質をコントロールできないという、こういう危険性があるということを本当に理解していただきたいなというふうに思っています。
それじゃ、最後の質問に移ります。
補聴器の助成についてお尋ねします。このことについては2022年の7月議会で我が党の黄野瀬議員、それから、昨年の9月の議会で野田議員も質問されました。再度、質問します。
全国の自治体で、現在、補聴器への助成を行っているところはどれくらいあるでしょうか、
健康医療福祉部長にお尋ねします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) (登壇)お答えいたします。
全国保険医団体連合会が実施されました調査によりますと、令和5年11月時点で222の自治体において、成人の軽度、中等度難聴者に対する補聴器購入費の助成が実施をされているとお聞きしております。
◆13番(中山和行議員) (登壇)私の調べたところによりますと、ほとんど変わらないんですけども、全国で239の自治体が助成を行っているというふうに聞いています。
いずれにしろ、この2年間で大変たくさん、全国で増えてきているというふうに思っています。滋賀県内の自治体で補聴器の助成を行っておられるところはどこでしょうか。同じく
健康医療福祉部長にお尋ねします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
今年度におきましては、県内では長浜市、東近江市、豊郷町、甲良町、多賀町の5市町において、高齢者を対象に上限額2万円から4万円の助成が行われると承知をしております。
◆13番(中山和行議員) (登壇)ありがとうございます。
それに加えまして、今年4月から甲賀市と近江八幡市で実施をされるというふうに聞いています。大体、金額が百数十万円から300万円くらいの予算がつけられているというふうに聞いてますけども、そんなに大きな金額ではないというふうに思っています。
これまでも何回も繰り返し聞かれていますけども、補聴器を装着することの有用性、これはどんなところにあるでしょうか、同じく
健康医療福祉部長にお尋ねします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
WHOによりますと、中等度難聴の方は日常生活に支障を来すとの報告がありますことから、補聴器を使用し、聞こえを改善することによって、例えば会話が円滑にできたり、安心して外出しやすくなり、社会参加が促進されるなど、生活の質の向上が期待できるものと考えております。
◆13番(中山和行議員) (登壇)補聴器をつけるということは本当に聞こえづらい人にとって大変有用であるということが分かると思います。お医者さんも、やはり補聴器を早い段階からつけるということを進めておられます。認知症の予防にもなります。私も、先日も言いましたけども、日常生活で補聴器をつけているんですけども、つけないと本当に不自由なことということになってしまいます。誰でも年を取ると聞こえが悪くなります。今は大丈夫でも、皆さん、いつかは聞きづらくなるということを分かっていただきたいと思います。
その補聴器ですけども、購入するということになると結構な金額がかかります。ちゃんとしたものを買うということになると数十万円はします。これが購入をためらってしまう、そのことの要因になっているというふうに思います。このようなときに購入の助成をしてもらえたらハードルが下がり、購入につながる、このように考えます。
そこで、知事にお尋ねします。県の予算を使って助成ができないか。先ほどの話の中で2万円から4万円の補助をされているという自治体が多いというふうにあったんですけども、仮に4万円ということになりますと、県下で仮に500人の人に補助するということになると4掛ける500で2,000万、これを大きいと見るか少ないと見るかなんですけども、私は、先ほどから話があった、やっぱり万博に大変な額の数億円のお金をかけるとか、あるいは企業とかの誘致にはかなりのたくさんのお金をかけるとか、そういうことから見ると、本当に額から見たら少ないと思うんですよ。だから、ぜひとも私は知事に、そういう本当に弱者というんですか、そういう方にやっぱりお金も回していただきたいと、そういうふうに思うんですけども、お考えを伺います。
◎知事(三日月大造) 私もだんだん見えづらくなってきましたし、聞こえづらくなってまいりました。加齢性難聴は自分自身では気づきにくくて、適切な受診や支援につながらないケースがあり、今後、高齢化が一層進展する中で、加齢性難聴者への適切な支援は生活の質の維持や向上の観点から重要であると認識しております。
現在、国において難聴の早期発見、早期介入の仕組みの構築に向けた調査研究事業が進められていると承知をしております。
滋賀県といたしましては、加齢性難聴者への支援は、これは全国的な課題であり、まずは国において統一した仕組みや支援策を構築することが必要だと考えており、こうした動きを注視しつつ、引き続き、国に要望を行ってまいりたいと存じます。
◆13番(中山和行議員) (登壇)いろんな点について国のほうに要望していくと。例えば学校の教育のことに関してもそうなんですけども、いろんなこと、国にもちろん要望していかんならんことも必要なんですけども、同時に、国がなかなか動かないという状況の中では、やっぱり率先して県がやっていくと。県が動かないから、今、市町がいろんな補助をやっているわけですよね。だから、市町が率先してやってくれているんです。それに続いて滋賀県も動くと。そして、同時に国に求めていくという、そういう姿勢で、ぜひとも知事には当たっていただきたいというふうに、これは補聴器だけの問題に限らずいろんな問題で、そういう意味でイニシアチブを執っていただきたいなというふうなことを私は強く思います。ぜひとも、今後、知事が。
○副議長(有村國俊) 中山議員に申し上げます。発言時間を超過しましたので簡潔に願います。
◆13番(中山和行議員) (登壇)終わります。ありがとうございます。(拍手)
○副議長(有村國俊) 以上で、13番中山和行議員の質問を終了いたします。
次に、7番岩崎和也議員の発言を許します。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇、拍手)通告書に従いまして、3項目を全て分割方式にて質問いたします。よろしくお願いいたします。
1項目め、人権が尊重される社会づくりについて、知事、総合企画部長、教育長に質問します。
1948年──昭和23年12月10日、パリでの国連第3回総会において世界人権宣言が採択され、75年を迎えました。毎年12月10日を人権デーと定め、加盟国などに人権思想の啓発のための行事を実施するよう呼びかけています。
法務省のホームページによると、「20世紀には世界を巻き込んだ大戦が2度も起こり、特に第2次大戦中においては特定の人種の迫害、大量虐殺などの人権侵害が横行した。このような経験から、人権問題は国際社会全体に関わる問題であり、人権の保障が世界の礎であるという考え方が主流になってきたことにより人権宣言が誕生した」とのことです。
我が国では毎年12月10日を最終日とする1週間を人権週間と定め、人権尊重思想の普及、高揚を呼びかけています。しかしながら、他人をおとしめたりやゆしたりする社会的風潮がまん延しています。政治と行政が主導して、人権が尊重される社会を実現していかなければならないと考えますが、政治家自身の発言にモラルが問われるようなものも見受けられます。国会論戦の場でも、増税眼鏡などと他人をやゆするような発言をした国会議員がおり、憤りとともに、大変に残念に思いました。政治家がこのような発言を続ける限り、人権侵害はなくなりません。それどころか、逆に人権侵害を助長しているものと私は考えています。また、他人をおとしめるような言動が容認されている社会に違和感を感じています。
まず初めに、三日月知事にお伺いいたします。
いじめや差別、各種ハラスメント行為だけではなく、近年ではネットによる誹謗中傷がまん延しています。ネット上では、匿名であることを盾に、批判的な内容にとどまらず、差別につながるような投稿も見受けられます。本県でもネットを通じて誹謗中傷を受けた事案が発生していると仄聞をしております。
まずは、このように様々な人権侵害が横行する社会的風潮について、知事はどのようにお考え、感じておられるのか、お伺いをいたします。
次から以下、総合企画部長にお伺いをいたします。
本県では、平成13年4月に滋賀県人権尊重の社会づくり条例が施行されました。まずは、この条例を制定された背景と、その目的をお伺いをいたします。
次に、本県では、この条例を基に様々な取組がなされてきたと思います。人権意識の高揚のための教育啓発に関してどのようなことをされてきたのか、具体的な取組をお伺いをいたします。
人権侵害によって自ら命を絶たれるような事案も発生をしています。深刻な状況に陥らないように、相談体制の充実が必要とされています。人権侵害に対する救済のための相談支援体制の充実に向けて、どのような取組をされてきたのか、お伺いをいたします。
