滋賀県議会 2024-02-26
令和 6年 2月定例会議(第23号〜第32号)−02月26日-04号
令和 6年 2月定例会議(第23号〜第32号)−02月26日-04号令和 6年 2月定例会議(第23号〜第32号)
令和6年2月定例会議会議録(第26号)
令和6年2月26日(月曜日)
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議事日程 第4号
令和6年2月26日(月)
午 前 10 時 開 議
第1 議第1号から議第51号まで(令和6年度滋賀県一般会計予算ほか50件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
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本日の会議に付した事件
第1 日程第1の件
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会議に出席した議員(43名)
1番 谷 口 典 隆 2番 田 中 英 樹
3番 谷 成 隆 4番 小 河 文 人
5番 菅 沼 利 紀 6番 桐 田 真 人
7番 岩 崎 和 也 8番 野 田 武 宏
9番 森 重 重 則 10番 田 中 誠
11番 河 村 浩 史 12番 柴 田 栄 一
13番 中 山 和 行 14番 赤 井 康 彦
15番 河 井 昭 成 16番 佐 口 佳 恵
17番 小 川 泰 江 18番 田 中 松 太 郎
19番 清 水 ひ と み 20番 井 狩 辰 也
21番 本 田 秀 樹 22番 柴 田 清 行
23番 重 田 剛 24番 白 井 幸 則
25番 村 上 元 庸 26番 桑 野 仁
27番 周 防 清 二 28番 海 東 英 和
29番 加 藤 誠 一 30番 目 片 信 悟
31番 有 村 國 俊 33番 川 島 隆 二
34番 奥 村 芳 正 35番 駒 井 千 代
36番 木 沢 成 人 37番 清 水 鉄 次
38番 大 野 和 三 郎 39番 角 田 航 也
40番 冨 波 義 明 41番 九 里 学
43番 今 江 政 彦 44番 中 沢 啓 子
45番 節 木 三 千 代
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会議に欠席した議員(なし)
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会議に出席した説明員
知事 三 日 月 大 造
教育長 福 永 忠 克
選挙管理委員会委員長代理 柴 田 智 惠 美
人事委員会委員長代理 尾 賀 康 裕
公安委員会委員長代理 高 橋 啓 子
代表監査委員 河 瀬 隆 雄
副知事 江 島 宏 治
副知事 大 杉 住 子
知事公室長 松 田 千 春
総合企画部長 浅 見 裕 見 子
総務部長 東 勝
文化スポーツ部長 谷 口 義 博
琵琶湖環境部長 森 本 哲 司
健康医療福祉部長 大 岡 紳 浩
商工観光労働部長 林 毅
農政水産部長 岡 田 英 基
土木交通部長 三 和 啓 司
会計管理者 中 田 佳 恵
企業庁長 東 郷 寛 彦
病院事業庁長 正 木 隆 義
警察本部長 中 村 彰 宏
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議場に出席した事務局職員
事務局長 箕 浦 宏 昌
議事課長 野 口 浩 一
議事課参事 内 田 吉 行
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午前10時 開議
○議長(奥村芳正) これより本日の会議を開きます。
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△諸般の報告
○議長(奥村芳正) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。
選挙管理委員会吉田清一委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として柴田智惠美委員が、また、
人事委員会池田美幸委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として尾賀康裕委員が、また、
公安委員会大塚良彦委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として高橋啓子委員が、それぞれ出席されておりますので、御了承願います。
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○議長(奥村芳正) これより日程に入ります。
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△議第1号から議第51号まで(令和6年度滋賀県一般会計予算ほか50件)の各議案に対する質疑ならびに一般質問
○議長(奥村芳正) 日程第1、議第1号から議第51号までの各議案に対する質疑ならびに一般質問を続行いたします。
発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。
まず、19番清水ひとみ議員の発言を許します。
◆19番(清水ひとみ議員) (登壇、拍手)皆さん、おはようございます。
それでは、通告に従いまして2項目の質問をさせていただきます。
まず初めに、能登半島地震の被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
今議会では、代表質問をはじめ、議員各位から災害対応や対策について取り上げておられます。
私は、昨年12月22日に参加しました第86回の防災カフェのテーマが「考えよう!災害時のトイレ」でした。大津市議会議員の頃にこのテーマを議会で取り上げ、その後、手引きなども作成されたのですが、自分の中でまだまだこれでは困るだろうという危機感を持ってまいりました。その中、防災カフェのテーマとして取り上げられ、大地震の後で災害対策について多くの課題はありますが、1項目めは、災害時のトイレ対策について、以下、一問一答方式でお伺いさせていただきます。
まず、第86回防災カフェのテーマを「考えよう!災害時のトイレ」と設定された理由について、知事公室長にお伺いします。
○議長(奥村芳正) 19番清水ひとみ議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事公室長(松田千春) (登壇)お答えいたします。
県民の皆様の防災意識を高めることを目的に、月に1回防災カフェを開催しております。
過去の災害時において、不衛生なトイレ環境が深刻な問題となっておりましたが、これまで、防災カフェにおいて、トイレについて取り上げたことはございませんでした。
災害時におけるトイレ環境の重要性を周知し、共に考え、自助、共助の取組につなげていただく機会とするために、今回テーマとして取り上げたところでございます。
◆19番(清水ひとみ議員) (登壇)それでは、第86回防災カフェの参加状況や参加者の感想などから、今後の課題とされたことについて、知事公室長にお伺いします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
第86回防災カフェでは、ふだんよりも多い48名の方に参加をいただき、参加者からは深く考える初めての機会だったなどの感想が見受けられたところでございます。この結果から、災害時にトイレ対策に関する関心の高まりや、さらなる啓発の必要性を感じたところでございます。
◆19番(清水ひとみ議員) (登壇)それでは、本県において平成30年度に実施された滋賀県
地震防災プラン県民意識調査の中で、トイレについてはどのような結果が出ていたのか、知事公室長にお伺いします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
調査結果において、自宅での携帯トイレ、
簡易トイレ備蓄数について回答のうち、「備蓄していない」と回答した方は64.3%でございました。また、避難所生活を送る場合にトイレについて「非常に心配」、または「ある程度心配」と回答された方は99.3%でございました。
◆19番(清水ひとみ議員) (登壇)それでは、その調査結果から、本県はどのような取組をされてきたのか、知事公室長にお伺いします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
現在、
危機管理センターでは、災害時のトイレに関する展示を行うなど、啓発を行っているところでございます。
また、昨年10月に実施した総合防災訓練においても、
災害用仮設トイレの設置訓練などを行いました。
能登半島地震におけるトイレの状況を踏まえまして、これまでの取組に満足することなく、啓発や訓練などを充実していく必要性を感じているところでございます。
◆19番(清水ひとみ議員) (登壇)災害時のトイレが注目されるきっかけは、平成7年に起こった阪神・淡路大震災です。被害の大きさはもとより、避難生活を余儀なくされた多くの市民が最も困ったことの一つがトイレでした。その実態を踏まえ、兵庫県では避難所等におけるトイレ対策の手引きを作成、内閣府でもトイレ対策の手引が策定されました。
また、徳島県では、トイレ環境が劣悪であると、災害関連死につながるおそれがあり、災害時でも平常時に限りなく近いトイレ環境を目指し、平成29年3月に徳島県災害時快適トイレ計画、平成29年8月には徳島県災害時
快適トイレ計画アクションプランを策定され、さらには、令和4年6月に徳島県
避難所快適トイレ実践マニュアルを策定し、今はこのマニュアルを基に防災対策に取り組んでおられるとお聞きしました。
徳島県においては、とくしまゼロ作戦課、災害時の死者ゼロを目指してとの命名だそうですが、災害時のトイレ対策に力を入れておられ、先日視察をさせていただきました。一昨年には、事前復興室も立ち上げられ、南海トラフ地震に備えておられます。
本県において、このたびの能登半島地震を受けて、地域防災計画や防災プランの見直しをされる予定と聞いています。現在の地域防災計画の中にトイレやし尿処理について記載されていますが、災害時には、最前線で被災者支援に動く県内市町における災害時のトイレ対策の推進に向け、今後の県の関わりについて、知事公室長の見解をお願いします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
地域防災計画では、災害が発生した際、市町が行う仮設トイレの設置状況を県が把握、確認し、必要に応じて関係団体と連携して支援を行うことや、し尿の処理について定めているところでございます。
今後、能登半島地震における教訓や、支援のために派遣した県、市町職員の意見を生かし、トイレ対策に関するガイドラインを作成したいと考えております。
同時に、作成したガイドライン等を活用し、市町向け研修会などを行うことで、市町によるトイレ対策を後押ししてまいりたいと考えております。
◆19番(清水ひとみ議員) (登壇)ガイドラインの作成をしていただけるということで、ありがとうございます。これは非常に求めていたことなので、やっぱり範となるようなガイドラインをぜひつくっていただいて、市町がまた改めてつくることがもうないように、それを基にしっかり対策ができるようによろしくお願いをいたします。
災害用トイレは、大きく携帯トイレ、簡易トイレ、仮設トイレ、
マンホールトイレ、オストメイトトイレなどに分類され、それぞれ使用が想定される時期や準備に必要なものが異なります。トイレの確保と同時に衛生管理も重要なポイントになります。
それでは、住民が一番初めに頼りとされる県内各市町の災害時のトイレ対策の状況はどのようになっているのか、知事公室長にお伺いします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
県内の各市町においては、その人口規模などを鑑みて、タイプの異なるトイレを組み合わせて備蓄されているところでございます。
その備蓄数は、本年2月1日現在、県内全体で使い捨ての携帯トイレが約20万個、任意の場所に便器を設置できる仮設トイレが約4,300個、可搬型のくみ取式便器の周りをテントで覆う組立てトイレが約200個、
マンホールトイレが約500個、備蓄されているところでございます。
◆19番(清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。
今、全体の数をお答えいただいたんですけれども、私もこれ、調べましたところ、非常に市町によって差が大きいということが分かりました。非常に危機感を持って備蓄されているところと、ちょっとこれではどうかなという、その差をどう埋めていくかというのが県の大きな役割だと思うんですけれども、この点についてどのようにお考えか、再問とさせていただきます。知事公室長、お願いします。
◎知事公室長(松田千春) 改めて各市町の備蓄数を見ていますと、非常にばらつきがございます。タイプによっても、数が一見多いように見えても、その利用の仕方によりますと、あっと言う間になくなってしまいます。その辺りについて、もう一度、どういうトイレがどの段階で要るのかということを市町と一緒に考えて、さらに進めてまいりたいと考えております。
◆19番(清水ひとみ議員) (登壇)自助、共助、公助といわれる中で、自治体の自助というか、本当に自治体がしっかり自分の自治体を守っていくんだという思いで頑張っていただけるように、後押しのほう、よろしくお願いいたします。
次に、滋賀県地域防災計画の中の
災害廃棄物処理計画において、し尿の取扱いについてはどのようになっているのか、琵琶湖環境部長にお伺いします。
◎琵琶湖環境部長(森本哲司) (登壇)お答えいたします。
災害廃棄物処理計画でのし尿の取扱いにつきましては、公衆衛生の観点から、発災後、早期に被災市町が仮設トイレ等を確保、設置するとともに、避難者数等に基づき、し尿の発生量を推計し、収集および処理を行うこととなっております。
県といたしましては、市町が行う仮設トイレの設置状況や、し尿の収集および処理の実施状況を把握いたしまして、被災市町だけで処理が困難な場合には、支援が可能な市町や廃棄物関係団体などと調整を行います。また、県内の支援で不足する場合には、国等を通じまして、他府県や団体等へ支援要請を行うこととしているところでございます。
◆19番(清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。
県の役割として、支援が必要な場合、いろいろな他市に融通をしてもらうとか、国に要求をしていくということは大切だと思うんですけれども、ある意味、待ったが利かないというか、食べなくても我慢できますけれども、トイレの場合はそういうわけにいかないので、これは速やかにできるような心構えをぜひまた、心構えというか、計画ですね。さらによろしくお願いをしたいと思います。
一昨年に開催された滋賀県
環境整備事業協同組合の50周年記念大会の記念冊子によると、組合所有のバキュームカーの台数は約140台。本県の下水道設置率は全国2位ですが、バキュームカーは災害時には必要不可欠であり、いざ災害が起こったときに、し尿処理の対応に困らないよう、平時からの取組についてはどのようにされているのか、琵琶湖環境部長にお伺いします。
◎琵琶湖環境部長(森本哲司) お答えいたします。
本県では、令和3年に滋賀県
環境整備事業協同組合および
湖北清掃事業協同組合と協定を締結しまして、災害時にし尿収集運搬に必要な人員や車両等の支援体制を整えているところでございます。
今年度は、発災時のし尿収集運搬において、円滑な情報共有、役割分担、支援調整等を行うことを目的に、
環境省近畿地方環境事務所、県、市町、一部事務組合、収集運搬事業者、協定締結団体による意見交換会を県内の3地域で実施をいたしました。
この結果を基にしまして、バキュームカーの確保、調整を含む発災時のし尿等の収集運搬に係る相互支援に関する手引きを今年度中に作成しまして、県全域でのし尿処理の実効性確保に向けて取り組んでまいりたいと存じます。
◆19番(清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。
相互支援の仕組みをつくっていただくということで、非常によかったなというふうに思いますが、ただ、もう1つ、この中でしっかり検討していただきたいことが、予備のバキュームカーについてであります。どうしても利用数が減っていくので台数が減っていて、でも、いざというときには要る。ですから、その予備車を持つことについて、やっぱり団体と今ちょうど協議をされている途中ですので、もう一度この点についてしっかり話合いをしていただきたいなというふうに思いますが、琵琶湖環境部長にもう一度お聞きさせていただきます。
◎琵琶湖環境部長(森本哲司) お答えいたします。
御指摘の点も含めまして、しっかり災害時の実効性を確保ができるように、遺漏のないよう協議をしてまいりたいと存じます。
◆19番(清水ひとみ議員) (登壇)よろしくお願いいたします。
それでは、内閣府の2021年の調査によると、避難所の設備調査において、断水時のトイレ対策を確保している割合が最も低かったのが長野県で、全国で唯一4割を下回った35.7%でした。この結果を受け、長野県は2021年度に
避難所TKB環境向上プロジェクトを立ち上げました。Tは快適で十分な数のトイレ、Kは温かい食事を提供するキッチン、Bはベッド。市町村や民間団体と連携し、キッチンカーの活用や段ボールベッドの備蓄強化に取り組む一方で、快適トイレの補助制度を新設しました。快適トイレとは、国土交通省が旗振り役となり、工事現場の環境改善を目的に開発、普及推進をしており、長野県においては、県内のレンタル業者に購入費用の一部を補助し、平時は公共工事などで使用し、災害時は避難所に設置をしてもらう取組をしています。
本県においては、約220という多くの災害時の応援協定を結ばれていますが、災害時における仮設トイレの提供に関する協定があるのか、知事公室長にお伺いします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
現在、本県が締結する災害時応援協定について、仮設トイレの設置に関するものはございませんが、携帯トイレと簡易トイレの供給に関する小売業者との協定が1件、し尿処理に関する業界組合との協定が2件となってございます。
◆19番(清水ひとみ議員) (登壇)220件のうちの3件ということで、寂しいなというふうに思いますが、本県においては、建設現場で男女ともに働きやすい環境を整える取組の一環として、男女ともに快適に利用できる仮設トイレである快適トイレの設置が今年度4月より試行されています。災害時に避難所に設置できる仮設トイレは、ふだん建設現場で使われている仮設トイレであるため、建設現場のトイレがよくなれば、災害時のトイレも必然的によくなるわけです。来年度も快適トイレの設置は継続する予定とお聞きしていますし、災害時のトイレ環境の改善のために、快適トイレの提供を速やかにしてもらうことが重要だと考えますが、知事公室長の見解をお伺いします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
快適トイレとは、今議員からも御紹介いただきましたように、洋式、水洗式であることなど、国土交通省が定める規格を満たした建設現場等で使用される仮設トイレのことでございます。
能登半島地震においても、快適トイレをはじめとしたトイレの環境の重要性が改めて確認されたところでございます。
県としても、平時から国や関係団体と情報交換に努め、市町が行う快適トイレを含めたトイレ環境改善に向けた取組を支援してまいりたいと考えております。
◆19番(清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。
今、市町への支援という形でお答えいただきましたけれども、先ほどの質問で、約220の応援協定の中でトイレに関するものは3件、この協定について担当の方とお話をしていましたら、やはり向こうから言っていただいて協定を結ぶことが多いということなんですけれども、この快適トイレのことについては、一度県のほうからもこういった事業所さんに働きかけをして、しっかり話合いをしていただくことが必要かなと思うんですけれども、その点、知事公室長、もう一度お伺いさせていただきます。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
今ございましたように、200以上の協定については、いろんな時期でいろんな形で結んでおりまして、今回の前からですけれども、協定の内容について確認をしているところでございまして、そこを含めまして、どういう形でできるのか、ちょっと見ていきたいと思います。
◆19番(清水ひとみ議員) (登壇)相手方があることですので、くれぐれもよろしくお願いいたします。
大きな災害時では、避難所だけでは避難しきれないことから分散避難がいわれるようになりました。県内にもマンションがたくさん建っております。マンション内のゲストルームや集会室は、近隣の戸建ての被災時などにも避難所の機能もあるのかなと思います。躯体がしっかりしているマンションについても、被災後、すぐにトイレを使うと、中の配管が破損していると大変なことになります。
そこで、マンションのトイレ対策について、他県でされているトイレのワン、ツー、スリーポスター、1、トイレの安全確認、2、携帯トイレの使用、3、手をきれいにという事例や、
エレベーターチェアと呼ばれる、ふだんは高齢者や障害者、妊婦さんの優先席や荷物置きとして、非常時はエレベーターの閉じ込め対策として、非常用トイレとしても利用できるものの設置が進むことが望まれます。
徳島県では、県庁内トイレに、災害時使用禁止と災害用トイレの備蓄場所が書いてあるポスターが掲示されていまして、(資料掲示)これは先日視察に行かせていただいたときに撮らせていただいたポスターです。全てのトイレにこういったものが掲示されていて、議事堂がありましたので、こっちのほうは議事堂の2階受付で備蓄トイレが受け取れる。そして、もう1つは、偶然玄関のところのトイレに入ったときに、こういう多言語で対応もされていて、すばらしいなというふうに思いました。
こういったものについては、本県でもしっかり今後取り組んでほしいと思っておりますし、特に市町と連携してマンションのトイレ対策の周知広報の強化に努めていくべきだと考えますが、知事公室長の見解を伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
マンションならではの注意点やトイレ対策については、研修会等でも利用いただける啓発カードのしが防災プラスワンで取り上げているところでございます。
引き続き、啓発を行うとともに、カードを活用した研修会の開催なども市町にも働きかけてまいりたいと考えております。
◆19番(清水ひとみ議員) (登壇)しが防災プラスワンは、非常に分かりやすいものですので、どんどんもっと周知広報、努めていただきたいと思います。
次に、来年度、本県でも2台、トイレトレーラーの導入予定と聞きました。トイレトレーラーに関しては様々なものが出ております。支援活動に行かれたときも自己完結であることを思えば、災害時の救援、支援活動にも必要です。一方、日常使いをどうするかが大切で、公園での活用、イベントでの貸出しなど有効に使い、今後、県内各市町でも導入できるよう、よきモデルになってほしいと考えています。
災害時のトイレ対策を自分事として捉えてもらえるよう、トイレトレーラーが県に届いたら、防災カフェを拡大するような形でトイレフォーラムの開催をぜひと考えますが、知事公室長の見解をお伺いします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
新年度当初予算案に計上しておりますトイレトレーラーにつきましては、災害時のみではなくて、平時からイベント等に活用することで県民の皆様の防災意識向上を図ることができると考えております。
導入後は、防災カフェをはじめ、イベントの機会を有効に活用し、県民の皆様に災害時のトイレ対策により一層関心を持ち、自分事として捉えていただけるようにトイレトレーラーを活用した催しを行いたいと考えております。
◆19番(清水ひとみ議員) (登壇)非常に高価なものでありますので、十分活用して、そしてまた、県内市町に広がるようにというふうによろしくお願いいたします。
最後に、今後、県内各地域での防災訓練時における災害用トイレ対策の強化についてお伺いします。
携帯トイレの備蓄を推進するとともに、既設トイレにビニール袋をかぶせて、おむつのCMで使われているような色水を流し、ごみ処理まで実習することが大切だと考えます。
凝固剤を用いたラッピング処理を自動で行うなどの多機能を持った簡易トイレをかつて導入を提案したときには、衛生的だが、災害時、電源を必要とするので仮設トイレを増やすとの結論でした。その後、充電式バッテリータイプでかなり価格も抑えられたものも出てまいりました。衛生的であるため、感染者用として設置することで感染症対策にもなります。
このたびの災害でも、輪島市で導入され、トイレトレーラーの階段の上り下りが大変で使えない高齢者が助かったと報道されていました。
また、災害時でなくても、介護や看護において排せつ介助は本当に大変で、平時からこういったものが例えば高齢者施設の居室用として利用されるといいなと思います。
いずれにしても、日常使いしていくことが大切です。これまでの防災訓練でも、災害用トイレの展示や
マンホールトイレの組立てなどはされていますが、徳島県では職員さんが説明しながら実演されていると聞きました。
また、徳島県の昨年の防災訓練において、訓練会場において、仮設トイレを軽トラックで運び入れて設置、続いてバキュームカーも入って訓練をされたと聞きました。振り返ると、コロナ禍、エッセンシャルワーカーの皆様に私たちはどれほど助けていただいたことか分かりません。災害時、県民の皆さんの心身の健康のために、し尿処理の仕事をされている皆さんが頼りなのですから、こういう場での訓練もすばらしいと思いました。
今後の防災訓練においては、様々な災害用トイレに関する訓練を充実させて、災害時のトイレ対策をさらに推進していただきたいと考えますが、知事公室長の見解をお伺いします。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
県総合防災訓練においては、地域の皆様にも避難所運営訓練等に参加いただいているところでございます。
来年度の訓練においても、企業によるデモ等の展示を行うほか、地域の皆様によるトイレの設置、組立て訓練を体験していただく機会を積極的に盛り込めるよう、関係団体との調整を行うなど、より訓練内容の充実を図ってまいりたいと考えております。
◆19番(清水ひとみ議員) (登壇)ありがとうございます。県の防災訓練については、本当に県内市町の訓練でもまねをしていただけるような、そんな訓練をぜひお願いをしたいと思います。
今回、災害時のトイレ環境の整備について取り上げましたが、この災害時のトイレ対策は、健康問題だけではなくて、実は性犯罪防止の面からも非常に重要です。災害時のトイレ対策は、命を守る緊急事項との思いで今後取り組んでいただきたいということをお願いをしてこの項の質問を終わります。大変ありがとうございました。
それでは、次の質問に移ります。
自然災害は防ぐことに限界がありますが、交通災害は運転者も歩行者も事故防止の努力ができます。今年も巡り来る幼い命が奪われた5月8日を前に、交通安全への強い願いを持って、2項目めは、さらなる交通安全対策について、分割質問方式で全て警察本部長にお伺いします。
残念なことに、令和5年度、全国の交通事故での死者数が増加したとお聞きしました。本県における過去5年間の事故件数をお伺いするとともに、その結果をどのように分析されているのかお聞きします。
次に、令和3年6月議会において、公明党県議団の中村前議員が、大津市内の時間帯によって道路の中央線の位置が変わるリバーシブルレーンについて、その安全性と今後の必要性について取り上げました。その後、検討を重ねていただき、近畿地方では最後の1か所だった県道高島大津線の大津港交差点から柳が崎交差点までの約2キロの変移区間──リバーシブルレーンが1月23日から固定化されました。
現在、試行実施とされていますが、固定化による安全性の向上についてはどうなのか、今後6か月間の検証についてどのようにされるのか、お伺いします。
2011年9月から、生活道路における歩行者や自転車の安全な通行を確保するための交通安全対策として、ゾーン30が整備されてきました。このゾーンでは、区域内で時速30キロの速度規制を実施し、その他の安全対策も組み合わせて、車の走行速度や通り抜けを抑制します。このゾーン30の安全性を高めるために、10年たちまして、2021年8月から物理的デバイスを組み合わせた新しい交通安全対策ゾーン30プラスが推進されることになりました。
本県におけるゾーン30およびゾーン30プラスの設置状況および効果についてお伺いします。
歩行者の安全を守るためにゾーン30プラスも進められています。一方、高齢運転者の事故についても憂えるところです。高齢になると視野が40度狭くなると言われています。高齢ドライバーの安全運転のためには、自分の運転技術がどのくらいなのか知ることも大切だと考えます。そう思うと、本県において、全国に先駆けて取り組んでいる運転技能自動評価システム──オブジェに期待するところです。
運転技能自動評価システム──オブジェの利用者数とその効果、今後の取組についてお伺いします。
また、離れて暮らす家族、多くは子供さんたちから、運転をしている高齢の親御さんに免許返納を勧める大変さをお聞きしますし、一方、高齢者の方にとっても、免許返納を迫る子供さんと意見の食い違いについてもお聞きするところです。
そこで、免許証の返納を試してみるお試し自主返納を本県においては取り入れられました。お試し自主返納の利用者数とその効果、今後の取組についてお伺いします。
先月、チャイルドシートの着用率が低いことが報道されていました。夫婦共働きで子育てする中で、保育園の送迎も、父親、母親がそれぞれの交代制などもあるようですが、チャイルドシートの車への付け替えができていなかったり、急に祖父母に預けることになり、その車にはチャイルドシートがついていなかったともお聞きしました。あわせて、シートベルトも運転席や助手席の着用率は高くなってきたようですが、後部座席ではどうでしょうか。
本県におけるチャイルドシート、シートベルトの着用率、事故の状況、今後の着用徹底に向けての取組についてお伺いします。
飲酒運転による事故の報道に接するたび、被害者の方はもちろんのこと、その家族、また、加害者となってしまった人とその家族や周りの人、どれほど多くの人の悲しみ、苦しみへとつながることか、先日は交通遺児の方の作文を読ませていただき、胸が詰まりました。
2月6日に福岡市で開催された飲酒運転根絶フォーラムにおいて、アルコールインターロックという装置の紹介がされていたそうです。車に取り付けられた検知器に呼気を吹きかけ、アルコールが検知されるとエンジンがかからない仕組みだそうです。ただ、装置が高額なため、導入先は、運送業者など事業所が大半だそうです。こういったものも本県において、どこかで紹介の場があればと思います。
また、飲酒運転根絶に関する条例が、都道府県条例としては現在11道県で制定され、対策が強化されています。本県においては、交通安全県民総ぐるみ運動の重点の一つに飲酒運転等の根絶が定められており、何としても飲酒運転ゼロを目指していきたいと思います。
本県における飲酒運転による事故件数と県内検挙数、および今後の飲酒運転ゼロに向けての取組についてお伺いします。
交通安全において、県民のさらなる意識改革、行動変容を目指すことが重要不可欠です。本県においては、令和3年度末に交通安全対策強化プラン「+7(プラス・セブン)」を発表されました。
また、高齢歩行者の「きら☆ピカ三方よし」、高齢ドライバーの三方よし運転、「じてんしゃ 三方よし」など、三方よしを掲げ啓発していることは、滋賀県民にとって分かりやすい取組だと思います。これらの取組の成果をお聞きするとともに、今後の交通安全対策の強化に向けての決意を最後にお伺いします。
◎警察本部長(中村彰宏) (登壇)交通安全対策について、私に8点御質問いただきました。
まず、1点目の交通事故件数とその分析についてお答えいたします。
県内で発生いたしました過去5年間の交通事故の発生件数、死傷者数につきまして、令和元年は3,647件発生、死者数は57人、負傷者数は4,592人、令和2年は2,893件発生し、死者数は49人、負傷者数は3,555人、令和3年は2,850件発生し、死者数は37人、負傷者数は3,530人、令和4年は2,862件発生いたしまして、死者数は38人、負傷者数は3,599人、令和5年は2,767件発生いたしまして、死者数43人、負傷者数3,375人となっております。
過去5年間、推移を見ますと、発生件数および負傷者数についてはおおむね減少傾向となっておりますが、死者数につきましては、昨年は前年に比べて5人増加するなど、減少傾向とまでは言えない状況でございます。
2点目の中央線変移規制──リバーシブルレーンの固定化の試行実施状況や検証等についてでございます。
中央線変移規制を固定化いたしました区間におきましては、中央線部分に黄色標示を追加し、また、交差点付近に進路を示す矢印標示を追加するなどしたことで、運転者が自身の走行車線をより明確に認識できるようになり、逆走による交通事故等の防止につながっていると認識をしております。
今後6か月間の交通事故の発生状況や渋滞の状況、警察に寄せられます御意見などを踏まえまして、議会にも御報告の上、本実施への移行を判断をしてまいりたいと考えております。
3点目のゾーン30およびゾーン30プラスの設置状況等についてお答えいたします。
県下のゾーン30につきましては、これまで39か所で整備をしております。ゾーン30プラスにつきましては、現在、県下にはございませんが、本年3月中に栗東市内において初めて整備をする予定であります。
効果につきましては、県内で整備いたしましたゾーン30の区域では、整備の前と整備後の各1年間の事故件数を比較いたしますと約33%減少しており、ゾーン30の主な目的である歩行者および自転車事故の防止に関しましても約25%の減少が見られますことから、走行速度や通過車両台数が抑制され、事故防止に大きな効果があるものと認識をしております。
4点目の運転技能自動評価システムの利用者数と効果、今後の取組についてでございます。
運転技能自動評価システム──オブジェにつきましては、平成30年7月の運用開始後、高齢運転者を中心に本年1月末までに817人の方が受講をされております。受講者の方からは、自分の運転の癖が分かったので今後の運転に役立てたいといった御意見をいただいておるところであります。
また、滋賀大学との連携によるデータ分析から、高齢運転者の特徴として、交差点での左右の安全確認が不十分であることなどが判明いたしましたことから、これを交通安全教育に活用しているところであります。
来年度予算にバージョンアップをいたしました新型オブジェ機器の購入費を計上させていただいておりまして、議決いただきましたら、さらに多くの方に受講していただけるよう周知をいたしまして、高齢運転者の事故防止に努めてまいりたいと考えております。
5点目のお試し自主返納の利用者数と効果、今後の取組についてでございます。
お試し自主返納につきましては、運転に不安を感じておられる高齢運転者を対象に、令和5年5月から募集を開始いたしましたところ、応募者が定員の300人に達したところでございます。
本年1月末現在でございますが、参加終了者219人の中で46人の方が運転免許証を自主返納されております。
来年度予算におきましても、お試し自主返納事業費を計上させていただいております。議決いただきましたら本事業を更に推進してまいりたいと考えております。
6点目のチャイルドシート、シートベルトの着用率や着用徹底に向けての取組等についてであります。
令和5年中の調査によれば、県内の一般道路における着用率は、チャイルドシートが68.2%、シートベルトは、運転者が97.8%、助手席同乗者が96.4%、後部座席同乗者が47.5%という結果でありました。
また、令和5年中の県内における自動車乗車中の死者16人のうち、シートベルトやチャイルドシートの着用者は7人、非着用者は8人、不明が1人でありました。非着用者8人のうち5人については、着用していれば死亡しなかった可能性が認められるところであります。
県警察といたしましては、幼児の保護者に対する交通安全教室、事業所を対象といたしました交通安全講習、街頭啓発等を通じて、全席シートベルト着用やチャイルドシートの正しい着用を呼びかけますとともに、指導取締りを推進いたしまして、今後も着用意識の向上を図ってまいりたいと考えております。
7点目の飲酒運転の事故件数と検挙数、飲酒運転ゼロに向けての取組についてであります。
過去3年間におきます県内での飲酒運転による交通事故の件数および死傷者数につきましては、令和3年は30件発生し、死者数3人、負傷者数41人、令和4年は42件発生し、死者数は3人、負傷者数は58人、令和5年は27件発生し、死者数は3人、負傷者数は34人となっております。
飲酒運転の検挙件数は、令和3年は222件、令和4年は288件、令和5年は293件となっております。
県警察といたしましては、事業所を対象とした交通安全講習、関係機関、団体と連携した街頭啓発などを通じまして飲酒運転の根絶を呼びかけてまいりますとともに、指導取締りを推進し、今後も飲酒運転ゼロを目指してまいります。
8点目、交通安全対策の強化および三方よし啓発の評価、今後の対策の強化についてであります。
県警察では、御紹介いただきました交通安全対策強化プラン「+7(プラス・セブン)」に基づく取組を強化いたしますとともに、滋賀県民に分かりやすい三方よしを掲げた啓発を推進しているところであります。
その結果といたしまして、令和5年中の県内の交通事故の発生状況、前年比で、死者数は増加いたしましたが、発生件数および死傷者数は減少するなど、成果が認められているところではないかと考えております。
県警察といたしましては、交通情勢の分析と情報発信に力を入れますとともに、関係機関、団体、事業者、ボランティアなどと協働した啓発、また、悪質、危険性の高い違反に対する指導取締りを強力に推進いたしまして、悲惨な交通事故を一件でも減らすよう力を尽くしてまいる所存であります。
◆19番(清水ひとみ議員) (登壇)様々な取組、ありがとうございます。
オブジェもずっと取り組んできてくださってて、また来年度、さらにバージョンアップしてくださるということで、大きく期待をしておきたいと思います。
2点再問させていただきます。
1点目が、2番目に質問させていただきましたリバーシブルレーンについてですけれども、この6か月間、交通事故や渋滞の状況、県民の皆さんの御意見を聴いてということでしたけれども、もともとこのリバーシブルレーンについて、うちの県議団で取り上げましたのは、大津京辺りに非常にマンションがたくさん建ちまして、転入されてきた方が非常に怖い思いをされたという声をたくさん聞きまして、やはり何といっても安全第一だということで取り上げさせていただいたんですけれども、一方、地元の人たち、こういうことで慣れておられた方の声というのはどういうふうに届いているか。私も大津在住ですので、この道、よく通るんですけれども、もともと怖くて中央は通れずに、いつも端だけを走っていると、最近は何か真ん中がすいてるんですね。皆さん同じ思いなのかなと思いながら、せっかく固定化されたので、きちんと使ってもらえたらいいなと思いますので、その辺り、もう一度お聞かせください。
そして、もう1点は、飲酒運転の撲滅についてであります。
様々な指導取締りや講習もやっていただけるということですが、アルコール依存症の方たちへの健康医療福祉部との連携を取って取り組んでいただくことについてはどのようにお考えなのか、そしてまた、これから年度末、コロナが5類になって初めての送別会や歓送迎会、特に若い人たちの気持ち、年配の方も一緒ですけども、気持ちの緩み、春になってちょっとうきうきしてという、そういうところで本当に一生を悔いるような大きな事故が起こってはいけないと思いますので。
一方、飲酒のお店の方からも、非常にこのコロナが明けて、さあ、いよいよこれからだというときに、でも、やっぱりこういう事故が起こってほしくない、でも、代行を呼びましょうかとかいうのも言いにくいし、何かもっと分かりやすい啓発ができるものがあればというお声も聞いています。県警のホームページ、非常に充実してますので、その辺りから、そのホームページのところにでもそういった啓発のポスターがダウンロードできるような仕組みにしていただけたらなって、そんなふうなことも考えております。
その2点、再問でお願いします。
◎警察本部長(中村彰宏) お答えいたします。
まず、1点目のリバーシブルレーン──中央線変移規制に関しまして、地元の方の御意見ということでございました。
警察のほうに寄せられております御意見といたしましては、「朝の通勤時間帯の渋滞が悪化した」ですとか、「バスがちょっと時間がかかるようになった」といった声をいただいておるところでございます。
渋滞対策ということでございますけれども、そういった意味では、現地の状況を確認いたしまして、信号周期の調整を行って渋滞の緩和を図るなどしておるところでございます。中央部分、黄色標示するなど明確化いたしましたので、うまく安心して走れると思いますので、安心して走っていただきつつ、ただ、渋滞対策のほうはしっかりと進めてまいりたいということで考えております。
2点目でいただきました飲酒運転に関しましてでございまして、まず1つ、アルコール依存症の問題でございます。
アルコール依存症につきましては、なかなか取り締まっていくだけでは、あるいは厳罰化するだけではアルコール依存症による飲酒運転を減らすというのは難しいところがございまして、やはりこれはアルコール依存症自体を治していくということが非常に大事であろうかと思っております。
そういう意味では、なかなか警察だけでできるところでもございません。実際取締りなどした方をアルコール依存症の治療のほうを受けていただくよう紹介するなど、こういった取組もやっておるところではございますし、また、講習の中でアルコール依存症などについての知識を深めてもらう、こういったこともやっておりますが、御指摘いただきましたように健康医療福祉部との連携も非常に重要だと思っておりまして、しっかりと連携しながら進めてまいりたいと考えております。
また、春になりまして、何かと歓送迎会等もございます。お酒を飲むことが悪いわけではございませんけども、飲酒運転で事故を起こしてほしくないということでありますので、これから春の全国交通安全運動もございます。こういった機会も活用いたしまして、関係機関、団体とも連携しながら飲酒運転根絶の広報啓発、また取締りなど、総合的にやってまいりたいと思っております。
また、お店のほうからもそういった飲酒運転の事故を起こしてほしくないという声があるということでございますので、お店の方にも啓発していただけるように、いろんなやり方を県警としてもしっかりと考えてまいりたいと思います。
◆19番(清水ひとみ議員) 終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、19番清水ひとみ議員の質問を終了いたします。
次に、38番大野和三郎議員の発言を許します。
◆38番(大野和三郎議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従い、下水道資源の循環について、全て知事に問います。
知事は、朝起きて、真っ先に何をされますか。私は、まずは顔を洗います。水道の蛇口をひねると水が出てきます。これは当たり前のように思っておられる方がほとんどだと思いますが、能登半島地震の被害に遭われた地域では、水道は断水し、今なお給水車に頼っておられる方もあります。当たり前と思っている蛇口をひねると水が出ることに感謝をしなければなりません。
一方、使った水はそのまま下水道へと流れていきます。これも多くの方が当たり前のように思っておられると思いますが、下水が使えなくなれば、今や健康面にも影響が出てきます。その使える下水道にも感謝の心が必要であります。
さて、今回の質問は、この下水道に関してであります。
去る1月29日、高島浄化センターにおいてコンポスト化施設の完成に伴う現地説明会が開催されました。私は、これまでから下水汚泥の活用について取り上げてきました。この湖西浄化センターに関しては、平成29年12月議会で、今後の方向性を問い、令和元年12月議会でも取り上げ、知事は、下水汚泥の有効利用を促進し、環境先進県としてリサイクル率100%に向けて計画的に取り組むとされていました。
今般、高島浄化センターで汚水を浄化する過程で発生する下水汚泥から肥料を製造する施設が完成したことに一定評価をするものであります。本格的な製造も2月1日から始まっていますが、そこで、初めに、今回の施設において年間どれほどの量の肥料を製造できるのか問います。
また、この肥料は6月頃から販売を始めるとされていますが、どのようにして販売し、その価格をどのように設定されているのか問います。
生産が可能となったことから、その活用についての方針と行動に移さなければなりません。下水道汚泥の活用において、知事は、昨年12月での答弁では、汚泥に含まれる重金属の農地への蓄積を懸念する声があり、オーガニック栽培には使用できないことから、緑地やガーデニング用肥料として活用する旨の答弁をされました。ところが、今回のコンポスト化において、知事は、「下水汚泥を資源として捉え、肥料として緑地や農地に還元する試みだ」と述べられています。また、収穫した作物は、地域の家庭や宿泊施設などで消費し、生じた下水汚泥を再び活用する循環が成り立つと、サーキュラーエコノミーを目指すとの姿勢であります。
そこで、改めて農地への活用についての考えを問います。
いま1点は提案であります。
県土に占める自然公園の割合は37.3%で、これは全国で一番であります。知事は、琵琶湖を中心とした滋賀県全体が美しい自然に包まれた一つの大きな公園であるかのように、滋賀県に暮らす全ての人の憩いや交流の場となり、未来を生きる子供たちの遊び場や学びの場となることを目指してTHE シガパークと名づけられました。そこに滋賀らしい公園として、都市公園の管理に必要な肥料を全て下水汚泥から生まれたコンポスト肥料にするようなことを考えてはいかがでしょうか。知事の見解を問います。
下水汚泥資源の肥料利用は、大きくコンポスト化とリン回収の2種類の方法で行われています。そのリンにおいては、全国規模では年間汚泥発生量約230万トン中、約5万トンを含むとされ、農林水産業の持続性に貢献できるものと期待されています。
そこで、リンの回収と製品化についてでありますが、福岡市の和白水処理センターでは、MAP法、これは、汚水中のリン酸をpH8から9以下でマグネシウムとアンモニウムを反応させ、リン酸マグネシウムアンモニウム結晶を生成させて除去する方法でリンを回収するもので、既にJAと連携し製品化に成功しています。
リン回収技術はかなり進んできており、施設の更新時期を迎えている東北部浄化センターでの汚泥処理の手法として検討すべきではないか、知事の見解を問います。
また、本県でも下水汚泥の100%利活用を目指した調査研究もされておりますが、ちなみに、現在の下水道リサイクル率は何%で、都道府県別では滋賀県はどのような位置となっているのか問います。
また、進めている研究は、下水汚泥からメタンを発酵してリンを回収する新たな技術の研究で県立大学に委託されていると聞いていますが、その委託調査の研究の状況と、得られた成果があるのか、令和7年度には実証実験ができるのか、今後の方向性も含めて問います。
さて、今回は下水道に関してでありますが、下水熱利用についての見解も触れておきたいと思います。
下水熱の利用は、主に都市内に豊富に存在する未利用エネルギーとして下水の持つ熱を、ビルの冷暖房や給湯、道路の融雪などに活用し、省エネ化、省CO2化等を図るものとして取り組まれています。下水が大気に比べ冬は暖かく、夏は冷たい特質を活用するものですが、日々の生活から発生する下水は安定的かつ豊富に存在します。
そこで、本県における下水熱の利用について、知事の見解を問います。
そのほかにも、下水汚泥の分解工程で発生する消化ガスを用いた消化ガス発電や、燃料電池への利用が行われている例もあります。
令和6年度の当初予算案において重点的に取り組む施策について、5つの柱と2つの集中的な取組を示され、そこにプラス「水への思いあらたに」とされました。まさに下水道は水そのものであります。
本県の下水道への新たにした思いについて問い、質問とします。
○議長(奥村芳正) 38番大野和三郎議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)下水道資源の循環について、9点御質問をいただきました。順次お答えいたします。
1点目、高島浄化センターのコンポスト化施設の肥料製造量についてでございますが、1日当たり約1.5トンの肥料製造の能力がございます。年間に直しますと約500トンの肥料が製造できます。
2点目、肥料の販売方法、価格設定についてですが、販売方法や価格については、肥料を販売される株式会社S&Kたかしまにおいて決定されております。
販売方法につきましては、高島浄化センター内のコンポスト化施設の一角に販売所を設け、購入者に来ていただいて必要な量を計量し御購入いただくという方法と伺っております。
価格につきましては、一般の流通経路に乗せず、パッケージングをしないことにより経費を抑え、肥料10キログラムで税込20円とされているところです。これは、先進事業地において、今回と同様の販売方法で良好な販売実績がある価格と伺っております。
3点目、下水汚泥肥料の農地への活用についてでございますが、高島浄化センターにおいて生産する肥料につきましては、肥料法の公定規格等に適合することを確認し、肥料登録を行って販売することから、肥料として緑地や農地に御利用いただけるものでございまして、消費者の理解も十分得られると考えております。
一方で、農地への活用につきましては、重金属の農地への蓄積を懸念する声がありますことや、オーガニック栽培に使用できないことから、安全性や適切な使い方について、販売所やホームページ等を通じて周知を行ってまいりたいと存じます。
4点目、公園におけるコンポスト肥料の使用についてでございますが、令和2年度から、高島浄化センターの下水汚泥を用いて作成した試験肥料をシガパーク関連の都市公園や花緑公園等で花や木に使用し、効果を確認しているところです。
一方、資源循環の観点から、まずは地元地域で使用していただくことが望ましいと考えておりますため、地域での販売状況を見ながら公園等での使用を検討していきたいと存じます。
5点目、リン回収技術の東北部浄化センターにおける検討についてでございますが、東北部浄化センターにおける汚泥処理施設の更新に当たりまして、現在、滋賀県下水道審議会で処理方法について審議を行っているところです。リン回収技術につきましても情報収集を進めており、検討を行う予定でございます。
6点目、本県の下水汚泥リサイクル率についてでございますが、平成20年度まではリサイクル率100%でありましたが、脱炭素化の観点等からエネルギー消費が多い溶融炉を順次廃止いたしましたため、徐々に低下してきたところでございます。
令和3年度の実績といたしまして、滋賀県の下水汚泥リサイクル率は20%でございまして、国交省の統計資料によれば、都道府県別では最下位となっている状況です。
現在建設中の湖南中部浄化センターの汚泥燃料化施設の完成によりまして、令和8年度頃にはリサイクル率50%まで向上する見込みであり、引き続き、他の処理場につきましても設備更新を進めることによりリサイクル率を向上させていく予定でございます。
7点目、研究の状況、今後の方向性についてでございますが、汚泥有効利用の研究につきましては、令和4年度に滋賀県立大学に委託し、汚泥からリンを回収するとともに、リン回収後の残った固形分を有効利用するための研究を行っているところです。
令和5年度は令和4年度の課題解決も含め、スケールアップした装置を用いて、メタン発酵後の汚泥から効率よくリンを回収するとともに重金属を低減するための研究を実施しておりまして、一定程度の知見が得られたと伺っております。
来年度は、回収したリンなどの生成物について、肥料としての有効性を確認するとともに、コスト計算を行う予定でございます。
引き続き、国の実証事業への申請に向けて研究を進めてまいりたいと存じます。
8点目、本県における下水熱の利用についてでございますが、下水熱の利用促進といたしましては、下水熱の位置と熱量を地図上に示したポテンシャルマップを作成いたしまして、平成28年5月よりホームページで公開いたしまして、利用を呼びかけているところでございます。
県自らの利用といたしましては、湖南中部浄化センターの管理棟において、下水熱を使用したヒートポンプシステムを用いた空調システムを採用し、省エネルギーに寄与しているところでございます。
民間での利用につきましては、下水管に近い事業所であることや、年間通じて一定の熱需要があることなど、採算性を考えると導入には条件がございますが、今後も利用について広報を行ってまいりたいと存じます。
最後、9点目、下水道への思いについてでございますが、まず大変重要な静脈、そして琵琶湖の水質保全にはなくてはならない社会インフラだと考えております。特に今年から来年度にかけましては、琵琶湖をお預かりする滋賀県として、改めて水に思いを寄せ、水のつながりを意識して施策を展開する年としているところです。
下水道は、議員御指摘の通り、汚泥の緑農地利用や下水熱の利用など大きなポテンシャルを有しており、サーキュラーエコノミーや脱炭素を推進する上でも最大限活用していきたいと考えております。
今後も社会情勢や技術開発の状況などを注視しつつ、県といたしましても新技術の開発を進めながら、現在リサイクルができていない汚泥処理施設の更新が完了する令和16年度を目途に、下水汚泥リサイクル率100%を目指して取組を進めてまいりたいと存じます。
◆38番(大野和三郎議員) (登壇)再質問ではありませんが、1点だけ確認をしたいと思うんですが、知事、コンポストの語源、御存じですね。念のために御披露願いたい。コンポストの語源。
◎知事(三日月大造) 以前この場で議員に御指導いただきまして、コンポストというのは、堆肥にすること、堆肥のことと承知をしております。
◆38番(大野和三郎議員) (登壇)私が申し上げるのも僭越なんですが、コンポストは、英語で今、堆肥ということになっているんです。でも、本来はドイツ語で、土に返す、地域循環、そういうことなんです。
議長、終わります。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、38番大野和三郎議員の質問を終了いたします。
次に、18番田中松太郎議員の発言を許します。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従いまして、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に向けて、一問一答で質問を行います。
今から24年前の2000年、私が27歳のときに当時の甲賀町消防団に入団しました。正式には甲賀町消防団第4分団田堵野班という自治会を単位とした班に所属し、後に班からの出向者らで構成される第4分団機動部に3年間出向、その後、班長を1年務めて退団するまでの10年間在籍をいたしました。
当時の私の班のルールでは、班員の定数が10名で、任期を10年間とし、毎年1人の退団者と入替えで1人が入団するというのが原則で、退団予定の人が必ず次の新入団員を勧誘し確保してから退団するということになっていました。しかし、最近では、若い世代の人口減少や、地域外へ流出する人が増えたことなどから、新入団員の確保が難しく、現役の団員がなかなか退団できない状況が続いており、各団員の勤続年数が長期化する傾向にあります。実際に私が退団して14年が経過しましたが、私と入れ替わりで入団した団員は、今も交代が見つからず、現役で活動してくれています。
私が住んでいる地域においては、消防署、いわゆる常備消防の比重が低いため、有事の際には消防団が第一線で活動することも多く、非常に重要な役割を担っています。私が消防団に入ってからも、僅か数日後に近所で建物火災が発生し、私も出動しましたが、残念ながら住人の方お一人がお亡くなりになるというショッキングな出来事がありました。その3か月後には、林野火災、いわゆる山火事が発生し、昼過ぎに出動してから翌日の明け方まで消火活動に当たりました。この火災では、甲賀町中の全ての消防ホースを使い果たすほどの大規模な火災でもありました。
そのほかにも、入団1年目から多くの火災現場にサイレンを鳴らしながら出動しましたが、いずれの現場においても、常備消防より消防団員のほうが多く出動しており、改めて自分たちの地域住民の生命と財産は自分たち自身で守っていかなければならないということを強く実感いたしました。
さて、近年、全国で災害が激甚化、頻発化する中、令和6年1月1日に石川県能登地方を震源とする大規模な地震が発生いたしました。地震によりお亡くなりになられました方々と御遺族の方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。また、被災地の一日も早い復旧復興を心よりお祈り申し上げます。
この能登半島地震においては、激しい揺れにより道路が寸断され、関係機関の支援が困難を極める中、発災直後から住民に避難を呼びかけ、団員を結集して消防隊と共に消火活動等に従事された輪島市消防団の方々や、初動段階から倒壊家屋からの救助活動や傷病者の搬送に当たり、避難所の運営にもきめ細やかな支援を行われた珠洲市消防団の方々をはじめ、およそ600人の消防団員の方々が自らも被災しながら地域住民の命と安全を守るべく懸命の活動を展開されたという報道がありました。
こうした消防団の活躍の状況を受け、国においても、今月6日に松本総務大臣が全国の自治体に対し、消防団員を確保し地域防災力の充実を求める書簡を出されたところであります。東日本大震災での教訓を踏まえ制定された法律、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律ができて10年を迎えました。この間、国や本県においても、この法律の趣旨を踏まえ、様々な施策に取り組んでこられたところですが、我が国における消防団員数は昨年4月1日現在で76万2,670人と、この10年間で10万人以上減少しているという大変厳しい状況にあります。
そこでまず、本県における消防団員数の推移について、知事公室長に伺います。
○議長(奥村芳正) 18番田中松太郎議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事公室長(松田千春) (登壇)お答えいたします。
本県の消防団員数は、令和5年4月1日現在で8,338人であり、2年連続で200名以上減少するなど、特に過去5年間で減少幅が大きくなってきているところでございます。
なお、女性消防団員数については、令和5年4月1日現在で186人で、横ばいで推移しております。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)これまで昭和の時代から平成にかけ、そして令和まで長年にわたり、大体9,300人前後で推移してきたのが、ここ10年で約1割減少して、特にここ5年間だけで700人以上減少しているという状況で、今年度は207人減少と、その減少幅は年々大きくなってきているという現状です。こうした急激な団員数の減少の要因について、どのように捉えているのか、知事公室長に伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
人口減少や高齢化を背景に、地域コミュニティーの機能が低下し、個人の価値観の多様化が進む中、担い手が見つからないことが要因であると認識しております。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)そもそも人口が減少しておりますので、一定この消防団員数の減少も仕方ない側面もありますけれども、同時に、働き方改革というのが言われ出したのもここ5年ほどで、それぞれ自分自身の時間の使い方に対する価値観、特に若い方々の価値観が変化してきたということも一つの要因であるのかなというふうにも捉えております。
この消防団といいますと、ボランティアのイメージが強く、時間的、経済的余裕がないとなかなか参加できないというふうに捉える方も多いのではないかと思います。しかし、消防団というのは、一般のボランティアとは大きく異なります。そこで、改めて、消防団員の身分について、知事公室長に伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
消防団員は、地方公務員法第3条第3項第5号および消防組織法第23条に規定された非常勤特別職の地方公務員でございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)非常勤特別職の地方公務員ということで、例えば市長であるとか市議会議員と同じ身分であるということで、議員については、議員年金は平成23年に廃止されましたけれども、消防団員は消防個人年金に入ることができるというメリットもございます。
それでは、消防団員の権限について、知事公室長に伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
消防団員の権限は消防法に規定されているところでございまして、例えば、緊急措置権として、緊急の必要があるときは、消火や人命救助などの消防作業に火災の現場付近の者を従事させること、また、緊急通行権として、火災の現場に到着するために緊急の必要があるときには、一般交通の用に供しない通路などを通行すること、さらに、火災の現場において、消防警戒区域を設定し、退去や出入りの禁止、制限ができるといった権限が付与されているところでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)今、消防団員の権限について御答弁いただきましたけれども、つまり、消防団員の権限というのは、いわゆる消防署の常備消防が有する権限とほぼイコールという解釈でよろしいでしょうか、再度知事公室長に伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
全く同じということではございませんが、先ほど答弁申し上げた緊急措置権、緊急通行権、消防警戒区域の設定など、火災現場における消火活動の権限は同じでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)ほぼ同じ部分がたくさんあるんですけれども、実際、私自身も有事の際には、緊急車両、サイレンを鳴らして走っておりましたし、緊急車両に関しては、例えば赤信号に関する例外規定でありますとか、制限速度に関する規定もそうです。また、消火活動の際には、例えば隣の家の敷地に入ってそこから消防活動するといったこともこうした権限で確保されているというところでございます。
それでは、この消防署の常備消防と消防団との関係性について、知事公室長に伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
常備消防と消防団は勤務形態や任命権者が異なりますものの、国民の生命、身体および財産を火災から保護するなど、同じ任務を担っておりまして、日頃から常備消防と連携して活動していただいているところでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)自助、共助、公助で分類しますと、一般的なボランティアというのは共助に該当するケースが多いですけれども、今お聞きしましたとおり、消防団というのは消防組織法に基づく組織でありまして、その性格は共助ではなく公助であるというふうに言えると思います。したがいまして、消防団員の活動に対しては報酬等が支払われることとなっています。報酬等については、国が令和3年4月付の消防団員の報酬等の基準の策定等についての通知において、非常勤消防団員の報酬等の基準を策定し、団員階級について標準額を定めた上で、令和4年度から地方財政措置を見直すなど、処遇改善の推進を行ってこられました。