現在でも、子供から高齢者まで幅広い年齢層で人権侵害が発生していると考えられます。条例が制定されて20年以上経過しますが、当時とは、社会状況の変化もさることながら、人と人との関係性、価値観なども変わってきているように感じています。先ほども述べましたが、デジタル化の進展とともにネット上の誹謗中傷の問題が深刻化しております。そのことによって、大変に残念でありますけれども、自死に追いやるような事件も発生しています。ネット上の誹謗中傷対策として、侮辱罪に懲役刑が導入され、法定刑の上限を引き上げる改正刑法が成立されました。これまでの侮辱罪の法定刑は、刑法上で最も軽い30日未満の拘留または1万円未満の科料でしたが、法改正によって1年以下の懲役、禁錮または30万円以下の罰金と厳しくなりました。しかしながら、ネット上で、匿名をいいことに他人への誹謗中傷がとどまるところを知りません。このようなネット上での誹謗中傷について、県ではどのような対策を取っておられるのか、お伺いをいたします。
○副議長(有村國俊) 岩崎議員に申し上げます。各質問について、その都度、答弁者を指定してください。
◆7番(岩崎和也議員) 分割でも。
○副議長(有村國俊) はい。
◆7番(岩崎和也議員) 失礼いたしました。
では、最後に、教育長に質問いたします。
最も心配なのは子供たちの中でのネットを通じたいじめ問題です。小学生から高校生までがインターネットを日常的に使用し、同時にSNSも頻繁に利用するようになりました。便利になった反面、これまでになかったいじめ問題も発生することとなりました。目には見えにくいところでいじめが発生していると考えられます。では、小学校、中学校、高校それぞれでどのぐらいネット上のいじめが発生しているのか、お伺いをいたします。教育長にお伺いをいたします。
続いて、教育長にお伺いいたします。
そして、そういったネットのいじめに対しまして、学校現場ではどのような対応を取っておられるのか、お伺いをいたします。
○副議長(有村國俊) 岩崎議員に申し上げます。問2から問5まで、総合企画部長ということでよろしいですね。
それでは、7番岩崎和也議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)人権が尊重される社会づくりというテーマで7点、御質問のうち、私には最初に1点賜りました。
人権は人が人らしく生きていくための権利であります。全ての人の人権が尊重される豊かな社会づくりを推進することは全ての施策の基礎になるものであると認識しております。しかしながら、世界の状況を見ますと、最大の人権侵害である戦争が各地で発生しており、多くの貴い命が失われております。また、4年にわたりますコロナ禍におきましては、様々な差別事案も残念ながら発生してしまったという、こういったことがございます。また、現在、国内ではSNS上で個人の人格を否定するような誹謗中傷や、能登半島地震などの災害に乗じた偽情報やデマの拡散が行われるなど、生命や人権が脅かされる事態が発生しているところです。このように、インターネット上での誹謗中傷をはじめとする様々な人権侵害が見受けられる現状は決して看過できるものではないと考えております。
人権侵害の解消は一朝一夕になせるものではございませんが、国や市町等とも連携いたしまして、粘り強く取り組んでいく必要があると考えております。
◎総合企画部長(浅見裕見子) (登壇)私に頂きました4点の御質問にお答えいたします。
1点目の、条例制定の背景と目的についてでございます。
21世紀は人権の世紀と言われ、国内外で人権尊重の機運が高まる中、県が取り組むべき人権施策を検討するため、平成11年に有識者等による滋賀県人権施策推進懇話会を設置したところでございます。この懇話会からの「県民とともに人権施策を総合的かつ継続的に実施していくため、法的基盤を整備する必要がある」との提言を受けまして、平成13年に条例を制定したものでございます。
この条例は、社会的身分、人種、民族、性別、年齢、障害、疾病などによる様々な人権課題を包括した条例であり、県、県民だけではなく事業者も対象に含め、それぞれの責務を定めること等によりまして、全ての人の人権が尊重される豊かな社会の実現に寄与することを目的としております。
2点目の、教育、啓発の取組についてでございます。
教育に関しては、学校、園での生活や教育活動などあらゆる場において、子供の自尊感情を育み、人権感覚を高めるとともに、人権に関する理解を深め、自分や他者の人権を守ろうとする意識、意欲、態度の育成を図っております。
また、人権啓発に関しては、9月の同和問題啓発強調月間および12月の人権週間を中心に、テレビやラジオ、新聞、インターネットなどの様々なメディアを活用した啓発や、県広報誌プラスワンへの特集記事の掲載、メールマガジン、人権通信、人権啓発イベントの開催など、幅広い層に訴えかける啓発に取り組んでいるところでございます。また、人権啓発キャラクター、ジンケンダーを活用するなど、分かりやすく、親しみやすく、県民の方の共感が得られるよう努めているところでございます。
3点目の、相談支援の取組についてでございます。
様々な人権に関する相談に対応できるよう、県内には公益財団法人滋賀県人権センターの人権相談室をはじめ、国や市町等において相談窓口が設置されているところでございます。一部の相談窓口ではメールによる相談にも対応しているところでございます。また、人権に関する様々な悩みに的確に対応できるよう、県民の皆さんに相談窓口の周知を図るほか、国や県、市町などの相談機関で構成する滋賀県人権相談ネットワーク協議会を設置し、相談員の資質向上のための研修会を実施するなど、相談支援体制の充実と相談機関相互の連携強化を図っております。今後も引き続き、連携を密にし、相談支援体制を充実してまいります。
次に、4点目の、ネット上での誹謗中傷への対策についてでございます。
ネット上での人権侵害の現状やSNS利用の心構えなどを人権尊重の視点から情報発信するため、県広報誌への特集記事の掲載やテレビスポット広告の放送、ユーチューブや各種SNS上での啓発広告のほか、平成29年度からは新中学1年生全員へのスマホとの付き合い方啓発リーフレットの配付などを行っているところでございます。また、平成19年度からは、関係機関、団体で構成するインターネット差別書き込み等に係る滋賀県人権啓発推進連絡会を設置し、情報交換や研修会の開催などにも取り組んでいるところでございます。あわせて、ネット上の人権侵害は本県のみにとどまる課題ではないことから、国に対して、法的措置等を含め実効性のある対策を早急に講じるよう、全国知事会等を通じて要望しているところでございます。
今後も社会情勢の変化に合わせながら、啓発リーフレットの見直しなど、ネット利用のルールや情報リテラシーに関する啓発を強化するとともに、各種メディア等を利用した啓発広告により誹謗中傷の防止を呼びかけ、ネット上での人権侵害対策に取り組んでまいりたいと存じます。
◎教育長(福永忠克) (登壇)人権が尊重される社会づくりについて、私に頂きました2点の御質問にお答えをいたします。
まず1点目の、ネット上のいじめの件数でございますが、令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果によりますと、パソコンや携帯電話等で誹謗中傷や嫌なことをされるという態様のいじめの認知件数は、県内の公立小学校で対前年6件増の183件、中学校におきましては31件増の329件、高等学校では5件減の34件でございました。
2点目の、学校での対応についてでございますが、まずはいじめの未然防止が大切でありますことから、専門家等によるスマートフォン等の適切な使い方に関する教室を各学校において実施しているところでございます。また、このようないじめにつきましては子供からの訴えがなければ対応が難しいこともございますので、教員は日頃から子供が相談しやすい関係づくりに努めていただくとともに、LINE相談等様々な相談機会の周知に努めているところでございます。
そして、何より大切なのは子供の人権でございまして、子供の人権が大切にされる学校づくりに向けて、現場の先生方や市町とともに取り組んでまいる所存でございます。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)御回答、ありがとうございます。様々な取組をしていただいていることが分かりました。ありがとうございます。
小中高のうちに、特に中学校と小学校が大変にネット上のいじめが多いということで、ただ、これが認知されている件数ですので、本当に私は氷山の一角だと思っていまして、まだまだ目に見えないところでネット上のいじめがあるというふうに認識をしております。
こういったものを未然防止するためには、さらに県民に広く周知啓発することが必要であると思いますし、各部、連携をしていただかなければならないと思いますが、これまで総合企画部と教育委員会のほうで連携を取ってこられたり、そういったことがされてきたのか、総合企画部長に再問させていただきます。
◎
総合企画部長(浅見裕見子) お答えいたします。