そこで、本県における処遇改善の対応も含めた消防団員の報酬等の現状について、知事公室長に伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
消防団員の報酬につきましては、各市町が条例において定めているところでございます。
総務省消防庁は、消防団員の処遇の改善を図るため、令和3年度に消防団員の報酬等の基準を策定し、年額報酬は3万6,500円、出動報酬は1日当たり8,000円を標準とする通知を発出したところでございます。
令和5年4月1日現在で、基準を満たしている市町は、年額報酬では17市町、出動報酬では16市町ございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)一定処遇改善が図られるとはいえ、年額報酬3万6,500円というこの報酬の低さが、やっぱり消防団がボランティアであると言われている大きな要因であるのではないかというふうに捉えております。ただ、私のときと比べますと、この今の報酬というのは倍以上、もしかしたら3倍ぐらい増えておりますし、出動報酬も8,000円ということですけど、私、1回の出動で多分1,200円とかそれぐらいで、かつ個人に入らなかったというので、消防団に入っていたのが今は個人に支払われるということで、随分と改善はされてきているように感じます。
ちなみに、退職金の現状についてどのようになってるのか、知事公室長に伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
消防団員の退職報償金につきましては、各市町の条例で定められているところでございます。階級および勤務年数に応じて支給されるものでございまして、各県内市町ではいずれも退職報償金の算出金額は同様でございまして、勤務年数30年以上で額が最高となりまして、団員では68万9,000円、団長では97万9,000円となってございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)階級と勤続年数によって異なりますけど、結構この退職金というのは大きな額でありまして、少し余談になりますけど、先日、湖南市消防団の幹部の方とお話ししておりましたら、この3月で退団をしたいという申出があって、どうしたんやというふうにお聞きされましたら、今問題になっていますダイハツ工業さんにお勤めで、実質所得が減少しているということで、この退職金を生活費に充てたいということで、そのために辞めたいという、思わぬ影響がこういったところにも出てるというお話をお伺いいたしました。
それでは、この消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律に基づき、本県でこれまでに取り組んできた施策について、知事公室長に伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
まず、消防団員の確保のため、機能別消防団員制度の導入支援のための市町職員向け研修会、消防団協力事業所表示制度、学生消防団活動認証制度の各市町への導入促進、消防団応援の店事業を実施しているところでございます。
また、消防団員が地域の防災活動において指導的な役割を担えるよう、消防団員幹部教育指揮幹部科を毎年実施しているなど、教育訓練の充実強化も図っているところでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)今御答弁にありました機能別消防団員についてですが、サラリーマンの増加により消防団活動に参加しにくい住民層にもより配慮した参加の機会を広げるため、特定の活動のみに参加することとされる機能別消防団員制度が2005年に設置され、令和5年4月1日現在で全国に3万4,690人、前年度より2,572人増と、その数は年々増加傾向にあります。そこで、本県における機能別消防団員の現状について、知事公室長に伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
県内では、令和5年4月1日現在、7市町で制度が導入されておりまして、計96人の方に入団いただいているところでございます。
その種類につきましては、大規模災害時に避難所運営の支援をする学生団員、災害時に外国人の避難誘導を行う外国人団員、山岳救助の際、誘導を行う山林分団、災害時のみ出動するOB職団員などがございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)本県であまりその数が増えていないような状況で、実際、甲賀市消防団の機能別消防団員は、OB団員で構成されているものの、有事の際の出動というのはほとんどないというふうにお聞きをしております。もう少し機能に特化した、例えばドローンの操作に特化したドローン隊であるとか、また、バイクの愛好家らでつくるバイク隊ですとか、彦根市は一部バイクありますけれども、あと、先ほど御紹介にもありましたけれども、森林組合などでチェーンソーの取扱いに慣れた方々によるチェーンソー隊ですとか、これは災害時にも非常に威力を発揮できると思います。また、重機オペレーターらによる重機隊とか、様々な団体に対して県としても積極的に働きかけのほうをまた行っていただければというふうに思います。
次に、消防団協力事業所表示制度についてですが、消防団員に占める被雇用者の割合が高まる中、勤務先の企業や事業所等の理解、協力を得ることは不可欠で、また、企業や事業所にとっても社会貢献や危機管理面でのメリットがあると考えられます。本県における消防団協力事業所表示制度の現状について、知事公室長に伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
本制度は、勤務時間中の消防団活動への便宜や従業員の入団促進など、消防団活動に御協力いただける事業所を市町が認定するものでございます。令和5年4月1日現在、11市で制度を導入されており、計118の事業所が認定を受けているところでございます。
県では、建設工事の入札参加資格申請における加点、また、令和4年度からは、滋賀県消防関係知事表彰において、新たに消防団協力事業所に対する表彰区分を設けまして、消防団に対する深い理解や協力により地域防災力の向上に貢献している事業所を表彰しているところでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)今、表彰制度について御紹介いただきましたけれども、実際この表彰された事業所がどういったことで表彰されたかというのがもしお分かりでしたらお教えいただきたいと思います。知事公室長に伺います。
◎知事公室長(松田千春) すいません、ちょっと資料を手元には持ち合わせてございません。申し訳ございません。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)ぜひ、どういったところが評価されて表彰されたのかということを、やっぱり多くのほかの事業所にPRしていただきたいです。私が知っている範囲では、例えば消防団活動に参加されたのが勤務時間内であったとしても、それを勤務時間に認めるとか、消防活動が深夜に及んだ場合、翌日の出勤を午後からにすることを認めるとか、そういった取組をされている事業者さんが表彰されたりしているということであります。例えば、工場の生産ラインに入って作業をされている方などは、事業所の協力がなければ有事の際にすぐに出動できないという話もよく聞きます。こうした事業所の協力制度については、様々な機会を通じて、より多くの企業や事業所に周知いただきますようにお願いしたいというふうに思います。
次に、地域の安全・安心のために日夜活動している消防団に対し地域を挙げて応援するとともに、消防団活動に対する理解の促進を目的として、地域のお店や事業所に御協力いただき、消防団員およびその家族に対して割引等の優遇サービスを御提供いただく滋賀県消防団応援の店事業を実施していただいております。これは、平成26年の9月定例会議一般質問において、木沢議員が岐阜県での事例を参考に提案され、実施に至ったものですが、現在の消防団の応援の店事業の現状について、知事公室長に伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
消防団応援の店事業の登録事業所数は、令和6年1月末現在で666店舗に登録いただいているところでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)666店舗ということで、これは実際インターネットでどういうお店で使えるかが調べられるんですけど、非常に調べにくいです。もう少し改善いただきたいと思うんですが、これは実際どれぐらいの消防団員の方々が利用されているかというところがポイントだと思うんです。木沢議員はしょっちゅう使っているというふうにおっしゃっておられますけれども、私の周りでこれを使っている方、あんまり聞いたことがないんですけれども、これは、実際にこの制度がどのように利用されているのか、しっかりと消防団の応援につながってるのかどうかという利用実態についての調査を行うべきではないかと思いますけれども、知事公室長に伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
利用実態につきましては、令和元年度に店舗および消防団員に対しまして利用頻度等に関する調査を実施しております。制度自体、非常に有効でございまして、地域と消防団をつなぐものでありますので、機会を捉えまして、県ホームページあるいは公式SNSで事業について情報発信をしてまいりたいと考えております。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)これは、実際消防団員カードを提示して割引が受けられるということですけれども、今年度退団された方も207名、その前も200人以上退団されていますけれども、この退団された方の団員カードの回収というのがどのようになってるのか、知事公室長に伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
各市町において回収いただきまして破棄いただいているというところでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)ルールとしてはそういうルールになっているかと思うんですけど、実際そこをしっかり回収されているのかどうか、これは有効期限がありませんので、別に使っていただいてもお店にとってはプラスなのかも分かりませんけど、一応ルールはルールですので、しっかりとその回収のほうの徹底もお願いしたいというふうに思います。
次に、県内の各消防団に入団された新入団員に対し、毎年、それぞれの消防団において消防団員として必要な基礎教育を行う初任団員訓練を実施されています。消防団によってその実施方法は異なるようで、かつては滋賀県消防学校において座学と実技の教育訓練を2日間行い、その後、修了証が渡されていたとのことですが、例えば甲賀市消防団では、消防学校ではなく地元で2日間の教育訓練を行い、1日目は消防学校の指導による座学、2日目に消防署の指導による実技の訓練を行っているとのことで、その教育訓練により消防学校から修了証が渡されるとのことです。
また、基礎教育の修了証のない団員については、団員としての活動は行いつつ、有事の際には火災現場には出動できないなどのルールを設けておられるため、基礎教育の教育訓練は必須の訓練の扱いとなっています。
そこで、県内の各消防団に新たに入団された新任の消防団員に対して行う基礎教育の実施状況について、知事公室長に伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
消防団員基礎教育は、総務省消防庁が示す消防学校の教育訓練の基準に基づきまして、各都道府県消防学校が教育訓練計画を策定し、実施しているところでございます。
本県では、座学を消防学校の教官を中心に1日実施し、実科訓練は各消防本部もしくは消防団で1日実施しております。2日間受講した者に対しまして、消防学校で修了証を交付しておりまして、令和5年度は298名の修了者があったところでございます。
なお、当教育の修了は消防団員としての資格要件ではなく、未了であっても団員の活動を制限するものではございません。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)今、御答弁の中で、受講されたのが今年度298人といった御答弁をいただきましたけれども、今年度入団された新入団員の数について、再度知事公室長に伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
入団者は、滋賀県全体で501名でございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)501人入団されて298人しか受講されていないということかと思いますけれども、これは個々の消防団において基礎教育の対応は異なるようではありますけれども、ただ、必須ではないとはいえ、消防学校における基礎教育訓練の在り方にも関わる問題でありますので、一度実態調査をしっかりと行っていただきたいというふうに思います。
また、来年度の消防学校が実施する基礎教育の教育訓練については、Zoomを利用したリモートで実施するというふうに聞いております。令和6年度の基礎教育をリモートで行う理由について、知事公室長に伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
消防団員基礎教育の座学は、これまで消防学校の教官が各地域に赴き、対面形式で講義をしておりましたもので、今年度は4月から7月の土日に10か所で実施しております。
令和6年度からは、入団直後の4月に集中して受講できるよう、座学をリモート方式で実施する予定でございまして、平日と週休日に1日ずつ教育日を設けて選択できるようにし、消防団員にとって受講しやすい環境に変更するものでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)これまで4月から7月頃までかけて10か所で行っていただいたものが4月にできるというメリットはあるということでございますが、これ、甲賀市消防団に限って言いますと、甲賀市は毎年4月だったんですね。4月で開催で、かつ消防署が甲賀広域行政組合ということで、甲賀市消防団と湖南市消防団、同じ消防署の扱いですので、1週目に甲賀市消防団が研修を行うと、その翌週に湖南市消防団が同様の訓練をされると。日程が合わない場合は、甲賀市で例えば受講できなかった人は湖南市のほうで受講することも可とするというような運用をされておられまして、日が選択できたんです。ただ、今おっしゃったのは、もう消防学校の日で、平日1日で休みの日1日というのをもう4月で限定的に日を決められているんですけれども、これはリモートの実施であれば、もう少し柔軟に実施日や実施回数について対応することができないものかと考えますが、知事公室長に伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
来年度からの新たな試みでございますので、実施結果などを踏まえまして、どういう形で実施するのがいいのかということを検討してまいりたいと考えております。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)ぜひ検討のほうをお願いしたいと思います。どうしても消防学校の職員さんの働き方改革の結果、こうなってしまったというようなことが消防団員側からは読み取れるんですけれども、やっぱり消防団員にも寄り添ったような改革の在り方というものをぜひ御検討いただきたいというふうに思います。
次に、訓練の一つにポンプ操法訓練大会があります。昨年の第58回滋賀県消防操法訓練大会では、ポンプ車操法の部、小型ポンプ操法の部のそれぞれ両方の部において、私の地元、甲賀市消防団が優勝し、出動した甲賀市消防団4隊全てが入賞するというすばらしい結果を収められました。私自身も現役時代はポンプ操法の大会に指揮者として出動したこともあるほか、支援員として何度も大会に関わり、ポンプ操法大会には非常に熱い思いを持っています。
しかし、近年、このポンプ操法大会の在り方が問われています。大会そのものが訓練というより、競技に重きが置かれ、大会に勝つために過度の訓練を繰り返すことが消防団員の負担につながり、その結果、消防団離れが起こっているとの見方もあるようです。個人的には、ポンプ操法大会そのものが問題ではなく、大会に向けた訓練の取組自体が問題であると考えますが、時代の流れの中で消防団に対するイメージや若い世代の方々の価値観も変化してきている中で、時代に合った対応をしていくことも重要と考えます。
そこで、本県のポンプ操法訓練大会の在り方について、知事公室長に見解を伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
操法大会の在り方につきまして、令和3年8月に総務省消防庁が取りまとめました消防団員の処遇等に関する検討会最終報告書によりますと、火災現場の最前線で安全に活動するために重要といった意義を踏まえる一方で、操法大会を前提とした訓練が大きな負担となっているといった指摘があったところでございます。
これを踏まえまして、全国消防操法大会については、パフォーマンス的、セレモニー的な動作を審査対象としないなどの見直しが行われ、滋賀県大会においても同様の見直しを行ったところでございます。
今後も、大会が過度な負担とならないよう、消防協会と共に検討してまいりたいと考えております。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)先ほどの消防学校の基礎訓練の修了証をもらったからといって、現場ですぐに消防団員として活動できるかというと、決してそうではなくて、現状は、やっぱりこのポンプ操法の訓練を通じて反復練習をすることで体で覚えていくというのが今の県内の一般的な消防団の活動であるというふうに認識をしております。有事に備えて団員の技術をどのような形で磨いていくのかということも併せて新たな方法も検討していかなければならない時期に来ているのかなとも思いますので、またそういった検討もお願いをしておきたいというふうに思います。
次に、消防団員確保のために、子供の頃から消防団をはじめとする地域防災の教育を行っていくことは重要です。ドイツでは青少年消防の活動が活発であり、2年に1回、国内の青少年消防競技大会が開催されているとのことです。ドイツでは、こうした子供の消防活動に力を入れたことによって、大人になってもそのまま消防団に入る人が増え、人口は日本より少ないおよそ8,000万人でありながら、消防団員は100万人を超えているとのことです。
本県においても、幼年消防クラブや少年消防クラブのある地域もありますが、その現状について知事公室長に伺います。
◎知事公室長(松田千春) お答えいたします。
少年、幼年消防クラブは、学校などにおきまして防火、防災意識を高めることを目的とする自主的防災組織でありまして、少年消防クラブは主に10歳から15歳まで、幼年消防クラブは幼稚園や保育園などごとに構成されておりまして、正しい火の使い方を学んだり、防火パトロール、防災キャンプなどの活動を行っているものでございます。
令和4年消防防災・震災対策現況調査によりますと、令和4年4月1日現在、県内の幼年消防クラブ数は121組織、少年消防クラブは2組織でございまして、減少傾向にございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)そうなんです。残念ながら減少傾向にあるということで、これが続いていくと、やっぱり消防団員の減少にもつながっていくので、いま一度、このてこ入れもしていただきたいところなんですが、この子供を対象とした地域防災の教育、とりわけ消防団について、学校で学ぶ機会をつくるということも大変重要と考えます。学校での消防団に関する教育の機会について、教育長に伺います。
◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。
小学校3年生、4年生の社会科の教科書に消防団に関する記載がございまして、授業の中で消防団活動について学んでいるところでございます。
また、消防団員による出前授業が行われている小学校では、児童が団員の体験談を聞くことなどを通しまして、消防団の活動をより身近に感じ、災害への備えを自分のこととして捉え、考える機会となっているところでございます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)地域の小学校の体育館というのは、有事の際には避難所にもなりますので、日頃からこの消防団と小学校が連携を図るということは非常に重要と考えます。
また、この出前授業につきましては、消防団員にとってもやりがいにつながる部分でもありますので、ぜひこうした取組も増やしていただきたい一方で、これが増えますと、これ自体がやっぱり消防団員の負担にもつながっていくという負の側面もございます。先ほど、消防学校がリモートを活用した方法に変えるということもございましたので、ぜひこうしたリモートも含めて、出前授業の代わりに副教材になるような、滋賀県独自の消防団員の啓発につながるような、そういった取組を、ぜひ防災部局と教育委員会が連携をいただきながら、そういったこともぜひ御検討いただければというふうに思いますので、お願いをしておきたいと思います。
さて、消防団員の減少については県内各消防団における共通の課題ですが、とりわけ高齢化や過疎化などで県内での課題が先行する県北部地域3市に対し、本年度より北の近江振興プロジェクトが立ち上げられ、来年度も様々な北部振興の予算が計上されています。消防団員の減少は、人口減少地域のみならず、人口増加地域においても地域コミュニティーの希薄化により担い手不足は年々深刻化しており、いかに地域コミュニティーを活性化させるかが大きな鍵を握ります。
北の近江振興プロジェクトでは、移住者と施策による関係人口の創出3,000人を目指すとされており、経済的な地域振興の期待は持てる一方で、このことは必ずしも地域コミュニティーの活性化につながるとは考えられず、むしろ地域コミュニティーの希薄化が進行するおそれも考えられ、結果、さらに消防団員が減少するという事態も招きかねません。
そこで、県が進める北部振興の取組を消防団員の確保につなげるべきではないかと考えますが、見解を知事に伺います。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
地域コミュニティの希薄化は、消防団員を確保していく上で大きな課題であると認識しております。
北部振興におきましては、北部3市や地域の方々と共に地域課題の解決に向けて取組を進めております。
例えば、長浜市の取組の一つとして、高時地区地域づくり協議会では、住民参加型の取組で移住者も加わって、みんなで意見を出しながら荒れ地を整備し、誰もが遊べる居場所をつくるなど、高齢過疎化が深刻な地域ながら、活気にあふれ、移住者が移住者を呼ぶサイクルも生まれているとお聞きしています。
このような取組によって地域の活性化が図られ、ひいては消防団員の確保にもつながるよう取組を広げ、進めてまいりたいと存じます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)今、全国的に、NPOですとか市民活動をされている中で、テーマ型のコミュニティーに特化した活動をされている方々も多くいらっしゃいます。さっきお伺いしましたけど、機能別消防団というのは、どちらかというと地縁型コミュニティーというよりはテーマ型コミュニティーなんですね。ある特定のテーマに特化した消防団活動。従来の地縁型の消防団活動、滋賀県においてなぜこの機能別があんまり増えてないかというと、一定この地縁型の従来の消防団が阻止している部分もあると思います。要するに、テーマ型の機能別消防団が増えると、結果、地縁型の従来の消防団員が減ってしまう、要するに、都合のいいところだけで消防団に参加されては困ると、ただでさえ人が少ないのにというような部分もあって、なかなか今の従来の消防団員の方々が、あまり機能別、進めてほしくないと思っておられるような実態も実際あります。
ですから、やはりこの地縁型コミュニティーそのものが活性化しない中で、消防団だけが活性化するということは基本的にあり得ないというふうに思っていますので、その地域の地縁型のコミュニティーというのをしっかり活性化させていくということがやはり重要であって、これはなかなか消防団だけで解決できる話ではありませんし、先ほど知事おっしゃったように、やっぱりそれぞれの基礎自治体と連携しながら、県がどういう形で支援していくのがベストなのかということで、ちょうどやっぱりこの時代の過渡期の中で非常に難しい選択、各消防団も迫られてると思いますので、ぜひそういった視点もお持ちいただきながら検討いただきたいというふうに思います。
それでは、最後に改めて、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に向けた県の取組について、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) 消防団を中核とした地域防災力の充実強化というのは、2013年に議員立法で法律が制定されたと。大変重要な法律だと思います。
今議員が指摘してくださったように、それぞれの地域の中で地縁というものも大切にしながら、いざ事が起こったときに、どのように自分たちで守っていくのか、常備消防と共にということだと思います。かつ、そういったものがなかなか機能しなくなってきたときに、機能別、テーマ別でどのように補っていくのか、補完していくかというのも今日的な課題として浮上してきているということです。
まずは、8,338人ですか、これは令和5年4月1日現在で、この消防団員の方々に思いを寄せ、感謝をしたいと思います。
ちなみに、能登半島地震の際には、発災直後から多くの消防団員が救出救助活動にも当たられたと聞いております。その消防団は地域に密着しています。災害が発生した場合に地域で即時に対応することができる組織でありますし、豪雨災害の頻発化や南海トラフ巨大地震の発生が危惧される中、消防団の重要性を改めて認識しているところです。
県では、先ほど来お尋ねいただき、お答えしておりますとおり、機能別消防団員制度の市町への導入支援を引き続き行うとともに、令和6年度からは消防団協力事業所表示制度や学生消防団活動認証制度の導入をさらに推し進めるため、市町向けの研修会を開催するなど、こういったところでは、先ほど議員からも御指摘いただいたように、もう少しどんなことで事業者が頑張っているのかということを開示したり、また、応援の店、こういったものの御利用状況など、もう少し皆様方にお知りいただくというようなこと、また、大会の在り方の改革、さらには基礎教育や研修制度をより柔軟にするということ、ドイツを見習いながら、青少年、子供たちのこういった防災への取組をどのように考えていくのかというようなことなど、御指摘いただいたようなことを我々としても市町と共に検討を重ねながら、消防団が地域防災の中核となるよう充実強化に努めてまいりたいと存じます。
◆18番(田中松太郎議員) (登壇)ありがとうございます。
ぜひ執行部の皆さんも、また各議員の皆さんも、消防団員の呼びかけに御協力をお願いしまして質問のほうを終わらせていただきます。ありがとうございます。(拍手)
○議長(奥村芳正) 以上で、18番田中松太郎議員の質問を終了いたします。
しばらく休憩いたします。
午前11時52分 休憩
────────────────
午後0時50分 開議
○副議長(有村國俊) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
次に、12番柴田栄一議員の発言を許します。
◆12番(柴田栄一議員) (登壇、拍手)議席番号12番、滋賀維新の会、柴田栄一です。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い質問させていただきます。
大問は1つ、学校における働き方改革についてです。質問形式は分割で行います。答弁につきましては、知事、教育長にお尋ねします。
質問に当たり、一言申し上げます。
働き方改革、この言葉を近年よく耳にしますが、皆様はどのように理解されていますでしょうか。
厚生労働省が公表している「働き方改革 〜一億総活躍社会の実現に向けて〜」では、以下のように記載されています。働き方改革は、働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で選択できるようにするための改革です。さらに、働く人々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現するための改革のことで、一億総活躍社会に向けた取組でもあります。
働き方改革は、政府主導による国全体の取組であり、企業や働く人々、そして社会全体に係る大きなチャレンジです。
企業における働き方改革は、2019年4月に、働き方改革関連法の中で、時間外労働時間が、原則として残業時間の上限が月45時間、年360時間となり、また、臨時的な特別な理由があり、労使の合意がある場合でも、年720時間、複数月の平均残業時間が80時間、月100時間などの上限を超過した場合には刑事罰が科せられます。
私が企業で勤務していたときに、この働き方改革という言葉が出始めました。当初は、言葉だけが独り歩きし、何も変わらず今までどおり仕事をしていました。しかし、会社が、グループ会社も含めた会社全体の取組となり、社内に大変革が起きました。今まで当たり前にやっていた仕事のやり方は全て見直しとなり、業務の洗い出しに始まり、勤務内容や時間管理、そして、家に持ち帰ってパソコンを開いた時間に至るまで、会社は徹底した仕組みづくりとシステムによる全社員の勤務時間管理を行うことで、仕事や時間の効率化や、無理、無駄、むらの削減が進みました。最初は戸惑いましたが、仕事面ではチーム力が向上し、お互いに助け合うことで業務スピードも向上しました。そして、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて一気に会社全体が変わっていったことや、時間ができたことによりプライベートが充実していったことを今も鮮明に覚えています。何より一番変わったと感じたのは、社員一人一人の意識です。意識を変えるとこんなに変われるんだということを実感しました。
令和の働き方改革はさらに加速し、あらゆる場面でウエルビーイングといった個人や社会のよりよい状態の追求や充実を目指した働き方が求められています。
では、学校における働き方改革はどうでしょうか。
文部科学省が推進する教員の働き方改革とは、教師のこれまでの働き方を見直し、自らの授業を磨くとともに、その人間性や創造性を高め、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようにすることを目指すものとあります。
ここ数年では、教員の身体的、精神的負担が増加していることが問題視されています。その原因としては、時代の変化に対応すべく、教育活動のさらなる充実、改善が求められていることや、いじめや不登校など、より複雑化、困難化する問題にも対応する必要があることなどが挙げられます。
教員の負担の増加は、教員勤務実態調査(平成28年度)の結果にも現れており、これを問題視した文部科学省は教員の働き方改革に乗り出しました。目的は大きく3つです。1つ目は教員の長時間労働の慢性化、2つ目は教員の質の低下防止、3つ目は教員不足です。
では、実際に今、学校はどのような状態になっているのか。文部科学省で調査されました教員勤務実態調査(令和4年度)集計の速報値では、小学校1,200校、中学校1,200校、高等学校300校に勤務するフルタイムの常勤教員で調査が行われました。それによると、10月、11月の1日当たりの在校等時間は、平日は、小学校では、校長が前回の2016年調査比14分減の10時間23分、副校長、教頭が同27分減の11時間45分、教諭が同30分減の10時間45分となり、これらの職種全てで前回調査から改善が見られましたが、依然として10時間台から11時間台の状況となっております。
中学校では、校長が同27分減の10時間10分、副校長、教頭が同24分減の11時間42分、教諭が同30分減の11時間1分となっており、中学校も前回よりは改善したものの、これらの業種ではいずれも10時間台もしくは11時間台の長時間勤務となっています。
また、教諭の1日当たりの持ち帰り時間の平均を見てみると、平日では小学校が37分、中学校が32分となっており、いずれも前回調査、それぞれ29分、20分よりも持ち帰り時間が増加しています。
総在校等時間では、週50時間以上の割合は、小学校が64.5%、中学校が77.1%に上ります。これは、月換算すると、公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインで定められた時間外在校等時間の上限月45時間を超えると想定されるラインであり、深刻な長時間労働となっていることが読み取れます。
また、同様に月換算で、いわゆる過労死ライン、時間外が月80時間を超えると想定される総在校等時間が週60時間以上となる場合も、小学校では14.2%、中学校では36.6%に上っています。
続いて、有給休暇の取得状況について、教員の年間の有給休暇の平均取得数を見てみると、小学校は13.6日、中学校は10.7日となり、いずれも前回調査から改善が見られました。これを日数別に見てみると、小学校は16から20日が28.9%で最も割合が高く、次いで11日から15日が26.9%、6日から10日が26.8%などが高くなっています。中学校では6日から10日が36.2%が3割以上に上り、11日から15日が20%という結果になっております。
では、次に、滋賀県での学校における働き方改革について、前計画の目標に対して結果を見てみると、目標は、月45時間以内、年間360時間以内、月80時間を超える教員をゼロ、年次有給休暇取得日数年14日以上の目標に対して、結果は、月45時間超えの教員割合、全校種で43.4%、月80時間超えの教員割合は全校種で10.8%、年次有給休暇取得状況では全校種で12.2日でした。県や各市町の教育委員会の皆さんや滋賀県内の教職員の皆様が子供たちのために一生懸命長時間頑張っておられることが分かりましたが、目標に対しては未達成となっております。
年次有給休暇取得については、令和2年が8.9%、令和3年が11.5日で、令和4年度は12.2日と年々改善しています。この結果で特に注目したいのは、先ほど言いました月80時間を超えて勤務されている方が今も10.8%もいらっしゃるという事実です。
ここで教育長にお尋ねしますが、令和4年度までの目標に対して未達成となっている結果をどのように総括され、分析されていますでしょうか。
また、過労死ラインと言われる月80時間を超える時間外労働をしている教員が10.8%いらっしゃいます。数年後の改善ではなく、大至急の改善対応が必要だと考えますが、いつまでにどのような対策をお考えでしょうか、教育長にお尋ねします。
続いて、令和4年度までの全計画の結果を受けて、令和5年度から令和7年度までの計画が策定され、新たな目標を3つ策定されました。目標1、超過勤務月80時間を超える教員をゼロ人、超過勤務月45時間以内(年間360時間以内)、目標2、年次有給休暇取得を促進し休みやすい職場づくりを目指す(年次有給休暇取得年14日以上)、目標3、「やりがいがある」「職場は働きやすい」と回答する教職員の割合を増やすとあり、3つの目標達成のための取組として、5つの柱、28個の施策、事業を打ち出されています。
令和5年度からの目標について、教育長にお尋ねします。
目標1で月80時間を超える教員はゼロ人ですが、月45時間以内(年間360時間以内)を目指すとありますが、月45時間超えの教員についてもゼロ人を目指すと捉えておりますが、具体的にはどのような施策で実現することをお考えでしょうか、教育長にお尋ねします。
次に、目標2の年次有給休暇取得の1人当たりの年間平均取得日数については、年々改善はされていますが、目標未達成となっています。今回のデータに記載されていませんでしたが、5日未満の取得日が極端に少ない人に対してのマネジメントはどのようにお考えでしょうか、教育長にお尋ねします。
次に、教員の休職について、精神疾患で休職の教員が過去最多となり、初の6,000人を超え、20代が高い増加率となっています。教員の鬱病などの精神疾患で昨年度休職した公立学校の教員は、約1割増えて6,539人と、初めて6,000人を上回り、過去最多となりました。6,000人を上回るのは、調査をし始めた1979年以降初めてです。このうち1,270人は、今年4月時点で退職されています。このほかにも、精神疾患で有給休暇を使って1か月以上休んでいる教員も全体で5,653人いて、休職中の教員と合わせると1万2,092人に上っています。
要因について、文部科学省が各教育委員会に聞いたところ、教員間での業務量や内容のばらつき、保護者からの過度な要望や苦情への対応のほか、コロナ禍で児童生徒や教職員間でのコミュニケーションの取り づらさがあったことなどが挙げられたということです。
このような全国の状況から、休職の要因の一つである教員間での業務量や内容のばらつきは、学校における働き方改革取組計画で改善が可能だと考えますが、現在の滋賀県内教員の休職についての現状と改善の取組をどのように考えておられますか、教育長にお尋ねします。
次に、学校における働き方改革取組計画の中で、柱の一つとして、指導・運営体制の充実・学校業務のさらなる見直しと効率化の取組内容で、2点あり、1つ目が授業準備や分掌業務等におけるICT化の促進、2つ目がICTを活用した校務の改善の2点が挙げられていました。
働き方改革を推進するに当たり、現在の業務内容について徹底した見直し、洗い出しを行い、ICTで負担軽減できる項目もあるかと思いますが、見直しや改善、効果的なICTの活用方法についてはどのようにお考えでしょうか、教育長にお尋ねします。
続いて、教師の仕事の価値、やりがいについて、文部科学省の資料によると、教師は学校教育の要であり、子供たちに寄り添いながらその成長を実感することのできる、ほかでは得難い経験のできる魅力的な職業です。子供たちに日々寄り添い、活躍されている教師の皆様からの視点で、教員の魅力、やりがいをたくさん紹介されています。
教師インタビューの中で、福永教育長が、これから教師を目指す方に対して「滋賀県を夢をかなえる場として全力で支援します」とおっしゃっていましたが、教師のやりがい、働きやすさを、どのような方法でその割合を増やすお考えでしょうか、教育長にお尋ねします。
次に、教員の適切な処遇について、文部科学省によると、現在の教職調整額の給料の4%という支給率は、昭和41年に行われた教職員の勤務状況調査から判明した残業時間の長さを基にして、勤務時間の内外にわたる職務を包括的に評価するものとして定められ、現在に至るまで支給率の見直しはされていません。教員の時間外勤務について、教員の残業時間が大幅に増加していることを受け、現在の教員の時間外における勤務実態とは明らかに乖離が見られ、学校の組織的運営に資するよう適切に見直していく必要があると考えます。
学校の組織運営の在り方や教員の職務の在り方について議論を踏まえて、今後適切に見直しを図っていくことが必要であることから、教員の適切な処遇については、今、国のほうで話し合われている最中ではありますが、あえてお聞きします。労働対価は合っていないと考えますが、現行の給特法をどのようにお考えでしょうか、教育長にお尋ねします。
教職員定数について、義務標準法に基づく標準定数は、都道府県ごとに置くべき義務教育諸学校の教職員の総数を算定とするものであり、都道府県は、これを標準として、校長、教頭および教諭等、養護教諭、栄養教諭等、事務職員、特殊教育諸学校の教職員の定数を条例で定めるとありますが、実際の学校現場では現在の教職員数は妥当だとお考えでしょうか、教育長にお尋ねします。
最後は、知事にお尋ねします。
「子ども、子ども、子ども」を政策の柱に据えておられますが、学校の先生の長時間勤務や苛酷な労働環境が子供たちに与える影響は計り知れないと考えます。しっかりとやりがいを持って子供たちと向き合っていただくためには、学校における働き方改革を急ピッチで進める必要があると考えますが、知事はどのようにお考えでしょうか。
以上、学校における働き方改革について、10個の質問をさせていただきます。
○副議長(有村國俊) 12番柴田栄一議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎知事(三日月大造) (登壇)学校における働き方改革について、私に賜りました1点、御質問にお答えいたします。
我が国の学校教育が世界に誇るべき成果を上げてきたのは、教員の皆さんが高い専門性と使命感を有していることによるものでございます。教育は人なりと言われるように、子供たちを支え、子供たちの成長を導いていくために教員が果たす役割はとても大きいと認識しております。
子供たちが夢と生きる力を育むためには、教員の資質能力の向上はもとより、教員のやりがいや誇りを持って日々子供たちと向き合えるよう、学校における働き方改革を一層加速させていかなければならないと考えております。
そのため、私自身も、全国知事会を通じて国に対して、教員への業務支援をするスクールサポートスタッフの配置拡大を要望いたしまして、その結果、国では次年度から全小中学校へ配置を可能とする方針が示され、本県においても配置増を可能とする予算案を提案させていただいているところでもございます。
このように学校における働き方改革を進めることで、教職員の笑顔を増やし、子供たちの笑顔があふれる学校づくりをこれからも進めてまいりたいと存じます。
◎教育長(福永忠克) (登壇)学校における働き方改革について、私にいただきました9点の御質問にお答えをいたします。
まず、1点目の目標に対して未達成となっている結果の総括と分析についてでございますが、令和2年度からの働き方改革取組計画に基づき取り組んだことによりまして、教員業務の負担軽減は、一定は進んできているものと認識をいたしておりますが、学校教育を取り巻く環境が多様化、複雑化するとともに、保護者の皆様や地域からの教員に対する期待が高まっていることなどに加えまして、コロナ対応の影響もございまして、結果として業務が積み上がることとなった状況でございます。
そのため、放課後も会議や打合せ、部活動の指導等や保護者の皆さんへの対応などに時間が充てられ、校務や授業準備等は所定の勤務時間外にも行わざるを得ない状況になっていると分析をいたしております。
このようなことから目標が未達成となったことで、学校におけます働き方改革は依然道半ばであると認識をいたしておりまして、令和4年度末に策定をいたしました現取組計画におきましても、目標を超過勤務月45時間以内、月80時間を超える教員をゼロ人とすること、年次有給休暇を年14日取得することとし、教職員の働き方改革を、できることを、できることから取り組んでいく所存でございます。
2点目の月80時間を超える教員への対応についてでございますが、長時間勤務の常態化は、教員の心身の健康を損なうおそれがあるだけでなく、教員が創造的に教育に取り組む活力を奪うことにもなりかねないものと認識をいたしております。
特に、時間外在校等時間が80時間を超える要因といたしましては、副校長や教頭先生は校務分掌業務や校内の会議等が、また、教諭は授業準備や部活動指導などが多いと考えているところでございます。そのため、令和6年度から新たに副校長・教頭業務マネジメント支援員の配置でありますとか、スクールサポートスタッフの拡充、小学校におけます教科担任制の拡充、また、中学校における部活動指導員の拡充などに力点をおいて取り組んでいく所存でございます。
3点目の月45時間以内へ具体的にどのような取組をしていくのかということでございますが、月45時間以内という目標は、県内の公立学校教職員全体の平均の超過勤務時間が月45時間を超えないこととしているものでございます。
この目標達成のための具体的な取組といたしましては、学校全体といたしまして、教員がすべき業務の見直しでありますとか、スクールサポートスタッフ、部活動指導員、また、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の外部人材の活用、さらに校務におけますICTの活用などを進めることで、全ての教職員の時間外在校等時間の縮減に努めてまいる所存でございます。
4点目の年次有給休暇の取得日数が少ない先生に対するマネジメントについてでございますが、これまで、年間を通じまして計画的な取得を促しますとともに、夏季また冬季の長期休業期間中に学校閉庁日を設けまして、集中的な取得も促してきた結果、近年は、年間平均取得日数が増加している一方で、依然5日を下回る先生方も一定数いらっしゃるところでございます。
今後、取得日数が少ない先生に取得を促すために、学校全体の業務の見直しや時間外在校等時間の縮減に加えまして、校長が、当該教員の業務状況を具体的に把握した上で、長期休業期間等の前に、取得計画のアドバイスも含めた個別面談を実施するなど、より直接的な働きかけも強化してまいりたいと考えております。
次に、5点目の教員の休職についての現状と改善の取組についてでございますが、過去5年の本県におけます精神疾患による病気休職者数は、おおむね60人程度で推移をいたしておりまして、令和4年度は62人でございました。
メンタルヘルス対策は、予防と早期発見、対応が極めて重要でございまして、研修や啓発、ストレスチェックを通じたセルフケアなど一次予防に努めますとともに、精神科医や臨床心理士による精神保健相談やカウンセリングなどの相談に応じているところでございます。
また、リスクが高いと考えられます新規採用の教職員や転任者、経験の少ない教職員、不眠の訴え、体調不良による休みが多いなど、所属として気になる教職員があれば、管理職から積極的に声かけを行っていただいているところでございます。
今後もこれらの相談体制の充実と再発防止に向けた取組を強化いたしますとともに、業務の見直しや業務の平準化など働き方改革を推進し、働きやすい職場環境を整備してまいる所存でございます。
6点目の効果的なICTの活用方法についてでございますが、教職員の業務におきましてもICTの活用は進んできておりまして、統合型校務支援システムや採点支援システムの運用、また、会議、研修におけます情報技術の活用などに取り組んでいるところであり、教職員の業務改善や業務の効率化にICTは有効であるものと認識をいたしております。
今後は、保護者等との連絡手段のデジタル化でありますとか、教材の共有化などを一層進めますとともに、業務の効率化につながる生成AIの利用についても研究を進めていく所存でございます。
7点目の教師のやりがい、働きやすさの割合を増やすことについてでございますが、令和5年3月に策定をいたしました新たな学校における働き方改革取組計画におきまして、「やりがいがある」「職場は働きやすい」と回答する教職員の割合を増やすことを新たに目標として追加したところでございます。
今回実施いたしました県内の公立学校の教職員を対象としたアンケートの速報値では、「やりがいがある」と肯定的な回答をした割合が前年度より5.8%増えまして82.8%、「職場は働きやすい」と肯定的な回答をした割合は、前年度より6.4ポイント増えまして74.6%となったところでございます。
さらにその割合を増やすためには、超過勤務時間の縮減や休暇が取りやすい状況を構築いたしますとともに、業務の見直しや外部人材、ICTをさらに活用することで教員の負担を軽減し、先生が子供と向き合う時間を確保することで、教員の本来の業務に専念できる環境を整えることが必要であると認識をいたしております。
8点目の給特法をどう考えるかについてでございます。
公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法、いわゆる給特法は、教員の職務と勤務態様の特殊性を踏まえまして、勤務時間の内外を問わず教員の職務を包括的に評価し、時間外勤務手当の支給に代えまして、昭和41年に行われました教員の勤務状況調査の超過勤務時間相当の割合4%を一律教職調整額として給料月額に含み支給することとし、昭和46年に制定されたものと認識をいたしております。
しかしながら、制度創設当初の勤務実態と今の勤務実態に相当程度乖離が生じておりまして、勤務実態に見合った処遇となっていないため、何らかの見直しが必要と考えているところでございます。
こうしたことから、県といたしましても、国への政策提案の中で、勤務実態に見合った処遇となる給与制度の実現を要望しているところでございます。
9点目の学校現場の教員数についてでございますが、学校を取り巻く環境が複雑化、多様化している中、いじめ、不登校、また、GIGAスクールなど様々な教育課題への対応が求められております。加えまして、産休、育休取得者の増加に伴う代替の臨時講師が見つかりにくいという状況もございまして、現在の教員数では不十分であると認識をいたしております。
学校におけます働き方改革では、子供も教職員も笑顔あふれる学校を目指す姿としておりまして、教職員が安心して休暇、休業等の制度を利用できる職場体制実現には、定数の改善が必要と考えております。今年度、国に要望をしておりまして、引き続き要望していきたいと考えているところでございます。
◆12番(柴田栄一議員) (登壇)答弁いただきました。その中で、再質問をちょっと数点させていただきたいと思います。
質問の2つ目なんですけど、80時間を超える時間外労働をしている教員が10.8%いらっしゃいます。先ほども言いましたが、これは僕はすごくとても重要だなというふうに感じております。80時間を超えるということは、もう本当にこのまま仕事を続けると命を落とすかもしれないというふうに国も認めております。その中で、令和4年度までの目標に対しても未達成となっていて、いまだにこの数字の人数の方が残っておられるということが非常に重要で、これについては、これから令和5年度から7年度までの目標でもまた掲げられているんですが、この3年間でゼロにするということなのかもしれませんが、私自身は、これはもう今すぐ何とかしないといけないというふうに感じております。その辺のところを教育長はどのようにお考えでしょうか、お尋ねします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
私も、教職員の働き方改革の中で、月80時間を超える教員をゼロにするというのを一番の目標だと認識をいたしております。
80時間を超える教員に対しましては、心身の健康を損なうおそれがあるということで、速やかな対応が必要であるということは議員と同じ認識に立っております。
そういった中で、やはり校長がそれぞれの当該教員に対してまず面談を実施いたしまして、その先生の健康状態の確認と、不要不急の業務がもしあるとすれば、それを先送りするなどの働きかけをするとともに、翌月に80時間を超えることがないように業務の見直し等の対応が必要であるというふうに認識をしております。
そのためには、先生方が、自分が今どのくらい時間外勤務をしているのかということの認識を高めていただくことも大切だと思っております。
また、80時間を超えるという、この上限時間の掲示でありますとか、職員会議の呼びかけなどによりまして、この上限時間の順守を学校全体で取り組んでいただきますとともに、中学校、高等学校における部活動指導につきましても、本県でガイドラインを定めておりますので、そのガイドラインに沿って指導が行われているか点検するなど、各学校で今すぐできることを取り組むとともに、先ほど御答弁を申し上げました部活動指導員の拡充、これは次年度の予算でもお願いをしております。併せまして、副校長、教頭の業務をサポートする。副校長、教頭で長時間勤務をしておられる先生がたくさんいらっしゃいますので、そのサポートを来年度以降拡充をすることによって、この80時間をゼロにしていきたいと考えているところでございます。
◆12番(柴田栄一議員) (登壇)一番に考えておられるということで少しは安心したんですが、80時間という、この過労死ラインというふうに言われているここの部分については、教師の方が、現状、今自分がどういう立ち位置にいるのか、どれぐらい残業しているのかといったことは、もう十分分かっておられると思うんです。自分がどれぐらい残業してるのかとかね。そういったところは、その対策として、ICTなど、その仕組みとかシステムで管理するという方法が1つあるとは思うんです。それとは別に、やはりこの過労死ライン以上のところの仕事をされている方については、本当に対策よりも何よりも、もう正直言ってこの議会が終わったらすぐに通知出していただきたいぐらいの気持ちなんです。今すぐ時間だけはとにかく削減してくださいねということは言えるかなと。とにかく削減してもらって、後から対策してもらうでも僕はありかなと思うんですけど、その辺のことについては教育長はどのようにお考えでしょうか。まずは時間を削減してもらうということで考えてもいいのかなとは思うんですけど、いかがでしょうか、お尋ねします。
◎教育長(福永忠克) お答えいたします。
80時間を超える教職員の割合というのは校種によって若干違いがございます。特に多いのが中学校および高等学校でございます。ここの状況をいろいろと聞かせていただいておりますと、当然、校務でありますとか授業準備もございますし、特に中高におきましては、やはり部活指導というのも一つの要因に挙がっております。
ただ、部活動につきましては、やはり生徒が部活動について熱心に取り組みたいという生徒の思いもございますので、その思いを受け止めながら、ガイドラインにのっとって適切な練習時間等を設定するなどの取組を進めていく、併せて、先ほどから申し上げておりますように、特に休日におきまして、部活動指導を部活動指導員と外部の方にお願いする取組を進めていきたいと考えております。現在、特に中学校部活動の地域連携、地域移行について検討を進めておりますので、この取組を進めることによって、土曜日、日曜日に先生方が部活動に来ていただいている部分を減らすことによって、80時間を超えない形に一歩でも近づけるように取り組んでいきたいと考えております。
なお、この80時間を超えないように取り組んでほしいというのは、既に機会あるたびに各学校に市町教育委員会を通じて連絡を申し上げておりますので、改めて様々な機会を通じてその徹底を図っていきたいと存じます。
◆12番(柴田栄一議員) (登壇)教育長以下、教育委員会の方であったりとか、各自治体のほうでも一生懸命取り組んでいただいているというのはもう重々承知しております。ただ、私が言いたいのは、過労死ライン以上のとこについては、本来であれば国から、学校におけるこの働き方改革に関する取組の徹底についてということで、教育長であったり知事であったりということで、こういう通知が出されているんです。これをもちろん守れば、すぐにでも勤務時間が減る、削減できることはできるのかもしれませんが、現状ずっとできていないという状況が続いています。それをこれからも同じように続けていけば、検討されることはたくさんあるかと思うんですが、もう本当に何の業種であれ、どんな仕事であれ、残られているのは事実であって、80時間以上やられているという事実がありますので、それについては、今後、本当にちょっと重く受け止めていただきたいと思いますし、これ以上はちょっともう言いませんが、ぜひ、もう本当に一番に考えておられるというところで、ゼロ人にするというところを目指してこれからもやっていただきたいと思います。よろしくお願いします。
続きまして、休職者への取組について、今、62人の方がいらっしゃるということでいただいたんですが、これ、1つは、私が思うのは、今、教員不足ということで、いろんな条件を広げたりとかしてやっていらっしゃるんですが、62人がもしかして働き方改革によって健康的に働けたのであれば、62人の方がそのまま先生として今もやっておられるという状況であると思うんですね。ですから、教員不足の対策の一つでもあると思うんです。ですから、こういった方については手厚いやっぱりいろんな対策が必要かなと思うんですが、人材不足に対しての、今休職されている、退職されているという方についての教育長の思いをちょっと聞かせていただきたいと思います。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
精神疾患による病気休職者、先ほど60人前後で推移していると申し上げました。この方々が心身ともに健康で学校現場で働いていただければ、その分、教員不足というか、学校現場がよりゆとりのある現場になることは事実でございます。
そういう意味におきまして、何らかの形でメンタル上の変調が生じた場合には、できる限り早期に対応して、休まないように済むようにすることが大事でございますので、まずは、その相談体制なりカウンセリングの体制をしっかりと整えることが重要だというふうに認識をしております。
ただ、先生方の中には、そういう悩みなり不安を抱えておられても、なかなか相談ができないということもあろうと思います。そういうときには、やっぱり学校現場の同僚でありますとか管理職の先生が、そういったことに素早く気づけて対応できる、そういう風通しのよい職場をつくっていくことも大事でございまして、この点につきましては、校長、副校長、教頭等の管理職を通じて風通しのよい職場をつくることによって、できる限り精神疾患でお休みになられる先生がなくなるよう取り組んでいくことが大切だと認識をいたしております。
◆12番(柴田栄一議員) 終わります。(拍手)
○副議長(有村國俊) 以上で、12番柴田栄一議員の質問を終了いたします。
次に、17番小川泰江議員の発言を許します。
◆17番(小川泰江議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従い、人と動物が豊かに関わる社会を目指して、今回は、多頭飼育対策、災害時のペット対策について問わせていただきます。
一般社団法人ペットフード協会の調査によると、令和4年のペットの飼育推計頭数は、犬が705万3,000頭、猫が883万7,000頭で、合計は1,589万頭となっており、同年の15歳未満人口1,465万人を上回り、子供の数よりペットの数が多い状況が続いています。
また、推計世帯飼育率は、犬が9.69%、猫が8.6%となっており、家族の一員としてペットのいる暮らしが人間社会の中で当たり前になっていることが分かります。
一方、高齢者や独居世帯の増加、ペットの寿命の延伸などにより、無秩序にペットが増え、飼い主が適正に飼育できる数を超えた結果、経済的にも破綻し、ペットの飼育ができなくなる、いわゆる多頭飼育崩壊の問題もますます顕在化してきたと言えます。
多頭飼育への対策については、令和2年の9月議会で初めて問わせていただき、令和3年度から予算化され、様々な事業に取り組んでいただきました。令和4年度には、(資料掲示)この滋賀県多頭飼育問題対策マニュアルも作成していただいておりますが、まず最初に、これまで県が取り組んできた多頭飼育対策事業の成果について、健康医療福祉部長にお伺いいたします。
○副議長(有村國俊) 17番小川泰江議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎健康医療福祉部長(大岡紳浩) (登壇)お答えいたします。
令和3年度から取組を開始しておりまして、議員から御紹介のありました多頭飼育問題の対策マニュアルの策定であったり、あるいは啓発動画の作成、そして補助金による多頭飼育者支援、さらには介護事業者等の関係者との勉強会、こういった点に取り組んできたところでございます。
こうした取組を通じまして、この多頭飼育問題は地域課題の一つであり、背景にある課題を把握し、人への支援と動物への支援をともに考えることの必要性について、市町関係部局や福祉関係者等へ周知を図ってまいりました。
その結果、市町の福祉部局や福祉関係事業者から県動物保護管理センターに寄せられましたこの多頭飼育に関する相談件数は、令和3年度の1件から令和5年度の10件に増加しておりまして、この問題への理解が徐々に深まり、福祉分野との連携が進んできたものと認識をしているところでございます。
◆17番(小川泰江議員) (登壇)ありがとうございました。
ただいま相談件数の件数について触れていただきましたが、今のは福祉関係の方からのということで、例えば、ほかにはボランティアさんや近所の方とか当事者の方とかいろんなパターンがあるかと思いますが、全体の件数が分かるようでしたらちょっと教えていただきたいんですが。
○副議長(有村國俊) 答弁者は。
◆17番(小川泰江議員) 健康医療福祉部長にお伺いします。
◎健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
全体の件数ということでございますが、これまでの経緯でございますが、令和2年20件、そして令和3年度が12件、令和4年度が18件、そして今年度はこれまでに30件の相談が寄せられているところでございます。
◆17番(小川泰江議員) (登壇)ありがとうございます。
相談件数も若干凸凹はありますけど、やっぱりかなり認知されるに従って顕在化してくる、増えてきているという状況だと理解いたします。
そして、ただいま御紹介いただいた補助金、令和3年度から創設いただいて、これまで年2件ずつ、これまで6市6件に対応いただいたということも聞いておりますが、令和6年度予算にもこれまでと同様に2件分、60万円の補助金が計上されています。これについて伺いたいと思います。
(資料掲示)これは県内で実際に起きた事例です。要介護の方を含む御家族のお宅です。住んでおられます。室内飼いの猫が、当初は10匹だったものが、不妊手術をしなかったため100匹まで繁殖。床にはふん尿がうずたかく積もり、お風呂もトイレもふん尿まみれのため使えず、住民はお風呂には入らず、排せつは要介護の家族の方の紙おむつを使われているという状態でした。
何とかしなくてはということで、昨年秋に、行政、地元自治会、ボランティア団体が入り、掃除を行い、猫を保護、燃えるごみが数百袋、粗大ごみが2トントラック10台分を撤去。ごみの中からは、白骨化したりウジが湧いた20頭の猫の遺体も発見されたそうです。また、ボランティア団体さんに保護された猫たちも、近親交配や劣悪な環境の影響もあり、亡くなってしまう例が後を絶たなかったということです。実際に支援に入った方のお話を伺ったんですが、とにかく臭いがすごくて、雨具に長靴の装備でも、体に臭いがしみついて、なかなか取れなかったということです。
ごみの処理費用は、特例として地元自治体が負担して、猫の不妊手術は、公益社団法人どうぶつ基金の多頭飼育対策枠と行政枠を利用、それで足りない分は、ボランティア団体の代表が、亡くなっていた猫たちの火葬費などを含めて50万円程度を個人的に負担されたということです。
なぜこんな重篤な事態に先ほど紹介した県の補助金を使わなかったのかと聞いたんですが、地元自治体も、最初に県に問い合わせたが、「今年度の分の2件はもう終わっています」という返答で間に合わなかったということでした。
今回紹介したような事例は、どこの市町で起こってもおかしくありません。先ほど触れたどうぶつ基金も、2023年度には全国で76か所の支援に当たっていますが、追いついていないのが現状です。私も実際に、まだ行政がキャッチしていない高齢の方の多頭飼育の相談を受けて、猫の譲渡に協力したりもしているところです。
また、あくまでモデルケースということで、この補助金、広く周知はしておられないので、存在自体を知らないボランティアさんも多いのが現状です。モデル事業も3年もやれば、十分知見は蓄積されていると思います。
数頭の段階で早期にキャッチし、未然防止に当たるためにも、多頭飼育対策補助金について、モデル事業の段階を終えて、拡充し、広く周知し、本格的に取り組むべきではないかと考えますが、健康医療福祉部長の見解を伺います。
◎健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
この取組でございますが、各関係者が、この多頭飼育問題を動物の問題として捉えるのではなくて、自らも関与すべき問題であると認識を深めていただく契機として実施をするものでございます。