これまでから、ネット上での人権侵害防止に係る教育、啓発等に関しまして、人権週間のポスターや啓発物品の作成、テレビスポット広告のシナリオ検討、人権啓発イベントの企画など、教育委員会と連携して取組を行ってきたところでございます。今後も、例えば先ほど申し上げました啓発リーフレットの見直しにおいて、児童生徒のインターネットの利用実態等を踏まえて効果的な教育、啓発資材となるよう努めるなど、ネット上での誹謗中傷をはじめ様々な人権侵害の防止に向けて、教育委員会と十分連携して取り組んでまいりたいと存じます。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)ありがとうございます。では、連携をして、よろしくお願いいたします。
他方で、ちょうど先週、東京でカスタマーハラスメント──カスハラ防止条例を制定する方針との報道がありました。顧客による暴言や理不尽な要求などの問題が、民間だけではなくて公務員へのカスハラも後を絶たないということです。滋賀県においても同様の問題を抱えると思っていますので、このような条例を参考に、今後、人権意識の高揚、啓発とともに様々なハラスメントへの対策も考えていただきたいとお願いをいたします。
続きまして、2項目め、国民保護計画の推進について、分割方式で全て知事公室長にお伺いをいたします。
2004年──平成16年に、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律、いわゆる国民保護法が成立しました。我が国に対する外部からの武力攻撃に際し、我が国の平和と独立を守り、国および国民の安全を保つことを目的としております。
国民保護法では、武力攻撃から国民の生命、身体、財産を守り、国民生活等に及ぼす影響を最小にするために、国、地方公共団体等の責務が示されています。また、避難、救援、武力攻撃、災害への対処等の措置が規定をされています。
ウクライナ戦争やパレスチナでの戦闘をはじめ世界各地で紛争が拡大をし、緊張感が高まっております。日本においても安全保障環境が極めて厳しくなっている中で、東京都については、弾道ミサイルの飛来を想定して、より安全に避難できる施設の整備、いわゆる地下シェルター設置のための調査を開始されたとのことです。
それでは、知事公室長に質問をいたします。
本県においては、昨年──令和5年12月の14日に国民保護訓練が実施されました。この訓練は実動訓練として実施されまして、滋賀県──本県では初とのことです。では、この訓練の目的と、どのような訓練であったのか、内容をお示しください。
続きまして、訓練の参加者について、どういった方々がどのぐらいの規模で訓練を実施されたのか、お示しをください。
次に、他国からの武力攻撃は絶対にあってはなりませんが、万が一に備えておく必要があります。ロシアによるウクライナ侵攻が始まって2年が経過をいたしました。現在もロシアからウクライナ各地にミサイルが発射され、そのたびに空襲警報が発令されることとなります。警報が鳴ると、子供たちは学校地下のシェルターに移動し、長時間にわたる場合はそのシェルター内に仮教室が設置をされ、授業も続けられるようになっているとのことです。
武力による威嚇は許されないことですが、万が一、他国からのミサイルが発射された場合、県民はどのような行動を取ればいいのでしょうか。本県には地下施設が少ないと聞いております。本県の緊急一時避難施設の状況も含めてお示しください。
続いて、2004年──平成16年に国民保護法が制定され、翌年3月に国の基本方針が策定をされました。武力攻撃やテロなどが万が一起きた場合に、国民の保護のための措置を的確かつ迅速に実施できることが重要です。この措置の具体的内容や実施体制、関係機関との連携などをまとめたのが国民保護計画で、滋賀県においても平成18年1月に策定をされました。その後、平成29年に改正された国の基本方針を受け、平成30年に現在の計画に改定をされたところです。
市町においては、県の計画に基づいて国民保護計画を策定する必要がありますが、改定も含めた策定状況はどのようになっているのか、お伺いをいたします。もし計画が最新のものに改定されていない場合は、市町に対し、県が助言を行っていく必要があると思います。どのように考えておられるのか、お伺いをいたします。
◎知事公室長(松田千春) (登壇)国民保護計画の推進につきまして4点、御質問をいただきました。
1点目の、昨年12月に実施いたしました訓練の目的でございますけれども、弾道ミサイル発射時に県民が取るべき行動について参加者に理解を深めていただくことを目的に実施したものでございます。
また、内容につきましては、弾道ミサイルが発射され、本県に飛来する可能性があるという想定の下、観光船ミシガンの乗船客に扮した参加者が、琵琶湖汽船株式会社の社員の誘導により、地下の緊急一時避難施設であります大津港駐車場に避難したものでございます。また、滋賀県危機管理センターや大津市役所庁舎の利用者を対象に、職員の指示により、身を守る姿勢を取っていただきました。
2点目の、訓練の参加者についてでございますけれども、大津港で実施した訓練につきましては、県内市町の国民保護担当者と、琵琶湖汽船や鉄道事業者をはじめとする近隣の事業所の避難誘導担当者でございまして、44名に参加いただきました。
県の危機管理センターや大津市役所の庁舎で実施した訓練につきましては、当日の会議や研修会に出席をされていた県民の皆様29人の方に参加、御協力いただきました。
3点目の、ミサイルが発射されたときに取るべき行動につきまして、ミサイルが発射され、本県に危害が及ぶおそれがある場合には、全国瞬時警報システム──Jアラートにより、スマートフォンなどを通じて県民に情報伝達されることになっております。
情報が伝達された場合は、屋外であれば、小中学校や公民館など地下施設4か所も含めた723か所を指定している緊急一時避難施設をはじめ、近くの建物などに避難していただきます。そうした施設がない場合は物陰に身を隠すか、頭部を守りながら地面に伏せていただく、また、屋内にいる場合は窓から離れるか、窓のない部屋に移動していただきます。こうした行動を取ることにより、爆風等からの直接の被害を軽減していただくことが国より周知されているところでございます。
4点目の国民保護計画についてでございますが、県内の全ての市町で計画を策定しておりまして、7市町で現在の県の計画を反映した改定が行われております。
平成30年の改定の内容は、国の基本方針変更を受けまして、Jアラートによる情報伝達を平素から周知するよう努めることなどを明記したものでございまして、まだ改定できておりません市町に対して、引き続き計画改定の必要性を説明するとともに、様々な機会を捉えて助言を行い、早期の計画改定を促してまいりたいと考えております。あわせまして、市町等消防防災主管課長会議などを通じまして、市町計画の改定の有無に関わらず、県計画の内容に沿った対応をお願いしているところでございます。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)御回答、ありがとうございます。
過度な恐怖心をあおるつもり等もありませんけれども、やはりしっかりと備えはしていかなければならないというふうに感じております。
7市町が最新のものに改定ということですが、そのほかの市町がまだ最新ではないという状況でありますので、また県として、積極的に助言、また手助け等をしていただきたい、そのように考えております。
また、本県では地下施設も極めて、723か所中4か所ですかね、が地下施設ということです。また、万が一、滋賀県に飛来するようなことがあれば、県民がすぐに行動を取れるように、これからまた周知もしていかなければならない、そのように感じております。
2点、知事公室長に再問いたします。
1点目ですけれども、先ほどJアラートのお話がありましたけれども、県庁では確実にJアラートをキャッチして態勢を整えないといけないと思いますが、Jアラートが発信された場合に、庁内でしっかりと確認等ができるようになっているのか、どのようにされているのか、1点、お伺いをいたします。
2点目は、この12月の初めての実動訓練ですが、これが初めて実施されたということですけども、今後、国民保護訓練についてはどのように進めていかれる方針なのか、お伺いをいたします。知事公室長、よろしくお願いいたします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
まず、Jアラートが発信された場合の確認ということでございますが、緊急時における住民への迅速かつ確実な情報伝達に資するよう、今年度はJアラートに係る全国一斉情報伝達試験が9月、11月、2月の計3回実施されまして、この試験に参加いたしまして、Jアラートの発信時に受信できていることを確認しております。また、県の危機管理センターでは、宿日直によりまして24時間受信できる体制を取ってございます。
それから、今後の訓練でございますけれども、来年度は図上訓練を実施いたしまして、国民保護に関するスキームについて基礎知識を深めるとともに、国民保護事案発生時における関係機関との連携方法や住民への避難誘導手順を確認することによりまして、事態対応能力を向上させてまいりたいと考えております。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)定期的にJアラートの確認作業をしていただいていることが分かりました。ありがとうございます。
自然災害もそうですけれども、改めて、緊急時の対応を私たちも知って、そしてまた、準備をしていくことが重要だと考えておりますので、今後、国民保護計画に基づいた訓練が充実したものになるように、引き続き、取組をよろしくお願いをいたします。
それでは、3項目め、特殊詐欺への対策強化について、これも分割方式で、全て警察本部長にお伺いをいたします。
近年、特殊詐欺は、手を替え品を替え、一層巧妙化しています。昨年1年間、全国でのオレオレ詐欺など特殊詐欺の認知件数は3年連続の増加で、最近15年では最多、被害総額も約441億円と莫大な金額となっています。海外からの詐欺電話も増えまして、東南アジア4か国にある8つの拠点が摘発、過去最多の日本人69人が海外から移送、逮捕されました。特殊詐欺もグローバル化していると言えます。
滋賀県内でも、昨年中に確認された特殊詐欺の被害件数は266件、被害総額は約6億2,400万円と前年を大きく上回り、過去最悪を更新したとのことです。被害者のもとには金銭が返ることはなく、絶望のふちに立たされる方々がおられると思うと、断じて許すわけにはいきません。
それでは、以下、警察本部長にお伺いをいたします。
昨年は過去最悪との報道がなされております。一昨年と比べて被害件数と被害額はどのぐらい増えてしまったのか、お示しください。
次に、特殊詐欺については、オレオレ詐欺に始まり、還付金詐欺、サポート詐欺など様々な手口がありますが、最近ではどのような詐欺が増加しているのか、お示しください。
特殊詐欺については、銀行やATMなどからの送金、コンビニでの電子マネーの購入など、犯人と接触しない場合が主だと思います。一方で、特殊詐欺グループが、直接、自宅を訪問して犯行に及ぶケースも増えていると聞いています。では、昨年、266件の被害件数のうち、自宅等への訪問による被害件数を教えてください。
次に、昨年の被害件数266件は過去最悪とのことですが、増加している一方で、警察の捜査により検挙された犯人もいると思います。では、昨年の1年間において滋賀県警で検挙できた犯人の数などをお示しください。
続いて、滋賀県警ではこれまで特殊詐欺被害を防止するためにどのような対策を取られてこられたのか、具体的なお取組をお示しください。
JR駅のモニター等を活用しての呼びかけやコンビニでのアナウンスをはじめ、メールやユーチューブ動画の配信でも防止対策に取り組んでこられています。本部長も自らの言葉で注意喚起をしていただいております。しかしながら、それでもまだ被害が増えていることは、より一層の対策強化が必要です。これまでの課題となっていることや今後のさらなる対策があれば、お示しください。
次に、甚大な被害が生じている特殊詐欺を集中捜査するために、本年4月、警視庁など7都道府県に新しい組織が設置されると報道されております。連合捜査という名称でスタートするこの組織について、どのようなものであるのか、また、滋賀県警がどのように関わっていかれるのか、お示しください。
最後に、各個人が特殊詐欺から身を守るために、今、どういった対策が求められているのか、お示しください。
以上、警察本部長にお伺いをいたします。
◎警察本部長(中村彰宏) (登壇)私に頂きました特殊詐欺に関する8点の御質問につきまして、順次、お答えをいたします。
1点目の、昨年の被害と一昨年の被害の比較でございますけれども、県警察で認知しております令和5年の被害は、議員から御指摘ございましたとおり、被害件数が266件、被害額は約6億2,400万円でございまして、令和4年と比較して、件数は134件、被害額は約3億円、それぞれ増加をしており、いずれも倍増しております。
2点目の、最近増加している特殊詐欺の手口についてお答えいたします。
最近の特殊詐欺でございますが、携帯電話料金が未納であるなどと虚偽のメールを送ったり、パソコンに「ウイルス感染」と表示させたりして、未納料金や復旧費用などと称して電子マネーなどで金銭をだまし取るといった架空料金請求詐欺が増加をしております。また、SNSの広告などからメッセンジャーアプリの投資グループに招待しまして、絶対にもうかるなどといったうそのもうけ話で勧誘し、
投資名目で送金を繰り返させるといった金融商品詐欺が増加をしております。
3点目の、自宅への訪問による被害についてでありますが、昨年の、被害者の自宅への訪問による被害、未遂を含めて65件でございました。内訳といたしまして、現金をだまし取るオレオレ詐欺は3件で、キャッシュカードや通帳をだまし取ったり、キャッシュカードを別のカードにすり替えて盗み取ったりする、こういった手口が62件でございました。
4点目の検挙人員などでございます。
昨年中、県警察で検挙いたしました検挙人員は51人でありまして、一昨年より9人増加をしております。また、昨年中の検挙件数は76件でありまして、一昨年より24件増加をしております。その多くが、犯人が自宅に訪問するなどしてキャッシュカードや通帳をだまし取ったり盗み取ったりするといった特殊詐欺の検挙でありまして、その検挙人員が42人、検挙件数が63件であります。
5点目の、被害防止のための具体的な取組についてであります。
高齢者による被害防止を目的といたしまして、高齢者世帯を訪問して防犯指導を行ったり、また、防犯教室等の啓発を集中的に実施したりいたしましたほか、自治体と連携いたしまして、地域住民による特殊詐欺被害ゼロを目指す取組を推進をいたしました。また、議員からも御指摘ございましたように、デジタルサイネージや、ユーチューブ等を活用して動画を配信するなどいたしまして、被害に遭わないための対策について周知を図りましたほか、詐欺と疑われる電話を認知した際に、関係する事業者に一斉自動連絡を行い、連携して被害を水際で防ぎつつ、犯人検挙を狙うといった取組にも努めてまいったところであります。
6点目の、これまでの課題と今後のさらなる対策についてでありますが、特殊詐欺の手口は常に変遷し、ますます巧妙化している状況にあります。県民が被害を我が事として考え、自分もだまされる可能性があるという意識を持っていただけるよう、さらなる広報啓発が必要と考えております。
こうした状況を踏まえ、県警察といたしましては、今後、滋賀県警察総合情報発信アプリ、ぽけっとポリスしがという名称でございますが、こういった新たなツールを活用するなどいたしまして、犯罪情報を広域的かつタイムリーに伝達することとしております。
また、いわゆる闇バイトと言われる犯罪実行者募集情報により安易に犯行に加担する者が後を絶たないことから、X──旧ツイッター上におきまして、県内でそのような情報を検索するなどしたアカウントへ警告メッセージなどを表示させるなど、犯罪に加担させないための取組についても実施をしてまいります。
7点目の連合捜査についてであります。
これまでの特殊詐欺捜査は、被害を受理した都道府県警察が主体となって行っていましたが、被疑者の多くが首都圏などに所在するため、遠方への出張などが負担となっておりました。このため、本年4月から特殊詐欺連合捜査班を発足いたしまして、特殊詐欺の被疑者が多い首都圏や大阪など7都府県に約500人の専従捜査員が配置されまして、発生地警察から依頼を受けて捜査を行う予定となっております。
本県警察におきましても連合捜査班に専従捜査員を派遣いたしますとともに、全国警察と情報を共有し、共に捜査を進め、上位被疑者の検挙や犯行拠点の摘発を効率的に行ってまいりたいと考えております。
8点目の、個人が特殊詐欺から身を守るための対策についてであります。
被害に遭われる方の多くは、自分はだまされないと考えておられます。このため、特殊詐欺は誰もが被害に遭い得る犯罪であるという意識を持って、警察などが発信している最新の防犯情報をよく確認していただくことが重要であろうと考えております。また、最近、国際電話で固定電話にかかってくる特殊詐欺が増えております。このことから、無料でできます国際電話番号発着信休止設定といった固定電話対策を取っていただきましたり、心当たりのないメールやお金に関する話、SNS上での投資話については決して1人で判断せず、家族や警察などに相談、連絡していただきたいと考えております。
◆7番(岩崎和也議員) (登壇)ありがとうございました。これまで滋賀県警としてもかなり力を入れて特殊詐欺に対して対策を取ってきてくださっていることは分かっておりますけれども、昨年、本当に倍増するという形で、大きな被害に、私も大変に驚きとともに憤りを感じておるんですが、今回、本部長も特殊詐欺についてはかなりの決意を持って取り組んでいかれるということをお伺いをしておりますし、私も力を合わせて、撲滅に向けて頑張っていきたい、そのように決意をしております。
自宅に訪問してきた場合は検挙しやすいですけれども、やはり非接触の場合はなかなか検挙に至らないということで大変難しいですので、やはりコンビニ、銀行での水際対策等をより強化をするとともに、やはり情報が行き届きにくい高齢者であるとか、そういった情報弱者の方にしっかりと丁寧に説明できるように進めていかないといけないなとも思いました。