これまでの取組の中では、御紹介のあった市町での取組に加えまして、甲賀市社会福祉協議会による動物飼育に係るボランティア募集など、市町レベルでの新たな取組みも生まれているところでございます。
県としましては、現員の体制での関わりを工夫をしながら、市町において、重層的支援体制の整備事業の一つとして多頭飼育問題にも取り組んでいただくなど、本事業を契機としまして市町の取組のさらなる拡充につなげていただきたいと考えております。
◆17番(小川泰江議員) (登壇)今、市町が主体となるべきというような御答弁とも受け取られました。御承知のように、なかなか市町でそういった動物関係の部署というのは、後にも触れますが、予算も人手もない状態でもあります。
(資料掲示)しかも、このマニュアルによりますと、動物保護管理センターの飼育猫の引取り頭数のうち、令和2年は66.7%が多頭飼育からの猫ということが確実に載っております。致死処分ゼロを今度計画に掲げられますが、その上で、多頭飼育対策補助金拡充、やはり必須だと思いますが、健康福祉部長、もう一度見解を伺います。
◎健康医療福祉部長(大岡紳浩) この多頭飼育の問題でございますが、実は私も以前ケースワーカーをしておりまして、こういった御家庭を訪問する機会があり、これは福祉的な課題ということでも非常に重要な課題だと私自身も認識をしております。
繰り返しになりますけれども、本事業、市町の多機関連携の取組を推進する、そして、それぞれのお立場の方が関心を持っていただく、こういったことを契機としてもらえるように実施するものではございますけれども、先ほど申しました相談件数が伸びている、増加しているということ、さらには、県の支援の体制と申しましたが、この相談につきましては一件一件それぞれ調整をしながら、この多頭問題の補助を推進いただくに当たって、それぞれ相談、調整しながら県としても進めさせていただいておりまして、今後こうした点も踏まえながら、どのような対応ができるのか考えてまいりたいと存じます。
◆17番(小川泰江議員) (登壇)ぜひともよろしくお願いいたします。
また、財源という話にもやっぱりなってくるかなとは思いますが、以前、こちらでも質問させていただきました滋賀版のふるさと納税の滋賀応援寄附を充てるということも可能ではないかとも考えております。昨年、令和4年度、418万6,000円が動物愛護関係でこの滋賀応援寄附から事業に充てられたということですが、直近の例えば令和5年の状況であったりとか、もし金額、分かりましたら、ちょっと教えていただけないでしょうか。
○副議長(有村國俊) 答弁者は。
◆17番(小川泰江議員) 健康医療福祉部長、お願いいたします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
この1月末時点で、「すべての犬と猫の幸せを願って」と指定をいただいた寄附額、約798万円と承知をしております。
◆17番(小川泰江議員) (登壇)ありがとうございます。
もともとこの分野って、事業費が本当に少ない分野で、ぜひとも全国から寄せられたこの寄附金、一頭でも命失われることを減らすために使っていただきたいと思いますし、現在の用途指定の項目の説明に、多頭飼育対策というのも加えてさらに募るということも可能ではないかと思いますが、
健康医療福祉部長、いかがでしょうか。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) 本取組の推進と併せて考えてまいりたいと存じます。
◆17番(小川泰江議員) (登壇)それでは、次に、市町との連携について伺います。
(資料掲示)こちらの多頭飼育問題対策マニュアルには、「この問題は一機関では解決できません」とあり、県と市町環境部局、福祉関係者などとの連携がうたわれています。
しかし、先ほども申しましたが、実際には市町の環境部局は、狂犬病の予防接種や亡くなった動物の遺体回収といった業務が中心であり、動物愛護に関しては関心が薄いのが現状です。
ただ、今回、幾つかの今回の件で市町の担当部局にお話を伺ったんですが、実際に各地で多頭飼育崩壊事案が発生していることや、マスコミの報道も増えてきました。人間福祉現場からの働きかけもあり、問題意識を持っているところも増えてきたようにも感じました。
この機会に、人間福祉や市町環境部局との連携への働きかけをさらに強化してはと考えますが、
健康医療福祉部長の見解を伺います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
県では、これまでから、市町の環境部局を対象とした調整会議を毎年実施をしておりまして、さらに、令和3年度からは、多頭飼育問題への理解促進と連携強化のために、市町の福祉や環境部局、そして民生委員、児童委員、そして動物愛護ボランティアなど幅広い関係者を対象とした勉強会を開催しているところでございます。
こうした場を通じまして、事例検討であったりグループワークなどを実施し、多頭飼育問題が地域の我が事であると改めて認識してもらい、効果的に課題が解決できる手法を検討してもらうなど、引き続き、関係者が連携した多頭飼育問題への取組を働きかけてまいりたいと存じます。
◆17番(小川泰江議員) (登壇)ありがとうございます。相談件数も増えているという今、この段階、チャンスですし、少しでも早い取組というのが将来負担、行政の負担も減らすことになりますので、お願いいたします。
ここで1つ提案なんですが、人間の福祉のほうの現場から、高齢の方が猫の世話をするにも事欠く状態になっているが、介護保険では現状ヘルパーさんが猫の世話をすることができなくて困っている、人間福祉にも理解のあるペットの世話ボランティアの育成ができないものか、経済的に厳しい方が自分の食品を削ってペットフードに充てている、ペット版フードバンクのようなものができないかという相談をいただいています。
ペットの世話ボランティアやペット版フードバンクといった人間福祉と連携した制度の創設について、
健康医療福祉部長の見解を伺います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
動物の愛護及び管理に関する法律におきましては、ペットの飼養管理は飼い主の責務として位置づけられており、ボランティアやフードバンクによる飼育支援は、この自立した飼養に向けた一時的な支援として一定位置づける必要があると考えているところでございます。
ただ、こうした考え方を基本としつつも、議員御紹介にありました大変な状況もございますことから、現場では、単に飼育に向けた支援だけではなく、その背景にある福祉的な課題への対応も求められておりますので、さきに述べました事例検討やワークショップにおいて、こうした課題も取り上げ、どのような対応ができるのか、議員から御提案のあった仕組みも含め、市町はじめ関係者の皆さんと一緒になって考えてまいりたいと存じます。
◆17番(小川泰江議員) (登壇)よろしくお願いします。もちろん一定の線引きというのは必要になってくるかと思うんですが、人間福祉側からの要請ということで、そういったことも十分線引きして可能になるのではないかと思いますので、また御検討よろしくお願いいたします。
(資料掲示)すいません、何度も取り上げておりますが、この対策マニュアルの中に……。
○副議長(有村國俊) 資料掲示、一応本人からその意思を出してもらわなきゃいけないので、大丈夫ですか。出てますか。
◆17番(小川泰江議員) はい、出ております。
この対策マニュアルの中に、多機関連携による対策の心得として、「『対応できない』と押し付け合わず、それぞれの専門性の“のりしろ”を出し合い、重ねるものと心得るべし」「連携とはどこで情報を探知しても共有することと心得るべし」と記載されています。ぜひとも、高齢でも単身世帯でも、希望すれば犬猫と共に過ごせる、ふだんの暮らしの幸せを県民が享受できるために、言うはやすし行うは難しの典型である連携をしっかりと進めていただきたいと思います。
また、こちらの対策マニュアルも、ホームページのほうにも掲載もされておりますので、ぜひとも関心を持っていただいた方は拝見いただけるとありがたいです。
それでは、次に、災害時のペット対応について伺います。
災害時には、人とともにペットも困難に直面します。今回の能登半島地震でも、泣く泣く猫を残して集団避難した方、犬がいるからと車の中で避難生活を続ける方、また、猫がいるからと避難せず火災で亡くなられた方など、様々な報道がされています。
環境省では、平成25年、災害時におけるペットの救護対策ガイドラインが、そして滋賀県でも、平成28年に滋賀県災害時ペット同行避難ガイドラインが策定されています。飼い主編、市町編、県編から成っており、県の役割として、実際に避難所の運営主体となる市町のペット同行避難に関する取組状況の把握に努めるとされていますが、県内市町の現状について、
健康医療福祉部長に伺います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
全市町の地域防災計画におきまして、同行避難への配慮や飼育場所の確保などが記載をされているところでございます。
昨年12月に県で実施しました調査では、回答のあった指定避難所854か所のうち、12市町510避難所におきまして同行避難可と回答がございました。残る344避難所では検討できていないと回答があったところでございます。
同行避難可と回答のあった市町からも、避難所での具体的な飼養場所の検討が進んでいないといった課題が上がっておりまして、各市町でのさらなる検討が必要と認識をしているところでございます。
◆17番(小川泰江議員) (登壇)ありがとうございます。かなり進んではきたけど、まだ内容のほうはこれからという段階だと思います。
そして、今紹介しましたガイドラインでは、災害発生時には、滋賀県動物救護本部を設置し、支援物資の管理や負傷犬猫の捕獲や治療、避難所でペットの適正な飼養助言などに当たるとしています。
今回、環境省からの要請で、能登半島地震の被災地に獣医師らを派遣したと聞いていますが、どのような作業に当たられたのか、経過も含めた業務内容を教えていただけるでしょうか。
健康医療福祉部長にお願いいたします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
環境省からの依頼によりまして、2月4日から10日にかけまして、石川県能登北部保健福祉センターへの動物愛護管理法関連業務の応援に職員を派遣したところでございます。
現地では、地震により逃げ出した犬の捜索や、目撃情報の寄せられた徘徊犬や野犬の捕獲、保護した犬の情報の避難所への周知、さらには避難所でのペット受入れ状況や必要な支援物資の聞き取りなどを行ったところでございます。
◆17番(小川泰江議員) (登壇)環境省の要請に全国で一番に手を挙げられたとも聞いておりますので、感謝申し上げます。
先ほど、市町のペット同行避難に関する計画、一応計画の文言としては全ての市町でできていると伺いましたが、部長もおっしゃいましたように、実際に指定避難所が機能するためには、今回の能登派遣の経験も生かして、県がノウハウなどを伝授しサポートする必要があると考えます。また、飼い主への啓発や、避難訓練で実際にペットが参加することで、住民に避難所にペットも来るんだという周知をすることなども必要と考えます。
今回の経験を滋賀県の今後のさらなる対策にも生かすべきだと考えますが、
健康医療福祉部長、お考えを伺います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
環境省が行ったこの巡回調査では、同行避難した後に危険と判定された自宅に戻った事例や避難所側が受入れを断った事例があったとお聞きをしております。
また、派遣職員が訪問した避難所では、しつけができていなかったり、放し飼いのため同行避難ができないといった声もお聞きしているところでございます。
県としましては、ペット同行避難について総合防災訓練に組み入れるとともに、改めて同行避難のための備えについて飼い主への啓発を強化しまして、また、各指定避難所での飼養スペースやペットの動線、飼養管理ルールなどの検討が進むよう市町の取組を支援してまいりたいと存じます。
◆17番(小川泰江議員) (登壇)こちらのガイドラインも策定から6年がたっておりますし、新たな知見を基に更新することも検討してはと考えますが、
健康医療福祉部長、いかがでしょうか。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) 本ガイドラインですけれども、平成28年の策定以来、今回の飼い主編が2万2,000冊、市町、県編を含む全体版が1,500冊配布をさせていただきました。
今回の能登半島地震において明らかになったこの課題なども踏まえまして、ペット同行避難への理解や受入体制等、こういった取組が一層推進しますように、このガイドラインの更新につきましても、今後関係者の皆さんの御意見もお伺いしながら検討してまいりたいと存じます。
◆17番(小川泰江議員) (登壇)よろしくお願いいたします。
それでは、次に、ペット同伴避難について伺います。
ペット同行避難とは、災害時、飼い主とペットが同行し安全な避難所まで避難すること、同伴避難とは、ペットと一緒に避難した上で、被災者が避難所でペットを飼養管理するという状態を意味します。
無事にペットと避難しても、避難所の体制が整わず、周囲に気を遣い避難所の玄関で寝泊まりしたり、結局車中泊になったりという例が今回の地震でも発生しています。そのような中、1月28日に、珠洲市に同伴避難所が開設されたとの報道がありました。公民館の室内に避難用テントを並べ、中に段ボールベッドとペット用ケージを設置したもので、ペットフードやトイレ用の砂などの支援物資を避難所利用者でなくても受け取れるというもので、認定NPO法人日本レスキュー協会などが運営しているということです。
同伴避難所に関して、市町へもちろん働きかけると同時に、滋賀県の面積は琵琶湖を除くと全国で42位と、比較的コンパクトな県ということを鑑みると、県が設置するということも有効ではないかと考えます。ペット同伴避難について、
健康医療福祉部長の見解を伺います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
避難後のペットの飼養スペースにつきましては、災害の種類であったり、あるいは災害が発生する季節、そして避難所の規模や構造、さらには避難者数などに応じて柔軟に検討する必要があると考えております。
能登半島地震におきます環境省の巡回調査では、避難者と同室で飼養する避難所と、別にペット専用の飼養場所を設けた避難所、双方が確認をされているところでございます。同室飼養では、一緒に避難生活を送ることができますので安心感が得られる、その一方で、ペット専用の飼養場所を設ける場合は、衛生管理のしやすさや飼い主間の共助が進むというメリットがございます。こうした点も考慮しまして、各避難所の実情に応じたペットの飼育場所の検討が進むよう支援をしてまいりたいと存じます。
◆17番(小川泰江議員) (登壇)今回の能登半島地震でも、環境省が調達したペットのシェルター用エアコンつきトレーラーハウスが金沢市内の1.5次避難所に2台設置されました。また、ホテルや旅館などの2次避難所でも、1月25日時点で石川県内外1,078施設のうち78施設がペットを受け入れているということです。今、部長も現地の数をおっしゃっていただきましたが、様々な手法があると考えています。ぜひこの機会に、非常時のペット対策について、今回得られた知見も含めて市町と情報共有し、連携して実効性のあるものに進めていただきたいと思います。
それでは、最後に知事に伺います。
知事は、人と動物が適正に関わることで、人も動物も幸せによわいを重ねられる社会を醸成することを掲げられ、致死処分ゼロを目指し、令和6年度はミルクボランティア制度の創設など様々な事業に取り組むとされています。そのことに深く感謝しつつ、今回はもっとできることがあるのではという観点で質問させていただきました。
今回提起させていただいた課題も含めて、致死処分ゼロに向け、3期目の政策をどう進めようとされているのか、知事のお考えを伺います。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
来年度の施策は「ともに生きる」ということでくくり、皆様方に提起させていただいておりますので、その観点からもとても重要な課題だと認識しております。
今回お取り上げいただきました多頭飼育問題と災害時のペット対策につきましては、動物の適正な飼養という観点だけではなく、飼育者の背景にある貧困、また福祉といった観点の問題も含めて対応することが重要だと認識しております。
そのためには、動物行政のみならず、社会福祉や危機管理など関係部局が一体となりまして、市町や地域の住民、福祉事業者、避難所運営者などの幅広い分野の皆さんと連携した取組が必要となってまいります。
致死処分ゼロに向けましても、こうした視点に立ち、飼い主の自覚を促す取組を進めるとともに、適正飼養を普及し、不幸な犬や猫を生み出さない、そして、保護した犬や猫が再び飼い主に恵まれるための取組を強化し、人と動物が共生する社会を実現してまいりたいと考えておりますし、ペット同行避難が可能となる体制づくりというのは、2期目、3期目の公約の中には入れていませんでしたけれども、1期目の公約の中に入れておりますので、今回の能登半島地震の対応等も検証しながら、どういったことが必要なのか、可能なのかといったことを検討していきたいというふうに感じます。
◆17番(小川泰江議員) (登壇)ありがとうございます。
もう本当にこの問題も、日々いろんな情報も入ったり関係性も変わってきたりで新たな問題も出てくる時代だとは考えております。ただ、この動物の問題というのは、この資料掲示を申請しておりました滋賀県多頭飼育問題対策マニュアルの表紙にありますように、自分からSOSが出せない人、孤立しがちな人の生活を守るためにということで、人の問題、人間社会の問題だと考えております。ぜひとも、知事が掲げられる今、「ともに生きる」社会、人と動物が豊かに関わって幸せが続く滋賀を目指して政策を進めていただけるようにお願い申し上げ質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(有村國俊) 以上で、17番小川泰江議員の質問を終了いたします。
次に、36番木沢成人議員の発言を許します。
◆36番(木沢成人議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従いまして、起立性調節障害──OD対策について、一問一答方式で伺います。
起立性調節障害は、オーソスタティックディスレギュレーション──以下、ODといいます──とも言われる、主に思春期の児童生徒に見られる自律神経の不調から来る身体の病気です。ODの子供は、自律神経の機能障害により、脳や全身に必要な血液が行き渡らないので、目まい、立ちくらみ、動悸、朝起き不良、頭痛、腹痛、倦怠感、疲れやすいなど、様々な症状が現れます。中等症や重症の場合、朝、起床時に強く症状が現れることから、昨今大きな社会問題となっている不登校の原因の一つともされております。また、何となく体調が悪いものの、その原因がよく分からない状態は、保護者はもとより、学校の先生や友人などからも、いわゆる怠けやサボりと間違われることも多く、本人にとっては大変つらい症状に加えて、周囲の誤解から精神的な傷つきにつながることがあり、そのことによってさらに不登校を助長してしまうことになるなど深刻な問題を抱えています。
滋賀県では、コロナ禍の経験を経て、従来から唱えてきた健康しがを、新時代を見据えた健康しが2.0へとバージョンアップし、さらなる県民福祉の向上を目指されているところでありますが、その鍵となる重点政策として「子ども、子ども、子ども」の子ども政策を掲げ、知事を本部長とする子ども政策推進本部の下に部局横断的な政策が進められております。また、同じく健康しが2.0を実現する重点政策として、こころの健康の実現も掲げられているところであります。
現下、起立性調節障害──ODによって、身体的にも精神的にも困難を抱える子供たちが一定数県内にも存在することに鑑み、これら重点施策の中で、特に起立性調節障害対策を一層進めていただきたいと思います。その思いで、以下、伺ってまいります。
今ほど、起立性調節障害──ODの症状につきましては簡潔に紹介したところでありますが、この病気が起こる原因について、そのメカニズムも含めて、まず
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
○副議長(有村國俊) 36番木沢成人議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) (登壇)お答えいたします。
起立性調節障害につきましては、議員から御紹介いただきましたとおり、自律神経の働きの不調が原因とされておりまして、交感神経と副交感神経の働きが強過ぎたり弱過ぎたりするなどバランスが崩れることにより、起立時に身体や脳への血流が低下し、立ちくらみや目まいなど様々な身体症状が出現するとされているところでございます。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)先ほど、思春期の児童生徒に見られると申しましたけれども、起立性調節障害の具体的な好発年齢につきまして、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
起立性調節障害の好発年齢、一般的に思春期に発症しやすく、特に二次性徴、性的な特徴でございますが、二次性徴が見られる時期である小学校高学年から中学生、高校生に多いとされております。また、日本小児心身医学会によりますと、男性1に対し女性は1.5から2と、女性に多いと言われております。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)ありがとうございます。
それでは、起立性調節障害であるという診断はどのようになされるのか、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
日本小児心身医学会のガイドラインによりますと、起立性調節障害の診断は、診察や血液検査、心電図検査などを行い、鉄欠乏性貧血や心疾患など、まずは他の病気がないかを調べます。その可能性がない場合は、立ちくらみなどの身体症状11項目中3つ以上当てはまれば、新起立試験という試験を午前中に実施をするということでございます。この新起立試験でございますが、安静時と起立時のそれぞれの血圧と心拍数を測定するもので、起立直後に血圧低下が起こり、回復に時間がかかるタイプ、あるいは血圧低下はなく、心拍数が異常に増加するタイプなど4つのタイプがございますが、いずれかに当てはまれば起立性調節障害としての診断が確定します。
また、併存疾患としまして、自閉症スペクトラムの併存が35%に上るとの報告もされております。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)詳しく説明いただきましてありがとうございました。
それでは、本県における起立性調節障害の診療体制の現状につきまして、
健康医療福祉部長にお伺いいたします。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
起立性調節障害は、県の小児保健医療センターにおいて診療をしておりますほか、県内の小児科医療機関においても診療が実施されております。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)今ほども言及いただきました県立小児保健医療センターにおける起立性調節障害の診療の状況につきまして、こちらは病院事業長にお伺いをいたします。
◎病院事業庁長(正木隆義) (登壇)お答えします。
小児保健医療センターでは、患者の主訴に応じた診療科や専門外来、例えば、神経内科、頭痛外来、こころの診療科などにおいて、それぞれの専門医が診察を行うとともに、必要に応じ心理カウンセリングを実施しております。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)県立の小児保健医療センターということで、より専門性の高い先生がいらっしゃって、状況に応じて診ていただけるというふうに理解をいたしました。
それでは、起立性調節障害の治療の具体について、同じく病院事業庁長にお伺いをいたします。
◎病院事業庁長(正木隆義) お答えします。
起立性調節障害の治療に当たりましては、小児心身医学会のガイドラインに基づき、症状に応じて、薬物を使わない非薬物療法、薬物療法、心理療法を組み合わせて行っております。
日常生活に支障のない軽症例では、規則正しい生活や水分を多めに取ることなど、生活指導を中心とした治療により二、三か月で改善しております。
一方、中等症以上は、薬物治療も必要となり、不登校を伴う重症例では、日常生活に支障が少なくなる状態まで回復するには少なくとも二、三年かかっております。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)軽症というか、初期の段階でありますと、早めに対処すると早く回復が見込めるということでありますが、重症になってからだとすごく時間がかかるということを理解をいたしました。
それでは、起立性調節障害に関する受診の近年の動向につきまして、病院事業庁長にお伺いをいたします。
◎病院事業庁長(正木隆義) お答えします。
起立性調節障害と診断された年間患者数は、直近の平成30年度から令和4年度までの5年間の平均が57.4人で、その前の平成25年度から平成29年度まで5年間の平均の46.4人に比べ約2割増加しております。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)この起立性調節障害という病気、最近この名前自体を聞くようにもなってきているんですけれども、今、数字述べていただきましたが、直近の平成30年から令和4年までの5年間平均のほうがそれまでの5年間より多いということであります。この間、コロナ禍があって、そういう病院の受診を控えているような状況が全般的にあったと思うんですけれども、そういう中においても増えてきている、あるいは、コロナ禍が原因で、そういうストレスとかが原因で増えたということも見立てられるんですが、総じて増えてきているという状況であるということを確認させていただきました。
それでは、次なんですけれども、この起立性調節障害に関しまして、小児保健医療センターと県内の小児科医の先生方との連携の状況について、病院事業庁長にお伺いいたします。
◎病院事業庁長(正木隆義) お答えします。
他の医療機関からの紹介患者の受入れは行っておりますが、この疾患に限った県内小児科医等とのネットワーク構築や勉強会の開催などの特段の連携は行っておりません。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)後でちょっと知事にも最後の質問で医療全般のことを聞くんですけれども、現状ではそこまでの勉強会とかネットワーク化はできてないということをまず確認させていただきました。
次に、起立性調節障害に関しまして、学校現場での対応について伺ってまいります。
本県教育委員会が公表しております令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果等の概要によりますと、令和4年度、県内公立学校におきまして、病気を事由に学校を長期欠席している児童生徒は、小学校で389人、中学校で557人、高等学校で285人となっておりますが、このうち主としてこの起立性調節障害を原因としている欠席者の実数につきまして、教育長にお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) (登壇)お答えをいたします。
御質問の令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査では、起立性調節障害を原因としている欠席者数に関する項目がないため、把握はできないところでございます。
また、文部科学省の令和4年度病気療養児等に関する実態調査におきましては、令和4年度に病気により年間延べ30日以上の欠席をした児童生徒のうち、主傷病が起立性調節障害であると報告があったものは、小学生で1名、中学生で5名、高校生ではゼロ名でございます。
ただ、現場の状況等を聞いておりますと、各学校において起立性調節障害と診断された児童生徒数は一定数いるものと考えているところでございます。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)同調査におきましては、長期欠席の理由として、今ほど言いました不登校についても示されているところでありますが、その不登校の実数につきましては、小学校で1,265人、中学校で2,120人、高等学校で802人となっております。同調査におきましては、不登校の要因として、本人に係る状況、家庭に係る状況、学校に係る状況の大きく3区分によって要因が示されておりますが、このうち本人に係る状況に関する無気力、不安、そして、生活のリズムの乱れ、あそび、非行という2つの項目が、小中高いずれにおいても要因全体の60%以上を占め、これに家庭に係る状況の1項目である親子の関わり方を加えますと、小学校では80%近く、中学校や高等学校では70%近くに達します。無気力、生活リズムの乱れは、このODの特徴の一つであり、冒頭述べましたように、この起立性調節障害──ODは、教職員や保護者等周囲の誤解を招くことがありますが、これら数字を見ておりますと、不登校児童生徒の中に潜在的な起立性調節障害患者の児童生徒が多くいるのではと推察をいたします。このことに対する教育長の所見をお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
御質問にございました不登校の要因とされております無気力、不安とは、無気力で何となく登校しない、登校の意志はあるが、漠然とした不安を覚え登校しないという状態であると捉えているところでございます。
一方で、不登校の初期段階における状況と起立性調節障害の症状が似ておりますことから、起立性調節障害を疑われる可能性があることは十分に考えれるものと認識をいたしております。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)先ほど実数を答えていただいたんですけども、起立性調節障害と確定診断をされた児童生徒というのはまだまだ少数ということが分かったんですけれども、現状、どのような支援を行っているのか、教育長にお伺いをいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
これまでから、各学校では、起立性調節障害と診断された児童生徒に対して、本人や保護者の思いに寄り添いつつ、その症状や指導上で気をつけるべき点などを、日本学校保健会作成の手引などを活用して、学校全体で共通理解を行っているところでございます。
その上で、学習面の不安がある場合には、体調が安定しやすい午後の時間に別室で学習の補充を行うなど、スクールカウンセラーなどの専門家と連携しながら本人の体調に応じた支援を行っているところでございます。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)今、一部ちょっと支援の中でお答えいただいた部分もあるんですけれども、起立性調節障害の病気の特性に応じた配慮というものが必要なわけですけれども、現状、当該児童生徒にはどのような配慮をされているのか、教育長にお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
当該児童生徒は、朝の始業時間に登校が困難であることから、登校時間を遅らせたり、また、登校後も急に調子が悪くなることもあるため、別室や保健室で休養しながら授業に参加することを認めるなど、児童生徒それぞれの状況に応じた配慮をしているところでございます。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)冒頭述べましたように、学校現場におきましては、起立性調節障害に対する教職員の誤解をなくすことが何よりも大切でありますが、教職員に対してはどのような研修等を実施しているのか、教育長にお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
これまでより、学校保健関係者に対しまして起立性調節障害の児童生徒を正しく理解するため、研修等において専門医から症状や治療について説明を聞く機会や、事例を通した演習などを行っており、適切な配慮につながるよう努めているところでございます。
また、生徒指導、教育相談担当者に対しましては、特に不登校児童生徒の中に頭痛や朝起きられないなどの症状がある場合、スクールカウンセラーや学校医等に相談して、適切にアセスメントをするよう様々な機会を通じて周知をしているところでございます。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)同じく、保護者に対しても起立性調節障害に関する適切な情報提供などを行い、必要な対応を図っていくことが大切となるわけでありますけれども、現状、どのような取組をされているのか、教育長にお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
保護者の皆様に対しましては、出席状況や本人の学校での様子から起立性調節障害の可能性が疑われる場合、家庭での状況を確認いたしますとともに、専門医への受診に向けまして情報提供を行っているところでございます。
また、遅刻が多いという事象だけを見て、生活習慣の課題がある、怠けていると判断することなく、治療の対象となる場合があることを家族の皆様に理解いただけるよう、その周知を図っているところでございます。
今後も、学校からの文書や資料等を用いて広く周知に努めてまいります。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)起立性調節障害に関する誤解や偏見をなくし、不登校状況を改善するためには、当該児童生徒のクラスメートなど、周囲の児童生徒へのこの病気に対する正しい理解が欠かせません。現状、どのような対応をされているのか、教育長にお伺いをいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
起立性調節障害だけでなく、アレルギー疾患等、様々な病気への配慮につきましては、本人の意向等を踏まえた対応が必要でございまして、事前に保護者、本人の思いを確認した上で、周囲の児童生徒への説明や理解を求めるように対応しているところでございます。
具体的には、起立性調節障害は本人の意思とは関係のない体調の問題であることや、登校できない時間の授業内容は放課後やオンラインで学習していることなどを、発達段階に応じて丁寧にクラスメイトに説明する等、対象の児童生徒が不安なく学校生活が送れるよう取り組んでいるところでございます。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)学校現場におきましては、保健室の養護教諭を核として、当該児童生徒への支援が実施をされておりますけれども、医療機関との連携状況というのはどのようになっているのか、教育長にお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
学校では、該当児童生徒の保護者を通じて医療機関との連携を図っておりまして、主治医からの指示や配慮が必要な事項等を、必要に応じて保護者を通じて学校も共有することで、適切な支援や配慮に取り組んでいるところでございます。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)先ほど、確定診断をされている、それによって欠席事由となっている方の実数を伺ったところ、少数にとどまっていたと。その一方で、不登校の児童生徒さんの実数、これだけ今県内にありますよというふうにこちらも示させていただいて、その中に一定この病気が疑われる人がいるんじゃないかというふうに教育長からも御答弁をいただきました。
今、ずっとそれぞれ確定診断された児童生徒さんについては、学校なり保護者さんに対して一定の御配慮なり対応をされているということなんですけども、その診断されてないサイレントの方々というのはここのアプローチに入ってこない部分があるわけですね。ですから、やっぱりこの病気だということが疑われた場合に、一刻も早く受診をして、それでもし確定診断されたら、今おっしゃった流れに乗れるようにしていかないといけない。そのためには、いわゆる広く一般にこの病気に対してあまねく理解が進まないといけないと思いますので、先ほど、先生の対応も、保健の衛生関係の先生とか生徒指導の先生に対しては国の手引に基づいて指導されているということですけど、普通のほかの教職員の方々もこの病気のやっぱり理解を進めていただかないといけないというふうに思ってます。
そういう意味で、本県の学校教員向け不登校の理解と対応リーフレット、それから、先ほど教育長言及いただきました文部科学省の教職員のための子供の健康相談及び保健指導の手引などを見ておりましても、起立性調節障害についてはここにも言及をされているんですけども、ほかのものもいろんな疾患もあるという関係もあって、具体性に乏しく、現状、十分な対策や支援につながっていないのではと思います。それは、今申し上げたように、サイレントの人に手が届いてないかという意味で申し上げています。
他県の事例を見ますと、起立性調節障害──OD対策の先進県とされます岡山県におきましては、県教育委員会と岡山大学大学院医歯薬学総合研究科などとの連携により、2019年3月に起立性調節障害対応ガイドラインが策定され、起立性調節障害──ODに関する基本的理解から家庭、学校での理解促進を促すQ&A方式の大変分かりやすい資料として活用をされております。同様に、大分県では、2023年3月に地域保健協議会と県教育委員会による「起立性調節障害の理解と対応のために」という、こちらも具体的で大変分かりやすい対応ガイドラインが策定され、活用されているところでございます。このほか、和歌山県や沖縄県などでも、不登校対策資料の中で、より詳細に起立性調節障害に関する記載をしておられます。
この岡山県の取組は、国会での議論でも取り上げられたところでありますが、本県においても、医療機関等との一層の連携の下、起立性調節障害対策のガイドラインなどを策定すべきと考えるところでありますが、教育長の御所見をお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
現在、小児保健医療センターのホームページに起立性調節障害の説明、また問い合わせ先が記載されておりまして、相談のあった場合にはこちらを情報提供しているところでございます。
今後、学校でありますとか、また保護者が正しい情報を知り、対応できるように、県教育委員会のホームページでありますとか、保護者向け教育情報誌「教育しが」での周知を検討しているところでございます。
また、議員の御質問にございました先進県の事例を参考といたしまして、今後、不登校対策を一層進める中で、この潜在的に起立性調節障害のある子どもへの配慮を含め、適切な対応につながるように努めてまいりたいと考えております。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)多分、現状のものですと、やっぱりその情報が届いてなかったりとか、先ほど来申し上げているように、やっぱり理解が進んでいないので、要は不登校の中に潜在的にサイレントの方がたくさんいらっしゃるんだろうなというふうに推察されるんですけども、コロナ禍ということの中でいくと、コロナ禍で、小学校ですと、小学生の皆さんだと、6年のうち3年ぐらいはそのことの中でいろんなことの影響を受け、中学生、高校生はそれぞれ3年なので、丸々そういうところの中で学生生活、影響を受けているような子もいる中で、この不登校の対策にしても、やっぱり一年一年というのが物すごく大事だと思うんですよ。1年遅れると、それだけ3年のうちの1年に影響してきますし、6年のうちの1年に影響してくるわけなので、やはり流れ的に、全国的にこの問題が国会でも議論され、先進県のところも、これじゃまずいということでいろんな取組をされているので、ここはちょっともう一歩踏み込んでいただきたいと思うんですけども。
それで、参考までに申し上げますと、2月15日なので10日ほど前なんですけども、ICT教育においては先進県とされています熊本県におきまして、県議会のほうで白石教育長さんが、熊本県も2024年度中にこの起立性調節障害のガイドラインを策定して、医療機関とも連携しながらこの問題に対処していくと答弁されて、様々なニュース、話題にもなっているんですけれども、そういう意味では、もう一歩、来年度直ちにこのガイドラインまでつくるというのはなかなか難しいと思うんです。熊本県さんなりほかの県もそこに至るまでかなり準備をされていたわけなので。ただ、今申し上げたように、やはり子供にとっては一年一年というのは本当に大事ですので、その意味で、もう少しちょっと踏み込んだ御答弁をいただきたいんですけども、再度教育長にお伺いいたします。
◎教育長(福永忠克) お答えをいたします。
学校や保護者の皆様が起立性調節障害に関して正しく理解すること、そしてそれぞれの児童生徒が適切な医療につながることが大切と考えております。
今回、御質問をいただきまして、改めて岡山県の資料を私も見させていただきました。特にいいなと思ったのが、チェックシートというのがございまして、子供たちの状況を一度御家庭でチェックをしていただく、そのことで子供たちの状況がどうあるのかを理解していただくということでございます。
こういったチェックシートの利活用も含めまして、今後も学校や保護者の皆様に正しい情報を伝え、そして学校で、そして御家庭で適切な対応ができるように、ここは現場の先生方、また医療関係の皆様の御意見も伺いながら、次年度、できるだけ早く滋賀の取組ができるように検討をしてまいりたいと考えております。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)教育長も今、岡山県のガイドラインを御覧になったということですけれども、先ほど来出てる、例えば保健衛生関係の保健指導関係の先生とか生徒指導の関係の先生以外でも、多分、小学校の各クラスの担任の先生であったりとか、それぞれ中学校、高校でもそうなんですけども、自分の抱えている児童生徒さんのそういう不登校の問題を見たときに、多分何か、どういうことが原因かなみたいな形で恐らく調べたり、いろんなことを勉強されると、今言っている岡山県なり、この大分県のガイドラインにたどり着くと思うんですよ。検索するとこれはたどり着きますので。それで、どんなものかなと多分一度読まれたときに、大変分かりやすいし、特に医学的な知識が要るとかいうことではなくて、誰でも理解できるような内容で必要十分のことを記載いただいて、それほど分厚い資料でない。国の資料は、やっぱり手引、物すごくボリュームも多いし、細かいことがたくさん書かれ過ぎて、かえって焦点がぼやけるんですけど、そういう意味では大変いいガイドラインというか、資料だと思いますので、そういう中できっちり本県の教育委員会としても対応していただきたいと思います。
そのことに関連するんですけれども、以上の議論を踏まえて、最後に知事にお伺いをいたします。
冒頭述べましたように、本県では「子ども、子ども、子ども」政策の実現のため、新年度は新たに子ども若者部を創設し、子供に係る諸課題解決に向け事業実施をされるところでありますが、この中で、不登校対策につきましては、しがの学びと居場所の保障プラン(案)を策定の下、具体的な施策を進めていくと仄聞をしているところでございます。
実効性のある具体的な施策を実施するために、ぜひ起立性調節障害対策をその柱の一つとしていただき、精神論ではなく、医療機関等とも連携しながら、科学的なアプローチに基づく不登校対策を進めていただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
議員も御案内のとおり、不登校の背景は多様であります。しがの学びと居場所の保障プラン、現在策定中でございますが、こちらの案では特定の態様を取り上げておりませんが、起立性調節障害を含め、医療的または福祉的なアプローチが有効なものがあることを踏まえ、子供の目線に立ち、分野横断的にチームで支援する視点を掲げております。
次年度設置予定の医療の専門家を入れた協議会の中で、医療的観点を大切にした施策を検討していきたいと考えております。
今後も、子どもたち一人一人に寄り添った、誰一人取り残されない滋賀の実現に取り組んでまいりたいと存じます。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)今、知事のほうから、このプラン案においてのチームで支援という言葉がございました。このプラン案の中の4ページのところにそのことが基本理念ということで書いてあるんですけれども、この一番4ページの下のところに、子供の状態に応じ、教育と福祉の観点から、教育政策と子ども施策に取り組む関係機関が連携したチームで支援と書いてあって、今、そのことを多分おっしゃっていただいたと思うんですけど、今ほども医療関係ということを言及いただいたので、一定そのことは入っているかと思うんですけど、この言葉の教育と福祉と書かれたときに、広義の福祉という言葉の中に医療的な概念を含んで県で使っている場合もありますけど、やはり医療ということを前に立てると、福祉の前に医療がついた医療福祉とか、医療、福祉とか、そういう書き方をしていただいたりすることが多いと思うんですけど、これ、先ほど小児保健医療センターの実情も病院事業長さんに御紹介いただきましたけど、そこの専門医さんですとか、ほかの小児科医の先生とか、このことに関わっておられるお医者さんに聞きますと、やっぱりこの問題というのは医療のカテゴリーがきっちりコミットしていかないと駄目なので、そこは位置づけとしての医療というものをやっぱり明確にしていただいたほうがいいだろうというふうに御意見もいただきました。
先ほど来申し上げています岡山県の対応ガイドラインのところの2ページのところに、なぜこれをつくったかということが目的として書いてあるんですけども、そこに、先ほどから出ている、例えばスクールカウンセラーとかスクールソーシャルワーカー、この辺を活用したという取組は、岡山県でももちろんやってこられてますし、本県でも先ほど来出てるようにやってるところなんですけれども、そのチーム、学校のところに新たに医療的観点からのアプローチを加えると、このことが何よりも大切でこのガイドラインを策定したんですよというふうに高らかに宣言されてるんですよ。これは、大分県さんとか、その後まとめておられるところも一緒ですので、ぜひこのプラン案のところに今申し上げた医療という2文字を明確にちょっと位置づけるということをお願いしたいんですけども、これも先般、第6回の本部委員会議で議論があったとこだと思うんですけど、このプラン案、そのことに対して再度御所見お伺いしたいと思います。
◎知事(三日月大造) いや、大事な視点だと思います。今回、この学びと居場所の保障プランを策定する際にも、今年度夏から秋、そして冬にかけての過程の中で、議員と同じような視点から御指摘をいただいたところでございますので、ちょっとすいません、私、今手元に資料ないんですけれども、重視する視点の3項目ある中にきちんと医療というのも入れて書いておりますので、すいません、全体のトーンとして福祉と教育の連携というところが強く出てるのかもしれませんが、当然、医療的な観点から寄り添い、また支援をしていくこと、治療をしていくことも、人によっては、時によっては必要なこともあると思いますので、そういった視点を盛り込みながら対応をしていきたいと思います。
◆36番(木沢成人議員) (登壇)本日はちょっと特出ししなかったんですけども、腸過敏性症候群、急におなかが痛くなったりとか下痢が続いたりとかするという病気も、同じようにストレスが原因で発症して、今申し上げたこの起立性調節障害、これも先ほど冒頭のとこに腹痛というのを1つ症状で言いましたけども、それと併存してる場合なんかもあるんですね。こちらもやはり医療というか、医学的なアプローチをしっかりしていただかないと、受診につなげ、そこの医療現場と学校なり保護者さん、本人が連携していくという流れができないといけないと思いますので、そのことも含めて、今、しっかり医療の視点は入れていただくというふうにお伺いしましたので、これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(有村國俊) 以上で、36番木沢成人議員の質問を終了いたします。
次に、24番白井幸則議員の発言を許します。
◆24番(白井幸則議員) (登壇、拍手)自民党滋賀県議会議員団の白井でございます。
昨日のテレビとか見てますと、おとといにTSMC熊本の半導体工場が完成して、開所式の様子がニュースで報道されたり、熊本県菊陽町のまちの様子とか、また市民の方の声が放送されていたところです。こういったニュースとかもちょっと思い浮かべながら、また一緒に考えていただけたらなと思います。
では、発言通告に従いまして、今年度策定予定の滋賀県産業立地戦略、サブタイトルが「『世界から選ばれる滋賀』に向けて」について、一問一答方式にて知事と商工観光労働部長に伺います。
滋賀県では、本格的な人口減少社会への移行、就業構造の変化や国連で採択された持続可能な開発目標──SDGsの達成やSociety5.0の実現に向けた国の動きなど、こうした変化に的確に対応し、本県が将来にわたって力強く持続的な発展を遂げていくため、計画期間を令和2年度から令和12年度として滋賀県産業振興ビジョンの改定を行いました。これは、滋賀県における産業振興施策を総合的に推進するため、中長期の指針となるもので、本県の実情と将来予測を踏まえ、今後の産業振興の理念や施策の基本的な方向などを定めるものとなります。
そして、近年の経済社会情勢の変化を捉え、今後とも本県の豊かさを維持していくために、産業用地の確保に努めながら、製造業に加え情報通信業等、幅広い分野を視野に入れた産業立地を推進していく、その取組の方向性を示す滋賀県産業立地戦略の策定を今年度末に予定をしています。
この戦略は、2030年以降を見据え、令和6年度から当面5年間の取組の方向性を示すこととし、県外からの産業誘致にとどまらず、県内立地企業の再投資やスタートアップ企業の育成を推進しながら、世界から選ばれる滋賀を目指すこととしています。
まず、滋賀県産業立地戦略の目的について、商工観光労働部長にお伺いします。
○副議長(有村國俊) 24番白井幸則議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎商工観光労働部長(林毅) (登壇)お答えいたします。
滋賀県産業立地戦略は、今ほども触れていただきましたけれども、県外からの産業誘致に加えまして、県内立地企業の再投資やスタートアップの育成を推進することで、本県産業のさらなる発展につなげることを目的として策定しているものでございます。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)今お伺いしました目的として、県内産業のさらなる発展というふうにおっしゃっていただきました。その目的を実現することによって、どのような状態をつくり出そうとしているのか、商工観光労働部長にお伺いします。
◎商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
多様な分野の産業立地によりまして、税収増加、雇用創出、地域の消費拡大が図られ、地域の活性化、さらには本県の豊かさが持続、増進していく状態をつくり出してまいりたいと考えております。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)そういったいい好循環を生みながら進めていくということですね。
次に、当初は、商工観光労働部企業立地推進室から、(仮称)滋賀県産業誘致戦略の策定についてということで、令和5年の7月に策定をするとの説明でした。様々な検討を重ねながら、最終的には滋賀県産業立地戦略という名称に変わりましたが、この戦略では具体的に何をするのか、商工観光労働部長にお伺いします。
◎商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
産業立地戦略では、企業との関係構築強化、産業用地の確保、助成金・優遇制度、企業との協働による人材確保・育成、インフラの充実の5つの柱に沿って施策を推進することとしておりまして、来年度は、新たに市町と連携した産業用地開発や重点分野の設備投資を推進する助成金等の予算を予定しているところでございます。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)分かりました。
では、次に、素案の企業立地の推移の項にもあるように、県内企業の設備投資意欲の高まりがあるものの、滋賀県では企業立地件数は低下傾向にあり、産業用地の不足が課題となっているとの記述もあります。また、昨年3月27日付の日本経済新聞では、「滋賀県が企業誘致苦戦 用地・補助金施策で市長と温度差」という見出しで、本州中央部にあり立地のよさを背景に大企業の工場が多く立地する滋賀県が新たな誘致に苦戦している。近年、地方では台湾積体電路製造──TSMCやラピダスなど、半導体産業を中心に企業進出が注目を集めるが、ものづくり県を自認する滋賀県では用地不足や補助金の不備など誘致施策をめぐって県と市町の温度差も広がってきた云々という記事が掲載をされておりました。特に産業用地の開発が急務かと思いますが、滋賀県産業立地戦略に基づく産業用地開発の目標について、商工観光労働部長に伺います。
◎商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
産業立地戦略は、2024年度から当面5年間の取組の方向性を示すものでございますので、この期間中、県が主体となった市町との連携による産業用地の開発は、北部地域1か所、その他地域1か所の計2か所で進め、それぞれ造成に着手するとともに、分譲に向けて企業に案内する段階まで進めていきたいと考えているところでございます。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)2029年、この5年間の間で、北部1つ、それ以外のところで一つの産業用地開発ということですけど、そういった開発をするんですけれども、その目標として、先ほどおっしゃったよい効果の好循環を生むその指標、例えば、先ほど言った税収の効果とか経済効果であったり、雇用をどれだけ生むとか、例えば県内の総生産額を何%アップするとか、そういった目標は設定していないのか、商工観光労働部長に再質問します。
◎商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
この2か所につきましては、今後、3月以降に用地の選定等を進めてまいりたいというふうに考えておりますので、その場所ですとか企業ニーズも踏まえた、どういう企業がこれから誘致できるかということも踏まえながら、今おっしゃいました点につきましても検討していきたいというふうに考えております。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)分かりました。
今、2か所をということですけども、その2か所を選ぶことによってどういった成果が得られるのか、そういったことをしっかりと数値化して具体的に明確にしておかないと、どこでもいいわけじゃないと思いますので、今後そういったことを選定するに当たってでも、この場所にもし選定したとしたら大きな雇用を望めないなとか、こういった業種では雇用とかそういったところが望めないんだとか、いろんなまた選定のところの基準にもなるかも分かりませんので、この産業用地の開発する目標について、どれぐらいの例えば経済効果を生もうとしてるのか、そういった辺りも明確にしていっていただいたほうがいいのかと思います。
次に、滋賀県産業立地戦略に基づく企業誘致の目標について、今ほど件数等おっしゃいましたけれども、企業誘致の目標について商工観光労働部長に伺います。
◎商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
産業立地戦略を推進することによりまして、県が把握している設備投資のうち、令和に入っての直近4年間の最大件数でございます令和3年度の23件を毎年超えることを目指しまして取組を進めてまいりたいと考えております。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)分かりました。
23件をピークに下降線を今たどっていまして、和歌山を省く近畿5県と福井、岐阜等を含めた中では、本当に下位のほうを低迷しているという状態にありますので、ぜひそういったところを、何年か前に非常に誘致が多かった23件、竜王の工業団地の開発の年ですよね。販売の年かな。そのとき以上にまた戻していってもらえたらなと思います。
こういった23件以上の目標を達成するに当たって、滋賀県の強みについて商工観光労働部長に伺います。
◎商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
本県の強みは、琵琶湖をはじめとする恵まれた自然を有し、多くの文化的資産が大切に引き継がれていること、そして、京阪神といった大都市近郊にありながら、若者や子育て世代にとっても魅力的な暮らしやすい生活環境を有していること、近畿、中部、北陸の3つの経済圏の結節点に位置しまして、交通利便性に優れていること、多彩な学部を有する大学等の集積を背景に産学官連携が盛んに行われていること、そして、日本を代表する企業のマザー工場や研究開発拠点が集積していることであると考えているところでございます。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。
では、再質問をこの部分させていただきたいと思います。では、滋賀県の弱みについてどのように分析しているのか、商工観光労働部長に伺います。
◎商工観光労働部長(林毅) 現在、まとまった産業用地が不足している状況でございます。そういったことや、企業の設備投資に対する助成金が現在ないことなどでございまして、結果、それにより企業ニーズに十分お応えできていないという状況にあると考えているところでございます。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)ニーズに応えられていないというのが弱みというのかどうなのかは、ちょっと解釈、また教えてください。
例えば、今言わはった県からの支援とか企業への支援、そういったものが今、滋賀県の弱みでありますよと。例えば、さらに企業を誘致してくるそのノウハウというのは強みなのか弱みなのかどちらでしょう、商工観光労働部長に伺います。
◎商工観光労働部長(林毅) これまでから、産業立地につきまして、チームを組んで立地推進に努めてきたところではございますけれども、その点が不十分な点があったということは現状だと思っております。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)ちょっとまたもう一回質問しますけど、そういった部分を自分たち、私たちにとっての強みなのか弱みなのかということをしっかりと現状認識しないと、じゃ、どうやってそこを強化していくの、じゃ、そこをどうやって改善していくのというところにつながっていかないので、ちょっとごまかさずにしっかりと認識して、もしかしたらノウハウという部分では弱みになっていたかも分からんなというのであれば、そこをしっかりと改善すればよくなっていくと思います。また、今言ったように強みとか弱みという部分がやっぱり問われたときに、こういった戦略を立てるときに、20や30はぱぱぱぱぱっと出てくる、弱み、20や30ばーっと出てくるとか、そういった感じでしっかりと考えていってほしいなと思いますし、例えば、滋賀県の職員さんはすごく優秀だと思います。今の立地戦略室のほうも一生懸命熱心に取り組んでおられます、その職員というのは強みですか、弱みですか、商工観光労働部長に伺います。
◎商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
強みでもあり、弱みでもあると思っております。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)そうです。ケースによって強みにもなりますし、場面によっては弱みにもなる、見る角度によって変わると思いますので、その辺またしっかりとお願いします。
では、この部分についてもう一度再質問させていただきますけども、この戦略を推進していく上で、滋賀県にとってのライバルはどのように分析しているか、商工観光労働部長に伺います。
◎商工観光労働部長(林毅) 2022年工場立地動向調査によりますと、企業が立地場所を選定する際に重視する条件といたしまして、主に本社あるいは他の自社工場への近接性でありますとか、あるいは地価、そして工業団地であるなどがございます。
大阪、名古屋等で本社が多くございますし、また、他の自社工場に近接して、比較的地価も安価であるという滋賀県の立地特性や県内総生産に占めます製造業の割合など産業構造を考慮いたしますと、近隣府県では三重県とか、あるいは岐阜県が大きなライバルになっているという状況にございます。
これらの県につきましては、いずれも直近の立地件数や分譲可能面積が本県を上回っておりますことから、他府県に見劣りしない新たな助成金の創設ですとか、今回、市町と連携した産業用地開発等を着実に進める中で、地域間競争に打ち勝てるように取り組んでまいりたいと考えております。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)今、工場の集積とか工業団地とか、本社からの距離とか交通の利便性とかというと、三重とか岐阜がライバルかなと。これは、各地方自治体、企業誘致合戦というか、企業誘致の競争をこれからますます激化していくかも分かりません。そんな中で、今問わせてもらいましたが、他府県に見劣りしない助成のメニューをしっかりしていくということで、例えば高知県なんかでは、日本トップクラスの補助制度ありみたいな、そんな企業誘致のうたい文句でやったりしてますので、そういった意味でいうと高知県もライバルになるかも分かりません。ただ、先ほども部長認識しておられるように、工場の立地とか集積とかいう面でいくと、その2県がライバルに該当します。
例えば、北海道はライバルになるのかならないのか、商工観光労働部長に伺います。再質問します。
◎商工観光労働部長(林毅) 直接比較をさせていただいたことはございませんけれども、今も申しましたように、滋賀県の特性がございますので、そういった意味では北海道とは大分違う点がございますので、それぞれの特性がありながら、それを生かしていくということで努めていくということになろうと思っております。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)国が指定する特定物資等で、産業誘致戦略にもたくさん出てきますけども、半導体とかそういった企業を誘致しようと思ったときには、北海道は大きなライバルになりますよね。ラピダスは今、千歳ですごい最先端の工場を造っています。でも、そういう半導体関連を誘致しようと思ったときは、北海道もすごい大きなライバルになりますし、熊本もライバルになります。だから、その内容によってはライバルがまた変わっていくという可能性もありますから、そういった辺りで、できたら自分たちの土俵で戦うのが一番有利な戦いができると思いますので、またよろしくお願いいたします。
次に、産業用地の開発、そして企業の誘致を進めていくわけですけども、こういった場合とか、こういった成果を出した場合に、逆にリスクとして考えられることについて商工観光労働部長にお伺いします。
◎商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