先ほど闇バイトのことも言ってくださいましたけれども、特殊詐欺に加担をしているのは、闇バイト、主にSNS上で募集された若者が多いというふうに聞いております。闇バイトの恐ろしさを知らないまま犯罪に加担をしてしまっている現状もあるように思われます。犯罪に手を染めてしまうことがないように、やはり学校教育でも特殊詐欺や闇バイトについて適切な指導が必要だというふうに感じておりますので、学校教育でもしっかりと指導をしていただきたいと教育長にお願いをいたすとともに、また、滋賀県警と教育委員会がしっかりと連携をして、特殊詐欺の対策に取り組んでいただきたいとお願いをいたします。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(有村國俊) 以上で、7番岩崎和也議員の質問を終了いたします。
最後に、44番中沢啓子議員の発言を許します。
◆44番(中沢啓子議員) (登壇、拍手)通告に従い、4項目の質問をいたします。
まず、災害時等の乳幼児支援について、以下、お伺いをいたします。
災害が起こると、保健医療ケアシステムが追いつかない状態となり、食料供給が不安定になり、安全な水の入手が困難になり、衛生状態が悪化し、感染症のリスクが高くなり、下痢など、乳幼児の疾病率や死亡率が上がります。このリスクを考えれば、災害時には、赤ちゃんは感染症や下痢の危険から最も優先的に守ってあげなければいけない存在になります。そのためには、安全に母乳や乳幼児ミルクをあげられる環境づくりが必要だと、東京大学大学院医学系研究科国際地域保健学教室客員研究員の本郷寛子さんは提案されています。
乳幼児と保護者の避難所対応、乳幼児栄養支援など、子供の育ちのための乳幼児と保護者への災害時の対応についての現状を
健康医療福祉部長にお伺いをいたします。
育児中の女性は平常時から、子供のためとして我慢したり、個人が理想としている母親像と比べられて、「あなたは足りていない」攻撃に常にさらされている悲しい現実があると言われています。リプロダクティブ・ヘルスと言われる自己決定権は全く尊重されていない現状です。災害時はそうした状況がより強まる傾向にあると言われています。災害には、より一層、母親の意思を尊重し、不安や悩みを吐き出しやすい環境をつくっていくことで母親の精神的な回復につながり、最も弱者である乳児の支援につなげていくことが重要だと考えます。また、乳児の保護者の話を聞いて、災害前の子育てを続けられるように寄り添うことが大切です。
災害時には様々な根拠のない情報も出回ります。例えば母乳はストレスで出なくなる、災害時に備えてミルクに慣らしておくべき、懐炉で粉ミルクを温めるなど、皆さんも聞かれたことがあるかもしれません。ストレスが大きいと母乳が出なくなると感じることがありますが、母乳は作られていないわけではありません。風邪や乳児下痢症などの感染症のリスクを減らす観点からも、小さじ1杯5cc分に菌を殺す細胞が300万ある母乳を継続することが大切だと言われています。一時的に出にくく感じても、赤ちゃんはお乳を吸っているだけで安心しますし、赤ちゃんが吸うことで母乳も出るようになってきます。母乳のお母さんがミルクを使うことで授乳の回数が減って母乳が残ると、体は母乳を作る量が減っていく可能性があると言われています。これらの理由で、母乳の方が災害時に備えてミルクに慣らすことは不適切なことだと言えます。
WHOの国際基準や災害時の乳幼児栄養の指針でも、それぞれに合った方法をきちんとアセスメントして、必要な人にミルクを渡すことが大切で、災害時に赤ちゃん用ミルクの一律の配布や、平常時のミルクの試供品の試飲の提供を禁止しています。あわせて、災害時に一律配布すると、ミルクが本当に必要な赤ちゃんに十分な量が行き渡らなくなることがあります。また、粉ミルクは70度以上で調乳すると殺菌できますが、水で調乳し、懐炉で温めると粉ミルクの中にいる菌が増えるリスクを伴うのでやめましょうと言われています。災害時のアセスメントシートを備えたり、安全で安心して授乳できる場所の確保など、具体的な備えが必要だと思います。
乳幼児医療等について、特に平常時における災害時についての研修や情報発信が大切だと考えます。例えば災害時の断水を想定して、自宅で調乳用に多めの水や卓上カセットコンロの予備と数日分のミルクや使い捨ての哺乳瓶か紙コップなどの容器を備蓄することも大切です。また、災害時には、先ほどの俗説ような根拠のないことや、よかれと思ってかけられるアドバイスなどでも保護者の皆さんには不安になることがあるかと思います。子供真ん中の社会をつくるためにも、当事者である乳幼児の保護者に寄り添う皆さんにも正確な情報をお伝えし、アセスメントできるように備えてもらうことが求められると思います。
また、非常時だけではなく、通常時からの母乳のあげ方や母乳ケアが大事だと考えます。BFFでのアンケートでは、妊娠中に知りたかったことには母乳のあげ方やケアの仕方、「最初におっぱいが出にくくて、自分なりに頑張ってはみたが、乳腺炎になった。その後、ケアの方法を教えてもらったら驚くほど母乳が出るようになった」、悲しかったことやつらかったことでは「母乳育児がしたくてもどうやったらいいか分からなかった」などの声が多かったそうです。
母乳とミルクの違いや母乳ケアの仕方など、母乳等に関しての正しい知識を産院や両親学級などで専門の助産師から教えてもらえるといいのではと思っています。また、知識だけでなく、地域の助産師や保健師とつながって、正しい情報を知った上で、相談もしながら、それぞれに合った方法を選ぶことが大切だと考えます。
災害時に乳幼児や母体についての正確な知識を身につけた方が母親に寄り添い、アセスメントし、安心して授乳できる環境や、平常時の保護者や乳幼児支援が大切だと考えますが、今後の対応について、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
内閣府男女共同参画局の、災害対応力を強化する女性の視点、男女共同参画の視点からの防災復興ガイドラインの中にも記されています。災害時の乳幼児支援の具体例が全国に広がることが大切だと感じています。防災対策としても、ミルクや母乳で育つ赤ちゃんを守るためにも、国際基準の下、ふだんからの適切な乳幼児栄養の保障が大事だと言われています。知事会の子ども・子育て政策推進本部長として、災害時の乳幼児支援の推進の取組を進めていただきたいと思いますが、知事の思いをお伺いいたします。
○副議長(有村國俊) 44番中沢啓子議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)災害時等の乳幼児支援ということで3点賜りました。私には1点です。
全国知事会子ども・子育て政策推進本部長として、こういったテーマにどのように対応するのかということでございますが、今回の能登半島地震では、特に乳幼児がおられる家庭の方々が、子供が泣きやまず周囲に気を遣われたり、根拠のない情報に振り回されるなど、厳しい環境の中にあっても子供を守りながら避難生活を送られており、こうした方々に心を寄せたいと存じます。
本部長として、被災地で生活されている妊産婦や乳幼児の心身のケアや、母乳育児の継続支援などについて、被災地をはじめ全国から意見を求め、平時の取組、災害時の対応等について整理いたしまして、必要に応じて国にも働きかけながら、災害時において乳幼児を守り育てることができる環境づくりに向け、取り組んでまいる所存でございます。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) (登壇)私に頂きました2点の質問にお答えいたします。
1点目の、乳幼児への避難所対応等でございますけれども、県では一般避難所における福祉的配慮についてのチェックリストを作成をしておりまして、市町に対し、授乳室の確保を促しているところでございます。
ミルクにつきましては、県において、民間事業者との協定に基づき、流通備蓄により備えておりますほか、幾つかの市町におかれましても備蓄をされていることを確認をしております。また、乳幼児への栄養支援につきましては、県栄養士会と協定を締結しまして、管理栄養士等による栄養相談や、液体ミルク、ベビーフード、アレルギー対応食の提供などの必要な支援が行える体制を整えているところでございます。
2点目の、災害時や平常時における支援についてでございます。
災害時の迅速かつ的確な対応に向けましては、避難所等にて支援を行う方が授乳室の確保や衛生的な環境づくり、そして、食事や水分を優先的に摂取できる体制など、妊産婦や乳幼児等に対する支援のポイントについて、平時から理解を深めておくことが重要であると考えております。
また、災害時において寄り添った支援を行うためには、授乳アセスメントシートなどを活用しまして、ふだんの授乳方法や希望などを聞き取ることも大切です。そのため、県としましては、今後、市町の担当者や保健師、助産師、栄養士等の専門職に対する研修や情報提供と併せまして、住民の皆さんに対しましても、訓練等の機会を通じまして、授乳支援等の母親や乳幼児に必要な配慮について周知啓発を行ってまいりたいと存じます。
◆44番(中沢啓子議員) (登壇)ぜひ、一般の方も御存じになられるということが災害時に非常に大切だと思いますので、よろしくお願いしたいと思うのと、それと、御本人たちも、やっぱりそのときも大丈夫なんだということをしっかり平常時に分かっていることが大事だと思いますので、先ほど言ったみたいに、両親学級であったりとか産院のほうでも、また、ぜひお伝えいただけるような工夫をしていただけたらありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