産業用地開発につきましては、事業完了まで一定の期間を必要といたしますことから、スピード感を持って事業を進めても、社会経済情勢の変化による売れ残りや採算割れのリスクが考えられるところでございます。また、企業立地につきましては、進出企業の経営悪化などによる事業規模の縮小や撤退などのリスクもあるというふうに認識しているところでございます。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。いいことばっかりじゃなしに、そういったマイナス面ももしかしたらあるかも分からんというリスクというのもしっかり押さえておいて、例えば公害のこととか、交通渋滞がとか、いろんなリスクもあるかも分かりませんので、そういったところを押さえながら進めていっていただければなと思います。
では、次に、今まで滋賀県として産業用地開発は、土地開発公社が工業団地の開発という形で大きな役割を担ってきたと思いますが、この土地開発公社は令和6年度末に解散を予定をしています。工業団地開発という公社が担ってきた役割をどのように考えているのか、商工観光労働部長にお伺いします。
◎商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
県土地開発公社につきましては、これまでに県内12か所で約442ヘクタールの工業団地の造成、分譲を行ってまいりました。本県の産業基盤整備や企業立地推進という役割を果たし、県勢発展に寄与してきたものと考えているところでございます。
今後、産業用地開発は当部で担うことといたしまして、それに伴い、産業立地推進室を産業立地課へ体制を強化し、庁内関係部局と連携を図りながら役割を果たしてまいりたいと考えております。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)442ヘクタールも開発をしてきたという、そこには一定のノウハウがあると思いますので、そのノウハウという部分は徐々に引き継いでいっていただけたらなと思います。
次に、今後、滋賀県が直接産業用地を開発する場合、その資金についてはどのような手法を考えておられるのか、商工観光労働部長にお伺いします。
◎商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
県が直接、産業用地を開発することは、地方財政法施行令第46条の宅地造成事業に該当いたしますことから、特別会計を設置し経理を行うとともに、財源は公営企業債の活用を予定しているところでございます。
産業用地整備後は、分譲した売却益で開発費用を回収して公営企業債の返済に充ててまいる所存でございます。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)なるほど、分かりました。
では、先ほども部長、触れていただきましたけども、サプライチェーンの再構築や県内企業の設備投資意欲の高まる中、滋賀県産業立地戦略の方向性に基づき産業立地を強化するため、滋賀県が主体となって市町と連携して大規模な産業用地開発事業を令和6年度より始められます。この産業用地開発事業の詳細について、商工観光労働部長にお伺いします。
◎商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
県と市町の連携による産業用地開発事業は、県が主体となって開発を行うもので、県内市町から候補地を募集いたしまして、開発の実現性や立地条件などを専門的な知見による評価も踏まえまして総合的に審査の上、開発候補地を決定することとしたいと思います。
市町からの募集期間は、3月下旬から7月下旬までを予定しているところでございます。
開発規模は、大規模立地に対応できるよう、1か所10ヘクタール以上としておりまして、北部地域1か所、その他地域1か所の2か所を選定し、進めてまいりたいと考えております。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)分かりました。
ただいまお聞きした事業の滋賀県の役割について、商工観光労働部長にお伺いします。
◎商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
県は、産業用地開発に係ります測量調査、設計、用地取得、造成工事等の整備事業を行うとともに、事業主体として全体の進行管理を行います。
産業用地開発に係ります費用につきましては、産業用地内の整備費および分譲地の売却までの維持管理費の3分の2を負担することとしているところでございます。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)では、続いて、市町の役割について、商工観光労働部長にお伺いします。
◎商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
市町は、事業を実施する地域の状況を熟知していることから、用地交渉や地元調整をお願いするほか、産業用地内の整備費および分譲地の売却までの維持管理費の3分の1を負担していただくこととしております。
また、産業用地に必要となります上下水道や産業用地へのアクセス道路など、産業用地外のインフラ整備に加えまして、産業用地整備後は、産業用地内の道路等を市町に無償譲渡することから、これら公共施設の維持管理もお願いすることとしているところです。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)ちょっとここで再質問します。
県の役割、そして市町の役割ということで、役割分担をしっかりとしていくということですけれども、今説明していただいた役割の中で、この産業用地開発をするに当たっての一番難しいところというか、一番の勘どころというか、これさえうまいこといけば成功するんだという、その勘どころの部分はどこになりますか、商工観光労働部長に伺います。
◎商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
いろいろあると思うんですけれども、今回は、市町と連携してというか、一体となって整備を行うものでございますので、まず市や町と県がどれだけ一体になって進められるかということになろうかと思っております。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)一体になってということは分かりますけども、先ほど説明いただいた県の役割、幾つか用地の取得とか資金の調達とか設計の開発とか、そして、市町の役割ということで、用地の交渉とか地元の調整とか、いろいろ言ってくださったじゃないですか。この中でどれが一番の勘どころというか、キーポイントというか、なるかというのを聞いております。もう一度お願いします。商工観光労働部長に伺います。
◎商工観光労働部長(林毅) 用地を確保するに当たっては、まず、いろんな法令の調整なり、あるいは用地交渉、地元調整というのが大変重要になってくると思いますので、その点かというふうに思っております。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)一番と言っているんですからね。3つ言うてしもた。でも、地元の用地の交渉、地権者がおられるわけですから、その方との交渉とか、地域の住民の方々を上手に調整する、これが一番の勘どころだなと僕も思いますので、これを市町任せに、役割ですから市町でやってくださいよだけでは駄目だと思います。その今1つ前に言ってくれはったように、市と県がちゃんと連携して、その部分を県がしっかりとサポートしないとうまくいかないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
では、次に、滋賀県や市町の事情もありますが、外部の環境や社会の情勢も変化していきます。この事業を成功させるためにはスピード感が重要であると考えますが、スケジュールについて商工観光労働部長にお伺いします。
◎商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
スケジュールにつきましては、先ほども少し触れましたが、3月下旬から開発候補地の募集を開始いたしまして、7月下旬から審査を始め、来年1月に開発候補地2か所を決定する予定をしております。その後、開発候補地の基本計画を策定し、令和7年度から令和11年度にかけまして測量調査、設計、用地取得、造成工事を行い、令和12年度の分譲を見込んでいるところでございます。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)今のスケジュールでいきますと、先ほど一番最初のほうにお伺いした滋賀県産業立地戦略の期間が2029年ですから、その中には収まらない、ちょっと出てしまうというふうに理解しましたが、そういうふうな理解でよろしいですか。
○副議長(有村國俊) 答弁者。
◆24番(白井幸則議員) 商工観光労働部長にお願いします。
◎商工観光労働部長(林毅) おっしゃるとおりでございまして、期間中におきましては、工事に着手し、それから誘致企業につきまして一定募集等がかけられるように5年間の間に進めていきたいというふうに考えております。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)できるだけスピード上げて取り組んでいきましょう。そして、分譲して買手がついた、そこからやっぱりちゃんと資金も回収して、そして工場ができて開所して、たくさんの方が働かせてもらって、そういったところにずっと続いていきますから、ちゃんとフォローをしていただけたらなと思います。
そして、次に、県内各市町から候補地の応募を3月の末から受け付けるということです。この審査をして、県内2か所、北部で1か所、それ以外で1か所を選定するということですけれども、この選定から外れた候補地についても企業を誘致する優良な産業立地として考えられるのではないかと思いますが、どのようにするのか、商工観光労働部長に伺います。
◎商工観光労働部長(林毅) お答えいたします。
各候補地は、選定から漏れたものにつきましても、市や町で実現性や立地条件等を十分に検討いただき、提出されたものであると考えております。
その候補地につきましては、市や町、あるいは民間が主体的に開発を進められる場合には、産業立地サポートチームを編成し、部局連携で土地利用調整に努めるなど、しっかりサポートしてまいりたいと考えております。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)13市6町、でも、今回のこういった募集というのは、この産業立地開発こそうちの市でやってください、うちの町で何とかやってくださいという、そういう要望が高い部分だと思いますので、各市町も積極的に応募してくると思います。そういったときに、今言ってくださったように、選定から外れたところも場合によってはしっかりとサポートするということですけども、この2か所というのをそもそも、応募状況にもよりますけれども、3か所とか4か所に増やす考えはありますか、商工観光労働部長に聞きます。
◎商工観光労働部長(林毅) 現在のところは、体制も含めまして2か所をやることで役割を果たしていきたいというふうに考えております。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)現在のところということでしたので、またその応募状況を見ながら、その立地とか見ながら、今日のところはそういうことですけれども、その内容を見ながらまた検討をしていただけたらなと思います。
では、最後に、この戦略を成功に導くには、企業側の視点に立って考えなければなりません。企業にとって、どこに生産拠点を置くかは、企業の競争力に影響を与える重要な企業不動産であるということです。これによって品質、コスト、納期が変わってしまいます。特に製造業の場合は、グローバル化や新技術の台頭など、外部環境によって品質、コスト、納期に変化が生じやすいため、より慎重に生産拠点を選定する必要があります。
例えば、かつて日本の製造業は、国内の物価上昇や人件費コストの高騰という外部環境の変化によって国際競争力が低下しました。そこで、多くの企業が生産拠点を海外に移転させ、生産コストを減少させることで品質、コスト、納期の最適化に努めた時期があります。つまり、生産拠点の立地を考える場合、単に土地が安価で広大な土地を選定すればよいということではなくて、生産を含むプロセス全体を踏まえて品質、コスト、納期が最適化する立地を選定する必要があるのです。
また、近年は、BCP、いわゆる事業継続計画を目的として生産拠点の移転、集約、新設を実施している企業も増えています。新型コロナウイルスが世界的に流行したときは、ロックダウンにより海外の工場が生産中止になった事例が相次ぎました。また、近年は、自然災害もその大きな要因で、BCPの観点から別の場所に生産拠点を分散しておくという考え方もあります。
いずれにしても、立地選定に当たっては、各企業は社内プロジェクトチームを組織したり、あるいはコンサルなどに依頼してプロジェクトマネジメントを行っていきます。考えておかなければならないのは、企業は、複数の候補となる土地の中から、自社にとってBCPの観点も踏まえて、品質、コスト、納期から見た最適な立地、それ以外にも、国や地方自治体の助成金や税制などのインセンティブ、工場立地法、地区計画などの法令や規制、土壌汚染や埋設物など土地固有のリスク要因、労働者確保の難易度など、総合的に調査した上で最終的に1か所に決めるということになります。
そこで、サブタイトルにもある「『世界から選ばれる滋賀』に向けて」の思いについて、知事に伺います。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
まさに今、最後にお触れいただいたような観点で企業は比較選択されるんでしょうから、BCP含めて、そういう意味で言うと、おかげさまで滋賀というところは世界から選ばれる強みや地位を持っているのではないかと、既にというふうに考えております。ゆえに、日本を代表する内陸工業県の一つとして様々な日本経済を牽引しているという、こういう役割もあるんだと思います。
ただ、企業のサプライチェーンの再構築ですとか設備投資意欲の高まり等を背景に一層地域間競争が激化する、またしていくと想定される中、税収の増加、雇用の創出、地域の消費を拡大するなど、様々な効果が期待できる産業立地を強力に推進していくことが必要だというふうに考えております。
先ほども答弁いたしましたけれども、本県はおかげさまで水の恵みをもたらす琵琶湖をはじめとする豊かな自然があります。そして、あまり言うと、また起こったときにということがあるので、控えているところ、はばかられるところもあるんですが、近年、相対的に見ると災害の少なさということもございます。また、文化的資産を多く有しております。近畿、中部、北陸の3つの経済圏の結節点に位置しながら、交通利便性にも優れております。また、多彩な学部を有する大学等の知的資源も集積しておりますし、多くの企業、グローバル企業のマザー工場、そして研究拠点が集積、立地しているということなど、企業が立地を判断される上で多くの強みを有しているとも思います。
そうした多くの強みを生かしながら、ただ、不足する産業用地の確保、ここにつきましては、お取り上げいただきました県と市町が連携して行う大規模な用地開発は10ヘクタール以上で県内2か所行いますが、それ以外の用地の相談も多々ありますので、そういったところにワンストップでスピーディーに対応していくということも行いながら、かつ、近隣府県に見劣りしない設備投資を呼び込む新たな支援制度も設け、立地前から立地後の円滑な操業支援まで切れ目ない施策を積極的に展開することにより、世界から選ばれる滋賀の実現を目指してまいりたいと存じます。
産業立地の推進に向けましては、待ちの姿勢ではなく、こちらから企業に対して積極的にアプローチしていく姿勢が肝要であり、市町と連携しながら、より一層熱意を持って企業へのアプローチを強化し、本県への投資につなげてまいりたいと存じます。
◆24番(白井幸則議員) (登壇)ありがとうございます。ぜひ積極的に滋賀県がリーダーシップを取って、各市町の支援等も強化していただいて産業立地に取り組んでいただきたいと思います。しっかりと応援させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
以上、終わります。(拍手)
○副議長(有村國俊) 以上で、24番白井幸則議員の質問を終了いたします。
しばらく休憩いたします。
午後3時29分 休憩
────────────────
午後3時50分 開議
○副議長(有村國俊) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。
次に、25番村上元庸議員の発言を許します。
◆25番(村上元庸議員) (登壇、拍手)早速ですけど、では、始めさせてもらいます。森林整備の推進について、分割方式で質問させていただきます。
滋賀県の森林面積は約20万ヘクタールで、陸地の60%を占め、森林に降った雨のほとんどは琵琶湖に注ぎ込み、豊かなマザーレイクを育んで私たちの生活を支えています。
昨年の年末から琵琶湖の水位低下が問題となっておりますが、琵琶湖を取り巻く森林は、水源林としての役割がますます求められるところであります。
森林は、国土の保全、水源の涵養、地球温暖化の防止、生物多様性の保全、木材等の林産物供給などの多面的機能を有し、その発揮を通じて国民生活に様々な恩恵をもたらす緑の社会資本と言われ、私たちの暮らしを支える様々な機能を持っていますが、林業の採算性の低下、所有者や境界が不明な森林の顕在化、担い手の不足などで手入れが行き届かない森林が増えています。
戦中から戦後にかけて、戦争資材や戦災復興資材を供給するため、全国的に伐採が進み、森林が荒廃し、昭和20年代には各地で大規模な水害、土砂災害により多数の死者も発生したと言われています。戦後植栽した森林資源は充実し、収穫期を迎えつつあります。これらを切って活用し、植えて育てる循環利用を促進し、水源涵養、土砂流出防止、生物多様性の保全といった様々な機能を持続的に発揮させる必要があります。
しかしながら、森林施業に携わる担い手の不足や、森林の境界や森林所有者が不明瞭な土地により、森林の経営管理や整備に支障を来しているのではないかと考えます。
こうした現状に加え、パリ協定の枠組みにおける温室効果ガス削減の目標達成や、近年の集中豪雨等の気象災害への対応に必要な財源として、国において森林環境税および森林環境譲与税が創設され、令和6年度からいよいよ1人年額1,000円の森林環境税の徴収が始まります。森林環境譲与税は、令和元年度から前倒しで譲与が始まっているところで、市町村においては森林整備およびその促進に関する費用、都道府県においては森林整備を実施する市町村の支援等に関する費用に充てることとされていますが、本県における森林環境譲与税の取組状況について、琵琶湖環境部長に問います。
国では、2024年税制改正において、都市部に多く配分される現行基準を見直し、山間地への配分を手厚くする配分基準の見直し、具体的には森林面積の割合を50%から55%に引き上げ、人口割合を30%から25%に引き下げる方針が示されたところです。こうした譲与税の配分基準の見直しに伴う本県への影響について、琵琶湖環境部長に伺います。
林業の長期にわたる低迷により、森林所有者の関心が薄れることが、さらに森林の境界や森林所有者が不明な森林を増加させているように感じています。森林環境譲与税や本県の琵琶湖森林づくり県民税のような財源はあっても、森林の境界や森林所有者が分からなければ森林整備は進まないと考えます。森林における境界明確化は森林施業を実施する際の基盤となるものだと考えています。森林における境界明確化の取組状況や見通しについて、琵琶湖環境部長に伺います。
現場で境界明確化の作業を担うのも、それに基づいて搬出間伐や主伐、再造林などの森林施業を担うのも、森林組合が中心になると思います。滋賀県内には8つの森林組合がありますが、そのうち6つの森林組合が去る1月16日に合併契約調印式を執行されました。いよいよ6月には新しい森林組合が誕生することになります。新しい森林組合は、名称を滋賀県森林組合とし、大津市大萱の滋賀県林業会館に本所を置き、組合員所有森林面積が10万7,000余ヘクタールで全国1位、組合員数が1万9,000人余りで全国2位、出資金4億円弱で全国10位と聞き及んでいます。私も組合員の一人ですが、今後の森林組合に対して非常に期待をしているところです。
そこで、森林組合の合併は、森林所有者である組合員にとってどのようなメリットがあると考えるか、琵琶湖環境部長に問います。
私も含め多くの組合員の皆さんの期待も大きいと思うとともに、本県の琵琶湖を支える水源林の保全、管理の面からの期待も大きいと感じています。今後、森林組合が様々な期待に応えるため、県としてどのような方針で支援を行おうとしているのか、琵琶湖環境部長に問います。
○副議長(有村國俊) 25番村上元庸議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎琵琶湖環境部長(森本哲司) (登壇)森林整備の推進について、5点御質問いただきました。順次お答えいたします。
1点目、森林環境譲与税の取組状況についてでございますが、本県においては森林経営管理法に基づく市町施策の支援に充てることとしておりまして、市町職員の研修や林業人材の育成、森林境界明確化促進のための支援を行っております。
一方、市町においては、森林面積の大きい市町では、主に間伐や作業道の整備、境界明確化などの森林整備に充てられており、森林面積の小さい都市部の市町では、主に公共建築物への木材利用等に充当されているという状況でございます。
2点目でございます。森林環境譲与税の配分基準の見直しでございますが、令和6年度税制改正大綱のとおりに基準の見直しが行われた場合、本県への譲与額を試算いたしますと、令和5年度の想定譲与額と比較すると、県への配分額は99万円余り減額となります。約5,200万円となる見込みでございます。
一方で、県内の全ての市町については増額となりまして、配分総額は7,900万円余り増加の約4億7,000万円となる見込みでございます。特に森林の多い市町の増額幅が大きくなる見込みでございますので、今後、さらなる森林整備が進むものと期待をしているところでございます。
3点目でございますが、森林境界明確化でございます。
これまで、県と市町が連携しまして、令和4年度末までに約5,100ヘクタールの明確化を行ってきました。今後も毎年約500ヘクタールの明確化に取り組んでまいります。
市町の境界明確化が促進されるよう、令和12年度までに複数の公図を結合させた合成公図を4万2,000ヘクタール作成しまして、市町に提供する予定でございます。これまでに約3万2,000ヘクタールを作成しております。
また、森林情報アドバイザーによる助言に加えまして、林業普及指導員による支援体制と併せて、引き続き支援をしてまいります。
今後は、令和4年度から実施している航空レーザ計測、解析による高精度の森林資源情報を市町や森林組合などに提供することで、より一層境界の明確化を促進してまいりたいと存じます。
4点目の森林組合合併のメリットについてでございますが、議員御指摘のとおり、合併後の組合は全国でも有数の大規模な組合となるため、組織、経営基盤が強化され、積極的な事業展開がなされるのではないかと考えております。
具体的には、高性能林業機械の導入による効率的な事業の実施、主伐再造林をはじめとした森林整備や境界明確化の促進、信託制度を活用した世代を超えた森林管理などを通じまして、組合員の利益還元や森林の適正管理がより一層図られることがメリットと考えております。
最後の5点目でございますが、森林組合に対し、どのような方針で支援を行うのかにつきまして、先ほどお答えしました合併のメリットが最大限生かされますよう、ICT技術を導入した新しい林業に向け、高性能な林業機械の導入や作業システムの構築、新しい林業を実践できる人材の育成に向け、滋賀もりづくりアカデミーにおける技術指導や新規就業者の育成、信託制度などの先駆的な取組の導入に向けた専門家の派遣など、森林組合のニーズに応じた支援を行ってまいります。
これらの支援を通じまして、森林組合の経営理念である森林よし、組合員よし、組織よしの三方よしが実現されるよう県としても取り組んでまいりたいと存じます。
◆25番(村上元庸議員) (登壇)見直しによって県に入るのが少し下がるということで、ちょっと残念ですが、組合も合併していただいて、いろいろなメリットがあるということで非常に期待しております。
1つ再問させていただきますのは、先ほど来言っていますように、境界明確化とか、森林所有者が分からないところを明瞭化するということが、これは基本やと思うんですけど、なかなか組合員の人に聞いてても、その話は聞こえてこないので、境界明確化をしてるという実感があんまり湧かないんですけども、実際してくださってるらしいんですけどもね。
そこで、モデル地区を設定して模範となるように、そこを重点的に進めていくというのはどうかなと、ちょっと提案ですけども、琵琶湖環境部長に伺います。
◎琵琶湖環境部長(森本哲司) お答えいたします。
モデル地区を設定しまして境界明確化や森林整備に重点的に取り組むということは大変有効であると考えておりまして、既に東近江市や米原市などでは実践されているところでございます。
例えば東近江市では、重点地区ごとの集落会議を通じまして、森林所有者へ意向調査や境界明確化を進めることにより、県内では先駆けて森林経営管理法に基づいた計画を策定するなど、森林整備に向けた成果を上げておられます。
県としても、他市町でもこうした取組が展開されるよう、先進事例の積極的な紹介や、先ほどお答えしました最新技術の活用などを通じて境界の明確化を進めてまいりたいと存じます。
◆25番(村上元庸議員) (登壇)ありがとうございます。ぜひ甲賀市も重点に入れていただきたいと思います。
先ほどおっしゃった合併する森林組合の経営方針として、森林よし、組合員よし、組織よしというのがありますけども、それに県民よしというのを加えて、それらが持続的に発揮されることを期待して次の質問に移らせてもらいます。
次は、医師の働き方改革について、一問一答方式で質問させていただきます。
平成31年4月から働き方関連法案が順次施行され、そして、いよいよ令和6年4月から、医師の時間外労働の上限規制と追加的健康確保措置が適用され、医師の働き方改革が本格的に施行されます。
今まで我が国の地域医療は、責任感から自主的な医師の献身的な長時間労働により支えられてきております。私は、医師が不足している地域や診療科に偏在がある現在の状況で、医師に働き方改革を適用することは、地域の医療提供体制を維持していく上で非常に無理があると考えており、県内の幾つかの医療機関、関係者の皆さんと、現在の状況や取組、課題等について意見交換をさせていただきました。各医療機関におかれましては、令和6年4月の開始に向け、様々な準備をされ、事務的にも大変御苦労をされている様子を伺うことができました。その際の現場の声を踏まえ、質問させていただきたいと思います。
県内の医療提供体制を当面維持していくためには、時間外労働が年960時間の上限を超える医師がいる、特に24時間体制が必要な救急医療や周産期医療等を担う医療機関は、県からいわゆる特例水準の指定を受ける必要があります。
まず初めに、この特例水準の指定に係る県内の進捗状況について、
健康医療福祉部長に伺います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) (登壇)お答えいたします。
特例水準の指定を予定されていた7病院のうち、これまでに4病院の指定を終えているところでございます。残りの3病院につきましては、既に指定申請を受理しておりまして、今後、県の医療審議会および地域医療対策協議会において意見聴取を行った上で、3月中には指定を行い、その後、7病院を一括して指定の公示と評価の公表を行うこととしております。
◆25番(村上元庸議員) (登壇)ありがとうございます。
この水準を取るには大変面倒な手続がいっぱいあるということで、県のほうもアシストしていただきたいと思います。ありがとうございます。
先ほども申しましたが、本当に各医療機関、特にこの特定水準が必要な医療機関におかれては、医師の勤務実態の把握から宿日直許可の取得、労働時間短縮計画の作成等、大変苦労され準備を進めてこられました。これからも適切な労働時間の管理を行うための勤怠管理システムの導入や医師の健康確保の取組など、まだまだやらなければならないことがたくさんあると聞いています。
そこで、県として各医療機関の取組に対し、どのような支援をされているのか、
健康医療福祉部長に伺います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
これまでから、医師事務作業補助者の雇用であったり、ICTシステムの導入に対して補助を行ってきたところでございますけれども、令和6年度には、がんばる医療応援寄附を活用しまして、勤務環境改善に資するシステムや設備等への補助について、補助対象や基準額、補助率を拡充するなど、さらなる支援の充実を図ってまいることとしております。
また、滋賀県医療勤務環境改善支援センターのアドバイザーについても継続して派遣をいたしまして、医療機関が抱える労務管理や医業経営に関する課題に対して助言等の支援を行ってまいる所存でございます。
◆25番(村上元庸議員) (登壇)ありがとうございます。大変労力が要るということで、ICT化をしたいと。本当に多額な額が要るということで、支援金のほう、しっかりとお願いしたいと思います。
各医療機関内で医師の働き方改革を進めていくためには、医師から他職種へのタスクシフト、シェアの推進が重要であると言われています。しかしながら、シフト先となる看護師がそもそも不足しており、また、その先の看護補助者も不足している状況の中で、なかなか進められないといった声も聞いています。タスクシフト、シェアの担い手である看護師、看護補助者の確保にどのように取り組んでいくのか、
健康医療福祉部長に伺います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
特にこの看護職を目指す学生等を増やすために、冊子や動画を活用した滋賀の魅力発信に力を入れて取り組んでいるほか、県内看護系3大学と連携をしまして、資質の高い看護職の養成と県内定着を目的としました看護地域枠制度を令和6年度入学者からスタートさせるなど、新たな取組も実施をしているところでございます。
加えまして、医師の判断を待たずに一定の診療の補助、いわゆる特定行為を行う看護師の養成に当たりましては、その研修に対する補助を行いまして、資質の高い看護師の確保に努めているところでございます。
また、看護チームの一員としてその重要性が高まっております看護補助者につきましても、看護職と併せて魅力発信や就職フェアを行うなど、引き続き確保、定着に取り組んでまいる所存でございます。
◆25番(村上元庸議員) (登壇)ありがとうございます。
理論の上では、医者が足らんかったらほかの部署に回してしたらええと言うんですけど、実際はそっちが足らないということを認識しとかなあかんと思っております。
冒頭にも申しましたが、現場からも、医師不足、地域偏在、診療科偏在がある中で、働き方改革を推進しながら、地域の医療提供体制を維持していくことは非常に厳しいと言われています。私は、特に大学病院では、診療に加えての役割である教育と研究の質が低下するのではないかと危惧をしているところであり、このことは大学の先生方もこのように危惧されておりました。現行の医師の働き方改革制度を見直す必要があると思っています。
県としても、現行制度を検証し、国に改善を求めていく必要があると考えますが、
健康医療福祉部長の見解を伺います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
当初は、やはり医師が不足する状況の中で働き方改革を進めることは難しいといった声もございましたが、各医療機関が積極的にこの改革を取り組んでいただいたおかげで、令和6年4月からも県内の医療提供体制は一定維持することができるものと考えているところでございます。