では、次に、安心の医療と救急医療についてお伺いをいたします。
子供の病気やけがは夜間休日を問わず突然に発症、発生し、その直後は軽症か重症か分からないことが多いですが、結果的に軽症であることが多いと言われています。小児救急医療は様々な課題があります。小児科医の地域偏在など、夜間休日に救急医療を担当する小児科医の不足や、令和6年度からの医師の働き方改革が始まります。ブロック化されることにより救急搬送の時間がかかることによる搬送者への負担や、救急搬送への負荷も気になるところです。現在の小児救急医療の現場の状況と今後の対応について、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
医療機関の適正利用を推進するために、受診可能な医療機関をリアルタイムで検索できる医療ネット滋賀の運用や、受診前の相談窓口として、平成16年から子ども医療電話相談#8000番を実施してこられています。
#8000は、保護者の方が休日夜間の子供の症状にどのように対処したらよいのか、病院を受診したほうがよいのかなど判断に迷ったときに、小児科医師、看護師に電話で相談でき、保護者の皆さんの安心につながっていることと思います。#8000は外部委託されていますが、運用の推移と分析、応答率、小児救急医療や救急搬送への効果など、#8000の滋賀の状況と今後の対応について、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
また、県内の救急搬送出動件数は年々増加しており、令和3年度は6万件超で、平成7年度から倍という状況です。また、搬送人数は約半数が高齢者という状況です。あわせて、救急科専門医の地域偏在もあり、医師の働き方も始まります。二次、三次医療機関との連携も重要だと考えます。滋賀県の救急医療と救急搬送の現状の分析と課題について、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
先ほどの小児救急の#8000の類似事業として、救急安心センター事業#7119があります。11月議会では#7119の導入に向けて取り組まれているとのことでした。#7119と#8000との連携については、管轄の違いはありますが、既に茨城県では同じ委託先と契約しているという前例もあります。また、知事はエビデンスに基づいた施策構築を目指されています。今後、市町とは、エビデンスに基づき、予算も含め具体的な運用について話し合い、市町が納得して共に取り組むことが必要だと考えます。#7119と#8000を同じ委託先とすることのメリットなど、#7119を導入するのであれば、#8000との連携や県民の利便性と費用対効果が上がる体制など、エビデンスに基づいた検討と市町の合意が必要と考えますが、#7119についての
健康医療福祉部長のお考えをお伺いいたします。
団塊の世代が75歳以上になる医療の2025年問題、今後、さらに医療の需要が増えると考えます。救急搬送の約半数は高齢者ということを考えれば、必要な救急患者が適正に使えるよう、いかに救急医療、救急搬送の現場を守るかということは重要です。
この項の最後に、今後の救急医療への取組について、知事にお伺いをいたします。
◎知事(三日月大造) ちょっと画面が出ませんでした。失礼いたしました。
安心の医療と救急医療について5点の御質問のうち、私に賜りました1点にお答えいたします。
今後の救急医療への取組についてでございますが、今後、増加が見込まれる高齢者の救急にも対応するため、重症度、緊急度に応じた適切な医療体制が確保されるように、初期、二次、三次の機能分担と連携を進め、搬送体制の充実強化を図ってまいりたいと存じます。また、医師、看護師等の計画的な養成および確保に努めるとともに、医療機関の適正受診や救急車の適正利用に向けて必要な相談体制の充実を図ることで、必要なときに安心して救急医療を受けられる体制を構築してまいりたいと存じます。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) 私に頂きました4点の質問にお答えいたします。
1点目の、小児救急医療の現場の状況と今後の対応でございます。
入院治療を必要とする場合でございますが、小児科を標榜する救急告示病院が担っておりますが、保護者の病院志向などから、入院が必要か否かに関わらず、救急告示病院を受診する場合が多く、病院勤務の小児科医師に過大な負担が生じているものと認識をしております。こうした中、小児科医の不足によりまして、二次医療圏での体制を維持することが困難でありますことから、県内を4つのブロックに分けることで、夜間休日における救急医療体制を確保し、県民の誰もが安心できる体制づくりに努めてまいりたいと存じます。
2点目の#8000の状況でございます。
昨年5月以降でございますが、1か月当たり約1,500件から1,900件の相談をいただいているところでございます。応答率でございますが、令和6年1月実績では86%で、対応としましては、救急性があり、速やかに受診を勧めたケースが約40%で、残りの60%は、慌てずに、一晩、状態を見てみるよう助言を行ったり、保健指導などを行ったケースでございました。
#8000によりまして、医療機関の適正受診や救急車の適正利用、さらには保護者の不安解消にもつながるものと考えておりまして、今後も応答率や相談内容等を分析し、より効果的な体制の構築を目指してまいりたいと存じます。
3点目の、救急医療と救急搬送の現状と課題でございます。
救急要請から医療機関搬送までに要した平均時間は全国に比べて短く、重症患者が受けてもらえずなかなか搬送先が決まらないといった搬送困難事例も全国に比べて少なく、適切な救急搬送体制および救急医療体制が、一定、維持できているものと認識をしております。一方で、県内に4つあります救命救急センターへの搬送割合は全国と比べて高く、二次救急医療機関との役割分担の一層の明確化が課題の1つであると認識をしております。また、救急搬送におけます軽症者の割合が全国と比べてこれも高く、適正受診の啓発や、専門家に相談できる体制の強化が課題であると認識をしているところでございます。
4点目の#7119の導入についてでございます。
医療機関の適正受診や救急車の適正利用、また、そのことにより県民の安全・安心につながる救急医療体制の構築に資するものと考えられますことから、早期の導入を目指したいと考えております。
導入に当たりましては、#8000と同一の委託先と契約をしておられる他府県の状況も確認をしながら、県民にとっての利便性や費用対効果についても検討し、各市町とも丁寧に協議を進めながら、#8000との連携も視野に入れながら、導入に向けた取組を着実に進めてまいりたいと存じます。
◆44番(中沢啓子議員) (登壇)1問だけ、
健康医療福祉部長に#7119のことについて再問させていただきたいと思います。
先ほどおっしゃったように、総務省消防庁は#7119の主な事業実施効果として、救急車の適時適切な利用、救急医療機関の受診の適正化、住民への安心・安全の提供、時代の変化への的確な対応、新型コロナウイルス感染対策の以上5点が実施効果の期待できるものと位置づけられています。
私も実際に自治体に聞いたところ、#7119は、救急車出動の抑制には効果が出ていないのではないかということをお聞きしたので、総務省の消防庁が公表されている救急車出動統計を調べてみると、#7119導入実施団体と導入未実施団体の差はなく、#7119導入実施団体でも救急出動件数が導入未実施団体に比べて増加していることもあり、残念ながら、#7119導入で救急出動件数の抑制効果はなかなか見られないというのがどうも現状のようです。
#7119で効果が見られるのは、救急医療機関の受診の適正化、先ほどの#8000と同じですね、それと、県民の医療相談と安心・安全の提供の効果かもしれません。各市町との協議には、この事業の効果等をしっかりとやっぱり伝えていくことも大事だと思います。市町に経費負担の協力を求めるのであれば、必要でない救急車の出動を減らすことが必要であると思いますし、これらの客観的なデータというのはちゃんと分析をすることが大事なんじゃないかと思っています。
また、ちょっと彦根市に確認したところ、事業の概要をお聞かせいただいたという認識しかなく、賛同したという覚えはないというお話をお伺いしました。ましてや具体的な金額などはまだお聞きじゃないというようなことでした。
市町にもっとやっぱり具体的にエビデンスに基づいて説明して、市町が正確な情報を知り、事業の判断をできることが大切だと考えます。導入しても効果がなければ意味がないので、先ほどおっしゃったように分析をしていただいて、効果の出るような取組をすることも求められるでしょうし、市町との真摯な態度での情報提供や話合いが必要だと考えています。
確かに#8000のように、県民の安心には非常につながることだと思いますので、先ほど分析していただいたことがしっかりと生かされるということが大事だと思うんですが、やはり市町さんもそれなりに様々な立場もありますし、そういうところを、県としてこう考えるということだけではなくて、しっかりとデータに基づいた情報を提供して、共にやっていくということが大事なんじゃないかと思うんですが、
健康医療福祉部長に、再度、お考えをお伺いいたします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
議員からの御指摘、全くそのとおりだと思います。こういった、新しく仕組みを導入するに当たりまして、例えば議員から御紹介もいただきました茨城県の事例とか、実際に導入を進めていただいている府県の事例もしっかりとお聞きをして、その効果もしっかりとはかりながら、さらに、#8000との連携もございますので、その点も踏まえて、当然、市町の皆さんには、今後、どのような形で負担いただくかのこともしっかりと、これは丁寧に説明をしつつ、御協議も図らなければならない点ですので、その点はしっかりと踏まえながら、市町の皆さんとは協議を進めてまいりたいと存じます。
◆44番(中沢啓子議員) (登壇)ぜひ、よろしくお願いいたします。
では、次に、児童虐待対策についてお伺いいたします。
令和4年度の虐待相談件数は子ども家庭相談センターが2,586件、市町の相談窓口が7,889件、合計1万475件から連携分の2,574件を差し引いて7,901件となっています。
各センターの管轄区域ごとの相談件数は、中央管轄が、センター827件、市町3,393件、彦根管轄、センター933件、市町3,182件、大津、高島管内が、センター826件、市が1,314件という状況です。市町の相談件数に関わらず、センターの相談件数は800から900件台と変わらないところを見ると、1センターで対応できる相談件数の限界に近いのではないかと感じています。大津、高島管内のみ、市町の相談件数が1,314件で、他の2圏域は約2.4倍という状況になっています。
また、継続して支援しているケースが5,829件で全体の73.8%という状況です。継続の件数が多いということは解決に時間がかかっているということではないでしょうか。
このセンター管内区域ごとの相談件数の状況等、県下の虐待の状況をどう分析されているのでしょうか、
健康医療福祉部長にお伺いをいたします。
子供の幸せを考えれば、予防と早期発見、早期対応が大切です。
全国では、要支援、要保護児童は約23万人、特定妊婦は約8,000人とされる中、支援の充実が求められています。そのためには、訪問型支援、通所型支援、短期入所型支援の種類、量、質の充実を図るとともに、親子関係の構築に向けた支援などが求められています。あわせて、子育て短期支援事業やレスパイトなど一時預かり事業、ショートステイやトワイライトステイなどを活用して子供や家庭を支えることが大切です。様々な機関が支援する状況を考えれば、制度を周知し、座談会などで顔の見える環境をつくり、例えば関係者が個別のケースをベースに連携できるつながりが大切だと考えます。
児童虐待の予防やリスクの高い家庭の早期発見、早期対応の取組について、
健康医療福祉部長にお伺いをいたします。
一方、国では、幼児期までこそ、生涯にわたるウエルビーイング、身体的、精神的、社会的に幸せな状態の向上にとって最重要であるとして、12月22日に、幼児期までの子供の育ちに係る基本的なビジョン、はじめの100か月の育ちビジョンが閣議決定されました。現状は全国の児童虐待による死亡事例の約半数が0歳から2歳であるなど、誰一人取り残さない等しい育ちの保障に向けて課題があったり、誕生、就園、就学の前後や、家庭、園、関係機関、地域等の環境間に切れ目が多く、社会全体の認識共有や関連施策の強力な推進のための羅針盤が必要として策定をされました。
滋賀県では、令和4年度の虐待は0歳から学齢前児童が2,809人で35.6%となっています。滋賀県内には乳児院は大津の1か所だけです。今後、未就学児の対応を考えれば、全県で対応できる体制が求められると考えますが、
健康医療福祉部長のお考えをお伺いいたします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
児童虐待予防について、私に頂きました3点の質問にお答えいたします。
1点目の、各子ども家庭相談センターの相談件数の状況でございますが、各センターの管内市町の児童人口が相談件数に影響していると考えられまして、御指摘のとおり、中央および彦根、両センターの管内市町における相談件数が大津、高島と比較して多くなっております。そのため、令和6年4月に、日野町に県内4か所目となるセンターを設置をしまして、各センターの管轄区域を見直すことで、これまで課題でありました、児童の安全確認やケース訪問に時間を要するといった問題の解消を図るものでございます。あわせまして、市町の身近なところで密度の高い支援、連携を行うことで市町の対応力の向上を図り、県全体の相談体制の強化につながるものと考えております。
2点目の、児童虐待の予防等の取組についてでございますが、県では要保護児童対策地域協議会等を通じまして、日頃から市町とともに保健や医療、福祉、教育等の関係機関と連携しまして、養育環境に問題を抱えている家庭の早期把握に努め、支援につなげているところでございます。
また、各市町におかれましては、母子保健と児童福祉が一体となって支援を行う子ども家庭センターの設置が進められておりまして、これを促進することにより、状況が深刻化する前に相談支援や、児童養護施設、里親等を活用したショートステイなどの支援に、より迅速につなげられるものと考えております。
さらに、児童養護施設等には地域の子育て支援拠点としての新たな役割が求められておりまして、県としましても、各施設による一時保護受入体制の整備や、市町と連携をしました在宅支援、特定妊婦への支援の強化などの施設の多機能化も進めているところでございます。
3点目の、未就学児への対応についてでございますが、乳幼児期の育ちに関する施策の推進は、保護者や養育者の支援のみならず、乳幼児の保育に携わる人材の確保や資質の向上、さらには一時的に子供を受け入れる体制の整備など、様々な観点から取り組む必要があると考えております。
現在、滋賀県児童虐待防止計画に基づきまして、家庭養育優先原則の下で家庭支援や里親委託を推進しているところでございますが、次年度、同計画を見直す中で、誕生前から乳幼児期までのはじめの100か月の育ちの重要性も踏まえながら、施設の活用も含め、未就学児の支援の在り方について検討してまいりたいと存じます。
◆44番(中沢啓子議員) (登壇)ぜひ、来年度の計画策定に向けて、また、しっかりと様々な子供たちのための対策を重層的に頑張っていただきたいと思います。
次に、高齢者の暮らしを支える滋賀の医療福祉についてお伺いをいたします。
滋賀県では、現在、様々なデータを基に、誰もが自分らしく幸せを感じられる健康しがの実現に向けてプランを策定中です。知事は、福祉を支える皆さんとも意見交換をされたと伺っています。ぜひ、今後も定期的に意見交換をして、一緒に誰もが自分らしく幸せを感じられる健康しがの実現を目指していただきたいと思います。
現場の皆さんの声をどう受け止められ、2025年問題が始まる期間となるレイカディア滋賀高齢者福祉プランへどう反映されたのか、知事の思いをお伺いいたします。
今後、認知症の人が自分らしく暮らす地域づくりが大切だと感じています。その家族を支える介護職や医師や看護師の理解とスキルも必要になると考えます。
令和4年度の高齢者虐待防止法に基づく対応状況等に関する調査結果が発表されましたが、調査結果と、その分析と今後の対応を
健康医療福祉部長にお伺いをいたします。
安心のプランが出来ても、人材が不足すれば絵に描いた餅になります。特に地域で在宅介護を中心に担う介護職の方々の高齢化も気になります。また、誰もが自分らしく幸せを感じられる健康しがを目指すのであれば、在宅での看護や介護の対応は1人での対応となるので、在宅での医療福祉の質の向上も大切です。在宅での看護、介護を担う方々の現状の分析と今後の取組を
健康医療福祉部長にお伺いをいたします。
以前からケアマネの処遇改善を訴えてきました。
東京都は独自で月1万から2万の介護職とケアマネの処遇改善に取り組まれます。また、ケアマネは5年ごとの資格の更新研修を受講しなければなりません。時間とお金がかかるので更新されない方も増えるのではと危惧の声を耳にします。
滋賀県におけるケアマネの資格取得や更新に係る時間と費用、ケアマネの現状と資格更新の補助や処遇改善に向けての取組について、
健康医療福祉部長にお伺いをいたします。
現在、様々な職業では物価高騰などで賃金上昇も議論されておりますが、介護報酬は改定になったばかりで、さらに格差が広がるのではと感じますが、介護職の処遇の現状と、今後どのように対応しようとされているのか、
健康医療福祉部長にお伺いをいたします。
◎知事(三日月大造) 5点頂いたうち、私に賜りました1点の御質問にお答えいたします。