引き続きまして、滋賀県医療勤務環境改善支援センターのアドバイザーによる支援等を通じまして、現場の声や状況を丁寧に把握をしまして、必要に応じて国に制度の見直しを求めてまいりたいと存じます。
◆25番(村上元庸議員) (登壇)医師の数がまだ十分足りていないところで、このように無理をしてやっていくわけですから、相反する矛盾したことになるわけで、当然医療の質が低下して、例えば救急車のたらい回しやとか、手術がなかなかしてもらえへんとか、自己研さんと、それから時間外労働の区別が非常に難しくて、研究している時間もなくなるとか、非常に危惧されるところでございます。
今般の能登半島地震や新型コロナウイルス感染症などの新興感染症発生時には、医師の活躍は欠かせません。特に、特例水準の指定を受けていない医療機関の医師は、時間外労働が年960時間の上限を超えることが容易に想定できます。
そこで、災害時等における時間外労働の上限規制の取扱いについて、
健康医療福祉部長に伺います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
労働基準法第33条第1項の規定に基づきまして、災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合には、36協定で締結された上限時間を超えて労働させることができるとされております。
今般の能登半島地震や新型コロナウイルス感染症の際も、同様の取扱いができることを厚生労働省より示されており、災害時等においては、時間外労働の上限規制を超えて御協力いただけるものと考えております。
◆25番(村上元庸議員) (登壇)災害時には構へんということですね。ありがとうございます。
医師の働き方改革を推進するためには、医療を提供する側の医療機関の努力だけでは限界があり、医療を受ける側の患者、県民の皆さんの理解、協力が不可欠であると考えます。県民の皆さんの理解を深めるため、どのように取り組んでいくのか、
健康医療福祉部長に伺います。
◎
健康医療福祉部長(大岡紳浩) お答えいたします。
県民の皆さんへは、医師の長時間労働の改善に向けた取組に御協力をいただけるよう、病院への患者の集中を緩和するため、かかりつけ医を持ち、上手な医療のかかり方について、より一層周知をしてまいります。
さらに、国が作成しました診療時間内での受診への御協力や、いつもの先生以外の医療スタッフ対応への御理解に関する広報物を活用しまして、患者さんや御家族の皆様に御理解、御協力いただけるよう、各医療機関と共に呼びかけてまいりたいと存じます。
◆25番(村上元庸議員) (登壇)今までは、病状の説明なんかは、時間外やとか土日なんかにされていたんですけど、その辺は時間内にしていただくようなこととか、夜中も、軽いのだったら、ちょっと家で寝てなさいというようなこともあるんですけど、ちょっとやり過ぎて手後れになったりとか、受診抑制になったりとか、そうならないようにしてほしいなと思っております。
三日月知事は、いつも、いつまでも安心な滋賀の医療提供体制の実現に取り組むと言われていますが、医師の働き方改革が進むにつれ、高齢化の進展に伴う医療ニーズの増大や医師、看護師の不足などから、医療の質の低下や地域の医療提供体制が維持できなくなることが懸念されます。
最後に、医師の働き方改革を踏まえ、どのように県内の医療提供体制をつくっていかれるのか、その意気込みを知事に伺います。
◎知事(三日月大造) (登壇)まさに釈迦に説法のようなところがあるんですけれども、医師が慢性的に不足する中で、また地域で診療科によっては偏在がある中で、この働き方改革を推進していくことが相当困難なことであるんじゃないかという、こういう問題認識は私も共有したいと思います。
その上で、先ほど来答弁がありますように、何よりもまずは、医師、看護職をはじめ医療人材を安定的に確保することが重要でございます。人材の養成や県内への就業、定着促進に全力で取り組んでまいりたいと存じます。
あわせまして、特に24時間体制が必要な周産期、救急、小児救急などについて、病院と診療所との役割分担や連携による地域のネットワークの充実に取り組んでまいります。
加えまして、医療機能の分化、連携を図りながら、高度急性期からリハビリテーション、在宅医療、みとりまで切れ目なく提供できる体制を整備してまいりたいと存じます。
医師の働き方改革を踏まえながらも、県民の皆さんにとって、将来にわたって良質かつ適切な医療を効率的に提供できる滋賀の医療提供体制をつくってまいりたい、実現してまいりたいと考えているところでございます。
◆25番(村上元庸議員) (登壇)分かっていただいてありがとうございます。
多分、この制度は、あんまりよその国でもやってないんじゃないかと思います。がんじがらめに罰則があって、健康を守るために、長い時間外労働を下げて労働者の健康を守ることはよく分かります。ですけど、働きたい自由もあるわけですし、それから、もうちょっとこれ、制度を緩くしてもらって、実際こんなことで、先ほどみたいに、今までそれは医師も嫌で嫌で仕事しとるわけではない人がほとんどやと思うんです。働きたくない人もいると思うので、そういう人にはこれをかけて働かないようにしたらええと思います。実際聞いてみても、あんまり仕事好きやない人には、これは喜んでるということは聞いてますけども、普通に僕ら医者になるということは、みんな、何とかこの世の中、患者さんをよくしてもらうというようなことでなって、そういう高い志を持ってやってるので、ほとんど多くの人は、これ、かえってないほうが機嫌よう仕事ができるのかなと思って。ほんで、こういうことによって事務的な、医者自身も計画を変えたり、それから、自分の仕事したときの何時間か計算しなあかんとかね。自分の本来の仕事以外のことに、事務的なことにいっぱい仕事の時間が取られるんですね、労力、仕事も。事務の人も、これのためにまた別な仕事が増えるんですよね。ですから、ほんまにこれがええのかどうかいうことは、これ、実験みたいなもんですから、実際これ、この4月から始まるんですけど、ほんまにこれ、いろいろさっきのたらい回しが起こったり、実際患者さんがいっぱい亡くなるということがあるとかなるのか分からへんので、これは検証していただいて、知事からも、例えばこれ、やっぱりもうちょっと緩めてもらわなあかんとか、これはちょっと、気持ち、方針はええねんけど、もうあと5年か10年したら医者の数も増えていきますから。今、増えてきてますとこですね。ほんであと、偏在もちょっとなくなってきたら、この時点ではしっかり厳しく罰則つけたらええと思うんですけど、まだこの途中の段階で無理やりするのは、ちょっと僕は無理があると思うので、そんなとこを冷静に、かといって進めながら、検証しながら、ぜひ、そう感じたら、国のほうに無理して続けなくてもええように知事のほうから言っていただきたいなと思うんですけど、もう一度知事の意見を聞かせてもらいます。
◎知事(三日月大造) 先ほども申し上げたように、先生のその現場をよく知る、また現場の先生方とディスカッションされての問題意識は私も強く受け止めたいと思います。多くの先生方が自らの時間のことや、また生活のこと、さらには、時には御自身の健康のことをちょっと置いといて、目の前の患者さんのために日夜御奮闘いただいていることだと思います。そういったことには心から敬意を表しつつ、とはいえ、そのことが持続可能なのかと、一部では、自らの健康を害して、もしくは働き過ぎて過労になられるという、そういったことがないように、この持続可能な医療提供体制を整えていこうという趣旨でこのことが行われているんだというふうに思います。
とはいえ、特例水準の指定でありますとか、また災害時の協定を超えて御勤務いただく、そういったことも認めつつ、まずはこの制度がきちんと運用されるように現場と取り組んでまいりたいと存じます。
ただ、その都度その都度、いろんな課題や問題、また弊害があると認められる場合には、しっかりと国に対してもそういったこと、声が届けられるように、対話を重視していきたいと思いますので、今後ともよろしく御指導いただけければと思います。
◆25番(村上元庸議員) 終わります。ありがとうございます。(拍手)
○副議長(有村國俊) 以上で、25番村上元庸議員の質問を終了いたします。
最後に、3番谷成隆議員の発言を許します。
◆3番(谷成隆議員) (登壇、拍手)それでは、最後になりますけど、もうしばらくお付き合いお願いいたします。
私からは、通告に従いまして、一問一答で、災害に備えた地域防災体制の強化について、お願いしたいと思います。
質問に入る前に、能登半島地震でお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災されました方々に心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復旧復興をお祈り申し上げます。
能登半島地震において、半島であるがゆえに幹線道路が限られ、その限られた道路は土砂崩れにより各地で寸断され、その結果、孤立化する集落を招いたり、高齢を理由に家屋の耐震化が進まなかったことから、多くの家屋が倒壊し、多くの死傷者が出たとの報道に接しますと、被害の大きさに驚き、一向に進まない被災地の復興に心を痛めています。
甚大な災害が生じた今となっては、被災地の早期の復興と被災者の方々の日常が一日も早く取り戻せるよう願うばかりでございますが、滋賀県も人ごとでは済まされないと感じています。
滋賀県においては、今回の能登半島地震を教訓し、減災となる方策や被災者の避難、あるいは復興の課題に対して、教訓から学び、生かせるものはないかとの思いから、単に質疑を交わすのではなく、災害に対しては主義主張にとらわれず、議会と県が一丸となって、共通認識の下、取り組んでいかねばならないと思っております。
また、県の災害対策や支援が講じられることにより、自治会の活性化や充実、強化につながり、また、県や市町あるいは各種団体間の連携強化につながらないかを胸に質問に臨んでいます。
まずは初めに、昨年の11月定例会議においても質問させていただきましたが、能登半島地震では、各地で道路が寸断されたことにより救援が届かない孤立する集落を招いたり、生活に欠かせない水道や電気が利用できない被災地の状況に接しますと、今さらながらに道路や橋、水道、電気などのインフラの重要性を痛感しています。
しかしながら、インフラを造り支える建設業や生活物資を運搬する運送業など地域社会を守る業界は、従業員の高齢化や人材不足により、今や存続の危機に瀕していると言われています。
資料が少々古いですが、滋賀県の建設業の事業所数は、2009年から2016年の9年間で7,117事業所から1,204事業所、率にすれば17%が減少し、5,913事業所となり、また、従業員数は、3万7,815人から8,179人、率にすれば約22%減り、2万9,636人となっています。コロナ禍によりまして、さらに減少していることは疑いの余地はなく、増加に転じる要因が少ないことから、今後さらに減少すると思われます。
建設業者や運送業者は、被災地の身近にいることで、より早く、場合によっては被災地に直接救援に入るなど、被災地に寄り添った復興や救援が期待できるのではないかと、今回の地震報道を受けまして感じているところです。とりわけ、人口減少や高齢化が進み、復興の担い手が少ない地域には、これらの業者の存続は重要でないかと考えます。
現在、県が執行されている契約の締結は、滋賀県が締結する契約に関する条例に沿って、受注者よし、発注者よし、滋賀県よしの、私が好きな三方よしの方針で実施されています。
県の公共工事は、公正な競争のもと、原則、価格競争により契約業者を決定しており、これについては異論を唱えるものは持ち合わせておりませんが、とかく経済性を重視するあまり、大事なものをなくしてはいないかと懸念しており、どうにか工夫して地域に必要なものを守れないかと思っています。
県では、三方よしの取組方針に基づき、公共工事の競争入札参加資格審査申請において、地域貢献活動や防災協定参加などの主観的評価項目を取り入れていますが、その評価項目について、私から3つの提案をさせていただき、その見解をお伺いしたいと思います。
まず1つ目に、今後、地域社会への貢献がより重要度を増してくるとの観点から、除雪等の契約や防災協定を締結した場合の評価点数をさらに上げることはできないか、土木交通部長にお伺いします。
○副議長(有村國俊) 3番谷成隆議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
◎土木交通部長(三和啓司) (登壇)お答えいたします。
まず、除雪作業等の委託実績でございますが、これにつきましては、平成27年度から評価点数10点を新たに付与しているところでございます。当面の間、この評価方法を継続する方針といたしております。
また、防災協定の締結でございますが、これにつきましては、令和7年度より、付与する評価点数を5点から10点に引き上げる方針として、現在準備を進めているところでございます。
◆3番(谷成隆議員) (登壇)2つ目として、県や市町など地方自治体の主催を要件にしている地域貢献活動に、自治振興団体や商工会、建設業団体など非営利団体が実施する地域貢献活動も評価対象にすることや、自主防災組織の推進を図る観点から、消防団協力活動に加えて、自警団など自主防災組織への建設業の従業員の参加も評価対象としてはどうか、土木交通部長にお伺いします。
◎土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
主観点評価項目のうち、企業の社会性を評価いたします地域貢献活動と消防団協力活動状況につきましては、現在、県や市町が主催する行事への参加や、従業員の消防団の加入に限り、評価の対象としているところでございます。
その理由といたしましては、それらの活動の公益性に疑いの余地がなく、また、申請者から公的な証明資料等を提出いただくことで、職員が簡便な審査で確認することができるためです。
一方で、御質問の非営利団体が主催する活動への参加でありますとか自警団等への協力活動状況につきましては、多種多様な非営利団体、自警団等の設立趣旨や活動内容におきまして、これが評価点数を付与できる程度の公益性が認められるか、その基準を策定した上で職員が個別に審査する必要がございまして、これらには膨大な作業が必要となることから、実施は困難であり、現時点では対象とすることは考えてはございません。
◆3番(谷成隆議員) (登壇)ありがとうございます。
3点目としまして、現在の人材不足の主な要因に、人口減少や高齢化のほか、女性就業率の低さが挙げられております。人材不足と言われている建設業での女性活躍を推進するためにも、技術者に限らず、建設業での女性就労を評価項目にし、女性技術者の就労であればさらに評価点数を加えるなど工夫されてはどうか、土木交通部長にお伺いします。
◎土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
現在、主観点数の評価におきましては、女性活躍、そして女性就労の推進に向けました取組として、女性技術者の雇用と滋賀県女性活躍推進企業認証制度によります認証企業の2項目を評価としており、これらを合わせて最大10点を付与しているところでございます。
このうち、滋賀県女性活躍推進企業認証制度による認証企業の項目につきましては、技術職に限らず、幅広い職種の女性就労について評価するものでございます。
今後、建設業における女性就労の一層の促進や女性技術者の確保、育成が求められることから、令和7年度からは、先述の2項目ごとにそれぞれ最大10点、2項目合わせて最大20点付与することといたしまして、女性活躍、それから女性就労に積極的に取り組む企業をより一層優遇することとして、現在準備を進めているところでございます。
◆3番(谷成隆議員) (登壇)ありがとうございます。
ただいま提案させていただいたことは、少なくとも地域貢献や女性活躍に対する建設業界の意識の醸成になるのではないかと思いますが、土木工事において地域貢献の一端を担う建設業を存続させるため、入札制度においてどのように取り組んでいこうとされているか、もう一度土木交通部長に所見をお伺いします。
◎土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
議員御指摘のとおり、建設業は、社会資本整備の担い手であるとともに、民間経済を下支えし、災害時には最前線で地域社会の安全・安心の確保を担う地域の守り手として、大変重要な役割を果たしていると認識をしております。
建設業が持続可能で県民からも頼りにされる産業となるよう、本県としては、発注者の責務といたしまして、競争参加資格審査や個々の入札における総合評価におきまして、経営の健全性や技術力のみならず、先ほど答弁いたしましたとおり、建設業が取り組む社会性、すなわち地域貢献や社会貢献につきましても適切に評価していくことが必要と考えております。
今後も、建設業が魅力ある産業として健全に発展していくよう、喫緊の社会的要請にも的確に対応しながら、入札契約制度全般の改善に不断の努力を重ねてまいります。
◆3番(谷成隆議員) (登壇)ありがとうございます。
次に、2016年の建設業の従業員数を調べてみますと、約87%の事業所が従業員10人以下の小規模零細事業者が占めており、とりわけ人口減少が進んでいる大津南部を除く地域では、従業員数4人以下の事業所が7割を占めていました。これらの地域では、復興の担い手が少なくなっていくことから、建設業者は復興や被災地支援に欠かせない存在となってくると期待されているところですが、何の対策を取らないままでは、建設業者は減り続け、その存続が危惧される事態に陥るのではないかと懸念しております。
一方、この4月から、建設業には働き方改革の時間外労働の上限規制が適用されます。人材不足と工期のはざまで多くの建設業者が悩まされるのではないかと思っています。働き方改革を実現するには、それに見合う労働対価が支払われなければならず、建設業の人材不足の要因に若年層の離職率の高さが挙げられており、その理由に仕事に対する賃金が安いがあると言われています。
小規模零細な建設業者の多くは、元請というよりも大規模な業者の下請をすることが多いと思われます。県が発注する公共工事の設計金額は、適切な人件費を基に積算されていることは承知しておりますが、請負業者は、工事の一部を下請や孫請に出すことは一般的であり、その下請価格が人件費を含めて適切な価格になっているのかが気になるところです。
そこで、土木交通部長にお伺いします。下請業者の請負金額や工期など契約状況を把握しておられますか、土木交通部長にお伺いします。
◎土木交通部長(三和啓司) お答えいたします。
県が発注いたします建設工事におきましては、契約金額が500万円以上のものを対象といたしまして、担当職員が現場に出向き、請負業者が個々の工事現場に備える施工体制台帳を確認いたしまして、下請企業との契約金額や契約期間等、契約状況を把握しているところでございます。
◆3番(谷成隆議員) (登壇)ありがとうございます。
次に、本県の地震被害想定は、平成15年、16年に高い発生率が示された琵琶湖西岸断層帯による地震について被害想定を行い、東日本大震災の教訓を反映し、また、県周辺の内陸活断層による地震や南海トラフ地震の発生を仮定し、平成26年3月に被害想定を見直しされたものと理解しております。
輪島市では、2007年に輪島市沖を震源とする震度6強の地震を経験し、避難所や備蓄品を増やし、インフラ整備や住宅の耐震を進めてきましたが、一方、石川県は、震度1以上の有感地震の年間平均回数が、都道府県別で1980年以来、四半世紀にわたり、ずっと下から1位から3位で少なく、それほど大きな地震や津波は起きないとの安全神話があり、2007年の輪島市沖の地震を境に状況は一変したにもかかわらず、石川県は1997年に作成した地震の被害想定が見直しされていませんでした。
また、2007年の地震では、死者1名、住宅全壊686棟の被害が生じ、石川県では県政史上未曽有の大災害と位置づけたものの、一方で、被害が最小限にとどまり、比較的早期の応急復旧が図られたと総括し、逆にこの地震が裏目に出て、住宅倒壊による死者がなく、能登の住宅は被害に強いと思い込んだとの新聞記事を目にしました。
県の被害想定は、市町村の地域防災計画の前提となるものであり、想定が古ければ市町村の避難意識や備えに関わってくると考えます。
そこで、知事に質問します。
今回の能登半島地震の被災状況や集落の孤立化を招いた状況を受けまして、避難や復興に対する課題に関して被害想定の見直しを考えておられるのか、知事の所見をお伺いします。
◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。
現在、国において、南海トラフ巨大地震の被害想定について、想定すべき被害の項目や推計手法の見直しが進められていると承知をしております。その結果等を踏まえまして滋賀県の地震被害想定の見直しを検討していきたいと存じます。
一方、能登半島地震では、ライフライン途絶の長期化により、避難生活や復旧活動に支障が出るなどの課題も出ておりますことから、先に申し上げました被害想定の見直しを待たずに、防災プランの見直しなど、できることから対策の強化を進めてまいりたいと存じます。
◆3番(谷成隆議員) (登壇)次に、県が策定された被害想定において、地震被害やそれに伴う復興過程は記載されていますが、誰がどのように行うのかの視点が弱いと感じています。
今回の能登半島地震では、行政も被災し、行政が行う公助が十分に役を果たせてない中で、より広い意味での共助が必要であると言われています。
被災地だけでなく、近隣市町あるいは他府県の行政との広域的な連携協力が欠かせないと考えますし、また、被災地支援や復興を行う上で、建設業界や運送業界、あるいは食糧支援面での農業団体など、各種団体との連携協力も欠かせないと考えます。このことについてどのように考えておられるか、知事にお伺いします。
◎知事(三日月大造) 議員御指摘のとおり、まず被災した自治体が機能するのかという、職員も多く被災しますので、その職員が町内、市内で被災された方を支援していくという、そのまず体制が取れるのかということをよく考える必要があると思います。
その上で、自治体間での広域的な連携協力や各種団体との連携協力は欠かせないものだと考えておりまして、連携を確実にするため平時からの訓練等を行っているところです。
また、現在、民間団体等と228の災害時応援協定を締結しております。随分前に結んだ協定等もあるようでございますので、随時その内容を精査しているところでございまして、今後、能登半島地震の対応も踏まえて実効性を高めてまいりたいと存じます。
◆3番(谷成隆議員) (登壇)よろしくお願いしたいと思います。
次に、地震などの被害を最小限に食い止めるには、災害を予防する防災対策だけでは不十分で、災害を想定した食糧の備蓄や防災用品の自前準備に加えて、県や市町、消防など行政が行う公助、自身を守る自助、地域で助け合う共助のそれぞれが機能し、連携する体制づくりが必要であると言われています。
能登半島地震の被害状況を踏まえて、46都道府県知事にアンケートを実施し、今回の地震では、石川県内の幹線道路が各地で寸断され、集落の孤立化を招き、早期の物資輸送や安否確認、救助作業が妨げられました。今回の同規模の地震が起きた場合、同様の問題が起こるかと尋ねたところ、半数の22自治体が「そう思う」と回答しました。また、近隣住民の共助の仕組みが困難になっているとの認識を示した知事は41人で、高齢化や過疎化など初期消火や避難誘導での担い手が減ることに懸念を募らせているとの報道を目にいたしました。
今後、人口減少や高齢化が進むことは誰も否定できない事実と認識しなければなりません。自分の身は自ら守る自助のための防災教育や啓発はもちろんのこと、高齢化や人口減少で疲弊している集落において近隣住民の共助が困難となっていくことを踏まえて、何か対応策が講じられないかと考えます。
例えば、人口減少がとどまるソフト面やハード面の支援、あるいは減災につながる初期消火や避難誘導など、共助の仕組みに対するソフト面、ハード面での支援は必要であると考えます。これには財政上の課題が生じると思いますが、これは被災地支援や復興支援への将来的な投資であると私は考えます。
これら疲弊する集落への支援について、どのように考えるか、知事の所見をお伺いします。
◎知事(三日月大造) 先生がお使いになった疲弊する集落というのは私はあんまり使いたくないなと思うんですけど、とはいえ、おっしゃったように人口が減る、そして高齢化が進む、こういう状況をどう受け止めて対応していくのかということだと思います。
やはり、どういう状態にあっても、特にこのような厳しい状況にあっても、災害が起こったときに生きていく、生き延びていくという、そのための自助、そしてそれを支える共助と公助を充実させていくということに尽きるんだと思います。
県内でも、地域の担い手不足により、防災分野に限らず、例えば山間部の荒廃といった課題も顕著に現れてきておりますので、私も強くそのことは懸念しています。
そのため、県において毎年地域課題検討ネットワーク会議を開催いたしまして、各市町のコミュニティー施策の課題等について意見交換や先進事例の研究を行いますとともに、地域の担い手確保の観点からも、移住促進、関係人口拡大の取組を進めているところです。
今後は、山間部の集落などにおける地区防災計画の策定を支援する自主防災組織の充実強化事業を引き続き実施いたしますほか、移住してきた方々も含め、地域のハザードや避難所を確認する防災街歩きや訓練などへの参加を市町と共に呼びかけ、集落などにおける共助を支援してまいりたいと存じます。
◆3番(谷成隆議員) (登壇)ありがとうございます。
次に、能登半島地震では、被災者自身が身を削って助け合う生活が続いています。この現場から見えてくるのは、被災者の共助に頼り過ぎているのではないかと思うことです。
私も過去に被災地支援に行った経験から、被災地への支援に専門性のあるボランティア団体との連携は大きな支えとなっています。県や市町などの自治体が事前に連携協定を結ぶなど、地域防災計画でも地域住民だけでない支え合いの仕組みづくりが必要だろうと考えます。過去に被災地応援を行ったボランティア団体は、以降も地域の祭りに参加するなど、住民とのつながりを続けている例も多いと聞いています。このつながりは緊急時に生きると思います。
日頃から都市住民を呼び込む努力も必要でありますし、都市と地方が尊重し合い、交流する人口を増やせれば、災害時の支援強化につながると考えます。
そこで、地域防災計画において、被災地域の共助に、ボランティア団体のほか、地域の建設業団体、商工団体、農業団体、各種団体を含めた共助の仕組みづくりや都市住民との交流推進を図ってはどうか、被災者の共助の仕組みづくりについて、どのように進められるか、知事の所見をお伺いします。
◎知事(三日月大造) 御紹介いただいた事例は、共助の取組の一つの大切な視点だと思います。
離れた地域との交流機会を増やしていくことは重要でございまして、今回の能登半島地震の支援を通じて築いたつながりを大切にし、今後も能登半島に関心を持ち続け、交流していきたいと考えております。
また、人口が減少する中、地域の住民だけでなく、企業や団体、ボランティアグループなども地域の一員であることから、訓練などに積極的に参加していただくことで、共助の仕組みづくりにつなげてまいりたいと存じます。
地域の防災計画にどう書き込めるかということについては、今後、見直し作業の中で検討してまいりたいと存じます。
◆3番(谷成隆議員) (登壇)ありがとうございます。
次に、南海トラフ地震を踏まえた道路などのインフラ整備や防災教育など、ハード、ソフト両面での対策を進めるための財政措置を求める声が多く、人口減少対策や安全・安心なまちづくりに対する国の公的支援を求める声もあると聞いています。
高齢化や人口減少で地方は疲弊しており、過疎問題を前に、若い人の都市部への集中をいかに是正するかが課題であり、能登半島地震で問われているのは国土の在り方だと意見を耳にします。
また、都道府県は、国にハード整備の支援を求めるものの、国の財源も限りがあります。国は、民間やアカデミズムも巻き込み、各地域に防災活動に資する人材を育てる拠点を置くなどのソフト支援に重点を置くべきだとの意見もあります。
また、コロナ禍を経て、テレワークなどデジタル技術を活用して都心の会社で働きながら地方で暮らすなど、多様な働き方が広まりつつあります。
そこで、知事に質問します。
こうした多様な働き方に対応し、人材を地域に呼び込むことが共助の観点からも重要と考えますが、知事の考えをお伺いします。
◎知事(三日月大造) こうした通信環境が大きく発展することで多様な働き方ができるようになると、そういった人材を県内地方山間部含めて積極的に呼び込んでいくと、そのことが結果的に災害発生時、共助の面でもその強化につながるのではないかという視点は、同様の考えを持っております。
高齢化や人口減少が進む中、防災の観点も含め、地域の担い手確保に向けた移住の促進や関係人口の拡大は重要だと考えておりますので、市町と共に取組を進めてきました。
その中で、例えば地方で起業したい方や、転職せずにテレワークをしながら地方に住みたい方、都心と田舎の両方に拠点を持ちたい方など、移住を考える人のニーズは多岐にわたっていると実感しています。こうしたニーズに対応するため、来年度から新たに大阪に設置を予定しております移住相談窓口等も活用しながら、起業、創業に対する支援や、シェアオフィス、コワーキングスペースのきめ細かな情報提供など、多様なライフスタイルを実現できる移住先として滋賀県を選んでもらえるよう、市町と連携しながら取組を強化してまいりたいと存じます。
◆3番(谷成隆議員) (登壇)ありがとうございます。
先ほどちょっと知事が答えられましたけど、次に、私の思いではありますが、本県は、大津南部とJR琵琶湖線の沿線市の都市部と、それ以外の甲賀、湖東、湖北、高島の地方に分かれ、都市部と地方との二極化が進んでおり、今後さらにその差が拡大するのではないかと危惧しています。
滋賀県は、活断層はあるものの、活火山はなく、自然環境や地理的条件から災害が日本で最も少ない日本一安全・安心な県であると言われています。この日本一安全・安心な県を売りにしての企業誘致や、また、現在計画策定中である名神名阪連絡道路を活用しての甲賀や東近江市への企業誘致など、市町や集落の活性化につながる計画ができないかと常々考えています。この対策は、大津南部もさることながら、とりわけ人口減少や高齢化が進む地域に必要ではないかと思います。
過疎化する地域への活性化の方策としての企業誘致を推進することについて、知事の所見をお伺いします。
◎知事(三日月大造) 私たちの滋賀県は、中長期的な視点で施策を推進する中で、製造業への設備投資助成等により高付加価値で定着性の高い研究開発機能を備えたマザー工場などを誘致してまいりました結果、自動車、電子部品、医薬品等の県内各地への多様な分野の企業立地につながってきたものと認識しております。御地元の日野町も、伝統的なまち、そして農業等も大切にされながら、先端のまたグローバル企業が立地する、また伝統的な企業も残っているという、大変モデルになる地域だと思います。
産業立地は、おっしゃったとおり、税収の増加、雇用創出、地域の消費拡大等、様々な効果が期待できますし、地域の活性化にも資することから、人口減少が進む地域においても、恵まれた自然や充実した交通基盤などの強みも生かした産業立地を推進してまいりたいと思いますし、滋賀県は同様に農業県でもあります。そういったことも大切にしながら、農地との調整、また宅地との調整、こういったことも丁寧にしながら産業立地を進めてまいりたいと存じます。
◆3番(谷成隆議員) 以上で終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(有村國俊) 以上で、3番谷成隆議員の質問を終了いたします。
以上で本日の質疑ならびに一般質問を終わります。
明27日は、定刻より本会議を開き、質疑ならびに一般質問を続行いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時59分 散会
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