現場の声のレイカディアプランへの反映についてでございますが、介護現場の皆様とは「こんにちは!三日月です」をはじめ様々な機会を捉えて意見交換をし、人材不足の現状や地域包括ケアに向けた医療、介護、福祉のさらなる連携の必要性など様々な課題をお聞きしたところでございます。一方で、若手職員の仕事にかける思いや職能を生かした地域貢献のお話、元気高齢者の地域での活躍など、今後に向けて希望を感じるお話も伺いました。同時に、県内を回っていますと、老いとか病に対する悩みや不安、御本人はもとより御家族の方々のいろんなお悩みも聞く機会が増えたように思います。こうしたお声等を踏まえまして、次期プランでは地域包括ケアを支える専門職や地域のボランティアなどの人づくりに重点的に取り組み、老いても地域で生き生き暮らし、幸せを感じられる滋賀の実現に向け、地域の皆様と一緒になって取り組んでまいる所存でございます。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) 私に頂きました4点の質問にお答えいたします。
1点目の、高齢者虐待に関する調査結果等についてでございますけれども、養護者による虐待を受けた人のうち、認知症または認知症の疑いのある人が約6割を占めておりまして、虐待の発生要因としましては、介護疲れ、介護ストレスや介護力の低下、不足が挙げられております。このため、虐待の防止に向けましては、認知症に関する理解の促進とともに、介護する家族等への支援が重要であると認識をしておりまして、介護経験者による電話相談や介護者の交流の場づくり、医療介護従事者を対象とした研修の実施などの取組を進めてまいりたいと存じます。
2点目の、在宅での看護、介護を担う方々の現状分析と今後の取組でございますけれども、訪問看護師は、常勤換算でございますが、令和5年度は988人で、平成27年度から467人の増、また、介護職員は、令和4年度、約2万500人で、平成27年度から約2,300人の増となるなど、在宅における看護、介護の体制は、まだまだ十分ではございませんが、確実に進んでいると認識をしております。
今後、高齢化の進展に伴い、医療ニーズと介護ニーズを併せ持ちながら、自宅や地域で生活を送る高齢者が増加し、在宅での看護、介護を担う職員の必要性が一層高まりますことから、訪問看護経験のない看護師に対する同行訪問体験や、訪問介護の基礎的な資格であります介護職員初任者研修の受講費用の助成などの取組を通じまして、人材の確保、育成を一層進めてまいりたいと存じます。
3点目の、ケアマネジャーの現状についてでございますが、資格の取得や更新に必要な法定研修は県が実施をしておりまして、研修時間はそれぞれ約90時間でございますが、本県の研修費用は全国平均と比較しまして、約2割程度、低く抑えておりまして、今後、研修のオンライン化を一層進め、さらなる負担軽減に努めてまいりたいと存じます。
また、現在、本県では約1,900人のケアマネジャーが従事をしておられ、平均年齢は55.5歳と、介護職員の41.6歳と比較しまして高い状況にございます。現場からは業務の質や量に見合った処遇がなされていないというお声もお伺いしておりまして、国に対して、引き続き、職責に見合った評価と処遇改善加算の創設などを働きかけてまいりたいと存じます。
4点目の、介護職の処遇についてでございますが、国においては、これまでから数回にわたり改善をされており、本年2月からは、さらに2%程度改善をされましたが、議員御指摘のとおり、他の産業においても賃上げが進む中、介護職員の賃金は全産業平均を下回る状況にございます。このため、県では、まずは全産業の平均賃金まで引き上げられることを目指しまして、引き続き、国に対してさらなる処遇改善を強く働きかけてまいる所存でございます。
◆44番(中沢啓子議員) (登壇)これから高齢者の方々がさらに増えていくということと、それと、高齢者単身世帯が増えていくという推計がされています。そうなると、やっぱり地域で御活躍いただける訪問介護であったりとか、サ高住みたいに集まっていらっしゃるところはまだいいんですけども、やっぱり自宅、今まで慣れ親しんだところで暮らしたいと思われる方々の思いをかなえるためには、やはり訪問介護、訪問看護というのは非常に大事だと思っています。それにあわせて、やっぱりケアマネというのは、先ほど年齢を聞いたら55.5歳というのは非常に危機感を感じたんですけれども、やはりそれだけ、またケアマネさんの数が必要になってくる時代がさらに来るんだと思います。今でも多分、まだケアマネさんはなかなか時間が取れなくて、お待ちになる時間が長かったりとかということもあると思いますので、仕事はしんどくなるけれど、一生懸命、90時間かけて更新したけれども処遇が改善されなくて、介護をやっている方とほとんど給料が同じだったりとかというのは、やっぱり働きがいのある職種にならないと思うんですよね。そこはしっかりと、県としても今後考えていただく、もしくは本当に国のほうで、これは全国どこも同じ状況だと思いますので、そこはしっかりと国に御理解いただいて、改善するということでお力を出していただきたいと思います。去年も同じ質問をしておりますので変わっていないということだと思いますし、さらには、ケアマネになるための試験も難しくなっています。条件が厳しくなりましたから。それにあわせて、先ほどのような更新をする、更新する時間に、やっぱりその時間は仕事ができなかったりとかするわけですし、その上、結構な金額の更新料がかかる、ほかからは、安くするように頑張っていただいているとはお聞きしていますけれども、なかなか大変な金額ですし、埼玉県なんかはそこに補助を1万円出されているという現状もあります。やはりケアマネ、高齢者を支える方々が資格を持って頑張っていただいている方ですので、その方々に対して、やはり働きがいのあるところにしていただきたいと思いますので、再度、取組について、もう少し、一言頂けたらと思います。
それと、知事に関しては一言だけ。
いろんな声を聞いていただくことが非常にやっぱり大切だと思っています。現場の声が届いたと思うだけで、やはり現場の方々は、知事も聞いてくださったので、また頑張ろうということになると思いますし、今後もしっかりとそういう場を持って、これからの高齢者を支えていただける皆さんの声を聞く場を持っていただきたいと思いますので、その件に関して一言だけ頂けたらと思います。よろしくお願いします。
○副議長(有村國俊) 2問目はいいんですが、1問目は、答弁者。
◆44番(中沢啓子議員)
健康医療福祉部長に。すみません。
◎知事(三日月大造) 先般も長浜市内で高齢者施設を訪問した際に、様々なお取組、お悩みとともに伺いました。ICTの機器などを活用しながら、目の前にいらっしゃる多くの御利用者の方々に寄り添っていただいている御様子ですとか、あと、様々な職種が連携しながら、その方のお困り事に対応していただいていること、また、同じ仕事をする人材を増やそうということで、自分自身が学校に出かけていって、仕事のやりがい、そういったものを発信しているんだという、そういったお声も聞きましたので、いい事例は他の施設にも届くように、そして、頑張っていらっしゃる方々がより頑張れる環境、状況をつくるために、県として、しっかり仕事をしていきたいと思いますし、後で部長が答えるんでしょうけども、介護支援専門員の方々とも意見交換した折にも、議員がおっしゃったような資格を更新する際の御負担、また、処遇がその責任ある仕事に見合っているのかどうかという、そういう問題提起をいただきました。なかなか県だけでということになると難しい面もあるんですが、国に言うとともに、県として、さらにどういったことが必要なのか、可能なのかということをよく考えていきたいと存じます。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
在宅での支援ということで、訪問介護、訪問看護に加えまして、特にケアマネジャーの確保に関することかと思います。私も現場のほうで、在宅支援を受け、利用されようとする方が、ショートの空きがあるのに、ケアマネジャーが確保できないのでケアプランを立てていただけなくて、サービスそのものが利用できないというような実情もひしひしとお聞かせいただいた場面がございまして、申すまでもなくケアマネジャー──介護支援専門員というのは介護保険制度の要をなす仕組みだと私も考えております。そんな中、ケアマネジャーの、特に研修費用であったり更新研修など、かなりケアマネジャーさんの御負担にもなっているという実情を踏まえながら、先般、国のほうにも、この更新研修の在り方等につきまして要望も行ってまいりました。やはり今後も引き続き、こうした現場の実情をしっかりとお伝えして、どのような改善方法ができるのか、県としてもしっかりと考えながら、国のほうに引き続き強く働きかけてまいりたいと存じます。
◆44番(中沢啓子議員) (登壇)ぜひ、地域偏在なく、誰もが自分らしく幸せを感じられる健康しがに向けて頑張っていただきたいと思います。
国に言うだけではなく、ぜひ、県でもできることは汗をかいて頑張っていただけるとありがたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(有村國俊) 以上で、44番中沢啓子議員の質問を終了いたします。
以上で本日の質疑ならびに一般質問を終わります。
明28日は、定刻より本会議を開き、質疑ならびに一般質問を続行いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時50分 散会
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